地方行政委員会 第6号
- 発言数
- 76 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1962/08/30
会議録
○永田委員長 これより会議を開きます。 警察に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がおりますのでこれを許します。小澤太郎君。
○小澤(太)委員 道路交通の問題につきまして、第四十国会におきまして本委員会ではこの問題の緊急かつ重要な性質にかんがみまして、政府当局に種種報告を求め、さらにこれに対する対策についての審議をいたしたわけでございます。幸いにして政府当局におかれても非常な熱意を持ってこの問題に対処され、また幸いに国民各層における協力体制も進んで参ったように見受けております。この委員会がいろいろ発議をいたしまして決議もいたしましたし、あるいは立法上、行政上の措置を要望したのでございますが、本日は、この委員会におきまして要望いたしました事柄につきまして、その後の政府の措置並びに交通安全の状況等につきましてまずまとめて交通局長から御説明をいただきたいと思います。
○富永説明員 交通問題が非常にきびしく論議されておりまして、この前の通常国会でもいろいろな決議をいただいたわけでございます。その後私の方としましては、交通問題が政府としましても各省にわたりますし、それぞれ施策が推進されておるようでございますが、全体をまとめまする内閣の交通対策本部なりあるいはまた交通関係閣僚懇談会も随時開かれまして、いろいろ今日まで推進してきておるのでございます。私どもの所管しておりまする交通警察関係につきまして、その後の状況を申し上げてみたいと思うのでございます。 いろいろございますが、まず第一に、東京と大阪に交通情報センターなるものを設置することが取りきめられたということでございます。これは主として都市の交通が非常に混雑しておりまする、まあ日本でいえば一番代表的な東京と大阪の交通をいかにして円滑化するか、それから混んでおる状況の情報を収集しまして、それをラジオその他で一般にお知らせするというふうな仕組みでございますが、予算総額一億二千五百二十九万のうち八千二百五万ほどが本年度の予備費から支出ということにきめられたのでございます。 そのやり方はどういうふうなことになるかと申し上げますと、警視庁では都内約二百カ所、それから大阪には七十八カ所の要点に、交通の混雑状況に応じてボタンを押しますと、それが情報のセンターの地図の上に自動的に出てくる、それを全部ながめることによって現在この道路はどうなっておるか、あるいはこの交差点がどうなっておるかということが、一々文書でなしにボタンじかけでわかるというふうな仕組みでございますが、これがきめられまして、現在その機械なるものの製作中でございます。 それから第二番目は、この前の国会で通りました自動車の保管場所の確信等に関する法律の実施でございますが、この法律の中で新しい自動車を登録する場合、あるいはまた使用の本拠地を変更するというような変更登録の場合におきましては、今後六大都府県のうちのある区域におきましては保管場所が要る、保管場所の証明がなければ登録は受け付けられないという、法律で申しますと第三条でございますが、これが来たる九月一日から実施されることになるわけでございます。実施の地域は東京二十三区とかあるいは大阪、名古屋、横浜の市の一部、それから京都の一部とか神戸の一部とか、大体六大都市に限られますが、実施いたします車の対象につきましては、二輪車は法律の上から当然除外されます。それから軽自動車は、実は現在登録制度を実施いたしておりませんので、これは省かれるわけでございまして、いわゆる自動三輪以上の車につきましては、今後持つ場合につきましては保管場所を証明してもらわなければならぬ。だれが証明するかはいろいろ論議がございましたが、結局警察署長が最後的に証明をするというふうなことになるわけでございます。それでもし私がかりに新しい自動車を持とうとしますならば、保管場所はここにしますというその保管場所を書きまして、その保管場所が適当であるかどうか、実際その土地があるかどうか、保管場所としての空地があるかどうか、スペースがあるかどうかということを警察署長が証明する。それから人の土地を借りる場合におきましては、たとえば賃貸借なら賃貸借の契約を結んでおるというふうな、これを証明するような書類、これは本人が出すわけでございます。この二通が要るということになるわけでございます。 なおちょっと申し上げますと、先ほど六大都市と申し上げましたが、かりに私が使用の本拠地はここの麹町なら麹町であるとしましても、実際にその車を保管する場所が、千葉県のかりに松戸に保管するということになりますと、これは千葉県の松戸の警察署長の証明が要るということになるわけでございます。つまり使用の本拠地が六大都市に限られた場合におきまして、それがかりに他県の、近郊に行きましても、それはやはり保管場所の証明が要るということになるわけでございます。この第三条と申しますか、新しい自動車を持つ場合にはチェックが必要であるということが、先ほど申し上げましたように来たる九月一日から実施されるということに相なったわけでございます。それから残りの、たとえば第五条とか——第五条と申しますと、道路を保管場所に使ってはならないとかあるいは十二時間以上駐車してはいけないとか夜間八時間以上駐車してはいけないというのでございますが、これは一年後でございますので、大体来年六月ぐらいから実施されるということになります。もちろん実施地域というものは政令で定められる問題でございます。とりあえずは第三条だけが九月一日から実施されるということでございます。 それから次には交通切符制の問題でございます。これは法務省と最高裁判所と警察庁と、いろいろ協議を重ねて参りまして、最終的に決定いたしまして、来年の一月一日から全国十都市、場所を申し上げますと、札幌、仙台、東京、静岡、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、福岡でございます。横浜は除かれます。この十カ所におきまして切符制が実施されるということがきまったわけでございます。これはどういうものかと申しますと、現物を持ってくればよかったのでございますが、現在の裁判制度のもので、また現行法体系のもとにおきまして、できるだけスピード化する、能率化するという建前になっておるのでございます。四枚一組の切符がございまして、それを警察官が持っております。それで街頭で違反というものがあれば、それに、違反該当大体三十数種類に項目が分かれておりますが、それをマルで囲むというふうなことでございます。 以上が法律あるいは組織関係でございますが、その後交通規制の問題がございます。都市の交通規制は、いろいろ論議をされました東京の車種別規制の問題でございますが、一応は順調にいっておるというふうに考えておるのでございます。そのほか現在交通規制として特異なものは、主として東海道初め一級国道の交通規制を実施いたしておるのでございます。これは都市の交通規制と若干違いまして、主要幹線の交通規制——一級国道か最近非常に交通が激しくなりましたので、これを全般的に一貫した方針で規制をやる、これは駐車禁止が主であります。これは愛知県が五月一日から実施しまして、県内の一級国道ほとんど駐車禁止、それから六月から神奈川県、岐阜県、八月から三重県、来たる九月から静岡県というふうに今実施中でございまして、これは直接交通安全には関係はないのでございますが、実施しました結果は、たとえば愛知県で申し上げますと事故も非常に減った。一級国道の国道上における死亡事故が実施前よりも三分の一になった、つまり三分の二減っておるというような状況を示しておるのでございます。つまり交通の円滑ということを主としてねらった規制が、結果的に事故防止にも役立っておるというのが現状でございます。 それから交通警察の体制でございますが、地方におきましては交通部が独立しましたのが埼玉県、広島県、それから福岡県が交通部ができました。それから近く静岡県が独立する予定でございます。なお、全国的には交通警察官一万増員という問題がございまして、今大蔵省、自治省と盛んに交渉をいたしておるわけでございます。その詳細につきましては、もし時間がありましたら後刻申し上げてみたいと思うのでございます。 それからなお、論議いただきました子供を対象とします交通安全教室というもの、子供さんをそこにお集まりいただきまして、いろいろな展示物を常に設けておきまして、それに視覚教育、フィルムやら何やらでいろいろルールなり何なりを説明して、それが済みましたら実際のコースに出て、小型の自動車なり自転車なり、こういつた小型の乗りもので実際に運転して、そこには道路標識なり信号機なりいろいろ置きまして、そこで交通ルールを自分の経験を通じて覚えるというふうなセンターなるものが近く、秋に盛岡にできます。それから仙台、これは少し先でございます。来年の早々に大阪にできるわけでございます。大阪では敷地約六千坪、現在の自動車運転試験場をそのまま転用いたします。そして今のほかに自動的に部屋の中でハンドルなり、あるいはアクセルなりブレーキなりが自然に踏める。自分の目の前にフィルムがどんどんきて、景色が変わりまして、それに応じて、日勤的にやれるというふうな機械を二十台入れる予定でございますが、そういった施設も含めまして大阪では実施できる予定になっております。ですから、現在では、三カ所ほどが近く実現いたすということになっております。 以上がその後の概要でございますが、しからば交通事故はどんな状況かと申し上げますと、ことしの初めから七月末までに、交通事故による死亡者が五千九百八十二名でございますが、これは昨年の同じ期間に比べまして、七百六十八名減っております。昨年一日平均が三五・二ございますが、この期間中は二八・強という数字でございまして、パーセントにしまして一一・四%減という状況になっております。ただ、八月になりまして若干今までの勢いに比べまして増加してきておるという傾向が出ております。これは本格的な暑さのせいもあると思いますが、一昨日までのところ九百四十一名でございまして、一日平均三三・四、初めて一日平均三十名をオーバーするというような状況が出ておりますが、これも昨年に比べますと、昨年よりは若干低いというような状況が出ておりますので、今のところ事故は横ばいないし昨年よりは抑えられておるというふうな傾向を示しておりますが、問題は、常に一年のうちでも下半期が問題でございますので、今後この事故を、死亡をとにかく減らそうということにあらゆる努力をつぎ込んでおるような状況でございます。
○小澤(太)委員 事故が昨年に比べてだいぶ減っておるということで、まことにけっこうだと思いますが、どうも最近の新聞なんか見ておりますと、小さい子供が非常に犠牲になっておるという事例が多いようであります。また、酒を飲んだり、無免許が勝手に暴走しておるというような実情もあるようでありますが、これはどういう対策をとっておるか。ことに小さい子供たちに対しての事故、これはどういうところに欠陥があるか。警察としては、どう見ておられるか。
○富永説明員 先ほど事故が減っておると申し上げましたが、なお他の諸外国と比べますると、人口との比較あるいはまた車の台数との比較では、決して低い方ではなくて、むしろ高い方であります。特にその中でも、今御指摘のございました学童なり幼児なりの事故が依然として高いのでございます。統計的に見ますると、小学生の事故は昨年よりは減っておるというふうな状況が出ておりますが、これはやはり学童に対する交通事故の関心というものが、それだけ高まってきておるということの現われであろうと思うのであります。 子供の交通事故は、大きく分けまして二つあると思うのでございます。一つはまだ年端のいかないほんとうの幼児でございます。それからもう一つは、大体ものがわかりかけてきた学童が中心になると思います。同じ小さい子供さんのうちでも、幼児と、物事がわかってきた年代という二つになると思うのでございます。今の後者の学童、あるいは学童に近い幼稚園児あるいはそれに近いような子供さんに対しては、やはり学校教育なりあるいは家庭教育なりにおきまして、自動車に対する感覚あるいは交通のルールというものを身につけていただくということに主力を注ぐ必要があるというふうに思うわけでございます。たとえば自動車は自転車のように急にとまらない、惰力があるわけでございますから、従ってそれがわかりますると、突然車道に飛び出すとか、自動車の前に飛び出すことがいかに危険かということが、当然わかってくるわけでございまして、今後こういった近代交通に対する感覚なり教育というものを、も一つともっと身につけていただくというふうに持っていかなければならぬと思います。ただ年端のいかない者にはどうにもなりませんので、これは結局は親ごさんなりあるいは一般の社会、世間なりが注意していただく、道路の上で子供さんがよちよちしておれば、それは目を離さない、とにかくひとり歩きさせないというふうなこと、あるいは道路で遊んでおればそれは遊ばせないとか、小さい子供さんに対しては、これはやはり一般の社会人あるいは親ごさん、こういった面の指導というものにどうしても力を入れなければならぬのではなかろうかというふうに考えております。
○小澤(太)委員 それと、車種別時間別規制をやりました際に、いろいろ関係の業者からも異論があったりしたのでございますが、その後どうでしょうか。大へん教育体制もよくできておるのか、そしてそのためにどれだけ交通上プラスになったのか、そういう点の資料があったら一つ……。
○富永説明員 車種別規制と申しまする交通規制は、わが国では最初に行ないましたので、画期的であったためにいろいろ波紋を呼んだわけでございます。その後の状況を見ますると、一般の業界関係の方も非常にに協力をいただいておりまして、主として自主的な調整といいますか、自主的な規制ということにお力添えを願っているわけでございます。たとえば鉄を運ぶ組合におきましては、日曜以外のウィーク・デーを一日休日とするとか、あるいは百貨店に出入りされますものは、午前中小さい車にするとか、あるいは時間をそういったラッシュを避けるとか、あるいは早朝にするとか、こういったような動きが非常に目立っておるのでございます。すでにこういった自主調整に参加しております業者も、ますますふえておるような状況であるわけでございます。たとえば石油関係とかあるいはその他米穀関係、しょうゆ関係、いろいろな団体でそれぞれこういった込む時間を避けるというふうにダイヤを組んでいただくという形になっておるようでございます。 それから交通規制を実施した後の交通状況でございますが、実施前と実施後を見ますると、直感的にもたとえば今まで道路というものはこういうふうに一ぱい詰まっておりまして、しかも立体的なと言いますか、高さがあるような感じがいたしましたが、実施後は大きい車がなくなったために、道路がすうっと広くなったような感じがいたすわけでございまして、目に見えてそういう感じがございます。それから、ある距離からある距離に至るまで、実施前よりも実施後の方が多少時間が早くなっているというような状況でございます。それから毎日どこが込んでいるかという込んでいる場所の数の調査をずっといたしておりますが、実施前と実施後と比べますと、数字で申し上げますと、交通規制前の一日の平均個所が二〇・二カ所あるとしますれば、実施後、一カ月の一日平均が九八・三というふうに込んでいる個所も減っているような状況でございます。これはもちろん右折禁止とかその他の交通規制も実施いたしておりますので、その影響もあると思いますが、もし実施していなければ、これは相当込んでいるだろう、言葉は逆になりますが、そういうふうに言えるのでございます。
○小澤(太)委員 実施の際にいろいろ議論があって、どの路線をとるとか、どの範囲にするとか、時間的にもいろいろあったと思いますが、あれは今のお話では、今回とりました措置で十分なのか、将来これをもっと強化する必要があるのか、あるいはまたもっと緩和する必要があるのか、これはどういうふうに考えておられますか。
○富永説明員 主として路線を選んだわけでございますが、当初三十八路線というものを立てておりましたが、実際には二十路線に縮減いたしたわけでございます。現在のところそれでどうだ、こうしてもらいたいという話は私ども聞いておりません。今後の問題としまして、さらにこれを強化するかという点でございますが、私どもとしましては、これは当分今の方針でずっと行ってみるというふうな気持を今のところ持っております。今後考えられる問題としましては、これは交通規制全般でございますが、少しきめのこまかい交通規制をもっとやる必要があるのじゃないか。たとえばある地域を中心とした——この辺で言いますと麹町とか赤坂、古川橋とか、こういう地域の中の狭い道路に最近は非常に車が入ってきておりますので、こういう狭い道路を中心として一方交通なり、場合によりましては右折禁止とか駐車禁止、こういうような問題なり、あるいは今申し上げましたような二十路線なら二十路線にしましても、もう少しその後の現状とマッチするかどうかというふうな点での手直しを考えて、そういった方でいろいろ現実に合わせるようにいたしたいと思っておりまして、車種別規制、この前四月に実施いたしましたこの種の規制の方針は、このまま当分継続しまして、それをさらに強化するという気持は、今のところございません。
○小澤(太)委員 それでは安全施設の問題ですが、これは前の国会における委員会におきましても、最終的な解決ができずに、政府の行政措置、また必要があれば立法をすべきだというようなところで、一応その程度にとどまっておったわけでございます。その後政府のやられますことをよく見ておりますけれども、いまだに安全施設——これは建設省の関係だと思いますけれども、安全施設についての基準の設定ができておらない。ようやく基準の原案を作って、地方に照会をして、意見を聞いておるという程度になっておるというふうに聞いておるわけでありますが、どうもこの安全施設が一向にはかどっておらぬ、施設の整備ができておらぬという感じがいたします。警察としてやるべき安全施設と申しますか、交通規制の施設というものがあるわけですが、それはどういうふうに進んでおるのか。それからどうしても安全施設を整備強化するためには、関係各省庁の間で十分の強力な連絡をとり、来年予算等には必ずこれを計上しなければならぬと思うのですが、その準備の状態はどうなっておるのか伺いたいと思います。
○富永説明員 道路の安全施設といいますのは、はっきり申し上げまして十分じゃない、非常におくれておるというふうに思っておるのでございます。もちろんこれは道路管理者側において設置していただかなければならないものと、私どもの方がやらなければならぬものもあるわけでございます。それで私どもの方が今やっておりますのは、たとえば予算的に申しますと、これは国の計上しております予算でございますが、本年度におきましては、全国に交通信号機二百六十カ所、道路標識、これは主として規制の標識になりますが、これが四万本、センター・ラインとか横断歩道の例のペイントでございますが、これが約六千キロメートル、それからトラの目みたいなキャッツ・アイが五百カ所、これが一応予算に計上されておりますが、まあ率直に言いまして地方の一線を見ますと、どうしてもここが危険だというところでは、そういったものにたよれないというところがございまして、いろいろな面で一線でいろいろ充実しておるところがかなり多いのは否定できないところだと思うのでございます。 なおこれは交通安全施設一般の問題でございますが、ただいま御指摘がありましたように、私どもとしましても早急に基準を立てていただきたいという気持を持っておるのでございますが、最近私もいろいろ国道あたりを見ておりますが、いわゆる案内標識とかあるいはまた夜間の照明というものが、少しずつでもつきかかっておるということだけは言えるのじゃなかろうか。ただ非常にテンポがおそいことはやむを得ないと思いますが、これは今後とも、いろんな責任の主体の問題であるとか、あるいは財源の問題、あるいはまた今申されました基準の問題なりという面につきましては、私どもとしましても、もっと推進していかなければならないということを痛感いたしております。それから道路管理者の建設省とも盛んに今交渉なり打ち合わせをやっておるような状況でございます。
○小澤(太)委員 道路の安全施設のことを特に強化してたいだきたいということは、かねてから申し上げておる通りでありまして、どうぞ一つこの次の国会には、必ず関係の法案なり予算の提出ができるように、警察当局からも強く要望してもらいたい。 それに関連しますが、今度は自動車それ自体に、乗客に対する安全装置を義務的につけさせるという問題があると思うのです。たとえば安全ベルトをつけるとか、あるいは直接の安全施設ではないかもしれませんが、音を出させないもっと徹底した消音器をつけるとか、あるいはまた長距離輸送トラックその他にタコメーターをつけるとか、これは警察当局の直接の仕事ではございませんが、乗客の安全とかあるいは運転手が道路交通規則を十分守れるように、それの監視ができるように、あるいはまた音を押さえて静かな環境のもとに安全運転ができる、こういうふうな措置を必要とすると思います。外国等におきましても、そのようなことを義務的にやっておるところも相当あるやに聞いておりますが、警察当局として、警察庁として、そういうふうなことを義務的にさせるべく、関係各省に対して働きかけをする気持があるかどうか、またその必要があるかどうか、御意見を伺いたいと思います。
○富永説明員 自動車そのものの安全確保の問題といいますのは、どちらかといいますと車両保安という形になっておりまして、今のところ運輸省関係が非常に多いと思うわけでありますが、私どもといたしましては、やはり安全をどうしても確保してもらいたいという気持から、いろいろ運輸省なりに要望いたしておるわけでございます。 たとえて言いますと、今お話のございましたタコグラフの問題、これは私は特に大型トラックあるいはまた長距離の観光バスというものは、タコグラフをつけることによって非常に事故が減ると思っておるわけでございます。と申しますのは、たとえば、実際タコグラフをつけられたトラック会社なりが、非常に成果が良好である。というのは、運転者の運行管理状況が経営者もよくわかる。それから運転者も無理をしなくて済む。そういう面なり、あるいは長距離をやりますと運転者の交代という問題があります。これもいわば新参者は先輩に対して夜中の眠いときになかなか起こすわけにいかない場合がありますが、この機械によりまして自動的に記録できますので、正確に起こすことができるということによって、運転者にも都合がよい。かつ事故が非常に減ってきた。経済的にも右利であるというような実証が出ておるわけでございまして、これはそういった車につきましてはぜひつけていただきたい。場合によりましては義務化していただきたいということを要望しておるわけでございます。最近保安基準の改正ということも運輸当局の方で考慮されておりまして、この中にタコグラフの問題も入っておりますが、私どもといたしましては、今申し上げましたように、長距離のトラックとか長距離観光バス以外に、ダンプカーとか砂利トラックとか、こういった大型自動車につきましてぜひ取りつけていただきたいということを要望しておるわけでございます。 それからその他、たとえば方向指示器のようなものがございますが、これがはっきりしません。今、これをはっきりつけていただきたいというわけで、東京におきましては幸い業者の協力を得まして、タクシーは屋根の上に方向指示器がつくようにしていただいたのでございますが、これは今後バスとかそういったものにつきましても、はたして今のような指示器が、ああいう大きい車のサイズに比べて合っているかどうかという点で検討願いたいということを要望しております。 それから安全ベルトにつきましては、先般実際に人形を使いまして、安全ベルトをつけた場合とつけない場合とどうかという実験を行なったのでありますが、スピード二十九・三キロで車が走りましてあるものにぶつかった場合におきまして、安全ベルトをつけてない者はほとんど——人間と同じような人形でございますが、ほとんど即死もしくは瀕死の状況になったわけでございますが、つけていた者は助かっておる。今までは日本の道路はハイ・スピードで飛ばすような道路がないから、そんなものは必要がないじゃないかというような常識をくつがえしまして、アメリカでは四十キロでもあぶないということになっておりましたが、先般行なわれました実験では、二十九・三キロでも、ぶつかった場合は非常に危険であるというようなことでありますので、私どもといたしましては、今後新しい車あたりにはぜひつけていただきたいということをお願いしたいというふうに考えておるのでございます。 そのほか消音器なりあるいは二輪車の音を低くする排気管の問題なり、こういったものにつきましても、交通の安全の面と、それから静かにするという面からも、警音器なりこういった排気音を低くしてもらうようにということを要望しておりますし、その他最近問題になっております都市公害の問題、排気ガスの問題、これも何とかしてもらわなければならぬということを要望いたしておるような次第でございます。
○小澤(太)委員 最後に、免許制度について根本的に改正をしたいということをこの前も言っておられますが、これはどういうような方向でおやりになるのか、あるいはいつごろまでにやるつもりなのか、その点を聞かしていただきたい。
○富永説明員 免許につきましては、あるいは今までの御説明でも申し上げたかもしれませんが、根本的にやらなければならない問題が非常に多いのでございます。たとえばこの前は免許年令の一部引き上げの問題で御審議をいただいたわけでございますが、たとえば少年の免許をどうするかというような問題、軽自動車の免許が今の免許でもよいのか、あるいは免許のやり方がどうか、免許に適正試験といいますか、人間適正がわかるような方法がないかとか、あるいはまた自動車教習所といいますか、こういうもののあり方なり、その他いろいろな大きい問題を控えておるのでございます。で、私どもとしましては、これは意欲的に取り組んでいきたいと思うのでございまして、ただいま今の免許制度のもとでとにかく改正をしなければならないものはこれを改正していきますし、それから法律改正をどうしても伴いますものにつきましても、これもどういう点をどうするかということに力を入れておるわけでございます。しかし非常に広範囲にわたりますために、具体的なものになるまでには若干の時日が要るかと思いますが、しかし、最近の交通事情はそういうことも許さないような状況でございますので、できるだけ急がしましてこの免許問題の対策というものにかかっていきたいというふうに考えておるのでございます。
○小澤(太)委員 次の通常国会には道交法の改正を出すくらいの用意はしておりますか。 もう一つは、今の免許制度に関連しまして、農民の方が自動耕耘機などを操縦しております。あの免許がなかなかむずかしい。普通の軽自動車かなんかと同じで、農家のお年寄りなんかに学問的なことまで試験をされるということではなかなか通らないということであります。今農業の機械化がいろいろ進んでおりますが、そういう面については、むしろ農家のためをはかってたやすくやれるようにする。そのかわり交通事故を起こす車種等については、十分に考えていくというような考慮をしてもらいたいと思います。その農家の関係はどういうふうに考えておりますか。
○富永説明員 免許関係につきまして、次の通常国会に出せるかという御質問でございますが、努力はいたしております。しかもほんとうの意味で、逃げ口上でなしにやっておるのでございますが、ただいま申し上げましたように、一つ手直しをしますと、ずいぶんいろいろな問題がございますので、それが間に合いますかどうか、とにかく急がしてはおりますが、そういうことでごかんべんいただけますかどうか、とにかく努力はいたしておるわけでございます。 それから耕耘機の問題は、現在の免許の上では軽免許になっております。いわゆる軽自動車と同じ免許でございまして、軽二輪、スクーターあるいはミゼット級の軽三輪、四輪、こういう免許と一緒になっておりますので、法規の試験かあり、実地の試験があるというふうなことになっておって、今御質問のありました農業用の耕耘機には、今の軽免許の試験はむずかしいのではないかというお話がございました。それはごもっともでございます。それで昨年の十一月一日に、そういった点の御要望がございましたので、軽免許のうちの限定免許にいたしたわけでございます。限定免許にいたしまして、ただし運転する車につきましては農耕機に限るということにいたしたわけでございます。なお、軽免許をとりますとこういうことになるわけでございます。一般の場合、原動機付一種、二種の自転車の運転ができるわけでございます。次に、軽免許から普通免許などを受ける場合、つまり上の免許を受ける場合におきましては、法規試験の免除があるわけでございます。そうしますと、耕耘機で軽免許をとりまして、第二種の原動機付をそのままやれるというわけにもいきませんので、ただいま申し上げました限定免許にしまして、一種の原付しかやれない、つまり第二種の原動機付は運転できないという限定と、それから将来普通免許とか、こういった上の免許を受ける場合におきましては、法規の試験は免除にはならないということにしまして、できるだけ学科試験も簡単にしまして、そういった実情に合うような処置をやっておるわけでございますが、ただ、今後こういった耕耘機の免許をどうするかという点につきましては、先ほど申し上げました免許制度の問題と関連しまして、もう一ぺん検討さしていただきたいというふうに思っております。
○小澤(太)委員 最後に、ただいままでずっと検討して参りましたいろいろの事項、それ以外に、交通の安全を確保するために警察庁で考えておられる考え方とか、アイデアとか、そういうものがありましたらお聞かせ願いたい。ほとんど出尽くしたので、今まで論議されましたものを完全に実施すれば、これで交通の安全が保たれる、こういうものであるのかどうか、その点を一つ。
○富永説明員 今後の問題としましては、私どもとしましては、やはりまず自分の体制をしっかりしたいということ、それから一万増員ということも考えております。それから装備とか、あるいはいろいろな機材の近代化ということが必要ではないかと考えておるわけでございます。そのほか、交通問題としましては、御質問のございました安全施設、あるいは免許問題というものもありますし、また最近とかくいろいろ問題になっております道路標識の問題もございます。これも一体今のままでよいのかどうかという点で今検討いたしておるような状況でございます。その他いろいろ交通問題はたくさんございますが、広範囲にわたりまして施策を推進していきたいと思います。
○久保田(円)委員 関連して。交通局長にお尋ねしたいのですが、初代交通局長になりまして、ラジオ、テレビで私もたまたま局長の意見を聞いているわけです。交通対策につきましてのその後の経過は、ただいま小澤委員から御質問がありまして、私も非常に関心を持って聞いておったわけですが、今の交通行政にあずかっておるところの人員で間に合うかどうか、ふやす見込があるとすれば、そこらの点も聞かしてもらいたい。三十八年度予算も間近ということになっておりますので、そこらの点を聞かしてもらいたいと思います。
○富永説明員 現在の交通警察官は、全体の警察官約十三万のうち一万二千でございますので、パーセントにしまして九・三%でございます。この数字そのものは非常に低いわけでございますので、これでは足らないというわけでございまして、いろいろ交通閣僚懇談会なり、あるいは閣議においても、とにかく交通警察官を街頭に出せ、街頭の警察官が足らぬというような御意見がたくさん出たわけでございます。街頭に警察官を出しますと、事故もそれだけ減りますし、また交通の流れもうまくいくということは、閣僚もことしの二月に大阪に行かれてつぶさに御体験になったことなのでございます。そういう点から、とにかく増員しろというわけで、私どもとしましては、いろいろ作業をいたしまして、今のところ全国一万というようなことで折衝しておるような状況であります。一万の概要は、都市におきまする街頭の交通整理の警察官が一万のうち約七割くらいでございます。それからもう一つは、都市内は白バイがどうしてもまだ足りませんので、この白バイ要員千五百、それから今度は主要な国道におきましては、もう白バイというような二輪車では非常にあぶないわけでありますので、これを高速四輪車にかえるというわけで、これが約千五百、それから主要国道におきましては、やはり要所々々に検問所を設けまして、そこで積載違反とか、あるいは夜間のめいてい違反とか、こういったいろいろなものを途中で検問する必要もありますので、これも入れまして——これは先ほど申し上げました都市の交通整理要員の数の中に入っておりますが、以上のような四本立、大きく見ますと、二輪車、四輪車、街頭整理要員、この三つということになりますが、こういった主として一線の街頭に出ておりまする警察官の増員というものを考えておるわけでございます。
○久保田(円)委員 歩行してみて、私ども痛切に感ぜられますことは、たとえば国会周辺におきましての交差点一つ見ても、警察官がいるといないのでは非常に差があるわけです。いないときは私どもも非常に危険を感じておりますけれども、いると非常に交通道徳を守ってくれる。ここらの点を一つとらえても、いかに交通警察官が必要であるかということがわかりますので、いろいろの施設、そのほか機械的にやる点は多々あろうと思いますけれども、増員という問題につきましては、私どもも目下の情勢下においては、非常に緊急なことであろうという工合に考えますので、この点はただいま申し上げました通り、局長としましても人員の確保につきましては十分抜かりのないようにやってもらいたい、かように考える次第でございます。
○永田委員長 門司亮君。
○門司委員 きょうはどなたが見えておりますか。厚生省は課長さんと、警察側は局長さんだけですね。そうしますと、あまりはっきりしたことは出てこないと思いますが、私のきょうお聞きしたいと思いますことは、従来非常に騒がれておりまして、きょうも社労の委員会で、御承知のように参考人として、麻薬の問題について医療の立場から、あるいは中毒患者の実態をどうするかというような立場の方、さらにそれにいろいろ関係した方々が見えて審議が進められておるわけであります。私は、ここで警察当局と厚生省に率直に聞いておきたいと思いますことは、二十九年にできた現行の麻薬取締法でありますが、この法律は、これができたときの経緯それからできたときの形の上から見て参りますと、結局は麻薬の所持に対する問題が主であって、それは麻薬を医療の一つの手段として、その取り扱いの面からくる、取り締まり関係を主としたものであったわけです。従って、五十六、七条くらいのところから一応麻薬の取り締まりについての規定が設けられておって、主として保管あるいはその他のもので医薬として使っておる麻薬が、外に流れれば弊害を及ぼすというようなことからきたいわゆる麻薬だけの取り締まりという建前が非常に大きく貫かれております。ところが今日麻薬は、現行の法律を考えたときの実情と全く違った事態が出てきております。一面においては、これからくる犯罪の構成が非常に強くなっておる。ところがわれわれから考えて参ますと、これを単に医薬というような観点から取り締まるということよりも、現在ではむしろある種の刑事犯罪としての取り締まりに重点を置くべきではないかというふうに考えられるのであります。その点に対する当局の考え方がもしあるならば、この機会にお聞かせを願っておきたいと思います。これはどちらからでもよろしゅうございます。
○野田説明員 現在麻薬犯罪の取り締まりは、大部分麻薬取締法によって行なわれておりまして、麻薬の密輸入あるいは密売、所持あるいは施用等、いろいろな面にわたって麻薬取締法の罰則の適用を現在いたしております。ただいまお話がありましたように、現在の麻薬犯罪は、単に医療用の麻薬による犯罪だけではなくて、全然禁止されておるヘロインによる犯罪というものが非常に多いわけでございます。特に東京、神奈川、大阪、兵庫、福岡、この五県におきましては、麻薬犯罪のほとんど、九九%がヘロインによる犯罪でございまして、そういう面から申しますと、医療用の麻薬とは関係なく、それらのヘロインの原産地から密輸入されるものによって犯罪が敢行されているという現状でございまして、これらに対する犯罪の捜査、検挙等に今後大いに努めていかなければならない、かように考えております。
○久万説明員 現行の麻薬取締法それから麻薬関係の法律は、大麻取締法、あへん法と三つございます。それは九つ国際条約がございまして、それをもとにしてできておるのでございます。それでその九つの条約を今から十年くらい前に一つの条約にまとめよう、九つの条約は、できた時代が非常にまちまちですし、その規制してあることが非常に違うもので、それを一つにまとめようという国際会議の動きがございまして、昨年の一月から三月までその一番最後の会議がございまして、日本も昨年の七月に調印いたしました。それを調印いたしましたけれども、九つのを一つにまとめたもので非常に膨大な条約であったので、その成文がことしの三月にやっと届きました。それで今外務省で、それを批准をしていただく手続をしております。それに関連いたしまして、私たちの方も条約で変わったところあるいは今の法規ではなかなか取り締まれないような、そういうものを検討して、条約の批准が出ますときに、私たちの方のその三法の改正もやりたいと思って、今検討中でございます。それでその検討しているおもな点は、ヘロインの犯罪については罰則を非常に強化したいというふうに考えて、関係の警察庁あるいは法務省の方に内々で御相談しております。
○門司委員 今のような答弁でございますが、私は、実際問題としては、もう少しはっきりした答弁が必要だと実は考えております。きょうはお二方でありますから、そう政治的なお話を申し上げてもしようがないかと思いますが、直接の責任者としての率直な意見だけをこれから聞かしていただければけっこうです。 御承知のように、麻薬の現状は、今お話のありましたような三つの法律——しかも大麻取締法であるとか、あるいはあへん法であるとかいうのは、古い法律でありまして、新しい法律ではないようであります。この時代は何も大して犯罪はなかったはずでありまして、統計から見れば、戦前の十カ年分を大体今一年でそれ以上の犯罪がある、非常にふえておるということは、事実でありますので、この三つの法律ではいけないので、当然新しい法律をこしらえる必要があると考えておる。その前提として、きょう聞いておきたいと思いますことは、麻薬については、御承知のように、厚生省が大体主管省として今の法律ではやらざるを得ない建前になっております。これに今警察が加わり、あるいは海上保安庁が密輸の関係で協力をしておる、さらに税関がこれに協力をしていくというような建前がとられておるようでありますが、これだけの建前では完全にいかないのじゃないかと思います。これにもう一つ外務省が必要になってきはせぬか。ということは、麻薬の密輸ルートとしては、主として不良外人の手によるものが多いようです。統計もいろいろ出ておりますが、ここにある資料を読むということになりますと、長くなりますから省略いたしますが、主として出てくるのは、外国船あるいは外国から来る第三国人の手による密輸がかなりふえております。これらの問題について、これをどうするか。こういう犯罪を犯した不良外人に対して、どういう取り扱いをしていくかということについては、外務省もこれに協力する必要が出てきはしないかということが考えられる。 それからもう一つの問題は、麻薬患者に対して更生施設が講ぜられておりますが、更生施設だけではうまくいかない。やはりあとの職業補導が必要になってくる。そうすると、やはり労働省の管轄が多少出てきはしないか、こういう工合に見てきますと、麻薬取締法の改正ということは、ただ単に厚生省あるいは警察だけでお考えになっても、これは完璧を期するわけにはいかないのじゃないかというふうな考え方が出てきますが、何かそういう点について総合された新しい官庁をこしらえるということは、いかがかと思いますが、しかしある意味においては、新しい官庁をこしらえても差しつかえない段階にきておるのじゃないかということが考えられる。多少オーバーではあろうかと思いますが、菅原通済先生の書かれた「麻薬天国ニッポン」という本の一番最後に「麻薬亡国」と書いて、「僅か百年の間に清朝末期の中国は、阿片の為め当時五億の民は、半ば亡国民と化した。阿片に百倍するヘロイン、それを注射で十倍強めた麻薬の王者で、僅か九千万位の日本人を亡ぼすには二十年を要しないだろう。」こう書いてある。麻薬の民族に与える非常におそろしい影響を書いてあります。もう一つの問題は、ごく最近の問題で、御承知のように例の麻薬に関します。神戸のある地区の麻薬撲滅協議会が、麻薬の撲滅運動のために出しております要望書の中に、「人類が人間の幸福のために原水爆のほかに禁止するものがあるとすればそれは麻薬です」、こう書いてある。結論的に申し上げますと、人類を滅ぼすものは麻薬である。日本民族を滅ぼすものは麻薬だ、こうなって参りますと、ここに書いてあることは多少オーバーかもしれない。原水爆の次には麻薬が一番おそろしいと書いておるのですが、私は観念的にはそういうことが言えるかと考えられます。こういうおそろしい麻薬に対する今の日本の取り締まりの現状は、今申し上げました幾つかの問題が相互に交錯して、そうして厚生省だけが今の麻薬法で取り締まりの中心であるというようなことでは私はならないと思いますが、しかし実態はこういうこわいものであるとするならば、何か新しい方針を立てて、そうして麻薬に対してはほんとうに厳重にやってもらいたい。日本の麻薬は御承知のように安政四年ですか、五年ですか、徳川幕府時代にすでに輸入禁止の政令が出ておりまして、それから明治六年ごろからずっとアヘンの問題はやかましい問題になっております。あるいは昔の中国、清国とイギリスとの間に阿片戦争というようなものがあって、やはり非常に大きな問題になっております。しかもこの問題は、阿片戦争の起源は、清朝が、アヘンが入ってくることによって中国民族が非常に脅かされてくる、そうしていずれ中国民族を滅ぼすであろうということを危惧して、英国に対して輸入の禁止あるいは厳重な取り締まりをしようとした。英国は自分の植民地、自分の利益を得ることのために、麻薬を中国に従来通り売るんだという形がついに戦争にまで発展して、そうして武力で中国が負けて、今日百二十年くらいになりますか、かなり長い期間の間に先ほど読みました通済さんのお話のようなことができて、そうして中国が一応民族的に衰退した時期があったことも事実であります。今日の日本の現状というのは、御承知のように中毒患者が約四万もある。そうして吸引患者は約四十万だ。これをこのままほうっておくと、年次別に警察から出ております資料を見てみますと、このままふえれば、大体二十年もたてば九千万の国民がみんな麻薬患者になるような数字が出てくるわけであります。こういうおそろしいものに対するはっきりした政府の取り締まりを、一つまとめた役所でやっていくというような考え方はございませんか。
○野田説明員 私から御答弁を申し上げるのは多少筋違いのところもあろうかと思いますが、ただいまの麻薬犯罪の現状に対してどういう取り締まりなり対策を講ずべきかという問題でございます。この点につきまして、特にお尋ねになりました点は警察庁だけの問題でないようでございますが、警察庁の立場から申しますと、確かに密輸事犯の取り締まりの強化でありますとか、あるいはそれを国内において密売しております麻薬暴力団の密売網の壊滅をはかる取り締まりの問題でありますとか、あるいは麻薬の密売地帯、特殊的な地域、そういうものに対する取り締まり、中毒者の完全な実態を把握して、この中毒者というものをなくしていく、こういうような対策が多々あるわけでございます。しかし警察でそのような取り締まりを繰り返しておりましても、中毒者が次々にひそかに麻薬を施用している。従って麻薬に対する需要というものがなかなか減らない、こういう状態におきましては、麻薬の絶滅を期するということが非常に困難であるということはお説の通りだと思うのであります。従いまして、この麻薬中毒者というものを中毒からなおすという措置を、病院なりあるいは刑務所内においてなりすると同時に、お話の通り、これらの者が正業につくような職業補導なり生活環境を改善していくという指導あるいは補導の措者が非常に必要であろうと思います。これらの措置につきましては、もちろん関係省庁において大いに協力をいたしまして取り締まりをすると同時に、中毒者等に対する収容、治療、補導等の作業あるいは事業を、厚生省あるいは県、あるいは保健所、あらゆる関係機関を動員して今後強力に進めていかなければならない、また進めていってほしいということを警察としては考えているわけでございます。それらを統括した一つの官庁でやるかどうかという問題については、御答弁にはならぬと思いますけれども、現状におきましては関係のある各機関がお互いにその持っている機能を出し合って、協力してその麻薬禍の防止、麻薬犯罪の掃滅というものに全力をあげていかなければならない、かように考えている次第でございます。
○門司委員 先ほど厚生省の方から御答弁がありましたが、従来の九つの国際条約をまとめていこうというのですが、これはまだ翻訳が終わってないので批准はしてないのですね。批准はしましたか。
○久万説明員 批准の手続や何かは外務省でありますけれども、まだ翻訳が外務省の方で全部終わってないのじゃないかと思います。 それから先ほどの中毒者の問題についてお答えいたしますけれども、今の中毒者に対する実際のやり方としては、精神衛生法を適用しまして入れておりますが、措置入院ということだけですと結局長く入れても大体三週間ぐらいで退院さしてしまうような状態でございます。それで、この前も横浜でだいぶ事件が起こりましたときも、一番短いのは八日で退院しております。それから長いのが一月おりました。それ以上いたのはほとんどないという状態でございます。それは、結局精神病のお医者さんとしますと、今のところ、禁断症状、麻薬が切れたときの非常に苦しい状態、その状態が終わってしまうと一応もう麻薬がなくなったんだということで退院さしてしまう。また麻薬患者も、そのときになると自分はもう苦しいことがなくなりますので、退院したいと申し出、あるいは病院側を脅迫したり何かしたりして出るというのが現状でございます。それで私たちの方としては、少なくとももっと長い期間を入れておきまして、麻薬がそこにあってもほしがらないような状態になるまで一応収容しておきたい。そのためにはどうしても措置とかなんとかいうことでなくて、強制的に入院命令を出せるような方法、三月かあるいは半年、そういう期間をやれるようなことはできないかということが一つと、それから麻薬患者というのはほとんどが無職になっております。金を使い果たして病院にころがり込むというのが大部分でございますので、それを何とか措置費に対してもめんどうを見られないかということを考えて、今、先ほどお話しました法律改正の中にも、その点を新たに盛り込んでやっております。それは非常に長い期間そういうところに強制的に収容するということが、結局人権の保護の問題にもからむということや何かで、今ほんとうにそれがやれるかやれないかというのを関係各省と検討中でございます。
○門司委員 今の御答弁に関してはこれからあとで聞きたいと思いますが、さっきちょっと条約のことを申し上げましたけれども、これについてもう言お聞きしておきたいと思いますが、御承知のようにICPOといっております国際的の麻薬に関する一つの機構がございます。今度の条約ができましても、この機構自体は取り締まりに当たらない。また特殊の事件の発生その他については一応の権限を持っているようでありますが、私ども考えて参りますと、九つあった条約を一つにまとめて、そうしてICPOというような国際刑事警察の形で麻薬の情報その他を集めるといっても、それはそれだけに頼っても、私はほんとうに満足にいかないのではないかと考えます。アメリカも非常に大きな被害を受けておって、御承知のように海外にかなりの駐在官を出しておるようです。日本の状態は、これは厚生省から駐在官がもし出ておるとすれば出ておると思うのですが、あるいは警察側から出ておるのかもしれませんが、どっちがこれを受け持っておりますか。それとも全然外国に対しては駐在官を置いていないということですか。
○野田説明員 警察から現在外国に駐在官を派遣しておりますのは数カ国にわたっておりますが、特に麻薬のみについて駐在官が置かれているというわけではございませんが、香港に派遣してある領事につきましては、従来とも麻薬関係の情報の収集あるいは交換あるいは麻薬犯罪の捜査等について非常な努力を願っている状態でございます。現在ありますものはパリ、ローマあるいはユーゴスラビアあるいは香港、ジャカルタというふうなところでございますが、警察としては、これを将来台北でありますとか、あるいはカルカッタ、シンガポール等数カ所、警察からの派遣員を在外公館に派遣したいという希望を持っておりまして、これらの派遣員は単に麻薬に限らず、治安関係全般について東南アジア各国との間に国際的な警察協力の体制を整えていくというふうな意味合いで考えているわけでございます。
○門司委員 そうすると、現状では香港にややそういうものがあるだけで、ほかには何にもないということですね。ところがアメリカは御承知のようにシンガポールやその他にそういうものを持っておるようですが、ことにローマあるいはその他の都市、飛行機の発着地と目されるようなところにも派遣されておるようですね。そして現在の密輸は海と空と両方からきておることは事実であります。しかし、これはおそらく現地で外国人を逮捕するというわけにはなかなか参らぬかと思いますが、しかしこれらの情報が日本の警察に早く連絡がとられて、そうしてこれに対応する処置がとられる仕組みが必要ではないかということが考えられる。アメリカの場合は警察が主としてやっているようであります。そうして連邦警察との間の連絡で処置をしているように考えられますが、日本の場合は、やはり警察としてはそういうことは必要だということを考えられ、またかりに今度法律改正をするとするならば、そこまでそういうことを盛り込んだ一つの改正が必要だというようにお考えになっているかどうか、その点を聞かしておいていただきたい。
○野田説明員 警察としましては、当然国際的な警察の協力援助等の体制を整備するということは必要なことでございまして、特に麻薬犯罪は一国のみで捜査ができるという性質のものではございませんので、麻薬犯罪の捜査につきましては急速に国際協力体制の整備をしたいというふうに考えております。これらの国際的警察が協力していく態勢をつくっていくということについて格別法律改正が必要であろうとは思っておりませんが、実際問題として予算なりあるいは外務省等の定員の増なり、そういうような措置が必要なのではないか、その範囲でないかと考えております。
○久万説明員 今の海外情報のことでございますけれども、実際に海外から麻薬が入ってくるルートは大体三つございまして、朝鮮と香港と、最近二年ぐらいバンコック、カルカッタ等来るところがふえております。それで私たちの方も、実は二年ぐらい前から、その四カ所のうちの一カ所でも二カ所でもいいから専門の駐在官を置かしていただきたいということは、予算要求も何回もしているのですけれども、今までどうしても入りません。それで来年もまた出しておりますけれども非常に困難だと思うのであります。 それからもう一つは、そういうところに人が行ったら情報が入るかというと、人が行っておるだけではだめで、結局それに対する活動費とか、情報に対する報償費という、目に見えない非常に莫大な金が要ると思うのであります。その点も予算要求いたしております。
○門司委員 どうも聞いておりますと、日本の麻薬に対する考え方はきわめて幼稚であって、この調子ではほんとうにどうにもならないという感じがするのですが、どうして一体そういうなまぬるいことに政府が考えておるかということです。御承知のように数年前ヒロポンの問題があったときには、かなり国内を刺激いたしました。ヒロポンは、御承知のようにその薬の効果が切れてくると、かなり人間が粗暴になってきて、凶悪犯罪を犯かす危険性が非常にある。またそういう犯罪が起こる。従って世間はこれにおびえて非常に重要視してきた。しかしこの麻薬の犯罪は、個人々々が気違いになってあばれ回るが、他人に傷害を与えたり、あるいは物をこわすということは割合少ないのであります。個人々々が廃人になっていくということ、こういう形をとっておる関係から、世間には案外この問題は重要視せられておらないのが現状だと思う。そうだとすれば、実態はヒロポンよりもはるかにこれの方が悪いのであって、同時に社会的に流す毒害も非常に大きいのであります。ところが実際世人の目に映るのは、ヒロポンほどの凶悪性を持っておらぬために極端にそういうことが映ってこない。こういうところに私は問題があろうかと思います。そうだとすれば、実際に当局者にこれに対するいわゆるPRといいますか、政府の認識が欠けておるんだと思います。もし大蔵省が予算をよこさぬというなら、大蔵省の認識が欠けておって、菅原通済さんの言うように、二十年ぐらいで日本人がみな廃人になっても一体よろしいのかという議論が出てくると思う。最もおそるべきものだと私は考える。これはただ大蔵省だけがそういうことなのですか、それとも政府全体がこういう問題に対する認識が欠けておるのか、あるいは今の機構、いわゆるさっき申し上げましたように四つにも五つにも麻薬に対する取り締まりの機構が分かれておって、どれがほんとうにやるんだかわからない。現行法からいけば、麻薬官といっても、法律に百五十人の範囲と書いてあるから、百五十人をこえていないと思いますが、これに配するに取締員を加えてみても、厚生省の人員はわずかに二百か三百程度しかない。そうして何十万も、あるいは何百万というような被害者というか、患者がおるのを監視できない。警察にしても今までこれを何もやってない。辛うじて十月から神奈川県警では麻薬課という新しい課をこしらえて、そうして今までの警備のようなところで取り締まりをするというふうなことでなくして、麻薬に対する専門の養成機関と言うと語弊がありますが、そういう形をとりたいということを考えて実行に移すようでありますが、そうなって参りますと、やはり機構が大きくなればなるほど、お互いの間の連絡がますます密になって、有機的に動かなければ実際は何ら効果がないと考えられる。従って今のお話を聞いておりますと、政府当局のほんとうにまとまった意見がないということは、私は非常に大きな問題だと思う。そうしてこの問題は単に麻薬だけの問題ではなくして、暴力団に最もよくつながって、治安関係に大きな問題を投げかけています。今日の暴力団を養っておりまする最大の資金源はここにあると申し上げても大体差しつかえないと思う。今まで私の手元にきております。たとえば去年の県警の報告書その他を見て参りましても、大体横浜における一日の暴力団の収益が百五十万円と言われております。一日に百五十万円の資金が暴力団に流れ込むということになれば、暴力団にはこれが一番大きな資金源だと思う。従来治安関係でいろいろな暴力団に対する問題が出てきて、資金ルートを断て、資金ルートを断てといってやかましいことを言うのだが、その資金ルートは私はこの辺にあるのじゃないかと思う。当局はこれに対して気がついているはずだ。数字にまではっきり出てきている。大体横浜で取引されるヘロインの数量はこのくらいで、原価はこのくらいで、さらに患者に渡るときの値段がこのくらいである、従って中間の暴力団の手数料はこのくらいになっておる、その数字は今申し上げましたように、一日に百五十万円以上であろうということが書かれておる、一カ月に四千五百万円の暴力団に対する資金ルートがここにあるということになって参りますと、実際の問題としては麻薬の取り締まりであるが、事実は治安関係からくる暴力団の取り締まりの資金源を断つには、やはりここを断つことが最も適切ではないかと私は考える。こういう問題について、ここまで数字がはっきりし、ルートがはっきりしておる問題をどうして根絶ができないかということです。これについてはどういう考え方ですか。私どもしろうとが考えて参りますと、もうこれは一つの刑事犯罪としての取り締まりをしていくということが必要ではないか、単に医療関係からくるなまぬるい取り締まりではなくして、一つの刑事犯罪としてこれを取り締まっていくことが必要だというふうに考えられるのですが、その点はどうですか。
○野田説明員 麻薬犯罪は現在最高十年くらいの罰則になっておりますから、密売なり密輸入という証拠を押えれば、現行法の範囲内ではその程度の処罰ができるわけでございます。従って、麻薬取締法にいう捜査ということ自体が現在なまぬるいとすれば、この取締法の罰則等の強化というものがあれば、これ自体でももっと強力な取り締まりができるということが言えるのじゃないかと思います。何か別の法律ということを特にまたないでも、これらの法律の罰則の強化なり整備という問題でいいのじゃなかろうかというふうに考えます。
○門司委員 今のお話ですが、私の聞いておりますのはそういうことじゃない。問題になりますのは、現行の法律だけでは非常に不備だと言われておりますのは、結局麻薬の犯罪者というのは、麻薬自身を売っても買ってもいけない、持ってもいけないということになっておりますので、患者は全部この罪を犯しているわけです。今四十万、五十万、あるいは百万あるかわかりませんが、とにかく日本におる麻薬の使用者というのは、ことごとくこの犯罪を犯さなければ患者にはなれないのです。患者になれないと言うと語弊があるかもしれないが、事実上なれないのです。そうだとすれば、それが取り締まりの対象にならない。いわゆる今日検挙しても判然とした証拠のない限りは起訴されない。そして取り扱いの上では、当然犯罪者であるにもかかわらず、これが犯罪としての刑罰を受けないで、病院に収容するというような程度で今日おかれておる。そういうことでは、いつまでたってもなかなかなおらないと私ば考えておる。従ってこれをなおそうとするには、一つの刑事犯罪としての取り扱いをして、むしろ刑務所に収容するという建前をとるべきではないか。これは少し言い過ぎかもしれません。麻薬患者にしてみれば、とんでもないことを言うやつだというように考えられるかもしれない。しかし、事態はそういう刑法上の対象になる犯罪を犯していることには間違いないのである。そうだとすれば、単に更生策として麻薬患者を取り扱うということでなく、刑事犯罪としての取り扱いをしていく、その中で刑務所に特別の施設を講じて、これがなおるような治療を施していくことの方がむしろ親切なやり方ではないか。今これをつかまえて持っていっても、どうも起訴もされないしするから、仕方がないから——ひどいやつは刑事犯罪人であることは間違いないのだが、しかし起訴もされない。だからこれを別の方法で病院に収容して——強制収容もなかなか困難だ、いわゆる精神病というような形で取り扱うにしましてもなかなか困難だ、そして長期これを収容するわけにはなかなかいかない。出て来た者についても十分な職業補導というものはない。やはり舞い戻ってきてまた患者になる。そしてこれがだんだん広がっていく。この患者の最もおそろしいのはどこにあるかと言いますと、統計を見て参りましても四三%から四七%、約半分の患者は、最初は興味本位なのです。どうも注射をしてみると気持がよさそうだからやってみようかという、きわめてあいまいな気持からくる患者が非常に多いということに大体統計が出てきている。そうだとするとこの麻薬の所持あるいは麻薬の注射というのは明らかに刑事犯罪で、これを犯せば結局懲役に行くんだというような、ただ密売をした者その他について死刑だとかあるいは無期だとかいうような重たい刑罰も必要でございましょうが、それよりも、興味本位にならないように、何らかの線を引く必要はないだろうかというように私は考える。病気から注射をして、それから中毒患者になったというのは、わずか一〇%くらいしかないということが書かれておる。そうだとするとどうしても興味本位でこれが使われるというところに危険性があるのであって、この興味本位をどうして押えるかということが問題になりはしないかということです。考えるとちょうどヒロポンと同じような形であって、ヒロポンの方はこれとやや違っておりますが、一時頭がすっとするからというようなことで、マージャンや何か夜明かしでやるやつが、強精剤のつもりで使用したことが原因ですけれども、これは興味本位でやっておるのです。しかもそれが統計で明らかになってきておる。そうするとその興味本位でやるということをどうして押えるかということが問題にならなければ、いつまでたっても問題は解決しない。さっきもお話のように需要のあるところに供給があることは事実であります。従って供給源を断つということも一つの積極的な方法でありますが、消極的にはやはり需要源を断つということが最も大きな問題になる。だからその辺の考え方を当局はどう考えられるかということです。今後法律改正をしようとすればそういうふうにして、たとい興味本位でもこういう麻薬を注射したりあるいは手に入れたりすることは、明らかに一つの刑事犯罪であることは間違いないのであるが、現行法では非常に取り締まりにくい、いわゆる証拠裁制度をとっておりますから、事実上麻薬を持っておらないとか、事実上注射を打った跡がないとか、しかし中毒患者であることは間違いがないというような諸君についてはどうにもならないような気がする。だからそういう者についての取り締まりを、もう少し、今申し上げましたようなことについてできないものであるかどうかということです。その辺のお考えがあるなら一つ聞かしておいていただきたい。
○久万説明員 私たちの方で考えている強制収容の問題は、今大体麻薬の中毒患者で二千名くらい毎年発見されておりましても、起訴されるのは千名ぐらいでありまして、それからあとのは今先生のおっしゃったようにそのまま帰されてしまう。その帰されてしまう分を、われわれの方はできるだけ強制的に収容したい、そういうふうに考えております。それからもう一つ、これは法務省の問題でございますけれども、刑法改正の草案の中に保安処分というのがございまして、今先生が言われたような患者を——患者というか犯罪者をそういう保安処分で処分したい、いわゆる強制的に入れておきたいというようなことも法務省の方で検討中だと思います。
○門司委員 これも検討中であれば、それ以上追及してもしようがないかと思いますが、時間も十二時を過ぎておりますし、きょうはお二人ですから、最初に申し上げましたように政治的のことは聞かないつもりでありますが、そうすると、現在のままで一体どうすればほんとうにこれが断ち切ることができるかということであります。これはさっき申し上げましたように、対外的にはあばれたり、人殺しをやったり、人を傷つけたりするようなことにならないものですから、非常に世間に騒がれていないようでありますけれども、私はもう少しこの麻薬のおそろしさというものを世間に知らせる何かの必要がありはしないか。麻薬取締官をふやして取り締まりをすることも必要でしょうし、警察の方がそういう特別の麻薬課を設けて、そして取り締まりに当たることもけっこうでしょうが、やはり国民全体におそろしさというものを知らせる必要がありはしないか。犯罪だから、これは全部刑事犯罪として取り扱うのだというふうに、おどかすというと語弊がありますが、国家権力による一つの押え方と、それからもう一つはやはり国民が麻薬は非常におそろしいものだという認識をするPRが必要ではないか。二つの面が両立していかなければ、これはなかなかなくならないのじゃないか。それがさっき申し上げましたように、最初の麻薬患者の動機というものは、四五%以上というものが興味本位から来ているということに統計が出ております。PRが非常に完全にいけば、この二つの方法が国民に認識されれば、案外麻薬から来る被害というものはなくなるのじゃないかということが考えられるのですが、その点はどうです。PRの方法は一体どういうことになりましょうか。
○久万説明員 私たちが考えています麻薬の対策は、一つは取り締まりの強化でございます。それからもう一つは麻薬中流者の収容の問題、それから三番目は、今先生のおっしゃった啓発宣伝、そういうことを考えているのです。それですけれども、最近毎日麻薬の何かがテレビとか新聞あるいはラジオ、そういうもので出ておりますけれども、大部分が私たちが意図しておるようなものじゃなくて、興味本位に取り扱われている点が非常に多いので、その点非常に困っておるのでございます。それで私たちの方としては、来月の中旬に、警察庁の方は、来月一カ月、たしか月間だと思いますけれども、麻薬禍撲滅運動というのをやります。それには法務省の方も、文部省の方も入っていただいて、大いに麻薬のおそろしさというものを皆さんに知っていただきたい。そういうためにいろいろの企画をいたしております。
○門司委員 どうも抽象的ですが、もう少し私どもの考え方としては、役所だけの問題でなく、やはり市民に全部徹底するようなことをしてもらいたいと思います。 最後に私はもう一つ聞いておきたいと思いますのは、さっき申し上げました暴力団との関係でありますが、これは実際はこれを取り扱っておる暴力団の数というものは、ある程度わかっておるのですね。そうしてどうしてこれの検挙が完全にできないかということです。これはある程度警察もわからなければならぬはずでありますから、わかっておると思いますが、ルートが密輸入から来るルートと、それから現在の中毒患者に至るまでのルートというものは、ほとんど暴力団が最大のパイプになっておることは、だれでも知っておる。どうして警察はこれのまん中の運び屋というようなルートになっておる暴力団に、ほんとうに徹底的に取り締まりができないか。これについて何か警察側の御意見がございますか。
○野田説明員 先ほどの、麻薬暴力団の検挙をいたしましたのは、団体数にして百十四団体、検挙人数にして六百八十二人を検挙しております。もとよりお話しのようにこれらの数字はいわゆる氷山の一角のような一部であって、その他の多くの者が検挙を免れておるということは容易に想像できることでございますが、この麻薬捜査の非常に困難なことは、それらが非常に数量の小さいものであって、容易に隠しやすいとか、あるいはこれらの犯罪の証拠をあげていくのに現在非常に苦労をしておるということでございます。要するにやれることができないという、みすみす見のがしておるとは思いませんけれども、何分にもこれらの捜査について今後大いに努力していかなければならない余地があるというふうには考えております。
○門司委員 それで麻薬とこの暴力団との関係ですが、大体暴力団の資金ルートその他の関係で暴力団が麻薬に関係をしたのは、実際はそう古くはないですね。歴史的にこれを見て参りますと、大体六、七年前くらいから暴力団がこれに関係しておることが大体わかっております。そうすると、ちょうどいろいろな問題で暴力団の問題が国会などで論議をされてやかましかった時代で、普通の暴力団の資金源というものは、供給がかなり困難になってきた。そこで暴力団はここに目をつけて、密輸、中でも一番手っとり早いのは麻薬であって、きょう私はここに数字を持っておりますが、ここで数字を申し上げる必要も、お話し申し上げる必要もないと思います。あなた方の方がよく知っておることであります。ばかばかしい利潤をあげておるのですね。一つの暴力団で、神戸から横浜へ持ってきて、そうして一年に七千万円くらい利益をあげておるというのもあったのですね。一方、この暴力団の資金源がやかましくなって押えられて、そこから入ってこない。そこで暴力団はここへ目をつけて資金源を求めるようになってきたのではないか。いわゆる町のやくざのはびこった一つの原因じゃないかということが考えられる。そう考えて参りますと、私はやはり警察で何とかして資金源を押えていけば押えられないことはないのではないかと考えます。 もう一つ、最後に聞いておきたいと思いますことは、最近この犯罪については少年を使っているのですね。これは新しい傾向です。少年はとっつかまってもすぐ出てくる。長く引っぱられておるようなことはありません。というようなことで、最近はチンピラというか、少年を使う現象が非常にふえてきておりますが、これに対して何かお考えはございますか。これはなかなかむずかしい問題だと思いますけれども、相手方が非常に巧妙になって、使い走りをしたりあるいは約束の場所に届けるというようなことは子供にやらせる。そうするとつかまってもすぐ説諭くらいで帰されてしまう。あとくされがない。こういうことで青少年の犯罪がどんどんこういうところにふえてきている。こういう点についての感想が警察側にございましたらお聞かせ願いたいと思います。
○野田説明員 確かにお話の通り、最近麻薬暴力団の手口が非常に巧妙になりまして、少年とか婦人を手先に使って配達、販売その他をしておるという現状でございます。もちろんこの少年、婦人等の手先に使われている者の取り締まりも現在やっております。これを通して少年を使っている元凶というものをどう押えるかということにも現在重点を置いてやっておりますが、格別名案もないままに、これらの次々と発生してくる事案の捜査、逮捕等に現在追われているという状態でございます。
○門司委員 それでもう一つの問題は、こういう場所はきまっているのです。私実は県警にもしばしば参りまして、それからほかの方とも話をしておりますが、一体どうして横浜が日本で一番大きな麻薬の巣くつになるのか。神戸に揚げられたものが横浜に来る。横浜に行けばとにかく麻薬があるということで、東京からもどこからも横浜に出てくる。横浜には御承知のように麻薬銀座という名前があります。とてつもない名前をつけたものだと思いますが、そこで問題になってくるのは、ドヤ街をなくするということがそういう犯罪の一つの巣をなくするということになりはしないかという感じがする。そうなって参りますと都市行政の上に現われて参って、そういうスラム街を新しい市街に改造していくということが出てくる。単に取り締まりだけでなくて、市役所なり県庁の都市計画との関係あるいは住宅との関連性も生まれてくる。こういう面について当局側としてどうしてもらいたいというような意見があったら、この際聞かせておいていただきたいと思います。私がこういうことを言いますのは、皆さんも御承知だと思いますが、横浜の黄金町から寿町の実態を見てみますと、伊勢佐木警察の署長に先日会いましてどうだと聞いてみますと、警察の四割くらいはここに主力を注いでいるけれども、どうにもならない、手に負えないと言っておる。そういう迷路といいますか、警察が手を入れても裏だか表だかわからない、上だか下だかわからないような町の構造になっておりますから、そこに地理になれた小さな子供がうろちょろしておるので、つかまえようとしても、なかなかつかまえにくい、やりにくい、こう言っておりましたが、これは単に厚生省を責めてみたり、警察がけしからぬと言ってみたところで、なかなか画らない、一つの原因がそういうスラム街にあるとすれば、スラム街をなくするという建前をとるべきだ、こういうふうに考えられますが、そういう点についての御感想があったら一つお聞かせ願いたい。
○野田説明員 いわゆる麻薬密売のスラム街の解消問題についてはもう全く御意見の通りだと思います。私どもとしましても、これらの地域が沿革的に終戦直後の疲弊と混乱の中で、引揚者あるいは戦災者等によって不法に占拠されておるままに今日続いているというようなところもございますし、その後合法的な原因は必ずしもなくて居住しておるという者も一部にはある。しかしそれのみでなく、現在それらの地域におきます飲食店あるいは簡易宿泊所あるいはバー等を見ましても、合法的に営業を営んでおる者もある。従いまして違法な原因によってそこにいるという者については、それぞれの行政当局の措置によってそれを排除していくということば、当然強力にかつ敏速に進められるべきだというふうに要望しておりますが、それ以外の合法的にある程度存在している者については、いろいろな角度からいわゆる助長行政の方面で必要な対策措置を講じて、これらのスラム街というものをなくしていく大きな行政なり政治というものが行なわれてほしいというふうにわれわれも要望しておるわけでございます。
○纐纈委員 関連して。ただいま麻薬の問題につきまして門司先生からいろいろ御質問がありまして、大体私ども常識的に承知しておる問題以上にいろいろなことを御質問願ったのですが、これに対する答弁を聞いておると、まことに大事な麻薬の取り締まりについて、どうも歯がゆいような感じで伺っておるわけなんですが、もとより密輸ルートというのは世界的に何かえらい大きな組織を持っておって、なかなか大物がつかめない。せっかく捜査してやってみても、ほんとうのはしっこのような者が次から次へ出てくるということを聞いておりますし、密輸ルートはそういうことで取り締まりが非常に困難なことも私どもは承知いたしておるわけであります。ただ先ほど来の質問等に出ておることからいきますと、いわゆる麻薬患者と申しますか、これはすでに犯罪者でございます。しかも病院なんかに入っておりまして、お医者さんなどの説を聞きますと、少なくとも六カ月くらいは治療しないと麻薬常習のあれがとれないというようなこともいわれておるわけであります。ところが実際入院しておる者の状況を見ますと、先ほども課長からの答弁によりますと、一番短いのは四日くらいというのがありましたが、少なくとも一月以内で帰ってしまう。結局麻薬の悪いことを病院で知っておりながら、退院して麻薬が打ちたいというような気持になってくるということなんです。そこで提案ですが、明らかに患者は法の違反者であるということでございます。しかも入院しておる連中も、ほとんど下層階級と申しますか、麻薬を自費で買っておる、場合によると、今のやくざ、暴力団の中で、たとえば親分から金を出してもらって、帰ってくればそれを倍にして稼がなければならぬというような組織もあるということも聞いておるわけでございますが、どうなんでしょうか。課長さんに一つ承りたいのですが、病院に入っての病床が足らぬということで早く退院させる、もう少しやっておったらよくなるということができないのか。それをいつまでも、病院の制度でありますから、御当人の意思に反して病院にとどめておくことができないという点も一つあるかと思うのでございますが、そういうことであれば刑務所のように強制収容してそれをやるということが可能ではないかと思うのでございます。そういうような点につきまして、今までお考えになっておられるでしょうか。少なくとも病院に入っておるような者は徹底的にあれして、常習癖を直すまで治療しなければならぬというふうに私は考えておりますが、その点はどうですか。
○久万説明員 麻薬患者が今入れられる病院は精神病院であります。そうしますと、精神病院というのは、今ほとんど患者さんが満員で、次に入る人が待っておるような状況であります。そういうこともあって、精神病院自体も麻薬の患者を入れることをいやがる。それからもう一つは、麻薬の患者は精神病院に入りますと禁断症状がとれるまでは無我夢中ですから、そのままで、どんな患者さんと一緒でもわからずにおるわけでございますけれども、直ってしまうと、自分は普通の患者なんだ、一緒におるのは精神病者だということで非常にいやがりますし、患者の家族としても精神病院に入っておることをいやがる。それですから、麻薬を打ちたいために早く出たいというのではなくて、そういうところにおるのがいやだというので早く出たいということで、ほかの精神病の患者あるいは精神薄弱者というものを扇動して病院から抜け出していく、あるいはまかない征伐をやる、病院の方としても非常に扱いにくい。それですからどうしても特別の刑務所に入れることも必要ですし、また医療としてなおすとしても専門の病院をつくらなければいけない、あるいは精神病院に入れるとしても別な病棟にするとか、そういうことをしないと、いつまでたっても麻薬の患者というものは収容できないのではないか、そういうふうに考えられるわけであります。それで、それに対する一つの現われとして、兵庫県の垂水に垂水病院というのができて、今そこには百床ベッドができております。そこでは麻薬とか薬物中毒者、そういう者を専門に扱って、今たしか四十名ばかり入っていると思います。
○纐纈委員 麻薬愛好者と申しますかが何十万か、相当あるというようなお話を承っておりますが、ただ病院へ入るのがいやだというようなことで何も施策か行なわれぬということに——私は実は無理なことはよくわかりますが、やはり厚生省なりでそういう考え方を持っておられること自体に実は私は不満がある。これは理想論になるかもしれませんけれども、愛好者をある程度全治せしめていけば結局麻薬につながる犯罪が、密輸の問題とかいろいろな問題がありますのですが、そういう問題は、私はほんとうにそれが徹底すれば根絶するのではないかと思うのです。そういう問題まで私はこの際真剣に考えていかなければならぬのではないかということを実は考えるわけです。 それからもう一つは、どうも先ほどから、保安局長の話もありましたのですけれども、取り締まりの問題につきましても、どうも厚生省と警察とがある程度うまく歩調が合わなかったりするようなことがありはしないかという感じもするわけです。これは税関の問題もありましょうし、それから法務省の関係もあり、厚生省、警察ばかりの問題ではないのですが、いろいろ関連はありまするけれども、何と申しましても私はこれは非常に大きな問題であり、ことにいたずらからだんだんとそういうふうに常習者になっていくというようなことで、そうして気違いになってしまうというようなことになる。またそれをなおすということになると、ほんとうに長いことかからなければならぬということで、これはほんとうに——もっとも外国なんかの例を見ると、政治資金をつくるためにこの麻薬を密輸するとかなんとかということが相当行なわれておるというところもあるということですが、とにかくこれは人間に対する——先ほどオーバーだと言われたのですけれども、原爆の次に麻薬だというような、そのくらい私は大きな問題だろうと思うのでございます。そういうことですから、もう少しこれは私は徹底的に対策を講じてもらわなければならぬと思うのですが、どうですか保安局長、取り締まりのなには相当足らぬということなんですが、これはある程度取り締まり警察官を増員するということにおきまして、この麻薬取り締まりの効果を相当上げることができるというお考えを持っておられますか、どうなんですか。相当徹底していくためにはどのくらい増したらいいのか。大体大きな都市が中心になっておりますが、ほんとうに門司さんが言われたように、いろいろな問題が関係しておりますから、それは今交通事情が非常に悪いということで、交通局までつくって対処しておりますが、これももちろん今のなにからして大へんでございますが、麻薬が国民に流す害悪と申しますか害毒と申しますか、これはほんとうに私は容易ならぬ問題だと思いますが、その点何か御検討がありますか、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
○野田説明員 麻薬取締官の増員問題につきまして、昨日も庁内で長官、官房長等といろいろ打ち合わせておりますが、できれば増員をしてほしいというふうにわれわれはもちろん考えておりますが、現在交通の増員その他等の関連もありまして、まだ最終的な結論にはなっておりません。現在麻薬取り締まりに従事している警察官というのは、もちろん麻薬専門の警察官もおりますし、同時に暴力団等の捜査と関連して兼務でやっておる者もおります。現在約二千人余りが麻薬捜査に従事しておるわけでございまして、これを希望から言えば倍ぐらいにしたいという感じは持っておるのですけれども、現実の増員の問題になりますれば、そのような点をよく詰めてぎりぎりの線を出して、もしできるものならばそれを実現したいというふうに今研究しております。もう近く結論が出るんじゃないかと思います。
○纐纈委員 私は、先ほど来申しましたように、局長は、増員の問題についてはいささか遠慮がちのように考えられておるようでありますが、これは国家財政の関係、いろいろから言って、来年度の予算は五〇%、五割増しくらいの程度であるというような制約があるようでありますが、しかし大事なものはどうしてもやらなければいかぬと思うのです。そこでこれはほんとうに一つ真剣になって、政府の方でも麻薬取り締まりに対してはもっともっと、——私は今までの形においてもまだまだ徹底できるのではないかという感じもするのですが、もう少し真剣になって、これの撲滅のために大いに関係各省と連絡しまして、一つ大いにがんばってやっていただきたいという要望を最後にいたしまして、質問を終わります。
○門司委員 これは十月に大体予定されておりますが、東南アジアのこの問題に対する警察官の研修会が日本で開かれるということになっておるように聞いておるのでありますが、これに対して日本のあなた方の方のこの会議に出される何か腹案等ができておりますか。またそういうことが事実行なわれるのですか、東南アジアの警察官研修会というようなものが。
○野田説明員 東南アジアの七カ国に、警察庁長官から、関係国の警察庁長官に招請状を出しまして、派遣要請をしておるのは事実でございます。この派遣要請に対する回答がまだ参っておりません。一、二来たところもございますが、九月一ぱいまでに回答を得て、その回答のあった国々との間に研修を進めていくという計画を、現に進めております。それらの主たるものは麻薬取り締まりの法制あるいは機関あるいは麻薬事情等についての情報の交換あるいは麻薬取り締まり上の国際協力の方法等について、研修を進めていくという予定でございます。期間は約四十日間で、これは警察相互間の今後の協力体制強化のためにもぜひ充実したものにしていきたい、かように考えております。
○小澤(太)委員 ちょっと席をはずしまして、あるいは質問があったかと思いますが、一、二伺いたいと思います。 第一点は、現在厚生省所管の麻薬取締官、これは一つの府県に一人か二人くらいで非常に手薄でありますが、それと警察とどういうふうに取り締まりの職務を分けておるのか、その点が第一点。それから、私は非常に不徹底だと思いますので、もっとこの分け方などもはっきりさして、たとえば医療用に供する麻薬、これについて、その限度内における正しい使用を確保する意味での麻薬取締官の活動、それ以外はすべて犯罪として警察官が取り締まるというふうにして、もっと犯罪の面を大きく見てやるべきであろうかとも思いますが、これは条約上あるいは法律上のいろいろな制限があると思います。あるとすれば、それをどういうふうに改正して——何かはっきりした筋を通した取り締まり体制を確立する必要がありますので、それに対する現状と御所見を第一にお聞きしたい。 第二点は、中毒患者に対する療養の問題でございます。これもいろいろお話がございました。私も昔、実はアヘン患者の矯正について矯正委員長をやったこともありまして、多少経験がありますが、非常に意思の薄弱な人ばかりですから、医学的にはなおりましても、精神的になおっておらぬというのが大部分です。しかしどうしてもある程度の医療措置をして、強制的にそういう悪習を断つということは必要だと思いますが、それとあわせて麻薬の供給源を何とかして断つ、はっきりさせる、こういう措置が必要だと思います。それには何らかの形で、この供給について国家が責任を持って関与する体制をつくってはどうだろうか、これはしろうと考えですけれども。そうしてそういう面からはっきり麻薬の供給を押えていく、こういうふうなことを考える必要はないだろうかと思うのであります。禁止的な方法として、国家がその流通に強力に権力を持って関与するというような方法をお考えになる必要があるのではないかと思いますが、これに対してどういうお考えであるか、お二人から伺いたいと思います。
○野田説明員 麻薬の犯罪の取り締まりについて、警察と麻薬取締官と両方でやっておるわけでございますが、一面から申しますと麻薬犯罪は、先ほどもお話がありましたように、暴力団と結びついている、従って脅迫、恐喝あるいは傷害、売春、白タク、あらゆる他の犯罪と結びついて麻薬の取引が行なわれているというような事態もございますので、警察といたしましては麻薬専従者のみでなく、あらゆる係官を動員して、できるだけ広い窓口から麻薬捜査を強力に進めているという状態でございます。これは麻薬の一般犯罪について、今後ともそういう線を強化していかなければならないということは、間違いのないことだと思いますが、一面、その麻薬の密輸入者あるいはその他の中には、かなり高度の秘匿性をもって、隠密に巧妙に動いているものがあると思います。これらについては継続的に組織的に密察しあるいは内偵し、長い期間、一つの作業を進めていきますと同時に、いわゆる麻薬についてはおとり捜査等も認められておりますので、それらの専門の技術官というものも養成して、そういう面に重点を向けていくというような捜査方法もあろうと思います。そういう意味で、麻薬取締官と警察官と仕事は同じように進めておりますけれども、現在までのところ、率直に言いまして、警察は今言いましたように約二千人が動いておる。警察の全組織をあげてその情報の収集に努めておる。麻薬取締官は全国で百五十名でございますから、今までのところ別段大きな競合というものは起こっていないわけであります。大体検挙した件数の九割が警察で、一割が麻薬取締官という実績でございます。 なお警察と厚生省の犯罪捜査に対しての協力につきましては、警察官と麻薬取締官と相互に協力する協定を結びまして、警察官が職務の執行上、いわゆる大麻法やケシの違反で科料を課するような事案を警察が発見した場合は取締員の方に通報する。また麻薬取締員が犯罪捜査を行なって留置場がないとか、あるいはその他いろいろ施設の問題もございますので、警察から応援をほしいという場合には直ちに応援にいくというような協定もできております。原則として警察の方は犯罪の取り締まりだけでございますが、麻薬取締官及び麻薬取締員の方におきましては、医療麻薬の取扱者に対するところの違反の行政監督なり処分という面もやりますし、一面では取締官は麻薬の重要な犯罪に対する継続的な視察、内偵にも従事をしておるという状況でございまして、現在までのところ、警察と麻薬取締官との間に、具体的に捜査上大きな支障があったというものはほとんどないわけでございます。また麻薬犯罪は、現在検挙しております件数のほかに、非常に多くの潜在している犯罪があるわけでございますから、これらの多くの潜在している犯罪に対して、両君とも強力に取り締まりを進めて参らなければならない。従って限られた範囲内の小さい事件で両方が競合する場合には、どっちに譲っても大差のない問題でありますから、双方で個々のケースについて協議、打ち合わせをして、それらの問題をこえてさらに多くの取り締まりの成果を上げるように前進をしていきたい、かように考えておるわけであります。
○久万説明員 今保安局長が私どもの立場について大体説明されました、その通りでございます。 それで、最後に先生から麻薬の供給源を断ったらどうかという、これは正規の麻薬でございますか、どういうものでございますか。
○小澤(太)委員 正規の麻薬はもちろん、医療用に使う麻薬をもっと強い国家管理にして、従ってそれの悪用を防ぐことはもちろん、そのほかのものも取り締まるようにするならば、正規と不正規のものがはっきりいたしますから非常に便利だと思いますが、どうですか。
○久万説明員 正規の麻薬のことですと、麻薬の原料になりますアヘンは国が輸入をして、国と国の貿易でなければ輸入ができないことになっております。それですから、それからの横流れというものはほとんどございません。 それから麻薬の製造というのは、毎四半期ごとに報告をとりまして、それによって需給関係を見まして、製造業者に割り当てをしておるわけであります。今でも原料を私たちの方で握った形で、割当の制度でやっております。それでございますから、それがメーカーから問屋、それからお医者さんのところ、そういうふうに流れるルートは画然といたしております。それで、それに対するメーカーの免許は厚生省でございますけれども、それ以下の免許は都道府県知事の権限によっております。それで、取締員を全国で百名置いておりますのも、その取扱者の方の指導、監督をやっておるわけであります。それですから、その点は私たちの方としては取扱者については有名の取締員がやっております。 それから密輸、密売の関係は百五十名の取締官がやるのだというふうに考えております。それで、厚生省といたしましては、保安局長のお話ししたことにもう少しつけ加えますと、結局正規のルートの麻薬を全部物として、物の流れを追っていくという関係から、不正のものが正規のルートに乗ってきても困るし、また正規のものが不正のルートに流れてきても困る、そういうことで百五十名の厚生省の取締官もあくまでも麻薬という、物に対して追っかけているのだ、そういう考え方で仕事をさせておるわけであります。それですから、先ほどお話のように、確かに私たちの力は検挙件数も検挙の人員も大体一割に満たないと思います。せいぜいいっても二割にいくかいかないかで、毎年そういう例であります。しかし物に対しては、大体全国でいろいろの機関が押収する四割ぐらいのものは押収しているつもりであります。
○小澤(太)委員 そうしますと、現在の取り締まりの両局長の分野はそれでよろしい、要するにその機能をもっと発揮するために取締官なり警察官の充実をはかる、これでもって足りる。それから供給に対する国家の管理の仕方は、輸入を一元的に国家でやっておる。これだけであとは製造業者その他に対する監督、監視をもって十分足りる、こういうお話ですね。あわせて麻薬中毒患者に対する強制療養の制度を考えておる。その考え方で緒川せんじ詰めると、強制療養の制度を開くということと、取り締まり能力を拡充する、この二つに尽きるということですが、何かほかにあなた方のお考えがあるのですか。
○久万説明員 先ほどちょっとお話ししましたように、今犯罪に使われているのはほとんどヘロインでございますが、そのヘロインは日本では製造も所持も輸入も何もできない。それが入ってきて、それが犯罪に多く使われる。そうしますと、結局これが流れてくるのは先ほど御説明したように朝鮮か香港、バンコック、カルカッタそういうところから来ておりますから、そういうところからの的確な情報が入手できるような方法を講ずればよいわけであります。
○永田委員長 太田一夫君。
○太田委員 一時までの予定でお尋ねをいたします。これは警察庁にお聞きします。 八月二十六日、第十四号台風が過ぎ去りました日曜日、午後二時、相模川におきまして、ダムの放流によりまして六名の行方不明者を出したという事件がありました。なお米軍その他ヘリコプターが出て遭難者を救わなければならないという大騒動になったという事件がありました。この件につきましてお尋ねしたいのです。今までかくのごときケースの事件はしばしばあったのではなかろうかと思いますが、その点はいかがでありますか。
○三輪説明員 この相模川に限って申しますならば、しかも最近の例で申しますならば、私の承知する限りでは六月十一日、十二日にダムの放水をいたしておりまして、それぞれの機関に管理者から通報され、警告が発せられ、不幸な事故が起こらずに済んだということがございます。
○太田委員 それは不幸なことが起きなくて済んだ普通のケースでありますけれども、全国的には不幸な場合に見舞われた事故というのがあるのじゃなかろうかと思いますが、今まで過去にそういうケースがありましたか。
○三輪説明員 お尋ねのケースは、申しわけございませんが、ただいま用意してございませんので、これは調査の結果を後ほどお答えすることをお許しいただきたいと思います。
○太田委員 御用意がないようでありますけれども、事実はあるということを知っていらっしゃると思うのです。こういう事件は今までしばしば各地にあるけれども、大して大きな問題にならなかった。それは運が悪いくらいのことで片づけられておるのです。お気の毒でございました。ところが今度の場合、非常にケースが大きかったために、新聞紙上に大きく取り上げられたのでありますけれども、これは何かどこかに欠陥がある。六月十一日、十二日の放流に際しては、通報ないしは連絡というものがうまくいっておった、こういうことでありますけれども、通報、連絡というのはこれは現在特定多目的ダム法第三十二条によりますと、通知と周知という二つの項目があり、通知は市町村長及び関係警察署長に通知をする。それから一般に対する周知はサイレン、警鐘並びに拡声機等によって遺憾なく行なわなければならないということになっているわけです。この手続が一つでも省略されたり、怠られたりいたしますと、住民に対しては重大なる被害を及ぼす。事人命に関する水の問題で、非常に大きいのでありますにかかわらず、ダムの放水というのが割合に軽く見られておって、ダム側に非常に寛大であるという気がする。相模川の場合はこれは県の管理でありますから、地方自治体の問題でありますけれども、その他一般的には、その水からいろいろな事業を起こすという私的なダムがたくさんあると思う。これは河川法第何条かによって許可を得てやっておられることでありましょうけれども、これは周知並びに連絡というこの二つの手続を怠ってやったとしたならば大へんです。ところが周知、連絡も形式的ではだめだと思いますが、そういう点について何か手抜かりがある点はないか、御所見はいかがでしょうか。
○三輪説明員 先ほど申しましたように、全国の一般として私は承知いたさないのでございますが、今回の相模川の事故についてだけ取り立てて申し上げたいと思います。 相模川の今度放水いたしましたダムは、いわゆる相模堰堤という相模湖のダムと、道志堰堤と申します道志川のダムとがあるわけでございます。これが合しまして相模川に流れることになります。そのおのおのに堰堤操作規程という県の規定がございまして、そこでは水門を開いて水を放出いたしますときには関係の機関に連絡をしなければならないことになっております。これは水系の各水防機関でございますとか、あるいは下流の堰堤の主任者でございますとか、あるいはこれは上流と思いますが、公営区長、発電所長、水道事務所長というような関係者とともに、津久井地元警察署長に連絡しなければならないということに相なっておるのでございます。そこで他の関係機関のことは別といたしまして、警察ではこれを受けてどうなるかということでございますが、地元津久井警察署におきましてはこれを受けますと警備実施計画並びに同実施要領によりまして、これを下流の相模原警察署並びに厚木警察署に通報をいたすのでございます。もちろん地元ではサイレンを吹鳴するというような地元に対する警報はあるわけでございますけれども、事が起こりましたのは下流でございますので、それにしぼって申しますと、関係警察署に通報し、同時に県警本部に報告をいたすということになっております。今度事故が起こりましたのは相模原警察でございます。相模原警察署はこれを受けますと消防本部それから砂利業者の大手のところが三つございまして、これに通報し、同時に管下の四つの関係駐在所に連絡をいたすことになっておるのでございます。受けました関係駐在所はおのおの計画に基づきましてその管内の砂利業者並びに釣をやります釣の家と申しますか、料亭というようなものがございますが、釣宿のようなところだと思います。これがおのおの名前がきめられておりまして、一軒のところに通報をいたすということになり、受けました砂利業者並びにその釣の家の者はその関係の砂利業者、同業者並びにその釣人の家は釣に出た者に連絡をする、警告をする、こういうことにそれぞれきめられておるのでございます。今回のことにつきましてその連絡と警告がどういうふうになっておったかということをただいままで私どもで聞きましたところを御報告いたしますと、午前六時四十分に相模堰堤の管理者の方から、午前十時になりますと五十トンの放出をする予定だという予告がございます。それから九時二十分になりまして、これは道志ダムの方から、すでに九時から十五トン、九時半になりますとさらに加えて四十トンを放出するという通報を、これは直前に受けたわけでございます。最初のものは数時間前の予告でございまして、通常の場合その前に実際の連絡を受けますので、今回はそれがなかったわけでございますが、道志ダムの連絡がございました直後に、相模原警察署に九時二十五分に津久井の警察署から連絡が行っておるのでございます。そこで津久井の警察署から直ちに先ほど申しました消防本部には三十五分、なお引続き砂利業者の大手の三つに言いましたほか、九時四十五分ないし十時五十分までの間にそれぞれの駐在所に連絡をいたしておるのでございます。不幸な事故がございました場所は二カ所でございまして、これは麻溝巡査駐在所と新磯巡査駐在所、この二つの管下になっておるのでございます。麻溝巡査駐在所の方では、砂利業者に二軒、それから釣の世話をする家に二軒、料亭と申しますか、先ほど申しました釣宿と思いますが、それが二軒、六軒通報いたすことになっておるのでございます。これは署から連絡がございましたときに、駐在は後に申しますように警らに出ておりまして、連絡を受けたのはその妻でございます。この妻から、それぞれこれらの機関には連絡をいたしております。駐在所の所員は午前九時に、おりからのあらしでございますし、この川のふちに行きまして水位を見、さらに管内をずっと、そういった現地を見て回っております。午後零時三十分ごろまでの間ずっと見て回っておりますけれども、当時まだ水位のふえ方は二十センチほどであったように聞いております。当時は、しかし雨が相当強いのでございまして、釣あるいは砂利取りの作業等をしている者はこの管内では見ておらないのでございます。それからもう一つ新磯の駐在所でございますが、これは九時四十五分に通報を受けまして、午前十時ごろ駐在所を出まして川の堤を警らいたしたのでございますけれども、このときには作業をしておる砂利業者は一人もなく、釣をしておる者が三人あったそうでございます。これには警告をして立ちのかせておるのでございます。それからこれは砂利業者が四軒、それから船持ち一軒、料亭が一軒、それから磯部のせきの管理委員会というところに一カ所、これは七カ所通報することになっておりますので、これをやっておるのでございます。そこで、先ほど申しましたように、昼までの間は、一方では釣の影も見られない、一方では三名について警告をしたというような状態でございました。ところが駐在が帰りましたあとで一組の作業員、西松建設と申しますか、そういうものが、あそこの水の取り入れ口の工事をやっておりましたものが、十二時過ぎに、ちょうどコンクリートが着いたというので、作業のために中州に行っておるのであります。それから釣をする者がその後にやはり中州の方に渡った者があったのでございまして、結局近所の者がこれを見て、いずれも警告をいたしておるようでございます。結果から見まして、十三時四十分ごろに相模川の昭和橋の付近で魚釣をしておりました五名の者が流されそうになり、これは付近の者あるいは通行の方々十五、六人で、ロープ等を出して橋の上からこれを救い上げておるのでございます。それから十三時四十七分ごろに四名の方が乗用車一台とともに流されてしまったわけですけれども、これは当時自動車が二台ありまして、釣の人はそのほかにも五名おったのでございますけれども、これも地元の人々の警告がございまして、一台の方は間に合うように片づけて渡って逃げたのでございますけれども、もう一台の方は——まだその当時水の増勢など目に見えるというような状態でないようでございまして、聞こえないふりをするとか、あるいは何か相談をしているように見えたが、ついにそこを動かずにおり、そのうちに急に水がふえたということで、不幸にして流されてしまったわけでございます。それからもう一カ所、先ほど申しました西松の工平場で八名、当時そこに、同じようなところで、やや離れたところに川名、釣をしておる者がやはりあとで入ったようでございます。釣をしております者のうち二名は、増水の結果自分で渡ろうとして途中で押し流されて、これが行方不明になってしまったのでありますが、その二名の者と、それから工事をいたしておりました八名の人は割合広い中州におりましたために、急にはまだ流れる状態ではございません。そこへ急報を聞いてかけつけた警察官が船を出そうといたしましたけれども、もうそのころはなかなか船が出せない。そこで座間に連絡をいたしまして軍のヘリコプターを飛ばしてもらい、これら十二名の者を救済をいたしておるのでございます。先ほどちょっと言い違えたかと思いますが、そこの釣の者は救われまして、ちょっと離れたところにおりました二名が増水のために流されてしまったというふうに報告を受けております。一般的に申しまして、相模川の場合でございますと、上の増水、放水が影響を与えますのは、せきを締めなければならないというような下流一般に対する影響と、あとは川原で仕事をいたします砂利業者並びに釣をする人々に対する警告であろうかと思います。そういう意味で、ここは警備計画に基づき警察としては、大体私ども聞いております限りは、連絡、警告はやられたものと考えるのでございます。しからばどうしてああいう結果が起こったかということは、先ほど申しましたようにいずれの手にせよ警告は伝わったと思いますけれども、実際に水がその当時流れました量を後に調べたのでありますけれども、十時に相模湖の相模ダムから五十トン、道志の方から五十五トンといたしますと百五トンであります。百五トンの水が常時の流れ水に加わりました際に水がふえますのは、事故がありましたあたりでほぼ二十センチといわれております。ところが実際は、昼ごろに放出された水の量は両方で八百トンといわれております。そうしますと事故のありましたあたりは一メートル六十センチの水深になるということでありまして、また詳しい調べではございませんけれども、最初に通報されました放水の量が後に非常にふえたということについて、管理者側から警察側に対する通報がなかった。この点は究明しなければならない点だと思います。しかしながら実際に不幸な事故がありました方々から見ますると、警告を受けながら目の前の水の流れを見てなお退避しなかったという事情のように聞いておるのでございます。
○太田委員 三輪局長のお話は、相模川の事故についてよくわかるのでありますが、聞いておって思いますことは、やはり一つの手続というものが行なわれれば、結果がどうなってもこれは単なる過失だということになるのであって、責任がない、いわゆる免責だ、こういうことに結論が出ていくだろうと思います。はたしてこれが免責的なものであったか、それとも責任が非常にあるものであったかということは、後日に若干論争を残す種を今提供なさいましたが、しかし警察当局として生命を預かる——これは生命を保護するという建前からいきまして、今の建設省なら建設省が持っております法律の建前は通報と周知であります。だから通報と周知という制度が今のままでよろしいかどうか。これは口頭をもって通知をする、あるいはまた便宜電話で通知がされる。どこどこへ通知をすることになっていることをその通りやれば、だれがやってもそれでよろしいということであれば、その通知を受けた方々はわかりますけれども、一般に周知ということにならない。だからあとから来た者が川原に入ることになる。それからまた、サイレンなどを鳴らせば手続が完了する場合もあるとすると、ダムを放流する場合においてサイレンを鳴らす。サイレンは何キロ平方聞えるはずだと言ってみたところで、風向きその他騒音によって聞えない場合がある。一たん鉄砲水がきたら、砂利をとっていた人、砂をとっていた人、遊んでいた子供とかあるいは釣をしていた人が流れたという例があるのであります。だから周知徹底に科学性がない、科学的措置が欠けておると思うのです。こういう点を何か御措置を考えておるかどうか。たとえば汽車が通るときには、きまり切っておるけれども、踏み切りの警報機が鳴って、長い間踏み切りが遮断される。それからホリドールなどを使った田畑には赤い旗を立てて、劇薬を使ったというしるしを出して、その畑やたんぼには人が一人も入らないという措置がとられる。そういうようにこの川には何時に何トンからの水が流れてきて、人命はあぶなくなるおそれがあるから入っちゃならないぞというときには、だれがいつ突然に来て水浴びをしようとしても、これは鉄砲水がどっとくるおそれがあるという予告をするものが目の前になければならない。そういう措置に欠ける点があるからこういう事故が起こる。だから駐在がどんなに足を棒にして走り囲っても周知徹底できません。そういう点があるから、どこかに法体系上のミスがあるような気がしてしようがない、法律上の措置に欠陥があるような気がしてしようがないのですが、その点いかがですか。
○三輪説明員 御指摘のように一応警告をいたしましても、その後に知らずに入る者があるわけでございまして、いつ行ってもその川がそのときにそういう危険があるのだということがわかる方法が、その場に応じて適切にございますれば、ぜひそれをとるべきである、これはもう御指摘の通りと思います。しかしながら御承知のあの相模川一帯のごときは、実は釣をする気であれば、沿岸どこからでも入れるという状態でございます。また家にいたしましても、ところによりまばらで、なかなか一カ所から全体を見通すという場所ばかりでもございません。そういう意味でどんなところから入るにしても、そういうことがわかるようにするという方法は、実はこれは今立て札を立てるとかなんとかということはやっておらないようでございますから、これは警察としてもよく検討し、改むべきは改めなければならないと思いますけれども、なかなかむずかしいことだと思うのでございます。 また先ほど御説明いたしましたように、どこにも話をすればということでも、その先に通じないではないかという御指摘でございますが、これはそうではないのでございまして、めいめい受けた者がどの範囲の同業者に、どの範囲の釣をする者に伝えるということにその末端はなっておりまするために、そこに行った者がさらに手分けをして、現場に伝えるという方法をとるということになっておりまするし、現にまたそういうことで、不幸な事故にあわれた方にも地元ではあぶないからもう引き揚げなさいということを通じておるわけなのでございます。 もう一つの問題は、やはり何トンの水が出た、鉄砲水がきたときに、どういうことになるんだという認識が、東京あたりの人にはなかなかないわけでございまして、日の前の危険がすぐに認識できないような状態でございますと、今のような警告をかりにいたしましても、なかなかそれに従わないということがあるわけでございます。一般的に今回の問題など大きく報道せられましたので警告になったかと思いますけれども、なおその点については一般に認識をするような方法を講じるべきものであるというふうに考えるのでございます。遺徳ながらいついかなる時期でも、どこの場所に入っても、必ず周知できる科学的な方法というのは、ちょっと私ども考え当たりませんし、またそういう方法がここでとられていたというふうにお答えする自信もございません。
○太田委員 これはあなたにお尋ねしては御無理かと思いますけれども、水防法十条の五などによりますと、水防団及び消防機関は、そういうような場合、これは一種の洪水でありますから、出動すべき義務があるのじゃないか。警察は常に生命、身体、財産の安全を守るという立場から見ましたならば、総合的な機能を発揮して、いかなる鉄砲水にも耐えられるという警戒体制は考えなければならぬ。それは人的なものもあれば、科学的、機械的な設備もありましょうけれども、万全を期す体制が何かこの際考えられなければならないと思います。その原因を究明はされておりますが、対策について画期的なもの、徹底したものが何もないように承わりますが、あなたの方に、今後はこういうふうにした方がいいと思うし、こういう方針であると意見の御一致が認められるものがもしありましたら、一つそれを適当な機会に御発表いただきたいと思うのです。このままの制度におきましたならば、いつまでたったってこういう災いは繰り返されるだろうと思うのです。ぜひそれをあなたの方にお願いしておきます。 それから念のためにお尋ねします。刑法百十九条は、これは生命ですから、この際これにはあまり該当しないのですか。
○三輪説明員 これは何と申しますか、ダムの放水につきましては、私から説明するまでもないことでございますけれども、ある一定の水位以上にダムの水がたまりますと、上流の田畑に冠水をする、あるいは上流の家に浸水をするということになりますので、ある一定の水位に達しました場合には、下流に対する影響をできるだけ少なくしながら放出をいたすわけでざいます。これだけの数量の水をこのときに流したことがはたしてどれだけの危険になるかということは、技術的に検討を要しますけれども、これをもって直ちに流水の罪に当たる可能性があるというふうには私ども考えていないのでございます。
○太田委員 百十九条の溢水非はこの場合にそのままに当てはまらないと私も思う。しかしあらかじめこれはそういう場合にもあてはめるようにするのが、関係者の認識を深めて生命を守るゆえんではなかろうかと思うのです。そう思いますので、必ずしも溢水罪そのまま、まともにぴたりと当たることではありませんけれども、どんどんダムがふえて、そのダムによって常時は川はほとんど砂利ばかりで、しかも一たん雨が降ったり何かいたしますときには、自分の都合によってダムを一挙に開く。その場合には水があふれたからダムを開くのじゃないでしょう。ダムの底にたまった土砂を排除するためにダムの閘門を開いて水を一挙に押し流し、ついでに自分のダムの底をさらえてしまうということさえもあるのですから、この取り締まりということは警察官の方においては、さらに科学的に体制を整備されるベきだと思う。きょうはこの程度にしておきますが、ほんとうに科学的な措置をこの際十分完備されることが必要、たと思います。そういう点、今までのやり方じゃやっぱり不備だという点は、皆さんも御同感でございましょうね。何かその点ございますか。
○三輪説明員 どうも適切なお答えがこの場ではできませんけれども、しかし今御指摘のようにダムが非常にたくさんふえますし、またその放水によって事故が起こる可能性も次第にふえるわけでございますから、従来通りがいいということでなしに、科学的に人命の救助という観点から、通報、警戒あるいはかりにそういうことが起こりましたときの刑法の適用等について考え直せという御注意については、全く私どもは同感でございまして、十分検討いたしてみたいと思います。
○太田委員 消防団、水防団等の任務並びに活動の内容についてお尋ねしたいことがありますので、明日は一つ消防庁長官の御出席をお願いしておきたいと思います。
○永田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時十分散会