農林水産委員会 第2号
- 発言数
- 107 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1962/08/21
会議録
○長谷川委員長 これより会議を開きます。 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。石田宥全君。
○石田(宥)委員 私は、先般行なわれました農林大臣の所信表明に対しまして、いささか中心的な問題について所見を伺いたいと思います。 最初に申し上げておきますが、所信表明の中で大臣は、食糧管理制度の改善については、現行制度は米が少ないときにできたものであるが、需給が均衡しつつある現状においては、はたして適当であるかどうか、検討の要がある、こう述べておられます。しかし最近の米の需給状況を見ますと、必ずしも手放しで需給がバランスしているとは言えないのではないか。一般のマスコミの論評その他によりますと、かなり余剰傾向にあるように伝えられておるのであります。しかし最近の需給事情を見ますと、大臣承知の通りで、これは農林省の統計調査部の需給関係の表でありますが、国民一人当たりの食糧の需要量が三十年には一一〇・六キロであったものが三十五年には一一四・三キロというふうに、一人当たりの需要量がふえておる。人口増がその上にさらにプラスされるわけであります。そういうことがやはり今度は配給量の上に相当影響を及ぼしまして、最近農林省で発表されました昭和三十七年度の主食、特に米の需給計画を見ますと、三十七年度の主食の需要見込みは相当大幅にふえておるわけであります。これは五百六十七万五千トンということでありまして、対前年度比較では五十三万九千トンの増でありますから、前年度より約一〇%上回っておる。一〇%上回るということは、これはやはり相当の需要の伸びと見なければならないと思うのです。 そういう状況でありますから、最近の配給実績がまた大幅に上回っておる。三十七年度の上半期では約四十万トン、約二〇%配給量が上回っておる。上半期に二〇%の米の配給量がふえるということは、これはなかなか大きな需要の増加だと考えるのであります。三十七年度に引き継ぎますときの政府の持越量は、四十五万六千トンであります。これは実は七十万トンほど見込んでおったのが、四十五万六千トンと減ったわけであります。今度は三十八年度への持越量は、十八万九千トンということでありますから、非常な減少になる。これは大臣よく御存じの通りでございまして、そこで最近では韓国から朝鮮米四万トンの買付契約が成立し、また台湾から蓬莱米の輸入をすることになっておるわけであります。こういうふうに米の需給計画を見ましても、米の需要は相当伸びておるが、一面豊作といわれながら、やはり上等なたんぼが相当つぶれて参っております。新産業都市の建設等に伴って平場地帯の上田が相当つぶれて参ります。そういうことを考えますと、一体需給が均衡しておるというものの判断の仕方がはたしてどうかと実は疑われるわけであります。一体政府は、こういう状況のもとにおきまして、前農林大臣の河野さんは、本年の二月十日と五月二十五日の二回にわたって、京都の農業会議所における小麦会議並びに東京の産経ホールにおける演説会においても、水稲の作付は制限する必要があるということを述べておるわけです。そうすると需給均衡というものの考え方の中には、国内の需要と供給の関係でなしに、外国からの輸入というものを見込んだ上で需給均衡という議論が行なわれておるのではないか。私どもとしては、やはり需給関係というものは国内的の需給関係でなければならないのであって、もし需要を満たすことができない場合において輸入するということはけっこうであるけれども、外国からの輸入を前提として需給が均衡をしたから米の作付を制限するとか、あるいは増産の必要がなくなったというような考え方は間違っておるのではないか、こう考えるのでありますが、これは米作農業に対する基本的な考え方の一つでありますので、所見を承りたいと思います。
○重政国務大臣 石田さんが今数字をあげていろいろ需給の点をお述べになりましたが、それは全くその通りであります。しかし、なぜそういうふうな需給になっておるか、つまり米の消費が政府の関係においてはふえておるような数字になっておるわけです。それはおそらく私考えますのに、従来やみに流れておったものが政府の買い上げ配給に乗ってきた、こういうことでそういうふうになっておると思うのであります。ともあれ、この米の国内における需給関係というものは、米が余るという状態ではないではないかという御所見でありますが、これは私もそう思っております。現在非常に米が余って困っておるという事態ではございません。食管法は米の非常に足りないときにできたのでありますが、やや需給が均衡しつつある今日において、これは再検討の必要があるのではないか、こういうふうに私は考えておるわけであります。 それから米作制限をするなどということは、私は毛頭考えておりません。しかし同時に、往年のように、非常に米が足りなかったときに、お国に御奉公を農家諸君にするように求めましたあの当時のような食糧増産ということは、これも考えておらないわけであります。申すまでもなく、農家の経済を中心としてこの米作ということをやはり考えていきたい、こういう考えでおります。
○石田(宥)委員 米の需給関係で配給の量が著しく増加したことは、これは一面において、従来のやみに流れたものが配給ルートに乗ったということは、私どもも認めるにやぶさかでございません。しかし内閣統計局の統計でも、農林省の統計調査部の調査でも、ほぼ一致して、国民一人当たりの消費量がふえておるということは、これはまた別の立場でやはり消費量がふえておるということは否定できないと思うのです。需給関係で米の操作上配給量が著しくふえたということには、やみ米が正常ルートに乗ったということは言えると思うけれども、一人々々の需給量が相当程度ふえたということは、これはやはり需要が伸びたということを否定するわけには参らないと思うのです。 これはその程度にいたしまして、そこで、さきの大臣お答えにならなかったことでありますけれども、私どもはやはり食糧というものは、自給度を高めるということに相当力を入れなければならないと考えておる。あとで農業基本法との関連を申し上げますけれども、農業基本法を制定いたしますときに、農業団体はあげて、農業基本法の中に食糧の自給度を高めるという字句を挿入すべきことを主張いたしました。また社会党の提案いたしました基本法には、第一条に、国は食糧の自給度を高めるという字句を入れてあります。ところが政府もまた与党も、食糧の自給度を高めるという字句を挿入することを拒否されたわけです。そういう点から見ると、どうもさっき私が申し上げましたように、自給度を高めていくという意思がないのではないか。そういう点で前の農林大臣の、水稲の作付制限をするというような言葉と考え合わせると、政府与党の基本的な考えの中に、食糧の自給度を高めるということを否定する精神が貫かれておるのではないか、こういうことを実は考えておるわけでありまして、これは農民の重大な関心事でありますので、お答えを願いたいのです。
○重政国務大臣 それは私は非常な誤解を石田さんしておられるのではないかと思うのであります。往年の食糧増産、食糧自給度を高めるという、いろいろ政府が政策を実行いたしました。そのときの根底に横たわる思想では、無理をしてもやろうという考えであった。それが今日の状態におきましては、食糧の自給度を高めることもけっこうでありますが、しかし農家の経済を犠牲にして高める必要はない。そこまでは国は農家諸君に要求はしない。無理をして畑を水田に直したり、あるいは非常に地力の米作には適さないようなところまで米を作らす、こういう行き方はこの際は一つ考えるべきである。こういう意味でありまして、決して米は国内において作らぬでも外国から輸入すればいいというような乱暴な考えを持っておるものではないということを一つ御了承願いたいと思います。
○石田(宥)委員 その点明らかになりましたが、次に、大臣は、農業基本法の体制を進めていく上に、選択的な拡大を進めたいと考えておるということを、特に需要の増加に対して畜産物、果実等については、その生産の伸展をはかるための施策を講ずることとし云々と、こういうふうに述べておられる。私は選択的拡大という言葉は、御承知のように需要の伸びるものは増産をし、需要の減退するものは作付を転換し、外国産農産物と競合するものについてはこれを合理化するという、この言葉の範囲においては私はきわめて正しいと思うのです。そこで、先ほどもちょっと触れたのでありますけれども、この選択的拡大ということは、日本の国内における需給の関係に立った選択的拡大であるのか、あるいは国際的な見地に立っての選択的拡大であるのか。私どもは地方を回って参ります。と、大部分の農民が、選択的拡大ということの今申しました字句は、国内的な立場に立っての選択的拡大と理解をいたしておるようであります。この点は非常に重要でございますが、一体国際的な見地に立ってお考えになっておるのか、国内的な関係でお考えになっておるのかを明らかにしてもらいたい。
○重政国務大臣 これは一口に観念的に申し上げることは誤解を生ずるおそれがあると思うのでありますが、農業基本法はおそらく私は国内的見地に立ってきめられておると思うのであります。何といたしましても第一義はそうであると思うのでありますが、しかし今後の国際情勢等を考えてみますと、やはり国際的の立場にも立って日本の農業日本の農村というものを考えなければならぬと私は思っておるのであります。これは先刻御承知のことであると思うのでありますが、先般来新聞紙上等に報道せられますあのヨーロッパの共同市場、EECにおきましても、ドイツとフランスとの農業が違うので相当にもめたようでありますが、ドイツの方が折れて、一応このEECの域内におきましては共同の政策をとることができるようになりました。その後におきまして、イギリスの加入問題をめぐって、いわゆる英連邦の農業、これらとの関係をどうするかということで、とうとう暗礁に乗り上げて、イギリスの加入というところまで結論が出なかったということは御承知の通りであろうと思うのであります。かりにアジアにおいて、日本が南方諸国との経済交流ということをもう少し緊密にやろうというようなことを考えた場合には、やはりこの農業が一番の私は問題になると思うのであります。これは決して一朝一夕にできることではございませんので、今から日本の農業というものは高度の農業にこれを成長せしめる、南方諸国の農業国との衝突をできるだけしないような方向に持っていくことが私は必要であると思う。また南方の農業そのものを指導する意味におきましても、日本の農産物と競合しないようなものを向こうで指導奨励をしていくことが必要ではないかと思うのであります。こういう意味におきまして、私は農業基本法の精神に、さらに国際的な見地に立って日本の農村、農業を見るという配慮を忘れないようにやっていく必要がある、こう考えておる次第でございます。
○石田(宥)委員 抽象的に言われると大体その通りだと思うのです。そこで、それならばもう少し具体的にお尋ねをしたいと思うのでありますが、さしあたって麦についてはパリティ価格、米については生産費及び所得補償方式、こういうふうな算定方式になっております。先般、昭和三十七年度生産者米価決定にあたりまして、農業基本法作成に参画された学者や評論家の中から、どうも三十七年産米価は高過ぎた、これでは選択的拡大ができないじゃないか、こういうようにきつい不満が表明されたのであります。これについて実はお尋ねしたいのであります。が、当面日本で畜産や果実の生産を伸ばそうといたしましても、畜産物価格安定法による安定価格は、これは実はその算定方法が米や麦と違って、きわめて劣っておる。私どもはやはり畜産物についても生産費及び所得補償方式によるべきことを強く主張をいたしておるのでありますが、先ほど申しましたような農業基本法の作成に参画された学者や評論家の各位は、米や麦の価格の算定方式の方が間違いであって、畜産物の価格をきめたところの算定方式の方に寄らせなければならないのだというふうな考え方がはっきりしているわけです。私どもとはまっこうからこれは対立するわけです。また現在のようにいたしまして、畜産や果実というものにはパリティ価格もとらなければ生産費及び所得補償方式もとらない。米については現行のような算定方式によるとすれば、これは結果においては農家の一人当たりの一日の賃金というものが著しくここに相違がありまして、米については大体一千円以上になっておる。ミカンはちょっと特別でありまして、千六百円ないし二千円くらいになっておりますが、たとえば酪農のごときは、ホルスタインなどでは一頭の搾乳では一日当たりの賃金がわずかに四十九円、これは農林省の統計調査部の調査ですが、二頭でようやく百五円、三頭が八十二円、四頭が百二十三円、五頭以上で四百三十六円で総平均九十円、酪農をやったのでは一日当たりの日当で平均して九十円だ、米を作れば一千円以上になる、こういう状態のままにしておけば酪農が伸びるはずはございません。また果実に対しては単にそういう算定方式のみにはいけないので、いろいろ方策はございますけれども、今日のような状態であって、さらにバナナの輸入が自由化するというようなことになりますと、これまた採算がとれないということになる。酪農と比較すれば一番はっきりします。が、一方は一千円以上、一方は九十円、これじゃ農民は一体畜産の方にいけるかどうか。豚はごらんの通り。そこで私どもの主張するところの、畜産物についても生産費及び所得補償方式によるべきであるという考え方に対して、先刻申し上げますような反対論が相当強いものがあるわけであります。が、これに対する大臣の所見を承りたいと思います。
○重政国務大臣 米は何と申しましてもこれは日本農業の主軸をなすものであり、また農家経済のこれが最も大きな影響を持つ部分であります。従ってこれはただいま、御承知の通りに生産者米価の決定の方式はああいうふうにきめられて、それによっていっておるわけでありますが、しかし、どの農産物もそういうような米と同じような方向、方式でいくべきものだという御主張でありますけれども、そういうことになりますと、米と同じような制度を設けていくということになる。これが一体財政的にもまた許さるべきであるかどうかということは、十分検討を必要とするわけでありますが、私はそういう問題のほかに、農産物もやはり商品であるということを考えなければならぬと思うのであります。日本での食糧が、米は別にいたしまして、果樹にしましても畜産物にしましても、これが日本に限って商品の扱いをせずに、もっぱらその価格を高い価格になるような方式でやっていくということは、私はこれはとうていできないことじゃないかと思うのであります。でありますから、むしろ果樹にいたしましても畜産にいたしましても、米作の労賃と比べればただいまお話の通りに低い。これらはこの生産の技術の改善向上でありますとか経営の改善でありますとか、畜産について言えば早い話が飼料の問題について、酪農にしましても濃厚飼料だけでなしに、牧草等の草の飼料を多く供給するような方策を講じてそのコストを下げていく、従ってその手間賃が上がっていく、こういう方向に向かっていかなければならぬ、こう私は考えております。
○石田(宥)委員 農産物もすべて商品だということでありますが、それはその通りでありまして、商品であるから、選択的拡大というような問題を考えたときに、はなはだしくアンバランスであっては、大臣がせっかく畜産や果実を大いに伸ばさなければならないとおっしゃるけれども、そういう方向に向いてないじゃないかということを私は指摘したいのです。同時にまた国際的に見ると、選択的拡大というものをそういうふうに御理解になっているとすると、これは日本農業を否定することになる。そうでしょう。日本の農産物であって国際価格より安いものは何がありますか。すべて外国のものが安い。だから、商品だから外国から安いものを入れるというなら日本農業の否定になる。ここに私は農業基本法と選択的拡大という問題が非常に重要な問題を含んでいると思うのです。だから畜産物を食管制度のような制度にするかどうかということ、これはまた別の問題でありますが、これは別に掘り下げていけば幾らでも問題はあります。また今触れられたように酪農等については草資源の開発云々を言われますけれども、自民党さんはそれと逆行する政策をどんどん打ち出しておられるじゃないですか。たとえば今未開発地が五百万町歩もあるということは農林省の調査で明らかであるけれども、そういう未開発地に手をつけなければならないというときに、旧地主に融資をやったり、今度は旧地主に補償を出す法案をお出しになるそうであります。が、現在の地主勢力を強化してどうして一体未開発地に手がつくのですか。逆じゃないですか。そういうところに大臣は一体矛盾を感じていないのかどうか。矛盾を感じていないとすればこれはよっぽどどうかしていると言わなければならないのであります。そこが今農民が非常に心配しているところでありますが、具体的に一体、いろいろなことをおっしゃるけれども、米や麦のような価格算定方式に基づいてほかのものをそれに寄せるようにすべきではないか、あるいはそれをくずして、今の畜産物価格安定法に基づく算定方式のような方向に寄せようとする考え方と二つあるが、一体大臣はどっちをとるのか。私は具体的に質問をしておるのであります。
○重政国務大臣 これは米や麦のような算定方式に持っていこうと考えてもいかれないものもある。実際問題とすればそういうものもある。なかなかそう簡単なものではありません。なお外国の農産物が安ければ幾らでも日本に入れるという考えは、冒頭に申しました通り、私は持っておりませんが、しかし日本の農産物が幾ら高くてもいいんだというわけにはいかない。畜産にしたところで、酪農製品にしましても、やはりコストの引き下げに努力して、世界の競争市場に出てもひけをとらないようなところまで持っていかなければならぬと思うのであります。それまでの間は、たとえば酪農製品が安いからといって入れれば、日本の酪農業というものが危殆に瀕するからこれは入れない、こういう方策をとっていきたいと思うのでありまして、日本は日本で外国とは別だからどうでもいいんだというわけには参らないと私は思うのであります。その点は一つ誤解のないように御了承を願いたいと思います。
○石田(宥)委員 議論としてはわからないことはないのです。だから私どもも米や麦を高くしさえすればいいとは絶対に言わない。実は米は安いほどいいのです。米が安くてもやれる、採算がとれて利潤があるように――たとえば肥料の問題、従来のような副生硫安や廃ガスの利用というものを政府は最近まで許可しない、そういう態度をとって高くしておる上に、さらに肥料二法を廃止して肥料を高くしようとしておる姿勢、あるいは農薬についてもそういうことがいえる。農薬はもうかり過ぎて困るといわれておる。農機具についてもその通りです。そういうふうな問題、あるいは飼料の問題のごときは目にあまるものがある。これはそれぞれ一つ一つやっても大へんな問題ですから、私はきょうはそういう政策に触れません。もっと大きな面で議論をするわけでありますから触れませんけれども、そういう肥料、飼料、農薬、農機具というようなものに手を触れないで、これは独占資本のもうけほうだい、もうけるにまかせておいて、そうして米麦の価格はそう無制限に上げるわけにはいかない。――これは無制限に上げることはできないでしょうけれども、米麦の価格を上げないならば、上げなくても農家が採算のとれるような施策が行なわれなければならないじゃないか。しかし政府も与党もちっともそういうところに努力してないじゃないか。そこに問題がある。たとえばさっきもちょっと触れたのでありますけれども、貿易の自由化にしてもその通りであります。 そこで私は、ここに一つの問題を提起したいのでありますが、それは外務省所管のアジア公館長会議というものが五月十四日から十八日まで開かれております。そのときには、たしか農林省は西村次官が出席して、各省の次官が出席をしたのでありますが、そこでこういう議論が行なわれておる。イギリスのEEC加入が実現した場合の影響として、農業部門における国際分業の必要が強調されたことで、この対策として、東南アジアの米を輸入し、オーストラリア、ニュージーランドから酪農品を輸入する、それがために農業基本法の再検討が必要であるということに意見の一致を見たといわれておる。農林大臣は農業基本法の体制を推し進めていくとおっしゃる。しかし農林省の次官が出席したアジア公館長会議の席上において、今私が申しましたように、オーストラリアやニュージーランドの酪農製品といえば、日本の製品のおそらく三分の一に近い価格でしょう、そういうものを輸入しなければならない、東南アジアの米を輸入しなければならない、そういう関係から、日本の農業基本法は再検討しなければならないということに意見の一致を見たといわれておる。これに対しては、おそらく農林省の代表が参加をして、それに同意をしてきたとすれば、これは大へんな問題だと思う。いいか悪いかは別として、これに対する大臣の御所見を承りたい。
○重政国務大臣 私は、今述べられたそれは初耳であります。どういうところにその報道のソースがあるのか知りませんけれども、おそらくそういうことを手放しで農林次官が言うはずはないと思いますが、私はそうは考えておりません。そういうように考えておりません。南方から幾らでも米を入れる、酪農製品を豪州、ニュージーランドから幾らでも入れるというようなことは考えておりません。これは御安心なさっていいです。
○石田(宥)委員 これは私ほかの人に譲りたいと思うわけでありますが、貿易自由化というものが十月から全体で九〇%ということになると、農産物も相当数自由化されるということで池田内閣としては進められておる。そういう見地に立ってながめておりますと、このアジア公館長会議における各省次官が出席をして開かれて意見の一致を見たということも、あながち簡単に否定のできる問題ではないと思います。大臣は簡単にそれを否定しておられるようだけれども、私はやはりそういう考え方、そういう思想が農林省の中にも相当流れておるのではないか、こう思うのでありますが、そういう心配はございませんか。
○重政国務大臣 お説のような御心配は要らないと思います。アジア公館長会議がどれだけの権限があるものか知りませんが、私が農林大臣をやっておる間はそういうことはいたしません。
○石田(宥)委員 農林大臣大いに一つがんばってもらいたいと思うのでありますが、ややもすると、農林省というものは、大蔵省や外務省に弱いのです。従来は。だから心配するのです。農林省というものが大蔵省や外務省に非常に強いお立場であれば心配しないのですけれども、いつでもどうも外務省に押し回され、大蔵省にこづき回されておるというのが従来の状態です。実力者大臣といわれた河野大臣の時代においてすら、やはり外務省より上ではなかった。そうすると、これはわれわれとしては非常に心配なのであって、農業基本法については、われわれはわれわれの農業基本法を持っておりますから、さっき触れたように、食糧の自給度を高めるというような点を初めといたしまして、重要な点についての見解の相違がありますから、従ってわれわれの考えておるような農業基本法についての再検討ならば、これは賛成でありますけれども、今ここで私が指摘いたしましたようなふうに再検討するということになると、これは大へんなことでございますので、これは省内の意見も統一をし、またそういう動きがありとするならば、これはやはり外務省に対しても厳重な申し入れをすべきであると私は考える。大臣の所存どうですか。
○重政国務大臣 農林省の立場が弱いというお話でありますが、これは、一面においてそういうところがあります。大蔵省は財政を握っておるのでありますから、よく理解をさしていかなければならぬというようなことで、そういう面については、立場の弱い点はありますが、これはしかしベテランの皆さん方の御支援を得て、農村のために、日本農業のために、一つ御協力を賜われば、私は心配はないことであると思うのであります。 それからアジア公館長会議のお話でありますが、これは私、よく存じませんから、一つよく取り調べまして、どういうことになっておるか調査の上で、一つ善処をいたします。
○石田(宥)委員 基本的な問題はこの程度にいたしまして、最後に、米価の問題について触れておきたいと思うのでありますが、本年の生産者米価決定にあたりまして、前の農林大臣の言明されたところによりますと、これには閣議了解事項として付帯事項がある。その第一は、時期別格差は学識経験者の意見を聞いて検討し、昭和三十八年産米穀からこれを適正化する。まあ表現はあいまいでありますけれども、こういうことがある。それから二番目には、申し込み加算は三十八年産米から二年間でこれを廃止する。それから、陸稲の水稲に対する格差は、昭和三十八年産米穀から実施する。この三項目のようであります。 そこで問題なのは、この時期別格差の問題でありますが、これは大臣も御承知の通り、早場の米が高いということは、徳川時代にもこれが行なわれておる。また、明治初期からずっと最近まで、統制になるまでの資料がございまして、やはり新米は高い、こういうことになっておる。そういうことがやはり今日まで、一つは端境期の不安を解消するという意味もありましたが、一面においては、今申しましたような、やはり自由米のもとにおいても価格差はあるんだ、こういうことでこの格差はできておるわけであります。前にできた時分には、早場米奨励金でありましたが、もう端境期の不安解消のための意味というものがあまりないということで、今度は時期別格差というふうに名前も変わって、今日に及んでいるわけです。なるほど学者や評論家の中には、これはない方がいいという議論もあります。率直に言って、私どもも多少意見は持っておる。しかし今日まで多年にわたって実行されて参りましたこの制度というものは、一つの農民の既得権として、低米価に対するプラス・アルファとして今日に及んでいるわけです。同時に、これをかりに整理するとなりますれば、どうしてもやはり水稲の品種改良を伴わなければいけない。品種改良というものは、大臣、専門家で御承知の通り、十年の歳月をけみしなければ一つの品種というものはでき上がらないわけです。それを予告なしに、三十八年と九年でなくするとか半分に削るとかいうようなことが行なわれたら、これは非常な混乱を生ずるのではないか。私は、本来、もしこれをなくするというようなことであるならば、やはり別の制度で温存する面は温存をし、そうして大部分はこれを基本米価に算入すべきであるというふうに考えておる。だが、私の意見は意見でありますが、しかしそういうことで閣議の了解事項であるということになると、これはやはり行なわなければならないという事態にもなりかねないと思うのでありまして、これに対する大臣の所見を一つ伺っておきたいと思います。
○重政国務大臣 私は、閣議できめられた通りに実行をいたしたいと考えております。ただいま石田さんのお述べになりました時期別格差ないしは早場米奨励金というものの当初できましたときの事情はお話の通りであります。そうしてまた現在でも、あるいはそういうようなこともあろうと思うのでありますが、しかしこれが非常に乱用せられて参った、と言っては語弊があるかもしれませんが、ひどいときには十二月の中旬までこの奨励金なり格差が認められるというようなことがある。現在は幾らかそれが合理化せられておりますが、まだまだ合理化しなければならぬと思う。今、石田さんがお述べになりましたような理由でやるとすれば、おそらく私は、往年自由時代に端境期における早場米の値段の高かった時期というものは、九月一ぱいじゃなかったかと思うのでありますが、それが十月、十一月、十二月にまでそういうものをやるというところに私は問題があったのであろうと思うのであります。それと同時に、これが平均米価をきめます外での話なら、まだこれは政府とそういう御関係のところだけの話になると思うのでありますが、平均米価をきめるその中で、これがそれだけ天引きをして持っていかれるような形になるということが、なかなか全国の農民諸君からすればどうも割り切れないという意見が相当に強いのであります。閣議の了解事項は、これを適正化するということでありますから、この内容につきましては十分学識経験者の御意見も拝聴いたしまして、これを合理化するという方向に持っていきたい、こう考えておるのでございます。
○石田(宥)委員 この点はなおまだ論議をする機会もあろうかと思いまするので、私どもまた別の機会に十分意見も述べたいと存じますので、参考にしていただきたいと考えます。 今大臣のお話しになりましたように、十二月までやった例もございます。しかしもうずっと十月三十一日で終わっておりまするし、制度としてはそういうことになっておりますから、そういうことは問題にならないと思うのでありますが、ただ、今大臣の発言の中で、総手取り平均というようなことになるからというお話でありますけれども、これは私は実は意見がある。これは三十七年度産生産者価格は総手取り平均で一万二千百七十七円とこうなっておりますが、実は基本米価は一万一千四百五円なんです。だから、一万二千百七十七円などと言うからこんがらがるのであって、そういう付録というものは別扱いをして、基本米価でものを言っておれば、そういう誤解は何にも起こらないのです。だから、今年は、生産者米価は一万一千四百五円なんだ。――裸三等価格はそうなんです。だから、政府もそういうふうな呼び方をすべきなんです。ところが政府は、何か高いように思わせようというようなすけべ根性から、一万二千百七十七円でありますなどとおっしゃるから、こんがらがるのです。これは私はやはりずっと長い間基本米価というもので処理して参りましたように、今年の米価は一万一千四百五円だ、裸三等基本米価ということで今後扱うべきであろうと思いますが、そうすると、これは混乱が起こりません。この点についてはどうですか、意見一致しておるようですが。
○大澤政府委員 御承知のように今まで、今おっしゃった一万二千百七十七円というのは一-四等の平均手取りということでございます。従来からその一-四等という平均手取りということで議論して参り、また比べて参ったので、そういうようなやり方がありますから、これからもそのやり方をずっと踏襲した方が物事のわかりがいいのじゃないか、こういうふうに思います。
○石田(宥)委員 これはもののわからない農民をごまかすにはいい制度かもしれませんけれども、考えが混乱するのですよ。地域々々でいろいろな差額がある。だから本来これは裸三等で基本米価でいけば混乱がないのです。だからやはり思い切ってそういう取り扱いをすべきだ。しかしこれは意見が違うなら違うで仕方がありませんから、これ以上別に議論はいたしませんけれども、たまたま農林大臣からこのことに触れられましたので、私は私の意見を申し述べたわけであります。 その次に予約加算でありますが、予約加算は石当たり百円でしかございません。これは二カ年間で廃止するという了解事項になっておるようでありますが、予約加算という問題は、今度は百円にとどまらない問題です。なぜかというと、予約加算ができたというのは予約制度から生まれたのです。予約制度には予約加算だけではございません。予約制度には概算払いの石当たり二千円というものが予約と同時に支払われる。同時に予約減税というものがある。予約制度の中には三つあるわけです。そこで予約加算の百円については、私はやはり予約制度というものは存置すべきであると考えますから、これも当然存置されなければならないと思いますけれども、かりにそれは整理されるとしても、やはりその制度の中にある概算払いというものは、一年間に一回しか所得のない米作地帯の農民にとりまして、いわゆる盆払いの金として、中間の収入として非常に重要な役割を果たしておる。昔の青田売りに該当する金でございますので、これは非常に大切なものでありますから、やはり制度の中におけるこの問題は、どうしても存置されなければならないものであると考えますが、大臣のお考えはどうですか。
○重政国務大臣 ただいまお述べになりました通りに、閣議の了解事項と申しますのは、予約米奨励金のことを主として書いておるのであります。概算払いの問題あるいは税の問題等は、正面からは触れておらないわけであります。十分一つ検討いたしまして、ただいまお述べになりました概算払いの問題は、私も相当重要な問題であると考えておりますので、できるだけ無理のないように一つやっていきたい、こう考えます。
○石田(宥)委員 概算払いは重大な問題でありますから、そう簡単に処理できないと思います。 そこで予約減税の問題であります。が、大臣軽く触れておられるようでありますけれども、実はこれは一昨年来税制調査会では廃止すべしという決定をして答申しておる。本年度は大蔵省は予約減税取りやめの決意でおるわけです。これは大臣御承知の通りです。しかし今日まで予約減税というものがどういう性格なものであるかは、大臣御承知であろうと思うのであります。が、予約減税という制度ができたとき、私は米価審議委員をやっておりました。大臣は河野農林大臣でした。そこで米価はもっと引き上ぐべきであるけれども、これはなかなか大蔵大臣がのまない。そこで米価を上げる分を予約減税でいこうじゃないか、こういう話し合いで実は生まれたものなんです。これは本来米価そのものなんです。そういう大蔵省とのいろいろな折衝の過程で生まれたものなのでありまして、これは本質的に米価そのものの性格を持っておるのであります。しかし税制調査会は筋が通らないという。まあ私は税制調査会にもいろいろ問題はあると思いますけれども、きょうはそれに触れようとは存じませんが、少なくとも毎年これは議員提出立法でかつてはやり、最近は政府提案でやっております。大体予算編成当時にこれが明らかになるのが建前です。春の通常国会中に法案が成立するのが建前です。昨年は生産者米価決定までに決定しておるわけです。今年は米価決定の際までに決定を見ておりません。聞くところによると、大蔵省は本年度は廃止するという態度をとっております。農民はすでに今までの例から見て、米価決定の際には予約減税の決定を見ておることであるから、今まで通り予約減税が行なわれるであろうという希望的な観察をしておるのでありますが、それは相当重要な問題でありますので、これについては大臣からはっきりした御答弁を願いたいと思います。
○重政国務大臣 従来は生産者米価をきめます際に、われわれの主張通りになかなかいかない。そこで税の問題を存続するということを積極的にきめておったのです。今年はむろん御満足とはいきますまいが、ああいうふうに前年に比べて千百二十五円ですか大幅な値上げができたというのでありますからして、予約減税は将来もどうしても続けていけということの決定をしていないだけであります。だからといってこれを続けるのだというように早のみ込みをせられますとまことにどうかと思うのであります。常識的にいけば、非常に従来からやかましい予約減税はこの際やはりやめた方がよいのじゃないか、こういうふうに考えられるわけであります。
○石田(宥)委員 農林大臣の答弁としては私ははなはだ遺憾です。わけのわからぬことを言っておいて、しまいに今度はどうでもよいようなことを言ってしまう。そうじゃないのです。これはさっき私が言いましたように、だから私は米価そのものなんだという説明を加えたのです。農民はもはやこれは既得権として当然存続されるであろうとみんな考えておることに対して、そう考えてもらっては困るような話なんでありますが、それでは大臣は、なくしてもよいというお考えなのかどうか、これを端的に一つ伺っておきたい。
○重政国務大臣 率直に申しまして、この予約減税というものは、六百万農家の中でその一割にも満たない者に関係がある税金であります。しかも今日、千百二十五円も大幅に米価が上がったのでありますから、こういう点は税制調査会なり税の方から言ってくる申し出を聞いてよいのじゃないかと私は思っております。
○石田(宥)委員 これは農林大臣として落第です。農民の利益を守るために努力をしなければならないのに、農民の利益を放棄するような考え方というものはもってのほかです。これは私は大へんな問題だと思います。税制調査会がいろいろ言うことの中で一体どんなことを考えておるか御存じですか。今年の減税をごらんなさい。一千億減税などと言っておるが、一体農民の中で所得税の対象になっておるものはどれくらいあるとお考えですか。ほとんど対象農家がないのです。これは兼業農家なら別でありますけれども、幾らもないのです。だから、所得税の一千億減税なんというものは農民にはほとんど影響がない。ところが住民税はどうですか。県民税の所得割は〇・八%から五・六%まで十三段階あったものを、〇・八%の低額所得者のものを二%に引き上げて、百五十万円以上の所得者は五・六%のものを四%に引き下げておるじゃないか。こういうふうに農民いじめのことを平気でやらしておるのが税制調査会ですよ。大臣、農村に行ってごらんなさい。去年まであったところの農民に対する田植え酒の二升と稲刈り酒の一升、一年に三升だけ減税をやっておったが、ことしはその減税すらも取りやめておるじゃないか。そういう税制調査会の考え方に歩調を合わせるなどという農林大臣はもってのほかだ。そういう間違った税制調査会の考え方というものに反駁をし、反論をして、従来の農民の利益を守るために努力をして初めてりっぱな農林大臣といえるのであって、今私はたった一つの例を指摘したのでありますけれども、そういう考え方に同調するなどということは、われわれはとうていこれは納得できません。これは一つすなおに取り消された方があとのためによかろうと思うのですが、どうですか。
○重政国務大臣 この問題は年々問題になって参って、私どもも大いにこれは主張して参ったのでありますが、しかし税の方からいえば、特例になって残っておるのがこれとお医者さんのあれと二つだけだそうです。それでずいぶん連年やかましい問題になってきておりましたので、こういう大幅に値上げができたような際は、そう因業なことを言わずに、少しはものわかりがいいんだというくらいのことはやっておいた方がいいんじゃないか、こう思って私も言ったわけなんです。
○石田(宥)委員 さっき申し上げたように、全く年々歳々農民いじめの新しい税制が行なわれておるのです。だから、そういう中にあって、私はこの問題はあらためて大蔵省も自治省も来てもらって、この問題専門に一日やらなければならないと思う。ですから、農林大臣はここでお取り消しにならないようでありますが、取り消す取り消さないは別として、さらに農家経済の実態を見て一つ検討してもらいたい。この間も農林省の統計をごらんになったと思うのでありますが、農家所得は一七・四%ふえておるけれども、農業所得は前年に比較して一%減っておるのですよ。そういうふうに農業所得が減るというような統計調査部の資料が出ておるようなときに、農民に増税をするようなことは許さるべきでない。私はこれ以上この問題で答弁を求めませんが、一つそういう農家経済、農業の実態をよく調べて、よく検討してもらいたい。別に答弁は要りません。 最後に、これは食糧庁長官にちょっと伺っておきますが、もち米加算一俵四百五十円が二百二十五円に減らされたわけです。これはもち米加算が半減されたとたんに作付が減ってきた。作付が減って生産が減ったとたんに需要が大幅に伸びてきております。それがために今日もち米は至るところで全く飢饉状態です。こういう状態の中でことしの米審でも問題になったようでありますけれども、もち米加算を増額するということにはならなかったようであります。現在のままでこれをお続けになるとすればどういう事態が起こるか。これでは先祖代々続けてきたお正月のもちも食えないという状態に立ち至ると思います。外国のもち米を入れてきたところで加工用には用いられるかもしれませんが、お正月用のもちにはならない。聞くところによると酒米方式によろうかということで検討を進めておるというお話でありますが、酒米方式によるということになります。と、これは酒屋さんを相手にするようなわけにはなかなかいかないと思うのでありますが、検討の結果どういう取り扱いをおやりになるかのお考えを承っておきたい。
○大澤政府委員 御承知のように数年前はもち米の政府手持ちが非常に多くなりました。そういう関係もあって昨年でありましたか、もち米につけておるもち米加算というものを半減いたしました。しかしその後の様子を見ます。と、もち米の生産は確かに減っておりますが、これは単にもち米加算を半減したということではなくて、政府のストックが非常に多い、もち米が過剰だというPRがむしろきき過ぎたというような面からではないかと思います。そういうようなことでありますので、ことしの米審でも御議論がございました。ほかの格差を含めて適正化するということだと思いますが、私どもとしては今のような事情を考えながら、いましばらく見て格差をどうするかということも考えたいと思います。 さらに、今お尋ねのもち米についての酒米方式、これは話の出ましたところは、もち米をつくる生産者が有利に売れる、あるいはもち米を使う需要者がスムーズに手に入れられる方式を考えたらどうかというようなことから出ておる話でありますけれども、もち米は今おっしゃったように酒米と流通の経路が違います。そこでこういう方式をとりますのには、まずもち米の流れをどういうふうにしたらいいかというような問題が大きな問題としてあるわけです。そういうようなことの関係団体の意見も聞きながらいろいろ検討しておりまして、うまくいくということならそういう取り扱いをいたしたいと思います。そういう受け入れ態勢がなければ従来の方式を続けていくということにいたしたい、 こう思っております。
○石田(宥)委員 もち米が米の需要供給の問題で私は非常に参考になると思うのです。余って困るから加算を半減した。とたんに今度は非常な不足の状態になった。内地の米に対する国民の需要は、やはり準内地米もあるけれども、かなり強いものがありまして、私はそう簡単に切りかえらるべきものではないと思う。御承知のように、米の一人当たりの需要が伸び、配給量が伸びておる反面に、食用小麦の輸入が激減しておるわけです。御承知の通り、二百万トン以上あったのが、去年は百八十六万三千トンで、ことしの見込みでは百六十六万四千トン、飼料用はふえたけれども、主食用は激減しておるわけです。こういうような点から見ても、米の需給関係というものは、算術計算で簡単に取り扱うと、あとで大へんな問題が起こるであろうということで、特に最初にこの需給の問題を実は取り上げたわけでありますが、大臣はそういう点も、専門家でおられるのでありますけれども、十分一つ留意されて、今後誤りなきを期していただきたい。特にきょう私が申し上げた農業基本法との関係あるいは選択的拡大の問題等については、国内的に選択的拡大を考える場合と国際的に考える場合とで意見の対立があるわけです。国際的な規模における選択的拡大というものを考えれば、さっきも指摘したように日本の農業を否定するような結果になる。これは非常に重大であると思いますので、それらの点も慎重に一つ考えられて、アジア公館長会議の結果等もさっそく一つお聞き取りになった上で善処されたい。要望を申し上げて私の質問を終わります。
○長谷川委員長 次に安井吉典君。
○安井委員 先ほどの石田委員の御質問に続きまして二、三点について伺いたいわけであります。 一番初めに、米価問題に関連いたしまして、予約減税のことでだいぶ論議がかわされたわけであります。 私もその論議の中で大臣が、どうも農民の立場を守る農林省を代表する、そういう方向からの御発言でないような気がして伺っていたわけでありますが、さらにこの問題につきましては御検討をされるということでございますので、私はこの際もう少し大臣に予約減税の背景といいますか、それについて知っていただきたいために二、三この際申し上げておきたいと思うわけであります。国税におきましてこれは一割ぐらいの農家にしか関係がない、こういうふうな言い方をなさっておりますけれども、しかし地方税においては、現在の段階でも市町村民税、都道府県民税あるいはまた市町村における国民健康保険税、そういうような基礎に所得がなっていくわけですから、大体において地方税においては五〇%の農民は関係があるわけです。ですからそういう背景を一つ十分に御理解を願わなくてはいけないことと、それから、ことしはとにかく名目的に米価は上がったわけです。名目米価が上がったということは、実質的には労賃が上がったり、諸物価が上がったり、それから生活費が上がったりするのですから、農家の実費手取り、ほんとうの手取り所得というものはそうふえたことにならないわけですが、とにかく名目がふえたということで、名目所得がぐっとふえて、従って所得税におきまして、今まで所得税のかからなかった人も今度はずいぶん税金がかかる人が出てくるわけです。あるいはまた現在まで所得税がかかっていた人でも、累進課税というような形で所得がふえれば累進するわけですから、そういう形で所得税が黙っていてもふえていくわけです。そこにもってきて、今度の予約減税がなくなるということになりますと、これは大へんなことになるわけです。これはぜひ事務当局の方で試算をしていただきたいと思うのです。国税それから地方税を合わせまして、予約減税がなくなった形において農家の税がどれだけふえるかという数字を一つ出していただきたいと思うのですが、私は、これは米価がこれだけ上がるだろうと農林省の方で考えておられる、あるいはそれを完全に打ち消してしまう、相殺してしまうぐらいなところまで場合によってはいくのではないか、まあそういうような気がするわけです。とにかくそういう問題があるということを十分に御理解を願わなくちゃいけないし、また特に今度の予算委員会等の質疑の中では、来年度の減税はあまり積極的ではないような首相の発言もあるようですが、米価の中において労賃部分が相当引き上げになった、自家労賃が引き上げになったということは、税制の中でも専従者控除、こういうような問題にも考慮を払わなければ、名目所得が上がったということで――実質ではなしに名目ですよ、そういうことによりまして税が非常に大きくて、ことしの暮れになってから大へんな騒ぎになるのではないかということがおそれられるわけです。その点一つ十分に御理解を願いたいし、さらにまた、お医者さんの関係とそれからお米の予約減税だけが特例で残っていて問題なんだというふうにさっき大臣は言われましたけれども、重要物産免税だとか租税特別措置法をごらん下さい、約一千八百億から二千億近くの大幅な減税が現にあるわけです。重要産業だとかあるいはまた輸出入産業だとか、そういったようなものに対してあるわけですね。他の産業においてそういう特例がそのままにありながら、農業だけが認められない、それもまた筋が通らない話ではないかと思うわけです。こういうような背景を一つ十分にお考えをいただかなければいかぬわけであります。 そこで一つだけ伺いたいのは、この間米価が決定されます際に、この予約減税をやめるのだというふうな閣議の決定があったのですが、その辺を一つ伺います。
○重政国務大臣 閣議でそういう決定があったかどうか、私よく承知しておりません。承知しておりませんが、おそらくそういうような了解が事実上はついておったのではないかと思うのであります。ただいま、この特例を廃止すると値上げ分をオーバーすることになりはしないかというようなお話でしたが、私の見当ではそれはもう絶対にないです。値上げ分が幾らありますか、四、五百億にはなるでしょうが、これはおそらく四十億ないだろうと思うのです。この前にこれが問題になっていろいろやりましたときは、たしか二十六億ぐらいのところじゃなかったかと思いますが、なおよくこれは御意見もありますから、新事態を一つ十分に検討をいたします。
○安井委員 今大臣がおっしゃった数字は所得税だけですね。地方税を一つ計算して下さい。それからまた合計数字だけではものが言えないと思うのです。階層別にいろいろ問題が出でくると思います。その点さらに詳細な御調査を一つ願いたいと思うわけであります。 それからもう一つ、米価の決定の際に予約減税廃止の話があったのじゃないかと思うというふうな、これはもうしかし重大な発言であろうと思うわけですが、そういうようなことではこれは済まされないと思うのです。もし廃止するなら、あのときやはり廃止するということを言明すべきだったのです。それなら農民は、上がったからなるほどやめたのか、しゃくにさわるけれどもしょうがないということにあるいはなるかもしれませんけれども、しかしあの当時何も言わないでおいて、先ほどのような大臣の言明があるものですから、これは大へんなことだ、そういうような気がするわけです。ですから、さらに一つ御検討をいただきたいと思うわけであります。 私きょうは主として農業構造改善の問題について伺いたいと思うわけでありますが、その前に、この間の所信表明の中に、甘味資源の開発の問題につきまして大臣は力を入れるのだというふうな御発言があったわけであります。が、特に甘味資源の問題ということになりますと、ビートの問題などが非常に重大な要素になるわけであります。が、もっと具体的にどういうふうな御方針で臨まれるおつもりか、その点を一つ伺いたいと思います。
○重政国務大臣 これは現在検討をいたしておりまして、具体的にただいまこの席で申し上げるところまでいっておりませんが、内地の甘味資源の開発はやるという方針はきめておるわけであります。これは農業経営の改善の上にも私は役立つことであり、同時にまた砂糖のために年々一億ドルも外貨を使うというような国はほかにはないと思うのであります。そういう意味から私は内地の甘味資源の開発はやる、そうしてできるだけ原料糖の輸入は少なくしていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
○安井委員 甘味資源、特にビートの問題につきましては、たとえば振興臨時措置法の問題もこの春に一年間の延長だけで一応当面を糊塗している。あるいはまた生産対策だとか価格対策の問題も農民の納得を得るような方向になくて、北海道の全体的な生産計画が非常におくれているわけです。そこへ持ってきて河野前農林大臣は多くの工場の設置を計画されている。ことしは特に北海道は大水害で、まだ全体的な数字はまとまっておりませんけれども、ビートの生産にも非常に大きな支障が現に起きつつあるようです。こういうような全体的な問題に対しまして、大臣は、将来の開発をされるというような御所見は発表されております。けれども、現実のビートの生産をめぐる諸情勢は決して楽観する情勢ではないわけです。そういうような具体的な情勢に対しましてどういうふうにお考えになっておられますか。
○重政国務大臣 内地甘味資源と申しますればビートだけではございません。御承知の通りカンショ糖もあれば澱粉を原料にしたブドウ糖もあるというわけでありまして、ただいま申し上げます通りに具体的にどういう施策をもって対処するかということは、ただいまのところ申し上げる段階に至っておりません。目下検討をいたしておるのでありますから、さよう御了承願いたいと思います。
○安井委員 この問題につきましてはさらに機会をあらためてお聞きしたいと思うのでありますが、今言明されました澱粉の価格安定に関連いたしまして、最近農業団体からコーンスターチの原料の輸入の問題につきましていろいろ問題が提起されているわけでありますが、輸入トウモロコシが大体原料になっているようでありますけれども、その関税は低く、しかも飼料用トウモロコシが無関税で輸入されているわけでありますけれども、これがコーンスターチに流用されているというふうな情勢があるのではないか。そういうような中でコーンスターチの生産が非常に大きくふくれ上がってきているという現状で、これが将来イモ類澱粉の価格安定につきまして非常に大きな影響があるのではないかというような心配が今強く述べられている段階でございますが、一つ御所見を伺いたいと思います。
○重政国務大臣 私は現状においては澱粉は足らないと思うのです。農業団体からの御意見がどういうふうにあったか知りませんが、政府の澱粉に対する支持価格は千五百八十円、現在市場の価格は二千円をこえていることは御承知の通りであろうと思うのです。澱粉は私は非常に足らない状態にあると思うのであります。従って飼料用のトウモロコシを輸入してそれからコーンスターチをつくるというようなことは、今これを制限したり、いろいろの処置を講ずる段階ではないと私は心得ております。
○安井委員 それは、大臣言われるのはカンショ澱粉じゃないですか。
○重政国務大臣 そうです。
○安井委員 バレイショ澱粉についてはまだそんな楽観するような情勢は出ておりません。だから今のこの問題は、バレイショ澱粉の関係の人から強く提起されている、そういうふうな段階です。この問題につきましても、きょうはまあ大臣とのお話ですから、またいずれ機会を見て、詳細な資料で一つお話し合いをいたしたいと思いますけれども、今楽観的な御発言で、将来これがどんな事態になるかもわからない。自由化がどんどんこれから進んでいく段階で、その先駆的な役割がこのトウモロコシの方で出てしまうという、そういうふうな先駆的な悪い状態かこういうところで出てしまうということでは私はならないと思うのです。慎重にさらに御検討を願いたいと思うわけであります。 それから次に農業災害補償制度につきまして、先般の国会で一応関連二法案が流れた経過があるわけであります。が、その問題につきまして大臣は今後どういうふうに処置されるお考えてあるか、それを一つ承りたいと思います。
○重政国務大臣 その問題は次の通常国会には一つあらためて提案をしたいと考えておるわけであります。今どうするか、検討をしておる最中でございます。
○安井委員 じゃ、今のところ全く手つかずで流れたままにしておいて、あとどうしていいかわからないというのが今の状態なんですか。そういうような御答弁に受けとれたのですが、いかがですか。
○重政国務大臣 前回のままで提案をするか、あるいはそれはさらに手を加えて、改めるべきところがあれば改めた方がいいかということについて検討をしておる、こういう意味に御了承願いたい。
○安井委員 いささかたよりのない御答弁のようでございますが、きょうは時間がだいぶ回ってきつつありますので、さらに農業構造改善事業の問題につきまして若干のお尋ねを進めて参りたいと思います。 今農林省はこの事業を推進しようとしているわけでありますが、しかし私どもその進め方を見ておりますと、日本農業の本来の構造の問題とまつ正面から取っ組んでその解決をはかろうとする意欲も、それから措置も十分ではないのではないかというふうな印象を受けるわけでありますが、まあ河野農政から新大臣引き継がれるわけでありますが、この事情につきましてどういうふうな方向でお進めになるおつもりであるか、それを一つ伺います。
○重政国務大臣 これはまことに大切な問題でありますと同時に、なかなかむずかしい問題であると思うのでありますが、これの進め方はやはり地方で非常に熱意のあるところから先にやっていこう、そしてさらに主産地形成のできるようなところから先にやっていこう、予算で三十七年度に二百実行するということになっておりますが、無理をして二百をやる必要はない。やはり計画の十分にできた、そうして非常に熱意のあるところ、簡単にいえば、やりいいところから一つ先に始めていこう、こういう考えで私はおるわけであります。
○安井委員 そこで伺いたいわけでありますが、大臣は日本農業の構造の問題点、構造を改善しようということでありますから、今の構造が悪いということなんですが、構造の問題で最大の問題点は何というふうにお考えになっておられますか。
○重政国務大臣 これはいろいろ問題は御承知の通りあろうと思うのでありますが、経営の面から参りますれば、機械化を進めていく上において、耕地面積が狭過ぎるとか、あるいはまた主産地の形成ができておらないとか、いろいろの点が私はあろうと思うのであります。さらには工業と農村とのかね合いの問題というような重要な問題がいろいろあろうと思うのであります。
○安井委員 今大臣幾つもの重大な問題があるがという前提のもとに、三つの問題を言われたわけでありますが、やはり零細性、これが一番大事な問題だということで、第一番目にお取り上げになっているわけでありますが、今の農業構造改善事業の中で、農用地の拡大の問題というものがどれくらい打ち出されているのでしょうか。私はどうもあまり重点的な取り扱いを受けてないような気がするわけであります。が、どうでしょう。
○重政国務大臣 農用地の拡大の問題も、これはもちろん重要な事項の中に考えておるわけであります。所によりますと、大いに開拓をやって、草地の造成をやって、そうして酪農をやろう、これを主体に考えておる村もあるようであります。その他農用地の整備の問題、これは申すに及ばないことであります。生産力を拡大する意味においては、これは当然やらなければならないことでありまして、これらが重要な要素として加えられておるのであります。
○安井委員 私は、何と言いましても一番大きいのは、零細性をどうして克服するかという問題だと思うのです。それは山のあるところが拡大するというふうな問題だけにとどまらず、全体的にそういう姿をどうして解決するかということだと思うのです。ところが私ども全体的なこの要綱を拝見した限りにおきましては、主産地形成というそういう面は強く出ております。しかしながら、その内容におきましては、その範囲から、出ててもほんのわずかしか出てない。ほとんど主産地形成だけで全体が貫かれている。そういったような印象を受けるわけです。肝心の問題はあと回しになっていて、ただそれだけが先走っているというふうなこと、だからそういうようなことでは、私は農業の根本的な構造の改革などというようなことは、とてもこれはできっこない、こういうような気がするわけです。農地の外延的な拡大、それから改良ですか、拡大と改良、こういったような問題は一つ国の責任において推進をしていく、その上に、農民の責任において経営を推し進めていく、こういう徹底的な態勢ができなければ、構造の改革、改善、そういったようなものはなかなかおぼつかないのではないか、そういったような気がするわけですが、いかがでしょうか。
○重政国務大臣 政府が全部引き受けてこれをやるということはけっこうなことでありますけれども、これが一体できるかできぬかということは、現段階におきましては十分検討しなければならぬことと思うのでありますが、とにかくその点については大いに政府は熱意を持ってやらなければならぬということはお示しの通りであります。
○安井委員 農用地の拡大のために、たとえば国有林を払い下げる、そういうふうな措置が当然この事業に関連して積極的に進められなくてはならないことではないかと思います。現に私も、実はこの農業構造改善事業を指定されて、今計画を進めつつある市町村をだいぶ回って見てきました。きょうはその中から拾った問題点のうち、重要な点を――これは大臣に特にお話をしておかなくてはいけないような重大な点をあとで二、三申し上げたいと思うわけでありますが、どこへ行きましても国有林の払い下げの問題、そういうような点について希望が多いわけです。ところが林野当局は、農地の付近にある林地というものは、もう造林も済んでいるし払い下げもしたくない、そういうような意図が強いようであります。どういうふうなお考えでこれに臨まれますか。
○重政国務大臣 国有林の問題は、林野の経営にふさわしいところをやるというのが原則でなければならぬと思うのであります。今日は山でもいろいろ森林を経営するに適さないところが私はたくさんにあろうかと思うのであります。そういうところはまず第一に、ことにこういう構造改善事業などというようなきわめて重要な事業を進めていく上において、必要があれば当然これはそういう方面に払い下げるなりあるいは貸し付けるなり、そういう方法を構じなければならぬ、こう考えておるのであります。問題は、林野を森林経営をするのに、国として適当であるかどうかということが問題であろうと思うのでありまして、森林経営をするよりか、他の用途に向けた方がいいというものは、もちろんこれは構造改善事業の方に振り向けるべきである、こういうふうに考えております。
○安井委員 大臣、そういうふうなお気持を持っておられるようであります。が、決して森林を切ってそれをたんぼにしたり畑にしたりしろと私は申し上げているのではなしに、採草放牧地にしたりあるいはまた木は全部切らなくてもいいのですから、混牧林というような形で経営を進めていくという手もあるわけです。そこで林野庁長官もおいででありますが、現実にその構造改善事業をお進めになる際に、事務当局としてもそういうふうな、今大臣がおっしゃったような配慮で現実にお進めになっておられるのですか、どうですか。
○吉村政府委員 今、大臣の御所見の通りでございまして、土地の利用区分という問題につきましては、かねがね関係方面と検討をいたしておるのでございますが、私ども現実の問題といたしましても、農地に開拓、放牧その他農業用に供せられる林地につきましては、共用林野あるいは所属がえという方法によりまして供出をいたしておるのでございます。たまたま新しい造林地のようなものが現実の問題としてあがりますようなときには、あるいはやはりその現地の担当者としてはそういう点でせっかく造林をしたものをということで若干そういう議論が出るかと思うのございますが、どこまでも私どもは土地の高度利用ということを目標にいたしまして、考えて参らなければならないと考えております。
○安井委員 未利用開拓財産もずいぶんあります。たとえば北海道なんかずいぶんあるわけですね。だからそういうようなものもこの際、やはりもっと積極的な利用をすべきではないか。現実に国有林になっているところでなくても、そういうような地帯がだいぶあるはずですから、もっと仕事の考え方の幅を広げたお考え方が私は必要ではないかと思います。 そこで、この農業構造改善事業につきまして、農林省は都道府県知事や市町村長に対していろいろ指示をしたり、その都道府県知事や市町村長を当てにしてこの仕事を進めようというようにされているわけですが、これに対する法的な根拠はどこにありますか。
○齋藤(誠)政府委員 構造改善事業の内容になりますおのおのの事業につきましては、それぞれ法的な根拠のあるものについてはそれによるということにいたしておりまして、たとえば事業の中の重要な一環でありまする土地基盤整備事業のようなものにつきましては、土地改良法の運用によってやるということにいたしておるわけでございます。また融資については、金代化資金の法律によって融資するというようなことにいたしておりまして、それぞれ法的な根拠のあるものについてはそれに基づいて運用するように、こういうのが現在の建前でございます。
○安井委員 それぞれの法規に基づいておやりになると言いますけれども、しかし、今お進めになっているのは一つの総合的な構造改善事業であるわけです。そういうことになりますと、地方自治法の本旨からいって、地方自治と地方の、都道府県あるいは市町村のその行政と国の行政とはすっぱり二つに割って、国が都道府県や市町村に対して仕事を頼む場合には法令によらなくてはいけないという規定をはっきり地方自治法の第二条の第二項は示しているわけです。そしてまたその法令は別表の第二あるいは第三においてちゃんと例示までしているわけです。農林省の関係のある仕事でも、たとえば「急傾斜地帯農業振興臨時措置法の定めるところにより、農業振興計画に基く農業振興事業を実施すること。」あるいは湿田単作地域農業改良促進法というふうに具体的に法文まで例示して、これ以外のことは国は国、市町村は市町村、都道府県は都道府県ときっぱり地方自治法の第二条は区分けをしているわけです。そういうような具体的な法の建前、しかも法の精神、そういったようなものがこの事業の進め方においてどうもないように私は思うわけです。どうでしょう。
○齋藤(誠)政府委員 本事業につきましては、市町村が自主的に計画を立てる、これを国が予算なり融資なりについて促進するというふうな建前をとっておりまして、この種の事業につきましては、従来とも市町村長にやらせるというふうな例があるわけでございます。たとえば新農村の建設事業等につきましても、同様に市町村が計画の主体になって進めるということに相なっておるわけでございます。 そこで法的根拠を要するということになりますると、たとえばこの事業の実施に伴いまして負担金を徴収する権限を持たせるとか、何らかの強制的な意味を持つようなものについては、確かに法律的な根拠が要るだろうということも考えられるわけでございます。そこで現在におきましては、一応計画の主体が市町村ということになっておりますが、事業実施段階におきましては、それぞれのその事業の性質によりまして、あるいは土地改良区がなるとか、あるいは農業協同組合が事業主体になるとか、あるいは農地委員会がなるとかいうように相なろうかと考えておるわけでありますが、そうなります。ると、それぞれの事業法に基づきまして、先ほど申しました土地改良でありますれば土地改良法に基づくとか、あるいは農業委員会の権限としてどのようなことができるかとかいう規定があるわけでございますので、現在までの事業の推進体制のもとにおきましては、必ずしも法的根拠を別に新たに設けて、そうしてこれを進める、こういう必要は現在のところはないのじゃなかろうかと考えておりますけれども、今御指摘になりましたようなことにつきまして、一応自治庁とも協議いたしてきたわけでございます。今後におきまして、実態的にさらに町村に権限的なものを付与しなければ事業実施が困難であるかどうかというようなことがありまするならば、なお十分調査、検討いたして参りたい、かように現在では考えておる次第でございます。
○安井委員 しかし、市町村の新農村のときのあれでさえ私は自治法違反の疑いがあるのではないかと実は考えていたわけでありますが、今回はあれよりももっと市町村なり都道府県の立場を利用しようとする姿が現われているわけです。要綱の中に明らかにそういうわけです。市町村に対して事務費の助成までするのじゃないですか。だからそういうふうな根拠から私は問題になってくるのじゃないかと思います。そういたしますと、地域の地区としての指定ですね。地区としてどう指定するとかなんとかいうことは、これは具体的な土地改良法とかあるいは融資に関するそれぞれの単独法を乗り越えた問題だと私は思います。ですから今の場合は法的根拠も何もないから、指定を返上してもあるいは要綱に違反する事実が出ても、強制力も何もないということですね。
○齋藤(誠)政府委員 先ほど農林大臣からも本事業の進め方についての基本的な考え方を述べられたわけでありますが、この事業はやはりあくまでもその地方におきましてやろうという、つまり実施体制なり熱意なくしてはできないだろう、こういう前提で、現在の段階におきましてはいわば村で積極的な計画意思を持って、それに基づいて計画を立ててやりたいというものに対して国が助成し援助するという建前をとっておるわけでございます。従って、無理やりこういう計画でこういうふうにしろというような強制力を持ってやろうというふうな考えはございません。ただし、事業の内容といたしまして、たとえば圃場の整備をやるとか区価整理をやるとか、つまり事業実施についてのそれぞれの、土地改良法に基づく強制的な実施の規定というようなものがほかにあるということになれば、それを活用してやるという道はあるわけであります。
○安井委員 この問題はもう少し御検討いただきたいと思います。 次に、一億一千万を平均的に一地域に投じてそれで構造改善をおやりになろうということのようでありますが、しかし、一億一千万で今日まで非常に多くの問題をかかえてきている日本農業の構造の改善がはたしてできるものでしょうか。どこへ行きましても、そういうふうな事業予算というものの考え方が一体どこに根拠があるのかわからない、そういうふうな意見が非常に多いわけでありますが、その点いかがですか。
○齋藤(誠)政府委員 本事業を進めていきます場合の事業費といたしまして、この額が十分であるかあるいは不十分であるかという点でございます。が、われわれも決してこれが十分であるとは思っておりません。しかしながら、実際に村で従来この種の事業をやりました例から見ますると、やはりある程度の地元負担を伴う事業でもありますので、そういう点を考え合わせまして、従来の町村で事業をやりました負担の実例、あるいは事業規模等を考えまして一億という額にいたしておるわけでございます。しかし、これを実行する段階におきまして、現在いろいろ計画を立て村でも事業をやっております。それによりますると、計画の内容いかんによっては三億とか四億というふうな事業計画ももちろん立つわけでございます。またそうであろうと思うわけでございますが、いざ実施の段階になりまして、それぞれの村の負担能力なりを考えてみますると、一億一千万でも十分消化し切れないというところもありまして、われわれといたしましてはこれらの規模も一律平均的に一億一千万いくということでなしに、農家戸数なり耕地面積の大小なり、これらを見まして、全国平均が九千万に補助事業としてはなるように、こういう考え方で臨んでおるわけでございます。従って、具体的には一億八千万くらいになるところもありましょうし、あるいは五千万、六千万くらいになるところもありましょう、こういうふうに考えておりまして、村の事業の内容、あるいは今申しました負担能力、あるいは計画戸数、面積その他の事情によりまして、第一段の段階といたしましては、従来の実例等も見まして、まずこの程度ですべり出してもそう大きな支障はなかろうと考えておるわけでございます。
○安井委員 三千百地区に仕事を進めようというその三千百というのはわからないわけではありませんけれども、一億一千万というもっともらしい数字の基礎が、なぜ一億二千万ではいけないのか、一億三千万ではなぜいけないのか。一億一千万というところでとめて、そのうちの九千万の半分四千五百万を補助金を出そうというお考えのようですが、何か予算の関係から逆にしぼられてきているのか。どうも一億一千万という数字がもっともらしいだけに、一体その根拠は何かというところに疑問を抱くわけですが、いかがでしょう。
○齋藤(誠)政府委員 ぶちまけて申し上げますれば、当初予算の要求のときには補助事業を一億、融資事業を二千万ということで要求いたしまして、結果的に補助事業が九千万、融資事業が二千万ということになったわけであります。一億がどうだこうだということにつきましては、先ほど申し上げましたように、従来の新農村建設事業におきまして最も優良な町村と思われる町村におきまする五カ年間の事業規模等も見まして、村の実行の能力、負担能力あるいは計画の内容等をいろいろ勘案いたしまして約一億、こういたしたわけでございます。
○安井委員 どうも全体的な内容の中から考えますと私もそう感じますし、それから現地へ行きましてどこでもそういうふうに言われますのは、政府はこの農業構造を改善しようというようなことにほんとうに積極的に真剣に取り組もうとする意図がないのではないかというふうな言われ方がたくさんなされるわけであります。といいますのは、画期的な事業だというふうな打ち出しはされていますけれども、一地区四千五百万円ですか、実際お出しになるのはそれだけで、つまり補助率についても、そういう画期的な事業ならもっと補助率にも大幅な引き上げをなさるとか、あるいはまた融資の問題につきましても、たとえばEECが共通農業政策に踏み切ったというような、それこそ特別に農業構造改善のための資金を準備して、それによって低金利で、しかも長期の、据置期間も十分に置いたそういった金利で出す、だから農民よがんばってくれ、日本農業をこれから新しく仕上げていくのだ、そういう呼びかけならこれは話がわかる。しかしながら、実際上出ておりますのは補助率も大したことはないし、あるいはまた金融の関係にいたしましても、公庫資金だとか近代化資金だとかすでに法制化されているものをただそのままこれは農業構造改善ですよというふうに持ってくるだけだし、ことにいろいろ聞いてみますと、すでに小規模土地改良だとか開拓パイロット、そういうようなことで別に農業構造改善事業とは何ら関係なしに、市町村が事業を立てて補助がきまっておる、そういうようなものまでも、お前の村は今度は農業改善事業に指定になったから、すでにきまっておるこちらのものも構造改善事業のワクの中に入れなさいという指導が現に行なわれておるわけです。だから構造改善事業というのは、別にあらためて予算を大幅に置いてそれに取っ組むという姿勢では決してなしに、すでにある予算を、こちらの方の余りを寄せ集めてきてぶち込んで、それが構造改善の予算だ、こういう仕組みに実はこれはなっておるように思われるのです。農業改善事業ではなしに、予算の費目のやりくりの予算の構造改善事業ではないか、そういったような悪口さえつぶやかれておるようであります。ですから私は、本気に政府が取り組む意向があるなら、補助率を上げる。それから融資の問題もたとえば六分五厘なんかで農業改善事業という大きな仕事をやって、それで間に合うというふうにお考えになること自体がおかしいと思うのです。大臣、どうでしょうか。本気におやりになるのなら、私はこの際根本的に考え方を改めて再出発なされることが大切ではないか、そういうふうに思うのです。が、いかがですか。
○重政国務大臣 お説まことにごもっともな点もあろうかと思うのでありますが、これはまだほんの初めですべり出した、これからやろうという段階になっておるのでありまして、現在の段階では一応これでしばらくやって、それから一つ直すところは直すというふうにいった方がいいのではないか、そういうふうに考えておるわけです。
○安井委員 大臣、そういうことをおっしゃったら、今新しく指定になったところはもうみんなやりませんよ。大臣が新しいのをお出しになるまでみんな休んで待っています。こういうことになると私は思うのです。特に自主的にみんながやるのを期待されるというふうなさっきの御説明である以上、いいやつがあとからくるならまずいやつはだれかもの好きな者に先に食ってもらって、自分はいいものができてからやろう、こういうふうになると思うのですよ。ですから、今日の段階において農業基本法もできたし、あるいはまた農政の方向も、河野前農林大臣などは農業基本法だけでは足りないので、農業基本法プラス・アルファというものがおれの政策だと言われておりましたが、そこまでおっしゃっておるのだし、それを引き継いだ新大臣がほんとうに真剣にお取り組みになるなら、私は今やはり再検討すべきだと思うのです。金利の問題につきましても、先ほども六分五厘やそこらでは間に合うように日本の農業ができていないということを私は申し上げましたけれども、どうですか、農業の金融の問題につきまして、大臣は新しい構想をお持ちだともお聞きするわけであります。が、この際お聞かせをいただきたいと思います。
○重政国務大臣 農業構造改善の事業について、私はただいま申されましたような腰をおろしてやらぬのではないかという心配を実はまだしておりません。なかなか熱意のあるところが相当にあるわけでありますから、問題は一億一千万円にあまりこだわられる必要はないのではないか。先ほど局長が申しました通りに、所によれば二億も出す、問題はその地方の条件であり、また構造改善の計画の内容が問題であるということを申したわけであります。が、私もその通りに考えておる。でありますから、これは熱意を持って、しかも適切な計画を立ててもらえば、金が足りなければ、私はその金はふやしていく、こう考えておるのでありまして、その一億一千万では足りないから、それでこれをやらぬというような考えの地方ばかりでは決してないと私は考えておるのであります。 なお、農業金融の問題につきましては、私もこれは根本的に再検討する必要がある。農業投資が非常に少ないと言われておるけれども、資金の量をふやすのには、今の制度ではとうていその目的を達しないのではないか。現在は御承知の通りにほとんど政府資金によってまかなわれておる、それでは足らないことは当然であります。でありますから、資金量をふやす、さらには融資条件を、御指摘の通りに長期低利の資金供給がいかにすればできるかということが、根本の農業金融制度の問題であると私は思うのでありまして、これはせっかく今検討をいたしております。現在の段階ではまだその内容について発表いたす段階になっておりませんが、できるだけすみやかにこれは成案を得たい、こう考えておる次第であります。
○安井委員 どんどん進んでやる地区もあるというふうに言われますが、初めはそうだったんですよ。初めはこんないいものはないというのでみんな飛びついた。しかし、中身をよく分析してみると、融資がとても高くて、そんなものはとても将来返していけない、農業構造改善事業とは借金をするだけで終わるのではないか、そういうふうな批判が現在とても大きく起きているのです。その点新しい情勢を大臣も一つお考えをいただかなくてはいけないと思うわけです。特に貸出限度まで貸し出している農協があったり、開拓農協などの場合は力がないものですから、近代化資金も借りる道がないのではないかというようなことも心配をしております。そういったような場合はどういうふうに措置されますか。
○坂村政府委員 金融の問題でございますが、構造改善事業に関連しましての金融の問題は、御指摘のようにいろいろ問題がございますが、今のところ近代化資金あるいは公庫資金等の運用でやっておるわけでございまして、御承知のように開拓農協というようなところで、信用力がないというようなものは、開拓農協に限らず、一般の農協でも場合によっては非常に信用力がないところもございます。そういうようなところの信用の補完のために信用基金協会を作りまして、大体そこで八割までの保証をやろう、こういう態勢をとっておるわけでございます。それから資金がないというような場合にはどんどん上の方から、あるいは信連、あるいは農林中金、そういうところから資金を流す、こういう態勢をとって指導をいたしております。とにかくそういうことで、いろいろ現状では努力いたしておるわけでございます。
○安井委員 すると力のない開拓農協の場合も、特別に農業構造改善事業の指定地域の指定の際の場合には、国がテコ入れをして借りられるような措置を講じてやる、そういうふうなことですか。
○坂村政府委員 おっしゃる通りでございますけれども、現在の制度でもテコ入れをいたしまして、力のないところでも借りられるようにということで指導いたしております。
○安井委員 次に、価格安定対策が現になくて主産地形成というのはナンセンスじゃないかというような意見がずいぶん出ております。どんどん主産地をつくる、しかし現実には、さっきも石田さんから御指摘がありましたから私はよけい申しませんけれども、牛乳にしても、あるいは豚をやれといっても、そちらの方が肝心の底が抜けている。主産地形成というと言葉はよろしいが、価格安定対策がなければちょうど玉の杯の底なきがごとしということにこれはなるわけです。ですから、これもどこへ行っても出てくる話です。構造改善事業という、ただはなやかな打ち出しだけではなくて、その締めくくりとしてぜひ価格安定の問題に積極的に取り組んでいただかなければいけない。それからまた主産地々々々と言いまして、ことしは二百地区というようにどんどん指定されてきますけれども、一体全国的に豚の主産地をどれだけにして、豚の生産をどれだけにしていくのか、あるいは酪農の主産地の指定をしていくか。たくさん主産地ができますが、最後はどういう姿になるのか。あるいはお米の主産地も指定していく、蔬菜も指定していく、そういう全体的な指定はなされていきますが、一体最後の国全体の需給計画はどういうようになるのか。そういうようにどんどんやってもいいけれども、過剰生産になってしまうのではないか。そういうふうな計画性というか、そういうものにつきましてどれくらい配慮がなされているのか。
○齋藤(誠)政府委員 ただいま御指摘になりました価格対策の調整につきましては、今後主産地の形成あるいは生産の選択的拡大というものを進める場合におきまして、農民が非常にこれに関心を持つ、またその必要を唱えていることは承知いたしておるところであります。この事業を進めていきます場合におきまして、最も理想の形を申し上げますれば、今後指摘になりましたように、地域々々の全体の需給に見合った、立地条件を加味した地域性をつくっていくということが一番望ましいことはお説の通りでございます。そういう意味におきまして、農林省におきましては、先般発表いたしました重要農産物の長期生産及び需給の見通しにのっとりまして、これを地域的におろし、さらにそれを受けて各県が県別あるいは県内の地域別に振興計画を立てて、そしてそれに沿いながら主産地の形成をはかっていくということが一番望ましい姿であると考えておりまして、農林省におきましてはすでに、主要の産地におきまする生産の需給見通しというものにつきましては、それぞれ物資別に生産の指導をとりあえずやって参り、また県におきましてはそれぞれの物資につきましての地域的な振興計画を立てるようにという指導をいたしております。しかし、いずれにいたしましても、十年間にわたって全農村を次第にそういう計画の方向で事業をやって参るわけでありますので、ここ一、二年むずかしい問題でありますが、一面、中央あるいは県におきましてそういう計画を立てると同時に、むしろ下から、どういうふうな地域においてはどういうふうな主産地形成が考えられるというような実践的な案を立てながら、両者相調整して進めていくことが一番実際的ではなかろうか。十分われわれもそういうことについては関心を持ちまして、そういう方向で検討を進めておるわけでございます。
○安井委員 もう一人質問者がおられるそうですから、最後に質問をしぼりたいと思いますが、地域の自主性を尊重するという言葉が幾度も御答弁の中に使われておるわけでございますけれども、現実に指定地域に行ってみます。と、自分の町は、自分の村はこうでなくちゃいけないということで、それこそ真剣に、農政協議会ですかをつくって、いろいろ検討した結果を役所に持っていってみたら、そんなのじゃ助成の対象になりませんよというのでけられてしまう。主産地形成というものをそんなにあんたの方で幾つもつくったのでは、これは総花式になってだめだとか、あるいはまた農林省からきた項目にちっともあてはまらないものばかりで、そんなんじゃだめだとはじかれる、二回も三回も計画を立て直して、しかもその計画が、上からくるものは指令のたんびに変わってきて、ある市役所の農政課長は、私はこれでもう三回農民にうそをつきました、そう言いました。そういうふうな事態の中で、農民の自主性々々々と一応いいことを上の方からおっしゃってはいるけれども、自主性でいったのではだめで、上のおしきせだけが結局最後は通ってしまうのではないか。自主性という名目のもとに、実のところは農林省のおしきせを押しつけるという結果が生まれているのが実情ではないか、こういうような気がするわけでありますが、いかがですか。
○齋藤(誠)政府委員 本件の事業の指導にあたりましては、多少事業のむずかしい点もありまして、事業の通達がおくれた、その間に、県から市町村にいろいろの指導が行なわれたということがあって遺憾でございますが、六月の下旬に本件についての閣議了解あるいは実施についての実施通達の要領等をすべて打ち出して参りまして、七月の上旬から中旬にかけまして各県にブロック会議等も開きまして、ようやく実施の徹底をはかったわけでございます。今後そのような二途に出、三途に出るということはなかろうかと考えております。 それから御指摘の自主性が指導によってひん曲げられるんではなかろうかという点でございますが、これはそのようなことについては厳にないようにいたしておりまして、あくまでも村の自主的な計画というものを前提にする。ただし助成についてはそれぞれ助成の対象がおのずからきまって参りますので、たとえば共同施設であります。ならば、これは五戸以上でなければ助成の対象にならぬとかいうような、つまり助成の面からくる規制はございますけれども、計画内容等につきます自主性につきましては、これは今お話しになりましたように村の自主性というものを尊重する。ただ構造改善でありますから、何でも金をもらえば何に使ってもいいということには、これはおのずから参りませんので、おのおのその村の、あるいはその地方の立地条件に合いました構造改善の目標に沿った事業計画でありますならば、それに対して助成をはかっていく、こういう考え方であります。
○安井委員 今の御答弁でわからないでもありませんが、なお構造改善の全体計画ならわれわれは認めていくのだ、しかし助成事業ということになると問題があるのだ、そういうふうなお話でありますが、しかし助成をもらいたさにそういう仕事をやっている――と言ったら少し語弊があるかもしれませんけれども、実際の姿はそれなんです。大臣は先ほどもみんなあの事業に飛びついてくるというお話でありましたけれども、それは助成も何にもなしにだったらそういうふうにはいきませんよ。だから助成という形で結局一たん引きつけておいて、そしてそれは助成にならないということで、みんなはじいてしまって、全国みんな助成の対象になる仕事ということで、おしきせを着せようとしているのだ、こういうふうに私は先ほど来申し上げているわけです。だから助成の対象事業を特認事項というふうなものもあるそうでありますけれども、そういうふうなものももっと広げたり、あるいはまた、たとえばどこかで聞いたのですが、団地でビニール・ハウス五百坪以上まとまらなければいけないというふうな規定があるが、ところが北海道なんかは団地といいましても家がずいぶんばらばらにあるわけですね。ビニール・ハウス五百坪集めるなんといっても、とても大へんなことで、そういうふうな場合には、ある程度分割を認めるとか、そういう具体的な措置がなければ、一たんついた農家も、あるいはその地域も、いや気がさしてしまうのではないか。現在どこへ行ってもいや気がさしております。これははっきりもう大臣に申し上げられると思いますが、最初はみんな熱意があったのです。しかし内容がわかるに従って、これではどうもやる気がしないというふうな考え方が強くなりつつあります。特に一番問題なのは、私どもは農業基本法は首切り法だとか、農民いぶり出しだとかいうふうな悪口を言って失礼を申し上げたわけでありますが、しかし今度の農業構造改善事業におきましても、たとえば一定の地域があって、十町歩あって、そうして十軒の農家があって、そこで構造改善が行なわれる。その場合に一枚の水田は三反歩以上にして、トラクターから、最後はコンバインまで入れて、今までの労働力は反当たり三人工になるわけです。三十時間余りでその仕事が終わるということになります。そういうことになりましたら、その十軒の農家で三石とれたお米の量は、十町歩ですから、三石とれれば三百石ですか、その三百石とれたお米は、たとえばこの農業構造改善事業で農林省がお考えになっておる労働生産性向上対策が終わりましても、コンバインなどはだいぶロスが出るのでありますから、そしてまた生産は今よりも上がらないのでありますから、三百石はむしろ減っても、ふえはしないわけです。だから十軒の農家がそのままいれば、それはみなお互いに食いつぶして、所得はふえるどころか減るわけですから、十軒農家があれば、その十軒のうちのだれかが出ていかなければならない。こういう事態が必ず起きるのです。だから私はいぶり出すという言葉もあながち失礼な言葉ではなかったというようなことが、農業構造改善の実施の過程において明らかに出てきている。農民はそれを実感しているというのが実際の姿です。そこへ持ってきて、それじゃ余剰の労働力に対して、たとえば豚を飼うとか鶏を飼うとか、新しい別な計画をつくろうと思って持っていったら、お前のところはお米の主産地だから、豚の主産地というようなものをその中に入れるわけにはいかぬ、豚を飼う、鶏を飼うという施設をおやりになるのは勝手だ、それはしかし助成の対象にしませんよというのが、今の指導のやり方です。だからいぶり出し以外の何ものでもないですよ。どうでしょう、そういう問題の根源にわたってもっと検討していただかなくてはならないと私は思うのです。が、いかがですか。
○齋藤(誠)政府委員 この事業を進めていきます場合に、お話のような非常な生産性を高めるような施設を設ける。そのために圃場の整備をするというような事業計画が出されているところもございまして、また現在におきましては、いぶり出しどころでなくて、逆にどんどん減っていくことにいかに対応するかというような意味合いから、この点についての熱意を非常に示されている町村もあるわけでございます。御指摘のようになりました事態におきまして、われわれとしましては、いぶり出しになるということは毛頭考えておりませんので、むしろ出ていく労力にいかに対応するかということで実際は動いているように思われるわけでございます。 第二の御指摘になりました、それによって省力化された余剰労力がまた畜産なり果樹なり、そういうことに向かうようなことをむしろ現在としては指導いたしておるわけでございまして、農業の中における、どちらかといえば集約的な果樹なり蔬菜なりに現在の水田のままにおいてはどうしてもいき得ないというような事態に対しまして、今申し上げたようなことで十分積極的に取り入れるように、こういう考え方を持っているわけでございまして、いずれの場合におきましても、この機会において、米あるいは畜産も今後の主要な適作物であるということであるならば、両方を対象に助成いたす、こういう考え方でございます。
○安井委員 その場合においてはワクははみ出ますよ、はみ出ても、どんどんおやりになる、そういうような御意向ですか。
○齋藤(誠)政府委員 この点は、先ほど申し上げましたように、おおむね各町村に対する助成の規模を示しております。その規模を目安に置きまして、村で計画を立てるということになります。が、しかし、さらにその計画自身が相当の事業費を要するというようなことになりますれば、具体的な資料によって額の増減ができる、こういうふうに御理解願います。
○安井委員 最後に、今も指導の方向がまだ確定的な段階にまでいってないためにずいぶんおくれたというお話でありますが、本年度指定の地域がこれから具体的な計画書を全部まとめて、三カ年分全部まとめるんだそうですね。そしてそれを出して仕事に移るということになりますと、だいぶ時間的なズレが当初の御計画よりもあるわけでありますが、そういうような場合に、本年度指定であっても、仕事は明年度あるいは三カ年にわたるやつを二カ年でやるというふうなことにして、指定は本年度のままにして、来年からあと続けてやりたい、そういうふうな希望もちょっと聞いたわけであります。が、そういうふうなのはいかがですか。
○齋藤(誠)政府委員 本年度はそういう関係で事業がおくれる地域が相当あると思います。従って当初予定をした進捗率では事業ができないというふうなところもあろうと思います。そういう事態におきましては、一つは当然繰り越しのできる事業でありますから、繰り越しでやるという方法をとるか、あるいは来年度事業をやるという前提で、事業を初めから来年度の事業の方に持っていくというようなやり方で、いずれにしても支障がないようにやっていきたいということで今進めております。
○長谷川委員長 次に玉置一徳君。
○玉置委員 農業構造改善につきまして質疑をしたいと思っておりましたが、安井委員から詳しく御質問がありましたので、私は急に来ていただきました警察庁と厚生省の方に先に御質問をいたしまして、若干構造改善の心がまえについてお話を承りたい、こう思います。 まず最初に農林大臣と警察庁の方にお伺いしたいのでありますが、自動耕転機の免許の軽減措置でございます。農業の機械化の趨勢に伴いまして、テーラーその他の自動耕転機が今や全国で百万台をはるかに突破したという趨勢であります。これがまた農業の近代化を迫っておるという要因になっておるわけでありますが、ここで問題になりますのは、御承知のごとく、全国農村の津々浦々に普及いたしました自動耕転機の免許であります。御承知の通り、軽自動車の免許と一緒にと申しますか、同じ免許をしておる、こういうような工合で、今の自動耕転機の免許をとりますと、当然軽自動車の免許がとれる、同じであるというような工合でありまして、主としてたんぼを運行し、ただその目的地に行ったり来たりするときだけ天下の大道を運行する自動耕転機にとっては少し度が過ぎた免許じゃないだろうか、こういうように思われるわけであります。この間もあるところで私、民警懇談会に出まして、おとといでしたが、お話を聞いておりましても、非常にのろのろと運行するわけでありますので、こちらから追突するおそれは全然ありません、追突されるおそれだけがあるような自動耕転機に軽自動車をあれするのは非常にきつい。そこへ御承知の通り若い者がどんどんと離村いたしましたので、残りました御婦人あるいは年配者の方々がこれに乗って農耕に従事する場合が非常に多いわけであります。こういう方々にいたずらにむずかしい免許試験を実施するということは実情に合致しないんじゃないかというふうに思います。そのことがかえって免許をとってない無免許運転を多くしていることになっておるんじゃないか、こう思われるわけであります。私も去年このことにつきましては一度警察庁へ参りまして実情を申し上げて、これの改正方をお願い申し上げたのですが、法規を改正するまでの間、少なくとも暫定的に運営面で一つ考えましょうということで、十一月一日付をもちまして通達が出まして、各府県ともこれが運用について相当な軽減措置を講じていただいておることは非常にありがたいのでありますが、この際、こういう機械化を阻害する要因である試験免許について、道路交通法を改正するように、農林大臣としては特に警察庁に思い切って御交渉いただきたいと思いますのと、警察庁の方としては、多少いろいろな問題はその他にあるのだろうと思いますけれども、かえって無免許者をなくするという意味におきましても、あるいは農業機械化を促進するという面からも、道路交通法をこの際改正していただいて、来国会に提案をしていただきたいと思うのですが、これにつきまして農林大臣並びに警察庁の御所見を御決意を承りたい、こう思います。
○重政国務大臣 御事情はわかりましたから、よく一つ検討いたします。なるほど自動耕転機の免許と自動車の軽免許とは違ってしかるべきであろうと思います。それらの点をよく一つ検討いたしまして、警察庁の方とも相談をいたしてみます。
○富永説明員 自動耕転機の免許の問題に関しましては、今御質問がありましたように、確かに軽自動車の免許になっております。つまり、スクーターとか軽三輪、軽四輪とか、こういったものと同じような免許になっておりましたので、軽免許になりますと試験も非常にむずかしいということで、もっと簡単な方法はないかというふうなことで、昨年の十一月一日に、とにかく自動耕転機につきましては一種の限定免許にしまして、軽免許でありますが、そのものだけ運転ができるということで試験をやさしくして、なおかつ、軽免許になりますと、第二種原付とか第一種原付とかまでやれるようになりますけれども、そのかわり自動車の原付はやれない。そのかわり、今度は大きなものの試験を受ける場合は法規の試験が免除になりますが、それは、限定にしたかわりにこれは免除にならないというふうな条件で、実情に即して運営でやっていったわけでございます。しかし根本的に免許制度そのものから検討していただきたいというふうな点につきましては、実は運転免許に関しましては、全部につきまして根本的にやらなければならないような情勢になっておるわけでございます。と申しますのは、一昨年の十二月二十日から新しい道交法が出発したわけでございますが、その際に、免許問題につきましては、あまりにも問題が複雑でございますので、一応今までのものを踏襲して、若干の手直しということで進んでおったのでございます。実は運転免許につきましては根本的にいろいろな問題を含んでおりますので、その際に検討していただきたい――私どもも質問のことは十分よく承っておりますので、改正することにつきましてはその気持を持っております。十分検討さしていただきたいというふうに思っております。
○玉置委員 そこで、今のお話の、いろいろな条件つきで緩和していただいておるというのですが、お百姓さんや、今申しました、ことに年配者の方々あるいは御婦人の方々には、そういうむずかしい条件づきなどというのはわかりにくいのです。だから、非常にわかりやすく法規というものはせなければならぬじゃないか、それが順法精神を喚起するゆえんじゃないか、こう思いますので、その他にも免許制度そのものについての根本的な問題がたくさんあるんだと思いますけれども、これ自体も、だれが見ても非常におかしいと思われる顕著なものだと思いますので、根本的な改正がもしもおくれるようなことになれば、せめてこれだけでも一つぜひとも早急な機会に改正案を国会に出していただきたい、かように思います。 もう一つは、これが改正されるまでの運用面につきましてのお願いでありますけれども、今申しましたように御婦人や御年配の方で実際運転したくても免許を取ってない方々がたくさんあるのじゃないかと想定される。つきましては、各府県に数カ所というような試験場へ、農家の御婦人や年配の方々にわざわざ出てこいというのでは事実上できません。農協ということにはまだ参りませんでしょうけれども、せめて郡単位の農協あたりから、すべての試験車の準備その他の準備を完了いたしまして、ぜひとも来ていただきたいというような御連絡がありましたら、年に五、六回は係官が行ってやる、そうして試験を受ける機会をみんなに多く与えてあげて、なるべくすみやに試験が通るように、免許を持って車に乗れるように、一つ運営面で各府県にも御指導をいただきたいと思うのです。が、警察庁のお考えを一つお伺いしたい。
○富永説明員 免許の出張試験のことと思いますが、現にある県では実施しておるところもございますが、今後御趣旨に沿いまして十分この点は配意いたしたいと思っております。
○玉置委員 ただいまのついででございますが、私が二、三日前、民警懇談会に出ました席上では、ことし一回やったが、それが最後だ、来年からは一切いたしませんというようなことを切り口上で言っておったから、私は、警察行政としては無免許者をなくすそのための便宜をどうして与えるかということを積極的に考えていただかなければ、これは大間違いじゃないかということをつくづく思いましたので、一つ重ねてお願いを申し上げます。 次に厚生省の方々と農林大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、先般の関門地域を中心といたしますコレラ騒ぎも、皆さんの御努力によりましてようやく終局をいたしたわけでありますが、この間にいろんな被害が出たわけであります。ここに書いてあるのを見ますと、関門港を中心にした海面の使用禁止で、下関十三漁協の沿岸零細漁民、これの損害が、三日から六日だけで千二百万円、こういうふうになっております。おまけに遠くでとってきました遠洋漁業の魚までが巻き添えになって、東京、大阪、京都地方には入れないというようなことをやられたわけであります。こういうような直接間接の被害はかなり大きなものだと思います。バナナの問題は農林省の直接のあれじゃないと思いますが、あれも適法に金を払い、ちゃんと持ってきたやつで、そこに故意、過失の重大なものがない以上、これは当然賠償を払うべきじゃないか。防疫という重大な公益のために、食品衛生法によりまして思い切って破棄しあるいは焼却されることは、これは十分にやっていただかなければならないと思いますが、私有権、個人所有のものを、公益のためにとはいいながら、焼却をさして、それに何らの補償を政府がしないというあり方は、これは私は憲法上も大きな問題じゃないか、かように思うのです。どの辺まで補償するかということは、直接間接の問題がございまして非常にむずかしい問題だとは思いますけれども、とりあえず直接の被害を救ってあげるという考え方はぜひとも一つお考えいただかなければならないのじゃないか。前のビキニの灰の問題のときのマグロ漁の補償でありますとか、アメリカに請求いたしましたやつは、間接被害もまぜて請求し、金をとったのであります。そういう関連からいたしましても、当然これは国において賠償しなければならない、こう思うのです。が、これにつきまして農林大臣並びに厚生省の御意見をお伺いしたい、かように思います。
○重政国務大臣 私も大体同様な考えを持っておりますが、業界と厚生省の方で目下折衝中のようであります。おそらくそれによって適当な結論に達するのではないかと思っております。
○五十嵐政府委員 ただいまの御質問の補償の問題は、中を分けますと二つございまして、御質問の前段は伝染病予防法に基づきまして遊泳あるいは漁撈、海水使用の禁止、立ち入り禁止等に伴う損害の補償、後段はバナナの廃棄に伴う補償の問題、かように承ったわけでございます。 私、環境衛生局長でございまして、前段の伝染病予防法に基づきます補償の問題につきましては責任を持ってお答えはできないわけでございます。これは公衆衛生局の方でその問題につきましてただいま検討しておるものと了解いたしております。 それから後段のバナナの問題でございますが、このバナナの廃棄につきましては、私も業界としばしばお話をいたしまして、バナナによるコレラ菌の国内侵入を防ぐという意味で、業界が非常に御協力を下すったという点で、これは私どもも非常に多といたしておるわけであります。また市場におきましていろいろな損害をおかけしたということに対しまして、お気の毒に存じておるわけでございます。またさらに文書をもちまして補償等の申し入れを受けております。こういった補償の問題につきましては、私どもも鋭意検討いたしておるわけでございますが、食品衛生法に基づきまして私どもがとりました今回の廃棄措置につきましては、この法律の上からは現在までの検討の段階では補償の思想は出て参らないわけでございまして、この点はまことに遺憾であるというふうにお答えする以外になにを持たないわけでございます。
○玉置委員 ただいまの厚生省の御説明の通りです。現行法規ではこれの補償は全然方法がないわけであります。これは現行法規が不備なのでありまして、当然憲法に保障されておる私有権の問題として、現行法規を改正するか、新たに法規をつくるかしてこの問題を解決し、今後にわたって遠慮なしに防疫の十全の対策がとれるようにしなければならないと思うのですが、これにつきまして厚生省の御所見を伺いたい。
○五十嵐政府委員 憲法の問題にも触れました、食品衛生法の改正を前提とした御質問だと思います。私どもただいままで検討いたしました段階では、はたして食品衛生法を改正いたしまして、こういった問題について補償をすべきかどうかということにつきましては、他の法令との関係、あるいはこういった問題に関する基本的な考え方というような点から、非常に大きな問題が含まれておると存じます。私どもの見解では、そういった改正をするということは非常に至難な問題である、むしろ現行法でいくことが妥当ではないかという線がただいまのところは出ておる次第でございますが、なお御質問の趣旨もございますので、その点私どもさらに検討させていただきたいと思います。
○玉置委員 農林大臣にお伺いをしたいのでありますが、大臣はただいま厚生省と業者の方とで折衝しておるから、何らかの具体的な解決が出るんじゃなかろうか、こういうお話でありますが、先ほど申し上げました水産業等の被害につきましては、これに直接農林大臣の所管であります。従って事厚生省に関する問題であるとは言いながら、漁民を保護するという立場からは、当然厚生省に向かって大臣としては御折衝をいただかなければならぬ。 なお、先ほど厚生省のお返事がありましたが、現在の法規そのものが非常に不備であります。つきましては、新しい法規をつくるなり、あるいは天災融資法に相当するようなものを農漁民については考えるとかいうような措置は、当然とってしかるべきだと思うのですが、これにつきまして大臣の御所見をお伺いしたい。
○重政国務大臣 漁業の問題につきましては、事務当局の方で厚生省とも折衝をいたしております。現在までの経過を、一つ事務当局の方から報告させます。
○和田説明員 ただいまの玉置先生の御質問の、さっき厚生省の方からお話のございました第一番目の問題で、八月の二日から十一日まで県の方で、伝染病予防法に基づきまして、一定の区域に漁撈禁止区域を設定をいたしたわけでありますが、それに伴いまして、伝染病予防法の現行法のワクの中で、補償的措置がとれる範囲はとってほしいということで、厚生省といろいろ打ち合わせをいたしました。漁撈禁止を受けました結果、生活困窮します漁民につきましては、あの法律の解釈として生計費の補助が出せるということが、過去の実例で、当時内務省と農林省との間の覚書等もございます。それによって地元が生計費を出します場合に、国と県とでしかるべき補助金を出すということで、厚生省の方で処置をしてくれるということで、それだけでは必ずしも十分とは言えないので、もう少しこの補償の措置がとれるようにしてほしいということを、厚生省の方に強く申し入れましたが、趣旨に沿って研究をしてみようということにはなっております。 また、第二段の、もう少しプラス・アルファをつけることについては、全面的な回答を得ておらない、そういう段階でございます。
○玉置委員 今の生活保障の段はいけますけれども、私は、法規のそういった問題で何とか運用しようということばかりやっておると、法の立法の趣旨にまで間違いが起こってくるんじゃないか。だから、現にこれだけのものを損失したんだから、どんなりっぱな大きな会社でも、損失は損害としてやはり賠償してやるのが当然であって、もう現行法規のこの条項だけでやっている時期じゃないのじゃないか。あれに十倍するような大被害を受けた場合を想定すれば、もうこの法規だけでやっていくという時代とは違う、こう私は思うのです。つきましては、こういう問題についてもっと前向きに取り組んで、将来ともこういう問題を衛生上の問題として思い切ってやったらいいのですから、やるについては、それだけの個人所有のものを、公益とは言いながら廃棄さすのだから、当然これは補償してしかるべき問題で、厚生省がびくびくする必要はちっともないと思う。だから、そういうような意味で、ことに農林省としては、農林被害というものは水産業にはついて回る問題だ、かように思いますので、この際をもって前向きに検討せなければ、次の大問題が起こってからでないとやれないということになると思いますので、一つ十分な御配慮を願いたい、かように思います。これで、厚生省の方はありがとうございました。 最後に、私がきょう予定しておりました構造改善の問題でありますが、安井先生が大体御質疑をされましたので、一言心がまえだけをお伺いいたしまして終わりたいと思うのですが、構造改善の問題につきましては、農業基本法のうちで一番柱は、構造改善だと思うのです。その構造改善をやりまして、日本の農業従事者の所得を他の産業の所得に見合うまで持っていこう、それについては農業基盤整備や価格、流通その他の対策が要る、どこをねらっておるのだと言ったら、やはり構造改善の問題だと思うのです。しかもそれが、日本の農業の零細経営を非常に打破しやすい千載一遇と申しますか、チャンスにも恵まれておるのじゃないか。この機会を逸したら、なかなかこれはできないのじゃないか。そういう大きな問題に取り組む構造改善の仕事に、現在の農林省の構造改善政策ではあまりにも微温的で、そうしてみんなに言われておりますように、新農村建設のこれはむし返しにしかすぎないのじゃないかということを実はおそれるわけです。 そこで、具体的に御質疑をいたしますと、これは市町村長に大体企画の責任というようにされておりますけれども、市町村長がこの大きな構造改善事業をやりますにつきまして、それだけのことを市町村長の責任になすりつけても、これはできるものじゃないと思います。実際問題としてあっちこっちの農道とか共同施設とかいうようなことにお茶を濁さざるを得ないのじゃないか。真のこの農業構造改善のにない手は一体だれだとお考えになっておるかどうか。これにつきまして局長のお返答をいただきます。
○齋藤(誠)政府委員 まず、手続的に申し上げますると、本件の計画主体は市町村ということにいたしております。もちろん計画を立てる場合におきましては、各市町村に協議会を設けることになっておりまして、大体その市町村におきまする農協なりあるいは農村関係の指導層を協議会のメンバーにしまして、そこで計画を立てる場合の諮問をいたすという扱いにいたしております。また、事業の実施主体につきましては、それぞれ性質に応じまして、土地改良区がなる場合があり、あるいは農協がなる場合があり、あるいは農業委員会がなる場合があり、あるいは部落の農事実行組合というものが事業の実施主体になる場合もございます。事業全体につきましては、十分村の総意を徴して事業を推進するようにということを基本の考え方といたしておりますので、今申し上げたそれぞれの分野々々は事務的に申し上げた通りでございますけれども、全体としてはやはり十分村のこれに関係する農民の同意を得てやる、こういうことで考えておるわけでございます。
○玉置委員 私は、そういうように村全体のいろいろな各部門の方々の意見を聴取するという形で、協議体でもってものをやるから重点がぼけてくる、いわゆる構造改善事業がぼけてくるということを言うのであります。にない手は一体だれだというのは、結局、ほんとうにやろうと思っておる専業農家の若い諸君でなければならないのじゃないか。そういう者を指導するのに、もうまぜこぜの、全部のいろいろな方々でなくて、やはり能力を備えた技術改良普及員、再訓練された技術改良普及員とか、もよりの大学の教授とか、いろいろなそういう指導センター式のものがない限り、町村でやらせますと、一年間でともかく、二年目にはうちもやらなければ格好が悪い、三年目にはやらなければ格好が悪いというので、あっちにもこっちにも、初めの思想は部落ごとに思い切ってという考え方だったらしいけれども、結局はいろいろなものを、しかも農道や共同施設のようなものが主になってきて、ほんとうの意味の基盤整備というものも行なわれなければ、十年間で全部この村をやって構造改善の事業が済んだなどといっても、農業基本法のときに政府の考えておいでになりましたような自立経営、いい悪いは別といたしまして、ああいうものも一切できない。そこにほんとうに構造改善事業というものをやる熱意があるのかどうかということを私たちは心配するのです。価格政策もなければ、先ほど安井先生もお話しになっておりましたが、十年向こうでどこのものをどういうところでどれだけのものをするという考えもなしにいたずらに主産地形成とか適所適産とか都合のいい言葉だけまぜておりましても、農民はやみ夜に鉄砲式でものをやらなければならないというところに現代の農村が希望も何らの安定性も持っていない、その上、新聞では、農林大臣は、農業生産物はなかなか輸入はやらないというお話だったが、大臣がかわればすぐに貿易の自由化の問題が出る。こういうようになりまして、一体どこをつかまえたら、どっちへ持っていっていただくのかという今指針がないというのが日本の農政の姿じゃないかというところに、遺憾ながらわれわれは、今後の若い青年が農村にほとんど歩どまらないというさびしい現状を考えざるを得ないと思うのです。こういう意味で十年間に千数百億の費用を投じて農業構造改善事業ができましたなんということがこのぐらいの金でできるのだったら、きょうまでの農林大臣で、きょうまでの政府でこんなものはずっと前にできておるはずなんです。もっともっと政府全体が、国全体の方々が、農家の方々あるいは農業に関心を持っている以外の人人も、ことに工業生産に従事しておる人々がやがては日本の食生活なんかの傾向によりまして、将来畜産行政はこういうようなことをしておったのでは大きな輸入の費用が要るんじゃないか、これは逆に工業生産その他の重圧に貿易上なってくるんじゃないかということを考えれば、こういう機会に思い切った予算措置も国をあげてやってあげなければ、私はとうていこの明治から今日大した進歩も見せていない、構造の改善ができていない日本の農業が、十年間でこの程度の財政措置でもって農業構造の改善ができるとは思われないのです。非常に不安なのは、今申しますように、パイロット地区九十二地区を設定されましたが、まだそれのどういう傾向に、どういうように持っていくのだということを農林省の中で、あるいは日本の学者、識者の中で、あるいは国会の中で論議をされないままに、その五百のうちで二百というようにして毎年ずっとやっていく。政府が言うてくるから町村はしようがないからそれにつじつまを合わした作文を書いていくというやり方でもつて日本の構造改善がやれるというようなことは、とうていむずかしいのじゃないか。この構造改善事業なんというものは、まず農民の頭の切りかえができるからでないと、実際はそんなに浸透していくものではない。これは机の上でお互いにやったような形をとって自分の安易をむさぼるのにはいいかもわからぬけれども、相当こいつは心してそれに対処していただかなければならないのではないかということをつくづく考えるわけであります。これにつきましては時間の関係もございますので、また後日の機会をいただきましてゆっくり御質疑を申し上げたいと思いますが、どうぞ一つ今度の問題につきましては十分御配慮と非常な決意をもって一つ善処していただきたいことをお願いいたしまして、質問を終わらしていただくことにいたします。 ――――◇―――――
○長谷川委員長 この際、お諮りをいたします。 理事石田宥全君より理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○長谷川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次に理事補欠選任の件につきましてお諮りいたします。 石田宥全君の理事辞任につき理事が一名欠員となりましたので、この際、その補欠選任を行う必要があります。先例により委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○長谷川委員長 御異議なしと認めます。 東海林稔君を理事に指名をいたします。 本日はこの程度にとどめます。次会は明二十二日午前九時半理事会、十時から開会することにいたします。 これにて散会をいたします。 午後一時三十五分散会