大蔵委員会 第5号
- 発言数
- 134 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1962/08/28
会議録
○臼井委員長 これより会議を開きます。 本委員会は、去る七月各地に委員を派遣し、税制、金融等の実情を調査いたしたのでありますが、この際、派遣委員より報告を聴取することといたします。毛利松平君。
○毛利委員 先般、議長の承認を得て行ないました当大蔵委員会の国政調査について、北海道班の概要を申し上げます。 今回のおもな調査の対象は、札幌国税局、北海道財務局、各種金融機関、公認会計士協会及び酒造組合等でございます。 調査の内容につきましては、お手元にお配りいたしてあります報告書に譲ることとし、各地で受けました要望事項のうち、おもなるものについて御紹介申し上げます。 まず国税、財務両局につきましては、他の局に見られない広大な管轄区域を有していること、国土の最北端にあって交通網が未整備であること及び冬季の気象上の悪条件等が共通の隘路となっているということであります。かような条件のもとで、国税局におきましては、管下の税務署がこの広大な地域に点在するため、職員の転勤に伴い、旧勤務地から通勤できる場合が少なく、人事異動に際し、幾多の問題が存するようであります。転勤の多い税務職員の特殊性から、宿舎の増設等について強い要望がありました。 また財務局におきましては、現在、三十二年に始められた普通財産の実態調査が進行中でありますが、目下これに従事している職員は十九名であります。ところが三十八年度以降の要調査財産を現在の人員及び予算で行なおうとするならば、完了までに二十八年の歳月を要するということであります。適正な国有財産の管理処分を早急にはかるため、特段の配慮を求められました。 なお、このほか石炭手当の合理化、寒冷地手当の増額並びに税務署の改増築等についても要望がありました。 次に金融機関関係者との懇談会におきましては、一般金融情勢、中小金融問題、金融関係税制等について、隔意なき意見の交換をいたしたのであります。 席上、共通の問題としては、北海道は後進地的な特殊性から、資本蓄積がいまだ十分でないため、少なくとも資本蓄積がさらに進むまでは、預金金利の引き上げ及び利子課税の減免措置の強化について考慮してほしいとの強い要望がありました。 また政府関係機関からは、資金量の増加及び国民金融公庫が小樽、室蘭、中小企業金融公庫と商工中金が旭川において、それぞれ支所、支店の設置に関して要望がありました。 次に公認会計士協会からは、公認会計の社会的信用が阻害されるような法律改正は避けられたいこと、及び業務の拡大等を中心に数点にわたり強い要望がありました。 次に酒造組合からは、清酒原料米の配分について、三十七年度以降においても従来通り北海道特別加配制度が存続するよう特段の配慮をされたい、原料米の政府売り渡し価格を引き下げるとともに、払い下げにあたっては、酒類の仕込みに支障を来たすことのないよう払い下げの時期を一段と早められたい、現在酒税の延納を希望する場合の担保物件には、金銭、公債、不動産等が認められているが、これに酒類を追加指定されたいことなど、その他数点について要望がありました。 なお、国税局におきまして、北海道農協中央会ほか農業諸団体より税制等に関する各種の陳情を受けましたので、この際つけ加えて申し上げておきます。すなわち、そのおもなものは、農業法人の設立に伴う現物出資等に対する譲渡所得税の免除並びに登録税の非課税、貿易自由化に対処するため、重要農産物の輸入関税の引き上げ、農業者に対する相続税、贈与税の軽減措置、予約米減税の継続、飼料用として輸入されているトウモロコシを、コンスターチ原料として流用しないよう取締まりをさらに強化されたい等の要望でありました。 以上のほか、富士製鉄からは大型鉱石専用船航路の室蘭港における浚渫工事の促進について、雪印乳業からは農林漁業金融公庫の乳業者に対する融資の五年間の臨時措置の延期など、数多くの要望がありましたが、詳細は報告書でごらん願うことといたしまして、簡単ではありますが、第一班の御報告をこれで終わります。(拍手)
○臼井委員長 足立篤郎君。
○足立委員 私は、北陸、信越班について、調査の概要を御告報申し上げます。 調査の期間は七月二十三日より五日間でありまして、おもなる調査先は、金沢国税局、北陸財務局、富山税務署、富山財務部、新潟県庁及び酒造組合等であります。 調査の内容並びに要望事項等につきましては、お手元にお配りいたしております報告書に譲りたいと思います。が、金沢国税局からは税務署庁舎の整備等について、北陸財務局からは地域開発の促進と中小企業に対する政府資金の増額について、新潟県庁からは地方交付税率の引き上げと高校生急増対策の改善、並びに直轄事業の地方負担の軽減等について、それぞれ熱心な要望がございました。 次に、私どもは今回の調査に際しまして、関東信越国税局管内の酒造業者代表と懇談する機会がございましたが、その結果、二、三気のついた点がございますので、一行を代表いたしまして、この際所見を申し述べておきたいと存じます。 それは企業合同についてであります。が、御承知の通り清酒業者はその数がきわめて多い上に規模が零細でありまして、他の酒類におけるほど大企業の集中度は高くないのでありますが、一昨年のマル公撤廃とほぼ時期を同じくして、年々清酒が増産されていること、原料米の総ワクが逐年緩和されてきていることなど、生産方針においても次第に自由化の方向が強く打ち出され、長年統制になれた業界に自由競争の風が強く吹き込んで参りますと、勢い清酒業界におきましても、大小企業間の格差の拡大という問題が表面に出てくるのでありまして、私は業者の基盤の強化ということをもっと真剣に考えなければならない時期が、もうすでに来ているのではないかと思われるのであります。 考えてみまするに、私は将来清酒業者というものは大きく分けて次に述べるような方向に分かれて進んでいくのではないかと思うのであります。すなわち、第一は、現在すでに相当量の生産を行なっているいわゆる大メーカーでありまして、これはおそらく四季醸造の域にまで進むものと思われます。第二は、一部の大企業への系列化によって存立していくもの。第三は、特色のある商品をもって、いわゆる地元市場占有率を確保していくもの。第四は、実はこれが一番問題なのでありますが、業界の大部分を占めている中小規模の生産者でありまして、これらの業者は、共同びん詰または共同醸造という形で、参加業者の実勢を生かしつつ銘柄の力を高めて市場での優位性を保持していかなければならないのではないかと思われるのであります。 しかして、この企業合同ということは、今さら私から申し上げるまでもなく、現実の問題といたしましては、清酒業界に非常に強固に巣くっている伝統的な観念、つまり先祖伝来の家業意識と強く抵触する問題でありまして、なかなかむずかしい問題であります。従来から官側におきましても、業界におきましても、鋭意努力をされた結果、一部先覚者の手によって実現を見たところもあるようでありますし、また企業合同のために、一部原料米の加配等の面において助成の措置もとられているようでありますが、このような程度のことではあまり実質的な効果がないのでありまして、この際、よほど抜本的な促進策を講ずるのでなければ、この企業合同という問題は解決しないのではないかと思われるのであります。 今回、私たちも新潟県下へ参りまして、いろいろ現地の実情を伺って参りましたが、なかんずく佐渡方面では平均四百石ないし五百石、最低の業者は百石程度という非常に規模の小さい業者が十四軒もおるのであります。全国平均の約千石と比較いたしますと、いかに零細であるかがよくわかるのでありますが、しかもここではその製品は約六〇%程度しか地元で消化できず、残余の販路開拓に苦慮しておられるという実情でありまして、私どもは企業合同促進の必要を痛感いたして帰ったような次第であります。 そこでこの際一つの案といたしまして提案いたしたいと思うのであります。が、大蔵省は、この際、従来よりもさらに一歩前進した企業合同の方針を早急に確立するとともに、その裏づけとして、企業合同した場合の譲渡所得の課税について、特別の減免措置を講ずるほか、企業合同または合理化対策を実施したものについては、特に長期低利の金融措置を講ずる等の具体的にしてしかも実際的に効果のある積極的な企業合同促進のための助成策を検討されるよう望むものであります。 以上、所見の一端を申し上げましたが、要するに、酒税が国税収入のうちにおいて占めている地位の重要性にかんがみまして、マル公等の統制撤廃後における酒税の確保と酒類業界の安定のためには、企業合同等の促進によりまして業界の基盤を強化するということが何よりも重要な課題であると考えられますので、政府当局において今後十分検討されるよう希望する次第であります。 以上をもって報告を終わります。(拍手)
○臼井委員長 ただいま派遣委員より報告がありました事項について、政府より発言を求めます。原田大蔵政務次官。
○原田政府委員 大蔵委員会の皆さんが、一班、二班に分かれて、熱心に国政の調査をいたされまして、ただいま御報告をされましたが、はっきりとお聞き申し上げました。国民の皆さん方の御要望、またそれぞれの御報告になりました点につきまして、政府といたしましては十分検討いたしまして、善処することに努力いたしたいと存じます。
○臼井委員長 お諮りいたします。各派遣委員より提出されております報告書を本日の会議録に参考として掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らいます。 ————◇—————
○臼井委員長 金融及び印刷事業に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
○横山委員 昨年来、いわゆるにせ札事件が全国的に発生をいたしまして、もう全国民ともこのにせ札の問題について関心を抱き、ひいてはこれがわが国における貨幣、紙幣に対する信頼感を喪失をするというような不安をすら抱くに至っておるわけであります。この間、政府は先般この対策の根本的措置として新紙幣の千円札を発行するという態度を明らかにいたしました。私どもも一つの対策としては、それは納得できることではあるけれども、しかしながら一体それではにせ札に対する、その犯罪に対する何らの措置もなく、何らの対策もなく、そのまま放任されていく、これがどうにも手がつかぬことであるというような印象を受けて、まことに私どもも奇怪千万であり、またふがいない話であると考えておるわけであります。この際一つ警察当局から、あまりくどくどとお話を聞く必要はございませんが、今日における捜査状況について差しつかえない範囲で国民に納得を得られるように御報告を願いたい。
○宮地(直)政府委員 お答え申し上げます。昨年十二月、秋田県におきましてWRという記番号のにせ札が発見せられまして以来、八月二十五日現在におきまして百六十二枚のにせ札を発見いたしておるのでございます。これを地域別に見ますと、関東地区で百二十五枚、最も多く発見しておりますのが東京地区でございまして六十枚、続いて埼玉十八枚、茨城十二枚、特に八月に入りまして関東地区にこのにせ札の発見が集中いたしておるのでございます。当初におきまして東北地方に出ましたけれども、最近はこれがとまり、東北地方におきます発見は三十三枚になっておるのでございます。この百六十二枚の発見中、日銀あるいは金融機関で発見されましたものが大部分でございまして、一般民間人におきましてこれをにせ札として警察に連絡がありましたものがわずか七枚でございます。そのためにわれわれの方の捜査といたしましては、行使犯人あるいは偽造者というものの発見に著しく困難を感じておるのでございます。その程度に、今までかつて例を見ない程度に印刷技術等におきまして精巧なものであるということが言えるものと存ずるのでございます。われわれの方といたしましては、さようなように一般の民間におきまして発見が著しく困難であるという建前から、もちろんこれらのPRもいたしますけれども、基本的な捜査の充実、たとえば物に対する捜査、あるいは関係者のこういう疑いのある者の、人に対する捜査、あらゆる角度から相当広範囲な捜査を開始いたしておるのが現状でございます。
○横山委員 この事件に対しまして、国民の警察当局に対する批判というものがいろいろある。その批判の、たとえば第一は、最近は改善されましたかもしれませんけれども、にせ札を届けたら証拠品として没収されてしまって、千円損をする、こういううわさがある。第二番目には、警察と日銀との間の連絡、政府との協議がきわめて不十分である、伝えるところによります。と、日銀が警察に協力したら、それじゃ一ぺんあるものを十分に探してみましょうと言ったら、何と十枚出てきたといううわさが伝わっておる。関係当局間の協力はきわめて不十分である。それから警察それ自体が、かつて今から十年前、山梨県でにせ札の一千万円偽造という——最後はそんなでもなかったのですが、旧海軍の印刷機を利用して秘密工場をつくっておったという事件の経過、戦前のにせ札事件等の歴史をひもといてみると、警察は特捜本部すら設けない。そしてその捜査に従事しておる諸君はきわめてりょうりょうたるものである。一体警察はこのにせ札についてほんとうに事の重大性を考えて全国的に死力を尽くして捜査をしておるのかどうかという点についての国民の不信というものが相当ある。なるほどあなたのおっしゃるように精巧であるとか、あるいは金融機関でしか発見されないとかいうようなことだけでは、国民はどうも信頼しかねる。警察は頼むに足らないから、新しい千円札を発行するのだというような印象を受けるに至っておる。かくのごときことで一体あなたの方の職責が務まるものであるかどうか、私どもは不安に感ぜざるを得ない。一体これらの国民の疑惑と不信に対してどういう態度をとって今日やろうとし、また今後やろうとしておるのか説明を伺いたい。
○宮地(直)政府委員 御質問の第一点でございますが、警察に持っていったら没収される。従って届け出がないということでございますが、われわれの方ではにせ札が出た場合に警察が引きかえるということを申し上げることは不適当だと思っております。しかしながらわれわれの方といたしまして、警察に届け出られた場合におきまして、その捜査に協力する度合いに応じて損害をかけないように相当の報奨をするとか、捜査に協力する程度に応じて措置を十分考えておるのでございます。 第二点の御質問で関係当局との連絡の問題でございますが、特にこれを発行いたしますのは日本銀行でございますが、われわれの方と日銀とは十分連絡をとりまして、すみやかに、一般民間で発見されなかったものが日銀に回収された場合に発見されるように、常時連絡をとり、関係者は常に会議も持ち、またあるいは連絡をいたしまして、すみやかな新しい行使の券の発見及びその分布状態というものにつきましては、日銀を中心といたしましてそれぞれの金融機関とは連絡をとっておるのでございます。 第三点の、警察は何をしているかという問題でございます。今申しましたように、警察といたしまして、普通の場合の贋幣はあるいは暗いところとかあるいは混雑にまぎれて贋幣が使われるというのが、これまでの贋幣行使の事例でございます。しかしながら今回の贋幣は印刷等におきまして相当精巧なものであって、一般の関係者のちょっとの鑑識におきましては発見ができない、こういう前提に立ちまして、警察といたしましては、先ほど申しましたようにいかなる紙を使っておるか、いかなる技術的方法をとっておるか、それからいかなる人間がこういうものをつくり得る者であるか、こういう観点に関しまして、基本的な捜査というものを、最初申しましたように広範囲に相当の警察力をかけて今捜査をしておるのでございます。
○横山委員 そうおっしゃるけれども、私ども承知をいたしておるところは、昔だったら特捜本部を設けてやるのが今日はそれをやっておらない、そうして片一方ではこれじゃあかんからもう一つ新しい千円札をつくろうというわけで機械に三十五億円をかける、こういう話です。三十五億円をかけて新しい対抗措置をつくるくらいだったら、もっとあなたの方は、それだけの金が現に国民の税金の中から支出されていくのですから、犯人さえつかまえれば三十五億円の国民の税金は要らぬのですから、もう少しあなたの方としても全力をあげてこのにせ札の解決のために、金に糸目をつけぬというわけではないけれども、ものの考え方が変わるべきではなかろうか、国民が千円札のにせ札を持っていったら、なるべく損害をかけぬようにするといって適当に言っていらっしゃるけれども、それこそこの犯罪事件の真相を追及するためには特別な措置で、国民のこういう状況を知らせてくれた者、にせ札を持ってきた者については特別な方法を考えてどんどん国民の協力を得る体制というものを、そういうムードをつくり上げることによってこそ捜査が一歩大きく前進をするのではあるまいか、あなた方だけの事件としてこの問題を見るべき段階ではない、三十五億円の銭を政府がかけると言っておるのでありますから、その判断というもの、そのものの考え方というものがあまりにもあなた方は小さいのではないか、こういうふうに国民は考えておるが、その点はどう思いますか。
○宮地(直)政府委員 現在まで発見されました枚数が約百六十枚でございますから、金額に直しますと十数万円の問題であります。しかしわれわれの方は十数万円の問題であると考えているのではございません。いやしくも国家の相当の高額紙幣においてかような精巧な偽造紙幣が出るということは国民の経済の根本に触れるものと思いまして、警察といたしましては、御指摘の通り全力をあげておるのでございます。ことに発見が東北、関東の広域にわたっております関係上、各府県にまかせ得る捜査ではございません。従って、各府県におきましてもそれぞれ捜査専従員を設けまして特別の捜査をいたしますとともに、一般外勤等も動員いたしまして捜査をいたし、各県におきましても捜査をいたしますとともに、警察庁におきましても特捜本部という形こそ、これは庁の性格といたしましてつくってはおりませんけれども、現在警察庁の持っております事件の最も重要な事件の一つといたしまして、全力をあげておるのでございます。 第二点の問題に参りますが、国民の協力を得、もっと一般との連絡を密接にしてこの発見に努むべきであるという御指摘でありますが、この点今申しましたように偽造の行使面におきまして直接捜査に支障のないものにつきましては、私の方と関係府県との連絡をいたしましてそれぞれ新聞等には発表し、そういう意味におきまして国民の協力を得るように努力をいたしておるのであります。ただ技術的捜査面におきましては、人権問題もありかつ捜査の秘密上の問題もございまして、一般にこれが公開されておりませんから、ただいまのような御質問も出るかと思いますが、警察といたしましてはこの重大性にかんがみまして、とくと慎重な捜査をいたしておるのでございます。
○横山委員 政府側にお伺いをいたしますが、今私が警察当局に言っております国民の警察当局に対する感じ、だからもう警察はだめなんだから新しい千円札を発行するらしい、こういう感じを国民は持っておるのであります。が、その通りでありますか。どうもにせ札は退治できないらしい、だから新しい紙幣を発行して根本的にそれに対処するんだ、そのために三十五億円の税金を投じ込むんだ、こういうように国民は警察への不信を含んで新しい千円札に対する理解を持っておるのでありますが、その通りでありますか。私は正直に申し上げればまことにもったいない話だ、そんなことで警察の機能が麻痺状態であって、かわりに三十五億円を投じ込むということであっては、国民はほんとうのことを言えば納得しない、こう考えておるのであります。新千円札発行はそれだけが理由でございますか。
○原田政府委員 お答え申し上げます。今の千円札は、この千円札が発行されましてからすでに十二年余りを経過いたしております。そしてまたこの千円札を刷っておりますところの技術が戦前の低い技術でありまして、施設等も古うございます。偽造の防止というところの見地もございます。札を新しくするということは、それもございますが、今回の新千円札を製造することをきめたのは、三十六年度から五カ年計画をもって古い設備を更新し、そうして新鋭設備によって新しい千円札をつくろう、こういう計画をもちましてこの新千円札発行ということに踏み切ったのでございまして、今度の問題と直接の関係はございません。
○横山委員 それはいささか政務次官、詭弁だと思うのですけれども、私はこの国民のそういう警察に対する不信、不安、それに対してかわった千円札の発行ということは、国民は、警察はしょうがないけれども、そうかそうかと思っておる。それじゃ新千円札を発行して全部現行の千円札とこれが切りかわるというのがいつどういうふうに行なわれるか、それを一つ御説明願いたいと思うのです。切りかわりによってもう贋造紙幣というものが近い将来にやれないんだというような期待を持っておるとすると、これは国民もまた期待を失うし、もう少し、こんなことではいかぬ、警察はしっかりやってもらわねばいかぬということこそ本音だと私は思う。その点について、新千円札が発行され現行と切りかわっていく状況について御説明を願いたい。
○原田政府委員 私は答弁中に贋造紙幣の防止も兼ねてということを申し上げておるので、やはり外国でもたびたび紙幣は更新をしていっておる。これは一つの贋造防止のためにやっておる。十二年も長いことやっておりますので、そこで今度はその見地からもぜひやりたいということを申したつもりでございます。なお、今度、今の計画にのっとりまして五カ年計画でやるというつもりでございましたが、三十八年度中に発行いたしまして、四十年度中には全部今の札を新しく発行する札とが切りかわる予定でございます。
○横山委員 時間がないそうでございますから、中途でございますが、平岡君の質問にかわります。
○臼井委員長 平岡忠次郎君。
○平岡委員 横山君がただいま質問いたしましたことに対しまして、結局警察庁の方としてはあごを出した。そこで大蔵省の方は、一つには新しい札を発行する時期にもきているし、この際はというような御答弁でした。しかし私ども、百六十二枚、金額にしまして十六万二千円程度でございますこのにせ札対策といたしまして三十五億円を投ずるということは、これはどえらい対策ということになって、国民はそれだけでは納得せぬと思います。きわめて唐突の感があるわけでございます。言うなれば鶏を料理するのに牛刀をふるわんとする真意がどこにあるかを重ねて一つ政務次官からお伺いしたい。
○原田政府委員 先ほど横山さんにお答えいたしましたように、これは贋造紙幣というものが今百六十何枚ですか出てきまして、世間を騒がしておりますが、この問題に対処するためだけで今度の新札を発行するということをきめたのでございませんで、そういうことの対策という見地もございますが、すでに三十六年度から五カ年計画で今までの古い設備を新しくして、そして高度の技術を取り入れた新しい札を出そう、こういう計画にのっとって踏み切ったものでございまして、ほかに理由はございません。
○平岡委員 さきに、八月十三日ですか、理財局長から新聞を通じまして大蔵省の見解を発表した。そのときに、敷衍的な説明の中に、現行千円札は昭和二十五年一月から発行されたものだが、印刷技術が戦前水準であるからという理由を付しております。しかし、こうした理由で新機械の輸入による新札発券を正当化しているように私ども思います。結局事件の結着さえ早くつくという見通しに立つならば、そういう確信があるならば、技術的には現在の機械で現行の千円札で間に合っていくものではないか。それをどうも警察が捕縛することができない。それですから、仕方がないから三十五億を投ずるということになると、国民の非難を受ける。その非難に対する逃げ口上としか考えられないのであります。偽造団逮捕ということと、高水準の札を新しくつくるということとは全く別個の問題です。しかも現在の偽造団それ自身が非常に精巧なものをつくっておるのですから、政府がこの輸入の新機械によってこの問題を解決しようとするととは、問題の回避ではあっても、解決ではないと思うのです。ですから、その二つを十分区別してこの対策を立てる必要があると私は思うのですが、その辺はどうなんでしょう。
○原田政府委員 今の平岡さんの質問、ちょっとその趣旨が了解しにくかったのですが、警察当局とよく連絡をしてやれということですか。
○平岡委員 政府としましてにせ札の対策ということはまず偽造団を逮捕してこれを殲滅するということが先行しなければならぬと思うのです。そうでなしに、どうもにせ札に対抗できないから新しい新鋭機械でつくっていくということは、少し飛躍し過ぎますわ。やはりつかまえるやつはつかまえなければ、新しい機械に対応するものがまた出てこないという保証はないわけですね。ですから、その辺に対する政府のかまえはどうなのかということを質問している。
○宮地(直)政府委員 平岡委員の御発言の通りに、新札発行とわれわれの方の捜査とは無関係、あくまでも現在発行しております贋幣の偽造関係者というものをわれわれの方は追及するという方針は、いささかも今回の大蔵省の措置には影響されないのでございます。
○平岡委員 お互いに影響されないままどうも二兎を追っているというのですが、何が解決か、大体国民に対しまして、解決されるとは思い得ないわけでございまして、国民に対する説得力がないと思うのです。私は冒頭に鶏を裂くに牛刀ををあえてふるわんとする理由を聞いたのですけれども、的確な御答弁がない。そこでお伺いしますけれども、大蔵省としても三十五億を投ずるには、単なる現在のにせ札対策としてだけではずいぶん高くつくとお考えだと思うのです。そこで私は、政府はフランス方式による平価切り下げでも考えているのではないか。すなわち新券の額面をたとえば十分の一あるいは百分の一にしまして旧紙幣と等価で流通させる手でも考えているのではないか。それならば三十五億円を投下する理由はわからないでもないと思います。またはデノミネーションへの布石ではないか。デバリュエーションでなければデノミネーションへの布石ではないか。そういうことでもないと、鶏を裂くのに牛刀をもってする判断がしかねるのであります。この勘ぐりが出てくるのでありますが、政府は純粋ににせ札対策としてのみあえてこの措置をとるのかどうか、これにお答え願いたい。多少影響するところが大きいですから明確にはお答えがないかもしれませんけれども、国民はそういうことを勘ぐるのであります。
○原田政府委員 今デノミネーション等を行なうためにやっているのではないかという御質問でございますが、これは三十四年に閣議でもってやらぬということをきめております。従いまして、何べんも繰り返すようでございますが、大蔵省といたしましては新しい技術と新しい設備で新しい札を出そう、こういう計画を立ててやっておった。札が絶対に偽造されないという保証はありませんけれども、新しい機械で新しい技術をもって今度出す札は、これは今のように簡単に偽造されない、こう考えております。
○平岡委員 政府の答弁に関する限りは、これはにせ札偽造団に対処するだけに単純にそういう理由だということであります。しからばお伺いいたしますけれども、偽造団の規模と性格をどのように想定しておられるか。過去に何回もあったような根底の浅い単純な偽造団と同じレベルのものとするならば、多額の金を使うことは国民として納得がいきません。これはあとから山中貞則さんが松本清張の推理小説等の筆法をもって質問をいたすそうでありますが、猛暑ふさぎにスリラー的の憶測をするならば、今度の偽造団の根っこが非常に深くて、それから背後関係あるいは地下造幣局所在が容易に日本の官憲の手入れのできないところにあるというようなことがないのかどうか。そうしてにせ札の絶対量が百枚から千枚へ、千から万へと進展することもあり得る、こういう危惧を政府が抱いて先手を打ったのかどうかということが国民は疑問であります。 それから刑事局長にお伺いいたしますが、捜査の対象を国際的な肯景もあり得るものとして進めてきたのかどうか、あわせてお伺いしたいと思います。
○宮地(直)政府委員 現在までの発見状況から想定、判断いたしまして、そう多額の多数のものが市中に流通いたしておるとは考えられないのでございます。またわれわれが現在つくられました紙幣を通観いたしまして、そう大規模に機械的な操作によってつくられているものとも判断できないのでございます。ある程度の高度の技術を持った者が手工業的な方法によってつくっておるのではないかと判断いたしておるのでございます。またわれわれの方といたしまして、これは情報等もいろいろの角度から検討をしておるのでございまして、その情報におきまして、いろいろの情報が出ますけれども、それを一々ただいま裏づけをもって、ただいまここで申し上げる段階ではないのであります。御了承いただきたいと思います。
○平岡委員 それは警察の力が不足しておって、そうした背後関係とかそこまでに及びかねるというのが現段階であるというなら話はわかります。日本の最近の犯罪史をひもときましても、日本の警察力というようなものは相当世界的に能力において有名なわけでありますが、その警察力をもってして、なおかつ手を入れることのできなかった事件があります。その一例として下山国鉄総裁のごときは米国諜報機関の謀殺であったことは今や天下公然の秘密でございますが、これと同様に今度の地下造幣局も警察の手の届き得ぬところにある、そういう判断も私は成り立つと思うのです。もしそうだとするならば、大蔵省の今回の新しい機械に切りかえるという対策は、問題の解決に向かって進められているのではなしに、問題の回避のためにとられた単なる措置に過ぎない。ですから、どうもその新しい千円札の模様がどうであろうかとか、精巧なものであるということを幾らおっしゃっても問題の解決にならぬと思うのです。いかがですか。刑事局長さん、国際的な背景とかあるいは基地印刷局を設けておるとか、そろそろそういうことをお考えになっても……。
○宮地(直)政府委員 私の方は先ほども申し上げましたように、行使面、人、場所、あらゆる面につきましてじみちな捜査をいたしております一方、あらゆる角度から情報を集めておるのでございます。しかしながら、この情報はいずれも今のところ情報でありまして、本席のようなところにおいて御説明するような確度を持ったものではございません。
○平岡委員 私の質問でデバリュエーション、デノミネーションというようなことも考えてない。つまり三十五億円の投下はそれによってジャスティファイすることはできない。かつ捜査当局の見通しにおいて国際的な背景もあり得ないということになると、しょせんは偽造団に対する政府の対策である。それには非常に高くつくということだけは事実であります。そうでありますから当然国民に対して申しわけがないというそういう政府のかまえがあるだろうと思う。そこでもう少し今回のにせ札事件に対する国民の心理的な動きとか、精神的ムードと申しましょうか、そういうことを考えてみる必要があると思うのです。要するに結論は今この段階になりましては捜査当局対偽造団の対決ではなしに、国民と偽造団との対決という形を盛り上がらせなければ問題の解決にはならぬと思うのであります。ところが肝心の国民の側におきまして盛り上がる協力関係が生じておらないわけです。これはどこに欠点があるか、どうお考えでしょうか、政務次官お答え願います。
○原田政府委員 これはやはりうまくできているから銀行へいって初めてわかってくるということは、これは今度の偽造がうまいからなかなかしろうとじゃわからないということではなかろうかと思います。
○平岡委員 あっさりお答えになりましたけれども、私をして言わしむるならば、まずもって政府は国民が喜んで協力する心理的状況にないと判断してかかるべきだと思います。早い話が、苛斂誅求のさなかで国民怨嗟の気分があるときに、ある税務署が燃えたとします。そうするとこれは国有財産を燃やす。もしこれが火つけだとします。と、この火つけをした人はけしからぬという国民心理が動く前に、税務署が焼けていい気味だという心理がある。こういうことがあり得ると思う。それと同じように国民大衆は消費者物価をつり上げている政府に怨嗟を抱いておる。言いかえると貨幣価値を薄めまして経済の実勢以上に紙幣を増発しておる政府を快からずと思っておる。国民の気持の中にインフレで国民大衆を収奪している自民党政府こそにせ札づくりではないかという反発心が旺盛である。ですから国民にネズミ小僧を声援する心理がある。こういう点からやはり徹底的に協力関係が生まれてこないと思う。政務次官どうですか。国民はインフレの収奪にあっているのです。 なお私時間がありませんからつけ加えますと、実はこの両三年というものは紙幣がずいぶん増発されております。従いまして、日銀の発行限度の大蔵大臣の告示というようなものがえらいスピードで毎年更改されておるわけであります。実績で示しますと、三十五年度までは限度引き上げの大蔵省告示は大体四カ年の間合いがあったわけであります。すなわち、二十七年の十二月の告示のごときは四年後の三十一年十二月であります。その次の限度引き上げはやはり四年後の二十五年七月であったのに、それ以後は一年経過したばかりの三十六年六月に限度引き上げをやった。その額は一兆一千五百億円、また今年の七月四日に一兆二千五百億円に引き上げております。日銀券の発行額はウナギ上りであります。消費者物価の急増と見合っての日銀券の増発は、国民の側から見れば、池田自民党政府によるにせ札づくりだと心得てもしようがない。そういうことでこの六月三十日現在の日銀券の発行高を参考に見てみますと、千円札で五千五百十九億円、つまり五億五千万枚、一万円札で五千四百七十八億円、五千円札で千四百七十九億円、五百円札で三百六十一億円、百円札で七百億円と、合計で一兆三千五百三十七億円の多額でありまして、これまた発行限度額をこえておるわけであります。かりに発行総額の限度までとして一兆二千五百億円とした場合におきまして、消費者物価一割の上昇は貨幣価値の一割の減少を意味するものでありますから千二百五十億円がにせ札分ということになるわけであります。こういう理屈も成り立つわけであります。これを千円札に引き直しますと、一億二、三千万枚が池田政府によるにせ札ということになる。一億二千万枚毛自分でにせ札をつくっている政府が、わずか百五十枚か百六十枚程度のにせ札づくりに血道を上げている政府を国民はこっけいにさえ感じておるのであります。ですからにせ札の出現というものは政府の大衆収奪の政策に対するアイロニーであります。にせ札偽造団の捜査追求につきまして、国民の心底からの協力を得られない理由がその辺にあるということをやはり政府は思いをいたすべきであろうと思います。そういうわけでありまして、この単純なにせ札偽造団に対する対策として三十五億を投ずるならば、その三十五億の投下が国民にとって安いという、そういう理由づけがあるとするならば、これを機会にして、政府自身が今までの大衆収奪的な、インフレ的な政策に反省を加えていくべきであろうと思うのです。どうですか。政務次官の御所見をお聞きしたい。
○原田政府委員 にせ札が出て、税務署が焼けたことを喜んでいるような国民の気分的なものと共通しておるところがあるじゃないかというようなお話がございましたが、日本の国民は、金の価値といいますか、通貨の価値というものを非常に信頼しております。私は、それは非常に日本の国民の特有性というか、世界じゅうでも日本の国民は通貨に対するところの信頼度が高いと考えております。また、先ほど佐藤さんがここへ来て、今にせ札を持っていないかと言われたように、なかなか今度のにせ札は非常に巧妙にできているから、これはほんとうに、先ほど刑事局長から発表がありましたが、百六十枚のうちでほとんど民間ではあがってこない。専門家の銀行へ来て初めてわかる、こういうようなことでございまして、それが捜査の面でも非常に困難を加えておると思います。私どもといたしましては、警察当局のできる限りの力をふるってこの根源を断つことに今後も努力するとともに、大蔵省といたしましては、決定をいたしましたこの計画を早くいたしまして、いわゆるほんとうに安心をされるととろの高度の技術を持った新しい札を発行していきたい、このように考えております。
○平岡委員 政府のかまえがこの問題に対して少しなまぬるいという感じはいなめません。せっかく一つ努力しまして、犯人逮捕の成果を上げるように強く希望します。なお、私のあとにも山中貞則君が関連質問においてスリラーの方から名論をこれからお述べになるそうですから、私の質問はこれで終わります。
○臼井委員長 関連質問がありますので、これを許します。山中貞則君。
○山中(貞)委員 私は推理小説の鬼と言われるほど乱読する方であります。が、刑事局長は松本清張の「黄色い風土」というのをお読みになりましたか。
○宮地(直)政府委員 ときどき読みますが、記憶しておりません。
○山中(貞)委員 この「黄色い風土」というのは最近再刊されましたが、偽造紙幣団というものを中心にして、相当膨大な長編物なんです。ぜひこれを、専門家に勧めるのはおかしいと思いますが、一読されたい。というのは、心理的な面における非常な得るところが私はあると思います。捜査技術その他については、専門家ですから、一推理小説家の作文等によってヒントもあまりないと思いますが、単なる民間の推理小説家が筆をとっただけでも実に膨大な内容であります。贋造紙幣団というものがどのような巧妙な方法を講じておるかが克明に清張ばりの、いわゆる足取り捜査でありますか、描かれておりますので、ぜひこれを読んでもらいたい。そこで私は、今度の贋造紙幣の組織というものは、その意味においては、御指摘の通り、そう大きな団体組織ではなかろうと思います。大きな組織を持っておりますと、しょせんどこかで組織の中で分裂なりあるいは反逆なり、それに対する制裁などがあってうまくいかないと思いますから、その点においては、今刑事局長が先刻言われたような見解が大体当たっているのじゃないかと思いますが、問題は偽造紙幣団の場合には印刷機と、それから原料の紙とインクと、それから技術、それだけにしぼられるわけです。普通のこれまでの偽造紙幣の行使だと、流通面における人の問題も足取り捜査において非常に端緒になりやすかったのですが、今回のように精巧であって、かつ流通段階においてしろうとの手で発見されにくくて、すでに相当通用した後に銀行の専門家によってそれが発見されるという状態においては、この四つの、印刷機とインクと紙と技術というものにしぼる以外手はなかろうと思いますが、そういう意味においてそれぞれ印刷機においても、大蔵省が所持しておりまする現在の機能に匹敵するものが民間にそうたくさんあるわけではないし、一ぺん山梨県であがりましたのも、これは軍部の旧軍用紙幣の印刷の機械をそのまま使っておった将校団であったわけでありまして、松本清張の指摘するのも、これはやはり外国と組織を持ちつつ戦前の旧軍隊のアジサイ作戦というもので占領地に贋造紙幣をばらまいたものが中心になっているようでありますが、そういうこと等を洗っていけばよろしいし、インクというものも、造幣局において使用するインクがそうやたらにあちこちで手に入るというものでもなかろうし、また高額紙幣でありますから、紙幣に使われている紙というものも、そう簡単に入手できる紙ではないというような観点から考えていきますれば、当然その技術は印刷局関係の高度の技術者の足取り、行く先にもしぼられましょうし、また、軍関係のそういう特殊な範囲の人たちにも狭めていくことができると思いますが、こういう観点から御捜査を展開しておられるかどうか、お伺いいたします。
○宮地(直)政府委員 ただいまの山中委員の、われわれの捜査内容の深い御洞察をされた上での御発言のように思いますが、まず第一に、機械につきましても、それは印刷局の持っているような大型のものではないというふうな判断は当然いたしております。ことに、現在の紙幣につきましての記番号、よく変わって参りますが、記番号等はあとから押捺されたものでありまして、そういうものが自動化されていないものであります。 それから偽造紙幣につきましては、特徴として青いとか黒いとか、こう言いますけれども、それはその一枚限りの特徴点でございまして、全体的に見ましたときに不ぞろいであるという点、これは、今のはインキの問題も含めてさような状態でございます。 それから紙の問題でございますが、これはわれわれの方では当然捜査いたしております。日本の紙幣につきましては、ミツマタ、コウゾ等が入りました紙でございますが、今回紙用されております紙は洋紙でございます。この点が最も違っている点でございます。従って、現在発見されております状態から見ておりますというと、真券ならば、相当流通過程を経ましてくたびれた千円札でも破れるということは絶対ないわけであります。しかしながら、今回発見されております偽造千円札は、習慣上折ります関係で、その折り目というものに非常に破れ目が出ている。これは隠し得ない特徴点であると思うのであります。 なお、一般の方が非常に発見せられる一番便利な点かと思うのは、紙の質が違いますから、一見同じようなものでございましても、真券の方は相当の腰がございますが、偽造紙幣の方はもとが洋紙でございますから腰がないと申しますか、一見真券であっても、手にとって見た場合には——適当な表現の言葉がないのでございますが、何かのりの抜けたゆかた、こういうふうな感じをわれわれは持っております。
○山中(貞)委員 銀行局長にお伺いしますが、大蔵省は毎年予算編成のときには必らずきまり文句で貨幣価値の維持ということをうたいますね。当然のことだと思います。ただ今回の場合、先ほどの新しい千円札をつくる機械を輸入するということについては、私どもは手がなければそれでも仕方がないと思う。しかしながら、そのことも含めて、貨幣価値そのものについて、単に国際市況であるとか、あるいは国際収支面から見た貨幣価値であるとか、日銀の言う貨幣価値の維持であるとかいうものを別にして、このような流通段階でわからない、そうして自分たちが使っても別段それが使われた相手に発見されないという状態で通用しておるということは、国民から見ると、私は、逆に貨幣価値に対する信頼はあまり薄まってないと思うのです。使えるんだから……。これが、流通段階で、使ったら、おい君はそれをどこから持ってきたのか、というので直ちに警察行きというなら、大量に出ておりますれば不安、動揺を起こします。今度の場合は国民の側から見れば、さっきの平岡君の意見とは別ですが、新聞に番号が出ておる、それがたまたま自分の持っておったものをひまにまかして見たときにその中にあった、そのときに動揺するかといえば、使ってもわからないからというのでそのまま届けないで私は使ってしまうだろうと思う。そこに私は国民心理の、今度の精巧なる偽造紙幣に対する若干違ったニュアンスがあると見なければならぬと思う。従って、大蔵省は、貨幣価値の維持という建前から、この点をどのように考えておりますか。
○高橋説明員 今度のにせ札は非常に巧妙にできておると申しましたが、実を申しますと、わが方の印刷の技術がそれだけ低いということにもなるわけです。その理由を申し述べてみたいと思いますが、大体今の千円札を発行いたしましたのは二十五年でございます。しかしもともとこの図案をつくりましたのは二十一年でございます。占領下におきます二十一年の当時でございますから、相当日本のインフレも激しく、物資も欠乏しておった時代であります。そういうふうに非常にいわば形式その他も古いということが問題でありまして、たまたま印刷局が当時戦災を免れまして機械がそのまま残った。残ったことが今日になってみればある程度災いしておる。そのように古い戦前のタイプの機械を使いまして、印刷局の四つの工場が共通に持っております機械を使っておるわけでございます。それで今日まできたのでございますが、各国の紙幣に対する考え方をいろいろ調査いたしますと、やはりどんな場合でも、偽造が非常に困難である、ほとんど偽造ができないような札をつくることが、通貨に対する国民の信頼感をつなぎとめるゆえんである、こういうふうにどこの国でも考えて、適当な時期には改造を行なっております。そういうことも勘案いたしまして、せっかく印刷局が二年くらい前から、三十六年度から輸入をいたしました精巧な機械がある程度そろいましたので、これを機会に新しい非常に精巧な、色彩も豊富な、十五色くらい使うつもりでありますが、その程度の札を製造いたしまして、国民の側から見れば、日本の紙幣は世界的な水準でほとんど偽造が不可能であるということにすることが一番理想じゃないか。それが紙幣に対する一つの世界共通の考え方であり、また私どももそれにのっとりまして、技術の非常に低い札を出しているから今回のような偽造の問題が起き、そうして警察当局を非常に悩ましておるという事実にかんがみまして、そのようなことが起きた根本の原因は、やはり現代の紙幣のレベルが低いのじゃないか、そういうことから、たまたま今回の偽造を契機といたしておりますが、しかしその準備はすでに前からやってきておるというふうに御了承願います。
○山中(貞)委員 どうも理財局長はつまらない答弁をする。私が聞いておるのは、貨幣価値の維持という建前から、現在のにせ札の流通しておる現状をどういうように考えておるかということなんで、あなたの答弁したことはかえって悪いのです。自分たちの今印刷しておるのは、こういうような不可抗力の質の低いものであって、言いかえるならば、現状ではなお百円も一万円もあることだからにせ札がつくられても仕方がない状態で造幣局に印刷せしめているということをあなたは言ったわけで、これは取り消しでもしなければ——今度の犯人は非常に頭がよろしい。高額の紙幣といっても千円だけをつくっておる。百円はつくらない、そうしてまた一万円には絶対に手を出しておらぬ。ここに私は非常な犯人の頭脳の優秀さを心理的にも認める。そういうときに、今の機械では、現在ほかににせの出ていないものでもまねられるというような話しの仕方はよろしくないですよ。その点はさておきます。が、大月君、貨幣価値の維持の面についてはどういう感じでおりますか。
○大月政府委員 今の通貨の技術的な面は別といたしまして、政策面におきましては、大蔵省の財政金融政策の基本は通貨価値の維持にあると信じております。そういう意味で、予算の編成方針におきましても常に健全財政ということを中心にいたしておりますし、金融政策におきましても、インフレ、デフレというような現象はてきるだけ避けることにいたしております。もちろんこういう事態でございますので、必ずしも百パーセントそれができるというふうにも思いませんけれども、われわれの努力の焦点は通貨価値の維持にあるわけでございます。昨年来いろいろの金融政策を講じて参りましたけれども、いずれも焦点はそこにあるわけでございます。幸い最近の情勢におきましては、対米貨三百六十円というものにつきましては、世界の目から見ましても、あるいは国民の心理から申しましても、むしろ三百六十円よりももう少し強いのじゃないかというような観測があるくらいでありまして、その点に対する信頼は非常に高いものだと思っております。今後とも財政金融政策全体を通じまして、通貨価値の安定ということについては万全の対策を講じて参りたいと思っております。
○山中(貞)委員 最後に一点。さっき刑事局長が答弁された、実際流通して発見されないにせ貨幣の量は大したことはないという見解には、私はどうも賛成できません。最終的には日銀あるいは銀行等において今回注意するようになってからやや発見の率が高まったというだけであって、発見された率は私は氷山の一角にすぎないと思う。従って、この問題は、安易なことでなく、国としても、国全体の立場からも、貨幣価値の維持という面からも早急な努力を一致して展開しなければならぬと思います。その意味では、先ほど横山君も雑音を言っておりましたが、今のようににせ千円札一枚出したら、では正しい千円札を一枚あげましょうというようなことでなくして、報償制度というものをすみやかに大蔵省で相談して、たとえばにせ千円札を、番号その他を見て、自分の中に入っておった、これはどういうところから手に入ったかとその人が考えて、捜査の参考に直接なるように自分が進んで協力しようという気持を起こすためには、少なくとも一枚のにせ千円札を届け出た者に一万円の報償金を出すとかなんとかいう措置を講じなければいかぬと思う。また警察においても、もしにせ千円札を一枚届けたら一万円になるといえば、国民は血眼になってにせ千円札を届けることに努力するでしょう。さらにその通報その他についても、刑事が印刷屋あたりをシラミつぶしに聞いて回っておるようでありますが、これを民衆の方から、実はそういえば私の隣には戦争末期にこういう印刷機械があったようだが、どこかに発送してしまったようだとか、どんな人が住んでいたようだとか、そういう古いことから始まって、最近の社会機構の中におけるにせ札に関係のありそうなことについて、国民は、どんどんにせ千円札を持ってくるばかりでなく、情報を提供する、そういう場合にやはり信憑性もあり、捜査のために非常な貢献なりヒントなりを与える者については、私は現在警察の中にも報償制度があることは知っておりますが、このにせ千円札事件については特別に財政当局と政府としての立場で相談をされて、大蔵省もそういう千円札を届けて一万円差し上げるという報償制度と別に、捜査に協力する人たちに対する、この千円札事件に関する特別の報償制度をやっても私は当然だと思う。なぜそういうことをせいということは、先ほど言ったように通貨価値の維持ということに根本的に影響を来たしておると思いますので、その点について政務次官並びに局長としては、そのような措置があればどのような捜査当局としての対策を期待できるか等について承りたいと思います。
○原田政府委員 山中委員の御意見は承りました。よく検討をいたして、検察当局ともますます緊密に連絡をとりまして、このにせ札の根本的な解決が早くできますように努力いたしたいと思います。
○高橋説明員 私先ほど誤解を生ずるようなことを申しまして、はなはだ申しわけありません。今の千円札といえどもそう簡単に偽造のできるものではないと思っておったのでありますが、現実には非常に捜査の困難なものが生じてきておるという事態であります。ただし、そのほかの券種、五千円、一万円あるいは五百円、百円は、千円札よりもあとにつくられた関係もございまして、今の千円札に比べるとより精巧なものになっております。ことに五千円、一万円札等は非常に新しい様式でつくられておりますから、現在の千円札に比べました場合には、はるかに偽造の困難なものであるということを申し添えておきます。
○宮地(直)政府委員 山中委員の報償に関する問題、現在でも私の方では御趣旨と同じような方向において全国的にやっておるのでありますが、そういうふうな状況にかんがみまして一そう留意して、関係方面と連絡をとりまして、効果の上がるような措置をまた考えたいと存ずる次第であります。
○臼井委員長 関連質問を許します。足立篤郎君。
○足立委員 時間がありませんから、一問だけお伺いいたします。 私は今度の事件で思い出しますのは、終戦直後に満州で起こった問題であります。当時私は一年間満州に抑留されておりましたが、満州人がわれわれ日本人に対して、お前たちは日本へ帰るのだから日本の紙幣を買って帰れというので、例の十円札を持ち歩きまして売りつけられたのであります。満州国の紙幣ばかり見ておったわれわれはだまされまして、にせものをたくさんつかまされ、日本へ帰ってみます。と、もう切りかえになっておりまして、これは無効でございまして、全然使えない。当時満州に流布されたうわさによりますと、その金は香港で印刷されたということでございます。あとから考えてみると少し青味がかっておりまして、日本の札と比べてみればわかったのでしょうが、大部分の人がだまされた。ここに毛利君がおります。が、おそらく毛利君もだまされた一人じゃないだろうか。(笑声)それで私は私なりの推理をいたしますと、どうも香港がくさい。なぜならば香港へ行った人は御承知の通り、飛行場で大っぴらに各国の紙幣をどんどん交換しております。日本の札を持ち帰るのは違法でしょうが、旅行した日本人が、案外本人はその紙幣の真偽については善意であそこでつかまされて帰ってこないとも限らない。これがちょっと発見できないようなものであれば堂々と使われて、銀行へ行ってようやく見つかるというような事態が考えられないでもない。大体この偽造団というのは日本の現在の警察力をもってすれば、刑事局長も言われている通り、すでに相当大々的に、全国的に調べておるようでありますから、もう何か出なければならないのでしょうが、それが出ないという点は、私はくさいと思うのです。ですから、こういう点は、専門家を香港に派遣して、あの飛行場でドルでも持っていって交換を求めればすぐできることなんですから、調べてごらんになったらどうか。また国際警察力に協力を依頼するというようなことはできないものかという点に努力をされておるかどうか。平岡君も質問がありましたから、私はこの点にポイントを置いて一点だけお伺いしておきます。何か日本の経済撹乱をねらっての謀略だという見方もありますし、単に香港あたりでもうけようとしてこうした偽造をやっておるというようなことも考えられますし、どうも国外にその原因があるのではないかというふうに私は推理いたしますので、あえてお伺いするわけであります。
○宮地(直)政府委員 本件の捜査にあたりまして、今御指摘のような観点からの情報というものもわれわれの方には入っておりますが、単に情報でございまして裏づけがない、必ずしも正確でないということですが、われわれは単に一つの現象面だけでなくして、相当広範な見地からこの点を調べておるわけでございます。 なお、外国との連絡という問題でございますが、最近もこういう偽造紙幣に対しまして特別に関心を持っておりますときに、外国ドル紙幣の偽造も発見いたしております。こういうような場合におきましては、それぞれ関係国、特にICPOと連絡をとりましてこういう問題に当たっております。 ————◇—————
○臼井委員長 次に、内閣提出の国民金融公庫法の一部を改正する法律案及び綱島正興君外六十名提出の国民金融公庫の農地被買収者等に対する貸付けに関する臨時特例法案の両案を一括して議題といたします。 ————————————— —————————————
○臼井委員長 お諮りいたします。 両案の提案理由説明につきましては、すでに前国会において聴取いたしておりますので、これを省略することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、省略することに決しました。 これより両案に対し質疑に入ります。通告がありますので、これを許します。鴨田宗一君。
○鴨田委員 ただいま議題になりました国民金融公庫法の一部を改正する法律案並びに議員提案の同じ法律案につきまして、実は前国会からの継続審議でありますので、ただいまのように詳細な内容についての質疑は省略いたしまして、ただポイントだけを一つ御質問申し上げたいと思いますので、端的にお答えを願いたいと思います。 まず政府当局、特にきょうは銀行局長おいででありますので、銀行局長に伺いますけれども、大蔵委員会にはいろいろな法案が今までに提出されております。どうも私が私なりに感じます。ことは、国民金融公庫一部改正に関する法律案については、大蔵当局として熱意がないように私には受け取られておるのであります。この点、私はいささか心外に思っておるのでありますけれども、この点、政府の、特に銀行局長の御意見を拝聴いたしたいと思います。
○大月政府委員 率直にわれわれの感じを申し上げます。 われわれが提案申し上げております。国民金融公庫法の改正、つまり二十億の出資を国民金融公庫にいたしますという法案につきましては、われわれとしてはぜひ通過させていただきたいと熱望いたしておるわけでございます。が、ただ、はなはだ申しにくいことでございますけれども、別に議員提案の法案がございまして、その御提案については、われわれとしては反対でございます。そういう意味で、国会の方でそれと切り離してお通し願えるならばわれわれとしてはいいわけでございますが、しかしそれをわれわれとしてあえて主張するということはまた適当でない、こういう感覚でございますので、そういう意味において、われわれとしては総合的な判断のもとにおきまして国会において御善処願いたい。それからさらに農地補償の調査会の答申がその後出たわけでございます。その答申によりますれば、一つは生業資金につきまして金融をつけるという問題、それから第二点につきましては育英制度その他の運用についてこれを考慮すべし、それから第三点については農地自体の補償の問題についての答申があるわけでございます。こういうような三つの問題がございますので、われわれの提案いたしております二十億の出資だけを切り離してこれを出資することがはたして全体としていいのかどうかという問題も、われわれ金融当局以外の財政当局を含めて、あるいは農林省、厚生省、あるいは育英資金については文部省その他の問題もあると存じます。そういう意味におきましてわれわれといたしましては通していただきたいという気持は万々持っておりますけれども、それではわれわれのだけを切り離して通していただきたいということも政府全体及び全体の国民経済としてのこの問題の扱いとしてはいかがかというようなこともございます。ので、われわれ事務的な銀行局の立場だけをもってあえてしいてどれだけを通していただきたいというのは適当でない、こういう判断でございます。そういう意味で、銀行局長としてのお尋ねでございますれば、私は百パーセント通していただきたいということを申すわけでございますが、その他の観点もございますので、あえて御遠慮申し上げておる、これが実態でございます。
○鴨田委員 ただいま銀行局長の言明の中で私たち非常に考えさせられる言質を実は得ました。この問題は後ほど議員提案の綱島委員がおいででありますので、また綱島委員に御質問をいたしますが、結局私たちは少なくとも例の調査会の答申というものの線においてやはり将来においては調和が保たれるのではないか、こういうふうな見通しを実は持っておるわけでありまして、ただいま私が質問いたしまするのは、政府提案でありまする国民金融公庫の一部改正に関する法律案というものの内容についてまず最初に承りたいと思います。 まずこの法律案、特に国民金融公庫法の第五条第一項、政府資金二百億を二十億増加して二百二十億にする、こういう法案でございます。しかしその立法の理由と申しましょうか、この付記には御承知の通り業務の円滑なる運営をはかるためという言葉が特に付記されておりますし、また過日の国会におきます政府の提案理由の説明の中には、経営基盤の強化ということをうたっておる、これはどういう意味ですか、それからまず銀行局長にお聞きしたいと思います。
○大月政府委員 今お話のございました国民金融公庫法の一部改正案の内容は、国民金融公庫の出資二百億を増額いたしまして二百二十億にいたしたいというだけの条文でございます。しかしこれについて提案の理由において御説明いたしましたように、この二十億及び資金運用部からの借り入れその他を含めまして三十七年度の国民金融公庫の貸付計画ができておるわけでございますが、それは普通貸付、恩給担保貸付、更生資金貸付、引揚者国債担保貸付、こういうものと並びまして今の農地被買収者で生業資金の融通を銀行その他一般の金融機関から受けることを困難としている者に対しても融資をする、その内訳といたしまして二十億円のワクを予定いたしておるわけでございます。そういう意味で二十億の出資は、金額は二十億増額でございますけれども、必ずしもこれと直結しておるということではなくして、全体の貸出計画に対しまして、その原資として出資及び融資を予定する、こういうことでございます。それでは、この二十億の出資を予定するにつきましては、御存じのように国民金融公庫の貸し出しにつきましては、普通貸し出しは九分でございまして、一般の資金運用部からの借り入れでもってまかなえるわけでございます。そのほかに恩給担保でありますとかあるいは更生資金貸付であるとか金利の低いものがございます。そういたしますとその金利をまかないますためにコストのかからない出資をある程度いたしまして、そこで収支のバランスをとる、こういう意味の二十億でございます。それが「公庫の経営基盤の一そうの強化に資する」こういう意味でございます。
○鴨田委員 昭和三十六年度のこの公庫の資金計画、これはこの前の国会で配付されました資金計画、また三十七年のやはり公庫の資金計画、これを見ますと、私はそういう今政府の出資金を二十億増額したことが、直ちにそれが経営基盤の強化に役立つか、業務の円滑なる運営に役立つかという問題は、やはり二十億政府資金として増額したためにまかない得られるだけでなくて、他の方法もあるんじゃないかということも実はお聞きいたしたい、こう実は思っております。私としてはどういう方法があるか、これをちょっと聞きたいと思いますのは、昭和三十七年は昭和三十六年よりも政府資金借入金において四百六十五億から——これは昭和三十七年は四百六十五億、昭和三十六年は三百七十五億、これは政府で配ったあれですから間違いございません。そうすると九十億増加しておるわけです。また回収金におきましては昭和三十七年が九百六十三億、昭和三十六年は八百五十一億というので、百十二億の増額をしておるわけであります。私はこの経営基盤の強化という意味においては必ずしも政府出資金はこれを増額しなくとも、この回収金をさらによけいに回収する計画を立てる、こういう面からその約二十億を増額するという手もあったんじゃないか、こう考えますがそれはどうですか。
○大月政府委員 貸出計画に対しましていかなる原資でまかなうかということでございまして、仰せのようにかりに二十億の出資をいたしませんでも、回収金において今考えておりますよりも二十億ふえるということでありましたら、同じ格好になると思います。ただ回収金につきましては、腰だめで計画しておるわけではないわけでございまして、前年度つまり昭和三十六年度の貸し出しの実態がございます。これはそれぞれ貸出期限何年何カ月、金利どのくらいということでございます。それから償還計画といたしまして、月賦償還ということになっておりますから、その個別の例におきまして金利が何月ごろにどのくらい入ってくる、それから元本の償還がどのくらい入ってくるということを計算いたしまして回収金を立てておりますので、そういう意味でわれわれの予算の面においてはまず回収金の方が既定の事実として出てくるわけでございまして、その上に新しい資金運用部からの借入金及びもし出資を要するとすれば出資をいかにするか、こういうような計算をいたしておるわけであります。
○鴨田委員 政府の提案理由の中に、この政府資金の二十億を政府資金に増額をするということと、ただいま銀行局長の説明がありました出資の二十億と被買収者に対する貸付の二十億とは、これはもうもちろん片方は原資であり片方は融通の中のワクであるというふうに言われますが、どうもそこに、私たちお聞きいたしまするに、すっきりしない点があるのじゃないか、この点どうですか、ひもつきであるかどうかということをはっきりもう一度お答え願いたいと思います。
○大月政府委員 提案理由で申し上げておりますように、一つは資金源の問題でございますし、一つは貸し出し計画の問題でございますので、論理的にはつながりはございません。全体の原資をもって全体の貸し出しをまかなう、こういうことでございます。ただこの問題のいきさつといたしましては、今提案いたしております二十億が出資されまして初めて全体の貸し出し計画が実行できる、こういうことでございます。そういたしますと、今の段階においてはその二十億に相当する貸し出しのうちでどれを差し控えておくか、こういろ問題があるのじゃなかろうか、こう考えるわけでございまして、そういう意味で今のように国会においてペンディングになっておる問題を含んだ貸し出しをむしろ事実問題として遠慮申し上げておる、というのが実際上適当かという措置をとっておるわけでございます。
○鴨田委員 さて今度は国民金融公庫の貸し出し内容についてお聞きいたしたいと思うのです。いろいろの点で貸し出しをしておりますことはわれわれ了解いたしておりますけれども、ただ私が御質問申し上げますことは、農業金融という面からもやはりある程度まで貸し出しをしておるという数字が実は見えております。どの範囲の農業金融をやっておるか、一つその点をお聞かせ願いたいと思います。
○大月政府委員 国民金融公庫におきましても、農業金融について必ずしもこれを排除するということではないわけでございまして、農業を営む者の必要とする短期の営農資金については、農林系統の金融機関が手当をする建前になっております。しかし国民金融公庫におきましても、そのうちで公庫の性格上適当とするものにつきましては補足的にこの融資を実行するという方針をとっておりまして、具体的には果樹、園芸、畜産等の一部のものにつきまして補足的に取り上げておるわけでございます。現に具体的に数字で申し上げますれば、三十六年の十一月でございますが、金額において十三億の農業金融の金が出ております。
○鴨田委員 私はやはり農業融資という問題は農林金融公庫に一元化することがいろいろの点で必要じゃないか、こう考えております。こういう面から判断いたしますと、今回の農地被買収者に対する融資を国民金融公庫に依存するということでなくて、一つの特別的な、ちょうど恩給貸付のような一つの独立的な特殊立法を作るようなことが合理的でなかったか、そうでなかったら、やはり農林金融公庫にこれを一元化して貸し付けるという方針をとった方がよかったのじゃないか、こう考えるのですが、いかがですか。
○大月政府委員 今回農地の被買収者に対しまして生業資金を貸し付けるという趣旨から申しますと、国民金融公庫が生業資金を貸す機関でございますので、その相手の方が被買収者であろうが、あるいは現在中小企業者であろうが、あるいはその他の一般の人であろうが、ということに無関係に生業資金を貸していくということにおいて国民金融公庫が適当ではなかろうかと考えたわけでございます。
○鴨田委員 私は農地被買収者の方々が大衆金融としての国民金融公庫を利用するその趣旨と、いわゆる一般の方々、これは農地を取り上げられましてそうして実際困っておるという方々が融資をお願いするという特殊的な立場があるのではなかろうか、これを一般的な国民金融公庫においてのみ現存のところは貸し出しをしようという考え方はどうかと思うのですが、この問題は局長どうです。
○大月政府委員 これは農地の被買収者に対してどういうような性質の金を貸すかということに関連があると思います。農林金融あるいは系統金融の機関からの貸し出しということになりますれば、主として営農資金を出す、こういうことでございますので、生業資金ということになりますと、国民金融公庫において広く一般国民を相手にして貸すという建前から、この被買収者だけを逆に除外するということは適当でないのではなかろうか、こういうように考えたわけでございます。
○鴨田委員 今回の国民金融公庫の第五条一項の約二十億を政府資金として増額をして、もちろん関連はないにいたしましても、バランスシートの上からいたしましてそれが直ちに同じ額が被買収農家に貸し付けられる、こういう趣旨でありますけれども、そこで私は二十億という線を打ち出したその経過は別といたしまして、これでもどのくらいの農家の方々に貸し出しができるか。いわゆる国民金融公庫の今までの経過からいたしまして、件数においてどのくらいの貸し出しができるか、これを一つ質問しておきたいと思います。
○大月政府委員 今般予定いたしております金額では二十億円でございます。現在、昭和三十六年度におきまして、国民金融公庫の一件当たり平均の貸出額は個人、法人を通計いたしまして二十八万八千円、おおむね三十万円でございます。それから個人のみで計算いたしますと二十二万九千円、二十万円ちょっとこえた程度でございまして、こういうような数字がございますので、かりに一貸付先に対しまして二十万円というように想定いたしますとこれは一万件、二十五万円平均と考えますと八千件、この程度の貸付ができるのではあるまいかと予想いたしております。
○鴨田委員 そこで、綱島先生にお聞きしたいと思うのですが、現在国民金融公庫を利用して何とか一つ生業資金を得たいという階層の方は、被買収農家でどのくらいおいでですか。概算でけっこうです。
○綱島議員 被買収者の生業資金を得たいというだけの希望者も相当数ございまして、それはおそらく従来の件数よりはずっとふえて参ると思っておりますし、総額も二十億どころではなかろうと思います。それより急なるものがございますので、実は生業資金以外のものも加えて融資を願いたいというのが私どもの立案趣旨でございます。
○鴨田委員 どうせお貸しするのです。から二十億というけちなことを言わないで、回収金を引き当てにいたします。と、この運営資金というものは相当ふえてくるのではないか、こういうふうな面からもっと増額をするという考え方はなかったですか、局長さんにちょっとお聞きいたします。
○大月政府委員 予算編成の当時におきましては、この二十億が適当であろうということで、この問題としてはそう大きな問題はなかったように考えております。
○鴨田委員 先ほど冒頭にお話しいたしました通り、被買収者の調査会の答申が五月に行なわれまして、これによりますと、なかなか私たちの感心するようなことが答申されております。皆さん御承知でしょうけれども、一応答申の原案の内容は、政府は農地改革により農地を買収されたものであって、現状において生活上または生業上困難な状況にある者に対して生業資金の貸付の措置を講ずる。その子弟を進学させるのに困難な状況にある者に対し育英その他の制度の運営において配慮を加えるということが、はっきり言われております。また昨今の、社会保障審議会の答申も、憲法二十五条の例の最低生活を営んでおるところの国民に対するあたたかい答申が出ておるわけです。こういうふうな、あれやこれや考えましたときに、私は議員立法といたしましての綱島委員の意見は非常にけっこうな意見だと思うのですけれども、これについて綱島先生から何か御意見がありましたら詳細にお聞かせ願いたいと思います。また質問をいたしたいと思います。
○綱島議員 実は政府が持っております調査会、審議会といったものは、政府が、もとより現行法律に従って、その範囲内の行為をやらなくちゃならぬ憲法上の義務を負うておるのでありますから、諮問機関も勢いその範囲を出ぬわけです。国会が持っております権能というものは、政府が持っておる、いろいろな現行法上それではいけないというようなものを改正いたしましたり、あるいはさらに新たな妥当な線を発見いたしたりすることが、国会の義務でございます。従って議員の立法の範囲というものと、それから政府が現行の法律によってやっておるということとは、勢いそごが出てくるのは当然でございます。ただ私ども遺憾に思いますことは、従来旧憲法において、立法権といろものは天皇が持っておったので、国会にはなかったのであります。立法権は国会の協賛をもって天皇これを行なうと、旧憲法五条にそう規定してあります。わが国は、遺憾ながらそういう憲法に基づいて国会を開いておった結果、国会というものは何か政府のサービス機関のような考え方に堕して参りまして、これが私は日本の民主主義の将来の上にも非常に阻害することになり、世界と非常におくれた状態の国会が生まれてくる事情にあると思うのであります。ただ財政に関する限りは一定の制限がございまして、提案者の数に制限を加えてございますので、勢いこの点は、その提案者の数の制限をこえるものについては、私は財政上の措置に影響のあるものでも立法し得ることが、憲法の本来の趣旨であると思いますし、特に憲法四十一条には、国会は最高の国権の機関であって、唯一の立法機関であると書いてございます。従って政府の意見なんというものは、これは参考のために聞くべきものである。立法のとき、あたかもイニシアチブを自分が持っておるような答えを政府委員がするということは、摩訶不思議なことであります。私は、こういうことは将来禁止しなければいけない、そういう役人に対しては相当な反省を求めなくちゃならぬ。かようなことでは民主主義というものはほんとうに発達いたしません。その点はほんとうにフリーな立場で、妥当な条件からものを判断してやっていくべきものであって、政府が都合がいいとか悪いとかというようなことは、私は考慮の余地がない。ことに立法は、議員が出す立法でございますから、それに政府が持っている審議会の答えがこうであったとか、そういうことは一応の参考にはなりますが、私どもは深く考慮する範囲に属しないことだと心得ておるのであります。従って、この点については、一つ議員諸君にもよくこのことを胸に置いて御判断を願いたい、こう思うのであります。従って、私どもが特に被買収者という問題——この際被買収者という問題について、一言私は申し上げたい。これは、自作農創設特別措置法ということから始まったのでございますから、農地を自作農制度でやるということであるという名前のもとに、ややもすればこの法律が全面的に国民の利益に合致するものというような誤解を持っておる人が、世の中に多いのであります。ところがこの法律は、実は立法されましたのは二十一年の十一月でございます。ところがこの法律において指摘する不在地主であるとか過剰耕作地主であるとか、かようなものを決定する時期はどこであるかといえば、二十年の十一月でございます。一年さかのぼって事実を決定するということに相なっておる。私は国会では言いにくいことだけれども、当時日本の勢力に対して、日本の国民に対して多少の誤解を持っておった人たちの指図によって、日本の在郷軍人なとが——今は在郷軍人、当時の従軍者——国外におって、二十年の十一月までは帰還兵はほとんどない。大がいの者は帰還しておらない。従って、そのときはほとんど耕作ができない。その状態にあったそのままを実は不在地主として処遇するためになされた法律であって、妥当性はございません。ただ遺憾なことは、最高裁判所は、刑法においては不利益にさかのぼることはできないという憲法の規定があるが、民法においてはそれがないから、不利益遡及の法則も日本の憲法は認めておるんだというような、摩訶不思議な判決をいたした。これも不思議なことと考えておる。一体法律が遡及して不利益を国民にかくることができるという法則が成り立つならば、法治国主義というものは名あって実なきものである。法治国主義というものが始まったことは、いやしくも法律の効果というものは現在より将来に及ぶものであって、過去にさかのぼって不利益を追及することはできないということが、大憲章以来、一二一五年のいわゆるマグナ・カルタ以来の大法則である。それが日本の憲法は、民法にその規定がない。民法は、あまりに当然なことだから規定しなかったので、念のために刑法には規定してあったと思うのを、それを逆用して、民法にはそういうことは効力はないからというようなことで、摩訶不思議な判決をいたした。こういうことが折り重なりまして、実はこの被買収者というものは非常な不利益が残っておるし、特に議員の方にお聞き及び願いたいことは、買収された件数は約二十五万件でございますが、その中の二十万件までは一町歩以下のものでございます。よろしゅうございますか、一町歩以下の強制買収の土地である、かようなことが、一体今——考えてごらんなさい。一町歩以下のものが、独立した、りっぱな適正耕作者と言えるか、さようなことをいたして、今日この法律が実は非常な弊害を農村に及ぼしておるのでございますから、これに対して妥当な線を発見しようという努力、その手始めとしてこの金融措置をしようという処置に、私は何の不合理があるとは考えられない、こういうことを一体、一知半解に立った、役所の少しの都合で何かえらそうな説明をするなんということは、国会を悔辱するものだと考える。私は事務当局はもう少し慎重な、国民的視野から、財政を国民的視野から守るべきものである。高利貸しの台所審議ではございませんから、こういう点については、私は事務当局もそれぞれ達観してものを見られんことをこの際希望して申し添えておきます。 以上のようなことで、私はこの法律は、実は被買収者に対する生業資金以外の育英資金その他生活資金においても貸し出し得る処置を開いていただくことが妥当だと考えて提案いたしておりますわけでございます。
○鴨田委員 国民金融公庫法第一条によりますと、結局金融ベースでやはり被買収農家に対する融資もしなければいかぬ、こういうふうなことを先ほど局長は答えました。それに関連いたしまして、実はただいま綱島議員から非常に博学なしかも高邁な御意見を拝聴いたしまして、私たちもほんとうに敬意を表する次第でございます。そこで私は、国民金融公庫法の第一条の貸付の金融ベースの問題と、さらにまた先ほど綱島議員の言われました通り、私が質問いたしました通り、農地被買収者問題調査会の答申というものとどういうふうに調和するか、これは大きな政治問題じゃないかと思うのですけれども、ちょうど副大臣がおいででありますので、一つお答えを願いたいと思うのですけれども、これは調和することがやはり議員立法にもかね合いができてくるんじゃないか、こう考えます。けれども、いかがでございますか。一つ御答弁をお願いしたいと思います。
○原田政府委員 ただいまの御質問は、国民金融公庫の二十億の金を生業資金に貸し出すだけでなしにほかにも使えるということを調和させたらどうか、こういう御意見であろうと思います。この問題につきましては、ただいまの綱島先生の方から議員立法をもってそうしてもらいたい、こういう提案があるわけでございます。政府といたしましては、国民金融公庫法の一部を改正いたしまして、生業資金が二十億ふやして貸し出せるように、こういう手を打っておるわけでございます。今の御意見をどうするかということにつきましては、現在の段階ではどうしたらよいというお答えをいたしかねるのでございますが、これはやはり予算編成等とからみまして、その他、先ほどから話も出ておりますが、関係のある諸官庁もございますので、それらと相談をいたしまして結論を出さなければならぬ問題であると考えております。
○鴨田委員 ただいまの御答弁に対して私は私なりの意見を実は持っておりますけれども、たまたま伝令が参りまして、本会議が一時から開会されるということでありますので、私の質問を一つ持ち越しまして、ここで一応休憩されたいと思います。
○臼井委員長 本会議散会後に委員会を再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時四十四分休憩 ————◇————— 午後二時三十二分開議
○臼井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。 金融に関する件について、明二十九日山際日銀総裁に参考人として委員会に出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○臼井委員長 贋造通貨対策に関する件について細田義安君より発言を求められております。これを許します。細田義安君。
○細田委員 贋造通貨の問題につきましては、委員会におきまして活発に論議がされたわけでございますが、この際、自由民主党、日本社会党、民主社会党、三派の共同提案によりまして一つの決議をいたしまして、この問題に対するところの根本的な対策を講じてもらいたい、かような点から決議の趣旨を申し上げたいと存じます。 まず最初に贋造通貨対策に関する決議、この案文を読み上げます。 今回の贋造通貨事件のすみやかな 解決は通貨の信用を維持する上に極 めて重要である。 政府は関係機関の密接な協議体制 を充実強化するとともに事件解決の ため国民の広帆な協力をえられるよ う報償金等について特別の措置を行 ない、かかる事件の一掃に格段の努 力をすべきである。 かような案文でございます。 ただいま議題になっておりまするこの決議案について提案の趣旨を簡単に御説明申し上げます。 今回発見されました贋造通貨は、本物と識別困難なほどきわめて精巧につくられたものでありまするため、そのほとんど全部が日銀や金融機関で発見されておるのであります。従って、本日まで発見されました枚数はわずかに百六十二枚といわれておりまするが、これはあるいはほんの氷山の一角にすぎないとも考えられます。このような事態をいつまでも放置することは国民経済を支える通貨の信用を維持する上においてきわめて遺憾というべきであります。従いまして、本事件のすみやかな解決をはかりますることは何人も議論のないところであります。かような点からいたしまして、私どもはあらゆる知恵をしぼり、あらゆる手段を講じまして、本件がすみやかに解決をする。それにつきましては一枚を発見いたしました者には具体的にはこのような報償をいたすというようなことを明確に打ち出しまして、あらゆる知恵とあらゆる協力を求めて、——捜査当局だけではなかなか困難でありますることは今日までの経過にかんがみまして明らかでございますので、国民の総力を求めて贋造紙幣を駆逐するという方向に向かいたいと思います。これが提案の趣旨でございます。
○臼井委員長 ただいま細田義安君より、贋造通貨対策に関する件について、本委員会において決議されたいとの動議が提出されました。 お諮りいたします。細田君提出の動議のごとく決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、細田君提出の動議のごとく決議するに決しました。 なお、本決議は大蔵大臣及び警察庁長官あて参考送付いたしますから御了承下さい。 ————◇—————
○臼井委員長 次に、専売事業に関する件について調査を進めます。質疑を許します。広瀬秀吉君。
○広瀬(秀)委員 葉たばこの収納価格の問題、災害補償の問題等について若干質疑をいたしたいと思います。 昭和三十六年九月八日にたばこ耕作審議会から作付面積の問題について答申がございました。黄色種四万四百四十二ヘクタール、在来種二万二百九ヘクタール、バーレー種二千七百七十二ヘクタール、合わせて六万三千四百二十三ヘクタールという作付面積の答申が出て、決定をいたしたのであります。が、現在この状況がどういうようになっておりますか、お伺いいたしたいと思います。
○阪田説明員 葉たばこの作付面積の問題につきましてお尋ねがございましたが、お尋ねのように昨年の九月にたばこ耕作審議会に諮問いたしまして本年度の葉たばこの作付面積を決定公示いたしましたわけでありますが、公示いたしました以後、本年になりまして各地で作付をいたしましたその面積がきまりまして、検査も終了いたしまして、結果が取りまとめできておりまして、ただいまここに詳細の数字は持っておりませんが、大体におきまして多少種類間に動きはございますが、公示いたしました面積とほとんど変わらない面積が実際作付されたという結果が出ております。
○広瀬(秀)委員 事務当局でもけっこうでございますから、正確な数字を、三十七年度の作付面積を種類別にお示しをいただきたい。
○黒田説明員 種類別の数字はちょっとございませんが、全体の数字で申し上げますと、公示面積が六万三千五百八十ヘクタールでございます。これに対しまして植付検査を終了いたしました検査の面積が六万三千五百十四ヘクタールでございます。ただこのうちには、東北地方でつくっております南部葉と申します種類が非常に成育のおそい種類でございますので、まだ検査が済んでおりません。これは許可の面積で計算いたしましてやっております。
○広瀬(秀)委員 作付面積は大体において目標に近い数字がようやく出たようでありますが、地域別には非常に減反が依然として行なわれているというところも地域的にあるはずであります。そのことはここで伺いませんけれども、そういうところを私調査をして参りました。そういうところとまた新しく新規に作付を始めるというようなところもありますから、総対的にはそういう数字になっていると思います。が、現在まで耕作をしてきた人たちがやはり増反意欲というものを旺盛に持っていない。依然としてやはり減反の傾向にあるというようなことは私は無視できない傾向ではなかろうか、かように考えておるわけであります。その主たる原因は、やはり収納価格がまだまだ低いという問題が一つであり、もう一つは災害補償がきわめて不十分である。特に栃木県のごとく、ひょう害で局部的にやられるというようなことで非常に甚大な被害を受ける、こういったものに対して、被害にあった人たちは、それによって災害補償が十分でないということで増反意欲がわかない、むしろ来年はもうこういうことではこれ以上つくる勇気がなくなったということで、減反に拍車をかけるというような面もあるわけでありまして、従って、価格問題と災害補償問題を中心にきょうは質問を申し上げたいと思っているわけであります。 ところで昨年の十二月十日にたばこ耕作審議会の答申が出まして、昭和三十七年産葉たばこは総体で一〇・一九%の値上げが決定いたしました。これは告示をされておるわけであります。が、その際建議事項として「葉たばこの収納価格算定に関する、いわゆる「生産費および所得補償方式」については、国の農産物価格政策の基本事項に関係するところが多いと認められるので、農政全般を審議する然るべき機関において、根本的に研究されることが望ましい。」こういう建議がなされたわけであります。当時私この問題でこの「然るべき機関」というのはどういう機関なのかということを中心にいたしまして、専売当局の葉たばこの収納価格算定に関するいわゆる生産費所得補償方式をどう考えるのかということをただしたわけでありますが、要領を得ない答弁で終わっているわけであります。その後検討をされたはずであります。が、その後この建議の趣旨を生かすためにどのような検討をされてきておるか、この経過について一つ御説明をいただきたいと思います。
○阪田説明員 昨年の十二月のたばこ耕作審議会の建議に関する問題でございますが、御承知のようにこの審議会の建議といたしましては、「農政全般を審議する然るべき機関」ということに指定されておりまして、特定のどういうものにお願いしたらいいのかというようなことははっきりされておらないわけでありますが、私どもの方でその後いろいろと審議会の御意向等もそんたくいたしまして、先般、農政審議会という審議会がございますが、その方の事務局にこの建議の趣旨を御説明申し上げまして、農政審議会におきまして、全般にいろいろ農産物の価格の政策等につきまして根本的に審議をしておられますが、そういうこととあわせて葉たばこの価格につきましても審議していただくようにお願いいたしてございます。お願いいたしましたその後の進行状況につきましてはまだ具体的には承っておりません。そういう状況でございます。
○広瀬(秀)委員 農政審議会、これは農基法に基づくものでありますが、農政審議会の事務局に連絡をされたという程度でありますが、前回この問題で質問した際に、当時の副総裁は「然るべき機関」という中にはたばこ耕作審議会も、専売公社がその気になればこれはやはり「然るべき機関」に入るだろうと思うということを答弁されておるわけであります。その点についてはいかがお考えですか。あくまで農政審議会を通じてやるというのが一番正しい筋道だと総裁が確信を持ってそういう行動をとられたのか。たばこ耕作審議会、これはたばこの収納価格の問題については唯一の審議機関として今まで長い実績も持っているはずであります。そういった専門の機関であっても私はこの「然るべき機関」ということに決して自己矛盾するものではない、こういう考え方を述べたわけでありますが、副総裁もそういうことも考えられ得る、こういう答弁があったわけでありますが、総裁はあくまでこの農政審議会でいくのか、たばこ耕作審議会でこの検討を開始しても決してこの答申に矛盾するものではないのだ、こういう見解をおとりになりませんか。その点お伺いをいたします。
○阪田説明員 ただいまのたばこ耕作審議会に諮問することはどうかという御質問で、これは私ちょっと記憶がないわけですが、前の石田副総裁かと思いますが、そういうことが適当かもしれないというような御返事を申し上げたというお話ですが、ちょっと記憶がございません。たばこ耕作審議会、これはもちろん御承知のように、たばこの耕作反別あるいは葉たばこの価格を公社で諮問をしております公社の付属の審議会でございます。その審議会の昨年の価格の諮問に対する答申に付帯しまして、その建議としてこういう生産費及び所得補償方式、こういったような問題につきましては、国の農産物価格政策全般に関する基本事項であるということで、たばこ耕作審議会としてはこれを審議することは適当でない、他の農政全般の関係の機関に研究してもらいたい、こういうことを言っておられるわけですから、たばこ耕作審議会に公社の方からさらに押し返して、この方の審議をお願いするということはあまり適当でないような感じを私としては持っておるわけでございます。
○広瀬(秀)委員 たばこ耕作審議会が建議をもって「農政全般を審議する然るべき機関において、根本的に研究されることが望ましい。」こういうことを言ったのでありますから、これはたばこ耕作審議会以外の何らかの機関ということをさしているだろうと常識的には私どもも解釈をするわけです。しかしながら、今全国の葉たばこ耕作農民が一致して要求しているのは、やはり生産費及び所得補償方式をとってもらいたい、これはあらゆるところに行って今日耕作組合の大部分が、何か公社の御用機関的だと言われている組合ですら一致してこのことを要求をいたしておるわけであります。現地の一人々々の耕作農民に会ってみますと、それ以上に織烈な希望を持っておるわけです。これは総裁も御承知の通りだと思います。それにもかかわらず農業基本法において農政審議会、農産物価格問題全般等はやはり農政審議会の議題になるでありましょう。そういうところでやられることはけっこうなことでありますが、その連絡をされた、しかしその後本腰を入れて農政審議会がこの問題と取り組んでくれる、こういうような保証があるならば、私どもは先ほどの、石田副総裁を相当追い込んだ形でそこまで答弁をしてもらったというような経過を何もたどる必要はないわけであります。従って連絡をされたその後の結果、それから農政審議会の事務局でどういう返答をその際なされておるのか、本格的に、すぐにもこの検討に入るという約束があるのかどうか、このことを伺っておかなければならないと思うのです。その点いかがですか。
○阪田説明員 農政審議会の方には私どもの方から、こういう葉たばこの価格を決定する方針というものにつきましても研究方をお願いしまして、事務局の方でも御了承願ったわけであります。ただ農政審議会は御承知のように農政全般といいますか、農産物の将来の需給の見通しとか、いろいろ全般の農産物の価格の安定方策、そういったような重要な問題をたくさん抱えておられまして、すぐにこういう具体的といいますか、葉たばこの価格はどういう方針でいくか、生産費及び所得補償方式の考え方でいくかといったような問題にとりかかるという段階にはなかなか入っていただけないような様子であります。私どもとしてはお願いはいたしております。
○広瀬(秀)委員 やはり私が想像をした通りなかなか、しかも選択的拡大という農業政策の一つの大きな柱が農業基本法を貫いておるわけであります。が、その中でこの前武藤委員が当局に質問をした際に、選択的拡大といういわゆる成長部門の作物をどんどん伸ばすのだ、こういう農業基本法の方針の中にたばこというものは入っておるのか入ってないのか、こういうことを伺ったわけであります。その際にはそれも入ってないというような答えを実は得られておるわけです。そういうところへこの問題をぽっこり持ち込んでも、農政審議会が熱意を持ってこの問題に本格的な取り組みをするとは実は思われないわけです。言葉は悪いですが、一応総裁は儀礼的に、しかるべき機関とすればそういうものが考えられるというようなことで連絡されただけでは事態はちっとも前進をしない。この建議の趣旨というものはやはり実現を求めて建議されていることは間選いのない事実なんです。それにもかかわらず、そういう権能もないところにそれを持ち込んで、連絡をしましたからそれで御用済みだという気持では困るのであって、私どもはやはり専売公社自身が、生産費所得補償方式というのは一応米価問題で確立されたデータもあるし、そういう方式というものがすでに存在をいたしておりますから、全く新しいものをこれにつくり上げるということじゃなしに、たばこにふさわしくそれを引き移してくればこれはできないことじゃない、専売公社のスタッフもこれは生産部を中心にしてこういう問題と取り組めないほど弱い陣容では私はなかろうと思うのです。そうだとすれば、やはりある程度皆さんがそういう方向に気持を定めるならば、この建議の趣旨はやはり他の機関ではなかなか実現しない、専門的にたばこの収納価格と取り組まれている耕作審議会において何とか一つこの問題を真剣に検討してくれまいか、こういうようなことをある程度腹を固め、方式はもう確立されているのですから、それをたばこに引き直すために、こういうある程度の特殊性というようなものがあるかもしれないが、そういうものについてはこれはもう専売公社で一番よく知っておるのだから、そういうような意見等を付して耕作審議会で一つやってくれまいか、こういうような形で持ち込んでいかれることが最もこの建議の趣旨を実現させるためにとるべき当然の態度じゃなかろうか、こう私は思っておるわけですが、その点いかがでしょうか。
○阪田説明員 御承知のように、葉たばこの収納価格につきまして、米と同じように生産費所得補償方式を採用する、これは御承知のようにかなり長い前からの議論になっておる問題でありまして、耕作審議会あるいは私どもの方といたしましてももちろん十分に検討はいたしたわけであります。ことに昨年の十二月に本年度の収納価格を決定いたしたわけでありますが、そのときにもかなり従来の収納価格の決定の方式を変えまして、生産費を補償するという点に重点を置いてかなり計算方式は変わって参っておるわけであります。ただこの生産費所得補償方式は米だけについては採用なさっております。が、その他の農産物につきましてはもちろんこういう格好のものは現在のところでございません。農産物価格全般につきまして関係の多いこういう問題を、直ちに葉たばこについて採用していいかどうか、この辺非常に葉たばこという立場からだけではなかなかきめにくい、こういうようなことがございまして、昨年の十二月の耕作審議会の建議ということになったのであると思います。御承知のように、葉たばこ耕作審議会は葉たばこの収納価格をきめる、諮問に応じて答申するということが使命でありまするから、いつものやり方といたしましては、私どもから葉たばこの収納価格というものを原案を出てし御諮問いたすわけです。そういう御諮問の際に、耕作審議会の使命といたしまして葉たばこの収納価格をどういう方針でどういうやり方で算定してきめるかということにつきましては、それぞれの委員の方がそれぞれの御意見をもって審議される、検討される。これは私どもから生産費所得補償方式を検討してくれ、どういうやり方でやってくれ、こういう御注文を申し上げなくても、当然その使命としておやりになることであろうと思います。私どもの方としては、この前の建議書で、こういったような農政全般に関係することが多いからほかのそういうことに適した機関でやっていただいた方がいいだろう、こういう建議を承っておる際でありますから、あらためて私どもの方から耕作審議会にこういう方針を検討してくれと申し上げることはいかにも適当でないと考えております。しかし耕作審議会としては、もちろんその使命の中にそういう問題全般について審議する権能といいますか責任があるわけでありますから、当然そういう話が出れば建議もされるということになる、そういう筋合いのものだと私どもは考えております。
○広瀬(秀)委員 現在の価格算定の方式そのものにつきましてはあとで触れますが、これは八月五日の日本専売新聞によると、関東甲信越、福島の八県の耕作組合の県連会長会議が栃木県で行なわれたわけでありますが、その際、県連会長会議でも、増反計画をスムーズに推進するためにも、葉たばこの種類を問わず十アール当たり十万円以上の収入になるよう生産費所得補償方式による適正な価格にすべきだということを第一番目に強い要望事項としていわれておるわけであります。二番目には、耕作制度は国家財政を増大することが目的だけに、耕作者の利益についてはあまり考えられていない、こういう農民の不満がここでも大きくぶちまけられておるわけであります。従って、第三番目には、増反を推進するために公社は金を出し惜しみするな、また公社は天下り式の耕作指示でなく、地方の耕作事情を十分認識して指導してほしいというような、いろんなことがいわれておるわけであります。この第一番目にやはり生産費及び所得補償方式をとってもらいたいということが強い要求として出ておるわけであります。いろいろ前に何回も論議をいたしまして、米と違ってとりにくいのだということを言われておりまするけれども、私どもを納得させ、農民がなるほどそうかと納得するような説明というものはこの点についてはまだなされておりません。そういうようなことから非常に強い要求になっておるし、やはり専売法の第五条にいうところの、農民に適正な収益を得させることを旨として収納価格は定めなければならないということは、この前の谷川監理官の答弁によりますと、適正な収益とは何だという私の質問に対して、これは農民が喜んで生産に従事し、増反計画にも協力をするようなそういう価格なんだ、こういう答弁をなさっておるわけであります。そういうことになります。と、現行の方式というので今まで耕作をしてきた人たちが増反になかなか協力をしていないという現実——新規に始める者はほかのものをつくるよりはこれをつくった方が有利だということで始めるかもしれぬけれども、専売法の第五条の価格決定について定めた趣旨というものから見るならば、少なくとも現在の耕作者が喜んでたばこをつくって再生産をどんどんやっていくという拡大再生産の方向に向かうような方向というものはとられてないとすれば、現行のやはり算定方式というものは必ずしも十分なものではないということだけはお認めになっておるだろうと思いますが、その点いかがですか。
○阪田説明員 御無知のように葉たばこは将来非常に需要が増加すると思われますので増反をしなければならない、こういうことで私どもいろいろ努力いたしておりますが、増反いたしますについては、もちろん耕作者の方に適正な収益を補償して喜んでいただけるような価格で葉たばこの収納をしなければならない、これは当然なことであります。私どもそういう面におきましていろいろ努力はいたしておるわけでありますが、ただ先ほども耕作組合の方の要望の御引用もございましたが、たとえば反収十万円以上ということをすべてのものについて補償するような価格にせよというようなことを要望されておるわけですが、現状におきましても、これも御承知のように、反収すでに十万円以上に達しておるようなところもあるわけでございます。そうでないところももちろんありますが、結局葉たばこは私ども収納いたしましてもこれはたばこに製造して売るものであります。公社で製造する場合に、使用する場合の価値といいますか値打、こういうものも考慮に入れなければならないわけでありますので、いかなるたばこが出てきても十万円以上補償するような価格をつくるということもこれはやはりむずかしいわけであります。適正な収益を得させるように考えなければならない反面、やはり公社におきまする利用価値というものを考慮いたしまして、その辺も考えて個々の品種別、等級別の価格もきめていっているわけであります。なかなか葉たばこの価格というものはそういうふうに一律にいかないというところにむずかしい点があるように思います。全体としていろいろ御要望の点もよくわかっておりますし、そういった点、できることはどしどし実行いたしまして、耕作者の方々に喜んでつくっていただけるようなやり方をやらなければならないとは考えてはおりますが、具体的にそういう問題になりますと、個々の場合にいろいろ御満足のいけないような場合も出てくるんじゃないかと思います。そういったような状況でございますので、この上ともいろいろと検討、研究はいたしたいと思います。現状はさようなことになっておるわけであります。
○広瀬(秀)委員 その生産費及び所得補償方式の問題につきましては、それは若干の難点があることはわかります。けれども、とにかく耕作農民がほんとうに——今たばこ耕作地帯では、たばこつくりのところには嫁さんに行かぬということが非常に言われております。特に女性の労働が非常に強化をされるというようなことで、非常に深刻な問題になっておる一わけでありまして、こういう問題も十分に考えていただいて、この生産費所得補償方式をとる方向にぜひ前進をしていただきたいことを要望いたすわけであります。この問題はまたいずれあらためてもっと論戦をいたしたいと思いますが、きょうは当面の問題について重要な関心を持っておりますので、その方に問題を移したいと思います。 現在の昭和三十七年度のたばこの収納価格の算定方式、これは公社からお出しになった資料を見ましても、昭和三十三年から三十五年までの葉たばこ収納価格の平均が基礎になっておるわけであります。それに対して生産費による価格調整率というものをかけていく、あとは農業パリティの変動率さらに農業労賃の変動率、こういうようなものをかけ合わしたものが出ている。生産費的な要素というようなものを強く取り入れてきたのだという説明が当時与えられておるわけでありますが、基礎になっているものが何しろ生産費というものに価格算定であまり重点が置かれていない、三十三年から三十五年の実際の収納価格の平均というものが土台になっている。しかもこの土台になった時期は専売公社で調査されたところによりましても、生産費と収納価格との間に黄色種を除いては大きなマイナスがある、生産費が収納価格をはるかに上回っているという時代のものが取り入れられておるわけであります。第一在来種では収納価格が十アール当たり五万五千四百十九円、生産費は皆さんの専売公社で調査をされたところによって七万四千六百四円、すなわちマイナス一万九千百八十五円。第二在来種では収納価格五万八千九百四十八円、生産費が六万六千二百四十九円、マイナスが七千三百一円。第三在来種で反収六万一千四百二十九円、生産費が六万五千二百六十七円、マイナスが三千八百三十八円、バーレー種が四万八千百六十九円、生産費が五万三千三百二十四円、マイナスが五千百五十五円、黄色種については約五千円の生産費を上回る反収があった、こういうような数字であります。こういうものを土台にしてそれに調整率をかけていったというだけでは、やはり完全に生産費をカバーしていわゆる農民が喜んで農民に適正な収益を得させるということからいうならば、この算式自体にも非常に無理のあるものであろうと思います。そういうものをあえてここで蒸し返してこの問題を中心に論議するつもりはありませんけれども、そのような角度でこの問題を私どもは批判をいたすわけであります。 そこで十二月十日やはり耕作審議会の答申の中で要望書がつけ加えられました。その第一番目に「収納直前の時期」すなわち今日がその時期であります。去年の例によれば収納は九月二十二日ごろから始まったはずであります。従って直前とは現在なのだ。「収納直前の時期に、同様の算式で」先ほど申し上げたPtイコール云々というこの方式で「新しいデータにより算出された価格が、物価その他経済事情のいちじるしい変動により五%以上変化する場合は、価格の改定を検討すること。」こういう要望書がついておったわけであります。そこで、この要望書に従って、私ども農林省の統計等を使いまして、そしてまた変動のあったものはその農林省の統計をそのまま移して変動率をはじいてみた、変動のない諸要素については専売公社がとられた指数をそのままこの算式の中に入れて計算をしてみたわけであります。そうしますと、大体農業パリティ指数の変動率、経営パリティ指数の変動率が少なくとも去年、現在の価格が算定されるときに使用した時期から今年の直前の時期、すなわち四月から六月までというものは——まだ七月は出ておりませんが、七月はむしろ上がっているのではないかと思いますが、大体経営パリティ指数における変動率は二・七五%上がっておるという数字が農林省の統計にはっきりいたしております。それと同時に農業労賃の変動率、これをはじいてみますと大体五一%からはなはだしいのは六一%、こういうような変動がそれぞれ第一在来種——これは第一在来種が大体どの辺に分布しているかというようなことまで全部詳細に調べて、お宅で使っている通りのやり方をやって、農林省の数字を借りて、そしてはじき出したわけでありますが、こういう結果が出ておるわけです。たとえばこの経営パリティ指数は全国一本で二・七五の値上がり、それから第一在来種、第二在来種、第三在来種、黄色種、バーレー、それぞれ公社の使ってやられた通りの方法を用いて、第一で六一%の値上がり、これは労賃ですよ。第二在来種で五八%、第三で六四%、それから第一黄色種で五一%、バーレーで五九%、こういうような労賃面における大幅な値上がりというものが出ておるわけであります。そういうようなことで、この算式をそのまま使いましてわれわれが試算したところによりましても、今日の昭和三十七年の価格、第一在来種三百七十六円八十九銭、これに対して四百三十七円二十九銭という答えが出る。第二在来種三百三十四円六十四銭というものに対して三百九十七円九十八銭、第三在来種で二百六十四円八十四銭というものに対して三百八円四十七銭、第一黄色種で三百五十八円六銭に対して四百七円四十九銭、バーレーで二百六十五円六十二銭に対して三百二十一円三十三銭というような答えがはっきり出るわけであります。そうしますと、この要望書でいっております「五%以上変化する場合は、」——五%どころではないわけであります。目の子でちょっと考えただけでも大体三割ぐらいは引き上げをしなければならないようなそういう数字というものに、皆さんがこれがいいんだといってやられた算式をそのまま使って、しかも何の掛値もなしに農林省の数字を持ってきて、そうして皆さんがその数字に対して操作を加えられると同じようなことを全部やった結果がそういうことになる。去年の九月にやられたと同じように、ことしもまたこういう大きな変動がある。この審議会で要望をした、直前の時期において同様の算式によって新しいデータによって算出された価格が云々、こういう要望がある。こういう要望に対して私はこういうような数字を得ておる。この点について専売公社は一〇・一九%に追加して引き上げを行なう用意というものが当然おありだろうと思うのですが、その当局の考えを一つ聞かしていただきたい。
○阪田説明員 本年度の収納直前に再検討して五%以上変動がある場合は改定する、こういったような要望が昨年の十二月の耕作審議会に出ておるわけであります。これも御承知のように従前からそういったような考え方はあったわけでありますが、昨年の耕作審議会におきまして、同様の算式で新しいデータを入れて算出して五%以上変動しておれば改定を検討する、こういうようにはっきり具体的に示されたわけであります。私どもといたしましては、この要望書の趣旨は尊重いたしまして、事態がこういうふうになりますれば改定をやりたい、やるつもりでおります。ただ収納直前ということになっておりまして、これも御承知のように九月になりますと、大体例年明年度の耕作反別の諮問をいたす予定になっております。それのついでもあります。し、またちょうど耕作直前になるわけでありますから、九月になりますれば、適当な機会に少なくとも耕作反別の審議会を開きたい。それに伴いまして、その直前の時期までに集まる数字を集めまして、今言ったような五%以上上げなければならぬといったような事態になっておりますれば、それにつきましてもあわせて提案をいたすつもりでおります。そういう意味におきまして、私どももいろいろと最近までわかります数字を今まで集めて検討はいたしております。 お説のように、経営パリティあるいは労賃その他上がっておる要素がありますが、一方におきまして、多少下がるといった要素もございます。労賃の問題は、私もどの方で今までのところ見ております程度では、御質問のようには上がっていないようにも考えます。が、なおこの点は十分に検討いたします。そういった上で、耕作審議会に対しても価格改定の諮問を出すか出さぬか、出すとすればどの程度のものを出すかということを、この要望書の趣旨通りやっていきたいと考えております。現状におきましては、どういう結果になるか、どういう見通しになるかという点を申し上げる段階にはなっておらないわけでありますので、御了承願いたいと思います。
○広瀬(秀)委員 今の総裁の御答弁は、抽象的には、この要望書の第一項でいわれた、「五%以上変化する場合は、価格の改定を検討する」、五%以上の変化があるという数字が出るならばその通りやりたい、こういう趣旨に了解してよろしいですか。
○阪田説明員 御趣旨の通りでございます。
○広瀬(秀)委員 今までこの要望書を受けて総裁がそういうお気持でいられるわけでありますから、大体「新しいデータにより算出された価格が、物価その他経済事情のいちじるしい変動により」——「物価その他経済事情」ここには労賃の値上がりの事情というようなことも入ると思いますが、変動により五%以上変化したかどうか、こういうようなことについては、専門家としてこれはずいぶん御検討なさってきておると思いますが、少なくとも五%程度の変動はあるもの、それ以上の変動があるんだ、先ほど私は労賃等については大へんな変動があるということを具体的に数字で申し上げたわけでありますが、そういうようなことについて、もう少し具体的に今までの検討の結果というものをお聞かせをいただきたいと思うのです。
○阪田説明員 この問題につきましては、こういう要望書のございますことでありますから、なるべく新しいデータを使いましていろいろ計算してみるということは私どもも前からやっておりますが、耕作審議会に諮問いたします場合の問題といたしましては、できるだけその直前に、そのときまでに集め得る確実な数字を全部入れて算定をいたしたいと考えておりまして、現状におきまして、数字がまだ全部まとまっていないのがだいぶあるわけです。が、そういうものをやりまして仮計算をいたしました結果その他を申し上げましても、かえって誤解を招くというようなこともございますので、現在といたしましては、あまりはっきりしないことを申し上げるということは御遠慮申し上げたいと思います。
○広瀬(秀)委員 八月もきょうはもう二十八日でございます。きょうを入れましてもあと四日しかないわけであります。大体九月十日前後には、作付面積に関する諮問をいたすために耕作審議会が招集をされるわけであります。そうしますと、大体二週間、これはまさに直前だと思うのです。ここではっきり何%ぐらいの引き上げをやりますということまではいえないにしても、私どもでは一応こういう試算もいたしておる、専売公社はあるいはそれ以上に正確なものをはじいておるかもしれぬわけです。いずれにしても引き上げざるを得ないだろうということを私ども信じておるわけであります。確信を持っているのですけれども、大体価格の問題も、作付面積に関する諮問をやると同時にやらざるを得ないような情勢にあるのかどうか、抽象的でいいですから、その程度のことはお答え願いたいと思います。そんなに秘密にするほどのことじゃないでしょう。
○阪田説明員 先ほども申し上げましたように、耕作審議会の要望書は非常に具体的にはっきり書いてありますので、それに出て参りまする数字と新しいデータを入れますれば、簡単に言えば機械的に出てくる、こういうことであると思います。そういう意味で御了承願いたいと思うのでありまして、耕作審議会の直前に、諮問案をきめます。前にあまり憶測といいますか、まだ確定してないことを申し上げますことはいろいろ誤解を招くおそれもありますので、遠慮いたしたいと考えております。
○広瀬(秀)委員 それじゃ具体的に聞きますが、まずこの経営パリティ指数でことしの四月から六月を前期のものと比較いたしまして二・七五上がっている。これは七月は入らない数字でありますが。そのことはお認めになりますか。
○黒田説明員 私どもの調べましたところによりますと、六月の場合に対前年の九月に対しましてプラス二・三、こういう数字が出ております。
○広瀬(秀)委員 四月から六月の平均をとったらどうなりますか。
○黒田説明員 ちょっと数字を計算してございませんが、各月の前年九月に対します比を一応ここで表にして持っております。
○広瀬(秀)委員 六月の数字はそういうように出ておると思いますが、四月−六月を平均いたしまして、昭和三十六年の四月から九月の経営パリティの指数、こういうように出ておるものと対比をさせたわけでありますが、九月の諮問には、かりに案としても九月まではどうせとり得ないと思います。おそらく八月もちょっと無理だと思います。従って四月−七月ぐらいの平均ということがこのパリティ指数の問題でもとり得る数字じゃないかと思います。九月までどうしてもとらなければ確信が持てないのだという理屈も一応はあろうかと思いますけれども、大体二・七五、これは農林省の数字をそのまま私どもも使って計算しているわけですから、四月−六月の平均をとりますと二・七五%アップになることは間違いのないことであります。 それではもう一つ伺いますが、農業労賃の変動率、たとえば第三在来種を例にとりますと、おたくの算式によりますと、昭和三十七年産の葉たばこの収納代金を算定するときに用いられた農業労賃WOは三百七十四円二十三銭であります。これが最近の数字をとりますと、ことしの四月から六月の平均をとりますとWTが六百十七円二十九銭にはね上がっております。このことにつきましては皆さんの方ではじいた数字がありますか。
○黒田説明員 農業臨時雇いの賃金につきましては、男女に分けまして大体毎月調査しています。ここにあります。資料は、今年各月の前年の同月に対します比を一応出したものでございます。それを見ますと、六月におきまして大体二五%程度前年六月よりも上がっている、こういう数字でございます。
○広瀬(秀)委員 具体的な数字は幾らになっておりますか。
○黒田説明員 男が六百十一円、女が五百二十八円でございます。
○広瀬(秀)委員 数字についてどうしてそういう差が出るのかわかりませんが、しかしたとえばおたくの計算によりましても、男女込みでそれぞれのウエートあるいは地域別のウエート、そういうものをかけ合わせましても、いずれにしても最終的に前回使った数字はWOで三百七十四円二十一二銭だ。いいですか総裁、三百七十四円二十三銭という数字がそのまま使われているわけです。それがWTでは四百八十四円八十四銭に対して六百十一円なり五百二十八円、半々にいたしましても約六百円くらい、五百八十円ないし五百九十円、大体目の子算でもそのくらいになる。そうしますれば二十何%ということが言えるわけであります。そういうように相当な値上がり、しかもたばこの生産費の中において労賃の占める比率というものは非常に大きいわけであります。大体千時間、今度は葉のしを省略しまして百時間やそこらあるいは二百時間近いものが節約になるかもわかりませんけれども、労賃の占める比率というものは非常に大きいということがたばこの特色であります。それがこれほど大幅に値上がりしているということで労賃の占めるウエートというものを考えてみれば、少なくともパリティ指数でも二・七五%以上で、労賃が大体半分以上も占めているというようなたばこの中で二十何%上がった、こういうことになりますならば、大ざっぱに考えたって相対的に五%以上の変動があった、値上がりがあったということは少なくともいえると私は思うのです。厳密な計算をここで申し上げるわけにはいかぬけれども、そういう事態にはあるだろうと思う。それは総裁のそういう問題について先走ったことを言いたくない慎重さというものであろうと思いますけれども、やはり耕作農民を喜ばせる場合にはなるべく早い方がよろしい。そういう期待と喜びを持って一生懸命にいい品物をつくろうという意欲も沸いてくる、そういうことですから、この際もぜひ何とか追加の引き上げをやりたい、これは要望の趣旨からもそういうことをやりたい、こういう言明だけでも一つここでしていただきたいと思うのです。
○阪田説明員 ただいまいろいろ経営パリティ、労賃その他の数字につきまして御指摘がございました。多少違う点もあるようでございますので、私どもの方でもさらに十分今までの数字あるいはこれから手に入ります数字等につきまして、慎重に検討いたしたいと思います。もちろん先ほどから再々申し上げておりますように、そういったような数字をその通り算式に取り入れまして、算定いたしました結果によって耕作審議会の要望書の趣旨通りの措置をとりたいと考えておりますので、御了承を願います。
○広瀬(秀)委員 そこまでしか答えられないでしょうから、まあやむを得ませんが、とにかく真剣に、この問題についてあまり数字など妙な操作をされずに、正直に、農林省の統計等においても労賃の値上りということについてははっきり出ているデータでありますから、これらを使って少なくとも五%以上の追加の引き上げというものを、私は全国の耕作農民とともに期待をいたしまして、総裁の勇気ある正しい措置を要望して、この問題については終わりたいと思います。 それから第三番目には、災害補償の問題であります。私も実はことしの六月、栃木県のたばこ耕作地帯を中心に鶏卵大の降ひょうが十五分にわたって続いたということで相当な被害があって、その翌日激甚地帯を全部一回りをいたしました。そこで畑でぼう然と立ち尽している人、あれほどぼろぼろにやられたり、あるいは茎が根元からぽっきり折れてしまっているというような中で、それでもなおかつうね上げをやったり病害予防の薬剤散布をやっている農民とそのやられたところの畑の中でずっと話し合ってきたのでありますが、そこで訴えられたことは、こういう被害がある、しかもわれわれは一生懸命に、こんなひどくなったのをやがて立ち直らして樹勢の回復もしていく、それでもなおこれだけの被害があり、余分な労働を使ってやってもおそらく専売公社からは災害補償は何ももらえないでしょう、こんなことではもうとても来年たばこをつくる勇気は出ません、こういうようなことを私も強く訴えられてきました。その問題については、私も常々国会を通じてそういう農民の窮状については専売公社にも申し上げて何らかの改善策を講ずるつもりだから、まあそう短気を起こさずにというようなことで、しっかりやってくれと言って激励をしてきたわけなんですが、今日の災害補償の制度は、もちろんこれは一般の農業共済のように一種の保険システムのような掛金と給付というような形にはなっておりません。しかしながらやはりこれはそれだけの歴史的な沿革というものもあるし、たばこがもう国家独占で全部買い上げられる、許可栽培だというような事情の中からこれは当然なことなんです。掛金もかけてないんだから、その補償の方も若干は一般の農業共済以下であってもやむを得まいというようなことでは、そういう血も涙もないようなことでは、やはり農民の増反意欲というものはちっともふるい立たない。もうあの災害を思うとほんとうにたばこつくりがこわくなったということを農民が率直に訴えているわけでありますから、この問題については、現行の三割以上の被害がなければやらない、しかも三割以上になってその半分しかもらえないというような制度をもっと前進させて、農民が災害にあっても再生産の意欲を失わないような、そういうより前進した災害補償の制度というものを、そういう方向に改善していくという気持が現在あるかどうか、このことを一つ伺いたい。
○阪田説明員 たばこの災害補償制度につきましては、御承知のようた專売品である、すべて専売公社が収納をするといったような特殊性がございますので一般の農業災害補償法関係とは違った制度になっておりまして、保険ではなく、公社の方から一方的に補償するといったような形になっておるわけでございます。その関係上、一般の農業災害補償決関係の補償等と比較いたしてみますといろいろと部分的に違った点もございますが、私ども現状におきまして総合的に考えてみまして、現在の災害補償制度全体として、一般の農業災害補償等と比べて非常に貧弱なものであるというふうには決して考えておらないわけでございます。部分的には、いろいろ具体的なこまかい点につきまして、また運用の面におきましても改善していかなければならない面があるかと思いますが、その辺につきましては今後とも十分に検討いたしまして、不適切な点があれば直して参りたいと思っております。 全体といたしましては、最近農業災害保険関係の制度につきましてもいろいろ再検討の機運等もあるようでございます。そういったような関係等も十分に見きわめまして、私どもの方でも全体としての制度の問題につきましては検討を続けて参りたいと考えております。
○広瀬(秀)委員 現在の災害補償制度では、収穫が皆無である、すなわちもうあまりにも被害がひどくてこれは樹勢回復を待っても望みがない。全部刈ってしまう、とってしまう——もちろん許可を得てやるわけでありますが、そういうことになった場合でも八割の二分の一、すなわち四割しか入らないわけです。通常の回復していく場合に、前三カ年の平均の額よりも三割方収穫が減った、反収が減ったというような証明がなされない限り——その段階で初めて被害がそれだけだということが確定をするわけであります。その被害の額の半分しかやはりもらえない、こういうような形は非常に工合が悪いし、また同じたとえば三十アールを耕作をしている人でも、五筆ぐらいに分けて、あるいは六つにも七つにも分けて、五アールあるいは七アールというように分割してあちこちの畑につくっている。これは農民の長い間の知恵です。あるいはまた日本の農業の零細性のいたすところかもしれませんし、またそういうような不完全な災害補償の中で幾らかでも危険を分散したいという気持からかもしれませんが、そういう実情であります。ところがひょうなんかの場合に、あるいは水害なんかの場合に、三十アールのうちの一つの七アールは全滅だというような場合でも、総体から言えば三割の被害にならないというようなことで、それだけはまるまる損をするというようなシステムに現在なっているし、それから過去三カ年の平均をとるというようなことで、やはり農民が年々技術を改善して経営努力をしていいものをとろうというようなことをやってみても、過去三年の平均と比較をされるというようなことからすると、やはりそういう点にも問題がある。そういう幾つもの問題があるし、またその算定の基礎になる本人のやつでいくか、あるいはまわりのある一定の限度の平均反収というものを基準にとるかというような問題等も非常に問題点が多いわけであります。そういうような点を含めまして、とにかく非常に今日の災害補償制度というものは農民にとってきびしいものになっている。このことだけは私ははっきり言えるだろうと思います。 それからもう一つの点は、これはお伺いしたいのですが、たとえば稲がやられた、麦がやられた、あるいはその他の作物がやられたというような場合には、市町村等からそれに対するいろいろな、肥料の補助があったりあるいは農薬の無料配給があったり、被害に伴う病虫害が発生すればそれに対する薬剤なんかをただでくれる場合も非常に多い。そういう何がたばこの場合に何もない。これははっきりしている事実であります。あるいは樹勢回復のための肥料というようなものについても、その他の農作物の災害の場合には共済組合等を通じてそういうような措置がなされたり市町村の手によって手が打たれる。しかるにたばこは大蔵省所管であるがゆえにそのような手が打たれない。このような現実をお認めになりますか。
○阪田説明員 ただいまいろいろだばこの災害補償制度について御意見がございましたのですが、葉たばこをつくっております者が全部全損になった、耕作を廃止したといったような場合には、大体平年収入の四割を補償することになっております。まあ四割が高いか低いか、もっと補償すべきじゃないか、こういう問題でありますが、やはりほかの保険制度その他の例も考えていくべきであろうと思いまするし、また不可抗力による災害という以外に、たばこにつきましてはかなり耕作の技術のむずかしいものでありまして、作柄、収納金額、そういった事情でもかなり変動するものであります。あまり保険率といいますか、補償率が高くなりますと、その辺あたりもちょっと問題の点が出てくるわけでありまして、現状におきましては最高四割、これは多ければ多いほど被害農家にとりましてはもちろんけっこうなことでありますが、その他のいろんな関係も勘案いたしまして、現状ではこの程度で御了承願いたいというふうに私どもとしては考えております。 なお、そのほか具体的な補償のやり方といたしまして、たとえば部分的に災害を受けた場合に、他の耕作地が十分とれたといったような場合に、部分的には完全な損害がありましても、補償を受けられないという例もございますから、これはやはり私どもとしましては農家単位に、たばこ耕作農家というものを単位に、災害補償——どういう損失があったか、平年に対してどのくらいの減収になったかというようなことを考えていくのが適当である、そういうやり方がいいと現在におきましては考えております。もちろんいろいろ御意見のあることも承知いたしておりまして、研究はいたしております。が、現状におきましては、今の農家単位の耕作地、その農家の耕作地全般を対象として考える方式が合理的であると考えておるわけであります。 過去三年平均を基準にとっておりまする問題にいたしましても、これもいろいろと議論の余地はあると思います。しかし過去三年、毎年引き続き生産性が上がり収穫が上がってきておるといったような場合には、最後の年をとった方が合理的である、あるいは有利であるということにもちろんなると思いますが、これもたばこのような作物につきましては、いろいろ作柄が年によって違います。結局過去三年くらいの平均をとるのが一番安定して公平な見方になるのではないかといった考えで、従来からこういう方式をとっております。これももちろん緊急問題ではありますけれども、現状ではこういうやり方の方が公平で妥当な結果が出るんだといったような考えでやっておるわけであります。 そのほか、県その他から災害の場合に肥料その他の補償があるといったような問題でありますが、これはお説のように、現在の専売公社といたしましては、さような制度、さような予算を持っておらないわけであります。いろいろこの辺も御要望を多少耳にすることもございます。研究問題として検討はいたしたいと思いますが、現状ではさようなことになっておらないわけであります。御了承願いたいと思います。
○広瀬(秀)委員 たばこがやはり専売品であって、たばこ耕作農民がたとえば収穫の場合に、米の場合だったら、それは現実に七割までは補償される。ところがたばこの場合には皆無であった場合にでも四割だ、こういうような絶対的な差というものは、これはもうはっきりしているわけです。それでなおかつ現在ではまだこの程度でがまんしてもらいたいというのは、一体どういうところにがまんしてもらいたいという根拠がありますか。掛金をとってないんだからしようがないということですか。
○黒田説明員 ただいまの農災の場合、七割まで補償する、たばこの場合四割までしか補償しないというお話でありましたが、私ども調べましたところによりますと、米の場合でございます。と、大体キロあたりの値段の七掛のものが補償します場合の単位になる数でございまして、そういうことになりますと、全損の場合に四九%、大体補償になるんじゃないか、こういうふうに考えております。従いまして四〇%と四九%、米の場合は九%よろしいというようなふうに私ども考えております。大体米の全損の場合、四九%の補償というふうに、大体調べてそういうふうに了解いたしております。
○広瀬(秀)委員 米の場合を今正確に記憶してないんで、それに対して反駁できませんけれども、かりにそれだとしても、九%だけ差をつけているわけです。これは掛金がないんだから公平だ、こういう主張かもしれませんけれども、相当、たとえば五十センチくらいまでしか伸びない程度、葉が八枚か十枚程度、そういうような段階でも、そのときにたとえばひょう害にやられたという場合でも、その生産費の相当な部分は、四割以上、五割以上くらいのものは、大体もうその段階でつぎ込んでしまっている場合が非常に多いわけです。あるいはまたそれ以上に伸びた時期においてやられた場合なんかは、これこそほんとうに四割なんかではどうしようもない。再生産を補償するという本来の災害補償の姿からいっても、四割というのはあまりにも低過ぎる。これはどの時点を押えても低過ぎるのです。そのほかいろいろこまかい点もありますし、今現状でやむを得ないんだ、がまんしてもらいたいという、それだけではやはり農民は何としても納得いたしません。ほんとうに災害に会った農民は、やはり災害を一回受けたことによって、相当ひどい災害にあったことによって、そうしてまた一生懸命それを回復するために、余分な労力と余分な費用と余分な農薬と、それから精神的な苦労をしながら、どうやら樹勢を回復させていったら、去年よりも二割八分くらい減収のところでとどまった。そうすると、余分なそういう費用を使ったというようなものについて考えれば、その二割八分でとどまったという被害は、これはもっと大きくなるはずなんです。そういうようなところを、単に形式的に過去三年の平均収納代金を比較して、それを形式的に三割になるかならないかというようなことで、全然三割以上にならないということで、まるっきり補償をもらえない、こういうような事態というものが、どれほど農民の生産意欲を阻害しておるかということを、やはりもっと深刻にこの問題は農民の立場に立って考えてみていただきたいと思う。特に私が回っていったときには、そのやられたひどい状況になっている直後でありまするから、あるいはオーバーな表現を農民がしたかもしれませんけれども、これはしかし偽らざる農民の気持だろうと私は思うのです。もう来年はたばこづくりはやめようと思っています。こういうことで毎年やられたんではとてもかなわぬ。そうしてまた樹勢回復をしても、おそらく三割以上の被害にならない、三割以上の被害になってもその被害額の半分だ、こんなことでは、もうほんとうにたばこづくりに魅力を感じなくなる、こういうようなことが災害補償の不備の上からも出てきている。収納価格の引き上げは、これは本格的な増産を進めるための施策でありますが、これはいわば補助的な施策かもしれませんけれども、非常に心理的には影響力を持っていると思うのです。従って、もう少し前進したかまえと積極的なかまえを総裁に示していただかないと、引き下がるわけにはいかないわけです。もう一ぺんどうですか。
○阪田説明員 たばこ災害補償の問題につきましては、お示しのようにいろいろな問題があるということは事実でございます。ただ先ほども申し上げましたように、たばこ自体が非常にむずかしいといいますか、技術を要する作物でありまして、年によりましてうまくできた、それほどできなかった、資本、労力を投じまして同じ品質のものができ、よけい労力を投ずればよけい収入が上がる、必ずしもこういかないといったような性質もある特殊な作物でありまして、災害補償制度等を考えます場合にも、そんな要素なんかも考えて、公平にいくようなやり方をとる必要があるんじゃないか。一般の農産物とかなり違った要素がこの辺にあるのじゃないかと私ども考えております。 お説のようなひょう害の問題、現地を御視察になったそうでございます。が、ひょう害の場合にいたしましても、作付のどういう時期にひよう害を受けた、またどの程度の被害を受けたかといったような状況によりまして、まあ私どもといたしましては、被害を受けました畑でありましても、できるだけたばこをつくっていただきたいわけであります。また時期なり程度によりましては、結局そう手をかけないで相当の収入を上げられるという場合も相当あるわけであります。あまり災害補償ということで、少しでも災害があればすぐ廃作にされる、こういうことでも私どもとしては困るわけなんであります。いろいろそんな要素も考えまして、現在のような制度になっておるわけでありますが、根本的にこういう制度では耕作者の方に耕作の意欲を持っていただけない、たびたびの災害で耕作を放棄される、こういうような事態になりましても、これは、補償制度の目的も達しませんし、私どもとしましても、現況といたしましてはできるだけ耕作をやっていただき、たばこをつくっていただきたいわけであります。が、御趣旨のような点は十分に検討はいたしたいと思っております。しかし、たばこ災害補償制度につきましては、こういう特殊な作物でありまして、また公社といたしましても葉を全部買ってまたそれをたばこに使わなければならない。また補償金もたばこの収納額すべて製造たばこのコストになるわけでありますから、いろいろ各方面の関係も考えてやらなければならぬ問題であります。直ちにいろいろと御要望、御指摘のありました点に沿うような措置をとるというわけには参りませんが、しかし根本問題といたしまして、いろいろ問題のあるところはさらに十分に研究はして参りたいと考えております。
○広瀬(秀)委員 なかなか慎重で期待するような答弁をいたさないわけですが、とにかく国庫納付金だけでもことしあたり千五百億をおそらく突破するんじゃないかと思います。地方の消費税だけでも七百億に近いもの、合わせますると二千二、三百億の国家あるいは地方自治体の財源をなしている。これを毎年財政需要に応じて大蔵省からの要請というものをどんどん引き受けて、そういう耕作農民だけが常にひどい目にあっている、こういうような事情に対してもう少し目を開いた考えというものがなければ、やはり増大するたばこの需要をまかなう原料を生産する農民の生産意欲を燃やさしていくこともだんだんできなくなる。ある時期にはなだれを打って耕作をやめるというような事態もあり得るかもしれないというようなことも十分考えていただかないといかぬと思うのです。先ほどの収納価格の問題にいたしましても、非常に大きな期待を今寄せているわけです。これによっても来年つくろうかつくるまいかというような不安な気持でいる人たちに対しても非常な大きな影響がある。 それから今の災害補償の問題等につきましても、私いろいろ問題点を指摘いたしましたけれども、またいずれより一そう具体的にこういう点をこう改善してもらいたいというような提案もいたしたいと思います。そういうようなものを受けて、この問題についてもぜひ一つ改善をはかるという積極的なかまえを見せていただきたい。今すぐ、この次の国会には必ず出すのだというようなことまではなかなか技術的にもむずかしいでしょうけれども、この問題も改善の余地は十分ある問題だ、そういう点だけは認めていただきたいと思う。そういう方向で積極的に、専売公社の総裁は単に政府から言われた国庫納金を幾ら確保しろ、これだけを確保するために専売公社の総裁の役割があるのじゃないと思う。やはり長期にわたって続く専売事業だ、そういう角度から百年の大計を考えながら問題を考えていただきたい、こういうことを要望いたしたいと思います。災害補償の問題につきまして、もう一ぺん改善をする気持があるかどうかという点についてお答えをいただきたい。
○阪田説明員 専売事業で財政収入を上げることも私どもの主たる目的でございますが、ただいま御指摘のありました通りでありまして、財政収入の一定の額を上げるために支払うべきものを支払わない、耕作者に対して与えるべきものを与えない、こういうようなことは絶対考えていないわけであります。やはり適正な収入を与える、補償もするということでなければ長期にわたる耕作を維持していく、原料を確保していくということはできないと思います。その点は全く御説の通りであります。災害補償制度につきましても、そういったような観点から十分に研究はいたしたいと思います。 ただ生産を確保するという意味で申しますと、先ほどちょっと申し上げたわけですが、たとえば災害補償を非常によくすればよいということでよくしますと、結局廃作を促進する、こういう時期に災害を受けたらやめてしまった方が有利だということで廃作を促進するというような面も実はあるわけであります。総合的にそういうことを考えまして、耕作者の方にも十分に満足といいますか、していただきまして、たばこの耕作を続けていく、公社としても十分な、適正な報酬を与えてたばこの耕作を維持、確保あるいは拡充していくといったような政策をとらなければならないと根本的に考えております。そういった観点から、補償制度につきまして改善すべき点があればもちろんこれを改善するにやぶさかではありません。先ほど来たびたび申し上げておりますように、十分に研究をして参りたいと思っております。
○広瀬(秀)委員 阪田総裁は非常に財政通であり、いわゆる年は若いけれども、非常に実力を持った総裁だということは私ども定評があるわけであります。そういう点で、去年のたとえば追加引き上げの諮問を出されたというようなことも、これはやはりあなたの総裁就任最初の大きなヒットだ。農民も非常に阪田さんに期待しているのです。実は阪田さんという人はこういう人で、相当な実力者だということを私ども宣伝これ努めているわけです。だからそういうようなことも考えられまして、あなたの時期にやれないことだったら、その次の総裁もおそらくやれないだろう、こういうわけで私どもは非常に期待しているので、ぜひ私どもの要望に沿い、かつ農民の期待に沿って、ほんとうに国家の大きな財源になるたばこの原料を生産する農民たちが喜んで再生産の意欲を燃やすようにしていただきたい。このことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
○臼井委員長 次会は明二十九日午前十時より理事会、十時十五分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後三時五十九分散会 ————◇—————