大蔵委員会 第8号
- 発言数
- 383 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1962/09/01
会議録
○臼井委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の国民金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑を続行いたします。通告がありますので順次これを許します。横山利秋君。
○横山委員 大臣がおいでになりますまで、少し地道ではありますが、国民金融公庫の現状につきまして二、三政府側及び国民金融公庫側の御意見を伺いたいと思います。今一件当たりの普通貸付は全国平均幾らぐらいの貸付でありますか。
○酒井説明員 ただいま一件当たりの貸付平均は、新規の貸付で申しますと、法人と個人合わせましたものでございますが、大体三十万八千円でございます。これは残高で見ますと、つまり今まで過去に貸したものが何件あって今の貸出総額が幾らあるか。単純に残高の件数と金額で割りますと約十七万円くらいになります。今新規に貸しておりますのは平均三十万八千円でございます。
○横山委員 何だかよくわかりませんでした。事務的に少しその数字だけ聞きます。申し込み金額に対して貸付率は何%ぐらいですか。
○酒井説明員 大体の見当といたしまして、金額は六二ないし六三%ぐらいになると思います。もちろんこれは各支所によりましてまちまちでございますが、全国平均としてはそのくらいでございます。
○横山委員 貸付件数は申し込み件数に対して何%くらいになっておりますか。
○酒井説明員 大体八五%程度になっております。
○横山委員 申し込んでから実際現金が出るまでは何日間くらいですか。
○酒井説明員 ただいま平均いたしまして、大体三十二、三日ぐらいの期間が申し込みから貸付完了までかかっております。
○横山委員 一件個人の場合は百万円以内、法人に対する場合は二百万円以内を別表によって貸しておるわけでありますが、何といいますか、貸付の中で大口に類するものと一般のものとの区別をどこでするのか、たとえば貸付比率、申し込み件数の比率でいいますと、国民金融公庫でいう大口の比率はどんなことになりますか。何か説明される方法があったら説明していただきたい。
○酒井説明員 申し込みに対しましてどのくらいを大口というかという問題でございますが、これはケース・バイ・ケースで、その範囲内であれば必要資金を貸すわけでございまして、基準はございませんが、今結果の数字だけ申し上げますと、大体十万円以下の貸付が件数で一八・八%、金額で五・一%ぐらいであります。それから十万円をこえて五十万円以下、十万ないし五十万というのが大部分でございまして、件数で六九・九%、金額で六四・九%、それから五十万と百万円の間に入りますものが件数で一一%、金額で二八・四%ということになっております。われわれ百万円をこえますときには本部の了承を得るということになっておりますが、百万円をこえるのを大体大口と言っておりますが、件数で申し上げますと〇・三%、金額で申しますと一・六%、これが最近の現状でございます。
○横山委員 私どもがいろいろと国民金融公庫の問題を地元で扱っております感覚を今あげられた資料で申しますと、まず第一に庶民の言い分は、個人は百万、法人は二百万といっておるけれども、実際は今あなたが話されたように、一件平均は三十万円である。いわんや残高で割ると一件平均で十八万円である。それから貸付の申し込みの金額からいうと、あなたは六二%くらい貸しておるとおっしゃるけれども、潜在需要というものが実際はあるわけです。潜在需要から申しますと、実際貸してもらえるのが申し込みの半分以下である。従って、国民金融公庫に申し込む場合においては、実際ほしいのが三十万円であるとすると、申し込みは六十万円にしておかなければいけないのだ、こういう潜在的な申込者の心理が常に横たわっておる。それから貸付件数については、申し込んだ以上は割合に貸してもらえるけれども、金額で非常に削減をされる。それから申し込んでから実際現金が渡るまでの日数が、今三十二、三日だといわれたのに対して、私非常に意外の感じをしたのですが、間違いなかったら、これは国民金融公庫の性格からいってまことにおそい。私の感じているのは、一年前でしたが本委員会で聞いたのには、短縮をされて二十五、六日だと聞いておったのですが、誤りであったかどうか。今三十二、三日と言われたのは、まことに国民金融公庫として遺憾千万であると私は考える。何か延びたような感じがいたします。端的にいいますと、国民金融公庫利用者側からいうと、どうして成績がこんなに悪いのか。申し込んだところでその金額通りには貸してもらえないから、倍ないし倍に近い申し込みをしなければならぬ。申し込んでから一カ月もしなければわずか二十万や三十万が貸してもらえませんというような原因は一体どこにあるのか。これを副総裁から率直にお伺いいたしたい。
○酒井説明員 初めのお尋ねの潜在需要でございますが、私どもは、国民金融公庫のこういう金融制度があるということを全国民にくまなく知っていただくということは非常に必要なことだと思いまして、各支所長に、その点については努力するように内々申しておるわけであります。実際問題といたしまして、まだそういうことを御存じない、あるいは非常に不便であるというので高利に走られる方が残っておることは、私どもも認めざるを得ないのですが、そういうことのないように、PRについては、どこまでも全部の国民に知っていただくという方向で努力いたしております。ただPRいたしますにつきましても、ただそのために、貸して上げます。貸して上げますということでなく、こういう制度がありますというふうな態度でいっておるわけであります。 そこで、その次にお尋ねの一件当たりの金額について非常に少ない、それは公庫が査定するじゃないか、こういうことでございます。もちろんケース・バイ・ケースに私どもは審査をいたしまして、必要な金は十分に見る、それから、これは実現性がないのでこの程度でとどめておいていただきたいとか、ケース・バイ・ケースに調査の上で決定いたしております。従って、調査員のそういう能力の不備ということについては私どもも十分に反省をし、訓練をする必要があると思いますし、その努力もやっているつもりでおりますが、今おっしゃるように、三十万貸してもらうには六十万申し込まなければ、必ず半分に査定される、そういう空気ばかりではないと思うのでありまして、私ども調べますと、今おっしゃるような空気で申し込んだらすぽっとそのまま認められたということで、非常に喜んでほかの使途に使ったという人さえあるのであります。それは審査の訓練が少し行き届いていないという点は十分反省しなければいけませんけれども、決してさようなことはないというふうに思っておるわけであります。 それから貸付の期間でございますが、これは今申し上げましたのは平均日数でございまして、個々のケースにつきましては非常に簡単なものもございますし、それから大口等につきましては公正証書の作成とか担保の作成ということもいたさねばなりません。それから公庫法の建前上、当然計画が有効に遂行されるであろう、そして返済が確実だということについては、基礎的な資料、たとえば収支でございますとか、あるいは貸借対照表でございますとか、いろいろなものがやはり金融機関として必要でございます。そういう点について材料がなかなかそろっておられないというのが中小企業の実は実情なんでございまして、そういうものを私どもがいろいろなデータからまず作っていくという、そういう審査のいたし方もございます。そういう来春をいたしまして一内部で可決いたしました場合には、それから貸し付ける、これまでが大体十二、三日で済んでおります。大体調査に二十日ぐらいかかるということが実情でございます。これをもう少し早くできぬかということでございますが、審査員の能力の技術を上げるとか、いろいろな方法もございますが、それからまた資金繰り等におきまして、もちろん資金が潤沢であれば右から左に出る。ある時期をとってみれば、その支所としてはちょっと資金が薄いというようなこともございますので、これはとる時点によりまして若干処理日数が変わって参ります。そういうのが実情でございます。
○横山委員 審査員の能力及び資金繰りについて言及されましたが審査を相当する人の月当たりの平均審査件数は、一人について何件ぐらいですか。
○酒井説明員 各所によって違いますけれども、大体平均して申しますと一人の審査員が一日に三・三件ぐらいやっております。ですからこれは月に二十五日稼働というふうにいたしまして、結局大体百二十件ぐらい地方でやっていると思います。もちろん都会地におきましては大規模のものがございまして、これは調査にやはり相当時日を要しますので、大規模なものがたくさん集中しております四大工業地区等におきましては、やはり受け持ちの件数は若干それより下回る、東京あかりでは月に八十件ぐらい、そんな程度になっております。
○横山委員 あなたよりは私の方が、失礼な話ですが、国民金融公庫の担当者の心理については知っておるとうぬぼれておるわけです。あなたは副総裁ですから、いろいろと公庫の支所を回られて支所長や、それぞれ課長さんと話をされるのですが、実際に国民金融公庫の仕事を担当しておられる人の心理とか、あるいは月に百件を処理するやり方云々については、失礼ではありますが、私の方がよう知っておると思うのです。こういう言い方は失礼でありますが、たとえば一人の人が月に百件の審査能力を持つということは並み大ていのことではないと私は考えている。いろいろ話を聞いておりますと、結局こういう心理になると思います。それは、簡単なものから片づけてしまう、そうしてもうなれているから、おい、あなたはこの書類が足りない、あなたはこの書類が足りない、はいさようなら、ほい次、こういうことになる。ですから、審査件数を上げることに一生懸命になる。従って、そういうことはどういう問題が出てくるかというと、二つか三つ問題が出てくる。一つは、むずかしいものはあと回し、従って今おっしゃいましたように、十万円以下が一九%くらい、十万から五十万以下が約七〇%ということは、審査員の心理からいえば当然である。五十万から百万が一一%、百万以上がわずか〇三%というのは、どうしてもそうなってしまう。どんなに個人は百万まで、法人は二百万までといったところで、そういうめんどうなやつはあと回しであって、めんどうくさいから、能率を上げなければならぬためには、件数をふやすためには、簡単なものを早くやる、これが第一の弊害となっておる。第二番目の弊害は何かというと、安全値を見つくろう、つまり、五十万申し込んでも、四十万が危険度のラインだとすると三十万を貸すという、貸してもらわぬよりは貸してもらった方がいいから、もう十万貸してもらいたいけれども、まあ三十万と言われたら、それで仕方がありません、お願いしますと言ってしまう。もう十万貸したら危険度が多少わいてくるけれども、もう十万貸してやったらいいがなあと思うけれども三十万にしてしまう、こういう心理があるとみんなが異口同音に言うわけです。しかもそういう結果というものは、国民金融公庫の償還はきわめて成績がいい。全国的にわたって焦げつきの率はきわめて微々たるものである。これをあなたは、公庫の本部は自慢なさっておるらしい。われわれが貸したものについては、きわめて安全にして、正確にして、償還はきわめて完璧であると自慢をしておられるらしいが、私は、そういう態度にきわめて疑義を抱くのです。償還の焦げつきがあることを自慢をする必要はないけれども、しかし、国民金融公庫のよって立つ性格から言うならば、市中金融機関が貸し付けられない状態のものを救済するのが目的であるとするならば、いま少し焦げつきが出て当然ではないかと思われる。こういう点について、私の考えるところは、一人の人に月に百件もやらせておいて、そうしてもっと成績を上げろということ自体に、国民金融公庫の業務の運営に根本的に考え直す必要がないか、もう少し、その危険度のところまで踏み入って審査をしてやる必要はないか、せっかく百万、二百万というラインを設けても、たった〇・三%の貸付とは何事であるか、絵にかいたぼたもちではないか、そんなことで業務方法書に麗々しく二十数項目を並べて、これを貸付しておりますということは、あなたうぬぼれで言えるだろうか。こういう点から考えますと、どうも今日の国民金融公庫は安易に流れているのではないか。膨大な国民の潜在需要というものがありながら、そうしてわずかな零細な金を一ケ月以上もかけておって、そうしてこの現状に居眠りしているというような実情があるのではないか、こういうことを考えるのですが、あなたの腹蔵のない御意見を伺いたいと思います。
○酒井説明員 あるいは私の方が横山先生より実情を知らぬとおっしゃれば、その通りかもしれませんが、私は、各支所を回りまして、単に所長、課長の役職とだけ話しておるのではありません。行けば必ず職員全員と懇談をいたしております。従っておっしゃるような空気というものは、もちろん私ども若干感じております。率直に申しまして、一人当たり月に百件も持たされて、これじゃかなわぬ、うちへ持って帰って、ねじりはち巻でやらなければいかぬ、ことに大口になりますと、本所に票申しなければならぬから、それは書く手続が非常にめんどうだ、こういうことを言っております。しかしこれは、われわれ庶民金融を担当する政府機関の職員といたしまして、どんなことがあってもお客さんに迷惑をかけてはいかぬということで、自分らはもちろん相当手間はかかりますが、それが使命であるというふうに考えてぜひやっていただきたいということを、職員の方々にもよく申し上げておるのであります。もちろん超過勤務手当その他のペイの点につきましては、それ相当の待遇をするわけであります。従いまして、そういう点で、若干先生のおっしゃるような空気がありますけれども、もう少し努力をしていきたい。それから審査員が、だんだんなれない人も最近ふえましたものですから、当然見るべき点を見落としておる、こういう点につきましては、何か基準を設けてチェック・ポイントをはっきりさせるとか、いろんな改善の施策も講じております。しかし職員がおっしゃるような心理になることは、人間としてある程度あるかもしれません。ですから、簡単なものから早くするということにもなろうかと思いますが、これら簡単なものはもちろん審査が非常にスムーズにいっております。ただ百万円以上が少ないではないかとおっしゃるのでありますが、わが国民金融公庫は、ほんとうに社会の一番零細な層の転落することを防ぎ、あるいはこれを一歩でも引き上げていくということがわれわれの趣旨でございまして、百万、二百万という限度を上げろというようなお話までありますけれども、私どもとしては、今申し上げましたような数字でございますから、三十万、四十万という程度のところの方をもう少し広く見てあげる必要があるのじゃないか。従って、百万円以上が少ないということについて、私どもは、別にそれは公庫としては怠慢ではないかというふうには考えていないわけでございます。いろんな点で改善すべき点があると思いますので、年に一回ずつ、上級、中級、初級の各職員の研修会もやっておりますし、それから業務課長会議もしょっちゅうやって研修をいたしております。こういうことをいたしまして審査能力を上げていくということをやっておるわけでございます。 それからもう一つ、四十万いったらほんとうに生きるんだけれども、安全値を見て三十万に削る、こういう問題でございます。確かに一部には、審査員によりましてはそういうことがあるかもしれません。しかし私どもは、ほんとうに資金が生きるように貸してあげたい。あまりに監理にかかり償却にかかることを神経質に考え過ぎるということになると、安全度というのを非常に見まして、この人はこれだけなら返済能力が確実だ、この人は前に一、二カ月おくれたことがあるからあぶない、そういうことでなしに、ほんとうに困っておられる方ですから、人物自身が過去の成績から見てとてもいかぬというのであれば別でありますけれども、資金が生きるように、あまり神経質にならぬように貸して上げたい。ただ私どもも金融機関でございますから、初めからこれはむずかしいというものは貸せないわけであります。おっしゃるような気持でやるようにということは、私ども職員と会いましたり、課長会議をやりましたり、そういうときにしょっちゅう申し上げていることでございます。
○横山委員 どうも副総裁は、私の言わんとするところを、からの中に閉じ込もってしまって、弁解をなさろうということにきゅうきゅうとしていらっしゃるような感じを私は持つのです。私は、あなたのからを一ぺんぶち破ってもらわなければいかぬ、こういう意味合いでお話ししているのですから、何が今国民金融公庫としての隘路であるかという点を一つ率直に語ってもらわぬといかぬと思う。私がこういう点はどうかというと、いやそれに対してはこうなんだからといって弁解ばかりなさっておってはいかぬと思う。 端的にお伺いしますが、今職員が月に百件の仕事をやっておる。これが適当であろうか。おそらくあなたの方としても、業務をいかにして能率よく、しかもかゆいところに手が届くような融資を迅速にするためには、一人当たりの月受け持ち件数の適当な数というものは計算なさっていらっしゃるだろうと思う。どうですか。審査員一人が月に何件くらい持ったら、最も望む貸し出しが理想的に行なわれるとお考えですか。
○酒井説明員 私は弁解しているわけではございませんで、おっしゃる点について同感すべき点もありますので、そういう点について教育しておるということを申し上げたわけでございます。一朝一夕にはなかなか改まらないところもございますけれども、こういう現状であるということを申し上げたのであります。 一人当たり月にどのくらい持ったら一番理想的かということでございますが、これは各支所で違いますが、案件の内容いかんによりまして、一日に三件でもすぐできるものもありますし、二件でもむずかしいという場合もあります。たとえば東京あたりで大きなものを持たされますと、これは調査に非常に日がかかります。現状よりもう少し持ち件数を少なくするということは確かに望ましいことでありますが、それが何件くらいなら一番望ましいかということになりますと、何件ということを機械的にここで申し上げるだけのデータを持っていないのであります。
○横山委員 一件当たり、申し込みから貸し出しまでの日にちですね、理想的なのは何日くらいを今あなたは考えていらっしゃるか。
○酒井説明員 大体二十六、七日くらいが一番適当じゃないか。つまり貸付の調査をいたしまして、これに一週間から二十日間くらいかかります。その上で可決いたしますと、今度は契約をつくるわけであります。この契約案文の作成、それから実際に金が出るまでの送金手続、そういうものを考えますと、二十六、七日くらいというところにいけば非常に理想的じゃないか、私どもは今までの経験からはそういうふうに考えております。
○横山委員 今支所が九十二ありますけれども、あなたは副総裁として、全国に支所を何カ所くらい置いたら適当だと思いますか。
○酒井説明員 全国的に何カ所というのは、今御承知のように代理所もございますし、それから協力団体等の御協力も得ておりますので、何カ所くらいが適当であるかということにつきましては、地図の上だけでも参りませんが、これからだんだん経済が発展して参りまして、まあ百十から百二十くらいのところにいけば、全国まんべんなくいけるのじゃないか。しかしそれだけの支所を一ぺんに作るといたしますと、これは建物の問題、業務所の問題、住宅の問題、それからまた訓練された人員がそこにおるかどうかというような問題、いろいろ考え合わせてみますと、一年間につくれる新支所といいますものは割合限られて参ります。そういうことでございますから、今どれくらいが理想かというのも、私どもただ個人的にみんなで検討し合っているだけでありまして、公庫としてどのくらいまでいくつもりだというはっきした目安をつけておりませんが、まあ大体年に四カ所くらいずつ従来通りふえていくという趨勢がわれわれの仕事の進み工合に一番適しておるのじゃないか、かように思っております。
○横山委員 私は率直に申し上げて、国民金融公庫の現状に対してきわめて不満です。それはなぜ不満かというと、圧倒的な零細企業、国民金融公庫を利用したいと念願をしておる希望に、納税者、中小企業者の希望にちっとも沿っておらぬ。国民金融公庫法の示すところを充足しておらぬと痛感をしているからです。しかもあなたの答弁は国民金融公庫としてあるべき構図をちっとも描いておらぬ。国民金融公庫として理想図を描いて、われわれに訴えるところがない。従ってこういう状態で、年々歳々多少の支所をふやしてもらい、多少の人員をふやしてもらい、多少の金額をふやしてもらい、こういうようなあり方については、私は庶民の要望が強ければ強いほど、あなた方の現状に対して全く私は不満だらけであります。各地を歩いて参りますと、支所の設置希望が非常に多い。それから国民金融公庫が希望通り貸し付けてくれない。国民金融公庫というのにもかかわらず、金額を実際にもらえる期間が非常に長い。国民金融公庫に対する希望が大きければ大きいほど不満というものを私どもは耳にする。しかもあなたは先ほど公庫の潜在需要に対してはPRを怠らないと言っておるけれども、どんなPRをしていますか。ある支所、ある人たち、これはあるというよりも、より多くの人だろうと思うけれども、国民金融公庫をあまり宣伝しますと、一つには資金に限界があるからそう宣伝をしたところで実際貸せるわけがない。第二番目には、国民金融公庫の代理貸しは圧倒的多数、資料によりますと七百九十九の代理所があるそうでありますが、その商売のじゃまになると、こちらが言うのでなくして、向こうが言っている。支所の設置に対して妨害がある。先般私が米子の例を引いた通り、信用金庫や相互銀行や、支所のないところで代理所をやっている市中金融機関が支所を設置されることに対して妨害を間接的にやっておる、こういうような状況で、国民金融公庫が唯々諾々として——唯々諾々は言葉が悪いかもしらぬけれども、安穏に、むさぼっておるという感じが私はしてならぬ。もともと国民金融公庫に対する要望が強いのにかかわらず、それに沿うておらぬと私は痛感する。だからこの機会に国民金融公庫があるべき姿の理想図を描いて、人員にしろ、支所の数にしろ、あるいはまた資金量にしろ、あるいは公庫法の改正にしてもしかり、あるべき国民金融公庫の理想図を描いて、それによって総裁以下が、また中小企業の皆さんの御協力も得て驀進をしてもらわなければいかぬ。何かその迫力に欠けるものがあるものであるから、何かまだ国民金融公庫には余裕があるように見えるものだから、それでこういうような法案が出てくる。国民金融公庫は余裕があると思っておる。だから国民金融公庫にやらせればいいと思っておる。国民金融公庫はそういうことをするところではない。国民金融公庫というところは、まだ驚くべき潜在需要をかかえて、それが充足し切れないところである。そういう考え方があなた方の腹の中にどっしりとして横たわっていないような気がしてならぬ。私はそう考えるのでありますが、いかがですか。
○酒井説明員 潜在需要はこれからだんだん出てくると思いますが、これは経済の構造変化、経済の成長に伴っていろいろ変わってくると思いますが、これを固定した理想図でこうだというふうに考えるのはなかなかむずかしいのであります。おっしゃるような点で私どもも今後われわれの業務が本来の趣旨に沿って発展していくように常にそのことは考えておりますことを申し上げておきます。
○横山委員 そばで聞いておられて、政務次官も大月さんも、私と副総裁の質疑応答を通じて多少の御意見があると思うのでありますが、私は先般来中小企業金融を論じて、相互銀行から信用金庫から、そして国民金融公庫、商工中金とやってきたわけでありますが、私は正直なことをいって、一番力を入れておるのは国民金融公庫であります。国民金融公庫のあるべき姿というものをもう少しこの際にかいたらどうかということを根本的に私は考えておるのであります。国民金融公庫は補完金融として零細な企業の金融を担当しておる。しかし私をして言わしむるならば、全くそれは全然充足しておらぬ、こういうふうに痛感する。それが証拠に、国民金融公庫で救済し切れないものをどうするかという意見が地方自治体にある。だから某地方自治体では、このごろ雨後のタケノコのように、小口金融の公社というものをつくり始めました。こういうことは私は国民金融公庫として恥ずべきことではなかろうか。それは金融のことですから幾らじょうろがあったっていかぬとは言いませんが、しかし国民金融公庫で救済し切れないものがあるというばかなことは、公庫法の精神からあるべきことではない、こう思う。それから国民金融公庫が補完金融であるということは、これはいいのですけれども、よかったのでありますけれども、今日の事情から言うと、中小企業金融というものは非常に金融の逼迫のおりから問題があらゆるところに露呈をしておる。先般私が信用金庫を論じました。今の信用金庫は非常に金が集まっておる。相互銀行も集まっておる。一般の市中銀行よりもはるかに資金量が比較論としては潤沢であると考える。しかしその信用金庫や相互銀行が、集まった金を中小企業に貸すよりもコールによって大企業に金を貸して、それによって利益を計上しておる。私は信用金庫やあるいは相互銀行の貸し出しの担当者といろいろ話をする機会があるのでありますけれども、それらの人がみずから言っておる。私どもが断わるに一生懸命になっておるときに、信用金庫、相互銀行はコールで大企業に貸して、そうして高利で利潤をあげておる。こういうことは窓口におるわれわれとしては遺憾にたえない思う。けれども、それが相互銀行や信用金庫の営業政策であるとするならば何をか言わんやである、こう言っておる。こういうような弊害がよけいにあればこそ、今国民金融公庫というものが補完金融でなくて、一つの国民金融公庫というものがあって、それが標準の金利で、標準の貸し出し日数で、そうして庶民の要望にこたえておるということをして、モデル金融であらしめるべく政府は育成し指導すべきではないか。ここに一つの模範がある。モデルがある。これに市中の中小企業金融は見習うべきである。見習わなくても、中小企業が国民金融公庫という存在を意識して、それをものさしにして中小企業金融を考えさせる、そうして不当な市中中小企業金融のあり方をおのずから是正せしめる方向に向けるべきである。かねがねわれわれはそう痛切に感じ、痛切にあなた方に要求をしておる。その意味では国民金融公庫を飛躍的に支所を設置させ、飛躍的に国民の中にPRし、資金量をふやし、モデル金融としてのあり方を確立をすべきではないか、こう言っておるのであります。この点について一つ御意見をお伺いしたい。
○原田政府委員 先ほどから横山委員の御質問なり、御意見を十分拝聴いたしました。大体私は、あなたが言っておられる問題点等はその通りであろうと思っております。ただ少々こげついてもいいじゃないか、これは金融というものの根本に触れる問題で、こげついてもいいということは私は言えないと思います。しかし国民金融公庫の現在の姿はすでに出発当時から少し変わってきているじゃないか、中小企業金融のために補完金融でなしにモデルとしてこれをやれという御意見は十分尊重して考えたいと思います。
○横山委員 政務次官がそのモデル金融を十分考えたいということは、私は非常に常識豊かなお話として敬意を表したいのであります。ただ政務次官、決して言葉じりをつかまえるわけでなくて、私が本委員会において何度も何度もそれを要望しておるところなんです。それを端的にあなたがモデル金融としてのあり方を考えたいとおっしゃるならば、ぜひそれを実現をしてほしいのであります。その実現をするためには、今私が例を申し上げましたようないろいろな角度でやっていただかなければなりません。現状はモデルになっていない。単なる補完金融です。モデルというためには、私が例を二、三申しましたように、中小企業に対する浸透率は——話がちょっとそれますが、一私の承知をしておりますのは、たとえば東京都なら東京都に中小企業は数万おる、その中へ国民金融公庫が浸透しておる率というのはたった一九%だと私は承知しておる。そんなことでモデル金融にはならない。少なくともこれを三〇%なり四〇%に国民金融公庫の浸透をはかっていかなければならぬ。そのためにはどうしても支所の設置というものが拠点でございますから、飛躍的に多くなければならぬ。支所を設置しても、実際新しい需要者に対して貸すというなれば膨大な資金を必要とする。それから第三番目に、これを実現いたしますためには、今一人当たり月に百件の審査をしているような状況ではとうていさばき切れない。私もそうは言っても、一体学校の教室のように一人の先生あたり三十人がよろしいというような、そういう数字を今持ち合わせばないのでありますけれども、どう考えても一人百件というのはめちゃくちゃである。従って一人の月平均の審査件数を下げるようにするためには飛躍的な人員増加をしなければならぬ、こういうことになってくるわけであります。毎年予算編成の際に、私どもも銀行局長やあるいは理財局長にお願いをしておるわけでありますが、大体今まで年平均支所は四カ所です。そして人員の増加はたった二百五十内外です。そういうことがここ数年来続いておるのです。そして、ここで口をきわめてお願いをすれば、抽象的に、横山委員のおっしゃるのはもっともでございますからということに終わっておる。まことに私も遺憾千万だと思う。そこで政務次官にお願いを率直にしかも熱心にいたしたいのでありますが、あなたがここでモデル金融への方向を歩みたいとおっしゃって下さるならば、明年度予算において、私の申し上げるような支店の設置、人員の増加、資金の投入、この三点について格段の政務次官の御努力を願いたいと思います。例年続けられておりますようなあり方では、私の申し上げていることは絶対に実現できませんよ。政務次官の誠意ある御答弁にかかわらず、それはだめだと思うのであります。この支店の増加、人員の増加、資金量の飛躍的な投入、この三点についてさらにあなたの熱意ある御答弁をいただきたい。
○原田政府委員 今、一月に百件をやっておることがべらぼうに人間の負担というものを過重にしておるか、あるいはそれが適当であるかという問題につきましては、私はしろうとでございますから、今ここでどうこう答えるデータは持っておりません。私をして言わしめますれば、二十五日として一日四件ならこれはできるはずじゃないか、こういうふうに考えますが、これはよく調べまして、問題点を解決するように努力をいたしたいと思います。 なお国民金融公庫の資金量をふやせ、あるいは支所の数をふやせという具体的な御要望でございますが、これは予算の問題ともからんでおりますので、具体的にそういたしますということは申し上げられませんが、よく御趣旨を拝聴いたしておりますので、できる限りの努力をいたしたいと存じます。
○横山委員 お言葉を返すようでありますけれども、政務次官の一日に四件くらいならあたりまえじゃないかという点は、これは実情を御存じないのもはなはだしいと私は思う。審査というものは一日に四件もさばき切れるものではありません。なぜかと申しますと、先ほど副総裁のおっしゃったように、全部の書類がそろっておって、ぱっときてぱっとやるならばそれはできないことではございません。一日四件というのは割った数でございますから、一件を一日に書類を見て、一日のうちに片づけるということは絶対にないのであります。大体受け付けてみて、呼び出しをして、あるいはその店へ行ってという、そういうケースなんでありますから、一件が一日にぱっぱと二時間ずつに割ってということにはなりません。それから都内におきましては、平均二時間の残業ないしは家へ持ち帰っておるわけです。これは先ほど副総裁みずからおっしゃっておる。残業ないしは持ち帰りは二時間分あるわけです。そうして一カ月に百件をさばいておるのですから、かりに残業が普通であるということを抜きにしてみますと、残業をやるということが大体おかしいのであります。ましてや年末なんかは日曜祭日なしですよ。十二月三十一日までみなやっております。そういうようなことを抜きにして、ある人員でさばく定員をつくるのが普通だといたしますならば、私の飛躍論をする前に現状論であっても、政務次官は今思いつきのようにおっしゃいましたけれども、私は率直に言って少しこれは認識が違うと思うのです。その点はお直しを願って、今度の明年度予算編成に際して、政務次官の常識豊かにしてきわめて強い政治力を私は痛切に期待いたしたいと思うのでございます。もう一ぺん恐縮でございますが、あなたの誠意ある御答弁をいただければ、私も次の問題に移りたいと思います。
○原田政府委員 私が一日四件と言ったことをこれは違っておるぞとおっしゃるのでございますが、これは民間の市中銀行あるいは類似の信用組合あるいは信用金庫、ここらの方ではどうやっておるかということは、私はわかりませんので、私のしろうと考えで申し上げたので、家へ持ち帰って仕事をしておる。これはもういわゆる過重労働である、こういう話でございますが、大体役所仕事というのと民間仕事というのは、常識で民間仕事の方が能率的であると言われておる。役所仕事になると、どうしても非能率的である、こう言われておることから、私は国民金融公庫の人たちも一生懸命やっておるであろうけれども、民間と比べてどうなんだろう、こういう気持がありましたから、この四件というのはそれはいいんじゃなかろうか、こう申し上げたので、よく調べて申し上げるということは先ほど申し上げた通りであります。残余の問題に対しまして私はできる限りの努力をいたします。
○横山委員 政務次官に誠意ある答弁をいただいたのでありますが、一回機会がありましたらぜひ国民金融公庫を視察をしていただきまして——どうも私が副総裁のようなお願いをしておるのでありますけれども、私は国民金融公庫を利用する側に立ってものを言っておるのでありますから、誤解のないようにお願いしたいと思います。一ぺん国民金融公庫の内部を視察をしていただきまして、どういう審査をやっておるか、それで審査に立ち会ってもらってこの事情を一ぺん見てきていただきたいと思います。私は特に伊勢湾台風の際に痛感をいたしましたけれども、国民金融公庫に対する期待というものは非常に強いものでありますから、ぜひ機会を見つけて公庫の実情を知ってもらいたい。その実情の上に立って、来年度予算に対しては格段の努力を国民金融公庫の現状の利用者及び潜在利用者のために一つお取り計らいをお願いいたしたいと思うのであります。 もう一、二聞いておきますが、どうせあとの方が根本理論には触れられると思いますし、そういうお話があると思いますから、私は窓口論を展開したわけでありますが、以上のような国民金融公庫の実情をつぶさに御質問をし御答弁をいただいたわけでありますが、そういう点から考えますと、私は今国民金融公庫に新しい任務を、しかも国民金融公庫法の精神以外というとまた論争になるかもしれませんが、そういう新たなる任務を授けるということは不適当なような感じがいたしますが、政務次官いかがでございましょうか。
○原田政府委員 この農地被買収者の方々に金を貸し付けることを国民金融公庫へ持ってくることは筋違いじゃないか、こういう御質問であろうと思いますが、これはいろいろ考えましたが、結局国民金融公庫でこの業務をやらせるのがよかろう、こういう判断に立ってやった次第でございます。
○横山委員 二十億の資本金を投入するというのですが、大体国民金融公庫の資本金と借入金の状況を調べて参りますと、資本金の増加状況というのは三十一年から三十七年までは少しもふえていない、二百億である。一方商工中金やほかの方へは資本金の出資の増加というのがずっと行なわれておる。借入金の方は、これは利息のついた借入金が今残高千百五十七億ですか、膨大に上がっておる。こういう利息のついた金を投入をして、資本金はここ七年にわたって出資の増加を申していない。本来ならばこういう問題によって早く国民金融公庫に出資の増加をして、そうして資金コストを下げて、そうして今私が申し上げたようないろいろな改善をなすべき点が多々あると思われる。それにもかかわらず、今こういう新たなる問題のために出資をするということは、本末を転倒しているのではないか、こう考えるのですが、いかがですか。
○大月政府委員 結局国民金融公庫の出資と借入金の割合をどの程度に持っていくかという問題に帰着するかと思います。国民金融公庫の金利につきましては、御存じのように創立以来次第に下げて参っておりまして、昨年も九分三厘を九分に下げた、こういう状況でございます。国民金融公庫の金利自体の推移につきましては、大体の民間の金融ベースを考えまして、こういう特殊な補完機関であるということから、それよりも若干安くするということで、常に全般の金利水準を考えながら、しかもできるだけ低くなるように考えておるわけであります。そういう前提において、この貸し出しの金利をまかなうのに適当な資金源というものを常に計算いたしておるわけでありますが、今のところわれわれがやって参りました従来の二百億の出資、三十七年度を含めて考えますれば二百億プラス二十億、二百二十億の出資をもって国民金融公庫の健全性が保てるという計算になりますので、何分出資の財源というものは相当いろいろな面において窮屈でございますから、必要最小限度に運用をいたしておる次第でございます。
○横山委員 私の申し上げることにそのままずばりと御答弁なさっていられないような気がいたしますが、私は今二十億の出資増というものが農地被買収者のためになされておるんだけれども、それ以前に一般の国民金融公庫の運営上出資増が、原則的になさるべきではないか、こういうことなんです。被買収者のために、それでは国民金融公庫が困る、それなら出資してやろうかというような取引的な感じがしてならぬ。そういうことでは国民金融公庫というものは、私が今まで申し上げましたような公庫というものをどうするかという公庫の改善論、公庫を利用する人たちの利便論というものは、全く度外視されて、安易に取引的に出資がなされておるということは遺憾ではないか、こう言っておるのであります。
○大月政府委員 今回御審議を願っております二十億の出資の問題と農地被買収者に対する貸し出しの問題につきましては、直接被買収者に対する貸付のためにこの二十億を出資したわけではございません。先般も御説明申し上げましたように、本年度の貸し出し計画をいたしまして一般貸付、恩給担保貸付あるいは引揚者国債担保貸付、その他更生資金貸付、いろいろな貸付を従来やっておりますが、提案理由にも申してございますように、新しく農地の被買収者に対する貸付を本年二十億の限度において実行いたしたい。従来やっております貸付と合わせまして千四百四十八億円という貸付の計画を立てたわけでございます。その全体の貸し出しの計画を何によってまかなうかという計算をいたしまして、出資二十億と政府資金の借り入れ四百八十五億円、公庫の回収金と自己資金九百六十三億円を充てる、こういうふうに考えたわけでありまして、必ずしも被買収者に対する貸付のために二十億を出資した、こういうわけではないわけでございます。
○横山委員 水かけ論になりそうですから、私はその解釈は常識的ではないということにとどめておきます。 最後に、先ほどは利用者の立場からいろいろと質問をいたしましたが、働いておる従業員諸君の立場から二、三希望を申し上げておきたいと思うのであります。利用者の立場と従業員の諸君の立場とは往々にして一緒であります。事あるごとに、一生懸命になって働いておる人たちが、断わるんじゃ悪いから、人もふやしてくれ、資金もふやしてくれということになるのでありまして、先ほどから言っておったことは、同時に働いておる諸君のことにもなろうかと思いますから、あえて繰り返しはいたしませんけれども、私がずっと回りました各諸君の希望を二、三ここで申し上げますと、一つはやはり人をふやしてもらいたい、そうしないと親切なしかも能率のよいやり方ができないということであります。 もう一つは、先般京都へ参りましたときに、これは京都が最上位かどうかは議論があるかもしれませんけれども、非常に古い昔の施設で仕事をしておりまして、何か壁が落ちてきてけがしそうであったというて、あそこが横山さん、壁が落ちてきたところです。というような話でありまして、ああいうような危険な建物、古い建物にいつまでもおったのでは——環境というものは居は気を変えるというのでありますから、国民金融公庫の支所の設備について、職場環境の改善について格別の意を用うる必要があるのではないかというのが第二点であります。 第三番目は、労働組合に対する公庫の経営者側の態度であります。多くを申しませんけれども、一部の支所の責任者の人で、昨年国民金融公庫の職員組合が、政労協と申しますが、政府機関労働組合協議会に参加するかどうかという議論をいたしましたときに、そういう上部団体というか、上部団体じゃないのでありますが、他団体に参加をしないようにというような行動をした人があることであります。これは明らかに不当労働行為であります。済んだことでありますけれども、かかる事態というものは二度と再び起こらないように、副総裁からは十分にやはり労使関係のあり方については注意をしていただきたい。国民金融公庫の職員組合が、今格別に健全な組合として労使関係があるわけでありますから、一部の考え違いの人の行動だとは思いますけれども、かりに一部にいたしましても、そういうことのないように十分御注意を願いたい。 あわせて、もう一つございますのは、公庫の労使関係というものに対する大蔵省のあり方であります。これはあくまで労働組合法による組合でございますから、罷業権もあれば団体交渉権も当然あることは言うまでもございません。そういう原則的なことは抜きにいたしまして、十分な、自主的な団体交渉が現在できない模様であります。一にかかってそれは大蔵省が労使関係の、給与の改善その他について制肘をし過ぎておるという実態から生まれるものであります。ここのところは経営者側として、総裁、副総裁としてあるべき賃金の姿、当然物価によって上昇すべきあるべき姿というものについて、自分たちが経営の責任者として責任をもって団体交渉に臨み、責任をもって大蔵省に必要な説得をいたすべきが当然であり、大蔵省としては労使の労働条件について不必要な干渉をしたり、かつてありましたように、他との均衡論云々をもって高いとか安いとかいうような言い方については慎むべきことであると考えておるわけであります。 以上は、時間の関係上端的に申しましたけれども、以上の諸点について、大蔵省側とそれから国民金融公庫側との所見を伺いたいと思います。
○大月政府委員 国民金融公庫の職員の環境の整備の問題につきましては、公庫のいろいろな実情、説明を聴取いたしまして、これは予算問題もございますので、そのつど十分善処いたしたいと思います。 それから労働関係の問題につきましては、公庫の責任者と労働組合との間の自主的な交渉に待つという大原則をとっておるわけでございまして、大蔵省としては労働問題には直接関与する方針でもございませんし、現実に関与もいたしておりません。ただ具体的な給与ベースの問題になりますと、国民金融公庫は政府機関でございまして、完全に予算によって支出されるものでございます。そういう意味において、国民金融公庫独自の見解においていろいろの結論を出されましても、必ずしもそれは予算的の裏づけをするわけにはいかない。ほかにも中小公庫なりその他たくさんの政府機関がございますから、一般の公務員のベース、民間のベースその他十分考えまして、適正な水準について十分検討いたし予算措置を講ずる必要がございますので、労働問題自体について干渉はいたしませんけれども、予算からくる制約があるということだけは御了承願いたいと思います。
○酒井説明員 ただいまの公庫の職員組合とわれわれ理事者との関係でございますが、これはおっしゃるように健全な労働組合でございますから、それに対する不当労働行為的な干渉ということは、私ども毛頭考えておりません。それから施設等の改善につきましては、これは私どももぜひ早急に改善をはかりたいと思って、これも予算の要ることでありますから、できるだけ大蔵御当局に要望いたしております。賃金ベースにつきましても、もちろんわれわれはできるだけ職員の待遇を改善したいという心持はございますが、今銀行局長からお話がございましたように政府機関でございまして、最終的には国会の予算の議決を経るということになっておりますので、そのらち外に出て団体交渉に当たるということはいたさないようにしたいと思います。
○横山委員 大臣、お見えになりましたが、毛利委員から盛んにやめてくれ、時間がないということでありますので、やむを得ず私やめます。それで大臣にお願いしておきたいのでありますが、約一時間ばかり、国民金融公庫の実情とあり方と改善について、いろいろ具体的に要望いたしました。実はこの法案の本論には何も入ってないわけであります。しかし、その実情と改善を希望することこそ法案の本論だと思います。そうしたら政務次官から非常に誠実な御熱心なる御答弁をいただきまして、私も非常に期待をいたしておるわけであります。願わくば大臣には、私が政務次官にお願いした点は、要するに一にかかって明年度予算で国民金融公庫について特に配慮を願いたい。具体的にはお話ししておきましたが、そういうことでございますから、後刻問題が出ましたときには十分に大臣としても御高配を願いたい。一切は良識ある政務次官におまかせをいたしましたので、御配慮願いたいと思います。
○臼井委員長 武藤山治君。
○武藤委員 先ほど先輩の横山さんから、質問の窓口だけあけるということで質問を閉じたようでありますから、少しく窓口から入って上がりはなにすわる程度までの質問をしておいて、後ほどまた、先輩がたくさん控えておりますから御質問を紡げることと思います。 まず最初に大臣にお尋ねいたしますが、今回提案されております国民金融公庫法の一部を改正する政府提案の二十億円の増資については、その目的は一体何であるか、それを明らかにしておきたいと思いますから、二十億円を増資する目的を一つお知らせを願いたいと思います。
○田中国務大臣 御承知の通り現在の公庫の資本金は二百億でありますが、公庫の貸付の対象もだんだんと広がって参りますし、その資金も拡充して参らなければならぬために、あらためて二十億円を追加をして、資本金二百二十億円にいたすという考えでございます。
○武藤委員 公庫の貸付対象もだんだん広まってくるし、運営も円滑にしなければならぬという、この二つの理由で二十億円を増額したようでありますが、私どもの手元に配付されておりまする法律案によりますると、そういうことは何ら書いてないのであります。ただ国民金融公庫の業務の円滑な運営に資するため、こういうことになっておるわけでありますが、ただいまの大臣のだんだん貸付対象が広がっていくという、その言葉の中身は具体的に何をさすのですか。
○大月政府委員 提案理由の際に申し上げましたように、全体の国民金融公庫の貸付希望も次第に大きくなって参りまして、合計三十六年度末におきましては、融資残高千四百二十億円というような大きなものになって参ったわけでございます。これは毎年予算をもって出資あるいは借り入れあるいは自己資金がどれくらい回収できるかというような点について御審議を願いますと同時に、貸付の対象につきましても貸付の種類別にそれぞれ内訳を参考に申し上げまして、たとえば三十七年度におきましては総額千四百四十八億円の貸し出しをやりたい、その貸し出しの内容につきましては、従来やっております普通貸付は千二百六十億円、恩給担保の貸付は百五十七億円、引揚者国債担保貸付、更生資金貸付等合計十一億円、こういう内訳を考えますほか、これは従来、昨年度までやっておった項目でございますが、本年度におきましてはその他貸付といたしまして、農地被買収者に対しまして二十億円の貸付を行なうことも予定する、そういうものを全体合計いたしますと千四百四十八億円になるわけでございます。この千四百四十八億円につきましては、それぞれ金利の差がございますことは御存じの通りでございまして、普通貸付は原則として九分でございますが、災害の貸付は六分五厘、恩給担保貸付につきましては六分、それからいろいろな産業災害を予防するための貸付につきましては六分五厘、更生資金貸付につきましては六分というように、いろいろな金利を出しております。そういたしますと全体としての収入が出てくるわけでございますが、その収入でもってコストをまかなっていく。その場合に資金運用部からの借り入れでございますと六分五厘の金利を払うということでございまして、金利負担内の出資をもって参らなければそこの運営がうまくいかないというような事情になりますので、この二十億円の出資をお願いいたす、こういう意味でございます。そういう意味で一千四百四十八億円の全体の貸し出しをまかなうための原資の内訳の一つとして二十億円の出資をお願いしたい、これがこの提案の理由でございます。
○武藤委員 それでは局長にもう一度お尋ねしますが、あなたは横山さんの質問の際には、二十億円の出資金額というものは農地被買収者との関係は直接ないのだ、さらに被買収者のために二十億円の出資をしたのじゃないのだ、こういう二つのことをはっきり今ここで答弁をしておりますね。そうすると今回の出資二十億というのは、旧地主に対する補償のために増額をするという政務次官が提案説明で述べたことと局長の答弁とははっきり違いますね、そこはどうですか。
○大月政府委員 政務次官のお話しも同様でございまして、全体の千四百四十八億円をまかなう一部といたしまして二十億円の出資をお願いする。一方千四百四十八億円の分類の中に、この農地被買収者に対する貸付があるわけでございまして、それを二十億円と予定いたしておりますから、金額は同じでございますが、これは被買収者のための出資ではない、これは政務次官のお話しと共通いたしておるわけであります。
○武藤委員 そういたしますと、千四百四十八億円の総ワクの貸付計画の中で旧地主に二十億円を貸し付けるのだ、そこまではわかりましたね。どういう理由で旧地主に二十億円の融資をしなければならないのですか、特別ワクを設定して貸そうとするその理由を明らかに示してもらいたいと思う。
○大月政府委員 終戦後の農地解放によりまして、旧来農地を持っておられた方がその土地を一定の基準に基づいて強制的に買収されたわけでございますが、買収自体は合法的な、憲法のもとにおきまして法律でもって実行されたものでございますし、その後その買収行為が合法であるかどうかというようないろいろな訴訟も提起され、争いがございましたけれども、最高裁判所の判決もございますように、被買収者に対する買収行為自体は適正であり、適法である、こういう結論になっておるわけでございます。そういう点を前提にいたしまして、従来の政府の方針はきまっておるわけでございますが、ただ一般的な感情といたしまして、その後経済上の変化もございます。被買収者の方々としてもどうも納得できないという空気が最近非常に強くなってきておるわけでございます。それでそういうような方に対して何らかの措置を講ずべきではないかという声が非常に強いわけでございます。そういう方の中には相当生活に困っておられる方もある、それから生業資金、何か事業をやりたいけれども、なかなか一般の銀行から借りられないような方もある、そういう方に対しまして金融上の措置を講ずるということが適当ではないだろうかという政治的配慮のもとに、国民金融公庫において二十億円を限度としてそういう貸し出しをやることが適当だ、こういう判断になったわけでございます。それを含めまして今般の措置をお願いいたしておるという次第でございます。
○武藤委員 大臣にお尋ねいたしますが、今の局長のお話しでは一般的な感情、経済的情勢の変化と変動、そういうことで何とか考慮が必要でないかという皆さんの圧力、早く言えば旧地主の圧力、こういうものに屈して結局政治的配慮をする、こういう政治的配慮の仕方というものは非常に問題があると思うのです。そこでもし圧力という言葉が悪ければ、そういう政治的な圧力を加えてきたものに対する思いやりで出すとするなら、私は疎開や徴用やその他戦災等で焼け出された多くの戦争による犠牲者という者がおるわけでございます。そういう人たちに対してもそういう手厚い思いやりをやって公平というものを期さなければいけない。政治というものはやはり原則は公平でなければいかぬと思うので、そういう点旧地主に対しては最高裁で正当な価格であり、もう何ら価格の点においては間違いがないという判決が下っておる。そういうものに対して今度はこそくな方法で特別ワクをつくってやるというのは、どうもその配慮の仕方が公平でない。その一般的感情とか経済情勢の変動等は一体具体的にどう把握されておるのですか。どうしてもこれから出してやらなければならぬというそれほどの一般的感情、経済情勢の変動というものをどう把握されておるか、大臣はどうお考えになりますか、具体的に一つお示し願いたい。
○田中国務大臣 国民金融公庫は、御承知の通り国民大衆に対して必要な事業資金を供給することを目的としてつくられたものでありまして、比較的に事業の小さい、零細な事業資金を貸し付けてやっておりますことは御承知の通りであります。その後恩給担保等の特殊なものについては、特別のワクを設定しながら、ごめんどうを見ておるということであります。できるならば、これよりももっと社会的な、状況によっては国民金融公庫というようなものの対象を広げて、今あなたが言われる通り、法律的には措置をされたものでも、過去の状態において、いろいろ国が迷惑をかけたり、また国の犠牲になったような人たちには、一般の人と区別をするというわけではありませんが、いずれにしても、ごめんどうを見てやるというような姿勢、態度をとるべきことは、これは政府としても当然だと思う。ところがものには限度があって、そう無制限にすべての資金需要に応ずるわけにはいきませんので、原資の獲得、確保を考えながら、だんだんこれが貸し出し面を広げていくという原則的な態度をとっておるわけでございます。農地被買収者に対しましては、議論のあることは、これはずっと十七年前から議論のある問題でありますが、最高裁判例としては適法であるという判例を受けておりますことも御承知の通りでございます。しかし、この農地被買収者については、その後問題もいろいろ提起をせられ、また政治問題ともなり、国会では法律をつくって、農地被買収者問題調査会でございますか、工藤調査会というものをつくりまして、その農地被買収者というような方々に対して、実情を調査をしなければならないというような政治判断を行ない、院の最終決定も行なわれ、法律に基づく調査が進められておることは事実でございます。法律に基づく調査会の結論が出ないとしても、いずれにしても国会で取り上げられた問題であり、中には非常に生活に困窮せられておる方もございますし、また子弟で進学をせられないというような人もありますし、事業資金にお困りになっておる方もある、こういう方々が生業資金やその他農地被買収に対して補償しろという強い声が、国民の中にあることも御承知の通りでありますが、いずれにしても、まだ調査会の最終的結論も未定でありますし、法律によって措置をせられたわけではありませんので、生産資金を貸せるとか育英資金を出すとかというところまで手が届かないにしても、国民一般の零細の事業開始に対して資金を出しておる国民金融公庫というものがあるのでありますから、少なくともそのワクの中で、一定の特別ワクをつくって、これらの方々を対象にして、事業を行なおうとする方々の需要、要求に応ずるということをきめることは、政治としても、行政としても、ある意味ではなすべき姿勢である。こういう態度で二十億というような金額に対しては、院の中においても不満足なような情勢でもありましたけれども、大蔵当局としては、原資の問題もありますし、さしあたり三十七年度の国民金融公庫の貸し出しワクとしては二十億を限度として、これらの方々に融資の道を開こう、こういうふうに考えておるわけでございます。
○武藤委員 大臣の答弁は、全くなっておらぬです。大体そういうことで政治が一部の圧力グループに屈伏するような姿勢というものは、国民全体に公平な正しい姿勢をとる政治ではないと思うのです。もし旧地主で生活困窮者がおる、あるいは生業資金に事欠く、あるいは育英のために資金に事欠く、そういうような場合には、現実の日本の今日のシステスで救済方法があるのですから。それがないなら別ですよ。今の国民金融公庫そのままでも、ちゃんと更生資金も貸し付けるし、あるいは小口の事業資金も貸し付けるし、さらに育英資金制度もいろいろあって、国家予算もいろいろ出しておるのですから、そういう個々の今日のシステムの中で十分救済はされるはずなんです。旧地主なるがゆえに、特別ワクをつくって二十億円出さなければならぬという理由、根拠が薄弱です。その根拠がもっと納得のいくような、旧地主にはどうしてもこういう別ワクで二十億円つくらなければならぬという特別に恩恵を与えなければならぬ理由を一つ聞かしてもらいたい。
○田中国務大臣 先ほどすなおな、この法律案を政府が提案する当時の時点に立って御説明をいたしたわけでありますが、その後御承知の通り工藤調査会からの政府に対する答申案も提出をいたしてございます。この答申に対しては何らかの処置を必要とするであろうということを言っておりますし、政府、与党の間にこの問題に対する概念的な申し合わせもございますが、いずれにしても、具体的政策を立案し政府の態度を決定するまでには至っておりません。しかし、この問題に対する政治社会情勢がこのような方向をたどっておるときでありますので、民主政治のあり方からしても、何らかの処置をとるということは、政府としては当然だと考えます。そういう意味で、非常に今不満を唱える方もございますけれども、国民金融公庫の中にこれらの問題をさばくためにも二十億を限度としての融資ワクを設定するということは、私は間違いではないと思う。これは別の問題に置きかえてみればすぐわかるのですが、同じ労働者であっても、労働金庫もあり、失業保険その他の一般的な制度はあっても、政治的に社会的に問題となり、政府が、また国会が検討したものに対しては、そういう一般的な通念的な救済措置があっても、別に特別ワクをつくってその資金を確保してやるという姿勢、態度をとることはままあることでありまして、何ら例外的な措置ではない、こういうように考えます。
○臼井委員長 関連質問を許します。堤昌雄君。
○堀委員 今大臣から、政府では概念的な申し合わせばあるけれども、というお答えがありましたが、政府の概念的な申し合わせの内容をちょっとお聞かせ願いたい。
○田中国務大臣 これは、自由民主党の党議がこの問題に対してきまったわけであります。党議がきまったときには、私はその党議の内容を現在よくつまびらかにはしておりませんが、いずれにしても、農地被買収者に対して何らかの措置を行なうという前向きの姿勢をきめたはずであります。これに対しては、政府は工藤調査会に諮問をいたしておりまして、政府として工藤調査会の結論を待たずして単独で結論を出すわけには参りません。こういうことを与党である自由民主党の党議決定に際して述べておるわけでありますが、その後に政府と与党との話し合いによりまして、自由民主党の党議の線を政府は確認をするか、こういう与党側からの強い申し入れがございました。これに対して、具体的なものに対しては触れてはおりませんが、与党が決定したことを尊重する建前で政府は了解をいたします。こういうことを言っておりますので、私がただいま申し上げたような状態において、政府は、この問題に対する基本的な態度は、工藤調査会の答申を待ち、党議の線に沿った態度というものに対しては了解するということを言っておるわけでございます。
○堀委員 そういたしますと、その点が二つあると思うのですが、調査会の結論が今の自由民主党が何か決定をされておる党議に反した場合には、今の政府の概念的申し合わせ事項というのはどうなりますか。要するに、調査会の方は補償はすべきでない、自民党の党議は補償をすべきだ。そうすると、今の大臣のお答えによると、調査会の答申を待って自由民主党の党議を尊重するということになりますと、一体調査会の答申はただ待つだけであって、尊重の方は党議の方を尊重、こういうことになるわけでございますか。概念的申し合わせというのは。
○田中国務大臣 この農地被買収者に対する具体的な問題としては、現在御提案を申し上げております国民金融公庫のワクの中で、二十億を限度として貸し付けるということに対しては、これは決定をいたして御審議を願っておるわけでありまして、残余の問題に対しては現在未定でございます。しかし、党議決定に対して政府との話し合いをいたしたのは参議院の選挙前でございます。その後御承知の通り工藤調査会からは第一次答申がなされております。この問題に対して、党と工藤調査会の答申をどういう時点において調整をするかという問題に対しては、政府は今決定をいたしておりません。おりませんが、あなたが今言われた通り、党議の決定ということも尊重するか、それから工藤調査会は尊重しないのかというふうに言われましたが、これはもちろん政党政治でございますから、党議の決定に対しては尊重しなければならぬことは言うまでもありません。しかし政府として、三権分立の建前から言っても当然政府の責任において諮問をした工藤調査会の答申も尊重しなければならぬこと、これもまたもちろん当然であります。でありますから、これらの問題に対しては、可能な限りにおいて調整をして、しかも民主主義の大前提に沿った処置をいたしたいと考えております。
○武藤委員 先ほど大臣に質問してまだお答えをいただいておりませんが、現在ある厚生資金貸付、あるいは世帯厚生資金、あるいは生業資金などいろいろ制度があるわけです。だから生活に困窮しておる、あるいは育英をさせなければならぬという旧地主も今の制度を十分活用できるようになっておるのですよ。どうしてそれを活用することではまずいのですか。それ以外にどうして別ワクで国民金融公庫でやらなければならぬのですか、その点はどうですか。
○田中国務大臣 現在国民金融公庫法の改正で考えておりますのは、生業資金、育英資金等を拡大をしようという方向で御審議をいただいておるけれども、これは事業資金として貸し出しを行なおうということに考えております。
○武藤委員 事業資金として貸し付けるということになりますと、旧地主に二十億という大ワクをきめないで、とにかく公庫全体としての資金量をふやすということだけの考え方でやるならまた別ですが、しかし旧地主だけに二十億というワクを設定するということは、具体的にお尋ねしますが、どれだけの需要があるという見込みですか。それで二十億を設定したのですか。
○田中国務大臣 社会的通念から考えますと、二千億、三千億も必要だということを旧地主団体も言っておりますし、また議員の中にもそういうことを言っておる人もあるわけでありますが、政府はそのような需要に対して直ちに応じ得る態勢ではありませんし、基本的な態度を決定しておりませんし、そういう意味では、三十七年度においてはせめて二十億円を限度としての貸付ワクを設定するということを考えたわけでございます。
○武藤委員 二千億も三千億も必要だという要求が国民金融公庫にあったとすればおかしいと思うのです。それは補償費としてわれわれが新聞でちらほら見ておるし、地主の一反歩十万もしくは十五万補償せいという、そういう全額が二、三千億というならまた別です。しかし貸す金を二、三千億貸してもらうという、そんな数字はまともにこういう重要な席上で討論する根拠のあるものじゃないと思う。二十億と設定するからには、何らかの調査の結果、大体この程度の生業資金がほしい、小口貸付がほしい、またこのくらいを救済すれば他の人とそれほど格差がつかない、何らかのそういう目安があって二十億円というものを設定をしたと思うのです。そういう目安は何もないのですか。ほんとうのつかみ銭みたいに二十億というものをぽんときめたのですか。
○田中国務大臣 この問題は、御承知の通りずっと長いこと戦後十五年にわたって行なわれおる問題でありまして、初めは一兆円、二兆円というような大きな問題でありましたが、そういうものがだんだん詰められて、いずれにしても六、七千億ぐらいのものを農地被買収者としては考えておりまして、その中で少なくとも全額を再補償ということで補償すべきであるという議論があったわけでありますが、そういう問題は今持ち出されても、何兆円とか何千億という問題が片づき得るほど日本の財政は楽じゃございませんということを政府は当然考え、政府の考え方を明らかにしたわけであります。それで三十七年度予算編成当時は与党との間にいろいろな折衝もあったわけでございますが、しかし最小限においても、将来この問題がどうなるかは別にして、また再補償するか、貸付だけで打ち切るか、そこは別にしまして、現在の法律がすべての国民に平等に行なわれておるケースでまかなう案としたならば、どうしても二百億か三百億初年度組んでもらわなければ困るというような相当強い要求もあったわけであります。政府としてそれらの事情を十分検討いたしましたが、三十七年度の国民金融公庫予算においては、政府が、可能な財源として二十億を限度としての貸し出しワクをつくることが適当である、こういう認定をいたしたわけでございまして、社会における政府に対する要求はこのようなものでないことは御承知の通りでございます。
○武藤委員 そうすると、銀行局長、この二十億というのはもうひもつきで、これはほかへは貸付に回さずに、もう地主の申請だけに限って一応二十億というワクを設定するのですか。
○大月政府委員 これは全体として三十七年度千四百四十八億円の予定でございまして、一応の内訳がございますが、これは貸し出す一応の区分けとして考えておるわけであります。具体的には国民金融公庫自体においてこの方針にのっとって出す。従って、これは行政的に考えるべきものでございます。ただわれわれが御提案申し上げておりますくらいの資金計画といたしましては、被買収者に対して二十億を計上いたした、こういうことでございます。
○武藤委員 被買収者に対してだけ二十億のワクをきめるということは、国民金融公庫法第一条あるいは第十八条の中で規定しておる「国民大衆」という言葉や、あるいは「独立して事業を遂行する意思を有し」というような、こういう概念における業者とは根本的に違うのか、同じなのか、そこらはどうなんですか。
○大月政府委員 国民金融公庫法の第一条及び第十八条にのっとった貸し出しでございます。その一条及び十八条にのっとった貸し出しの中には、今ございますような一般の貸付でございますとか、更生資金貸付でございますとか、その他いろいろな貸付を今やっておるわけでございます。それから災害がございましたときに特別な貸付をする。それをやっておりますが、それと同列の貸し出しと考えております。
○武藤委員 そういう同列の貸付とするならば、なぜ旧地主だけ特別待遇をするのですか。
○大月政府委員 先ほど申し上げましたような、特別な政治的配慮から措置いたしたいという考えでございます。
○武藤委員 政治的配慮というのは、先ほどの二十億円の特別ワクをつくるのが政治的配慮という説明をあなたはしているのですが、それ以外に特典をつけているのですよ。地主だけ特別優遇をしているのですよ。金利の問題がそうでしょう。一般の貸付は年九分ですが、旧地主だけ六分五厘で貸すというのは完全な特別待遇じゃありませんか。なぜそういう特別待遇を旧地主にしなければならぬのですか。
○大月政府委員 一般の貸し出しの中にいろいろ金利の違ったものがございますことは御承知の通りでありまして、今の災害の場合でございますとか、あるいは災害予防のための措置でございますとか、あるいは更生資金でございますとか、いろいろございます。それと同じような意味におきまして、国民金融公庫の貸し出しの金利につきましても実情に応じた措置をとっておる。九分という貸し出しは一般の原則でございまして、その他いろいろな特典を設けておる、その一つと考えておるわけでございます。
○武藤委員 災害とかそういう特別の、だれが見ても、常識的に考えてこれはなるほど特別扱いにしなければ気の毒だと思われるような引揚者や、そういう災害者と同じ次元で旧地主を考えなければならないのですか、その根拠は何ですか、それを一つ明らかにして下さい。
○大月政府委員 最初に申し上げましたような農地の買収ということから起きましたいろいろな国民的な感情がございますので、それを慎重に配慮いたしまして政治的に決定した、こういう特別な事情だと思います。
○武藤委員 その国民的ないろいろな感情なんという抽象的なことではわからぬですが、引揚者や災害者とこの農地解放者との具体的な違い、あるいは同じ概念に当てはまるのだという根拠、だから金利を六分五厘にしなければならないのだという一般の国民大衆と差別をした理由、それは国民的ないろいろな感情でというようなことでは答弁にならぬじゃないですか、説明にならぬじゃないですか、具体的に一つ根拠を示して下さい。
○田中国務大臣 これは武藤さんもそういうことは御専門でありますから十分おわかりになろうと思うのですが、これは先ほど申し上げたように、社会的な情勢判断でいろいろな措置がとられておることは御承知の通りであります。中小企業金融公庫もありますし、商工中金もありますし、また別な一般の金融機関においても、同じ融資をする場合でも、戦争のときに自分の財産がまるまる残ったような人に対しては一般率を適用しておりますし、利子の延伸を認めたり、また契約条件を緩和したりすることは、あなたは引揚者だから、あなたは疎開で非常に苦労されたから、というような個々のケースに対しては十分配慮がなされておることは、一般市中金融機関においてもその通りでございます。でありますから、現在の海運の問題に対しても、海運と造船がどう違うか、また私鉄と電力がどう違うかというけれども、そのときそのときにおける社会的な考え方において、これらの問題に対して一般原則を変更して救済措置を講じておることは御承知の通りなんです。だから現在の国民金融公庫の中でも、また中小企業金融公庫の中でも、一般国民の中で引揚者も農地被買収者も確かにもっと苦しい人があっても社会情勢の中に特に取り上げられた現象、すなわち石炭企業に対してはどうしても八月の末までには国民金融公庫では五億出しなさい、商工中金では十億出しなさい、こういうふうにときに適合したワクを設定したり、またそれに対する融資の条件、その返済の条件等に対して緩急よろしきを得るということは、これはもう金融の常道でありまして、こういう処置が特に異例に行なわれたという考えは持っておらないのでございます。
○武藤委員 どういう弁解をしようとも、国民金融公庫の経常な従来の取引なり、あるいはいろいろな業務方法書なり法規定というものを見ると、旧地主なるがゆえに六分五厘の金利で特別待遇をするということは、どう見ても圧力に屈服した、今日の政府自民党の非常に筋の曲がったことを押し通そうとする、多数の力なら何でもできるという非常に政治に弊害を残すやり方だと思うのです。根拠がないじゃないですか。今までの説明を聞いておっても、政治的配慮だとか、いや国民のいろいろな感情からとか、国民のいろいろな感情から言わせれば、一般国民は旧地主なるがゆえに待遇をよくしなければならぬということは、だれも考えておらぬですよ。旧地主の人だけですよ、そういうことを言って横車を押して予算をぶんどろうというのは。もしそうだとしたら、徴用で行かれた人、あるいは戦災で焼け出された人、あるいは企業整備でつぶされた機屋さん、業者、こういう人たちだってみんな特別ワクを作って、もっと簡単に長期低利の資金を借りたいという気持はみんな同じですよ。そういう人たちは政治的な大きなグループを結成できないから非常に不公平に扱われて、地主だけがこういう待遇を受けるということは、まことに政治を紊乱するものですよ。私はどう考えてみても今までの説明では納得いきませんから、もう少し具体的に、今日全国の農地被買収者が何名おって、その中で、ボーダー・ラインを引いて、月収一万五千円以下がどのくらい、二万円以下がどのくらい、三万円以下がどのくらい、そうして生業を自分で始めたいというものがどのくらい、そういう具体的な数字をまず示してもらいたい。観念的な論争をしておったのではさっぱり納得ができませんから、一つ数字の上で説明して下さい。
○田中国務大臣 数字を出してということは一つごかんべん願いたいと思いますが、数字やその他に関しては、全国の被買収者団体等で調べたものや、自由民主党で調べたものとか、その他相当的確だといわれる数字もございます。そうしてまた非常に生活が困窮しておるという実態の統計数字もございますが、少なくとも任意の団体がつくったものを国会で公表するというようなことは、これは困るというので、私たちはそういうものをとっておるわけではないのであります。その意味で、院は院の議決によって農地被買収者等の実態調査のために、法律をつくって、工藤調査会の発足を定めたわけでございます。工藤調査会に対してもこれが実数及びその後の状況等、政府は答申を求めておるのでございますが、御承知の通り工藤調査会もその実数まで全部つまびらかに報告をする段階に至っておりませんから、いずれにしても概念的に申し上げて、何らかの措置を必要とするだろうというような、第一回答申を行なって、引き続いて第二回、第三回の答申が行なわれて、その中に私はあなたが今仰せられたような数字や、実態調査が報告せられるであろうと考えておるのでありまして、今日政府がこの実数をつかまえておるわけではありません。実数もわからないで一体二十億とは何か、こういう御議論があると思いますが、実数はおおむね想定をするにしても、二十億でもって納得するような実数ではないというふうに想定されますので、政府としては、非常に低い数字を財政その他の情勢に勘案をして考えたわけであります。
○武藤委員 全く答弁が納得いきません。これはやはりそういう具体的な資料を出してもらわないと、先ほどの大臣の答弁はあるいは一兆億円あるいは七千億円という膨大なる要求を圧縮して、予算の範囲内で二十億にしたのだ。ですから今のあなた方二人の答弁をそのままさようですかといって了解をしておりますと、これから国民の税金がどんな工合にそういう圧力団体のために使われるかわからぬという不安がある。そこで私はそういう具体的な資料に基づいて、一体全国の地主で、ほんとうに生活困窮者は何名おるのか、あるいは小口貸付を希望して、農林関係の事業をやりたいものがどのくらいおるか、あるいは一般の産業をやりたいものがどのくらいおるか、そういう数字に基づいて国民の税金を使わないことには、そんないいかげんな私は予算の編成の仕方をされたら、納税者が聞いたら憤慨すると思うのです。ですから少し時間を待ちますからどうしてもその数字は出してもらいたい。
○田中国務大臣 いやしくも政府が国会にお示しをする数字は、いいかげんなものをお示しするわけにはいかないのであります。そうすれば今しばらく待ちますからとおっしゃっても、とてもそういう時間では提出できないことは、これも一つ御理解賜わりたいと思うわけでございます。しかしこれがこの法律によって交付をするというようなことを申し上げておるのではなく、農地被買収者に対して二十億円の貸付の特別ワクをつくりますという御答弁を赤裸々に申し上げておりますから、そういう議論が生まれるのであって、政府が黙っておって、一般的な貸し出しの国民金融公庫のワクの中で、一般の中に一つ参考資料として農地被買収者であったら、そういう証明をおつけ下さい、引揚者であったならば、参考的にその間の事情を証すべきものをおつけ下さいということで、自由裁量を行なってやろうとすればできることではありますが、そういうことをこのような問題で行なうべきではない。戦後十五年間も議論がなされてきた問題でありますから、いかに十億、二十億のワクであっても、政府は明らかに国会国民に対して態度を示すべきである。そういう一歩進んだ考え方で二十億円のワクを皆さんの前で明らかに出しておるのでありますから、そういう考え方に対してはどうぞすなおに御理解賜わりたいと考えます。
○武藤委員 それは大臣、国会を軽視し国会をばかにするもはなはだしい発言ですよ。黙っておって政令か何かでちょこちょこと貸し付けをすればできるものを、親切に前向きに出したのだということはまことにけしからぬ答弁です。もうすでは前農林大臣の河野さんは去年の十月、京都でしたか、談話を発表して、来年度予算には地主補償の何らかの予算を計上させるのだというような談話を発表したり、あなたの方の党ではすでに農地問題についての調査会をつくって具体的にどんどん作業を進めると新聞にも出しておるじゃないですか、そういう情勢の中にあるとき、交付をするのじゃなく金を貸すのだから、公庫の中で黙ってすっと貸すこともできるのだ、それを親切に議会にわかるように提案理由で説明をしてやったのは何だか親切だと言わぬばかりのあなたの説明は、国会を全くばかにした発言ですよ。そういう点は取り消しなさいよ。もっと真剣な親切な紳士的な答弁をして下さい。
○田中国務大臣 それはまっこうから誤解したとり方でありますから、私の方から申し上げておきます。あなたがさっき言われましたように、なぜ一体農地被買収者に対して特別ワクをつくるということを言って必要はないじゃないか、農地被買収者も一般国民の一人として国民金融公庫の中から貸すようにすればいいのだ。それは金利の問題がございますけれども、実際は農地被買収者に対して二十億というような特別ワクをつくって他と分離することが不当である、僕らが納得すべき理由はない、こういう御質問でありますから、一般からいえば確かに一般国民の中で農地被買収者も全部含めて零細企業を興す事業資金に対しては、農地被買収者も例外たり得ないわけです。このままでもって現在やれるわけであります。ですから、そういう意味で農地被買収者や、あなたが先ほど言われた通り引揚者とか、疎開者とか、いろいろな人たちはそういうケース別でもって現在の国民金融公庫の中だけで従来通りの貸付をやるということをやればできるわけであります。しかしそういうことよりも、社会的に大きな反響を呼んでおる問題であり、特に政府は国民や議会に対して農地被買収者の問題は一般と一緒にやっておるのですというようなことで片づけるべき問題ではありませんので、特にこの問題を注記して国会で御説明する方がより正しい、こういう考え方でお出しをしたのでありますからという私の説明でございますので、そう逆なおとり方をしないように、国会を軽視する気持などは毛頭ありません。
○武藤委員 大臣が国会を軽視する気持は毛頭ないという御意見ですから、一応は了解いたしますが、しかし先ほどのあなたの話では、こういう皆さんから質問をされたりややこしい手段をとらなくてもできるのだというような、そういう誤解を受けるような発言というものは、われわれを硬化させます。そういう点は十分考えなければならぬと思うのです。先ほどの資料の点ですが、私がどうしてもまだ納得できないのは、なぜそういうことをしつこく聞くかというと、たとえば農林関係の加工業をやりたいという場合には農林関係の金融機関というのがあるわけです。農林漁業金融公庫もある。あるいは農協もある。そういう方面からの融資も考えられるのです。そこで、そういう小口貸付をする場合の業種、一体どういうものの希望があるかとか、件数にしてどのくらいあるかくらいを大ざっぱにつかんでおかないようでは、私は、銀行局もあるいは国民金融公庫も通常国会に提案をしておって半年も間があった間に、そのくらいのことは質問をされるだろうくらい予想も立たぬような役人では困ると思うのです。全く資料をつかんでおらないのですか、資料をつかんでおったら発表してもらいたい。
○大月政府委員 われわれといたしましては積み上げて計算した数字ではございません。今の国民金融公庫の貸し出し計画自体一件大体二十万ないし二十五万でございますから、この二十億の金で大体八千件ないし一万件程度のこの関係の貸付ができるのではないか、実は国民金融公庫、中小企業金融公庫等の貸し出し計画自体につきましても、たとえば一般貸し出し、本年度千何百億ということにつきまして、一体どういう人がどのくらいあるかという具体的な計数は率直に申してわからないわけでございまして、大体の大数観察から、たとえば前年度に対して十何パーセント、国民経済の伸びというようなことを考えてこの程度でというような数字で、われわれは財政事情その他を考えてきめておるわけでございます。そういう意味で、この関係の方々に、どういう方面に何人というような具体的な数字はなかなか具体的には申し上げかねると思います。大体の感じといたしましてこの程度の数字が適当であろうということでございます。
○武藤委員 そうすると、旧地主に対して僕らが一番けしからぬというのは、他の一般国民大衆と公平の取り扱いをしていないという点なんです。特別ワクを作るということも一つ、金利を通常は九分のところを災害並みに取り扱って六分五厘にするということ、それから業務方法書の中で、国民金融公庫は一年以上事業経営の経験を持っている者でなければ普通貸し付けてくれぬわけです。今度の地主の場合は、そういう経験がない場合でも貸す、これらはまさに特典、恩典です。こういう差別をつけて特別な一定のグループを優遇するという政治のやり方は公平でないということだけは確かでしょうね。その点は大臣どうお考えですか、公平な政治だと言えますか。
○田中国務大臣 どうも武藤さん、きっと御承知でもって御質問をいただいておると思うのですが、公平の原則というものの中には、議論の上、また一般的な概念から公平の原則ということも言われますし、また一つには、過去のいろいろな状態において非常に被害をこうむったような方々に対して新しい角度から何らかの処置をするということが公平の原則だという見方も当然あるわけであります。でありますから、そういう意味で私たちは公平の原則ということをやるためにこういうことをするのですということになると、またどうもおしかりを受けるようでありますから、そうまでは申し上げませんけれども、民主政治として社会の実態に広く眼を注いで、一つの民族の中で相争わないような状態で、またあしたのためには前進的な態勢を作っていくというようなものの考え方を前提にする政府としては、やはりこういう処置も必要であるということを申し上げて御理解を得たいと思います。
○武藤委員 公平であるかどうかという答えはとうとうしませんでしたけれども、私は実は政治には足を踏み込んだばかりのしろうとですから、あまり大げさなことを申し上げることはできませんが、実はイギリスなどへ行ってみましても、野党がこれだけ抵抗し、あるいは批判をするような法律の場合には、率直に政府が次回の国会まで待ちましょう、その間与野党で十分話し合いをして国民のための公平な政治をやりましょう、そういう慣例で採決などはしないのです。イギリスはさすが民主政治の国だけあって。今、大臣は国民のために、民主政治だから、まあ一つそういう点はお互いがまんをしよう、あなたの方はこちらにがまんをさせて、自分の方だけが満足する政治は民主政治ではない。民主政治はお互いがある程度そういう不公平な点があって、党もどうもこれは正しい、公平だと言えないような情勢の法律の場合は、よしよしと寛大な気持になってこの次まで待ってみよう、では十二月までじっくり話し合って、(「社会党が話し合いに応じないじゃないか」と呼ぶ者あり)もう少しこういうものは国民が全体に納得できるようなものにしてからにしようじゃないか、調査会の結論が出てからでいいじゃないか——社会党が話し合いに応じないなどとヤジるかもしれぬけれども、諸君の方の総理大臣は、十月の二十五日にはっきりと総理大臣みずからが本院において、調査会の結論が出るまでは、何らそういう補償とか融資とかいうことは考えませんということを答弁しているのです。それが調査会の結論が出ないうちに、参議院選挙がいよいよ目の前にあるからというので、融資二十億円をぱかっと出して国民にえさを出すというような政治、これは民主政治じゃなくて、こび、へつらうところの、圧力団体に迎合するところの全くけしからぬ拙速主義の政治だといわなければならぬと思う。こういう政治は改める必要があると思うのです。特に政党人から出ていった大臣で、閣僚の中においても特にわれわれは期待をしておったわけですが、特にそういう期待をされた大臣が、前の大臣からの引き継ぎですから、おれが最初に大臣だったらけ飛ばしたかもしれぬと言うかもしれぬが、とにかくこういうことをだんだん積み重ねていったら、日本の政治はますます一部少数のそういう大きな権力に結びつき、大きな発言権を持った政治力にものを言わせるグループが利益を受けて、谷間におる国民大衆は非常な差別を受けて、政治の恩恵から遠のいていって政治不信を引き起こす大きな原因になると私は思うのです。日本の民主政治の将来を思うがゆえに、私はしつこいようだけれども、こういう質問をしておるのであります。そういう点は十分一つ考えていただかなければならぬと思う。先ほど大臣は、わが党が決定をしたことを尊重するという概念的な話し合いを閣議でしてある、こういう発言がありました。これは今後の地主補償の問題について私は非常に大きな示唆を含んでおると思うのです。御承知だと思いますが、自民党の農地問題調査会では、旧地主補償試案というものを本年の一月二十六日、私は新聞で見たのでございますが、そういうものを見ると、非常に国民、特に耕作農民自身が関心を持つ内容を持った試案を発表しております。そういう自民党の試案に対して、大臣は同じ自民党から出ておるという立場で一体どんな考えを今お持ちですか。
○田中国務大臣 私も自由民主党所属議員でありますから、議員としての考え方から申し上げますと、党議の決定には拘束を受けるわけであります。しかし私の今の立場は国務大臣でありますから、憲法上の規定によって政府の一員として意見を申し述べておるわけであります。この問題に対しては、御承知の通り自由民主党は、当時自由民主党の党案を決定いたしてございます。時の政府は池田内閣であり、現在も改造をいたしましたが池田内閣であることは間違いないわけでありまして、池田内閣としては、政党政治でありますし、議院内閣制の建前からいっても、党との間にはいろいろな予算上、政策上の連絡を密にすることは当然のことでありまして、この問題に対して党から提起をせられた考え方に対して、党の方向に対しては了解をするけれども、この問題に対しては法律がきまっておって、工藤調査会が現に活動いたしておるのでありますから、工藤調査会の答申も待って適切なる処置をいたします。こういうことが自由民主党との間の協定といいますか、申し合わせといいますか、そういうことで確認をせられておるわけでございます。でありますから、その後も党側からは何とか立法処置をするようにという強い要請もありましたけれども、すべてが工藤調査会の結論待ちになっておったわけであります。工藤調査会は最終的な答申を行なってはおりませんが、いずれにしても第一回の答申を行なっております。これは五月の二十二日に行なわれておるようでございます。その状態において、工藤調査会の答申と党の考えを十分検討しながら、政府としては昭和三十八年度予算決定までにこれらの問題に対しては基本的な態度を決定しなければならないというような状態になっておるわけでございます。この法律案は昭和三十七年度予算決定のとき、すなわち昭和三十六年の十二月の末に、当時の政府としましては、国民金融公庫の資金の中から二十億貸し付けるということを決定をいたしまして、党もこれに了解を与えて、国会の審議をお願いをしておるわけでありますが、工藤調査会の結論も待たなければなりませんし、また両院の院を通じての御審議も十分慎重に待たなければいかぬ。先ほど仰せられたように、イギリスの保守党的な考え方というのではありませんが、こういうものは強行すべきではないという考え方で、私の方では去る国会にこれをどうしても上げていただきたいというような御無理なお願いをしないで、その後に行なわれる参議院通常選挙というような状態を経ながら円満に御理解を賜わりたいというので、今日まで引き続いて継続審議をお願いいたしておるようなわけでありますから、一つ御了解賜わりたいと思います。
○武藤委員 民主的なルールに基づいて、この前御無理をしないで今回まで延ばしたのだから、何とか了解せいといいますが、もしこれを一つのレールに乗せようとする熱意があったとするなら、もう少し野党側と話し合って、少なくとも利息の点ぐらいは国民大衆並みの同じ九分にするとか、特別扱いの利息にはせぬ、そういうような話し合いを具体的に持ち込んで、初めて今の田中さんの御意見が生きるのですよ。そういうことを全然やらないで、時間だけうっちゃっておいて、それは今度の国会を待ったのじゃなくて、国民大衆の名においてわれわれが批判をしておるからこそ今国会に現われてきたのであって、これは民主政治を常道に戻すような努力を全然してないですね。それは遺憾です。 それから今の調査会の第一次答申が出た、その中身を概観をしてみて、旧地主に何らかの特別的恩恵を与えることが好ましいという方向の第一次答申が出ておりますか、その点はいかがですか。
○大月政府委員 一つは生業資金の問題でございますが、生業資金の貸付につきまして何らか考慮する方が好ましい、第二は育英制度その他の面において何らかの配慮をすることが好ましい、この二点がそうでございます。その他若干補償問題に似たような答申があるのでございます。
○武藤委員 この工藤調査会の中には少数意見、多数意見がございますので、少数意見の非常に公平な立場に立った学者の意見などもわれわれは貴重な資料と思います。すみやかにその第一次答申の全文の内容を大蔵委員の諸君に配ってもらいたい、それをまず第一に資料として要求をいたしたいと思うのであります。 第二に、あとの質問通告者もお見えになっておりますので、簡単にお尋ねいたしますが、今自民党の発表された試案を見ると、解放農地に対して一反歩十五万円程度の国債を交付する、これが骨子になっておって、さらに解放農地を受けた耕作者がその土地を売った場合には、二百万円以下に対しては百分の百、二百万円から五百万円の者には百分の三十、五百万円をこえる者には百分の十、三千万円以上売った者に対しては百分の二という比率で税金をかけるという案が、一月二十六日の自民党の農地問題調査会案として新聞に報道されております。こういうわれわれの立場から見たらばかげた考え方をやがて法律に多数で押し切って、そして旧地主に国債を交付していこう、こういうような今の自民党の内部の動きに対して、あなたは国の財布を預かる立場としてどういうような考え方を持っていますか、党議ならばどんなものでも決定されたらそれに従って、無理やりにでもそれを押し通そうとしますか、あなたの良識をお尋ねしておきます。
○田中国務大臣 ただいまお手元にあります案は、自民党の最終党議を決定する以前の個人的な一つの試案の中の試案であったと思います。党議決定はそのようなものではございません。一部においては、そのように反当たり三百円から七百五十円、高いところでも九百円でもって解放を受けた者が、現在大都市の過度な発展等の現状に見ますと、反当たり何百万円というようにわずか十五年のうちに売られておるのですから、差益徴収ということが理論的に構成し得るではないかというような論者がつくった一案だと思いますが、党はそのような決定をしておらないと理解いたします。党は、もしも交付公債を発行せざるを得ないような状態になるとしても、農地の解放を受けた人から差益金の徴収等を行なわないことを非常に明確に党議ではうたっておるように私は記憶いたします。これは確かに党議としては、農地解放を受けた人からは、差益金を徴収したり特別財源法等をつくって、あらためて差益徴収を行なうというような考えは全然ないということを、私はっきり申し上げておきます。 ただそのときに問題になっておりますのは、農地を解放せしむるために国が一時買い取って、そのまま個人に分割交付をしなかった土地が現在国有地として残っておりますので、そういうもの等を換金をした場合には、そういうものは財源になり得るだろうという考え方はございますが、これも確定をした党議の内容ではございません。だからそういう意味で、今御質問になられたように解放を受けた自作農が転業する場合と、また公共事業に収用せられるような場合、他に住宅、工場敷地等に転売をする場合、これに対して差益金を徴収するというような考え方は全然党でも持っておりませんし、政府でも持っておらないことを明らかにいたしておきます。
○武藤委員 農林大臣もお見えになったようでございますので、私の質問はそろそろ終わりますが、とにかく最高裁判所でもすでに買収価格は正当であり、その後地方裁判所においても二回にわたって判決が出て、当時の社会情勢、経済情勢から見るならば、あの買収価格というものは正当であるということがはっきり国の機関で決定をされておるわけですから、そういうものに対して特別な配慮をし過ぎて、すなわち金利を六分五厘にしたり、特別ワクを設定したり、あるいは事業を営んでいない者でも直ちに借りられるようにしたり、これをさらに悪用するならば、二十人、三十人の旧地主が協同組合なりあるいは共同借り入れ申し込みなりをして、そういう金をまとめて国民金融公庫から引き出して、政府が考えていないような形に使われるという心配も出てくるおそれがあるわけです。そういう点から、今回の地主に特別融資をするという考え方には非常な危険と不公平がありますので、私どもは政府に十分反省と考慮を促して、でき得るならばこういう法案は撤回をしてもらいたいということを要望して、一応私の質問は終わりたいと思います。
○臼井委員長 足鹿覺君。
○足鹿委員 この際、農林大臣に、お急ぎのようでありますから、重要な点をお尋ね申し上げて、あわせて大蔵大臣にもお伺いをいたしたいと思います。今議題になっております国民金融公庫法の一部改正、また議員提案の別なものと直接関係のある点もありましょうし、またその背景をなしておる農地被買収問題との関連において私は主としてお尋ねをいたすのでありますから、その点はあらかじめ両大臣なり委員長においても御了解を願っておきたいと思います。 そこで最初に重政農林大臣にお伺いをいたしたいと思うのでありますが、大臣は御就任と同時に、自分の農政の基調は、河野前農林大臣の農政を引き継ぎ、これを実現することであるということをおっしゃっております。これは農林委員会においても御言明になったところであり、よく御存じのことだと思いますが、農地法の改正と農地被買収問題について河野農林大臣の今日まで言明をされ、かつとられた措置をそのまま御踏襲になる御意思でありやいなや、これをまず第一に伺いたい。 河野農林大臣は、去年の十月の記者会見で——その当時は、まだ改正農地法が成立いたしておりませんでした。今次の農地法の改正は、見方によっては、同法の基本的考え方が変わってきたとすれば、旧地主に対する政府の措置もあらためて再検討すべきではないかと言っておるのであります。つまり被買収問題と農地法の改正との関係を端的に大臣の意見を述べておるのであります。その具体的な問題としては、農地信託制度の問題等を引き合いに出しておるようであります。まあいずれにいたしましても、そういうことを述べておりますし、それがまた一つのきっかけとなって、地主補償同盟の諸君を刺激し、また勇気づけ、そして先ほど来武藤委員からもお尋ねになりました二千八百億という膨大な補償要求にまで発展をする、自民党の党内にも二百名からの賛成署名があったと伝えられておる、そういう事態を引き起こした重大な御言明であると思う。引き続いて河野農林大臣は、その直後農地法改正に伴い、被買収者の問題等を事務当局に調査検討するよう指示したと伝えられておるのであります。何のための調査を命じ、何のためにそのような御検討を命ぜられたのか。これはすでに大臣がおかわりになっておるのでありますから、今さらここで追及はいたしませんが、いやしくも河野農政を踏襲することをもって重政農政だと自負し、公言しておられる重政農林大臣は、この問題に対して、いかような御所見を持っておられますか。この問題についても河野農林大臣と同様のお考え方を持って対処しておられるのかどうか。今私が後段において述べた、河野農林大臣が事務当局に調査検討をするよう指示したという、その指示したことは何であり、それは重政大臣は御存じであるか、またその指示された調査に対してどういう答えが出ておるか。その現段階における状態を大臣の御所信とともに、まず明らかにしていただきたいと思います。
○重政国務大臣 私は、農林委員会において前大臣の農政をさしあたり踏襲をしてこれを実現することが務めである、こういうふうに申したのでありますが、それは新農政を実現するについて幾つかの重要な問題を前農林大臣はすでに着手をせられ、さらには着手をしないまでも一応言明せられておるのが幾つかあるわけであります。これを私は踏襲してやりますという意味であります。ただいまのお話の被買収農地に関係した問題は、これはどうも新農政とはいえないので、実は私はその点は前農林大臣がどういうことを言ったのか、どういうふうに事務的に話を命じたのか、それはよく存じませんから、そういうことまで私がその通りをやらなければならぬとも私は思っておりません。私の聞いておる範囲ではそういうことを事務当局に命じたのかどうか、そういうこともはっきりいたしませんから、ただいまの御質問には具体的に何ともお答えのしようがないのです。
○足鹿委員 これは少なくとも河野農政で自由米構想とともに一番大きな物議をかもした問題の二つの柱の一つになっている。少なくとも河野農政を踏襲することをもってあなたの信条とされると聞く私は、今の重政農林大臣のお話を聞いてちょっと意外にも思い、かつまた安心もいたしたような気もいたします。河野さんが考えておられたようなことをやられたのではたまりませんし、また政府も、先ほど田中大蔵大臣の御所信の中にもあったように、なかなか御慎重のようでありますが、農林省が河野さんのような勇み足でこの農地法の改正を契機にして買収問題との関連をその点に求めていくというような考え方を持っておられることはこれは事実である。国会でも何かそれに類似したことを言っておられるので、私は重視して重政農林大臣に伺ったわけでありまして、新しい農政の発展については踏襲するのだが、そういう逆行的といいますか、そういったことについては同調いたしかねる、自分はそういう考え方は持っておらぬ、こういうことであればまことにけっこうでありまして、私は大いにその所信を貫いていただきたいと思います。ぜひそういうことでやっていただきたいと思います。 そこでそういう見地から、二、三この機会に農林大臣に伺っておきたいのであります。 現行農地法は農地改革の成果を維持することを目的として制定をされました。自来最近の法改正等もありまして、若干の修正、改正を行なわれましたけれども、当時の精神はやはり貫こう、要するに耕作者の地位を安定して、その労働の成果を公正に享受させる、そして自作農を急速、広範に創設し、また土地の農業上の利用を増進し、もって農業生産力の発展と、農村における民主的傾向の促進をはかることを目的として行なわれたものである。この精神は失われておらぬと私は思うのであります。耕作者の地位を安定し、その労働の成果を公正に享受せしめるために障害であると考えられたものは、古い型の地主的土地所有であったことは間違いないでしょう。これは高額小作料という形で耕作者の労働の成果を土地所有者が一方的に吸収をしていったから、その弊害を打破していくために農地法というものが制定されたのでありまして、その基本方針というものが変わらない限り、政府がみだりにこの法の精神を、いかような形であろうとも別な角度から切りくずしていくような考え方は大きなあやまちを犯すものではないか、かように私は思うのであります。言いかえますならば、これはたとえば今も武藤さんが問題にしておりました創設地の転用によって創設農家が不当な利益を取得しておる、こういう一部の言い分ですね。これがだんだんと発展をしてきまして、そうしてこの創設農家特有の不当利得というものを吐き出させていく、そのためには差益金の徴収を考えたらどうか、こういったようなことが順次雪だるまのような形で発展をして今日の形勢になり、それにはそのままこたえたわけではないが、一部の困窮者等に対する生業資金の貸付等の形でもってこの法案が用意され、提出をされたが、継続審議となった、こういうふうに、その背景なり、考え方の基礎になっているものは私が述べました農地法の基本原則あるいはその基本的な考え方にとにかく疑義を持ち、そのこと自体に対して間違いをしておったのではないか。だから、われわれも当然その間違いに対しては政府に反省を求めてもらうものはもらうのだ、こういう考え方に根ざしておると私どもは思うのであります。従って、これを重視しておるのでありまして、困っておる人は別途な社会保障の角度から手厚くめんどうを見てあげる、これはあに地主のみではない、引揚者や戦災者や動員学徒やあるいは戦争中の先祖伝来ののれんをつぶして企業合理化の犠牲になった人々や、いろいろなものがあるのです。しかし、その人々が今一体ではそれをどうしてくれと言っておりますか。私はそういう政府の考え方が、一部に持っておるような農地法の基本原則や基本的な考え方を、疑義を持ちこれを修正せしめていく、農地法は誤っておったのだ、現に誤っておるのだ、これを直せ、こういうことにだんだんとこの問題は発展をしていく要素を持っておる。これは農政の根本を誤るものである、こういうふうに私どもは考えておるのでありますが、この点について農林大臣の確たる御所信、また田中さんは当時自民党の政調会長としてもこの被買収者の補償問題とは取り組まれ、党の顧問等にもなっておられたやに思っておったのでありますが、この問題は現行農地法の基本的な考え方に対して微動もないという考え方を両大臣は持っておるということをこの機会に明らかにしてもらいたい。
○田中国務大臣 私の個人的な話がありましたが、農地被買収者問題というようなものに、私は顧問などには入っておりませんし、先ほど言われた二百名の中にも私の名前は入っておらないというふうに考えております。これは、自由民主党の政調会長という、三役はそのようなものに入ることはできない、こういう党規がありますので、それから言えば入っておらないと思います。それから先ほどから、どうも私の答弁の中で農地被買収問題に関して社会には何らか補償融資の道を講じてもらいたいというほうはいとした運動があるという事実を申し述べましたが、これらの方々が立ち上がっておるのは、自分たちから安く取ったものが高く転売をせられておるというような問題に対して差益を徴収しようというような立場からこの問題が起こっておるのだということは全然今まで申し上げておりません。これは私はそうじゃないと思うのです。今まで私が感知した状態から言いますと、自作農創設資金、自作農を創設するということで第一次農地解放が行なわれたわけでありますが、このときの法律では確かに自作農創設のために農地解放を行なうのであるから、他に転売をすることはできないという法律があったはずです。でありましたが、昭和二十九年だと思いますが、私たち自由党の時代にこれを転売することを認めるように法改正案を政府が提案をしたか、自民党が提案をしたか、いずれかにして現行の農地法ができておりますことは御承知の通りだと思います。私たちがこの農地の被買収者に対して、国民金融公庫法の一部改正法律案を提出し、その中で二十億の融資のワクを設定しようという考え方は、現在の農地法を根本からゆがめる、また現在の農地法の自作農創設という基本的原則を何とか修正しようというような考え方は絶対ありません。全くこれは社会的な問題としてこれらの問題についてどう対処すべきかということに対して政府自民党も苦慮しておるというだけでありまして、これらの処置が農地法の精神をゆがめるというような考え方には全然立っておりません。現在農地法はあくまでもこれをこの前の国会で一部改正法律案が通過いたしましたが、現行法をあくまでも守っていくという考え方であることを明らかにしておきたいと思います。
○重政国務大臣 大蔵大臣が述べられたと同様の考えを持っております。
○足鹿委員 私は先ほども触れましたが、昭和二十五、六年ごろからですか、農地がだんだん上がってきた。そして最近では工場の拡張、公共施設の拡充整備、都市の膨脹といろんな形で農地がつぶれていく、従って、その買い上げ価格が当時の農地法に基づく買収価格というものと比べていかにも大きな開きがある。これをもと持っておった大地主は別として、ごくわずかな面積を持っておった人々が、非常に何か矛盾を感じ、割切れない気持を持たれる。そういう気持を、私も人間でありますからわからぬではありません。わからぬではありませんが、よく考えていかなければならぬことは、大地主の不当利得と言いますか、高額な小作料によって労働の成果の公平な分配を阻害しておった。巻き添えを食ったその人々の、小地主の人々と言いますか、あるいは不在地主の人々、あるいは認定買収を受けた人と言いますか、そういう人たちの中には同情すべき人々はあるいはあるかもしれぬ。しかしその心情については私らは全然無理解な態度をとっておるつもりはありません。われわれ社会党といえども、それには別途に考えるべき道を講ずべきであって、あなた方をして言わしめるならば、今やっていることはこれは別途に考えているのだ、こういうふうにあるいは御答弁になるかもしれません。しかしこれには自民党からの修正が出、そうして二千八百億という膨大な補償を交付公債によってでもやっていきたいという第三の、あとに大きなものが含まれておる。従って、これは一連の農地被買収者の人々の強力な圧力といいますか、要請によって進んでいく一つの突破口になっているのではないか、そういう印象を持つものでありますが、ここに一つ大蔵大臣に申し上げておく、また農林大臣にもお聞き願って御答弁願いたいことは、近年国民経済が先ほど述べますように大きく発展をしていく、これに付随して土地価格の高騰が著しく起きてきた。これは土地所有者一般が取得しておるのでありまして、ことさらに農地解放を受けた者が特別にいい値段でもって利益を受けているのではありません。これはあなた方の金看板である高度成長政策がもたらした一律ないわゆる土地の騰貴の中に含まれる問題だと思う。そこでこのような土地所有者一般に多大の利益の取得を可能ならしめた最近における土地価格の高騰に対しては、特に市街地付近において著しい事例があるわけであります。農地価格の上昇も宅地価格の高騰によってもたらされておるわけであります。つまり農地が今度宅地に地目変換を受ける、地目変換を受けた宅地が登記を受ける。従ってその周辺の農地が影響を受ける、こういうことになってきておるのでありまして、みだらないわゆる行き過ぎた高度成長政策の前に農地転用に対する農林省の確固たる方針がくずれて、全く空文化していくような運営がなされる。末端農業委員会の運営は、あれは地目変換委員会だと一部に言われるような事態が起きて、その結果がこういう結果をもたらしておることは、これは下情に通じておられる両大臣とも御存じないはずはなかろうと私は思うのであります。そういうわけでありまして、政府が創設農家の農地騰貴に基づく利得問題を切り離してこれを取り上げて考えていくというような行き方、土地一般の価格問題として総合的な経済政策の立場からこれは考えていくべきであって、ただこれを取り上げてこれは気の毒だ、均衡上何とか手を打ってやらなければならぬというような、何か特別にその人々が大きな利益を得ているような考え方に同調して、これの一環としてこういう法案を出し、それが一つの突破口となって次から次と発展をしていくような行き方に対しては、私どもとしては大きく政府の反省を求めていかなければならぬと思うのであります。この点について農地価格騰貴を抑制する対策をあなた方自身は考えられるべきである。住宅の問題についてもそうでありましょう。まだ農業が農業として成り立っていく場合に、二十万も三十万もの一反歩当たりの農地でどうして農業経営が成り立ちますか。だからあなたがこのごろいわゆる農地金融制度の検討を命じられて、そうして土地を担保とする農民銀行の構想でありますか、そういう構想を農地局当局なり農林当局に命じられたということを私どもは新聞で承知いたしました。承知いたしましたが、それも現在の農地法の精神というものを変えない限りはできないはずなんです。何もかにも、どこから見ても今のあなた方がとっておられる方向は農地法がじゃまになっておる。これを何とかしなければならぬというふうにあなた方も言い、重政農林大臣の農民の土地担保制に基づく新しい農業金融制度の指示といい、やはり何か問題があると思うのです。不当に高い宅地価額あるいは農地価額というものはそれ自体として非常に弊害のあるものであります。これを適正化していく、そのために政府が適正な措置を一面において講じていくということが今までなされ、これからもなされていくならば、今問題になっておる被買収地に対する補償問題等も、そういう政府の正常な政策を一方に伴うことによって漸次一部に持たれておるような考え方も沈静し、正常に戻ってくるのではないか、そういう点について両大臣はいかようにお考えになっておられますか。この際伺っておきたい。
○田中国務大臣 農地法に対する基本的な考え方は先ほど申し上げた通りでございます。農地法に対しては三段階に分けられるわけであります。終戦直後非常に荒廃をしておった日本の状態としては、大地主制度をまず改革をして、長いこと土地を持てなかった人たちに土地を持たしてより合理的な農地制度をつくろうというために、いわゆる自作農創設ということで占領軍からのメモによって第一次農地解放が行なわれたことは御承知の通りでございます。先ほど申し上げた通り、当然自作農創設の精神に基づくものでありますから、これが自作農の考え方を逸脱をして——また新しい時代の要請からいっても、他にこれが転用転売をせられることを認める場合にはもとの地主にこれを返還するような救済規定を置くべきか、取得をしたものでありますから、このまま黙って他に転売をしてもいいという条文に改正すべきかは議論のあったところでありますが、いずれにしても、転売をすることを許すように法改正がなされたわけであります。現在の段階では、二十九年の改正によって都市周辺の農地に関しては非常に高い値段でやられておって、他に公共建物とか住宅の用地を得ようとしても何百倍かというような高い値段であるから、逆に押えればいいじゃないか、確かにこういうふうな現象があります。三段階に分かれて——世の中の実情も変わってきております。変わってきておりますが、農地法によって自作農を守っていこうという考え方に対しては、基本的には何ら変わるところがないということは先ほど申し上げた通りでございます。物価騰貴の要因をなしておる土地の問題に対しては、私たちが知る限りにおいては、自分たちから安く解放を受けた農地が何百倍、何千倍でもって売られておるから、その差額を徴収しようという考え方に立って農地被買収者の運動が起きたのではないということだけは明らかで、私の知る限りの答弁をいたしておるのであります。でありますから、解放した農地が他に転売をせられる場合に非常に地価が高騰しているという問題に対する具体的な措置はあらためて別な方向から考えるべきであって、農地被買収者の問題と同一にこれを論ずる必要はないのではないかと考えます。 それから、蛇足かもわかりませんが、自由民主党が農地被買収者の問題に対して取り組んだ当時の状況を申しますと、大体理由はこういうようであります。これは自作農というものを創設するために、より大きな新しい農地制度をつくるためにこそわれわれは占領軍の命令にそのまま応じたのであるから、時代の要請とはいいながら、他に転売が認められるような状態になった場合われわれに戻してくれ、いわゆる買い入れ条件があってしかるべきではなかったかという一般的な考え方が一つあります。もう一つは、あまりにも時代のテンポが早いので、農地の解放を求められたいわゆる被買収者諸君の生活が極度に逼迫をしている。間口の広い人が一ぺんに詰めろといってもなかなか詰まるものではない。事実問題として、台所口がうんと広かった。ところが今度は九尺二間になったからそのまま一ぺんに詰めろといっても、事実が詰まるものではありません。そういう意味で、生活が逼迫しておって時代の波に順応して生計を立てることがむずかしいという原因があります。そういう問題で、他に転売をせられる差益だけを目標にして当然われわれにも反対給付があってしかるべきだという考えを原則にしてこの被買収者の代償運動が起こされているのでないように私たちは今まで看取をいたしております。 最後にもう一つ申し上げると、今日農地が非常に高い値段で転売される問題についてでありますが、これは農地法の問題だけではなく、政治論としていろいろ考えなければならぬ問題だと思います。農地法の精神は守っていかなくちゃならぬと思いますが、わずか十五年の間ですけれども、十五年の三分の一の初めの五年は、すべてのものを農地にして増産態勢をとらなければならないような状態でありましたが、まん中の五年くらいは農工商三位一体の経済に転換をしてきております。今日の最終的な五年は、あなたが今申し述べられた通り工業が異常に発達をするために、土地その他の需要が極度にふえている。また経済的に考えても、農業から工業に転換をする人たちの希望も非常にふえておりますので、それらの状況を勘案をしながら土地の問題に対しては結論を出していかざるを得ないというふうに考えているわけであります。
○足鹿委員 さらに大蔵大臣に伺います。ただいま大蔵大臣としての御所信の表明がございました。しかし、本年の四月二十五日自民党の議員総会におきまして、交付金法案の提出を見送った際、次の通常国会で予算措置を講ずることをきめておると伝えられております。当時大蔵大臣は、自民党政調会長としてこの自民党の議員総会における決議を御承知になっておりましょうし、その処理等についても御検討になったと思います。しこうして、今日は国の財政を扱われる重要なポストに御就任になったわけでありますが、このときの自民党議員総会における交付金法案の提出に伴う予算措置の問題については現在大蔵大臣としていかようにお考えになっておるか。また、当時の自民党の政調会長としての経過から見ても、そのときの心境なり、また今日の立場から見ていかようにこれを御処理になろうとしておりますか。その点についてもあわせてお尋ねをします。
○田中国務大臣 本件に関しましては、先ほどの御質問にもお答えを申し上げましたが、もう一度申し上げます。私も自由民主党の所属議員でありますから、党議の拘束を受けることはもちろん当然でございます。でありますから、党議に対しては忠実でありたいという考えは明らかにいたしておきます。 農地被買収者の問題については、党議の決定は、今言われた四月幾日だと思いますが、このときには、被買収者に対しては何らかの措置を行なうこと、それからその財源等を必要とする場合、解放を受けた人たちが転売をした差益等の徴収は行なわない、こういうことを明らかにしております。それから第三に、何らかの形で報償制度をとるべし、こういうようなことだったと思います。しかし、それに対しては、与党であり、議院内閣制であり、政党政治でありますから、この問題に対しては政府与党の意見の合意を必要とするわけでございます。政府に対して党側から強い党議決定に対する政府の見解表明が求められまして、政府としましては、閣議でこの問題を議論いたしましたときに、自由民主党の党議決定は尊重をいたします。がしかし、現在法律に基づいて農地問題調査会が作業を進めておるのでありますから、この答申も尊重をしなければならないわけでありますので、この答申を得て後、党議とこの答申及び政府との意見の調整をはかるということで、党に御返事をいたしておるわけでございます。私も当時の池田内閣の継続されておる政府の閣僚の一人でございますので、ただいま申し上げたような基本的態度をもってこの問題に対処して参りたいというふうに考えます。
○足鹿委員 われわれの仄聞するところによりますと、総務会の決定事項は、ただいまも田中大臣から申されましたように五項目に分かれておるように聞いております。詳細は私もよくつまびらかにいたしておりませんが、農地補償の財源は解放農地の税金などからはとらぬ、徴収しない、別途にやれ、報償措置は立法措置をとる、大体この二本の柱であったように思うのであります。その総額が二千八百億といわれる。つまり、この交付金の財源について、当時の政調会長として、党としてあなたは検討をおやりになったかどうかということを私は具体的に聞いておるわけなんです。現にあなたが御検討になった場合、どのような結論に到達されたか。
○田中国務大臣 私は政務調査会長でありまして、政務調査会には専門部会がたくさん設けられておったわけでございます。二千八百億というのは、当時の綱島農地問題調査会及び農林部会等できっと議論をせられた案だと思いますが、党議決定の状態においてはそのような数字を含んだ原案が党議決定にはなっておりませんし、私は当時自由民主党の政務調査会長としての責任において数字は承知をいたしておりません。
○足鹿委員 そうしますと、官房長官がおいでになったようでありますから、これと相前後する本年の四月二十四日の閣議で地主補償に対する基本方針なるものが打ち出されておるとわれわれは聞いておるのであります。それに基いて各般の検討がなされたと私どもは聞いておるのであります。当時は官房長官はその職にあられなかったのでありまして、お伺いするのはどうかと思いましたが、しかし閣議において地主補償に対する基本方針なるものが打ち出された、かように私どもは聞いておるのでありまして、その真偽は記録を繰ってごらんになりますならば、これは明らかになる、かように思いまして御足労をわずらわしたわけでありますが、その当時の経過をさかのぼってお調べになっておればこの際明らかにしていただきたいと思います。
○黒金政府委員 足鹿さんのお尋ねの件でありますが、ことしの四月二十五日に与党から、先ほどお話のあった党議決定に基づいて官房長官あての御要望がありました。ところが、そのときはまだ農地被買収者問題調査会の答申も出ていない状態にありましたので、政府としては、翌々四月二十七日、農地被買収者問題の処理については、農地被買収者問題調査会の答申が出た上で、その答申と、今受けた党の御意向と、この両方を検討しまして一つ処置していこう、こういう閣議決定をいたしております。
○臼井委員長 ちょっと足鹿君に申し上げますが、農林大臣は——大蔵大臣もそうですが、参議院の関係もございますので、先にちょっと農林大臣に簡単に御質問願いたいと思います。
○足鹿委員 それでは、委員長の御注意もありますので、農林大臣にまずお尋ねを申し上げたいと思いますが、ただいまお聞きのような状態なんですね。その後農地法一部改正が国会で成立をし、農協法の改正も通過をした。そこで、そこに一つの段階が変わってきたわけですね。その間に第三次改造池田内閣が出発をして、農林大臣に御就任になった。先ほど来お尋ね申し上げておりますように、河野農林大臣がどんなことを言おうと、どんなことを当局に命じたか知らぬが、自分はそういうことは考えておらぬという御意思の御表明がございました。これは重大な御表明だと私は理解いたしますが、旧地主の実態は農林省が昭和三十年に調査しております。また、内閣のこの問題の調査会が発表しておりますものはちゃんと出ております。総理府の統計局等の協力を得、調査会自体が全くの白紙の立場において都立大学の学生等を使ってやったものだが、それによりましても、「大体今の生活に満足しているものが多いことがみられる。しかし、今の生活では苦しくてやりきれないとするもの、更に今の生活では満足できないとするものも他にくらべればやや少いが、ある程度あり、これらについて、若干」云々、こういうふうに述べておりまして、農林省の調査にいたしましても、また地主問題の調査会にいたしましても、困窮者というものはきわめて僅少であり、その原因は農地解放が直接の原因でない、この点は明らかになっておろうと思うのであります。従って、適法のもとに農地改革を行なわれ、その成果を正当に認めていくとするならば、補償要求は当然農林大臣の立場からも、農地法の基本精神、基本的な考え方には微動もないということも御言明になり、河野農林大臣の言ったことや当局に命じたことと全然自分は別個な立場でこの問題は処理するのだ、こういう御所信の表明があったとしますならば、補償要求等はまず根本的にこれははね返しておいて、しかる後に、ごく僅少の困った人々に対しては、社会保障の角度なり別個な立場から、もし正確なデータが出てきたときには農地法や被買収問題とは切り離して適当な処置をとることが農林大臣としては最もとられるべき措置ではないかと私は思う。その点について、確たる御所信があれば、この際明らかにしていただきたい、かように思います。
○重政国務大臣 ただいまお述べになりました前段は、ちょっと足鹿さんが、あなたの独断でそうだろう、こう押し付けられるように思うのですが、要するに農地改革によって強制買収をせられたこととは全然別個に、ほかの原因で困っておるとかなんとかいうお話がありましたが、私は、あの当時、強制買収をせられまして、それで没落した地主というものは、ただいま読み上げられましたその調査にもあるようにあると思うのです。こういうものに対する救済とかあるいは生業を助けるために特別の措置を講ずるということはあってしかるべきものだと私は思うのです。ということは、私の考えを申し上げますと、あのときの農地改革による農地の強制買収というものはあくまでも合法的である、私はそう信じておるわけなんです。ただしかしその手段方法というものが、しからば、言葉は悪いかもしれませんが、社会正義の観念、通念に合致しておるかどうかということは私は問題であると思う。なぜそういうことを申すかといえば、当時水田一反が四斗俵のやみの値段と同じで強制的に買い上げられたということは、合法的ではあるけれども、これが社会的の正義の通念に合致しておるかどうかということを考えれば、私は考えなければならぬ問題があると思う。でありますから、そのことによって没落した、生活が非常に困窮しておるというようなものは、一般の生活扶助の社会保障の制度とかなんとかというものとは別個の問題であって、そういうものは政府としては特別の配慮をすべきものである、私は問題はここにあると思います。
○足鹿委員 旧地主に対して気の毒であった、これは、私も先ほど述べたように——すべてとはいいませんよ、すべてとはいいませんが、認定買収を受けた場合の限られた地主とか、あるとすれば、その階層に一番問題があると思うのです。あるいは何かの都合で不在地主の形をしておった。ところが不在地主の適用によって被買収者になつた、こういった人たちというものは、否定はいたしません、あるのです。ですから、そのものと、いわゆる農地法の精神でいう労働の成果を、ほんとうに耕作者たる者に享受せしめることに反するような収奪が行なわれたということに対して農地法は規制を加えておるのであり、たまたまこれはその運営の一種の革命でありますから、革命が何らの犠牲を伴わないで進むということは、東西の歴史を通じてないのです。若干のはね返り等はあるのです。だから、そのためにそれ自体を一々取り上げていくということになりますと、先ほども武藤委員も申されておりましたようだが、旧地主のみに交付金を出すという約束をもしあなたたちが与えたとしていきますならば、引揚者の在外財産、強制疎開の損害の補償、企業整理に対するところの補償措置、あるいは戦後の預金の凍結、インフレの犠牲者、学徒出陣等に対しても、自民党は同様に補償をされるのでありますか。そういう方針でもって対処していかれるのでありますか。一方においては農地法の精神は守る、労働の成果を不当に収奪しておったようなものは妥当である、しかしその過程にあって若干気の毒なものが出てきておるということであるならば、私が今指摘し、武藤委員が先刻来指摘しておった、このような人々こそ大きな犠牲者でありませんか。そういうことになろうかと私は思うのです。農地解放というものが誤っておるんだ、われわれはその犠牲者なんだ、だから自分たちとしては黙っておれないんだ、こういう思想を背景にして、じりじりいろいろな形でこれを突き上げてくる。それを自民党が党議として受けとめ、そして今度の国民金融公庫法の一部改正という形で出てきておる、われわれはこういうふうに理解しておるのであります。 そこで農林大臣に私は申し上げますが、解放の対象となった地主の数及びその土地の面積というものを調べてみますと、昭和二十五年八月一日に農地解放の実績調査というものをあなた方の方でやっておる。それによりますと、法人を含んだ被買収者は財産税物納を含めまして百七十六万戸ある。個人のは百六十二万戸でありまして、百七十二万町歩であります。このうち四十四万二千戸は申し出買収したものもある。いいですか。今十五年も前のことをずっと翻って、私ども農地改革に関与した一人でありますが、あの当時、進んで買ってくれ、こういう地主さんもたくさんあった。それはあなた方の資料の中にも現われておるように、四十四万二千戸申し出買収があった。これがどの程度一般の買収と重複しておるかということは明らかでありませんが、居住市町村外においてのみ解放した純不在地主は三十六万戸である。厳格にはこの中にも自分の居住する市町村の区域内では自作地を持っておる者もあるわけであるが、その数がそれほど多いとは考えられない。こういうふうに当時の状態を調べたあなた方の資料によって明らかになっておる。こういう実情の中にあって、どれからどれが困った者だ、だれがその判定をいたしますか、この貸付条件等について、国民金融公庫がかりにこの仕事を担当した場合、そういう諸条件に合致したものを一々定木に当てはめて貸し出しをしていくということが正確にできますか。おそらくそれは不可能なことである。とにかく借りてしまえばこっちのものだ、戻そうと戻すまいと、そのうちには適当な補償措置の法律が通ってただになる、こういう宣伝が現に一部には行なわれておる。そして地方に行けば、反当三百円から五百円の金を集めて運動資金をつくって、今にも小作人の土地は自由に保有地を貸し付けたり、あるいはその貸付地についても、文書によらざる契約によって貸し付けたもの、あるいは文書によって農地法上適法な賃貸借を結んだものとを問わず、いつでもこれを引き揚げられるんだ、こういう便乗した、農地法の精神というものは全く無視した法律を出し、そしてこれがまず突破口として通っていけば、次にはそういうことも可能になるんだ、だからもう戻せ、こういう不当な土地の取り上げが行なわれ、いろいろな宣伝が……(「何を言っておるか」と呼ぶ者あり)これは事実なんだ。事実そういうことが行なわれておるんだ。農村の事実はあなた方知らないんだ。実際においてそういう事態が各地の農村に起きておる。農地法の精神はいずこにもないような嘆かわしい事態が、全部が全部とはいわぬが、起きておるのであります。ですから、このような、いわゆる背景なり立法の趣旨が補償的なにおいを持ち、それに通ずるかのごとき印象を強く与えておるがゆえに、そういう農地法とは別個な、農地法の精神に反するような動きが出ておることに対して、農林大臣は農地法の厳正実施についていかような決意と対策を持っておられますか。あらためてこの際明らかにしていただきたい。
○重政国務大臣 これは御意見の通りに法律上の問題ではないと私は心得ておる。あの当時の強制買収は先ほども申しました通りに、これは合法的に行なわれたものであります。従って、法律上補償の問題というものは起こらないと私は思うのです。ただしかし当時の強制買収の手段、方法というものが、当時においても必ずしも社会正義の観念に合致しておったかどうかというところに問題がある。これは政治の問題であって、法律上の問題は今足鹿さんのお述べになりました御意見と私は同一の考えであります。従って、補償の問題は起こりませんと私は思う。政治問題として、今のような現実の問題として、強制買収によって没落して生業を失なう、あるいは生活に困窮するという者に対して、政治上の問題として政府がこれを救済する、あるいは生業資金をこれに与えるということは、私はあたたかい政治のやり方であると思うのであります。
○臼井委員長 ちょっと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○臼井委員長 では速記を始めて下さい。
○足鹿委員 それでは、理事と委員長のお打ち合わせもあるようでありますから、農林大臣への分はあとで申し上げます。 そこで大蔵大臣にお伺いを申し上げますが、内閣に設置をされました農地被買収者問題調査会の答申は、五月二十二日総理に対して行なわれました。御存じの通りその中で特に、私どもは、この調査会が言わんとしておる答申が最も中心に指摘をしております生業上困難な状況である者に対し、生業資金の貸付の措置を講ずる、またその子弟を進学させることが困難な状況の者に対し、育英その他の制度の運用において配慮することが必要だと考えるというのがございまして、これが骨子であろうかと存ずるのであります。現在審議中の二法案と同じ趣旨のところもあるのであります。しかし補償については同答申は最高裁判決が妥当であるとする意見が強かったと特に触れておるのであります。この答申を受け、これを尊重していくといたしますならば、いかなる名目たるとを問わず、いかなる形であるとを問わず、補償に通ずるような措置は当然これは避くべきであり、行なうべきでないと私どもは考えますが、大蔵大臣はこの点について率直な御所信を明らかにしていただく。と同時に、内閣自体としてこれは諮問を発しておられるわけでありますから、内閣としての御所信をこの機会において明らかにしていただきたい。要するに、この問題調査会の答申の趣旨というものは、困った者に対しては適当な措置を講ずるがいい。しかし対価の問題については最高裁の判決が妥当であるとする意見が強かった。この種の政府の審議会なり、いろいろ協議会なるものは、何でも時の権力に追随するような答申をするのが従来やや多い傾向があるわけでありますが、この調査会はなかなかまじめに言いたいことを言っておるようでございます。従って、名目のいかんを問わず、形式のいかんを問わず、補償的な措置はとらぬ。この基本を内閣としてとられるかいなか。大蔵大臣もまたそのような措置において、今後予算その他についても対策を樹立されるかどうか。この答申に対するところの池田第三次改造内閣、なかんずくその中心である田中大蔵大臣の明確な御所信を承っておきたいと思います。
○田中国務大臣 農地被買収者問題が、かなり長い時間と年月をかけて問題になっておることは先ほど申し上げた通りでございます。なお、政府がこれに対する基本的な態度についても先ほど申し上げた通りでございます。それで工藤調査会からの答申が出されましたが、この答申は非常に及ぼす影響も大きいので、政府としては現在慎重にこの内容等に対して検討中でございます。私が大蔵大臣として一人の考えをもって、ここでこの問題に対して最終的な意見を右左発表できるほどの問題ではないと考えております。現在私が申し上げられる段階においては、少なくともこの問題に対しては国民金融公庫法の一部を改正する法律案を国会に出して審議を求めておるのでございますから、この国民金融公庫法の改正によって二十億が追加出資せられて、千四百数十億の貸付資金のうち、二十億の特別ワクを農地被買収者に設定をして措置をいたすという段階でございまして、他の問題に対しては政府部内においてはまだ全く未定でございます。ただ申し上げられることは、先ほど政府与党である自由民主党の党議が決定せられておりますし、党議に関しては、この党議及び工藤調査会の答申に対し、政府は誠意をもって調整をし、最終的には政府の意見を決定いたしますということを申し上げておりますから、これ以上具体的措置をどうするということを言明できる段階にございません。
○足鹿委員 官房長官いかがですか。
○黒金政府委員 ただいま大蔵大臣からお話がありました通りに、一方におきましては政府が諮問をしていた農地被買収者問題調査会の答申が出ておりまするし、他方この四月の与党の決議もございますので、この両者を十分伺って検討しました上で措置いたしたい、こういう閣議決定をして目下検討中でございます。
○足鹿委員 この際、大蔵大臣に、あるいは農林事務当局等にも大臣にかわってお尋ねを申し上げたいのでありますが、農地改革以降において買収対価は若干変わってきておりますね。が、当時の農地改革の際の買収対価というものを、工藤委員会の答申によっても、最高裁の判決が妥当であるとする意見が強かったといっておりますように、今から考えてみますと、十五年前のことでありまして、私どもも米を特別許可をもらって負って東京に出てきて食堂で米をたいてもらい、たばこは何かイタドリの葉っぱを巻いたものを事務局から配給を受けたころを思うと隔世の感があるわけでありまして、ですから、今の経済状態を基礎にして比較をすると、いかにもそれは大きいのでありますが、記憶を新たにするためにこの際申し上げるならば、農地改革の際の買収対価は当時の農地の統制価格でありました最高までとってあります。その最高の内容はその賃貸価格の田において四十倍、畑において四十八倍が用いてあると政府の資料はいっておるのであります。当時全国の平均が田が七百六十円、畑が四百四十八円、報償金を加算いたしておりまして、田が九百八十円、畑五百七十八円であります。当時の価格統制はその後昭和二十五年でありますか、土地台帳法の失効か何かによりまして、これはポツダム政令を公布して措置をしたと思うのでありますが、その後は若干の動きが出て参りまして、そしてその当時現在におきましては田が平均五千三百二十三円になり、畑が三千百三十四円になり、というように改められ、三十年の九月現在小作料の統制額の引き上げが行なわれまして、田の平均が一万二千二百十円、畑が七千三百二十六円に引き上げられて現在に至り、小作料もまたそれに均衡を得ておるのであります。これはやはり農業経営を営んでいく上におきまして、農業が農業として成り立つためにはこの程度の価格をもってしなければ経営は成り立ちません。利潤率の低い農産物価格算定の場合におきましても、他の鉱工業製品とは違って利潤の加算のないいわゆる単純な生産費方式か、あるいは最近米にようやく適用された生産費所得補償方式にすぎません。従って、農地を担保とする銀行の創設とか、あるいは新しい農林金融制度の創設等を農林当局は考えておられるようでありますが、それは当然この基本価格なりこれに基づく小作料の問題にも及んで参りまして、再び農地法の大改正ということに発展をしていかざるを得ないと思います。ということになりますと、ますますもってこの農地被買収問題に対する補償的な問題がさらに輪をかけた形で起きやしないか、そういうことも一面杞憂として考えられるのであります。現在においてわれわれが考えますと、いかにも冷酷無情なことを当時の農地解放はやったように印象づけておりますけれども、今私が述べたようなことをやり、しかも報償金制度をとり、そして四十四万町歩の申し出買収すらもあったのであります。こういう形から見ていったときに、私どもは農地買収に対するところの正当性は正しく評価し、その評価の上に立って、いやしくも補償的立場ではなくして、別個な立場においてこれを考えていくということが、繰り返すようでありますけれども、必要だと思います。そういう点について党議できめられれば自分たちとしてもやらざるを得ないということを大蔵大臣はおっしゃいますが、それは党人して当然の御答弁だと思いますけれども、私自身が今述べておることもまた行政の、特に財政をあずかる中心の立場に立たれた場合において、先ほども述べましたような各種の戦争被害を受けた人々がたくさんございます。 〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕 そういう人々をも政治が平等に行なわれている。この被買収問題が補償的な意味を含めて今度の法律が運営されていく、それがまた発展していく、党議ならばどこまでもいく、こういうことの御答弁が続く限り、私どもは不安は去りません。となってくれば引揚者の在外財産や強制疎開の問題、企業整備の問題、戦後の預金の凍結の問題、インフレの犠牲者、学徒出陣、あらゆる問題をあなた方は調査をし、自民党が党議をもってきめられれば、大蔵大臣は何でも政党政治だからおやりになりますか、そういう調査もなさっておるのでありますか、念のために伺っておきたい。
○田中国務大臣 私は明らかな政府の態度を申し上げておると思うのですが、どうも足鹿さん広範な御議論をなさっておるようでありますので、ここで明確に申し上げますと、農地被買収者の問題に対しては、法律に基づいて工藤調査会が設けられましてその答申を受けたばかりでございますので、この答申をもととして、この答申と自民党の党議決定ということもございますので、こういうものの調整を今考えておりますが、結論は出ておりません。でありますから、現在の段階で申し上げられるものについては、農地被買収者に対しては国民金融公庫法の一部を改正する法律案を御提案をして御審議を願っておって、これがせめてもの処置であるということに対して、政府の意思を明らかにいたしておるわけでございますので、これが出ましたら最高裁判例までくつがえして一切のものを補償しようというところまで飛躍するのだろうというふうに断じておられるようでありますが、そのようなことは政府は見解を一切申し述べておらないわけでございます。現在の段階おいては、この法律案を一つぜひ御審議の上すみやかに御可決賜わるようにというお願いをるる申し述べておるわけでございます。 それからもう一つ、これは蛇足になるかとも思いますが、今御発言がありましたので申し上げますと、これは私も法律の専門家ではありませんから、法律論をここで展開しようというような考えは全然ありません。また政府が農地被買収者に対しては、法律論にさかのぼって最高裁判例というものが適否であるという議論をもととして、このような処置を行なっておるのではございませんということを言っておる。これは社会的な情勢と民主政治のあり方とか、いろいろな情勢を考えて参りますと、国民同一でいいじゃないか、一つも特別ワクをつくるということはないじゃないかというような一般論も先ほどございましたが、これは少し例が悪いかもしれませんけれども、電力も海運もいろいろな産業もみな貸し付けるようなワクはちゃんとあるのですが、さて、石炭産業の問題がその時代においてどうしても特殊なワクを必要とするということになれば、そういうふうに特別ワクを設定いたしますし、海運基盤の強化のためにどうしても金利を下げなければならないということになれば、そういう処置もするのであって、そういう社会的な現象と要請に基づいて農地被買収者に対してはこの程度の処置はしなければならぬという観点に立って御審議をお願いしておるのだということも、明らかに根拠を示しておるわけでございます。 それからもう一つ、自民党の党議できめれば何でもやるのか——これは社会党の政府ができたときに社会党の問題になり、民社党の政府ができたときには民社党の関係になるのでありますから、私から一つ申し上げておきたいと思うのですが、自由民主党の政府だからといって、自民党の党議がそういう無制限なものできめられるというものでは全然ないのでございます。私は党の立場を言うようで申しわけありませんが、明らかにしておきたいと思うのは、いわゆる最高裁判例というものを自民党でも問題にいたしておりません。社会情勢というものに対して非常に検討しておるのであります。特に私たちが党においていろいろな議論を拝聴いたしました当時は、先ほどあなたも申されましたけれども、出征をしておったために相当多数の人が不在地主としての処分を受けた、また隣村で小学校の教員をやっておられたために——小学校の教員や何かは、御承知の通り自分の居村にはできるだけ配属をしないといような原則が当時ありましたから、目と鼻の隣の町村に在住しておったために、非常に適切妥当を欠いた処置を受けておるとか、当時私は新潟県でありますから子供心にこの処置を知っておりますが、当時ほうはいとして起こった民主化の嵐の中で非常に激しい、革新といっても極端な考えを持つ方々が、とにかく今のうちに出さないとただとられるぞというようなことで相当強く言われたために、あなたがさっき言われた四十四万町歩というものは、その背景にはやはりいろいろ問題があると思いますし、もう一つは、さっきあなたは、現在の価格からいうと五百分の一にすると非常にあれだけれども、当時としては適切な価格じゃなかったかと言うのですが、この支払いがどうして行なわれておるかというと、非常にテンポの早い、もう十倍も貨幣価値が下がったときに実際の金額が払われておるというような事実を行政の上で認めないわけにはいかないのであって、自由民主党もそういう意味で、あなたが今言われたような最高裁判例が無効であるという立場に立ってやっておるものであるならば、いかに議院内閣制であっても、政府はこれを直ちにまるのみにするような態度をとるものではありませんから、そういう事情を十分御承知の上、せめて国民金融公庫法の改正案で二十億のワクをつくって差し上げたいという政府の考え方には一つ御理解を賜わりたいと考えます。
○足鹿委員 この際、農林省の事務当局にお尋ねをいたしますが、創設農地の転用の実情を年度別に調査しておいでになると思う。これをこの際明らかにしていくことができますか。まあ全部さかのぼってというわけにもいかぬと思いますが、最近の何年間か、一体世間がいうように、創設農地というものを地目変換で大きく売って、そうして一部で考えているような不法、不当な金をふところにねじ込んだというような事例が、ございますか。そういう数字的な裏づけが実際あるのでありますか。農林省は農地法の精神に基づいて今日まで仕事をしてきておるとおもうのでありますが、そういうことについて確たる数字をお持ちでありますか。その点を一点伺いたい。 それから今の大蔵大臣のお話では、非常に政府が支払いをサボったようなお話でありますが、これは世界の農地解放史上日本くらい短期間にこの対価の支払いを完了した国はないのですよ。あなたは自民党の政調会長としてその程度の世界の事情に御通暁になっておると思ったら、非常におくれておるようなことをおっしゃっておりますが、どこにそういう事実がありますか。日本が一番対価の支払いが早いのであります。また農地証券その他交付公債にあらずして現金によって支払っておる事実は世界に冠たるものであります。この点は誇っていいと思うのであります。そういう御認識の上に立たれるから、ややもすれば今言ったような報償的なことに気持が片寄るのではないか。その点は念のために御再考をわずらわしておきたいと思っております。
○庄野政府委員 創設農地の転用の数字を把握しておるかという御質問でございますが、ただいまわれわれが集計いたしておりまする農地の転用の中における一般の農地並びに創設農地の区分、そういった集計のとり方はいたしておりません。それで転用面積の中に一般農地がどれだけあるか、創設農地がどれだけあるかということの正確な数字は統計上出ておりません。ただ三十五年度の転用につきまして、この転用農地には総農地面積に対する創設地の割合というものが大体平均してあるものというふうな推定におきまして推計いたした数字がありますが、それに基づきますと、これはほんとうの推計でございますが、大体転用面積の三割程度が創設農地、こういうふうに推計されます。
○足鹿委員 昭和三十五年の創設農地の転用面積が五千七、八百町歩ですか、見込まれるということでありますか。そうすると、農業委員会は農地法の番人として、農林省は年度別に多額の補助金も出し、最近ますます農業委員会を登用されておりますが、今度の選挙では、その事務局長が逮捕寸前、各都道府県の農業委員会の事務局長が選挙違反で逮捕され、機能停止の委員会が各地に続出しておる。全国農業会議所の事務局次長も選挙違反でどうというような状態であって、本来の農地法の番人の使命を発揮しておらないところが多々あるから、あなた方が的確な転用の創設農地の地目変換等に対する把握ができないじゃありませんか。そういう根拠なしに、いたずらに、いわゆる創設農地を売って大もうけした、こういうあなた方のお考え方は少し根拠に欠け、反撃をするにいたしましても、専門の立場に立って農地法を守り、それに基づいて仕事をしておられるあなた方の立場としてはいささか手ぬるいし、少し怠慢のおそれがありはしないか。昭和三十五年においては、たった五千七百町歩にすぎないではないか。それがいかにも全解放農地を受けた農民が売り飛ばして巨利を博したようなイメージを一般に与え、しかも、だから被買収者問題に対する地主補償は当然であるというような雰囲気をつくり出して、これに対して、正当な数字的な反撃なり、そのあやまちを是正していくような数字も持たない、努力もしないということで、農林省の態度は正しいとお思いになりますか。そういうことでは、私は正しい態度とはいえないと思う。少なくとも農地法というものは、先ほど来政府は、農地の憲法として守っていくのだ、これは歴代の内閣において貫いていくのだということを言いながら、実質においては、何となしにこの圧力に屈して漸次その方向へその方向へと突破口を開いていく、その結果は農地法をじゅうりんする、そういうことは許しがたい問題だと私は思うのでありますが、いずれにいたしましても、この問題につきましては、先ほども武藤委員が指摘しておりましたように、地主に対する補償的なにおいを多分に持つものであり、同時に、実際にこの法を運用した場合に、今言ったような根拠の薄い——いわゆる農地そのものとして売ったのか、地目変換をしてどれだけ売ったのか、それによる当時の差額はどういうことになっておるのか、そういった根拠のないものが調査の唯一の資料として出てきておる。調査会の資料によってはそう困った事例はない。そういうものが出ておるのに、立法の根拠がきわめて不明確である。何かの一つの意図によってこの立法は考えられ、そしてまずここに一つ石を打ち、これに漸次尾ひれをつけて、最終的には補償的なものに持っていく危険が多分にある。(「その通り」と呼ぶ者あり)今、その通りと発言した者がおりますが、そのような不謹慎な発言をする人があなた方の党内にはおられるのであります。見解の相違とはいえ、私どもはそのことをあなたに指摘をしたら、まさにこの委員の中から、私の言ったことはその通りになるんだということを言っておるのであります。そういう点についてとくと大蔵大臣においても配慮をされまして、いやしくも補償的なにおいのするこういう構想は一ぺん御破算にして、あらためて出直すべきである。しかもそのためには、権威のある資料の裏づけによっておやりなさい。出ておる資料は何らそれを必要としない、根拠の薄いものであって、立法の精神もあいまいである、また運用上においても適用上きわめて困難である、このような見地に立ちまして私はこの法案の撤回を要求するものでありますが、農地問題その他につきましてもまだ若干質疑は残っておりますので、農林大臣に対する質疑を留保いたしまして、私の質問は一応この程度で終えておきます。
○毛利委員長代理 湯山委員。
○湯山委員 まず、農林省の方へお尋ねいたします。 先般農地局長には、こういう立場でなくて、別な立場でお尋ねいたしましたが、香川県で悪質な土地取り上げ問題があった。これは農地局長は内容もよく御存じでございますから、その点について再確認の意味においてその概要を御説明願いたいと思います。
○庄野政府委員 香川県につきましては、先般来いわゆる小作農地の取り上げが非常に集団的に起こりまして、それにつきましては農林省からも係官を派遣いたしまして実情を調査し、その不当なるものにつきましては許可をしない、こういう方針を確認いたしまして処理いたしたわけでございます。それにつきましてただいままで訴願が約四千件ほど出たわけでありますが、その訴願についても内容を慎重に審査いたしまして、理由のないものは却下しておる次第でございまして、大体先般来の小作地の取り上げにつきましては処理が済んだのでございます。 なお、湯山先生から今お尋ねのものは、昨年だったと思いますが、実力行使をもって取り上げをやった、こういう問題でございまして、その問題につきましては、香川県当局と連絡をとりまして、そういう実力行使による土地取り上げにつきましては、いわゆる農地法違反ということに相なるわけでございまして、そういう面からの事件処理をいたしておるという段階でございます。
○湯山委員 その悪質な農地取り上げの理由とするところはどういうことであったか、これを明らかにしていただきたいと思います。
○庄野政府委員 多数件数がございましたが、特に実力行使による分につきましては、小作地につきまして自作をしたい、こういうような御意向で土地取り上げを強行された、こういうように承知しております。
○湯山委員 小作地を自作したいというような理由ではなくて、正式な文書で出でおるはずです。しかもそれに対して、香川県の農地拓植課長から全国農業再建協同組合連合会代表者天野次太郎という者に対して回答書が出ております。それによりますと、明瞭に書かれてある理由の一つはこういうことなんです。今の農地紛争の取り上げの理由として、「貴殿は、農業基本法並びに農地被買収者問題調査会設置法により、農地法は廃止されたと主張しているが、」こういうことなんです。つまり、この土地取り上げ問題の理論的な根拠は、農業基本法が制定され、それに伴って農地法も改正され、また一方においては、農地被買収者問題調査会が法により設置された、この二つが実はもう農地法を空文化したものだ、無効にしたものだ、こういう理由でもってこの問題が起こっておる。これは局長もおわかりの通りだと思うのですが、その点についてどのようにお考えなんですか。
○庄野政府委員 小作地取り上げの地主側の主張の一つとして、今御指摘のような主張があったかと存じます。その点につきましては、農業基本法制定に基づきまして、農地法並びに農協法の改正をいたしましたが、先ほどから農林大臣並びに大蔵大臣からも御言明がありましたように、農地法の根幹はこれを堅持する、こういうことに相なっておる次第でございまして、そういう取り上げの理由は、理由がない、こういうふうに考えまして、訴願等においても却下いたした次第でございます。
○湯山委員 その問題についての御答弁は、まだ私の考えておることと違っておりますけれども、それはそれとして、こういう観点から当時その指導に当たった小作官が、今のような考えのもとに、職権乱用というので、告発されておることは局長は御存じですか。
○庄野政府委員 承知いたしております。
○湯山委員 何名がどういうことで、どうなっておるか、その経緯をもう少し詳しく御説明願います。
○庄野政府委員 小作官の告発の問題は、一応問題がなく終了したと存じております。と申しますのは、その小作官につきましては、その後いろいろ人事異動もございまして、ただいま農林省の方に帰って参りましてその話が出ておる、こういうことでございまして、その後の告発の問題については伺っておりませんので、問題なく解決した、こういうふうに考えております。
○湯山委員 土地取り上げをやった地主側の方から告発したのか。解決したというのはどういうことなんですか。告発を取り下げたとかあるいは起訴されなかったとか、もう少し法律的に明確な御説明がなければ、ただ解決したということだけでは了解できかねます。もう少しその点は明確にしていただきたいと思います。
○庄野政府委員 急な御質問で十分その間の経緯を調べて参りませんので、まことに失礼でございますが、ただいまのところでは起訴されなかった、こういうふうに承知いたしております。
○湯山委員 その告発の理由の中に、やはりこの被買収者調査会が設置されたことによって農地法は無効になっておる、にもかかわらずこの小作官たちはその旧農地法をたてにとって職権乱用をやっておる、こういう項目があることを御存じですか。
○庄野政府委員 告発言につきましては十分承知いたしておりませんが、そういうような話を仄聞いたしております。
○湯山委員 そういう土地の取り上げの農地法違反の事件が何件ぐらい香川県にあったか、これはお調べになっておられると思いますが、何件ぐらいあったのでしょうか。
○庄野政府委員 三十四年のことでございまして、ただいま正確な資料を持ち合わせておりませんが、約四千件ほどあった、こういうふうに記憶いたしております。
○湯山委員 その通りでございまして、一回にそういう農地法違反の文書を三百名あるいは百名集団的に、小作じゃありません、旧小作の人たちに出しております。そういう農地法違反の行為がなぜ起こったかということを局長はどのように判断しておられますか。ただ自分の土地だからつくりたいということだけじゃなくて、もっと違った理由があると思うのですが、どうお考えでしょうか。
○庄野政府委員 御承知のように香川県は非常に耕地の零細分散の地帯でございます。特に問題の起こりました地帯は急傾斜地帯等も含めまして非常に耕地が分散しておったと存じます。それで農地解放当時も、先ほど大臣からも御答弁がありましたように、いわゆる大地主ばかりではなしに、やはり中小地主も解放をいたした次第でございますが、その香川県は特に小地主というものが多かったと存ずる次第でございます。そういう意味におきまして、非常に土地の耕作ということに小地主の方においても自作兼小作といったような方が多いわけでございまして、そういう自作兼小作という方の自作地が解放になったというような観点から、やはり小作地として残った分につきましても自作して経営を拡大したい、こういったお気持が非常に強い、こういう点が根本にあろうかと存じます。なお特に香川県のみにこういう集団的な土地取り上げ問題が起こったということにつきましては、これは香川県において天野次太郎さんがそろいう点におきまするいろいろな地主側の協議にあずかられて、そういう根本問題として土地の経営を広げたい、こういう気持のあるところに天野さんあたりの指導によってこういう集団的な取り上げという問題が惹起したのではないか、こういうふうに私は推測いたしておる次第でございます。 〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕
○湯山委員 そういう集団的な土地取り上げ問題が発生し始めたのはいつごろからでしょうか。
○庄野政府委員 私の記憶によりますと、大体三十四年前後からだ、こういうふうに記憶いたしております。
○湯山委員 そうすると、そのころこういう地主団体といいますか、必ずしもそうじゃないと思いますけれども、全国農業再建協同組合連合会、そういう団体が活動し始めた動機となったものは何だとお考えになられますか。
○庄野政府委員 地主の方々の動機でございますので、私もよくはわかりかねますが、やはり海外の方の引揚者の問題とかそういうような問題ともからんで、こういう問題が特に発生したのではないかというふうに考えております。
○湯山委員 それをもう少し端的におっしゃっていただきたい。在外資産の問題が農地紛争を起こしたというのではちょっと距離が遠過ぎます。もっと端的に御表明願いたいわけですが、そのころ一体地主団体がどういうことをしておったか、あるいは政府の中であるいはこの法律を出した与党の中で、そのころどういう動きがあったか、そういうことをもう少し詳しく御説明願わなければ、事件の全貌は出て参りません。そのために、私は先ほど来その人たちが出しておる文書、それに対する香川県の回答、それからこの人たちの告発の文書の内容、そういうものを一応申し上げたのはそこに目的があったからなので、直接そういう運動を刺激して起こさせたものは何であるか、農地関係ではどういうことがあったか、そういうことについて一つ詳しい御説明を願いたいと思います。
○庄野政府委員 旧地主の方々の運動というものは自創法によります農地解放、あるいはその後ポツダム勅令によるもの、あるいは二十七年の農地法の制定、こういった時代を通じまして、旧地主の方々の運動はあったかと存じます。香川県の問題が発生いたしましたのは三十四年と記憶いたしておりますが、それと前後いたしますかどうか、確たる記憶はございませんが、海外引揚者の方々に対する見舞金、そういったような問題もその前後に生じたかと存じますが、そういう点もありまして、こういう農地の旧地主の方々に対する問題が特に強くなってきたかと存じております。
○湯山委員 農地被買収者の補償の問題とか、そういうものの動きが出始めたのは、あるいは調査会設置というような問題が表面に出てきたのは、いつごろでございましたか。局長はどういうふうに御記憶ですか。
○庄野政府委員 調査会の問題は三十五年の春ごろからだろうと記憶いたしております。
○湯山委員 調査会の法律が成立しなかったことがありましたね。それからそのあと成立した。そういう動きが実際に法律問題として動き始めたのはいつごろでしたか。
○庄野政府委員 調査会は地主問題が非常に政治問題化してきて、その実態を調査するという御承知のような事情によりまして設置されたと思いますが、その前に地主問題というものが非常に問題になり、これが政治的にも非常に問題になって、そしてどう処置するかというととで、政府におきまして旧地主の方々の社会的問題を調査する、こういうことに相なったと存ずる次第でございまして、調査会法が国会に提案される前に地主問題というのは相当問題になっておった、そしてその問題に対応するための実態的な事実を明確にする必要がある、それで調査会法が提案をされ、調査会法が一回廃案あるいは継続審議になりまして成立した、こういうふうに記憶しております。
○湯山委員 そこでお尋ねいたしたいのは、そういう調査会法が国会に上程された、あるいは調査会法が成立した、そういうことがこういう農地法違反の地主側の運動に非常に拍車をかけた、これが一そう気勢を上がらせて問題を拡大していった、そういうことはないと御判断になられますか、そういう事実はあったというふうにお考えになられますか。
○庄野政府委員 旧地主の方々とは直接私話し合う機会がないものですから、この調査会法案の提案が地主さん方を刺激したということについてはしかと承知いたしておりません。
○湯山委員 それははなはだ心得ない答弁だと思います。あなたの部下が職権乱用というので告訴されておるのですよ。職権乱用というのは、調査会ができたので農地法はもう抹消されたものだ、こういう理由であなたの部下が告訴されて、起訴されたかどうか存じませんけれども、そういう理由でやられておるのをそれは影響があったかどうかわからないというのでは農地局長はお勤まりにならないのじゃないでしょうか、どうなんですかももっと正確にお答え願いたいと思います。私は香川県から出ておる回答書もそのまま写して持ってきておるわけです。これは農地局長も遠慮しないでぴしっと答えていただく方がためになると思いますので、重ねて御答弁を願いたいと思います。
○庄野政府委員 この集団取り上げにつきまして、香川県の農地関係当局におきまして農地法を厳正励行いたしました点につきまして、旧地主の中から今御指摘のような告訴事件があったというふうに承知いたしております。
○湯山委員 おっしゃる通りなんです。しかしそれは職権乱用ということでやられておるわけですね、なぜ職権乱用と言えるかというと農地法を認めれば職権乱用にならないわけです。農地法に従って適切な行動をとったのですから、これは職権乱用になりません。そこで職権乱用という名目をつけた根拠は、被買収者調査会法ができたことは農地法を無効にするものである、従って、ない農地法をたてにとっていろいろ指導する、行動することは職権乱用だ、こうなっておるのですよ、これは御存じですか。
○庄野政府委員 私はその点につきまして、今確たる記憶がございません。 〔発言する者多し〕
○臼井委員長 お静かに願います。
○湯山委員 私はこの問題はなおお尋ねしますから、関係書類を至急お取り寄せ願います。農林省にはあるはずですから……。 その間にお尋ねしたいのは、農地局長は香川の農地問題を非常に軽く考えておられる。ただ内容証明の手紙を出しただけというようにお考えじゃないでしょうか。どういう農地法違反の事実があったか。ただ内容証明の文書を出しただけじゃないんですよ。その事実を御存じでしたら、一つお述べを願いたいと思います。
○庄野政府委員 農地法違反の点につきましては、農地法の二十条によりまして、小作の契約いわゆる賃貸借契約を解約、解除または更新拒絶するといったことをやりますについては事前に香川県知事の許可を要するわけでございますが、香川県知事の許可なくしてそういった解約、解除または更新拒絶といった点を直接行なった、こういう点において農地法違反というふうにわれわれは考えておる次第でございます。
○湯山委員 私がお尋ねしておるのは農地法違反の事実です。どういう具体的な行動があったかということを局長はおわかりになって言っておられるかどうか、これをお尋ねしておるわけです。その一つは、内容証明の文書を三百なり百なりまとめてそれぞれ小作人に送っている。こういう行為をするだけでも農地法違反でしょう、どうです。
○庄野政府委員 先ほど答弁した通りでございます。
○湯山委員 ところがそれ以外にもっと実力行動に出ている。その実力行動に出た理由はどこにあるかというと、調査会が設置されて農地法はもうこれで無効になったというところから出発しております。被買収者調査会法ができたことによってこういう行動に出たわけです。それでどういう違反があったか、どういう実力行動に出たか御存じですか。これには警察官も出動しておるのですよ。これは御存じですか。
○庄野政府委員 文書による通達あるいはみずから小作人のうちに行ってそういう申し入れをする、あるいは事実行為として肥料をまく、そういったような事実行為もあったように私は承知いたしております。
○湯山委員 今のようにただ被買収者調査会ができただけで農地法を無視した不法な土地取り上げが起こっている。今局長は、ただ肥料をまくということだけおっしゃいましたけれども、そこに栽培して出た芽に確かに肥料をまいております。しかし肥料をまいたことを農地法違反で取り上げたかというと、農林省はこれを取り上げていないのです。肥料をまいたことが直ちに農地法違反になるとは考えられない、従来はそういう解釈はできなかったのですけれども若干後退しております。そしてそのあとに今度は地主がジャガイモを植えていますよ。その小作地へ、農地法はこの調査会法で無効になったのだということでジャガイモを植えている。それは困るというので小作人の方はそのジャガイモを取りに行った。そこで対立して警官が出る。警官はそれを心配して、小作の人が抜いたのじゃ横領とかなんとかいうことになってもいけないから警察として証拠品としてこれを保管するというので、警察でそのジャガイモをみな押収したわけです。こういう事件がもうすでに何年も前から起こっている。こういう中で今回のような措置をおとりになるということは、こういう農地法違反の土地取り上げ問題を一そう拡大するおそれがある、こういうことを心配してお尋ねしておるのですから、一つ正確にお答え願いたいと思うわけです。これは一体局長はどうお考えになりますか、堆肥をまいたのは農地法違反じゃないですか。
○庄野政府委員 香川県の農地問題につきましてはいろいろ経緯がありまして、三十四年に集団的に起こりました分は、いわゆる賃貸借契約の解除あるいは更新拒絶、こういったような形をとっておりますが、ただいま御指摘になりました肥料をまき、あるいはそのあとにジャガイモを植える、こういったことは、三十六年の夏、三木町に起こった事例でございまして、これが全般的な問題じゃないわけでございますが、一事例として三十六年の八月に三木町においてそういう事例が起こっております。それにつきましては小作人と不当な返還契約等もありまして、それの契約破棄といったような段階も含んでいろいろ感情のこじれもあって、地主側が強行植付をやる、こういった形になった、こういうふうに存じておりますが、この小作人との土地返還の契約は、もちろんこれは農地法違反でございますし、その後におきまする強行されました土地立ち入り、あるいはそれによる肥料の散布なりジャガイモの植付、こういうものはいわゆる農地を実力をもって取り上げた、こういうことに相なるわけでありまして、そういう点も含めまして農地法違反と私は考えております。
○湯山委員 今のような農地法違反が、今の被買収者問題調査会あるいは今回の立法、そういうものと関連を持っていると局長はお考えになりませんか。
○庄野政府委員 先ほどから申し上げましたように、旧地主の方々のこの農地返還という問題と、それから旧地主の中には、農地はこれを取り戻すことはできないが、先ほどから問題になりましたように、農地解放時代の価格に非常に不満を持たれて金銭的にこの追完をしてほしい、こういった二つの動きがあると存じておりますが、香川県におきましては、先ほど申しました香川県の特殊事情によりまして、特に土地の返還を要求する運動が熾烈であります。これが調査会法の提案なり、あるいは成立とどういう関係にあるか、こういう御質問でございますが、やはりそういう地主問題が非常に強くなってきたという問題につきましては、国会においてもそのつど質問がございますし、またその処理として調査会を設置して旧地主の生活の実態を調べる、こういうことに相なった次第でございまして、そういう調査会を設けるということについても、やはり旧地主の方には、直接か間接かは存じませんが、心理的には非常な影響があったか、こういうふうに存じております。
○湯山委員 今のような事実を提案者は御存じでしょうか。そして、そういう解釈については提案者は同感だというふうにお考えでしょうか。
○大月政府委員 われわれは今までお話がございました事実については承知いたしませんが、今の質疑応答で農地局長のおっしゃいました点については十分了解できると思います。
○湯山委員 農地局長の言われた二つの行き方は別個のものではないと思うのです。つまり農地を取り上げようという動きと、それを別な方法で補償してもらうとか、あるいは融資をしてもらうということによって打開をしていこう、そういう動きはなるほど概念的には二つの動きというふうに分けられるかもしれない。しかし運動そのものの中では両者がこんがらかってきている。ということは、先ほど私がるるお尋ねしたことでよくおわかりいただけると思いますが、それはからんでおる——あるいはからんでおる面もあると言う方が正確かもわかりませんが、そういうふうに局長は考えになりませんか。
○庄野政府委員 従来はそういう地主の方々の中に、特に自作兼小作といいますか、小地主の方の中には土地そのものに非常に執着をされている方もございますし、また大地主の方々の中にはやはり今さら農耕に従事するというほどの強い気持もなくて、買収当時の価格について非常な不満があるわけでございまして、それの価格の問題について何らか措置ができないか、こういった気持があろうかと思います。この二つの気持は地主問題の運動としては、経過においてはいろいろ分かれたりあるいは合同されたりいたしましたが、一緒になっておろうかと存じます。
○湯山委員 ただいまの局長の御答弁の通りだと私も思うのですが、これはいかがですか。
○大月政府委員 具体的な動きといたしましてそういう問題がございましても、政府としての判断は政府としてなすべきこととなすべからざることとがあると思います。そういう意味で、今回御提案いたしました案につきましては、今の段階においてこの問題を処理する態度として最も適切なものである、こういうふうに考えておるわけでございます。
○湯山委員 私がお尋ねしたような理由を今の御答弁では解明していないと思います。そういうこともあるかもしれぬけれどもこれが適当だでは、これは了解できないのです。そういうことがあれば、こうすればこうなって、こうなるから、これが適当である、こういうふうな御説明をいただかなければ了解できないと思います。それはどうなんでしょうか。
○大月政府委員 現在の段階におきまして、農地被買収者に対してどういう対策を講ずるかという観点から申しますれば、被買収者あるいは地主あるいはその小作人、そういうようないろいろな現在の社会現象の中におきまして、いろいろな方面からいろいろな要望があると思います。それに対して、政府としてまたいろいろな角度から考えられる問題があると思うわけでございますが、今の段階においてわれわれのこの問題に対処する問題としては、金融問題といたしまして、被買収者のうちで何らかの仕事をやりたい、しかしその仕事をするについて金融を受けたいのだけれども、一般の金融機関からは金が借りられないのだ、そういう立場にある方に対しまして、国民金融公庫から金融上の御援助をする、こういうところで適切な措置であろう、こういうことを考えるわけでございまして、これが、それではそのほかのいろいろな政府のアクションのきっかけになり、あるいはそれからさらに発展すべき論理的な前提になる、そういうようには考えておらないわけでございます。
○湯山委員 そういう御説明ではちょっと了解しかねるわけです。先ほど御答弁をいただきましたように、いろいろな角度からいろいろな対策を考えられる、というのは御検討になられて、その中から特にこれを選んだというところはどこにあるか、その比較検討をお示し願わなければ、今の御説明は了解しかねると思います。でないと、その他のアクションのきっかけにならないんだとか論理的にはそういうことにはならないというようなことの了解はできないわけです。ただ金融の面だけでほかのことはどうも全然わからないんだ、ただこれだけだということなら、まっしぐらにそれだけでいくということなのでそれはそれでいいかもしれません。しかしほんとうにこの対策としてやる場合に、今おっしゃったように被買収者の問題もあるだろう、地主側、小作側両方ある、その中で要望もいろいろある、どういう要望があるということは御存じでしょう。これを政府としてもいろいろな角度から検討する、これも御検討になったんでしょう。それらの要望を政府のお立場でいろいろ御検討になって、これはこういう都合で工合が悪い、こうすればこちらにこういう影響がある、それじゃ今これしかない、こういうことを御答弁していただきたいと思います。そうでないと、あとのものはこれはきっかけにならないんだとか、これをやったからといってあとのことをどうするという約束ではないと言われても、それじゃ一体どうするのだ、これで全部できているんじゃないかということをおっしゃったけれども、あとのことをやらないというのでは一向政府の対策にならないのではありますまいか。
○大月政府委員 この問題の全体につきましてはいろいろな各方面の動きもあり御意見もあり、それから党の方におかれましてもこの問題が重要なことでございますので、いろいろ調査会を設けあるいは委員会を設けて御検討になっておるわけでございます。また政府の側といたしましても被買収者の調査会を設けまして、工藤さんを会長としていろいろ御審議を願い、一応の結論がこの五月に出された。そこにもいろいろな御意見が盛られておるわけでございまして、その問題をどういうように解決していくかということは今の段階において非常にむずかしい。しかし逆に今回御提案申し上げました方途をとるということが、また全体の問題の解決を困難にするかあるいは何らかの方向づけをするかということになりますと、私はそういうことにはならないので、むしろいろいろ各方面の御意向もあり調査会の御意見もあり、かつ自民党の方のいろいろな御意見もあり、あるいは社会党の方にもいろいろな御意見があるのではないかと思います。そういう問題は単にこの法案が通過いたしまして、二十億円の融資を被買収者の方にやるということによって動かされるような問題ではない、そういうように考えておるわけでございます。
○湯山委員 それだけ大へん困難な問題であるし、むずかしい問題だということは私どももよくわかっております。それならば一体だれの意見を最も尊重しなければならないかということは、当然政府の立場としては——選択は政府の自由でしょうけれども、だれの意見を、どういう機関の意見を最も尊重しなければならないかということには、おのずからワクがあると思います。それはよくおわきまえになってのことなんでしょうか。
○大月政府委員 先ほど大蔵大臣からもお答えがございましたように、政府の機関といたしましては被買収者の調査会がございまして、これは政府の諮問機関でございますので、その御意見は十分尊重すべきものだと思います。また政党内閣の建前といたしまして、自由民主党を基礎としておる現在の内閣におきまして、党の御意向というものはまた十分に尊重さるべきものだと思うわけでございまして、もしその間にいろいろ調整を要する問題があれば、高度の政治感覚を持って、内閣の責任において御判断願うべきものだ、こう考えておるわけでございます。
○湯山委員 そういうことは私は了解できかねると思いますのは、調査会の設置というものもこれまた党の意向でできたのでございましょう。政党内閣だから党の意見を聞くことはけっこうです。しかし党の意向というのは、本来法律をつくって——その問題についてはいろいろおっしゃるように意見がありむずかしい問題だ。そこで、政府の諮問機関としてこういう機関を設けろ、この機関の言うところに従って、政府は政策を立てていくべきだ、これが諮問機関の性格であるし、特に法律でもって設置された機関というのはそういうものだと思うのです。それを今のお話では、そういうことがあるにしても、また政党内閣だから政党の意見も聞かなくちゃならない、二本立なんです。これは政府の態度としては誤っておると私は思いますが、どうなんですか。
○大月政府委員 諮問機関の性格によっていろいろ違うと思います。その決議に基づいて政府の拘束される性格のものもございますし、その方針を尊重する角度におきましても、調査会あるいは委員会、審議会においていろいろなニュアンスを持って性格がきめられております。そういう意味におきまして、たとえばその答申の中に財政上の措置を要するものがある、こういう場合に、はなはだ恐縮でございますが、ほかの例もございます。たとえば人事院の勧告でございますけれどもそういう勧告があって、これがまた財政上の問題になるということになれば、両方の角度から政府がいかに処置するかということを考える。その他いろいろ問題があると思います。そういうことでせっかく諮問委員会ができておりまして、それが御慎重なる御審議を賜わった、こういうことでございますから、政府としてはできるだけそれを尊重して参るのは当然だと思いますが、しかし政府全体の立場におきまして、ほかの調査会以外の角度もまたあるわけでございます。その調査会がこの問題全体をカバーしておるわけでもございません。そういうような意味におきまして、これは答申があれば百%それじゃ実行するか、それからまたその答申をお読み願いましても非常にデリケートなニュアンスのある表現で使ってあるわけでございまして、そのデリケートなニュアンスをどういうように実行に移すかということは、また相当高度の政治的判断を要する問題じゃないかと思うわけであります。
○湯山委員 今のお話の中で、調査会の答申を百%入れるかどうかということはいろいろそのときの事情によって違う、今度の法律では調査会の答申を何%くらい入れたと御判断になりますか。
○大月政府委員 調査会とこの法案との関係は、御提案を申し上げました段階におきましては関係ございません。答申のある前に措置いたしたわけでございます。それではこの問題について、調査会があるにかかわらずその前になぜこういう措置をとったか、こういうことでございますが、これはこの問題の非常に重要なことにかんがみまして、かつ当時の事情から現在御提案申し上げておる措置をとることが適当であるという政治的判断をしたわけでございます。従いまして、その後調査会の答申も出て参りまして、具体的には被買収者に対して生業資金を貸すこと等について配慮をしたらいいじゃないかという御答申があとから出たわけでございますので、ある意味におきましては、実質的にこの法案に対する調査会の意向というものはそう乖離しておらないということに結果としてはなったわけでございますけれども、そもそも御提案申し上げましたときには必ずしもこの調査会とは関係づけないで、政府の責任においてこの措置をとることはこの段階において適当であろう、こういうように考えて措置したわけでございます。
○湯山委員 そうすると、この法案を提案した段階においては、これは違法とかどうとかいうことではございませんけれども、法律の精神は少なくとも無視してやった、こういうふうに判断してよろしゅうございますか。
○大月政府委員 この調査会の諮問事項は非常に限定されておったわけでございます。この答申自体は、「農地改革により農地を買収された者に関する社会的な問題及びこれに対する方策の要否について貴会の意見を求める、」こういうことであったわけでございます。「社会的な問題及びこれに対する方策」、こういうことでございますから、社会問題としてどういうように考えるかということ、主として救済を要するとかあるいは補償をどうするとか、困窮者がどういうふうな状況になっておるとか、そういうような感覚であったかと思います。それに対しまして、今回御提案申し上げておりますのは、被買収者の中で仕事をやりたい、事業をやりたい、そういう人に対して金融面からどう考えるかという角度で取り上げたわけでありまして、直接この答申を正面から、何と申しますか、その答申の中に含まれている問題として取り上げたわけではないわけであります。それが調査会といたしまして、出て参りました答申の中に、この融資の問題もまた入っておったわけでございますから、社会問題として見たこの取り上げ方の中としてはこの融資の問題もある。あるいは政治的な問題としてそれを取り上げていった。それがたまたま同じ方向に行っておるということは一般的な観測としてわれわれの御提案申し上げた方向というものはそう間違った方向ではないという裏づけになっておるのだと思います。
○臼井委員長 本会議散会後に委員会を再開することとし、暫時休憩いたします。 午後三時三十二分休憩 ————◇————— 午後三時四十九分開議
○臼井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 内閣提出の国民金融公庫法の一部を改正する法律案を議題として質疑を続けます。湯山勇君。
○湯山委員 今大蔵省の方へお尋ねしておる途中ですけれども、先ほどお尋ねした土地取り上げの理論的な根拠になるものに、調査会設置ということが働いておるということについて、局長の方にも確証がおありになっただろうと思いますが、まだはっきりしておらなければ、ないままで質問いたしますが、どうだったんでしょうか。
○庄野政府委員 確証というふうにはなかなかわれわれは申し上げにくいわけでございますが、そういう調査会ができるというふうなことで、旧地主の方の社会問題を調査する、こういったような動きになったことにつきましては、旧地主の方々に対する心理的影響があった、こういうふうに考えております。
○湯山委員 それで重ねてお尋ねしたいのは、今年の三月にやはり同じ香川県でNHKの取材をめぐって同じような問題がありましたが、この件については御存じでしょうか。
○庄野政府委員 NHKの取材から見まして何か問題があったということについては、私承知いたしておりません。
○湯山委員 概要は、NHKが「日本の素顔」ですか、そういうテレビの取材のために行って、題目は「過去の亡霊に生きる人々」こういうことでこの農地問題を取り上げようとしたわけです。ところがそのときに地主側の方が、そのあたりにいる人という意味で写しておったところが、農地へ入ってやはりジャガイモを抜くか植えるかというような行為をいたしました。今度は小作の方がそれへ行って巻き返しをして、とうとうこれは農地問題とかなんとかいう題に変わって、香川県の問題を抜いてテレビで放送されました。そういうふうに今の動き全体がかえってこういう農地取り上げの問題、農地法違反の問題にいろいろな意味で影響を与えている。そうすると、今回おとりになるような措置が、また新しい観点から今のような土地取り上げの問題、そういうものを惹起するのではないか、あるいはそういう運動にさらに拍車をかけるのではないかということを私は心配して実は今までお尋ねしてきたわけですが、そういう点については、いや心配は絶対ないということを提案者の方もお考えになっておられるか、あるいは当面の責任者である農地局長の方もそういうふうにお考えになっておられるか、この点についての御所見を伺いたいと思います。
○原田政府委員 先ほどからの湯山委員の御質問の趣旨は、今回の国民金融公庫法の一部を改正する法律案が通ったならば、今、小作人の土地を取り上げるということが起こっておるが、それに拍車をかけないか、要約すればこういうことであろうと思います。そういうことは私どもは考えておりません。旧地主の方々も、実例を引いてお話がありましたけれども、朝から大蔵大臣も答えておりますように、土地を返せということを全部が言っておられるのではないというように私どもは解釈いたしております。
○湯山委員 今政務次官から代表してのお答えだと思いますが、農林省も同様でございますか。
○庄野政府委員 同様に考えております。
○湯山委員 では原田政務次官にお尋ねいたしますが、先ほど来のお尋ねによりまして、調査会ができたことが土地取り上げ問題に影響を与えた、これは農局地長は何らかの形で与えておるだろうということですが、との点は政務次官もお認めになられますか。
○原田政府委員 たまたま偶発的にそういうことが起こったということは否定することはできません、実例を引いておられるのでございますから。しかし調査会を設けたことが、小作人の土地取り上げということを増加さしたとか、刺激したとか、直接関係があるということについては、私はさよう承知いたしません。
○湯山委員 それだとまた先ほどからのお尋ねを繰り返す必要があると思うのです。ちゃんと文書に書いてあるのです。そういう調査会ができたことは農地法が当然廃止されたものと認める、こういうふうに書いてありまして、これが実際は行動の理論的な根拠になっているわけですから、これをお認めいただかないと次の質問ができないわけです。これはどうでしょうか。
○原田政府委員 それはたまたまそういうことがあったということは決して否定いたしませんけれども、これができたからそういうようなことがどんどん行なわれた、こういうことはないと私どもは確信を持っておりますが、そうしたことがあったということは認めないわけにいきません。しかしこれと直接関連があってほかにもどんどん出てくるかというと、私どもはそういうことは起こらないと考えております。
○湯山委員 そのことは調査会が設置されたときの理由だったと思います。いろいろ旧地主の困っている人たちの運動がある、そこで調査会を設置すればそういう人たちのそういう動きは一応おさまるだろう、そういうお考えで調査会も設置されたのだろうと思います。ところが実際はそれが逆に働いている事例が、先ほど局長が言われましたように、とにかく香川県だけでも三千件、全国ではどれだけあったかわからないと思います。しかもその根拠とするところにそれを使っていることも事実で、今回の場合も、そういうことがあろうとは毛頭お考えになっていないことはわかるのであります。しかし何かの機会があればと思っていれば、そういうものも使われない、利用されないという保障はないのじゃないかと私は思うのですが、それはどうなんでしょうか。
○津島政府委員 お答え申し上げます。調査会ができたので、それによって農地法が改革されるだろうというので、そこで土地の返還問題が起きたのであろうというのですが、これはそういう影響は多少あったかと思いますけれども、やはりだれしも自分に有利に物事の解釈をいたしたいのがわれわれの通弊でございますから、そういうことからいたしますと、客観的にはそういうことがなくても自分勝手に有利に解釈をする、これは調査会の場合にはあったのではないか、こう思います。しかしこのたびのは調査会と違いまして、この法案はそう主観を入れて有利に解釈をする、そんなに幅がない法案であると思います。従って、この法案によりまして非常に有利に拡大的に解釈をしていくという弊害は私は生じないもの、かように感じます。
○湯山委員 それで農林省の御見解はわかりました。そこで今度は大蔵省の方へお尋ねいたしたいのですけれども、先ほどの御答弁によっても、答申の全部がここへ盛られたわけではないということですが、全体を進めていく場合にはいいやり方であっても、その中の一部分だけ取り上げてそれを先行さした場合には逆な働きをするということが間々あると思います。もしおやりになるのであれば、調査会の答申全体を進めていく。そうすれば、実際はかりに今の問題を解決するにしてもいいやり方であって、そういう答申を別個に一部分だけ先行させるということは、問題が複雑であるだけに、かえって逆効果を招くというような心配が——抽象的で大へん恐縮ですけれども、時間もかかっているから早くやめろという御注意もありますので、できるだけ一般的なお尋ねをいたしますが、そういうことは考えられないでしょうか。私はむしろそこに問題があるような気がいたします。
○大月政府委員 今のお話については、物事の考えとして二つあると思います。仰せのように、答申が出ているのに対して、ほぼ一部の内容しか満たさないような手を先に打つと、あと非常に大きな問題が残っておるので、これはまた話がだんだん大きくなるのじゃないかというようなお考えもあると思います。しかし、今度答申が出ておるわけでございますから、逆にいえば、最大極限というものはそこできまっておるわけでございまして、そのうち少なくとも矛盾していないということは、私はこれはいえると思います。とすれば、そのうちでやはり答申の方でもやったらいいんだ、考えたらいいんだと言っていることは、いいことは早くやったらいいんじゃないか。しかも、特に非常にこの問題自体に問題があるなら別でございますけれども、これはわれわれ政府の立場におきましても、国民金融公庫の現在の性格の範囲内において少なくとも対処できる制度でございますから、その程度はとにかく実行しておいて、あとだんだんむずかしい問題はゆっくり考える、いろいろ御相談するという方がむしろ私は現実的な解決じゃなかろうかと思っております。
○湯山委員 私が重ねてあとお尋ねしたい点は、あとの施策についてはどうなさるのでしょうか。先ほどはあとの施策については考えないというお話だったと思います。あるいは考えないというのじゃなくても、このことがあとのことを引き出すものではない、そういうお話と今のお話とは若干ニュアンスが違うようで、私が先ほどお尋ねしたのは、これきりだとも受け取れる先ほどの御答弁だったから、今のようなお尋ねをしたわけで、それだけで切ってしまうということは、一つの有機的なつながりを持った政策の一部分だけ切って取り出すということは、全体を生かす道じゃないのじゃないがということをお尋ねしておるのです。そうだとすれば、今の御答弁は、先ほどのようにこれだけでもうあとやらないんだ、あとのアクションのきっかけにはしないんだという前提だと、ちょっと理解しかねる。総合的に答申についてはやっていくんだ、だからこれでいいんじゃないか、こういうことならまたそれで理屈になると思うのですが、この点は先ほどとちょっとニュアンスが違うように受け取りましたので、もう一度はっきりさしていただきたいと思います。
○大月政府委員 これは答申全体の取り扱い方とこの問題、この法案と被買収者全体の問題との関連、こういう問題になってくると思うわけでございます。答申の扱いにつきましては、答申の中で生業資金の貸付を考えたらどうだろう、それから育英制度その他運用について考慮を払ったらどうか、それから具体的に補償の問題については巨額な金銭的な補償を考えるということはむしろ少数意見だ、こういうのが骨子になっておるわけでございまして、政府としては、この答申を受けまして、先ほどのお話にございましたように、政府の諮問機関でございますからできるだけ尊重する態度でやっていくということで、少なくともその三本の問題を考える立場にあると思います。そういたしますと、今回提案いたしました法案がきっかけになっていろいろな問題に波及するということではなしに、むしろこの答申全体をどう扱うかという観点に立つわけでございますから、因果関係という感覚から申しますと、むしろ原因はこの答申なり、あるいは世の中の考え方なり、あるいは党の方のお考え方なりというところに原因があって、いわばこの国民金融公庫法の改正というものはそこから出てきた一つの枝でございます。そういう意味で、この一部分がほかの導火線になるということでなくして、問題はすでに存在しておるわけでございますから、さらに別の手を打つかどうかということは、これをやったからおしまいだ、あるいはこれをやったから次の手を打たなければならぬ、いずれもいえないというふうにわれわれは考えております。
○湯山委員 それで大体御趣旨はわかりました。最後にお尋ねしたい問題は、この資金というのは土地取得にも使えるかどうかです。これは、従来はそういうことは他の法律の拘束もあったと思いまするけれども、できなかったと思います。今回の場合は土地の購入、取得にこの資金が使えるかどうか、これをお尋ねしたいと思います。
○大月政府委員 生業資金の貸付でございますから、生業資金は何らかの事業をやりますときに使う金でございます。そういたしますと、その事業の必要上、かりに土地が要る、家を建てなければいかぬ、それから商売をするについてその仕込み資金が要るというようなものは全部含むわけでございます。そういう意味で、土地を買う目的に使ってはいかぬという限定はございませんが、ただ土地を買いたいという、これは事業資金じゃございませんから、土地を買うだけの目的にはもちろん使うわけには参りません。ただ、土地を買う金に使ってはいかぬ、総体の事業計画の中に土地取得資金を含んではいかぬかというと、それはあってもいい、こういうことだと思います。
○湯山委員 その場合には農地はどうなるのですか。つまり自分の農業経営をやっております。生業ですから、もっと農地をふやして、農業を拡大していきたいという場合に、農地取得に使えるかどうか、この点はどうなんですか。
○庄野政府委員 農地の取得資金につきましては、現在農業を営んでいる者につきましては自作農維持創設資金、こういうものがありまして、経営拡大のために農地を取得する、こういった場合は融資をする。非農業の場合は、これは大蔵省の方から御答弁願います。
○大月政府委員 生業資金の中には、果樹とか、あるいは畜産とか、そういうような資金も当然含んでおるわけでございますから、ただ、今の農地を買い増しするというようなことでなしに、ほかにそういうような今申し上げましたような仕事をやる上にいろいろ必要であれば土地も含む、こういうように考えております。
○湯山委員 今の点はやや明瞭を欠いていると思うのですが、果樹、畜産をやる、そういう場合、たとえば果樹の種苗を買うとか、それに対していろいろの施設をするとか、それはいい。畜産で子豚を買い入れるとか、乳牛を買うとか、それはいい。それはそうだと思います。ただその場合、農地を拡大する、そのためにこの金融公庫の資金が使えるかどうか。これは先ほど農地局長の言われたように、当然それには自作農維持創設資金というものがあります。しかし、この金融公庫からの資金で農地が買えるかどうか、ここが一つ問題でございますから、この点をはっきりさしていただきたいと思います。
○大月政府委員 現在農業を営んでおられる方の短期の営農資金、先ほど農地局長のお話もあった問題だと思いますが、この営農資金は農林系統の金融機関が手当をする建前になっておるわけでございまして、まず原則としてそちらへお頼みする。あと、先ほど申し上げました果樹とかあるいは園芸をやる、あるいは畜産をやる、そういう一部のものにつきましては補足的に取り上げている状況でございまして、この制度をしくといたしましても、その面における従来の建前は変更するつもりはございません。そういう意味で、かりにこの農地を拡張するから貸してほしいというお話がございましたら、これはむしろ農林公庫の方に行っていただくということで、国民公庫では取り上げないということにいたしたいと思います。
○湯山委員 それは、生産資金というワクから言えば、そういうワクの中には今のは入ると思うのです。今一町歩なら一町歩作っている人があと二反歩買えるようになった、この金を借りて二反歩ふやしていこう、一町歩ではやっていけない、そこで生業のために二反歩買うための資金を借りる、これは生業資金だと思うのです。そういう場合にそれができないということには今までの御答弁の中からはできないと思うのですが、これは政令とかあるいはその他の規制によってできないようになさるのか、ただ指導によってそういうふうにしていこうといわれるのであるか、これはどういうことでございましょうか。
○大月政府委員 これは政府関係の機関といたしまして、今、農林漁業金融公庫、それから国民金融公庫がございまして、それぞれの建前がございます。今の問題につきましては、本来の性質上、そういう農業金融をやる機構として農林漁業金融公庫があるわけでございますから、これでやるという従来の考えを変える必要はない、こういうように考えておるわけでございまして、法律を正面から読みますれば、それはいけないと書いてあるわけじゃございません。しかし、機構、機関の分野がございますので、むしろ農林公庫でやるべき性質の金だというように従来考えておるわけでございます。
○湯山委員 この点は、今の農地法との関係でもう少し詳しくお聞きいたしたいと思います。もし借り受ける条件として土地を買い取りたいということがあれば貸さない、これはわかりました。じゃ、今度は小作でつくらしておる土地の返却を求めるその権利金だけを払う、こういう場合にはどうなんでしょう。
○大月政府委員 この二十億の貸出事項につきましては、この法案が通過いたしました後にこまかい問題があると思います。法律的には、今申し上げましたように農林公庫と国民公庫の分野の調整の問題が事実上ございますから、やはり農地政策その他とも関連がございますし、よく農林省と御相談してきめたいと思います。
○湯山委員 それでは今の段階ではそういうことについての細目はきまっていないということでございますね。
○大月政府委員 さようでございます。
○湯山委員 そこで心配な点が起こりますのは、あるいはもう御存じだと思いますけれども、農地法の改正によって土地保有の制限が撤廃されました。そうすると、今度はずいぶんたくさんの農地を個人で持つことができます。そうしておいて、今度はそれを貸し付けることもできるわけです。従来認められていなかった土地の貸付ということができることになりました。そうすれば、実際はそういうふうにして土地の所有をいろんなことで拡大していって、そうしてこれを小作させる。特殊な場合においては不在地主も今度は認められることになったわけですけれども、そういうことになってくると、金額は少ないからそういうことはないと言えば言えますけれども、しかし、ここでこういう間口を広げれば、あとは賃金のワクをふやせば、いわゆる旧地主の復活というような状態にまで発展していくおそれもないとは言えないと思うのです。これはあるとは申しませんけれども、理屈の上ではないとは言えない。その点はどうお考えでしたでしょうか。今の農地保有の制限の撤廃とそれから不在地主もできることになった、そういうことを考慮の中に入れてこの法律を出されたのかどうか。
○大月政府委員 今のお話でございますと、従来の土地のほかに小作地を広げるために土地を買いたい、こういうことでございます。それは、農業自体を営む金じゃなくして、その基礎になる土地を、小作地を買い上げるというだけの資金になりますから、そういう目的は当然今申し上げておりましたような感覚からいっては適当でないように考えるわけでございます。特にその農地で小作に出すとか出さないとかという問題になりますと、農業政策自体に関係があると思います。そのための金融機関が別に農林公庫がございますから、われわれが御提案申し上げておりますのは、被買収者がその後いろいろな仕事をやりたいのだ、そのために金がほしいのだという場合でございますから、従来仕事をやっておられまして、それをだんだん事業を拡張する、しかもそれは農業の関係だというのでは、まあいわば失地回復というような感覚の金を出すという趣旨では全然ございません。
○湯山委員 これは大へん重要な問題だし、分野の調整があとであるということですから、重ねてお尋ねしておきたいと思います。今のように現在農業をやっておる人が、農地を拡大するとかあるいは取得するとか、あるいは小作地の返還を求めて、それの権利金として支払う、そういう場合には今の方針としてはこれは適用しない、そしてそういう人が別にそういうことじゃなくて、たとえば豚を飼うとかあるいは牛を飼うとか果樹を買い入れるとかいう場合、あるいは別にたばこ屋を始めるとかそういう場合に限って適用されるものだ、こう解釈してよろしゅうございますか。
○大月政府委員 今回の御提案の趣旨はさようでございます。それから具体的には、農林漁業金融公庫から現在出しております金の条件は非常に有利でございまして、金利は五分、二十年ということでございます。ところが国民金融公庫は、今考えておりますところでも六分五厘で、せいぜい三年から五年ということでございますから、もしそういう目的で農林公庫の対象になるようなものであれば、当然またそちらでいくという現実の経済的な傾向もあるだろうもそれから精神からいえば当然今おっしゃったように考えております。
○湯山委員 農林省の側もその点御確認になりますか。
○庄野政府委員 先ほど大蔵省から御答弁になった通り、こう考えております。
○湯山委員 委員長、これで終わります。
○臼井委員長 芳賀貢君。
○芳賀委員 委員長に申し上げますが、私の質疑を進行させる都合上、大蔵大臣、農林大臣並びに総理府総務長官の出席を以前から求めておるわけですが、この点については委員長においてお取り計らいを願いたいわけです。
○臼井委員長 ちょっと速記をとめておいて下さい。 〔速記中止〕
○臼井委員長 速記を始めて。 —————————————
○臼井委員長 ただいま毛利松平君外二十五名より、本案に対する修正案が委員長の手元に提出されました。
○臼井委員長 この際、提出者の趣旨説明を求めます。毛利松平君。
○毛利委員 国民金融公庫法の一部を改正する法律案に対する修正案提案の趣旨説明をいたします。 ただいま議題となりました修正案について、提案の趣旨及びその内容を簡単に御説明申し上げます。修正案の案文はお手元にお配りしてありますので、朗読は省略させていただきます。 御承知の通り、政府は原案ではこの法律の施行期日を昭和三十七年四月一日からと規定いたしておりますが、すでに四月一日は経過いたしましたので、これを公布の日から施行することに改めようとするものであります。 以上が本修正案の内容であります。何とぞ御賛成あらんことをお願いいたします。
○臼井委員長 これにて修正案の趣旨説明は終わりました。
○臼井委員長 本案及び修正案を一括して質疑を続けます。芳賀貢君。
○芳賀委員 総務長官にお尋ねしますが、国民金融公庫法の一部改正案の内容の審議に入る前に、これは非常に重要な内容を包蔵しておるのでお尋ねしますが、政府は農地被買収者問題調査会、これが昭和三十五年に法律が成立して、自来二カ年の時限で調査会は農地被買収者問題に対する調査を行なってすでに政府に対しては答申を行なったわけです。当委員会は全国会において本法案の審議上、当時調査会の会長である工藤昭四郎君を当委員会に参考人として呼んで意見を徴する方針でありました。これは社会党がそのことを提起しましたが、与党の反対でついに肝心な会長の意見を聞くことができなかったという前国会の経緯がある。調査会法は六月三十日に失効して調査会は解消したわけですが、残っておる問題は、二カ年にわたって政府が二千七百万円の予算をこれに付して相当の調査を行なっておるわけです。結果的には調査会の答申が内閣総理大臣に出されたわけでありますが、この点について国の費用を二千七百万円とにかく使用しておるわけですから、この調査会の行なった被買収者に対する調査の概要並びに結論的には調査会から出された答申の主要なる点について、総務長官から御説明願いたい。
○徳安政府委員 御承知の通り、率直に申し上げまして答申が出ました当時私はその該当の役所に、ただいまの職におりませんでした。調査会がなくなりました後に就任したような関係もございまして、かつてのいきさつ等詳しいことは私は存じておりません。ただ政府としましては、この答申に基づきまして与党とも相談をして次の国会には政府の責任ある施策を出そうというお約束をしているようでございますので、そうしたことにつきまして今後努力はされると思いますが、尊重するという建前、党の関係等につきまして十二分に配慮をされて、通常国会に案の出ますことは承知いたしておりますけれども、それ以外のことにつきましては、当時の責任者でございませんために詳しいことは存じ上げておりませんが、事務的な事柄や答申の内容等につきましては、内閣審議官がおりますから、そちらの方から一つ御説明をいたさせますので、お聞き取りをいただきたいと思います。
○福山説明員 調査会答申の内容の概略を説明いたします。 調査会は発足以来非常に御熱心に調査にあたっていただきまして、なおこの調査結果に基づきまして非常に短期間に会合に会合を重ねるというふうな精力的な活動をいただきまして、政府といたしましては非常に感謝いたしておるところでありますが、その内容といたしましては、まず項目別に申し上げますと、農地被買収者の概要、これは職業とか兼業の状態、学歴、役職、家族の状態あるいは全体につきましての収入、田畑の経営、所有の状況等、それから被買収地帯の収入の状態、それから農業からの経常的な販売収入、現金収入、田畑の経営面積、所有面積、山林の所有の状況、生活保護に関する状況、住民税に関する状況、それから全体といたしまして戦前戦後におきまする家族の役職の状況あるいは戦死傷の関係、戦災、家の取りこわし、引き揚げ、抑留者の有無等の関係、それから暮らし向きの自己評価の問題、これは被買収者の現在の生活状態を、現状において絶対的な数字を把握するということが非常に困難でありますし、また農地改革後相当長期間経過しておりますので、その間の関係を正確に把握するということは非常に困難であったわけでありますけれども、学識経験者の非常な御努力によりまして、ある程度の成果をあげ得たというふうに考えておる次第でございます。それから最後に解放した農地の転売、転用の状況というふうな項目につきまして、全国を大体二百六十五地区に分けまして、サンプリング抽出をいたしまして調査をするというふうな調査の方法でございました。 そのおもな答申の内容といたしましては、農地被買収者の現在における生活の状態、あるいは田畑、山林の所有状況あるいはまた経営の状況、これは被買収世帯は買受世帯その他の一般世帯に比較して必ずしもその状態は悪くない。それから、被買収世帯の世帯員で、市町村長、地方公共団体の議員、教育委員等の公職に、戦前においてなったことのある世帯の比率は、買受世帯及びその他の一般世帯のそれに比べてかなり高いが、戦後においても、その差は必ずしも縮まってはいない。それから、世帯員のうちで戦争との関係、戦死者、戦傷者、引揚者及び抑留者を出した直接の人的被害、それから世帯が戦災にあったり強制疎開にあったりした直接の物的戦争被害については、被買収世帯は買受世帯その他の一般世帯に比べてその比率が高い。それから、暮らし向きの自己評価につきましては、戦前の方が現在に比べてよかったとする比率が、被買収世帯は買受世帯その他の一般世帯に比べてかなり高いが、現在においても、中より上の暮らし向きであると見る世帯の比率は、被買収世帯は買受世帯その他の一般世帯に比べてかなり高い。それから、解放した農地の転売転用については、その後の経済情勢の推移のために、大都市近郊等にその事例が多いが、これについては農地買収価格と比較して開きが大き過ぎるのでかなり不満がある。それから、農地改革そのものについては、よかったとする世帯の比率は、被買収世帯は買受世帯に比べてはるかに低い。 以上のような調査結果に基づきまして、まず眼目の点といたしまして、「政府は、農地改革により農地を買収された者であって、現状において(1)生活上又は生業上困難な状況にある者に対し、生業資金の貸付の措置を講ずる(2)その子弟を進学させるのに困難な状況にある者に対し、育英その他の制度の運用において配慮を加える等必要な措置をとることが適当である。」ということが答申の眼目になっております。 それから、その次には、論議の過程を紹介いたしておりますが、一番最後に、「なお」書きといたしまして、「農地改革が被買収者に与えた心理的影響が強く残っていることは調査の結果からも明らかとなっているが、それにしても、巨額な金銭を被買収者に交付することは諸般の情勢上適当でないとする見解が多かった。」ということを付してございます。 以上が、調査の結果及び答申の概況でございます。
○芳賀委員 総務長官に申し上げますが、あなたはおそらく今後一年間くらいその職にあるとわれわれは判断しておるのですが、そうなると当然、この長年の間、むしろ政治的問題に発展しておる本問題に対して、所管の長官として何にも知らない、前任者のやったことは知らぬということで、係官まかせでこれから仕事を進められるということになると、これは全然長官の責任の所在が不明確になると思います。今審議官から言われた程度の主要なる点は、やはり就任早々頭の中におさめられておかれた方がよかったのではないかと思いますが、その点はいかがですか。
○徳安政府委員 私どもの責任は、調査会を所管しておる関係で総務長官が責任があったわけでありますが、もうすでにこの委員会がなくなりまして、その責任をあげて今度は内閣全体の問題になっております。つまり、本年の四月二十四日に、農地被買収者問題の処理につきましては、農地被買収者問題調査会の答申と党の意向とを検討の上、来たるべき通常国会において処置をする、これが閣議決定でございまして、その線に沿うて、もうすでに内閣全体の問題になっておりまして、総務長官の今の責任問題がないのでございます。ただ、その当時の事務を処理したということでございますが、しかし内閣の末席に総務長官としております以上、この閣議の御趣旨にはもちろん私ども沿いまして努力はいたします。 それから、ただいまのお話でございますが、こういう調査の結果は、すでにもう答申が五月二十二日に出ておりますので、私も一応それは目を通しておりますけれども、おそらく芳賀委員さんも、これはよくお読みになっているのじゃないかと思うのです。この内容を私はどの程度に参酌して申し上げることがいいかということについてちょっと迷っておるのでありますし、また、同時に、申し上げましたように、私は、当時の仕事を取り扱った関係でもございませんので、むしろ間違いのない御答弁をするのには、審議官にさせた方がいい、こう考えまして御答弁申し上げたわけであります。決して責任のがれでもございませんし、また、等閑に付するわけじゃございませんから、この点は一つ御了承していただきたいと思います。
○芳賀委員 私は、あなたと議論をする考えはありませんが、ただ、経過から言うと、これは昭和三十五年の国会において、農地被買収者問題調査会法案なるものが内閣から提案されて、われわれ社会党としては反対した法案ですが、そのときの提案者は、時の総理府総務長官が提案者として、内閣委員会においてこの調査会法案の答弁の衝に当たった、そういう経過があるわけでず。ですから、自来、総理府が所管して、昭和三十五年、六年、七年の三年度にわたって、およそ二千七百万円の予算を確保して、そうして調査会の調査並びに運営に資したという、そういう経過があるわけです。だから、調査会が、もう法律が失効したとか、調査会が解散したからわしは知らぬというのじゃなくて、その目的を持った法律が発せられて、その法律に基づいて調査会の調査を行なって、その結論として総理大臣に答申を行なった。ですから、期待した答申というものは出されておるわけです。だから、答申を土台にして今後調査会の調査の内容とかあるいは答申の内容というものを、これは政府の立場で十分検討を加えて、これをどういうふうに処理するかということは、これは当然内閣の責任であるけれども、その主管はやはり依然としてわれわれは総理府であるというふうに判断しますから、あなたの出席を求めて質問しておるわけです。 それで、今審議官からお述べになりました概要については、もちろんわれわれも、政府から資料等の配付は受けておりませんけれども、関心の高い問題ですからして、一応、この調査会の調査がどういうふうにして行なわれたか、あるいは答申がどういう内容で出されたかということは、私は認識しておるわけです。だから、問題は、この調査会から出された調査の結果というものは、はたして今後農地被買収者に対して立法的な措置あるいは財政的な措置を講ずべきかどうかということを、国民経済的な立場からどう判断するかということは、非常に大事な点です。これは当然、今回審議中のこの国民公庫の改正法律案とも関係があるわけです。 そこで、私がまず具体的にお尋ねしたい点は、このようにして調査会法というものを土台にして、二カ年間調査会が作業を進めておるその中途において、国民公庫法の改正を行なったということのその真意を、われわれは現在においても理解することに苦しむわけです。ですから、このように中途で、調査会の作業や答申を期待しない態度で公庫法の一部を改正するということは、これは明らかにこの農地被買収者問題について、旧地主の諸君の補償問題等を中心とした政治的な要求に何らかこたえなければならぬという政治的判断のもとに、その道を開くために、公庫法の改正に着手されたというふうに考えて差しつかえないと思いますが、この点については、重政農林大臣から政府を代表して述べてもらいたい。
○重政国務大臣 私がこの答申を得てどうするかということを、政府を代表して述べる権限は持っておらないわけであります。私といたしましては、この調査会で提出せられましたこの答申は、よく検討いたしまして、考える必要があるところは考えていきたい、こう考えます。
○芳賀委員 それでは後刻大蔵大臣が出席をされた場合に再度この点はお尋ねしたいと思いますが、ここで確認しておきたいことは、先ほど審議室長から説明のありました調査の概要ですね。これは御承知と思いますが、社団法人の中央調査社ですね、この中央調査社に対して三百八十七万八千七百五円の調査委託費を投じて、そうしてこれは具体的な調査を行なったわけですね。対象世帯は大体一万五千戸、その調査の結果が、結果概要並びに集計表となってまとまっております。そのうち、先ほど審議室長の述べられた点ですが、この際確認する意味において、私の方からむしろ詳しく問題点を明らかにして、そうして確認しておきたいと思うわけです。 第一の点は被買収世帯は全国普通世帯の七・九%であり、買い受け世帯は一九・六%であった。その二、世帯主の職業ではかなりの差があり、被買収世帯の五四・三%が農業であり、従って半数近くが農業でない。この注といたしまして、世帯主の職業が農業のものは農地改革に関係のないもので一七・四%、買い受け世帯で七七・二%。その三は、この職業の相違が反映して、その収入の種類は農地改革に関係のないものでは、賃金、月給のものが多いが、農地改革に関係のあるものでは農業からの経常的販売収入が多い。ただし、後者の中で農業からの経常的販売収入があるのは被買収世帯六二・一%に対し、買い受け世帯では三四・六%となっており、買い受け世帯に多い。その四は、農業からの経常的販売収入額、総現金収入額、田畑の経営面積、所有面積など生活の基盤となっている点を通観すると、少なくとも全般的に見て被買収世帯が買い受け世帯より生活の悪いものが多いとは言い得ない。このことはいいということなんですね。その五は、家族の役職、現在を従前、これは戦前戦後を通じてでありますが、被買収世帯のこの面での地位は多少は——これは戦前に比較してでありますが、低くなったとは見られるとしても、非常に落ちたとは言い得ない。これは先ほどお話があったように、社会的地位においては買い受け世帯より現在被買収者の方があるいは一般の国民よりも社会的地位が高い水準に置かれているという点です。その六、以上の実情に対して被買収世帯が農地改革によって受けた心理的影響はなお強く残っていると見られる。この点が特に特異な現象として指摘されておるわけですが、たとえば戦前の暮らし向きとの比較、農地改革についての意見は被買収世帯と買い受け世帯ではきわめて対照的である。それは農地改革について被買収世帯の五三・六%はよくなかったとし、買い受け世帯の六九・六%はよかったとしておる。その次はなお被買収世帯は現在居住地での地位を上中下と自己評価するものは他のものと比べて多いが、戦前の自己評価と比較検討すると戦前より低く評価しているものも他のものに比べて多い。この心理的影響を地位が低くなかったとみずから評価するものが多いことに問題があろう。その七は、解放農地の転売、転用は、主として転売価格の高い点から被買収世帯に影響を与えている。心理的な、感情的な影響を与えておるという、こういう指摘でありますが、これがわれわれの認識しておるこの調査の概要結果でございますけれども、これに対して政府当局においても調査会の調査の結果というものはこういうものであるということを政府の側から明らかにしておいてもらいたい。
○福山説明員 ただいま芳賀先生の方から読み上げていただきました文章は調査会の調査の結果を取りまとめたときに会長から概要を発表する際に新聞記者側の要求によって便宜的に整理したものでございます。
○芳賀委員 そういうのは答弁にならぬですよ。あなたが先ほど説明して私がさらに具体的に確認する意味において述べた点に対して、政府側においてその通りであるということに対するこの確認をされるかどうかということを私は尋ねておるわけです。
○徳安政府委員 私はただいま芳賀委員からお読みになりましたものは拝見しなかったのでありますが、ただいま聞きますと、大体この報告書に基づきまして新聞記者に発表された場合に、この内容を要約してこれを会長さんが御発表になったそうでありますから、ですからこれと一々対照はしておりませんけれども、少なくも会長が御発表になっておるわけでございますから、これは間違いないと思いますので、それは確認していいと思います。
○芳賀委員 そういう質問ではないのですよ。調査会はこういう調査の結果を発表したが、この調査に間違いがあるかないかという点は、これは政府の立場からこの調査の内容あるいは結果というものを政府独自の立場から見た場合にも同一の判断がなされておるのかどうかということを私は聞いておるのです。
○徳安政府委員 政府の方ではこの答申をちょうだいいたしておりますので、その答申が間違いであるかどうかというようなことにつきましては、まだ先ほど申し上げましたように、この答申をよく拝見をし、また党の意向等も参酌して最後の決定をして、今度の通常国会に処置をするということを申し上げておるわけでございますし、約束しておるわけでありますから、ですから、この内容に対して調査会のやっておるようなことが間違っておるとか、あるいはこの点がどうもおかしいなんということは私の方で言うべき筋合いではないと思います。
○芳賀委員 答弁を簡明にしてもらいたい。ですから、結局政府としてはこの調査会の調査の内容あるいは結果について信用をお持ちになっておるかどうか。これならわかるでしょう。
○徳安政府委員 まだ数字的な内容等につきましても、私どもも信憑性のあるものとして絶対信用いたしております。しかしこの内容全部を信用するとかしないとかというようなことは、現段階で総務長官としては今お答えする段階ではない、こういうふうに考えます。
○芳賀委員 そう大事をとる必要はないのですよ。私はあなたをわなにかける考えで質問をしておるのではないのですよ。ただ答申が出された以上、答申の基礎というものは調査の結果に基づいておるわけですからして、政府は答申を受けてそれを放置しておくという場合もあるでしょうが、せっかく期待して答申を受けたのですからして、この問題に対する何らかの政府の責任においての措置をなされるとわれわれは考えておるわけであります。ですからこれは非常に大事な問題だと思うのです。もう少し端的に——別にあなたの政治生命とかなんとかいう問題じゃない。
○徳安政府委員 この問題は先ほど申し上げましたように、政府の方でも慎重な態度で、次の国会までに処置をしようという約束をしておる問題でございますから、私どももこの内容につきまして、どうのこうのという事柄につきまして、ただいま検討して結論を出しておるわけじゃございませんので、もう少しこの結論が出ますのには、政府としては時日を要するのではないか、かように考えておるわけであります。
○芳賀委員 これは非常に大事な点ですから、いずれ適当な機会に諮問を発した総理大臣から尋ねることにして、あなたに対する質問は、この点については一応保留しておきます。 次に、答申の内容の主たる点についてでございますが、これは審議室からもお話がありましたが、政府が講ずべき措置として第一の点は、国民金融公庫からの生業資金等の貸し出しを行なうべきでないか。第二は、農地被買収者の子弟に対する育英資金についても、その育英制度によってこれを適用するべきではないか。こういうことが具体的な講ずべき措置としては述べられておるわけであります。なお重要な点は、調査会の答申をまとめるときの議論の中において、この問題は、被買収者の立場から見ると、心理的な判断とか要求とか議論というものが相当ウェートを占めておるので、それを一つの特徴点として認めることはできるけれども、しかし、いうところの被買収者に対して、いわゆる農地補償等のそういう措置は講ずべきでないということが強調されておるわけです。この点に対しては誤りはありませんか。これは答申の内容です。
○徳安政府委員 私が答弁するのが適当かどうかはわかりませんが、ただいまお話になったことが答申になっておることは事実でございます。
○芳賀委員 そこでお尋ねしますが、特に第一の項目の生業資金の貸し出し云々ということは、調査会の作業の過程において、中途において政府が突如として国民金融公庫から被買収者に対する生業資金の貸し出しを行なう、そういう意図の法律を出されておるということが、やはり調査会の調査とかあるいは審議の面に対して相当影響を与えたと私は考えるものでございますが、この法案が調査会に対して影響力を与えたか、そういう面に対する相当効果の作用をしたものであるかどうか、その判断はいかがでございますか。
○徳安政府委員 これは私どもはないとかように考えております。
○芳賀委員 あなたはまだあのとき在任しておらぬから、これは公正な行政をやっておる大蔵省当局、大臣は来ておらないので、大蔵省の政府委員から率直な答弁を願いたい。
○大月政府委員 この法案は調査会の結論の出る前に提案されたものでございまして、その提案の時期におきましても、これは調査会と別個のものであるという立場をはっきりいたしまして、その当時の段階においてこれだけの措置を講ずることが適当だという政治判断をもって御提案申し上げたわけであります。その後調査会はいろいろ御審議になっておったわけでございますから、その過程において政府が提案いたしました法案自体は、十分御存じであったと思います。具体的な事実の調査をやっておられる過程におきまして、私の方、あるいはほかの省、農林省あるいは内閣その他において、政府の提案に同調してほしいというような働きかけ、あるいは行動は一切ございませんけれども、私推測いたしますのに、政府の提案がこうして出ておる、で実情の調査が進むと、なるほど政府のやっておることがいいのじゃないかというような御見解は、あるいは各委員の間にあったのではないかと思いますけれども、これは私どもと、そういう法律的な意味あるいは実際上の意味においては関係がないと申し上げていいと思います。
○芳賀委員 政府案提案の過程においても、大蔵省当局は反対し抵抗した経過というものをわれわれは知っておるわけであります。また調査会においても、この調査会の作業の中途において、このような政府案の提出、あるいは与党の議員提案として国民金融公庫から被買収者に対して資金を貸し出す臨時特例法が出たこの事象をとらえて、これを指摘して非常に調査会の作業を無視するような政府や与党の行動であるならば、調査会においては工藤会長以下全員辞任しなければならないというようなことを総理大臣に直言したという経過もあるわけです。これは明らかに、そういうことを振り返った場合においては、この法案が調査会を刺激したことも事実であって、最終的にはやはり政府あるいはその他の力に相当押されて、この政府案に迎合するような調査会の答申が出されたのじゃないか、この考えは間違っていないと思いますが、いかがですか。
○大月政府委員 われわれが側面から観察いたしておりますところでは、この法案を提案いたしました段階におきましては、そういう現象はなかったと思います。その後、われわれの政府提案の後にいろいろな動きがございまして、その動きについては、調査会の中にいろいろな御意見があったかというふうに心得ておりますけれども、しかしこれは政府とは直接関係のないものであろう、こういうふうに了解いたしております。
○芳賀委員 次に、議論を避けて内容に入りたいと思いますが、今回の改正は、われわれが判断した場合に、現行の公庫法の法体系をくずすものであると考えますが、これは専門家の政府委員においては容認されると思いますが、いかがですか。
○大月政府委員 現在御提案申し上げております法案は、国民金融公庫に対しまして二十億の出資をするというだけのことでございます。だけと申しますとはなはだ恐縮でございますが、その二十億の出資をいたしまして、そのほかに国民金融公庫に対して資金運用部から貸付をいたします。そのほかに国民金融公庫の従来の貸付金からの回収金がございます。それを合わせますと千四百四十八億という数字が出るわけでございますが、この千四百四十八億の原資をもとといたしまして、一般の貸付、恩給担保貸付その他従来から実行いたしております貸付を実行いたします。そのほかに今回は農地被買収者に対して二十億の貸付を実行しようというわけでありますが、その貸付の面におきましては、従来の国民金融公庫法に規定いたしております第一条及び第十八条の規定にのっとった貸付をやるわけでございまして、何ら国民金融公庫の性格、本質に反するものではない。そういう意味におきまして何ら法律上の疑義のない問題であろうと思っております。
○芳賀委員 これは法律改正点から見れば、現在の二百億に対して、さらに二十億の政府出資を増すということだけに尽きておるが、この二十億の出資を増すというその意図する点は、これは明らかに被買収者に対する新たなる貸付の道を開くということが目的になっておる、この点については当委員会において政府から提案理由の説明がなされた。その中にこれは明確になっておるわけです。これは否定することはできないと思うのです。
○大月政府委員 この点は、提案理由におきましても明確にいたしておりますように、出資の金額は二十億でございまして、被買収者に対する貸付金額も同額でございます。全体としての原資、つまり出資借入金、自己資金合わせて千四百四十八億円、貸し出し全体として千四百四十八億円、そのうちの一部をそれに充てる、こういうわけでございまして、提案理由説明におきましても、二十億をこのために出資するというわけではないということだけを明確にいたしておるわけでございます。
○芳賀委員 もう少しまじめな答弁をしてもらいたい。提案理由の説明の一節には、「農地被買収者で生業資金の融通を銀行その他一般の金融機関から受けることを困難としている者に対し二十億円の貸付を行なうこととしており、」こういうことが大蔵大臣から提案理由の説明で明らかにされておるじゃないですか。ですから、被買収者に対して貸し付けようとする二十億円と、それから政府出資を二十億円ふやすという、これは単に数字だけの偶然の符合ではなくて、今回の改正は明らかに被買収者に対する公庫融資の道を開くという目的で改正が行なわれておるということは、これは自明の理じゃないですか。
○大月政府委員 政府の提案理由の御説明におきましては、初めの部分が貸し出し計画の御説明でございまして、あとの部分がそれをまかなうための原資の御説明でございます。金額は二十億で同額になっておるのでございますが、金に糸目はございませんので、出資、借入金、自己資金合わせた千四百四十八億が全体の総貸し出しの千四百四十八億円に見合う、たまたまその貸し出しの二十億と出資の二十億とが符合しておるだけでございます。そういうふうに御説明申し上げたわけでございます。
○芳賀委員 そういうおざなり答弁を期待しておるわけではないのですが、次にお尋ねしたいことは、これは大事な点ですから、大臣が出席しておらないので政務次官にお尋ねします。一体公庫法から見た場合、農地被買収者は一般国民の範疇に入るのですか、その外にあるのか、あなたはどう考えておりますか。
○原田政府委員 むろん一般国民の範疇に入ると思います。
○芳賀委員 そうでしょう。そうであれば、この銀行並びにその他の一般の金融機関から生業資金を借りることが困難な国民に対しては特に公庫融資を行なうということになっておるのであって、言うまでもなく、被買収者も国民であることに間違いないですよ。ですから被買収者であっても国民である以上、生業のために資金の確保ができない、そのために公庫法によって融資を行なっておるのであるから、従来までにおいても被買収者の諸君の中でも、生業資金を他から求めることができない方は当然この公庫融資を受けておるとわれわれはすでに判断しておったのですが、今までは被買収者であるからあなたには貸さないという、そういう扱いをしてこられたものであるかどうかお伺いします。
○大月政府委員 ただいまのお話の通り被買収者もやはり国民大衆の一部でございますから、被買収者につきましても従来から一般と同じ条件で貸付が出ておると思います。正確な統計はございませんが、特に除外するという運用はいたしておりません。この法案につきましても、そういう前提におきまして、特に国民金融公庫法の特例を設けるということでなしに、現在の国民金融公庫法の業務の中でこれの融資を実行するわけでございますので、法案自体は出資の関係だけしか出ておらないわけでございます。
○芳賀委員 先ほど局長の言われた点によると、被買収者調査会とは何ら関係がない、全く無縁のものであるということですが、それではお尋ねします。国民である農地被買収者に公庫融資とかいろいろな種目で貸し出されておるわけであります。たとえば普通貸付、特別小口貸付、遺族国債担保貸付、母子家庭貸付、恩給担保貸付、引揚者国債担保貸付、災害貸付、特別更生資金貸付、更生資金貸付、一応九種類あると私は考えておるのですが、貸し出しの現況の中において、この九種類の貸し出しの中で、これらの資金はどうしても公庫から借り受けしなければならないという被買収者の諸君はそれぞれの種目の中にどの程度入っておるか。こういうことを調査しなければ、政府の責任で公庫法の性格を変えるような全く異質な改正は行なえないと私は考えておるので、その根拠であるところのこの貸し出し種目別の内訳において、現行制度のもとで被買収者の皆さんにそれぞれ一体どの程度貸し出しを行なっているか、この点は大事な点ですから、具体的に数字をあげて説明を願いたい。
○大月政府委員 先ほど申し上げましたように、対象といたしましては被買収者も当然含まれておりますから、当然貸し出しを実行いたしておると思いますが、従来は特別な範疇として取り扱っておりませんから、正確な統計は持っておらないわけでございます。
○芳賀委員 それでは法律改正が必要であるかどうかわからないでしょう。現行制度の中において、国民であるところの被買収者に対してそれぞれの種目で貸し出しを行なっておるが、これでは不十分であると、さらにもう一つ貸し出しの種目を起こして貸し出しを開始しなければ、被買収者の皆さんに対しては配慮の道が他にない、その判断材料としては、この九種類の貸し出しの中に当然含める被買収者に対する融資の内容というものがわからなければ、法律改正の必要性は出てこないと思うのですが、これはいかがですか。
○大月政府委員 今般の法律改正は、原資の面の改正でございまして、貸し出し面における改正はないわけでございます。そういう意味で、従来の国民金融公庫の性格、業務の中において措置するわけでございます。ただ現在までにやっております業務の分類のほかに、被買収者に対する貸付という項目を今度新たに起こしたいというわけでございまして、従来も国民金融公庫の第一条、第十八条に基づきまして、先ほどお話がありましたように、各種の貸付をやっておるわけでございますから、一般貸付でございますとか、小口の貸付でございますとか、あるいは更生資金の貸付でございますとか、全部これは分類はしてございますけれども、これは制度の運用上いろいろな種類の分類をいたしまして、外部によくわかるような形でやっておる。しかし法律上の根拠は全部一本でございます。ただ例外といたしまして、恩給担保の貸し出しだけは、恩給受納者に対しまして恩給担保で貸し出しができるという特別法がございますが、それ以外のものにつきましては、全部一条及び十八条の運用としてやっておるわけでございまして、今回の措置もやはり同じでございます。そういう意味で、法律上新しい問題はない。それじゃどうして格別にこれだけの問題となっておるかということだと思いますけれども、農地被買収者のいろいろな問題が今議論になっておりますように、非常に重要な問題になって参りまして、特別にこれに対して一定のワクを設けまして融資上の措置を講ずるということは、政治上適当であろう、こういうことから新しい分類を設けることにいたしたわけでございます。そういう意味で、これは法律上の問題ではなしに、公庫の運用上の問題であるというように考えるわけでございます。
○芳賀委員 そうじゃないのですよ。そうでないということはこの提案理由の中でも明らかになっております。私の聞いておるのは、現在公庫から九種類の貸し出しを行なっておるでしょう。この中にはそれぞれ農地被買収者と認められる人もこれは当然あるわけですね。被買収者の中に困窮階層が多ければ多いほど、他の金融機関から融資を受けることができないから、当然この公庫融資を求めるというところへ集中してくる傾向を示さなければならぬわけです。そういう特異な現象が出てきて初めて、これは一般貸し出しだけでは処理できないから、新たに被買収者を対象にした生業資金の貸し出しの道を公庫融資の中で設けるということであれば、これは意味があるかもしれませんが、内容が全く不明確のまま、政治的な配慮に押されてばく然とそれでは改正しましょうというような当局の態度というものは、われわれは理解することができないのです。
○大月政府委員 具体的に例をあげてお答え申し上げますと、ただいまお話のございました九種類の貸付でございますが、恩給担保貸付だけは特別法がございますけれども、その他の貸付につきましては、全部国民金融公庫法に基づいた貸付でございます。そういたしますと、たとえば普通貸付、特別貸付のほかに更生資金貸付がございます。これは金利六分で貸しておるわけでございますけれども、しかしこれは法律的に申しますればやはり第一条及び第十八条の貸付でございます。それから引揚者国債担保貸付、これは金利六分で貸しております。これにつきましても、金利は六分でございますけれども、別に法律上の根拠を別にいたしておるわけではございません。そういうように国民金融公庫はいろいろな事態に対応いたしまして各種の範疇を設けて貸し出しをいたしておるわけでございまして、従来この中にまざっておりました被買収者に対する貸付を今度一括して特に一分類を設けて、それに対して金利上の優遇措置を講じようか、こういうことでございますので、従来の運用の問題と完全に同じことでございまして、法律上の問題はないわけでございます。今回提案申し上げておりますのは、そういう問題ではなしに、出資を二十億増加する、こういうだけの法律改正でございます。
○芳賀委員 私の繰り返して言っておるのは、既往の貸付の中においてどの程度農地被買収者に対する貸し出しが行なわれておるか、これが分明しないと、今後の必要性というものが裏づけされないと思うのです。そういうことが全く不明確のまま被買収者に貸し出しをする。これは貸しっぱなしでくれるというなら殺到するかもしれぬが、三年なら三年で返せということになれば、どの程度被買収者から資金需要が起きるかということはわからぬでしょう。
○大月政府委員 従来は一般の条件で貸しておりますし、今後、ことしからかりに新しい条件で貸すということになりますれば、また別の面で需要も起きてくるだろう、こういうことも考えられるわけでございます。そういう意味で、正確に何名、どのくらい来るであろうかということは、率直に申しまして、そうはっきりはいたしておりません。本年は二十億ということで適当であろうという判断をもって考えておるわけでございます。
○芳賀委員 この点は了承したのではないわけですが、次に、公庫法によって新たに業務を拡大する場合、これは国民金融審議会に大蔵大臣が諮問して、審議会の議を経て措置しなければならぬということになっておりますが、国民金融審議会に対してこの種の案件をいつ大臣が諮問して、どういうような意見、答申があったか、その内容について明確にしてもらいたい。
○大月政府委員 現在、この問題に関しまして国会においていろいろ御論議のある段階でございますので、われわれは今の段階で今すぐ別ワクで融資をすることは適当でないという判断を持っておりますから、まだ審議会に諮問いたしておりません。この法案が通過いたしまして、原資の関係がはっきりいたしますれば、われわれが前提といたしております全体の貸し出し計画が実行できるわけでございますので、そのときに新たに審議会に諮問いたしまして、御了承を得て実行いたしたいと思います。この審議会は大体において四半期に一回ずつ開くことになっておりますから、この法案の通過の時期によりまして適当な時期に諮問いたしたいと存じております。
○芳賀委員 どうも大月さんの答弁は詭弁ですね。ほんとうにまじめに問題に取り組んで責任ある答弁をせずに、ただ三百代言的にその場のがれに何か言葉を並べておれば時間がたつ、そういうのが大蔵省の官僚の風習ですか。参考までに聞かして下さい。どうもまじめに問題と取り組んで、責任のある答弁をするというような態度には見受けられないが、そういう態度が大蔵官僚の特徴であり、風格であるか。その点はどういうように自己判断されておりますか。
○大月政府委員 私けさから繰り返し同じ御答弁を申し上げておるわけでございますけれども、要するにわれわれの公庫の資金計画から申しますと、原資の面における計画と貸し出し計画と両面にバランス・シートが分かれるわけでございまして、ただいま御提案申し上げておりますのが資金計画の原資のうちの出資に関する面でございます。貸し出しにつきましては特に法律改正は要らないわけでございますので、今回の法律の中にはそれは触れておらない。そういたしますと、この出資の法律が通過いたしますれば、原資千四百四十八億の金が確保できることになりますので、その後において運用計画として千四百四十八億をどういうように使っていくかということが確定するわけでございます。千四百四十八億の中で、われわれの予定といたしましては二十億をこの農地被買収者に使っていきたい、こういうことでございますので、われわれ三百代言的というようなお話がございましたが、どうも経理の感覚から申しますと、原資の面と運用計画というものは二本立になっておりまして、金額が同じであるので、それがひもつきというようにお考えかもわかりませんけれども、原資の面は千四百四十八億という点において、資金源がどうありましても全部糸目はつかない、一本の金になってしまうわけでございます。一本になりました金をどういうように使っていくかという問題でございますので、どうもこれ以上私としては説明する方法がちょっとわからないのでございますけれども、経理面からいえば今申し上げた通り御説明するよりほかしようがないのではないかと考えております。
○芳賀委員 大蔵大臣が来られたので、大臣に質問しますが、先ほど来政府委員に種々質問しておるけれども、まじめな答弁がなかなか得られないわけです。あなたは率直な人ですから、私も端的な質問をいたしますが、第一点は、本法案の改正の趣旨は、農地被買収者に対して国民金融公庫から生業資金の貸し出しの道を新たに開く、そのために政府出資の従来の二百億をさらに二十億円増加して——増加することは法律改正の中に明確になっておりますが、その改正を行なって被買収者に対して二十億円の生業資金の貸し出しを行なう、こういう趣旨で改正法案が出されたというふうにわれわれは受け取っておるわけですが、この点は大蔵大臣として間違いありませんか。
○田中国務大臣 この国民金融公庫法の改正を表から見ますと、二百億の政府出資に二十億を。プラスして二百二十億にしたいということでありますから、原資をふやすというだけの改正案でございます。私は、先ほど前大臣の提案の趣旨説明を読みましたところ、農地被買収者に対して二十億円の貸付を行なうという事実を明らかにいたしておりますので、法律上、理論上からいいますと、この二十億がなければ現在の資金の中で農地被買収者に貸されないということはないのでございますから、理論上からいいますと、二十億の原資の増加ということだけが、この法律案の提案の趣旨であります。しかし、先ほど事務当局は、農地被買収者に二十億のワクを認めるために二十億を出したのではないという答弁をいたしましたから、ただいまの御発言になったと思いますが、この議論は詰めていっても、国民金融公庫法の建前が、原資と年間の融資先というものをあらためて法定するという主義になっておりませんので、理屈の上からいうと、この二十億と貸付ワクの二十億が、平仄を合わしたようにちょうど二十億になっておりますので、同一に論じられるかもわかりませんが、法理論上は関係ございません、こういう答弁をしておるのだと思うのです。私もそういう答弁をせざるを得ないのですが、しかし政治家としてどういう答弁というと、あなたのように、時を同じくして二十億というワクと二十億の政府出資がここに出ておるのだし、しかも大臣の提案理由の説明には、あらためて二十億の貸し出しワクをつくりますということを書いてありますから、あなたが両方の二十億というものが同一だというふうにお考えになることもまたむべなるかな、こう思うのですが、理論上は確かに事務当局が言うようなことで、一つ御理解賜わりたいと存じます。
○芳賀委員 単に二百億に対して二十億円の出資の増を行なう、これが表玄関から見た場合の改正の内容で、裏からながめた場合は、被買収者に対して二十億円の生業資金を貸し出す道々開くためにこの出資増を行なった、こういう大臣の答弁であるというふうにこれは理解しておきます。 その次にお尋ねしたい点は、法律の第一条によると、一般国民が銀行その他一般の金融機関から生業資金を借り受けることが困難な場合に限り国民金融公庫から生業資金の貸し出しを行なうというのが、この法律の目的ですね。そうであれば、農地被買収者ももちろん国民であることに間違いはない。ですから、被買収者であって、他の金融機関から生業資金を求めることができない気の毒な人たちに対しては、従来もこの法律の適用によって貸し出しを行なっておったはずではないか、行なうのが当然であったとわれわれは思っておるが、その内容が、この貸し出し種目九種類ありますけれども、それぞれの分類の中で、従来どの程度被買収者に対して資金貸し出しを行なっておったかという私の質問に対しては、当局は何ら答弁の材料はないわけです。ですから、別途に被買収者に対して貸し出しの道を開かなくても、国民である限り、他の金融機関から借り入れができないという人に対しては、当然、従来の規定、現行の法律根拠によって積極的な貸し出しができるはずになっておるにもかかわらず、これを怠って、怠ったことによって、今度は新規に貸し出ししなければならぬという、そういう間違った考えの上に立っておるのではないかということを先ほどから質問しておるわけですが、この点はどう考えるのですか。
○田中国務大臣 御説の通り、他の法律には被買収者なるがゆえに貸し付けてはならないというような規定はないのでありますから、この国民金融公庫法によっても被買収者を一般の貸し出し申込者として同列に扱えば貸付ができるわけでございます。しかしこの政府の提案理由を読みますとわかります通り、昭和三十七年度におきましては、三十六年に引き続きまして普通貸付及び恩給担保等の貸付を増額いたしておりますということを明確にしておるわけであります。これはきっと、この大蔵委員会において在来一三十六年よりも三十七年度はよけいにしなければいかぬという御発言、御決議等がありますから、そういうものに政府がこたえてお答えしておるわけでありまして、普通貸付のワクは千二百六十億円、それから恩給担保のものは百五十七億円、更生資金貸付のものが合計十一億円ありまして、現在二百億の政府出資を持っておる三十七年度の融資の原資をもってしては、こういうふうに全部使うように金額では予定いたしておりますので、この中に農地被買収者の問題を入れるとすれば、総ワクにおいては不足するわけでありますから、二百億プラス二十億にして総ワクの中でやろう。ではこの法律改正によってなす二十億はそのまま農地被買収者にいくのではないかというふうにおとりになるのも一つの見方だと思いますが、これは……(「いくかもしれない。」と呼ぶ者あり)今の御発言のようにいくかもしれないのですが、いかなければならぬということには、この法制上なっておらないのであります。でありますから、そういう意味で……(「提案理由にはそうなっておる。」と呼ぶ者あり)私も先ほどこの提案理由を見まして——こんなことを言うとしかられるかもしれませんが、田中はほんとうに思ったことを言え、こういうことでございますから申し上げるとすると、これはただこの法律案の二十億円を増資するということだけを提案理由で御説明しておけば、実際問題としては農地被買収者に貸すことはできるということを事務当局も答弁しておるのですから、私はその通りだと思うのですが、提案理由では非常にはっきりとした、農地被買収者に対して貸せるのですということを申し上げておるわけです。なぜこんな、場合によっては要らないことを言ったのか、こういう議論が起こり得るわけでありますが、これはやはり社会にこういう大きな問題が起きておるのでありますし、政治的な配慮に対しても、また議院を尊重するという建前においても、今までのものに黙ってプラス・アルファをつけたんだというふうなことをするよりも、明らかに農地被買収者に対して二十億の貸し出しワクをつくりますということを赤裸々に院に訴えることが院を尊重することだということで、大蔵省といたしましては、これから貸し出しワクを設置する予定である考え方までまじめにお示し申し上げたわけでございまして、この間の事情は一つ御理解賜わりたいと存じます。
○芳賀委員 今のあなたの御答弁はなかなか率直ですが、どうも論理に矛盾があると思う。聞き取りようによっては、資金ワクをふやしたんだからいいじゃないか、もちろんそうです。われわれとしても、今の公庫融資の原資の増加の問題と貸し出し条件等については、全面的にこれを改善する必要があるということを痛感して、国会においても指摘している点ですから、ワクの増加をはかるという点については異論がない。ですから、ワクがふえれば、国民の中に包蔵されておる被買収者の諸君についても従来以上に手厚い貸し出しができる、特に被買収者とうたわなくても、生業資金のなかなか得がたい気の毒な国民の皆さんに対しても貸し出しができる、そういう純粋な意図でこの法律の改正をやられるということであれば、われわれは別にこれを拒むものではないわけです。提案理由なんというものは、こんなものは現在大臣の説明された趣旨によって、その提案理由の誤まりというものは完全に是正されておるのだから、あなたの答弁通り、何も特別に被買収者に貸し出しの種目を設けてやる考えではないのだということであれば、この次元で提案理由の誤りというものは大臣の明快な答弁で是正された、そういうふうに理解して差しつかえないのでしょうか。
○田中国務大臣 この国民金融公庫法の建前から言いますと、先ほどから申し上げておりますように、政府出資二百億プラス二十億、いわゆる二十億を出資追加をするというだけのことを審議をお願いをいたしておるわけでありますが、政府当局といたしましては、本案を提出をする場合に、三十七年度の問題については、先ほど申し上げました通り三十六年度に引き続いておる一般の貸付ワクはこれだけ、恩給担保のものはこれだけということをずっと申し上げておりまして、特に農地被買収者に対しては、ではそれを今までの普通のワクの中で、千二百六十億の中で使われるのか、ワクは一体百億も二百億もやるのかというようなことの疑問をお持ちになっていただくことについては政府は真意でもありませんし、しかも事務当局がきっと申し述べたと存じますが、九分のものを、災害のワクやその他と同じように、六分五厘としたのはどういうことかということですが、農林関係の貸し出しが六分五厘でございますから、そういうものに合わせて六分五厘という貸し出しを行なって、しかもその総ワクは三十七年度に関しては二十億をこさないこういう考え方を赤裸々に申し述べただけでありまして、その間の事情は私が今申し述べたようなことで……(「申し込みが殺到してこえた場合にはどうする。二十億で切るのか」と呼ぶ者あり)農地被買収者に関しましては二十億を限度として貸し付けたいということを申しておるのでありますから、ここで申し上げたことに関して二十億をこすような貸付は行なわない、こういう考えでございます。
○堀委員 今大蔵大臣は二十億を限度として貸し付けることで、これをこえないといいますが、現在貸し付けておるものの中がわからないで、ここでさっきから何回も質問が出て、現在農地被買収者に対して幾ら貸し付けているのかわからないのに、限度をこさないように貸し付けるなんという芸当ができるのですか。
○田中国務大臣 これに対しては提案の理由で申し上げておるように、農地被買収者で生業資金の融通を銀行その他一般の金融機関から受けられないものに対して二十億を限度としてと明確に言っておりますし、これが受付に対しては農地被買収者であるという証拠を提出せしむるように、事務当局では考えておりますので、二十億をこすようなことはないと思っております。
○堀委員 それは一般論として言えば、すでにこれまで農地被買収者に対しても貸付が行なわれておるということを政府が認めておるじゃないですか。そうすると一体現在その農地被買収者に対して、利率は別ですが、これから二十億をこえないというのは、この新たなる貸付、それが二十億をこえないということなんですね。どうですか、そこのところをはっきりして下さい。
○田中国務大臣 新たに二十億のワクを設けるのであります。
○芳賀委員 この改正案を出す場合先ほど私が指摘した点は、公庫の業務の範囲を拡張するような場合、当然大蔵大臣は国民金融審議会に諮って、審議会の議を経て事後の措置を講じなければならぬということになっておるので、このような公庫法の性格を変えるような改正を企図され、このような改正案を提出する場合には、大蔵大臣として当然事前に審議会の議を経るという過程が必要ではなかったかと私は考えておるのですが、この点に対する大臣の所見はいかがですか。
○田中国務大臣 本件に関しましては、本法案が通過をいたした後、審議会の議を経て、貸付を行なうということに対しては慎重を期するつもりでございます。
○芳賀委員 それでは前後転倒しておる、前後を誤っておるというふうに私は思っておるが、かりに百歩譲って、法案が成立してから審議会にかけるとしても、もし審議会の意見がこういう特別の法体系を乱すような被買収者に対する特別の貸付というものは行なうべきでない、こういう意見やあるいは答申が出される場合もあり得ると思う。そういう場合にはこの法律に基づいて設置された審議会の権威を尊重される考えであるのかどうか。その点はいかがですか。
○田中国務大臣 この法律案が通過した後審議会の議を経て決定をいたすわけでございますが、しかし、この法律が通過をするということは院議が通ることでございます。しかし行政府としては、審議会の答申に対しても尊重をするという建前でございますし、当然尊重をしなければなりません。私その意味において審議会で院議に反した決議が行なわれて、貸し出しをしてはならないということになれば、政府は相当苦境に立つと思いますが、私は院議がきまれば、十分政府の考えを説明して、政府の考え通りの御答申が得られるものと確信をいたしております。
○芳賀委員 それは違うじゃありませんか。たとえば法律によれば、この審議会の性格というものは、たとえば毎年度の資金計画と業務方法に対するそういう基本的な問題に対しても意見を述べる、そのために四半期ごとに定例の審議会を開くということになっておって、政府が内閣提案として責任のある立場で法案を提出する場合は、成立すべきものと判断して出されるわけであって、その場合に国会がそれでは審議会の考えはどうなんだと聞かれた場合、そういうことをあらかじめ考えた場合には、提案前にこのことについてもあらかじめ審議会の議を経るということは、これは当然のことであると私は考えますが、私の考えは間違いですか。
○田中国務大臣 審議会の議は尊重いたします。尊重いたしますということは、政府が企図しておるような、農地被買収者に対して貸し付けることができないという審議会の御答申はないと確信をいたしておりますが、しかしあれば貸し付けることはできないという原則をとっております。
○芳賀委員 次にお尋ねしたい点は、公庫が新たな貸し出しを行なう場合は、これは業務方法書に内容をゆだねておるわけですが、すでにこれは法案審議をする場合は、たとえば必要な政令であるとかあるいは業務方法書についてはあらかじめ用意して、法案の審議と並行して、委員会が審議上必要と認める場合には、いつでも提出できるという体制をもっておるのが当然でありますが、これについてはどういうような用意があるか。必要な政令とか業務方法書についてはどういう内容を用意しておるか、主要な点だけでけっこうですからお示し願いたい。
○大月政府委員 これの運用につきましては、国民金融公庫の業務方法書に基づく内規で運用できることになっております。
○芳賀委員 それではたとえば業務方法書については、被買収者に対する貸し出し等については、貸し出しの方法とか条件、これはもちろん金利とか、償還年限とか、償還の条件とか、貸し出しの要件とか、そういうものはすべて業務方法書にうたうわけでしょう。ですから、その点については、現在の業務方法書の内容改正についてはどういうものを用意しているかということを私は今尋ねておるのですが、その点の説明を願いたい。
○大月政府委員 業務方法書に基づく内規によりまして国民金融公庫できめるということになっております。今考えておりますのは、ほかの貸付条件は他の一般貸付条件と同じにする予定でございますが、金利に関しましては、一般の原則は九分でございますが、六分五厘程度にするのがいいのではなかろうかと考えております。
○臼井委員長 関連質問の申し出がありますので、これを許します。春日一幸君。
○春日委員 ただいま大蔵大臣が御答弁なすった中に、聞き捨てならぬ一言があったと思います。と申しますのは、この法律が通っても、審議会の答申の結果、農地被買収者に貸し付けてはならぬと答申がなされた場合、これは貸すことはできないのだ、こういう答弁がありましたが、はたしてそういうものでありますか。
○大月政府委員 詳しくその法律関係を申し上げますと、国民金融公庫の原資の点につきましては、出資と借入金と回収金とございますが、回収金及び借入金につきましては、これは予算において御審議を受ける対象にはなっておりません。出資につきましては、一般会計からの出資でございますから、これは予算事項でございます。それから国民金融公庫がその出資を受けるにつきまして、資本金が増加いたしますので、それを法律的に正確に明示いたしますために、国民金融公庫法の改正が要るわけでございます。それがただいま御提案申し上げております二十億の出資の問題でございます。それから国民金融公庫のそれだけ三つの原資からなる金でどういう貸し出しをやっていくかという点につきましては、御参考のために、国会には、今の三つの原資によりまして千四百四十八億の貸し出しを予定しておる。それについてこういう貸し出しを予定いたしておるということは、予算の参考書において御説明申し上げております。しかし、これは参考書でございまして、一応御提案申し上げたときの政府の意図でございます。しかし、現実に貸し出しを実行いたすにつきましては、原則として四半期ごとに国民金融審議会の議を経まして、それに四半期ごとの運用計画を提出いたしまして、それの議決を経てその通り実行する、こういうことでございますので、かりに国民金融審議会におきまして、この被買収者に対する貸付は適当でないということで、それはやってはいかぬということになりますれば、政府はそれに従う義務があります。しかし、それを否決するかどうかというような問題は、これは政治問題でございまして、これだけ御審議願いまして、その前提として国会でもいいとおっしゃるものを、特別の重大な支障がない限りそれは大体御了承願えるものと予想していいのではあるまいか。しかし、法律論といたしましては、否決されればそれは実行できないという建前になっております。
○春日委員 それでは国民金融審議会でだめだと言ったら、法律が通ったってだめなんですね。今その法律を通そうとしているのは、農地被買収者に対してこの二十億を融資しようと思って法律がここに審議されておる。まさに成立するかどうかわかりませんけれども、いずれにしてもとにかく審議されておる。ところがこんなものを通したところで、審議会の意思というものが明示されるにあらざれば、われわれの立法行為は実際効果を現わさないわけなんですね。だとすれば、今こんなものを急いでやったところでしょうがないじゃありませんか、そういうことを、少なくとも審議会が法律に基づいてそれだけの権能があり、政府は審議会の答申に従う義務がある。立憲法治国においては、その法律の条章を変更するにあらざれば、審議会の答申に反して行政執行はできない。法律が通ったってだめなんですね。だとすれば、その審議会の答申が明確に明示されるということがすべての前提であって、立法行為はそのあとで差しつかえない。執行できない法律を寸刻を争って通したってしょうがありません。本会議が済んでみんな散ってしまったのに、大蔵委員会だけ残業して一生懸命やっておるが、何らかいなき努力をわれわれは払っておる。こういう事実関係がつまびらかになったか、そんな調子のものですか。
○大月政府委員 今の御質問は、裏から考えてみれば御了解願えると思うわけでございます。かりに出資をしないということになりますれば、今政府で考えております貸し出し計画の中で、二十億を削らなくてはいかぬ、こういうことになると思います。そういたしますと、具体的に何を削るかということでございますが、これは法律的に申し上げますれば、必ずしも被買収者に対する貸付を削る必要はないわけでございまして、一般の貸付を削るとか、小口貸付を削るとか、あるいは更生資金貸付を削る。それはもしこの出資がいけないということになりますれば、二十億をどこから削るかということは、われわれが十分慎重に考えて、かつ国民金融審議会にお諮りして決定することだと思います。ただ、こういうようにわれわれが貸し出し計画全部千四百四十八億の内訳を一応申し上げまして御審議を願っておるわけでございますから、そのうちで、これだけ農地被買収者に対する問題が問題になり、それがいけないというような実質上の御意図をもって、かりにこれが否決されたにもかかわらず、それを国民金融審議会にお諮りしてやろうということは、政治的に適当でないと判断いたしておりますが、法律論をやりますと、それについて審議会に諮ってやるということは可能ではございます。しかし、これは金融審議会の良識に待つべき事項である、かように考えます。
○春日委員 とにかく法律に基づいたその審議会の意思というものを、予見したり断定したりして立法行為を行なうということは適当ではないと思うのです。私は、やはりその審議会の権能というものは、法律に基づいて国民の名において信託されておるのですから、彼らが忠実にその職権を行使して、そうしてその意思が明示された後において、審議会の答申もこれこれであるから、従って融資は可能である。融資は可能であるが原資がないので、原資増強のために二十億の出資を加えるべし、こういう立法行為がここに必要になってくるのであって、本日の段階においては、審議会の意思が何ら明示されておらないのに、今そこに一歩先んじてこんなことをやったところで何にもならない。私は、今大臣や銀行局長が、審議会の答申というものは、国会においてかくのごとく法律が通されれば、これに反するような答申はないものと予見したり、断定したり、予測したり、そういうようなことは許されてはならぬと思う。機関の意思を尊重するのが民主政治の根幹をなすものだと思うのです。だから、機関を無視するということは、国民金融公庫法のみならず、すべての法律を無視するという態度に通ずるものであって、これは許さるべき事柄ではない。そういうような意味合いにおいて、との問題は、さらに審議会の意思が明示された後に、審議会のその意思を十分勘案しながら、われわれはそのような意思をそんたくしつつ、ここにおいてそれぞれ政策論議を行なうことが適当であると考えるのでありますが、いかがですか。
○大月政府委員 法律的に申し上げますれば、公庫法第二十条に基づきまして、「公庫は、毎事業年度において当該事業年度の予算の添附書類に定める計画に適合するように、四半期ごとの事業計画及び資金計画を作成し、これを大蔵大臣に提出し、審議会の議を経て行うその認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、また同様とする。」ということでございまして、もし今のお話のようなことでございますれば、国会に提案する前に審議会にかけるかということでございますが、それほど審議会の権限を強くしておるわけではございません。むしろやはり国会の御審議を経て、ことしはどのくらい使ってもいい、これだけの出資はするという御意図がきまりましたならば、そのワクの中におきまして、できるだけその御趣旨に合うように運用して参る。それから事業年度四半期ごとに与えられました金額をどうしてうまく使っていくかという意味で御協力願う審議会でございますので、やはり国会の御審議及びその御意図が先行する、こういうふうに考えております。
○春日委員 そういたしますと、大臣の答弁は訂正されなければならぬと思う。審議会の議が経られなければ、承認が得られなければ貸すことはできない、こういうふうに大臣が言われた。すなわち審議会の答申が、農地被買収者に貸してはならないという答申がなされた場合、ときにおいては、この答申を取り上げて政府は貸し出しを行ないません、こういう答弁を大臣はしたから、それならば前後が間違っておるじゃないか、こういうことを申し上げておるのです。今あなたの言われるところによると、国民金融公庫は、金融審議会の議を経て大臣に許可を求める、こういうことになっておれば、ただいまの大臣答弁とは若干ニュアンスがそれは違ってくるじゃありませんか、そうでしょう。国民金融公庫は金融審議会の議を経て大臣の承認を得なければならないということになっておって、大臣はそこにおいてまた承認のアローアンスというものがあるわけです。たとえばそういうことをそのまま大臣はそれに従わなければならないという義務規定はあるのですか。
○大月政府委員 ただいまの二十条によりますと、「審議会の議を経て行うその認可を受けなければならない。」とありますので、この「議を経て」という解釈は大蔵大臣が認可をするにあたりましては、この議を経るを要するということでございますから、この審議会でいけないということを申しますればそれは認可できないと思います。ただ前段にございますように、「予算の添附書類に定める計画に適合するように、」ということが出ておりますから、審議会といたしましては、かりに農地被買収者の問題についてこの四半期には貸さない、あるいはこの四半期には、たとえば一億か二億というようなことをきめて、五億じゃないということをいいますれば、その二億という議決に従って認可をする、こういうことだと思います。
○山中(貞)委員 関連して。さっきまでのやりとり、われわれは与党としてなるべく早くしてもらおうと思って質問もしておりませんし、発言もしておりませんが、しかし与党としても重大な問題であって、答弁のやり方が大蔵大臣も局長も私は非常にまずいと思う、ということは、ここで立法せんとする表は、なるほど二十億を金融公庫に入れるというだけのことですけれども、何のために入れるのだということは提案理由の説明にもおのずと明らかであり、そうしてここの議論においてもそのことが議論になっているのであって、従って、その結果についての賛否は分かれています。しかしこれが法律として施行された場合という前提のある場合の質問です。だから何のためにここでやっておるか。だから審議会の議を経るか意見を聞くとか、いずれにしてもこの法律がなぜ二十億を繰り入れられたかの目的は明らかだから、それについてただいまの法律のあり得ない場合とかあり得る場合という議論をすることはできないことであって、そういう明らかな目的のもとにもし法律が制定せられて繰り入れの事実が発生した場合には、それが否決されるということはあり得ないわけだから、従って、答弁がまずいのであって、目的が明らかな、結果においてそれを実行する場合に、それを否決することもあり得るのだ、従って、それが否決された場合には支出はできないのだというそういうことだから、裏返しにいうと、春日先生のそういう所論も成り立つ余地がある。長時間にわたるから非常に苦しいでしょうけれども、そういう法律の表裏を読んだような議論はやめて、やはり堂々たる率直な意見をやりとりしてもらわないと、私どももこれ以上待っているわけにいきませんから、はっきり申し上げておきます。
○大月政府委員 つい法律論にわたりましたので失礼いたしましたが、国会の御意思がこの法案を通過すべし、こういうことでございましたならば、われわれ御提案申し上げておる農地被買収者に対する貸付、そういうことになりますれば、当然われわれはその中に二十億を含んで御提案申し上げておるわけでございますから、当然それが実行されるように期待いたしておりますし、われわれも努力いたしたいと存じます。
○綱島委員 関連して。一定の範囲の法律は、その範囲においては全体法に優先するわけですよ、ようございますか。この出資の点は、ここでつくる法律は、その法律はその部分においては一般法に優先するのだから、勢い審議会はこの点に左右される、勝手に審議はでき得ないのです。その許された範囲、法律で規定された範囲において審議するのであって、それを審議会が勝手にこれはいかぬとかこれはいいということはできない、今までのあなたの答弁を見ると、この審議会で勝手にされるような考え方だが、この法律はそういうものじゃないですよ。それは非常な間違いだ、そういうことは訂正しなければいかぬ。
○芳賀委員 委員長に申し上げます。 先ほど来の大臣及び局長の答弁を聞くと、どうも法律案の改正の趣旨あるいは法的根拠においても解釈が不統一なんですね、そういう不統一な政府当局の解釈ではこの審議は進められないと思います。これは委員長は一体どう考えられますか。この審議の進行上、私は特に委員長の御意見を聞きたいと思いますか、どう考えられますか。
○臼井委員長 続いて御審議を願います。
○芳賀委員 それでは次にお尋ねしたい点は、これは貸し出しの条件の問題ですが、先ほど来政府から答弁もあった通り、第一条の目的に沿って見れば、被買収者といえどもこれは国民である、国民が金融公庫から資金の借り受けをする場合は、あくまでも銀行その他一般の金融機関から生業資金を借りることが困難である、この前提がなければ、たとえば今後被買収者に新たに貸し出しの項目を設けて融資しようとしても、この法律の目的である原則を変えるということはできないと思うのです。あくまでも他の金融機関から借り入れが困難である、しかも生業資金でなければならぬ、この法律に明らかなように、この法律による貸し出しは困窮者であることによって、救済的な意味で資金の貸し出しを行なうのではないということは、これは法律の第十八条に明記されておるのですね。そうなると、いかに被買収者に貸し出しをしようとしても、従来の取り扱いから一歩も外に出ることはできないと私は考えるわけですが、何か被買収者であるというその資格特権によって、従来の国民に対して貸し出しを行なった点とかわる条件で貸し出しを行なうことになるかならぬか、その点はいかがですか。
○大月政府委員 今回の二十億の貸付につきましても、国民金融公庫法第一条及び十八条の原則にのっとりまして、一般金融機関から貸し出しを受けること困難な者に限り、かつ生業資金に限るという原則はかわりはございません。そういう意味において、かりに被買収者でございましても、今の条件に当てはまらない人に対しては貸さないという原則でございます。
○芳賀委員 初めて大月さんから明確な答弁が今出たわけですね。そうすると、単に条件については金利が九分を六分五厘にしたいという考え方にこれは過ぎないわけです。そういうことであるならば、局長の答弁によれば、たとえば二十億ないし三十億資金ワクがふえたということは、これは公庫の資金そのものが、全体において原資がふえたということであって、そういうような第一条の目的に沿った原則で貸し出しをたとえば被買収者に行なった場合でも、現在まですでに被買収者に対してもそれぞれの項目で貸し出しが行なわれておるということをもあわせて考えた場合、この法律が、われわれは反対ですが、万一成立して実際の運用が行なわれたとしても、具体的に現実的に被買収者の諸君に対してはそれほど大きな資金運用上の恩恵というものはふえないのではないか、そう変わらぬではないかと私は思うわけですが、この点はいかがですか。
○大月政府委員 貸し出しのワク二十億を設定するということが外部に明確になりますれば、いろいろ考えておられた方で借りに行きたいという方が新しくできるであろうと思います。なお、その条件につきまして一般の九分を六分五厘にするという優遇をいたしますれば、それによってさらにまた借り手が出てくる、こういうように考えるわけでございまして、従来の原則よりも一歩前進するというように考えております。
○芳賀委員 これで終わりますが、最後に、局長は調査会の答申や調査とはこれは関係ないと言われていますけれども、先ほど総理府の方から説明があった、この点によると、被買収者の社会的な地位あるいは生活の状態、財産保有の状態等を見ると、一般の国民の中においてもあるいは買い受け者と比較しても、その経済的な条件あるいは社会的な条件を基本にした地位というものは決して低くはないということになれば、国民の階層の中ではむしろ被買収者の諸君は、中には気の毒な人もあるが、総体からいうと、国民の生活水準の階層分布からいうと、むしろ現在の被買収者の皆さん方はどうしても国民金融公庫に殺到して生業資金を借りなければならぬという、そういう状態ではないとわれわれは判断しておるわけです。そうであるならば、目的の原則が変わらないということになれば、たとい二十億の資金源がふえたとしても、金利が九分から六分五厘に下がったとしても、原則を変えない限り、資金に余裕ができたから貸しますということにはならないと思うのですよ。ですからこの点はおざなりの答弁ではなくて、われわれはあくまでこれは反対ですが、将来これが万一通るような場合においても、本日行なわれた大臣並びに政府委員の国会に対するこれは答弁ですから、この線をあくまでもくずさないということは言うまでもないことですが、最後に念のためこれを確認して、これで質問を終わりたいと思います。
○大月政府委員 お話の通り国民金融公庫の一般原則にのっとって実施するわけでございます。
○臼井委員長 佐藤觀次郎君。
○佐藤(觀)委員 内閣審議官の福山さん来ておられますか。工藤昭四郎さんのやってこられた農地被買収者調査会の経過とその大体の主眼点をお伺いしたい。
○福山説明員 調査会は昭和三十五年の六月に法律が通過いたしまして、その後人選等に非常に苦労を重ねました。調査会が正式に発足いたしましたのは三十五年の十二月でございます。その後鋭意努力いたしまして、調査会そのものは十数回会合を重ねまして、さらに具体的な調査計画、調査方法を立案を命ぜられました専門調査員も非常に精力的に活動していただきまして、非常に成果をあげられた、そういうふうに考えております。
○佐藤(觀)委員 そこで、政府に答申した主眼点を、調査会というものはどこまで責任を持たれるのか、その点を一つ。
○福山説明員 調査会としてどういうふうに考えるかということは、調査会そのものが政府ではございませんので、私としてはお答えできないと思います。調査会は、答申した以上はなるべく全面的に政府において実施されることを要望するということは、当然のことであろうと思います。
○佐藤(觀)委員 酒井副総裁にお尋ねいたしますが、一体国民公庫でこういうような金を貸した例があるのか、承っておきたいと思います。
○酒井説明員 貸付のうちには相当農地被買収者に対する貸付があったと思います。しかしそれを私どもは一般と区別して、特に意識して、この方は被買収者だというので貸したということではございません。そういう統計的な数字はとっておりません。おりませんが、一般貸付等についてそういう方もおられると思います。わざわざそういうことを意識して聞いたり統計をとったりはしておりません。
○佐藤(觀)委員 それは国民公庫は原則としては大体こういうような形の資金を貸したということは、原則にないでしょう。そういう例があれば、こういう場合に貸したという例を聞かせていただきたい。
○酒井説明員 国民公庫といたしましては、普通貸付の場合には、普通貸付の条件に合致すれば、被買収者であろうと一般国民であろうと区別しないで貸しておりますし、またそれがほかの恩給担保でありますとか特別小口でありますとか、そういうものでありましても、被買収者とその他とは今まで区別して貸しておりません。中にはそういう方がいらっしゃると思いますけれども、区別した統計は持っておりません。当然国民大衆の中に入りますから貸しておると思います。
○佐藤(觀)委員 非常に無理な法律でありまして、何のために国民公庫に二十億だけを貸し付けるのか、非常に疑問に思いますが、大月銀行局長にお尋ねいたしますが、もしこういうものがあるとすれば、なぜ農林中金にこういうものをやらなかったか、なぜ国民公庫に持ってきたかというその区別を伺いたい。
○大月政府委員 農林中金は農業金融、特にその組合員に対する貸付という一つの限定がございます。今回の場合は被買収者でございましても、都会へ出て商工業をやっておられる方もあるし、あるいは農村に残っておられる方もあるし、いろいろあるわけでございまして、国民大衆というものを相手にして金を貸す機関としては国民公庫でございますので、その適当な方を選んだ、こういうことでございます。
○佐藤(觀)委員 先ほども足鹿委員からいろいろ質問がございましたが、政治運動になってきたからやむを得ないということであれば、今度学徒出陣の犠牲者の運動や、戦災者のような人が団結をして政治運動をやるような場合にも、国民公庫は貸す方法があるのかどうか。同じケースでありますが、そういう点はどういうふうに考えられておりますか、この点一つ。
○大月政府委員 そういうようないろいろな場合において、一定の声が各方面から起きるということは予想されることでございますけれども、その場合場合によりまして、政府として取り上げるべき声であるか、あるいは別途何らか措置すべきものであるか、あるいはごかんべん願うべきものであるか、そのつど実情に応じて考えるべきものだと考えます。今の被買収者の問題につきましては相当政治的な配慮を要する問題であるとして今回措置いたしたわけであります。
○佐藤(觀)委員 ほんとうは大臣にお伺いしたいのでありますが、一体こういうような貸付をやる以外には、地主の補償などという問題については政府はどんなように考えておられるのか、これは原田政務次官にお伺いしたいと思います。
○原田政府委員 政府は先般もお答えいたしましたが、この地主の問題について調査会に諮問をいたしました。一方自由民主党の方でもこの農地被買収者の問題について党議で決議がされておるのでございます。これらを勘案いたしましてどうするかということを検討中でございます。
○佐藤(觀)委員 今農村の困っておることは農林次官もよく御存じだと思いますが、何らかの方法で、こういうような無理な法律でなくして旧地主の人に対して救済の道を考えたことがあるのかどうか、これは農林政務次官にお伺いいたします。
○津島政府委員 現在の農地被買収者の現状というものはやはり急に環境が変わりましたために非常な苦労をしておる人が多いのであります。これに対しまして、先ほどここで大臣が繰り返し申し上げておるごとく、その買収が合法的であったとは申しながらもそこにまた気の毒な面がある、何らかのまたよく納得さるる方法で救済の手を差し伸べるのが政治ではないかということをいろいろと考えた結果、ただいまの法案は非常に合理的であって、まずこの程度のなにはどうしても通していただきたい、こういうことからこの提案に対しては大いに支持いたしておる次第でございます。
○佐藤(觀)委員 津島さんは青森県の県知事を長くやっておられまして、青森県の県政を長くやっておられたと思うのであります。あなたの方の青森県では、これとは別ですけれども、そういうときにどういう方法でこれを救済しようと思われたことがありますか、青森県知事の時代のことでけっこうです。
○津島政府委員 やはりただいまも申し上げました通り、最も合理的なもの、納得のいく方法といいますとただいまのような一定の金額をできる限りの低利で融通することが一番よろしかろう、かように考えております。
○佐藤(觀)委員 いろいろこの法律に疑義がありまして、先ほども農地委員会の問題が出ておりましたけれども、この法律に非常に無理があるということは先ほどの春日委員からの大臣や大月局長に対するいろいろな質問の中でもわれわれは非常にはっきりしたわけであります。そこで、こういうような国民公庫に二十億の別ワクをつくってやるということは将来の国民公庫の発展上支障を来たしはせぬか、あるいは貸付限度その他の問題についていろいろ繁雑な問題が起きやせぬかということを憂慮しておるわけであります。そういう点について大月銀行局長はどんなようにお考えになっておりますか、伺いたいと思います。
○大月政府委員 国民金融公庫といたしましては、国民大衆に対しましてできるだけ親切に、かゆいところに手の届くようにいろいろな実態に応じて貸し出しをやるのがいいことだと思います。そういう意味で、貸し出しにつきましても今数種類の種類に応じまして、更生資金とか、恩給担保とか、あるいは特別小口であるとか、いろいろやっておるわけでございます。災害ができればまた災害に応ずる、いろいろやっておりますので、その一つとして今般この被買収者に対する貸付の制度を別ワクとしてこしらえるということは、今の時期として非常に適当であろうと考えます。今後も何らか別に必要なそういう別ワクの融資の必要があればどんどんやっていきたいと思います。
○佐藤(觀)委員 そこで、この法案がかりに通ったといたしましても、将来二十億以上の資金ワクをふやすような必要が起きた場合にはどういう方針でやられますか、この限度割でいくのかどうか、その点を伺っておきたいと思います。
○大月政府委員 昭和三十七年度の計画といたしましては二十億が適当であろうという判断で予算的な措置を講じておるわけでございますが、これはまた三十八年度は三十八年度で別途研究すべき問題であろうと考えます。
○佐藤(觀)委員 来年度はまたふやす意思があるのですか。
○大月政府委員 運用の実態に応じまして、その実績を見て別途白紙で考えるべきだと思います。
○佐藤(觀)委員 どの限度までずっとおやりになりますか。来年、その後も必要があればどんどんおやりになるのですか。
○大月政府委員 三十七年度としての意思決定はいたしておりますが、その後のものにつきましては運用の実態を見て慎重に考えるべきものだと考えます。
○佐藤(觀)委員 来年から減らすとか全然やらぬというような意思があるかどうか。
○大月政府委員 ことしの運用の実態を見て慎重に考えるべきものだと考えます。
○佐藤(觀)委員 それではこの二十億という限度はどういう数字的な感覚で二十億というように規定されたか、その点の根拠を伺いたいと思います。
○大月政府委員 ただいまの国民金融公庫の平均の貸付金額が二十万ないし二十五万、先ほど新規では三十万、こういうことでございますので、それを見合いますと、大体一件二十万といたしますと二十億円で一万件、二十五万円といたしますと八千件、そのくらいのところが適当だというように考えて措置いたしたわけでございます。
○佐藤(觀)委員 将来予算の問題でどの程度あればあなた方の趣旨に沿うようなあれになっておりますか、この点を伺いたいと思います。
○大月政府委員 本年度の運用の実態を見て慎重に考慮すべきものだと考えております。
○佐藤(觀)委員 大月君がいよいよ月並みの答弁をされるようになりましたが、非常にわれわれとしては残念に思います。 最後に、国民公庫の副総裁に、一体国民公庫はどういう態度でこういう問題を処理されるのか、私は、こういう法律が通った場合にはいろいろ問題が起こると思いますが、そういう点の対策が一体国民公庫としてできておるのかどうか、そういう点を酒井副総裁に伺っておきたいと思います。
○酒井説明員 国民金融公庫は政府機関で、大蔵省の監督下にございます。大蔵省からこういう施策をやれという大筋のお話がありました場合に、これをどういうふうに運用していくかということにつきましては、監督官庁である大蔵省の銀行局とよく御相談をいたしまして、取り扱い上これが方針をきめていきたいと思っております。
○佐藤(觀)委員 いろいろ問題があるのでありますが、時間がなくなりましたから、非常に疑問のある問題がありますので、慎重な態度をとっていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。
○臼井委員長 本案並びに修正案に対する質疑は、これにて終了いたします。
○臼井委員長 これより本案並びに修正案を一括して討論に入ります。通告がありますので、順次これを許します。武藤山治君。
○武藤委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題になりました国民金融公庫法の一部を改正する法律案に対しまして、反対の討論をいたしたいと思います。民社党も同様反対の趣旨のようでございますので、民社党も含めて反対の討論をいたしたいと思います。(拍手) 本案を審議いたします過程で、非常に不明朗なる、数字も根拠も明らかにならないまま本案が採決されることは、まことに不愉快でございまするが、私は以下数点を上げて、私どもが本案に賛成できない理由、積極的な反対の理由を述べて、皆さんの一考をわずらわしたいと思うのであります。 この改正案は、国民金融公庫法第五条中資本金を増額するものであるから、その点のみでは異論はないのでありまするが、しかしその増額される二十億円を特定の旧地主のためにのみ融資するという不公平な、一般国民大衆と比較して特別な恩恵を与えるという点に、私どもはまず大きな不満を持つのであります。 反対の第一の理由は、本案が提出されるに至った背景が非常に不純であるからであります。講和条約ができて以来、旧地主は、農地法の改廃、地主救済の国家補償を要求し、地主の結集をはかり、各地で運動を展開して参ったことは御承知の通りであります。しかし昭和二十四年十二月二十三日、最高裁判所は、農地改革による農地買収価格は違憲ではないと判決を下し、さらに東京地方裁判所におきましても、同様な判決が下っておるのであります。その判決後は、昭和二十九年十二月に下条康麿氏を会長に、その後田中万逸氏が会長になって、全国農地解放者同盟として国会に猛烈な波状陳情を続けてきたことも、われわれはこの目で見ておるのであります。この旧地主の圧力に屈し、政治的配慮と称して、調査会の結論が出る前にすでに予算措置を講じて、前国会に提案をするがごときは、まことに政治の正しい姿勢を誤るものであって、その制定の理由、根拠がまことに不純であるという点が、私はまず第一に指摘しなければならぬ点であります。 第二には、その内容でありまするが、旧地主の生業資金を特別に二十億円ワクをきめるということは、現在の国民金融公庫法の業務方法書やあるいは法律そのものの精神と比較をして、現在業者が金を借りる場合には一年以上の経験を有するもの、さらに一般貸付は年九分の利息という規定、こういうような点から考えてみたときに、今回は旧地主だけ特別に二十億円のワクを設定し、さらに利息も災害と同じに六分五厘という低利の金融をするというに至りましては、まさに旧地主に対して特別な恩恵を与えると断じてもはばからないのであります。かかる法改正は、法の前に平等であるべき国民大衆を取り扱う際に非常な悪弊をつくる法律であると私は思うのであります。もしこういうことが許されるとするならば、敗戦直後郵便貯金をした国民大衆は、インフレによってその貨幣価値が下がり、多額の損害を受けておる、あるいは外地から引き揚げた人たち、あるいは財産を失い、生命を失った人たちに対する特別なる厚い保護というものも、今日の国民金融公庫法では担保を入れてすら、あるいは自分の恩給証書を入れてすら、年六分の利息であります。そういう点と比較してみますときに、旧地主だけ六分五厘という低利長期の金融をするということは、まことに法の前に平等であるべき精神をじゅうりんしている不公平な取り扱いであると私たちは思うのであります。かかる政治のやり方に対しては、日本社会党、民社党は賛成ができないというのが第二の点であります。 第三の点は、一歩譲って生活に苦しい旧地主に対する生業資金としての思いやりだとか、あるいは感情的な、解放された人たちの不満というものを、政治的配慮によって解決をしてやりたいという答弁でございましたが、去る五月二十二日の農地被買収者問題調査会における答申の内容を見ますと、旧地主の現在における生活上、生業上の問題として、第一、被買収世帯の収入は、買受世帯及びその他の一般世帯に比べて必ずしも低くない、第二、田畑山林の所有及び経営についても、被買収世帯は買受世帯及びその他の一般世帯に比べるとその面積が比較的に大きいものが多い、第三、被買収世帯の世帯員で市町村長、地方公共団体の議員、教育委員等の公職に戦前についていたことのある世帯の比率は、買受世帯及びその他の一般世帯のそれに比べてかなり高いが、戦後においてもその差は必ずしも縮まっていない、かように指摘をいたしておるのであります。こういう答申の内容から見ましても、解放された地主たちが決して生活に苦しんでいないという一つの大きな信用すべき証左であろうと私は思うのであります。これらの理由をわれわれが検討いたしました際に、どう考えてみても、政府の答弁は、その生活に苦しんでいる旧地主が何名いるか、どのくらい資金を必要とするか、どういう生業につこうとしているかというわれわれの質問に対して、適切に資料をもって答えることができないありさまであります。かようにつかみ銭的に国の予算の二十億円をほんと旧地主に貸し付けようとするがごときことは、まことに国民の税金の使い方としては私は慎重さが欠けると思うのであります。かかる点からも、今回の農地被買収者に対する融資の法案に対しましては、どうしても納得がいかぬのであります。 第四に、先ほども指摘がございましたように、国民金融公庫法の法体系というものを紊乱をする危険があります。御承知のように今日業務方法書によって九種類の貸付が行なわれておりまするが、特に一般貸付とは別に六分五厘の金利で貸すということになりますると、新たに一つの項目を設けて旧地主だけ特別扱いをするという結果に相なります。これらが一般国民大衆に与える政治の不公平、あるいは国民金融公庫の従来の経理の方法に対する大きな障害になると思うのであります。法を作る力は政治でありまするから、いかなる法体系を変質しようとも自由であるといえば別でありますが、一国の政治を担当する政府としてはかかる軽率な思いつき、しかもつかみ銭的な予算の計上というものに対しては、今後十分慎重になさるべきであるということを十分御忠告を申し上げ、本案に反対の意を表明して終わりたいと存じます。(拍手)
○臼井委員長 田澤吉郎君。
○田澤委員 私は、自由民主党を代表して、国民金融公庫法の一部を改正する法律案に対して、賛成の意見を表明するものであります。 終戦直後に行なわれた農地改革は、戦後の経済民主化と経済復興の基盤としてきわめて意義深いものがありましたが、他面、この改革により農地を買収された者に対する社会的問題には少なからず遺憾の点があったことも認めざるを得ないのであります。当時外地にあったために不在地主として土地を買い上げられた者、地主というにはあまりにも小規模の一ヘクタール未満の小地主が全体の八二%を占めていたこと、戦後の急激なインフレのために、当時の買収価格が現在の土地価格に比して著しく低価格であったこと等、議論すべき点は多々あるのであります。政府においても、この点を考慮して農地被買収者問題調査会を設置して、一年有余にわたり慎重に審議を続け、去る五月二十二日、その答申が出されたのであります。その結論は、当委員会の質疑の過程において明らかにされたごとく、「農地改革により農地を買収された者であって、現状において(1)生活上又は生業上困難な状況にある者に対し、生業資金の貸付の措置を講ずる。(2)その子弟を進学させるのに困難な状況にある者に対し、育英その他の制度の運用において配慮を加える等必要な措置をとることが適当である。」ということでありました。すなわち大多数の国民が常識的に納得し得るこの答申の趣旨に沿って問題を解決することが必要でありまして、この国民金融公庫法の一部改正法案の趣旨もまさにこの点にあるのでありまして、この意味におきまして、私は本法律案に対し、全面的に賛意を表明するものであります。 以上、簡単ながら討論を終わります。(拍手)
○臼井委員長 これにて討論は終局いたしました。 続いて採決に入ります。 まず、毛利松平君外二十五名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○臼井委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。 次にただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○臼井委員長 起立多数。よって、本案は修正議決されました。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 この際、大臣より発言を求められております。田中大蔵大臣。
○田中国務大臣 この際一言ごあいさつを申し上げます。 前国会に引き続いて御審議を賜わっておりました国民金融公庫法の一部改正法律案を御可決賜わりまして、心からお礼を申し上げます。 以上をもってごあいさつといたします。(拍手) ————◇—————
○臼井委員長 次に本日の請願日程全部を一括して議題といたします。 本会期中付託になりました請願は二十七件でありまして、その取り扱いにつきましては、先刻理事会において協議をいたしたのでありますが、この際、紹介議員の説明等を省略し、直ちにその採否を決することにいたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 お諮りいたします。本日の請願日程中、日程第一、第二、第五ないし第七、第九ないし第一三及び第一六ないし第二六の各請願は、いずれもその趣旨が妥当と思われますので、採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○臼井委員長 なお本会期中参考送付されました陳情書は十六件でありまして、印刷してお手元に配付しておきましたから御了承下さい。 ————◇—————
○臼井委員長 閉会中審査申し出の件についてお諮りいたします。 綱島正興君外六十名提出の国民金融公庫の農地被買収者等に対する貸付に関する臨時特例法案につきまして、閉会中もなおその審査を継続するため、議長に対し閉会中審査の申し出をすることに御賛成の諸君の起立を願います。 〔賛成者起立〕
○臼井委員長 起立多数。よって、閉会中審査の申し出をすることに決しました。 次に、国の会計に関する件、税制に関する件、関税に関する件・金融に関する件、証券取引に関する件、外国為替に関する件、国有財産に関する件、専売事業に関する件、印刷事業に関する件及び造幣事業に関する件の各件につきまして、議長に対し閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、申し出の手続につきましては委員長に御一任願いたいと存じます。 —————————————
○臼井委員長 引き続きお諮りいたします。閉会中審査案件が付託になりました場合、本会期中国政に関する調査のため設置いたしておりました税制及び税の執行に関する小委員会並びに金融及び証券に関する小委員会の両小委員会につきましては、閉会中もなお引き続き存置することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認めます。 なお、小委員及び小委員長は従前通りとし、その辞任及び補欠選任等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○臼井委員長 委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。閉会中審査案件が付託になりました場合、委員を各地に派遣し、その実情を調査するため、議長に対し委員派遣承認申請を行なうこととし、その手続につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時四十九分散会 ————◇—————