文教委員会 第4号
- 発言数
- 124 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1962/08/29
会議録
○床次委員長 これより会議を開きます。 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
○床次委員長 本案の趣旨説明は前国会において聴取いたしておりますので、これを省略し、直ちに質疑に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○床次委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 質疑の通告がありますのでこれを許します。八木徹雄君。
○八木(徹)委員 提案者に質問する前に理事者にちょっと伺いたいことがあるのでございますが、例の定数並びに何につきましては、五カ年計画で漸次すし詰め学級の解消をはかりながら前進をいたしておるわけでありますけれども、来年度は五カ年計画の最終年次に当たっておりますが、その計画通り、まずこれが完全実施をやる用意があるかどうか、その見通しについて、先に伺ってみたいと思います。
○福田政府委員 お尋ねのように、すし詰め学級の解消ということで、従来から五カ年計画で学級の定数を減らして参りました。来年はお話のように最終年度に当たるわけでございまして、本年は小学校五十四人、中学校五十二人ということになっておりますが、来年度におきましては、私どもは従来の計画の最終年度でもございますし、関係校と十分打ち合わせをいたしまして、五十人に小学校も中学校もこれを計画通りにしたいというので、今準備をいたしておるわけでございます。
○八木(徹)委員 さらに重ねて伺いたいと思いますが、これからさらに小中学校の生徒は急激に減少していくはずであります。三十九年度以降新たに五カ年計画を策定するといたしますならば、その期間中に生徒の減少数はどの程度あるか、それと同時に現在の教員配置基準に従ってこれを措置するといたしますならば、その先生の減少数はどのようになるか、このことを伺いたいのでございます。 なお文部省としては現行五カ年計画が終了した次の段階において、社会党からも出ておるような用意があると思うのでありますが、続いて新五カ年計画を策定して、この定数並びに教員の配置というものについて、抜本的改正を加える準備をしておるかどうか、心の用意があるかどうかお伺いいたします。
○福田政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、三十七年度と比較しますと、四十三年におきましては大体四百万程度と思います。三十八年までが第一次計画でございますので、二十九年以降四十三年度までの五カ年間に約三百万という減少が見込まれております。小学校におきまして百二十万程度、中学校において百八十万人程度でございます。従って今の一学級五十人という定数をそのまま維持したとすれば、約五万人くらいの教員の余剰が出て参るというような関係になると思います。従って私どもといたしましては、この生徒の減少いたします機会をとらえまして、第二次計画を進めたいと考えておるわけでありまして、いろいろその点につきましては検討いたしております。いろいろやりたいことがたくさんあるわけでございますが、学級定員を引き下げるという問題、あるいは小規模学校におきまする教員の配置をもう少し充実したものにするというような点、それから養護教諭、事務職員の充実といったようなもの、それから特殊な教科の担任教員をふやすというような問題、それから特殊教育の学級増設というようないろいろな要素がございます。これらのものは、やはりそれぞれ教育関係者から非常に熱望されている点でございますので、できる限りそういうような要望も取り入れました第二次計画を立てたいということで、今研究をいたしております。社会党の御提案の案は、一学級に四十人ということになっているようでございますが、そこまで一挙にいけるかどうかわかりませんが、今検討中でございます。
○八木(徹)委員 それでは提案者に伺います。 社会党の原案では、今も局長が指摘したように、四カ年計画で一学級編制を四十名にする、こういうことでございますが、その四十名ということに選定した、提案理由の説明によりますと、いわゆる諸外国の編制基準と比較してそれが適当である、こういう言い方のようでございますけれども、四十名というふうにきめられた根拠並びに、諸外国との比較というお話がありましたが、諸外国とは、どこと比較してそういうふうに言われておるか、この点をまず第一点に伺いたいと思います。
○村山議員 四十名編制にいたしましたのは、国際水準に近づけるという考え方でございまして、御承知のように、イギリスの場合には、四十名以下というふうに文部省の施行規則でなっております。西ドイツの場合におきましても同じでございますし、フランスにおいても、文部省令で四十人以下、ソ連においても四十人以下というふうになっておりますので、文部省のわが国の教育水準という資料に基づいて、各先進資本主義や社会主義の国と比較をして、そういうような線をきめたわけでございます。
○八木(徹)委員 四カ年計画で四十名に実施していくというのには、当然年次計画というものをお立てになっておられるのではないかと思います。すなわちこれから児童の減少というものとにらみ合わしながら、おそらくは、賢明な村山さんのことであるから、それと対応しながら四十名にしていこうということであろうと思いますが、その四十名にいく過程というものをどのようにお考えになっておるのか、伺いたいと思います。
○村山議員 法案の中に出しておきましたが、まず三十七年度、本年度でございますが、これを五十名編制に引き下げる、三十八年度は四十八名編制に引き下げる、三十九年度はこれを四十四名編制にしていく、そして四十年が四十名編制という形で持っていくように計画を法律で立ててあるわけでございます。
○八木(徹)委員 その計画で、もちろん教職員の配置基準の問題が別途あるわけでございますけれども、この教職員の配置基準を、かりに現行のままにやるといたして、生徒、三十七年度五十名、三十八年度四十八名という今の言われ方で、財政的にどれだけの財源が必要であるか、伺いたい。
○村山議員 本年度三十億、三十八年度二十七億、三十九年度が五十二億、四十年度が五十四億、四十一年度が十九億、これは現行の給与単価に基づいておりますので、今度人事院勧告が実施されるということになりますと、これよりも一高くなると思います。
○八木(徹)委員 ここで理事者にもう一回伺いたいと思いますが、唐突にこう言っても計算ができないかもわかりませんが、今村山委員の発言しておる財源というものは、現行給与体系で、現行配置基準で正しいものであるかどうか伺いたい。
○福田政府委員 今財源計算をお伺いしたわけでございますが、私どもは以前概算したことがございますが、それによりますと、昭和四十一年度までに教員約十四万人を増加するような計画ではなかろうかというように概算いたしたわけでございます。それに必要な財源は約五百五十億、負担金にいたしますと、その半額でございますので、約二百七十五億というような計算になるようであります。今お尋ねの点でございますが、教員十四万人増という点につきましては、今の基準を若干下げるといたしましても、やはり相当無理があるのではないかと私どもは見ておるわけでございます。
○八木(徹)委員 重ねて提案者に伺いますが、第二の問題というのは教員の配置基準であろうと思うのでございますけれども、提案者の方は、現在の教員の週労働時間が非常に長過ぎる、世界的な趨勢からいっても、これを一つ週四十時間制の実施に踏み切るべきである、そういうふうに言われておるわけであります。もちろん先ほどのお話によりましても、定数を変えることによって昭和四十一年に十四万人相当の人間が必要である、こういうことのようでありますが、十四万人の上にこの週四十時間制の実施ということになりますと、それに伴う先生の数は相当大幅にふえるのではないかと思いますが、それに伴う先生増をどのように見、その財政負担がどのようになるとお考えであるか、伺いたいと思います。
○村山議員 この法案は、御承知のように一週四十四時間ということで計算いたしております。四十時間制というものは将来の問題として残してあるわけでございますので、その計算はいたしておりません。従いまして、現在四十四時間という勤務時間の中において、小学校は二十二時間、中学校は二十時間、御承知のようにさきの国会で高等学校の定数法が成立いたしました際において十八時間以内というふうに、一人当たりの授業時数がきめられておりますので、それにつり合いをとったものとして、その時間数の上から教職員の配置数が規制してあるわけでございます。
○八木(徹)委員 人数はどのくらい……。
○村山議員 だから、四十四時間でずっと計算がいたしてございますので、四十時間では計算はしてございません。まだ政府も四十時間制に踏み切るということをはっきり結論を得ておりませんし、私たちもまだ四十時間制まで持っていくということは打ち出していないわけでございます。
○八木(徹)委員 それではこの際理事者に伺いますが、今の社会党の原案に基づく、いわゆる教職員の配置基準に基づく教職員定数というもの、現実の問題として、その養成計画なり、それに伴う財源というものを文部省側ではどのように認識しておるか、一つ……。
○福田政府委員 まだあまりこまかい点について御説明を伺ったこともございませんし、私どもとしてあまり深く検討しておりません。従って先ほど申し上げた数字もごく荒っぽい概算でございます。ただ十四万人の教員増ということにつきましては、一方において生徒数が減りますので、それに応じて学級編制等の改善をいたしまして、養護教員をそれに充当するといたしましてもなお相当数の教員を増加しなければならぬというような状況で、一年の増加数にいたしましても相当な数に上ると思います。従って私どもとしては、これはやはり慎重に検討する必要があるのではないかというように考えております。今直ちにこれが実行できるかという点につきましては、まだ十分検討の余地があるということを申し上げておきたいと思います。
○八木(徹)委員 重ねて理事者に伺いますが、養護教員と事務職員を全学校に配置するということが望ましい、これはそれができればそれに越したことはないと思いますが、これについて文部省当局としてはどういうふうに考えておられるのか伺いたい。
○福田政府委員 養護教員につきましては、もちろん現在の養護教員の実情から申しまして不足なことは私どもも認めております。それからまた一方におきまして、県費負担の養護教員以外に市町村負担の養護教員というものが相当おるわけでございます。そういった意味で、市町村負担の養護費をできる限り県費負担に切りかえていきたいということを私ども念願といたしております。そういった意味で今後養護教員の充実をはかっていきたいと考えております。ただ学校の各種の職員の中にはやはりバランスをある程度とった整備ということが必要でございます。養護教員のみを推進するというわけにも参りません。従って今後この学級の定数の改善に伴いまして、それと並行しながら養護教員、事務職員等を充実していきたいと考えておりますが、さしあたり養護教員といたしましては三十八年度以降五カ年計画ぐらいをもちまして、大体の数が五千人くらいになると思います。少なくとも小学校の児童九百人に一人、あるいは中学校の生徒にいたしますと千二百人に一人ぐらいの割合までには当面の目標として充実していきたい、こういうような計画を持っておるわけでございます。
○八木(徹)委員 最後に提案者並びに文部当局両方にお伺いいたしますが、学力の向上のためにいわゆる定数法、教職員の配置基準ということが非常に大きな要素を持つということは当然でありますけれども、同様に教師の資質の向上ということがまた同様のウエート、あるいはそれ以上のウエートを持つのではないかと思うのですが、それらの資質向上のためにどのようなことをお考えになっておられるか、提案者並びに理事者両方に伺いたいと思います。
○村山議員 この法律案に直接関係はないと思いますが、現在その教職に関する専門科目を履修をいたしました国立大学の教員養成の学部の学生を除きましても四万八万五百十名という有資格者が毎年出るわけでございますが、そういうような点から、これらの人々を年次計画によって教壇に立たしていくという格好になってくると思うのであります。そうなって参りますと、現在教職員の一週の勤務時間というものが、十一時間も法定時数の四十四時間よりも上回っているという実態にございますので、これでは雑務に追いかけられているという状態でありますから、四十四時間の中において勤務原則を明らかにしていく中で、その教職員の自己研修の時間というものをふやしていかなければ今日の新しい教育水準を十分に全うすることはできない、こういうような考え方に立っているわけでございます。そういうような教職員の研修の時間を十分に与え、学校運営が正常化されていくような格好に持っていきたいという念願でおるわけであります。
○福田政府委員 お尋ねの件でございますが、特に新しい教員課程を実施いたしまして、小中学校等における教員の研修につきましては文部省といたしましては非常に重要視しておるわけでございます。従いまして新教育課程の実施に伴って教員の資質の向上、再教育という点につきましては、都道府県の教育委員会等と密接な連係を保ちまして都道府県においてもこれを実施してもらう、文部省においても直接講習会、研修会等を催しまして、できる限り新教育課程に沿った教員の資質の向上と実技の向上のための講習会というものを計画して実施しております。また高等学校等におきましても、来年から教育課程の改正に移るわけでございますが、これに伴いまして一般の教員の資質向上という講習会のほかに、特に高等学校段階におきましては産業教育等のいろいろな実技の講習、あるいは会社、工場等に参りまして実際の技術を身につけてくるというような内地留学生というようなこともいたしまして、今後それらの諸施設をだんだん拡充して参りたいと思います。従来もそういうことをやって参っておりますが、今後もこれらのいろいろな施設をさらに拡充しまして、今お尋ねのありましたように方向に沿うように講習あるいは研修等をさらに充実して参りたいと考えております。
○村山議員 ちょっと取り落としましたが、小学校、中学校の新しい教育課程が実施されていることは御案内の通りでありますけれども、その新しい教育課程の実施されるのにあたりまして、各学校ともそれぞれ教授時間数というものがふえたのであります。そのふえた分に見合う教職員というものは一人も配置してないというのが今日の実情でございますので、それをやはり是正していかなければ教育の効果が上がらないということであります。 ————◇—————
○床次委員長 この際、小委員会設置の件についてお諮りいたします。理事各位と協議の結果、小委員八名よりなる文化財保護に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○床次委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 なお、小委員及び小委員長の選任につきましては、先例により委員長より指名いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○床次委員長 御異議なしと認め、小委員に、 上村千一郎君 坂田 道太君 田川 誠一君 中村庸一郎君 濱野 清吾君 小林 信一君 高津 正道君 山中 吾郎君 以上八名の方々を指名いたします。 なお、小委員長には中村庸一郎君を指名いたします。 次に委員の異同等に伴う小委員の補欠選任並びに参考人より意見を聴取する必要が生じました場合には、その期日、人選その他所要の手続につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○床次委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 ————◇—————
○床次委員長 次に、学校教育に関する件につきまして調査を進めます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。村山喜一君。
○村山委員 初めに高校急増対策の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 ちょうど八月の七日でありましたか全国の知事会が開かれて、そこで高校急増の問題について計数的に、どうも文部省の急増対策の計画と都道府県の計画の間にズレがあるので、この問題について調整をはからなければならないというようなことから、お見えになっております杉江管理局長、それに自治省の奥野財政局長、それらの方々を入れて都道府県側との間において話し合いがなされたようでございます。結局そのときの新聞の記事によりますと、文部、自治、大蔵三省で校舎の構造比率の問題から折衝を初めているが、補正予算については望み薄である、そこで来年度予算の概算要求にはできるだけ盛り込みたい、また進学率、事業計画は早急に再検討して結論を出したい、こういうような記事が新聞に出ております。その後都道府県の方からの陳情書をいただいたのでありますが、三十七年度の都道府県の高校急増対策費は四百二十九億五千九百万円であります。それに対しまして政府の急増計画は二百二十一億円で、その差が二百八億円という開きが出てきているということであります。こういうふうになって参りましたのはいろいろ原因があるわけでございますけれども、まず第一に問題になりますのは、進学率の押え方というものを国の急増計画では非常に低目に押え過ぎていたのではないか、それに収容計画の上において非常に実情を無視したところの計画がなされているのではないか、第三点としては、事業量の見積もりが非常に過小であったのではないか、こういうようなことが考えられるわけでございますが、今日まで関係者との間において、それらの進学率の問題なりあるいは収容計画の問題、さらにまた建物の構造比率の問題等につきましていろいろ協議を重ねておいでになったと思うのでありますが、もう来年度の予算要求を目の前にいたしました今日の段階においては、当事者の間において、この問題についてはこういうような結論を得てやろうではないかという最終的な段階の結論が出ておらなければならないと思うのでありますが、自治省、大蔵省との間におけるそれらの話し合いの結果は今日どういうふうに相なっているのかということを、まず第一にお伺いしておきたいと思います。
○杉江政府委員 ただいまお話しのように、急増対策についての実際の実施状況についての資料がおおむねまとまりましたので、その実際の計画と政府計画とのズレについて検討しているわけでありますが、いずれにいたしましてもまだ結論は得ておりません。進学率につきましても、これは府県の計画についていろいろ検討すべき問題がございますし、また事業量の問題についても、そういった各府県の計画についてなお十分検討しなければならない点があるわけでございます。たとえば前向きをどの程度やるべきか、新設、既設の間の計画をどのようにすべきか、なかなかむずかしい問題を持っておるのであります。単価、構造比率、まあ構造比率については、おおむねその相違のよってきたる基礎となる数字もはっきりいたしておるのであります。たとえば単価についても、これは一般に政府計画を上回わる単価でやっていると思われますけれども、なお実際の計画はどのようになっているかということについては、実はいろいろな数字が出ておるのでありまして、検討しなければならぬ多くの問題があるわけでございます。もちろんこの高校急増対策についてはっきりした見通しをつけ、ことに来年度予算要求においてどうするかということは、ただいま予算編成期にもありますので、早急にそれらの検討を終えて結論を出すべき時期にもあるのでありますけれども、ただいまのような問題がありまして、これについてはなお関係省と十分打ち合わせて協議する必要がある、また数字の内容につきましてもよく検討し、十分どうあるべきかという考え方を含みながらその政府計画の再検討ということを進めていかなければならない、こう考えてただいま検討中でございます。
○村山委員 管理局長の答弁は結論らしいものは何もないのです。あなたは検討されるその内容的なものを説明されたわけですが、私が聞いているのは、その急増対策について、問題点を大きく分けていった場合には、進学率の問題がある、これはあなたのところの所管ではないかもしれません、それは初中局の問題になるだろうと思うのでありますが、急増計画で初め文部省が見て参りました昭和三十五年度というものを基準にして、それが六〇%でありますから、その六〇%を三十八年度においても六〇%の線で据え置いて、それから以降においては一・五%ずつ進学率が向上していくものとして百二十三万人の収容計画を立てたわけであります。ところが実情はそうじゃないということが判明して参って、今日においては三十六年度において六二・三%、三十七年度においては六五・八%という実績を示していると思うのでありますが、そういうような進学率の問題については、自治省あるいは大蔵省の方は文部省のそういうような実態というものと、最近における後期中等教育を受けていなければ将来生活をしていくことができないのだという、国民的なそういう教育向上の要望というものにこたえて参るために、文部省だけは正しくその実態というものを受けとめて、中学浪人が出ないような格好の中で努力をされているものだと思うのでありますが、そういうような線から考えていった場合に、文部省のいわゆる改定計画というものはどういうふうになり、その改定計画を今自治省と大蔵省にどのように折衝をしているのかという実情をこの際明らかにしていただきたいと思う。
○福田政府委員 進学率の問題が出ましたので、私からお答えを申し上げたいと思います。 お述べになりましたこの進学率の問題でありますが、これは前にも申し上げたのでありますが、三十八年度の進学率を一応六〇%と見込みまして政府の計画を策定したわけでありますが、各府県の進学率はあるいは若干上回るということもこれは当初から予想しておったところであります。しかしその進学率は上回りましても、政府が財政的に裏づけをして最低保障という考え方に基づきまして保障し得るものは大体六〇%だという計画でありました。従ってある県においては六〇%を上回るし、あるいは六〇%に達しないという県もあるかも存じませんが、しかし少なくとも三年間は六〇%に相当する進学生徒を入学し得るように、急増費において政府が財源保障するという建前でできておるわけでございます。従って、この点から申しますと、知事会等で御作成になりました進学率等は、いろいろ検討してみますと大体六三%を若干上回っている調査になっているようでございます。しかしこれもまだ非常に未確定要素が多うございまして、ある県のごときは従来全国平均の六〇%に達しない県で、この際大幅に進学率を引き上げてやりたいというような県も幾つかございます。それも二%や三%でなくて一〇%というような、非常に高い上昇カーブを画いた進学率でもって収容計画を一応計画するというような様子でございます。あるいはまた、ある県におきましては進学見込み数を上回る計画を立てている県もございます。そういった意味で、これはもちろん公立と私立の関係がいろいろ未調整な面があると思いますが、そういったことで、知事会のお出しになりました数字も、必ずしもそのままこれが確定した数字だとは私たちは受け取れない。そういった意味で知事会の方にもこれについての御検討を願っておるわけでございます。おそらく都道府県である程度固まって参りますのは、九月県会等において学級増がある程度はっきりきまるということによって進学率も固まってくるという考え方もあるわけでございます。おそらくそうなりますと、やはり九月以降に今の調査されております生徒数等もはっきりしてくるということになりますので、それを待ちまして私どもは進学率を検討したいと考えております。ただ、そういう事情でございますので、知事会でお調べになりました進学率も、各府県の実情もまちまち、それからまた自治省の方でお調べになった調査も各県まちまちでございます。文部省に参りました調査報告によりましてもこの点は相当まちまちな状態になっておりまして、はたしてどれを正確としてとっていいかというような内容のものでございます。従ってこれはやはり各県の計画の確定を待って具体的にこれを固めなければならぬというような考え方で、それを待ちまして私どもは十分検討したいと考えております。
○村山委員 進学率の押え方の問題は地方財政の状況——三十七年三月、地方財政法に基づく報告書というものがわれわれの方にも総理大臣の方から出されている。その中に、三十六年度までは確定をした数字として報告がなされて、三十七年度については文部省の方で現在資料を収集中であるということはわかります。しかし、三十六年度においてすでに国立、私立まで含めて、進学率は六二・三%であるという報告書をわれわれはいただいておる。三十七年度はさらにそれをオーバーしているであろうということは、全国的に見て最近の高等学校の進学率というのが一年に二%平均ずつ過去においても伸びているのですから、当然そういうようなことが予想されるわけです。そういうような数字に基づいて文部省は当然後期中等教育の完成といいますか、そういうような、教育を国民教育という立場からやっていくんだということで、それらの父兄の要望あるいは教育団体の要望、教育行政機関の要望というようなものにこたえて、あなた方が当然この問題については積極的な姿勢で全体の政府計画を修正をするという立場をおとりにならなければ、文部省の立っているところのゆえんがわからなくなってくると思うのであります。過去においても荒木文部大臣が、大蔵省に負けましたということを言われましたけれども、現在の都道府県の要望する点や、あるいは教育委員会あたりの要望する補助方式という方式から、起債プラス交付税方式という方式に今日において移っている。それは文部省の指導権というものをほかの官庁に譲り渡したというような点が確かに私はあると思う。そういうような主体性のない行き方というものに対して、大臣はこの際、こういうふうに考えておるのだという自分の考えておるところを率直に国民の前に明らかにしていただきたいと思うのですが、進学率の改定の問題については大臣どうですか。
○荒木国務大臣 今お話しの通り、当初わずかながらも補助金を出すことによって教育目的を果たしたいという考えで二カ年連続予算要求をいたしましたが、御案内の通り、現在の制度論としては高等学校の設置義務者は国にあらずして都道府県なりという建前論からいたしまして、この壁は突破できませんでした。そういう内容をもって内閣としては高校急増対策に立ち向かうということに相なりましたことは御案内のごとくであります。そこでやはり財源の裏づけ方式としましては、交付税プラス起債というやり方で今後に対処していくという考え方には変わりないのであります。さらに進学率につきましても、先ほど来政府委員が申し上げましたように、個々の都道府県の実態を調査して正確にこれを把握して、国の立場で計画的に三年間のピークを見通していかに配分し進学率を受けとめるべきかということは、いましばらく時間をかしていただいて検討をする必要があるようであります。抽象的に申せば、事情の許す限りなるべく進学率を国民の希望に合わしていく、しかし一方義務制でない以上、能力に応じて進学するという立て方はくずすわけに参らないと思いますけれども、この範囲内において事情の許す限りなるべく進学率を満足させる方向でものを考えねばならない、かように思っております。
○村山委員 国民の後期中等教育に対する熱望というか要望というものを大臣は率直に受けとめていただいて、すでに東京都あたりにおいては七〇%を突破するような進学率を示しておるわけですから、そういうような点から考えまして、青森県のように三二・六%というような一これは三十五年度の統計でありますが、そういう実情にあるところの地域の高等学校教育というものを引き上げ、全体的なレベルの中において日本の後期中等教育を引き上げる中からこの問題を突破口として切り開いていくという決意を、国民の立場においてあなたがお立ちになる以上は、すでに策定を見ました政府の急増対策というものはそこにも矛盾があるわけでありますから、それを積極的に閣議の中で発言をしていただいて、そして予算を裏づけをしていただいて、後期中等教育の完成をはかってもらうように努力を願いたいと思う。この点は要望申し上げておきます。 この際自治省にちょっとお尋ねをいたしておきたいと思います。それは、本年の政府の計画で百五十四億円という措置がなされましたが、そのほかに用地費が別に起債として見られておるようであります。その百五十四億のうちの九十一億は、地方交付税に基づいて一般財源として各府県に充当をするということになっておりますが、地方交付税の配分の測定単位というものはどういうふうになっておるのかということをお尋ねをいたしておきたいと思うのであります。その算定方法は都道府県の三十五年度の進学率を基準とする実績主義に基づいて算定されておるのではないか。そうなって参りますと、三十五年度において東京都の場合の実例は六八・三%ということでございます。東京都は不交付団体でございますが、交付税を受けている府県の中でいろいろ調べてみますと、京都、広島、これは五八・五%という実績を持っている。それに対して青森県は三二・六%という全国で一番低い水準を持っているわけであります。そのような方式によって、今後においてもやはり今大臣がお話しになりましたように、残念ながら起債と交付税方式というものにたよらなければならないだろうということで、来年度以降の問題についても触れられました。そうなって参りますと、実績主義というものをもとにいたしまして、この交付税の配分をなされるということになりますと、そこには今後においてますます地域格差というものが拡大をしていくという傾向が出てくると思うのであります。そういうような点も、あなた方は教育的な立場においてどのようにお取り上げになって適正をはかろうとしておいでになるのか、その点をお聞かせ願いたい。
○茨木説明員 お答え申し上げます。問題は二つございますが、前提として申し上げたいことは、今度の急増対策計画の考え方でございますが、一応私どもとしてこれをとっておりますのは、先ほどもちょっと触れられましたが、従来は百七十万程度の中学校卒業生の生徒数であったものが、三十八年度に二百五十万台に急増する、過去の例を振り返ってみますと、二百万台というのが過去の規模の中で一番多い中学卒業生の数でございます。従って約五十万程度のものが急増してくる、こういうような考え方をいたしております。今度急増対策として取り上げますのは、その分について重点を置いて考えていくという考え方を基礎に置いて考えております。それぞれの個々の団体をとってみますと、進学率というものが非常に違っております。またその進学率の内容も、公立と私立を加えましたもので見る場合と、公立だけでいきます場合とによって、相当違って参ります。たとえば東京都のようなところをあげますと、三十五年の公立の進学率だけをとってみますと二五%でございます。それに私立学校が相当ございますので、ただいま先生がおっしゃいましたような進学率になっておるわけであります。逆に一番貧乏県と思われております鳥取県のようなところが五〇%近い公立の進学率を持っておるということで、一番高い率になっておるというようなことで、相当個々の団体の過去の公私立のいろいろな政策あるいはその地方の方々の生徒を高等学校に進めます意欲、こういうようなものが総合的に現われまして、現在の格好になっているのではなかろうかというように考えております。 そこで一応急増対策として取り上げますものは、全国一律的な考え方で原則としては考えていくということで、ただいま御意見にもありましたように、一応三十五年を基礎にしまして、三十八年度の政府全体計画から割り落としました生徒数の増というものを見て、それで九十一億を割り返した単位費用ということになりますと、生徒一人当たり一万六千円ほどの単位費用が出ますが、それを三十五年度の個々の団体の進学率を基礎にいたしまして、やはり三十八年度の増加生徒数というものを推定いたしましてかけて参る、そういうものを基礎にとっております。ただし今言った公立を中心にいたしますので、公立の進学率で見まして三十五年度でとりますと平均において三五%になります。それより低い団体につきましてはやはり多少回復をおはかりになるものというふうに考えておりますので、その二分の一は補正係数として補正をして参るというような考え方をとりまして、三五%未満の団体につきましては三十五年度進学率をそのまま持ってこずに、その三五%の差の二分の一程度を回復するというような前提の推定を入れまして、三十八年度現在の進学率を計算するという措置をとっております。でありますから、一応急増対策側として見ますと、ある程度のものはその期間に回復し得る、こういう考え方をいたしておるわけであります。 それからもう一つ一応この政府計画に入ります数字としましては、そういうふうに考えていきますと、私どもいろいろ公共団体にお話をして参ります態度としては、先ほど一番最初にちょっと触れましたように、政府の方の財政措置としていろいろお世話をするというのは、今言った急増部分というものを中心に考えていくのだ、こういう考え方を基礎にとります関係上、それぞれの団体が従来おくれておるからこの際回復いたしたいというようなものにつきましては、それぞれ個々の団体の独自の政策としておやりになっていただきたい。それはまた個々の団体によって数字の伸ばし方も違ってくるでありましょうし、財源もどれを使うかというようなことについてもまた違って参るのではなかろうかと思うのでありますが、そういうような考え方で指導いたしております。過去三十年ごろから三十五年までの間をとってみましても、一年間に平均一万五千人ぐらい生徒の収容力が伸びております。パーセンテージに直しますと、約一%足らずになりますけれども、その程度のものが収容力として伸びております。これも今回とりましたような急増対策というような意味の別途の手当というものをとらない通常の交付税の仕方あるいは普通の財源の世話、こういうような点で順次伸びて参っているわけでございます。でありますから、従来の交付税の見方等はそのまま据え置いておりますので、従ってその程度のものはやはりこの急増期間中といえども公共団体として独自の政策としてお伸ばしにるる分については財源を充て得るもの、こういう考え方をいたしておるわけであります。先ほどお話のございました知事会の調査の数字等も私どもいろいろ吟味いたしておりますけれども、やはりその中には今言った急増対策として政府でとるべきもの、それからそういう過去の例に照らしましても、自然増等で順次改善して参ったものとみなすべきもの、もう一つはこの急増対策というものに刺激されまして、全国平均よりも自分の県が非常に落ちておるというような点から、この際独自の政策として回復しなければいけないということで、相当伸び率を強く出しておる県が相当ございます。そういう数字も全部含んだ数字で四百億をこえるという数字になっておるわけでございます。でございますから、いろいろ内容の中にはそういったものが含まれておりまするので、従ってその中の政府計画として取り上げましたものとの関係で、どう政府計画を進めていくかというような問題については、文部省の方から御答弁がありましたように、いろいろ慎重に検討して参らなければいかぬのではなかろうかというふうに考えております。
○村山委員 説明を聞きますと、公立の進学率が三五%以下のところについては二分の一の補正係数を用いて特別な措置をする、しかしながらこの急増加の期間において一挙に全国平均に近づけたいというところは、地方独自でやってもらうのだ、こういうような説明のようにお伺いをしたわけですが、自治省といたしましてはどういうようなところにねらいを立てておいでになるのか。たとえば急増対策計画の中で六%という数字をもとにしたということになると、それを上回っているところは一応その都道府県の財政力にまかせて、それよりも低いところは教育水準を引き上げていくのだということで、どの点まで、たとえば三五%台を六〇%まで持っていくのは無理だ、五五%ぐらいに持っていくのだ、こういうような意図的な計画というものがあるのかないのか、今のところでは三十五年から三十八年までの、三十五年の実績と三十八年の計画に基づいたものを基礎にして配分をしているのだということでありますが、そうなって参りますと、都道府県によって、熱心な県とそうでない県が出てくると思うので、そうなってくれば当然一定の行政水準を維持するというのが自治省の基本的な立場にならなければならない。当然高等学校の進学率というものはどの線まで何年度の場合には引き上げていきたい、こういうような一つの計画というものを自治省自身としてもお持ちにならなければならないだろうと思うのです。そこでそれらについての一応の計画をお立てになっているのかどうか、その点を明確にしていただきたい。
○茨木説明員 これは全体計画といたしましては、当然政府としまして関係各省において相談の上決定いたしましたこの計画に基づいておるわけでございます。ただいま六〇%台というふうに議論されております場合は、公立、全日制から定時制、それから私立全部含めましたパーセンテージで議論されております。その中を分析してみますというと、公立では先ほど申し上げましたように全国平均三十五年で三五%という率になってくる、こういうように了解しておるわけでございます。交付税の配分の基礎数字としては、できるだけそれぞれの個々の団体の動向なり意欲がどうかということでなくして、客観的な数字で扱っていく、こういう建前になっております関係上、三十五年度の基本進学率というものを基礎にいたしまして、それを三十八年度の中学卒業生に適用してみた場合には、それぞれの県において何ぼ生徒数がふえるかということを基礎数字に使うわけでございます。ただ三五%以下の団体については多少そこを割増し的に見てあげないと困るだろうということで、今の二分の一の数字を進学率についてその差を短縮した進学率を使う、こういうような操作を加えたわけでございます。
○村山委員 茨木さんは三五%、三五%ということを盛んにおっしゃるけれども、三五%という数字は全日制の高等学校の進学率じゃございませんか。あなた方が地方財政法に基づいて報告書としてお出しになった、その公立の進学率というものは、内閣総理大臣から議長を通じてわれわれに配付されたのでは、三十五年度は五六・一という進学率なんです。あなたがおっしゃる三五%というのは、それは確かに全日制の高等学校の進学率です。それは間違っておるじゃございませんか。その点はどうですか。
○茨木説明員 進学率の場合は先ほど申し上げましたようにいろいろ数字があるわけでございますが、私立の場合については、財政上の措置というものは別途違ったものになって参ります。従って主としてわれわれが大部分取り扱って参りますものは公立のものということに相なるわけでございます。公立の中でも全日制の校舎ということが中心に相なってくるわけでございます。従って今の交付税の配分のときに用います進学率というようなものは、全日制の進学率というものを中心に考えて参らなければいかぬということになると思います。そういうことで全日制の進学率を申し上げたわけでございます。またそれを使っておるわけでございます。
○村山委員 あなたが三五%という数字は、当然全日制の高等学校の進学率を見ておいでになっての話なんです。私が言うのは、全日制といわず定時制といわずこれはやはり高等学校なんです。働きながら学ぶ者は当然定時制の高等学校にいくわけです。そういうようなのまで考えなければ——全日制にいくだけが高等学校の進学率だというようなことでこの問題を規定づけておいきになると、高等学校教育というものはエリートの、いわゆる特権階級に属する者の教育をやるんだ、そういうような意識になってしまう。その点は御注意を願いたいと思うのですが、一応あなたに対する質問はこれで打ち切っておきたいと思います。 次に、資金課長がおいでになるようでございますから、大蔵省にお尋ねをいたします。 ことしの政府の急増計画の百五十四億、この中身は一般校舎が百十五億、一般設備で十二億、産振で二十七億、こういうことになっているようでございますが、このほかに五十七億でございましたか、土地の造成の用地費の地方債分があるわけでございます。これは初め計画にはたしかなかったと思うのですが、この用地費は今後においてどういうふうに持っていかれるおつもりであるのかということを一応承っておきたいと思うのであります。というのは、計画の中において、五十七億というのは九十九万坪の用地費として積算をされているようであります。ところが都道府県の場合においては用地費としてそれよりも二十二億プラスしたもの、政府の計画の九十九万坪よりも七十一万坪多く要求されているようであります。それが実情だということになっているのでありますが、その点については今後においてこの起債ワクというものをどういうふうにふやしていくのか、その見通しをお立てになっておれば明らかにしてもらいたいと思う。 それと、文部省の方にお尋ねしておきたいと思いますが、在学生の数の押え方において公私立学校において二十四万人の差が現実に都道府県との間において、実数の上から出ている。公立だけで見ると十六万人の数の違いが在学生の面において出てきている。そして施設の中においてすし詰めというものを今度の急増で考えている。新設は五分の一程度、あとはすし詰めでいくのだというようなことで、一割増という計画が立てられているわけであります。その一割増が現実においては三十五年度の場合、五十名編成の場合においてもすでに一・五人というものが現実に増員された形で、定数よりもふえた形で収容がされて、それが大体三%に当たる。現在の二十坪教室においてはどんなに詰めてみても最高五四・一人しか一教室に詰められない。四十名編制の職業課程の高等学校にありましては、これはほとんど一〇%、一割は現在の定員数の中においてももう十分詰め込んである。そういうような詰め込んであるという実態を忘れて、定員通りに五十名は五十名、四十名編制のところは四十名で収容をして、そうして教育をなしているのだという計算を立てられて、そうしてなおそこには一割ぐらいのすし詰めをやっても大丈夫やっていけるであろうという机上の計算をされた。その机上の計算の結果は公私立合わせて二十四万、公立だけで十六万という差が出てきた。その差の上にさらにあなた方が一割すし詰めをお考えになるとするならば、それはとうていその学級に収容できないことになってはみ出てしまう。だから一割すし詰めというのはせいぜい考えてみても七%程度しかできないのであるという、そういう実情を、われわれも府県のそういう生徒を収容している実情から打ち出しまして、そういうようなことになるだろうという想定を十分に経験的に下すことができるのでありますが、その在校生の押え方、すし詰めの持っていき方ということによって計画がまた大きく狂ってくる。その実情をどういうふうにあなた方は把握されるのか、その点についてお答え願いたい。
○福田政府委員 知事会の調査の部分的な状況も伺ったのでありますが、これは全体の資料ではないようでございます。従いまして私どもの方で計画しております大体一〇%程度既設の施設を利用して収容するという計画でございますが、これは計画の策定にあたりまして、各学校の学級数等を調査いたしまして、そうして既設の施設に収容し得るもの、あるいは定員の一〇%程度、一〇%にならないところもあると思いますが、一〇%までは収容し得るものというような、いろいろな要素を加味しまして調査した結果、全国的には大体計画数を収容できるという見込みで計画を立てたわけでございます。従って、知事会の御調査になりました十一県か十二県のごく一部分のサンプル調査だけでこれを判定するわけに参らぬと思いますが、しかし文部省に持って参っております都道府県の最近の計画によりますと、少なくとも三十八年度におきましては、文部省の計画しておりました以上に既存の施設を利用してこれを収容するという方に重点を多く置いておるようであります。そういったことから考えましても、部分的にはおっしゃるようなところももちろんあると思いますが、全体的に見ますと、私どもは今後の計画に予定数を収容するには差しつかえなかろうというように考えておるわけでございまして、その点につきましては、なお今後も私どもは状況によりましてさらに綿密な調査をしていきたいと考えておりますが、都道府県の計画は、今申しましたように、むしろ既存の施設あるいは学級増に重点を置いて十分収容できるという計画になっているようでございます。
○木野説明員 起債の話が出ましたが、三十七年度は百五十四億というのが事業でございまして、うち、先ほど話がございましたが、十三億は補助金、交付税で九十一億となっております。その残りの五十億、これをば起債として計上しております。これにつきましては目下検討中でございまして、早々に各府県の結論を出したい、こういうように思っております。 なお用地費につきまして話がございましたが、用地費は実は計画外でございまして、先ほど村山委員の方から五十億じゃなかろうかというような話がございましたが、実は数字もまだはっきりきまっておらない、五十億という線、四十億という線、そういったところではないかと思いますが、この辺も個々の状況に応じまして検討いたしましてやっていきたいと思っております。用地費は、起債の計画といたしましては計画外でございまして、金額、調達方法、その他今後の問題、個々に応じて検討していきたい、こういうように考えております。 なお知事会議の結果いろいろ陳情がございまして、先ほど内閣の案とだいぶんズレがあるじゃないか、違うじゃないか、その点どうかという問題がございましたが、これにつきましては文部省、大蔵省、自治省において検討中だと思いますが、それがきまりましたならば、起債の面におきましてもいろいろまた検討していきたい、こういうように存じております。
○村山委員 初めの急造計画の政府原案の中には、もちろん用地費の五十億なり四十億といわれるものは計上してないことはわかっているわけであります。そこで、その事業費の中に計上されております五十億というのは、これは施設設備の充実のためになされている起債でありますから、すでに事業計画の中で消化されている、こういうふうに承っておりますが、今話を聞きますと、五十七億——私たちが聞いているのは、五十七億というものが九十九万坪に該当するものとして、大体ワク外であるけれども、用意されておる、こういうように聞いているのですが、それがまだ数字が固まらない、起債の許可条件等もまだ不確定である、こういうようなことでありますと、その計画外の起債ワクというものが今後においてどの程度認められる可能性があるのか、そうしてそれは三十八年度だけじゃない、やはり今後においてもその用地費は、当然学校を建てる以上は地面の上に建てなければならぬわけですから、土地を買わなければならない。これは補助金をくれるのがあたりまえなんだけれども、補助金は見込みがないとすれば、起債でももらわなければやっていけないというのが実情だろうと思う。それに対して文部省の方は一体幾ら要求をされているのか、五十七億なのか、それともそれに二十二億を加えたもの、それだけを要求されているのか、一体どういうふうにあなた方はしておいでになるのですか。大蔵省の方はまだ未確定ですが……。
○荒木国務大臣 用地費につきましては、今の質疑応答でも明らかになりましたように、計画数字の中には入っておりません。ですけれども、ことしの一月二十何日かの閣議了解の場におきましては、数字的に書いてはおりませんが約八十万坪の用地を必要とする、それに対しては約四十億の資金が要るであろう。それは一般起債の問題として弾力的な措置を講じて支障なからしめるという意味合いの了解の上に立って、今日まで歩いてきております。−今の坪数は、百八十万坪の予定であります。
○木野説明員 用地費につきましては計画外であるということで、数字その他検討しているということを申し上げたのが趣旨でありまして、金額その他につきましては先ほど委員のお話がありましたが、また文部省、自治省とよく相談いたしまして、いたしたいと思っております。なおこれにつきましては、先ほど条件という話がございましたが、条件それから資金源その他いろいろございまして、もう少し検討いたしたい、また各府県の実情も十分に検討して進めていきたい、こういうように考えております。なお用地費につきましては新設校が主でございまして、三十七年度が山だ、こういうように考えております。
○村山委員 あとで大臣が訂正をされましたが百八十万坪、ところが都道府県の計画でさえも多い多いということをあなた方言われる。それは百七十万坪しか都道府県は要求してない。文部省は敷地だけはよけいやろうということで、百八十万坪という数字をお出しになったのですか。今資金源の問題が出ましたが、大丈夫ですか、大蔵省。その閣議が一月の閣議で決定をされた、ところがもう新年度になって、そうしてもう九月の風が吹こうとしている段階です。早くしないと校舎は一向建ちません、土地が買えないのですから。そういうようなところから今後どういうようなめどをつけて、大蔵省としてはこの対策を講じてくれるのですか。
○木野説明員 先ほど坪数の話がございましたが、知事会の方は全体で三十七年度これだけ要るんだということを言っているのでございまして、百八十万坪は全体計画だと思うのであります。それから資金計画につきまして、早くやらなければ間に合わぬじゃないかということでございますが、その点につきましては地方の状況を十分しんしゃくいたしまして、個々の実情に合うようにいたしまして、かつ間に合うように全力をあげていたしたいと思っております。
○村山委員 いつまで目鼻をつけてくれますか。——そうしますと、ことしの地方財政計画の中でちょっと自治省にお尋ねしますが、たしか一般寄付というのが、高等学校についての寄付金五十億円というものが地方財政計画の中に見込まれておった。この五十億円というのはおもに土地代であろうと思うのですが、そういたしますとその五十億のおもに土地購入費、それに起債ワク四十億、こういうようなことでやっていこうという計画なんですか、それともその五十億円という一般寄付の財政計画上の見通しというものは、これは地方財政法が禁じていない、新しい建物を作る場合には父兄の負担をさしてはならないということは禁じていないわけでありますが、そういうような点から校舎の建設費というものにそれを使っていくのであって、用地費の方に回していくものではないのだというふうな解釈でありますか。自治省はそれについてどういうような計画を立てておるのですか。
○茨木説明員 地方財政計画に寄付金の関係の話が出ましたが、それは別に高等学校の用地との関係でというものではなかったと思っております。高等学校の問題といたしましては、一応現在の政府計画を遂行するのにはあの当時の状況といたしましては五十億の起債と九十一億の交付税委譲のものと、それから国庫補助金十三億というものと、それから土地がワク外起債として別途扱うということでもって処理をいたす、こういうことになっておったわけでございます。特に高等学校問題について地方財政法そのものに現在寄付金等を集める禁止規定を設けておりませんけれども、ここ数年のわれわれの指導方針としましては、やはり公共団体で負担すべきものは当然公共団体で持ってもらうということで住民等に負担を転嫁しないというようなことを指導して参り、また本年度の地方財政計画の中におきましても、約百億ほどそういうものを解消するために財源を計上しておるわけでございます。でありますから、特にそういうようなものを意図いたしまして、地方財政計画を立てるというようなことは高等学校については寄付金は予定いたしておりません。
○村山委員 ちょっと自治省に言いますが、本年度の三十七年度の基準財政需要額であなた方が教育費の父母負担の解消分として見積もっておるのは三十九億、前年度において七十三億見積られて、それを足し合わせたら百億になるけれども、やはり今の教育費の、この文部省の三十五年度の地方教育費の調査によりますと、二百九十二億というものがやはり依然として父兄負担として残されておる。そしてこれは三十四年の決算額から見ましても、その当時は三十四年は二百三十二億だった。それよりもそういうような父母負担の伸びというものは五十九億も伸びておる。そういうような点から、あなた方が基準財政需要額の中で三十九億を見込まれましても、約二十億というものは父兄の負担というものがふえておる。それに高等学校の急増計画の中で明らかに五十億というものも、これは都道府県の計画の中にもあるように、父兄の寄付金として見積もっているじゃないですか。そういうような点から一体これに対するところの対策、特に用地費の問題については当然起債でまかなってくれなければ、なお父兄の負担によって学校を作らなければならない。こういうことになるから、ワク外の起債として認めてもらったということになるだろうと思うけれども、その見通しが依然としてまだはっきりしない。いつまでに消化してくれるのですか。
○茨木説明員 地方財政計画上、従来の住民の負担の解消財源として組んで参ったものについては、従来のものを調べて参りますと、建物関係のものも、ございますし、それからいろいろ旅費その他のような人件費的なものもございます。それは私の方でいろいろ調査をしてみますと、毎年相当の額に上る。そういう事態をできるだけ早く解消いたしたいということで努力して参ったことは御案内の通りでございます。今度の高等学校問題につきましても、やはりそういう観点からできるだけ適正な単価なり新増比率なり、そういうもので手の打てるものは打っていただきたいという考え方を持っております。と同時に、今の土地につきましてもできるだけ地方のものについては起債でいくという考え方をいたしておるわけでございます。これは今各団体から要望額をとっております。それを今整理いたしまして、近く大蔵省と内容の話に入る予定にいたしております。知事会の方の調査を見ますと、一応一般財源以外のものについて寄付金、負担金というようなもので予定しておるものが相当あるようでございます。ただこれはいろいろ現段階におきまするところの知事会の方に出て参った資料に現われたものでございますが、われわれから見ますとそのすべてとは申しませんが、はたしてそういうことでなければならぬだろうかどうかという疑念を持っているものも相当あるわけでございます。そうしてこの急増対策期間でございますので、国も非常に大へんであるが、地方も大へんである。その中においてなお進学率を回復していくのだということになれば、公共団体として現在持っている財源もそれに充当してもらってもいいだろうというような気持もいたしているわけでございます。別途知事会の方の話もそういう見方もあるという話をしておるのであります。大きな方向としましてはやはりこの問題をめぐって住民の方に負担が転嫁されるものはできるだけ少なくしていきたい、できるならばゼロにしたい、こういう気持でおるわけでございます。
○床次委員長 この際関連質問の申し出がありますのでこれを許します。小林信一君。
○小林(信)委員 まず初中局長にお伺いいたしますが、先ほど進学率の問題でいろいろ県の名前も出て参りましたが、進学率の非常にいい県は教育に熱心だというふうな話し合いがあったわけですが、ほかに何か初中局長として見方をしておられやしないかと思うのですが、お考えをまずお聞きしたいと思います。
○福田政府委員 別に特別な見方を私はいたしておるのではないのであります。
○小林(信)委員 大体大臣も言われましたように、高校の急増対策というものはすべて制度論で片づけられておる、だから文部省としてもさまざまな要求をしたけれども、これが貫徹できなかったというふうなお話があり、現にそういう形になっているわけですが、もっと制度論以外のもので問題を解決しなければならないので、文部省がもっと高校の実態というものをしっかりつかんでいく、その熱意というものが欠けているからこういうふうな暗礁に乗り上げているのではないかと思う。今のお話し合いを聞いておれば、自治省の方でも、あるいは大蔵省の方でも、文部省の何となく弱いところに乗じて地方の要望というものをできるだけ削っていうこというふうな印象しかわれわれは受けないわけなんですが、今の初中局長のお話でそれ以外にない、こういうふうなお話なんですが、こうやって全国の進学率というものをずっと見ていきますと、貧乏県ほどみな進学率が多いわけです。鳥取県の問題なんかもしかり。私の県の山梨県なんかも三位に入っておりますが、大体みな財政事情の悪いところが多い。こういうところは教育に熱心ということでなくて、自分たちの子弟を何とか一人前にするためにはせめて高校でも出しておかなければ山梨県あるいは鳥取県というようなところでもって生活することはできない。どっかに出すにはどんな苦労をしても高等学校の教育程度はさせなければならぬというやむにやまれない状態で出ているわけなんです。だから教育に熱心ということよりも、かえって貧乏県だ、貧乏なるがゆえにせめて子供だけはと……。従ってそういう貧乏県でもって教育施設を今進学率というけれども、進学率は、結局は収容能力に制約された進学率だと思うんですよ。決して父兄の要望するものに応じて収容能力が出ておるわけじゃない。しかしそういうふうな事情から、苦しい財政の中でも、そういう貧乏県がなるべく進学率を高めるような努力をしているわけなんですが、そういう点を考えれば、制度論というふうなものを何とか打破して、それ以上の地方の要望にこたえられるような努力がなされなければならない、私はこう考えておるわけなんです。私の県の実情を申し上げれば、農村の人たちが、テーラーを買おうか、テーラーを買うのをやめて子供を高等学校に入れようかというような姿でもって進学率というものが高まっているわけなんです。こういうふうなものを十分御考慮願えば、もっと積極的な対策がとられると私は思う。私は、おそらく初中局長もそれくらいのことをお考えになっておられるので、私の質問が悪いからそんなような御答弁をなさったと想像はいたしておりますが……。 そこで大臣にお伺いいたしますが、先ほど大臣が、国民の希望というものがある、国民の希望に応ずるような施策をすることが、私は文部大臣の責任だと思うのですが、その中で、能力に応じてという問題は考えなければならぬ、こういうふうに言われております。従って、国民の希望と能力に応じて、これを土台にして対策を考えていくのが、大臣のしなければならぬ仕事だと思うのです。もちろんその国民の希望というものも、いつか統計に現われているものでは、中学程度でよろしいというのが二%、大学までいかしたいというのが六八%、あとの三〇%はせめて高等学校にはいかしたい、これが国民の希望なんです。その中に、大臣の言われる能力に応じてという問題があるいは考えられるわけですが、その能力の問題も、私は一応大臣からお伺いしたいと思うのですが、どこでその能力の問題を限定するのか。 そこでお伺いしたいのは、国民の希望というものは、財政的な面で相当制約を受けるわけなんですが、ここに政府は所得倍増計画を持っておるわけなんです。国民の財政事情というものは現状ではとどまらないわけです。それが政府の方針であるわけです。従って所得倍増計画を持っておられる政府としては、どういうふうに国民の希望をいれられるような態度でおられるのか、これをお伺いしたいと思います。
○荒木国務大臣 お尋ねにお答えするためには、数字的にでも申し上げなければすっきりしないと思いますが、それは持ち合わせがございません。ただ一応連想しますことは、三十五年度の実績に根拠いたしまして、六〇%の進学率は確保したい。その三十五年度の六〇%の進学率確保というのは、実際の問題としますと、九十何%かの進学希望者を、国公私立を通じて収容し得ておる、そういう裏づけの実態も念頭に置きながら六〇%を押えれば、一応義務制でない高等学校という前提におきましては国民の希望にかなうであろう、そういう考え方に立ちまして、三十八、九、四十のピーク時も、せめてこの程度を維持したいということが、六〇%をとりました根拠であったと承知いたしております。全員入学運動等もございますが、運動としてはわからないじゃありませんけれども、希望するものをことごとく入れるについては、特殊教育もなし得るような完全な受け入れ体制がないならばやれないであろうということも当然考えられるわけでございますから、先刻、能力に応じてとも申したわけであります。六〇%を採用しました基本的な気持は、以上申した通りでございます。
○福田政府委員 私先ほどお答えしました点について、ちょっと補足さしていただきたいと思います。 進学率について特別なことを考えておりませんというように申し上げたのですが、先ほどお尋ねの中でだんだんわかって参ったのでございます。 その点についてお答え申し上げますと、私ども、急増対策について三十八年の進学率を六〇%と一応しておりますが、それにつきましても、各県の実際の進学率というものはいろいろ高低がございます。従って、今お述べになりましたような、全国平均を下回る、いわゆる後進県と申しますか、そういうところでは非常に低いところがございます。そういう地方におきまして、その地域の高等学校教育を普及発達させたいという念願は、県当局も住民もみな持っておるわけであります。従って、そういうものを拒否する考えは私、毛頭ございませんので、それはある程度はやはり伸ばす方向において考えなければならぬということは当然でございます。しかしながら先ほど私、村山委員のお尋ねの中で申し上げましたのは、現在の各県の進学率の計画なるものは、単なる希望を集めただけの話であって、いろいろまちまちでございます。実態に即した合理的な進学計画であれば、これは政府部内も納得し得るものだと考えますけれども、過去の実績や現在の状態というものにあまり立脚しないで、ただこれだけの数字でいきたいんだという単なる希望にすぎないような数字を集めたのが相当ございます。従って県によりましては進学率を一〇%以上も上げているというような県があるわけでございます。そういう点は今後しっかり地についた計画を立てていただかなければなりませんが、私どもとしては、そういうおくれている県については少なくともある程度これは考えなければならぬということで、先ほど自治省もお話しになりましたように、特に低い県においては交付税等の補正等も実際にはやっております。今後もそういうことばなるべく手厚くしていきたい、こういうように考えておりますので、その点は一つ誤解のないように願いたいと思います。
○小林(信)委員 今初中局長の言われたところが問題なんです。進学率の低いところは後進県だというふうにお考えになるのですが、確かに進学率の低い点は後進県かもしれぬ。しかし進学率の高いところは、非常に進んでおる県のようだけれども、今のようなその県のいろんな経済事情その他の事情でもって教育しなければならぬという、やむにやまれないものでやっておるわけです。従って財政的にはそういう県の方が苦しいわけです。だから、後進県に交付税について特別な配慮をして云々するということをやることも大事ですが、それ以上にかえって進んでおるような県は財政的に苦しい。実際申し上げれば、山梨県等の実情では、最近はこういうふうないろんな措置が出ましたから、父兄の負担もなくなったわけですが、しかし今までの校舎の増築なんかは、大部分が地元の父兄の負担でなければできなかったわけです。今まで昔の中学校時代から高等学校にかわってたくさんな施設をし、それから古いものは新しくする、そういうものは地元に金が積み重ねられなければ県の方からある補助金が出ない。だから父兄の負担でもって今まで校舎をやってきた。中のいろんな施設あるいは経費というようなものは——いつかも私は言ったのですが、ある学校のごときは、校長先生が訴えているわけです。県からくる金は、何かにまとめて使ったら、学校の電気料を払えばそれでおしまいなんだ。だから授業料は山梨県はかなり上の方です。最高の方だと思うのですが、そのほかに、いわゆるPTA会費はそれと同額くらいとられている。実質的には授業料は相当な額になる。そのほかに入学するときに入学金というのをとられる。そういうふうな経営をして高等学校の進学率というものは高まっておるわけです。そういう県に対して、自治省あるいは大蔵省、こういうふうなものはもっと目を開いて対策を講じなければならないときなんです。従って現在の制度論でもって片づけるのじゃなくて、新しい制度を作って、そういうように進んでおる県はいいのでなくて、そういう県の事情というものも調査して、それに対応する策を考えていかなければならぬ。後進県についてはもちろんのことですが、何かこういう表に表われているからそういう後進県の方へ目を向けなければならぬようなことをおっしゃっているのですが、かえって貧乏県で非常に苦しい事情にあるのに無理をしておるものに対して、今後はどういうふうに措置していって父兄の負担を軽減して、実際子供たちが十分に教育を受けられるようにするのかということを、実は私は初中局長にお伺いしたかったわけなんです。後進県に対して目を向けているなんということは、私はどっちかというと実情が考慮されておらないその証左だと言いたいわけなんです。 それから大臣に対しては、所得倍増計画というものがある。それがどういうふうに根本的に高校対策というものを考えておるかということをお聞きしたのです。今全入問題があるがどうのこうのというような——大臣はいつも全入運動に対しては反対をしておられるような形で、罪悪視しておるようなことがいわれているわけですが、私はそういうことを言っているわけじゃないのです。私は所得倍増計画というふうなものが、——今の制度論は別にして、高校にこうした国民の希望というものがある。それがどういうふうに増大するか、その増大するのに対してどういうふうな対策を講じていく態度であるかということをお聞きしたいのです。それは結局今日急増に対するところの対策というのがなされておりますけれども、そういう根本的なものが確立しておれば、急増対策というものをもっと積極的なもので解決できるような気がするのです。政府は所得倍増計画という一応国民にアッピールするものを持ちながら、そういうふうなものは全然考慮されずに、今このピークをどうするかということだけで苦心する。従。て自治省も大蔵省もなるべく財政的に負担を軽くしよう、制度論をたてにして地方に一切まかしていこうというような、虚に乗ぜられた方法がとられておる。これは根本的な政府の所得倍増計画というものを持っておいでになれば、もっとも前進する施策がとられるのではないか。こういう意味で、一体どういうような内容を持っておられるか、これをお聞きしておるわけです。
○荒木国務大臣 所得倍増計画との関連におきまして、進学率は昭和四十五年に七二%になるであろう、なすべきであろう、こういう想定のもとにそのこととは取っ組んでおるわけでございます。生徒急増のピーク時を切り抜けることは、国としても地方としても容易ならざることでありますから、一緒になってこれを切り抜けよう——切り抜けるという言葉は十分でございませんけれども、教育的な混乱もなるべく少なくして、そうして財政的な面におきましても国と地方とで一緒に相談しながらピークを切り抜けていこうじゃないかという動きが急増対策の当面する問題の焦点だと思うのであります。自治省、大蔵省がなるべく金を出すことを渋って、値切り倒そうとしておるようにおっしゃいますけれども、そういうことでなくして、急増対策そのものが混乱なしにやれるように最小限度の経費で目的を達し得る線はどこだろう、それはどこまでも教育的な効果を減殺しない意味合いにおいてよき方法はないかという角度から相談しておることは、これは間違いないことであります。従って教育的立場におきましては文部省が中心になりまして、その目標を主張し、経費の面では自治省、大蔵省と相談しながら、極力、可能な限りひねり出してもらって、そのピークを切り抜けていきたい、こういう考え方で従来も対処しておりますし、今後もそういう考え方に変わりがあろうはずはございません。また補助金という立て方でいけばより的確にいくのじゃなかろうかという考え方でありましたけれども、それは国全体として、内閣全体として考えた場合に、それよりも当面交付税と起債という財源措置を目的にかなうように裏づけをするならば、急増対策としては同じことじゃないかということに置きかわっただけだと理解しておるのであります。従って自治省も大蔵省もその意味においては、教育的な立場も念頭に置きながら全体を掌握して支障なからしめるということを、文部省と一緒にかついでもらっていると理解し、今日までもそうであったわけであります。
○福田政府委員 後進県という言葉は適当でないと思いますけれども、現実にこの進学率の低いところにおきましては、先ほどお述べになりましたような事情がある県も、単に山梨県だけでなく、私はその他にも、九州にも、東北地方にもいろいろあると思います。そういうところにつきましては、私どもできる限りそういう特殊な事情を考慮しながら、今後計画を進めていきたいと考えております。
○小林(信)委員 初中局長の後進県というのは進学率の低い県をさしているのではないですか。さっきはそうだったわけでしょう。そこへ重点を置くというから、かえって進学率の高い県ほどこうやってずっと表を見ればやはり貧乏県なんです。貧乏県なるがゆえにその子弟というものはよけいに教育しなければならぬ。苦しい財政の中で仕事をしているのだと言うのです。
○福田政府委員 財政的に考えますと、そういうようにいろいろな事情のある県があると思います。お述べになりました通りだと思いますが、私が申し上げましたのは、現在進学率の低いところでこの機会に従来の高等学校教育を大幅に普及させたい、こういうようなところも相当ございまして、それらの県はやはり財源措置に非常に難渋をしているわけでございます。そういったところについては進学率をそのままにくぎづけにしておきますと、これはやはり非常に困る。その県については非常に酷でございますので、これはある程度はやはり進学率が高まっていくような方向で私どもは協力したい、こういう考え方で進んでいることを申し上げたのでございます。
○小林(信)委員 そういうところが、全体的な計画でなくて、何かほころびをつくろうというような、そういう策から出てきているのではないかと私は思いますけれども、今初中局長のおっしゃることを聞けば、進学率の低いところを高めていくためには、その府県が非常に財政的に苦しいだろう。そういうところに対しては非常に同情的なんですが、かえって私は、私の県のような進学率の高い県は実際において財政的に苦しんでいるわけなんです。現在の授業料にしても、PTAの負担にしても、いろいろな施設を充実する寄付金についても、非常な苦労をしている。そういう現象面を見れば、こういうところは財政的に苦しくないのだということをおっしゃっているのと同じになるわけです。非常に現象面だけを見ているけれども、もっと進んでいる県ももっとそれ以上の苦しみをやっているわけなんです。従ってこれを何とか同じような平等な立場でもって高等学校の教育が行なわれるようにする対策というものを文部省としては考えなければならぬじゃないか、それはどうだ、こういうように私は聞いているわけなんです。
○福田政府委員 私は山梨県のみを申し上げているわけではございません。山梨県とか、あるいはそういう御事情があるかと思いますけれども、山梨県は現在進学率が六〇%弱じゃなかったかと思います。なお高校急増の計画におきましても、それを相当上回る計画をお持ちのようでございますので、従ってそういう面においては、やはり高校急増対策として山梨県自体は財政的に、お述べになりましたようにいろいろ苦労されておると思います。しかしそれは高校急増対策として、やはり山梨県のみを取り上げてやるということにはならないと思います。他の一般の県と同様な観点から、できる限り私どもとしては御協力を申し上げていきたい、こう考えております。
○小林(信)委員 だから高等学校教育の父兄の考え方というものも、これから現行の制度を固定的なものにせずに相当に考えていかなければならぬと思うのです。確かに山梨県は——私の県ばかりを申し上げるのじゃないのですよ。貧乏県を例にして申し上げているわけです。そういう県では、やはり今回においても新設するというようなことについては予定を上回ってやっております。しかしそういう場合にははたして順調な方向でもってやっているかといえば、ほんとうにあなたたちが想像できないような内情でもってやっているわけなんです。その中でもやはり父兄は、子供を高等学校に入れておかなければ子供の将来が期待できない。あなたの言う後進県という進学率の少ないような県は、割合に子供たちの教育を重視しなくても食っていけるだろうというようなことが、やはりあるのじゃないかとも考えられるわけなんです。そういうふうなものを今現われている現象の面から政府が配慮するというようなことになったら、これは非常に不平等になる。もっと平等なものにするためには、やはり根本的に対策というものを考え直していかなければならぬのじゃないかと私は思うのです。 そこで最後に、先ほど来お話を聞いておりますと、進学率というものをいろいろ取り上げますが、この進学率というものは結局収容能力に規定されたものだといってもいいと私は思うのですが、どうですか。
○福田政府委員 それはその通りでございます。
○小林(信)委員 これが結局今のところ、いろんな問題をはらんでいることだと思うのです。ただここに現われているこの進学率を見れば、やはり私がさっき申しましたようなそれぞれの事情でもって出ているわけなんで、必ずしも財政的にとか、あるいは教育に熱意を持っているとか、理解を持っているというようなことではないわけなんですね。従ってこの収容能力というふうなものをもっと平等なものにするためには、私は現在の制度ではどうかと思う。ただ地方財政の豊かであるとか豊かでないとかいうふうな、かえって逆の場合もあるわけなんですね。そこでいろいろ暫定措置等を地方では要求しておるし、われわれとしてはもっと根本的な高校対策というか、政策というものを樹立しなければ問題は解決されぬじゃないか、機会均等の立場で高等学校教育というものがなされぬじゃないか、こう思っているわけなんですが、この点に対して大臣が何かお考えになっておるなら、この際お聞かせ願いたいと思います。
○荒木国務大臣 現在具体的に格別の考えを持っているわけではございません。現在地方分権的と申しますか、そういう考え方で高等学校教育は都道府県の責任においてやるという建前になっておるわけです。これでいつまでもよろしいとはむろん言い切れませんけれども、立法論的にどうあるべきかということは、今後に向かって検討をしたいと思いますが、現在はございません。
○小林(信)委員 まあ所得倍増計画にしても、あるいは科学技術振興の問題にしましても、先ほど来村山委員との話し合いの中で後期中等教育の問題が世界的にも重視されておる。日本においてもこれを重視しなければならぬ。それに対するいろいろな対策をしておる、こういうふうな文部省でありますが、地方の事情、地方の自主性にまかせる後期中等教育というものをしておる以上は、国が考えるような科学技術の振興もなければ人間形式も私はないと思う。先ほど申しましたように、かえって貧乏県のようなところが非常に苦しい中で進学率を高めていく。しかし多少でも事情があれば、進学率は非常な低いところでもって終わっておる。かえってそれをいろいろ指導しなければならぬような立場に置かれておる。それもこれも一切地方の事情にまかすとかいうようなことになれば何が人間づくりであるか、何が科学技術の振興一であるかということになるのじゃないかと私は思うのです。もっと全国の高等学校教育が少なくとも同じ水準でもつて行なわれるような措置をすることが考えられなければ、後期中等教育である以上は、これが日本の科学水準を規定するものだし、あるいは今の人間づくりという問題は、私はここに問題が規定されるような気がするわけですが、今のところ大臣としては、そういうことは考えておらぬと言うならば、何をか言わんやでありますが、私はそれは、池田総理が教育問題を重視する所信を述べられ、あるいは荒木文相がこういう点で常に強調されておることと、非常に残念ながら違っておるのじゃないか。そういう点からこのピークの問題をどう処理するかというふうなことになってくれば、それがきわめて消極的な形しかとられない。もっと漸進的な対策を講ずる必要があるのじゃないかと私は考えるわけでございます。しかし大臣としても、こういう問題で来年度予算を編成されるのですが、こういうような全国の事情をただ現象面から見るのでなくて、もっと各府県のいろいろな事情というものを考慮され、あるいは国民の要望というものを考え、ことに政府が所得倍増というものを掲げておる以上、それに準じた来年度予算が編成されるように、この高等学校教育に対して私は強く要望をして終わります。
○床次委員長 野原覺君。
○野原(覺)委員 同僚の村山委員なり、それから小林委員から高校急増対策について質問がされまして、政府側から御答弁があったのですが、私はただいまの質疑応答を聞いて、まず第一に感じたことは、一体今日まで文部省というのは何をしておるのか。少したるんじゃいませんかということです。これは荒木さんが御不満があるなら不満をおっしゃっていただきたい。たるんでおるじゃないかとはっきり言います。村山委員がこのズレの実態についていろいろな角度から質問をいたしました。進学率は、都道府県とあなたの方の計画とでは昭和三十七年度で二十四万の差が出ておる。そうしたら、それに対して福田局長は答えています。六〇%は政府の最低保障の進学率、九月以降の生徒数がはっきりつかめるだろうから、都道府県が今持ってきておるのは、これはいわばいいかげんなものだ——そうはおっしゃらなかったけれども、単なる希望で、だから実態をつかまない数字だから、それを待って検討する、こう言うのです。今ごろになって検討するとは何ですか。三十八年の四月はあと六カ月でくるのでしょう。今都道府県が問題として提起しておるのは、三十七年度の計画なんです。三十七年度の高校急増の対策というものは、これは公式的な都道府県の責任だとか、政府の責任だなんということを今さら言うべき筋合いのものでない。その証拠には、すでに政府は、本年一月二十六日に閣議決定をして基本方針を出しておるのです。政府が見なくちゃならぬという建前をとっておる。それが今日に至るもなお結論をよう出さず、進学率についてもこれから検討しますという。これが五年先の進学率ならいいですが、来年四月なんです。来年四月のものを今ごろ検討するとは何ですか。これはたるんでおるという証拠の一つですよ。そもそもこのズレの実態というものも、私は都道府県側の説明書を見て驚いたのです。校舎等の所要経費の不足が百七十三億円と出ておる。政府のは先ほど御説明がありましたように百五十四億です。十三億の補助金、九十一億の交付税、起債五十億、計百五十四億。これに対して都道府県の方は三百二十七億円と計上している。その不足は百七十三億でございますといって、知事会も教育委員長会議も教育長会議も文部省に提示をしたはずです。それから一用地費に至っては先ほど村山委員が指摘いたしましたように、また大蔵省のお話を聞きますと、来年四月から始まる高等学校の用地費についての政府計画すらいまだに立っていない。九十九万坪の五十七億円というのは何だといったら、こんなものを立てた覚えがないという。都道府県の計画書を見ますと、政府の三十七年度の見積もりが九十九万坪で五十七億円とこう出ておる。知事会側ではこれでは不足だというので、百七十万五千坪七十九億円というものを出してきた。従ってここで二十二億円の用地費の不足が出る。それから今問題には出されておりませんが、私学の助成にしてもそうなんです。これは三十七年度の予算で十億円計上いたしました。私も予算の審議にあづかりましたが、これではどう考えても足りない。都道府県では二十三億円。だからその差額は十三億円。これを合計いたしますと二百八億円のズレがあるというのが、都道府県側が私どもにも説明にきましたズレの実態なんです。これは政府に出されております。今ごろになってこういうズレができるということが、私が文部省はたるんでおるという大の理由なんです。文部省は一体今日までどういう行政指導を都道府県にしてきたのかということです。教育内容の問題については、あなた方は権力で教育の内容を規定するということについてはきわめて御熱心です。ところが教育基本法第十条の教育の行政という面においては何ですか、一体何をやっているんですか。今ごろになって二百八億円の差があります。何とかしてもらわなければ高等学校が建たぬという。私はこの夏に西村直己氏外何名かと北陸に視察に行ったのです。それから九州にはまた予算委員の諸君が行った。これらの諸君が帰ってきて報告していわく、まず都道府県知事が私どもに開口一番言うことは、高校急増対策には手をやいております。今私どもは高校急増対策が大問題です。こう言う。何か困ったことはありませんかといえば、こう言う。私はこういう事態に持っていったこと自体、文部省が責任を感じてもらわなければならぬと思うのです。何をしてきたんですか、高校急増対策で。これは荒木文部大臣の御答弁を私はお願いしたい。何をしてきたのか、今日まで。
○荒木国務大臣 高校急増対策は、野原さんも今指摘をされましたように今年の一月に閣議了解を遂げまして、その線に立って三十七年度の前向き対策に応ずるという考えで今日まできておりますが、これはあくまでも、その当時としてはむろん十分な資料に基づいてこの計画でならばどうにかやっていけるという線であったことに間違いありませんけれども、現実の都道府県側の実施計画の数字と比べてみますと、今お話しの通りの知事会側から指摘された誤差が出てきておる。それも数字上確かなことであると私も承知いたしておりますが、その内容は、やはり全都道府県を対象として国の立場で扱います以上は、その知事会側の要求そのものが、三十七年度として三十八年度から始まりますピークに備えるのに、内容が一々妥当なものだという理解の上に立ってしか修正するとしましても修正できない道理でございます。年度初頭の見込みが実施計画と差があることは当然といたしましても、その内容が今申す通りに一々検討を加えて初めて妥当な最終的解決ができる、こういう課題だろうと思うのであります。そういうふうな立場から関係省ともども知事会とも十分に密着しながら、相互話し合って検討を進めておるわけでございますから、その結論が出ましたならば、当然妥当な範囲においての修正はあり得ることだし、なさねばならぬ、かように思っております。
○野原(覺)委員 それじゃ文部大臣に対してお尋ねしますが、三十七年一月二十六日の高校急増対策についての閣議決定でございますが、これは都道府県の実態を見ていない決定であったとあなたはお認めになりますね。この決定は文部省の計画に基づく決定、これは私も認めますけれども、これは何ら都道府県の実態というものは見ていなかったということをお認めになられますか。
○荒木国務大臣 何ら実態を見ないというわけじゃございませんで、当時一月までに知り得ました都道府県の実態ないしは想定というものを考慮に入れまして、総合的に事業量を考えればこうだろう、年度割はこういうふうに考えればよろしかろうということを、いわば予算を案として立てますような考え方で計画しましたものを閣議決定をしたものでございます。従って現実に三十七年に入りまして各都道府県がそれぞれ県としての、地方団体としての予算を立て、あるいは実施計画を立てますことと完全に一致するはずのものではないわけだ。従ってその誤差が一応私は百六十億円と聞いておりましたが、よしんば二百億円にいたしましても、誤差が出てくるということは計算上あり得ることだ。そこでその一々をいかなる原因でそれぞれの課題についてなぜそうなったかを知事側とも十分に打ち合わせをしながら詰めていくという作業がないことには、いかなる修正をしたらよろしいかという結論は出ないであろう、その作業をいたしつつあります。検討しつつあります。こう申し上げたわけであります。
○野原(覺)委員 高校急増の問題で、都道府県側にこのような混乱を与えてきておるという責任を、私はやはり率直に感じてもらいたいと思うのです。あなたは都道府県の実態を考えたと言いますけれども、これは考えちゃおりませんよ。あなたが考えたのは都道府県に対する文部省の推測です。どれだけの調査をしたのですか。その調査をしておって今ごろになって二百八億円差ができるということは、これはしろうとが考えても理解ができないじゃないか。本年一月二十六日に政府が方針を立てるときに、都道府県の教育委員会なり知事側に対して、君らは一体どれだけの進学率を考えておるのか、どれだけの校舎等の整備費を考えておるのかという報告をとりましたか。とってもこれだけのズレができておるとすれば都道府県側の責任です。これははっきり私も都道府県側にも尋ねたいと思うので、この点は大臣、あいまいにしては困りますよ。あなたが都道府県の実情を考えたというのはあなたが推測で考えただけなんです。二百八億円というこの差についても御認識が薄いようです。 自治省の財政課長にお聞きします。都道府県の方と文部省の計画とに二百八億円の差があるのですが、この実態は先ほど私が申し上げました校舎等の所要経費の不足が百七十三億円、それから用地費の不足が二十二億円、それから私学の助成不足が十三億円、計二百八億円、これは全体計画じゃない、昭和三十七年度の財政計画としての不足として指摘して参っておりますが、自治省はどう把握をしておりますか。
○茨木説明員 一つは政府計画ができる一月二十六日の閣議報告の内容にまとまるまでの問題でございますが、これまでの知事会側の方の数字も現在出ておりますような数字ではなかったわけでございます。数字の資料を役所の方に置いてきておりますけれども、なお持っておりますが、その当時の資料で、私の今の記憶によりますと約二百六十億程度の内容であったと記憶いたしております。従って、百五十億ほどの政府計画に、多少はワク外に出しておりますから、これと既存の交付税の中に入っておりますのを見ますと、大体この程度の案で十分いけるという内容であったと私は思っております。ところが今回知事会の方で調査いたしますと、その後数字が非常にふくれ上がってきておる。その点は実は先般も知事会の方に私どもは指摘しておるのであります。知事会の方も、当時の話は二百六十億程度の話ではなかったか、それが四百何億にふくれ上がってきておるんで、一半の責任は知事会側にもあるんじゃないか、こう申し上げたわけであります。現在に至ってその食い違いの内容はどうかということでございますが、これはそれぞれの調査の時期によって数字は多少前後するようでございます。前後いたしますが、現在考えております内容といたしましては、先ほど申し上げましたように知事会の方の計画の中には全計画が網羅されておるわけであります。その中には、先ほど申し上げましたように、政府側で急増対策計画として特殊な手を打って整備をしていかなければならぬものというふうに考えておりますのと、それから過去の例から徴しましても相当進学率の伸び等を見ております。それらの経緯から見て、当然県の既定財政規模の中に吸収しながら、やっていけるものと、それからもう一つ特殊なものと見ているんじゃなかろうかと思っておりますが、個々の団体の計画をずっと見てみますと、非常に進学率を伸ばしていらっしゃる団体があるわけでございます。その数字も合計しますと四百何億になる、こういう数字になっております。過去の進学率が低い県もありますし、あるいは相当の率までいっておる県もございます。やはりそこから急速に、かけ足をいたしましてほかの団体よりも進学率を伸ばそうとしておる団体もあるようでございます。従って、それらを合わせてみますと四百何億になりますけれども、それが即政府計画と全く同等の立場で比較すべき数字であるかどうかということについては、私はやはり別の数字ではなかろうか。というのは、今言ったような要素のものがいろいろ含まっておるというように考えておるわけでございます。
○野原(覺)委員 これは、大差ができたのは、政府の方でも認識されておるように、進学率を低く算定しておる問題、これは二十四万人の差があるこのことは私どもは過去何回となくこの委員会で指摘してきたのです。昭和三十五年度の進学率をとるんじゃない、昭和三十七年度でいくのが常識ですよ。最も新しい年度の進学率に近づけて計算するのが常識なんですよ。それを忠実にやらぬ限り、たくさんの中学浪人が出る。これも常識なんです。だから、その常識に沿った計画を都道府県が立ててきておる。その差が二十四万、従って整備坪数の見積もりが、政府側の見積もりは少なくならざるを得ない、二十四万人の差が出てきますからね。これはいまだに見積もりを立てていないということです。それからまた事業費の算定基準が実情を下回っている。これは予算委員会でも申し上げました。篠田自治大臣は大蔵省と相談をして、単価については是正する、それから補助金の三割頭ぶった切りですか、この問題についても考えないと法律違反になるということを申しておったんですが、大蔵省はこの問題はまともに考えておられますか。単価の問題、一坪二万円から差がありますしね。補助金を七割といいながら、実は三割頭を切って、残りの七割に三分の一というような補助率ということになれば、三分の一の補助率の法律違反にならざるを得ないと思うのですが、この点をまず第一に聞いておきましょう。ここが非常に二百八億の総額に影響してきますので、坪の単価と補助率の計算方式、こういう点について大蔵省はどういうふうにお考えになっておるのか。自治大臣は、私の言うことがもっともだ、こう言っている。当時田中大蔵大臣が来ていないから予算委員会では確認できなかったが、あなた方はどう考えておりますか。坪単価なり補助金については実情に即して是正されなければならぬと考えておられますかどうか、これを承りたい。
○岩田説明員 お答えいたします。高校急増対策の単価と野原さんの御質問でございますが、建築の単価につきましては昭和三十七年度に諸経費の値上がりに伴う整理をいたしております。ところでこのたび全国知事会が調査いたしました単価を見ますると、この高校急増対策の基礎といたしております単価とだいぶ数字がかけ離れております。しかしながら各県の単価を県ごとにとってみますと、それぞれに相当の高低がございます。一体どういうわけだろうかということを現在調査しておるわけであります。しかしながら単価というものは、国といたしましては実際の建築がどういう標準でどういうふうにできるかということを調査することがまず第一でありまして、各県におきまして、あるいはその標準的なものよりも上回るような単価をやっておる場合もありましょうし、あるいはそれを上回るというような場合もあり得ましょう。しかし国といたしましては、どういうものが標準的な単価であるかということを検討するのがまず第一であろうかと思います。それから野原さんの問題も含めまして、来年度検討して参りたい、かように考えております。
○野原(覺)委員 いいかげんな答弁をされては困る。それではあなたの方の単価はほんとうの単価ですか。私は、政府の単価は予算を計算するときの浮き上がった単価ではないかと思う。たとえば新設では五万五千四百三十円です。都道府県案はこれに対して新設は八万六千三百十九円。今日新潟に行っても大阪に行っても東京でも、あるいは鹿児島でも、鉄筋コンクリートが五万五千円で建ちますか。だからこの点についてはなお数字の上で検討しなければならぬことは私も認めますが、単価というものはその実情に即して計算、算定をしていかなければならぬ。実情に即して単価を是正してやらないと、坪二万も三万もということになれば、財政計画において大きな狂いが生ずるわけです。この点をお尋ねしておるわけです。実情に即して是正するつもりがあるのかないのか、大蔵省いかがですか。
○岩田説明員 来年度の問題になるかと思いますが、これは財政全般の問題とも深く関連する問題でございます。単価の改定の問題は、高校急増のみならず公立の教育、それから僻地の教員住宅の施設あるいは給食施設の問題等、単に文部省にとどまらず住宅建設の問題にすべて響く問題でございます。全般の財政の問題その他もろもろのファクターを考慮した上で、来年度検討すべき問題であろうと思っておるわけであります。
○野原(覺)委員 これは実情に即してすみやかに是正しなさい。あなたの方は金を持っておるからいつもお高くとまって、文部省や自治省が行っても鼻であしらっている。篠田自治大臣は個人的にも私に言っている。この点はけしからぬと言って怒っておる。大蔵省だけががんばっている。これは違法なことですよ。こういうことは法律違反ですよ。三分の一補助金をやるといって三割切って、残りの七割に三分の一、こんなものは法律に書いていませんよ。だからあなたの方は財政上の理由があるのかどうかわかりませんが、事教育の予算というものが都道府県では一番大きいのです。だから法律通りに、しかも実情を考えた是正をしてもらわなければならぬ。この点あなたは責任者じゃないから、やがてこの席に田中大蔵大臣に来てもらって、自治大臣、荒木文部大臣三者立ち会いの上でこの問題は重ねて究明いたします。 最後に文部大臣にお尋ねいたしますが、都道府県の数字の問題は再検討されておるのですか。これは近く結論を出しますか。一体いつごろ再検討の結論を出す方針でございますか。
○荒木国務大臣 なるべく早く出したいと思います。
○野原(覺)委員 終わります。
○床次委員長 山中吾郎君。
○山中(吾)委員 二点だけ大臣にお聞きしたいのですが、こういう高校急増についての根本的な考え方の中に、私の推測する大臣の考え方の中に疑問があるのでお聞きしておきたいと思うのです。大臣がどこかで、現在高校急増と別に全入運動が起こっておるが、全入運動はばか者を入れることになるから反対だと、例によってどこかの新聞に放言をされたのを私は記憶しておるのですが、どういう思想でしょうか。
○荒木国務大臣 高校全入運動という運動をなさるのはむろん御自由ですけれども、高校全入の意味が私にはよく理解できませんので、そういう角度から批判をしたことはあります。高校全入の意味することが、義務教育をもう三年延ばすことが適当なりという意味であるならば、理屈としてはわからぬではない。しかしながらそうじゃなくて、ただ全入々々ということだけであるならば、意味がわからぬのみならず、想像するならば、ただ子供の親は自分の子供を試験なしでどんどん高等学校に入れたいとだれしも思っておると思いますが、その感情に訴える運動の意味以上のことはない。もっと教育的ないろいろな条件が整わなければ、全入ということは実現できないはずである。その条件の整備は一体どういうことかということもあわせて言われるならば、あるいはわかるかもしれないが、単なる全入運動ということは、かえって人を惑わすおそれありはしないか、こういうふうに私は感じるわけであります。そういう意味で批判をいたしたことはあります。
○山中(吾)委員 全入運動の意味かどうかわからないと言いながら、ばか者を入れるというような水をさすようなことを、一国の文部大臣が演説をしたり表現したりするのはけしからぬと思う。今お話の中に少しも理解がない。全入運動と義務制とは全然無関係だと思う。高等学校まで義務制にすることは、これは大問題です。義務制である限りにおいては、やはり単一な教育コースでなければ、お前は工業に入れ、お前は農業に入れ、そういうふうに教育コースを、人間の個性が分化するに従って変えなければならぬときに、義務制ということはこれは成り立たないです。こんなことは子供だってわかるじゃないですか。全入運動は、向学の志を持った青年に希望を持たすために、勉強したい者は入れてやるというりっぱな思想じゃないですか。親が虚栄で入れるというのではなくて、日本の民族が十五、六才になってなお勉強したい、向学心があるということは、これくらい文部大臣として喜ばしいことはないと思う。そしてその向学心を満たしてやるという全入運動になぜ水をさすのです。そして今のような、全入運動と義務教育を混乱するような、そういうなまはんかな御思想で、そういうばか者を入れるというような、国民を侮辱するようなことをなぜおっしゃる。義務教育と無償の原則とは違いますよ。義務教育というのは、その学校に入らなければならないと義務づけていることなんです。向学の志ある者は、貧乏でも授業料をとらないで、国が責任を持って無償で入れてやるという思想なんです。だから私は高等学校までは、貧乏人も向学の志を持っておる青年には無償で入れる対策を立ててやるということをやるべきだと思う。全入運動というものを義務教育と混乱をしたり、そういうふうなことをお考えになって十分分析もしないで、しかも例によって放言——ばか者が入るようなことは反対だ、そういう責任のない文部大臣については私は異議がある。あなたはいつも放言を楽しみにされておる。されておられるならもっと責任を持って勉強してからやって下さい。その点いかがです。
○荒木国務大臣 ばか者が入るという言葉を言った覚えはありませんけれども、ただ希望する者はだれでも入れるという単純な表現では誤解を招きはせぬか。だれでも入れるということは、受け入れ側に立って考えれば、たとえば六〇%の平均的な進学率が三十五年に示されておりますが、一〇〇%入りたいと思う人が続出することもあり得る。そのための備えがないならば、全入運動といわれることにこたえる手段は整備されないことになるはずだから、その意味は、中学を卒業した者を全部入れる用意をするということでないならばできない相談だ、従ってさっきも申しましたように、教育的な施設、設備、人的、物的設備のことごとくを中学卒業者全部に相照応するがごとき条件整備が可能かどうか、どうしてやるかということまで含めて考えられた考え方ならば、あるいはわからないでもないけれども、私は勉強したい、中学だけでなくもっと高等学校程度の学力をつけたいということで勉強したい子供たちに、勉強させる場を与える責任があり、そのことが好ましいという点においては、山中さんと一つも違わないと私は思っております。従って今申し上げますように、全入というならば、中学卒業生全部を受け入れる体制を整備するという可能性とその計画とがないならば、言うべきことじゃなかろう。ただそういうことによってあたかも、そのことが今にでも可能であるがごとき錯覚を起こされることも弊害があるのじゃないかと私は想像するのであります。同時にまたすべての人が入るということは、何ら能力というものを考えないでも入れ得るがごとく考えさせる欠陥もまたある。高等学校に関しまする限りは私は、義務制でないならば、能力に応じて入れるということたらざるを得ない、こう思うわけですが、その点についても私は配慮が足りない表現ではないか、かように思うわけであります。
○山中(吾)委員 今大臣が言われておることは、私はなぜ聞くかと言うと、高校急増対策についても、積極的になるか消極的になるかという大きい思想の分かれ目だから、私は突き進んで聞いておるわけです。あなたは全入運動そのものを否定したような表現をしたじゃないですか。向学の志あるいわゆる高校進学希望者は全部入れたい、しかしまだ国家財政の関係で直ちにその設備はできない、だから池田総理大臣も青年に希望を持たすと、国会の中であれだけ言っておるのですから、希望をそぐような表現をあなたがされておるようなことの中に、説明されると違った思想をどこかに含んでおるはずです。憲法二十六条の、すべて国民は、能力に応じて教育を受ける権利があるという意味を、あなたは正しく御理解されておりますか。どういう意味ですか。
○荒木国務大臣 私の理解するところによりますれば、小学校、中学校については、能力ということは一応考えないで、可能な限りすべて教育を受ける権利を持つ場であると思います。高等学校以上の学校施設に対する青少年との相互関係は、能力に応じて入る権利は認め、そのための責任を国としては果たす、そういう考え方だと思います。
○山中(吾)委員 能力に応じてということは、今度高等学校の進学と関連しますと、新制中学の教育課程を終えて、新制中学卒業の資格を国家が認定した場合には、高等学校に入学する能力があるということですよ。そんな幼稚なお考えで国民に大きい影響を与えることを一々発表されては困りますよ。小学校の教育課程を終えて、十分に先生が——だから、学カテストかなんかやっておるじゃありませんか。そういうものを一方に理屈をつけていろいろ騒がしておって、今のような幼稚な憲法解釈を独断でされるようなことは困ります。新制中学を卒業してアチーブメント・テストをして、卒業の資格があれば、その子供は国家としては高等学校に進学する能力がある、そういうことですよ、憲法の解釈は。もしそういうふうなことを御勉強にならないでするなら、黙っておったらいいですよ。そして私は全国の高等学校長会議などでもっと校長の心境を聞いてみたい、教育者として。教育者は言っていますよ。能力は低くてもいい、勉強したい子供をほしいということを言っておるじゃありませんか。勉強する、学問したい子供があれば能力がなくてもわれわれが熱心に教育し、ついてくる。ところが勉強したくない者が入ってきて遊んでおるから教育ができないのだ。能力は問題にしていませんよ。だから、父兄の虚栄心によって、子供がいやがるものを、金持ちのむすこは虚栄心で資格をつけるために無理々々いやがる子供を入れておる。だから、教育が乱れておるのです。子供は貧乏でもなんでも勉強したいという熱情があれば、少々能力がなくても教育ができる、その学校はりっぱになる、校風もよくなると校長は言っていますよ、私らに。私も教育の立場に立ったらそうだ。能力がなくても一生懸命勉強したいという向学心のある者は引き受けるこれが教育でしょう。そして向学心のある者は入れてやるということの考えは、小学校と中等教育のところまでは少なくとも考えるべきである。そして能力の問題は、憲法の解釈を正しくすれば、私の言う解釈なんで、みな間違っておるじゃないですか。大臣の言うことは全部間違っていますよ。個人の思いつきの第六感的な解釈をされる。それはいいですよ。しかしなぜそういう全入運動に水をさすようなことをやるのですか。文部省発刊の、あれは文部時報ですか、教育委員会の雑誌の中に全入制度に水をさすようなことを書いておる。どこか論文にあった。あれはだれの文章か、文部省の責任だと思うのですが、今村地方課長か、あなたか、あなたはその思想を言いなさい。民族に希望を持たせなければいけませんよ。
○福田政府委員 教育委員会月報に出ておりました記事につきましては私どものところでつくった文章でございます。
○山中(吾)委員 その精神を言って下さい。
○福田政府委員 全入運動につきましてはただいま大臣から申し上げた通りだと思いますが、私は全入運動が全日制の高等学校に希望者は全部入れろというような主張のように聞いております。従って先ほど大臣がお述べになりましたように、現在の高等学校教育が中学校の教育の基礎の上に高等普通教育及び専門教育を施すという建前をとっております限りは、やはり高等学校教育を受け得る能力のある者が入ってそこで勉強してもらう、こういうような建前をとっております。そういう意味におきまして、希望しさえすれば入れるのだというのとは、今の高等学校教育の建前として違うのではないか、こういうような点から私どもはその問題を取り上げたのであります。
○山中(吾)委員 高等学校義務制に賛成して私は論議しておるのでは一つもありませんよ。高等学校コースというものは商業、農業、工業という教育分化がある。そしてまたおのおの個性が現われてきて自分の好みの教育コースに進めるようにしてやるのが当然だ。従ってそういうときに中学校の単純コースのように義務制をしくということは、工業高等学校に行きたい者には全部工業高等学校をつくってやらなければならない、農業は農業高校をつくってやらなければならない、それができなければお前は農業高校に行け、工業に行け、商業に行けという強制になるから、そんなばかなことを言っておるのじゃないのです。あなたはまた混乱しておるじゃないか。向学の志ある十五、六才の青年を、高等学校に行きたいというのに入れなければみんな不良化する。だから、文部省の基本的な考え方の中に、全入制度が出てきた、あれはどこか組織が運動したから反対する、そんなけちくさい考えを持っておるからいけないので、その全入制度の中に高等学校まで——民族の若さを示しておるので、十五、六才のもっと高等学校まで行きたいというその熱情のある者は、私は能力があると見るし、なくても高等学校長はそういう子供は引き受けますと言っている。そうでなくて、親が無理々々いやな子供を入れるというのは金持ちのむすこだけじゃないですか。子供が、うちが貧乏で、そして何とか勉強したい、そういう熾烈なものが、そこに大きな意味がある。そういうことを分析なさらないで、簡単にああいう雑誌の中に適当なことを今村地方課長が書いておったが、無責任千万だ。僕は憤慨する。 私は実感を申し上げます。昨年ヨーロッパにこの委員会で行ったのです。大臣、よく聞いて下さい。スエーデンに行った。そうすると、政治が進んで、あれは社会党内閣で、福祉国家がほとんど完成しておる。最低賃金制度もある。従って新制中学を卒業して上の学校へ行かなくても大体生活は安定し、賃金も十分ある。老後の保障も十分あるというので、あそこの青年たちは上の学校へ行くという向学心をなくしておる。高等学校の進学率は六%である。そのとき私は、経済、政治が進んだとき、民族が向学心をなくするようなことになったならば発展はないのだ、だから、今は日本の政治は貧困で、大体そういう不安があるものだから、経済的に安定するために上に行こうとしておる。もし安定したらばだんだんなくなってくることを非常に心配しておるのです。もっと真理を探求し、おのれをみがくというような雄大な民族精神をつくって、そしてそういう進学率がふえるようにする、それがほんとうの政治家の教育に対する正しい理解だ、少なくとも文部大臣とその文部大臣のもとにある文部省の役人が考えるべきものだと思うのです。ところがそういうことを考えないで事務的に処理したり、そしてすぐ組織との対抗意識と感情を出してみたり、正しく批判をしないで押える、そういうことがあるから自治省に対しても大蔵省に対しても確信のある折衝ができないので、こういう状況にあると私は思うのです。どうですか大臣、もう少し基本的に教育の問題をお考えになって、そして放言に趣味を持ったり、何か対抗意識とか、そういうものをまずたなに上げてもう少し真剣に論議したいと思うのです。高校急増の問題についても今のようにすべての組織が——それはおそらく高等学校なんというものはすぐれたやつを入れて、そして半分くらいははねのける、それが高等学校のあり方だ、そういう基本精神があるからこういう間違いが起こると思う。だから、それを私は特に強調しているわけです。そして今おっしゃった憲法の解釈も、それから局長も義務教育無償にするだとか、あるいは全日制と混乱しておるからみんな間違っておる。どうですか、大臣。
○荒木国務大臣 さっき初中局長も申しましたように、今の高等学校制度は、中学を卒業した者を、希望すれば全部入れるという立て方になっていないと理解します。やはり高等学校教育を一緒に受け得る程度の能力は持っていなければ望ましくない。従ってそのことを、昇学しますために選考を経て入れるという建前にしておると理解いたします。そういうことであって、希望者は全部入れるという概念は今はないわけであります。従って全入運動そのものが端的に表現されますことは、無試験でだれでも入れるということを印象づけるおそれあり、そういう点では私は端的に全入運動として展開されることは好ましくない、かように思います。
○山中(吾)委員 またそういうふうにこじつけをされますが、そうなればろう学校、盲学校の高等部まで作っているので、能力というのは、新制中学を卒業する認定があれば、国の立場からいったら、上の学校に進学する能力はあるという解釈をしなければ成り立たぬじゃないですか。そうしてあとは収容の能力の問題であり、国家財政の問題であって、憲法はその意味において教育の機会均等という原則を出している。九カ年までは国が無償でやるということを言っておるかわりに、入学せしめる義務があるという義務づけをしておるのです。そんな勝手な建前——憲法の建前というのは、あなたの個人の意見を言っておられるのでしょうが、そんな建前というものはおかしいじゃありませんか。そんなに無理をしないで、もっとすなおにお互いに論議をして進めていったらいいと思うのですよ。とにかく表現の中に主張されるのはけっこうでありますけれども、もっと基本的に間違いのない一つの判定を立てたあとでしていただかなければ、私は無責任だと思う。それだけ私は特に強調しておきたいと思う。どうせ大臣は自分で独断で言いたいことを言って、これは裁判で判決する人がないからと思って言っていますけれども、明らかにまわりの人にみんな聞いてみなさい。大臣が間違うと局長以下みな右の通りでございますと、みな間違ってしまうじゃないか。 それから次の進学率についての考え方でありますけれども、進学率と進学希望者率というものを区別されないと、現実の進学率によって判断をされるから問題があるので、一番全国で進学率の高いのは佐渡でしょう。教育をして子供をりっぱに——ああいう島国においては子供を伸ばすべき点はない。九割も高等学校に入っているじゃないか。各町村に全部高等学校がある。そこに私は日本民族の希望と若さがあって、将来希望を持てると思うのであって、そういう点ももっと深刻に考えてもらいたい。いなか、たとえば岩手のようなところに行きますと、みな勉強したい。あの僻地におればおるほど、分教室で育っている子供ほど向学心が旺盛です。ところが交通が不便であるから寄宿をしなければいかぬ。下宿をするとか、寄宿舎がなければ行けないのだ。それでやむを得ず子供たちは能力を発揮しないでおるのであって、都市ならば通学できますから学資は要らない。ほとんど寄宿舎を作ってやらないから入れない。高等学校を作ったら、どんどんその意味において新しい進学希望者が、能力のある者あるいは向学心のある者が出てくるのであって、一つの高等学校のあり方の中に、もっと私はそういう方面の実態をおつかみになって、そうして政策を立てていただきたい。今文部省が、いなかの高等学校に寄宿舎、寮を建ててやったら倍になりますよ。下宿するだけでいなかでも五千円要る。一万円ぐらいの学資を予定するような父兄がないので、能力のある者を入れるとか、そういうふうな問題を越えた問題があるはずです。教育の機会均等と、若い者に希望を持たす、そういうふうなことも考えた後に私はこの論議をすべきであると思うので、そういうことを分析しないで、計画にそごがある。それで自治省と大蔵省等との論議の中に迫力も何もない。自治省の人も大蔵省の人も、そういう理解をされていない。大体教育行政を担当しない人は理解しないので、せめて文部省の教育行政を担当する人はそれくらいの実態の上に立って、確信を持って私は自治省、大蔵省の人を説得すべきだと思うのです。今までの論議の中に、個々の問題については山ほど論議をして、数字の問題においても責任を問われるようなことがあると思いますが、私はその前に、文部大臣についても、高等学校教育のあり方について今のような間違いを直していただきたい。それはそういうことをわかっているならば、池田総理大臣の教育の重視——青年に希望を持たす、青年は国家の未来を背負って立つ一番の宝であるというような表現は実感を持って出るだろうと思います。大臣も池田総理大臣も、そういうことを少しも考えないで、単純なる素朴な常識によって今のような答弁をやりくりしてお互いに一年、二年論議したって何にもならぬと思う。 以上私は申し上げて、文部大臣の猛省を促して私の質問を終わります。
○床次委員長 これをもちまして関連質問を終わります。 村山喜一君。
○村山委員 私は、荒木大臣が最近一連の反動的な考え方で文教政策をやっておいでになる、その根本的な考え方というものをこの際お尋ねをし、究明をしておきたいと思うのであります。 それは、ことしの自由民主党の活動方針というのを見てみますと、この中に自由民主党の諸君の考え方というものが出されているわけでございます。この中の第七の中に労働組織対策というものが掲げてございまして、その中の具体的な対策の第二項に、こういうようなことが書いてございます。「特に教組運動の偏向が労働のみならず文教政策その他各方面に重大なる影響を与える現況にかんがみ、その偏向思想を基幹とする過激な闘争主義の組合運動を排除し、真の教育者団体を目指す運動を支持する。」こういうふうに明らかに打ち出してあるわけであります。この考え方というのは、今日の大臣が各地において日教組に対して集中的な攻撃を加え、日教組というのはいかにも破壊団体であり、テロ団体であるがごとき印象を国民大衆の中にばらまきつつある、その現象と私は一致してくると思うのであります。最近におけるそういうような一連の政策のもとにおいて大臣が日教組を攻撃し、そして全教連を育成をしていくのだという方向が、自由民主党の党の活動方針において、ことしの一月十八日の党大会で決定を見ている。こういうようなことから、あなたはその一翼をになって、そうして各地において遊説をしておられるというような印象を私は受けるのであります。そこでそういうような考え方というものは、大臣は一体そういうような基本的なお考えに立って、自由民主党の党員として各地において演説をしておいでになるのか、それとも一国の文教の責任者として、文教の部をあずかる責任者としてあなたは話をしておいでになるのか、その点をまず承りたいのであります。
○荒木国務大臣 私が日教組を批判しておりますことは、今御指摘の通りでございます。それは文部大臣であるがゆえに批判をし、反省を求めておるのであって、党からの指図通りにやらねばならぬと思ってやっておるわけではございません。
○村山委員 それであるならば、大臣はこのような考え方というものを肯定をされるか否定をされるか、お答えを願いたいと思うのでありますが、昭和三十二年の八月、自民党の文教対策特別委員会は、「日教組対策の具体的方針」というのを関係方面に指示をしたといわれております。その内容は、「文部省の措置すべき事項」というのがございます。それを読み上げてみますと、「一、新教育委員会法に規定された文部大臣の「措置要求」を適正に実施し、文部省の指導性を高める。二、都道府県教育長をよく握って各種の措置を通じて服務の厳正をはかり、状況によって文部大臣は教育長の進退について事実上の措置をとる。三、文部省地方課を強化拡充、教育委員会を完全に握ると共に、教組運動を主管する機構を整備する。四、視学官制度を拡充し、その態勢を整えて視学官の査察、復命を厳正にする。五、教育研修会などの教育集会を文部省主催ないし、教育委員会との共催で活発に行う。」それから「教育委員会の措置すべき事項」として「一、県教組とは勤務条件以外の事項について話合いをせず、また事業の共催なだは行わない。二、学校管理規則を速かにかつ的確に制定し、学校管理を厳正にする。三、教職員の服務監督の強化をはかり、勤務評定を実施する。四、校長、教頭の管理的立場を明確にし、その給与体系その他必要な措置を講ずる。五、職員団体の専従職員を必要最少限度にとどめる。」こういうような一連の対策が講ぜられたように承るのです。このことは、今まで、その後における文部省のやって参りました行政的な行為というものを見て参りますと、こういうような方向に乗ってずっと動いてきたという事実が各地に見られるわけであります。 最近におきまして、御承知のように東京におけるところの一斉休暇闘争を指導したかどにおいて刑法上の処分を受けていた者が、これは地公法によるところの教唆扇動ではないということで刑法上無罪の判決を言い渡されました。また佐賀県におきましても、御承知のように教育条件を整えるために一斉賜暇闘争をやった。なるほどその賜暇闘争というものは争議行為であるということは、いずれの裁判を見ましても明らかでありますけれども、それは刑法上の処罰に該当するものではないということで、当然無罪であるという判決がおりているわけであります。こういうような判決を見て参りますと、ILOの一〇五号条約に定めております労働者が労働基本権の確立の中においてそのような行為を行なった場合においては、これをもって刑法上の処分をしてはならないという、その国際的な感覚が判決文の中に明らかに出ていると私は思うのであります。そのような方向から考えまして、今まで文部省が特に大臣を先頭にしてやっておいでになったところの数々の行為というものが、この指針に基づいてなされ、都道府県の教育委員会をそのように指導をしておいでになるということは、常識的にも判断ができるわけでありますが、大臣はこのような指示というものを受けて行動をしておいでになるのか、それとも自分の判断で、そしてどのような根拠に立ってあなたは日教組に対し、あるいは都道府県に対してそのような行為というものをなされているのか、この点を承っておきたいと思います。
○荒木国務大臣 最初に読み上げられました三十何年かの党の対策というものは、それ自体私は知りません。知らないことは、党員として怠慢であるかもしれませんが、現実には知らない。いわんやさっきも申し上げました通り、党から一々指示を受けて、私が就任しまして以来、今日まで一つとしてなしたことはございません。私の責任、私の判断で今日まで参っております。今まで私が日教組を批判しておりますことは、その倫理綱領を指摘しております。倫理綱領に掲げるところの目的意識が第一教育基本法にもとる目標を持っておる、こう私は思います。さりとて職員団体がいかなる綱領を持とうと自由であるとむろん考えます。考えますけれども、教職員が勤労者であるということは、教育活動それ自体が勤労であるはずでありますから、その勤労者の心がまえが倫理綱領に掲げるがごとき考え方で行動されたのでは、たまったものではない。実質的に教育基本法第八条の趣旨に反するものである、こう私は判断をいたします。従って教職員組合の綱領として考え直したらどうだろうか。そのことが日本の教育を正しくするために当然必要である、かように考えまして、警告を発し、反省を求め続けて今日まで参りました。そういうことでございまして、党などから一々指図を受けてどうということはむろんあるべきはずがございませんし、現実にもございません。
○村山委員 大臣はそうおっしゃるのでありますが、次にまたこのようなものが最近になりまして出ておると伝えられているのでございます。それは昭和三十五年夏ごろに「自民党の日教組組織破壊指針、」こういうようなものが出されたと言われています。これはきわめて具体的に掲げてありますので、この内容を申し上げますが、第一に「関係機関との協力体制の整備」ということが打ち出されております。「1、教職員を日教組から解放することこそ真にわが国教育の正しい発展をはかる唯一の途であることの確固たる信念のもとに有志教育委員が協力し、教育長にも脱退促進の決意を確立させる。2、公安当局と緊密な連絡をとり、必要ある場合の支援体制の整備をしておく。3、県議会関係の有志と連絡し、必要ある場合の支援体制を整備しておく。4、信頼出来る学者、文化人を必要ある場合、講師団として動員できるよう準備しておく。二、集団脱退を目途に目標地域の設定、教職員は勇気に欠ける故、なるべく都市単位に集団脱退させることとし、都市単位に目標地域を設定する。」「三、中心人物の選定と相互の連携の強化」その中においては、有能な教職員を選定して、これらが常に緊密な連絡をとりながら細胞拡大の方式で拡大していくのだ、それを校長、地教委の中の有志が側面から支援をするのだという丁寧な内容付であります。そして四番目に「教組尖鋭分子対策」として、「教組尖鋭分子を目標地域から締め出すため、なるべく組合活動困難な地域に異動させる。」「五、広報活動の推進について」「六、脱退教職員の後援組織の設置」「七、専従者の制限」「八、資金網の確立について」こういうようなものが打ち出されておるやにわれわれは聞いているのであります。それを真に受けたわけでもありませんが、かつてこの国会におきましても問題になりました愛媛の実態調査に私は昨年参りました。参っていろいろとその実情をつぶさに八幡浜を中心にして調べて回ったのでございますが、確かに人事異動等において行ないました一連の行政の結果を見てみますと、わずかに残っておる組合員が山の上のだれも行き手のない僻地の学校に五名も六名も集団的に送り込まれておる。そうして山からおりてきた者は、組合員であっても、それを非組合員にしなければ異動をさせない、こういうような反動的な教育行政をやっているのを私は見てとったのであります。これはやはりこのような指針に基づいてなされているのではないか。また最近におきまして、御承知のように徳島であるとか、山口であるとか、栃木であるとか、高知であるとか、これらのところにそのような動きが出て参っているのでありますが、この内容を見てみますと、最近の特徴的な傾向としては、利益誘導によって組合を脱退をさせていく、そして組合に入っている者は昇進をさせない。このような方向をとってもっぱら教職員のそのようなエゴイズムに訴えて自分たちが教育を支配をしていこうという傾向が出ていることであります。このようなところから、文部省がそれらの府県の教育委員会の背景にあってたくみに糸を引っぱっているのではないかという世間の批判を受けるのでありますが、そのような事実は今までないのかどうか。この点について大臣から、そのような不当労働行為をやっているような県教育委員会あるいは市町村教育委員会があったならば、当然それに対しては断固とした措置をとる、こういうような明言をはたしてこの場において、国民の前においてしていただけるかどうか、その点をまず大臣にはっきりとお答えを願いたいと思います。
○荒木国務大臣 読み上げられましたことも実は私は全然初耳でございます。先刻申し上げた通り、さようなことがかりにあったといたしましても、そういう読み上げられました事柄が党で論議されたといたしましても、私は知りません、現実問題として知りません。それから教育者であろうと、教育委員会であろうと、文部省であろうと、法治国日本において法律に反したことをして免れるということは許せない、これは当然しごくと私は心得ます。おっしゃったことの真実であるかどうか、私は直接存じませんけれども、一般的に申しまして、法律制度に違反するものは民主憲法のもとに存在してはいけないということで、そういう心がまえで事柄に臨まねばならぬ、かように考え続けておるわけであります。
○村山委員 法律に書いてあればよくないけれども、法律に掲げてないことはやってもいいというふうに解釈できるような答弁であります。現在の教職員の団結権、団体行動権、こういうものを守って参るためには、現在地方公務員法等があるわけでありますが、その中において、当局が不当労働行為を行なった場合等においては救済をするという措置がきわめて不十分であります。これは大体当局というものはそのような組合の分裂工作をはかるとか、あるいは分断工作をはかるとかいうことはしてはならないし、するはずもない、こういうような一つの考え方に基づいて法律ができているのだろうと思うのであります。しかしながら今日においてはそういうことが現実において行なわれて、文部省の指示あるいは指令の有無にかかわらず現実においてはそのような行為が行なわれているということが問題なんだ。こういうようなことを法律に書いてないからやってもいいとか、法律に書いてある場合にはやってはいけないとか、そういうようなことではないのではないか。この考え方はかねがね大臣のILOというものに対するところの考え、あるいは日本国憲法に対するところの考えというものが、日教組を初めとする教員組合のそれぞれに適用された場合において、一体どういうような考え方に立っているかということが基本的なかまえになってくると思うのであります。そういうような点から、私は大臣に日教組なり教職員組合というものは憲法第二十一条に基づく団体であるのか、それとも憲法第二十八条の勤労者の団体であるのか、その点について大臣が明確な答弁をしていただくようにこの際要求をしておきたいと思います。
○荒木国務大臣 私は勤労者の団体だと理解いたします。ただ労働三法が直接適用にならない、適用することが適切でない勤労者の団体だから、地方公務員法によって処置をしておる、地方公務員法のらち内において適法に存在する職員団体だと思います。
○村山委員 大臣の答弁は三十六年ごろよりするとちょっと進歩したような答弁である。その当時は大臣は第二十一条の結社の自由に基づいた団体であって、第二十八条の勤労者の団体であるという考え方に基づいた答弁ではなかった。これは予算委員会等におけるところの発言を集めていろいろ検討してみますと、そういうような思想的な傾向がはっきりあるわけであります。 そこで、私は大臣が今地方公務員の法律の問題を言われましたので、この際あらためて大臣にお尋ねをしておきたいのは、ILO九十八号条約、この中において公務員という言葉が使ってございます。公務員なるがゆえにその九十八号条約は適用されない、こういうような解釈が今日まで一貫して政府にはあったと思うのであります。そうして八十七号条約を批准をする場合にはこれは公務員にも適用をされるのだ、こういったような考え方があることは事実であります。 そこで大臣にお尋ねをいたしますが、さきに今村さんがジュネーブのILO本部に日教組の宮之原委員長と一緒に行かれた、そしてそのILOの報告をめぐって日教組においても文部省においても我田引水的なPRをしていることは事実であります。その内容を見てみましたときに、いろいろと問題点がございますが、そのときに資料として、文部省の方から出された資料の中にこういうことが掲げてあると思うのであります。ILO九十八号六条の公務員でないと日教組は主張をしておるけれども、わが国においては小中学校における教育は国法に基づく義務教育であり、市町村が法律に基づき義務的に設置する学校において行なわれるものとした国の行政である。そしてこれに従事する職員は前述のごとく法律により地方公務員とされており、労働条件も都道府県の条例で規定されておる。従ってわが国のこれらの教員は同条約同条の公務員であると思われているが、これによると地方公務員たる教職員も国の行政に従事する公務員という概念の中に入ったものだ、こういうような文書をお出しになっていると承るのであります。そうなって参りますと、地方公務員である教職員というものは、かねがね大臣は教育は中央集権は適当でない、だから地方分権の立場に立ってやらなければならないから、ということをしょっちゅう言われているのであります。だから、私は日教組と交渉をしない、こういうことを言っておいでになります。ところがILOの総会に資料として出したのは国の行政に従事する公務員の概念の中に入るのだ、こういう形で資料をお出しになる、そして片一方においては地方公務員法等の関係もあるので、当然地方分権の立場からわれわれは権限もないし、また日教組と会う筋合いのものでもない、こういうことで団体交渉を拒否される、こういうことになって参りますと、一体九十八号条約の中で公務員としてその中に教職員を入れられておるということ自体がおかしいということに、大臣の答弁からはなってくるのでありますが、その食い違いはどういうようなところであなたはそういうふうになさっているのですか。その点を大臣から明確にしていただかなければ、今後の論議が進まないと思うので、大臣の考え方を承っておきたい。
○荒木国務大臣 お答えします前に、日教組あるいは地域教組なるものが、憲法の二十一条かあるいは二十八条か、両方であるように言ったじゃないかという御指摘ですが、そういうふうに申し上げた記憶があります。それは、地方公務員法によって職員団体がつくれるということを中心に考えました場合には、むろん今申し上げた通りであって、二十八条の流れをくむ団体であることには間違いない。ただし、日教組の現実行動を見ておると、二十一条ででもあるかのごとく見える。だからその点をそう考えれば、両方であるようにも思えますという趣旨のことをお答えしたことはございます。制度の上からの当然の結論としましては、憲法に言うところの勤労者の団結権、団体行動権が保障されておる線に立った職員団体として、地方公務員法が認めておる団体である、こう理解するわけであります。 それからILO九十八号条約における公務員というものの解釈論議でございますが、私は今ちょっと正確な記憶がございませんので、政府委員あるいは説明員からお答えすることをお許しいただきたいと思います。私が日教組と団体交渉をしないということは、日本の法律制度上から、当然そうであるからそう申しておるわけであります。労使の関係が、日教組と文部大臣の間にない。労使の関係に立つものは教育委員会である。だから、交渉相手は教育委員会であり、もし便宜つくられておる全国組織の日教組というものが交渉ということをやろうとするならば、たとえば全国の教育委員長協議会の代表者と交渉されることは、それはあり得るであろうけれども、文部大臣が団体交渉の相手となることそのことは、制度を乱るものであるということから御会見申し上げない、こう申してきておるのであります。
○今村説明員 九十八号条約の第六条に「この条約は、公務員の地位を取り扱うものではなく、」と書いてある公務員の意味でございますが、ILOの条約でございますので、労働省あるいは外務省等と相談いたしまして、この公務員、今村山先生は国の公務員という工合に言われましたが、公定の訳では公務員となっておるわけです。なぜ国のという言葉が出てくるかと申しますと、英文の方ではパブリック・サーパンツ・エンゲージドイン・ザ・アドミニストレーション・オブ・ザ・ステーツと書いてある。フランス語ではフォンクショネール・ププリークということが書いてある。この公務員の意味は、われわれが国内で使う国と地方公共団体というもの、二つに分けて理解するような国ではなしに、もっと大きな意味で、国とばく然とした意味で使われておるわけです。特にフランス語の方を見ると明瞭でございます。公の役人、それが公務員というような訳になっておるわけであります。そういう広い意味では、教職員もここに言う公務員に当たるという説明をしておるわけであります。
○村山委員 その公務員の解釈をめぐっての話ではないのです。あなたが資料として持っていかれたその中にはそれが入っておる。そうすると、国の行政に従事するところの公務員というのが英文で書いてある。フランス語でもそういうふうに書いてあるけれども、国の行政に従事するところの公務員と、地方におけるところの一部の公務員、いわゆる政策を決定するところの高級公務員が対象になっておる。そういうような点から考えていった場合には、あくまでもこれは行政に従事するところの公務員でなければならない。ところが、行政に従事する公務員であるかのごとく、教職員もその中に入れておる。そうしておいて、これは国の九十八号条約の内容を説明しておきながら、片一方においては地方公務員だから、あなた方の方はそちらの方でやりなさい、文部省の方は、何もそういうような制度上の仕組みがないじゃないか、こういうことで逃げておいでになる。その点がおかしいじゃないかということを言っている。
○今村説明員 九十八号の方の公務員は、国家公務員も地方公務員も含めた意味での、広い意味での公務員である、そういう解釈に立って、そういう意味の公務員には教職員は該当する。しかし国内の問題として、国家公務員、地方公務員と分けて議論する場合には、公立小中学校に勤務する教職員は地方公務員である、かように申し上げておるのでございます。
○村山委員 それは政府が勝手に解釈をしておるのであって、この原文から見ていったら、国の行政に従事する者というふうに限定してあるわけです。そういうような点から、教員もその中に入るのだということで、公務員という概念規定の中において、一括して九十八号条約の適用を受けないのだ、こういうようにしておいて、今度日教組に対する場合においては、それは地方公務員だから、お前たちは勝手に地方で交渉しろ、文部省は会う必要はない。こういうようなことを言っておるけれども、文部省は今日地方分権的な方向に教育を進めていくのではなくして、中央集権的な方向に教育行政を持っていっておるということは、今まで法律が制定されたその経過の中から、はっきり読み取ることができるのじゃありませんか。最近はいろいろな形において地方団体を指導、助言、勧告というようなことにおいてあなた方は措置してこられた。たとえば学力テストの問題においても、そういうようなことを、当然措置要求の中においてできるのだ、やらないのがけしからぬのだ、こういうような指導をしておいでになって、都道府県かあるいは市町村の教育委員会が自主的に判断をして、その中においてそこの教職員組合と話し合いの中で解決をしていくというルールを、一方的に行政指導なりあるいは通達、いろいろな解釈によって文部省の方が規制してやっている。こういうようなところに、地方の教育委員会と教職員組合の間における話し合いが、十分にできないような情勢をつくっているというのが実情じゃないですか。大臣、その点はどうです。
○荒木国務大臣 あくまでも地方分権的な建前で動いており、動かさねばならぬと思っております。ただし中央集権と申しますか、原則は地方分権的ではあるけれども、例外として国が留保している権限もしくは責任というものはあるわけでありまして、その範囲内においては、むろん法律、制度の根拠のもとに、あるいは行政指導その他の権限の与えられております範囲内において指導し、運営していくことは、これは当然のことだと思います。例示されました学力調査のことですけれども、これは学校教育法第二十条以下に、小中高校についての教科に関することは、文部大臣がこれを定めるという権限規定、責任規定がございます。その範囲内のことであり、その責任を果たすために、当然必要なことでございますからやるのでありまして、それをやるにつきましても、地方教育行政法等にそれを受けた条章も明記してあり、それらの法律、制度に基づいて、法律が要求する文部大臣としての国民に対する責任を果たす一つの方法として、学力調査というものが出てきている、そういう考え方に立ってやっておるわけであります。
○床次委員長 村山君、約束の時間がきましたから、簡潔に御進行願います。
○村山委員 大臣の持っている権限というものを、今日実例に即してわれわれが見ていった場合に、大臣が中央において教職員の団体と交渉をしていかなければ、地方段階において、現実において解決ができないという事態が、今日の行政のシステムの中において生まれている。そういうところから、中央におけるところの交渉なくしては話し合いが十分にできないというところに、日教組のあなたに対する交渉の要求が出てきているわけです。それは待遇の問題にしても教育条件の問題にしても、その通りであります。そういうような実情から考えて、あなたがもっと正すべきは正し、自分の間違いは間違いとして、それらの日本の教育水準を向上させ、教職員が安心して教壇に立てるような、そういう政治というものをつくり出していく責任はあなたにあるのじゃないですか。大臣はやはりこの際そういうようなILOの精神から見て、当然一定の限界はありましょうけれども、話し合いをされるというのが本筋であると思うのでありますが、ILOの精神をどういうふうにお考えになっておられるのかを最後に承っておきたい。
○荒木国務大臣 日教組と話し合うことは邪道だと思います。勤務条件等の維持改善の課題について話し合うことも、まず第一に邪道であり、教育行政ないしは教育内容等、そのことについて日教組という職員団体と話し合ってやらなければならないというものじゃない。言いかえれば、さっきも申し上げましたように、勤労者の団体であって政治団体ではないはずですから、政治団体でないものが勤労条件の改善等の課題以外のことで、集団として、当然の権利として交渉する立場にはない。またそれを受け付くべき権限も責任も文部大臣にはない。これはきわめて明瞭なことであると思います。事実問題としてあるかないかはまた別個のことでありますが、事実問題といたしましても、私は日教組という、今の姿の日教組の代表者と何事にあれ話し合うということは必要でない、むしろ弊害ありと考えておるわけであります。
○村山委員 大臣がそういう考え方をして、そして教職員が強い者には巻かれろというような考え方をとっておるがゆえに、今日の日本の教育の刷新はできない。教職員がモラルを失ってしまって、あなたが今日までやっておいでになったところのそういうような反動的な考え方に左右されている。もう月給をとるだけの教育者になってみたり、あるいはあなた方の考え方に対して——今日青少年の不良化というような問題が出ている。そういうような状況に対して、国民の教育を守っていくんだという情熱が出てこないのは、そしてそういう不正に立ち向かっていくという気構えが教職員に生まれてこないのは、長いものには巻かれろ、荒木大臣もああ言っているじゃないか、こういうような考え方が自然ににじみ出てきているところに今日の教育の危機がある。大臣はそこに思いをいたされて、この問題をもっと謙虚にお考えおきを願いたいと思うのです。 以上、終わります。
○荒木国務大臣 あくまでも謙虚な気持で教育に取っ組まなければならないという御説は、私は賛成であります。けれども、教職員が自主性を失い、あるいは本来教職員として望ましからざることありとするならば、むしろ日教組の倫理綱領の目的、意識の間違いの上に、国民側から見れば逆に心配事ができつつあるということが、問題の焦点であろうと思うのであります。あくまでも地方公務員法に認めております職員団体は、教職員に対して伝家の宝刀として与えられておる、このことに対して何人といえども一言も差し挟む余地はない存在だと思います。ということと、この職員団体の存在がいつの間にか、いわば基本的人権の乱用的な姿になって、二十一条の結社であるがごとき言動にまで及ぶことは、きわめて望ましからざる姿であったと私は思います。私は、そのことを日教組は反省してもらいたいということを申し上げているにすぎないのであります。
○床次委員長 次会は三十一日金曜日に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時四十五分散会