科学技術振興対策特別委員会 閉会後第1号
- 発言数
- 65 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1962/10/31
会議録
○委員長(田上松衞君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。 委員会に入る前に、先刻委員長及び理事打合会をいたしましたので、運営に関しまする打ち合わせの結果を簡単に御報告申し上げまして御了承いただきたいと思います。本日の委員会では大体三つの事項を御協議申し上げたい。一つは日本原子力研究所に関する件、次は派遣委員の報告、最後に科学技術白書の概要聴取、この三つの問題を御協議願いたいと思います。そこで、最初に申し上げた日本原子力研究所に関する問題については、少し時間が延びるかと思いますから、順序といたしましては、派遣委員の報告を先にいたしまして、以下原子力研究所に関する件と科学技術白書に関する概要聴取、こういうことにいたしますということになったわけであります。御了承いただきたいと思います。 まず、参考人の出席要求についてお諮りいたします。さっき申し上げました日本原子力研究所に関する件については、いろいろ現況について説明を聴取し、質疑等の関係もあると思いますので、参考人として日本原子力研究所の理事長菊地正士君及び同副理事長の森田乕男君の出席を求めることといたしたいと考えますので、さようにいたして御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田上松衞君) 御異議ないものと認めまして、きよう決定いたします。 これの手続については委員長に一任願いたいと思います。
○委員長(田上松衞君) これから科学技術振興対策に関する調査を議題といたします。 まず、去る九月下旬、科学技術の振興状況並びに研究施設を実地に調査するために委員派遣を行ないましたが、丸茂委員さんから報告をしていただく予定でしたけれども、都合によりまして私から報告申し上げたいと思います。 派遣委員は古池理事、源田委員、丸茂委員と私の四人、このほかに矢山委員が途中から現地参加されました。期間は九月二十四日から三十日までの一週間でした。視察個所は新三菱重工業小牧工場、川崎航空機岐阜工場、京都大学の基礎物理学研究所と防災研究所、島津製作所、松下電器工業茨木工場、松下電子高槻工場、通産省大阪工業試験所、原子燃料公社倉吉及び人形峠出張所並びに倉敷レーヨン岡山工場であります。すなわち、科学技術の上から注目すべき幾つかの工場、研究所並びに原子燃料公社の鉱山というように、多方面の視察を行なったわけであります。 まず、新三菱小牧工場及び川崎航空機岐阜工場は、航空機の製造、修理をおもに行なっておりますが、特に印象の深かった点は、両工場において国産ジェットプロップ旅客機YS11を製造していることでありました。この航空機は、戦後初めての国産機でありまして、日本航空機製造株式会社が設計し、航空機各社が共同して製作しているものでありまするが、その性能はきわめて優秀で、明後年末には量産が行なわれますが、国内はもとより、国際市場への進出も有望視されております。なお、航空機製造技術の進歩が早いため、生産に取りかかろうとすると新しい技術が先に進んでしまう、このように研究や技術と生産の時間的ズレのため、国産技術ですべてをまかなうことは困難なので、勢い部分品等で輸入品にたよらざるを得ない場合が多いわけであります。この点について、政府の航空機製造の国産化に対し、援助等について検討してもらいたいという意見がございました。 次に、多種類の精密機器で知られております島津製作所では、特に試験研究の充実に力を入れておりますが、工業技術者の養成、研究施設の税負担軽減、各種機関の連絡及び協力体制の強化、特許審査の促進等について国の強力な施策を要望しておりました。 電子工業部門の生産をしている松下電子高槻工場及びテレビを生産しております松下電器茨木工場においては、ともに高度のオートメ化が進んでおります。なお、貿易自由化による外国製品との競争という点につきましては、これらの工場は自信を持っているようではありまするが、今なお外国技術の導入が多いことや、輸出しようとするとき各国が完成品の輸入を抑制する傾向があること等について、今後検討さるべき問題が残されているのではないかと思いました。 次に、倉敷レーヨンは純国産技術によるビニロン繊維工業の会社で、米、仏、西独へも技術輸出をいたしております。岡山工場では、国産技術を振興するために、政府の政策を強く打ち出してほしい。たとえば国産技術を企業化したものについては、免税期間を長くし、税を軽減するように、また放射線物質が生産過程に利用できるように等々の要望がございました。 原子燃料公社の東郷、人形峠、両鉱山は、ウラン鉱の品位及び埋蔵量においてきわめて有望で、わが国唯一のウラン鉱々山でありますが、同地の鉱山保安、鉱害等につきましては、現段階では別に問題はございませんでしたけれども、臨時雇用員の待遇改善に関する要望がありました。ここで痛感いたしたことは、現地で採鉱からさらに粗製錬まで積極的に行なえるように財政的援助を与える等の、国の総合的な施策を行なうべきであるという事柄であります。 次に、大阪工業技術試験所は、化学工業を中心とする試験研究を行なっている通産省の機関でありますが、ここでは研究の成果が民間企業に活用され、実績を上げていることが注目されます。また、現在予定として本所と四国出張所を池田市所在の分所付近に移転する計画が進められておりますが、これによって研究の総合的効果が発揮されることを期待しておりました。なお、研究職公務員の待遇の向上、設備の改善、特許料収入の一部を研究所の研究費等に還元してほしい等の要望がありました。 最後に、京都大学におきましては、湯川秀樹教授が所長をしておられる基礎物理学研究所とわが国唯一の大学に付置された防災研究所を視察いたしました。大学側からは、大学付置の研究所のあり方について、研究の応用面、実際面にも関係はあるが、何といっても大学の研究所としての特殊性から基礎研究に重点を置かなければならない。研究調整については、大学はもちろん、各省各庁の国立研究所や民間研究所間の調整は、重要な問題だから慎重にされたい。さらには、長期的な研究計画の実施とか、外国人留学生の受け入れ、外人講師の招へい等についても十分な予算的配慮を必要とする。特に、防災関係については災害の事後対策のみでなく、予防対策にも重点が置かれなければならないといったような意見や要望がございました。申すまでもなく、科学技術の振興、特に基礎科学面での大学付置研究所の果たす役割はまことに重要でありますので、そのあり方については特段の考慮を払うべきであると思います。 以上きわめて、簡単ですが、視察の報告を終わりたいと思います。 ——————————
○委員長(田上松衞君) 日本原子力研究所に関する件に入りたいと思います。 本委員会は去る九月十一、十二日の両日にわたって茨城県東海村所在の日本原子力研究所東海研究所、原子燃料公社東海製錬所、日本原子力発電株式会社東海建設所及び同県大宮町所在の農林省放射線育種場を視察いたしましたが、その後、原子力研究所においては、国産原子炉の完成と臨界実験の成功、研究用二号原子炉の出力上昇試験の成功等がありましたので、初めに菊地参考人から日本原子力研究所の現況について御説明をお聞きしたいと思います。
○参考人(菊地正士君) それでは原子力研究所の現況につきまして御報告いたします。 原子力研究所の職員はだいぶふえて参りまして現在千四百名をこしております。うち約百名が東京本部、あとの千四百名近くが東海研究所におります。うち大体三分の一が純粋の研究者、その三分の一が技術員、さらにその三分の一が運営管理に当たる職員ということになっております。それで、最近の状況といたしましては原子炉の整備が着々進んで参りまして、長いこといろいろ問題もありました二号炉が、今年の初めごろに新しい燃料等を買いましてそれ以来いろいろと試験をしつつ出力を増して参りました。そしてごく最近になりましてさらにその最終の出力上昇試験を行ないました。で、第一回の試験は九月二十六日、二十七日、二十八日と三日間にわたって行ないまして、そのときは千キロワットまで上げております。それから第二週目に入りまして十月の一、二、三と三日間、第一日目に三千キロ、二日目に五千キロ、三日目に七千キロまで上げて試験を終了いたしました。それからいろいろと諸所点検をいたしまして、次に第三週として第三回目の実験といたしまして十月の八日、九日に最終的な試験を、連続的に運転をいたしまして、最終段階で規格の一万キロに達しました。その後、今度はその一万キロでの連続試験をやる必要がございましたので、十月の十八、十九日の両日間にわたって一万キロで約十六時間の連続運転をいたしまして、それでまず出力上昇の試験は終了いたしました。それでこれからさらに点検をいたしまして、それからしばらく間を置きまして、その間、運転員の訓練等を行ないまして、そうして近い将来、年内あるいは来年の初めからこれを経常的な運転に移しまして、そしてこれを各種の研究に利用して参るつもりでございます。いろいろその試験の結果わかりましたことがございます。今のところ問題となる点はほとんどないのでございますが、これはすでにもう新聞などにもちょっと出ました問題でございますが、原子炉を運転いたしますと、その建屋その他から排気いたしますと、そこに空気中にあるアルゴンが放射化されて、それが煙突から排出される現象がございます。でその量が予定したものよりも多少多かったということがございます。これは何も危険とかなんとかいうものではございません。予定したものより多少多かった。これについては危険というような問題はございませんが、今その一万キロ運転のときに周囲数キロメーターにわたって放射能の濃度の記録をとりまして、それを十分分析いたしました上で、この問題を解決したいと思っております。その以外にはほとんど問題はございませんで、まず二号炉はこれで最終的に完成いたしました。 次に、三号炉でございますが、これは国産技術で作るという目標で最初からやって参りましたが、いろいろの問題を解決しつつここまで進んで参りました。そして九月十一日から十二日にかけて臨界に達しました。臨界と申します意味は、この中で核反応の連鎖反応を起こすことができます。ただパワーは非常に低く、ほとんど数ワットというような程度の非常に低いパワーで連鎖反応を起こすのに成功したということでございます。これも臨界に必要ないろんな計算上の設計値と実際に臨界に達したときのいろいろな量の数値は、設計値と非常によく一致いたしまして、今後の出力上昇はまず安心して行なえるものというふうに考えております。ただいまはこれはいろいろな特性をとる実験をいたしております。そしてそれで十分特性をとった後に——これが約半年はかかります。そしてその後に出力上昇を行ないまして、これも結局一万キロまで上げる予定にしております。でこの炉は、二号炉と同じようにいろいろな種類の実験に使用いたしますが、特にこれはラジオアイソトープの製造用に主として使われる予定になっております。それから原子炉といたしましては、その次に動力試験炉というのがございまして、これは米国のゼネラル・エレクトリックと契約して作りました日本で最初の発電炉でございますが、これも着々進行いたしまして、来年度の早い時期に完成いたしまして、日本で最初の原子力による電気の発電ができるような状況にいたしたいと考えております。大体原子炉の状況はそういうふうに、まず順調に進んでおります。で、原子力の研究は、こういった原子炉を利用することによっていろいろ行ないますので、今までありましたJRR1はずっと非常に好都合に動いておりましたが、何といってもパワーが低かったのでありますので、この際、この一万キロの炉が完成したことによりまして、今後の研究が飛躍的に進むものと考えております。 以上が大体の原子力研究所の現状でございます。さらにこまかい点につきましての御質問などがございましたら、御説明をいたしたいと思っております。
○委員長(田上松衞君) 菊地参考人の御説明に対して質疑のおありの方は順次御発言をいただきます。
○瀬谷英行君 この前、私どもが見学をさせてもらったときに、研究所で組合との間に紛争が起きて赤旗など立っておったのでありますけれども、そのとき労使双方からそれぞれの意見を聞きまして、これはなるべく双方が十分な話し合いの上で解決してほしいという要望を一応われわれのほうから出されたわけでございますが、その後、その労使間の紛争が解決したのかどうか、どういう形で解決をされたか等について、できれば御説明をいただきたいと思います。
○参考人(菊地正士君) 二号炉の出力上昇実験の問題にからみまして運転体制の問題とかいろいろの問題がございました。たとえば徹夜で運転をした場合どういう体制をとるか、それからそれに対して手当をどうするかという問題、それから一般的な問題といたしましては、放射線を取り扱う者に対して放射線手当を出せという要望、その他いろいろの問題がございまして、一時、二号炉の運転直前に、そういう問題でたいへんにもめまして、出力上昇実験をある程度延期しなければならないような事態にもなりました。主としてその問題は放射線手当の問題、それから運転体制の問題にございましたが、われわれといたしましては、こちらで行ない得る最終的な案を示しまして、それによってやる決心をいたしておりました。その時期に私はプルトニウム調査団の団長を仰せつかりまして外国に出ておりまして、その後の経過は、もちろん現在戻りまして聞きましたが、外遊中にすっかり問題は解決をしたのでございますが、実はその話も出るかと思いまして、留守中ずっとこの問題をやっておりました森田副理事長が参っておりますので、もしお差しつかえなければ御説明をそちらからいたしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○委員長(田上松衞君) 森田副理事長から補足説明をしてもらいます。
○参考人(森田乕男君) 先般は当委員会でわれわれのほうを視察していただきまして、まことにありがとうございました。ちょうどおいでになりました日は、九月十一日だったと記憶いたしておりますが、今の御質問の焦点はCP5型の出力上昇に関する紛争についての御質問だと存じますので、それに対してお答え申し上げます。 ちょうど十一日に皆さまお帰りになりますときに、委員長から最後に私に御注意いただきまして、どうも話し合いがついてないような気もするし、双方で、もう少し誠意をもって話しをしたらどうだというお話をいただきまして、もちろんわれわれといたしましては十分話し合いをいたしたい所存でございますが、委員長の御忠告に藉口と言ったらおかしいのですが、それもございましたので、組合によく話しまして、これからよく話をしようじゃないかということで話を持ちかけまして、幸いに話の継続をいたすことができました。そこで、話し合いをいつまでたっても終わりなくやるということは、われわれのほうで困りますので、ある程度見切りをつけて話し合いをしよう。そこで、われわれのほうの担当の理事の意見と向こうの書記長の意見と十分に合いまして、それではこれから三日間の余裕を切って精力的な話し合いをしようじゃないかということで話し合いをいたしました。しかしながら、時あたかも運が悪く、ほかの話で恐縮ですが、赤痢が発生いたしまして、担当の者が十分に話し合いができなかったということで、三日間をフルに使うということができなかったので、これはやむを得ないから少し延ばそうじゃないかということで延ばしまして、その後、御承知のとおりに、あの節申し上げましたA号、B号、C号と分けてございまして、出力上昇までにやるべきことというものは、その間に幸いに、たとえば非常事故に対しての連絡の方法だとかというような訓練も全部いたしまして、出力上昇前にやるべきことは全部済ませました。そして、あと一、二点むずかしい問題が残りましたが、たな上げすべきものはもちろんたな上げして、あとで本質的の問題は討議することといたしまして、その他の事柄につきましては全部話し合いがつきました。われわれが予定しておるよりはだいぶ時間的には延びましたが、ついに二十六日の午後二時に本問題については双方妥結をいたしまして、協定を結ぶようなことになりました。本問題に関しての御答弁は、これでよろしければ……。こまかい点になお御質問がございましたら申し上げます。
○委員長(田上松衞君) 瀬谷さん、よろしいですか。
○瀬谷英行君 九月二十六日に妥結をしたということでございますね。
○参考人(森田乕男君) さようでございます。
○瀬谷英行君 わかりました。
○野上元君 私も近藤長官同様科学技術には弱いんですけれども、したがって、質問がきわめて幼稚であり、かつ思いつきのようになって恐縮なんですが、一、二お聞きしたいのですが、原子炉を中心に研究されておる目的は、原子動力の開発ということにあるわけですね。参考人(菊地正士君) それももちろん含んでおります。しかし、それ以外、たとえばアイソトープ製造であるとか、それから結局は原子動力のそれにあるのでございますけれども、放射線によるいろんな物質の損傷の問題とか、そういった問題ももちろん研究しておりますが、いずれも原子動力の開発に関連した研究でございます。
○野上元君 したがって、動力に関する既存のエネルギーを、将来原子力によって代置させようとするのが目的なんですね。
○参考人(菊地正士君) そうでございます。石油、石炭にかわった動力源を得ようとするのが目的でございます。
○野上元君 この「原子力調査季報」一号というのですか、これをちょっと読んでみましても、この問題に関する研究について、あなたのほうで何年後にはこうなるんだというような一つの見通しは、これを読んでも出てこないように思うんですがね。その点はどうなんですか。単に研究を今後何十年か続けていくうちに、何か発見されるだろうというような見通しなのか、五年後にはこういうものをこういうふうに実用化するとか、十年後にはこういうふうになるんだとか、十五年後にはこういうふうになるんだというはっきりした青写真は、現在の段階では、まだ作れないんですか。
○参考人(菊地正士君) われわれとしては、一応そういう長期にわたる研究計画というものは持っております。それは、世界的に見た原子力開発の現状に合わせていかなければならないのでございます。そういう面で見ましたわれわれとしての研究は、今後どうやったらよかろうかということは立ててございます。
○野上元君 そうしますと、実際に原子動力が経済的に見て実用に供せられる時期というのは、大体いつごろの見通しを持っておられるんですか。
○参考人(菊地正士君) これは、実用に供せられるという意味でございまするけども、現在のところ、アメリカで一番進んでいる原子力発電所で得られる電気の値段というものを、石油、石炭と比較いたしまして——これは石油、石炭の安い所、高い所がありますので、非常に違いますけれども——アメリカで現在やっておりますのは、一九六八年にできる大きな発電所のそれによって、電力コストが、現在高い程度のものと同程度のものになるだろうと言っております。大体すでにアメリカのほうで開発された電力コストというものは、日本に持ってくれば石油、石炭のものに非常に近い段階にきております。しかし、まだ石油、石炭よりもずっと安いという段階にはきておりません。日本の動力炉開発の計画というのは、動力炉の開発、導入というのは、これは民間の事業として行なわれるわけでございまして、その計画に関しましては、今そういう状態でございますから、今後原子力委員会としては、十年間に百万キロを入れるということを目標にしておるわけでございます。民間のほうとしては、その百万キロというものは大体において外国からの導入のものを持ってくるという考え方、その間に原子力研究所で開発したものをすぐにそこへ百万キロの中に入れようということは、これはなかなか無理でございます。これは発電方式というものはそうとっぴなものはないので、大体考えられるものはアメリカなどでは非常な金と人で開発し尽くしておりますので、現在短期間に開発できるようなものについては、われわれとしてそう早急に取りかかっても、早急にはできないという状態にございます。ただ、そういったものを日本に入れた場合に、これを受け入れる態勢の問題がございまして、これに付随するいろいろな問題がございます。たとえば持ってきたものに対する燃料の補給に対して、燃やし済みの燃料をすぐに処理して、それから新しい燃料を作るとか、そういった技術の問題で問題になるものが一方にございまして、そういう面の研究はすでにわれわれ現在やっております。で、われわれが今やっておることから、すぐ近い将来に非常にいい発電炉が完成されるということは、なかなかむずかしいことでありまして、しかし、日本に将来そういった原子力発電の事業というものが入ってくるについて、日本の技術をそこに確立していくという意味の地盤を十分作る意味の仕事を現在やっておるわけでございます。それから多少長期的に見る場合には、いわゆる増殖炉その他非常な高温炉とか、いろいろな種類を今後考えていかなければならぬ新しい炉がたくさんございます。そういうものに対する研究は、現在非常に基礎の部分から進めつつあります。ただ、その問題につきましても、この原子力の開発は、一つの炉の開発に非常に金がかかりますし人も要りますので、この際、原研としましても目標をもっと明確にしぼっていく方向に行こうということで、幸い原子力委員会のほうでもそういう種類の動きがございまして、今われわれの目標をできるだけしぼって、そうして今後長い将来にわたって新しい炉の開発ということもやっていくという考え方でやっております。
○野上元君 そうしますと、アメリカのいわゆるマン・パワーと金の力をもってしても一九六八年にならなければ原子力発電所というような実際的な動力を供給するような設備は不可能だということに、今のところ考えてよろしいわけですね。
○参考人(菊地正士君) つまり経済性にはっきり合うという意味でございます。現在でもアメリカにすでに大きい三十万キロ程度の発電所がございまして、実用になって、これが普通の送電線の中に入っております。ただ問題は、それから出てくる電気の一キロ・ワット・アワー当たりの値段が石油、石炭に比較すれば少し高い。ですから今申しました六八年というのは、その出ていく電気の値段が石油、石炭と同じになるという時期のことです。だから方法としましては、アメリカなどでは、もちろんだれかが発電コストを安くする仕事をしなければいけないわけでございますから、そういう意味で今発電を少し高いコストでやりながらそれを下げていくことにどんどん努めていくという時代だと思います。まあ日本といたしましても完全にそれが商業的ベースに合ってからただ買うだけでは、これはちょっとおそくなりますし、そういう意味で日本としても今後日本的規模におけるそういったものを一応考えていかなければならぬと思っております。
○野上元君 その点はよくわかりました。実用に供するということは経済性の面から見てなかなか困難だということはよくわかりましたが、それだけに皆さん方の研究は非常にむずかしい立場にあるのじゃないかというように実は考えるわけですね。まあこの調査季報を読んで見ましても、何かちょっと皆さん方の考え方がばく然としておるというか、はっきりとした自信がないような気がするのですがね。こういう記事が書いてあります。ちょっと読んでみますと、「今後一五−二〇年という遠い将来に対し、それだけの大きな投資なりマンパワーの投入なりを意義づけるモメントが、原子力開発利用の分野に存在すると考えるかどうかは重要なキーポイントとなるだろう。」と、こういうふうに書いてあるわけですね。したがって、存在しないというふうに考える人がおったら、こういう研究はやめてしまえということになるのじゃないですか、こういう書き方をされておると。政府は、はたしてこれを存在の価値ありと判断されておるのか、いやそんなものは価値がないのだというふうに判断されても、これはどちらでもよろしい、それは政府におまかせしましょうという書き方なんだが、その点はどうなんですか。もう少し確信を持ったことは言えないのですか、これは。
○参考人(菊地正士君) その資料が何か、よく私知らないのですが、私はそういうふうに考えておりません。大いに意義がある、これは間違いなしに意義があると考えております。長期的に見てですね。それはどこから……。
○野上元君 科学技術庁原子力局から出ておるのです。
○参考人(菊地正士君) 新しいですね。
○野上元君 新しいものです。
○参考人(菊地正士君) そうすると、私はもちろん長期的に見た場合に、これはもう常識だろうと思うのでございますけれども、それまで疑問を持って言ったのか、あるいは、ただそういう問題として出して、こうならこう、ああならこうと言いましたのか、私はそれを読んでおりませんから知りませんが、私はそういう点ないと思っております。ことに資源的に見ましたら、石油、石炭にかわる資源としてこれを有効に使う場合に、石油のエネルギーの量に換算すれば、地球上にある資源として考えた場合に、何千倍、何万倍となるのでございますから、長期的に見た場合に原子力エネルギーは意義がないということは、これは全然ない。ナンセンス、そういう意味でナンセンスだと思います。
○野上元君 今これは私がちょっと読んでみて奇異に感じたのですが、こういう記事を書かれるということになると、あなたのほう自身が、何か自信のなさそうな、こういうものをやっておって、はたして将来これだけの人力と金を注ぎ込んでいく価値があるのかないのかという点については「重大なキーポイントになるだろう」というような書き方をされると、これは政府としても相当危惧の念を持つのじゃないかというふうに考えるのですがね。その点は単なるこれの記事ですから、その記事をとらえて、片言隻句をとらえてとやかく言うわけじゃありませんけれども、そういう点についても、もう少しひとつ慎重にかまえてもらいたいというような気がするのですがね、私は。 それで、質問もいいかげんでやめますが、今菊地さんが言われたのは、日本の原子力研究によって飛躍的なものを近い将来に望むことは非常に不可能だ、それは膨大な人力と金が要るのだ、したがってアメリカが開発したものをどう日本が受け入れるかという態勢のほうに重点を置いて研究されておるように聞くのですがね、その点はそういうふうに解釈してよろしいですか。
○参考人(菊地正士君) いや、必ずしも……。そういう面と、それからより先を見た面と、この両方、二本立てでやるつもりで進んでおります。前者に重点があるというふうには考えておりません。むしろ後者に今後重点を置いていきたいと思います。後者という意味は、将来ほんとうの日本の技術を確立するという意味で、日本——われわれのところでほんとうに何かいい炉を開発していくということをやるということに重点を置いていきたい。
○野上元君 きょうは振興局長来ていないのですか。
○委員長(田上松衞君) 原子力局長が来ておられるのですが……。
○野上元君 そうですか。この間、この科学技術の特別委員会で振興局長のお話をちょっと聞いたのだが、そのときには、今日、日本の科学技術は欧米先進国に比べて約二十年ぐらいおくれておると、こういうことを言われたのですがね。そのことが事実であるなら、今、菊地さんが言われる二つのことを考えておられるわけでしょう。まず最初には当面五年から十年と、それから第二としては十五年から二十年、あるいはそれより先のこと、この二段がまえで研究を進めておられると言われたわけです。私の質問に対して、当面はアメリカの受け入れ態勢ということを考えながら、長期にわたって日本で独自の開発をやるのだ、こういうお答えをされたわけなんですが、その二十年おくれたやつをこれは取り返すことができるのですか。現実の問題として、アメリカがあれだけの人力と金を注ぎ込んでどんどんと研究開発しておるやつを、貧弱な予算と人力によって二十年の差を縮めるというようなことが実際にできるのですか。
○参考人(菊地正士君) これは差をゼロにできるかできないかという問題でなしに、少しでも差を縮めていくべきだと思いますのです。で、これは原子力に限らず、あらゆる日本の技術の問題に関係いたします。日本の原子力だけがおくれておるわけではないので、あらゆる面がおくれているわけで、これをゼロにすることができれば、ゼロというよりむしろそれより進んでいくことができれば、それに越したことはありませんが、極力これは縮めていくようにすべきだと思います。現在でも原研が今日まで進み、それから今後いろいろやることによってこの差を相当程度縮めていくことはできると思います。しかし、今おっしゃったような金と人をどれだけ注ぎ込むのかというと、これは大問題だと思います。で、われわれとしてももちろんできるだけの金と、できるだけ人を注ぎ込んでいただきたいと毎回そう思っております。今度の三十八年度の予算も、いろいろ将来の計画をお話していろいろ要求しておるわけであります。これらの問題は、そういうふうな国のほうの予算規模その他によって、どう査定されるかということによってきまってくると思います。方針として、特に原子力を非常に力を入れてやっていただければ、われわれとしてもいいと思います。
○野上元君 最後にもう一つだけ申し上げたいのですが、皆さん方科学者の、あるいは科学行政に携わっておる方の意気はまことに了解できるのですが、現実の問題として、アメリカ、ソビエトあたりが科学技術の開発に、ものずごい金を使い、ものすごい人力を投入してやっておる、今日、日本の実情と比べると、おそらく雲泥の差があると思うんですよ。にもかかわらず、現在の時点において二十年の差があるのに、さらに縮めるなんということは、実際に可能かどうかということは、われわれしろうとから考えると、ますます差が開いていって、四十年、五十年も差が開いていくのじゃないかという気さえするわけですよ。しかし菊地さんがせっかく十分に縮め得るのだ、しかし政府の協力がありさえすれば十分にできるのだと言うのでありますから、将来ひとつそういう点で大いにがんばっていただきたいと思います。きょうは私の質問はこの程度にしておきます。
○委員長(田上松衞君) 野上君、若干の見解の相違について島村原子力局長が見えていますが、何か……。
○野上元君 特別補足されることがあれば補足していただいてもけっこうです。
○説明員(島村武久君) お尋ねの点で、菊地理事長から御返事がありましたとおりで、特別に私から補足申し上げることも実はないのでございますけれども、たまたま私のほうで出しまして本日お送りいたしました原子力調査季報が引用されまして、それについてのお尋ねが原子力研究所の理事長のほうへ向けられまして黙っておりますのもどうかと思いますので、参っておりますので、私からちょっとその点をお断わりさしていただきたいと思うわけです。 実は原子力局では、原子力委員会の事務局という資格もございまして、世界のいろいろな情報その他を入手いたしまして、それらも十分入手吟味いたしました上で、企画、立案の参考にするという意味におきまして、特に調査課というようなものもございまして、調査業務を担当さしておるわけで、若い連中なかなか熱心にいろいろ勉強してくれておりますのでございますが、その間に出てきますいろいろな問題をある程度まとめまして、お互いに検討批判し合うチャンスがあったほうがよかろうという意味で、従来もこのようなものを若干はガリ版で刷ったり何かもいたしておりましたのですけれども、われわれだけで閉じこもってやるのでなくて、できるだけ多くの人の御批判も得たいというふうな意味もございまして、あまり金もありませんけれども、印刷して関係のほうにお配りすることにした最初のものがこれでございます。実はさっとお読みいただきましたのでございましょうけれども、今お配りしたばかりでございますから、読み直してみますと、確かに御指摘のように……。そのような印象をもしお持ちになりましたとすれば、書き方が悪いわけでございまして、大いに今後注意いたしたいと思いますが、ここに書いております趣旨は、先ほどちょっと菊地理事長からもお話がありましたように、原子力の開発をしていく行き方というものに、日本の場合には特に二つの行き方が考えられるわけでございます。アメリカにいたしましても、イギリスにいたしましても、カナダにいたしましてもソビエトにいたしましても、それぞれみな従来自分自身の力で開発を進めてきて今日を築いておるわけです。日本はゼロから出発いたしましたわけなんでございますが、これに追いつくのに、もし野上委員がおっしゃいましたように、先進国と同じような方法をとりますならば、これはおそらく予算も貧弱でございますし、差はますます開いていくというだけで、追いつく可能性はないわけでございます。幸いにいたしまして日本が原子力開発に手を染めましたころから、いわゆる原子力というものにつきまして壁が破れて、むしろ東西間——政治的に申しますと東西間、同じ自由陣営の間でも従来秘密でございましたものが、非常に自由に情報の交換ができるようになって参りました。日本のとります態度は、まず追いつくことが先でございまして、それには諸外国で開発せられましたものを場合によって買ってくる、そして作ってみる、それを動かしてみることによって経験を得るということが一番早道であるわけでございます。ただいま建設中のコールダーホールなどはまさにその例でございます。 さらに日本のような場合に、特に将来のエネルギー需給の関係で、原子力発展の果たす役割が大きいと考えられます国におきましては、コールダーホールだけでなくて、またいわゆる経済的にペイする段階までにも、その技術の習得その他のために、百万キロくらいは必要だというのが原子力委員会の見解であるわけでございます。したがって、その分は外国から導入してくる、ただ導入をするだけでなくて、幾分でも外国で開発されたものを日本で作るときには、もう少しインプルーブされた形で日本で作るというような意味におきましては、非常に短期的な視野での研究ということが行なわれる必要があるわけでございます。ただでき合いのものを買うということだけでなくて、そこに必要な研究開発というものが出てくるわけでございます。しかし、そうやっております限りにおきましては、いつまでも、つまり先進国のあとを追っかけていくだけでございまして、日本には日本に最もふさわしい原子炉のあり方というものがあってもいいんじゃないかという考え方か別にあるわけでございます。今日、先ほどのお尋ねにも関連いたしますけれども、世界的に見まして、まだアメリカの型が一番いいんだ、あるいはイギリスの型が一番いいんだ、カナダの分が一番いいんだというような定説というものは、今日世界的にもまだ確立していないわけでございます。その意味におきまして、ここに書かれておりますように、原子力というものは非常に進んだ進んだと申しますけれども、長い目で見ますと、いわば石炭だけの発電所に比べると、あるいは油だけの発電所に比べれば、非常にまだ幼稚な初期の段階、こう言わざるを得ないというわけでございます。したがいまして、それであるがゆえにおくれて始めましたけれども、日本もまだ今からそういうずっと先の競争を目ざして今のうちに基礎から固めておく、地道に研究していって、十五年二十年先なりに、日本に最もふさわしい炉というものを作り上げていくという目標を失ってはならないんじゃなかろうかという考えを私ども持っております。むしろどちらかといいますと、非常に短期的な研究、こういう研究開発というようなものは、むしろ場合によってはそのウエートの多くを産業界にかける、国家機関として設けられましたような原子力研究所なんかでは、むしろ基礎的な研究、すぐには間に合わぬかもしれないけれども、ずっと先の研究というものを目標にしてやっていただくほうが、本筋じゃなかろうかというのが大体の考え方でございます。そうはっきり割り切って、原研でやっておりますことがすべてずっと遠い将来のことばかりやっているということではございませんですけれども、大体の考え方というものはそういうことで進んでおるわけでございます。ただ、ここに書きましたのはその意味とちょっと違います。十五年先、二十年先におそらくは非常にいい型の原子炉になるであろうと想像されるものも現在全然ないわけではございません。それが幾つかアイデアとしてはある、ある程度実験的には希望は持てるという段階にあるものについて、原子力研究所はやっておられるわけでございますけれども、ここに書きました趣旨は、それとまた全然別個のアイデアを一つおっ立てて、日本でやっていくかどうかという意味についてのことをちょっと言っておるようでございまして、その辺、非常に何と申しますか、専門的であり過ぎる点を急に省略して書きましたのが誤解を生んでおると。私も読みまして、ちょっとこれは確かに先生もおっしゃいましたような誤解を招くもとになると思いますが、事はそういう趣旨でございますので、御了解いただきたいと思います。 なお、最後にお尋ねのありました大きなお金を使いまして、一体追いつけるものかどうかということにつきましては、菊地部長から御返事がありましたけれども、私どももまたやり方によっては追いつけるというふうに思っておるわけです。日本も今日原子力ではまだ幼稚な段階でございますので、世界に向かっていばれたわけでも何でもございません。ことに初めて日本人の頭によって、日本人の手によってできた最初の原子炉がついこの間ようやく臨界に達したというふうな段階でございまして、英、米、ソ連なんかに比べて決して大きなことは言えない現状でございますけれども、しかし、全世界的に見まするならば、この短い期間にずいぶん追いついてきたということは言えるのじゃないかと思っております。私どもは決して夢まぼろしみたいなものを追っかけてやるのではなくて、明らかに自分の手にし得るというつもりで努力して参りたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。
○瀬谷英行君 あまり十年、十五年先というふうな気の長い話になると、興味と関心が科学技術のほうから失われてしまうのじゃないかと思うのでありますけれども、この調査季報に出ております「原子力船開発計画について」という論文がありますけれども、このことについて一言お尋ねをしたいと思います。 やはり私どもは具体的に何か実績が現われると、一般の関心も集中されると思うのですけれども、何となくわれわれの手の届かないところで研究だけしておるということになると、どうしてもあまり関心を持たれないということになると思うのです。その意味で、たとえば原子力発電所が今できつつあるといったようなことは、いいことじゃないかと思うのでありますけれども、一面、原子力船開発計画というものが実際にあるとすれば、これは現実のものとなる可能性があるのかどうかということと、それから開発スケジュールによれば、初年度発注契約から試運転あるいは慣熟運転まで七年度までかかるようになっております。今日のように造船技術の発達した際でも、なおこんなに多くの年月をかけなければならないとすれば、一体これはどこが所管をして、どこが予算を要求をして、一体具体的にはどういう形でもってこれが実現をするのか、全くこれは一つの学説として現実の問題とは遊離した計画にすぎないものなのかどうか、ある程度ここに書いてありますことは、三十六年の四月に原子力委員会に原子力船専門部会が設置されたということになっておりますから、ある程度これはもう実現性のあることなのかどうか、その点について理事長にひとつお伺いしたいと、こう思っております。
○説明員(島村武久君) 理事長に御指名がございましたが、実はこの計画は、原子炉ばかりじゃございませんで、この原子力船の計画自体が原子力局の問題でございますので、私から御返事さしていただきたいと思います。 ここに書いてありますのは、これは先ほどちょっと申し上げましたように、自分で外国の事情その他世界的な事情を勘案してこの筆者がまとめましたものではございませんで、実は原子力委員会で策定いたしました計画の解説の形になっております。 予算のお話がございましたが、予算はこの初年度分の予算を、現在科学技術庁から大蔵省に予算要求中でございます。もちろん初年度でございますので、基本設計の段階でございまして、非常に多額というわけではございませんけれども、とにかく予算要求いたしておりますし、また私どもといたしましては、この予算は必ず、何と申しますか、国会に対していわゆる予算要求の形で出され得るものと考えております。と申しますのは、ここにも専門部会のことも書いてございますが、原子力船につきましては、昭和三十一年に原子力委員会ができましたころからすでに第一回の専門部会が開催せられまして、その後すでに六、七年にわたりまして検討をずっと続けてきた、かねての宿題でもございます。また、この建造に必要ないろいろな実験研究というようなことも、原子力局からそれぞれ運輸省あるいは民間の研究機関に対しまして試験研究費の形で予算が支出せられておりまして、今までに着々と研究も実施してきたわけでございます。その総合的な結論がここに出ておりますところの原子力船開発計画というものになっておりますので、いわばこれが日本で原子力船の問題を研究し始めましてから今日までの総決算という形になっておるわけでございます。お話のように、これが九年間の計画になっておりますので、幾ら科学的であるとはいえ、どうもあまりのんびりし過ぎていて、こんなのんびりしたことでいいのかというような御批判が、本日だけでなくて、今までにすでに各方面から言われておりまして、まことに恐縮に思っておるわけでございますけれども、おっしゃいますとおりに、船体だけを作ります分でございますれば、この程度の船であれば一年を要しない。従来の在来船でございましたら一年を要しなくてできると思うのでございます。しかしながら、原子力船ということになりますと、これはやはり今まで研究して参りましたとは申しながら、あらゆる意味におきまして新しく勉強し直さなければならない問題がたくさん実はあるわけでございます。たとえば波浪の問題あるいは振動の問題ということは、今までも船がございましたから、当然研究されていたはずなんでございますけれども、今までの研究程度ではだめな面がございまして、ここ数年間そういう波浪の研究から、波浪による振動の研究ということまでやってきたわけでございます。今後設計を逐次固めていきます途中にも、なお研究的要素は残る。いわば研究しながら作っていくという形のものでございますので、このような長期の計画になっておるわけでございます。もっとも九年とは申しますけれども、二十四ページにございますように、七年目の半ばごろからは、いわゆる試運転に入りまして、実際に浮かんで動き出す、それから遠洋航海あるいは乗員訓練というような、すべての建造以外の実験に使われる期間も入れてございますので、実際は六年半ぐらいの計画になっておるわけでございます。 それからこの計画を進めます主体でございますが、この計画は先ほども申し上げましたように、原子力委員会が作りまして、いわば行政として実施いたします場合は原子力局がこれを担当することになりますが、この前のページにも書いてございますように、責任ということを明らかにいたします上におきましても、設計段階から建造、すべて一貫した組織で行なうことが望ましいと考えまして、特別の開発機関を作って実施いたしたいと考えております。その所掌につきましては、科学技術庁と運輸省と共管でやって参りたいと考えております。原子力船は、もちろん実際に実用の目的に建造されるような段階になりますれば、これは当然に船舶行政、そして運輸省の所管に移るものと考えておりますけれども、第一船につきましては、まだ研究開発という目的を大きく考えておりますので、第一船を作りますこと自体につきまして設けられますところの開発機関につきましては、現在のところ原子力局の予算として要求いたしまして、その機関に対する監督等は運輸省と共同で当たるというふうに考えておる次第であります。
○瀬谷英行君 そうしますと、まず原子力船の第一船については三十八年度予算で科学技術庁の予算として要求をしてあるということですね。
○説明員(島村武久君) そのとおりでございます。
○瀬谷英行君 でき上がった場合の所管は、科学技術庁と運輸省共管ということになるのですか。
○説明員(島村武久君) でき上がりまして、いわば実験をいたします段階、あるいは乗員の訓練をいたします、いわば図表で申しますと九年間の間は共管で参りたいというふうに考えております。ただ、九年が済んで船がだめになってしまうわけじゃございませんので、その目的を達しましたあと、それをどのようにいたしますかということにつきましては、現在まだはっきりとどこの所属船になるかということはきめておりませんが、大体の見当といたしましては、いわば政府の船ということにいたしまして、そして海洋観測の仕事に当たらせるのが適当であるというのが皆考えておることであります。ただ、同じ海洋の観測にいたしましても、現在日本ではいろいろな官庁が実施いたしておりますので、たとえばこれを海上保安庁につけるとか、あるいは水路部につけるとか、あるいは水産庁につけるとか、どこにつけるかというところまでは、十年目のことでございますので、はっきりときめておるわけではございません。
○瀬谷英行君 せっかくの計画なんですから、八年だ、九年だというと、ずいぶん気の長い話です。今日外国でそういう船ができていないかというと、アメリカのサバンナ号とか、ソビエトのレーニン号とか、実用に使っておる船もあるのですから、八年だ、九年だという気の長いことじゃなくて、それをもっと短縮することは不可能なんですか。
○説明員(島村武久君) さようなお尋ねがほかでもございまして、何とかこれを実行面で縮めていくことを考えたいと考えております。ただ、これは船体だけではなくて、いわば機関、中味も国産で作る。原子炉も国産で作るということになっておるわけであります。したがいまして、お尋ねになります方の中には、もっと早くやるために、中に入れる原子炉は外国から買ってきて装備したならばもっとうんと早くなるのじゃなかろうかというような具体的な例をあげて、もっと短期に完成するようにというような御意見も出たわけなんでございますけれども、実は今御指摘のように、平和目的に使われる船といたしましてはレーニン号、それからアメリカのサバンナ号、これが今試運転やっておるところでございますが、二はいありますけれども、まだこういったような船に、いわばでき合いのような意味におきまして原子炉を売っておるところはもちろんないわけであります。外国に頼むにいたしましても、まあせいぜい縮め得たとして一年くらいが精一ぱいでございます。したがいまして、同じ作るなら、いっそもう原子炉自体も日本で作るという考え方に立っておりますので、どうしても今のところでは安全サイトを見ましてこのくらいかかるという計画になっておるわけであります。
○瀬谷英行君 研究にあたっては、やはり東海村の原子力研究所が事実上の研究を担当するということになっているのですか。
○説明員(島村武久君) もちろん原子炉というような部分につきましては、原子力研究所でやっておられますところの研究が反映されることは多いと思うのでありますけれども、直接的にはこの原子力船の原子炉を作るために原研がどのような研究を担当するかというところまでは至っておりません。ただ原子炉自体でなくて、船体の関係なんかでは、いわゆる放射線の遮蔽の問題というのがございます。これらの研究のためには、現在原子力研究所に第四号の研究用炉といたしましてスウィミング・プール型の原子炉を建造いたしているわけであります。これはもっぱら、と申しますか、ほとんど原子力船の遮蔽の研究をやりますことを第一義の目的といたしております。したがいまして、いろいろな意味におきまして、原子力研究所がこの計画には当然参画するという形になりますのですが、しかしながら、原子力研究所がこの船を作るというような意味ではございません。
○矢山有作君 これはどなたから御答弁いただいていいのかちょっとわからぬのですが、まあ申し上げますから一番適当な方から御答弁いただきたいと思います。 ちょうど九月十一日、十二日に私も東海村に行ったのですが、原子力直接の問題ではなく、そのときに地元から陳情を受け、さらに将来の原子力研究のためにこれは考えなければならぬことだなという感じがいたしましたので、そのことをひとつお聞きしたいと思います。 東海村には、もちろん御承知のように原子力の研究所がありますし、それから原燃公社もありますし、さらに日本原子力発電会社の東海村の発電所も現在建設中でありますし、さらに聞くところによりますと、今後民間の原子力産業施設もあのあたりにできるのじゃないか、こういう話も聞いておりますが、そうしますとあの地帯の周辺——原子力施設の周辺を整備するということが必要なんじゃないか。特に安全性の問題、さらにあの付近に工場が作られていく、あるいは人口がふえていく、そういうことに関連いたしましてそういった問題が出て参ります。地元の方からもそういう陳情が多かったわけですが、それに対して何か最近原子力産業新聞というものを見てみますと、原子力委員会のほうで原子力施設地帯整備の専門部会ができたというような話を聞いておりますが、それは事実ですか。また、ここで実際にこの地帯整備の作業をやっていかれるわけですか。
○説明員(島村武久君) 原子力産業新聞に載っておりますとおりが事実かどうかといいますと、今お尋ねになりました範囲では事実でございます。原子力委員会にもっぱらと申しますか、差しあたり茨城県の現在ございます原子力研究所の施設を中心といたしました周辺地帯をいかに整備すべきかということを検討いたしますための専門部会を作ることを原子力委員会は決定いたしておりまして、来月二日、あさってでございます。第一回の会合を催すことにいたしております。
○矢山有作君 その周辺地帯の整備をやるということになって参りますと、これは非常に国際的な関連が出てくるわけですが、むずかしい問題があそこに一つあると思います。それはこの原子力研究所の敷地に隣接してある水戸のアメリカ軍の射爆場の問題でありますが、この問題についても地元のほうからいろいろ話を聞いてみますと、これまでにこれを返還しろという要望があり、運動もかなりなされておるようですが、これの現在の状態なり、それから当局のほうのこれに対する考え方なり、それをちょっとお聞きしたいのですが……。
○説明員(島村武久君) 科学技術庁といたしましては、地元の方々が言っておられるのと全く同じ意見でございます。少なくとも事実の問題といたしまして、実は原子力研究所その他の施設ができます前から、あの演習場はあったわけでございます。あとから原子力施設ができたわけなんでございます。しかし、とにかく動かすことのできない事実といたしまして、あれだけの原子力地帯ができ上がっているわけでございますが、そのすぐ近くに射爆場があるというようなことは、非常に遺憾でございます。早くこれをやめてもらいたいということにつきましては、私ども全く地元と同じ考えを持っております。したがいまして、歴代長官もその返還の問題については努力いたして今日に至っておるわけであります。東京ではもちろんのことでございますけれども、アメリカに直接参りまして、向こうに訴え、要請するというようなこともいたして参りました。アメリカ側も現在のところでは、代替地があれば返還に応ずる、その代替地についての条件等も十分御相談に乗り得る——今のままというような意味でなくて、乗り得るというようなところまでは来ておりまして、政府部内におきましてはこの仕事は調達庁になるわけでございますので、御努力願っております。私もときどき長官に会ったりして、促進の要望を鋭意やっておるというふうなところであります。残念ながら今日どこにどうというところまで結論を得るに至っていないという状況でございます。
○矢山有作君 これは向こうのほうは返還するのに代替地を要求しているという話ですが、実際問題として、あそこが日本の原子力センターになっていく、その過程であんなに近接して射爆場があるということが、今までの事故の状態から見ても非常にこれは問題になっているところだということはわかりきっているのです。それだけに返還要求をやっておられるのでしょうが、代替地を要求されて、実際問題として代替に応じて、じゃうちのほうを射爆場にして下さいというような所が、日本全国を探してありそうな気がいたしますか。
○説明員(島村武久君) ちょっと原子力と、専門のほうが話が違って参りましたので、私から申し上げるのもどうかと思いますけれども、個人的に申しまして、なかなかそれはむずかしい問題だと思います。また、それなるがゆえに強く叫ばれながら今日いまだに解決していないのじゃないか、そういうふうに思うわけでございます。したがいまして私どもとしては、そういうことのあるなしにかかわらず、とにかくのいてもらう、なくなるということを願望をいたしておるわけでございますけれども、その返還の問題自体は、これはもうすでに原子力局の問題ではありませんので、私のほうは地元と一体になりまして、あくまでその早期実現を目指して訴えて参るということが仕事だと考えておるわけでございます。
○矢山有作君 全くおっしゃるとおりだと思うのです。これは一事務局の問題でなしに、政治的な問題でして、これは今までのように、ただ米軍に言って返してほしいというような、なまぬるい交渉じゃ向こうも返しっこないと思うのです。返しっこない証拠に、代替地を要求しているわけで、代替地を要求されて、そうですかと言って引き下がりおるのでは、これは政治折衝にはならぬわけです。大体、射爆場にしてくれというて待ち望んでいるような所は、日本全土探してもないだろうと思いますので、これは明らかに政治的な問題になりますので、この問題についてはきょうはもうこれで打り切りまして、長官に今度出ていただいたときに、しっかりした長官の腹組みというものをお聞きしたいし、さらに長官も、その御答弁をいただくときにはそれぞれ内閣としてこの射爆場返還の問題をどう取り扱うのかという腹をしっかりきめて今度出ていただきたいと思うのです。これは原子力研究にとって、こんな不適当なものがすぐ近くにあるというのは、日本の原子力研究には大きなじゃまになりますから、その点をひとつ申し上げて私の質問を終わらしていただきます。
○委員長(田上松衞君) この際、ちょっと付言しておきたいと思うのですが、実は今、矢山委員から質疑された事柄について、ことさらにきょうの報告書を用意しなかったわけですけれども、茨城県当局から、あるいは直接関係する地元の町村等から、今お話しのあった要点に触れての陳情があったわけであります。矢山委員の御発言の内容は、御要求どおりよくわかっておるわけですが、この事柄については、まだこまかに自民党さんのほうにもお伝えしてない点もございまするので、後刻これが取り扱いについてはいろいろ適当な方法をもって御協議して、しかるべく目的達成のためにひとつ努力してみたい、こう考えておりまするので、お含み願いたいと思います。
○矢山有作君 この問題は、やっぱり科学技術の特別委員会としても、委員会としてやっぱり取り上げるようにしていただきたいと思います。
○委員長(田上松衞君) そういう機会を持ちたいと思います。御了承いただきます。 ほかに御発言はございませんか。——別に御発言もないようでごさいますから、日本原子力研究所に関する件はこの程度にとどめておきたいと考えます。 繰り返すようですが、今後必要な場合には適当な方法をもってまた再質疑等を行なう機会を持ちたいと考えております。 なお、この際、原子力の当局の方に申し上げておきたいと思うのですが、かような調査報告をされることはまことにけっこうです。ですけれども、露骨に申し上げまして、委員会の席上でこれを配付になりますると、お互いが勉強に苦しむわけなんで、できることならば少し早く……。これは拝見いたしますると、「総論の要旨」の中に書いてありまするが、九月にすでにでき上がっておるようです。もう少し委員会開会の前に——私のほうのいろんな打ち合わせにもこれは落度がありましたけれども、今後そういう方面に御留意をいただいて、非常に皆さんがた出される点等について予備知識を持つようにひとつ御配慮いただきたい。要望を申し上げておきます。 ——————————
○委員長(田上松衞君) 最後の案件に移りたいと思うのですが、科学技術庁から九月の二十八日科学技術の動向調査報告書が発表されましたので、その概要の説明を聴取いたしたいと思います。 杉本計画局長からお願いいたします。
○説明員(杉本正雄君) お手元にガリ版の印刷で科学技術の動向というのを御配付申し上げております。ただいま御注意がございましたように、お手元にお配りするのがおくれましたことは申しわけありません。もうじきミスプリントなんかの直りましたのができますので、できましたら……。 本日は、この概要につきまして、簡単に申し上げさしていただきたいと思います。この動向調査報告書は、一般に科学技術白書と称せられるものでございまして、三十三年第一回が出されまして、ただいままで四年間ほどおきまして、今回が第二回目でございます。したがいまして、その間の科学技術の動向を調査いたしまして、大体第一回の調査の方式を踏襲いたしまして、今回取りまとめまして報告したわけでございます。 内容を申し上げますと、総論と各論に分かれております。総論では全般的に科学技術の動向に関しまして調査分析をいたしました。各論のほうは、各分野にわたりまして大体十九の分野につきまして、たとえば新しい科学の原子力の利用の分野、または機械工学とか農林技術というような専門の各分野に分けまして、各分野におきます科学技術の四年間の動向を調査分析したものであります。 それで、お手元にございます薄いほうの科学技術の動向調査報告要旨というのがございますが、これは総論の要旨でございます。ただいま申し上げました総論の内容の概要を取りまとめたものでございます。総論のほうは内容を第一部、第二部、第三部と三つに分けております。第一部では、科学技術の実態がどういうふうに移り変わっているかというようなことを書いたものでございまして、調査したものでございます。第二部は、科学技術の発展の基盤になります研究投資、人材養成というような問題を取り上げたわけでございます。それから第三部は、最近の科学技術の進歩が一般の産業社会、特に国民の生活というようなものに滲透している様相を書いたものでございます。 総論の第一部の科学技術の一般動向ということが、白書の、調査報告の出発点になるわけでございますが、この科学技術の一般動向を見ますのに、いろいろな観点がございますが、ここでは四つの点を取り上げてみたわけでございます。 それで、その四つと申しますのは、第一に「科学と技術の結び付きの強化」というような言葉で表現したわけでございます。申し上げるまでもなく最近の科学技術の進歩は、非常に基礎の面から産業まで急速に結びついている。別な言葉で申しますと、基礎分野の科学技術の進歩と技術分野の進歩とをわれわれが意識して結びつけまして、そうして新しい科学または新しい技術の分野を開拓し、それが非常に時間的にも早く、ある場合には新しい産業として実を結んで参るというようなことを、「科学と技術の結び付きの強化」というような言葉で言い表わしております。そういうようなところから、最近の科学技術の動向を、若干の例を加えまして調査しましたものでございます。この点からは、基礎科学の面はもちろんでございますが、一般にいわれます基礎研究ということが重要な問題になってくるということがいわれるわけでございます。 次の見方といたしまして、科学技術の一般動向をまた別の面から見ますと、「総合化」というような言葉でとらえてみたわけでございますが、この総合化の傾向と申しましても、いろいろ見方がございますけれども、主としてこの調査報告で強調しておりますのは、最近特に防災関係の問題、または産業公害の問題というような、科学技術の面で重要な分野の解決に際しましても、それから特に原子力とか宇宙の平和利用というような新しい分野におきまして、それから従来の一般の産業技術の面におきまして、従来ばらばらに異なりました分野で発展して参りました科学技術が総合化して、総合的に当たりませんと解決がつきません問題を中心といたしました分野が特に出て参っている。たとえば防災にいたしましても、気象学から地震学というような、サイエンスの面から土木建築とか治山治水というような面、実際の産業技術と申しますか、そういう面までが一応の水準に発達し、しかも、それらが有機的に総合化して解決しなければならない科学技術の分野でございまして、そういう分野を防災科学技術と名づけるといたしますと、防災科学技術というのは、非常にたくさんの科学技術の分野の総合化によって初めて可能になるものというふうな考えを持っております。そういうような意味の総合化というような点から、科学技術の一般動向をとらえたわけでございます。この点からは、一般の科学技術の水準を全体的に高くしなければならないというような問題と同時に、各分野の科学技術が多角的に結びつく、結局共同研究、研究者の交流というような問題が考えられるわけでございます。 それから第三の観点といたしまして、国際協力の問題を取り上げたわけでございます。これは最近宇宙とか原子力とか申しますような新しい分野で特に注目されます分野を初めといたしまして、地球物理学と申しますか、たとえばインド洋の観測とか南極の観測というような分野におきまして国際的な協力研究または研究開発という面が逐次活発になってきております。日本もそういうふうな共同研究の一員として活動が次第に活発になって参っているわけでございます。これに関しましても、その体制が必ずしも現在まだ十分とは考えられません。そういう体制問題もあるわけでございます。 それから、第一部で考えました最後の第四番目の問題といたしましては、「技術貿易」というような表題を考えたのでございまして、これは外国技術の導入ということが最近特に貿易自由化を控えまして活発になってきております。これに関しまして、先進国と違います点は、技術の輸出、日本独自の技術を外国に出すというようなことが次第にまあ多くなって参っておりますが、絶対数におきましては非常に少ない。技術導入額に比べまして技術輸出額はきわめて僅少なパーセンテージになっておる。この点につきまして、ますます国産技術の開発と申しますか、投資による技術の開発がこの際必要である。 科学と技術の結びつきの強化、総合化傾向の発展、国際協力の拡大、技術貿易の活発化という四つの観点から一般の動向というものを調査いたしまして、若干の問題点を提供しておるわけであります。 第二部は、科学技術発展の基盤ということでございまして、研究活動の問題と人材養成、情報活動の問題、並びに過去四年間にとりました行政制度と申しますか、いろいろな科学技術関係の行政体制並びに制度関係の変革を歴史的に述べて、研究活動の点を、特にページ数がたくさん取っておると存じますが、日本の研究投資は非常に額の上から高まって参りまして、たとえば昭和三十五年度を例にあげますと、千八百億をこえておるわけであります。特徴はこの委員会でも御指摘になったと存じますが、民間が非常に伸びておるのでありまして、欧米の諸国に比べまして絶対値はもちろん低いのでございますが、研究投資に対します国の出しますパーセンテージが欧米諸国に比べまして非常に少ないというようなことを問題として提起しております。まあこのためには先ほど述べました科学技術の一般動向ということも考えまして、研究機関の刷新充実、共同研究体制の確立というようなことを講じますと同時に、国といたしまして研究投資の面でさらに十分な考慮を払う必要があるのではないかというようなことが書いてあるわけでございます。 それから、次いで人材養成の問題、それから情報活動の問題、最後に行政関係の体制の変革に関しましては、科学技術会議の設置とかまたは民間の鉱工業技術研究組合制度の確立とかいうような、四年間に起こりましたことに対する諸政策の実際化の状態を歴史的に考えました。まだこれが十分動いているとはいえない面がございます。たとえば、研究組合制度のごときはまだ活発なほうでございますが、まだ歴史的に新しいのでございます。必ずしも現在満足すべき状態であるとはいえないのではないかというようなことを考えます。 第三部は、先ほど申し上げましたように、現代の社会に科学技術の発展がどういうような役割を及ぼしておるかということを、事例をあげまして述べたのでございます。 これが大体総論の要旨でございまして、各論のほうはこれらの分野につきまして専門的な各分野の動向を一般的な観点に従いまして調査分析したものでございます。 非常に簡単でございまして、また、前もつてプリントをお届け申し上げませんで恐縮に存じます。これで終わりたいと存じます。
○委員長(田上松衞君) どうでしょう、きょうは大体概要の説明をお聞きしただけにとどめておきまして、次の機会に十分この配付された資料に基づいて御検討願いまして、質疑していただくということにいたしたらどうかと思いますが……。
○小林武君 この次は長官は出られるわけですか。
○委員長(田上松衞君) そうした手配をいたしたいと思います。 ちょっと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(田上松衞君) 速記を始めて下さい。 自余の問題については次の機会に譲ることにいたしまして、本日はこれで散会いたします。 午後四時散会