農林水産委員会 第13号
- 発言数
- 146 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1962/11/14
会議録
○長谷川委員長 これより会議を開きます。 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。 農業構造改善事業に関する問題について質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。足鹿覺君。
○足鹿委員 私は、農林大臣並びに自治大臣に対しまして、日本社会党の立場から概括的な農業構造改善事業に対する質疑を行ないたいと思います。 まず質疑を行ないます私どもの立場について一言申し上げますならば、ある政党のごときは、構造改善事業は地獄行きのバスであるときめつけております。しかしながら、わが党は前近代的な農業の構造改善そのものは、日本農業にとってきわめて必要なことであり、従ってこれを正しく推進していく上においては何らやぶさかでないことを明らかにしておくのであります。問題はその対策の基調と具体的内容であることは申し上げるまでもございません。わが党はこのような立場から本問題を重視し、党独自の立場から二カ月間にわたって全国八ブロックにわたって現地調査を行ない、現地の指導者や農民のなまの声を聞きまして、慎重にこれが態度なり具体的対策を検討しているような段階であります。また当委員会においても正式な国政調査に乗り出し、その結果に基づき一昨日の委員会において各班長より報告をされました。また昨日は各界代表九人の参考人の意見を聴取し、また質疑を通じて政府の反省を求めんといたした次第であります。要するに、このままではとても構造改善の前途は不安であるというのが共通した意見でございまして、地獄へ行くかどうかははっきりいたしませんが、少なくとも極楽行きのバスでないということだけは今のままでは明確になったように思うのであります。従って私は、これらの参考人の公述した意見、またわれわれの調査に基づく資料及び現地の切実な要望の上に立ちまして、政府の真摯な反省を求め、全国の農民の素朴な声にこたえられることをこの委員会を通じて特に農林大臣に要望しておきたいと思うのであります。従って、農林大臣の本日の御答弁はきわめて重要であり、全国の関係者はもちろん、農民が耳をそばだて、目を見開いて注視しておるのでありますので、重大なる御決意を持って対処せられんことを希望いたし、真摯にしてかつ誠実な御答弁を特にお願いを申し上げ、質問に入る前にまず私どもの立場を明らかにしておきたいと思う次第であります。 そこで第一にお尋ねをいたしたいことは、農業構造改善事業は現実の段階におきまして農林省の考えておることと実施地域との間に運営上の問題あるいは予算の問題等に相当著しい食い違いを生じまして、一部には指定を返上しようとしておる動きさえ出ておる。そして実際に事業実施の地区指定の申請を見ますと二百十一地区でございまして、そのうち二十六地区が申請を取り下げた。申請のあった地区は、全部実施地区にいたしましても当初予定した二百地区にはとうてい今のところでは達しないというのが実情でございます。これは先日農林省からも資料をいただいておるようなわけであります。このような段階にあって、農林大臣はどのように反省をし、今後対処せられんとしておるのでありますか。昨日来の参考人の公述並びに現地の声によりますと、その理由は、事業資金が少な過ぎる、政府補助が少ない、農産物の価格安定対策並びに流通対策がない、従って農民が安心して事業実施に踏み切る決意がつかない、こういうことのようでございます。従って、これらの問題に対して基本的にも具体的にも、また当面の運営についてもいかようなる態度をもって対処されるかをまず基本として伺いたいのでございます。
○重政国務大臣 構造改善指定の申請を取り下げて、それが予算上の予定の数量に結局達しないがそれはどういうふうに考えるかという御質問だと思いますが、構造改善事業というものはなかなかむずかしいと非常に実は心配もしておるのでありますけれども、私の考えでは、この事業を行なわんとする地区は何としてもその指導者に人を得ること、そして熱意を持ってやる、こういうふうな意気に燃えている者が第一に必要である。そしてまた、その地区の人々がよく理解をされて、農業近代化を行なう上におけるこれは基本的な事業であるからどうしてもやり遂げなければならぬという熱意に燃えておられるところから始めるべきである。その計画の内容が適切であるということが必要であることはもちろん当然でありますが、そういう地区から始めるべきものである。数は少なくても、当初におきましてはこれはさほど憂慮すべきことではない。だんだんこの事業の緊要性が行き渡っていけば、両三年のうちにはわれわれの予定をいたしております数をオーバーしてその指定の申請が必ずある、こういうように私は考えておるのであります。そこで、そういうような地区から漸次指定をしていく、一応一まとめにして、ある数まで満たなければ指定をしないというようなことでなしに、端からどんどん指定をしていこう、こういう考えをもって実行いたしておる次第であります。 それから、安心してこの事業をやることができるようにというような御意見も私聞いております。そこで、一方においてこの地区を指定して構造改善事業を行ないますと同時に、ただいまお述べになりましたような農産物及び水産物の価格の安定政策を拡充していく、同時に、農業の近代化から市場を目標としての生産に変わっていくのでありますから、流通機構の改善ということを行なわなければならぬ。さらには金融の問題でありますが、農業に投下する資金は低利長期のものでなければならぬ。従って、この際は思い切って農業金融の制度を改善して長期低利の資金を構造改善事業に供給をしていく、こういう政策を取り上げなければならぬ、こう考えまして、これらの諸点につきまして、あるいは財政的に、あるいは法律制度の上におきまして、来たる通常国会にはそれぞれ法案及び予算を提案するつもりでおるわけであります。
○足鹿委員 できるところからやっていくというような御趣旨のようでありますが、もちろんこの計画を申請した地区は相当な人材がおり、やり得るような態勢もあって自信を持って申請したであろうと思うのであります。それがただいま指摘したような実情にあるわけでありまして、これについては農林当局なり関係政府機関は率直に耳を傾けて対処される必要があるのではないか。大臣の御答弁を聞いておりますと、少々割っても三年のうちには大丈夫だ、大丈夫にするには価格対策、流通対策や長期低利の金融対策というようなことについて考えておるということでありましたが、それは追ってもう少しこまかくお尋ねをしたいと思いますけれども、補助の問題については御言明がなかったようでございます。で、この点について、時間がありませんから、本日は私はそのものずばりでお尋ねをいたしますが、結局、昨日の公述に共通して見られることは、パイロット地区は展示的性格があって視察者にも困っておる、それらに伴う有形無形の負担というものは大きい、にもかかわらず事業分量は少ない、補助率は何ら一般地区と変わりがない、これは少なくとも八割以上は出すべきである、こういう切実な意見でありました。また一般地区にいたしましても、これは現実の姿をもってすればただ金額が違うというだけであって、日本農業の全地区に比べれば、そのもの自体もパイロット、展示的性格を持つものであると私は思う。従って、これらの共通した問題は、補助率が低いということにあるようであります。これについてはあとで自治大臣にも伺いたいと思っておりますが、これに対する大臣の対策、基本的な構想をまずこの際明らかにしてもらいたいし、当面の運用の点についても触れて御答弁願いたい。たとえば事業ワクを拡大したいという地域もあります。ところが返上するという地域も出てくる。そういうことになりますと、指定自体、あるいはワクと言えば、指定返上の残予算の弾力的運営をもって事業ワクを拡大してほしいと思うところには、これは当然弾力的に転用すべき性格のものだと思われますし、また昨日も新潟の指定第一号の参考人からの公述がありましたが、積雪を前にして農林省との話がなかなか進まぬ、これでは困るという意味のことを言っておりました。要するに実施期間というものをもっと短縮する必要があるのではないか。要するに基本的には補助率が低い。これに対する基本的構想いかん。また当面の問題として与えられたあなた方の予算的措置の中にあって、いかにして現地の要望にこたえられんとするか。運用面なりから見た当面の対策をこの際明らかにしていただきたいと思います。
○重政国務大臣 補助率が低いという声は私もよく聞いております。しかし、これは程度の問題でございまして、高ければ高いほど望ましいことは当然のことでありますが、農林省の一般の補助の補助率から見まして決してこれは低いものではないということをまず申し上げなければならぬ。と同時に、各府県によりまして、府県の実情によりましては県自体が五割補助の上に一割ないし一割以上の補助率の格上げをつける府県もございます。いずれにしてもこれは非常に困難な事業であるから、特に補助率をさらに考えるべきであるというふうな御意見もあり、私どももそういうふうに考えております。そこで予算的には、なかなか一般の関係もありましてその簡単ではないと思いますが、今私どもが考えておりますところは、地方交付金を交付いたします際に、構造改善事業に対しては一割ないし二割の補助を県が農林省の補助に加えてする。こういうことができるような財源を地方交付金の中に求めてやろうというので、今自治省の方とせっかく交渉をいたしておるわけであります。 それからさらには町村の起債ワクを広げたらどうかということで、その方も自治省と交渉をいたしておるような段階になっております。これはぜひその目的を達したい、こういうふうに考えておる次第であります。 それから事業全体のワクと申しますか、予算的に申しますと平均一町村一億一千万円、これではどうも足らぬから一億五千万円はぜひ必要であるというような場合にどうするかという問題もありますが、これは地方の実情に応じまして、一億一千万円をこえてもできるだけその計画に合うように融資なりその他の方法でやっていきたい、こう考えております。従って、ただいまお述べになりましたような二百カ所の予算があって百九十カ所しか実際に指定はしないというような場合には、その残りの分は他の指定をいたしました中でワクをこえる分に当然に振り向けていくべきである、こういうふうに考えます。
○足鹿委員 ただいま大臣は、価格、流通対策、金融あるいは補助率の引き上げ等について構想の一端を述べられました。また当面の運用についても触れられましたが、今お考えになっておることは来年度の予算対策でありますか。また現に都道府県が計画しておるのは、昨日も愛知県の事例が述べられました。また東京その他九都道府県あたりにおいて上積みを考えておることも報ぜられておりますが、それは財政力のある県においてはできるところもありましょうし、財政力のない県ではできないところもあるわけであります。いずれにしてみても同じ構造改善をやっていく政府の基本方針に、ある県では協力態勢をする、ある県ではやろうと思ってもそれができない、こういう不公平の是正は、何かそこに法的な一つの根拠、規制、指導、これを強化してやられない限りにはそういうことはできないのではないかと思うのであります。 それといま一つ、今三つの対策を掲げられました。しかし、それは本年度に遡及して適用される御意思がございますか。大事な点だろうと思うのです。初めやったものは苦労してばかを見る、だんだんあとからやった者が条件がよくなる、こういうことではおさまらないと思うのであります。従って、今述べられた補助率の引き上げ対策や金融の長期低利の融通対策や、あるいは価格対策の内容ははっきりいたしませんが、かりにある程度の指示的な、あるいは政府が援助をしていくような形のものがとられたといたします場合には、これが遡及ということにならなければおもしろくない結果が出てくると思うのでありますが、いずれにいたしましても、今政府が考えておりますことは本年度計画、またパイロットのごときは三十六年度の計画ですでに実施に移しておるところもあるのであります。これらの取り扱いなり方針はいかようになりますか伺いたい。
○重政国務大臣 先ほど申しましたことのうちには、御指摘の通りに運用に関するものがございます。今の補助率の府県の格上げというようなものは、自治省との話がつきますれば、本年の地方交付税の交付金であんばいができるものならあんばいをして本年からやっていきたい。それから事業ワクを必要によって広げる分も、これも運用で本年からいくことができると思うのであります。あるいは長期低利の金融制度というようなもの、これはもちろん法律を要する事項でございますから遡及するわけには参らぬ、こう私は考えるわけであります。でありますが、運用によりましてあるいは三十六年あるいは本年から実行をいたして、たとえば農業近代化資金六分五厘の金を借りておるものが、将来つまり三十八年度からかりに低利長期の融資の制度が実行できるとしますれば、三十八年以後はその金利でやっていくことができるのではないか、こういうふうに考えておるのでありますが、そういうことは運用によりましてできる限り公平にやるべきである、こういうふうに考えております。
○足鹿委員 自治省との折衝段階であるようでありまして、まだ御確信のほどが明らかでないようでありますが、これは大臣の時間の都合があるようでありますので後刻自治大臣にも伺いたいと思います。長期低利資金の構想というものも大体の構想がまとまって、新聞にも出ておるようでありますが、それらの点についても、どういう構想でどういう段階であるか、見通しはどうか、こういったことについても、差しつかえのない限り明らかにしていただきたい。と同時に、価格流通対策の問題については、農民不安を除去するために一番これは本問題の締めくくりになるわけであります。昨日の参考人の共通した意見も、学界から現地の声までみなそういう意見であります。私もさように思いますが、ここで問題になりますことは、今度の構造改善事業というものは、ある地区なりある。パイロット地域なりに相当の資本投下を行なうということであります。その結果、設備が充実をされまして効果が上がれば労働の生産性が向上してくる。このことは確かに言えると思うのであります。この労働の生産性が向上することによって農業労力が省ける。この省力された労働力の大部分というものは、日本農業の現状からすれば結局自家労働であります。要するに農民は楽をしたい。また楽ができるということであります。で、直接その自家労働が軽減したからといって、この結果イコール所得増ということにはなりません。逆に金利や償却等が資本投下に伴って発しますから生産費は高くつくという結果が出る。きのうの参考人の話においても、コンバインを水稲にやった場合には、まだ研究段階ではあるけれども、一五%のロスがあるということを山形県知事は指摘をしておられ、米の胴割れ、ひび入り等を指摘しておられました。こういう事実もあるようであります。要するに、むしろ現在の機械化貧乏に拍車をかけると言うと語弊がありますが、そういうことになることをわれわれはおそれるのであります。結局この省力された労力というものは、農林大臣としては基本的に農業内部にほんとうに吸収していく重大な決意がございますか、これを承りたい。農業内部での吸収は一定の限界のあることも私どもは存じておりますが、しかし昨日もある大学の先生は、外部へ出してもいいじゃないか、自分らも農村に生まれて外部に出たのだからいいじゃないか、こういうような乱暴な議論をなさいましたが、なるほど若い者は外部へ出られますけれども、中年程度の者は、役所の門番か夜警か、女だったら掃除婦か臨時工か日雇い、この程度の農業外への就職というものしか考えられない。とするならば、やはり構造改善によって大きな設備投資が行なわれ、日本農業が近代化をされたその省力された労力というものは農村内部でこれを受けとめ、そうしてそこに、いわゆるあなた方の言われる、もうかる農業というものがいかような形で出てくるかということで、その結果で初めて農業所得の増大ということにつながると思うのであります。そういう場合に、問題は価格であります。価格対策のしりが抜けておりました場合には、これはむしろ貧乏に拍車をかける。その結果として、好まざることであるかもしれませんが、農民の離農、脱農という結果を招来することは、私どもがしばしば指摘した通りであります。何でも機械化さえすればいい、大型化すればいいというならば、アメリカの農業をごらんなさい。あれぐらい大農化しておっても、必ずしもアメリカの農業が安定しているとはいえない。これには強力な政府の価格流通対策というてこ入れがこれに伴っておることは申し上げるまでもありません。従ってそういう見地から、この投資の効率を高め、それが即生産性を高め、そして農民所得につながる一連の施策、行程を経て、最後には価格問題に落ちつくのでありますが、一番冒頭に価格流通対策に構想を持っておるのだということでありますけれども、その構想はどういう構想であるか。特に私が強く指摘し、申し上げたいことは、農業政策としての価格政策を承りたい、かように思うのであります。
○重政国務大臣 機械化すれば労力が余る、その労力を農村にとどめておくことができるかというような御質問が第一点にあったと思うのであります。私は、農業所得が少ないということは農業の就業人口が多過ぎるというふうに考える。でありますから、できるだけ人手を省いて、そうして生産性を上げて、それで労力が余りましたら、他産業への労力の提供ということも考えられるであろうし、あるいはまた農産物等の加工業を起こすという点も考えられるでありましょう。いずれにしても、そういうことをただ人手が余って遊ばすために機械化するのだというような、そういう漫然としたことでなしに、そこを一つ計画的に構造改善をやってもらうという趣旨は、すなわちそこにある、こういうふうに私は考えておるわけであります。 それから第二の価格政策の問題でありますが、近代化農業というものは、申すまでもなく市場生産であります。でありますから、主産地形成をおやりなさい、こういうことを言っておられる。市場生産である以上は、需給によってこれは決定せられることは当然のことなのです。であるからであるからこの需給調節、出荷調整というようなことも加味して政策の上に考えずに、価格政策だけということでいくわけには参らないと私は思う。でありますから、現に畜産振興事業団を設けて、価格安定の政策を実行いたしておりますが、同時に、これは中央なりあるいは各府県に需給協議会というものを設けて、需給の見通しを立てて、大体こういうことになるから生産はこういうふうに進めるがよろしいという方法を一面において講じ、さらに出荷の調整をやらなければ、全体としての需給はバランスが合っておっても出荷が片寄るということになりますと、その値段が下がって農家は不測の損害を受けるから、その出荷の調整も同時にやらなければならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。そういう方向で一つ一つの物資につきまして考えていきたい、こういうふうに考えてやっておるわけであります。
○足鹿委員 価格対策に関連して、今この構造改善で問題が起きておる。今の大臣の価格対策は一向要領を得ませんが、実際問題としては、省力化された労力を農村内部に向けるというはっきりとした意図でやっておるのは、兵庫県が一昨年県営で行ないましたパイロットであります。これは阪本知事の構想によれば西播地帯を、明確な工業地帯の背後にある地域を選んで、そして労力の省力化されたものを農村内部にこれを受けとめる。そういう構想で酪農と果樹、これに牧野を入れて、そして非常な努力を払い、県費をつぎ込み、現在苦悩にあえぎながら進めつつある。そういう方向がちゃんと出ておる。しかしそれも現在の状態がぐんぐん進んでいまきすと、パイロットが進み、一般地域が進んでいく、しかもそれは行政区域そのもので計画を立て、それを対象としておる。しかし今大臣が言われた生産の計画性あるいは出荷の調整というような単純な価格流通対策から、もっと立体的な、たとえば養豚をやる場合には子豚の生産から枝肉にして調整販売をしていく、その一時の金の立てかえも進めていく、金利の補給もやっていく、そして一面には加工をもこれに伴ったというような立体的なものをやる場合に、現在の行政区域主義の農林省の考え方ではできないのです。これを一体いかように調整をされ、今後進めていかれる御所存でありますか。今の御答弁であなたのお気持はわかります。わかりますが、実際にはあなたのお気持が農林省のあなたたちの役人に伝わり、末端へこれがどういう形で行政区域を越えた一つの経済ブロックといいますか、経済単位にそうした出荷調整や生産の自主規制あるいはもっと立体的な生産から加工、販売に至るまでのような整った価格対策の基調ともいいますか、そういう施策をどうして打ち出しますか、それが問題なんですよ。現在のあなた方の構想ではできないのです。どういたしますか。その点も一つあわせて伺いたい。
○重政国務大臣 ただいまお述べになりましたようなことは、たとえば養豚につきましては現に着手をいたしております。これは私らの考えを持ってすれば広義の構造改善の事業の一端になるかと思いますが、畜産とかあるいは園芸果樹というような成長部門につきましては、全国的にそういうようなただいま述べられたような生体取引をやめて部分肉の処理工場を各地につくって市場とそれを結びつける、出荷の調節もやって、余ったときにはそとに加工工場をつくって加工をして冷蔵庫へそれを入れて置くというようなこと、それは現に実行に着手しております。そういうこともやっておりますが、構造改善という、今の町村行政区域で一応考えて現在やっておるわけであります。その際に経済圏と申しますか、経済区域というものが行政区域外にもう少し広がるべき筋合いのものであるというような、これは御説の通りなんであります。ところがこれも、しからば全国がどういうふうな経済圏になっておるかということは、今調査をしておるわけでありまして、しかもこれも時代によってまた違ってもくるだろうと思うのであります。そこで正確に、今から経済圏はこうであるからこれだけの経済圏の区域内で構造改善をやれというようなわけには、なかなか実行問題としてはいかないから、一応今の行政区域でこれをやっていく。その際にはその地方において十分調査をせられて、大体ここは九カ町村なら九カ町村、あるいは五カ町村なら五カ町村というものは一つの経済区域として考えられるというような場合には、同時にこれを構造改善事業の指定をするというような方向で実際運用をしていくように考えておるわけであります。これは御指摘の通り、なかなか今のような御指摘の御構想はごもっともである、私もそう考える。けれども実行の問題としては今申し上げたようなことで、漸次そういう方向に的確に持っていく、こういう考えをしておるわけであります。
○足鹿委員 問題の核心に触れた御答弁がいただけないので非常に残念に思いますが、お気持のあるところはわからぬではないのですけれども、そういう大臣の気持があるならばもっとそれを煮詰めて、そして具体的におろされなければならない段階なんです。それを私は指摘しておるのです。 時間がありませんから先へ進みますが、そこで問題になりますことは、この事業を十カ年にわたって、長きにわたって逐次遂行していくわけです。事業の推進体制について私は伺いたいと思います。 政府は、世論がだいぶ構造改善について批判がきびしい、このままではいかぬというので、あわてて推進本部をつくられたり、あるいはコンサルタントをつくる方針を考えてみたり、あるいは振興局に農業機械課を新設してみたりというふうに、思いつきにもしろとにかくいろいろ考えておられるようであります。そのこと自体はまあその熱意のほどはわからぬではありませんが、非常に今の推進体制というものは、政府が一方で力んでおる。きのうのある学者の表現によりますと、農民の自主的な推進の気持に呼応するものだ、こういうことであります。ところが、ある学者はこう言っておる。農民の自主性というものは没却して、農林省の考え方にこれを持っていくのだ、そういう傾向、においがあるのだ、こういうふうにすら指摘しておる。調査も足らなければ基本調査も充実しておらない、こういうことであります。このことは両学者とも資料が不足である、調査も不十分であるということを言っております。そういう中にあって天下り的に準備不十分のためにデスクプランとして出発いたしましたから、どうしても画一性がそこに生まれ、独善的な傾向も出てきておるのであります。これに対して中央・地方を通じて関係機関、特に政府の内部においてすら、自分たちの今までの予算や今までの機構ではやれないものをこれに便乗してくっつけていこうとする気持すら各部局の間にはあると聞いておる。それほど農林省内部においてもなかなかまとまりがつかぬ。いわんやこれを各行政庁間にわたって、関係の行政庁、農業団体、学者、民間人、現地の代表、農民団体、こういうような人々の衆知を集め、企画を進めていくような推進体制が私は必要であると思う。これは中央・地方ともに必要であると思う。現在あなた方も補助金を出して協議会というものが発足しておる。しかしその性格は、今のところ問題点を指摘して政府に陳情、要請を行なうのが精一ぱいの段階である。その人々ですらもふんまんやる方ない気持を持って連日この委員会を傍聴しておる。こういう段階にあって中央・地方にもっとしっかりした推進体制、また世論を受けとめ民意に聞き、いわゆる独善的、画一主義に流れない立場に立ってこの大事業を推進していく機構についての大臣の御決意はどうか。私どもが現地を歩いてみた結果によりますと、相当な人口を持っておる市においては、私どもが行きますと直ちに計画書を見せます。そしてつぼを突いた説明をいたします。ところが町村に行きますと、計画もなければ、これからぼつぼつやります。というような段階で、能力が非常に欠けておるのです。そういうものに対してはコンサルタントの必要があり、愛知県がすでに来年を予想して出発の計画をきのう発表しておりました。こういうふうになった場合に一番問題になるのは、私は農協がどういう態度をとるかということである。結果としては構造改善事業は経済行為につながるわけです。そうした場合に全中が行なったこのアンケートによりますと、賛成六〇%、無関心または非協力が四〇%ということになっております。政府は末端において農協の合併促進対策を進めておられます。しかし県段階、中央段階にあっては何らどういう構想であるか私どもはまだ聞いておりませんが、いずれにしましても、末端ではとにかく農協もこういう実情にありとはいいながら、昨日もお見えになった農協長のように異常な熱意で協力しておられる方もある。ところが中央においては何ら、農協が考えておるさっき言いました一つの経済圏を単位とした営農団地方式等の構想をあなた方より前に発表しておるけれども、そのことについてほんとうに溶け込んで話し合おうという努力も気持もお互いにない。これは一体どういうわけか私どもは疑わざるを得ない。また農業委員会は十億円の農業構造改善予算の助成費を要求しております。しかしこれは機能が麻痺状態である。現職の事務局長が再度立候補して、そしていわゆる買収容疑で摘発され、全国の次長はこれも摘発をされる、都道府県の事務局長はほとんど二十に近いところが一応嫌疑を受けたり、あるいは摘発をされております。末端がかろうじて命脈を保っておる段階である。こういう機能が麻痺した状態、こういうことは別な角度から私どもは重視しておりますが、きょうはこれ以上触れませんけれども、一体このようなことで農業会議所の機能が発揮できますか。本来言うならば、この者たちがこれに対しては本格的に取り組む一つの役割を持っておるものだと思います。にもかかわらずこういう状態である。とにかく粛正を要する。上層機関に特に農業委員会のあり方については粛正を要する。当面構造改善事業というような大事業をかかえたこの団体のあり方についても、再検討を要すると私どもは考えておりますが、いずれにいたしましてもこの行政機構、農業団体との中央・地方を通ずるいわゆる推進体制の構想について大臣の御所見を承りたい。コンサルタントの事例もございましたが、中央にコンサルタントをつくるということもけっこうでしょう。第一、愛知ではコンサルタントの発足を来年予想しておりますし、岡山では民間でコンサルタントがもうすでに発足をして仕事をしております。経営診断は幾ら、帳簿の整理は幾らというふうに、もうそういうところにまでどんどんやっております。必ずしも行政庁の協力的な援助はないようでございますが、独自でやっております。また島根県では島根県農業開発公社というものを考え、農業構造改善の計画資金の調達、事業の実施についても、市町村で能力のないところはこれがかわって一括して行なう、一種のコンサルタントの域を脱したもっと強力なものを考えておるようであります。こういうふうにすでに民間では、地方では一連の動きが出てきておる。いずれにいたしましてもこのままであってはならぬと私は思いますが、そういう見地から大臣の御構想をこの際明らかにしていただきたい。
○重政国務大臣 私も構造改善事業推進の機構を整備するということはきわめて必要なことであると考えまして、農林省内における事務機構が御承知の通り縦割りになっておりますから、これでは早く地方の要望に応じて事務を処理することはできない。そこで省内には推進本部を設けて、各関係局長をその委員にいたしまして、即決をして参る体制を整えて実行に移しております。それと同時に、省外におきましては推進協議会というものをつくって、これがコンサルタントを行ない、その他いろいろの御援助を得る方々の御参加を求めて、ただいまお述べになりましたような方向に持っていきたい、こういうふうに考えているわけであります。三十八年度予算にも非常にわずかではありますが補助金を要求いたしているような次第であります。現在各種団体が構造改善事業を推進するための協議会をつくっておりますが、これは御指摘の通りにどうもその活動は十分ではございません。これは私は団体だけにまかしてやらすというわけには参らない、こう考えて、先ほど申し述べましたような推進協議会、協力会というふうなものを社団法人なり何なり、そういうはっきりしたもので設立をしまして、その使命を明らかにして、これに対しては関係方面、団体はもちろんですが、関係の皆様方の御協力を得て、そうして推進をしていきたい、こう考えておるわけであります。
○足鹿委員 大臣の御都合で時間がないので、私はまだ予定の半分ぐらいでありますけれども、質疑を割愛いたしますが、考えておりますことなり、大臣の御答弁がまだ明確でない点はメモでもとって、私の言うことを一つ一つ答弁してもらいたいと思うのですが、対象農家の負担軽減としての金融対策の内容いかんということをもっとはっきりしてもらいたい。 それから、この構造改善を行なっいく場合においては技術革新に備えて、これを農業場面にどう体系的に導入するかということであります。個人営農を中心とした技術、機械、営農方式からどうして脱却をしていくのか。これには大型機械の一貫作業の問題はまだ不十分であるし、これが指導に当たる技術員の技術水準引き上げのための再教育も必要であろうと思います。政府は改良助長法の改正を企図しておると伝えられておるがほんとうかどうか、これが二点。うしろにおる人はメモなどをつくって大臣に忘れぬように答弁をさしてもらいたい。時間が惜しいのでありますからお願いしたい。 それから構造改善と地域開発計画との関係、特に山林政策との関連、また漁業政策との関連等について非常に重要な問題が横たわっておる。特に山村とか漁村という面においては、なかんずく山村でありますが、今度の計画が地域一般に重点がかかり過ぎておる感がある。山間地帯では有効幅員六メートルないしは四・五メートルというような道路はつくろうにもつくれないし、団地もございません。そういう与えられた条件の中にあっては、山林政策との調整がなければならぬ。また林道の整備が当然この構造改善の問題としては考えられなければならず、山林の副業という面を占めておるシイタケの問題等ももっと大きく山村振興の立場から取り上げられなければならぬと思う。林野庁は来年度から林業の構造改善を進めると言っておりますが、林野庁の考えておることは、林業そのものの振興はいつも考えるけれども、山村住民の福祉の増進や所得の増加というものに直結しない、遊離した政策であるように私は思う。この際これを有機的にいかようにこの構造改善事業に関連して進めんとするか、それが一点であります。 また他との関連において記録だけにとどめておきたいと思いますが、現在着工中の土地改良事業の残事業量は、国営土地改良事業は今後四年半かかります。県営土地改良事業では七年、団体営土地改良事業では現在の計画を消化するのに今後十六年を要するという状態である。従ってこういう現状をいかにして早期完工し、一方において構造改善の問題と関連をせしめてこれらを並行してどのように解決するかという点についての確たる方針があるのかどうか。むしろ財務当局の方面の意見は大体構造改善をやればほかの方はいいじゃないか、国体営は三割の土地改良の補助だ、県営は四割だ、これを五割いくならば全部これに右へならえされることは困るというような意向が当初にあって、そして農林省との間に当初出先でいろいろ折衝があって、出発もおくれたという話も聞いております。いずれにいたしましてもそういう問題がある。漁業構造改善の問題にしてみましても、これは農業の場合と違って非常に生産活動を漁協というものがやっておる。この点については敬意を表しますが、これをもっと大きな視野から推進する対策というものが、この構造改善事業と関連して進んでいかなければならぬが、これらの問題についてはどうか。そうした問題を私どもはいろいろ深く掘り下げてお尋ねをしたいのでありますが、この問題については、そういう問題を考えておるということでありまして、特に今指摘しました四つの点について大臣から簡潔に御答弁があれば承りたいと思いますし、最後に私が承りたいことは、構造改善事業の法制化を検討する意思があるかどうかということを伺いたい。農基法二条、四条に構造改善という名前が出てきております。しかし別にこれには具体的な規定もございません。また選択的拡大に基づく主産地形成、こういうふうにつなぐのでありましょうが、選択的拡大という言葉も出てきておる。が、いずれにいたしましてもこれは閣議の了解事項であり、次官通牒であり、すべてが行政的、予算的措置によっておるのであります。昨日の委員会においても農民が心配しておるのは、重政さんは河野前農林大臣の方針を変えずにやると言っておられるから、これはまあそうでございましょう。しかし重政さんがかわった場合どうなるか、内閣がかわった場合どうなるか、期間が十年である、こういう点からも何か政局に変化があったときにこの事業はどうなるか、続くのか続かぬのか、内容がどう変わるのかという心配がある。従ってこれには責任の所在を明確にする根拠が不十分であると私どもは公平にいって指摘できると思うのです。これについてどのような責任の所在を明確にする対策と用意があるか、特に法的根拠を考えておられるかどうかということを承りたいと思います。そして私が特に申し上げたい点は、そういう立場から現在の十年計画というものが組まれておりますが、いずれにいたしましても最近の技術革新のテンポ、経済情勢の急激な変化、特に欧州EECの発展、わが国が貿易自由化を行なうことによって、今後十年の間にはわれわれの予想せざる大きな変化が起きることは、これは常識をもってしても明らかであろうと思います。そういう場合において、この構造改善事業を行なう場合はスピード化をしていかなければならぬと思いますが、だといって粗雑なスピード化はよろしくない、相当な調査を要し、基礎を持った対策でなけらねばならぬ。そういう意味から私は、農業の構造改善は単に農政の範囲内のみで解決のできない、厚生省所管、文部省所管の問題、あるいは自治省所管の問題、労働省所管というふうに、いろいろな行政庁間にまたがる問題であり、大きな日本経済全体の視野に立って行なわれ、その中の農業の占める地位というものがどういう地位か、どういう位置づけが行なわれるかというような点も相当長期の展望が必要であろうと思いますけれども、今の段階としては農業の場合においてもなかなか見当がつきません。とにかく大きな変化が起きるだろうということはわかります。従って法制化の検討の用意ありやいなやということと、あわせて大臣に御答弁願いたいのは、今の十年計画をまず前期五カ年計画に切りかえて、これをスピード化してやってみる、そうしてもしそれがある程度の成果を上げたならば、その経験を生かしてさらに後期五カ年計画というふうに続けていったらどうか、こういうふうに私どもは一応考える点もあるのでございますが、この点は、十年というものは、いずれにしろ昨日の参考人の意見に徴しましても長過ぎる、ちょっと見当がつかぬ、こういうことを素朴に言っております。この点についての大臣の率直な方針を承りまして、あとの方もありますし、大臣は十一時半までしか時間がないそうですから、これでは私の質問はしり切れトンボになるのでまことに残念でありますが、一つ誠実に、今言った諸問題について御答弁願いたい。
○重政国務大臣 十年計画は長過ぎる、これを五年計画で一つスピード・アップしてやったらどうかという御意見、私もこれは足鹿さんの御意見ごもっともだと思うのです。私もできればそういうふうにいたしたいというくらいな心持は持っておるのでありますが、いずれにしましても、現在手をつけたばかりということであります。しかも手をつけて、今るる御質問がございましたように、いろいろの問題がまだ十分に整備をせられておらぬ点も正直に言ってあるわけであります。それを今ここでいきなり五年にスピード・アップするということは、幾らか私も心配な点がございますので、私の現在の考えでは、ここ二、三年やってみて、そうして大体これも農村の諸君にも国民の諸君にもよく理解をせられて——もちろんその理解を早めるべき手段は、先ほど来お述べになりました通りに、協力態勢を民間につくるとかなんとかいうことでやるつもりでおりますが、そういうことによりまして見当が立ったところでこれを三年なりあるいは五年なりに一つ切りかえていく、そしてまた、次に三年なら三年に切りかえていくということでスピード・アップするのがいいんじゃないか、大体そういう考えで私は今おるわけであります。 それから、この法律化の問題でありますが、これも一応の御意見でありますけれども、私は、この事業は政府の方から、あるいは自治団体、あるいは団体、あるいは農家自身に対して、何ら強制の部分は全然含まないわけでありまして、また、そういうことをやる考えは毛頭ないわけであります。従って、しいてただいまこれを法律化しなければならぬとは私は考えておらない。でありますから、現在の時点におきましては、これを法律をつくってどうしようということは私は考えておりません。ただ、この事業を遂行するに必要な法律制度を要するものは、それぞれみなつくっていきたい。そうしてこれは、すでに農業基本法によってこういうことはその基本的な問題であると定められて、これを具体化することが農業基本法で要請をせられておりますから、それに基づいて私は、財政的な措置の要るものは財政的な措置を講じ、あるいは法律がどうしても必要だ、たとえば先ほど申しましたこの長期低利の資金を提供する金融制度の改善の問題、こういうものは当然法律を要する問題でありますから、これは法律を制定していこう、大体こういう考えでおるわけであります。 それから今の金融制度について詳細を述べろということでありますが、これはそう二十分や三十分で御了解を得るような問題ではございません。御承知の通り、これは実に重大な問題でありますから、御必要とあれば、要綱も私は作成いたしておりますので、これを一つまずごらんをいただいて、それから御質問の点がございましたら、またそれに応じて私は御答弁もいたし、また御注意も承りたい、こういうふうに考えておりますから、そういうふうに御了承を願いたいと思います。 それから、いろいろ御質問のありました中で重要な点は、山林との関係であります。これは御指摘になりましたように、私も従来の林野政策というものにつきましては、山村の振興ということに重点を置いて考えなければならぬという観点からいたしますと、若干遺憾の点はあるだろうと思う。これは私できるだけ一つ御指摘のような方針に従ってぜひやりたい、こうかねて考えておるわけであります。 それから構造改善について、国有林の利用問題等も当然に起こって参ると思うのでありますが、これらもやはり林業の経営、それから林業の経営には適せないけれども、これは構造改善には非常に役立つというものが私はあろうと思う。そういうところのものは十分に調整をいたしまして、構造改善にできるだけ役立てよう、こういう決心で私はおるわけであります。 大体おもなるところはそういうことでございます。
○足鹿委員 非常に残念ですが時間がありませんので、本日はこの程度で私の質疑は打ち切ります。
○長谷川委員長 石田宥全君。
○石田(宥)委員 大臣にお尋ねしたいと思うのでありますが、農業構造改善事業は、今日、日本の農村を風靡いたしておる大問題でございますが、同時にこれに対しては大部分はきわめて深刻な批判的な態度をとっておるのであります。よく世の中に名前負けをしたとか、いろいろそういう言葉がありますが、農業基本法第二十一条に農業改善事業というものがございまして、農業構造改善事業というものが非常に大きな希望と期待を持たれて、それから農林省は大上段に振りかふって、それで地方の知事会や市町村会等も大まじめで取り組んでみたと思うのです。取り組んでみたら案外どうもちゃちなもので失望しておる。また考えてみれば土地改良事業だけでも、開墾、干拓を含めますと、本年度予算では土地改良事業だけで五百五十億あって、しかも茨城県のごときは、この分でいけば土地改良事業は四十年かかる。これを二十年ぐらいに縮めなければならないという議論が行なわれておる中で、四十三億の予算で何ができるかということは初めからわかり切ったことであるにもかかわらず、みんなこれと取り組んでおるわけです。しかも市町村で何か計画を立てようとすれば、軽く踏んで十億、二十億ないし三十億なければ、構造改善事業らしきものはできない実情にあるんです。ところがそれを一億一千万という——まあ一億一千万円ではありませんけれども、平均額で言えば一億一千万円というワクでいろいろな制約を加える。きのうの参考人の陳述の中にも、水田区画を四反歩にするか二反歩にするかという議論があったけれども、四反歩にするということになりますと、どうも金がかかるので二反歩にせざるを得なかった。金のかかる地域は土地改良事業は農林省がこれを削らせた、こういう陳述をしておるのです。そこで私は、二反歩ぐらいのたんぼでトラクターやコンバインなどを入れて効率的な稼働が可能であるかどうかということを質問したら、いろいろ試験研究をいたしましたが、それは効率的な稼働はできないことが明らかになりました、こう言っておる。そういうふうなところをこれからお進めになるということでは、私は農村に大混乱を生ずると思うのです。私は農林省が大上段に農業基本法第二十一条に基づく構造改善というものを構造改善事業としてちゃちな予算で踏み出したところに重大な責任があると思うのです。大臣はこれについて根本的に一つ考え直す用意があるかどうか。ただいま足鹿委員からは法制化の問題が出ましたが、昭和三十年以来やって参りました新農村建設ならば、これは手放しで部落その他で適当に好きなことをやらせたのだから弊害はなかった。今度は下の方からいろいろ民主的な計画をつくりましても、上の方からいろいろの制約を加えて、できもしないことをやらそうというところに根本的な問題があるので、これについては大臣は率直に一つ初めから新規まき直しでやり直しをされる必要があるのではないか、こう思うのですが、大臣の所信を承っておきたいと思います。
○重政国務大臣 これはもう石田委員だけではなしに、皆さん方もみんな御承知のことなんだ、これが非常にむずかしい問題であるということは……。それを今手をつけているのをここでやり直して、新たにまた別にどうするといってみたところで、私はそううまくいくものじゃないと思う。当初は私はこの程度から始めていって、そうして漸次これを手直しをして、大改革をやるときもあるいはくるかもしれませんが、そういうときはそういうときでやればいい。とにかく今はこれを忠実に、まじめに、誠実に実行をしていく、全力をあげてこれをやっていくということでいいと思うのであります。金が四十億で少ないとおっしゃるが、それはその実行する区域が少ないのでありますから、区域が大きくなれば当然これは広げていくべきである、こう私は思うのであります。で、今直ちにこれを新規まき直しにやりかえるというような考えは全然私は持っておりません。
○石田(宥)委員 じゃもう一問だけ伺っておきますが、新規まき直しといいましても、むずかしい問題でございますからいろいろございまして……。私は少なくともこれをかつての新農村建設のように、あまり農林省で制約を加えないで、農民の自主性にまかすということであるならば弊害がないと思う。これが一つ。それからもう一つは、大部分の構造改善事業は基盤整備、いわゆる土地改良が関係しておる。もちろんこれには四〇%という一つの標準もありますが、私はむしろいろいろな構造改善事業をおやりになるよりは、土地改良をまず完全にやって、しかる後に構造改善的いろいろな施策が行なわるべきではないのか。少なくとも農林省の三反割区画について私は疑問を持っておりますけれども、農林省ですらも三反区画をおやりなさいと言っておる。ところが大部分が一反区画でしかない。また一反区画にもなっておらないような地域が非常に多いので、そういうところに主力を注いでいくならば、私は弊害がないし、混乱が起こらないのではないか、そういう点についてやはりもっと農民本位に一つ考え直す必要がどうしてもあるのではないかと私は考えておるわけであります。 時間がございませんから、いずれまた機会を見て十分一つ大臣の所信を承りたいと思いまするし、私も私なりに各地を見て参りまして、また意見も持っておるわけでありまするが、本日のところは大臣との約束でございますから、以上で私の質問を終わっておきます。
○重政国務大臣 私どもは地方の実情に即した計画について農林省がこれに制約を加えるというような考えは毛頭持っておらないのです。地方の考える通りでほっておいていいかといえば、これは必ずしもそうはいかない。そこである程度のこうやったらいかがですかということの指導はいたしておるわけでありますけれども、決してそれをどうしてもそうやらなければならぬというふうに、むやみに押えつけておるというようなことは、これは毛頭考えておらないことでありますから、御了承願いたい。 それから第二の土地の基盤整備に限って一つやったらどうかという御意見でありますが、これも一応うなずける御意見であります。ただしこれは石田さんのような、日本でいえば新潟県のような非常に広大な地域にわたって米作をやっておられるようなところではあるいはそれでいいのであろうと思うのでありますが、日本にはいろいろございまして、あるいは果樹園芸をやるのがいい地帯もあれば、あるいは畜産、和牛であるとか養豚を主にしてやった方がいいという地帯もあるわけでありますから、全国的に考えれば石田さんの御意見のようなわけには参らない。新潟県のようなところはあるいはお話の通りでいいかもわからぬ、こう思うわけであります。
○長谷川委員長 稲富君。
○稲富委員 大臣の時間が非常に制約されておるようでありますが、何時まで大臣おりますか。——じゃ簡単に要点だけお尋ねします。そうして他はまたほかの機会に譲ることといたします。 今回農業構造改善事業を推進されておりますが、これに対しましてはただいま石田委員から発言がございましたごとく、非常に政府はこれに対する宣伝が大きかった、これに対する農民の期待が非常に大きかった、こういう点からもしもこれが失敗するということになりますと、大きな問題を惹起すると思うのであります。そういう観点から、私はこの問題について以下二、三お尋ねしたいと思うのでございますが、今回政府が発表されました農業構造改善事業推進対策を見ますと、どうも初めの期待にはずれておるということは、何だか主産地形成の方向一本にやられておって画期的なものではない、この点が非常に期待はずれじゃないかという感じがするのであります。これでは、先刻からもいろいろ御意見があったのでありますが、かつての新農村建設事業とほとんど同じような方向に立脚しておるのでありまして、これは主産地形成事業とかあるいは第二次新農村建設事業というような名を初めからかけていった方がかえって農民は理解したのじゃないか、こういうような考えさえ持つのであります。それでこの際特に私は大臣にお聞きしたいと思いますことは、一般には今回の政府の事業が農基法の二十一条に基づく構造改善事業のすべてがこれである、こういうような勘違いさえもしておる場合があるのじゃないか、こういう感さえするのでありますので、政府といたしましてはこの点を一つ十分みんなにPRする必要があるのじゃないかということを考えるのであります。 それで私はこの際政府に一つ明らかにしてもらいたいと思いますことは、当分の間は今回のような程度で精一ぱいであるというのか、あるいは将来はもっと突き進んだ改善事業をやろうとするのであるか、こういうことに対する態度を一つこの際明らかにしておく必要があるのじゃないか。それと同時に、この構造改善に最も問題があります農地の保有面積を拡大するという問題、こういう問題に対してはどういうような考え方を持っておられるのか、この点をこの機会に明らかにすることによって、今回の事業というものが、二十一条に規定しておるのはこればかりじゃないのだ、こういうような一般の了解をさせる意味から申し上げましても、この保有面積拡大に対してどういうように考えておるか、こういう問題についてもこの際お聞きしたいと思います。
○重政国務大臣 私は農業構造改善ということは、これは近代化農業の基本的な問題である、こう考えております。従って、先ほど来足鹿委員、石田委員の御質問に基づいて、私がお答えを申し上げましたように、ただ、今四十数億を計上いたしてやっております農業構造改善事業というのが、それだけでいいんだとは考えておらない。先ほども申しました通りに、あるいは金融の面、あるいは市場その他の流通構造の機構の改善の面、あるいは農産物、畜産物、水産物の価格安定施設の拡充とか、いろいろの政策を集中して行なわなければ、現に指定をしてやっております構造改善事業そのものだけでも、これはうまくいかないと考えておる。でありますから、決してあれだけやればいいんだというふうには考えておらないわけであります。漸次あれも拡大をして実行いたしますが、同時に日本全体の農業という観点に立っても、これをやはり農業の近代化の方面に向けていく、こういう考えでおるわけであります。
○稲富委員 何しろ時間がありませんので、要約して質問いたしますから不十分かと思いますが、さらに今の農業経営の基盤の問題でございますけれども、この機会にお尋ねしたいと思いますことは、農基法の第十六条に規定いたしております相続による経営細分化の問題であります。これは実は前国会におきましても私質問いたしたのでございますが、その当時は政府といたしましても現在調査検討しているのだという回答があったのでありますけれども、これは現在実際上の問題として、相続による細分化という問題が起こっておるのであります。こういう問題に対しては、やはり現実の問題として早く解決する方向に持っていくということが必要であると思うのでございますが、こういう問題に対してはいかなる考えを持っておられるのか、この際聞いておきたいと思います。
○重政国務大臣 先ほど御質問になりました耕地の拡大の問題を言い落としましたが、これは従来とも農林省がやっておりますように、無理に耕地を拡大しようという考えは持っておりません。やはり計画的に考えて、しかも耕地を売ってもよろしいというような場合にその耕地を買う、そうして拡大をしていくという考えでおるわけであります。それがための金融は、先ほど来申しました長期低利の資金をこの方面に回してやっていこうと考えております。 それから相続による土地の細分化を防止する、こういう問題につきましては、従来からの問題でありますが、できるだけこれは防がなければならぬ、こう考えておることは御同様でありますが、ただその方法につきまして、どういうふうにやるかということは、私どもの方でも目下予算を計上いたしまして、その調査をいたしておる段階でございます。
○稲富委員 この耕地拡大の問題は、今大臣申されたように、実際上はなかなか大きな問題であるかと思うのでございます。しかしながら、ただいま申し上げました相続による経営細分化という問題は、現実に片づけなくちゃいけない問題であると思うのでありまして、しかもこの問題は、すでに農基法を制定するときから、法案の中にはっきりうたってあるわけでございます。ところが現実に相続細分化の問題が起こっております。これをいかにして防ぐか、いかにしてその立法の趣旨に沿うかということは現実の問題であるのでありまして、これは本来から申し上げますならば、これが実施される本年度からこれに対する予算措置をやって、この問題に対する農民の期待に沿うことが必要であったと私は思うのでありますが、この前の国会のときには、いかにもこれに対してはまだ民法上の問題とか憲法上の問題等考慮しているのだというお話であったのでありますけれども、これはそもそもこの農基法を立法化するときから憲法上の問題、民法上の問題というものを検討した上で当然立法化しなければいけない問題だったと思うのであります。しかもこれは大きな予算問題がつくのでありまして、もうすでに本年実施されておるのに、今から来年度の問題を検討しておるのだというようなことでは、あまりにこれに対する政府の誠意がなさ過ぎるのじゃないかと思うのであります。それでもう本年度からすでに農業基本法は実施されておるのでありますから、しかもはっきり法律の中に明文がうたってあるのでありますから、当然やらなければいけないと思うのでありますが、今これを来年度の予算化のために検討しておるというようなことでは、あまりにも政府は、この法の施行に対して怠慢じゃないか、こういうようなそしりさえも受けるのじゃないかとわれわれは思うのでありますが、これは本年度に実施するものであるか、本年度は待てということにしておいて来年度から実施するつもりであるのか、来年度から実施するというならば、当然予算措置によって融資などをやらなければいけないだろうと思います。そういう問題に対してどういう具体的の考え方を持っておられるのか。また融資にしても、これはおそらく相続に対する問題でありますから、金利を支払うとか、こういうようなことは非常に困難であると思います。やはり本来から言うならば無利息で長期の金融をする、こういうようなことでなければ、ほんとうに相続による分散防止をするということははなはだ困難であると思います。そういうことのために非常に深刻な問題があると思いますので、この問題に対してどういうように考えておられるのか、この際承りたいと思います。
○重政国務大臣 御意見は十分わかりましたから、できるだけすみやかに具体的な方針を立てて実行に移したい、こういうふうに考えております。
○稲富委員 時間がございませんから先にいきますが、さらにこの前の農基法におきまして、農協法の改正が行われまして、農地信託制度というものが創設されたわけでありますが、この農地信託を行なう農協が現在どのくらい生じておるか、またこの農協に対して今日どういうような指導を政府はやられておるのであるか、またやろうとせられておるのであるか、これも農業基本法を実施する上において非常に必要な問題であるので、この際承りたい。
○松岡説明員 信託規定をつくっております農協は、ただいま実際に調査中であります。法律が施行されましてまだあまり時間がたっておりませんし、信託規定等を通達いたしましてからそれほど時間も経ておりませんので、現実に信託事業を始めた農協は今のところまだ報告が参っておりません。
○稲富委員 この問題は将来一つ十分な指導をして遺憾なきを期していただきたいと思います。 さらに農業構造改善事業の推進対策につきましては、昨日の公述の中にも、国庫負担の増大であるとか、あるいはこれに対する補助費の率の増額であるとか、こういうことを先刻足鹿委員から十分御質問になったのでありますが、農林大臣はこれに対して金融方面等も大いに考えるということでございますので、一つ従来のようなことにこだわらずして、抜本的な対策を講じていただきたいと思うのであります。 この機会に一つ承りたいと思いますことは、御承知の通りこの改善事業の一端として、パイロット地区を決定されておるのでありますが、一昨日振興局長のお話によりますと、パイロット地区の解除の希望に対しては、これは応ずるつもりである、こういうような御意見があったのでありますが、これは非常に重大な問題でありまして、今日パイロット地区というものが、このパイロット地区を返上したい、解除してもらいたいという希望を持っているということは、そこに何かやはりパイロット地区としてこれを実行する困難性があるということが一つの大きな問題じゃないかと思います。であるならば、政府はこの困難性を十分検討して、そしてこれがパイロット地区として、その成果を上げるようにすることが非常に必要じゃないか。それがために、パイロット地区が簡単に解除の要求があったから、希望があったから、政府はこれにそうでございますかと応ずるようなことでは、将来の改善事業に私は大きな影響を来たすのではないかと思うのです。簡単にこれに応じるとおっしゃるのでございますが、何がためにパイロット地区がそういうような解除の希望が出ておるのであるか、こういう点十分検討されておるのであるか、この点一つ承りたいと思うのであります。
○重政国務大臣 これは御指摘の通りでありまして、どこにその原因があるかということは十分に探求をいたしまして、それに対して手当のできるものは手当をいたしまして、しかもなおどうも今都合が悪い、こういう場合には、これは一般の構造改善事業にそれを組みかえてやらす、こういうつもりでおるわけであります。決してそれを、解除したいと言ってきたから、ああそうかというので、それをやめっぱなしにするというのではございません。十分に検討をしまして、できるだけの手当をいたし、それでも無理があれば、一般の構造改善事業でこれをやらそう、こういうふうに考えております。
○稲富委員 この問題は、パイロット地区として指定されて、パイロット地区の方針に従ってやっているのでございますから、できることならば、そのパイロット地区としての当初の期待に反しないような方策をとってやって、パイロット地区としての成果を上げるようにするということが最も必要じゃないか。ただ状況を聞いて、それじゃ一般に入れて、それによって成果を上げていこうというようなことでは、いかにもパイロット地区というものの意義がなくなるのではないか。しかもパイロット地区の動向というものは、一般に非常な注視の目でこれを見ておりますので、その点から、簡単に取り扱うというようなことは、大いに戒めなければならないことではないか、こういうことを考えるわけであります。それで今申し上げますように、あっさり政府が、それじゃ一般にしましょうというような、こういうような出方に出られるということに対して、私は非常な不満と政府の誠意がなさ過ぎるのじゃないか、こういうことを考えるわけです。この点どうでございますか。
○重政国務大臣 それは御指摘の通りでありまして、簡単には決して考えるべきでない。できるだけこれはパイロット地区としてやらせるような手は打つべきである。方やむを得ない場合の話を今申し上げたわけであります。一つ御了承を賜わりたい。
○稲富委員 先刻から話がありました農産物価格の問題は、非常に重要な問題だと思うのでありまして、これに対しては大臣が大いに努力したいとおっしゃっておりますので、この問題は大きな問題でありますだけに、機会をあらためてまた農産物価格の問題に関してはお尋ねしたいと思うのでありますが、ただこの際一つ、これを実行する上において重要な問題でありますのでお尋しておきたいと思いますことは、これだけの改善事業を推進していこうと思いますと、これは農林省ばかりじゃなくして、各省との関連というものが非常に出てくると私は思うのであります。これは昨日の参考人の意見の中にもそれがありました。これはやはり農林省が一つのセクト主義の考えで、関連のある他の役所との関係をはばむようなことではいけないと思いますので、これに対してはどういうような心がまえ、それから関連各省に対してはどういうような処置をして、連絡、連係等やっておられるか、この機会に承りたいと思います。
○重政国務大臣 当初この事業を始めます前に、閣議において関係各省は、これに十分協力をするということの申し合わせができております。その方針に従いまして、具体的の問題についてそれぞれ熱心に協議をいたしてやって参っております。
○稲富委員 それでは時間がないので、最後に一言だけお伺いしたいと思いますが、これはすでに大臣御承知の通り、数年前から農災法の抜本的改正という問題が非常に論議されているのでありまして、これに対する農民の期待も非常に大きいわけであります。しかるにもかかわらず前国会におきましては、御承知の通り参議院において廃案になったというわけでございまして、農災法の抜本的改正がどうなるかということは、今日全国の農民が非常に不安の中で見守っておるというような状態であるのであります。先日から新聞紙等を拝見いたしますと、この農災法の改正に対して、畜産関係に対する一部の改正は政府においてお出しになるということも聞いておりますし、抜本的改正の問題はどうなるかというような問題もありますので、これに対して次の通常国会に、農災法の抜本的改正の法案をお出しになるというつもりであるかどうか、これに対する現在の状態を、一つこの機会に承っておきたいと思います。
○重政国務大臣 農災法の改正の問題の経緯は、御承知の通りであります。私といたしましては、あくまでも院議を尊重いたしまして、来たる通常国会には、農災法の改正は提案をいたしたい、こういう考えで現在はおるわけであります。おそらくそういうことになるのではないか、こう思っておりますが、これはいろいろの機関もございますし、政府全体としての問題もあることでありますから、今ここでどうしても出すということを、断定するわけには参りませんが、農林大臣といたしましては、院議を尊重して来たる通常国会に提案をする、こういう心組みでいることを申し上げておきます。
○稲富委員 この機会に、それでは特に大臣に申し上げたいと思いますことは、現在の農業災害補償事業というものが非常に困難な状態にあるということは、大臣も十分御承知であると思います。もしも次の通常国会でこの法案が通過しないということになりますならば、おそらく農業共済事業というものは、これは機能を持たないような重大な結論に到達しなくちゃならないという状態にあることは、大臣も御承知の通りであると思います。それで、もちろん院議を尊重されるとおっしゃいますが、ただ法案を出しさえすればいいのだということで、通過しないようなことじゃ困るので、やはり次の通常国会には、当然この法案を通過せしめるだけの熱意を持って、大臣は善処される必要があると思うのであります。大臣としては出すつもりだが、院議を尊重しなくちゃいけないから、この際はっきり言えないというような、こういうような熱意のないことじゃ、実に私たちは憂慮するものでありまして、現に私は、自分のことを申し上げてはなはだ失礼でございますけれども、現在共済の連合会長をやっておりますが、今のような状態ではやれません。もしもこれが来年度の通常国会を通過しないということになりますならば、私みずからこういう役を返上しなければ、この事業を行なうだけの自信を持ちませんので、この点は大臣もその担当の責任者として、一つ十分な考えを持って、ただ院議に従うというようなことじゃなく、院議を大臣の意思のように決定させるのだ、このくらいのつもりで一つやっていただきたいと思うのでございますが、これに対する大臣の決意を、あまりくどいようでございますけれども、この機会にいま一度承っておきたいと思います。
○重政国務大臣 私は、大いに熱意を持っているわけでございます。衆議院におかれましては、すでに衆議院のお考えは御決定になっておりますから、従って私はその院議を尊重するという意味で申し上げたわけであります。ただ、おそらくその問題は参議院ということになるのではないかと思うのでありますが、これを提案された場合は、私は非常なる熱意を持って努力をいたします。
○稲富委員 提案された場合はといったって、これは大臣が提案されるのであって、議員立法じゃないんでございますよ。大臣が提案される御意思があるかどうかということ、そして提案される以上はこれは通常国会で通過せしめるようなつもりで提案してもらいたい。それがために、時期の問題もあると思われますし、内容等の問題もあると思います。そういう点も考えているのであって、提案されたらなんて人ごとのような考えで大臣がおるということはもってのほかだと思います。どうかこの問題に対しては一つ十分熱意を持ってやっていただきたい。 まだいろいろお尋ねしたいことがありますけれども、大臣の時間が非常に超過いたしておりますので、いずれまた他の機会をとりましてお尋ねさしていただきたいと思います。これで大臣への質問を終わります。
○長谷川委員長 湯山勇君。
○湯山委員 構造改善事業につきまして、当面問題になっているいろいろな問題がありますけれども、今さしあたってお聞きしておきたい点並びに機械的にお聞きしておきたい点、これを二、三この機会にお聞きしておきたいと思います。 その一点は、構造改善事業実施の年数ですが、この年数は、要綱によりますと、三十六年度を初年度としておおむね十カ年間を目途として三千百の市町村について構造改善事業を実施するということが書いてありますが、そうすると三十六年から十カ年たてば、政府の今の考えとしては全部予定の三千百市町村に事業が完了する、こういうことでございますか。あるいは十カ年間で指定を終わって、あと実施については二年なり三年なり延長する、こういうことなのですか。この点がまだどうも明確でないようですから、まずこの点からお尋ねいたしたいと思います。
○齋藤説明員 お答えいたします。 閣議の了解におきましては、おおむね十カ年にわたって事業を完了する、こういうふうに決定いたしております。農林省といたしましては、七カ年間で町村を指定いたしまして、事業の指定された地域におきましては三カ年実施期間を考えておりますので、十年には完了するという計画を立てております。しかしこれはまだ関係各省との間において最終的決定を見たものではございません。
○湯山委員 大へんどうもおかしいと思ったんですが、やっぱりおかしいのでもう一度お聞きしなければならないと思うのですが、農林省の考えとしては、つまり構造改善事業を閣議に御提出になった農林省としては、三十六年から十カ年の後には全部完了する、こういうことなので、閣議決定は三十六年からおおむね十カ年を目途としてこれを実施するということなので、その間に今おっしゃったような食い違いがあろうはずはないと思うんですが、今のお話では各省間の話し合いもまだ残っておるので、七カ年間に指定を終わって十カ年で終わる、これは農林省だけの考えだ、こういうことですか。閣議決定はどうなんですか。
○齋藤説明員 閣議で決定された文書によりますと、「昭和三十六年度からおおむね十箇年を目途として実施するものとする。」こういうことになっております。この点については各省とも了解しておるわけであります。ただ具体的な年次の計画になりますと予算額になって参りますので、今申し上げましたように農林省としては七カ年で指定を了したい、十カ年で完了したい、こういうことで毎年の年次計画を立てて予算の要求をしておる、こういうことでございます。
○湯山委員 こういう簡単な基本的なことがまだそんなにふらふらしておって、一体これは実施できるのですか。十年でやるのか十三年でやるのか、それさえまだきまっていないということで、一体どうなんですか。これじゃ今実際お尋ねした——あとの問題もそうなんですけれども、市町村長あるいは市町村がやる意欲が起こらないのは私は当然じゃないかと思うのです。 これはなおあとであらためてお尋ねいたしたいと思いますが、確認しておきたいことは、指定は七カ年で終わって十カ年で完了するというのは農林省の方針で、政府全体としてはそこまでまだきまっていない、これが結論でございますね。
○齋藤説明員 政府としてきまっておりますのは、先ほど読み上げましたように、「三十六年度からおおむね十箇年を目途として実施するものとする。」ということが決定されておるわけでございます。
○湯山委員 このことであまり時間をとりたくありませんけれども、今局長がお読みになったのとまた違う表現もあるのです。それは今の要綱の四ページには「おおむね十カ年にわたって」と書いてあります。目途としてというのと、わたってというのと、この中だって二様あるのですよ。そうでしょう。(「同じようなことだ」と呼ぶ者あり)いや大違いだ。十年か十三年か、こうなんです。ですから結局これはきまっていないということで私は了解しておきたいと思います。 その次にお尋ねしたいことは、そういうふうに農林省としては十カ年——七カ年で指定を完了するということであれば、毎年何市町村ずつ御指定になる御計画でございますか。
○齋藤説明員 現在までに、三十六年度に五百地域、三十七年度に三百地域、来年度として四百地域を予定いたしておりまして、以後残りの数を四カ年で指定する、こういう考えでおります。
○湯山委員 それはよくわかりました。それではその中で、三十六年度、三十七年度に御指定になった八百の指定地域のうちで、実施されるのはどれだけの地域が実施される御予定ですか。
○齋藤説明員 お答えいたします。 三十六年度に指定いたしました五百地域の中から、三十七年度において二百地域を実施地域として予算上計上いたしております。しかし、これは先般の当委員会で御報告申し上げましたように、現在三十七年度の実施地域として申請に上がっておるものは百八十九地域でございまして、三十八年度におきましては一応四百地域を実施地域として考えて参りたい。以後残りの数につきまして十カ年に完了するように指定していきたい、かように考えております。
○湯山委員 それで計画の方はよくわかりましたが、今お話のあった二百地域というのは必ず実施できるという確信がおありですか。
○齋藤説明員 お手元に資料も配付してございますが、現地まですでに十二地域を実施地域として事業の承認をいたしております。引き続き来年の一月ごろまでには大体大部分の事業承認が取り進められるであろう、かように考えて目下取り進めております。
○湯山委員 今年度ももう十一月の半ばですが、十一月の半ばで二百の中の十二しかできていない。今十一月中に承認予定の地域が約五十一、こういうことで、これはほんとうに二百は必ずできるのだということが責任持って局長から言えるかどうかです。これはいいかげんな御答弁でなくて、ほんとうにできる、できなかったら責任をとるというぐらいな決意で御答弁できますか。
○齋藤説明員 先ほど大臣からもお話がありましたけれども、本年度は実施のいろいろの準備が十分に整っていない。その際に事業の実施を強行することは、われわれはまずいと考えておりますので、計画についてはやはり十分地元の納得を得て、そしてよりよい計画を樹立するように指導して参りたい。その結果、本年度事業実施につきまして、できないというふうな場合が起こり得るわけでありますので、その点につきましては、三カ年にわたる事業でありますので、本年度かりに事業ができなくても、来年度に繰り越して事業ができるような措置をとりまして、計画には十分慎重を期していった方が適当であろうというふうに考えております。今、これに関連いたしまして、県あるいは市町村、それから農林省の担当官におきまして、連日これの審査に当たっておるわけでございますので、大体予定通りに進行するものであろう、こう現在の段階では考えております。
○湯山委員 それは大へんな間違いだと思います。なかなかおっしゃるようにいかないだろうと思うんです。それは、局長が今御答弁になった中に、準備がよく整っていないのに無理にやらせるということは問題があるということでしたが、一番足りない点はもう一つ前の段階で、こういう要綱をおきめになる、構造改善事業を推進するという前の準備が足りない。だからよく理解されていない。いよいよやる段になって指定の申請を何とかかんとか言ってやらせれば、それは市町村長は何かいいことがあるだろうというので初めはずいぶん希望が多かったと思います。ところが、いざ取り組んでみると、わかってきてみると、これじゃ困るということになってきているのが現状ではないかと思います。つまり、せっかくこういう長期にわたる構造改善の事業を進めていく、こういう要綱決定その他もう一つ前の段階の準備が足りない。それを今実施に入ってから、準備が足りないから無理しないのだということでは、これはおそらくできないということになるおそれがあると思いますので、この点についてはなおあとで機会を見てお尋ねするし、内容に立ち入って質問をいたしたいと思います。 簡単なことだけきょうはお尋ねするつもりでございますが、この改善事業を三千一百の市町村に実施して、それで一体、全体の農村の何割ぐらいが構造改善が完了するというお見込みでございますか。つまり、この要綱にあるように、三千百の市町村について構造改善事業を進めていく。ところが指定の地域というものはその市町村の全体じゃありません。その一部ですから、結局三千一百の市町村について、今の御予定の通り構造改善事業ができたとして、それは全体の何分の一くらい、あるいは何割くらいになるというお見込みでございますか。
○齋藤説明員 御指摘の通り、事業を実施します場合におきまして、町村の大きさも、いろいろ大きいところもあり、小さいところもあるわけでございますので、事業自身につきましても、全域の町村にまたがるものもあれば、その中の地区に限定されるものもあるわけでございます。土地に結びついた基盤整備事業というようなものにつきましては、おのずから町村の中におきましても地区が限定されておる。しかしまた、農産物の集荷あるいは選別、処理加工施設というようなものにつきましては、町村一円に利益を及ぼすようなものもあり、ものによりましてはさらに町村の区域を越えるような施設もあるわけでございます。どこをつかまえて構造改善事業があったかという割合でこれを示すわけには参らないと思うのでありますが、基盤整備と結びついた区画整理、圃場整備あるいは農道の整備といったようなことになりますれば、おのずから町村の中においても実施不可能な地域もありましょうし、また事業費の面から制約を受けてできない部分もありましょうし、また農民の希望しない等の理由によりまして必ずしも実行できないというような地域もあるわけでございます。従って、今の御質問に対して、どのくらい構造改善ができたかどうかというようなことについては、的確なことを申し上げるわけには参らない性質のものであろうと考えております。しかし同時にまた、この事業を進めることによりまして、当然、先ほど大臣からお話がありましたような、いろいろの広義の施策も——広義といいますか、他の施策をもちまして広義の構造改善対策というものも一面進められていくわけでございますので、どの方面を構造改善としてつかまえるかということもなかなかむずかしいわけでございます。事業としては、先ほど言いましたように、地域に縛られるものについてはおのずから町村に限定されている地域に実施されるものもあり、それからもっと受益面積の広いものもある、こういう性質に応じてながめていくという以外にはなかろうかと考えます。
○湯山委員 まことにどうもわからない答弁を聞かしていただきましたが、これはそういう大ざっぱなものではなくて、事業計画は一億一千万というワクづけがあるわけです。その中で、個々の地域々々じゃないけれども、とにかく基盤整備については助成事業の四割という規制もあるし、ちゃんと事業の規模、それからその割り振り、そういうものがきまっておるのに、一体どれだけができてどれだけ残るというような見当がまだ立たないのだというようなことで進められるかどうかということです。 なお、この問題も追及したいと思いますけれども、実は町村長あたりが困っているのは、この事業をやっていくのにその市町村全体にわたらない、これはよくおわかりの通りです。ことに町村合併したあとですから、そのごく小部分、あるいは旧町村、もしくはその大字、そこらが大体対象になっております。そうすると、そこへ相当多額の費用を打ち込んでいかなければならない。そうすると、他の地域との不均衡、アンバランスができてくる。これが一つは町村における構造改善事業の推進を妨げている。あとの地区は一体どうしてくれるのか。実際に当たってみますと、残る地域の方が多いのです。それをどうするかという計画がなくて、できるところだけやっていくというのでは、これは政策にならないと思います。そこで、あとについてはこういうふうにやっていくのだ——最初年数をお聞きしたのは、十カ年終わって、この構造改善事業をさらに大幅に拡大して、あと何年か第二次をやっていくのだ。あるいはその残りの地域については、との中にありますような各費目別のそれぞれの地域と組み合わせてやっていくのだ。そういういろいろな残りの地域に対する対策というものがなければ大へん障害になると思うからお聞きしておるわけで、年数をお聞きしておるのも、どれくらいができるお見込みかということをお聞きしておるのもそれなんです。そういう点については、これは解明する必要が政府としてはあると思うのです。あとの地域については、たとえば今の町なら町の五分の一の地区は指定地域でやった、あとの地域についてはこういうふうにやっていくのだ、ごうすればいいのだ、こういう指導がなければ、これは費用がたくさんかかるわけですから、村議会あるいは町議会で議決するのも容易でないのです。そこはやってあげたらいいと思うけれども、そこへそう金が要ったのじゃ困るからほかの地域が承知できない、こういうことが障害になっておるのでお聞きしておるのですから、これは一つ納得のいくような御説明を願いたいと思います。
○齋藤説明員 ただいま先生のお話しになりました点につきましては、町村長からそういうふうな御要望が多々あることを承知いたしておるわけでございます。これはわれわれの考え方といたしまして、町村一円に事業を実施するということが——全面的に実施されるということができればこれは非常に望ましいわけでございますけれども、土地改良一つをとりましても、町村一円で全部土地改良をやるということは実際問題としてはなかなかできにくいわけでございます。一つには農民の負担の関係もあって、全面的同意が得られないということで、町村一円の土地改良をベタにやっているというところもほとんどないと私は思うわけでございます。また事業を進める場合におきまして、事業自身が分散あるいは総花的になってくるということについては、従来のこの種の事業についてとかくいろいろの御批判のあったところでございます。そういう観点から今回事業の進め方につきましてはできるだけ構造改善の趣旨に沿って総合計画が立てられ、事業実施がされるようにという趣旨で総合助成の方式をとったわけでございます。 そこで、おのずから町村におきましては、地区的な計画が立てられた場合に希望する地域と希望しない地域というものが出てくるのは当然であろう、そこでわれわれとしては、希望する地域にまず重点的にやっていった方が効果を上げる上において望ましいのではなかろうかという考えに立ちまして、それが九市町村になりあるいは大字地域になるといったようなことが見られるわけでございます。今の計画によりますると、大体町村で三・五地区、三ないし四地区というふうな平均の地区数になっておるわけでございますが、これは上から地区数をきめるわけじゃなくて、今申し上げたような趣旨で、その当該地区の農民の集団が希望する地区を選んで事業を取り上げよう、こういう考え方でございます。ところがたまたまそういう希望地区数全部をおおうことができなくて、事業費の関係等から数地区が残ってくるというような問題もあることも承知いたしております。構造改善事業自身につきましては今申し上げたような事業の内容を持っておるのでございますけれども、そのおのおのに包含される事業につきましては、たとえば土地改良事業について見れば、これはまた団体営の単独事業として事業を行なう道が開かれておるわけでございます。従ってこの事業を進めていく場合におきましては、構造改善事業の中に包含される個別の事業についてはそれぞれの地域においてまた実施されるであろうというように考えておりまして、これでその村における事業の全部であるというようにはわれわれ考えておらないわけでございます。従って農林省とそれ以外の各般の施策がそれ以外の地域についても当然同様の趣旨で実施されるということをわれわれは期待し、またそのように考えておるわけでございます。 さらにまた、十カ年でどの程度かというふうなことにも関連しますけれども、およそ構造改善事業あるいは農業の構造改善というようなものが十カ年で全部終わるなんというふうにはわれわれ考えておりませんので、当然それに引き続いて、そのときにおいてどのような施策がとられますか、それ以外の地域についても十分同様の措置が講ぜられるべきであろう、かように考えております。
○湯山委員 非常に今の点も市町村長あるいは地域の住民の持っている不安を解消するような御説明ではなかったように思います。構造改善事業が十カ年くらいで終わるものじゃないのだから、あとはだれがどうするか、とにかくやっていかなければならない、そういうことではとにかく安心できないので、そういう点から先ほど来御指摘のあったように、やはりこのための法律が必要ではないかというようなことも出てくるのはそこにあると思います。そういう問題はそれとして、今の残地域に対する対策をどうするかということも今の御説明ではとうてい納得できないと思いますから、いずれ臨時国会なりあるいは通常国会の機会にもう少し私は掘り下げてお聞きしたいと思いますから、それまでにぜひ納得のいくような対策を一つつくっておいていただきたいと思います。 それから今のこととやはり関連いたしまして、全町村一円に全面的に実施したいと思うけれどもなかなかそうはいかないというその原因の一つは、助成の基準の点数にあると思うのです。これは今の要綱によるああいう点数のとり方だと、小さい地域をたくさんやる方が有利だと思います。これはおわかりの通りですね。そのきめられた点数の平方根によって配分するわけですから、大きいところほど損をしています。そこでできれば三つに区切るのを六つに区切れば、少なくとも基準に到達しておる範囲においては助成はうんとよくなるわけです。そこで今のようなああいう点数のとり方だと、町村一円に実施したいと思ってもできないということになるのじゃないでしょうか。というのは、おわかりになっていると思いますけれども、平方根に比例するわけですから、たとえば土地なら土地で土地改良を要する地域が二倍あっても、基準の点数、平方根に直せば一・四倍ということになるでしょう。三倍やっても一・七倍くらいに下がってしまいます。ですから十倍やっても三倍、百倍やっても十倍になってしまう、こういうことになるわけですね。従って大きい単位をとればとるほど損をするわけです。そこで小さい区画になってしまう。そうすると、今おっしゃったように残りの地域が大きくなってくる、こういう問題が一つありますが、あの点数のとり方というものは一体どういう根拠でおきめになったのか、これは理解に苦しむのでお尋ねしたい。 それからもう一つ、あの点数は現状についての点数になっています。ところがやっていきたいことは、これから今の現状をこう改めていきたい、今は豚を飼ったり鶏を飼ったり乳牛を飼ったりもっといろいろなことをやっているけれども、それらを一ぺん整理して、乳牛なら乳牛、果樹なら果樹、そういうものの主産地形成をやっていこうというのが構造改善事業ですから、現状にとられた判断は実際にやっていこうとする事業とは一致しない。むしろそれと反するものが多いと思います。ところがこの点数は現状に立っていっておるわけです。だから将来これを伸ばしていこうという意図は、この点数の中には一つも見込まれていない。それが基準になって助成される、それが基準になって融資される。こういう点のとり方、それから今のように平方根にして、実際の事業量は何倍もあるのに、それが正当に評価されない。こういうやり方というのは、私はきわめて非科学的であるし、非現実的だ、こういわざるを得ないと思うのですが、いかなる根拠でこういう点数の出し方、そしてこれの採用の仕方、それをしたのか、お伺いいたしたいと思います。
○齋藤説明員 評点のとり方につきましては、先般一応の御説明をいたしたわけでございます。理屈からいえば、今、先生のお話しになりましたように、どのような計画をその村において立てたか、その計画の内容に従って事業費をきめ、あるいは助成額をきめるというのは、一つの考え方であろうと思います。ただそのようにした場合に、現実問題といたしましては、町村で一体十億で立てたらいいのか、一千万で立てたらいいのか、五億で立てたらいいのか、目安がつかないということで、何らかの基準というものを早く示してもらいたいというのが、町村長から出た一様の意見であったわけでございます。そこで、その際計画に応じてということになりますと、町村としての目安も立たないばかりでなしに、実行的にはほとんど処理不可能なことになろうということもございまして、何らかの基準をつくった方がよかろうということにいたしたのが基本的な考え方でございます。その際どのような基準をとるべきかということでございますが、一つには将来の計画性もその中に織り込む必要もありましょう。ただ、そういう際に、非常に富裕な市町村においては非常に膨大な計画になってくる可能性もあります。ところが逆に、後進地域になりますと、負担力の面からいって事業規模が小さくなる。しかし必要性からいえば、一そうそういうところは厚くしてやるべきではないかというような意見もあり得るわけでございます。そこでいろいろと検討いたしました結果、やはりこの際は人の大小と面積の大小によって一応の配分基準というものをきめた方がよかろうということにいたしたわけでございまして、人については農家戸数をとり、面積の広がりについては耕地をとる、こういうことにいたしたわけでございます。しかしその調整のファクターとしては、今申し上げたような計画の内容あるいは後進地域における必要性といったような点も考え合わせまして、県においては一〇%の調整額、国においては五%の調整額をもってこれをあんばいしていこう、こういうことにいたしたわけでございます。そういう計算をとるということになりますと、やはり全国一様の基準をとらざるを得ないということになりますので、これはもっぱら技術的な制約からくるわけでございますが、農林センサスが三十五年においてございますので、これをとりまして、どの町村でも同一の基準において一応の目安が立ち得るという資料にこれを使ったということでございます。しからば、五年なり十年先にはだいぶん事情が変わってくるではないかということも考えられますので、あらためてセンサス等が設けられるというような場合においてはこれはさらに検討すべきものがあろうと考えておりますが、一応現段階においては、それ以外にとるべき資料がなかったということで、現状のセンサスの資料によったわけでございます。 それから最後に、平方根で開いたことについての不合理性を指摘されたわけでございますが、率直に申し上げまして、これもなかなか理論上はむずかしい問題でございます。多くは、面積の大きいところが単純なる配分でありますれば当然に多くいくことになるわけでございますが、先般申し上げましたように、平方根で開くことは上下の差を縮める作用を持つわけでございますが、それでも二千万円から九千万円、事業費にすれば四千万円から一億八千万円というふうな開きを持つわけでございます。これをもし単純なる開き方をしますと、その幅は一そう大きくなるわけでございますが、あまり差が拡大するということについてもいかがであろうか。それから同時に拡大された上の方は大部分町村の面積がきわめて大きい、耕地が一万町歩以上もあるような町村でありますが、そういうところは同時にまた戸数も非常に少ない。従って、事業の負担力という面から見ると、面積に比例しただけでは必ずしも消化でき得ないということもありますし、逆に耕地面積の小さいところは戸数が比較的に蝟集しておる、逆に負担力の面から見ると大きい、こういうことも考えまして、平方根で開くという措置をとった次第でございます。
○湯山委員 これも少しも納得できないのは、今おっしゃったような将来のことも見込まなくちゃならないということは理屈としてはわかる、しかし基準にするのにはセンサスしかないからそれによった、それで私があとでお聞きしようと思ったことを今局長は御答弁になったわけですが、あと実施期間中にそういう機会がなければ三十五年の調査がそのまま十カ年間いく、こういうことになるわけで、こんなでたらめといいますか計画というのはおそらくないと思います。そこにも問題がありますし、それから今のように将来どうしていくんだ、どうやっていくということが構造改善のねらいでありながら、そういうことについての配慮が非常に少なくて、今のお話では県段階の一〇%、国の五%、それだけがそれに充当されるものである、これは少な過ぎると思います。どう考えても、それじゃやっていけないということになるのは、これはまた当然だと思います。 それから平方根も、それは確かに算術的に二倍土地があれば助成も二倍だ、そういうことを申し上げておるのじゃありません。その間に段階がつくのは当然だと思います。ちょうど所得税なんかがだんだん累進課税があるように、そういう配慮は私は必要だと思いますけれども、そういうことを考えれば考えるほど、今のようにただ単に機械的に平方根というのが問題だ、こういうことなんです。一と二とか一と三とかいうのは別ですけれども、一〇と四〇とか一〇と九〇とか、それも同じような比率でいっておるわけです。だからどの段階をとっても、実際に助成が二倍になるためには四倍ありさえすれば、一万町歩と四万町歩でもそうだし、一町歩と四町歩でもその割合が同じようになっておるのがこの平方根のとり方の機械的な点で、そこでもし局長のような配慮が必要だとすれば、それは何町歩までならば幾ら、何町歩までならばこれを乗ずる、こういうことをやっていけば、これは今のようにただ単に面積に比例するというような単純なものではなくて、もっと正しい実勢に合った配慮がなされると思うのです。ただ単に平方根というのでは、これはいかにも曲のない、何のためにこういうことをするのか全くわからない、こういうことになってしまうと思います。この点なんかも、一体どういうわけでこうしたかということについてもいろいろ聞いてもみましたし、能率の法則なんかのことで調べてみても、こういう単純なことでは絶対出てこない、こういうことを学者も言っておりますが、学者の意見もお聞きになったんだろうと思いますけれども、これじゃだめだということはおわかりいただけると思うのです。 そこで、もうあと申し上げる時間はありませんけれども、ここで心配なことは、こういうことだと、さきの作目等についても、初めはずいぶん制限があったけれどもそれも緩和されてきている。そのほかの点もだんだん緩和の方向に向かってきている。そうすると、こういう心配があるのです。なかなかこれはやりにくいということになれば、だんだん条件は緩和される、ゆるやかになってくる。そこで先にやった者がばかを見るのじゃないか、こういう空気も出ておることを局長は御存じだと思います。そういうことになったのではこれは大へんだと思いますから、そこで今のいろいろな問題を含めて再検討して、今おっしゃったように、今指定になっている八百を無理にことしじゅうに事業にぶち込まなければならないとか、来年じゅうに事業にぶち込まなければならないとか、そういうものじゃないと思います。今、足鹿委員もおっしゃったように、五年で切り上げてもできるではないか、そういうことも考えられるわけですから、もっと準備をよくして、ほんとうに納得できて、そして先やった者が損をするとかそういうことのないように、途中でぐらぐらして、これもまたゆるめていく、これもゆるめていく、こういうことのないようにしっかりしたものにもう一度検討して、それから実施されるのが、私はむしろこの際親切なやり方だと思いますので、きょうお尋ねしたことにつきましてはもう一回あらためてお尋ねをいたしますが、そのときには、一つきょうのような御答弁にならないで、私がよくわかるように、納得のいくような御答弁をしていただくようにお願いして、きょうはこれで終わります。
○長谷川委員長 一時三十分より再開することにいたしまして、この際休憩いたします。 午後零時三十一分休憩 ————◇————— 午後一時四十六分開議
○長谷川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 農業構造改善事業に関する問題について質疑を続行いたします。足鹿覺君。
○足鹿委員 午前中から自治大臣も御同席を願って農林大臣に対する質疑をお聞き取り願えば、重複を避けて一ぺんに片がついたと思いますが、午後の方が御都合がよいというので、若干重複する面もありますが、私は、主として構造改善事業につきまして、それが各市町村ごとに実施をされた場合、その住民の負担軽減措置についての問題を中心にお尋ねいたしたいと思います。 自治法第二条との関連の問題は先般安井委員からも御質問がありましたので、その関係については一切安井委員に譲りまして、私は今申した点を主として自治大臣にお伺いいたしたいのであります。 念のために申し上げますが、私どもはこの事業をむやみにじゃましたり、あるいはむやみに促進するという態度ではございません。午前中も申しましたが、地獄行きのバスだといって排撃している政党もありますが、地獄へ行くか行かぬかはその内容だ、要は、極楽へ行くような内容にするためにはどういうあり方がほんとうか、また具体的な措置はどうか、それを探求し、それを実現するという態度でわれわれは臨んでいるのでありまして、今後の政府のとられんとする措置は必ずしも農林省一局にとどまることなく、その関係は自治省との関係において非常に密接であろうかと思います。そういう点で一つ真摯、誠実な御答弁を願いたいと思っておるのでありますが、現状は、申し上げるまでもなく、中央と現地との間に若干ギャップがありまして、指定返上というような事態も若干生まれてきておるようであります。農林省が一昨日の私どもの要求に従って出しました資料によりますと、現在指定申請をしてやれそうなところが二百十一地区だということになっておるのでありますが、その中で、われわれが見たところでは、二十六地区ぐらいはどうも取り下げになりはしないか、そうすると当初の三百地区そのものにすらも足りないというような結果になることをわれわれはおそれるのであります。出発当初からこういう体たらくになったのは一体どこに原因があるか。昨日、各界九人の方々を参考人としてお招きしまして、朝から夕方まで真剣にその人々の御意見を拝聴したのでありますが、要するに事業資金が少ない、政府補助が僅少に失する、農産物の価格安定対策、流通対策がない、政府がかわったならばこれは打ち切られるのか、やるのかという、そういう心配もあって法的根拠が明確でなく、閣議了解事項という程度で不安だ、こういう点。あるいは負担軽減問題の一つとしては、いわゆる融資事業というものが補助事業のほかにある、その融資事業に対して近代化資金の六分五厘ではとてもやり切れない、これに対しては午前中農林大臣から農林省の考えておられる構想についてお話がありました。深くは今後検討したいと思っておりますが、いずれにしましても自己資金は四%程度しかないという体たらくでありまして、ほとんど他からの融通に求めなければならない。従って、その金利等はなかなか地元負担の大きな要素になりまして、問題がある。こういうものが累積、錯綜いたしまして、一応飛びついたものの、現状では遅々たる状態、こういうことになっておるのであります。 そこで、いろいろとお尋ねを申し上げなければならぬことはたくさんあるのでありますけれども、先ほども述べましたように大体については午前中農林大臣にお尋ねをいたしましたので、主として自治大臣につきましては先ほど述べた地方住民の負担軽減対策としてお伺いをいたしたい。 そこで、いきなり具体的な問題から私お尋ね申し上げたいと思うのですが、構造改善と言っておりますが、一口にはそう言いますけれども、中身には基盤整備、それから共同施設、あるいはそれに関連する付帯施設、あるいは大型機械の導入とかいろいろに分かれております。今私が指摘しておりますのは基盤整備を一つの例にとってみますと、その中には農道の整備ということが当然これは大きな問題になってきておるのであります。ところが農林省の実施基準というものがありまして、それを見ますと、農道の有効幅員は原則として五・五メートル以上ということになっておる。実際現地に行きますと、六メートル程度のものもございますし、小さいものでも四・五メートルくらいのものはどこでもみなやっております。そういうふうな実情から見ますと、とにかく四メートル以上ということになりますとこれは貧弱な都道府県道また普通の市町村道に匹敵するような実態になろうかと思います。だからといって、できた道路を、これはおれらの農道で、構造改善で受益者負担でやったのだから通るなと言えば言えますけれども、そうもいきますまい。できた場合にはその道路は国の所有ということになる。そういうことになりまして、いわばこれは構造改善事業そのもの全般を、公共事業的な取り扱いにしていくことが考え方としては必要であり、なかんずく一例をあげれば、農道のごときものは、県道、市町村道に何ら変わらず、利用度も今後もそれなりにひんぱんに利用されるところも出てくるのでありましょう。にもかかわらず農道の設置については、山間地帯においては農耕地を大部分とられるような地帯も出てきます。その上に受益者負担という形でもって、補助は半額しかありません。ですから、あとはこれは農民の負担によらなければならぬ、こういう矛盾が現われてきておるわけであります。こういう点について、自治省として、実際においては地方自治体の産業行政の面に属する重大な画期的内容を持っておるものだと思うのでありまして、今申しました基盤整備については——融資事業は別でございますよ。基盤整備事業その公共性ということに対して、私はただいま農道の例をとって申しましたが、自治大臣としては産業自治のあり方の立場からいかようにお考えになり、今後この問題に対処されるでありましょうか、きわめて重要な点でありますので、一つ御所信のほどを承らしていただきたいと思います。
○篠田国務大臣 農業構造の改善事業は、今年度すなわち三十七年度から始まっているわけであります。そこで自治省といたしましては三十七年度に十億円交付税を増しまして、そういういろんな町村が事業をやるのに金が足らないとまずいということで十億円増したのですが、もちろんこれだけでは足りないわけであります。そこで今二百地区の中からまだこれを返上するものがあるのではないか、こういうお話がありましたが、それは私、実は専門家でありませんし、また農林省から特にそういう報告もきておらないので何とも申し上げることはできません。ただ融資が六分五厘では高いのではないかということにつきまして、利子はなるべく安い方がいいと私は考えます。それからこういう方面の利子は従来私たちも皆さんと一緒になって、なるべく安くするように主張しておるのでありますが、なかなか安くならない。ただ北海道の公庫の利子が幾らかわれわれの主張によって下げられた。これは六分五厘より高かったのであります。六分五厘というところは一つの何か壁のような工合で、なかなか下げようとしておりませんが、私はできるだけ安い方がいいと考えております。ことに農業の基本であるいわゆる構造改善事業などでは、できるだけ安い利子にした方がいいと考えておりますが、これは今私一存で下げるというお答えはちょっとできにくいのであります。 それから基盤整備の問題といたしまして農道の問題がございまして、多分あなたの御意見は、こんなに大きな農道をつくる必要はないじゃないか、つくるならば国が出したらいいじゃないか、そういう意味じゃないでしょうかね。必要ならば国が出したらいいじゃないか、こういうお話で、筋といたしましてはその通りであろうと私は思います。農林省が四メートル以上、中には五・五メートル以上、六メートルの農道をつくらせるという指示をしたのだろうと思いますけれども、その要旨は要するに大型ないろんな機械、あるいはトラック、トラクターというものを入れるために、その方が便利であるから出したんだろうと思います。そこで農林省としまして毛、これら地元負担だけでは五割の補助ではやりきれない、こういうふうに考えております。そこで自治省に対しまして、県から補助を受けるように一つあっせんをしてもらえないかというかけ合いを自治省にしてきているそうでありますが、自治省としましては今それを研究中であります。結局県から補助をするということになりましても、戻ってくるところはやはりこっちへ戻って参りまして、そういう関係上今研究しておる、こういうことであります。そこで、あまりこまかいことになりますと私はよくわかりませんから、事務当局から説明させたいと思っております。
○足鹿委員 こまかいことはまた事務当局に追ってお尋ねをいたしますが、要するに今私が述べておりますことは、市町村というのはあなたの所管になる公共団体でありまして、直接その受益地帯の住民がそこにおる、県はその間に立っていろいろと指導をし苦労をしておる、こういうことなんであります。ですからこれはいわば農林省が事を起こしたわけでありますけれども、自治省も一体になって、そして今私が述べたような心がまえでもって対処していかれる基本方針を、やはり産業自治の強化充実という面から、私は一例を基盤整備の例にとって申し上げた。具体的な卑近な例としては、農道といえども、それは市町村道に匹敵し、また効用もそういう効用を発揮するわけであります。そういうことを受益者負担でやるということに私どもは、農林省としてはそれ以上には出られないでしょうから、これに対して大臣の政治家としての裁断において強力な協力態勢を持って、どこまでいくかは今後の問題であるけれども、具体的にぶち当たっていくんだ、こういう御決意のほどを承れば、まず最初の御答弁はそれを期待しておるわけなんであります。で、その点も、ちょっとくどいようですけれどもそういう趣旨のことを申し上げたのです。あとこまかく申し上げます。
○篠田国務大臣 自治省といたしましては、先ほど申しましたように、今年度十億円をふやしました。そこで一つの事業について、たとえばどこの町の農道について金を出すというようなことはまだやっておりません。ただその村の財政全般を検討いたしまして、そして交付税によってそれを裏づけしてやる、こういうことをやっておるわけです。ですから、ここに農道をつくったからこの農道の費用を幾らか出すということではなくて、農道も含めた村の財政を検討しまして、そしてそれに対して交付税を増してやっておる、こういう段階でございます。
○足鹿委員 そこで、本年度十億円の地方交付税をふやしたということでありますが、来年度の構想もありましょう。さしあたって今私が指摘しましたように事業ワクが小さい、補助率が低い、受益者負担がかさむ、こういうことが悩みになっておるわけでありますから、要するにその一つの手段としては地方交付税の大幅増額の問題が実現されなければならぬと思っておるわけであります。で、この事業はすでに発足をしておるのであります。そこで各地方の実情を見ますと、愛知、埼玉、鹿児島、熊本、東京、大阪という十数都道府県におきまして、その事業費の二割五分ないし一割を県が独自に地方財政の中から補助する方針をきめておる、こういう事実が発生しておるのであります。昨日愛知県の農林部長の田母神さんが話しておられました。これは指定にならない町村で意欲を持つところに五百万円ずつの補助金を県単で出すんだ、こういう趣旨の発言もなさっておりました。事ほどさように、実際に発足しておるのでありますから、県としては熱を入れ、補助金の上積みをして受益者負担の軽減に具体的に乗り出す措置を講じつつある。もしその場合に地方交付税の交付金として、これは一般交付金でも特別交付金のいずれでもけっこうでありますが、大幅にこれをふやして全国的に二割ないし三割程度の県費を負担するように措置する、つまり基準財政需要額の項目にこれを明確に入れる、具体的にいえばこのことが必要ではないか、かように申し上げておるのであります。そういう点について来年度の予算を現在編成しておられますし、今後の取り扱いが非常に大事であり、非常に注目しておるところであります。昨日の参考人からの意見聴取の際にも、各界の九名の人が大体そういう意向をみな漏らしておられる。私思いますのに、たとえば都道府県にしろ市町村にしろ、自治省のそういう方針が裏づけられない限りは財政力のある都道府県あるいは市町村というものは、単県費あるいは単市町村費でもってそれをまかなうでしょう。しかし財政力に恵まれない都道府県や市町村はそういう能力がない。そうするとそこに不均衡が生じてきまして、この構造改善事業の実施にあたって著しい支障のある県あるいは市町村と、ある程度地方住民の負担を軽減して最小限度の要望を満たして発足し事業を実施する県あるいは市町村とができて、非常なアンバランスが出てくる。のみならず、それは農業基本法に基づくのだと政府は言っておられますが、それは、あなた方自体、政府としても、そういう事態を起こすことは政策上の大きな失敗であり、重大な責任問題が起きてくると思うのです。要するに、基準財政需要額にこれを項目として取り上げ、都道府県・市町村が構造改善事業の特に基盤整備の事業は県平均で四割を農林省は考えておるわけでありますから、基盤整備の問題については特にそういう措置を構ずる必要がある。本年十億出されたその考え方の基礎はどういう基礎か存じませんが、それもあわせて考え、今私がお尋ねをしておる点についても明確にお答えができたら一つ願いたい。
○篠田国務大臣 今年度十億出しましたことは、今年度の農業構造の改善事業として農林省が考えた事業費の総額が八十億でありますので、その八十億のうち国費が四十億出ておりまして、あとは地元の要するに農民の負担となるわけでありますが、それは、農林漁業金融公庫の融資あるいは農業近代化資金の融資が四十億になるわけです。ところが、国費が四十億、それからそういう融資が四十億では融資の方がきつ過ぎるということで、その融資の方に結局十億を回して、はっきり言えばその融資の方を三十億に減らした、こういうことです。ところが、御承知の通り交付税というのは必ずしも農業構造の改善事業に使われるとはきまっておらないわけであります。そこで農林省といたしましては、今年度はこれでやむを得ない、しかし来年度からふやす分は市町村に補助しないで県に補助したらどうか、そうすると今あなたのおっしゃったように実際に事業をやっておる自治体に対して県が助成する形になりますから、その方が農業改善事業としては合理的でないか、これが今の農林省の意見なんでございます。そこで、来年度におきまして、本年度十億出しましたより以上にわれわれとしてももちろん出さなければならぬし、出すように今一生懸命にやっておるわけでありますが、そのふえた分を今申しましたように市町村に渡してしまうと農業構造の改善以外のところに使われるおそれもあるわけだから、それを県に渡して、農業構造改善事業をやっておるものに、ただいまあなたがおっしゃったように五百万なら五百万、千万なら千万ずつ渡した方がいいかどうか、こういう問題を今事務当局で農林省と打ち合わせをしておる、そういう段階でございます。
○足鹿委員 そういう点で趣旨を了解されていろいろ建設的にやっておられるという段階でありますので、大臣もそれに同感でありましょうし、ぜひそれはそういう措置をおやりいただかないと、先ほど述べましたように、同じ国民で国が行なう施策にへんぱな取り扱いの結果が起こる、非常な不均衡を生ずる、そういうことのないようにしていただきたいのです。要するに、その方法としては、行政局長もおいでになっておるようですが、交付金の対象となるべき基準財政需要額の一項目として、この構造改善事業についての県への交付金はそれに流していく、こういう考え方で御検討になっておるのでありましょうか。まだ結論に達しなければ、ぎりぎりということを別にお尋ねいたしません。大体のお気持を一つありましたら……。
○奥野説明員 農業構造改善事業につきまして、特に土地改良の事業などにつきまして、地元負担が多過ぎる、そのために市町村が計画の調整に悩んでいるということはよく承知いたしております。私たちもやはり財政負担をもう少し多くしないと、市町村がやりきれぬじゃないかという心配を抱いている一人でございます。そういう場合に、そういう仕事について財政資金を使うとしたら、国の資金を使うのか、府県の資金を使うのか、市町村の資金を使うのか、これはいろいろな角度から考えていかなければならぬ問題である、こう考えておるのであります。財政負担を多くするという点については全く同感であります。その場合にどの資金を使うかということについては、相当考慮の余地のある問題だ、こう考えております。ただ農林省の振興局長がたびたび見えまして、府県の方から市町村の構造改善事業に補助するというような方法をとってもらいたい、府県の農業関係の基準財政需要額を増額してもらいたい、こういう要請があるわけでございます。その要請がございますので、そういう問題をもあわせまして、市町村が農業構造改善事業の計画調整に当たりやすいようにどう改善していくかということを現在検討している最中でございます。
○足鹿委員 十分御検討になって、その趣旨に合致するように、また、これは私どものただ単なる一個の意見ではなくして、公の場においての参考人の方々の共通した意見であり、この事業を担当する者のすべてをあげての共通した念願でありますから、多大の熱意を持って対処し、期待に沿うような結論の出るように、一つ十分御努力をわずらわしたいと思います。 そこで、これは私が聞き違いであったらお教えを願いたいのです。ほんとうにわかりませんので、聞き違いかもしれませんが、起債の問題です。自治省ではことし起債十億を認めた、それはほんとうですか。
○奥野説明員 農業構造改善事業のうちで市町村が主体となってやる事業、しかもその資金につきまして、地方債を充てることが適当であるという事業については、地方債を許可する建前をとっております。ただ、地方債資金が必ずしも十分でございませんので、三十七年度で許可いたしましたのは、若干の草地改良事業について地方債を許可したということでございます。十億という数字がどこから出て参っておるのか承知いたしませんが、ただ私たちが来年度どうするかということにつきまして、ある程度の地方債資金を、こういう仕事の協力の形において用意すべきでないであろうか、こういう気持を持っておることは事実でございます。
○足鹿委員 そういう方向で、この起債に対してもう少し積極的な方針を期待しておるものでありますが、かりに十億円といたしますと、現在の構造改善事業に割り当ててみますと、一市町村が三百万円程度にしかならないわけであります。そうしますと、昨日も話がありましたが、農道をいつも引き合いに出すわけでありますけれども、地方へ回ってみますと、農道が一番悩みの種であります。要するに区画整理をして大型機械を入れてみたところで、自家労力が省略される、楽になるだけであって、そのこと自体が所得につながらない。また区画整理をしてみても、労働の生産性は上がるが、実際の所得増につながる生産力自体が、そう大きく——十俵とれておったものが二十俵の米がとれるものではない。他の樹園地とかその他高級蔬菜、温室園芸という場合は、これはまた例外でありますが、多くの場合は、今直面しておる水田等の場合はそういうことであって、そういう場合に区画整理をやる、そうすると平均四メートル以上六メートルに近い農道にとられる面積というものは相当大きい。結局反当の事業費が、少ないところで六万円、山間地帯にいきますと、等高線に農道をつくって環状的にやりましても、段々畑で、ほとんどその農道費が中心になってしまう。今度の計画では、山間地というものは全く軽視されておりまして、平坦地中心になっておる、こういう状態であります。やはり索道の問題もありますけれども、歩いてみると、山間地帯でも、小型の農機具を分解して、たんぼのある台地まで農道がないから持って歩く、そこでまた組み立ててそうして機械を使う、こういう状態の地帯があるのであります。そういうところを私ども奥地まで入りましてつくづく感じました。私はそういう意味から引き合いに出しておるわけでありまして、そういうものすらもいわゆる受益者負担と銘打っていきますと、そういうところでは反当十万円近いような事業費ということになります。つぶれ地が大きいから。つぶれ地の割にいわゆる団地化しておりませんから、団地化しておらなければいかぬのだということになりますならば何をかいわんやでありますが、やはり農業内部のそういう格差を解消していくということから考えていきますならばそういうことです。その三百万円も、農道に割ってみますと五百メートル分にしか当たらない。三百万円のはした金では。これではせっかく起債を認めましても、現地の要望にこたえることはなかなかできない、こういうことが言い得られると思うのであります。また同時に、これは農林省当局も考えてもらわなければならぬことですが、起債をした場合の利子の問題について、これは市町村が起債したのだから市町村がその利子をとる、まかなうということは、建前としてそうでありましょうけれども、一応はまた受益者負担という形で還元される場合もなきにしもあらず。この取り扱い等についてももう一歩踏み込んで、農業構造改善の基盤整備の問題については、もう少し積極的にやってもらいたい、かように考えるわけでありますが、まだ検討中なのにそう具体的に答弁を求めるということも困難かと思いますので、自治大臣としての大まかな御所信の御披瀝を願っておけばけっこうであります。
○篠田国務大臣 農業改善事業をやっても、直接の農家の所得は、今あなたのおっしゃったように農道とかなんとかという場合にはふえないと思います。しかし農民の生活とか農場の環境とかそういうもの、将来の生産基盤の整備充実とかということには非常に大きな影響があるんじゃないか。そこで、今すぐ現金収入はふえなくても、将来に向かってこの構造改善の結果として、その農家の所得なりあるいは農家の生活環境あるいは文化的環境というものが上がってくるということは私は非常にいいことだと考えます。 それから山間地帯は道路も不備でありましょうから、大型の機械を入れることができない、小さな機械をかついで入れているというお話でありますが、これは現実にはどこでもそうであろうと私も思います。しかしそういう山間の地帯にもそうかついだりなんかしなくてもトラックくらい通るような道路を通してやるということが目的でございまして、自治省といたしましては、決して山間であるから団地であるからというような区別はしておりません。同じ扱いでその配分を県にまかせておるわけであります。県の方で配分をする場合に、能率の上がるところと上がらないところというのを考えまして、どうしても本来なら逆に持っていかなければならぬ、今農道をつくらなくても、ほかにそういう広いものをつくらなくても、あるいは狭いものでも間に合うようなところはおいでおいでも、道路のない山間などにそれを先に回すということは一番望ましいと思いますけれども、実際の能率から申しますと、やはり突っ込んだだけの能率を回収ができる方にいくということで、県の配分は結局山間の方にはあと回しになっているんだろう、こういうふうに私は考えます。一々の実例について見たわけじゃありませんけれども、そういうことになっておる。ただ農業行政費の基準財政額と申しますか、そういうものについて、私の方で今度いわゆる交付税というものをふやしていきますから、必ずしもそれが受益者負担となって、その利子が受益者の負担になるというふうには考えられないわけであります。
○足鹿委員 私の言わんとしておるところがよく通じてないようですが、端的にいえば、ことしの十億というものは私もよくわかりません。そういうふうに伝え聞いておるのですが、これをもっとふやして、そして基盤整備等の——さっきの話は交付金は県にやり、県が構造改善をやっているところにやるから、市町村はそう困らぬだろう、こういう大臣のお考えのようでありますが、それでけっこうであります。県から市町村へ流す、しかし市町村はまた固有のいろいろな仕事もありますし、その立地条件等によっては、国が示したり県が考えているようなことでは片がつかぬ、そこで起債ということになってくる。その起債ワクをもっと広げ、そして重点的な起債を認め、その利子についても手厚く考えたらどうか、こういうことを私はお尋ねをし、申し上げておるわけなんです。
○篠田国務大臣 足鹿さんのお尋ねが起債の方であったということが今よくわかったわけでありますが、これは私の方としても、必ずしも今おっしゃったように府県に回してやるという考えではありません。その事業をやる市町村に対しまして起債を許していくという、そういう考え方であります。そこでその場合、市町村が起債によって農業改善事業というものを行なえば、自然財政の需要額もふえてきます。そこで私の方は、起債に対しては直接どうということはありませんが、ふえた財政の需要額の問題について交付税で見ていきますから、結局においてそれだけの起債に要した金は交付税の方において見られていく、こういう形になってくると思います。
○足鹿委員 先ほど財政局長のお話に、地方債の場合、草地改良を中心として農業改善関係の起債というものはあまり知らぬというお話でしたが、ほんとうですか。それが事実とすれば、今、大臣の方針によって、来年度においては構造改善事業についても起債を認めることを検討し、その条件等についても具体的にいろいろと考えておる、こういうふうに理解してよろしいのですか。
○奥野説明員 農業改善事業は現実の問題としてまだそれほど進んでいないようであります。市町村が主体となってやる農業改善事業、そのうち適債事業について地方債をつける方針をとって参る、こういうことであります。それがことしどういうものについて地方債をつけたのかといえば、草地改良事業について地方債をつけた例が岩手県なり石川県なり熊本県なり若干の県においてある、その額が十億とかいうようなそんな大きな額ではなかったわけであります。かようにお答えしておるわけであります。しかし来年度になりますと相当進展もして参りましょうし、市町村が主体となってやる農業改善事業も多くなってきましょうから、それに備えまして地方債をある程度こういう面に充実していきたいという計画を持っておる、こういうことを申し上げております。
○足鹿委員 それでは先へ進みまして、もう一、二問だけで終わりたいと思いますが、午前中の質問を聞いておいていただくと重複しなくて済むのですけれども、趣旨を申し上げますとこういうことなんです。 現在の農林省が閣議了解を取りつけ、実施要領をきめ、実施基準を流す、農林省は一応それで下から出てくるのを待っておる、こういうわけなんです。ところが県なり市町村は大へんなことになる。通牒一本くれば、それを消化するには有形無形の大へんな努力を払わなければならぬ、こういうことであります。ところが県の段階ではある程度消化能力を持っておるわけでありますが、市町村段階になりますと——まあ市になりますとある程度いろいろなものを受け入れ、計画をし、実施する能力を相当持っておるわけですけれども、町村の場合はなかなかそうは参りません。実際地方を歩いてみまして、市の場合と町村の場合は全く著しく見劣りがするのであります。こういう点からもしこの構造改善事業を規定通り進めていく場合には、今のような地方公共団体の陣容や事務官、特に専門技術を要しますから専門的な技術者、そうしたものを配置していかなければできない。一方においてはコンサルタントの計画がもうすでに——昨日愛知県の農地部長はここで公表しておりました。昨日のお話を聞きますと、愛知県の例でありますが、同県では今後十カ年間に九十地区が構造改善で指定される予定になっておる、そういう想定をもとにした場合に、県では最小限度四十人の県職員の人員が新しく必要になってくる、そしてさしあたって来年度の計画を消化し、これを実施するにあたっては、十八人を増員しなければとてもやっていけないということを昨日公述しておられるのでございます。この一事は、大体どの都道府県なり市町村にもその事業分量に応じて似たり寄ったりではないか、当てはまることではないかと思いますので、一例を申し上げるわけでありますが、問題は、事業をしたからには停滞してはいかぬ、ぐんぐんそれが推進され、所期の目的を与えられた期間内に完成していかなければならぬということになるわけでありますが、こういう場合に、人員の増、専門化なりということになりますと、これはなかなか問題であります。相当の人件費等が伴い、都道府県、市町村の構造改善推進に対する体制の整備、充実、強化ということが問題になりますが、この点について自治庁としてはどういうふうにお考えになり、協力をされようとするのでありますか、この点を明確に御答弁願いたい。
○篠田国務大臣 農林省が次官通牒で各府県に対しまして農業改善事業のいろいろな指令を出しておるということは、私も聞いて知っております。今の段階におきましては、それは一つの計画を示しておるのでありまして、その通り実行しろというふうには農林省は言っておらぬようであります。しかし、今、足鹿さんのおっしゃったように、それを各市町村におきまして実行するというような段階になれば、当然技術者が足りなくなるということは論を待たないと思います。その場合に、各市町村におきましてそういう技術者を個々にかかえるかということになれば、私はそれはいろいろな財政措置も考えますけれども、とても全国の市町村がそういうことを考えても実行は不可能であろう、そう思います。そこでやはり先ほどの愛知県の計画のように、県において一つのそういう技術者を集めまして、そして同時に何十カ所でも始めるかどうかということは別問題といたしまして、そして指導をする、どうしてもその固有の町村において必要であるという最小限度の技術者は、これはやむを得ないかもしれませんが、全体として技術者を各町村がかかえる、その措置を全部国なら国においてやるということは、私は不適当である、こう考えます。
○足鹿委員 市町村ごとにつくるということについて、私はそうしなさいということは申し上げてないので、今県の場合でもそういうことである。市町村と一がいに言いましても、大は二十カ町村を合併した市が地方においてもありますし、小は二カ村、三カ村、当初市町村合併促進法に示された人口八千人という基準をいまだに墨守しておるところもある。そういうところの構造改善事業推進体制と、二十カ町村、都市を中心とした田園都市の推進体制はおのずから差が出てくる。こういうことはおわかりだろうと思うのです。そういう場合の配慮もやはり考えるべきではないか。今具体的にどうしなさい、こうすべきであるということは私どもわかりません。わかりませんが、県の体制につれてそういう点も当然自治省としてはお考えになる必要があるのではないかということを私は指摘し申し上げて、御所見を承ったわけでありますが、それはそれとして、最後に私は申し上げたい点を一つお聞き取り願いたいのです。 午前中申し上げましたが、今度の農業構造改善計画は、原則が行政単位となっておるのであります。それで地方へ出て参りますと、いろいろな矛盾がそこから出てきておる。価格流通との関係に至大な関係を持つ経済ブロックは必ずしも一市町村で当てはまらぬ場合が多い。数カ町村あるいはもっと大きな地域にわたって一つのブロックを形成しなければ——構造改善事業は基盤整備も伴っておりますが、政府の考えによれば主産地形成につながり、これは即経済行為につながってくるわけであります。一面これは農協の合併等が伴って徐々に進んでおりますが、私どもが現地を見て直感しますことは、同じ町村の中で、ある地域が三十町歩ないし四十町歩の大字の区画整理をする場合の出入り作は、これは同じ市町村のことですから説得もできますし、大体ある程度いろいろと話がつく。ところが市町村界を異にしたある地域の基盤整備をやろうとする場合に、入り作がきておる。構造改善事業をやろうとすると、入り作が相当、三割も、あるいはもっとも入っておる。また逆に指定地域外に出作もある。こういうような場合で、片一方は指定を受けておらぬし、そういう事業にはおれはやめたという。構造改善事業の指定を受けた地域では指定を受けないところの関係のない農民が来てやっておる。こういうことで、土地改良法に準じて三分の二の署名をとって、手続としてはそういう方向でいくわけでありますから、個人の賛成を得ればけっこうでありましょうけれども、行政区画が違うために必ずしもスムーズにいかぬ事例というものが相当あります。具体的にこまかい事例を申し上げますと、これからこれが発展していけばそういう問題が随所に起き、また広がって、連続して指定地域が出ていきました場合でも、二百十万ヘクタールの要基盤整備地帯というものに対して、現在一市町村四十町歩として三千百を十カ年にやるという大体政府の考えですが、そうすると十二、三万町歩しかできません。やはりこの出入り作関係というものも残るし、それから行政区画的なものは最後まで残ってくると思う。そうした場合に、自治省としては、地方住民の、甚大な関心を持ち、その経済や生活に直接つながる問題でありますから・そういうことについても、産業立地の立場からも大いに配慮され、そしてそういった経済ブロックにおける町村相互間の連係、また今申しましたような基盤整備の場合にあたっての出入り作関係の調整といったような点にも十分配慮し、心して、事業の円滑な推進ということに対する態勢というものが必要であろうと思うのです。またそういう指導をされる必要があろうかと思うのでありますが、そういった行政区画にこだわらない、一つの広い見地からこの施策を進めていかれるお考えがあるかどうか、出入り作という小さな例をとりましたけれども、一つの、自治省としての本事業に対するところの基本的な認識なり今後の御方針をこの際承りまして私の質問を終わりたいと思います。
○篠田国務大臣 ただいまおっしゃいましたように、実際問題として、農業構造改善事業は、自治体が単位になっておる。そこで、同じ自治体の中においてやる分には割合にまとまりもいいけれども、他町村にわたった場合には、非常に紛糾する場合もあるし、まとまりにくい場合もあるんじゃないか、こういうお話でありまして、これはもっともであります。ちょうど、治水をするということが非常に必要である。たとえば、北海道でいいますと、石狩川なら石狩川の治水をしなければ年々災害を受けて困っておるという、現実に災害を受けておる場合におきましても、土地の買収とか、あるいはその他についてなかなか話がまとまりにくい。いわんや農業構造改善事業というものは、問題は将来にある。これをすることによって将来農業の能率も上がり、農民の生活も向上するという問題ですから、いわば直接の影響というものは、人によっては感じない場合があります。従いまして、隣村でやることの影響を自分の方は受けないというような農民も出てくるでしょう。しかしこれからのいろいろな仕事は、もちろん農業構造改善事業にとどまらず、水にしましても交通にしましても、あるいはまた産炭地の振興にしましても、あるいは新産業都市の問題にしましても、どうしても一町村モンロー主義ではできない時代になっております。そこで、今おっしゃいましたように、私たちとしましては、その一つ一つの問題によりまして、これは数カ町村ないしもっと多くの町村でやることが適当であるということであれば、それはもちろんそういう指導をすることにやぶさかではないし、また一生懸命やるつもりです。ただ、個人の自由が非常に許されておりますから、どうしても反対が多いところはあと回しになるということだけは、これはやむを得ないのじゃないか。しかし、そのためにわれわれが手をこまねいているということは絶対いたしません。その地方の利益になるということであるならば、あくまでも説得、指導をしまして、その改善事業を一日も早く達成していくように努力するという基本方針は変わりません。
○長谷川委員長 安井君。
○安井委員 私は、この前の臨時国会の終わりの段階で、農業構造改善事業に関する問題を取り上げて質問したことがございましたが、きのうの参考人の陳述、さらにきょう午前中から繰り返されております質疑の中で、それらの問題点がほとんど解決されず、むしろ深刻の度を加えているというふうな印象を受けるわけで、その点大へん残念だと思うわけであります。きょうはただいままで審議が続いて、またこれからあと東海林さんの質問もありますので、ちょうど自治大臣以下自治省から御出席でございますので、自治省に関係のあります部分だけをお尋ねいたしまして、きょうのところは終わりたいと思うわけであります。 初めに、この農業構造改善事業と地方財政との関連の問題は、今、足鹿委員がお取り上げになったところでございまして、私も多くを申し上げる必要はないと思いますが、大臣これだけは一つ御理解を願いたいのは、この農業構造改善事業を農林省が打ち出してから、地方財政では三つの面から財政負担がふえてきている、ふえざるを得ない傾向にあるということです。その第一番目は、地方公共団体の都道府県にしても市町村にしても、事務費が非常にふえてくるということ、これが第一点。第二点は、この農業構造改善事業のうち、特に市町村が固有の仕事として当然やらなければいけない部分までも——農道なんかもですが、そういうものが構造改善事業の中に入ってくる場合があります。あるいはその他公共的な仕事で、構造改善事業の中に含まれた形で問題が出てきて、その解決のためによけい金がかかるという面があります。それが第二点です。第三点は、この構造改善事業に関連して、本来その事業の中にはないが、関連していろいろと支出がふえてくるという関連事務の増加、その三通りに私は分けることができると思います。 この点は先ほども全部お触れになった点ですが、たとえば事務費の増加も、全国農業構造改善協議会という、これは全国の農業構造改善に関係のある市町村が全部寄っている協議会でありますが、そこから出ている資料等を見ましても、たとえば調査の計画費にずいぶん金がかかっているようです。特に職員の増員に金がかかっている。この計画実施事務あるいは指導事務、そういうようなところに事務局を設けて五人くらいの専任職員を置いてやっている、そういうのが普通のようであります。これは、県段階にコンサルタント協会を設けるという愛知県方式もあると思います。あると思いますけれども、愛知県の場合も、県の中にいろいろの専門技術者を二十人くらい置くというのですが、そんなことだけでは、その県全体の事務が遂行できるわけはないし、各市町村が市町村の実情に即した計画を持つためには、市町村に、そんなにたくさん常時要らないかもしれませんけれども、何人かの増員はやはり必要ではないかと思います。さらにまた、こんな例もあります。この構造改善事業の土地改良その他の計画を立てるのは大へんな手間がかかるし、農業土木技術者もいないものですから、人に頼んでつくってもらった。それが四十五万円かかった。ところがその計画は農林省までいってけられてしまった。これは規格に当てはまらない、基準に沿わないということでぽいされてしまった。結局小さな市町村財政では、どこにもしりの持っていきようがない四十五万円という金が出てしまった、こういうような事情もあるようであります。つまり今申し上げたのが、一番目の市町村あるいは都道府県の事務費がふえてくるという問題です。特に要綱の中にも、都道府県には専任職員を置けということをはっきり書いてありますが、そういうようなことで事務費がふえてくるという点であります。 それから次の二番目の固有の事務がふえるというのは、先ほども申し上げた通り、農道その他は市町村が当然負担をしなければならないし、あるいは市場なんかの設置というようなことになりますと、市町村の仕事になって参りますから、そういうようなことで市町村独自の支出がふえて参ります。 第三番目の関連事務といいますのは、道路でありますとか河川であるとか、こういうようなものも農業構造改善事業の指定地区になると当然出てくるわけです。たとえば三反歩から一町くらいの大きな水田をつくるということになりますから、そうなりますと、この川は切りかえなければいけないということで、市町村の財政支出がふえてくる。あるいはまた小さな村なんかに行きますと、村道なんか幅二メートルくらいしかない。ところが今度大型機械を入れて、五メートルの農道をつくるわけです。りっぱな農道はできますが、それに入るところの村道は二メートルしかない。そこに大きな機械を入れて、コンバインを入れていく、これは道路計画を全部変えていかなくてはならないわけです。二メートルのところにりっぱな橋がかかっている道理はありませんから、大型機械を通すに足る鉄筋コンクリートのりっぱな橋をつくらなければいけないということになるわけです。だから、この農業構造改善計画に伴って市町村道の問題と、特に橋梁は全面的に永久化しなければ、コンバインは何トンあるのですか、すごい自重だと思いますから、こういうものが通ることができないわけであります。 つまり、これらの市町村あるいはまた都道府県の財政の面で私は三つの分類をいたしたわけでありますが、そのいずれの面からも負担が非常にふえてくる、こういう事情を明年度以降の地方財政計画の中にはっきり織り込んでいただかなくてはならないと私は思うわけです。つまり新産業都市というふうなことで、工業化の方向に対しての財政需要というものはずいぶんふえてくると思います。しかしその反面、農村の方の関係の需要があまりふえないからということで、地方財政の計画の中でびっこな措置がとられては私はならないと思うわけです。そういうようなこまかいことは申しませんが、大臣に、農業県、あるいは農業に関係のある市町村の財政需要の方も、新産業都市で都市化の方向にばかり地方財政が片寄ってしまって、農村やあるいは農村県に対する需要が減るというような考え方ではいけないということを私は申し上げて、大臣のお考えを一つ聞きたいと思うわけです。
○篠田国務大臣 農業構造改善の事業が進捗するにつれ、あるいはまた着手されることによって、ただいまおっしゃったように地方行政費がふえてくる、その地方自治団体の事務費がふえてくる、あるいは固有の事業において事業費がふえる、あるいは関連事業において関連事務費がふえてくる、こういう問題であります。これにつきましては農林省が補助金の中にその事務費というものを含めて見ていると思います。しかしそれは農林省が含めておるといいましても、実際市町村の団体側から見れば、これは足りないということは言えると私は考えます。そういう場合におきまして自治省といたしましては、その市町村の負担増の問題については、ものによってはあるいは起債を認め、あるいはまた交付税をふやすというようなことをして、これを見ていきたい、こういうふうに考えている。ただ先ほどおっしゃいましたいわゆる技術者がおらないために技術者を雇ってきて一つの設計をつくった、ところがこれが規格に合わないというので、農林省で投げられてしまった、ところがそれにはすでにその規格をつくるだけに四十五万円もかかった、こういうような問題はまことにむずかしい問題でございまして、規格に合うか合わないかということは、設計をつくるときにやはり十分農林省の規格も調べられ、場合によってはまた道府県の農務課なりあるいはまた農林省なりとよく打ち合わせをされることが必要で、ただ自分の方に技術者がないから、ある技術者を呼んできて、それにまかせっぱなしだというのは、やはりちょっと私は事務的に手抜かりがあるのじゃないかと思います。そういう場合はまことにお気の毒でありますけれども、市町村の失敗と申しますか、個人の失敗と申しますか、そこまで自治省がめんどうを見るというところまでまだ財政状態が豊かでないということは申し上げられる、こう思います。 それでコンサルタントの問題でありますが、これは将来やはり農業改善事業が進んでいきますと、そういう機関が愛知県ばかりでなく方々にふえていくのじゃないかと思います。またそれが果たす役割も相当ふえていくのじゃないか、こういうふうに考えます。
○安井委員 いろいろお答えございましたけれども、私が申し上げている趣旨は、こまかいことはたくさんありますし、それはそれなりに御措置願いたいと思いますが、新しい年度を迎えるに際して地方財政計画を自治省でお立てになる、その際に近ごろの全体的な行き方は、所得倍増計画だとかあるいは新産業都市だとか低開発工業地域だとか、そういうふうな方向に何か力点がいきそうな気がするのであります。特に低開発工業都市だとかあるいは新産業都市に指定になれば、工場ができ、固定資産税が安くなる。安くなったのは交付税でそれを埋めてやるわけですから、地方交付税の配分がそういうふうな都市的な方向にばかり片寄ってしまって、農村の方はあまり問題がないからというので、なおざりにされては困る。農業構造改善事業もこれはいろいろ問題はありますけれども、そういうような形で忘れないでぜひ御措置を願いたい、そういうことを私特にお願い申し上げたわけです。
○篠田国務大臣 決して工業だけに傾くような、そういうことはいたしません。自治省といたしましては、農村の関係も十分に考えまして処置もし、方針も立てる考えでございます。
○安井委員 次に私、自治法に関連して、この農業改善事業に立法措置が必要ではないかということを前に問題として提起をいたしていたことがございます。これは八月の二十一日の農林水産委員会で重政農林大臣に御質問をしたら、当時齋藤振興局長がそれを引き取って検討するというふうなことであったし、それから八月三十一日の地方行政委員会でこの問題を同様に提起をいたしましたら、行政局長からいろいろな論議のやりとりのあと、最後にもう少し検討しますというお答えをいただいていたわけでございます。ところが、先ほどの午前中の 林大臣のこの問題に関するお答えでは、法制措置をとる気持はないというふうなお答えであったように私は記憶いたしております。自治省とこの問題がどういうふうに論議され、今の段階ではどんな形になっておるか、それを一つ大臣からお答えをいただきたいと思います。
○篠田国務大臣 先ほど申し上げました農林次官の通達というのは、農業基本法の規定を実施するための手段として、国の助成を前提として通達が行なわれておるのでありまして、地方に対して、言いかえればこれは必ずやれというのじゃなくて、これをやった場合には国は助成をするぞ、こういう意味の通達でございます。しかしながら農業改善事業もどんどん進んでいくことによって、周囲の事情がどうしても何らかの立法措置を講じなければならぬという段階にいけば、それは立法措置を講ずることももちろん必要であろうし、またあり得ると思います。ただしかし今の次官通達だけの範囲におきましてそれを法律でもって措置していくという必要は今のところないと考えます。私が申し上げましたのは、今の農林次官通達に関して立法措置をとる必要はない、こう申し上げた。農業改善事業がどんどん進展していきまして、そこに何らかの立法措置を講ずる必要が生まれてきた場合には、これは国会においてまた御審議を願うことになろう、こういうふうに考えます。
○安井委員 若干立ち入った事務的な問題につきましては、もっと掘り下げてお尋ねをしたいと思うのですが、大臣お急ぎのようですから、大臣はけっこうです。 今、大臣からそういうふうなお答えをいただいたわけでありますが、そこで農林省の振興局長にお伺いをいたしますけれども、現在の段階では、今自治大臣がお答えのようなおつもりで農林省はおられるわけですか。
○齋藤説明員 お答えいたしたいと思います。 この問題につきましては、午前中に農林大臣からお答えいたしました通り、現状におきましては、まだ立法の措置は必要ないのじゃないだろうかというふうに考えております。むしろ現状におきましては、法律等によって規制することなく、村の事業を進める過程におきましては、十分弾力的に考えていくということも必要だろうと考えておりますので、現在の助成の方法を通じてこの事業を進めていく段階におきましては、立法措置をとるという考えを持っておりません。
○安井委員 今のお答えによりますと、つまり現在の段階ではこの農業改善事業については、県も市町村もやってもやらなくてもいい、やりたければやりなさい、大体そういうことのようにとれるわけであります。農林省の方も農林大臣のさっきのお答えによりますと、二、三年やってみてというふうな、そういうふうなお気持もあるようでありますが、今のところあまり自信がないから、まあやれるところだけとにかくやらせてみよう、そういうお気持だと理解してよろしいですか。
○齋藤説明員 お答えいたしたいと思います。 現段階におきましてどういう点に立法の必要性があるかという点でございますが、たしか先生が先般御質問になった要点は、計画の主体に市町村長がなっておるについては、その責任を明らかにする意味において立法措置が必要であるのではないか、第二点は、これらの事業を遂行するにあたって、農民の負担を徴収する場合に、立法措置を必要とするのではないかというような点にあったかと記憶いたしております。 第一の点につきましては、この事業は、その地方におきます広義の意味における産業奨励の施策でございますので、当然自治団体としてこの種の事業について従来やっておる例もありますので、必ずしも立法の措置を必要としないのではないであろうかというように考えるわけでございます。 第二の点につきましては、それぞれの立法によるものは立法措置によって徴収しておるわけでございまして、たとえば土地基盤の整備につきましては、土地改良法に基づいて事業の実施をはかるということになっておるわけでございます。従って当然土地改良法の手続に従って徴収するという道が開かれておるわけでございます。また事業の内容によっては農業協同組合が事業主体になるという場合もありますが、これらは組合の内部の規定によりまして、それぞれ利用料をとるとか、経費を賦課するとかというようなことになっておりますので、そういう意味から、現状におきましては必ずしも立法措置を必要としないのではないであろうか、こう考えておるわけでございます。
○安井委員 重ねてお伺いしたいのですが、この農業構造改善事業は国の事務ですか。
○齋藤説明員 必ずしも国の事務というふうには考えておりません。すなわち県なり市町村なりにとっては国の委任事務であるというふうには、必ずしも考えておりません。
○安井委員 それでは、しかし国の事務である面もあるわけですね。
○齋藤説明員 ただいま申し上げたように、国の委任事務であるというようには考えておりません。
○安井委員 いや、私のお尋ねするのは——委任事務か委任事務でないかというのは、これは市町村の、つまり地方自治法の段階からのお答えだと思うのです。そうじゃなしに、国の立場から考えた場合にはどうなんですか、国の事務じゃないのですか。
○齋藤説明員 この事業自身は、農林省としますれば、農業の近代化とか、あるいは農業生産性の向上であるとか、こういうごとに対する一つの助成政策であります。従って、そういう意味で特別の助成措置も講じ、あるいは金融等についても特殊の金融制度を開いておるわけでございますから、事業の推進については十分国としても責任を持つわけでありますけれども、やり方自身につきましては、先ほど申し上げましたように、これを県なりあるいは町村なりに義務づけて実行させるという性質のものではないのでありまして、国が、各市町村の構造改善の計画について自主的に実施するのに対しまして、財政的に援助をし、あるいは技術的な援助をする、こういう立場にあるわけでございます。
○安井委員 佐久間行政局長がおいででございますので、この前の論議のむし返しみたいになるわけでありますが、自治法第二条第二項の規定が、都道府県あるいは市町村の義務の基本的な原則規定でありますし、それに伴って、この条文の各所に規定がございますが、私はこの前は、法律またはこれに基づく政令の定めるところによって都道府県が処理しなければならない事項、あるいはまた市町村が処理しなくてはならない事項、さらには地方公共団体の事務の管理及び執行に関する第百四十八条の各規定によりましても、地方公共団体の長の執行権限について、やはり法律またはこれに基づく政令によってその権限に属する事務、その内容については別表においてそれぞれ規定がなされているわけです。だから正しい立場からすれば、この農業構造改善事業についても法律の規定があって、地方自治法の別表の第一、第二、第三、第四、それぞれの中にはっきりそれがはめ込まれて、それで正しい姿においての地方公共団体の受け入れ態勢ができるのではないか、こういうような立場で私もこの前申し上げたわけでございましたが、先ほどの大臣の御答弁で問題の結論が出ていると思いますけれども、そこに至りますまでの考え方について、さらに自治省としての御見解を承りたいと思うのです。
○佐久間説明員 お尋ねの点につきましては、前回御質疑がございましてからいろいろ検討いたしたわけでございますが、先刻大臣から御答弁のございましたように、現在行なわれております農業構造改善事業は、国が農業基本法に基づいて、地方公共団体が実施いたします事業に対して助成をいたしますにあたりまして、その前提の条件を定めておるものであり、これは地方公共団体に義務づけるものではないんだ、このような農林省のお考えも承りまして、そういう性質のものであるならば、法律の規定でもって、通達に書いてあるようなことを規定いたす必要はないのではなかろうか、このような結論を持った次第でございます。その過程におきまして、たとえば先生のこの前の御質疑の中にもございましたように、特別の職名あるいは資格を持った職員を地方公共団体に設置をしなければならない、このように地方公共団体が受け取っておるような向きも、私どももその後仄聞もいたしましたので、その点につきまして農林省の御見解もただしたのでございますが、そのような特別の職名なり資格なりを持った職員の設置を強制する趣旨の指導をいたしたこともないし、現在出しておる通達もそのような趣旨のものではないんだ、このような御説明をいただきまして、その点を文書をもって確認をいたしましたので、そのような内容のものであるといたしますならば、現在直ちに立法措置をする必要はないじゃなかろうか。包括的に申しますと、農業基本法の中で、この事業について地方公共団体も協力しなければならない、このようにも書いてあるわけでございますので、地方公共団体がいわば公共事務といたしまして自主的に計画を立て、その事業を実施をする、それに対して国が助成をする、そういう形で行なわれることで差しつかえないのじゃなかろうか、このような考えを持っておるわけでございます。
○安井委員 齋藤局長さんに伺いたいのですが、計画の指定あるいは認定の指定をする人はだれですか。
○齋藤説明員 町村の計画地域を指定するのは知事でございます。事業計画の認定をするのは都道府県知事でございます。
○安井委員 農林大臣はその場合どういうことになるわけですか。
○齋藤説明員 農林大臣は都道府県知事が指定をし、あるいは認定をする場合に、あらかじめ農林大臣と協議をしてきめる、こういうことになっておりますので、いわば事前的な手続としておるわけであります。
○安井委員 そういうふうにこの要綱の中には確かに書いてあります。しかし知事が指定をしたり、実施を決定したりしていると思っている人はおそらく全国だれもおりませんよ。農林大臣がきめるのだと思っていますよ。実際そうなんじゃないですか。事前協議というふうなことはあっても、実質的には——形の上ではそういうふうな抜け道はとっておられる。だから私は自治省との見解においてもあまりそごがなかったのかもしれないと思うのです。そういうふうな形になっておりますけれども、新聞なんかの記事を見ても、農林省がそういうふうにきめたというふうに出ておる。きのうもずいぶん指定地区の人が見えておりましたけれども、その県の知事にきめてもらったと思っておる人は一人もいないですよ。そういうふうな表街道だけは何かすり抜けたような仕組みでいて、実際のところは農林省が何もかもみんな押えている。金の方も結局国が押えている。計画の仕方から、実施基準から、何から何までみんな国が押えている。そういうような仕組みでおいて、ただ法律の抜け道としては、これは自治法の上では固有の事務ですよ、という言い方、私はこういうような言い方の中から、今の地方自治なんというものはすっかり曲げられてしまっているのではないか、そういう気がするわけです。特にこの自治法の、先ほどあげました第二条のたしか第十一項の規定でありますが、「地方公共団体に関する法令の規定は、地方自治の本旨に基いて、これを解釈し、及び運用するようにしなければならない。」こういうふうな厳重な注意規定まで自治法の上には置いているわけです。そういうふうな段階において表面だけ何とかつじつまが合いさえすれば、法律はとにかく網目さえくぐってしまえばどうでもいいというような態度では私は困ると思うのです。行政局長、いかがですか。
○佐久間説明員 御指摘の点はその通りと存じます。
○安井委員 その通りとすぐ簡単に断定されて、またされっぱなしでは困ると思うわけです。きょうのところは一応大臣の結論をさっきお出しになって、事情の移り変わりを見て法制化の問題ももっと考えたいというふうな御結論がありますので、私はこれ以上申し上げても堂々めぐりするだけですから、もうやめますが、ただ先ほどの足鹿さんとの問答の中に、県に地方交付税を増加して、そして県の独自の考え方で市町村にそれをおろすようにしてはどうかというふうなことで交渉が農林省と自治省の間で進んでいるというようなお話をさっき伺ったわけでありますが、そうだとすれば、これはやはり立法措置が必要なんじゃないでしょうか。都道府県は自分でもらった地方交付税を市町村におすそ分けしてやる義務はないわけですから、だから都道府県が市町村に農政に関する事務費を補助した場合には算定してやるとか、何かそういうような法律がないと、ちょっとこれは都合が悪いように思うのですが、その点はいかがですか。
○松島説明員 お答えいたします。 ただいま都道府県の基準財政需要額に入れるべきかどうかという点につきましては、先ほど局長からお答えいたしましたように検討中でございます。ただこの場合にかりに都道府県の基準財政需要額に入れるとしたならば、それは法律的措置が必要かどうかという問題でありますが、先生御承知の通り、基準財政需要額に入れたからといって都道府県は必ずその額を支出しなければならないという義務を負うものではありません。また一般の単独事業等につきましても、一応基準財政需要額の中にそれぞれ必要な額を見込んで算入することになっておりますので、基準財政需要額に入れることが即立法措置が必要であるということには必ずしもならないのではないかというふうに考えております。
○長谷川委員長 東海林稔君。
○東海林委員 三日間にわたっていろいろな問題が出ておりますので、私はきわめて簡単に関係局長にお尋ねしたいと思います。 まず第一でありますが、この農業構造改善の中で非常に重要な地位を占めておる基盤整備事業の中で、また重要な地位にある区画整理の問題であります。きのういろいろ問題が出たのでありますが、農林省では一区画を大体三反歩ということを基準にしておる、こういうお話を承ったのでありますが、たとえば、きのうの参考人の陳述の中で、新潟の大慶地区は二反歩、それから福岡の三瀦地区では〇・三七ヘクタールから一・五八ヘクタールという大きいのが出ております。また加西町の桑原田では六反歩、こういうことになっておるわけです。そこでこの問題は、これまで御承知のように区画整理大体一反歩でありましたが、それをやるにもずいぶん金がかかって、しかもこれまでやった区画整理の金の返還が済んでない上にまたやらなければならない、それが非常に負担になっているというような指摘もあったわけですが、今後またこれをある長い期間たたないうちにもう一度やり直さなければならないということになれば、これは負担が非常に大きくなって大問題だと思うのです。 そこで端的に伺いたいことは、三反歩を適当とするという基準は一体どういうところにあるのかということが一点。もう一つは、ただいま申したように実際に計画を立てたところで、二反歩のところもあれば六反歩のところもある、あるいはまた三反七畝から一町五反歩のところもある、こういうような例があるわけですから、三反歩を基準とするという農林省の考え方によって実際の計画を審査する際に、どの程度の幅をどういう理由で認めることになっておるのか、その点をはっきり伺いたいと思うわけです。
○任田説明員 区画整理につきましては、本来の土地改良事業の一環としまして実施いたしまするところの区画整理と、それから今回の構造改善事業の中における土地整備としての区画整理、今のところ二様のような形になっておるわけであります。 それでまず第一点の土地改良事業としてのものでございますが、これは従来一反歩であっても、あるいは一反半であっても、とにかく区画整理というものが実施される場合、それに対して一定の補助率でもって事業を実施するということで助成をいたしておったわけであります。ところが、御承知の通り機械化の導入ということが叫ばれるようになりまして、またそれが妥当でございますので、極力区画の大きさを広げたいというのが農林省の方針になって参りました。この三反歩の基礎というものは、要は機械の問題から出まして、機械の幅に対して何回往復するかということからいきまして、大体幅といたしましては三十メートル、それに対して長さというものは、これは日本の地形その他からいきまして、長くとっても百メートルぐらいが一応限度ではなかろうかというようなことで、大体三反歩というものがとにかく目標としてとり得るものではないかというような考え方が機械運用上から出て参ったものと考えられる次第でございます。そのような方針で一応三反歩以上というものを目標にいたしておるわけであります。しかしながら山地におきまして、あるいはまた傾斜地におきましては、とうていそのような区画をとることは不可能であります。もちろん五畝あるいは一畝というような小さな区画は随所にございますが、これを極力整頓された区画にする。その場合でも一反歩が限度の場合もありますし、また二反歩という場合もございまして、要は工事費の問題でございます。このあたりでいろいろの作業がなされておりますが、各県におきまして、それぞれこの構造改善の事業として指導する場合に、その現地の実情に応じて、反当たりの事業費とも関連いたしまして、ある場合においては六反歩、ある場合においては三反歩が至当ではないかというような指導方針を各県においてとっておられるのじゃないかというふうに思います。しかしながら全体といたしまして、そのような今東海林先生の御指摘のような問題がややもすると出て参っておるわけでありますので、この点は統一的な考え方でもってもっと徹底をはからなければならない、かように考える次第でございます。
○東海林委員 今の三反歩というのは、大体今後近代的な機械を使う場合のことを考えて、機械の大きさとその能率利用という点からきめたんだということなんですが、大体三反歩の基礎になっておる主たる機械というものはどういうものかということをまずお伺いします。 それともう一つ、審査をする場合にどの程度の幅というものを認めることになっておるか、さっきお伺いしたのですが、具体的な説明がなかったようですから、一つそれを説明して下さい。
○任田説明員 耕起の機械の規模といたしましては、大体二十馬力以上というものを構想に持ちましてやっておると思います。
○東海林委員 二十馬力以上というのは、それはずいぶん大きいのを使っていいのだから、三反歩という規定をしたことにはちっとも返答にならないと思うのです。技術者でない方に聞くのは失礼だと思うから、これは重大な問題だから、今のようなあやふやなことじゃなしに、今無理ならあとでいいですから、はっきりした資料を出して下さい。 それから今現に審査をやっているわけですから、審査をする場合に二反歩を認めたり六反歩を認めたりしているのは、三反歩の基準とどういう関連においてわれわれは理解したらいいのか、そこは現にやっているわけですからもう少しはっきりしてもらいたいと思う。そこはなんでしたらほかの局長さんからでもけっこうです。
○任田説明員 この幅として三十メートルとなる基礎は振興局の技術の関係から出ておりまして、それが一応基礎になっておるわけでありますが、長さにつきましては、先ほど申しましたように、長くても一向かまわない、二百メートルでも三百メートルでもかまわぬが、現実の問題といたしまして、百メートルあたりのところでやるのが日本の地形にふさわしいのではないかということで、一応構想が持たれているわけであります。もちろん、先ほど私も申しましたように、その地形々々に応じてこの事業費との関係がございますので、長さにつきましてのいろいろな指導が出て参るものと思います。
○東海林委員 今の点は振興局長から振興局の立場で……。
○齋藤説明員 今御質問になりました区画整理の基準といたしまして、三反歩という圃場をとりましたのは、すでに農地局におきまして区画整理の基準として三反歩というものを一応掲げておりますので、実はそれをそのまま採用したわけでございます。しかしこの考え方は、要するに今後の機械化をはかっていくということで、前提といたしまして圃場の整備を今後進めて参りたいという考え方に立っておるわけでございます。従って機械、特にトラクターでございますが、現在いろいろのトラクターが入っておるわけでございますけれども、助成の対象といたしましては、大型のトラクターを対象に助成するということにいたしております。と申しますのは、自動耕耘機のような小型のものにつきましては、融資ですでに百万台も入っておるような状況でもありますので、そこで今後の行き方としては大型だということになりますと、今申しましたような区画整理というものが当然起こってくる。そこでお尋ねの三反歩をいかなる基準で二反歩にしあるいは四反歩にするのかということでございますが、三反歩の基準については農地局の方で農地局長から先ほど御答弁があった通りであります。そこで基本の考え方としましては、要するにトラクターが十分そこで耕耘できるような状態にあればよろしいということでありますので、地形によりましてはすでに区画整理を行なっておる。そこで従来の畦畔であれば二十馬力なりあるいは十八馬力、さらには三十馬力等のトラクターが十分利用できるという地域もあるわけでございます。そういう場合においては、必ずしも再区画整理を行なわないで事業を認めるという場合もございます。それから地形の関係、負担の関係で、二反歩程度でも十分こなせるという場合においては二反歩を認めるという措置をとっております。さらに三十馬力とかあるいは三十五馬力とか、さらに現に入っておりますコンバインの利用状況という点から見まして、一町以上なければならないという地域もございますので、それらは地形なり負担なりの関係でそういう区画整理も認めております。要はトラクターを現にその地域において耕耘する場合にどのような状態であれば可能であるか、こういう判断に基づいて審査をしておる、こういうことでございます。
○東海林委員 今の点は、農地局長はあとの三反歩というものを出した具体的な機械名を資料として出して下さい。そういうことでその問題は次に移ります。 そこで一つこれに関連して心配な問題は、昨日も実は私は三瀦の町長さんに、一体登記の方はどうなっておるかと聞いたら、いや、換地処分が全然済んでいないのだというお話でありました。実はこの周桑原田地区に行ったときも、六反歩ということになると一枚のたんぼで三人の所有者があることになるがどうなるのだと聞いたら、いや、今加西の方は共同でやっているから問題はないが、実際に分けるときになるとこれは非常に問題でしょうね、登記の方も実はまだはっきり方針がきまっていません、こういうようなことでありましたが、三反歩にしました場合においてもやはり多かれ少なかれそういう問題が出てくると思うのです。従来一反歩区画の換地処分の場合でもこういう点は非常に問題になるわけなんですが、これが三反歩、六反歩、さらに一町歩になった場合は私は実際問題として非常に困難な問題になるのではないかと思う。こういうことを、はっきりした処理方針なりお互いの関係者の了解なしにただオーケーすればいいんだ、計画が認可になった場合には、いざそこにぶつかった場合は非常な混乱を来たして、そこからせっかくの共同経営なりあるいは事業全体がくずれるのではないかということを心配するわけですが、現在農林省としてはこの点についてどういう指導をすることに考えておられますか。その点をはっきりと承りたいと思います。
○齋藤説明員 多くの場合は土地改良事業で区画整理を行ないあるいは集団化を行なうということになろうかと思いますので、その際においては土地改良法に基づく換地処分によってこの問題は処理されることになろうかと思います。御指摘の実態自身につきましては、登記の関係その他の問題があることはわれわれも重々承知いたしておりまして、これの事務処理がなかなか円滑にいかないということも承知いたしております。しかし土地改良事業で行ないますような方法を大部分とるということになりますれば、大体従来の例もありますので、そういうものに従ってかりに三反歩になりあるいは四反歩になる場合においても処理されることになろうかと考えております。
○東海林委員 今の答弁は私は非常に不十分だと思うのですよ。一反歩の際においてもこの点が非常に問題になっておるんですね。ところが三反歩、四歩反になると、その問題になる程度がこれはもう非常に違うのですよ。従ってかりに三反歩にして、所有者がそこに三人あるという場合に、また登記する場合にその地番を内訳三つにするのでは、そういう細い線が入ってしまったのではせっかく三反歩にした意味がないわけなんです。そこで私は小面積について一体金銭でそれを解決ができないかというようなこともちょっと聞きましたが、実際にせっかく今こういう事業をやって今後農業経営の安定をはかるというような場合に、寸分の土地でも、農民心理としては、金銭処理で解決するのだというような考えでなしに、あくまでも自分の所有分は土地でほしいという意欲が非常に強いということを現地で聞くわけなんです。そういう点について従来通りに換地処分で何とかやっておったんだから何とかいくだろうというような漫然たる態度でこの問題に今対しておるとすれば、これは将来非常に大きな問題になるということを警告したいと思うのですがね。
○齋藤説明員 お話の点は、その後における事務処理の問題というよりも、むしろ三反歩なりあるい四反歩にすること自身についての農民の協力を得るということがなかなか得にくいという問題じゃないかと考えるわけでございます。その点は確かに従来馬耕でやっておってりっぱな一反歩の区画整理ができておった、また一反歩についての所有権ができておった。それが三反歩になるために所有権がどういうふうになるのか、あるいはどうしてまた三反歩にしなければならないのかというような、つまり必要性についての農民の理解を得るということが前提になろうかと思うわけでございまして、それがゆえに従来土地地番だけの整備というものを切り離して事業をやるということについてはなかなか困難な面が多々あったわけでございます。そこで今回はその上に乗せる機械をもその中に入れることにし、それも助成することによって、実物を見ることによってある程度促進をはかっていく。一たん耕耘機がその村に入り、圃場で走る実態を見ますれば農民もそれについて理解を得、認識を深めていくということが、今までの例から見ても一つの促進の理由になっておるわけであります。われわれこれを強行するという考えはございません。あくまでも同意を得てやるように、こういうことにいたしておりますので、むしろ今先生のお話のことでございますならば、実態について農民がその必要性を認識し、またそれの協力を得るということが必要だろうと考えております。 なお大きな六反歩とかあるいは一町歩だとかいうような圃場にいたしました場合においても、現実には仮畦畔を設けて所有権を明らかにしておくとかいうような措置がとられておる例もありますが、実行段階に入れば、問題は十分なる換地計画を立てれば、土地改良法に基づいて実行できるということになろうかと考えております。
○東海林委員 局長は実態についての認識が私と違うようですが、確かにこの要綱を見ますと、計画については十分関係者の理解を必要とするということを書いてあるわけです。従って審査の際にもそういう点はある程度念を押されておるだろうと思いますが、私が実際に加西町の桑原田に行って伺ったときも、まだどうするかお互いに考えがきまってないということでした。昨日も三瀦町の町長に聞いたが、いや、その問題はまだはっきりしていないのだ、こう言うのです。要するに、局長が今言うように三反歩にすることが必要なんだということを十分に認識し、また三反歩にしたときにはお互いの所有関係をどういうふうなことにするのかということを理解し合ってこの仕事が進められておれば私も安心するのだが、しかし、実態はそうではなくて相当上からの指導なりあるいは実際の町村における指導者の力が非常に先行しまして——これはまた無理ないと思うのです。短期間にこれだけの仕事をやるのですから……。そういう関係で大きくすればいいということだけはある程度理解しておるのだ。しかし、実際の所有権がどうなるのか、登記の際にはどうなるのかということが皆目見当がついておらないのが、私の見た範囲では実態なんです。従ってそういうことについて今からはっきりと農林省としての指導的な処理の方法がきまっておらないと、非常に困難を来たすということを私は心配して質問しておるのです。局長の答えは、そういうことを理解してやったはずだととう言うのですが、それは実態と非常に違う、こういうことを言わざるを得ないと思います。
○齋藤説明員 加西地区の場合あるいは三瀦町の場合におきまして、非常に実験的な事業ということで、農民自身はその事業に一応同意をして、事業の方がまず先行してきたというところで先生がお話しになったような事態があると私も承知しております。しかし、これは一般的にこれを進めていきます場合におきましては、当然土地改良法の手続によるわけでございますから、十分なる換地計画を立てて、それに対して農民の三分の二の同意を得てやる、こういうことでありますから、一般的なやり方としては、今の三瀦町なりあるいは加西地区のようなことに必ず全部がなるというようには私は考えておらないわけで、むしろあれは先行的に事業だけを進めようじゃないか、こういうことじゃなかったかと考えております。
○東海林委員 それでは局長としては今までのいろいろな経過を審査してどういうふうな解決にそれを持っていかれようとしておるか、具体的に、端的に話していただきたい。
○齋藤説明員 まあそこの三瀦町長もいずれは……
○東海林委員 三瀦でなくてほかの地区という話ですから、一般の地区で……。
○齋藤説明員 一般の地区については、今申し上げましたように、換地計画に基づいてやるというのが大部分でございます。
○東海林委員 その換地計画の中でそういう問題はどういうふうに処理することになっておるか、それを伺いたいのです。換地計画というようなことは、そんな抽象的な話ではちっともこの問題の解決にはならないのです。局長でなくてもしほかの方で説明ができれば、ほかの方でけっこうですよ。——それでは今の問題はまた後日さらに技術関係の人等にお伺いすることにします。 ただもう一つこの点に関連して、電柱の移転の問題があるのです。木の電柱一本動かすのに二万円なり三万円かかるとか、小型の鉄柱でも七、八万円かかる、こういうような問題があるのです。ところが、大型機械を入れて区画を広くするというのは、必ず動かさなければならないという問題があるのです。これを農民の負担にするということは非常に問題があるのではないかと思うのですが、そういう点を一体農林省はどういうふうに考えておられるか。また土地改良に伴うこういう関係の地区は、それを補助対象なりに考えておるかどうか、その点をはっきりさしてもらいたいと思います。
○齋藤説明員 お尋ねの通り、区画整理をやります際に、電柱が非常に障害になっておるという事例もよく承っております。従いまして、電柱を移転するような場合の費用については、助成の対象といたしております。
○東海林委員 この点は私は農民の負担にはならぬように、ぜひ一つ検討していただきたいということを希望として申し上げておきます。それから次の問題ですが、きのうからもいろいろとこの問題、農業構造改善という重要問題をやる上においては、各方面において技術指導員の不足ということがいわれておるわけですが、さしあたって私は何といっても末端の指導のために改良普及員の果たす役割というものがきわめて重大だと思うのです。そういう意味でこの改良普及員の素質の向上なり待遇の改善ということについてこの際考え直す必要があるんじゃないかと思うのです。農林省はその点についてどういうお考えを持っておりますか、伺いたいと思います。
○齋藤説明員 今後構造改善事業を進めていきます場合におきまして、これの指導に当たる改良普及員の任務はきわめて重大であろうというふうにわれわれも考えております。従いまして、改良普及員につきましては、構造改善事業の指定地区を担当する普及員につきまして、担当者をきめるという方法をとりまして、同時に地域々々に応じましてそれぞれ果樹であるとかあるいは畜産であるとかいう作物が重点になるような場合におきまして、改良普及員の中の特技普及員をその地域に応じて再配置するというような措置をとるようにということを、各府県に指示いたしておるわけでございます。現にまた、担当改良普及員は、その地域におきましては経済の樹立、実施に参加いたしまして、相当活躍をいたしておるわけでございます。しかしなお現在の改良普及員の能力をもってしては必ずしも十分ではございませんので、これはどうしても今後の技術的な面につきましては、県の試験場なりあるいはそのほかの技術者の協力した指導を得ることが必要でございますので、普及員と試験場との結びつきについての強化、さらにはまた改良普及員のこの面についての研修の強化ということについては、一段と強化して参りたいという意味におきまして、来年度予算におきましても所要の措置を講ずべく今研究をしておる次第でございます。また機械化の進展というようなことに応じまして、これのオペレーターの養成というようなことも大事な点でございますので、これも国におきまして中央に研修室を設け、フルにこれを稼働しまして、オペレーターの研修に当たっておりますが、来年度におきましては、各府県におきましても、研修が行なえるようにという措置を講じたいと考えておるわけでございます。
○東海林委員 次に予算の問題でございますが、午前中の足鹿委員の質問に対して、大臣から今年度の計画の認可地区が、もし予算の予定数に達しなくて、予算に余剰が出た場合は、それを実際に実施する地区に回して、さらに事業の拡大をすることも考える、こういうような御答弁があったわけでございます。具体的にはそれはどういうふうな措置でなされるのか、その点をもう少し説明していただきたいと思います。というのは、一応認可したこの計画について、さらに拡大したいというようなことになりますと、計画のまたさらに変更というようなことも出てくると思うのですが、そういうような手続を経てやることになるのか、そこらを具体的に一つお話を願いたいと思います。
○齋藤説明員 先般も御説明いたし、またけさもパイロットの扱いについて御説明いたしたわけでございますが、パイロットの九十一の地区につきましては、十分その村の計画を指導いたしましても、なお実施の態勢が必ずしも整わない、実施については困難である、こういうようなことに伴って、パイロット地区の指定を解除する道をきめたわけでございます。そこで一方パイロット地域につきまする一般的な助成といたしましては、一地区当たり三千万円の助成をするということにいたしておりますが、地域の計画を見てみますると、必ずしもこれでは十分ではなくて計画として事業費が不足するというような地区がたくさんあるわけでございます。われわれとしては限られた予算でありますけれども、できるだけこの計画を生かすような方向で財政的な措置が講ぜられるならば、さらによりいいものになろうというような地区があるわけでございます。そこで今後まだ指定される地域が相当数残っておるわけでありまして、またそのような地区の中において当初の予定の事業費ではとうてい足らないという計画もあがっておるわけであります。そこで、一方におきましてかりに解除申請するような地区がありました場合に、その財源を見合いにいたしましてまだ計画を審査する過程にありますので、計画としての事業費を増額しなければ目的を達成し得ないというような地域に対してこれを配分をしていこう、こういう考えをとっておるわけであります。
○東海林委員 今のやりくりをする場合に、同一県内ということには限らずに、他県との関連においてもそういうことを考えられるわけですか。
○齋藤説明員 その通りでございます。
○東海林委員 最後にもう一つ伺いたいのですが、この農業構造改善事業と基本法の中の自立経営農家の育成、こういう問題との関連です。この点をどういうふうに理解していいかという問題、これは非常に大事な問題のようでありますから伺いたいと思います。 この実施要領を見ましても、「計画の要件」の中にも「自立経営の育成」ということが初めに出ておりますし、また「計画の内容たる事業」という中にも、農地及び草地の造成に関する事項に合わせて、もう一つ「離農援助その他就業機会の増大に関する事項」ということが出ておるわけであります。基本法の際に御承知のように、基本法でいう構造改善の最も中心的なものは自立農家の育成ということで、大体そのときの御説明によりますと、十カ年計画で二町五反程度の自立経営農家を百万戸育成するのだという御説明があったわけです。私ども自立経営農家を育成する場合に、もちろん資本投下によって畜産とか果樹の導入ということを考えることが、一般的にいえばある程度経営の面積の拡大ということになる、それにはやはり新たに未墾地を開墾するということを積極的に取り入れなければなかなか実施が困難ではないかという主張をしたのでありますが、当時の説明によりますと、開墾ということについてはあまり積極的でなく、むしろ中小以下の農家の他産業への離農を期待して、その農地をまあ中以上の農家に集めることによって達成するのだ、こういうような御説明であったわけです。そこでここにも離農対策というようなことが出ておるのだろうと思うのですが、一体具体的に、ここで「離農援助その他就業機会の増大に関する事項」ということは、どういうことを考えておるのか。それからさらに国の助成という方を見ますと、実はこの点はあまりはっきり私が拝見した範囲ではわからないのでありますので、どういうことになっておるのか、その点を明らかにしていただきたいと思います。 私は先般の国政調査で関西並びに四国の数県を回って、また党の立場で山梨県等に行ってこの農業構造改善の仕事を見て回った場合に、どこに行っても、一体中小農家の離農を具体的に計画の中に入れて、そうして自立経営農家の育成ということを半面において計画の中に取り入れておるものがあるかということを聞きましたら、そういうものは私の聞いた範囲では一つもないのです。そこでそうなると、一体自立経営農家の育成ということをこの計画目標の第一に書いてあるのはどういうことになるのかという点が私には若干理解がいたしかねる点があるので、特にこの点をお伺いするわけです。
○齋藤説明員 構造改善の一つのねらいが自立経営の育成にあることは、ただいま先生のお話しになった通りに考えておるわけでございます。そういう関係から将来その地方で外に出ていきたいというような希望がある場合においてはそれに援助するという措置も必要であろうというように考えておりまして、そこで、お手元にある指導要領の中にもございますように、これらに関連した施策といたしまして、たとえば労働省関係の仕事になりますけれども、職業訓練であるとか、あるいは職業あっせんであるとかというような仕事と相関連して事業を進める必要もあろう、またかりにその地方において工場が誘致されるというような場合におきましては、そういう面における就業機会の拡大とあわせて考えて参る必要もあろうということをそこでうたっておるわけでございます。ただ、今御指摘になりました、それでは村で具体的にどのような配慮のもとにその計画ができておるのかということでございますが、これはなかなか計画上、Aの農家は離農すべき農家である、あるいはBの農家は自立経営の農家としてとどまるべきであるというようなことを計画の対象にすることは実際上としては困難になろうかと思います。そこで多くの村におきましては、たとえば自立の行き方といたしまして資本的に経営規模を拡大して参る、たとえば家畜の頭数を増加するという方向で収入を上げていくというふうな計画もありますし、それから御指摘のように草地の造成という方向で飼料基盤を拡大していくということによって自立化をはかっていこうという計画もございますし、さらにまた果樹のごときは十町歩とかいうような集団栽培の方向でより省力的な栽培方法をそこで確立して参るということによって、一方においては専業化の機械を与え、他方には浮いた労力を他の方向に振り向け得る機会を、道をつけていく、こういうことが計画の主要な内容になっておるように見受けられるわけでございまして、いずれにいたしましても端的に、短兵急に、短期間に自立農家をつくり上げるという計画には必ずしもなっていないと思いますけれども、到達する目標としていずれもそういう計画目標のもとに計画を立てるように、われわれは指導しておるわけでございます。
○東海林委員 これは非常に重大だと思うのですがね。目標としては自立農家の育成ということが一番の中心的なねらいになっておる、しかし今後農業基本法を具体化の最も中心であるふうに言われておる農業構造改善事業の具体的な計画の中には、そういうものが全然出ておらないのだ、こういうことになりますと、基本法の際に中小農家の離農をさせて——させるかするか知りませんが、その農地を中以上の農家に集めて二町五反程度の農家を十カ年間に百万戸育成するのだと言われた政府の説明と今の答弁とはまるきりちぐはぐでございまして、これは非常に重大な問題だと思うのです。これは局長にこういうことをお尋ねすることは無理だと思いますが、政務次官いかなる御所見でございましょうか、御感想のほどをまず承りたい。
○齋藤説明員 たびたび当委員会でもその点は質疑のあった点でございますが、二町五反の農家を百万戸つくっていくという計画は、実は所得倍増計画の中における一つの構想としてつくられたものでありまして、基本法の実施目標がそのようなものであるということはたびたびこの機会でもそうではないということを申し上げておるわけでございまして、従ってある村におきましては経営規模の拡大をはかるというふうな計画を立てておるところももちろんございますけれども、二町五反農家をその村で具体的に何戸つくっていくのだというような計画を当初から基本法に基づいてやるのだというようなことは申していないはずでございます。
○津島説明員 ただいまの二町五反の耕地を持った農家をだんだんふやすということは、私はほんとうに農家のために必要なことであり、やはり私どもは日本の農家の最終の地点はそこへ達しなければならない、こう信ずる一人であります。しかしながら言うはやすくして行なうことは、二町五反をいかにして確保させるかということは、これまた一番難中の難事であろうと思うのであります。そこでこれにばかり執着をして、これができなければ自立農家はできないのであるということもまた、あまり芸のない話であります。そこで、それにかわるものとしていろいろの面で農家が今日の生活よりもはるかによい生活をしていくような、また方策を立てるということも、非常に必要であろうと思うのであります。従いまして、私は今後の農政の進み方は、今申し上げます通り二本建で進まざるを得ない、かように考える次第であります。
○東海林委員 質問を終わりますが、ここで一言私は申し上げたいことは、私どもが先般の国政調査に回っていろいろとお聞きして感じたこと、あるいは昨日の各参考人等の意見をいろいろ聞いて感じますことは、私どもが農業基本法の際に政府との見解の相違点として論議されたことが、いざ基本法の具体的な実施という形で農業構造改善事業をやってみると、そういうことがやはりみな問題としてまた出てきているということです。たとえばきのうも非常に皆さんが一致して申された主要農産物については、単に需給安定価格というようなことでなしに、やはり支持価格でなければ困るのじゃないかというような点、あるいは今も問題になりました自立経営農家を育成する際に、投下資本の増大、さらには新たな耕地の拡張ということが重点であって、実際に中小農家の土地を大きい農家に集めて、自立経営農家をつくることが困難だというようなことがはっきり出てきておるのですが、こういうことは御承知のように基本法の際に非常に論争されたところなのです。従って、今直ちに、この短い経過の中から基本法の再検討ということを言うのはまだ早いかもしれませんが、しかし、この農業構造改善事業というものをほんとうに農民の立場に立って、農民が明るい希望を持って農業に従事していけるというふうな農業構造改善事業にするためには、やはり基本法にさかのぼってもう一度再検討しなければならぬ時期が必ずあるのじゃないか、このようなことを私どもは強く感ずるわけでございますので、農林当局においてもそういう点まで一つ十分御検討をいただきたいと思います。来たるべき臨時国会、さらに通常国会においてまたいろいろと詳細に承りたいと思います。 きょうはこれで終わりたいと思います。
○長谷川委員長 本日はこの程度にとどめます。次会は明十五日午後一時から理事会、午後一時半から委員会を開会することにいたします。 これにて散会いたします。 午後四時一分散会