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41回国会衆議院1962/08/23

内閣委員会 第4号

発言数
55
登壇者
7
会派数
2
開催日
1962/08/23

会議録

永山忠則自由民主党

○永山委員長 これより会議を開きます。  行政不服審査法案及び行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案並びに法務省設置法の一部を改正する法律案の三案を一括議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。坪野米男君。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 私は、主として行政不服審査法案について、なお若干整理法案について、立案当局に質問をしたいと思います。すでに前回田口委員から相当長時間にわたって質問もあったようでありますが、若干重複する点もあるかもしれませんが、なるべく重複を避けて問題点だけお尋ねをしたいと思います。  今回の行政不服審査法案が、訴願制度調査会で一年有半にわたって研究をされて答申をされた結果、提案されたわけでありますが、明治二十三年以来約七十年間にわたって、訴願制度が全く改正をされずに今日まで放置されてきた。その間に帝国議会において数回改正の試みがなされたようでありますが、いずれも官僚の抵抗にあってと申しますか、おそらく、詳しい事情は調査しておりませんが、前回川品行管長官がいみじくも指摘された通り、改正が困難であった事情は、官僚の抵抗という一語に尽きると指摘されたわけでありますが、私も同感でありまして、やはりこの種の国民の権利、利益の救済制度としての訴願制度を改正するということに伴って、当然各行政庁官僚の強い抵抗が出てくることは予想されるところでありまして、戦後新憲法下において、ようやく今日この程度の改正案が国会に上程されたということは、まずまず歓迎すべきことであろうと思うわけであります。  私は個々の条文について若干の質問をするわけでございますが、基本的には、前国会で行政訴訟法、また整理法がすでに成立いたしまして、一方この行政訴願制度がまだ現行法のままにとどまっておるということは望ましくないので、不十分ながらも本法案が成立することを望む一人でございます。そういう意味で、基本的にはまずまず今回の改正はこの程度でやむを得ないであろうという立場で、賛意を表するわけでございますが、といって、全面的にこの法案を是とするものでもないという意味で、若干の問題点を指摘してお尋ねしていきたいと思うわけであります。  そこで、最初に、第一条のこの法案の趣旨と申しますか、目的でありまするが、提案説明その他では、簡易迅速な手続による国民の権利、利益の救済をはかることが主たる目的であって、それに続いて、行政の適正な運営を確保することを目的とするのだ、こういうように、現行法とその重点が変わったということを特に説明しておられるようでありますが、私はこの法案全体を見まして、必ずしも国民の権利、利益の救済をはかることを主たる目的としたというようには理解できないわけであります。むしろ逆に、行政の適正な運営を確保することの考慮が主となっておるのではないかというように理解しておるのでありますが、そこでお尋ねしたいのは、この第一条にいう「行政の適正な運営を確保することを目的とする。」ということは、一体具体的にどういう意味に理解したらいいのかということをお尋ねしたいわけであります。と申しますのは、国民の権利、利益の救済と相対立する概念として把握しておられるのか、従って、行政能率をはかる、あるいは行政の適正な運営をはかるために、国民の権利、利益の救済に一定の制限を加えなければならないのだ、そういう国民の権利、利益の救済をはかることに対するブレーキの役割としての趣旨ではないのかと思うのでありますが、あるいはこれだけをとらえて、行政の適正な運営を確保するということが一つの目的であるとするならば、私は、こういう訴願制度の中で行政の適正な運営を確保するというのが本来の目的ではない、行政制度全般の中で適正な運営を確保する、そういう目的を達すべきであって、この国民の権利、利益の救済をはかるのが本来の趣旨である訴願制度の中で、行政の適正な運営を確保するということは、並列的な目的でなしに、権利、利益の救済を制限するという、そういう趣旨に理解すべきではないかと思うのでありますが、その点について行管局長からでも御答弁願いたいと思います。

山口一夫総理府事務官(行政管理庁行政管理局長)

○山口政府委員 御指摘のございました第一条の「簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保する」ということの法律的な解釈につきましては、法制局から御見解を述べていただきたいと思いますが、ただ、この法律の運営に当たりますわれわれといたし接しては、結局国民の権利、利益の救済をはかること、行政の適正な運営を確保することは、長官の答弁にもございましたように、必ずしも二つ別個のものではなくして、終局においてこの両者は一体となるべきものであるというふうに考えております。従って、特に権利、利益の救済を強くはかる意味の新しい改正を加えましたことによりまして、同時に行政の適正な運営がブレーキをかけられるというふうには考えておりません。私どもとしましては、この制度の運用におきまして、行政庁が十分慎重なる配慮を行ない、また、そのやり方について、不服の申し立てのありましたものにつきましては十分反省を加えまして、将来それを改善していくということによりまして、行政の適正な運営をはかりたい。従って、行政の適正な運営をはかることは、すなわち、国民の権利、利益の救済をはかることに相通ずるものである、かように考え、また、このような精神のもとに運営をして参りたいと考えております。  法文の解釈につきましては、法制局から御答弁いたします。

野木新一内閣法制局参事官(第二部長)

○野木政府委員 御質問に対するお答えとしては、ただいまの管理局長の答弁に結局私の答弁も帰着すると存じます。第一条でこの法律の趣旨をうたいまして、まず「国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。」こううたいました。そして今までの一応の説明といたしましては、国民の権利、利益の救済をはかるというような点に重点を置くというような説明もありました。しかし、それは結局現在の訴願法体系と新法とを比較しているものでありまして、これはもっと抽象的な立場で考えてみますと、新憲法下における行政というものは、やはり国民主権のもとに立った、国民のための行政というものでありますから、その行政が適正に行なわれるということが、結局国民の権利と利益の擁護ということと究極においては一致するわけでございまして、そういうような立場から見ますと、この目的は、二つにこういうふうに「図るとともに」としましたが、究極の立場は一致すると思います。しかし、今までの訴願制度などに比べてみると、新訴願制度はどっちかというと、あまり意識されなかった国民の権利、利益の救済面に目を注いでいこう、そういう点で、「国民の権利利益の救済を図る」というものを前に出して、一般の注意を喚起した。しかし、さらに高い立場に立ってみますと、今言ったように、決して両者矛盾するものではない、こう考えておるわけであります。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 私は、行政の適正な運営を確保することを目的とするというのは、もちろん、この不服審査法案の中でそういった目的を達成するとすれば、行政の自己統制あるいは行政の監督的な制度をここに確立するという、そういう消極的な作用から、行政が適正に運営されることを確保するということにもなり得ると思うのでありますが、この訴願制度あるいは行政不服審査の制度からすれば、国民の権利救済ずばりそのものが目的ではないか。ただ、行政の能率化とか、あるいはまた乱訴の弊をためる、その他今の行政の適正な運営を阻害するような急激な権利救済をはかることはどうかという立場からの規制としてはありますが、この法の目的としては、もう国民の権利、利益の救済をはかることを目的とするということでいいんじゃないか。特に「行政の適正な運営を確保することを目的とする。」ということをうたってあるということは、やはり権利救済のほかに、そういう立場からの規制をするんだということがあまりにもはっきり出過きて、不適当ではないかというように考えるわけです。しかし、これは第一条の法の趣旨として、必ずしもこの規定があるからどうこうということではありませんが、私は、従来の不備な訴願制度から今日のこういう新しい国民の権利救済の制度としての訴願制度へ踏み切られた法案としては、この後段の規定はなくてもいいんじゃないかという意見を持つわけでありますが、これは私の意見として、提案説明の中にもありましたように、国民の権利救済をはかることを前面に押し出したというその言葉通りに、私は、この法体系からいって必ずしもそうは読み取れないわけでありますが、今後の行政指導なりあるいは法運営の面で、国民の権利救済をはかることが本法案の主たる目的だという実を十分にあげていただきたいということを、行政各省に一つ要望しておきたいと思うわけです。  それでは次の問題に移りますが、第四条の、いわゆる訴願事項の一般的概括主義に踏み切られたということについてはけっこうだと思うわけですが、それに対して十一項目にわたる例外規定、その他他の法律で除外規定を設けることができるということになっておりますが、私はこの除外規定というものは、最小限度かつ合理的な理由のある場合でなければ許されないと思うわけです。幾ら法で概括主義を認めても、個別的に例外規定を設けていくということでは、国民の権利救済の道が閉ざされることになるわけであります。そこで第四条の例外規定として、十一項目あげられておる。中でも、第一号から七号までは大体当然の規定、あるいは事の性質上当然の例外規定だろうと考えるわけでありますが、その他の条項について、若干除外例を設けたことについて疑義を感じておるわけです。  その一つは、第八号の「学校、講習所、訓練所又は研修所において、教育、講習、訓練又は研修の目的を達成するために、学生、生徒、児童若しくは幼児若しくはこれらの保護者、講習生、訓練生又は研修生に対して行なわれる処分」これが全面的に不服申し立ての権利が排除されておるわけであります。もちろん、他の法律で救済の制度を設けることは差しつかえがないということになっておりますが、この八号の学校だけに例をとって、学校において教育の目的を達成するために、学生、生徒等に対して行なわれる処分、この処分の中にも、特別権力関係下におけるいろんな各種の処分があり得る。全く教育技術的な観点からする処分というものもあり得ますが、また、その特別権力関係を排除するような、あるいはその学生、生徒の個人の権利義務に影響を及ぼすような処分が当然あり得ると思うのです。教育の目的を達成するために、たとえば学校教育法に規定されておる懲戒処分、その懲戒処分の中でも、最高の処分としての退学処分というようなものがあり得るわけでありますが、こういう学校教育の過程において、教育の目的からする学生に対する懲戒処分に対して、司法救済、すなわち、訴訟による救済の道は一部開かれておるようでありますが、これに対して少なくとも、審査請求というのは事の性質上不適当であろうと思うのでありますが、異議の申し立てというような不服申し立ての道が開かれておってもいいんじゃないか、あるいはそういう道を残しておくべきではないかということを考えるわけでありますが、この学校の学生に対する教育上の処分に対する救済の道が、全面的に閉ざされたと理解していいのか、あるいは今私の指摘したような場合に、何か救済の道が他の法律その他で現在すでにあるというお考えなのか、あるいは将来そういったものは別の法律にゆだねるという趣旨なのか、その点について一つお答えを願いたいと思います。

山口一夫総理府事務官(行政管理庁行政管理局長)

○山口政府委員 ただいま御指摘の第八号の問題でございますが、学校における教育につきましては、教育基本法の精神にのっとりまして、教育目的を達成するために行なわれるわけであります。従って、教育の自主性、自律性ということが十分に尊重せらるべきであると思うのであります。この意味におきまして、学校の中で行なわれます学生、生徒、児童等に対する処分は、この教育目的達成のための一つの手段であるというふうに解釈できるのでありまして、その処分もやはり教育であるというふうに考えられると思います。従って、そういう教育の特殊性から、この第八号によりまして、この不服審査法による不服の申し立てにつきましては、学校内の処分を除いたのでございます。しかし、ただいま御指摘ございました解釈並びに立法論等につきましては、きわめて重要な問題でございますし、また、一般概括主義ということがこの法律の一つの大きな特色でございますので、さらに法制局の方からも重ねて答弁をさしていただきたいと思います。

野木新一内閣法制局参事官(第二部長)

○野木政府委員 八号の除外規定を設けた趣旨につきましては、大体今管理局長から御説明した通りでありまして、教育というものはやはり非常に特殊なものでありまして、その教育という立場から、いろいろの不服申し立てという点もやはり考えた方が適切であろう。一般概括主義、一般法をどこまでもそこにかぶせてしまうのは、やはりぴたりといかないところもあるんじゃないかということで除外したわけでありまして、もし教育的の見地から、そういう点につきまして何か不服申し立てなり、それに適したことを、ことに一種の除名するようなことにつきましては、設けたらどうかという点につきましては、やはり将来教育関係の方の検討に待ちたいというのが、この不服審査法の一般概括主義をとった立場でございます。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 戦後、特に学校当局と学生との間のいろいろなトラブルから、懲戒処分、停学以上の重い処分、特に退学処分などがずいぶん出ておるようでありまして、また、それが裁判所をわずらわして訴訟にまで発展しているようでありますが、裁判といえばやはりひまがかかる、金がかかるということで、この訴願制度の簡易迅速な手続による救済ということからおよそ縁遠いことだろうと思うのです。なるほど学校教育という、一つの教育という特殊な性格から、教育上の処分——いろいろな処分が考えられるでしょう。宿題を命ずるのが処分かどうかよくわかりませんが、いろいろな教育上の処分あるいは唐突行為があり得ると思いますが、しかし、少なくとも懲戒処分、その学生個人の権利義務に関する重要な問題、身分に関する重要な問題、特に学生の身分を失うというような退学処分について、教育上の観点からその価値判断でいろいろ問題はあるかもしれませんが、しかし、事実関係で、その学生はそういう事実に関与しておらないというような場合も、間違って処分されることもあり得るわけです。現に私もずいぶん経験しているわけですが、そういう場合に、直ちに訴訟の道が開かれているから裁判所へ訴えていきなさい、学校と生徒という特別権力関係において、学校に対して不服の申し立てをすることはけしからぬという考え方に根ざしておるとすれば、私はこれは大きな誤りだと思うわけです。ですから、そういった懲戒処分を受けて、それに対する不服申し立ての道が、特別法といわず、この際、この法案の中で何らかの形で救済の道を残しておくのが妥当ではないか。全面的に教育上の処分を訴願事項から排除するということは、私は適当でないと思う。他の法律の今後の整備に待つということを言われますが、はたして今の文部省がそういった法律をつくるのに熱心であるかどうかということは、きわめて疑わしいわけでありまして、私は、この概括主義の中から、学校教育に関して行なわれる学生等に対する処分が除外事項として規定されたことに対しては、非常に遺憾だと思うわけでありますが、現在の法案がこういうことであれば、今後特別法その他で、あるいは将来の改正事項としてでも、こういう懲戒処分等の特殊な処分に対する救済の道をぜひ検討していただきたいと思うわけです。  なお、第九号の、刑務所その他の施設における被収容者に対する処分でありますが、これも同様の観点からやはり救済の道が許されていいんじゃないか。刑務所におる既決の囚人あるいは未決の被疑者、そういった者に対する収容の目的達成のための特殊な処分だということで、全面的に不服申し立ての道を封ずる。訴訟以外に救済の道がない。しかも、拘束されておる人たちが、刑務所の中で、あるいは鑑別所の中でそのような訴訟をするということは、実際的にはほとんど不可能に近いわけでありますし、出てから後にそういった処分に対する救済の道を争うということも、事実上きわめて困難なわけでありますから、私は、現在の監獄法その他の法律規則の中で相当不合理な要素もあるということを承知しておりますが、刑務所その他における被収容者に対する処分についても、特にその中で懲罰などの特殊な処分があるわけであります。そういった懲罰などの処分についての救済の道を——これは異議申し立てなりあるいは審査請求なり、当然そういった簡易迅速な行政救済の道を講じなければならないと思いますが、この点について、立案当局はどのようなお考えを持っておりますか。

野木新一内閣法制局参事官(第二部長)

○野木政府委員 法務関係になりますから、私からまずお答えいたしたいと思います。  この九号のうち、刑務所の関係につきましては、現在の監獄法におきましても、非常に不十分ながら上願という制度がございまして、それである程度まかなわれておるわけであります。なお、監獄法につきましては、今法務省におきまして全面的改正がずっと進んでおりますので、この一般法が出ますれば、それに関連をして、おそらくとの点も十分考えられることになるのではないかと存ずる次第であります。法務省関係以外には、今のところ、上願というような制度に相当する法律上の明確なものはありませんが、規則においてきめようと思えば、たしかきめ得るような体制になっておると存じます。これは監獄法などと関連するものでありますから、おそらくそれとの関連で将来十分考慮されることと存じます。  ただ、除外例を設けた趣旨は、先ほど申した八号とやや類似の精神から除外例を設けておるわけでございます。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 それから先ほど、事柄の性質上当然だろうということを申し上げたのですが、一号から七号までですね、その中の六号の規定については、刑事事件に関する法令に基づいて、検察官や司法警察職員が行なう処分ということについては、もちろん他の法令に譲るということの趣旨のようでありますが、これについても、そういった刑事訴訟法その他の他の法令による救済の手続を待つまでもなく、内部的に、事前に検察官あるいは警察職員に対する不服申し立ての制度を考えて、合理的に処理するということも、必ずしも刑事事件だからということでその本質に反しないと思うのでありますが、この点について法務省当局で、特にこの第六号について何か例外的な措置を御検討になっているか、この点ちょっとお聞きします。

野木新一内閣法制局参事官(第二部長)

○野木政府委員 六号の「刑事事件に関する法令に基づき、検察官、検察事務官又は司法警察職員が行なう処分」これにつきましては、刑事訴訟法に抗告という手続がありまして、それで、これに匹敵するような制度ができておりますから、これはそちらにやった方がいいということで除外いたしたわけでございます。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 もちろん、刑訴の抗告の規定その他で救済をはかろうということはよくわかっておりますが、それ以前の問題として、司法警察職員なりあるいは検察官の行なう処分に対する異議申し立てという程度の何か救済方法ですね、制度的に考える必要があるかどうかということについて、お考えになったかどうかということを伺っておきたいのです。

野木新一内閣法制局参事官(第二部長)

○野木政府委員 刑事事件に関するものは、大体今の抗告の手続が相当完備しておりますので、しかも、刑事訴訟法という法律で刑事事件は一体的にやっておりますので、やはりそれにまかした方が適切だろうということで、特別にこれについてまた別途に不服申し立てということは考えませんでした。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 次に、手続規定について、あまりこまかいことを聞いてもどうかと思うのですが、若干聞いておきたいと思います。  この教示制度はまことにけっこうだと思うのですが、教示制度の強制は、書面による処分の場合にのみ五十七条でされているわけですが、口頭による処分については教示という制度を設けておられないのですが、これは何か理由があるのか。口頭の処分というのは、比較的簡単な処分が多いようでありますが、口頭による処分といいましても、事実行為でなしに、法律行為といいますか、行政行為も口頭においても若干あるのじゃないかと思います。そういう場合の教示についてはどういうお考えでおられるか、ちょっとお伺いしたいと思います。

野木新一内閣法制局参事官(第二部長)

○野木政府委員 五十七条一項におきまして、書面でする場合においては教示しなければならないと義務的にいたしたわけでありますが、口頭の点につきましては、二項が働きまして、利害関係人から不服申し立てのできる処分かどうか、並びに不服申し立てができる場合における不服申し立てをすべき行政庁云々、教示を求められたときには教示したければならない、第三項にも、また、書面による教示を求めた場合には書面でしなければならないという規定を置いて、教示制度を組み立てておるわけであります。なぜこうしたかと申しますと、教示制度は新しく採用する制度でありますし、また、口頭による処分というものも割合少ないのでありまして、しかも、教示したかどうかという点は、将来訴訟において問題になったりして、証拠云々という点で非常に問題になりますので、まあさしあたっては、今回の案におきましては、この明確を期すという点におきましても、実際問題としてこの程度から出発しようということで、この程度の案にしたわけであります。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 そうしますと、新しい制度だから、さしあたり書面による処分の場合に限って教示の強制をしてやってみよう、将来の運用を待ってまた検討を加えよう、そういうように伺っていいわけですね。

野木新一内閣法制局参事官(第二部長)

○野木政府委員 さようでございます。それからまた、教示は義務づけていませんが、教示することはもちろん擁しつかえないわけであります。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 結局、行政指導、運用の問題になってくると思いますが、口頭による処分でも必ずしも軽微な処分ばかりでなしに、相当重要な処分もあり得ると思うわけで、そういう場合に、特に今の不服申し立てができる、あるいはその期間等についての教示を、そういう国民の権利に重要な影響を及ぼすような口頭による処分についても、できるだけ行政指導として教示するように、今後の運用をよく指導していただきたいということを要望しておきます。  それから、審査請求の審理の手続の問題で、若干お尋ねしたいと思いますが、原則として書面審理だ、ただ、審査請求人の申し立てがあった場合に、口頭で意見を述べる機会を与えなければならない、こういう規定になっておるわけですが、この訴願制度を完全なものにするという建前からすれば、口頭審理が望ましいわけですが、現存の行政庁の能力その他から、原則を書面審理ということにされたようで、これも将来の体制に待つとして、現存のところはやむを得ないだろうと考えるわけですが、ここでお尋ねしたいのは、二十五条の第二項に「審査庁の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。」こういう規定がありますが、申し立て人は口頭で意見を述べる機会が与えられておる。しかし、補佐人あるいは申し立て人が代理人によって申し立てした場合に、代理人には口頭による意見陳述の機会が許されておると灘解すべきかどうか。非常にこまかい議論になりますが、解釈をはっきりさしていただきたいと思います。

野木新一内閣法制局参事官(第二部長)

○野木政府委員 二十五条二項の解釈でございますが、御質問にありました代理人の方は、十二条二項の趣旨等から申しまして、これは本人と同じように解釈いたしまして、できると思います。補佐人につきましては、補佐人というものは代理人ほどの地位でもありませんので、もし必要ならば代理人にしてしまえばいいわけでありますから、これは必ずしも明文もありませんが、解釈上もそこまで認めてというのは少し困難ではないかと存ずる次第であります。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 それから二十八条に物件の提出要求という規定がございますが、「書類その他の物件の所持人に対し、その物件の提出を求め、かつ、その提出された物件を留め置くことができる。」こういう規定がありますが、これは利害関係はあるようですが、第一二者の所持人に対して物件提出を求めるというだけで、一体どの程度強制力があるのか、実行性がどの程度あるのかということについては、どのようにお考えになっておりますか。

野木新一内閣法制局参事官(第二部長)

○野木政府委員 二十八条の物件の提出要求の規定に基づきましては、第三者に対して物件提出を求めるという程度でありまして、これはたとえば民事訴訟法などにある提出命令とか、押収を配慮した、そういうことではございませんので、ここでは相手方の協力に待つという程度で、強制的にとらえてしまうというようなことまでは考えておらないわけでございます。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 次に、執行停止の規定についてお尋ねしますが、提案趣旨説明の中では、三十四条の四項の規定で、執行停止をしなければならないという規定の中で、「手続の続行により生ずる回復の困難な損害を避けるため緊急の必要があると認めるときは、審査庁は、執行停止をしなければならない。」というこの具体的事例として、税の滞納による公売処分等は、原則として停止をしなければならない、そういうことが提案説明の中にありますが、もちろん原則でしょうが、原則として、回復の困難な損害を避けるための緊急性ということで公売処分を停止するというようなことは、実際大蔵省、国税庁、税務官僚が原則的にそういう解釈を了承しているのかどうか、これも一つ参考に聞いておきたい。

野木新一内閣法制局参事官(第二部長)

○野木政府委員 今の点につきましては、税法の方で、この三十四条四項に関する特則とでも申しましょうか、公売処分は停止しなければならない、ただし、腐敗しやすい場合とか、そういうものについては別だといった、これよりも強い停止規定が置かれてございます。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 その点はそのように伺っておきます。結局、執行停止の規定は、現行法より形の上では、条文の上では若干前進をしたといいますか、国民の権利救済の立場から、執行停止の幅が広げられたというように見受けられるわけですが、実質的には現行法とほとんど変わりがないのじゃないか。必要があると認めるときというその認定権は、すべて審査庁にあるということからいたしまして、また、回復の困難な損害を避けるための緊急性ということをいいましても、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがある、あるいは手続の続行ができなくなるおそれがあるというような認定をするのはやはり審査庁でありますから、その行政庁が国民の権利救済について従来よりももっと大幅に執行停止を認めていこうといろ前向きの運営をやらない限りは、この規定の整備だけでは、必ずしも国民の権利救済が一歩前通したというようには読み取れたいわけであります。これも文句だけ、条文だけ見れば、現行法よりやや整備をされたというようにすぎないようでありますが、今後の運用について十分行政指導をしていただくように要望しておきます。  そこで、同じ執行停止の規定で、第六項であります。これは前回田口委員からも鋭く指摘をされたわけで、答申案から後退して「すみやかに」というような訂正をしたのはけしからぬじゃないかという質問に対して、必ずしも後退してないんだというような答弁がありました。十日以内に早くやる場合もあり得るから、あるいはまた行政庁の実情からして十日では困難だから、執行停止の可能性を十分広げる意味で期限を切らなかったんだ、こういう答弁を、一昨日でしたか、しておりましたが、私はそういう答弁は納得いかないのであります。やはり答申の線に沿って、十日あるいは十四日というふうに期限を切るべきだと思うわけであります。処分庁が処分をやって、そして審査請求をやる、審査庁が執行停止の必要があるかどうかという判断をするのに、一週間か十日もあれば大体判断ができるはずでありますし、十日か二週間、かりに十四日としましても、その間に、本案についての理由があるかどうか、あるいは本案についての内容に立ち至っての検討ということになれば、相当時間を要することもありましょうけれども、執行停止の必要があるかどうかということに限っての判断事項であれば、私は、十日間という期限に役所が一生懸命に審査をすれば十分結論が出し得る、むしろ、官僚が期限をつけられることに対する抵抗から、期限をはずしたというように理解するわけです。十日という期限をつけてみても、じゃ十日間徒過して二週間後に決定をしたらどうなるかという場合に、それに対して何ら法的な効果がない。いわば訓示規定にすぎないような、ただ心理的に行政庁に対する圧力をかける、怠けておっちゃいかぬ、十日以内あるいは二週間以内に早く執行停止をするかしないかの結論を出せという心理的強制以外に、法的に十日という期限を切って、十日の期限が徒過したからといって、特に執行停止があったものとみなすという規定になるわけでもないわけでありますから、やはり答申で学者その他実務家もまじっての討議の結果出た十日という期限はつけておくべきではなかったか。そういう意味でこれを「すみやかに」というように訂正された経緯について、理由はけっこうですが、どういう官庁から異議なりが出て、「すみやかに」というように変わったのかということだけ、一つ聞いておきたいと思います。

野木新一内閣法制局参事官(第二部長)

○野木政府委員 この点は、法制局で審議する前の原案審議の対象になる案をつくるときに、各行政庁に答申を示して折衝したものと存ずる次第でありますが、そのとき、各行政庁を集めて会議のようなものをしたというように聞いておりますが、その席上でいろいろの意見を交換した結果、どうもやはり十日ということでは、できる場合もあるかもしれぬけれども、しょうと思ってもできない場合がある、十日ではという意見が強くて、やむなく、具体的のその場合々々に応じてなるべくすみやかに執行停止の処分ができるように、そういう趣旨で「すみやかに」にしたということで、今具体的にどこの官庁がということは私ちょっと記憶しておりません。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 この法の趣旨が、簡易迅速な手続で救済をはかろうということから、答申も、まず十日間あればということでそういう答申がなされたと思うのでありますが、どういう官庁から、十日間ではむずかしい、あるいはどの官庁にも具体的事案について十日で執行停止の可否を決することが困難な事例があるということで、相当多数の官庁からそういった異議が出たのか、あるいは特殊な行政庁で、こういった異議事件の執行停止申し立ての中で、十日間で処理のできないというような行政事務の多い官庁からの異議があったのか、そういった点もしおわかりでありましたら……。

野木新一内閣法制局参事官(第二部長)

○野木政府委員 私も、間接にしか実はその点については承知しておりません。皆さんが何回も何回も会議をいたしたように聞いておりますので、その際、冬行政庁の担当官などがいろいろと事情を述べて、具体的な会議の雰囲気で、全体がそういうことになってきたのではないかと承知しておるわけであります。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 その点十分な答弁が得られないようでありますが、一体従来の訴願制度のもとに訴願が全国的に年間どれくらいあって、その間執行停止の申し立てあるいは職権で執行停止が許された事例が、年間どれくらいあるかということの統計がもしわかれば、簡単にお答え願いたいと思います。

山口一夫総理府事務官(行政管理庁行政管理局長)

○山口政府委員 現在の訴願法のもとにおける訴願の実情につきましては、この法律の立案に先だちまして、最近数年間における過去の状況を調べたのでございます。件数から申しますと、地方税関係、国税関係、労災保険関係あるいは遺族援護法関係、地方公務員あるいは地方自治法に関係するもの、健康保険法、その他、特許法、出入国管理法の事例等が比較的件数として多く上がっております。ごく概括的に申しまして、昭和三十年前後の数年間における統計から達観いたしまして、少なくとも年間十万件以上は訴願されている。お話の執行停止その他につきましては、今ここに資料がございませんが、必要によりまして調査の上、書面でお配りいたしたいと思います。かなり救済率そのものは高かったということは、結論として出ております。執行停止が何件あったかということにつきましては、当時の調査では項目として取り上げておりませんので、今詳しく述べることはできませんが、別途資料としてお配りいたしたいと思います。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 現在資料がなければ、あと資料をいただいてもけっこうですが、執行停止の件数はそう多くないけれども、救済率は相当高いということを今御答弁になったのですか。

加藤泰守内閣法制局参事官

○加藤説明員 私から統計についてお答えいたします。実は執行停止の統計につきまして調査できなかったので、執行停止の件数がどの程度あったかということはわかりませんが、執行停止にかわる状態として私の方で把握いたしました件数についてお話ししたいと思います。  二十八年から三十二年までの五カ年間の統計の中で、国税とか地方税とかそういうものは除いた、特殊な処分を除いたものでございますが、処分庁と監督庁だけに不服申し立てをした件数として一万一千件くらいの中で、処分の変更による取り下げという件数が約七%くらいあるわけです。これは事実上不服申し立てがありまして、それに伴いまして、処分庁で検討して処分を変更したということで、その結果目的を達した状態でございますので、実際上執行停止があったと同じ結果になっている、そういうふうに判断していいんじゃないだろうかと思います。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 そういったことも、同じ行政部内だからあり得るだろうと思うのですが、訴願をして、執行停止の申し立てをしてそれが救済された事例は、おそらく私は微々たるものではないかと思うのであります。あるいは相当件数はそういった事例もあるということであれば、一つ後日の参考のために知りたいと思いますので、調査できたら、一つ別の機会に資料として提出を願いたいということを要求しておきます。  それから第四十条の裁決の中で、いわゆる事情裁決というのですか、第六項の規定も何か非常に回りくどい規定がありますが、この六項の規定の乱用を一つ慎しんでもらいたいということを要望する意味で——この四十条六項の規定は、「処分が違法又は不当ではあるが、これを取り消し又は撤廃することにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、審査請求人の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮したうえ、処分を取り消し又は撤廃することが公共の福祉に適合しないと認めるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却することができる。」非常に回りくどい。行政事件訴訟法の場合にはここまでなかったと思うのですが、「公の利益に著しい障害を生ずる場合」ということと、「公共の福祉に適合しないと認めるとキト」というのとでは、何か用語が違いますが、この二つの要件、こういう厳重な要件がなければ、事情判決というか、事情裁決はできないのだというようなきびしい規定に理解していいのか、「公の利益に苦しい障害を生ずる場合において、」というのは客観的な条件、そして次の「適合しないと認めるときは、」というのは主観的な条件と、一応文理的には区別はできますが、はたしてそこまで厳格な要件の場合にのみ審査請求を違法であっても棄却ができるという規定になっているのか、ただこういうようにだらだらと書いてあるだけなのか、立案された趣旨を一つ伺っておきたい。

野木新一内閣法制局参事官(第二部長)

○野木政府委員 第四十条第六項のいわゆる事情裁決と申しましょうか、その条文と同種の条文は、行政事件訴訟法の三十一条にもございます。書き方は「処分又は裁決が違法ではあるが、」こちらは「違法又は不当ではあるが、」というので、訴願と訴訟との差異であります。その点は違いますが、それ以外の要件は同じになっております。もちろん、これは非常に特殊な、めったに起こらない場合のことだろうと存ずる次第でありまして、やはり初めの「公の利益に著しい障害を生ずる場合において、」といいますのは、私益、公益という、公益の保障と私益の保護とを比較較量するというような立場で、こういうことを書いてあります。それからあとの方の「処分を取り消し又は撤廃することが公共の福祉に適合しないと認めるときは、」ということは、さらにもう少し高い立場からこれを見るといったような気持の書き方になっておるわけであります。それは、たとえば河川の使用の許可に基づいて大規模なダムがずっとできてしまった。そのうち、たまたまその処分が違法だったという場合に、そのダムの許可処分を取り消してしまう、非常に大きな金を使ったダムがもうだめになってしまうというようなことになりますと、これはどうかというような問題になりますが、そういうような非常に特殊な場合を考えての規定でありまして、これはそうしょっちゅうあるということはあまり予想しておらぬわけであります。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるから、違法であっても、あるいは不当であっても取り消さないということが、そういう特殊な場合にはあり得るということから、こういう制度ができたと思いますが、ただ、公共の福祉という概念を乱用してくると、違法であるけれども、こういった処分を取り消すと政府の威信にかかわる、あるいは行政庁の威信にかかわるということが、ひいては公共の福祉に重大な影響があるのだというような論法で、違法な処分でありながら、取り消しを受けないというような場合が将来ないとは限らないわけです。これは公共の福祉という解釈を一——憲法上の解釈でもありますが、厳正にしないと、そういったことが起こり得るということですね。今後の運用の問題でありますが、これはもちろん審査庁の運用の面で乱用を防止するという行政指導を十分にしていただきたいと思います。

野木新一内閣法制局参事官(第二部長)

○野木政府委員 今ちょっとお言葉にありました官庁の威信とかそういうことは、この公共の福祉ということの解釈上もとうてい入る余地はないと存じます。乱用防止の点は、また行管の方から御説明願います。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 当然私が言ったようなことは公共の福祉に関係があろうはずはないわけでありますが、しかし、現在の政府の憲法解釈なりあるいは今後の運用いかんによっては、そのような詭弁に近い解釈もまかり通ることもないという保証はないわけであります。それほど法律解釈というものは、変幻自在、都合のいいように解釈ができるという一面を持っていますから、私は、将来を戒める意味で、公共の福祉その他の解釈について、厳格な解釈をするような運用を指導していただきたいということを重ねて要望しておきます。  時間もありませんから、審査法案についての一応の質問を終わることにして、整理法案について若干お尋ねしておきたいと思います。  これも量的には非常に膨大な法律案で、個々の条項について一々検討する余裕もわれわれありませんから、趣旨説明その他で大体の内容を把握しておるにすぎないわけでありますが、この中で不服申し立てを許さないいわゆる除外事項がずっと規定してあります。いただいた資料では、整理法案の内容についてという書面の第二、「不服申立てを許さないもの」その中で、(5)の「緊急事態に対処するための処分であることを理由とするもの」ということで、道交法あるいは自衛隊法等の中の不服申し立てば許さないという規定がありますが、この緊急事態に対処するために不服申し立ての道を封ずる、あるいは不服申し立てを認める必要はなかろうというこの規定の趣旨を、具体的にちょっと御説明願っておきたいと思います。

野木新一内閣法制局参事官(第二部長)

○野木政府委員 御指摘の書類の十七ページ、「緊急事態に対処するための処分であることを理由とするもの」この多くは、災害時にものを収容したりするような処分、そういう場合でありまして、災害とか伝染病が蔓延するとか、そういう非常に急速な事態の場合でありますから、こういう場合には、不服申し立てというような制度を設けておくと、迅速な活動にやや妨げになるのではないかというような観点から、除外したわけであります。ただ、道路交通法は、これは警察官が現場においてした処分でありまして、右へ行け、左へ行けとか、現場の処分でありますから、一々不服申し立てをやろうといってもそれで過ぎてしまうわけでありますから、不服申し立てという制度はあまり適していないといったような趣旨から除いてあるわけであります。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 そうしますと、緊急事態に対処するために、一回限りの短期的な処分が多いから、そういうものについて不服申し立ての道を、救済を与える必要がなかろう、そういう趣旨に理解していいわけですか。まだ全部見ておりませんけれども、緊急事態だからといって、その処分が違法であれば、一々訴訟でなくても、やはり行政救済の道を与えてもいいのではないかということも考えられるわけですが、今私がお尋ねしたように、警察官が現場で道路交通取り締まり上の具体的な処置その他で、一々不服の道を与える必要がないということなのですか。

野木新一内閣法制局参事官(第二部長)

○野木政府委員 道路交通法に現われたような例は、まさに御指摘の通り、現場ですぐ終わってしまう処分でありますから、これにこの法案の趣旨をかぶせるのも、別の何か制度を考えなければならないわけですが、それは適切でないだろう。ほかの緊急事態のものも、現場的のものがだいぶ多いと思いますから、それはすぐその場で緊急にやらなければならないということで、一々大体その場での処分も多いわけですから、おおむねそういう趣旨から、一括してこの不服審査法から除いたらいいだろう、そういう考えであります。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 そうすると、ちょっとお尋ねしておきますが、法案の方に、継続的でない事実行為については特に不服申し立ての道を設けておらないというのも、似たような趣旨に理解していいわけでしょうか。一問限りあるいは短期的な権力の行使……。

野木新一内閣法制局参事官(第二部長)

○野木政府委員 事実行為で継続してないものについてこれからはずしてありますのは、おっしゃる通り、大体が一回限りで済んでしまうということでありますから、このような不服申し立ての制度にはなじまない、そういうことで除いたわけであります。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 こまかいことをお尋ねするときりがないわけで、この程度で一応質問を終わりたいと思います。しかし、最初に申し上げた通り、現行訴願法を改正して、行政不服審査法案を立案され、提案されたわけでありますが、方向としては相当前進した改正案でありますけれども、まだまだ国民の権利救済という観点からすれば不十分であり、逆に行政の自己統制といいますか、監督制度的な規定の整備にとどまっておる。これも個々の行政庁の好ましくない、いわばあまり歓迎されざる法案であろうと思うわけでありまして、そういう意味で、この程度の改正にとどまったことを非常に残念に思いますが、これが民主的な訴願制度の本来的なあり方だという認識でこの法案を成立させるのではなしに、まだまだ不十分であり、将来国民の権利救済、あるいはもちろん行政の能率化その他のかね合いは必要でありますが、やはり国民の権利救済という観点からすれば、もっと抜本的な行政手続法の制定、あるいは今の裁判の前審的な本質を持った訴願制度に抜本的な改正をする必要がある。そういった前進への一里塚としてこの不服審査法を成立させるのだ、そういう趣旨において、私たちも一応この法案に賛意を表し、また私の要望意見を添えて、質問を終わりたいと思います。

永山忠則自由民主党

○永山委員長 これにて三案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————

永山忠則自由民主党

○永山委員長 行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案に対し、岡崎英城君外八名より、自由民宅党、日本社会党、民主社会党の三党共同提案による修正案が提出されております。     —————————————

永山忠則自由民主党

○永山委員長 本修正案について、提出者より趣旨説明を求めます。岡崎英城君。

岡崎英城自由民主党

○岡崎委員 ただいま議題となっております行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案に対する修正案について、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付しておりますので、朗読は省略させていただき、その要旨を申し上げます。  修正の第一は、従来木船運送法といっておりました法律が、前国会で小型船海運業法という名称に改められましたので、本法案中の目次及び第百九十条をそれぞれ改めることであります。  第二は、本法案と密接な関係にあります行政事件訴訟法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律は、前国会においてすでに成立公布されておりますが、本法案が成立公布された場合、両法律が同時に施行されるため、これら両法律によって関係法律がどのように改正されることになるのか、疑問が生ずる場合も予想されますので、その関係を明からにするため、関係法律中、同一法律につき、これら両法律の双方に改正規定がある場合は、その法律は、本法案によってまず改正され、次いで行政事件訴訟法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律によって改正されるものとする規定を、附則に追加することであります。  その他、字句等について整理漏れが若干ありますので、これらもあわせて修正しようとするものであります。  はなはだ簡単でありますが、以上が本修正案の要旨であります。何とぞ御賛成あらんことをお願い申し上げます。

永山忠則自由民主党

○永山委員長 本修正案に御質疑はありませんか。——御質疑もないようでありますので、行政不服審査法案並びに行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案及びこれに対する修正案を一翻して、討論に入ります。  別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、行政不服審査法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

永山忠則自由民主党

○永山委員長 起立総員。よって、本案は可決いたしました。  次に、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案について採決いたします。  まず、本案に対する修正案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

永山忠則自由民主党

○永山委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

永山忠則自由民主党

○永山委員長 起立総員。よって、修正部分を除いて、原案の通り可決いたしました。  これにて行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案は修士議決すべきものと決しました。  この際、政府より発言を求められておりますので、これを許します。行政管理庁宇田政務次官。

宇田國榮自由民主党行政管理政務次官

○宇田政府委員 長官がただいま留守でございますので、私から発言をお許し願います。  慎重御審議をいただきまして本法案が可決されましたことは、非常に感謝にたえない次第であります。  この法案について先ほどからの御注意もありました通り、本法案の運用、また行政の指導という事項に対しましては、留意いたしたいと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。  ありがとうございました。     —————————————

永山忠則自由民主党

○永山委員長 次に、法務省設置法の一部を改正する法律案につきまして討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  法務省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

永山忠則自由民主党

○永山委員長 起立総員。よって、本案は可決いたしました。     —————————————

永山忠則自由民主党

○永山委員長 なお、以上の三法案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

永山忠則自由民主党

○永山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次会は、明二十四日十時理事会、十時半委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十八分散会      ————◇—————

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