運輸委員会 第4号
- 発言数
- 85 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1962/08/28
会議録
○委員長(金丸冨夫君) ただいまから委員会を開会いたします。 前回に引き続きまして、運輸事情等に関する調査を議題といたします。 質疑の通告がございましたので、順次発言を許します。相澤君。
○相澤重明君 私は、この際、運輸大臣に自動車行政の点につきまして、一、二お尋ねいたしたいと思うですが、先々の運輸大臣の楢橋さんのときから、自動車の需給関係におきまして、個人タクシーを認可をいただいたのでありますが、今後も、個人タクシーの点については、認可を継続するお考えかどうか、この点を一点承っておきたいと思います。 それから、二点目といたしましては、交通規制が行なわれたのでありますが、特に都内乗り入れということでトラック等の規制が行なわれておるのでありますが、これが非常に産業上問題になっておるところがあるわけですが、こういう点について、今後、運輸省としては、関係当局と話をして、どういうふうに進める考えでおるのか、この点を第二としてお尋ねしたいと思います。 第三点の問題は、自動車生産というものが歴年増加をいたしておるわけでありますが、貿易自由化が本年十月以降九〇%以上進むということになりますと、この自動車生産に対する国内関係事業に対しても相当な問題を提供するわけでありますが、特に交通関係の中でも自動車の持つ影響というものは今非常に大きいと思うのであります。したがって、これらのいわゆる需給調整と申し上げますか、今後の貿易自由化に備えて一体どうすればいいのかという点は、これは自動車行政の上からも、それから他の通産当局との貿易関係の面からも、きわめて重要な問題でありますので、ひとつ運輸大臣に、これは国務大臣としてお答え願っておきたいと思う。 それから第四点は、この自動車関係が非常に増加をするに伴いまして、石油の消費量が非常に多くなると思うのであります。これに対して、今後ガソリン税等の問題は、きわめて運輸省としても関係業界に対する影響が大であると思いますので、そういう点で、値上げとか、あるいは値下げとか、いろいろものの言い方はあると思うのですが、そういう点について、政府としてはどういうふうにお考えになっておるか。 以上大体四点を、とりあえずお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(綾部健太郎君) 個人タクシーにつきましては、世上いろいろな問題があるやに聞いておるので、私といたしましては、慎重に考慮の上、決したいと思います。 次の問題は、交通規制でございますが、大都市の自動車の交通問題は、最近非常な問題になっておることは、御承知のとおりでございます。そこで、まず緊急対策としては、すでに実施しています車種別の交通規制の実施徹底をはかるほか、路上の駐車を禁止し、またこれを促進する自動車の車庫の保有の義務の励行をはかりたいと考えております。その他路外駐車場、ターミナル整備をもはかる必要があります。また、路線トラック、バス事業につきましては、都市内に出入りする時間の調整と、それから迂回等、路線変更等につき行政指導を強化して参りたいと考えております。交通の円滑化をはかることが目的で、さようにいたすのであります。ターミナルにつきましても、交通混雑緩和に資するために、その設置について準備に取りかかっております。それからさらに、恒久対策といたしましては、道路の整備は申すに及ばず、都市の分散とか、住宅問題とか、単に直接自動車対策だけでは解決できない問題がたくさんありますから、これらは関係各省に相談をして進めていきたいと思います。これにつきましては、過般内閣に設置されましたる交通基本問題調査会等におきまして、調査審議をいたしております。この答申を待って、恒久策の具体化措置を検討実施いたしたいと考えております。 第三番目の、自動車の生産をどういうふうに——国産車の生産が非常にふえるが、これはどういうふうに今後調整するかということは、私としては、自由化に伴いまして、国内の自動車生産というものは、非常な私は影響を受けると思う。それで、質をよくして安くすることに努力しなければ、海外との競争にたえ得ないような状態になるからして、通産省もおそらくは同様の考えであると思いますが、いわゆる経営合理化であるとか、あるいは科学の進歩に応ずる機能の改善等々によりまして、この自由化に対する荒波に対抗していくようなことを、行政指導としては指導して、そうしてこの産業の育成に努めなければならぬと考えております。 第四点のガソリン税は、これはまだ、世界に比しまして、日本のガソリン税は高いほうではありません。これも需給関係を考えまして、そうして供給現地の問題等々もございまして、にわかに上げるとも、上げないとも、お答えするのはいかがかと考えて、差し控えさしていただきたいと思います。
○相澤重明君 第一の個人タクシーの問題でありますが、まあ検討される、こういうことでありますが、この点については、自動車局長のほうから、少し具体的に御説明いただきたいのですが、現在までの個人タクシーの認可をされておったものは、どういう行政指導をされて、そしていわゆる健全な経営ができるかということについての指導をされておるか、こういう点をひとつお尋ねしたいわけでございます。 それから、今後は、今の大臣の答弁によりますと、御研究をされておるようでありますが、他のいわゆる一般会社との関係において、年内に、規制の行なわれている都内はもちろんでありますが、全国的にも非常に希望者は多いと私は判断いたしておるのでありますが、そういう点について、年内に増車あるいは新免を行なう考えでおるのかどうかですね、そういう需給の問題に関連しますから、この二点についてお尋ねしたいと思います。
○政府委員(木村睦男君) 個人タクシーの経営に対しますいかなる指導をしておるかというお話でございますが、まずその前に、個人タクシーが認められましてからすでにほぼ三年になるわけでございます。非常に新しい制度として、世間の評判も非常によろしいのでございます。しかし、何と申しましても、一人で一両の車を持って毎日働くわけでございますので、労働時間その他においても、本人の健康あるいは事故防止の見地からかなりな制約があるわけでございます。で、その制約に基づきまして、したがって収入もそれだけ低いということも事実でございます。もともと個人タクシーを認めました趣旨が、運転者の経歴をずっと踏んで参りまして、相当ないい年になり、営業車の運転をしておりますれば、そろそろ年令で車からおりなくちゃならぬ。第二の転身を考えなくちゃいけない。また、営業車でなくても、腕一本で運転を覚えてやってきて、いい年になってきて、さてこれからさらに転向しようとしても、ほかに経験がないからやれないというふうな人に、希望を与え、同時に、老後とまでいかない年令ではございますが、後半生の安定の一つの方法として、一両持つ個人タクシーというものを認めたわけでございます。したがいまして、一応家庭的にも安定をいたしておりまして、ただゆっくりとハンドルを握って一家をささえればよろしいというふうな前提で考えておりますので、こういった一人一両の限られた労働時間によりまして計算をしてみましても、現状ではそういった生活がほぼ保障できるというふうな一カ月の収入状況でございます。ただ、いずれも個人でやっているわけでございますので、いろんな面におきまして、経営の合理化等、そういった問題について、個人々々の力ではどうにもならないことがあるわけであります。そういう点につきましては、協同組合的なものを組織いたしまして、共同の力において、たとえば燃料を共同購入するとか、あるいは修理の場合に一括して修理をするとか、いろいろそういうふうな、会社でいえば経営合理化の方途が講じられるわけでございますので、われわれといたしましては、そういった協同組合の結成、事業団体の結成ということを強く要望もし、指導もいたしておるのでありまして、東京都内におきましても、あるいは一警察署管内の単位、あるいは一つの区単位に、いろいろそういった個人タクシーの組合ができ、さらに東京全体の連合会もできておりますし、さらには全国的な連合会もできておる。こういうふうな団体結成の指導によりまして、経営に合理化を与えるというふうにいたしたい、かように考えております。 それから、その次の御質問でございますが、将来タクシーの増強、増車、これをどういうふうに考えておるかというお話でございますが、最近の経済の状況、あるいは特に大都市におきます交通の混雑、そういうことが原因となりまして、最近のハイヤー、タクシー業界は、必ずしも事業成績が向上の一途をたどっておるというわけには参っておりません。しかし、一般利用者の側から見ますというと、まだタクシーの輸送力の足らないという地域も各地にあるのが実情でございます。これらにつきましては、それぞれその地域におきまして、需要供給の実態を調査いたしまして、それに基づきまして、免許の申請がありますれば、申請者の処理につきましては、必要なところはこれを増強措置をするというふうに、各陸運局長に指示をいたしております。必ずしも、全国一律に絶対車をふやせとか、ふやしちゃいけないとかいうふうな指導はいたしておりません。それぞれ実情が違いますので、実情に合うように指導いたしております。ただ、最近特にその点で注意しなければならないことは、これも大都会に特にその現象が多いんでございますが、運転手の不足が非常に目立っております。したがいまして、車をふやさんがために無理に運転手を雇う、あるいは日雇い的な運転手、これは法人等では一定の制限があるわけでございますが、その制限内におきましても、日雇い運転手を多くかかえるということは、やはりサービスあるいは事故防止の点においても欠くるところが出て参りますので、運転手の使用状況等も大いにしんしゃくいたしまして、具体的な申請事案について善処するように指示いたしております。なお、各陸運局の所在地、あるいはそのほか数都市につきましては、現在まで自動車運送協議会という陸運局長の諮問機関に輸送力の増強につきましては諮問をいたしまして、その答申を尊重して措置を講ずるようになっておる地域も相当ございます。東京都内もその一例でございますが、そういうところでは、自動車運送協議会の答申に従いまして増強措置等を講ずる、こういうふうなやり方をやっておるのが実情でございます。
○相澤重明君 個人タクシーの問題についての行政指導はわかりました。そこで、これは免許をとるときには、何といってもある程度きびしい条件が付されても免許をとりたい、これはやっぱり本質的な問題だと思うんですね。けれども、やはり一たんとってしまえば、今言った経営ができなければ困るわけでありますが、特に個人タクシーの場合、どうもその人にのみ与えられた権限でありますが、どうもこれでは病気になったときには困るとか、あるいは一日の走行キロがどうも少な過ぎるとかいうようなことが、ずいぶん意見が出ておるのであります。そういう点については検討をされておるのかどうか、こういう点をひとつお答えをいただきたいと思います。 それから二つ目の問題で、今、東京都内のような場合には審議会の答申を待って増車等をきめる、こういうことでありますが、これは全国的に、もちろん、局長のお話のように、それぞれ規制をされておるところと、されておらないところがあるわけですが、まず第一にお尋ねしたいのは、オリンピックを目前に控えまして、都内の道路も、一部都電もはずして、そうして道路を拡幅、整備をするということまで進んでおるわけでありますが、現在の駅待ちの自動車というものは、たいへん評判が私はいいと思うんです。これは、旅客のサービスにたいへんよいことだ、こう思っております。私も新橋から毎日乗るんでありますが、この点は非常に行政指導がよかったと思う。けれども、あれだけでは、オリンピックを迎えて一体どうなるだろうという若干のやはり心配もあるわけですね。他面、道路が整備されれば、さらに需要というものは増してくるだろう、こう考えるので、都内の場合に、一体今の審議会に対する御当局の見解はどうなのか、これが一つ。それから、規制をされておらない、たとえば神奈川県のような場合には、今の東京陸運局長の監督下に置かれるわけでありますが、これはこの地域の需給調整という問題で今後も処置をされるのかどうか。この二点についてお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(木村睦男君) 個人タクシーの問題につきましてのお答えでございますが、お話のように、個人タクシーはその人自身を対象にして認めておるのでございまして、したがいまして、その人、つまり属人的な考えで認めておるわけであります。したがいまして、本人が病気あるいは一身上の都合で働けないというときには、当然休まなければならないわけでございます。そこで、問題になっておりますのは、本人がいろいろな都合でかせぎに出られないときに、身がわりの運転手をもってこれに充てることを認めてほしいという問題が一つございます。また、病気等になりまして、再起の見込みがないとき、これを適当な人が譲ってくれという場合には、譲渡を認めてほしいという問題が一つございます。それからさらに、病気等でなくなりました場合に、一身専属の一つの権利、利権でございますので、これをその相続を認めてほしい。この三つの問題が実はあるわけでございます。 身がわり運転手の問題につきましては、個人タクシー制度を認めました当初の趣旨からいいまして、本人が車を持って運転に従事するということに重点を置いて免許の当時審査をいたして参っておりますので、これに身がわりの者を充てて代役を勤めさすということになりますと、この制度を認めた趣旨といささか離れてくるという結果になるわけでございます。理屈はさようでございますが、しかし、明瞭に十日なら十日ぐらいでなおるかぜを引いて休んだという場合に、たちまち、一家の支柱である運転者が休みますと、それだけ収入にこたえるわけでございます。理屈は理屈でございますが、まあ行政にも涙があるというふうな考え方から、期限を限りまして身がわりの運転者を認める。ただし、身がわりとなるべき運転者の資格も、本人が個人タクシーの申請をすれば十分その免許がもらえるにふさわしいだけの資格を持っておる人でなければならないということで、身がわりの場合の審査をいたしてこれを認めております。ただ、身がわりでありますというと、やはり雇い人でございます。上がった水揚げが全部その間病気で寝ておるほんとうの運転手の収入にならないわけでございます。なかなか収入の面からいいますと、そう身がわりそのものがいいとは限りませんが、多少のまあ収入があるということで、それを欲する人は、今のような条件のもとで認めております。 それから、この個人タクシーを、やむを得ぬ事情が起きて他に譲りたい、また譲り受けたいという問題と、それから本人が死んだ場合に、たとえば長男がこれを相続して、幸い運転の免許を持っておるからやりたいというふうな問題につきましては、やはりこれも、個人タクシーを認めました趣旨からいいまして、かなり相隔たる考え方になりますので、この問題につきましては、目下私のほうで慎重に検討をいたしております。いずれ上司の御了承を得まして、適切な結論を出したいとは考えておりますが、目下検討中でございます。 それからその次は、東京都内ハイヤー、タクシーの輸送力の増強に関しまして、自動車運送協議会の答申によってこの措置をいたして参っておりますが、現状はどうなっておるかという御質問でございます。実は、東京につきましては、昨年増強をいたしまして、今日に至っておるわけでございますが、昨年増強をいたしました結果、東京都内のまず車の両数を申し上げますと、二万一千三百八両になっております。このうち、法人の車が一万九千八十一両、個人タクシーが二千二百二十七両、これが現在の東京二十三区内におきますハイヤー、タクシーの輸送力の全体でございますが、こういうふうな結果になりましたその後の状況を見てみますというと、一番顕著に現われましたのは、先ほども触れましたが、運転手が非常に足りなくなってきた。この点について、目下詳細な数字は調べておりますが、ことしの五月に一応東京の乗用協会で調べました報告によりますというと、この約二万両の車につきまして、運転手の数が四万三千人くらい要るわけでございます。で、当時、つまりことしの五月では、この四万三千人ほど必要な要員の中で、不足しておりますのが二千八百人ぐらいでございます。最近だいぶ充足されまして、この数は減っておるように聞いておりますが、確実な数字はまだつかんでおりません。そういう状況でございます。 それから、ことしの四月に思い切った交通規制が行なわれたわけでございますが、それにいたしましても、都内の交通の混雑がますます激しくなってきておりますために、ハイヤー、タクシーのかせぎ高といいますか、それも昨年に比べまして少し下回っておるというふうな状況でございます。しかし、一方利用者の側から考えてみますというと、混雑すればするほどハイヤー、タクシーを利用することが多い。したがって、現在のハイヤー、タクシーではまだなかなか拾えないというふうな実情も反面出て参っております。そこで、ことしの春、東京陸運局長は、自動車運送協議会に対しまして、東京都内のハイヤー、タクシーの輸送力の増強はいかに考えるべきであるかという諮問をしたのでありますが、何分にも運転手の不足の状況がひどいために、交通混雑の緩和の状況と運転手の充足の状況をいましばらく見たらどうであろうかという答えをもらっております。現在そういう状況で、その推移を見守っておるわけでございますが、また適当なときには、そういう問題につきまして協議会の意見を陸運局長として聞くようになろうかと思いますが、これが現状でございます。 それから、そのほかの各地におきましては、特に東京周辺、あるいは神奈川周辺におきましては、自動車運送協議会の答申によって輸送力の増強措置をいたすという方法をとらないで、陸運局長が実態を調べまして、必要のつど増車の措置を講ずるという方法をとって参っております。ただ、事務処理上、引き続き申請がございますので、たとえば三カ月なりあるいは四カ月の期間に出ました申請を一応取りまとめまして、そうして審査をいたしまして、増強の必要がある両数だけ審査の結果許認可を決定するというふうな措置を講じて参っております。
○相澤重明君 そこで、私は、この今の規制外の都道府県における扱いでありますが、特にその中で、政府の中で駐留軍の離職者対策委員会が持たれたのでありますが、いわゆるこの離職者に技術を生かさせるということで、従来も積極的に、自動車等の申請があった場合には、これを許認可して参ったわけでありますが、まあ具体的に、私の地元としては、横須賀のみかさ交通が申請を出しておるわけでありますが、今の局長の答弁を聞いておると、新たに申請をした事案についても、そのつど審査をしないで、三、四カ月まとめてやる、こういうことは、行政上の能力が足りないから、そういうふうにまとめてやるのか、めんどうくさいからそういうふうにするのか、それとも、今のいわゆる行政指導上、まあそこまで困っておらない、したがって十分関係の面を審査をする時間が必要であるからまとめてやるのだ、こういうことなのか、その点いま一度ひとつ御答弁いただきたい。
○政府委員(木村睦男君) お話の横須賀市等につきましても、やはり、先ほど申し上げましたように、三カ月なり四カ月の期間をまとめてやっておりますが、めんどうくさくてそうやっておるのじゃございませんで、やはり、輸送力の需要供給等の算定にいたしましても、きょうどうであろうか、あるいはあすになったらどうかというふうなことではなしに、少なくとも半年なりあるいは一年という一定の期間の見通しを立てて需給の状況を調べまして、そうして処置をするというふうにしておりますが、したがいまして、事務の処理の能率化からも考えますと同時に、需給の算定をそういうふうな考え方でやっておりますで、きょう一つの申請があったのをきょう処理し、あす一つの申請があったのをあす処理するというよりも、ややある期間——あまりその期間が長くてはまた処理がおくれますが、三カ月なり四カ月まとめてやると、ちょうど手ごろに調査その他もできますし、それから処理につきましても、非常にうまく円滑に処理できるというふうに、過去の経験からしてなっておりますので、そういうふうな方法をとっているわけでございます。
○相澤重明君 これは、申請者の気持に立てば、できるだけ早く事案を審査をして許認可を与えるというのが、私は行政上のサービスだと思うのです。だからといって、何もきょう出したものとあす出したものを別々にやれというわけでもないけれども、やはり行政上の建前でいえば、できるだけやはり事案を早く処理をする、こういうことが必要だと思う。従来私どもが本委員会でいつも政府の答弁を聞いておると、できるだけ、現地調査が終わり、あるいは聴聞会、審査等が終わった場合には、一カ月ないし二カ月ぐらいで処理のできるようにすべきであると私は思う。そういう点について、特別に綾部運輸大臣になってから考え方を変えるかどうか、こういう点もひとつ聞いておきたいと思うのです。 それからいま一つは、年末年始の輸送繁忙に対して、当然処置をしなければならぬと思うので、それらはやはり十月ないし十一月にはそれらの見通しを立って需給をはかる考えなのか。こういう中間的な申請事案に対する問題と、毎年当然考えられる年末年始の需給問題という、二つの点についてお答えをいただきたいと思うのです。
○国務大臣(綾部健太郎君) 相澤委員のお説ごもっともで、私は、就任に際しまして、そのあいさつの中に、自分が全責任を持つから、巧遅より拙速を尊んで、正しいと思うことは、大衆の便宜になるように、巧遅より拙速で、正義感に訴えて正しくやれということを指示しております。その趣旨に立って私は今後やっていくものと確信しております。
○政府委員(木村睦男君) 処理の促進につきましては、われわれといたしましても、平素からそれに心がけておるわけでございますが、ただいま大臣から申し上げましたように、さらに今後促進をはかるべく努力をいたしたい、かように決意をいたしております。 それから、年末年始の繁忙期を控えて、どういうふうに考えるかという御質問でございます。過去のやり方を一応申し上げますと、年間通じましていろいろ申請が出てきております。陸運局長といたしまして、その地域におきます輸送力の算定を一応やりまして、将来に向かってある程度の増車が必要であるというふうな判断をいたしまして、しかして、目先に年末年始を控えておるという場合には、年末年始のふくれ方をも考慮いたしまして、それらの申請を処理いたし、本免あるいは増車等の措置を講じて、年末に間に合わせるようにいたしております。それから、平素の輸送の関係からいいまして、それほど恒久的な増強をする必要がない、しかし年末年始だけはずっとふくれるので何とかしなければならないという場合には、特に事前に事業者に申し伝えまして、その期間の臨時増車という方法で年末年始対策をやらしております。もちろん、その場合には、その期間が過ぎますと、増強された車はまた減るわけでございます。そういうふうな二とおりの措置を、その土地土地の実情によって使い分けてやらしておるのであります。
○相澤重明君 わかりました。そういうふうに、ぜひ、大臣も局長もともにお答えになったように、ひとつやっていただきたいと思うのです。 それから、特に私からこれは要望しておきたいのは、先ほど申し上げました駐留軍離職者の申請事案については、これは離職者の問題でありますから、できるだけ早く事案を審査して、そうして許認可を決定すべきだ、こう私は思います。これは、特に木村局長はその道ではずいぶん苦労されておるし、経験済みでありますから、この点は特に要望しておきます。 そこで、ひとつ運輸大臣に——これは運輸大臣のお考えを聞いておくほうがいいと思うのですが、京浜間は非常に車が多いわけですね。やはり、車の整備というのが事故を減らすもとになる。運輸省も、従来、少ない予算をできるだけ多くとって、車検場等を——検査場を増設しておったのですが、現在の東京都内の陸運事務所、あるいは車検場、また神奈川県の陸運事務所等を見ますというと、私はこの京浜間でまだ少し少ないような気がする。できれば川崎あたりに一つ車検場を作ってもらいたいという気がする。しかも、東海道新幹線の建設が国鉄で促進されておるし、他面京浜第三道路も実現する状態にあるわけですね。そういう中で、自動車交通のますますひんぱん度というものは多くなる。そこで、現在の場合、神奈川県の場合は、横浜の根岸に陸運事務所を新たに設けて、車検場も併設しているわけですが、これはきわめて坪数が少ないので、とても現在のような多い車の中では非常に困難だと思う。 そこで、そういう点については、これはもちろん、この三十七年度の予算でやれということでなしに、特に私は、やはり三十八年度の新予算の編成期ですから、そういう中で、ひとつ基本的に考えてもらいたい。できれば三十七年度の中でやりくりができれば、土地購入費が出せれば、私は進めてもらいたいと、局長ひとつよく意見を聞いて善処してもらいたいと思うが、大臣のとりあえず御答弁をいただきたいと思う。
○国務大臣(綾部健太郎君) 御説のとおりに私も考えておりますから、御趣旨に沿うようひとつ善処いたしたいと考えております。
○大倉精一君 関連してひとつお伺いしたいのですが、特にタクシー行政についてお伺いいたします。この前からも、都市交通に関連したタクシー、トラックあるいは国鉄等の問題について質問をしておりますけれども、タクシー行政には、特に東京都内、あるいは大阪、神戸等におけるタクシー行政については、格段の配慮が必要だと思う。従来のとおりの考え方では、非常に困るのではないか。たとえば、駐車禁止区域をずっと広げるということは、いわゆる自家用車の都心に流入してくることに対して、間接的な制限になると思うのです。これに対して、何か運輸省のほうでは、禁止区域に対して流しを許可するという方法を——これも一つの方法かもしれませんが、せっかくそこに入ってくる乗用車を間接制限しようとする反面において、流しをどんどん流すということになったら、一体駐車禁止区域を作った意味はどうなるか、こういうことになる。そして、利用者の面からするならば、そこの区域に対するところのタクシーの利用には非常に不便を感ずるのですが、私はこういうことをやったらどうかという構想を持っておるので、お考えを承りたいと思うのですけれども、たとえばモーター・プールのようなものを適当な場所に作るなり、あるいはまたもよりのタクシー業者なんというところに、直通といいますか、連絡をするような電話、たとえば今赤電話が方々にありますが、そういうのを利用して、電話でもって、この電話はどこへかければいいのだという表示をしておけば、そこに電話すれば、タクシーが走ってきてお客を迎えに来る、こういうことも考えられるのではないかというような気もするのです。外国にもそういうような例があるような気がする。でありますから、私は、こういうタクシー行政についても、都市交通の対策と関連した行政のあり方を考えないと、非常にちぐはぐなものができるのじゃないかという気がするのです。でありますから、そういうようなことはお考えになる必要があるのじゃないかという気がするのですけれども、いかがですか。
○政府委員(木村睦男君) 大都市におきまして、駐車禁止の区域が拡大するにつきまして、庶民の足としての効用がますます高くなるハイヤー、タクシーの運営の形態につきまして、非常に参考になる御意見をいただいたわけでございますが、実は、われわれといたしましても、今後そういう事態に対して、どういうふうにハイヤー、タクシーの運行あるいは運営をやるかということを、いろいろ研究いたしております。御指摘の点は、われわれも考えております。さらに、これは道路管理者なりあるいは公安委員会とも十分相談しなければいけないと思っておりますが、道路の車道、歩道の境目の辺を特殊にとりまして、そこに五台なり、十台なり、タクシーだけを置くとか——タクシーベルトといってよろしいか、そういうふうなことで、要所要所にそういうふうなところをとる。あるいは、一部には流しをやる。あるいは、最近無線装置が非常に普及して参りました。これを活用して、いわゆる流しのタクシーと、それから車庫待ちのハイヤーと、両方のいい点を兼ね備えたような形態もやってみたい。いろいろそういう点を現在研究さしておるのでありますが、御指摘の点も十分参考にさしていただきまして、善処いたしたいと思います。
○大倉精一君 それに関連して、タクシーの免許についても今言及されましたけれども、免許についても、何か木村局長は新しい構想を持っておられるようですけれども、これは後ほどお伺いするとして、やはりタクシーなりあるいはバスなりというものを画期的に増強しなければ、都市交通の需要には応じ切れないと思うのです。これに対しましては、運転手の問題、さっき言いました運転手の問題は、タクシーばかりじゃありません、トラックの運転手、バスの運転手、ダンプカーの運転手、全体総合して対策を立てなければならぬと思う。現在の実情は、トラックの運転手はトラックの助手から運転手になる。三年なければタクシーの運転手になれませんから、ですからトラックでもって三年の経験を積んで、そして乗用車の資格をとる。とるというと、タクシーのほうに人が抜かれる。仕方ないから、トラックのほうはダンプカーのほうから引っこ抜く。ダンプカーは、インスタント運転手を入れて、事故を起こす。こういう悪循環が出てくる。これは前々から言っているのですが、この運転手対策は急を要すると思うが、どうも対策をお持ちにならぬようです。これは業者がやる、業者がやるということで、お持ちにならぬようですが、この運転手対策の基本的構想についてひとつ伺いたいと思います。
○政府委員(木村睦男君) 運転手不足に対する基本的な構想は、非常にむずかしい問題でございますが……。
○大倉精一君 増車の問題と関連して。
○政府委員(木村睦男君) 現在では、特に駐車禁止区域の拡大に伴います市民の足の確保の必要から、増車による輸送力の増強に関連する問題として、運転手の確保がさらに重要な問題になって参っております。従来とも、たびたび申し上げますように、事業者、協会等で、教習所のようなものを設けまして、育成をやらせておりますが、それと並んで運転手のほうも、需要供給の関係で集まる集まらぬがきまるわけでありまして、やはり労働条件、給与、それから労働の質といいますか、そういう点で免許をとりましても、自動車の運転をやるよりも、他のところに行ったほうが、労働も楽だし、給与もいいということになれば、どうしても集まってこないというので、いくらこういう教育機関を設けても、集まってこないというので、まずわれわれも、特にこれは、自動車運送事業者に対しては、運転者の労務管理の適切ということを要望もいたし、指導もいたしております。それから、給与についても、先般も申し上げましたように、固定給と歩合給の比率等がやはり運転手獲得難ということの一つの原因となっているとも考えられます。そういう点につきましては、事業者の指導、監督につきまして、十分現地機関を督励いたしまして指導いたしたいと、こう考えております。抜本的な方法といいますと、やはりその辺に主力を注ぐことが、目に見えない方法ですが、かなり効果があるように私は考えているのであります。なお、教習機関等もできるだけ拡充するよう、いろいろ努力をいたしたい、かように考えます。
○大倉精一君 これは非常に抽象的な答弁なんですが、特に自動車運転手の給与、賃金等については、具体的にはどうやって指導、監督しておられるのか、さらに実態をどういう方法によって把握されているか、それの具体的なやり方、実績等について御報告願いたい。 それから、私の今の質問の第一点は、都市交通の駐車禁止区域の拡大に伴うところのタクシー、バスの増車については格段の配慮をしなければならない、こういうことの用意があるかどうか、これの答えがないが、もう一度伺います。
○政府委員(木村睦男君) 労務管理の具体的な方法でございますが、運転者の実態調査を私どものほうでいたしております。全国の運転者、相当多数おりますが、それらにつきまして、かなり詳細な調査をいたしまして、それを集計し、その結果によりまして、いろいろ適切な指導の資料にいたしてやっております。それから事業者の監査のときには、特に給与の状況、あるいは休養施設、そういったものについての具体的な監査等をやらして、適切な勧告等をやることによって改善をはかっております。
○大倉精一君 最近やったのですか。
○政府委員(木村睦男君) これは、事業者の監査は、毎年計画を立ててやっております。最近では、抜き打ち的にやった場合もございますし、それから増車等の場合に関連いたしまして監査をやっております。それから、バスやハイ・タクの輸送力の増強でございますが、先般大倉先生から資料の御要求等がございましたので、きょう簡単なものをお配りしておりますが、まずバスについて申し上げますというと、ちょっとあとで見ていただきますが、これはちょっと資料として印刷できませんのですが、ちょっとごらん願いますが、いろんな色とりどりの線が入っております。これは、この地図に書いてあります範囲が、今度警視庁でやろうとしております東京における駐車禁止区域に大体相当しております。お堀ばた——宮城の前の馬場先門、和田倉門のあの線から、日比谷方面から昭和通りで囲んだ、大体そういう地域になるわけであります。その地域内におきます現在のバスの輸送力の状況でございます。この状況を見ますというと、この地域に入りますバスの効率はわりに高くございます。バスの効率を全国平均で見ますと三二、三%でございますが、この地域内に入ってきますバスの乗車の効率というものは四〇%こえておる場合がかなりありますし、それから四〇%前後という程度のものがあるわけでございます。かねがね効率を少しでも低くするために輸送力の増強をすべきである、かように考えておりますが、現在までのところは、特にこのバスの増強ということが、道路交通等の関係からなかなか困難であるというふうなことで、抑制されがちであったのでございますが、これから駐車禁止区域が広がるにつけまして需要がさらに強くなる、かように考えますので、公安委員会とも十分相談いたしまして、これが輸送力増強のための具体的な方法を、こういった資料に基づいて公安委員会と相談いたして増強いたしたい、かように考えております。 それから、タクシーにつきましても、同様でございまして、片方で運転者の不足その他相当つらい点もあるのでございますが、全体の輸送力の増強が非常に困難だということであれば、地域的に何か集中して集めることができる方法はないだろうか、そういうようなことも一つの課題として検討をいたしていくようなつもりでおります。
○大倉精一君 関連質問ですから、あまり多くやりませんが、今の答弁からいって、大衆の足の輸送力増強については、どうも積極性に欠けておると思うのですよ。もっとやはり、大衆の足の輸送力については、積極的に、むしろ画期的といってもよいほどの構想を持って対処されぬというと、私は東京都民の、人間の交通というものは、非常に渋滞をし、困難になるのではないかと思いますが、この点は特に御考慮願いたい。 それからもう一つ、個人タクシー等の免許についての言及がありましたが、これも当事者としては非常にむずかしいと思うのですけれども、免許基準を一体どこに置くのか。非常にむずかしいと思うのですよ。たとえば個人タクシーにしましても、大体資格のあるような者はずっと申請者の中に並んでおるわけです。数に制限があるから、その中から何名かを免許し、何名かを振り落とさなければならぬ。この基準をどこに置くのか。いつかも大臣おっしゃったように、抽せんでもしようかというような意見もあったのですけれども、実際問題として困るだろうと思うのですよ。たとえば自宅と車庫とが百メートル遠いとか、近いとか、こういうことで基準が合致するとか、条件が有利であるとか、有利でないとかいうようなことで免許をされておるわけですけれども、そこにいろんな不純なものが介在をして、免許行政が混乱をし、あるいは不明朗になる点もある。ですから、どういう点を一体免許基準にしておるのか。これは今あなたにお伺いをしても困難だろうかと思いますが、こういうような面について格段に改正をされるような御意向があるかどうか、その輪郭、構想だけを承っておきたいと思います。今のままでは私は免許行政というものは非常に困難であると思うが、いかがですか。
○政府委員(木村睦男君) タクシー——個人タクシーといわず、一般のタクシーの免許は、非常にお話のように苦労いたしております。ただ、免許の基準につきましては、従来とも法律の条文に基準がございまして、それをさらに実施いたします場合に、具体的にこまかく基準を作りまして、そしてそれぞれの基準に合う程度につきまして評定をいたし、そうして総合的に判断をいたしまして、優位なものから順次順番をつけて、そして二百必要であれば、二百のところで線を引くというふうにやっておるのでございます。もちろん、神ならぬ身の人間のやることでございますので、その評定その他について客観性を誤るということもあり得ますので、その点はできる限り不公平のないように、部下を督励して責任者がやっておるわけでございますが、おっしゃるとおりに、非常にむずかしいことは事実なのです。今後の考え方はどういう考え方かとおっしゃるわけでありますが、昨年からこういった問題につきまして、自動車審議会等の意見もいろいろたたきましてそういった審議会の答申等ももらいましたので、それらを十分検討いたしまして、今度の通常国会に道路運送法の改正を御審議いただくつもりで、準備をいたしておりますが、何と申しましても、一応免許の基準というものをもう少し明確に具体的にいたしたい。また、事業の種類等によってそれぞれ実態が違うわけでございますので、実態に合うような基準にもいたしたい、そういうふうにも考えておりますが、それは法律の面でございまして、いかに具体的に現わすといいましても、法律の条文の上では一定の制約がございますので、それを運用をして当たる具体的な審査の場合には、やはり今までやっておりますような、もっとこまかい基準というものを列記いたしまして、そのこまかい基準にどの程度合うかということで評定をする、これ以外にはどうも客観的にみて公正を最大限に担保できる方法はないように考えるわけであります。 なお、自動車審議会等におきましても、一定のそういった最低限度の資格をきめて、その資格に当てはまっておるものが非常にたくさんいるのです。しかし、全体の免許の両数に制限があるので、しぼらなければならぬというときには、その有資格者の中で、どれを落とし、どれを入れるかということは、もう甲乙のつけがたい問題であるから、いろいろ揣摩憶測が入らないためにも、その資格に合格した者の中でそれこそ抽せんをやってみたらどうかという意見も出ております。法律的にもいろいろ問題があるかと思いますので、しかしまたこれにも耳をかす点もございますので、事務当局といたしましては、十分この点につきましても、法案作成までには、法制局の見解等もただした上で、具体的な方法を考えていきたいと、かように現在考えております。
○大倉精一君 最後にもう一点でやめますけれども、新聞等によりますと、何か今度はトラックなりタクシー、ハイヤー、あるいは貸し切りバスですか、こういうもので資格を備えたものはみんな免許をしてしまうという構想があるようですけれども、是非は別にいたしまして、そういうような構想がおありになるかどうか。特に、免許の基準のお話もありましたが、その事業を免許することによって需要供給が不均衡になりはしないかという、こういう問題があるのですね。一体地方の輸送力の均衡、不均衡といったって、どこでわかるか。貨物等はわかるかもしれませんが、人間等についてはですよ。でありますから、そういうものを私は判定する基準がないと思うのです。数字に現わしようがないと思う。今の自由競争の現在の経済機構からいうならば、その需要供給のバランスはだれが一番知っているかというと、業者が一番よく知っている。免許を申請する者が一番よく知っている。この状態で、今あるもので将来もっと商売ができる、こうなればやはり申請するでしょう。もうこれでは将来とても商売にならぬということになれば免許を申請しないでしょう。そういう点からこの免許基準を、法律々々とおっしゃるけれども、法律そのものが、そのことを免許することによって輸送力の需要供給のアンバランスになりはしないかというようなことを考慮しなければならないというような趣旨に書いてある。これは実際問題としてできないと思うのですね、こういうことは。でありまするから、新聞等の、真偽はよくわかりませんけれども、さっき申したような、そういう区域、トラックとかハイヤー、タクシー、貸し切りバス等については資格のあるものは全部免許してしまうというような構想がおありになるように新聞等でも書いてあったが、そういう構想はおありになるのかどうか、その是非の論議はあとにするとして、こういう点についてのお答えをいただきたい。
○政府委員(木村睦男君) 実は今度の通常国会に道路運送法のかなり全面的な改正法案を出しまして御審議を願いたいと、かように考えて準備いたしておるのでございますが、現在の段階では、自動車局といたしましてようやく第一次の試案をまとめた程度でございます。したがいまして、まだ上司のほうにも報告もしておりませんし、意見も聞いておらない、自動車局内の意見でございます。まずその段階で、私といたしましては、発表いたしまして、そして事業者あるいは一般世間のこれに対します意見を十分聞いた上で、さらに次の案を作りまして、最後に運輸省の原案を作りたい、かように考えておるわけでございまして、新聞等に出ておりましたのは、今申し上げました段階の途中における状況でございます。 そこで、お話のように区域の事業、地場の事業は、今日までは路線事業と同じような免許の基準のもとで処理しておったんでありますが、実態、実情等を見ましても、若干公共性等の点からいいましても、ニュアンスの違いがあるのではないかというふうな事柄等を考えまして、別の扱いをしたらどうであろうかというふうな考えを現在持っておるのであります。地場の事業を全部自由にするというところまでは考えておりませんが、かなり幅を持った考え方で処理したほうがいいんじゃないかという程度の考えを持っております。これにつきましては、いろいろ関係方面の御意見が今どんどん出ておりますので、十分検討さしていただきたいと思います。 それから輸送力の需給の策定が非常にむずかしいんではないかというお話でございますが、確かにむずかしいのでございます。しかし、過去十数年それをやって参ってはおるのでございますが、要するに今までやって参りました需給の策定は、一つは事業の内部から見る、一つは事業の外から見る、大きく分けて二つに考えるわけでございます。事業の内部から見るということは、運送事業としてどの程度の企業としての経営が行なわれれば標準であるか、たとえば配当が一割程度常に行なわれておるということで、事業が継続できることが事業としてもある程度はよろしいし、また公益性からいっても、そうもうかり過ぎる事業ではないというふうな点に目安を置きまして、事業の実態を一々調査いたしまして、どの程度であるかということを見て参りまして、非常に利益率が高いと、まだまだこれは輸送力をつけてふやすべきであるというふうな判断をいたしておりますし、それから外部から見ましたものは、やはり物の動き、あるいは人口の増減等、一つの地域におきます人や物の動きと、それからそこで動きます車の量数との比率、その他経済の伸展、特に今年やります場合には昨年の実情、一昨年の実情というふうな、過去の実情との比較、そういうものをすべてあわせまして総合的に最終的に需給の状況はどうであるかというふうに判断しておるのが、今までのやり方でございまして、必ずしもそれで満足しておるわけではございませんので、今後さらにもっと確実な方法で需給の策定を考える、かように考えております。
○相澤重明君 先ほど局長に私が駐留軍要員の離職者の申請事案の話をいたしましたが、自動車局長のほうで、離職者の人たちが全国でどのくらい申請をしておるかということがわかりますか。
○政府委員(木村睦男君) ただいま手元にその関係の資料持っておりませんが、役所にはできておりますので、あとで……。
○相澤重明君 それでは、先ほど地域によってはやはり二、三カ月まとめて申請をするという話もあったけれども、大臣も先ほど言われたように、行政上の建前としてはできるだけ早く事案を処理をするのがよろしい、こういうことでありますので、特に駐留軍要員の離職者という建前に立てば、三年も四年も、もう実は失業しておる人たちが入っておるわけですから、こういう面については、私はすみやかにやはり事案を処理してきめるべきだ、こう思うわけです。私が今記憶しておるのでは、埼玉ではまだ出しておるけれども、聴聞も行なわれておらないやに聞いておるが、そういう点については、すみやかにこれはもう申請をされて一カ月以内くらいに聴聞は行なうべき性格のものであって、その後具体的な内容を調査をして、この許認可というものを与えるべきであると私は思う。こういう点について促進をされることを要望しておきたいと思う。特に横須賀のみかさ交通の場合は、これはもうすでに現地調査も終わっておるわけでありますから、木村局長も十分承知のことだと思いますが、なるべく早くこれを決定をすべきだと私は思います。こういう点は、特に政府の中において離職者対策特別委員会を持った性格上からいって、そういうことを希望しておきたい。 そこでそれはそれといたしましてお答えをあとでいただきたいのですが、いま一つお答えをいただきたいのは、都市と郡部と分けて今ハイタク事業に対して先ほどの経営合理化を含んでできるだけ経営が成り立つように育成をしていくという御答弁をいただいたわけでありますが、私はそのとおりだと思う。そこでできるだけそういう面でいくとするならば、どのくらいが一体一番適正なのか、つまり私はまあ従来郡部の場合は一社二十両くらい、都市の場合は三十両以上なければ、これはなかなかむずかしいだろう、需給調整とそれからこの事業経営という目的から考えて申し上げておったわけでありますが、東京周辺の場合には、いわゆる首都圏整備の問題と関係をして、地方にだんだん工場あるいは住宅の移転を行なっておるのですね。したがって、非常に交通が混雑を来たしておることはこれはもう大臣も御承知のとおりであります。またそれをできるだけ東京から周辺に官公庁を初めとして分散をさせるということが望ましいということは、これは首都圏整備委員会できまっておるわけです。そういう面からいきましても、この首都圏関係におきましては、できるだけ私はやはり経営が成り立つように、早く一人前になるように、やはり申請がある場合には増車を行なうべきだ、こういう考えを持つわけです。今までの郡部が二十台、都市部で三十台というのは少ない。都市部は五十台、郡部の場合は三十台くらいを一応——郡部といっても首都圏の場合ですね、そういうふうに私は考えておるのでありますが、これらの点について自動車の専門的な立場で局長はどう考えておるか、以上二点についてお答えいただきたいと思います。
○政府委員(木村睦男君) 駐留軍離職者の問題につきましては、すでに数年前閣議了解でございますか、決定でございますか、指示がありまして、特に自動車事業につきましては優先的に処理いたすように考えております。ただ法律によりまして、一定の免許基準があるのでございますので、この免許基準をきめているので、優遇措置をするということは、建前上できないものでございますので、それで許される範囲におきましては、相当よくみて今までやってきております。量数その他は、あとで御報告いたしますが、今後も、こういった問題につきましては、そういうふうな考え方でいきたいと思っております。なお、処理の促進にいたしましても、他の一般の申請と非常に不公平にならぬ限度におきまして、努めていきたいと考えております。 それからタクシー事業、都会と地方それぞれございますが、事業として、規模がどのくらいが適切であるかという御意見でございますが、これも非常にむずかしい問題でございまして、一般官理費の関係、あるいは基地を離れて働く運転者を持つ事業の形態から、運転者の管理の問題、いろいろございますので、非常にむずかしい問題でございますが、ただ、概括的に申しますと、やはり大都会は、相当な規模であることが、サービスの上からいってもよろしいし、経営の上からいってもよろしい。地方の、特にいなかですと、百姓しながら、お客があるごとに運ぶというような極端な例もございますので、地方と申しましても、いろいろ差はありまするが、地方になるほど、規模は小さくてもやり得る方法もありますし、またあまり大きいと、かえってロスが大きいということもありますので、一概に、どの程度のところがいいかということは、ちょっと見当もつきかねますが、具体的な都市都市につきまして、今までは、陸運局のほうで、一応の見当をつけてやっておるのが実情でございます。
○相澤重明君 一つだけで終わります。今度は大臣にひとつお答えいただきたいのですが、名阪神道路ができたわけでありますが、路線バスを認可をすることになると思うのであります。私は聞いておりませんが、各社相当申請があるものと思うわけです。そこで大臣はこれらの問題について、どういう考えを持たれているのか、もし御検討をされているならば、ひとつお答えを願いたい。もしまだそこまで具体的に検討が進んでおらぬというならば、私はこの問題については、やはりできるだけ早い期間にきめるのが、かえって、私は、交通行政上疑惑を持たれなくて済むし、それからまた交通上も非常に稗益するところが多いのではないか。特にまたその中で、国鉄と私鉄、こういう問題が私は生まれるかもしれぬと思うわけであります。しかしこれは所管大臣として、運輸大臣の監督の行政上の問題になりますが、私は国鉄であろうと、私鉄であろうと、いわゆる株式会社であろうと、とにかくせっかくよい道路ができて、輸送力が復活をしている最中でありますから、できるだけ早くきめるならばきめて、そうして輸送力の増強のために私は努めてほしい、こういうことを希望するのでありますが、この点ひとつ、検討されているならば、その結果、経過を、それからもし今まで具体的に検討されておらないとしても、今、私の後段に申し上げましたようなことを、大臣はどうお考えになるか、ひとつお答えをいただきたい。これによって私は終わります。
○国務大臣(綾部健太郎君) 結論的にはまだきめておりませんが、私の聞いている範囲においては、七つ申請があるように聞いております。これをいろいろな資本力であるとか、従来の経験の深さであるとか、そういうようなことを勘案して、私もなるべくすみやかに認可したいという考えを持っております。それで目下慎重に検討いたしていると思います。
○委員長(金丸冨夫君) 相澤君の質疑は終了いたしました。中村君。
○中村順造君 私はこの前の委員会で、例の常磐線の三河島事故に関係をいたしまして、その後の主として責任の問題について、国鉄当局にお尋ねをいたしました。国鉄の御答弁では、監査委員会の御意向もこれあり、というふうなこともあったわけであります。したがいまして、本日非常に暑いときではございますが、石田監査委員長の出席をいただきまして大へん御苦労でございますが、私は、以下質問の形で、いろいろ申し上げたいと思いますが、要するに、国鉄が再び三たびこうした、不祥事故を起こさない、そのための私の質問でございますから、いろいろな内容について、堀り下げる点もあろうかと思いますが、ひとつできるだけ明確にお答えをいただきたいと思います。 まず第一にお尋ねをいたしますが、監査委員会というのは、六法全書によりますと、運輸大臣が任命されまして、いろいろ国鉄の業務についての監査をされて、それを大臣なり総裁に報告をし、通知をする、こういうことに書いてあるわけでありますが、しかし監査委員会の監査というものは、やはりこれは国鉄の業務全体について、きわめて重要な意義のあるものと私は理解をいたしております。 そこで五月六日の日に、私は本院の本会議におきまして、この常磐線の事故について、かつて昭和三十一年十月十五日に起きました参宮線の六件駅の事故を例に引きました。私は当時の代表質問の中で、少なくともあの参宮線の六軒駅の事故が、その原因が徹底的に究明されて、その措置をとられておったならば、今回の常磐線の三河島の事故はなかったということを断言をいたしたのであります。そういう意味においてお尋ねをいたしますが、まずこの前の参宮線の事故の際、やはり監査されたのは、今の石田委員長だと思いますが、間違っておったら、あとでお答えいただきたいと思います。この前の監査委員会の結論が報告をされているわけでありますが、特に、私が今申し上げました観点から、こういうことが書いてあります。」これらの対策については相当の長期にわたり推進しなければならないのが多いので、時日の経過とともに不徹底のまま放置せられるようなことのないよう貴我ともに十分留意いたしたいと思います。」、こういうことが冒頭に述べられて、その結びの言葉として書かれているわけでありますが、結果的にみまして、当時三十一年の十一月の二日に出されたこの報告書の、一番心配をされていたところは、不幸にしてこれは的中したというふうな感が、私としては非常に深いわけです。二度と同じことを申し上げませんけれども、私は冒頭に、参宮線の事故、さらに常磐線の事故、彼我思い合わせたときに、特に、その感が深いのですが、まず、その点を、当時監査をされた監査委員長が、参宮線の事故とそれから常磐線の事故と、二つの事故の監査をされて、どういうお考えに立っておられるか、その点をまずお尋ねしたいと思います。
○説明員(石田礼助君) お答いたします。参宮線の事故というものは、その原因は今度の三河島事故と実によく似ている。第一は信号の誤認であります。もう一つはあの当時、つまり信号を誤認した時分、安全弁である警報器というものはついていなかった。もしもあの時分に警報器というものがついておれば、赤のストップ信号を突破していた時分に警報器が鳴る、そこにおいて、運転士なり、機関士というものは——ところが警報器というものがついておらぬ。さらに、そういうように信号の誤認をしたのはどういうわけか、こういうことです。信号の誤認をしたということは、やはり平素における指導、訓練、考査というものにおいて欠点があった、こういうことだと私は思います。そこで、われわれの結論といたしましては、今後とも、警報器というものはできるだく早くつけること。広い範囲につけることだ。これに対しては、その後、国鉄では着々としてそういう方向に進んでおりまして、三河島事故が起こる前には、東京、大阪周辺の電車というものに対しては警報器というものはつけてある。また、東海道線、山陽線の電化してある所にもやはりついておるという工合に、国鉄というものは着々進んでおった。ところが、この指導、訓練、考査の点につきましては、これは国鉄ひとりとしていかんともしようがないことであるこれは労働組合というものの協力があって、初めてできる。そこに、つまり問題がある。残念ながら、参宮線事故以後三河島事件まで、その点については著しい進歩というものがなかった。それが、つまり積もり積もって、今度の三河島事故というものになった。こういうことになると私は思います。
○中村順造君 今度出されたこの報告書の冒頭で、非常に監査委員会が御苦労なさった内容の説明がしてあるわけです。しかし、これは、まあ私から申し上げるなら、やはり監査委員会——専門家もおられると思いますけれども、委員長はやはり国鉄の出身でもないし、特にあの複雑多岐にわたる運転の業務、それから運転の技術、こういう面については、まあ失礼かもしれませんけれども、そう私は専門家ほど詳しくは知らないと思います。どういうことをお聞きになっておったか知りませんけれども、まあ信号誤認という断定を下されておるようでありますが、これは三河島の事故は別にいたして、参宮線の事故につきましては、この信号の取り扱いと誤認との問題をめぐりまして、今なおその後六カ年間、公判で係争中であります。こういう問題をどういう説明を運転局長がしたか、国鉄のどなたが説明をされたか知りませんけれども、信号誤認という、今司直の手によってその真の原因が探求されている過程において、この実地検証にいたしましてもまだ結論が出ない段階において、これを誤認したということの断定は、私は若干これは早過ぎるのではないだろうか。私は、委員長御存じないかと存じますが、国鉄のかつて機関士をしてハンドルを取った経験がございます。そういうことで、これはまあいずれにいたしましても、誤認であったにしても、誤扱いであったにいますが、まあ私の希望としては、少なくとも下級審といえども、一審の結論が出るまでは、三者機関であるところの、その原因が今盛んに司直の手によって探求をされておる中では、誤認という断定は、ちょっと早過ぎるじゃないかという気持がいたします。これは、まあ私の気持でございます。見解でございますから、委員長が違うと言われれば、それまででありますが、しかし、これは明らかに今度の三河島にいたしましても、機関士が信号を誤認をしたと新聞の報道には出ておりますけれども、事実はどうなっておるのか、私はまだ調べておりませんし、委員長もその点については具体的に本人からはまだお聞きになっておらぬと思う。そこで私は信号誤認の断定ということも、もちろん冒頭申し上げましたように、参宮線の事故、それから常磐線の事故、私はちょうど本会議で、この一つの事故を比較した場合に冒頭申し上げましたように、参宮線の事故の徹底的な原因の究明がされておったならば、この常磐線の事故はなかったということにつきましては、これは五つの根拠をあげて本会議で申し上げました。一つには列車のダイヤが乱れておったこと。これは列車が正常に動いておれば、事故というものは比較的起こらない。よほどの重大な欠陥のない限りにおいては、起こらないのが運転の本質であります。さらに第二の問題は、今委員長のお話にあったように機関士に信号誤認の疑いが持たれた。第三には、これが安全側線に乗り上げたこと。これは三河島におきましてもあるいは六軒駅におきましても同じことであります。さらに乗り上げたこの列車が、不幸にして本線を支障した、これも同じであります。しかもそれだけではまだ重大な事故に発展はしておらなかった、いずれにしても対向列車、すなわち向こうから来る列車によって、事故が非常に重大な結果を生んだ。この五つの要素をあげまして、三河島の事故と六軒駅の事故とを比較いたしまして、そこで私は、この参宮線における事故が徹底的——その場合に、たとえば安全側線のあり方、あるいは対向列車の取り扱い、こういう問題が徹底的に究明をされておったならば、同じような、しかも五つの条件と全く同じ条件下における事故というものはないのだ。こういうきめつけ方をいたしたのでありますが、委員長のお話では、着々警報器なども整備をした、こういうふうに言われております。言われておりますが、今回出された報告書の中では、これは明らかに、この貨物列車の蒸気機関車にはつけてなかったということを書かれている。この内容につきましては、具体的に今、書かれた報告書につきまして逐次質問をしていきたいと思いますが、特に冒頭今委員長が言われたように、指導訓練で労働組合の協力がなかった、非常に残念なことであると報告書にもそういうことが書いてあります。しかし国鉄の事故にしても私鉄の事故にいたしましても、すべての交通事故というものは、労働組合であろうが、経営者であろうが、あるいはその立場のいかんを問わず、国民全体が、そういう交通事故のなからんことを祈っているということは、これはだれも否定できないと思うのであります。さらに具体的に話がなりますけれども、そのときにおきまして、指導訓練に対するところの組合の協力が、いつなかったか。こういうこともお尋ねをいたします。そういう点でひとつ私はこの中に書かれていることを質問いたしますが、報告書がお手元にあるかどうか、委員長。
○説明員(石田礼助君) あります。
○中村順造君 この四ページの五番でございますが、このたとえば事故の起きた後における措置、これは、言われておる七分間の措置が良かった悪かったということが書かれてありますけれども、こういう重大な事故のもとでは、お互いに気が転倒しているときに、それではどうしたらいいか、こういうことも非常に重大な問題でございますが、当時お調べになったと思いますが、一体こうした重大な事故を惹起したときに、現場の諸君は、まず第一にしなければならないということは、どういうことが言われておったのか、いわゆる国鉄の現場長なりあるいは管理者側からは、事故の起きたときにはどういうことをせよ、こういうことを強調しておったのか、どういう報告をしたのか、その点お伺いいたします。
○説明員(石田礼助君) 第一に申し上げますが、質問者の言われるように、国鉄の事故については、私は監査委員長になってはおりますけれども、全くずぶ——何ら国鉄というものに対する経験はない。国鉄の国鉄学校にも入っていない。したがって専門的のことになりますというと、決して私は自分の意見というものもない。まず専門家の意見を聞いて、もっともだということを確認いたしました時分に、その意見を採用して監査委員会に諮って発表する、こういうわけであります。この点は、決して自分として謙虚な気持を忘れるわけではない。この点はどうぞ御了承願いたいと思います。 それから、このダイヤの乱れということを申しましたが、あのときには少しダイヤが乱れかかっておった。この点はついでですから申し上げますが、実際今の国鉄の運転というものは、ある外国の専門家が申しましたように、全く軽わざ芸である。非常に無理があるかもしれません。何ら余裕がないのだ。したがって事故が起こるというと大事故になる素地というものができておる。ここに国鉄の輸送の安全確保というものに対して大きな問題がある。それからあの問題の貨物列車の運転士が信号を誤認したということにつきましては、新聞の報ずるところによりますというと、裁判所においても、御本人は決して誤認したのじゃない、こういうことを申しておりますようでありますが、われわれはまず多数の専門家の意見を聞いて、やはりこれは誤認したのだということに結論を下して間違いないということにいたしたのでありまして、それ以上のことは、これは神様に聞いてみなければわからぬが、われわれ人知の及ぶ範囲において専門家の意見を聞いて、そういうような結論を下したわけであります。これは間違えばまことに申しわけない。よく研究する以外に方法はない。けれども、われわれが進行していく上におきましては、そういう処置をとらざるを得ないということは御承知願えると思う。 それから、ああいう列車が衝突した時分に、すぐに前後の防護処置を講ずるということは、いろいろ専門家の意見を聞きましたが、これは全く常識だ。ただ問題は指導、訓練、考査というものは厳重にやっておれば、それがもう考えるとか何とかというのじゃなくて、自然にそれが頭に出てくる、そこに指導、訓練、考査というもののつまり不徹底なるがゆえに、いたずらに考えてひまがかかった。結局ほかのもう一つの電車が来るのに間に合わなかったというような点なんで、これは、私はやはり指導、訓練、考査というものが徹底的に行なわれたかどうかということに基づいていく以外には道はないと思う。 それから警報装置の問題でありまするが、これはさっき申し上げましたように、東京、大阪の周辺の電車、あるいは東海道、山陽線の車にはついておるが、北陸線の一部にもついておりましたが、つまり、あそこの常磐線の貨物列車についていないということにつきましては、この報告書の十一ページに詳しく書いてある。「車内警報装置については、昭和三十一年参宮線事故を契機とし、重要な線区に対して、車両、線区に応じた三種類の形式のものを設置することとしたが」、「東海道線用のものは、技術上の問題が解決されその設置は促進された。しかしながら、蒸気機関車、電気機関車、気動車等各種の動力車が混用されている線区に使用する形式のものについては、動作の不安定等技術的に解明すべき問題が多く、さらに、列車自動停止装置をあわせ研究することとなった等の事情もあって、その普及が遅れるにいたった。このような経過のため、常磐線においては、車内警報装置は、通勤電車には設置されていたが、貨物列車の蒸気機関車には、いまだ取り付けられるにいたっていなかった。」、こういうような事情でございます。 大体それで御質問に答えたわけでございますが。
○中村順造君 まあ内容については私逐次行ないますから、監査委員長、ちょっとそこで私は監査結果が出されまして、もちろんこれは監査の結果でありますから大臣にも報告をされ、国鉄総裁もその通知を受けていると思います。冒頭申し上げましたように、単なる一片の監査ではなくて、少なくとも監査で指摘された内容については、着実にそれを一つ一つ解明をし、そして事故の起こらないようにするということが、当然これは管理者側の考え方でなければならぬ。ところがそのことをやられておらないという観点から、今度は国鉄に若干お伺いいたしますから、監査委員会で指摘をされた事項が着実にやれたかやれないかということを私はお尋ねをいたしますから、監査委員長、そこでひとつ聞いておっていただきたい。それは監査をされる場合に監査委員長のところに出た理事なり、あるいは管理局長、あるいは現場長というものはどういうことを言っているのか私は知りません。知りませんからどういう状態か、私はひとつ今度国鉄にその監査の内容がどういう工合に実行されたかということをお聞きいたしますから、大臣お急ぎのようですから、時間の許される範囲内で、実は私が冒頭に申し上げたような趣旨で今ここでお質疑を行ないますから、そこにおって聞いておって下さい。 国鉄にお尋ねいたしますが、これは副総裁じゃなくていい。もう少し現場のよくわかった人でけっこうでございますが、事故の報告を、事故が起きたときには前後の列車の防護をしなければならないというのは、これは常識だというふうに監査委員長きめつけられているのです。ところが私が調べた範囲では、これは指導訓練だと思いますが、訓練ではない、指導だと思いますが、事故が起きたときにはとりあえず上司に報告せよ、このことが非常に強調されている。したがって、これはその当時の信号掛りにしても、あるいは駅の助役にしても、いずれ司直の手によって調べれば明確になると思いますが、この三河島における事故をどうして一刻も早く上司に報告するか、そのことばかりとらわれて電話にかじりついておった。もしかりにこういう事実があったとすれば、あなたが常識だと言って判断されることでも、現場の指導はそういうことになっておらない。こういう点は一体どうなっているか。これは国鉄副総裁では無理かと思いますが、どなたでも、そういう指導をしておったのかどうか。当日信号掛り、運転掛りに何をしておったか。私の知る範囲では、何とかして一刻も早く上司に知らせなければならないということで、電話にかじりついておった。そのうちに、わずか七分の間で対向列車が飛び込んできたと聞いているが、その点はどうなっているか。そのような点はどう指導しておるか。これは事故を惹起したときは一刻も早く上司に報告せよという指導をしておったのかどうか。この点だけひとつ一問一答でやりますから明確にお答え願いたい。
○説明員(吾孫子豊君) 事故が発生したときには上司に対してそれぞれ報告をすべきことは、もちろんそういうふうに指導をしております。しかし、同時に事故の防止の措置を直ちにやるべきことはやって、そして報告もする。こういうふうに指導している次第でございます。
○中村順造君 その点は指導されるほうの側の気持ですから、それがどういうふうに現場の職員に反映しているか。たとえば列車が転覆をして、そしてそれがまた次の列車に接触してまた転覆した、そういう重大な場面に、個人の力ではどうすることもできない。そういう場合にどうしたらいいか、一刻も早く機関区の助役なりあるいは運転の上司に報告する。これは人情からすれば現場の職員にはその面の人情があると思う。これは私とあなたの見解の相違だから、あとで調べればわかることですが。 それから五ページに今委員長が非常に言葉を強めて指摘をされましたが、監査報告書にも書いてありますが、「数次にわたる拒否闘争の結果、」、こういうような字句が使ってある。これはいわゆる指導訓練が十分に行なわれなかった一つの原因だと追及されておるわけですが、国鉄の団体交渉において経験をされておると思いますが、労働組合が業務上指導訓練を数次にわたって拒否をしたことがあるなら、何月何日どういうことをやったのか、この点をひとつ明確にお答え願いたいと思います。
○説明員(吾孫子豊君) この監査報告で、事故防止に必要な考査、訓練、審査、表彰、競技会等が数字にわたる拒否闘争の結果、順次廃止あるいは簡略化されていったということを御指摘になっておられますが、これはかなり長い期間にわたることでございまして、組合側——私は何も特定の組合を指して必ずしも申し上げるわけではございませんが、いわゆる組合側のほうの一つのある時期における指導方針として、いわゆる職制麻痺を企図する、そういうことが組合の運動方針に掲げられた時期があったことは、これは事実でございます。したがいまして、そういう根本的な指導理念に基づきまして、やはり個々の必要な技能の考査でありますとか、あるいは昔は実施しておりましたようないろいろな訓練の方法でありますとか、あるいはまた無事故を促進刺激するためのいろいろな表彰制度でございますとか、そういうような事柄に対して、これを組合側で拒否する、あるいは当局側が実施しようと考えておったことをそのままにする、やらせないというような事柄が、いろいろな形で現われておったということは、これは遺憾ながら事実でございまして、その中のおもだったものを何年の何月にはこういうことがあったというふうに拾い出してみますならば、いろいろございますけれども、今この席で一つ一つ私が覚えておるわけでもございませんが、こういうふうになってきたということの中には、もちろん私どもとしては組合側ばかりを責める気持はございません。当局側の力の足りなかった点、あるいは考えようによっては努力が不足であった点が多々あったと思いますが、監査委員会から御指摘を受けましたような必要な考査でありますとか、あるいは審査でありますとか、広い意味における指導訓練ということが十分に行なわれないような傾向が戦後相当長い期間にわたって続いておったということは、これはまことに申しわけないことでありますけれども、認めざるを得ないというふうに私どもも考えております。
○中村順造君 広い意味、狭い意味と言われて使い分けをされておるようですが、指導訓練といえば、指導訓練そのものだと思います。それはなるほど考査が中断しておったということは私も知っております。しかしそれは考査のやり方とか、あるいは考査をやるための裏づけがどうだということで、これは労使の対立ということがあった。職制云々という点は初めて聞いた。それじゃ国鉄は、労働組合がそういう運動方針を掲げたがら国鉄の職制が何年の何月から何年の何月まで麻律した、そういうことは私は全然考えておらない。けれども、国鉄の職制が麻痺したとかなんとかいうことは、今初めてあなたは国会で言われるが、私は国鉄の職制が麻痺した時期があったとは一つも考えない。ましてや運転に必要な、重大な、多くの生命、財産を預る、この場合、監査委員長は、機関士の信号誤認だと言われておるけれども、機関区あたりで指導や、訓練が組合の何か拒否闘争によって麻痺しておる、やれなかった。こういうことは常識の問題としてあり得ないし、まして組合がそういうことを指導も受けるな、訓練も受けるな、そういうことはない。問題はあなたの言われた考査の問題、それからもう一つは例の競技会、これは直接運転事故と関係があるかどうかというより、むしろ競技会などというもの、あるいは表彰などという制度は、やはりより業績をあげるということが主眼で行なわれるものであって、いわば競技会においてはこれはプロを作るのだ、たとえば運転の立場からいうならば、非常に運転の上手な人を作るのだ、こういう意味で、組合がプロを作るよりか、全体のレベルを向上させる。これは組合の見解だと思うのです。表彰などというものも、国鉄の業績が全体に向上していくのは、これは個人の功績じゃないのだ。全体の功績だ。だから表彰制度自体には問題があるので。決して、国鉄の業務の向上するのを否定をし、職制を麻痺させるために競技会に意見を差しはさむ、あるいは表彰制度に意見を差しはさむ、それはもし副総裁がそういう考えを持っておられるとするならば、副総裁の認識自体に、だれがあなたの認識を誤まらしたかというまた問題がある。私はそういうふうに理解をいたしておらない。ましてここの監査報告書の中で、数次にわたる拒否闘争の結果云々ということは、これはいわゆる三河島の事故における監査報告書として掲げた一句としては、労働組合に対する責任転嫁だ。しかもその次にどういうことが書いてあるか。「安全確保のための訓練、考査等について後退したことは、一般情勢からみてやむを得ない点があったとはいえ、はなはだ遺憾である。」、これは一般情勢から見て労働組合に押されてやむを得ないということは経営者擁護だ。その日本語をすらすら読めば、前段では労働組合に対する三河島の事故の責任転嫁、これはとんでもない枝の問題であります。さらに経営者の擁護だということが言えるわけです。これはあなたと私の見解が違えば答えは要りません。 それから今度は監査報告書の中のことでございますから、監査委員長にお尋ねいたしますが、「人間工学的研究を十分に取り入れるべきである。」と、私たちの聞き慣れない新しい言葉ですが、一体人間工学的研究というのはどういう構想に立っておられるのか。もし将来そういうことが現場で考えられるとすれば、非常にいいことならば、組合も賛成するし、一般世論も賛成するでしょうが、一体人間工学的研究とうことはどういうことか御説明願いたい。
○説明員(植田純一君) 私からちょっと御説明申し上げます。人間工学的研究というのは、確かに新しい言葉でありますが、最近使われている面がかなりあると思います。ここに使いました意味は、医学的に見て、あるいは心理学的に見て、いわゆる人間の機能というものを十分に考慮に入れた方法で、どういうふうな指導訓練の方法をとれば最も有効であるかということを科学的に十分検討した方法でやるべきである、こういう意味に御解釈願いたいと思います。
○中村順造君 今の医学的、心理学的に云々ということですが、私が聞いているのは、人間工学というのはそれは適材適所とか、いろいろなことが言われておりますが、それがあなたはかなり広範囲に使われているといいますけれども、監査報告書の中で初めて人間工学的研究ということを言われるから、人間と工学ということを別々に切り離せばわかる、人間は人間、工学は工学と切り離せばわかりますが、人間工学とは一体どういうことか、もっと具体的に。あなた方はこういうことで、人間工学的な研究で事故をなくすという。これは人事管理の面から考えられた着想だと思う。これは心理学的、医学的に結びつけたものであるということではよくわからないから、もう少し詳しく御説明を願いたい。
○説明員(植田純一君) たとえば一般によく使われている例といたしまして、仕事をする場合の机の高さとか、どういうふうな高さが人間が仕事をやる上におきまして最も能率的であるかということを科学的に研究する場合に人間工学的研究という言葉を使っているのであります。したがいまして、この指導訓練をやります場合にも、人間の機能を無視したような指導訓練をやりましてもこれは効果がない。やはり人間のいわゆる機能から見まして最も有効な方法を考える、まあこういうふうな科学的な考慮を払うべきである、こういう意味で使ったわけでございます。
○説明員(石田礼助君) さっき中村さんから、組合の阻止によって国鉄の職制が麻痺するなんということはあり得ぬじゃないか——私は反対だ、あり得る。こういうことを一機関区長に聞いたのです。終戦前における現場における指導訓練つまりワン・マスター、一人の指導者、指導権というものがちゃんと統一されておったのです、国鉄に。ところが戦後においては一人の主じゃないのです。二人の主に使われているということが現状だということなんです。(「もう少し勉強してやって下さいよ」と呼ぶ者あり)
○委員長(金丸冨夫君) 御静粛に願います。
○説明員(石田礼助君) そこで、まあひとつよく聞いて下さい。労働組合というものがなぜ一体国鉄の指導、訓練、考査というものに対して阻止運動を起こしたか。私はこれには理由があると思う。要するに戦前における指導、訓練、考査というものをそのまま戦後にやってきた、こういうことなんです。ところが戦前における社会情勢というものと戦後における社会情勢というものとは非常にギャップがある。人権というものに対する解釈でも違っておる。戦前におけるやつをそのままばかの一つ覚えのようにやろうとするから、そこで組合というものが反対するのだ。これは組合の指導者としてみれば非常に私は当然のことじゃないかと思う。ところがそれだけで、つまり組合というものがとどまってくれればいいのだが、一たん阻止するというと、なかなか手ごたえがある。そうすると、だんだんこれをやってきて、ある線でとまるべきものがとまらないで先に進んでしまった。国鉄のほうとしては、ある線にきたら、もう必死にこれをひとつとめればいいが、それが事実できなかった。この間——これは、中村さんに申し上げるが、この三河島の事件をわれわれ監査してみましたときに、とにかく今度の問題については、組合というものを相当に批判しなければならぬ立場にあるので、これは組合の代表者に来てもらって彼らの言うことを聞かなければいかぬ、こういうことを私は主張したのです。それに対して一部に反対がありましたが、そうでないというと、これは欠席裁判になる、これは聞くべきじゃないか、それなら委員長議論をしないで聞くだけ聞いて下さい、よろしい、それに与うに長時間をもってして下さいということで、組合の言うことを聞いた、約二時間以上。国労と、それから動力組合から。それで、その終わりに、国労から山田君、それから動力組合から平井君、委員長どうですかと言った。それは諸君の言うことを聞いていると非常に御無理、ごもっとも、ことにその雄弁に至っては実にインプレッシブです、しかし、諸君の平素のお行儀が悪いから、せっかくの名論卓説というものも権威がない。どういうわけか。事自分の利害関係の労働運動やなんかになると、あるいは信号所の不法占拠をしてみたり、あるいは線路の上にすわり込みをやってみたり、今まで諸君がとにかく輸送の安全確保というものについては、労使協調によってやらにゃならぬと、こういうことを言う、その諸君がああいうことをするということは、労働組合のつまり害をなすもので、私は不賛成です、君ひとつ考えたらどうかということで別れたのでありますが、要するに組合というものが、あれは若くて元気があるですよ。その元気をもってして、そうして国鉄をやっていくのだ。国鉄も少々おくたびれだな。ことに組合と戦わんがために、ある期間全国における輸送をとめてまで戦うというほどの決心ができるはずはない。そういうことが国鉄総裁にできますか。できやせぬよ。とにかく一年五十数億の、人間の輸送をしておる国鉄が、一日に千五、六百万でしょう。その人たちがとにかく労使戦闘のために足を奪われると仮定すれば、どんな心臓の人でありましても、それを無視して戦うなんて、これはできやせぬ。そこが国鉄の弱いところなんです。それで一歩下がり二歩下がり三歩下がって、最後の防禦線まで下がった結果、指揮権統一にひびが入った、こういうことなんです。それは中村さんの言われる組合のこの阻止運動によって職制が麻痺する——職制という言葉は変だけれども、現場における指導、訓練、考査というものの職制というものがはなはだ弱体化した。そういうことが三河島事件の一大原因をなしている。そういう意味なんだ。
○中村順造君 大臣、時間がないようですから、私大臣がおられるときに、ちょっと大事なことですから、一言申し上げておきますが、私は、たびたび例に出して恐縮ですが、本会議でもまず国鉄の機構、それから経営、運営のあり方というものにも、これは大事な問題ですから言及いたしましたが、しかも私は特にこれは何も石田委員長に当てつけて申し上げたわけではありませんけれども、いろいろ監査委員会だとか、あるいは審議会だとか、国鉄の中にあります。ありますが、やはりそれぞれの機関の運用、これを誤ると私はたいへんなことになると思う。それからもう一つは、その機関に携わられる人を選ぶ場合に、その任期、あるいはその経歴、非常にりっぱな人もたくさんおられると思いますが、そういう面も、これは特に監査委員会の場合には、これは大臣が任命をされるわけですから、そういう意味で大臣にひとつ、これは今石田委員長は七月の一日に三期目を留任をされておるということでございますが、私は委員長に対してとやかく申し上げるわけではないが、大臣がすべてのそういう国鉄の役員なり、あるいは総裁などをおきめになるときには、十分ひとつ考えてもらいたいと思います。 それから今の石田委員長のお話を聞いておると、これは私はもうそれに反駁いたしません。反駁するだけの勇気がなくなりました。それは評論家なら私はそれはそういう意見もいいと思うのですが、労働組合が生活権を守るために実力行使をやっておる。実力行使をやる、けしからぬ——しかし監査委員長が労働組合が生活権を守るためにやったことを、それはどうだこうだ、それが国鉄の職制が麻痺しておるとか——国鉄の職制が麻痺しておるなら、これは当然一日も早く立て直さなければならぬ。私は監査委員長と考え方違います。国鉄の経営は麻痺していない、機能は麻痺しておらぬ、こういうふうに考えておるから、その前提に立ってものを言っているわけです。もし国鉄の職制が麻痺しておるというなら、これは重大な問題です。副総裁もここにおられる。大臣もおられる。この点はひとつ一言だけ答えていってもらいたいのですが、私は監査委員長と考え方違います。国鉄は国鉄の職制としてりっぱにその職制を堅持しておる。堅持しておればこそ今日——なるほど三河島の事故、あるいは参宮線の事故はありました。しかし、これは長の月日のうちには人間の注意力の限界に頼っている限りにおいては、これは事故は断たない。戦前にそれではあれだけ締め上げられた中でも、あるいは戦時中においても、重大事故というものはあとを断たないのですよ。それは出てきた原因があるのです。私に言わせればある。あるけれども、職制がりっぱであったからとか、あるいは人権を無視して仕事をさせれば事故がなくなるという考え方は、これは前時代ですよ。浪花節ですよ。私は国鉄の職制がりっぱに今保たれて、労働組合の人格も保たれておるからこそ、四十数万の職員が一致協力して今日事故なしに列車の運転が日々できておると思う。その点大臣どうですか。大臣もひとつお答え願いたい。監査委員長が国鉄の職制を麻痺させるようなことを組合がやっておるというようなことを言っておられるが、副総裁がおられるが、副総裁にもお答えいただきたいが、大臣は一体どう考えているか。私は国鉄の職制は麻痺しておらない、国鉄は今日いろいろな問題をかかえておりますけれども、曲がりなりにも国民の負託にこたえて国鉄の業務を果たしておると私は考えておる。大臣のお考えはどうですか。
○国務大臣(綾部健太郎君) 私は現在は麻痺していないと思っておりますが、過去においてさような実例っあがたやに聞いておるのです。これは的確ではありませんよ、あなたがそうおっしゃるから。現在は国鉄の機構は麻痺しておらないと思います。監査委員長とその点は遺憾ながら所見を異にしますが、麻痺していないからこそ運転ができるというのは、中村さんのおっしゃるとおりです。私は、それをさらにさらによくすべく、監査委員長の報告も尊重し、善処いたしたいと思います。
○説明員(吾孫子豊君) 私も職制が麻痺しておったというふうに申し上げたのではございませんので、ある時期に職制の麻痺を目的とする組合の運動があったという事実を申し上げたようなわけでございまして、私どもといたしましては、当然の義務として職制を麻痺させるというようなことのないように、今までも努力いたして参りましたし、今後も努力いたすつもりでおります。
○説明員(石田礼助君) 中村さんは私の言うことをちょっと誤解されているようです。私は、労働組合の組織、運動によって国鉄の職制が麻痺していると言ったのではない。現場における指導、訓練、監査の統一の面にひびが入った。これはちょっと違う、末端に。どうぞその点誤解のないようにお願いしたい。
○中村順造君 これは職制の麻痺とかなんとかいうことは抽象的な問題ですから、時間がないからあまりこの問題だけを取り上げているわけには参りません。具体的にお尋ねいたしますが、冒頭に申し上げましたように、この参宮線の事故のときに、いろいろの事故が指摘されております。私は一つの例をあげますが、これは国鉄にひとつお答え願いたいと思います。参宮線の事故のときに、いろいろな点が指摘されまして、当時小倉副総裁だったと思いますが、事故防止対策委員長になられておる。小倉副総裁がやはり今度の三河島の事故の直後と同じように事故防止対策特別委員長になっておられて、これは一つの例を中身だけ申し上げますが、この事故防止対策委員会の結論が出されて総裁に答申がされておるわけです。一つの例ですが、たとえば安全側線の問題をさっき申し上げましたが、安全側線については、こういう結論が当時出されている。過走事故防止のための安全側線、脱線転轍機について設備基準を検討してその整備を行なう、こういうことがかつて六年前の事故防止対策委員会で結論が出されて、総裁にそのことが報告をされておるわけです。たくさんございます。車内警報器の問題にしても、先ほど委員長の指摘をされた問題がありますが、いろいろ車内警報器をつけろと言われても、その重要な線区別の判断、それから重要列車の判断、それから重要運転区の判断、これらの判断があげて誤っているのですが、それはあとでひとつ質問いたしますが、安全側線、脱線転轍機等の問題で設備基準を検討する、その整備を行なうという答申が六年前出されている。これはどうですか、その点は。ほんとうにこのことをやったか、やらないか、他の線区でやったとすれば、なぜ三河島だけそのままにしておいたのか、その点ひとつお答え願いたい。
○説明員(吾孫子豊君) 参宮線事故のあとで検討の結果、事故防止対策をいろいろきめましたことは、ただいま御指摘のあったとおりでございます。その中に、安全側線等の設備基準について検討をし、また、その整備を行なうということがありましたことも、御指摘のとおりでございます。それで参宮線事故のあとで取り上げました対策の各項目につきましては、国鉄としては、それぞれ措置をしてきておりますので、あの際にきめました事故対策の各項目をから念仏にして放擲していたというようなことは私はないと申し上げてよろしいかと思います。ただしかし、いろいろ場所によりまして、また、その方法、時期等につきまして、いろいろな条件をやはり考えて参らなければなりませんので、たとえば車内警報器のようなものにいたしましても、A型、B型というような工合に、それぞれ全面的に設備したところもございまするが、おくれておった面があったことも事実でございます。そこで、三河島の安全側線につきましては、あそこの場所の特殊な条件から考えまして、現在のままの常磐線のあの状況のもとにおいて、安全側線を延長するとか、あるいはあの部分の線路の路盤全体の幅を広げるとかというようなことは、実際問題として不可能でありましたので、あの場所については手をつけておりませんけれども、しかしながら、全国にわたる安全側線のおもなものについて検討を加え、必要な整備を施すべきものについては必要な措置をとっておったと申し上げて差しつかえないかと思います。
○中村順造君 今の副総裁のお話を聞くと、現実に三河島ではあれだけ大きな事故が起きているわけですね。しかし、ほかのところは整備したと、かりに整備されたと私は信用しましょう。全国のほかのところはいろいろな面で各地で整備された。しかし、現実に三河島ではこれは整備されてなかった。これは私は現地にも参りまして、保線区長の話を聞いても、十年も二十年も前からこのとおりだと言っている。だからそうしますと、あなた方は管理者ですね。安全側線の整備とか車内警報器だとか自動停止表置とかいうものは、現場の信号掛がつけるものでもなければ、保線区長がつけるものでもないし、ましてや機関士あたりがつけるものではない。これは管理者がその判断をして、こういういわゆる密度の高い運転をする区間、三河島にしても事故が起きて、あの線を貨物が通るとはだれも知らなかったと新聞にも当時書いておったが、しかし、国鉄当局としては貨物も通るし電車も通るということははっきりしている。そういうところを、結局ほかは整備したけれども、現実に重大事故が起きるところが整備してなかったという言いわけが通るかどうか、私は信用してもいいと思いますが、国民はそれは納得しないと思います。現実に大きな重大事故が起った安全側線なり脱線転轍機というものは旧態依然として、少なくとも三河島について、参宮線の事故が起きてからも監査委員会が指摘して、事故防止委員会がいろいろ会議をして結論を出して、これこれは整備いたします。ここにそのときの文章をそのままとってきたのですが、事故防止のための安全側線、脱線転轍機について設備基準を検討してその整備をはかるとなっております。安全側線の設備基準というものはその後ないのです。磯崎常務理事が事故のあとで、十ミリ砂を高くするとか二十ミリ砂を高くするということがあったけれども、それはうそだということがあとでわかったのです。一体そういうことが、総裁に対する報告書というものは出されているけれども、実際は現実に改善も検討していないというのが現実じゃありませんか。この点はどうなんですか。 ついでに私は申し上げておきますが、監査報告書の中にも、先ほど委員長が言われた、個々に対する設備の改善について、車内警報器にしても、重要な機関線区に対し、あるいは列車密度の高いところ、さらにはいろいろな電車区間、こういうものを含めてその判断をして緩急度を——それは膨大な予算が要りますから、おのずから緩急はそれぞれ違うと思いますけれども、少なくとも重大な事故の起きるようなところにつけるという約束をして、その重大な事故が起きた現実から見て、つけてなかったということは、はっきりしているのです。つけていればそういうことはないのです。それはそういう判断を誤ったということです。これは現場の保線区長でもなければ、あるいは信号掛でもなければ、機関士の責任でもないと思う。やはり管理者である、経営者であるあなた方の責任だと思う。事故の起きるところにつけてなかった。しかも、つけるという約束をしてある。しかも総裁にもそのことを報告してある、六年前に。そういう面に対する責任の所在というものは、国鉄当局としてはどうお考えになりますか。
○説明員(吾孫子豊君) 安全側線の設備基準ということにつきましては、国鉄はきめたものはございます。それはおそらく参宮線の事故のあとでも検討を加えた結果、現在の設備基準になったのだと思います。私はこのことにつきましてはしろうとでございますので、用語が多少間違うかもしれませんけれども、要するに、その場所の勾配とか、そこを運転する列車の性質等、その他を勘案して長さは何メートルなければいかぬとか、あるいは砂利の厚さは何ミリなければいかぬとか、こういうようなことをきめた設備基準はその場所々々に対してすべてきまっておりまして、三河島の安全側線もそういう現在の設備基準というものに照らして別にその点ではずれておったような要素はなかったというふうに、その後の調べでもって聞いておるのでありますが、もしなんでしたらそれはあとから磯崎常務理事からお答え申し上げますが、そういうものがなかったというようなことはないはずであったと思うのでございます。 それで、三河島のあの場所の事故防護の物的な面における設備といたしましては、若干、今度の場合も直接の原因は、貨物列車の機関士の信号の誤認であったように思われますので、その信号を誤認せしめるようなことを少しでもよりよく避けるようにさせますために、今までありました信号機のほかに信号機をさらに増設するというような処置をその後においてとったような次第でございまして、安全側線そのものについては、あの場所のいろいろな地理的条件もございますし、いろいろ検討を加えましたが、あの場所としては、安全側線を今と変わったものにするということは、ただいまのところ実行できないというふうに考えておる次第でございます。
○中村順造君 私は、あなたのような言い方をされると、事故というものが、冒頭申し上げたように、ないことに一番限るのですがね。直接の原因であろうとも、直接の原因の前に、たとえば事故は、かりに一人の人があやまちを犯した、一人のそのあやまちだけでは事故にならなかったという状態もできてくるわけです。たとえば自動装置にしても、車内警報装置にしても、みんなそうです。運転士や機関士が信号を見誤った、あるいは見る時期を失した、そういう場合には警報器が鳴るとか、なおかつ自動的に制動がかかるとか、そういうものなんです。だから、人間の注意力というものにはおのずから限界があるから、人間があやまちを犯した場合に機械的にこれを防止する設備があれば事故にならぬということは、これはただ三河島の安全側線だけのことを話しておるわけじゃない。私が言いたいことは、参宮線の事故のときに、あれだけの問題があって、そしてこれこれのことをやりますと、また、これこれのことを監査委員会は指摘をされた、当時の監査報告書を私は持っておるのです。今度も再びまた三河島の監査報告書を出されておる。こんなことは百ぺん繰り返しても——そういうことを実際に一つ々々繰り返して究明をして、事故の起こらないようにするという努力をみんながしなければ、私は事故絶滅ということはあり得ないと思う。少なくとも六年前にさかのぼって、昭和三十一年の十一月十五日以降同じ事故が六年後に繰り返されるということは、やるべきことがやってないから事故になったということを私は言っておるわけです。その点は監査委員会はどういうふうに判断され、どういうふうに指摘されたか。また、その指摘に基づいて、総裁も、当時の総裁も今の総裁も同じ、監査委員長もたまたま同じ、副総裁はかわっておるけれども、そういう情勢の中で、一方では次から次と事故が起きておる。それに対して打つ手は十年一日、全く同じだ。しかも、指摘をされたことがしてない。それは三河島の安全側線はそのままだということで、事故に対して指摘することがなかったからしなかったというなら、たいへんな情勢判断の誤りだ。これは少なくともあの重大な事故が起きる、こういうところへ持っていって、わずか電車が四分おくれたために、信号機の取り扱いを一回々々変えなければならないというような重大な事故の要素を含むところに、何ら処置がしてなかったということは、それは安全側線が十メートル長くなってもそれは意味がないので、三河島の列車を何とかしなければならぬ。あるいは列車の時間を変えなければならないということが当然考えられるが、それがしてない。これはかかって、私がそういう言い方をすると、副総裁は、直接の事故の責任者はだれであるかと、こう言われるが、そういうことは、直接の事故の責任だけを追及しておったのでは、私は事故はなくならないという見地からこういうことを申し上げておる。いろいろありますよ。三十一年に指摘されて、それから国鉄事故防止委員会——当時の小倉副総裁以下、事故防止委員会を作られて、どういうことをします、どういうことをしますとずらっと、印刷物も出ておる。けれども、時間がないから、この点はどうしました、この点はどうしましたということを言いませんが、これはたまたま参宮線でも、過走事故の防止のためにどういうことをされたか、そういうことがしてなかったから現実に事故が起きておる、その点私は申し上げておるのです。その点ここで幾らやっても、やってなかったことをあなたがやったやったと言われても、私はここがやってないと言っても、現地に行ってないから、それをやりましたと、私はやってなかったと言っても水掛論です。ただ重大な事故が起きたということだけはだれも否定できない事実です。 長くなりますからやめますが、もう一つ、監査委員長なり国鉄にお伺いしますが、監査報告書の中で、「同一職種に長い期間勤務することによって向上心を失い、作業が惰性に陥る場合も考えられるので、意欲をもって業務を遂行できるような条件を与え、不測の事故を起させないようにすることが」大切だ、こういうことが指摘をされております。これはどういう認識に立ったのか知りませんけれども、国鉄の中でも終生その職種についておらなければならない職種もある。しかも、これは業務を遂行できるような条件を与えるということも書いてあるが、この点については国鉄からもお答えを願いたいと思うのですが、どういう見地に立たれてそういうことを書かれたか。逐次累進し、昇進して、そして自分がだれかのかしらに立てばいいという意欲になれば事故がないのか。そういう判断をされたのか。その点はどうなんですか。
○説明員(石田礼助君) お答えいたします。ただいまの中村さんの御指摘にありますが、同じ場所に同じ仕事をして勤務しておるということについては、これは国鉄としてはやはり考えなければいかぬ。要するに、われわれが自動車を運転するようなものです。自信のないのはいかぬが、また自信のあり過ぎるのもいかぬ。われわれは特にこの点について、新たな信号機の取り扱い、これが十年も二十年も同じことをやっていますと、どうも仕事にやはり新しみがないんだな。そこにおいて、そして長くやっているために自信過剰だ。自信過剰ということは自信がないということに相通ずるのです。そういう意味において、やはり目先を変えて新しい頭で始終仕事をやっていく、これが必要じゃないか。だから、ほかへかえるということは決して首にするということじゃない。配置転換をして目先を変えていくということも考えたらどうかと、こういうことです。
○説明員(吾孫子豊君) 監査委員長としてのお考えは、ただいま御説明のあったとおりでございますので、私どもといたしましても、そういう御指摘のあった点は十分今後人事管理の上において考えていかなければならぬというふうに思って、それらの点について遺憾のないように処して参りたい、かように考えております。
○中村順造君 まあその監査委員長がおわかりにならないのは、これはしようがないと思うのですがね。副総裁、ちょっとね、何とか、答弁でですね、この、ここに活字に書いてあるのを私は読み上げたのだがね、同一職種に長い間勤務するということが問題であると、こういうことが書いてあるがね、しかも、「向上心を」云々と書いてあるから。ところが、こういうことは国鉄の現状に少しも沿わないということをだれかが監査委員長に実際は教えなきゃならぬ、国鉄の内容のわかった人が。たとえば、それは動力車の乗務員なら乗務員に例をとってみましても、今監査委員長は、自信過剰なんて言われたけれども、一方では訓練をし、あるいは教育をして熟練に熟練を重ねなきゃならぬ。特に動力車の運転などということは、操縦ということは、これは飛行機の操縦でも、自動車の——自動車の運転に例をとられたけれども、これは非常に熟練を要する問題ですよ。そこでね、やはり私が申し上げておるのは一それじゃね、機関土というものは一体何になりますか。終生これはハンドルを握っているのです。そうしてみずから熟練に熟練を、修練に修練を積んでりっぱな運転をするというのがこれは技術者の本領ですよ。それを否定するようなことを書かれて監査報告書として出されたのですね。そのとおりでございます、委員長と考え方同じでございますというのは、副総裁うまいじゃないか。それはどうなんですか。
○説明員(吾孫子豊君) 今監査委員長のお考えを監査委員長が御説明になりました。それに対して、御指摘を受けた私どもといたしましては、十分そういう点もあることを反省いたしまして、今後の人事管理の上において考えていかなければならぬと思うという意味を申し上げたのでございますが、さらに堀り下げて申し上げますならば、確かに、おっしゃるとおり、国鉄の職種の中にはいろいな職種がございます。しかし、特に運転関係の従事員につきましては、長期の勤続によってその仕事に習熟してもらうということがもちろん望ましいのでございますが、しかし、そのために万一にも向上心を失って作業が惰性に陥るというようなことがあってはたいへんなのでございますので、その意味で、たとえば具体的な処置といたしましては、いろいろな業務の研究会でありますとか、あるいは発明考案の発表でありますとか、表彰の制度とか報奨の制度とか、その他諸施策を検討いたしまして、いわゆる勤労意欲の向上をはかるというようなことに私どもとしては留意して参りたいというふうに考えております。それからまた給与待遇等の面におきましても、これは現在組合側の協力も得まして、職務評価のために委員会を作りましていろいろと検討をしておるわけでございますけれども、そういうような科学的な職務評価というようなことも今後さらに掘り下げて検討して参りたいと思っておりまするし、また給与待遇等の面におきましても、同じ職務に長期勤続して熟達してもらわなければならない職種に対しては、また、それにふさわしい待遇ということも考えていかなきゃならないというふうに思っております。
○中村順造君 まあその同じ職種に長く携わっておると職務が粗雑になって事故を起こす。それからまあ委員長のお言葉ですがね、やはり自信過剰になって事故を起こすと、こういうこともまあ言われるわけですがね。少なくとも三河島の事故ということになりますと、これは駅の信号掛、それから運転掛ですね、それから機関車乗務員、これはまあ今起訴になっていますがね。まあ信号掛は、運転掛の人はめったにそういうことないですがね、機関車乗務員というのは、まあ言わぬでもわかっておりますが、自分の仕事を粗雑にしたら自分の命がなくなるのですよ。それにもっていって長期に同一職種で長いこと仕事しておったら自信過剰になって事故を起こすなんてね、これは実際どこからこういう結論が出るか。それじゃ副総裁ね、今委員長がお答えだけれども、今の機関士は全部機関区長になりますか。機関区助役になれぬですよ、全部。おれはみずから列車の先頭に立って貴重な生命財産を預かるのだという誇りを持って今日仕事をしておる。これは少なくとも検査報告書としては、これはどなたが説明したか知らぬけれども、もう少し説明のしようがあったと思うのですよ。 それから待遇の問題が今出ましたけれども、これは国会の答弁としては、そういう職種に限っては幾らか有利な条件だということでございましたけれども、これもまた、なかなか他の職種の関連でそうたやすくできるものじゃないと思う。ただここで、この項の一番あと——これは報告書ですが、(4)に「従来のような期末手当の一律支給の方法は、早急に改められるべきである。」、こう報告書に書いてある。これは、私は昭和二年に国鉄に奉職しました。まあいろいろ戦前戦中を経験してきました。なるほど国鉄で期末手当、俗に言う賞与ですね、盆と正月の賞与に差がついておりました。成績のいいときも悪いときもありました。そういう制度は長いこの国鉄の中にあったんですがね。少なくとも監査報告書として出される事故の中で、これはこういう事態にあったときにですね、期末手当に差のついておったときに国鉄の事故はなかったか。昔、まあ統計をとっておりませんけれども、それじゃ昭和十年にはどういう事故があったか。昭和九年にはどういう事故があったか。いわゆる勤勉手当、奨励手当、いろいろなものの形でとられて、個人のいわゆる優秀さが職制によってその差がつくというそういうことが、初めてじゃないから、国鉄ではかつて長い間そういう因襲がとられてきた。そういう時代においても、依然として重大な事故があった。私の友達も大きな事故をやっておる。なぜこれは、三河島の事故に関連して、期末手当が一律に支給されることがおかしいなんという、どこからそういう結論が出るのですか。これはまあ監査委員長よりむしろ隣の植田さんのほうが詳しいと思うのですが、どういうわけですかね。
○説明員(植田純一君) ここにありますのは、要するに、その事故の根底と申しますか、いわゆる人事管理のあり方というものをまあ論じておるわけなのでありまして、ここに書いてありますように、どちらかといいますと、この給与制度その他のものが一律過ぎるというきらいがある。これはまあ戦後そういうふうな社会情勢もございまして、情勢もわからぬわけではありませんが、しかし、ほんとうに国鉄の管理体制といいますか、人事管理のあり方を考えまして、ほんとうに責任を自覚し努力した者に対しては、それだけのやはり利得がなけりゃならぬということも何らかの方法、そういうふうな方法を講ずるということが望ましいという前提に立ちまして、まあ期末手当というようなものは、こういうものにある程度差をつけまして、そういう平素の努力に報いるのが最も適当なものじゃないか、かようにまあ考えてこういう意見を書いたわけなのであります。
○中村順造君 まあ、あなたは直接国鉄の経営だとか運営の役員でないからこれはいいようなものですがね、私はあなたの感覚を疑いたくなる、実際は。賞与に差がついて運転事故がなくなるという、そんな考え方があなた方にある以上は、絶対事故はなくならぬですよ。かつて、私は戦前戦中のことを申し上げておるのだが、たとえばこういうことも考えられるわけです。私の経験ですけれどもね、同僚と一緒に仕事をしていたけれども、予算の関係でだれかに差をつけなきゃならぬという場合が現場には出てくる。当時はまあ今でいう十割、一カ月分を基準とするならば、一・二カ月ももらう人もあるし、あるいは〇・八カ月しかもらえない人もある。結局お互いに無事故であった、同僚であった、こういう場合に、〇・一でも〇・二でも差がつく、そうすると、多くもらった人はいい気持です、嬉しい、あしたから一生懸命働いてやろうという気になる。逆に少なかった人は、これだけまじめにやっておる人が、ほかの人と比べて一つも悪いことをしていない、けれども現実に一割少ない、そのために、飲まなくてもいいしょうちゅうを飲んでけがした人もおる。そういうことも考えられる。これは、あなたが人間工学的に盛んに研究だということを言っているけれども、そういうことを考えずに、いいことばかり、ほめる人間ばかりみんな水準より上だということはできない。どうしても水準より下ができる。それからもう一つは、職制につながると組合が特にそういうものに差をつけてはいかぬという主張をすることは私はうなずける。ということは、お互いに人間です。あなたは現場長をしておられた経験があるかどうか知りませんけれども、そういうものに差をつけていいということになったらどうなるか。盆、正月に持っていかなくてもいいものを現場長のところに持っていかなくてはならぬ。これは人情です。何とかして私を認めてもらいたい、えてして成績の悪い人々に限ってそういうことをやる。そういう者には人間工学的にどう考えていいかわかりませんけれども、それは、まして事故の報告書です。しかも、権威ある監査委員会の報告書です。期末手当の一律支給が事故の原困だということは、全体が事故の原因です。監査委員会はとんでもない結論を出された。あなたがそういう考え方をするならば——だれか事務官が作ったならばわかりますけれども、これはあまりにもでたらめ過ぎると思います。ずっとこの前から監査委員会の御意向もありということを聞いたから、私はずっと調べたが、あんまりひどい。委員長、どうです。あなたにあまり聞いても気の毒ですが……。
○説明員(石田礼助君) 中村さんの理想は、いわゆる無差別悪平等ということです。私は反対です。私は違う。とにかく最近における給与というものは職務給です。職務給は何であるかといえば、その人の価値に応じて、仕事のできる者には、それだけの値打ちのある者には給与を出す、そうでない者はその間に差をつける。生活給というものは別です。そのほかに職務給というものを求めて、それに差をつける。これが私は資本主義の国において人間を使う要諦だと思います。共産主義だってそうです。あるノルマというものをきめて、それまでやった者はある一定のものを出す。それより下がった者はディスカウントする。つまり仕事というものには励みを持たせなければならぬ。人間というものは欲に乗じて働いている。欲に火をつけて能率を上げるということです。これは単に今度の機関士あるいは現場だけでなく国鉄全体に対する問題だと思います。われわれ監査委員会としては、どうも役所における給与制度というものは、無差別悪平等が多い。もう少し差をつけなければいかぬということを総裁にたびたび申し上げた。その辺がここに現われました。
○中村順造君 その説明が、委員長がもしそういう考え方をとられたとするならば、非常に誤った説明をしている。国鉄の今の賃金というものは、一つも同じじゃない。それはあなたは無差別悪平等だと言われたけれども、それは国鉄の職員なるがゆえにだれも月五万円というと、これは無差別悪平等だ。ところが、職場の現場長以下ずっと俸給表に基づいてみんな間差を設けて、同じ仕事をしておっても、同じ機関車の機関士であっても賃金は違う。そういう賃金になっている。一つもこれは平等でも何でもない。みんな差がついておる。特に私の経験から申し上げるなら、やはり責任の重い地位にある仕事をしておる者はそれだけ賃金をよこせ、こういう私は主張をしたこともある。あなたはどこから無差別悪平等と言われるのかわかりませんけれども、前時代的な話ですよ。そういう前時代的なあなたの話を聞いておると、何だか馬の鼻先にニンジンをつけて馬に食えと言っても、鼻先にニンジンがぶら下がっておるから百年たっても馬はよう食べない。そういうことと同じことで、前時代も前時代、はなはだしい前時代の人事管理です。ましてや期末手当というものは、副総裁もおられるが、御承知だと思いますが、実際は根拠のない話なんです。これだけ働いたらこれだけやるというような、これはただ日本の長い間の既得権であり、慣習であるから、働く者に対して毎月支給されておることで、住宅手当、地域手当、みんな出ておる。けれども、それは長い間の慣習であるからそれを払う、こういうものなんです。そういうふうな議論をここで私はするつもりはないけれども、それであるから三河島の事故と期末手当の一律支給とどういう関係があるかと私のほうは言っておる。それは悪平等だ、馬の鼻先にニンジンをぶら下げるようなあなたの議論、これは議論です。幾ら言ったって仕方ないけれども、これは少なくとも事故をなくするという大前提に立つなら、実際そういうことじゃ事故はなくならない。現実に戦前戦時中を通じてこれは従来あった。委員長は三井物産でもやられておったと思いますけれども、そういうようないわゆる等差のついた期末手当が支給された時代があった、長い間。けれども、その期末手当に等差がついておった時代に重大事故が跡を絶たなかったということからして、ここまで言及する必要はないじゃないかということを私どもは言いたくなる。時間が長くなりますから多くは申しませんけれども、特にきょうは監査委員会の報告書を具体的に、いろいろ内容を読んでみると、それは冒頭私が申し上げましたように、石田委員長は国鉄マンでないから、いろいろ冒頭に書いてあるように、どなたかから報告を求め、意見を聞き、そうしてそれをまとめ上げられてきたのだと思います。もちろん思いますけれども、それにしましても、あまりに内容が実情とかけ離れておると思う。それが一つと、しかも、もう一つ言いたいことは、かけ離れていないとしても、これだけの監査が指摘されて、六年前にも指摘されてまた今度の三河島事故で指摘をされて、それに対してやるべきことをやらなかった責任をだれもとりはしない。事故を起こした当事者だけを責めるに急だ。これはこの前私は副総裁に申し上げたから重ねて申し上げないが、そういうことは一つも指摘されていない。むしろこれは議事録の中を読めばわかりますけれども、書かれておることは、労働組合に責任を転嫁して、経営者の側を擁護しておるという印象を受ける。それでは公正健全な監査ができない。しかも、大臣に報告し、総裁に通知し、これこれの指摘があるからこれを完全に実行して、これから国鉄の事故をなくせよということにはならないじゃないかということを私は申し上げておる。大臣はおられないけれども、鉄監局長おられれば大臣に十分きょうの議論をよく話してもらわなければ困ると思う。 いろいろ問題があると思いますけれども、きょうは時間がありませんから、あとまた引き続いてお尋ねする場合があると思いますけれども、そのときはひとつ御足労願うとして、きょうは私の質問はこれで終わります。
○説明員(石田礼助君) 中村君は御承知でしょうが、このいわゆる無差別悪平等というものは、これはぜひひとつその頭で一われわれはこの前の参宮線事故のあった時分に、いかにも運転士、蒸気機関士の責任というものは重大だ、かるがゆえにその責任というものを考えて、普通の給与並みではいかぬ、これはひとつ上げなければいかぬ、こういうことを総裁に進言した結果、ある程度上げました。やはり人間というものはある程度欲なんです。ある程度はやはり刺激を与えてやるということが、始終仕事に注意し、能率を上げていくゆえんだ、こういうのがさっきから私の申し上げておる点であることを御了解願いたい。
○相澤重明君 私はきょうは中村君の質問であったから拝聴をしておったのですが、せっかく先輩であるけれども、監査委員会の、ひとつ皆さんの答弁、これは速記録であとで読ましてもらうと、ちょっと問題が出るように思うのです。まあ運輸委員会だから、皆それぞれよく知った仲間同士だからということだけを考えれば、私はそう問題にするところもないと思うのですが、しかし今までの御答弁の中では、私どもとしては、かなり速記録を調べると、やはり問題になると思うのですよ。そういう点、今後のこともありますから、ひとつ委員長にしても植田君にしても、この中で不必要な刺激をするところがあるように私は思うのです。だから三河島事故について、どうすれば今後そういうことがなくなるか、また国鉄としては国民に安心をしてもらうか、そのための処置を講ずべきだということだけで私はあってほしかったと思うのです。こういう点、今の中村君の質問を通じてお話を聞きながら、若干そういううらみを私は感じているわけなんです。しかし私はきょうは申し上げません。きょうは申し上げませんが、そういう点、委員長も長い間努力しておるのですから、そういう点は、ぜひひとつお考えおきをいただきたいと思うのです。 これに関連して、私はきょうは踏み切り関係の点は質問をする考えは持っておらなかったのですが、ただ、この三河島の事故に続いて南武線の事故が起きたので、私のやはり地元でありますから、どうしても関心が多いわけなので、一つだけ副総裁に意見を聞いておきたい。 これは、ああいう事故が起きてから、南武線のこの立体交差の問題や駅のあり方について、なんとか早急に直してもらいたい、そのためには、地元の川崎市では、国鉄と十分協力する用意がある、資金的にも考える、こういうことを言っておるのでありますけれども、そういう点について、いわゆる川崎市や神奈川県のほうから国鉄に何らかの意思表示があったのか、申し入れがあったのか、あるいはそういうことは全然聞いておらないというのか、またあったとすれば、国鉄自身は、今の監査委員会の報告ではないけれども、できるだけの努力をしなければならぬ、こういう御指摘でありますから、当然やるべきことだと思うのでありますが、そういう計画をお持ちになっているのかどうか。こういう点については、事件が非常になまなましいことでありまするから、私どもの耳に、いろいろな点が入るわけでありますから、この際、副総裁からお答えを願っておきたい。それによって、私どもとしてはお尋ねすることもたくさんあるわけですが、きょうはとりあえずその点をひとつお答えいただきたいと思います。
○説明員(吾孫子豊君) 南武線の事故にかんがみまして、特に南武線沿線の駅のあり方、あるいは踏切の問題等につきまして、私どもといたしましても、早急処置をいたさなければならぬことは多々あると思います。今検討中でございます。そうしてこれらのたとえば踏切のいろいろな整備にいたしましても、あるいは場所によっては、また統合していただかなければならぬようなところもございましょうし、そういうような点について川崎市の御当局初め地元の関係の皆様に御協力をいただきませんと、これらの仕事が進められませんので、ぜひ御協力をいただきたいと思うておりまするが、ただいままでのところ、川崎市の御当局から直接私どものほうに対してのお話はまだないようでございます。ただ、おそらくあるいは関東支社とか、東京鉄道管理局のほうにお話をいただいておるかと思いますが、本社のほうでは直接には、まだ承っておりませんけれども、しかしいずれにいたしましても、地元の御協力なしには、今問題になっておりまするような点の解決ができませんので、この点はぜひ御協力をいただきたい、かように存じております。
○大倉精一君 関連質問。いろいろ拝聴しておりましたが、この際関連して一つだけ意見を付して、副総裁にお伺いしたいと思います。私は、三河島事件のときに、大臣から特別監査を命ぜられて、もう少し具体的な内容の監査報告があると思って期待をしておったのですけれども、遺憾ながら、ずっと読んでみますと、ほとんどこれは作文だと思った一番大事なことは、参宮線事故のときに、いわゆる監査報告によって国鉄に要望したことができていなかった、なぜできていなかったか、そこをついてほしかったんです。政治的に欠陥がありはしないか、国鉄のあり方に欠陥がありはしないか。たとえば車内警報器をつけるべきである、これは監査しなくても、だれでもわかっていることです。それをつけていない。つけられなかった理由は、どこにあるのかということを監査してもらいたかったんです。 それから、さらに訓練に非常に重点をおいておられるのでありますが、先ほども中村君の質問、答弁を聞いておりますというと、矛盾をした点があるんですね。たとえば、六ページの三番には「訓練は実践であり経験であって、その実践の反復により、習性の域に達して初めて有効な訓練となるものであるが、」こういう工合に書いてある。半面において「同一職種に長い期間勤務することによって向上心を失い、作業が惰性に陥る」、どうもこの辺も変だと思うんですが、こういうことは私は言いません。言いませんが、私は特別監査ということをぎょうぎょうしく言わなくても、大体専門家なら直感でわかると思うんです、第一番には人員不足、これは非常に大きな原因ですね。これが一つも書いてありません。たとえば列車の操車場の現場を見てみましても、人員が足りないんですよ。非常に危険な作業をしております。そういう点はさっぱりこれに触れておりません。あるいは逆に国鉄の施設の不備あるいは人員の不足、そういうふうなものから起こる国鉄の危険も、人間の注意力によってカバーしている。その注意力によってカバーしている面がたくさんあるんです。そういう点もない。設備の面、さらにダイヤ、輸送力の増強によってダイヤ密度を高くしなければならぬ、この点の要請もある程度わかります。わかりますけれども、たとえば三河島事故のときに、現場を見てみますというと、早い話が、ああいうところに、一本のレールの上にあの密度をもって客車と貨車と両方通してしまうということが無理かもしれません。貨車の専用線のあったに越したことはない。これもやはりやらなければならぬことなんですね。 だから、私はこの際、副総裁に一つお伺いするんですけれども、特別監査の報告は報告として、これ以外に、国鉄の専門的に見た自主的な欠陥なり何なり発見して対策を講じられる、こういう心がまえが必要であると思うんですが、監査報告は、こうなっているから、監査委員会の言っていることさえやっておけばいいということではなくて、あなたのほうで専門的に見た国鉄の欠陥なり、あるいはあり方なり、政治的な欠陥があれば、それもあわせて注文をするなり何なり、積極的に将来に対する対策をお考えになる必要があると思う。そういう考えだけをひとつ承っておきたいと思う。
○説明員(吾孫子豊君) 監査委員会から御指摘を受けましたそれぞれの項目につきましては、私どもとして当然反省をし、また検討しなければならない事柄ばかりであると思いますので、それらの点について真剣に検討を加え、またそれに即応した対策を立てるよう一に努力いたしておりますけれども、国鉄の執行部門と申しますか、私どもといたしましては、当然のことでございますが、監査委員会から御指摘を受けたことばかりでなしに、それ以外の問題につきましても、全般的に事故防止委員会等におきまして問題を広く取り上げて、少しでもより万全な防止対策を確立しなければならぬという心持ちでやっている次第でございます。その項目その他につきまして、もし御入り用がございますれば、また整理したものもございますので、別途お目にかけてもけっこうだと思っております。 それから、なお、ちょっとお話のございました国鉄自体のあり方というようなことについても、今たしか政治的な——何とおっしゃいましたか——というお言葉もございましたけれども、私どもは一応、日本国有鉄道法に基づく公共企業体として限られた範囲内の能力のもとに仕事をさしていただいておるわけでございますので、これらの点についても、いろいろ関係の方面からの御意見もあるように承っておりまするし、またいろんな御批評があることも承知いたしております。これらの点につきましては、また、それぞれいろいろ機関もございまするし、そういう機関を通して御批判を伺うこともございましょうし、また監督御当局の御意向等も伺いまして、直すべき点は直していただくというふうに進めて参りたいと、かように考えております。
○説明員(石田礼助君) ただいま大倉さんから監査委員会の報告について、いろいろ御批判がありましたが、責任上私からちょっと付言をいたします。またおっしゃるとおり今度の事故の原因というものは、単に機関車の運転士がどうだ、あるいは乗務員がどうだということに局限することは私は間違うておる。その根底には、人員の不足、さらにこの施設の不備、ダイヤの問題、確かにあるのです。われわれがさっき申し上げましたように、組合の代表者を呼んでいろいろ説明を聞くと、主としてこういう点に彼らの説明は終始しておるのです。それはごもっとも千万です。ごもっとも千万ですが、つまり今の国鉄というものは、これはあえて議会を批判するわけじゃない、大蔵省を批判するわけじゃないが、要するに貧乏世帯なんです。その貧乏世帯で五十何億人の人間を運び、二億トンの輸送をする、非常にここに無理があるのです。その無理があればあるだけ、いわば軽わざ師芸をやらなければいけないのだ。そこに乗務員というものが非常な芸当をしておるわけです。そういう点について言わぬで、ただ人員の問題、施設の不備の問題だとか言いますけれども、どうもこれは初め事故の起こる前に言うのならいいけれども、事故が起こって言うと、どうも言いわけになるのです。だから私なんかは、こういうことは言わない。ただし、これはひとつあなた方がよく読んで下さればわかると思うのですけれども、結び一の十六ぺ−ジにこのことを、ちょっと裏を言っておるのです。「国鉄は、現在年間旅客約五十三億人、貨物約二億トンの膨大な輸送を」、それからが意味深長だ。「限られた輸送施設で最も能率的に」、と、つまりこれなんです。非常に余裕がないのですよ。ここはひとつ、諸君の明知をもってして、この裏をひとつ御判断願いたいと思うのです。大いに国会あたりで予算をひとつやって下さい、こういうことなんです。
○吉田忠三郎君 いろいろ今度の三河島事故の問題をとらえまして、事故の原因とか、あるいはその他の監査報告を出された。ただいま委員長が結びとして将来の事故防止についても触れたわけですね。抽象的ではあるけれども、裏をながめてくれ、こういうことなんです。ですから、そこの限りで私はこの際監査委員長に質問をし、さらに要望をしてみたいと思うのです。 今度の事故のみならず、数多い今日までの国鉄の事故というものは、私は原因は大体二つあると思うのです。その第一は、何といたしましても、国鉄の今日の企業の経営のあり方に私は問題が一つあるような気がするのです。これは監査委員長も御承知のように、今日の国鉄の企業の重点はどこに置いてあるかというと、これは池田内閣の所得倍増計画に並行さしておるのかもしれませんけれども、いわゆる東海道新幹線に重点を置いているような気がするのです。さらに五カ年計画という計画を——第二次五カ年計画というものを立てられておるわけですね。資金の面からながめてみても、東海道新幹線には資金の二三%くらい食われておるでしょう、食われておりますね。こういう面から非常に国鉄は無理な経営をしておるようなことだけはうかがえるのですけれども、反面あなた方は、ちょっと口を開けば言っております国鉄を国民のものにしなければならないという面はどうなっておるかということなんです。これは私が言うまでもなく、前からあなた方がおっしゃっておった資料を見ても明らかでありますけれども、この通勤輸送であるとか、通学輸送であるとか、あるいは地方には線区の輸送などというものは採算がとれない。こういう面から等閑視をしておる。こういうことが私は非常に不幸にして、あなた方が常日ごろ言っております国民のサービスをしなければならぬ国鉄のあり方というものは、こういう面から見ても全くなされていないと思う。同時に、新五カ年計画というものを進めて参らなければならないという立場から、これは副総裁もおりますけれども、今日の国鉄の線路の許容量をはるかに越えたダイヤ改正を昨年の十一月にやったわけです。このダイヤ改正についても、決して労働組合の諸君らがあるいは国鉄の従業員なり職員というものが、ただ単に反対したものではないと思うのです。今日の事故などを誘発するおそれがあるからということをこめて、十分話し合わなければならぬという立場で、私は当時も国鉄労働組合の責任者であったから、そういう意見を付していろいろ意見具申をしておったわけです。結果的にはその意見というものは入れられずに、この新ダイヤというものが実行に移されたわけですね。その直後に、この三河島事件などというものが不幸にして起きたのだけれども、私はそれを、それ全部がそのことになったというふうには申し上げませんけれども、随所に起きる、事故を誘発をしていくという危険性ないしは誘発をしておるという原因は、第一はここにあるんじゃないかと思う。さらにあなたも先ほどから前の事故から監査報告でしてきたように、たとえば車内警報器の装置についても、国鉄の場合は、全部やったとしても二十億程度やったらいい。現状やっておるかというとやっていない。あなた方が指摘しておるとおり、まだ予備段階よりいっていない。こういう点についても軽々しくされておる。これは何かというと、冒頭に申し上げたように、いわゆる新幹線の工事というものと近代化という美名に隠れた新五カ年計画からしわ寄せされておるように私は思う。 そこで、あなた方が監査委員会として、ただ単に国鉄を指摘するということであるならば、こういう面も、私は今度の監査報告にしてしかるべきだと思う。こんな結びの抽象的なことでなくて、具体的に、そして今の国鉄の企業の経済的な事情から見て、そのことは、あなたがすなおに実行できるかどうかということについては十分承知しておるはずです。このままでは幾ら国鉄の人にやれと言っても、私はできないと思う。片や国民の経済何とか何とかという面から、強く五カ年計画というものを輸送の倍増の面から要請されておるわけですから、そのかかる金というものは必要なわけですから、当然あなた方は、ここに書かれておるような労働組合は何とかかんとか、あるいはつまり、期末手当の一律支給とかなんとかかんとかという格好よりも、もっともっと国民的視野に立って、大乗的に、政府に向けても、国鉄は、国民の安全輸送をする立場からながめると、かくかくしかじかの欠陥を持っておる、この欠陥を補わなければ事故を誘発するのだから、したがって財政的にも政府としてなすべきことがあるのではないか、こういう面については国鉄に財政的な措置をとってやりなさい——私はこのくらいのことを監査報告に書かなければ、これは全くでたらめな監査報告だといわざるを得ないと思う。この点どうですか。
○説明員(石田礼助君) 私は、今の御質問は、ある点ごもっともだと思う。まず第一に、東海道新幹線に関する問題であります。東海道線というものは、これは国鉄の宝庫ですね。ところが、これが今や輸送が一ぱいになっておる。これをなんとかしなければいかぬということで、つまりできてきたのが東海道新幹線なんです。御承知のとおり、国鉄の非常な大部分というものは収支が見合わない。その収支見合わない線を国鉄が経営して、一般国民にサービスすることのできるゆえんのものは、つまりこういうもうかるところの線でうんと増収をあげて、それで片一方をやる。そこに私は新幹線というものの設立の根本動機があると思う。たとえばある人にいわせれば、東海道はなぜあんなにデラックスなカーを走らせるのだというのだが、何も国鉄陣がああいうものを走らせて、そうしてぜいたくをエンジョイしているのじゃないのだ。増収をしろといっている。
○吉田忠三郎君 僕の質問は、そういうことをいっているのじゃなくて……。
○委員長(金丸冨夫君) ちょっと聞いて下さい。
○説明員(石田礼助君) 東海道新幹線もやはり同じようなことなんです。これは放っておいたらたいへんなことになる。新幹線ができ上る前に東海道線というものは一ぱいになってしまって、どうにもしようがない。東海道新幹線を作った理由には、必要やむを得ざるものがある。決して道楽でもなんでもない。それがために、なるほどほかのほうに掘り向ける予算というものは少なくなるかもしれぬが、やはり重点的に考えると、東海道新幹線を早く完成させるということは、国鉄全体からみて、また民国のためということからみて、私は必要であると思う。 それから通勤通学の問題がありましたが、これは国鉄としては、もうかろうがもうかるまいが、とにかくやはり公共企業体であるから一生懸命にやっております。問題は、なかなか土地の問題が解決しない。 それからダイヤ改正の問題ですが、国鉄というものは、それだけ輸送需要に追われているのだ。だから、なんとかして輸送力というものを極度までに使っても、この輸送需要にひとつミートしよう、こういうことはわかってもらえると思う。これは輸送事故の防止をすることからみれば、やはり輸送力にある程度の余裕をもつことは当然すぎることで必要でしょう。けれども、これはやむを得ない。この輸送需要をみて何にもしないというわけにもいかない。とにかく極度までやるということが、昨年十月のダイヤ改正だったと思う。 大体そんなことでよろしゅうございますか。
○吉田忠三郎君 どうも監査委員長に、こういうことをいろいろいっても、おそらくしろうとでわからぬから、あえて僕はこれ以上は聞こうとしないですけれども、あなたは国鉄の総裁じゃないんだから、ダイヤ改正をやったことじゃなくて、監査委員会の立場として——先ほど来いっておるように、今日の営業キロ数、特に線路の許容量をこえたダイヤ改正になっているのです。だから、監査委員会でも指摘しておるように、これでもう満足するものではなくて、年々歳々滞貨というものは大きくなってきておるのだから、あなたもおっしゃっておるように、輸送力を増大していかなければならぬということは、私どもも決して否定していない。必要だけれども、今日の国鉄の輸送力というものについては限界がある。この限界をこえてダイヤ改正をしたり、一面においては運輸交通政策として新しい幹線に力点をおいてみたり、あるいは新しい五カ年計画というものを踏襲していって膨大な、今日の国鉄の資金計画の九〇%を使われておることは、これは副総裁もおられますから、私はでたらめなことを言っているわけではない。そういう立場から、あなた方が幾ら何だかんだ理屈をつけて、こういうものを書いてみても、これは全く絵にかいたぼたもちのようになっていやせぬかというのです。委員長いかがです。 だから私は、あなた方はこういう一時しのぎのような、こういうものを書いてみたって、根本的な事故の問題はおろか、国鉄の今日のいわゆる国民要請に伴う輸送を満たすということにならないのじゃないか、こう思うから、あなた方があえて国鉄の企業についての全般の監査をするということであるならば、もっともっと積極的に政府に向けても、かくかくしかじかの問題を取り上げないと、国民の需要に伴う輸送というものは満たされないことが一つある。もう一つには、事故の防止などという抜本的な根本的な対策にならないから、こういう面については、つまり財政的に措置をしなさい、こういうことを国民的な立場から、あなた方はやっぱり監査報告として書くべきじゃないかということを僕は聞いておるわけです。この点いかがですか。
○説明員(石田礼助君) まことにごもっとも千万、われわれ監査委員会としては、かかるがゆえに単に国鉄に向かって叫ぶのみならず、上にも叫んでいる。これはこれまでの監査委員会の報告をお読みになればよくわかると思う。決して政府に向かって、こういうことをやりなさいということをいわぬわけじゃない。いっておるのです。ただ、われわれの仕事というのは、運輸大臣に報告し、国鉄総裁に報告するということになっていますから、形式は運輸大臣に対し、国鉄総裁に対しというようになっていますけれども、今までの報告書を見れば、とにかくちゃんと政府なり議会なりにわれわれは叫んでおります。たとえば公共負担是正のごときしかり、決してそういうことを忘却しているわけでないということをどうぞ御了承願いたい。
○吉田忠三郎君 たまたま公共負担の問題について監査委員長が過去においても、そういう要請をした、こういうことなんですがね。そのことについて私は敬意を表しておきたいと思う。ただ一つ、これからもその監査委員会なり、あるいは国鉄の経営をあずかる責任者に望んでおきたいことは、まあ副総裁の先ほど来の答弁を聞いておりますと、監査委員会の報告にもございますから、たとえばその訓練の問題であるとか、あるいはその人事管理の問題などというようなことをおっしゃっておるのだけれども、そのことだけでは、事故などというものはなくなりはしないと思うのですね。したがって、こういう問題等を含めて、今後労使双方十分話し合って、二人乗務を廃止した問題もありますし、こういう問題であるとか、あるいは地方における無人駅などという、人のいない停車場があるわけでしょう。他に委託をしておるようなところもありますね。こういう点についても再検討を加えていくということが必要になってきていると思うのです。たまたま今回のことは三河島の駅で起きて、しかも政治の中心地であるから、これだけ問題になった。今申し上げたような無人駅の状態で、そういうことはないかというと、全国にけっこう起きている。それがただ、政治的に社会的に問題になったかならないかのことでありまして、だから事故の本質は変わらない。そういう意味で、今後十分労使双方で話し合って、この事故を未然に防いで、国民要請にこたえてもらいたいと思います。きょうはこの程度にしておきます。
○委員長(金丸冨夫君) ほかに関連しての御質疑はありませんか。——なければ、残余の質疑の通告につきましては、次回に譲りまして、本日は、これにて散会いたします。 午後四時三十分散会