農林水産委員会 第6号
- 発言数
- 77 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1962/08/28
会議録
○長谷川委員長 これより会議を開きます。 昨二十七日付をもって本委員会に付託になりました農薬取締法の一部を改正する法律案を議題とし、提出者より提案理由の説明を聴取いたします。井手以誠君。
○井手議員 ただいま議題になりました農薬取締法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申しあげます。 本年七月の豪雨によりまして、かねてから紛議を起こしておりました水田除草剤PCPが、有明海、琵琶湖等に流入して魚貝類が死滅し、有明海におきましては福岡、佐賀、長崎、熊本四県漁民が二十億円、琵琶湖におきましては四億円にも上る決定的被害を受けたのであります。 このような被害の発生を見ましたのは、現行農薬取締法が、人畜に被害のない農薬を登録するだけで自由に販売使用されていた欠陥を持っていたからであります。幸い最近に至りましてほとんど毒性を持たぬ新農薬も生産段階にありますので、現行法の一部を改めて使用規制を加えることとしました。 まず第一に、農薬の登録につきましては、人畜のほか水産動植物に被害のないものを加えました。 第二に、都道府県知事は、地域を定めて農薬の使用を制限、禁止することができることとしました。 第三に、使用を制限、禁止された農薬にかわる農薬の購入に要する価格差を国が補助することができることとしました。 以上がこの法律案の提案の理由及び要旨であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決下さるようお願いいたします。 ————◇—————
○長谷川委員長 次に、農林水産業の振興に関する件につき調査を行ないます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。稲富稜人君。
○稲富委員 私は過般の水害におきまする除草剤PCPの被害につきまして、政府にお尋ねしたいと思うのであります。 最初に水産庁にお尋ねいたしたいと思いますことは、今回の水害におきまするPCPの使用のために、魚介類が多数斃死をいたしまして、その被害が非常に甚大であるのでございます。従来も農薬の被害におきまして、いろいろ水産業がこうむりました影響というものは多かったのでありまして、その当時もしばしばこうむる被害というものは、各方面からその対策等を要望されたのでありますけれども、農薬の被害だということは政府もはっきりしなかった。今回におきましてははっきり除草剤PCPの被害だということは御確認になっておるようでございまして、この点はあっさり政府も認めたので、一歩前進であるというふうに考えておりますが、このPCPの被害であるということに対する政府の確認をこの際冒頭に一つ伺いたいと思うのであります。
○村田政府委員 今回の有明湾等を中心にいたしました魚介類の大量の斃死の原因でございますけれども、これにつきましては、この事件が発生いたしました直後、水産庁からも、また振興局からも担当官が現地の調査におもむいたのでございます。おもむきまして、その現地調査の結果の報告を聞いておりますると、ただいま御指摘がございましたように、今回の魚介類の大量斃死の原因が、豪雨によりまして、貝類などの産卵直後の生理状態が通常の状態とは変わっているということが一つと、それからさらに豪雨のもたらしましたPCPの影響によりまして、この二つの理由が相重なりまして大量の魚介の斃死を招来したというような報告を私どもも聴取いたしたのであります。なお詳細につきましては、振興局長も見えておるようでございますので、あるいは別途振興局の方からも御報告があるかと存じます。
○齋藤(誠)政府委員 ただいま水産庁の次長の方からお話がありましたように、今回の災害に際しまして魚介類の斃死が出ております。昨年度の例もあったのでありますが、本年も引き続いてこのような事態が出たということにつきまして私ども非常に憂慮いたしまして、さっそく現地に係官を派遣いたし、また現地における関係者の協力を得まして、いろいろ事情について詳細な検討もいたしたわけでございます。事実といたしまして魚介類の斃死ということが生じておるのでございますが、これがいかなる原因に基づいてこのような事態が生じたかということにつきましては、いろいろの悪条件が重なっておったのではないだろうかと判断されるわけでございまして、ちょうど集中豪雨時期におきまして、有明海の海水が非常に淡水化しておった。水産試験場の調査によりましても、当時の海水の状況というものは非常に淡水化が進んでおるというような資料も出ておりまして、その上に産卵期にあったというような関係で、非常に魚介類が弱っておったということがいろいろの事情から一応推測されるわけでございます。同時にまたそのこと自体によって相当の斃死もあったのではないかと推測されるわけでございます。しかし他面PCPそれ自身は初めから魚毒性を持ったものでございますので、これがどのような関係をこれに持ったであろうかということが問題になるわけでございます。PCPそれ自身は、通常の天候の場合におきまして、一日目におきましては百倍に薄められればほとんど無害になり、四日たてばほとんど無害になるということでございますけれども、当時の状況から、また現実にPCPがどのようにその海水面にあったであろうかということで、これもまた調査いたしました結果、PCPだと言うことは必ずしもできませんけれども、いわゆるPCPに包含されるところのフェノールの薬剤がやはり有明海から検出されておるということもございます。この量自身はPPMというものが一つの単位でございまして、これは百万分の一を一PPMといっております。それによります。と、通常の場合のPCPのいわゆる斃死率といいますか、魚毒性を持ち、魚介類が死ぬという場合には、〇・二ないし〇・三というものが一つの限界になっておるわけでございますが、それよりもはるかに少ない量ではありますけれども、ともかくもそこに検出されておるという事態があるわけでございます。そこで、一方におきましては非常に淡水化というふうなことによりましてからだが弱っておるという事態、また他方においては、通常の致死量に至るような単位とははるかに少ない量ではありますけれども、ともかくもそのような量が検出されておる。従ってそういう集中豪雨という現象に伴ってPCPがどのように少量のものといえども作用したであろうということがここで考えられるわけでございまして、私の方は集中豪雨現象に伴いPCPの検出されたことも、それらしいものが検出されたことも事実でございますので、いわば悪条件がそこに重なってこのような事態が出たのではないかというように今見ておるわけでございます。
○稲富委員 振興局長の御説明を聞いておりますと、非常に回り遠く説明ばかりされるのですが、あっさり、いろいろな悪条件はあったでありましょうが、PCPがやはりこういうような被害を与えたという基本的な根拠があるものであるということだけははっきりお認めになっているのではないかと思う。ただその時期とかあるいはこの条件等がどういうように作用したかということは、これは別個の問題でありますけれども、私はまずその点のはっきりした見解を承りたい、こう思うわけなのです。
○齋藤(誠)政府委員 ただいま申し上げましたように、非常な豪雨災害というものを契機といたしまして、いわばそれにPCPも作用して漁害を生じたのではないかというように考えるわけでございます。
○稲富委員 PCPも作用したとおっしゃるのだが、それは結局豪雨であったとかあるいは産卵期であったとか、そういうような悪条件はあったでございましょうが、私が言っているのは、原因はPCPによるものだというはっきりした確認はないものかどうか、その点をお聞きしているわけなのです。PCPもとか、そういうようなあいまいな言葉を使わぬで、はっきりそういうことを確認されておれば、これに対する対策を考えなければいけないので、基本的な問題である確認事項をお尋ねしているわけでございますから、回りくどく説明せぬで、何もあなたの責任を問うわけではないのだから、その確認事項をはっきり確認されるかどうかということをお伺いしているわけです。
○齋藤(誠)政府委員 お尋ねの通り明確に答弁したいわけなのでございます。けれども、事実がきわめてはっきりしない部分があるということで、今申し上げたようなことを言っているわけでございます。たとえば今の淡水化だけの事情によりましても、かって昭和二十八年には相当の漁害が出ているわけでございます。従って全部PCPであるか、全部が淡水化であるか、この辺はきわめてはっきりしないわけでございます。いずれにしましてもそれらの条件がかみ合って漁害を生じたのであろう、現在事実を申し上げればそう答えざるを得ないということを御了承願いたい。
○稲富委員 あなたは、PCPだとはっきり言うたならば自分たちのPCPの使用に対する指導が足らなかったとか、そういうことを責められるから、何かそういうような逃げ口上を言っておられるのではないですか。われわれは、その原因がそこにあったとしたならば、これに対する対策を考えることが必要なのです。それで、あなたがおっしゃっているようないろいろな悪条件の要素を探求しますと、その根本原因はPCPにあったということをあなたは回りくどく御説明なさっているようにわれわれは受けるわけであります。あなたがはっきり言わないとするならば、やはりその大きな原因はPCPにあったのだ、その使用の時期とかその使用の方法とか、こういう問題は別としまして、大きな原因はPCPにあったのだということは認めていらっしゃるだろうと私は思うのです。が、この点はどうでございますか。
○齋藤(誠)政府委員 今の御質問の通り、今後PCPに対してどう対するか、あるいは今までの状況について十分であるかどうかというような御質問であれば、決して十分とは思っておりませんし、今後においてもなお対策を講ずる必要があるということは、御質疑の通りでございます。ただPCPがなかりせば全然漁害がなかったか。逆にこうではあったけれども、PCPがなかりせば全然漁害がなかったかということにつきましては、私はそうだと言うだけの技術を持っておらないということを申し上げておるのでありまして、PCPが影響しておるだろうということについては、先ほどから申し上げておる通りでございます。
○稲富委員 私は冒頭に申し上げましたように、かって水産業界が非常に農薬の被害をこうむったことがあるのです。その後私たちは、農薬の被害というものが、水産業に及ぼす被害というものを非常に重視しまして、しばしば本委員会におきましても農薬対策をわれわれは検討しなければいけないからというのでずいぶん論議されたことがある。しかしその当時も、政府は農薬の被害による水産業の影響だ、こういうことはなかなか言わなかったのです。おそらくこれは農薬の影響だということならば、これを使用するあなた方が行政的な指導を誤っておったとかそういうようなことを問われるから、そういうことをあいまいにされたのじゃないかと私は思う。ところが今回は、PCPの影響だということがはっきりわかっているので、水産庁方面では、PCPの影響だということをはっきり御確認になっておるようにわれわれは承知しておるわけなんです。ところが、これがPCPの使用に実際の関係が、あなたはいかにも責任のがれをするようなことを言って、PCPも原因があったような、しかしながらほかの条件も悪かったからそういうふうになったのだという責任を転嫁するようなことを言っていらっしゃる。しかしあらゆる条件が悪かったとしても、PCPがなかりせばこういう被害がなかったかというと、PCPがなかったならばこんな被害がなかっただろうということだけは御確認なさっておるだろう。逆に言うならば、PCPがあったためにこういう被害を与えたんだということが言えると思う。その点をはっきりしないから、この点の対策が、農薬対策が立たなかったのです。この原因をはっきりして、しかる後対策というものを考えなければならないと思うがゆえに、政府はこれに対してどう考えておるか。特にこのPCP使用に対する指導の立場にあられる振興局長は、これに対する十分なる関心を持たなければいけないと思いますので、あっさりあなた方が認めておるならば、責任を追及するわけじゃないから、今後考えるときには、やはりPCPの被害だということを考えなければ、次の話にならないわけです。回り遠く、衣を着せたような御答弁でなくして、やはり今後われわれが検討をするためには、これはだれでもすでにPCPの被害だということは認められているのだから、これをあなたがいかにもぼかすようなことをやっておったのでは、将来の対策もまた非常に困難となりますので、この点PCPが大きな原因の要素をなしておるのだ、最も大きな要素をなしておるのだ、すなわちせんじ詰めれば、PCPによってこの水産被害があったのだ、こういうことで政府が認められておるようで、政府が一歩前進したのだと思ったら、ちっとも前進しておらぬ。この点をあっさりあなた方の考えを承りたい。非常にくどいようでございますが、あいまいにされるから、はなはだくどく言わなくちゃこれを確かめられないものだから聞いておるわけなんです。
○齋藤(誠)政府委員 私の言葉が不十分なのか、今先生のお話しになりましたようなこととあまり違わないとは思うんです。たとえばPCPなかりせばこのような被害はなかったであろう、それは私もそのように考えております。
○稲富委員 PCPがあったから被害が大きかった……。
○齋藤(誠)政府委員 PCPがあったからこの被害が大きかったというようなことは、いろいろ関係もあったりして、そこは技術の問題でございますから、私がどうだとかこうだとかいうことを申し上げられないということを先ほどから申し上げておるわけであります。
○稲富委員 どうもその点は、そんなあいまいな答弁をなさらぬでいいと思いますけれども、そういうことでいつまでもやっておると、これだけでもひっかかってしまいますが、この問題を繰り返して、次の機会に申し上げたいと思います。 今回の被害は、PCPの被害ばかりでないと振興局長は言われるが、とにもかくにも魚介類の損害があったということは事実なんです。今回の水害によって損害がどのくらいあったということを政府は確認されておるか、この損害を一つ承りたい。政府の確認されている損害です。
○村田政府委員 損害の確認でございますけれども、当初私どものところから、本省から現地に調査のために担当官を派遣いたしました際の報告によりますと、大体有明海四県で魚介の被害が十六億、こういうふうに報告をしておったわけであります。大体その後日時が経過いたしますにつれまして、だんだん詳細に被害の調査がまとまった結果であろうかと存じまするが、今日ただいま私どもが承知いたしておりまするところでは、約二十億というふうに承知をいたしております。
○稲富委員 そうすると水産庁は、いろいろ発表されている資料等を見ましてもPCPによる漁業被害ということをはっきりお認めになっておるようでございますけれども、振興局としてはどうもさっきからあいまいですが、この点水産庁はPCPの被害だということを調査の結果お認めになっているわけでございますね。
○村田政府委員 先ほど振興局長が答えましたようなことでございまするが、いずれにいたしましてもPCPの作用が相当あるということは私どもも振興局には絶えず申し上げておるような次第であります。
○稲富委員 政務次官がお見えになっているようでありますが、政務次官もお聞きになりましたように同じ農林省内で、被害をこうむった当事者である水産庁ではPCPの被害だとはっきり認められている。ところがPCPを使用する側にあった振興局では、同じようにPCPの被害だということをはっきりされない。こういうような同じ農林省内の、政府機関である農林省内が責任のなすり合いか知らぬけれども、そういうように原因をはっきりされないということは、私は今後この問題の根本的な問題を審議する上において非常に困ると思う。この点は一つ農林省としてどういうように統一見解をされているのか、この点農林政務次官に承りたいと思います。
○津島政府委員 振興局長の申し上げることと水産庁次長が申し上げることと言い回しは違っているようにも思いますが、それほどのまた違いもないようでございます。私といたしますれば何といいましてもこのたびの被害というものはやはりPCPに起因すると申し上げたらよろしいかと思いますが、それによってこの大きなものが起こってきたものと、かように考えておる次第であります。
○宇野委員 関連して。私は滋賀県ですが、今、稲富先生の質問に対する御当局の答弁は、必ずしもPCPの被害ではないということは、これは有明海についてはあるいは塩水が雨季であったために薄められたからそういうことがあり得るだろうということが言えるかもしれませんけれども、しかし一応滋賀県ということになりますと、琵琶湖は御承知の通り真水でございます。真水であってPCPがあって、そしてあれだけの魚介類が死んだということになれば、有明海と御比較なされた場合に農林当局の御所見は必ずしもPCPが原因としないということは言えないだろうと私は思う。その点に対して水産庁あるいは政務次官の御答弁を伺っておきたいと思います。
○齋藤(誠)政府委員 この点はわれわれも同様に考えておるわけでございまして、たとえば海水でなしに、内水面あるいは河川等で相当のPCPの検出が見える。そして魚介が死んでいることは、何と言っても事実であろうと思います。問題は海水でありますから、非常に複雑な問題がございまして、私は原因に関係する、しないということを、先ほどから申し上げていないわけであります。被害量全体がPCPに原因するかということではないというふうなことが、多少言い回しで違っているだけを指摘したわけでございます。滋賀県の場合におきましても、悪条件があったようでございまして、多少そういうふうな条件も重なっておると思いますけれども、検出量等から見て、PCPの影響があったというようにわれわも考えております。
○村田政府委員 琵琶湖の魚介類の斃死の原因でございますけれども、確かに有明の場合とは若干違った要素のあることは、ただいま宇野先生の御指摘なさった通りだと存じます。
○稲富委員 どうも話を聞いておりますと、水産庁まで変なことを言い出してきた。琵琶湖は、PCPの被害というのがはっきりわかっておる。有明海の場合は、PCPだけだということは言えないのだということです。PCPがなかったらこれだけの被害をこうむらなかったということは認めておいて、そして有明海はPCPだけによるのじゃないのだというような、そういう衣をかぶせたような——私たちは何もあなた方の言葉じりを取ろうと思っているのではないのだが、実際被害をこうむっている漁民からいいましたら、死活の問題です。しかも、これに対する対策をどうするかということを考えなければいけない。おそらくこれは、被害地の海面に対する対策を考えると同時に、基本的なPCPをどうするかということも考えなければいけない。そういう点から、農薬取締法の一部改正案というのが社会党から提出されておりますが、こういう問題と取り組むためには、やはりPCPの被害らしいとか、そういうようなあいまいな言葉では、非常に政府の考え方がなまぬるいと思うのです。対策を考えなければならない以上、やはりその点もはっきりしなければいけない。だれが見ましても、琵琶湖においてはPCPの被害であると同時に、有明海等におきましても、PCPの被害だということをはっきり認めておる。現に、今日までしばしば水産庁は書面等を出されておるのによりましても、農薬PCPによる漁業被害という報告も出されておる。このPCPというのをはっきり認めておるからこそ、こういう書類も出されたと思うのです。これを水産庁は遠慮する必要はないと思うのです。水産庁も、有明海の今回の被害というものは、PCPの影響というようなことを言われておる。ところが先刻、振興局長があいまいなことを言うと、水産庁までがあいまいなことを言っている。そんなことでは対策は立たないと思う。しかも、こういうことでは実際に被害をこうむっている漁民からいうならば、こんなふざけた取り扱いはないと私は思う。それで、私たちは責任を問うわけではないのだから、今後の対策を考えるためには、やはりPCPに対する被害だということになれば、PCP対策を考えなければいけないから聞いているのであって、あいまいならあいまいな対策になるわけです。その点を、琵琶湖はPCPを認めるけれども、有明海はPCPだけだとは言えないのだという、こういうような異なった考え方を持たれること自体、私たちはふに落ちない。もちろん豪雨とかいろいろな悪条件というのはあったかもしれません。しかしながら、そういう悪条件の中にPCPが入っていったということが、これだけの被害をこうむったのだから、悪条件はあったとしても、その原因はPCPによるものだということは、これは認めても不都合なことじゃないと私は思うのです。これを認められないというその政府の考え方が、私はふに落ちないのですよ。これに対するいろいろな救済方法をやらないために、こういうことで逃げておるのか、農民にあきらめさせるためにそういうことを言っておるのか、この点が私たちはふに落ちないところです。だから、はっきりPCPによる被害であるとするなら、それをはっきりお認めになっていただきたいと思う。水産庁は何がために言葉を濁されるのですか、この点私は水産庁に対しましてどうも解せない。振興局長がPCPばかりじゃないのだと、こう言ったものだから、水産庁までこれに対して同調しなくちゃいけないというようなことはない。あなた方は被害をこうむっている水産業界を、いかに振興するかということが水産庁の仕事なんですよ。であるならば、これに対する原因というものは、それは水産庁としてはもっと的確に、遠慮なく対策を考え、意思表示をすべきであると思う。この点水産庁が今になって、有明海の問題はPCPばかりによるのじゃないのだというような、そういう言を左右にされるということは、私はこれを論議する上において非常に不服である。この点くどいようでありますけれども、もう一度はっきりしてもらいたい。
○村田政府委員 稲富先生の御指摘になる点、私よくわかるのであります。非常にお気持もよくわかりますし、今水産庁をお責めになりますけれども、私が当初申し上げておりましたことと、琵琶湖との比較において申し上げたことに、何ら私自身説を変えていないつもりでお答え申しておりました。重ねて申し上げますと、先ほど私の申し上げていることと、振興局長の申し上げていることに関連いたしまして、政務次官から御答弁がありましたけれども、私は政務次官の御答弁の通りだと思うのであります。全部かどうか知りませんけれども、とにかくPCPに基因しているのだという趣旨の御答弁がありましたので、その御答弁を引用させていただいて、お答えにかえさせていただきます。
○齋藤(誠)政府委員 先ほど申し上げた通りでございますが、もう少し明確に申し上げますれば、有明海の場合におきましては、豪雨による海水の淡水化と、PCPによる魚介被害と、これの相重なったものである、こういうように思っておるわけでございます。
○稲富委員 振興局長がお見えになって、責任ばかり転嫁しようとするので、水産庁にお聞きするのですが、あなたの方の漁業振興課から、農薬PCPによる漁業被害という資料を出されておる。水産庁ははっきり、農薬PCPによる漁業被害ということは認めておるのじゃないですか。こういう資料まで出されておいて、今言われたように、どうもPCPだけじゃないのだ——この中に有明海も入っておりますよ。有明海も、農薬PCPによる漁業被害だということは、水産庁もちゃんと資料を出されている。このような資料を出しておきながら、振興局長がはっきりしないから、はっきりしないことを言われるということは、この資料を撤回されるのですか。私は、振興局長ははっきりしないから、この被害の問題は振興局長に聞かぬでもいい。くどいようですけれども、これは一つ水産庁にお聞きしたい。
○村田政府委員 確かに、ただいま御指摘のような資料を作成いたしておりますが、その資料の作成の趣旨は、先ほど振興局長もお答え申し上げておりますように、有明の被害というものを、資料作成の便宜上、おそらくPCPによって惹起された被害が大部分ではなかろうかというふうに水産庁は察知いたしますがゆえに、ほんとうならば、あるいはもっと厳格に書けば、その辺の誤解がないように、PCPその他海水が淡水化し、あるいは貝類の産卵直後の影響によりこうむる被害とか、いろいろ書くべきであるかもしれませんが、いろいろ資料作成の便宜上、手っ取り早くそういう手段を用いたのでありまして、気持は、先ほど来稲富先生が御指摘になっておる通りでありまして、その通りでありますけれども、あえて補足をいたしますればそういうことになるかと思います。
○稲富委員 私が何でくどくど聞くかといいますと、今後被害対策というものに対して政府がとるべき態度というものをきめなくちゃならないのですよ。それがために、原因が不明ならこれが対策は立てられない、そう思う。原因が明らかになってこそ、これに対する対策というものを考えなければならない。水産庁は幸いに農薬PCPによる被害だということをはっきり言われておるので、これならPCP対策というものを考えなければいけないと思っておるけれども、今みたいに、資料を出す便宜上そういう言葉を使ったのだなんというと、おそらく質問しておって、論議しておって急所に触れると、PCPだけとは言えませんからそういう対策は考えられません、こう逃げるだろうと思う。これでは被害漁民というものは浮かぶ瀬がない。だから私はくどいように思われるかもしれないけれども、その原因するところを探求しておかなければこれが対策も的確なる対策をとれないから私は質問しておる。しかも、これほど明らかなる原因があるにもかかわらず、この期に及んで政府が言葉を左右にして、どっちともつかないようなことを言われるということは、はたしてこの問題の対策に対する熱意があるかどうかさえ私は疑わなくちゃいけないわけですよ。被害をこうむっておることは事実なんです。被害があることは認めておるわけです。それだからPCPの被害ならPCPの対策を考えなくちゃいけない。ところがPCPも被害だ、ほかにも原困があるんだということになります。と、どういうような方法をとるかというと、両面考えなくちゃいけないということになってくる。はっきりしないわけです。この点から私たちは基本的な問題を考えなければいけない。私たちは、現地へ参りますとPCPの被害ははっきりわかっておる。それから水産庁からも係官を派遣されたならば、おそらくその人の報告というものはPCPの被害だというはっきりした報告がされたと私は思う。あの魚介類の腐ったにおいをききましても、これは猛烈なる薬品の影響だということがはっきりわかるわけです。しろうとでもはっきりわかるんですよ。それを今さらPCPの被害じゃないんだというようなことを言われる。しかも現地においてはそれを分析して、そしてやはりさっき振興局長認めているように、PCPの薬品がそれに入っておったということは認めておる。これほど的確な事実があるにもかかわらず、何がためにこの言葉を濁さなくちゃいけないかということなんです。これほど的確な理由があるにもかかわらず、言を左右にしてPCPの被害だということをはっきり言わないということは、政府はこれに対する十分なる処置をとろうという意図がないからそういうことで逃げるのだと、こう言われても私は仕方がないことだと思う。それだから私はこの点を聞いておるわけです。この点をはっきりされないと話がどうも先へ進まないわけなんです。水産庁においてはPCPの被害だと認めておられるのだから、せっかくの資料を出されたんですが、便宜上こういう名前を使ったなんて、そういう逃げ言葉では私は納得いかない。これは、資料を出す場合に、農薬PCPの漁業被害についてという報告を出しておきながら、便宜上こういう言葉を使ったのだということでは私は納得できません。こういうことになると、政府から出た資料というものは一切われわれは検討しなければならない。便宜上そういう言葉を使ったなんというなら、政府の資料というものは信用できないということになるんじゃないですか、この問題に限らず。この点私は水産庁にお聞きしている。あなた方の水産庁の現地に派遣されたその係官の報告はどうなっておったんですか、この点一つ水産庁にお聞きしたい。
○村田政府委員 水産庁から現地に派遣いたしました調査官の報告は、冒頭に私簡単に申し上げたあとで振興局長から詳細な御報告がございましたけれども、その報告の通りでございます。
○稲富委員 どうも私は両方の答弁は不満なんです。実はなぜ私はこういうことを言っておるかというと、前に河野さんが農林大臣をしておりました時分に、数年前ですが、やはり農薬の被害がありました。その時分にわれわれは、農薬がこういう水産業に損害を与えたのだといって、大学の教授あたりの調査の結果等も十分検討して強く政府に要望したけれども、そのときも依然として政府は農薬被害だということは言わなかった。われわれは、農薬の被害であるならば、この農薬使用に対しても、あるいは将来さらにこういう被害をこうむらないような農薬を製造する意味からも、検討すべきではないかという見地を持っておったけれども、その当時の政府は、ことに振興局長あたりは農薬の影響だということを明らかにしなかった。明らかにしなかったけれども、被害をこうむったことは事実でございますから、これに対しては漁業振興対策とかなんとかいう変な便宜上の処置をとって漁場の復旧工事をやったことがあるのです。そういう一時のがれの方法をとったのでありますが、それがまた今度こういうことになった。やはり原因をはっきりして対策をやっておかなければ、こういうことは毎年繰り返されると私は思う。これではいけないから、こういう被害を再び漁民に与えないようにするためには、まずどこにその原因があったかということを検討することが先決問題なんです。そういう意味から、冒頭に申し上げたように、今度の水産被害に対しましては現地においてもPCPの被害だとはっきり言っておるし、水産庁のいろいろな資料等を見ましてもPCPの被害だとはっきりいわれておるので、これは政府も従来より一歩前進したのだ、それならばPCP使用に対しては将来一つ検討しなければいけないのではないかということをわれわれは非常に期待しておった。ところが今のようにPCPだけの被害じゃないのだとかいうことでごまかされます。と、やはりこの対策については的確な対策はとれないということになる。そういう点から私はこの点を非常に念を押しているわけです。それで原因がはっきりしないのに対策をとるということはおかしなことです。原因がはっきりしてこそこれに対する対策をやるべきであって、原因がはっきりしない対策は非常に困難だということになってくる。だから、この点をなぜはっきりされないのか、将来のこれに対する対策について熱意がないためにそういうように言葉を濁されるのか、こういう点非常にふに落ちないわけです。水産庁あたりではPCPの被害だということを認めておきながら、振興局の方でPCPによるばかりではないのだと言うと、それに逃げられる。こういうようなあいまいな態度ではいけない。だから私は聞いておるのですが、それがなくならなければ今後の対策はできない。それで今日社会党から農薬取締法の一部を改正しろという法律案が出ておりますが、この法律案を審議するにあたりましても、やはり原因はどこにあったかということを知らなければ取り締まりの対象ができないのではないですか。これは農薬取締法としてずいぶん前からの問題でありますが、こういう問題に対しては、立法措置をやろうという考えが政府におありになるかどうか、この点をこの機会に承りたいと思う。
○齋藤(誠)政府委員 PCPそれ自身が漁害を持つということは、冒頭に申し上げますように非常に毒性の強いものであることはPCP本来の性格であるわけでございます。ただ現実問題といたしましては、この資料によります。と毎年三十万町歩ずつPCPが除草剤として非常に効果があるということでふえて参ったのでございまして、通常の状態の場合においては他に被害を及ぼすというような毒性がむしろ消去されるというようなことで伸びて参った面もあると思うのでございます。しかしいずれにいたしましても、これが天災であれ、あるいは豪雨というものを契機にしてであれ、他にそのような害が生ずるということ自体も、これまた重要な使用上の留意すべき点であると考えておるわけでございます。今後PCPの需要というものは、あるいは労力不足の関係でまだまだふえてくるというようなことも考えられますと、いよいよもってPCPの使用量の増加に伴います他の弊害ということについても十分配慮する必要があることは、当然御指摘の通りだろうと思うのでございます。そういう意味で、毒性、薬害のない他の農薬がこれにかわるということであれば、これは一番よろしい方法であるわけでございますが、さらに法制的にPCP自身の使用規制をどうするかというふうなことが、先ほど社会党から提案された法案の内容の骨子だと思うわけでございます。そこで問題は、このような使用規制をすること自身につきましては、われわれも従来とも指導上やって参っておるわけでございます。ただ問題は、これを法律的な規制をどのような形でやっていくかというだけに問題があるわけでございます。そうなりますと、使用規制の具体的な基準なり、技術的な点について、十分法律の対象になり得るかどうかということにむしろかかるわけでございまして、今振興局におきましては、そういう点につきまして、専門家を集めまして、鋭意せっかく研究をいたしておるという段階にあるわけでございます。
○長谷川委員長 稲富さんに申し上げます。大蔵省から主計官が来ておりますから……。
○稲富委員 それは先のことになります。初歩の問題がまだ残っております。から……。 ただいま振興局長の御意見を聞きますと、従来農薬の使用等に対しては行政的な指導をしておったとおっしゃる。その行政的な指導が不十分なために、今度のような問題が起こったわけなんですよ。あなたの方で、おそらく放任されたのじゃございますまい。現在の法の規定の範囲内においては、十分なる行政的な指導を責任を持ってやられたと私は思うのです。にもかかわらずこういうような状態を生じたのだから、これは行政指導の域よりもさらに一歩前進した法的な処置をとらなくてはいけないという問題が当然起こってくると私は思うのですが、これに対して、今検討しているとおっしゃる。これは社会党の方がよほど進んでいる。あなた方はやり方がおそいのじゃないですか。今から研究する、おそらく今度社会党が出したから、これは研究しなくてはいかぬと考えたかもしれないが、そういうことは、私は行政指導ではやはり全うされないと思うんですよ。私は、政府がこういう取り締まりに対する立法処置をやる意思があるのかどうかということをお聞きしておるわけなんですが、あなたは、今まで行政指導でやってきたとおっしゃる。私は、行政指導が不十分であったがためにこういう結果が起こったということをお認めになっていると思う。今後も行政指導でこの問題を片づけていこうとされるのであるか、あるいは法的処置をとろうとする考えがあるのか。今検討しているとおっしゃるが、どっちに重点を置かれておるのか、この点、あなたの考え方を率直に聞かしていただきたいと思うのです。
○齋藤(誠)政府委員 従来やっております行政指導の面におきまして、ただいま先生がお話しになりましたように、すでに限界を越えるものという面が一つと、それから、つまり行政指導によっては十分励行を確保できない部分がある、こういう二つの面があろうかと思います。たとえば、今回の場合におきまして、佐賀県の例をとります。と、七月の五日まで雨が降っていた。六日にたまたま晴れた関係で、気象台に気象の予報を聞いてみたところが、大体そう大きな雨はないだろうということで、六日、七日に一斉にPCPをまいた。ところが不幸にしてその夜から急に集中豪雨が発生したということは、これは励行してもその地域に使うこと自身にある程度の限界があるというふうにいわざるを得ない部分があると思います。 それからいま一つ、行政的に励行するといいましても、末端におきます農家の立場から見ると、いろいろ労力の関係であるとか、あるいは使用者自身の直接的な因果関係というよりも、いわば不特定多数の使用によったPCPが流れ流れて川に注ぐというような、因果関係意識というものについては必ずしもないというようなこともありまして、たとえば使用の規制の方法といたしまして、何キロ以内は使用制限地域を設けるというような地域指定を設けるような指導をいたしましても、現実問題としては必ずしもその通りに励行されないという意味の難点が行政指導にはあるというようなことが考えられるわけでございます。 そこで、このいずれの点につきましても、今度は法律的に強制することになるわけでございますから、もしそういうことでありますならば、よほどその点についての法律的な励行の確保あるいは技術的な必要な条件を十分検討してみる必要があろうということで、われわれとしても、行政上の指導についてはいろいろの限界があるだろうということについては十分承知しておるわけでございますが、問題は、それを一歩進めて法制化できる諸条件というものが十分あるだろうか、つまり固められるかどうだろうか、こういうことで今検討しているわけでございまして、検討の結果成案を得ればそういう方向に進みたい、こう考えております。
○稲富委員 局長はこう言いたいんじゃないですか。法律でやれば、今度の被害というものは、農薬の被害のほかにも原因があったんで、その原因は天候とかそういう問題があったんだから、これはどうも法で取り締まるわけにいかないんだ、こういうことで立法の問題をはっきりきめてないんだ、こういうようなことを言いたいらしいように私どもには受け取れるのです。ところが原因はやはり農薬に基因しておったということはお認めになっているんで、この点に対して、使用その他に対してどういう立法処置をやるかということは、これは考えられぬことはないのではないか。この点に対して検討されておるというならば、基因するところは農薬だから、当然これに対する取り締まりを考えるべきじゃないかと思う。 この問題だけやっておりますと、非常にこれにひっかかって長くなりますので、さらに進みますが、ただ今回の水産の被害は現行の行政指導の限界を越えるような場合があるとおっしゃるが、今度のことは、あなた方が日ごろやっていらっしゃる行政指導の限界をオーバーしたからこういうことになったんだ、こういうことをお認めになりますか。
○齋藤(誠)政府委員 先ほど例で申し上げましたように、ある程度の技術指導はきわめて徹底し、あるいは気象条件についても気象台と連絡を保ちつつ使用した、にもかかわらず一夜にして集中豪雨が生じたというようなことは、いわばもはや不可抗力のことであって、行政指導を越えるものではないかという点については、御指摘のように考えております。
○稲富委員 どうもあいまいのまま話を進めなければならぬので遺憾でございますけれども、将来こういうような魚介類に被害を与えないような農薬を国内において研究する、さらにまた輸入農薬の中には、こういう被害を与えないようなものもあるということをわれわれは聞いておるのでありますが、こういうようなものを輸入して、魚介に影響を与える、被害を与えるような農薬の使用に対してこれを禁止するとか、こういうような具体的な方策をとろうというようなお考えが将来あるかどうか、この点を承りたいと思います。
○齋藤(誠)政府委員 今御指摘になりましたように、PCPにかわるべき同様の効果を持つ農薬があり、しかもそれが何らの漁害がないというものができれば一番いいわけでございまして、この二、三年来そういうような農薬についての開発研究を進めて参ったわけでございます。すでにそのような新農薬につきましても二、三の種類のものがございますので、まだ試験研究の状況から見ますると若干の問題も残っておりますけれども、従来このような農薬を市販いたします場合におきましては、大体三年間くらいの試験研究の成果を得て市販に出すというような形をとっておったのでございますが、これも関係者集まりまして、鋭意この事態に対処すべく措置をとろうということで、先ほど申し上げました二、三種類の新しい農薬につきまして来年度には間に合うようにということで目下準備を進めておる段階でございます。
○楢崎委員 ただいまの稲富委員の質問に対しまして、これはわれわれも非常に重大だと思うわけです。せんだっての委員会でもこのPCPの問題をやりました。当時は水産庁の長官がお見えでございました。そこで、われわれが一番危惧をしておった点が実はきょうの質疑を通じましても明確になったわけであります。それは振興局の方としてはこのPCPを水田の省力栽培を奨励する点からいって非常に使用規制が甘いのではないかという危惧をわれわれは持っておる。水産庁の方は、やはり漁民の利害を前面に押し立てて、その使用規制についても非常にきびしいものを考えておるわけです。そこで意見の違いがあるのではないかという質問をしたわけです。そのときに、水産庁長官は今せっかく調整中であるという言葉がたしかあったと思うのです。そして見通しを持っております——それがきょうの委員会では、稲富委員の質問に対して水産庁側と振興局とがどうもしっくりしていないという感じを明確に持ったわけです。そこで私は、先ほどの稲富委員の質問の法的使用規制の点で、法的な使用規制をするという建前でその成案を今検討されておるのか——この前は水産庁長官は法的規制の必要があろうということを言われました。それでそのとき振興局長が見えてなかったので、振興局の方ははたしてそうなのかという危惧を持っておったのですが、振興局とは調整中であったというわけですが、その点もう一ぺん、振興局は法的な規制をするという建前で検討されておるかどうか、そうしないと、先ほども滋賀の例を言われましたけれども、鹿児島県でも養魚しておる池に被害が起こっておる。日田の川にも被害が起こっておる。これは当然海だけでなくて、川やあるいは沼なんかにもいろいろ規制の問題が起こって参るわけですから、今の法的な規制をするという建前でやられておるかどうか、もう一ぺん明確に一つお答えをいただきたい。 〔委員長退席、丹羽(兵)委員長代理着席〕
○齋藤(誠)政府委員 現在の行政指導の部分だけによっては必ずしも十分ではないだろうという認識を持っております。そういう見地に立ちまして、さらにもう一歩進めた法的規制をするための諸条件というものが十分成り立つかどうか、先ほど来例として申し上げましたような主として技術的な条件でございますが、そのようなものがはたして十分法的対象になり得るものであろうかどうであろうかという点につきまして検討しておりますので、それらについての成案が得られれば法的措置をとることも検討いたしたいと思います。
○楢崎委員 今の答弁ではさっぱりわからぬではないか。検討の結果どうなるかわからぬということですね。この前、政務次官は水産庁長官と同じような答弁をなさったと私は思います。法的な規制をする段階ではなかろうかという印象を私は答弁の中で受けたのですが、政務次官の明確な御答弁を願います。
○津島政府委員 この法的規制をする必要があるかどうかという問題でございますが、私、結論からいいまして、この問題はどうしても法的規制というような必要があってくるのではないだろうか、こういうふうに考えられるのであります。それはこの使用面積と申しましょうか、これは私どもが考えておるよりも現実に非常に進んでおるのであります。でありますから、もう論議をしておるうちに現実の方はぐんぐんと進んで参りまして、この除草剤というものの使用が至るところほとんどの水田に及ぶものと思うのであります。そういう面から考えますと、やはりこれに対する一つの弊害というものも私は今日よりも非常に大きくなることを予想しなければならぬのであります。そういたしますと、行政的指導という限界を越えて参るというよりもむしろ越えつつあるように思うのであります。従って、これに対して法的措置をするということに対しましてはほんとうに真剣に、しかも迅速に農林省としてはどうしても取り組んでいかなければならないものである、かように考えておる次第であります。
○稲富委員 今、政務次官の御意見を聞きましても、すでに農薬に対しましては今日行政指導の限界をオーバーしたのだ、こういうことは政府もお認めになっておるようでございますので、そういう立場から具体的な被害問題等に対して一つ政府の所信を聞きたいと思うのであります。すでに先刻からも申し上げましたように、今回水害による水産業の被害というものは、水産庁から発表されておりますものを見ましても被害総額二十億を突破しておるというような状態でございまして、しかもこういうような状態におきます零細漁民が今後生計を営む上におきましてはこれは非常に重大な問題だと思うのであります。しかもこの被害というものは直ちに翌日から収穫があるのではなくして、収穫期までには相当の年月を費やさなければいけないというような悪条件もあるのでございますので、今回こうむりましたこの水産業の被害に対しては、相手が先刻も話しましたような不特定な対象であったか知らぬけれども、被害をこうむったことは事実である。しかもこの被害をこうむったということの大きな原因は、農薬等に対する行政的な指導の限界をオーバーした結果がこういうことになったということも言われると思う。この零細漁民に対しては国としての何らかの補償措置をとることは当然である、かように考えますので、これに対して政府はいかなる考え方を持っておられるのであるか。これは農林次官に責任ある御答弁を承りたいと思います。
○津島政府委員 補償というお話でございますが、私どものところではそこまではただいまの段階では考えておらぬのであります。しかしながら、この間も申し上げました通り、漁場が非常に荒らされたのであります。従いましてこの漁場の清掃ということ、それからもう一つは、せっかくやりました稚貝あるいは稚魚、そういうものがこれによって死滅をいたしたのでございますから、それをさらに海に投ずるところの、そういうような生業に対する費用、こういうものは何とかしてあげなければならない、かように存じまして、これは大蔵当局と十分折衝をいたしまして、この分だけは何とかして実現をいたしたい、かように考えておる次第であります。
○足鹿委員 関連。いろいろ今まで各委員の御質疑で政府のお考えもややわかってきたわけなんですが、特に毒性のある除草剤その他農薬類の毒性を除去する、あるいはゆるやかな、緩和したものを各農薬会社方面でも検討を進めておると聞いている。先ほどわが党から提案いたしました法案もその点に若干触れておるわけでありますが、たとえば現在はPCPは水田にのみ使われておるわけですが、ある会社においては畑地に広く適用していくものももうすでに発売寸前というところまできておる。それぞれのメーカーでそれぞれの考え、構想で進んでおるということになりますと、問題は農村労力が不足をし、一人前の者が減ってきた場合に、除草剤に依存する度合が強くなってくる。これは免れないと思うのです。従って問題の焦点はどこにあるかといえば、いかように法律をもって規制し、あるいは行政措置でもって徹底されましても、思わざる災害とか大暴風雨とかいろいろな場合が出てきます。と、これは必ず被害が出てくる。これがだれの責任でもないということになる。従ってそれに対する措置というものを一つどうしても考えなければならぬ。しかしそれを最小限度にどう食いとめるかという点になると、毒性のない除草剤の研究、これに対して政府はどう取り組んでおるか、これが一番大きな問題になろうと思うのです。今後畑地にもPCP、PCP類似の——ずっと毒性は弱いと聞いております。が、どんどんこれが普及していくことになりますと、さらにこの問題は輪をかけて大きな問題化する可能性も出てくると思うのです。そういった毒性の問題に対する研究と対策について農林省はどういうふうに現在取り組んでおるのか、まずこの問題が解決しないと、これはいつまでたっても片がつかぬのではないかと思うのです。その点について現在あなた方がやっておること、また将来やらんとしておることはどういうことを考えておるか、この点をこの際明らかにしておいてもらいたい。齋藤(誠)政府委員 お話の通り農薬がどんどん新しいものができ、また省力という意味から除草剤の需要も非常にふえるであろうということが期待されておるわけでございます。農薬の性質上、殺虫剤あるいは殺菌剤という意味におきまして、そういう意味の毒性は当然ある程度有するものであります。が、われわれの研究の問題といたしまして、一つにはそれが本来の目的を離れて、たとえば除草剤を使った場合に、稲自身に薬害が生ずるかどうかという研究と、いま一つは、その農薬が他に危害を及ぼすかどうかというような問題、つまり漁毒でありますならば、魚介に対して魚毒性がどのような程度にあるかどうかというようなことに相なろうかと思います。農林省の今の試験研究の体制といたしましては、前者の試験研究につきましては、技術研究所あるいは地域農試、さらに各府県の試験場で実用化試験をやるというように、三段がまえで研究を進めているわけでございます。そうしてそのような農薬に魚毒性がどの程度あるかどうかという点につきましては、水産関係の試験研究機関で研究を進めておりまして、われわれといたしましては、これを新しい農薬として普及させるかさせないかという際におきましては、それら三者の研究者の結論によりまして新しい農薬として許可するかしないかということをきめていくというような手続をとっているわけでございます。現段階におきましては、ともかくもPCPにかわるべき魚毒性の少ない農薬ということによりまして、すでに三種類程度のものをあげて、これについての実用化ということを目下研究されているわけでございまして、再び来年度の対策に間に合うようにということで、八月の下旬に研究者が今までの成果を集めて研究討議をしたい。 〔丹羽(兵)委員長代理退席、委員長着席〕 さらにその結果、次の十月に収量試験等も出て参りますので、その結果を待ちまして実用化をはかっていこうという最終的な結論を出していこうという考えで、大体現在のところでは一種ないしは二種ぐらい新しい農薬の実用化ができるのではないかという見通しを立てておりまして、鋭意その準備をいたしているというのが現実でございます。
○足鹿委員 とにかくいろいろと農林省としても対策を検討しておられる実情は一応わかりましたが、いずれにいたしましても、この魚介類に及ぼす影響の甚大なものについては、純漁業の場合あるいは兼漁業の場合、それが内水面であれ、あるいは一般漁場の場合でも、自分たち自身の問題にもなるわけなんですから、これは影響があるということが明確になった以上は野放しにするということはよろしくないということは申し上げるまでもない。これは先ほどからわかったことなのでありますから、その毒性の除去に重点を置いて恒久的な指導対策を、農薬会社の売らんかなの一点張りにまかせきるようにするということははなはだよろしくない。これは一つの政策上の問題だと思うのでありますが、その点は政務次官、とくと一つ御検討をわずらわしたいと思うのです。今のままで試験してみた、その製薬会社の言い分で見れば、毒性は大したことはございません、使用はこういうふうに注意してやればけっこうですといって、やってみましてもはからざる結果によって被害が出てきたら、これはやはり被害を受けた者は黙っておれないということになるわけですから、その辺を詰めて、そして政策的に対策を、かっきりとしたものを立てていくということを、一つこの際政務次官の方から御答弁をわずらわしたい、御所信のほどを承っておきたいと思いますが、いかがですか。
○津島政府委員 毒性の全くない除草剤、これを農林省が製薬会社へ強力に働きかけまして、商業主義でない、ほんとうのものをつくらせるようにするというようなことが非常に必要であろうと思うのであります。しかしその場合に、無害なものはできるけれども、多少の毒性を持っておるものよりも高くつく、製造コストが高いというような問題も出てくることも考えられるのでありますが、その場合には一体どうするかということは、これまた新しい一つの問題になろうかと思うのであります。いずれにせよ、無害なものをつくってもらいたいということは第一義でございまして、繰り返すようでございますが、それが幾らかコスト高になった場合においては、その負担を今度はどうするかということが第二段の問題であろうというふうに考えておる次第であります。
○稲富委員 先刻農林次官にお尋ねいたしました被害に対する補償の問題、これは今のところそういうことを考えておらぬという政府の御意向のようであります。稚魚なんかに対する問題は考えておる、こういうことでございますが、私たち現在の被害地の実情から申し上げまして、ほんとうに被害農民が将来、また事業を進めていく上におきまして最も必要な問題は、ただいま申し上げましたように実際損害をこうむって、もう明日から生計の基礎がない、しかも先刻から申し上げましたようにこれに対する対策というものは、あるいは被害に対する補償であるとか、あるいは将来これを振興する助成であるとか、あるいは融資であるとか、こういうようないろいろな方法が考えられると思うのでありますが、助成であるとか融資であるとかいう問題は、これは明日には間に合わないのです。現在災害をこうむって、すでに収穫期にあった魚介類がないという、この災害をこうむった直接の農民に対しましては、やはり被害そのものが先刻から申し上げましたように、これは天災とはいえしかもその原因が農薬等による被害がはっきりしているのだから、何かこれに対する補償というものを政府が考えることは当然である。またそうなければいけないとわれわれは考えるわけでございます。これに対してはまだ考えておらぬというのでありますが、十分その実情を調査して、補償に対する対策等も、国としては当然考えてやるべきではないか、こういうような考えを私は持っておるわけでございます。これに対してはぜひ一つ国としての補償問題も、対策を考えてもらいたいということを特に要望しまして、これに対する政府の考え方も承りたい。 さらにまた、今度は助成の問題になるのでございますが、ただいま申し上げましたような漁場というものが農薬のために荒らされまして、ほとんど現在のままでは漁場が目的を達するような状態になっておりませんので、これに対しましては当然漁場の復旧工事等もやらなくちゃいけないと思うのであります。数年前に、先刻も申し上げましたように、農薬の被害があった場合は、国がこれに対するブルドーザー等によります漁場の耕しをやるというようなことで復旧工事をやったのでございますが、この際もこういう問題を十分やらなければいけないと思うのでございまして、これに対する政府の考え方、これも承りたいと思うのであります。これは今申し上げましたように、損害に対する、国がなすべき被害者に対する補償の問題と、さらに漁場の復旧の問題に対してなお一そうの考慮を払ってもらいたいという点からお尋ねいたしますので、漁民が安心するように政務次官から一つ御答弁願いたいと思うのでございます。
○津島政府委員 ただいま漁民の休業につきましてお話でございます。しかし補償ということになりますればいろいろまた複雑な問題も生じて参ります。従いましてただいまの段階では農林省はこの補償については残念ながら考えを持っていないのであります。しかしながらたびたび申し上げました通り、漁民の休業まことに同情にたえないものがございますので、応急措置として漁場の清掃あるいは稚貝、稚魚、そういうものを放してやる、そういうことにつきましてはできるだけの漁民に御援助を申し上げたいと存じまして、たびたび申し上げるようでございますが、目下大蔵省と折衝をいたしておるような次第であります。
○稲富委員 この問題については幸いに大蔵省の主計官も見えておるようでございますが、元来こういうような被害がありますと、農林省その他の直接これが指導等に当たっている行政面の責任者というものは、何とかしようと思いましてもやはり大蔵省は財布を締めて出さないようにする。そういうことがあってはいけないけれども、どうも大蔵省はなるたけこういう問題で金を出さないのが自分たちのお手柄のように思っている。われわれは非常に遺憾に思っているのです。 それで今農林省の政務次官から承りますと、漁場の清掃、こういうようなことに対しましても何とかやってやらなければいけない、こういうところを大蔵省とは折衝を進めておるということでございますが、これは一つ積極的な措置をやってもらわなければいけないと思うのでございますので、まず農林省としてはどのくらいのこれに対する負担をしようという考えを持っていらっしゃるのであるか。これに対して大蔵省はどのくらい応じようとしていらっしゃるのであるか。折衝中であるならば、その具体的内容等も承りたいと思うのであります。
○村田政府委員 ただいま水産庁から大蔵省に事務折衝をいたしておりまする予備費の要求の額は、琵琶湖の対策も含めまして全部で一億四千六百万円ばかりの額に上っております。これが私の方から大蔵省に要望をいたしておりまする金額でございます。
○稲富委員 そうすると今の一億四千六百万円という額は、国が何割を負担するお考えでございますか。
○村田政府委員 国が全体の三分の二を負担するということで、非常に高額の国庫補助を実は予定して大蔵省にお願いをしておるわけであります。
○稲富委員 これに対して大蔵省はどういうような見解を今とっていらっしゃるのでございますか。
○相澤説明員 有明海及び琵琶湖におけるPCP等による被害対策といたしまして私の方に要求のありました金額は、ただいま水産庁の次官が答弁申し上げた数字でございます。これは私どもで目下検討中でございますので、省といたしましての最終的な見解を申し上げる段階にはございません。先ほど稲富先生から、大蔵省はとかく値切ることをもって手柄と心得ておるというような御批判がございましたが、別に私どもも自分の金を出すわけじゃございませんので、そうけちけちしたことを考えているわけではございませんが、何せこの種の災害対策としましては、このほかたとえば工場廃液による魚類の被害とか、あるいは現に、つい最近まで若干問題になっておりました漁船の重油が流れてノリが被害をこうむったとか、そういったような例がここ数カ年間におきましても実は数十件となくございます。そういうものに対して国がどの程度まで国費をもって災害対策を考えるかという点につきましては、なかなか取り扱いがむずかしいのでございます。一たん先例を開きますと、やはり公平の原則からして広がっていき、場合によっては収拾がつかないようなことになるというおそれもないわではございません。そういった点もございますので、私どもとしてはなお慎重に検討をしているわけであります。ただ現在の段階で申し上げますと、この一億四千六百万円の要求の中には、先ほど政務次官からお話がございました通りに、漁場の清掃及び掘り返し、それと魚介類の種苗、あるいは琵琶湖におきましては稚魚といったようなものの購入費の補助という要求になっておりますが、従来もこの種の災害対策として実施してきましたことは、漁場の清掃だけでございます。その清掃も、ただ単に魚介が斃死してその取り片づけをするといったようなものではなくて、風水害に伴い多量の土砂が漁場に堆積をした。何万立米にわたる場合がございます。そういったものにつきましては、たとえば伊勢湾台風の際あるいはその前後におきましても、相当量以上の土砂の堆積がありました場合には、その排除にかなりの経費を費やす。しかもその原因は、私どうもそういう意見を申し上げるのはいかがかと思いますが、はっきりとこれは天災でございます。人為的な原因ではございません。そういった点もございますので、しかるべき補助を講じておったわけであります。従いまして今回の場合のように、ただ魚介が斃死した、その取り片づけについての補助あるいは種苗の補助といったような問題は今までの例もないことでありますので、その点もなお考えまして慎重に検討しなければならぬ、かように存じております。今の段階で申し上げられるのはその程度でございます。
○稲富委員 相澤主計官は現地の実情を十分御承知になってないと思うのでございます。何も清掃とか取り片づけとか、そういうふうな簡単な問題じゃないわけです。現在の漁場というものは御承知の通りPCPその他の農薬が入って参りまして、魚介類が全部腐って、そしてそこにはまだ毒性を含んだものがあるわけなんです。これに対して十分これを工作して、漁場の復旧をやるということが最も必要だと思うのです。こういうことは、これはもう零細な漁民の自己資金ではやれるものではないのです。やはり国がこれに対して十分な処置をとってやって、そしてこれにあるいは種苗を植えつけるとか、そういうことをやりませんければほんとうの漁場の復旧はできないという状態なんです。 それで私たちが一番要望いたしますのは、この問題に対しましては、現在漁族はPCPのためにほとんど死滅いたしておりますので、将来これが、ことに貝類等の収穫を得るようにするためには何年かかからなければいけない。その間は漁民というものは生活のとほうにくれるという状態であります。しかも先刻から聞いていらっしゃるように、こういうような原因を来たしたということは、PCPの使用に対して国が指導いたしておりますけれども、その指導がもうすでに限界に達しておるということなんです。そういう結果がいろいろな悪条件を伴って事実上の損害をこうむっているのだから、この零細な被害漁民に対しましては、当然これは国が補償して、この損害に対する活路を見出されるということが必要だと思うのです。これに対して、どうも先刻から聞いておりますと、そういう補償なんてもってのほかだというような顔をあなたはしていらっしゃる。これは自分がその身になって考えなければ——ただそれは天災だからやむを得ないのだ、こういうことではあたたかい政治じゃないと私は思うのです。それで当然こういう損害に対しては補償してやると同時に、これが漁場の復興にあたっては国があたたかい手を伸ばして、安心してその漁場でまた漁業が営まれるような状態にしてやるということが最も必要なんです。 そういう点から、今度は水産庁の方からあなたの方に先刻から予算の要求をされておると思いますが、これは私はほんとうを言うならば全額国庫でやってやってもいいと思うのです。補償でもするというならばそれは三分の二でがまんができるかもわかりませんけれども、補償もせぬというならば、これは全額国がこの漁場の復旧をやってやっても、私はこれに対してでき過ぎたなんて不満を言う人はないと思うのです。ところがその三分の二でさえもあなたは、さっきから聞いておりますと大蔵省の意見はこれでも出し渋っているような御意見のようです。これはほかの方にも影響があるからと理由をつければいろいろありましょう。しかしながらこういうような災害に対しては、やはり災害のたびに復旧のための十分な手を打つべきで、それと油の被害があったからとかなんとかいう問題とは別個でございますので、これは特別に考えてやってもらわなければいけないと思うのです。 相澤主計官が今お見えになっておりますので、現地の状態を一つ十分に承知してもらって、私は農林省が言っている三分の二くらいの費用負担というのはほんとうになまぬるいと思う。現在の状態から言うならば、全額国庫負担でこの復旧をやらなければ、ほんとうに資力のない漁民というのは困るという状態ですから、これに対しては特段の考え方をしてもらいたい。どうかその点あなたの方でも十分なことを考えていただいて、そしてこの零細な漁民が将来この漁場において漁業を営むことのできるような状態にしてやるということがあたたかい政治であると思いますので、この点を十分考えていただきたい、こう考えるわけですが、これに対して農林省としての決意及び大蔵省として——何ら変わらない状態があるからこれに対してはいろいろ考えなくちゃいけない、悪例を残してはいけないとかいうが、悪例じゃない、善例なんです。こういう問題に対して十分考えてもらいたいと思うのですが、水産庁及び大蔵省の考え方を承りたい。
○村田政府委員 従来この種の災害に対しまして国が援助措置を講じますということにつきましては、ただいまも相澤主計官からお話がありましたように、これはなかなか困難だった。それにはいろいろな理由がございました。一種の人災ではないか。加害者、被害者が明確になっているではないかというふうなことがございまして、この種の問題はなかなか取り上げられていなかった。しかし、今回のこの有明海のPCPに関する限り、これが人災でないということは先ほど来の論議で十分尽くされております。私ども人知をもってしてはいかんとも防ぎ切れなかった災害である、かように考えまするがゆえに、先ほど申し上げましたように一億四千万円をこえます補助措置を大蔵省に実はお願いしているわけであります。また財政当局のお立場からは、これについてはいろいろ過去の経緯等もありまして、いろいろ御言い分があろうかと思います。水産庁といたしましては、先ほど政務次官も所信を披瀝されましたように、現地はこの被害で非常に困惑しており、再び立ち上がれるような対策も必要であろうと存じますので、ぜひとも財政当局の御了解を得たい、かように私ども考えておりまして、先般来大蔵省からこの点についてのいろいろな資料要求等がございましたから、それらも微に入り細をうがって御説明をしているような状況でございます。今後もなおわれわれの方としましては努力を続けて参りたい、かように考えております。
○相澤説明員 有明海等の今回の災害につきましては、私も直接現地は拝見いたしておりませんが、水産庁の方あるいは現地からの陳情の方に数次にわたりその被害の激甚な点につきましていろいろお話を承っておりまして、私どもとしましても、かような災害を受けられたことに対して心から同情申し上げる次第でございます。その対策の点につきまして、私はなはだ渋いことを申し上げますが、実はこの種の災害というものがはたして天災なのか人災なのか、はなはだ微妙な点もございます。と申し上げますのは、とにかくPCPを散布したということが主たる原因であるといたしますと、明らかに原因は人為的なものである。ただ、そこの点につきましては、とにかくPCPの使用について、昨年の被害にかんがみて農林省から現地に対してもいろいろと通牒も出て、行政指導も行なわれておったようでございますが、現地の皆様のお話を承りましても、そういったような一片の通牒その他によってPCPの使用を制限するというようなことを考え、また、それが実際に行なわれていると思うのはあなた方の机上の考えなのであって、とてもそんなことは実行できるものじゃないというふうに実は私ども罵倒されたわけです。はたしてその使用基準が守られていたかどうかという点につきましては問題があるわけでございます。たとえば、例を申しますと、佐賀県の三十六市町村のうちPCPの使用計画量を越えて散布しておりますのが十二市町村、三分の一であります。だから、その使用の計画というものが現実に守られておったならばはたして今回の災害が起こったかどうか。また、守られておったにしてもたまたま豪雨で流れたからそういった被害が起こったのかどうかという点がなかなかはっきりしないのであります。また、水が非常に出ましたために海水が薄まって比重が下がっておる。海水の比重が下がりますと魚介類は斃死いたします。それも実験でわかっております。今回もそういった状況に該当して、比重が下がっているといったことも聞いております。そういった点をいろいろ考えますと、こまかいことを申し上げるようであります。が、特に原因としまして、またその対策を考える場合にむずかしい点がございます。ですから私どもは、ただ勝手に農薬をまいたんじゃないか、あるいは水が流れたのだから仕方がないといったことでこの問題を取り扱う気持は毛頭ございませんが、今後におけるそういう農薬の使用規制その他との関連も考えまして、この救済手段については慎重に検討したい、かように存じております。
○西村(関)委員 ただいま稲富委員から御質問がありまして問題は明白になっているのでございますが、ただいま相澤主計官の御説明によりますと、この被害は天災であり人災である、両方の面が相まじっており判定がなかなかむずかしいので御苦心があるということでございましたが、これは天災であることは明らかである。人的な災害であるといたしましても、それは政府の行政的な指導の欠陥からこういう災害となって漁民におっかぶせられてきているのであります。こういう点から考えますならば、先ほど稲富委員が申されましたように、被害を受けた漁民の立場に立って政府としては十二分の補償をすべきであると思うのであります。今承りますと、水産庁としては一億四千六百万円の補助を要求をしておられるというが、この有明海と琵琶湖の被害額に対しましてはあまりにも少額であると思うのであります。おそらく要求された額を大蔵省がそのままのまれるとは思わない、従来の例から申しますれば。にもかかわらずこんな少額を要求をせられても、これは関係各県の漁民の希望を満たすどころか、九牛の一毛にも当たらないといったことに終わってしまうと思うのであります。この点につきましては、私はもう一度水産庁当局に猛省を促したい。補償ができなければもっと思い切って補助額をふやす要求をしていただきたいと思うのであります。 そこでお伺いいたしたいと思います。ことは、この一億四千六百万円という額をはじき出されました基礎、基準は一体どこにあるか。そうしてこれを有明海と琵琶湖とどういうような割合で出しておられるか、その点をお伺いいたしたいと思います。
○村田政府委員 水産庁がただいま大蔵省に要求をしております要求額の算出基礎でございますが、まず有明につきまして申し上げますと、貝類の漁業の復旧事業につきましては、対象漁場は被害を受けました漁場のうち被害率が五〇%以上の漁場につきまして、この地域の漁場が軟泥地でありますために、機械を入れますことにやや困難性がありまするので、機械力によらない、主として人力によって漁場を耕転をして参る、非常にまあその意味では、機械であれば簡単にさっさっといく性質のものでございまするけれども、あえてこれは機械によらないで、人力によって漁場の清掃をしてもらう。大体一人が一日当たり百平方メートルくらいのものをやってもらう。その所用事業費に対する三分の二を——これは府県の間接補助事業に対して国が三分の二を見る、こういう考え方で、従って市町村がこの事業主体という考え方で積算をした次第です。人力であの広い漁場をやるわけでございますので、相当の日数もかかるかと思いますけれども、この辺にもいろいろまた問題もあろうかと思います。先ほど来るる皆様方委員からも御説明のありましたように、相当あの地域の漁民が被害を受けておるわけであります。しかも収入の道もないということで、せめてこの漁場の復旧によって若干の収入の道も開きたいという配慮も実はあるわけであります。本質的にはこの地帯が非常に軟泥地帯でありますので、機械の導入はいたしましても、若干疑問があろうかと思います。さような意味合いで漁場の清掃という点を考えております。 それから同じく有明海におきまする貝類の種苗購入の補助でございますけれども、これは先ほど申し上げましたような耕転が終わりました、漁場清掃の終わりましたその漁場の耕転面積の大体一割程度を対象といたしまして、一キロメートル当たり一キログラムの主としてこれはアサリが主になろうかと思います。季節的にもアサリが主になろうかと思いますが、アサリなどの種苗を放流する、それの購入助成になるわけであります。これは事業主体としては地元の漁業協同組合を考えております。 以上で有明海における漁場の清掃補助と種苗の購入助成の御説明を申し上げたわけであります。 先ほど申しました一億四千万の中には、そのほかに琵琶湖について大体これに似たような措置を計画いたしております。やや内容は違いますけれども、琵琶湖のものを含めまして、全部で一億四千万をただいま要求しているような次第です。
○西村(関)委員 その琵琶湖と有明との金額はどういうふうに分けられておりますか。
○村田政府委員 ただいま水産庁が大蔵省に要望いたしておりまする要求額は、有明海の漁場復旧につきましては一億五百万、百万以下は省略させていただきますが、一億五百万でございます。それから同じく有明海の種苗購入事業の助成費二千八百万、それから琵琶湖の漁場復旧につきましては四十五万五千、それから同じく琵琶湖の種苗購入助成、これが千二百九十万、約千三百万弱でございます。それを総計しますと、一億四千六百万にはならぬかと思いますが、若干指導いたしますための職員旅費が別途計上されております。大部分は以上であります。
○西村(関)委員 今伺いますというと、有明海の被害も甚大でございます。が、琵琶湖の被害も御承知の通り非常に大きなもの、今までにかつてない被害を受けておるのであります。えり漁業はもう全滅であります。それからイケチョウガイは全滅しております。これに対するところの漁民の状態というものは惨たんたるものがあるのであります。それに対して漁場の整備でありますとか、あるいは種苗の購入費の補助でありますとかいうような、わずか一千数百万円足らずの金で、今度の四億をこえるところの琵琶湖の被害をカバーするということはとてもできない。こういう点については私は非常に不満に感ずるのであります。水産庁の考え方がいろいろな点を検討せられておるということはわかりますが、こういうような数字ではとうていその漁民を納得させることができない。実にこれは不満きわまりない数字だと思うのであります。この点は一つ御再考願いたい。補償することがどうしてもできないということならば、補助額においてもっとふやすということを考えていただかないと、有明海の漁民に対してももちろんでございますが、琵琶湖の漁民に対しては、私は地元の実情を知っております者といたしまして、とても漁民を納得さすことができない。その点もう一度、時間がありませんから一言でけっこうでありますから……。それで私の関連質問を終わりますので、お答えを願いたいと思います。
○村田政府委員 御指摘のように、先ほど来申し上げておりますのは、国の直接の助成の問題でございますが、それだけではもちろん金額的に御不満のあることもよくわかりますけれども、それだけで事態の全部が解決することでないことはもう御承知の通りであります。従いまして、今回の措置の一環といたしまして、先般すでに天災融資法は琵琶湖につきましても有明海につきましても適用が決定になっておる。そういった関係の融資の措置であります。とか、あるいはそれ以外に——たとえばすでに被害を受けました地元におきましては、国のそういう助成措置以外に、系統融資のあっせんをしますとか、それに対して県が積極的な側面援助をするとか、いろいろな措置がとられて参っております。もとより県がそういう措置をとるから、国はその措置を息を抜いていいということは毛頭ございませんけれども、国の先ほど来申し上げました措置、県の措置と相待ちまして、できるだけ復旧がすみやかに行なわれまして、被害漁民が立ち上がれるようにというふうに考えるわけであります。
○西村(関)委員 答弁はもう要りませんが、内水面漁業の関係からいうと、内水面漁業は今非常に苦しい立場にあることは農林省よく御存じのところです。それに対して今融資とかなんとかということで金を借りたら返さなければいかぬ。そういうようなことに対してなかなか困難性があるのです。そういう点もよく頭に入れて対策を講じていただきたい。特に内水面漁業については非常に困っております。一々具体的なことは申し上げる時間がありません。しかしその点を十分に頭に入れて措置を講じていただきたい。御答弁は要りません。その点御要望申し上げます。
○稲富委員 時間がありませんし、委員長から請求されておりますので結論的に簡単に締めくくりをつけます。 相澤主計官に特にこの機会にお願いいたしますのは、ただいま申し上げましたように漁場の実態等からいいまして、本来からいうならば当然補償をいたさなくてはいけないのだけれども、補償ができなければ十分なる助成措置をやらなければいけない。ところが農林省が大蔵省に要求されておるのは、これが復旧にいたしましても、清掃等に三分の二の国庫助成ということを要望しておるらしい。われわれは今の西村委員の申されましたように、十分の補償ができないとするならば、三分の二くらいの助成率では復旧には非常に困難を来たすのではないかという考えを持っております。ところが大蔵省関係ではこれでさえも困難だというような先刻相澤主計官の御意見のようでございますが、これはもってのほかであります。この事情を十分に考えられて、補償の問題を十分にされんとするならば、せめて三分の二以上をわれわれは要求するのですけれども、こういうことについてもお考えを願いたい。さらに融資の問題が出たのでありますが、これに対しては農林省も融資のあっせん等をやられておるようであります。が、この融資は非常に金利が高いので、融資に対する利子補給等の処置を講ずるというような考え方はないのであるか、この点も一つ承りたいと思うのです。
○村田政府委員 一般の系統融資につきまして、それに対する利子補給ということは当面考えておりませんけれども、私どもが承知いたしております。一、二の県におきましては、県当局において、そういう借入金の利子補給の措置などは講ぜられつつあるようであります。国としてただいま考えておりますのは、天災融資法によります低利の融資という措置をとっておるわけであります。
○稲富委員 その利子補給の問題等に対しては、県あたりが独自な立場、態度をとるように、農林省としても、県等に対する指示あるいは指導等をしていただきたい。 さらに最後にお尋ねしたいと思いますのは、先刻から申し上げましたように、被害漁民の生活が非常に困窮しておりますので、この被害漁民に対する減税措置に対してどういうようにお考えになっておるか。これは農林省からさらに大蔵省等にも十分要望してもらわなければいかぬと思うのですが、被害漁民に対する減税措置等に対して考えておるか、この点、承りたいと思います。
○村田政府委員 被害漁民に対します。減税処置につきましては、先般関係県の知事からもこれについて強い要望がございました。県限りで処理されるものは県御当局で当然お考えになっておられる問題だと存じますが、中央で処理いたすべきものにつきましては、われわれの方としましても、積極的にそれらの関係の当局にお願いして参りたい、かように考えております。
○稲富委員 もうすでに本会議の予鈴が鳴りましたので、最後に、締めくくりといたしまして、今回の被害は天災であり人災であるので、どちらが基本的な問題であるかないかは別にいたしまして、損害をこうむった事実は見のがすことができないわけでありますので、どうかこれに対しましては、農林省におきましては、水産庁もさらに振興局も、いろんななわ張り的な感情はなくして、一体になってこれに対する考えを持ってもらいたい。 さらに大蔵当局におきましても、こういうような被害の実態等を十分把握されまして、これに対しては、一つ抜本的な処置をとって、ほんとうに今日困窮している漁民が、再び自分たちの事業を営むことのできるような方策をとって、親心を持って処していただきたい。農林大臣、大蔵大臣、見えておりませんので、相澤主計官より、この点のことは十分大蔵大臣その他関係方面にもお伝え願いまして、こういう処置をとっていただきたいということを私最後にお願い申し上げまして、一つこれに対する——幸い相澤主計官来ておりますので、これは一つあなたに努力してもらわなければいかぬと思いますし、十分やっていただきたいと思いますので、あなたの決意を最後に承りまして、私の質問を終わることにいたします。
○相澤説明員 本日の委員会におきまして、皆様から種々御要望がありまし点につきましては、私、帰りましてまた十分上司にも伝え、なお慎重に検討したいと思います。
○長谷川委員長 田口長治郎君。
○田口委員 本日は私、参議院の漁業法の改正案につきまして、修正部分の説明に行っておりました関係上中座いたしまして、今までの経過がわからないのでございますが、この問題につきましては、ここまで参りますと、これを来年繰り返すというようなことになりますれば、漁業者と農業者との感情の対立問題になりまして、経済上の問題ばかりでなしに、これは非常な大きな政治問題化する、こういうような心配のある問題でございますから、この機会に国会も政府も一緒になって、この問題に対して終止符を打たなければならぬ、こう考えておるのでございす。 先ほどから相澤主計官と稲富委員との質疑応答を聞いておりますと、現地の実情、この実情から参りますところの漁民感情、現場を見て参りました議員の気持、それと東京におられる相澤主計官の気持がどうも非常に隔たりがあるふうに私聞いておるのでございますが、現地といたしましては、御承知の通りに、もうここ五カ年間にこういう大きな災害を二回繰り返しておる。農民なんかにいたしましても、もう自分の負担だとかなんだとか、そういうことは絶対にできないんで、農地は勝手にしてくれ、こういうような気持になっておる実情であるのでございます。このことは漁業者にも同様でございまして、ことに貝類の養殖なんかは——有明海では、人間が立ちます。と ほとんど泥の中にずっと埋まってしまうような土質でございますから、貝類を養殖するにはまずたなをつくらなければいかぬ。人間が乗っても貝を置いても沈まないようなたなをつくって、しかる後に種をまく。この種は二年、三年でようやく収穫される、こういうような実情になっておるので、今回の災害でこのたなのところまで腐敗した、貝の有機物がさらに腐敗しまして、もうその近傍には立ち寄られない、こういうような状態になっておるのでございますから、死んだ貝を拾って捨てる、こういうような今の有明海の状態におきまして、漁場の清掃というものに当たらない、根本的に土地をかえてしまって、そしてたなをつくって稚貝をまく、そういうところまでやらなければならぬ実情にあるのでございます。従いまして、漁業者がこの漁場を復旧する、その経費を自分で持つというようなことはできないので、土地によりましては、農民の方から救援米を出して生活させておる、こういう実情であるのでございます。この実情を相澤主計官はどうもはっきりと認識しておらないような感じを私持つのでございますが、時間がありませんから、あとのことはもう申しませんけれども、今回のこの問題は、このままに放任しておきますと、農民、漁民の感情の対立問題になって大へんなことになる、この問題を認識していただくと同時に、大蔵省ことに相澤主計官は一つ現地の実情をよく認識していただきまして、この問題の処理に対して水産庁と一緒になって責任を持って解決する、こういうお考えでおっていただきたいのでございます。 それから振興局長に対しましては、今申しましたような、そこまでいっておる次第でございますから、来年この問題を繰り返さないようにするのにはどうしたらいいか、この根本対策、恒久対策について一つ真剣に研究していただく、そうしてできますれば次の通常国会には抜本的な処置を講ずる、こういうような具体案を一つきょうからでも研究していただきたいのでございます。 別に答弁は要りませんが、三点につきまして要望をしておきます。
○長谷川委員長 次会は明二十九日開会することといたします。 本日はこれにて散会をいたします。 午後一時一分散会