社会労働委員会 第11号
- 発言数
- 92 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1962/10/23
会議録
○秋田委員長 これより会議を開きます。 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。大原亨君。
○大原委員 前の福永労働大臣が、失対事業につきまして失業対策問題調査研究会に諮問をされたのを契機にいたしまして、失対問題が非常に大きく社会問題となって参りましたが、御承知のように、答申案が九月の二十九日に出てきたようであります。私ども社会党といたしましては、本日、山中委員会の各委員に出席を要求いたしまして、答申案についての問題点を一つ明らかにしていきたい、こういうふうに考えておったのでありますが、先ほどの理事会でいろいろお話がございましたが、山中委員会の各メンバーが出てこれない、こういうことであります。従って、次の十一月の十日前後の委員会にはぜひ出るように委員長の方で責任ある措置をとる、こういうことでございます。しかしながら、きょうは、この調査会の答申につきまして労働省がどういうふうに理解をしておられるか、これをどういうふうに受けとめておられるか、予算編成も非常に重要な段階になって参りましたので、これを予算や法律においてどういうふうに具体化するお考えなのか、調査会の答申案の問題点等の理解の仕方を中心といたしまして、これから私初め各委員で質問をいたしたいと思います。時間が限られておりますので、一つ簡潔明快に御答弁いただきたいと思います。 第一番に御質問いたしたい点は、この調査会の答申案の最初に若干出ておりまして、末尾に主として出ておるのでありますが、最低賃金制や完全雇用政策並びに社会保障制度の合理的な作用がなければ失業対策の効果は期しがたい、こういう観点から調査会の答申案をまとめております。私どもも、この失業対策事業の問題の理解の仕方は、世界的にも非常に特殊な日本におけるそういう政策であると思うのでありますけれども、やはり生活保護すれすれの九百万の低所得階層のその中から出てきた社会問題である、こういうように考えておるわけです。そういう観点のとらえ方あるいは政策の立て方、こういうものについて、私どもは答申案について徹底的に究明をしていきたい。前回の委員会におきましても若干触れたところですが、そういうふうに考えておったのであります。私が御質問いたしたい点は、労働大臣はこの調査会のそういう答申、そういう部分に触れた、いわゆる周辺の問題として提示されている問題に対しましてどのように理解をされ、あるいは関係各省との間において総合政策の立案、たとえば石炭政策等も同じですけれども、そのかまえ方、そういうものの基本的な考え方について、私は最も大切な点であると思いますので、労働大臣の方からお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○大橋国務大臣 山中委員会の報告は、先般これを受領いたしております。その要旨は、経済の高度成長に伴いまして労働市場の需給状況が著しく改善をいたしておる現在の時点において現行の失対制度の改善をはかるべきである、こういう考えのもとに具体的な提案がなされておるのでございます。すなわち、失業対策の就労者に見られまする三つの層——報告においてはABCの三つの階層を分けておるのでございますが、これに応じまして、それぞれについてふさわしい対策をとるべきである。そうして民間雇用の復帰の可能性のある者につきましては、できるだけこれを復帰せしめるよう雇用促進の措置を講じ、就職の機会の乏しい者に対しましては、失対の打ち切りというのではなく、就労の場を与えるということと同時に、その就労の場は生産的なものであるべきだというふうに申しておるのでございます。また、現在の失対就労者は、職業上の指導または訓練というものを受けずに直ちに失対に流入している者が少なくございませんから、今後においては転職訓練を拡充すべきでありまするし、また特に職安機構の整備をはかる必要があるというようなことを述べておるのでございます。私どもは、この報告は権威ある方々の研究の成果でありまするから、その結論の趣旨につきましてはこれを十分に尊重して参る考えでございまするが、この具体化の方策につきましては、失対制度の改善がきわめて重要な問題でございますから、現在なお慎重に検討をいたしておる次第なのでございます。いずれ近く雇用審議会に諮問をいたしました上で、次の通常国会に提出いたす考えを持っておるのでございます。 なお、ただいま、この問題に関連して周辺の事項についてどういう考えか、こういう御質問でございましたが、私どもは、失業対策に入っておりまする現在の失業者の諸君を、生産の場におきましてできるだけ適当な役割を負担せしめると同時に、その生活をでき得る限り安定いたしたい、これがために必要なる措置を順次に講じて参りたいと考えておるのでございます。
○大原委員 私が思いますのに、この発端が発端でありますけれども、労働省の中だけで非常に小さく取り扱っているのではないかと思う。厚生省やその他各般の全般的な国の雇用政策とか、あるいは社会保障制度の前進とか、最低貸金制の確立という観点でこの問題をとらえないと、事実上は、失対の締め出しをいたしまして生存権を奪う、こういう結果になるのではないかという点をたび重ねて議論をいたしまして、そういう点について、具体的な打開策について考えるべきである。私どもが一番聞きたいのは、そういう調査会の答申についてでございますが、きょうは調査会のメンバーが来ておりませんのでその点については触れませんが、雇用審議会に提案をされる時期、労働省の原案をおつくりになる時期、そういう目安はどうお考えなんですか。
○大橋国務大臣 来月上旬にはぜひとも諮問をいたしたいと考えまして、ただいまこれに諮問すべき具体的な方策について日夜検討を加えております。
○大原委員 それでは時間もないのでなにですが、端折って具体的な問題に入って参ります。 この答申案には、賃金決定の原則につきまして、いろいろ数カ所について触れておるのでありますが、賃金決定の原則につきまして、たとえばPW方式による賃金の決定は事実上有名無実になったという点を認めておるわけですが、PW方式を廃止して、どのような原則に基づいて賃金をきめるべきであるというのが、この調査会の意見であるというふうに御理解になっておりますか。数カ所触れておりますけれども、賃金決定の原則についての調査会の意見はどういうふうな意見であるか。これは政府委員でよろしいのですが、お答えいただきたいのです。調査会の意見はどうなんですか。
○大橋国務大臣 報告におきましては、低率賃金の原則は、一方においては、女子就労者に見るように一般賃金と比較して必ずしも低くない賃金が存在するし、また期末手当が加えられて、その結果、それのみでは現実にほとんど流出効果を持っていないと言うことができる、というようなことが指摘されております。しかしながら、低率賃金原則をどうするかという問題は、これは失対事業の本質に触れる基本的な問題でございまするので、私どもは、その答申の趣旨を十分に尊重いたしまして慎重に取り扱う必要があると思っておりまして、ただいまなお検討をいたしておる段階でございます。
○大原委員 私がお尋ねいたしましたのは、調査会の答申案の趣旨というものは、低率賃金の原則というものは実際上くずれている、実際上機能を失うに至っておるばかりでなぐ、現在の失対の賃金制度に不合理な面も出ておるということを認めておるわけでありますが、しかし事実上は、賃金問題は一番大きな労使間の問題であります。私どもは、それをどういうふうに御理解になっておるかという点で、この点は廃止すべきであるというのが調査会の意見だと思うのですが、いかがですか。それは政府委員でよろしいのですよ。
○三治説明員 その低率賃金の原則というものが、実際上の現在の失対費、また事業主体が出しておる特別措置からいろいろ見て、必ずしも法律通りに行なわれていない、こういうふうに一方言っておりますとともに、賃金の決定については、それぞれ御承知のようにABC三層があるわけなんで、それぞれ就労の実際の能力というような問題や、作業さすその作業の状態というものから見て、いわゆるきめこまかく定めなければならないのではないか、こういうふうな趣旨だというふうに考えております。ただ、実際の問題に移す場合に、やはり政府の賃金として労働大臣が定めるようになっておりますので、その点について、やはりあるよるべき賃金等調査というものがなければいけない。従って、そういう賃金統計その他をでき得る限り利用の場で利用していくということで、われわれの方は、今どういうふうな賃金のきめ方がその趣旨に沿っていったら可能かということで研究しておるわけです。
○大原委員 調査会の方が見えてないのですけれども、労働大臣が賃金についての決定をする権利というものは肯定したような答申ですね。それからPW方式を廃止いたしまして労働大臣が賃金を決定する場合には、たとえば最低賃金における職権方式等もあるわけですが、これは生活費その他の問題が十分反映され、そういう労使の意見というものが反映されるような仕組みにならなければいけないわけですけれども、しかし、労働大臣がPW方式をやりまして決定するということと、自治体において労使関係を確立するという問題が、やはり答申案に出ておるわけでございます。そういう関係は、労働省ではどういうふうにこの問題を把握して政策化しようとしておるのか、もう少し突っ込んで一つ……。
○三治説明員 労使関係の問題は、確かにいわゆる労組法、労調法の関係は適用になるという立場で書かれていると思います。しかし、この前も一度御答弁しましたように、賃金の決定については、現行においても労働大臣がこれを定める。今度の答申でも、やはり労働大臣が定めるのがよかろうということになっておりますが、その理由は、民間雇用のように経済原則によって雇用されるわけではないので、その賃金相場、そういうものについて労使関係で決定するというのはまずいということが、おもな原因ではないかというふうに考えております。
○大原委員 失対の問題をめぐりまして議論になっておるのは、労使関係の問題が非常に大きな問題です。たとえば地労委についてあっせん、調停の機能を果たすような、そういう意味の答申もあるわけですけれども、しかし、労働条件の中で中心的な賃金についての労使関係の意思反映というものを合理的に組み立てていかないと、労使関係の正常化ということはむずかしい、私は事実上そう思うのです。そういう点については配慮するがごとく、しないがごとく、この調査会の案というものはできておると思うのです。これは事実上、末端においてやれというようなことになっておるようだし、あるいは末端の事業主体との間においてやれということに労働条件についてはなっておるようだし——労使関係の問題についてはなっておるようだし、賃金については労働大臣が決定するというけれども、その決定の根拠についてPWという低率賃金方式を廃止するということになっておって、どういう基準で決定するのだろうかという問題がここに出てくるわけです。この点は矛盾しておるとお考えになりませんか。どういうふうにお考えですか。
○三治説明員 一般の民間における労使関係や一般の労働法別係から見ると、確かにそういう疑問が十分出るわけでございます。われわれの方も、そういう方面から見れば、そういう疑問が出るということについては十分理解できるわけなんですが、政府が行なう失対事業という別の観点から見ると、やはり一定の政策目標があり、その中心となるのが賃金であろう、従って、そういう部面についてはやはり国が意思決定をして、労使関係の紛争からの対象にしない。それ以外にもいろいろの労使関係があると思います。そういう部面につきましては、やはり一般の労使関係に近いやり方で民主的にやったらよかろう、こういうのが答申の大体の趣旨なんだというふうに考えております。
○大原委員 これは山中篤太郎会長がある場所で言っておられるのですが、失対事業は失業者に対する国としての社会保障なんだ、従って、最低生活が財政上の理由で保障されないというふうなことになることはやはり問題だ、そういう意味のことを言っている。私はこの失対事業の趣旨から言いましても、賃金を決定する際には、客観的に納得できる基準があるか、あるいはその手続において納得できる労使関係のルールがあるか、こういう二つがなければ、依然として一つの大きな問題をそれぞれの現場やそういう労働運動の中に持ち込む、労使関係の中に持ち込む、こういうことになると思うのです。この二つの点については、受けて政策化するのは労働省の仕事ですけれども、私どもといたしましては、この答申案の受けとめ方についてきわめて危惧を持っている点があるのですが、PW方式をやめたら一体何でこれはきめたらよろしいか、そういう点について、内容的にあるいは手続上納得できる方法を立てるべきであると思うのです。その点は、説明員でよろしいから、受けとめ方をもうちょっと具体的に話して下さい。
○三治説明員 いろいろの賃金資料、統計を利用することが考えられますが、現行のいわゆる屋外労務者の賃金調査というもので今まで賃金をきめているわけなんですけれども、それから全然はずれて、また特別な資料をつくってやるということについてもなかなか問題があろう。やはり受け入れ方の問題があるわけです。従って、私たちとしては、できる限り屋外労務者の賃金調査を中心にして、それになおいろいろの層の就労——いわゆる作業内容を拡大するということになりますと、今までの土木事業一本でいかないほかの作業職種が出てくる。そういう場合にはどういう資料を使っていったらいいかという問題について研究をしているわけなんですが、とりあえず、すぐそれを来年度からどうこうというふうにはなかなか参らない。地方のいわゆる作業種目でどういうふうに新しい作業を申請してくるか、またそういうことで失対事業の内容がどういう改善をされるかということとも関連して、それに相応するように賃金資料を集めて基準をつくりたいというふうに考えております。しかし、賃金の決定の場合に、今までやはり屋外労務者の賃金調査を基準にしておりますので、その点ももう少し作業の種類、内容、そういうことについて詳しい資料を出せるようにわれわれの方としていろいろ準備して、検討させていただきたいというふうに考えております。
○大原委員 賃金決定の原則につきましては、なお具体的な構想もないようです。やや具体的な問題も出ておりましたが……。しかし、来月の十日に調査会のメンバーを呼んでここで審議いたしましても、ただいま大臣の御答弁の中に、本月中に大体原案をつくって予算を要求される、雇用審議会にかけられる、こういうことでありますから、そういう点で時間的に問題があると思うのですが、ともかく私どもといたしましては、問題点といたしましてこの点を一つ指摘したい。その具体的な問題といたしまして私の方で端的にお尋ねするのですが、今物価は御承知のように上がっておるし、新聞とかバスその他の公共料金の値上げがあるし、特に今まで生活保護費や失対賃金と深い関係がありました消費者米価の値上げも、政府は大体基本的な態度をきめかけているようであります。公務員賃金も十月一日からというように政府は発表いたしておりますが、問題は四百二十五円の平均の失対の賃金の賃上げについて、年内に実施するような方針があるのですかないのですか。私は、やはり失対に対する理解や将来の政策についての大臣の責任感や熱意をはかる尺度にもなるので、端的にお聞きしておきたいのですが、賃金については年内にどういうふうにお考えになっておるか。
○大橋国務大臣 失対事業の賃金につきましては、他の給与の引き上げの状況並びに物価等を考慮いたしまして、来年度の予算においてはぜひ増額をはかりたいという考えて、ただいま予算を要求しておるところでございます。しかしながら、今年度につきましては、今のところ米価の引き上げもまだ決定いたしておりませんような状況でございまするので、ただいまのところでは引き上げるという考えは持っておりません。今後の状況を見まして、必要な場合にはまた考えることも必要かと思っておるような次第であります。ただいまの段階ではまだその考えを持っておりません。
○大原委員 問題は、失対の一人平均の扶養家族が三・三人とか、あるいは一万円内外、一万円足らずのそういう賃金で生活するという問題で、しかも、生活保護費などをもらう条件でない人もあるけれども、もらわないで働いて生きていこう。そういうときに、きわめて低賃金である場合に、物価は上がるし、公務員賃金等も上がるんで、特別地方公務員であるこの失対の労働者に対しても、当然そういう増給上の措置がとられることは、これはきわめて当然なことであると思うのです。従って、そういう問題についてやはり筋の通ったような政策をされることが、これが失対を打ち切らないのだという、打ち切ることはできないのだという、そういう大臣のしばしばの御言明を裏づける政策になると私は思うのであります。従って、私はこの答申を見てみましても、若干矛盾いたしておりまするけれども、積極面も出ておるわけです。消費者米価を上げる、あるいは公共料金等が上がった場合においては、これは賃金を上げるという一つの今までのルールもあるのですけれども、労働大臣は、その点は情勢の変化というか、情勢のそういうふうな事態に相待って賃金を引き上げるんだ、こういう点についてはそういう決意を固めておられるのですかどうですか。具体的に、その点について消費者米価との関係でお尋ねいたします。
○大橋国務大臣 消費者米価の値上がりにつきましては、その値上げの幅などをよく検討いたしまして、引き上げるべきものと考えましたならば、さような措置をとるようにいたしたいと思います。
○大原委員 次に、就労ワクの拡大の問題、就労日数の問題です。あとで滝井委員その他から質問があるのですけれども、雇用情勢というものは、これは昨日の新聞にも景気調整下の労働情勢について出ておりましたけれども、個々の産業、特に炭鉱、あるいは駐留軍、あるいは金属鉱山、その他そういう特定の地域はもちろん、全般的に中高年令層の雇用状況というものは必ずしもよくないだけでなしに、深刻な面が非常に出ておるわけです。従って、このワクの問題を、来年度の予算編成を前にいたしまして、ワクの決定については全体的にどのようなお考えなんですか。ワクを拡大すべきだというお考えなんですか、それとも、そうではないというようなお考えなんですか。この問題についてもこの答申は若干触れておりますけれども、その受けとめ方について、お考えがあれば、一つお聞かせ願いたい。
○三治説明員 今度の答申の中にありますように、今までのように失対を希望するとそれの適格審査をして、適格条件に合えばすぐ失対に入れるというふうでは失対の改善にならない。やはりそういういわゆる失業者、また職を求める人に対してもっと手厚い職業紹介、職業訓練をやっていくべきだということになっておるわけなんです。われわれの方もそういうふうに職安機関をもっと強化して、または訓練機関を拡充し、それには生活のある程度の裏づけもしていって、そうしていわゆる求職者に対して、失業者に対して職を与えるようにしていく。そしてそういう過程をずっとやってもなお就職の機会がない場合において、やはり失対の事業が考えられるというふうな考え方を持っております。そういうふうな特別対策を来年度には打ち出したいというふうに考えておりますので、失対事業のワクを、従来のような考え方で、失業者や求職者が多くなればこれを広げるというふうな考え方でなくして、失対のワクよりか再就職の確保の方へ予算、人員というものを重点的にして、そういう施策を新しくとるというふうな考え方を持っております。
○大原委員 雇用情勢はそんなになまはんかなものじゃないと思うのですが、これは同僚の委員の方からまた質問がありますから、私は深くは触れません。しかし、職業訓練その他、職業訓練の人員や、あるいは就職支度金や雇用奨励金や、あるいは訓練期間中の生活費の助成や待期手当等についても逐次答申は触れております。この問題が、雇用政策といたしましては一つの具体的な面であります。これを実際、実効ある方法で安定した職場——これについて絶対反対ということはないと思うのですが、安定した職場があればいいわけだけれども、そういう問題等を含めて、実際上私はほとんど期待できないのじゃないかと思うのです。というのは、石炭にいたしましても、やはりものすごい失業者が出てくる。職業訓練の人的な、物的な設備や、あるいは技術職員の問題等から考えてみましても、ここには書いてありますけれども、失対からのそういうことについて、私は事実上ほとんど期待できないのではないか。その点は、答申はそういう方向で、一つの案を学者といたしまして提示いたしておりますが、実際問題は私はむずかしいと思う。どのくらいなかまえで、あるいは職業訓練に対しましてもどのくらいは収容するつもりだ、こういうこと等は予算をはじいておられると思うのですけれども、具体的にどういうことなんですか。
○三治説明員 先ほど大臣がお答え申し上げましたように、具体的には目下省内で検討中でございます。まだ具体的な数字についてはまとまりませんのでお答えできませんが、できる限り早くこれをまとめていきたいと思います。なお、そういう訓練その他の問題につきましても、私たちとしては、省内の訓練局とも規模、やり方につきまして目下具体的にいろいろ検討しております。
○大原委員 実際上おそれるのは、実際に実効のない措置でそういう制度をつくっておいて、そうして外にほうり出していく、あるいは外から入ってくるのをチェックする、こういうふうに政策をきびしくいたしましても、実際上、職安の機構と日雇いの窓口との一体化ということをいいましても、ここでいっておりますが、なかなか私はできない現実だと思うのです。そういうことを論議いたしておりますると時間がございませんが、結局は、私はあとで適格基準の問題に入って参りますが、適格基準の問題もそうですけれども、とにかく失対事業のワクは十分持っておいて、そういう体制の中で政策を進めていかないと事実上は締め出してしまう、打ち切りになるという不安を持ってくると思うのです。その点は労働大臣御理解いただけますね、いかがですか。
○大橋国務大臣 職業訓練を大いにやるというのが答申の趣旨でございますが、職業訓練ではたしてうまくいくかどうか、また相当な数がこの方へ振り向けられるかどうか、その辺の懸念もあるので、従って、失業対策事業そのもののワクは十分にとっておくことが安全ではないかという御趣旨だと思います。さようなことも確かに考えられると思いますが、しかし、私どもは、この職業訓練につきましては今回の失対事業改善の大事な点でございまするし、またこの方向が私どもも正しい方向だというふうに考えております。従って、相当な困難は予想いたしておりまするが、この困難を克服してぜひともこの改革の趣旨を達成いたしたい、かような決心をいたしておる次第であります。しかしながら、これによりまして必要な人々が失対事業のワクにはまらないというようなことがあっては、これまた当面の対策として不十分でございますので、この点につきましては十分に注意いたしたいと思います。
○大原委員 次に、今の問題で若干残っておる問題がありますからあとでやりますが、そこで、適格要件の問題を端的にお尋ねしたいのです。適格基準につきましては、この答申案におきましても「現行の適格要件は、一部すでに崩されているばかりでなく、かえって事業の性格を曖昧にする役割を残している。失業者にして雇用労働によって生活することのほか途のない者に対しては、他に通常の就労の機会がない場合には、就労の場を提供すべきである。」適格基準は今までいろいろ議論になったのでありますが、失業者であること、あるいは主たる家計の担当者、意思があるとか、いろいろな条件がございまして、そういう行政上の措置でやっておったわけですが、適格要件につきましては、これは明らかに否定をいたしておると思うのです。それはどういうふうに受けとめて、政策としてはどのような方向でこの適格登録要件につきましてお考えになっておるか、こういう点を一つ……。
○三治説明員 確かに現在の行政措置でやっております適格要件の、ことに主たる家計の担当者という観念は、失対事業をやっていく場合においても非常にあいまいだというふうに感じ、従って、私たちの方としては、そういう求職者を先ほど申し上げましたように職業訓練、職業指導というものを綿密にやっていくというふうな関係をしていけば、必ずしも適格要件というもので、主たる家計の担当者だけを対象にしなくてもいいのじゃないかというふうな考え方で検討しております。
○大原委員 失業者の概念ですけれども、失業者はこの中になかったと思うのですが、どこかの文書に出ておったと思うのですが、失業者の概念には現在職業を持っていない人も入るのですか。
○三治説明員 その通りでございます。
○大原委員 この問題は、たとえば炭鉱などで主人が失業いたしまして、家族も働かなければ食べられないとか、そういう現実も出て参りますし、職業訓練や他の方に参りましても家族としては家庭を守らなければならぬし、若干の待期手当等では家族は不足でやっていけない、こういう問題もあるし、あるいは未解放部落等では就職の機会がない。これは未解放部落が非常に多いのですけれども、就職の機会がないから失対は就職の場合であるという現実もあるわけです。だから私はそれらの問題等を考えて理解いたすならば、これは適格条件は、今までの主たる家計の担当者であるということでやることはきわめて不合理である、こういう点は、この答申案の趣旨につきましては了解できる、これはその点をはっきり受けとめてもらいたいのです。具体的問題になりますが、端的にお尋ねいたしますと、今までありました主たる家計の担当者、一世帯一人、こういう概念によりますと、たとえば中学を卒業いたしまして高等学校へ入ることができなくて就職いたします。その人のお父さんあるいは母親が働いている、一万円内の失対の賃金よりもたくさんの賃金をもらう、たとえば超過勤務その他で一万一千円もらう、こういう場合には、中学を卒業した子供が未成年でありましても主たる家計の担当者ということになって、そして父親あるいは母親、母子家庭である場合には母親、そういうものが適格要件に該当されないで一年ごとの審査において排除される、こういうふうになっておるのであります。これは認定基準が各県においてまちまちであります。労働省が承認しておるわけでありますが、そういうのがあります。主たる家計の担当者という概念によりまして、子供が一人立ちしていこうとしている場合に、失対事業のそういうワクの中で抑制していく、そういう結果になりますから、これはとても筋の通った話ではない。そういう点についても私は十分考えてもらいたい。失業者の概念、適格要件の概念については、答申案も述べておりますけれども、失業者がある場合には失対の働く場所を与えるのだ、こういうふうに考えるべきであると考えますけれども、その点についてのお考えをお伺いしたい。
○三治説明員 先生の御質問で、主たる家計の担当者という概念をはずして、求職者には全部失対をやるようにというふうなお考えのようでございますが、われわれはさような考えではなくて、主たる家計の担当者ということによって失対事業に入れる入れない、そういう機械的なやり方はこの答申のようにやめたいと思いますが、しかし、失業者であればすぐ失対に入れるという考え方はとらない。先ほど申し上げましたように再就職、職業安定機関として、また訓練機関として労働省が所管するそういういろいろな機関を拡充強化していって、再就職の方に重点を置いていく、再就職までの生活の道については、失対事業ということで生活を考えることよりか、再就職の準備期間として生活の保障を考えていく、それでもなお一定期間なかなか就職できないというふうな場合につきましては、それぞれ失対事業に収容してもらう人につきましてあと何らかの基準と申しますか、そういうものを考えていく必要があるのではないかと思って検討しております。
○大原委員 この答申案も雇用奨励金の問題は非常に大きく取り上げているわけですが、そういう制度全般の精神についてはやっているのですが、たとえば雇用奨励金につきましても、雇用主によりまして、一年間が経過いたしますと——雇用主といたしましては六千五百円以下でしょうが、とにかくその半額について国が給付してくれるということになると、一年間はやっておりますけれども、一年間が済みますとこれまた職場から追い出す、こういうことになりましたら、そういう不安があるとなかなかそういう方向に進んでいかないのであります。従って、私どもが考えるのは、行く先が、国が雇用政策を確立しておいて、そして社会保険もあるし、現在の賃金よりも下回らないで雇用が安定するし、 いわゆる常雇いであるということや、あるいはいよいよの場合においては失対事業で働かしてくれるのだ、そういう生きていく道があるのだ、そういう道を封じてしまうと、幾ら制度の上において美しいことを言いましても、制度全体がスムーズにいかないのです。だからそういう点を総合的に考えることが足りないと、実際上一つの大きな問題になって、このこと自体がトラブルの種になる。私どもは、そのことは条件によりましてはうまい政策であると思いますけれども、しかし、全体といたしまして、復帰することもできないというようなことでは困る。だから登録要件の中に、そういう人の再登録者も当然考えるような趣旨でこの全体の答申案を運営していくべきじゃないか、こういうふうに思いますけれども、この点は非常に大切なことでありますから、理解の深い大臣から一つ答弁をいただきましょう。
○大橋国務大臣 失業対策の改善につきましては、先ほど来申し上げております通り、ただいま政府といたしましては鋭意これを検討いたしております。これにつきましては、今大原委員からお述べになりました点につきましては全く同じように考えますので、十分にそうした方向を織り込むようにいたしたいと思います。
○大原委員 それから特失、臨就の問題ですが、これは失対全体の構想に関係してくるのです。私どもが仄聞するところによりますと、労働省の原案の中には、雇用対策事業と社会保障的な事業というものを二つに分けて、そして事業種目を拡大し、賃金についても差をつけるというような問題等もあるようであります。これは頭をひねっておる人があるようだからそうでもないのかもしれぬが、私はこの問題は次の機会に詳細に質問いたしたいと思いますけれども、特別失対あるいは臨就——緊就はともかくといたしまして、これは石炭に関係いたしておりますからおくといたしまして、特失、臨就について、失対事業の全体の構想の中でどういうふうな位置づけをしていくのか。これを廃止するのか存続するのか。あるいは存続する場合においてはどのような点を改めていくのか。こういう点についての考え方を——調査会の答申では、これはAクラスに属する人だというようになっておると私は思うのですが、その点についてのお考えを一つお聞かせいただきたいと思います。
○三治説明員 数年以前からいわゆる高度失対ということの思想から特別失対、臨時就労という制度ができましたわけですが、その後の運営の状態は必ずしも所期した目的のようにスムーズにいっていないということと、公共事業そのものが非常に機械化され、高度化され、しかも、失業者のいる場所と実施する場所とが、建設、労働で十分打ち合わせてみても、現実の執行上になりますといろいろ問題が出てきておる。従って、われわれの方といたしましては、やはりいろいろ改善すべき点もあるのでいろいろ改善の申し入れをしておりますが、実際の工事施行の立場からいくと、従来の公共事業のやり方が、なかなか実際上改善されるわけには参らぬわけです。従って、労働省といたしましては、昨年もそうでございますが、やはり臨就、特失というものが公共事業とダブルに行なわれているところに問題があるので、その点やはり一般の世論から見ても、そのダブルでやって、しかも公共事業の運行がなひなかしにくいという点を考慮いたしまして、予算要求としては、昨年もそうでしたが、やはり労働省としては十分転換すべきだという考え方を持っております。実際の問題になりますと、この点は政府全体としていろいろ問題がございますので、目下関係方面といろいろ協議をしておりますが、まだ結論を得ておりません。
○大原委員 以上で終わりますが、きょうは厚生省も御出席いただいたのですけれども質問はいたしませんが、とにかく労働大臣にお願いしたい点は、高齢者や体力の弱い人がずいぶん失対に集まっておるわけですけれども、しかし今まで議論いたしましたように、社会保障のある国では、公的扶助、生活保護というものは世界の先進国においては例がない制度である。社会保障がないから補完的な制度としてあるわけでありまして、これは救貧政策であって貧乏を予防するところの防貧政策ではない、ほんとうの社会保障ではない。問題は、年金保障やあるいは母子年金にいたしましても、養老年金、身体障害者にいたしましても、あるいは問題の家族手当制度、あるいは失業した場合の社会保障制度である失業保険制度、こういうもの等が総合的に考えられないと失業の問題は解決できないのであります。従って、この問題については——答申案の最後でちょっぴり述べておりますけれども、厚生省の方と十分協議して社会保障全体の中において総合的な政策を立てる、こういうことなしに、そういう問題の前進なしにこういう問題の解決はできない。そういう点でこの問題は総合的に考えていただいて、単なる一失対事業の問題、五百七十億円の予算の問題というふうに考えないで、厚生省関係、大蔵省関係予算の政策立案者の特にその点に関する関心、着目をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
○秋田委員長 滝井義高君。
○滝井委員 失業対策問題調査会の研究報告に関連をして、一、二の問題について大臣の見解を承りたいと思います。 まずこの研究報告を見ますと、失対就労者の三つの層ということで、ABCの三層にこれを分けておるわけですが、この場合に、まず労働省としては、現在の三十五万の失対労働者を、この答申における報告要旨のA層における肉体的、技能的に見て能力水準の相対的に高い者、それからB層の軽労働には耐え得るが、肉体的労働力が相対的に低く、年齢的にも高齢層に片寄る者、C層の不具廃疾、病弱者及び著しく高年齢である者、こういう分け方をしておりますが、そのおのおののパーセンテージ、人数をどの程度に把握しているのか、これをまず御説明願いたいと思います。
○三治説明員 調査会の先生方の分析では、A層が大体二割、それからC層は七、八千人、それ以外のがB層、だから従って、B層が、われわれの考え方から言うと少し範囲が広過ぎるようにも思われます。そういうような資料の分析——付帯資料にははっきり出ていないのかもわかりませんが、資料をいろいろ分析したときには、大体そういうのが結論でございます。
○滝井委員 そうしますと、まずこの調査会の報告をお読みになって、大臣に失対のイメージを私は聞きたいわけです。今社会党で社会主義政権の未来像というのが盛んに唱えられているのですが、それと同じで、一体この研究報告書の未来像ですね。A層については、ここに書いてあるように体力検定をやって、職業訓練をやって、そうして広域職業紹介のレールの上に乗せていくことになるだろうと思うのです。大ざっぱに言うと。これはわかります。これはまああとに質問するとして、一番問題は、あなた方が当初考えたよりか非常に多いといわれるB層ですね。これを一体どういうような未来像をあなた方は考えておるかということです。適格要件とか、PWの廃止とか、それから日々紹介を継続紹介にするとか、あるいは期末手当を本俸に繰り入れるとか、働くのも、今までの失業対策問題の分析で見てみますと、労働時間は三時間四十分ぐらいの平均になっておるわけですね。今度はおそらく八時間労働になるわけです。で、それらのものが総合された失対事業というものは一体どういう形になるのだということです。賃金は今よりかずっと上がるのかずっと下がるのか、こういう点が、この答申というか調査報告書だけでは、どうもイメージがはっきり出てこないのですよ。そこで、これをお読みになって、労働大臣としては、このB層の失対事業というものを一体どういうように考えておられるのか、それを一つここで御説明を願いたいと思います。そうすると、それによって今度は具体的にいろいろなものがきまってくると思います。
○三治説明員 ちょっと先に御説明しておきますが、B層につきましては、われわれの方の具体的な問題としても、現在としてはなかなか民間の就労の場をすぐあてがうという見通しはない。従って、これらの人たちの事業主体が、それぞれの作業能力にふさわしいような事業種目を考えたらどうかという考え方を持っております。従って、もう少しいろいろの作業種目を考えたらどうか。それからなお、こういう人たちにつきまして、民間雇用につきましては、いろいろ簡易な職業もたくさんあるのであります。そういうふうな、今までのような完全な民間雇用というだけでなくて、雇用の場をもっと広く、いわゆるほんとうの高齢者や軽作業で就労できるような雇用の部面も、まだわれわれは今まで取り扱ってないけれども、いろいろ研究し、実際にやっていけば、もっとあるんじゃないかということ、これが未来図でありますが、当面といたしましては、やはりB層につきましては今の失対の作業種目を拡大して、もう少し効率的に運営していく、作業の実態を改善して、世の非難を受けないようにしていくということです。将来といたしましては、やはりこういうふうに失対に入りますと、とかくそこが就職の場というふうになるわけでございます。しかし、社会全体から考えると、それは必要な雇用の場ではないわけです。従って、われわれの方としては、必要な雇用の場にそれぞれ職をあてがっていくということが必要ではないかというふうに考えております。従って、もう一度結論を申し上げますと、現在おられる方たちをすぐどうこうということもなかなか問題がある。従来の慣行もある。それを逐次改善をはかっていく。しかし、これからの人々に対しては、もっと親切な雇用の場を与える工夫をしていくように職安機関や訓練機関を拡充強化して、対応していきたいというふうに考えております。
○滝井委員 そうしますと、未来像としては、適格条件とかPWの廃止とか、それから継続紹介とかいうものもやるけれども、事業種目を拡大していくということ、できる限り民間の簡易な職業に紹介をしていく、こういう程度で、当面は今のままの失対を持続してそれを改善していく、こういうことになるのですね。そうすると、賃金というものは、一体今の四百二十五円よりか上がる形になるのですか、下がることになるのですか。それからもう一つ、来年度予算要求としては、今平均四百二十五円ですが、来年は一体幾ら要求をしておるのか、あわせてその二点をお答え願いたい。
○三治説明員 来年の賃金は、先ほど申し上げましたように目下検討しておりますが、やはり賃金は生活の基本的な原資であるわけですから、制度をどういうふうに変えていくにしても、現在の失対労務者の現実に受けている賃金をそう大きく変えるということは、実際問題として不可能というふうに私たちは考えております。従って、それは理論上からいえば、あるいは下げるべき人もあり、またはもっと上げなくちゃならぬ人も考えられるわけでございますけれども、実際の運営の問題としては、そう下げるわけにもいかぬし、また、現実に調整してそう特別に上げるわけにもいかぬのじゃないか、それはやはり賃金の動向を見、またその実際の就労の現実ともあわせて彼此勘案して検討したいというふうに考えております。
○滝井委員 そうしますと、問題は来年度になってくるわけです。今度の通常国会に、この答申に基づく法律の改正をお出しになるわけです。その前にこの賃金はきめておかないと、来年の四月一日からなかなかその事業がやりにくいわけです。地方自治体にははっきりと賃金を示さないと、一応四百二十五円でやっておきましょう、しかし、それはあとになってきまったら、また差し引きやりますということもできないこともないけれども、工合が悪いと思うのです。それで、今からおよその線を出さなければならぬと私は主張するのだけれども、この答申によりますと、PW方式をやめて、そうして地域別、作業別の賃率を、第三者機関の意見を聞いて労働大臣が定めることになっておるのだから、従って、法律の改正がきちっとできないと、こういう形態はとれないわけでしょう。そうだとすれば、これは来年度の予算に組む暫定的なものは、あなた方がおつくりになっておかぬといかぬわけです。そして来年度はこういうものができて、先になってからそれを修正をし、補正をしていく、こういう二段がまえになると思うのです。だから従って、来年度一体あなた方は幾らのものを要求されておるのか。全然失対の賃金をパーにするわけにはいかぬと思う。大蔵省から船後さんに来ていただいておりますので、大蔵省の考えも一つ承りたい。これは非常に大きな問題なんです。一体どう失対の賃金を、大蔵省としては労働省と折衝するつもりなのか。こういう答申を前にして、将来これは地域別、作業別のものをつくる、すなわち現在の約三十五万の中で、七割五分から八割程度のB層というものがおるわけです。B層の——あなた方のいわゆるベースでものを言うとすれば、B層の方の上のものはA層に入れていくにしても、やはりそれは六割から七割程度はここに残ってくる。現在見てみますと、大体一般失対だけに行っている人、賃金でいえば六大都市で九千八百二十六円程度もらっている人は五八・九%おるのです。すなわち六割程度はこういう層なんです。そうしますと、やはりこの層の賃金というものは、来年度予算要求をする場合にはきちっとしておかないと工合か悪いのです。それをまだ検討中ですというのでは……。これは予算五割増しで要求してしまっておるのですか。まさか失対賃金ゼロで出しておる、あるいはブランクにして出しておるわけじゃないと思うのです。どうせわかるのだから、それは何も秘密にする必要はない。一体幾ら来年度あなた方は出しておるのか、大蔵省なり答弁してもらいたいと思う。
○三治説明員 今のところ、九月末までに前年度の五割増しという総ワクだけで出しておりまして、この答申を見て具体案をつくって、そうして来年度どうするかをきめて要求する、中身はあとで出すというふうに約束しておりまして、目下その具体的な内容につきまして検討をしているのは、先ほど申し上げた通りであります。その答申そのままの賃金のきめ方を今度の国会でおきめ願うにしても、それをすぐ来年の四月からやるというのは、なかなかむずかしいのじゃないか。従って、ある程度来年度は暫定的なものが必要じゃないかというふうに考えているわけでございます。その具体的なものにつきましては、できる限り早く具体案をつくりまして、大蔵省に要求したいと考えております。
○滝井委員 そうしますと、一応暫定的に四百二十五円の五割増しで出しておる、こういうことで差しつかえありませんか。
○三治説明員 それは全体のトータルのワク、失対事業全部のワクといいますか、失対事業費として全体が五割増しで要求しているということであります。それで賃金につきましては、五割とかなんとかいうことではなくて、まだ全然中身はつくって要求しておりません。今つくりつつ検討しているところでございます。
○滝井委員 そういうように言ってくれぬから、どうも……。そうしますと、失対全体として五割増しで要求しておる、賃金はそのワクの中で……。B層のことはおよそわかりました。 まだあとで質問しますが、次はC層です。これは一体C層のイメージはどういうことになるのですか。暫定的に、こういう人たちはどちらを選んでもいいという形になっておりますね。これは七千人か八千人だけれども、非常に重要なところですね。七十才以上の御老人が〇・四%くらいおられる。六十才以上が一八%くらいおられるでしょう。それから中年の母子家庭が一割五分から一割六分、一五、六%ですね。こういう層は、失対事業に行く方が生活保護よりかいいのです。それはこの六大都市で見ると、失対の賃金が九千八百二十六円でしょう。生活保護を見ますと、生活保護の一級地、六十才以上の生活費を見てみますと、幾らかというと、男女で違いますけれども、一応男性で見てみますと、主食と副食費を合わせて二千二百円です。これにその他の経費二千百八十一円を加えると四千三百八十一円です。これに住居費を千二百二十円加えますと五千六百一円になるわけです。従って、六十才の御老人ならば、九千八百二十六円と五千六百一円ですから、雲泥の差があるわけです。失対の方がはるかにいいわけです。働ける限りにおいては失対に行く。これは人情でもあるし、じっとして食うよりか、働いて食った方が人間は気持がいいのです。七十才になると五千六百一円に老齢加算がつくわけです。これを入れて六千六百一円です。女性の場合は六千二百二十一円、老齢加算を入れないと五千二百二十六円です。あなた方がどちらでもいいから選びなさいといったって、これは生活保護を選ぶ人はいないのです。だから生活保護と失対を選ばせようとするならば、生活保護を一万円くらいにしなければ行かぬわけです。実質的に今五千二百二十六円で一人の人間が住居費、それからその他の衣服まで全部でこれですから、五千二百円から五千六百円くらいじゃ食っていけないでしょう。これはあなた方が東京都の生活保護者を極秘にお調べになると、これは私いつか予算委員会でやったのだが、全部栄養失調です。しかしそれは、ケース・ワーカーなり民生委員の目を盗んで食っているから、幾らかかせいでくるから栄養失調を免れているだけで、ある六十才の一人の老人が生活保護費だけで食っていった。生けるしかばねですよ。これは実際、この六大都市における三・三人の家族が九千八百二十六円では食っていけない。これはどうしておるかというと、生活保護に行けば働いたものは差し引かれるけれども、失対だったら働いたものは差し引かれないわけです。ここにやはり失対の魅力があるわけです。だからあなた方が、C層の問題について自由選択権をほんとうに行使させようとするならば、今の生活保護費を少なくとも二倍にしなければ栄養失調になる、だからこれを一万円程度に上げるというのならば話はわかるが、厚生省のように、ことし二割一分程度、二一%程度上げたなんと言ったって、実際問題としては問題にならないのです。だからあなた方はC層というものを、わざわざ御老人や病弱者、不具廃疾者というものはC層だ、ヒューマニズムの見地からとおっしゃても、それは生活保護に追いやることの方がヒューマニズムを欠いているのです。逆なんです。むしろ失対に働いていた方が、今の見地からいくとヒューマニズムなんです。生理的な見地からいってもそれの方がいい、極度の栄養失調にならなくて済む、こういう形だと思うのですが、あなた方は七、八千人の運命をどうされるおつもりなんですか。
○三治説明員 その分析は調査、研究の分析でありまして、現実の今のそういう人たちを、直ちに生活保護に行きなさいというふうに機械的にやることは、なかなかむずかしいと思います。従って、私たちとしては、やはりいろいろの選択的の移行の方法で漸進的にいくよりか手がないと考えておりますが、しかし、現実にそういう方たちが働く働くとおっしゃっても、現実に働けない状態というものが必ず出てくるわけでございますが、そういう方たちのいわゆる生活のめんどうは、政府全体としていろいろ考えていかなければならないものであります。働けるうちはまたそういうことで通せるわけでございますが、なかなかそういう形が、全部が全部、完全に五体そろって、それぞれそれなりに働けるという状況はいつまでも続かないということは、確実にC層の方については言えると思います。失対労務者だけがいつまでも病気にならぬし、いつまでも手足丈夫というわけには参らぬわけであります。その点は、やはり人道的な見地に立って、それぞれ指導していくというふうなのがいいのじゃないか、われわれの方として、本省として具体的な線を引いて、ここからこれはこうだというふうに、しゃくし定木を立てていくような行政はしないつもりでございます。
○滝井委員 そうしますと、このC層の皆さん方は、当分の間はやはりB層と同じ形をとらざるを得ない、こういうことになるわけですね。結論的に言いますと……。問題はそこなんですよ。そうなりますと、一体八時間労働なんというものが、できるかどうかということになるわけです。これはできないわけですね。できないことをこれからやろうというわけでしょう、あなた方は……。第一、賃金も今六大都市で九千八百二十六円もらっておるのですから、この九千八百二十六円以下にC層の人の賃金を切り下げるというわけにはいかない。これをもし切り下げるとすれば、これは生活保護その他に力をもって追いやるということを意味するわけですから、下げるわけにはいかぬ。そうでしょう。C層の人の賃金を、まさか今の九千八百二十六円、すなわち、平均すれば四百二十五円以下に下げるという意味はないわけでしょう。
○三治説明員 今先生のおっしゃったその数字は、大都会における平均賃金でございまして、現実の各都市は、やはり相当賃金格差をつけているわけでございます。個々の労務者の賃金格づけは、やはりそれぞれの能力を見て、都市によって違いますけれども、数段階に賃金格づけをしているわけでございます。それはまた能力からいって、下がれば下の賃金の格づけになる場合があるわけでございまして、その平均は、それを下げるというわけには私たちはいかぬと思いますが、個々の労務者にとりましては、やはりそれぞれ賃金格づけの制度があるわけですから、能力が下がれば、格づけをして個々人にとっては下がる。しかしながら、平均賃金としてそれを下げるというようなことは考えられない、こういうことでございます。
○滝井委員 問題は、今C層の諸君がもらっている賃金以下に下げるということはないでしょう、こういう質問にかえてもいいんです。平均的にものを言っているわけですから、それはないわけでしょうね。
○三治説明員 各事業主体が最低の格づけをしている。その賃金の絶対額をさらに下げるということは、実際上できないことと思います。
○滝井委員 そうしますと、問題を少しB層に集中してみますが、現在A層の人をできるだけ失対の方から職業訓練に乗せて出していく、それからB層の上も出す、こういう形ですね。ところが、過去の実績を見てみますと、失対の事業の流出ですね、失対事業からの流出の状態を見ると、一二・九%しか流出してないですね。そうして、しかも一割二分が流出をして、そのうちの三割はまた帰ってきている。これはきわめて重要なところだと思うのです。そこで問題は、一体あなた方は、今後三十五万の失対労務者の中で四十才以上の人が八割です。八割もおる中で、今までの流出の実態は一割二分。炭鉱離職者でも、今四十才以上の流出というのは一割以下です。広域職業紹介所に乗るのは、四十才以上が一割以下です。そうすると、一体このA層なりB層なりの上層というものを流出せしめることができるかどうかということです。これを一体どういう判断で、どういうところに流出をせしめていけるのか。 〔委員長退席、澁谷委員長代理着席〕 現実の、過去の歴史的な経過を一挙に二倍、三倍にするということは、今の日本の雇用情勢からいって——大企業というものは、所得倍増政策の当初においては、うんと雇用は伸びた。しかし、最近は大企業でも雇用は伸びていません。いわんや中小企業というのは、初めから伸びていなかったのです。そうしますと、四十才以上の雇用というものを、あなたの言われるように、簡易な民間の企業その他に促進させる客観的情勢というものはないわけでしょう。過去の実績も一割二分の流出だ。一体これをどう打開していくのかということです。これをちょっと御説明願いたい。
○三治説明員 民間雇用が非常に限られているような御説明でございますが、やはり民間雇用において、現在求人難という部面は相当たくさんあるわけであります。そのおもなものは、やはり職人的職種や、それから技能を身につけなければ、いわゆる職人的職種も技能がある程度ないと就職ができない。それから非常に高度経済成長によりまして、従来若年労働を使っていたのが、若年労働者の絶対的不足で非常に穴があいております。こういう人たちは、今もってやはり若年労働者を求人しておりますけれども、若年労働者を中高年齢層でかえられる職場というものは相当あると思っております。従って、一面におきましては、そういう技能を身につけることによって、そういう空席を相当中高年齢者でも埋まるということ、それから若年労働者の雇用、求人を渇望しているそういう事業主に対して、中高年齢層にかえられる現実の雇用の職場というものに、指導によって相当転換できるのではないかというふうな考え方を持っております。従って、今のように求職者が来た、それを紹介する、そしてうまくできないということでほうっておくということでは、ちっとも改善はされないわけです。それを継続的にいろいろ職業相談、職業訓練でやっていくということによって、そういう雇用の空席は、中高年齢層といえども相当埋められていくのじゃないかという考え方を持っております。きょうは石炭対策の御質問ではないわけでありますけれども、石炭におきましても、やはりこれが中高年齢者の再就職のテスト・ケースということで、われわれの方は目下いろいろの知恵をしぼり、またどういうところに未充足の求人があり、その雇用の条件はどうであるか、そういう場合における労働条件はどうか、事業主はどういう気持でおるかという問題を、目下各部門にわたって調査研究しております。確かに、労働省といたしまして、そういういわゆる雇用の空席というものにつきましての調査分析が足りないし、事業主のそういうものについての考え方や態度というものについて十分な、総合的な研究がなされてなく、それは個々の安定所の求人係にまかしておく、これをもう少し科学的に、統一的に指導していって、現在の求人難という部門を、何とかこの中高年齢層を中心としてひもを結んでいくようなことが、職安機関として今後進むべき道じゃないかというふうな希望を持っておるわけでございます。
○滝井委員 三治職安局長の希望はよくわかるのです。しかし、現実はきわめて冷厳であるということです。過去の統計的な実績は、四十才以上が広域職業紹介には乗るという実態を示していないのです。なるほどそれは、あなたの言われるように、職業安定所の機能がそういう方向に向いていなかった、そういうところをどんどん開拓していく人的な整備も行なわれていなかったということもあるでしょう。しかし、それはやはり相当な予算をつぎ込んで急速にやらないと、これは間に合わないわけですよ。それならば一体、このA層なりB層の上の方が広域職業紹介に乗って出ていく。出ていっても、過去の現実はその三割が帰ってきておる。この現実がある。帰ってきたらまた失対に入れますか。
○三治説明員 今までの流出された方の三割がお帰りになったのは、やはり季節的な雇用で出られる人が実態として多かったのじゃないかと思う。常用雇用として就職されて、それが半年、一年で帰られるという部面のパーセンテージも、その季節的な労務で出ていく人の割合から見れば、数%にも達しないというふうに私どもは思っております。それじゃ実績を示せとおっしゃられると、帰ってきた再流入の人の雇用先が、季節的労務が何%で、常用雇用に行ったのが何%だというようなはっきりした数字は持ち合わせておりませんが、地方の市の課長や第一線機関のいろいろな人から聞いても、そういう季節的労務や臨時的な労務の充足のために、失対適格者を保留しながら、一時それをそういうところに持っていくというだけで、初めから予約して期限付で出ていくという人が大部分であるわけです。今後もわれわれの方として、失対の適格者がいろいろの制度で民間雇用に行かれて、それが十分適職でなかったという場合には、やはり職業相談なり職業訓練なり、そういう過程も通りますし、またそうしてもなお不十分でどうしても生活の場がないということなら、それはただ再流入の者かということがなしに、やはり新しい求職者というふうにして扱っていくべきじゃないかという考え方を持っております。そういうふうに、すぐ出たり入ったりということにもある程度の規制はしなければなりませんが、基本的な態度として、一たん出たら最後、カタツムリのようにきちんと閉じてしまうというかたくなな考え方では、そういうふうな人たちにも不安を与えるので、十分配慮していきたいというふうに考えております。
○滝井委員 そうしますと、結論的には、そういう場合には失対に迎えても差しつかえないということですね。 これで最後ですけれども、この報告書にもありますが、失業者の滞留しておる地帯あるいは失業多発地帯における失業対策事業、これは今炭鉱の問題とかあるいは鉱山のあるところ、あるいは駐留軍の離職者が重なっておる。こういうように現実に失業者が滞留して、その上に多発的な状態が重なるというような、こういうものに対する対策、これを少し具体的に御説明願いたいと思うのです。たとえば福岡あたりの筑豊炭田でいえば、現在滞留しておりますその上に、炭鉱離職者が、有沢調査団によって七万人前後出てきます。四月六日の閣議決定以来、全国の炭鉱から月に三千人ずつ離職者が出ておる。筑豊炭田だけでいっても、千四、五百から、多いときには二千くらいになってきておる。そうすると、新たなそういう炭鉱離職者が毎月出てきているわけですね。同時に今度は、炭鉱が閉山することによって付近の農家なり中小企業の諸君が失業者になってあふれてくるわけです。その地域経済の崩壊によって、農民、中小企業者が失業者として現われてくるほかに、今度は、あなた方がこの失対を方向転換することによって、やはりこれは広域職業紹介に持っていかなければならぬわけですから、七万人程度——三十五万人のうちの二割というもの、あるいは三割、十万人くらいになるかもしれません。そういうものが広域職業紹介形態に乗るわけでしょう。こうなりますと、三段、四段の重なりが出てくる。滞留をしておる。そうしてその上に炭鉱離職者が出る。それから地域からも新しい者が出てくる。そして今度は、あなた方が一般失対をおやめになって、とにかく三割程度の人はやめる形になって、広域職業紹介のレールに乗ってくるわけです。こういう、ヘレン・ケラーの三重苦じゃないが、四重苦がこの多発地帯に起こってくるわけです。一体、こういうところの対策というものはどういう形になるのかということです。外に出ていく者と地域の者とが二本立てになってくるわけです。そうすると、そういう地域は、もはや炭鉱がやんでしまえば仕事なんかないですよ。ここは相当勇断を、有沢さんの答申にもあるように、政府は積極果敢な措置をやってくれ、いわば蛮勇をふるわなければならぬわけでしょう。同時にこの報告も、多発地帯のところを見ると、私、有沢さんにも質問したのだが、はっきりした答弁がないのですが、おやりになることが全部炭鉱離職者の対策と同じなんです。地域開発の推進、広域職業紹介の実施、移転資金の支給、移転就職者用住宅の確保、みんな炭鉱離職者対策と同じですよ。同じことを、この一般失対から出ていくA層とB層の上にはやることになっている。まあ大橋労働大臣が、観音様で八つくらい手のあるのがあるが、それよりもう二つくらい手をふやさぬとこれはできない状態ですよ。何といっても一番集中的に問題が現われるのが、私は滞留地帯であり、多発地帯だと思うのです。この対策を快刀乱麻、勇断をもってやられれば、他のものは解決すると思う。他のものはそれにならえばいいと思う。その対策をここで少しわかりやすく御説明願いたいと思う。まず総括を労働大臣に言っていただいて、それからその補足的なものは三治さんから言ってもらいたい。
○大橋国務大臣 多発地帯あるいは滞留地帯と申しますか、特に産炭地におきます現在の失業者の滞留状況は、御指摘のごとくなかなか大きな問題になっておるのでございます。私どもは、これらの地区におきましては、まず石炭対策としての先般有沢調査団で答申せられました雇用対策がございまして、これに準拠いたしまして、できるだけ集中的に施策を講じて参りたい、こう思っております。しかしながら、なお従来からの失業者もございますので、これに対しては、やはり失業対策事業としての施策もあわせて講ずるのでございます。しかし、御指摘の通り、いろいろな面からのいろいろな施策を同時にやらなければならぬという点におきまして、職安機構も必ずしも十分でございませんし、また土地の状況から申しましても、訓練施設その他もなかなか思うにまかせぬ点もあるかと思います。これらの点につきまして、今十分に検討いたしておりまするので、地区につきましてある程度対策を立てるにあたりましては、具体的な検討をつけた上でできるだけ最善を尽くすように努力をいたして参りたい、かように考えておる次第でございます。
○三治説明員 筑豊地区につきましては、調査団の報告がありますように、政府の各種の出先機関も総合的に対策ができるように、意思統一をする機関を設けます。それから、われわれのそういう広域職業紹介なり職業訓練、そういう労働省の任務は、やはり新しい雇用に、再就職をしてもらうのに全力を尽くすわけであります。しかし政府は、総合的の見地から産炭地の振興もはかる、産炭地の振興の具体的な問題につきましては、いろいろ討議されたわけなんですが、やはり政府の工場なり事業というものをできるだけ早く具体的に豊筑へ持っていくような政策をとる。そういうふうにして、またさらにボタ山の処理とかいうふうなことや、現地における雇用の増加や企業の誘致も具体的に考えるという部面、これは労働省がやるわけではなくて、政府のほかの機関がやるわけでありますが、われわれ労働省は、新しい職場を求めてもらうことを積極的にやっていって、現地の滞留状況、これから出る人たちの再就職の場を最大限に確保していきたい。なお、その現地の経済をささえるかてとして、いろいろな施策をとっていくということでございまして、われわれが全部、その多発地帯の滞留者をほかの地区へ責任を持ってはけるということは、なかなかむずかしい。いろいろの政策をとって、総合的に、残る人も出る人もうまくいくような政策をとっていきたいというのが政府の考え方でありまして、労働省の分担といたしましては、需要地で再就職の道を確保してもらうような対策をとっていくというところに、私たちは重点を置いていきたいというふうに考えております。
○滝井委員 そうしますと、特失ですね、特失には炭鉱離職者は入れないというのが有沢さんの結論なんです。そうすると、緊就はどうなんです。緊就はこれからワクを拡大しておやりになるのですか、それとも緊就は七千人のワクのままで、他の方向に離職者を持っていくようにおやりになるのか、あるいは一般失対の人はやはり別の方に持っていくということになるのですか。緊就は一体どうなんですか。炭鉱離職者は特失の中に入れないというおつもりですか。
○三治説明員 有沢調査団の現地をいろいろ視察され、いろいろの状況、事情を聴取された結論から言いますと、労働省に対する注文は、現地の一般失対、特失、臨就並びに緊急就労というもので今後失業対策を拡充してそれで終わり、そういうことでいいのだという考え方は改めて、今後出られる方にはもっと手厚い保護をして、滞留者にならぬような完全な手を打ってほしいという考え方で、新しい線が出されました。従って、滞留者対策として現在やっておりますのは、われわれとしては現状維持でいきたい。ふやす部面については、強くそれについて示唆されておりますので、その失対を現地で増加するということはやめたいと思っております。しかし、これを減らすということは、現実の滞留者がたくさんいる中でできない。従って、今後新しく出る炭鉱離職者については、そういう失対に入れないで再就職をやるように厚い手を打っていく。しかし、先生のおっしゃるように、中小企業者なり、またその炭鉱のまわりの地域経済の不況からくる失業問題もあるわけであります。現地における失業者は必ずしも政府の保障がないわけですから、現在の事態におきまして、できる限りにおいて新しいその失業の程度によって回転をしていくということはやっていきますが、新しく出る炭鉱離職者だけについては、やはりそういう失対の場に入れないでやっていくというふうに、二つに分けて対策をやっていきたいと思っております。
○滝井委員 緊就は入れないのですか。
○三治説明員 はい。
○澁谷委員長代理 島本虎三君。
○島本委員 時間の関係で端的に大臣に伺いたいと思います。賃金の問題を中心にして、大原さんと滝井さんがそれぞれ質問し、答弁されましたので、私はそれと若干関連しますが、角度が変わっております。一つ端的に答弁願いたいと思います。 この答申書の一番最後で、「最低賃金制度と完全雇用政策ならびに社会保障制度の合理的な作用がなければ失業対策の効果は期し得ないから、広くこの面についての政策の推進を図るべきである。」とはっきり結んであるわけです。いろいろ答弁されましたが、私も端的に聞きますが、この政策の推進結果がない以上、失対打ち切りはしないというこの報告書のようでございますが、大臣は、この点については私と同様に考えますかどうか、その所信を伺いたいと思います。
○大橋国務大臣 お考えのような趣旨にこの答申を読んでおりまするし、また、この答申の中にありますことを見ましても、たとえばC層のごときは、これは本来からいえば労働能力も欠けておるのでございまして、むしろ失対事業の対象とするよりは、社会保障の対象とすべきではないかというふうに答申も見ておるのでございます。しかし、社会保障が現状の程度でありまするならば、これを社会保障として引き取るわけにはいかないというので、やはり失業対策事業のワク内にとどめておるというような点もあるわけでございます。これらの点から考えましても、この答申が、この末尾に書いてあるような趣旨でできておるのでございまして、これを尊重いたして参りたいと思っております。
○島本委員 だいぶはっきりして参りました。そうすると、尊重ということは、結局この政策の推進が三つともに行なわれた以後でなければ打ち切りはしないものである、こういうようにはっきり解釈しておきますが、この点、もしその通りであるならば、もう一回そうであるというふうに大臣から明確な御答弁を願いたい。
○大橋国務大臣 失対事業の打ち切りということは、仰せの通り、こういった三点が完全にできなければ無理だ、こう思っております。
○島本委員 同じ報告書の中で、十二ページに、わかるようなわからぬようなありがたい文句があるようでございます。それは「期末手当については、原則として賃金に繰り入れるべきものとも考えるが、その方法については慎重を期すべきである。ただし、地方自治体が単独で支給するいわゆる期末手当については、一般低所得国に対する福祉措置として行なわれる性質のものである場合は、この限りではないであろう。この場合においても、財政法規上の疑点を残さぬ措置をとるととが必要である。」もっともであると思うのですが、これをはたして現在やっておることがいいのか悪いのか、政府に何をせいというのか、それとも制度上どういうようにせいというのか、これはわかっておるようでわからぬようなことで、お経の文句のように読んでみるとありがたくなるきらいがある。これについては、やはりはっきりした見解を聞いておかないと悔いを将来に残すようなことがあってはいけない。期末手当の原則から始まって、この流用の面までについて、大臣はこれをどのように解釈されましたか。
○大橋国務大臣 私どももこの文句を文字通り読んでおるのでありまして、期末手当は賃金に繰り入れて、これを全廃することが大へんけっこうなことだ、しかし、これはよほど慎重に考えないと、軽率にやってはいけない、こういうことでございますから、今期末手当をどうするかということについては、得失等を慎重に考えて、まだどちらとも決定をいたしておりません。この上とも、もう少し考えさしていただきたいと思います。
○島本委員 この問題については、やはり私は私なりに考えると、いろいろな方面から押されてふくれ上がってきた風船玉のようなきらいがあるから、労働省において早く制度化して、トラブルをなくしなさいという意向のようであります。おそらく皆さんもそういうふうに考えているのではないかと思うのです。私はやはりそういうふうに考えられると思うのですが、この点いかがですか。
○大橋国務大臣 大体、期末には、失業対策の適格者に対しましては、対策事業の賃金の一部になるべき期末手当と、そのほかに、地方によりましては、公共団体単独の負担によりまする社会福祉的な意味を持つ見舞金的なものもあるのではないか、こう思うのでございまして、前段の賃金の一部と見るものについては、何とかそれをも含めて賃金基準というものをきめるか、あるいはそれならそれではっきりしたものを別に出すか、その辺を慎重に考えろ、こういう趣旨だと思います。それから後段の見舞金的なものにつきましては、これは社会福祉として行なわれる場合においても財政法——自治体の財政だろうと思いますが、その方のけじめをはっきりしろ、こういう趣旨に読んでおります。
○島本委員 重ねてお伺いしますが、すると労働省では、この期末手当を制度上また財政上どういうふうにする方針で、ことし来年の予算を組みますか。
○大橋国務大臣 ことしの予算は決定しておりますから、これは別問題といたしまして、来年度の予算につきましては、これをどうするか、ここにも慎重にと書いてありますので、もうしばらく研究をいたしまして、今月中には何とか方針をきめて予算要求をいたしたいと思っております。
○島本委員 自治省の方も考えておられると思うのですが、大臣も御承知の通り、自治省の方では、この答申案が出される以前から、相当都道府県知事並びに市町村長、こういろいわゆる首長の方からいろいろな要請があって、地方公務員並みにこれを制度化してやってもらいたいということで、そのために弱っておるのが実態だと思う。そうすると、自治省の方では、この期末手当に対する財政上の措置に対してはどういうふうに考えておるか、その点、まず伺いたいと思う。
○茨木説明員 期末手当の財政措置の問題についてお答えを申し上げます。 自治省といたしまして現在とっております措置といたしましては、国のきめております基準期末手当と申しますか、それがございます。それについては三分の二の補助がございますので、その残りの部分について地方財政上措置を講ずる、こういうような仕方をやっております。現在問題になっておりますその他の問題については、御案内のように、当初地下たび代、もち代というような意味において出たものがだんだんふくれ上がってきたということで、地方団体といたしましては、非常に具体の問題といたしまして苦慮しておるというのが実態でございます。ただ、これをどうするかという問題は、その答申にもございますように、本来、正規の期末手当として、国の方の資金の中においてさらに再検討すべきものが相当あるのではなかろうかというふうに考えております。従って、今後もう少し推移を見ないと、これをどうこうするなということを直ちに申し上げかねるような状況でございます。
○島本委員 それでは、あわせてこれは大臣にもお伺いしておきたいのですが、大臣の前任大臣である福永大臣は、この制度については慎重に考えておきたい、こういうような意向であります。われわれもすでに慎重に、一年有余も経ておりますから、結論が出ているものだと思っていた。ところが、こういうような勧告を受け、制度化が当然であると思われるような意味の勧告が出されている。それでももう一回考えるというようなことであると——これは私は希望的観測ではございませんけれども、もうすでに、今まで問題になった地方公務員並みにするような制度化という点に踏み切って、両省ともに考えられておるのじゃないかと思っているのです。私どもの方では、そういうような点を今まで強く期待して、申し述べて質問してあったのです。この点は、一つ大臣の方からはっきりした見解を承っておきたいと思います。
○大橋国務大臣 御期待のような結論は得ておりません。
○島本委員 そうすると、具体的に申し上げますと、制度は違いますけれども、石炭手当の問題がございます。石炭手当の問題では、昨年この問題に対しては具体的に数字をあげてでき上がっておるはずです。これを具体的にやっていないというようなのは、大臣、少しその方面に関しては、前任者とは意思の疎通が完全に狂っていた結果になりはせぬかと思うのですが、石炭手当の点も、制度化の点は全然考えておられませんか。
○三治説明員 石炭の問題は、手当として別にやっているのではなくて、冬季の——中身は先生のおっしゃるような石炭分としての加算でございますが、現在の制度上からいって、これを特別な手当というふうにはやっておりません。
○島本委員 もちろんこれは制度化の問題で、地方公務員並みに段階を分けて、この問題は労働省で考えて、大蔵省と折衝中であるというのが昨年の答弁なんです。これに対して、現在はそれと違う答弁をされるのでは、私としては——質問したのは私ですから、少しこれは納得しかねるのです。労働省の見解として、それでいいのですか。
○三治説明員 昨年は確かに石炭手当という、そういう別の賃金体系と申しますか、手当として要求したわけですが、それが従来通りのいわゆる特別加算というふうな、賃金の内訳として積み上げていくというふうにきまったわけでございます。昨年はそういう要求をしたけれども、実際として従来通りのきめ方になって、金額は若干上がった。従来、これは先生御存じでしょうが、一円五十銭分として冬季間だけ加算して支給している、こういうことになっております。
○島本委員 これで大臣、いよいよもって今のような問題が、制度化の前提として石炭手当に見合うものとして出されていた、こういうようなことになっている。今、石炭問題は国をあげて大きい問題になって、この問題の解決が政府として重大な問題になっているわけです。おそらくは、国が、かってこういうような問題について総合的に考えなければならない必要が当然あったわけでざいます。現在でもあるわけです。そうすると、石炭手当の制度化でも、一歩進めて、この石炭の問題と思い合わして、必要量だけ関係者に、直接国がこういうような不振炭鉱から買い上げて配給してやることも、現在のような困難な段階の一つの解決策にもなるのではございませんか。制度化を進めるためには、こういうような一つの妙手もある。一石二鳥ではございませんか。こういうような点もあわせて、制度化とともに大臣、考える御意思はございませんか。
○三治説明員 制度の問題につきましては昨年やったわけでございますが、そのときにもいろいろ——北海道だけですし、それから石炭というようなことがはっきりわかっているからというようなことから、一応制度化としたいということで要求したわけですが、現在のいわゆる日雇い労務者、失対労務者の賃金体系をくずすというふうなことから、なかなかそれが実現できませんでした。しかし、実際上からいけば、その目的は達せられておるわけでございます。そういうものを制度化した方がいいかどうかという問題については、昨年のいきさつもありますので、あらためて検討してみたいと思っておりますが、ただ問題としてはなかなか関連のある問題でございますので、慎重に検討してみたいと思います。
○島本委員 大事な問題ですけれども、質問は簡単にやりますが、大臣、国をあげての大きな問題になっている石炭問題の解決策の一つとして出されている問題で、制度化をすれば、これは金でやるか現物でやるかどちらかなんですから——現在のように一人一日二十円か三十円では、かけら一つぐらいにしか当たらない。これはほんとうに見合う額にしかならないので、これで完全であるとは言えないと思う。制度化を考え、これを推進していると言う以上、今度は金でやるか現物でやるか。現物でやる以上は——金は当然ですけれども、中小炭鉱の現在のスクラップ・アンド・ビルドのあの辺を調整するためにも、まことにいい案として大臣かに提案できるじゃないかと思うのです。数は少ないかもしれません。しかし、いろいろの山の性質を見た場合に、これだけのものは——三十円一日もらったって、金額としてはまだ若干——若干どころか、不足なんです。かけら一かけをもらっても、二十一日くらいの稼動で、これだけでも全然まかなえはしません。しかしながら、それでも制度化しようとしているのだから、その誠意はくみますが、一歩進めて現物配給の線までこれを踏み切ってやる、前向きの姿勢で、一つ大臣、御検討願いたいと思いますが、大臣の賢明なる御意思を承りたい。
○大橋国務大臣 一日にわずかの金額で、一かけになるかならないかということだから、現物を配給したらどうかという御趣旨でございますが、石炭問題のこういう状態でありますおりから、御質問の御趣旨はまことによくわかるのでございますが、これは失業対策の問題でございますので、そういった方面からも十分に検討をいたす必要もございますし、また、はたして現物配給というようなことが、実際上どういうふうになるかという点にも問題はあろうと思います。せっかくの御発言でございましたので、十分に研究はいたしてみます。
○島本委員 最後に一つ、それができるまでの間、現在一日三十円もらってもかけら一つも買えないのですから、これをまとめてやれるような措置もあわせ考えてやるのも、魚心あれば水心ですか、こういうようなことじゃないかと思うのです。せめてこういうような措置ぐらい考えてやってもいいと思いますが、いかがですか。
○大橋国務大臣 まだ最終の決定をするまで間がありますので、その間十分に考えてみることにいたします。
○島本委員 大臣に、この失対問題を離れて、緊急の重要な問題を一つだけ聞いておきたい。 大臣は、争議さなかの全駐労からの要請を受けて、どこに目的があるのかということは十分おわかりだと思います。三つのいろいろな要求が出されてありますけれども、この中で、軍と日本政府の共同管理というような運営方式はまずい、従って、これは政府が自主的にきめられるような体制をとってやるのが、将来こういうようなものを抜本的に解決する一つの方策じゃないかと思っておる。大臣においても、やはりそういうような点も将来考えるのでなければ、こういう全駐労のいろいろな不平に対して一方的になるおそれがあり、これが前時代的な解決方法をとられることはゆゆしい問題だと思うのです。いろいろ理由をお聞きのことだと思いますが、この解決の方法について、政府が自主的にきめられる体制をとるべきであると思いますけれども、いかがお考えでございましょうか、大臣からお伺いしておきたいと思います。
○大橋国務大臣 理想的なことを考えますといろいろ考えられるわけでございまして、お話のような体制をとるということも、これは一つの解決に近づく道であると思います。ただ現在の、この問題の取り扱い方というものが、いろいろ米軍との話し合い等からできておるのでございまして、にわかに改めるということも困難かと存じますが、しかし、お考えにつきましては一つの考え方として、十分検討に値する事柄だという気持でございます。C島本委員 まだまだ質問があるのですが、大臣の特にいろいろ重大な用務のために、質問がどうもうまくいかないのでございますので、大臣に対する質問並びに全駐労の問題に対しましての私の質問は保留して、この程度でやめておきたいと思います。
○澁谷委員長代理 本日は、これにて散会いたします。 午後一時五十二分散会