農林水産委員会 第3号
- 発言数
- 159 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1962/08/22
会議録
○長谷川委員長 これより会議を開きます。 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。 質疑の通告があります。これを許します。角屋堅次郎君。
○角屋委員 私は、今臨時国会にあたりまして重政農林大臣から農林水産委員会において表明されました農林水産政策の所信表明につきまして、主として水産政策の問題についてお伺いをいたしたいと思います。 大体本日取り上げる問題は、国際的な問題といたしましては、過般伊東水産庁長官以下ハワイのホノルルで開催をされました日米加漁業条約の中間会議の状況を中心にして、日米加漁業条約の今後の改定問題、さらに過般来委員会でも取り上げておりますが、北海道の貝殻島におけるコンブ操業の関係の問題、また昨日から日韓の予備交渉に入っておることは御承知の通りでございますが、党としては日韓の交渉問題については基本的な態度を持っておりますけれども、この日韓の予備交渉と関連をいたしまして、従来から漁業関係で問題になりますところの李ライン関係の問題、あるいは韓国に抑留されておる漁夫の返還問題、さらには韓国関係では、農林水産関係としては、本委員会においてもしばしば取り上げて参りました韓国ノリの輸入等の問題に対する方針、こういうようなことを主として国際的な問題の中ではお伺いをいたしたい、こういうふうに考えております。 なおまた国内問題は、水産政策としては非常に広範な問題がありますけれども、本日は当面の問題に焦点を合わせながらお伺いいたしたいと思います。が、やはり今後の水産政策の重要施策の方向というものを、これは沿岸漁業の振興もありましょうし、あるいは内水面の振興もありましょうし、あるいは沖合い遠洋漁業に関するところの今後の方針の問題もありましょうが、そういう重要施策の基本的な方針、さらには大衆性多獲魚の価格安定の法的措置が過般講ぜられましたが、やはりその後の経過を見ますと必ずしも成功しておらない。そういう点から、大衆性多獲魚を含む水産物価格の安定対策というものについては、新しい構想が考えられておる段階にきておるかと思いますので、そういうふうな問題、さらに次期通常国会を目ざしまして漁港の整備計画というものを今検討中のように承っておりますし、大臣の所信表明の中でもそのことが触れられておるわけでありますから、そういう漁港整備計画の問題、さらに今進行しております。ところの新規カツオ、マグロの許可方針をめぐる諸問題、さらに災害対策とも直接関係が深いわけでありまして当然この水産関係の問題として本委員会においても承っておきたい問題は、有明海PCPを中心にした漁業の災害対策に関する問題、さらに労働政策上の近代化の問題に関連をいたしまして、漁船員の労働時間の短縮問題あるいは労働条件の改善問題、こういうことで過般来運輸省あるいは水産庁等でいろいろ検討がなされておる問題等もあるわけですが、そういう問題にも触れながら逐次お伺いをして参りたい、こういうふうに考えるわけでございます。 まず国際的な問題の第一といたしまして、日米加漁業条約の問題でありますが、これは御承知の通り昭和二十八年六月十二日に効力を発効いたしまして、条約の第十一条の関係から見ます。ならばこれは発効後十年間有効期間がありまして、締約国の一方の終了通告によって一カ年間の猶予期間を持ってこれが終了するという条項等もありまして、来年の六月には満十年の期限がくるというふうな問題にきておるわけでございます。過般ハワイのホノルルで開かれました日米加漁業条約関係の中間会議に伊東水産庁長官以下代表の方々が行かれまして、日米加の来年の六月の終了期を前にしていろいろアメリカ並びにカナダと話し合いをしてこられたわけでございます。私どもは日米加漁業条約の問題については、これはちょうど昭和二十六年の九月八日サンフランシスコにおいて平和条約が締結される前後から問題が出ておりまして、たとえば終戦直後におけるトルーマン大統領の宣言あるいはサンフランシスコ平和条約の話し合いの過程における吉田・ダレスの往復書簡問題、こういうふうな経過の中で平和条約第九条に基づいてこの会議が昭和二十六年の十一月から十二月にかけて持たれ、さらに来年の五月に調印が行なわれるというふうな形の中で、二十八年六月十二日に効力発生を見た問題でありますけれども、まず冒頭にお伺いをいたしたいのは、過般のホノルルにおける会議に臨む日本側の態度並びに会議の経過について、水産庁長官から御報告願いたい、こういうふうに思います。
○伊東説明員 日米加の御質問でございますが、われわれ参りますときには、問題が二つございまして、一つは現行条約のもとにおきまして北洋の底びきが、今の条約で自発的に抑止しております。これが北洋にどういう影響があるのかという問題と、もう一つは先生のお話になりました条約の将来の問題、二つございます。 第一番目の問題につきましては、これは現行条約のもとにおきましても、北洋に影響を最小限にしながらこれは基本的に開発していくのだ、そういう根本的な考え方で臨んだのでございますが、第二番目の条約の問題につきましては、これは実は先生今御指摘がありましたように来年六月の問題でもありますし、今から日本側で具体的に全部の態度をきめましてこれに臨むということよりも、むしろアメリカ、カナダは一体これをどういうふうに考えておるのだというふうなことを十分に聞いて、その上でこちらの具体的な態度をきめようというような考え方で実は向こうに参ったわけでございます。向こうに参りまして、いろいろアメリカ、カナダの、特に政府側の関係者と内々話し合いをするというようなことをして参りました。私どもといたしましては先ほど申し上げましたように来年六月でございますし、まだその前にこの十一月には年次会議がございまして、また政府関係者全部が集まります。機会もありますので、そういう機会に具体的なことは言うというような態度で臨んだわけでございます。しかし日本側としましては、この条約につきましては一般的に占領下にこの条約ができたんだというようなことからしまして、関係者の間におきまして不平等な条約ではないかというような印象が非常に強いわけでございます。またこの条約ができましたあとに日ソの条約ができますとか、あるいはソ連の船団が相当あの海域に進出してきますとか、あるいは一九五八年でしたか九年かのジュネーブの海洋法の会議におきましても、いわゆる抑止原則というようなことが否決されたというような新しい事実がいろいろ出て参っております。また日本の漁業も、十年前この条約を作りましたときに、今ほど日本の漁業が北太平洋でいろいろな母船式漁業を初めとして、鮭鱒を初めとして発展するとは思われなかったほどに、現在は鮭鱒漁業を除きましても、二十数船団があの海域に出ているというようなこともございまして、いろんな新しい事情が出て参りましたので、日本側としましてはそういう事情を種々アメリカ、カナダ側に説明いたしまして、日本としてはこういう新しいその後出てきました事実の上に立ってこの条約を再検討してみたい。時期としましては先ほど申し上げました十一月にはまたアメリカ、カナダの関係者が集まるときがございますので、そういうときには今のような検討の上に立ってこの条約をどういうふうにするというような具体的なものをもって相談をしたいというふうな話を、実はアメリカ、カナダ側の代表とも話し合いをして参ったわけでございまして、今までの段階では、それ以上進みまして具体的にそれじゃ条約の内容をどうするのだというところまでは、お互いがアメリカもカナダもそこまでは今度の会議では触れなかったわけでございます。
○角屋委員 伊東さんが帰ってこられたあとの新聞記者に発表された新聞記事等を若干拝見しておりますと、日米加の双方の話し合いの中では、無条約状態というのはできるだけ避けたいということでお互いの意見は一致した、あるいはオヒョウの問題については、操業区域あるいは操業隻数というような問題について、向こう側は比較的緩和した考え方を意見の中で出してきておるというふうな具体的な問題がいろいろ出ておるわけでございます。さらにまた従来から暫定的な抑止線として考えられております西経百七十五度の問題につきまして、これは付属議定書等でいろいろ共同調査等の問題も従来からあったわけでございますけれども、アメリカ側としてさらにこれを十度拡大をしようというふうな話をしておる問題も数回前の会合から出て参っておる経緯もございます。これらの問題について、さらにまた今回の会合の中で、新聞談話等も見ながらどういう話し合いがなされたかということについて、もう一度それらの問題についてお伺いしたいと思います。
○伊東説明員 飛び飛びになります。が、西経百七十五度線を北米系のサケがもっと西の方に極東寄りの方にいるので、あの線を十度ぐらい西の方へ持ってきたらどうか、持ってくる方が今の条約の精神からいって妥当だという主張は、従来の年次会議におきましてアメリカ側が常に主張したことでございます。今度の会議では、その点は実はこれまた条約の内容の問題になりますが、アメリカ側としましてはそういう条約の内容に触れて具体的にあの線をどっちに動かすというようなことは主張の中には実はまだ出ておりませんでした。具体的なものは秋の十一月に持ち寄って、できれば話そうではないかということで、今度の会議では実はその点は出なかったわけでございます。 それから条約全般の問題についてでございますが、やはりアメリカ、カナダ、日本の間では北太平洋を無条約の状態にいたしまして、あそこで漁業の秩序というものはなくなってしまうということはやはりお互いがいろんな面で影響があるのではないか、そうなりました場合に、一体日ソの関係もあの条約に対する影響はどうか、いろんな諸般のことをみんなと検討いたしたのでございますが、三国ともにこの問題については、内容は今別といたしまして、今後検討することにして、やはり条約をつくりましてあの海域の漁業秩序の維持、資源の保存ということをお互いにやっていこうということにつきましては大体意見は一致いたして参ったのでございます。また底魚の問題でございますが、先生御承知のこれは底魚のオヒョウにつきまして、日本側はとっても捨てるということをやっておるわけでございまして、そのうちで日本が船団を出しておりますのはアリューシャン列島の北のベーリング海域に船団を出しております。ここで実はソ連がオヒョウをとりましても、条約に制約がございませんので、オヒョウをとっております。日本側はその地域で捨てている。条約に抑止しておりますので捨てているというような実は矛盾した現象が出ております。ベーリングにつきましてはそうでありますので、日本としてはそういう矛盾は合理的に解決すべきではないかということで、これは年次会議においてよくアメリカ側も検討しようというような話が出ております。これは従来は出なかったのでございますが、今度の会議で出ております。それからアラスカの南につきまして従来アメリカ、カナダは、この海域につきましては日本の底びき船団が入ってきますことはオヒョウ資源に非常に影響があるから、あそこに入らぬでくれということを去年の秋までは強く言っていたのでございます。が、今度の会議ではその点がお互いが場を理解しまして、日本の船団がある程度出てくることもやむを得ないのではないか、ただしその場合にオヒョウが集中しているような地域についてはなるべく禁止区域というものを設けてオヒョウ資源に影響を与えないようにしようじゃないか、その地域を一体どういうふうにしたらいいのかということは一つ三国の科学者の間で今までの調査をもとにしまして場所をきめていくということをやったらどうかということで、操業区域をどうするかということに問題がしぼられていたのでございますが、そのほかの件につきましては、大体日本側の立場は米国、カナダも理解してくれて、去年までは実はその点においてけんか別れのような形となっていたのでございますが、本年の秋の年次会議ではおそらくその問題は禁止区域の相談さえできればある程度解決はつくという見通しが出てきたわけでございます。
○角屋委員 ただいまのオヒョウの関係の問題ですが、これはアメリカ、カナダのハリバット条約の区域の中も含んで操業できるという話し合いのもとで、今回話し合いがなされておるのかどうかということが一点。 それから先ほど水産庁長官は、日米加漁業条約の締結後における日本の漁業の発展状況、あるいは国際的な漁業の変化、あるいは抑止原則等に対する国際海洋法会議等におけるところの動向と、いろいろな点についてもお触れになりましたが、さらに日米加漁業条約の中に——やはり北洋漁業の関係ではソ連の存在というものを無視することはできない。当然ソ連も操業関係で入ってくる。従って日米加の中にソ連を含むべきであるとか、あるいは現状のままでいこうとかいうことについて、私どもお伺いしておるところでは、日本の業界関係においても、入れたらどうだろうという意見と、いやこのままで、三国間の条約でいいのじゃないかという意見と二通りに分かれておるやに承っておりますが、今後の条約についての問題とも関連して、ソ連を日米加漁業条約というふうな中へ含めて考えていくという方向を基本的な考え方として持っておるのか、あるいは現行三国の漁業条約という形で今後ともいくということを考えておられるのか。これは日本側ばかりでなしに、そういう問題についてアメリカ、カナダ等の意向はどういうふうな考え方を持っておるのかという点についても、一つこの際明らかにしてもらいたいと思います。
○伊東説明員 第一番目の底びきの操業区域にハリバット条約の操業区域が入っているかという問題でございます。が、これは入っております。アメリカとカナダで結んでおりますオヒョウの条約の操業区域の中に日本の底びき船団が入ってもいいということで、これは明瞭にその条約区域の中でございます。 それから第二点のソ連の問題でございますが、これは先生がおっしゃいますように、北洋につきましてソ連の漁業勢力というものが無視できないことは確かでございます。今度の日米加の会議でもいろいろこの問題に触れたのでございます。先生がおっしゃいましたように、日本の中にもいろいろ意見があるじゃないかというお話、実は私どもも知っております。たとえばソ連が、ソ連だけのサケをとらないで、もっとブリストルのアメリカ系のサケもとるべきじゃないか、自分もあの条約に入って日本のあと押しをしてやるというようなことを、ソ連からある人に言われたという話も実は聞いております。今度向こうへ行ってみまして、アメリカもこれは言っておるのでございますが、アメリカの中にも、ソ連もあの条約の中に入れて、アメリカとソ連と一緒になって日本にある程度制限を加えたらいいじゃないかという意見も一部にはあるのだというようなことは、向こうの代表の人も言っておりましたが、おのおの——日本にもそういうことをソ連から言われたという話も、私も非公式に聞いておることもございますが、いろいろ意見はございます。意見はございますが、まだ将来今度の条約にソ連との関係をどうするかということに、結論を現時点で出しているわけではございませんが、この前ハワイで行ないました会談の一般的な空気では、できれば従来通り北太平洋の公海漁業については三国間でやっていくのが望ましいのじゃないかという空気の方が非常に強かったという感じ方をして、私は帰ってきております。が、この問題は将来の問題でございますけれども、十分われわれとしても検討をした上で結論を出すべき問題だというふうに思っております。
○角屋委員 日米加漁業条約の問題は、この問題が当時日本の衆参両院で論議をされましたときには、当時吉田内閣の与党であった自由党だけがこの問題には賛成をいたしましたけれども、野党側でありました改進党あるいは社会党あるいは労農党あるいは共産党、こういう各党関係が、この条約は不平等条約であって、断じてこれは承認するわけにいかない、自発的抑止原則ということを言っておるけれども、これは国際法上公海自由の原則からいってももとる問題であるし、従ってこういう不平等な、また非科学的な条約というものは反対であるという形の中でこの条約が通過したことは、御承知の通りでございます。しかも水産庁の長官もお話しになりましたように、これはサンフランシスコ平和条約の締結過程における、当時の占領下においてなされた問題でありますので、こういう不平等、非科学的な日米加の三国条約というものについては、国際的には同情の眼を持って見られる面ももちろんありますけれども、今日、日本は独立をして、池田さんの言葉で言うならば、いわゆる大国意識というようなことをよく言われて問題になるわけでありますけれども、とにかく日米あるいは日加の間において、対等の立場でこの条約の改定をどうするかという話をすべき段階にきておる今日の時点においては、これはやはり日本において、国会で論議した経緯からいたしましても、その後における国連の海洋法会議においてアメリカが執拗に、この自発的抑止原則というものを国際漁業における原則の中に入れたいということで——これは何も海洋法会議ばかりでなしに、ローマ会議あるいはまた国際法委員会、こういうふうな関係の中でもこの問題を持ち出しておりますけれども、残念ながら国際的な支持を得ることができなかった。もちろんこの自然的抑止原則については、日本は、国連の海洋法会議が一九五八年に開かれた際にも、反対の意思表明をはっきりしておるわけであり、しかも反対側の中には、ソ連、ノルウエー、スエーデン、オランダ、イギリス、ブルガリア、ポーランド等の各国が、それぞれこれに反対を表明しておるし、注目すべきは、韓国、イラン、タイ、インド、インドネシアというアジア方面における——またあとでお聞きします李ライン問題にも関係するわけですが、韓国が自然的自発的抑止原則というものには当時賛成意見を出しておるというような点が、非常に注目をされるわけであります。いずれにしても国際的には、自発的抑止原則というものは否決されておるというふうな前提に相なっておるわけです。従ってこの際重政新農林大臣にお伺いをしたいのでありますけれども、ちょうど大臣が就任をされて、任期中に、国際漁業関係では日米加の漁業条約をどうするかという問題を、大臣の責任において処理しなければならぬ。まさにこれは国際的な注視の中における歴史的な仕事として、これをどう仕上げるかという非常に重要な責任を時っておると私は思います。また国際漁業の関係では、後に聞きます李ラインの不当な抑圧等の問題に対してどうしていくかという問題も、もちろんでございます。また例年、日ソ漁業交渉の関係においては、交渉が開始されてから百日交渉という難航の中で、問題が、出漁時期を間ぎわに控えて、あるいは出漁時期を若干越えて交渉がまとまるというふうな、日ソの漁業交渉のあり方の問題についても、これは来年のことを言えば鬼が笑うということになりますけれども、これをやはり本年度の場合にはスムーズに、しかも合理的に解決するためにはどういう態度でいったらいいのかという問題が、国際漁業の関係ではあるわけでございます。冒頭にお伺いしたいのは、当無、日米加の漁業条約の問題については、国際的に認められておらない自然的抑止原則というものをチェックしながら、日米加の漁業条約というものを対等の立場において、平等の原則に基づいてこれを改定していくという方針で行かれると思います。が、その基本方針についてお伺いをいたしたい、こういうふうに思います。
○重政国務大臣 自発的抑止原則が国際的の原則になっておらないことは、ただいま申された通りであります。ちょうど改定の時期にあたりまして、国際的の原則になっておらない原則を採用して参る考えはございません。
○角屋委員 逆説的な表現を使われたので、ちょっと意味がとりにくかったのですが、もう一度一つ。日米加漁業条約の改定問題に対する基本方針というものについて、今国際的に認められておらない自発的抑止原則というものをどうされるというふうに言われたのかよくくみ取れませんでしたが、まことに恐縮でございますが……。
○重政国務大臣 平等の立場に立って条約の改定をやりたい、こう考えております。
○角屋委員 互恵平等の立場で、しかも国際的に認められておる公海の自由の原則という立場において日米加の漁業条約の改定に臨みたい、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
○重政国務大臣 平等の立場に立って交渉をやりたい、こう考えておるわけであります。
○角屋委員 これはこれからの日米加の漁業条約が来年の六月に期限がくるまでまだ時間もあるわけですけれども、しかし、私は、基本方針というものは何もその時期ということでなくても、大臣は農林省出身であり、この方面についても十分なお考えを持っておられるというふうに思うわけでありまして、この日米加の漁業条約については、この成立の経緯あるいは国会におけるところの審議、国民世論の動向、国際的なこの条約に対する評価、さらにまた今後日本が日米加の漁業条約をどういうふうに改定をするかという推移というものは、日ソ漁業交渉その他国際的な日本の漁業のこれからの問題に大きな影響を持つことは間違いがございません。日本がやはり独立国として対等の立場でやり得る条件になったこの機会に——大臣のお話では、平等だけしか、ちょっとあと言葉が出ないのですけれども、やはり基本方針としては、国際的に認められておる公海自由の原則に基づいて互恵平等の立場でこの日米加漁業条約というものを改定するのだということが私は基本方針であろうと思う。わが党が言っておるように、この条約については条約の十一条の二項で、一方の国が通告をすれば、一年間の有効期間を置いてこれは終了するというふうな手続を経て、新しい観点から対等の条約を結ぶべきだ、こういう主張をそのままとるかとらぬかは別として、方針というものについては、これはやはり政府与党も社会党も変わるところはないはずだと私は思うのですが、この点についてはもっと明確に基本方針というものを明らかにしてもらいたい、こう思うのです。
○重政国務大臣 基本方針は、私が申しました通りに平等の立場に立って改定をいたしたい。これはもう申し上げるまでもないことでありますが、外交交渉のことでありますから、ただいまお述べになりました国内の事情その他については十分に了承いたしております。が、今後にこの交渉をやることであります。しかも年内にまたもう一度年次会議もあることでもありますしいたしますので、十分に諸般の状態をやはり考慮しながらいかなければならぬことだろうと思うのであります。でありますから、現在のところでは、平等の立場に立って不合理な点は改定をしていきたいというのが基本原則である、こう申し上げるよりほかないと思います。内容についていろいろ私の考えておることもありますけれども、ここで申し上げるのはいかがかと思うわけであります。御了承賜わりたいと思います。
○角屋委員 私は、この国際的な条約というものは相手があるわけですから、最終的にどう落ちつくかということは、これはやはりそのこと自身として考えなければならぬ。ただ国際的に注目をされるのは、日本がどういう態度でこの条約の改定に臨むか、これが国際的にやはり注目をされる。ことにこの自発的抑止原則というものは国連の海洋法会議等においても、日本は、この原則については反対の意思を正式に表明してきた、いわゆる日本自身が認めない原則である。また国際的にもそれは認められていない原則である。従って、一方では国際会議でそういうことを主張しながら、他面においてはそれを今度もまた無条件で認めるということはあり得ない。また、そういうことであるならば、日ソ漁業交渉その他李ラインの問題を含め、各般の国際漁業の関係で非常な悪影響を与えるということは間違いないだろうと思う。私はそういうことが事実であるかどうかわかりませんけれども、高碕さんが日ソ漁業交渉でソ連に参られました際にも日米加漁業条約の問題に触れられて、これは占領下で結ばれた条約だから、ああいう自発的抑止原則というものを取り入れたということは、あの当時の事情としてはやむを得なかったかもしれぬけれども、今度はやはり対等の立場で条約の改定をやろう、こういう段階だから、おそらくはそれは是正をされるだろう、そうでないとするならば、これはやはり日ソ漁業等の今後のあり方というものにも影響を及ぼしてくるだろうというようなお話をされたやに聞いておりますが、自発的抑止原則というものについては、日本はもちろんでありますけれども、ソ連が国連の海洋法会議の中でも激しくこの問題については反対をしておったことは御承知の通り。そういうふうないろいろな状況から見ましても、自発的抑止原則というものはこのまま今後の条約においても取り入れられていくということではないと思いますが、その点についてはいかがですか。
○重政国務大臣 そういう原則は国際的にも認められておる原則ではないのでありますから、できるだけ是正をいたして参りたい、こう考えておるわけであります。
○角屋委員 外務省からも来ておられるかと思いますけれども、この日米加の漁業条約の問題を通じましても、農林省としてはやはり水産政策、あるいは遠洋におけるところの国際漁業の発展という立場から日米加の漁業条約に臨む場合にも、これは重政農林大臣であれ、あるいは伊東水産庁長官であれ、日本の水産業関係の立場からものを考えていくという熱意を非常に持っておられるものだと私は確信をいたしております。ただこの問題は国際的な外交関係を含む問題でありますから、単に農林省ばかりではなくして外務省を含んでくる。外務省を含んでこの問題を取り扱う場合には、事アメリカ関係との問題ということになるというと、私どもから言えば対米従属という言葉を使っておりますが、そういう表現をとるにせよとらぬにせよ、やはり外務省関係では、日米加の漁業条約の問題についても、国際的に認められていない自発的抑止原則が取り入れられている不平等条約であるという認識においては、日本の外務省である限りにおいては認識はわれわれと変わらないだろうと思いますけれども、ただ、今度の漁業集約の改定にあたって、事なかれ主義で問題を済ませていこうというふうな考え方が外務省に強いのではないか。今度のハワイのホノルルにおける会議あたりでも、農林省の方はベテランをそろえて会議に臨まれたわけでありますけれども、外務省関係はそういうことについてはそう重く見たか軽く見たか知りませんけれども、傍聴程度の諸君しか行っていない。これはたまたまそういうことになったのか、あるいは外務省のこういう方面に対する熱意のなさというものがそういうところに現われたのかよくわかりませんけれども、日米加の漁業条約に対する外務省のこの問題に対する今後の取り扱いという問題について、一つ関係の方からお話を願いたいと思います。
○西堀説明員 この日米加漁業条約につきましては、ただいま水産庁長官並びに農林大臣からお話がありました通り、一部に不平等条約ではないかという印象もあるようでございます。また実際問題といたしまして抑止原則というものは、全般的な抑止原則という意味におきましては国際的には認められていない。これは仰せの通りであります。お言葉を返すようでありますけれども、日米加漁業条約できめられておりますところの抑止の措置というものは、全般的なものではなしに、非常に厳重な条件のもとで一部の魚種についてある抑止の措置をとる。そのかわり米加の方におきましても、今までとってきた保存措置というものを国際的な義務にするという意味で、非常に技術的に申しますならば、一見したところ不平等と見えるほど不平等ではないとわれわれは考えるのでありますけれども、しかしそういうふうな一般の印象もございます。 それからまた、その締結された当時の状況からいきましても、本条約はとにかく一応十カ年というものを、日米加の漁業活動を安定した基礎のもとにやってきたということは認めつつも、しかしとにかく今申しましたような印象並びに締結当時の状況というものもございますので、この際幸いにしてと申しますか、改定し得る時期に参っておるわけでございますから、農林大臣がしばしば申されました通り、平等の立場に立ちまして、この全般的な意味においては国際的には決して認められていないところの抑止原則というものもこの際十分に考慮いたしまして、十分に改定の立場から検討いたしまして、本条約をどのような姿に変えていくかという点につきまして、目下水産庁当局とも鋭意検討を進めておる、こういう状況でございます。
○角屋委員 質問が他にもずっと広範にわたっておりますので、この問題だけにしぼってお尋ねをすることはできませんが、ただいま重政農林大臣並びに外務省関係のお話を通じて、国際的に認められておらない自発的抑止原則というものを改めながら、平等の立場において日米加の漁業条約の改定をやりたいという、そういうお考えについては明らかになったわけであります。従って、この問題については、さらに、おそらく外務委員会その他関係委員会でも、今後問題の発展とともに取り上げられる問題でありますので、本日のところはこの程度でとめますけれども、党といたしましても、池田総理に対してわが党の河上委員長から、日米加漁業条約の問題については、やはり互恵平等の立場で、公海自由の原則に基づいて、この際不平等条約をなくして、そうして新しい観点から新条約を結ぶべきだ、こういう申し入れをいたしておるわけですが、そういう申し入れの趣旨等も十分尊重されまして、今後この問題に対処していただきたいということを強く希望しておきたいと思います。 次に、北海道の貝殻島におけるコンブの安全操業の問題でありますが、これはいずれ、ソ連の方にわが党から赤松代表団が行かれたわけであります。し、その中には北海道出身の横路さんも加わっておられまして、いずれこの問題は現地の立場において、しかもまたソ連に参りました話し合いの状況等も含めて、国会を通じていろいろただされることだろうというふうに思いますし、同時にまた党といたしましても、この問題については超党派の立場から、ソ連に参りました状況等については、おそらく重政農林大臣や大平外務大臣等に対して、話し合いの状況等についてもお伝えをするということに相なるだろうと思いますが、ただ当面の問題としてお伺いをしたいのは、この貝殻島におけるコンブ操業の問題は、大臣も御承知の通りこの関係する漁民というのはきわめて零細漁民であり、大体対象は八百人前後かと承っておりますけれども、安全操業が確立していないために、ソ連側にしばしば拿捕されるという問題等を生じてきておるわけでございます。この問題については、日ソ漁業交渉の難航しました際に、河野前農林大臣がソ連に参られまして、コンブ操業の問題等についても話し合いをされ、少しく好転するのじゃないかというふうに期待をされておったところ、その後ソ連側との話し合いの中で状況が変わったというふうにも伝えられておりますが、この問題は今日時点、どういうふうに経過としてなっておるのか、あるいは今後この問題をどうしようとするのかという点について、お考えを承りたいと思います。
○伊東説明員 経過は私から申し上げます。 今御質問がありましたように、高碕代表、河野代表が向こうへ行かれまして、この問題についていろいろ話され、特にこの問題は従来の経緯もありますので、民間の大水の会長という立場から、高碕代表が河野大臣よりもさらに詳しくいろいろな交渉をされておるということを聞いております。いろいろな提案をされまして、政府が関与するということではなくて、大水がある証明を出したものにつきましては向こうも自由に入れてくれるとか、いろいろな提案をされたということを聞いておるのでありますが、われわれ今聞いております範囲におきましては、その後向こうからやはり高碕代表なりなんなりに連絡がありまして、この問題については、やはり平和条約の問題、領土問題、そういう問題の解決が前提なんだ。そのほかのいろいろな手段でこの問題を、ケース・バイ・ケースといいますか、そういう形で解決していくことは困難だ。また日本はいろいろヘリコプターを飛ばしたりなんかして集団的に何かやっておる。これは非常に遺憾だというような意味の電報が向こうから参りまして、せっかく高碕代表、河野大臣の御尽力にもかかわらず、まだこの問題については解決の曙光が出ておらぬというのが現状でございます。われわれとしましても、はなはだ遺憾でございますが、そういう電報も受けましたので、根室、歯舞等の業者につきましては、やはりその趣旨を伝えまして、危険な区域に入るときには十分注意するようにという注意をいたしておるわけでございますが、そのほかに農林省あるいは道庁の方策といたしましては、あの区域以外の、貝殻島へ行かぬでもいいところへ投石その他の——つきいそでございますが、やりましてコンブをつかせるというようなことも今やっております。そのほか、まだこれは十分でございませんが、先般カツオ・マグロの新規の許可を出します際にも、北海道に割り当てました二隻の分につきましては、特にこれは歯舞関係の漁業者で、あすこで危険な目にあってコンブをとっておるという人の一部が、カツオ・マグロに転向して安全な漁業ができるようにしてほしいというので、実はひもつきでカツオ・マグロの新規の許可を出しておるというようなこともやっておりますが、現在まだ根本的な解決には至っておりません。先生仰せになりましたように、社会党の先生方も行ってお話し願っておるようでありますが、あらゆる手段を講じまして、あの海域の安全操業を何とかして達成したいということを実は考えておる次第でございます。
○角屋委員 今水産庁長官からもお話しのように、ソ連側としては、根本的に平和条約の締結ということを前提にしなければならぬという考えでおることだと思いますが、ソ連側でこの貝殻島におけるコンブ操業の問題についてスパイ行為があるということをよく指摘されるのでありますが、日本政府といたしまして調査されたところでは、そういう事実はないというふうに思っておられるのですか、その辺のところはどうなんです。
○伊東説明員 向こうがいろいろあすこの安全操業を断わります理由にそういうことを理由にしているということをわれわれは聞いております。しかし日本側としましては、そういう行為をあそこの漁民がするとか、あるいはだれかがさせるということは、水産庁としては、そういうことはないだろう、ほんとうに生計のためにあそこで操業しているということをかたく信じているわけであります。
○角屋委員 大臣にお伺いをいたしたいのですが、先ほどもちょっと申し上げたのでございますけれども、来年のことを言うと鬼が笑うというふうに一般には言われるわけですけれども、例年行なわれております日ソ漁業交渉というものは、交渉が始まりましてから百日交渉、しかも相当に難航するというのがここ数年来の経緯でございまして、最悪の場合には、直接担当の大臣みずから乗り込んでいって話し合いをしなければならぬ、こういう経緯があるわけですけれども、業界関係としても、この問題については、いろいろ日ソ漁業交渉の新しいあり方というものについても意見提示をしておるといろふうに承知をいたしておりますが、大臣としてこの日ソ漁業交渉というふうな問題を、従来の交渉の何回となく行なわれてきた経緯から見て、来年の日ソ漁業交渉についてはこういうことを考えながらいきたいというお考えがあれば明らかにしてもらいたいと思います。
○重政国務大臣 これはただいま御指摘の通りに年々ああいうふうに長くかかって交渉するということは望ましくないと考えておるのであります。なかなか相手のあることでありまして、こちらの希望通りにもいかないわけでありますが、昨年は御承知の通りに出漁期をきめられたということ それからまた最低の漁獲量もきめられたということは、私は一段の進歩であると考えておるのであります。明年の交渉にあたりましても、できるだけ毎年々々やるということをしないで済むような方向で一つやりたい、こういうふうに考えております。
○角屋委員 日韓の予備交渉がきのうから開始をされておりまして、私どもはこの予備交渉が妥結の方向にいくことには基本的には反対をいたしておるわけですが、ただ漁業関係直接の問題として、従来から不当な韓国側の季ライン問題というものがございまして、しかもまたこの季ラインによるところの抑留漁夫の問題というのが年々留守家族に対して深刻な問題を与えておることは御承知の通りでございます。今回も私どもの調べたところでは、抑留漁夫が韓国に三十三名というふうに承っておりますが、この数字はあるいは異同があるかもしれませんけれども、さらに先ほど触れましたソ連との関係において、七月二十五日現在で九十六名、三十三年の者が一人、三十六年の者が四十四人、三十七年の者が五十一人、これは刑期の関係で、三十三年の者が残っているのではないかという感じがいたしますが、いずれにしても韓国側に三十三名、ソ連側に九十六名という抑留漁夫等がございまして、韓国の抑留漁夫の留守家族の関係は、月末にも上京してそれぞれ関係方面に陳情するというお話も承っておるわけでありますが、われわれが日韓交渉に対する態度は別として、伊關さんもお見えになっておりますが、日韓交渉の問題と関連をして、この季ライン問題について一体どう考えていこうとしておるのか。この問題では今月の十五日に、伊關さんが日韓漁協の小浜会長、あるいは田中事務局長代理、こういう方々と会われて、日韓会談の問題で漁業問題をあと回しにするということはしないのだというふうな意味のことを新聞記事として承知をしておるわけですけれども、そういう今回の予備交渉の問題と関連をして、李ライン問題に対する外務省として考えておる点、並びにソ連側あるいは韓国側の抑留漁夫等の問題に対する従来からいろいろ努力しておる経緯というものについて伺いたいと思います。
○伊關政府委員 季ラインの問題につきましては、これは李ラインを廃止いたしまして、そうして合理的な漁業協定をつくろうというのが日本の方針でございます。ただ従来の交渉におきましては、漁業協定の前提となる資源論までは三月の初めに終わりまして、三月の末から漁業協定そのものの論議に入ろうということになっておりましたところ、三月中句に第一回の政治会談をやりまして、それでほとんど決裂同様のことになりまして、その後委員会は開かれておりません。今度予備折衝をきのうから始めまして、まず請求権の問題について今やっておりますが、この問題が大体解決するというめどがつきましたならば、各委員会、漁業を含めましてこういう委員会を直ちにまた開きまして、そうして漁業協定の問題に入るわけであります。原則としまして、これはもうはっきりした方針として請求権、漁業、法的地位、すべての問題は同時に解決して、そうして日韓の国交を正常化する、こういうことになっております。請求権だけを先にして漁業をあと回しにするというふうな考えはございません。ただ韓国側との交渉の順序としまして、請求権について大体めどがつけばほかの問題もスムーズにいくだろう、こういうことになるだろうと思っております。 抑留漁夫につきましては、五月に約五はい拿捕されました。それまでは全然抑留されておる者はおらなかったのであります。その関係で現在二十七名か八名まだ残っておりますが、それは機会あるごとに釈放するように要求いたしておりますけれども、大体六カ月ないし八カ月の刑期ということで、最悪の場合には約八カ月くらい向こうにおる、最近は刑期を終わってなお抑留されているというふうなケースはございません。そういうことになっております。
○角屋委員 今度は水産庁にお伺いしたいわけですが、抑留漁夫の留守家族対策、今申しましたソ連抑留、韓国抑留、こういう問題について一つお話を願いたいと思います。
○伊東説明員 留守家族の問題につきましては、先生も御承知のように従来から閣議決定におきまして、見舞金というふうな制度ができております。乗組員の給与、保険、その他拿捕されました船の特殊保険等、それから今申し上げましたような閣議決定というようなことで、乗組員の家族の人々につきましてある程度の措置をとっておるのでございますが、この問題につきましては、私の方としましても、従来見舞金の問題もだいぶ前に算定した問題もありますので、このままでいいかどうかというようなことも実は内々では検討いたしておりますが、今は従来のような方向で処置いたしておる次第でございます。
○角屋委員 国際漁業の関係を終わるにあたりまして、重政農林大臣に今後の問題としてお伺いしたいわけでありますけれども、御承知の通り漁業生産高というものも今日日本は世界第一位だというふうに言われているわけです。そういう意味では水産日本だというふうに言われておるわけですけれども、しかし敗戦後の沿岸から沖合いへ、沖合いから遠洋へという政策の中で、特に資本漁業関係というものは、政府の手厚い保護政策等の関連の中で大きく成長はいたしましたけれども、しかしその中で谷間に置かれたのは沿岸漁業だという関係の中で、今日沿岸漁業の振興ということは非常に大きな問題を提起しておる姿だと思います。また国際的な漁業への発展というものがだんだん制約を受けてきて、遠洋から沖合いへ、沖合いから沿岸へと逆流する関係の中で、さらにまた一そう沿岸関係に対するしわ寄せがくるというふうな問題も含んでおるわけであります。この際、特に国際漁業の関係の問題については、これは日米加の漁業条約の問題、あるいは日ソ漁業条約の問題、あるいは李ライン問題、また国際捕鯨条約その他各般の問題があるわでありますが、私はやはり水産日本の立場から言えば、国際漁業の問題について長期の見通しに立ったいろいろな政策というものを、農林省自身として持つ必要があるだろう、その問題は単に農林省ばかりでなしに、国際的な外交関係の問題を含んでおりますから、外務省その他関係方面とも十分連携をとりながら、やはり長期展望というものを持つ、その中で日米加漁業条約に対する問題をどうするかということでなければならぬと思う。従って、その時点その時点で出てくる問題を場当たり的に取り扱っていくというのではなしに、この際国際漁業に対する長期の基本的な方針、基本的な計画というものを持つべき段階にきておると思う。そういう意味では、特別の審議会なりあるいは調査会なりをつくられるかどうかということのあり方は別として、そういうことで今後総合的な、しっかりした国際漁業に対する日本の方針というものをきめられるべき時期だと思いますが、一つ大臣の今後の国際漁業に対する、こういう考え方に対するお考えを承っておきたいと思います。
○重政国務大臣 国際漁業について、共通的な原則と申しますか、立場と申しますか、申すまでもなくこれは資源保護の見地に立つということであります。資源保護の見地に立ちまして、各国それぞれ事情があると思いますが、それらの各国と協調を保ちながら発展をさしていきたい、漁獲をいたしましたものはできるだけ輸出の方面にも向けるという立場でやって参りたい、こう考えておるのであります。ただいま御指摘になりました審議会を開いてどうするというようなことは、ただいまのところ考えておりません。
○角屋委員 国際漁業に対する長期総合的なプランの樹立ということは、私はやはり総合的な立場で非常に必要な期にきておるというふうに思うわけでありまして、大臣としても十分その点については御検討を願いたいということを希望しておきたいと思います。 国内の漁業関係の問題に入るわけでありますが、御承知の通り、国内の漁業関係の問題では、わが党から私の名前で漁業五法案を出しておるわけであり、また政府の方からも沿岸漁業等振興法、あるいは漁業法の一部改正、水産業協同組合法の一部改正の水産三法が出ておるわけでございます。いずれ漁業法制のあり方という問題について、沿岸漁業等振興法等の審議されます場合に、水産政策の総合的な問題については触れたいと思いますので、私はこの機会に詳細は省きまして、国内の漁業関係の問題の当面の数点の問題についてお伺いをして参りたい、こういうふうに思います。 ただ、大臣にこの際——水産政策の当面の焦点は何かという点では、御方針の中でも、まず冒頭に、沿岸漁業振興対策を取り上げてやらなければならぬということを強調されておるわけであります。私もその点ではまさに同感でありまして、先ほど触れましたように、今日、戦後の水産政策の中で谷間に置かれ、しかもまた遠洋、沖合いからの逆流を受けておる中で呻吟をしている沿岸漁業の振興対策という問題については、今後予算的にも法制的にも十分整備して積極的に取り上げていかなければならぬ段階が参っておるというふうに見ておるわけです。そういう問題については、御方針の通り今後積極的に進めてもらいたいし、またこれに対する法制的な問題については、その機会にまたお尋ねをいたしたいというふうに思います。 価格問題の関係で、価格流通対策の関係におきまして先ほども触れたわけでありますけれども、多獲性大衆魚の価格安定措置の問題は、わが党からも対策を出し、最終的には政府の原案が通ったわけでありますけれども、当時審議の際に、参考人を招致しましたところ、やはり社会党の提案をしておる方向の価格安定対策をとらなければならないということで、珍しく参考人の方々から社会党原案に対する賛意が述べられるという状況でありましたが、今日やはり経過を見て参りますと、政府原案で通りました大衆性多獲魚の価格安定の立法措置は十分な効果をあげておらないということが明らかになって参りました。大臣も所信表明で水産物の価格流通対策に触れまして、特に価格の面については従来とってきて実効をあげてない多獲性の大衆魚の価格安定措置の問題に、さらに魚価安定という問題も含めて、今後約四十億くらいの予算構想の事業団構想で価格安定の態勢を整備したいということで、鋭意検討中のように伺っておりますが、これらの問題について、この機会に具体的にお考えを承りたいと思います。
○重政国務大臣 御指摘の通りに、魚価安定対策はますます強化して参らなければならないと思うのであります。産地における冷蔵庫の設置でありますとか、あるいは冷凍貨車の増設でありますとか、いろいろ方法があろうと思うのでありますが、これを直ちに事業団によっていくかどうかということは、お述べになります通り今検討中でございまして、まだそういうことでいくのが一番よろしいという結論は出ておらないわけであります。できるだけ早い機会に、具体的な方策を進めるようにいたしたい、こう考えております。
○角屋委員 水産新聞等の資料で承知しておるわけですが、水産庁の三十八年度重要施策、予算要求に関連しての問題の中で、この水産物の価格安定対策の中では、そういう方向で予算要求もし、立法的な措置も講ずるという方針のように私ども判断をしておるわけですけれども、事務当局として、今進めておる考え方はどうなんですか。
○伊東説明員 今、新聞の名前をあげて御質問でございます。水産庁としましては、先生の御指摘のような案も一つの案だというようなことで、実は官房等といろいろ相談をしております。まだ農林省内のことでございますので、決定はしておりません。ただ、いろいろ実は問題がございまして、そういう事業団というような形で一体うまくいくかどうかということも問題がございまして、水産庁、官房と両方で意見を統一しまして、農林省としては来年これでいくんだというところまでは実はまだまとまっておりません。いろいろな事業団も考えの一つにございますし、事業団をつくらぬでも消費地にある程度の冷蔵庫をつくれば、そういうことも解決するのではないかというような案も出ております。いろいろなことが出ておりまして、今検討中でございます。
○角屋委員 これは多獲性の大衆魚の価格安定を含めまして、やはり大漁貧乏というような形にならないための水産物の価格流通対策というものは非常に重要でありますので、やはり来年度予算あるいは通常国会における立法的な諸問題につきましては、積極的な気持で対処していただきたいと思います。 さらに、大臣の所信表明の中にも重点的に書かれておる漁港整備の問題でございますが、しいて表現をするならば、第三次漁港整備計画というふうな形に相なろうかと思うのです。大体、今、日本の漁港は二千七百五十程度あるというふうに承知をしております。が、これが一種から四種までの漁港に細分化されておるわけでございます。農林漁業基本問題調査会の「漁業の基本問題と基本対策」という中で、漁業経済圏あるいは中核漁港を中心にした新しい漁村の確立というような形が答申の中でも出て参っておるわけでありますが、今回の漁港整備計画にあたっては、今水産庁の方で鋭意検討をし、通常国会の段階にこの漁港整備計画の内容を提示したいという経過であろうかと思うわけであります。 しかも漁港整備問題は、関係方面の意見をいろいろ聞いてみますと、やはり一種から四種までそれぞれあるわけでありますけれども、内地の場合は、これは相当な負担を伴う。従って今日漁港の国家予算というのは、災害を除きますと、大体五、六十億程度でありますけれども、その程度以上に積極的に予算を増額するということにいたしましても、いわゆる地元負担というところで限度にきて、十分消化できない。従って漁港整備計画で新しい観点から漁港の整備をやることはもちろんけっこうだけれども、また積極的に予算を増額していくことはけっこうだけれども、この際漁港法の改正ということの中で補助率をやはりもっと引き上げていく、あるいは今日一種から四種までの細分化された漁港という、そういう分類は、これでいいのかどうか。私はまだその点では詳細に専門的に検討しているわけではありませんけれども、これはもう国内的な立場からの漁港、県内的な立場からの漁港という程度に分類を大まかにしたらどうなのか。一種から二種に漁港が引き上げになると、漁協、その他地元では大へん喜ぶわけでありますけれども、地元負担としては別に変わるわけではない。そういう格上げになれば、さらに予算規模が大きく取り扱われるだろうということにすぎない。むしろその点では、県内的な漁港の整備あるいは国内的な漁港の整備というふうに、もっと大別したらどうなのか。あるいは国内におけるところの漁港の補助率という問題については、北海道が国内よりも相当上げられているのでありますが、せめて北海道程度にまで引き上げてはどらか。離島振興の関係は特殊な条件がございまして、過般離島振興法の十年延長に伴いまして、離島方面における漁港整備というものも、今度の漁港整備計画の中では新しくプラスして検討される段階にきておるわけでありますが、この際漁港の整備計画というものに対する現在検討中の内容、あるいは今後これを国会に出す時期、さらには私が申し上げましたようにこの際漁港整備計画を含めて、積極的に漁港の整備をはかる、特に沿岸漁業の振興の生産の場としての漁港を整備していくという立場から見ても、地元負担の関係、そういう点から積極的に補助率の改定を含む漁港法の改正というものを通常国会を前提にして考えていくべきじゃないか、こういうふうに思うわけですけれども、これらの点に対するお考えを承りたいと思います。
○伊東説明員 今事務的にやっておることがございますので、御説明申し上げます。 今、先生御質問になりましたように第三次といいますか、整備計画の作業をしていることは確かでございます。その場合の基本的な考え方としましては、先生の御指摘がありましたように、基本問題調査会の答申にもございます。ように、中核漁港というものを中心にして整備計画をやっていこう。もちろんそのほかに、いわゆる今三種なり特定三種と言っておりますような非常に大規模な漁港もございます。この整備はもちろんでございますが、沿岸等におきましては、中核漁港を中心にした整備計画をやっていこうという態度で、今鋭意案をつくりまして、大蔵省と交渉いたしております。ただこれは国会に提出しまして御審議を願います。時期は、来たるべき通常国会にその案を提案いたしまして、御審議をいただくという予定をいたしております。 先生おっしゃいましたように、漁港の種類等については現行の漁港法の六条に一種から四種までございます。これにつきまして補助率がいろいろ違うことは御指摘の通りでございます。先生おっしゃいましたように、全部北海道、離島並みでいけという補助率の問題でございますが、実はこれはなかなかむずかしい問題がございまして、補助率の引き上げもさることながら、実は昭和三十三年でございましたか、地元負担の起債が起債事業からはずれてしまった。これは土地改良もそうなんでございますけれども、そこに私は一つの問題があるのじゃないかという気がいたします。この地元負担の問題は、補助率の問題とあわせて起債の問題をどうするのだということで、私は検討していく必要があるのだろうというふうに思っております。 また、一種から四種の分け方について先生の御提案がございましたが、実は私どもで今そこまで踏み込みましてこの法律改正というところまでは検討をいたしておりませんが、補助率の問題その他の問題につきまして、整備計画にあわせて改正をお願いするものがあれば、通常国会に出したいというふうに考えております。
○角屋委員 これは災害の場合に海岸法で、御承知のように建設省の関係、あるいは運輸省の関係、農林省の関係、こういうように海岸地帯は三省がそれぞれ関係があるわけであります。が、その場合、漁港の場合には地元負担を伴うということからいろいろ問題を提起されるわけです。同じ海岸でありながら漁港区域に入っておるために地元負担がかかってくる。これが建設その他の関係であれば、それが考えられなくていいというふうな問題等も含んで参りまして、そういう同じ海岸である建設、運輸と漁港の関連、また同じ漁港の場合でも、離島の関係あるいは北海道の関係、内地の関係、それぞれ事情があってそういうことになっておるわけですけれども、やはり漁港を積極的に整備をしていくという建前から見ると、地元負担能力というものが相当程度限界にきておるという事情から見て、積極的に補助率の改定をやっていく。直ちに内地が北海道並みにいくことができるかどうかは別にして、やはり漸進をさせていくということで、漁港法の改正を含めて積極的に検討をしてもらいたい、こういうふうに希望をいたしておきます。 今回御承知の通り、新規カツオ・マグロの許可というもので、大体二万トン程度のものを新規に許可するということをいろいろ考えておるようでございます。いろいろ内容を聞いて参ります。と、北洋漁業の関係において一万五百トン、あるいは中型まき網漁業の関係で千五百トンであるとか、中型底びき網の関係において三千トン、あるいは補充用の関係に二千五百トンをリザーブするというような、いろいろな内訳で現在カツオ・マグロの新規許可の問題を考えておるわけですが、今回カツオ・マグロの新規許可に踏み切った経緯というのは一体どこにあるのか。これは北洋漁業の関係の問題ももちろんありますけれども、その他二万トン近くの新規許可に踏み切ったという事情はどこにあったか。まずその点からお伺いしたい。
○伊東説明員 カツオ・マグロ新規許可の問題でございますが、この話が出ましたのは、ことしの一月ないし二月ごろだと思います。カツオ・マグロにつきまして、実はアメリカその他外国の需要も非常に強くなっております。国内の需要もまたさらに強くなっておる。そういう際にカツオ・マグロにつきまして、御承知のように新規許可は一切やらないというやり方でやっておりまして、なかなか需要に供給の方も追いついていかぬというような一般的な情勢が実は片方にございます。またカツオ・マグロの資源について検討してみました場合に、キハダにつきましては、まだ若干わからぬ点がございますが、そのほかの魚種からいきまして、やはり漁獲努力を続けまして、ふやしてもさしつかえないというような水産庁の研究所その他の研究の結果をもちまして、私どもとしましては、これは需要も非常に強いし、片方は新規も押えて非常に制限しておる。その結果一トン何十万という権利金も出ておるというような状態でありますので、この際ある程度新規許可をしてもいいのじゃないかというような判断を実はいたしたわけでございます。その中で先生のおっしゃいますように、北洋転換とかあるいは底びきの転換とか、沿岸の振興というものに若干新規を割り当てていくという措置をとったような次第であります。
○角屋委員 今度の新規許可は、まだ新しい漁業法が制定を見ておるわけでありませんので、現行法でいけばやはり百トン以上というふうな関係のものが対象になって、あと今度の改正で四十トン以上にこれを下げるわけでございます。従ってそういう関係から、九十九トン型というふうな形のものを今回新規許可の中で考えていく。ところが従来カツオ・マグロの経営の実態から見ると、九十九トン型というのはだんだん減少傾向にきておる。むしろ資本力を持ったところでは二百トン、三百トンという相当機動力のあるそういう大型にどんどん切りかえていくというふうな形で、ちょうど九十九トン型というところは谷間になっておる、経営としても非常にやりにくい、こういうふうなところに今回新規許可をとっていこうとする。しかもこの場合に、沿岸漁業の転換対策としてやる場合には、水産庁の方針としては、これは一つ公社方式で考えてもらいたいという考え方も言っておるやに聞いておるわけです。同時に北洋漁業の関係の転換問題では、今日すでにこういう問題と結びついて、これを売っていくというふうな形等も伝えられておるわけです。これは北洋漁業に対するところの補償をやらないという建前から、これが売られていっても黙認をするという考え方であるのかどうか明らかでございませんけれども、同時にまた、従来沿岸漁業から沖合いへという形の中で転進をさせていくということをやっても、実際にはこれが売られていくという形で、積極的なこういう沿岸漁業の転進対策が実を結ばないという経緯等もあったわけでございます。そういうものに対して今後の指導を適切になされないといかないという問題もありますわけですが、今回の中型カツオ・マグロの新規許可にあたって、最も経営がむずかしいといわれておるこの九十九トン型というものをふやしていかれる、そういう考え方は一体どこにあるのか。先ほど指摘しました公社の問題その他も含めて、一つお考えを承りたいと思うわけです。
○伊東説明員 今御指摘のカツオ・マグロのどういう型のものが一番経営が有利かということからいうと、九十九トンはあまり有利じゃないのではないかという御質問でございますが、私もその点はある程度正しいと思います。ただ、今先生おっしゃいますように、現在の法律のもとでは百トン以上のものを新規にふやすということは不可能でございますので、この時点では百トン以上はやりませんでしたが、今先生のおっしゃいました心配がある程度解消する意味において、いわゆる基地操業でございますとかあるいは母船の付属としてついていくような九十九トン型の船が働ける場所を——今度の発表でも実は漁獲トン数をふやしております。そういうところに行って自分は働きたいという人には、実は優先的に基地なり母船の付属の漁船として働く場所を広めまして、お世話してあげます。ということを実は言っております。それでありますので、私はただ九十九トンをつくって勝手に操業しなさいというのではなくて、今度の場合はそういう働ける場所をお世話してあげますということを——実は漁獲トン数をふやしたときにもつけておりますので、先生の御心配の点はなるべく解消していきたいというふうに思っております。 それから先生おっしゃいましたように、従来一回やりました者が、ただ許可を売ってしまうというようなことがあったことも否定できません。それで今度の場合は、県もある程度片棒をかつぐ、もう一つは県連なり漁協も片棒をかつぐというようなある程度法的なものにしてやっていくか、または規模が小さい場合には全漁連等が中心になりまして、数県にまたがって一つの漁民会社的なものをつくっていくという場合には、漁協関係が出資の二分の一以上持ったいわゆる漁民会社であれば、そういう形で経営してもいいというような沿岸対策を十分頭に置きまして、先生おっしゃいましたように、ただ許可をもらったが売ってしまうんだということにはならぬようにという意味で、私は県なり全漁連、県連なりがこの問題に深くタッチしていくというようなことで、先生のおっしゃったような弊害をなくしていきたいということを今度の要綱に実は書いた次第でございます。
○角屋委員 沿岸漁業の転進対策の場合の公社方式といいますか、あるいは会社方式といいますか、それは必ずしもこだわらない、それは実情に即して考えていくという弾力的な方針を持っておられますか。
○伊東説明員 今度やりましたのは、これは弾力的といいましても沿岸の振興対策については、公社でやるか、あるいは公社でやらぬ場合には——公社といいますのは県が入っております。県が入ってやるという場合には、数県にまたがってやる場合に全漁連あるいは県連等が二分の一以上の出資をしたものでやればいいということで県が入ったものでやるか、県が入らぬ場合には、今申し上げましたような全漁連、県連が二分の一持った漁民会社というようなものでやるか、いずれか一つということを実は考えております。
○角屋委員 農林漁業基本問題調査会の中で、漁船員の労働政策上の問題についていろいろ答申がなされておりまして、最近この漁船員の関係については、運輸省、水産庁それぞれ漁船員の問題では関係があるわけでございます。けれども、漁船員の労働時間短縮の問題について、運輸省としても積極的に八時間労働制を推進していこう、水産庁としてはその受け入れ態勢を整備していこう、こういうようなことで寄り寄り検討が進んでおるやに承っておるわけであります。それらの問題について現状をお伺いしたいと思います。
○若狭政府委員 運輸省において所管いたしております漁船関係の労働問題でありますが、御承知のように船員法では、総トン数二十トン以上の船舶の乗組員に適用になっておるわけであります。従いまして現在適用を受けております船員法の適用対象となっております船員の数は、約十三万名程度というふうに考えておるわけでございます。今御指摘の労働時間の問題につきましては、御承知のように漁船における労働というものは非常に季節的な労働でございます。また自然的な条件に左右されるという状況でございますので、法律的にもあるいは国際条約におきましても、漁船の船員に対する労働時間の規制はないわけでございます。しかしながら今日の漁船船員の労働状況というものは非常に前近代的と申しますか、非常に劣悪な状況でございますので、われわれといたしましてはできるだけ一日八時間労働に近づけるということを念願しながらも、漁業の実態に即しまして、さしあたり最低の休息時間というものを指導していきたいというような考え方をいたしておるわけでございます。なお、これに関連いたしまして、有給休暇の問題等におきましても法律的な規制は全然ないわけでございますけれども、最近周年操業の漁業に従事する船員が非常にふえて参っておるような状況でございますので、そういうものにつきましては年間最低十二日程度の有給休暇を与えるということを目標として、指導して参りたいと考えておるわけでございます。労働時間については大体今申し上げた程度のことを今後指導していきたいと考えております。
○角屋委員 水産庁のこの問題に対する受け入れ態勢、関係方面との話し合いという問題については後ほど伊東長官の方からお伺いしたいと思います。が、さらに、さっきもカツオ・マグロの問題でちょっと触れましたけれども、九十九トン型は経常的に問題があるということを指摘しましたが、四十トン以下という漁船の場合には、しかもこの四十トン以下の漁船で鉄鋼船の場合には、非常に遭難事故が多いというふうに統計的にいわれておる。そういう点ではやはり漁船労側者の立場から見ても問題があるし、あるいは経営的に見ても問題がある。相当にやはり無理が伴っているのじゃないか、こういう問題もやはり改善をしていく必要がある。これは木造船の場合にはそれほど危険度が高いというふうにはいわれておりませんけれども、鉄鋼船の場合には特に危険度が高いといわれております。漁業労働の問題に関連してこれらの改善対策を積極的に進めて参らなければならぬし、さらに漁船労働の問題では、居住区の改善対策も積極的に取り上げていかなければならぬ時期にきておる。これはもう、今日漁業労働者というものが、沿岸の場合でも、沖合い、遠洋の場合でも、条件が悪ければ定着するという状態には必ずしもないと思う。従って、近代的な労使関係あるいは労働条件、給与諸問題というものについて、他室業と匹敵するような条件に改善をしていくということは、水産庁の立場でいえば、漁業関係の漁船員の労働問題については非常に重要なことだと思います。これは、従来はややもすれば等閑視されてきた部面ではないかと思うわけですけれども、居住区問題、さらに八時間労働に対する水産庁としての受け入れ態勢の準備段階という問題を含めて、これらの問題についてお考えを承っておきたいと思います。
○伊東説明員 今、従来の水産庁の態度といいますか、について御批判がありましたが、私もその点は、そういう問題につきまして水産庁として若干考えるべきことが多かったのじゃないかというふうに反省いたしております。水産全般の立場から考えてみましても、単に従業者というだけでなくて、経営者の立場からして見ましても、最近のようないろいろな雇用の問題あるいは就業人口の減少の問題などを考えてみますと、今先生のおっしゃったようなことを全般的に考えていきませんと、水産業が全部として伸びていくことはなかなかむずかしくなるのじゃないかというふうにも私ども考えまして、われわれは、経営者の人は、施策の上から水産をどう見るか、あるいは従業者の人から見て水産業をどう見るかという、両方の目からして水産を見る必要があるというようなことで、実は乗組員の諸君あるいは経営者の人と合同で懇談会をいたしましたり、しばしばそういう機会を持つことに努めております。これは運輸省が主管しておられますので、運輸省にいろいろ御尽力を願っておるわけでございますが、運輸省で考えられたことが、水産庁の方の、たとえば許可佃がじゃまになってできないというようなことも実はございます。たとえば居住区を直していくといっても船の増トンがどうしても必要だ。そのために許可をとってこいというようなことではできないのじゃないかというような問題もございまして、実は運輸省と御相談の上で、居住区の改善なりあるいは衛生の面からして増トンが必要だという場合には、水産庁としては許可を買ってきなさいということを言わないで、それはただで増トンを認めますというようなことを、実は運輸省とも相談し、経営者、乗組員の諸君とも相談の上で、先般運輸省と私の方で共同の通牒を出すというような措置も実はとったわけでございます。これは一つの行き方でございますが、先ほどの質問のありました労働時間の問題等につきましても、これは水産庁としても漁業の特殊性ということは十分考える必要がございます。その上で、やはり漁業労働関係の近代化ということにつきましては、運輸省と共同して、私の方も水産全般の立場から、これには十分協調した立場でやっていくというのが、現在の水産庁の考え方でございます。
○角屋委員 ちょっと簡単にお伺いしておきたいわけですが、これは私の地元の関係の問題と結びついているわけですが、真珠の関係の問題について、水産庁としては真珠事業法の改正問題の検討を進められているんじゃないかというふうに判断しておるわけです。御承知のように真珠は戦後非常に前進をして参りまして、いわゆる輸出額においても、一昨年にすでに百億円を突破するという、農林水産物の輸出の中では非常に大きなウエートを占め、今後またさらにそれが前進していかなければならぬ輸出産業としては、農林水産関係では非常に重要な問題であるわけであります。そういう問題と関連をいたしまして、今後の真珠事業の安定的発展という前提に立って真珠事業法の改正問題が検討されておるかと思われるのでありますけれども、そういう問題はおそらく通常国会に提案ということを前提にしておられると思います。が、その点が一つ。 それから今後の沿岸漁業振興の中で、浅海養殖あるいは養魚事業、こういうものがいわゆる成長財としていわれておるわけでありますけれども、浅海養殖の場合でも、かねて本委員会でも問題になった一つで、大臣にぜひ聞いてもらいたいと思いましたが、韓国からのノリ輸入問題が大きく影響がございます。過般の国会で、私は本委員会の皆さんの御同意を得て、韓国ノリの輸入問題についての共同決議案を出し、その方針で今後臨もうじゃないかというふうに相なっておるわけでありますけれども、これは、やはり沿岸漁業に直接関連する今後の成長跡としての問題でありまするから、この二点についてお伺いをしておきたいと思います。
○伊東説明員 あとの方からお答えいたしますが、ノリにつきましては、自由化の品目からも実は落としております。日本の沿岸の漁業者もこれから伸びなきゃならぬので、まず自由化の品目からも除いております。それから、韓国につきましては、まだガットに加入しておりませんので、その問題とは別に、従来からありますように、国会の御決議もありますが、一億枚をこえない限度で輸入はやっていくという方針でおります。 それから真珠事業法でございます。が、先生も御承知のように、あの法律はまだ非常に母貝等が不足しておる時代に、どらやって増産していくかというようなことを頭に置いた法律でございます。現在の段階で、はたしてそれでいいかどうか、現状から見てあの法律でいいかどうかということ、またあれは議員提案の法律でございます。その関係等も考慮しながら、どうしたのが一番いいかということを実は検討はいたしておりますが、まだ成案を得て今度の通常国会に出すということには至っておりませんけれども、時勢がだいぶ迷っているんじゃないかという意味で検討いたしておることは事実でございます。
○角屋委員 最後に、時間の関係もありますので一点で終わりたいと思います。それは、今後災害対策特別委員会でも当然取り上げる問題でありますけれども、有明海のPCPによる魚介類に対する被害対策の問題であります。これは政務次官以下水産庁の方も御承知のように、現地では十二億、あるいはおそらくその後の数字では、それ以上の被害額に発展をしているんじゃないか。貝が非常に腐りまして、当然漁場の改造を積極的にやらなきゃならぬという問題もありますし、また今後の魚介類の増殖問題もございまして、PCPによる漁業被害地については、応急対策あるいは恒久対策という問題で、農林省として、水産庁として鋭意大蔵省とも折衝しながら努力をしておられる段階だと思いますが、この問題に対して、今日どういうふうな段階にきておるかということを明らかにしてもらいたいと思います。
○津島政府委員 除草剤による被害が最近非常に大きく取り上げざるを得ない問題になって参りましたことは、まことに遺憾であります。しこうして、この問題に関しましては今後いろいろの面から検討をしなければならぬと思うのであります。その除草剤の使用法あるいは使用の時期等につきましては、一そう検討を加えるとともに、強力な指導もまた必要であろうかと思うのであります。しこうして、ただいまお尋ねの点は、非常な被害をこうむったのであるが、これに対してどういう処置をとっておるかというのでございます。これにつきましては漁物の清掃それから稚魚の放流、この二点に力を入れまして、大蔵省と、予備費から支出することを交渉いたしておるのであります。幸いにいたしまして、この問題につきましては、大蔵省も十分誠意を持って農林省の言うところに対して耳を傾けておるような状況でございまして、ただいま申し上げました漁場の清掃、稚魚の放流につきましては相当額の予備費からの支出が期待されるのではないか、私どもはかように考えておる次第であります。(拍手)
○楢崎委員 ただいまのPCP除草剤の問題につきまして、とりあえず緊急措置についての御見解が披瀝されましたが、恒久対策とも関連をいたしましてお伺いをしたいと思うのです。 大体今度の有明海の問題はさしあたっての問題でございますけれども、あるいは宮崎市においてはシジミの問題、それから大分の日田や佐伯ではフナやウナギの問題を起こしておるし、琵琶湖でも問題が起こっております。今PCPの水田に使用されておる普及率は、大体水田の何割くらいになっておりますか。
○伊東説明員 大体六十万町歩ぐらいの水田がこれを利用しておるというふうな報告を得ております。
○楢崎委員 そうすると、大体五分の一くらいというわけですかね。西日本関係、九州七県それから山口を入れまして非常な普及率を示しておるわけですね。三十五年度が千九百ヘクタール、三十六年になると、それが一躍四万二千ヘクタール、三十七年度でさらに三倍になって十三万六千ヘクタール。しかもこれは魚毒性を持っておるということは明らかである。それが毒性があるということがわかりながら、どうしてホリドールみたいに、その使用規制について法的な裏づけがないのか、その点をお伺いしたい。
○伊東説明員 PCPの被害につきましては、実は、私これはあるいは不勉強かもしれませんが、水産関係問題が出てきたのは、昨年私が水産庁へ来たときから若干出ております。そのときも実は振興局と相談いたしまして、この問題につきまして、ある程度の規制といいますか、事実上の規制をしないと、またことしも同じ被害が出るおそれがあるというようなことで、実は振興局と私の方で共同の通達を出しまして、これの使用方法につきましては十分注意するようにということで、若干具体的なことも入れまして通達を出したのでございますが、本年のような被害がまた出ておるわけでございます。この薬が除草剤として非常にきくということも、これはわかりますが、水産の方からいいますと、やはり非常に問題がありますので、これは同じ農林省の内部でございますが、私どものところとしましては、右手が左手をしかるような形になるのでございますけれども、これは何とか振興局と相談しまして、こういう災害といいますか、被害の発生については何とか法的措置をとってもらいたいというのが水産庁の実は考え方でございまして、これは実は農林省の内部の問題としてもう少し検討さしていただきたいと思っております。
○楢崎委員 被害についての法的な措置ということも当然でございますが、被害が起こらないようにするための使用の規制について、農林省内で確かに水産関係と振興局関係とは意見が違う。今の農林行政の指導方針からいきますと、これは確かに水田の省力栽培の上から見まして捨てがたいものがあろう。だからといって使用が野放しになっていいという理由にはならない。現在の使用状態を見てみると、単に行政指導と自治体の自主規制以外にないではありませんか。薬局でも自由に売っているでしょう。使用の許可も要らない。そういう状態に農林省がほおっておいて、もしその被害が起こったならばこれは補償するのが当然です。責任上当然の問題である。そこで私は、このPCPの使用規制について、あるいはホリドールみたいに強力な徹底的な行政指導が要る、もう少し突き進んで、法的な使用規制が要るのではないか、こういう点についてもう少し具体的にお考えをお聞きしたいと思います。
○伊東説明員 今御指摘がありましたように、現在やっておりますのは行政指導であることは確かであります。でありますので、先生おっしゃいましたように、この際被害をなくすという意味で、使用の問題をどうするかということにつきまして、実は農林省の中で、私ども水産庁としては、今先生のおっしゃいましたようなことを何か考える必要があるのではないかというような意味のことで振興局と話をしておるわけでございます。でありますので、私どもの考え方としては、これは使用につきましてある程度の規制をしていくことが必要ではなかろうかという立場で実は相談しておるわけでございまして、ことにこれは農民と漁民の対立のような問題もまた感情問題として惹起することもございますので、その辺のことを注意しながら、先生のおっしゃいますような規制の措置をどうしたら強力にできるのか、あるいはそれが法的になるのにはどういう格好にしますか、その辺を十分尊重して検討したい、農林省全体としてそういうことができるようにしたいということを私は望んでおるわけであります。
○楢崎委員 振興局の関係の人はおられませんか。——水産庁側はそういう意向だと思うのです。それでブレーキをかけているのはおそらく振興局の方ではなかろうかと思うのですが……。
○伊東説明員 今振興局が来ておりませんが、振興局長とも私はその点を十分相談して、農林省の中としまして意見が食い違っておるというようなことが、最後までそういうようなことにならぬように、ある程度まで農林省の中で意見が統一できまして、規制についてある程度まで措置ができるようにしたいと考えておりますので、また農林省の中で十分相談してみたいと思っております。
○楢崎委員 もちろん直接海の方の、あるいは池の方の被害もさることながら、その魚介類を使う産業、たとえばカン詰工業なんかも徹底的な被害を受けておるわけです。有明四県に関係する分のカン詰工場なんかも、おそらく全国の八割から九割を生産している。しかもそれは、たとえばアサリ貝のカン詰のごときは、アメリカやカナダとも契約しておるはずです。それが解約の羽目に立ち至らんとしている。こういう方面も十分考慮をして対策を立てていただきませんと、先ほどの衆議院の災害対策特別委員会の調査団の報告によりましても、水産庁としては委員を派遣して帰ってきておるから今検討中だというお答えのようでしたが、まだ現在も検討中では困るので、もう少し具体的に、水産庁として、数字的にも発表される段階ではないでしょうか。
○伊東説明員 私の方でいろいろ大蔵省と交渉しておりますのは、実は政務次官から御答弁いただきましたように、第一次の被害者としての漁業者をどうしていくかということを実は今大蔵省に予算要求その他をいたしておるわけであります。先生のおっしゃいました二次加工の先まで、それをどうするかということの、たとえば予算要求ですとか、そういうことまでには実はまだ至っておりませんで、これはどういうふうにするかということは、実は今ここではっきりお答えするまでの検討の結果は持っておりません。
○楢崎委員 では最後に要望を含めてお願いしておきますが、ただいまの御答弁にもありますように、PCPの普及率というのは非常な速度で伸びておる。従って、これが毒性があるということがわかっておる以上、これの規制は当然私は農林省の責任だと思う。その規制が十分に徹底しない段階で起こった被害については、その被害についての手当を国としてするのが私は責任上当然であろうと思うのです。そこで、ただいまの関係漁民の補償の問題、それからそれに関連した工業の補償の問題も含めて、恒久的な対策も含めて早急に私は対策をやってもらいたいことを要望いたしまして、関連質問としてはこれで終わります。
○角屋委員 有明海のPCPの水産関係の被害問題は、何か水産庁が大蔵省といろいろ折衝いたしまして努力をされるというと、大蔵省ではあまりまだ国会でもそう火が激しく燃えていないのじゃないかということを言っておるやに聞いておるのでありますが、これはもしそういうことが事実であるとするなら、大蔵省はけしからぬ話だと思うのです。これはやはり災害対策特別委員会でも過般取り上げた問題であり、今後とも積極的に取り上げなければならぬ問題ですが、農林省としてはこういうPCPの対策問題については、あるいはまたそれを含む問題については、恒久的な対策、当面の応急対策というものをはっきり仕分けをして、当面の緊急対策についてはタイムリーに第一級の被害漁民に対策がおりていくように一つ積極的に進めてもらいたい、こういうふうに希望しておきたいと思います。 水産政策の問題について、午前来農林大臣を初め関係政府委員にお尋ねをして参ったわけですが、大臣はかつて農林省におられて古巣に返られたわけでありますが、大体農林省におられた大臣という場合でも、三浦さんなんかになると感覚が古過ぎるということがありますが、今度の大臣が新しい感覚で農政を乗り切るだけの力量を持っておるかどうかは今後に見なければなりませんが、やはり水産問題について、律島さんも、青森というところは水産県であって非常に関係が深いわけであります。午前来聞いておりまして、水産政策の問題については、国際漁業の問題にいたしましても、あるいは国内の水産政策、特に沿岸、沖合い、遠洋、全般を見渡した場合、従来の水産政策の中で資本漁業に偏重しておった日本の水産政策というものを、この際やはり根本的に改めて、しわ寄せを受けておった沿岸漁業について、本腰を入れて沿岸漁業の振興をはかっていく、こういう意欲で今後の水産政策を積極的に進めてもらいたい、こういうことを希望いたしまして、とりあえず水産政策の当面の問題に対する私の質問を終わります。
○湯山委員 資料をお願いいたしたいと思います。 一つは水産庁の方からお出しいただいておる漁業法の一部を改正する法律案の参考資料の十八ページ、そこに大臣許可漁業の許可件数、三十六年の資料が出ております。今、角屋委員の御質問にもありましたが、新規のカツオ・マグロ等の許可もあったようです。し、いろいろ国際関係等も影響してきて、この三十六年の資料としてお出し願ったものは相当変化しておるのではないかと思います。そこで現在の状況がどうなっておるかということと、できれば、この法律が通ればさらに大体こういうふうにしていく予定である、と申しますのは、沿岸漁業を沖合いや遠洋に向けていこうという基本的な方針が法律の中にもありますから、そうすれば大体そういう傾向がその中から察知されるのではないかと思いますので、将来のものについてはあるいは明確にお示しいただけなければやむを得ないかと思いますけれども、少なくとも現状のものは、簡単な資料ですからお示し願いたいと思います。 それから核爆発実験に伴うものです。けれども、従来の危険区域への出漁者、その区域に指定されておる地域からの漁獲量、これは最近のものでどの年度でもけっこうでございますから、これもお示し願いたいと思います。 その次にお願いいたしたいのは、漁業権との関係もございますし、調整委員会等の仕事の関係もございますので、違反漁業、これの件数と、それからその条項ですか、これのわかるような資料をお示し願いたいと思います。
○伊東説明員 何でございますか、違反の内容でございますか。
○湯山委員 そうです。詳しいことは要りません。項目的なことでけっこうでございます。 その次に、漁業不振のために失対事業をやっておる町村が相当数あると思います。これは水産庁の方へも協議があって、失対事業の割当を受けておると思いますから、そこで漁業不振のために失対事業を興しておる町村数、これは数だけでけっこうでございます。と、その人員、多いのは数百名というのもありますし、少ないのは二十名程度のものもあると思いますから、総数がどのくらいあるか、そういう資料でけっこうでございます。 それからやはり漁業権に関連して、漁業権に関連した紛争が相当あったと思います。その漁業権に伴う漁業者間の紛争件数、その項目もわかればお示し願いたいと思います。それから漁業者とそれ以外の、たとえば工場とか、あるいは千葉県でありましたような船、外国船、そういうものもあると思いますが、そういう漁業者と他の業との間の紛争の件数、これも内容別でなくてけっこうですから、その内容はどういうものだという項目だけお示しいただきたいと思います。 それからもう一つ、水産業協同組合法関係でお示しいただいた資料の八ページに、組合員総数の資料がございます。これが今度法律が変われば、その数が大体どう変わるかの見込み。これは正組合員の資格条件が変わって参りますから、お示し願った資料とは相当変わるのじゃないかという気がいたしますので、数がはっきりわからなければ大体何割くらい少なくなるとかそういうことでもけっこうでございますから、これも一つお願いいたしたいと思います。 以上です。
○伊東説明員 資料の御要求がございまして、大部分のものは出せると思いますので、極力出します。ただ、お話の中で、第一番の大臣許可の将来の見通しでございますが、この法律が通った場合にどのくらいかということは私なかなか出しづらいと思いますので、これはあるいは無理かと思いますので御了承願いたいと思います。 それから失対事業につきましては、これは漁港関係等では失対群業をどのくらいやっておるかということがわかるのでございますが、はたして漁業不振とすぐ結びつくかどうか。それからこれはほかの省との関係もございますので、若干おくれるかもしれませんので、その点も御了承願います。 そのほかは極力早くお出ししたいと思います。
○長谷川委員長 この際休憩いたし、午後一時三十分から再開いたします。 午後零時十九分休憩 ————◇————— 午後一時四十四分開議
○長谷川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 前国会から継続の内閣提出にかかる漁業法の一部を改正する法律案及び水産業協同組合法の一部を改正する法律案並びに角屋堅次郎外十一名提出にかかる漁業法の一部を改正する法律案及び水産業協同組合法の一部を改正する法律案、以上各案を一括議題とし、審査を進めます。
○長谷川委員長 これらの各案につきましては、すでに前国会において提案理由の説明は聴取いたしておりますので、これを省略し、直ちに質疑に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○長谷川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。松井誠君。
○松井(誠)委員 私は、政府提案の漁業法の一部を改正する法律案並びに水産業協同組合法の一部を改正する法律案、この二つの改正法案についてお尋ねをいたしたいと思います。 具体的な条文の内容についてお伺いをいたしまする前に、いわばその前提となる基本的な態度について若干お尋ねをいたしたいと思います。 この水産業の問題について、先の農林漁業基本問題調査会で答申案が出されまして、続いて漁業制度調査会でも答申案が出されたわけでありますが、この二つの答申案と今度のこの二つの法律の改正案とのつながりについては、いろいろの見方がございましょうけれども、ともかくつながりはあると思います。そこで、この基本問題調査会の考えておる考え方と漁業制度調査会が考えておる考え方とにつきまして、これからお尋ねする点に関係がある観点からだけお尋ねをいたしたいと思います。 基本問題調査会の考え方によります。と、これからの漁業政策の基本は、一つは、経済的な合理性を重んじて生産性を高めるという一面と、それから社会正義に基づいて顧慮しなければならぬ、そういう意味で、地域的な標準的な生活水準に漁民の生活を近づけるという、そういう二つの面を持っておる。そうしてそういう基本政策に基づいて具体的な漁業構造についての基本的な考え方としては、所得の格差を縮めるということに基本を置くべきだというようになっておると思うのです。ところが、基本問題調査会のそのような考え方、これは作文でありましょうとも、確かに一つの重要な意味があると思う。ところが、そのような所得の格差を是正するという観点がどうも漁業制度調査会の答申案には影をひそめておるのではないか。これはあるいは私の読み違いかもしれませんけれども、そのところを実はお尋ねをいたしたいと思うのです。つまり、この二つの答申案というものは、具体的にはその委員は重複をしておるのではないかと思うのですけれども、しかし、少なくともこの文字の上に現われた限りでは、これからの漁業政策の基本として、所得の格差を是正するんだという、そういう面が漁業制度調査会の答申案ではどうも見当たらないのではないかと考えられるのですけれども、この点の御見解はいかがでありますか。
○伊東説明員 御質問の点であります。が、漁業制度調査会の考え方と、基本問題調査会の考え方が、何か所得の問題等について、取り上げ方が違うのではないかという御質問でございますけれども、制度調査会の考え方は、どちらかといいますと、基本問題調査会の考え方を受けて、それを漁業法とか、水協法で、具体的には一体どういうことをやったらいいだろうかという、私どもの解釈としましては、具体化の面がかなり取り上げられてある。やはり私はものの考え方自身としては、これは違ったことをいってはいないが、漁業制度調査会の問題としては、漁業法、水協法そのものについて、具体的に政府として、こういうように直したらよいということがいわれているのではないかというふうに読んでおります。実は今度御審議願います漁業法なり水協法の中でも、先生の御指摘になりましたようなたとえば中小漁業者とか沿岸の漁業につきまして、漁業権なりあるいは大臣許可のものの考え方なりあるいはもう一つ水協法で組合の資格やなんかを考えますときに、やはりそこでは経済の合理性といいますか、あるいは労働生産性の向上をしていくというようなことが、私は両方の答申の中において大きな底流としてあるのではなかろうかというふうに読んでおりますし、今度の漁業法、水協法の改正でも、私は基本問題調査会のような考え方が中心になりまして、やはりそういうものの考え方で改正をしておるというふうに考えております。
○松井(誠)委員 もちろん基本問題調査会は漁業政策全般でございますし、漁業制度調査会は漁業制度に関するだけの答申でございますから、従って、いわばそれの具体化という形にはなるわけですけれども、しかし基本問題調査会の観点の範囲内で漁業制度に対してそれを具体化したというような形には、私はどうも読めないと思うのです。基本問題調査会の方で、漁業の構造政策というものの基本は所得格差の是正だということをうたっておるわけであります。そして構造政策の中ではもちろん漁業制度というものが非常に大きなウエートを占めますし、あるいはその経営の規模をどうするかということも重要な問題になると思いますけれども、ともかく漁業制度というものをも含めて所得格差の是正というのが基本問題調査会では基本になっておる。ところが漁業制度調査会の考え方では、発展的な漁業を伸長するのだという面だけが何か強調されておるのであります。つまり漁業の企業的な発展ということだけに非常にウエートを置いて、先ほどの社会的正義に基づく配慮だとか、あるいはそれといわばうらはらの関係になる所得格差是正という問題、そういうものが非常に影をひそめてきているのではないかという気がしてならないのですけれども、あらためてその点を伺いたい。
○伊東説明員 先生おっしゃいます通り、基本問題調査会と漁業制度調査会の取り上げる範囲といいますか分野が、少し基本問題調査会の方が広いということは私も認めます。制度調査会から出ております答申、これが基本問題調査会から出ました答申を全部これで具体化するということではございませんで、私もこれが一部であるが、しかし大きな部分だと思います。しかしこれのほかに、先生のおっしゃいます。ようなことは私ども提出しております。沿振法等にもその考えは入れてございますが、特に沿岸漁業等につきましては、構造改善事業というようなことを押し広めていくということを、漁業法なりまた水協法とは別な——といいますか、もっと広い分野からそういうことも考えて法律を出しておりますので、制度調査会の答申に基づく漁業法、水協法だけで基本問題調査会の具体化ということにはなっておらぬということは私も認めますが、ここの制度調査会でも、やはり経営体の八割以上を占めております沿岸漁業の生産性が低い、所得水準が低いということでありますから、それが漁場の問題なりあるいは漁業調整の問題にやはり反映しているのだ、それをやはり直していく必要があるのじゃないかという意味の答申になっておりますので、その間のつながりはある。しかしやはり漁業法と水協法だけがその全部だというふうには考えておりません。
○松井(誠)委員 繰り返すようですけれども、私も所得格差の是正ということの具体化が漁業制度だけで全部まかなえるというようなことを申しておるつもりはないわけです。しかし少なくとも所得格差の是正ということが基本に据えられておる限りは、漁業制度の範囲内でもそういう配慮が当然あってしかるべきじゃないか。これは具体的にあとでお伺いいたしますけれども、従ってそういう観点が少なくとも制度調査会の作文の上からは抜けておるということ自体が私は問題だと思う。 そこで話を進めますけれども、そういたしますと、ともかく政府の御見解は、この二つの答申案というものの基本は一緒なんだ、そうしてもしその基本というものを所得格差の是正ということに構造政策の点で置くということになりますならば、その二つの答審案の考え方と今度のこの二つの法律の改正案の考え方とは、やはり同じ基本にあると考えてもいいかどうか、その点お伺いいたします。
○伊東説明員 基本法の関係は、先生も御承知のように、沿岸中小漁業というだけでなくて、これは大資本漁業者の関係全部を実は網羅しておる漁業の基本制度が漁業法でございます。でありますので、漁業法が全部沿岸漁業者の所得の格差の是正というふうに受け取られているというわけのものではなしに、もう少し漁業法になりますと広い部面も網羅していることは確かでございますが、大体の考え方としましては、沿岸漁業等につきましては、この法律の中にもございますが、たとえば漁業権の行使につきましてもある程度の制限を加えまして、これが零細化していくという使い方を漁業権の行使の面でも押えますとか、あるいは大臣許可の面でも、沿岸漁業者が外へ伸びていって所得を上げていくんだというふうなことを漁業法の制度ではどうしたらいいんだというような面から、沿岸漁業につきましてはものの考え方として法律の改正をすることは確かであります。
○松井(誠)委員 抽象的な質問はなるべく早く切り上げたいと思うのですけれども、そうしますと漁業制度についてはもちろん所得格差の是正ということだけが目的ではない、それは私もわかります。しかしそれも一つの目的であるとするならば、漁業制度の中で具体的にそれをどうして実現していくかということが現われていなければならないと思います。ところがどうもわれわれの考え方ですとそれが逆で、ほんとうに所得の格差を是正しようということになりますならば、この漁業制度の中においてもほんとうに大きな資本を規制する、ほんとうに大きな独占資本というものを漁業制度の面からもまず規制をする、そういうことが一つはどうしても必要じゃないか。そうしなければ、いわばそういうものを野放図にしておいて沿岸漁業の振興、沿岸漁業の漁業者の所得の向上というようなことを言っても、実は非常にむずかしい問題があるんじゃないか、そういう点が一つ。 それからもう一つ、やはりこの漁業制度調査会の答申案の基本となっておると私は思うのですが、企業的な漁業経営ということだけを非常に強調をして、そしてそのために漁業の中へ資本を導入するということに非常に熱心で——われわれも資本を導入するということ自体別に反対するわけでありませんけれども、しかしその資本が漁民の資本だ、漁民のための資本だという保障のないようなそういう資本を導入する。そういうことによってなるほど企業的な漁業は発展するでしょうけれども、しかし所得の格差は一体どうなるんだという問題が残ってくるわけです。そういう形で企業家的な漁業というものを発展させる一面、非常に零細な漁民というものを漁業の外へ出すという具体的な規定が積み重ねられておるわけです。そうしますと、私もどうもこの漁業制度調査会の考え方が、やはり漁業の企業的な発展ということだけに重点を置いて、それをやはりそっくり受けたのがこの二つの法律案の改正の基調じゃないかということを考えるわけなんですけれども、最後にその点だけ、抽象的な質問としては一点お尋ねをいたしたいと思います。
○伊東説明員 先生の御質問になりました大きな企業がどんどん伸びてくることを野放図にやるんじゃないかという御質問でございますが、実はこの法律の中でも従来は指定遠洋漁業につきまして規定がございますが、たとえば承継等の問題を考えますと、これは資本がある人に相当大臣許可というものが集中し得るというような格好の規定が現行法にございますので、今度の法律では、実はそういう意味の集中等はなるべく避けるというようなことで、大臣許可の漁業の中で許可を受けております船の譲り受けのできる人の資格等につきまして、制限しております。たとえば一ぱい船主が二はいになるとか、あるいは沿岸からの漁業の転換者でございますとか、あるいは乗組員が自立して経営者になりたいというような人に制限をするというようなことで、資本がどんどん大臣許可漁業を集中していくというようなことにつきましては、ある程度押えていこうというような規定も、実は入れているような次第でございます。 また、企業としての漁業というお話がございまして、資本を入れることにきゅうきゅうとしているのじゃないかという御質問でございますが、この点は私どもも漁民会社というようなことをいろいろ考えまして、沿岸漁業等の資本の欠乏を何とかして資本を入れて充実させるという考え方に立っておりますが、しかしその場合でもあくまでも組合なり漁民なりが議決権なりあるいは資本で二分の一以上というようなことを確保しまして、それが資本で支配されてしまうということにつきましては、ある程度許可なりあるいは免許の際にも、これは防いでいきたいというようなことを実は考えております。しかし基本的には漁業をなりわいということじゃなくて、やはりほかの産業が発達していくのでありますから、漁業自体につきましても、これはもうかるということはなんでございますが、企業として成り立つような漁業として育てていきたいというのが基本の考え方であります。
○松井(誠)委員 今の御答弁でいろいろお尋ねをいたしたいことがございますけれども、やはり具体的にそのときそのときにお尋ねをいたすことにしまして、最初に漁業権漁業の改正の問題についてお伺いをいたしたいと思うのです。 この漁業権漁業は、日本の漁業の生産高全体の中で占める割合というものは非常に底下をしてきた。にもかかわらず、経営の数としての全体の漁業経営の中における比重というものは、依然として大きい。この漁業権漁業が、やり方によれば漁業の生産力というものの発展を阻害する、そういう役目を果たしてきたことをわれわれも否定するわけじゃございませんけれども、しかしまた、これが一面ほんとうに零細な漁民の生活の最後のよりどころになっておるという面のあることも御承知の通りであります。そこでそのようなほんとうに零細な漁民にとって、いわば命のよりどころともいうような漁業権漁業というものが、やはり企業的漁業というものの陰に隠れて、そして所得格差の是正の問題を見忘れて、今度の改正ではそういう方向がとられておるのじゃないか。 その具体的な一つの例としまして、この第八条の改正のことについてお伺いいたしたいと思うのですが、この第八条の現行法では「各自漁業を営む権利」というのを、共同漁業とかあるいは新しい改正案では特定区画漁業という名前に変わったようでありますけれども、そういう者が各自漁業を営む権利というものを持っておる。その「各自漁業を営む権利」というものが今度は非常な変更を受けるということになるわけですけれども、なぜ一体そういう変更をするのかという理由をお尋ねする前に、「各自漁業を営む権利」というものと漁業の管理権というものとは一体どういう関係なのか。多少法律的な問題になると思いますけれども、漁業権の主体というものは、この場合一体どっちなのか。あるいは漁業管理権という言葉がよく使われますけれども、その漁業管理権というものと漁業権というものとは、一体具体的にはどういうことなのか、それと「各自漁業を営む権利」というものとはどういう関係があるのかという点をお尋ねいたしたい。
○伊東説明員 第八条でございます。が、これはここに書いてありますように、漁業権を持ち得るのは組合ということであります。それで共同漁業権でございますとか、特定区画漁業権につきまして組合が漁業権を持つという格好に規定してあるわけでございます。それを組合員の資格に基づきまして、それを組合が持ちます漁業権を行使していくというのが今の法体系になっておるわけでございますが、今度この問題につきましては、やはり漁業権を持つのは組合でございますけれども、組合員がその漁業権を行使するという場合におきまして、一体どういう行使をしたらいいのかということを従来よりも要素を変えまして、漁業権行使規則という組合員が合意した規則をつくって、組合が持つ漁業権をどういうふうに使っていくのだということを組合の中でつくる規則によってやっていく。ただこれをやります場合には、知事の許可を受けてやっていくというふうに構成を変えておるわけでございます。
○松井(誠)委員 形式的には、確かに組合が漁業権を持っておるということになっておりますけれども、しかし、それでは組合が現行法でこの漁業権をみずから使って、自営というものができるのか。つまり組合員の権利の行使というものを排除して、組合が自営という形でできるのかどうか。その点を一つ……。
○伊東説明員 ここに書いてあります。権利は、おもに組合員がこれに基づきまして仕事をしていくということに適当な権利であります。たとえば組合が自営をやっていくというような規定が書いてありますのは、おもに定置漁業権とか、そういうものがこれになじむということになっておりますが、ここに書いてあります共同漁業権でございますとか、あるいはノリとかカキとかの養殖というようなことにつきましては、これは組合がみずから行使をするということよりも、組合員が組合の持つ権利を分けて使っていくということになじむ権利がここに書いてあるわけでございます。
○松井(誠)委員 ですから、この八条の組合の持っておる権利というのは、組合が自営をすることはできるけれども、自営はしないという、そういうものではなくて、組合が自営をしようと思ってもできないという性質の権利じゃないですか。ほんとうに組合が漁業権を持っておる、たとえば定置なら定置の漁業権を持っておる場合は、組合は自営はできます。しかしこの場合は、組合は自営ができない。組合員各自の行使する権利を排除して、組合が自営をするということはできない。そういう性格のものじゃないですか。従って漁業権とはいうけれども、いわばそういう行使の方法について、実際的には管理する権限しかない漁業権だということになるのじゃないですか。
○伊東説明員 ここに書いてあります。権利は、先生おっしゃいますように、組合員がこれを行なっていくというようなものになじむ権利が書いてあるわけでございます。自営その他につきましては、定置とかそういうところに規定してあるわけでございます。
○松井(誠)委員 私のお伺いしたいのは、この漁業権を持っておる組合が自営できるかどうかということを聞いておるのです。
○伊東説明員 第八条に書いてあります権利は、これは法律上は、絶対自営はできませんという意味ではなくて、むしろ法律的にいえば、これも組合が全部やりますというふうになれば法律的にはやれるのでございますが、しかし権利の内容自体とすれば、そういうことをやるよりも組合員がこれを使っていく方がむしろ適当であるという意味の権利がここにいわゆる組合が持っている権利で、管理している漁業権ということが八条で書いてあるわけでございます。
○松井(誠)委員 そうすると、私の解釈が間違っておったかもしれませんけれども、たとえば定置漁業なんかの漁協自営ということもこの第八条の漁業権では組合はやろうと思えば法律的にはできる、現行法ではできるというためには、「各自漁業を営む権利」、組合員のそういう権利というものを全部排除してやらなければなりませんけれども、そういうことがこの現行法の解釈としてできるのか。と申しますのは、この漁業権というのは、いわば普通のそのほかの漁業権と違って、むしろ主体は各自が営む権利というものが主体であり、そのような行使をすることについての管理だけが組合にまかせられておる。そういう性格のもので、法律的にいえば例の昔の入会、それが所有の形態としては総有という形、つまり漁協も所有しており漁協の組合員も所有をしておる。むしろ権利の主体は組合員であって、漁協はいわばそういう管理の面、運営の面で主体であるにすぎない。しかしその漁協と組合員とがいわば一体になってこの漁業権というものを構成しておるという性格のものだと私は思っておったのですけれども、そうではないわけですか。
○伊東説明員 たとえば区画漁業権につきまして、組合が組合として自営してやっていくということをきめました場合に、区画漁業権について自営はできないかということになりますと、これは法律的にはできると思います。ただこれは区画漁業権あるいは共同漁業権のような権利につきましては、組合員がなるべく権利を分けまして、この権利を行使していくということになじむ権利であるという意味で、第八条におきましては書いてあるわけでございます。
○松井(誠)委員 それでは今度、「各自漁業を営む権利」というものを、行使規則というものをつくって資格を制限することができるという改正案が出ておるわけですけれども、これはどういう理由でそのような必要があるわけでございましょう。
○伊東説明員 各自行使の権利を今度組合員が営む権利としまして漁業権行使規則ということでやっていくことにいたしましたのは、漁業権の行使の仕方の問題で従来もいろいろ弊害があったのでございますが、組合員はこの八条によりましてみんな平等なんだということで、いろいろな漁業権の行使の際に、この行使が非常に零細化するといいますか、企業として成り立っていく上にはあまりに小さいのじゃないかというような漁業権の行使になります。ので、これは私どもの考え方からいたしますと、そういう行使よりも、これは漁業権の輪番制でございますとか、あるいは資格でございますとか、あるいはどういう時期にどういう漁業をやる、あるいはそれを守っていくにはどういうことをやったらいいか、違反したら組合員の間でどういう制裁をやるのがいいかというような行使規則を組合員の全部でつくりまして、その上に知事の認可を受けるという形をとった上で、漁業権の行使が従来のようにあまりに零細にならぬというような考え方からしまして、ここで先ほど先生の御質問のありました、ある程度漁業権を使っていきます場合には、これは零細化するのじゃなくて、企業として成り立つような使い方をしていきたいというようなことが、ここに一つの現われとして出ているわけであります。
○松井(誠)委員 改正の理由としては、零細化をいわば防ぐということが言われておるわけなんですけれども、それならば先ほどの御答弁のように漁協が自営をすることもできるという見解があるならば、零細化を防止するためにむしろ漁協がやるという、そういう道があるではないか。それを零細化防止という意味で具体的にはどういう資格の制限をするのかわかりませんけれども、やはり漁業の外へはみ出されるという、具体的にはそういう人をつくるという形でこの問題を解決する以外には方法はないのか、零細化を防止するためにはこういう形で、いわば一種の切り捨てという形でしかその防止ができないのか。漁協の自営ができるという先ほどの御答弁ならばなおさらでありますけれども、漁協が自営をするという形で零細化の防止はできないのですか。
○伊東説明員 漁協の自営のお話が出ましたが、自営というのは実は実際やります場合には非常にむずかしい問題がございます。昔からこの漁業法関係では農業と違いまして、自営の規定が漁業法の中に入っておるのでございますが、自覚の例をとってみますと、非常に成功している例がどちらかというと少ない。役員の選挙制その他いろいろなことから考えまして、漁業組合が自営していくということは、企業として考えます場合に非常にむずかしいことがございますので、よほどのしっかりした基礎がございません場合には、私どもは自営はむずかしいというふうに実は考えております。でありますので、あらゆる漁業権等につきまして全部を包含するという意味で、自営を極力推し進めていくといいますことは、これは私どもとしてはなかなかむずかしい、むしろそういうことを積極的に奨励していくことはなかなかむずかしいというふうに感じております。それで先生御指摘のような場合に、自営でやっていったらいいじゃないかということもお考えになるかもしれませんが、私どもとしましてはそういう形より組合員の中でしっかりした者が漁業権を使って企業として成り立つようにやっていくんだというようなやり方の方が、むしろ今後の漁業の発展のためにはいいんじゃないかというような判断をしておるわけでございます。
○松井(誠)委員 少し一般論になりますけれども、先ほどの基本問題調査会では、経営の規模としてはたとえば農業の場合のように自立経営というような形のものの育成というものはむずかしいという点もあって、漁業についての基本問題調査会の答申よりは農業の方が協業という点について積極的である。ところがその点も、つまり協業という問題についての考え方も、漁業制度調査会では、これはあるいは答申案の性格としてやむを得ないというかもしれませんけれども、必ずしもはっきりしない。 そこでお伺いをしたいのは、そういう協業組織、共同の組織というものと、それから農業の場合のようないわゆる自立経営、家族労働を主とする経営というものと、これからの経営の、いわば漁業経営の規模としてどっちに重点を置くのか、あるいは置かないのかという点はいかがですか。
○伊東説明員 農業と比較しまして、先生御指摘のように、基本問題調査会には、農業のように自立経営を中心として、これとあわせて協業を考えていくというような形の答申がございません。漁業につきましては、先生御承知のように、農業以上にいわゆる協業する部面等は私は多いと思います。たとえば定置等におきましても、自営ということをやっておることが多い。これは漁利の均霑とかいろいろな意味はございますが、漁業というものの本質的な問題として、共同でやっていくという面があるのでございます。しかしこれはそういう面はございますが、配分その他までも、分配の問題までもみんな含めました協業というものの考え方は、なかなかまだそこまでは漁業の面でもむずかしい問題がある。先ほど申しました自営の問題がなかなかうまくいっておらぬというのも、これは自営というのは完全な分配までも共同でやるということになりますので、現在までのところではこれがなかなか進んでおらぬわけでございます。そこで私どもとしましても、水産の面で、たとえば協業を中心にしてやっていくというところまではまだなかなか割り切れない。やはりものの考え方としては個人々々といいますか、ある企業をつかまえて、その企業が中心になってやっていくということがものの考えの中心でございまして、協業というものはそれに合わせて、漁業といういろいろな作業面からくる面が非常に多ございますが、そういう面の協業というものがある程度これに加わってくるということが現状でございまして、分配まで含めました協業を進めていくということは、まだそこまで情勢ははっきりしておらぬというふうに思います。
○松井(誠)委員 共同経営の問題は水協法のところでまたお尋ねをいたします。 そこで一つちょっとお伺いをいたしておきたいのは、そうしますと協業というものは、農業の場合よりも漁業の場合には可能性は多いけれども、しかし生産の面で生産を共同にするという形は非常にむずかしい。従って個人経営といいますか、とにかく個別経堂が主である。その中で先ほどのお話のように、企業家的な漁業、企業的な漁業というものを中心にするということになりますと、いわば農業のような自立経営、家族だけで、いわばそれを中心にしてやっていく漁業というものは、これからあとの経営の中心には置くわけにはいかぬということだと思います。けれども、何か水産庁の中でも、最近のそういう漁家の経営規模の変化というものに注目をして、やはり農業の場合と同じように、自立経営的な漁家というものにそれを育成する、そのことによってその所得がふえていくという希望がある、そういう考え方もあると聞いておりますけれども、やはりそういうことではなくて、企業家的な経営ということに重点を置かれるということになりますね。
○伊東説明員 御質問でございます。が、私さっき言いましたことが誤解を与えておりましたら取り消していただきたいのであります。私の申した企業といいますのは、個人経営は一切やめて、何か会社とかそういうものでなければいかぬという意味のことを申し上げたのではございません。実は経営として従来沿岸漁業等で考えられますことは、何といいますか、経済ベースでものを考えるということよりも、何かなりわい、手から口へというような感じが実は強いのでありまして、私はそういうことでなくて個人経営なら個人経営、個別経営でけっこうなんでございまして、これを伸ばしていく場合に、いわゆる企業的なものとしてこれは育ち得るのだ、一つの経済の単位として成り立っていくのだ、従来のようないわゆるなりわいというような感じでなくて、それは企業として成り立っていくものとして考えるのだという意味で申し上げたのでありまして、全部が会社でなければいかぬ、そういうことを言っているわけではございません。いろいろ沿岸漁業の構造改善ということをやっております場合に、もちろん個別経営が中心になっていくのでありまして、ただこれが最近の傾向として法人成りをするということは当然出ておりますが、やはり水産業の沿岸漁業の中心は、そういう個別経営という形が私は中心だろうというふうに思っております。
○松井(誠)委員 私の質問とちょっと趣旨が違うのですけれども、これは一般論ですからやめまして、じゃ具体的にこの行使規則というものは認可が必要なわけなんです。従って認可をする際のいろいろな基準あるいは行使規則を作るについても、いろいろな行政指導をなされるだろうと思いますけれども、この資格の制限、どういう資格の人を入れるのか、どういう資格の人を入れないのかという資格の制限について具体的な基準、これは共同漁業あるいはいわゆる特定区画漁業いろいろ違うかもしれませんけれども、そういうものもお考えになっておるかどうか。もしお考えになっておりましたならばその点を一つお答え願いたい。
○伊東説明員 まだ詳細にどういう資格というふうにきめておりませんが、抽象的に考えられますことは、漁業協同組合のメンバーの中でほんとうの漁業者らしからぬ者等が入っております。場合に、こういう人がほかのほんとうに漁業で生計を立てていくという人の漁業権の行使と同じような資格で漁業権を行使できるということはおかしなことかと思いますので、やはり漁業権行使をします場合の中心は、純粋に漁業者らしい人ということに考えております。でありますので、ほとんど農業をやっておる、たまに漁業をやるのだという人が、同じ組合員だからということでたとえばノリでもカキでもおれに平等に権利を行使させろという場合におきましては、やはりそれは純粋に漁業者的な人が中心になって漁業権の行使をしていくというように行使規則というものはなっていくのじゃなかろうかというふうに抽象的には考えておりますが、今具体的に行使規則の内容はこう、資格はこうというところまではまだきめておりません。
○松井(誠)委員 そうしますと、漁業者らしからざるということは、あまりはっきりしませんけれども、水協法の改正とも関連をして、たとえば年間九十日以上ということに組合員の資格を上げるということとも関連をして、もっぱらそういう漁業に依存をする度合いの大小ということが基準の中心になるのか、あるいはそういうこととは別に、あるいはそういうことを含めて、たとえばその人の資本能力とかそういうものまでも考え合わせるものなのかどうか、そのような点を一つ。
○伊東説明員 今御指摘のような資本能力等を中心にものを考えていくということじゃなくして、この場合には純粋に漁業で生計を立てていくというような人が中心になって漁業権の行使をやっていくということが適当だろうと思っております。でありますので、水協法の改正等で資格の問題も言っておりますが、やはり年にわずかしか従事しないという人に、ノリでありますとかカキでありますとか、そういうものまで平等に権利を行使させるという点につきましては、私は十分考慮していく必要があるのじゃないか、ただ資本があるからやっていくのだという面だけではものを考えていくわけにはいかぬというふうに思っております。
○松井(誠)委員 少しこまかい点になりますけれども、行使規則を作る場合に、この八条の三項によりますと、一定の人の「書面による同意を得なければならない。」ということになっておるわけでありますが、同意を得なければならない範囲は、この三項の規定によりますと組合員のうち云々という条件のある者について同意を得なければならないということになっております。が、この組合員というのは准組合員というものも含むのかあるいは含まないのか、その点を一つ。
○伊東説明員 この場合は地元地区の区域内に住所を有する者の三分の二以上の同意でありまして、先生の御指摘になりました准組合員も当然この中には含むと思いますので、こういう人の意見も当然聞いた上でそういう規則をつくるということにいたしております。
○松井(誠)委員 この漁業法の規定の中で組合員という言葉がよく出てくるわけですけれども、そうしますと、組合員というのは、あるいは条文のいかんによって違うのか、あるいは一般的に准組合員というものも含むというように解釈してよろしいのか。この三項の場合にも組合員と書いてあるわけですね。その点はいかがですか。
○伊東説明員 漁業法上は准組合員も正組合員も組合員でございますので、ここに書いてありますように、この場合にも准組合員を含んでおるということでございます。
○松井(誠)委員 この八条の問題は以上で終わりまして、次に十四条の特定区画漁業権の適格性の問題、定置及び区画漁業の適格性の問題についてちょっとお伺いをしたい。 この中で、たとえば六項の公示の内容として地元地区という言葉がよく出てくるわけですけれども、この地元地区というのは、たとえば定置なら定置の場合の地元地区というものも公示しなければならないわけでありますけれども、この地元地区というのはどの範囲までを考えておられるのか、その点を伺いたい。
○村田政府委員 お答えをいたします。 地元地区の問題につきましては、改正法案の第十一条をごらんいただきたいのでございますが、法案の第十一条に、「都道府県知事は、漁業の免許について、海区漁業調整委員会の意見をきき、漁業種類、漁場の位置及び区域、漁業時期その他免許の内容たるべき事項、申請期間並びに定置漁業及び区画漁業についてはその地元地区」、カッコいたしまして地元地区の説明をしておるわけでございますが、「(自然的及び社会経済的条件により当該漁業の漁場が属すると認められる地区をいう。)」、こういう非常に抽象的ではございまするけれども、地元地区の定義をいたしております。あわせて補足的に御説明を申し上げますけれども、「共同漁業についてはその関係地区」、ここに「地元地区」と「関係地区」という言葉が出ておるのでございます。が、「関係地区をあらかじめ定めなければならない。」、こういう使い分けをいたしておるのであります。従って、地元地区は、「自然的及び社会経済的条件により当該漁業の漁場が属すると認められる地区」という定義になっておりまして、まあ非常にこまかい議論をいたしますると、地元地区と関係地区とにはややニュアンスの違いがある。しかし社会経済的に見ましても、実体的にはさほどの大きな迷いはない、私どもはかように考えております。
○松井(誠)委員 この地元地区というのは、言葉の説明としては一応わかりますけれども、実際のこれからの公示をする場合に、たとえば今までの定置なら定置を持っておった地元というような、今までのいわゆる常識的に考えられる地元というものをそのまま踏襲されるのか、あるいはこういうものはもっと規模を大きくしなければならないという、そういう考えに基づいて、あるいは地元地区というものをもっと拡大をして運用をされるという、何か今までと違った考え方でもこの中に入っておるのか、その点はいかがですか。
○村田政府委員 この地元地区の解釈は、あくまでここにうたっておりまするような当該漁業につきまする自然的及び社会経済的条件によって、当該漁場が属すると認められる地区ということでございまするので、やはりその当該漁業の漁場の状況なり、あるいは当核漁業に関係いたしまする関係漁民の自然的あるいは社会経済的な条件等総合的に判断をして、最も妥当なものというふうに解釈すべきではなかろうか、かように考えております。
○松井(誠)委員 それでは次に十六条、定置漁業の免許の優先順位についてお伺いをしたいと思いますが、この定置漁業の免許の優先順位について相当大きな改正がなされておるわけですけれども、第一順位として、一定の要件を備えた漁協あるいは法人、そしてもう一つ新しく加わった法人があるわけですけれども、この三つ目の法人、先ほど長官からすでにお話がありましたけれども、いわゆる漁民会社というような言い方で言われておるものがこれであろうと思うのですけれども、この十六条の八項の三号、こういうものを新しく加えた理由について、あるいはその性格についてもう一度お答えを願いたいと思います。
○伊東説明員 先生御指摘になりましたように、8の三に書きました第一号の協同組合と、それから前の漁民を主とする法人、こういうものが構成員または社員となっておる法人ということで、私、先ほど漁民会社と言ったのはこれでございます。 これを入れました理由でございます。が、一番のもの、組合の文字通りの自営あるいは二番の漁民を主としている法人ということのほかに、やはり漁村にはまだ資本が足らない、資本を入れていく必要もあるということを考えまして、特に定置の場合等につきましては、そういうほかの資本も利用していく。ただしその場合には、やはり協同組合なりあるいは漁民が構成の主となっている法人が、その構成員として大体議決権なり出資額で半分以上を占めているというものでありますれば、これは一号の組合あるいは二号の漁民を主とした法人というものと性格がそう変わらぬのじゃないか。資本の面からいいますと、そういうものも入れる必要がある。両方の要請からいたしまして、私どもは一号と二号と比較いたしまして、こういうものも漁民的な会社であるというふうに判断いたしまして、これを優先順位の中に入れてきたわけでございます。
○松井(誠)委員 この三つある中での優先順位というものは書いてございませんけれども、この三つの中の優先順位というものは、それではどのようにお考えになっていますか。
○伊東説明員 これは大体地元地区でこういうものが出てくるということになりますと、実は三つが出てくるということは普通は考えられません。これのどれかに大体該当するものが出てくるのじゃなかろうか。こういうものとそれ以外のものとが競合してくるということが、大体この中からいきますと考えられるわけでございますので、この一、二、三の中には、このうちどれということは言っておりません。
○松井(誠)委員 実際、共同で申請をしたり、あるいはでき上がったものに加入を申し込むというような形で、必ず一つになれば別ですけれども、しかし必ずしも一つだけしか申請をしないという保障はないのじゃないですか。そこで現実の取り扱いというよりも、この三つの中でどういうものに重点を置いておるのかということを実はお伺いしたい。つまりこの三つ並列されておりまして、その前に、第六項の生産組合の場合には、生産組合がたくさん競願をしたときにはどうするということを七項で書いている。しかし八項の場合には競願の場合にはどうするかということは書いていない。それでどこに重点を置いているかということがわかりませんのでお伺いをするのですけれども、現実にそういうことがあり得るかどうかということよりも、漁業法の建前からこの中のどれに重点を置くかということが考え得られるのか、あるいは全く一視同仁ということになるのですか。どういうことになるのですか。
○伊東説明員 先生の御質問の点で、最初私が申し上げましたのは、これが三つ競願になるというようなことはないということを申し上げたのでございますが、これは理由としまして、地元の七割以上ということが要件になっておりますので、三つが七割以上のようなものが出てくることはございませんので、競願することはおそらくないということを申し上げたのでございます。次の点の一体それではどれでやるかというようなことでございますが、これは、三の漁民会社というものは実は新しく入れてきたわけでございます。それで私どもとしましては、これの中でどれに重点を置いてやっていくんだということは、今ここできめてはおりませんが、先ほど御答弁しましたように、漁業組合の自営ということは、これは私どもとしてはよほど注意してやらぬと、実際名前はいいのでございますが、運営する場合に非常にむずかしさがあるということがございますので、自営につきましては、よほど組合員がみんなしっかりした組合でないと、なかなかこれはむずかしいということを考えておりますので、水産庁の方針として、この三つあるうちで自営が一番いいんだというようなことまでをまだ入れる段階じゃない。これはその地元々々のいろいろ事情がございますからして、そのつど、この地域ではどれがいいというようなことは、やはり知事に判断させるとか、何かそういうことをやっていく必要がある。どれでやっていく、どれが一番上だというふうにぴしゃっときめていくというのはなかなかむずかしいのだというふうに私どもは思っております。
○松井(誠)委員 このいわゆる漁民会社というものを導入した理由として、漁村には資本が足りないんだ、その資本を入れるということが目的であって、しかし漁民の主体性というものは失わないように考慮してあるんだということでございましたけれども、資本が足りないという面を、今までの漁協自営、あるいはこれは生産組合員が主になるのかどうかをちょっとわかりませんけれども、漁業を営む法人、そういうものではその点は達成し得られなかったのかどうか。得られなかったとすれば、その理由は一体どこにあったのかということをお尋ねをいたします。
○伊東説明員 一番、二番だけであるいは十分ではないか、三番は入れる必要がないのじゃないかというような御質問かもしれませんが、私どもとしましては、この一番、二番だけでは不十分だ。一番の点は先ほど申し上げましたが、漁協の自営というのはなかなか形はいいのでございますが、この責任者自身が選挙でやっているというような形の組合の運営を考えました場合に、分配までみな共同でやっていくというような自営がなかなか言うべくして行なわれがたい。やってはおります。が、うまくいっている組合が少ないのでございます。また二番のこういう法人でありましても、やはり従来からいたしますと、出資その他もうまくいかぬ、漁村の人だけでやっていくといってもなかなかうまくいかぬということがございますので、もう一つこれに加えまして第三番目の形も考えられるのじゃないか。今後の方向としてこういうことも漁村の中では考えていく必要があるのじゃなかろうか。これは定置漁業だけでございません。実はいろいろな水産行政をやります場合にも、午前中御答弁いたしましたが、許可漁業なんかもこういう形のもので運営していくということは、今後の漁村の一つの行き方ではないかというふうに水産庁として考えまして、やはりそれは資本を入れてくることだということの考え方として第三番目のものを入れたのでございまして、私どもとしては、一、二だけでは不十分な点がある、今後の水産の一つの形としてこういうことがやはり必要じゃないかというふうに考えたわけでございます。
○松井(誠)委員 私は漁民会社というものを頭から否定するというようなことを申すつもりはないわけです。ただしかしそれの資本によって漁民が支配をされるということにならないような具体的な配慮というものが欠けているのじゃないか。そのことを私はあとでお尋ねしますけれども、そういう意味で申し上げておりますので、漁村に資本がない、それを入れなければならないということ自体、これはわかるわけです。問題は、どういう資本を入れるか、どういう形で入れるかということなんです。そこで今までのこの二つの形態でその点がまかない得なかったという理由の一つとして、漁協では非常に金がないという意味じゃなくて、いわば漁協の指導部というものの選び方が云々というようなことで、漁協というものは商売には向かないのだというような意味の御答弁だったかと思うのですけれども、それならば、第二のいわゆる漁業を営む法人というものならば、そういう点は補えるのじゃないか。そしてもしこれに資本を入れるということが何かの形で可能であったとすれば、新しい漁民会社というものがそれでもやはり必要であろうかどうかということはどうなんですか。
○伊東説明員 最初の生産組合は自営がうまくいかぬ場合があると申しました理由の中に、協同組合は商売が下手だという意味ではございませんで、協同組合でも、いわゆる販売事業でございますとか、そういうことはやっておるのでございますが、生産の面での自営という形のものがなかなかうまくいかないところが多いということを申し上げたのでございまして、一切商売に向かぬという意味ではございませんから、もし私の申し上げましたことを誤解されましたら、そういう意味におとり願いたいと思います。 第二番目の問題でございますが、二番目の地元漁民だけが構成員となり社員となっている法人でやればいいじゃないかという御質問でございますけれども、これはもう一つの形としましては、協同組合なり法人が必ず一つにまとまって資本を出して、それとほかの人が資本を出し合ってやっていくという形のもの。二番目は個々の地元漁民が構成員となって直接入るのでございますが、三番目は、それは個々のものじゃなくて、一つの法人となって入っていって、そのものとほかの人と一緒にやるという形でございますので、これは二番目よりも、もう少し地元の漁民というものは個々ばらばらではなくて、これが一体となって、あるいは組合なりあるいはそれがつくった法人となって発言をしていくべきだという形の法人というものが生産をやっていく場合に便利なことがあるのじゃないか。漁民がばらばらになって構成員となっておりますよりも、まとまった法人となって一つの構成員となっていくものの会社というものが、運営の面からいって考えますと、やはりうまくいくことがあり得るだろうということで、二番目だけではなくて三番のものを追加したわけでございます。
○松井(誠)委員 従来の漁業を営む法人のほかに新しく漁民会社を加えたのは、漁民会社という形でないと大量の資本が入ってこないのだ、そういう趣旨が今の御答弁の主眼であったと思いましたけれども、何かたくさん言われましたので、ちょっと私の方はわからなくなったのですが、そういうように理解してよろしゅうございますか。
○伊東説明員 二番目は、ここに書いてありますように、地元漁民の十人なら十人が、その一人々々が法人の構成員になっているわけでございます。三番目は、十人が一つのものになった法人が次の新しい会社の一人の資格として入っているわけでございます。こういう形の会社の方が、会社として運営していく場合に、漁民が個々に法人の構成員になっておるものよりも、一つのかたまったものとして入ってきておる方が、新しい法人として仕事の運営もしやすい、資本の導入もしやすいということが考えられ得るという意味で、新しい形のものをつくったわけでございます。
○松井(誠)委員 そうしますと、漁民会社はいわば多数の漁民が一かたまりになって漁協という形で入ってくる。漁協という形で入ってきて、どれだけの出資をするか知りませんけれども、おそらくは出資に比例した議決権を持つ。ともかく出資に比例した議決権を持つけれども、その議決権の行使はいわばてんでんばらばらでなくて一括して行使される。ところが今までのものではそういうわけにいかなくて、てんでんばらばらだということで運営が非常にやりにくい。そういうやりにくいところへは資本は入ってきにくかったのだ、こういう意味ですか。
○伊東説明員 端的に申し上げます。と、そういう二番の法人よりも三番の法人の方が資本の導入あるいは会社の運営自身としてはやりいい面があるのじゃないかということで、第三号を入れているわけでございます。
○松井(誠)委員 私はむしろ、従来の漁業法人の中にはなかなか大量の資本が入ってきにくい、ところが新しい漁民会社であると大量の資本が入ってきやすいという理由は、そういう運営上のごたごたということではなくて、まさにこの会社の構成そのものといいますか、そういうことにあるのじゃないかと思うのです。たとえば新しい漁民会社では漁協が一つの構成単位として入ってくる。そしていわばそれの全体を上回らないだけの資本、つまり辛うじて四九%の資本ならば、そこへ入ってきてもいいというのです。ところが今までの漁業法人というのは地元漁民の出資が半数。そうすると、地元漁民の出資というのがいわばネックになってしまうのですね。それを上回るような出資はできない。しかしそういう地元漁民を主体とする漁業法人が幾つかあって、そしてその幾つかある漁業法人が一つの漁民会社に入ってくるとすると、いわばそれに拮抗するだけの大きな資金が一ぺんにどかっと入ってくるわけです。ということで、この新しい漁民会社というものは、資本の大量な導入というものをこの機構自体が可能にしておるのじゃないか。そういうことは別にこの理由にはなっていないのですか。
○伊東説明員 先生のおっしゃいましたのは、これは個々のものが入るよりも法人として入った方が資本がよけいになるのじゃないかという御質問でございますが、私どもは単にそれだけじゃなくて、会社の運営自体が二番よりも三番の方がやりやすくなる。個々の漁民が一人々々の資格で入ってくるということよりも、やはり法人としてまとまって入ってくるということの方が会社の運営においてもやりやすい。そういう面からして資本も入りやすくなるということが私は第三番目の利点であろうというふうに考えております。
○松井(誠)委員 まだちょっとふに落ちないのですが、それでは、この新しい漁民会社が、先ほどのお話ですと漁民のそういう主体性を失わないのだというお話でございますが、これは漁協やあるいは漁業を営む法人というものが構成メンバーになって、そしてそういうものの出資の額をかりに五一%とすると四九%までは入ってこられるというその限りで考えますと、漁民の支配権というものが確保されておるように見えますけれども、しかし実際は必ずしもそうじゃないのじゃないかと思うのです。というのは、漁協自営の場合のこの漁協というものも、それからその次の従来の漁業法人というものも、百パーセント漁民が入ってきて漁民が支配をしておるという法人ではないわけですね。たとえばこの漁業を営む法人にしても、いわば出資の半分だけを地元漁民が持っておればいい、そういう構成なんですからね。従ってそういうものが集まって一つの漁民会社を作るということになると、いわばほんとうの地元漁民の出資は実際は四分の一、つまり約五一%ずつ持っている漁業法人が集まって、それが全体の五一%になればいいということなんですから、従って漁民会社の全体の資本からいえば、地元漁民の資本というものは四分の一あればいいということになるわけじゃないですか。そうします。と、実際に形の上では二分の一を持っておるように見えますけれども、実は四分の一ちょっと上回るものしか持たなくて漁民会社はできる。そういう実情を考えると、漁民の主体性を確保しながら資本を調達する方法だといううたい文句が疑問になってくるわけです。いかがですか。
○伊東説明員 先生の御指摘のような法人が集まりまして第三号の法人になる場合に、漁民の出資が過半でなくなるのではないか、そういう御質問でございますが、これはそのおのおのの構成になっております法人の中では、漁民の議決権というものはみな二分の一なんでございます。以上でございますので、そのおのおのの漁業協同組合なりまたは前号の法人の意思というものは、みんな個々で漁民の意思がこの法人の中で貫かれる、そういうものが構成員となっておりますので、これは最後の法人になりましても、その構成員のおのおのにつきましてはみな漁民の意思が貫かれるという前提でございます。
○松井(誠)委員 まさに法律の形式としてはそうでございましょうけれども、辛うじて過半数を持っておる漁民の出資、そういうものの漁業法人がほんとうに漁民の意思を代表するような形で漁民会社の中で発言をし得るかどうかということになると、むしろ非常に悲観的に考えるのが実情に合っているのではないかと思うのですが、その点でこの九項も私はよくわからないのです。九項の書き方、これは私は何度読んでもよくわからない。これは結局、この漁民会社の構成メンバーである漁協あるいは漁業法人の中にさらに法人がある場合ということになるわけですね。そういうことをおもんぱかっての規定だと思うのですが、そうなんでしょう。
○伊東説明員 そうでございます。
○松井(誠)委員 そうしますと、これは水協法のところでまたお尋ねをしますけれども、漁協には相当大きな規模の法人まで入ってこられる。あるいは水産業の加工業者までも入ってこられる。そういう、いわば漁協の構成メンバーの中に法人が重要な役割を持ち得る、そういう漁協あるいは漁業法人、そういうものが集まって漁民会社を作るということになると、ますます。漁民としての意思の主体性というものは実際は希薄になってくるのではないかという気がしてならないのですけれども、その点はさておきまして、今までの優先順位の中でいわゆる網組、そういう任意組合の優先順位が今度は法人とみなされないということになってはずされることになるわけですが、これの具体的な措置——大体今そういう任意組合が持っておる定置の漁業権というのは、具体的にこの法律が施行になったあと、どういう手順で新しいこの制度に適合するような形へ移行していくのかということをお伺いします。
○伊東説明員 この中で、従来の法律の十五号は落としたわけでございます。落としましたが、これはいろいろ問題がございます。この網は特に富山県とか高知県等に例が多いのでございますが、私どもとしましてはこれを一挙になくしてしまうということもむずかしい問題がございますので、この法律の付則の第三条でございましたか、「改正後の漁業法第十六条の規定の適用については、当分の間、法人以外の社団は、法人とみなす。」という第三条で、この法律を改正しましても当分の間は従来通りの取り扱いをするという規定を実は入れたわけでございます。が、これは法律施行後またいろいろ、私の方としましてはなるべくはっきりしたものにしていきたいというふうに考えておりますので、当分の間は法人とみなして免許はいたしますが、ある期間がきましたならばこういうものはやはり将来の問題としてはなくしていきたいというふうに考えております。
○松井(誠)委員 それはそれでわかりますけれども、今実際そういう任意組合の形で持っておる定置の人たちが、さて一体われわれこれからどうするかという具体的なめどというものが、これだけでは全然わかりませんから、一体どうなるのか、とにかく法人とみなすという原則をはずされてしまって、当分の間という非常に不安定な状態にあるわけですから、具体的にそれがどういう法人で、結局漁民会社になるのか何になるのか、新しいそういうものに適応する形に改組をしなければならぬわけですけれども、そういう問題はどういうような、たとえばいつごろどうするというような具体的な計画はございませんか。
○伊東説明員 実はこれは原案をいろいろやっております場合にも問題になりまして、先生のおっしゃいまするある期限を限って明示するというようなことも、いろいろ議論の過程においては出たのでございます。出たのでございますが、法律の形としてはこういう形になっておりますけれども、これで運用しますと、次の免許まで実は五年あるわけでございます。そうします。と、それからあとの免許を一体どうするかというようなときが、私は一つの問題だろうというふうに考えております。今度はこれで免許しますと、五年間それが漁業権としてございますので、その次にさらに免許するかせぬかというときが一つの問題点だろうと考えます。それで水産庁としましては、その間になるべく漁民会社ということにするか、あるいは協同組合というような形にするか、その辺のところは十分検討しまして、その地域について指導をしてきたい、でありますから、そういうことがまた問題になってきますのは、この法律で免許した次のときの免許の際が一つの問題だろうというふうに私は考えております。
○松井(誠)委員 そのときが問題であろうというような傍観的な言い方でなしに、どうするのだというような具体的なめどはまだないわけですか。
○伊東説明員 時期の問題としては法律に書いてありますように、「当分の間」ということになっておりますので、今ここで期間が明示できるのであれば期間を明示すべきなのであります。それをしておりませんので、私が今申し上げましたように、水産庁としては次の免許をするまでにある程度方針をきめまして、こういうふうにしたいというようなことで指導した方がいいだろうというのが私が先ほど申しました次の免許のときではなかろうかということでございます。
○松井(誠)委員 先ほどの漁民会社のことにちょっと戻りますけれども、漁協自営よりも漁民会社の方がいいのだということはお答えになりませんけれども、どうもやはり漁民会社優先というようなにおいがしないでもありませんけれども、私は必ずしもそれがいけないという意味ではございませんが、それではその漁民会社を具体的に漁民の主体性を失わないような形で資本を導入をするあるいは漁民会社がうまくこれからやっていけるという、そういう具体的な方法、そういうものについての指導なり援助なりということについては、何か具体的にすでにお考えになっておるのでしょうか。
○伊東説明員 いろいろな要綱でありますとか何心でこの漁民会社的なものをどうするということまでまだ出しておりませんが、実は午前中御答弁いたしました今度のカツオ・マグロの漁業の新規の許可をいたしました際に沿岸の振興という場合に、一つの形としまして漁連なり漁協なりが、出資の二分の一以上を持っておる会社については、この新規の許可をあげますというようなことを実は今度のカツオ・マグロの新規の許可の際には一つの方針として打ち出しました。これにつきましては、そういうものができれば私どもとしては金融面の世話とかそういうようなことはやっていこうというような考えでおりますが、定置漁業の場合に、たとえばどういう仕事をどうしたらいいかということまでまだきめておりませんが、こういうものにつきましてこういう形が出てくるということでありますれば、私どもとしましては、協同組合に対しますと同じような考え方でこういうものも盛り立てていくというような指導方針はとりたいと思っております。
○松井(誠)委員 区画漁業権の免許の優先順位、十七条なんですけれども、この中で、いろいろなものが区画漁業から抜かされておりますけれども、抜かされたあとの区画漁業として実際にはどういう漁業の形態といいますかそういうものが残るのでありましょうか。この区画漁業の中では、真珠の養殖と特定区画漁業を除くわけですね。そうすると現実にはこの区画漁業というものは主としてどういうものになりますか。
○村田政府委員 具体的には魚類養殖の区画漁業権のようなものがこれに該当するわけでございます。
○松井(誠)委員 魚類養殖の場合、これは定置なんかと違って、この十七条の免許の優先順位の考え方は、もっと何か企業的なものに優先順位を与えるという考え方になっておるわけですけれども、これもやはりいわばこれからだんだん脚光を浴びようとする魚類養殖、従ってほうっておいても資本が入ってくる可能性のある魚類養殖、これの場合にはやはり定置と同じように漁協の自営ということは優先順位の中からはずされておると思うのですけれども、こういうところに、私も先ほど言ったように、どうも企業的な漁業ということだけに足をすくわれておるのではないかという疑問があるわけなんですが、これはやはりたくさんの資本が要るから漁協じゃ無理だ、そういう意味でいわば発展する漁業である魚類養殖というものから漁協は閉め出されるわけじゃありませんけれども、漁協の優先順位というものがないという理由としてはそういうことなんですか。
○村田政府委員 御指摘のように、第十七条で区画漁業と申しておりまする区画漁業は、先ほども申しましたような魚類養殖、しかもこれは第七条との関係で比較をしていただかなければならないのでございますが、同じ魚類養殖でも、小割り式の養殖業のようないわゆる小規模な養殖業は、この十七条のカッコで除外いたしております。特定区画漁業権の中に入れておるわけでございます。従って小規模な魚類養殖を除きましたいわゆる大規模魚類養殖、ただいま御指摘のありました通り、そういう大規模な魚類養殖につきまして、十七条の優先順位の規定が適用になるわけでございまます。これらにつきましては、ただいま御指摘のありました通り、相当の漁業上の技術、資本あるいは経験、そういった特殊の要件を必要といたしまする面が非常に多いのでありまして、そのために従来の経験なりを尊重いたしまして、従来から漁業を営んでおる者に優先順位を付与していく、ただしただいま御指摘ございましたけれども、漁協等が従来から自営でやっておりますれば、漁業を営んでおる者としてやはり優先順位の適用があることは当然でございます。
○松井(誠)委員 漁協も営み得るというのは、特に漁協ということは書いてないけれども、この十七条の規定の中で個人も法人も原則として全部入るのだという意味で、そういうように解釈をすればいいわけですね。
○村田政府委員 御指摘の通りでございます。
○松井(誠)委員 その点で、この十七条の八項に「法人」という言葉があるのですけれども、この法人は、やはり漁協をも含むと解釈すればよろしいのでしょうか。
○村田政府委員 御指摘の通りでございます。
○松井(誠)委員 これはたぶん漁業制度調査会の答申案で、大規模な魚類養殖については、定置と同じような形で漁業権免許を考えるのが適当だというような内容であったと思うのですけれども、もしそうだとするとそれと違った考え方にこの規定はなるわけですか。その辺の理由はどういうわけですか。
○伊東説明員 先生御指摘の漁業制度調査会の答申と今度の漁業権の問題で若干違うところがあることはございます。真珠の問題等もそうでございます。私どもの方としましては、魚類養殖というような新しい大規模な漁業権等につきましては、定置漁業と若干考えを変えまして、あるいはある程度経験なり資本なりというようなものが、相当これはものを考える場合に強く考える必要があるのではないかというような意味で、定置漁業権等とは若干規定を異にした漁業権の考え方でございます。
○松井(誠)委員 この漁業権漁業の最後の質問としまして、存続期間のことをちょっとお尋ねをしたいのですが、この存続期間の点についても、これは答申案と改正案とが非常に違いますね。なぜそのように違わなければならないのかということが一点と、それから具体的に真珠と大きな魚類養殖、そういうものについては十年に延長したという理由について一つお答えをいただきたいと思います。
○伊東説明員 答申は第一種共同漁業権は二十年にしたらいいのではないかということをいっておるのであります。それから区画と定置につきましては、五年を十年にしたらどうかという答申であります。私どもとしましては、まず共同漁業権については、十年を二十年ということでありますが、第一種共同漁業権、これはもう漁業協同組合以外にいく漁業権ではございません。そういう漁業権でございますし、二十年という期間は非常に今のいろいろな移り変わりからいえば長いのではないだろうか、十年という現行法のままでもこれは十分保護はできますし、またこの漁業権は、今申しましたように、組合以外にいく漁業権ではございませんので、答申とは違って従来通り十年としております。 それから区画と定置につきまして、十年にしたらどうだということでありますが、これは私どもとしましては、いろいろ今後の漁業の推移でございますとか、そういうものを考えていきますと、十年というものはいろいろとその間に変化が出てくるのではなかろうか、一般的にこの漁業権を十年ということよりも、五年、五年でいろいろ振り返ってみた方がむしろいいのではないか、その時点に立ちましてその漁場をどういうふうに利用していくのが一番いいのだということを考える場合に、十年というものは、一般的にいえば長過ぎるというふうに考えまして、従来通り五年にしております。 ただ真珠と大規模の魚類養殖事業でございますが、これらにつきましては資本の投下ということが相当ございますし、真珠等につきましてはこれは資本の回転からいたしますれば、大玉等をつくります場合には数年一回というような収入にしかならないというようなことになりまして、五年の期間では、極端な例でいえば、その間に収入が一回しかないというようなことになりますので、大規模な魚類養殖業と真珠だけにつきましては例外といたしまして十年というようなことにしたわけでございます。
○松井(誠)委員 資本の投下の回収が長くかかるから、その期間を長くするという意味で、私は具体的なことはよくわかりませんけれども、たとえば定置と真珠とはたしてそれだけの違いをつける具体的な理由があるかどうかということに疑問を持つわけですが、われわれは何もこれは長い方がいいとか短い方がいいとか一律にそういうことを申すつもりはございません。しかし少なくとも漁協の管理に属する漁業権、つまり漁民の具体的な移動というものが十年たとうと二十年たとうとほとんどない、そういうものについてはむしろ長くてしかるべきではないかと思うのです。今のような答弁で、資本の回収というような点でだけこの期間についてお答えになりますと、いろいろ資格の上でふに落ちないところが出てくるかと思うのですが、しかしその点は先を急ぎますので省略いたします。 あと許可漁業について二、三お伺いをしたいと思うのですが、最初この漁業法改正の議が起ったときに、許可漁業については相当意欲的な改正をされるような話を聞いておったのですけれども、実際でき上がった改正案を見ますると、いわば実を捨てて名をとったというような形になってしまったのじゃないか。つまり一斉更新で承継ではない、実際上の延長というものは原則にしないで、そこであらためて新しい漁場契約に基づく許可をやるのだという考え方が、なるほど形の上ではそうなっておりますけれども、実質的にはむしろ今までの更新を原則とするような許可制度になってしまったのじゃないか。具体的なことはあとでお伺いいたしますけれども、そういう印象を受けます。率直にいって、この許可漁業の許可の仕方について、当初の水産庁の非常に積極的であった考え方が後退したことは争うことのできない事実であろうと思いますけれども、その点はいかがですか。
○伊東説明員 私の方ではこの答申をもらいまして、去年の九月でございましたか、十月でございましたか、第一次案というものを出したことがございます。そうして各方面の意見を聞いたのでありますが、そのとき問題になりました点は実は二点ございます。いろいろございますが、大きく分けて許可漁業で問題になりました点は二点ございます。先生の御指摘になりました一斉更新をしてある期限がきた、その場合には一切全部の人が新規なんだ、実績者というものは一切尊重しないのだという意味のことが第一次案にはかなり強く出たのじゃないかという御質問でございますが、これはわれわれの説明の仕方も若干まずかったことがございますけれども、一斉更新をして、その場合に次の人はみんな新規として考える、しかしその場合に実績者全員で平穏に漁業をやっていた人も、全然新しくくる新規の人も平等に取り扱って、それは何ら差別しないのだというまでに私どもも実は徹底していなかったのでございます。その点はやはり実積者が平穏にやっておるということについてはある程度の優先は考える必要があるのじゃないかということは考えたのでございますが、その辺のところの説明の仕方その他に私の方も手落ちがございまして、先生おっしゃいましたようにそこは非常に後退したじゃないかという御質問でございますが、その点につきまして若干下がったことは、これは否定いたしません。 それからもう一点の、では一切いかぬということを実は私ども考えたわけでございます。しかしこの点につきましては、ある程度最初の案よりも、売ることは認める、しかし買う人について制限をしていくのだということでゆるめたことは認めますが、第一点の一斉更新で全部新規にしてしまう、実積者は一切実積者として認めないのだというまで実は徹底はいたしておらなかったのでございますが、その点いろいろ誤解もあり、やっているうちにお互いの気持もわかり、現在の案になったわけでございまして、現時点に立ちますとこうした改正案でやっていくのが今の方法としては最善だと私どもは思っております。ただし、だれにも売れるということではなくて、承継の点については、従来よりもかなりしぼったものにしていくという考え方になっておるわけであります。
○松井(誠)委員 承継の点では確かにしぼっておられるでしょうけれども、少なくともこういう大きないわゆる資本漁業の人たちが、今も原則として一斉更新で一切新しく出発するという考え方に猛烈に反対したことは周知の事実でございますし、そのときに説明の仕方が下手であったから誤解を受けたということではなくて、実際実積尊重という点についての具体的な規定の用意もなかったわけですから、そういうお答えをなさらずに、ほんとうならばここで元来あるべき許可漁業の姿についてやるつもりだったけれども、なかなかそうはいかなかったのだというお答えをしていただいた方がはっきりすると思うのです。しかしわれわれも実はそういうやり方、一斉更新をして新しく新規として出直して新しい漁場契約に基づいてやるのだという考え方に賛成なんですけれども、現実の実積尊重という形で実際やっていきますと、先ほど私が申しましたように、大きな資本の規制をやる機会がもうなくなってしまうのであります。もうすでに大きな漁業資本がこの許可漁業について非常に独占的な地位を確固として占めてしまっておる。それをこの実積尊重という形で、事実上は更新を原則として認めるという形になりますと、その際にほんとうに規制することができたはずの大きな資本に対する規制という機会がなくなってしまう。そういう意味でわれわれは非常に失望をいたすのですけれども、これは単に言い回しが下手であったか上手であったかということではなしに、まさに考えの基本が相当大きく転換をしたというのが実情であると思うのです。くどいようです。が、あらためて伺いたいと思います。
○伊東説明員 今、御質問の点でございますが、あの案を出しましたときに一番猛烈に反対のありましたのは、カツオ・マグロでございます。カツオ・マグロを先生は大資本漁業とおっしゃいますが——もちろん大資本漁業でやっておるものもございますが、カツオ・マグロ等におきましては中小の企業者の占めておる役割も実は相当大きいのでございます。これ等から、実はそういう考え方からいくと、中小企業自身の経営も不安定になってしまうという意味で、非常にわれわれの説明の仕方もまずかったのでございます。われわれの言いましたことに対しまして非常な反撃があったことは確かでございます。われわれといたしましては、ただ大資本漁業ということではなしに、カツオ・マグロでありますとか、あるいは底びきの問題でありますとか、こういう漁業につきましては、実は沿岸の人々もそういうところくらいまでは少なくとも上げて持っていきたいという考え方をとっておりますので、そういう中小漁業自体がまた不安定になってしまうような制度ではまずいのじゃないかということも、一つわれわれの内部で検討するような材料になりまして、現在のような法律になったのでございますが、先生おっしゃりまするように、全然白紙に返してしまってものを考えるということよりは、これは実績尊重になっております。ので、ものの考えにある色がついたところから考えていくということは確かでございますが、承継その他の面では、従来新規漁業の許可をもらえなくても、承継々々で大きな資本漁業がカツオ・マグロなり以西なりの権利を集中していったという形のものは防げるのじゃないか、そういうものには一切許可をしないというやり方で、新しくこれから伸びていく人に余地を与えていこうというのが、実はこの漁業法のねらいでございます。
○松井(誠)委員 承継を窮屈にしたために、これからあとのそういう形での集中はある程度チェックできるかもしれない。しかしもうすでに巨大になってしまった資本を規制する方法はない。それをやるためにはやはり一斉更新、そして延長はしない、そういう方法以外にはおそらくはなかっただろうと思うのですけれども、この問題が出るときに、たとえば金融機関から、それでは中小漁業が非常に経営の内容が不安定である、われわれは金融するわけにはいかないという形の圧力が出てきたということを聞いておりますけれども、そういう事実はあったと思いますが、そういうものに対して、水産庁はどういう形でそういう事実がもし起きたならば対処しようという腹がまえであったのか。もうすでにその必要はなくなったかもしれませんけれども、つまり、もう延長しないのだという不安定な漁業の形態では融資の面で非常に困るという圧力というか、おどかしか、あるいはおどかしじゃなしに、まさにそろばんをはじく金融機関ならばそうかもしれませんけれども、そういうときにそういういわば圧力、そういう具体的な障害に対して、水産庁ではどういう手段でそれを切り抜けていこうとされる予定であったのか。
○伊東説明員 先生は、先ほど私が説明がまずい点があったということで、これはごまかしじゃないかという意味の御質問があったのでございますが、実は金融機関から率直に二つ話しがございました。一つは、全然新しくなってしまうような場合にはなかなか金融はできないんだという点が一点と、もう一つは、ある権利等も担保的なものの考え方にして、だれにも売れるということであるからして、相当その権利も担保としてとれるという意味で、ある程度の高い融資をしていたのだ、それもまたできなくなってしまう。金融の量も減ってしまう。二つの面から今の改正案じゃ困るじゃないかという意味の話があったことは確かでございます。私どもは実は第一点の一斉更新の場合には全然新しくしてしまうのだという面につきましては、これは金融機関に対しましても、実は水産庁はそこまで徹底している考えじゃないのだ、一斉更新で新規にやるけれども、平穏にやっていた人については、やはり水産庁としても許可を取り消してしまうとか新規に許可しないということは考えてないのだから、それは心配せぬで金融してもいいんじゃないかという意味のことを言ったことがございます。が、二番目のだれにも転々売れるのだから金融ができるのだということにつきましては、それは困る、それは許可というものが、たとえば伊東でありますれば伊東個人というものを相手にして許可しているのでございますから、それが転々だれにも売られてしまうというようなことは許可としては適当でない。それは金融機関から幾ら言われても、そういう面のことは大臣許可としては当然直していくべきだというようなことをわれわれは言いましたので、金融機関に対しては、今言いました第一点の問題は、われわれは平穏にやっている者は許可するのだから必配なく融資してくれ、こういうことは言いましたが、二点目のだれにも売れるようにしてくれという要求に対しては、それはだめだというようなことを金融機関に言ったことはございます。
○松井(誠)委員 その具体的な指定漁業の内容について入る前に、一点だけお伺いをしておきたいのですけれども、現実にこの指定漁業の許可というものが事実上一種の権利になって売買される、しかもそれが相当多額な金額で売買をされる。ということは、もうすでにこの許可という制度が、そういう業者の保護という形——まあ資源保護という問題はあるかもしれませんけれども、それとは別に、業者の保護という役割を実際上果たしておるということの一つの現われであると思うのですけれども、これから承継して非常に窮屈になっても、しかしとにかくこの許可漁業というもののワクが窮屈である限りは、少なくとも許可漁業を営んでおる漁業者は、言ってみれば自由競争の場合とは違って、一種の超過利潤みたいなものを持っておる。許可制度のおかげで、そういう普通の自由競争の場合ならば得られないであろうようなものを、一種の超過利潤というようなものを持っておる。そういうものを何かの形で回収をする、たとえば許可料だとかいうような形で回収をするというようなことは、それではお考えになりませんか。先ほど来資本を規制する方法はないかというようなことをいろいろお伺いをするこれも一つの例でございますけれども、そういうことは全然お考えになっておりませんか。
○伊東説明員 現実の問題としまして、先生のおっしゃるような事実が出ていることは私も否定いたしません。実は前の漁業法におきましてはその点がはっきりいたしておりまして、許可料をとるという漁業法になっていたのでございますが、これはその後法律改正になりまして、許可料をとらぬというような法律改正が実は行なわれてしまったのでございます。それで現在の許可がいわゆる警察許可であって、いわゆる権利ではない、法律的にはそういうふうに改正になってしまったのでございます。でありまして、先生のおっしゃいましたように、さらにまたもう一回これを権利のようなものに考えて、そこで許可料をとっていくという法制には、実は従来の法律の改正がその後ありましたので、またそこへ返るということはしませんで、これは警察許可だというふうに法制的には割り切っておるような次第でございます。ただいろいろおっしゃるような権利のようなものが出ているということは事実ございますので、今度の法律では、中央漁業調整審議会等でも資源保護あるいは漁業調整の関係でもっと許可していいというような場合に、役所がそういうこともしないというような場合には、委員会から意見も出してもらえるというようなことも実はいたしまして、また行政の運用としましても、資源面あるいは漁業調整上そういうことが出ております場合には、やはり新規の許可ということも一つはできる可能性があればどんどんして、あまる弊害が起きないようにしていくというような運用はしていきたいというふうに考えております。
○松井(誠)委員 では、具体的な指定漁業に入るわけでありますけれども、おそくなりましたので一つ具体的な質問はこの次にいたしまして、きょうはこの程度で終わりにしたいと思います。
○長谷川委員長 本日はこの程度にとどめます。 次会は明二十三日午前十時から開会することといたします。 これにて散会をいたします。 午後三時三十九分散会