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41回国会衆議院1962/10/09

社会労働委員会 第10号

発言数
77
登壇者
10
会派数
2
開催日
1962/10/09

会議録

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 これより会議を開きます。  厚生関係及び労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。八木一男君。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 社会保障制度審議会の総合調整に対する基本方策についての答申及び社会保障の推進に関する勧告という問題について、私は本日内閣総理大臣や、あるいは関係大臣でございまする厚生大臣、あるいはまた労働大臣に質問をいたすつもりで本委員会に出席したものでございます。ところで、この問題につきましては、制度審議会の答申、勧告ができたときに、さきの国会中でございましたので、この問題について総理大臣に直接ただすために、私どもは委員会に出席を求めること再三に及んだわけでございます。その間において、秋田労働委員長は非常に真摯な態度でこの問題に努力をせられたわけでございまするが、最初は自由民主党の国会対策委員会が、国会対策という場における問題の重要度を考えないで、総理大臣に野党が出席要求することは一切困るというようなことで国会対策を終始しようというような態度でこれにブレーキがかけられる。その後、また政府側も、この問題について非常に本腰に取っ組む態度がないような状態でこの問題が実現を見なかったわけであります。秋田社会労働委員長がその間において、国会対策委員会に対するいろいろのお話、あるいはまた総理大臣、あるいは内閣自体に対するいろいろの御努力を願ったことは、私どもは事実をもって知っておりまするので、従来の委員会運営から考えまして、現在の状況において秋田社会労働委員長の委員会の審議を有意義ならしめて国民の負託にこたえようという決心のもとに御行動になりましたことについては、十分に敬意を払いたいと思いますけれども、国会の任務や委員会の任務はこれでは済まないと思うわけであります。委員長のそのような当然の話がスムーズに受け入れられない、委員長に非常な時間のむだをおかけする、おかけをしてもそれが実現を見ないというようなところに今までの国会運営の非常な欠点があり、またこれに対する政府なり、あるいはまた非常に実際上の力を持っておる多数党である与党の国会運営をほんとうに重視する、論議を重視する、国民の立場で議会をみんなで運行していくという点に非常に欠くる点があったと思うわけであります。その点について委員長のお考えを伺いたいと思います。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 お答え申し上げます。  私も大へん遺憾に存じております。委員長といたしまして御希望に沿いたく、ただいまお話のありました通り誠意をもって交渉いたしたのでありますけれども、私の微力のいたすところか、いまだその実現を見ておりませんことを大へん遺憾に存じます。つきましては、なお理事諸君の協力を得ましてこれが実現方にさらに努力をいたしたい、こう考えておる次第でございますので、あしからず御了承を願いたいと存じます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 今の御答弁の中の委員長の御気持については、私どももその御努力に感謝をするものでございます。今後一つ十分の御努力をお願いしたいと思うわけでありますが、それに関して、たとえば政府側が、この制度審議会の答申勧告は、三年前に内閣みずからが制度審議会に総合調整について諮問をされて、三年越しに非常に多くの回数の会議を経て、ここにありますように総会十六回、全員委員会三十六回、各種の分科会数十回を持って、学識経験者といわれる斯界の非常に熱心な学者の方々や各団体の代表や、あるいはまた各省の次官や各党の国会議員が参加して、これだけの努力をもって決着を見て答申また勧告をせられたものであります。内閣自体に出たものでございますから、当然その責任者である内閣総理大臣がこれに対して積極的な意思表示を、天下に公明をされるのが当然でございまするけれども、そういう問題について私の耳にはまだ入っておりません。またその問題について委員会で要求があったならば、当然出てこられるのがあたりまえであります。それ以前に、みずからその問題について発言の場を求められるのが総理大臣の任務であろうと私どもは考えておるわけであります。ところが総理大臣であり、自由民主党の総裁である方が、その間における与党の国会対策委員の、この問題の重要性を認識しないで並列的に、しかも総理大臣を出さなければいいというような国会運営の考え方に災いされてか、あるいはまたこの間における政府の総理大臣を補佐する人たちの、問題の重要度を理解しない、また問題をイージー・ゴーイングに扱うというような態度でこのようになったのか、それともその間の人が連絡をしたけれども、総理大臣なり総裁がこのようなものを重視をしない、あるいはまた、国民の声を聞いたり議会の論議に出るのはいやだというような考えでおられるのか、どれかの問題になると思います。その最後の問題であれば、非常にこれは重大な問題になろうかと思います。そのような意味で、私は、池田内閣総理大臣がそのような人物であることは国民のために望ましくないわけでございまするが、現在の経過から見ると、どうしもて総理大臣がそのような人物であると考えざるを得ないような状況でございます。その間の連絡が不十分なために、総理大臣がそうでないのにそのようにわれわれに認識されるようなことがあったらゆゆしき大事でございまするし、総理大臣がほんとうにそのような考え方であれば、これまたそれ以上にゆゆしき大事であります。このような問題を解明するために、総理大臣がみずから委員長にお願いをして何とか委員会を開いてもらえないか、私みずから出席をいたしますからというような働きかけが総理大臣からあっていいと私は思うわけでございまするが、そのような状況にないことを非常に遺憾といたします。どうか賢明な委員長が、議会というものがいかに大事なものであるか、社会労働委員会はいかに熱心にこの問題と取り組んでいるか、この問題は内閣自体が諮問をし、それに対する答申である以上、内閣は、ほかの問題よりも先んじて重視をしなければいけないということを総理大臣に懇々とさとしていただいて、教育をしていただいて、総理大臣がみずから出なかったことについてわれわれにわび、国民にわび、これからは心がけを入れかえてみずから積極的に出席をするというような態度になるように、どうか社会労働委員長の池田勇人君に対する厳重な叱責、そしてねんごろな教育をお願いいたしたいと存じますが、委員長の御答弁を伺いたいと思います。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 八木委員の仰せ、十分了承をいたしております。従来も努力をいたしておる次第でございますが、御希望のように、総理大臣の御出席を見るようにさらに努力をいたしたいと存じますので、あしからず御了承願いたいと存じます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 それでは関係大臣が来られるまで、私のこの問題に対する質問をちょっと中断させていただきます。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 田中織之進君。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 私は、ことしの夏、ずいぶん何年ぶりかで日本にコレラが侵入するかもしれないという危険がありましたときに起こりました問題について、質問をいたしたいと思うのであります。  私どもは、小さいときにコレラが日本にも入って参ったという記憶があるのでありますが、それ以来、外国旅行等をやる場合にはコレラの予防注射をやるというようなことで、あまり実は関心を近年持っておらなかったのでありますが、本年、台湾を初め東南アジア方面に発生したコレラが日本に入る危険性がきわめて濃厚であるという際に、厚生省を中心といたしましてこれが防疫対策に非常な努力を払われたことについては敬意を表するのでありまして、特にその水ぎわ作戦と申しますか、これを水ぎわで防止をいたしましたために、日本の国内にコレラ患者が発生しなかったという結果が出ておるのでありまして、これは非常に国民のためにも喜ばしいことだと思うのであります。ところが、近年こうした切実な問題がとだえておったという関係もあるのでありますが、その意味で、いささか国民の立場から見れば、むしろこれが蔓延をすることに対する、どちらかといえばオーバーな危険を感じて対策を講ぜられたということについては感謝いたしておるのでありますが、その関係から、やはり若干の問題が起こっておると思うのであります。私、ここに持っておりまする去る十月五日の朝日新聞によりますと、世界保健機構では、ことしのコレラ禍の問題の場合に、特に検疫が、日本の政府がとった処置が非常にきびし過ぎたのではないかというようなこと——これはたとえばバナナの廃棄というような問題が、台湾政府の関係からあるいは訴えられたというような背景もあるのではないかと思うのでありますが、そういうことが指摘をされまして、この際コレラ防疫に関する国際関係の法規と申しますか、そういうようなものについても改正を加えなければならぬというような意見も出ておるという新聞の報道を十月五日付で私見たわけなんですが、私、これから大阪湾の入口であります紀伊水道に起こった問題で、具体的な影響を及ぼしたことについてお伺いをいたしたいのであります。  一つは、やはり一面検疫対策がきびし過ぎたというようなことが国際機関においても指摘されたということになりますと、今後こういうことがないことを希望いたしますけれども、やはり最近のように人及び特に貨物の国際交流がはなはだしい時期におきましては、こういうととも考えなければならぬ問題だと思うので、この点については具体的にWHOの方からどういうようなことが日本政府に提案されておるのか、また厚生省はこれに対してどういうような対処されようとするのか、まずこの点を伺いたいと思います。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村説明員 ただいま田中委員から御質問の通り、日本の今夏とりましたコレラ検疫方法につきまして、WHOから抗議が申し込まれておることは事実でございます。大体新聞紙が報じたような内容でございますが、具体的に申し上げますと、現在日本も、WHO憲章の条項に基づきまして参加各国が協約を結びました国際衛生規則によりまして、国際交通の検疫が行なわれておるわけでありますが、これは昭和二十六年に成立いたしましたときの背景が、全部下痢、嘔吐を起こしておるような臨床症状を起こしておる真性のコレラ患者を中心として検疫をするという、大正時代からずっと続いております国際連盟その他できめておりました規則を大体そのまま統合して、踏襲したものでございます。それが現行行なわれておるわけでございますか、最近南方に大流行しておりますコレラにつきましては、この規則通りにやったのでは実際に防御が全くできない、こういう実績が最近わかってきたわけであります。といいますのが、昨年の九月以来現在に至るまで約二万一千名の患者が発生し、三千二百名の死亡者を出しておりますフィリピンも、インドネシアに昨年の春以来はやっておった以後は、この国際衛生規則に基づきましてもちろん検疫をやっておったのでございますが、これがどこからとも知れず入りまして、非常な惨害を起こしたわけであります。さらにこれが引き続きましてことしの夏、やはりこれを順守しておりました台湾が侵入経路のわからぬまま侵入されまして、去る九月四日の最終患者まで約三百三十名の患者と二十四名の死者、保菌者約六百名というような惨害を受けまして、両国ともにそれぞれ、この規則は昔の非常に激しい症状を持っておったコレラの様相の場合にはよかったが、規則を順守して実際に被害を受けたというようなことを申しておるわけであります。わが国といたしましても、実は台湾の流行が始まります前、昨年のフィリピンの流行のときに、エルトール・コレラという今までの三種類のコレラ菌のほかの第四番目の菌でありますが、これが従来の国際衛生規則に入っておらぬために、フィリピンが国際衛生規則に準じて行なってそういう惨害を起こしたものでありますので、われわれの方といたしましてはこれを重視いたしまして、せめてもこれを国際衛生規則にいうコレラに入れるべしということを主張したのでありますが、これが昨年の秋はいれられませんで、やむを得ず日本といたしましては、フィリピンからの惨害の状況が日本の船に及ぶという判断に基づきまして、本年の一月十二日に、厚生省独自で、このエルトール・コレラも従来の規則でいうコレラと同様に取り扱うということを一方的に宣言をいたしましてWHOにも通告し、相手の国にも通告いたしまして、規則上にない病気も検疫原則として取り扱うことにいたしたのであります。このときに、まず第一にWHOから抗議が申し込まれました。規則にない病気に国際衛生規則を適用するのは違反であるということがございました。幸いにいたしまして、一月の中旬にWHOの理事会がジュネーブで開かれましたので、ちょうど私が理事で出席いたしましたときに、日本のこの意向を持って参りまして、強くこれの至急改正方を申し入れたわけであります。これが取り上げられまして、科学委員会を開くということで、二回にわたりまして現地であるマニラ、それからジュネーブで開かれまして、これがやはり日本のいう通りエルトール・コレラ菌によるコレラも正当なコレラに入れるべきであるという答申を得まして、五月二十三日の総会でこれが議決されて、五月二十三日以降は、ようやく現在流行の南方のコレラも日本の主張通りこれが取り上げられることになったわけであります。従いまして、一月以降四カ月間、国際衛生規則上からいいますと、やはり日本はこれの違反を継続したということでございますが、この間におきましてフィリピンから侵入の機会が大体推測されたのでございますが、実際に日本への侵入はこれによって防止ができたということでございます。  さらに、七月末以来台湾に発生いたしますと同時に、日本としては非常に近距離でありますので、この規則通りにやっておったのでは保菌者からの検査ができないということで、おそらく台湾では、これは保菌者から入り、さらにほんとうの患者よりも保菌者の方がより多く発生しております。これが他人にうつれば全く同様な症状を起こす、予防接種をしておらぬ者あるいは虚弱の者にうつれば全くこれは致死率の高い症状を起こす、同じ菌でありますので、さような判断から、日本といたしましても、八月早々以来規則をオーバーいたしまして、一切現地から来る者についてはその乗組員、いわゆる汚染地区から来る者については検便をする。しかもそれは御影丸を初っぱなにやりました。限界点でやったわけでございますが、これの実績では、一回目に出なくて二回目に出るものが約二割ないし三割ということで、二回の検便を行ないました。その間停船をして、一切接触禁止をする。しかもこれは、潜伏期間である五日をこえたものについてもある程度やらないと、十日目くらいで初めて菌を出すものがあるという実績からこういうことをやったわけであります。これは規則に対しては全く違反でございますが、日本としては、これによりまして七隻から約四十名の保菌者を現実に発見いたしました。大体違反的な内容によって発見をいたしまして日本への実際の侵入は防止できたわけで、もしこれをやりませんければ、四十名のうち約三十名は規則に該当しないのでございます。この三十名が国内に上陸いたしますと、台湾ないしフィリピンのようなことが、日本の生活環境から見ますと、おそらく相当起こったと思われるわけでございます。実質的にはこれが成功のもとになったのでありますが、違反であることは指摘を受けた通りでございますので、これに対してはまことに遺憾である。しかし日本が現実にこれをやって経験したのは、前のエルトール・コレラ指定と同様に、この間世界で今まで経験しなかった学問的な方法、大正以来の方法を改める最近の様相に応じた実績が出たのでということで、日本としては、今月十五日から開かれますWHOの検疫専門委員会にこの必要な部分の改正案を今提示いたしまして、これを向こうの抗議に対する回答にかえる。従来のことはとにかく、現行規則違反であることについては十分謝意を表する。ただし至急これを改正しないと、現在毎週約五、六十名起こっておるフィリピンのコレラの蔓延防止ということはできない。またこれの他国への散布の防止はできなく、再び台湾のごとき国がそこいらじゅうに頻発する。現に香港にも、昨年大流行を来たしてようやくおさまったのが、去る八月下旬から再びどこから入ったかわからぬような形で今流行中でございます。こういうことが起こるので、これはあえて日本が中心になって提案するということをいたしておるわけでございます。かような形で、日本としてはこの規則を改正することが、せっかくある国際衛生規則を世界のみなが守って、それのおかげをこうむって撲滅と他国への蔓延防止をする、これは絶対必要である、これを日本が、初めての経験に徴しまして主張いたしておるわけでございまして、むしろこれの提案の通過を極力期待いたしまして、それに基づいて日本のやったと同じことを各国がやって、早くこのアジア地区からコレラをなくす、こういうことを実は要望している状態でございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 私も冒頭に申し上げましたように、ある意味から見れば必要以上に重要視するというか、おそれるというか、それに基づいて対策を講じた結果、一人の患者も国内から出さなかったということについては、国民は感謝しておるのであります。国際機構との関係あるいは国際規則との関係等については、今局長が答弁されたように、やはり日本の貴重な経験を基礎に、世界のすべての国々が万全の措置をとれるような制度が、国際機構として、また国際規則の中に盛り込まれるように努力していただきたい。  ところで、そういうように日本政府が現在の国際規則にもないような厳重な処置をとった結果、また突然のことでもあり、最初に申し上げたように何十年ぶりにコレラの問題が出たために、関係者が全く寝耳に水というような感じで非常にあわてたというところにも、いろいろな被害というか、損害が、通常発生するより以上の大きなものが起こったという点もあると思うのであります。その点については、いわゆるコレラのために休業をしなければならなくなったとか、特に私もこれから質問申し上げたいと思うのでありますが、問題の船の汚物が投棄されたと見られる海域での漁業あるいは漁撈をしたものの処分、魚価の低落、あるいは門司市等における飲食、旅館その他の公衆衛生関係の仕事に従事している方面等に、直接間接にいろいろな影響を与えておると思うのであります。この点については、災害を受けた国民に対しては、その災害の補償ということではありませんけれども、災害復旧あるいは立ち直りのために、国として当然政治の上で考えなければならぬ問題があろうかと私は思うのであります。  そういう観点に立って、コレラ防疫対策上生じた諸問題に対して、特にそういう損害を受ける面に対する補償関係については、いろいろな要求が出ておると思うのであります。特に問題になりました台湾バナナを取り扱う青果物業者、輸入業者というような関係からも、まっ先に防疫あるいは検疫対策上廃棄した商品に対する補償問題というものも起きておったと思う。それから聞くところによると、一番最初の御影丸の関係で、門司市等で休業のやむなきに至った者に対しましては、たしか生活保護法の適用でありますとか援用に基づいて、若干の補償もなされたように聞くのでありますが、私がこれから申し上げるたとえば和歌山県の下津港の場合、これは大阪に入港する予定の船が、きわめて便宜的に、その関門であります和歌山下津港に入港した。ここには検疫設備というようなものも大阪の出張所がある程度で、問題は高砂丸外二隻でありますけれども、そのためにはやはり大阪から人を派遣しなければならないというような事態になって、しかもそのことについて和歌山県当局を初め関係方面への連絡が、船会社の方からも、またそれらのコレラの検疫対策本部を持たれている厚生省の方からも、きわめて不十分というか、いわば事後でするというような関係から、いろいろな摩擦なり問題が起こっているのでありますが、そういうようなことについてはまだ何ら対策が実は講ぜられておらない、こういう段階にあるのであります。まず概括的に、コレラの防疫対策上起こりましたそういう補償問題等の諸問題に対しまして、政府関係機関はどういうように現在までに処置せられておりますか、対策の具体的な結論だけでけっこうでございますから、お示しを願いたい。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村説明員 このコレラ防疫上の問題でございますが、三つに分かれまして、先ほどは国際衛生規則との関連でいいますいわゆる検疫措置、これは国内におきましては検疫法というものができておりまして、この検疫法でやる措置、これが先ほどから申し上げた問題でございますが、この検疫法によって、検疫時のいろいろな強制措置をやりました場合の損害等につきましては、国際的にも、もちろんわが国の検疫法でも、一切補償措置というものは、法律にもございませんし、国際法の常識から、これは国際間並びにその国の社会公共の防止上行なう義務といたしまして受忍すべき義務があるという形で、補償の思想は一向盛られておりません。  それから第二の問題といたしましては、国内に汚染のおそれが相当濃厚になった場合にやります伝染病予防法に基づくいろいろの防疫措置並びにこれの強制に伴う損害の問題でございます。この場合には、府県知事が伝染病予防法に基づきまして、汚染の危険のあるいわゆる接触者につきましては、それが公衆に物あるいはその人間を通じまして接触のおそれがあるという意味で本人の業務を停止する。ただし、これは五日間。いわゆるコレラの従来の常識である潜伏期間である五日間というふうになっておりますが、この間業務を停止する、あるいは交通の遮断というようなこと、並びにその汚染されました、あるいは汚染のおそれの非常にある海域につきまして水の使用、コレラの場合は海水でございますが、海水の使用禁止あるいはそこにおける遊泳の禁止、その地域内における漁撈の禁止、こういうようなことができるようになっております。これは知事が、地域の場合にはそれぞれ地域を指定し、それから人間の場合には個人を指定する、こういう形によりまして命令を受けた場合には、その命令に服従しますとこの損害問題が起こってくるわけでございますが、この場合に、現在考えられておりますのは、営業を停止されましても損害を補償するという思想は、先ほど申し上げましたような社会公共の防衛上の目的から当然守らなければいかぬ受忍義務ということで、補償という思想は一切ない、ただし、営業を停止されたりあるいは業務を停止されたために、五日間外とも遮断されて収入の道がなくて生計に困るという者に対しては、生計費を支給してとにかく食いつなぐ、こういう規定があるわけございます。これによりまして、山口県の下関と福岡県の門司市周辺におきましては、御影丸の三十二名、この中には約半数がその後保菌者と決定したのでございますが、これらが上陸して一昼夜間歩き回った、これと接触した市の方約二千数百名、これが汚染されたおそれがあるというのでいろいろの措置をいたしました。これに対して、その収入を失ったのでこの生計費を補給するという、これはいろいろの条件がございます。条件があるほかに、大体現在予算の補助の交付基準の中に、生活保護法の基準によって算定するということがきまっておりますので、それによって算定して当該公共団体が支出する。これに上級である県並びに国がそれぞれの比率の補助を出す、こういうことでやったのでございます。これのみでございます。現在のところはさような思想がずっと続いておりまして、法律にも、これらの現実に、たとえば魚価が下がる、あるいは汚染されたであろうという形でその周辺等で漁撈を控える、このために経済的の損失を受けた者に対してこの防疫上の必要で措置をした、あるいは措置をしなくても、同じような準じた思想でやった場合の損害補償という形はないわけでございます。従って、現在のところは、この問題は、許される範囲ではどうにも行ない得ないという形でございますので、やりました措置は、ただいま申し上げました命令を出して就業禁止をした者の五日間の生計費支給、これだけを現実に措置をした、こういう形でございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 それでは、特にこれは検疫上の処置ということになるかもしれませんが、バナナの廃棄した関係のものについては、どういう処置をなさったか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村説明員 先ほど二番目まで申し上げました三番目が、ちょうどこのものの関係でございます。これは環境衛生局の所管でございますので、環境衛生局長から申し上げます。

五十嵐義明厚生技官(環境衛生局長)

○五十嵐説明員 お尋ねのバナナの廃棄に関する補償問題についてお答え申し上げたいと思いますが、コレラの国内侵入の防止につきましては、公衆衛生局と協力いたしまして、食品衛生の面から私ども努力をして参ったつもりでございますが、バナナの廃棄につきましては、御承知のように七月の末台湾の流行がかなり激しくなりまして、輸出港である高雄から二十五日に出ました船が、同日高雄に患者が出たということを承知いたしましたので、その船から以後四つの船につきまして、バナナの輸入の禁止措置をとりまして廃棄を命じたわけでございます。以後輸入はとぎれておるわけでございますが、この四つの船のバナナ約六万かごにつきましては、御指摘のように、その輸入原価あるいは廃棄の費用等につきまして損害の補償の御要望があるわけでございます。私ども、業界のコレラ侵入に対する非常な御協力もございまして、この損害については、情においてはまことに遺憾に存じておるわけでございますが、法規上の建前としましては、この廃棄のおもな根拠となっております食品衛生法におきましても、これを補償するという規定がないわけでございまして、いろいろ検討はいたして参りましたが、私どもの立場では、この問題につきまして、法規の示すところに従って補償するという建前はどうしても出て参らないということでございまして、まことに遺憾ながら補償の点につきましては御要望に沿いかねるという事情にあるわけでございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 一般的に、社会公共の福祉のために耐え忍ばなければならぬものだ、従って検疫、それから防疫、伝染病予防というような観点からの損害に対しては、現行法では補償の考えはないという点は一応理解されるのでありますけれども、率直に申し上げまして、検疫の処置にも必ずしも万全でない。ある意味から見れば欠陥が出てきている。和歌山県の下津港の場合の例なんかは、一つはそういう問題が出てきている。たとえばあのときも。八月四日、大阪湾と申しますか、内地へ入って参りますそれらの疑わしい船に対する便管閉鎖の処置が、四日の夜おそく通達をされておりますけれども、現実に紀伊水道へ入ったときに、便管の閉鎖が完全に行なわれておったかどうかということについては、一般には確認のしようがないわけなんです。その意味から見れば、やはりたれ流しだ、こういうような問題が一つ出てきております。そういう意味で、必ずしも検疫あるいは防疫上とる処置が完全なものでないというような場合に、それでも全然補償をしない、こういうことではないのではないかという点が私は一つあると思うのでありますけれども、現実に関門の場合も、今滝井委員に伺いますと、漁撈を中止した、あるいは魚価が低落したというような漁業関係については実は補償の問題がまだ全然未解決だ、また現行法では無理だ、広く解釈をすれば、そのために漁撈を中止して休業のやむなきに至ったものは、先ほど公衆衛生局長が言われたような観点で、それは生活保護法の対象になる。そのために生活困窮を来たしたというような場合には、生活保護法によって、先ほど言われたように、たとえば飲食店だとか、御影丸の船員が立ち寄ったと思われる関係で交通遮断とか、そういうような営業停止を命じたものに行なったと同じ処置が、漁業関係についても解釈を広げればできないことはないのではないかということを話し合ったようなわけなんですが、和歌山県などの場合には、その点が私は当局にも責任があると思うし、船会社の方も不都合だと実は考えております。そういうような関係から、実際以上におそれおののいてあわてた。また知事の権限で伝染病予防法に基づいてやりまする遊泳禁止の問題も、和歌山から遠く串本の近くまでの海域を遊泳禁止地域に知事が指定せざるを得なかった。そういうような関係から、問題の和歌山下津港の周辺だけではなくて、遠く白浜だとか、そういうような観光地も——特に那智の和歌山県の観光地は海水浴場が主でありますので、そういう関係で、せっかく予約を受けていたやつも、下津にコレラ船が入った——海南市なとは、なま魚を食べたらいかぬという注意を市の広報車でやったのが、魚は食べたらいかぬ、こういうように伝わった。実は委員長の徳島県も、漁業の関係では、同じ紀伊水道で漁業をやるわけでありますから影響を持っておる、あるいは兵庫県の淡路島の関係も影響を持っておるというような報告が私どもにきておるわけであります。そういうような関係のものについては、現行法ではそういう建前になっているという点、一般に全体の福祉のために耐え忍ばなければならぬという性質のものであるということはわかりますけれども、そのために特定の人たちが、普通の人以上に大きな犠牲を払うという場合には、国が考えなければならぬのじゃないか。その点から、現行法ではそれがどうしてもできないということになれば将来の問題も含んでくるわけでございますから、私はやはり法改正で  もちろん限界を置かなければならないし、その点は非常にむずかしいかもしれませんけれども、考えていただかなければならぬことになるのではないかと思う。その点についての厚生省の御見解を伺いたいし、水産庁から漁政部長がお見え下さっておるようでありますが、水産庁の立場から考えて、そういう漁撈を中止せざるを得なかった、あるいはそのために問題が表面化した——当初においては、せっかく漁獲いたしましたものも全然売れないで、一部分廃棄したものもある。私どもは、関門から送って参りましたものについて、大阪の中央市場がそれを何らか処置するというならなんですけれども、また山口県まで送り戻したという問題があるということを聞いているのです。かりにコレラ菌で汚染した疑いのある生鮮魚物だということになれば、大阪で廃棄なり何なりの処置をとればいいけれども、それを山口県までまた時間をかけて戻すというようなことをやる。これはまた特殊な問題として、大阪の卸売市場との間で補償問題も起こったやに聞くような問題が出てきているのでありますが、水産庁の関係としては、こういうような関係から、やはり漁民が相当影響を受け、損害を受けておるのであります。その問題についてはどういうようにお考えになっておるのか、今後どういうように処置されるおつもりか、厚生省と水産庁の両方からお答えをいただきない。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村説明員 お話の通りわれわれもずいぶん研究いたしましたが、現行の法規では——立法の趣旨までひっくり返して見たのでございますが、とにかく、先ほど申し上げましたように、社会公共のために受忍すべき義務ということで補償の義務がどこにも出て参りませんで、あくまで生活費の支出と、ペストの場合、建物を焼き払った場合損害でなくてやはり手当金をある程度支給する、この二つしかありませんので、これは最近の情勢に合わぬ点もある。しかし、そういう根本思想も、ほかの法規でも同じようなものがたくさんありますので、この伝染病予防法だけについて考えるのも不適当な点がございます。ことに、他の法規でごく例外的に補償をする部分が終戦後できましたものに一、二ございます。これらとにらみ合わせまして、こういうような公共の福祉のためにかなりきつい拘束を加えて生活上の損害を与えたという場合については、やはり補償するのが適当かどうかということをそれぞれ適当な機関にかけまして至急検討を始める、これが必要であろう。こう思っております。ただし、その場合にも、必要な命令措置、いわゆる拘束をかける条件というものを綿密に検討してやっておかなければいけない。それからまた、科学的にコレラならコレラの散布は実態から見てどういうようなルートでいき、どこまで危険かというようなことを明らかにいたしまして、これは法律を改正する場合にも、また同時に国民なり関係者にもよほどよく徹底しておきませんと、これを本来必要でなかった部分まで行なって、そのために害をいたずらに多数に拡大して及ぼす、こういうことが起こりますので、これはもう最後まで解決しない問題になりますから、こういうような点でやはりコレラ蔓延散布の実態を科学的に明らかにして、これを行政に移す場合によく周知徹底しておく、それに応じた措置をやるということと、それから、今申し上げましたように、今度は逆にいろいろ必要な命令が出た場合にはよくこれに協力してもらう、これを守ってもらうために、確かに、こういうような衛生法規ではございますが、それに対応するような補償措置を至急検討の必要性はある、こう感じております。われわれといたしましても、伝染病予防調査会なり幾つかの関連の調査機関、委員会も持っておりますので、これに諮って検討していく方向へいきたいと考えております。すでに伝染病予防調査会のコレラ委員会にはこの問題を提起いたしまして、専門的な検討を得つつあるわけであります。さような意味で御了承をお願いしたい。

和田正明農林事務官(水産庁漁政部長)

○和田説明員 水産庁の漁政部長でございますが、ただいまの御質問にお答えを申し上げます。  御承知のように、本年夏コレラが発生をいたしましてから、水産物はなまで食します関係もございまして影響が大きいということを考えまして、すぐに庁内に対策委員会を設置いたしまして、関係各省とも連絡を密にし、また、漁撈関係者にもそのつど情報を流します等、いろいろ対策を講じて参りました。具体的には、一番最初に現地から強い要望で出て参りましたのは、下関市を中心にした関門の地区でございます。これはたしか八月の二日から八月の十一日まで付近の海面に漁撈禁止の措置がとられましたほかに、遊泳の禁止でありますとか水の使用禁止措置等が行政措置としてとられたわけでございます。これに伴いまして付近の漁業者が漁業ができませんために、平常のペースで考えました漁獲高がなかったということで、何らかの措置をしてほしいという強い要望もございまして、厚生省の関係各局といろいろ折衝いたしたわけでございますが、先ほど厚生省の関係局長から御答弁がございましたように、漁撈禁止の措置がとられましたために生活の困窮を来たしました者につきましては、生活扶助法によるのと同一の基準で生活費の助成が出るというところまでのお話はつきましたわけですが、現地からはそれ以上の、現地の言葉で申しますれば何らかのほのぼのとした対策をとってほしいという強い要望もございまして、私どもとしても当然の現地の要望であろうかと考えまして、強く厚生省にはプラスそれに加えて適切な措置が当然ほしい旨の申し入れをいたしたわけでございます。その後和歌山県の下津港の問題につきましては、現地から話がありまして、これはあとで私ども承知したわけでございますが、何隻かの船が下津港に回りましたために、漁撈禁止の措置はとられませんでしたけれども、漁民側が自発的に漁撈を三日か四日ほどやめますほかに、一般的に魚価が下がりました。それについていろいろ厚生省にお願いしたら、何か考えてもいいような趣旨のお話があったから、関係庁としての水産庁からのルートではないけれども、その話がうまくついたときには足を引っぱらないようにという非常に義理がたいごあいさつがございましたわけです。一般的に考えまして、ただ生活費を補償するということだけでなしに、魚価の暴落でありますとか、あるいは本来あげるべき収入があがらなかったということについては、何らかのプラス・アルファの措置がとられることは現地の気持としても当然であり、私どももそういうことが望ましいと考えましていろいろ厚生省とも相談をしたわけでありますが、御存じのように、漁撈の関係ばかりではなしに、たとえば遊泳禁止という措置がとられますれば、休憩所と申しますか、脱衣所の施設をやっております業者にもある程度の被害はございましょうし、いろいろ関係をいたします向きが非常に広いわけでございますので、水産だけでどうこう申しますよりは全体である程度バランスをとって、また社会生活全体の中で受忍義務というものもあろうかと思います。全体のバランスをとった御措置は厚生省におまかせをいたしまして、何らかの処置をしていただきたいという希望を強く申し述べまして本日まで参っておるわけであります。それからあとにつきましては、先ほど来厚生省の関係局長が御答弁になっておるような事情になっておる、こういうことであります。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 現行法の点から見るとむずかしいということに結論がなるわけでありますけれども、それかといって、現実にコレラが日本へ入るということを防いだ。特に和歌山下津港の場合には、高砂丸という大阪商船の船は大阪港へ入る、大阪港で検疫を受ける予定であったものが、きょうはお見えになっているかどうかわかりませんけれども、やはり厚生省の担当の技官から、黄色い旗を掲げて下津へ入れば、不十分だけれども検疫の設備があるのだからということで断わり切れないのだという意味で、裏を返せば下津で受けたらどうかというような意味のサゼスチョンをしたために下津港へ入った。しかもそういうような処置をとられるならば、当然やはり関係の和歌山県に厚生省からも、あるいは大阪商船の方からも、こういうことで問題の船が入るということについての連絡があれば、実はこんなにあわてた処置も県はとらなかっただろうと私は思う。私は広く考えますれば、大阪湾深く入りまして、大阪でかりにその船の関係からコレラ菌が上陸するということになって大阪で及ぼす影響を考えれば、その大阪湾の入口の下津港でこれをチェックすることができれば、これはやはり下津港でチェックするのがほんとうだと思う。その点から私が、いわゆる検疫上のことについての政府の処置なり当局の措置が万全でない場合は一体どうなるのかということを先ほど申し上げたのは、実はこの点にかかるわけです。その意味で、今度の場合に、非常に面くらった和歌山県の知事やその他の県当局の諸君とは別に、厚生省の大友技官が——そこまでは言わなかったけれども、処置したことについては、全体的な観点からは私はむしろ了解していいと考えるのでありますけれども、そのことについての連絡が全然なされていない。しかも、これは八月五日の未明に和歌山下津港に入港しておるのでありますけれども、高雄で上陸をして二十何名の船員のうちで七名の下痢患者があるという船が、まっすぐ大阪港に入港する予定が下津港に入るということが、四日の午後の二時に日本経済新聞という新聞社の通信員の関係から県が知った、そうして晩になって県からの連絡に基づいて県の東京事務所長が厚生省へ参りましたらそのときに、あとでわかったことでありますけれども、問題の台湾から来る船すべてについては、日本の領海へ入ると直ちに便管閉鎖をやるという処置の決定が四日の夜おそくなされた。私どもが聞いているのでは、八時ごろに東京事務所長が会議中の局長にお会いをいたしました。しかしそれは、今夜すでにもう通達はあるいは無線でいっているかもしれぬが、便管閉鎖の処置を命ずることにした、それはやはり予定の検疫港に入港するので、下津港に入るというようなことは考えられないということなので、それを四日の午後八時に局長から伺っておるのが、五日の未明に問題の高砂丸は下津港に入っておる。しかも手ぎわのいいことに、大阪の検疫事務所の方から、下津は支所でありまするから設備はきわめて不完全だ、また医者も足りないという関係から、七、八名の者が、下津港で検疫をするために、そういうことを伺った四日の夜には、すでに人員の異動が下津へなされているという事実が実は判明をいたしておるのであります。私は、この点は、高所から見るならばやはり大阪湾の入口の下津でチェックすることの方が大事に至らないわけなのですから、それはけっこうだと思ってむしろ支持したいと思う。支持したいと思うんですけれども、やはりそういうことについて漁民の関係もありましょう、全般の公衆衛生という観点から、県知事が、県の衛生部があずかっておるという状況の中で、これはきわめて連絡が不十分だっ光、極言すれば検疫上の対策についての欠陥だ、そのために起こった問題だということにもなり得るので、私はこの場合にそのことから派生した問題については、規則の点ではそうかもしれませんけれども、いわゆる高い次元に立った政治の立場から考えていただかなければならぬ問題があるのではないか。この点は県選出の議員から大臣にも連絡をとりまして、局長に出ていただきまして、都道府県会館でお話しをしたままに実はなっておるわけであります。その後、聞くところによると、厚生省の担当者の間で、そんなことでやかましゅう和歌山県が言うなら、国家賠償法によって厚生省を訴えたらどうだ、こういう言葉が出たということを聞くにおいては、これはまるきり了解ができない。そういう意味で、閉会中で、ことに同僚の諸君が社会保障の問題について当局に対して質問をするというときに、私、委員外でありますけれども、きょうは特別に委員にかわっていただいてこれを取り上げざるを得ないということに相なるのであります。大蔵省からもお見えになっておると思うのでありますが、規則を改正しなければ出さないという一応のお答えはそれで承りますけれども、現実に起こった問題については、私はやはり何らかの処置、たとえば生活保護法の、先ほど言うた休業補償の問題についての解釈を広げるならば、漁民についても何らかの処置が考えられる。先ほどバナナの問題については局長は触れませんでしたけれども、新聞紙の伝えるところによれば、これは現実には輸入されてないのでありますけれども、何ですか一億数千万円の差益金は免除する。あるいは現在なお台湾からの輸入がストップされておるのかもしれませんけれども、東南アジア方面からの輸入の外貨割当の問題については、そういう関係の業者について配慮する。従ってバナナの関係者は、直接的な補償はされないかもしれませんけれども、今後はやはり地域を変えたところからのバナナ輸入の外貨割当というようなものについても考慮をしてもらえるということになりますならば、長い目で見れば、やはり国の政治の関係によってその痛手の幾分かでもいやすことができるような道が現実にとられておる。そうなるならば、関門の関係も、先ほど申し上げたようにまだ漁業関係については何とか考えてみようというお気持は持たれておるようでありますけれども、結論が出ておらないようにも伺うのでありますが、一歩進めて、漁業関係についてもそういうことで厚生省にお願いしているというだけの問題じゃなくて、この地域の漁民にそういうことの、平たい言葉で言えば、埋め合わせができるような意味の、一般的な漁業振興対策の中でも特にやはり重点を置いた形で何らかの施策を考える、あるいは関係の自治体には、もちろん伝染病予防法に基づいてのいろいろな行政費の増加分については、補助金なりあるいは交付税なりというようなものについての考慮をしたいただけることは当然だと思うのでありますが、思い切って、たとえば特別交付税の配分というようなものの中にも配慮されることによって、実質的に何らかの償いが幾分でもされるということで、初めてあたたかい血の通う政治になるのではないか。事務当局の皆さんにこの答弁を求めることはあるいは無理かもしれませんが、あなたたちは大臣を補佐されている立場から見て、その点はやはりそういう案を立てていただいて、大臣を動かすというように努力をしていただきたいと思うのでありますが、関係当局からその点についてのお考えを重ねて伺いたいと思います。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村説明員 お話の通り、法規上、理屈上は現在のところ不可能でございますが、ただ現実に八月の早々で、ちょうど御影丸が二日に決定したわけでございますが、それの一日後で、お互いに本省も、それから全国にもいろいろな実際の情報も渡らぬで、ただ新聞紙等に台湾から日本に相当な侵入を見たというような時期でございますので、決してどこを過剰にやったとかいうふうには考えておりませんで、ああいう早々の際、われわれにももちろんあわてたところもございます。県の方あるいは国民一般もやはり非常に驚いた直後のことでございまして、そのときに発生した事件でもございますので、事実発生して損害を受けた方に対しては非常にお気の毒に思います。そういうような渦中での発生でございますので、決してこれは理屈外のことをやって自業自得というようなことは一切考えておりませんので、同情しておるわけであります。従いまして、先ほどの国家賠償法で訴えたらいいだろうというようなことは、私どもの方の関係者から出るはずはないと思っておりまして、もしそういうようなことが伝わったとするならば、これは何か途中で誤伝であろうかと思いますので、決してそういうようなことを考えておるものは一人もございません。現実にああいう際に起こったことに対しては、みんなお気の毒に思います。しかしその結果、国内全体が助かったということは感謝しておる次第でございます。ただ先ほどから申し上げますように、現行の法規の中で国費による補償等考えざるを得ないので、そういうことで、一般的に漁撈を手控えたための補償とか、そういうことはそのものではできませんが、しかし県並びにその周辺の市がいろいろな迷惑をこうむったことに対しては、一つはやはりこの和歌山県が、従来いろいろな災害を受けまして非常に財政困難なところなので、予防上他の、たとえば福岡、山口のように、常時かなり大きい県で完備しておるところと比べまして若干自信がないといいますか、入られたら大へんだというような形で、その予防上の整備その他にも若干ふだんから劣るところがある。そういうようなことで、やはりこういうような場合には、相当大きくやらぬと万一の場合大へんだということもあったろうかと——これは結果的に見まして下津の問題も御指摘の通りでございますので、従って、せめても、こういうことが起こってもそう必要以上に心配せぬで済むように、伝染病防疫のためのいろいろな整備というようなものを、極力重点的に和歌山県にはかっていこう、こういう形で先般来、本年度の伝染病予防法の補助による整備計画によって、関係県は優先的にあげまして、これを先に考えるという形で今やっておるわけでございます。他の県に優先していろいろな予防上の設備、補助要請をできるだけ全部見ようという形で今作業いたしております。検疫所につきましても、これは国費でございますので直轄でございますが、これも下津の整備を十分にしよう、いざというときに応援に一々物まで持っていかぬで済むように、せめて整備しておこう、こういう形で実質的なことしの整備体制にかなりウエートを置く、こういうことを一つはかっております。  それから先ほどの生計費の問題でございますが、これは予防法によりまして命令を出したのは遊泳禁止だけでございますので、もしやるとすればこれの範囲でできるかもわからぬという形で、遊泳禁止によりまして現実に従業を禁止した場合、検便結果の判明する三日間、これは理屈が立つのではないか。ただし、この場合には、逆に今度一番損害を受けました漁撈関係者等は、全然これは対象になりませんので、その三日間だけ、その前の日までやっておった遊泳が禁止されたために従業できないという少数の、また特定の者に限られております。これはまた逆に考えますと不公平になり、他を誘発するおそれがある。しかも門司あるいは神戸のように、現実に保菌者が発見されまして、それ以後現実に汚染のおそれありとしてやった場合と、実質的には菌は全然こなかったということで、ただその三日間済むまでが疑いが相当濃厚であるという措置というだけになりますので、今まで前例がないので非常にいろいろ疑問点があった。この点は十分研究いたしまして、もし法に該当してやるべき筋に十分立証があれば、またこれは十分考えていきたい、こう思います。

和田正明農林事務官(水産庁漁政部長)

○和田説明員 先ほどお答え申し上げましたように、単に生活費の補償だけでなしに、何か行政措置でプラス・アルファを加えてほのぼのとした対策をとってほしいという現地の要望は、私ども水産を預かります立場としても非常によくわかりますし、当然の気持であろう、こう思っております。  そこで、先ほど申しましたように、いろいろ厚生省の方にも申し入れをいたしておるわけでありますが、被害を受けたと申しますか、関係者が単に漁業者ばかりではなくていろいろな業者もございます関係で、補償というようなことになりますと、漁業だけが独走いたすわけにも参りません。全体としてのバランスのある措置がとられなければなりませんので、その点につきましては、厚生省の方にも今後の検討にさらに希望を申し述べまして、期待をいたしたいというふうに考えております。できるだけプラス・アルファの措置がとれますように、よく厚生省と打ち合わせたいと思います。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 午後八木君の方で予定もあるところで、厚生大臣が見えて大臣に質疑をいたしたいということですから、私質問をあと一問で終わりますが、ことしの夏のコレラの問題で受けた影響の関係について何とか考えてくれということを申し上げておるので、公衆衛生局長その他から西村大臣は一つ実情をお聞きいただいて、関係の漁民等にあたたかい思いやりのある御処置をお考えいただきたいと思います。  それから運輸省の関係の方がお見えいただいておると思いますので、最後にその点をもう一問だけ伺っておきたいと思います。  今厚生省の方から、和歌山下津港の検疫所の整備の問題については、これは当然考えていくということを言われました。私どもは、かねて運輸省に対して和歌山下津港の特定重要港湾の指定を実は要請いたしておるわけであります。現在の十のほかに、貨物の取り扱い量その他いろいろな関係から見ますると、御承知のように全国に港が幾つかございますけれども、和歌山下津港がその十一番目に属しておるわけです。十二番目がたしか北海道の室蘭港であったと考えております。そういう関係から見まして、実質的にはやはり特定重要港湾としての機能を果たしておるのでありまして、また先ほど、検疫所の関係から見ましても、大阪湾深く大阪港なり神戸港に船が入るという前に、紀伊水道の入口である和歌山下津港でこれを捕捉することができれば、大阪、神戸というような大都市に対しておそるべき伝染病の危険を防止することにもなるわけなんで、その意味で特に和歌山下津港の重要港湾としての指定をお急ぎいただきますとともに、その検疫設備も、港として当然整備しなければならぬ設備ではございますが、そういう角度で、今度はたまたまコレラの船の問題で、厚生省も下津の支所を、これは支所ということではいかぬということに考えを進められておるのでありますから、、港湾全体を預かる運輸省の立場においても、この点を考えていただかなければならないのではないかと私は思うのです。この点、運輸省港湾局からお見えになっていればお考えを承りたい。  それから港湾局の関係から、はなはだなんでありますが、和歌山県のコレラ船であった高砂丸、その他もう一隻は、たしか大阪商船の関係のチャーター船か何かだったと思いますが、こういうような国会でまで問題になる問題について、その意味から見れば和歌山県なり関係の海域に相当の迷惑をかけておるのにかかわらず、大阪商船から、平たい言葉で言えば何のごあいさつもないわけです。そういう形では、万が一こういうようなことで緊急になにしなければならぬというような場合にはちょうど神戸港が入ってもらうことをお断わりしたというような形で、和歌山下津港としてはそういう船はお断わりする、これはやろうと思えば今の規則の上でもできないことはないわけなんです。私ども聞くのに、大阪港は、こんな船は入ってもろては困る言うて厚生省へ泣きついた結果、厚生省の方では、下津には不十分だけれども設備はあるから、黄色い旗を掲げていけば断わるわけにはいかないというサゼスチョンに基づいて問題が起こった。そういうことを各商船会社との間にわれわれは繰り返したくはありません。国際港として発展することを和歌山県民はみんなこいねがっておる立場であります。やはり関係の海運会社にも、運輸省としては十分、そういうようなことについて問題を起こしたら、その問題の締めくくりくらいはつけるような、これは私、政治に関係いたしまするけれども、やはり道義的な問題だと思うので、その点については一つ運輸省からしかるべく注意喚起をしていただきたいと思うのであります。同僚の八木君の質問の関係もありますのでこれで質問を打ち切りますけれども、特に運輸省の港湾局関係がお見えになっておりますれば、私が最後に伺いました点について御所見を伺いたいと思います。

宮崎茂一運輸技官(港湾局技術参事官)

○宮崎説明員 運輸省の港湾局の宮崎参事官でございます。  ただいまの御質問は、和歌山県下津港を特定重要港湾にするようにというようなお話だと思いますが、実は現在の特定重要港湾の選考基準では、まだ和歌山下津港は該当しないわけでございます。室蘭、徳山、下松とか姫路とか、そういったところから昇格の要望がございますので、私どもは全般的にそういった基準を変えよう、こういうふうに考えておるわけでございます。さしあたり特定重要港湾と申しますのは、重要港湾のうちで外国貿易上さらに重要な港湾、こういう港湾法上の名称でございますので、重要港湾の選定基準も相当古くなっておりますから、この重要港湾の選定基準の案をつくりまして、ただいま大蔵省と折衝いたしております。それが解決いたしますればその上に立ちまして、さらに特定重要港湾の選考の基準をつくります。そして個々の港の問題をその基準に合わせて折衝していきたい、かように考えておりますので、田中先生の御質問の趣旨に近づいて、そういった全般的な基準というものを変えて特定重要港湾というものの基準まで満たして、和歌山下津港あるいは徳山、下松、室蘭、そういったものをどういうふうに重要港湾として位置づけるかということを大蔵省と話し合いをしたい、かように考えている次第であります。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 実は運輸省からそういう答弁を伺おうとは考えてないのです。私、実は運輸委員もいたしておりますので、この問題については運輸委員会で取り上げますから、重ねて答弁は要りませんけれども、現行の基準で特定重要港湾として指定されておる十港よりも、いろいろな条件において和歌山下津港は劣っていないのです。ただ関係の方面の室蘭あるいは徳山その他というような関係毛この際指定をするということになれば、和歌山下津港一港だけじゃなしに、幾つかのものをやはり昇格させたいということと、もう一つの問題は、やはり特定重要港湾になるということになれば、勢い国費を港湾整備のためにつぎ込まなければならぬことになるわけです。その点から見て、従来運輸省の港湾局の局長にいたしましても、関係者は、この点は予算の関係で、大蔵省が了承してもらえばきまるのだということを、私どもには答えておられるのです。ところが大蔵省の方に行くと、肝心の運輸省の方がこの際重要港湾指定の基準について再検討を加えて、もし重要港湾として指定をするなら幾つか一緒にやりたいからということで、実は待っている状況なんで、ちょっと宮崎参事官のお答えは、そういう意味で私どもがこの問題に取り組んでいることは違うわけなんですけれども、私はその点は重ねて御答弁も求めませんし、また運輸委員会でその問題は主として取り上げます。ただ本日申し上げたのは、そういう意味で今度のコレラ船の関係から見ても、港湾として必要な検疫設備、これは、下津港は油の輸入にいたしましても、木材の関係にいたしましても、外国船が入って参るわけなんで、そういう点から見て、私はむしろ厚生省、国全体の立場から見て、和歌山下津港の検疫設備を、港湾行政担当者としてこの際整備した形で進めてもらいたいということを申し上げておるのです。一つその点は、後ほどこの委員会の速記録もごらんになって、私どもの申し上げている点を十分おくみ取りの上で善処していただきたいと思います。その点はもう答弁は要りません。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 八木一男君。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 社会保障制度審議会の社会保障の総合調整についての答申、勧告について、労働大臣、厚生大臣並びに大蔵省の方に御質問を申し上げたいと存じます。  まず最初に国務大臣としての両大臣に御質問を申し上げたいことがあるわけでございます。と申しまするのは、社会保障制度審議会の今回の答申、勧告は、三年前の九月に内閣から社会保障制度審議会に諮問がございました。それから三年間鋭意審議会では努力をされたわけでございます。この前文にありますように総会が十六回、全員委員会三十六回、各種の分科会を数十回持ちました。その全員委員会と申しますのは、夜は八時、九時までぶっ続けのこともございましたし、その中で非常に努力を重ねられました委員の今井一男氏が、その途中で疲労のために吐血をされて入院をされる、非常に悲しむべき残念なことでございますが、そういうことでおわかりのように、非常に熱心な、真剣な、猛烈な討議が行なわれた、その結果として答申、勧告が出たわけでございます。その問題について、内閣総理大臣のこの問題に対処するやり方がはなはだ不十分であって、遺憾である。前にこのような答申、勧告がありましたときに、たとえば鳩山内閣、たとえば岸内閣は、この問題については総理大臣は快く国会の要請に応じて答弁をされたわけであります。それにもかかわらず、この問題についての決意を伺おうとして当社会労働委員会でこの前の国会からこれを取り上げることを決定し、もちろん委員長初め与党の理事の方もこれを承知されて、そうしてこの問題の推進に当たられたわけでございますが、その間において与党の自由民主党の国会対策委員会が、総理大臣が忙しいからなかなか出席することが困難であるというような、非常に勝手であり、また一般的な現象でこれを扱って、そうして連絡を不十分にされました。そのような状態でございますので、委員長はそれを打開するために、直接総理大臣にも、また総理大臣の取次役である官房長官にも、非常に熱心な御努力をされたわけです。質問をすべきである、私のみでなしに各委員がされるわけでございますが、それを主張したものの一員といたしまして、自民党の国会対策委員会にもあるいは内閣の官房長官にも、私自体その内容を申し上げて、早く御出席になるように要請をいたしました。それにもかかわらず臨時国会中においてはそれが実現を見ません。その次に閉会中の審査にそれをやることを努力するという約束を自民党の国会対策委員会はされました。国対委員長の竹山さんも相当の努力をされたわけであります。しかしながら、いまだに総理大臣の出席が実現をしておらない。かような、出席をされない理由がいかなるところにあるかということで、官房長官の出席を求めても、官房長官ですら出席をしないという状態であります。本日も閣議は十二時よりだいぶ前に終わったことを私どもも承知をしておるのであります。記者会談がございました。しかしながら忙しいことはわかっているけれども、最初の十分でもいいから出てこいといっても、委員会の決定として委員長がそのことを何回連絡をしても、出てこられないというような状態でございます。そういう状態でございまして、そうなると池田内閣総理大臣は社会保障を熱心にやるということを言っておられるけれども、それはまっかな偽りである。かく重要な内閣に関係のある審議会の意見を尊重すると言っておられるけれども、これはまっかな偽りであるというふうに疑わざるを得ない。しかもこの審議会は、これは内閣自体の審議会であって、内閣が諮問をして、答申を求めている。その問題でそのようなことをやっている。総理大臣の忙しいことはわかっている。しかしながらわれわれがこの日にという要請をしたときには、新聞記事によれば、庭の植木をいじくっていたという記事があります。そのような総理大臣はとんでもない無責任な総理大臣だろうと思う。総理大臣には必ず出席を求めてこの問題で追及をいたしますけれども、国務大臣として、大橋さんと西村さんは、やはり内閣自体がこういう状態ではいけないので、総理大臣のこのような態度についてこれを変えられるように進言をしていただかなければならないと思う。またこの連絡調整に当たるべき官房長官がこのような無能、怠慢であってはいけないと思う。その問題について両大臣の国務大臣としてのお考えを伺いたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 社会保障制度審議会には総理大臣が諮問いたしたのでございまして、また答申も総理大臣にいたしたのでございます。ただいま八木さんからのお話は、総理がなかなか出てこぬじゃないかという御意見でございます。総理大臣が出てこない事情は私はわかりませんが、少なくとも池田内閣といたしまして社会保障を軽視する理由はございません。さようなわけでございまして、その出席しなかったことそれ自身につきましては、今後もわれわれは機会を見まして——もし総理の要求がございましたら、そういうことにつきましては、池田内閣としても社会保障に十分熱意を持つし、力を尽くさなければならぬことは当然でございまして、ことに今回は答申も総理に対する答申でございますから、今申し述べました趣旨は十分私としても了承して今後努力するつもりでおります。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 ただいま厚生大臣から申されたことと全く同感でございまして、今後厚生大臣と協力いたしまして御期待に沿うようにいたしたいと存じます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 厚生大臣と労働大臣が同じ意味の御答弁をされました。ある程度の誠意はもちろんわかりますけれども、しかしそのような御答弁からうかがわれるような御決意では非常に心もとない。大体二つ、三つ問題がありますけれども、国会の委員会が正式に出席要求をしたならば、ほかの用事と競合しても、その競合した方の用事を都合をつけて、こちらに出てこられるのが第一に必要であります。それと同時に、このような内閣自体が諮問して答申した問題については、みずからそれを尊重すべきいろいろの意見を発表せらるべきものである。ところが、新聞紙上を見ても、そういうことは伺っておらない。どこでも伺っておらない。一番公式の場で発表するために控えておられるならば、これはみずからそのような出席の場を求められるのがあたりまえです。総理大臣は、委員会に出席してそのような意見を求められることはできるはずです。それをするのがあたりまえであるのに、それもしないで、要求があっても何のかんのといって逃げて庭いじりをする。岡山で一日内閣をやられたのはけっこうです。けっこうだけれども、それ以前に、正式な国の最高機関である国会の要求にサボっている。そういうことではいけない。これは時間的にその日にぶつかったわけではございませんけれども、まず第一に、そのような責任を果たされなければならない。そういう点で、これは西村さんなり大橋さんが悪いということを言っておるわけではありませんけれども、総理大臣は、はなはだその点については欠くるところがある。どうか国務大臣として——もちろん内閣総理大臣が内閣を総括されるにしても、国務大臣としては、当然内閣をよい方向に向ける責任をお持ちでございますから、有能な、非常にりっぱな両大臣が、このようなあやまちを正す、内閣自体が正す、その首班である総理大臣自体のあやまちを正すということについて、強力な行動をとっていただきたいと思いますし、また内閣総理大臣自体が、かりにそうでない熱心な気持があったとして、それを途中の連中が遮断しておったならば、この責任は非常に重大だろう。そういうような連中が遮断をしておるような状況があったならば、そういうものを改めさせる。改める見込みがなかったならば、それにかわるような方策をとられるようなことをやっていただきたいと存じます。  簡単でけっこうでございますから、ぜひ両大臣の簡単で前向きの率直な御答弁をいただきたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 池田内閣総理大臣はもちろん、われわれ国務大臣としても、内閣全体としての責任を持っておるのでございます。しかし特にこの問題について総理大臣が諮問し、総理大臣が答申を受けたということでございまして、御要求がありましたときには、それは出席するのが当然と思います。出席しなかったのは何かの理由であろうと思いますが、私たちといたしましては、あくまでも池田内閣は、社会保障については最も重要な政策として取り組まなければならぬと思いますから、八木さんの御意見については十分今後も善処したい、かように考えております。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 厚生大臣と全く同感でございます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 それでは労働大臣の御都合もあるようでございますし、同僚の委員の方もお食事を前におなかがすいておいでになって大へん恐縮でございますので、本題に移りたいと思います。  社会保障制度審議会は、先ほど申し上げましたようなことで、非常に慎重な熱心な審議をした結果、これを答申いたし、また積極的な勧告をいたしました。これはもちろん、たとえば社会保障に直接関係の深い厚生省なり労働省だけではなしに、内閣自体がこれを尊重しなければならない。従って大蔵大臣がいないのは残念でありますが、大蔵省の説明員である岩尾君がおられますので、岩尾君もよく聞いておいていただきたいと思いますが、内閣自体がこれを尊重して実現するために猛烈に前進をしなければならないという問題であろうと思います。そのことについて両大臣の御決意をちょっと伺わせていただきたい。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 今ちょっとあれしましたので、質問がどうだったか……。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 端的に言って、この答申、勧告は非常に大事なものであって、担当の厚生省または労働省というものでなしに、もちろん内閣自体が尊重して、十分に急速にそれを完全に実現をはかるように努力しなければならないものであると思うが、どうですか。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 仰せの通りでございまして、これは主として厚生省と労働省に関係する事項が多いわけでございますけれども、これが社会全般に影響する問題でございますので、ただ単にわれわれ厚生大臣、労働大臣だけでどうするという問題ではありません。すべての省に関係する内閣全般の問題である。ことに予算の問題になりますれば、大蔵省等もこれは重大な関係を持っておる問題でありまして、われわれ二省、二大臣だけが知っておってやればいいのだというような、そういう簡単な問題ではないのでございます。さように私は心得ておる次第でございます。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 私も厚生大臣と同様に考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 もちろん今の例は厚生省と労働省を申し上げましたけれども、住宅の問題では建設省に関係がございます。食糧の問題では農林省に関係がございます。教育の問題については文部省に関係がございます。それとともに大蔵省、自治省に非常に関係がございます。ことに一番今までこの問題のブレーキになっておるように私ども理解しておりますのは大蔵省です。大蔵省は、厚生省、労働省がこの勧告に基づいて要求を出した場合に、いかなる理由があろうとも、ただ近視眼的な財政調整というような意味でそれになたをふるうというようなことは許されないというふうに考えるわけであります。  労働大臣は非常に時間をお急ぎでありますので、大蔵省に申し上げることはあと回しといたしまして、厚生大臣に大へん恐縮でありますが、労働大臣と共通の問題及び労働大臣独自の問題について先に申し上げたいと思います。  この社会保障の最初のところに三つの項目が示されております。この問題は続みますから、これは頭のよい両大臣ですから見られなくてもわかります。  第一は、社会保障は、国民生活を安定させる機能を持つとともに、なおそれが所得再分配の作用を持ち、消費需要を喚起し、また景気を調節する等の積極的な経済的効果を持つ。この点からいえば社会保障が国の政策として公共投資及び減税の施策と並んで、あるいはそれ以上重要な意義を持つこと、というふうになっておるわけであります。この表現は、公共投資及び減税の施策と並んで、あるいはそれ以上重要な意義を持つこと、ということになっておりまして、内閣の施策として最重点のものであるということを指摘しておるわけであります。その点で社会保障に関係の深い両省の主管大臣のお二人、あるいはまた建設大臣なり、その他の大臣も、この問題について最も強力にやっていただかなければならないと思います。ところが今度の予算編成で、各省の予算は最初の概算要求を五割にとどめてくれということがあったと伺っております。昨年もそのようなことがございました。これは大蔵省が実に間違った考え方をしておると思います。これは事務的には楽か知りませんが、ただ計算上五割までの要求を出させて、一律に五割の網をかぶせるということはおかしい。そういうことになると、これから飛躍をしなければならない、急速なスピードで拡大をしなければならない社会保障にこのような事務的なやり方でチェックが入る。そのような大事なことについては五割ということでなしに、必要があれば二十割でも三十割でも要求を出さなければならない。五割の要求を出さしておいて二割か三割一般的に削るというような間違った財政方針は許されないと思う。その点について労働大臣は、このような閣議の行き方について直していただかなければならないし、現在の時点においてそのような要請による制約をはねのけていただかなければならないし、またそれからよって来たるこれからの予算のいろいろな編成については、そのような一律の査定というような状態を断じてはねのけていただかなければならない。どうかその点についての両大臣の御決意を伺いたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 予算概算の五割増以内ということ、それは一応原則論でございまして、これは大蔵大臣の立場からすればやはりあるワクがないと多々ますます弁ずということにもなります。しかし五割といいましても事柄事柄で五割増以内ということでないので、省全体で五割ということですから、ある事柄が、あなたの申しましたように、十割になったりあるいは十五割になるということを妨げられることではないのでございまして、そう非常に大きいトラブルにはならないと思うのでございます。ことに、五割は原則論でございまして、最も重要な政策につきましてはそれ以外の論議もできますので、予算概算以外に、話し合いにもなるのでありますから、私はそういうワクなしにやることは理想的ではあろうと思うのでございまするけれども、実際問題としての集計の仕方で大蔵省がそう言っておるのでありますが、実際問題は、重要なことでございますれば、これは予算概算をこえていろいろなことは考えられるべきことと思っております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 厚生大臣、そのような御答弁では困ると思うのです。厚生省の各項目の中で実は二十割、三十割になります。たとえば今急に対処しなければならない麻薬対策については五割をこえてぐっと大きくなるでしょう。ならなければいけません。だけれども厚生省の予算の大部分、これは社会保障制度審議会が勧告をしているような社会保障に関係しているものが大部分でございます。そうなれば厚生省の予算全体が五割で制約をされたならば、その一部分で五割をはねのけてもほかの方が停滞をします。少なくとも内閣全体に五割の要求ということがあっても、事厚生省なり労働省についてはそのようなワクは設けられない、設けることを主管大臣としては許さないという態度がなければ、厚生省の中の小さなワクの中で五割をちょっとこえるものがあった、ほかは切るものがあった、平均して五割、そんなことでは社会保障の前進の勢いは遅滞して、実際上停滞をします。そういうことではならないのであって、厚生省の予算に関する限りは五前をはねのける、労働省の予算に関する限りは五割をはねのける、そのような勢いでやっていただかなければならないのであります。主管官庁の大臣がそのような弱気では、このような答申、勧告の精神を尊重して前進することは不可能であります。内閣でこの五割の了解事項というものを取り払って皆様方のほんとうにやらなければならないことの要求を堂々として出す、一文も値切らせない、そのような決意を示して、いただきたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 まあ原則論としてそうやったのでありまして、それは特例のものについては十分特例を認めさせるということは、閣議でもそういうような話はしておるのでございます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 その特例のものが各省の中の一つの部門の特例ではだめなんです。その省の全体が五割というふうに押えられたら、厚生省のやろうとする中の一つの特例を認めたらほかがへっこむじゃないですか。内閣全体で特例を認める、社会保障に関する限りはそういう制約をつけないというふうに閣議の決定を変えてもらわなければならない。そのようなためにこのようなことを推進する一番重大な関係者の両大臣は、責任を持って、閣議が誤った決定をしたら正しい決定に直るように、予算もきまったわけじゃありません、これはやり直そうと思えば幾らでもできる。有能な大蔵省の人も、有能な各省の人もいる、計算はやろうとすれば方針が決定すれば一日で直ります。ほんとうに社会保障をりっぱに完成する道を開くために、そのような意味で前進をしていただく決意を表明していただかなければならないと思います。両大臣の御意見を伺いたいと思います。今度は一つ労働大臣からお願いします。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 八木さんの御趣旨につきましては、私どもも社会保障の性質上、現在の段階においてはさようにあるべきものと考えます。労働省といたしましては来年の状況を想定いたしまして、必要な十分な経費を要求いたしておりまして、特に五割ということを頭に置かずに、必要な経費を計算いたして要求をいたしたつもりでございます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 厚生大臣に伺いたいのですがちょっとあとで伺うことにして、労働大臣はお時間があと数分になりましたので、概括的に申し上げておきたいと思います。  社会保障の問題は、これは最低賃金の問題、完全雇用の問題が達成できなければ、ほんとうの目的が達成できないということは、ここに数字が書いてありますが、書いてなくても当然のことでございます。その点について、非常にいい意味で前進をはかっていただきたいと思います。それから当面の問題として、雇用の問題のところに失対労働者の生活を不安にならしめないように配慮せよということが書いてあります。これはあしたからまた今度の問題で討議をされる失対問題調査研究会の問題と関係がございますが、失対労働者の生活を不安にならしめてはならないと書いてありますことを、どうか十分に頭とおなかに入れておいていただきたいと思います。  それから次に、失業保険の問題についてはいろいろな具体的なことが書いてございます。この間新聞で、政府の方でそれについて幾分答えを出しておられるようであります。答えを出しておられるところはけっこうでございますが、まだ足りない点がございます。たとえば失業保険期間中における医療給付をすべし、それは失業保険で持つべしということが書いてございます。それから日雇い労働者の失業保険については、一般的に日雇い労働者の社会保険については国庫負担をうんとやれということと、それからプールをしろということが書いてあります。プールは一般的に重要な問題ですからいろいろ検討を要しますけれども、少なくとも失業保険法の中における一般の対象者と日雇いの対象者のプールは、同じ方針の中ですから、こういうことがいいといわれなくてもやっておる、これが停頓をしておりますから、国庫負担をうんとつぎ込むと同時に、この問題で日雇い失業保険が今非常におくれておりますけれども、人並みのものに早くなるように、それで特にそういう状態ですから人並み以上なものがあってほんとうのところで普通になるわけですから、そうなるように御配慮になっていただきたいと思います。失業保険の給与の低い人についてはその率を変えなければならないということがいってあります。そのことについても一つ具体的に御配慮を願いたいと思います。  それから特に申し上げておきたいことは、失業保険の国庫負担が四分の一になっていることは必ずしも失当でないと書いております。これは四分の一を認めたことではありません。聡明な大橋労働大臣ですから、この言葉の意味は十分おわかりでありましょう。必ずしも失当でないというこの言葉すら、制度審議会では大体論議をして意見一致を見てやりますけれども、議論が分かれるときには一番最後の段階において多数決をやります。これは同数でございました。これではいけない、四分の一はならないという意見が半分あったわけです。しかもそのような表現になっている、必ずしも失当ではないということは、ほんとうはよくないけれどもということになる。ほんとうはですよ。これは四、五年前の労働省が少し腰が弱かったためにこういう非常な後退を示したわけでありますけれども、こういう事情を御理解になって三分の一に戻るように一つ御努力になっていただかなければならないと思います。  お時間がございますから抽象的に申し上げましたけれども、もう一回重ねて私が御質問しなくてもいいような、前向きな、非常な意味の前進の御答弁を、抽象的でけっこうでございまするから強力にしていただきたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 この社会保障制度審議会の答申につきましては、特に八木先生は委員として御尽瘁になりましたことでございまして、詳しく御承知かと存じます。私どももこの審議の状況をいろいろここで承っておりまして、御意見があるところもおおむね了承いたしておるつもりでございます。特にただいま御質問がございました事項につきましては、いずれも御趣旨のような線でただいま検討をいたしておるわけでございます。いずれすみやかに成案を得まして御審議をいただくわけでございますが、なおそれまでの間におきましてもいろいろな機会に特別な御指導をいただきたいと存ずる事柄もございますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 大へん過分なお言葉をいただきまして恐縮でございます。あと二十秒だけちょっとそのままでお聞き取りいただきまして、御答弁はけっこうです。あと厚生大臣に十分申し上げますので、厚生大臣からもお聞き取りいただきたいと思いますし、私も個人的に申し上げたいと思いますが、制度審議会の文章の構成が、これはお読みになると非常にいい文句で書いてございますが、どういうふうに理解すべきかという点で、前後を振りかえられなければならない点があろうと思うのです。ここではっきり具体的に打ち出している点は、これは絶対にやっていただかなければなりませんけれども、論議が分かれているように、問題点を指摘したにとどまっている点については、これはやはり慎重に御配慮になって、その一部分の文句をとって、曲解して問題を進められると、これは非常に間違った問題になると大へんでございまするから、この点については、制度審議会の会長なりあるいは事務局長なりあるいは私ども参画した者なりにも意見を徴されまして、慎重に御配慮を願いたいと思うわけであります。  第二項について申し上げたいと思いますが、第二項については、比較的社会保障の進んでいる自由主義国家の現在の割合を少なくとも下回らない程度にまで十年後に上げろということです。これも論議があって、そういう国の十年後の状態まで上げなければならないという論議が、非常にその中で多かったわけでございまするが、少なくとも現在の割合では十年間で追いつかなければならないということが書いてあるわけでございます。賢明な大橋労働大臣、十分よく御存じでございまするが、どうかその意味で社会保障が進みますように御努力を願いたいと存じます。  では厚生大臣、お待たせしました。先ほどの問題について一つ御答弁を願いたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 ちょっと、先ほどのというのはどういうことでございますか、もう一回お願いいたします。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 今の五割のワクという問題で、これは間違っているのですね。それで、そういうようなことを閣議で直させる。少なくとも社会保障に関する閣議はその全体、厚生省なり大蔵省、労働省なりあるいは建設省も住宅問題について関係があります。そういうことについては、五割というようなワクをはずさせる。前にそういうことがきまっておっても、それは誤りであるから、閣議の誤りを正して、それで一応少し準備はされておっても、そんなことは有能な各省の人がいればそれは一日か二日で計算のし直しくらいできるから、そういうあやまちを今ただして社会保障の前進の勢いがとまらないように、一つ閣議のあやまちをただしてがんばっていただきたいということです。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 必要がある予算は、そのワクにとらわれず、十分努力したいと思っております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 必要がある予算はということですと、厚生省の中の必要がある予算ということになりますので、やはりそこで制約が出てきます。ですから社会保障、厚生省や労働省の予算に関するものは、五割のワクは完全に撤廃をしろ、そういうような制約によって出された第一回の概算要求はこれを変える、これよりももっとふやす。普通第一回の次に第二回は減ってきますけれども、厚生省や労働省はそうでない。第一回の誤った根底における概算要求はこれを廃棄して、それよりも多くの第二回の要求を出す、それを閣議は認めなればならない。池田総理大臣もこれをほんとうに尊重するならば、このような配慮を閣議でしなければならない。大蔵大臣が何と言おうとも、それを押えて、閣議でそういう方向をきめなさいということを、閣議で強力に主張をされるということをお願いしているわけです。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 せっかく非常な努力によって答申もありましたので、答申の線に沿うてその達成に進んでおるのでございまして、そのためのそういう五割の障害というようなものは乗り越えたい、かように考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 それでは第二項の問題に移ります。第二項については、国民所得及び国家財政における社会保障費の地位については、今後十年間に、日本は比較的この制度が完備している自由主義諸国の現在の割合を少なくとも下回らない程度にまで引き上げるべきこと、ということが第二の本則です。これは比較的完備している自由主義諸国といいますから、たとえばイギリス、たとえばフランス、たとえばデンマーク、たとえばスエーデン、ノルウェーというような国々、西ドイツもかなり進歩しております。そういうような国々の現在の割合に、十年後には必ず追いつかなければならないし、それが目標ではないのだ。少なくともそれよりも下回らない程度にまで引き上げるべきであるということは、十年後のそういう国々の到達すべき水準に到達しても、もちろん差しつかえないし、それ以上になってももちろん差しつかえない。ただ現在のそういうものよりも絶対に下回ってはならないということが書いてあるだけで、それ以上になることはいいことだ、そういうような勢いでやっていただかなければならないと思いまするが、それについての厚生大臣の御意見を伺いたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 答申案の最も重要なところであろうと思っております。従いまして、現在の社会保障に投じておる予算が、国民所得の割合あるいは財政上の割合等につきまして、先進諸国にどういうふうにおくれておるかということを攻めていきまして、それに到達することをわれわれは一つの目標としなければならぬ。せっかく今それにするには、社会保障のうちでどの線がおくれているのだ、こういうようなことを検討中でございまして、十分答申の線を尊重したい、かように考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 この問題について厚生省なり労働省なりあるいは建設省なりあるいは農林省、文部省も関係がございますけれども、その問題を積極的に進めることについて、大蔵省はこれは内閣全体の政策でありますから、大蔵省のごく狭い意味の財政計画というようなものにとらわれないで前進をしていただくように、大蔵省も一生懸命になっていただかなければならないと思います。大蔵大臣がおられないのは非常に残念でございますが、大蔵省の政府委員としての岩尾氏の御答弁を一つ伺いたいと思います。

岩尾一大蔵事務官(主計局総務課長)

○岩尾説明員 社会保障制度審議会の答申の第二項の問題でございますが、社会保障費というものがどの範囲まで入れるべきであるか、あるいはそこにあげてあります社会保障費というものの西欧における地位というような場合に、国民所得に対する地位をいいますのか、あるいは全体の振りかえ所得をいいますのか、振りかえ支出をいいますのか、いろいろなこまかい点についてははっきりこうであるということを言っておりませんけれども、精神といたしまして、日本の社会保障というものを西欧諸国のそういった水準まで持っていこうということについては、われわれも決して反対ではございません。大いに積極的にやりたい、こう考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 この社会保障制度審議会は、この問題についてもちろん具体的な問題やいろいろな推移がありますから、正確な具体的な問題ではありませんけれども、現在想定しておるいろいろな資料、それから変化、そういうものを想定いたしまして試算をいたしましております。内閣総理大臣に対しましては、あるいは総務長官に対しましては、その試算表を公式なものとして添付して提出をしてあるわけです。それについて各省が十分に御研究になっていただきたいと思います。その試算表は、十年後における社会保障の総費用というものはいかにあるべきかという目標を示しております。所得倍増計画がうまくいくかどうかは別問題として、とにかくそれを一つの要素として書いてござまするが、一番端的な点を申し上げますと、昭和三十六年度、昨年度における社会保障の国費負担は一千九百九十六億円でございます。これは社会保障制度審議会でILOベースでどこまでをどの費用に入れようかという計算、これは十分そこで研究していただきたいと思いますが、千九百九十六億円、十年後の方は、これは今の政府の方のいろいろな計画がその通りにいくとした試算でございまするが、その場合における国費の負担は一兆二千五百三十億という試算になっております。現在が一千九百九十六億でございますから約一兆五百億以上、これは一年の予算、毎年々々のものが一兆五百億以上に十年目にふえていなければならないということであります。しかもこの十年後の目標はなるべく早く達成した方がいいわけです。国家予算の中で一兆二千五百三十億になるのが極端に言えば来年一兆二千五百三十億になってもかまわないわけです。十年後でなければいけないということではありません。こういうふうな上がり方ではなしにこう上がった方がいいわけです。そうなりましても、この試算は西欧諸国の現在の水準にやっと追いつく最低基準です。目標はそれより多くすることが目標であります。従って、そうなれば厚生省の要求も今のような憶病な要求ではこの通りになりませんので、大蔵省の認識も、もっと大蔵省自体が厚生省のしりをたたく、これは内閣に対する勧告である、大蔵省はそのつもりでやっているのに厚生省は何をしているというくらい大蔵省が強気にならなければこれはできません。そういうものでありますから、さっきの問題の五割というようなことはとんでもない。これは岩尾さんから大蔵大臣に十分に教育をしてすぐ直すようにしていただかなければなりません。そういうことであります。このような試算、いろいろなことがありますけれども、それは政府であれば必ず手に入りますから、十分に御研究になって、その問題が達成されるように——第一年度が非常に大事でございますから、その点について強力なやり方をしていただきたい。それについての厚生大臣のお考えを伺いたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 十分考えて、ただいま検討中でございます。西欧諸国に急激に追いつきたいということもわかりますが、国家財政全般の面もありますので、もちろんそのうちで社会保障は最もおくれている点でございますから、十分検討して御趣旨に沿いたいと思っております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 厚生大臣の善意で一生懸命やろうというお心持はわかりますけれども、腹の底からがんばっていただきたい。国家財政全般の情勢がありますからと、そういうことを厚生大臣はおっしゃってはいけないと思います。こういう施策をすべしということで財政計画は立つのです。はっきりいえば、来年五千億社会保障の予算をふやそう、その決意のもとに財政計画は組める。ところがほんとうにやる気がないから、財政計画があるからなんとかかんとかいう話になる。組もうと思えば幾らでも組めるのですよ。ほかの点も考慮しなければなりまん。しかしそれでもやろうと思えば、極端にいえば増税すればできる、公債政策をやれば幾らでもできる。ただそれについてはほかの問題がありますからあれですが、そういう問題も顧慮し、たとえば担税能力のある大きな金持からうんと税金をとれ、そして働いている人は減税をして、その差額でこれを増すことができる。たとえば租税特別措置法の中の大資本擁護の点をやめれば、一ぺんに二千億が出てくる。自然増収の中でつまらぬところに使う金をこの重点の方へつぎ込めば、毎年二千億や三千億出てくる。やろうと思えばできる。それをやっておられない。だから、少なくとも社会保障の主管官庁の責任者である厚生大臣が国家の財政計画なんということを言えば、岩尾君はそうじゃないかもしれないけれども、近視眼的な財政計画をやろうとすると、社会保障の主管官庁の大臣でもそういうことを言っているならばこれは減らしてやるということになります。財政計画は国の政策をどうやろうかということで組まれなければならない。技術的な財政の帳じりを合わせようということから政策を縮めることは許されない。ほんとうの財政当局であったならば、財政というものは国の政治をよくするためにいかに組むかという観点に立たなければならないのに、一般的にただその翌年の帳じりだけ安易な方法で合わせればいいというような財政方針がとられれば、それは国の政治の前進をはばんで、国の政治を麻痺させるということになります。ですからそういうことをおっしゃらずに、先輩に対しまして非常に大きな声でなまいきなことを申しましたけれども、少なくとも財政計画というようなものに遠慮なさらないで、社会保障政策を進める上において財政計画を組めと大蔵大臣に言われて、組まなければ政府の尊重しなければならないこういうことができないような大蔵大臣はやめたらどうか、おれが大蔵大臣をやってやろうというような気力でやってもらわなければ困る。そのくらいの勢いでやっていただきたいと思いますが、御決意のほどを伺いたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 私も社会保障については全責任を持っておる大臣でございますから、十分その点は全責任をかけましてやるつもりでございます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 厚生大臣の強い御決意を伺いまして、この点安心をいたしました。どうか一つしっかりがんばってやっていただきたい、お願いを申し上げておきます。  その次の問題でございますが、この本の四ページ、別にお読みにならなくてもけっこうでありますが、この答申、勧告はここ数年ないし十年間の問題を中心に組み立てられております。社会保障というものは本来の意味で言えば、他の雇用政策と相待って防貧政策が完全になって、たとえば老齢になってもあるいは疾病になっても、あるいはまた失業をしても、摩擦失業した場合——失業なんかないような完全雇用の状態でなければいけませんから、一時的な摩擦失業が起こっても、また不幸にして働き手がなくなって遺族になっても、その遺族の子供が小さいというときでも心配が要らないような状態を、完全な防貧対策で前もってそういうときに一切貧乏にならないという政策、そういうことになることが本道です。ところがあまりにも政府の政策、政治が悪いために、雇用政策その他の分配政策で貧困が起こっている。しかもほかの政策が悪いために病気が多いというようなことで貧困の原因があるほかに、防貧対策が非常に不十分であったためにその問題をカバーすることができずに貧困が起こる、非常に困った状態が起こって、そういう状態があまりにもひどいので直ちには今役に立つ救貧対策あるいはそれに準ずる対策、それについて今のところ重点を入れたい、——政策本来の目的は防貧であります。ここに書いてあるのも救貧にしばらくの間重点を入れてということで、防貧をゆるがせにしようということではないのです。防貧も前進をさせて、救貧のおくれておるところを急速に回復をして、そういうようなものが回復したならばほんとうの防貧で、完全に一切の心配の要らないような世の中に急速に前進させようということを言っておるわけであります。ところがこの中の一部分を読んで曲解する人は、救貧だけでいいという解釈をするおそれがあります。そうでないということを厚生大臣はよく御理解だと思いますが、ほかの方々に理解をさせていただきたいと思います。また大蔵省の方もその理解のもとに予算の下のいろいろな審議に当たっていただきたいと思います。防貧政策はしばらくとめてもいいのではない、これは前進をさせなければならないが、救貧を急速にやらなければならない、こういう観点が審議会の意思でございますので、非常に簡略に書いてございますから、人によって、近視眼的な人は、もうそんなものはいいんだというような間違った考えを起こす人がなきにしもあらずでございますから、そういうことがあってはゆゆしき大事でございますので、そういう意味で、救貧も大いに進め、防貧もぐんぐん進めるというふうに前向きに進んでいただきたいと思いますが、厚生大臣のお考えをお伺いいします。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 仰せの通りでございまして、救貧はその政策であります。救貧ではなくて、生活保護のお世話になる人が少なくなるようにやることが社会保障の最も重要な点でございまして、よくこの答申案を一字一句読んで真意がどこにあるかということは、十分私自身は採用するつもりでございますが、なお全般的に、そういうことは役所にも、救貧ではなしに、あらかじめこれを救うことだということにつきましては、十分私も心がけていきたいと思っております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 厚生大臣、もちろんそういうお考えでしょう。防貧が主眼でずっと進まなければならないけれども、今までの政策がだめだったので、貧困、困った状態がある。それで今当面の問題として救貧に相当重点を置かなければならない。ですから救貧もぐっとやって、防貧もぐっとやる。この問題が片づいたらぐっといくということになる。そういうことの両面で一つ考えていただくという御決心で御答弁があったものと理解して、進めていきたいと思います。  それからその次に、先ほど労働大臣だけに申し上げましたけれども、この答申の文言を一字一句読んでと厚生大臣が言われましたから間違いないと思いますけれども、ここではっきりうたっている点と、問題点がこういうふうになって、両方の現象をあげている点があります。そういうふうにはっきりうたっている点は断じてやられる、それから非常に微妙な問題のところは慎重にやられるということの御配慮が必要だろうと思います。それが審議会の答申の文言のほんとうの意思で、両方の面で書いてあることを一方的にここだけ考えてやるということはいけない。はっきり書いてあるところは猛烈に前進させる。非常に微妙に書かれているところは微妙な状態をよく研究されて、慎重にこの問題について対処するというようなところが必要だと思いますが、それについて一つ大臣のお考えを伺いたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 内容の検討でございますが、そのうちには直ちに賛成で、直ちにやれるものもありますし、なお、これは賛成であるけれどもやはり少し慎重な検討を要する検討のものもありますし、非常に賛成であるけれども、なかなかやること自身技術的に非常に困難だ、研究をさらに積まなければならぬというような問題もあるわけでございまして、そういうふうに賛成のもの、賛成ではあるが検討をさらにしなければならぬもの、いろいろ分けて綿密にこの答申を今さらに詳しく調べておるところでございます。さような気持を持って今やっておる次第でございます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 厚生大臣の御熱意はわかりまして、今のことも大体それでけっこうなんですが、ちょっと言葉が、委員会で速記に載りますので、そこのところをもう一回はっきりしておきたいと思いますが、はっきり書いてあることはやっていただかなければならぬ。はっきりといっても、この文章はそんな一何がし、一何がしという書き方ではございませんから、これは文章をお続みになればはっきりしているかどうかわかりますが、はっきり言っている中で微妙な問題については十分検討していただきたい。というのは、医療関係やなにかにそういうようなものがあります。それからもう一つほかに、たとえば生活保護を三倍にするとか、それから国民健康保険をさしあたりすぐ七割に全部するとかへそれから全部するから、もちろんそうなれば、ほかの社会保険やなにかの家族の給付も七割にする、こういう問題がはっきり指摘されておる問題、たとえば生活保護をいろいろ改善しろ、こういうものは今賛成だ、賛成だけれども検討する問題、それからもう一つ微妙な問題と、三つに分けられたけれども、制度審議会の検討を要するということには、二つある。微妙なものは慎重に検討してもらいたい。けれども、方向がはっきり打ち出されていること、すぐやっていかなければななぬことを、賛成であるけれども検討を要するということは、具体的なやり方について検討をされるのはいいけれども、これはいいことであるけれども、たとえば財政その他を考えて、言ってもすぐ承知されないだろうからちょっと待とうというようなことがあってはならない。ですからまん中の点は、厚生大臣はそういう意味で言われたのじゃないだろうと思うけれども、これをやることについて技術的に法律を一ついじらなければならぬというようなことは検討を要するだろうと思いますけれども、片方の明らかに打ち出されている方向は、非常に勇敢に急速に完全に進まれて、両方の論点を掲げている微妙な問題については慎重に対処するというふうに二つに分けて、そういう意味でこの問題について対処していただきたい。厚生大臣の言われたのも、大体私の申し上げたことと——大体ではなく全部同じだと思いますけれども お言葉の表現でちょっと気になる点がありますので、私の申し上げたような考え方でお進みになっていただける御決心だと思いますが、その点について……。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 言い方は違いますけれども、大体そういうようなことで考えておる次第でございます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 それでは時間もだんだん経過いたしますので、厚生大臣には、この問題については一番熱心に御出席でございまして、前にもいろいろと申し上げたところでございます。ですから予算の編成期、法律の準備期でございますので、非常に具体的な問題について端的にあと二、三問申し上げまして、それでやめたいと思います。  具体的な問題に入りたいと思いますが、その中で、国民健康保険の本人の七割給付の準備をしておられる。これは今までは結核と精神病だけに限られておりましたけれども、あらゆる医療給付について七割給付をする。これは一つの前進でございまして、これではまだ低いと思います。池田さんが内閣をつくられたときには、社会保障を一生懸命にやる、その中で書いている国民健康保険の給付を七割にするということを熱心に言われました。与党の自由民主党の候補者の方々も、七割給付ということを国民に訴えられた。それからすでに二、三年たっておる。このことは、最初は世帯主だけであって、しかも結核と精神病だけだ。老人のあまりかからない病気だけだ。そういう順序なら、胃腸病なり高血圧なり心臓病なり、そういうものを入れられるのが、一家の主人というかなりの年配者に対する対策としては必要だと思いますが、老人に関係の薄い方を先にやるというような、表面上はよくても内容は伴わないような順番でやっておられた。その公約を非常に強く言われましてから数年たちます。当然全国民健康保険の被保険者に対する七割給付ということが、こういう答申、勧告がなくてもせられなければならない時期に達していると思う。しかも答申、勧告では九割の線まで持っていかなければならないけれども、さしあたりすぐ七割に持っていけということを言っている。これは国民健康保険だけではありません。あらゆる健康保険、日雇い健康保険、船員保険、その他労働者の健康保険の家族の給付が、組合管掌の一部特別のところは別として、原則的には五割になっている。それも結局国民の一員として七割まで引き上げなければならないということを含んでいるわけです。でありますから、これは今までの経過がいかにあろうとも、制度審議会のこの勧告を尊重され、それとともに池田内閣の公約を果たされる意味で、それとともに国民の非常に要望していることを政治家として実現する意味において、これは国民健康保険のあらゆる被保険者の全部の病気に対して七割、あらゆる労働者の健康保険について家族の給付を七割に、しかもその財源は当然国費を投入することによってこれをやるというような方向の施策を示されなければ、この勧告に非常に忠実であるとは言えないと思う。その点について、厚生省の用意されている今の方策は非常に手ぬるいと思う。どうか一つそれを直して、先ほども予算の関係で申し上げましたが、これは断じて必要であるからそれを増額する、法案を出す、それだけの予算の裏づけは大蔵省がしなければならないというふうに進めていただきたいと思います。それについての御意見を承りたい。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 国民健康保険の七割給付は、われわれとしてもさように考えているわけでございまして、これは非常に重大な問題でございますので、全力をあげてさようにしたいと思っております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 全力をあげてと言われましたので、非常にけっこうでございます。ぜひとも今年度において予算要求、法律案提出をされるようにがんばっていただきたいと思います。  それから国民健康保険の改正案が当然提出をされるわけであります。そこで、この制度審議会の答申、勧告の中では、非常に負担能力の少ない者に対してはその保険料を減免する、あるいは一部負担を減免する、そういうような勧告が具体的になされている。そういう問題についても、その法案の中へぜひ入れていただかなければならないと思う。それについてお考えを伺いたい。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 いずれ法案の改正があると思いますから、詳細につきましては——このような範囲を広げるというようなことも考えたいと思いますが、今具体案をここに持っておるわけじゃありません。さように考えたいと思っております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 ぜひそれを今度の法案に入れていただきたいと思う。これはこの前はもっと強烈に申し上げました。きょうも強烈な意思は前の倍くらいになっておりますけれども、お疲れでございましょうからごくやさしく申し上げておりますけれども、断じてやっていただかなければならないということ。  それからもう一つは健康保険関係で、これは労働省も関係がありますけれども、あらゆる社会保険を五人未満の事業所に適用させるということがはっきりと具体的に指摘をされております。この問題については、健康保険法あるいはまた失業保険法あるいは労働者災害補償法、厚生年金保険法等、全部関係がございます。この問題は何年来の問題であって、与党の方を初めとして、この問題に反対をするような方は一人もございません。賛成する人ばかりであります。これができないことは非常に残念であります。今度西村さんがこの地位におられるときに、しかもこの勧告が出たときにぜひとも実現をしていただきたい。一年延ばせばこれはだめになる。延ばさないで、今度ぜひともこれをやっていただきたい。労働省の方は大橋さんに私また申し上げますけれども、健康保険法あるいはまた厚生年金保険法、これは直接の関係がありますから、どうかこの点について厚生大臣の前向きの御決心を承りたい。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 私も、趣旨は賛成でございます。賛成でございますけれども、八木さんもわかっておるように、非常に技術的と申しますか、なかなか調査が困難な状況でございます。従いまして何とかそういうことをちょっと取りまとめる、調査をする段階ではなかろうか、かように思っておるので、その趣旨は非常に賛成でございます。そういう気持は十分あるのでございまするが、非常に小さな業者でありますとともに、いろいろな問題を含んでおるのでございます。さようなことで調査を十分いたしたい、かように考えて、今ここでそれはぜひ取り上げるのだ、ここまで断言をすることはちょっと今私はこの段階ではできませんが、趣旨には十分賛成で、調査したいということを考えておる次第でございます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 調査のみでなしに、ぜひ具体的にしていただきたいと思います。厚生大臣は非常に重要な任務をお持ちでございますから、この調査をどういうふうにするというところまで全部目を通していただきたいけれども、なかなか目が通りにくい状態もあろうと思います。これは調査といっても、各事業所が幾つあるから何とかかんとかというような、こんな調査をしたら間に合いません。またこんな調査をするなら——これはほんとうの意味ですれば間に合いますが、そういうことは必ずしも必要でありません。五人未満のものにも社会保険を適用させる。労働者である限り必ず適用させるということになれば、これは労働者にとっては非常に大事でありますから、そこの労働者が必ず連絡をします。また、労働組合等がこれを指導いたします。また、いいことならば関係の各省も指導されるでありましょう。いやなことで、無理やりに重税をとられるようなことであれば、国民の方々は、そんな調査には御当局に御協力にならぬでしょう。いいことについては積極的に協力をされます。ですから、ほんとうはやることです。やることによってわかってくるわけです。やってしまえばいいのです。強制適用でやる。これは全国の厚生省もあるいは労働省関係も一緒にやられるならば——労働省もいろいろな機関を持っておられます。とにかく人に雇われて働いておる者は、健康保険も厚生年金もあるし、また雇っておる者はそれをやらなければならないということを広めれば——そのうちの三人以上にやって、二人以下はやらないということを考えれば、これはごちゃごちゃになりますけれども、とにかく雇っておる者はやらなければならない、雇われる者はその適用を受けるのだ、これほどはっきりしたことはない。今まで五人以上の境を設けておったから、その中で、五人以上の事業主が、非常におとなしい、保険のことをあまり知らない労働者を押えつけて、隣の四人のところでやっていないじゃないか、健康保険がないからといってぶうぶう言うな、そんなやつは首だといって、五人以上の強制適用事業所すらも実際の適用から漏れておるという状況があります。そういう境を設けておるからです。だから雇う以上はそうしなければならない、そこで働いておる以上はそういう権利がある、給付を受けられるということにすれば、これは一ぺんにわかってくる。調査をしなければわからないから進められぬと言うが、こうすればわかってくる。全国に事業所がどのくらいあるか、被用者がどのくらいあるかということは、ほかの統計でわかっておる。予算を組むならそのくらいの予算は組めます。これは有能な人は組めます。どんな予算を組んだって、少しは実態と差しさわりがある。予算が余ったり、追加をしなければならぬことも起こります。補正予算を組まなければならない、あるいは予備費を回さなければならないということも起こる。だけれども、この幅はその問題に関する限りは少ない。みんなやるということになったら、みんな入ってくる。ですから、その調査把握ができないからなかなかできないというようなことは、何年間も言い古されておるが、そんなことではできない。やるということになって、調査に一生懸命になったら一ぺんにできる。そういうことで進めていただきたいと思います。そのやる方法はどういう方法でやるかということになれば、これは厚生省なり労働省の有能な大臣を初め、頭のいい人が考えればいい。十時間かければ、どういう方法でやればいいかということはわかります。私みたいな頭の悪い者でも、十時間考えれば方策はわかります。それが調査をしなければできないというのは、やる気がないからできない。厚生大臣はやる気がおありになります。ところが、今までの慣例で、非常に有能な人が多いけれども、各局長、課長の中では本腰にやる気になっていない人がいるのじゃないか。また本腰にやる気になっても、大蔵省あたりが文句を言って、くたびれもうけになるのじゃないかというような沈滞した空気が役所の中にある。それをどうか、厚生大臣は国務大臣として、そうじゃない、または労働大臣、大蔵大臣はそんなんじゃないという空気をつくっていただきたい。またここにおいでになる各省の政府委員の方も、各省の公務員の方々も熱心な方でありますから、そんなことではない、われわれは一人でもそんな準備も計画もつくってみせるという勢いでやっていただかなければならない。調査をするからしばらくお待ちを下さいというのは、今までの十年間の通り文句です。こういう勧告が出た、しなければならない、国民は要望しておる、やればできる、やるという方向をきめて、やることについてどうやるかということの調査を進めていただきたい。そのような勢いで進んでいただきたいと思いますが、どうか厚生大臣の御意見を承りたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 御趣旨は十分わかっております。私も御趣旨は賛成であるということを前に申し上げました。調査と一言に申しましても、これはまだ数がわからぬ、こういうようなお尋ねですが、そんな簡単なあれではなしに、やはり八木さんも御承知のように、小さな業者でございますからいろいろな変動もあるし、それをやるためには相当のこちらの準備もあるわけであります。非常にたくさんの人も要るし、こちらの態勢もあるので、そういうことを含めての調査と言っているので、調査をやる、調査をやるといって逃げるつもりはないのでありまして、そういう意味において一つ善意におとりいただきたい。御趣旨には十分賛成しておりますから、そういう意味で調査をしておるということで、広い意味で御理解願いたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 厚生大臣非常に熱心にお考えいただいて、その点非常に力強く感じます。ぜひとも一つその点を推進していただきたいと思います。  それでは、だいぶ時間が経過いたしておりますので、あと具体的な問題を端的に申し上げたいと存じます。  生活保護法の基準を引き上げる御計画を新聞紙上で伺いました。それは非常にけっこうです。ところが、生活保護法については、御承知の通りいろいろな問題が指摘をされております。たとえばこの基準をきめるについては、公正なる、権威ある機関によってきめなければならない。ということは、いつも私が申し上げている民主的な行政委員会、または非常に強力な審議会、民主的な強力な権限を持って審議会において、この社会のこの時点においては、たとえば日本のこの地域におけるこの時点においては、憲法で保障された最低の健康で文化的生活はいかにあるべきか、従って、その生活保護法の基準はいかにあるべきかということは客観的にわかる。それを厚生省の方が大体の見当で組まれる、また大蔵省の方が大体の見当で査定をされるというような性質のものではない。憲法二十五条のほんとうの国民の基本的な権利を実現するために、それを達成するための政府の義務としては、そういうような権威ある公正な機関でそれをはからなければいかぬということがここに書いてある。  それからもう一つ、生活保護を実際にやるときに、今のような、たとえば十八歳の子供が働いているときに、生活保護を家族の一員がいろいろの原因のために受けたら、その人が幾ら働いても働いただけの人間らしい生活ができません。またそのことによって親孝行なり兄弟孝行をして家族の生活を上げようとしても、生活保護法の基準以下の賃金であれば幾ら上がっても総計は同じだということになって、個人の人権も、その人の孝行の心も、ほんとうの意味では全然果たせないということになる。そういうことをなくすために、夫婦と未成年の子供、それだけを対象として生活保護法を適用させるべきであるということが具体的に指摘をされております。また技術を助長させるためにあらゆる方策をとらなければならない。今の、たとえば加算なり控除なりについては、ある程度の役割を果たしているけれども、はなはだ不十分だ。不十分な点を直さなければいかぬ。特に控除の点については、やり方も費用ももっと拡大しなければならない。たとえば失対事業の今の勤労控除というものは非常にいい制度であるけれども、しかしながら、これは一人の労働者について一人——基本概念が必要経費の補てんという概念に立っている以上、この金額を上げることが非常にブレーキがかかる。おまけに一人について一人だから、たとえば小さな子供が三人あったときに、その分まで働いたものが実際に渡るような控除を及ぼすようなことができないという欠点がある。そういうような控除を、やや前向きであるけれどももっと前向きにさせるために直していかなければいけない。不服申し立て機関というものを正式につくって、そのような最低生活について、わずかのために国民の権利が侵害をされるということのないように、不服申し立て機関をつくってやるべきだ。あるいは地域差をなくしていくべきであるというような、いろいろな点が書いてある。  ところが厚生省では、基準の見積もりの引き上げだけを要求しておられるようにしか見受けられません。それでは困るので、そうでなければしあわせでございます。基準はもちろん大幅に引き上げなければならないけれども、この制度全体を、そういう意味においてあらゆる点で改善をするために生活保護法の改正が必要だ。生活保護法というような恩恵的な言葉ではなしに、法律で生活を保障する、そのような意味を持った、内容を持った、名前までも変えた方がいいと思うけれども、そのような法律の改正が必要であるということが指摘をされております。そういう問題をぜひ進めていただかなければならないと思います。  また厚生年金の問題について、厚生年金の基準を上げなければならない。前に金額が決定したものを上げるためには、どんな困難があろうとも国費を投入して、その人たちのほんとうの権利が実際的に確保されるようにしなければならない。言葉をきわめてここに書いてある。国費をおいて以外にはないと断言をしてございます。岩尾さんよくご承知だろうと思います。これは何千億になろうと何兆になろうと、それをやらなければいけないということが書いてある。そういうようなことについて、どんどんと進めていただかなければならないと思うわけであります。  社会保障の総合調整があって、非常にいろいろな問題を指摘してございますから、厚生省としては、お忙しいと思いますけれども、今まで厚生省はいろいろな問題について、社会保障制度審議会の総合調整の答申を待っていたします。数年間、二、三年こう言われてきました。これが出た。出た以上は、それをすぐしなければならない。完全な形で急速にしなければならない。西村さんとしては、非常にお忙しいけれども、政治家として男子の本懐これに過ぐることはないと思います。猛烈に前進させるときにその責任者でおられる西村さんが、ほんとうに勇猛果敢にこれを前進させて、国民の要望にこたえるというふうにやっていただきたいと思います。その強い前向きの御決意をぜひ伺わしていただいて、その御決意が満足でございましたらきょうはそれだけにいたしたいと思いますけれども、不満足でございましたならば、また続けさせていただきたい。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 ただいまの生活保護の問題につきまして、今までやってきましたことに対する数々の改善のいろいろなことをお述べになりましたが、今私たちがやっておることは、決して最善だとは思っておりません。従いまして、先生の言う従来からの主張もいろいろありますし、十分検討をいたしまして、改善の方向に向かって一歩でも前進したい、かような気持で取り組んでおるわけでございますから、御了承のほどをお願い申し上げたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 強力に職を賭してもがんばられるという御意味だと思いますけれども、それでよろしゅうございますか。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 職を賭して——私の職を賭するぐらいは簡単でございますけれども、事柄を成就させたいのがやまやまでございますから、全力を傾倒してやるということで御了承を願いたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 まだまだ制度審議会の答申については御質問をしなければならないことがたくさんございます。その前に内閣総理大臣においでをいただいて、総理大臣の御決意を伺わなければならないし、また大蔵大臣なり、あるいは建設大臣なり、農林大臣なり、文部大臣なり、そういう大臣にも、また自治大臣にも伺わなければならないわけでございます。  きょうは昼食の時間も非常に過ぎまして、ほかの委員の方にも御迷惑でございますから、ここで質問をおかしていただきたいと思いますが、内閣総理大臣のこの問題についての先ほど申し上げましたことについては非常に不満でございますけれども、十分な時間内閣総理大臣が御出席をされるように、どうか委員長の方で強力に御配慮を願いたい。もしそうされても総理大臣が出てこられないようだったら、どうか議会の運行に当たられる責任者の委員長として、総理大臣のそういう議会無視について、議会の権限を発揮していただいて、これに対して反省をさせる有効適切な方法をぜひとっていただきたいと思います。  その点をお願いいたしまして、きょうの質問を終わります。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後一時四十九分散会

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