大蔵委員会 第1号
- 発言数
- 175 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1962/08/14
会議録
○臼井委員長 これより会議を開きます。 この際、一言ごあいさつを申し上げます。 私、このたび当大蔵委員会の委員長に、まことに不敏の身をもって去る十四日に選任いたされました。つきましては、皆様方の御協力によりまして、何とか職責を全ういたしたい、かように念願をいたしておる次第でございます。皆様の特別なる御指導と御鞭撻を心からお願い申し上げまして、私のごあいさつといたします。(拍手) ————◇—————
○臼井委員長 国政調査承認要求に関する件についてお諮りをいたします。 本会期中、国政に関する調査を行なうため、議長に対し、国の会計に関する事項、税制に関する事項、関税に関する事項、金融に関する事項、証券取引に関する事項、外国為替に関する事項、国有財産に関する事項、専売事業に関する事項、印刷事業に関する事項及び造幣事業に関する事項の各事項について国政調査承認要求を行ならこととし、その手続につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○臼井委員長 理事の補欠選任についてお諮りいたします。 理事でありました黒金泰美君が去る七月十八日委員を辞任されましたので、理事が一名欠員となっておりますが、その補欠選任につきましては、前例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認めます。それでは委員長において、吉田重延君を理事に指名いたします。(拍手) ————◇—————
○臼井委員長 この際、大蔵大臣より発言を求められております。これを許します。大蔵大臣田中角榮君。
○田中国務大臣 私は、このたび、はからずも大蔵大臣の重責をになうこととなりましたが、その責任の重大さを痛感し、全力を尽くしてその職責を全ういたしたいと考えております。 何とぞ、よろしく皆様方の御支援と御協力をお願いいたします。 本国会において御審議を願うべく予定いたしております大蔵省関係法律案は、本国会に再提出いたすこととなりました産業投資特別会計法の一部を改正する法律案及び前国会から継続審議となっております国民金融公庫法の一部を改正する法律案の二件でありまして、いずれも当委員会において御審議を願うことに相なっております。 特に、産業投資特別会計法の一部を改正する法律案は、すでにその基本となる条約と予算について議決を得ているものであります。 この法律案は、米国との多年にわたる懸案でありましたガリオア等戦後の対日援助債務の処理に関する協定を発効せしめ、わが国の国際信用を維持する上において、かつまた、日本輸出入銀行、農林漁業金融公庫、住宅金融公庫等に対し、政府が出資を行ない、輸出の振興、住宅の建設等、国の重要施策を推進する上において、必須の法案であります。何とぞ、政府の意のあるところを了とせられ、すみやかに御審議の上、御賛同あらんことをお願いするものであります。 なお、この機会にわが国経済の現状並びに当面の財政金融政策について、所信の一端を申し述べたいと存じます。 昨年九月国際収支改善対策を決定、実施いたしましてより、最近までの経済の動向を顧みますと、その目標といたしました、国際収支の均衡の回復については着実な改善を見つつあるのであります。 すなわち、輸入は、本年初頭以後比較的落ちついた推移を示しており、一方輸出は、対米輸出の好調を中心にほぼ一貫して増勢を続けております。この結果、昨年一月赤字に転じ、同年六月には一億四千六百万ドルにも達した経常収支の赤字幅も次第に減少し、本年六月には四百万ドルにまでなっております。また、総合収支においては、外資の流入、特別借り入れなどによりまして、本年年初来四月を除き毎月黒字を続けております。 これもひとえに国民各位の理解ある御協力のたまものと深く感謝いたしますとともに、御同慶にたえない次第であります。 しかしながら、このような国際収支の好転をもって直ちにその先行きを楽観視することはなお許されないのであります。 すなわち、国内の輸出環境は、なお好調を続けることが期待されるのでありますが、現在その伸長に大きく貢献している米国景気の先行きに関し一、二懸念すべき徴候が現われており、その他の地域の動向をあわせて考慮いたしますと、今後を安易に楽観することは慎むべきことと存じます。また、輸入につきましても、生産の動向、自由化の影響などもあり、その先行きを慎重に見守る必要があると考えます。さらに、この十一月以降におきましては、昨年秋から本年春にかけて行ないました総額三億二千五百万ドルに及ぶ米国市中銀行からの借款を返済するという問題もあるのであります。 転じて、国内経済を顧みますと、個人の消費支出を中心といたしまして、底固い基調を続けております。特に、消費者物価は、賃金の上昇に伴うコストの増加と、所得の増大にささえられた消費の堅調などを反映して、依然、騰勢を続けております。また、鉱工業生産も消費財の活発な生産にささえられて、一進一退に推移いたしております。さらに設備投資につきましては、その先行きを示す機械受注は減少し、金融引き締めの影響もあって産業界の投資意欲にも減退傾向がうかがわれるのは事実でありますが、景気調整や国際収支の前途につき楽観的な見解が行なわれるにおきましては、企業における根強い投資意欲が再燃するおそれなしといたしません。 以上申し述べましたようなわが国経済をめぐる内外の情勢に顧りみまして、政府といたしましては、今日まで順調に回復いたして参りました国際収支の均衡を持続的かつ本格的なものとすることをもって経済運営の基本的な目標とし、あわせて、その他の経済の各面における均衡のできるだけすみやかな実現のために、財政金融政策におきましても既定の方針を堅持していく所存でございます。 同時に、経済に対する先行き不安を解消し、円滑にして秩序立った経済調整を達成するため今後とも細心周到の配慮を加えて参る考えでございます。 次に、当面の財政及び租税政策について一言いたしたいと存じます。 昭和三十七年度予算及び財政投融資計画の執行にあたりましては、財政に課せられた責務の重大さに深く思いをいたし、本年度予算編成の方針に即しつつ公共投資の充実、社会保障の拡充、文教の刷新等長期にわたる国力発展の基礎を充実するため、その重点的効率的な実施に努めている次第であります。 租税政策につきましては、戦後、相次いでの税制改正に伴い、国民の租税負担は総体として相当に軽減されてきていることは、現に御承知の通りであります。特に、昭和三十六年及び昭和三十七年の両年度におきましては、税制を体系的に整備し、中小所得者の負担軽減を主たる目的として、所得税、法人税、酒税、物品税等にわたり、国税において二千四百億円の減税を行なって参りました。しかしながら、わが国の租税負担並びに経済の実情に顧みますと税制のあり方については検討を必要とする問題がなおきわめて多いのであります。 政府は、これらの問題を審議するため、内閣に恒久的な機関として、税制調査会を設け、長期的な観点から、わが国今後の社会経済の進展に即応する基本的な租税制度のあり方について検討を始めることにいたしたわけであります。 またわが国の輸出振興及び国際的な経済協力を税制面からも推進するため、つとに東南アジア諸国を初めとして、諸外国との間に租税条約の締結を進めてきたのでありますが、今後とも一そう努力いたしたいと考えておるのでございます。 次に、金融政策につきましては、冒頭申し述べましたような経済の情勢に顧みまして、なお引き締め基調を堅持して参る所存であります。ただ昨今の資金需要から申しますと、今後は景気調整の秩序ある進展をはかるためには一そうきめのこまかい配慮が必要であると考える次第でございます。 また、輸出のための金融につきましては、これが一そうの振興のため、極力意を用うべきは、当然のことでありまして、かねての施策に加え、最近、日本輸出入銀行におきましては延べ払い金融の拡大、中小企業金融公庫におきましては輸出特別ワク融資の実施が行なわれましたほか、日本銀行におきましても、輸出金融優遇制度の改善をはかるなどの措置が講ぜられております。さらに、中小企業に対する金融につきましても、引き締めのしわ寄せを回避し金融の疎通をはかることが必要でありまして、政府といたしましては、さしあたり六月から九月の対策として、政府関係三機関に対する資金追加百五十億円及び市中保有の金融債の買い上げ百五十億円、合計三百億円に上る対策を実施しつつあるところでありまして、今後とも、金融情勢をにらみ合わせ、必要に応じ所要の対策を行なって参りたい考えであります。なお、わが国経済の健全な成長を確保するため、貯蓄増強の必要なことは言うまでもありません。従いまして、政府といたしましては、今後とも貯蓄奨励のための施策を検討して参りたいものと存ずるわけでございます。 最後に、国際金融及び対外経済政策について申し述べたいと存じます。 第一に、貿易為替の自由化でありますが、最近における欧州経済の急速な進展を契機として、今や世界の大勢は輸入に関する数量制限の撤廃から、関税の全面的引き下げに重点を移行しつつあるのであります。従いまして、わが国といたしましては、諸外国に比し、なおおくれている貿易の自由化をすみやかに進めることが必要であり、来たる十月には自由化促進計画にのっとり自由化率九〇%を達成し、世界の趨勢に即応していくべきものと考えるのでございます。 なお、昨年のガット大臣会議の結果に基づき、近く関税の一括引き下げ案が検討される運びとなっております。わが国といたしましても、国内的に種々問題をかかえてはおりますが、世界的なこの関税引き下げの動きに沿って互恵の精神に基づき輸出市場の開拓に努めるべきであると考えます。 また、最近におけるわが国の貿易自由化の急速な進展にもかかわらず、いまだに、わが国に対しガット三十五条を援用するなど、差別的な輸入制限を課している国があることははなはだ遺憾でありまして、政府といたしましては、今後とも強力に差別待遇の早期撤廃のために努力する所存であります。 次に、政府は、かねて国内金融の逼迫に伴う企業及び金融機関の外資の取りあさりを防止して、その秩序ある導入をはかるため、種々の指導を行なうとともに、去る六月には、外貨準備預金制度を創設して、短期外資導入の健全化をはかり、また情勢の変化に対応して適切に所要の調整を加え得る体制を整えることといたしました。さらに今回、外国投資家がわが国の株式、社債等に対し投資した場合における元本の回収に関し、従来課せられて参りました外貨送金に関する二カ年の据置期間を六カ月に短縮いたしましたが、これは、国際資本交流の活発化に即応し、健全にして安定的な外資の導入を一そう促進して、わが国企業の資本の充実を進め、国民経済の発展に寄与せしめようとの趣旨に出たものでございます。 以上、わが国経済の現状と、当面の財政金融政策に関する所信を申し述べました。 これから日本の経済政策の運営にあたっては種々むずかしい問題がありますので、できるだけ当委員会に出席いたし、各位の御意見を承り御協力をお願いいたしたいと存ずるわけでございます。 どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
○臼井委員長 次に、原田及び竹内両大蔵政務次官より発言を求められております。順次これを許します。大蔵政務次官原田憲君。
○原田政府委員 ただいま大臣からごあいさつ並びに所信の一端の御表明がございましたが、私もはからずもこのたび大蔵政務次官を拝命いたしました。私の職務は大臣を助けることである、こう考えておりますが、特に国会の皆さん方と連絡を密にいたしまして、万事円滑にやっていくことが私の務めであると思っております。 四十一国会が開かれまして、この暑いさなかに皆さん方非常に御苦労でございますが、できるだけ皆さん方と、重ねて申し上げますが連絡を密にいたしまして、国政を円滑に運営し、国民のために尽くさせていただく所存でございます。 よろしくお引き回しのほどをお願い申し上げまして、まことに簡単ながらごあいさつにかえる次第でございます。
○臼井委員長 大蔵政務次官竹内俊吉君。
○竹内(俊)政府委員 竹内でございます。このたび大蔵政務次官に就任いたしました。まことにふつつかなものでございますが、何分御支援と御協力をお願い申し上げます。 きわめて簡単でございますが、ごあいさつといたします。 ————◇—————
○臼井委員長 続いて国の会計、税制、金融及び外国為替に関する件について調査を進めます。質疑の通告があります。これを許します。堀昌雄君。
○堀委員 ただいま大蔵大臣から所信の表明のようなものがございましたが、きわめて抽象的な言葉で、実は田中さんの真意がどこまでこの中に盛られておるのか、はかりがたい点があるわけであります。 そこで、ただいまから少し具体的に今後の問題についてお伺いをいたしたいと思いますが、最初にお伺いをいたしますのは、ようやく予算編成等の時期に向かうときでございますので、来年度の予算編成については、ただいま簡単にお触れになりましたけれども、その財源等の問題については、これまでの予算編成とは異なって、かなり問題があろうかと考えております。これについては、大蔵事務当局としても何らかの意思表示があったかに新聞等で見ておりますけれども、田中大蔵大臣のこの問題に対するお考えを、少し具体的に承りたいと思います。
○田中国務大臣 お答えをいたします。予算に関しましては、御承知の通り八月の末日をもって各省から概算要求が出されるのでありまして、その概算要求を十分検討して、通常国会に政府案を提出するわけでございますので、時期的にまだ非常に早いのでありまして、確たる予算編成の方針を申し上げるというわけには参らない段階だと存じます。しかし、昨年度までは非常に好景気であり、また税収も伸びてきておりましたので、いろいろな新政策が活発にできるような状態でありましたが、今の段階において、はっきりしためどは申し上げられないとは申し上げましたけれども、税収も昨年のような増収を見通すわけにも参りませんし、また社会的情勢を見ても、印紙収入やその他の専売収益も、予想以上に増大するというふうにも考えられません。また経済そのものに対しても引き締め基調を堅持して、将来の合理的な発展を期さなければならない状況を考えますと、昨年度に比べて財源も窮屈であるとともに、予算を組む姿勢としては、均衡ある予算の姿が望ましいと考えます。その中で必要な施策に重点的に配分をして予算を盛らなければいけないのではないかというふうに現在考えておるわけであります。
○堀委員 この中で一番問題になりますのは、やはり財源の問題であろうかと思います。来年度の財源については、新聞紙等の伝えるところによりますと、大体三千四、五百億円くらいしか増加財源はないのではないか、このような報道がされておるわけでありますが、それに関連して、たとえば公債の発行であるとか、インベントリーの取りくずしであるとか、あるいは財政法の一部を改正して、国債償還に充てる部分を一つ来年度に使えるようにしたらどうかとか、いろいろ論議がされておるようでありますが、それについての大臣の御見解を承りたいと思います。
○田中国務大臣 先ほども申し上げましたように、歳入の見通しについてはまだ確たる数字を持てない状況でありますが、しかし、財源が乏しいからといって、公債発行論に踏み切ったり、またインベントリーの取りくずしを行なったりというような考えは、現在のところ持っておりません。財政見通しは一体どの程度なのか、今三千五百億というお話もありましたが、御承知の通り、日本の予算の中の九一%は租税収入をもってまかなわれておるというような状況から考えますと、九月決算を見たり、三十七年度における下期の経済発展の現状を十分把握していかなければならないのでありまして、基本的には、放漫に流れて将来の健全財政堅持という基本的な姿勢をくずすというようなものには踏み切って参らないという方針でございます。
○堀委員 私のお尋ねした三つ目の、財政法改正によるところの剰余金の問題はいかがでございますか。
○田中国務大臣 御承知のように、財政法では翌々年度に剰余金の二分の一を財源として組み入れるようになり、またその残りの二分の一は国債償還に充てるということになっております。この財政法そのものは、御承知の通り戦後のむずかしい時代につくられたものであって、将来とも相当長い期間、この条文がそのまま必要であるかということには問題があると思いますが、三十八年度の予算編成の財源を得るために、財政法を改正して、国債償還の率を削るというような考え方は、全然ありません。
○堀委員 先ほどもお話の中で触れておられましたけれども、わが国の最近の状態は、税収の増加は非常に多いわけでありますけれども、必ずしも減税がこれに見合っていないということは、これまでも当委員会あるいは予算委員会において、私たびたび触れて参った問題でありますけれども、そういうふうな減税という問題は、税制調査会を設けてこれから検討をお始めになるということでありますが、来年度の減税について、やはり私は、所得のふえる中で国民は、それに伴っての減税を強く要望しておると思いますので、それに対する大臣のお考えを承りたい。
○田中国務大臣 減税につきましては、御承知の通り過去十数年の間に約一兆円に上る減税が行なわれて参ったわけであります。減税に対する基本的な思想としては、減税はできるだけ毎年度これを行なうべきである、税の不均衡を是正するだけではなく、いろいろな社会的の要素もありますので、減税の姿勢はくずすべきではないというふうに考えます。しかし、減税の内容にいろいろな問題もありまして、今まで、特に特例等は廃止をしたいというような考えもございましたが、いろいろな公益事業、基幹産業その他、社会情勢の要請によって別な角度から減税の特例を設けるような御意見もありますので、来年度以降の減税に対しましては、ちょうど過去三カ年間で一応の税制調査会に対する諮問の内容には区切りがつきましたので、新しい立場から、日本の将来の税体系はどうあるべきか、また減税に対する基本的な姿勢はどうあるべきか、また各種の特例等の問題はどうあるべきか、また補助金制度との得失はどうあるべきかというような問題を御承知の通り諮問をいたしたわけでございます。われわれもその意味で、この調査会の結論を待ちながら、また財政当局も、税に対しては国民の側に立って税負担の軽減、特に低所得国等の税負担の軽減等に対しては心して参る考えでございます。
○堀委員 昨年度の減税の中で、間接税一般について減税に行なわれましたけれども、たばこだけについてはこれが触れられておりませんでした。階層別にいろいろ見てみますと、この大衆の一番消費部分に当たっておるたばこという毛のについては、これはやはり当年度はたばこの値下げといいますか、減税に見合うような取り扱いを行なうことが今大臣の言われた低所得者に対する減税ということに一番具体的に響くと思いますけれども、そのたばこの値下げといいますか、減税についての大臣のお考えを伺いたい。
○田中国務大臣 昨年度は低所得国に対する負担の軽減という意味で、大衆酒税及び入場税等の大幅軽減をはかったわけでございます。たばこに対してはこの間の新聞にもそのような、たばこの値下げを考えておるというような記事が出ました。こういう問題に対して専売局では考えておるのかということをただしましたが、現在確たる考えには事務当局も立っておらぬようであります。私自身は、たばこに対して値下げをするかどうかという問題に対してまじめな立場で考えておるのですが、たばこに対しても、収納価格の問題とか、のし葉の問題とか、地域格差の問題とか、またたばこの種類による格差とかいろいろまだ内部的に是正しなければならない問題もたくさんあるわけであります。こういう問題と三十八年度におけるたばこの問題を、問題があるものを全部一つ俎上に乗せてみて、そして十分慎重に検討すべき問題でありまして、今日ただいまたばこを値下げすることによって減税の一部を負担するのだというような考えに踏み切るべきではないという考えで、慎重に検討いたして参る予定でございます。
○堀委員 今のお話ですけれども、私はやはり順序が逆ではないかと思う。田中さんが大臣になられて、専売局に値上げをするのかどうかなどということを聞かれるなどということは私はややどうかと思います。やはりこれはあなた御自身の政治的な判断が先行すべきであって、今おっしゃった、あとのいろいろな内部的な問題こそこれは事務当局にまかせておけばよろしい。あなた御自身は、この際どうするかというこの判断を私どもは求めておるのでありますから、一つあなたの明快なる答弁を促したい。
○田中国務大臣 私が大蔵大臣になって、たばこの値上げをするか値下げをするかということを事務当局にただしたのではございません。この間の新聞に一部そういうことが報道せられましたので、その問題に対して事務当局は——前大臣から私はたばこに対しては引き継ぎを受けておりませんから、事務当局は一体そういう考えを持っているのかどうか、持っているとしても、そういう問題に対して、新しい大臣が就任をしたのだから新しい大臣の指示に基づいてやるべきであるということでただしただけでありまして、少なくとも事務当局に左右されるような考えは毛頭ありませんことを明らかにいたしておきます。
○堀委員 大臣はこの間まで与党の政調会長をしておいでになって、今度は賀屋さんがおなりになったようです。私どもいろいろものを読んでみますと、賀屋さんは、最近の御主張として、減税よりも社会保障を充実すべきである、こういうお考えのようでありますが、この点大臣は、与党の政調会長のそういう考えに対して、減税が優先するのか社会保障が優先するのか、これは二者択一の問題でありますので、両方ともよろしくやるなどというのでは答弁にならないと思います。いずれに重きを置くかということ、これは財政の考え方として重要な問題でありますから、大臣の率直な御答弁をお願いしたい。
○田中国務大臣 減税に対する基本的姿勢に対しては、先ほど申し述べた通りであります。なお具体的な問題として、減税が優先すべきか社会保障が優先すべきか、その他公共投資の歳出増加による面が優先すべきかということは二者択一であると言われましたが、これは非常に複雑な社会生活であり、また、テンポの非常に早い現在の生活様式を見ますときに、一様にいずれが優先すべきかという二者択一論はとられない問題ではないかと思います。そういう意味で、減税を一方でし、歳出の増加にも意を用いながら今日の社会をつくって参ったわけでありますが、やはり三十七年度から引き続いて引き締め政策をとっておりますし、三十八年度予算を組む前提として減税が先か社会保障が先かという問題は非常に問題でありまして、これは先ほども申し上げた通り、減税に対する基本的な姿勢は、今までの通り減税を行なうべきだという観念を申し上げましたが、そうかといって、減税だけを優先せしめて、おくれておる社会保障やまた公共投資のアンバランス面も全然かまわぬでよいというような問題ではないのでして、やはりケース・バイ・ケースで十分歳出増、また、今よりよけい重点的にやらなければならないものの内容も検討して、ある時期には減税が優先し、ある時期には投資が優先をするというふうに適時取捨選択をして行なって参りたい、こういう考えでおります。
○堀委員 その最後のところですけれども、ある時期には減税が優先をする、ある時期には公共投資、社会保障が優先する、こういうふうにおっしゃったのですが、来年はその時期としてはどうですか。
○田中国務大臣 先ほども申し上げました通り、就任日も浅く、私も御承知の通りまだ全くしろうとでありますし、私の置かれておる職責のいかに重大かを痛感いたしておりますが、これらの問題に対しては日夜今検討をいたしておりますので、しばらく時間をおかしいただければ明確な答弁をいたしたいと思います。
○堀委員 その次に、本会議でも質問がされておりますが、はっきりした答えがされておりませんのは、今回の生産者米価の値上げに伴います消費者米価の問題であります。これはちょっと事務当局に伺いますけれども、一体今度のこの消費者米価の値上げによって食管会計の赤字は当年度内でどのくらいになるという見通しでありますか。
○石野政府委員 食管の赤字は食糧管理の勘定で今までに七百一億計上されておったわけですが、今回の米麦価の改定によりまして、これは買い上げ量がどうなるかというような問題がございますので、いろいろな条件がありますが、大体四千二百万石と仮定いたしまして五百億、約五百億ということでございます。大体の目の子の計算でございますが、そんなものでございます。
○堀委員 四千二百万石の買い上げとして大体千二百億ということのようでありますが、実はこの五百億という金額はなかなか大きな金額になると思います。そこで、私どもが新聞報道等で見ておりますと、特に大蔵省事務当局の考えとして消費者米価の値上げが必要であろうというようなことが伝えられておるわけです。もう一回事務当局に伺いますが、消費者米価を一割値上げをした場合にはその一千二百億は一体幾らに減るのか、二割値上げをしたら一体幾らに減るのか、ちょっと先に伺ってから大臣のお答えを願いたいと思います。
○石野政府委員 これも正確な数字を今計算しておりませんから、大体の目の子で申し上げますが、一割の値上げといたしまして四百五十億赤字が減るというふうにお考えいただきたいと思います。
○堀委員 値上げをすれば、今度の一割値上げで大体今度の米価の値上がり分だけがほぼ相殺されるということのようでありますが、そこで私ちょっと社会保障と減税の問題を前段に申し上げたのは、今度の消費者米価の値上げというものはそういう問題と必ずしも全然別個の問題ではないと考えておるわけです。そこで、一体大蔵大臣はこの消費者米価の値上げについてどういうふうに今考えておられるか、伺っておきたいと思います。
○田中国務大臣 数字は事務当局が今申し上げた通りでございまして、昭和三十七年度すなわち本年度の予算におきましては四千二百万石買い入れて、大体七百一億の赤字を見ておるわけであります。これが四千二百万石の千百円アップというと、今申し上げた通り約五百億に近い赤字が加算をせられるわけでございます。私は、先ほど申し上げた通り、まだ就任浅いので、この問題に対して私からまだ意見を出してはおりませんが、現在のところ、大蔵事務当局と農林省の間でも、こういう問題に対しては検討をしておらないようであります。これはどういうことかというと、この前の生産者米価を決定しますときに、米審に対しましては、十月から十月末にかけて、あらためて消費者米価に対しては御意見を承りますという政府の態度がきまっておりますので、米審に対しての立場からも、今日いろいろな考え方を流すことは不謹慎だという考え方で、慎重な態度をとっているわけでございます。私は在来からも、自由民主党の政調会長として、私の意見も、また党の意見も申し述べておるわけでありますが、生産者米価が上がったから、すなわちそのまま消費者米価を値上げしなければならぬという論者ではありません。これは社会党の皆さんとも通ずる考え方だと思いますが、いずれにしても、この消費者米価の問題は、単に数字の上で割り切れるほど簡単なものではないし、また食管制度そのものに対する問題もありましょうし、またこれが及ぼす他の物価に対する物価政策上の問題もあります。まあ、しかし財政当局の主管者としての立場から考えますと、今申し上げましたように生産者米価だけでも五百億になり、しかも赤字が千二百億をこすというような、非常に大きな数字が国民の前に明らかにせられておるわけであります。だから、この問題に対しては、生産者米価というものに対しては、すでに河野構想という、一律に上げなくとも、いろいろな案もあるじゃないかというものも世の批判に訴えておるわけでありますし、ただ一つのラインだけで論じられ、断じられる問題ではないと思うわけでございます。私は、そういう意味で、これから農林省が米審に政府の案を諮問し、また、ある場合には消費者米価とはどうあるべきでしょうかという諮問になるかもわかりませんが、いずれにしても、その時期までに国民世論にも十分耳を傾けながら、また野党の皆さん、与党の御意見も十分算に入れながら、慎重にこの問題の結論を出したいという段階で、今日の段階で消費者米価を上ぐべきだとか、上げてはならぬとか、いずれにも断じられる段階にないということを申し上げたいと思います。
○堀委員 官僚出身でないにもかかわらず、なかなかそつのない答弁があり過ぎて、実は私ちょっと期待を裏切られたというのがただいままでの率直な感想でございます。 そこで消費者米価の問題、それは今おっしゃるような経緯もありましようが、最後にちょっとお触れになった財政当局としての立場というお話がございました。やはりこの財政当局の立場というのは、実は本年度、やはりいろいろな補正予算等の問題も今後に出て参ろうかと思います。この中では、人事院の勧告に基づくところの公務員のベース・アップの財源の問題もありましょうし、けさの新聞の伝えるところによると、当年度の財源が十分にないから国税庁は大いに徴税を強化してびしびし取り締まって滞納分を取り上げるのだなどという大へんな報道も本朝来されておるという現状にあるときに、一体この問題について、財政当局側の立場として見ればどのような方向になるのか、もう一回ちょっと伺いたい。
○田中国務大臣 財政当局側の立場ですなおに見ますと、昭和三十二年から全然消費者米価は上がっておらないわけであります。しかももうすでにその間何年か、年度々々に生産者米価は上げられておりまして、相当の大幅な逆ざや現象を呈しており、世の批判も一部あることも御承知の通りでございます。そういう意味で、千二百億ないし千三百億というような大幅な一つの会計における赤字に対しては普通の財政理論からいえばこれを補てんしてもらいたい。補てんするには一般会計から補てんをするか、もしくは値上げによるか、もしくは二分の一負担、一般会計から入れてどうするか。その場合にも、先ほどの議論のように、一般会計も財源は国民の税負担によってまかなうものであります。そういう意味で、減税とこういう社会保障が一体どうなるかという問題が同じく食管の問題にも当てはまるわけでありまして、そういう立場からいって、ただ一律に買ったものが高いのだから、それに対して売り値も自動的に上げなければならぬというような考え方だけで律しられなくて、十月の末に予定せられる米審に対するまでに態度を決定いたしたいということでありまして、私が今申し上げておることが大蔵省全体、また政府全体の考え方であるというふうに御了承賜わりたいと思います。
○堀委員 どうも収穫がなくてまことに残念な答弁でありますが、時間がまだたっておりませんから、また適当な時期に日をあらためて伺うことにいたしまして、次に、金融の問題について少しお尋ねをいたしたいのであります。 時期は忘れましたけれども、かなり前ではありましたが、政調会長であった田中さんが新潟で預金金利は引き上げるべきだという発言をなさって、それを私が当委員会で取り上げましたところが、当時の水田大蔵大臣は、それは政調会長がどう言ったか知らぬが、政府は引き上げないのだと、さっそくこの委員会で打ち消された経緯がありますが、その当時の御発言と現在の心境の相違があるのかどうか、承っておきたいと思います。
○田中国務大臣 私がいっそのような発言をしたかは、時期はつまびらかでありませんが、新潟で発言をしたといえば、きっと昨年の今ごろだと思います。昨年の今ごろはちょうど私が与党の政策責任者に任命をせられた直後でありまして、その当時一カ年間の目標をつけて、景気は過熱であるから、このような事態に対処しては一つある意味の調整政策をとらなければならないという考え方を経済閣僚会議でも相当強く発言をし、具体的な問題も申し上げたわけであります。そのうちの一つが預金吸収の問題、貯蓄増強の問題というような、いわゆる長期安定資本の確保という方向を打ち出さないと大へんなことになるのじゃないかというような考え方が記者会見に表われて、そのようにおとりになったと思います。私はそのときに、確かに預金金利は引き上げた方がいいというような表現をしたかもわかりませんが、その中の、私の持つ個人的なニュアンスは、当時は銀行法の問題とかいろいろな金融関係法の問題も出たはずであります。相当長い時間に対して御質問に答えた中のものが集約せられて報道せられたので、どういう意味で報道せられたかわかりませんが、現在の金利体系も戦後の過渡的な時代に作られたものであるし、これから相当計画的な安定成長政策を進めていくには、一体これでいいのだろうか、やはり広範な面から検討も必要とするのじゃないですかということを、きっと私が申し上げたと思います。その中で資金運用部資金の持つウエートというものが非常に前とは違いますので、その意味で民間の金融機関を現行法のままで置く場合に、資金運用部資金というような、いわゆる国が相当負担をし、補てんをしていかなければいかぬような財源を集めるためには、やはり金利の引き上げとか、また法制上いわゆる議決事項であります。法定事項である金利等の問題に対しては、政令等にゆだねてもっと弾力的な運用ができるようにという考え方で、いわゆる預金吸収、貯蓄増強、消費抑制というような一環として申し上げたと思います。それから今年五月にあたって統一見解が行なわれ、いろいろ議論が行なわれましたが、御承知の通りの経済金融情勢でございます。現在の段階において預金金利を引き上げるとか引き下げるというような段階ではないというふうに認識をいたしております。
○堀委員 ちょっと今のお話の前段は、貯蓄増強のためには預金金利を引き上ぎた方がいいというお話でございますね。そのことは現在であっても貯蓄増強のためには預金金利を引き上げた方がいいという、これに限ればこれは私は当然なことだと思う。やはりそこはそうすると君子豹変するというか、やはり政調会長当時と大蔵大臣とはちょっと立場が変わったからやむを得ない、こういうことなのか、一つ率直にそこらを伺いたい。
○田中国務大臣 君子豹変などという態度では全然ありませんから、あしからずお願いしたい。その当時は御承知の通り九%三年平均というものは、一九%、名目二一%というふうなものが予想せられる状態でありまして、これでは困るのだ、どうしても設備投資も押え、緩慢ではあっても引き締め政策を行なわなければいかぬという考えを、私は七月ごろ打ち出したわけであります。その意味で設備投資の抑制とか、いろいろな問題に対しては財源の方からも押えていかなければいかぬし、国民自体の消費というものもある程度押えていっていただかなければいかぬし、また資金も長期安定的な資金の確保もはかるべきだという意味で、一般会計が二兆四千億、その中で八千億ないし九千億の財政投融資というようなもので、将来一体財政金融関係の調整ができるのかというような問題も真剣に考えたわけであります。だがそれは過熱の当時の状態を土台として考えますと、預金吸収の面にはどういう面があるのかというと、制限ワクを撤廃したり、金利を引き上げたり、税制上優遇措置をとったりということを当然当時としては考えるべきでありまして、そういう意味で当時申し上げたわけであります。ところがその後の情勢の変化で経済も金融も非常に落ちついて参りまして、財政の状況もそれほど過激に運用せられておらないという、非常にノーマルな状況がずっと続いてきております。そういう意味で、今日とちょうど一年前に言った時点とは状況も変わっておりますし、去年は一体来年の十月に九〇%自由化ができるのかという問題もありましたが、今度は、九月いっぱいには自由化九〇%達成というような考え方をしますと、やっぱり国際金利にしわ寄せしていかなければならないという強い前提も要請せられるわけであります。そういう意味から考えて、経済も過熱から落ちつきに来ましたし、金融も比較的正常な情勢になっておりますし、しかも第三点には、自由化も既定方針通り行なわなければいかぬ、国際競争力に対応していかなければいかぬという考えから今の金利を見ますときに、必ずしも日本の金利は安くありません。そういう総合的な立場から考えて、現在直ちに金利を引き上げるというような段階ではない、こう申し上げたわけであります。
○堀委員 お話のことは私もわかりますが、この前の金利の値上げ自体、金利の引き下げが非常に問題になったと私どもは考えて、実は当委員会でその当初以来この問題について論議をして参りましたけれども、まあ現在に至っておるということです。金融界はそこで皆さんの方に対して、預金利子の特別措置についてさらに優遇をしてもらいたいという要望が強く出ておるようです。私少し資料を調べてみたのですけれども、このことは、私が判断しておるところではどうもゆえなき理由のような感じがいたします。日銀の資料で調べてみたのですが、昭和三十五年三月と、三十六年三月と、三十七年三月と、三期を比べてみまして、全国銀行で今、定期制預金の中に占める五十万円以下、五十万円以上の個人預金を調べてみた。五十万円以下は御承知のように国民貯蓄組合に入り得る条件がありますから現在無税です。これが金額としてみますと、三十五年三月を一〇〇として三十六年三月が二九で三十七年三月が一二七・九、こういう伸び方になっております。ところが五十万円以上の方は三十五年一〇〇、三十六年三月が一〇七、それから三十七年三月は一三六・七と、五十万円以下に比べて特にこの一年間、三十六年三月から三十七年三月までは顕著な伸び率を示しておるわけです。このことは現状として貯蓄が減っておるというふうに一般に言われるような表現とは、具体的な数字の上で違いがあるわけで、免税になっておる方が伸びが悪くて、免税でない方が貯蓄は伸びておるというこの伸び方、これは金額をもとにして調べてみたのですが、それを今度は件数で伸びを調べてみてもやはり同じような結果が出てくるわけです。だから、これを見ますとわれわれは、今の分離課税自体にすでに問題があるということで、これは当然本年度の三月をもって打ち切られるべきものだ、こういうふうに考えております。さらにその上にまた上積みをして減税をしろという金融界の強い要望があるかに聞いておりますが、これについてちょっと事務当局に最初に聞いておきたいのは、この減税によって潤う者は現在の預貯金をしておる者の大体何パーセントくらいになるのか。そうして上積み税率として見ると一体どの程度になってくるのかを、事務当局から伺っておきたいと思います。
○村山政府委員 実員じゃわかりませんが、金額で申しますと、法人預金を含める全預金残高に対しまして現在個人の課税になっておる分は七・六%くらいございます。ただしこれは三十六年三月末現在の数字から推計しております。それからその平均上積みがどの程度になっておるか、これは一〇%課税の分でございますが、われわれの推計ではこの階級では大体二五%くらいであろう、さように考えております。
○堀委員 今のお答えで、全体の中に占める位置も非常に少いし、そうして上積み税率は二五%ということであれば、免税することによって利益を受ける人は相当に高額の所得者に相違ない。実は大蔵省の銀行局貯蓄奨励関係の資料をちょっと調べてみたのですが、これで見ると大体五十万円以上の預貯金のあるような人たちは、所得でみると大体八十万円から九十万円くらいの年所得以上でないと、五十万円以上の預貯金がないようでありますが、銀行局では、現在のそういう預貯金の階層分布というものについて、何か資料をお持ちでしょうか。
○大月政府委員 詳細な資料はまだございませんけれども、今のように、五十万円あるいは十万円ベースの預貯金の件数あるいは金額別の調査がございます。それ以上の詳細なものはまだございません。
○堀委員 これで見ても、もし今度の銀行側の要望をいれるならば、きわめて高額なる所得者が、それもいわゆる勤労所得という形ではなく、そういう資本所得の、最も労せずして得るものを、二十五%も減税をしてやるというようなことになると、前段で私が伺っておるところの、本年度は財源がないから一般の減税をしないんだということと、貯蓄増強ということはあっても、それに名をかりて、高額所得者にのみ減税を行なうような租税特別措置の取り扱いは、これはわれわれ社会党というようなことでなく、国民大衆として、納得のできない処置になるであろう、こういうふうに考えますが、大蔵大臣のこれに対する御見解を伺いたい。
○田中国務大臣 銀行だけではなく、各金融機関別に、貯蓄増強のために税制上優遇措置をとられたいという陳情があることは事実でございます。しかし私は、今までの、ただ預貯金をふやすというためにだけ特例措置をとるべきものではないという考え方をとっております。もう一つは、税の不均衡是正、均衡を保持するという立場で、特例による恩典があまねく行なわれなければならない。もう一歩進めれば、低い方にこそ厚くやらるべきだという思想、私もその通りでございます。もう一歩進めてみますと、日本の現状と将来を思うときに、今のわれわれの生活を豊かにしていくことは、これは前提としてもちろんでありますが、将来五カ年、十カ年、三十カ年という、国際社会、また国際経済に対応しながら日本の資本蓄積というものをどういうふうにしていくかという問題も真剣に検討せらるべきであります。特に一昨年から去年にかけて、景気の過熱、また一面においては外貨事情の悪化、逆調現象等を見ますと、やはり相当長期に経済計画を立て、また産業計画も相当長期なものを立てて、緩慢にしてしかも根強い産業基盤を作っていかなければならぬ。産業が発達し、生産が上がり、コストが下がらなければ、非常に景気がよくなったといっても、われわれの持っておる貨幣価値というものは下がっていきますから、そういう議議が当然またあとから出ると思いますから、やはりどうしても通貨の安定をはからなければならぬ。通貨の安定というものは、やはりその裏づけとなるものを十分考えなければいけません。そういう意味で、相当長期的な資本蓄積ということ、投資の原資確保ということを考えますと、一体どうすればいいのか、今までやられてきたように、貯蓄組合の五十万円というようなものがいいのか、また民間の銀行と資金運用部資金、特に零細な人から集めておる郵便貯金や簡易生命保険の率がそのまま開いておっていいのか、いずれにしても、ある時期は高額であっても、すべてのものを三年ないし五年の相当期間見込める産業資本として吸収するためには、議論の上では幾らか問題があっても、ある期間だけはそういう税制上優遇措置をとった方がいいのか、その間においてさえも、大口の場合と一般的なものと、五百円とか千円とか、国民の何割かが定期的に積み立てる方に重点を置くべきかという問題がたくさんあるわけです。私は、今までのような租税特別措置の実態だけに目を奪われることなく、今度の税制調査会には、少し時間がかかってもいいから、こういう問題は十分検討しながら、われわれが考えておる資本蓄積という大きな目標が達成でき、ある程度消費の抑制もでき、それから将来の通貨安定もできるということを目標にして、これら特別措置に対しては明快な結論をお出し願いたい、ある時期になって、そのウエートを——これはテンポが早いですから、ことしはどの部面にウエートを置いたけれども、来年は社会情勢の変化によって次のものにウエートを置くというふうに弾力的にやるべきであって、一つのものをつくって、こういうテンポの早いときに、五年も十年もこれを実施していくというような考えには立てないから、一つ各方面から、また新しい視野に立って御検討願いたいという態度をとっておるわけであります。今までのものをそのまま続けようというような考え方はありませんし、またあなたが今言われたように、食料や耐久消費財に、消費に回したいものさえも貯蓄しておる人たちに対してあまりめんどうを見ないで、大口の者の預金だけに対してめんどうを見ているじゃないかという問題は、ケース・バイ・ケースでこまかく検討して、自信のあるときにこれらの処置に対して具体的な方法をきめよう、こういう慎重な態度をとっておるわけであります。
○堀委員 そうすると、これは税制調査会の答申がなければやらないということに理解してよろしゅうございますね。
○田中国務大臣 税制調査会につきましては、必要なもの、また重点的なもの、それから直ちにやれるものについては一つずつでも答申をして下さい、こういう注意書きをしてあります。ですから、国民各位の考え方も聞きながら、また現状自身の認識も土台になり、当委員会の御意見等も十分しんしゃくしながら、政府と審議会との連絡を保持しつつやって参りたい、こういう考えでございます。
○堀委員 過ぐる税制調査会では、実は分離課税は昨年度で取りやめになる経緯になっておったわけですが、たまたま今問題になりまして、田中さんも御反対であったところの金利の無理な引き下げをやった反対給付のような格好で昨年度は一年延長になった。これは中山税制調査会長もこちらへお見えになって、その経過等についての御報告もあったわけです。ですから税制調査会として、筋道からいくならば、おそらく来年度で一応分離課税は廃止するということであっていいという方向であろうと、私は過去の経緯から見て理解いたしております。そうすると、もしこれが実現されるとなると、何らかの政治的な圧力等が加わって、これがねじ曲げられたりするおそれなきにあらずという不安がある。私が今特にこの問題を取り上げておりますのは、別に私、政府側に申し上げておるだけではなくて、当委員会の委員の皆さんも十分聞いておいていただきたいことは、全預金額の中の七%くらいであって、そうして上積み税率として二五%も、かかる人のために減税として、長期安定貯蓄として必要はありましょうけれども、税の公平の原則からするならば、きわめて望ましくない措置であるし、おまけに来年度は減税も見送られようという現在の時点に立って、そういうことを特定の高額所得者だけに対して行なわれるような措置は、おそらく各委員も私と同じ気持だろうと思いますので、そういうような意味を含めて、今お話しのようなきめのこまかいというお話しですから、いろいろ御検討になるのでしょうが、私は、きめが幾らこまかくなっても、原則は曲げられるものではないと思いますので、その点については大臣は私の気持はよくおわかりのことと思いますので、それを配慮して一つ十分慎重な取り扱いをしていただきたいと思います。 次に、企画庁長官に来ていただきましたので、少し経済見通し等の問題に触れて、その後にそれに関連してまた大蔵大臣にお伺いをいたします。 この十日でございますか、企画庁から経済見通しの改訂が発表になりました。私は、昨年来この問題は当委員会であるいは予算委員会の分科会等で論議をして参りましたが、この本年度の経済見通しというものが発表されて間もなく、すでに私どもはこの見通しは誤りであるということを当委員会でも明らかにして参りました。特に一番見通しの誤りになりましたもとは、鉱工業生産の上がり方、下がり方に対する考え方が、全然私どもと考えを異にしておりまして、ことしの初めに日銀の高木調査局長なりあるいは企画庁の中野調整局長にも来てもらったりして論議をしましたときも、もうすでにお出しになって旬日を出ずして大体その見通しが困難であるということが明らかになっておりましたし、藤山前企画庁長官は、適当な時期に改訂をすべきであるということを私にも答弁されておりました。そこで今度の場合に、この時期に改訂を出された理由は一体何であるか、それをまず最初に伺いたいと思います。
○宮澤国務大臣 一月の十六日でございましたか、昭和三十七年度の経済見通し並びに経済運営の基本態度についての閣議決定をいたしたわけでございます。それがただいま堀委員の御指摘になりました最初の見通しでございますが、今になって考えてみますと、確かに御指摘の通りあの見通しには、当時いろいろ生産調整について非常にやかましい当面の喫緊の問題がありましたこともございまして、見通しそのものの中に相当な政策的な要請あるいはいい意味での政治的な考慮といったようなものが入っておったことは事実だと思います。それは御指摘のように鉱工業生産の伸びの見方についても、それから物価の見方についても、ことに実質所得をとりますときにデフレーターを使うわけでございますけれども、実質の名目も一〇五・四というような、ちょっとありそうもない——今さら考えるとそれがはっきりいたしますけれども、前提をとりまして、その結果として経済運営の基本態度、基本政策というものは計画通り行なわれまして、昨今はこういう生産調整に予定通り入って参りましたけれども、それがことしの一月から三月までの間に非常に急激かつ即時になされるであろう、こう考えておった前提は、御指摘のように結果としては誤りでありました。その結果どうなったかと申しますと、昭和三十七年度に達すべきところの国民総生産のレベルにほぼ三十六年度に達してしまったということが、ただいま一−三月の統計が明らかになりましたので、これはもう議論の余地のない事実となって参ったわけであります。つまり雑に申して一年間早いところで来てしまったということになると思うのであります。 そこで、そういう事実が明らかになりましたので、この点は何としてもすでに確定をした統計等によって国民にお知らせをすることが当然の仕事であろうと考えたのであります。ただ先ほど見通しの改訂というふろに仰せになりましたが、一月十六日のものは閣議で決定をいたしておるわけでございますが、このたび出しました仕事は、そういう政策的な決定等を含んでおりませんので、ただいま見たところですでに過ぎ去ったところの昭和三十六年度の国民総生産その他はかくのごときものと相なりました、こういうことを申しましたのと、それからそのような最近利用し得るデータで、これから先この一年間を見通しますと、いろいろな政策的な考慮を加えずに、このままの傾向と申しますか、そういうことからスケッチをいたしますと、三十七年度の経済はかくのごときものではないかということを、きわめて学究的と申しますか、事務的と申しますか、そういうふうに素描をいたしてみた、それが三十七年度に関する分であります。従いまして、この点は本年の一月十六日の決定に対する改訂というふうに私どもは考えておりませんので、その点は改訂という意味についてはどうぞそのように御理解願いたいと思います。
○堀委員 そうすると、これまでの経済見通しはあのまま残っていて、そうして今度のは要するに事務的な計算だ、こういうことでございますね。 そこでお話のように、なるほど過ぎ去った分はこれはだれの目にも誤りでありますから問題はありません。ところがやはり見通しでありますから、見通しというものを立てるには、単に機械的に電子計算機に何か一−三月のデータを入れて回したらこうなりましたというものではなかろうというふうに私は感ずるわけです。やはりそこには、政策は関係がないとおっしゃいますけれども、判断が入ってくるわけですから、その判断自体はやはり政策の方向を示すものではないか。この中で、あとで少し時間をかけて具体的に一々伺いますけれども、これまでの過去の分は別でありますが、将来に対してやはり判断が相当に入っておることは、今きわめて学究的、事務的とおっしゃいましたけれども、私はそうは受け取らないわけです。またそんなものを出すはずもないし、受け取りませんから、この前の経済見通しには政治的なニュアンスが濃過ぎて、かくありたいと願うばかりに、われわれとして想像のできないものが出たというふうな理解の仕方をした場合に、今回はそれよりはそういう政策的意図は少ないという相対的な問題としてなら理解をいたしますが、今の長官の御答弁は、そういう意味でちょっと納得できないのですが、いかがでしょう。
○宮澤国務大臣 御指摘の通りでございます。こういたしたいということを政策という言葉で表現いたしますならば、この点はいろいろ可能性があるが、こうなるであろうかということは確かに判断に属します。そういう意味の判断は入っております。必要ならば申し上げます。
○堀委員 そこで、この試算をされた土台になっておるのは、新聞で伺うと、鉱工業生産の動きを大体中心としてお考えになっておるようで、十月が大体三〇〇くらいでこれがボトムになってあと横ばいということで考えた、こういうふうなお話が出ておりますが、ちょっと最初に伺っておきたいのは、この三〇〇という数は昭和三十年基準の鉱工業生産指数付加価値なのか、季節変動修正済みの数値をあげておいでになるのか、そのいずれなのか、ちょっと確認してから話を進めたい。
○宮澤国務大臣 鉱工業生産の見方をどう見るかということが確かに判断の分かれるところでございます。御指摘のように十月ないし十一月ごろには鉱工業生産指数が三〇〇あたりに落ちつくであろう、そういう想定を立てました。その鉱工業生産の指数の性質でございますが、お手もとに資料が配付されております。その八月十四日提出の資料の一、生産の一番左の行、鉱工業生産、旧季節変動修正指数というのがございます。この数字に基づきまして、十月ないし十一月にこれが三〇〇にまず落ちるであろう。それからほぼ水平をたどるだろう。従って年度間の平均は三〇一・何がし、このような想定をいたしました。
○堀委員 本日いただきましたこの資料は、六月が三〇七・五となっておりますが、通産省の確報によりますと、これは三〇九・一でございます。そうなりますと、これは今のお話のように、ダウンをしていくという計算を見てみますと、大体過去の鉱工業生産指数が五カ月ないし六カ月ずっと横ばいになった経緯は、過去の古い資料を見てもほとんどございません。やはりこれは多少上がっていくか下がっていくか、どちらかのトレンドになりやすい傾向を本来持っているわけです。そこで今六月が三〇九・一で、七月の発電炭における電力の需給状態は大体六月とほぼ横ばい——少しふえておりますが、おそらく七月の生産は季節変動修正済み三〇九・一を多少上回ってもあまり下回らないのではないか。そうすると七月は三一〇近くにあって、八、九、十の三カ月で三〇〇まで下がるには何かドラスティックなものがなければ下がらない、こういうふうに私第一考えますが、その点はいかがでしょうか。
○宮澤国務大臣 まさにそこらが非常に議論の分かれたところでございます。八月に入りまして生産指数が落ちるということは、これはほぼ経験的に間違いがないと思います。大体八月はいつも落ちる月でございます。従って今月のトレンドは下がるであろうということは明らかでございますが、それから先、ことに十月、十一月以降にずっと水平をたどるであろうというようなことは、これは想定上の一種のフィクションでございますが、それに間違いはないと思います。 そこで私どもが基本に考えましたのは、ただいま電力のお話がございましたが、大体鉄鋼にしても石油鉱業にしても石炭にしても、繊維、紙パルプにしても、相当な操業短縮というものをすでに開始いたしております。そこで多少の無理があっても、現在七−九月から入りました操業短縮というものがまずまず維持をされるであろう、こういう想定をとっておるわけでございます。
○堀委員 ちょっと事務当局の調整局長に伺いますが、新聞にも宮澤さんの発言として、鉄鋼の粗鋼二割減産が持続されるものと仮定してこういうふうな推算をされた、こうおっしゃっておりますが、粗鋼の二割減産は一体いつの時期から始まっておると考えられますか。現在の六、七月の鉱工業生産指数の中には、すでにこの粗鋼の減産は織り込み済みであると私は了解しておりますが、さらにこれ以上の二割減産を期待しておるのかどうか。
○山本(重)政府委員 お答えいたします。粗鋼の減産は、御承知のように昨年の十−十二月に対して七−九月から二割減産をしようということになっております。業界としては前から減産の動きがございましたけれども、必ずしもそれがそのまま実現されておったかどうか疑問な点がなきにしもあらずだと思います。従いまして七−九月からは業界が一致してやろうという申し合わせをはっきりいたしておりますので、七−九月からかなりそうなってくるのではないか、こういうふうに思っております。
○堀委員 この間の鉄鋼連盟の発表によりますと、七月の粗鋼生産量は二百十六万トン、対前月比で〇・五%増でありまして、減産基準の三十六年十月−十二月で二割減の二百八万トンに比べまして四%上回っておるというのが鉄鋼連盟の発表でありますので、このことはどういうふうになっているかといいますと、すでに六月において大体一六%ぐらいの減産をやっている、七月も一六%ぐらいの減産をやっているということでありますから、今後も粗鋼の二割減産、二百八万トンに持っていくために残っているのは四%の差しかないわけです。その四%の差しかない六月、七月の鉱工業生産が三〇九であり、あるいは三〇五・六、季節変動修正済みであるということは、今後あなた方の方で鉄鋼については、これは付加価値のウエートが約一割ありますけれども、これは大体織り込み済みだと私は了解するわけですが、その点の方はつまびらかにしての御議論でありますか。
○山本(重)政府委員 最近鉄鋼につきましては一時の旺盛な内需が鎮静いたしました関係で、いわゆる輸出圧力が相当かかって参っております。業界としては従前に増して相当量の輸出をいたしております。この減産の場合に一応の輸出は見込んでございますけれども、その見込んだ数字をこえて輸出が行なわれた場合には、生産の面ではそれだけプラスするということになっております関係で、六月あたりも相当高かったわけでございます。あるいは七月も高いかと思いますけれども、しかしそうした態勢がそのまま今後も続くかどうか疑問でございます。見通しといたしましては、七月−九月、特に八月あたりからかなり鉄鋼も減産がはっきり数字の上に現われてくるのではないかというふうに期待しております。
○堀委員 今鉄鋼はすでに減産は数字の上で相当はっきり出ておりますね、最近の様子でも。今私が申し上げているのも、もちろん輸出があれば増産をしてよろしい、当然でありますね。だからそのことは今の鉱工業生産の関係の問題としては別個ではございませんか。要するに今度の四%、二百八万トンをこえるということは、これは輸出見合いでこえたのだろうと思うのです。だからそれが四%として残っただけであって、実質的にはもう六月から粗鋼の二割減産に入っている。入っている姿が今の鉱工業生産の姿として出ているから、今後に二割減産ということは、七月から行なわれるという理解の仕方は誤りである、だから七月から行なわれるのではなくて、すでに六月、七月減産を行なってきている、ただ一六%減産になった、四%分は今申し上げたように輸出見合いとしてそれだけ増産をしたのだということになるならば、鉱工業生産の面だけ見るならば、実際には六月、七月は織り込み済みであって、しかも宮澤さんの新聞でのお話だと、二割減産というものは下がるだろうというふうに実はおっしゃっている、おっしゃっているのですけれども、付加価値のうちで、約一割から占める大きなものですから、これは相当なウエートなものですから、その点で見ると、私はその見通しの根拠は非常にあいまいなものではないかというふうに思うのですけれども、どうですか、今私の申し上げることが間違っておりますか。
○山本(重)政府委員 個々の品目につきましては、必ずしもすべてを積み上げをいたしてはじいたわけではございませんので、若干その点達観した見方をいたしておるわけであります。主として今回の作業で考えました業種といたしましては、鉄鋼のほかに石炭鉱業、石炭鉱業が一ころ五千五百万トン・ベースでおりましたのが、五千九百万トン・ベースにまで上がっておりました。先般の申し合わせによりまして五千五百万トンまでベースを下げるということになっておりますので、そうした点を考慮いたし、さらに紙パルプ、石油精製、繊維工業等につきましても、ちょうど七月から減産態勢に入る業種が比載的多うございますので、このように想定いたすわけであります。
○堀委員 ほかの分で下がるのだとおっしゃれば私は何をか言わんやでありますから、これ以上申し上げませんが、私はあなた方の御希望のように下がらないということをここではっきり申し上げておきます。これはあなた方の推計の誤りがある、少なくとも鉄鋼についてはある、これは今私は具体的に申し上げましたから、これ以上申し上げませんが下がりません。 そこで問題は輸出は鉄鋼が出ることは大へんけっこうなんですが、下がらなかった場合に現在の在庫状態で新たなそういう輸入素原材料の輸入がふえる条件があるのかないのか、そこが私は問題になる点だと思います。鉱工業生産が高かろうが低かろうが、当面にとって大して大きな問題ではない。やはり国際収支をバランスさせるための一つの目安として処理をされておる点は、やはり輸入の動向との関連が大きいと思う。輸入素原材料に大きな比重がかかっているものが減産をしておることは事実でありますけれども、しかし今のように鉄鋼一つをとってみて毛必ずしも皆さんのおっしゃっておる通りでないとするならば、最近一般に輸出入問題については楽観的な空気が流れておりますけれども、私は今年の後半期においては、そういう輸入素原材料の面を含めて輸入は少しふえてくるのではないかという感じがいたしますので、この見通しについて大きな問題があるというふうな感じがいたします。 その次に今度は国民生活に一番密着をしております消費者物価の問題でございますけれども、今回の計算では五%増としておいでになるようであります。現在すでに八・一%ぐらい上がっておるわけでありますから、これは何らかの特効薬をお使いになってこれを五%に下げる名案が出たから五%になさったのだろうと思いますが、その名案を一つ承りたい。
○宮澤国務大臣 五%と推計いたしましたのは、当時利用し得るはっきりした資料が六月の末でありましたから、かりに六月の末の消費者物価水準がそのまま横ばいをするといたしましても、前年度に比べて四・五%たしか物価が上がるということでございました。そこで、そういう数値をとらえまして、過去数年間の傾向指数を使いまして五%何がしというものをはじいたわけであります。
○堀委員 大体やはり希望的観測が鉱工業生産についても多いと思いますが、今の消費者物価についてはさらにどうも希望的観測が多いようでございます。私の今持っております資料もやはり六月の消費者物価しか出てないわけでありますけれども、この六月の消費者物価で見ましても、全国平均で見ると対前年同期比では八・一%上がっておるわけでございます。その中で著しく上がっておりますのは、野菜が対前年同期比で四二・二%、加工食品が一九%、住宅修繕が一五・六%、教育関係が一〇・七%ということで上がっておりますけれども、まあ野菜については多少は下がるかもわかりませんけれども、これらの諸品目の中では下がりそうなものはなくて、やや上がる傾向のもののみが多いように思います。経済白書で皆さんの方でお書きになっているものを見てみると、総合物価対策の中で役に立っているのはこの間の減税だけで、その減税も〇・四%ぐらいは消費者物価にはね返ると思ったら実際には小売マージンに吸い取られて〇・〇二%ぐらいしか消費者物価に反映されていないということを率直にお認めになっている現状ですが、一体今のこのままでいくならば、どうしたって六・五%そこらは上がらざるを得ないにかかわらず、五%に押えたのは、これは何らかの政策的意図というものがなければ私ども理解できないのですが、さっきの最初のお話のような単なるスケッチ——スケッチでは六・五%ぐらいになるのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○宮澤国務大臣 野菜については、今堀さん御自身が御指摘のような、非常な天候等の異常原因の繰り返しというものは、現在相当下がりつつありますので、これ以上見込まなくてもいいであろう、サービス料については、これはクリーニングとかあるいは被服費なんかでございますが、これはどうもやはり多少の上がりがあるであろうが、住居費、光熱費は昨年通りいくのではないか、大まかにはそのように考えたわけでございます。
○堀委員 食料費が全体の消費者物価上昇に示しております寄与率は大体五〇%ぐらいありますから、なるほど野菜は一時的に高いかもしれませんけれども、まあ、最近の傾向をずっと食料費で見ますとちっとも下がらないのですね。これはずっとその他の食料を見ておりましても、毎月の指数の中で著しく下がったと見られる月はほとんどない。一ポイントか二ポイント下がりますけれども、その次の月はまた大体上がっておるというのが現状のようでありますから、やはり上昇傾向にトレンドがあるとみるのが私は学究的ならば常識的なのではないかという感じがしますが、この点はまたもう二、三カ月もしておいでを願えれば具体的なデータが出てきますからあれですが、私どもはただ統計の問題を論議しているのではなくて、そうなるためにはやはり何らかの政策的な、総合物価対策なら総合物価対策が行なわれてすでに時日がたっておるわけですし、これこれしかじかの効果がこういう部分にはあったけれどもこういう部分にはなかったというような、多少の反省のようなものがあってもいいのじゃないかと思いますが、現在の段階について大蔵大臣は総合物価対策が及ぼした効果があったとお考えになるか、なかったとお考えになるか。
○田中国務大臣 お答えをいたします。 ただいまの御質問に対しては、経済企画庁長官が専門家でありますからお答えするのが一番いいと思いますが、今度出しました見通しは経済企画庁の試算であります。一月のものを改定したというような考え方ではなく、あくまでも試算数字として公表されたものだ。しかし、これをつくるには各省間の事務ベースで十分検討もし、大蔵省も協同して検討したのでありますから、現在のところの見通しについては、この試算数字に対して大蔵省と経済企画庁の間には意見の相違はございません。しかし、一月からの経済見通しを立て、その上に総合施策を立てながら、一体どの程度の見通しがあったか、実効が上がったかということについては、これは野菜等の問題は特殊な事情があり、しかも私たちも当時議論をしたのでありますが、消費者物価の中の質の向上とかいろいろなデータがまだ多少不備なところもあったと思うのです。だからそういう意味で現在現われた数字との間には多少の誤差がありますが、姿勢としては総合対策をとってきたことがよかったことであり、また現在は、よりそのときに必要であったデータを、質の問題もいろいろな角度から検討をいたしておりますので、一月よりも今度のものの方がより合理的だというふうに考えております。
○堀委員 いや、私が大蔵大臣に伺ったのは、資料を離れまして現実の世の中で、総合物価対策が施行されてきてはたしてそういうふうに効果があったか、その効果のあり方は、ほっとけばもっと上がったのだ、しかし、まあ総合物価対策をやったから八・一%にとどまっておるというのなら私は何をか言わんやでありますが、そうではなくてやはり数字は効果があって、今後は下がる方向について自信があるとか、そういう意味の、これはこの間まで政調会長をしておいでになったから、それを含めて伺うわけでありますが、そこらについてのお考えはどういうふうになっておりますか。
○田中国務大臣 総合対策を行なったために相当実効があったというふうに考えます。がしかし、消費者物価というのは非常にむずかしい問題でありまして、これをうまく検討しまして、いろいろな物価対策を言っている人がありますが、的確にこうすれば全部押えられるという線はなかなか出にくいものであります。これは社会生活が非常に複雑になっておりますし、東京都などは一年間に三十万も五十万も予想しない人口が流れ込んでおる。こういう事実の上に立って考えますと、消費者物価の内容そのものが非常に複雑多岐にわたっておりましてなかなか的確な対応策というものを、今すぐに何カ月間で応急処置をするというふうなきき目のあるものはないと思いますが、しかし消費よりも貯蓄という方向を打ち出したり、それから流通機構の改善に対してもいろいろなことを具体的にやっておりますし、また表示制度をとったりして、国民大衆そのものに対してもこの消費者物価の値上がりというものが、われわれにはね返ってくるんだから、そういう意味で、官民一体になって実を上げてもらうようにという精神的なPRも相当きいておりますので、野放しの状態で破局的な姿に立ち至らないで、少なくともお互いが引き締め基調というラインに沿って、合理的な生活様式を築こうという姿勢をとっただけでも効果があったというふうに考えております。
○堀委員 そういうことになりますと、大体やらないよりはよかったというふうな効果くらいで、あまり目ざましいものはなかったということではないかという感じがするわけですが、特に私この中で感じておりますのは、この間本会議で片島港同僚議員が質問いたしましたけれども、住宅問題が非常に今都市では問題になってきております。これが消費者物価の中で、家賃、地代あるいは住宅修繕費等の費用を非常に押し上げておる一つの理由になっておる。だから、この問題は私はもっと政策的に解決する余地と方向があるのではないかという感じがしますが、必ずしもこれに対しては十分な措置がとられておらないという気がいたします。これもあとは議論になりますから、消費者物価の問題は、ここらくらいにいたしておきますが、ただ私どもが問題にしたいことは、ちょっと池田さんがこの間も参議院でお答えになっておりますけれども、物価が上がったって、所得が上がればいいではないかというのが池田さんのしょっちゅうおっしゃる言葉ですね。しかし国民の中には、物価が上がって所得も上がる人もありますから、それは物価の上昇した、たとえば六・二%をこえて所得の上がった人はそれでいいわけですけれども、この一億に近い国民の中に、一体——私も最近のそういう所得統計のこまかいのをちょっと調べておりませんけれども、こまかく調べてみるならば、三割くらいは物価の上昇に追いつけない程度の所得の上昇しかない人があるだろう、あとの六割くらいはあるいはそれを上回るかもしれません。そうすると、そのあとの三割というものに対する問題というのは、これは物価上昇があっても所得がふえればいいではないかと簡単に済まされない政治的な問題だというふうに私は考えます。それがさっき申し上げた減税あるいは社会保障あるいは米価、こういう問題の中に、非常に大きな一連の問題として、政府はもう少し真剣に考えていただかないとならない問題が残されておるのであって、いい局面だけを見て、ともかく所得がふえればいいではないかというような割り切り方は、私はやはり良識ある政治家の発言とは理解できない、こういうふうな感じがいたします。そこでその点について、やはり今後のいろいろな税制上の問題にしても消費者米価の問題にしても、その日の当たらない人たちのための方を重点的に考えるのが先ではないか、日の当たる人たちのことばかり考えておったのでは政治はまともではない、こういう感じがいたしますので、特にその点をお考え願いたいと思います。 それからそれに関連して企画庁長官に伺いますけれども、個人消費の伸びが、これは新聞紙等で相当に言われておりますけれども、相当に大きく改定をされておりますし、在庫投資もかなり大きくふやしておられるようであります。設備投資については、三兆五千五百億円に落ちつくかどうかについては、私は率直に言うと、疑問を持っております。昨年度の三兆七千億当時に、私は三十六年度はどうしても四兆円になるだろうということをかねがね申しておりましたし、もう少し古いことを申せば、昨年の四月でありますか、まだ迫水さんが企画庁長官のときに、設備投資の動向について少し考えられるべきではないかということをはっきり申し上げたけれども、年度が始まったところで問題はないということであって、結局三十六年度はああいうような格好になっております。三十七年度については、通産省の産業合理化審議会の線に落ちつくといっておられるけれども、最近の一般の空気を見ておると、私は金融も少しゆるんできておる中では必ずしもここに落ちつかないのではないか、これを一千億なり少し上回ってきて、まあいいところ三兆七千億くらいのところまでまたいくのではないかというような感じがいたします。そこらはもちろん感じのことでありますからよろしいですが、それはさっき申し上げた鉱工業生産が下がらないということの関連から見るならば、当然そういう結果が出てくるのではないか。そうしますと、それに関連をして、まあ在庫投資の問題等を含めて、やや問題があるような感じがいたしますので、このお出しになった在庫投資の試算をされた問題について、四半期別の年率で何か準備しておられるのかどうか。この前調整局長来ていただいたときには、四半期別で年率の見通し等について伺ったわけですが、今度の試算についての在庫投資の四半期別の年率の資料をお持ちなのかどうか。あれば一つ伺いたいと思います。
○山本(重)政府委員 在庫投資につきましては、生産業者の製品在庫、それから原材料在庫、さらに販売業者在庫、この三つに分けまして大体の大まかな趨勢を考えた程度でございまして、それを個々に四半期別に割って特に数字を出しておりません。ただ大体の傾向を申し上げますと、三十六年度の第四・四半期がおおむね八千億程度のレベルになっておるようでございまして、三十七年度の第一・四半期はそれより若干下がるであろう。それから第二・四半期は減産等の関係もありまして若干さらに下がるのではないか。それから第三・四半期は季節的な要因もあって金融もゆるみますし、若干上回っていくのではないか。特に原材料在庫が最近かなり切り詰められてきておりますし、ある段階から復元していくのではないか。それから販売業者在庫は、昨年の調整が始まってから、比較的早く調整に入っておる。そのために大体年間を通じてある程度しり上がりに上がっていくのではないか。そんな推定から、第三・四半期、第四・四半期と若干ずつ年間を通じては上がってくるのではないか。従いまして第一・四半期は前年よりちょっと下がったところで出発いたしまして、第二・四半期にある程度下がる。第三、第四と復元して上がっていく。こんな線を描いてきております。ただ計数をはっきり幾らにするというところまでの計算はいたしておりません。
○堀委員 実は日本の景気の問題を論じる場合には、在庫投資がつかめないということが非常に日本の景気見通しの弱点になっておると思います。私、昨年以来この問題については何回か論議をしてきましたけれども、ややその点が不十分であるのに、その上に今おっしゃるように第一・四半期ですか、要するに四−六月は前期より少し下がるだろう。その次はもう少し下がってそれから上がるだろう。こういうお話でありますけれども、やはり何かそこに計数的なものがなければ、ここへ数に出てこないのじゃないか、数をお出しになっておるわけですからね。大体三十七年度の改定案として六千億から七千億という数字、これは大ざっぱな計算ですが出しておるわけです。だから六千億ないし七千億になったということは、上限で七千億、下限で六千億というものが出てくるだけのやはり私は計算の過程がないと、企画庁がお出しになるところの経済見通しというに少し値しないのじゃないか。だからそこにはやはりその四半期別では年率は大体どのくらいになるか、その年率がこうなるのはこういう根拠だということを示していただかなければ、それではもう一盛り幾らの山積みで、このくらい積んでおけ、このくらい積んでおけで、それが日本の最も権威ある経済企画庁の経済見通しだなどということでは、私、対外的にも恥ずかしいような気がいたします。だから、もう少しその点については今後お出しになるときには、やはりその積算の基礎になったところを少し明らかにして——議論はいいですよ。こうなったということについて、それは皆さんのお考えとわれわれの見解の相違があったってちっともかまいませんが、何となくちょっと下がったりちょっと上がったりして、数が六千億と七千億の間にくるんだというような出し方は、私ちょっと責任ある出し方ではないと思うのですが、長官どうですか。
○宮澤国務大臣 先ほども申し上げたわけでありますが、それに御指摘のように在庫の部分が一番弱いわけであります。統計が非常に不備でありまして、まあ一番弱いので、従って六千億−七千億と、御指摘のような数字を考えておりますが、前年度はたしかほぼその倍くらいの実績があったと見ているわけでありまして、その辺の推定は全く困難でございます。そこで、この見通し全体が、最初にちょっと申し上げましたが、その一つ一つ当たっていけばどれだけ根拠があるかとおっしゃられれば、それは相当疑わしい部分がございます。マクロ的に見て、まあこんなものであろうか。私は半分冗談でこれは申すことでありますけれども、数学の答えをカンニングしたようなもので、式の途中でプラス、マイナスいろいろ違っておって、答えが大体合っておったというふうなことにしか考えられないのじゃないか。正直の話ですが、そんなふうに考えております。(「それじゃ落書きじゃないか」と呼ぶ者あり)
○堀委員 今春日さんから落書きだという声が出ておりますが、私は多少自分が統計が好きなものですから、数をいろいろひねくって見ておりますけれども、数をお出しになる以上は、やはりその数の根拠になるものははっきりしなければいけないんじゃないか。数というのはきわめて具体的なものなんです。きわめて具体的なものが根拠なく出てくるということは、これはナンセンスの一語に尽きるのであって、そういうものは出さない方がいい、私はそういうふうに考えます。出す以上は、やはりその積算の基礎を国民の前に明らかにしていただかないと——体経済企画庁というのは、国民はみんなりっぱなお役所で、秀才山のごとくいるように思っているのにかかわらず、今の答弁を伺うと、非常に国民は失望するんじゃないか。だから、そういう意味でカンニングなんかしないで、やはりちゃんと計算をして答えが出るように、一つ特にお願いをいたしたいと思います。 それから、その次にやはり私が一つ心配をしておりますのは、最近の機械受注が非常に急激に減ってきました。機械受注の残高もその形で減っておりますが、日本の機械工業は近年ものすごい能力の増加をしておりまして、通産省の資料で見ましても、稼働能力というのは三十六年三月から三十七年三月までの一年間で四〇二から四六二にふえておりますから、目ざましく稼働能力はふえておるわけですね。その稼働能力が非常にふえておる機械工業、日本の今後のいろいろな生産の中心となるべき機械工業の受注が非常に減ってきておるということは、私非常に大きな問題だと思うのですが、これについての経済企画庁側の見解を一つ承わらしてもらいたい。
○宮澤国務大臣 確かにそういう傾向がございます。ことに機械の受注の見通しは業界からおのおのの見通しをとって初めにやるのでございますけれども、大体業界の見通しというのが常に現状維持的な傾向を持っておるわけでございます。つまり受注が現実に上がっていくときには上がりを少なく見てありますし、下がっていくときには下がりを少なく見てある、こういうのが今までの趨勢のようであります。そこで、激減をする傾向にありまして、すでに契約したものはキャンセルをしておるというような状況ですらある。それで、先ほどのことに返るわけではございませんけれども、機械受注の動きと鉱工業生産の動き、設備投資の動きというものが非常にきれいにカーブでそろうのが過去の趨勢のようであります。それで、私どもが鉱工業生産を、堀さんの御指摘のようにもう少しいくんじゃないかというふうに踏み切れないところはそこにあるわけでございます。そこで、将来所得倍増十カ年計画でも、結局今から八年後には重化学工業あるいは機械等が輸出の非常に大きな部分になるわけでございますから、今のような傾向がもし続くなら、外需というものをいろいろな形で呼び起こしていかなければならないと思いますが、それは現在ではまだ仮定の段階に属することだと考えます。
○堀委員 今のあれで機械が急激に下がっておる問題というものは、やはり一つは金融引き締めの状態というものが大きな作用をしておる点があるだろうと思います。今のその機械受注が急激に減ってくることと、生産が高いということとがつながらない点がありますけれども、しかし、生産の方は受注残高が減ったといいましても、まだ九カ月以上あるわけです。だから九カ月の受注残高を食いつぶすまでは生産とこれは直接に結びつかない。今の受注減が翌月の生産に結びつくような性格のものではないのでありまして、私が申し上げておるのは、現在における受注の減り方というものが、来年度等における問題を提起してくるのじゃないか。九カ月のタイム・ラグがあるわけですから、そういう問題を含めて現在において何らかの配慮を考えていかないと、これは生産力が非常にあるにかかわらず操業度が非常に低下して、設備投資による資金負担、コストに悩み、非常に過剰生産の形がここからまた出てくる心配があるので申し上げておるのであって、今後の問題でありますからこの程度にとどめておきます。終わりに、大蔵大臣に国際収支の問題について少しお伺いをして私の質問を終わりたいと思いますけれども、実はさっきもお話の中で株式元本等の送金の制限緩和をこの八月一日におやりになりました。私、時間がなくて十分調べることができなかったのですけれども、これは外資法の改正を——これまでと比べて単に期間を短縮したというようなものではなくて、これまでは三十五年のときに二年据え置きの三年分割ですか、それでその次三十六年五月に二年据え置きだけになった。そこまでは、その間の経過というのは大したことないのですが、今度はこれを六カ月に短縮するというのは単に為替局長通達をもって処理することについては本質的に問題があるのじゃないか。外資法の改正をすべき点があるのじゃないかという感じがするのですが、事務当局はこれについてはどういう判断をしたのか、事務当局の見解をお聞きいたしたい。
○村上(一)政府委員 送金制限の緩和のやり方につきましての御質問でございますけれども、法律論としてはいろいろ議論がありますことはよく承知しております。しかしながら、今御指摘がございましたように、最初二年据え置きの三年分割、それを三年分割をやめまして、今回二年を六カ月にいたしました。法律的に申しますと、今のやり方でも別段支障はないと思います。しかし、程度問題でありますので、二年というようなものが六カ月というふうに大幅に縮まると、外資法全体を見直すべきではないかという議論、これは私もごもっともと思います。なるべく早い機会に、いろいろなほかの問題がございますので、含めまして検討したいと思っておりますが、法律的に申しまして支障があるというふうには考えておりません。
○堀委員 そこで大臣にお伺いしたいのは、この外資法の改正をやりましたことは、要するに資本取引の自由化をある程度極限まで持ってきた一つのケースだと思うのです。そうすると、ものの自由化の順序は普通は経常取引の自由化がある程度進んでから資本取引の自由化が行なわれるというのがルールですから、ここであなた方の方でこういう資本取引の自由化をドラスティックにやった以上、今後のIMFのコンサルテーションでは八条国に対する移行の勧告は当然出てくると思うのですが、その点を十分に考慮した上での処置であるのかどうか。
○田中国務大臣 相手のあることでありますので、外交上の問題も検討いたしておりますが、日本の現在の状況において近い時期には経常取引も自由になるという方向でありますから、現在において元本送金制限を緩和しても差しつかえないという考え方に立って行なったわけであります。
○堀委員 いや、その制限を緩和することは差しつかえないのですよ、差しつかえないけれども、そのことはストレートにIMFから八条国に移行するような勧告が出ることが予想されるわけですね。それだけ資本取引を自由化できるなら経常取引も自由化してしまえということに当然なると私は思うので、そういうことについてあなた方は十分に配慮をしてこれを踏み切ったのか。
○村上(一)政府委員 御承知かと思いますが、八条国移行の問題は、これは問題といたしましては経常取引の問題であります。しかし、御質問で御指摘になりましたのは、直接関係はないけれども、やはり資本取引について相当大幅な緩和をすれば間接に影響があるじゃないかという点であろうと思います。直接に関係はない問題でございますから、たとえばIMF云々で議論されますときには、直接その問題が議論の対象になるということは少ないと私は思います。しかし、間接にどういう影響があるか、これは各国が経常取引と資本取引をどういう順序でどういう関連で自由化して参りますか、これはまちまちでございますので、そこへまた相当あやがあると思います。期限を六カ月に短縮はいたしましたけれども、依然として六カ月という送金制限を置いておるわけでございますから、その点について今度の緩和が非常な支障になるというふうには私は考えておりません。
○堀委員 相手のあることですから、私どもがどう考えるかによって結果がどう出てくるかわかりませんけれども、常識的な判断としては、やはり現状としてそういうことを促進するというファクターにはなるということは否定できないと思うのです。それは相手の取り方がどういうことになるか、相手のあることですからわかりません。そこで、それをやるについては、八条国移行についての勧告は受けてもよいのだというかまえがあるのかないのか、ここを一つ大臣に……。
○臼井委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○臼井委員長 速記を始めて。
○堀委員 相手のあることでありますし、私どもは自由化を促進されることは現在の日本の情勢としては決して有利でない。特に今私が申し上げたような機械工業等の後進性の工業を多数に控えていて、これが調整の段階で受注が減ってきて、いろいろむずかしい問題の起きておるところへ、外側からどんどん入ってくるというようなことは望ましくないのではないかというわれわれの基本的な態度があるわけです。だから、その面からすれば、これは順序が逆になるけれども、送金制限の緩和等は時期的にもう少し先であってもよかったのではないか、そういうことを私は感じるわけでありまして、それがなかったから勧告があるとかないとかという問題ではないかもしれませんけれども、しかし受け取る感じとしてはそういうものが出たことがそういうものを促進するのではないかという感じがするので、その点はあなたがお出かけになるというなら、これとあれとは別だということを得意の弁舌で一つ……。 最後にもう一つ伺っておきたいのは、さっきお触れになった三億二千五百万ドルのアメリカ市銀からの特別借款の返済の問題です。この返済の方法等については大体どういうふうに考えておられるのか、これを最後に承っておきたいと思います。
○田中国務大臣 御承知の通り、七月の末で外貨の手持ちは十六億三千五百万ドルという当初の見通しをおおむね達成できる段階にまでなっているわけであります。しかし、この三億二千五百万ドルにつきましては、ことしの十一月から来年の七月くらいまでに分割して支払っていくわけでございます。でありますので、これからの外貨の状態も十分見ながら、手持ちの外貨で払っていけるか、またIMFからの三億五百万ドルの借り入れのワクもありますので、それを使用しなければならないというような問題は当然起こるわけでありますが、この問題を今どちらかにきめなければならないという状態でもなく、十月、十一月、これからは輸出が伸びるときでありますのと、それから輸入が非常に落ちついておるという状態から考えまして、慎重に外貨残を見ながら返済を考えて参りたい、こういうことであります。
○堀委員 事務当局にちょっと伺いますけれども、今の外貨準備十六億三千五百万ドルというのは、この三行借り入れなり日銀保証の借り入れ等が入っておるのですか。
○村上(一)政府委員 入っております。
○堀委員 そうすると、実は十六億三千五百万ドルというけれども、その中身は、三億二千五百万ドル減っておるわけだから、実際ネットでいうと十三億ドル、その借りを返してしまえば現在差引で見ると十三億ドルの外貨準備、こういうことになるわけですね。
○村上(一)政府委員 十六億ドルから単純に借りの三億をお引きになりますと、計算はそういうことになります。しかし、これは御承知のようにその借りましたものが一方において借りが立ちますと同時に、また外貨準備面においては資産がふえておるわけでございますから、それを引いてネット十三億というふうにおっしゃると、多少そこに語弊があるかと存じます。
○堀委員 そうすると、そこは計数のそごがあるとして、それからもう一つ、短期外資を引いて、残りはさっきの田中さんの好きな長期安定的な外貨準備というのは一体幾らなのか、現状で一つ……。
○村上(一)政府委員 外貨準備でございますから、これは準備の性質上むしろ支払いに充てられるために流動性を持っておるということが肝要かと思います。そこで今十六億三千五百万ドルの外貨準備としての保有状況の概要を申し上げますと、金の形で保有しておりますものが二億八千九百万ドル、あとはいわゆる外貨でございますが、これが外貨の証券と預金、二つに分かれます。預金の形になっておりますものが七億五千九百万ドル、これは主として米ドルの形において定期預金になっております。それから証券の形でございますものが五億八千七百万ドル、これも大部分は米貨でございまして、主として米国の財務省証券というような流動性の高いものに準備として保有しておるわけでございます。以上合計いたしまして十六億三千五百万ドル、こういうことになっておるわけでございます。
○堀委員 この前賀屋さんが為替局長のときにちょっと論議をしたことがあるのですが、なるほどこの外貨準備というのはそういう形の表現で出ますと、中身に短期の外資が幾らで、長期安定的に外資が幾らなんだかわからないようになっておる。これはストレートには結びつきません。結びつきませんけれども、しかし結果としてはやはり相対的にあるわけですから、このワクの中でそれじゃ今の短期外資という形のものは、この計算に入っていないのかどうか。今のお話だと七億五千九百万ドルは預金で定期だ。定期預金になっているものは短期外資ではないでしょう。その次には、アメリカの財務省の証券だ。証券は短期外資として保有されている形ではないと私は思いますので、これ以外にそうすると短期外資があるということになるわけですか。どういうことになるわけですか、ちょっとわからないのですが、説明をしていただきたい。
○村上(一)政府委員 今の御質問に対しましては、おそらく負債の方にどれくらいの負債を持っているかということを御説明申し上げた方がいいかと思います。と申しますのは、今申し上げました各項目はいずれも資産項目でございます。しかも申し上げましたように、いざというときにすぐ現金になり得るという流動性の高い形態で保有しておるというふうな考慮をいたしておるわけであります。そこで一方これに見合います負債としては、これも御承知と思いますけれども、比較的短期のものとしてはユーロ・ダラーあるいは自由円あるいは銀行の無担保借入金というような、これは要求がありますと、比較的早い時期にこっちが払ってやる必要があるというふうな負債があるわけです。この見合いを見ておるわけでございますが、これに輸出入両方のユーザンスを加えまして、大体今短期の資産、負債がラウンド・ナンバーで申しますと、資産の方が今の外貨準備高を含めまして、六月末現在で約二十八億、それから負債の方がそういった短期のものを考えまして約二十三億というのが現状でございます。
○堀委員 資産が二十八億で短期のものの負債が二十三億ですね。そうすると長期安定資金は大体五億ドルという差引勘定になりますけれども、それでいいですか。
○田中国務大臣 二十八億から二十三億引けば五億でありますが、しかもそのユーロ・ダラーにしても、全部それが出るというようなことは全然ないのでありまして、二十三億のうち、大体どの程度平均に残るかということになりますと、今の状況ではほとんど引き出しというようなものは、先ほど申し上げたのですが、期日がきて三億二千五百万ドルが出てくるということであって、引き出しに対しては必ずそれ以上もしくはその程度の預金が絶えず固定をしておるということでありますから、二十八億マイナス二十三億イコール五億でなく、相当安定的な外資を持っておるというふうにお考えになっていいと思います。これは外国に対する影響も非常に大きい問題でありますので、明らかにしておきたいと思います。
○堀委員 いや、私は今何も引き出すとか引き出さないということでなくて、短期の外資はどうかと言ったら、それの負債が二十三億ドルだとおっしゃるから、それはやはり短期という名称なんだから引き出すとか引き出さないということでない。そうすると短期に対して長期は差し引き五億ドルという計算を申し上げただけでありますから、そこはそういうふうに御了解願いたい。だからその短期の外資の中にも、おっしゃるようにそれはいろいろ性質によって違いがありましょう。自由円のように比較的簡単に動くもの、あるいはユーロ・ダラーだって動くものもありましょう。いろいろ性格が違いますからそれをどうこう私は言っておるのではないのであります。ただ私が今申し上げたいことは、どうも最近国際収支は非常にいいのだ、十六億三千万ドルにもなって、先行き見通し安心だというような空気がやや流れつつあるので、この際少しはっきり、その問題については、そういう特別借款の三億二千五百万ドルもあって、これは大体五千万ドルずつ十一月、十二月、一月、二月で返さなければならない。あとその他エキジム保証借り入れ等もあるし、綿借款等もある。これは借りたものは返さなければならないから、そういうものも含めてものを考えていかないと、そういうものを借りて動かないものだと考えると、十六億三千万ドルになったから当分安心だという空気を醸成してもらっては困るということが私の真意であります。そこらはやはり、国際収支の問題については、われわれこれだけ苦い経験をしてきたわけでありますから、もう少し慎重な態度でこの問題には対処していただきたいということでございますので、この点を申し上げておきたいと思います。 大体以上で私の本日予定いたしました質問を終わりますけれども、率直に言いまして、私どもこの委員会を通じてやはりわれわれも建設的な論議をしていきたいと思う。その中で、きょうは大臣御就任日が浅くて、いろいろとお答えいただけない部分があったのですけれども、少し日がたてばあまりに政治的な発言でなく、やはり問題を論議するために率直な意見の交換がないと、歯に衣着せてものを言っておったのでは、これは国のためにも国民のためにも日本経済のためにもならない。どうか少し時間がたちました以後は、いま一段と率直な大臣の見解を答弁していただいて、そこでわれわれは十分論争して一つ正しい方向を見出すようにいたしたい、こういうふうに思いますので、特にその点を要望いたします。
○臼井委員長 午後三時より委員会を再開することとし、暫時休憩いたします。 午後一時十七分休憩 ————◇————— 午後三時四分開議
○臼井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 税制、金融、証券取引及び外国為替に関する件について調査を進めます。質疑の通告があります。これを許します。広瀬秀吉君。
○広瀬(秀)委員 午前中堀委員が質問をいたしましたものと、あまりダブらないようにしながら、数点にわたって質問をいたしたいと思います。 国際収支の見通しでありますが、十一月ごろには十体均衡を回復するのではないかというようなことがいわれておるわけでありますが、六月の実績を見ましても、まだかなり楽観を許さない諸要素というものがあるやに見受けられるわけであります。六月の貿易収支、通関実績を見ましても、五千万ドルの輸入超過になっておるわけであります。一方、輸出入信用状関係の収支差は好転をいたしまして、一億二千六百万ドルからになっておる、こういうようないい要素というものも出て参っておるわけでありますが、一体大蔵大臣として国際収支は総合において均衡を回復する時期はいつなのか、この点についてのはっきりした見通しを聞かしていただきたい。
○田中国務大臣 御承知の通り、一月の見通しでは十一月を目途といたしましておおむね均衡するような目標を立てておったわけであります。しかしそのときにおいても、年度の最初においては輸出入は大体一億ドルの輸入超過ということでありましたが、その後引き締め基調を堅持いたしました結果、六月から非常に赤字幅が小さくなり、現在七月末で外貨の手持高が、先ほど申し上げたように十六億三千五百万ドルという数字を計上いたしたわけでございます。一月当時の大体の見通しでは、期末でどの程度のことを考えたかといいますと、十六億三千二百万ドルくらいな目標を立てておったわけであります。がしかし、実際の国際収支の均衡というものは、借りた金が、自前で返したりまた必要なものは借り得るという信用の確保を前提といたしておりますが、六月、七月は非常に好調であり、また八月から十一月くらいまでもおおむね輸出の伸びる時期になっておりますので、このままで調整政策を続けていけば十二月の末までには相当の黒字幅がふえてくるという考えでございます。しかし毎年の例のように一月、二月、三月は事情は悪い方向になりますので、その一−三月も予想いたしまして、期末には今よりも相当程度の黒字を計上したいという考えを持っておるわけであります。見通しでは大体当初三億ドル程度の−これは特別借り入れもみな含めてでありますが、三億ドル程度の赤が予想せられたのでありますが、現在ではそれを一億ドルくらい幅を縮め得るだろうという考えを持っておるわけであります。
○広瀬(秀)委員 それではやはり今のお話ですと三億ドルの赤字という——これは年度末ですね、それを一億ドルくらいの幅に狭めたい。そうしますとやはり総合では国際収支は来年の三月末においても一億ドルくらいの赤字の状況である、こういうふうに了解してよろしいですか。
○田中国務大臣 総合収支じりでは一月当初の見通しは一億ドルの赤字であります。それは逆に大体一億ドル余の黒字になるという考え方でおります。
○広瀬(秀)委員 最近その輸出信用状収支が非常に好転したということで、輸出入の先行指標としての信用状の収支の状況というものは確かに黒字になっておるわけであります。ところが輸出入信用状なしの輸出入というのが最近目立ってふえてきている。しかも総輸入の中に占める割合というものは、信用状なし輸入の場合に、四二%というように非常に大きなウエートをそういうものは占めてきている。こういうようなことは、あまりこの国際収支の問題の中でこういういわばマイナス要因というようなものについて触れておらないわけです。 〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕 しかしながら、総輸入高の中で四二%というのが信用状なしでやられているという現実というのは、非常に無視し得ない問題になってきているのじゃないか。しかも信用状なしの方は、その輸出と輸入の差が一億四百万ドルにもなっている。一億二千六百万ドルをほとんど帳消しにする赤字をそちらで出している、こういうような状況にあるわけなのですが、この点についての大臣の見解はどうですか。
○田中国務大臣 先ほど申し上げましたものをもう一ぺん申し上げますと、来年の三月をめどにしまして、総合収支で大体一億ドルぐらいの赤字、それに短資の返済もありますので、三月末を全部計算して大体三億ドルくらいの赤字になるのじゃないかというふうに計算をしておったのですが、その後貿易収支もよくなり、また多少貿易外収支は私たちが思ったよりも赤字幅が大きいようでありますが、いずれにしましても三億ドルくらいの赤字と見ておったものが、その後の推移を見ますと、赤字よりも黒字に転換をするだろうという見通しを現在持っておるわけです。そうして四十七億ドルの輸出と四十八億ドルの輸入が当初の見込みでありましたが、大体輸出において一割以上の伸びがあり、それから輸入においては逆に一割まで見れるかどうかわかりませんが、いずれにしても四十八億ドルを輸入の方は割るという考え方を持っておるわけでございます。
○村上(一)政府委員 信用状のことについてのお尋ねがございましたので補足さしていただきますが、輸出につきまして、信用状のあるものに対してないものの比率が増大しておるというお話でございます。これは結論から先に申し上げるようでございますが、その割合が増すこと自体がいい悪いという問題ではないと私は思います。御承知と思いますけれども、わが方の商社あるいはメーカーの支店が向こうにできる、また逆に向こうの商社の支店がわが国内にできるということになって参りますと、その間は信用状なしで取引は動くわけでございますから、信用状なしの割合がふえますこと自体がいい悪いということではないかと思います。従いまして要は輸出の実勢を見て参りますときに、信用状だけが黒ということを見ては非常に片手落ちになるわけでございまして、御指摘がございましたように、信用状なしの方がどうなっておるか、あわせてしりがどうなるかということで見て参りたい、かねがねそういうふうな見方をして参っておるわけでございます。
○広瀬(秀)委員 先ほど堀委員もちょっと触れたのでありますが、米市中銀行からの二億ドルの借款、農産物借款一億二千五百万ドル、これの返済計画は十一月から始まる、その月別の、十一月以降どういう工合に返していくのか、これについてちょっとお伺いしたい。
○田中国務大臣 お答えいたします。米市中三行の二億ドルにつきましては、十一月五千万ドル、十二月に五千万ドル、一月に五千万ドル、二月に五千万ドル、計二億ドルということであります。それからあとの分につきましては来年の二月千三百万ドル、三月二千万ドル、四月二千百万ドル、五月二千六百六十万ドル、六月に二千四百四十万ドル。綿の分は四月に五百十万ドル、五月に六百四十万ドル、六月に五百九十万ドル、七月に二百五十万ドル、計二千万ドルというふうになっております。
○広瀬(秀)委員 わかりました。それでそういうような要素、あるいは先ほど本会議で問題になりましたガリオア・エロアに対する返済、こういうようなものをすべて総合的に勘案いたしまして、先ほど大臣が答弁されたような年度末における国際収支の状況を迎えるだろうと思いますが、その際に資料を一つ要求しておきたいんです。大体経常収支とそれ以外のものと分けまして、さらにそれに貿易収支の内訳をつけていただいて、それがどういうふうに推移をいたして、そうして新しい借款に対する返済というようなものを差し引きをしてこういうようになるんだ、先ほど大臣が言った結論に到達するそれぞれの国際収支のこまかい見通しの資料というものをぜひ一つ本委員会にお出し願って、われわれの参考にさしていただきたいと思います。
○田中国務大臣 御承知の通り、お手元にありますものは一月の国際収支の見通しというのがあるわけでありまして、私たちが今試算をいたしておりますものについては、経済企画庁その他各省との連絡もありますが、もう少したってみないと正確の見通しは困難だと思いますが、いずれにしても、御要求がありましたので、省間で連絡をとって何らかの形で御要望に沿いたいと思います。
○広瀬(秀)委員 それではそういうようなことにいたしまして、次にけさからの大臣の答弁は、大臣になったばかりでというようなことで非常にそつのない答弁をずうっとされているわけでありますが、これから大いに検討したいというようなことが多いのでありますが、大臣になりましてとにかくまっ先に一つずばりとやった問題があるわけであります。これは外貨送金の制限緩和の問題であります。まことに手ぎわよくずばりとこれはやったわけであります。ずいぶん前水田大蔵大臣時代にもなかなかふん切りのつかない問題であったのでありますが、まあ状況が変化したというのでありましょうか、どういうことでありますか。とにかくこれは制限の撤廃論が総理であったというようなこともあるし、また証券業界があげて制限の全廃を望んでおったというような背景が実はあったわけであります。大蔵大臣就任と同時に七月十八日の閣議でこの問題は持ち出されて、今までの二年間据え置きの制限期間というものを六カ月に一挙に一年半短縮された、こういうことをやってのけられたわけであります。慎重論を唱えておった立場からすれば、大臣が先ほども言われました長期安定資金というようなものが、この措置をすることによってかえって短期化するというような問題、あるいは証券業者の外貨取り扱いというものがまた外国で悪評判を招くのではないかというようなこと、あるいはこれはやはり出る方を出やすくして、入る方をより一そう入りやすくして、差引プラスになるという見解かもしれませんが、まだ日本の経済は不安定の域を脱していないのじゃないか、また国際収支の見通しが、先ほど大臣も言われましたように、楽観は許されない、そういうような状態の中で、しかも輸出がだいぶ好転をしてきたというけれども、野放しにそれがその通りうまくいくであろうか、やはり諸外国の市場、相手のあることであります。そういうようなことを考えまして、かえって出ていく方がよけいになるという心配がないのか、あるいはまた、たちの悪いもので、投機的な短期のねらいを持った資金がどかんと入ってばっと引き揚げていくというような、そういうおそれはないのか、こういうようなことについて大臣は一体どのような判断の上に立ってこの処置をとられたのか、この点についてお伺いしたいと思います。
○田中国務大臣 これは私が就任と同時に私の見解において行なったというふうにおとりになっておるようでありますが、必ずしもそうではありません。この問題に対しては、政府与党連絡会議においても一年間の長きにわたっていろいろな問題を検討して参ったわけでございます。西欧先進諸国がすでにもう元本送金制限を緩和して事実上制限がほとんどないような状態になっておるにもかかわらず、日本はまだ非常に強い制限があって、良質の外資の導入もはかれないような状態に対して何らかの措置を考えたらどうかということを政府与党の間においても検討いたしておったわけでありますが、当時の状況としましては、引き締め調整政策を行なわなければならぬ、総合的な統一見解を出さなければならないというような情勢下におきまして、この種の問題に踏み切ることは、かえって外資あさりというような印象を国外に与えてはまずいという慎重な考え方も相当あったわけであります。でありますので、経済の落ちつき、国際収支の安定というような雰囲気が看取せられるまで慎重に時間的に待ったわけであります。水田大蔵大臣が私に事務引き継ぎをせられるときも、自分の責任でこれを行なえる段階になっておるのだけれども、退官寸前にこのような大きな仕事をやることはどうかと思われるので、事情をよく知っておるお互いであるから、後任者に引き継ぎましょうという状態で引き継ぎを受けたわけでございます。でありますから、私は、それを受けて、国際収支の見通しとか、それから引き締め基調の浸透の度合いとか、慎重に検討をいたしたわけであります。 なお池田総理大臣が非常に全廃論であったというふうにも伝えられておりますが、この問題を私が御相談を申し上げたときに、池田総理はまだ何か多少国際的にも外資あさりというような考えを持たれては困るので十分注意をしたり、また情勢判断も慎重にやってもらいたいというお話でございました。しかも就任早々やるよりも、場合によっては一、二カ月時を見てもいいのではないかというふうに御注意もありましたことをはっきりと申し上げておきます。がしかし、これらの問題もただいま申し上げたように引き継ぎ事項にも明記されておった問題でありますし、いろいろな方々の気持の上にも、いつやるのか、一体一年なのか六カ月なのかというようなことが流れやすい問題であります。しかもこれの及ぼす影響も相当あると思うのです。そういう意味で、公定歩合の引き上げが長いことちまたに論議をせられたというようなことは必ずしも好ましいことではありませんので、四囲の情勢を勘案しながら六カ月という緩和に踏み切ったわけでございます。六カ月というような大幅緩和に踏み切った以上、筋の悪いものが入ってこないか、市場撹乱をせられないかという御懸念も一応あるわけであります。ですから、この面に対しても検討いたしたわけでありますが、商社の窓口その他を通じても、また海外にある支店の窓口や出先の人たちを通じても、いわゆる筋の悪いものは入らないようにいろいろな措置を考えるようにという慎重な態度をとっておるわけであります。しかも現在緩和のときを時点にいたしましてどの程度の外資が入っておるかというと、二億九千万ドルをちょっとであります。これが、昭和二十九年の総株式の発行高を見ますと、その一・五七%を外国法人が持っており、しかも外国人個人が〇・一九%、合わせて一・七六%くらい持っておったわけであります。それが今日の段階においてどうかといいますと、外国法人が一・〇七、それから外国人の個人が〇・二六でありますから、一・三三というふうな状態であります。これは非常に制限が強かったために投資が行なわれなかったというふうに見るべきであると思います。また過去のいろいろな統計等を見ても、外国人の投資というものが、日本の株の発行高——現在申し上げますと、大体四百十四億株という発行高でありますが、この比率から見ても、これよりも引き出しによって低下をするというようなことは考えられない。逆に入ってくるということを考えますと、海外の状況その他出先等の状況を勘案しますと、制限緩和をすれば筋のいいものが入りたいという希望が看取せられますので、出るよりも入ることが多いだろうということで、資本蓄積に役立つという見方をしたわけでございます。 〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕
○広瀬(秀)委員 株式元本等の送金制限緩和で、特に予想される外資で入ってくるというのは、主としてやはり米国筋のものだろうと思うのです。しかもこの六カ月というのも、アメリカの税制との関係というようなことも考慮されてそういうことにしたということをわれわれ聞いておるわけでありますが、半年たたない場合には、売買差益の五〇%以上を取られるというようなことで、それ以上たてば二五%になるというような、それと合わせたのも、やはり主として予定しているのはアメリカ系の資本を入れる、こういうことだろうと思うのですが、そういうことでやはり六カ月ということに踏み切った、それから大体一番多く入るのはやはりアメリカ資本だ、こういうように了解してよろしいですか。
○田中国務大臣 現実の面におきましては、アメリカ人の投資が多くなるかもわかりませんが、特にアメリカ人を対象にしてかかる緩和を行なったのではありません。しかもアメリカの税法の特例をそのまま引用するために六カ月という緩和の仕方をして、事実上アメリカ人にとっては、税法上の恩典を考えると全廃にひとしいではないかという議論は、これは私たちが緩和に踏み切る場合の条件として考えたのではなく、結果論としてそういうふうになったということでありまして、そういうことを前提にいたしたわけでありません。理論上、先ほどの御質問にもありましたが、外資法というものがありまして、外資法を抜本的に改正するという段階まで至っておりませんので、二カ年を一カ年にするか六カ月にするか——全廃する場合には外資法にも手をつけるということになると思いますので、そういう意味で二カ年を一カ年または六カ月という立場で六カ月に緩和をするのであって、アメリカ人を対象にして、またその資本投下を対象にして踏み切ったものではないことを明らかにしておきます。
○広瀬(秀)委員 お答えとしてはそうだろうと思います。それで、このように今日本でも十月から経常取引の貿易自由化をやろう、九〇%の自由化をどうやら十月からやろう、こういう段階です。大体諸外国の例を見ましても、この経常取引面における自由化が完了したあとで外資の自由化、資本取引の自由化というものをやっているわけでありますが、なぜ貿易自由化に先だって、九〇%自由化の十月を目前に控え、それに先だってやらなければならない理由というものが、先ほどの説明だけでは——やはり順序としては、経常取引の自由化が一段落した、完成した——完成ではないけれども、九〇%なら九〇%なりに一応落ちついたというような段落で資本取引の自由化ということに踏み切られるのが、われわれとしては筋ではないかと思っておるわけでありますが、それをあわててやったということは、正直なところ一体どこにあるのですか。先ほどの一般的な説明は私どもはわかっているわけですが、非常に急いで、大臣就任早々で、——なるほど引き継ぎ事項で一年以上もかかっているのだという事情はわかるのですけれども、八月一日からずばりやられた真意はどこにあるのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
○田中国務大臣 御説の通り、各国の例から見ますと経常収支が先行して資本の自由化はあとからやるのが例のようでありますが、これは法則として経常収支の自由化を先にやらなければならぬということはないわけです。特に日本では、先ほどの御質問にもありましたが、自由化に対してもいろいろな問題もございます。それでなお九月末九〇%という問題も院の内外においても議論をせられているところであります。またわれわれも経常取引の自由化に対しては、近く外国との折衝段階やいろいろな問題が予想せられるわけであります。でありますからそれが済んでからやらなければならないというほどの条件があるわけではありません。特にわれわれが送金制限緩和の問題に対してはもう一年以上検討した問題であり、特に水田前大蔵大臣のときに経常取引の自由化と切り離して資本の自由化をやろうということになっておったものが、先ほど申した通り去る者が退任のまぎわにやってはならないだろうという慎重な配慮から私に引き継がれたわけであります。いつやるのかというふうな状況が現われておったときでありますので、また日本の現状は外資あさりというような悪い面をもう外国人の投資家に考えてもらわないでいい段階でもありますし、しかも優良な外資というものが入ってくるということに対してはこちらも希望するような段階でありますので、資本の自由化を先がけてやったわけでありまして、これは関連というよりもすなおな立場で御批判を賜わりたい、こう考えます。
○広瀬(秀)委員 すなおな立場で考えたいわけですけれども、出された経緯等から見てみますと必ずしもそうすなおな立場ばかりはとれない面がどうしても出てくるわけです。率直にいってやはりこれは証券対策だ、こういうふうなことを実は言いたいわけでありますが、それはここで論争しても仕方がありませんから、そう私の方で言いっぱなしにしておきます。ただ今大臣も心配しておりますように、筋の悪い外資が入ることに対して大蔵省はこれまでそれを理由にかなり慎重論をとって、一年くらいでどうだと事務当局では言っておったということが新聞等で報道せられおるわけであります。そういう筋の悪い外資等が入り、証券業者等が取りあさりをするというような問題は慎重にチェックするんだ、こういうようなことをその後大蔵省では言っておるわけでありますが、そのチェックはどういう形でなさるのか、大臣の考えを一つ。 それから八月一日にこれが実施されて、それで実施以前にもうすでに六カ月たっているものは野放しで送ってもいいということになるわけでありますが、八月一日以降この措置ができたがゆえにと思われる流出というものの傾向が、まだ幾らも日がらがたっておりませんからはっきりしておるかどうかわかりませんが、もしそういう数字があれば、株式元本の送金についてどういう具体例が今出ているか、このことをつかんでおったら、これは事務当局からでもいいと思うのですが、教えていただきたい。
○田中国務大臣 八月一日にこの緩和措置を行なったために、急速に引き揚げられるというような事象は全然起きておりません。またそれと同時に大口の投資が申し込まれたということもございません。ございませんが、外国商社の窓口やその他金融機関の出先にありまして非常に緩和措置が好感を持って迎えられており、日本に対する投資が相当活発になるだろう。それよりもこういう処置をやったことに対して、日本の外貨事情や貿易収支や経済の見通しというものに対して、日本政府が相当確固たる考えを持っておるというふうにとれるので、われわれ投資家も安心して投資ができるであろうというような考え方は相当強く入っておるようであります。 それから筋の悪いものということでありますが、筋の悪いということに対しては、公社債を持って外資を獲得に出かける商社等は、自分の社債というよりも自分の持ち株を持ってもらったり、いろいろな交渉があるわけであります。そういう場合でも今一部において行なわれましたように、不安定な二部の銘柄とか、二部に上がりそうなものとか、まあ二カ月か半年たてばもうかるんだというような、短い時間に株式投資によってもうけるというような筋のお客様をねらわないで、いずれにしても日本の国力倍増とともにいくような基幹産業、特に日本が推奨したいような筋のいいものも持ち出すようにということを言ってもおります。それから外資を目標として出かける場合には、あらかじめ大蔵省で話をして、大蔵省と数字を合わせてやってもらいたいということも具体的に措置をしております。それからなお銀行や証券会社の海外における窓口、また経営者や第一線の諸君も外国に対してもうかるというような投機的な面だけを説明したりPRをしないようにして、日本の経済の実態というものをよく理解をしてもらって、どういう株に対する投資がいいのか、しかも長期安定株式を見出すようにというようなことも要請をいたしておるわけでございます。
○広瀬(秀)委員 そのことはわかるのですが、先ほど大臣が言われた数字の中でも、外国人個人が日本の株式を取得するという比率がだんだん高くなってきている。これは最近は非常なテンポでふえてきているわけですが、そういう個人に対しては、筋が悪いと思われてもそれを一体どうやってチェックするのだということについて、その方法は一体どうなさるのか。チェックするのだと言っていても何か有効な手は打てるのか。PRなどの手はそうだけれども、入ってくるものは日本というものが国際的に成長株だというような形でぱっと飛びついて、ちょっとおかしくなればすぐ引き揚げるのだというようなものを一体どうやってチェックする方法があるのか、こういう点がやはり一つの心配点になるわけです。これは先ほど大臣があげた数字を見て、とるに足らない数字だといってしまえばそれまでですが、二億九千万ドルだろうという先ほどの大臣のお話です。これは時価に換算すれば五億をこえるだろう。これを引き揚げられたら相当な混乱が起きるわけです。これは小さい額だといってみても一気に起きるということになればそういう問題もばかにならない問題だと思うのです。それについてどういうチェックの方法があるのか、この点安心できるような答弁を一ついただきたい。
○田中国務大臣 非常にむずかしい御質問でありまして、こういうことを言っていいかどうかわかりませんが、入るときに入れておいて出さないようにするには、入るときには窓口を開いておって出るときには出ないように締めでしまえばいいのですが、そういうことをやっておったために入ってこなかったのでありますから、いずれにしても、緩和をしてしまえば入ることも自由であり出ることも自由である、こういうことで資本の取引の自由化に踏み切ったわけです。入ってくるか入ってこないかということは、これは日本の経済に対する信用度の問題でありまして、日本の経済が信用を置けるという状態でありますれば、もう世界通有な考え方として、良質の長期のものが入ってくるということは、今までの例からいっても、常識的にそう考える以外にないと思うのです。しかしある国がある目的を持って入れるというようなことや、ある人たちが日本の株価の混乱というものに目をつけながら、そこで一もうけをしようというような悪質な人があった場合に、これをどうするか、こういうことなんですが、これはもうなかなか、そういうことのないようにやる以外に実際問題としては手はないわけであります。しかしこれは何も日本だけの問題でもなく、フランスの場合、イタリアの場合、イギリスの場合、西ドイツの場合という例が全部とられるわけですが、少なくとも今持っておるものが非常に外国人の持ち株が少ないというところから見ておりますと、入ってくるものと出ていくものを考える場合に、やはり常識的に、出るよりも入るものが多いだろう、またそういうふうに日本の経済そのものを国際的な信用を一つ上げていかなければいかぬ、しかも日本がアメリカの市場とか世界の市場で自由に株を上場できるようにするには、こういう制限があっては全然できないのでありますし、またそういう制限がありますれば、日本の株式は上場しない、そう言っておるのでありますから、そういう広範な経済の状態を考えるときに、これはやはりいいことには多少のマイナス面もあるのです。そのマイナス面がもし出たら私が責任を負ってやめる、やめるくらいでは困るのだ、こういうことでいろいろな議論をしてみたのですが、いずれにしても今日の段階では、一年間慎重に検討し、出先とも十分な連絡をとって、まあよかろうということでありましてやったわけでありますから、なるべく御心配のないように配慮したいと考えております。
○広瀬(秀)委員 そういう大臣のような答弁ならわかるのですが、大蔵事務当局だと思うのですが、とにかくそういうものはチェックをするんだ、していくんだというようなことを言うから、それじゃどういう方法があるのだ、こう開き直りたくもなるのです。これは官僚の悪いところだと思うのだけれども……。 それで二カ月ほど前ですが、例のアメリカ経済の突然変異だといわれたニューヨーク株式市場の大暴落があったわけです。ああいうような場合に、今までの関係ですと、外国為替管理法のもとであるいは外資法のもとで、比較的日本の株式市場を撹乱するというようなことが、アメリカの株式が暴落したからストレートにこっちに影響が及ぶ、あるいはロンドンでもそういうことだと思うのですが、そういうように非常に国際的な結びつきというものは、今度の措置法を通じて、非常に株式市場相互間の密接な関係といいますか、そういうようなものが大きく前進をしたわけだと思う。そういうようなものに対して、日本の株式市場というものが、諸外国のそういう暴落があったりあるいはものすごい投機があったりというような変動に対し、しっかりこの株式市場が健全に、そういう影響を殺して、健全性を保っていくというような点についての配慮というようなものが、やはり今度必要になってくるのじゃないか、そういう問題についての総合的な考え方というものについて、一つ伺っておきたい。
○田中国務大臣 株というものに対しては、今までの考え方で株は一部の投機を含む人たちがやるものだとか、株は特殊な問題であって、あまりいろいろな角度から検討をしてもなかなかうまい結論が出ないというようなことでなく、現在株式の持つ——日本の経済の資本の持っておる割合からいいますと、これは全くゆるがせにできないほどの大きな問題であり、しかも国民のうちほとんど株式投資を行なっておる。いわゆる不動産三分の一、また動産に三分の一、貯金に三分の一というような昔の考え方が今の人たちに、不動産が非常に高いということでそうも不動産に投資できない零細な人たちが、自分の月給の中から何割がずつ株式に投資して国づくりに協力しておるというようなこの事実を考えるときに株式対策というものは相当深刻に長期の見通しを立てて一応資本蓄積という意味で重要視して適切な施策をとらなければならないことはこれは言うを待たないと思うのです。私、今度大蔵省へ参りまして、いろんなデータを取り上げて今検討いたしておるのでありますが、現在四百十四億株、これを額面にいたしますと大体三兆二千億、これが額面の倍が市場価格だとしますと六兆四千億、倍ちょっとですから七兆円と見ればいいと思います。そのほかに政府保証債と公社債が一兆八千億くらいありますから、おおむね八兆七、八千億円から九兆円、こういうものが考えられるわけです。この内訳を見ますと、先ほど申し上げた通り外国法人が持っておるものは一・〇七%で四億四千四百万株、ちょうど百分の一であります。そういうものが倍になって二%になり、四倍になりといったようなことが考えられるわけであります。この中で一番大きいのは一体株の分布がどうなっておるかということを私は、見てみたのですが、金融機関が八十四億株、約二〇%持っておるわけであります。それに投資信託に約二十六億株で六・二五%くらい、証券業者が持っておるのが十四億株で非常に小さい。そのほか法人が持っておるものが八十八億、個人が持っておるものが百九十一億、大体四六%という数字を占めておるわけであります。これが昭和二十九年からもう少し前の数字をとって見ますと、大体六・七%から一〇%、大体四、五十億株というものが金融機関や法人に片寄り過ぎておる。こういう問題から少し金融を引き締めると換金売りをしなければならないということで、一般大衆に非常に迷惑をかけておるような状態が起こり得るのだと思うのです。こういう分布状態を見ておりますと、これだけの分布状況を外国人が来てくずすというような状況は、ちょっと今の状況では考えられないので、これが二年、三年、五年、十年とたって外国人投資が四百億株発行が倍額になり、八百億株になったときに一〇%を持つということになると、いろんな面から調整を必要とすると思いますが、現在の株式の分布の状況を見るときに、これが緩和措置をやったために外人が投機的な目的を持って投資しても、日本の株価を混乱せしめるような状態にはないのではないかというふうに判断をしたわけであります。
○広瀬(秀)委員 大臣の、就任早々にもかかわらず大へんな勉強の跡を聞かされたわけでありますが、いずれにいたしましても、今まで問題点を幾つか出されましたが、もう一つの問題点は景気調整過程の中でやはりこのことが一つの金融引き締めの緩和だというようなことに結びついていくのではないかという心配も実はあるわけであります。今まで申し上げたような幾つかの心配の点についてはよほど慎重に今後の推移を見守っていただいて、結局、私どもがこういう心配があるといったことが実際の問題にならないように、この点は一つ十分注意をして今後の運営をやっていただきたいと思うわけであります。 それから次に税制関係の問題について若干質問をいたしますが、一体大蔵大臣は先ほど堀委員の質問に対しても、明年度の減税の問題について非常に慎重な態度で、やるともやらないとも、お考えを確かなところは述べなかったわけであります。それでこの際一つ、大幅な減税というものを私どもは要求をいたしておりまするが、大幅もあるし中幅もあるし小幅もある。しかし少なくとも中幅くらいな減税をやってもらわなければならない状況というものは、これは今日国民大衆の抱いている本音である。特に所得税で若干の減税があった。しかもその所得税の減税に全然浴しない階層が都道府県民税で、東京都あたりはそれほどひどい比率では上がっておりませんけれども、上がっておる。月収五十万円で標準家族の人が九百九十一円上がっておるということは、東京都でもはっきりしておるわけです。しかも近県でも、たとえば栃木だとか群馬だとか、こういうようなところへ行きましても、私、三十五万円、三十八万円、四十万円、四十三万円、四十五万円、これだけ調べたのですが、今ここへ数字を持ってこなかったけれども、去年国税の方では全然減税の恩典に浴しない階層が、三、四倍とか五倍近くにも都道府県民税がはね返っている。これでは、なんだ減税などといってもまことに増税そのものではないかというようなことも言われておるわけであります。もちろん都道府県が高校生急増対策だとか、あるいは新産業都市の問題だとか、低開発地の開発の問題だとか、いろいろな問題をかかえて財源難に苦しんでおることはわかるのでありますが、所得税の減税にも浴しないほどの低所得の階層が、都道府県民税でそういうように去年の四倍にも上がっておる。こういうようなことが現実に起きているわけです。あるいはまた財源がないといいますけれども、租税特別措置法で一千六百九十五億というものが、中山税制調査会長がここの委員会においでになって私の質問に答えられた中でも、これはもう大企業に八割は集中しているのだということであります。しかも五年も十年もと午前中の答弁で大臣は言われたわけでありますが、そういうようなものが大部分であります。しかもそれが大資本に八割も集中しているというようなことで、それがずっと完全に長期化し、既得権化している。こういうようなものを相当大幅に整理をすれば、これは新しい減税財源もできれば、あるいは社会保障充実の財源もできる。公共投資の財源もできる。こういうようなことを考えられれば、これは財源が足りないから減税は見送りだという単純なお考えでは困ると私は思う。一体大幅、中幅、小幅に分けて、どのくらいの減税をやるつもりなのか。一つこの際見解を明らかにしてもらいたい。
○田中国務大臣 午前中の御質問にもお答えをいたしました通り、時の政府はどんな場合においても減税、国民大衆の負担軽減ということを第一に考えなければならぬことは当然でありまして、私もそういう考えでございます。しかし何回か国会の審議において御答弁がありましたように、もうすでに戦後一兆円になんなんとする減税も行なっておりますし、三十六、七の両年度においては、地方税を含めて三千億もの減税を行なっておるわけであります。こまかい数字に対しては、ケース別には事務当局からお答えすることにいたしますが、しかし減税をしておるからといって、今申されたように税の不均衡というものはないのかというと、私も存在することは認めております。私も新潟県の出身でありますから、一体こんなに収入の少ない私たちの兄弟が、わずか六反や八反の仕事をしておりながらこのように税が高いのだろうということに対しては、これはなかなか得心がいかない問題であります。こういう問題に対して、いろいろなケースを掘り下げて考えてみると、戦後からの行政制度の問題もあります。これは日本のような細長い特殊な地形上にある府県が、市町村も自治体であり府県も自治体である。そうして中には赤字の出た県に対しては赤字が終わるまでは事業をさせない。その意味においてはだんだん所得格差というもの、地域格差が開いていく。そこに持ってきて、地方の府県知事や町村長は公選でありますから、次の選挙になるまでには何とかして学校もやらなければならぬ、道路もやらなければいかぬが、これは問題はあたりまえでありますが、その上になお一つはでな、あの前人未踏の山に大きな観光道路でもつくろう、こういうところもやらなければ——選挙をお互いに経験しておりますから、こういう事情もよくわかるわけであります。そうなるとますます財源が枯渇をしてどうにもならなくなる。そういう意味で、それは当然農村等でも現在の税制上はかからないということになっておりながら、直接税はかからなくても、市町村民税や府県民税を見ればくわ一丁、かま一丁、間口にかかっておる。表日本で二十五年の耐用年数の同じうちであっても、北海道や裏日本でもって十年か十五年しかもたないものであっても倍の固定資産税がかかる。また工場もない、何もないから、生産施設に税をかけるわけにいかぬので、なければくわ一丁、かま一丁間口何間にかかる、こういう制度そのものに対して、お互いがもっと真剣に検討しなければいかぬし、日本の地方財政の確立ということで、政府との調整をどうすべきかというような問題はもっと私は真剣に考えらるべき問題だと思います。しかし今の状況から言いますと、先ほどあなたが申された通り、直接税はうんと減税になっておるけれども、あけてみたら地方税がうんと上がっておる。うちの事務当局から聞きますと、それは感じの上です。直接国税は六千円まけて、地方税の上がったのは三千円ですから、差引三千円は減税になっておると言っておるのですが、まけられたものに対しては数学上の問題であってこれは納得しても、どうも多くなった方が目につくというのは事実でありまして、私が就任直後、税というものは納める人の側に立って、やはり協力を得られ、納得の得られるような税体系をつくることを一つ諮問しようということを言ったのはそこにあるわけでございます。だから技術的に非常にむずかしい問題がありますが、思想としては、ただいまあなたが言われたようないろいろな問題、また制度上の欠陥その他も十分検討しながら税制調査会の結論をできるだけ早く待って一つやりたいという考えでございます。しかしここで千六百九十五億に及ぶ特例措置の問題が出ましたが、これはなかなかむずかしい問題なんです。これもやめてしまって一般財源にしてしまえばいいという反面、逆に値上げをしなければならないものは税制の措置でまかなえとか、鉄道運賃も上げてはいかぬから何かでまかなえ、それから地方の産業都市もとても負担ができないから、それは固定資産税をまけてやらなければならない、東北電力に対して、電力料が上げないというならば固定資産をまけてやるか何かして補てんしなければいけないといういろいろな議論が出てきて、私も一々それを検討しておるのですが、とてもその調整を今すぐつけるというわけにいきませんので、どういうふうに取捨選択し、調整するかは、この間税制調査会に出まして、補助金も含めて一体いずれがいいのかという問題を一つ早急に検討して結論を出していただきたい、できるならばまとまったものから答申をしていただいて、三十八年度の予算編成にも間に合わしたいということさえも申し上げておるのでありますから、事情を一つ御了解賜りたいと思います。
○広瀬(秀)委員 税制調査会を、減税をできるだけ見送ろうという考え方の隠れみのにしてはいけないと思うのです。従ってもう一歩私の質問を後退させまして、減税をやる気があるのかないのか。中幅か小幅か別として、減税をやる気があるのかないのか。この点の大蔵大臣の考え方というものはあるだろうと思うのです。そのことをずばりと答えていただきたい。
○田中国務大臣 非常に及ぼす影響が大きいので、私も慎重に今考えておるのでありますが、私は先ほど申し上げたように、税に対しましては減税をできるだけして、税負担を軽くしなければならぬという思想と姿勢に対しては同感であるということは率直に申し上げておるのであります。しかし税体系の問題とか、いずれに重点を置くべきか、今までの特例に対してどういうふうな点で調和を求むべきかというような問題は非常にむずかしい問題でございますので、これらを専門家の審議をわずらわして早急に結論を得たい、こう申し上げておるわけであります。
○広瀬(秀)委員 いずれにしても大臣の答弁は非常に慎重を期されておるのですが、その程度は本委員会においてはぜひ一つ答えていただきたいと思ったわけです。きょうは時間もあまりありませんのでこの点これ以上追及はいたしませんが、新聞で見ますと、何か特段の田中構想といいますか、国づくり税制という見出しで宣伝をして、田中蔵相、えらい張り切っていると聞いておるわけであります。これは新産業都市あるいは低開発地等の問題とも関連があるようでありますが、その構想はどういうものか、この際御披露を願っておきたいと思います。
○田中国務大臣 どこの新聞でごらんになったのかわかりませんが、私も正規な会見できっとそんなことを意思表示をしたわけではないと思うのですが、これは私の個人的な思想として長い間世間に幾らか伝わっておると思うのです。私の考え方というのは、今まで税というものは国民の血税でありますから、これを投下する場合にはできるだけ短期決戦で、先行き投資ということばかり考えておらないで、確実に投資効率の現われるものに対してやるべきである。こういうことから言いますと明治初年から百年にわたってそういう思想がずっと今日まで学問の上にも行政の上にもとられてきたわけでありますが、投資というものは、人間が多いから車が多いから舗装をしなければいかぬ、人間が多いから直ちに道路幅も広げなければいかぬ、これは理屈としては当然でありますが、そういうことだけをこのままなお十年も二十年も百年も一体続けていけるのかどうかという問題であります。現在御承知の通り、東京都を中心にした首都圏に九千三百万のうちの約三割も人口が蝟集しておる、しかも産業もその通りであります。東京、大阪等の四大工業地帯がこのままのテンポで進んだ場合、一体全人口の何割がそこに過度集中をするのだろう、そういうことやいろいろ諸般の情勢を考えますと、明治から百年たった今日、産業形態、それから人口の分布状態というものに対してはやはり新しい視野に立って一つ将来の国づくりということをしなければならないのじゃないかということで、水資源開発公団法となり低開発地域工業開発促進法となり産炭地振興法となり、今度は新産業都市建設促進法となって、いろいろな法律が国会で生まれておるわけであります。しかしそういうようないろいろな法律ができましても、これから産業や人間をあらためて地方に定着をせしめるというようなことは簡単にできるものではない。もちろんニュー・タウンのように相当大きな金を長期につぎ込んで相当荒らっぼく仕事をやれば——ロンドンにおけるニュー・タウンはその通りでありますし、しかもアメリカにおけるテネシー・ヴァレーのような問題は法律を作って予算的措置をすればある時期にはできると思いますが、日本のような現在の状態でこういうものを早急に行なっていかなければならぬ。それと人口格差の解消かそれ以外には解決する道がない。また同じように立地条件、水もあり、土地もあり、電力もあり、労働力もあり、地下資源もありまた港湾もあるというような立地的な条件のそろっておるところも他にたくさんあるのでありますから、そういうところに必要なものは何かというと結局資金であります。資金は投入しても投資効果が非常に都市に集中するよりも低いわけでありますし、先行き投資になります。そういう場合に一体先進国はどうしておるのかというと、ニュー・タウンに対しては土地収用権やいろいろなものさえも認めて、税法上の特典も行なっております。だからその程度のことを考えなければ、実際においてわれわれ日本国民がみんな十年後の日本をどうするのだということを考えておりながらまたぞろつくるよりもこわす方に大きな金をかけるような状態がくるのではないか。東京都などでも現在御承知の通り、百億の金をかけなければその七五%から八〇%は補償費であり用地費であるというようなことを考えれば、これははっきりした数字が出るわけであります。皆さんの地方においても、鉄道新線を建設してもキロ当たり三千五百万から五千五百万、山岳地帯でも一億二、三千万でできるものが、地下鉄をやる場合には十五億も二十億も三十億もかかる、特殊なところでは三十五、六億もキロ当たりの工事費にかかっておるというように事実を無視するわけにはいかないわけであります。そういう意味で、今のオリンピック道路の建設なども、西ドイツでやられておるように、またマーシャル・プランによって受けた援助費で現在のハンブルグがいんしんをきわめておるような事例がたくさんあるのでありますから、そういう場合に一体税法というものの特例をどう生かせるのか、また生かす道はないのかというような問題、今まできっと税法の学者や専門家はそういうことを考えること自体タブーだとしておったかもしれませんが、私は曲がりかどに来た現在の日本の状態を考えるときに、まじめに勇気を持ってそういうものにもやはり考えを及ぼして、真摯な態度で検討すべきである。ある時期において、その議論は正しいけれども、しかしもう一年、二年、三年現在までのものを踏襲しようかということはこれは国会できめらるべき問題でありますが、そういうことに対してはやはり謙虚な立場で、しかも熱意を持って検討すべきであるということを申したのであって、どういうふうに伝わったかわかりませんが、私の真意は以上の通りでございます。
○広瀬(秀)委員 そういうような新しい角度に立った、しかも相当長期の展望に立った大きな構想を生かすためにも、私は今までやってきたような、しかも年限が切られておったにもかかわらずだらだらと一年延長一年延長というような形で完全に既得権化し長期化してしまった租税特別措置法の中で、あなたの勇断をもってやられるならばあなたの構想を生かすためにも——これは私もずっと前の委員会から質問しておるのですが、農業近代化に対して一体税制でどれだけ見ておるのか、あるいは中小企業の近代化といいながら、中小企業に一体どれだけの税制上の優遇措置を与えておるのか、言うだけで何もやってない。こういうような問題も、やはり税制の中で解決をしていくというのであったならば、もう十数年にわたって租税特別措置でたっぷり恩典に浴した人たちに——けさ貯蓄の問題においても、堀委員が数字をあげて証明したように、そして去年監査をしたら、三十五億もいわば脱税をやっておったものがあがるというようなことに対して大なたを振るっていくというような勇断がなければ、あなたの構想も生きてこないだろう。今非常に新しい農業、企業として成り立つ農業、こういうようなかけ声の中で農業構造改善が進められておる。それに対する税制なんというものは全くお寒い限りで、そういうようなものにもそういうあなたの考えを生かしていってもらいたい。そういうためには一つの勇断というものが一方において必要だ。一方を切って、やはり財源をそっちに投入するというような新しい構想の中に、正しい構想の中に生かしていくということを十分一つ考えていただきたいと思うわけであります。 税制の問題はそれくらいにいたしまして、中小企業金融の問題で、最近貸出総残高の中で占める中小企業向けの貸し出しの比率というものが逐次減ってきておるという情勢は、これは三十二年のときの中小企業に対する金融の手当というのは後手々々だ、今度は割と前々と手を打ってきたということで、そうショッキングな場面は出なかったけれども、しかし、じりじりと景気調整が浸透するに従って、こういうように中小企業に貸し出されるパーセンテージというものは下がってきておる、これはやはり見のがすことができないことだと思うのです。これは全国銀行関係。それから総貸出残高の中で政府関係の中小企業金融機関に対して貸し出されるパーセントは、わずかに八・九%にしかすぎないというような、非常に少ないものを何とかしなければなるまい、こういうことを私どもは常々考えておるわけでありますが、この中小企業金融に対する飛躍的な前進というものが必要じゃないか。現実はむしろそれと逆行しておる、こういうような点についてどのようにお考えなのか、この点を一つ聞かしてもらいたい。
○田中国務大臣 中小企業の育成強化が重大な問題であることは、これは論を待ちません。しかも自由化に対応して中小企業が負う日本産業の形態の実態を見ますときに、中小企業の近代化とかてこ入れ、これはもう欠くことのできない重要な問題であることも、私承知をいたしておるわけでございます。昨年は御承知の通り引き締め政策をやりますと、三十二年とか、そういう時代は中小企業に非常にしわ寄せになったわけでありますが、国会でも御承知の通り、下請代金の遅延防止の問題に対してはあのような法律をおつくりになっていただきましたし、それから独禁法の運用に対しても相当手きびしい議論を展開いたしておりますし、それから政府の三十七年度の予算を見ましても、金融関係に出資したものも、また一般会計でいろいろなごめんどうを見るものに対しても、飛躍的な増大をはかっております。しかし、これが一時は二階から目薬だというようなこともいわれましたが、少なくとも中小企業の育成ということに対して、政府も民間もまた学識経験者も、一つほんとうに中小企業の育成強化をやらなければならないという態度を踏み出しておることは、これは間違いない事実だと思います。でありますから、昨年の七月から今年の五月の総合対策統一見解を立てます場合にも、中小企業を最優先に考えたわけであります。でありますから、比較的に九月が一番つらいだろうということでしたが、九月は何とかできました。十二月の年末金融も比較的に順調にいった。三月の年度末は大へんだろうということでありましたが、三月も何とか越せる。三月の手形を四月、五月に送ったから、五月は大へんであろうということでありましたが、いずれにしても何とか中小企業の問題は、過去の例に比べて円満に解決をしております。しかし、これからなお引き締め基調を続けていく場合に、ほんとうに出るのはこれからだろうという問題も、十分私どもも想定できるわけであります。でありますから、昨年から政府のとったいろいろな施策のうち、四二%というような貸し出しが中小企業向けに行なわれておったということは、これは相当前進した態勢であると思います。しかし、これでいいのだという考えは私も持ちません。でありますから、先ほども申し上げたと思いますが、六−八月に対して百五十億、中小三公庫に対して資金量をふやし、また八月から九月に対しても、もう百五十億の資金量の増ワクを考えておるということを言ったのでありますが、これと普通だったら資金量が枯渇して政府余裕金の預託をしろといわれた信用金庫や相互銀行、農協等が、少なくとも一兆円以上の預金を持っておる。これがコールに流れておるというような事実も今こまかく調べておるわけでありまして、これらをいかにして中小企業の融資に回して、またどうすれば一体回るのか。なおまた、政府が財政資金によってどういうつなぎを見てやればいいのかというような、ただ口できめのこまかい政策ということでなく、実際大きな自由化という問題と設備の改善というような時代の要求に即応した資金処置というものに対して、真剣な態度で取り組んでおるわけであります。
○広瀬(秀)委員 大臣のお考えはわかりました。一つ、その考えが、予算あるいは財政投融資計画等についてはっきり数字となって現われることを期待をいたしまして、次に質問を移したいと思います。 これで終わります。大へん暑いところおつき合いをいただいて恐縮をいたしておるのですが、最後に証券関係の問題で一つだけ伺っておきたいのですが、証券業者が大体全国で五百九十社ある。そのうちの四十社ないし五十社というものはいわゆる要注意業者である、こういうことがいわれておる。約一〇%に近いものが要注意業者、しかも最近は非常に取り扱い金額等も大きくなってきておる。それと及ぼすところが非常に大きい。大蔵省としては、財産の検査とか経理指導を強化していくくらいの手しかないわけであります。事故が起きるというようなものは、やはり地方の小さな業者等に多いわけであります。去年も二社くらい事故が起きて、いわゆる登録を取り消されていった例もあるわけであります。こういうようなことを考えまして、登録取り消しというような手をやはり最終的には打つ、それを打ったときにはもう手おくれだったということが非常に多いわけであります。そうすると、少なくとも一社で一億やそこらの損害というものは大衆に与える、数にして二百人、三百人という人に与えるんじゃないか。そういうようなところまで参りますと、しかも証券市場の今度の外資送金制限緩和というような問題ともからんで、国際的な舞台の中に組み入れられたような形になってきておるわけです。そういうようなことを考えますと、もうこの辺でほんとうに大衆投資家を保護していくという立場からいいましても、今の資本金等も非常に地方では、東京、大阪、名古屋というようなところを除けば五百万あればどんどんできる、しかも登録しさえすればいい、こういうような非常に簡単なもので、われわれが見た実例でも、あの人が証券業者になるのかというような人でも、五百万金をそろえて、書類さえそろえば通るということでいったのでは、これから相当問題が起きるのじゃないかということを考えざるを得ないわけであります。そうしますならば、やはりこの辺でいわゆる証券業者の免許制というようなものに踏み切る時期というようなものも来ているんじゃないか。これは相当大きな問題だとは思いますけれども、証券に対して十分な銀行と同じような——一時は、去年おととしあたりですか、もう銀行よ、さようなら、証券会社、今日は、といったような勢いまで示したのです。それだけ非常に直接投資あるいは長期の投資というようなことで、こういうようなものが伸びていく段階において、これをしっかり押え、またコントロールしていくというような立場からいって、そして大衆投資家を保護していくという最終目的を達成するために、そういう方向をとる考えというものはないかどうか、この点大臣のお考えを一つ伺っておきたいと思います。
○田中国務大臣 証券業者を現在の状況で見ますときに、登録業者よりも免許業者にしてはどうかという問題に対しては、これはなかなか及ぼす影響も相当でありますし、むずかしい問題であります。がしかし、先ほど申し上げた通り、国民の大半が証券というものに対して投資を行なう、しかも国づくりのために協力をする、またしておるという事実を考えるときに、ただ技術的にむずかしいからといってこの問題をなおざりにすべきことではないと思います。しかも年々これらの弱小業者といいますか小業者といいますか、倒産によって非常に株に対する、投資に対する不信感もそこから起きております。しかも、それが大衆の生活まで脅かしておって、社会悪さえつくっておるという事実も見のがすことはできません。私はその意味で、この間証券業者の方々とも会いましたが、証券業者の方々も大蔵省をこわがらないで何でも言ってもらいたい、これはやはり国民全体の利益を代表するものとして要求してもらってもよろしい、また意見もどんどん述べてもらいたい、しかし姿勢は正したい。私たちの言うことに対しても一つ真摯な気持で聞いてもらって、合理化や責任準備というような態勢に対しては、法律でこれを要求されなくても、あなた方が少なくとも大衆に迷惑をかけないような態勢はみずからとっていただきたい。これがとられないような場合になれば、ある時期になれば当然制度や法律で規制をしなければならない場合も出てくるのであって、こういうものに対しては好ましいことではありませんから、十分に一つ考えていただきたいということをざっくばらんにお話をいたしておるようなわけであります。法律が戦後たくさん作られ、理髪屋さんや栄養士も登録許可の状態になっておることを考えれば、これほど大きな国民の財産を運用し、預っており、またこれが利益確保の責めに任じなければならない業者に対して、法制上どうあるべきかということはおのずから結論が、また方向が出ると思います。しかし、この問題に対しては、私は慎重にかつ勇気を持って対処をしたいということで御了解いただきたいと思います。
○臼井委員長 春日一幸君。
○春日委員 午前中から大臣の所見をいろいろと伺いまして、私はこの際冒頭に申し上げたいことは、長い間党内にあられて政策マンとして熱心に取り組まれておりまして、しこうしてその当時いろいろとわが国の金融、財政、税制全般にまたがって、いわゆるセンセーショナルな田中談話というものが発表されまして、そのつど国民は、私どもを含めて、大いなる驚異を抱いておったのであります。その田中さんが今回わが国の財政をここに掌握されまして、日ごろの抱負経綸を実現されるの地位につかれたことは、私どもといたしましてもはなはだ祝着に存じておりますし、国民もまたはなはだ期待をいたしておると思うのであります。しかるところ、本朝来の御答弁を承っておりますると、ただいまもまた慎重に勇気を持って検討する、それぞれの機関の答申を待って検討する、いろいろ検討されることが多いのであります。わけて金利政策、金融政策等につきましての堀君の質問に対しては、その後情勢の変化に伴って本日その考えを持たぬなどと申されておるのであります。まるきり、これはあまりにもかどが取れ過ぎてしまいました。田中角榮君が田中丸榮君になってしまったような感じがするのであります。私どもは長い間この大蔵委員会でいろいろと、ともに検討いたしておるのでありまするが、由来大蔵省は大蔵官僚というもののとりでになっておりまして、そこへ配する大臣は、池田さんから一萬田さん、佐藤さん——この間の水田さんは若干ニュアンスは違いましたけれども、しかし何となく官僚臭一色に塗りつぶされておりまして、まことに魅力の乏しいものであったのであります。そこへ浪花節を語り、がらがら声の人情政治家の田中さんが大蔵大臣になられたということは、われわれ野党の人間としても、これはあちらこちらで放言されたように、また大胆に言わんとするところを言われたように、日ごろこれをやりたいと言っておられたことをきっと彼田中はやるであろうとわれわれは期待をいたしておるのであります。だから、あなたのような野人——といっては失礼でありまするが、野趣横溢しておるところの政治家が大蔵大臣になるということは、議会全体としてもなかなか得がたいチャンスであろうと思いますので、貴殿が在職中に一つ大蔵臭、官僚のくさみを払拭されて、そして国民とともに情感のこもった財政、金融、税制が行なわれるように、一つ積極的に御努力がなされたいと思うのであります。 これを前置きといたしまして、第一番にお伺いをいたしたいことは、景気後退下におけるわが国経済の基本的対策についてであります。お伺いいたしたいことは、大体政府の経済見通しそういうものと今までの実績というものは、常に大きく食い違いを見せておりまして、実際的にはその政策目標と申しましょうか、政治の道標としての役割を果たし得てはいないと思うのであります。今回あまり違っておるというので、経企庁においてこの八月の十日でありまするか、一応試算的なものをといわれたが、その見通しの改定が立てられました。それにいたしましても、消費者物価の値上がりなるものが、当初見通しでは二・八%であったものが五%程度上がることは、これはもはやそろばんに入れざるを得ないというようなことで、一事が万事、全然見通しというものと実績というものは食い違っておるのでございます。荒唐無稽といっていいか乱離骨灰といっていいか、全然合致したものがないのであります。あなたはこのような見通しと実績の実数の上に立って判断されるとき、こういうような経済見通しというものははたして有益なものであるか、有効なものであるか、あるいはかえって行財政をあやまたしめるような結果になっていやしないか。この点について野人田中角榮というもののなまの印象はどういうものでありますか、この機会に一つお伺いをいたしてみたいと思うのであります。
○田中国務大臣 申すまでもなく、統計とか予想の計画表というものはあるに越したことはないのでありまして、これはやはり経済企画庁を中心にして、このような微妙な段階に至っております経済問題に対する指標は、お互いができるだけ実際に近い近似値を得るために努力を続けていくべきだと考えます。しかし確かに昨年の六月出されたもの——われわれ経済閣僚会議のオブザーバーとして出ておりますと、きに、七月、八月出されたものが、二カ月、三カ月たつとみな狂ってくる、こういうことで野党の皆さんからおしかりをいつも受けておるのでありますが、しかしこれはない方がいいのかというと、全然なければこれは困る。実際の数字をつかみ得るのか、あるならばつかんだ方がいいというので、私たちもどうして一体こんなに数字が違うのかということを掘り下げて考えてみますと、今の日本の経済も相当複雑であり、また制度そのものがいい意味の自由奔放というか、外貨でも実績によって割り当てられるときには誇大にものを書いてくる。また税務署用に出すものは別なものを出す。銀行用に出すものは別なものを出す。労働組合に出すものも別なものを出す。これでは一体統計というものがあるのかというくらいに、われわれ自身も事業の経験が多少ありますから、そういう意味では修正をあまりにもし過ぎた統計というものは事をあやまるということで、真剣に春日さんが今言われた通りの問題をお互いに検討しておるわけであります。しかし数字は必要なのでありますから、どうすれば一体もっと近い数字がつかめるか、実際の近似値がつかめるかというようなことに努力していくべきであって、われわれは今日まで御迷惑をかけたからこういうものを捨てていいのだというような考えにはならないで、ほんとうにどこへ出しても恥ずかしくもない、また誤りのない指標をつかむべく努力を続けて参りたいと考えます。
○春日委員 お話はわかると思います。けれども、成長政策というものはその中身が健全なものであります限り、これはわが国の経済活動の一国の道しるべとして有益なものであり、有効なものであろうと思います。ただ問題は、ここ二、三カ年、特にこの二カ年間における見通しと結果の誤り、実績の誤りというものがあまりにひどいのであります。そのあまりにひどいところの原因は何に発しておるかと言いますると、これは池田内閣の高度成長政策そのものにその原因があるのではないかと思れるのであります。この高度成長政策というものは、あなたが政策マンとして取り扱われて参られてよく実感されておりますように、資本主義そのものの中身に包蔵されておるところの多くの矛盾を拡大強化していく。言うならば、強い者がうんと伸びていく、弱肉強食的な傾向を助長するというところに、この資本主義政策というものの禍根があり、しかもそれを高度にあおり立てていくというところに、それを拡大していくという結果がもたらされてくると思うのであります。でありますから、この健全なる成長政策、あるいは成長計画というものはあり得てよろしい。けれども、その高度成長政策というものは、今までの実績が示しておりまする通り、これは多くの害毒をもたらしてくるのである。国民のそれぞれの階層に対して大きな圧迫を加えてくる結果になるので、この高度成長政策というものはあらためて再検討する必要があるのではないか、このことを申し上げておるのでありまするが、田中大蔵大臣の御見解はいかがでありますか。
○田中国務大臣 私は、高度成長経済政策というものは必ずしも誤りだとは考えておらないのであります。これは言葉、文字の表現でありまして、なぜあのときに高度成長政策というようなタイトルをつけたかと言うと、あのときまでは御承知の通り国会も混乱をしておりましたし、政治プロパーの問題が議題になったときには、なかなか大へんな状態であり、これを正常化していき、何とか将来に国民自体、お互い自体が正常な姿を取り戻すような状態、そういう立場をとるためには、やはり自分自身の経済力を倍増しようという考えが、そのまま高度成長経済という政策上の言葉になって現われたのだ、私たちも自由民主党におりましたので、そういう考えで書いたわけであります。でありますから、これが現在になってみると、非常に火に油を注いだのだというような結果的な御議論があるかもわかりません。私もその意味で、昨年は党におりますときには健全成長政策ということにいたしました。今度大蔵大臣になったら、均衡健全予算、こういうふうな表現を使っておるのですが、この三つの考え方がそれほどニュアンスにおいて違うものだとは考えておりません。またこれが違うのであれば、それは正していかなければならぬだろうというふうに考えます。とにかく高度経済成長というものが国内の消費も刺激し、あらゆるものを刺激したというのではなく、やはり日本が将来に向かって考えるのには、輸出を振興しなければいけない、それから世界の経済力に太刀打ちできるような力を倍増していかなければならぬ、こういう大本をきちんと押えまして、それに対して金融財政というような問題の調和がうまくいけば、私はこんなことよりももう少し合理的な方法もあったのではないかと思うのですが、何しろ慣性の理屈からいっても、日本人がちょうど戦後少し豊かになったから、一ぺんに消費も押えきれない状態ではありましたし、われわれが自分自身の力を過信したということもありますし、自由化ということが目睫に迫っておるので、それに先がけて一つ力をつけようという日本人的な抜けがけをするような気持もいろいろ作用したために、今日の現象が起こって、国民の各位に引き締め政策という相当程度の犠牲をしいておるのだと思いますが、これもやはりあまり長い耐乏生活ではなく、先ほども申し上げた通り国際収支の見通しも明るくなっておりますし、いわゆるこの引き締めによる大きなマイナス面を露呈しないで何とか切りかえがつくということでありますから、歴史の上の一こまだと思って、これから一つ大いにこういうマイナスをもたらさないような立場でやって参りたい、こういう考えでございます。
○春日委員 結局は、国の経済政策、景気政策というものは、これは一にかかって実力的には大蔵大臣の言動、またあなたの行財政によって事実上影響を受けるものであります。総理がさまざまなことを言動、経企長官がさまざまなことを言うたとしたところで、実力者はあなたであられるのであります。だからそういう意味合いにおきまして、実際この高度成長政策というものがわが国の景気変動を著しく激化したというこの事実は率直に認められなければならぬと思う。三十五年八月でありましたか九月でありましたか、所得倍増、高度成長政策を掲げられたときには、一両年たたずしてこのような高度の引き締め政策、しこうしてこのような中小企業、農業等にわたるところの大きなしわ寄せ、これがあろうとは予測だにしておりませんでした。また外貨事情のこのような悪化についても、おそらくは十分な予見がされてはいなかったと思うのであります。だからそういう意味でありまして、高度成長政策というものが失敗したんだということは、少なくとも大蔵大臣が、これを今後のあなたの財政方針、この中に明言されて、そうして今問わず語りにおっしゃいましたけれども、普通の成長政策、健全なる成長政策を唱うべかりしところを、所得倍増なんというあぶらぎった言葉を使って、そうして高度成長政策というような高姿勢のあれをやったものだからこんな結果になったんだ、これはあやまちである。田中大蔵大臣はこれを一つ撤回して、そうして健全なる経済の成長をはかることのために、一切の政策についての再検討をしていくんだ、こういう態度をここに明確に打ち出されることが、このわが国の行財政の上において私は貢献するところが大きかろうと思うが、これに対するところの御所信はいかがでありますか。
○田中国務大臣 高度成長経済政策は三十五年の中ごろ出したと思うのです。これは党が出したのでありまして、私たちもその一員として責任を負っておるのであって、現在でも当時の状況としては間違いではない、こういう考えを持っておるわけであります。昨年の七月党として新政策を作りましたときには、健全成長政策というようなことで、ちょうど一年たつと、われわれが考えたよりも少しテンポが早いくらいでありますから、長距離選手としてはここら辺でペースを落とした方がいいだろうということで、健全成長ということでやっておったわけでございます。でありますから、少なくとも方向としては、自由化に対応して、九千三百万の国民を持って何とかして生きていかなければならぬ、世界水準にまでさや寄せしていかなければならぬ、しかも短い時間に合理的にこの目的を達成せしめようということでありますから、高度成長政策が誤りであったというような考えにはどうしてもなれないのであります。でありますから、われわれが昨年の七月、景気調整策を打ち出し、今年五月統一見解を打ち出して、その通りの路線の上を進んで行って、よりきめのこまかい施策をとっていくことによって、われわれの目的は達成でき、国民の負託にもこたえられるという考えでありますので、この路線を一つとっていくことにいたしたいと思いますから、十分御協力を賜わりたいと存じます。
○春日委員 今山中理事が、高度成長政策が誤りであったということは、大蔵大臣としては言いたいであろうが、それを言えば大蔵大臣を棒に振らなければならぬからなんということを言っておりましたけれども、現実の国民感情として言うならば、この金融引き締めをやられて、外貨事情がこのように悪化いたしまして、あの高度成長政策がとにかく誤りでなかったなどとあなたが言われておるようでは、私はあなたの良心を疑わざるを得ない。実際に言いたいことを言うというところにあなたのインディビジュアリティがあるのであって、実際問題として言いたいことをよう言わないような田中角榮君なら、これは全く凡俗にひとしきものであって、われわれの期待なんというものは、もう一ぺんにふっ飛んでいってしまうんですよ。だから私はほんとうにやりたいことをやる、あなたの背後には野党を含めて国民の支援があるんだ、(笑声)こういう気持で大胆に純真にやってもらわなければならぬと思うのです。実際問題として経企庁長官が八月十日に言っておりまする通り、わが国の景気はV字型にもはや回復はしないんだ、田中さんはどうでありまするか、池田内閣としてはこの十一月から景気がだんだんと横ばいになって回復期に入るんだ、こういう経済見通しを去年からことしの春に立てておりました。ところが経済企画庁長官が八月十日に発表したところの談話の中にありましたけれども、景気の回復はわが国においてはもはやV字型にこれを求めることはできない、だからそれは三十八年度に移行されるのだ、こういうふうに、もはやここにも半年のズレを見せてきておるのです。だからいろいろなものが見通しも狂って、対策も誤って、目も当てられぬさんたんたるものなんですね。だからそういうふうなときに、三年前に言ったことは今でも間違ってないんだということは、率直な態度ではありません。 それはそれといたしまして、私はこういうような情勢のもとにおいてこれはしわがさまざま寄ってきておるのです。中小企業にも農村地帯にも寄っておる。だとすると、そういうしわを寄せられてあえいでおる階層、地域に対して、政府はやはり何らかの積極策を講じていかなければならぬと思うのです。中小企業、農業対策、これの重圧を排除することのための具体的政策、これは何かお考えになっておると思うが、何かありますか、あればそれをこの際具体的にお示しを願いたいと思います。
○田中国務大臣 調整基調をゆるめないでいくことでありますから、ゆるめないという立場から見ますと、非常に広い国民の各層においては、しわが寄っていくところが確かにあるはずであります。三十二年当時、一体どこにしわが寄ったかというと、これはもう言うまでもなく、中小企業に金融難、黒字倒産というような姿で如実な現象が起きたのでありますから、先ほども申し上げた通り、昨年引き締め基調を始めますときに、もうすでにこの問題に対し厳重に監視をし、特に適時適切なる施策を行なうべきである、こういう考えで政府が当時三百億の買いオペをやろうと言ったときに、党で五百億と言った。五百億と言ったら四百億くらい出すかと思ったら、政府も六百億も出したというような、非常にあの当時としては真剣な考えで中小企業というようなところにしわの寄らないような方策を考えたわけであります。下請企業に対する支払金の遅延防止に対しては、六カ月をこした場合には法定利息をつけるというようなことは、今までの過去十五年余の例からいうとなかなかむずかしい問題でありますが、与野党ほとんど問題もなく通ったということは、いかにお互いがこれらのしわ寄せが行なわれるという面に対して、真剣にものを考えたかという一つの証拠だと思います。先ほど申し上げた通り、金融はとにかくこの一年間を通じて中小企業に対しては何とかしわ寄せをしないで済むようになりました。世間で今まで言われておりましたのは、一番金があると思った大企業と大銀行に金が何もなくて、今までさんざん苦労せられた、金がないと思っておった農協や信用金庫や何かには金はうんとあるのだ、零細国民が貯蓄をしておる一兆数千億に上る郵便貯金を合わせると、銀行六十四行プラス都市銀行の持っておる預金高よりも多くなるのだということが言われております。これこそ一般人が預金をしておるだけであって、実際しわ寄せをされておる中小企業に金が要るのはこれからであって、こういうものに対して適時適切に資金的措置が一体できるのか、こういうお話が春日さんの御質問だと思いますが、先ほども言いました通り、昨年に引き続いて百五十億、三公庫に資金量をふやしてやったり、また次にも百五十億を行なったりというような具体的な方策をやっております。しかしそんなことで、これほど多い中小企業の設備の合理化ができるものではないというお考えもあるだろうと思いますから、これは国会の審議を通じながら、また実際中小企業の御要求や現実に対処しながら、しわ寄せは絶対に行なわないような措置をとって参るという考えでございます。私自身が大蔵大臣に就任をして第一に申し上げたのは、引き締めを行ないます。がしかしながら、それによって生ずるであろうしわ寄せに対しては必要なものは出しますということを言ったために、もう田中は就任と同時に積極財政を打ち出したというような批判があったわけでありますが、私が言ったのは、要らないところまで金を出そうというのではなく、今春日さんが言われたように、日本の将来の産業のためにどうしてもやらなければならない部面に対しては適切なる措置を行なおうという態度を申し上げたわけでございます。
○春日委員 問題は、下請代金支払い遅延防止の法律でこうこうなったと言っておるけれども、そんなものは大した実効は上がらぬのです。よそから品物を買って代金を払うぐらいはあたりまえのことであって、おくれたやつに損金の一部に見合う延滞的なものを払うということは、これは常識的なことなんですね。そんなことじゃないのです。われわれの言うのは、財政金融面の施策を通じて、一つ実効の上がるような、また即効の期待できるようなそういう施策を講ずるの必要があるだろう、そのためには今あなたが百五十億の財政投融資を三公庫にふやしたというけれども、少なくともわが国の経済活動はかれこれ十四兆円になんなんとする膨大な資金規模で行なわれておる。少なしといえどもその中のかれこれ六兆円近いものは中小企業が使っておるんですね。六兆円近いものを使っておっても、なおかつその資金工作で困っておるんです。しかも現在その二重の圧迫が中小企業に加わってきて、さらにその困難を深くしておる。その面において、一体どうするのかということを論じておる。六兆円のところに、百五十億を加えてみたところで、こんなものは六十メガトンの目方のところに六貫目加えたようなもので、全然目方に対して変化がありませんよ。だから、私が申し上げるのは、あなたがかつて新潟で所信を表明せられたように、銀行法を改正することなんですね。すなわち現在の都市銀行にしろそれぞれの地方銀行にしろ、大企業に対する偏向融資、集中融資は、目をおおうものがある。だからやはり貸し出しシェアというものを改めていかなければならぬ。このためには、銀行が集中融資をできないように銀行法を改正せなければならぬ。このことをあなたが新潟で発表されておる。われわれは社会党時代から、まさにその点を指摘いたしまして、銀行法改正案というものを出しております。銀行は自己資本の一割をこえて同一企業に貸し出してはならぬ、貸したらできることならば懲役くらい科してやったらどうだということで、アメリカの連邦準備法の例にならい、またイギリスの銀行貸し出しの運営の実例に徴してそういう貸し出し規制をやるべしと、こういうことを世論として長く国会で論じておる。たまたまあなたが政調会長として新潟で所信を表明されたとき、私どもはこれは大したことだ、やはり保守党の中においても正論はだんだんとみんなに理解されていくものだ、徳は孤ならずと心ひそかにこれを期待しておった。ところが午前中の堀君に対する御答弁の中に——これは直接にはそのことじゃありませんでしたが、預金者の金利を高める問題について、あのときはああ言ったけれども今はそう思わぬというようなことを言っておられた。預金金利を引き上げる問題ですが、それとは別に銀行法を改正せなければならぬと思うと言われた。去年の——これは去年じゃないですね、ことしの三、四月ごろだったと思うが、新潟における田中政調会長談話というやつです。これは今もなお銀行法を改正するの意思をお持ちになっておりますかどうか。百五十億や三百億や五百億や一千億の財政投融資を三機関にふやしたところで、それは実効が絶無だとは言いません。それは効果がないとは言いません。けれども中小企業金融を円滑にしていくというような効果は期待できないと思う。やはり銀行が中小企業に対して総貸し出し比率の中において適正な率を確保して貸し出しをしていく、こういう制度を銀行法の中に確立するということが、私は中小企業金融というものを抜本的に解決する唯一の道であると考えております。この点についてあなたの談話とわれわれの主張とはその方向を一つにしておりますか、あなたのそのお考えはどうなっておるかお伺いいたしたいと思います。
○田中国務大臣 六兆円にもなんなんとする資金を必要とする中小企業に対して、百五十億、三百億では何にもならないというようなお話でありますが、これは春日さんも今のお言葉のようにお考えになっておるわけではないと思います。これは六兆円というものに対しても、普通それが回っていくだけのものは一応今までの長い伝統、のれんの重さということで、やはりいろいろな道は通じておるわけであります。それでは自由化に対応できないし、設備の近代化もできないし、イージー・ゴーイングなものの考え方だけでやっているならば、何も新政策はないじゃないかというお考えに対しまして、私たちもまた春日さんと同じ気持でありますから、そういう意味では新しくそれにプラスして道をつけなければいかぬし、相当恒久的なものをやらなければいかぬという考え方を持っております。昨年来そういう方向でもって、財政資金の運用を活発に行なっておるわけでございます。これでまだ間に合わないようないろいろなしわが出るような場合には、より適切な方策を行ないます。より適切な方策とは何か、もっと金を出します。こういうことまで考えて言っておるのでありますから、これは春日さんのお考えとはそう違わないと思います。 もう一つ、銀行法の問題でありますが、これはまだ私が大蔵省に行ってから二、三週間しかたちませんし、今ちょうど事務当局のレクチュアを受けたばかりで、銀行法そのものに対して私の大蔵大臣としての意思を発表する段階になってはおりません。しかし春日さんも御承知の通り、日銀法の改正試案というものは、舟山試案として何年か前に世に発表され、金融制度調査会の議題にもなっておるのでありますから、こういう問題に対しては、また大蔵省事務当局とも私もいろいろな問題を検討して、しかもそれが私が在職中一ぱいかかってやろうなどという考えでもありません。いずれにしても公的機関である金融機関に対して、法律上は私企業の形態を持っておるものに、戦後のいろいろな諸制度、諸法規のもとで、どうすれば一番合理的に春日さんが言われたようなことができるのかというような問題と真剣に取り組んでおるわけでございます。 なお、銀行法の改正を三年前に言ったことと……(春日委員「三年前じゃない。ことしの三月だよ。」と呼ぶ)ことしの三月といえばまだ幾ばくもたたないわけでありますが、いずれにしても立場と所を変えておりますので、より慎重になっておるというだけでありまして、私の真意の那辺にあるかは、もう春日さん十分御承知のところでありますので、またこうして第一回の大蔵委員会において、かかる有力な御意見が出ることによって、世の識者も動くでありましょうし、国民の声も聞きながら、合理的な解決をはかって参りますので、御鞭撻をお願い申し上げます。
○春日委員 私はむしろ激励的な意味で申し上げておるのでありまするが、現実は百五十億なり三百億なりの金が、あなたの努力によって中小企業の経営を潤しておるということはいなみがたい事実であり、深く敬意を表します。ただ私が申し上げておることは、十四兆円の資金規模の中において、とにかく大企業が八兆円を使い、中小企業は六兆円を使っておるのです。しこうして中小企業がわが国産業構造の中においてになっておる地位と役割は、雇用の面において七二%でありまするし、生産の面において、それからまた輸出の面において圧倒的な役割を占めておる。正確なパーセンテージは私記憶いたしておりませんけれども、とにかくかれこれ三分の二近いものを中小企業が占めておる。三分の二近い役割を果たしておる中小企業者が、三分の一の金でそれらをまかなっていこうとするところに、今日の中小企業の窮乏があり、三分の一の役割しかしていないものが三分の二の資金を壟断しておるというところに、大企業のものすごい繁栄があるのであります。でありますから、この二重構造を改造して富の格差を調整していくためには、事業は何といっても金が元手でありますから、それぞれの分に応じて資金が流れていくような金融措置というものがとられてしかるべきものである。そのためには百五十億、二百億の金をつかみ金みたいな形で、あなたのお情けでそんなものがばらまかれておっても、問題の根本的な解決に資することはできない。このことを強調いたしておるのであります。そこであなたが銀行法を改正してそのような集中融資、大企業への偏向融資を是正する必要があると言われたことは、これはわれわれが長い年月をかけて強調しておることについて、あなたも同じ主張をお持ちいただいたことと考えて、全くこれは政府と野党との立場の応酬ではなくて、ともにわが国経済の健全な発達をはかるために努力し合おうということを申し上げておるのであります。申し上げるまでもなくわが国の民主政治は議会政治であり、議会政治は政党政治であります。与党の政調会長の言われたことが、その御本人が大蔵大臣になられて、あのとき言うたことと今の立場とけ立場が違うからというようなことは、民主政治、議会政治、政党政治の根本を寸断してしまうことになる。やはり自民党政調会長田中角榮さんも大蔵大臣田中角榮さんも大体言うことは同じことでしょう。ハマグリ変じてスズメとなるようなことを言ってしまったのでは全く因ってしまうのであります。(笑声)でありますから、あまりえらい突然変化をされませんように、主張されることは大体続きが保たれますようにお願いいたしておきます。 次は、物価対策について少しく伺っておきたいと思うのであります。午前の質問にも明らかになっております通り、三十六年度においては六・二%の上昇、本年度の当初計画は二・八%の消費者物価の上昇が見込まれておったが、それが押えがきかないで五%程度は高くなるであろう。問題は景気が下降する過程においてなお物価が高くなっていくということは異様なことと目さなければなりません。景気がよくなる、どんどん品物ができて売れる、収入もふえる、だから物価が上がっていくということならば、これは経済通念としてあえてそんなに不思議ではない。ところが不況事態で中小企業の破産倒産相次いでいるような状態のもとにおいて物価がだんだん値上がりして、当初計画が二・八%であったものが五%というように、倍近くもその見通しよりも消費者物価が上がっていくということは異様なことと申さなければなりません。政府は卸売物価は安定しておるからああだこうだと言うけれども、消費者物価が高まっていけば賃金コストが高くなっていき、賃金が高くなればそれが卸売物価にはね返ってきて卸売物価が高くなっていくのだから、何といっても物価政策の根幹というものは消費者物価の安定にある。だからそういう景気下降期の不況事態において物価が上がっていくということを何とかしなければならない。だからあなたの方には物価安定に対する総合政策があるとかないとか風のたよりで聞いておるが、一体ほんとうにあるのですか。今まではあったかもしれません。けれどもこの景気下降期においてなおかつ物価が上がっていくというこの現実に対処するための、なまなましい辛らつなる実効の上がる物価安定総合対策というものが、この際打ち出されなければならぬと思うのでありますが、田中大臣の御所見いかがでありましようか。
○田中国務大臣 物価問題は一番重要であります。私は選挙を通じて物価問題ばかり国民各位から指摘されて参ったわけでありますし、大蔵大臣就任後も、何人かから必ず一日何回か物価問題に対する具体策いかんという質問があったのでありますから、非常に深刻な態度で考えております。しかしこの物価という問題が非常にむずかしいのは、先ほど言った通りであります。物価が上がる要因がどこにあるかということを補足をしてみますと、社会生活が複雑になって参っておりますので、何か特効薬をぴしっとやりますと一ぺんに下がるというようなことはないのであります。この物価の内容を見ますと、まず消費の質が上がっておる。今まで五十円の映画だったのが三百円で映画を見るといえばもう六倍になるわけです。それで七坪半に三人がおったのが、十二坪五合から十五坪、二十二坪五合になっていくということになれば、当然家賃も質の上で上がっていくのであります。また先ほど申された通りいろいろ集中的に若い労働者が重点産業に就業せられたために、中小企業やサービス企業に人手が足らないという意味でサービス料が上がっていくというような問題で、この消費者物価の値上がりの中には要因が非常にたくさんある。だから去年一番問題になった木材などは、下がるときになれば一ぺんに下げられた。また生鮮食料品やそういうものに対しては需給のバランスがとれておらない。食生活の内容が非常に改善をされておる。こういう問題を一つずつ全部検討しないで、ただ物価が上がるということだけは言えないのであります。皆さん御承知になる通り東京などは先ほど申し上げた通り年間何十万人という人が入ってくる。入ってきても土地もない家もないという場合に、地価が上がり部屋代が上がる。これは法律で制限しておっても上がっておることは事実であります。こういう特殊形態でもって東京都の物価が一体どうなるか。また婦人が言われる台所に直結するものが非常に上がる。十円だった大根が一ぺんに二十円になれば倍になる。コンニャク玉などはいつでも問題になるので、これは何倍かにはね上がってしまった。こういうもので、いわゆるそういう内容のいかんによってその月その月の物価には大きな変動があるわけであります。それは生活内容が合理化され上昇することはいいことではありますが、この上になお公共料金の値上げなり電気料の値上げなりいろいろな問題が加味されて、物価や生活費が異常な高騰を来たしたようなことに対しては、あらゆる角度から抑制措置をとらなければいかぬ、こういうことを考え、またやっておるわけであります。農林省は生鮮食料品に対しては標準価格とか小売店の指定制度とか肉や魚貝類に対する冷蔵庫の設置とか、また市場の問題とかいろいろなことを考えてはおりますが、これが特効薬的な問題になるということを考えるにはよほど広範な立場から、先ほど言ったように人口の分散とか、それから貯蓄の増強とか、いろいろな問題を広範にやはり相当長い期間かかって、国民各位の協力を得ながら物価問題を解決をしていく、政府もそれに対してはあらゆる努力を惜しまないというような状態を続けていきたいというふうに考えます。
○春日委員 それはわかるんですよ。物価というものが形成されるところのいろいろな条件が立体的に錯綜しておるから、なかなか腹が減っておるときに飯を食ったからそれで腹がふくれたというようなわけにはいかぬということはわかるけれども、今あらゆる面においてああだ、こうだと言われるということは、言うてみれば何にもないということなんです。実際の話は。私はそんなことでは責任は果たせないと思う。ただ問題は、現実に、たとえば公共料金は絶対上げない方針である、彼らの運営ができないというならば、減税なり財政投融資なりによってやっていくんだ、これは田中大蔵大臣としての信条である、私の政策はそれである、そういう方針によって、たとえば流通機構においてこうやっていくとかいろいろなことを具体的に言われなければ、私は物価安定に対する政策が政府にあるというふうには思えないじゃありませんか、現実の問題としてはですよ。うまいものを食ったから、そういうものが売れていくものだから高くなっているとか、高いものを食うやつが悪いじゃないかというようなことを言ったら、これは政策論議になりませんぞ、万才か浪花節ですよ。これは実際問題として、高くなっておるというけれども、コンニャクが上がっておるとかどうとかこうとか言われるけれども、僕はコンニャクの話なんかしておるのじゃないんですよ。とにかく現実に経済企画庁のいろいろな改定見通しによれば、二・八%高まるだろう、当初計画で見通されておったものが、経済がこういうどん底にある、現実になべ底にある、そういうときにも高まっていくのだ、しかも見通しの倍近くはね上がろうとしておるのだ、そのこと自体は、やがては賃金にはね返り、賃金が卸物価に直接の影響を与えていって卸物価も高まっていくのだ、それによってわが国の経済の危機もやはりその点からさまざま悪い傾向を大きくしていくのだ、だから、消費者物価を押えるということは、単なる消費者の消費生活を楽にするというだけでなくして、よってもってわが国の経済政策全体に対して与える影響が非常に大きい。卸売物価が高くなっていけば為替貿易自由化の問題についてだって大きな障壁になっていくでしょう。だから、そういう意味から経済政策全体としてこの消費者物価対策というものと取り組まなければならぬ。それだのにあなたの今の御答弁は、いろいろやっているのだ、みながうまいものを食いやがって、電気冷蔵庫を買いやがって何を言っているというようなことを言っておっては、これは全然政策論議になりませんよ、全くの話が。
○田中国務大臣 どうも、春日さんに一つこうすればいいのだという妙薬をばんと教えていただけるとうまいのですけれども、これはきっとそれを言うとすれば公共料金をストップしろということになると思うのです。公共料金をストップするとあとどうするのかということになりますと、財政投融資や税制でまかなえ、これは、一体まかなえるならばそれでいいのですが、私もここで勇気をもって言いますが、まかない得る限度というものがあります。これは東北電力の値上げ申請を一つだけ見てみても、百三十億くらいどうしても必要だ、これを切った場合に一体どうなるか、百億だというのであります。これを九電力合わせれば幾らになるか、こういうことを一つ考えてみてもそうであります。私鉄運賃値上げの問題もそうなんです。とにかく一方においては無人踏み切りをなくさなければならぬ、七万カ所の無人踏み切りをなくするには一体何兆円かかるのか、こういう数字を並べてみますと、そうそうあなたの言うように今公共料金の値上げをいたしませんというようなことを責任ある立場で言い得るかどうか、ケース、ケースを一つずつ当たってみますと、そう簡単にはここで拍手が起こるような御答弁はできないわけであります。でありますから、いずれにしても政府がやっておりますように、公共料金に対しては抑制の措置をとりますということで、国有鉄道においてはもう一年前に行なっておるものに対して何とかしながら、同時に申請が出されておる大手私鉄に対しては一年間引っ張ってきたというこの事実、これも一つの物価抑制の相当強硬な態度を出しておるわけであります。でありますから、無制限に物価を上げるような、公共料金をただやむを得ないというような思想でこれを引き上げるようなことはいたしませんと言っておるわけであります。なおその上にも今農林省のやっております生鮮食料品の問題に対しても適切な措置をとっておりますが、これですべてが成れりと考えておるわけではありません。食肉とかその他に対する問題をどうするか、市場の問題をどうするかという問題も、今内閣で十分検討をしておるわけであります。この間一つの問題として、土地が非常に上がる、公団や政府資金を入れたり地方公共団体が土地の造成をやればいい、これはしごく簡単でありますが、一体それができるのかどうか。この思想そのままでもって、平面都市をどんどん続けていって平家のちゃちな木造の家がどこまでも果てしなくできる、しかも十年後には、高崎まで、小田原まで、うちがつながった場合、それを追っかけて公共投資をやる場合、公共投資がそれに追っついていけるだけ一体できるでありましょうか。これはもう逆に東京や大阪などは、改造して都心部の開発を行なって、空に伸びる。伸びる場合に、一般会計だけでもってやれないから、一体政府の資金が使えるのかどうかとか、損保の資金が使えるのかどうかとか、そういう問題が世界各国にあるのかどうかというような問題に対しては、非常にこまかい、また深刻な考え方で物価抑制という問題に対処をしておるわけであります。そういう意味で、皆さんからもいい案があればお聞きをいたしますし、われわれは総理が申し上げた通り、全力をあげて物価抑制に努力しておるつもりでございます。
○春日委員 ただ私は御留意を願いたいことは、前に田中大臣が申されましたが、とにかく経理の試算というものは幾通りもある。税務署用のやつがあるし、銀行用のやつがあるし、いろいろあると言われております通りに、これらの電力会社だって、あるいは私鉄会社だって、私は幾つかの経理があると思うのです。たとえば彼らが映画会社をやっておる、あるいは球団をやっておる。私はずいぶん金を食ったり何かしておると思うのですよ。余裕しゃくしゃくたる面が少なくない、切り詰められる面がその内容に私は相当あると思うのです。たとえば電力会社なんかでは不急不用の不動産、ずいぶんあっちにもこっちにも土地を持っておる。そんなものを売ってしまえばよろしい。買手がなかったら、そういう面において国がこれ々買い上げたり何かして、財政投融資とはまた別の面において、いろいろな、そういう資金面の調整ということも経済ベースでなし得ると思うのです。いきなり上げてくれという点については、これは負担をする国民の立場に立って、よく電力会社の経理の内容、それからそれらの私鉄会社の経理の内容、そういうものを上げなければならぬのなら、映画会社もやめちまえ、球団もやめちまえというくらいにして、問題を眼光紙背に徹する体の烱眼をもってしなければだめだ。電力会社だって町のまん中のあっちにもこっちにもずいぶん土地を持っておる。そんなに上げなければやれぬようだったら、そんなもの売ってしまえばいい。だから少なくとも公共料金に関する限り押える、そしてこれが一殺多生の一つの基準として、一切の値上げはもう認めないのみならず、値下げの方向に強力なる行財政金融措置をとっていくのだ、こういう決意の表明があって初めて大衆政治家田中角榮さんの真面目躍如たるものがあると思う。ところがあれも調べてみなければいかぬ、これも調べてみなければいかぬというようなことでは、実際の話が一萬田さんみたいな気がしてかなわぬのです。(笑声)一つ大いに御勉強願いたい。 次の会議にも迫られておるようでありますから、結論に入ります。 一、二お伺いしますが、金融の問題の中で、日銀が財政揚超に対処して八月に五百億の買いオペをやるとかいうことを聞きましたが、これは実施いたしておりますか。銀行局長か大臣、御存じでありますか。
○大月政府委員 財政の揚超に対処いたしまして、八月におきまして総額五百億円の買いオペをやるという方針を決定いたしまして、八月の二日に三百億、去る十三日に二百億実行済みでございます。
○春日委員 それから今、大臣が、六、七月に三百億の財政投融資の増をやった、八月もやるつもりだとおっしゃったが、この際明確に、八月何百億三公庫にお出しになるのか、これも明示願いたい。もう八月半ばだから……。
○大月政府委員 今の大臣のお話は、三百億の内訳といたしまして、三政府機関に対しまして、百五十億、それから金融債の買い上げ百五十億、合計三百億のお話だったと思うのです。それにつきまして、これは六月から九月にわたりまして実行する方針でございまして、具体的にすでに進行中でございます。三機関に対する百五十億の内訳は、国民金融公庫に対しまして三十億円、中小企業金融公庫に対しまして四十億円、商工組合中央金庫に対しまして八十億円、合計百五十億円でございますが、これの各月ごとの内訳は、六月に二十億円実行済みでございます。それから七月に四十億円実行済みでございまして、八月四十五億円、九月四十五億円、合計百五十億円の予定になっております。
○春日委員 午前中の堀君に対する御答弁の中で、六、七月三公庫に対して百五十億の財政投融資増、それからほかに買いオペ百五十億円増で、三百億やった、足りなければ八月、九月にまたやるのだ、こういうお話だが、今銀行局長の御答弁だと、六、七月は第二四半期分だというお話ですが、これではだいぶ食い違うと思います。それから八月は揚超がひどいし、これは一般的に金融公庫よりもひどいと思う。ですから、これはやはり今の投融資計画をこの際もっと高めていただく必要があると思うが、大臣、いかがですか。
○田中国務大臣 八月の上期は、確かに揚超でありまして、千九百億くらいの日があったと思いますが、その後一般会計の支出等がありまして、大体八月は揚超は千億ちょっと切るのではないかというくらいの状態でありまして、昨年に比べると揚超幅は大きくありません。ありませんが、これをもって百五十億から三百億の金融債の買い上げ及び三公庫の資金の増額だけでいっていいのかどうか、中小企業団体の意向も聞いたり、いろいろな金融機関の情勢も聞きながら対処しなさいということだけは事務当局に指示してありますから、一つ適切に行なえるように考えたいと思います。
○春日委員 足らなければもっと追加するという工合に了解をいたしまして、一つできるだけそういう問題の緩和のために御善処いただきたい。 次は為替貿易の自由化、特に貿易自由化九〇%達成の十月ももう目前に迫っております。 そこでお伺いしたいことは、もし約束を果たさなければ、国際的にどういう報復措置が予想されるのでありますか。なし得る、なし得ない、これは別問題といたしまして、もしやらなかった場合は、一体どういうことが起きるのであるか、政府はどういう工合にそれを予測しているのであるか、お伺いしたいと思います。
○田中国務大臣 九〇%九月末日をもって行なうという約束をしているわけであります。また、われわれもそういうふうな方向で対処しておるわけでありますが、このうちの品目の若干のものについては、いろいろな経済情勢から、またあまりにも日本の価格と外国の価格との間に開きが多いために、企業安定が一体措置できるかどうかというような問題も一、二あるようであります。この問題に対しては、今通産省とも、各省の間で事務局ベースで十分詰めており、今党とも相談しながら結論を出したいという考えであります。しかしこれが九〇%、一%こさなければいかぬのか、九〇%、一%割った場合にどうかという問題も、いずれ議論すべき問題ではないかと思うのですが、おおむね九〇%という考え方で、国際的な情勢も見ながら、といって角をためて牛を殺してしまって、国内経済が大混乱するということもできないと思いますので、この二つの問題を慎重に加味しながら、九月の半ばくらいまでには結論を出したいという考えでおります。
○春日委員 私が質問申し上げておるのは、九〇%達成するという約束はしたけれども、事実上今申されておるように、困難なものがあることが予測されておるわけですね。(田中国務大臣「少しです」と呼ぶ)少しでもあるのだ。やらない場合、それは一%とか五%とかいうようなことは別にしまして、相当のパーセント実現が先に繰り延べられるというような場合、国際的にいかなる報復措置が予測されるのであるか、これをお伺いをいたしております。
○村上(一)政府委員 お答えいたします。相手のある問題でございまして、的確にどういう報復措置が起こり得るかということは、なかなかデリケートな問題でございますが、考えられますことは、九〇%の自由化ということは、一つの公約と言うと言い過ぎかもしれませんけれども、大体昨年来の経緯から見ますと、ガットとしては相当期待しておる実情であります。そこで一方におきまして、たとえて申しますと、わが国が数カ国と貿易上のガット三十五条の援用撤回でありますとか、あるいは各国がいろいろセンシティブ・アイテムと申しまして、わが国に対しまして差別的な輸入制限ができるというような品目を少なくするという交渉を、現にやっておるわけでありますが、こういう交渉に、一般的に申しまして相当不利になるということが考えられます。 それからもう一つは、例のIMFの八条国移行でございますが、これはこの十月に例のコンサルテーションがあるわけでございまして、そのときにどういう勧告をいたしますか、それもやってみないとわからないのでございますが、国際収支上は、制限の理由なしという勧告をもし受けますならば、近い将来において、やはり十四条国にとどまらず、八条国に移行するという問題が起きます。そうしますと、今やっておりますようないろいろな制限が、国際的にむずかしくなってくるという問題が当然起こると思います。
○春日委員 私は国際協約というものは、それは守るにこしたことはないし、守るべきであろうと思うけれども、時と場合によります。事と次第によると思うのです。たとえばILO条約なんか、百ぺんも約束して百ぺんとも破ってしまっております。だから私は、国内事情というものを優先的に考えてもらわなければいかぬと思うのです。現実の問題として、今中小企業が非常な恐慌にさらされております。わけて、当面しておる不況経済のもとにおいて。大臣、時計なんか見ないで下さい。僕だってなかなか詰めてやっておるのですよ。圧縮してやっておるのですよ。そこで現実の問題として、その八条国移行の勧告問題なんかは、私は今まで前例もあったと思う。西ドイツの場合なんかでも、イタリアの場合でも、そういう勧告があっても、たしか二年、四年という抵抗の権利というものが認められておったと思うのです。だから私は、とにかくそういうようなことに驚かされて、そして民族産業を圧殺することもあえて顧みず、約束だからやってしまうのだというような、大蔵官僚が法律を棒のみにしたような格好でやってこられては、実際国民はたまったものではないと思うのだ。原田君、そうではないか。(笑声)これは今社会党さんもやかましく言っておりましたけれども、われわれも中小企業の立場や民族産業の立場を思いますと、これはかつて西ドイツにおいて、イタリアにおいて認められた抵抗の権利というものが、わが国にだけ認められないはずはないと思うのです。実際問題として。だから、観念的にこういう約束をしたのだからやってしまうのだといって、無理やりにやってしまえば、今外資事情も何となく険悪な空気が出てきておるようなところなんです。これがどっと押し切られてしまう心配がある。国内において、景気が何となく好転の気配を見せておるときに、またもや大混乱を生じてくる。だから私は、八条国移行の勧告があるならばあっても仕方がない。それよりもわれわれは国内の経済、国民の福祉を確保しなければならぬというかたい決意で、できないことを無理にやるというのでなくして、よく事情を見きわめられて、無理なことをなされぬように、ILO条約の前例にならって、この問題については緩急よろしきを得てもらいたいと思う。大臣、これについてお考えはどうですか。
○田中国務大臣 非常に含蓄のある御発言をいただきまして、私も民族産業や国内産業に対しては、深刻な考えを持っております。ただいまの御発言を十分検討して、遺憾なきを期したいと考えます。
○春日委員 最後に一言だけ税制について、特に庶民政治家である田中さんに訴えたいと思うのです。というのは、現在の税制は、これは給与所得と資産所得の二つだけを対象にされて税体系ができていると思うのです。ところが、これはかつて主税局長が直税部長時代から、ここで論じられておることなんですけれども、実際は働く事業家というものがおるのです。それは給与所得者であり同時に資産所得者であるのです。自分の資本を投じて事業を興し、おやじが働いてその所得があるのだから、これは給与所得と資産所得の合算所得なんです。だから、現在税体系が給与所得と資産所得の二本立でやっていることは、これは誤りである。少なくともわが国の所得の体系の全体を正確に把握していないと思う。給与所得には、その所得を得るにあたって必要なるところの勤労控除があるのです。だから、そのような勤労事業者たちがその所得を得るためには、給与所得者たちがその所得を得るに必要な経費が伴っているように、やはりそういう働く事業家諸君にも、同じ経費が伴うてその所得が得られておると私は思う。だとすれば、給与所得者に対して給与所得の控除がありますが、それと同じように、勤労事業者に対しては特別勤労控除というものが創設されてしかるべし、こういうのが私どもの主張なんですよ。だから、来年度減税をなすべきであるという御方針のようでありますが、私は、今やこういうきめのこまかい、しかも歴史的な懸案を解決なさるべきときであると思う。だから、その問題について大いに一つ御検討を願いたいということ。 それから、もう一つ続けて申しますが、来年度たばこの減税について検討しておるというお話でありますけれども、これはもう検討済みなんです。それは大蔵委員会の速記録を御検討願えばはっきりわかりますが、ここへ来られた中山伊知郎君が、酒を減税してたばこを減税しないということは、たばこだけ吸って酒を飲まぬ人に対しては不均衡だ、これは来年度やらなければならぬと、中山税制調査会長がここで言っております。それから参議院で水田大蔵大臣も、それと同じ趣旨のことを言っておられます。酒飲みに対して減税して、たばこのみに対して減税せぬということは、これはは不均衡である。しこうして税金を納めることのできない低額所得者に対して減税を行なうことのためにも、これは必要にして欠くべからざる措置である。来年度においてこれをなすべし、ほんとうにこういう公約事項になっているのですよ。だから一つこの機会に、そういう公約になっているならば、そういう論述が速記録にあるならば、田中大蔵大臣は責任を持って来年度はたばこを減税する、こういうことについて約束してくれる意思はありませんか。
○田中国務大臣 第一点につきましては、非常に現実に即した問題でありますので、事務当局をして検討いたさせます。 第二点の問題に対して、私は引き継ぎは全然しておりません。しかも私が先ほど申し上げた通り、たばこの減税ということで一つずつ考えるよりも、専売の中には塩の問題もあるし、いろいろな問題がある。塩脳の脳の問題もやりましたが、そういう問題がありますから、いわゆる国民に、また国会に対して、専売制度というものをどうすればいいのだというような問題も、はっきり答えられるように十分に検討しなさいということを申し渡してあるわけであります。しかしそれが前大臣が公約されたということであれば当局から十分その間の事情を聴取いたしまして、対処いたしたいと存じます。
○春日委員 以上で私の質問を終わります。 ————◇—————
○臼井委員長 次に、本日付託になりました産業投資特別会計法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取することにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認めます。 それではこれより提案理由の説明を聴取することにいたします。
○臼井委員長 大蔵大臣田中角榮君。
○田中国務大臣 ただいま議題となりました産業投資特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。 御承知の通り、政府は、前国会におきまして、いわゆるガリオア・エロア等の戦後の経済援助の最終的処理をはかるため、日本国に対する戦後の経済援助の処理に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定を提出し、国会の議決を得ており、また、この協定に基づいて政府が本年度中に支払うべき第一回の賦払金にかかる予算につきましても昭和三十七年度産業投資特別会計予算において御承認をいただいております。さらに産業投資特別会計の本年度における投資の財源の一部に充てるため、一般会計から二百三十億円をこの会計に繰り入れることについても、予算上は御承認をいただいているところであります。本法律案は、この二点につきまして、産業投資特別会計法を整備するために所要の改正を行なうことを目的とした法律案でございます。 すなわち、第一に、日本国に対する戦後の経済援助の処理に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定に基づく債務は、米国対日援助見返資金特別会計廃止の際その資産を承継した産業投資特別会計の負担とするとともに、この債務の元金四億九千万ドルに相当する円の金額千七百六十四億円が資本から債務に振りかえる等の措置を行ない、また、この債務の元利金の支払いをこの会計の歳出とする等所要の改正をいたしております。 第二に、本年度の産業投資特別会計予算におきましては、日本輸出入銀行、農林漁業金融公庫、日本住宅公団、住宅金融公庫、商工組合中央金庫等に対する投資需要を充足するために、総額五百三十二億円の投資を行なうこととなっておりますが、この投資の確保をはかりますためには、その財源の一部は一般会計から補充する必要があり、本年度の一般会計予算では二百三十億円の産業投資特別会計への繰り入れが計上されております。よって本法律案は昭和三十七年度において、産業投資特別会計の投資の財源の一部に充てるため、二百三十億円を限り、一般会計からこの会計に繰り入れることができるよう所要の改正を加えることといたしております。 以上がこの法律案を提出いたしました理由でございます。何とぞ御審議の上すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。
○臼井委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。本件に対する質疑は次会に譲ることにいたしますが、平岡忠次郎君より発言を求められておりますのでこれを許します。平岡忠次郎君。
○平岡委員 産業投資特別会計法案に関連いたしまして、次の資料を要求いたします。従いまして委員長におかれましてはしかるべく政府当局、開銀等に対し手配方指示をお願いいたします。 要求資料の第一、ガリオア・エロア等返済協定に関する返済財源の年次計画。これが一つ。 要求資料の第二、造船貸付に関し三十七年九月末見込み残高のうちの第十五次計画以前分の残高。これは開銀、市銀別に示していただきたい。 要求資料の第三、造船貸付につきその利子額、利子補給額。これは開銀、市銀に分けて年度ごとにお示しをいただきたい。 要求資料の第四、造船貸付金元利の延滞額。これは三十七年三月三十一日の時点で開銀分、市銀分を区分して示していただきたい。 以上四つの資料を要求いたします。
○山中(貞)委員 今の資料要求、だいぶいろいろな問題を含んでおりますから、取り扱いについては理事会において相談したいと思います。
○臼井委員長 それではただいまの資料要求につきましては、理事会において御相談いたしたいと存じまするが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認めて理事会において御協議申し上げることにいたしまして、あらためて政府に要求いたします。 ————◇—————
○臼井委員長 次に、小委員会の設置についてお諮りいたします。 国政に関する調査を行なうため税制及び税の執行に関する小委員会並びに金融及び証券に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 異議なしと認めます。よって、設置することに決しました。 なお各小委員の員数はそれぞれ十三名とし、小委員及び小委員長の選任並びにその辞任、補欠選任等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。では後刻委員長において指名いたし、公報をもって御通知いたします。 次会は来たる十七日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時三十六分散会