科学技術振興対策特別委員会 第3号
- 発言数
- 99 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1962/08/28
会議録
○委員長(田上松衞君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。 まず、科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。先日行なわれました近藤科学技術庁長官の科学技術振興の基本施策についての所信表明に対し、質疑を行ないます。御質疑の方は順次御発言をお願いします。
○加藤シヅエ君 私は科学技術庁長官に対しまして、科学技術振興の問題、将来日本でどういうような進み方をしていくかという問題と、池田総理のお考えになっていらっしゃる所得倍増計画との問題に関連いたして、二点だけ質問をいたしたいと思います。その問題は、所得倍増計画というのは、生産力の増大ということを背景にしての政策だと私どもは理解しているわけでございますが、その生産力を増大するということは、いろいろな質的な問題、量的な問題、あるいは量と質と同時に向上しなければならない問題、いろいろの内容の見方があると思いますけれども、今日この倍増計画を進めていかれます上に隘路がある、これが科学技術の問題に密接な関係のある点であることを考えますので、そのことを質問いたしたいと思います。 一つは、科学技術を大いに発展させなければ所得の倍増はあり得ない、その生産力を増大させるための科学技術の進歩という点におきましては、どうしてもその面を担当するところの技術者というものの陣容というものが、それに付随して整っていかなければならないという問題が起こってくることは当然でございます。このことを見ますときに、科学技術が大いに発達している国の姿などを見ますと、毎年々々膨大な数の技術者というものが大学、高等学校等において養成されて、そうして次から次へと社会へ出ていって仕事、任務を担当していくというような計画ができております。しかるに日本においては、総理大臣が所得倍増の大きな計画をお立てになっていらっしゃるにもかかわらず、その欠くべからざる科学技術者の養成ということが非常に欠陥があるということ、この点が質問の第一でございますけれども、文部省当局にこのことを伺わなければならないので、そのほうの質問を少しあと回しにいたしまして、もう一つの問題があるわけでございます。 私が考えました問題の第二点というのは、この所得倍増のためには、どうしても科学技術が発達しなくちゃならないにもかかわらず、現在の日本の技術面はたいへんおくれている、そのおくれている問題をどういうふうに解決するかという点について、現状を見ておりますと、技術導入に依存しているというこの問題でございます。これは長官にお伺いしなくちゃならない問題だと思うわけでございますが、私の調べてみましたところによりますと、まあ今日所得倍増のこの波に乗って生産は非常に高まっている。ことに大きな会社などの生産が高まり、その収益というものも非常に大きなものがあって、世界の所得長者番付の相当高位に上がっているような収益を上げている会社もあるというようなことを私たちは見ております。で、日本の大きな会社の技術導入に関係したものを見ておりますと、ここにたくさんの会社の名前を調べてみたのでございますが、有名な大会社はみんなそれぞれ相当量の技術導入の件数を持っております。たとえば新三菱重工は三十五件、東芝同じく三十五件、日立製作所二十三件、石川島幡磨重工業二十一件、三菱重機二十件、日本電気二十件、住友化学工業、住友金属、住友電気みな二十件から十六件、その他ずっと番付を見ておりますと、いずれも非常にたくさんの件数の技術導入をいたしているわけでございます。で、この技術導入をしなければならないという理由は、日本の技術がおくれていて、外国の技術に進歩しているものがあるからそれを入れていかなければならないと、こういうことになり、特に所得倍増で拍車をかけられますと、お互いの日本の企業と企業との相互間の競争がだんだん激甚になって参りまして、少しも早く技術導入をして、いい成績を上げていこうと、こういうわけで大きな資本力にたよっているものほどよけいにたくさんの技術導入をやっているというような数字が出ております。したがいまして、所得倍増で非常に生産をやっているというふうに表面現われておりますけれども、その裏面には、技術導入のためにたくさんの技術導入料というものをまた支払っていかなければならないというような現実であると、こういうわけでございます。それで、こういうように技術導入をやっていかなければならないというのは、やはり一つそこにいろいろな問題が含まれていると思うのでございますけれども、長官はこういうような技術導入が競争のように各大きな企業によってどんどんやられているというような現状に対して、どういうふうにごらんになっていらっしゃるか、それをまず伺いたいと思います。
○国務大臣(近藤鶴代君) 加藤委員の御指摘のように、技術導入が好ましいことではないといたしましても、相当行なわれているということは、結局、貿易の自由化が世界的な規模で進行しております現在といたしまして、国際自由競争裏において相当の輸出の増加をはかっていきたい、また経済発展を期するためにも、すぐれた科学技術が基盤とならなければ、産業の発展がないというような観点からこういうことが起こっているわけでございます。しかし、何といたしましても、国産技術を進展させて、それによっていかなければならないということはお説のとおりでございまして、私どもといたしましても、従来特に国産技術の進展のためにいろいろと努力を払って参りましたのが、今後ともそういう面についてなお一そう進んで努力をいたして参り、また、いろいろな技術導入に対しての条件を緩和するようにという方向についても努力をいたして参りたいと考えているわけでございます。詳細の企業別のことにつきましては、関係当局のほうから御説明をいたします。
○説明員(杠文吉君) それでは私から、長官の申しつけによりましてお答えをいたします。加藤委員御指摘になりました点は一一ごもっともでございまして、たとえば最近、通産省の企業局におきまして、外国技術導入の現状と問題点、いわゆる技術導入白書と称せられておるものを発表いたしております。その中にもいろいろ加藤先生から今御指摘になりましたようなことを問題点としてあげておるわけでございまして、ただいままでの技術導入の金額を申し上げますというと、一年以上に上るところの技術導入すなわち本格的な技術導入といわれるものが四億四百万ドル、昭和三十六年度で締めまして四億四百万ドル以上に上っております。その件数は千七百十六件というような多数に上っておることは事実でございます。それに反しまして、私どものほうから、すなわち日本から外国へ出すところの技術、つまり技術輸出といわれておるものは、昭和三十四年度から数えまして七百万ドルにすぎない。しかしながらこれも最近はずいぶん調子は伸びております。しかしそれにしましても二%に当たらない程度のものであるということからも、確かに国産技術の振興というものが何よりも重要視されなければならない、しかも貿易の自由化が行なわれますというと、商品の形において相当競争が激しくなってくるのではないか。その商品のままで入れるということよりも、日本の技術を育てるという観点からいたしまして、わが国独自の、独創性のあるところの国産技術を育成することはもちろんでございますけれども、非常にすぐれた技術がありまして、わが国にはそれほどの技術がないとした場合には、やはり導入は続けざるを得ないであろうと思うわけでございますが、その際におきましても、そのすぐれたという点をわが科学技術庁におきましては十分に選定する、選別する必要があると思うわけでございます。従来もその点において、外資審議会の委員として科学技術庁の事務次官が参加いたしておりまして、技術の観点からいろいろな審査には加わっておりますけれども、それよりも以上に、自由化という場合には、商品として入ってくるか技術として入ってくるかということの選別、その辺にいま少し力を入れてみなければならない。これを要するに、非常にすぐれた技術というものはむしろ導入して、日本の技術水準の向上に役立たせるとともに、またそれを再輸出する、すなわち商品として輸出するための武器として使うというような行き方にならなければならないと考えるわけでございます。したがいまして、何よりも申し上げたいのは、国産技術の育成に大いに力を入れますとともに、非常に優秀な技術に限っては導入を相変わらず続けなければならないというふうに考えておるわけでございます。
○加藤シヅエ君 優秀な技術の場合には、わが国の国産のものに刺激を与えるためにそういうものを導入するのもやむを得ないという、そういう御答弁でございましたが、少し例をとって示していただきたいと思います。
○説明員(杠文吉君) 例をとってと申しますと、御承知のとおりに技術革新時代でございますから、機械あるいは化学というような方面においては非常に革新的な技術が世界に生まれつつあるわけでございまして、それに対しまして日本が戦争によりますところの打撃で十年ないし十五年のおくれを持っているといわれております今日でございますから、今申し上げましたような化学あるいは機械というような方面におけるものは、日本の機械及び化学の技術に比較しまして相当な開きを持っているものがあるというふうに考えておるわけでございます。その個々の具体例につきましては、資料をもってお答え申し上げさしていただきたいと思うわけであります。
○加藤シヅエ君 今、杠局長の御答弁によりますと、日本が戦争というようなところを経過したために、技術において、いわゆる先進国から十五年ぐらいおくれているということをおっしゃたわけでございますが、そういたしますと、池田さんが所得倍増ということを非常におっしゃって、日本がこの短い期間において急速に重工業国として成長をした。そして所得の倍増、成長率というものが非常に高いということを非常に御自慢になっていらっしゃいますけれども、その自慢していらっしゃることの裏面を見ると、日本の技術がよくて、そしてそういうふうに成長をしたのではなくて、むしろ十五年間というような後進性のために、そこへ技術を導入したから、そこには伸びが早いというような下地があったから、それで経済の成長が早かったと、そういうことに理解してよろしゅうございますか。
○説明員(杠文吉君) 確かにただいま申し上げました開きというものは、戦後の十年ないし十五年というのは、戦争直後の状態で比較しましてそういう点がございましたが、その後御承知のとおりに相当の年数を経過いたしておりまして、先ほど私も数字をあげましたし、加藤委員も数字をあげられたように、技術導入が非常に盛んになって参りまして、そして外国の技術にも劣らないような日本の技術陣容が成り立っている。これは日本にもやはりそれだけの技術の素質は持っている。したがいまして、単に技術導入によって、人のまねをするだけではなしに、それを消化していくという力を用いているということは確かだと思うわけでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、技術輸出の点でもそれが象徴されておりますように、日本独自の、すなわち国産技術と称されるものが、今日のような世界的な水準にまでいっているかということになると、非常に水準は低い。ただ、それを消化して、それを再輸出まで持っていくだけの力、商品として再輸出するだけの力は、日本の技術陣容にもある、今日ではあるということを申し上げておきたいと思います。
○加藤シヅエ君 日本の技術導入の現状というものは、先ほど私が申し上げましたように日本のトップ・レベルにあるところの大企業におきましては、まあ外国の技術導入に依存している程度というものが非常に高いということを私は申し上げたわけでございます。それはさっき会社の名前などもあげて申し上げましたけれども、技術導入によって支払っている金額などというものもずいぶんに高い数字が出ておりますけれども、問題は、そういう高い技術導入に対してお金を払わなければならないということだけではなくて、技術導入に付随するところのいろいろな条件というものがあると思うのであります。その条件を、やはり導入しなければならないというこちらの弱い立場のために、先方の、技術を持ってるほうの国からいろいろの条件をつけられて、そうして導入しているのが現状ではないかと思います。したがいまして、そういうような条件がつけられているということは、輸出市場の制限というようなことにもなってくるのではないか。ことに技術導入をしてもらっている先がどういう先かということを見ますと、ほとんど西欧の資本主義国からの導入が圧倒的に多数、ほとんど全部を占めている。そうなって参りますというと、今、日本の貿易自由化と申しましても、今、日本が貿易自由化によって活躍する市場というのは、やはりこの国々によって占められているところのほうが多いんだと、そういうようなことになって参りますと、導入のときに輸出制限をつけられている、そういう導入の仕方というものが、私の見ました数字によりますと、約四五%、五〇%に近いものはそのような制限をつけられている。これでは池田さんのおっしゃるように所得倍増だ、倍増だとおっしゃっても、あとまだ七年か八年もあるのに、こんなに制限をつけられたそうした導入によって日本が一生懸命に生産しているのであっては、今後貿易が自由化になってから、すでにここで競争に非常に不利な条件ができているんではないか、これに対して今後どういうような方策をとろうとしていらっしゃるのか。
○説明員(杠文吉君) 確かに御指摘のとおりに、輸出市場の制限は条件として四〇数%ついているわけでございますが、しかしこの条件を緩和するためにも日本に同種技術を発達させる、そうしてその条件交渉に当たりまして、もしも輸出制限が非常にきびしいならば、導入をさせないというような措置もとれるわけでございます。これは外資法によりまして、先ほど来お答えしておりますように、わが科学技術庁も技術的な観点から審議に参加しているわけでございますが、やはり条件という点も当然にわれわれの審査対象になり得るものと考えておりまして、従来とも、たとえばロイアルティが非常にその技術に比しては高いというようなものにつきましては、ロイアルティを下げさせる交渉をいたさせております。そのように市場制限につきましても、今申し上げましたような指導をしたいというふうに考えておるわけでございますが、何にいたしましても日本において同種技術が相当に発達しているという事実がなければ、今のような条件を緩和させるような指導もできないということになるだろうと思いますから、できる限り国産技術の進展というものに力を入れていきたいというふうに考えるわけでございます。
○加藤シヅエ君 局長は非常に抽象的な言葉で答弁をなさいますから、一向私の伺ったことに対してほんとうの答弁になっていないと私は思うわけでございます。国産を奨励するとおっしゃいましても、現在の技術導入の面を見て参りますと、これが外国に対する貿易という、つまり対外的の競争のために技術導入をしているだけならまだ話はわかりますけれども、国内のお互いの企業と企業との間の激甚な競争のために、他の会社を圧するためにまた別の技術を導入してやらなくちゃならないというのが現状であるということが私の調べた数字などで、はっきり出ているわけでございます。こうしたことに対して、もう少しはっきりした方針を御答弁をしていただきたいと思います。
○政府委員(内田常雄君) 今大臣並びに政府委員が答えましたように、これか白貿易自由化後ということになりますと、日本の産業は国際的な競争力を充実させなければなりません。したがって、外国から来る製品に日本の工業は競争しなければなりませんから、日本の企業の基礎になる技術が国際的なものであるならば、またそれが基本的なものであるならば、外国の技術をとり入れなければ、貿易自由化後における国際的な競争に耐え得られない面がございますので、したがって貿易の自由化後には、国際的な外国技術をとり入れることも考えていかなければなりませんが、一面、加藤委員からお話がございましたように、これまでの経験によりますと、外国から導入された技術にはいろいろな制限がついております、条件がついております。たとえば今お話の輸出の地域制限というものがついておりまして、通産省の調べによりますと、これまで昭和二十五年から三十五年までの十一年間に導入された千数百件の外国技術につきまして五三%の地域制限がついております。私のほうの科学技術庁の調べによりましても、通産省と基礎が少し違いますが四〇%以上の地域制限がついている。また、ある場合には、資本の条件がついている。資本を四九%—五一%向こうに持たせるというような条件もついておりますので、外国の技術にたよることが非常に不都合な面もあるわけであります。そこで、科学技術庁として先般来打ち合わせているのでありますが、それでは今後どうするかということを申し上げますと、四つの点から外国の技術導入について考えて参りたい。 第一点は、国産技術が、企業化が確立されているものが日本にあるかどうかということが第一点。つまり甲社が国産技術で特許を持っている。十分な優秀な技術陣営を持っている。同種のを乙社が入手しようといたしましても、その際は技術導入は私はしないほうがいい、具体的な事例を申しますと……。 第二点は、外国技術の導入が国産技術の確立を妨げることがあるかどうかという点であります。最近におきましては、国立の試験研究所はむろんのことでありますが、民間の企業におきましても、国立の試験研究費以上のものを投じまして、金の点では国立の研究費のほうが少ない、民間企業のほうが研究費が多くなっておって研究をいたして参っておりまして、もう一歩研究を積めば国産技術が確立するという段階にある場合に、その芽をつんでしまい、それを押えてしまうような、そういう外国技術の導入はしないほうがいいだろうという点であります。 それから第三点は、外国の技術を導入して、それを国内の企業は十分こなせるかどうかという観点、それを消化し得るかどうかという観点から検討して参らなければなりません。外国の技術者も連れて参って、パテントばかりでなしに、それに伴うノー・ハウを持ってきて、一切を外国にまかせなければやれないような、そういう状態における外国技術の導入というものはどうかという点を考えていかねばならぬ。 第四点は、先ほども触れましたように、いろいろの条件、輸出の地域制限あるいはロイアルティとかあるいはノー・ハウ、指導料の多い少ない、あるいは資本提携の条件、そういう点から日本の将来の産業の確立に有利な面があるかどうか。 この四点を検討いたしまして、そして貿易自由化後には何でも外国の技術を入れるということでなしに、十分検討して参りたいと思います。幸いにここ十数年間のわが国の政府関係あるいは企業の現状におきまして、国内の技術というものが非常に伸びて参ってきております。現状におきましては、外国から輸入する技術に対しまして、国産技術を外国に持ち出して輸出しておる率というものはせいぜい二%か三%、情けないような状態でございます。しかし、最近はその数字がだんだん上がってきておるのでありまして、確かにどうしても外国から技術導入をしなければならぬというものでは、先ほどたとえばというお話がございましたが、石油化学に関連する技術というものは、これからも多く外国の技術にたよらなければならない面があると思われますが、他面におきまして、これまで問題でありました電子工学、エレクトロニクスなどにつきましても、大型のものは当分はまだ外国にたよらなければならぬと思いますが、中型、小型のものは十分日本の技術で企業が確立し得る見込みでありますから、中型、小型のものは外国の技術を導入しないほうがいいようであります。ことに電子顕微鏡の技術につきましては、日本の技術のほうが外国よりまさっておりまして、日本から外国に輸出し得るような状態であります。石油化学に伴うポリエチレン、ポリプロピレン、これは外国から輸入しておりますし、イタリアの化学工業会社にたよる面がありますけれども、酢酸ビニール、塩化ビニールは、外国より日本のほうがはるかに優秀でありまして、こういうものは日本において甲社、乙社の競争があるということで、甲社は日本に確立された技術でやっておる、それが乙社に公開されないために外国の技術にたよるということは、さっき申しました基準の第一点から申しましても、やるべきじゃない。こういうふうなことで進めて参りたいと考えております。
○牛田寛君 ただいま技術導入の問題につきまして次官からいろいろ御説明がございました。その中に、技術導入の過当競争の問題。外国からすでに技術導入をしておって、同種の技術がある程度完成しておるものについては、さらに導入をしようというふうなことはしないというようなお話でありましたけれども、現実はどうか、はなはだ私ども疑問に思っておる。技術導入をする場合には手続があるわけですね。必ず日銀から関係諸官省あるいは大蔵省それから一方では科学技術庁、このルートを通って最後に認可する形になるように私承知しておりますが、その場合に、科学技術庁を通す場合には、はたしてそのような技術的な問題について十分検討し、そうしてチェックをするような組織なり機関なりを現在お持ちになっておるのかどうか。その点を伺います。
○説明員(杠文吉君) 私どものほうにおきましては、技術の審査委員会というようなものを持っております。これは政令に基づいておるというよりも、科学技術庁参与という方がございますが、その参与の方々に事実上の委員会をお願いしておりまして、それぞれ化学部門、電気部門、機械部門というように分けまして、それぞれ事実上の委員長に当たる方をお願いし、専門家を外部からも呼びまして、東大の先生あるいはかって工業技術院の院長をしておられたような人をお呼びしまして、そこで十分の審査を遂げております。その意見を外資委員会におきまして私どものほうの事務次官から述べておるというような状況であります。
○牛田寛君 その参与のメンバーはどういう人ですか。
○説明員(杠文吉君) たとえば化学の部門におきましては、かつての工業技術院長をしておられました井上春成博士、それから機械の部門におきましては佐々木重雄というこれは現在は慶応大学の先生であります。それから電気部門におきましては丹羽保次郎先生、これは東京電機大学の学長でいらっしゃいます。それから金属の技術審査連絡会というのがございまして、そちらは三島徳七博士、それから同じく科学機械の輸入審査連絡会、これは貞清さんといって元役人をしていらっしゃった方であります。電気試験所の方でございます。そのような方にお願いしております。そのほか名前をあげますと、川田正秋さんであるとか、山田直平さんであるとか、吾妻潔さん、橋本宇一さん、柴田承二さんというような方もお願いしているわけでございます。今申し上げましたのはその部会長に当たる方々の名前をそれぞれの部会につきまして申し上げたのでございます。
○牛田寛君 今お伺いしましたが、その組織があるということでございましたが、一例を申し上げますと、たとえばストリップ・ミル、三十六年ごろに八幡とか富士鉄とか、そういう会社が技技導入したわけです。ところがそのあとに、今度は川鉄がまた同じようにストリップ・ミルの技術導入を、約五億以上の技術導入の金を払っておる。同じ技術がすでに入っているにもかかわらず、また川鉄が入れた。その場合に、今伺いました参与の方々の中でも、そういう事実を知らない方が実際はあったわけです。ですから体制はそのようになっておりましても、実際に八幡でも富士でも川崎でも鉄鋼の大メーカーでありまして、少々ぐらいの問題がありましても、むしろそういう大メーカーの一つの力でもって押し通されてしまうというようなことが、これは当然起こってくるんじゃないか。特に視野の拡大ということが非常に問題になっておりまして、そのために過当競争が起こっておるわけでありますから当然そういうことは考えられると思うわけです。で、私が申し上げたいのは、当然その技術導入の過当競争が起こるべき事由があると私ども考えるのは、そういう視野の拡大という面ばかりでなしに、一つの科学技術という面から考えても、国内における技術交流の体制ができていないわけであります。八幡とかあるいは富士とかにそういうふうな技術が導入されましても、その技術を、じゃ国内の他の企業に国内での技術導入という体制が全くできていないわけです。日本の国内ではおのおの孤立化している。したがって国内にはりっぱな技術があるにもかかわらず、お互いの国内の過当競争でもって、外国から技術を導入しようという一つの流れだと思います。そういう点をもう少ししっかりした組織をお持ちになって、大企業の圧力なんかには曲げられないような一つの技術的な観点から押えていくということが一つ。それからもう一つは、国内の技術交流というものについて、もう少し根本的にお考えになる必要があるんじゃないか。これができなければもちろんプリンシプルとしては技術導入過当競争を防ぐ、これは同感でありますけれども、それは口で言うばかりであって、実際には行なわないような条件ができ上がっていると私は思うのです。私は今鉄鋼一つを例にあげたわけでありますけれども、合成化学の面についても、あるいは石油化学の面についてもたくさんある。あるいはエレクトロニクスでも同じことだと思います。そういう点で、単なる技術導入のやり方とか組織とかいう以前に、根本的な日本の技術交流という問題がそこにあるんではないか、そういうふうに私は考えましたので、一つだけ申し上げておきます。
○政府委員(内田常雄君) 今、牛田さんのおっしゃることは、私どもはまことに同感であります。でありますから、今度発表されます通産省のいわゆる技術尊人白書にも、今おっしゃった点が示唆されてあるはずでございまして、私はまだ全文は読んでおらないのでありますが、その点が示唆されておるはずでありまして、今後の課題としてその問題を通産省自身が提起をしてきております。それが先ほど加藤先生のお尋ねに対しましてお答えをいたしました技術の導入についての審査基準の第一点として申し上げましたこともまさにその点を申し上げたのであります。これまでのところでは、お説のように、外国の導入技術をめぐっての国内各社の競争がございまするし、また、せっかく開発された国産技術で企業化が確立されたものがあるにもかかわらず、類似の外国技術を高い金を払って導入するという場合があったように思うのでありまして、この点につきましては、科学技術と申しますよりも、むしろ特許政策の問題にかかる点がいろいろあるようでございます。科学技術庁といたしましては、御承知のようにただ技術が開発されたり、利用されておる状態を、国内相互間で知らないというような状態に基づいてそういうあやまちがおかされないようにいつも留意いたしておるのでありまして、科学技術庁そのものが、一つの役所と申しますよりも、これは連絡調整企画の合議体でございますから、関係各省の方々、また民間の科学技術者をたくさん顧問、参与等にお願いをいたしまして、そういう開発技術などについての連絡打ち合わせの機会をたくさん持っておりますほかに、日本科学技術情報センターというようなものを作りまして、国産の技術はむろんのこと、導入される外国技術、また導入されざる外国技術につきましても、できる限りの情報を国内に流して、無知に基づく無用の競争というものがないようにすることは、これまでも努めてはおりますけれども、最初に申し上げましたとおり、この点は今後十分考えて参るべきことだと私は考えます。
○加藤シヅエ君 近藤長官にお伺いいたします。長官もせっかく御就任になりましたから、どうぞひとつ大いに政治力を発揮していただいて、今私がいろいろ御質問いたしましたああいう問題は、やはり科学技術振興全般の力が弱いというところから起こってくる問題だと思います。それで、今まで私が追及申し上げたところは、おもに過去の問題でございますけれども、今後は将来の問題につき、やはり大いに改善していただかなくちゃならないわけでございます。局長や政務次官からたびたび御答弁の中に、まあ今後は国内の技術を大いに発達させるというお言葉がたびたびございましたし、外国からの導入についてもいろいろと無制限な過当競争に陥いるような導入については、いろいろ考えると、それがよい場合にはいいけれども、お互いに国内の産業を圧迫するような場合には、これはある程度考えなくちゃいけないというようなお言葉もございまして、これはまあ当然のことだと思いますけれども、全体の日本の科学技術が今後発展していく将来の展望につきまして、まだ私は非常に不安に思っているわけでございます。それはここに一つの技術導入の問題についてのアンケートがございますが、これを見ますと、今後とも積極的に外国の技術を導入しようといっている企業が三六・六%を占めている。導入に依存しないでやっていこうというのはたった一・九%しかない。これが現状のアンケートによる数字なんでございます。どうして依存しないで日本の科学技術を振興さしていこうというような意欲がこんなに弱いか、その原因はどこにあるかということは、いろいろあると思いますが、一つにはこの特許の問題なんかもあると思いますし、なおそのほか、どういうところにこんなに意欲が弱いのかということを一つ教えていただいて、それに対して今後どうやっていこうとお思いになるか、長官の御所信を伺いたいと思います。
○国務大臣(近藤鶴代君) 確かに現在の日本の科学技術の水準が国際的に見まして非常に差があるということはだれしも一応認めているところだと思います。これは一つには、やはり国民が科学技術に対しての熱望と申しましょうか、情熱と申しましょうか、そういうものが割合に少ないということが私は一つの理由であろうと思いますし、また、そういうように国民一般が科学技術に対して熱意を持つような方法をとらなかったというようなところにも原因があるかと思うわけでございます。率直に申しまして、私が科学技術庁長官になりまして初めて科学技術庁という役所があったということを知ったと言われる方もあり、一体そこで何をしているのかなどというような質問を第三者の方々からは非常に受けましたが、役所の存在について知らなかったと言われたのが国会議員の中にもあったのでございまして、私は、そういうような雰囲気が、結局日本の科学水準というものが非常におくれているところの大きな力になっていると思います。しかし、そのことはまた反面から申しましたならば、そういうような状態に今日まで置いておったという政府の責任もあるかと思いますので、この点については十分——役所のPRというわけではございませんけれども、たまたま科学技術庁に参りましたので、科学技術庁というものが日本の将来にどんなに必要なものであるかというようなことも国民が関心を持つように、あらゆる機会を通じて努力をしていきたいというようなことも具体的に話し合っておりますし、また、そういうことによって日本のなるべく近い将来に国際的に近づいていく。日本の科学水準を高めていきたいと考えておるわけでございますが、そのことのために具体的に今実はこれはこうだああだというようなことも別段——今までやって参りましたことを強化するという方面については十分検討いたしましたが、新たに取り組んでいくというような問題については、まだ検討の過程にあるもののほうが多いのでございまして、この場ではっきり将来これこれのこういうことをこういうふうにやっていくということを、この機会にここで申し上げるところまで参っておりませんことを御了承いただきたいと思います。
○加藤シヅエ君 近藤長官は全般的に将来についていろいろお考えになっていらっしゃる御所信をただいまお述べになりましたけれども、具体的にどうというところにはまだ研究の結論が出ていない、こういう御答弁でございましたが、ここに一つの例がございますが、先ほど政務次官も杠局長も今後大いに国内の技術の奨励をするという観点からいろいろおっしゃっていらっしゃるのですけれども、そこの一つの隘路は、日本の特許出願の問題にも大きな隘路があるのじゃないかと思うのでございます。それで、なるべく国内のものを今後奨励するというお言葉がございましても、現に三十七年度には出願したものの中の二八%が外国人が出願している、こういう数字が出ているわけでございます。こういうような点を見ますと、日本の特許権というものは、非常な低位の新案というようなものも含めて、外国の特許権といろいろ違う点などがあって、外国人がこれをどういうふうに受け取っているのか存じませんけれども、とにかく二八%も外国人が出願しているのだ、日本で奨励した奨励したといっていたら、特許権を取ったものが皆外国人だったというようなことになったのでは、これはやはり日本の権利をたいへんに奨励して助長したということにはちっともならないと思います。ですから、せめてこういう一つの具体的な点でも近藤長官が御在任中に、こんな点だけでも道を開くようにしてみたいというお考えはないか、そのお考えと、それから当局のほうからでよろしゅうございますが、現在の特許権の問題についてどういう隘路があって、どういうふうにこれを今後打開していったらいいとお思いになるか、その辺も御答弁願いたいと思います。
○国務大臣(近藤鶴代君) 特許の中の二八%が外人のあれだという数字をお示しいただきましたが、私実は寡聞にしてそれを承知いたしておりません。もしそうであったといたしますならば、たいへん残念なことだと思います。ただ特許の許可を得た場合に、それがほんとうに技術的なものとして実施されていくといいますか、実用化されていくという場合に、政府といたしまして今までも相当助力はいたして参りましたけれども、なお一そう進んで補助対策も講ずるように考えておりますので、そういう面でカバーして参りたいと思います。また一面におきまして、せっかく特許を出願してもなかなか許可にならないということのために意欲をそそがれているというような話も聞いておりますが、これはせんだってもそうい5お話が出まして、どうかあそこの機構がもっと早く特許の処理ができるようにということについては、政府のほうでも考慮していきたいというようなお考えも聞いておりますので、そのような構想で少しずつでも前進をいたして参りたいと思います。
○政府委員(内田常雄君) 特許の問題がお説のようにいろいろ問題がございます。ただ御指摘の外国人のための登録が二八%というのは、これは万国工業所有権条約に基づいて、外国で確立された、外国で登録された特許を日本に持ってきて日本の特許権をも取るということでありまして、何か国内で日本人の発明が少なくて外国人の発明が多い、こういうことではございません。ただ、お気づきのように、特許政策にはいろいろの問題がございます。私は実はかつて通産省にもおったのでございますが、そのころからも問題がございまして、たとえば特許申請をいたしましても、それが片がつくのに三年も五年もかからなければ片がつかないというのか今日の全く実情でございます。また、だんだんと予算もふやしておるのでございますが、特許申請の手数料収入のほうが特許庁の予算の総額よりもはるかに多いというようなことで、特許にかかる国の収入は全部それを特許行政の推進のほうに回すべきだ、こういう要請もあるのでありますが、なかなかそれもそのとおりにはなっていないような面もございます。そこへもって参りまして、加藤先生先ほどお尋ねのように、この理工系の学生の卒業数といいますか、供給数が、ここやはり四、五年は需要数に間に合わないというようなところからも問題が起こりまして、なかなか特許庁が技術者を採用しようと思いましても人がとれない。今度の人事院勧告による給与の是正におきましては、これらの技術者、研究職などの給与のベース・アップを一般のベース・アップよりも有利に行なわせるようなお考えが行なわれまして、非常にいい傾向だと私どもは喜んでおりますが、そういう給与の面もあるでございましょうが、なかなか人がとれないというようないろいろな隘路がございます。これは科学技術庁だけでどうできるものではございませんが、科学技術行政の総合推進役を持っておりまする科学技術庁といたしまして、通産省、大蔵省方面とも十分打ち合わせて、これらの不都合な点を打開いたして参りたいと考えております。
○加藤シヅエ君 それでは今度は文部当局のほうから御答弁いただくのかと思いますけれども、先ほど最初に申し上げました、質問の第一点のほうの、所得倍増計画の裏づけであるところの技術者養成につきましてお伺いいたします。これは三十六年四月一日の文教委員会における荒木文部大臣と当時の池田科学技術庁長官の御発言の中から出た数字でございますけれども、この十年間に大学卒業の技術者は十七万、中級技術者が四十四万人不足している、こういう問題なんでございますが、この数字は間違いないのでございましょうか。
○説明員(岡野澄君) この数字はいろいろな基礎をもとにしまして推計しました数字でございまして、これ以上現在は根拠のある数字というのは出ておらぬわけでございます。
○加藤シヅエ君 そういたしますと、こんなにたくさんの不足数があるということに対して、具体的にこれをどういうふうにカバーしていかれる計画を立てていらっしゃるか。また現実にその計画がどんなふうに実施されつつあるか、その御説明をお願いしたいと思います。
○説明員(岡野澄君) この数字、要するに新長期経済計画に伴いまして理工系学生増募計画を立てているわけでございます。その計画の大要を申し上げますと、昭和三十二年から三十五年までにも約八千人の増募をいたしたわけでございますが、さらに三十六年度計画を立てまして、理工系学生増募計画一万六千人計画というものを立てたわけでございます。しかし、それでも最近における非常な技術者の不足というものが指摘されて参りましたので、これに対して計画を改定いたしまして、第一期の計画として、とりあえず二万六百人を増募するという計画を立てたわけでございます。で、その計画は三十七年度から、三十六年度を含めまして四年間でやろうという計画で進めておるわけでございますが、ところが実際の現状になりますと、われわれの計画以外に非常に私立大学がたくさんの学生を増募されておりますして、したがいまして、現在文部省といたしましては、この三十九年度までに二万人の増募をするという計画を改定いたしたほうがいいんじゃないか、それをさらに繰り上げまして三十八年度に約七千人の増募をして目標数に達したい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○加藤シヅエ君 今の御答弁で、官立の大学、公立の大学及び私立の大学に対してどれだけのものの計画が入っているのか、そこを御説明していただきます。
○説明員(岡野澄君) 大体の考え方といたしましては、国立の四年制の大学につきまして約一万六千人、増募いたしまして、さらに国立の短期大学というのがございます、これはまあごくわずかで、約四十人くらいのものでございます。それから御承知のように、新しく高等専門学校というものを作っております。これも数に入れまして、これが千八百人というふうに計画を立案したわけでございます。それで公立のほうはあまり増募の計画がございません。私立につきましては、現在約三千六百人くらい増募していただけるのじゃないかというふうに推定しているわけでございます。大体来年度の計画としては、大まかにそういう計画でございます。
○加藤シヅエ君 今のその技術要員を急いで増強していかなければならない御計画を伺っておりましても、どうしても私立大学に依存する度というものが非常に濃いのではないかと思うわけでございます。これに対しまして、今まで文部省の予算というものは国立大学に対しては非常に厚く、私立大学の補助金と申しますか、そういう私立大学のほうに回すお金というものが非常に少ないわけでございます。これはもう少しどうにかなさらなければ、今のような御計画というようなものも、国立大学だけにこれだけのたくさんのお金を使いながら、私立大学のほうには非常に補助金も薄い、こんなような状態をこのまま放任しておいたのでは、やは急速な技術者養成というようなことも実際においてはむずかしいのではないかというふうに見られるのでありますけれども、いかがでございまょうか。
○説明員(岡野澄君) 先ほど私来年度の数字を少しこまかく申し上げましたのですが、全体の計画といたしまして、二万六百人でございまして、そのうち国立関係が一万一千四百四十人、公立七百六十、私立が八千四百人というような想定で計画を立案したわけでございます。 なお、私立大学の援助につきましては、不十分な点も指摘されておりますし、なお、これにつきましては改善をしなければならぬというふうに考えておる次第でございます。
○加藤シヅエ君 私はたいへん時間をとりましたから私の質問はこれで終わりたいと思います。どうも今日の御答弁を聞いておりますと、将来に期待するものが大部分で、どうもそこのところは技術要員の養成にいたしましても、技術導入の問題にいたしましても、近藤長官に大いに発奮していただかなければならないところが多々あるという印象を受けましたので、大いに日本の科学技術の発展のために努力して下さることをお願いいたしまして質問を終わります。
○矢山有作君 私は科学技術庁の新しい長官に対しましてお尋ねいたします。これから科学技術の振興に非常に熱意を持って本格的に取り組んでいこうとされるわけでございますが、その科学技術の振興ということについては、一つの基本的な理念というものがあると思うのです。科学技術の振興が正しい立場に立ってなされるということが必要だと思いますが、そういう点からして科学技術の振興に対する基本理念を長官がどういうところに持っておられるか、この問題を一つと、さらに、現在科学技術基本法案が制定されるというようなことを聞いておりますが、これについての基本的な問題、この二つに分けて御所見を伺いたいと思います。 まず第一は基本理念の問題ですが、長官も所信表明のほうで、科学技術の一般水準が世界の先進諸国に比較して相当な格差があるということを卒直に認められておるわけでして、この発展のために努力しなければならぬということを強調されております。私もこの点は同感ですが、そしてまた私ども科学技術の対策委員の一人としても、また国会議員が一人としても、日本の発展のために科学技術の振興のために全力をあげたいと思っております。ところが科学技術を振興させていく上に、先ほどもちょっと申し上げましたが、どういう理念に立って振興させていくか、このことが非常に重大な問題だと考えるわけです。よく科学研究の成果がもろ刃の剣だと、こういうふうにいわれております。それは科学研究の成果というものは、正しく使われていくならば、それは人類の将来にとって非常な幸福をもたらします。ところがそうでなかった場合、戦争に結びついたりあるいは軍事力に結びついた場合、そうした場合には、非常な惨害をもたらす。こういうことは私どもは第二次大戦というものを経過する中で十分身をもって知ってきたわけです。そこで私は基本理念というものを明らかにしなければならぬと思うのですが、この点については、さきの第四十国会で三木前長官のほうからはっきりと示されております。それは科学技術振興の基本的な理念というのは、世界の平和と人類の福祉に貢献することだ、こういうふうに言っておられるんですが、この点について、長官はおそらく同じ考え方だと私は思いますけれども、その点、長官自身の口からお聞きしたいと思います。
○国務大臣(近藤鶴代君) ただいま矢山委員が仰せになりましたように、科学技術の振興に対する理念は、前の三木長官のお考え方と私も同様でございます。小さく申しますれば日本の国民の生活の向上であり福祉であり、大きく取り上げましたならば世界の人類の幸福であり福祉の向上であり、同時に世界の平和であるというこの考え方においては、私も全く前長官と同じ考え方を持っておる次第でございます。
○矢山有作君 それではさらに重ねてお伺いしますが、私も長官のほうから、そういう正しい立場に立って科学技術の振興をはかっていこうということを聞きまして、ぜひそうあってほしいと思います。ところが私は今まであなたの言動を見る中で非常に気にかかる点が一つあります。はたして科学技術の振興がその基本理念に従って守られていくかどうかという点について、非常に危惧の念を抱くのです。それは、私はあなたは改憲論者、つまり憲法を変えていく、そういう立場に立っておられる、こういうふうに認識をしておるので、特にその点について危惧の念を抱くわけです、あなたどうなんですか。
○国務大臣(近藤鶴代君) はしなくも矢山さんと選挙区を同じゅういたしまして、戦って参りましたので、私の選挙演説の一端をおとりになったと思います。私は決して改憲をすること、すなわち戦争に通ずるという考え方を持っておらないので、あのときにもよく申しましたが、矢山さんは半分ほど聞いておられるのでそういう誤解を持っておられると思います。私は、この憲法に対しては研究をしてみる必要があるのではないかということは、民主主義という点においていろいろ問題があるということを私は演説の材料にしたわけでございますので、戦争遂行のために憲法を改正しなければならぬというようなことを毛頭考えたことはございませんので、この点どうぞ御理解いただきたいと思います。
○矢山有作君 憲法改正がすぐ戦争に通ずる通じないということよりも、現在憲法を変えていこう、こういう動きが非常に強く出ておるということは、あなたも御存じであろうと思うのです。特にあなたの所属されておる政党においてそういう議論が盛んになされておる。しかも、池田首相も選挙のときに憲法を変えなければならぬということを言われておるわけであって、だから戦争に通ずる通じないという問題ではなしに、憲法を変えるのか変えないのかということが一つの問題で、この点についてあなたは憲法を変えるのか変えないのか、それはもう答えはイエスかノーかだけなんです、はっきりおっしゃっていただきたい。それからまた質問しなければならない点があるわけです。
○国務大臣(近藤鶴代君) ここは科学技術特別委員会ですから、憲法の議論をしようとは思いませんが、簡単に変える意思があるかどうかということを言えと、こうおっしゃいますけれども、私はこの憲法が、純粋な民主主義という上において一つの誤りを持っておるから、平和国家として、民主主義の国として栄えるという点において、この民主主義が、はたしてこの憲法において正しいものが私たちに体得されておるかどうかということを私は研究してもらいたいというのが、私のかねての念願でございますので、その意味において憲法を私は変えてもらいたいと思う。ただ、そのことを前提としないで、ほかの条件、ほかの事項において憲法を変えるか変えないかということになった場合、少なくともそれが戦争を遂行するという目的のために憲法を変えるということは、それはもちろん私といたしましては決して憲法を変えるということを言った覚えはございません。
○矢山有作君 あなたは今、ここは科学技術特別委員会で、憲法論議をやるべき場ではないと言われました。ところが、科学技術の振興をやっていく、その上に基本的な理念を貫く、そのためには、まず第一に憲法に対してどういう考え方を持つのかということか非常な大きな意味を持っておるわけです。私は科学技術振興を問題にする場合に、まずその基本理念が明らかにされてこなければならないという立場で、あえてこの問題を取り上げておるわけです。ところがあなたは今戦争遂行目的のために憲法を変えるならば私は反対すると言われました。私はそれをあなたに守ってほしい。なぜかといいますと、あなたはどういうふうに解釈されようとされまいと、現在憲法を変えるという問題について非常にこの動きが強いということ、さらに憲法を変える場合の一つの大きな問題点は何かといったならば、憲法第九条の戦争放棄の規定に中心があるのだということ、あなたはそうではないとおっしゃるかもしれませんけれども、日本の国民はそういうふうにみんな理解しておるのです。ですから、あなたはもし憲法は変えるか変えないかという議論があった場合に、少なくとも私は戦争遂行につながるという変え方には反対だとおっしゃるならば、第九条を変えるということに対しては、体を張ってでも戦うのだ、こういう決意なのかどうか、その点をはっきりしてほしいと思う。
○国務大臣(近藤鶴代君) こういうことで時間をとるのはどうかと思いますけれども、私は第九条というものを削除したから、あるいはこのまま置いたからといいうことによって、戦争というものに対してそれほど強い拘束力を持っているかどうかということに実は疑問を持っているわけなんです。したがって、このままにしておいたところで、戦争をしないでもいいという事態もあるだろうし、なかったところで、戦争しなければならないような事態がくるかもしれないというようなことを考えるので、私はこの九条については実はあまり詳しく研究しておりませんけれども、ばく然とそういう気持を持っておりますので、その点だけを申し上げておきたいと思います。
○矢山有作君 その点についてあなたが十分の認識がないということは、これはもってのほかだと思うのです。私は第九条が日本の今の憲法でどういう立場を持っておるのかどういう意味を持っておるのかということに対して、私は認識を改めてもらいたいと思います。 なお私は、あなたがおっしゃった戦争遂行目的のために憲法を変えることは許さぬとおっしゃった、その立場を尊重します。私は、そういう立場で今後も科学技術行政を進めてもらいたいと思う。ところがそれに関連して問題になってきますのは、私はこの間、実は航空技術研究所に見学に行ったわけです。そうしたところが、あそこで話を聞きますというと、今防衛庁のミサイルがあそこで非常に盛に研究されているというのです。これはあそこの所長から聞きました。さらにまた新聞等でも御存じになっておると思いますけれども、産業界で兵器産業へ積極的に進出していこうという動きが激しくなっているわけです。特に最近日本の一流の会社がアメリカの会社と技術提携をしまして、そうして日本に合弁会社を作って、電子兵器を生産しよう。こういう動きが非常に激しくなっておりますだけではなしに、そういう提携ができたという話も聞いております。さらにまた経団連の防衛生産委員会では、兵器輸出に対して政府に積極的な態度をとれ、こういうことを言っておるわけです。そうすると、こういうことと、あなたが科学技術庁の長官としてあくまでも科学技術振興の基本理念である世界の平和と人類の福祉に貢献するのだという立場を貫こうとおっしゃることと、どうも私は矛盾してくる点が出てくるのじゃないか。そういう点についてあなたの御意思を伺いたいのです。
○国務大臣(近藤鶴代君) 科学技術の問題で、どうしても現在の科学技術と申しますと、必ず広く入ってくる問題が、原子力の問題、あるいは宇宙開発の問題だと思います。したがって矢山さんが、そういうものの取り扱いについて私にどういう考えかお尋ねになる気持が真意ではないかと思うのですが、私は原子力の平和利用ということは、基本法にもはっきりと明記されておるのですから、この基本法が厳存ずる限り日本においては原子力というものは平和目的以外には使えないし、同様に宇宙開発にいたしましても、平和ということを前提とした上においてのみ研究をされるということになっておるわけでございますので、私はこれについては徹して参りたいと思っております。
○矢山有作君 ただいまの長官の御答弁を私も信頼したいと思います。今後の科学技術の振興にあたって今述べられた点というものを私はいつまでも変えないでほしいと思うのです。そうしなければ科学技術の振興というものがかえってわれわれに対して不幸をもたらす、このことだけは十分に御認識をしておっていただきたいと思います。 そういうところに立ってもう一つお聞きしたいと思うのですが、御承知のように今一つ問題ができております。それは、わが国が置かれておる自然的な条件あるいは気象の条件から、年々台風が多い、集中豪雨がある。火山の爆発がある、こういう状態です。人命の損傷が多いし、また二千億、三千億というような財産的な損害も出ておるわけです。また最近は、産業が非常に急速に発展して参りました関係で、この産業公害というものも非常にふえております。ところが、これらに対する対策の現状がどうかということは、もうすでに私が言わぬでも御承知になっておると思うのです。一言にして言うと、きわめて貧弱だ、こういうことになると思います。たったこの間も三宅島で火山の爆発があった。御存じのとおりです。ところがこれが予報が出なかった。全く不意にあったのですね。なぜかと聞いてみると、予報を出そうにも、観測設備の不備のために予知ができなかった。こういうことらしいのです。これの事実をもってしても、現在のそうした方面に対する対策がどれだけおろそかになっておるかということが私はわかると思う。そうすれば、私は、あなたが科学技術庁の長官として、まず、日本の科学技術については、平和と国民の福祉を守る、そういう基本的な立場に立って、あくまでこれを続けていこうと言われるのであれば、当面このような自然災害やあるいは産業公害から国民を守る、あるいは国民の財産を守っていく、そういうような点に対して、私は重点的に御配慮を願いたい。そのことは所信表明の中でも言っておられます。最近聞くところによりますというと、この前の国会で、防災関係に対する決議が出されておるそうですが、これに基づいて、こうした産業公害や自然災害に対する対策を今後どういうふうに具体化されていくのか。こういう面にあなたが全力をあげられるというのが、私は、あなたの今われわれの前に表明された理念を貫く上にも非常に重要なことじゃないかと思うのです。そこで具体的な対策なり方針、こういったものをお聞かせ願いたいと思うのです。
○国務大臣(近藤鶴代君) お説のとおり防災という面の科学技術が十分でないということは認めるわけでございまして、これにはやはり今の機構が、それぞれ各省で研究されておる、それを調整していくという役割を持っている機構のあり方にもそれは問題があると思うし、同時にまた、予算の面にも問題があると思うわけでございます。たまたま前国会で、先ほど御指摘になりましたように、防災科学に対しての強い御決議が委員会においてなされましたので、その線に沿いまして来年度予算では防災科学研究所というようなものを設置する方向に向いていこうというように努力をいたしております。それにつきまして具体的のこまかい点は政府委員のほうから、御必要とあれば、説明をさせたいと思います。
○矢山有作君 御説明を願います。
○政府委員(森崎久寿君) ただいま長官から御説明がございましたことにつきまして、さらにつけ加えて御説明申し上げます。 防災科学関係は、ことしにおきましても関係各省といろいろとそれぞれの分野において研究いたしておりまして、金額にいたしまして一億二千五百万円、ほかの大学関係も八千万円程度の研究経費を投入いたしまして、それぞれの分野について研究をいたしております。また、環境関係と申しますか、水質汚濁、騒音、大気、こういったものにつきましても、本年度もすでにある程度の研究を進めております。ただ、御指摘のとおり、この問題につきましてはもう少し、あるいはもっともっと力強く進めていくという点が指摘されまして、私たちにおきましてもこの点について検討を進めておりますが、こういう幅が広く、また分野が広くわたっておる問題でございますので、その研究体系につきましては、実は非常にむずかしい問題がございます。ただしかし、こういう問題に対して勇敢に取り組んでいこうということで、現在検討をいたしておるわけでございます。現在関係各省におきましてこういう研究に携わっておりますところの研究機関は約十カ所に余っておりますし、それぞれの分野においてそういう研究をしているわけでございますので、まずそういう研究機関同士のつながりをよくしていく、そしてお互い同士の連絡をよくしながら実施していくというのがまず第一でございます。 第二点は、現在いろいろと分散いたしておりますいろいろな災害のデータでございますが、そういうデータを集めまして、それを研究の線にまで持っていくようなデータの集中ということが大切でございますし、またデータの足らないものにつきましては新たにそういうものを求めていくというふうなことで、データをまず集めていくというふうな問題が大切だと思いますので、そういう問題について来年度以降強力に進めていきたいと思います。第三点といたしましては、そういうデータにつきまして、今度はそれをある観点から解析いたして、将来はプロセス・モデルだとか、あるいはシミュレーターを使い、最近の推計学の力を借りて、そういうモデル・ケースについて検討し、それをおのおのの場合に当てはめて、そして洪水だとか高潮だとか、そういった問題についての個々の研究に寄与していくというふうな体制をとる必要がございますので、そういう方向に向かって進んでいくわけでございます。そういうデータを集めながら将来はプロセス・モデルというふうなところにまで持っていって、研究の方策としての一つの組織を考えるわけでございますが、その間にまた新たにいろいろな研究問題が出てくるかと思いますので、そういう研究をまたそのときにおいてやっていかなければならぬということで、来年度におきましては、まずデータを集めるようなことを中心にして防災科学研究所と申しますか、そういう研究機関をまず考えて、一方において新しいいろいろな問題の研究のテーマがまた出て参りますので、そういうものにつきましては、そのつど研究テーマに対して金を出していくというような方策で、まず来年度からそういう体系に持っていきたい、全体の仕上がりということは、まだはっきりした明確な形はございませんけれども、防災科学研究機関というような形で進めていきたいと今考えているわけでございます。
○矢山有作君 今、防災科学研究所の問題の概略を御説明いただいたわけですが、先ほども言いましたように、こうした面については相当力を入れていただきたいと思うわけです。特に今各省にいろいろな試験研究機関が分散しておる、しかも施設も不十分だ、あるいはさらにそこの研究員の処遇の問題もある、あるいは研究設備も十分でない、そうしたいろいろな問題があると思いますが、そういう問題について、早急に整備して、早急に整備して、さらに各機関相互の連絡を緊密化する、こういった点も十分考えられながら防災科学の問題について今後努力されることをお願いしておきたいと思います。 次にお聞きしたいのは、最近の傾向としまして、科学技術行政がいろいろな各省庁にまたがっておって、お互いの間になわ張り争いがある、また国公私立ですね、国立、公立、私立の研究機関あるいは大学相互間の研究機関、こういったものに有機的な連絡がとれておらぬ、こういうところから、聞くところによりますと、臨時行政調査会で科学行政機構の一元化、こういう問題に取り組んでおられるようです。さらにまた科学技術庁の政府のほうでも、この科学技術行政の一元化ということで科学技術基本法案といったようなものを作ろう、こういう気運が出ておるということを聞いておるわけです。私どもとしましても、現在のいろいろな試験研究機関の体制その他の問題が、今のままでいけないということはよくわかるわけです。詳しくは申し上げませんが、よくわかります。ところが、科学技術行政を一元化していくということと、それからそういう場合に起こってくる問題は、一元化した場合に、科学行政というものが一つの国家目的のために統制されてくるのじゃないか、そういう心配も出てくるわけです。だから科学技術行政の一元化という問題には、これは非常に微妙な問題があるわけです。そういう点で、科学技術庁としてどういうふうにお考えになっておるのか、その点の概略をお伺いしたいと思うのです。
○国務大臣(近藤鶴代君) 科学技術行政を一元化するということは、ある意味においては非常にいいこともあるのですが、また、ある面において、たとえて申しますと、各省庁にある研究所というものにはそれぞれ特色がある面があってどうしても一元化できないという面も持っておるわけなのです。したがいまして、効果を上げていくという面からはこの一元化という問題について非常に活発な意見も出るわけですけれども、反面においてはそういうような点がございますので、今はっきりして一元化するという方向には科学技術庁としては別に見解を持っていないわけなんです。ただ、行政管理庁のほうでいろいろな点からそういうことを取り上げておられるやに伺っておりますけれども、これも私はっきり確かめてみたわけでもございませんので、何とも申せないと思います。ただ、一元化されることによって国家統制云々というお話がございましたが、私どもそういうことを全然考えないで、ただ能率を上げていく、より効果的にということでもって一元化してみたいという気もあり、反面に、今申しましたような理由で、必ずしもこのことは必ずしなければならないものだという結論にも到達できないで、目下しきりにあれこれと研究をいたしておるような段階でございます。
○矢山有作君 政府委員のほうで、この科学技術基本法についての具体的な考え方というものはありませんか。
○政府委員(森崎久寿君) 基本法のお話が出ましたが、後ほどお答えをいたすことにいたしまして、先ほどの国立研究機関のあり方、あるいは公立研究機関のあり方の問題でありますが、長官が御説明下さいましたように、私どものほうはそれを一本化してしまうというような考え方は今のところ持っておりませんが、最近科学技術会議へ諮問をいたしまして、それに対する答申がございました。私どものほうはこれを諮問第三号と呼んでおりますが、その中に書かれておりますように、国立研究機関の今後の行き方を非常に大ざっぱにスケッチしておりますが、まずそのおのおのの性格を単純明確にする。つまりおのおのの研究者がどの範囲を守備していくかという守備範囲を明確にする。あるいは業務の運用、そのやっている業務の運用がいずれの分野であるかということ、これはおそらく程度の問題もあろうと思います。それから技術の高さといいますか、この程度のことをやる、あるいはこの程度のことでよかろうという問題、そういう点を十分にはかるということ。それから相互の連携を非常によくする、また特に研究者同士のつながりを非常によくするというふうなことを答申の中に書いておるのでございますが、この研究機関を統一一元化するか、あるいはそのまま持っていくかという問題につきましては、最近よくいわれておりますように、今後の科学技術の進歩というのは総合性を必要とすると同時に、きわめて分化し、専門化していくという二つのいわば少し矛盾しているような形の進み方をするわけでございますので、なかなか機構、体制そのものにつきまして、これを明確な形で今直ちに一元化するとか、あるいは多元化がよろしいということは言い切れない問題がございますが、要は、そういう相互間の連絡を密にし、そうして単純明確化していく。研究所の中において互いに総合的な連絡がとれるようにするということが一番大切だと思います。特に科学技術庁の使命といたしましては、御承知のとおり科学技術の総合推進ということが中心になっておりまして、予算の面におきましても、各省の関係で多部門にわたるような研究については、こちらのほうから促進助成という点で研究費を出して助成するというような制度もございますので、そういう形で進めていきたいと思います。 なお、臨時行政調査会におかれましても、最近この問題について全くフリー・ハンドの立場で大いに研究しようじゃないかというお話がございましたので、事務当局といたしましても、よく御検討いただくように今後話を進めていきたいと思います。
○矢山有作君 今一、二の機関から、科学技術基本法に対する案というものが私は発表されておるように聞いておるのです。その案の骨子になっている考え方、これをちょっとお聞かせ願いたいと思う。
○説明員(杉本正雄君) 科学技術基本法に関しましては、ただいま科学技術会議の総合部会で検討しております。今御指摘のございましたすでに発表された二つの案と申しますのは、一つは科学研究基本法というものに関します日本学術会議の勧告が四月の同会議の総合で採択されまして、政府へ出されました。もう一つは、衆議院の科学技術振興特別委員会の第一次試案と申しますのが新聞に発表されたわけでございます。 その二つの骨子となっておりますのは、日本学術会議の科学研究基本法におかれましては、内容につきまして、ただいまいろいろな人を頼んで、関係の文部当局と一緒に学術会議から詳細聞いているところでございますが、要は人文科学と自然科学の分野で、しかもその分野を科学に限りまして、技術は含まない。その科学の研究に関します基本的な考え方並びに国としての扱い方と申しますか、推進の仕方に関するものでございます。内容は科学の研究に関しましては、研究者の創意と自主性を尊重するというようなこと。それから研究計画を作ります場合には、研究者の創意を尊重するというようなことが強調されているように考えられます。もう一つの衆議院の委員会の中の小委員会の第一次案は、科学技術の基本法案でございまして、自然科学に限定と申しますか、人文科学のみに関するものは対象から除いております。自然科学並びにそれに関連いたします分野に関します、科学技術全般にわたります振興に必要な事柄でございまして、振興に必要な事柄でございましの政策等に関する考え方が新聞に発表されているように思います。
○矢山有作君 今、大体要点を伺いましたが、私は科学技術行政というものを考える場合に、それを効率的な組織機構に持っていくということはわかるのです。ところが、その場合に特に注意しなければならぬのは、研究の自由を守るということ、研究者の自主性を守っていくということが特に尊重されなければならないと思います。そういう立場から、研究体制をどうとるかということが一つ重大な問題だと思う。その場合に、私が感じたところでは、一つのほうの案については、その研究の自由を守るとかあるいは研究者の自主性を守るという点からどうも不十分なところがあるのではないか。一つの案、一つの案と言ったらおわかりだろうと思いますが、一つの案は科学技術行政の中心に科学技術会議を置こう、こういうような考え方がある、こう私は考えます。ところが、学術会議から出てきている案は、高度に研究の自由なり、研究者の自主性を尊重しようというところから、あなたが今おっしゃったように、科学者の創意をいかにして反映させるか、そういう機会を作る、そうして科学の総合的な研究なりそのための長期計画については、そうしたことにこたえ得るだけの民主的な機関を作る、こういうことが中心になっておるわけです。そうして研究の成果を実際のほうに結びつけていく。つまり実際に人類の幸福のためにそれを開発していくのだ、そういう面においては行政機関を整備するのだ、こういうふうな考え方になっておると思うのです。その場合科学技術庁としてどういうふうなその両案に対して考え方を持たれるか、こういうことが一つの問題だと思う。科学技術会議の構成を見ますと、私は今の科学技術会議の構成では、おそらく先ほど言ったような研究の自由その他を守るという点には不十分なんじゃないか。この構成で、これが科学技術行政の中核体になっていくのだ、主体になるのだということになりますと、むしろ一つの目的の方向に向かって科学研究全体がねじまげられてくるおそれが出てくるのではないか、こういうふうな感じがするのです。そこのところを科学技術庁としてはどういうふうにお考えになりますか。
○説明員(杉本正雄君) 科学技術基本法に関しましては、先ほど申し上げましたように、科学技術会議のほうで昨年の六月末以来検討を加えておりますので、科学技術庁はただいまその検討の状況を待っておるわけでございますが、私の局は科学技術会議の事務も担当しておりますので、科学技術会議の状況を申し上げさしていただきたいと思いますが、最初に科学技術基本法に関連いたしまして、そのための部会がございます。これは総合部会でございまして、この部会の中にまた分科会を作る。その分科会は学術会議の会員の方も半数近く入っておられます。それから部会のほうも学術会議の会員と申しますか、関係の深い、たとえば朝永先生とか、小谷先生とか、東畑先生とか、そのほか二、三の方が専門委員としてその部会に入っておられます。全員は十名程度であります。もう延べ数にいたしますと、一年くらい非常に慎重に審議しておるわけでございまして、ただいま法律を作るというようなそういう形態の問題よりか、内容の、たとえば基本理念についてのディスカッション、それから行政体制ということはまだ考えませんで、むしろ研究体制と申しますか、研究を各方面、たとえば基礎研究の分野を非常に重視しておりますので、そういう分野とほかの分野との調整と申しますか、連絡を密にするにはどういうようにすればいいか、研究体制、さらに科学技術の分野でございますので、民間の研究の助成というような点を、項目を逐次議論しておるところでございます。やがて来月になりましたら、そのうちまとめて、それが法律の内容的なものにまとまる予定でございますので、ただいまのところまでは重点につきまして学術会議のメンバーの方も相当数お入りいただきまして、議論を進めておるような状況でございます。
○矢山有作君 今お聞きしたので、私が聞いた中心の問題はそれておるような気がするのですが、科学技術会議には、たしか科学技術庁の長官も参加しておられるはずなんです。私は長官の立場から、科学技術基本法を制定する場合に、私が先ほど言ったような問題についてどうお考えになるのか、それを聞かしていただきたい。
○国務大臣(近藤鶴代君) あまりくわしくはそっちのほうは検討しておりませんので、何とも申し上げかねますけれども、矢山さんの先ほどの御意思は、学問の自由という点について学術会議の基本法はいいが、科学技術会議の基本法ではそれが侵されはしないかという御懸念だと、そう解釈していいわけでしょうか。
○矢山有作君 そういう点が、両案を対比したときに、侵される侵されぬではなしに、研究の自由あるいは研究者の自主性を守る上において、二つを対比したときにどちらのほうがそれを守るのによりいいのか、こういうことを長官の立場から言っていただいて、長官はその信ずるところに向かって、科学技術会議においてその信ずる法案ができるように努力してもらいたい、そういう意味なんです。
○国務大臣(近藤鶴代君) よくわかりました。御趣旨に沿うように努力いたします。
○矢山有作君 だから私は研究体制の問題についてあなたにどういう考えを持たれているかということを聞いたのだが、御趣旨に沿うだけではわかりません。もう一ぺん申します。こういうことなんです。整理して申しますと、一つの案のほうは科学技術会議というものが科学技術行政の中核体になろうとしているわけです。ところがもう一つの案は、あくまでも研究の自由と研究者の自主性を確保するためには科学者の創意を反映する、そういう形の中で行なわれなければならぬということで、そのための機関を作る。そうして科学研究の自由を確保しようとしている。そうしてその成果を国民福祉のほうに応用していくという部面において行政機関を整備するのだ、こういう考え方です。あなたはどちらをおとりになるかということです。
○国務大臣(近藤鶴代君) まだ私十分に検討いたしておりませんけれども、どちらの基本法にいたしましても、究極のところは、研究者の創意とその自主性というものを尊重する建前になっていると思います。それからまた基礎分野を充実していかなければならないということも両方の基本法に十分盛られていることだと思いますので、その点を強調して参りたいと思います。
○矢山有作君 ところが、これほど重要な日本の科学技術行政の将来を決定していくような問題を、今長官がまだ十分御存じないということでは困るのです。科学技術というのはあくまでも平和を守り人類の幸福に貢献するという立場に立ってこれは推進されるのでしょう。そうすれば、その基本法がどういう論議をなされて、どこに問題があるかということは知っておいてもらわないと困ります。しかも両方の案をもって、あなたは観念的にどちらも研究の自由を尊重する立場で作られているのだろうといいますが、今までの法律というものを考えていただきたいと思う。法律の中に幾ら自由を尊重しろとか民主主義を守れというようなことを書いておりましても、そんなものは踏みにじられてしまう。今までお互いに経験してきている。訓示規定なんというのは実際に実行に付された場合に役に立たないのです。だったら、ただ単に訓示規定を訓示規定としないで、具体的な研究の自由あるいは研究者の自主性を守る、そういう研究体制というか機構というか、そういうものが最小限度なければ、私たちの一番強調する研究の自由を守ることはできないわけです。だから、あなたはどちらをとるのかということを私はしつつこく聞いているわけです。
○国務大臣(近藤鶴代君) 何分まだ就任日が浅いものでございますから、勉強しなければならないことが一ぱいございますので、両方の基本法についても概略的な研究はいたしましたが、矢山さんのお考え方の立場に立っての検討はいたしておらないわけであります。したがいまして、今後十分に研究をいたしまして、ただいま矢山さんの御指摘になりましたような重要な問題の方向については、私とくと研究いたして参りたいと思います。
○矢山有作君 これほど重大な問題について——私はほかの問題もいろいろ勉強なさることは多いと思いますが、日本の科学技術行政の将来を決定するのですから、早急に私は勉強していただいて、そして自分の考え方というものをはっきり持って科学技術会議に臨んでほしいと思うのです。そのときに私が特に強調したいのは、あくまでも研究の自由と研究者の自主性を守る、そういう立場に立っての研究体制を作り上げる、それを中心に法案というものを考えていただきたいと思います。このことをあなたにくれぐれもお願いしておきたいと思うのです。その点どうですか。
○国務大臣(近藤鶴代君) 十分伺っておきます。
○矢山有作君 それでは、幾ら深追いをしても、あなたが十分研究なさっておらぬのではどうにもならぬわけです。したがって、私はこの今の注文をつけて、これで質問を終わりますが、しかしながら、日本の科学技術の振興のためには、基本法の中でいろいろと取り上げられております。そのほかにも問題がたくさんあるわけです。研究施設の水準をよくするとか、あるいは研究要員の確保をするとか、待遇の改善をやる、あるいは研究費を確保していく、あるいはまた研究者の養成をやっていく、あるいは国際交流や協力をやっていく、こういう具体的な問題がたくさんあるわけです。ですから、これらについて十分の御配慮を、今後の行政の中に長官としてやっていただきたい。なおこれらの問題については、私は今後いろいろな機会に、といいましてもこの委員会を通じて、あなたにそれぞれ詳細についての御所見を伺って参りたいと思っておりますが、きょうはこれで終わらせていただきます。
○牛田寛君 本日は、科学技術庁長官の所信表明に対する質疑ということでございますので、こまかい問題はできるだけ避けて、基本的な方針についてお伺いする立場でございますけれども、私は科学技術者の育成、それから科学技術者を育成する立場の教育者、教員、その問題をどう解決すべきかという点について、それを通じてひとつ科学技術行政の方針を明らかにしていただきたいと、こう思うわけです。 先ほど御質問がございましたが、科学技術を振興する上には当然技術者が中心でございます。技術者が優秀でなければ、どのような組織を作ってみましても、予算をつぎ込みましても、科学技術の発展はございません。現在教育の問題は文部省の所管になっております。したがって、文部省がその全責任を負う立場でございますけれども、事科学技術の問題になれば、これは科学技術庁としてやはり科学技術に関する行政を総合的に推進するというこの責任があるわけでありますから、当然その点についての構想なり、御意見なりはお持ちでなすればならないはずであると、こう考えるわけであります。先ほどお話がありましたように、非常に将来技術者が不足することが予想される。まあその点についてかくかくの対策があると文部省のほうでは御説明でありますけれども、まず科学技術庁としては、その点についてどのように判断されており、そして今後どのように解決していかなければならないかということについての基本的な方針を、まず御説明願いたいと思うわけであります。
○国務大臣(近藤鶴代君) 科学技術者の養成が非常に急務であるということは仰せのとおりでございまして、そのために科学技術会議のほうから諮問答申がなされたわけでございます。したがって、それによって私どもの役所としましては、文部省に対しましての強力な要望をいたしたわけでございまして、具体的に科学技術者を養成するということはやはりこれは文部省の役割でございますので、私どもといたしまして直接に養成をするという面についての具体的な計画は持ち合わせておらないと思いますが、なお事務当局のほうから説明がございましたら……。
○説明員(杉本正雄君) 科学技術庁が先般、長官から文部省のほうにお話がございまして、昨年の八月に六カ年計画の改訂がされました。先ほど岡野審議官から説明がございましたように、さらにこの線が現在では早められてくるということでございます。この改訂によりまして六カ年計画が四カ年に縮められましたし、本日のお話ではさらに一年短く縮まるような計画でございまして、科学技術庁といたしましては、文部省とよく連絡とりまして、これが完全遂行されますように協力して参りたいという事務局では方針を持って仕事を進めております。ただこれで相当数の、一万人以上の増員が三十八年度または九年度の初頭になされるわけでございますが、それまでに足りませんのはこれは永久に足りなくなるわけでありまして、この点に関しまして、明年の人員の訓練その他につきまして調査し、計画を立てているわけでございます。
○牛田寛君 文部省にお伺いいたします。科学技術者と申しますと、先ほどもお話がございましたが、高級技術者と中級技術者がございます。高級技術者は大学教育、中級は工業高等学校、その補助的なものとしてあるいは短期大学、あるいは工業専門学校などがあります。その供給計画をもう少し詳しくお伺いしたい。詳しくというか明確にお伺いしたい。
○説明員(河上邦治君) 中級技術者の問題でございますが、これにつきましては、普通中級技術者は高等学校の工業科の卒業生程度の者を中級技術者とか普通技術者とかというふうに呼んでいるわけでございますが、所得倍増計画によりまして、三十五年から四十五年の十年間に八万五千人の定員増、四十四万人の実員の増ということが示されておるわけでございます。これに即応いたしまして三十五年に約四千人の定員増をはかり、三十六年に一万人の定員増をはかり、本年度大体二万八千人の定員増ができる予定に相なっております。なお三十八年度三万五千、三十九年度五千、四十年度三千、合計八万五千という、もちろん来年度以降は推計でございますけれども、大体八万五千人の定員増と四十四万人の確保ということができる見通しを持っているわけでございます。
○牛田寛君 高級技術者に対してはどういうことでございましょうか。
○説明員(岡野澄君) 先ほど加藤先生の御質問にお答えしましたような計画でございます。なお、ただいまの御質問の御趣旨は、あるいは教官の充足というようなお話ではないかと存じますが、高級技術者の養成計画といたしましては、先ほど申し上げましたように、二万六百人の計画です。三十九年度までにやるという計画を立てて実施中でございますが、先ほど申し上げましたように、それを一年繰り上げることを目下検討しておる次第でございます。それによって技術者の不足をなるべく早く解消したいと考えておるわけでございます。
○牛田寛君 現在の技術者数は幾らぐらいあるでしょうか。
○説明員(岡野澄君) 現在、たとえて申しますと、理工系の学生の定員が三十五年度では約三万人でございましたが、三十七年度ではそれが四万五千人になっております。で、それを逐次上げていくということでございます。
○牛田寛君 技術者の不足が四十五年度で十七万と言われておりました。中級技術者が四十四万。で、私が伺いますのは、現在の技術者数の総計ですね、高級技術者と中級技術者のそれに対して増員が何名、目標年度には何名で充足するか、その点を明確に伺いたいわけです。
○説明員(岡野澄君) ただいまの二万人の増強をいたしますと、昭和四十五年度の理工系の卒業生が約十万人になる見込みでございます。で、先ほど来十七万人の不足ということが問題になっておりますが、この十七万人には現在の時点からは補充が困難な数がございます。全部累積して十七万人ということでございますから、増募計画が完成しても全体を補充することは不可能な数もその中に含まれておりますので、現在では約十万人の卒業生が四十五年度に送れるという勘定でございます。
○牛田寛君 中級技術者についてはいかがでしょうか。
○説明員(河上邦治君) 現在の時点におきます技術者不足というのが非常に数がつかみにくいのでございまして、所得倍増計画は十年の最後の姿を推計いたしまして四十四万人といたしておりまして、年次割は示していないのでございます。したがいまして、ただ私たちがたえずいろんな企業団体等からの調査資料をもらいまして、そうして本年度のいわゆる就職の求人数に対する需給の数、こういうものを分析しておるところでございますが、延べでそれが入る数字が多うございますので、現在の時点において技術者不足が何人おるかということは、はっきりしたものをつかんでいないような現状でございます。
○加藤シヅエ君 ちょっと関連。今数字の答弁がございましたが、その充足していくという計画の中には、今まで養成をされて卒業しても、その全員が技術を担当する業務に就職しているわけではなくて、何%かは全然そういうところに行っていないというパーセンテージが相当大きいように思うのでございますが、そういうものを見込んでいらっしゃるのでしょうか。
○説明員(河上邦治君) 四十四万人の推計をいたしましたうちには、もちろん減耗卒業率の推計等々見込みまして計算をいたしております。
○加藤シヅエ君 もう一つちょっと伺いますけれども、その充足しないという場合でございますけれども、今女性が理工系の学校に進出しておるのが最近の一つの特徴のように思うのです。その女性が卒業した場合にどのくらい勤続年限を見ていらっしゃるのか。就職する者と家庭に入ってしまう者とどういうふうに見ていらっしゃるか。それで就職した場合には勤続年限はどのくらいあるものと推定していらっしゃるのか。それもちょっとお伺いしておきたいと思います。
○説明員(河上邦治君) 工業高等学校につきましては、女性はほとんどいないわけでございますので、今先生のおっしゃいましたのは大学関係であろうかと存じますが、工業高校ではデザインという教科がございまして、それに若干の女性がいるという現状でございます。
○加藤シヅエ君 大学の場合は……。
○説明員(岡野澄君) 正確な数字をはじいておりませんのです。遺憾ながらそこまで調査が行き届いておりません。
○牛田寛君 時間がございませんので、あまりこまかいことは伺えないのですけれども、ただいまの御説明ですと、所得倍増計画によって目標年度で十七万及び四十四万不足というある推定が出ているわけであります。ところが、現在の時点ではどれだけ技術者数があるか不明確である、しかも毎年度の計画は何千人ないし何万人増である、これで充足するのだという、そういう結論がどうも私どもには納得がいかないのです。で、これでありますと、はたして産業の基盤であるところの技術者の問題が完全に解決できるかどうかということは、まあ非常に不安を持つわけであります。この点についてはもう少し詳細な御計画なり確信のある検討を私はいただきたいと、こう思うわけですが、もう少しこの点伺いたいのでありますが、時間がございませんので、この次の機会にさしていただきたいと思います。 次に、ただいまの計画で技術者の充足は目的が達するというまあ数の上では計算になりましょうけれども、それではこのような膨大な増員計画の基盤になる学校の先生のほうですね、これをどういうふうにして増員なさるか、御計画はいかがです。
○説明員(岡野澄君) 先に大学関係のことを申し上げますが、理工系の学生を二万人増募する場合に、教官の数も相当要るわけでございます。約五千人ぐらい必要だという数になるわけでございます。で、その教員の充足は実際どうなっておるかと申しますと、学科の増設をいたしたり、あるいは学科の拡充をいたしておる、その拡張している大学の先生が昇格して教官になるという場合、あるいは他の大学の関連の学科から先生を求めるという場合、あるいは産業界等からも先生になる御希望の方がおられます。それから大学院の修了者から採用する、こういうような教官の供給源があるわけでございます。現在までのところでは三十六年度を例にとりますと、三十六年度学科を新設いにしたりした大学4教官の充足率を調査いたしましたところ、九一・二%充足しておるわけでございます。それでなお全体の計画としましては、理工系の大学院の修了者のうち教官に就職する見込みのある数を推定いたしておるわけでございますが、従来の実績とにらみ合わせますと、七年間に約五千八百人ぐらいが教官になると推定されますので、計画期間中の教員の需給の調整はほぼ可能ではないかというふうに考えておる次第でございます。
○説明員(河上邦治君) 工業高等学校の教員の需給の関係でございますが、八万五千人の定員を確保するためには、公私立合わせまして大体一万二千人の教員が必要になるわけでございます。そこでこの教員対策につきまして非常にわれわれも心を砕いておるわけでございますが、昭和三十九年の春から工業教員養成所のほうからの学生が出るわけでございます。これでだいぶ緩和されるわけでございますが、三十八年、来年までは主として中学校あるいは高等学校の先生の中で工業科の教員免状を持っておりまして他教科を担当している先生が一万人ばかりおります。その中で大体三千人くらいが転用可能であろうという数字をとりまして、計画を立案いたしまして、そして三十五、三十六、三十七年は各県の事情聴取等をいたしまして、大体それと、それから民間企業からやはり二百名くらいの転任がございますし、大学の新卒がわずかでございますが三十五年に百人教員になっております。これは公私立とも合わせてでございますが、公私立大学から百人の学生が教員になっております。こういう数を合わせまして、三一八年まではどうやら教員の確保ができるという見通しを立てております。三十九年から七百八十名の工業教員養成所の学生が卒業をして、これを主といたしまして一万二千の教員の補充に充てて参りたい、かように考えておるわけでございます。
○牛田寛君 この点についてもあまり深く質問を申し上げる時間がございませんが、大学のほうは講座がふえれば、したがって先生になる人もふえていくということでありますが、それだけではもちろん足りないので、関連講座、あるいは産業界から入るというような数字もお含めになっていたようでございますが、ところが現状では産業界のほうに技術者が不足でありまして、むしろ大学から引っこ抜くほうが私は多いのが実情ではないかと思います。で、大学院の先生の充足率が九一%とおっしゃいましたが、これは大学院でございまして、あまりこれは問題にならない数だと思うわけです。むしろ高級技術者の養成機関は大学学部にあるのじゃないか。大学学部ははたしてどれだけの充足率を示しているか。特に国立大学、昔の帝国大学から変わってきた大学はよろしいでしょうけれども、地方の大学になりますとはなはだ疑問がある。また高等学校のほうに至りましては、先ほども一お話がございましたように、普通科の先生一万人、うち三千人を転用する。その転用の養成機関として工業教員養成所をお作りになる。この工業教員養成所にもだいぶ問題があると私は思うのです。この点について技術者、特に先生の養成所は私非常にこれは楽観を託さない問題だと思う。特に技術教育では普通科の先生をわずか二年か三年講義をやって、はたして満足な技術を体得させられるか、その点について私は大いに疑問があるわけであります。はたしてその講義だけで教員養成所において十分な能力を持った先生を養成できるかどうか、その点をひとつ率直に御意見を承っておきたいと思います。
○説明員(河上邦治君) まず二つに分けまして、一つは中学校等におきまする、旧制の高専を出られまして工業科の教員の免許状を持った方で、たとえば数学とか理科あるいは生物を教えていらっしゃる方、そういう方の転用でございますが、大体各都道府県におきまして、一年ないし半年の内地留学の制度というのを私のほうでやっておりますので、そういうところへ前もって一年間大学試験研究機関に内地留学をさせまして、そこで一応の教育を施しました上で、たとえば三十八年度の開設校に配置をさせる、あるいは現職教育等で、いわゆる産学共同という線で産業界の会社、事業場でトレーニング・センターを持っているところがあります。そういうところで実技講習というものを私ども主催いたしまして、そういう実技の面の講習をいたす、そういうことで前もってその学校に配置させる先生の現職教育というものを考えてやっておるわけであります。
○説明員(岡野澄君) 先ほどの大学の教官の補充の問題で、産業界から来る人はほとんどないんじゃないか、むしろ大学の教官の産業界に引き抜かれるほうが多いんじゃないかという御質問でございましたけれども、やはり産業界から大学のほうにお移りになりたいという御希望の方も現実には相当ございます。引き抜かれるのと産業界の方が来るのとはほぼ匹敵するくらいに実際はなっております。あるいは産業界ですと定年の問題等がございまして、大学へ行ったほうが御本人のお気持からもそっちのほうがいいという具体的な御希望等も相当出ておるわけであります。それから先ほど申しました充足率九一%と申しますのは、大学院ではなくて学部の理工系の教官の充足数でございます。これはもちろん新制大学も入っているわけであります。しかし何と申しましても、最大の大学の教官の供給源は大学院に求めるわけでございまして、大学院を終了した方が大学の教官になるということが通常の例でありますので、大学院の充実に力を入れまして、大学院が発展するとすれば、おのずから教官もこれから出ていくというふうに考えております。
○牛田寛君 この問題は非常に重要でございまして、さらに伺いたいのでありますが、本日はこの程度でとどめておきたいと思います。 最後に伺っておきたいことは、先ほども質疑がございましたが、科学技術基本法の制定の機運になっておるわけでございますが、科学技術庁の任務あるいは機能というものを見ますと、先ほど問題にあげられておりました点は、またこれまでも科学技術庁の一つの機能として私どもが承知をしております方向というものは、科学技術研究の調整ないし、推進というところに力点がかかっておったように思うわけであります。ところが、日本の科学技術振興という立場からとらえますと、ただ研究を推進させる、あるいは調整するというような問題だけでは解決つかないわけであります。御承知のように、科学技術関係の科学技術行政を担当しております所管省は多範囲にわたっているわけであります。実際は科学技術行政を推進しているものは通産省であり、あるいは運輸省でもあれば、厚生省でもあれば、農林省でもある。あるいは建設省である。あるいは文部省であるという形になっておりまして、科学技術庁そのものが直接推進する対象はほとんどないわけであります。直接扱っておられるのは原子力関係と、それから宇宙開発の問題であろうと思うのでありますが、日本全体の科学技術というものを考えますと、私はそれらの科学技術を実際に推進していく実際の機能、そういうものを円滑に総合的に推進していくだけの機関としての科学技術庁、そういうものがなければならない、こういうふうに考えるわけです。研究を幾ら推進しましても、研究者の優秀な者ができ上がなければ研究は実を結びませんし、またりっぱな研究の成果が上がりましても、その研究の成果が総合的に、また応用され実際に使われていくのでなければならない。また幾ら予算をとりましても、その予算がざるで水をくむようにむだに流れていったのではこれは何にもなりませんし、そこに一つの科学技術庁の任務があると私は思うのでありますが、遺憾ながらそのような強力な推進体制ができておらないように思う。ただいま一例として取り上げました教育行政の問題にいたしましても、科学技術の振興という面から見ますというと、まだまだ多くの問題を含んでいるように私は思います。そういう点で、科学技術基本法も制定されますけれども、単なる科学技術研究の調整ないし推進というようなごく狭い視野の調整推進をしていこうという科学技術庁の立場でなくして、もう少し科学技術というものの広い視野に立っての、基盤に立っての強力な機構が日本の科学技術振興の上に必要ではないかと私は考えるのでございますけれども、その点について長官のお考えを承っておきたいと思います。
○国務大臣(近藤鶴代君) 科学技術の振興ということは牛田委員の仰せのとおりだと思います。しかし反面において、やはり研究ということも無視できないことでございますので、やはりこれは両立していくべきもので、研究されたことが具体的にやはり行政面に現われてくるということではないかと、こう考えます。ただし、そういう面から見まして、確かに科学技術庁というところは一つの大きな推進的な役割をしておらないという点も感じておるわけでございます。各省に対して、それぞれの機関を通じていろいろな研究を指図をして行政面に取り上げていくという指導と申しましょうか、そういうバック・アップをしておるのでございます。けれども、科学技術庁は科学技術庁といたしまして、やはりやっていかなければならない面についての主導権を持って、各役所に対しまして、科学技術庁の予算としてこれを提供をして研究を積んでもらっているという部面も全然ないわけではございませんので、詳しいことは関係当局のほうからお聞きいただいてもけっこうだと思います。
○政府委員(森崎久寿君) 御指摘の点ございますが、科学技術庁設置法の第三条「任務」のところに、科学技術に関する行政を総合的に推進することをその主たる任務とする。というふうな表現になっておりまして、科学技術に関する行政というものも一応含めてございます。ただその行政の範囲におきましては、それぞれの解釈いかんによりまして、こまかい点につきましては、第四条の「権限」以下に書いております。たとえば第四条の第十二号には「関係行政機関の科学技術に関する事務を総合調整を行う」というふうな表現をとっております。こういう問題につきましては、たとえば助成をするというその助成問題につきましても、各省がやっておるものについては総合調整をやるというふうな形になっておりまして、一応そういう科学技術行政全体について見渡せるような体制になっております。なお、科学技術庁みずからも、先ほどお話がございましたように、全般的に推進することが必要であるような部面、たとえば発明の奨励というふうなことで補助金を出すとか、あるいはでき上がった技術を実際に企業化してみる、そのために技術開発事業団というふうなものを持ちまして、でき上がった技術でなお企業化がむずかしいというものをある企業に委託をして、それを作らせるというふうなことも科学技術庁の仕事としてやらしていることは御承知のとおりだと思います。
○牛田寛君 私が御質問申し上げました意味はおわかりになったと思うんでありますが、十分まだその真意が了解できなかったんじゃないかと思いますが、またこれは今後の問題にいたしたいと思います。現在の時点で、科学技術庁のおやりになっておることが非常によろしくないという意味で私は申し上げているのではなくて、これからの日本の科学技術の振興なり発展のためには、もう一段の強力な体制がなければならないのじゃないか、そのためにどういう意欲をお持ちであるか、どういう理想をお持ちであるか、どういう御構想をお持ちであるかという点について伺いたかったわけでございますが、これはまた今後の問題に残しておきたい、このように思います。これで終わります。
○委員長(田上松衞君) 他に御発言もないようですから、長官の所信表明に対する質疑はこの程度で打ち切りにいたします。
○委員長(田上松衞君) 次に継続調査要求についてお諮りいたします。 当委員会は科学技術振興対策樹立に関する調査を行なって参りましたが、閉会中も継続して行なうことといたしまして、本院規則第五十三条により、議長に継続調査要求書を提出することにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田上松衞君) 御異議がないと認めまして、さよう決定いたします。 なお、要求書の作成等については、これを委員長に御一任願いたいと存じます。
○委員長(田上松衞君) 次に、委員派遣承認要求についてお諮りいたします。 閉会中の委員派遣に対しては、その取り扱い等委員長に御一任いただきたいと考えますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田上松衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれで散会いたします。 午後四時四十八分散会