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41回国会参議院1962/08/29

外務委員会 第4号

発言数
245
登壇者
13
会派数
3
開催日
1962/08/29

会議録

岡崎真一自由民主党

○委員長(岡崎真一君) これより外務委員会を開会いたします。  本日は、まず国際情勢等に関する調査を議題といたします。  ただいま大平外務大臣がお見えになっておりますので、まず大臣より当面の国際情勢に関し所信を承りたいと存じます。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) まだ勉強が十分できておりませんので、書きものにいたしまして御報告をいたそうかと思ったのですけれども、それではかえって非礼かと思いまして、今私の頭にありますことを、非常に不十分でございますけれども、率直に申し上げて、御批判をお願いいたしたいと思います。  まず、私どもが担当いたしております外交、これはもとより自民党とその政府の大きな方針がございまして、そこに主点を置いてやらなければならぬことは当然でございますが、心がまえといたしまして第一に私は心がけて参らなければならぬと思いますのは、あの総理の所信表明にもございましたとおり、財政と外交は本来一体だという御認識が宣明されましたが、もとより従来とも外務省におきましても、国内の政治あるいは経済というものの動向、実態、そういうものを十分わきまえてかからなければならぬと思いますが、この点につきましては、一そうひとつ努力していきたいと思います。特に国会対策の面におきましても十分細心の留意をして参らなければならぬ、心がけたいと思います。  それから私は、今のようなむずかしい国際情勢に対処いたしまして外務大臣というような仕事を担当いたしまして、実は自分の非力を感ずるばかりでございますが、日本の国自体もやはり自分の力をはかって地についたことをじみちにやって参ることが外交の基調ではなかろうかと思うのでごいます。世界の平和とか、あるいは繁栄とかということにつきまして応分の寄与、その応分ということがどういうものであるかということを見きわめてやっていかなければならぬのじゃないか、それが結局各国の信頼と申しますか、畏敬といいますか、そういうものをかちとる道じゃないかと、そういう感じがいたしております。そういう前提で、当面の今問題になっておりまする問題点につきまして若干考え方を御披露さしていただきたいと思います。  近く私は国連の第十七回総会に出席さしていただきますが、今どういうことを国連総会を通じて訴えるかということにつきまして、せっかく草案を練っておるところでございまして、まだここで御発表申し上げるほどの熟したものではございません。ただ根本の考え方は、従来もそうでございましたが、日本は世界が見まして公正な態度であるという操持を持っていなければならぬと思っております。したがいまして、国連は平和機構でございますから、すべての国際的な紛争は、武力に訴えずに、平和的な手段において解決するということが生命でございますので、その平和維持機構としての機能というものを強化して参る方向に私どもの思考も進めて参らなければならぬと思います。最近ラオスの問題があのような解決点を見出しましたこととか、あるいは西イリアンの問題が平和的に話し合いがついたということは、非常に私どもをエンカレッジするものであると思います。  核実験禁止の問題につきましては、国会におきましても、いろいろせんだって来論議がございますが、当時総理も申し上げたと思うのでございますが、この問題はやはり核保有国自体が最大の責任者である。そしてまた核保有国の行動を有効に国際的に規制するような協定というものができなければならぬということが第一義的なことではないかと思うのでございます。政府におきましても、従来この問題につきましては内外に訴えて参りましたし、核実験がございましたときにはそれぞれ抗議を続けて参りました。また政府以外に、日本におきましても、各政党、各団体等におきまして、非常な国際的なアッピールが精力的に行なわれたのでございますけれども、どうもこういう一連のアッピールが、はたしてその核保有国にどれだけの影響力を現実に持っておったかということを考えますと、それはおのずから限界がありますことは、たび重なる実験がなお跡を断たないということによって証明されておると思うのでございます。こういう努力は重ねて参りますけれども、やはり有効な核実験の禁止協定というようなもの、そういうものを作っていく上におきまして各国が協力いたしまして、精力的にそういうことを具現する国際世論というものの形成に努力して参らなければならぬと思っております。同時に、これは核兵器ばかりでなく、核兵器以外の一般の軍縮の問題につきましても同様でございまして、ジュネーヴにおきまして今交渉が続けられておるし、アメリカからも新しい提案があったかのようでございますが、要するに、こういう国際協定、有効な国際協定の樹立ということに応分の働きをやらなければならぬのじゃないかと思っております。  中国代表権の問題につきましては、とにかくいろいろな御批判がございましたけれども、この問題の持つ広さということを考えてみますと、世界の平和から申しましても、極東の平和から申しましても、非常に影響の大きい問題でございますので、重要事項指定ということに、日本側も提案国となりまして、あのような結果に相なっておりますが、ただいまのところそういう方針を変えるという気持はございません。  それからAAの外交でございますが、AA圏と一口に申しましても、御案内のようにいろんな要素があるわけでございますが、AA圏の一員であるという立場と、それから私どもが従来主張しております自由圏の一員である立場とは、決して私は矛盾いたさないと思うんです。むしろ自由圏の中に深く入れば入るほど、AA圏の一員として、AA圏のためになるんじゃないかと思いまするし、AA圏の外交におきまして信頼を獲得することが、同時に自由圏における日本の役割というものの値打が評価されるようになるんじゃなかろうかというような感じがするのでございまして、この点につきまして決して二律背反するものではない。その外交圏におきましても信頼と畏敬を獲得するようにして参りますることが、その属する政治圏に対して日本の役割が確立されるのではないかと、そういう感じを持っておるわけでございます。  経済外交の問題でございますが、実は、たいへん戦後経済の国際的な協力という面が大幅に出て参りまして、具体的にも国際経済機構というようなものが、ガットでございますとか、IMFでございますとか、その他各種の国際機構ができまして、その影響力というものを無視して国内の経済の運営ができないということに、そういう新しい傾向が出て参っております。言いかえれば、国内の経済の運営は、それ自体非常に深刻の度合いが薄くなって、むしろ外からの影響というものを勘定に入れないと経済の運営ができないということになってきておるということでございます。したがって、経済外交というのは、もう昔に比べまして今はとても大きなウエートを持ってきておると思うのでございます。ところが、実際経済外交というものにつきまして若干勉強してみますと気がつきますことは、日本の経済外交というのは、おそらく私は、世界の中におきましてこれほどむずかしい立場にある国はほかになかろうと思うのでございます。と申しますのは、先進国の仲間入りをいたしまして、いろいろの経済協力、国際的な投資なんかの面におきまして日本が先進国と協力いたしまして、インドにいたしましても、それからパキスタンにいたしましても、応分の協力をいたしておる立場にありますことは御案内のとおりでございますが、そういう意味では日本は確かに先進国の仲間入りをいたしておるわけでございますが、しかし、今問題になっておりまするガットの三十五条の援用問題などというのは、日本にユニークな問題でございまして、先進国はこういう問題を持っていないわけでございます。これは、わが国の経済がまだ二重構造のひずみから脱却していないという実態もございまするし、また、日本の実態に対して世界があまりに無知であると申しますか、インフォームされていないということから出てくる恐怖心というか、誤解というか、そういうものがあると思うのでございまして、そういう状況において考えてみますと、日本の経済外交というのは、これはなみなみならぬ困難なものである、他の国に比べて比較にならぬほどむずかしい問題であると思うのでございます。したがって、いろいろな御批判もあろうし、論議も出て参ると思うのでございますが、しかし、困難な局面におるということを御認識いただきまして、政府に対しましてもまあ御同情を持って見ていただきたいとお願いをするわけでございます。  この経済外交を進めるにあたりまして何よりも頼みにいたしますのは、日本の経済そのものが順調な成長を遂げまして日本経済自体が近代化していくということが前提にならぬと、いかにふんばってみましても、スムースな経済外交はできないと思うのでございまして、私どもは、今進行中の経済の近代化政策、成長政策と申しますか、そういったものが順調な足取りで進んで参りますことを非常に期待をいたしておるわけでございます。それと並行いたしまして、日本をよく知らす運動と申しますか、俗に言うとPRというものによほど心がけなければならんのじゃないかと思います。外務省におきましても、いろいろ工夫をいたしましてPRに努めておりますけれども、まだ予算も要員も十分ではございませんし、PRの技術面におきましてもっと工夫をこらさなければならん多くのものがあろうと思うのでございますが、これは経済外交を進める場合の前提として、よほど努力していかなきゃならん面だと考えております。  それから、今はやりのEECの問題でございますが、日本でも官民を問わず、EEC問題、EEC対策という名において相当勉強が進んでおりますことはけっこうでございますけれども、EECというのは、まだこれは形成の過程にあるわけでございまして、EEC対策を、EECという一つのまとまった共同体を問題にする前に、まずそれに加盟いたしておりまする国、また加盟せんといたしておる国、そういう国とわが国との従来の経済関係というものを吟味いたしまして、どこに問題の点があるかということを探索いたしまして、その単位国との個別な折衝を精力的にやりまして、EEC全体の共通な政策がだんだんと形成され、化体されて参る過程と並行して、個々の国々に対する具体的な問題点の折衝というものを続けていくことが、当面、より大事なことでないかと思うのでございます。で、先般東京交渉を終えました日英の通商交渉にいたしましても、一部の問題を除きまして、ほぼ大きな筋において意見の一致を見ておりますが、これとても、ねらいは、EECに英国が加盟したあとで、根本的な問題を日本と英国との間に残しておくようなことがあっちゃいかんと思いまして、少なくともガット関係には入っておくという踏み台だけはちゃんとさせておかなけりゃいかんという趣旨で、非常にこれは精力的にやっていただいたわけでございます。近くドイツと現にやっておりまするし、フランスやイタリアとこの秋はやらなければなりませんが、それは、そういう趣旨でEEC加盟国との個別な折衝で問題をできるだけ消化しておくという心がまえでいかなければならんと、今の段階ではそういうことが非常に大事だと思っております。それから、EEC全体につきましては、この間参議院の本会議でも御質疑をいただいたわけでございますが、これをひとつまとまったものとして、私どもが特別な機関を作ってこれに対処するというような方法をとるかどうかという問題でございますが、今申し上げましたように、重点がまずまだその前提にあるわけでございまして、そこに力点を置いた折衝が続けられておるわけでございまして、それと遊離してEEC対策というものは考えられませんので、今当面EECを相手にした特別な経済外交機関を作って、そこにいわば特定の大使を置いてやるとか、そういうことは少しまだ時期が尚早じゃないかという感じをいたしております。  それから、低開発圏に対する問題でございますが、これはわが国の貿易構造から申しまして、先進国との間は原則として輸入超過でございまして、後進国との間では日本は輸出超過であるという非常に不幸な経済構造を持っておるわけでございまして、第一次産品をたよりにしていく低開発圏から第一次産品を買ってあげなければいかぬ。しかし世界的に市況は非常に弱いというようなことで、外貨の不足を来たしているところに対して非常な輸出超過であるという宿命を持っているわけでございます。したがって、これは何としても本格的に貿易の高度化をはかりまして、先進国との間の貿易のバランスというものをかちとらないと、日本の貿易構造は安定しないと思うのでございまして、そういう意味で今の成長経済に非常な期待を持つわけでございますが、そうでないと、なかなかその第一次産品を買い付けるにいたしましても、国内の農業との問題が起こりますし、そんなに輸入余力がないわけでございまして、とんとこれは行き詰まると思うのでございます。したがって、本格的な貿易政策を進めて参りますことが、低開発圏に対する私どもの態度に弾力性を与えると思うのでございます。なお、この面につきましては、そういう貿易関係だけでなくて、最近経済協力という問題が世界的な課題として出て参っております。もっとも経済協力というのは最近始まったばかりのことでございまして、私はどこの国も世界じゅうが全部しろうとだと思います。日本も例外なくしろうとだと思うのでございまして、一体どういう経済協力が適切であるかなんという課題を与えられたとしても、ちょっと答案の書きようがない。いろいろまあトライアル・アンド・エラーでいろいろなことをやってみて、そうしてその間に人間の知恵というものはだんだんと出てくるのではないかと思うのでございまして、世界的に応分の寄与をするということを先ほど申しましたが、いろいろ応分の経済、技術協力というような仕組みもできておりますので、こういったものを骨子といたしまして、できるだけいろいろやってみる。その中から、日本人は非常に賢明でございますから、その間からいい知恵を出していただいて、だんだんこれは地についてくるのじゃなかろうかと思うのでございます。応分の協力は、国内の財政官庁その他によくお願いをいたしまして、できるだけこれはやって参らなければいかぬ問題であると思います。  それから、最近河合ミッションの登場等から、それより前に、池田総理並びに佐藤前通産大臣なんかで、共産圏貿易というような問題が提起されておって、今世論を喚起いたしておりますが、私らの考え方は、これはまあ共産圏といえども貿易の機会をあとう限り獲得して参るということは当然だと思うのでございます。ただ、このやり方をどうするかの問題でございますが、やはりこれは日本が世界の信用というものを失ってはいけませんので、対共産圏貿易につきまして、世界の自由圏の国々が一体現にどういう条件、どういう仕組みでどのように貿易をやっているかという実態をよく知る必要があると思うのであります。わが国だけがかたくなる必要はないと思うのでございます。そういった点をいろいろ調べておりますが、的確なことはなかなかわからないのでございますけれども、日本がそういうことをいろいろやるというのはわかるじゃないかというような、世界が了解するようなものであってほしいと思うのでございます。  それから、具体的に延べ払いでございますが、輸出代金保険なんかの面につきまして、日本が貿易の機会を世界じゅうにフェアな方法でかちとるという方針に従って、ある品目についてこの国に対してどの程度まで踏み切れるかということを具体的に詰めて、そうしていくべきじゃないかと思うのでございまして、観念論でなくて、具体的に打開の方途をフェアに切り開いていくということであってほしいということで、せっかく今検討を進めておるわけでございます。河合ミッションがいろいろな契約をいたして参りました。で、きのう私も河合さんにお目にかかりまして、きょうから具体的に報告を聞いております。成約いたしました契約書なんかについても検討させていただいておりまして、具体的にこれは申請が出てくるわけでございますので、そういったときにまごつかないように、あらかじめ十分勉強させていただこうと思って、きょう打ち合わせを始めております。やがて政府の態度をはっきりさせていきたいと思います。  それから、日韓の問題について私どもが考えておることを申し上げます。これは十年交渉で長い間断続をして参りましたことでございます。きわめて困難な問題であるということは、今の交渉の経緯から申しましてもよく承知いたしておるわけでございます。今度なぜ予備交渉をこの時期に始めたかと申しますと、三月の外相会談で日本と韓国の代表とが相談いたしまして、日本のほうも参議院の改選がございまするし、その後内閣の人事の更新というようなことも考えられるので、当面休もうということで、そういったことが済んだらまたやりましょうと約束がございます。したがって、そういう約束に対しましては忠実でなければならぬと思いまして、始めたわけでございまして、特にこの時点で取り急いでやるのだというような特段の意図はないわけでございます。まあ、水が流れるようにやっておるわけでございまして、特に急いでおるというようなものではございませんで、こういう日韓の問題が今までのような不安定な状態にあるということ、それを直してなかったというようなことは、むしろおそきに失しておるのじゃないかとさえ考えております。この日韓の間にはいろいろな懸案がございますが、従来の経緯から申しまして、世上言われておる請求権問題という問題が、懸案の中で一番焦点になっておる問題でございまして、その問題が片づかないと、目安がつかぬと、ほかの案件の処理に移れぬということであったようでございまして、今回の予備折衝も、したがいまして、請求権問題というものから入っております。で、請求権につきましては、世上伝えられておりますように、三月の外相会談では、彼我の間に相当の距離があるということが確認できたわけでございます。で、去年の十一月の池田、朴会談におきましても、この問題は法律的な根拠があるものに限ろうじゃないかということにおきまして、両者の合意を見ておるわけでございまして、その線に沿っていろいろ計数を——項目あるいは積算というようなものをやってみたようでございます。しかし、どうも彼我の間に相当の距離があるということで、それ以上進みにくい状態であったようでございます。しかし問題は、こういった不自然な状態をできるだけ早く正常化していくということを考える場合におきまして、いつまでもそう停滞したままでおいておくということもできませんので、何か請求権問題を片づける新しい工夫はないものかという点を考えまして、ひとつ提案を先方にいたしまして、先方の考慮を求めておるというのが今の段階でございます。そしてその内容はどうだということにつきまして、両院を通じましていろいろ激しい御追及をいただいたわけでございますけれども、予備折衝がまだ始まったばかりでございますし、一つの試案を先方に提示してあるということを国会に御報告申し上げるなんていうのは、その中身を申し上げるというのは、国会に対して非常に非礼でございまするし、外交の慣行から申しましても妥当でないと思いまして、まだ御遠慮申し上げておるわけでございます。私どもは日韓の問題は、このような接した国の間で国交がないという状態は非常に不自然な状態であると思うので、それに何とか道があれば正常化すべきじゃないかということで、ごく平明に問題を考えておるつもりなんでございます。したがって、問題になっておる諸懸案につきまして国民の御納得がいくような解決の目安をつけて、でき得ればできるだけ早く国交の正常化をはかるべきじゃないかということで進めておるわけでございますが、今はまだ予備折衝に入ったばかりでございまして、それ以上申し上げるような段階ではないことをきわめて遺憾とするわけでございますが、お許しをいただきたいと思います。  それから懸案になっておりましたビルマの賠償再検討問題、これは引き続きビルマ側と外務省との間で話し合いを続けておるわけでございますが、御安内のように、ビルマの政情が若干不案な段階にございまして、仕事が持続的にずっと能率よく進んでおるとは申し上げられませんけれども、私どもは糸を切らずに引き続き折衝中である、まとまりますればまた御審議をお願いいたしたいと、そう考えておる次第でございます。  たいへんまとまらぬことでありますが、私の頭にあるあらましを申し上げて、一そうの御指導と御批判をいただきたいと思います。

岡崎真一自由民主党

○委員長(岡崎真一君) それでは、大臣がおいででございますから、御質疑のありまする方は、順次御発言を願います。

大和与一日本社会党

○大和与一君 今大臣の御所信をお聞きしたのですが、たくさんありますけれども、一つは日韓問題ですね。これはまあたくさんあちこちでも聞かれたから簡単にお聞きしたいと思うのですが、官房長官でおられたときに、いわゆる慎重論というか、消極論というか、そういうお気持でおられたというふうに一般的に受け取られておるのですが、今度外務大臣になって内閣のやり方が急に変わって、それであなたもそれに乗っていかなくちゃいかぬもんだから心境の変化が起こったのか、その辺はどうなんですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 物事をやるのに慎重である人と慎重でない人とあるということには、私はそういうことはないだろうと思います。全部慎重でなければならぬと思うわけでございます。私がポストが変わったからといって、私は何事によらず公務を処理する場合に慎重でなければならぬのは当然で、依然として慎重論者であるということを申し上げたい。ポストが変わったから特に心境が変わったというようなものではございません。

岡崎真一自由民主党

○委員長(岡崎真一君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕

岡崎真一自由民主党

○委員長(岡崎真一君) それでは速記つけて下さい。  ただいま防衛庁長官が見えましたので、長官に対して御質疑のあります方は、順次御発言を願います。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 防衛庁長官に、沖繩の戦略的価値あるいは意義、それをアメリカ側はどういうふうに見ているか、それから日本としてはそれをどういうふうに評価されるか、その点からまずお答え願いたい。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(志賀健次郎君) 沖繩は、御承知のとおり、極東の平和と安全維持のためきわめて重要な意義を持つ戦略的要点であると考えるのであります。これはアメリカのほうといたしましても、またわがほうとしても、同様に考えらるべきだろうと思う次第でございます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 非常に簡単でよくわからないのですが、禅問答みたいで。  それでは、もっと内容的にお尋ねいたします。  沖繩における現在の兵力配備の状況を、アメリカ軍の兵力配備の状況を御説明願います。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(志賀健次郎君) 私は就任後日が浅いのでございまして、その点までまだ十分勉強が行き届いておりませんので、防衛局長から的確に答弁させたいと思います。

海原治防衛庁防衛局長

○政府委員(海原治君) 沖繩における米軍の配備でございますが、陸・海・空に分けて申し上げますると、陸軍は空挺戦闘団が一つ、砲兵旅団が一つ、海軍は海兵師団が一つ、空軍は航空師団が一つ、これが主要な部隊でございまして、これを支援いたします部隊がそれぞれこのほかに存在いたします。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 まずその米軍の兵員、あるいは戦闘機数、あるいは海軍の内容、そういうものはどうなっておりますか。

海原治防衛庁防衛局長

○政府委員(海原治君) 兵力につきましては、これは公表された数字はございません。ただ一部の観測といたしましては、大体陸・海・空合わせまして五万程度ではないか、こういう観測がございます。先ほど申し上げましたように、それぞれ師団単位で存在いたしておりますが、大体の数字は推測がつきますので、それから約五万程度ではないかという数字が生まれた。  なお、細部について少し申し上げますと、陸軍は、これは第二空挺戦闘団、これは約二千名の空挺部隊が中心の部隊でございます。砲兵旅団は、これはナイキ・ハーキュリーズ、ホーク等の装備を持った新しい砲兵部隊でございます。海兵師団は、一個連隊は米本国におりますが、自余の大部隊がここにおりまして、ここには有事即応の態勢でいろいろな部隊が存在しております。空軍は、先ほど申し上げました一個師団の中は、戦闘機部隊が、いわゆる戦術空軍、戦闘機と申しますか、これがウイングが一つ、そのほかに要撃の戦闘機のウイングが一つ、さらに若干の偵察機、以上の内容であります。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 沖繩が核武装されているということがよく言われているのですが、それらの点について、どういう状況になっているか御説明願います。

海原治防衛庁防衛局長

○政府委員(海原治君) 沖繩の米軍に核装備があるかないかということにつきましては、これは確認する手段がございませんので、的確に申し上げられませんが、先ほど申し上げましたようなナイキ・ハーキュリーズ、あるいは建設しておりますメース等というようなものは、全部これは核、非核両用の装備でございまして、したがいまして、おそらくは核、非核両用に使用できるであろう、このように私どもは想像いたしております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 ナイキ・ハーキュリーズの基地はどういうところにどういうふうにありますか。

海原治防衛庁防衛局長

○政府委員(海原治君) 具体的な地名は私は承知いたしておりませんが、大体八カ所に分かれて、このナイキ・ハーキュリーズ、ホークの基地が存在しておる、このように私は承知をいたしております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 ナイキ・ハーキュリーズ、ホーク、いずれも八基地ですか、おのおの八基地ですか。

海原治防衛庁防衛局長

○政府委員(海原治君) ナイキ、ホークともそれぞれ共同して防空に当たりますので、それぞれがどういう部隊数で配置されているのかはわかりませんが、合計して八基地にそれぞれ配置される、このように承知しております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 オネスト・ジョンはどうですか。

海原治防衛庁防衛局長

○政府委員(海原治君) 私は承知いたしておりません。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 リトル・ジョンは。

海原治防衛庁防衛局長

○政府委員(海原治君) 同様に承知いたしておりません。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 それらの承知していないというのはどういうことですか、新聞その他にはたびたび出ておるのですが。  それから自衛隊のほうではしばしば隊員を向こうに派遣して、いろいろな見学その他をやっておられるけれども、それでわからないのですか。

海原治防衛庁防衛局長

○政府委員(海原治君) まことに準備不十分で申しわけありませんが、リトル・ジョン、オネスト・ジョンは、現在の私の判断では、現在はないと思っております。的確にはないということは承知いたしておりませんが、先ほど申しましたように、空艇戦闘団の装備に双方のジョンはないように承知いたしておりませすということを申し上げるのでありますが、先ほど申しました防衛旅団は、主としてナイキ・ハーキュリーズ、ホーク、そしてメースB、こういうものに編成がなされておりますので、リトル・ジョン、オネスト・ジョンというものはないと私は承知をいたしております。ここで的確に、ないということは断言できませんので、先ほどのようなお答えをしたわけでございます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 新聞その他の報ずるところによると、オネスト・ジョンが海兵隊一大隊に一基ずつ、リトル・ジョンが砲兵部隊一中隊に一基ずつあるというふうに報ぜられておりますが、これはそれじゃ、もう少しそちらのほうでもよくお調べ願って……。それからメースBはどういうふうになっておりますか。

海原治防衛庁防衛局長

○政府委員(海原治君) メースBにつきましては、昨年以来四カ所の基地を建設いたしておりますが、基地としては完了したように承知しております。ただ具体的にメースBが部隊に配置されたかどうかということは、まだ正式な発表がございません。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 それらの今あげられたようなナイキ・ハーキュリーズ、あるいはホーク、オネスト・ジョン、リトル・ジョン、メースB、そういうものが実際に核武装されているのかどうか、核弾頭がすでに来ているのかどうか、その点はどういうようにお考えになっていますか。

海原治防衛庁防衛局長

○政府委員(海原治君) 先ほどお答え申し上げましたように、一応これらの装備兵器は核、非核両用のものでございます。先ほど大臣からお答え申しましたように、沖繩空軍は極東におきます戦略の重要な要衝でありますので、通常の考え方で参りますと、たとえばナイキ・ハーキュリーズにつきましては七対三とか、六対四とかの割合で普通弾頭と核弾頭を準備するのでありますが、したがいまして、そのような率で準備はされておるだろうということは、これはあくまで想像でございます。具体的にどういう弾頭がどの程度あるかということにつきましては、これは一種の軍事機密的な情報でございますので、私どもとしてはこれを承知いたしておりません。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 それから最近よく伝えられるのですが、原子力潜水艦が定期的に寄港して、潜水艦の基地化しているということがよく言われておりますが、これの状況を御説明願いたい。

海原治防衛庁防衛局長

○政府委員(海原治君) アメリカの太平洋艦隊には、現在原子力潜水艦はたしか五隻前後配偶されております。したがいまして、そのあるものがときに寄ることはあるかと存じますが、今委員のおっしゃいましたように、定期的に寄港しているという事実は私どもは承知いたしておりません。そのようなことは、いわゆる定期的に寄港ということはないと存じております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 しかし定期的かどうか知らぬが、しばしば入港しているようですが、その状況をどういうふうに考えておられますか、どういうふうに調べておりますか。

海原治防衛庁防衛局長

○政府委員(海原治君) 資料を持ってきておりませんので、的確な数字はお答えできませんが、昨年度におきましても、たしか三度か四度は寄港したことはございます。しかし、その程度でございまして、これは御承知のように、太平洋艦隊の中の演習訓練の一部としてそのような行動があったことは、これは当然のことと考えております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 新聞その他の報ずるところによると、原子力潜水艦が那覇にたびたび寄港している。それから那覇と中部の中城湾を根拠地としている。したがって、これはこういう潜水艦の当地化ということが現実に行なわれているのではないかというふうに言われておりますが、その点はどういうふうに見ておられますか。

海原治防衛庁防衛局長

○政府委員(海原治君) ただいまおっしゃいました基地という意味でございますが、私どもは特に第七艦隊につきましても、いわゆる当地として考えられますものは、フィリピンのスビグ湾であるとか、韓国の釜山であるとか、あるいは日本の横須賀、佐世保湾、それからグアムそういうものがいわゆる基地に該当するものでございまして、結局那覇が原子力潜水艦の基地であるというふうには、私どもの考え方の基地には該当しない、このように考えております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 新聞の報ずるところによると、グアム島と並んで沖繩がこれらの潜水艦の西太平洋における補給基地化しつつあるというふうに言われておりますが、この点はどうですか。

海原治防衛庁防衛局長

○政府委員(海原治君) 先ほど申し上げましたように、補給基地という言葉でございますが、そこに船が寄りまして、食糧あるいは真水等を積み込む、あるいは乗員がそこで休養をとるということでは基地ということでございますが、通常の意味の基地ということになりますと、先ほど申しましたように、大きな港湾施設がございまして、そこで艦艇の修理等も行なわれますところを通常基地と申しておりますので、御指摘の那覇が、原子力潜水艦の基地としてグアムと並ぶような意味を持っているというふうには、私どもは考えておりません。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 それから水爆積載可能のF105五機が配置されているというふうに言われておりますが、この点はどういうふうに見られますか。

海原治防衛庁防衛局長

○政府委員(海原治君) F105の恒久的な配置につきましては、その運びに至っていない、このように承知いたしております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 新聞は五月十日、五機が常時配置になったというふうに伝えておりますが、これは事実と違うのですか。

海原治防衛庁防衛局長

○政府委員(海原治君) ただいまの点は、調査の上お答えさしていただきます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 これは外務大臣、あるいは防衛庁長官にお尋ねしますが、今の御説明によってはっきりしておりますように、沖繩にはすでに原水爆が保有をされているというふうに見得るのですが、そういう意味で、沖繩が核武装化されているというふうに断定をしていいと思うのです。そこでお尋ねしたいのですが、日本は沖繩のこういう核武装化については相談を受けたのかどうか、それから、それを日本は了承をしておられるのかどうか、その辺はどういうふうになっているのかを御説明願いたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) そういう御相談を受けたということは、伺ったことがございません。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 そういう点は相談も何も受けないで、向こうが一方的に勝手にやっているのだというように考えていいのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 御相談を受けていないわけでございます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 相談を受けていないから、これはそれじゃあ黙認をしている、何にも問題にならないというふうにお考えになっているのかどうか。沖繩が非常に大きな核武装基地化している、極東における唯一最大の核武装基地化しているということが言われておるんですが、そういうこと、そういう状態であっていい、何ら差しつかえないというふうにお考えになっているのかどうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 沖繩は、御承知のように、米国の施政下にあるわけでございまして、私どもは有権的に沖繩におけるアメリカの施政等につきまして申し上げるという立場にないわけでございます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 沖繩の市町村会総会は、沖繩の核武装反対の決議をしているのです。日本にもその反対の決議が届けられていると思うのです。それからまた、沖繩現地でこれに対する非常に激しい反対の機運なり要求があると同時に、日本の国内においても——国内はもちろんのこと、本来日本の本土の一部であると称せられる沖繩がこういう核武装基地——核武装された基地になることに対しては非常に困る、反対だという機運が強いと思うのですが、そういう状況にあるときに、日本政府は、どうもアメリカが一方的にやっていることで相談を受けないんだからこれでしようがないんだというふうな態度をとっておられていいのかどうか。この点はもう少し事情を詳しくお調べの上に、むしろ沖繩島民の非常な熱烈なこれに対する反対の空気を日本としても表明をされることがしかるべきではないか、こういうふうに思うんですが、それらの点はどういうふうになっておりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 沖繩の問題につきまして、深くわれわれが関心を持っておることは事実でございますが、先ほど申し上げましたように、アメリカの施政権下にございまして、こちらは有権的な立場でもってそれに干渉していくという道がないこと、御案内のとおりでございます。  ただ、先ほど私の申し上げましたとおり、核戦争ないしは核戦争の危険に通ずる一切の措置というものに対しましては、強い反対の立場を堅持いたしまして、現に保有しておる各国がそういう危険に通ずる一切の措置をやめるような有効な国際協定というものの成立に全力をあげて参らなけりゃならないということは、先ほどの考えを述べた場合にも申し上げておいたわけでございます。で、そういうことにつきましては、十分の努力を傾けるべきものと考えております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 アメリカの沖繩を中心にする核武装化が非常に積極的に、組織的に、全面的に進んでいることに対応して、中国が同じように核爆発の実験なりあるいは核装備をやろうというふうに準備をしつつある、こう言われておるんですが、中国のそういう準備状況なり何なりをどういうふうに見ておられるか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 寡聞にしてよく承知いたしておりません。

岡崎真一自由民主党

○委員長(岡崎真一君) お諮り申し上げます。  防衛庁長官は、決算のほうからなにがございましたので、質問がありますようでしたら先に。外務大臣のほうは、この委員会にお残り願うことになっております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 そうですか。それでは、防衛庁長官はもういいです。  何か二、三日前に、アメリカのほうで、本年度中に核爆発の実験を中国はするだろうという意見が述べられたときにもっとも、この意見はその後訂正をされたようですがすぐ、これは日本の外務省だったと思うのですが、ことしじゅうはそういうことはないだろう、来年が考えられるというような御発表があったように思いますが、大臣は御承知になっておらないですか。防衛庁ですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) ええ。

海原治防衛庁防衛局長

○政府委員(海原治君) ただいま申されましたのは、実は昨日参議院の内閣委員会がございまして、そこで私が、御質問がございましたのに対してお答えしたことを言っておられるかと思いますが、中共の核装備についての見通しも、その際問題になったわけでございますが、私どもといたしましては、早くても来年以降であろうということを観測いたしておりますと、このように申し上げたわけです。それできのうの朝の新聞に、AP電、UPI電といたしまして、ことしじゅうあるいは来年二、三月ごろに核爆発を行なうかもしれないという報道がありましたが、それはお話のあったように、すぐ否定しております。で、本年の四月ごろアメリカ議会におきまして、ラスク長官もこの問題につきまして、一年以内に中共が核爆発を行なうとすれば、自分は非常にびっくりするであろう、しかしそれが二年後では驚かない、こういう言い方をしております。従来いろいろの観測でも、早くても来年の夏以降ではないか。こういうことを申し上げますことは、現在中共が持っていると伝えられております原子炉の活動及びその能力等から推測いたしまして、大体フランスの場合におきましても、実際原子炉が活動いたしましてから十二年たって初めて核爆発が行なわれております。一応そういうようなところから、専門家がそれを検討いたしまして、早くても来年以降であろう、こういう結論をいたしておりますので、その推定を実は昨日申し上げた次第でございます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 これは核爆発実験がそうであって、核武装、核兵器を装備するというのは、それとほとんど同時に行なわれると見ていいのですか、そこに相当期間があるとみなければならないのですか。

海原治防衛庁防衛局長

○政府委員(海原治君) これは現在のフランスの例でもおわかりいただけますように、核爆発を行ないますということと、これを装備として持つことは別個の問題でございます。すなわち、原子爆弾は作り得ますにしましても、それを運搬する手段である飛行機であるとか、あるいはロケットであるとかというようなものの開発が進みませんというと、いわゆる核装備としては実用になりません。したがいまして、フランスの場合におきましても、おそらくフランスは自力で核装備ができないのじゃないかという観測が行なわれておりますので、中共につきましても同じような問題があろう、このように考えております。  もう一度申し上げますと、核爆発が行なわれるということと、それが現実の核装備として装備になるということとは別個の問題である、こういうことでございます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 核爆発実験あるいは核武装化というような問題の時期、中共のそれの実現の時期についてはいろいろな観測があると思いますが、いずれにしても、アメリカの極東における、特に沖繩における核武装化に対応するものとして、中国がそういう方途を急いでいるということが考えられると思うのですが、そうなれば、最も迷惑をこうむる、最も危険な状態に陥れられるのは日本なんであります。どうしてもこれは、いずれの国であろうと、こういう核爆発実験なりあるいは核武装化ということに対しては、やめてもらうということに努力をしなければならぬ、この実現のために世界の世論その他を盛り上げていかなければならない、そういう意味から言っても、先ほど述べられた沖繩の核武装ということが何といっても原因になるわけですから、これを取り除かなければならないと思うので、最もこの核武装化については絶対に反対という態度で日本は対処すべきだし、したがって、こういうことを考えて、われわれ社会党としては、御承知のとおり、太平洋地域における非核武装の実現のための国際的な話し合いなり何なりに努力をしようじゃないかということを提案をしているわけですが、政府としてもこれに同調をしてそういう方向に問題を進めていかれるお気持はないかどうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 先ほど私が申し上げましたとおり、この問題は、核保有国の行動を有効に拘束する国際協定というものが締結され、そしてしかもそれが有効に働くということが第一義的に必要であるということを私申し上げたのでございまして、そういう方向に国際世論の啓発、形成に努力して参るべきものだと思うのでございます。で、またそれがないと、数々のアッピールにかかわらず、実効を上げ得ないというのが今日の実情だと思うのでございます。しかしながら、佐多委員が御指摘されますように、私どもは、どういう国であろうと、核戦争の危険に通ずるような一切の施設に対しましては、強い反対の立場を堅持いたしまして、あらゆる機会を通じまして精力的にアッピールをして参るということは当然のことでございまして、今後ともそれを精力的にやって参る所存です。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 核武装化に対しては反対のお気持なり反対の態度を持ち、しかもそういうアッピールをしていくのだというお話がありましたが、ぜひそれを具体的に実現をしていただきたいし、そういう意味では、われわれの提案をしている太平洋地域の非核武装という主張を実現をし、少なくとも国内においてはまず決議し、それを世界に対して、特にアメリカと中国に対してそれをアッピールし呼びかけるという必要があると思うのですが、それに対してどうお考えになるか。特に外務大臣は今度アメリカに行かれるわけなんですが、アメリカでこの問題を取り上げて強く反対の意思表示をされるお気持があるかどうか。ぜひしていただきたいと思うのですが、その点はどういうようにお考えになっておりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 今私が申し上げましたような方針で、あらゆる機会を通じまして努力して参るつもりです。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 沖繩問題について日米交渉をやられることをすでにことしの初めからいろいろ主張をしておられるようですが、これがなかなか進捗をしていないのですが、この沖繩問題に関する日米交渉はどういうふうになっているのか。今後どういうふうに進めようとしておられるのか。その点を御質問いたします。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) この間も本院の予算委員会でも申し上げましたとおり、ことしの夏日本から調査団を三回にわたりまして派遣いたしたわけでございます。で、このことは戦後沖繩の状況につきまして各分野の専門家が直接その眼識でもって沖繩の状況を調べることができた非常に貴重な機会であったと思うのでございます。で、この報告が今ようやく取りまとめができた段階でございまして、この報告をもとにいたしまして、日本は沖繩の今後の経済開発の問題、住民の民生福祉の問題につきまして、日本側の専門家が見たところを基礎にいたしまして対米折衝に入るわけでございますが、一方沖繩政府におきましても、また沖繩民政府当局におきましても、それぞれその五カ年計画というものが草案としてあるやに伺っておりますが、それが今アメリカの本国政府におきまして検討されていると思います。したがって、これは今上院で審議を受けておりまするプライス法改正案というものが成立をしまして、同時に、その五カ年計画というようなものが固まって参ると、そうすると、アメリカの今後沖繩に対しての政策の方向というものが具体的に判明して参るわけでございます。そういった素材をもとにいたしまして、できるだけ早く日米折衝の機会を持ちたいと相談を始めておるわけでございまして、けさ方の新聞にも出ておりましたように、私は来月の十五日に渡米いたしますけれども、それよりも前にその日米折衝の糸口はつけておきたいと思っております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 日米交渉の場合に、今お話しのこの沖繩における経済開発の問題、あるいは民生向上の問題等については、お話し合いになるでしょうが、日米交渉において自治権の拡大の問題、あるいは施政権の返還の問題はどういうふうに扱われるつもりか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 施政権の返還、自治権の拡大というような問題は高度の政治問題でございます。今度の沖繩問題に対する日米折衝は、経済開発の問題、民生福祉の問題というものを中心に行なわれるわけでございます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 これは前の通常国会のときに、どうも私はそういうことになりそうな危険性を感じたから、経済開発あるいは民生向上等の経済的な問題だけじゃなくて、もっと、自治権の拡大なりあるいは施政権返還の問題等も論議をさるべきだ、そういうことをたな上げにすべきじゃないという主張を、意見を申し述べたんですが、そのときには政府は、もちろんそういう問題も論議をするのだというふうなお答えだったと思うのです。しかるに、その後の経過、特に調査団が向こうに行っていろいろ調査したり何かし、向こうと接触して折衝を深めていく過程において、いつの間にか自治権の拡大の問題なり施政権返還の問題はたな上げをされてしまった、沖繩の経済開発と民生向上の問題だけにしぼられてきておる、こういう感じがするのですが、最初の意図と非常に違ってきたんじゃないかと思うのですが、これはまことに遺憾だと思うのです。どういういきさつでそういうふうになったのか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 三月のケネディ声明というもので、佐多委員も御承知のとおり、沖繩は日本の潜在主権を持っておる地域であるし、そうして将来日本に、いつかは日本に施政権を返還される場合を想定いたしまして、そのときの困難をできるだけ少なくするということがアメリカ政府の沖繩政策の目標であるというように公に声明されたのでございまして、今日私どもが固めて参ろうとしておりまする経済開発の問題、安寧福祉の問題、そういった問題も、そういう視点から見まして施政権の返還に連なる問題であると思うわけでございます。もとより主たる課題は経済開発と安寧福祉の問題ということで日米間の了解がなって、これから始めようといたしておるわけでございますが、住民の自治権の問題でございますとか、それから施政権の返還というような問題につきましても、これが沖繩住民ばかりでなく、日本国民の非常な関心を持っておる問題でございますので、随時建設的な提案をして参ることは十分心得たいと思います。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 それじゃ、今のお答えで、今度の日米折衝は沖繩の経済開発、民生向上の経済問題に限らず、自治権の拡大の問題なり施政権返還の問題も論議をされるんだと、こういうふうに承知しておいてよろしゅうございますね。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 主たる課題は経済の開発、住民の安寧福祉の問題であるということでございますけれども、そういう機会をとらえて私どもは、建設的な提案は随時やって参るという心がまえでございます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 それなら、まずこの施政権返還の問題についてお尋ねをしたいんですが、日本の沖繩に対する潜在主権という問題が、またアメリカの上下両院でいろいろ論議をされて、かなり雲行きが変わってきたように思うんですが、今度のプライス修正法をめぐるアメリカの軍事委員会、特に下院の軍事委員会における論議、あるいはその前後に行なわれたアメリカの当局者の考え方から見て、どういうふうになっているとお考えになっているか、それをひとつ御説明願いたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) アメリカ政府におきましても、プライス法改正案をめぐって全力をあげてその成立を期しておるように伺っておるわけでございます。そういう微妙な段階でございますので、私どものほうからとかくの論評はこの段階では差し控えたいと思います。ただ、私どもはプライス法改正案が近く成立することを期待いたしております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 アメリカの下院の軍事委員会におけるいろんな論議を聞いておりますと、沖繩に潜在主権を持っているということは、アメリカが沖繩を日本以外の第三国に渡さないことを日本が期待する権利にすぎないんだと、アメリカが沖繩を軍事基地として保有することと行政権を持つこととは不可分な問題だと、こういうことを繰り返し言っている。したがって、アメリカの基地保有という問題はほとんど半永久的に続くんだと、こういうことが言われていると思う。プライス下院議員の発言によりましても、アメリカは日本領だった沖繩に無期限にとどまる意思を有し、その住民の経済的、社会的発展に重大な責任を持つと、無期限にとどまるんだということをあからさまにプライス議員自身が言っておるようであります。これはキャラウエー高等弁務官あたりの証言は、そこのところがもっと強く主張をされておる。そういうふうな人たちの証言を聞くと、ケネディが新政策で、沖繩は日本本土の一部である、アメリカは将来沖繩諸島を日本に返す日の来たることを期待をすると、こういうことを言っていて、これが今度の新政策における非常な成果であり、これは池田総理とケネディ会談の成功の一つだということを非常に誇られたわけですが、しかし、どうもその後の向こうのいろいろな論議を聞いておりますと、これは一つのあやにすぎなくて、むしろそういう主張と食い違った、今申し上げたような、沖繩の軍事基地は太平洋における米国の防衛体制にとって無期限にわたって絶対不可欠の問題であると、こういうふうな言葉に変わっておる。まことに私たちから見れば遺憾だし、どうも政府の見ておられることは甘過ぎるんじゃないか、こういうふうに思うんですが、その点はどういうふうにお考えになりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) デモクラシーの国ですから、いろいろな論議があることと思うのでございますが、私どもは三月のケネディ大統領の声明を信じて、これは沖繩政策の前進であるというように受け取っておるわけでございます。将来沖繩が本土に復帰する場合に、本土と沖繩との間に大きな民生上の水準における較差があるというような状態であっては困るわけでございますので、米国の施政下にある間におきましても、できるだけ較差を縮めて参るように努力をしていくことがわれわれがなし得る有効な建設的な道だと考えておるわけでございます。で、プライス法改正案をめぐっていろいろ論議が行なわれておりますけれども、先日の予算委員会におきまして総理も言われましたとおり、現在六百万ドルというものを最高二千五百万ドルまでいこうじゃないかという提案でございまするし、したがって、これは大きな前進であることに私は間違いないと考えております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 大きな前進であることは間違いはないと言われるけれども、今申し上げましたように、向こうの論議は必ずしもそういうふうにいってない。しかも、プライス法の改正の問題は、今上院においては非常に難航をしておる、こう伝えられておりますが、これらの事情はどういうふうにあなた方判断しておられるのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 今、アメリカ政府も全力をあげて上院工作をやられておるようでございます。そうして私どもは近くこれが成立するということを期待いたしております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 先ほど外務大臣は、政府としては極東における、軍事情勢のいかんに関係なく、アメリカに対して沖繩の施政権返還も要求する態度だ、これは日米交渉においてこの問題も取り上げるんだ、こういうふうに言われたと思うのですが、この点は大平さんが官房長官の時代に、すでに通常国会において同じような答弁をしておられます。われわれはそうでなければならないと思うんですが、ところが、その当時外務大臣の答弁は、極東の緊張が緩和された上で施政権の返還問題を考えたい。裏を返せば、現在の時期、段階では施政権の返還の問題は問題にならないのだ。したがって、日米交渉においてもそれは問題外だというような御意見だった。そこで両者の間にはその当時から食い違いがあると私は見ていたのですが、しかし、今私がいろいろお尋ねをすると、大平外務大臣のお答えは、そのときから一貫して変わらないで、極東における軍事情勢のいかんに関係なく、とにかく施政権の返還は要求するのだという態度を持しておられるし、今度の日米会談にもそれを取り上げるのだというふうに言っておられると思うのですが、そういうふうに了解をしておいていいのですか。そうあってしかるべきだと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) ひとり私ばかりじゃない。過去数回のトップ・レベルの日米会談においてもこの問題は取り上げられ、要請されておりますことは佐多委員御承知のとおりであります。ただ、アメリカ側のただいまの態度は、小坂さんがお伝え申し上げましたように、今の段階におきましては、むずかしいということが伝えられておる、こういうことであります。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 むずかしいけれども、これは現地の諸君の要望なりあるいは日本国民の希望からして、ぜひ主張をしなければならぬ点であると思いますので、先ほど外務大臣が言われたとおりに、これはぜひ積極的に主張をしていただきたいと思います。  そこでちょっとお尋ねをしておきますが、施政権返還の要請をした沖繩の立法院の決議文がありますが、これはキャラウエー高等弁務官を通じて日米両国を初め国連加盟国全体にあてて出しておると、こう言われておりますが、日本政府には届いておるのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 日本政府のほうには来たという事実はございません。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 これはキャラウエー高等弁務官に手渡されたと言われておるのですが、そうしたら、キャラウエー高等弁務官の手元で握りつぶされている、こういうふうに了解する以外にないと思いますが、どうなんですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) どのように処理されているのか、私は承知いたしておりません。ただ、日本政府に来ていないことだけ申し上げたわけです。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 向こうでは、立法院の決議文としてそういうふうに出しているというふうに言っておりますが、この点はひとつお調べを願いたい。そうしてなぜ握りつぶされているのか。もし握りつぶされているとすれば非常に不可解だし、われわれとしては遺憾だと思う。これらの点をよくお調べの上にお答えを願いたいと思いますが、どうですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 調査いたしてみます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 自治権の拡大の問題ですが、自治権の拡大については、これもこの問題を日米交渉に取り上げると言っておられますが、どういう内容のものとしてどういう態度でこの問題を取り上げ論議をするつもりであるか、その点を御説明願いたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 今、沖繩調査団の報告をもとといたしまして、せっかく対米折衝に臨む態度につき、政府側で協議中でございまして、私の手元にまだ、政府はこういう態度で臨むというところまで固まったものは、参っておりません。しばらく時間をおかせていただきたいと思います。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 日米交渉に関する各省の打ち合わせで、この自治権の拡大の問題を今検討中だというお話ですが、これは総務長官にお聞きしたいのですが、この連絡会議その他では自治権の拡大の問題は扱わない、そういうものは論議しないということになっていると承知をしているんですが、どうなんですか。

徳安實藏自由民主党総理府総務長官

○政府委員(徳安實藏君) ただいま外務大臣がお話しになりましたように、各省の調査が今月の末、三十一日までに必ず全部出そろうように指示してございますので、それが出そろいましたら検討を加えまして、そうして総理なり外務大臣に参考資料として差し上げまして、政府の方針を御決定願いたいという考え、行き方でただいま作業中でございます。そこでおもに向こうに参りました各省の調査団の調査内容は、経済開発で日本がどういう面に協力することが適切であるかというような問題を特に調査してきておりますが、そのほかにも、すでに調査以外にも琉球政府あるいは向こうのほうの住民等から、自治権問題に対してしばしば日本政府のほうにもいろいろ陳情して参っております。そういう事柄がはたして現段階においてどの程度に折衝の課題になりますか、これらも一応取りまとめまして、調査団の報告とともに早期に提出いたしまして、外務大臣と御協議願いまして、折衝の方針をきめていただきたい、かように考えておりますので、ただいまのところまだその内容を申し上げるまでの段階に至っておりません。ただ、自治権問題につきましては、何しろ施政権は向こうにあるわけでございまして、日本のほうがあまり強いくちばしも入れられませんが、少なくとも地元の強い要請もありますから、そういう建設的な意見は外務大臣から先方に伝えていただく。こいねがわくは、そうした問題も幾つかでもひとつ見通しのつくような御努力を願いたいという希望は持っておりますけれども、これはもう少し時間をおいていただきませんというと、内容については申し上げられないと思います。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 第一回の調査団が沖繩に行ったときに、向こうで、調査に対して当初向こうが協力的でなくて、アメリカ民政府が協力的でなくて、非常に難航をされた。そのときに、今度の調査団の調査は自治権の拡大等については触れないのだ、経済開発の問題と民生向上の問題だけに限定をするのだという約束をして、そのもとにようやく調査が許されるということになったというふうに私たちは聞き及んでおるのですが、今のお話によると、そうじゃなくて、自治権の拡大の問題その他も十分に調査をし、論議をし、あれするのだと、こういうふうに言っておられますが、そこのところを……。

徳安實藏自由民主党総理府総務長官

○政府委員(徳安實藏君) 先ほど私が申し上げましたのは、多少誤解があるかもしれませんが、各省の専門家の諸君が参りましたのは、やはり向こうのほうに経済協力をいたしますのにはどういう程度にすべきか、どうすることが適正であるかということをもっぱら専門的に研究に行ってもらったわけでございます。したがって、自治権問題等には特に担任して行っていただいた方はございませんが、先ほど申し上げましたように、地元からもたいへんこの問題につきましては、日本の政府にも強いいろいろな要請もございますし、また立法院等の意見等も私どものほうには到着いたしておりますので、合わせてこうした問題も外務大臣、総理等にはお話し申し上げまして、今度の折衝に取り上げていただき、御決定願いたい、こういう考え方でございます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 今のお話にも出ましたが、それじゃ、向こうの立法院代表の自治権拡大に関する要請、これは大田主席もそれに同調されておると言われておりますが、これはどういう内容のものですか。

徳安實藏自由民主党総理府総務長官

○政府委員(徳安實藏君) 大田主席がどういう立場におりましてどういうことに同調されておるか、私ども考えておりませんし、また知りませんが、先般見えましたときにも、主席としての立場から、沖繩の住民の気持としてこういうような問題があるというようなことは非公式に伺ってはおります。しかし、その内容等は、先ほど申し上げましたように、まだ外部に出ておりませず、また内部的の問題でございまして、いずれ経済調査の関係がまとまりましたら、これも合わせて総理あるいは外務大臣の御協議にあずかりたいという案を持っているだけでございまして、現段階におきましては、先方といろいろな関係もございますから、しばらく御披露することに御遠慮させていただきたいと思います。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 自治権の拡大の問題は、当初から非常に問題になっておることだし、それから今度のケネディの新政策が発表されてから、あらためてこの問題が見直されて、どうもこの問題が何ら進展をしてないということから、あらためて問題にされ、しかも、相当市井においては論議をされていると思うのです。したがって、そうお隠しになる必要はないのじゃないかと思いますが、もう少しその内容を御披露になったらどうですか。

徳安實藏自由民主党総理府総務長官

○政府委員(徳安實藏君) アメリカの大統領が三月十九日に発表されました声明の中にも、御承知のとおり、第五項におきまして、施政権者としての米国が、必ずしも保有しておく必要のない行政機能をいついかなる状況のもとで今まで以上に琉球政府に委譲することができるかを決定するため、琉球諸島の行政機能について継続的な検討を行なおう、こういう文字がございます。こういう点につきましても、向こうでも御検討なさっていると思います。私どもも、今申し上げましたように、地元等からいろいろと要請等もございますので、その要請も持っておりますから、案を具しまして、総理、外務大臣等の決裁を経まして折衝に持っていきたい。しかし、これはあくまでも建設的な意見でございまして、こちらのほうからこうしてくれ、こうしなければいけないのだという要求がましい態度に出ますことはいかがかと存じておりますが、こういう強い要請は、なるべく謙虚な気分で外務大臣にひとつお話しを願いたいというような考え方でございまして、向こうのほうでも、ただいまのところどういうものを研究し、どういうものを検討しているという内示もございませんし、私のほうでも、ただいま、まだ政治的に決定したわけでありませんので、しばらくひとつお待ちをいただきたいと思うのであります。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 今長官のお話にもありましたように、ケネディ大統領の声明の中に、すでに第五項に、行政機構の委譲の問題を今後取り上げて論議をするのだ、それから第六項には、現在行なわれている諸統制の撤廃の問題も今後話し合いを進めるのだ、こういうことになっておりますので、声明を文字どおり見ても、これはやはり取り上げて積極的にやるべき問題だと思います。ところが、これはくどいようですが、今までのどうも政府の態度を見ておりますと、この問題はたな上げをして、そして経済問題に限るというようなふうなことが言われておりますので、繰り返して主張をしておきますが、ケネディ大統領の声明自身にもあることですから、これはぜひ取り上げて、積極的に、具体的に、しかも建設的に問題を解決をすると、一歩進めるということに御努力願いたいと思います。  そこで、その自治権の拡大の問題についてお尋ねをするのですが、今度の新しい行政命令は、どうもキャラウエー高等弁務官の話によると、幾らでも拡張解釈をして、そして、従来とちっとも変わらないような、高等弁務官の単独の独裁的な権限を保有するのだ、こういうことを繰り返し言っているのですが、これは新しい行政命令にもむしろ沿わないものだと思うし、こういう拡張解釈をすることなしに、正確な解釈を行なって、これに矛盾しているような現在の布告、布令がたくさんあると思うのですが、これらはすみやかに改廃をするように主張をしていただいてしかるべきだと思うのですが、外務大臣どういうふうにお考えになりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申しましたように、日本側から初めて各専門家が参りまして調査をいたしたわけでございます。その結果から、今佐多委員が言及されたような問題がその方々の眼識にどのように映ったか、それにどう対処するかというようなことにつきましては、その方々の御報告が出てくると思うのでございまして、よくそれを整理いたしましてその建設的な提案は十分体して対処いたしたいと思います。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 そうじゃなくて、さっきから申し上げるように、三次にわたる調査団はそういうことは直接には取り上げないのだと言ってたな上げしておられるのが実情だと思うのです。したがって、あの調査団の報告だけに基づいて問題を取り上げようとされれば、さっきから私が言っておるように、こういう問題はたな上げにされる。その報告は報告として、それ以外の、以上の問題としてこれは外務大臣自身がお考えにならなければならない問題だ、こういうふうに私は思いますので、繰り返しお尋ねをしておるわけです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 諸法令の改廃にいたしましても、やはりその実態の認識がなければ的確な意見が出てこないと思うのでありまして、せっかく、そういう点につきましては各専門家をすぐりまして見ていただいたわけでございまして、そういう方々の見解もよくそしゃくして私どもの腹がまえをきめるべきだと思います。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 いや、その問題は向こうでキャラウエー高等弁務官との話し合いではそういう問題には触れないと、そういうことは調査しないということでようやく経済問題だけの調査に入ったと、それが許された、こういうことを言われておるんですよ。その点はどうなんですか。したがって、その諸君の調査報告なり何なり伺ってということは、そういう問題は全部たな上げするということにしかならないと思うのです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私が申し上げました意味はそうでなくて、各統制法令の改廃にいたしましても、やはり経済の実態についての認識が要るわけでございます。で、調査についてこの法令はどうだというようなことはあるいは調べなかったかもしれませんが、経済の実態についての調査報告ということは非常に貴重な私どもの判断の材料だと思うわけでございます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 その諸君の調査を待たれることも必要ですが、私がさっき言っているように、その諸君の調査だけでは問題にならんので、もう少しあなたのお好きな次元を高くして問題を政治的に御考慮を願いたいと思いますが、そこでもっと具体的にさらに次の問題に移りますが、新しく民政官の制度を作られた。これの趣旨を大幅に生かすために、明文で軍人高等弁務官の権限を大幅に制限をする、そうして委譲された文民の民政官の権限、職務の内容を明確にする、こういうことがこの際必要だし、論議をされねばならんと思うのですが、どうお考えですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) その専門の事務当局から正確にお伝えいたします。

宇山厚外務省アジア局審議官

○説明員(宇山厚君) 沖繩で文民の民政官が任命されたことは事実でございますが、その民政官がどういう権限を持つかということはまだ明らかにされておりません。ただはっきりしておりますことは、その民政官も高等弁務官の指揮を受けて仕事をすることになっております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 だから、指揮を受けてやることになっているのですが、せっかく文民の民政官の制度を作ったにかかわらず、どうもキャラウェー高等弁務官のいろいろな発言によりますと、従来とちっとも変わらないのだということを繰り返し言っておるので、これでは、さっきから言っているように、新政策の精神に合わないものだと思うので、この点はむしろ新政策の趣旨を体して、日本側から外務大臣が強硬に主張をさるべきものだと思いますので、これをお願いをしているわけですが、もう一つそれじゃ次にお尋ねをしますが、去年アメリカから出したケイセン調査団、この報告はどういうことになっているか、その内容の概況をお知らせを願いたいと思います。

宇山厚外務省アジア局審議官

○説明員(宇山厚君) 昨年沖繩に派遣されましたケイセン調査団は、本年の初頭に至りましてアメリカ政府に調査の報告を提出した由でございますが、われわれといたしましても、さっそくその調査報告を入手したいということを申し入れましたけれども、この調査報告は米国政府部内限りの書類であって、外には一切発表しない、したがって、あしからず了承してほしいということでございました。日本政府としては入手しておりません。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 なければやむを得ませんが、そのケイセン調査団の報告書の中に、必要以上にふくれ上がったアメリカの民政府の機構を縮小整理をすべきだということがうたわれていると伝えられております。この点はケイセン調査団の報告を待つまでもなく、現地における琉球政府の諸君がこの非常に複雑な過大な行政機構のために非常に難渋をしているということがしばしば伝えられておる、これはすべからく、ケイセン調査団の報告を待つまでもなく、必要以上にふくれ上がったアメリカの民政府の機構を縮小整理をするということが絶対に必要だと思うのですが、この点も主張さるべきだと思いますが、どうですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 先生が言及されたような御提案がありとすれば、私どもとしては非常に歓迎すべきことだと思います。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 それから、現地の琉球政府が非常に困っている問題に、アメリカ政府の事前調整という問題がありますが、これも廃止をし、または縮小をすべきものだと思いますが、この点はどういうふうにお考えになりますか。事前調整をやらされていていろいろな行政事務が非常に渋滞をしている。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 住民の安寧福祉の立場から申しますと、そういう拡充の方向に進みますことは歓迎すべきことでわないので、十分気をつけて対処をしていきたいと思います。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 それから、向こうの電力、水道などの公社であるとか、中央銀行的な琉球銀行、貿易や外資導入の許可権、こういうものがアメリカの民政府の支配下にあって、これが有効適切にやられていない。したがって、琉球政府としては、自分の政府のほうにこれを移管してほしいということを言っているようですが、これも日本政府から主張をすべきことだと思いますが、どういうふうにお考えですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 一つの課題だと考えます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 それから、今度の新政策によると、琉球政府の副主席は高等弁務官の一方的な任命というようなことになっているようですが、これもむしろ琉球政府主席の任命に変えることが自治権の拡大になると思いますが、この点はどうですか。

宇山厚外務省アジア局審議官

○説明員(宇山厚君) ただいま佐多先生のおっしゃいましたような制度になっておりまして、これを琉球政府主席が自分で任命できるようにしたいという要望が出ていることは承知しておりますが、その問題につきましても、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、検討中でございます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 それから、裁判管轄権の拡大の問題がいつも問題になるのですが、これも強力に主張すべきだと思いますが、どうお考えですか。

宇山厚外務省アジア局審議官

○説明員(宇山厚君) その問題につきましても、ただいま検討中でございます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 それから日本本土と沖繩との接触の問題をもっと円滑に、もっと迅速にやるべきだということがいろいろ論議をされておりますが、その点についてはどういうふうにお考えになりますか。

大竹民陟総理府特別地域連絡局長

○説明員(大竹民陟君) 日本から沖繩に参りますのは、大体今日九九%程度渡航許可をしておりまして、ごくわずかな部分が円滑にいっていないのじゃないかという実情でございます。常々その辺につきましては、アメリカ側と話し合いをいたしているわけでございます。向こうからこちらに参ります者につきましても、一部に来れないというような問題がございます。最近になりまして、向こうの規則を変えまして、一ぺん日本に参りました者は、一ぺんの証明井で何回も来ることができるというふうな若干の改正を行ないました。そういう改正を行ないましたので、渡航受付の窓口にたくさん列をなして待っているというような事態も幾らか解消されてきた、こういうふうに考えております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 本土と沖繩との接触の問題で、今言われたように、旅券を出すような場合にいろいろな手続その他を簡素化する必要があると思うんですが、これもぜひひとつ主張していただきたいんですが、同時に、これはこれから問題にしようと思いますが、経済援助をやる場合に、日本政府と沖繩政府との間の人的な交流という問題が非常に重要な問題になると思うんですが、これをやはり積極的に進めるべきだと思いますが、この点はどういうふうにお考えになりますか。

徳安實藏自由民主党総理府総務長官

○政府委員(徳安實藏君) 向こうから来る者、日本から行く者等をもう少し簡素化して自由にというお話は、長い間の課題だそうでございまして、これも先ほど申し上げました、私どものただいま研究しておりますものの一つになっております人事の問題でございますが、日本から相当多額の税金を向こうに与えるわけでありますから、これができるだけ有効適切に使用されまして、少しのむだもないようにというようなことをいたしますためには、どうしても人的な欠けた点を補正する、直すということが必要ではないかと考えます。先般大田主席が参りましたときには、現在の情勢でいってみますれば、日本のほうから相当多額の予算をいただきましても消化し得ないというような弱体ではありませんということを力説はしておられましたけれども、いろいろの方面から聞きますというと、何しろ沖繩は、日本本土でありまして日本の施政権の行なわれておった時代でも、日本で人口もあるいはまた面積も一番小さいところは沖繩だということであったことは御承知のとおりでございまして、そこにいろいろな公務員としての採用の制約もあるようでございまして、そうした観点から、日本の国会にもひとしいような、いろんな法律等を作る上におきましても、あるいはまた技術面におきましても、いろいろな公共土木その他をおやりになることにつきましても、どうも人の上において欠けるところがあるんじゃなかろうかという心配が常にあとに残っておりますので、何とかこうした点をひとつ解決いたしまして、安心して予算を差し上げられるようにすべきではなかろうかという気持で話し合いをいたしたんでございますが、これは全く私個人の意見でございまして、いずれこれらの点につきましても、先ほど申し上げました今度の政府方針御決定のときに、総理、外務大臣等にもひとつ御相談いたしまして、腹をきめていただきたいというように考えるのでございます。現在は日本のほうから参ります者は、何か出張のような形式で、あるいは二週間とか、あるいは一月とかいうきわめて短かい期間——お医者さん等は一年、二年の長期のものがあるそうでございますけれども、向こうの行政を指導いたしましたり、勧告したり、相談に乗ったりするのはきわめて短時間しか行っておらない。また向こうから来ます者も、研修のような形で日本に参りまして、わずかの期間で少し見習っていくという情勢だそうでございます。それではどうも今後あの五カ年計画がはっきりきまりまして多額の予算を使うことになりますというと、やはりそういう点につきましても、ひとつ今回の交渉を契機にいたしまして、アメリカ側と話し合いが何かの形でできるならばぜひひとつしていただきたいという気持を私ども持っておりますので、今後の報告を待って、総理並びに外務大臣に見ていただいて、御決定を願いたい、かように考えております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 日本と沖繩との人事交流の問題で、特に国会議員、国会に沖繩の代表者を参加させるという問題がこれまでもしばしば論議をされましたが、これは少なくともオブザーバーというような形でもいいから国会に席を得さしむるべきだと思いますが、この点については外務大臣どうお考えになりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 本件は前々からお話は伺っておるわけでございますが、ただいまの法制上そういうことが可能かどうかということにつきましては、御案内のように、そういう道はないわけでございますが、新しい立法政策の問題として考究すべき問題であるということは承知いたしておるわけでございますが、具体的な検討がまだ政府のほうでなされていないという実情でございます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 これは何らかの形において参加させることがしかるべきことだと思いますので、社会党としてはこれについての案を出したいと思っておりますが、もし出てきたら、前向きの姿勢でひとつ政府に善処されるようにお願いをしたいと思いますが、どうですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 立法政策の問題として考究してみたいと存じます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 それから、沖繩に対する援助の問題に移りますが、まず第一に聞いておきたいのは、過去十七年間に総額どれくらいの援助を沖繩にしたかということからお尋ねいたします。

徳安實藏自由民主党総理府総務長官

○政府委員(徳安實藏君) 私も数字はあまり詳しく存じておりませんので、事務当局から御説明いただきます。

大竹民陟総理府特別地域連絡局長

○説明員(大竹民陟君) 私も実は数字を持ち合わせておりませんが、最初に始まりましたのは教育関係の援助でございます。昭和二十七年から始めております。これは向こうからこちらに研修に来てもらう、またこちらから学校の先生が行きまして仕事をするというような援助でございます。それに続きまして、援助と申していいかどうかの問題がございますが、恩給あるいは遺族年金などの支払いを始めております。この金額は相当な金額になっておりまして、今日では毎年三十億円から三十五億円程度になっております。そのほかの援助といたしましては見舞金でございますが、戦災を受けました者に対する補償的な見舞金を十億円ほど出したことがございます。そういう特別なものを除きますと、今までの援助は一昨年までは大体毎年一億円程度、一億円の範囲にしておるわけです。昨年度になりまして約五億円、本年度は、御承知のように、約十億円の援助というふうになっております。ちょっと手元にそれらを集計をいたしました数字を持ち合わせておりません。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 アメリカの援助は。

大竹民陟総理府特別地域連絡局長

○説明員(大竹民陟君) アメリカの援助は大体全部で二億五千万ドル、そのうちにアメリカ自身の民政府の管理費が約三千万ドルほど含まれております。純粋の沖繩援助と考えるものが約二億二千万ドルであるというふうに考えております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 アメリカの沖繩に対する援助は、また、貸したものだから返せというような問題に一体なるのかどうか、その辺はどういうふうにお考えになっておりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) これは両院を通じまして、私から御答弁申し上げておいたのでございますが、特別な御要望がない限り日本側の負担になるものとは考えておりません。そういう御提案がありました場合に私ども同意するというつもりはございません。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 その点は、講和発効前にアメリカが行なった食糧や資材などのガリオア物資による援助、これは返済の要はない、住民からの返済の要がないということを明記しておると思いますが、これはひとつはっきりしておいていただきたいと思います。  それから対日平和条約発効後のプライス法などによって、アメリカ議会で可決をせられた琉球政府への援助、これも贈与と明記されていると思いますので、これも今後もし日本に復帰してくることがあっても返す必要はないということは、ひとつ明瞭にしておいていただきたいと思います。よろしいですか。また、そのときはどうもよくわからなかったんだが、あとになって、どうも返さなければならぬとかなんとか言われると非常に困りますので、当初からひとつ明瞭にそこのところを言明しておいていただきたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) さよう心得ております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 そこで、まず六十三会計年度の琉球予算はどういうふうになっているか、いろいろ伝えられているので、はっきり数字が把握できないのですが、これを一応御説明願いたいと思います。

大竹民陟総理府特別地域連絡局長

○説明員(大竹民陟君) 七月一日にアメリカで通過しております。日本の金に直しまして一般会計が約百五十億円ちょっと欠けて百四十五億程度でございます。そのうち、アメリカが援助分として出すというふうに言っておりますのが約六百五十万ドルほどでございます。アメリカといたしましては、私どもの承知いたしておりますところでは、さらに約六百万ドルほどの追加をしたい。この六百万ドルほどの追加は、ただいま国会で審議をされておりますプライス法に関連をいたしておりまして、プライス法が通れば、その追加の約六百万ドルもあらためて援助される。その場合には、琉球政府といたしましては、自分らで補正して、さらに追加しよう、こういう計画になっております。その部分を除きましては、さる七月一日に成立施行をいたしておるというふうに承知をいたしております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 そうすると、一九六三年度の普通会計予算の規模はどういうことになりますか。

大竹民陟総理府特別地域連絡局長

○説明員(大竹民陟君) ただいま申し上げた約百四十五億程度でございます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 それは政府予算、市町村予算、教育予算、それらを積算したものから重複分は除いてありますか。

大竹民陟総理府特別地域連絡局長

○説明員(大竹民陟君) ただいま申し上げましたのは琉球政府の一般会計だけでございます。したがいまして、そのものすばりでございまして、重複のない数字でございます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 その重複分を差し引きするとどのぐらいになりますか。

大竹民陟総理府特別地域連絡局長

○説明員(大竹民陟君) 実は六三年度の予算につきましては、ただいま一般会計の状況だけを申したわけでございますが、ほかの会計の状況、今私ここに持っていませんが、大体六二年度——前年度について申し上げますと、一般会計予算が百十億円程度でございます。そのほか幾つかの特別会計予算、あるいは政府関係機関の予算というようなものがございまして、それらのものの会計の純計が昨年度は大体百五十億円ということになっております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 私が調べた資料によると、六二年度はわかっているのですが、六二年度は少しあなたの言われる数字と違って百六十六億、すなわち政府予算が百十億、市町村予算が二十五億、教育予算が三十一億、合計百六十六億、それに重複分を除くと百三十億ということになっているのですが、これを六三年について見ればどうなっているかというのがお尋ねしたい点なんです。

大竹民陟総理府特別地域連絡局長

○説明員(大竹民陟君) 多分私が申し上げた六二年度の予算が、先生が持っておられますのと違っておるというお話でございましたが、私が申し上げたのは琉球政府の予算だけでございまして、市町村の予算を含みませんので、今のそういう相違が出たかと思うのであります。六三年度の予算につきましては、ただいまおっしゃいました数字と対比することができる数字をただいま私ここに持ち合わせておりません。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 それは持ち合わせていないのですか、まだないのですか、どうなんですか。

大竹民陟総理府特別地域連絡局長

○説明員(大竹民陟君) 六三年度のたとえば市町村予算でございますが、これらは琉球政府におきまして取りまとめにやはり若干の時間がかかるわけでございます。そういう意味で、今日そういう資料を私どもは持っておらないわけでございます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 そうすると、六三年度で議論をすることができなくなっちゃうのですが、それじゃ六二年度でいいのですが、六二年度今の純計百三十億、それから租税収入その他を考えると、大体日本の府県並みにした場合に、沖繩の財政規模是正の必要な額は大体九十九億円だということが伝えられておりますが、この点は、九十九億円が県並みにすれば必要だと言われているときに、実際はどの程度の補給がなされたのか、それから、この点に関して、今度の六三年度ではそれがどういうふうに措置をされるのか、その点の御説明を願いたい。

大竹民陟総理府特別地域連絡局長

○説明員(大竹民陟君) 九十九億円というような議論をときどき私ども耳にいたします。実はこれはある程度大まかな見方をしたある場合の数字がこういうものであったという事実はあるわけでございますが、政府としてそういうふうに考えておるというふうな公式な資料では、もちろんないわけです。そういう、さらに確実に確かめて参ります意味合いで今回の調査も行なわれておるというふうなことでございます。今回の調査の結果は、まだ私ども検討中でございますが、そういう数字が出て参りますかどうか、これは私今申し上げることができないといいますか、まとまっておらないのでございます。したがいまして、九十九億円を必要とするときに、一体どれだけの援助が行なわれておったか、今度はどうなるかというその点につきまして、そういう関連を持ったお答えはできないわけでございますが、ただ六二年度について援助を申し上げますと、アメリカからの援助は大体五百万ドル程度が一般会計に入っておりまして、しかしアメリカの援助全体といたしますと、琉球政府の一般会計に入れました五百万ドルだけではないわけでありまして、そのほかにいろいろな金がございますので、大体一千万ドル程度が六二年度においては沖繩に支出されておるというふうに考えるのであります。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 そうすると、アメリカから一千万ドル、それから日本から……。

大竹民陟総理府特別地域連絡局長

○説明員(大竹民陟君) 一千万ドル出しましたのは六二会計年度でございますが、その会計年度に対しまして日本が計上しておりました援助金は、約五億円でございます。しかしこの五億円は、琉球政府の会計に繰り入れたというものは実は一文もないわけでございます。この五億円につきましては、向こうから来る技術者にこちらで金を渡す、あるいはこちらから行く者に対して日本政府で金を払う、あるいは物を買って援助をするというふうな格好をとっております。したがいまして、その五億円は琉球政府の会計にそのまま入っておるという形にはなっておりません。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 そうすると、今後の日米協力による沖繩の長期安定計画ですか、長期復興計画ですか、それはどういうふうになっておりますか。

大竹民陟総理府特別地域連絡局長

○説明員(大竹民陟君) 先ほど大臣からもお話がございましたように、私ども現地の民政府でも作っております五カ年計画の草案というふうなものの説明は受けました。これはあくまでも民政府限りの、まだ作っておるかりの案だということでございます。その骨子について私ども伺ったわけでございます。これがアメリカの五カ年計画であるというふうに考えてもらっては困る、これからもちろん本国にも行きまして十分検討を経て、固まるか固まらないか、あるいは場合によると固まらぬこともあるかもしれない、どういう取り扱いになるかもわからない、さしあたってこういうものを考えておるという意味で説明を受けております。したがいまして、アメリカの五カ年計画が今日固まったものがあるというふうに私ども承知をいたしておりません。今度の日米協議の際にそういう点を確かめてみたいというふうに考えております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 今のお話は、そうすると、アメリカ民政府の経済安定五カ年計画、こういうふうにとっていいですね。

大竹民陟総理府特別地域連絡局長

○説明員(大竹民陟君) 私どもが参りました際には、民政府の段階で検討をしておった案でございまして、それが将来どういう形のものとしてまとまっていくかということについては、アメリカ側も、ただいま申しましたように、あるいは国務省の案となることがあるかもしれない、国防省の案となることがあるかもしれない、あるいは全然没になることがあるかもしれないと、その辺はどういう扱いになるかということは全然未定であるというふうに説明を受けて参っております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 琉球政府の計画はどうなんですか。

大竹民陟総理府特別地域連絡局長

○説明員(大竹民陟君) 大体共通な資料でものを考えて、民政府と琉球政府と協同して作業をやっておるわけでございます。私どもが行きました際には、まだ実は案も固まっておらないということでございまして、そこからいきますと、何か二つの案があるというふうな感じも受けました。その後聞くところによりますと、双方で調整をいたしまして、お互いに一つの案として了解をしておるというふうに聞いておるわけであります。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 私が聞いているのによりますと、琉球政府の民生向上五カ年計画とアメリカの民政府の経済安定五カ年計画があって、この両方には若干の食い違いがある。どちらを一体日本は中心に取り上げて、どっちの計画を主要な対象にしながら今後の話し合いを進めるのかということが問題だということを聞いているのですが、そういうことはなくて、今のお話だと、もうすでに両方の案が民政府の案に一応今の段階では調整をされていると、こう見ていいですか。

大竹民陟総理府特別地域連絡局長

○説明員(大竹民陟君) 私ども民政府の案それ自身も固まったというふうには、先ほど申しましたように、聞いておらぬわけでございます。民政府、琉球政府、両案が二つ並び存しておるというふうな状態ではない、統一されて一つになっておるというふうに今日聞いております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 その民政府の今の段階でまとまっている案というのは、内容的にどういうものですか。

大竹民陟総理府特別地域連絡局長

○説明員(大竹民陟君) これは、ただいまも御説明を申し上げましたように、民政府として、作成段階といいますか、草案の段階で、この将来の決定の仕方あるいは取り扱い方というふうなものも全然未定である。したがって、そういう意味合いにおいて、民政府としても、ことにまだ公表する段取りのものではない。ただ私ども調査団として参りました際の将来の施政の参考と申しますか、そういうものとして何か役に立てばという意味で見せるというふうなことであったわけでございまして、向こうもまだこれを公にしたというふうなものではございません。したがいまして、今日私どもがその内容を申し上げるということももちろん差し控えるべきものだというふうに考えております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 まあその内容がいろいろ伝えられておるのですが、今のような状況だったら、その内容についての論議は次の機会に譲りますが、ただ一つお聞きしておきたいのは、これに関連をしてアメリカのほうで、一体今度のプライス法改正案で六百万ドルか最高二千五百万ドルの援助ということになれば、そういうものを消化する能力がないのじゃないかということで問題が難航をしておると伝えられるし、同時に、日本の調査団諸君も、どうも琉球政府に膨大な消化力はないというふうに判定をしておられるということが伝えられております。これらの事情はどういうふうになっておりますか。

大竹民陟総理府特別地域連絡局長

○説明員(大竹民陟君) まあ、何ごとにも程度はあると思いますが、しかし、琉球政府ができましてから今日まで十数年——十年を少し経過したところでありまして、琉球政府の予算自身の伸びを見ましても、毎年相当な速度で伸びてきております。それを今まで大体順調に消化しておるわけでございます。やはりそういう事実を見て物事を判断しなければならないというふうに考えております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 そうすると、やはり消化能力はあるし、したがって、積極的に援助をやるべしというような気持ですか。その点は長官どういう感じでございますか。

徳安實藏自由民主党総理府総務長官

○政府委員(徳安實藏君) 数字の上で、今局長が申し上げたような点は、事務的に考えておるようでございますし、数字はあるいはそういう工合に考えるかもしれませんが、何しろこのプライス法でも通りまして二千五百万ドルに近い金がアメリカから与えられる、日本からもやはりこれに対応して相当な金を予算化していくということになりますというと、どうも少し不安心ではないかというような懸念が各方面からちょいちょいうわさを聞いておりまするし、私どももどうもそういう気持がするものでありますから、そこでできるだけ完全消化をさせるために、これまでのような、あまりなまはんかな指導や何かではなしに、人の交流も、できることなら謙虚な気分でしたらどうかというように私は考えておるわけです。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 会計検査院の検査のことはどうなりますか、そういう場合。

大竹民陟総理府特別地域連絡局長

○説明員(大竹民陟君) その問題も、かねてから各方面から御意見のあったところでございまして、援助をやるからには、その消化を実際確認する方法も必要であるということはごもっともでございます。その後、外務省を通じまして、だんだんアメリカの理解を得ております。私どもの見通しといたしましては、十分アメリカ側からも了解するものであるというふうに考えております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 さらにその内容についていろいろお伺いしたいのですが、まだその段階でないというので、きょうはこの程度にとめておきますが、ただ、先ほどから繰り返し申し上げておるように、この民生安定なり経済開発という経済的な問題もさることながら、自治権の拡大なり施政権返還の問題が非常に重要な問題だと思うので、これも積極的に取り上げて、向こうの沖繩の住民諸君の要望にこたえられるような努力はひとつぜひしていただきたい、これをお願いしてきょうの質問はこれで終わります。

大和与一日本社会党

○大和与一君 さっきの続きを少し……。日韓会談のまとまる時期的な予想ですが、今度の国会では会期延長はないと見てよろしいのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 会期の問題は、国会のほうの問題と承知しております。

大和与一日本社会党

○大和与一君 延長はないと普通考えられますが、この大事な問題を次の通常国会が始まるまでに、まあいわばどさくさにさっとやってまとめちゃって、あとから、ひとつ承知してもらいたい、こういうような手がよくあるのだけれども、そういうことは考えなくていいのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 今予備折衝が始まったばかりでございまして、これがどういう過程をたどりますか、逆賭できないわけでございます。しかし、冒頭に申しましたように、慎重に対処していくということで、特別のタイム・テーブルを持って、それに合わせてやろうというような気持は毛頭ございません。

大和与一日本社会党

○大和与一君 逆に言うと、非常に国民的な関心も大きいし、たいへん日本の国の将来にとっても非常に大きな問題なんだから、この国会がないようなそういうときにまとめてしまうというのじゃなくて、やはりじっくりと、さっきおっしゃったように、人間的な慎重な方たちと言われたわけですから、すぐまとまるとは思わないし、私たちは会談そのものに反対なんですから、そういう立場で申し上げるのですけれども、通常国会の始まっているときに、十分に国民の監視の中というか、その中でやはり十分に討議してきめる、通常国会より前にはまとまるものじゃない、こう考えてよろしいですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 特別のタイム・テーブルを持っておりませんけれども、たびたび申し上げておりますように、国民から御納得いただけるようなことにおいてやって参りたい、それが私の折衝を貫く根本の考え方でございます。

大和与一日本社会党

○大和与一君 それは通常国会までにまとまるかもしれぬということを含むのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申しましたように、特別なタイム・テーブルを持っておりませんので、通常国会までにきめにゃならぬとか、通常国会中でなければならぬとか、そのようにかまえた態度ではないということでございます。

大和与一日本社会党

○大和与一君 だから、今もしも日本政府が出しておる一つの提案があるとすれば、それは最後通牒的なものであって、向こうからの返事待ちだ、ほかを考えないでいいのだ、こういうことではないのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) まあ双方誠意を尽くして折衝して参るわけでございまして、折衝の始まりにおきまして、こちら側の考え方を一応先方に提示いたして反応を待っておるわけでございまして、これがどうなりますか、今私は予見ができないわけでございます。

大和与一日本社会党

○大和与一君 ですから、まあ全体的に見ても、それは相手があることだし、話し合いだから、まとまらない場合も当然あっておかしくないのですね。その点を伺いたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 何とかまとまることを期待いたしておるのであります。

大和与一日本社会党

○大和与一君 それは期待程度か。どうしてもまとめにゃならぬという、そういうような御意見でもないのですね、外務大臣は。まあ、まとめたいという気はあるけれども、まとまらぬ場合もこれはちっともおかしくないということですね。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) いずれにいたしましても、国民の納得いくように考えて参りたいと思います。

大和与一日本社会党

○大和与一君 請求権問題とその他と分けて、いわゆる請求権問題がめどがつけば、あとは一気呵成的にまとまる、こういう見通しですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) それもわかりませんが、請求権問題というのが一番ネックになっておる問題だという認識は持っておりますけれども、それが片づけばあとはすらすらいくんだという保証は、何もないわけでございます。

大和与一日本社会党

○大和与一君 みなこれ仮説になるのだけれども、かりにそのまとまるということがあるとすると、韓国は、日本政府が言っているように、北半分は北にちゃんと共和国がある、こういうことはもうはっきりと言明しておられるわけですから、韓国もそれを認めた上で話はまとまる、こう考えてよろしいですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 申し上げておりますように、韓国の現地の支配が北に及んでいないという事実を頭に置いてやっておるわけでございまして、どういうまとまり方になるかはいろいろな懸案の妥結した姿を見まして、それに形式を与えにゃいかんわけでございます。それはまあ妥結したあとの問題だと思っています。

大和与一日本社会党

○大和与一君 一体この問題は、韓国側から言って請求権問題でも金額の問題でもなくて、やはりこれは権利といいますかね、そういう言い方をしているくらいだから、今言ったその北の共和国の存在を認めた立場に立って日本政府と話がまとまるということは、ほとんど考えられないことのように思いますが、その辺はうまくその点で話し合いができますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) どのように向こうが言って参りますか、まだそういう話を伺っておりませんので、今の段階でこうだと私から申し上げるわけに参らんと思います。

大和与一日本社会党

○大和与一君 あなたの得意な言葉が先ほど出たけれども、高度の次元ではなくて、現実を考えた場合に、そういうことがやっぱり韓国として絶対譲れない一つの国としての建前だと思うのです。そういうことを考えると、えらいあわてて何とかしようと思っておられるというわけでしょうけれども、そんなことを向こうが譲るとは思われないというふうに感ずるですがね、その点はどうですか。そうすると、まとまらぬのがあたりまえだ、こういうふうになってくるのだけれども、その点はどうですか。あなたはそんなに熱意がないのだから、あまりあせらぬでもいいと思う。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 大和さんの御観測は御観測として承りますが、とにかく日本政府はたびたび申し上げておりますように、問題は現実的に支配が及んでいないという事実を認めてかかっておるわけでありまして、そういうことは申し上げてあるわけですが、先方がどのように出てきますか、その点につきましては、まだ現在は把握していないわけでございます。

大和与一日本社会党

○大和与一君 アメリカがことし一九六三年度に対韓援助を減らして、二億二千万ドルくらいになるそうだと言われております。これを一九五九年度と比べると、三億二千三百二十六万七千ドルですから、約一億ドル近くですか、こういうふうにアメリカが韓国に対する予算を引き下げた事実というのは、どういうふうにお考えになりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) それはアメリカの政策でございまして、どういうことか私も検討はいたしておりませんので、何ともそこまでお答えをするわけに参りません。

大和与一日本社会党

○大和与一君 それはもしもこの話がかりにまとまったときに、日本がアメリカに肩がわりをする、そういう内容を、要素を持っておるのじゃないかと思うのですけれども、そういう点はどうですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) つまり去年より、ことしですか、減った。それは繰り越しがあるので、実際は減らないのだそうです。

大和与一日本社会党

○大和与一君 私はやっぱりこの問題は、国民の世論感情というか、それが非常に大事だと思う、そういう話を進める場合に。それで日本の中央調査社という会社があって、そこでいろいろと世論調査をやっておりますが、日本人が世界じゅうで一番きらいな国はソビエト、その次は韓国。今度韓国の新聞社が調べた世論調査によると、一番きらいな国はソ連、その次が日本、こうなっているのです。やっぱりこういう国民感情というものは非常に尊重しなければいかん、やはり政治として。その国民感情というものの反発が、やっぱり日本の国内にも話をするのはいいけれども、よほどそこを慎重にやらなければいかぬということにつながっているのですが、こういう現実に対して、やっぱり政府はがむしゃらに早くまとめなくちゃいかん、こういうことになりますか、あるいはあなたの高度の慎重論かな、そういうところから言ったら、これは無理しちゃいかぬ、こういう気持にやはりなっていると思うのですが、どうですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 世論調査の、今言及されたことは、よく承知しているのです。そして世論の動向に対して十分心得てかからなければいかぬということは当然のことでございます。今度日韓交渉——これはたびたび参議院におきましても私申し上げておるのですけれども、急いでおるつもりではないのでございまして、十年間もやっておるわけでございます。それで、特にこの際かまえた態度で言っておるわけじゃないので、今まで両国の数年やっておりました約束にしたがいまして、交渉を再開しておるという態度でございます。特にそこは思い過ごされないようにお願いしたいわけです。

大和与一日本社会党

○大和与一君 私は池田総理がアメリカに先般行かれたときのその前の委員会でお尋ねして、韓国問題は十分話をしてくるのじゃないかと、こう言ったんですが、そういうのはちっとも何もしてこないとかそんなことばかり言って、それじゃいっその話を、日本と韓国とがこういうふうな話し合いをするということがきまったのか全然これはわからぬ。それでアメリカのライシャワー大使は、日本語もうまいけれども、韓国語もほんとうにうまいのですけれども、いわゆる公使を四名にふやしたでしょう、アメリカは。私はやはりアメリカ側も非常にてこずっちゃって、日本にアメリカ側は肩がわりしてもらいたいと、こういうところにやはり相当私は強いプッシュがかかっておるのじゃないかと思う。あなたのほうの答弁じゃ、全然アメリカなんか関係ない、日本は大独立国だから自分でやっているのだ、こういうふうに言いたいのだが、どうも客観情勢としては、たとえば今度の中央公論の九月号に毎日新聞の特派員だった大森という人が……あのぐらいは外務大臣読んでおかないと、ジョン・ガンサーのインサイド物と似ているのです。事実をそのまま書いておる。日本の外交というものが自主独立の気魄に欠けている、こういう憂国のいい文章ですから、すぐ読んでもらいたいと思うのですが、そういうふうにアメリカと日本との関係、アメリカが相当強いプッシュをしているために、政府としてもその熱情に動かされて速度が非常に進んだ、こういうふうに考えるのはひが目じゃないと思うが、どうですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私はその点はこう考えるのです。先ほど考えを言えというようなことで、全般的な問題につきましてあらまし申し上げた中でも言及しておきましたように、日本は日本なりの寸法に合ったように、応分の寄与をすべきだと思うのです。したがって、それを韓国の問題に言及して言えば、韓国というより低い開発圏というものに対しまして、アメリカ初め先進各国が経済協力をしまして、協同してその地域の生活水準を上げるということに進む場合に、日本も応分の寄与をするということでございまして、日本がアメリカに肩がわってひとつ一役買いましょうとか、そういう思い上がった気持はないのでございます。ごくあたりまえのことをあたりまえにやっていったらいいんじゃないかということでございまして、日韓交渉に限って特別なことをやっているというつもりはないわけでございまして、ただこの間の杉原委員に対するお答えの中でも、予算委員会でも申し上げたのでございますけれども、そういう国際的な協力関係というようなものがだんだん世界的な一つの傾向になってきておる場合に、日韓で国交を回復いたしますために努力することも、日本が国際協力に応分の参加をしていくという一つのことになるのじゃなかろうかと思う。と申しますのは、韓国に、かりにドイツならドイツが投資しよう、借款を与えようということになりましても、やっぱりお隣の日本とはどうなっていますかというようなことも問題になるだろうと思うのです。こういう場合に、総理はこわれた橋を直そうじゃないかということをきのうの衆議院の本会議で言われましたが、道がくぼ地になっているのを上盛りをして通れるような状態にするとか、損傷した橋を直すとか、そういうようなすなおなとり方でよろしいんじゃないかと私は思うのです。何か先ほど大和さんのお言葉の中に、これはたいへんな問題でございますよというような御認識でございましたけれども、そんなにおとりにならぬようにひとつしていただきたい。

大和与一日本社会党

○大和与一君 それは外務大臣のそういうふうにおっしゃるのはこれはすなおな意見で、それはやっぱり閣議の中では少数意見じゃないですか。もっとすなおにとるとすれば、特に韓国の資源状態を考えたら、これは御承知だと思いますが、何もないんですよ。北に比べるとほとんどマイニングもない。ちょっと石炭が出るけれども、ほとんど問題にならぬですよ。そうすると、経済提携それから経済的な会談で、話は一致しなくてもいいんですけれども、ある程度の話をして応援してやる、これは私はいいと思う。しかし、それはそのかわり、資本が五年も十年も寝てしまって返ってこない、そんなことをやったらむしろそろばんに合わぬですよ。だから、すなおにそろばん勘定も十分考えて、日本も利益する、そいういうような形でなければこれは当然いかぬと思うんです。そうすると、最近経済調査団が行っておりますけれども、それは南鮮を私どもよく知っておりますけれども、何もないんですよ。だから、極端に言って、ドイツと話し合いをしても、話だけはまとまっても、今度それを具体的にほんとうに事業化される、計画化されるかということになると、これはなかなかたいへんな問題です。基礎調査なり精密調査を十分にやらぬと、それはだめですよ。そういうことまで考えて、大体わかっているんだから……。そうなると、そういうところへ経済的な投資をする場合、これはすべてよほどこちらもしっかり腹をかまえてやらぬと、それは応援してやるという気持だけはいいですよ。しかし、ものにならぬものを、商売にならぬものを、そんなもの、どぶの中に金を捨てるような、そういう金の使い方はやっぱり私はできないと思うんです、そういう日韓情勢も合わせ見ながら考えた場合に。そうなると、やっぱり北のほうは資源が相当——鉄も石炭も全部ありますから、このほうが経済的には、資源的には有利だ。そこで私たちがかねて言っておるように、北と南が一つになることが、日本国民としては喜ばしいということは、これは、池田総理も本会議で私に御答弁になっているわけですが、中国に対しては政府は若干前向きの姿勢で、池田さんも言っておられますが、具体的に、たとえば向こうからまだ本格的な話し合いでない、あるいは経済調査団というか、そういう使節団を来さそうと言ったら香港でとめてしまう。あるいはメーデーというような、これは労働者のお祭りだから、メーデーぐらい参加してもいいじゃないか、こう言ったら、やっぱり香港でとめてしまう。あるいは崔承喜というような世界的な踊り子がいるから日本にも入れようじゃないか、こういうような文化使節、そういう交流はやってもいいんじゃないか。それも一ぺんにやるんじゃなく、一つ一つやってもいいんじゃないか、こういうことはかねてから向こうからも話があったし、わが党もずいぶん政府に申し上げておったんですが、ひとつ新大臣は、そういう点はかまわないと思うんですけれども、どうですか。そういうようなのは検討して、ひとつ差しつかえないものは交流をする、こういう形は実際にできるんじゃないですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 今言及されました文化交流ばかりでなく、経済交流の問題につきましても、いろいろ問題がありますことは私どもも承知いたしておるわけでございまして、そういった問題を検討いたしまして、でき得べくんばほぐしていくということは私も賛成です。で、このことは日韓交渉云々の問題とはちょっと別でございまして、日韓の問題という長い間の懸案もあるわけですから、これをほぐしていくということもわれわれとしては当然なことでございます。今最初に言われたように、南北統一するまで待てと言っても、南北統一というようなことがいつどういう格好ででき上がるのか。その背景になる国際情勢というものはなかなか腰の重いものでございまして、それを待ってやるということは、今の不自然な状態でじっとしとれということで、そこはもっと工夫をこらさしていただきたいと思うのです。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 ちょっと関連して。話が全く横にそれるように見えるけれども、今の大和委員のお話と若干関連するのですが、ちょっと突拍子もないように聞こえるかもしれないけれども、この間のオリンピックのアジア大会ですね、あれで韓国との関係で非常にアジア大会が暗礁に乗り上げた。ところが、日本でやる今度の世界大会の場合、北鮮の入国は今全然認めておらぬわけです。文化その他いろいろ交流を将来考えたいと言うけれども、その場合、北鮮では韓国の統一選手団というものの編成を考えている。これが具体的になってきた場合、今度は逆の意味でインドネシアのとったと同じようなことが日本に起こらぬのかどうか。こういうことはなしに、文化その他——イデオロギーを別にして——の交流ということがあるとするならば、国際スポーツの面でもそういうことは十分お考えになれるのかどうか、この点はどうですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 正直に申しまして、今羽生先生が指摘された問題も僕らの課題になっているのでありまして、特に検討さしていただきたいと思います。

大和与一日本社会党

○大和与一君 それから、与党の中でも、今まで新聞その他で明らかにこの日韓問題の会談のあり方、進め方とか、相当これは意見が違っておると見られておるのです。いわゆるコーリァン・ロビーというか、そういうやかましいあれがおって、これは今までさんざんやいやい言ってもちっとも政府が進めぬものだから、じだんだ踏んでくやしがっているという格好が漫画なんかにかいてあるのですけれども、今みじんもすきがないということが言えるのですか、あなたの与党の中で。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 与党内部のことを御心配いただいて恐縮なんですけれども、私の責任で若干の方々にお目にかかりまして、いろいろ率直にアドヴァイスを聞きましたのでございますが、そんなに開きがございません。感度が違っておるというような問題はないというふうに私は承知しております。

大和与一日本社会党

○大和与一君 ちょっと話が違いますが、今度は、おとといの新聞ですか、きのうか、カンボジアの主席のシアヌーク殿下が声明を出しているのです。中国とソビエトと今までよりも——今までは大体中立の国と言われておったのですけれども、うんと仲よくしなければいけない、こういうことが書いてありましたけれども、ラオスがどうやら一応おさまったかに見えるのですが、やはりアジアの一つの焦点はベトナムと今のカンボジア、こういうところにやはり心配が私はあり得ると思うのです。今ベトナムなんか問題があると思うのですが、それについてはどういうふうに思いますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 先ほどの所信でも申し上げましたとおり、手間はかかりますけれども、平和的に事態を解決するということを鉄則にいたしまして進みたいと思うわけでございますが、今のように不安定な国際情勢でございますから、いろいろなことが起こると思いますし、起こります場合に処する私どもの基本の理念としては、そういう鉄則を守っていきたいと思います。そういうことが起こらないような事態を作るというような、そんな大それた力は日本にございません。現実に起こった場合に、その処理の仕方として私どもは終始そういう鉄則で進めたいと思っております。

大和与一日本社会党

○大和与一君 この前ラオスのときにも、いわゆる安保条約の事前協議についていろいろとお尋ねをしたら、別に日本政府の解釈としては間違いない、こうおっしゃっておったんですね。そうすると、これはいろいろ不測の事態が、どこかで何か紛争が起こった場合に、同じように日本の基地を使って、輸送にしても何にしても、中身は正確にはわからぬけれども、この前のようなことがあったら、そうすると今度相手の国は、日本にアメリカの基地がたくさんあるんだから、やっぱり日本もけしからぬと、こう言って、かりに間違いが起こり、たまが一発でも落ちてくる。こういうときにはアメリカはどうしてくれるんですか。どういう約束になっているんですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) アメリカが安保条約で日本を防衛する義務を負っておられることは御承知のとおりでございます。で、その米軍の行動のあり方につきましては、事前協議条項に該当するものは事前協議を受けますが、ただ、この間のラオスの問題等は事前協議の対象にはならぬと政府の考え方を申し述べましたけれども、しかし、まあいろいろな情報等につきましては、われわれが承知しておらなければいけませんので、随時協議を遂げることを懈怠してはいけないと思っております。

大和与一日本社会党

○大和与一君 今までの話は、素通りした中身の話で、核装備、そういうことをするのはいかぬ、事前に話さなければいかぬ、こうなっておるのです。行ってしまってはね返ってきたときは、今度は日本のほうでそんなことは言っておれぬじゃないですか。そうすると、結局渦中に入ってしまう。それをわれわれ一番おそれるわけですからね。そのために一切の基地もないようにしなければいかぬし、日本は日本だけちゃんと白くなっていればいいんだから。そういうことなんだけれども、素通りでなくて、はね返ってくるときそれはどうにもならぬじゃないですか。その中へはまっちゃって、そうしてひどい目にあう、こういうふうになると思うんですが。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) しかし、これは考え方でございまして、日本はいろんな代償を与えずに平和をかちとりたいんですね。これはできるだけ安く買いたいのは人情なんでございますけれども、しかし、安保条約の精神は、日本としてこれだけの義務を受諾する、それで、それに対応してアメリカ側は日本の防衛について責任を持とう、こういう約束の上に成り立っているんで、その是非はいろいろ議論がありましょうけれども、しかし、何も火の粉をかぶらない状態でいつまでも安全でありたいということは、これはわれわれの願望するところでございますけれども、やっぱり平和をあがなうということにつきましては、日本は条約上のそれだけの義務はちゃんと果していくということでないといけないと思います。

大和与一日本社会党

○大和与一君 もう一つ。今度は、さっきEECの話がちょっと出ましたが、去年私はイランへ行って、シャーパーレビ皇帝に会って、いろいろ二、三時間話をしましたが、そのとき皇帝はこういう提案をした。イランをEECは仲間にどうも入れてくれぬらしい。非常に不満だ。それで、日本がひとつ提案でもして、アジアの経済圏というか、日本から言えば日本が中心になった自主的な経済自主というか、そういう立場に立つんだけれども、そういうことをひとつ考えてくれぬか、こういう話がありましたが、EECに対する日本のこれからのつながり方はあるとしても、しかし、これはやっぱりしょせんヨーロッパを中心にした一つの形であるから、だんだんと紐帯が強くなるにつれて、これはアジアは相当押されてくると思う、現に中共にまで働きかけているんですから。その場合に日本が自分の国の自立経済を中心にして、そういった話だけにとらわれずに、やっぱり力を持っておるなら伸ばしていく、こういうふうでなくてはいかぬと思うけれども、そういう今の話を含めて、EECに対して、アメリカだけのことではなく、アジアを含めたいわゆる経済外交というか、そういうふうな大きな立場に立った大臣のお考えはどうですかね。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) なかなか大きな問題でございまして、検討に値する問題だと思いますが、EEC自体にもいろいろ問題はございましょうが、まだ、EECに加盟しようとしておる国もございますし、そういう一連の動きに対しまして、アメリカは御承知のように、通商拡大法を作りまして、それに対応した姿勢を整えつつあるようでございますし、共産圏のほうでは共産圏で、EEC反対の立場から、それ自体の経済的結合を強化しようとしておる。中近東やその他の世界の地域におきましても、地域的な一つのまとまりを持とうという動きが全然ないではないようでございます。今申しましたOAECと申しますか、アジアの経済共同体というようなもの、これも前々から政府部内では問題になって、何回か閣議でもそういう話が出たことはございます。ございますけれども、日本の貿易の構造から申しますと、今度この地域と日本が経済共同体という関係に入りますと、やはりその地域の第一次産品を、先進国である日本は、相当買ってあげなければならぬということになりますが、日本は、相当腰の重い農業問題をかかえておりまして、これとの衝突の問題は、今EECが直面しておる温帯農産物の問題の比じゃないと思うのです。非常に大きな問題になりますし、一つの共同体として、一つのまとまりを持つ場合の等質性というのに恵まれておりませんので、ひとつ接近して勉強に値する問題である。がしかし、急いでこれは作り上げなければならぬというには、前提条件がいろいろあるのじゃなかろうかという考えでございまして、まず、さしあたっては、EEC、並びにそれをめぐってどういう反応が世界に起こるかを見きわめて、いつも念頭に置いて考えなければならぬ問題でございますけれども、直ちにそういう方向に具体的に踏み切るというような条件を持っていないというのが実情かと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 その問題と関連して、アジアのことを言うわけじゃないのですが、一昨日、予算委員会でちょっとお尋ねしたように、近く総理が外遊される、それから外務大臣は国連へ行かれる、続いて秋には六閣僚が日米合同委員会で渡米をされる、そういうことを前に控えて、たとえば貿易の自由化、対EEC問題、アメリカの通商拡大法の問題、外交問題、いろいろ問題があって、それを各省——外務省なり通産省なり大蔵省——、それぞれ検討されると思うが、ずっと私見ておって、主として総理でしょうが、あるいは外務大臣でもいいと思いますけれども、総括をして、日本としてこれに臨むべき態度をほんとうに検討されておるのかどうか。各省がやっているでしょう。総理は親善のための外遊なのか、そうでなしに、もし行かれるとすれば、そういうことを、日本の全各省にわたる問題を総括をして、それで十分な準備をされて行かれなければならぬはずだし、それからアメリカに行かれる各閣僚についても同様だと思うのです。ところが、私が見ておって、近い将来やられるかもしれぬけれども、少なくとも今までのところは、そういう総合的な検討、これに臨むべき態度に対する基本的な検討というものがほとんどないように思われる。そういうことが、近い機会に何らかの機会を持たれるのか。総理は今御列席でないから、これは別ですが、外務大臣が特にそういう点はイニシアチブをとられてしかるべきじゃないかと思うのですが、そういうお考えはありませんか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) この国会が終わり次第、今事務当局で準備いたしておりますので、これが終わり次第、まず私の国連対策というようなものを中心に、総理中心の会合を持とうと思っております。それから総理のほうと並びに日米閣僚会議の用意は、それぞれのチームを作りまして今資料の整理をやっておりますので、この国会はやはり国会に全力をあげねばいけませんので、この国会が終わり次第、そういった今アドヴァイスがございましたような準備に取りかかる用意をいたしております。

大和与一日本社会党

○大和与一君 最後に、移民の問題で非常にうまくいってない点があったものだから、ずいぶん問題になったのですね。前の小坂外務大臣に私が指摘したのは、やはり外務省と農林省と建設省関係で今やっておりますね、この三省のやはり調和というわけですね。これはもう昔からだめなんです。これは相当露骨に言って、なっておらぬわけです。それで小坂さんは、おれの在任中は絶対うまくやります、こう言って大みえ切ったのですが、切ってからまだあまり日がたたぬけれども、その引き継ぎをされているかどうか、そういうのをきちんとやっていかなければ、そこが一番ガンなんですよ。これはあちこち聞いたところでは、私はそう思うのです。それに対する引き継ぎがあったか。なければ、今のこの趣旨は賛成でしょうから、きちっと責任を持ってやっていただかぬと、やはり旧来の陋習を繰り返すことになると思うのですが、それに対して御返事いただきたいと思います。それで新聞で見ると、あなたは国連で英語でやろうなんていう気があるというけれども、まずこの委員会で英語でやって、これを合格しなければ、国連なんかではやれぬはずだから……。(笑声)

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 移民政策につきましては、今まで御承知のような問題がありますし、問題もよく前任者からも聞いておりますし、今、それにどう対処していくかということにつきましても腹案を政府側で固めつつありますので、いずれ御審議いただけるようにいたしたいと思っております。問題点の所在は、よく承知いたしております。

石田次男公明会

○石田次男君 委員会で外務大臣にお会いできるのも、もうきょうぐらいだろうと思いますので、大和さんと重複してくるかもしれませんが、日韓問題と移民の件で簡単にお伺いしたいのです。  日韓問題のほうですが、わが国としては、今韓国は地域限定社会だということを堅持しておられるのですね。その線で交渉していけば、当然請求権の問題についても、北の分はわが国としては認めないという方針で交渉になるのかと思うのですが、その点についてお答えいただきたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 現実に支配が北に及んでいないということを念頭に置いてやると、私は申し上げているわけでございます。それから御推測いただきたいと思います。

石田次男公明会

○石田次男君 実は、午前中に衆議院のほうでも、きょう外務委員会があったのですね。そこで、首相が出ていらして、岡田さんとだいぶやりとりがあったということですが、その骨子をひとつ簡単に聞かしていただけませんか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 岡田さんの御質問も、今石田さんが指摘されたような問題でございまして、講和条約の四条の(b)項というのは北鮮に及ぶかどうかということにつきましては、総理は否定的なお答えでございました。したがって、在韓財産を放棄するというようなことも、講和条約の四条に関する限りにおいて、今現に韓国の支配が及んでいない地域に対する在韓財産の放棄というようなことは、講和条約で約束はしていないというお答えでございまして、要するに、支配が北に及んでいない場合にどうするかということが中心でございます。それは十分私ども念頭に置いてやる、こういう趣旨のものでございました。

石田次男公明会

○石田次男君 今の問題は交渉中ですから、あまり詳しくはお話はいただけないと思うのですけれども、請求権問題は北の分をどう扱うかということが結局わが国側としては焦点になると思います。で、あくまでも今の朴政権と交渉しているこの範囲では、北のほうのほうは日本としては支払わぬと、こういう主張になっています。そうした場合に、結局その線でもって話がまとまってきますと、北の分の懸案が残るという感じになってくるわけですね。これについてもう少しお話をいただけませんか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) その残ることは欲しないけれども、残らざるを得ないのであります、そういう状況になっていないのでございますから。

石田次男公明会

○石田次男君 残った場合に、もう一度将来この問題が蒸し返されるという可能性はございませんか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) そういう機運になってきた場合の問題だと思います。

石田次男公明会

○石田次男君 まあ、その問題は一応それで打ち切っておきますが、今度の交渉について無償供与ということが考えられているというわけですけれども、これについてもしお話しいただけるんでしたら、若干お話しいただきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 国会のほうからおしかりを受けるのでございますが、新聞にどんどん出ておって国会で言わないのはけしからぬと、こういう御注意がございますが、新聞は御推察で書かれておることでございまして、私どもは今折衝に入ったばかりでございまして、今の段階におきましてはどこにも発表しておりませんので、無償供与云々の問題につきまして申し上げる段階でないと存じております。ただ、考え方として私が申し上げておりますのは、請求権レベルでいろいろやってみたが、なかなか法的根拠やら事実関係の確認というような問題について、十分これを証拠立てるものを用意する、いわば法律問題として取り扱う場合の実定法上の要件というものを満足させることができないという状況にございます。したがって、そのレベルでいつまでも話をしておったんでは、この問題をほぐしていく上において効果的でないという判断をいたしまして、一つの考え方を先方に今提示いたしております。そしてその反応を見ておる状況でございますということは申し上げておるわけでございます。

石田次男公明会

○石田次男君 それからもう一つ。この会談内容については政府発表は一つもないと、したがって、新聞に出てくるものは全部推定だというお話は、これは納得ができるわけなんですが、それにしても請求権という金額問題を扱っているわけですから、積算の基礎はお持ちになっているんでしょうね。いわゆる法的根拠のある分というその建前から積算したこちらの金額ですよ。まあ内容——金額そのものとは申し上げませんけれども、それは持ってかかっていらっしゃるんでしょう。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) まあどういうアイテムが考えられるか、そしてそれはかりに積算すればどんな程度になるものかというようなことは、事務当局で試算をしたことはございます。しかし、それは大蔵省と外務省との間にも相当の開きがあるということを世間で言われておりますが、事実そのとおりでございます。一応の試算というようなものはやってみましたが、今申しましたように、一体それの証拠をちゃんと集めて、法的な要件を整えて参るという上におきましては、客観的にいろいろむずかしいということでございます。そういうことであります。

石田次男公明会

○石田次男君 実は大蔵省の積算と外務省の積算と合わなかった、聞くところによれば、大蔵省のほうは甘くて外務省のほうの積算は辛かった、そういうような話も聞こえておるわけですが、実際交渉に持ち出す段階になれば、やはり一つの統一見解的な金額というものが出てくるのじゃないかと思うのです。そういったこちらの腹づもりとしてのはっきりした金額はきわめて交渉に臨んでいらっしゃいますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 請求権というのは、御案内のように、一つの要求なんでございまして、片一方がそれに応諾すれば一つの効果を持ってくるわけでございますが、だから、日本側でこれをどう考えるかについて統一見解を作るということは、あるいは不可能でないかも知れません。ただ、先方がそれにどう反応してくるかということを、まあ過去の交渉の経過から判断いたしますと、法律の解釈の上から申しましても、事実関係から申しましても、ずいぶん開きがあるということをわれわれ確認したということは申し上げておるわけでございまして、そういうレベルでずっと問題をほぐしていこうといたしましても、これは効果的でないのじゃないかと判断したから、新しい工夫をひとつこらしてみようということで進んでおるのでございますということを申し上げておるわけです。

石田次男公明会

○石田次男君 じゃ、請求権問題はそのくらいにしまして、竹島の問題ですが、これは去年小坂大臣に聞いたときには、問題が違うからあながち一緒にはできぬというような答弁を私はいただいたことがあるのです。最近大平大臣の御答弁ですと、同時解決ないしその前に解決すると、そういうようなことでなさっていらっしゃるようですが、それを確認してよろしいですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) さようです。

石田次男公明会

○石田次男君 次に移民の問題を二、三点。  今大和さんから話があったとおりに、農林省と建設省、外務省、この三本立が実は移民行政の最大のガンだということは私も同感なんです。特にいろいろな事実問題から推していって、建設省よりも農林省が実務を握っておるのが一番ガンになるのじゃないかというような各種の現象が見られるわけです。今度通常国会になりますと移住基本法もお出しになるそうですし、今草案を作りつつあり、十一月中にはその草案も発表できるのじゃないかと、せんだって外務省に行って聞いたら、そんなことを言っておったのです。それで、移住基本法の草案に盛られておる骨子というものをこの際聞かしていただきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 実は前段の所管の問題ですが、これは前々から各大臣の間で話がございまして、何とかしなければならぬじゃないかということで、比較的、何といいますか、話のわかった話であったように私は思うのです。それで今度人事の更新がございまして、現内閣になりましてからまだ、どのようにしようかという閣僚間の打ち合わせは、実のところいたしておりません。しかし、前々からの話で、若干筋道が立つような工合に持っていけるのではなかろうかと私自身は思っております。  それから移住基本法の問題につきましては、私自身がまだ今の草案につきまして拝見いたしておりませんのですが、今局長が参るようでございますから、参りましたら、局長のほうから今の現状につきまして御答弁させます。

石田次男公明会

○石田次男君 実はこの基本法について、移住の理念とその援護方法と、移住者の義務、地方公共団体の義務、行政機構、大体そんなことを盛りたいという構想だということを外務省のほうで私聞いたのです。その中に行政機構の問題が入っておりますので、この基本法ができるチャンスに、行政機構についても抜本的な手入れをなさるつもりであるかどうか、その点を大臣に聞きたかったわけです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) そのようにちゃんとしたものにしたいと私は思っております。ただ、石田先生も御承知のとおり、なかなか権限争いというものは私の想像以上にむずかしい問題でございまして、はたしてお気に召すような工合にすっぱりいくかどうかということにつきまして、私が今大きな口をきく自信はないのでございますけれども、ただいままでのところ、比較的話のわかった話が進んでおりますので、何とかここで目鼻をつけたいものだと思っております。

石田次男公明会

○石田次男君 この行政機構の問題については、総理もなかなかめんどうなことだということをおっしゃっておりまして、確かに一ぺんでぱっといくような問題ではないと思います。しかし、このチャンスを逃がしますと、もうなかなか機構改革のチャンスというものはやってこないでしょうし、積み重ね方式であっても何であっても、やっていらっしゃる基本法制定とともに、機構の一元化に向かって進む、実際的にその仕事をお始めになるようになるかどうか、それをお伺いしたいわけです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) その方向で鋭意やっております。

石田次男公明会

○石田次男君 実は移民が始まってからもう十年で、そろそろ試行錯誤という段階は過ぎたわけですね。ところが、詳しく調べてみますとたいへん問題が山積しております。特にせんだって問題になりましたドミニカの問題ですが、御承知のとおり、惨たんたるありさまで大量に帰ってきたわけですが、そのあとにまだドミニカに残っておる人たちは相当あるわけですが、そのうち半数が、どうも現地ではうまくいかぬのじゃないか、相当数南米に移りたいという希望も出されておる。外務省の一部の筋でも、もう一ゆれあるのじゃないかという観測をしておる人もあるわけです。この点については、前の失敗の例もありますので、なるべく早く、問題が大きくならないうちによく調査して片づけていただきたいと思うわけです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私詳しい事情はまだ承知しておりませんけれども、御注意の点確かめまして、おっしゃるように、できるだけ早く見通しを立ててあげることが親切だと思います。

石田次男公明会

○石田次男君 それからブラジルですけれども、サンパウロの割合近く一昼夜くらいで行ける所と言っていましたが、ガタパラという所に移住地を開きまして、ここへ強引に移住者を優先的に突っ込もうという動きをしているんですね。これは農林省の仕事ですよ。そういうことをやるものですから、年間の移住者が、計画だけは一万人でも、実績はことしはせいぜい三千人くらいにとどまるんじゃないかということを言っておりましたですが、移住者がどこへ行きたい、あそこへ行きたいという希望があるのを曲げて、無理にガタパラへ入れるというようなやり方は、やはりまずいんじゃないかと思うんです。現在、今まででも一億八千万円ばかり金を突っ込んで、全拓連の平川さんという人が中心になって始めた仕事なんです。金は突っ込んだけれども、ブラジル公使から反対を申し入れられたりしまして、全然うまくいっていないんですね。それから、そのほかに、移住地として買い込んだやつでも全然四、五カ所使いものにならないものがあるんです。名前をあげれば、バルゼア、アレグレーとか、サンアントニヤとか、そんな所ですけれども、こういうふうに失敗している原因は、前のドミニカ調査といい、そういう購入地をほったらかしてある点といい、それから今のガタパラ計画といい、どうも農林省側が非常にまずいと思うんです。この点については、この際抜本的に改めて、今までの失敗は失敗としても、それを払拭して、すっきりした移住政策を樹立しませんと、あとチャンスがなくなるような気がするんですけれどもね。これについて、高木さんもおいでになったようですから、ひとつ大臣の御所見と高木さんの考えを述べて下さい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) ガタパラの問題につきましては、私自身も多少お話を聞いておるわけでございますが、その他のうまくいかない地域の問題もあるようでございますので、移住局長から詳細にお聞き取りをいただきたいと思います。

高木広一外務省移住局長

○説明員(高木広一君) 御質問の移住基本法及びガタパラの件について御説明申し上げます。ただいま石田先生がおっしゃいましたように、移住の機構はこの際抜本的に改正して行政の一元的な運営を行なわなければいけないという声は、国会のみならず、一般に強うございまして、その趣旨から、海外移住審議会におきましても、移住基本法のもとになる根本問題についての諮問がなされ、現在その審議が行なわれておる次第でございます。これに関しまして、審議会全体の空気といたしましては、海外移住がやはり海外における移住を主とする関係上、従来から外務省が主務官庁になっていたのだが、この点をはっきりして、外務省の責任、権限をはっきりすべしという意見が強いようでございます。われわれといたしましては、従来の海外移住が、ややもすると国が無理に移住者を引っぱって外へ出す、行く人は十分よく事情も知らないで出て行くというようなきらいがございましたが、この際、むしろ移住の推進の方法としては、国民に海外発展推進思想というものを啓発する必要が非常にある。これはヨーロッパと比べますと、日本人の海外進出は非常におくれているわけでありまして、そういう点で、その面の啓発を十分やることによって、今度は移住者から自発的に海外に出ていこうという気持が強くなっていくのを、これを政府が横からできる限りの援助をするという態勢にすべきである。すなわち、移住は、移住者の自覚に待って、積極的に移住者が出ていくというのを国ができる限り援助するという態勢に持っていくべきである。その点で従来外務省、農林省、二つの役所がございまして、あたかも二人の船頭が船を引っぱっているような傾きもございます。といって、それぞれの省の立場もございますので、むしろ移住の実務を扱います海外協会連合会、これの組織を強化いたしまして、これを有力な実務団体といたしまして、これが積極的にやっていく。で、主務官庁である外務省はこれの予算を取り、あるいはその事業団の会長なり人を選ぶ。それから先はむしろ事業団が自主的にやっていく。関係各省も、移住は非常に幅の広い仕事でありますから、事業団の要請に応じて、農林省は農林の立場から、労働省は労働の立場から、またその他厚生省、文部省、各方面の協力を必要として参ります。この点は外務省を中心といたしまして、関係官庁の連絡協議会というものがございます。その上に海外移住審議会がございますので、、こういうラインは、強力な一本のラインを、一本の政策を進めていくということが一番望ましいと思いまして、移住審議会等に対しましては、こういう意見を述べておる次第でございます。幸い移住審議会も東畑精一博士が会長になられまして、非常な熱意を示されまして、ぜひ自分もこの十一月に政府に答申を出すとして、そうして将来問題のない、りっぱな機構を作るようにしたいと言っておられますので、できましたなれば、今年の暮れの国会には移住法が出るようにまで運び、また海外協会連合会の実務機関も、法律に基づきます事業団として発足し得るように、予算措置その他もせっかく今進めておる次第でございます。  それからガタパラの問題でございますが、この問題はすでに国内におきましては、関係五県ないし六県ございまして、この計画に初めからもうすでに移住者を募集する。そのためにまだブラジル側におけるこの事業の許可がある前に、すでに財産を処分して、ブラジル渡航を待機しておられたというような人もございますので、こういう事情も考えながら、またブラジルの立場も考えながら、あまり大きな間違いのないラインでガタパラの計画を進めていくというラインで、大蔵、外務、農林三省次官申し合せまして仕事を進めている次第でございます。ガタパラの問題につきましては、サンパウロにおいて七千町歩の土地を買いまして、これに集団移住させるという問題でございます。これはブラジルで一番開けた所に集団移住地を作るという点で、将来いろいろとブラジル側にも問題のあることでございます。ブラジルの植民法では、一千町歩以上の土地に外国人が入る場合には、その三割以上入ってはいけないということになっているのでございます。一昨年ブラジルとの移住協定ができまして、七割まで入る可能性もできましたので、その許可をできるだけブラジル側から取るというような問題もございます。非常にデリケートな問題でございますので、ブラジル側としては、あまり外国人が集団移住するということは好んでおらないというようなこともございますので、将来排日の種にならないように十分工夫しながらやっていきたいと考えております。

石田次男公明会

○石田次男君 実はきょうは詳しい問題点をお伺いするのが目的ではありませんで、移住問題の骨子だけ簡単にお伺いしたいと思ったわけです。本日はこれでやめますけれども、高木さんもう一ぺん詳しくやりましょうや。  大臣に、これは質問じゃなくてお願いという形ですが、とにかく十年間の実績を通じていろいろ問題が山積しておりますので、歴代の内閣のなすったことですから、ひとつこの際大平大臣が今までやってきたことを総まとめするくらいな熱意を持って移住問題に当たっていただきたい、こう思っている次第ですから、どうぞひとつ今後の御健闘を祈ります。

岡崎真一自由民主党

○委員長(岡崎真一君) 他に御質問はございませんか。——なければ、本件につきましては、本日はこの程度にとどめます。   —————————————

岡崎真一自由民主党

○委員長(岡崎真一君) 次に、通商に関する日本国とニュー・ジーランドとの間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件及び千九百六十年及び千九百六十一年の関税及び貿易に関する一般協定の関税会議に関する二議定書等の締結について承認を求めるの件を一括議題といたします。  両件につきましては、すでに提案理由の説明を聞いておりますので、本日は補足説明を聞きとりたいと思います。

飯塚定輔自由民主党外務政務次官

○政府委員(飯塚定輔君) ただいま議題となりました、通商に関する日本国とニュー・ジーランドとの間の協定を改正する議定書について補足御説明申し上げます。  わが国とニュー・ジーランドとの間には、戦前におきましては昭和三年七月に締結された暫定協定によって相互に通商、関税及び航海上の最恵国待遇を供与したのでありますが、同協定は昭和十六年七月、ニュー・ジーランド政府よりの廃棄通告があり失効いたしました。  戦後の貿易再開の後も通商上の待遇に関しては無協定のまま推移し、昭和二十八年秋、わが国が関税及び貿易に関する一般協定、すなわちガットへの仮加入が認められた際、ニュー・ジーランド政府はわが国に対し、両国間貿易関係はガットのワク外で二国間協定により処理したいとの方針を明らかにし、同年末特定品目に限り最恵国待遇を適用することを内容とする協定を結ぶ用意がある旨提案して参りました。  右の提案に基づき、昭和二十九年六月から七月にわたり両国の特定の産品についての最恵国待遇の相互適用及び輸入数量制限の緩和に関する交渉が行なわれましたが、妥結に至らなかったのであります。  その後、昭和三十年、わが国がガットに正式に加入した際、ニュー・ジーランドはわが国に対し、ガット第三十五条を援用し、わが国の産品に対しては依然として関税上は最高関税たる一般関税が課せられ、また輸入制限上はドル地域に準ずる差別的な待遇が続けられる状況であったのであります。そこでわがほうとしてはかかる差別的待遇の是正をはかるべく、引き続き折衝を重ね、昭和三十二年十一月には岸前総理大臣がニュー・ジーランド訪問の際同国の政府首脳者と通商交渉再開方を話し合ったのであります。  そして翌年の昭和三十三年六月、ニュー・ジーランド政府は、わが国との間の貿易拡大を目的とする通商協定の締結交渉を行ないたい旨提案して参りました。わが政府は、これに応じ、同年七月からウエリントンにおいて交渉を行ないました結果、ようやく現在の通商に関する日本国とニュー・ジーランドとの間の協定の妥結を見た次第であります。  この両国間の通商協定はニュー・ジーランドのわが国に対するガット第三十五条の援用はそのままとしておきながら、二国間の関係で相互に関税上及び輸出入制度上最恵国待遇を与えることとし並びに一方の国の産品が他方の国の産業に重大損害を与え、または与えるおそれがある場合は両国政府は協議の後、必要な限度で緊急措置をとり得るとのいわゆるセーフガード条項を設けました。  通商協定が発効いたしました結果、さきに申し上げましたように、ニュー・ジーランドに対するわが輸出品はそれまでの一般税率(最高)から最低税率の適用を受けることとなり、輸入制度上は従来のドル地域諸国に準ずる待遇から軟貨国扱いをうけることとなりました。これが、自後のわがニュー・ジーランドに対する輸出拡大に寄与したことは甚大でありまして、わが国の輸出額は、協定が締結された昭和三十三年においては二百六十四万ポンド(通関統計)でありましたものが、同三十四年四百十九万ポンド、三十五年八百四十七万ポンドと目ざましく増加し、三十六年にはニュー・ジーランド側の輸入管理強化の影響をこうむり七百九十三万ポンドとなっておりますが、なお三十三年輸出額の約三倍に達しております。なお、わが国の輸出入額を合わせた貿易量全体について見ましても、三十三年には九百四十万ポンドであったものが、三十六年は二千五百七十五万ポンドに増加し、二・七倍強に拡大いたしました。  輸出品のおもなものは綿、人絹、スフ織物等の繊維織物でありまして、輸出総額の約半ばを占めております。続いては鉄鋼、ミシン、魚介かん詰め、光学製品、玩具等の諸製品であります。一方、輸入のおもなものは羊毛を筆頭に(三十六年のわが国の輸入総額の五十四%)、食肉(特に羊肉)、松丸太、くず鉄、ミルクカゼイン等原材料であります。これら原料品に対するわが国の需要が旺盛でありますので、貿易じりは、昭和三十一年以来若干日本の入超の傾向でありますが、これはもともと両国の貿易構造は相互補完的であって、相互に貿易量を拡大する余地が大きいことによるものであると考えられる次第であります。  そして、このような両国間の貿易の著しい増大にもかかわらず、この間におきまして、通商協定に規定されましたいわゆる市場撹乱問題のためのセーフガード条項は両国とも一度も発動する必要を見ることなく経過いたしました。このような順調な発展は、両国間の貿易が相互補完的である上に、協定発効以来の両国政府及び関係者の努力と協調が実ったものでありまして、ニュー・ジーランド側に実績を通じて日本品に対する危惧は根拠のないものであることを理解させることとなり、その結果として対日ガット第三十五条援用撤回の決意を促したものであります。  かくて本年三月東京において開催されたエカフュ第十八回総会への出席を兼ねて訪日したニュー・ジーランドのマーシャル副総理兼商工貿易大臣と、小坂外務大臣との間で討議の結果、ニュー・ジーランドは対日ガット三十五条の援用を撤回し、この撤回に対応して現行の両国間通商協定中の関連規定に所要の改正を行なうこと等につき了解に達しました。そして、三月九日付をもって、援用撤回の書簡交換とこの議定書への署名が行なわれたのであります。  次に、この議定書の内容を御説明いたします。  この議定書は前文、本文四カ条及び末文から成りますが、本文第一条では現行通商協定中の第四条を修正して新たに両国間にガットの規定が適用されることを明らかにし、第二条では現行協定の第五条のいわゆるセーフガード条項を削除したものであります。また、第三条は、これら修正に伴う現行協定第七条の字句の修正であり、第四条は本議定書の効力に関するものであります。  ニュー・ジーランドはすでに三月十九日付でガット事務局を通じてガット三十五条の対日援用を撤回する通告を行なっており、両国間にはガット関係が完全に適用されるに至っておりますので、右に対応してこの議定書もできる限りすみやかに発効させることが望ましいので特に今国会におはかりいたした次第であります。  以上、補足御説明申し上げます。  次に、一九六〇年及び一九六一年のガット関税会議に関する二議定書等につき補足説明をいたします。  一九六〇年九月一日から本年七月十六日までジュネーヴにおいて「一九六〇−六一年ガット関税会議」が開催され、わが国を含め三十一のガット締約国、スイス及びガットに加入しようとするイスラエル等がこれに参加しました。今回御審議をお願いいたします両議定書は、この会議の交渉の結果、各国が相互に引き下げた関税をガット上の譲許として一まとめにして収録し、これらの譲許の効力発生の方法等について規定するものであります。同関税会議は第一部及び第二部と呼ばれる二つの時期に区分されますが、一昨年九月一日から昨年五月二十九日までを第一部とし、欧州経済共同体の対外共通関税の設置に伴う交渉及び既存の関税譲許の修正、撤回のためのいわゆる再交渉が行なわれました。第二部は昨年六月以降本年七月十六日までの間でありまして、ここでは、ガット締約国が相互に従来の譲許税率をさらに引き下げ、またガットヘの新規加入希望国と交渉して相互に新たな譲許を設定するための交渉が行なわれました。この第二部の交渉がいわゆるディロン交渉でありまして、関税の相互引き下げのための多角的交渉としてはガットの歴史において五回目のものであります。本件両議定書に附属するわが国の関税譲許表には、わが国がこの第二部の交渉において相手国に与えることを取りきめた譲許が掲げられております。  交渉の概要について申しますと、まず第二部の交渉全体としては、その中で四十九組の二国間交渉が行なわれ、決定した譲許品目は約四千四百に及ぶ大規模なものであります。そのうち、わが国は、米国、欧州経済共同体、スウェーデン及びイスラエルと交渉し、わが国はこれら三国及び共同体に総計九十一品目の譲許を与え、またこれら三国及び共同体はわが国に対し総計百一品目の譲許を与えることとなりました。まずわが国が与える譲許九十一品目を国別に申しますと米国に対し四十五品目、欧州経済共同体に対し二十五品目、スウェーデンに対し二十一品目、イスラエルに対し一品目となっており、なお、これら国別譲許を総計しますと九十二品目になりますが、米国と共同体との双方に共通の品目が一つあるので、品目の合計は九十一であります。これらのうち主たる品目はスイート・アーモンド、殺虫剤、潤滑油、触媒、カカオ脂、製紙機械、塩化カリウム等でありまして、その年間貿易実績は約三千万ドルでありますが、そのほとんどは国定の現行税率の据え置きであります。  次に、わが国が受ける譲許百一品目について申しますと、米国から六十八品目、欧州経済共同体から二十五品目、スウェーデンから二品目、イスラエルから六品目でありまして、そのうち主たる品目は、グルタミン酸・ソーダ、絹ハンカチ、干ししいたけ、万年筆、サケ・マスのカン詰、電子顕微鏡、トランジスター・ラジオ等でありまして、その年間貿易実績は約二千六百万ドルでありますが、これらのうち、八品目を除き、他は現行税率をおおむね二割方引き下げるものであります。  さらにわが国は第三国間の交渉の結果についても、すべてガットの一般的最恵国待遇の規定に基づき、均霑し得るものでありまして、このようないわゆる間接利益も相当な額に上り、たとえば米国が今回の交渉で第三国に与えた譲許について見ますと、わが国の受ける間接利益は羽毛製品、カン詰マッシュルーム、ジュート・ウエースト製袋、鉄板、しんちゅう製品、オルゴール等が主たるものでその年間貿易実績は約二千五百万ドルに相当するものであります。  かように、関税交渉の結果はわが国にとり全体として有利なものでありまして、政府といたしましては、国会の御承認を得れば直ちに議定書を受諾し、それによりわが国の譲許を実施することといたしたいと考えます。  なお、議定書とともに提出いたしました欧州経済共同体との交換公文は、共同体のうち、フランス、ベネルックスがわが国に対しガット三十五条を援用しているために、本件議定書に収録された双方の譲許は当然にはわが国との間で適用がないものでありますところ、今回わが国とEECとの間で直接交渉いたした二十数品目の譲許については、あたかもガット関係にあると同様にわが国とフランス、ベネルックスとの間でこれを適用し合う旨を約束するものでありまして、これらの譲許をかりに一方が撤回しまたは引き上げようとするとき、他方はそれに見合う代償を要求し得ることとなります。かように、この書簡は、従来全くガット関係になかったわが国とフランス、ベネルックスとの間に、今回相互に与え合った関税上の譲許についてはガット関係にある二日間と同様の権利義務関係を設定するものであり、このことは、これらの国の対日二十五条援用撤回へ一歩を進めるものであると同時に、また、EEC全体とわが国とのガット上の関係を固めるという恩義を有するものと存ぜられます。  以上をもちまして、補足説明を終わります。

岡崎真一自由民主党

○委員長(岡崎真一君) 以上で説明は終わりました。本件の質疑等は次回に行なうこととし、両案につきましては、本日はこの程度にいたしたいと存じます。  次回は、八月三十一日午後一時より開会することとし、本日はこれをもって散会いたします。    午後五時十二分散会

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