エネルギー対策特別委員会、商工委員会連合審査会 閉会後第1号
- 発言数
- 71 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1962/10/22
会議録
○委員長(堀末治君) ただいまからエネルギー対策特別委員会、商工委員会連合審査会を開会いたします。 慣例によりまして、私が連合審査会の委員長の職を勤めさせていただきます。 まず、委員の変更を申し上げます。本日、エネルギー対策特別委員田畑金光が辞任され、田上松衛君が選任されました。
○委員長(堀末治君) それでは石炭鉱業調査団の答申に関する件を議題といたします。本日は、本件につきまして参考人の方々に御出席をいただき、御説明を願うことといたしましております。これから御説明を拝聴いたしたいと存じますが、その前に参考人の皆様に一言ごあいさつを申し上げます。 調査団の各位におかせられましては、公私はなはだ御多端の折にもかかわりませず、特に御出席を賜わり、ありがとうございます。各位には、去る五月十一日、総理大臣の委嘱を受けて以来、約半歳にわたってきわめてむずかしい段階にある石炭問題に取り組み、非常なる御熱意と御努力をもってこれが調査審議にあたられ、先般その結論を答申されたのでありまして、私どもは、その並み並みならぬ御苦心に対し、深く敬意を表するものでございます。本日ここにその答申に関し、御説明を拝聴する機会を得ましたことは、まことに欣幸に存ずる次第でございまして、委員一同を代表して、厚く御礼を申し上げます。 なお、議事の進行について申し上げます。最初に調査団長から御説明をお願いして、そのあとに委員の皆さんからの質疑がありますので、それに調査団の方々のお答えをお願いいたしたいと存じます。 それでは、まず有澤石炭鉱業調査団長の御説明をお願い申し上げます。
○参考人(有澤廣巳君) 石炭鉱業調査団の答申は、去る十三日に内閣総理大臣に答申いたしました。その答申の概要をこれから御説明を申し上げたいと考えます。 調査団は、もう皆様御承知のように、四月六日の閣議決定に基づきまして設けられましたのでありますが、その閣議の決定によりまして、日本の石炭鉱業の近代化、合理化及び雇用の実情調査をいたしまして、今後の石炭政策について答申をするように求めらたのであります。今日エネルギー源といたしましての石油の優位は、技術的にも経済的にも決定的でありまして、石炭は、石油との競争の場面では、ほとんどすべての分野にわたりまして、とうてい抗しがたい状況になっております。石炭に対する需要は急速に減退しつつあるのであります。いわゆるエネルギー革命の進行は世界的であります。そういうさなかにおきまして、調査団は今後の石炭政策を検討しなければならなかったのであります。 ここで調査団の調査の出発といたしましては、二つの道が考えられました。一つは、超越的に、望ましい出炭量をまずきめて出発するという仕方であります。他の一つの、需要の動向を究明して、できるかぎり需要をふやそうという考え方であります。前者の、超越的に出炭量をきめるというこの考え方に立ちますと、第一に、出炭量をきめる根拠の決定がなかなかむずかしいということであります。またかりに超越的に出炭量をきめたといたしましても、その出炭量に見合う販路をつける、需要をつけるために、経済性を無視したり、技術的進歩に逆行したりするようなことをしなければならないかもしれないのであります。後者の道は現実的な考え方で、経済性や技術的進歩を考慮しながら、できるだけ多くの石炭需要を確保しよう、こういう考え方であるのであります。石炭問題は、何も日本だけの問題でなく、ヨーロッパ諸国におきましても、同様に重大な問題になっておるのでありまして、ドイツにおきましても、この石炭問題を解明するために、一九五九年十二月に、ドイツ政府によりまして石炭問題の調査委員会が設けられました。この委員会は、実に一年半を費やしまして、去る五月に報告書を国会に提出いたしております。フリーデンスブルク・バアデ報告というものがそれでありますが、この報告書の中にも、ドイツにおける石炭の位置づけという問題が取り上げられておるのでありますけれども、その位置づけをするにあたりましては、やはり需要の分析から出発しておるのであります。同様の考え方はいわゆるレーヴィ・レポートにも表われているところであります。私どもも、またこの考え方、つまり需要の動向を十分分析して、できるだけ多くの石炭需要を確保しよう、こういう考え方から調査を出発せしめたのであります。安住して山とともに生きたい、こういう切実な訴えは、私ども現地視察にあたりまして、幾たびか耳にしたところであります。その声は、なお団員の心に深く残っているところであります。雇用の安定というとき、できるだけ多くの炭鉱労務者に、山で安定した雇用をさせたいとわれわれも強く念願いたしました。石炭需要を大きくしよう、電力にもっと引き取ってもらえばおそらく六千万トン程度の規模を実現することができるのではなかろうかと、実はわれわれはそういう考え方を持っておったのであります。けれども、現実にわが国における石炭需要を分析して参りますと、石炭需要といたしましては、一つには、原料炭に対する需要があります。それと、一般炭に対する需要、この二つを分かって考えなければなりません。原料炭需要な、これは石炭にとりまして個有の需要分野であります。なるほどコークス・レーシオの低下とか、あるいは重油吹き込みといった技術的進歩があることによりまして、鉄鋼用石炭の需要も、この技術的進歩のために、従来ほどには伸びないにいたしましても、しかし、鉄鋼業の発展とともに、この原料炭需要はずっと伸びるのであります。先ほどあげましたフリーデンスブルク・バアデの報告におきましても、実に五千四百万トンの石炭は、ドイツにおきましては、治金用、鉄鋼用の炭として確保できることになっております。わが国におきましても、もし鉄鋼用炭を全部国内炭でまかない得るということでありますならば、むろんなお千五百万トンばかりの需要を確保することができたでありましょう。しかし、わが国におきましては、鉄鋼用炭のうち、強粘結炭は国内で生産されません。したがって、鉄鋼用炭としては、わずかに弱粘結炭を供給し得るのであります。したがって、われわれは、この石炭個有の需要の分野におきましても、その需要の半分しか石炭に対する需要を確保することができなかったのであります。これはわが国の炭層、あるいは石炭資源の弱さからきておる点であります。しかし、それにもかかわらず、私どもは、鉄鋼用炭として需要する弱粘結炭は、すべてこれを国内においては国内炭をもって供給する、この方針をとりました。 次に、一般炭につきましては、これは日本においても、一般炭に対する需要の減少が非常に激しいものがあります。あまり時間がありませんから、こまかいことは申し上げませんけれども、電力を除いた一般炭に対する需要、つまり一般産業の、電力以外の産業の一般炭に対する需要というものは、三十六年度に対しまして、四十二年度が半分、四十五年には実に三分の一に減少するのであります。しかし、この減少も、日本だけが特有の現象ではありません。ドイツにおきましても、約一億二千万トンばかりの需要の中で、これは少し時期はおくれますけれども、一九六二年に対して、一九七五年になりますと、一億二千万トンのうちの、実に八千五百万トンが重油に、あるいは石油に置きかえられるのであります。そういう予想になっておりまして、日本の四十五年に三分の一に減少するというのと比べまして、そんなに違いがないと考えられます。ここにおきまして、私どもは、鉄鋼用の石炭に対する需要はともかくとして、一般炭に対する需要につきましては、よほど需要の確保に努めなければ、なかなか従来のような五千五百万トンの生産をも確保することができないのではないかということになったのであります。 そこで、一つは一般炭に対する需要としまして、電力用炭の増加を考えたのであります。電力用炭といたしましては、三十四年の石炭合理化の方針に基づきまして、昭和四十二年度に二千三百万トンばかり引き取ってもらう長期引き取りの契約ができております。けれども、これだけではなお不十分であると私どもは考えまして、さらにこの二千三百万トンの上に七百万トンを追加いたしまして、昭和四十五年度に三千万トンの引き取りを要請したわけであります。それから、その他の産業におきましても、たとえばセメントのごときもの、これは三十六年度で大体四百万トンばかりの石炭を使っておりますけれども、昭和四十五年度には実に四十万トン、十分の一以下に減少することが見込まれます。こういうセメント用の石炭需要につきましても、なおわれわれは何らかの措置を講ずることによりまして、これを百万トン、百五十万トン程度に維持しよう、その他の暖房用炭と申しましょうか、暖厨房用炭、こういう需要につきましても、いろいろの措置を講ずることによりまして、その減少があまりひどくないように、なるべく現状を維持するようにその措置を考えたのであります。それでもなお一般炭に対する需要の減少が見込まれますので、さらにボイラー規制法、これは来年の十一月に効力を失うことになっておりますが、これの延長、あるいは重油に対する消費税の創設、そういう両方を採用することもいいし、また、そのいずれかをとることもいいんですが、何らかのそういう方法を講ずることによりまして、一般炭の需要の減少を幾らかでも食いとめるべきである、こういうふうに私どもは考えたのであります。そういうふうに、一般炭に対する需要の減少を、いろいろの措置を講ずることによってできるだけ食いとめるにいたしましても、結局需要の合計は、原料炭も含めまして、それから電力に対する三千万トンの引き取り要求も含めまして、全体といたしまして、実トン数で申しますならば五千七百万トン、これは電力用炭がカロリーが比較的低いカロリー、五千四百カロリー程度のものでありますから、これを従来の五千丘百万トンベースで申しておりましたカロリーに換算いたしますと、五千五百七十万トン、五千五百万トン強という数字になったのであります。これはわれわれの個々の産業に対する需要の動向を分析いたしまして、そして、できるだけいろいろな措置を講ずることによって需要減退を防ぐとして積み重ね計算をしたその結果として五千七百万トンという数字が出てきたのであります。で、まあ私どもは、今日の状況のもとにおきまして、最も多く石炭需要を確保する、しかも、その確保にあたりましては、経済性を著しく無視することなく、また、技術的進歩をそう大きくはばまない、そういう限りにおきまして、つけ得るだけの需要をつけた結果といたしましてそういう数字が出てきたのであります。で、需要の想定は、私たちの答申ではこのようになっておるのであります。で、需要が大体五千七百万トンの実トン数であるといたしますれば、それに対応して生産が行なわれなければならないのでありますが、その生産の面に目を転じてみますと、ここではまあ大きく二つのことが考えられなければなりません。一つは、需要の大きさは五千七百万トンでありますけれども、その構造はかなり大きく変化しております。つまり原料炭が大きく増加し、一般炭はどちらかというと減少する、こういうふうな大きな変化が構造上に現われておりますし、他方におきましては、現在の石炭産業は、構造的な理由に基づく経営上の赤字に陥っておるという状況であります。景気変動のためによる赤字の場合はそう問題でないと思います。景気の回復とともに赤字は解消するのでありますけれども、構造上から出てきておるところの経営上の赤字は、これは永続性を持っておると考えなければなりません。したがって、こういう状態のもとにおいてやっていくということは、石炭産業は安定した産業であるとは言えないのであります。そして石炭業が産業として安定しなければ、そこで働く雇用者も、また安定したものとは言えないのであります。すなわち、一方では需要構造の変化に応じて生産構造を編成がえしなければならないとともに、他方におきましては、構造上の赤字が消えるような産業に体質を改善しなければならないのであります。で、こういう問題を解くためには、一つには優秀炭鉱をビルド・アップし、そうして老朽劣悪炭鉱をスクラップする、この方針をとらざるを得ないのであります。ドイツの例を待つまでもなく一今日における石炭問題は、このスクラップ・アンド・ビルドにあると言われておりますのも、やはり日本におきましても、同様の問題がここに生まれてくるのであります。 ここで私ども、このスクラップ・アンド・ビルドの問題について、相当いろいろ調査をいたしたのでありますが、これがためには、今申しましたように、優秀炭鉱をビルド・アップし、老朽劣悪炭鉱をスクラップするというのでありますから、炭層、炭質、埋蔵量、立地等の観点から山を調査いたしたのであります。で、その結果として、私どもが試算いたしましたのは、スクラップ・アンド・ビルドのために約千二百万トン程度の改変を、一方ではスクラップし、他方ではビルドする、こういう改変を行なわなければならないということであったのであります。一千二百万トンのスクラップ、同時にビルドということは、かなり大きなスケールのものであります。しかし、先ほどあげたフリーデンスブルグ・バアデの報告によりますれば、ドイツでも相当のスクラップ・アンド・ビルドが必要である、こういうふうに考えられます。そういうわけで、この一千二百万トン程度をスクラップ・アンド・ビルドをやりましたならば、昭和四十二年ころにまでこれが完成し得ると考えられますが、したがって、昭和四十二年度ごろの石炭産業の姿といたしましては、先ほど申しましたように、生産が五千五百万トン強、あるいは五千七百万トン——実トン数で五千七百万トン、それから生産能率が三十八・六トン、それから石炭で働いている労務者の在籍人員が十二万台という数字になります。本年の四月ごろには、在籍人員は十九万六千人だったと思いますが、去る九月末の在籍人員は十七万九千人でありました。そのように、この在籍者の間には、かなり定年退職であるとか、あるいは本人の希望による退職であるとかというものがあるのであります。この差し引きをもってすぐさま離職者というわけにも参りませんが、しかし、ともかくも十二万台の在籍者になる、こういうことが私たちの計算上現われております。そうして企業につきましては、これはこの間に相当巨額の資金が投入されることになりますが、その資金の投入によりましてこのスクラップ・アンド・ビルドが完了いたしました暁には、すなわち、四十二年度ごろには、全体としての企業は黒字になります。中には、また赤字の企業もありますけれども、全体としての企業は黒字になります。その間、ずっと累積して参りました借金、債務を、この黒字をもって四十二年度以降逐次返済することができるような状態になるのであります。したがって、まあ私どもは、この状態になりますならば、石炭産業は一応安定した姿になる。今はまだかなりひよわい状態でありますけれども、だんだん安定度を増した産業として進んでいくことができるであろう、こういうふうに考えておるのであります。労務者にとりましても、もう企業が赤字であるというふうなことのために整理されるという心配も全くない、そういう状態になろうと思うのであります。このように、スクラップ・アンド・ビルドの規模がかなり大きいのでありますから、次に私どもは、このスクラップ・アンド・ビルドを実施していくところの方式というものを十分考えておかなければ、これが何と申しますか、めいめい勝手なふるまいをするということになりますと、たいへんな混乱を招くおそれもありますので、スクラップ・アンド・ビルドを計画的に、円滑に実施していくところの方式、これを十分考究しておかなければならないと私どもは考えたのであります。 そこで、その実施の方式といたしましては、現在の石炭鉱業審議会を改組いたしまして、その審議会の機能をもっと拡充強化する、そして、この石炭鉱業審議会に、毎年々々その年のスクラップ・アンド・ビルドの方針を審議してもらう。それからスクラップ・アンド・ビルドの方針ばかりでなく、スクラップ・アンド・ビルドの地方別、炭田別の計画、これをも石炭鉱業審議会で審議してもらう。さらにそのスクラップ・アンド・ビルドの計画を審議するにあたりましては、当然整理人員が出てくるのでありますから、この整理人員を他の安定した雇用につけせしめるのに十分な計画がなければなりませんので、その雇用計画をもあわせて審議をしてもらう。いずれもスクラップ・アンド・ビルドの方針にいたしましても、スクラップ・アンド・ビルドの計画にいたしましても、またその計画とあわせて審議をしてもらう。雇用計画にいたしましても、いずれもこれは政府の策定するものであります。政府の策定いたしましたこれらの方針とか計画を、石炭鉱業審議会におきまして十分審議をしてもらった上で政府が実施に移す、こういう方式をとらなければならないであろう、こう考えたわけであります。むろんこの場合重要なことは雇用計画でありますが、この雇用計画とスクラップ・アンド・ビルドの計画とが見合っておることが重要なことであります。で、雇用計画の中には、むろん石炭企業が責任を持って造出するところの職場、これもこの雇用計画の中に盛られておりますでしょうし、また、政府自身が造出するところの職場、これもむろん盛られてあります。そのほかに、なお職業紹介によって確保できるであろう職場の数、こういうものが盛られることになるでありましょうが、しかし、いずれもこの雇用計画は、政府の策定するところの雇用計画であることには変わりはありません。で、そのようにしまして石炭鉱業審議会の審議を経た後に政府がこれを実施することになりますけれども、しかし、個々の山についてのスクラップ・アンド・ビルドにつきましては、これは今のスクラップ・アンド・ビルドの方針であるとか、あるいは地方別、炭田別の計画であるとかいうものに照らし合わせまして、それぞれ各企業が自主的にスクラップ・アンド・ビルドの計画を立てることであります。したがって、組合のほうにこの企業の立てました計画を持ち出して話し合いになる、こういう手順をとることになります。でありますから、政府が立てる計画は、全国的に、また地方別、炭田別に申しましても、一つのスクラップ・アンド・ビルドの方針であるとか、あるいは地方別、炭田別のスクラップ・アンド・ビルドの計画であるとか、あるいはどういう職場を確保してあるか、この職場に関する雇用計画であるとか、そういうものでありますが、そういう計画のもとに実際にスクラップ・アンンド・ビルドについての責任ある行動といいましょうか、実施者はこれは企業である、企業が組合と話し合いの上で解決していかなければならない、こういう考え方になっておるのであります。いずれにしましても、そういう方式をとることによりまして、一方ではスクラップ・アンド・ビルドが独走するということはない。他方において、雇用計画と突き合わせて初めて審議が行なわれるのでありますから、雇用計画に見合わないようなスクラップ・アンド・ビルドが、行き過ぎるといいましょうか、独走するというようなことはあり得ない。お互いにチェック・アンド・バランスという形になってスクラップ・アンド・ビルドが実施されていくことになろうと思います。まあしかし、そういう方式をとるにいたしましても、やはり相当の離職者が出てくることは避けがたいのでありますから、したがって、離職者対策というものも非常に重要な意義を持っておりますし、また、これに対しては、政府は十分の責任感をもってこれに当たってもらわなければならないのであります。先ほど申しましたように、この雇用計画には、会社の造出するところの職場、政府のみずから造出するところの職場、それから職業紹介となっておりますけれども、会社の造出する職場とか、政府の造出する職場は、これはもうはっきりしておるものであります。職業紹介によるものが、これがかなり流動性を持っておるものでありますから、そこで、この職業紹介によって他の産業に安定した職場を持ってもらう、こういう人々に対しましては、ここで手帳を交付いたします。そうしてこの手帳の交付を受けた人々は、一方では職業訓練を受けて、特定の技術を身につけるとともに、他方におきましては、政府や、あるいは政府金融機関その他がいろいろの援助をすることによりまして開拓される職場に移転してもらう、転職してもらう、こういう考え方であります。その転職につきましては、住宅の問題が今まで非常に難点になっておりましたので、住宅につきましても、相当大幅な住宅の建設を提案いたした次第でございます。しかし、職業紹介によりまして割合に早く職につける方が、われわれの計算では、いろいろの計算がありますけれども、中にはいろいろの事情で、失業保険期間中に就職のできないような人もあるいはあり得るかもしれない、そういうふうに考えられましたので、さらに就職促進手当というものを設けまして、これを失業保険の給付期間が切れましたあと、二年間新しく手当を給付する、こういう仕組みにいたしたのであります。なお、離職者が再就職をいたしました後にも、いろいろの形でアフター・ケアを進めていく、こういうふうに私どもは考えております。別の言葉で申しますならば、石炭の近代化、合理化によりまして離職されました方に対しましては、この人々が失対事業に落ち込まないように、十分の配慮を尽くしたつもりであります。別の言葉で申しますならば、政府は、ある意味におきまして、この離職者に対しましてとことんまでそのめんどうをみる、こういう体制になっておると思います。なお、政府の造出する職場につきましては、特別のことを私どもは指摘しておりません。しかし、石炭関係閣僚会議を拡充してもらいまして、これには建設大臣とか郵政大臣、運輸大臣、自治大臣、そういう方々にも参加していただきまして、政府が極力ひとつ新しい職場をこの離職者たちのために造出するように御努力を願う、この御努力にはいろいろの御努力があろうと思いますが、そこでは一々は指摘してありませんけれども、私どもは、この政府の造出する職場に対しまして、かなり大きな期待を持っておるのであります。離職者対策につきましても、まだ申し上げる点もたくさんありますけれども、だいぶ時間もとりましたから、もうあとは簡単に申し上げます。 次は、企業につきましてでありますが、企業は、先ほど申しましたように、大規模なスクラップ・アンド・ビルドをやらなければならないのでありますから、その建設のための設備資金には、概算千七百億円ばかり必要になります。それからスクラップのための整備資金といたしましては、八百億円ばかり必要になります。もっとも、これは必要とされる資金の総額でありまして、中には自己資金でまかなえる部分もありますし、また、市中銀行に調達を仰ぐ部面もあります。しかし、財政資金といいましょうか、政府資金といたしても、かなりの額を最初には投入しなければならないことになろうと思います。したがって、そのかなり大きな資金が企業に投入されるのでありますから、企業の経理の規制、あるいは経営の監督というふうなことはどうしてもまぬがれないと考えまして、この石炭の合理化が完了するまでの間は、臨時に会社に対する規制を行なうという立法を必要とすると考えております。なお、会社の経理の問題につきましては、あとで平田委員または土屋委員から補足をしていただきたいと思います。 それから、鉱区の調整につきましても、また、鉱害復旧の問題につきましても、これはやはりかなり石炭問題としまして重要な問題であるのでありますから、私どもの答申におきましても、この問題につきましては、特に一項を設けまして、問題の解決を示唆してあります。 それから、流通機構の改革につきましても、これは従来なかなか手のつけられなかった問題でありますけれども、しかし、生産部面におきまして相当の合理化努力が払われておるのでありますから、流通部面におきましても、機構を改革することによりまして、その流通経費をできるだけ圧縮するということは当然のことであります。そこで、私どもこの点につきましていろいろの考え方、なかんずく専用船によるところの共同貯炭、共同荷役、共同施設、それから銘柄の統一整理、こういうふうなことを強く打ち出しておる次第であります。何分にも将来三千万トンの石炭を電力が引取るということになりますと、一般炭の需要の中で、八〇%が電力に向かっておるということでありますので、この流通機構の改革ということは、私どもは比較的やってやりやすい状態にあると考えますし、また、やって大いに効果が上がると考えておる次第であります。 それから最後に、どうしても石炭問題として忘れてはならない、あるいは非常に力を入れて考えなければならない問題は、産炭地振興の問題であります。で、実は産炭地振興の問題は、地元住民や、地元の商工業者の生活の安定という問題や、あるいは窮迫している市町村財政に対する問題、こういう問題を考えるにあたりましては、むろん一時的、暫定的ないろいろな措置は考えられますけれども、根本的には、やはり何と申しましても、産炭地の振興ということを考えなければならないのであります。で、産炭地は、これは地域々々によりまして、それぞれ実情を異にしておるのでありますから、一般的には産業基盤の造成というふうなことが言われますけれども、それにつきましても、なおいろいろの具体性を持った検討を必要とするのであります。それで、私どもの答申では、筑豊と西九州につきましては、やや具体的な書き方をいたしておりますけれども、ほかの地域が重要でないというわけではありません。しかし、何と申しましても、今日筑豊は最も荒廃しつつあるのでありますから、したがって、この筑豊を一つのモデル・ケースといたしまして、ここにやや具体的な考え方を示したのであります。したがって、私どもは、この筑豊につきましては、幹線道路を早く建設するということのほかに、なお、政府自身も、その政府機関の出先工場といいましょうか、直轄工場なら直轄工場を率先してこの地域に設置するということ、その他この地域の工業化のために少しでも役に立つような考え方をいろいろと取り入れたつもであります。しかし、何と申しましても、この地域対策は、非常に具体性を持たせなければ、あまり迫力が出てこないのでありますが、その具体性を持たしめるためには、この地域々々における特殊な事情を十分考慮して検討して初めてやり得るのでありますから、その点を考えますならば、私どもは、この産炭地振興ということは非常に重要であって、政府が本腰を入れてこれにかからなければ、なかなか所期の目的を達し得ないのであるから、したがって、ここには一つのサンプルといいましょうか、考え方の例示をいたしておいた次第でございます。例示でありますから、これで尽きているというわけではなくて、その他いろいろのことが考え得られる、また、やり得ると思うのでありますが、その一つ一つを私どもは書くことはいたしませんでした。そういう事情を政府におかれましても十分おくみ取り願って、政府自身がさらに工夫をこらして、この産炭地の振興のために、本腰を据えた施策をしていただきたい、こういうのが私どもの本来の趣旨であります。 石炭産業は、実際古い産業であるとともに、大産業であるのでありますから、この石炭産業の問題に取り組みますと、実はいろいろな問題が他方面から入り込んで参りまして、なかなか入り組んだ複雑な問題を形成してくるのであります。私どもは、その問題に取り組んで、一応一わたり解決の方向を示唆したつもりであります。必要なことは、政府がこの方向に従いまして、そうして今申しましたように、私たちの考え以上に、さらにいろいろの工夫をこらした施策を取り入れられまして、この問題を一刻も早く解決の緒につかしめるように御尽力を願いたいというのが私どもの答申の趣旨であるのであります。 たいへんかけ足に終わったようでありますが、時間もだいぶたちましたので、この辺で一応御報告を終わらしていただきます。
○委員長(堀末治君) まことにありがとうございました。 —————————————
○委員長(堀末治君) この際、委員の異動について御報告をいたします。本日商工委員の吉田法晴君、近藤信一君が辞任され、その補欠として米田勲君、佐多忠隆君が選任されました。 —————————————
○委員長(堀末治君) それでは、ただいまの御説明に対して御質疑を願いたいと思いますが、その前に補足説明をお願いいたしたいと思います。平田さん。
○参考人(平田敬一郎君) ただいま団長から大要御説明ございましたが、資金と経理に関連しまして、若干補足しまして御説明申し上げたいと思います。 資金のほうからまず申し上げますと、これは御承知のとおり、財政投融資、あるいは一般会計等を通じまして、政府は相当大きな額を、少なくとも計画期間中は御協力願う必要があるんじゃないかということでございまするが、項目は非常に多方面に分かれております。しかし、一番資金的に重要な、あるいは金額の大きくまとまって要する部面は、何と申しましても、さっき団長からお話のありました石炭企業に対するビルドの資金、つまり設備資金、近代化、合理化資金でございます。それからもう一つは、スクラップ並びにビルド山についても生ずるところの退職金の支払いを中心にしました整備資金でございます。その二つが何と申しましても一番金額的には大きくなろうかと存じております。そのほかに、さらに離職者対策に関連しまして、これも相当な資金を必要とするんじゃないか、このほうは、主として一般会計の支出に相なるかと思います。たとえばさっきの住宅対策費だけでも相当な額になるのではないかと存じます。それから、さらに産炭地振興、これが御承知のとおり、また非常に多角的にわたりまして、いろいろな財政的、金融的な措置を必要とするのではないかと思います。まあその他非常に多方面にわたっておりますので、全体を精、密に計算しまして幾ら要るというところまでは申し上げがたいのでございまするが、さっきの企業のほうの資金につきまして、私どもが中間で検討した資料と申しますか、そういうものに基づく大よそのことを御説明申し上げたいと思いますが、まあ大手と中小企業とに分かれるわけでございますが、まあ大手のほうは、やや計算なり見通しをある程度つけておりますので、それについて申し上げますと、さっきの設備資金といたしまして、総体で今後五カ年間に——五カ年半ぐらいになりますが、あとで申し上げますように、本年度の追加ということも考えておるわけでございますけれども、含めまして約千四百億円ぐらい設備資金が要るだろう。もちろんこの設備資金は、全部政府の借り入れに依存するわけではございません。償却その他の自己資金、あるいはまた一部市中からの借り入れということもございますが、それから、さらに現在は、御承知のとおり、開発銀行で年額約七十億、それから合理化事業団から約年額二十億みておりますが、まあこれは今までもやっておりますので、ずっとそのまま続けていくということで計算しまして、まあ今後何らかの意味におきまして新しく対策を要する金額はどれぐらいになるだろうかということを試算してみたわけでございます。そうしますと、大体まあ二百五十億から三百億ぐらいは今後五カ年間に何らかの対策を必要とするだろう。で、これはもちろん会社によりまして市中から調達し得る余力の多いところもございますし、それから、また比較的むずかしいところもございますが、まあそういうものをある程度差し引きしまして、残額は結局財政資金で供給してやる必要があるのではないか、今の状況から見ますと、それはそのうちの大部分になるのではないかと思っておりますが、これは資金のことでございますので、政府が幾ら五カ年間に必ずみなくちゃならぬという金額まで算定しますのは、少し行き過ぎになると思いまして、その趣旨で支出するようにという報告になっております。 その次は、整備資金のほう、大手十八社の場合でございますと、約六百八十億円程度必要とするだろう、これは報告に書いてあるとおりでございますが、御承知のとおり、政府資金は主として合理化事業団から出ますが、その大部分は実は退職金の支払いに当てるための資金でございます。それと鉱害の復旧のために必要な資金を加えましてその程度になっている。これも御承知のとおり、やはり退職引当金等で、自己資金でできるだけ出して、それから、ある程度はやはり市中金融機関からも借り入れてもらうということになりますが、このほうは従来は大体市中金融機関に依存してやっていたのでございますが、本年度からは、合理化事業団から、御承知のとおり、約四十億円ほど支出するということになっておりますが、そういうものを、これも既定の事実としまして、結局何か政府並びに会社自体が今後新たに努力を要する金額はどれくらいかと試算してみますと、これまた三百億円前後要するのではないか、それがおそらくどういう方法でうまく調達するかどうかが一つの重要な問題ではないかと考えておりますが、まあ現状から申しますと、なかなか市中依存といってもむずかしいので、その相当部分はやはり財政資金で供給していく必要があるのではないかと思っておる次第でございます。特に政府資金は、今までは大体事業団から新しく始めまして、八分の金利で貸し出しているようでございます。どうもこれはやはり事柄の性質上無理じゃないかというので、今回、事業団から出す資金は六分五厘の金利で出すということになっておるわけでございます。それから、償還の条件も、現在は二年据え置き、三年償還というのが原則になっておりますが、今後は原則として三年据え置き、五年償還ぐらいの条件で返済するということに改めたらどうだろうかということになっております。それで、これもやはり今後における自己資金の調達状況、それから、市中からの借り入れの可能性の度合、年によって少し変わってくると思いますが、したがいまして、そういったようなことを考えながら、最後は資金の各部につきまして財政資金でみてやるようにという仕組みになっておるわけでございます。したがいまして、今申し上げました金額を、今後さらに政府がまるまる追加して支出するということを申し上げておるわけではございません。しかし、最後は計画が実現できるように資金的な裏づけを政府がしてほしいということを非常に強く強調いたしておるわけでございます。 その他につきましては、なかなかこまかい計画ができませんと、それぞれ精密な計算はむずかしいかと思いますが、たとえば住宅八千戸といっておりますが、これは百万円と見ましても約八十億ぐらい、しかも、これは三十七年度の追加と、三十八年度一ぱいにも——今は御承知のとおり、千百戸ぐらいの計画でございます。一年半ぐらい、あるいはほとんど一年ぐらいの間に八千戸の離職者のための住宅を作る、単価かりに百万円、実際は百万円よりちょっとよけいかかるのでございますが、そう見ましても八十億円という費用を必要とする。その他、産炭地振興その他にも相当な額を要するというわけでございまして、いずれにしましても、いろいろな費目、あるいは一般会計、あるいは財政投融資等で相当な資金的な援助を政府が必要とするのじゃなかろうか、かように考えております。 それから、さらにつけ加えまして申し上げますと、今のは五ケ年間を通じた数字でございます。事柄の性格上、あるいは今後の進展次第にもよりますが、やはり経過期間中の前半期、なかんずく本年の残り、三十八年度、三十九年度あたりにごく集中して必要とするのじゃなかろうかということをつけ加えて申し上げたいと思います。 それから、石炭会社は、先ほど団長からお話しのとおり、どこの会社も実はたいへんな状態になっております。困難な状態というのが、やはり会社によって多少は違っておるようでございます。その辺をよく実態に合うように資金の面等につきましては措置していく必要があるのではないかと考えております。したがいまして、過去の債務につきましても、要綱につけてありますように、非常に経理的、あるいは経営的に困難度が多い会社、しかも、今後どうしても再建整備計画を作る意味において一少し今までの債務についても長期に切りかえる必要があるような企業がやはり若干は出てくるのじゃないかと思いまして、そういう会社につきましては、個別的によく計画を作ってもらいまして、適正な計画ができますれば、それに応じまして、過去の債務等についても条件の変更等を行ないまして、再建をしやすくなるようにしようということもうたっております。そういたしまして、先ほど団長からお話がございましたけれども、大体最近の状態でございますと、トン当たりで、やはり報告に書いてありますように、約百七十円、これは概算ですが、このくらいの平均しまして赤字状態にあるのではないか。それはもちろん現在も若干黒字の会社もございます。これよりもはるかにもう少し悪いところもございます。それを私ども一応今後調査団の報告が実施され、経営者、従業者が大いにがんばっていただきますると、四十二年度ころには、まあこれもほんの見通しでございますが、当年度だけの純益で、平均しまして百円くらいの黒字にはなれるのではないか、また、なってほしいという見通しのもとにいろいろな方策を立てておるわけでございます。それでも、現在もうすでに多額の債務を背負っておりますし、それから実質的には赤字を相当背負い込んでおる状態でございます。これは大部分この期間中はむしろ借金もふえますし、赤字もなかなかここ一、二年間赤字状態が続きまして、それが累積しまして、四十二年度まではまだやはりふえて、その後漸次企業の立ち直りと同時にそういう問題を解決し得る状況になるのではないか。そのような意味で、四十二年度におきまして、自立の基礎と申しますか、あるいは安定への基礎固めができると私ども確信いたしておりますが、なお、しかし問題は、その後に過去のそういったようなものを企業がそれぞれ片づけていかなければならない、そういうことを処理し得るような段階に、少くとも四十二年度には平均してなる。会社によりましては、もう少し早くなり得る会社、あるいはぎりぎりになりましても、まだ完全とまではいかぬ、まだ相当努力を要する会社、企業によりまして若干の違いが出てくることは当然のことと思いますが、全体としましてはそういう方向にいくように政府も十分な協力をし、かつ企業の努力、なかんずく経営者の努力が一番重要だと思いますが、そういうふうに相なりますれば、石炭鉱業安定という、団長からお話しになりました目的は、まず達成することができるのではなかろうかと、このように考えております。 なお、最後にもう一点つけ加えますが、三十七年度と三十八年度と、大体どれくらいの予算が要るのかとよく質問を受けるのでございますが、これはやはり政府が報告を受けまして、実行案をやはり作りまして、それで正しい計算をしないと、いいかげんな数字で推定することはなおさら妥当じゃない。私どもも、若干の資料に基づいて検討はいたしておりまするが、それを直ちに報告に盛り込んでいくというのは、かえって無責任になるおそれがございますので、これは政府が直ちに措置を決定すると同時に、正しい積算をいたしまして、それぞれ予算措置、資金措置をとってもらう。おそらく私は、政府が早く方針をきめてやるとしますれば、本年度の補正で、一般会計並びに財政投融資——財政投融資は、補正というよりも、計画の改訂ということになるかもしれませんが、それをできるだけ早く必要な額をやってもらえばいいのではないか。来年度は来年度で、それに基づきまして正しい計算をいたしまして実行に移していくということになろうかと思うのでございまして、その辺が今後の政府の具体的な作業ということになるかと思います。なお、途中におきましても、調査団と一緒に、政府のそれぞれ関係の者が入りまして、十分細目のところまで討議を続けておりますから、私は、政府のそういった作業ややり方は、根本の方針や態度がきまれば、比較的順調に進め得るのではないか、また、進んでもらわなければ困ると実は調査団としても考えておりますことだけを最後につけ加えさしていただきたいと思います。 はなはだ概略でございますが、御説明申し上げました。
○委員長(堀末治君) ありがとうございました。 それでは、これから御質疑に入りたいと思います。
○阿具根登君 まず最初に、有澤団長さんに尋おねいたしますが、私ども、前国会でこの石炭の問題を審議いたします場合に、エネルギーの革命ということが各方面でいわれておるし、世界的な風潮だということであるならばあるだけに、総合エネルギーの立場から、総合エネルギー対策としてこれは考えるべきである、こう主張して参ったわけでございます。今日までの状態を私ども考えてみますと、この石炭合理化というのが出された三十四年の十二月には、やはり石炭は五千五百万トン、そうして能率は二十六・二トン、人員は十七万五千名、さらにそれから三年たちまして、三十六年の九月にこの計画を変更された。その場合も、石炭は依然として五千五百万トン、そうして個人当たりの能率が二十八・四トン、人員が十六万一千名、こういうのが出ておるわけなんです。こうして見て参りますと、総ワクはほとんど変わっておらないけれども、炭価がどんどん変わってきた。いわゆる当時はキロ当たり八千四百円の油の値段だったと思います。最近は、私どもにも幾らするのかつかめません。六千円切ったともいわれておりますし、五千円そこそこだともいわれております。さらに、それは表面上であって、リベートがあって返ってきておるということまでいわれておるということまでいわれておるとするならば、これは炭価だけで考えられるだろうか。それならば、やはり総合エネルギーという立場から、一体、油はどのくらい使うのだ、石炭はどのくらい、価格はどのくらいということがはっきりしなければ非常な不安がある。また、この二、三年たった場合、油はほとんど外国資本が大部分のようですが、そのダンピングといいますか、そういう形で押されていった場合に、また形の変わったものを考えねばならぬようになるのではないかということを非常に私どもはおそれるわけですが、そういう立場からはどういうふうに御検討いただいたでしょうか、教えていただきたいと思います。
○参考人(有澤廣巳君) 石炭の価格と油の価格、これは相互が競合エネルギーでございますから、価格の面から考えますと、確かに三、四年前の合理化対策として予定いたしておりました重油の八千四百円程度のものが、今日ではなかなかっかみにくいというお話ですが、大体六千円台になっておると思います。 そこで、価格の面から油と石炭とを競争し得るような状態に持っていくという石炭対策も一つの対策だと考えます。ドイツのやり方はそういうやり方になっておるのでありまして、つまり輸入炭に対しまして関税をかけ、関税が五百万トン以上をこえる輸入炭につきましては二十ドイツマルク、それから重油につきましては、消費税を二十五ドイツマルクかけて、それでプライス・メカニズムによりましてお互いに競争する、こういう建前をとっておるのであります。そういう行き方もあると思います。しかし、私どものほうの考え方はそうではなくて、つまり販路、あるいは石炭にとっての需要の保障と、それから輸入数量の制限、この二つの措置による石炭の保護政策はドイツではとらない。今申しましたような課税を石油にすることによりまして価格上の競争をさせる、こういう考え方ですが、私どものほうはそうではなくして、先ほどもちょっと説明申し上げましたように、電力には今までの二千三百万トンの引き取り、これは価格が千二百円引き、その価格で二千三百万トンを引き取ってもらおう、そういうふうになっておりましたのを、同じく千二百円引きでさらに七百万トンよけい引き取ってもらう。つまり石炭に対する需要を確保するドイツではとらない方策を私どもはとったわけです。 それから、輸入炭につきましても、当分の間は自由化が行なわれませんので、ここでも外貨割当によりまして、先ほど申しましたように、弱粘結炭はほとんど全部国内炭を使ってもらおう、このことによって需要を確保する、こう考え方になっておるのであります。どうも日本の場合におきましては、価格で相互に競争させるというふうな考え方をいたしますと、重油のほうにおきましても、油のほうにおきましても、非常に乱調子の状況であるのでありますし、また、石炭の場合におきましても、従来のような石炭の高い価格では、重油のほうに課税するにいたしましても、相当大幅の課税をしなければならなくなるのであります。そのことが、結局わが国においてもエネルギー・コストの上昇ということになると、これは国民経済的にいって、決しておもしろくない結果だとわれわれは考えましたので、それがために、今申しましたように、石炭にとりましては、一般炭にしろ原料炭にしろ、需要の確保、需要の保障、こういう点から出発をしたわけでございます。
○阿具根登君 そういたしますと、総合エネルギーという考え方から考えてみて、将来五千五百万トンという石炭の総量は、それが妥当だということに結論が出ておるものだと思うのですが、それでは現在電力なら電力で混炭をしております。今日の割合をそのままお認めの上での三千万トンなら三千万トンのお引取りでございますか、それとも、こういう国内事情にあるので、混炭率を少しふやすというお考えなのか、あるいは、やはり電力会社としては安いものを使いたいし、使いやすいのを使いたいと思いますので、混炭率をもっと減らすのだ、減らして、なおかつ三千万トン使う、こういうようなお考えでしょうか、この三点について御説明願いたいと思いたいと思います。
○参考人(有澤廣巳君) 石炭を三千万トン引き取ってもらうことになりますと、重油の混焼率は、現在四〇%程度石炭混焼火力に重油を食わしておるわけでございますが、三千万トンということになりますと、三十八年度には三〇%になります。まあ端数がついておりますけれども、三〇%、それから三十九年以降は一〇%の混焼率になります。でありますから、まあ三十八年度だけはこれを一〇%にまで重油の混焼率を引き下げるということになりますと、なお約二百万トン程度より多く石炭を使ってもらえることができようかと思いますが、それ以降は一〇%の混焼率がもうぎりぎりでございますので、それ以降におきましては、重油の混焼率を減らすということはできないのであります。で、三千万トンの数量を引き取ってもらうには、四十一年以降からは、新しく石炭専焼の火力を増設しなければなりません。それまでの間は、もうすでに着工しておるものもありますし、もう敷地のきまっておるものもありますので、この発電所の設計を今さら取りかえることはできないのでありますから、現在の石炭専焼の火力を、混焼率をぎりぎりのところまで上げてもらって、引き取れるだけの石炭を引き取ってもらおう、こういう考え方になっております。
○阿具根登君 見方を変えて御質問申し上げたいと思いますが、先ほど西ドイツのお話がございましたが、私どももたびたびお計れいたしておりましたが、西ドイツでは、いわゆるアメリカと契約しておった輸入炭まで解約して、そうしてそれは政府が補償し、さらにその考え方が、たとえば有給休暇制を認めた、こういうことになるわけです。率直に申し上げますと、非常に長い間御苦労していただきまして、北海道から九州のすみずみまで山をお歩き願って調査された諸先生方に、こういうことを申し上げてまことに失礼とは思いますが、私どもは、実際今後職を追われていく人々のことを考えると、率直に言葉を飾らずに申し上げたいと思うのです。 結論的に申し上げますと、石炭の今後の安定、これは十分お考え下さっておるものと思います。しかし、現実の問題として、六万から七万の人が山を離れなければならない。もう一つ申し上げますと、先ほども御説明のありましたように、四十二年後はトン当たり百円以上の黒字になって、借金も返されますぞ、経営も十分成り立っていきますぞ、ビルドのところには設備資金を一千七百億から心配いたしましょう、今度はスクラップのところには七百億ですかの資金を出して上げましょう、しかも、利子はかくかくで、六分五厘くらいで長期に据え置きでやろう、非常にけっこうなことだと思うのです。そこはけっこうだけれども、あとのが非常に抽象的である。もう一つ言葉をかえて申し上げますと、そこまでお世話しなければならない私企業というのがあるだろうか。もう私企業の限界にきておるんじゃないだろうか、そういう言葉もどこかで拝見したことがございますが、今の場合、そういう企業がどこにあるだろうか、もう石炭企業の能率というものは限界にきておるんじゃないか、私はこういうように考えるのです。それは間違いであるかどうか、また、こうまでしてやっても私企業としてこれを認めていくべきであるかどうか、この問題をひとつお伺いして、それから雇用の問題に入りたいと思います。
○参考人(有澤廣巳君) 巨額の資金を私企業としての石炭会社のほうに回さなければならないということは、私企業の限界でなかろうか、こういう御質問のように伺いましたが、確かにその点は、私も私企業は限界に近いところだと思いますが、ただ、私企業でなくするという考え方になりますと、また今度は全然別個の問題をわれわれは考えなくちゃならぬと思います。私どもの考え方といたしましては、私企業ではあるけれども、一応今までも私企業でやってきておるものですから、そして、その経営の上からいいますと、決して私企業としての責任を十分果たしているとも申せないと私どもは思うのですが、しかし、この私企業をして、もう一度といいましょうか、もう一たびやらしてみる、こういう考え方になったわけです。それはほんとうならば、イギリスといい、フランスといい、いずれも終戦後に石炭鉱業はこれを国有化いたしております。その機会は日本にも私はあったと思うのですが、しかし、実現はしなかったのです。そして今に日に来たっておるのです。その経過を考えるときに、私どもは、いま一度私企業としてやらしてみる、そのかわりに、私企業は私企業としての責任はとってもらいますけれども、この間は、つまり国家が相当の金を注ぎ込む、その間は、先ほど申しましたように、会社につきましては規制を行なう、そしてスクラップ・アンド・ビルドについては、会社の自ままなといいましょうか、気まま勝手なビルド・アップはできない、そういう制度のもとにこれを行なう、これを社会化といってもいいかとも思いますが、まあそうでないという人もありましょうから、特に私はそれが社会化であるかないかということまでは申し上げませんけれども、私企業であるからといっても、スクラップ・アンド・ビルドを自ままにはできない、そして経理経営については、国家の管理、規制並びに監督を受ける、こういう状態にあるわけです。少なくとも、会社が自立ができる状態になるまでは、そういう状態でこの石炭の近代化、合理化を進めていくと、こういうことになっておるわけでございます。
○阿具根登君 非常に申しにくいことですが、今、団長さんのお話でよくわかるんですけれども、まだそこがしりが抜けておるんではないかと私は思うわけです。なぜもっと強く規制できないか、監督できないか。たとえば私、資料がほしかったのですが、資料が出ておりませんけれども、今日まで開発銀行からでも幾らの金をお借りになったか、できたばかりの縦坑、何十億と使った縦坑がもうスクラップしなければいかぬということになっておる。そういう責任は一体だれがとるか、そこで働く人々は、いや、百年計画ができた、五十年計画ができた、おれの孫の代までこの炭鉱で働けるという希望でみんな働いたと思うのですが、それが何十億の金を借りて投じて、しかもそれから石炭もあまり出ずにこれはスクラップだ、買い上げるのは国から金をお借りするのだ、これでは私は責任の所在があまり明らかでないと思うのです。こういう責任も一応考えねばならぬと思うのです。どういうお考えか、それもお聞きしたいと思うのですが、こういうことがないように、もっと強い国の規制する力を考えるべきじゃなかろうか、私はこう思うのですが、いかがでしょうか。
○参考人(有澤廣巳君) 今御指摘になった縦坑のような事例は、私ども現地視察におきまして十分承知しております。確かにその点では、現在の経営者には大きな責任があると私は思います。しかし、今後政府が、政府の資金をかなり巨額のものを貸し付けるという形で近代化、合理化を進めるにあたりましては、今度は政府自身の監督があるべきでないか。先ほど触れました石炭鉱業審議会のほうからも、一々実施についてのトレースをすることになっております。そして遺憾の点があれば、あるいは責任が十分果たされてないというふうな点がある場合には、政府に対して建議をするということになっているのであります。でありますから、今までは確しかにそういうふうな場合があったことは事実でございますけれども、今後はそういうことのあり得ないような監督、監視をして参るように私どもの答申ではなっているのであります。
○大矢正君 今の阿具根委員の質問に関連して、私も一つだけ有澤さんにお伺いをしておきたいのです。関連といっても、最終的には今の質問と同じ趣旨になるわけでありますが、私は先生の答申を読ませていただきまして、自分なりに実はこう考えたのです。この答申の中に盛られている趣旨というものをこまかく分析をしてみますと、大体五つに私は分けることができると思う。一つは、需要の問題であります。これは今日の段階では、この答申に基づいて、政府の石炭対策なり方針が出た暁におきましては、それぞれの企業の経営者が、自主的な立場や、あるいはみずからの判断に基づいて、電力なり鉄鋼なりという大部分を占める産業の経営者との話し合いによって私は需要というものはきまるものではないと考えます。これはあくまでも答申の趣旨というものは、政府みずからの努力によって、積極的な意思、働きによって需要というものを確保すべきだと、こうなっているのでありますから、その中からは、経営者みずからの自主性や、それから創意に基づくものは、多少のものはあったといたしましても、新しい発展はないと思います。したがって、私に言わしめますならば、根本的にこれは政府が需要の開拓もしくは需要の確保に努めなければならないものだということをうたっているのではないかと、こう思うのであります。 それから、第二点は雇用の問題でありますが、これもこの中で明らかにされておりますように、経営者は、みずからの企業内もしくは企業外において雇用の造出をはかるという考え方はございますけれども、その大宗をなすものは、政府の力によって就職のあっせんなり雇用の転換先を求めて、雇用の減少を補っていこうという考え方でありますから、これまた経営者みずからの自主性や創意に基づく雇用先の確保というものは、ほんとうに微々たるものであると、こう私は思います。 第三点は資金の問題であります。これは先ほどの平田さんのお話にもありましたとおり、もとより企業みずからの中において生み出す資金や、市中銀行からの借り入れ、自主的な話し合いによる借り入れ、これらの問題があるでありましょうが、その中心は、何といいましても財政投融資であります。と同時に、また、今日の段階で、市中銀行が、政府関係の金融機関が金を貸すという考え方が出て来ない限り、自主的に金を貸すということは、私は出てこないと思います。そうなって参りますれば、やはりこれの中心は、政府がやらなければならないということになります。 第四点は、石炭の価格の問題であります。これはこの中にも出ておりまするとおり、当初考えられました千二百円のコスト・ダウンという方針に基づいていきますけれども、これは、それが終わりましたあとにおきましては価格は維持をされるわけでありますから、その間にあって、価格の問題で、たとえば需要先石炭との経営者が話し合いをしたり、その上げ下げをしたとかりにいたしましても、それは微々たるものだと思います。したがって、ここで価格の問題は固定されたと考えてもいいのではないかと私は思います。 最後に、整理の問題であります。スクラップの問題であります。これはもとより、先ほどの説明にもございましたとおり、経営者が自主的にスクラップをするのではなくて、政府が、この山とこの山は能率も悪いし、自然条件も悪いし、コストも高いから、山を整理してはどうかという、そういう政府の方針に基づいて経営者は行なうのであります。これは決して経営者の自主性ではありません。こうなって参りますと、これも私は、経営者の創意ではなくて、政府の力によって行なわれるということになって参ります。それぞれ考えて参りますと、それでは今日の自由経済の中において、企業が私企業としてなお残らなければならないという最大の眼目である経営者の自主性や経営者の創意というものは、一つも私はないと思います。また、ないのが当然だと思います。そこまで石炭産業というものは追い込まれておるのでありますから、私は、今日の段階で、わずかばかりの私企業の経営者の創意を生かすために、こういういわばなまはんかな形で石炭産業をこれから運営していったのでは、むしろ害に私はなると思います。五カ年たったあとになって、初めてこれもうまくいかないから、いよいよ国有ないしは国営にしょうか、公社にしようかと考えたときには、もうすでにおそいと私は思うのであります。したがって、その決断をする時期は今ではないだろうかと思うのでありますが、こう考える私の考え方が本質的に誤りなのかどうか、どうかひとつ大へん申しわけないのでありますが、お聞かせいただきたいと思います。
○参考人(有澤廣巳君) ただいまの御質問は、事業の面、それからスクラップ・アンド・ビルドの面、経理の面、そういう各五つの面におきましての御検討をなさって、その結論からいうと、もう自由企業としての、私企業としての創意工夫を発揮する余地がないから、むしろこれを私企業でなく、国営的な企業形態に移すべきじゃないか、こういう御質問だったかと思うのであります。ただ一つ、最後のスクラップの件につきまして、これはちょっと私の説明が不十分だったかと思いますが、政府のほうが、この山をつぶし、この山をビルドする、こういうふうな指示をするわけではないのであります。先ほどもちょっと説明をいたしましたように、その年その年のスクラップ・アンド・ビルドの方針、この方針は、まあ炭質であるとか、炭量であるとか、炭層とか、いろんな条件を基準にして立てられると思いますけれども、そういう方針をきめるということ、これは石炭鉱業審議会に諮ってきめる。それから地方別、炭田別のスクラップ・アンド・ビルドの規模といいましょうか、あるいは炭質といいましょうか、炭種といいましょうか、炭種の別もあるかと思いますが、そういう規模別にスクラップ・アンド・ビルドの規模をきめる。そこまではやるのでありますけれども、それからあとの実施の段階、スクラップ・アンド・ビルドの実施の段階は、企業自身が自分の責任で計画を立て、そして組合と話し合いになる、こういう段取りになるのであります。その点はちょっと今の御質問の中には誤解があったように思いますから、訂正さしていただきたいと思いますが、そういうやり方であるのであります。しかし、まあ価格の面も維持する、それから需要の面も維持する、したがって、こういう私企業の経営者としては、ほとんどやることはないのじゃないか、自主的にやるようなことはないのじゃないか、こういう御質問であります。確かにそういうワクを国のほうからはめて、そのワクは、何も縮小という意味でもないのですが、そういうワクをはめて、そしてそのワク内で私企業経営者が働くことになるのでありますから、あまり自主的に創意工夫をこらす余地が少なくなるということは確かでございますが、しかし、それは一部近代化、合理化が終わり、そして別な言葉で申しますならば、石炭産業が自立をするまでの過程であります。それからあとは、もう国のほうも特にめんどうもみない、経営者として、また、組合として、あとはその自立した後の石炭産業をうまく持っていってもらいたい、こういう考え方になっておるのであります。ですから、この一つの過渡期間と申しましょうか、暫定的な期間だけは、確かにお説のとおりに近いところになると思いますけれども、それからあとは、私企業として、企業家のほうが十分の努力をすることによって、価格の面におきましても、もしもっと安くできるならば安くしてもらいたい、コストをダウンしてもらいたい。同時に、一方におきましては、先ほどはちょっと申し上げませんでしたけれども、原料炭のほうは、四十三年度以降につきましては、若干需要が上回ります。つまり供給力より需要が上回る結果が出てくるのでありますから、その上回る分につきましては、新しい炭田の開発ということも考えてもらいたい。そのためには、来年度あたりから直ちに調査をする、そして大規模の炭鉱、そしてそこでは、おそらくできれば豪州炭と競争してもやれる程度の優秀な炭鉱を作ってもらいたい、開発してもらいたい、こういうことも考えておるのでありますが、しかし、それらはいずれも石炭産業が自立をした後のことなんであります。それまでの、自立までの間は、今申しましたようなワクをはめて、そのワクの中で石炭産業の自立のための努力をしてもらう、こういう考え方になっておるわけです。ですから、今直ちに企業形態のものを考えなければ石炭産業の自立ができない、こういう決定的な理由があればともかくでありますが、実際は石炭産業が国有化されたといたしましても、やはり赤字は赤字として残っておる。自立しない産業は国有化にしてもやはり同じことになります。残っておるわけです。その赤字は、私が先ほど申しましたように、構造的な赤字は、これは企業形態とは別のものであります。別個の問題としてそのものを考えなければならないと思うわけです。ですから、その間は、今申しましたように、企業の自主性につきましては、相当大きな制肘が加えられます。したがって、その点から言えば自主性が非常に少ないのじゃないかという御質問になろうと思いますけれども、しかし、それはわれわれが石炭産業を自立させるためにとった措置なのであります。それが自立しました後には、私企業として経営者が十分の責任を持って、社会に、また、労働者にも責任を持って石炭産業を経営してもらう、こういう考え方になっておるわけでございます。
○阿具根登君 委員長から再々時間の催促を受けますので先に進みますが、先ほどちょっと触れました、たとえばドイツにおきましては、こういう事態であっても有給休暇ということが考えられておる。減産ということをドイツでも考えてやられたと思うのですが、一応お尋ねしたいと思いますのは、炭鉱の、あるいは鉱山もそうですが、地下産業で坑外と同じような労働時間は妥当であるだろうか妥当でないだろうか、特に官庁関係では半ドン等もございますが、より暗い、より危険な場所でより重労働をしている方々に対して、たとい有給休暇の一日でもやることができないだろうか、これは無理だろうかといったことを考えてみます場合に、この有給休暇制度をとられたとするならば、月に三日有給休暇をやったとして、一年間で一千万トンの減産にはなると思うのです。そうすると、減産ということについて、とにかく少しでも職場から離れる人を守ってやるという考え方に立つならば、私はこういうことはとられないだろうか、こういう考え方を持つわけです。それはなぜかと申し上げますと、三十四年以降今日まで、約十一万近くの人が炭鉱を離れておるわけです。十一万近くの人が御承知のように炭鉱を離れております。その中で、実際職についておる人は約六万名です。そうすると、あとの五万名の人は、これは日雇い労働者か、あるいは生活困窮者になるわけです。これをもう一つ福岡で例をとってみます。これは三十四年では、生活保護を受けておる人、生活困窮者、その方が三万二千名であったのが、今年の四月では八万四千名になっておるわけです。このふえた五万二千名の人が、全部炭鉱労働者であるとは私は申し上げません。しかし、このうちの大部分の人は炭鉱から出た方々ではなかろうかと思うのです。そういうことを考えてみます場合に、これに投じておる国の資金というものは相当な額になります。そういう額の金が今日使われるとするならば、それを有給休暇のほうに向けたら一体どうなるか、失業者は出なくて、——まるきり出ないわけじゃないけれども、私は、労働の再生産に対する体力の保護もできます。また、危険から防止する率も非常に高いと思う。そういうことはお考えにならなかったかどうか。それからもう一つは、この答申案が実施されるとなるならば、団長以下、皆さん今日まで御苦心なさって答申していただいたのでございますが、おそらく結果から見れば逆が出てきはしないだろうか、いわゆる今日会社も言っておりますように、直ちに今からでも整備に入りたい、いわゆる今日休戦状態になっておるのを、一日も早く解いてもらいたい、こういうことが強い要望でございます。そうしますと、各山でそれが非常に幟烈になってくる。そうすると、今年、来年等が一番多くの失業者をはみ出すことになってくる。一番みじめなのは、出された方と、残った市町村です。市町村が、今日考えられておるような事業ができる、あるいは、はみ出した労働者を採用することができるのは数年先、おそらくこれも不可能だと思う。こういう点から考えてみます場合に、非常に私は危惧の念がある。考えられておることは確かにいいことでございますが、実施にはそれが非常に不可能である。 もう一つ一例を申し上げてみます。政府が、今日まで石炭の失業者に対して、責任を持って就職をあっせんするといったのは三池の千二百名でございます。そうして、その千二百名を私が調べてみますと、非常に労働省はほんとうに力を入れて世話をしてくれたことは私はよく知っております。それにもかかわらず、職安で世話してもらった者が二百二十八名、組合その他で世話したのが百七十二名、自分で仕事をされた人が百八十七名、失対事業が三百五十七名で、失対事業が一番多い。そうして、病気その他でいわゆる生活困窮者というか、そういうふうなものになったのが百二十名、千二百名の内訳を見てもこのとおりであるならば、それはそのうちの状況も違いますから、いろいろ御批判もあると思いますが、六万、七万という人が出てきた場合に、この皆さんの考えで就職が受け入れられるだろうか。私はきわめて疑問を持つわけなんです。そうすると、先ほど申し上げましたように、会社はこれでいくでしょう。残った方はそれでいくかもしれないけれども、出た人は失業である。町は失業者をかかえて、あるいは商店街は商店を開いたまま一行く先のないような結果になるのじゃなかろうか、これを非常に心配するものでございますが、いかがでしょうか。
○参考人(稲葉秀三君) それでは、有澤先生のかわりに私、稲葉でございますが、お答えをさしていただきたいと思います。 確かに、過去におきまする石炭の合理化に伴いまして多量の失業者が出た、また、特に昭和三十五年以降たくさん出ております。そうして、その失業者の中には、今安定職場を得ておられない方も数万人くらいいるという事実は、私どももこれを無視するわけにはいかないと思います。そこで申し上げたいのは、そういったような実情から雇用の安定という問題が叫ばれ、そうして石炭調査団が結成をされたのではなかろうか。ただ、過去がそうだから今日もそうだということであれば、わざわざ石炭調査団を政府がお設けになる必要は、社会党と政府が御相談をしてお作りになったのですが、そういう必要はなかったのじゃないかと思います。問題は、今後出てくる方、また、過去において安定職場を得ておられない方々をどのように措置をするかということであります。確かに私たちが出しました答申というものは、まだ大綱にとどまっております。ですけれども、今までと違いまして、政府関係についてはどのような職場の造出ができるかということにつきまして、答申をいたしまする舞台裏でいろいろ検討もし、交渉もして参りました。また、有澤先生が先ほどおっしゃいました雇用計画と合理化計画を突き合わすという意味は、それがほんとうにうまく実行されるということになれば、今までとは相当違った事態が起こってくるはずだ、また、雇用問題は政府の責任である、こういったような点も私たち強調いたしておる次第で、決して私どもは責任を回避するわけではございませんけれども、それが実行に移されるならば、また、それに対して協力態勢がとられるならば、今後の石炭の離職者の問題は、今までとは相当根本的に違ったものになる、このように確信をいたしております。 それから、また、私たちは、検討の過程で、時間短縮の問題とか、あるいは休暇の問題とか、そういったようなことも議論をいたしました。しかし、その点につきましては、今、阿具根先生が御指摘のように、この答申にはその点がはっきり出ていないわけであります。これについて若干補足をさせていただきたいと思います。と申しまするのは、相当今後私たちは石炭の需要開拓をいたします。しかし、御存じのように、努力をいたしまして、今のエネルギーバランスの中では、五千七百万トン強、これが精炭で、そのほかに七百万トン雑炭が入って、そして六千五百万トン弱の石炭需要が昭和四十二年度には出てくるはずだと、これは現状から申せば、やや拡大ということになります。そして、それをできまする生産構造を見ると——しかし、先ほども言われましたように、非常に現在石炭の企業経営がマイナスになっております。中小炭鉱はどんどん閉山をしていく、大炭鉱まで、全部の会社ではございませんけれども、経営困難で銀行からも見放されている、そして平均いたしまして、平田団員もおっしゃいましたように、山元で約百七十円赤字だと、もしもそういったような状況のもとに今後も事業を続けていくということになりますと、やはり現状に比べて、来年度はまだ二百五十円炭価が下がる、しかし、賃金は下がるというわけには参りませんから、賃金は上がっていく、資材が上がっていくという状況を考えますと、ますますその赤字が累積をすることになります。確かに離職者対策が十分でない場合におきましては、首を切られて路頭に迷う人が多くなってくる。では、その人たちを吸収するため、あるいは安定職場があるまで一年、二年おかかえをするということになりますと、炭価が上がらないという現状のもとにおきましては、国がそういったような運転資金をお貸しするか、供与するといったような形でしかできないはずであります。そういたしますると、ビルドをし、合理化をし、機械化をして、将来賃上げにも耐え得るような条件を作り上げる場合と、そうしてそうでない、むしろ一時そういったような状況を避けるために、ずっとそういったような赤字を国民が供出をするという場合につきましては、確かに雇用問題につきましては、一時的にプラスかもしれませんけれども、国の経済の上におきましては、非常なマイナスが積み重なってくるということになります。それよりも、むしろここではっきり離職者対策を確立することによって、やはりお残りになる方は高賃金の上に——高賃金とは申しませんけれども、安定職場を得るようにしていく、外にお出になる方は、安定職場を他に作るように政府が責任を持ってやるという形のほうが、どうも国の経済の上において合理的ではなかろうか、このように判断せざるを得なかったのでございます。 もう一つ申し上げたいことは、確かにそういったようなことをしなければならないほど石炭業というものはむずかしい事情にきておるということは認めます。しかし、かりに石炭業についてそういうことをやれば、やはり今度は、私もそういうことに当然あやかってしかるべきだという問題が、遺憾ながら日本の随所に出てくるはずでございます。そういたしますると、非能率的な産業は全部国がささえていかなければならぬといったようなことを認めるということになってくる。また、そのような形におきまする社会化とか国有化とかいうことも、決して能率的ではない、このように考えます。したがいまして、ほかとのバランスということも考えまして、私たちの答申ではそこまで行き得なかったのだ、こういう事情があったのだということを率直に申し上げたいと思います。
○参考人(土屋清君) ちょっと補足して、西ドイツの話がたびたび出ましたので申し上げたいと思います。 私も、昨年、通産省から、欧州のエネルギー事情の調査に参りまして、西ドイツの事情を調べましたが、西ドイツが有給休暇とか帰休制をとりましたのは、昭和三十三年ごろにおいて約一千五百万トンくらいの過剰炭が一どきに出まして、どうにもならない。そこで、アメリカからの輸入契約を国の負担で破棄するとか、あるいは過剰炭対策のために、生産制限を行なうための手段として、一時、有給休暇なり帰休制をとった。その後においては、過剰炭問題の解消した後においては、この制度が全面的に採用されて実施されて、その効果を上げているということは私はないと思っております。 それから最近は、先ほど有澤先生がおっしゃいましたフリーデンスブルグ・バアデ報告という、国会の委託になるドイツの大学の教授団の報告が出まして、そこでは明らかにスクラップ政策に転じまして、バアデ報告では、一九七〇年までにドイツの石炭は、場合によっては半分くらいになるかもしれないという提案をいたしております。それを受けまして、ドイツは今度の国会に、スクラップのための整備事業団、日本のと全く同じでありますが、整備事業団を設けまして、それに国が補助金を出して炭鉱を買い取るという政策に転換しつつあるように思います。
○阿具根登君 稲葉先生から、先ほど社会党も賛成したではないかと言われましたけれども、確かにそのとおりです。確かにそのとおりですけれども、私どもはそのとき総理大臣その他とお会いして聞いておる問題は、雇用の安定を第一に考える、これが前提であったわけです。調査団の出されたのは、雇用のことを考えておられることは十分わかりますが、ただいままで何回も申し上げましたように、これでは雇用の責任の所在が明らかでないのではないか。責任の所在とは何か、だれが保障するのか、政府が保障しなければ、これは責任の所在を明らかにしたとは言えないのではないか、そうしなければ今日の状態が続くのだと、私どもはこう今の政府の考え方、あるいは今の業者の考え方等を考えてみます場合に、答申された皆さん方のお考えになっておるのと、ずいぶん違った面があって、私どもが心配しておるようなことが先に立つ、こういうように考えるわけなんです。では六万人か七万人の人が失業した場合に、一体だれが保障するのか、たとえばそれは審議会でやるとお言いになるかもしれないけれども、それでは審議会で話がまとまらなかった場合には、一千二百万トンの買い上げ、あるいはスクラップ・アンド・ビルド、これは御破算になるのか。そうじゃなくて、それがあくまで基底になって審議会でも審議されるものだと私は思います。そうするならば、これは確かにそういう話し合いの場はできたけれども、しかし、ワクははまってしまった土俵の中であって、結局は七万人の人が職を去らねばならぬ、そうしてその去った人に対しては、関連産業でも使いなさい、あるいは政府でこれを使いなさいと言っておられますけれども、今日まで叫び続けてこられた言葉であって、それならばそれに対する保障がなければならぬ。それがないとするならば、私は、今日よりはなんぼか進むかもしれないけれども、結果としてはそういう人がちまたにあふれてくるし、産炭地振興が進まないうちに、おそらく市町村は疲弊してしまうだろう、かように思うわけですが、いかがでしょうか。
○参考人(稲葉秀三君) お答え申し上げます。 確かに今、阿具根先生のおっしゃったような面がないとは言えませんけれども、私は、先ほど申し上げましたように一今後この答申は尊重されるものだと考えております。尊重されることによりまして、離職者対策は国の責務になるはずであります。また、私たちはそういったようなことをも前提といたしまして、離職者対策には求職手帳制度とか、職業訓練の問題とか、住宅の八千戸の建設を三十七、三十八年度において追加をするとか、さらに、もしも万やむを得ないときには三年間の生活保障をさしていただくとか、こういったような措置もお勧めをしておるわけであります。したがいまして、私は、必ずしも今までのことがそのまま同じような形になる、このように政府が実行なさるというふうには思えないのであります。
○亀井光君 時間がございませんので、基本的な考え方につきまして一、二御質問をしたいと思うのでございます、石炭産業のような、今いわゆる斜陽産業といわれておる産業におきまして、合理化と雇用の安定というものは、実は相矛盾した一つの考え方でございます。すなわち、合理化を進めて参ろうとするならば、ここに離職者の数を無視した、もっと純資本主義的と申しますか、方針が打ち立てられるでありましょう。また、一方において雇用安定を主題といたしますならば、合理化のスピードがスロー・ダウンをしまして、所期の石炭調査団の御期待になっているような結論が出ない。こういう二つの矛盾の中で、調査団の先生方が半年にわたりまして非常に御苦心をなさった。その上に、さらに国際収支の問題だとか、あるいは安全保障の問題だとか、こういう問題も絡めながらこの答申をお作りになりました御苦心を、われわれは非常に高く評価し、また、敬意を表するのであります。 そこで、私が、今、有澤団長の御説明を聞きまして感じておりますことは、この答申案というものが需要の確保をまず第一義に考えているというお話でございます。これは私は一つの権威ある考え方だと考えます。そのことが、すなわち雇用の安定につながっていくからでございますし、また、将来の石炭産業のあり方自体にも大きくつながっていくわけでございます。しかし、ただ、私は過去において石炭産業の中で見られたいろいろなデッドロックなり、あるいはいろいろな矛盾というものを考えて参りますならば、単にそれだけで、はたしていいかどうかということに疑問を持つのでございます。それは阿具根委員からの御質問の中にもありました総合的なエネルギー源の中で、石炭の位置づけというものを一体いかにするかという問題を離れて、はたして需要の確保というものが現実の姿として実現できるかというところに、私は実は大きな疑問を持つのでございます。昭和三十四年に、政府は三十八年度を指向いたしまして、千二百円の炭価の引き下げによって重油のコストとのつり合いを保って石炭の需要を確保していこうという基本方針をとったのでございます。当時政府が期待しておりました重油一キロリットル当たりの値段は八千円をこえた予想でございました。ところが、現実にはすでに六千円台にその重油の値段が下がっているこの現実は、これは私は無視できないと思うのでございます。そこで、今調査団の方々が実トン五千七百万トンの需要を確保する、あるいは電力会社、にあるいは鉄鋼会社、あるいはセメント会社にそれぞれ需要を確保させるのだ、また、確保してもらうのだと言われておりますが、自由主義経済のもとにおいて、はたしてその需要を確保する場合において、今の石油との値段の問題を無視して皆さん方がはたして自信がおありになるかということを私は非常に疑問を持つのでございまして、もちろん、これに対します需要産業の経営者側の大きな協力も期待しなければなりませんし、あるいは答申にございますように、重油ボイラーの規制の措置を延長することも、あるいは重油の消費税の創設をすることも、いろいろな政府の行政的な、あるいは法律的手段によりますそういう援護射撃も必要でございましょうが、問題は、やはり価格の問題に大きな問題点を残しておると私は考えておるのでございます。この点、まことに恐縮でございますが、もう一度ひとつお答えをいただきたいと思います。
○参考人(有澤廣巳君) 石油と石炭の価格の関係でございますが、確かに現在の日本における重油の価格は、これは諸外国に比べましても、かなり低くなっていると思います。それにはいろいろな理由があると思いますけれども、非常に安過ぎるという価格でありますので、これは石油業法に基づきまして、あまり重油の価格が低過ぎるので、それを是正せしめるべく標準価格を政府において決定してもらう。もうすでに石油審議会にはそういう方針が出されておるそうでございますので、おそらく標準価格ができますれば、七千円台には重油の価格は回復してくるかと思います。それを電力なり鉄鋼なりの需要先に需要の拡大を押しつけるような形になっておりますけれども、これにつきましては、答申におきまして「電力および鉄鋼業界における引取数量の増大に伴う負担増と石炭火力発電所の建設資金については、国において所要の措置を講ずるものとする。」というふうになっておりまして、確かに電力に三千万トンの石炭を引き取ってもらうということになりますと、昭和四十五年度において三千万トンになりますが、そのときには燃料費におきまして電力コストの上昇は約百億円でございます。それから建設費、石炭専焼の火力を建設いたしますと、重油専焼の火力の建設費よりも、約二割から二割五分程度高くなるのでありますから、その建設費の増加分が二百七十五億円の増加になります。それだけより多く資金を必要とするのであります。でありますから、電力だけについて申しますと、そういうふうな負担増が電力界にかかってくるのでありますから、国において所要の措置をとってもらわなければならない。どういう措置が適切であるかということは、私どもの間におきましても議論はいたしましたけれども、これは国の価格政策であるとか、あるいは補助金政策であるとか、いろいろな国の政策と密接に関連をしている点を考慮いたしまして、私どもから具体的にこういう措置をとってほしいというような具体的な措置までは明示することを避けたのでありますが、しかし、必要な措置を講じられることがこの際必要だと、こういうふうに申し上げてあるのであります。
○亀井光君 そういう調査団の石油の価格と石炭の価格との御配慮、こういうものがすなおに経営者に納得させ得るものであれば、私はこれは実現できるというふうに考えております。したがって、この問題は今後の問題でございまして、きょうは基本的な考え方だけをお聞きいたしますのでこの程度にいたしまして、次に、答申の骨子になっておりまする実トン五千七百万トン、あるいはスクラップ・ダウン千二百万トン、あるいは一人一カ月能率三十八・六トン、こういういろいろな条件が積み重なりまして、答申の所期する目的というか、あるいは策申の考えておりまするところが実現されていくだろうと私は考えております。そこで、これらの条件をいかにして成熟させ、あるいは完成させていくかという裏づけにつきましても、答申は若干の意見を述べておられまするし、その点につきましては、今後の政府の大きな責任に私は期待がかけられておるというふうに考えて、この点はぜひともそういう条件の成熟と完成をわれわれもまた政府に対して強く要請をしていく立場に立たなければならないと思うのでございますが、そこで、このいろいろな条件を皆様方がお考えになる場合に、先ほども申し上げましたように、有澤団長は、石炭の需要の確保を第一次目的とされるというふうにお話ございましたが、その中に、やはり千二百万トンのスクラップ・ダウンによって出てくる離職者の数というものを必ず念頭に置かれたのじゃないか、これが先ほど昌頭で申し上げました、合理化と雇用の安定との矛盾をどこら辺でつなぎ合わしていくか、調整をしていくかというところにあったのではないかと思うのでございます。そこで、過去のいろいろな政府の雇用政策、あるいは離職者対策についての阿具根さん等の御質問もございましたが、過去は過去として、これから政府がこのスクラップ・ダウンから出て参ります離職者に対しまして十分な措置、たとえば今までにない就職促進の手当だとか、あるいは求職の手帳制度だとか、新しい制度をいろいろお考えになっておられるのでございますが、そういうふうなものの上においてこれらの三つの条件をお定めになる場合、やはり離職者の数というものを念頭に置かれたかどうか。単に五千五百万トンという一つの経済的な石炭経営の規模と申しますか、そういうものだけを頭に置かれたのか、あるいは六万人以上離職者を出したのでは大きな社会不安にもなるので、あるいは産炭地の市町村の大きな社会問題にもなる、あるいは関連産業なり、あるいは地元の中小企業者に大きな社会不安を与えるのだから、離職者は六万程度でおさめなければならぬというお考えのもとに今の数字が逆算的にあるいは出てきたのではないか、こういう条件をお考えになる場合のお気持をお聞かせいただければ幸いだと存じます。
○参考人(有澤廣巳君) 千二百万トンばかりのスクラップと、千二百万トンのビルド・アップをはじき出したので、その計算上の離職者が相当大きな数に上るということは、むろん考えられたところであります。しかし、私どもは、それは計算上の数字でありますけれども、実際の実施の進行は、これは先ほど申しましたような方式によって進行していくわけです。ですから、毎年々々その年のスクラップ・アンド・ビルドの基準と申しますか、方針というものが定められまするし、また、スクラップ・アンド・ビルドの計画も定められるわけです。それと、その年の雇用計画、これらは政府がいずれも策定する雇用計画でありますが、その策定した計画と突き合わせる、そうして初めてスクラップ・アンド・ビルドも本ぎまりになる、こういう関係になっておるのであります。ですから、私どもは、四十二年度に一応石炭産業が自立する姿を描いておりますが、しかし、その間に経済変動というものもいろいろあるだろうと思います。あるときには非常に好景気で、人手が幾らあっても足りないという時期があるかと思いますし、また、それと反対の時期もあると思います。したがって、そのつどそのつど、その年その年の経済の変動の状況によりまして政府の策定する雇用計画も違って参りましょう。それと見合うスクラップ・アンド・ビルドのほうも、それに応じたものに違ってくると思います。そういう形で進行さしていただかなければならないと実は考えております。ですから、広域職業紹介で相当人がさばけるというような年には、それを大きく取り上げるということも考えられますが、そうでない場合には、会社なり政府のほうで造出するところの職場をかなり大きいものにしなければ、スクラップ・アンド・ビルドをそう大規模に実施することはできない。こういうふうな関係になっておると思うのであります。でありますから、まあわれわれが一応自立の姿を四十二年度に描いておりますけれども、もうほかの経済事情の変動がどうあろうとも、そこへ直線的にまっしぐらに進んでいくというふうには考えていないのでありまして、したがって、毎年々々の計画を立て、それを審議して、そうして実施をしていくというふうに考えております。ただ、まあ私どもの計算でございますけれども、一応私どもの描いた姿が四十二年度に実現されるならば、まことにけっこうだと思いますが、それが一年おくれるというふうなことになりますと、自立が一年おくれるのじゃなくて、自立はおそらく二年、あるいはそれよりもう少し長くおくれることに相なろう思っております。しかし、それも、そのかと間におけるわが日本経済の状況が変動するに従いましてそういうふうな結果が出てくるわけでございますから、これはまあいかんともしがたい。その間は、やはり政府にそれだけめんどうをみてもらわなければならない、こういうことになろうかと思います。
○亀井光君 今のお話は、そのこと自体としてはよくわかるのでございまして、四十二年の一つの理想図を描きまして、それに到達する道筋といいますか、そのスピードその他につきましては、これは経済の変動に応じた幅のある施策というものが考えられ、ある年にはスクラップが多く出るだろう、ある年は少ないだろう、これはよくわかることであります。私の質問は実はそれではなくて、先生方のお気持の中には、やはり六万人しかもう離職者は出せないのだ、これ以上出せないんだという気持があったのかないのか、これを実はお聞きしたかったわけであります。
○参考人(有澤廣巳君) まあその点が、計算をしてみますと十二万台の在籍者になるわけです。差し引きいたしますと、いつからを時点にするかによりますけれども、九月にしますと十七万九千人の在籍者ですから、差し引き幾らですか、五万九千人の退山者というか、山を去る人が出てくるわけです。しかし、この中には、また停年退職の方もいられるでしょう。それから、みずから進んで山を去られる、もうこんな山はいやだというので、早く見切りをつけて去られる方もあるかと思います。そういう数字が一体どのくらい年々あるものか、また、石炭産業が将来お先まつ暗だとするなら、そういう人が多く出てくるということも考えられますけれども、まあ四十二年度以降になるとそれが確立する、目立ができるというふうなことになると、それじゃあそのときまでひとつ模様を見ようというので、みずから出ないで山にとどまろうとする方もいられるかもしれません。そういうような関係で、その数字がどのくらいになりますか、普通はじきますと、年に四千、五千というふうな数字になっておりますけれども、それがはたしてそういくものかどうかということは、ちょっと見当がつかないわけです。けれども、二千、三千のものは毎年そういう関係で退山される方であろうと私どもは考えております。 それからもう一つ、ついでですけれども、この際申し上げておきたいのは、それにしましても、今回かなり大幅な離職者が出てくることは間違いないのでありますが、その離職者につきまして、ほかの産業でどれだけ一体受け入れの用意があるだろうかということにつきましても多少調査をいたしまして、石炭労務者の離職者を受け入れる用意があなたの会社にはどれくらいありますかと、こういう質問を有力な会社に対していたして見ましたが、それによりますと、これこれの技術を持っている人であるならば、これだけの人を雇い入れてもよろしいと考えているという、こういう会社の回答の総計をとってますと、これは数万になります。だけれども、これはそれだけの技能を身につけなければならないのでありますから、その技能を身につけるがためには職業訓練を受けなければならないと思います。その職業訓練を受けるにしましても、そういう適切な技能をちゃんと訓練するような形にしなければならないということと、それから年齢もいろいろありますから、したがって、技能を習得するに必要な年限といいましょうか、年月も、あるものは半年で済むものもありましょうし、一年もかかるということもあろう。そういうふうな事情をも考慮いたしまして、そうして職業訓練制度をかなり今回は充実をするということ。それからもう一つは、やはり住宅がボトル・ネックになっているということは、これは今の需要先の見解に徴しましても明かでありますので、やはり炭鉱離職者用の住宅をこの際大幅に各地に建設をする、それ以外の住宅確保の道も考えておりますけれども、しかし、中心は、やはりこの際、住宅について安定した住宅が得られるような措置として、炭鉱離職者用の住宅を大量に建設をする、こういうふうに踏み切ったわけでございます。
○亀井光君 私は、何も六万人以上の離職者の出ることを希望するものでも何でもございませんし、離職者はできるだけ少ないほうが、これはいろいろな社会影響なり、この問題を考える際に、できるだけスクラップ・ダウンを少なくして離職者の数を少なくする、これは私は理想だと考えます。ただ、そこには、もう一つ冒頭に申し上げました企業の合理化というものの調整の中で先生方がそういう御結論をなされたのでございまするから、私は、それはそれとしてりっぱな結論だというふうに考えます。 そこで、もう一つ、私はその雇用の安定の中で非常に感心をしたと申しますか、うれしく感じましたのは、今まで離職者対策なり雇用政策なりというもが、とかく経済政策の跡始末ばかりを実はやらされてきたのでございます。すなわち、合理化が先に進みまして、出た離職者をどうするかという政策があとで打ち立てられてきたような実態でございます。これではいつまでたっても労使間の安定というものは期待できませんし、また、合理化を円滑に進めるもとでもないのでございます。その点においてこの答申が、合理化整備計画と雇用計画との調整を石炭鉱業審議会において調整をはかるようにという御指示がございました。言葉をかえていえば、この合理化整備計画と雇用計画とが相並んで、そうして調和のあるそこに進み方をして、初めてこの答申の目的が達成されるのだというふうな御趣旨の答申がありましたことを非常にうれしく存ずるのでございまして、そうならなければ、ほんとうのしんから石炭産業の労使が合理化と取っ組んで進めて参りまする意欲も起こらないし、また、その熱情も起こってこないと考えるのでございまして、そういう意味におきまして、私この問題については、非常に調査団の皆様方の答申に敬意を表するのでございまして、今後はこういう方向における政府の施策というものを強力に私らは進めていくよう努力をして参らなければならないと思うのでございます。 そこで、もう一つの問題といたしまして御質問をいたしたいのは、先ほど平田さんのお話にもございましたように、膨大な国家資金をこれには必要といたします。企業経営者の自己資金、あるいは市中銀行というものの資金量というものは、これは大した量にはならないと思います。結局は政府資金というものが大量に注ぎ込まれて、初めてそこにスクラップ・アンド・ビルドの新方針というものが打ち立てられていくだろうと思います。設備資金に千七百億、整備資金に八百億、こういう膨大な資金の中に政府の資金の占める額は、私は九〇%、あるいはそれ以上になるというふうに推察されるのでございます。そこで、この政府資金は一体何かということを考えて参りますると、これは国民の税金である。国民の税金において石炭経営のここに合理化と再建の整備計画をやろうというのが、この答申の私は骨子になってくるのじゃないか。そこで、私は考えなければなりませんことは、先ほどのお話の中にも出ましたように、過去の石炭の労使というものは、経営者は、はたして事業の近代化に対して、今日の石炭の姿を予想して企業の近代化なり合理化に努力したかどうか、あるいは労働組合はその先を予想して無理な闘争をしなかったかどうかということをわれわれは反省しなければならぬ、国民に対して反省すべきだ。それはなぜならば、今度の再建整備の計画は、国民の手によって、国民の税金によってなされるからでございます。そこで、この答申を実行するにあたりましては、労使に社会的な責任があると私は感ずるのです。この答申を実行するにおいて、単に政府の責任のみならず、労使に大きな責任があると私は考えるのです。そういう意味におきまして、この答申が実行されるにあたりましては、政府はもちろん大きな努力を払うべきでございますが、この答申実現について、私はその社会的責務にこたえるだけの労使の努力を大きく期待をしたいと考えますが、有澤先生いかがお考えでしょうか。
○参考人(有澤廣巳君) 全く私もそのように考えております。今後のスクラップ・アンド・ビルドを実務する方式におきましても、最後の場面は、会社自身が自分で責任を持ったスクラップ・アンド・ビルドの計画を立て、そうして組合にそれを示して話し合いに入るわけでございます。いつか衆議院のほうで御質問を受けましたが、それでも話がまとまらなかったらどうなるのだ、こういう御質問がありました。私は、そういう話し合いがまとまらないというふうな場合を考えないで、むろん一ぺんにはまとまらないこともあるから、場合によっては石炭鉱業審議会の部会あたりで調停をするというふうなこともある。けれども、話し合いですから、結局ひとつ話し合いとしてまとめてもらいたい。まあ別にスト権を否認しているわけじゃないですから、ストをやるということもできるわけですが、しかし、ストをやれば、会社にとりましても組合にとりましても、それだけマイナスになるわけです。ですから、なるべく石炭鉱業審議会に、その年のスクラップ・アンド・ビルドの方針もきまり、そうしてスクラップ・アンド・ビルドの計画がきまる。むろん雇用計画もあわせて審議されておりますけれども、そうしてきまったときには、その範囲内のことならば、ひとつ労使の間において話をつけるように持っていってもらいたい、こういうふうにお答えいたしたわけですが、そのお答えいたしました根本には、石炭産業の自立のために、労使のほうでひとつ十分理解を持って事に当たっていただきたい、こういう趣旨でございます。
○亀井光君 時間もございませんので、最後に一点だけ御質問したいと思いますが、この答申が、もっぱら石炭産業自体そのものをとらえてのいろいろな角度からの御検討でございます。したがって、石炭産業の昭和四十二年度におけるひとつの姿というものがそこに現われて参ったのでございますが、ただ、私らといたしまして、もっと幅広いいろいろな影響面というものをこの答申がお考えいただいたならば、もっとより錦上花を添える答申になったのじゃないかという気がいたすわけでございます。その一つは、産炭地における市町村の財政の問題でございます。石炭産業は、この答申によりまして、膨大な国家資金によって立ち直りができるかもしれません。しかし、その半面において、産炭地の市町村というものはますます疲弊に追い込まれて参るわけでございます。すなわち、千二百万トンのスクラップ・ダウンによりまして鉱産税はなくなり、固定資産税がなくなり、あるいは六万人の離職者によって住民税がなくなってくる。しかるに、一方において政府の施策とはいえ、政府の施策の大部分は補助金でございますが、地元負担というものがございます。失対事業にいたしましても、緊急就労事業にいたしましても、特別公共事業にいたしましても、すべて地元負担がございます。そうすれば、生活保護費の負担と合わせまして、失業対策のためのこれらの地元の負担というものは、全部地方公共団体にまるまるかぶさって参ります。片や石炭産業は私企業でありながら、国家資金によって立ち直りを見せるし、片や地方の公共団体である産炭地市町村がそういう目にあっていいかどうかという、このバランスを私はもっと真剣に深く掘り下げて検討していかなければならぬ問題だと考えます。もちろん調査団の御使命がそこまで及んでいないということであればまた別問題でありますが、われわれ国政をあずかるものといたしまして、そういう点に大きな配慮をこれからいたして参らなければならぬと考えまするし、また、炭鉱の離職者につきましては、雇用安定、あるいは離職者対策という手厚いいろいろな保護施策が講ぜられて参りました。あるいは容易に再就職もできるかもしれない。あるいは就職できないまでも、いろいろな生活の安定措置が三年間講ぜられた。しかるに、石炭産業の関連産業に働く労働者、あるいは商店、あるいはサービス業、こういう面で石炭産業につながって生活をされてき、営業をされてきた方々の労働者というものはどうなるか、あるいはその業者自体はどうなるか、こういう問題について、私はもっとこの答申があたたかい目を向けていただきたかったということを率直に申し上げたいのでございます。それは炭労という大きな組織の力がございまして、社会的に大きな問題を巻き起こしておるから、炭労だけにこういうことをやるのだということだけでは決して済まされない大きな社会問題というものが裏にひそんでいるということを調査団の皆さん方も十分御承知であったと考えます。ただ、その対策が非常に複雑多岐で、非常にむずかしい、これは私も認めます。認めますが、その問題を片づけなければ、幾ら産炭地に事業を起こしましても、救われるものはごく一部でございます。決して産炭地の社会不安というものは解消されない。したがって、私は、この答申の中から政府にそういう答申の精神をくみ取らしていただくように、皆様方にこれからの御努力をお願いいたしたい。答申にはもちろん抽象的な表現はございます。それはわかります。わかりますが、ただそれだけでは政府に対する強いアピールはできないのでございます。どうか調査団の皆さん方は、今後そういう産炭地の市町村の今後の財政の立て直しについての力強い御支援を側面的にお願いしたい。また、関連産業、中小企業、あるいは商店、こういうふうな業を営む者、並びにそれに雇用されております労働者、おそらく炭鉱離職者よりも倍以上の私は失業者がこの周辺から出るのじゃないかという推測さえいたすのでございます。そうすれば、こういうものをほうっておいて、石炭労働者だけのんびりと過ごすようでは一決していい政治ではないと私は考えるわけでございまして、その点につきまして、これは希望になるかもしれませんが、答申は答申として、今後調査団の御使命というものが、政府の施策についての監視的なお役目を持っておられると私は考えますだけに、今後そういう面について補完的な御努力をぜひともお願いをいたしまして私の質問を終わりたいと思います。
○参考人(有澤廣巳君) ただいま亀井さんからの御指摘の点は、私どもも非常に強く意識しておったところでございます。しかし、なかなか事態が、実情を堀り下げれば堀り下げるほど複雑なものでありますので、市町村財政につきましても、あるいは産炭地の中小商工業者にいたしましても、また、それに働く従業者にいたしましても、これはやはり非常に大きな問題で、今後私どもも十分気をつけて政府を鞭撻していきたいと考えておる点でございます。まあそれにつきましても、私どもの考えは、スクラップが一ぺんにスクラップをするのじゃないのでございますから、ここ五年、まあ私どもの最短距離が五年の間でございますから、その間に産炭地には、ここに書いてありますようないろいろな事業をなるべく早く起こしてもらいたい、政府自身も直営の工場を建てるし、また、ここへ大きな機械工場を建てるようなときには、そういう希望者があれば、さっそくそれに対して十分の資金的なめんどうもみる、あるいは政府事業といいましょうか、官需のあるものにつきましては、それの何といいますか、買い取りを約束をするとか、そういうふうなことを一方ですることによりまして産炭地における商工業者には転職もしてもらう、今までの石炭に関連しておりましたものを製造したり、あるいは取引をしておりました者が、今度はその方向がえをいたしまして、そっちのほうに転業をしてもらう、その転業の資金なんかについても十分めんどうをみてもらう、かようにこれは考えておるのでございます。 それから、もう一つは、地方について特に指摘しておきましたけれども、幹線道路を縦横に作ってもらうように考えておりますが、これも、実は産炭地の住民が北九州の工業地帯に通勤もできるように幹線道路を敷設してもらうように私どもは考えておるわけでございます。それで、まあ私どもは政府に要望申し上げることになるのでございますが、今までいろいろ御質問がありましたところによりますと、今まで政府がいろいろな約束をしても、約束どおり行なっていないのだ、このことが将来も憂えられるということが御質問の骨子になっていたようでございます。しかし、今後はそういうことがあってはならない。私どもが政府にいろいろな御注文を申し上げておることは、ひとつ誠意をもってこれをなるべく早く、つまり政府が英断をもって果敢にこの要請を取り上げて実施に移してもらいたい、このことがこの石炭鉱業の自立化を達成し得るか否かのかぎになっていると私は思うものでございますから、これは皆さん方に申し上げるわけではないのでございますけれども、私の所信を表明した次第でございます。
○向井長年君 私は、先ほどからの質問の中でほとんど尽くされておるわけでありますが、若干重複する点があるかもわかりませんが、一、二点だけ質問させていただきます。 特に今回のこの答申につきましては、石炭産業の安定なり、あるいはまた雇用の促進というところに重点が置かれておるわけでございまして、この点、精神的には非常に了とするわけでございますけれども、具体性が非常に乏しいのじゃないか、こういう気がいたすわけでございます。先ほどの質問者も言われましたように、事、石炭の今後の安定のために、今回の答申については、政府の今後の行政措置といいますか、ここにほとんどがゆだねられておるのであります。しかし、石炭のみならず、総合エネルギー対策という立場においての行政措置だけでは弱いのであって、できるならば総合エネルギーという立場においての立法化がある程度必要ではないか、こういう感がいたすわけであります。特にこれは需要の面につきましても、いろいろな規制が今後行なわれなければなりませんので、そういう点についてまずお伺いいたしたいと思います。 なお、もう一点は、需要面におきましては、八〇%ほどが電力に向けられるというわけでございます。したがって、電力の問題につきましては、重油とのコストの問題、先ほど答弁なされましたが、今後重油の規制をする、料金規制をする、単価の規制をする、こういうことが言われておるわけでありますが、しかしながら、この点まだ明確ではないわけでありまして、こういうコストの、何と申しますか、格差、この点について、電力の場合におきましては、御承知のように、原価主義をとっておりますから、資本費、あるいは燃料費、こういう中でコストが上がると、再び料金面まではね返って参るわけでございます。そうなりますと、何といってもわが国の産業、あるいはまた国民の生活まで大きな影響をもたらす、こういう結果になるわけでございますので、こういう点について、ただ重油のコストが石炭に見合うならばこれで事は済むのだということだけではなくて、この設備そのものが、先ほどお話がありますように、重油の専焼から石炭専焼にすれば、二百七十何億という資金が心要である。これだけ増額になる。同時に、これはただ設備資金だけではなくて、そこにおいての労働力という問題も、重油と石炭とは違うわけなんです。こういう問題から、恒久的にやはりコストの増額になってくるわけです。そうした場合に、先ほど申しましたように、今後の問題といたしましての料金政策にまで大きな影響をもたらすのではないか、こういう感がいたすわけであります。こういう点について、少なくとも総合エネルギーという立場においての助成措置がまず必要ではなかろうか、こういうふうに思うのであります。この点について調査団ではどう考えておられるか、御意見を承りたいと思います。
○参考人(有澤廣巳君) 電気のほうに石炭を使ってもらうということになりますと、今御指摘になりましたように、かなり料金、電気のコスト・アップになって参ります。そのコスト・アップは、料金主義で今日の料金がきめられておりますから、その計算でいきますと、料金の値上げということになるおそれがあることは確かでございますが、しかし、今申しましたように、電力業界にとりまして一番大きな問題は、私は資金コストだと考えております。資金コストが十分間に合うようになれば、かりに石油とともに石炭を三千万トン、つまり八割程度のもの、一般炭の八割程度のものをたいてもらっても、そうコスト・アップの大きな要因になろうとは考えません。先ほど申しましたように、燃料費の違いは約百億円の違いでございますが、その時分になりますと、石油専焼の火力が非常に大きな割合をもってくるわけでありますから、そっちのほうではコストが下がってくる。一方では、石炭を三千万トンたくので、コストがアップして参りますけれども、他方では、コスト・ダウンの要因もあるのでありますから、ある程度相殺してもらうことができようじゃないかと思うのであります。ですから、料金はそう上がらなくてもやっていけるのじゃないかと考えますが、資金の需要は、これはやはり必然的にどうしても要る金なんです。ですから、資金の調達を国のほうで相当援助をするということになれば、政府のほうで低利の金を貸し付けることになれば、私は料金にそうはね返らなくてもやっていけるのじゃないか、こういうふうに考えております。しかし、これはまあ試算してよく研究してみなければわからぬところでありますが、すぐ石炭をたくさん使ってもらうから、料金をそのままストレートに引き上げてもいい、こういうふうに私は考えておるわけではありません。
○向井長年君 政府の必要な措置というのは、石炭業界に対する措置であるのか、いわゆるコストを安くするためにするそういう措置であるのか、電力の直接の問題であるのか。もっとも、電力というのは、財政投融資等で金利の問題等がありますが、そういうことであるのか、どちらであるのか、その点、まずお答え願いたい。
○参考人(有澤廣巳君) 補助金をつけてもらうというようなことになってくると、これは電力に引き取ってもらう石炭に補助金をつけるということも考えられますし、またそうではなくて、電力会社のほうにそれだけの補助金を引き渡たす、こういうふうにも考えることができると思いますから、そのいずれがいいかというようなことは、私まだよく勉強しておりません。しかし、いずれにしても、補助金でコスト・アップを埋め合わせをするか、あるいは料金値上げでいくか、あるいは低利の長期資金を融通するという形でいくか、あるいはさらにその電気ガス税を減免することによってカバーしていくか、あるいはさらには渇水準備金の積立金ですか、そういうものを取りくずしていくというふうなことも考えられはしないか、まあいろいろ考え方はあろうと思いますが、しかし、それにつきましてはよく政府のほうで御検討下さい、その措置を、どういう措置が適切であるかということは政府において十分御検討下さいというふうに答申 には書いておるだけでございます。しかし、われわれの団の中ではいろいろそういう問題を検討はいたしました。
○向井長年君 いろいろな必要な助成措置があろうかと思うのですが、まあしかし、今いみじくも言われました電気ガス税の問題は、これは経営者の問題じゃなくて、一般の需要家にかかっておる問題ですね。これはたいてい地方税ですから。したがって、これはわれわれは一日も早くなくさなければいかぬということを叫ぶのですが、これはまあ範疇に入らないで……。
○参考人(有澤廣巳君) 料金を上げたらキャンセル……。
○向井長年君 それは料金を上げるときには考えられますけれども、これは料金を上げるのはわれわれは必ずしも賛成じゃありませんので、それと一緒に考えられるのはどうかと思いますが、とにかく措置はいろいろあると思いますが、とにかくそういうふうにカバーして、電力に八〇%ほど背負ってもらう、こういう結果になるわけでございますが、こういう問題については、先ほどからもいろいろ言われておるわけですが、ただ政府の行政措置の中でスムーズにできるものかどうかということですね。いわゆるコストの問題、そういう裏づけもあわせて考えなければならぬが、こういう問題については、これは調査団の皆様方が相当その精神に基づいて推進してもらわなければなかなか困難な問題じゃないかというような考え方をするわけです、これは意見でございますが。 それからもう一つ、特に石炭、四十二年度までの一応の計画といいますか、何か答申がなされておるわけですが、少なくとも自由化問題については、これはもう少なくとも無煙炭等の問題もありましょうが、四十二年度までは絶対にしないとこういうことを考えておられるのか、この点いかがでしょうか。 もう一つは、特に余剰石炭等の問題も今後出てくるわけなんですが、これについては、需給調整会社というようなものを作って、これをその会社によって割当、配分をしていく、こういうような一つの考え方があるわけなんですけれども、この点については何ら考えておられないのかどうか、この点あわせてお伺いしたいと思います。
○参考人(有澤廣巳君) 第一の御質問の点ですが、自由化になったときには、まあ石炭についてはどういうふうに考えておるかという御質問ですけれども、少なくとも石炭産業が自立するまでは石炭について自由化をするということは困難だと思われます。まあEECあたりでは共通エネルギー政策を打ち出して、そして自由化の問題を取り上げておるようでございますけれども、日本の場合にはやはり四十二年度、われわれが考えている石炭産業が自立をするまではそれをはずすということは、石炭業のために自立を阻害するおそれがありますから、これをしない。したがって、原料炭にいたしましても、国内で産出される千五百万トンばかりの——これは今より四、五百万トンふえるのですが、このふえた出炭量を全部鉄鋼、ガス、コークス等に引き取ってもらおう、こういう考え方になっております。 それから第二の御質問でございました需給調整、これにつきましては、現在の石炭価格は揚地で千二百円、今はまだ千二百円までいっていませんが、九百五十円ぐらいいっておりましょうか、それまで引き上げるということになっておりますけれども、実際の取引価格というのは、何といっても石炭のほうが弱い、電力のほうが強いものですから、それよりももっと下値で取引が行なわれておるようでございます。このことが今日の不況下の石炭産業を一そう困窮に陥れているように思われますので、そういうことのないように、今後は一手の精算機関を設けまして、ここで全部精算をする、一手に精算をやる。したがって、取引価格というものもすっかり明らかになる。こういう機関を設けることも考えておる。それで千二百円ダウンの価格で石炭を維持する。こういう考え方を持っております。 それから御指摘になりました需給の調整ということも場合によっては起こるかと思うのです。景気の変動も今後あると考えなければなりませんので、たとえば鉄鋼が減産をするというようなことになりますと、どうしても原料炭に対する需要も減ってくるということもありましょう。そういう調整も必要になって参りますので、場合によりましてはそういう調整もそういう機関でやらせるということを考えております。
○向井長年君 もう一点は雇用の問題でございますが、先ほどから、会社なり政府なり職業安定所等で雇用の促進——いろいろな方法があるわけでございますが、ただ問題は、この三年間生活の安定をはかることを要望するということですが、この点について、促進する中でそういう事態が起きてくるわけなんですが、特に就職促進手当、あるいは失業保険を含めて三年間、こういうことになっておるわけですが、これ名目はどうでもいいんですが、事実上そういう人たちに対して、生活の安定といえばどういうところを基礎とするかという問題が出てくるわけですが、少なくとも三人なり三人半の家庭においては最低二万円程度は必要じゃないかという考え方をわれわれは持ってるわけです。したがって、こういう点についてもただ抽象的じゃなくて、待機手当というか、この二つを含めてそういう立場においてそういうことを調査団は考えられておられるか、あるいはまたそういう程度の最低というものを認められるならば政府にひとつ十分推進をしていただきたい。こういう意見、要望を入れてでございますが、一応質問いたしたいと思います。
○参考人(稲葉秀三君) 団長にかわりましてお答えいたします。実は私どもの雇用計画の最後の項目に求職期間中の生活の安定というのがございます。これは私御報告いたしましたように、今度の措置が政府によってとられる。そして合理化計画と雇用計画が調整ができる。そういたしますと、ある一定の訓練のあとにはほとんどの離職者が完全に職場を見出されるはずだと、こういうふうに考えております。しかし、やはり万一ということもございますから、そういう人たちにつきましては生活を保障をしていかなければならん。こういったような形から雇用促進手当制度というものを創設をいたしまして、そして三年間ごめんどうを見させていただく。こういう措置をとったわけであります。この措置は大体失業保険のものに準ずる、こういうことになっておりますので、二万円を上回る方と、場合によっては二万円を若干下回る方も出てくるのではなかろうかと、このように感じておるのでございますが、これはただ私もどが最後の措置だということで、実はこいねがわくばこういう措置に入る方がないように考えていく、こういったような見込みで立てたものだということを御了承願っておきたいと思います。
○大矢正君 時間が制約されておりますので、ごく簡単に二点ほどお伺いをいたしたいと思います。私が質問をいたしたいことは、先生方の答申された内容が全面的に政府によって実施に移された場合における疑問という点にしぼってお伺いするのでありますが、それはビルド山と言われましても、そのビルド山自身の中においては部分的に整理をしたり整理をさせたりするところもあるでしょう。当然のことながら合理化をしなければならぬということはわかります。これは除いておきまして、完全に閉山にしてしまう、完全にスクラップにしてしまう山を対象にして実は質問をするわけでありますが、先ほど来、先生からの御説明によりますと、単年度ごとに経営者が計画を樹立して、それをそれぞれの行政機関を通して最終的には石炭鉱業審議会において結論を出すのだというように実は私は承ったのでありますが、あるいは私の聞き違いかわかりませんが、そこでまず第一にお伺いをしたいことは、完全に閉山をしてしまう山については、どういう経過を経て、だれが、最終的にはどこでその山をつぶすという判断を下すのかということをお伺いしたいと思います。もちろんそれは、この答申案が採択をされて政府の行政に移されたときに行政当事者が考えればよろしいのだというお答えであればいたし方ございませんけれども、もし今の段階において調査団の先生方でお考えがあったといたしますれば、お伺いいたしたいと思います。
○参考人(有澤廣巳君) 閉山につきましては、こういうふうになろうと考えられます。先ほど来、たびたび申し上げておりますように、スクラップの方針というものがその年その年にきめられます。これは政府がきめるのですけれども、石炭鉱業審議会に諮ってそしてきめることになります。スクラップの方針、その方針が、おそらく、埋蔵量がなくなってくる、ここで炭質から見てこうだとか、あるいは炭層がこうだとか、いろいろな自然的条件というものがかなり大きなウエートを持つということも考えられます。また立地の問題も考えられます。と申しますのは、その山の炭質、立地というふうなものから申しまして、なかなか採算のとれにくいというような山もあろうかと思いますので、そういう点では経済的な考え方も入ってこようかと思いますが、ともかくも、その年におけるスクラップの方針というものが石炭鉱業審議会に諮られてきまりますけれども、それと同時に、地方別、炭田別にスクラップ・アンド・ビルド——この場合、スクラップだけでいいのですが、スクラップの量が、その年の量がきまってくる。したがって、スクラップされるのですから、働いておる人は全部離職ということになりますので、その離職者に対する雇用計画というものが他方に策定されなければなりません。そこで今度は地方別、炭田別にスクラップの量がきまっておりますし、それからスクラップの方針もきまっておる。したがって、今度は会社から申しますと、自分の会社の山は、この炭田にあるこの山は、今の方針にも適合している、そしてスクラップの量からいってもその中に入り得る、こういう判断を会社がいたしましたときには、その会社がスクラップの計画をみずから立てて、そしてそれを組合にはかるわけです。そして組合がそれでいろいろ折衝がありましょうがともかく納得した場合に初めてこの山はスクラップするという決定になるのでありますから、したがって、方針とかワクとかいうものは、政府が石炭鉱業審議会に諮ってきめるのですが、実際に具体的な、この山はスクラップするという決定は、これは経営者の責任において行なわれる。もちろん組合もその話し合いになりますけれども、経営者の責任においてスクラップが行なわれる。まあ、ビルドの場合も同様でございますが、スクラップの場合においてもそういう形で進行していく、こういうことでございます。ですから、その話し合いがつかないというような場合にどうするかという先ほどの問題が出てくるわけでございます。しかし、私どもはそれはいろいろ話し合いをしてもらって、場合によっては調停ということもあるかもしれぬけれども、とにかくそれで話し合いをまとめてもらいたい、こういう気持でおるわけでございます。
○大矢正君 今の先生の御答弁からいろいろ推察をするわけでございますが、そこで結論から言いますと、私は、あたかも労使間に自主性があって、その労使の話し合い、ないしは考え方に基づいてその山が閉山をするのだというようには解釈はできないわけなんです。なぜそうかといいますと、こういうことになるのじゃないかと思います。たとえば、政府が単年度の地域別、炭田別のスクラップの量というものをかりにきめたといたします。最近、先生方も十分お耳に入っておられることと思うのでありますが、先般ダイヤモンドに全国的にランクをつけて、つぶれると思われる山とか、あるいはビルド山とかいろいろ出ております。あれが出ましてから、通産省に非常に熱心に山の方々が通われて、ほんとうに自分の山はつぶれるのかどうだろうかというような心配を持ち込んでおります。私はやはりこれは的を射ていないようではあるんだが、射ているのではないかという気がするのです。なぜかといいますと、これはかりに山をつぶしてしまう場合には、経営者はきのうまで盛大に山をやってきたか、次の日にばたっとつぶすというようなことはできません。今日の炭鉱の現状からいって、やはり自然に撤退作戦をとってきてつぶすというのがあたりまえのあり方です。そういうことから考えてみますと、ことし一年間という形において一つの計画をかりに政府が立てたといたしましても、それは実情にはおよそそぐわないのです。やはり来年、再来年はこうだという計画があって初めてそれが生きてくるのでありますから、そういうことから考えてみますと、かりに計画が表面に現われてくる部分は単年度ではあっても、それは将来に対する展望から出てきた結論じゃないかと私は思います。と同時に、そのことは何を意味しているかといいますと、やはり今銀行屋さんは、金を貸す場合には通産省に行って、あの山ははたして採算がとれるだろうか、スクラップになるだろうか、ならないだろうかということを聞いて、石橋をたたいて渡る銀行屋さんですから、金を貸してくれといわれて、はいそうですかといっては貸しません。当然のことながら、その山の将来はどうなるのかということを全部確かめて、その上でなければ金を貸さないというのが実情であります。そこで、それをさらにせんじ詰めてみますとどうなるかといいますと、結局は政府が一つの、二年なり三年なりの先の見通しを立てないうちは、銀行屋さんは金を出せないのだということに通じてくるわけです、これはひとり市中銀行に限らず、政府関係の金融機関でも私は同様のことがいえるのじゃないかと思うのです。政府の金だからあとは返ってこなくてもいいのだということにはならないと思います。同時に、その金を貸す貸付の対象は、かりに北炭という会社があって、どの山に金を入れてもいいからあなたの会社に金を貸しますなどというような貸し方は今日しません。どこの山に、設備資金としてか、運営資金としてか、という形が明確になった上で貸すわけですから、そうなればなおさら明確になるわけです。そうすると、政府は単年度の計画を立てるといいましても、事実上は単年度でなくて、三年先、五年先の、ある程度計画に基づいた方針を出さざるを得ないのではないかと、こういうふうに思うのですが、その点について私の考えが誤りかどうか、お答えをいただきたいと思います。
○参考人(有澤廣巳君) 会社の考え方としては、そういうことになっているかもしれません。しかし、政府のほうに出てくる限りにおきましては、今申しましたような手続で進行していくわけです。ですから、かりに今お話の例で申しますならば、本年はこれくらいスクラップをする、翌年はこれくらいスクラップするというふうに、企業のほうでは考えている。そうしてその頭の本年度分が、今年の計画の中に出てくる。それによって、たとえば三百人解雇になる、そういうことになれば、その解雇になる三百人の者が雇用計画に上がっている、受け入れる側の雇用計画に載っている、こういう形になるのではないかと私は想像するのですが、だから会社のほうは、確かにお説のとおりで、会社は、銀行にはそういうふうに説明をしているかもしれません。しかし、事情のいかんによっては、それが少しおくれる、会社はそういう都合を考えておっても、おくれるということもあり得るわけでございます。そういうような行き方になるのではないでしょうか、具体的に申しますと。
○大矢正君 先生の御答弁は、なるのではないでしょうかという一つの仮説のようでありますから、私もあまり深く入っていけないわけですが一そこで今の御答弁をさらにもう一歩進めていきますとこういう問題が出て参ります。それは炭鉱の経営者といわず労働者といわず、それを取り巻く炭鉱以外の方々といえども、その山はつぶれてもいいのだ、つぶしてもいいのだと考えている者は、だれ一人いないと思う。何とか、でき得ることならば、その山を残したいという意欲は全部にあると思います。ですから、今日中小炭鉱なんかに見られるように、賃金は三カ月も払われなくてもなお働いているという現状はそこから出てくると思うのです。そういたしますと、やはり当然のことながら、自分はこれだけ給料、賃金を下げられても、自分はこれだけ上のほうから押えられても、なおこの山を守っていこうという意欲が労使の間においてわき起こってきた場合には、当然のことながら、政府の考える計画と若干のズレが出てくるという問題が出て参ります。こういう場合には、当然さきの御説からいくと、政府のほうはぐっと力を加えれば解決をするのだ、こういうことになるのではないかという心配が一つあることと、それから、さっき銀行の話をしましたけれども、そういう山は労使が幾らやりたいと言っても、政府が認めなければ絶対に金融機関は金を貸しません。そこの労働者が、おれは働くと言っても、飯を食わたいで働くわけにはいきませんから、会社は銀行から金が借りられなければ賃金が払えない、賃金が払われなければ飯が食えない、飯を食わなければ働けないから、山で働かないで矢業保険をもらう、こういうことになるわけですから、事実上からいうと、経営者とそれから労働者の自主的な意欲や意思があっても、私はこの山を守ることができないし、せんじ詰めていえば、その自主的な意思や能力が生かされない。こういうように考えざるを得ないのですが、先生いかがでしょうか。
○参考人(平田敬一郎君) だいぶ最初から伺っていますと、やはり企業と申しますか、私企業の性格と、それからいろいろな関係の問題になっているようでございます。今お話の点も若干それに触れるかとも思うのですが、まあ今度の調査団の基本的な考え方、私はやはり石炭業は、今一番考えておりますことは、雇用の安定という見地からどうすべきかということと、もう一つは、やはり日本の非常に重要なエネルギー産業なんですね、そこを考えて、いろいろ国も必要な援助なり、支援をできるだけしていく。ただ企業の、やはり今は私企業の形態によってやっておりますから、私の感じから言いますと、私企業としての本質的なと申しますから、一番重要な点ですね、これはやはりそれぞれ私企業の責任と判断できめてもらうという態勢に全部がなっているわけでございます。今のお話の閉山ということも、最終的に責任を持って決定するのは企業自体であります。それからビルドのほうも同様です。どういう近代化計画を作るか、それをどう能率的に実行していくか。これもなまやさしいことでないことは御承知のとおりでございまして、これは主としてやはり私企業の創意、工夫、努力、こういうことによってのみ目的が達成できるので、そういう場合におきましては、政府は相当大きな資金を出してやるわけでございますが、立場としましてはやはりそういう私企業かできるだけその目的が達成できるように援助し、協力すると申しますか、そういう立場に立たされておる。それが、石炭鉱業は今非常に重要なエネルギー産業であり、かつ雇用の安定からも最も解決しなければならぬ問題をかかえておる産業でございますから、その幅が相当深く、広くてしかるべきだと、こういう考え方に立っておるのでございますが、そこで、今お話しになりましたいろいろの考え方もございまするが、結局銀行の話が出ましたけれども、これはやはりほんとうに年々どの山をどうするかということをきめますのは、一定の手続を経てやはり企業自体が最終的にきめる、そのきまるについて私も団長と同じように今までのような紛争は重ねられないことを期待しておる、またできるだけ今度の方式によりますと、順次前から政府の方針も明らかにし、ワク等もきまって参りますから、今まで変な場合にありましたように、いきなり組合に話して非常な騒ぎを起こす、雇用の問題でも、先ほど亀井さんからお話があったように、関係機関があとで、あるいはその直前に知って、この雇用対策を立てるに十分でない、そのために手回しが悪くてたいへんな社会問題まで巻き起こしておる。そういう点をやはり今度の方式によりますと、私は相当改善できるのじゃないかというふうに考えておるのですが、最後は、しかし、やはり企業が責任を持ってきめる。したがいまして、さっき話がございましたように、労働権にも実は今度は触れていない。そこまで触れますと、これはたいへんな一種の性格変更にまでなってきますので触れておりません。また銀行が金を貸す場合にも、この趣旨にもございましたように、あるいは政府の資金を出すにつきましても、趣旨としましてはあくまでも企業自体の努力、それから市中の金融機関への努力、これを前提として考えております。ただ実際は、結果から見ますと、先ほど申しましたように、あるいは皆さん御承知のように、なかなかそういたしましてもむずかしいから、相当多くの部分が財政資金に依存せざるを得ない。まあ、そういう形で何とか再建をはかろう、こういうことになっておりまして、私どもはやはり、おそらく市中銀行でも同じだと思いまするが、今の話に直接触れますと、長期の見通しは各企業もある程度作ると思いますから、しかし、それを、年々確実にどれをどう実行するかということは、今度は今までと違って毎年一定の手続を経て最終的にきめていく、そこが従来とだいぶ違っておる。したがいまして、そういうことをよく前提に考えまして、おそらく政府資金を出す場合にも、あるいはそれから市中銀行で金を出す場合でも、よく考えて必要な資金を出していただくということになってくるかと思うのでございまして、まあ全部のものが一ぺんに五カ年間のものがきまってしまうという性格のものではないと思います。客観条件その他から見て、おのずからそういう範囲で閉めざるを得ないというものも、これは常識で判断できるものもあるかもしれませんが、しかし、非常に限界線上にありまして、はたしてどうするか企業自体も問題にし、迷っておる問題があることと思います。そういう問題は、見通しは見通しとして一応立てましても、やっぱり最終的にきまっていくのは、この新方式によりますと、一定の手続を経てそこできまっていくという次第でございまして、その辺やはり新しいやり方でございますので、最初実行に当たりましては円滑にいくように、いろいろ問題もあろうかと思いますが、まあ私どもは、こういう方式でいこうと、まじめに各立場のものがやっていくようにすれば、所期の目的を達成することができるのじゃないかと、かように考えております。
○大矢正君 もう一点だけ。稲葉先生にちょっとお伺いしますが、まあ今までの話をもう一歩進めて参りますと、こういう問題が起きてくるのではないかと思うのですが、それは政府がきめる整備計画、これは腹の底には五ケ年間の長期展望はあるが、しかし、正式な方針としてきまるのは単年度だと、こういうことになりますね。一方、翻って経営者の立場を考えますと、今平田さんが言われたとおり、あるいは五年間の展望というものも持っているかもわかりません。そこで、最近のこの労使関係の実情は、御存じのとおり、労使のそれぞれが自分の会社、自分の炭鉱はことしはどうなり、来年はどうなり、再来年はどうなるという大よそ三年程度の展望はそれぞれ持って議論をし合って今日まで参っております。これは私は当然のことだと思うのであります。ここ一カ月や二カ月の自分の山の現状に固定をしないで将来を見越した上に立って方針を立てることは当然のことだと思うのであります。ところが、政府は単年度ごとしか計画を出しませんから、自分の山がいつ具体的にはどうなるのかということはわかりませんですね。率直に言ってわからないのです。そうなって参りますと、労使の話というのは一体何をするのかという問題になってくると私は思うのであります。やはり長期の展望がありますれば長期の展望に基づいて労使それぞれの立場において話し合いをすることがきますが、それをやってみたところで政府がどういう方針を出すんだかわからないから、この答申に基づいてもなおどういう方針を出すのかわからないのですから、結局のところ、労使間において話し合いをすることができないということになって参ります。と同時に、もう一つの問題になって参りますのは、自分の山は二年後にかりに——それと反対の面です、自分の山はこれから二年後に閉山になるのだということが明らかになった際に、はたしてその山に二年間黙って働いている人がいるかどうかという一つの問題が起こります。お前は二年たったらこの会社からいなくなるのだ、この山からいなくなる、首を切られるのだ、もの炭鉱では働けないということが明確になって今日炭鉱労働者が残って働くかどうかという問題が一つ残ります。しかし、悪く解釈すると、ひがんで解釈すると、その際に政府は、山を閉山するときにやめるのではなくて、先に、自分の希望で、見切りをつけやめたのには、さっき何か手帳やなんかの話もありましたが、手帳もやらない、政府もめんどうを見ない、こういうふうにしてやれば、政府がめんどうを見なければ、二年後に首を切られていくだろう、およそ山に残って働いていくだろう、ひがんで解釈をすると、そういうことも成り立つのです、実際問題として。これを実際に運用する場合にはなかなか容易なものではないと私は思うのです。それらの見解について先生の御意見をひとつ承りたいと思うのです。
○参考人(稲葉秀三君) 実は私はこの調査団の審議の過程で需要対策と雇用対策をやらされましたので、今先生のおっしゃったことはよくわかります。そして一応ワクをはめましてもそれを現実に実行するに当たりまして非常にいろいろとむずかい問題が起こってくるのではなかろうかと、このように個人としてはやはり感ずるわけであります。ただ申し上げたい点は、私たちは石炭産業がともかく四十二年で、単年度でバランスがとれると、こういったようなことを前提として、そして毎年賃金が五%は上がっていく、需要と結びつくと、こういったような場合を仮定いたしますると、千二百万トンスクラップ、またそれとほぼ同様のビルドが必要ではなかろうか、こういったような計算に達しました。そしてこういったようなことを前提といたしまして、これは閣議決定の中にも現われていることで、ただ日本一本ではなくて、地域別、炭田別の合理化計画、あるいは生産構造計画が政府原案として改組された鉱業審議会に出ます、そしてそれと雇用計画と参照されるわけてあります。もとより政府がそういったような計画をお出しになるにつきましては、おそらく会社から取り寄せるいろいろな資料とか、また私たちがここで答申いたしました大綱を入れまして、ただ三十八年度については三十八年度だけではなくて、やはり三十九年、四十年ということも頭に入れての計画が地域別、炭田別に出てくるのではなかろうか、場合によりましては全部の炭鉱ではございませんけれども、主要炭鉱についてはある程度の計画も想定をされているのではなかろうかと思います。ただ審議会ではそういったようなことと雇用計画を結びつけて、そして経営者の代表もお入り願う、労働組合の代表もお入り願う、そしてやはり全体の石炭産業の自立と安定とを結びつけて、一体この地域別、炭田別の計画が合理的かどうか、また、かりにスクラップとビルド双方から離職者が出ましたときに雇用対策が十分かどうか、こういったようなことを御審議願うわけであります。おそらく有澤先生が御説明になりましたように、審議会としては公式上これ以上のことにはなりません。これが承認されますと、今度は、経営者の方、組合の方もお入りを願っているわけですから、そのワクの中でそれぞれの炭田、地域の中で合理化並びにビルドまたは閉山に対する団体交渉が進んでいくと、このように事態は進行していくと思います。そして確かにその進行の過程で、中には御存じの方もあるでしょう、中には寝耳に水だという印象を受けられる方もあるだろうと思います。ただ私が実態調査でいろいろ地方を回って感じましたところでは、大手の炭鉱については三分の二ばかりはまだ私たちが、政府がスクリーンをしておりませんけれども、五年後あるいは三年後のことを考えてこうしていくんだという計画をお作りになり、中には組合に話を持ちかけておられるところがございます。しかし、まだ三分の一ばかりのところは、そういったようなことはお話しになっていないんではないかと、こういうことを感じましたので、まあ率直に今御質問のことを考えますと、二つのケースが年々具体的に現われてくるのではなかろうかと思います。 いま一つ申し上げたい点は、大手の炭鉱の場合と中小の炭鉱の場合におきましては、やや違った形ができてくるのではないかと思います。中小炭鉱につきましては、それほど詳しい推算を私たちはいたしておりません。しかし、今年度の例にもよりまするように、私たちの予想以上の閉山の申し込みというものが出ております。今後も場合によってはそういったようなことになるのかもしれません。また中小炭鉱の労働組合の方にお聞きをいたしますると、これは最後は経営者が組合と御相談になって了解を得なければお金は渡せないことになっております。しかし、その従前の措置について円滑さを欠いたために無用の混乱を巻き起こしているということもございます。私たちの本意は、中小の山につきましても実情を率直に経営者が御報告になって、そして組合と話し合いをされて、そして円満なまあ申し込みとか、そういったようなことが進んでいく、また中小におきましてもビルドの山も相当あると思いますので、そういったような形が進行してくると、およそ私個人は、今先生がおっしゃった御質問に対しまして四通りの複雑な組み合わせが出てくるのではなかろうかと、このように想定をいたします。まあ確かにむずかしいことであります。
○豊田雅孝君 時間の関係もありますので、今まで御質問にならなかったような点、四点ばかり一括してお尋ねをいたしたいと思います。 第一点は、石油の価格と石炭の価格の相互関係、これを今回の答申では基調にしておられると了承するのでありますが、これはもちろん当然のことであります。しかも石油価格キロリットル六千円ベースでお考えになっておるようでありますが、この六千円というのがはたして動かないかどうか、ここにやはり大きな問題があると思っておりますが、先ほど有澤団長の御発言にもありましたごとく、これはたとえばでありますが、一例でありますけれども、石油業法によって標準価格七千円にする、かりに七千円ということになりますると、もうすでにそこで狂いが出てくるのではないか。この狂いに基づきまして、需要についても、出炭量についても狂いが出てくるのではないだろうか、この点についてどういうお見通し、あるいはその狂いをどういうふうに防止していくのかという具体的なことを伺いたいと思うのであります。同時に、これに関連いたしまして、離職者の問題でありますが、これも七万人整理するのは容易でないことは先ほど来いろいろお話があったとおりであります。しかし、これを相当の犠牲を払ってやり抜く、そのあげくの果てに、あるいは今申す一つの狂いでありますか、また求人に苦労をせんならぬという問題も出てこやしないか。こういうことについての懸念といいますか、あるいはそれに対する対策といいますか、これを具体的に伺っておきたいと思いますことがあわせてこれ第一点であります。 それから第二点は、資金計画の問題でありますが、設備資金、整備資金合わせて二千五百億要るというお話でありまして、先ほど平田さんからるるお話を承りまして感じたのでありますが、そのうち財政投融資といいますか、政府資金に依存せざるを得ないものがどの程度あるか、まあデリケートな点もありましてさっきもお避けになったようでありますけれども、これは見当がついておるのだけれどもやはり言えないのだということなのか、あるいは見当はやっぱりついておらぬということなのか、これはまあ私どもも腹づもりがあるものでありますから、その点を伺っておきたいと思うのであります。これが第二点であります。 それから第三点は、これほど国家が石炭産業に助成をする、それに伴っては強度の指導監督はしかるべきであります。それについては石炭行政機構を拡充強化すべきだという御答申、まことにごもっともであります。しかしながら、これは少々の石炭行政の機構拡充ではとうてい間に合わぬのではなかろうか。ことに先ほど来、いろいろ質問、御答弁にもありましたごとく、総合エネルギー対策の一環とし、やらなければ成功もしないということは明らかなんであります。そういう見地から、この石炭行政機構の拡充強化、これについては相当の思い切ったお考えがあるのではないか、またそうあってしかるべきではないか、それならば具体的にどういうことをお考えになっておられるだろうかということを伺いたいと思いますのが第三点であります。 それから第四点は、産炭地における小売商関係の問題でありますが、これは答申の中にも触れておられますけれども、小売商の売掛金の回収、これをいかにしてやらすのか、またできるのか、非常にむずかしい問題であります。これについてどういう対策をお考えになっておられるか。石炭産業に対しましては相当大きな助成でありますが、中にはもらうものはもらっても払うものは払えぬ、そのまま行ってしまうという、これはむしろ普通あり得ることなんであります。これは一面において国家がこれだけの助成をやるということになりますると、零細商業者に対する関係におきまして、ひとり金銭関係でなく、ある場合におきましては思想的にも相当大きな影響を与えるのではないか、これに対するバランスを考えまして、どういうお考えを持っておられるだろうかということであります。また、これに関連いたしまして、閉山するような産炭地において転廃業していくような零細企業に対しては、国民金融公庫から融資をするというようなことも答申で触れられておるようでありまして、まことにきめこまかな御答申で実は敬意を表したところであります。しかしながら、はたして国民金融公庫の金融ベースにそれが乗るものであるかどうか、ここに問題があるわけでありまして、答申では実にりっぱに触れられておるんでありますけれども、絵に書いたもちになっちゃ何にもならぬのでありまして、そういう点について産炭地でずいぶん御苦労、御苦心をかけまして御調査願ったんでありますが、その御体験から、はたして金融ベースに乗せていき得るのかどうか。この点について伺っておきたい。これが第四点であります。 以上四点、恐縮でございますが、一括してお尋ねいたします。
○参考人(稲葉秀三君) 稲葉でございますが、今の豊田先生の一と四についてお答えをさしていただきたいと思います。 まず、第一に、需要の問題でございますが、需要を見積もりまする場合において、重油特にC重油の値段につきましては、今先生のおっしゃった六千円ではなくて、一キロリットル当たり六千五百円といった相場がずっと続くといたしまして、一体それが石炭との関係でどうなるかということをいろいろ予測をいたしました。しかし、現実の場合につきましては、スポットもので六千円、あるいは六千円を割るC重油が出ておると、こういう事実でございます。そこで、実は私、石油審議会の委員もいたしておりますが、一体現在の輸入原油価格で、そして精製費その他を見てどのくらいになるものか、こういったようなことを調べてもらいたい。それと、現在の価格との間にどの程度の開きがあるかということも調べてもらいたい。あわせて現在のガソリン、それから軽油、特に重油の値段をもとにして、一体石油経営が成り立つのかどうかということも調べてもらいたいと、こういったようなことを調査団の作業と並行いたしましてお願いもし、また先ほど団長がおっしゃいましたように、実行に移されているわけであります。この点、若干正式の答えの場合におきましてはずれが起こるかもしれませんけれども、大体現在の原油値段が変わらないといたしますと、油の値段は最低キロリットル当たり一千円上がらないとペイしないんじゃなかろうか。つまり、現在の値段は世界一に安い。それが石炭の不況を招来しておるんだと思うのでございますけれども、石油企業と石炭と同じようにディス・インベストしながら競争しているんではなかろうかと思います。そして建値制とか標準価格制度というものがとられますると、大体C重油は七千円、あるいはそれを若干上回るところにくるんではなかろうか。また、くるような措置が望ましいと考えております。ただもう一つ問題は、私たちが建議した一つの柱である一般炭、特に電力以外の一般炭の需要低下がはなはだ著しいのでございます。それを防止をするという一つの対策といたしまして、財政対策も兼ねまして重油消費税の問題が出ております。この重油消費税の構想につきましては、いろいろ議論もございましたが、先ほどおっしゃいましたように二千円とか三千円とか四千円とか、そういう高い重油消費税をかけるのではございません。しかし、かりにそれが五百円になる、千円になるということが政府によってとられるといたしますると、今後現われるであろう重油価格は、今皆様方がお考えになっているよりは相当高い重油価格ではなかろうかと思います。私たちは来年の十月に重油ボイラー規制法が廃止をされると、さらに六千五百円の油というものは、これを石炭と比較をいたしますると一五%ないし二〇%割安であります。そのほかにメリット差というものがありますとしますと、大体一般炭の電力用以外の石炭消費は、昭和三十六年度には約二千八百万トンでございました、それが今年度では二千六百万トンに下がっておる。さらにこういう趨勢がずっと続いていくといたしますると、それぞれの用途について、たとえば国鉄用炭の場合とセメント用炭の場合と、あるいは一般家庭用の場合と山元消費の場合と皆違って参ります。それらをもとにいたしまして、一応私たちが推算をいたしましたのは、昭和四十二年が約半分強の千四百万トン強、四十五年度には九百万トン見当まで下がるのではなかろうかと考えております。しかし、大よそ百五十万トンないし二百万トンは下ささえをしたい、できればそれを下ささえをしたいと、こういうふうに考えております。つまり、昭和四十二年度は千四百四十万トンじゃございません、四十五年度も九百万トンではございません、大体政府が指導できるセメント用とか、あるいは家庭暖房用の一部とか、そういったような実行できるものと、そのほかに重油ボイラー規制法を存続せしめるとか、あるいは消費税の裏打ちをするとかいうことによって、最小二百万トンは行くのではなかろうかと思います。しかし、かりに今御説のように、じゃ重油価格が七千二百円になる、あるいは七千五百円になった場合についてはもっと石炭の需要は上がっていくのではなかろうか、こういう御推定でございますが、私どもの推測では、その程度の値上がりではそう大きく石炭の需要をプラスにするという点はあまり考えられないのではないか。むしろ二千円とか三千円上積みをして八千円から九千円台になるときには相当大きく変わる。しかし、七千円台の場合には若干の需要低下を防止をするということはできる。けれども、私たちの予想いたしたものに対しまして、それほどの大きな需要量の増加がある、その結果電力その他とも見合わせまして五千七百万トン強の精炭の四十二年度の需要が六千万トンになる、六千五百万トンになるというところまではやはりなお行きにくいのではなかろうか、このような含みを持っているんだということを御報告いたしたいと思います。 その次に、第四の項目になります。産炭地の場合、私どもが非常に心配いたしましたことは、石炭の合理化や閉山が社会経済的に波及する効果でございます。特に中小炭鉱がつぶれまして、そうして三つの問題がさらに大きく波及してくるのではなかろうか。その一つは、賃金の未払いが大きくなっていく、退職金の手当がなかなかできにくくなるという点があるのではなかろうか。その二つは、鉱害復旧の半分の負担というものが全然できなくなってしまうという心配があるのではなかろうか。その三つは、今御指摘になりました、たとえば炭鉱並びに炭鉱従業員が地元の商店その他からいろいろ物を買っている、なおそのほかに下請でございますとか、坑木でございますとか、機械屋さんとか、そういったようなものに対する手当ができなくて、結局それがみなおっぱなされてしまうという問題で、この三つから社会経済的な悪循環が増加をするのではなかろうかということでございます。そして一と二につきましては、十分ではございませんけれども、ある程度の措置がとられております。たとえば鉱害の場合は、無資力認定の場合においては、国の復旧をもっと強くしていくとか、そういう措置もとられております。ただ三の場合について、特に問題になりまする筑豊地域と北松地域につきまして、一体商人さんの未払いがどうなっているのだ、坑木屋さんの未払いがどの程度になっているのだ、それからさらにそのほかの下請その他に対して現在どの程度のものだということを、私はいろいろ関係の団体その他にいろいろ質問をしたりお話を聞きに参りました。しかし、割合この問題が大きく叫ばれながら、それに対する実態がはっきりわからない、こういったような点が多いのでございます。そこで答申案は、今おっしゃいましたように、国民金融公庫でやっていくとか、そういったようなやや中途半端なことになっておりますけれども、まあ御存じのように九州につきましては、特別に国の指導機関みたいなものを向こうに作っていただくということになります。それから私たちは、資材の未払い、売掛等につきましても、もっと実態調査をしていただきたい、こういうふうに念願をしております。それをできれば地域別、炭田別、あるいは市町村別についてもしていただきまして、それをもとにして、一体どのように商人の方とか下請の方々に御助力をしていくかということがとられていかなければならない。遺憾ながらその実態がはっきりいたさなかったという点を一つ御報告を申し上げたいと思います。
○参考人(平田敬一郎君) 資金部の点についてのお尋ねでございますが、先ほど申し上げました要点をもうちょっと繰り返すことになるかと思うのでございますけれども、結局設備資金の、大手だけ千四百億程度は近代化合理化のために必要だろう、この数字はそう動くまいと思っております。それから整備資金の総額も、六百八十億、これは年次別には若干動くかもしれませんが、私どもが意図しておりまする姿に石炭業がなるといたしますると、その程度の資金を必要とするだろうということでございますが、あとそれじゃ財政資金を幾ら追加して要するかということは、先ほど申し上げましたように、いろいろな前提があるわけでございます。まあ、私どもとしては、設備資金でございますと、なるべく減価償却資金でまず引き当てる、それからさっき申しましたように、利益のある会社は内部留保を引き当てる。これは少ないけれどもございます。それからさらに市中の金融機関からの調達の努力をする、いろいろな前提がございます。それと、先ほど申し上げましたように、今現在のペースで同じようなやり方をやる、さっき申し上げましたように、開銀からも大手に七十億、それから事業団からも約二十億ほど出ておりますが、そういうものは一応既定の事実としてそれぞれいくということで、一応、さらにそういうことに追加して要する額は幾らくらいかということを先ほど申し上げてみたわけで、その数字が五年強で設備資金のほうは二百五十億ないし三百億。しかし、これもやはり市中からの借り入れをもう少してきるような状態になりますと、財政資金でそれをまるまる出す必要もない。それから償還条件をどうするかによっても実はその期間中の所要資金が変わってくる。それから整備資金のほうも同様でございまして、やはり一応資金の量は、まあその千二百万トンのスクラップ化に伴い、あるいはその他の合理化近代化計画に伴って、人員の縮小がございますので、そういうことを中心にした所要資金が六百八十億、これが一応各数字と見合った実は見通しの数字になっているということでございますが、それからさらに今のペースでいきますと、退職引当金なんかは優先的に充当するものといたしまして、何とかやはり考えなくちゃならぬ額が三百億前後、このほうはむしろ設備資金より大きいのじゃないか、しかし、このほうも市中から今相当借りております。これをほとんど返してしまうという前提で計算すると三百億くらいになるのですが、企業によっては市中からなお継続して乗り継ぎできるものもございます。こういうものをあまり事前に概括してきめてしまうのではかえって妥当ではないので、その程度の金額をできるだけ自己努力並びに市中金融機関からの調達でまかなって、やはり足らぬ分は財政資金で供給していただく、これだけは財政資金がこの五カ年、相当これは責任を持って不足を生じないようにすることが大事だと思いますが、最初にそれをきめてあてがい扶持にするのは、先ほど申し上げましたように、かえってどうも企業の努力なり経営意欲にも影響してきますので適当ではなかろう、だから事前にこれだけの必ず財政資金を出すのだということは、ちょっと金額を示して申し上げますのはいかがであろうかと、これはもちろん年々やはり、今度合理化審議会で資金計画をあるいは今までよりももう少しこまかに計画を立ててやるようでございますが、そういうときに応じまして、そのときの状況を見て必要にして妥当な額を出していく、こういうことで進めていくということに相なろうかと思います。しかし、いずれにいたしましても相当大きな資金が要ることは事実でございます。なお、石炭対策に関しまして、いろいろな資金が要るのですが、その中には、全部税金で実はやるわけではない、税金で出る分も相当ございますが。それから財政投融資は御承知のとおり貸付金でございまして、これは当然お話がございましたが、会社の経営よろしきを得て返済の見込みあるということでなければ、市中と同じように財政資金といえども出さぬという建前にいたしておるわけでございまして、その辺の実際の管理運用にはまた違った意味で私ども国会に対して重大な責任を負っているかと思うのでございますが、その辺をよく注意いたしまして適切な運用をはかるようにしなくちゃいかぬのじゃないかと、かように考えておる次第でございます。 それからなお、やはりもう一つの問題は、直接石炭業に関係していないが、間接に影響を受ける商工業者の方、これは率直に言って私も現場に行ってみまして、スクラップした山の近くの商店までが、実は板囲いで売り店に出している姿も実は一、二拝見いたしましてほろりとしたわけでございますが、そういう方々もやはり結局方向転換と申しますが、転業をして再生の道をはかってもらうよりはかなかろう、そういう方に対しましては、私はやはりこういう際でございますから、国民金融公庫あたりがやっぱり一番力を入れて転業資金あるいは転職資金をまかなっていくという方向にいくべきじゃなかろうかと、今までのやり方どおりですと、なかなかうまくいかぬところもあるかもしれませんが、一種の別ワク融資と申しますか、そういったような、産炭地の近くにもう少し一般的な融資のほかに一種の、特殊のいい意味での政策的融資、こういうのをやはり政府機関でございますので、加味しながら運用をはかっていく、中小企業金融公庫の場合にも、若干私は同様だろうと思います。そういう方向で極力ほんとうの情勢に即したいき方でいかなければならぬ。これも融資でございますので、やり切りの金でございませんから、転業される方々も、できるだけしっかりした計画を作って、やっぱり極力あとで返済のめどがつくような計画をお作りになって再生の道をはかっていただきたい、まあかように考えておるわけでございます。 それからなお、未払いの問題につきましては、これはなかなか、さっき稲葉さんのお話がございましたように、さらにまた、間接でもって複雑だと思います。これに直接取っ組んで未払い債務を何か直接整理するとか、あるいは肩がわりするとかいうことまでいきますのにはちょっとどうもなかなか、率直に言って簡単じゃないのじゃないか。しかし、そのことは間接に石炭企業に対しまして、たとえば整備資金も今までよりは特別に必要な資金は出してやるということになりますと、退職金を無理して支払うと、ほかのほうにしわ寄せをしてきているのが今度はそれほどしわ寄せしなくても済むとか、あるいは買い上げに当たりましても、さっき申しましたような、稲葉さんからお話がありましたように、行方不明とか、あるいはあとで弁済の資力があるかどうか、たいへんその辺の認定で実際上見てみますと、中小炭鉱の場合に問題を起こしているようでございますが、もう少し私は迅速、簡便のきめ方はないものだろうかと——率直に申しまして、ある程度の事前払いをして事後にけりをつけるといったような行き方も研究してほしいということを、私個人として実は関係の方面へ注文いたしておるのでございます。 それからまた産炭地全体の振興をはかって早くほかの道でそういう問題が起こらないようなふうにしていく。結局いろいろ間接——大部分は間接になりましょうが、そういった方向で極力解決をはかって、そういったような忌まわしい問題ができないようにしていくという方法が今のところまあ一番妥当じゃないかと、こう考えておりますが、その辺のところは率直に言いまして、非常にこまかい実情に即した問題はなおよく研究の余地が残されているだろうとは思います。大体はなはだ何ですが……。
○参考人(有澤廣巳君) もう一つ豊田さんからの御質問が残っておりますから、それにお答えを私から申し上げます。 もう一つの問題は、石炭行政の強化の問題でございますが、これは確かに非常に石炭が日本における重要なエネルギー源であるという観点から申しましても、エネルギーを総合政策的に考えていくような行政機構が必要になってくることは明らかだと私も考えます。しかし、まあとりあえずのところはこの答申では、一つは、石炭対策閣僚会議を拡充していただきます。それからもう一つは、石炭行政の強化といいましょうか、石炭局なら石炭局をもっと拡充してもらうこと、第三は、臨時石炭対策本部をこれはとりあえずは九州に置いていただく、ここではこの地域における石炭に関連するいろいろな問題が錯綜して起こってくるのでありますから、これらのものを出先の機関として統一的にてきぱきと処理していく、この機関として臨時石炭対策本部をとりあえず置いてもらう、大体こういうふうな機構の拡充をはかることによりまして、むろん石炭と競合するエネルギーである石油の問題は、これはまあ石油審議会がやります。また石炭と石油と両方を消費する電力につきましては、電力事業審議会で今も目下どういうふうに電力業界を考えていくか、体制の問題についても検討しております。そういうふうな検討を待ちまして、行く行くはエネルギーを総合的に行政していく機関を設けるのが適当でなかろうか、これは私個人が考えております。いわば後には動力省というふうなものもできてもいいのではなかろうかと考えておりますが、しかし、まあ私どもがあえてそういう案を答申の中に盛らなかったのは、今行政制度調査会でございますか、せっかくそれがあって研究を進めておるのでございますから、やっぱりその点を御考慮願って、この制度調査会のほうで御決定していただいたほうが適切でなかろうかと考えた次第でございます。 それからもう一つ、これは人の問題で行く行くは人が足りなくなるおそれがありはしないかという、価格関係の問題と関連して御質問があったように思いますから、この点につきましてもあわせて考えを述べてみたいと思いますが、確かに今日石炭産業の人の問題はだんだん老齢化が進んできておるのであります。若い人はどんどん就職もうまくできるのでありますから、山を去っておる、こういう関係で老齢化が進んでおります。これは何も日本ばかりの現象でなく、ドイツの石炭業におきましても老齢化はかなり進んできておるようであります。そこで、これは要するに、私の考えでは石炭業自身が不安定な雇用である、将来についてあまり明るい見通しが持てない産業であるというところから起こってきておるものでなかろうかと思います。つまり、若い人が進んで入る、職場として選択するに魅力がない、こういう産業になっておるからでなかろうかと思うのであります。それならばこそ一そう私は石炭産業をここで自立をさせるということが必要だと思うのです。私どもの計算でいきますと、自立した後におきましては、石炭産業においての雇用の問題も安定いたしますし、また雇用の条件もある程度向上をせしめていくことが十分可能である、こういう結論になっておるのであります。そこで初めて石炭産業も安定した職場であって、しかも生活の水準もだんだん向上していくことができる、そういう職場を作る、石炭産業の自立によってそういう職場を作るということなくしてはなかなか人の問題、老齢化の問題を防ぐことはできないのではないかと私は考えておる次第でございます。あわせてお答えいたします。
○阿部竹松君 有澤先生、おそくなってまことに恐縮ですが、簡単にお尋ねいたしますが、有澤先生に一点だけお尋ねいたしまして、あとそれぞれ分担して諸先生がお仕事をなさったようですから、担当なさった先生からお答えいただきたいと思うのですが、第一番に、さいぜん同僚委員の質問に対しまして、今まで政府がやらなかったけれども、この答申案を強力にやらしめるという先生の語気鋭い御答弁があった。先生は、まあ二百七十ほど審議会ありまして、有澤先生が一番審議会を多く兼ねておられるそうでありますが、今までその審議会のとられた態度を政府がどう受け取ったかということについては、有澤先生は一番御承知なんです。そうしますと、今まで先生方が答申をまとめる過程において、炭労なり炭鉱経営者なり、あるいは政府なりにそれぞれお話をなさったと聞いているわけです。その過程において、おそらく有澤先生を中心とする調査団の方針は、政府がよろしいという裏づけの答弁あって、今までと違った熱意をもってやるという先ほどお答えがあったというように解釈してもよろしいかどうか、お尋ねいたします。
○参考人(有澤廣巳君) まあ、私が審議会で一番委員を兼ねておるわけではないので、私は割合に少ないのでありますが、しかし、まあ幾つかの審議会の委員もやっております。しかし、この石炭鉱業審議会のほうは、今度改組されますのは、私どもの答申に基づいて改組されることとなると思います。池田総理大臣がみずからおっしゃっているように、権威ある調査団であって、その答申は尊重するということになっておりますので、私はこれを信頼しております。そうして石炭鉱業審議会が改組されました後には、この審議会は単に計画を審議するばかりでなく、各部会がありまして、それぞれの部会におきまして、さらにその審議した結果がどういうふうに実行されつつあるか、どういうところに支障があるか、こういうふうな問題について調査をし、かつ政府に建議をすることになっております。審議会が建議をしても、なおかつ政府のほうでは全然話がわからぬということになれば、まことにこれは遺憾で何ともしょうがないことでございますが、しかし、私はそうは考えません。今度は政府としても、この石炭問題につきましては本腰を入れてやらなければ、とうてい解決のつかない問題だということは、政府自身も十分御存じのことだと思います。したがって、石炭鉱業審議会が今のように調査をして建議をした場合に、私はその建議もまた十分尊重されることだと思います。私のやっている審議会が幾つもありますけれども、その審議会の何といいますか、建議なりあるいは答申なりは、なるほど百パーセントは今までに実施されてきておらないように思いますけれども、しかし、私個人から申しますと、大体三分の二は尊重されているように考えております。三分の二というと、あまり言い過ぎのようでございますけれども、しかし、不十分ながらもわれわれの答申が尊重されて実施に移されているように考えておりますが、今度の石炭鉱業審議会の場合には、もっとそれがより強く尊重をされるであろうと私は考えております。と申しますのは、これができましたいきさつが従来と全く違っておるということと、もう一つは、石炭は非常に重要な、かつ困難な問題でありますだけに、政府もこれをおろそかに考えることはできない、こういう立場からそういうふうに私は信じておる次第でございます。
○阿部竹松君 さいぜん、阿具根委員との応答の中にございましたが、確かに先生のおっしゃるとおり、今度の調査団というものは、今までと違った形でできておるということは了承できます。しかし、調査団ができて、ようやく調査を始めて、まだ結論も何も論議されておらぬと私どもが承知している段階に、すでに数万名整理しなければならぬというような新聞なり週刊誌に発表がございました。何名か有澤先生のところにもこれはおかしいでしょうという御意見の開陳に行かれた方もあるやに承っておりますが、ですから、私どもが理解しておるのは雇用の安定ということで、阿具根委員から話もあったように、皆さん方も出発されたというのに、結論も出ぬうちに七万数千名の首切りを前提として論議されたということは、ひがんでいると言われるかもしれませんが、そういうように理解しております。しかし、これは過ぎ去ったことでありますから、ここで触れようとは思いませんが、そこでお尋ねしたいのは、昭和三十二年に経済審議会というのがございまして、先生はそのメンバーであったかどうか私は記憶しておりませんが、しかし、そこで七千五百万トンという数字を出して、昭和五十年度にこれだけ消費すべきであるという数字を出した。それからまた千二百円コスト・ダウンという数字を出された、先生はその会議に御出席されておったかどうかわかりませんけれども。ところが、国鉄運賃の値上げ、あらゆる物価が上がって千二百円のダウンは今や二千円のダウンに匹敵するような実態なんです。それを尋ねてみたところが、物価が上がるということは前提としておりませんということで論議して、昭和三十二年から今日まで二つの審議会で出した結論が失敗しておる。今度三回なんです。先生の出された結論を承っておりますと、昭和四十二年まで十名のうち四名やめなければならない、こういうことになりますね。来年何名、再来年何名やめるかわかりませんけれども、とにかく四割近い人間がやめなければなら一ない、三・八ぐらいでしょう、正確な数字を申し上げると。そうすると、先生もさいぜん答弁されて、そういうふうにはなりませんというお話がございましたが、しかし、今炭鉱労働者の全国平均年令は四十才近い、そうしますと、やめていかれる人は、十人のうちの四人はほとんど青壮年層がやめていかれるだろうと思うわけです。今や大企業でも雇用はストップだという経済状態ですから、そうすると、どうしても入りやすい人はやめていくという結果になりましよう。全部スクラップになる山はこれは別でしょうけれども、大企業に残る者、これが全部青壮年層がやめていく、そうすると、少なくとも平均年令が四十五、六であり、五十才になりますよ、昭和四十二年以降になると。皆さん方の出された結論は三十八・八トンにするというのですから、十数トンの能率を上げねばならぬ。そうすると、坑内の近代化も機械化も行なうでありましょう。しかし、年令層は四十五才以上になる、能率は十数トン上げなければならぬ、こういうことがはたして可能であるかどうかということについて私はきわめて心配するのです。過去二回の結論のようになるとは思いませんけれども、また昭和四十二年になって先生とけんかしても始まりませんから、今そういう点の心配がないかどうかということを明確にお尋ねしておきたいわけですが。
○参考人(有澤廣巳君) 審議会のほうはこれはまあ別にお答え申し上げなくてもいいかと思いますが、七千五百万トンの質問のほうは、確かにその年令がだんだん高まっていくということは心配される点でございます。一つは年令の高い人々が離職をする、その離職する高年令者の働ける職場を見つけるということ、これがなかなかむずかしい問題だという点、御指摘は全く私もそうだと思っております。それで、まあボタ山の整理事業というものを政府が行なう、まあこれは合理化事業団あたりでやっていくものもありましょうが、あるいは産炭地振興事業団でやりますか、とにかくやりますというのも、実はなるべく山元に近いところで安定した職場、このボタ山の整理事業というのは大体十年くらいかかるという話でございます、そして、ここでは失対だとか緊就とか特就とか、そういうものじゃなくて、常用雇用者として高年令離職者を雇用していく。そしてこのボタ山の整理一鉱害復旧、それから災害の防止、こういう目的を兼ねてこれを事業として行なうということを考えておりますのも、そればかりじゃないですけれども、そういうことを考えておりますのも、高年令者層をどういうふうに再就職をせしめるかということを考えた結果であります。そのほか高年令者におきましても、企業あるいは産炭地でかなりな新しい事業を興す計画を持っております。この計画に対しましては、政府の機関の金融機関で十分資金その他にめんどうを見ます、また産炭地においては特典があるのでありますから、私はその事業計画が実際に行なわれると考えております。事実企業が整理する場合においては、それだけの自分自身でも相当新しい雇用の場を作り出すという責任を持っておると考えます。そういうことは答申の中にも指摘してありますが、したがって、この計画は実現するものと思います。こういうところでも高年令者層を雇ってもらうことが可能だ、こういうふうに考えております。ですから、高年令者の問題につきましては、そのほかにもなお政府自身が造出する職場においてこれを雇用するように考えてもらわなければならない。こういうふうに考えております。問題は、高年令者層の再就職、これはなかなかむずかしい問題だということを私は十分考えておる次第であります。がしかし、もう一つの高年令者といいましょうか、炭鉱の老齢化の問題で、もう五年もたてば平均年令が、四十四、五になるというのは、少し私は高くなり過ぎるように思いますが、現在は三十七ぐらいのところでございますので、あるいは四十才をこえるかと思います。そういう老齢者がはたして今能率を二十六トンから三十八・六トンですか、それまで五年間に上げ得るか、こういう問題でございますが、これにつきましては、技術班のほうでいろいろ検討しておりますから、技術班の青山さんからお答え申し上げたいと思います。
○参考人(青山秀三郎君) さっきからいろいろお話を伺っておりまして、まさに私も今御質問になったとおり、これからの坑内の作業につきましてはいろいろ考えておるのでありますが、先ほお話のあったのにも関連いたしますが、やはり根本の方針と申しますか、基準と申しますか、そういうものを考えました中に、自然の条件がウエートを持っておりますが、私どもはやはりそれらを考えますときに、労務の条件であるとか、あるいは経営の能力であるとか、将来の収支の関係等もやはりあわせ考えまして、もっとも団長のおっしゃいましたように、その地域におけるあるいは地理的条件等も十分考慮いたしてきめて参ったのでありますが、これは何も私どもが考えませんでも、鉱山をビルド・アップするとか、あるいはスクラップ・ダウンするというときに一般に考えられることで、特にただいまの時点においてはこれを強く考えなくちゃならぬという項目だろうと思います。 その中にもいろいろございまして、五つの柱があるにいたしましても、たとえばその経営の能力ということにしても、そこにはいろいろ技術上の問題が入って参ります。それで、これはアメリカの話でございますが、もっと能率を上げたいという場合に、今までの方法ではとても採炭できないと、もっといい機械はないんでしょうい、労務がないんだろうかということを、むしろ労務者のほうから御希望があって、適当な採炭の機械を工夫して与える、そうしてその人の仕事の能率を上げるというような方針もとられて参っておるのであります。ただ、わが国では自然の条件が必ずしもアメリカで使っておりますものがすぐには間に合わないかもしらぬ、あるいは自然の条件がこれを受け入れないかもしらぬという不安もございますが、経営の能力の中で、ただいま問題になっておりますいろいろな採炭の方法にしても、あるいは使います機械にしても、御承知のように、ただいま水力採炭機がしきりに叫ばれております。われわれの立場から日本の炭鉱で水力採炭をやれるところがどこどこだろうというあらゆる切羽を洗ってみまして、およそこれくらいの切羽は採炭のために水力が使えるであろうということも検討いたしました。したがいまして、望むところは、できるだけ若い元気のいい方にお願いしたいのでありますが、こういう事情であれば、それに合うような、やはり適当な機械をわれわれも今後期待したいし、またそういうものによってこの能率を上げてもらいたいということも機械の面でも考えなければならぬと思います。ただ、先ほどお話がございました三十八・六トンという能率は、ぜひその能率を上げるためにこうしなければならぬということを、能率の数字のほうから仕事のほうに持っていくのは私は容易じゃないと思います。だから、そういうあらゆる条件を備えてもらって、本人の努力にもよって、生産は今のような方法で押えられるものでありますから、その生産をできるだけ労働されます方も、また経営の立場からも、これは合理的だ、適当に近代化しておるわい、この程度までやれるというようなところを試算いたしまして、たまたまあの数字が出ておるわけであります。ただいまの能率から比べれば、お話のとおり高いものであります。そういった条件なり施設なり、あるいは機械器具なりを考えまして、御苦労ではあると思いますが、ひとつお骨折りを願いたいという一応のめどだと御了承願いたいのであります。
○阿部竹松君 有澤先生と青山先生にお言葉を返すわけではございませんけれども、今三十九才平均ぐらいです。労働省とか通産省統計は昨年度の昭和三十六年度分の統計ですから、それから若い人が多くやめておるから。それに加えて、先生方の答申の中にも広域職業紹介ということがあります。そうしますと、五十五才の人をあっせんするよりも、二十五才、三十才の人をあっせんしやすいのですから、あるいは人を頼む場合にもそういう年令層を雇ってくれるのですから、そうしますと、どうしても一年に一つずつ年をとるのですから、今のままのペースでいっても四十四才が全国平均ということになるわけです。それに加えて、現在の人を減らすのですから、一人も採用せぬというと極端な言葉になるのですけれども、おそらく一人も採用できぬという全国平均になるでしょう、全国的な数字から見ると。そうしますと、その四十五才以上の全国平均年令の人が、確かに青山先生のおっしゃるとおり、水力採炭でもなんでもやるでしょう。しかし、そういう方々に、坑内に入って至上命令として三十八トン出しなさいということができることか、できたいことか。青山先生は技術屋さんですからおわかりになると僕は思うのですが、しかし、ここは討論の場でないからけっこうです。 そこで、流通機構の問題で稲葉先生にお聞きしたいのですが、ここで団長の御説明をいろいろと承ったのですが、船を造るとか、汽車賃をどうとかいうお話がございました。私は今東京の北区滝野川というところにおりますが、石炭をたいて風呂を使っております。五千二百カロリーの石炭で一万一千八百円です、東京で一トン。常磐の炭鉱の現地で三千円いたしません。しかし、東京で一万一千八百円より安い石炭は一トンもございません。これは断言していいと思います。それが常磐で生産されて私どもの家庭に入るまでに、一人の人が七千円も八千円ももうけているとは僕は言いません。もちろん、汽車賃もかかるでしょうし、それぞれトラック代、中にマージンも入るでしょう。しかし、こういうような不合理な流通機構ですから、これを何とかしなければならない。北海道に例をとってみますと、先生方北海道においでになったからよくおわかりでしょうが、北海道炭砿汽船株式会社というのが一つの鉱業所を持っている。その隣に学校があって、その学校が石炭を買う場合には、おそらく三つか四つの手を経なければ石炭を買うことができないシステムになっている。炭砿汽船では三千円で売るかもしれないが、しかし地方自治体が学校のために買う石炭は倍になっている。ですから、私は、なるほど船を造ることもけっこうでしょう、汽車賃引くこともけっこうでしょうが、お米のように、今の政府は公団や公社はあまり好きでないようですから、お米のように全部一括して買って売るように、食管のように一千三百億も赤字を出しちゃ困りますが、出ないようなシステムで全部買って売るように、政府機関なり、地方自治体なり、経営者なりが入って、一手にそういう石炭を買って一手に販売するということにしたら、一般炭を非常に先生御心配なさっているのですが、これが何とか今のと違った線が出てくるのではないかと考えるわけです。北海道に大体百五十万戸ほど世帯数がありますけれども、七十万戸以上といっても過言でないでしょう、値段が高いから石炭を十分買えない家が。今石炭問題をここでとうとうと議論しておりますけれども、炭鉱がつぶれるといっておりますけれども、炭鉱から家庭に入るときは一トン六千円、七千円。このルートは明治時代からのルートなんです。こぶこぶがついておって、こういうこぶこぶに対して政府が大きな力を持って根本的な対策を立てるということですから、こういう機会にずばりと断ち切って、一手に引き受けて一手に配給するというような方法をとらなければ、幾ら船賃だ、汽車賃だといっても、たいしたことにならぬというようなことを考えておるわけでありますが、こういう点まで皆さん方の資料の中にはありますけれども、その中身というものをそこまでお考えになっているかかどうかお尋ねいたします。
○参考人(稲葉秀三君) 流通機構の問題をお答えいたしますが、その前に阿部さんの初めのほうのことに対して少し意見を言わしていただきたいと思います。実は私、昭和三十四年の十月に石炭鉱業審議会に関係をさしていただいて、そして基本問題部会長である有澤先生の副部会長ということになりまして、現在の石炭政策を取りまとめた当の責任者であります。ですから、私も有澤さんも関係をしていなかったということは言えないのであります。また、さらに昭和二十年から二十一年にかけましては、これまた有澤先生のお供をいたしまして、日本の石炭経営者生産計画、つまり石炭とともに日本の経済を発展せしめる、この計画の立案に参画をさしていただいたのであります。 ただ一つ、阿部さんに申し上げたい点は、私たちは、だんだんやはり石炭がもっと合理化し、近代化していかねばならぬということを常に申し上げておったのでありますが、昭和三十年には石炭合理化臨時措置法というものが国会を通過をし、三十一年度から実施をされているわけであります。ところが、それによりますと、つまり標準炭価というものをきめて、標準炭価は二割下げていくんだ、そのかわりにひとつ向こう五年間は重油ボイラー規制法というものを読けていくということになっておるわけであります。これは国民の意思として、国会でおきめになったわけであります。ところが、昭和三十四年に私たちが関係をしましたときには、まことに不思議なことに、二割下がるべき標準炭価が二割上がっておった。しかも、石炭経営者も、労働組合のほうも、並み石炭は上がっていくのだ、こういったようなことだったのです。そこで、私たちはやはり、どうもエネルギー革命その他の事情からいうと、どうもこれではいけないので、やはり思い切った石炭合理化政策というものを実施をしていかねばならぬ、こういったような形の強い政策をリコメンドせざるを得なかったのであります。そしてあの答申を読んでいただければおわかり下さると思うのでありますけれども、生産目標は五千何万トンないし五千五百万トンにする、価格は千二百円引きということになりましたけれども、あの当時においてすら、石油に対坑するにはもっと石炭の値段を下げていかねばならないのだ。しかし、いろいろな事情から千二百円引きということになったのであります。確かにこの千二百円引きが非常に強い試練を経営者と組合に与えたという事実は、私たちは無視することはできないと思います。おまけに、さらに物価の引き上げがあったのであります。ただ、私たちがあのときに千二百円引き、主要揚げ地における石炭の絶対的な値段を毎年二百円ないし二百五十円下げていかねばならぬということをリコメンドせざるを得なかったのは、実は国会のおきめになった法律が有名無実になっておるということにほかならないのであります。むしろきめた場合については、そういったような線に沿って政府与党も、反対党もそれを推進し、監視をするということが必要であったし、もしも、そういうことが行なわれておりましたならば、私は今日のような日本の石炭の大きな不況というものはなかった。おまけに、今でこそエネルギー革命といわれておりますけれども、その当時においてはエネルギー革命というものを否定をする見解もきわめて強かったのだということを一つ申し上げさせていただきたいと思います。 その次に、流通機構の問題になるわけでございますけれども、申し上げたい点は、御存じのように、石炭の生産コストだけではなくて、流通コストもでき得るだけ下げねばならぬ、こういったようなことから、私たちがここに答申をいたしました点では三通りの見解が出ております。 その一つは、御存じのように、将来電力炭の需要がだんだん増大をして参りまして、一般炭の八〇%までが電力になります。そこで、電力につきましては、思い切って流通機構の経費節減とか、銘柄統一だとか、そういったようなことについて、共販組織まではやっておりませんけれども、それをよりどころにして、思い切ったやはり機構の改善とコストの低下というものを促進をいたしたいという線でございます。それから、第二の線は、鉄鋼の長期引き取り契約を推進をするために、それとは別個にしていく。この二つによりまして、やや一般的な流通機構対策のほかに、筋金が入っていくのではないかと思います。 そのほかに、第三の線といたしまして、私たちは全体の石炭の流通機構の合理化ということにつきましてリコメンドいたしまして、たとえば港の大きな若松でありますとか、室蘭でありますとか、苫小牧でありますとか、そういったようなところにつきましては、大炭鉱、あるいは中小炭鉱も一緒になって、ひとつ荷役、配船、共同貯炭場というようなものを作ってほしい。現在二千幾つある銘柄の統一というものもひとつ思いのってやってほしい。それと一緒に、先生のお話しになった家庭用の暖房炭につきましては、むしろこういったような石炭の需要喚起を一トンでもやりたい、こういったようなときでございますから、相当強い政策をこの中で推進をしていただきたいということを政府にお願いをしております。実は暖房用炭だけで石炭対策ができればいいんですけれども、日本の場合は、ヨーロッパと違いまして、全体の生産の一割弱が家庭用暖房炭と、こういうことになり、それが自然にほうっておきますと、確かに先生の言われた値段が下がっていくということで、ほかのエネルギーに落ちていく心配がございます。そこで、私たちが今度出しました線は、まあ北海道につきましてはでき得る限りひとつ思い切った家庭用暖房炭の引き下げと、流通機構の改善をひとつ進めてもらいたいと。それから東京や大阪、特は東京につきましては、原炭を北海道あるいは常磐から持ってきて、それをでき得るならば、一個所あるいは数カ所でひとつ混炭をするとか、あるいはいろいろな形に直して、そうして紙袋でひとつ定価販売を実施をする、こういったような組織をしていただきたいと。そのために既存の石炭の流通業者はひとつ集中合併をしていただきたいと。そしてそれと一緒にそういう共同施設を作っていくということに対しましては、資金上のめんどうを見さしていただきましょうと、こういったような形で、でき得る限りひとつ共同化を促進をし、そして共同施設にお金を出して、そしてまあ一トンでもひとつプラスをしていこうと。 それから、筋からもうしますると、もっと私たちは暖房用の石炭の需要喚起をしたいのでございますが、これは民間のほうにまで一つ一つこうするということがなかなかできにくい。そこで、私たちがここにリコメンドしておりますのは、官公庁につきましては何とか石炭を優先確保してもらうことはできないかと。また、役所の建物、あるいは公共の建物については、石炭を消費するセントラル・ヒーティングをひとつ作ってもらえないかと。実は住宅公団とかビルディングといったようなところまで初めの原案には書かしていただいたのでございますけれども、そこまでいくのは行き過ぎだろうということで、まあやや抽象的文句にしたのでございますが、そういったようなことで、用途の改善、持に公共用途について、ひとつ国をあげて石炭業をお助けするのだと、こういったようなつもりで需要の面と、それから配給機構の面につきましては、相当思い切った政策をここで答申しているのだ、このように御了解を賜わりたいと思います。
○阿部竹松君 稲葉先生に、国会で君たちがきめたでしょうと、こう言われると、私たち党は、悪法は法にあらずという立場をとっておりませんから、賛成したか反対したか別として、これは、どうも切り返えすわけにいかぬわけですが……。 その次に、飛び飛びになって恐縮ですが、青山先生にお尋ねしますが、実はいただいた答申の中に鉱区の整理統合ということがございます。これは今まで私たち何度も、フランスの例をとるまでもなく、国会で論議の焦点にたっておりましたが、鉱業法という法律があって、なかなか鉱区の整理統合というのができない。先生方が北海道へおいでになった当時、夕張においでになったやに承っておるのですが、夕張の例をとっても、先生方御承知のとおり、ここまでは北炭で、ここまでは三菱で、ここは北夕ですというように、ここは同じ地域に鉱区と称して全然別個の会社が持っている。これを整理すると相当な影響が来るわけであります。赤平市に参ってみましても、ここは住友で、ここは明治の息がかかっている豊里砿業、北炭の第二会社の赤間鉱業所というのがある。九州の粕屋炭田に参ってみますと、国鉄の志免炭鉱と三菱の勝田鉱業所というのがあって、両方から掘って、両方ともお手あげになっている。現在の法律でどうすることもできないわけです。そこで、現在皆さん方が、この答申案に基づいて今度の国会で論議するときには、政府が鉱業法の改正というものを打ち出して、鉱業権を大臣の勧告か指示によって云々するということになるかどうか、このいうふうに鉱区の整理統合をしたほうがよろしいですよという皆さん方の単なる答申に終わるかどうか、法的措置を講ぜよという答申案になるものか、その点をお伺いしたいと思います。
○参考人(青山秀三郎君) お答え申し上げます。鉱区の問題につきましては、これは私も、よく今お話しのとおり九州も北海道も常磐もいろいろ鉱区の問題について早く解決したい、あるいはしていただきたいという問題が全国に相当たくさんございます。ただいま行なわれておりますのは、石炭鉱区調整協議会というのがございますが、これは多少性格が違っておりまして、未開発炭田、あるいはこれから開発されますところに対する問題であります。今度の答申におきましては、ただいまお話のございました鉱業法の改正、これもおそらく来たる通常国会に出る問題だと思いますが、そこである程度この問題に触れております。けれども、今度の調査会におきましては、さらに一歩前進いたしまして、生産構造大規模化あるいは集約化して、石炭資源の合理的な、あるいは経済的な開発をしたい。そのために必要な鉱区の調整は現行法を改正し、改組される石炭鉱業審議会において十分これを討議いたしまして、そのためにおそらく部会ができると思います。そこで、よく審議会の場においても検討する。これはただお話のように検討だけではございませんで、私ども希望いたしますのは、むしろこちらの皆さんにお願いしたいことではありますが、できるだけ、簡単に審議会で諮問にお答えするというだけでなしに、この実行が可能なような措置をお考えいただきたいと、私どもは申しておるのであります。実際調整あるいは鉱区の整理は、お話のとおり、これはなかなか容易ならぬことは私ども承知いたしております。ただいまお話のありました九州の国鉄の炭鉱においても同様であります。そういう意味で、私は、今後の合理化あるいはまあビルドと申しますか、そういう新しい炭鉱を造成していきます上にも、鉱区の問題が、坑抵があってはまずい、できるだけ合理的な開発を進める上にも鉱区の調整が必要だということは、私ども今度の調査会におきましても、一そう痛切に感じておる問題であります。答申は「積極的に推進する。」となっておりますが、私たちはそういうものを期待しておるのであります。
○阿部竹松君 最後に、開銀の平田さんにお尋ねいたしますが、最前団長に続いて資金の面で御説明があったときに、産炭地の問題について云々とございましたが、皆さん方の腹づもりは、産炭地事業団をして金を投じて事業をやらせるものか、それとも地方自治体と直結してやる場合があるものか、その点を伺っておきたいと思います。
○参考人(平田敬一郎君) 産炭地振興に関連したいろいろな事業につきましては、この報告にもいろいろな道を考えておるわけでございます。やはり産炭地振興事業団がやる分野というのは、比較的公共事業的な色彩の強いような種類の事業ですね、たとえばボ夕山の整理とか用地用水の確保とか、こういったような種類の事業が相当ふえてくるだろうと思います。産炭地事業団はそれと関連しまして、融資の道が開かれております。それも相当ふえてくるだろう。融資につきましては、そのほかに、たとえば私の開発銀行あたりもある程度やっておるのでございますが、産炭地振興にほんとうに意義があるという場合におきましては、一般基準ではなかなか融資しにくいが、そういう基準に乗る場合におきましては、やはり優先的に融資する。なかんずく今度は産炭地に企業を導入するということになりますと、よほどこれは条件がいろいろございますので、積極的に協力の態度を考えておりますが、北海道ですと東北公庫、あるいはもう少し中小規模のものにつきましては中小公庫、そういう機関が寄ってたがりまして、それぞれ業務の分野の調整をはかりながら積極的に協力していくということになると思います。 それから、次に行きまして、先ほど団長のお話にもありましたように、やはり筑豊地帯というのは、私、相当やはり変化を余儀なくされる地帯になるだろう。それから北松地帯ですかも。したがいまして、筑豊地帯につきましては、報告にも実はこの文句を入れるか入れないかで関係各省を私は率直に申しまして押えつけまして、たとえば道路の計画ですね、さっき申しましたように、十文字道路と申しますか、通勤可能なぐらいの条件も作ってやる。そうすると、逆にまた北九州あたりの企業がもうその辺に出てくるという可能性が出てくるわけであります。そういう条件をできるだけ備えてやりまして、いろんな対策を結局総合的にやりまして、産炭地振興の目的を達成するようにしたい。 それから、鉱害復旧につきましては、それぞれ事業団がございますから、これにつきましては資金の不足を来たさないように必要な資金は十分つけてやることにいたしまして、それぞれやるべき仕事をやるようにしたらどうかというので、相当多角的にいろんな方面から必要な事業が、みずからあるいは民間で行なわれる事業ができるようにしていこうと、こういうことになっておりまして、産炭地振興事業団だけに依存しているわけじゃございません。これが相当大きな役割を果たすことになるだろうということも御指摘のとおりだと思います。
○阿具根登君 関連ですから、最後に簡単に質問いたしますが、稲葉先生にお尋ねいたしますが、先ほどの流通機構の問題で、私どももそうですが、石炭を実際掘っている人が、自分の石炭が幾らに売れておるだろうか、千二百円引きだということはいわれておるけれども、実際問題として幾らに売れておるだろうか、また一般国民の方々も、阿部委員が言われたように、一万数千円の石炭をわれわれ使っておる、それはえらい高いじゃないかという感覚があると思うのです。だから、私が持っております資料によりますと一北海道、九州で電力炭として引き取っているのは二千五百五十六円になっている。二千五百五十六円に聞くと、おそらくお驚きになると思う。石炭というものは一万円以上はするとみな思っている。ところが、それも国鉄は幾ら、どこが幾らと引き取り値がいろいろ違うから、なかなか一定の値段というものがわからない。だれも炭が幾らするか知らない。だから、たとえば産炭地である九州にしても北海道にしても、二千五百五十六円という私は資料を持っております。間違いであったら御指摘願いたいのですが。それならば、そのところで使う一般炭は一体どのくらいするか。電力用石炭は三千万トンも使ってもらうのだから、これは安くなっているといえばそうかもしれませんが、一体どのくらいで売っていいのか、どのくらいになるのか、こういう見通しを立てて御説明していただかぬと、聞いている国民の方は、千二百円引き、千二百円引きというけれどす、石炭は幾らになるかわからないと思うのです。こういうことを少し御説明願いたいと思います。今度の答申案によって、東京はだいぶ違うのですけれども、産炭地で二千五百五十六円。そういたしますと、大体東京で四千六百円くらいになる。これが大体幾らになるか伺いたい。 それから、もう一つは、ちょっと違うことですが、この前の質問にあったことですが、雇用対策につきましては、今度は失対事業は考えておらない、こういう答申であると思います。一面において失対事業というものは、これはふやすべきでないという考えもわかりますけれども、先ほど質問いたしましたように、十万名余り、十一万名近くの人が石炭から出て、失業者として出ております。そのうちの一万五千人程度は、私は失対事業で仕事をしているものと思います。そういたしますと、必然的にそういうところにしわ寄せされていった、いわゆる非常に仕事がない環境で土地を離れたくないというようなことで、余儀なく失対のほうに行った人が一万五千人からおる、私はこう思うわけです。そうしてみると、それも実際ないんだということになれば、他の仕事に対してまあ非常に就職を進めるという気持はわかりますけれども、そうでなくて、非常に困っておる人は、勢いこれは生活困窮者としての道をたどる以外にはないのじゃなかろうか、私はこう思うのです。今までの中で一万五千人というのが失対事業で仕事をされておる。今度六万名から七万名出てくる、そうなって、そういうところは全くなくなってきたというようになれば、答申としてはこれはそういう失対事業などに行かずにいい仕事を世話してもらうんだということに、聞こえはよいけれども、現実問題として、最初から御質問申し上げておりますように、私はきわめて可能性が少ないんじゃないか、きわめて困難な実態になりはせぬか、こう思います。その二点だけお伺いいたします。
○参考人(稲葉秀三君) 第一の御質問でございますが、実は私、きょう詳しい資料を持って来ておりませんので、後日また詳しい資料をお届けいたしたいと思いますが、私どもの予定では、山元平均値段は昭和三十八年度で三千七百円と想定をいたしております。ですから、一般炭につきましてはそれよりは若干下回るのではなかろうかと考えております。それに北海道の場合につきましては二千円ないし二千五百円くらいの割増しがつきます。また九州の場合につきましては千五、六百円と、こういうことになるのではなかろうかと思います。確かに東京で売られておりまする家庭用暖房炭では、今一万一千円とおっしゃいましたが、私どもが調べたところでは一万六千円から一万八千円。しかも、一トン当たりが正確でない、こういったようなものもございました。これにつきましては、先ほど申し上げましたように、これは結局業者のほうにとりましてもマイナスでございますから、やはりここは定価販売と定量販売を実施をしていただく、そしてそれに対する競合もよしていただこう、こういうふうに感じております。 それから、いま一つ、私どもの検討いたしましたところでは、三十四年の合理化政策に基づきまして、北海道と東京におきましては二百十円の流通経費の引き下げ、また九州と大阪につきましては百五十円だったと思いますが、それだけの流通経費の引き下げというのが入っております。そして三十五年から六年ごろまではそれがほぼ着実に実施をされておったのでございますが、先ほど阿部先生がおっしゃいました、つまり物価の値上がりあるいは国鉄運賃の値上がりというものがございましたので、それが実施できなくなってくる、こういったような事情にございました。国鉄用炭につきましては、今回、御存じのように、共通の運賃割引制度というものも実施をされるということになりましたし、またその他のいろいろな処置を石炭に対しまして講じていただきたいと思います。ただ、一般産業用炭につきましては、大口のものにつきましては、現在のところやり方を変えないとそう思い切った流通経費の切り下げというものができにくいのじゃないか、こういったふうの観点に立ちましたので、先ほど申し上げました電力用、鉄鋼用その他一般産業用につきましては、この際関係流通業者のほうも思い切ってひとつ新しいやり方に御協力願いたい、こういうような線を出し、またこれも今後政府がどのように推進をしていただけるかどうかということにかかっておりますが、流通業者の方にもお目にかかりまして、そういったようなことを石炭調査団の団員としてお願いをいたして参りました。大体以上のようなことでございます。 それから、第二の雇用対策の中の失対事業でございますが、閣議決定の趣旨というものを私たちは受け入れまして、やはり離職者に対しましては安定職場を供給する義務があるのではなかろうか、こういうふうに感じて、そして先ほど申し上げました措置をとったのでございます。まあ一部の考え方としては、失業対策とか緊急失対は要らぬのじゃないかということもございましたけれども、一応現状規模は置いておこう、こういう考え方に立っております。したがいまして、全部なくなるということを私たちは建議したものではございません。しかし一筋から申しますと、やはり全部なくしていきたい。それにつきましては、現在筑豊に三万人ばかり滞留者がおられるといわれております。こういう人々に対しまして、私たちが今後政府にやってもらいたいということに準じた措置をひとつ実行していただくということが必要ではなかろうかと、こう感じております。
○佐多忠隆君 どうも時間がないそうで、簡単に御質問いたしますが、この答申案の中にある石炭鉱業審議会の改組強化、この程度のことをやろうとすれば、むしろ社会化に踏み切らなければこの程度のこともできぬじゃないかいとうような問題、あるいは資金、経理対策で特に予算の問題、財政支出の問題をもっと具体的にお尋ねをしたいというようなもろもろの問題がありますけれども、時間がございませんのでそれらは全部割愛をして、ただ一点だけ、雇用の安定の問題で、今後の答申案の最重点はむしろここにあったのじゃないかと思うのですが、その場合に、生産計画にしましても、あるいは消費の計画にしましても、経理、資金の問題にしましても、価格の問題にしましても、具体的に金額ないし数量等が一応明示してあるのですが、雇用計画についても私はもう少し突っ込んでそういう数字の策定をむしろ調査団のほうでなされて、目標が明瞭にされることが必要だったのじゃないか。それがほとんどこの答申には出ておらないで、よくわからない。そこで、一体この離職者を、五カ年間にどのくらいで、したがってそれは各年にどういうふうに出ていくというふうなお見通しであるのか、それらをどういうふうに各部門に吸収をしようとしておられるのか。ここであげておられるような文句くらいのことだったら、もう今までに言い古されたことであって、新たに調査団にお願いをするほどのこともないのじゃないか。もう少しそこを具体的にお示しになる必要があるのじゃないかと思いますので、それらの点についての御説明をお願いしたい。
○参考人(有澤廣巳君) 雇用計画に具体性がないという御指摘でございますが、そうしてこういうことであれば今までもやっていたことじゃないかという御批判でございますが、今までの合理化計画の場合におきましては、実際はそれに見合う雇用計画を政府が策定したということは私はなかったと思います。そのために政府では石炭対策閣僚会議を拡大強化いたしまして、この閣僚会議におきまして雇用計画の政府案を十分練ってもらう、こういうことになっておるのでございます。したがって、おそらくここでは建設大臣も、あるいは郵政大臣も、そういう離職者を吸収する職場を自分のほうではこれだけ造出しよう、こういうような感じ方が当然とられることと考えております。むろん企業のほうも今までやってきたことは明らかでありますが、そこのほかに政府が造出した職場をあわせて雇用計画の中に掲してもらおう、こういう考え方でございますので、それはまた政府が雇用計画を策定する限り当然の私は責務だと考えております。 それが一体幾らになるのか、こういうことになります。これは来年度のことについて考えますならば、それはこれこれのことが掲上をされるということが言えると思いますが、これは五年間にわたって政府がどれだけ造出し得るか、これは今すぐきめることは、また私たちがすぐきめることはなかなかむずかしい。したがって、私どもといたしましては、政府の造出する職場、企業の造出する職場、これにつきましては企業も十分責任を持ってもらう、政府も十分責任を持ってもらう、こういう考えに立っておるのでございます。そして毎年々々のスクラップ・アンド・ビルドの計画に見合う雇用のバランス、この雇用計画の中に掲上されてくる、こういう関係にならなければならぬと思います。また、なるべきものだと私どもは考えております。 ただ問題は、広域職業紹介、一般職業紹介に乗せ得る人員がどれだけあるか、こういうことは、これは実際その年々の景気状況その他によって非常に変動してくるものと考えます。したがって、この変動に応じて、また政府の造出する職場というものの大きさも違ってくると私は考えております。いずれにいたしましても、政府が雇用計画を策定する、こういうことは、これは非常に大きな従来なかった私は計画でなかろうかと考えておるのであります。今具体的に何万人の職場を政府が造出する、企業が造出する、あるいは一般職業紹介に乗せる、こういうふうにかえってきめないほうが、そのつどそのつど、あるいはその年々の状況に応じて機動的に事を運ぶことができるのではないか、こういうふうに考えておるわけで、あえて具体的に乗せなかったわけでございます。
○委員長(堀末治君) 他に御質疑がございませんければ、これで参考人に対する質疑は終了いたすことにいたします。 終わりに、おいで下さいました皆さんに一言ごあいさつを申し上げます。本日はたいへん御多用のところ、長時間にわたりましてたいへん丁寧税切に御公述になりまして、ありがとうございました。この機会に委員一同にかわりまして厚くお礼を申し上げます。まことにありがとうございました。 これにて散会いたします。 午後六時三十四分散会