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41回国会衆議院1962/11/13

農林水産委員会 第12号

発言数
41
登壇者
15
会派数
3
開催日
1962/11/13

会議録

秋山利恭自由民主党

○秋山委員長代理 これより会議を開きます。  農林水産業の振興に関する件について調査を行ないます。  去る十月十一日の決定に基づき農業構造改善事業に関する問題について参考人から御意見を拝聴することにいたします。  本日御出席の参考人は、新潟県大瀁農業協同組合長土田三男君、全国販売農業協同組合連合会園芸畜産調査室長松村正治君、福岡県三瀦町長宮原幸雄君、兵庫県加西町桑原田区長菅野幸夫君、全国町村会経済農林部副部長大久保毅一君、愛知県農林部長田母神利衛君、山形県知事安孫子藤吉君、京都大学教授桑原正信君、北海道大学教授矢島武君、以上の方々でございます。  なお本日御出席をお願いしておりました埼玉県神川村長の川野平治君から先刻病気のため出席できない旨連絡がありましたので、さよう御了承願います。  参考人各位には御多用中にもかかわらず当委員会に御出席下さいまして、まことにありがとうございます。御意見開陳にあたっては、市町村関係、地区農協関係の方は特に地区における実情、事業内容、問題点及び国に対する要望等に集約してお述べいただきたいと存じます。なお、はなはだ勝手でありますが、御意見開陳の時間はお一人約二十分程度にお願いいたしたいと存じます。  それでは土田参考人から御意見を承ることにいたします。土田三男君。

土田三男新潟県中頸城郡頸城村大瀁農業協同組合長

○土田参考人 私は本日参考人として出頭いたしました新潟県中頸城郡頸城村大瀁農業協同組合長の土田でございます。私の村のほぼ中央にこのたび農業構造改善地域、特にパイロット地域に指定されましたが、この地区の概況並びに計画の概要、またただいま委員長の言われました問題点並びに要望事項等について簡単に申し上げたいと存じます。  同地域は、信越本線及び北陸本線の要衝であり、かつ上杉謙信公の居城春日山にきわめて近い直江津市の東隣に位しております頸城村でございます。この頸城村の概況は、人口約一万、農業耕作面積は田が約一千五百ヘクタール、米の収量が十二万俵でございまして、飯米その他を差し引きまして販売代金が約五億円でございます。その他の農産物の収益はほとんど見るべきものはございません。農業以外の産業といたしましては、村内の信越化学が肥料、塩化ビニール、メタノール等を製造いたしております。  村内に農協が三つございますが、南川農協は直江津市に最も近い位置にございまして、直江津市の都市計画の中にその大部分が包含されておりますので、これは構造改善事業にふさわしからぬ条件であるというふうにいわれておるわけであります。明治農協は、いわゆる山沿いの地帯でございまして、南川と明治の両農協のまん中にある大瀁農協が平坦部であり、その規模も最も大きいという農協でございます。この中部地区が大瀁農協の区域内にあるわけでございます。  村内の灌漑排水の状況を申しますと、簡単に申し上げれば、非常な旱魃年を除きまして、やや間に合うというような程度であります。土質は埴質壌土が大部分でございます。ただし非常に海岸に近く、標高が低いために排水が不良でありまして、最も、村のただいまのパイロット地域の中で、標高の低いところは二・五メートルというようなところもある次第でございます。このような条件の中で、今回米を主といたしました構造改善の計画を立てた次第でございますが、計画の概要といたしましては、補助事業といたしまして、暗渠排水事業が百十五ヘクタール、二千五百三十五万円でございます。区画整理事業が百一ヘクタールで、四百三十四万円、大規模乾燥調整共同作業場が一棟一千六百万円、また圃場用の機械の導入を計画いたしておりますが、十五馬力ないし三十馬力程度のトラクター七両、コンバインを四台購入して、いわゆる省力裁培に備えたい、このような計画でございまして、これが約一千六百万円でございます。融資事業といたしましては、共同畜舎が二棟三百万円、個人畜舎の建設費が六百四十万円、合計いたしまして、補助事業が約六千万円、融資事業が一千万余というように相なっておるわけでございます。  当初村で計画いたしましたときには、このほかに区画整理、暗渠排水をする地域を、この中部地域に続いておる約三つの部落でございますが、この地域を八十ヘクタール計画いたしたのでございます。ところがこの地域が非常に傾斜がはなはだしいために、農家が区画整理をして、現在十アールの区画を二十アールに拡張するということを非常に危ぶみ、またきらいましたために、暗渠排水だけの計画をこの地域で立てたわけでございます。ところが暗渠排水だけの事業であり、区画整理をやらない、しかも追加生産はほとんど計画されておらないという状況では、これは農業構造改善事業としてふさわしからぬ地域だから除いた方がよかろうという農林省の御意向で、これが除かれまして、先ほど申し上げました約百一ヘクタールの地域が計画に再編成されたわけでございます。このようにいたしましてすでに八月の二十日付をもちまして、総合事業についての認可をいただいておるわけでございますし、また、ただいま申し上げました事業のうち、大規模共同乾燥調整施設、いわゆる俗にライス・センターというふうに申しておりますが、このライス・センターが農民の非常に強い希望がございまして、九月の初めに着工いたしまして、九月の終わりにその九五%程度を完工し、十月五日に全部完成したというような次第でございまして、昭和三十七年度産米のうち、米にいたしまして約二千俵ほどをすでに乾燥調整いたして受検をし販売をいたしておるわけでございます。  その他の事業のうち、昭和三十七年度事業としまして暗渠排水事業を三十町歩、それから区画整理事業は全区域の約百ヘクタール実施することにいたしておるわけでございますが、いろいろな手続が非常に手間どりますために、農家が積雪を前にしていたずらに手をこまぬいて手続完了を待っておるというふうな状況でございます。  集団栽培あるいは機械化省力営農というような点につきましては、第二年度ないし第三年度にこれが実施をいたしたいという状況でございますが、これは事業費との関連もございますけれども、特に機械の方をあと回しにしたという理由は、私ども寡聞にして、トラクターはとにかくといたしまして、コンバインその他の真にあの積雪寒冷、しかも非常に雨の多い私ども新潟県南部の土地に、実際に使用し得る機械がまだないのではないかというふうに考えまして、そのように向こうへ送ったというようなわけでございます。お手元に差し上げましたプリントいたしましたものに、その概略がしるされてございますので、私の申し上げました以外の数字的な点については、ごめんどうでもごらんおき願いたいと存じますが、問題点といたしましては、いろいろあるわけでございます。  まず第一に、農民の負担能力の問題でございます。私どもの中部地区の土地基盤整備事業を取り上げてみますと、反当たり約二万六千円かかるのでございまするが、これが半額補助していただいても、なかなかあとの半額は出し切れないというような状況でございます。  それからいま一つは、いろいろ計画に熱意を込めてやっておりますけれども、土地条件が災いをするという点がございます。さらに省力栽培あるいは機械栽培ということになりますと、まず最も大切なことは田植の問題でございまするが、直まきをやるといたしましても、やはり土地条件あるいは栽培期日等の問題がございまして、どこでも、だれでも容易にできるという段階にはまだ達しておらないわけでございます。  さらに営農集団化の問題、労働問題等につきましても同様いろいろな問題点を含んでおりますので、これまた容易なことでないわけでございまして、私ども、当初は農林省と申しますか、国が昭和三十六年度に計画をきわめて詳細に立てて、いわゆる濃密指導をやるんだ、一年で計画が終わらない場合は三十七年度もやるんだというふうなお話で、大いに期待いたしておったのでございますけれども、実際の場合になりましたところが、昭和三十六年度に直ちに計画を樹立、三十七年度から実施というようなことでございまして、非常にこの点うろたえて参ったような次第でございます。  そこで、このような観点から、特に国に対してお願いいたしたいことは、私どもはこのまま手をこまぬいておりましても、いわゆる積雪寒冷地帯の単作農家がよくなるというあかしがないわけでございますので、何らか研究努力して、国のお力をお借りして立ち上がりたいという意欲は持っておるのでございまするが、先ほど申した通りの問題点が、これがさわりになっておりますので、まず事業分量を、現在の一カ所当たり補助事業を含めて七千五百万円というような額よりももっと広げていただきたい、増大していただきたい。それから補助率は、補助事業五割ということに現在相なっているわけでございまするが、五割では、先ほど申した通り、残額の五割を農民がなかなか負担しがたいというためにいろいろ反対の声あり、また出発しても不安にかられておるというような状況等もあって、この計画を完全に遂行する上に、私どもいわゆる指導の立場にある者自体が非常に不安であり、危惧をいたしておる次第でございまするので、いわゆる県営の事業の七割五分にさらに載せていただきまして八割以上の補助率にしていただきたいということをお願いいたしたいのでございます。  融資の事業につきましても、やはり現在の償還期限を少なくとも二十五年以上に延長していただきたい。農業は他の産業と違って、なかなか投資して直ちに効果を期待し得ませんので、その人一代のうちに研究を重ね、苦心を重ねて、次のせがれの代に渡すようになって初めて実を結ぶというような様相を持っておりますので、二十五年、利率を三分五厘以下にしていただきたい。  それからその次は、機械がいろいろ出ておりますけれども、安心してこれならという機械がなかなかない。国のお力をもって、われわれが安心して利用できるような機械が一日も早く実現するような特段のお力を願いたいということでございます。  なお最後に、いわゆるパイロット地域は展示的要素を持った指導地域であるというふうにいわれておるようでございまするが、かような意味から私どものところでいささかの事業を手がけましただけで、すでに北は北海道から相当視察者が連日のように見えておるわけでございまして、農協はこれがために、この応待を完全にやっておれば職員の一、二名はよけいに雇わなければなりません。組合長もたまには出て行ってあいさつぐらいせにゃならぬというようなことで、非常な経費と負担がかかるわけでございますので、いわゆる事業費だけでなしに、これらの指導費的なものについて何らかの御考慮を願いたい。以上お願い申し上げたい次第でございます。  はなはだ要を得ておりませんけれども、以上で結びたいと存じます。(拍手)

秋山利恭自由民主党

○秋山委員長代理 ありがとうございました。  松村正治君にお願いいたします。

松村正治全国販売農業協同組合連合会園芸畜産調査室長

○松村参考人 先ほど御紹介にあずかりました松村でございます。先日まで全中の方で営農の仕事をやっておったものですから、そういうことできょう、何とか関係があるから呼び出されたのであろうというふうに考えておりますが、従いましてどうも、組織の意見と申しますか、そういうものが——私は全販に今おるわけでございますけれども、組織の意見というものが明確に反映できないといううらみがございますけれども、かねてこの問題について私の考えていることを述べさしていただきたいと思います。  まず第一は、私は、これは系統の全体としてでもございますけれども、一応営農団地というふうな考え方で農協の事業態勢なり農村における営農改善というものを今まで進めた事務担当者の一人であります。それは実は、構造改善より一年早い時期にこれをやっておった関係で、何となく営農団地ということで農業団体が構造改善の足を引っぱっているのじゃないかというふうな御批判もいただくわけでありますけれども、全くそれは誤解でございまして、われわれの方といたしましては、営農団地の構想というものの中にむしろ構造改善というようなものを織り込み、それで所期の成果を得たい、そういうふうな計画を農民が、組合員が立てたところに対しては補助金は幾らでも多い方がよろしい、こういうふうな考え方であるわけでございます。  それでまず、構造改善の対策というものが出た場合に、私は私なりに非常な期待を持ったわけでございます。それは大きい期待も小さい期待もございますけれども、さしあたり農林省の各部局と申しましても振興局関係の仕事が中心でしょうけれども、えてしてセクショナリズムと申しますか、非常に分散して行なわれる性格があったことは否定できないと思いますけれども、そういうものがやはり一つの目標にしぼられていく、こういうふうな傾向をこれによって一つの軌道に乗せ得るのじゃないかという点で、非常な一つの期待を持ったわけでございます。こういう点はそういう期待に沿うようにおそらく今後進められていくものと思いますし、われわれもそういうことについて御協力申し上げたい、こういうふうに考えるわけでございます。  それから構想の問題でございますけれども、私どもの方ではやはりこれは中央機関でございまして、非常に発言が抽象的になりまして申しわけないわけでございますが、時間の関係もございますので御了承願いたいと思います。  やはり経済性と組織性というふうなことをわれわれは常に考えているわけでございます。というのは、せっかく国なりの公共事業投資とかそういうふうなもので農民の生産営農改善というものが進み、従ってそこでコスト・ダウンの問題とかあるいは共同販売による価格の問題とかいろいろ有利な条件が出ていることは事実でございます。ただこの場合に、そういうふうな生産力を組合員が努力し、国もこれに協力したというふうな格好で得られたものが、はたしてそのままの形で農民の所得につながるかどうかというところに一つの問題があるわけでございます。そういう協同組合が本来つくられた意味から申しましても、大体そういう場合には力の弱い農民の方には、むしろそこから上げた生産性ないしその努力というものは、非農業部面に大体とられることになっているのだ。そういう意味で、協同組合等を国でも法律までつくって保護し、そうしてそういうものを通じて、やはりそういう弱い農民が少しでも自分の努力というものを、自分の所得に持ってくる、こういうふうな考え方から、協同組合というふうなものもおそらくはつくられているというふうに私は確信しているわけでございます。  そういう意味で、やはり経済合理性というふうなものと農民の自主的な組織、こういうものが結びついて初めて国なり団体なり個人なりの努力というものが、農家の所得につながっていく、こういう可能性を描いて、われわれはわれわれの営農団地の構想と申しましても、一口に言えばそういうことなんでございますけれども、きたわけでございます。こういう点から申しますと、やはり特に経済性の問題につきましては、再々われわれも事務当局の方には申し上げておるわけでございますが、何と申しますか、やはりこの点はだいぶ緩和されては参りましたけれども、品目別の一つの、政府の言葉で言えば主産地、そういうものをつくっていく場合でも、やはり最近のごとく市場その他の関係が御承知の通り従来に比べて、特に成長財といわれる畜産とか生果というふうなものが大衆商品化してきたというふうなことがございますので、そういうものに対応するためにもやはり生産の段階で、今までは出てきたものを流通の段階で選果なり格づけなりして販売するという体制から、生産の段階ですでにいいものをそろえてつくる、こういうふうな市場体制というものにこたえなければ、農家の所得につながらない、こういう面があるわけでございます。そういう意味でのいろいろな施設というものが、生産にかかわらず、流通にかかわらず、特に成長財の場合は非常にウエートを占めているということは、諸先生方の御承知の通りでございますし、また実態もそういうふうに動いておりますし、協同組合としても及ばずながらこれに一生懸命邁進しているわけでございます。  その場合に、施設の規模というものは、やはり生産者の農業経営、生産という面と市場という面との関係及び生産者のそういう生産上の利便と申しますか、組織性と申しますか、そういうものとの関係で考えなければなりませんけれども、小さい施設の乱立というようなことは非常に問題がある。せっかく補助金等でつくった施設が手を離れて、農協の運営に移るわけでございますけれども、操業度の問題、そういう点で元本も償却できない、こういうふうなことでございまして、結局はそれが不良資産として整備促進というような格好でまた国のめんどうを見なければならぬというようなことも、今度の場合は金額が多いだけに、そういう問題があるように私たちは考えております。従いましてやはりその地域の計画が先行しまして、そういうものに構造改善というものがうまくマッチする。同時にこういうものが末端の方でマッチしながら進められていくということであれば、多々ますます弁ずでございまして、どんどん進むと思いますけれども、これが次に述べます運用の問題でやはり問題があるようでございます。  運用の問題につきましても、前の公述者の方でも言われましたけれども、やはりこれほど金をかけてある程度村の構造改善と申しますか、農協の改革をやろうというふうなことになりますと、どうしてもいろんな条件が必要なわけでございます。それは単に物的な条件だけでなくて、もっと人的な条件と申しますか、そういうものが特に最初に、事柄を始める場合には非常に重要なように考えます。そういう条件の進んだところでおそらくこういうものが採用されていくわけでございますけれども、そうしますと、人のまねをするのは割と簡単でございますので、次の段階のもっと条件のそろわないところも、人のやっているものを見ればある程度やれる、こういうふうな格好で大体農業関係のいろんな新しいものが入り込んでいっているのが実態のようでございます。従いまして一つの進め方としても、急速にこれを無理やり計画が三百だから三百をことしじゅうにでっち上げるというような考え方でなくて、やはり自主的な計画、そういうものを中心にしてそれにマッチするような方法が必要だし、特に計画主体である市町村と実施主体の大部分を受け持つ農協、こういうものが一番末端でよく連絡がとれているということが必要かと思います。中央の方ではそういう注意の喚起もあるようでございますけれども、私たちの耳に入っておりますところでは必ずしも現在の段階ではまだうまくいっていない、これは事実でございます。  それからもう一つは、数は初年度は非常に少なくてもいいのではないか。さっき申しましたように、特にまだ今の段階ではわれわれの方にはほんとうの問題が耳に入っていないのではないか、部分的には入っております。と言うのは、この計画が農家におろされまして、いわゆる農家の自己負担平均四千五百万円、こういう問題でございますが、この段階に入った場合にほんとうに問題が出てくるのではないか、いろいろな問題が出てくるのではないか。今のいろいろあがっております数字とか、あるいはいろいろ議論の対象になっている数字というものが、はたして市町村長ないしその村の有力者、あるいは農協では理事者、そういうところだけで一応見当つけてあがってきた数字も相当あるのではないか、そういうことを危惧いたしております。従いまして、これが農村のところまで入って参りますと、おそらく半分は元本を返さなければならないというふうな問題を真剣に考えた場合に、そこで初めて農家というものは自分の責任において自分の計画というところに突き当たっていろいろ小さい具体的な問題が県なり国なりに出てくるのではないか。これが相当出てきますけれども、まだまだ今から問題が出てくるのではないか、こういうふうに考えております。今出てきている問題は先ほども言われましたが、一つは要するにそういうふうな施策をやった場合に、あるいはその施策にさらに村なり県なり、あるいはその農協自体なりが前もって持っている計画にうまくこれがはまるということでございますれば、そこでどういうふうな計画をつくり、何年目にはこういうふうな収入が上がり、こういうふうな元本償却計画ができるというところまで、それから施設の経済性というものは人が何人要って、自己資本が何ぼで、そして操業度が何ほで、そのためにはどういう計画を立てていくというふうなことが、おそらく農協の内部においても中央会なり経済連なり信連なり共済連なり、そういうものが一致しなければできない性格のものでございますが、同時に村においても農協だけではなくて、他の市町村初め関係機関との協力が必要であり、そういうことで初めて実現するというふうに考えておるわけでございますが、そういう問題がはっきり出てくるのじゃないか、こういうふうに考えております。そういたしますと、特に水田単作等の場合に、はたして五割の補助率というものが、それを得て期待される米の反収の増加というふうなもの、あるいはそこから人が出ていくかもしれませんけれども、とにかく反収の増加が期待される、そういうものが基礎になって償還計画なりそういうものができる。あるいは乾燥施設等をつくる場合でも、今は作付計画が非常に計画的でないために、おくてならおくてというようなものに集中しているから操業度が三分の一だ。場合によっては、その地方はある程度のそういうふうな基盤整理をするならば、わせ、なかて、おくてというふうに分配できるならば、おそらく周辺の農協の三つないし四つが一緒に操業度が今の三倍になる。そういうことで施設自体の経済性もとれてくる。構造改善でつくってもらった施設というようなものも、将来非常に長きにわたって農民の利益に奉仕する、こういうことじゃないかというふうに考えているわけでございます。従いましてこの補助率の問題等は、水田等の場合では、おそらく五割というふうなことで、米なら米について今の技術体系で期待するということは非常にむずかしいのじゃないかというような感じがいたします。というのは、あるいは耕地の面積を広げる、あるいは深耕をするということで、そこで中型トラクターが入っていくというような一連の総合的な関係で考えてみましても、そこで相当飛躍的な技術革新、そういうものが起こりませんとなかなか五割の自己負担というものは償還が不可能じゃないか。従ってある程度の今の技術並びにその技術の発展の展望というようなものを考えますと、水田単作等の場合における補助率の五割、ほかのところでもそうでございますけれども、基盤整備、特に土地整備等の五割補助というような点については、そういう経済性の問題について非常に問題があり、同時にこれがやはり組合員を渋らせている一つの大きな原因ではないかというふうに考えているわけです。  それからもう一つは、構造改善で必要な問題でございますし、われわれも非常に問題にしている問題でございますのは、例の品目選定の問題でございます。これは主産地を造成していくというような格好での進め方というものはいいのでございますけれども、中心作物を何につくるか、何で中心作物を選定するかというふうな問題でございます。これは最初われわれは出されたときには、これはちょうど農村から人を出すのだというようなムードもございまして、そのときほんとうに出せるのかという現実の問題とからみ合って非常に心配したわけでございますが、やはり日本の農業経営なり市場なり、日本の経済力というふうなものから考えて、そうきちんとした地図はかけないのじゃないか。やはり経営の展望というようなものは中心作物というものがありまして、それも一つの単協なんかの範囲で考えましても必ずしも一品目ではない。これはそのような実例があるわけでございまして、やはり土地利用とか今問題になっています労働力の問題、こういう問題から、基幹作物も同一の地域において一本にしぼるということはなかなかむずかしい。従ってそこに三つなり四つなりの中心作物というものがある。こういうもので一応市場現金収入を得る農家としては勝負をする。勝負はいたしますけれども、土地利用とかあるいはさっき申しました労働力の関係から、それに付随して三つ四つあるいは二つ三つというふうなものが結びついていく農家経営の形態というものが、今の日本の市場に適応するような格好で相当続くんじゃないかということを私どもは考えていたわけでございます。それでその中心作物というものを選ぶ場合には、もうからぬものというか、農家の所得が減るのにそういうものをやらなければならぬというふうなことは言っても通じませんから、やはりわれわれとしては、現在のものよりもそれをやることによって所得がふえるのだというふうなことを、明確に言えるということでないとこの指導もできないわけです。実際問題は、いろいろな格好で市町村の組合長さんは苦労しながらこの問題の解決に努力しておられるようでありますが、一般的にはそういう問題だと考えております。従って現在つくられている作物、これはやはりそれなりに合理性があるわけでございまして、そういうものの中で見込みのあるもの、収益性の高いものというようなものを考えまして、そしてそういうものを中心にして組み立てていくより方法がない。そしてそれがその単協の地域なら地域で不十分であれば、もより単協、いわゆる地域を広げて、そこでその個別経営を安定ならしめるという、われわれ内部のいろいろな施設なり指導なり、そういうものを総合的にやっていく。そしてそういうものとして構造改善の事業も寄与する、こういうことであれば、こういうことが構造改善の行き方として非常に望ましいと思うわけでございます。  それから、私の結論はそのまま要望事項になっているわけでございますが、時間もあまりございませんので最後に一つお願いなり申し上げたいことは、やはり基幹作物の選定の仕方からくるところの価格の不安定、こういうことでございます。なるほどいろいろな設備等で、ある程度今の経済の仕組みの中での不安定性の除去というものは徐々に可能でございますけれども、これが一ぺんにいかないということは先生方もよく御承知のことと思います。従いまして農家の場合は常に価格水準の問題と安定性、これは農業生産の期間が非常に長いということからくる一つの必然的なものだと考えますが、そういうものからくる一つの安定性、この安定性に対する要望というものは農家としては非常に強いわけであります。こういうものをこの過程においても、一つの目標に向かって造成していく場合でも、やはり一つの価格支持の政策というものが不可欠の条件になるわけでございます。これはどうしても、今の市場経済の仕組みとしてそういう不安定の要素は当然のことでございますし、それを自主的な力である程度防げ、それについて政府もある程度手を貸すということで構造改善が出ましても、価格問題における、不測の需給を完全にそこで計算してバランスをとるという仕組みになっておりませんので、どうしてもそういう不安定の要素というものが出て参ります。そういうものが農業経営なり農民の生活に非常に不安定な影響を及ぼすということも事実でございます。だからこういうものはある程度社会的に解決してもらうという意味で、農民の責任だけではないという意味で、どうしても価格政策というものを構造改善なり対策として並行して進めていただく。その場合にもう一つお願いしたいことは、アメリカみたいにコーンベルトの地帯が豚の地帯だというような地図はかけません。やはり地域性の問題、それから今の技術の発展段階、こういうものが非常にまちまちでございます。米以外はあまりやられていない。しかもそれ以外の作物その他が相当何でも輸入に依存しておる。農産物の市場としては、そういう意味においては、日本の市場というものはある程度非常に広いわけでございますけれども、残念ながら、生産性の問題とかあるいはコストが高いというような問題で輸入に仰いでいるということでございますけれども、こういう問題についても、やはり日本の農業というものをどうしても安定させるためには、国としてもそういうふうな市場はあるけれども、技術的にまだ研究が進んでいない。たとえば大豆一つとってみましても、菜種一つとってみましても、ほんとうにこれは戦前は満州なり、戦後はアメリカなりに依存しているし、菜種についても、これは支那から輸入しておったものであります。ところが油脂の市場というものが拡大していっておりますし、従って輸入がふえるという格好でございます。日本の場合でも、大豆なり菜種はつくられている。しかしながら、特に九州等は麦と競合してつくられておるわけでありますけれども、これが菌核病というような、それだけではございませんけれども、そういう技術的な条件が非常な制約条件になっておる。従って菌核病はあそこで征伐できたならば、黙っておっても、九州の麦は菜種にかわるという条件はあるわけであります。極端な言い方でありますけれども、そういうようなことがございますので、そういうふうな現在の技術の研究の段階と将来の発展性、そういうものとをやはり勘案して、日本の農業というものを広く見ていただく。そしてそれが、全体としては衰退産業であっても、ある地域においては基幹作物になるというようなことで、日本の農業というのは相当きめのこまかいと申しますか、そういうふうな格好で当分進んでいくのではないかということを考えますので、構造改善における機械的な、一律的な取り扱いがなされないよう、そういう点に十分の配慮が必要かと思います。  時間も参ったようでございますので、一応この程度で私の公述は終わります。(拍手)

秋山利恭自由民主党

○秋山委員長代理 宮原幸雄君。

宮原幸雄福岡県三瀦郡三瀦町長

○宮原参考人 私は福岡県三潴町長の宮原幸雄であります。  農業構造改善事業が立地条件等によって、主産地形成を標榜し、類型別に分類されておりますので、私は平坦地における構造改善について意見を申し述べてみたいと思います。  私の町では、昨年度の麦作付から大型機械による農業をやっておりますので、これを参考にして今後の構造改善事業を考えております。それは二十町歩の農地を大型機械化裏作実験農場に提供しておりますが、この農場はお手元に配付しております計画書のように農場の整備をしております。すなわち従来三百四十四筆に分かれておった農地を二十三筆に整理し、大きな農地は一筆一町五反、小さい農地でも四反歩に圃場を拡大して、各圃場には幅員四メートルの農道と水路がそれぞれ接し、大型機械の稼働能力を考えた農場の整備を完成しております。関係農家は二十五戸であります。この農場に三十五馬力のクローラ型、三十七馬力のホーイル型トラクター各一台、マニュアプレッダー、ブロードキャスター、ロータリ、デスクハロー、ツースバロー、ドリルシーダー、ローラ、コンバイン、大型乾燥機等の大型機械を整備して昨年の麦作から全面的に使用しております。  効率を申しますと、一反当たりの耕起に二十四分、砕土に二十五分、施肥、播種、覆土を同時にやって五分、収穫は刈り取り、脱穀等を同時にやりまして、これも一反十五分から十八分という今まで私たちがかつて想像もしなかったような農業をやってみて、農民とともに考えましたことは、従来のわが国の農業がいかに非能率であったかということと、耕地の拡大の必要性でした。すなわち構造改善とは、まず区画整理をして耕地を拡大することが先決ではなかろうかということでございます。  本日も私の町ではコンバインによる稲の収穫を実施しておりますが、その結果によりますと、乾田直まきの農地では、作業が予定通りに完了しましたが、従来の田植のようにしろかきして移植苗を植えた水田では、排水不良のために地盤が軟弱で、コンバインの使用ができないたんぼもあり、かつまたコンバインの自重が約二トンもありますので、区画整理前の水路跡等地盤の固まっていないところではめり込んで、作業が中止されるという問題も起きておりますので、今後さらにコンバインを稲麦に合わせて使うためには、コンバインの足まわりをタイヤではなくてキャタピラに改造するか、または稲の直播方式が技術的に確立されて、従来の移植方法が全面的に改善されなければ、コンバインによる収穫は相当非能率な面が出てくるのではなかろうかというような問題も現在起きております。  麦作につきましては、大型機械の使用によって、従来の労働生産性に比べますと、その労働生産性は約十倍に向上して問題は全くないようです。  稲につきましては、いろんな問題点がありますので、十分農民が安心するまでには、来年度さらに大型機械による作業を続けてみなければならないと思っております。しかし幸いに今年稲作に使用した結果によって出た問題点は、福岡県農業試験場、農林省研究室において、さっそく検討改善されるそうでありますから、来年度はさらによくなることと確信しております。きのうも先生方の話を聞きましたが、干拓地の農業を視察されたようでございますけれども、干拓地において大型機械による農業がかりに成功するとしても、私はそれは全国には通用する可能性は少ないと思うのでございます。私の町で成功してこそ、あとは農民の意思によって全国的に普及できる可能性を考える場合に、私の町の実験農場の成功こそは、大きな意義を持つものだと期待しております。大型機械が麦には完全に使用できるが、稲にはなお問題があるということであれば、その解決がなされなければ農民の不安は一掃できません。  以上説明しましたように、私の町では、農民の眼前で実際に大型の機械による農業を経営しておりますので、その利点も不利益な点も、農民自身が判断しておるために、不十分な農業構造改善計画では農民が納得しない段階に参っております。福岡県では昭和二十六年から農地の交換分合とこれに伴う土地改良事業を実施しましたが、大型機械を受け入れるために行なう今度の構造改善事業では、過去の土地改良事業で行なった農道、水路等の利用はほとんど期待できません。にもかかわらず当時の借入金は昭和四十二年まで残っておりますが、借金の返済が済まないのにさらに今度の事業によって負債が重なるという結果を見ております。  そこで、私は今度こそ思い切った事業を実施したいと思っております。改善という程度では、従来の農業からの脱皮はむずかしいと思われますので、私は農業改革にまで徹底した事業を実施する決意を持って本事業と取り組んでおります。農民の自主性を尊重せよということになっておりますので、それはもちろん尊重しなければなりませんが、しかし、ある程度は強力な指導がなされなければ、特に土地条件の整備という事業では規模がどうしても小さくなりがちでございますので、数年後にはさらに耕地の拡大が必要になるというようなことも想像されますし、農林省が現在指導されておる三反歩の区画という圃場の一応の目標も、私はこの際検討されなければならぬだろうと思います。大型機械の効率から考えますならば、やはり最低一町歩くらいの農地が必要ではなかろうか。私の町では短辺が五十メートル、長辺が大体二百メートルを目標に置いて区画整理の計画を樹立しております。大へん失礼なことを申し上げますが、私の町ではおそらく全国でも最も理想的な、しかも今後五十年くらいは通用するであろう農業の実現を考えて、農地事務局及び福岡県耕地課の指導のもとに年間の雨量、自然流水量、地下水位等の調査を今年の六月から十一月末まで毎日続けておりますので、この資料を基礎にして区画整理その他用排水路の整備等を計画し、しかる後に検討して事業の着手に入っていきたいと思っております。特に平坦部では排水という事業が全くなされておりませんので、今後は排水を重点に置いた土地基盤整備を考えております。平坦地では土地基盤の整備を中心とした構造改善事業が企画されておりますが、他の市町村では大型機械の使用も認識もないまま計画が樹立されておりますが、何を基準にして事業が推進されるのであろうかと、私は全く不安に思っております。農林省から示された例規集を見ましても、多種多様な機械類が並べてありますけれども、各市町村ははたして自信を持ってその機械の選択ができるのであろうかと考えております。現在のように各市町村とも大型機械に対する認識不足のまま計画を樹立し、事業を遂行しても、むだな事業がたくさんできるのじゃなかろうかということを危惧するものであります。実施する農民にしてみれば、市町村長の指導で事業をやったが、数年を経ずしてさらに土地基盤の整備をやり直すというようなことがかりにあるとするならば、市村町長に対する農民の不信はもちろんですが、労力並びに経済的負担の加重から農民はかえって角をためて牛を殺すような結果になりはしないかということを非常に心配するものであります。従って、本事業は予算があるからといってあらゆる準備が、計画がなされないまま強行するよりも、私の町の結果を見るために、来年一年待った上で事業の実施に着手するのがむだの少ない方法ではなかろうかということも考えております。土地基盤整備と区画整理をやらなくてもよい市町村は別として、水田を中心とした農村の構造改善事業は今年度さらに慎重な計画を樹立して、換地処分の問題等もありますので、そういったものをさらに考えて着手年度の延期が認められるならば、私は理想的なもの、しかも画期的な事業を推進する確信があります。  次には、本事業を遂行するにあたって、私はパイロット方式を採用していただきたいと思うわけであります。その理由は、農民に構造改善の必要性を説明するよりも、抜本的な事業をやろうとすればするほど、一番手っ取り早い方法は新しい農業のあり方を見せることだと考えております。いたずらに抽象論を並べてみたところで農民の不安も除去できないし、まして政府が企図しておるような農業と他産業との所得の格差が解消できるほどの改善も実現し得ないではなかろうかと思います。机上の空論ではなく、私の町でやっておるような実験が農民の眼前に展開されてこそ、構造改善とは何かということを農民自身が認識して、初めて思い切った改善事業が推進できるのではなかろうかということを考えております。現在全国的に各市町村の農業構造改善計画を見てみますと、水田地帯の改善計画こそ一番先に取り上げて実施すべきだと思うのに、それは非常に少なく、山間地の開墾や果樹園の増植その他近代的施設のみが取り上げてある傾向が見えますが、これでは従来の米麦中心の農業からの脱皮は私は困難だと思います。平坦地における米麦の労働生産性の飛躍的な向上が実現してこそ地域性にのっとった主産地が生まれるのであって、米麦の労働生産性が従来のまま放置されるにおいては、主産地形成も理想通りには進まないのではなかろうかと考えられます。にもかかわらず平坦地の構造改善計画が少ないのは、農家を納得させるような事業を推進するための資料もないからだと思いますので、パイロット方式により地域の農民に新しい農業を認識させた上で平坦地における抜本的な構造改善がなされることが最も望ましいと信じております。私たちパイロットの指定を受けた市町村長は、パイロット地域の展示的拠点としての自覚に責任を感じ、理想的な仕事を考えておりますが、なかなか苦労が多うございます。しかし、高度な事業をやるとすれば、それだけ経費もかかりますので、現在の補助率では一般地域でやる農民よりも、パイロット地域における農民の負担が高いという結果になりますので、私はパイロット地域に対する補助率の引き上げも御考慮願いたいと思うわけでございます。  次には、土地基盤整備に要する費用については、補助率の引き上げをお願いしたいと思います。これは国、県費合わせて八割以上の補助率がほしいものだと考えております。その理由は、大型機械を入れる場合には何よりも排水路が必要になって参りますが、排水による受益者の確認が非常に困難なために、負担金の賦課に難点があります。と同時に、農道が五メートル以上になりますと、これはもうただ単に農道というものよりも公道の性格が大きくなって参りますので、その費用を受益者だけで負担するのは過重かと考えます。また、区画整理は、その必要性は了解できても、すべての階層の農民が参加しなければ実施できない事業でもありますので、最低の農家を対象に考えて、なおその負担にたえ得る程度にまで補助率の引き上げがなされなければ、区画整理も実現しなかろうということが想像されます。区画整理によって補助の拡大ができなければ、平坦地における構造改善事業はいいかげんな事業で終わり、農業が企業への脱皮も期待できないものと信じます。  融資金の金利引き下げについては、私が申すまでもなく、識者の論ずるところでもありますので、年利三分五厘、返済期間も二十年以上に考えていただきたいと思います。  地域的に偏した問題でまことに恐縮でございますが、福岡県筑後地帯及び佐賀県の一部にあるクリーク地帯では、クリークは農地の間に縦横無尽に点在しておりますので、この構造改善事業について非常に心配するものであります。米麦の主産地でありますが、大型機械の利用がクリークのために非常に困難な状況になります。このままクリークを放置したならば、米麦の生産にのみ依存しなければならないこの地方の農業の近代化は永久に実現できないものと想像されますので、クリークの整備につきましても農林省及び諸先生方のなお一そうの御検討をお願いいたす次第であります。  最後に、私は、こういったことを申し上げたいと思います。コンバインによる稲の収穫を農民自身体験してみて農民が考えたことは、——農業とは大地にひれ伏して仕事をするのが農民の宿命だとあきらめておったのが、ただいまではコンバインの操縦席から大きな機械を操縦しながら、こう然と農民が大地をへいげいしながら堂々と農作業に従事しておるという姿を見るときに、初めて農民がみずから近代農業を体得するのではなかろうかということを信じております。大型機械の駆使によって得た自信は、農民の意識を農業改革の必要性にまで高めたものと信じております。さらに農業の重労働から解放された農村婦人の喜びを見るときに、私は声を大にして農林省並びに諸先生方にお願いしたいと思います。構造改善事業については絶対の自信を持って予算獲得のために、かつまた市町村の指導のために各関係省と強力な折衝をお願いしたいと思います。私たち市町村長は、本事業こそは救国の大事業だと信じ、誇りと信念に燃えて、日夜身命を賭し、職をかけて本事業の推進に邁進しております。農林水産委員の諸先生方になお一そうの御指導と御援助を切にお願い申し上げまして私の意見を終わります。

秋山利恭自由民主党

○秋山委員長代理 菅野幸夫君。

菅野幸夫兵庫県加西郡加西町桑原田区長

○菅野参考人 ただいま紹介にあずかりました兵庫県の加西町桑原田部落区長の菅野幸夫でございます。  私の部落におきましては、今までお述べになりました国の構造改善とは一面かけ離れたパイロットファームの形式をとっておるわけでございます。といいますのは、昨年三月兵庫県の指定を受けましてパイロットファームの指定地域となったわけでございます。それで県独自の立場において、今までは各市町村を通じてすべての事業が行なわれておったのでございますが、私の部落に対しては、一部落に対する直接の指導と援助をしていただいておるわけでございます。県の上において計画されましたのが、当時約一億三千万の経費を投じまして一部落に土地の基盤整備並びに樹園地造成または酪農振興という三部門にわたっての計画がなされたわけであります。  そこで、基盤整備によりまするものは、部落の全農家戸数約七十尺うち純専業農家といいますものは二十数戸しかないわけです。あとはほとんど第一種兼業、第二種兼業にまたがっております。といいますのが、現在ほとんどの若い者は、学校を卒業しましても工場の方へ出ていっておる。中年以上の老人のみが農業に従事しておるというような状態でございます。それで専業農家というものはごくわずかになっておるわけです。土地整備に対しては、約四千万ほどの計画をもって約四十三ヘクタールほどのものが計画に上がっております。それから酪農振興に対しては約六千万円の経費を投じまして乳牛の導入を計画されたわけです。また、それに対する二十六ヘクタールの草地造成、それから果樹園——果樹園といいますのは、私の方に対してはブドウを取り入れておりますが、それが約十七ヘクタール、それに大型農機具の導入ということが計画に上がっておったわけでございます。  それで、昨年八月に工事に着手しまして、この六年、七年とかけて二カ年継続事業として計画されたのでございますが、今までにでき上がっておりますものは、土地整備の四十三ヘクタール、これも一部小整備が残っておりますが、大部分が完成しております。それから酪農に関しては、現在までは乳牛の成牛六十頭、育成牛の三十頭、約九十頭が導入されております。草地造成の方は、約二十六ヘクタールは三十六年度に完成しております。それから果樹園造成も植栽までは終わっておりますが、たな張りあるいは排水、道路というようなものがまだ残っております。最初計画されております一億三千万の経費のうち約五割というものが助成金で計画されておったわけでございます。またその残りの自己負担額に対しても借入金、公庫資金あるいは近代化資金というものによって計画されております。しかし実際に事業に着手してみますと、ただ計画上に上がっておるようななまやさしいものではないということを体験したわけでございます。と申しますのは、公庫の資金にしましても、あるいは近代化資金にしましても、最初県の方から説明をいただき、あるいは中金の方からのお話をお聞きしましたものと、末端において実際に利用する場合には、農家としては、この制度資金がはたしてそう簡単に利用できるかどうかということが非常に危ぶまれるわけでございます。国の方において、そういう資金の問題も検討されておることと思いますが、末端の金融機関である農協に当たりますと、われわれが最初考えておったようななまやさしいものではとうていなかった。これによって資金の運営がうまくいかないがために、事業がうまく進まないという点も多々あるわけでありまして、また部落民の意思の疏通といいますか、共同精神の欠けておる面もこの資金の面において起こっておることを確信するわけであります。この資金のもう少し簡便な利用方法、あるいは国において構造改善をやられる場合、それの資金の貸付ということに対しては、今のような担保条件とかああいうふうなむずかしい条件がないような方法を、何らか考えていただきたいと思うのであります。  それと、さいぜんからの意見の中にもありましたように、制度資金にしましても期間の延長あるいは利率の引き下げ——農業に対しては、ほかの産業と違いましてかなり低収穫のものでございますので、期間の延長ということが非常に望まれるわけでございます。それから農民の自己負担につきましても、さいぜんの意見の中にもありましたように、農家の収穫がかなり低いために、負担金というものがそう簡単には出てこないということが大きな問題であろうかと思います。できるならば助成金の増額ということが非常に望まれるわけであります。国におきまして関係各方面といろいろ御連絡願いまして、今後農業の発展ということにつきましては、あくまでもこの構造改善ということは必要です。必要ですが、それに先立つものはやはり資金だということを念頭に置いていただきまして、資金が簡便に一般農家が利用でき得るような方法を講じていただきたいということをお願いするわけでございます。  それから、前にも新潟県の方から出ておりましたように、視察者の問題、こういうものも地元としましては非常に迷惑なこともあるわけでございます。と言いますのは、事業費に対しては五割の助成は受けられましても、その他のいろんな経費、これが補助対象になる場合と、経費によってはならない場合とが出てくるので、自己負担額は計画上に上がっておる五割なら五割でおさまらないということが実情でございます。そういう点もお含みおき願いまして、今後の構造改善事業にはよき方法をとっていただきたいと考える次第でございます。  簡単ではございますが、一応私の方の部落で今までやってきました実情について説明いたします。それから今後のことにつきまして、また御質問にお答えさせていただきたいと思います。(拍手)

秋山利恭自由民主党

○秋山委員長代理 大久保毅一君。

大久保毅一全国町村会経済農林部副部長

○大久保参考人 御指名を受けました大久保でございます。  農業構造改善事業がいよいよ実施段階に入りまして、いろいろな批判や意見が出ておりますが、この事業に関係しております市町村の各位の結論といたしましては、今日の農業の非常な転換期にあたりまして、この農業構造改善事業を重要な足がかりとして、それぞれ市町村の農業の問題点を解決したい、こういう熱意に燃えておるわけでございます。ただ現在いろいろな批判や問題点が出ておりますことを考えてみますと、これが事業開始の第一年度であるということと、この実施までの事務的な手続が非常におくれたために不必要な混乱などが起こった、そういうようなことから出ておる問題も多いわけでございますが、われわれとしてはこの農業構造改善事業の本質的な問題を取り上げまして、市町村のこの事業の推進に当たっていきたい、こういうふうに考えております。  そこで、先般三十六年度に指定を受けました五百の市町村とパイロット地区の関係市町村につきまして意見を求めましてこの取りまとめを行なっておりますが、これにつきましてはすでにごらんをいただいておると思うのでございますけれども、さらにその後におきましてもいろいろな意見や要望が参っております。またわれわれが現地について調査いたしました問題点もございますので、これらを取りまとめて現地の意見としてここで御報告をさせていただきたいと思います。なお今までの方がお触れになりましたようなことはできるだけ時間の関係で省略して参りたいと思います。  当面の問題点といたしましては、第一として事業ワクが非常に少ない、地元の要望が十分行なえないということでございます。第二点として補助率の問題でございまして、これは先ほどもお話がありましたように、事業の実施地区においては金額が非常に多うございますので、地元負担が大きい。特に近代化施設と土地整備とのセットになる場合においては、非常に多くなって参ります。なお大型機械等に対する危険負担の問題であるとか、事業が実施される以前の古い借金の始末が終わっていない、こういう問題もございますし、さらに最近の兼業化とか階層分化によって起こって参ります。新しい投資に必ずしも賛成でない人々をも説得をしなければならないという点から、補助率をさらに高くしていただきたいという要望が出ております。それから資金の問題でございますが、従来の農業近代化資金制度につきましては、農協の能力の限界であるとか、あるいは金利の点でまだ非常に不十分でございますが、幸い最近農業構造改善金融制度というような構想が発表されておりまして、まだつまびらかにはされておりませんけれども、一応新聞等で発表されましたことについては現地としては非常に歓迎をいたしております。ただ問題点として出てきますことは、一つは農協が窓口になる場合に、従来の古い借金の肩がわりに振りかえられるのではないだろうか、あるいは今まで農協がやっておりますような形式的な担保力等によって貸付のワクをきめるのではないだろうか、こういう農家の不安がございます。特にこの金融制度につきましては、形式的な物的な担保力というものにあまり重点を置かないで、新しい農業にこれから伸びていこうとするその人間の意欲なり計画の適否、経営者の技術的能力、こういったものを中心に資金のワクをきめていただきたい。これは特に青年層の強い要望でございまして、若い人たちがほんとうにこれから意欲的に農業をやろうとしても、絶えず物的な担保力で制限をされる、こういうことに対する非常に強い不満がございます。  それから貸付のワクの場合でございますが、これはできるだけ企業単位として成り立つたけの資金を十分に出していただきたい。この資金ワクの問題につきまして北海道中札内の農業法人の十三社の資金構造を分析したものがございますが、これを見ますと、一般農家よりは比較的高度な経営をやっております農業法人におきましても、自己資本率は最高がわずかに六・一%、最低は一・五%で、一社平均で見ますと、自己資本が三十五万四千円、他人資本が八百三十六万七千円、こういう状態でございます。従って農業の場合におきましては、非常に自己資本、自分の財政的な担保力というものを持っておりません。こういった制度的な金融に依存する度合いが非常に多いのでございまして、その企業が成り立つだけの十分な企業単位として出していただかないと、せっかくの近代経営というものが瓦解をしてくるおそれがございます。  それから次に第四は、生産並びに経営技術の問題でございます。その一つは大型機械に関連することでございます。これは先ほど宮原さんも言われましたが、現場では大型機械を自分の土地の状態、作物の状態にどうして適合させたらいいかという選択あるいは機械の組み合わせ、こういうものが全くわかっておりません。それからさらに大型機械の運転技術者の養成等の手段もまだ考えられておりません。特に今後この大型機械の普及に対応して、どうしても品種の改良、育成をやっていただかなければならないと思いますが、まだそういうものがわれわれの前には出て参りません。それから特にメーカーとか輸入業者の押しつけが非常に多いということでございまして、できれば試験場あたりで十分技術的な検討を加えた上で、これが普及されるようなことを希望いたしたいと思います。  それから家畜の多頭羽飼育でございますとか、温室あるいはビニール・ハウスというような新しい経営ができつつございますが、またこれらが実施基準の中に取り入れられてございますけれども、こういうものの模範的な設計というものがそれぞれの地域に適合したものがまだ現われておりません。現場を回ってみますと、建設業者あたりが外国の設計書等を手に入れまして、実に無責任な指導をしておるような事例もございます。従いましてこういう近代的な経営に対する生産と経営との技術の普及、それから適地適産ということに対応する技術指導、こういうものを含めての普及制度の確立をぜひお願いいたしたい。この技術が確立をいたしませんと、一方で多額の資金を貸せましても、技術的に生産の失敗であるとか、家畜の事故等によって、せっかくの事業が挫折することが非常に多いわけでございます。  それから第二点としては、今後のこの構造改善事業の進め方でございますが、これについて実は一つ心配しておることがございます。それはパイロット地域方式と一般地域方式との混乱が起こっておるのではないかということでございます。すなわち構造改善事業は、当初パイロット的に全国で数カ所を指定いたしまして、ここで現在のいろいろな制度のワクをはずしてみて、今後の農業というものを新しく組み立てていきたい、こういうような構想がかつてあったというふうに聞いております。現在パイロット地区として指定されております九十地区につきましても、そういう一つの考え方が流れておりまして、先ほどの新潟なりあるいは福岡の御発言にもありましたように、パイロットをやっておられる方は全国のこの構造改善事業のモデル地域としてやるという非常に強い自負心を持っておられるわけであります。こういうパイロット地区としてやります場合には、当然実施基準というものは、思い切って高度なものであっていいと私は考えます。また同時にそういったパイロット的なものでありますから、全国画一的であってもいいと思います。さらに実施地区につきましても、パイロットでありますから、当然局限された場所でもいいと思います。しかしそういうふうに行政的な勧奨によって、あるいは指導によって高い水準を特定の地域にやるということになりますれば、当然補助とか融資あるいはでき上がった生産物等に対する最後の世話までは行政的にやっていく責任があると思います。こういうパイロット方式というものがさらに最近では一般地域として適用されつつあるように考えられます。これが一般地域として考えられます場合には、パイロット方式のような高い水準の実施基準であるとか、特定地域の実施地区、こういうようなものは非常に迷惑であります。一般的な事業として考える場合には、あくまでも現場の農家の要求に適合するような形で、でき得ればその市町村の全域を含めるような形に持っていかなければならないのじゃないか。そういう面が現在の実施基準に対する町村側からの不満となって現われてくるのじゃないか。そこで私が心配をいたしますのは、そういう一般地域とパイロット地域が並行して同じような形で行なわれるために、実施基準を非常に弾力的に扱っていこうというような姿が最近出ております。そういたしますと、このパイロット地域としての一つのモデル的な設定というものと一般地域の適合というものが一体どう調整されるのだろうか。その辺が構造改善の今後の問題として非常に心配されるわけでございます。  さらに最近市町村の側から非常に注目すべき意見が出て参っております。これはどういうことかと言いますと、構造改善事業を手がけてみますと、特に土地基盤整備が非常に問題になる。というのは、この土地基盤整備事業が先ほどもお話しになりましたように、個人の能力を越えるような非常に高い程度の土地基盤整備をやらなければならない、またそういうことにしなければ大型機械は入らないということでございます。そうすると、個人の能力を越えるような土地基盤整備を受益者負担でやることはおかしいじゃないか。たとえば五メートルの農道ということが言われておりますけれども、市町村道でさえも二・五メートルから四メートル程度のものでございます。そういう中に五メートルの農道ができるということは、これはいわば圃場の中に有料道路ができるようなものでございまして、関係農家がくいを立てて、金をくれなければ通さぬ、こういうことを言われてもしようがないのじゃないか、こういう点から考えまして、土地基盤整備は国でやっていただきたい。土地というものは、これは国づくりではないだろうかということでございます。特にここで現場で言われておりますのは、この農家というものは、都市の生活者と比べました場合に、国を憂え、あるいは自分の郷土を愛する心というものは非常に強いものがございます。たとえば大雨が降りますと、直ちに村の人たちが堤防にかけ上がって、自分の身を挺してその堤防を守ります。あるいは山くずれが起こるのを心配して、山にかけつけていろいろな手当をいたします。道路にしましても、みずから砂利を運び、みずからもっこをかついで道路を直しておる、こういうような、国を愛し郷土を愛するような姿は、都市の人たちには見えないのじゃないだろうか、こういう農民の素朴な善意というものをもっと高く評価していただきたい。従ってこの構造改善事業における土地基盤整備というものは、個人の能力を越えるものでもあり、国づくりの根本的な事業であるので、全額国庫負担でやっていただきたい。そのかわり近代化施設については、補助でなくして三分五厘程度の長期の近代化資金でやっていただけばいいのじゃないか。これは補助事業でありますために、非常に迷惑をする場合があります。たとえば三十頭以上の畜舎を建てる場合に一切古材等は認められませんので、鉄骨のすばらしい畜舎を建てております。ところが一体、そういう鉄骨の畜舎でなければ乳牛は乳を出さないのかどうか、バラックでも乳は出ると思います。そういうことはたとい五割の補助であるといいながらも、過重な負担を農家に負わせる場合がある。それから農家がせっかくいろいろ創意工夫をしようといたしましても、補助事業であるがゆえにいろいろな制約を加えられて参ります。こういうことが現実に、経営の場ではかえってマイナスを招来するおそれがあるのでございます。  以上の点から考えまして、今後の構造改善事業を進めるにあたりましては、もう一回、パイロット方式と一般方式との根本的な考え方をはっきりとしていただきたい。特にその場合においては、一体今後の農業の姿というものは日本の全産業の中においてどういう地位を占めればいいのか、あるいは農業経営の姿というものはどういうものであるべきなのか、農民というものはどういうものか、こういうような映像を明確に示していただいて、農民の向かうべき方向をしっかりと腹に入れるように御指導をお願いいたしたいと思います。  それから、一番問題の多い現在の実施基準についてでございますが、三つばかり問題点を申し上げたいと思います。  先ほど申しましたように、近代化施設がこういう実施基準で縛られるということには非常に問題があるという理由でございますが、第一は、国が補助する以上は一定の基準を設けることが当然でございます。またそれは当然全国画一的とならざるを得ないと思います。ところが現在示されておる実施基準というものは、平坦部の一部で適用し得るような条件があまりに多いじゃないか。三千一百市町村実施すると言われておりますが、はたしてこの基準で三千一百市町村がやれるものかどうか。特に山間部等ではこの点を非常に心配しております。それではそれぞれの地域に適した実施基準を数多くつくればいいじゃないかということになりますが、はたしてこういうそれぞれの地域に合ったような実施基準を無数につくれるものかどうか、ここらにやはり近代化施設についての実施基準の矛盾点があると思います。  第二は、技術革新が現在非常に激しく進んでおりますが、はたして現在の実施基準が十年間押し通し得るものかどうか、こういう点についてもやはり問題があると思います。  それから第三は、景気の変動であるとか、需要供給の変化に応じて経営的にいろいろ対応していかなければならない。そういう場合に、現在示されておるような画一的な膠着的な実施基準というもので農家の経営が成り立つものかどうか。こういうような点を考えますときに、やはり土地基盤整備は一切国営でやっていただいて、近代化施設は低金利で農家の自由な選択によってやっていくことが一番好ましいのではないか、こういう意見が現場で最近強く出て参っておりますので、御検討をいただきたいと思います。  なお、この構造改善事業に関連をいたしましていろいろな現地の要望が出ております。まず農業内部におきましては、ただいまも申しましたが、山間地帯の対策を一体どうしてくれるのか、こういうことでございます。  それから、土地基盤整備に関連をして国県営の事業との関連がどうなるのか。この点を考えましても、やはり国県営、団体営というような区分の仕方でなくして、基盤整備は一切国営でやっていただくことが最も好ましいと思います。  それから農産物の流通、貯蔵、加工の対策、それから価格の対策、それから経営の拡大のための農地制度の検討、農業団体の整備拡充、こういうようなことが考えられます。  それから、さらにこの事業が進むに伴いまして農業構造の改善が当然農村構造の問題にまで触れて参ると思います。従いまして、道路であるとか、河川、港湾の整備、特に市町村道が現在放置されておりますので、こういった大型機械に対応できるような市町村道の整備が非常に急がれております。  それから、農業の生産性の向上に適応するための鉄道輸送の拡充でございます。この鉄道の問題については、客車優先によって農産物の輸送がいろいろあと回しになるとか、あるいは現在行なわれております貨物取扱駅の集約化に対して、現場では非常に不満の声が強く出ております。  それから次は電柱の問題でございまして、大型機械を入れるといたしますと、特に関東から西の方のように部落が密集して農村電化等も進んでおりますところでは、従来の電柱が非常な障害になる。この点について、まだ政府の方では手が打たれていないようでございますが、これはぜひとも農家の負担にならないように、国と関係方面とで処理をお願いいたしたいと思います。  それから、社会的施設といたしまして多目的な集会所でございます。現在農林省の方では集荷場とは選果場、文部省では公民館、厚生省でか保育所であるとか児童館、こういうようなものがばらばらにつくられておりますけれども、農村の現場では、こういう単一的なものではなくして、それらの補助を総合して、農繁期には一部を託児所にも使い、あるいは集荷場にも使い、農閑期には冠婚葬祭にも使え、あるいは巡回映画も見られる、こういうような一つのレジャー・センター的なものにまとめていただきたい。特にこれは農村の人間関係をこれからつくり出していきますためにはぜひとも必要でございまして、従来のようにおこもり堂の屋根の腐ったようなのに看板だけは公民館と上げてある。中に入っていくとノミがぴょんぴょん飛んでくる。こういうようなところで新しい農村の人間というものは育たない、こういうふうに考えられるのであります。  それから社会保障の均等化でございます。少なくとも農民に対しては、現在の官庁であるとか公共企業体、あるいは大企業の労働者並みの社会保障を適用できるような制度に拡充をしていただきたいということでございます。こういうことがなければ、若い人に農村に定着しろと言っても、なかなか定着しない。むしろ賃金とか所得の問題以前に、こういう農村の社会的な問題が横たわっておるということを現場では強く言っております。  それから次は、人畜を含めた上下水道あるいは屎尿処理の問題でございます。これは、厚生省では人間のことをやっておりまして、農林省では特認事項として豚や乳牛のことは考えよう、こういうことでございますが、同じ排泄物を人間と動物と分けてやりますと、とても現場で経営の負担に耐えません。幸い厚生省の方では清掃法を近く改正するというような動きもございますので、この清掃法の中に動物を含めて、農林省と厚生省と一体になったこういう上下水道、屎尿処理を考えていただきたい。  それから、構造改善に伴う農家の住宅の対策であるとか、あるいは墓地とか火葬場の移転等の問題を考えていただきたい。  それから、農業教育の充実でございますが、少なくとも農業高校につきましては、こういう企業的な経営の一つの先駆的な役割を果たすような学校にしていただきたい。私が現地調査をいたしました結果では、愛知県の安城農業高校のようなものが非常に印象に残っておるようなわけでございます。  それからさらに、農村の婦人、青年、壮年層の農業に対する再教育、訓練の処置を講じていただきたい。  それから、労働対策の問題でございますが、農村から多数の若い人が都市に出て参っておるわけでありますけれども、現在のような不安定な労働条件では農村が逆にまた被害を受けるおそれがある。たとえば、ごく半年前ぐらいの鉄鋼産業の不況によりまして、下請工場が首切りをやりましたために、千葉県の一帯では一時せっかく勤めに出た農村の青年がまた還流をして、いろいろ問題を起こしております。従って、臨時工であるとか社外工というような不安定な雇用条件を改善していただきたい。  それからさらに、農村から出ていかなければならない、あるいはそういう形で分解しつつある現状から見まして、中年層とか老年層の労働力を活用し得るような施策を講じていただきたいと思います。  こういう関連事業を見ますときに、単なる農林省の場における農業の構造改善というだけにとどまらないで、関係省庁含めた農村の構造改善、そういう視野でこの問題を発展させていただきたいと考えております。  それから第四点は、市町村の立場でございます。最近農業基本法が通りましてから、林業基本法であるとか、海外移住基本法であるとか、中小企業基本法というような法制化がだんだん整ってくるようでございます。現実におきましても、農業構造改善事業と直接関係をいたしまして、海外移住促進事業というものが出て参っております。それからさらに最近では林業振興対策、沿岸漁業振興対策、こういうようなことが非常に市町村の方にどんどんおりて参っております。この内容を見て参りますと、対策はりっぱなものでございますが、相当市町村に対する責任を負わしております。ところがこれらの対策は、みな本省の縦割りの施策でございまして、市町村の現場におきましては、相次いで出てくるいろいろな対策を受けとめて、市町村自体が事業の推進をはからなければならない。さらにそれらの総合調整も行なわなければならぬ。また林業と農業、農業と漁業、こういう接触点の非常に問題のあるところの処理も市町村長がやらなければならぬ。こういうふうに、最近産業政策の上で市町村が非常に大きな責任を負わされつつありますが、これがどんどん進んで参りますと、地方自治体の財政上に重大な影響を及ぼすのではないかと考えます。たとえてみますと、最近のように、こういう事業が相次いで、産業政策が強化されつつありますけれども、昭和三十六年度の市町村の財政需要額というものを示されておりますが、基準財政需要額に対しまして、市町村の産業経済費はわずか四・八%しか見てありません。その中で農業行政費というものはわずか二・九%でございます。こういうような基準財政需要額の中で、相次いでいろいろな責任が負わせられておるというところに問題があるのではなかろうか。特に今度の農業構造改善事業について見ますと、三つばかりの点を今自治省の方でも考慮していただいておるようでございます。  第一点は、市町村の財源として、交付税上の基準財政需要額として、本年度約十億ばかり見ていただいております。この十億ばかりを約三千の市町村におろしてみますと、事業をやる市町村もやらないところも、一般交付税の形で出て参りますので、一市町村当たり平均三十万円ということになります。ところが、市町村がこの構造改善事業を進めるためにどれだけの経費を負担しておるかといいますと、第一は、この事業を計画し推するための人件費でございます。相当技術者や職員を補充しております。それからさらにこの計画費につきましても、パイロット地区あたりでは、大体二百万円から三百万円程度すでに使っております。こういうことでは、せっかくの三十万円の交付税では焼け石に水ではないか。もっともこれは十年間続いてやるということでございますが、これは一つのから手形みたいになりやすいものでございまして、実際に財政上適切な措置とはちょっと言いがたい。いわゆるくつの上からかゆいところをかくというような形でございます。  それから第二点は、当面の便法として府県の助成による補助の上積みが考えられておるようでございます。この二割の補助の上積みが検討されておるということにつきましては、関係者としては非常に喜んではおりますけれども、こういう農業構造改善というような、非常に重要な画期的な事業に対して、交付税というような、既定財源の中から配分変更を行なうというような、こそく的な手段ではなくして、もっと国の財政上の責任を明確にしていただいて、従来の補助率にこだわるというようなことではなくして、積極的な財政援助をやっていただくことが本筋ではないだろうか、こういうことでございます。  それから第三としては、市町村が事業主体となる場合に、起債のワクを十億程度認めていこう、こういうような御計画のようでございますが、この十億を来年実施します三百の市町村におろしてみますと、一市町村当たり三百万円でございます。この金額は、かりに道路一つ見ますと、市町村道の基準単価二千九百六十円で割ってみますと、農道五百メートルにしか当たりません。せっかく十億円程度考えていただいても、市町村では五メートルの農道が五百メートルくらいしかできない、こういうようなことでは、この事業が市町村の場で中心的になって推進できるということにはいささか不足するのではないか、こういう点が考えられます。従って、こういう市町村の産業政策の非常な重圧というものを十分受けとめるだけの財政的な処置を積極的に考えていただきたい。  その一つの方法として国有林の払い下げ問題を取り上げてみたいと思います。市町村の財政力を強化するという意味において、そういう自治省からの財政的な処置も重要な方法ではございますが、一つの方法としては国有林の積極的な払い下げが考えられていいのではないか。従って国有林の払い下げは、ねらいとしてはそういう市町村の財源を与えるという意味が一点と、もう一点は、国有林を開放することによって直接農民の経営の拡大に使っていただきたい。この場合、国有林の問題で特に私たちが問題にしておりますのは、現在の国有林のあり方というものが非常に納得のいかない姿である。といいますのは、現在の国有林というのは藩政時代の姿がそのまま国有林という形で出ておる。従って非常に苛斂誅求をやった藩政そのままの姿が昭和の今日においても実現しておるということでございます。  たとえば木曾谷の例をとりますと、島崎藤村の「夜明け前」にこういうことが書いてございます。「その間には木曾路らしいむらさきいろの山つゝじが咲き乱れていた。全山の面積およそ三十八万町歩あまりのうち、その十分の九に亙るほどの大部分が官有地に編入され、民有地としての耕地、宅地、山林、それに原野を併せて僅かにその十分の一に過ぎなくなった。新しい木曾谷の統治者が旧尾州領の山地を没取するのに不思議はないというような理屈からこれは来ているのか、郡県政治の当局者が人民を信じないことにかけては封建時代からまだ一歩も踏み出していない証拠であるのか、いずれとも言えないことであった。」こういうことが言われております。また鹿児島県では、御承知のように西南戦争の懲罰的な意味から、山林がほとんど国有林にとられております。従って現在鹿児島県の関係者の間では、もう一回西南戦争を起こして国有林を取り返さなければいけない、こういうことさえも言われておるわけでございます。こういう封建的な遺制を国有林の姿で置いていいのかどうか。少なくとも農業構造改善事業をやろうという国が本格的にこういった仕事をやるためには、積極的に国有林のあり方を考えていただきたい、こういうことでございます。従って市町村の場から申し上げますと、もっと市町村長が自信を持ってついていける、また農家も安心して、喜んでこの構造改善に参加できるような形で推進していただきたい、こういうことでございます。  それから現場から出ております重要な意見がございますが、それは農業構造改善事業の法制化をお願いいたしたいということでございます。これは国、府県、市町村の行政的、財政的な責任区分を明確にすること。先ほど申しましたような関係省庁の総合的な調整をはかっていただきたい。さらに大臣がかわられても、局長がかわられても、安心してついていけるような安定した政権にしていただきたい。こういう要求が現場から出ております。  最後に申し上げたいのは、現在高度な経済成長が発展しておりますが、この高度な経済成長というものは、成長の能力のあるものは思い切って伸びるけれども、反面ではあらゆる面で格差がどんどん拡大しておるということでございます。先ほど申しましたように、商工都市と農林漁業を中心とする市町村とでは、行政的、財政的な能力の格差が非常に開いております。商工業者と農業との所得の差も開いております。農業内部においても、階層の分化がきびしく起こって参ります。こういう問題について十分な手当を考えていただきたいということ。特に構造改善事業は、農業の経済的な合理主義を非常に高度に追求しようとしておるのでございますけれども、こういう経済的な合理主義を追求できる階層とついていけない階層とに分かれるということでございます。  そこで最後に申し上げたいのは、農村の現場で言っておる農民の声でございます。特に年代的に見ますときに、若い人たちは相当意欲を持って取っ組みますけれども、中年以上の人は非常に問題に悩んでおります。それは新しい技術についていけない、あるいは経営能力の点から、先ほど申しました経営の合理化についていけないじゃないか、そういう何かはみ出された階層というものが中年以上に集中的に現われている。この人たちは何を言うかというと、われわれは満州事変、支那事変、大東亜戦争を通じて、あの戦場で苦しい戦いをしてようやく帰ってきたんだ、ようやく命拾いをしたと思うのに、さて今度は農業の大転換でまた農業からはみ出されるのか、こういう心配をしております。こうした農民は、現在の政府は決してわれわれ農民を見殺しにはしないのだ、必ずわれわれの成り立つような政策はしてくれるんだ、こういうことをはっきりと言っております。こういう農民の素朴な政治に対する信頼感を失わせないようなあたたかみのある政策をやっていただきたい、この点を付言いたしまして、私の意見を終わります。(拍手)

秋山利恭自由民主党

○秋山委員長代理 午後一時から再開することとし、この際休憩いたします。    午後零時二十二分休憩      ————◇—————    午後一時十分開議

秋山利恭自由民主党

○秋山委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前に引き続き、農業構造改善事業に関する問題について、参考人の御意見を承ることにいたします。  それでは田母神参考人よりお願いいたします。田母神利衛君。

田母神利衛愛知県農林部長

○田母神参考人 ただいま御指名を受けました愛知県の田母神でございます。私が本日当委員会におきまして意見を申し上げます立場は、あくまで一県の農林部長として、この事業を円滑に推進して参り、かつまた効果あらしめる立場にある者の一人として実は申し上げるわけでございます。御了解いただきたいと思います。  なお、時間の都合もございますので、簡単ではございますが、以下数点にわたりまして、私が目下この事業を進めておるさなかに当面しておる問題あるいは将来こういうことを考えねばならないであろうというような事柄等につきまして、私見を述べさせていただきたいと思います。  まず第一点は事業費の拡大でございます。これらにつきましては、すでに他の参考人より御意見の開陳がございましたが、私が申し上げるまでもなく、いわゆる一億一千万円の事業費は、あるいは多いところもありましょうし、あるいは考え方によりましては少額に過ぐるというところもあろうかと思いますが、わが愛知県におきましては、少なくとも事業費の総額がやや少ない。従いまして、結論的に申し上げますならば、まずこの事業費の総額を二億ないし三億ぐらいに引き上げていただきたいという希望を持つものであります。しかしこれは、あるいは地方によりましては金額が多いために、負担額が増高するために、かえって事業の妨げになるおそれもございますので、この幅はやはり一億一千万円ないし最高三億ぐらいにしていただいたらいかがなものであろうかという感じをいたすものでありますが、その裏づけとしまして、かりに九千万円の補助事業をいたします場合に、そのうちの四割以上が土地基盤整備事業に相なるわけでございますので、従って、かりに百ヘクタールの工事を行なうといたしますれば、すでにそれだけで四、五千万円を要することに相なるわけでございます。従って、その他の事業に回す金額は非常に少なくなるという事柄によるものでございます。なお、事業費が少ないというために、いわゆる一指定市町村の、限られた地区あるいは限られた事業のみを実行せざるを得ないことに相なりまするので、従って限られた地区以外の地区もしくはそれ以外のやりたい事業などにつきましては、結局実施し得ないことに相なりまするので、その市町村自体にとりましても、これは大きな不均衡を来たすことになりまして、問題になる可能性があるわけでございます。そこで愛知県としましては、去る九月の県議会におきまして、一地域につきまして五百万円の単県費を出しまして、いわゆる限られた地区以外の地区で行なう事業に対する補助をいたすことに相なったわけでございます。これが第一点でございます。  それから第二点といたしましては環境整備事業でございます。これは私は少なくとも今後の農村は——ひとり農村といわず、やはり住民の側から見ますれば、住みよい農村の環境をつくることがこれからの問題として当然考えるべきものであろうと実は考えております。ところが御案内のように、環境整備に関する事項につきましては、実施基準には実は具体的には載っておりません。だがしかし構造改善事業を進めるにあたりまして、果樹園芸とともに当然成長産業の雄である畜産が各所で行なわれることに相なるわけでございますが、養鶏、養豚あるいは酪農など、しかもこれが従来と異なりまして多頭飼育化して参るわけであります。従いまして、先ほども他の参考人から御意見の御開陳がございましたが、それと同じ意味におきまして、やはり家畜の屎尿処理の問題が大きく社会問題としても取り上げられてくる時期があるであろう。従ってこれは都市の糞尿処理もしくは塵埃処理とあわせまして、何らかの方法におきまして家畜の屎尿処理の問題を考えませんと、将来畜産の発達が阻害されるおそれもないとしないであろう。特にわが国のように密居部落と申しますか、非常にうちの立て込んでおる部落共同体を営んでおる場合には、そこに無計画的に家畜の導入を行ないますれば、非常に環境的に問題になってくると思うのでございまして、従って今後家畜を飼うような場合には、やはり各般の情勢を考慮して、そこに畜産の集団飼育地帯などをも考える必要があるであろう。従ってそこにはただひとり家畜の屎尿処理にとどまらず、家畜飼育についての万般の施策も同時に考えてはいかがなものであろうかという感じをいたすものでございます。  三番目は農山村に対する実施基準の設定でございます。これも先ほど他の参考人からお述べになったようでありますが、今の実施基準を見ますと、なるほど平坦部につきましてはきわめて適応性のあるものでございますけれども、いわゆる山村に対しましてはなかなか当てはまりにくい点があるんじゃないかということも考えられるものであります。たとえば三反単位の区画整理とか、あるいは大型トラクターの導入だとか、これは実際問題としましては山間部ではなかなか実施できかねる基準でございます。また農道を一本つくるにいたしましても、二十ヘクタールの団地を必要とするなどのごとき、あるいはまたかりに特例として十四ヘクタールある場合でもいいといっておりますけれども、これまたかなり至難な問題でございます。そういたしますと、結局山村地帯——おそらく私は将来純粋な農村あるいは農山村として残るものは、やはり山村ではなかろうかと思うのであります。また同時に、その振興こそは林業経営の振興と相並んできわめて必要なものであろうかと考える場合におきまして、今の基準では何となく山村だけがこの網の目から漏れる、つまり谷間になるのではないかと考えられる点がございますので、これはおそらく農林省御当局におきましては御検討中とは思いますけれども、この点をさらに御検討いただきたい、かように実は考えております。  そこで一案でございますけれども、結局山村は、私が申し上げるまでもなく、いわゆる農業を営むかたわら、あわせて林業をも営む経営が大部分でございます。従いまして、農業構造改善事業を行なう場合には、ひとり農業に限定することなく、林業をもあわせて行なう農家が多い関係から、林業施設、たとえば林道のごとき、あるいはシイタケ栽培のごときものを取り上げていただいてはいかがなものであろうか。つまり、農業と林業が合わせて一本の形こそ、いわゆる山村における農林業の姿ではあるまいか、かように思いますときに、現在の施設におきましては、いささかどうかという感じをいたすものでございます。  それから第四番目は、農民負担軽減の措置でございますが、これらにつきましても、見方こそ違え他の参考人からもお述べになりましたので、詳しく申し上げる必要はないと思いますけれども、ただここでこの事業を推進していく場合に、やはり事業主体となるものが三つあるのではないかと思うのでありますが、その一つは言うまでもなく市町村自体が行なうもの、あるいはその地区の農業が本来の業務として行なわなくてはならぬもの、第三番目がその他の事業団体、言うならば申し合わせの団体でありましょう。しかしこれは分析しますと、各個々の農家になるわけであります。こういう三つの段階に分けた人たちが事業主体となって行なうのでございましょうが、その場合問題になりますのは、市町村の行なう、先ほども他のお方からもお述べになりましたが、事業主体となって市町村が行なう場合に、事業費の補助残の負担金の問題があるいは町村の財政圧迫の懸念なしとはせず、従って、これにつきましては起債を相当認めていただけるような措置をとるべきではあるまいかと考えられます。  それからいま一つの問題は、これは農林省御当局でも十分御検討と思いますけれども、構造改善自体におきまするその地域内の土地基盤整備事業の補助率は五割でありますが、そうでない一般の土地改良地区は三割と聞いておりますけれども、この補助率の差が事業遂行上にかなり問題になってくるおそれがあるようでございます。これなども先ほどは補助率を高めよというお説もございましたが、私も必ずしも否定するものではありませんけれども、まずもって補助率を高めると同時に、こうしたいわゆる土地改良事業の補助率そのものをもある程度まで均衡のとれた姿にしていただきませんと、そこにも市町村長の立場から見ると何となく仕事がやりにくいケースが起こってくるものと考えられるわけであります。従って、その点は十分一つ御検討いただきたい。  それから第五番目は、事業の計画を立てたり、あるいは運営指導をいたすことについてでございますけれども、これははなはだ申しにくいことでございますが、実は愛知県におきましては、去る十月三十日に愛知県の田原町というところの一般農業構造改善事業が第一号として農林省の認可を得たわけでございます。この田原町の農業構造改善事業の計画書をつくるにあたりまして、これは現実問題として計画書をつくるのに約六百人の延べ人員を要しております。のみならず、その印刷に要した費用などが、聞きますると五十万円近くになっておるそうであります。ただその場合でも、県からの派遣人員とかあるいは事務費などは含んでおりません。ただその町自体が負担した金額がさようになっておると聞いておるわけであります。従いまして、こういう事業をやります場合には、ただ単に計画書の作成もしくは印刷事務費が要るというのみでなく、そこまで持っていくための事前工作といいますか、PRのためには相当多額のいわゆる有形無形の努力を必要とするわけでございますので、これらにつきましても、金銭的ばかりではございませんが、何かとそういう苦労をしなくちゃだめだということをやはり頭に入れていただきまして御指導願えれば幸いだと思うのでございます。なお、この事業を実施していく上におきまして、私ども目下予算を編成中でございますので、実はいろいろ概算をいたしましたところが、この事業をたとえば愛知県は十カ年の間におおむね九十市町村が指定になるのではないかと予想した場合に、一体どのくらいの作業技術者を必要とするであろうか、これは今申しましたPRをやったり、あるいは事前の計画をつくったり、あるいは実施運営の指導もしくは事業のあとの管理、こうした事柄はやはり県の職員が陣頭に立ってやらないとなかなかできるものではございません。そういたしますと、九十の市町村が指定になった場合を予想しますと、まずざっと四十人の増員を必要といたします。従って、私どもは事の成否はとにかくといたしまして、明年度の当初予算には約十七、八名の新規増員を要求しなくては仕事ができて参りません。もしもこれを要求せずにやりますと、従来やっておった事業をストップさせなければならない。特にこれは農地関係の技術者が問題になってくると私は思われます。従って、こういう点につきましても何らか国の方で県の方も予算がとりやすいような、あるいは予算に計上しやすいような形にしていただければ幸いだと実は考えております。また、九十カ町村も指定になるといたしますと、これは十カ年計画でございますので、実質的には同一になるわけではございませんけれども、いずれにいたしましても、今の市町村の人員ではこれだけの大きな事業そのものを計画し、あるいは実施し、あるいは事後の管理に当たるということをやれる人は用意してございません。特に基本計画というものが非常に大切なことは言うまでもありませんので、この基本計画をだれが一体つくってやるのか、だれがその助言を与えてやるのか、これがなかなか問題になって参ります。そこで、もしも当初計画におきましてこれが狂いがありますと、将来大きな農業投資をして、もしも失敗でもすることになれば、先ほど福岡県の町長さんがお話しになりましたように、これは市町村長の立場においてきわめて重要な責任が起きることに相なろうかと思うのでありまして、従って、この基本計画の立案につきましては慎重にかつまた綿密な助言が必要であろうと思うのであります。そこで、その助言者としては、愛知県におきましては農業コンサルタント的なもの、つまりかなりの高級技術者を県において補助金を出して、これは別の社団法人と考えておりますが、そういうものをつくりまして、その方々が改良普及員、あるいは専門技術員もしくはその町の職員、あるいは農協の組合長などとよく溶け込んで、そこで話し合いをした結果一つの基本計画をつくらせるようにしていきたいものだという考えを私は持っておりまして、これは明年度の予算にも愛知県の農業コンサルタント協会の設置費に対しまして金を出していただくように議会に要請するつもりでございます。従って、もし可能ならばこうしたことがおそらく各県とも現実の問題としては必要ではあるまいかと思う。そうなれば、こういうものに対して国が何らか助成の道を考えてそういうものができやすい姿にしていただいたらどうであろうかということを考える一人であります。  六番目は、先ほどもお話が出ましたが、かいつまんで申し上げますと、技術革新がどんどん進んで参ります。従ってまた、新しい機具、機械もどんどんと農村には導入されつつある現状でございますが、先ほどの他の参考人よりの御開陳の通りこれはまことに重大な問題でありまして、今入りつつある機械のごとき、たとえばコンバインにいたしましても、あるいはその他の大型農機具そのもの、これはおそらくかなり問題のあるものではあるまいかと思うのであります。というのは、今の技術者はおそらくそういうものについての経験をお持ちでないであろう、言うならば実用の段階以前のものではあるまいかと考えられるわけであります。また同時に、それに付随しての新しい技術というものがまさに日新月歩そのものであります。相当に進捗いたしておりますけれども、これまたしかし経済的な立場において批判した場合に、必ずしもその技術が取り入れていいものかどうか、これはずいぶん問題があり得るものがあると思います。しかしそれにもかかわらずどんどん機械が導入され、あるいは新技術が取り入れられておるわけでございます。そこで私は、これは一つ、地方の農業試験場もしくは地方の試験研究機関においてできるものもありますけれども、大部分はかなりの金とかなり高度の試験研究者でもって行なわなければならない問題であるだけに、早急にこれは国におきまして、この機械の使用、利用方法なりあるいは新技術の経済的な関係などにつきましての十二分な御調査をいただいて、もうこれなら大丈夫だというたいこ判を押したものでなければ農村あるいは構造改善事業の中には持ち込まない、そういうふうにしていただきたいと思うのであります。おそらくこれにつきましてはそれぞれ手は打っておられると存じまするが、こういう試験研究事業について国費を惜しんではいけないと私は思うのです。これかできるかできぬかがおそらくこの構造改善事業の死命を制するものと思っても差しつかえないのではないか。従って私は、農林省御当局が農林技術会議等におきまして早くこの進みつつある技術革新あるいは大型農機具の実用化に向かって追いつくように、安心して農民が使い得るようなものにしていただくような御努力をしていただきたいとお願いいたす次第でございます。  それから、話があちこちして恐縮ですが、七番目としまして、農業協同組合とこの事業との関連性について私の考え方を申し上げてみたいと思います。  これは諸先生方すでにお気づきでもあり、かつまた最も指摘される点であろうかと実は考えまして、こんなことを私が言うのはどうかと考えるわけでございますけれども、農協そのものは、なるほど事業の計画そのものはこれは市町村長が当たりますけれども、実際の事業は大半がこれは農協が行なうことになると考えられます。もちろん土地改良事業はこれは土地改良区が行なうでございましょうが、その他の事業につきましては農協が関与することが非常に多いのであります。たとえば農機具の管理、これはほとんど農協がやりましょう。それから生産物の集荷、販売、加工など、これはほとんど農協の機能を使わねば実際の運転はできません。また補助残融資の問題あるいは個人の融資の問題につきましても、これは農協がタッチしなくては事が解決いたしません。さように考えて参りますと、農協の積極的な意欲があるかないかという事柄がこれまた同時にこの事業の成否を決するのであろうと私は考えざるを得ません。そこで、この農協をどういうふうに構造改善事業の中に取り入れて市町村との関係をしっくりいかせるようにする仕組み——これは諸先生方の前で申し上げるよりはむしろその市町村自体もしくはその府県自体が当然考えるべきものであって、こういう席で申すことでないと思いますけれども、当初のうちは市町村長と農協組合長が意気相合う非常に熱のあるところから選んで参りますけれども、だんだんにこれが進むに従っては必ずしもそうばかりはいかないものも出て参るであろうと思いますときに、これはやはり農林省御当局におきましては農協の中央団体等から戦列を組みかえて、何と申しますか、同じ路線の上に立っての協力体制をしいていただかないと、ところによってはちぐはぐなところが出てきやせぬかということをおそれるものでございます。これはひとり個々の問題でなくて、あるいは私ども府県の者の責任でもあり、かつまた市町村長の責任でもありましょう。しかしこの問題がかなり将来重要になってくるであろうということを私は考えざるを得ないままに実は申し上げた次第でございます。  それからこれは最後になるわけでございますが、どなたからも御発言がございましたけれども、ただここでかなり莫大な、巨額の投資をして——私はこの投資と申しますことはおそらく先生方に申し上げることはどうかと思いますが、この曲がり角にきた農業あるいは農政問題を解決するおそらく千載一遇のチャンスはこの構造改善事業ではあるまいかと考えざるを得ないのでございますが、これがもしうまくいかないということになって参りますと、これこそ私は日本の農業はどこにいくのだということになるだろうと思う。従ってこの問題につきましてはもう言わずもがな、あらゆる角度から一つじっくりと取り組んでいただかねばならないと考えますけれども、そのうちで特に私どもが憂えますのは、先ほどもお話ございましたようですが、いわゆるせっかく成長産業である、あるいはこれが将来有望であろうなどということで、現段階におきましてはそれぞれの成長部門を取り入れた基幹作物というものが構造改善の内容になって参るわけでございますけれども、それが将来におきまして、もしもその価格体系がくずれて問題になった場合にはどう始末をするであろうかということを考えますと、この事業のなるかならぬかの成否のかぎは、私は何といっても農産物価格の安定化をはかる諸施策を講じなければ画龍点睛を欠くの感があるのではないかと思うのであります。これは十分お考えいただけると思いますが、ただ農業基本法にも示されておりますように、価格の問題はうたっておりますけれども、いまだこれは実際には具体化しておらない。しかしぼつぼつその線に向かってレールが敷かれつつあることは認めますものの、これが価格の安定措置につきましては十分に一つ——これは何も急ぐ必要はないと思いますが、その線に向かってレールを早く敷いて、車が走れるようにしていただかないと困るであろう、かような見地に立って私はこの農業構造改善問題をちょっと振り返ってみたいと思うのは、農業構造改善は、いわゆる基幹作物を内容とした一つの主産地形成を考えておるわけでございますが、それはあくまでも行政区域単位の主産地形成でございまして、従ってこれはいわゆる経済圏と申しますか、そういうものではございません。ところが実際のいわゆる主産地と申しますのは、何も行政区域に限られたものではないのであって、これは当然広域的な立場においての経済圏を構成するものと思われますので、これをまとめるもう一つの方策を考えていただきませんと、あまりに行政区域のみに限られることはいかがなものであろうか。これはこの構造改善事業とは別の意味で、つまり第二次的なそうした機構を何かつくらないと、これまた行きづまるのではなかろうかという気がいたしておるのでございます。  時間が参ったようでございますので、大へんとりとめのないことを申し上げましたが、要はちょうど愛知県が三十六年度に十二地域、三十七年度におきまして七地域の計画の指定を受けまして、そのうちですでに五地区につきましては事業を進めかけておるものでございますので、そのいわゆる責任者の立場として私が今申し上げたような事柄が目下問題になり、かつまた将来もそういうことが問題になるであろう、かようなことを懸念しての実は私の意見でございました。よろしく御検討を願いたいと思います。(拍手)

秋山利恭自由民主党

○秋山委員長代理 安孫子藤吉君。

安孫子藤吉山形県知事

○安孫子参考人 議会関係の方からいろいろ意見、発言があったわけでございます。それとダブる点があろうかと思います。なおまた地方におきましてこの問題の指導に当たっておる立場から、断片的でございますが、若干のことを申し上げておきたいと存じます。  やはり一番問題となりますることは、私どもといたしましては技術体系あるいは産業体系の確立がまだできていない、この点に目下の最大の急務があるのじゃなかろうか、こういう感じがいたします。たとえば稲作につきまして、大型機械化による一貫作業をやる、それを三年間においてやる、こういう計画でございますけれども、しからばこの技術体系なり作業体系というものが今でき上がっておるかということになりますと、まずでき上がっていないと考えていいんじゃなかろうか。従って、先走るようでございますけれども、三カ年間で大型機械化による一貫作業などというものが一体可能であるかどうかというような問題も私はあろうかと思うのでございます。従ってこの事業を進推するにつきまして、やはり根底となりまするものは、技術体系あるいは作業体系の確立ということが大前提でなければならない。ところが今回の農業構造改善の事業につきましては、パイロット地区と一般事業地区というものがございます。だんだんと拝見をいたしますと、パイロット地区必ずしもパイロット的機能を果たすような手厚い措置が講ぜられておるわけではございません。また順序から申しまするならば、パイロット地区におきまして、相当自信を持った上において、それが一般普及という段階に入るべきだと思うのでございますが、それが並行的に進められておるという点にもいろいろの問題があろうかと思うのでございます。これを地方におきまして、どう処理するかという問題になりまして、いろいろ検討いたしましたが、私の一つの議論でもございますけれども、パイロット的事業、農家の経営を相当大きく変えていくというような事業につきましては、単に補助金政策ということじゃなくして、やはりその事業についての危険負担を、国なりあるいは地方自治体もしょい込んでいく、こういう立場に立った施策というものが非常に必要ではなかろうか。工業生産につきましては、実験場の中において結果を得たものを、中間工場試験をやって、それから製品に変わるわけでございまするが、その中間工場試験的なものを果たすことがやはりパイロット事業の本質であろう。そういたしますれば、これは単に補助金政策ということじゃなくして、もう一歩踏み込んだ危険負担をも団体がやる、こういう行き方が妥当ではなかろうかと考えるのでございます。私の県は、財政的には農業県でございますので相当苦しい県でございまするが、その意味におきまして、本年度から三カ年間、少なくとも県内二カ所につきまして、県の技術陣を全部総動員する、それから部落と話をいたしまして、鶴岡市の付近における小淀川という三十戸程度の小部落でございます。ここと話をいたしまして、約三十町歩の実験をする話をつけまして、これをことしからやってみました。それからもう少し小規模のやつを米沢周辺においてやってみたわけでございます。しかもこの場合に、普通田よりも減収をいたしました場合には、それは県が補償する、こういう約束のもとにやってみました。そういたしますと、やはり机上において考えられておること以外に、いろいろな問題がここに実際問題として提起されてきておるわけでございます。たとえば、これは機械化でございまするが、種まきの問題、あるいは冠水、水のかけ方の問題、それから区割りの問題、それから元肥と追肥の関係が一体どういうことがいいのであろうかというような問題、それからスズメの害でございますとかカモの害でございますとか、あるいはまた除草の関係、除草剤の使い方、これの経済性が一体どういうことであろうかというような、幾多の問題がここに提示されて現実にきておるわけでございます。もちろんこれは一カ年間で解決し得る問題ではございませんが、そうした問題を二、三年がかりではっきりさせて、指導方針を現地において確立をしていかなければならぬと考えておるわけでございます。  そのうちに最も大きな問題は、稲作のまず前半においては大体技術的に解決し得るだろうと考えますけれども、コンバインの使用の問題につきましては非常に問題があるわけでございます。ただいまもお話がございましたが、これはまだ試作の段階でございます。これをも使ってみました。これは今後一、二年あるいは二、三年のうちに順次改善はされていくだろうと思いますけれども、ただいまの状況におきましては、これはなかなか使用に耐えないだろうと思います。大体稲作として一〇〇整地をいたしましても、このコンバインの使用によりまして、現在におきましては大体一五%程度のロスを生ずるということしの結果でございます。一五%の現実のロスということは、経済的には非常に大きな問題でございます。しかもこのコンバインの使用によりまして、米質に物理的損傷を起こすという問題も出てきております。これを一体どういうふうにやっていくのか、この辺から申しましてコンバインの今後の改善というようなことが非常に急がれるし、またこれの習熟というものにつきましても、いろいろと検討しなければならぬ問題を幾多かかえておるわけでございます。しかも現在の一般事業あるいはパイロット事業の三年目におきましては、原則といたしまして、大型機械化による稲作の一貫作業ということがうたわれておる。そういうことが三年後においてはたして解決し得るのかどうか。しかも現在の農機具の発展の状況は、年々非常に進んでおります。従って三年目になりまして、そのときにできましたコンバインを使用する、ところがその次の年にはさらに改良されたものができるという事態は必ずあり得るだろう。一体その辺の措置をどう考えていくべきであろうか。そうした具体的な問題が、山形県といたしまして実験を今年度いたしました結果、問題を非常にかかえておるのでございます。従って果樹地帯あるいは畜産の問題等は、いろいろ問題もあろうかと思いまするけれども、稲作につきましての技術体系あるいは作業体系の確立ということが最もこれは急がれるべき問題であり、しかもそれがパイロット地区においてやはり実現をされなければならない。その意味からパイロット地区につきましては、さらに十分なる配慮をしてもらわなければならぬだろう。まあ三十町歩程度の県といたしましてはやっておりますけれども、これをしもまた十分だというわけにはいかぬのでございます。地方々々の実情等がいろいろ農業上にはあろうかと思います。そうした機能を果たすことがやはりパイロットの事業でございまするから、このパイロットにつきましてさらに十分なる保護を加え、また私なんかといたしましては、どうしてもこれは危険負担をも国がある程度見ていく、こういう建前に立ったやはり施策を講じなければほんとうのものが出てこないのじゃないか。ほんとうのものができなくて、そうしてそうしたことを一般地区について普及をしていくというようなことでなければ、これは結果的に申しますると、非常にロスが多い。ほんとうの意味の構造改善的な事業が完成をされるということの期待が多く持てない結果になるのではなかろうか、この辺が一番勝負どころであろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから、そんなことで農作業の近代化の体系と、それから技術体系と作業体系、そういうようなものを十分検討いたしましても、また私の県、あるいは東北全般にそうだと思うのでございまするけれども、問題といたしましてはこういう問題もございます。庄内地区でございまするが、これは稲の単作地帯でございます。そこでこの稲の単作地帯でございまするが、今の体系で参りますると、裏作で青刈り大豆等はできるのでございます。しかしながらこの青刈り大豆をなかなかやらない。稲作を非常に尊重しておる関係からだと思いますが、なかなかやらない。普及しないでおるのでございまするが、これが直播栽培に変わりますと、この裏作も入っていかない、こういう問題が一つございます。従いまして水田の稲作におきまして相当労働生産性を上げていく、労働生産性を上げました結果、その余剰労力をどうするかという問題が当面——当面と申しまするよりも、理論的に、あるいは計画上問題が出てくるわけでございます。それを稲作の裏作を使って飼料基盤を整備をいたしまして、そしてそれによって畜産を発展さしていくということが一応考えられるのでございまして、その点についての技術的な検討も加えさしてみましたが、これが移植による水田であれば可能であるけれども、直播栽培というようなことになりますと、播種が早く、熟期が多少おくれるということで裏作の入る余地がないというのが、こういうのが技術的に出てきておる結論でございまして、そういたしますというと、畜産の飼料基盤を造成して、そして土地を高度に利用するという関係が技術的にネックがありまして、それができないというような現段階におきましては一つの問題をかかえておるのでございます。そういたしますと、これを合理化することによって、あるいは労働生産性を上げることによって当面は農業労働力が相当不足をいたしておりまするから、それとのバランスをとる意味においての仕事が行なわれるであろうと思いまするけれども、将来においてさらに生産性が向上いたしまして余剰力が出てきた、こういう場合に一体そこの措置をどうするのか、こういう問題が当然出てくるわけでございます。この点につきましてはもちろん農業内部におきまして検討を加えなければならぬ問題もございまするけれども、その点まで発展をいたしますれば、さらに広い立場に立った一つの農村に対する施策というものが生まれてこなければならぬのじゃなかろうか、そういう点が私としては相当気になっておる事柄でございます。  それから実施基準その他いろいろ農林省で示しておるのでございまするけれども、今までお話がございましたが、これがどうしても画一的になりやすい、この点はやはり現地の実情に即したように相当弾力性を持った運用をしてもらわなければならぬ、こういうことでございます。たとえば畜産の問題なんかにいたしましても、共同畜舎というようなことが相当強く押し出されておるのでございます。私の地方で、一般指定地域でございまするが、和牛肥育を主産地形式の意味においてやろうとする一つの地区がございます。この場合におきましても、たとえば具体的に申しますと、共同畜舎というようなことが非常に強調される。ところが肥育事業等につきまして共同畜舎というようなことは、これは今の畜産の段階におきましては稲作と違って相当分化されておりませんし、また認識の程度もございまするから、これは共同といったところで実際上行なわれません。やはり一頭々々自分が管理し、そしてそれを手入れをするところに一つの意味があるのでございます。従って、つまり畜舎をアパート的に共同してやって、そしてそこにおのおのの責任においてそれを管理していくというようなことであれば私はいいんじゃなかろうかと思いまするが、そういうこともいかぬ。言いかえますと、そういうようなところまで強い指導が行なわれる。こういうような点は当然現地の実情に応じて是正をされるべきものであろう。かりに今の例をとって申しまするならば、そうしておのおのが自分の肥育牛をそこに入れまして、そしてやっておる。そのうちにはやはり農業者の意識の向上と申しますか、こう毎日々々みんなが行って肥育に関する手入れをするよりもやはり共同舎を置いて、そして管理人を置いてやった方がよりベターであるというような意識の高揚というものがそこから出てくるのであって、初めからそれをやらせようということでは決してこれは伸びていかぬのじゃなかろうか。そのほか地方的な各般の問題もあろうかと思うのでございますけれども、そういう点からいたしまして、施策の実施につきましてはやはり地方の実情に即した措置を十分に受けとめられて、そうして弾力的にこれを運用していく。何にいたしましても北は北海道から南は鹿児島まででございます。その間に裏日本もございまするし、表日本もある。地方々々のいろいろな実情というものがございます。それを本省におきまして一本の基準でもってこれを縛り上げていくというところに相当無理があると私は考えておるのでございまして、この点は地方の実情というものをこの運営につきまして十分考慮されていくことがこの事業がうまく参りまするゆえんではなかろうか、こういうふうに感じておる次第でございます。  それから先ほどもお話がございましたが、成長部門であるところの畜産でございますとか果樹なんかにつきましては、もちろん当然価格の問題につきましての各般の施策というものが今後積極的にやはり樹立されていかなければならぬことは当然であろうかと思うのでございます。この辺の問題になりますと、県といたしましては共同出荷、商標の確立というような点までは力が及ぶわけでございまするけれども、それ以上の全体の需給の関係あるいは価格関係ということに相なりますれば、やはり政府の施策に待たなければならぬのでございまして、この点農業者からいろいろと意見を聞かされるわけでございますが、やはり県の段階におきましてできるいろいろな生産者側における施策というものは講じて参る所存でございまするけれども、基本的にはやはり国におきましてこうした問題についての、価格という問題につきましてさらに一段の御配慮をお願いいたしたいと考えておる次第でございます。  それからもう一点は一町村に限る——今、田母神さんからもお話がございましたが、これも機械的だという意味でございまするが、一町村に限るという、こういう限定をされておりますけれども、やはりものによりましては他町村に及んで、そこで初めて主産地形成的な意味を持つものもございます。行政区画は一つの基準でございまするから、これはやはりものによりまして、あるいは状況によりましてはより広げた意味においての運用というものも考えてもらわなければならぬのじゃなかろうか、これが弾力的な措置をお願いをいたしておる一つの理由でございます。  いろいろ申し上げることもあるわけでございまするが、根本は、特に私の県は米作県でございまして、この米作の機械化、一貫作業というもの、これが一体できるかできないかということが死命を制する問題でございますが、遺憾ながら、これに関する技術的な裏打ちというものをおそらく農林省もまだお持ちにならないのではなかろうか。これを非常に急いでおやりになるようでございますけれども、やはりこうした点に最大の努力をいたすことが、この問題をほんとうに有終の美をおさめる一つのキー・ポイントであろうか、こういうことを感じておりまするので、この点だけを特に申し上げまして、御配慮をお願いいたす次第でございます。(拍手)

秋山利恭自由民主党

○秋山委員長代理 桑原正信君。

桑原正信京都大学教授

○桑原参考人 今まで実際この問題に取り組まれておられる皆さんからお話がございましたが、私は机の上でものを考えている人間としまして意見を述べさせていただきたいと思います。私自身この農業構造改善事業につきましては、その当初においては私なりの批判あるいは意見を持ちましてその機会に述べたことがあるのでありまするが、しかし、事態はすでに汽車が発車したような状態でありまして、この段階においての考え方はおのずからやはり従来とはディメンジョンを異にしておるのじゃないかというふうに考えるのでありますが、そこでそういう立場で二、三の私の考えます問題点を、しかもこれまでお述べになった方と重複しないような形で述べてみたいと思うのであります。  まず第一の点は、この農業構造改善事業というものを正当に評価することが必要ではないかということであります。これは言わずもがなの当然のことでありますが、しかし、どうもいろいろ見聞をいたしますと、この事業に対していわば買いかぶったような評価をしておる、万能薬であって、この事業をやれば農村の問題が一切解決する、極端に言うならば、おしめから棺おけまでの農村の問題がこれで解決するような考え方を持っておられる向きもないわけではないと私は思います。しかし私は、あらゆる政策、施策には期待する効果、いわゆる期待効果というものがあるとともに、それにはおのずから限界があるというふうに考えます。その期待効果と限界をこの場合においてもはっきりさせておくことが必要なのではなかろうか。もし一億一千万円くらいの事業費で日本の農村の根本の改造ができたとすれば、あまりに安く上がり過ぎて、いささかおかしな気持がするのではないかというふうに思うのであります。そういう意味で、私はこの農業構造改善という事業は、いわば名前が少し勝ってい過ぎるのじゃないか。名前が勝ち過ぎていて負けている相撲取りがあるそうでありますが、いささかそういうふうな感じがいたすのでありまして、その辺は、やはり正当にこの政策、事業を評価する必要があるだろう。これがまず一つの点であります。  それから第二の問題は、今までいろいろ御意見がありましたが、これは主として農林省あるいは政府当局に対して要望するという形で出されたわけでございますが、もちろんそれがきわめて妥当であり、また必要であるという御意見が非常に多かったように思うのでありますが、私は第二番目にこういうことを考えるのであります。特にこの事業あるいは施策においては、呼応関係というものを重視しなければいけないのじゃないか、いわゆるコーオーディネーションの問題であります。呼べばこたえるというこの関係、と申しますのは、いわゆる全額補助というようなことでありますと、これは上から下へ通り抜けになるのでありますが、そうじゃなくて、呼びかけに応じて、下からも資金的な負担をして、そしてこの事業をやっていくという性質のものでありますから、従って、あなたと呼べばあなたとこたえなければ実はこの事業はできない。ところが、上に向かって盛んにいろいろの要望はありますけれども、私の知る限りにおいては、もっと下の方でそれにこたえる呼応の仕方というものが問題にされなければいけないのじゃないか。そうでない限り、私はどのようにやってみても、皆さんの御要求のようにこの補助率を上げたり、あるいは事業費を拡大してみても、この呼応関係がはっきりしてない限り、ほんとうの事業の推進は困難だろうというふうに考えるのであります。そういう意味で考えてみますと、たとえばこの事業はとにかく助成なりあるいは融資なりというようなことで結びまして、そうしてある特定の事業を推進する、こういうことでありますが、第一線における呼応関係というものは、一つのムーブメントとして起こされてこなければいけないのじゃないか。どうもこういう点において、私の見聞は非常に狭いのでありますが、しかしそういうムーブメントという形にまで高められて事業が立てられ、あるいは推進されようとしておる気配が非常に薄いというふうに考える。はなはだ失礼な言い方でありますが、有能な市町村長あるいは有能なその担当者、そういう者が中心となって、そうしてきわめて手ぎわよく計画も立てられ、またいろいろな準備がされる。その場合に一体村民がどの程度それに関知しておるのか、あるいはどの程度その事業の性質をのみ込んでおるのか。もちろんこの土地の問題などについては同意ということが必要でありますから、その限りにおいては承知しておることでありましょうが、しかし事業の全貌についてどの程度いわゆる下からそれを納得させ、あるいは十分な討議を尽くし、一つの盛り上がる呼応関係というものがつくられておるか。もしつくられていないとすれば、私はこの点がこの事業において非常に大事な問題じゃないかというふうに考えるのであります。と申しますのは、私が冒頭に申し上げましたように、この事業でいわゆる農業構造改善ができるというふうには考えておらないのです。この事業は、いわゆる本格的な農業構造改善——さっきどなたか農業改革という言葉でお呼びになりましたが、それは基本法でいっておるものと考えてよいと思いますが、そこに持っていく一つのステップあるいはそこへの準備の段階というふうに考えるべき性質のものだと思いますから、そうだといたしますと、やはり今のようにこの事業の性質をよくわきまえて、あるいはそれに対して地域の住民が積極的に参画するという態勢をつくることがまず必要であって、それに対して、いわば上からの呼びに対して今のような態勢で応じていく、こういうふうな進み方をとるべきものではないかというふうに考えるのでありますが、もちろんこれは今の段階において私は非常に不十分だと思います。そのことは当初の年度であり、いわゆる農林当局においても十分準備が整わない。いわんや第一線の方においてはなおさらだということでおくれておる点が多かろうと思いますが、しかし継続的な事業でありますから、やはり次第にその方向に持っていくことが必要ではなかろうか。とにかく私は、単にこういう事業をやったということじゃなくて、一つのムーブメントとして、いわばよく戦後いわれております農村の民主化とかあるいは近代化とかいうようなことをきっかけにして、実は自分たちの問題として解決していく。決して言葉としての民主化や近代化ではなくて、そういう一つの実践の中に今のような問題を解決していく、そういう場として考えるならば、この事業の意味は、従来お述べにならなかった点において、私は非常な意味を持ってくるのじゃなかろうかと思うのでありますが、そういうことを一つ考えるべきではないかと思うのであります。  なお、三番目になりますが、指導あるいは助言態勢の整備ということが、これも当初年度であるという関係もありましょうが、まだ非常に不十分ではないかというふうに思うのであります。当初私ども、この事業は農林省の一局の農業構造改善事業にならなければよろしいがというような懸念さえ持ったのでありますが、最近において、農林省内部でもいわゆる推進本部のようなものを設けられたそうでありまして、私は、事柄の性質上当然のことであり、また一歩前進だというふうに考えるのであります。願わくは、単に形式的にそういうものができたということでなくて、実質的な意味においてそれが推進本部の役割を果たされんことを希望したいのであります。しかし問題はそれだけで片づくのではございませんで、さらに下の段階においての問題があるわけでありますが、いわゆるこの事業をPRしあるいは指導していくパイプをどうするかという問題であると思います。これについては、コンサルタントを置くというような構想もあるようであり、さっき愛知県の部長さんは県自体のそういうものをお持ちになるという進んだ構想もお出しになったのでありますが、これは農林省でどの程度のものをお考えになっておるかわかりませんけれども、やはり人員においても、またその性質においても、相当広範なものを準備しなければ間に合うまい。ことに最末端における改良普及員の問題になりますというと、これは率直に申しまして、従来の普及員は従来の技術あるいは経営段階に対応する能力を持っておる者、従って新しく改造されようとするその水準のものに対してはそのまま当てはまるとは言いがたい面が多いかと思いますが、こういう点において、普及員の再教育と申しますか、養成を急速に進める必要があると思うのであります。要するに従来の単なる技術指導の段階から、技術と経済をいわば包括しました経営的な立場での指導ということができる人材を配置するということが必要になってきておるのじゃなかろうか、そこに、先ほど来いろいろ御意見が出ておりました新しい機械の導入に対しての懸念というような問題もからむわけでありまして、これらの点は早急に対処されなければいけないんじゃないかというふうに思うのであります。  なお、四番目に申し上げたいことは、とにかくこの事業においては、いわゆる投資という問題、資本を投下するという問題が大きな一つのテーマになってくるわけであります。これは日本の従来の農業がいわゆる家族労働を中心とした労働主体の農業であったのに対して、いわゆる資本主体とまでいかなくとも、少なくとも資本のウエートを相当高めた農業に転換していこうという現われであると思うのでありますが、そうなりますと、その場合の資本の調達、それをめぐっていわゆる資金調達の条件をどうするかということが非常に大きな問題になってくるのは当然であると思います。これについて先ほど来資金のワクを上げるとか、あるいは補助率を高めるとかいうことがいろいろ出ておりましたが、私はここで皆様方に一つお願いをしたいのは、といっていわゆる陳情でも要望でもございませんが、私は大切だと思いますことは、よしんばモデルであっても、とにかく酪農ならば酪農、稲作ならば稲作、あるいは果樹作ならば果樹作、それがどの程度の規模の農業においては資本の効率がいかようなものであるかという、あるしっかりしたデータをつかむということが、このような一つの農業の進み方については非常に必要だと思うのであります。ところが率直に申しまして私の知る限りでは、政府の方にもあるいは農業金融機関を担当しておられる各種の機関の中にも、信頼すべきこの種のデータは残念ながらないように思われるのであります。従ってこういうものを整備してかかりませんと、三分五厘というような要求がありましたか、三分五厘が一体なせ妥当なのかというきめ手は実は出てこないということ、なるほど五分よりは四分五厘が安い、あるいは四分五厘よりは三分五厘が安いというのは、これはだれでもわかることでありますが、そういう意味の低利資金の考え方が従来の日本の農村を私は支配してきた考え方ではなかったかと思う。一割のものを九分にする、低利資金じゃないか、おっしゃる通り、しかし問題はどういう経営のタイプ、どういう規模のものにおいて資本の効率がどうであるかということが問題なのであって、相対的な意味でその低利、高利を云々するということは、これは今のような場合においては大した意味を持たないのではないかというふうに私は考えるのでありますが、そこまで問題を詰めていきますると、残念ながら私が今申しますようなデータは、少なくも私の知る限りにおいては、ないというふうに申し上げざるを得ない。従ってこれらのものを整備することを各方面の協力でやっていくということが、資本的農業の確立の方向に向かっている今の場合には、きわめて重要な問題ではなかろうかというように考えられるのでございます。  最後にいま一つだけつけ加えておきたいと思いますが、先ほど来御意見も出ておりましたけれども、価格政策の問題であります。もちろん今日、米にしろ、あるいは畜産物にしろ、そのほかのいろいろのものについて価格政策がとられておることは確かでありますが、私は構造改善というものを、少なくとも今の構造改善をワン・ステップとして、さらにそれを強化し高めていくということを考えますならば、これとのいわゆるアベック政策としての価格政策を考える必要があるのではないか。日本に価格政策がないとは少しも申しません。しかしこれと結びつけて価格政策を考えていくということが実は必要であり、そうなりますと、そこに今のような米は米で食糧庁、あるいは畜産物は畜産局、あるいは蚕糸については蚕糸局、あるいはたばこは別でありますけれども専売公社、とにかく一局一課というような形の価格政策というものがはたして適当であるかどうか、その相互の間における関連がどうであるか、その関連を十分に持たせることによって初めて選択的拡大というようなことが実現されると思われますのに、あまりにも現在の価格政策というものは個々ばらばらな状態になっているのではないか、従ってそういう立場で価格政策を——農業構造改善事業の事業そのものとは申しません。そこははっきり区別しておきますが、それのアベック政策として考えるならば、その価格政策というものは、おそらく重要農産物の価格政策あるいは農産物価格安定法というような形で、その相互の重要農産物の間での有機的な関連を持たせた価格政策というものが立てられなければいけないのではないか、また立てられるであろうというように考えるわけであります。  時間になりましたので、以上で終わることにいたします。(拍手)

秋山利恭自由民主党

○秋山委員長代理 矢島武君。

矢島武北海道大学教授

○矢島参考人 ただいま桑原さんが農業構造改善というような名前負けがしているというお話でございますが、私も同感でございます。しかし名前負けかしておって、あまり買いかぶる必要がないという割り切り方をすると、実はあまり申すことはなくなってしまうわけでございまして、私はやはり文字通りの構造改善ということをまじめに追及し、意図するという受け取り方で若干申し上げたいと思うのでございます。  それで、構造改善をするにはいろいろな筋道がございますので、それにつきましては、衆議院からこの間送っていただきました例規集などにもその筋道は一応通ってございます。たとえば事業を興す前に基礎調査をしなければならぬということがちゃんと出ておって、その基礎調査に基づきまして計画を立て——計画というのは、英語で申せば三つ違う言葉になるわけでございますが、日本語では一口になっておりますけれども、それを三段階に分けて、結局実施計画まで持っていく、そういう建前になっております。しかしながらいろいろな制限がございまして、私の見るところでは、それを正確にやっておるものはほとんどございません。つまり基礎調査をせずに計画を立てております。そうなるということは、私はやはりあるべき筋合いとして問題だろうと思います。従って、できたところを見ますと、基準に合うように乗せて、逆に作文を書く例が多うございます。これでは筋がさかさまになるわけでございまして、基礎調査ということをしっかりやるということが前提でございます。ただいまもデータの問題が出て参りました。いわゆる収益率はどのくらいであるか、どういう形態に対してはどういうことであるかということが出てないというお話がございましたが、それは基礎調査をして科学的な分析をすれば出る筋合いのものでございます。ところがそれがなされておらない。別の参考人の方もおっしゃっておったと思いますけれども、実はこれをやるということは、相当なエネルギーと知識と費用を要するのでございます。従ってこれはよほどの機動力を持たせるということをこの際特に御考慮いただきたいわけでございます。  私、北海道から参りましたが、北海道の例といたしましては、町村長の中には、そういう筋道をしっかりわきまえておられる方がございまして、それは今急にやったって問題がしっかりつかめないだろう、従ってまず最初の一年間、二年間というものをみっちり基礎調査をしまして、その上でしっかりした計画を樹立したい、こういう考え方を持ってこられております。私どもはそれに対してできるだけの応援をするということでやっておりますが、結局相当の専門的知識をこの場合必要とするわけでございます。それで、そういう態勢になっていない。アメリカの場合は、たとえば大学の農学部と、それから試験場と、それから普及体制が一体化しておりますから、うまく機能的に動きますけれども、日本の現状はそうなっておりませんので、そういうようなことで、私どもが、たとえば構造改善の基礎調査をして計画樹立をするという、専門知識を要する部分に対してお手伝いをしようと思いましても、文部省は予算をつけておりません。従って実際にはなかなかできないというようなこともありますし、また農林省もそういう計画ではないようでございます。こういった点をもう少し何か機能的に動かし得るような状態が必要ではないか。アメリカあたり、コンサルタントの会社がございますが、そういうことも一つのアイデアでございますけれども、そういったものをしっかりやらないと結局だめなのでございます。そういう筋道が時間の関係とか、人員の関係とか、いろいろなことで、多少言い過ぎになりますかもしれませんけれども、ごまかしみたいな形になって遂行されておることは、私の立場からいえばはなはだ遺憾であると思いますので、この点は何とか筋道を立てた体制を一つお考え置きいただくということが重要な点であろうと思うのでございます。  それからさらに基盤整備につきましていろいろ問題があるわけでございますけれども、たとえばその必要性をこういうことから御説明いたしたいと思いますが、主産地の形成ということがうたわれております。これは主産地を形成させるように持っていく、こういうことでございますが、主産地を形成するには、理論的に考えてもいろいろな条件があるわけでございます。その一つ、二つを申し上げますれば、主産地を形成するためには、そこで行なわれる経営というものは文字通りの経営になっていなければいけないわけでございます。との基本法の言葉でいえば、自立的な経営になっているということが前提でございます。それから流通市場というものが成立していなければならないわけでございます。それも相当広い範囲のマーケッティングができて、そうして流通上の障害がない、原則的な障害はそこにないということを前提として、初めて成立し得るところのものでございます。にもかかわらず、この主産地を形成させるということをうたいますけれども、その条件をそろえるということに対しては、あまり神経が使われていないように思います。たとえば、当然問題になってくる場合には、町村によって違いますけれども、非常に零細な農家、文字通りの経営になっていないような農家をどうするかという問題が先行しなければ、この問題は解決しないのであります。それに対する対策、つまり離農対策の場合もありましょうし、あるいは基盤拡大の対策もございましょう。あるいは土地利用の変更の問題も含めて考えなければならぬ場合もありましょう。そういうことを前提にしなければできないのであります。少なくとも理論上はできないのであります。それを、その基礎になることはあまり突っつかないでおやりになっておる。こういうことがございますので、名前負けがしてくるということも出てくる、こういうわけだと思います。  それから、いろいろ参考人のお話も承っておりまして、私自身非常に参考になったわけでございますが、大体その資金ワクの問題がいろいろ出ておりまして、総体的に見て足りないということでございます。足りないのでありますが、私ここで申し上げたいのは、現在の例規集にありますようなやり方についての問題でございます。それは、十八ページでございましたか、たとえば四千五百万円というものの補助金額を基準にいたしまして、それを——三百四十五というスタンダードの数字がここに出ておりますが、これを自乗したものとその当該の町村の点数を加算したものとを比べまして、そうしてそれを二分の一乗していく——ここらは非常にややこしいです。二分の一乗して補助額を算出する、こういう仕組みになっておるように説明されております。内容については、これだけを読んでおりますとあまり詳しくはわからないのでありますが、結果から申しますと、これはどういうことが出て参りますかというと、つまり点数に比例をしないのですから、一種の対数曲線みたいになります。そうすると、上の規模の大きいところほど相対的に損になります。具体的に申せば、私は北海道から来たから言うわけではありませんけれども、北海道などは非常に損になります。点数が多くても、たとえば点数がスタンダードの四倍にならなければ、補助金額は二倍になりません。逆に小さいところは相対的に有利であります。つまり点数が四分の一でも補助金額は二分の一になります。そういうことで、それは資金の効果ということでありますから、算術的に資金の効果は比例するものではございません。しかし二分の一乗するということが妥当であるかどうか、技術的な問題になって恐縮でございますが、非常に問題があると思います。そういう動き方にはならぬと思います。従って北海道のような単位の大きいところは、相対的に非常に苦労をするわけでございまして、現実に出ておるのは、資金がもう少し何とかふやせないか、こういう問題でございます。  それからさらに別記点数表というのが出ておりますが、これを見ますと、専業農家換算一戸当たり二十二点、水田一ヘクタール当たり三十二点と、こういうふうに計算して参るわけでございますが、草地がないのでございます。これは北海道としては非常に問題でございます。草地がないのでありますが、大家畜は一頭当たり五点と、こう出ております。草地が出なくても、大家畜で計算されるという解釈もあるいは成り立つかもしれませんけれども、その場合は、その大家畜は主として草地に依存して飼われているということを前提にして考えなければなりません。ところがこれは現実ではございません。従いまして構造改善という、そういう前向きの問題から見まして、この取り扱いに対しては非常に問題があるだろうと感じます。ともかく、この草地を入れないということは、いかにも府県農業的であります。あるいは日本農業的であります。こういう問題について、もう少し御検討をいただいたらいいのではないかということを感ずるわけでございます。  そのほか、ほかの参考人がおっしゃいましたいろいろな問題がやはり私も申し上げたい中へ入ってくるわけでございますけれども、この実施基準に対して、これは平場のことで、水田を頭に置いて主としてやったものだろう、従って山村などではこれでは困る向きが出てくるというようなお話がございましたけれども、私どもは現実に北海道の事例でございますが見ておりまして、非常に困る場合が出ております。これは関係御当局の方、よく御存じと思いますけれども、実情に非常に合わない場合が出て参ります。基準は基準でございますから、それでいいのでございますけれども、相当の弾力性を持たすということがどうしても必要になって参るのではないかということを感ずるわけでございます。  それから、なおこれも他の参考人がおっしゃったかと思いますけれども、いろいろな機械などが例示的に出ておるわけでございますが、その機械に対して、一つの機械という技術に対しましても、試験場とかあるいは大学でもってまだデータがないものがもちろん出ているわけです。でありますから、技術体系が確立するとかなんとかいう以前のものがあるわけでございます。これは、あるべき姿としてはどうしても並行させてやる体制を強力に持ち込まなければならぬ。つまり大学でもよろしいです。あるいは試験場でもよろしいです。そういうものに対して、この機械はどういう性能があって、そしてどういう形態に対して適用する、あるいはどういう土壌のところに適用するというようなデータ、実験、試験を早急にやらして、そうしてそれと並行させつつ進めるというような体制が必要であろうかと思うのでございます。  そのほかいろいろございますけれども、私が最後でございますので、ほかの参考人の方が大体申し述べないようなことを申すということは、なかなかめんどうになりましたので、この辺で一つごかんべんをお願いいたします。(拍手)

秋山利恭自由民主党

○秋山委員長代理 これにて参考人各位の御意見の陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  なお、参考人各位に念のため申し上げておきますが、委員からの質疑に対する答弁の際は、その都度委員長の許可を得て発言されるようお願いいたします。  なお、委員各位に申し上げますが、田母神、桑原両参考人は三時に退席したいとのことでございますので、両参考人に対する質疑から先にお願いいたしたいと思います。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。足鹿君。

足鹿覺日本社会党

○足鹿委員 桑原さんと田母神さんが早く帰りたいということでありますので、まず最初に御両氏から御答弁を願いたいのでありますが、まだ他の同僚委員からもいろいろ御質疑あろうと思いますので、私は一般的な問題について若干お尋ねをいたしたいと思います。  午前、午後にわたって多数の参考人各位からの御意見の陳述を承ったのでありますが、その中で、今度政府が計画をしておりますこの計画の年限が十カ年で三千百市町村を目途として実施する、別にパイロット地区を九十二地区設ける、こういうことについて、その年限ということに対する御見解がどの参考人からもなかったように思うのであります。いわばパイロットといい、あるいは一般地域といい、それ自体が私は展示的性格を多分に持つものではないかと思うのであります。つまり、かりに一般地域で四十町歩の区画整理を平均にやったとしまして、三千百カ町村を十カ年にやったといたしましても、十二万四千ヘクタール程度しか基盤整備はできない。一方においては、国営なり県営、あるいは団体営等において基盤整備は進むでありましょう。しかしそれにしましても、わが国の基盤整備を必要とする面積は二百十万ヘクタールと一般に言われておるのであります。それらの率からいたしますと、まことにりょうりょうたるものであり、一面においては国営、県営、団体営たるとを問わず、その事業の早期完成ということはわれわれが多年要望してきておりますけれども、一向にはかどらない。団体営のごときは十数年、県営のごときもまたそれに前後するような、今後現在計画量の消化が困難だという状態にあるのであります。そういった立場から考えたときに、一方の主産地形成の問題はあとのことといたしまして、構造改善と銘打つからには、やはり基盤整備が先行していく形をとることが好ましいのではないか。これは私の見解でありますが、もしかりにそうだとするならば、十カ年計画ということではまことにまだるっこしい感じをわれわれは持つのであります。その点について特に御両氏に最初に御意見をお聞かせしていただきたいと思います。  それからいま一点御答弁なり御意見を聞かしていただきたいことは、田母神さんは現地でその指導にお当たりになっておりますので、特にお考えを聞かしていただきたいし、桑原先生からも先ほど投資効率の問題についてお話がありました。要するに主産地形成にせよ基盤整備にいたしましょうとも、大きな農家の受益者負担が伴います。かりにこれが、安孫子さんが指摘されておりました点はありますが、ある程度機械化が一貫体系的に進められたといたしましても、その結果は、省力という形で農家の労力が軽減され、楽な農業が実現する。しかしこれは雇用労賃の軽減ということよりも、むしろ重点は自家労力の省力ということになるのでありまして、そのこと自体は、省力することによって農家の所得増とは直接つながらないのではないか、かように私は思うのであります。従って、そういう性格を考えた場合に、資金の調達という面については、いい悪いは別として、問題点は相当たくさんありますが、一応形ができておる。しかしこれをどうして償却をするか、こういうことについては、私どもも計画書をもらって、私どもの県などこの間調査に歩いた際に意見を聞いておりますが、明確な償却の計画というものがないように私思うのであります。資金調達はあって、償却の明確なめどがないということは、これはいささかこの計画そのものも不完全ではないか、こういうふうに思うのであります。この点についてどのような御指導をなさっておるか、田母神さんにも伺いたいし、また学者として桑原先生の御意見を伺いたい。  いま一つ、農業が能率的な省力農法化していく、何年か先にそういう大きな方向が出ていく。そうした場合に、先ほども指摘いたしましたように、楽な農業という目的は一応達成される。しかし今指摘したように、これは自家労力の軽減が主である。とすると、そのことは直接農家の所得増につながらない場合に、要するに農村内部にその省力化した農業労力が現在の政府の基準では消化されるようにお感じになりますか、またはこれを農業外へ向かってその余剰労力を振り向けて、むしろ足らない償却等に充てなければならない事態も起きてきはしないかという感じがするのでありますが、この農林省がつくっておる基準そのものについて、あなた方が学者として、また実際家としての立場から率直なお考えをお聞かせ願いたいと思う次第であります。

田母神利衛愛知県農林部長

○田母神参考人 お答えをいたします。  まず第一点の構造改善計画の期間の問題、十カ年がはたして適当と思うかどうかというお尋ねであります。これは先ほど来お話がありましたが、実際問題としては、すべてのいわゆる作業体系なりあるいは技術体系そのものがまだ実施以前のものもあり、かつまた試験中のものもあるといったようなことで、早急に全面的に取りかかることはかなり危険があるといわざるを得ないと思うのであります。従いましてその意味では多少年月をかけることはやむを得ないと思いますが、私どもの見解といたしましては、十年先まで同じような事柄が継続するというのであるよりは、もっと短縮していただいた方がよいのではないかという気がいたしております。それは、その間にいろいろといわゆる経済界なりあるいは農業諸情勢の変化も考慮されまする関係から、やはり農業施策はなるべく同じ歩調でいくためにも、期間がより短縮されることが望ましいと考えられます。  それから第二点の、いわゆる農業構造改善によりまして自家労力が結局は省力化される、しかしこれは農業所得の増高にはならないではないか、従って具体的にはどういうような指導方針をとっておるか、あるいは聞き違いかもしれませんが、私どもの方でいい例がございますのは、実はこれはパイロットの地区のものでございますが、結局水田の省力経済化を、つまり直播等いろいろやるわけでございますが、構造改善によりまして相当に省力化ができるわけでございます。その余った、いわゆる自家労力の省力化した分そのものを果樹の方に一つ振り向けていこう、こういうことでやっておるわけでございます。  そこで今のいわゆる資金の償還計画がないじゃないかというお尋ね、これはまことに私としては痛いところを突かれたわけでありまして、あるいは私自身がまたその点よく知らなかったとも考えられますけれども、確かにこの償還の点は、それでは具体的にどういう方法で償還するのかということについては、御指摘の通り、あるいはまだそこに考えが及んでいないのかもしれませんが、しかし農林省がお認めになった以上におきましては、おそらく償還計画は十分書いてあるのじゃなかろうかと思っております。そういうことでございますが、ただしかし私考えられますことは、融資を受けるあるいは資金獲得をする以上は、当然いかなる場合でも返すことが前提でございますから、それの計画なくしてそういうものはでき得ないのじゃないかと考えますので、そういう計画はあると思います。ただどうして返すかということになりますと、私はやはり今のように成長部門を伸ばすことによって、その所得の方面から返すということに指導せざるを得ないと考えておるわけでございます。

桑原正信京都大学教授

○桑原参考人 お答えをいたします。  第一の問題でございますが、十年という期間が長過ぎるじゃないかということは、一般的に申せば、今のような変動の激しいときに十年という期間は確かにおっしゃる通りだと思います。ただ私は先ほどもちょっと触れましたけれども、いわゆる広い意味での土地改良事業というものは農業構造改善で拾い上げなければいけないというふうには考えるべきじゃなくて、もし農業改善においても重点的に見なければならぬとすれば、ほかの従来やってきました土地改良政策においてもやはり同じようなウエートを置いてこれを解決していくべきじゃないかというふうに考えておるわけであります。  それから第二番目の、自家労働を節約することは、結局機械化することによって節約しても所得はふえないじゃないかというお話でございますが、その問題を考える場合は二つの場合があると思いまして、今おっしゃる御意見が当てはまる場合は、いわゆる労働力の不足状態がない、とにかく労働が必要量、必要時において確保されるという建前においてそのことが言えると思いますが、しかしかりに労働力流出がオプチマルな線を越えて進んでおります場合には、そのまま放置すれば農業の生産は落ちるわけでありますから、それをカバーするという意味での機械の導入は一応経済的効果を持つものと考えていいのじゃないか。従ってその二つの点に分けまして、最後の場合においては機械化の経済性というものが考えられるだろうというふうに申し上げたい。  なお償還とかあるいは減価償却というようなお話がございましたが、先ほど田母神さんからもお答えがございましたけれども、およそ金を借りた場合に償還の計画を立てないとか、あるいは機械を導入した場合に減価償却という考え方がないというようなことは、そもそも経済人以前の問題であって、そういう者が農業の近代化だの企業化だのなんと言うことはまことにおかしな話じゃないか。そういう点で私は一つ具体的に、これはむしろ私は自分でやっております関係から希望を申し述べ、お願いをしておきたいのですが、やはりそういう問題に対処する、あるいは頭をそれこそ構造改善していく大事な手がかりは、農家が自分の経済についてはっきりした認識を持つということであって、そのためには記帳をやるということが先決問題じゃないか。私は、パイロットにしろ一般の地域にしろ、その中の何がしかの農家は記帳の責任を負うというくらいなところへ持っていかなければ、やる前とあとで一体どれだけ経済的な効果があったかという測定がおそらく困難じゃないかと思われるのでありまして、そのことを今の問題に結びつけて申し上げておきたい。  三番目は、余剰労力の利用が農村内部にあると思うかどうかという大へんむずかしい問題でございますが、これはそれこそ先ほど来画一的にものを考えるなという御意見がございましたけれども、画一的に考えることはきわめて困難だと思いますが、まず段階として考えますならば、いわゆる成長生産物的なものを導入する、さらにそれをアグリビジネス的な面にまで広げていくということが考えられる方向だと思いますが、しかしそれにも私は限界があるのじゃないかというふうに思われます。従ってそれから先になると、やはりある程度の農業外への転出を促進する対策というものが必要じゃないかと私は考えております。それをもって農民の首切りだというならば、おそらく日本の都会人のかなりのものは首切りにあって今日都会に出てきたものだといえるのではないかと思うのでありまして、自発的に選択して職を選び、また働き場を選ぶ、それに対して、その方向に沿ってできるだけ有利な安定した条件を設定していくということがその意味において必要になるのではなかろうかというように考えるわけでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 田母神さん、先にお帰りだそうでございますので、先ほどお話しになりましたコンサルタント協会のことについて、一つのアイデアだというふうに考えられるわけでございますが、その内容をもう少しお聞かせをいただきたいわけです。特にまた明年度県費の予算要求をその社団法人のためになすっていらっしゃるというような御説明もさっきあったと思うのです。特に農業改良普及制度は、きわめて不満足ではありますけれども、一応今ある国の仕組みの強化の問題も同時に考えられなくてはならないと思うのですが、その仕組みが農業改良普及制度の強化発展のために若干マイナスになりはしないかとかいうふうな反論もあるいはあるかと思いますので、そういう点も含めてその内容についてこの際お聞かせいただければ幸いだと思います。

田母神利衛愛知県農林部長

○田母神参考人 私が先ほど申し述べました中でコンサルタントの問題について触れたわけでございますが、私どもが目下検討中のコンサルタントの性格は、大体社団法人組織の愛知県農業コンサルタント協会というものをつくるということでございます。その中身は、いわゆる高級と申しますか、上級技術者十名、中級技術者五名、その他事務職員を若干含むものと了解していただいてけっこうだと思いますが、どういうメンバーが入るかと申しますと、いわゆる耕種農業はもちろんですが、畜産、園芸、農業機械、農業土木、それから建築関係等々、つまり農業構造の改善に関係のある技術者を招聘いたしたいと実は考えておる次第でございます。これは構想でございますので、そういたしますと申し上げるわけには参りませんけれども、私どもの構想としては、その人件費の大半と事業費の大半は県費負担にいたし、その他町村の委託を受けて行なう場合は、町村からは委託費をいただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  そこで、お尋ねの点の中で農業改良普及制度との関連性の問題でございますが、実を申しますと、コンサルタントは県にわずか一協会、しかもそれぞれの専門技術者が一科目一人といったようなことになりますので、そこではもっぱらその市町村の行なう構造改善計画についての基本構想の助言者になっていただく、こういうことでございます。従って、その場合には当然改良普及制度による専門技術員なり、あるいはその市町村を担当しておる農業改良事務所長等も参画することになろうかと思いますが、そういう意味でむしろ私どもとしては、今の改良普及制度の効果を促進するよう努めていきたい、かように考えておる次第でございますので、御了承いただきたいと思います。

足鹿覺日本社会党

○足鹿委員 三瀦町長の宮原さんは、何かお急ぎのようでありますから、もう少し突っ込んでいろいろお尋ねしたい点もあるのですが、やむを得ませんので、一、二お尋ねしておきたいと思います。  午前中からいろいろとお話を聞いておりますが、あなたのところは、最高一町五反、少なくとも四反ないし五反の大区画整理をやっておられるのを、私ども現地で昨年拝見をいたしまして、その熱意なり、その総合体制化された実践力等には敬意を表して帰ったわけで、午前中のことでもよくわかっております。問題は、そういうことによって、水田の収益性が、はたしてさような基盤整備をまかない得るのかどうか。先ほどのお話によってもいろいろな機械をお用いになっておりますし、私ども昨年おじゃましたときには、福岡県の農地関係その他の諸機関が総力をあげて応援をしておる、まことにみごとな態勢であったと思います。そういう中にあって行なわれたあなた方の地区でありまして、今後の維持管理、またこれを進めていく上においては、相当の新しい機械等を要するであろう。それは町が持つのか、農協が持って管理するのか、あるいは土地改良区が持つのか、いわゆるこの収益性が乏しいのに、機械の償却等を入れた場合には、ますますその収益性を低め、従って、労働の生産性は上がっても、それ自体が農家所得の向上につながらない事態が起きはしないか、こういう点を非常に私ども見るわけです。従って、サービス・ステーションあるいはサービス・センター的なものをあなた方は第一線の町長として今後どういうふうにお考えになりますか。水田等の収益性の面において、大型機械の、その地区だけの共有ということを考えていかれるのか、あるいはもっと広い意味におけるステーション、県あるいはもっと広い地域における超大型のステーション、ある限られた、ブロック的にはセンター的な考え方が妥当であるかどうか、そういった点をこの際お答えを願いたい。  それからいま一つは、さような大規模なことをすでに実践をされたその後においての農家経営の実態はどうなっておるか。それは個々が分散して、旧態依然たる経営形態をとっておるのか、あるいは共同化を中心として大部分の協業化か、あるいは完全か、あるいは部分的作業共同化の形をとっておるのか、そういったような区画整理後における個々の農家経営との関係、それに対する協業化についての、あなたの体験を通じての御意見、そういったことについてお伺いをいたしたいと思います。

宮原幸雄福岡県三瀦郡三瀦町長

○宮原参考人 これは私の町で使った結果に基づきまして出した表でございますが、機械を全部そろえますと、総金額七百五十八万円になります。そのうち半分補助金をもらうとしまして計算しますと、減価償却費が三十三万三千三百六十円、修理費十六万六千六百円、車庫費四万九千五百円、金利九万円、付帯経費五万円、総計六十八万九千四百六十円というのを一セットに必要とするわけです。これが一年間の一セットの経費でございます。一セット稼働時間を年間四百時間として計算した場合には、一時間に千七百二十五円になります。これを一分間に直しますと二十九円、燃料費が一時間に百八十円でございます。これを一分間に直しますと三円、人件費一日千五百円に計算して、二人の運転手を確保した場合一時間三百七十五円、一分間六円五十銭、こういったものを計算の基礎にした場合、反当三千四百三十四円かかります。従って私は、機械は全部町で保有したいと思っております。現在の農協の段階では、人もおりませんし、運転手の身分の保障もできませんので、全部町で保有することによって運転手も常時一台に一人はつけておきまして、農繁期以外には、トラクターを尿散布——私の町に現在乳牛が四百頭おりますが、将来千頭まで持っていくつもりでおります。それで尿の散布にもトラクターを常時使いたいと思っております。それからあわせて現在消防自動車の運転手を町で保有するという消防法の改正もできておりますので、でき得れば運転手を消防自動車の運転にも併用したいと思っております。そうすることによって機械は大体三千五百円の使用料でもって農家に賃貸ししたいと思っております。そうしますと農家は年、種もみ、肥料だけを反当何ぼということで出せば、あとは三千五百円の賃工で現物が田の中で米になり麦になって手元に返ってくるんだという農業を考えております。  増収につきましては、区画整理することによって完全に暗渠排水が自由にできますので、三瀦地帯の地盤を近藤頼已先生に鑑定してもらったところが、当地方で排水事業さえ完全にやれば米は十二俵、麦ならば千斤は確実にとれるという先生の話でございます。現在米作日本一の出しておる米の数量を考えてみますと、やはり十二俵、十三俵はとれるようでございますので、私は決して夢ではなかろうと思っておりますが、現在では排水の不良のために麦が三百四、五十斤平均、米が八百斤平均でございますので、これをとりあえず、目標としましては米十俵、麦七百斤の目標にしております。そうした場合に区画整理に要する費用の償還としては、最低の農家の経済状態を考えた場合に年千円の負担ならば可能ではなかろうかということで農家とは話し合っております。そうしますと、大体反当一万円の農林中金の金を借りて、これを二年の据置、十五年の年賦償還の六分五厘の金利で計算しますと、大体一年間に千六十四円払わねばならないということになっております。それで機械の償還並びに土地改良事業の償還が、農家の負担金が一万円が限度であれば償還能力は決して不安ではないと思っております。  それから経営の問題ですが、実は現在実験農場でございまして、関係農家は二十五人、それぞれ区画整理をする前の農地と現在の農地は全く変わっておりまして、自分の農地はどこにあるのかわからないという現状でございます。換地処分もできておりませんので、現在では全部共同でやらしております。しかし農業は労務管理がなかなかむずかしゅうございまして、現在では全部地元の農家が機械の操縦から——もちろん試験場の指導も受けておりますが、肥培管理一切やっております。だれが働いたから増収したとか、だれが働かなかったから減収したということはなかなかつかみにくい関係上、やはりみなが働かぬでもよいという方向に進みたがるので、共同経営はなかなかむずかしいのではなかろうかと思っております。従って実験農場の契約が切れましたならば、そのときまたさらに経営については検討し直したいと思っておりますけれども、現在の段階では全部共同でやらしております。収益の配分につきましては、ことしの麦が、大体八時間労働に計算し直しまして、午前十五分、午後十五分、昼間一時間の休憩時間を計算して、実働六時間三十分ですか、それに計算して、トラクターの運転手、そういった者を千円、単純労務者の場合男五百円、女四百円と計算して労務計算しております。  以上でございます。

東海林稔日本社会党

○東海林委員 恐縮ですが一つ具体的なことを伺いたいと思います。御配付いただきました実験農場の概要、区画整理のことでございますが、一から二十三区に分かれておって、一区画が大小あるようでございますが、これは大体地形関係でこういうふうになっておりますのか、それとも所有関係でこういうふうになっておるのかということを伺いたいわけです。  もう一つは、現在所有関係について登記関係はどういうふうになっておるのかということをあわせてお伺いいたしたい。

宮原幸雄福岡県三瀦郡三瀦町長

○宮原参考人 それでは第一点についてお答えしますが、全国どこにでもあるような農村地帯を区画整理しましたので、しゃくし定木でやるようには参りません。宅地があり、農家があり、県道がありというので、どこにもあるような農村地帯を区画整理したために、やむを得ず大きいの小さいのができております。これは農地関係ではなくて、県道とかその他の宅地、そういったものの立地条件に支配されております。  登記の面につきましては全く手がつかぬでおります。というのは、急いで区画整理をやりましたので、換地処分の準備もできておりませんし、かつまた現在国土調査法に基づいて十年前から国土調査を実施しておりますが、認証事務が一年も二年もかかって、認証がなければ登記ができないということになっておりますので、非常に現地では困っております。認証がきたときにはすでに現地が相当当時の状況とは変わっておるということで、地積の調査からいろいろめんどうな事務が重なっておりますので、非常に困っておりますが、現地では近いうちに換地処分に入りたいと思っております。

稲富稜人民主社会党

○稲富委員 お急ぎのようでありますので、一点だけお伺いします。宮原さんの御意見を聞きまして、パイロット地区の指定、だいぶ熱意があるようであります。政府は、パイロット地区の改良希望があるので、これに応ずるのだという建前をとっておるようであります。パイロット地区に対する改良の希望があるというのは、どういう点からパイロット地区に対する改良という問題ができておるのか、またこれに政府が簡単に応ずるというような結果になったらどういうことになるか、こういう点に対する実情を、あなた実際にやっていらっしゃる面から御説明願いたいと思う。

宮原幸雄福岡県三瀦郡三瀦町長

○宮原参考人 農林省の通達は、きのう振興局長から御返事があったようでございますが、私にしてみますと、せっかくパイロット地域の指定をしたならば、今その態勢は間に合わないから一般地域になるならなれということではなくて、そうなった以上には一半の責任は農林省にもあると思うのです。というのは、実施基準が予定よりもずっとおくれて、末端では実施基準の認識が非常におくれたということのために準備ができてないというような理由もございますので、もう少しあたたかい目で、かりに自主的に計画ができない。パイロット地域があったならば、農林省とか県の全技術陣をあげてでも計画の樹立に加勢願えば、私は決して脱落するようなパイロット地域はないのだということを考えております。福岡県の場合をとって例を申し上げますと、もし私がパイロット地域をおりるとすれば、実験農場でやっておったけれども結果的にまずかったのだろう。また福岡県の市町村長としては、三瀦町長がやっておるので、あの結果を見た上で私どももやりたいということをはっきり申しております。従って、もし私がおりたとするならば、福岡県の平坦地の農業構造改善は、今後一切再び計画樹立には入らぬだろうということを考えております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿委員 あと参考人各位の二、三の人に伺いますが、最初に大久保参考人に伺いたいのであります。  一般的な問題としまして、先ほどの御陳述に法的措置を求めるという趣旨の御発言がありました。その意味をどのようにお考えになっておるか、たとえば農業構造改善促進法といったような、基本法関連法案という趣旨にお考えになっておるのか、もしそうだとするならば、それらの構想は一体どういうものなのか、あるいは別に財政上の責任を明確にすべきであるという趣旨の発言もあったように思うのでありますが、財政上の責任が明確になりきちんとしていけば、別に法的措置を必要と考えておられるのかおられないのか、むしろ大久保さんの言わんとしておるのは、その法的措置の内容というのは、財政上の責任の明確化を中心にした法制的措置をとれ、こういう趣旨に解釈していいのかどうか。これに関連して、時間の制約がありました関係上だいぶ省略しておられると思いますのでこの際御所見を承りたい。  いま一点は、田母神さんもそういう点に触れられ、大久保さんも触れられ、他の参考人からも触れられたと思うのでありますが、本構造改善計画の構想というものは、比較的平坦地中心であると、数氏の御発言は共通しておったように思うのであります。従ってこの基準適用は、山村対策としてはまことにむずかしい、こういう御趣旨の発言が皆さんからあったように思うのであります。しからばこの基準の立て方をもっと山村向きなもの、あるいは平坦地帯向きのもの、あるいはその中間のものというふうな基準の区別をして、そうして条件等についても勘案すべきであるか、あるいは百尺竿頭一歩を進めて、山村の振興法的な思い切った、この際——農業内部においての一番格差がひどく、そうして一番非近代的な生活にあえいでおるのが山村であり、将来も日本農業の中で条件は悪いが、最後まで残るものは山村農業であろう、このことは先ほどどなたかがおっしゃった通りだろうと思うのであります。しかるに現実はそれが一番あらゆる面で疎外されておる。私ども全く山村の立場の人々に同情を禁じ得ないものがありまして、同じ国民であって、そういうところに生まれたがゆえに、まだ政策や政治の手が伸びない、そうして農業経営としては非合理的な、人間としても非人間的な生存を余儀なくされておる、こういう実情だろうと思うのであります。それについて山村対策とこの農業構造改善との関連において御所見を承りたいと思います。

大久保毅一全国町村会経済農林部副部長

○大久保参考人 二つとも非常にむずかしい問題でございまして、法的措置というのは、これはわれわれが調査をいたしましたときに、末端の市町村から出て参った意見でございます。これの言わんとしておるところは、第一点は、農業基本法に基づいて中心的な事業として構造改善事業が登場して参っておりますが、これが農林省の通達という形で出ておる。言いかえると、これは農林大臣がそのときそのときに内容については考えればやれるものではないか、そういう不安定なものでは困るということが第一点でございます。従ってこれだけの事業をやろうとするならば、法律化してもらうことによって、一つの明確な事業の推進の態度というものがはっきりしてくる、こういうことでございます。  それからその次は財政的な問題でございまして、とかく従来の農林省の事業というものが通達で行なわれることが多かった、そういたしますと、たとえば現在でも問題になっております都道府県が上積みの補助をするというような場合に義務づけることができないではないかというような点で、国なり県なり市町村の場におけるそれぞれの財政と責任の分野が、法制化すれば明確になるのではないだろうか。さらに自治省との関係においても、いわゆる地方財政の問題としても同時に法制化されるということになれば、こういうオープンな場で論議されますので、農林省内部の措置としてではなくて、地方財政もからみ合わした討論が十分尽くされるのではないだろうか、そういう期待が出て参っております。  それから第三点としては、やはりこういう重要な事業については法律というものでやっていただかないと、末端に対する説得なり、特にこの事業は今の段階では相当行政的な指導の部面がございまして、そういう市町村長の行政上の責任あるいは力、こういうようなものがバックアップされないのではないか、こういうような考え方が内容にあるようであります。従ってそれが農業基本法に関連する農業構造改善立法であるとか、法律の構想はどうであるとか、そういうところまではいっておりませんで、現在の実施上のいろいろな問題から出て参りました一つの解決策としての素朴な意見だ、こういうふうに考えております。  それから山間地対策でございますが、これは先ほども私が申し上げましたように、現在の実施基準では平坦部中心でないとやれないのではないか、こういうことはいずこの市町村でも考えておるわけでございます。それでは山間部に対して一体どうするのかという前に、最初私が申し上げましたように、この構造改善を進めるにあたって、一体農業経営というものはどういうものであればいいのか、農民農家というものはどういうものかということを、もう一回ここで振り返っていただきたいと言ったのはそういうことでございまして、実際山村に入ってみますと、生活程度も非常に低い。それから、従って若い人はほとんどおりません。残っておる人も技術水準も低い、資本も持たない、こういう条件の中で一体どうすればいいのか。よく私はそういう農家の方に言うのでございますが、こういうふうに世の中が変わってきておるのだがあなた方はどうするつもりなんだ、こういうことを聞きますと、何でもみそとつけものさえあればわれわれは食っていけるのだ、そのうちに政府は見殺しにはしないだろう、こういうような非常に単純な考え方でございます。そこで申し上げたいのは、一体こういう山村の非常にミゼラブルな生活をなさっている方々が、いわゆる農業政策の場における農家と言い得るかどうか、これが農業政策で救うべきものかどうか、こういう問題が一つ出てくるのであります。  それからもう一つは、ほかの参考人も申されましたが、林業との接触点があると思います。国有林問題は午前中申し上げましたが、最近ではせっかく開拓パイロットなんかで耕地を開拓いたしましても、資本や技術がないために、再びその付近の資産家に買われて、その土地が山林化しつつある、そういうような現状も私見ておりますが、そういうふうにだんだん山林というものが大きな山持ちの手に集中されている。それからもう一方ではパルプ会社のような大資本が入りまして、山ごと買っておる。さらに国有林は依然としてある。そこで従来山林労働というものがそういった人の大きな収入になっておりましたが、最近ではいろいろな機械が入って参りまして、山林労働の場からの締め出されを受けている。特にパルプ会社等で買いました面では非常に機械化が進んで参りまして、山林労働の食う場が全く締め出されておる。こういうようなことで、林業との関係の場でもまた締め出されざるを得ない、こういう問題が出ておるわけでございます。そこで、そういう国有林や少なくとも公有林というような場で、そういった人たちの生活というものが何とか経営を拡大できないだろうかというような問題も出てくると思います。従いまして、構造改善事業そのもので山林問題が直ちに処理できるとは考えません。午前中にも申しましたように、構造改善事業というものを一体パイロット的な方式で貫こうとするのか、あるいはどの地域にも適するような一般的な構造改善事業として持っていこうとしているのか、そういう姿勢のとり方で考え方が変わってくると思いますが、少なくともこういう山村地帯に非常に集約的に問題が出てきておるということまではいえると思います。それでは山村振興法をつくったらどうか、こういうことでございますが、これはかつての地域立法がいろいろたくさん出まして、最終的には平均化がされてきたような実例も見ておるわけでございまして、こういう山村の問題をどのようにするかということについては、やはりいましばらく問題の出方を詳細に調査した上でないと結論が得られないのじゃないか、こういうことでございます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿委員 もう一、二点だけ各参考人に一括して申し上げますので、それぞれ御答弁をわずらわしたいと思います。  桑原田の菅野幸夫さんにお尋ねをいたしたい。これは農協関係との資金調達上との関連もありますので、もし農協関係でこれに関連して御答弁があれば一緒にお願いしたいのですが、先般、私どもが正式に衆議院から菅野さんの現地へ伺いまして、いろいろと現地で座談会を開き、その御苦心——国の施策に先だって行なわれたその御苦心のほどをいろいろと聞きました。いろいろ聞きましたが、その中で一番私どもが痛ましく、かつお気の毒に存じ、何らかの対策を講じなければならぬと痛感をいたしました問題は、この資金調達に非常に苦心をされたお話を聞きましたが、きょうは時間の制約上きわめて簡単にしかお話がなかったようでありますけれども、これは資金調達の円滑化の上からいいましても問題がありますし、将来農林金融のあり方の問題、全体的な金融のあり方についても重大な問題でありますので、自己調達分の資金はどうして調達をされ、その手続等は、どういう経過でどういう苦労があったかといったようなことについて率直にこの際お話を聞かしていただきたいと思います。要するに、その資金の条件等もさることながら、それ以前の問題があるように承りました。それを端的におっしゃっていただきたいと思います。  そこで最後に松村さんと新潟県の中頸城郡の土田さんに農協関係として一括して伺いたい。それは、きょうの皆さんのお話を聞いておりますと、必ずしも中央・地方ともに農協との協力態勢、またその他の団体との協力態勢というものが円滑に強力に進んでおるとは受け取れがたい節が多々ある。たとえば中央においては、政府がこれを推進しておれば、農協系統は団地構想を発表して、事務当局とは話したという松村さんの話である。であるならば、なぜトップ会談を行なわないのか。これだけの大きな問題を、日本農業の構造改善をしようとして、とにかくその内容の是非は今後われわれが検討をしなければならぬが、真正面から農林省が取り組もうとしておるときに、農協は事務当局と話をした程度で事が済まされるのか、もっとトップ会談でも他の団体にも呼びかけ、あらゆる対策を講じて、中央にも農林省が構想を発表すると、何か陳情団体を便利化していくような対策協議会を設けるというようなことでは済まされないのではないか、その人々の努力は非常に多といたしますが、今のそうしたあり方ではこの大事業の推進態勢としては不十分である、われわれはかように思うのであります。そういう点について農協は——松村さんの答弁には一定の限界があると思うのでありますが、これは農協を代表しなくてもよろしい、団地構想等について最も苦労をされた松村さんが全中においてこの問題と取り組んだ経過の上からいって、中央・地方における国、都道府県、市町村、農協その他の農業団体との協力態勢はどうあるべきか、この点について松村さん及び土田さん御両氏から、農協の立場から一つ御所見をこの際御開陳願っておきたいと思います。これが二点。  第三点でおしまいでございますけれども、これは各参考人の御公述に共通した問題でありましたが、価格安定の問題、締めくくりとしての価格安定の問題がございました。この点について、現在価格支持政策が行なわれているが、日本の農産物価格対策というものは、明確な価格支持政策として受け取れがたい段階であります。いわゆる対策であるかもしれぬが、支持政策としての明確化を欠いている、いわゆる安定帯主義であります。いわゆる一本で支持をしているかどうかは別として、内容によりましては、米や麦は安定帯でなくして一本でいっておりますが、あとのものは少なくとも安定帯主義である、そういう方向をたどっておると思うのであります。むしろ支持制度から安定帯方向へ、そうして需給調整機能を発揮することによって価格の安定を得ようという方向にあるように思う。そういう中にあってわれわれが考えられることは、農協の果たす使命というものはきわめて重大であろうと思う。生産者団体としていわゆる生産の自主規制の問題もあろうし、あるいは時期別、あるいはその他一切のすべての共販体制の強化充実等あらゆる面において、一方においては政策的な、十分な政策がなくても、生産者団体の活動によって、つまり具体的に言うならば、共販体制そのものが具体的に価格をどう有利に農家に与えるか、いわゆる農家所得に具体的に共販がどう有利に寄与することができるかということであります。現在の共販というものは系統共販という名前がある、系統購買という名前がありますが、しかしそれは名前はありますけれども、たとえば具体的にいって現実に農家の所得に何ほどのプラスをしたか、それのなまなましい現実の数字というものはなかなかないようであります。そう一ぺんにわれわれはできないと思うのですが、全体として大きく寄与しておることはわかりますけれども、今後は、共販体制と申しましても一つの国の今志向しておる方向は一本支持ではない。一方における市場操作、それには生産の自主調整と出荷の調整操作等でもって需給を円滑にかつ有利に調整することによって価格を適正に安定化せしめていこう、これに政府は期待しておるようであります。もしそうだとするならば、現在の農協体制というものは、これにこたえ得るようなどのような決意、対策がありや。特に今度のこの計画が非常に画期的なものであり——その中身には幾多の問題がありますが、少なくとも画期的なものだということは言い得ると思う。これの締めくくりになるものは、結局政府だというよりも、経済行為に直接結ばれていくわけでございますので、農協の立場から今私が指摘したような価格安定対策のあり方、その中に占める農協の役割、たとえば具体的に言えば、共販体制が具体的に農家所得にどのように寄与でき得るか、その限界といったような点について、これを御両氏に承りたい。特にこの点について、安孫子知事なり矢島先生その他の方々からも御意見がございましたならば、どうぞ一つお聞かせをいただきたいと存じます。  以上これは重要な点でございますので、決して御遠慮なさらずに、名前としては直接御指名は申し上げませんが、ぜひ御意見があろうと思いますので、お聞かせを願いたいと思います。以上でございます。

菅野幸夫兵庫県加西郡加西町桑原田区長

○菅野参考人 ただいまの資金の関係に関して、私の方の部落において現在やりつつある資金調達に関してのことでございますが、現在近代化資金としては一千四百八十万円しか借っておりません。現在、あとの分は申請中でありますが、この近代化資金にいたしましても一番最初に申し上げましたように、最初はただ部落民全員の判を並べて出せばいいということで信連の方にお願いしたわけです。この近代化資金といいますものは、単協の自己資金でもってまかなえるところはそれでいいんだが、その他のところは信連の方に依存しております。私の方としましてもその約七割五分ほどというものは、信連からきておるわけです。残りは単協の自己資金で融資を受けております。これに対しても、最初はただ全員の判だけをそろえればそれで貸してやろうということだったのです。ところが、いよいよ金がくるということになりますと、それにはいろいろな担保を提供しろ、それも私の方は最初に信連の方とも話し合いをしたおりには、その目的担保でとっていただきたいということをお願いしたわけです。事実は草地造成とか畜舎の建築とかいうことに関係して使うのですから、実はその土地あるいは建物自体を担保にとっていただけばけっこうなんです。しかし田を出せ、畑じゃなくして田でなければいけないということです。そうしますと、田を提供するということになりますと、一般農家の田というものは、私の方には四十町、五十町近い田はありますが、その事業に参画しない人の田は出していただけない。それとおじいさんあるいはお父さんで、なくなられた方の名儀で田が現在残っておる。そうしますと登記所に行っても今の間に合わない。登記しなければ担保設定ができないという実情であります。いまだにその登記ができておりません。  それから農林漁業資金を現在八百四十万円申請しておりますが、それも全部担保設定までしております。しかしいまだに金はきておりません。資金の申請をしましたのは、本年五月でございます。五月に全員判をついて申請しましたが、信連の方からその割印が足らないとかあるいは捨て印がないとかということで、五十三名の者が一つの金を借るのに一枚の紙に八つないし十ぐらいの判をつくわけです。そしてまるで七夕さんのビラみたいにまっかになるほど判をついて、その判の数を数えて、一つ足らなければいけないというようなことで、あまりにも机の上のといいますか、形式的にとらわれ過ぎやせぬか。実際印鑑証明まで添えて出した判なれば、その自分の氏名捺印をすればいいんじゃないか。あるいは割印にしても、その最初の人と最後の人が割印をしておればいいんじゃないか。それに捨て印が全員そろわなければいけないということに問題があろうと思います。五月出した書類が八月になって返ってきたわけです。三月三十一日の決定を受けておりましたものを、五月に出してそれで九月末で日限が切れるわけです。六カ月しか猶予期限がありませんから、五月に出したものが八月に返ってくる。八月からまたその書類を全部ほごにしまして、また新たに判を取り直した。八月に判を取ってそろえて九月に出そうとしたところが、農協の方は受け付けてくれません。農協が受け付けてくれないと、そのままになっておりますと期限が切れてしまいますので、部落全員農協に陳情に上がりましてお願いして、それを受け付けていただいたわけであります。受け付けていただいたが、そのおりには担保権の設定というものは言われなかった。農協は念書でよろしいからというので、担保権の設定は問題に上がっていない。しかし三十一日のぎりぎりの日になってから、担保権の設定をしろ、それをしない限りは金を出さないということになって、日が切れてから担保権の設定ということを言われたので、あわて騒いでやったところで間に合わないということで、期限の延長をお願いして、二十日間の延長をお願いしたわけです。それなら十月二十日までにその書類を全部そろえろということで、担保権の設定も代書人にお願いして全部登記も済ませました。登記は済ませても、それには次に五十三名の担保権の設定証書が要るのだ、承認書が要るのだということで、三重、四重にも、同じ一つの資金を借りるにしても、印鑑をそろえなければならない。最初担保権の設定でなくして、念書だけでいいということだったんです。しかし、それが念書だけでよかったら、そのまますでに資金も全部入っているはずなんです。それが途中から担保権の設定ということに変わってきたわけです。信連さんの方へお聞きし、また公庫の方へ聞いてみますと、公庫の方は何らそういうことは要求していないということで、農協役員会において決定されたことを重要視しているのだということでございます。その事業の資金の融通をするかせぬかということは、公庫でいかに貸してやろうと言われても、それは単協の役員さんの腹一つにあると思うのです。単協の役員さんがあくまでもそれを貸してやらないということならば借れないわけです。それというのは役員自体が、理事さんが個人責任で保証印を押さなければならないところに問題があるわけであります。これは農協組合長の判で借れるならば役員さんはそうむずかしくないと思います。しかし個人保証というところに、役員さんが三年なら三年の年期が済みましても、あとに二十年の期限があれば二十年間その保証をせなければならない。かなり年をとられた役員さんになりますと、自分がなくなったあと子に借金を残すようになるということで、非常ににむずかしい点があろうと思います。この点につきましても、近代化資金、農林漁業資金というものはそういう問題がかなりあると思います。今後資金の調達ということにつきましては、今から先どんな事業をやられましてもこれが問題になろうかと思います。これはわずかな金額でしたら担保の提供はあえていといません。私の方の部落にしましても、現在提供しておる者は約半数以上の田を提供しております。全部担保に入っております。それも現在現存している人の田のみしか入れられないわけです。その次に借り入れしようと思っても、それに対しては担保提供といわれても担保を出す田がないということになっております。そういうような事情でありますので、やはりこういう制度資金を利用するということになりますと、それだけの何とか特別の便法を設けてほしいということをお願いしたいわけなんです。

松村正治全国販売農業協同組合連合会園芸畜産調査室長

○松村参考人 足鹿先生からだいぶむずかしい宿題を出されたわけですが、まず第一点は、今度の構造改善事業と農協関係、特に農協協力関係、そういうことについての決意のほどは一応質問の形で出されておると思います。われわれが先ほど御説明申し上げましたが、一年ぐらい前に一つの団地構想というふうな格好で、系統的に生産流通を一体化して、しかもそれを上下につなぐというふうな意味で、これは当時われわれの方で展開しました体質改善運動の一つの基盤でもございますけれども、そういう関係で展開しておりましたところに構造改善というふうなものがきたわけでございまして、われわれとしてはやはり構造改善自体が、先ほどからいろいろそれぞれ問題になりましたように、それは農家の所得につながるというところにわれわれとしては最後の目標を置くべきであるというふうな、われわれの団地構想の考え方を変える必要はないというふうに考えたわけでございますし、構造改善を実施される政府の方でも、当然そういうふうなことは意見の相違はなかったものと私は考えております。それでそのためには、栗原参考人から非常に具体的な展開があったと思いますが、やはりそこに主産地というようなものがばく然とあるというのではなくて、そこに産地を主産地ならしめる一つの環境整備と申しますか、条件設定というふうなものを、われわれはその単協なり県段階なり中央段階なりに応じて体制をそれぞれ整備していく、しかもそれぞれの体制が有機的に関連を持つというふうなことから、共同というふうなものの実態との結びつきをつけていこうというような構想でございまして、構造改善におきましては、それが大体第一線の現場の市町村の段階、そういうところで一応問題が遮断されたというふうなところに一つの問題があることは、先ほど一応申し上げたつもりでございます。いわゆる系統性と経済性の、系統性の問題でございます。しかしながら現実問題として、政府の方で展開する一つの大きなこういうふうな施策というものに対応いたしまして、現場の方で一応生産段階で切れているようなものでございましても、われわれの方としてはそこでそういうものが現実に行なわれる場合の体制については、それぞれの中央なり県段階なり、あるいは市町村の段階で、まずわれわれ自身のこの地域農業と申しますか、そういう品目別に編成された新しい体制の農業というふうなものを、農協みずからもやはり当然そういうものに書くべきである、こういうふうな要請はわれわれの系統からも、年ごとの大会等においてもそういう要求もございましたし、単に政府の出てくるものに反対するとか賛成するとかいうふうなことじゃなくて、積極的な意味を持たして、新しい農業経営を中心に築く、その上で新しい農業のいろいろな体制というものを築く、そういうことからくるところのいろいろな要求というものを、前向きの農政の要求としてつないでいこうというふうな試みが、昨年の初めから主として営農改善を中心にしてなされたわけですので、そういうふうな体制をわれわれとしてはつくるよう要請してございます。  なお地域性の問題にいたしましても、数単協が共同でこれを受けとめなければならぬようなものについては、県段階の支所、場合によっては数単協の共同の形でそれを処理していく。場合によってはその中の共同の体制というものが進んでいく過程で、初めて名実ともに合併の問題も前向きの形で進んでいく、こういうふうなことで、できるだけ構造改善というようなものを、そのいろいろ計画を立てる場合には、先ほど額の問題その他にもございましたように足らないわけでございますから、そういう構造改善事業というようなものを、その中に積極的にむしろ取り入れるよう、弾力ある運営を期待してこれに協力する。ただし単にそういうふうな農民の方——われわれはもちろん自主性というものをほうっておいて、農家から希望があるというふうな意味の自主性を申し上げているのではございません。むしろ問題を提起して、そしてそこから説得して、そこから上がってくるような、それでいてそれをやろうというふうな機運をつくり、そこから計画をつくっていく、そういうふうな実例も事実進んでおります。ところがいろいろな手違いからそういうところが指定されない、あるいは一カ所に、たとえば香川県のごとき園芸の、ある程度果樹の団地をつくるような場合に、それを五カ所に散らばすというようなことでなくて、その性質上一カ所に五カ市町村まとめるならば、そういうふうな運用の仕方はやってほしいというような現地の要望も出ておりますけれども、私たちはそういうふうな現地の要望の方が正しい、こういうふうに考えているわけでございます。そういう意味で、これが出ましたときにわれわれがすでにこういうものに対してはそういう判定を下しまして、構造改善についてはやはりそういうような生産、流通一体であること、同時にそれは組織性というようなものに結びつく、この二点からできるだけ県の段階においていろいろやってみたわけでございますけれども、計画は末端から上に上がり県段階を通じて中央の方に参ります。中央の方では農業構造改善事業協議会というようなものもできてはおります。しかしながら実際個々の具体的な計画それ自体につきましては、県の実情その他もございますので、おそらく県段階の場でその計画について相互に意見の調整をはかるということでないとちょっと手おくれになるのではないか、そういうふうな考え方で県段階のすでにこういう団地造成、主として畜産関係でございますが、そういうふうな共同対策等のできているところの、あるいは営農改善の専門委員会というような格好で内部的な体制の整っているところ、そういうところでは直ちにそういうものが県段階と連絡をとって相互の調整をはかっていく、そして事実問題としてはどっちが先かあとかという問題の前に、やはりそういう計画を持っている単協もございますし、地域もございますから、そういうものをできるだけ県の方でもダブらしていただくというふうなお願いを一応やっているわけです。ところがうまくいっているところは非常にうまくいくのですけれども、これは農協が手伝うんだとか、これは県だけが手伝うんだとか、そういうふうなくだらない問題がいろいろあるところもあるようでございます。事実私どもそういうところにぶつかったわけでございますが、そういう点の調整については中央でできますけれども、具体的なそういう計画自体の場所の問題、年限の問題、調査の問題、そういうふうな問題についてはやはり県段階で一応やらないと、現地の実情にうといということでそれをやっていっている。特に足鹿先生から、これは事務当局の段階でなくて、双方とも大きな構想があるのだからトップ・クラスの会談に移すべきではないかという御指摘でございますが、これはまさにその通りでございます。ただ政府の答弁を聞いてみますと、最近事務当局の方でも構造改善だけで、農業政策を全部考えているのではないのだ、構造改善プラス・アルファという格好であなた方の希望というものはかなえてあげるのだというふうな言い方をされますので、私どもも事実そうだと思いますけれども、ちょっとそういうことが具体的に食いつきにくいという点があるようでございます。従いまして、われわれは構造改善に対してそういうふうな考え方で、市町村あるいはそれに関連する市町村の協議会、それから県段階の協議会、これは農協だけでなくて、関係機関が入りますし、また必要によって農協自体の集まりも持つということでこれに対処していきたい、こういうふうに考えているわけです。  それから、こういうものができ上がった場合の農協の共販体制との関係について御質問があったと思います。そういうふうな御質問がございますと、いよいよ生産、流通というものが、とにかく種をまくところから、農家のふところに入るというところまでの一貫したものがないと、足鹿先生の御質問に対してはお答えできないわけです。私も価格支持制度については、支持制度自体は、これは私の個人の年来の意見でございますが、需給のバランスでまん中に線を引くというようなことは、一つの政策としても無意味でありませんが、ちょっともの足りないというふうに考えております。それは私がやはり経営とか営農とか、そういうふうなことを、いろいろその立場から見てみますと、やはり農業政策というものが価格安定法の中にないということを非常に痛感するわけでございます。それは国がやはりこの作物については需給その他の面から技術がおくれている、これはもう少し金をかければ将来生産力は伸ばせる、あるいは市場は拡大する——米については相当な研究が行なわれておりますけれども、ほかのものについては、そういう面が相当未開拓の分野として洋々たるものがあるわけです。やられなかったということが、今後やればできるという可能性の問題につながるという前向きの形で期待の持てるものがあるわけです。そういうふうなもの等を勘案いたしまして、やはりそういうふうな農産物についての政府の農業政策としての一つの価格体系、栗原先生もそれをおっしゃったのだと思いますが、単にあるもののまん中を自動的にはかり出すというのではなくて、政府として、国としてこのものは市場が拡大するし、ある程度大きな市場が拡大はしなくても残る、しかもそれに対応する作物としての技術研究というものは、まだまだ非常にやり得る余地があるというふうなものについては、そういうものを勘案して、一応価格政策の面でも、それが農業の場合ですから生産力が一、二年で急に飛躍的に上がるというふうなことは斯待できないわけですから、しかしそれでも私たちが全中時代に行ないましたように、大豆については一石くらいの平均のものが、石岡地区等では、すでに三石というふうな線が出ておりまして、こういうものは黙っておってもオカボを追い出して大豆が入っていくし、そしてそのことが農家の所得を高めているという一つの形を、部分的ながら示している実例もあるわけです。そういうことを考えて、私たちは価格支持というものはやはり構造改善なりそういうものとの関連で、農業政策的な価格支持、何をふやし、どこでふやすのだというふうに、そういう意味ならば単に需給関係でまん中に線を引くというような価格支持制度ではおそらくないのじゃないかというふうに考えるわけです。  それから共販、そういうものについて、政府だけに依存する考え方ではないので、そこが足鹿先生の共販体制に対する痛烈な問題の指摘であったというふうに私は理解するわけでございますが、われわれがその営農団地というものを政府の場合は主産地、上まで体系的になった主産地ですね、単に下だけではなくて、そういう格好でいきますと、それはたとえば豚でございますれば、この前の豚は子豚の値段が非常に高くなった。それが一番豚の農家に影響を与えております。次に餌でございます。そうしますと、そういうふうに養豚経営というものに非常に影響のあるような今の経済の仕組みの中で非常に不安定な要素というものは、それぞれあるわけでございますから、そういうものに対する対策をわれわれができるだけ考えていく。それは一つは子豚の供給施設を現場の段階で考えるならば、県段階ではそれに供給する一つの種豚の対策を考えていく、全国段階ではランドレース、その他の原種問題を政府等とも協力して考えていく、そういうふうな生産におけるほんとうの形態、系統性それから販売等についてもそうでございます。やはり鶏であるならば廃鶏処理施設、あるいは豚であるならば糞尿の処理施設、そういうふうないわば都市と農村、農村では豚の場合むしろごみ皮の方が大きなウエイトでありますし、都市付近では豚の場合には糞尿が大きな要素であるというように、地域でそれぞれ違いますが、とにかくそういうような問題を取り上げていって、そういうことでわれわれはそこにおける養豚なり基幹作物の経営をある程度保障する、武装する、装備する。そういうものの中に構造改善というものは入り込んでくるというふうな格好で構造改善に期待したい。そういうようなことからどういうふうなことができるかというと、やはり今の市場経済の中では一ぺんにはいきませんけれども、そういう格好でつくり上げていくという考え方が、われわれのいう営農団地の問題でございまして、それは必ずしも非常に新しいことを言っておるわけではないのです。ただ主産地というものに意欲的にそこに主産地を主産地たらしめる条件を系統的に整備していくということでございまして、そういうものがやはりできるならば政府の政策においても望ましい、こう思うのです。  大久保参考人の方からは、土地基盤整備については、むしろ全額国庫負担が望ましいということでございましたが、私もまさに同感でございまして、そういう趣旨のことを申し上げたのですが、同時にまだ今の技術段階では冷蔵とか、その他経済ベースに合わないが、そういうものを安定するために必要な金のかかる施設がございます。そういうものについてはやはり考慮する必要がある。そうしますと、今の構造改善では救済できない、こういう問題も若干小さい問題としてございます。しかしながら、われわれが言ったような格好でそういうふうに一つのいろんな生産から流通から、いろんな意味でそこの個別経営を何と申しますか装備するような体制をつくって参りますと、そこで初めて生産の計画とか流通の計画化とか、そういうものが可能になります。そういうものを拾い上げた後にそういうものを集めて、初めて生産調整とかあるいは出荷調整とか、そういうふうな究極なものにまで持っていく。そういうものにまで持っていく努力は続けますが、同時にそういうものは一度にはできない。進み方は漸進的にいくわけですから、やはりそういう不安定な要素というものを価格政策で保護していくというふうに農協の少なくともわれわれの団地というところでは、少なくともそこにおいては種から同じものが同じ技術で同じとき定期的に出てくるということで、市場価格も高く売れるというふうな格好で今後出直していこうという体制を事実品目別に組んでいこうという体制でございます。今、畜産物についてやりまして、目下全中の方で稲作と蔬菜それから生果というふうにむずかしい問題を一応そういうふうに組み立てていって、そういう受け方で受けていきたい、そういうふうに考えております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿委員 土田さんが御答弁になる前に、特に私から土田さんにお願いしますが、先ほど菅野さんが判この問題でお触れになったと思うのです。非常に印鑑証明をとって、判こを全部割り印をとらなければ受け付けない。もうほとんど押す余地もない、だれの判だかわからないようになるまで、まっかになるまで押さなければならぬ、一つ落ちておっても突き戻される、こういうようなお話があったわけなんですね。そういった——今の松村さんの話は中央の全体的な農業構造改善に対する農協の基本的な態度なり今後の取り組み方なり考え方をただしたわけでございますが、菅野さんがそういった点で実際にいろいろ苦労されたこと等に照らして、あなたの村における農業協同組合長としての資金の調達、融資上の手続の状態とか、そういったようなことにも言及をしてお話をしていただけば幸いかと思います。念のために……。

土田三男新潟県中頸城郡頸城村大瀁農業協同組合長

○土田参考人 それでは御答弁申し上げます。  第一点の、前半で御質問になりました農業構造改善に対して、この事業に対して農協があまり協力的でないように見受けられるが、その点はどうか、こういう問題だろうと思います。この点につきましてはすでに松村さんの方で詳細に、いわゆる県段階あるいは全国段階の立場からの御答弁がございましたが、市町村の段階にございます私の立場で申しますと、特に今回いわゆるパイロット事業を承認していただいた第一号と申しますか、しかもそのうちの乾燥調整共同施設がすでに完成しておるというような立場から私の御意見を申し上げた方が手っとり早いと存じます。  私の頸城村では、この農業構造改善の事業の計画を国から県へ流された当時の村長が現在の村長でございません。山田という前村長でございます。昨年改選になりまして現布施村長にかわったわけでございまするが、私はこの二代の村長ときわめて密接かつ協力的な姿で今日に及んでおるわけでございまして、幸いにいたしまして、村では村長のみならず役場吏員と農協職員の間あるいはサービス・エージェントの間、いろいろな村内の関係者がきわめて緊密な姿でございまして、こういう農業関係の仕事をする場合に備えまして、頸城村農業振興協議会というものをつくっております。もう五年ほど前からつくっておりまして、村長が会長になり、農協の組合長が副会長というようなことで、むだな金の使い方をしないように、できるだけ効率の上がるような仕事の進め方をするようにということで、きわめてこまかなことに至るまでやって参っておるわけでございます。そのような態勢でございますので、この構造改善事業か実施されて私ども申請いたします際にも、また認可をいただくまでのいろいろな曲折があったわけでございますが、この間さらに事業遂行の途次におきましても、先ほど御質疑のございましたような、村内に限っては両者が相いれないというような姿はなかったわけでございます。ただし新潟県におきましては決して冷淡というような意味ではないのかもしれませんが、農協の中央会を初めとする連合会が新潟県、しかも五百万石の米をつくろうという大きな新潟県のただ一つのパイロット地域である頸城村中部地区に対していささか熱が欠けておったといわざるを得ないと存じます。これはいろいろ原因があると思いまするが、遠因をたずねれば農業会が解散になりましてそれぞれ職務が分かれた。その後サービス・エージェントの制度が確立されまして技術指導は普及員がやるんだ。それから当時いわゆる勧業と申しておったのでございますが、現在の生産振興、農業振興に関する計画あるいはこれが振興の問題は町村がやる。農協が従来ずっとやって参ったいわゆる技術者というものは農家の経済という程度の小規模なところに重点を注いで、いわゆる経済団体の水先案内としての役割を果たすべきだというふうな色分けがされたやに承知しておったのでございます。当時農協陣営は不満であったわけであります。今日に至るまでその態勢がいいのか悪いのかという点につきましては、私も結論を出しかねております。そのようなことから今回の政府を通じ県を通じて町村がやるのだというようなはなはだ熱の入らない傍観者的態度に、ついはからずもなったのじゃなかろうかというふうに善意に解釈しておるわけでございます。しかしながら、私の承知している限りでは、私もその後強く協力を求めましたし、そういうことであっては、将来この事業がどんどん進展していくに従ってバスに乗りおくれたごとき立場になっては困るというようなことから、もう少し力を入れたらどうかというので協力を求めましたところ、その後非常に力を入れて相談に乗ってくれておるような現状でございます。  なお流通機構、共販体制等の問題につきましても、これは一単協の問題を離れておりまして、より大きな全国段階、全県段階の問題ではございますが、このことについては先ほどの松村さんのお話の通りであるというふうに存じまして、松村さんの論旨は私が承知いたした通り、いわゆる全販の動きというものが、流通機構の整備強化をすることによって農家の所得を増すのだ、しかも万一の恐慌等に備える支持価格というほどの強い線は直ちに出し得ないかもしれないが、やがてはそこまで到達するべく流通機構の整備強化を最終の目的として全販が先ほどお話のような態勢をとっておるのだということである限りは、私ども農協人といたしまして全面的に賛成でございます。  さらに一番最後の印鑑の問題でございますが、これは御案内の通り、印鑑は当然判こを押すべきところへ押さぬければ、農協がいいと言っても、単協がいいと言っても、あるいは農林中金その他県当局等で許可してくれないのじゃないかと私は考えておるのでございますが、それがいいというにもかかわらず農協が一枚の紙に十も判を押さぬけれは承知しないというようなことは、これはちょっとあり得ない話だというふうに存じます。私のところでそこに書いてございます榎井という部落がこの構造改善事業の百万円に相当する事業以前に、約三百万ほどで畜舎をつくって共同飼育をしておるのでございます。現在すでにやっております。その際に農協としましては、これは全面的にこのような先駆者的事業をやるところには、農協としてのもちろん法で許された範囲というものはございますけれども、その範囲内でできるだけめんどうをかけないで、しかも金額等についてもめんどうを見る、と言ってははなはだ語弊がございますが、御協力いたしましょうという態勢でやっております。その後ただいまの問題につきましても、百万円の借り入れについて御相談を受けているのですが、やはり同じような考え方で、場合によったら公庫の方からのよろしいという承認があまりおくれ過ぎて仕事に支障があるというようなことがあれば、農協としては百万くらいの金ならつなぎ資金としてあなた方の共同借用証で出しますからというふうにいたしております。そういうことは、もちろん私の近所ではございません。新潟県ではあまりないんじゃないかと思います。  以上でございます。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 ちょっと二問だけ土田参考人にお伺いします。  計画書を見ますと、四十アールにするか二十アール区画にするかで検討したが、傾斜地等があって、あまり広く取れないということで二十アールに落ちついた、こう書いてあります。トラクターやコンバインを導入する計画になっておるわけでありますが、二十アールくらいで計画的にトラクターやコンバインなどが一体稼働できるとお考えになっておるかどうかという点が、私どもふに落ちない点の一つ。  それから先ほどちょっと私の聞き違いかもしれないのですけれども、土地改良との関係は、信越化学等への出かせぎなどで、兼業農家が非常に多いことと、傾斜地等の関係で農林省は土地改良の方を認めなかったというふうに承ったのでありますが、この二点だけ伺っておきたい。

土田三男新潟県中頸城郡頸城村大瀁農業協同組合長

○土田参考人 お答えいたします。  第一点の区画の大きさの問題でございますが、ただいま石田先生が申された通り、二十アールでは機械の操作から考えて完全ではないということは、いわゆる識者がひとしく言われておるところであり、私ども先般も各種のメーカーからトラクターを持ってきてもらいまして、水田で実演展示会をやったのでございます。二、三回もすでにやっておるのでございますが、この状況を見ましても、やはり二十アールでは区画が小さいという感じがはっきりといたしております。しかるにもかかわらず、なぜ二十アールにしたかということでございますが。それなら一体何アールなら、何ヘクタールならよいのかという問題に関連してくると存じます。先ほど福岡でございますかの方から、少なくとも一ヘクタール程度というお話も出ましたですけれども、この問題について、私どもいろいろ申請の途中に農林省の方々とも議論と申しますか、御相談したのでございますけれども、一体三十アールが一番いいというのはどういう根拠ですかとお聞きしましたところ、現在日本の国に出ている機械の大きさ、その性能から割り出して一番いいと思われたのだ、こう言うのでございます。ところが、しからば現在出ておる機械というのは何だ。しかもまだトラクターならよろしいのでございますけれども、コンバインとなりますと、水田に入って縦横に成果を上げておるということは聞いておりません。先ほど申した通りでございます。役に立つものがないのにそれを基準にして田の大きさをきめたということは、国ともなるとはなはだえらいものであるというふうに考えるのでございますが、そういうようなことではなはだ根拠が薄い。そこで私どもは御指導に裸になってついていけないという気持が第一点でございます。第二点としましては、私どもの土地は、昭和二十六年から約八カ年ほどで千七百町歩の耕地を、隣村も若干含めまして区画整理をやったわけでございます。そのほかに、用水の改良工事をやるとか、いろいろなことをやっておりますが、農民の反当たりのいわゆる償還金でございますが、毎年の負担というのが約二千円近くなっております。その上さらに負担が重なるということは非常に困るというので、一応農民の間には反当たり二万円以内ならいいけれども、それ以上金がかかる、つまり二万円の半分の一万円以上農家が負担しなければならぬということになると、とても負担に耐え切れない、こういう線がきわめて強く出されまして、いろいろやって、それを基礎と申しますか、参考にして、県から計画をつくっていただいたのでございまするが、その結果、四十アール、五十アールにしますと、三倍ないし四倍の区画整理の費用がかかるというようなことで、やはり経済的にとうていこれはできないという問題、この二点と、それから傾斜地で水の問題等もございまして、この三点で二十アールということにいたしたわけでございます。  それからいま一つ、最後におっしゃいました区画整理をしないところが計画に除外されたという点でございまするが、これは先ほど申しました通り、最初百八十ヘクタールほどの計画を組んで承認を求めたのでございまするが、そのうちの八十ヘクタールが非常に傾斜が強いということと、今ほど私が申し上げました、従って事業費がかさみ、農家の負担が非常に多くなる、それに耐え切れないというようなことで、暗渠排水だけにしていただきたいということを強く言いまして、その通り計画書を出しましたところ、これは不適当である、こういうことで除外に相なったわけでございます。  以上でございます。

秋山利恭自由民主党

○秋山委員長代理 以上で参考人各位に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には長時間にわたり貴重な御意見をお聞かせ下さいまして、まことにありがとうございました。  次会は明十四日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十分散会

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