エネルギー対策特別委員会 第4号
- 発言数
- 44 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1962/08/31
会議録
○委員長(堀末治君) ただいまより委員会を開会いたします。 エネルギー対策樹立に関する調査の一環として、総合エネルギー対策に関する件を議題といたします。 御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○大河原一次君 大臣に一言お尋ね申し上げますが、過般の石油業法案の通過にあたって、その際附帯決議がつけられまして、その原油の買取機関の設置をしたいと、政府はこれに対して善処せよという附帯決議がされておりますし、同時にまた、通産省の産業構造調査会のエネルギー部会でも石油の国策会社の設立と、特殊原油の買取機関の設置を明らかにしておるようでございます。しかし、これに対してはいろいろ精製業者と関係業者等が議論があるようでございますが、今日の段階として政府のとるべき今後のいわば石油対策の大きな一環になるわけです。特に自由化を目前にした場合に特殊原油の今後の増量等も望まれる場合に、このような買取機関の設置というものに対して、大臣は当面どのようにお考えになっているか、お聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(福田一君) お答えを申し上げます。お説のとおり、この買取機関その他の国策機関を作ってはどうかという御決議がついております。これにつきましては、通産省としては、もし、そういうものを作るとすれば四通りくらいの方法があるということで案を出して、大方の御批判を仰いでおるというか、お考えを聞いておるような段階でございますが、しかし実際、しからばそういうことをしておってはカフジ原油の引き取りは間に合わないじゃないかというお説かと承りますが、カフジ原油につきましては、四、五、六の三カ月間に五十万トンの引き取りを国内精製業者はしておりますが、その後の七、八、九におきましても、これを約倍くらい増強するようにして、今、話を進めております。さらにまた、十月以降の分について、来年の三月なりまた来年度の分について、再来年度の分と、いろいろそこに出て参るのでありますが、こういう問題につきましても、今、業者間においてできるだけ円満に話し合いがつくように交渉を進めさしておる段階でございまして、もし、どうしてもそういう話し合いがつかぬ、カフジ原油の引き取りについてそれが話がつかないということになりますれば、お説のようないわゆる買取機関の問題等々も考えていかねばなりませんが、そのほかにもいろいろ方法があったならばひとつ研究してみたい、こういう考え方でおるわけでございます。といいますことは、買取機関を作るといいましても、これは法律を要することでありまして、通常国会に出すというようなことに相なりますと、さあ、法律が通っても、設立を見てそれが動き出すということになるまでには相当な日にちも要することでございますし、それからまた、そういうふうに動き出したといたしましても、今度は買い取ったものをやはり精製業者に一応買ってもらうという姿になろうかと思います。買ってくれないということになれば、今度はいわゆる精油所を作らなければいかぬということになる。精油所を作って精製しても既設の業者が販売はいやだということになりますと、販売機構までも考えなければならぬというような問題も起きてくるわけでありまして、これらの問題を考えてみますというと、はたして買取機関として国策機関を作ればそれで問題が十分に解決するかどうかということについては、やはり考えてみなければならない問題もあろうかと思うのでありますが、そういうようなことも勘案をいたしまして、まあ、できるだけ石油業者のほうにひとつ引き取らせるようにということで、今、話し合いを進めさせておる、こういう段階でございます。
○大河原一次君 私は、こういう当面するかなり重要な問題であるだけに、当局の慎重を要ぜられるということはよくわかるのですが、しかし、今後自由化に備えるための一つの方向としては、そのような政府が熱意を持たれることは当然であるし、同時にまた、一連の石油精製業者等が、この引き受けにあたって異論が出、これに対していつまでもそのままにして見送られるということになれば、政府はあらためて考慮しなければならぬという点はよくわかるんです。そのかわりそれに対しては、ある程度熱意を示してもいいのではないか、こう思うわけです。 そこで、これらとの関連もあるんですが、通産大臣が就任された早々において、電力業界からいろいろ御要請があったということを新聞か何かで見たんです。その中で電力業者が大臣に要請したところは、いわゆる四十二年を基準にして、石炭の今日までの長期契約されたそれに対する増量として、二千三百万トンの引き受けにあたって、今後このような増量を持ち込まれることは、電力業界の企業危機と考えられるから、これ以上の増量は困るということで、大臣に要請されたと聞いておるのですが、事実でありますか。
○国務大臣(福田一君) 私就任をいたしましてからも電力業界の方にお会いしております。お会いしておりますが、今仰せになったような数字をあげての話はございませんでした。しかし、あまりそういう高い石炭を引き取らされたら、電力料金にも影響しますので、というような話はちょっとあったわけでございます。
○大河原一次君 しかし、いずれにしても、当初契約されました二千万トンの電力会社の長期引き受け契約、これを履行してもらわなければならぬという、そういう大臣の決意がおありであるかどうか、それをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(福田一君) 少なくとも二千万トンまでは、私はやはり引き受けてもらいたい、こういうふうに考えております。
○大河原一次君 そこであらためて、私は今回たまたま行ないましたこのエネルギー対策というものを、もちろん石炭のみならず電力、あるいはまた石油、鉄鋼、ガス、あるいはまた原子力というものが生まれた中で、今後のあるべき姿を出されるわけですが、実は前回にも申し上げたんですが、大臣じゃなかったんですが、やはり今日持たれている総合エネルギー対策委員会というものは、やはり今日石炭を最も重視しなければならぬ現実の姿ではないか。いわば政府の考えられている燃料政策というものは、一にかかって今日の石炭政策をもっと充実した、燃料政策は即石炭政策だというくらいな考え方でやっていくということで、今後の問題をやはり処理すべきではないかという、そういうふうに私は考えているんですが、そこで、大臣にいろいろ商工委員会なり、あるいはまた石炭協会の方々、あるいはまた労働界の方々からもいろいろ御要請されておるし、御要望もされておりますし、大臣も大体こまかいことについてはおわかりだと思いますから、こまかいことには触れませんが、しかし、石炭産業が今日危機に立っておるということは今に始まったことでなく、いわばこれは世界的な傾向として石油の流入によって石炭が侵される、そこから石炭の危機が始まっているんだという、当面する現実の姿は確かにそうだと思うんですが、しかし、私は確かにそういうような現実の姿にはなっているけれども、石炭の危機を招いた要因というものは、あるいはまた今日石油によって圧倒されているというこの姿は、もっとそれに対処すべきところの政策なり、方策が炭鉱資本家、あるいは政府の手によってなされていないままに今日のこういう事態に逢着したものでありまして、だから私は炭鉱の危機、石炭産業の危機というものは、決して今に始まったものではなくして、特に私は二十七年当時からすでに石油資本が流入されたり、あるいはまた石油会社が設置されて、同時にまた、これをもととする新たな産業の準備が行なわれておるわけです。ですから私は、炭鉱資本においても、炭鉱側においてもそうであるが、政府みずからもそういう場合に直面した諸政策というものが、今日までなされていないままに今日の事態になった原因を考えたときに今日の石炭危機を抜本的に解決するという考え方に立つと、今日の石炭危機のよってたつもとの原因にさかのぼって考える必要があるのではないか。私は今大臣にいろいろ申し上げましたが、大臣は今後の石炭問題については、一にかかって調査団の答申に待ってというようにあるいはお考えになるかもしれませんが、あるいはまた大臣自身が今後の石炭産業に対するすでにお考え方を持っておられるか知りませんが、それはそれとして、私は大臣の石炭に対する新たなる一つの考え方といいますか、そういった問題を十分に把握してもらいたいと思うんですが、前に、御承知のように佐藤通産大臣に相当われわれは期待をかけたんですが——期待をかけたようなそういう発言をせられておるのでありますが、ひとつ大臣は調査団の答申を待たない前に、大臣自身の今後の石炭産業のあるべき姿、ただ単にスクラップ・アンド・ビルドだという、そういうような線だけが構造改革の線であるとかいうことでなしに、特に私は今後のエネルギーの需要というものが相当伸びてくるし、日本の経済成長率も高まっている、こういう事態でありますから——もちろん私は総合的な面から考えなければならぬだろうと考えております。考えておりますが、最も危機に直面した石炭産業に対する大臣のひとつ決意といいますか、そういったものを聞かせてもらいたいと思います。
○国務大臣(福田一君) 石炭産業に対する非常な熱意を込めた御質問でございまして傾聴いたしておったのでございますが、私は公式的に言いますと、ただいま四月六日の閣議の決定に基づいて調査団が調査をいたしておりますから、その調査の報告を待って、今お話があったとおり対策を立てたい、こういうことになるのでありますが、そういう公式論を離れて一応ひとつ、もし個人のような立場でここで意見を述べさせていただくことを許されるならば、私は実はエネルギー問題というのは、今の日本の経済において非常に重要な問題でございまして、そうしてそのエネルギー問題の中で石炭と電気と油がどういう位置を保っていくべきか、そうしてそのエネルギー全体がまたほかの産業とどういうふうにいわゆるおのおのの姿において成長をさせ、また関連をさせていくべきかということは、これはもう何をおいてもなさなければならない国家の重要問題であると考えておるわけでございます。その場合において、私は石炭産業の点でございますが、いわゆる国内資源を愛護する、これは石炭産業だけではございません。非鉄金属も含めて問題であると思うのでございますが、やっぱり国内産業を愛護するということは、大きな課題の一つとなるべきものであろう、かように考えております。しかしながら、今日いわゆる経済というものは、自由主義経済の原則に立っておるのでありますから、そこで石炭にいたしましても、あるいは非鉄金属にしても、国内にできるその品物が海外からくる同じ物、あるいはまたエネルギーとして同じ性格を持ったものと非常に値が開くというような場合に、どこまで、これを愛護していくかというか、どこまで保護していくかということになりますというと、これにはおのずからやはり限度があろうかと思うのであります。どんなに高かろうが何でもかんでも全部石炭でやるんだ、こういう政策は実際問題としてむずかしいと思うのでありますが、しかし、今仰せになりました意味において、やはり石炭というものの今までに尽くしてこられた功績というようなものも考えあわせ、また将来いろいろな事態が起きる場合等——事態という意味は決して戦争という意味じゃございませんが、何か地震があったとか何とか変なことがあって、エネルギー源というものが入ってこない場合があるということを考えた場合において、またそのとき石炭がクローズ・アップされる場合がなしとしないと私は思っておるのであります。こういうことを考えますと、やはり相当のウエートを石炭産業に置いていく必要がある。今一応五千五百万トンというベースが出ておるのでありますが、こういう場合において、五千五百万トンのベースを基準にして、そして労務者をできるだけ解雇しない、少なくする政策をとっていくべきか、あるいはまた、五千五百万トンという数字をある程度動かしてもいいから、国内の資源を活用する工夫があるかどうかというようなことについては、やはりある程度勉強といいますか、研究をしていく必要がある。こういう意味合いで私たちは実は石炭の問題を見ておるのでございまして、閣議の決定があったからもうあの数字は不動のものである、これ以上一歩も出ないんだというようなものの考え方でものを見ておるわけじゃございません。ただし、この問題は、先ほどお断わりいたしましたように、通産大臣という立場よりはむしろ議員としての立場から考えてみてかくあるべきものであるというような感じで申し上げたということは御了承願いたいと思うのでございますが、しかし、今申し上げたことは、できるだけ私の今の立場においても生かしていきたい、こういう気持で石炭の問題を見ております。どうか、そういうわけでございまして、決して私は石炭問題を軽視しておらない、社会問題としても、またあらゆる観点から見て、これを相当われわれとしては、いわゆる愛情をもって考えるべき点があるということを心の中に入れて、そして問題の処理をしていきたい、かように考えておりますので御了承を願いたいと思います。
○大河原一次君 非常に熱意を込められた大臣の御説明で、何か非常に力強さを感ずるのですが、ただ、今までの私ども受けた印象の中では、今大臣も触れられたような五千五百万トン、単価一律に千二百円の引き下げと、当然この数字からくる、想定されておる十一万人の首切りという、こういう問題が今回まで取り上げられて、それがいかにも今まで私どもの受けた印象の中では、炭鉱側の方々も特にそう思うのですが、われわれ国会の中にいても、これが何か政府の金科玉条の線であって、これなしには炭鉱の再建なり、今後の炭鉱のいわゆる構造上の体質改善は望めないというような、そういう印象を受けたし、あるいはまた、たまたま衆議院の委員会における大臣の前の発言の中でも、何かこれはいわば経済性である経済合理主義の上に立ってこの石炭政策を考えなければならぬということをしばしば取り上げられたということを私は記憶しております。私はもちろん経済性なり、あるいは経済合理性というものがわからないわけではないけれども、それがやはりわれわれ国会議員として考えた場合に、もっと政治の線で、今まで取り上げられているそういうスクラップ・アンド・ビルドにいたしましても、あるいは経済合理性だという線についても、何か経済という面からのみ考えられて、政治的な配慮が少しも加えられていない。私は、今想定されておる単価切り下げ、五千五百万トンのワクというものは、これはいわゆる炭鉱資本の自由意思の中からきたものであり、政府はただ単にこれを受けて立っておるというだけにすぎないのではないか。少しも政府として、いわゆる人道問題とまでいわれておる、大量と予想される首切りというものを控えた場合に、ただ単に、経済合理性だ、これも経済合理性だというような、そういうように考えていられたのではないか。少しも政治的な配慮が加わっていないのではないかというふうに考えたので、あらためてこの線を大臣にお聞きしたわけであって、もっとこの問題についてもあたたかい政治的な配慮の中で、はたして今後五千五百万トンというワクがいいのであるかどうか。ましてや日本の経済成長率が今日まで伸びてきたし、同時に、したがってそれだけにエネルギーに対する需要も高まってきておるということは明らかである。どちらかといえば、先般三井の闘争が終わった後において、政府がようやく腰を上げられて、調査団を派遣されて土屋さんが行ってこられましたが、向こうのほうの実情を見ても、もっと西ドイツにおいてもその他においても石油の流入によるところの圧迫がやはり加えられておるけれども、その中でも、しかし、できる限り自国の基幹産業としてのその方策をとっていかなければならぬという、そういうところから、そういうエネルギーに占める石炭のウェートというものも十分に押えておるように私は承っておるし、何かそういう数字も見たと思うし、あるいは大臣も言うまでもなく、いわゆるOEECの経済協力機構の中でも、成長率なんかも日本よりも、半分にもなっていない。三%幾らですか、三%五……。十八カ国の経済成長率が三%五だというふうに聞いておったのです。にもかかわらず、供給構想ですか、エネルギーにおける供給構想としての石炭の構成分野が、二十五年においては七八%、一昨年の三十五年においては六二%に押えておる。日本の場合には、二十五年の場合におきましては五一%、ところが、三十六年においてはこれがもう三六%になっておる。さらに今後四十年程度を見越しますと、二八%程度に押えることができないのではないか、こういう状態になってきておる。今申し上げたような、成長率は高まり、非常にエネルギーに対する需要が高まっておるにもかかわらず、石油が世界的な傾向として日本にも流れてきておるがいかに単価も安い、需要者もこれを求めておるという状態であっても、基幹産業としての石炭産業を、いわゆる斜陽化のままに斜陽させていくというような今日までの政府の態度に対してはどうしても私は納得がいかぬので、こういう点も含めて大臣にお尋ねしたわけであります。 そこで私は、特に重大なのは、今石油が、これは先ごろも委員長とも話した線ですが、今まで今日の石炭の危機というものを招いたのは、単におのずと来たわけじゃないのです。石炭の危機を招いた要因があったわけであります。石炭側にもあるし、政府側にもある。今たまたま石油が世界的な傾向となってどんどん入っておるが、この石油だって原子力エネルギーの発展に伴いどうなるかわからないし、あるいは今のところ単価が下がっておるとか何とかいっておるが、やがては石油の価格の安定の中からさらに今後は石油価格の高騰ということも予想しないわけにはいかぬと思います。その場合、いや、これはもう石炭はやはり必要であるからといって、そのときになって石炭に対する需要を喚起しようとしても容易ではないと思うのですが、今からこういう点に対する配慮もやはりとっておくべきではないかと思うのですが、こういう点はどうですか。
○国務大臣(福田一君) 私はただいまのEECについて数字を御説明いただきましたが、私の聞いておるところでは、実は今EECも困っておるようでありまして、石炭の占める位置が最近はまたぐっと下がっておるというのが実相のようであります。ただし、ここに今私は数字を明らかにいたしておりませんが、しかし、私ども了解いたしておるところでは、最近はまた石炭の需要と石油の需要との関係におきましては、だいぶんこれが構想が違ってきておると承っておるのであります。それから今、将来はエネルギーの問題として、場合によっては石油の値段が上がる場合も出てくるのではないか。また原子力がくればうんとそこで油が占める地位が変わってきやしないかというお説のようでございますが、これは私の了解しておりますところでは、四十五年になりましてもまだ二円−三円を若干切ったところで、原子力の値段は若干、まあ一キロワット・アワーでございますけれども、切ったところぐらいになっておりますが、現在のところでは重油でやりましても二円六十銭、これをもう少し重油の精製の仕方を旧来の方法でなくてもう少し重油分を多く取るような、いわゆる簡易なやり方でもって精製をするということにした重油を使うといたしますと、おそらく二円前後でいくのではないか。また原油をなまだきいたしますと、今東京電力あたりばこれは十二万からいわゆる十五万のいわゆる火力発電所で試験をいたすことにいたしておりますが、三カ月ほどかかる予定でございますが、今まで小規模でやった分だけは十分うまくいったようであります。十二万ないし十五万でたけるという見込みがどうも強いようでございます。その場合に、どういう原価が出てくるかというと、一キロワット・アワー当たりやはり二円ぐらいでいいのではないか、こういうようなことがございまして、こういう問題とにらみ合わして考えると、石炭というものはまことにそういう意味でも重要な問題が出てくるわけであります。私が申し上げておりますことは、そういうふうなわけでありまして、自由主義経済という建前を貫いております以上は、やはりエネルギーを安くしていくということも、これは国家的要請には相なると思うので、海外へいい品物を安く売るということで輸出振興をやるということであれば、エネルギーの問題もそのような方向に持っていかなければならぬ、こういうような要請も一方にございます。同時にまた、国内資源を使います、石炭を使った場合にはその分だけ外貨を節約できるというメリットもここに出てきます。このメリットとマイナスとをどういうふうに考えていったらいいかというような問題も、これから勉強いたしていかなければならないと思うのでございますが、いずれにいたしましても、そういうような点を考えてみますというと、石炭というものの今置かれている地位、また原子力を考え、油を考えた場合においても、石炭というものは今までの経過はどうであったか知りませんが、なかなかこれは容易ならざることである。そういう場合にいわゆる石炭産業というものをどういうふうに持っていったらいいかということになりますというと、これはいろいろ雇用の問題もございましょうし、合理化の問題、いろいろまたそこに出てくるでありましょうが、それをいわゆる、あまり、何といいますか、政治的配慮なしに、一応こういうふうに持っていったらいいのだ、こういう数字を出してくるというと、五千五百万トンというベースが出てくるということになろうかと思うのでありまして、それをそのままやるかどうかということはこれまた別問題といたしましても、今言ったような一つの合理性だけで貫いていくというと、一つのそういう数字も出てくるという事実は、私はこれは否定できない事実であろうと思うのであります。しかし、そういう数字が出たからそのままやるか、あるいはその場合において雇用者をどれだけどういうふうに整理しなければならないかというふうな場合に、その整理のやり方をどうする、あるいはこれをどういうふうに転換していくかということもこれまた考えなければなりません。私は職業というものは一定不動であって、一ぺんその職業についた以上はその職業から離れられないのだ、また離れることがいけないのだという考え方は自由主義経済の立場からは成り立たないと思うのでありまして、もし、いい仕事がありましたならば、場合によっては高度の必要性が起こってきた場合には、転換をはかっていただくということも、決して雇用対策を無視したということには私はならないと考えておるのであります。しからば、そういうことがあるかどうかということがこれまた議論の焦点になってくるのでありまして、そこに問題が出てくるわけであります。このようないろんな問題をよく考え合わせて、そしていろんな問題もよく勉強するというか、調査した上で、しかもこれがなおかつ大きな社会問題であるというようなことであれば、そこに政治的な配慮を加える余地がないか。あるいは国内資源を愛護することによっていわゆる外貨の流出を防ぐというメリットの面から見て、何か手を打つ方法はないか。いろいろな観点から研究してみる必要があろうと存じておるのございまして、私はこの五千五百万トン、ベース、あるいはまた先ほど千二百円スロー・ダウン、価格をダウンするということでございますが、もうすでに残っているのは二百五十円でございまして、やるかやらないか来年度分に帰着すると思うのでありますが、こういうような問題も含めて、価格の問題等も、油等の問題をにらみ合わせて見なければならない。あるいはそれをやることによって非常な影響があるということであれば、これを何らかの方法で埋め合わせる方法はないかどうか、あるいは国がかりに援助を与えることによってこれをしばらくやめておく工夫があるかどうか、これはいろいろ考え方があろうかと存ずるのでありますが、しかし、大きくいえば、先ほど私が冒頭に申し上げましたように、四月六日の閣議というもので、中立の委員の方々にひとつ調査をしていただきたいということを申し上げておるのでありますから、そこでその調査団の報告を待った上で、こういうような問題も考え合わせつつ根本的な対策をそこでやる。まあ調査団の意向ももちろん尊重しなければなりませんが、尊重するということはそのままやるということとは相通ずるわけではありませんので、これは総理も実は炭鉱の方がおいでになったときにこの点を申されておりますので、われわれといたしましてもそういう考え方に立って問題の処理に当たりたい、かような方針でございます。
○大河原一次君 実は今申し上げたのは、実情としてそういうことになろうかと思いますが、ただ私がお聞きしたのは、今にしてやはり私は石油の将来に対しても石炭の今日の危機というものが他山の石になるのではないかということが予想されるので言ったわけで、同時に、事実先ほどもちょっと触れましたように、炭鉱の今日までの危機を招いた中には、なすべくしてなさないで、そのままになっていたというのがあるわけです。むしろヨーロッパ等におきまする石炭企業等におきましては相当の年月もかかっておりますが、その間において十分にいろいろな難関にたえ得るような体質改善が行なわれて、いわゆる近代化を中心とするいろいろな体質改善が行なわれてきたから、したがって石油がにわかに入ってきてもそれに対する十分な対応策ができておったのではないか。日本の場合にはそういう対策がなされないで、たとえば炭況がいい場合にはどんどん炭価を引き上げて相当な利潤をむさぼってきた、不況の場合こはにれまた簡単に安易な道として従業員の首切りをもってこれに対処してきたという、そういう投げやりな暫定的な態度で、近代化ということに対しては政府もまたそういうことでやってきて、実際からいって、たとえば百年の程過を歩むべきところを、その間において当然なすべきことをやらないで、結局いわば若くして老成化してきたのではないか、日本の石炭企業というものは。そういうところへきて、今回の石油の流入によって、このような深刻な不況を招いたのではないか。そう考えると、これは一に炭鉱資本家あるいは政府の怠慢がこういう危機を大きく招く結果になった、原因になっておるのではないか。こういうことを考えますと、今後石油に対しても今からそういうふうな対策を政府としてはとっておくべきではないか、百年の大計というものは今にして考えておく必要があるのではないかということを申し上げたわけであります。
○岸田幸雄君 今大臣は原油のなまだきをやらしてみているとおっしゃいましたが、これは相当全国的に各電力をもそれをやる方向に向かいつつあるのか。あるいは原油をなまだきにすれば、と普通の重油を使うよりも一キロワット・アワー当たりの発生原価がさらに安くなるのか。それからもし、そういう場合でも九州とか北海道のような産炭地においては炭価が安いから、やはり石炭で電力を発生したほうがより安くなるのか、その辺の御調査はできておりますか。
○国務大臣(福田一君) 調査ができているかとおっしゃいますと、そこまでは実は事務に聞かないとわかりませんが、私の了解しておるところでは、まず重油のなまだきは小さい二、三万キロのやつでやってみると、十分やれる、実は東電で今調査してみて実際できると、そこでそんなものじゃいかぬから、十二万から十五万の火力発電所で使ってみると、これに三カ月かかるそうであります。大体今までやった計算からいうと大体いけるだろう、こういうことを言っている。もしこれがいけるということになると、関西や中部あたりでももちろんそれを使う。もちろん今後できるかもしれぬ発電所においても、これを使う場合があろうかと存ずるわけでありまして、これはまだ実用化されておりませんけれども、そういうふうに研究が進められておる。それから単価の点におきましても、大体重油でございますと、二円六、七十銭から八十銭という数字が出てくると思うのでありますが、今もしそれが十分使い得るということになりますと、原油の場合には二円前後であろう、こういうことになっております。それから重油を今までとりますのは、ガソリンとか、そのほかナフナとか、いろいろうんととって、そうして重油をとっておるわけでありますから、原油一から出てくる重油というものは大体〇・七くらいで、そのほかの分が〇・三くらい、こういうことになっておるのですが、それを今度は〇・八五くらいまでとるというやり方でやりますと、今度は重油の値段が大体原油とほとんど同じになりまして、二円前後でできるんじゃないか。こういう調査も今いろいろ進められておるような段階であります。まあ北海道とか、そういうところで火力発電をした場合と、比較はどうなるかということになりますと、やはり火力で石炭を使った場合には、北海道でやりましても、九州でやりましても、これには対抗できないだろうと思います。しからば、北海道のどこで重油発電をやるか。やった場合に送電線をどこまで持っていったらいいか。送電線がある場合に、送電線があるところでやって、その送電線に乗せる場合と、新しく送電線を作る場合とは、御存じのように単価に非常に影響がございますので、これらの比較は現実の問題にならぬと比較しかねると思いますが、一応考えてみたところのは、やはり石炭がどうしても割高になるということは事実でございます。
○岸田幸雄君 ついでに伺うのですが、将来、石炭五千五百万トンを主として使わせるという建前の中に、例の低品位炭で発電させるという問題があります。これは全然別建になっておりますか、それはどうですか。
○説明員(塚本敏夫君) 二千三百万トンの長期取引、この中には一部分は入っております。ただ、今後、低品位炭をどうするかという問題は、いろいろこれから議論されるだろうと思います。
○大河原一次君 最後に一言だけ大臣に対して御要望申し上げます。先ほどの御答弁の中で、炭鉱調査団の答申を尊重しなければならぬが、しかし、十分この上とも考慮を払っていきたいということであったわけですが、私どもは御承知のように、毎日のように九州、北海道等からたくさんの陳情団が参られまして、特に今回参られておるのは、少なくとも去る四月六日の閣議決定の線に沿ったそういう答申がなされるべきものだ、なされたいという念願をかけてきておるわけであります。たまたま朝日ジャーナル、朝日新聞等に出ておりました調査団の何といいますか、中間報告めいた、そういうものを予想的に発表されておるところを見ますと、相当きびしいものが——再びこういう合理化法案が出されたり、再びこういう問題が起きないために相当抜本的に、相当きびしいものが出されるような、そういう予想も朝日ジャーナル等の中には出ておって、それに対して従業員の方々、炭鉱労働者の方々が非常におびえておるわけですから、したがって、私は今の大臣の言葉を非常に力強く思っておるのですが、ひとつ十分に、どのような答申がなされましても、政府においては、先ほど私が申しました単なる経済合理性であるとか、経済性というような、いわば純然たる経済面に立った考え方でなくて、十分な政治的な配慮を加えられた中で、この答申案にこたえられるということを、そういう情勢に至らぬ今から御要望申し上げる次第であります。たくさんあるのですが、専門家の阿具根さんも来ておりますから、そのことだけ申し上げておきます。
○阿具根登君 きょうは大臣も時間がないようですから、簡単に質問いたしたいと思うのですが……。
○委員長(堀末治君) 速記とめて。 〔速記中止〕
○委員長(堀末治君) 速記つけて。
○岸田幸雄君 大臣がいない間に、私、公益事業局長に伺いますが、これは石炭の問題ではありませんが、エネルギー全体の問題として、ずいぶん電力料金問題など論議されておりますが、近ごろ政府の一部の大臣の間には、東北電力と東京電力の合併の問題、また民間において関西あるいは北陸と中部の合併の問題が出ておりますが、当局のお調べでは、合併することによって送電損失とか、あるいは送電線のほうの面からくるある種の節約ができるという御研究ができておるのですか。ただ二つある会社を合わせたところで、それがために料金を平均化し、安くするというわけにはならないと思う。それ以外に何か特殊のメリットが相当あると当局では見ておるのでしょうか。
○説明員(塚本敏夫君) 合併の問題は、われわれといたしましては、御承知のように本年の四月から電気事業審議会を作りまして、そこでもちろんそういった問題も討議されるだろうということで、おいおい準備はしておるわけでございますが、東北と東京あるいは中部と北陸といったような合併の具体的な問題につきまして、資料の準備はまだ手元に持ち合わせておりません。そこまではまだ研究は進んでおりません。
○阿具根登君 先ほどの大河原君の質問の続きになりますが、EECの問題は大臣詳しいようですから、御質問申し上げたいのですが、EECの中のフランス、西ドイツ、ベルギー、これだけとってみても、総エネルギーに対する固体燃料、いわゆる石炭の使用率は、フランスで六五・一%ですよ。西ドイツは八〇・七%使っております。ベルギーは七六・六%使っておるのですよ。日本は幾ら使っておるかというと、輸入炭を入れて三六%、こういう実態の中にあって、……五九年です。
○国務大臣(福田一君) それからなんだ、僕の言うのは……。
○阿具根登君 今の場合でも一割ないし多くても二割ですよ。今後の見通しとしても専門家の著書を見ても一割か二割ですよ。そういう実態の国と日本と比較して、日本が今後——これは話してもわからぬ、今から勉強するのだから。勉強して出直してきなさいよ、質問にならぬ。日本はですよ、まあこれは政府の計画ということよりも、むしろ所得倍増計画から見ておるのでしょうけれでも、日本は一八%しか石炭を使わないようです、四十五年度には。そういう急激な、いわゆる革命という言葉が盛んに使われておりますが、そういうことができ得る状態におるかどうか。そういうことをされるから炭鉱の諸君がわんさわんさ押しかけてこなければいけないのだ。日本のような比率に欧州を置いてみましょう。もちろん電力が少ない、水力がありませんから、少ないから、その点は念頭において質問をいたしております。電力があるからということを念頭において質問しております。それにしても八〇%の石炭を使っておる西ドイツが、石炭が高いとお思いならあとで数字を出します。それがあれだけ繁栄するのに日本はなぜ油を入れなければ繁栄しないのですか。なぜこんな急激な燃料の変革をやらなければならないかという問題、それが一点。それからEECの諸国は、私どもよりも御存じと思うのですけれども、ほとんどが完全雇用です。ドイツの炭鉱等は外国人が三割くらい入っておりましょう。そういう実態なんです。日本はどうだ、社会問題化したら考えようというような政府のあり方では、私は国民の不安というものは、今日のような姿になって押しかけてくると思うのです。ドイツが今後一割、二割減ったとしても、現在使用している石炭は一億四千万トンです。日本は五千五百万トンで頭打ちだ、こういう政策が正しいだろうかと思う。どうしてもこの基本理念が違っておるのだから、こういうひずんだ社会状態になってくると思うのですが、これはいかがでしょうか。
○国務大臣(福田一君) 実は数字の点はちょっと私覚えてないので、この間、本を読んで、実は数字がえらい減ってきたなあというふうに思っておるのですが、この数字によりますと、おっしゃるとおりで、相当石炭を使っておることは事実で、おっしゃるとおりであります。ただ傾向的に、EECの問題で、西ドイツとベルギー、いわゆる石炭地帯と石炭地帯じゃないところで今大げんかをしておる。そして石炭地帯でないほうではできるだす油を使いたい、こういうわけです。石炭地帯のほうはやはり石炭を使ってもらわなければ困るというので非常にけんかをしておるという記事を読んだのです。どこで読んだか私覚えてないのでありますが、最近いろいろな書類で、そういうエネルギーのいろいろな問題を読んでおりますので、実はそういうことを覚えておってそういうことを申し上げたのでありますが、それは別といたしましても、日本のエネルギーの構造として、石炭の占める地位が少し過小に過ぎるのではないかという御質問であろうかと思うのであります。私はこれに対して、油がどんどん入ってくるというようなやり方をしていいかどうかという、こういうことでございますが、何といったも日本の置かれておる宿命というものは、狭いところに、九千何百万という人がいて、そしてこの人たちに楽な生活をさせていくということになりますと、これは輸出振興ということが一番大きなテーマになってくることは、これはおわかりになると思うのであります。そこで、輸出振興という観点から見ると、やはりいい品物を安く作るということが要請されるわけであります。私もそういうことだろうと思います。そこで、いい品物を安く作るということになれば、やはり安く作るという点からみますと、原料になるエネルギーというものをできるだけ安くしたいという要望も一つ出てくる。それから今まで日本では燃料としてはわれわれの子供のときはまきを使っておりましたが、その後は順次石炭を使うようになりました。家庭でも石炭を使っておったのでありますが、最近では石油コンロがはやってきました。そこへ持ってきて、石油から出てくるプロパンガスというものが石炭の分野を荒らしております。このようにいたしまして、工業におきましては、今まで電気にいたしましても、鉄鋼にいたしましても、セメントにいたしましても、セメントは傾向が変わってきましたが、だんだん消費がふえてきたわけでありますが、ところがいわゆる家庭用炭といいますか、そういう面がかなり減ってきたということはおわかりを願えると思うのでありまして、そういうことが一つは重油といいますか、油の需要が起きてきた原因でございます。何といっても石炭をたくよりは石油コンロでやったほうが早い。ガスがなくても石油コンロをやれば同じようなものだという、文化生活という面がひとつは石炭に対する需要度を少なくしてきたということになろうかと思います。そういう場合におきましても一、私たちとしては、やはり電気なら電気、あるいはまた鉄鋼、もうこれ以上、千二百万トンというのはぎりぎりの数字だろうかと思っております。実を言うと、御承知のように、ナフサを使って製鉄をやろうということをより研究いたしております。そういうような事態になりますと、そこで非常に分野が荒らされる。それからまた一方、セメントのほうは油でやりますと、いい製品ができるという結果が出ております。そこで、原料炭と結びついて作ったいわゆるセメント工場でありますれば、まさかそれを重油にかえるということは、輸送その他の関係から、山元でセメントをやっておりますので、そういうことはかえって損になりますから従来どおりやるということはあるだろうと思いますが、これから新しく作るということになると、やはり品質がいいのだ、あるいは安いということから、どうしても食われるというので、実を言うと、今のところは五百万トンから六百万トンというものをセメントに使うという予定で五千五百万トンという数字が出ているわけですが、これが百五十万トンぐらいに減るのじゃないか、あるいは二百万トンぐらいに食い止められるのじゃないかというのが今の段階であります。そこで、四百万トンという大きな数字の食い違いが出てきている。こういうことで五千五百万トンという数字を維持するにしても、今言った要因が一つあるということになりますから、われわれとしては、もちろんお説のとおり、石炭産業をひとつ何としてあげたいという気持は十分あります。私たちもこれは国内産業でありますから、むしろ保護したいというのが日本人の、国民の素朴な考え方からいっても当然だと思います。これは決して日本人としてよその品物を使いたいという、そういうような気持ではないと思います。そういう気持はありますが、今言ったような、いい品物を安く作るということからきたり、あるいは文化生活という面からきて、だんだん石炭に対する需要というものが少なくなってきた。その中において、何とかして石炭産業はある程度はこの分野を守ってやらなければならないという点から、われわれは今まで見ているわけでありまして、決して石炭産業に冷たく当たるとか、あるいは冷淡な気持でいるとか、無関心であるということでは全然ございません。これはほんとうにわかっていただきたいと思うのであります。そういう意味合いで、この石炭問題は御理解を賜わりたいと思うのであります。
○阿具根登君 大臣の御答弁される誠意はわかりますけれども、そうすると、安い油を入れて安いいい機械を出さなければならぬ。そうすると、西ドイツは日本よりも経済が伸びている、八〇%も石炭を使っているのに西ドイツだけが何でそんなに伸びるのか、なぜ日本はそれだけ油を入れなければ日本の経済は伸びないのか、こういう矛盾が出てきますね。それからセメントの問題でもそうです。これは、この前論争いたしましたから簡単にやめますが、セメント業者が言っているのは、油を使うほうがいいのだが、石炭業者がかわいそうだから、これは使うのだ。ところが石炭業者が油を入れ出したから石炭業者に対して同情する必要はない、石炭業者が皆油を買っているのだから同情する必要はないというので、六百万トン使えという政府の考えはがたがたくずれてきたわけです。これは私は業者に言わせるとそうだと思います。石炭業が立ち行かないから国内炭を使おうじゃないかという気持を持っているのに、石炭業者みずからが外国資本と提携して油をどんどん入れている、日本の石炭業の代表的なところで油を入れてないというところはない。これは資料を要求しておったのだが、まだ来ておらないが、こちらでは石炭六百万トン使ってくれということをセメント業者に政府は言っておりながら、石炭業者にはどんどん油を入れることを許可される。言うことを聞くわけないです。そういうことは愛情があるとは私は思わない。その一点から見ても、六百万トンと言われる筋が通らないでしょう。五千五百万トンの線はくずれたでしょう。だから、石炭業者に五千五百万トンなら五千五百万トン必ず確保してやる、そのかわり、競合しておる油をお前たち入れるのはおかしいじゃないか、こういうことが一つ。それから最近の朝日新聞でもついておりましたように、油業界がダンピングで、政府が出されたやつは、まだ七千円からのやつを出しておられるけれども、すでに六千円を切った油が売られておるじゃないですか。しかもそれはダンピングで、もう時の問題でつぶれていくということが言われておるのです。そこまで油をだぶつかせるようにしなければならないか。今度は油自体が陳情に来ておるのは御承知でしょう。もう六千円を切っておる。そういう世界の相場はない。私は見せてもらったけれどもないですわ。そういうむちゃくちゃなことをやって、そして業者を刺激し、あるいは生産を上げるけれども、これは外国に行った場合に喜ばれる品物にはならない。私はやはり値段が安いといっても限界があると思うのです。だから、日本の商品は、すぐ外国でダンピングだとか、あるいは労働賃金が低いのだということを指摘されている。日本人が盛んに日本の国内では所得倍増だ所得培増だといって、日本は欧州に賃金は追いついて参ったということを言っておるけれども、実際日本の商品を見る場合には、外国では逆のことを言っておるじゃありませんか。だから、こういうものに対するものの考え方、基本的な考え方が私はきまらなければ、石炭はどのくらい出るのであるというようなことでやっていけば、今のように失業者はうんと出てくる、そして労働者は首切られてくる、そして今後状態が変わってきた場合には、労働者がかたき討ちをする、こういうことになると思うのですがね。時間がないから一ぺんに進めていきますが、たとえば愛情のある石炭政策ということに考えていただくならば、私が今言ったような基本的な問題で今の現実が持っていけないとするならば、たとえば五千五百万トンの頭打ちだ、それから二十八・二トンですか、六トンですか、調査団の一部の人は、一人平均四十トン出せと言っておりますので、そうすると、炭鉱の人が言っておるのは、仕事をすればするほど自分たちの首が切られるのです。頭は五千五百万トンに、押えられているのですから、うんと仕事をすれば石炭はうんと出ます。そうすると、人間の首が切られる、これは困ります。そうすると、仕事する意欲も沸かぬじゃありませんか。こういうことになるわけなんです、仕事すれば首切られるのですからね。これは官庁の諸君でも、一人の人が三人分仕事したら、二人首切られます。そういうことはだれでもいやでしょう。そうなると、五千五百万トンに頭打ちだ、石炭はうんと出してくれ、出てきた失業者は、これは完全な職を与えられずに、金は相当出さなければいかぬということになるならば、それ以外にもっといい手がありゃしないか。仕事も働いて下さい、そのかわり五千五百万トンに頭打ちだ、それ以上出してはいけませんぞということならば、それ以上出した石炭の処理をするか、それができない、五千五百万トンだというならば、それ以上出る人たちを休ましたらどうですか、休ませては。かりに三十トンとすれば、一人一日一トンと計算しても、二十万の炭鉱労働者であるならば、月に二日休ませれば、月に四十万トンです。そうすると、年間四百八十万トンの石炭が出ないようになるわけです。そうすると、その人たちは、会社に出た場合は一生懸命働く、能率は上がる。失業者で放り出すよりも、失業者で金出すよりも、そこで有給でこれを政府が見てやる、私はそれでも決して矛盾はないと思う。今ILOでは四十時間制が盛んにやられておる。日本だってそのとおりです。官庁に勤めている人は、半ドンも祭日の休みもある。一番苦しい、一番休みのほしい人たちはそういうことはない。命をかけて炭鉱の坑内で働いておるこの人たちにはそういうことはない。逆なんです、日本のやり方は。あくまでも官尊民卑です。二日くらいの休暇をやっても、決してだれも文句を言う者はないと思うのですが、いかがですか。そうすると、非常に私は愛情ある政策の一端が出てくると、こう見るのです、現実面から見れば。幾つも質問しましたからお答えにくいかもしれませんけれどもひとつ御答弁願います。
○国務大臣(福田一君) そういういろいろな工夫はあろうかと思いますけれども、そういうふうにした場合に、それじゃいわゆる石炭事業が成り立つかどうか、そういうふうに働かないようにしておいて、それで石炭事業が、それじゃ三十トンなら三十トンベースで押えて成り立つかということになりますと、やっぱり三十トンではどうしても赤字が出てくる。赤字が出てくると、今度はまた会社としては、山をやめるという、やめちゃいかぬと言ってもどうしてもやっていけないのだ、事実問題としてですよ、これは。その場合に、従業員の人が、そんなものは絶対やめさせないといってけんかになったとしても、銀行も金を貸してくれぬし、どうにもならない、こういうような場合が起こり得る可能性がありますね、そういうやり方をいたしますと。そこが問題になる。そこで意見の対立といいますか、考え方の相違が出てくると思う。あなた方から言えば、それは国営にしていけばいいじゃないか、だから石炭というものは国営にすべきだ、こういう考え方になると思うのです。国営にした場合においても、僕はやっぱり石炭自体の値段は高いものができると思うのです。エネルギーとしては高いものができる。そこで、そういうやり方がいいのか、あるいはもし——ここにいい転換場所があるということを私は申し上げておるわけじゃないが、理屈だけを言えば、私が言うのは理屈であるかもしれませんけれども、理屈を言えば、そこになくても、ここにこういう仕事があるからといってかわってもらえるならば、これはかわってもらってもいいじゃないか。しかし、そのかわっていく過程において非常に苦労があるというなら、これは国として十分めんどうを見なければいかぬじゃないか、これは私もよくわかるのでありますが、とにかく石炭産業というものを民営にしてやっておるのでありまして、われわれはこの姿でいこうということでございますが、ということになりますと、やっぱりそこに、何といいますか、経営としての合理性というものが出てきませんと長続きしないと思うのです。私は半年や一年はそれはそういう式でやっておって、もうおしまいになると、どうにもならぬと言って山元が投げ出したということになると、もうそのときに国があまりめんどうを見れないということになれば、今この場合に、国がめんどうを見て、いいところにかえるということのほうが、まだ、何というか、労務者の人たち、あるいは職員の人たちに対しても愛情を持った措置になるのじゃないか、こういう考え方も私はあり得ると思うのです。そこで、意見がおそらく並行線になるおそれがあると思うのですが、私はそういうふうに考えておるわけです。
○阿具根登君 ちょっと大臣の考え方と違うのですよ。僕が今言ったのは、一つの例で言いまして、失業者を全部有給休暇で救えと言っておるのじゃないのです。そういうことを言っておるのじゃない。失業者、いわゆる人が多く出てきたという場合に、いい仕事があって転勤できる人はそれでもけっこうです。現実問題として転勤していないから、日雇い労働者か生活扶助をやらなければいかぬじゃないですか。生活保護をやったり日雇い労働者にやったりして出すだけの金を、なるべく有給で使えばいい、仕事のある人は仕事についていきます。そうして、その仕事がない人は有給にするということにすれば、わざわざ金を出して日雇いに落としたり、生活保護法に落としたりして、働く意慾も何も失うような今のやり方は逆じゃないかと私は言っておるわけですよ。そうしてそれも何も永久にやる必要はない。定年もあります。炭鉱がこんなに疲弊してくれば、わざわざ命をかけて働くのはいやだという人も出てきます。年々それは減っていく。そうなると、大臣が心配されておるような大きな問題じゃないのです。そういう愛情のあることをやっちゃいかがですか。このままでいけば、今度でも失業者を九万人くらい出してごらんなさい、私は今度は五万人くらい日雇い労働者がふえると思うのです。それも全部国が金を出さなければいかぬわけです。そういう政策がいいのか、それとも全部九万人なら九万人出た失業者を完全に就職させる御自信ありますならひとつ教えてもらいます。全部吸収できるような仕事は今だってないのですからね。ないから日雇い労働者がふえて労働省はふうふういっているでしょう。
○国務大臣(福田一君) その点については、いわゆる失業救済として、たとえばこれは七万人整理を受けた場合に、五万人がいわゆる自由労務者になるというか、失業救済的に使われるということになる。そうすると、どういう数字が出てくるか。それからまた今度はそれを山もとに置いておいて、結局はやはり政府のほうからその金を出してやろうという考えだろうと思うのですが、そういう形ならば。その場合にどういうようなそこに影響があるか。その分だけ補給すれば、今言ったその金だけを補給すれば山が経済的な原則で運行できるのだと、こういう数字が出てくるだろうという、これは私はなかなかまだ研究してみなければいかぬと思う。私はそういう問題等はひとつ数字をもっと詰めた上で話しませんと、これはばく然とあなたと今ここで、こういう五万くらいがどうとか、二日休んだらどうとかということじゃなしに、お互いに数字をもっと詰めて議論してみる必要があるのではないかと私は考えておる。これはまた何も議会はなくてもあなたと私がよくお話し合いをして、よく納得できるということであれば、これも一つの研究の課題であります。それはいろいろありますよ。それで私は承知するという意味で申し上げているのではありませんが、そういうことはやはりもっと数字を詰めた上でないと何とも私は御返事できないと思います。まあいずれにいたしましても、やはり経済原則というものだけは守ってやりませんと、そういうふうにやってやったけれども、山もとのほうは赤字が出てきてパンクだということになったらやはり困るので、そこら辺のところがどうなっているかというところにわれわれはウエートをどうしても置かなければいけないだろうと思います。しかし、その場合におきましても、たとえば七万人とか九万人という数字が出ますがへその場合にいい仕事が全然ないというお考えに立つか、今言ったようにやはり一万人や二万人は仕事はあるのだ、あとは年をとっているから実際働けない人が幾らかあるのだ、こういう数字もかなり詰めてみる必要があるのではないかと思うのでありますが、これはまたそういうこともあわせて研究した上で、これはお互いに勉強ですから、私が何もここでこうしてお答えしておるのも、あなたが御質問されるのも、お互いが切磋琢磨していい政治をやろうという意味での勉強だと私は解釈しておりますから、決して私は皆さんのいいお考えを捨てようという気持でお答えいたしておるわけではございません。また、そういう機会を得てひとつお話を聞かしていただきたいと思うわけであります。いずれにしてもきょうはどうしても時間が何ともなりませんので……。
○吉武恵市君 時間がないようでございまするから、私は多くの時間を質問しようとは思いません。阿具根さんの質問がまだ残っておるのを終わりにされたのでありまするから、私はまたの機会でけっこうだと思います。エネルギー対策全般についても私は多くの意見を持っておりますし、それから石炭につきましても私には私なりの意見もあります。時間を多くとりましては恐縮でございますが、今、阿具根委員から御質問がありましたように、石炭につきましても、今、福田大臣が申されたように、経済の原則に立つということは、これは経済全般に通ずることでありまして、私はそれはそれなりでけっこうだと思います。しかし、それでは日本の経済全部が経済の原則の上で全部がやられているかというと、そうじゃない。大きい原則はそうでありまするが、やはり個々の経済の上に立っていくならば、やはり日本全体の国民の生活というものを基本に考えてくべきものが多々あると思います。お米にしたって、お米自体につきましては、御承知のように幾多の施策が行なわれておる。石炭につきましても私はもっとこまかい点を掘り下げてお考えになると私はあると思う。今、阿具根委員は時間の短縮を一つあげられた。これは短縮してコストを上げるというのではない。能率を上げて、そのほうで余った時間の短縮によって補うということでありますから、能率を上げないでという意味ではありません。しかし、能率を上げるのは上げて石炭のコストを下げるのは精一ぱいであって、その精一ぱいの上にさらに時間を遊ばせる余裕はないということが、おそらくあなたのおっしゃることであろうと思いますが、私は石炭については、やはり長い目で見て、オイルによってかわっていくという大きい原則というものは、これはやむを得ぬと思います。しかし、当面の問題を何とかして切り抜けていくというのは、先ほどEECの問題を出されたように、現にドイツでもやっているのです。フランスでもやっているのです。日本でやれぬはずは私はないと思う。で、幸い私はいつもの持論でありますけれども、統制経済は私は好みません。しかし、政府の施策でまだ救い得る道はお考えになればたくさんありますけれども、私は特にこの発電関係につきましては、放っておかれればどんどんオイルにかわると思います。かわりまするけれども、産炭地における発電は、石炭を使う場合のほうがコストが低い場合がたくさんある。それで現に政府がやっておられる施策としては、産炭地にある発電所でも大いにオイルにどんどんかえていらっしゃる。こういう点はもう少しきめのこまかい——それによって失業者が出る、ところでなるほど政府は石炭の転換政策によって幾多の金も出す、そうして救済の道も講じられておりますけれども、それじゃ金といわゆる数字だけによってそれらの人々が救われているかというと、そうじゃない。それは数字の上のことであって、現場に行って見るというと、やはり石炭産業に従事している者は、石炭産業に関連をして救う道というもの残される。それには、つまり産炭地における発電に現在の石炭を、多少のコストは上がりましても、これを使わせるという施策によって救う道もあるのです。私はきょうは時間がないとおっしゃるのですから、こまかい点は申しませんが、とにかく総合エネルギーの問題につきましては、まだもっと国内の油の問題もある、あるいは国内資本における外国の油の問題もあります。これもただコストあるいは経済の原則ということであればつぶれます。自由化してそして安い油を入れればいいという一つの原則にお立ちになれば、今まで多大の資本を投じ、そうしていろいろな苦心をしてやったも一のは全部つぶれてしまう。安いものがいいじゃないか、これじゃ私は経済というものは実際の生きた経済じゃない、やはりそれは原則です。これは私ども特に自民党は、自由経済を建前としておりまするから、その原則をお立てになることには異議はございませんけれども、もっとやはり日本全体の国民生活という点をお考えになれば、こまかい施策をなさる余地があるだろうと思いますが、時間がございませんから、私は別の機会に譲りますから、大臣の経済原則という点について、私は別に異議を申すわけじゃございませんが、その原則の上に立ってもう少しこまかいひとつ掘り下げをしていただきたい。また役人の方もたくさんおいでになりますが、現地の石炭の事情というものをお考えになりますると、ただ本省でお考えになっているのと違った面がたくさんございますることを申し添えて、別の機会に譲りたいと思います。
○国務大臣(福田一君) ただいまの御発言のうちで、いわゆる石炭を電気にかえて使う、エネルギー源として使う工夫はないかということについて、非常にいいお考えかとも考えております。われわれも実はそれについては十分研究をしてみたいと思っております。
○委員長(堀末治君) それじゃ他に御発言もなければ、本問題に対する質疑はこの程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(堀末治君) 御異議ないものと認めます。 —————————————
○委員長(堀末治君) 次に、継続調査要求についてお諮りをいたします。 今期国会開会中、当委員会はエネルギー対策樹立に関する調査を行なって参りましたが、閉会後も引き続き調査を行なうこととし、継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(堀末治君) 御異議がないと認め、さように決定いたします。 なお、要求書の案文作成及び手続等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(堀末治君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。 —————————————
○委員長(堀末治君) 次に、閉会中の連合審査会に関する件についてお諮りいたします。 ただいまの継続調査が議長の承認あった場合、本院規則第三十六条に基づき、エネルギー対策樹立に関する調査の一環として、石炭鉱業調査団の答申に関する件について商工委員会と連合審査会を開会することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(堀末治君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。 なお、日時等については委員長に御一任を願い、ただいまの決議に基づいて委員長は商工委員会に申し入れることといたします。 ————————————— なお、日時等については委員長に御一任を願い、ただいまの決議に基づいて委員長は商工委員会に申し入れることといたします。
○委員長(堀末治君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 継続審査が議長の承認あった場合、本案件について参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(堀末治君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。 なお、日時、人選、聴取事項、手続き等は委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(堀末治君) 御異議ないと認めます。本委員長は理事と協議の上進めることといたします。
○委員長(堀末治君) 次に、閉会中の委員派遣についてお諮りいたします。 本件につきましては、継続審査が議長の承認あった場合、便宜、委員長に御一任願っておき、必要がある場合に、委員長において派遣目的、派遣地、参加人員の人選等を定めて、これを行ないたいと存じますが、さよう取りはからうことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(堀末治君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。 他に御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十三分散会