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41回国会衆議院1962/11/12

大蔵委員会 第10号

発言数
216
登壇者
14
会派数
3
開催日
1962/11/12

会議録

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 これより会議を開きます。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  金融に関する件について、本日の委員会に日本銀行総裁山際正道君に参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。      ————◇—————

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 次に、本委員会は、去る十月各地に委員を派遣し、税制、金融等の実情を調査いたしたのでありますが、この際、派遣委員より報告を聴取することといたします。鴨田宗一君。

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員 先般実施されました第一班国政調査の結果については別途書面をもって報告することといたしておりますが、とりあえず口頭をもってその概要を報告申し上げます。  第一班の国政調査は、税制、金融、国有財産の管理及び専売事業等の実情調査を目的として、去る十月十五日から十九日の五日間にわたり、宮城、山形、福島の東北三県について行なわれました。  調査先は仙台国税局、東北財務局、山形県庁、山形税務署、山形財務部、会津若松税務署、国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫、北海道東北開発公庫、日本不動産銀行の仙台の各支所支店、東北開発株式会社等であり、また山形県においては金融機関との間に金融懇談会、福島県においては酒造業者との間に酒造懇談会を行ない、なお東北開発株式会社の会津ハード・ボード工場を見学いたしました。  以下、調査の結果のうち主要な点について申し上げます。  まず、東北六県を全国と対比してみますと、面積では一八%を占めておりますが、人口では一〇%を占めているにすぎません。さらに経済力では、たとえば全金融機関の預貯金が五%程度、国税の徴収額が三%程度を占めているにすぎません。これは、東北の産業構造が第一次産業を基盤としていることに基づくものであること言うまでもありません。従って東北開発を促進する必要はきわめて大なるものがありますが、東北は工業立地条件が悪い上、山岳によって隔離されている地域が多いので、拠点開発というよりも交通網の整備拡充が先決かつ基本の問題であるという意見の開陳が山形県知事よりありました。  次に、今回の金融引き締め政策による景気調整と東北経済についてでありますが、東北の後進性を反映し、政策の浸透はおくれ、ことに豊作や豊漁に恵まれて農漁村地帯の経済には明るいものがあります。しかしながら、鉱工業の中には深刻な不況感の台頭を見るに至っており、こういう点から最近の東北電力の料金値上げが特に電力消費の多い鉱工業にとって大きな痛手となるのではないかと非常に憂慮されております。  次に、東北の国税の特徴は、酒税の比重がきわめて高く全国の首位を占めていることであり、また酒税に次ぐものが所得税、法人税の順位となっていることであります。なお、最近の徴収状況について特に注目されることは、法人税の滞納が目立っていることであり、これはやはり東北の鉱工業の不況を反映する一端と見られるわけであります。  次に、税務職員の住宅問題でありますが、税務職員は転勤が激しい上、住宅事情はことのほか悪く、住居不安定者は全職員の二割程度に達しております。従って、公務員宿舎の確保と整備はきわめて切実な問題となっており、国税局からも各税務署からも口をそろえてこれが解決に対して強い要望がありました。  次に、国有財産の管理についてでありますが、東北では実態不明の土地が意外に多く、面積で約四割を占めていることが注目されました。これは、人員及び経費の関係で実態調査が非常に立ちおくれているためであります。そのほか、未利用、不法占拠等の財産も見られますが、これらについては急速に善処する必要を感じた次第であります。  最後に、私どもは各地で種々陳情を受けました。そのうち、日本酒造組合中央会東北支部よりの陳情は、酒造用原料米の政府売り渡し価格の引き下げと早期決定並びに米代金の延納基準販売価格の早期改定、密造対策の強化及び酒造業者に対する長期低利資金の供給についての強い要望でありました。また、杜氏組合代表より酒造工に対する失業保険の適用継続と受給資格期間の短縮についての陳情がありました。また東北六県たばこ耕作組合連合協議会代表より葉たばこ収納価格の大幅引き上げ等の陳情がありました。また、全国税東北地連より配置がえ、住宅、機構の改変及び不当労働行為に関する陳情がありました。  はなはだ簡単でありますが、以上をもって御報告を終わります。(拍手)

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 毛利松平君。

毛利松平自由民主党

○毛利委員 第二班、南九州地方国政調査報告。  先般実施いたしました国政調査について、第二班南九州地方の調査の概要を報告申し上げます。  調査の期間は、十月十五日より六日間でありまして、おもなる調査先は南九州財務局、熊本国税局、鹿児島、宮崎、大分の各財務部及び税務署、熊本及び鹿児島の専売公社地方局、宮崎県庁、各金融機関及び酒造組合等であります。  調査の詳細については別途報告書に譲ることといたしまして、南九州の概要を申し上げますと、面積は約三万平方キロで全国の八・三%、人口は六百二十万人で、全国の六・六%でありますが、その産業構造は生産性の高い第二次産業の比重が低く、農林業を主体とする第一次産業の比重が高く、そのため一人当たり所得は八万三千三百八十六円で、全国平均の十二万二千六百七十円に比し、六八%に当たり、いわゆる日本の低所得地帯を形成し、その地域的格差はさらに開きつつある傾向を示しております。南九州は一口に五千億経済といわれておりますが、その約五五%が公経済資金に依存し、この面からもその後進性が指摘せられております。他面これが消費伸長の支柱をなして、景気調整下にありながらあまり不況ムードは見られず、低位安定の姿を呈している実状であります。各地において金融機関関係者と懇談会を開き、一般金融情勢、中小金融問題等について隔意なき意見の交換をいたしましたが、特に中小企業に対しては、県外移出等奨励の資金、設備合理化資金、新規地場産業造成資金等について特別融資制度を設けて、積極的に努力していることがうかがわれました。  次に、南九州の租税事情について申し上げますと、その租税構造の特質は、酒税が総税額の三割以上を占めて、全国平均の約二倍に当たっていること、法人税の占める割合が全国平均を大きく下回っていること、申告所得税のうち、農業所得及び山林所得が全体の三五%を占めていること等であります。そして昭和三十六年度の国税収納済額は二百五十二億円で、これは全国対比で一・四%に当たっております。  次に、国有財産の状況を見ますと、管内の普通財産総額は六十九億四千二百万円で、うち旧軍用財産が二十九億三千二百万円、雑種財産が三十六億一千万円となっております。  普通財産の実態調査は、人員及び予算に制約されているためか、進行状況はあまりはかどっていないように見受けられました。  最後に、各地の要望事項を申し上げますと、熊本国税局よりは、管内九税務署の老朽庁舎の新営を、特に老朽のはなはだしい三名、玖珠、鹿児島、大分、川内の五税務署の三十八年度新営について要望があり、また公務員宿舎の充足、特にその戸数並びに建坪の増加については、各税務署からも切実な要望がありました。  また各地において、九州縦貫自動車道の早期着工が要望せられ、特に宮崎県知事よりは新産業都市の建設促進とともに、東九州縦貫高速自動車道の建設が要望せられました。  日本酒造組合南九州支部よりは、本年四月改正された酒税法のうち、本みりんの基本税率対象アルコール分の是正と基準販売価格の早期改定、酒造用原料米の政府売り渡し価格の引き下げ、並びに早期決定について強い要望と陳情がありました。  以上簡単でありますが、南九州班の報告といたします。(拍手)

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 ただいま派遣委員より報告がありました事項について、政府より発言を求めます。田中大蔵大臣。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 ただいま行なわれました国政調査報告につきましては、実情を十分調査の上、善処いたしたいと存じます。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 お諮りいたします。各派遣委員より提出されております報告書を本日の会議録に参照として掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう計らいます。      ————◇—————

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 税制、金融、証券取引及び専売事業に関する件について調査を進めます。質疑の通告があますので、これを許します。藤井勝志君。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員 私は、先般塩の専売に関しまして、当大蔵委員会でいろいろ御質問をしたのでありますけれども、ちょうど前水田大蔵大臣御不在のためにはっきりした結論の出ない点もありますので、本日はそれを含めて、専売関係を中心として大蔵大臣にお尋ねをいたしたいと思うのであります。時間の制約がきわめて厳重にあるようでございますので、これから要点を指摘してお尋ねをいたしたいと思います。  私は、新大蔵大臣である田中先生に、特に非常な若さと果敢な実行力と非常に明快な判断を持って実行を着々やっておられますので、これからお尋ねしようとする問題は、従来とかく問題になりながらも結論が出ておらない、しかも大切な問題でありまして、特に専売の関係は、直接には専売公社総裁の責任において遂行することになっておりますけれども、専売公社だけでは簡単にいかないという従来のいきさつ、事情を考えますときに、ここに日本専売法にのっとって、大蔵大臣がやはり監督し、これを指示するという建前が、日本専売法、専売公社法の第四十四条を引用するまでもなくはっきりしておるわけでございますので、あえて大臣に一つ明快なお考えをお示し願いたいと思うのでございます。  第一点は、私はこの専売公社の事業運営というものが、従来ややともすればいわゆる官僚的な一方的な運営がされて、いろいろ専売事業が起こされたときには、国の財政をささえるというところから出発した沿革もあるでしょうけれども、それが結果するところは、専売公社のもうけ主義に堕して、現在それを扱っている生産者であるとかあるいは販売業者、そういった関係者が、国の現在の政治の方向は、いわゆる農業においては農業基本法が成立を見ておりますし、中小企業者においては中小企業基本法の成立を目前にしておる今日の情勢を考えます場合に、やはりこういった関係者に対して国は保護育成をはからなければならぬというふうに考えるのであります。すなわち、国の独占事業たる専売制度のもとにあって、塩であるとかたばこ、こういったものの生産ないし販売が行なわれておるけれども、これは専売なるがゆえに、それらの関係業者は一般行政官庁よりの配慮を受けることがかえって少ないというようなことに相なっておるというふうに私は見ざるを得ない点が多々あると思うのでございまして、これはまさに政治の盲点でありまして、この点について一つ大蔵大臣はどのような見解を持っておられますか、お尋ねをいたしたいと思うのであります。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 専売制度につきましては、ただいま藤井委員から御発言がありました通り、非常に長い歴史を持っておるものであり、過去の日本の行政の上に、また財政の上に、経済の上に相当大きな貢献をいたしましたことは御承知の通りでございます。何分にもこれは非常に長い歴史でありますので、専売制度の中のいろいろな問題に対しては、新しい角度や立場に立っていろいろな問題を是正して参らなければならない時期にあるということを基本的に考えておるわけであります。先ほど申された通り国の収入源として財源確保のために設けられたものではありますが、その意味において、たばこや塩の耕作者やその他の諸君が、ある時期には民間よりも優位な立場に立ち、ある意味においては非常に無理な状態をしいられたということが、そのときそのときの状況によってあることは私も認めるにやぶさかでありません。専売制度は、先ほど申し上げた通り、大へん国に貢献をしておるのでありますから、それらのいろいろな状態を十分勘案しながら、専売制度に協力した皆さんに犠牲をしいるというような考え方ではいけないと思います。それで前提となるべきものは、合理的な収入は確保してやるという姿勢でいくべきだというふうに原則的には考えております。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員 大臣の御答弁によりまして、いろいろでこぼこ、時代の流れによって空白がある。おそらくその御答弁の背景には、現在は非常に薄いということを御認識の上の御答弁と思いますので、これから私は具体的に各論に入っていきたいと思うのであります。  まず第一は塩の関係でございます。昔から言われておる米塩に事欠かないということは政治の要諦であって、これは将来とも変わらない鉄則であろうと思うのでありまして、考えようによっては、私は米よりも塩の方が一そう、いわば空気や水と同じように欠くことのできないわれわれの食糧、必需品である。従って特に食料塩の国内自給というこの原則は永久に堅持せねばならぬ、貿易の自由化、いろいろな問題が最近大きく浮かび上がって参りましたけれども、少なくとも一国をなして共同生活をしていく以上はやはり、国際社会全体が今の状態から変わってしまえば別でありますけれども、現段階においてはやはりこの食糧塩は自給という体制が、これは昭和二十五年でありましたか、閣議決定を見ておる大原則であろうと思うのでございますけれども、この問題について大臣はどのようなお考えを持っておられますか、お聞きをしたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 専売制度、なかんずく塩の問題につきましては、非常にむずかしい問題であることは藤井さんも御承知の通りであります。これは昔は米塩という考え方から一つ専売制度になったわけでありますし、戦時中は世界各国から塩を得ることができないということで、当然自給自足の原則に基づいて特に強化策がとられたわけであります。戦後は御承知の通り米塩という、主食に次ぐ大事なものであるという考え方から、もう一つは工業塩という新しい分野が開かれておりますので、塩というものは一体専売制度の中でどうすべきかという問題は、現実問題とあわせていろいろ考えていかなければならないと思います。そういう意味で専売制度の調査会や、また党にも、各党いろいろな時期にいろいろな調査会や特別委員会がつくられて、これらの問題に対処して参ったわけであります。自由民主党でも御承知の通り濱田委員会をつくりまして、答申を得ておるわけでありますが、この問題に対しては恒久対策と、それから現実的な暫定対策とあわせてやっておるわけであります。方向とすればあなたの言われたような米塩という関係からいえば自給態勢をとるべきだという考え方も一つございますし、新しい工業塩というものから考えてみると、今日本でつくられておる塩が外国から入ってくるものの約倍以上のコストである、こういうようなことから考えると、はたして専売制度を続けた方がいいのかどうかというようなことも検討される過程においては塩田整理等が行なわれた歴史もあるわけであります。私は今的確には申し上げられませんし、また方向をきめるにしても、周囲の状況を十分検討し、しかも長いこと国に貢献をした専売制度の中の功績者であるという面の功績にどうこたえるかという問題にも結論を出さなければならないと思いますので、にわかに結論めいたことを申し上げられる段階でありませんし、またこれをどちらに持っていくにしても、暫定的な、また現実に即応した体制をとりながら最終目標まで持っていくには二年なり三年なりの時間がかかると思うのです。そういう意味で十分慎重に検討しなければならない問題だ、こういうふうに今考えております。濱田委員会の結論はおおむね妥当であるというふうに私は現実問題としては考えております。私が大蔵省に参りましてから大蔵大臣として検討しますと、製塩業者その他長いこと協力をせられた方々の了解が得られるならば、何かある時期にめどをつけた方がいいだろうという考え方がすなおな考え方だろうと思います。それは今の状態で塩の専売制度を続けていった方がいいのかどうかということになりますと、私は——結論ではありませんから、一つ誤解を受けないようにお願いをしたいのですが、今慎重にかまえておりますけれども、専売制度からはずす方がかえって合理的じゃないかというような考え方が今してならないのであります。具体的な理由等に対して、御質問があれば私の考え方を率直に申し上げてけっこうだと思います。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員 私が先ほどお尋ねをした点がきわめて簡単でありましたから、大臣の御答弁がこんがらがって御答弁をいただいたように思うのでありますが、私はまず専売制度の是非という問題は次にお尋ねしようと思ったのでありまして、工業塩と食料塩とを一緒にされて、工業塩の問題が最近出てきたので、この問題はどうこうというふうなお答えでありますけれども、工業塩はもちろん非常に原価の安い輸入塩も入っておりますし、そういったことで現実に相当戦後輸入塩を使っております。しかしながら食料塩、人間が食べる塩は、やはり国内で自給するというこの原則は堅持すべきであるという考え方に対する——多少今大臣が言われたようなことを私は心配いたしますから、工業塩とこんがらがって、工業塩がどんどん入ってきても、一緒くたにして国内の塩は適当に自由化に沿うてやったらいい、こういうことでは困るので、念を押したいためにお尋ねをしたのであります。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 藤井さんのお考えは私も十分承知をしております。おりますが事実を申し上げますと、今業者はこの前の塩田整理が行なわれて、現在は二十八企業、これに対して約二千人の鹹水採取権者がおるわけであります。労務者が四千人、事務員を含めて六、七千人、こういうところでありまして、専売の中で御承知の通り現在年間九十万トン、トン一万円としても九十億であります。これに対して赤字というものが六、七億計上をされておるわけでありますが、長い歴史の上で日本の塩の事業に貢献をされた方々の功績から見れば、何も六、七億の赤字であるというようなみみっちい考え方は持っておるわけではありませんが、自由化のあらし、そういう現実をすなおに考えますと、どうも米塩という、食料塩だけに対しては、外国からくるものの二倍であろうが三倍であろうが、自給自足でもってずっといけるのか、こういうことを考えてみますと、何か口ではいろいろなことを言いましても、実際の行政上の問題からだんだんと追い詰めていって、一つには、鹿児島県の指宿の塩の業者の実態等を見ますと、そういうものを解決もしてやらない、同時に悪い方面にどんどん追い込んでいっておる。こういうことをいつまでもやっておりますと、業者にも迷惑をかけ——迷惑というよりも、特に国が顕彰し、功績にこたえなければならないというような状態でありながら、事実はそれに反した現実がどんどんと進められていくというようなことでは困るので、あるところでもって納得をして、功績にこたえるならこたえる、そういうことをする方がより合理的なのじゃないかというような気持がしてならないのです。結論を出しておるわけじゃありませんので……。九十万トンのうち、日本人が食べる塩というものをこのうち何十万トンというふうにきめて、それだけは二倍になろうが、三倍になろうが、法律をもって恒久的にやれるという態勢の見通しも今つきませんし、同時に、やめてしまおうというふうにはっきりと割り切るわけにもいきませんので、中ぶらりんで非常に迷惑をかけているということに対しては、どこかで踏み切るべきだ。そういう意味で、あなたの今の発言などは、重要な参考としてわれわれも検討しなければならないだろう、こういうふうに考えておるのであって、今すぐ、あなたの言うように食用だけは必ず専売制度を永久に続けるんだとも言い切れない段階でございます。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員 大臣の御答弁をまた引き合いに出して恐縮でありますけれども、私は専売制度は後ほど触れたいと思っておるので……。いわゆる食料塩は国内でつくるという、これを原則的に堅持する、これだけは一つこの委員会ではっきりさしていただきたい。自給するために、現在赤字の経営をやっておる製塩業者をそのまま存続せい、こういうことを私は言っておるのじゃないのです。これはまた別途、採算企業の整理の問題ということは考えるべきだと私は考えております。従って問題は、ある程度今よそから相当安い塩が入るといっても、国内で食料塩が自給できないということになれば、必ず足元を見られて——一刻も欠かすことのできない点では、水や空気と同じぐらいな必要度があるとさえ考えられる塩に対しては、やはり国内で自給する。その具体的な方法は、専売制度を改廃しなければいけない、いろいろ考えなければならぬ、あるいはまた赤字が出てくる企業があれば、それはもちろん整備しなければならぬ、こういう問題は別途として、食料塩は自給するという基本線は、大臣、すっきりとそうであるというふうにお考えになってしかるべきじゃないかと思うのですが、どうですか、重ねてお伺いいたします。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 現在御承知の通り——藤井さんですから、しかつめらしいお答えをしようとは考えておりませんが、専売制度があるのでありまして、塩は専売品でありますので、当然現行法を守っていけばあなたが言われた通りでありますが、これに対して各方面で今ずうっと検討せられておりますので、検討を待って——これは大蔵大臣だけで言い切ってしまうというような問題ではなく、検討を十分していくべきだというふうに考えます。とにかく私は、原則的にここで申し上げられるのは、どっちにころぶにしても、将来どういうふうにするにしても、少なくとも長い間功績のあった塩田業者や、また鹹水採取権者や、非常に不遇の中で働いておられる方々や、先般行なった塩田の合理化整理によって、非常に苦しい中から合理化を進めておられる方々や、そういう方々に迷惑をかけないように、そしてまたそういう方々もお互い一緒になって、納得の得られる結論を引き出していきたい、こういうふうに今考えておりまして、どうもここではっきりとしたお答えをいたさないことに相当含みがあり、現実に即してお互いの考え方をまとめて、よりよい方向を見出していこうという真意を御理解賜わりたい、こういうふうに考えます。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員 それでは私は一応大臣の御答弁——この場限りでなくて、いろいろ今後また御研究をいただくとして、次の問題に移っていきたいと思うのであります。  私は、昭和四十二年、トン当たり六千六百円を目標にしたいわゆる塩業審議会での合理化目標というものが、はたして可能であるかどうか——現在の情勢から見ればこれは不可能に近い。こうなれば国内の塩業の九〇%から九五%ぐらいは壊滅してしまう。こういったことと関連して、先ほどの食料塩自給の原則というものを一応考えなければならぬ。この原則を堅持するという考えでいけば、今の問題の解決の仕方もおのずから考え方が変わってくるというふうに思いますので、昭和四十二年の六千六百円目標がはたして妥当であるかどうか、大臣はどのようにお考えでございますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 どうも私は専門でありませんから、的確に判定はできませんが、石炭の千二百円下げと同じようになって、あなたが言われるように、これはもうあらゆる施策をして国内塩でまかなうというような法律処置その他、いろいろなことが確定をすれば別でありますが、どうもそういうふうに今いかないんじゃないかというように考え、このままの線で押していくと、塩業者に非常に大きな負担がかかるんじゃないかというふうにさえ考えております。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員 ちょっと話が先に返りまして恐縮ですが、大臣の先ほどの御答弁の中で、塩の専売制度そのものの抜本的な検討の時期が来ているというふうにちょっと漏らされたわけでございますが、一応現在の専売公社の、先ほど触れましたような運営の、何といいますか、非能率的ななにから見れば、そういう議論も出てくるかと思うのでありますけれども、うっかりこれを自由企業にした暁、米の統制撤廃と同じような結果を来たすこと、火を見るよりも明らかであります。しかも塩は米以上に保存のきくものでありますから、投機の対象になる。こういうことになると、制度は相対的なもので、絶対いい制度というものはないと思うのでありますけれども、やはりより大きな弊害が予見されるとするならば、企業自由化の方向に踏み切るということは大へんな問題だというふうに思うのでありまして、この点一つ慎重に御検討願いたいと思っております。  次は、これは専売公社の総裁の方にお尋ねをいたしてみたいと思うのでありますが、例のイオン交換樹脂膜法による製塩ですね、これは昨今聞いた話によると、ここ当分の間工業化の見通しがないというふうに漏れ聞いたのでありますけれども、この点どうでありますか。これは現在、昭和三十七年度の塩の収納価格決定においても、この新技術を前提とした価格の算定が含まれておるというふうにわれわれは考えますので、この見通しいかんは、昭和三十八年度の塩の収納価格決定にも大きく響いてくると思いますので、この点一つ御見解を承りたいと思います。

阪田泰二日本専売公社総裁

○阪田説明員 イオン交換樹脂膜法による製塩につきましてのお尋ねでございますが、これは御承知のように現在二工場がやっておりまして、一工場は一万トンくらいの規模、もう一つは五万トンくらいの規模であります。いずれにしても現在操業はいたしておりますが、イオン交換樹脂膜法の効率とかその他の問題のほかに、設備のいろいろな面におきまして故障があるといいますか、トラブルが起きておりまして、それを今直しておる、全体として所期されたような効率が上がるというところまでいっていないのが実情でございます。これは初めてやる企業でございますから、いろいろそういう面が改善されまして軌道に乗ったというところで、イオン交換樹脂膜法のそういう技術の効果を判定してみなければならないと思いますが、現在のところ私どもが予想しておりましたよりはやや進展の速度がおくれておるというのが偽らない実情でございます。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員 予定よりおくれておるというのであって、実際はこの製法の工業化は必ず実現するという見通しでありますか。

阪田泰二日本専売公社総裁

○阪田説明員 先ほども申し上げましたように、現在一万トンあるいは五万トンの工場で操業しておりまして、塩もとっておるわけであります。ただ現状でいきますと、いろいろ各方面にトラブルがありまして、そのために十分に所期の能率が上がらない、従ってコスト高になるわけでありまして、そこが問題でありますので、それを改善いたしまして所期の能率を上げたいということで、現在努力いたしておる、こういう段階でございます。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員 現在原価はどのくらいについておりますか。

阪田泰二日本専売公社総裁

○阪田説明員 このイオン交換樹脂膜法による製塩でございますが、これは新しく工場をつくりまして始めたばかりでありまするので、そういう現在運転をしておりまするような能率でやってどういうコストの塩になるか、正確には計算しにくいわけであります。しかし現状におきましては、大体現在塩田で採鹹して経営しておりまする企業等の原価よりも多少高いくらいの状態であろうと考えております。はっきりした計算はしにくいのですが、そういうことになろうと思います。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員 大臣にちょっとお尋ねいたしたいと思いますが、私もまだ日が浅いわけでありますが、この問題について去年来いろいろお話を聞いておりますと、どうも収納価格の決定が、そういうふうなまだ確定しないイオン交換樹脂膜法という新技術を前提にしたり、あるいはまた食用塩は国内で自給するという原則を考えながらも、どうもその辺がもやもやして輸入塩との価格の関係を考えている、こういうことで、いわゆる収納価格の決定が相当無理がある。従って価格決定後必ず不採算企業が残っておる。こういうことは非常に不合理な取り計らいだと私は思うのでありまして、結局国内で使用する食用塩については自給するという原則をはっきり確認するならば、その前提に立って、公社が必要とする塩の生産者に対しては、採算がとれるような収納価格の決定をする。ところが塩の生産費というものは、業者によって非常に高いところと低いところがあります。先ほど鹿児島の例を引かれたようななにがある。現実に大臣もそれを認められておるのですから、こういうものを早く整備して、今度昭和三十七年度の収納価格一万円台はずっと以前からの目標が一応到達した価格でありますから、この線を前提としてイオン交換樹脂膜による製法がはっきり採算がとれたら、そのときに新たに考えるとして、現在の段階において一つきちんと整理をしていただいて、この収納価格の点については、不採算企業はこの際やめてもらう、そして残った企業がある程度まとまった量を生産し得ることによって生産コストも低減さしていく、こういうふうな考え方によって、この際抜本的に塩業対策、収納価格を中心とした塩業行政について、大臣も一つ身を入れて御研究いただきたいと思うのでありますが、今の考えに対して御見解を承りたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 私は党におりますときに濱田委員会に非常に期待をかけておりましたし、この塩の問題に対しては相当突っ込んだ立場で検討いたして参ったわけであります。でありますので、大蔵省に参りました第一番目に、阪田総裁に、塩の問題はどうするのだ、こういうことを聞いておるような状態でありまして、何かけじめをつけ、て不満をなくしたいという考え方は、あなたと同じ考えであります。ことしの塩の収納価格の決定に対しては、これは暫定的であるかもわかりませんが、濱田委員会の政府に対する御要求もありますので、そういう問題もしんしゃくをしながら、今よりも合理的な決定をしていきたいという考えでございます。この問題に対しては、慎重に、一つ実際に即応した体制でやって参りたいということだけは申し上げておきます。  それからつけ加えて申し上げますと、私がこの百日ばかり大蔵省におるのですが、その間に塩の関係者の方々に何人か陳情も受け、私からも相当突っ込んだことをお聞きしたのですが、今藤井さんが言われた通り、整理をして下さいという人が半分ぐらいあるような気がするのです。ヘビのなま殺しみたいなことをされておって、中途半端なことをやっておられると元も子もなくなってしまって、その手形に判こを押したために自分の家までとられてしまうということで、これはどうすることもできないのでありますからという方々、今はまあ長いことやってきましたから、私たちも何とか続けてはいきたいのでありますが、将来の見通しということがはっきりしないと大体続けていけないという方々も相当あります。同時にあなたが言われた通り、三分の二も整理をして下されば、われわれはわれわれでもって十分採算がとれるような状態で一つ合理化もしていこうと思いますし、政府の方針をきめてもらえばわれわれも協力いたします。こういうように、特にこの前の塩田整理で残られて、二つの塩田を一つにするというような合理化をはかっておられる方々は、今前向きでもって合理化を進めておられますので、そういう方々は非常に熱心な考えを持っておられますが、おおむね考えますと、政府の責任追及というような方々の方が多くて、どっちかけじめをつけてくれ、こういうような御意見が非常に多いような気がいたしますので、阪田総裁にも、数字の上だけでものを考えないで、塩という長い歴史上のものも十分算定をして、まず業者の意見も十分聞きなさい、お互いの意見が合ったところで、何年間かの目標を立ててその解決方法を打ち出すということが合理的だろうというふうに話しておるのでありまして、私はこの問題をなおざなりでもって片づけようというような考え方でなく、何らか合理的な、また賛成を得られる状態において解決をしたいとういふうに、熱意を持って考えておるわけであります。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員 今大臣がお答えになりましたことは、同席の総裁もよくお聞きの通りでありますので、一つこの際、まだ新技術というものが完成しておらない、しかも先ほど総裁の御答弁のごとくきわめて困難な過程をとっておる、こういったことの前提の上に、既存の製塩業者が将来の希望も何もなくなま殺しの状態で企業を続けておるということは、全く現在の世相から考えますと話にならぬ点でありまして、専売事業なるがゆえにまことに冷遇されておるというか、虐待されておるということを考えた場合、一つ大臣において明快な結論を出していただきたいと希望いたしておきます。  それからこれはこの前お尋ねをして懸案になっておりますので、大臣でなくてよろしゅうございますけれども、一つしかるべくお答えを願いたいと思うのですが、一つは塩業整備納付金の問題、これはいろいろ検討されて熱心に努力されていただいておるようでございますから、一つその線で早期に解決をしていただくことを希望して、お答えはよろしゅうございます。災害に対する助成の問題ですが、製塩施設法の第三条でございますか、これにのっとって当然助成を受くべき昭和三十四年、三十五年の災害が、時あたかも塩業整備の大事業が行なわれておったやさきであったのでそのままになったといういきさつでございますが、これにはこの前監理官からお答えを聞きまして、公社には公社の言い分があるようでございますけれども、現実に災害を受けて、それに対して相当の経費がかかった、やむを得ず農林漁業金融公庫の金でやりくりをしたということになっておるわけでありますけれども、今さら遡及して過年度災害の助成ということは、法の建前としてむずかしい。これは、やろうとすれば法律を改正して遡及適用をやればいいわけでありますけれども、せめてこの問題に対しては現在借りている金を、現在の経営状態をにらみ合わせて公社の方で、返還し得るような状態に、もう一ぺん借りかえをあっせんするということくらいは最小限度やるべきではないかというふうに考えておるわけであります。これに対して一つ総裁に、どのような御見解でありますか承りたいと思います。

阪田泰二日本専売公社総裁

○阪田説明員 三十四、三十五年度の災害復旧補助金の関係につきましては、御承知のような事情で、公社としても当時塩業整備の方に全力をあげてやっておりましたので、この方の災害の補助金は当時出さなかったわけであります。現状となりましては、もちろん法律等も必要とするでありましょう。また災害の査定その他をすることも不可能でありますので、現在何らかの補助金といったような措置をすることは不可能と私ども考えるわけでありますが、それにかわりまして資金を融通するといいますか、資金の条件等を考慮するという面につきましては、当時大きな被害を受けました会社等におきましても、かなりその後農林漁業金融公庫でございますか、そういった低利の資金の方に、その会社の借入金の借りかえが進んでおります。なおその他の問題につきましても、生産の増加その他がありまして、経営の状況もかなり最近好転して参っておるようであります。いろいろと当時災害を受けました企業の経理、採算の状況、進行を見まして、もちろんそういう会社が立っていくことができますように十分注意して見て参りたいというふうに考えております。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員 それではほかの問題で、総裁に葉タバコの収納価格の問題についてちょっとお尋ねをいたしますが、昭和三十七年度からようやく生産費の補償方式が採用されて生産費が償われるということに一応理屈はなっておりますけれども、その中に占める労務費——その他の農作物の労務費と比較して労賃が非常に低いということをいわれておるが、最近物価、賃金の変動を加味したある程度の是正はされたようでありますけれども、私はもう一つ、所得の補償を入れて企業利潤のある程度がとれるというような方向にいかなければ、農業基本法の精神からいって非常に時代に逆行するというように考えられるわけでございますが、去年から比較すると大体一五、六%上がったわけでございますので、われわれはいなかに帰って葉タバコの耕作者あたりに大きな顔ができるというような気持でおった。ところがなかなかそうはいかない。結局葉タバコの耕作者の感じというか、これは多少思い過ごしもあるかと思いますが、鑑定やいろいろなことで手心を加えられて、結局予算の範囲内で買い上げられるということになるかもしれないが、上げられたことが結果的に反収の手取りに現われない、こういった苦情を最近聞くわけでありまして、このようなことに対してはやはり今申しましたように所得の補償方式、やはり企業的利潤を加味するような収納価格に持っていかなければいけないのじゃないかというふうに考えるわけでありまして、これに対して総裁の方からこの次の葉タバコの収納価格に対する公社の方針を一つお聞かせ願いたいと思います。

阪田泰二日本専売公社総裁

○阪田説明員 葉タバコの収納価格のきめ方につきましては、ただいまお話のございましたように昭和三十七年度から生産費を補償するという点に重点を置きました算定方式をとりまして、その他いろいろ労賃の高騰その他の事情もございますが、本年度の葉タバコの収納価格は昨年に比べれば、品種によって違いますが、かなり向上しておるわけであります。ただいまいろいろ思ったほどふえないというお話がございましたが、これは私ども鑑定その他については、御承知のことですが、見本をつくりまして、それに合わせて非常に厳重にやっておるつもりであります。ことしは全体としては葉タバコは豊作でございましたが、西日本方面におきましては天候の影響によりましてあまり収量、品質のよくなかった場所もありまして、そういうところの方々が価格は上がったのに収入はそれほどふえないといったような感想を持たれたのではないかと思います。全体としては、ただいまお話がありましたような予算の範囲内で買い上げをやるんだというようなことは絶対考えておりませんので、鑑定の結果いいものがたくさん出てくるということになりますれば、これは当然予算が足りなくなってもこれを補っても買わなければならない、こういうものであろうと思います。  それで将来の葉タバコの収納価格の算定の方式、考え方の問題でありますが、これにつきましては現在の生産費を補償するという考えに基づいたやり方、これは絶対変えるべきものではないというふうには考えておりません。いろいろ産業界、経済界あるいは農業の実情、さらに国際的な考え方等も取り入れまして、今後の情勢に応じた算定方式を工夫していかなければならないと思っておりますが、ただいまお示しの所得補償方式という問題につきましては、これは実は昨年の暮れに開かれた葉タバコ収納価格審議会におきましてもこの問題が出まして、その当時収納価格審議会におきましては、生産費及び所得補償方式の問題については農産物の価格全般にも関連してくる重要問題であるから、農政全般を審議するしかるべき委員会に検討を依頼した方がいいであろうといったような答申をいただいておるわけであります。現在それに基づきまして、農政審議会の方にこの問題につきましては私どもの方から検討を依頼してございますが、まだ御返事はいただいてないという状況であります。所得補償方式の問題は、米に限ってはとられておるわけでありますが、他の農産物については別段こういう方式というものはございません。農政全般あるいは農産物価格全般に関連する非常に大きい問題でありましてなかなか重大な問題でありますので、これからも研究はいたしたいと思っておりますが、まだ結論は出ないという状況でございます。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員 これはお願いをしておきますが、同時に当然考えらるべき問題だと思います。昭和三十七年から四十年にかけて毎年七千ないし八千ヘクタール増反をやろうという御計画のようでございますが、これに対してはやはりそれをやり得るようないろいろ手配をなされないと都合よくいかない。そのための乾燥場の助成問題、これが今までは——今度は一四%くらいの見当でありますが、しかし実質は一〇%程度にいかないということに聞いております。他の農業関係の施設助成を考える場合、あまりにも少な過ぎる。これではお百姓さんが増反しようとしてもなかなかいけない。これは一つ公社としてもう少し実情に沿うた対策を講じていただきたい、このように考えておる次第であります。  ところで、大臣に一つ。私、最近聞いた話でありますが、しょうゆ屋さんが使う塩、これは輸入塩を使っておる。大体原価は三千円くらいのところを売り渡し価格は一万数千円で公社は売り渡している、こういったことを聞いてびっくりしたのです。公社が何もそうもうけなくてもいいではないかというように思うのですが、この点はどういう事情でこうなっているか。大臣はそこまでお気づきでなければ総裁でもよろしゅうございますが、ちょっとふに落ちない。専売事業というものはやはり原価主義で、いわゆる公益専売としてこの塩の専売もやっておるわけでありますから、そういう点も加味して、この際原価主義に徹した運営をやってもらいたいと思うのでありますが、あまりにも営利主義といいますか、もうけ主義がはなはだしいのではないかというように受け取られるわけであります。これに対して一つお答えを願いたい。

阪田泰二日本専売公社総裁

○阪田説明員 国内のしょうゆ業者に供給する塩の問題でありますが、現在におきましては国内のしょうゆ製造用の原料の塩につきましては、大体大ざっぱにいいまして半分は国内産の塩、半分は輸入塩を使っていただいておるわけであります。いずれにいたしましても、先ほど食料塩についていろいろお話がございましたわけでありますが、しょうゆに使います塩もこれは食料塩であります。私どもとしましては、食料塩全体としての採算をとる、こういう意味におきまして、国内で収納します塩、それから食料のためにしょうゆ原料として輸入します塩、こういうものを全部総合いたしまして、採算の合うような価格でしょうゆ業者なりあるいは国内の一般の消費塩を売っている、こういうような形になっております。しょうゆ業者に供給します輸入塩のところだけをとりますと、大へんもうけているように見えるわけでありますが、食料塩全体として採算をとっておりますわけでありますので、御了承願います。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員 ちょっと今のお答えでは、よろしくお願いするということが十分合点がいかないので、あまり公社がほかの方で非能率であって、それをカバーするためにその差益金でやりくりしているというふうにしか受け取れない。従って、この点は一つ一段とお考えを願いたいということで、この質問は打ち切ります。  それから大臣に最後にお尋ねしたいと思いますが、中小企業振興資金助成法の適用が、この酒類製造業者にも今度適用することにお骨折りでなったわけでありまして、まことにけっこうだと思うのでありますけれども、この運用について一、二お尋ねをいたしたいと思いますことは、第一、この適用を受けるものの生産規模がきわめて窮屈であります。すなわち、現在の内容を見ますと、百四十キロリットル以下のものであるか、または企業合同したものでも五百キロリットル未満で、しかもそのうちに一人以上は百六十キロリットル以下のものが入っておらなければいけないという、こういう大へん窮屈な制限があるようでございます。清酒製造業者の中では大体三百リットルぐらいが大部分を占めておる。これがこの近代化資金の対象になり得ないということは、実情に非常に離れておるというふうに思うのであります。これが第一点。  それから第二点は、貸付対象の機械類というものが、大企業しか使われないような、たとえば自動びん詰機であるとか、あるいは自動のこうじをつくる機械、こういったものであって、小規模業者が労働効率を高めていく、こういうところにぜひ必要な機械、たとえば蒸し米の冷却機ですか、こういったものは除外されておる。これはまことに実情に沿わないやり方ではないか。少なくとも生産規模も三百キロリットル以上のものまで拡張をして、また貸付の対象の機械類も中小企業規模の清酒業者にも利用できるような機械に拡大をすべきである。大臣は明年度予算編成を目前に控え、結局これは金の問題でありますが、これに対しては中小企業庁長官に対して、一つせっかく設けた近代化資金の適用を、実情に沿うように御検討願いたいと思っておるわけでございまして、これに対して一つ御見解を承りたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 適用基準の問題及び近代化資金の対象機械ワクの実情につきましてはつまびらかにいたしておりませんが、ただいまの御発言当然のことでありますので、その線に沿って、ぜひできるように鋭意検討を進める予定であります。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員 それではほかに三、四あったのですが、他にも質問があるようでありますので一応これで終わります。

毛利松平自由民主党

○毛利委員 関連。しょうゆ業者に対する答弁は御研究の後でけっこうなんですが、原価三千円か三千五百円で、実際原価計算すると七千円ぐらいにしかつかないのに一万何ぼ取っているらしい、これは近い機会に一つ御検討願いたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 先ほど阪田総裁から御答弁申し上げました通り、約百万トンのうち、食料塩として外塩が入ってきておるのは十六万トンぐらいであります。それでありますから、高いものと安いものをひっくるめて渡しておる、こういうのが実情のようでありますが、検討の余地は十分あります。そうして、現在みそ、しょうゆ業者は自由化に対応せよと政府はいっておりながら高いものを割り当てておってけしからぬじゃないか、物価も下がらないじゃないか、そういう意味では、特別に業者が自己で他に二百五十万トンも工業塩を入れておるという例もありますので、特に国民生活に重大な影響のあるわれわれ業者に直接入れるようにという請願陳情を行なっております。各党からの要請もあります。これに対しての専売法等の問題その他もありますので、実際上どういうふうにするのか、早急に検討をするようにということを事務当局に命じてありますので、できるだけ早い機会に結論を得たい、こういう考えでおります。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 堀昌雄君。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 本日は大臣に減税の問題と金融行政、証券行政、主としてこの三つの問題を伺う予定でございますけれども、実は先般の当委員会で村山主税局長が同僚の横山委員の質問に答えておられる中から少し確認をいたしておきたいと思うことがございます。最近の消費者物価の値上がりを見ますと、ことしの一月から六月までの消費者物価の値上がりを各月の対前期割合でとりまして、その平均を見ると、総合指数で八・九%ぐらい上がっております。そのうち食糧費分だけを見ますと、たしか九・八くらい上がっている。生計費指数としては約一四・五%程度上がっておるのではなかろうか、こういうふうにこの前の委員会で答えておられるわけであります。そこで、その後家計の中のカロリー計算等のいろいろな御検討があったことだろうと思いますけれども、現在時点で、大体この数はこのままで理解してよろしいかどうかをちょっとお尋ねします。

村山達雄大蔵事務官(主税局長)

○村山説明員 その後の各月の指数は、はっきり把握をいたしておりませんが、大体同じ程度だと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 これはこの一月から六月でありますから、来年度は、これから年末に対して非常に出ておりますところの消費者米価の値上げ、電力料金の値上げ、私鉄あるいはバスの値上げ等、公共料金が一斉に上がってくる、こういうことになるわけですけれども、そうすると、少なくとも今のそういうものを加えてみると、一四・五%という生計費指数の伸びといわれているものが、さらに来年度では実質的にはもっと伸びてくるのではないか、こういうふうに考えるわけですが、そこらは、ざっと感触としてはどのくらい伸びるというふうに考えておりますか。

村山達雄大蔵事務官(主税局長)

○村山説明員 まだ見通しが出ておりませんので、いろいろわれわれの方の今後の税制を考える場合の基礎として考えておりますものは、消費者物価で来年度が二%ないし三%程度上がるのではなかろうか、ということを基礎にして考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 大臣にお伺いをいたします。今基礎的な数字につきましては、主税局長が答えた通りだと思います。そこで、今主税局長の方は二、三%の消費者物価の上昇だと言っておりますけれども、私どもはやはり来年度においても、六%程度は消費者物価は上昇するだろう、こういう判断をしておるわけですが、大臣のこれに対する御見解を承りたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 まだ全く数字は未確定でありますから、確たることは申し上げられませんが、去年のように一%、二%といいながら倍くらいに伸びるというような状態もありましたが、この二、三カ月来の国民消費の状態、それから貯蓄の伸び率その他を検討いたして参りますと、来年度は、今年の上期に伸びたような状態にはならないだろうというふうに考えまして、これからいろいろな問題を十分処置しなければならないわけでありますが、高くとも三%をこさないようないろいろな施策を講じていきたいという考えであります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 それからもう一つ、ちょっと前回の委員会で、これは村山さんが、来年度の自然増収は大体二千億から二千五百億程度だろう。これはこの間田中大蔵大臣も、予算委員会等でお答えになっておったかと思うのでありますが、その二千五百億と仮定をいたしまして、この中に占める所得税と法人税との寄与率というものは、大体どのくらいに考えておられるか、ちょっとお尋ねします。

村山達雄大蔵事務官(主税局長)

○村山説明員 二千億ないし二千五百億というのも、ほんとうにこの前お話し申し上げましたように、腰だめ計算でございます。まだデータに基づいて一々積み上げたわけでございませんで、いろいろいわれておるものから判断いたしますと、こういう場合には幾らになる、こういう場合には幾らになる、その平均値をとるとその辺かというところでございます。従いまして、税目ごとにこまかい計算はしておりませんが、おそらくいわれる通りの経済情勢でありますと、ほとんど大部分が所得税の増収になるのではなかろうかということは、容易に想像されると思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 その点は、おそらく大臣も大体同じ御意見だと思いますが、ちょっと確認をしておきたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 現在の状態をそのまま今年度の下期、来年の上期に推し進めていけば、そうなると思いますが、私はこの間の予算委員会でも申し述べました通り、これから実情を十分検討しながら、ケース・バイ・ケースでいろいろ施策を行なっていかなければならないというふうに考えておりますので、企業収益も多少上がるようなことも考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 多少とおっしゃいましたから、多少で了解をいたしますが、実は三十六年度の予算額と税収をちょっと調べてみますと、所得税は当初予算に対して一三五%、それから法人税は当初予算に対して一二三%というのが、これが実収の割合であります。ですからこのことは、昭和三十六年は御承知のように非常に景気のよかった年でありますが、にもかかわらずやはりそこで非常に伸びておりますのは、実は所得税の方の伸び率が当初の見込みより大きかった。そして今度は、その実収の見合いで三十七年度の予算がつくられたと思いますが、所得税は四千九百五十八億に対して予算が四千九百七十九億、法人税が七千百四十二億に対して六千九百九十九億でありますから、法人税は本年度はすでに内輪に見積られております。こういうふうに考えてくると、今村山主税局長が大体申しておりましたように、そして大臣もお答えいただいたように、来年度の自然増収というものは、ほとんどこれは所得税の増収というものが占めるであろうということは、過去のこれらの計数を見ましても、大体想像せられるころであります。これを一つ頭に置いていただいて、減税の問題について話を進めたいと思うのでありますけれども、ちょっと主計局の方にお尋ねをいたしますが、今回の消費者米価の値上げによって、食管会計の中に入ってくる額、これは一体幾らになる予想でございますか。値上げ分です。

相沢英之大蔵事務官(主計官)

○相沢説明員 今年度における食糧管理特別会計の国内米管理勘定は、先般の消費者米価の値上げによりまして、生ずべき赤字が減少することになったわけでありますが、その幅は、実のところなかなか正確に申し上げにくいのでございます。と申しますのは、買い入れ数量が大体四千四、五百万石になろうかと思いますが、それがまだ確定いたしませんこと、それから国庫余裕金の利用率等、これまた年度末まで見ませんと、損益がどの程度になるか影響がございますので、それもまだ現在のところは推定で申し上げるしかできないわけであります。そのほかいろいろと、保管料あるいは運賃等の要素も、支出実績見込みもまだ正確に立てられない段階でございまして、正確な数字というのは申し上げられませんが、大体のところを申し上げますと、五百五十億程度というふうに見ております。これは消費者米価の値上げに伴うもののほか、全体の約一割五分程度、例の酒米やらあるいはその他の工業用の米もございます。そういうものの価格の改定も織り込んでおります。ですから一律一二%という計算ではございません。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 その他の工業米は今論議をするのにむずかしくなりますから、ちょっとそれをはずして、一般消費者が余分に払う額の総体ですね、これは今のようにラウンド・ナンバーでけっこうですけれども、大体どれくらいになりますか。

相沢英之大蔵事務官(主計官)

○相沢説明員 大体五百億程度であります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 実はこれは私非常に問題があると思うのでありますけれども、来年度一年間に約五百億の金が国民の側から国の方へ入ってくるわけですね。このことは表現はなるほど消費者米価の値上げでありますけれども、実態的に見れば無差別的な五百億の増税を、全国民といいますか、米作農民は別になりますから、それを除いた部分に対してかけるということに私はなると思う。そこでちょっと大蔵省の方にお伺いをいたしたいのは、米作農民でおそらく普通の米を買わない国民の数でもいいです。世帯数でも何でもいいですが、それと実際に米を買って値上がりをする国民の大体の割合というのはどのくらいに見ておられますか。

相沢英之大蔵事務官(主計官)

○相沢説明員 ちょっと正確な数字は申し上げにくいのですが、大体消費者の配給を受けておりますのは六割程度ではないかと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうすると今の五百億というものは国民の大体六割の部分にはまともにかかってくるということになると思う。そのかかり方を少しこまかく生計費の中で調べてみますと、昭和三十五年の総理府の家計調査で調べますと、大体全国の勤労者世帯の平均で申し上げますが、五千円から一万円までの収入のある人たちで一体幾ら米代を払っておるかというと、二千二百五十七円です。それから二万円から二万五千円くらいのところで二千七百十円、それから三万円くらいのところで二千九百三十七円、五万円で三千二百九十六円。要するに米に対しての家計の支払いというものは所得が三倍になりあるいは五倍になっても大差がないということが、現実の日本の家計の中の姿です。これを今度は割合の方で調べてみますと、さっきのは全体を平均すると二千九百二十九円になっておりますが、割合で見ますと、消費支出の中に占めるところの米の割合は全体では九・七%でありますけれども、五千円から一万円までの収入の人たちは一六・八%、一万円から一万五千円が一六・六%、二万円から二万五千円のところが一二・七%、そしてだんだん上へ参りまして五万円のところへいけば七・八%と、実に低所得の人の半分以下の比率に減ってしまう、こういう実情があるわけです。税の場合には大体上に向かってふえていくというのが税の原則ですけれども、消費者物価の値上げのような形で、これは税とは表現されておりませんけれども、税と同じ種類に強制的に支払わされるこの費用については非常に逆伸性が強い。このことは今度の消費者米価の値上げというものが国民に与える与え方の中には、少なくとも与党の方でもごく低い低所得階層の対策はお考えになっておるようですけれども、実際はごく低いところだけではなくて、この資料で見ますれば、少なくとも三万円以下のところでは米の負担というものは相当大きな負担になっておるということが明らかなわけでありますから、ましてやこの課税限度の三万円以下のところ、今私が申し上げました一万円から二万円くらいのところは実際の支出の約一七%を占めておるということは、なかなか簡単な問題ではないと思う。これを一律に一二%平均上げたとして、そうしてさっきの一年間の延べで見ますと、大体二万円くらいのところで、年に三千円は少しこえますけれども、この消費者米価の値上げだけによって国に吸い上げられることになる、こういう事実が非常に明らかになります。  そこで大臣にお伺いいたしたいことは、こういう米の値上げというものを今の中で減税との関係では一体どういうふうに考えておられるか、これだけではなくてそのほかの要因もありますけれど、要するにもろもろの消費者物価の値上がりというものは、結果としては今の可処分所得を減す方向に作用するわけでありますから、その点で問題は税を払っている人と払っていない人とに区別して考えなければなりませんけれども、まず当面最初にお話があった来年度の自然増収は所得税によってほとんどふえてくるということが一つ、そうして今のような各種の料金の値上げによって非常に家計にしわが寄ってくるということが一つ、この二つから考慮しても、来年度はまずいろいろな政策の減税もありましょうけれども、所得税の減税をまず第一に行なうということが、減税としてのあり方の基本だと私どもは思うのでありますけれども、これについて一つ大臣のお考えを承っておきたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 減税につきましては何回かお答えを申し上げております通り、基本的な姿勢としては所得税の減税を行ないたいという考え方はその通り持っておるわけではありますが、今年度から三カ年くらいの目標をもって新しい税制調査会が発足をしておるわけであります。でありますので、私も第一回の会合に出席をいたしまして、いろいろな実情を申し上げて、現在の考え方で二つあります。今のあなたの申された通り、所得税減税といういわゆる底上げを何らかやらなければならないだろう、理想的な数字が出ないにしてもそういう考え方が一つあります。もう一つは短い時間でもいろいろな問題に対して政策減税という問題が訴えられております。これらの問題を私の方では項目別に申し上げて、税制調査会の審議の過程において、これから変化し得る、また変化をしたような実情は数字や資科をもって御説明申し上げますので、第三者的な高い立場で一つ検討して、来年度予算編成に必要な面については十二月の初めごろまでに結論を出していただきたい、こういうことを言っておりますので、あげて税制調査会の結論待ちということに今いたしておるわけであります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 税制調査会でもおそらく減税については行なうべしという方向が出ると私は思います。これが第一点。もし減税をするとすれば、やはり今のような私の申し上げた実情からするならば、所得税の減税をやらないで、今おっしゃる政策減税、たとえば預金利子の特例に関する問題、あるいは証券の配当に関する免税等の特例の問題、こういうふうな問題が——現在なるほど日本で資本蓄積は必要でありましょうけれども、その方が先に出て、基本税額の所得税としてのものがなおざりにされるというようなことは税制調査会の答申にはあり得ないと私は思います。そこで順序として所得税を減税しなさい、その他の政策減税もやむを得ないものは多少必要があるかもしれないというような答申が出たときに、大蔵大臣として一体いずれを重視するか、この点を仮定の問題でありますけれども一つ伺っておきたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 これは答申尊重という考え方でいかざるを得ない、また当然尊重すべきであるというふうに考えております。しかしいずれに重点を置くかという問題は予算の立て方、政策の重点をどこに置くかという問題であって、今にわかに所得税に重点を置きますとか、また政策減税に重点を置きますとかはなかなか言明の限りではない、こういうように考えます。  それはこういう考え方を深刻に持っておるわけでありますが、今あなたが言われた通り、税を払っておらない低所得層にまず一番手厚いことをしなければならないという考え方と、それから第二の二万円、三万円という相当数に上る方々は減税ということに一番ウエートを置いているのか、また住宅の問題とか、その他差し迫った問題に対してどちらにウエートを置くかという問題、いろいろな事態がありますので、そういう面も十分検討しながらできるだけ政策的に均霑をするような状態を一つ見出していこうという考えで、今こまかく分類をして、最も低所得者に対しては、政府が予算で計上していくべきものは見る、またそれよりも少し上の方に対しては社会保障のみではなく、文教政策、教科書の無償その他もありますし、こういうものが一体どこまで及ぶのか、その上の層に対してはどういう影響が与えられるのかというような問題を、今各省の査定を行ないながらこれらを十分検討して合理的な線できめていきたいという考えでありますので、今どちらにウエートを置くというようなことを明確にお答えできないという状態でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そこで、じゃちょっと角度を変えてお伺いをいたしますが、今私が申し上げた特例の問題というのは、資本蓄積に関する特例を特にあげて申し上げたわけですが、一体貯蓄が増加をするということは、どうすれば貯蓄が増加をすると大臣はお考えになりますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 一番簡単なようで一番むずかしい問題でありますが、まあ端的に申し上げるとすれば通貨の安定が第一であります。それで物価が安定をして下がってくる。質も量も豊富になっていくということになれば、買い控えをしてよりいいものを安く買うということになるのであって、その場合たんす預金ということではなく、利殖をしていくということでありましょう。もう一つ第三点にしいて申し上げれば、これは本能的な問題でありますが、税制上の問題というか秘密が守れる、財産というものは消費をするよりも貯蓄をするほどに法律上の恩典が高くなっていくという方向が打ち出されれば貯蓄は伸びる、こういうお答え以外ないわけです。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 肝心のところを大臣が気づいておられない点が私非常に残念だと思いますのは、要するに、可処分所得がふえるということですね、これが一番私は肝心な問題だと思う。まず可処分所得がふえなければ、貯蓄をふやそうにもなかなかいかない。まず第一に可処分所得がふえるということ、それからおっしゃった通貨価値の安定、この二つは非常に私重要な要素だと思う。そうすると、現在可処分所得をふやすという方向は、一つはなるほど所得がふえるという外側の問題もございますけれども、減税をすることによって同じ所得であったとしても、可処分所得はふえてくるわけですね。そうすれば、この際は私はそういう政策減税をやる方が実質的に貯蓄がふえるのか、所得税を減税することが直接に貯蓄がふえるのかというならば、私はやはり所得税の減税をする方が貯蓄はふえると思う。その理由を一つ資料で申し上げると、日本の平均貯蓄率というものは非常に高い。昭和三十五年は一九・八%というあれでございます。これを戦前で調べてみますと、ともかく一八%台になりましたのは昭和十一年です。昭和五年では五・八%、九−十一年平均で一五・一%でありますから、現在の日本の貯蓄率というものは戦前を上回る非常に高い貯蓄率を示しておる。一九・八%、二〇%というのはまさに昭和十三年、戦時体制に入った昭和十三年の貯蓄率が二〇・九%でありまして、その後は戦時の非常に強制的な貯蓄が行なわれたという姿が出ておる。ですから今おっしゃった中で預金が秘匿されるとか、いろいろな問題は多少あるかもしれない、私はないとは申しませんけれども、日本の貯蓄率というものはほとんど限界にきておる。これをふやすとすれば、そういう補完的なものではなくて、やはり可処分所得をふやすということが先に出ない限りはこれは本筋として貯蓄はふえないのである。これが低くて非常に高い貯蓄率の上に立っておるということを見れば、私はやはりそういうオーソドックスなものの考え方を大蔵大臣に確認していただきたいと思うのですが、いかがですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 理論上から言ってあなたの言う通りでありまして、私もそう考えております。がしかし、次の問題をもう一歩も二歩も突き進んで考えておるわけであります。理論的にはあなたの言う通りであり、日本が世界において非常に貯蓄率の高い国民であり、もう際限一ぱいであるというのも数字の上ではそういうふうに言われますが、日本人は戦後の状態を考えてみますと、経済発展に非常に努力をしながら非常に不自由な中で高い貯蓄率を保ってきたわけでありますが、私はまだこれでも、これ以上に貯蓄してもらわなければならないという考え方を、希望的でありますが、まず持っておるわけであります。必ずしもできないのかというと、これは不可能ではない。先ほど申し上げたように、通貨が安定をするとか、貯蓄をすることによってより生活が長期的に安定をするのだという事実が裏づけられれば、貯蓄をする国民性というものはまだまだ際限一ぱいではないという考え方であります。  もう一つは、数字の上から見ますと一九%、一八%、これは非常に高いのですが、生活の内容とか、通貨の内容とか、所得の内容とか、いろいろなものを比較検討しますと、数字に出ておる所得というものに対して貯蓄率が一八%、一九%であるというふうに割り切るには少しまだ問題があるのじゃないかというふうにも考えられます。  それから可処分所得の問題、これは私も今あなたにその通りでありますと言いましたが、ここに日本自体の問題があります。人間が非常に多いという問題、それから原材料が全然ないのであって、これから自由化に対応して原材料を持つ国と原材料を持たない国とのアンバランスをどこで埋めるのか。今までは労働法規その他日本人は人の倍以上働くということがあったのですが、これからはILO条約の批准その他でだんだん低賃金国がなくなっていくという、世界的なレベルまでレベル・アップするということを考えていくと、相当なハンディをどこでもって取り返さなければならぬのかという問題もございますし、もう一つは、今あなたが言われた通り、所得税減税によって理論的には非常に割り切った答えが出ますが、元も子もなくするようないわゆる働くところもないような、全部今の石炭産業のような状況になってしまっては困るのであって、やはりわれわれが生活の拠点として収入源というものは自由化に対応してどうしても確保していかなければならぬ、こういう問題をあらゆる角度から検討しますと、やはり理論的には所得税減税というものが先行すべきだということを当然の議論としてうなずきつつも、あわせて政策減税を考えなければならないという問題がそこにあると思うのであります。だからこういう問題をいかに調和させていくかというところが一番むずかしい問題であって、慎重を要するところだというふうに広範に考えておるわけであります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 実は来年の四月には御承知のように全国で地方選挙が行なわれることになります。皆さんが今年度の減税の政策をどういうふうにおとりになるかということを国民は注視しておると思うのです。所得税の減税をやらないで、資本側の要するに会社や法人の利益にのみ走るような減税を、もし皆さんが行なわれたならば、これは皆さんがどう弁解なさろうとも、自由民主党という政党は国民のためにあるのではなくて、資本、会社、そういうもののためにあるという印象を、これはみずから物語られる結果になることを、私は非常にお気の毒だと思うわけであります。だからやはり皆さんも、国民のための政党だということであり、その政党内閣であるならば、やはりものには順序がある。一番広い国民の層の側を最初に重視しているのですよということが国民にわかるような減税の扱い方をしていただかなければならないと思いますが、その点について一つ伺っておきます。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 自由民主党の側に立って御発言をいただいて、私も政党出身大臣でありますからまことにありがたいのでありますが、そこが三権分立の中で大蔵大臣という職責を与えられておると、そうばかり割り切れないわけであります。先ほどあなたが申された通り米の問題も、昭和三十二年までは連年スライドして参ったわけでありますが、今言われたようないろいろな問題が先行したために、昭和三十二年からまる五カ年間も値上げをしなかった。値上げというよりも調整をしなかったというのが今日しわになっておるわけであります。私はそこに責任政党というもののつらさがあるとまじめに考えておるわけでありますが、選挙のことを考えれば、確かに票が得られるような方向に行きやすいのでありますが、自由化を前提としてまじめに現実を考えていくときに、ただ選挙の票が得られるだけというような考え、人気を博するというような考え方だけに終始ができるかどうかということは、これは世界的な動きをまじめに考えると、国民の理解をもちろん得なければ民主政治の発達というものはないのでありますから、そういう意味で、そこは一番今度の予算の減税等のむずかしいところだと考えます。  このごろ私は非常に皆さんの理解が得られておると思うのでありますが、今までは年末金融でも緊急融資でも、あらゆる手を打つと、独占資本に協力をするというようなことを言われたのですが、今度は金を流すときには、電力に流すことは非常にうまいやり方だった。というのは電力が梗塞したために重電が動けなくなり、鉄鋼が動けなくなり、そういうことが石炭も引き取らなくなってしまう。だんだん下までいってしまって、中小企業自体が動けなくなるということは、基礎産業そのものが梗塞状態になっているために、国自体が動けなくなっているのだ。こういうような事実に対する認識が非常に国民の間には強くなって、いわゆる観念的な議論よりも、やはりわれわれの生活の基盤だけは大きな高い立場に立って強化をしていかなければならぬのだ。こういう考え方に対しても理解を得られておりますので、私たちもその事実認識を間違わないで、ある意味においては国民の一部において批判をせられるということもあるであろうと思いますが、やはりまじめな立場で将来の長期安定ということを目標にして、よしんばその過程において国民の一部において非難を受けるようなことがあっても、政府をあずかっている以上甘んじて受けるべきだ、これは悲しいことでありますが、そういうことで広範に考えているわけであります。  特に御承知の池田内閣誕生以来申し上げておるように、いわゆる国民生活のほんとうの健全さというものは、今言われたように、まず与えるものを国民に与えなければ、まじめな長期安定というものは期せられないのだということを政策の前面に出しておりますので、私たちの考え方はあなたの考え方に相当近いということだけは御理解賜わりたいと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 減税問題は時間もありませんから、あと一言だけ申し上げておきたいのでありますが、実は大蔵省でお調べになっておる今の標準世帯をモデルとして見られております資料を拝見してみますと、一人世帯、二人世帯、三人世帯、四人世帯、五人世帯、その中における子供の年令はいずれも十五才以下、一人の子供も十五才以下、二人も十五才以下、五人世帯も十五才以下になっております。ところが現在の扶養控除の問題は、大体五万円というのが十五才以上に対して与えられておりますけれども、十五才未満は三万円しか控除をされていない。ところが今度の消費者米価の値上げ等を含めますと、最も広い層はその子供のたくさんいるということによって影響を受けて、そうして比較的に控除等の減税の外側におるという事実がありますから、まず基礎控除の底上げ、少なくともこういう扶養控除についても、消費者米価で五百億を吸い上げる問題について負担のかかりが非常に強いところについては、一つ大臣の誠意ある御検討をお願いしておきたいと思います。  次に、時間がございませんから、先を急いで一つ金融政策で一言だけ伺っておきます。  日本銀行は、今度は買いっぱなしではないでしょうが、比較的弾力のある買いオペレーションをして通貨供給の方法を少し新たな角度でやりたいということを発表されておる。きょうは午後日銀の総裁が見えますから、日銀当局の見解は午後に承ることといたしまして、大蔵大臣に伺いたいのですが、私ちょっと不安に感じますのは、大体日銀の発表によりますと、まず最初は政府保証債を買い入れの対象にして、順次金融債、事業債に拡大していきたいということが言われておりますが、池田さんの金づくりという問題の中に、どうも私は木の葉を紙幣にするようなメカニズムがあっては困るという感じを強く持っておるわけです。これは最近にせ金づくりの問題もありますが、これなどは千枚も出ていないのですから知れておりますね。しかし、ものの取り扱い次第によっては、これよりもさらに危険な問題が起こる余地があるような気がいたします。というのは、政府保証債をおそらく来年度は税収が十分にないから一つ大幅に発行したいというふうにわれわれ新聞紙上等で拝見しておるのです。これを大幅に発行して国民が持つならばよろしいが、現在の公社債の流通の状態からすれば、これはほとんど市中金融機関等が引き受けることになる。この引き受けたのを日銀が買いオペレーションで買い上げていく、出しては買い上げ出しては買い上げというようなことが行なわれるならば、まさに木の葉は紙幣となって市中に飛んでいくということにもなりかねないわけであります。こういう取り扱いの歯どめを一体どこに考えておられるのですか。要するに私は、大体池田さんの政策というものはインフレ政策だと理解いたしておりますが、現在の状態では、まだインフレではありながらも何とかやっておると思いますが、しかし、今のこの制度は、一つ間違えば国債発行——これは財政法で禁止じゃないですが国会できちんとしなければならぬことになっておりますが、政府保証債の発行については、なるほどその限度は予算総則等で国会でお出しになりますが、その限度等をどう考えておられるのか、一つ伺いたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 日銀が買いオペレーションの制度をとりましたことが、法律によらずして内国債を発行するというような道を開くのじゃないかということに対しては、十分注意をいたしております。そういう考え方は全然ございませんことを明らかにしておきます。なぜあのような制度をとったかということ、これは日銀当局がおとりになったのであり、大蔵大臣としては、これに対して賛成をいたしたわけでありますが、四角ばってそういうことを言うよりも、お互いが意思の疎通をはかりながら、十分共同の責任でやらなければならないことであることは当然であります。この問題に対しては、新しく来年度の予算で事業債その他政府保証債を発行したいということで、その消化を一時やらせるためにこういう窓口をつくったのだというような考え方ではありません。これは公社債は現在投信に組み入れられておりましても、流通市場もございませんし、どうにもならないのじゃないか、何らかの流通市場をつくらなければいけない、特殊銀行が必要なのか、政府関係機関が必要なのか、その場合に金融の二元化にならないかとか、その他いろいろな問題が検討せられたわけであります。特に日銀と市中金融機関との間で、日銀の貸し出しだけにたよっておる今のままでは、日銀が窓口規制を強くしなければ、それ以外にないじゃないか。日銀の窓口規制に対しては、かつて政府が戦時中やったと同じことを日銀がやっているだけだといういろいろな見方からのいろいろな議論があったのであります。そういうのに今よりも一歩踏み出して新しい立場で買いオペレーションの制度をとって、金融の弾力的運用をはかろうということでありますから、今の状態ではこれが悪用せられる、押せ押せでいく可能性があるという見方は成り立つかもわかりませんが、私たちがこういう制度を採用してもらったということについては、まじめな金融の正常化をはかり、同時に日銀と市中金融機関が相互に理解をしながら、また相互に話し合いをしながら、安定的な金融制度の確立に資したいということがおもな目標であります。でありますので、今度の公社債担保全融につきましても、証券業者が引き受けられるものは——借りるものは幾ら、そうしてその後に市中金融機関が買い上げるものは幾ら、また売り戻しの場合はどういうことにするのかというような問題は、市中金融機関と証券業者だけではなく、いわゆる機関投資家はすべてお互いが合同して意見交換をして、間違いのないようにやってもらいたいということで、一列横隊といいますか、今までにはなく各金融機関がすべて一緒になって検討し、日銀もその一員として慎重に検討して結論を出していくということでありますので、放漫財政といいますか、一面においては財政法を改正しない、内国債を出さないといいながら一方道を開いているじゃないかというような考え方で行なっておるのではないということだけ申し上げておきます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 今日銀の問題でちょっと話が出ておりましたので、もう一言伺っておきますが、実は八月の終わりに日銀の総裁にお越しいただいて私が質問をいたしましたときに、準備率の問題について、日本の準備率は諸外国に比べて非常に低いんだ、だから少なくとも——当時三%になっておったわけでありますが、この程度は維持をしていきたいということを総裁は私にお答えになったわけです。ところがこの間の金融緩和の際には準備率はまたもとへ戻ったわけです。そこでどうもこれは政府当局からかなり圧力があったのではないか。それが準備率を引き下げることによって市中銀行は約七百億くらいの資金が入ってくる。その中の四百億が証券対策に流れていった。結果としては、私どもそういうふうな感じがいたします。池田さんが就任したときは、ダウが千二百円くらいだった。もしこれを割るようなことがあったら、池田さんがしょっちゅうダウを見なさい、私が就任したときよりはいつも高いといって本会議場で大みえを切ったのに、今度は大みえを切れなくなって困るというので、多分に政治的な圧力が加わったのではないかという感じがするわけですけれども、これについて大蔵大臣の見解を一つ。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 日銀と大蔵省でありますから意思の疎通ははかっておりますが、いやしくも政治的な立場において日銀に圧力をかけるようなことは、私は大蔵大臣である以上やっておりません。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 大へん明快な答弁でけっこうでございますが、まあ一つ田中さんの人柄を信用いたしますけれども、しかしまあまあわれわれが疑惑を持たないように明快にやっていただきたいということをあわせて申し上げておいて、証券の問題が出ましたから、最後に一言だけ証券のことを伺って終わります。  実は証券の問題については、十月当初に六十億の証券担保全融が行なわれましたけれども、二、三日上がったと思ったらまたすぐ戻った。今度は四百億も出るということになったものですから、金は出なくてもダウは百円くらい飛び上がったというのが最近の実情でありますが、この株価の低落ということは一体何が根本問題なのか、これを伺いたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 今の御質問は非常に端的な御質問でありますが、株価が維持できないという問題に対しては、私は私なりに見ております。その見ておることを一つ申し上げますと、日本の株価は諸外国の株価に比べて必ずしも高いとは思っておりません。思っておりませんが、日本の状態をずっと見ておりますと、この一、二年間少し上げ過ぎたのじゃないかということが一つ。これは私すなおに考えて、どうも少し上げ過ぎたのじゃないかというふうに考えられます。  それからもう一つは、株のふえ方が、相当セーブをしたようなことを言ってもおりますし、政府も答えておりましたが、実際の増資の状況を見てみますと、相当株がふえている。このふえているのが絶対的な問題からいいますと、まだ資本は外部資本にたよっている率が非常に多いのでまだ増資しなければならない状態にありながら、日本の企業の合理化や生産性の向上というものを比べてみて、それにマッチをして株がふえておるかというと、株の方がよけいふえているというふうにどうしても思わざるを得ない。戦前と戦中、戦後ずっと見ておりますと、今の株の偏在ということを考えますと、これは事実上払い込めないという問題もありますが、どうも五十億株ぐらいのうちの一割ぐらい法人、それから金融機関、そういうものに過度に集中しているのではないかという見方があるのであります。これを一体いついかなる方式でどういうことをすることによって大衆資本家にほんとうに肩がわりしてもらえるようになるのか。それから証券業自体がこの二、三年間でもって営業政策として二部市場をつくったこと自体が早いかもわかりませんし、この運営に対しても問題があると思いますが、株というものに対して一、二カ月持てば倍になるのだというようなものの考え方で、大衆に非常にこび、PRしたという問題も大きくある。絶対的な問題としては自由化に対していろいろな措置を行ないましたが、それが設備投資の過熱になり、資本圧力に企業があえいでおり、実際悪が表に出ざるを得ないというようないろいろな問題が全部積み重なって、株というものは下げるところまで下げているのだというようなことであって、ちょっとぐらい注射をしたために株がほんとうに持ち直すというふうには甘く考えておりません。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 私は非常に率直な田中さんのお答えで、私も同じように思いますが、一つ抜けておりますのは、一番肝心なところなんですが、池田成長政策で実は設備投資が昭和三十四年には三二%、三十五年には四二%、三十六年には三〇%と異常な設備投資を企業がやってきましたから、明らかに設備投資過剰、生産過剰の問題が出てきて、おまけに過度の買い入れによるところの無理な企業の拡張というものからくる資本利子の圧迫なり、各種の問題では業績の実際上の悪化ということを現在来たしている。そこで最終需要の面で見ると、私はもっと個人消費をふやして、月給もどんどん上げて国民の市場を拡大することによって需要をつけるべきだと思いますけれども、あなた方の方ではまあ一つ貯蓄をしてあまり消費をふやすなということになれば、国内市場はふえない、輸出をしなければならないということになりますが、輸出については、ヤコブソンがすでに申しておるように、世界的な生産過剰なんです。これはアメリカだけでなく、西欧諸国においてもすでに生産過剰の状態が出ておる。これまでのようにこれからかりに二〇%ずつふやすというようなドラスチックな期待はできないと思う。そういう客観的な情勢の上に株価の低迷というものがある。これが肝心なところで抜けていたり、池田さんの成長政策の結末の悪い分だけがここに集約的に出てきていると思う。そこであなたがおっしゃったようにカンフル注射をしてちょっと持ち直したように見せて、それをまた証券会社が年末相場があるということではやし立てて一般の大衆からの資金をそこに流入させるようなことがあると、実態が悪いから、カンフル注射で一時上がってもまた下がる。そういう点ではあったがさっきおっしゃった問題に加えて、やはり経済の実態は必ずしも今よくない。だから株がそう百円も二百円もダウでどんどん上がっていくというような客観情勢ではない、千二百円がいいかどうかは別問題として、金融操作等によって株価が動くということは、これは大衆は十分慎重にこの投資を考えてもらいたいということを、政府は何らかの方法をもって大衆に知らしめる必要があるのではないか、私はこういう感じがいたしますが、これは別に政党政派の問題ではなくて、客観的立場におる者の、またこれでけがをしてもらっては困るという老婆心と申しますかそういうことでありますが、これについてのお答えを伺って私の質問を終わります。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 非常に示唆に富んだ御発言でありまして、私もこの問題に対しては姿勢を正していきたいというふうに考えます。去年の暮れからことしにかけて、大衆は売りに出ておりませんから売らないにしても、持っておったものが一体幾ら安くなったかということは、もう資本蓄積という面に大きな阻害をするであろうということは言うを待たないのでありまして、私は今度のいろいろな対策をお願いするに際しましては、まず証券業者の方々にもほんとうに国民の理解を得られるように事実を訴えて長期投資を行なってもらう、そうすることによってお互いの生活はレベル・アップされるのですということで、本筋に乗った証券業務というものに徹していただきたい。事故も起こしてもらいたくないし、また第二部をどんどんと推奨するというような考え方だけではなく、もっと株式投資というものの本筋を国民にPRして理解を求めてもらいたいということを何回か言っておりますし、これからもまたそういうふうに証券行政を行なっていくつもりでございます。  ただ、少し甘いと言われるかもわかりませんが、先ほど私がちょっと申し上げた通り、いろいろ株も上げ過ぎたというような気持もありますし、今度は下げ過ぎたじゃないか——下げ過ぎたということが実際に返ったのだという議論になるかもわかりませんが、世界的に見ますと日本の成長産業という実態と株価を比べてみると、必ずしも高くはないという考え方が一つだけあります。それからもう一つ、投機的な、ギャンブル的な面から見ると、そういう対象になる株は、これはなかなか問題はありますが、今非常に低迷をしておるようなものには実績悪よりも株価の方がうんと下がっておる、こういう問題がありますので、国民自体が貯蓄に対して減免税を求めるような気持で、また今の状態でも貯蓄をしていただいておるような気持で、もっと高い立場でもって日本の産業を直視して投資をしてもらう、選別投資をするということになれば、上がり下がりの非常に多いものは別としまして、基礎産業的なものに投資をされることは、そう国民に迷惑をかけないだろう、こういう考えを持っておるわけであります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 世界の問題が出ましたから一言だけ申し上げておきますが、世界の株価の最近の現状は、アメリカ、西ドイツ、イギリス、全部非常に下がっています。日本のは年初来から見ますと、まだ非常に高いのです。ですからその点は企業との見合いの問題は別個といたしましても、株価全体の問題としては必ずしも低くないのだ、日本はそういう意味で世界経済の一環として織り込まれてくるならば、諸外国の下がっておる状況から見ると、下がり得る危険というものはまだ十分にある。これは可能性で、私は下がるとは言いませんが、そういう可能性を真剣に考えた上で、投資家が対処するように考えておいていただかないと、あやまちを起こすもとであるということをつけ加えて、私の質問を終わります。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 横山利秋君。

横山利秋日本社会党

○横山委員 質問をいたします前に、大臣に一つ注文があるわけですが、それはこの間われわれ国会議員が第一班、第二班と分かれて国政調査をいたしました。その調査の結果につきましては、先ほど本委員会に報告されたわけでありますが、その中で全員が一致をいたしまして改善を痛感をいたしましたことがたくさんございます。特に国税庁関係として住宅が非常に払底をしておるという点については与野党一致して報告書を提出いたしたわけであります。税務職員は年間の異動率が大体二六、七%といわれております。つまり四年に一ぺんは全部異動する、異動しないクラスがございますから、異動するクラスは三年に一ぺんは全部転勤をする、これは職種上やむを得ないことであります。しかしながら、それについての住宅は他の公務員に比較してもよくいっていない、そうして単独宿舎が非常に少ない。それから木造の古い家屋が非常に多いという点について、両報告とも期せずして国税庁職員の住宅事情を改善すべきである、こういうことに偶然にも一致をいたしておるわけであります。実はこのことについて資料をもって具体的にいたしたいと思いますが、きょうは時間がございませんので、次の本委員会において具体的にいたしたいと思うのでありますが、残念なるかな予算編成の過程にございますから、一刻も早く大臣に御勘案を願っておきたい、こう考えて特に冒頭の発言で御留意をお願いいたしておきたいと思いますが、いかがでございますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 私の方からお願いをいたすようなことを御発言いただきまして、まことにありがとうございます。この問題に対しては出先はほんとうに困難をいたしております。徴税に携わる職員がその性質上同一個所に長く滞留しないように絶えず異動せしめられておることも事実でありまして、中には馬小屋を改造してそのまま宿舎にいたしておるというような事実も承知をいたしております。これに対して主計局に対しても私の方から陳情するようなつもりで、とにかく心要なものに対しては、特に国民の生命、財産に関係をするだけに、特に税務署の職員に信頼を置かせるためにも住宅問題に対しては早急に考えたいということを申しておるのでありますが、一般公務員の国設宿舎の問題、その他もありますし、特に大蔵省は今になってようやく外装をしておるような状態でありまして、自分に関係するものはとにかく一番おそくしよう——これはある意味においてはいいことであるかもしれないが、私はこの考えはいいとだけは言い切れないものがあると思います。どこでも明治初年からの建物が残っておるのは税関とか税務署とか大蔵省の関係の建物であります。特に税務署の職員の宿舎に対しては、今問題がたくさん提起せられておりますので、こういう問題に対しては十分対処して参りたいと考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 非常に誠意のあるお話でございますが、次の委員会で具体的に本問題を取り上げたいと思いますから、大臣から長官その他に対してしかるべく配意をしておいていただきたいと思います。  私の質問の趣旨は、まず第一に金ずくりの問題であります。総理大臣が国づくり、人づくり、金づくりと言われましたが、どういうことか金づくりについては一向具体的に進展をしない、構想もしていないし、具体的な提案も、わざとなすっておられるのかしれませんが、されていないようであります。私は単に抽象的な議論でなくて、明年度の予算というものは非常に財政難であるという状況がいろいろと報ぜられておるおりから大蔵大臣として総理大臣の構想の一つである金づくりについて、どういうお考えを具体的に持っておられるのであるか。たとえば今堀君の話の中にも出ましたが、貯蓄であるとかあるいは増税であるとかあるいは国債を発行するとか等々の具体的な金づくりをお考えになっていらっしゃるのであるかどうか、総理大臣の構想にこたえた大蔵大臣としてのお考えはどこにあるのか、まずお伺いをいたしたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 金をつくらなければならないということは、もうどなたでもそういう考え方であると思います。特に来年いろいろな面で諸施策を要望せられておりますので、これが財源の確保に対して検討を進めなければならない段階であることも間違いないところであります。しかし、現在ようやく八月の三十一日期限で提出を求めた各省の概算要求に対して省内で事務的査定を始めた段階でございますし、十二月の半ば過ぎにならないと来年度の予算の重点項目もきまらないような事態でありますので、どの程度の金をつくらなければならないかということに対しては慎重に今検討中でございます。  現在の段階で申し上げられることは、一体公債等を発行するのか、こういう問題でありますが、これに対しては、しばしば申し上げておる通り、健全財政基調はくずさないという考えでありますので、公債を発行する意思はございません。  それから増税は行なえるかどうか。これは先ほども堀さんから申された通り、米の値上げは増税式なものだとさえ言われておるのであります。一部道路財源等に対してガソリン税の増徴などという問題も散見をしておりますが、これは普通ですと、増税問題は全部大蔵省から出て袋だたきになるのですが、このごろは大蔵省が何も言わないうちに、財源がないので上げるのじゃないかというようなことが散見されますが、現在増税ができ得る段階であるとは考えておりません。じゃ、その金はどこでつくるのかという問題であろうと思いますが、これに対しては一般会計、財政投融資、民間の合理的金融というような問題を総合的に調和をせしめて運用するということによって相当程度の財源を得られるという考えであります。財源を得られるということになると、民間の金を使うために地方債とか事業債とか政府保証債等を無理に発行させるのかということにもなると思いますが、そういうところまでいかない段階において、財政金融の一体的な運用が行なわれて、拘束を受けて今まで資金がこげついておったようなものの流通がはかれるとしたなら、それによってまかない得る資金量も相当あるわけであります。このように財政金融との全く一体的な運用という面に相当重点を置いて考えなければいけないだろうということを一つ考えております。  もう一つは、外国債等に対してはどういう市況であるかというようなことを打診をしたり、またどの程度財政投融資の分野をまかない得るのかというような問題も今慎重に検討いたしておる段階でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 個別に一つずつ聞きます。  公債を発行しない。それから増税はしない。道路計画があまり進展をしてない、パーセントが劣っているからこの際ガソリン税を引き上げたらどうかという意見があるそうでございます。これももちろん増税でございますが、ガソリン税の引き上げはしない、地方道路税の引き上げはしない、こういうように拝聴してよろしゅうございますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 明確に増税をするとかしないとかいう段階ではありませんが、増税ができ得るほど簡単な状態だとは認識いたしておりません。こういうことを申し上げたわけであります。

横山利秋日本社会党

○横山委員 よくわかりませんけれども、増税をしないということは、これはきわめて端的な問題でございまして、あなたのおっしゃる増税できるような簡単な状況ではないということは、場合によってはガソリン税を引き上げる可能性もある、そういうふうに理解すべきなのですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 税制調査会の答申等にかかるものに対しては増税をしてもよろしいというような結論が出るかと思うのですが、それは出る可能性がない。そうして、私たちが考えても増税ができ得るような経済情勢にもない、こういうふうな事実認識を今申し上げているのでありまして、これから予算の規模をきめるにはもう一カ月余もあるのでありますから、そういう問題は今全く未定でございます。今の段階において増税ができるというふうには考えておりません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 そうしますと、大臣としては、公債も発行しないし増税もまずできない、そうして、財政と金融と一体化をはかって、従前いろいろと尽くされてきた方式をさらに詰めてみて金づくりをするというようなお話だと承るのです。そうしますと、池田総理の言う金づくりの構想というものは、別に何か新たに妙味を持った構想とか新規の発展をはかるというふうに考えられたのですが、大蔵大臣の考えとちょっと違うようですね。何か一緒のことですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 何か思い切った新しい仕事、ちょうどブラジルがブラジリアをつくっているように、そういう大きな新しい仕事を計画しまして、それに見合う財源を新たに得るということになるとこれは新しい財源対策を考えなければいかぬと思いますが、総理が言われていることも私が申し上げたことも、三十八年度の予算に対しまして国民の要請にこたえ得る限度というものをきめまして、これに必要な財源をどうして得るかという問題でありますので、何も思い切った法律上の措置等をして金づくりをするというようなことを総理も言われておるのではない、こういうように考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 まだ多少釈然としないのですが、幸い日本はブラジルのような大きなところでなくて狭いところでありますから、私の考えますのは、総理は総理として、金づくりについて、何もブラジリアをつくる意味でなくして、金づくりの何かの構想を立ててそれに向かって前進をするという意味に受け取ったわけですが、今大臣のお話を聞くと、そういう考え方ではなくて、従来の基本線、健全財政を踏襲し——もちろんこれは一年だけのことでございましょう、今の議論は。しかし、それにしても、別にその金づくりに対する大蔵大臣としての新しい構想が今あるわけではない、こういうふうに受け取ったので違うかと言っているのです。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 新しいことがないのかと言われると、いろいろな角度から今検討をいたしておりますから、必要な資金量は得なければいかぬという考え方でおります。しかし、何か非常に大きな資金をまとめて何かでもって得なければならぬということを申しておるのではなく、ある意味において東京都の改造とか、大阪を中心にした近畿圏の整備の問題とか、またこういう大都会に対する過度集中を排除するために思い切った措置をするとか、こういう特定な問題を一つずつ摘出をしてみますと相当な金が要るということにはなりますが、これは一年間でやるわけではなくて、これから税制の方式を立てて、何年間かでもって順次ひずみを直していくということでございますので、そういう意味では特定の財源を相当大幅に何らかの処置で得ようという考え方でしているわけではないと思います。今税制調査会でも検討していただいておりますが、いわゆる貯蓄減税の問題とか、資本蓄積の問題とか、それから住宅に対してどういうふうに財源が得られるか、民間の協力をどうして得られるかというような問題は、これは一つずつ合わせればみな金づくりの具体的な例でありまして、こういうものを総合的に積み上げていくことによって三十八年度の財源対策をやりたいということでございます。もう一つは、今までは財政そのものも相当拘束を受けておるわけであります。財政金融の合理的、弾力的な運用、こういう問題も十分考えて参りますと、その過程においてある意味における金づくりにもなる、こういうふうに考えておるわけであります。

横山利秋日本社会党

○横山委員 そうしますと、人づくり、国づくりのように別に総理のお話のような機構をつくって新しい妙味を出すというふうな御構想は今のところはないというふうに拝聴してよろしゅうございますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 ニュアンスの問題でありまして、私は昭和三十八年度の予算というものを基本にして考えまして十二月の半ばまでには三十八年度の予算をきめなければならぬわけであります。それによって財政投融資計画も押せ押せにきめなければいかぬし、またそれに引き続いて民間資金の活用ということでまかない得る面もおおむねのめどは立てなければならないわけでありますから、それに必要な財源を調整によって得られることを前提といたしております。ところが何か人づくり、金づくりというその三つの柱の中の一本であるから、年次計画でも立てて、法律によって三カ年計画、五カ年計画というようなものに合う大きな財源を得ることが金づくりであるというふうにお考えになっておると私のニュアンスとは多少違うかもわかりません。私は金づくりというのは、今から十年前にガソリン税と同相当額を道路整備の財源等に盛ったということも当時からいえば大きな金づくりであったと思う。それから三、四回のガソリン税の増徴というものが行なわれてはおりますが、そういう意味で金づくりというものは予算以外の特殊な何か非常に大きなものだというふうに認識をいたしておりません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 議論をするのはやめますけれども、私の感想を申し上げれば、もちろん大臣は三十八年度の予算を基底にして考えられる。それから総理は将来にわたって金が生み出てくる金のなる木を一つ育てたいというふうに考えておられる。そのニュアンスの相違はありますけれども、しかしながらその相違を越えて、総理の言う三つの柱の一つが一向種がまかれていないという感じを捨て去るわけにはいかない。本日はこの程度にしておきますけれども、大臣も今答弁が非常に不十分だったというふうに一つお考え願って、これは次の国会の一つの話題の中心になると思いますから、いましばらく御検討を願わなければならぬことだと思います。  第二番目の問題として、今公債にお触れになりました。健全財政をするということが狭義の意味において一般会計の健全財政、それから国債発行しないという意味の公債発行しない、こういうことに議論が限定されておると思うのであります。本来健全財政というのは——釈迦に説法ではございますけれども、公社、公団、地方自治体、特別会計全部を含めての健全財政ならんことは言うまでもございませんし、それから公債にいたしましても、地方債から外債も含めてすべての国の債務、広義の意味における債務ということにならなければならぬ。そこを国債発行しない——もちろん建設公債も含んでの話だと思うのですが、国債発行しない、国債発行しないということを何かの一つ覚えのように言って、実はどんどん地方債、外債を膨脹さして、一生懸命それがとめどもないくらいにやれやれと言っている態度というものはどうも私は感心しない。どこかで国民をごまかしておるというふうに感ずるのでありますが、大臣はそうお感じになりませんか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 私は財政、金融の専門家ではありませんからしごく代議士としての常識論しか申し上げられませんが、(「大蔵大臣が専門家でなくてどうする」と呼ぶ者あり)専門家じゃないと言うことが間違いであれば学者でないというふうに申し上げてもいいのでありますが、いずれにしても私の考え方からいいますと、日本の財政金融政策は相当健全だ。緊縮に通ずるほど健全であるかどうかわかりませんが、いずれにしても健全性は貫いておるというふうに考えておるわけであります。いろいろな議論はありますが、一般会計の九〇%以上税収入でまかなっておるということが一つであります。どこの国でも年間の一般会計の総ワクくらいの国債は持っておるわけでありますが、日本は二兆四千億一般会計のワクに比べて四千億、五千億という現在の国債が諸外国と比べてどうかということを考えれば、これは非常に少ないということでありますし、外債に対しても無制限に国際収支のアンバランスを来たしても借り入れるという方針もとっておりませんし、市場でもって消化できる範囲内ということで堅実な方向をとっておりますので、現在の状態では私は健全な財政基調が続けられてきておる。だから私も大臣就任後健全均衡予算を組みたいという考え方でずっと終始をいたしておりますので、健全性は少なくとも失っていかないという基本的な考えを持っておるわけであります。今横山さん言われた通り、しかし外債でも、特に地方債等に対しても、数字の上でもあらゆる意味において健全均衡、しかも緊縮に近いものでなければというような意味で仰せられれば別でありますが、私は諸外国の例、また日本が過去にとってきた財政金融政策等をずっと参照して考えるときに、われわれが昭和三十八年度以降に考えておるものも明らかに健全財政である、こういうふうに認識をしておるわけであります。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私の申し上げているのは、なるほど中央は健全で終始している。けれどもここ数年来地方財政の方は赤字続きで——多少の改善があったけれども赤字続きである。公社、公団もまた借入金がどんどんふえて赤字である。国債は発行しない、けれども地方債はよろしい、外債はどんどんやれ、こういうことが頭隠してしり隠さずではないか。あなたがほんとうに健全財政だと言うならば、もういいかげんに一般会計の中に立てこもって首だけ隠してしりは隠さないというようなことはいかぬのではないか。中央地方を通じ、国債から地方債から外債を通じて健全ということを言わなければいかぬじゃないか。国債は発行しないというならば、その点について地方債だって外債だって一つのリミットをきちんと置くべきではないか、こう言っているんです。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 国債の発行限度額は幾らであって、地方債の限度額が幾らであるというふうなことを明確には申し上げられませんし、またそこまで大蔵省も自信を持って数字を目標にしておるわけではありませんが、いずれにしても現在可能な状態で考えられる外債それから政府保証債、それから国内における公団、公庫または地方債を全部ひっくるめて計算をしてみても、健全財政という基調はくずれない状態であると考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 あなたが国債を発行しないという理由はそれじゃ一体何であるのでしょう。国債を発行してはいろいろな理由で困るという、その困る理由はあなたも私も意見の相違はないと思うのです。念のために申し上げれば、財源調達が安易になる、だからいけない、あるいは後の世代に負債を残すから、財政の弾力性を失う、この点についても意見は違わない。それからインフレを誘発して国際収支の悪化を来たすおそれもある、この点も一般論としては意見の相違はなかろう。国内資本市場で民間の資本調達と競合してしまうからこれも考えなければならぬ、そういう意味合いで国債は発行しない、こういう点ではあなたと私と意見の相違はないと思うのです。しかしその意見であるならば、地方債だって、あるいは外債だって同じことではないかと私は言いたい。国債を発行しない、けれども地方債ならいい、外債ならばどんどんやれという点について何か特殊な理由をお持ちですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 特殊な理由というわけではありませんが、いずれにしても日本が健全財政をとっておるかどうかということは、いろいろな意味で対外的に外国から日本を見た状態においても相当問題があるわけであります。外国でもって外債を発行するにはおのずから限度がありまして、市場で任意な立場で日本の経済、企業の実態等を十分検討して、償還でき得るという可能性のあるものしか消化できないわけでありますし、また特に政治的に国と国の間でもって話をしたり、国自体が出かけていって相当な長期の大型の国債を出そうというような考え方にもなっておらないのでありますから、実際発行されているもの、また現に発行しようというような、またでき得るというように考えているものが、常識的に考えてみて、いわゆる放漫財政につながるものであるというふうに考えるかどうかという問題から見ますと、私たちは、今世界の市場で消化をされつつあるもの、これからされる見込みのあるようなものは、これは国債というふうに銘打って、金づくりのために相当積極的な、またある意味においては放漫に通ずるような資金集めというふうにはどうしても考えておりませんし、またそういうふうにやってはいかぬ、こういうふうに考えております。  それから地方債の問題でありますが、これも地方債といっても弾力的なということを越えて、ある意味では積極性を出しておるのじゃないか、来年は少なくともそういう線を出さざるを得ないのじゃないかというような面からのお考えもあるようでありますが、この問題と国債とどう違うか。私の方は、地方債というものは給与を払うためとか、出しっぱなしというのではなく、返ってくるという地方財政のワク内で行なっておるのでありますから、これが国の方針として健全財政を破るものだというふうにはどうしても考えておらないわけであります。

横山利秋日本社会党

○横山委員 どうも御答弁が不十分だと思わざるを得ません。私の言う国債発行せずという議論についてあなたも御一緒ならば、この理論から、地方債、外債がとかく放漫に流れやすいということについて、あなたのお答えでは私は納得しません。今外債計画を見ますと、勧銀外債三千万ドル、電電が二千万ドル、大阪府市のやつが二千五百万ドル、道路公団が二千万ドル、東京都が数千万ドルという外債計画があるというのでありますが、これらの計画は、今あなたのお話によれば、向こうで調達ができるならばどんどんやってよろしいこういうことなんですか。外債発行についての大蔵省としての限界、リミット、これは発行してはいかぬ、これは発行してよろしいという限界はあるのですか。今のお話を聞くと、できるならばどんどんやれというふうに聞こえて仕方がない。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 私の発言が足らなかったらお許しをいただきたいのですが、現在外国市場で考えておりますのは、勧銀債、電電債、東京都債、大阪府市債等でございますが、これに対しては交通整理を行なっておりますし、ホット・マネーの流入等は絶対防ごうというふうに窓口規制を行なっておりますので、現在の状態では、これ以上無制限に、向こうがのむならば何でも発行できるというような考え方をとっておりません。これの来年度のおおむねの見通しがどの程度になるのかということに対しては十分の検討をし、市場等の状況も検討しながら考えておりますので、これが幾らでもできるような状態ではありませんし、そういうような考え方を大蔵省自体も持っておりません。またこれが全部できたとしても、金額としては日本円に換算すれば大した金額じゃありません。少なくとも二兆四千億という一般会計の現在のワクに比べてみても、一億ドルできたとしても三百六十億ということでありますので、これは大きく金を外国から入れるということよりも、日本の企業に対して国際信用がどの程度ついておるかというようなめどとしては評価ができると思いますが、これが日本の経済を左右するような金づくりのもとになるとは考えておらないわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 時間がございませんから、重要な問題を二つだけお伺いしたいのであります。  先ほどは総理大臣の御意向のお話でしたが、通産大臣が新産業体制について非常になみなみならぬ熱意を持って仕事を継続しておるのでありますが、あれは政府と金融と産業とが三位一体となって、結果的にいえば巨大資本をさらに寡占化して海外の競争力をつける、こういうふうに私は端的に理解しておるわけであります。そこでお伺いしたいのは、そのことについて大蔵省としてはどういう考えなのかという点であります。尽きるところは、そういう新産業体制をして産業を再編成するために、大蔵省としては結局呼び水を用意しなければならぬ。そのためには税制及び金融、結局そこに問題が帰着してくると思うのであります。そういう呼び水をあなた方は用意をしておられるのであるかどうか。それは政策減税となり政策金融となるわけでありますが、相当広範に、しかも長期にわたって新産業体制のための税制、金融ということが考えられるのであるけれども、そういうことに具体的に大蔵省としては参加をし、しかも用意をしておるのであるかどうかということです。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 この問題に対しては通産省からは事務的には話しかけがあるようでありますが、私はきょうから通産大臣の臨時代理もいたしておるわけでありますが、いずれにしても大蔵省に対して事務的にまだ合議をしておる段階で、省議でこれを検討するというような段階に至っておりません。これをまず前提に申し上げておきます。ただ事務当局にどういうふうに考えておるのだ、私の考え方は、聞き及ぶところによるとこういう考えじゃないかということを言っておるような段階でありますが、これはいい意味からいいますと、国際競争にたえていかないような国内産業のしかも大型のものに対しては、民間だけでもって自主的にやるなんていっても、昨年度のように自主的に調整ができなくて設備の拡大をやり過ぎたりいろいろな問題でどうにもならなくなって、最後には財政資金を投入してくれというようなことになりやすいので、これからは官民一体となって、こういう問題に対しては一つ事前に十分意見も調整をしながらやろう、こういう考えですから、考え方からいうと非常にいいのですが、さて実行の段取りになると、官民ともども一緒になってやろうというのですから金は一つ財政資金でもってまかなってくれ、足らざるところは税制でもってやってくれ、こういうことになりますとこれは国営産業ということになるのであって、しかも自動車とか石油化学工業とか戦略産業式なものであるともいえるわけでありますから、こういうものに対して一体どういうふうな結論が出せるのかというと、財政当局として端的に考えますと、こういう方向をとるといっても財政当局ではそのまま賛成などできるものではない、どうしてもやらなければならぬ産業はまた別にもありますし、国内産業の保護というものにもおのずから限界がありますし、初めから財政資金や国が最終的な責任を負うのだ、こういう考え方には現在大蔵省はなっておらない、なることは非常にむずかしかろう、こういうふうに大体考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 大体そういうことです。こまかいことは、それでは次の機会にいたします。  二番目の質問は、アメリカの通商拡大法がいよいよ発動をされました、大統領に五〇%の関税を引き下げる権限を与えるという広範なものであります。これが日本の産業及びその他に与える影響についてかって予算委員会で議論をしたわけですが、私の聞きたい点は二つあります。一つは譲許税率が日本にも最恵国待遇で適用される。されるけれども、それでは日本の関税もそれによって大幅に引き下げなければならぬ。これは今日の不況と自由化による問題、それから政府の政策としての輸出促進という問題と非常に矛盾をしてくるのであるが、通商拡大法の通過によって関税制度をこれからどういうふうにするかということが一つであります。  それからもう一つは、かって予算委員会で非常に力説したのでありますけれども、アメリカがこの通商拡大法を基礎に置いてEECと交渉をする、そのときに日本のことも考えてやるよということは言うております。言うてはおりますけれども、実際問題として関税交渉をするときに、友好国といえども日本のことを考えてこれを中心にして交渉がされるということには必ずしも考えられない。日本がほんとうにやってほしいものはアメリカにとって必ずしも不必要なものがある、また不利益なものもあるだろう。そういう場合に日本としてはアメリカとそれからEECとの交渉その他の交渉について、どういう態度で、どういうスタイルでこれに対して参画をしていくのであるか。アメリカが各国と通商拡大法を基礎に置いて交渉する際に、大蔵大臣でありますから関税を中心にして聞いておるのでありますが、そういうときにどうぞお願いしますというようなことであるか、直接に三角関係で参加をしていくのであるかどうか、アメリカにわれわれの主張を十分に言うのであるか、また相手国にわれわれの方から直接に申し出るのであるかどうか、その二点についてお伺いをしたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 今御発言になられたことは、日本のこれからの自由化、世界貿易ということに対しては最も大きな問題であります。好むと好まざるとにかかわらず、この問題はみずから道を開いていかなければならない問題でございます。これは一大蔵大臣として御答弁ができるような問題でもないと思いますし、これは政府全体として方針をきめなければならぬ問題であり、また業界の意見等国民各位の意見も十分しんしゃくすべきであろうと思いますが、しかし大ざっぱな考え方からいいますと、IMFの勧告も来年には行なわれると思いますし、その勧告も八条国に移行しなければならぬのか、十四条国にとどまることができるのかというような問題も、個々の問題としてはたくさんありますし、日米通商航海条約の改定の問題、その他いろいろな問題があると思いますが、アメリカがEECに対して折衝を行なうときに、日本がアメリカのみを頼って、EECとの折衝に日本の立場も考えてもらうということよりも、私はアメリカ−EEC及びEEC−日本及び日本−アメリカ、これはまさに三角関係、等辺三角形の立場で交渉して、自主的な交渉を進めていく以外にはないと思うのです。そして時期的な問題としてはいろいろな問題が考えられますが、関税に対してはよしんば八条国移行の勧告が行なわれても、ある時期西ドイツなどは完全自由化するまでは三カ年かかったという例もありますし、また一年間で行なわれたという例もありますが、私はこれからの日本というものが世界の情勢に対処していくときに、過去の例に三年もかかったからというほどゆうちょうなものの考え方が適用できるかどうかはなかなかむずかしいと思う。関税に対してはやはりEECとかアメリカとか日本とか、こういう主要工業国は一律にお互いの話し合いによって一括引き下げを行なうというようなことを提唱しております。これは日本が受けて立てるかどうか、日本には相当なハンデがありますから。だからこういう問題に対して非常にむずかしい問題ではありますが、世界の方向としては、自由主義民主主義諸国家の方向としては、一括引き下げという方向が進められていくと思いますし、日本もそれに参加を要請される、こういうふうに考えられます。そのときに日本がじたばたして、十四条国に残っておらなければならないような実際なんだからと言って、こちらの方だけ関税障壁を高くして向こうの方だけ窓口を開かせるようなことが一体できるのかどうか、それは言い得てなかなかなむずかしいと思う。そのときに国内体制がいかに整備できるか、受け入れ体制ができるのかどうか、これは国内的にも各業種間の問題を検討していくと大へんな問題だろうと思いますが、世界の流れとしては大体そういう方向にあって、日本みずからがこれに具体的に対処していかなければならぬのだろうというふうに考えます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私の本問題に関する意見はきょう言う時間がございませんが、そうしますと大蔵大臣としては結論するところ、先年の関程制度の大改正がございましたが、さらに通商拡大法の発動に原因して日本の関税制度につきましても近き将来において相当の改正をせざるを得ない、こういうふうに判断をしていらっしゃるわけでありますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 まあ大ざっぱな議論でありますから的確であるかどうか、私にもまだ問題がございますが、いずれにしても世界の情勢から見ると不可避であるというような考え方をいたしております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 質問を終わります。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 春日一幸君。

春日一幸民主社会党

○春日委員 来年度の予算とその政策の大綱が今政府与党でさまざま作業されておりますこの時点において、私は特に大蔵大臣の所見をただしておきたい重要な問題がございます。それは中小企業基本法に関係をいたしまして、わが国の金融政策に関する問題でございます。  この中小企業基本法は、当時大蔵大臣が政調会長の責任にあられまして、先国会に提出されたものでありまするが、その後の国会の審議の推移にこれを徴しまするに、このような重要法案、言うならばわが国経済の基本法とも称すべき重要法案は、ただ単に基本法を制定するだけでその目的を達し得るものではない、当然それは関連する幾つかの単独法案をあわせて制定することによってその機能が確保できる、こういうようなところから、このような法案はすべからく次期通常国会において政府提案に踏み切るべしという方針が決定されたのでございます。さればこそその後において当時の責任者であられました佐藤通産大臣は、参議院選挙中において政府提案を行なうと言明されました。それから福田通産大臣も就任早々政府提案を行なうと、これまた言明せられました。実はこのことを新聞によって伺いますると、外国へ旅立たれます前、池田総理は、閣議において特に中小企業基本法の成案を急ぐようにと発言があり、かつ関係当局に強硬な指示が発せられたことが大きな活字で報道されておりました。この間の経緯は大蔵大臣御承知であられますから、なお本日伺いますと、本日から通産大臣も兼ねられておるとのことでありますから、かたがたもって来国会に中小企業基本法並びに関連法案を政府は提案するのであるのかどうか、この点明らかにされたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 中小企業基本法を早急に提案をいたしたいという考えは、政府の考え方であります。この間新聞で総理が発言をせられたようでありますが、これが記者会見において行なわれたのか、私はその間の事情をつまびらかにいたしておりませんが、先国会における各党提案の状況から見ましても、当然通常国会には政府提案として提案をせらるべきだと考えておりますし、私もそのような方向で努力をいたしたいと思います。

春日一幸民主社会党

○春日委員 そこで私どもが一番心配をいたしておりますのは、ただ私どもが漫然と心配をいたしておるのではなく、さまざま調査検討をして情報を得ておるところによりますると、特にこの法案の制定に伴いまするそれぞれ関係法案の作成について、ただいまの段階において特に大蔵省において強い難色が示されておるということでございます。というのは、わけて金融に関する諸問題についてでございます。申し上げるまでもなく、大企業といわず中小企業といわず商売は元手次第と言われておるほどでございまして、元手すなわち金融が十分つきさえすれば、どんな商売でもどんな形にでもこれを展開せしめることができると思うのでございます。ただ今日大企業に比べて中小企業の困難の大いなる部分は金融梗塞にありと言われておると思うのであります。そこで、あなたが政調会長として提出されたこの基本法によりますると、これは二十二条からなっておりまするが、その中心をなすものはこの金融に関する施策、十二条の中にこれが集約されておると思うのでございます。この十二条一項三号と五号によりますると、「中小企業者に対する融資が優先的に確保されるよう民間の金融機関を指導すること。」それから五号には「中小企業者に対し行なわれる融資について、貸付条件が大規模の事業者に比して不利とならないよう適切な措置を講ずること。」と宣言されておるのでございます。やがて政府から提案せられるであろう中小企業基本法は、政党政治の責任態勢から判断をいたしまして、当然この精神を踏襲し、この機能を確保された形で政府提案がなされなければならぬと考えまするし、そうあるべしと期待するのでございますが、そういたしますと、これは政府が述べておりまする通り、この中小企業基本法における国家宣言に並行いたしまして、その宣言を実現いたしますることのための具体的な金融関係法案というものが当然提出されなければならぬと存ずるのでございますが、私時間がございませんから、ごくその概要を申し上げますると、自由民主党がここに指摘されておりまする通り、その裏を読みすると、中小企業に対する融資が確保されていないからこの第三号のような規定を制定されようとしておるのであり、五号においては中小企業に対する金融が大企業に比べて不利な現実であればこそ、それを不利でないようにその実態を改めなければならないとここに宣言しようとされておると思うのでございます。それの裏づけを見てみますると、これは三十七年三月の貸出残高によりますると、これは全金融機関でありますが、十四兆七千四百億の貸出残のうち中小企業に対するものが六兆一千二百億で全体の四〇何%でしかない。わけて都市銀行などでは総貸出高が五兆六千八百億の中で中小企業向けは一兆三千九百四十二億、大企業向けが四兆二千九百四十一億、二五対七五というような対比率になっており、全体から見ても大きな機能を持つ都市銀行の貸出高から判断いたしましてもはなはだしく不利である。そして融資がきわめて大企業優先の形で行なわれておるということは、自民党が指摘されているようにこれは改善改革をしなければならない。改善改革をするためには何らかの法的措置がとられなければならない。法的措置をとることを国家宣言として自民党はこの法案の中にうたわれておるのでございます。そこで、私どもが通産委員会その他各党間の努力によってさまざまその展開を見詰めておるのでございますが、聞くところによりますと、大蔵省当局、わけて銀行局はこんな十二条一項第三号、第五号というようなことがやれるものではない、自由主義、資本主義経済のもとにおいてはそういうような立法措置は不可能である、こういうようなところで、基本法を制定することはできても、関連法案を提出することは大蔵省の大いなる反対によって実現のめどはないというような悲観論が唱えられておるのでございます。この問題は中小企業基本法が提案し得るかし得ざるかのキー・ポイントになる重大問題と考えますので、大臣はその渦中において当然この問題についてさまざま御検討がなされておると思うのでありますが、これに対する大臣の所信はいかがでありますか、この際明らかにされたいと思うのでございます。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 政府も中小企業基本法制定に対して熱意を持っておりますことは御承知の通りでございます。できるだけ早い機会に提案をいたしたいという熱意のありますことを明らかにしておきます。御承知の通り、日本の中小企業というものは業態から見ましても実態把握が非常にむずかしい状態であることは御承知の通りであります。しかし、その後急テンポで中小企業から大企業へと伸展しておりますものもたくさんありますし、中小企業に対する基本的な認識そのものも相当変わって参っておるのでございます。しかし何分にも中小企業は全国の九〇%以上を占めているというような重要性から考えまして、中小企業基本法の制定は急ぎますが、この業態が非常にむずかしい、多種多様であるということをもって一律に関係法律案が一ぺんに提案できるかどうかということは、これはなかなかむずかしい問題でありますが、春日さんがお考えになっておられると同じような方向で、できるだけ早い機会にこれら関係法案を整備して国会に提案をいたしたいということを考えておるわけであります。

春日一幸民主社会党

○春日委員 すでに基本法が政治問題として国会の政策論議に移されてから一カ年近く経過いたしておるのでございます。特に当時あなたは政調会長として責任を持ってこれを提案されたものであり、提案者の中の一提案者として署名もなされておる。この十二条の中の三号というものは、すなわち中小企業に対する貸し出しが大企業に比べて優先ということなんです。言うなれば、同時に申し込んだら中小企業に先に貸さなければならぬぞ、担保があったら文句を言わず貸せということなんです。それが三号。それから第五号については、貸付条件というものが大企業に比べて不利でないように措置しなければならぬというのでありますから、そのことを具体的に指摘していきますならば、中小企業の資金を確保することのための特別措置法の制定であるとかあるいは大企業に対して偏向融資、集中融資、系列融資を行なっておる現在の銀行法の中に、そのような傾向を阻止するための何らかの銀行法の改正か、この国家宣言は何らかのそのような金融政策に触れて具体的な法的措置を講ずるにあらざれば、中小企業基本法というものの効果というものは確保することはできないはずです。私は、政調会長として特にあなたが当時新潟においてもそのような趣旨の発言をされておるということにもかんがみまして、そういう銀行法とか、あるいはまたそれとは別個に中小企業資金確保に関する特別の立法とか、これをなされなければならぬということは当然あなたがお考えになっておることだと思う。ところが今金融界であるとか、大企業の側であるとかあるいは大蔵省の事務当局において猛烈なる反対があって、そういうような特別立法を行なうことができない、独立立法を行なうことができないから中小企業基本法そのものの成案がおくれておる、こういう工合に伝えられおるのでございます。まことに遺憾千万と申さなければなりません。それで私が今伺っておるのは、一体その間のいきさつは何であるか、実情はどうであるか、そのような背景の中における大臣の心情、信念はどういうものであるのか、これを一つこの機会に明らかにして、そういうような問題について疑心暗鬼、不安をいだいておる関係者に対して安心を与えていただきたい、こう思うのであります。御答弁を願います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 春日さんのお考えは十分わかりましたので、これから一つ当局を督励しながらできるだけ早い機会に関係法案を整備の上、各省との意見調整も行なって提出をいたすように努力をいたしたいと存じます。今までの状態において大蔵事務当局、特に銀行局当局がどういう意味で反対をしておるのか、またあなたの言うように反対をしておるのかどうか、こういう問題に対しては私はまだつまびらかにいたしておりません。これから通産当局等の意見も十分聞きましてできるだけ早い機会に成案を得たい、こういうふうに考えております。

春日一幸民主社会党

○春日委員 私が不実のことを申し上げるはずはない。事実上この問題はわれわれ自民、社会、民社の三党の関係者がしばしば政府当局に向かって成案の促進方をいたしておりますが、その中において一番問題となっておりますのは、大蔵当局がこれに対して猛反対をいたしておるがゆえに作業が進まない、こういうことでございます。これは貴殿の方の関係者がよくそのことを承知いたしておる、あなた御存じないはずはないのでありますが、しかしお忙しいからそこまで手が伸びないかもしれません。けれどもこの問題は実にわが国の経済基本法とも称すべき重要法案であるのでありますから、しかもその問題があなたの足元で、しかも当面問題となっておる金融行政、金融政策をめぐってそこに難点ありとすればあなたがそれと取り組んで、そうしてその問題を消化し、もって中小企業基本法が全中小企業者の要望にこたえて成案できるように一つ御努力を願いたいと思います。  時間がありませんからもう一点だけ伺いたいのでありますが、さてそこで同じくこの第四条には、国が中小企業者の事業経営の近代化を推進するため適当なことをやらなければならないと書いてあるわけであります。それから税制の面でもその負担を、近代化のために特別の措置を講じろ、こういうこともうたわれておるわけでございます。  そこで問題は、観念的にはそういうことを言っておるが、さて実際的にやるということになるとどんな道があるか。うんと近代化の予算措置を講ずるか、それとも他の施策によってその目的を達するか、二つに一つしかないと思う。ところが十億や——去年は二十億でありましたか四十億でありましたか、本年度その融資が倍加されたところで、わが国の中小企業の企業体を近代化、合理化するためには膨大な資金を必要とすると思うが、わが国の財政規模においてはとうていこれを弁じ得るものではないでございましょう。だから何らかの政策が同時並行的に行なわれなければならぬ。  そこでわれわれが考えており、かつは業者諸君が強く主張いたしております一方策は、すなわち税法上その利益の中の一定の歩合を設備近代化資金としてこれを社内留保したときはそれを損金に算入しろという一つの方法、税法上の特例措置によって近代化を促進する一つの方法と、それからもう一つは東京、名古屋、大阪とか都心においていろいろな町工場がたくさんある。ところがその町工場の不動産価格というものが今非常に暴騰しておる。町のまん中でそんな工場をやっておったってしようがないから、それを換貨処分して相当の金を得て、そうしてこれを、東京ならば埼玉とかなんとかいういなかの方へいってそこで土地を買い、新しい機械を買えば、その現在の町のまん中でやっておるみずからの不動産を処分することによって近代化のその設備を確保することができるのです。それを今はばまれておりますのは何か。それは今そういうものを処分すれば所得税として取られてしまう、あるいは譲渡所得税として取られてしまう、税金に取られてしまうからこれは何とも身動きがつかないのだ。町のまん中でそういうような工場が三十万、五十万というような高い評価額の中で、ちっとも生産性の伴なわない仕事がこつこつ行なわれておる。だからそれらの要求はすなわちそれらを売却処分して得たその全部の金を設備近代化のためにあるいは企業のために使用する場合においては、その譲渡所得あるいは法人所得、個人所得というものを向こう十カ年間ぐらいの年賦払いにしてやる、そういう分割延納の制度を認めれば、新しい工場で新しい所得が発生するから、その発生した所得でそれを払うということで、担税力もあり、設備合理化の趣意にもかなってくる。だからその制度をやってくれということは、全国中小企業者大会でもまたいろんな指導者間でも論ぜられていることであります。でありますからこの基本法の中でこれがうたってありまするし、かつは為替貿易自由化に対する対応策といたしましてもしょせんは中小企業の近代化ということはやらなければならぬ。これは国家の政策の基本たるべきものだと思うし、民族産業防衛のためにもこれはどうしても国民的規模でやらなければならぬ。だとすれば今あなたの方が予算の中で相当の予算を組むと同時に、一つは設備近代化のための税法上の特別措置、もう一つは設備近代化のために固定資産を売却した場合において、その受けた金額を全面的にその企業のために充当する場合においては、それによって払わなければならない所得関係の税あるいは譲渡所得、そういうものを分割延納するというような施策を講ずることによってこの目的を達すべきであると思うが、これに対する大臣の見解はいかがでありますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 春日さんの今の御発言にかかる問題は私たちも十分考えておりますし、そういう必要性があるということも承知をいたしております。まあこれが立法化の段階にどこまで実現できるかは問題はございますが、法律だけ書いて実効の上がらないものをつくるよりも、今言われたような具体的な問題を一つずつ解決をしてやらなければ中小企業の振興、育成にはならないのでありますから、それらのものも十分検討して参りたい、こういうふうに考えます。

春日一幸民主社会党

○春日委員 その具体策については、私どもの苦心したところは今村山達雄君に渡したのだが、その妥当性、合理性、またその成立の可能性について、一つ学識経験者として貴殿の意見を述べてもらいたい。

村山達雄大蔵事務官(主税局長)

○村山説明員 中小企業の設備近代化のために引き当てをした場合にそれを損金に算入するという方策は、各方面で唱えられております。これにつきましてわれわれがいろいろ検討してみますと、要するに税が高くてそれで設備近代化のための取得資金がないということになるのかどうか、この辺が、第一に税負担が非常に問題でございます。それから第二にははたしてそれを認めるということになりますと、各方面で、引き当て金をすべて課税除外にしてくれという要求が出ております。たとえば研究設備取得準備金あるいは災害準備金、いろいろございます。税法上一つ考えてみますと、御案内のように現在は企業の繰り越し欠損は、法人にありましては五年、個人の青色申告で三年認めているわけであります。もしこれを認めますと、これを悪く考えますと、容易に利益の調整ができるわけであります。赤字の出た年にそれを取りくずす、要するに各年度を通じまして税の負担の調整をやろうと思えば意識的にできる問題でございます。もともと利益の留保につきまして租税上特別に損金に算入するということについては非常な問題がありますので、はたして一体どういうところからそういうことになってくるか、非常に問題だと思っておるわけでございます。  それからなお今の中小企業の負担関係を申し上げますと、今の日本の個人でございますと平均五十万ぐらいでございましょう。これは昭和二十五年のときには実に二十万円、四割の税金を納めておったわけでございます。今日は地方税を含めて一万円でございます。従いまして、税率を考えますと、はたしてそれだけの必要が特にあるのかどうか、どんな機械を取得するのか、それを考えてみますと、一体それだけの必要があるかどうか。やるといたしますと、今言った点を検討しなきゃならぬ、ここが一つ問題であります。  第二点について申し上げますと、これは一般的に非常に今経済が激動しておりますし、転業関係もできております。特に都市改造あるいは道路等のことで、いろいろ不動産を処分して新しい不動産を取得する、このときに譲渡所得が発生するわけでございます。この問題につきましては、特に最近の日本の実情から考えてみまして、今までも各種の手段を講じておりますが、百尺竿頭さらに一歩を進める必要があるのではなかろうかということで、目下検討の最中でございます。

春日一幸民主社会党

○春日委員 今、村山君から見解が述べられましたけれども、私は、政策マンとして特に大臣に申し上げたいことは、悪平等というものは考えるに及ばずと思うのですね。それは公平の原則もあるし、いろいろありますけれども、それはやはり一つの国家目的といいまするか、一個の政策重点というものがあってしかるべきだと思うのです。自民党が十数年間のその治績によって、今国民経済を発展さした、あるいは国民所得が増大された、いろいろ経済成長があったというておりまするけれども、しかし西ドイツのそれと日本の現在の実績とを比べるとどうであるかということなんですね。御承知の通り四千五百万の西ドイツの国民、国土を二つに割られて、しかも戦後ソ連によってすべて略奪されて、まる裸にされてしまった西ドイツが、今日その政策よろしきを得たから、外貨が六十何億ドルだ、輸出が何十億ドルだ、国民生活は日本の三倍の水準に達しておるんだ、こういうような実態からあわせ判断いたしますれば、日本の政治の中には何か足らないものがありはしないか、間違ったものがありはしないか、それは自民党自体が判断しなければならない。おれたちがやったんだから、こんなによくなったというのじゃない。西ドイツにおいても、フランスにおいても、イタリアにおいても、イギリスにおいても、日本より三倍もとにかくすばらしい経済の成長があり、国民生活の水準の向上がなされておるんですね。それが今日本がそんなにとりおくれているというのは、何か今村山君が言ったような悪平等の観念に金縛りされて、こうやったらいいだろう、ああやったらいいだろうというようなことで、当たりさわりのないことをごそごそやっておって、むだ使いばかりやっておるから、それなら何もやらない方がいい。ついに西ドイツのゆうゆうたる繁栄に比べて、われら日本は大いなる列後に取り残されてしまった、こういう状態にあると思うのです。だから私は、西ドイツが重点施策をつくって、たとえば船をつくろうといったときには、造船株を買った者は減税にするとか、住宅問題を解決しようといったときには、自己資金で住宅を建てた者に対してはこれを損金算入、三カ年の通算の形でやっていこうとかというような、重点施策をこらすことによって、ことごとく一つずつシラミつぶし的に解決することによって、今日このような国家の隆盛、経済成長の大いなる発展をやってきておるのです。だから私は今為替貿易の自由化、自由化のあらしの前に直面する日本の中小企業の近代化、これをやらなければならない。これに政策の重点をと判断いたしますならば、そういうような損金算入の特例がいろいろなものを誘発するというようなことを考えないで、これはやはりその自由化に備えることのために日本の中小企業工業の近代化が必要なんだから、このことをやるのだ、他の要求についてはいまだその期に及ばず、これを断定的にきめて、責任と信念を持ってやっていけば、私はそのような問題の区別とか処理の仕方というものはなし得ると思うのです。だから私は、今政府から何百億というような設備近代化資金を出せといったって、あの財政規模の中においては、これは言うべくして不可能だ、不可能だからやらないということでは中小企業の嘆きはさらに加わるばかりだ。だから、何らかの対策を立てるとするならば——ほかにあるならばほかのことをやりなさい、ないとするならば、何らかの方法によってこの目的を充足せなければならぬ。充足する道として今申し上げたのが税法上のそういうような設備、それから今申し上げましたような町のまん中で町工場が、時価五十万もする土地で、売ったところでみんな税金でとられてしまう。では売らないでここでこそこそやっていこう、こういうことなんでしょう。だからそういうような特別な措置をとったところで、一銭も国損にはならないのです。ほかっておけば一銭も入ってこないものを、移転させることによって十年年賦で入ってくるのだから、これは今後の経済の発展、国庫収入の増大をはかる意味においても、こんな賢い政策をやらぬなどというがごときは、村山君の官僚の石頭のしからしめるところであって、国家の損害これよりはなはだしきはないと思うのです。だからそういう意味において、大臣は政策マンとして自民党の一切の政策をあなたが掌握され、このようなりっぱな中小企業基本法まで出されたあなたの馬力とあなたの英知でもって、このような大懸案を解決されることを強く要望して、私の質問を終わります。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 この際、午後二時三十分まで休憩いたします。    午後一時五十六分休憩      ————◇—————    午後二時三十八分開議

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  金融に関する件について調査を進めます。  本日は山際日銀総裁が参考人として出席しておられます。参考人には御多用中のところ、御出席をいただきましてありがとうございます。まず当面の金融政策上の諸問題について山際総裁から御意見を述べていただき、その後に質疑を行なうことといたします。では山際総裁にお願いいたします。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 ただいま委員長より御指示がございましたところに従いまして、まず私から最近の金融情勢について所見を一言申し上げたいと存じます。  本年の八月でございましたか、当委員会に私は出席をいたしまして、その当時における金融経済情勢について所見を申し上げたと記憶いたしますが、その際に私は、今や景気調整の一番大事な仕上げの段階に現在は入りつつある。ここ当分引き締めの基調を堅持し、調整の目的をすみやかに達成したい、ということを申し上げたように記憶いたすのでございます。  その後の経過を見ますると、景気調整の足取りは当時予想いたしました方向に向かって順調に進展を続けております。国際収支は金融引き締めに伴う輸入の減退と輸出圧力の増大を反映いたしまして、黒字幅は日を追うて拡大を示し、外貨準備高は御承知の通り十月末において十八億ドルを越ゆるに至ったのでございます。最近の信用状の動き等から勘案いたしましても、当面このような傾向は持続いたすものと期待せられております。  今回の景気行き過ぎの最も大きな要因と認められます設備投資もその後は引き続き減勢をたどっておりまして、最近におきましては、商品需給のアンバランスからくる滞貨の増大と企業収益の悪化からいたしまして、企業家の心理も急速に落ちつきを取り返しており、新規設備投資の意欲も著しく鎮静化しておるように見えるのでございます。  一方、企業の資金需要はまだ衰えを見せるというところまでには至っておりませんが、一ころに比べますと、その内容においてかなりの変化がうかがわれるのでございます。新規設備投資ないし増産のための資金需要は、全般にかなり落ちつきを示したものと見られるのでございます。  このように、昨年来の金融引き締め政策の実施によりまして、景気調整の効果が次第に浸透して参っております。この際において金融引き締め措置を緩和いたしましても、この面から特に景気を刺激し、物価、国際収支等の面に再び問題を生ずるようなおそれはないものと判断されるに至りましたので、本行といたしましては、先般、輸出前貸手形を除く公定歩合の日歩一厘引き下げ、高率適用制度の緩和、準備預金制度の準備率引き下げ等の一連の緩和措置を実施いたした次第でございます。  なお、これを機会といたしまして、本行は今後債券売買を一そう弾力的に行ないまして、季節的並びに経済の発展に伴う趨勢的な通貨増大のための資金については、これを円滑に供給する一方、それをこえる資金需要に対しては、取引先ごとに貸出限度額を設定することによって厳格な抑制措置を構ずることに改めたのでございます。このことは、金融機関が日本銀行借入に依存する姿を是正しまして、金融の適正かつ円滑な疎通を助長すると同時に、日本銀行の金融調節を一そう効果的ならしめ、いわゆる金融の正常化を促進することをねらいといたしたものでございます。  これを要するに、今回の措置は、上述のような経済情勢の推移にかんがみまして、景気調整を昨年九月の引き締め強化前にまで戻して、今後における経済の安定的発展の素地をつちかっていこうという点にその趣旨があるのでございます。政策変更後の反響を見ましても、経済界の自律調整は引き続き順調に進んでおる模様でございまして、従来の調整の効果があと戻りするような様子は認められておりません。ほぼ大体においてわれわれの予期した線に沿って事態は進行しておるように見受けておるのであります。  景気調整の影響を比較的強く受けておる部門を中心に、産業界の一部においては、この際さらに一段の金融緩和策の実施を要望する声が出ておりますが、われわれといたしましては、先般の措置の反響を十分に看取いたしまして、今後は経済情勢の推移をも注意深く見守りつつ、情勢に応じて必要な措置をとっていく考えでございます。  今後、年末にかけまして銀行券需要の増大から、季節的に金融が繁忙化するものと見込まれるのでございますが、本年は、財政の大幅払超によりまして、金融市場の引き締まりの度合いは、例年に比べてかなり穏かなものにとどまる見込みでございます。しかし企業金融の面では、季節的な年末決済資金需要に加えて、従来からの繰り延べ債務の決済要資であるとか、その類似の資金が増加するものと思われますので、企業の金繰りはなおしばらくは繁忙の状態が継続するものと見ております。  これまで中小企業につきましては、政府及び金融界におきましても、比較的早くから所要の措置を講じて参りましたために、景気調整過程においても特に大きな混乱もなくして推移し得たと考えております。このほど政府は、御承知の通り年末中小金融対策として四百億円の財政資金支出の措置を講じ、また全国銀行協会連合会においても、二千億円に上る貸出増加目標を設定し、中小金融に対して積極的な配慮を行なう方針をきめておりますことは、まことに時宜に適した措置と考えております。これらによりまして、年末金融も無事にこれを乗り切れるものと考えておるのでありますが、日本銀行といたしましても、中小企業金融の円滑化については、今後さらに一段と、金融機関の指導並びにこれに対する協力に努力いたしたい考えであります。  最近における株価の大幅な下落が問題となっておりますことは、皆様御承知の通りでございますが、日本銀行といたしましては、株価水準自体よりも、むしろ株価の低落が証券市場の正常な運営に好ましくない影響を与えているかどうかという観点にその視野を置きまして、十分に問題を検討いたしておるのでございます。今後情勢に応じて所要の措置をとっていきたい考えでございます。いずれにいたしましても今回の株価下落は、単に景気調整の影響であるにとどまらず、証券界や事業会社等の仕振りに基づく面も少なくないものと認められますので、これを機会に健全な資本市場として株式市場が育成されますように、関係者の一段の配慮を、日本銀行といたしましては強く要望いたしておるわけでございます。  以上、最近の経済情勢について所見を申し述べましたが、要するに現状は、景気調整の効果を一応発揮いたしまして、経済界が平常の状態に一歩近づいたという段階にすぎないのでありまして、今後わが国が自由化の進展に備えて、経済基盤の強化、企業体質の改善をはかって参りますためには、さらにさらに一段の努力が必要であろうと考えております。   〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕  本行といたしましても、今後一そう本行の金融調節方式の改善に努めまして、あるいは各般の正常化を押し進め、今後における景気の変動に備えて、再びあやまちを繰り返すことのないように努力したいものと念願をいたしております。

毛利松平自由民主党

○毛利委員長代理 続いて質疑に入ります。通告がありますのでこれを許します。佐藤觀次郎君。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 ただいま総裁からいろいろ御意見を承りましたが、過ぐる八月にも、私が日銀総裁の意見を聞くためにお出ましを願ったわけでありますが、最初に二、三の点について、原則的なことを総裁から少しお伺いをしたいと思うのでございます。  最近政府はいろいろ景気政策をやっておりますし、それから今総裁が言われましたように、この一年間非常に経済の変動がございまして、それは政府が言っているほど楽観できるものでなくて、末端では相当破産者が出ております。先日も、大蔵委員会の視察で、実は南九州へ行ったのでありますが、その帰りの北九州でも、鉄鉱であるとかあるいは石炭の不況のために、汽車の中から見ましても、われわれが想像した以上深刻な場面を見ております。おそらく日銀の総裁も、支店を持っておられます関係上御存じだと思うのですが、こういうような状態になったのは、やはり池田さんの高度成長、所得倍増政策の失敗ということが一面の真理でありますけれども、同時に、日本の資本主義経済というものはやはりこのままでは繁栄しない、転換期に来ておるのではないか、こういうように私は考えております。そういう点で、山際さんは長い間大蔵省におられましたし、それから日銀総裁として二期も勤めておられますので、そういう高い見地から、今の日本の経済というものはこのままで順当にいくものかどうか、まずその点を、大きなところでございますけれども、お伺いしたいと思います。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 ただいまお尋ねのございました点につきまして、まず第一点、すなわち今回の景気調整の問題が、非常に各界にわたって深いところまでいろいろと問題を引き起こしておる、その点をどういうふうに考えるかというお尋ねでございますが、この点は私はまさにその通りだと思うのであります。そのゆえんを申しますと、これが前回と今回の景気調整の差に基づくと私は考えますが、相当経済の構造的問題がこの景気調整にからんでおります。この問題は非常に深刻でございまして、しかしこれを解決しなければ将来のより安定的なより拡大した発展を築いていくわけにいかぬという根本的な問題が幾多認められると思うのであります。ただいまおあげになりました石炭の問題のごときはその最も典型的な例でございまするが、そのほかに幾多の例があろうと思います。鉄もその一つでございましょうが、海運の問題しかり、肥料問題しかり、非鉄金属の問題しかり、さまざまな業界において大小程度の差はございまするが、いずれも構造的に改善をしていかなければならぬところの相当深刻な問題が多いと思うのでございます。従って、私はそういう点から申しまして、今金融緩和の措置をとったからといって、それで景気が刺激されて直ちに立ち直るものとは考えておりません。これらの経済の基盤に深く食い入っておるところの構造的な変革の問題を適宜これを実体的に解決していくのでなければ、このしこりはなかなかとれないと思います。これにつきましては政府におかれてもいろいろ御研究があり、また産業界自体におきましてもいろいろ調査研究が進められておりまするが、そういう根底からの重大な問題を一つ一つ解きほぐすことによりまして、初めて安定的な将来への発展が約束されるのではないか、かように考えております。  次に、これは非常にむずかしい問題でございまするけれども、現在の経済体制がはたしてこのままの形で続き得るかどうかということでございます。私は、現在こういう大きな破綻を生じました一つの原因といたしまして、率直に申して、民間企業の経営に対する批判的な勢力というものが割合に乏しかったという点に欠点があるのではないかと考えております。すなわち経営者は比較的強大な権力をもちまして、これに対する外界からのいろんな批判なり制肘なりというものが、法制上は、たとえば株主総会とか取締役会とかいろいろございますけれども、実際上大きく制肘していないというような事情のもとに、各会社が過当の競争に陥ったり、また採算の程度とか、あるいは株主の利益とかいうものが軽視される結果を生みやすいのでありまして、そういうようないわゆる経営に対する反省というものは当然なくてはならぬと考えます。しかしながら社会全体がそういうような反省を伴っていきまするならば、まあ変革というほどのことはなくしても、私はまだまだ産業は発達していけるものではないかとひそかに考えておる程度でございます。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 もう一つお伺いしておきたいのは、実は日本の資本主義というのは非常におくれた資本主義で、戦争前でもイギリスやアメリカに対して非常におくれた資本主義でありましたが、しかしその当時から世界経済の立場上、資本主義は滅びていくという意見——これはヴァルガなどの意見でございますが、そういう意見がございました。しかしその後のアメリカの経済というのはなかなか資本主義の御本尊で倒れませんけれども、しかしアメリカの経済と日本の経済とは本質的に違う。と同時に、最近ヨーロッパではEECの問題が盛んになって、イギリスが国をあげて賛成だか不賛成だかということで非常に問題を起こしております。そういうことは、同時に今の自由主義の経済というものに破綻の状況が出てきておるという一つの傾向ではないか。これは大きな例でありますけれども、そういうような考えが出てくるわけであります。   〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕 それと同時に、ただいまも日銀総裁が触れられましたように、たとえば炭鉱がこのままでいけば国有化あるいは社会化、あるいは鉄工業、造船、こういうような大きな重要な産業が今行き詰まっておりますが、こういうものはこのままの私有的な資本主義的な経営では成り立たないというような、こういう現象が現在出ておるというように考えられます。そこで私たちは社会党でありますから、そういうことを固く信じておりますけれども、しかし日銀総裁も高い見地に立って今おっしゃいましたような日本の自立経営、いわゆる資本主義的な経営というものは、今まで池田さんや今の政府が盛んに高度成長、あるいは日本の経済というものは画期的な飛躍をしたということを盛んに言っておりますけれども、しかし日本だけではない。先ほども同僚の春日委員からも説明がございましたけれども、イタリアのような貧乏な国、私は十年ぐらい前にイタリアに行きましたけれどもそのときには非常に悲惨なイタリアでありましたけれども、最近のイタリアの経済を見ますと、私たち十年間に目覚ましい発達をしております。日本よりはむしろ貧乏だと言われたイタリアでさえ、戦前に比べてずっと経済の発展をしておるのでありますが、私は日本の今の経済の傾向というものは、必ずしもそんな政府が自慢するような飛躍はしていない、むしろこれは朝鮮戦争とかあるいはアメリカの援助で一時的にはよくなったけれども、日本の本質的な経済というものは必ずしも深くない、必ずしも高くないというふうに考えておりますけれども、こういうような問題について総裁はどういう見地をとっておられますか、もう一言お伺いしたいと思います。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 現在の経済体制を資本主義と普通言われております。しかし一言で資本主義とか自由主義と申しましても、その内容自体は私は常に生成進化しつつあるものだと思うのであります。従いまして、この進化の過程が十分時勢の要求におくれずに進んで参りまするならば、私は現在の体制でまだまだ伸びる余地は多いと思うし、またイタリアにいたしましても、その他の世界各国にいたしましても、その方式において伸びておると思うのであります。ただ先ほど申し上げましたように、ややもいたしますと安心いたしまして、自己に対する批判を忘れて、そうして無謀に走ることになりますると、その結果非常な危殆にまで陥ってしまって、現在の体制の基本を変えなければやっていけないというような可能性がないでもないと思います。しかし私は、全体といたしまして、今回の経験にかんがみまして、今後十分批判を加えつつ進んで参りまするならば、やはり時勢の要求に応じて進化していく可能性は十分あると思います。この体制によって能率的な経済の発展を期待し得ると考えております。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 もう一点総裁にお伺いしておきたいと思いますが、日本の銀行及び金融の総元締まりとして日本銀行がいろいろな役割を果しておると思うのであります。しかし私たちは、日本の中央銀行というもののあり方が、これはイギリス的か、西ドイツ的か、あるいはベルギー的かは知りませんけれども、そういうような立場から考えて、はたして今のやり方でいいか悪いか、私はこの中央銀行というものはやはり政府と独立した形で金融をすべき立場にあると思うのであります。ところが、池田さんがいわゆる高度成長と言ったところの下村理論、この開発銀行の理事の下村君の意見にほとんど一時は圧倒された。ところが私は、日本銀行のあの大きなスタッフの中にはこんな下村理事よりもっと高い見地に立って指導する人が多いと思います。と同時に、日本銀行は膨大な調査機関を持っており、同時に三十幾つかの支店を各地に持っております。そういう立場から、今度の景気調整について総裁も反省しておられますけれども、私は日本銀行の責任も決してないとは言えないと思う。そういう点にどういうような責任を感じておられるのか、今後また今までのようなおざなり式の、政府の言うことは何でも聞くような、そういう立場から総裁はやっていかれるのかどうか、この点を一つお伺いしたいと思うのであります。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 中央銀行の中立性の問題についての御質疑がございましたが、その必要なることは私も全く同感でございまして、今回の景気調整の問題に関連いたしましても、いよいよその真実性を深めるものでございます。今回の景気調整の問題に関しましては、中央銀行の立場からやはり一種の見解を持っておりまして、私は、一昨年のたしか春であったと思いまするが、銀行大会におきまして、現在の経済各指標をながめると、このままでいくと経済は破綻すると思う、であるから大きく格段の注意を払って、一種の転換をしてもらいたいということを訴えたのでございます。残念ながら経済界においては、この私どもの見解に耳を傾ける者がはなはだ少なかった。ただその後におきましても驀進の一途をたどるのみでございましたので、ついにその後において二回にわたって公定歩合の引き上げその他のブレーキをかけざるを得なかった。ブレーキをかけた結果、惰力のついておった経済界に何と申しまするか一種の反動がきたということが現在の段階でございますので、私はひそかに思いまするのに、もっともっと大きな声でしかるべく働きかけて、その警告を大にすべきであったかと思うのであります。しかして未然に産業界その他にも働きかけまして、良識によってこれをチェックするという働きをもっとすべきではなかったかと思いまするし、ブレーキ自身の、やむを得ざる段階においてかけましたことも、あるいはもっと強いブレーキをかけるべきであったという御意見もありましょうが、経済界は生きものでございまして、これを殺さず、また非常に致命的な打撃を与えずに、しかもなおブレーキの効果を果たすその程度がどの程度であるかということの測定は非常にむずかしいのでございます。みんな相談をいたしまして、あの程度にかけて参りました結果、今日立ち直りをやや見つつございますことは、どうやら私どもが当初想像しましたよりは、実は割合に早く直って参ったような気もいたすのでございます。しかしいずれにいたしましても、かかる一つのギャップをつくりましたことは失敗であることは、中央銀行としても認めざるを得ません。今後はあらゆる方面において努力をいたしまして、かかる徴候を認めましたなれば、極力これを阻止いたしまして、そうしてかかる深いみぞが再び生じませんようにできるだけの努力を続けたいということで、ただいま、過去における景気調整の起こった原因、それに対してとった措置、またもっとよりよき措置がなかったかどうかという全体的の反省をそろそろいたしつつございます。それを一つまたみんなに訴えまして、再びこのあやまちを繰り返すことのないようにいたしたいと考えております。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 僕は山際さんを個人的にもよく知っておりますし、りっぱな人だということも知っておりますが、一つこういうところでは歯にものを着せないでほんとうのところを言っていただいてそうしてなるほど政府はこう言うけれども、さすがに日銀の総裁は正しいことを言うということを世間に宣伝する意味においても、大蔵委員会はその意味を果たすと思う。そういう点で、いろいろ私以外の委員からも質問があると思うのでございますが、私は少なくとも日銀の総裁としてそういう立場だけでなく、やはり日本の金融の中心をあずかる一人として責任のある地位でありますから、そう軽率なことは言えぬかと思うのでございますけれども、しかしなるべく一つ率直な——大体あなたはいんぎんであまり言いたいことを言わないような立場がございますけれども、こういう委員会の公の席ではありますけれども、しかしこれは大蔵委員会でありますから、そういう点については一つ率直に——おそらくあなたは閣僚懇談会にもお入りになっておると思いますけれども、閣僚懇談会にお入りになっても、やはり閣僚がたくさんであなたは一人であるから正しいことを言えなかったというようなこともかるかもしれない。そのときは、私はこういうことを言ったけれども、政府はこうだったということを率直に伺っておきたいと思うのであります。  実はいろいろ今御説明になった御意見の中で二、三お伺いしたいと思うのでございますが、先日公定歩合の一厘の引き下げをおやりになりました。実は日銀は中央銀行としての中立性を持っている関係上、金融政策については独自の権限を持っておると同時に、責任があるわけでございます。だから当然日銀には金融政策委員会があるわけでございます。その意見であれが実行されるならけっこうでございますけれども、どうも今度のような場合は、やはり政府から圧力がかかって、そうして政府に屈服してやるような、そういうそしりがあるわけであります。こういう点については一体総裁はどんなふうにお考えになっておるのか。実は今月の「中央公論」にも、あなたのところの調査局の次長の吉野さんからも、「金融政策を弾力的に」と、やはりタイミングが合わなければだめだ、金融政策でこの前のときにももう二カ月くらい早くやっておったらよかったであろうということを短い文でありますが書いております。おそらくそういうようなことが間々あるのじゃないか。少なくともそういう点で、今度の金利の引き下げについても、私はやはり日銀の意見と政府の意見が食い違っているようなところがあるのじゃないかと思われますけれども、そういうことはうやむやにされております。こういう点についてはどういうような見解がおありになるのか、おざなりなことでなくて、率直なことを一つお聞かせいただきたいと思うのであります。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 ただいま御指摘の通り、日本の金融上の問題につきましては、日本銀行法の定めるところに従いまして相当広範囲の政策をとり得ることをその独自の権限として日本銀行に与えられております。私どもはよくそれを承知いたしておりまして、その権限を十分に活用すると同時に、それに伴う責任の大きさというものを十分に感受いたしておるのでございます。ところで、私どものそれを運用するにあたりましての心がまえといたしましては、これはたびたびここにおいても申し上げたかと存じまするけれども、それだけに重大な権限と責任を持つ以上は、およそ独断に走ることはならぬ、十分周密に各方面の意見に謙虚に耳を傾けて、とるべきはとり、賛同いたしかねるものはこれをとらないというかたい立場において進むべきだということを申し上げておりまするし、また政府との関係におきましても、むろん日本銀行のさような本質を害しません限りにおいては政府の施策に協力すべきだと思いまするけれども、事一たびその核心に触れまするならば、独自の立場においてこれを決定せざるを得ないという限界をはっきり認識しておるということを、しばしば申し上げておるのでございます。たとえば今回の措置等につきましても、巷間いろいろなうわさが立っておりまするけれども、私はさような信念に立ってやっておりますので、一切弁明はいたしません。弁明するということは内幕をさらけ出すことであって、あるいはその書いた人の期待に沿うのかもしれませんけれども、私はかえってまたそこに一つの誤解を生み、好ましからざる結果を生むと考えまするから、従来といえども一切私はその問題に対しては弁明をいたしておりません。が、すべての責任はむろん日本銀行が負うべきである、また政策委員会が負うべきである、また負うつもりでやっておりますので、その結果だけを、お答えにあるいはならぬかもしれませんが、一つここで申し上げさしていただきます。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 それからもう一点は、この前のときに私総裁にいろいろ説明を求めたのでありますが、金準備の問題であります。総裁も実は日本の金準備率は国際的にいって非常に低い、何とかしてやはりある点までそれを広げて、準備率を引き上げる必要があるというようなことをあるところで述べられております。おそらく私は、日本の経済のこういう険悪な形、時の流れによって絶えず浮動するようなことは、何といってもやはり日本の金準備の不足が一つの大きな原因じゃないかと思われますが、こういう点について先回も私は総裁に御質問しましたけれども、今の日本の持っておる金の準備高では低きに失するというのが国際的な通念であります。総裁もそれを認められておりますが、それを実行なさる御意思があるのか、あるいはどれくらいまであったならば日本の金準備というのは妥当であるのかということについての御所見を承っておきたいと思います。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 日本の保有する金の問題につきましてしばしばこの席でお尋ねを受け、またお答えいたしましたところでございますが、その際に、現在持っております金準備は、日本の経済をまかなうための金の保有量としましては、列国に比べてその割合が低い、外貨準備における金の割合が低いというごと、また将来機会あらばいま少しくふやしたいものだということは私も申し上げましたし、現在でも同様に考えております。ただ御承知の通り現在世界の通貨は、大体において一番実力を持っておりますアメリカのドル、一オンス三十五ドルというところに縛られまして、それからみんな割り出しになっております。日本は現在アメリカから借款をいろいろと受けております。アメリカの経済にとりましては、その保有する金の量がふえておるか減っておるかということが非常に大きな世界的な問題になっておる。その際に日本の立場といたしまして、また多量に買えるマーケットといたしましては、やはりアメリカが非常に適切なマーケットでございますけれども、この際それを実行することはいかがなものであろうかという考え方で、むしろ外資導入を奨励しておりまする際といたしましては、しばらくその問題はアメリカ市場においては触れない方がよろしかろう。それからまた市場はもちろん他にもございます。ロンドン等にもございますし、昭和三十四年でございましたか、一時、金の準備をふやしたことがございます。あれはたしかロンドンにおいても相当に金の充実をいたしたと思います。しかし現在ではそれも世界的な通貨情勢の関係におきまして適当でない。むしろ一オンス三十五ドルのベースをかたく守ろうということについては、欧州の各国中央銀行も米国と協力をいたしまして、世界的な通貨価値の安定ということに努力をいたしております際でございますから、現在の問題といたしましては、これはちょっと発動しかねるかと考えますが、将来の問題といたしましては、機会あらばいま少しその充実をはかるべきであるという考え方には現在も変わりはございません。ただ、しからば何億ドル持っておればいいかというお尋ねでございますが、これは、だんだん貿易量はふえて参りますし、だんだんその数字も伸びて参るべきだと考えますけれども、さてどの程度金として持っておることが望ましいかということを数字的に算出いたしますことは、実は非常にむずかしいのであります。少なくとも、前々から申し上げております通り、現在の量が十分だとは考えておりません。機会あらばもっとふやしたい、ふやすべきだという考え方には変わりはないということを申し上げておきたいと思います。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 山際さん、どうもしつこいようでありますけれども、アメリカのためにどういうわけで遠慮をしなければならぬのか。自国の金準備が不足ならば、それに対していつごろまでにこれくらいの準備をしなければならぬということくらいは、私はしろうと考えでございますけれども、わかるような気がいたしますが、何かアメリカとの関係で日本が今の金準備をふやすということに重要な差しつかえがあるものでございますか。これをお伺いしておきたいと思います。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 米国からの金の流出がドルの価値の将来に影響を持つということで世界の話題となっておりますことは御承知の通りでございます。ところで、今申し上げます通り、日本は現在外資導入をはかりまして、しかもその大部分はアメリカから金を借りておりますが、その金で各種の産業設備その他の経済の発展を企図いたしておりまする際に、借金をして、しかもその金で貸手の方の基磯を危うくするような措置を日本としてとり得る立場ではないと私は考えます。従って、現在の段階では、この問題は、世界的に通貨を安定させるという見地から国際通貨の価値を維持するということにつきまして協力をすべきものだと考えております。他の機会を選ぶべきだと考えております。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 そこが山際さんの非常に引っ込み思案のところで、私たちはどうもその点が理解できないのでありますが、あまりしつこく言ってもあれでございますから、それ以上申しませんけれども、とにかく不安であるということだけは十分に御認識を願いたいと思うのでございます。  それから、今回のいろいろの措置のうちで、高率適用制度の改正に関連して、日銀と市中銀行との間の信用取引について、また通貨供給の方式について新しい考え方が打ち出されております。日銀は今後金融調達について債券の売買を一そう弾力的に行なっていくという意向を明らかにしておられますが、新しいオペレーションの構想について、たとえばその対象は従来通り政府保証債に限るのか、あるいは金融債に拡大する方針であるのか、この点を金利についてもっと弾力化するのであるかというようなことについてお伺いしたいと思います。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 日本銀行の行ないます通貨の供給の方式を多様化いたしまして、各種の事態にもそれぞれ適応できるようなことにしていきたいという趣旨において今回制度を改めましたことは御指摘の通りでございます。対象といたしますような政府保証債の範囲がどの程度であるか、また目下は政府保証債を中心にしばしばオペをやって参りましたことは御指摘の通りでございます。しかし、今後は、私どもはいろいろと検討いたしておりまして、需要によりましては、対象となるべき債券の種類をふやしていくということも当然の研究課題の一つでございます。たとえて申しますならば、あるいは金融債を追加するということもございましょうし、あるいはまた、さらに進んでは、政府保証でございませんけれども、いわば公共事業に属するような電力その他の企業が発行する債券のようなものまで対象にするということも考えられると思います。ただ、ちょっと余談になりますけれども、私どもの方で比較的研究を急いでおります問題は、債券でなく、手形の売買ということができぬだろうか、これはやはり一つの市場操作の手段としても非常に適切な性格を持っております。場合によりましては、むしろ債券という長期のものを扱いますよりも、期限の比較的短くて、流動性に富んだ手形の売買ということをもってしますならば、なおそこに一つの適切さが加わるかとも考えておりますので、その問題をあわせて実は検討しておるわけでございます。何も従前にやっておりました範囲、従前やっておりました方式のみにこだわって考えておりません。いろいろ研究を進めたいと考えております。  なお、最後に対象となるような債券の条件までも変更する考えはあるのかというお尋ねがあったと思いますが、この問題は、影響するところが日本銀行と市中銀行との取引だけにとどまりません。起債界一般の大きな問題でございます。これはむしろ別途、より大きい立場において、金融情勢の推移に応じ、また経済界の要請に応じて検討して参るべきものであると考えております。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 それから公定歩合を去年からことしにかけましていろいろ変動されておりますが、これは景気を刺激するためにやられるのか、あるいは警告の意味でやられるのかという問題で、私にはいろいろわからない面があります。こういう点で今回一厘下げられたのを二厘下げようというような意見もあるし、そういう意見もあって、一厘にしたが、また金利を一厘くらい下げるのではないかというような、いろいろな意見がございます。こういう点についてはいろいろの意見が出ておりますが、率直な意味で、総裁はどういう見解から金利の変動をやっておられるのか、その真意を伺っておきたいと思います。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 最近公定歩合を変更いたしました趣旨についてでございますが、この点につきましては、私はこれによって景気をいわゆる刺激するという意味は全然含ましておらぬつもりであります。と申しますのは、先ほども申し上げました通り、今回の景気振興のためには、その前に基本的に解決を要する各種の構造的な問題がございますので、これを片づけることが先決問題、その上でもし全体の均衡を回復いたしましたならば、そこであるいは金融手段による景気の刺激ということも考えられるかもしれませんけれども、現状においては、金融緩和によって景気を刺激するという方策はとり得る段階ではないと考えますので、公定歩合の引き下げにおいてもそのような趣旨は含ましておりません。また今後世間ではいろいろ期待をしておりますけれども、おそらくは、察しまするに、さような意味合いにおける公定歩合の引き下げ——さような意味合いと申しますのは、景気を刺激する意図ではない引き下げはあり得るにいたしましても、これによって景気を刺激していこうという方策としての引き下げは、今申しましたような理由によって期待し得ないのではないか、かように考えております。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 それから、先ほど総裁からも証券市場との関係に触れられましたけれども、最近は六十億の融資とか、あるいはまた百億円の公社債担保全融などを実施されました。これは金融機関を通じておやりになったのでございますけれども、実際的には日銀がそういうことをやったということになっております。そういう点、最近は株が少し上がり過ぎるほど上がりましたけれども、こういうことについて、そういう弾力的な仕事を日銀がやられるのかどうか、これを伺っておきたいと思います。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 先般株価が急激に下落しました際に、日銀も相談に乗りまして、ある程度の了解を与えた事実はあります。それはしかしその趣旨は、何も株価をささえるということでは毛頭ないのでありまして、株式市場の急激な変動によりまして、一種の心理的な混乱作用を生ずるようなことがありましては、いわゆる証券取引の秩序を害することになりますので、最小限度その秩序は保たせたいという見地、それがすなわち日本銀行としてなし得る最大限だと考えますし、またその程度はなすべきだと考えましたので、その限度において日本銀行は相談に乗った。しかし、相談に乗ったと申しましても、それは日本銀行から出た金がひもつきでそっちに流れるということではございません。全体の金融市場の需給関係が、そういう要素を取り入れた上において行なわれた需給関係であるということをよく認識いたしまして、貸し出しにあたってもあるいはまた窓口指導等につきましても、その見地から金融調節の一つの要素として考えていくということだけでございまして、直接ひもつきで右から左に渡すということでは毛頭ございませんし、過去においてもひもつきでさようなことはいたしておりません。今回何十億か金融機関との間に約束されたと申しますけれども、私の方はまだその金は貸し出しその他によってやってはおりません。が、前段申しましたような、何と申しますか、一種の安定的要因——混乱的要素を取り除くという意味におきまして、最小限度の協力をいたしたことは事実でございます。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 協力される場合に、四大証券ばかりやって、中小のものをやらないのはどうか。大きなのだけはやるけれども中小はやらぬという意味ですか、その点を伺いたいと思います。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 四大証券がきわだっておりますのは、その取引の比重が圧倒的に多いからであります。中小のものにつきましては、中小の面でそれぞれ取引銀行もございますし、あるいは日証金その他の機関も働いておりますので、同様趣旨の金融が行なわれておることと私は考えておりますけれども、特にお示しになりましたゆえんは、四大証券の取り扱いが圧倒的に大きいという点から話題になっておると私は了解しております。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 それからもう一つは、最近の証券事情が非常に不況になりまして——これは一時危機が唱えられましたけれども、さすが日銀が顔を出せば株が上がるというような形が出てきております。そこでこれは御承知のように、現在でもそうでありますけれども、何といっても証券市場というものは長期の産業資金を生むのでありまして、やはり私はそういう点では日本銀行がこういうものにある点まで手を触れるのはいいけれども、しかし何といっても現在のような、一般の投資家大衆が非常に昨年あたりからどんどん株を買って、結果においては非常に打撃を受けたというような変動があり、また国民の一般大衆も証券について非常に魅力を失ったと思われます。こういう点について日銀の総裁はどういうようにお考えになっておるのか。私は株をやったことはありませんけれども、大衆はがっかりして再び手に触れないような空気が流れております。こういうような極端なことのないようにする何らかの方法はないのか、これをあらためて伺っておきたいと思います。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 ただいま御説明申し上げました通り、日本銀行として直接証券市場に関与する方法もとるべきではございませんし、また間接的にも関与し得る場合というのは非常に局限されておると考えております。従って日本銀行として将来株主が安心できるような具体的な措置というものは、これは中央銀行としてなかなかとりにくいし、またとるべきではなかろうと考えますが、むしろそれよりも一般的な経済界の常識といたしまして、前段ちょっと私が触れましたけれども、たとえば経営に対する株主の批判なり何なりの形をもっと強く反映するような組織を考える、あるいはまた証券関係者のいろいろな取り扱いの仕ぶりについて反省してみて、改むべきもの私は必ずしもなしとしないと思いますが、それは将来改めていくということに思いをいたしていきますならば、道は遠いようであるけれども、私は日本経済自体の将来はあると思いますので、その点は株主諸公が短気を起こさずにじっくり真相を見きわめて付和雷同されないことを切望しておるようなわけであります。何しろ銀行自体といたしまして直接市場に触れることは非常に局限されておりますから、この程度のお答えで一つお許しを願いたいと思います。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 先ほど年末金融もそう心配ないだろうというような御意見がございました。しかし高い見地におられる大蔵省とかあるいは日銀の立場からすれば案外スムーズにいっておられるようなことが、末端では非常にひどい状態になっている。たとえば繊維業者などというものは、昨年以来倒産に次ぐ倒産、これは石炭や鉄鋼もそうでありますけれども、非常に大きな打撃を受けました。それだから私たちに心配されるのは、はたして年末の金融がうまくいくかどうか。これは臨時国会が来月開かれるわけでありますからどういう処置をされるか知りませんけれども、戦前われわれの若い時代には中小銀行が倒れたことがありますが、今日ではそういうことはございません。けれども非常に大きな打撃を受けておる地方の中小企業というものは、年末の金融に非常に困るのではないかということが予想されます。そういうような懸念を一体考えておるのかどうか。日銀総裁として重要な役割をしておられる関係上、私は重ねてその点についての総裁の意見を伺いたいと思います。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 中小企業の年末金融の問題につきましては、先ほど申し上げた通り、私といたしましては非常に関心を深く持っております。中小企業が日本経済全体の上に占める地位また中小企業が中小なるがゆえに持つ大企業に対する一種の脆弱性と申しますか、それらの各種の事情によりまして十分これは注意して参らなければならぬものと考えております。先ほど申しました通り、政府におかれましても早早にすでに年末対策を立てておりますし、銀行協会等におきましても相当昨年よりも上回るような金額を中小企業向けに融資したいという態勢を整えております。各方面の態勢が整っております上に、ことしは割合政府資金の散布も昨年に比べまして超過額が大きいように考えます。あれこれ考えまして、年末には私どもも相当のいわゆる買いオペもいたします。それによって出ました資金が中小企業金融の方に十分に向いて参りますにつきましては、先ほど申します通り金融機関の指導あるいは金融機関のやることに対する協力ということによりまして、その趣旨が末端まで徹底していきますように、これは今後の問題でありますけれども、十分にことしは気をつけて参りたいと考えております。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 先月の二十二日に支店長会議がありまして、おそらく各地からの情報があったと思います。そういうところをかいつまんで金融の状態はどうなっておるかという報告があったと思いますが、そういう点について総裁はどういうふうにお感じになったか、簡単でけっこうですが、全体の共通している二、三の点だけを一つここでお示し願いたいと思います。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 過般日本銀行で開かれました支店長会議におきまして、各地支店長からの諸般の地方における金融情勢の報告を聴取いたしました。全体として申しますると、いわゆる景気調整の施策は漸次その効果を現わしておる、各地に浸透しておりますけれども、ただしさいにこれを見ますと、地方により、あるいはまた業種によりまして明暗が相当分かれておるということを実は教えられたのであります。地方で申しますると、たとえば農村地帯と中都市地帯あるいは大都市、あるいはまた業種で申しますると、消費もしくはいわゆるレジャー産業に関係のあるような方面と重工業その他資本財生産に連なる関連業種というものにおいて、かなりの開きがあるということも聴取いたしました。従って明暗さまざまな事態にどううまく対処していくかと申しますると、これはほんとうにむずかしいところでありますけれども、要するに常時配意を怠らず、回るべきところを回っておるかどうか、また意外に悪化し意外に業況の変化をもたらしたものがあるかどうかということもまんべんなく注視して過ごす以外に方法はないわけでありまして、われわれといたしましては、そのときにも申しましたが、十分事態の推移を注意しておりまして、しかして指示を要するところ、協力を要するところには遅滞なくその方法を各地金融機関と協議して講ずるということを実は申したわけでありまして、このところそのような各種多様の明暗様相を呈しておるということで一がいに一律に律し得ないという困難さを持っておるということを教えられたように思います。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 きのうの新聞でございますが、だいぶ日銀の方が窓口をゆるめてきたというようなことが出ておりまして、都銀や興銀、長銀などに今までの希望額よりは上回る八五%程度の融資をされたということを聞いておりますが、どういう気持でそういうようなゆるめの方針をとり始められたのか。必然的になったのかどうか知りませんけれども、そういうような点が出てきた思うのですが、そういう点については総裁はどういうようにお考えになっておられますか。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 いわゆる窓口指導を行ないますにあたりまして、その内容を点検する際の基準といたしましては、たとえば資金を需要すると銀行からの申し入れがあります場合には、その需要の内容がどう変ってきておるかというような点は確かに一つの重要な要素でございます。すなわち、俗な言葉で申しますと、以前は設備拡張を中心とする前向きの金融要請が非常に強かったのでございますけれども、最近の特徴といたしましては、その方がやや衰え始めまして、むしろいろいろ累増したところの債権債務関係をいかにして解消させるか、あるいはいわゆる滞貨をどう処置するかといったような、いわばうしろ向きの金融というものの比重がふえて参っております。このことは、いわゆるインフレーションの懸念という見地から申しますると、前向きの資金需要が強い場合に比べますると、比較的引き締めの必要が弱くてよろしいという段階に進んできいてると思うのであります。また金融機関自体の貸し出し態度、審査方針というものも一つの指針として考えておりまするが、よほど慎重になって参りまして、競争をして新分野を開拓するということよりも、既往の貸し出しの管理、または既往関連を持っております業種における円滑なる事業の推移ということで配意していっているように思いますので、ここで銀行の申し入れを相当潤沢に認めましても、引き締めをする事態にあと戻りすることはないものと考えまして、まあ今月はこの程度がよかろうということでお示しのような査定をいたしたわけでございます。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 先ほども一般事業の経済上の打撃ということについて日銀の責任もなしとしないという総裁の率直な御意見がございました。少なくとも日本の現在の実情ではなかなか政治勢力が強いので、日銀の総裁ががんばっても不可能な面があるかとも存じますけれども、しかし何といっても国の経済に関することは、これは国務大臣がおられませんから言いませんけれども、急にブレーキをかけられれば一ぺんに倒れていく業者が非常にたくさんおります。これは私の方の愛知県ばかりでなく全国にも、高度成長の波に乗って、所得倍増というようなかけ声につられて、そうして結果においては倒れていくというような人があるわけです。こういう点については、日銀はやはり何といっても中央銀行としての大きな存在でもあり、またそれの波に乗らないだけの立場と実績があると思うのです。そういう点について、私は山際さんが軽率な人だとは決して思っておりませんし、日銀はそう軽率なことをやるとは思いませんけれども、時の権力に屈して悪いと思っていることでもやらざるを得ないような立場に追い込められるようなことが今まで決してなしとしないと考えております。そういう点について過去のことを今言ってもどうにもなりませんけれども、日銀の総裁は経済閣僚会議にもおそらく出ておられますし、同時に政策委員会という相当ないわゆる専門家がおられまして、そうしてそれらの問題についても検討があるかと思いますが、少なくとも政府のかけ声だけで悪いということを実行するようなことがあると、再び昨年のような結果が出てくるのじゃないかということを心配しておるわけでございますが、今後そういうことが起こらないのかどうか、これはしつこいようでありますけれども、もう一度お伺いしたいと思います。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 日本銀行の従来の措置につきましていろいろ御批判をいただきましたにつきましては、私ども従来も反省はいたしておりますが、とくと一そう慎重な態度で反省をいたしたいと考えております。今後日本経済の運営におきまして、金融の占める地位というものはその重要性がますます増すものと私は考えております。自然この金融政策が日本経済全体のために非常に重要な役割を遂げるということは、私どももその信念としてよく存じております。今後におきましては、再び御指摘のようなことごがざいませんように——あったと申しますわけではございませんけれども、批判を受けるということ自身については、やはりどこかその欠点があったに違いないと私は思いますので、よく十分注意いたしまして、日本経済がなめましたこの苦杯を再び喫しませんために、十分前広にかたい措置をとることを私は決意いたしております。このことはひとり私ばかりではございません。往々世間ではいろいろな例で批判をいたします。先ほど申しました通り私は弁明はいたしませんけれども、政策委員の各位並びに私自身、自分の信念にあらざることは絶対に実行いたしません。このことを私は責任をもってここでお約束申し上げてよろしいと考えます。十分その責任及び権限の重大なるにかんがみまして、一そうその戒心の度を深めたいと考えます。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 最後に、いろいろ意見を伺いまして、なおいろいろなオペレーションの問題もありますが、時間もありませんのでこれ以上申し上げませんけれども、時あたかも年末に差し迫まりまして、市中銀行金融の問題等いろいろ深刻な問題もあると存じますが、どうかあやまちのないように総裁に要望いたしまして、私の質問を終わります。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 堀昌雄君。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 日銀総裁に引き続きお伺いいたします。すでに今までお話しになった中に含まれておると思いますけれども、今度一連の金融緩和の措置をおとりになりましたが、今度のこの不況のよってきたるところは相当根の深いものであると私は考えております。このことは単に日本だけの問題ではなくて、資本主義諸国全体として生産が過剰ぎみに推移しつつあるように私は考えます。このことはすでに国際通貨基金のヤコブソン理事も、やはり全体としての過剰傾向については意見を述べられておりますけれども、この生産過剰傾向の問題について総裁はどのようにお考えになっておりますか。これを国内の問題と国外の問題とに分けて一つお考えを承りたいと思います。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 まず国内問題における生産過剰傾向の問題は、今回のいわゆる景気調整措置が設備投資の抑制というところから始まりましたにもかかわらず、設備投資が各種の経済要素と不均衡に行き過ぎてしまったというところに問題があると思うのであります。その結果は、その設備がだんだんできるに従いまして生産は過剰になるという結果を見ますことは当然の帰結でございますけれども、一体なぜさようなわかっておることをやるのかということになろうかと思いますが、これは現在の機構で申しますと、結局企業家の各自の見解においてどの程度の需要を想定して生産を拡大するかということになる判断の問題でございまして、その全体をどこかでコントロールするということは、実はそういう仕組みがないわけでございます。それで集計してみますと、案外過大な生産設備が増大されまして、そこに生産過剰が起こるということになるわけでございますが、いわば一種の過当競争ということがそこにありまして、つい設備競争に走ってしまうということになろうかと思うのでございます。従いまして、これを単に金融措置だけで解消することができるかという問題になりますと、これは実は先ほど佐藤委員のお尋ねに対してお答え申しました通り、私はそう考えておりません。もっと根の深い実体的な問題が解決されなければ、金融上の措置だけで景気が再び刺激を受けて立ち直るというわけに参らぬ、むしろ他の弊害を生ずるだろうと私は思います。でありまするから、さしあたりの問題は、金融緩和の措置をとりましたけれども、それにはこれによって景気を刺激しようという考えはございません。ただ、それを緩和いたしましても、再びこれ以上に過熱を生ずるおそれはないと思いましたがゆえに、一日もすみやかに正常の状態に持っていきたいという見地から解除いたしましたにすぎないのでございます。そういう実態関係の問題が、国内問題としては非常に解決のすみやかなることを私は待っておると思いますので、この点をやっていただきませんと、次の段階において経済の発展を遂げて参る基盤がなかなか醸成されてこない、かように考えております。  国際的に見ましても、これはただいまの御指摘の通り、やはり同じような傾向が多かれ少なかれ考えられるわけでございます。これはやはり私は国際的に見ましても、日本が経験いたしましたと同じような事態が各国において行なわれまして、そうして期せずして陥った一つの現象であろうと実は思います。従いまして、その結果は、おそらく、今後におけるいわゆる自由化問題で全世界ができれば一つの市場となって大いに潤沢に商品を供給しようという態勢でございまするけれども、背後において生産過剰の問題を控えておりまするから、自然そこに現われて参ります現象は、国際競争が非常に熾烈になるということだと私は思います。しかし、これもやはり経過せねばならぬ一つの段階だと思います。  しからば、国内、国際を通じて、いかにしてこれをチェックするような方法を考え出すか。これは今後のいろいろな問題につながると思います。ある者はこの際国際的な通貨管理の問題を解決しなければ、おそらくそういう行き過ぎを再び起こす危険もあるだろうと説いている人さえもあるのであります。  いずれにいたしましても、自由世界を通じて申し得ることは、もう少し金利の作用を各国が十分尊重しあって、これによって企業家の投資態度やあるいは経済取引の趨勢というものがコントロールできるような態勢をすみやかに築き上げるということが大事だと思うのでございまして、この意味におきまして金融通貨の方面においても国際的協調の必要性というものは今後大いに加わって参ると実は思うのでございます。  国内的に考えましても、金利機能は必ずしも企業の盛衰や、あるいは商取引の増進あるいは減退等を左右するほどの大きな機能的な役割をいたしておりません。これをもうちょっと強めることによりまして事前にかかる暴走を防げるということになるのではないかということを実は考えておりますので、機会あるごとに金利機能の回復ということを大きな目標といたしまして金融政策は進められるべきものと実は考えております次第でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 お考えはわかりました。そこでちょっとお伺いをいたしたいのは、実は最近の設備投資のふえ方でありますけれども、昭和三十四年は前年比で三二%増、三十五年が四二%増、三十六年が三〇%増と、ここ三カ年にわたって異常な設備投資が行なわれて参ったわけでありますが、総裁はこの設備投資が生産力化してくる資本係数と申しますか、そういうむずかしい単位でなくとも、大体昨年度は四兆円をこえる設備投資があったと思いますが、これが本年度には一体どの程度に生産力化してくるというふうにお考えでございましょうか。現在の日本の経済情勢の中で、それは生産力化してきても操短によって押えられていくという現実の姿だと思いますけれども、その設備投資をされたものが動いてくるという前提に立ちますならば、それが生産に一体どの程度にはね返るというふうにお考えになりましょうか。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 その研究は実は所得倍増計画設定の当時からの重大な問題になっております。御承知のように、業種によりまして投下されました資本が生産力化して再び利潤を生むような態勢に参る、その循環の過程が、長さがよほど違っておりますので、総体として、平均してどうだということはなかなかとらえにくいのでございます。今年度並びに来年度にかけましてしからばどういったような設備投資がなお継続されるであろうかどうか、過剰供給力を持っている際においてもなお継続されるであろうかどうかという問題は、この計算も実はなかなかむずかしい。それは本年度の経済見通し並びに来年度の経済見通しにおいて当然推定せらるべき重要な事項だと私は考えております。私ども関与いたしております範囲におきましては、目下御指摘の点について実は研究中でございまして、ここに結論を御紹介申し上げ得る段階までは参っておりませんが、きわめて大事な点として私どもは非常にこれを重視いたして、せっかく調査を進めております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 皆さんの方でお出しになっております月報を拝見いたしましても、その中には一・五から二ぐらいの間のような資料も拝見をしたことがありますが、そういうふうに見ましても、二として見ても四兆円の設備投資がありますれば、今年は二兆円の生産が生まれてくる、こういうふうに考えなければならないと思うのでありますけれども、これまでのそういう長期的な設備投資が生きてくる問題、いろいろ考えてみますと、日本の場合に生産過剰という問題は相当真剣に考えなければならぬところにきておるのではないか。総裁も支店長会議の中でお話になったと伝えておるものは、石炭、海運、化学肥料、非鉄、さらに鉄鋼、繊維の一部にもそういうようなものがあるとお考えになっておるように書かれておるわけであります。  そこで今後の問題として、こういうふうに生産過剰ぎみの場合に、一体これをどういうふうに需要に結びつけていくか、これはやはり世界的な問題としてあると思いますけれども、私は今の日本の場合の個人消費というものは、必ずしも諸外国に比べて高いとは思いません。そこで最終需要であるところの輸出と個人消費というものが、やはり生産過剰の供給との見合いで大きく考えられなければならないのではないか。ところが輸出の問題は今お触れになりましたように、これはやはり世界的な生産過剰の問題で、今は少しいいようでありますけれども、今後多くを期待するということもなかなか困難である。こう考えて参りますと、将来の日本のそういう需要をどこに求めるかということは、今後の日本の経済を考えます場合に、やはり私大きな問題点になるのではないかと思われますが、そういう面で実は全体としては個人消費が高まることを希望しながら、個々の企業はやはり賃金を出すことをしぶりがちである。こういうのが日本の経済の実態だと思いますけれども、そういう観点に立って、この過剰ぎみの供給をどのようにして需要面とバランスをとらせるべきかという点について、総裁の考えを承りたい。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 御指摘の問題は将来の日本経済の方向を決定するきわめて根本的な、かつ重大、また困難な問題だと思います。私一個の見解がどれだけのお役に立つかと存じますけれども、おっしゃる通り、需要を増す、そのためには、方法として最終個人消費あるいは輸出ということは容易に考えられるのでありますが、私はそのうちの輸出について最も重要点を置くべきだと考えております。これは反面において、御承知のように、国際競争力の見地からいたしまして、競争は熾烈になりますけれども、日本の国情といたしましては、どうしてもこれを中心に考えていかぬと国が立たぬと私は思います。個人消費の方を刺激いたしまして、これによってその需要をつけるということも容易に考えられることでありますけれども、ここに留意すべきことは、そうでなくても現在消費者物価指数というものはなかなか下がりません。卸売物価指数はだんだん下がって参っておりますけれども、消費者物価指数は必ずしもそうでないという状況におきまして、ただ単にこの消費者の需要を刺激するということだけではその永続はむずかしいのではないかということを懸念するものでございますし、また日本のように原料資源の乏しい国におきましては、この方面から需要をつけて参りますことはなかなか危険が多いと私は考えております。それよりもむしろ私が考えております国内的な方面といたしましては、私的投資が非常にこの両三年で伸びましたに比べまして、いわゆる公共投資がむしろおくれて参りました。そのために、せっかく投下した私企業の資本も十分にその効率を発揮し得ないという情勢が随所に現われておるように思います。たとえば道路の問題にいたしましても、港湾の問題にいたしましてもあるいは住宅の問題にいたしましても、この隘路のゆえにせっかくの投下資本が十分な効果を上げないという現象が随所にあろうかと考えまするので、その私的投資と公共投資の不均衡を回復するという点に一つの重点を置くべきであろうと思うのであります。かくすることによりましてその点がだんだんに回復いたして参りまして、最終的には最も健全なる状態において消費を刺激することにもなるであろうと思います。かたがた輸出の増進に一そうの力を入れるということ、しかして一面においては国内的な構造的不均衡を是正するということ、それらに重点を指向していくのが現在当面しておる日本経済の打開策の基本ではないか、かように考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 今消費者物価にお触れになりましたけれども、なるほど最近もまだ依然として消費者物価は上がっておりますが、私どもはこの消費者物価の高騰というものは、やはり一面には日銀の信用膨張とうらはらの関係にあるというふうに判断をいたしておりますけれども、この点については総裁はどういうふうにお考えになりましょうか。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 普通私どもは、物価の現象と日本銀行が供与いたしておりまする信用の拡大との関係におきましては、消費者物価の方面は卸売物価に比べまして、直接日本銀行の行なう信用政策の影響度が高くないと実は見ておりますので、消費者物価の沈静のためには、もっと多種類、多方面の対策が必要だろうと実は思います。従ってむろん関連なしとは言い得ませんけれども、当面日銀信用が過大なるがゆえになかなか消費者物価の沈静を見るに至らぬというのも、少しその間に各種のものがありまして一がいには言い切れぬのではないかと考えておりまするが、考慮すべき重要な事項としては十分考えておりまするし、今後も考えていきたいと思っております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そこで、今公的投資が不十分であるから日本の経済は今後公的投資をふやさなければならないというお話が出ましたけれども、こうなりますと財政の面で公的投資をふやすということになろうかと思います。ところが今生産過剰ぎみになって不況ということになりますれば、財政収入というものはなかなか期待するほどに大きくならない。その中で、では公的投資を拡大していこうということになりますと、ここで考えられますものは各種政府保証債を多発することによってまず資金的な裏づけをしよう、こういう問題が出てくるのではないかと思いますけれども、その点はどういうふうにお感じでございましょうか。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 公共的投資を促進いたします一つの現象といたしまして、おそらく政府保証債が相当増発を見るだろうという結果は推測にかたくないと思います。ただしかし問題は、その増発された政府保証債をいかにして消化するかという問題にあろうかと思うのであります。消化のめどのない増発はいたずらにインフレを招くのみでございまして、もしくはあるいは計画通りの事業が実行できないという結果に陥るのみでございまして、とるところではないと思いまするから、その消化方法いかんということが非常に重要な意味を持って参ると思います。これはどうしましても、基本的にはやはり社会、私企業を通じて全体としての資本の蓄積を増進いたしまして、これによってその消化をはかるというのが本旨でなければならぬと考えます。同時にまた、近ごろしきりに行なわれておりますことは、他の国々の蓄積部門を日本の方へ回してもらういわゆる外資導入の形において、そこに財源を求めようというのも一つの考え方だと考えます。いずれにいたしましても、さような努力によりまして蓄積された資本を利用することによって、公的投資を促進するということをその基本に置くべきである。これを単に日銀の信用膨張に帰するがごとき考え方は、これはやはり極力防止して参らなければならないと考えて、実はいろいろ研究いたしておるような次第でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 実はきょう午前中に大蔵大臣にも伺ったわけでございますが、きょうお触れになりました今後の新しい制度としての買いオペレーションの問題につきましては、実は私は今の政府保証債が多発をされましたときに、それでは一般市中の市民がこれを買うかと申しますと、現状では公社債の流通市場のない段階でございますから、これはなかなか消化をされにくい。そこで勢いこれは市中金融機関が引き受けることになる。この市中金融機関が引き受けた政府保証債を日銀の方では通貨増発の一つの手段として買いオペレーションをなさる、こういうことになると、今ちょっとお触れになりましたけれども、日銀の引き受けになる可能性が非常に強いのじゃないか。これはやはり一種の赤字公債を発行することと事実上同じような関係になるという不安があるわけでございますけれども、この点については何か確然たる歯どめのようなものがあるのでございましょうか、そこを一つ承っておきたいと思います。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 日本銀行の通貨供給の方式といたしまして債券の売買をその一つのルートとするという考え方は、時期によりましては非常に有用な方法だと私は考えております。その際に、今御指摘がございましたような事実上公共投資の財源として考えられるこの政府保証債を日銀引き受けの形において発行することになりはせぬかという御懸念につきましては、私どもも最もこの点は注意いたしましていろいろと研究を重ねている点でございます。私どもは通貨発行とさような政府保証債の引き受けということを結びつけて考え、また考えなければならぬような場合に絶対陥らせないということで考えております。たとえば政保債にいたしましてもその他オペの対象になります債券類につきましては、少なくとも発行後一年以上の時間を経過いたしまして、相当に市場の名声を確保しているものであるとか、あるいはその他いろいろその当時の状況に応じまして、先ほど申し上げましたように買いオペの対象も必ずしも保証債に限らず、手形の類にまでこれを及ぼすというような方針をまぜまして、御指摘のような懸念が毛頭ございませんように十分今後の対策につきましては重視して参りたいと考えております。私も財政法の規定は承知しておりますので、それがしり抜けになるような結果になりますことは、十分いろいろ研究をいたしてその弊に陥りませんように気をつけてやって参るつもりでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 実は今度おやりになるオペレーションは、マーケット・オペレーションという形にならないで、金融機関との相対の取引になるし、価格がきまっておるわけでありますから、この点ではたしてこれまでの制度に比べて金融機関の立場はどうであろうかと考えてみますと、これまでですと一次高率適用、二次高率適用——二次はおはずしになっておりますからあれですが、高率適用というものがあれば、借りれば借りるだけ負担が重くなるということになると思いますが、今度の買いオペレーションの場合には、おそらく市場価格というもののない債券類でございますから、何らかの利回りを基準にした価格においての買い取りが行なわれることになる。その利回りというのは、市場にそういう金利操作がございませんから、やはり確定利回りのような形でこれが買われるということになると、その利回りのいかんによっては、市中金融機関は現在の買い入れよりも負担が楽になるのではないか、こういう感じがいたします。今の政府の保証債は、おそらく日歩一銭九厘四毛くらいになるのではないかと思いますが、そこは私の方が間違いがあればお正し願いたいのですが、これまでの公定買いオペレーションは大体二銭でお買い上げになっておるように見受けますので、そこらの点は一体どうなるのかを、確定しておりませんければ別でございますけれども、ちょっとお考えを承りたいと思います。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 今度通貨供給の新方式として考えましたいわゆる買いオペレーションの問題につきましては、御指摘の点は最も研究を要する点と思っていろいろ考究をいたしておる点であります。この運用いかんによりましては御指摘のような場合も起こり得ることもありまするけれども、その点を十分戒心いたしまして、たとえば私どもの方では、同じ買うにいたしましてもおそらくしばらくは銀行を相手にせざるを得ないと思いますけれども、売り戻しの条件はつけたままで買っていく、それからまた御承知のように証券市場ができておりません場合におきまして、その利回り採算を適当に変化させていくということが非常にやりにくいことでございますけれども、何らかそこに工夫はなかろうかということで実はいろいろ研究は進めております。たとえば同じような公募の方法をとるにいたしましても、入札の方法を加味するということも一つの方法だろうということで、いろいろ利害得失を研究しておりますようなわけで、今後その点については十分注意して参りますが、何と申しましても根本は債券市場を早くつくらなければいかぬということになろうかと考えますので、いかにすれば債券市場の再開が可能であるかという問題をあわせて実は検討いたしております。今後買います債券類をいかなる利回りで買うかという問題は一つの問題でございますけれども、全体の、たとえば貸出最高限度の制度ともにらみ合わせて考えますと、これによって従来以上に銀行が採算が有利になって、そうしていたずらに買いオペにたよるというような結果にはならぬだけの配意は、全体といたしまして十分とっておるつもりでございます。運用上さようなことに陥らぬように十分留意して参りたいと考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 今金利問題にお触れになりまして公募についての入札等のお話も出ましたけれども、私は個人的な考えでございますけれども、現在債券類の中で比較的消化されやすいのは割引利付の金融債だと思いますけれども、これは期間が一年になっておりますから、証券業者が売りましても、またそれがはね返ってきても、比較的短期の取引で処理ができやすいという利点があるのではないか。そういたしますと、現在の五年ものの公社債、社債類というものは、やはり一気に出ますと、あとそれを抱きますと、その間は非常に滞貨のような状態になるというような点に問題がありはしないか。どうせ継続して発行するのならば、今後社債流通市場を考える場合には、一年ものでみなが少し出してくるようにすると、流通の点については五年ものに比べて処理は簡単になるのではないか。それが、五年ものでないけれども、一年のものを五回続けて出せば結局五年ものと同じ効果になるかと思いますので、公社債流通の問題については、これも一つの考え方ではないかと思いますが、こういう点について一つ総裁の御意見を聞きたいと思います。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 債券の期間の問題をどういうふうに考えるかと申しますと、やはり最も重要点として考えるべきものは、その債券によって建設せられるものの自然の償還資源が何年ぐらいで調達できるか。おそらく事業経営者の立場から申しますと、長期のものであればあるほど資金の構造が安定的であるということを好むだろうと考えます。なるほど一時短期のものを出すことも便法としては考えられますけれども、全体といたしますと日本の債券類はまだ今でもその実質に比べて期間が短か過ぎる、機会があるごとにそれを延ばしていきたいというので、やっと今最長七年まで持って参りましたような経緯でございますので、全体の傾向といたしましては、私はやはりその事業に見合った長い期間の金を集めるべきだと実は考えております。ただ短期の方につきましては、短期の債券資金によって切り回すことが合理的でございますけれども、それはまたおのずから数量的に限られておることでありますから、いわゆるオペレーションの対象としてそういうものだけでいけるかどうかという議論もございましょう。いろいろ彼此考えあわせまして最も適実なる道をいきたいと考えております。  なお、先ほどおっしゃいました債券の利回りの計算は、おっしゃる通りでございます。今後も買いオペをいたします場合の利回りのどの辺をねらうかという問題につきましては、大体今債券の担保貸出がいたしますと、公定歩合は日歩二銭になります。これと、それから応募者利回りもわかっております。その両者を見比べまして高い方によってこれを買うべきではないかというのが一つの研究になっております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 その次に実は前回総裁にお越しいただきましたときに、私準備率の問題をお伺いいしましたところが、当時最高三%でございましたけれども、諸外国の例から見てもこれは低過ぎるくらいだから、このくらいでやっていきたい、こういうふうなお答えがございました。ところが実はこの間の金融緩和措置でまたもとに戻りまして、非常に低いところへいったと思いますけれども、日銀法でございますか、その規定では準備率は一〇%までが認められておるように思いますし、三%でも準備率操作をするということは事実なかなか困難だと思うのであります。今日銀のおとりになれるオペレーションも、実は今申し上げたようなことで必ずしも正常な機能を発揮するオペレーションを行ない得る客観的情勢はない。おまけに準備率も今度これで下げてしまえば、これもほとんど操作をすることができにくい条件になってくる、あと残るものはもう公定歩合操作だけになるというような感じがありますけれども、一体この準備率の問題については現在どういうふうにお考えになっておるのか、これはもう準備率を操作することはあきらめられたのではないかという感じが私は今回いたすわけでありますが、この点についてはいかがでございましょうか。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 準備率全体の問題といたしましては、前回の委員会においても申し上げました通り、私は一つの金融調節手段としては、現在改めましたものはむろんのことでございますが、従前の率も低過ぎると考えております。低過ぎると思われるものをそれじゃなぜさらに下げたかという点でございますけれども、これは過般の変更は、主として昨年九月の状態までに返すということに非常な重点を置きまして行ないましたために、一応当時の率まで戻しておいたわけでございますが、この準備率の問題は前回申し上げたと存じますけれども、単に銀行ばかりでなしに、最近非常に資金量がふえてきたといわれる相互銀行であるとか、その他の種類の銀行等についても考えられる問題でございますから、それらの種類の金融機関も包括いたしまして、さらに現在の準備率のきめ方は、資金のその銀行に集まる量のいかん、規模の大小によって段階ができております。それらもはたして現状に即するかどうかという点も考え合わせまして、新たなる準備率の問題として全体的に考え直そうという考え方を実は持っております。当面ちょっと矛盾するようなことでありますけれども、準備率を下げましたのは全体として昨年九月の段階まで緩和するという点に重点を置いたからにほかならないのでありまして、制度としての準備率の問題は私は決して軽視をいたしておりません。あきらめてもおりません。つまり準備率態勢の整備という見地から、広範囲に、総合的に出直そうという考え方を持っております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 ちょっと私今のお話でよくわかりませんのは、昨年九月の状態に戻すとおっしゃったわけでありますが、昨年九月の状態に戻すということと金融正常化と申しますか、今後の金融のあり方をもって将来に対して備える問題というものと、一体いずれが大事かというふうな感じがするわけでございまして、昨年の九月のところに戻しさえすればそれで何か問題が解決するということでありますれば簡単でありますが、どうも私はこの準備率の問題につきましては、これを解除することによって即座に七百億ばかりの資金が生じてくる、その資金というものが結果としては四百億が証券金融に流れるように新聞紙上等にも伝えられておりますけれども、どうもそこらに何か一連の問題があるような感じがいたしてならないのであります。一体この準備率その他を含めてどうして昨年の状態に戻さなければならなかったか、昨年の状態に戻すことだけが現在非常に重要なので、あとの金融正常化の問題は二の次に考えるべき程度の状態なのか、この点を重ねて伺っておきたいと思います。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 当面行ないました措置の重点は、昨年九月に総合的な引き締め政策を実行いたしました。その時点までとにかく緩和を回復する、金融正常化の問題はむしろ今後に展開せらるべきより大きな、大事な問題だと実は思っております。これが正常化されませんと再び今回のような轍を踏まねばならぬという危険も想像されるわけでありますから、むろんそれは重要に考えておりまして、やるつもりでございますけれども、何分にも関与する範囲が広く、また解決すべき問題も非常にたくさんございますので、これはこれとしてまた別な扱いということで実は考えたわけでございます。ことにオーバー・ロン形態が非常に激しくなっておりまして、しかもそれがとまらぬという状態のもとにおける準備率操作というものは、ほとんどその効果は減殺されるおそれもございますので、まずだんだんその基礎をつくっていこうということが考えの背後にございます。  それから最後に一点申し上げておきたいことは、非常に技術的な問題でございまするけれども、準備率によって解除されまする金というのは、つまりそれだけ銀行の現金準備がふえるということでございまして、もし英米の市場の慣行に従いまするならば、貸出額に対してかりに一割、もしくは預金額に対しての一割の現金準備を持てばいいということになりますと、解除された額の十倍までは信用の膨張が銀行は可能なんだという結論になるのでございますが、日本においては、まださようなところまでいっておりませんので、銀行といたしましても、おそらく私の推察では解除されました金は、さしあたり無利息で遊ばしておくわけでもないだろうと思いまするので、とりあえずなるべく高い借金は返すという方向へくるのじゃないかと実は考えております。従いまして、準備率から解放されますところの現金をそれが直ちに貸し出しの財源としての資金というふうに直結いたしまするのには、少しこれは早計に思いまするので、なおなお信用の膨張につきましては、もっと別の見地からも、はやり監督して参らなければならぬという関係に立つかと考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そこで、準備率の問題については、なるほどおっしゃったように、日本の状態ではまだこれはなかなか準備率操作ができにくい。これを引き上げましても貸し出しがふえる形、引き下げましても貸し出しの減る形、実際上の流動性においてはあまり効果がないということはよくわかりますけれども、それじゃオーバー・ローンが解消るすかというと、これはこれから買いオペレーション等をおやりになったといたしましても、一兆五千億になんなんとしているこの貸し出しが、そう簡単に私は減って参るわけにもいかないのじゃないかというふうに思いますので、そういうことを伺っておりますと、さっきお話しになった金利作用の問題等が、ずいぶんと雲のかなたにあるような感じがしてなりませんけれども、一体総裁は、この金利作用が生きてくることに対する見通しを、大体どのくらい先に置いていらっしゃるか、今いろいろとこれから手段はお打ちになろうと思いますけれども、大体どのくらいをめどにしていらっしゃるかをちょっと伺いたい。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 金融正常化の見地から、現在ありますオーバー・ローンというものが非常な正常な金融操作を妨げておりますことは御指摘の通りでございます。これは、政府の方に御質問いただいた方がいいかと思いまするけれども、現在金融制度調査会というのが開かれておりまして、そこでいかにしてこのオーバー・ローンを解消するかということが日夜論議されておるのでございます。おそらく年内にはその結論が出されるだろうと思いますが、これはどうしても私は取り組まねばならぬ問題だと思いまするし、この点につきましては、むろんこの金融機関の経営者の考え方自身にも大きな問題はありますけれども、非常に残念でありましたことは、高度成長政策下における健全なる経済の膨張に伴う自然的な所要現金の増加ということと、それからいわゆる経営の行き過ぎから生ずるオーバー・ローンというものとがごっちゃになっておりまして、そこにその問題を解決する困難さがあったと思うのであります。今回高率適用廃止に伴いましての新方式というものを打ち出しました理由も、できればその両者を截然と区別したい、しかして経営の方の側におきましては貸し出しの最高限度を各銀行別にきめまして、それから先の信用供与には絶対応じないという強い態度で臨もうということと、経済の発展膨張に伴う所要の資金については債券売買の方法によりましてこれを市場に流していこうという截然たる道を別にしようというのがそのねらいでございますので、むろんこれは運用上非常に苦心を要することでございますけれども、せっかくそういう意図で出発いたしました制度は、その趣旨によって生かしまするように十分な注意を払って操作いたしたいと考えております。  ところで、そのように問題になっておりますオーバー・ローンの解消は、しからばいつごろを目途とするかというお尋ねでございますが、これはまた、完璧に実はまだ計算し得る段階まで参っておらぬ。少なくともこれ以上は膨張させないというところは私ども決意として持っておりますけれども、ちょっとまだそこは見当を立てかねるというのが実情でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 今非常にはっきりした御答弁をいただきましたので、成長に伴う通貨の膨張は今度はオペレーションで供給をしていく、そういうお考えでございますが、そうしますとこれは過去の例でございますけれども、昭和三十四年には日銀貸し出しは三千三百七十九億円、三十五年五千二億円、三十六年十二月一兆二千八百四十五億円、要するに三十五年十二月から三十六年十二月に対して、ここに七千八百億円余りの貸し出しの膨張があったわけでありますが、それが一番大きな今のオーバー・ローンのもとだと思いますけれども、一体経済成長の伸び、これをたとえば一〇%なら一〇%程度現状として伸びる場合に、一体今おっしゃる適正な通貨の増大量、今度買いオペレーションでお考えになる通貨の増大量というものは、大体どのくらいとお考えになっているのか。これを今の時点で、将来に向かっては非常に問題があるかと思ますけれども、昭和三十五年から三十六年に伸びましたときの経営成長の中で、適正であったと考えられる貸し出しによるところの通貨膨張の部分は、大体どのくらいだと今お考えでしょうか。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 その点は目下新方式を採用いたしましたにつきまして、翻っていろいろ検討いたしております最中でありまして、はっきりした結論を申し上げかねるのは非常に残念であります。いずれにいたしましても、今申し上げました趣旨におきまして、銀行がついその両者を混同せざるを得ないような方式によって現金供給が行なわれておりました結果、つい日銀依存ということにつきまして一向神経が響きませんで、つい乱に流れるということは否定し得なかった傾向だったと思うのでありますが、今後それを是正していきますれば、季節的にいろいろオペレーションの金額を決定いたしましたり、あるいは銀行の最高貸出限度を決定いたしましたりする際に、自然に具体的に触れて参らねばならぬ問題だと思います。今の着手いたしました研究を鋭意進めまして、その点に関する理想的に申せば一つの方式でもできれば非常にいいのでありますけれども、はたしてそこまでいきますかどうか、研究を続けたいと考えてやっております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 最後に、資本蓄積が当面必要だという話がございましたが、その中で前回もちょっと触れましたけれども、実は来年度予算を迎えまして、本日大蔵大臣にも伺ったのでありますけれども、貯蓄を増加させるために必要な政策手段として私は何よりも非常に必要なのは、可処分所得がふえるということが貯蓄をふやす大きな原因ではないか、その次は通貨価値の安定、こういうことになるのではないかと思いますけれども、その点についての総裁の御意見を承りたいと思います。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 可処分所得の問題でございますけれども、私は可処分所得がいかにして発生したかということが同時に問題になると思うのです。十分な生産的裏づけのある資金がふえて参りますことは、それがあるいは輸出の増進とか各種の現象を伴って参ります問題でありますから非常に望ましいと思いますが、名目だけの可処分所得の増大ということでは問題は解決しないと考えます。従ってその可処分所得をいかにして今度増進をはかるかという問題の基本は、やはり資本の蓄積を可能ならしめる各種の方策というものを、ことにこの生産的部門において努力することが非常に必要だろうと思うのであります。これはたとえば法人企業に対する減税の問題等が今問題になっておりますけれども、あの線で考える方法が一つ。いま一つは、個人の貯蓄に対する税制上の優遇の問題が出て参ると私は考えておりまするけれども、現在の段階では、おっしゃるように基本的には貯蓄するには元がなければ貯蓄できぬじゃないかという簡単な議論から可処分所得の増大が基本になることは明瞭でございますけれども、今申しましたような十分な裏づけが必要でありますから、これはなかなか現在の段階においてはむずかしい点を持っておると思います。むしろ現在では現に行なわれつつありまする貯蓄の趨勢を税制なり、また一つの考え方によりましたら金利の問題もありまするけれども、何らかの方法を講じて蓄積を増進をしていくという方面へいかざるを得ないかと考えますが、いずれにしましても、あらゆる機会におきまして、この資本蓄積の増大ということを基本にいたしませんと、なかなか今おっしゃるようなことに持っていけぬかと実は考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 実は私表現がまずかったわけでありますが、可処分所得が増加いたしますあり方は、収入が増加する場合と、収入が固定をいたしておりまして所得税が減税をされる場合と、二つあると思います。そこで、実は来年度の自然増収というものが、政府によりますれば二千五百億ぐらいあるが、その二千五百億ふえるというものの中身は何かというと、所得税の増収でふえるという実態があるときに、私どもはその二千五百億の中のたとえば五百億なら五百億を一つその人たちに返すということによって、可処分所得はやはりそれだけふえてくるわけでありますから、そのふえた五百億、返した分の中からそれが貯蓄に回っていくというのがオーソドックスな現象としての貯蓄増強の方向じゃないか。あとの政策的にありますいろいろな考え方というものは、少なくともそういうオーソドックスなものが行なわれたあとに行なわれるのが、私は減税のあり方としては適当ではないか、こういう判断を持っておるわけでありますけれども、その点についての順序でございますね、やはり可処分所得が何らかの形でそういうふうにふえてきた中から貯蓄が起こるということの方が特に日本の貯蓄率は非常に高いわけでございますから、昭和三十五年で一九・八%、世界的にも高いわけであります。日本の過去の歴史を見ましても、大体戦争前の一番高い時期よりもさらに高いというのが計数的に現われているわけでありますから、その点でちょっと総裁の御意見を承りたい。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 減税の結果生じてくる可処分所得の増大分を極力蓄積に回すというお考え方につきましては、私はまことにごもっともだと思います。これはしかし主として財政上の政策の問題でございますが、われわれ金融側といたしましては、できれば一つそういうことに御努力を願いたいと実は思います。  いずれにいたしましても、順序をいろいろお話がございましたけれども、全体といたしまして貯蓄を増大いたしますことは実は、貯蓄はなるほど高いのではございまするけれども、現在の日本の経済状態を思いますると、なおなおこれは増進してしかるべき問題であると考えますので、その点についての努力を怠らぬようにいたしたいと考えます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 最後に、今残されております日銀の金融調整の最後の手段であります公定歩合の問題でございますが、実は数日前の新聞で、総裁談話として公定歩合の再度の引き上げが十一月の下旬に行なわれるやに伝えられておるわけでありますが、どうもこの公定歩合操作というものが事前に総裁の口からいつごろやるというふうな形で発表されたということは、例のないことではないか。これは新聞報道の誤りであるのか、あるいは事実であるのか。もし事実であるといたしますと、私はどういう意図を持ってそういう御発言をなすったかをちょっと伺っておきたいと思います。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 御指摘の新聞記事というのは事実ではございません。はっきり申し上げますが、事実ではございません。むしろこれは推測ないし、もしありとすれば他のソースによる記事だろうと思いますので、私が申したことは絶対にございませんし、また当日の会見の模様を書きました新聞のうちにも私は申しておりません。そういう新聞もございますので、御了承を願いたいと思いまするが、御指摘の通り、その問題は私が口にすべき立場である問題でございませんし、今後といえども絶対にさようなことは申さぬつもりでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 以上で終わります。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 春日一幸君。

春日一幸民主社会党

○春日委員 今回の金融政策の転換に際しまして、買いオペによる資金供給方式など新しい方策が、いろいろと多様な方法によって供給がなされ、かたがた資金の量についてのコントロールが行なわれつつあるのでありますが、私はもはやこの段階においてはさらに質的なコントロールとでも申しましょうか、そういう根本に向かってもあわせて日銀が何らかの措置をとらるべき段階であると思うのでございます。こういう問題を中心といたしまして二、三お伺いをいたしたいと思います。  昭和三十七年七月末の銀行に対する日銀の貸し出し残高一兆四千七百億、この内訳は都市銀行に対する分が一兆四千三百二十九億、それから地方銀行に対する分が百七十三億円とあります。しこうして都市銀行に対して貸し出されております一兆四千三百二十九億がどういう方向に流れておるかをさらに追跡をしてみますると、すなわち、それは都市銀行総貸し出し残高の区分の中に現われて参るのでありますが、それによりますと、都市銀行総貸し出し残高はこれまた三十七年四月末現在によりますると、都市銀行総貸し出し残高は五兆六千八百八十四億円、その内で中小企業向けはわずかに一兆三千九百四十二億、残る四兆二千九百四十一億はことごとく大企業向けであると統計に区分されておるのでございます。そうしますと、ここで重視すべきことは、日本銀行から貸し出したところの資金の行方はことごとくと言ってもいいくらい厳密には七十五対二十四というような割合で大企業の側にのみ流れておる。こういうことが明らかになって参ると思うのでございます。申し上げるまでもなく、国民は法律の前、政策の前に平等でなければならぬ。わけて金融のような公共性のある仕事は、できるだけ公正に均衡のとれた執行がなされなければなりませんが、なかんずく日本銀行から貸すような金というものは、これは当然のこととして、経済行為というよりも政策的性格が濃縮されておると思いますので、こんなやり方で日銀の金が流されておるということは均衡を失するもはなはだしきものであると思うのでございますが、これに対する総裁の御見解はいかがでありますか、まずその点から伺っておきたいと思います。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 日本銀行の一兆数千億に上ります貸し出しがいわゆる都市銀行のみ偏重いたしまして、その他の中小金融を対象とするような方へ回っておらぬじゃないかというお話でございます。日本銀行の行ないます金融調整は、金融界全体を対象といたしまして考えております。特にそれを質的にどの方向へどうというわけでいっておるのではございませんで、資金需要が一番強く集まり、資金の供給を仰がねば全体の経済がうまく回らぬという、その現われ方の点に向かって一番大きく流れて参りますことは、全体の経済から申しましてやむを得ざるところかと実は思うのでございます。むしろその金はそこを出口といたしまして経済界全体へ及んで参るべきものでございますけれども、さしあたりの金融上の要請として集中いたしまするのは、現在の経済機構といたしまして大企業、それを対象とする都市銀行に比較的多く集まるという事実は否定できないと思うのでございまして、全体としての金融の疎通要請に対しまして、その辺へ向かって金を流していくということが結局全体へ金が回ってくるもとになるというふうに考えてやっておるわけでございます。  そこで質的にコントロールすることを考えて、少しその配分を公平にやるようなことは考えられぬかという御指摘でございますが、御承知のように金融機関は種類によりまして資金の集まり工合が非常に違います。主として地方にございます金融機関、また中小企業を対象とするような専門金融機関におきましては、最近の実勢は非常に資金が集まりやすいのでございます。これに反しまして大企業を中心としてやっておりますような都市銀行におきましては、常に資金が不足という状況を呈しておるわけでございます。その結果といたしまして、比較的地方銀行であるとか相互銀行その他の方面におましきては資金の余裕がございまして、これがコール市場その他へ放出されておるという事情でございます。一方それを受けまして市中銀行も自行の繰り回しに使っておりますけれども、なお足らざるところを日本銀行に融資を仰ぐという結果になっておるのでございます。一々の貸し出しにつきまして、内容的に、質的にこれをコントロールするということは、現在の機構においては非常にむずかしいことでございます。むしろ金融は全体といたしまして調節する、過不足を調節して参るという方法以外にないと実は考えておるのでございます。  扱い上特に優遇をいたしておりますのは貿易に関するもののみでございまして、これはもう大小となく全部優先的に考えておりますけれども、その他のものにつきまして、質的コントロールを日本銀行の窓口においてやることはなかなかむずかしいという点は、今の実情がそうさせておるということでやむを得ざるところかと実は考えております。

春日一幸民主社会党

○春日委員 今、日本銀行と取引のあります金融機関は何々でありますか。たとえば都市銀行、地方銀行、そういう類別だけでけっこうでございます。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 都市銀行があることはむろんでございますが、地方銀行もございますし、信託銀行もございます。その現在高、何行であるかということ……。

春日一幸民主社会党

○春日委員 相互銀行はありませんか。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 取引先相互銀行は三十五行ございますが、貸し出しの実績は今起こっておりません。

春日一幸民主社会党

○春日委員 今私の質問は、日本銀行から貸し出しておる金が一兆四千七百億、そこへその借受人は都市銀行一兆四千何がし、その借りた金がどこに流れているか足取りをたどっていくと、その大部分は大企業に流れておる。だから日本銀行の金というものは、公共的性格が非常に強いものであるから、従ってこの金の流し方というものが片寄り過ぎていはしないであろうか、総裁は何と考える、こういう質問をいたしたのに対して総裁の御答弁は、資金需要がないからだ、貸してくれと言わないから貸さないのだ、こういう意味の御答弁であったと思うのであります。はたして彼らに資金需要がないかどうか、問題は実態論でありますが、その一例として、相互銀行には相当量の資金の余裕があって、それをコールに回したりなんかしておるのであるから、資金需要のないところには貸さないで云々という説がございます。  私は、今全体的に日本の金融機関がほんとうに資金の余裕があって、それだから日本銀行その他に原資の供給を仰いでいないのであるかどうか、問題はここにあると思うのであります。貸し出しをやる制度が相互銀行に対してはない。地方銀行としてはあるけれども、何らかの理由があってこんなに貸し出しの率というものが少ない。私は彼ら地方銀行にしても、相互銀行にしても、信用金庫、信用協同組合にしても、十分資金があって供給力がその需要を上回っておるのであるから、日銀にそれを依存するという必要はないのだというふうに断定しておられるとすれば、それは総裁の認識が誤っておるか、私の考え方が間違っておるか、いずれかでなければならないと私は思います。今市中において中小企業者は実際資金梗塞で悩んでおる。銀行に行っても金がないから貸せないのだと言ってことごとく拒否、拒絶されておるのであります。ここに都市銀行が日銀から一兆四千億も借りて自由に資金を弁じておるように、相互銀行や信用金庫やあるいは地方銀行、あるいは商工中金なんかも含めて、日銀から機会均等でこういうような金が借り得るならば、私は中小企業金融というものはもっともっとはるかに緩和されておるべきものであると考えるのでありますがこの点弁識はいかがでありますか。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 ただいま御指摘のございました通り、中小企業の方面においては、その対象となっております各種金融機関に最近比較的資金が多く集まっております。何も要求がないから貸さないというわけではありませんが、全体の機構がそういう仕組みになっておる。ことに食糧問題を中心としての資金の流動において農村の方面に資金が流れておりまして、その資金がむしろ組合その他を通じて逆に上がってきておる。それをコールその他の形で都市が使っておるというような逆流も実はいたしておるようなわけであります。私どもとしては、もちろんその執行については公正を期しております。重要度が非常に高いにもかかわらず、それを拒否しておるという例はないと確信いたしております。結果において日本全体の金融の仕組みがそういう流れになっておりますために、御指摘のような現象が現われてきておるのだ、かように考えております。ただ冒頭に申し上げました通り、各金融機関、もちろん都市銀行も入っておりますが、中小企業金融の疎通に関しましては、非常に熱心にその衝に当たっております。先ほど申し上げましたように、年末対策としてもすでにその全額を決定しておりますようなわけで、決してないがしろにいたしておるわけではないと考えております。全体の資金の動きというものが、今申し上げましたようにルートに従って流れておりますために、最も効果的に資金をあるいはゆるめ、あるいは締めます場合には、そのルートを伝わっていくということが便利だと思ってやっておる次第であります。

春日一幸民主社会党

○春日委員 今都市銀行、地方銀行、相互銀行あるいは商工中金あるいは信用金庫、そういうような都市銀行を除くところの一般金融機関が資金がとても潤沢であって、そんなものは貸し出しに事は欠かないのだというようなことは、全く初耳なんです。事実関係は一体どうでありますか。これは私どもが日々地域活動をいたしております中で中小企業者から訴えられるのは、銀行に行っても金がないから貸せないのだ、それで全く困っているのだ、だから政府は買いオペレーションをやるのだとか、あるいは年末金融の特別措置をとるのだとか、そういうようなことをわれわれにとらせるように強く要求され、政府もまた特別措置をとっておる。今日銀総裁が言われるように、そういうような金融機関は幾らでも金があるのだから、日銀はそれに対して何も手当をするに及ばないというようなことならば、何もそんな特別措置をとる必要はないのです。あるいはさらに発展して論ずるならば、政府関係三金融機関なんか必要はないのです。潤沢に金融ができるという原資がそれぞれの機関に確保されておるならば、何も政府関係機関も要らないし、年末手当も要らないし、資金梗塞に対する特別措置も要らないんですよ。現実に中小企業者が資金がほしいと思っても供給する原資がないがゆえに、それぞれの機関を設けたり、それぞれの措置をとったりして、そしてそのギャップが政策的に埋められておると思うのです。私は、この点は一体どういう関係になっておるのか、また私の質問が当を得ていないのであるか、この際銀行局長から、一つその間の実情をつまびらかにされたいと思います。  なお、私が総裁に申し上げたいことは、これらの諸君が日銀に頼んでこないから、そういうような形で扱われているのではないかと思うのでありますが、しかし問題は、それらの日銀と取引のある三十幾つの相互銀行にしても、これは日銀から貸し出しを行なうということが制度化されていないということ、あるいはまた信用金庫、信用協同組合、商工中金などに対しましては、大体日銀との取引窓口というものができてはいないということ、だから日銀から、都市銀行やあるいは地が銀行と同じように融資が受けたいと思っても、融資を受けるレールが敷かれていないから、その上を走ることができないのだ、だからその声があなたのところに伝わってはいないと思うのでありますけれども、一体この関係はどうなんですか。今日銀総裁が言われるように、都市銀行以外の金融機関は資金が全く潤沢であって、何ら中央銀行がそれに対して資金手当をするような必要はない、こういうような関係の上にあるのでありますか、どうでありますか。

大月高大蔵事務官(銀行局長)

○大月説明員 ただいまの総裁のお話は、一応相対的なお話であろうと思います。昨年来の金融の引き締め下におきまして、中央銀行とされましては、できるだけ金融を引き締めるという方針をとってきておられるわけでありますが、その中にありまして政府の指導の方針も、中小企業に対して資金及び金利の面におきまして、特別優遇するという指導をいたしておりますので、そういう感覚で金融機関もやってきておられると思うのであります。それから現在の金の流れの面におきましても、具体的には、中小金融機関であります相互銀行、信用金庫、あるいは農協の系統から資金が出ております。金融界の内部におきましては、それを都市銀行がとって使っておるというのが現状でございます。そういたしますと、相対的には各金融機関のバランスにおきまして、相互銀行、信用金庫等の中小金融機関の方が楽だということは現実であります。そういう感覚から日本銀行としては、全体としての金融を調節しておられる部面からいって、どちらの方へ貸していくかということになりますと、最も資金の窮屈なところに金が寄るという結果になるんだというお話だと思いますので、必ずしも中小金融が今きわめて潤沢にいって、何ら心配がないということではないと思います。

春日一幸民主社会党

○春日委員 これはこの前の大蔵委員会において、相互銀行や信用金庫が、いわゆる余裕金がありと称して、それを高いコール・レートでコ−ル市場に流しておることは不当である、だからそんな余裕があるならば、すべからく本来の使命を果たすように、一般中小企業にその貸し出しを優先せしめるように、コールの高いレートで利ざやかせぎをするというようなことは許しがたいことである、だから銀行局長は、その問題をそういう方向に指導すべきである、このことが強く要請されたと思うのです。私も要請いたしました。しかるに、今伺ったところによると、それらの金融機関はそういう金が余っておるので、従って、高いレートでこれを大企業に貸して、そしてそれで処理をしておるのだ、こういうことでありますが、一体そんなことならば、一方においては中小企業者が金がなくて困っておるのだ、銀行へ行っても、ないからと言って貸してくれないのだ、片一方の方では金が余っておるのに貸しもしないで、高いレートで大企業の方の金融に没頭している、そういう都市銀行に金を融通しているのだ、こんなことならば、めっちゃくちゃだと思うのですよ。一体事実がそういう関係であるならば、ここへ相互銀行、信用金庫その他そういう悪事を働いておる諸君に出てもらって、事実関係をつまびらかにして、そしてわが国の金融行政が本来あるべき姿に、これをため直して参らなければならぬと思うが、一体そんな形で現在行なわれておりますか。すなわち、相互銀行も、信用金庫も、地方銀行も、金が全く潤沢であって、だからそれをコールに回して、大企業融資に没頭している、都市銀行に金を流し込んでいる、そのことを大蔵省は見のがし、日銀もそれを是認し、そしてそういう状態が、今日本の金融の実態関係であるのでありますか、この関係を一つ明らかにしていただきたいと思います。

大月高大蔵事務官(銀行局長)

○大月説明員 ただいまのお話は、若干事実と違うのじゃないかと思うのでございます。各金融機関におきましては、集まりました資金を貸し出しに運用いたしているわけでございますけれども、預金を扱っております建前から、それを流動性の高い資産に一定の割合を留保いたしまして、それをきわめて短期に運用いたすわけでございます。そういうような感覚から申しまして、相互銀行、信用金庫からコールが出ておりますけれども、これは中小企業者に対する貸し出しを押えまして、それを全部コールに回しておるというような、こういう現象ではなくして、中小企業者に対してはできるだけ貸し出しを行なって、その残りの流動資産の中でコールに回しているというのが現状でございまして、そういう意味におきまして、相互銀行、信用金庫等から出ておりますコールの比率、これは全体の流動資産の中で動いているわけでございます。われわれが相互銀行、信用金庫等に対しまして、高いコールを出して金利かせぎをするということはいけないと申しておりますのは、むしろそれが結局常態であるということを考えまして、一般の経営が放漫になる。そういたしますと将来、今金融情勢がだんだん変わりつつあるわけでございますけれども、コールの金利もだんだん下がってくる。そうすればそのコールからあがる利潤をもっていろいろな経費をまかなうということは非常にむずかしくなるのでありまして、次第に正常化いたします今後の情勢に対処いたしまして、コールはコールらしく一つ出してほしい、近い将来において金融が正常化いたします場合に、非常に困るというようなことは、最もいけないのだという注意をいたしているわけでございます。もちろん、個々の相互銀行、信用金庫等におきまして、中小企業に対する貸し出しを押え、それをコールに回しているというようなことがございますれば、それは法的に厳重に注意をいたしまして、監督いたしているわけでございますけれども、一般的な現象として、中小企業に対する貸し出しを押えてコールに回しているという批判は、私は当たらないのじゃないかと思います。

春日一幸民主社会党

○春日委員 いずれにいたしましても、中小企業が金詰まりで困っているということは、これはもはや天下の世論であります。しこうして国会の中においても、しばしばそのことが論ぜられております。さればこそ政府もそのことを認めて、そして年末特別措置として四百億円の財政措置を特別にとろうといたしております。しかるところ、本日のこの金融調査の中において、日本銀行総裁から、そういうような金融機関は資金が潤沢であって、そういう必要はないのだ、このようなおそるべき意思表示がなされたとあっては、われわれの政策論議が、これは全く不実な、から回りをしておると言わざるを得ません。私は重大なことであろうと思います。従いまして、私は委員長に善処願いたいのでありますが、一つすみやかに機会を得られて、相互銀行の関係、それから信用金庫の関係、信用協同組合の関係、商工中金の関係、そういう諸君をここへ一つ呼んでもらいたい。そして諸君が、潤沢に金がありながら一体何のために金を貸さないのであるか、私はその事実関係をつまびらかにして、その認識の上に立って、また事実関係をわれわれが把握した上に立って政策論議をするのでなければ、私は意味をなさないと思います。私どもの考え方では、日本全国どこへ行っても、今中小企業集団に向かっていろいろと懇談会や、また政策論議をいたしまする場合、彼らの訴えるところは、ことごとく金融問題なんです。年末金融を何とかしろ、日々の金融措置について大企業偏向、集中融資の関係を是正しろ、こう言って彼らが非難をしておるのに、日本銀行の総裁が、中小企業関係金融機関は資金が充足して余っておる、余っておるからそれがコールに回されておるのだと今はっきり言われておる。私はこんなことでわれわれの政策論議は進めようがないと思うのです。総裁がお答えになったことは相違ありませんか。私は初耳でびっくりいたしました。再度御答弁を願いたいと思います。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 私は事実の問題といたしまして、日本の現在の金融の流れがそういう状態にあることを実は申し上げました。個々の金融機関が個々の中小企業に対してこれは融資をする、これは融資ができない、いろいろな問題につきましては、私が申し上げたそのほかにもいろいろな理由があろうと思います。つまり資金の量ばかりではなく、資金の質の問題、あるいは企業家の信用の問題、その他いろいろな複雑な問題がからみまして、なかなか中小企業が信用を受けにいくという実情にあることは承知をいたしております。さればこそ前段申し上げましたように、各種金融機関を督促いたしまして、中小企業者のための年末金融に遺憾なきを期してもらいたいということで、いろいろ協力方を要請いたしておる次第でございまして、決してその点が完全に行なわれて何ら懸念なしということを申し上げておるわけでございません。一そうわれわれの努力によって打開すべきものが多いことをわれわれも重々承知しております。ただ現状が資金の流れがそうなっておるために最も必要とするところへ金を流すことが困難だということで、従来そういう形をとってきておるわけでございます。あるいは政府の措置として改善を要するところもありましょうが、それは一つ今後の問題としてその改善には努力を続けたいと思います。   〔「了承」と呼ぶ者あり〕

春日一幸民主社会党

○春日委員 了承はできませんよ。大体資金の流れということは、実在する資金というものがあるから流れるのだが、そういうものが中小企業関係金融機関に実在しておる、実在しておりながら、中小企業の経営それ自体は金融難で困っておるのだ、こんなばかげた関係が発生するわけはないと思います。実在するならば、そういうものは需要に対して供給することが可能なわけであって、そういうような非難事項は起きてこないと思う。だからこの際私は伺いますが、そういうふうで中小企業関係の金融というものは原資が十分確保されておるとするならば、また日銀がそれに対して特別措置をすることは必要でないと考えられておるとするならば、山際総裁は、政府が今回年末金融にとろうとしておる四百億円のあの財政措置は必要でないと考えておられるのであるか、一体どうでございますか。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 先ほども申し上げました通り、私は中小企業金融が全部の中小企業者を満足させるようにいっておるとは考ておりません。さればこそ繰り返して申し上げますけれども、ことに年末に際しての中小企業金融の疎通について各金融機関の協力を訴えておるわけでございます。ただ申し上げましたように、全体として資金量を調整する必要があるということと、それからまた中小企業については、特に個々の業者につきましてはその信用度その他に格段の差がございまして、なかなか一律には行ないがたいという事情が重なっておるだろうと思いますので、その力の許す限りにおいて、各種金融機関については中小企業金融の疎通に全力を尽くしておると私は信じております。

春日一幸民主社会党

○春日委員 金融がケース・バイ・ケースであることぐらいのことはだれだって知っています。そんなものは担保物件と事業の性格、いろいろな問題でケース・バイ・ケースの問題であるということを前提条件として私は論じておるのです。あなたは今御説明の中で、とにかくことごとくのものが不自由しておるわけではないという意味のことを言っておられますけれども、中には充足しておるものもあるだろうし、いろいろなものもあるであろうが、しかし全体として中小企業者が願望してやまないところは、今金詰まりでなかなか資金が得られないのだ、為替貿易の自由化の波が押し寄せてこようとしておる、だからいろいろ設備の近代化もしなければならぬ、あれもしなければならぬ、これもしなければならぬ、親企業から金がこないから銀行へ行ってその金融を頼んでも、銀行自体が資金がないのだから、待ってくれ、何ともしようがないのだといって断わられておる。これが総体的な中小企業者の声なんですよ。中小企業金融なんていう問題は、ここで私どもが新しくこつ然として述べておるのではない。どんな大会へ行っても、どんな会合へ行っても、そのことが論ぜられない会合は一つもございません。この間九州で大会が持たれました。そのとき通産大臣も各省各党の代表も行きましたけれども、商売は何といっても元手なんだ、設備の近代化もせんならぬし、当面の経営にも困っておるのだ、不況のために在庫調整、いろいろ必要だが、金がないからその金融対策を何とかしろ、政府は四百億手当するといっておるが、それでは足りないから去年と同じように一千億しろ、このくらいの強い大会決議がなされておるのです。そういうようなときに、私どもが今ここでいろいろと研究して不思議に思ったことは、日銀の金が一兆四千億も都市銀行の十一大銀行にだけ貸し与えられておる。その十一大銀行はどこへその金を貸しておるかといって足取りを探ってみると、今申し上げたように七五対二五というような比率で大企業にのみ流れておる。だとすれば、これは都市銀行に対しても、相互銀行に対しても、他の中小企業専門金融機関に対しても、十一大銀行に対して日銀がとっておるような支持政策というものをとってやることが妥当ではあるまいか、こういうような考えで私は質問を始めたわけなんです。そうしたらあなたは、中小企業者というものは資金が充足しておるのだ、貸してくれといってこないから貸す必要はないのだ、また貸すならば、中小企業関係金融機関に十分潤沢に金が用意されておるのだ——こういうようなことであるならば、これは実態に反しておると私は思う。そんなことなら何も政策金融する必要もないし、年末のそういう資金措置をとる必要もないと思うし、また彼らが大会においてうそを言っていたことになると思う。中小企業関係金融機関の代表者にここに出てきてもらって、日銀総裁の言われるような形でほんとうに潤沢なのか、資金需要というものは全然ないのか、あるとすれば供給する力というものが完全にあるのかどうか、この事実関係をつまびらかにしないと、われわれは国会の政策論議というものはまるきりから回りしておると思うのですが、いかがでありますか。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 私は繰り返して申し上げますが、決して中小企業金融が充足しておるとは考えておりません。

春日一幸民主社会党

○春日委員 前に言いましたよ。そんなことは速記録を見なさい。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 もしさようなふうに私申したといたしますれば、それは重大な誤りでございまして、ここにつつしんで訂正いたします。

春日一幸民主社会党

○春日委員 委員長、速記録を調べさせて下さい。そんなことは日銀総裁の言うべきことではない。今商工委員会でも大蔵委員会でも中小企業金融について論議されておる。これは重大な政策の要素になる問題だと思います。速記録を調べてからやってもらいたいと思う。調べて下さい。中小企業は金が充足しておってコールに金を回しておるから、そういう手当を日銀は考慮する必要はないとあなたははっきり言っておられる。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 速記を始めて下さい。  それでは山際総裁。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 ただいまの春日委員の御質問に対しまして、私は中小企業が現在その資金上の困難が絶対にないとは考えておりません。むしろ非常に苦しい状況にあることはよく承知いたしております。ただ全体として金融引き締め下にありますために、以前に起こっております金融梗塞の状況はなるべく早くこれを解きたいというのがわれわれの念願でございます。さればこそようやく国際収支、物価等の面において金融引き締めを解除し得る段階にきたと認識いたしましたので、先月一部その措置をとったようなわけでございます。今後とも——冒頭に私は申し上げたと思いますが、中小企業のわが国の経済機構のうちにおいて占める重要性から考えましても、この方面における金融の疎通ということについては十分に配意をして参るつもりでございます。むろん今銀行局長が申されましたように、大企業の方に流します金もひっきょうは中小企業の方まで早くその金が届くようにということで今指導をいたしておる最中でございます。今後ともその趣意には変わりなく運用いたしたいと思います。

春日一幸民主社会党

○春日委員 了解いたしました。  私は大蔵省並びに日銀に申し上げたいのでありますが、大企業に流す金は、そのターミナルは中小企業だなどというような考えをお持ちになっておることは甘いと思う。事実の認識が違います。各地方の公取の出張所へ中小企業者が毎日のごとくわんさと押しかけておりますが、それはなぜかというと、大企業が下請代金を払ってくれないということなんです。自分でつくって納めたその品物の代金を払ってくれない。百八十日も二百十日も先付でなければ払ってくれないから、これでは商売がやっていけないから何とかしろということで、下請代金支払い遅延の防止に関する法律とかいう法律があるが、それが執行されていないから何とかしてくれ、今まで現金で支払ったものが手形になり、手形のものがその手形の支払い期間が長くなっていくということで、もっぱら中小企業はそのことであえいでおる。一方においては自由化のために近代化の措置をとらなければならぬ。いろいろな問題から中小企業には資金需要が非常に多くなってきておる。これが結論なんです。だから中小企業の融資を円滑に行なうことのためにその原資を確保する措置というものは、今や討論終結の問題なんです。だからこそあなたの方でさまざまな措置がとられておるのですね。いいですか。だから当然日銀総裁の今言われたように中小企業の融資を円滑に行ない得るように、日銀自体としても特別の考慮を払い、何らかの新しい道を開いていくということは当然のことであろうと思う。そういうような趣旨から私は総裁の見解をお伺いしたいと思うのでありますが、中小企業金融の拡充強化をはかるために、日銀としてもそういうような金融機関と何らかのレールを敷く必要があるのではないか。そこでまず日銀中小企業金融別ワク融資制度というようなもの、これは私どもが学者グループの研さんを経て検討した一つの具体案でありますが、その一つといたしましては別ワク融資の対象を商工中金、それから相互銀行、信用金庫とする。別ワク融資の限度はとりあえずこの段階において五百億ないしは七百億程度とする。相互銀行については現在日銀と取引のあります三十何行ですか、それをブロック別に編成して、そうしてそれに対する一括融資の道を開いていく。信用金庫については信用金庫の全国連合会があるから、それと日銀との間にそういうような貸し出しのレールを敷いていく。こういうような措置をとることによりまして、今都市銀行が一兆四千億になんなんとする膨大な資金の融資を受けておると同じように、国民は法律の前に、政策の前に平等であるというその憲法の規定から考えても、その精神を尊重する意味においても、彼らが現実に資金難で困っておる。それを緩和する措置としては、日銀がそれに参加し得るような具体的な措置をとるということは、今やこの段階においては必要ではないかと思うが、これに対する総裁の御見解はいかがでありますか。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 中小企業金融が漸次その重要度を増しておることにつきましては、私どもも全く同じ認識に立っております。現に本日も信用金庫数行と相互銀行数行と、さらに新たなる取引関係を結ぶべく相談をいたして参ったような次第でございます。私は漸次それを拡大して参りたいと考えております。また資金量等も最近はその方面の金融機関の伸びが少ないものがございますから、当然これは重要性をもって、将来対処していくべき問題だと思います。御指摘の問題については今後十分に検討、実施をいたしたいと考えております。

春日一幸民主社会党

○春日委員 なおこの際付言してお伺いをしておきたいと思いますが、先般来総裁に御出向いただいて、ここでいろいろ国政調査をいたします場合に、何となく政府の圧力に屈せられるような傾向がなくはないのでございます。これは私どもの印象でございまして、払拭できません。そこで、ここに平岡君もおられますけれども、先般来ドイツの中央銀行のフォッケ総裁の例等もこの間平岡君がつまびらかにされたところでありますが、とにかくあなたの使命としては、円価値を保持するというような重要な国民的使命、そのような信託の上に立っておられて、それはきょうあってあしたない政権の政策にあまりに大きく影響を受けるということについては、これは適当なものではない。今日ドイツ経済の興隆があれほど——午前中にも論じたのでありますけれども、とにかく百二十五億ドルの輸出ができたり、あんな大きな外貨の保有と国民生活の向上見るべきものがある、それはやはりドイツ中央銀行の総裁がドイツ経済の中に果たした役割、その貢献の成果と見るべきものが多いと思う。本日日本の経済成長ありといえども、それらの諸国と比ぶれば、はなはだしき後進性、これは疑う余地がない。わずか十六、七億ドルの外貨、それもひっかけもっかけみたいな形で、あっちからも借りこっちからも借りでつづり合わせたものである。だから私どもはこういうときにドイツの中央銀行の諸制度をいろいろ調べてみると、あそこの中央の幹部、首脳部職員というものは、政府与党の推薦したものと野党の推薦したものと、その連合によって中央銀行の首脳部人事というものが構成されているやに伺っております。そういうように野党の推薦した者も参画し、与党の推薦した者が主導権をとって、時には拍車になり時にはブレーキになって、緩急よろしきを得ていくというところにドイツの中央銀行の大いなる使命が完璧を期せられている面があると思うのであります。日本では政府が推薦した者だけを議会が多数によって承認していくという制度になっておりますが、これについてやはり全国民的信託の上に立ち、中央銀行としての使命を完遂するためには、ドイツのような制度をとった方がよいのではないかとわれわれは考えるが、これに対する総裁の御見解はいかがでありますか。

山際正道日本銀行総裁

○山際参考人 日本銀行総裁というものの地位が、全国民の信託の上に立って、全国民の幸福、福祉の増進を考えて措置すべきものである、いたずらに時の政権によって制肘をせらるべきものでないという御所論については、私も全く同感でございます。私はその信念でやっておるつもりでございまするが、遺憾ながらそのように映らないとすれば、これも私の不徳と力の及ばざるところによるものでございまするので、今後ともそういう点は十分戒心して御期待に沿うように努めたいと考えます。制度といたしましてドイツ流がいいかあるいは他の国の例がいいか、これは御承知のように先年来日本銀行法改正問題を金融制度調査会で論議いたしておりまして、いまだに結論を得ない点でございます。御意見の点は十分に今後の参考に資したいと考えます。

春日一幸民主社会党

○春日委員 私はまだたくさんお伺いしたいのですけれども、もう時間もないし同僚諸君も御迷惑だろうから、これだけで結論にいたしまするが、私どものそうした印象がどこから出てくるかというと、根も葉もないことを言っておるわけではないのです。たとえば一つの例を言うならば、この十月の十七日にあなたは記者会見をされてこういうことを言っておられる。預金準備率は現状のままでいこう、公定歩合だとかその他のものは昨年九月のそれに戻すのだが、「預金準備率は現状のままで」という見出しになっている。預金準備率は現状のままでいこう、こう言われたのは十月の十七日ですよ。おそらくその当時のあなたのお考えは、これはこのままにしておこう、この機能というものを最高度に発揮していくためには、すでにこれは低きにすぎるくらいだ、これを下げるということは適当ではないからこのままにしていこう、こういうことを言っておいて、十月二十六日には、わずか十日間たつかたたないかのうちにこの預金準備率を下げてしまっておる。あなたの言われたことはあなたが執行に移されるときには変わってくるのですね。だからあなたに対するわれわれの信頼性というものはそのつど変わってくるのです。この点はあなたの使命の重大さから考えてまことに遺憾にたえません。大体日銀の窓口規制がゆるんだのは十月でございましょう。だから窓口規制をゆるめるのならば、ゆるめる前にこの預金準備率の操作機能から考えて、先にこの操作をなさるべきものであって、これは新聞の論評あるいは社説においてみんなそのことを指摘いたしておりまするけれども、先に窓口規制というものをゆるめてそのあとにこの準備率をこういう操作をしていくということは、これは前後の順位を転倒しておると思う。いずれにしてもあなたは十月の十七日記者会見において準備率は現状のままだ、高めるのが私の本来の趣旨だ、制度としてはあらためて考えるのだ、絶対下げないと言っておいて十日たったらすぐ下げてしまっておる。そうしてしかもその下げた金というものが、金融によって株価のてこ入れに四百数十億のものが使われようとしておるところに国民のいろいろな疑惑がある。どうかそういうような意味合いで、私はこれは答弁は求めませんけれども、私どもが何と言ってあなたを攻撃したところで、あなたががっちりとしていただく以外にないからこそこのことを申し上げておるのです。あなたは政府の代表ではなくして、全国民の信託を受けてわれわれの財産を保持する最大の責任者であり、権威者であるという認識を深くされて、今後とも政府によって、その影響力を受けて、軽挙盲動されるようなことのないようにそうしてしばしばその言動を変えられるようなことがありませんように、わけて中小企業問題については、これは全国の中小企業者がその全国大会において切々たる訴えをいたしておりますることにかんがみまして、彼らの要求にこたえるような措置をとられることを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 これにて山際日本銀行総裁に対する質疑は終了いたしました。  山際総裁には、御多用中のところ長時間にわたり御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  次会は、来たる十二月五日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十分散会      ————◇—————

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