法務委員会 第4号
- 発言数
- 94 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1962/08/28
会議録
○高橋委員長 これより会議を開きます。 法務行政及び検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出があります。これを許します。志賀義雄君。
○志賀(義)委員 昭和三十四年に私は、日本にいる合衆国軍隊要員の犯罪事件罪種別処理人員調べというのを請求しまして、法務委員会あてに昭和三十三年一月から十二月に至る書類をいただいたのであります。そこで、三十四年までいただきましたので、その後の昭和三十五年、三十六年はアメリカ軍の犯罪の状況はどうであるのか、法務省に事件受理、起訴、不起訴、中止、未済別、犯罪種別の数字も示していただきたいのでありますが、まずこの点を伺いたいと思います。
○羽山説明員 三十五年から申し上げます。総計、新受二千八百五十一、起訴百四十二、不起訴二千六百六十九、その他でございます。ただいまの内訳でございますが、刑法犯の新受が千三百五、そのうち起訴が百二十九でございまして、不起訴が千八十八、以下その他でございます。 三十六年度でございますが、新受総計が二千百三十三、起訴が百八十九、不起訴が千八百五十九、以下その他でございます。その内訳でございますが、刑法犯、新受が千百九、起訴が百四十八、不起訴が九百五、以下その他でございます。そのうちの特号法犯でございますが、新受千二十四、起訴三十八、不起訴が九百五十四、以下その他、こういう状況になっております。
○志賀(義)委員 警察庁の方に伺いますが、事件発生件数、三十五年、三十六年はどうでしたか。
○本多説明員 申しわけありませんが、私三十六年と本年の上半期しか持っておりませんので、三十六年を申し上げますと、三十六年度におきましてアメリカの軍人軍属の犯罪につきましては、刑法犯の発生件数が八百八十件、特別法犯が八百九十一件、合計いたしまして千七百七十一件、以上でございます。
○志賀(義)委員 最高裁はまだお見えになりませんね。——警察の方に三十五年の上下と、それから三十六年下半期、できましたら法務委員長の方へまたお知らせ願いたいと思います。 最高裁の方は来られませんか。
○高橋委員長 それはちょっと、まだ問題だから理事会で一ぺん協議しよう、裁判の内容云々というふうなことは……。
○志賀(義)委員 裁判の内容ではない、合意書のことを聞くのです。
○高橋委員長 一ぺん理事会で相談しましょう。
○志賀(義)委員 それはこの前の理事会でも、裁判の内容について聞くのではないということは、私からはっきり言って、そのことは委員長も了承されておりますが……。
○高橋委員長 それなら、十一時半に来るそうです。
○志賀(義)委員 裁判の内容について聞くのではありませんから……。 次に移ります。ただいま伺ったところでも、アメリカ軍の犯罪は、事件の確認、検察庁の受理に至るまでにいろいろ多くの制約があるにもかかわらず、三十三年は受理件数四千四百十一、そのうち起訴はわずかに百二十一、不起訴が三千九百十六、その他もありますが、その他未済が二百五十六、それから三十四年は受理件数が三千七百五十九件中、起訴はわずかに百二十件、不起訴が三千三百八十四、未済が百五十一件、それから三十五年、三十六年については、ただいま法務省刑事局の課長さんの方から発表がありました通り、これも多くの件数があるにもかかわらず、起訴が少なく、不起訴が圧倒的に多いというような事情があります。そのほか道路交通取締法関係のものも、三十三年、千九百六十六件、三十四年、千九百四十九件となっております。このように圧倒的に不起訴が多い原因は何でしょうか、これを伺いたいと思います。
○羽山説明員 犯罪の情状を調べまして不起訴に相当すると判断いたしまして不起訴にいたしておるわけでございまして、これがアメリカであるか、日本であるか、外国人であるか、日本人であるかということについては、全然区別をいたしておりません。
○志賀(義)委員 区別をしていないと言われますが、昭和二十八年十月二十九日から三十四年十二月三十一日の六カ年二カ月間のアメリカ軍犯罪の起訴率は二・一%です。あなたは全然区別をしないと言われるが、その間に日本人の犯罪、日本の法律によって起訴される者、これの起訴率は受理件数の何%に当たりますか。
○羽山説明員 ただいまちょっとその数字を手元に持ち合わせておらないのでございますが、道路交通取締法違反を合算いたしまして通算いたしますと、かなりの件数になると考えるのでございます。従いまして全体を通じますると、あるいは日本人の関係が起訴率は高くなるかと思うのでございますが、一つ一つの案件につきまして情状を検討いたしまして起訴、不起訴を決定いたしておりますので、特にその平均の値をもちまして判断をすることはいかがかと考えるのでございます。
○志賀(義)委員 私は、今アメリカ軍要員の起訴率が二・一%と申しましたが、昭和二十九年、三十年の日本の一般起訴率は四三・二%であります。非常に大きい。あなたは区別をしないと言われるけれども、刑法犯だけに限定してみても、アメリカ軍の場合は三・七%ですね。それから日本の方は四五%になります。もう一つ詳しく調べると、アメリカ軍の場合に起訴率は窃盗が〇・九%です。強姦は四二一%にしかなりません。器物毀棄、これは千六百件ありますが、起訴率はゼロであります。これが実情です。どういうところからあなたは、日本人であろうと、アメリカ人であろうと、受理件数において区別をつけないと言うのか。こういうふうに起訴率が非常に違ってくるのはどういうところから起こるとお考えでしょうか、その御説明を願います。
○羽山説明員 御承知のように、アメリカ軍隊要員等の事件につきましては、一々検事長の稟請となっておりまして、十分検討をいたしておるわけでございます。それはただいまお尋ねのように、日本人の場合と比較いたしまして処分が不均衡にわたるというようなことがございますると、きわめて重大な問題でございますので、そういうことをいたしておるのでございます。要するにアメリカ軍が低いと申しますのは、日本人の場合にこれを引き直してみても、犯情が軽いというような事件が多い結果にほかならない、こういうように考える次第でございます。
○志賀(義)委員 そうすると、アメリカ人というものは日本人より上等で、犯罪を犯しても起訴されるようなことはしない。そういうように民族別に理由があるとおっしゃるのですか。どうも今のあなたの話はおかしいですね。今の点、もう少し言い直すかどうかはっきり言って下さいよ。何だか日本人よりアメリカ人が上等みたいな言い方は、法務委員会ではよくないですな。
○羽山説明員 アメリカ人が日本人より上等であるかどうか存じませんが、たとえば、これはたとえばの話でございます。これはここでの想像でございますが、酔っぱらってバーあたりの女をなぐったというような事故がちょいちょいあるようでございますが、こういう事件につきましては、日本人の場合におきましてもなかなか起訴されないのでございます。そういう事故が多いためではないかというふうに考える次第でございます。
○志賀(義)委員 そうじやないのです。事件処理期間に極端な制限があるのが第一の理由であります。事件が起こった、そうして日本側が第一次裁判権を持つ犯罪があった場合、アメリカ軍当局または日本当局から他方に犯罪通知をする。そして日本側は、この通知の目から一定期間内に起訴することによって裁判権を行使するかいなかを通告しなければならない。この期間内に通告がなければ、アメリカ軍当局は裁判権を行使する、こういうことになっております。それでこの通告期間はどういうことになっておるかというと、住居侵入、暴行傷害——暴行傷害の中でも軽い全治七日未満のもの、また被害額五千円以下の器物損壊については五日以内、その他の犯罪については二十日以内、日本の場合にはこういう期間の制限がありますが。五日間とか、二十日間以内とかいうような、こういう制限があるから、あれよあれよという間に第一次裁判権を日本で持つということが成立しないうちに済んでしまう。こういうことが痛感されておるのじゃないでしょうか。その点はどうですか。
○羽山説明員 ただいまお読みになりました五日以内云々というのは、昭和三十五年十二月二十一日にA号事件につきましては十日というように合意内容を変更いたしておりますが、いずれにいたしましても、その期間の制限が全然捜査の障害にならぬというわけには参らぬかと思います。しかしながら、これは事件の内容によるのでございまして、ただいま申し上げましたように、なぐったとか、けったとか、あるいは強姦したとかいうような事件は、そう長く調べる必要のない事件でございまして、この期間があるために非常に困ったというような事例はあまりございません。
○志賀(義)委員 そうじゃないでしょう。この期間は被疑者の逮捕ないし身柄の引き渡しを受けた時間からの期間ではありません。犯罪のあったという通知の日からの期間です。しかもその際被疑者の身柄は原則としてアメリカ軍側の手の中にあります。そうしてこの期間いっぱいに処理すれば済むというわけではなく、現地の捜査機関から高検、最高検への請訓や法務省を通じてアメリカ軍法務部への通告に要する日数などがあります。これを差し引きますと、五日以内という場合には、わずか二両日、あるいはよくて二、三日ということになるのであります。これが非常に不便だから十日にされたのでしょう。それも向こうに身柄がある場合に、今まででも例があるでしょう、なかなか引き渡しというものはらちが明かないのです。そういうことのためにこういう事態が起こっておる。これはあなた方が現にお困りになったから五日を十日に直したのでしょう。あなたの言われる通り、昭和三十五年に十日になったにしても、十日あるいは二十日という期限が日本の起訴の場合にありますか。この間に起訴しなければならない、第一次裁判権までこぎつけなければならない、こういう制限があるかどうか、その根本問題があります。それをお答え下さい。
○羽山説明員 お尋ねのような期間の制限は日本人の場合にはございません。従いまして、お尋ねのようにこれが拘束ない場合に比べますと、ない方がよほどいいということは申し上げられるのでございます。しかしながら、先ほどお尋ねの趣旨の、これがあるために悪いやつを不起訴にするのじゃないかという点に関連して申し上げますならば、これがあるためにそういう結果にはなっていないと申し上げられると思う力でございます。
○志賀(義)委員 日本人の場合には制限がない、それで制限がない方がいい、これはお認めになりましたね。なぜアメリカ人の場合だけそういうように制限しなければならないのか、どういうわけで制限させられたのか、その点おわかりでしょう。
○羽山説明員 その点は、この協定をつくりました当時の状況でございますが、私はつまびらかにしておりません。
○志賀(義)委員 これ以上は無理だと思いますが、とにかくあなたは期限があるのは——日本にはない、それでない方がいいということを認められたわけですよ。それ以上のことはあなたにどうなるものでもございませんから、それをはっきりと認められたことを明らかにした上で、アメリカ軍と政府各当局との関係について伺いたいと思います。 行政協定、刑事特別法、MSA、秘密保護法等の一連の法体系があります。その運用について伺いたいのでありますが、アメカ軍と法務省との問ではどういう関係がありましょか、またどういう協定が結ばれておるのでありましょうか。それを伺いたいと思います。
○羽山説明員 この刑事事件の関係におきまして、これは日米合同委員会の関係でございますので、全般的なことは外務省の方から御説明をいただくのがいいのではないかと思うのでございますが、この中に、法務省関係の分科委員会といたしまして、刑事裁判管轄権分科委員会というものができております。それで日本側は、わが刑事局の総務課長が代表になっておりまして、警察の方、外務省の方などを入れまして十四名が日本側の構成メンバーになっております。具体的な事件等問題が起きましたときに連絡をする、それから随時いろいろなことを話し合うというような運用と相なっておるのでございます。
○志賀(義)委員 そうすると、日米合同委員会の部会ですね。外務省関係は別といたしまして、法務省に、今お答えのところでは、裁判権分科会刑事部会もう一つ民事部会もありますね。
○羽山説明員 さようでございます。
○志賀(義)委員 そのほがにありませんか。
○羽山説明員 出入国の部会があるということでございます。
○志賀(義)委員 次に警察について伺いますが、アメリカ軍と警察の間にどういう関係がございましょうか。また何か協定、合意書等が交換されておるかどうか、その点伺います。
○本多説明員 ただいま法務省からお話がありました刑事部会の一員として警察は出ておるわけでありますが、それ以外には特別のものはございません。
○志賀(義)委員 合意書二十五に、アメリカ軍の施設または区域内、つまり基地のことでありますが、区域内の法律執行機関の庁舎内に派遣要請ということがありますが、派遣を要請されたことがありますか、また事実そういうふうに警察の方から行かれておりますか。合意書二十五にありますが、その点はどうでしょう。
○本多説明員 以前にはあったという話でございますが、ただいまはございません。
○志賀(義)委員 アメリカ軍と治安上の情報交換というようなことはございませんか。また、それはどういう機関が当たっておるかということは明らかでございましょうか。
○本多説明員 私の方の刑事関係におきましては、別にそういうことはございません。
○志賀(義)委員 ただいままでお聞きしましたのは、実はこの七月に三沢基地で事件が起こっております。もう一つは佐世保基地でも起こっておるのでありますが、七月十一日の新聞によりますと、九日午後二時半ごろ青森県三沢市浜三沢の米空軍三沢基地滑走路近くの立ち入り禁止区域外で、ジェット機の写真をとっていた法政大学カメラ部員の長谷忠彦君、塚原稔君の二人がアメリカ軍警備兵に撮形をとがめられ、ピストルを突きつけられて、ジープで同基地憲兵隊に連行された。二人は撮影の目的などを聞かれ、三十分後に釈放されたが、二人が連行される際、カメラとバッグを置いてその場を一時立ち去っていた提箸譲君は、カメラを取りに戻ったところ、すでに基地に持ち去られていたという。アメリカ軍側は十日朝、このカメラなどを三沢署に届けたが、中のフィルムは抜かれていた。三沢署は、拾得物として届けた以上、フィルムを抜き取ったのは日米行政協定違反だとアメリカ軍側に返還を求めた。ところが、現像したフィルムを返してくれた。フィルムは現像されていたのです。ところが、提箸君がバックに入れておいた五千円がなくなっておった。こういうふうに出ております。この事件はもう御承知の通りでありましょう。石岡三沢署長は「ピストルをつきつけられたこと、金が紛失していたことは非常に遺憾だ。事件発生と同時に日本側にも知らせてもらいたかった。」と、こういう事件があります。先ほどのように、事件発生後すぐ知らせてこないのですよ。そこでこの件については、警察庁あるいは法務省刑事局では通知を受けられたかどうか、ごく簡単でよろしゅうございますから、どういう処置をとられたか、その点についてお答え願いたいと思います。
○本多説明員 私の方には、青森県の警察からそういった通知がありまして、状況は若干違っておりますが、大体いまお話しのそういった事件がありまして、その点についてアメリカ側の行動について若干妥当でないというふうに判断する点もありましたので、その点、現地においてアメリカ側に厳重に申し入れを行なったというふうに聞いております。
○志賀(義)委員 そこで法務省刑事局の方に伺いますが、これは先ほどの日米合同委員会で問題にされたかということ、またフィルムを返し三沢署を訪れたアメリカ空軍三沢基地特別調査部員なるものは、違反行為があれば警察に報告するつもりだったが、その事実がないのですぐ釈放した。こう言っている。しかもフィルムは現像されている、金はなくなっている。こういうことなんですが、そういう点について合同委員会で問題にされたことがあるのか。もう一つは、このアメリカ空軍三沢基地特別調査部員というのはどういう人なのか、この二点について伺います。
○羽山説明員 法務省といたしましては、日米合同委員会の分科会等でこの事件を問題にいたしておりません。それからただいまの特別調査部員というのは、何か空軍の中の調査員であるというふうに聞いております。
○志賀(義)委員 どうもはっきり御答弁がないのは遺憾であります。 合同委員会のことについては、あと合意書でお尋ねしますが、もう一つの事件は、本年五月十七日、アメリカ軍佐世保基地で、NHK福岡放送局の樋口英樹プロデューサー、副島道臣カメラマン、この二人が基地の第一上陸場付近を基地外の市道から撮影中、アメリカ軍憲兵隊員にジープに乗せられ基地内に連行された。しかもNHKでは「日本ところどころ」を取材するため、基地広報担当官から事前に撮影の了解を得ていたという。一方、佐世保警察署では、この連行事件が基地外で起こっているので、アメリカ軍の警察権行使の行き過ぎではないかと見て、十八日から事情調査を始めた。また、佐世保社会部記者クラブと市政記者クラブは、十八日、ウィルソン同基地司令官あて、アメリカ軍への提供区域外の事件であり、報道の自由を妨害する不当な行為だと抗議文を出している。こういうふうになっておりますが、警察は事情を調査されましたか。
○本多説明員 一応やっております。
○志賀(義)委員 では法務省に伺いますが、警察でもいいですが、どういう取り調べをこの連行中受けたのか。それからアメリカ軍はどういう見解で取り調べたのか、その根拠は何か。この点について警察の方でお調べになりましたか。佐世保署長から、行き過ぎだというふうに思われるということでありましたが、これについてどういう取り調べを受けたかということをNHK記者に聞かれたか。それからまたアメリカ軍の見解及びこういう連行した根拠は何かということについて調査をなさったかどうか、警察の方に伺います。
○本多説明員 この事件は、福岡のNHKの局員が取材活動を基地のそばでやっておったそのときに、基地の通訳が来ていろいろ事情を聞いたようであります。それで、もう少し聞きたいので二十五メートルほど先の事務所まで来てもらえないかということで、NHKの記者も、それでは行こうということで、いわゆる任意の形でその事務所まで参りました。そこでそういった自的等につきまして話をしましたところが、了解がついて、そのまま帰って来たということで、結局、アメリカ側としては、何をしておったかよくわからないけれども、基地のそばにおったから一応事情を聞いたということのようであります。
○志賀(義)委員 こういう事件が本年になってから次々に、ことに最近になってこの二件が起こっているのでありますが、刑事局に伺います。アメリカ軍には、こういうふうに日本人を逮捕し、あるいは連行し、取り調べる権利があるのか。現に三沢基地の場合は、ピストルを突きつけ、令状なしに日本人を逮捕連行しております。これは明らかにアメリカ軍警察権に基づく逮捕ではないか、このようなことをアメリカ軍が日本にいて基地外において行ない得る法的根拠は、どの法律のどの条項に基づいてであるか、刑事局に伺います。
○羽山説明員 まず、われわれは刑特法とよく申しておりますが、刑事特別法の違反事実がございまして、それが現行犯である、あるいは準現行犯の段階になるということであれば、何人でも逮捕できるわけでございます。これは日本の刑事訴訟法によりまして、アメリカ人であろうと何であろうと逮捕できる。そのことは当然のことでございますが、わざわざ日米の合意事項の中に七項といたしまして、その趣旨をうたっておるわけでございます。
○志賀(義)委員 それだけでしょうか。私が伺いたいのは、一九五三年九月二十九日、裁判権分科委員会刑事部会で行政協定第十七条を改正する議定書及び公式議事録に関し日米両国の合意書というものがありますが、これは法務省は有効なものとして認められているのでしょうか。
○羽山説明員 ただいまお読み上げのものは有効なものであると考えております。
○志賀(義)委員 法務大臣、ちょっとこれを見ていただきたいのでございますが、日米合同委員会の刑事部会における合意雷です。その五ページでありますが、一九五三年、つまり昭和二十八年十月から十一月にかけて極東陸軍司令部幕僚部法務部の陸軍中佐、刑事裁判権分科委員会合衆国側委員長アラン・ビー・トッド、日本側委員長法務省津田実の間で四十九にわたる合意事項が取りかわされておりますが、これは先ほども委員長にはお知らせしておきましたが、「昭和二八年一二月一二日最高裁判所刑一第一七三六〇号、高等裁判所長官、地方裁判所長、家庭裁判所長宛、刑事局長通達」というものが出ておりますが、これが確かにございますね。
○羽山説明員 裁判所の通達でございますので、私の方でお答えする筋合いではないと思います。
○志賀(義)委員 それは刑事局長が来てからお伺いする。これがあるのですが、その中にこういうことがありますね。五ページでありますが、7の(a)「議定書第十項に関する公式議事録に従い、合衆国軍隊の法律執行員は、合衆国軍隊の使用する施設又は区域の近傍で当該施設又は区域の安全に対する犯罪の既遂又は未遂の現行犯に係る者を令状なくして逮捕することができる。」(b)は、「合衆国軍隊の法律執行員は、日本国内における所在地のいかんを問わず、合衆国軍隊の重要なる軍用財産、即ち、艦船、航空機、重要兵器、弾薬及び機密資材の安全に対する犯罪の既遂又は未遂が現に行われている場合において、日本国の法律執行機関の措置を求めるいとまのないときは、当該軍用財産の周辺において当該行為者を令状なくして逮捕し、又は当該行為を制止することができる。この場合において合衆国軍隊の法律執行員は、合衆国軍隊の守則に従い、且つ、日本国刑法第三十六条第一項又は第三十七条第一項に該当する場合のほかは武器を使用してはならない。」こういうふうになっているのであります。このように見ますと、この日米合意書第七項に基づいて三沢基地あるいは佐世保基地のようなことが起こったというふうにわれわれには考えられるのでありますが、この項目の対象はアメリカ軍の構成員だけに限られるのか、日本人もやられておりますが、法律上、日本人も、こういうふうに令状なしに逮捕していいものなのか、その点はどうでしょうか。
○羽山説明員 それは日本人を含んでおります。
○志賀(義)委員 そうすると、この今読み上げた合意書の中にある施設または区域の安全に対する犯罪とはどういうことか。また合衆国軍隊の重要なる軍用財産、すなわち艦船、航空機、重要兵器、弾薬及び機密資材の安全に対する犯罪、これは一体どういうことなんでしょうか。
○羽山説明員 その事例といたしましては、たとえば実力と申しますか、現に施設内に爆弾をほうり込むというような行為が該当するわけでございますが、それ以外に、昭和二十七年五月七日法律第百三十八号、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法というきわめて表題の長い法律がございますが、その中に第二章といたしまして「罪」というのが掲げてございまして、いろいろ書いてございますが、その若干のものがこれに該当するかと考えるのでございます。
○志賀(義)委員 私が問題にしたいのは、この合意書はいかなる法律的根拠があるか、何に基づいて合意されたのかということであります。それは行政協定第十七条十項に(a)と(b)とがございますが、この第十項の(a)と(b)を見ていただきたいと思います。(a)にはこう書いてあります。「合衆国軍隊の正規に編成された部隊又は編成隊は、第二条の規定に基づき、使用する施設及び区域において警察権を行なう権利を有する、合衆国軍隊の軍事警察は、それらの施設及び区域において、秩序及び安全の維持を確保するためすべての適当な措置を執ることができる。」こうなっております。(b)の項が問題であります。「前記の施設及び区域の外部においては、前記の軍事警察は、必ず日本国の当局との取極に従うことを条件とし、かつ、日本国の当局と連絡して使用されるものとし、その使用は、合衆国軍隊の構成員の間の規律及び秩序の維持のため必要な範囲内に限るものとする。」こうなっております。いいですか。「その使用は、合衆国軍隊の構成員の間の規律及び秩序の維持のため必要な範囲内に限るものとする。」こうなっておりまして、日本人を対象とするとは書いてないではございませんか。どういうわけで日本人にもこれが適用できるということが言われるのでしょうか。この項があれば合意書の法的根拠にならないではありませんか。これはどういうことになりましょうか。あなたは今こういう法律があるということをみずからおっしゃったのですから、これについてお答えを願います。
○羽山説明員 合衆国軍隊の構成員の問の規律及び秩序でありますから、構成員の間の秩序が、たとえば外から爆弾を投げ込まれて破壊されるというような場合には、当然この条文の適用を受けることになると思うのでございます。
○志賀(義)委員 珍無類な解釈を承るものですな。いいですか。「合衆国軍隊の構成員の間の規律及び秩序の維持」この構成員の間というのは構成員同士のことでしょう。そこへもってきて、日本人が出かけて行って爆弾を投げ込んだ、そういうこともとれる余地がこれにありますか。構成員同士の間の規律と秩序維持のことですよ。従って、これはアメリカ軍の構成員の間の規律及び秩序、アメリカ軍隊内部における規律及び秩序の維持に関する場合に限っておるのですよ。たとえば日本人がそこに雇われておりますね、そういう場合は特別として、それ以外に日本人が対象になるということが言えますか。ましてあなたは外から爆弾を投げると言われたけれども、三沢基地でも何でも、爆弾を投げたんですか。あなたのような解釈は成り立ちますか、この行政協定の十項の(b)について。明らかにアメリカ軍の構成員だけに限ってあるじゃありませんか。重大な問題ですよ。あなたは今、日本人もそういうようなことで関係できると言う。あなたの勝手な解釈になりますと、これは重大問題です。あとで局長も来られ、ここには法務大臣もおられますけれども、それでいいですか、あなたの言う解釈で。法務省の統一した解釈なんですか、あなたのお答えなんですか、責任を持って答えていただきたい。
○羽山説明員 法務省の統一した解釈でございます。
○志賀(義)委員 刑事局長がいるとよろしゅうございますが、何かこの解釈についてそういう文書でも出ておりますか。
○羽山説明員 格別文書は出ておりませんが、しかしこれは、われわれはそのように解釈しておるわけでございます。
○志賀(義)委員 そうなりますと、これはきわめて重大な問題であります。警察署長でも、明らかにこれは行き過ぎではないかというふうに問題にしている。そういう解釈をされますと、これは日本人というものがアメリカ軍によって勝手なことをされるということになる。この点について「合衆国軍隊の構成員の間の規律及び秩序の維持のため」——秩序の維持、構成員の間の規律、構成員同士の間の規律及び秩序ということは、軍隊上の規律のことであり、軍隊上の秩序のことであります。外部の人間ということは、どう考えてもこれは解釈の余地はありません。ましてここはちゃんと連絡をしてやれ、——「前記の軍事警察は、必ず日本国の当局との取極めに従うことを条件とし、かつ、日本国の当局と連絡して使用されるものとし、」と、こうなっている。今あげたこの二件の場合には、そういう連絡もされておりません。そうすると、なんですか、三沢基地及び佐世保基地の場合は、あなたの言うように、爆弾でも投げ込んで自分たちの構成員の規律及び秩序を破壌するおそれありと見てやったことなんでしょうか。
○高橋委員長 字句解釈の問題だと思いますが、この字句解釈について詳しい説明ができればせられるし、そうでなかったらあとからまた……。
○小島委員 関連して。今の答弁は、爆弾を投げ込んだ場合とか言うから、爆弾を投げ込むことによって生ずるアメリカの軍隊の間の秩序とか規律のあれが起きてくる。そういうことを意味していると解釈するんじゃないでしょうか。爆弾を投げたという事実だけの問題ではなくて、それによって生ずる結果として軍隊間の規律とか秩序というものが乱れてくるということも含めておるから、そういう解釈になるんじゃないですか。
○高橋委員長 委員長もそういうふうに解釈するのですが、字句解釈の点について問題があるようでしたら、詳しく説明してもらおうし、そうしてその点について万遺漏なきを期するため慎重を期せられれば、また文書なら何なり、あとからその点について統一解釈というか、それを……。
○羽山説明員 われわれが準拠いたしております。先ほど志賀委員御指摘になりました行政協定第十七条の実施に関し日米合同委員会裁判権分科委員会刑事部会において合意された事項というものの根拠が、ただいまのこの協定の十項であることは、お尋ねの通りでございます。これからアメリカ人がやった場合に限るんだというふうには、われわれは解釈していないわけであります。アメリカ人がアメリカ軍の秩序を破壌するようなことだけを意味しているんだというふうには解釈していないわけです。
○志賀(義)委員 たとえば日本の酒場でアメリカの兵隊がいろいろな事件を起こすようなことですね、そういうようなこともあるでしょう。しかし、あなたが言われるようなことだと、これはえらいことになりますな。あなたは、爆弾を投げ込まれてアメリカ軍の秩序がと言われたが、三沢基地の事件と佐世保基地の事件は、まさにそういう——それでなくとも、それに相当するような事件としてやったということになりますか。
○高橋委員長 ちょっと、条約局長が十五分ぐらいで参議院の大蔵委員会に入らなければいかないんだが、ちょうど今来られておりますので、条約局長に質問されることを先にしてもらって、法務省の方はお気の毒だけれども、ちょっと……。
○志賀(義)委員 条約局長はまたあとで来ていただくことができますか。
○中川政府委員 きょうは産投でやっておりますから、相当長くかかると思いますので、ほかの日でよろしかったら……。
○志賀(義)委員 それでは条約局長はよろしゅうございます。 刑事局長、あなたのおられない問にだいぶ困ったことが起こりました。例の日米合同委員会刑事部会における合意書のことですが、三沢基地と佐世保基地で——三沢基地では、日本人の学生が写真をとろうとしたのをピストルを突きつけられて——外ですよ、施設の中ではございません。外でやっていたのを、カメラをとられ、そのフィルムは抜き取られ、またカメラのバックに入れていた五千円がなくなっておるという事件が起こりました。それからまたNHKの方では、佐世保基地で、「日本ところどころ」の取材のために、市道の上から写していたのを、一時間ばかり連行されたわけなんです。警察の方に伺うと、任意出頭だということでありますが、これは記者クラブで非常に抗議をしております。佐世保の警察署も、行き過ぎだ、こういうふうに言っているのでございます。その法的根拠になりますのが、日米合同委員会刑事部会の合意書であります。これは最高裁の方から、刑事局長の名で通達をせられているのです。これは最高裁の刑事局長が来られてから伺いますが、いずれにせよこれが根拠になっているのですか、これは勝手に連行できるような合意書になっております。しかし、行政協定の第十項の(b)には、「その使用は、合衆国軍隊の構成員の間の規律及び秩序の維持のため必要な範囲内に限るものとする。」これは今あなたの留守中、課長さんに伺ったら、これは日本人にも適用できるのだ、たとえば日本人がアメリカ軍の基地の中に爆弾を投げ込んだような場合にはできる。それはあなたの個人的な解釈ではないかと聞いたら、法務省の公式見解である。こういうように言われましたが、それでいいんでしょうか。
○竹内(壽)政府委員 御質問の趣旨は、施設の区域外で日本人によって施設の内部あるいは施設に対して攻撃が加えられたり何らかの犯罪があった場合、駐留軍が、その犯人である者が日本人である場合においても逮捕できるかどうかという御質問かと思いますが、これは解釈上できるという考えをいたしております。その根拠は、今御指摘の十七条の十項(b)号でございますが、これをもとにして今御指摘の合意事項でその点を明らかにいたしておるわけでございます。
○志賀(義)委員 今問題になりましたのは二つあります。一つは「合衆国軍隊の構成員の規律及び秩序の維持のため必要な範囲内」となっております。この「合衆国軍隊の構成員」というものは軍人とか軍属とかいうものがございますね。そういうようなものになるわけだろうと思うのです。その「間の」というのは相互のという意味になるとすれば、これが日本人に適用できるかどうかという問題が一つ。 それから今刑事局長のお話にも、基地の施設に対して攻撃が加えられたような場合と言われましたが、佐世保基地に起こった事件、三沢基地に起こった事件、いずれもカメラで撮影しようとした。これは基地に対する攻撃であったというふうに刑事局長は判断されるかどうか。まして五千円をとられたことは、攻撃といかなる関連があるのか、その点をおっしゃっていただきたいと思います。
○竹内(壽)政府委員 今お話しの三沢基地の学生のカメラ事件、それから佐世保のNHKのテレビ、やはりカメラで写真を写しておったわけですが、この二つの事件、私は概略は承知しております。しかし、事件になったわけではなくて、従って正式に検察庁として取り調べをした案件ではございませんので、的確なる事実に基づいて意見を述べますことができないわけでございますが、私の聞いておりますことに間違いがないといたしますならば、NHKの方は、アメリカ軍が上陸しようとするところでありますか、船に乗ろうとするところでありますか、そういう情景を写しておったらしいのでございまして、その点で不審尋問を受け、さらに詰所に同行を求められて、事情を聞いて、あらかじめそれは連絡してやってもらいたいというようなことで、わかりましたということで話が済んだというふうに聞いておるわけです。それから三沢基地の方におきましては、何か学生が草むらのところから格納庫の方へ向かってカメラで写真を写しておったのですが、その写し方が望遠レンズか何かを使って写しておったようでございます。これは調べてみれば、写真コンクールのコンテストの写真をとりにきたらしいので、事柄はすべて氷解したわけでございましょうが、外形的な事実から見ますと、さく外のあまり人の通らないたけの高い草むらの中から望遠レンズを使って格納庫の方を向けて写真を写しておって、誰何されて逃走するというような状態が外形としてあるわけでございます。そこで、そのようなことは刑特法六条の疑いがその場合あると思います。調べてみればそうでなかったことはわかったわけですけれども、一応の形としてはあるわけでございまして、これも誰何をするときにピストルを上へ向けたというような話でございますが、この誰何の方法が軍の憲兵としてのやり方として適法なものであったかどうか。これは適法なものであったというふうに聞いております。それから詰所へ同行を求められたのでございますが、これが現行犯逮捕として連れて行かれたのやら、任意同行という形で手続を進められたのやら、そこのところが、実は事件としてなっておりませんものですから、はっきりいたさないわけでございますが、おそらく三沢の方の憲兵の誰何をしたのは、望遠レンズを使って草むらの中から格納庫の方に向かって写真を写しておったという不審なる挙動、しかも誰何したら逃げたというようなことから、そういう事態になったのだろうと思います。こういう場合に、これを現行犯逮捕と見るかどうかという点がありますが、私は事実関係はよくわかりませんけれども、おそらく逮捕ではなかったのじゃなかろうかと思うのであります。かりにこの場合に逮捕したということになったならば、この協定に違反するかどうかということになる。かりに逮捕だといたしましても、そういう場合には、これは現行犯でございますから、刑特法六条の容疑のある現行犯ということで、これは何人でも逮捕できる。日本人でもしろうとでも、警察官でなくても、現行犯でございましたら逮捕できる。そのだれでも権限の範囲内で、周辺については特に日本の警官との間の取りきめに従うことを条件として認めよう、こういう趣旨に私どもは理解しておるわけであります。しかもその行動範囲というものは、日本人と同じように、現行犯ですからだれでも逮捕できるのですが、周辺において公権力の活動として動きます場合には取りきめに従ってもらいたいということ、それから、それも一定の秩序保持のためにやむを得ない限度にとどめる、その他は日本警官がやるという取りきめ、こういうことだろうと思います。
○志賀(義)委員 五千円は。
○竹内(壽)政府委員 五千円の点は、私はさっぱり事情がわかりません。これも先ほど申しましたように、警察でも調べておりませんし、事件になっておりませんし、検察庁にはもちろん送られてきていない、こういう状況であります。
○志賀(義)委員 警察でも調べていない点じ、やないのですよ。朝日新聞の七月十一日号に石岡三沢署長の話というのが出ておりますが、「ピストルをつきつけられたこと、金が紛失していたことは非常に遺憾だ。事件発生と同時に日本側にも知らせてもらいたかった。」こう言っておりますから、警察が問題にしていないのじゃない。非常に遺憾だと言っているのですね。 ところで、今あなたのお話を伺うと、もう現行犯だ、現行犯だと頭からきめつけられておりますが、望遠レンズで基地内を、よしんばたけ高い草の中から写したにせよ、それがここにいう「合衆国軍隊の構成員の間の規律及び秩序の維持」とどういう関係がありますか。あなたは挙動不審だとか現行犯だとか頭からきめつけておられるけれども、この場合に現行犯になる根拠はこの文句以外にはないでしょう。望遠レンズで見るのが「合衆国軍隊の構成員の間の規律及び秩序」にどういう関係がありますか。
○竹内(壽)政府委員 今の現行犯事件の警察の調べの点でありますが、私の申しておりますのは、刑事事件として取り調べ、そしてその処置を検察庁に事件送致をしてくるというような形の手続を踏んでおりませんので、警察の調書なるものも検察庁では知らぬわけでございます。従って、われわれにも情報として聞いただけでありまして、調べの内容はわかっておらないわけで、そういう意味で申し上げたのであります。 それから現行犯と申しましたのは、かりに現行犯だとしてもということを申したわけでございますが、どういう犯罪かという点につきましては、これは刑特法六条の容疑という意味で申したわけでございます。その六条の犯罪が、おそらくは調べてみたならば何でもないことになったことは先ほど申した通りでございますが、一応形としましては、今言ったような状況のもとにおいては、そういう疑いをかけられるおそれある行為であるというふうに見られる。その疑いをかけられる行為をしたために、その場合に、それを現行犯として逮捕をすることができるかどうかという問題につきましては、これは逮捕をすることも一応は可能であろうという考えを述べたわけであります。しかし、実際には逮捕をしたのではなくて、おそらくは同行を求めて事は済んだというふうに思うのでございますが、その辺は事実関係がはっきりしませんので、私どもも意見を正確には述べにくい状況でございます。
○志賀(義)委員 この協定は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定という非常に長いものでありますが、それの十七条十項の(b)と、刑事特別法と、法的根拠はどういう関係にあるのでございますか。
○竹内(壽)政府委員 この地位に関する協定の十七条の実施に伴って、ある種の施設の中へ入る行為だとか、証拠を隠滅する行為だとか、偽証の行為だとか、その他軍隊の機密を侵す行為だとかいうような一連の罪を定め、またその手続を定めておるのがこの刑事特別法でございますが、これはあくまで地位協定を実施していく上においてそれだけの刑罰的な担保を必要とするという考えに立った立法だと思うのでございます。十七条十項(b)号の趣旨は、要するに合意事項がこの趣旨を敷衍してその解釈を明らかにしたものと思うのでございますけれども、おそらくはここで書いてありますことは、構成員同士の事故であるとか、その他秩序維持のための必要な限度ということを書いておりますけれども、施設の内部に向かって犯罪行為が行なわれようとする場合、これを防衛する措置として、今の現行犯という限度において取りきめに従って認めようというのが合意事項だと思うのでございまして、それではどの条文をどういうふうに合意したのだと言われると困るのでありますけれども、おそらくはこの趣旨を解釈して合意されたものと思うのでございます。
○志賀(義)委員 そうしますと、刑特法の問題か出てきましたが、たとえば板付飛行場で翼の下に核兵器を持っているという場合に、小坂さんが外務大臣の当時ですが、あれは飛行機は別だと言っておられた。結局、アメリカの爆撃機であるということが飛行機の型からわかりまして、翼の下にそういうものを備えつけている写真が、衆議院の外務委員会に持ち出されたことがあります。核兵器が持ち込まれたとすれば、これは日本人としては非常に困ることですね。そういう場合にも、刑事特別法第六条によって、アメリカ軍の機密を暴露したものとして処罰の対象になるのでしょうか。これは川上委員が質問しております。飛鳥田一雄委員は、安保特別委員会においてU2型飛行機の問題を出しております。また、その格納庫の所在の基地の状況写真を出しておりました。これもやはり刑事特別法第六条の対象になると言われるのでしょうか。
○竹内(壽)政府委員 今の問題が六条に違反するかどうかということは、一がいに言えぬと思います。この六条の規定は、ごらんの通り非常にしぼりがかかっておるわけでございまして、ただ機密を探知収集したというだけではなくて、「安全を害すべき用途に供する目的をもって、」ということで、目的罪になっておりますばかりでなく、「別表に掲げる事項及びこれらの事項に係る文書、図画若しくは物件で、公になっていないものをいう。」となっておりまして、一つ一つは当たるかもしれませんけれども、おそらくは合衆国軍隊の安全を害すべき用途に供すべき目的というようなものは、その場合ないのではありませんでしょうか。そういうようなことから機密罪になるというふうには、そう簡単にはきめられない問題だと思います。
○志賀(義)委員 そうしますと、ピストルを突きつけてアメリカ兵が学生を連行した。あなたのおっしゃるところでは挙動不審と言い、現行犯というふうに——あなたはかりにというふうには言われなかったですが、もうそういうふうに頭からきめているのだが、あなたも日本人なんだから、そういう見方、そういうことでやられては困る。つまり「合衆国軍隊の安全を害すべき用途に供する目的をもつて」というふうなことも言われ、「公になっていないもの」というようなことも言われておりますが、こういうふうになりますと、アメリカの兵隊が、そういうことを写真をとっておっても、そういうようなことをするもんだ、こういうふうに思っている。望遠レンズでとったら、これは公にならないものをとったんだというふうにおっしゃるのですか。
○竹内(壽)政府委員 それはそういう意味で申したのではありませんので、私の想像しておりますことで申しておるわけでございますが、人のあまり通行しない草むらの中で望遠レンズを使って、そうして格納庫の方を向けて写真をとっておったということであって、そうして英語で誰何したのでございましょうが誰何しましたら、そのうちの二名の者が逃げた。そこで(志賀(義)委員「逃げますよあなた、ピストルをこうやるんだから」と呼ぶそういう状況が、疑われても仕方がないような状況であるということを申しただけでございまして、何も向こうに味方しておるわけでもない。ただ法律解釈の問題として申し上げておるわけであります。
○志賀(義)委員 それがおかしいんですよ。ジラード事件のあれを見てもわかります通り、アメリカ兵が誰何して、ピストルを持っておれば何するかわからぬということで、日本人の印象にはっきり焼きつけられております。それを法務省の刑事局長が、アメリカ軍の弁護をするのじゃないといって、一生懸命アメリカ兵のやったことを正当化しょうとしている。五千円まで盗んでいるじゃありませんか。どこを見たって刑事特別法の中に、そういう場合には金を盗んでもいいとは書いてないでしょう。そのことをあなたさっきから一生懸命逃げ回っているのだ。それはたな上げしておいて、アメリカ兵がやったことは当然だ、挙動不審だ、草むらの中の人けのないところから格納庫を写したらいけないのですか。何でもないことじゃないですか。しかも、こういうものの根拠になっている協定にちゃんとはっきりと規定してあります通り、アメリカ軍の構成員の間の規律及び秩序の維持、こういうことに限定されている。日本人に対して言っているんじゃないのですよ。区域の外から写真を写すということはいけないのですか。あなたの言われる通り、そうでないということがわかっているのでしょう。わかったならば、これは日本の政府から抗議すべきですよ。法務省から津田君が出て合意書にちゃんと合意をしておりますからね。そういうことについて私が申し上げるのです。
○高橋委員長 志賀先生、十二時になったのですが、今の問題は、具体的な個々の取り扱いの問題みたいに思われるのだが、この辺で一つこの問題は切り上げていただいたらどうかと思いますが……。
○志賀(義)委員 とにかく、私としては釈然とするわけには参りません。いつもこういうふうに金をとられたりするような場合がある。それはもう全然警察も窃盗罪としても成立しない。これはあなたのいらっしゃらないときに申し上げたのですが、捜査の期間ですね。向こうに、犯人が基地の中にいる。その事件が発生したことを通知を受けたときから、小犯罪は前は五日間、今は三十五年の終わりごろから十日間になっている。あっという間に時間が過ぎて調査もできない始末なんですよ。 それで最後に法務大臣に伺いたいのですが、こういうことでございますが、どうですか。アメリカ兵が学生の金を盗んだりしたこともあるのですが、そういう点については、もうちょっと日本の政府からしゃんとしてアメリカ軍に抗議をすべきことである。また、こういうふうな合意書、行政協定にまるでないようなことまでもこまかに規定してくるというようなことは、これは非常に困ると思う。未遂犯もやる、未遂だとして向こうが言ってしまったら、拳銃を使用しても、武器を使用しても仕方がないことになる。あなたも御承知の通り、アメリカ兵の強姦事件が起こった。これは向こうの方は何と言うか、これは公務中だ、こういうことです。幾ら何でも強姦が公務の中に入ってくるのは世界にありませんよ。そういうことを向こうは言ってくるのです。どうでしょうか、こういう場合に、もうちょっとしゃんとした抗議をすべきものじゃないでしょうか。五千円とられたのはうやむやですよ。
○中垣国務大臣 青森県の三沢基地の問題それから佐世保の問題、ともに今あなたの質疑応答を聞いておりまして、大体の事情はわかったわけですが、警察側の先ほどの御答弁の中に私が感じましたことは、幸いにしてこれは問題にはならなかったという点が、結論から言いますと一つあるわけです。従って、ピストルを放って誰何したというようなこと、これが適当であったかどうかというような問題、あるいはまた人権問題等にかかわるのではないか、そういうようなお含みもあったのではないかと思いますが、これは刑事局長の答弁によりますと、私が判断するのに、まあ逃げたりなんかしたからそういうことになったのではないかと思われます。 それから金を五千円とられたという問題であります。この問題は、警察側の話によりますと、とられたのかとられないのかはっきり確認をされていないようであります。ただいまの質疑の中では……。
○志賀(義)委員 警察署長が、非常に遺憾だということを言っているのですよ。
○中垣国務大臣 それでありますから、日にちが十日間で時効になってしまうというようなことから、この問題の結論まではっきりしなかったということで問題を残したようでございますけれども、金をとられたことも、そういうことは遺憾にきまっておりますけれども、また、ことさらにピストルを放たなくても任務の遂行ができたであろうに、そういうことも決していいとは私は思いません。少し向こうに行き過ぎがあったのではないかと思います。 それから、あとの問題でありますが、全般的な問題について、法務省として米軍に注意を勧告したらどうかということでございますが、これは一つ一つの問題について注意を勧告する必要があるかどうか、そういうことについて十分調査しませんと、事件ごとに全部これもあれもいかぬというようなことを、今ここで必ず注意を要請しますとはっきり私が申し上げるのはいかがかと思いますので、今後この種の問題につきましては、やはり一つ一つのケースについて、米軍の、もし、たとえば行政協定、合意書等についての行き過ぎがあったら、今後は注意をする。こういうことで一つ御了解を願いたいと思います。
○志賀(義)委員 最後に、先ほどお願いしておきましたが、三十五年、三十六年のアメリカ軍の要員の日本における犯罪の件数その他の状況を、前に三十四年主では提出していただいておりますから、それを出していただきたい。 もう一つは、先ほどの十項(b)ですが、アメリカ軍の構成要員の規律及び秩序の維持という点について、たとえば日本人が爆弾を投げ込んだというようなことを、あなたがいらっしゃらない前に課長は言われました。これは法務省の公式見解だと言われましたが、そういう見解があるならあるで、その公式見解を発表していただきたい。またなければ、その解釈について、正式の見解を発表していただきませんと、きょうのような質疑の中にもわけのわからない御答弁になるおそれがあります。重大問題でありますから、法務大臣もいらっしゃいますので、この点の公式の見解を一つまとめて発表していただきたいと思います。その上で、これらに関連する事件をなお伺いたいと思います。 きょうは最高裁の樋口刑事局長来ておられませんので……。
○高橋委員長 ちょうど参議院で関連質問があとからあとから出て、それで席が抜けられないそうです。
○志賀(義)委員 それでは、その点についての質問は保留いたしまして、一応これで質問を終わりたいと思います。
○高橋委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時八分散会