社会労働委員会 第5号
- 発言数
- 40 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1962/08/28
会議録
○秋田委員長 これより会議を開きます。 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 先日の委員会におきまして、コレラ対策に関する件について調査のため、参考人出頭要求に関しその人選等を委員長に御一任願いましたが、本日、福岡県衛生部長前川藤造君、門司市長柳田桃太郎君及び日本バナナ輸入団体協議会副会長並川義隆君の三名の方々に、参考人として当委員会に御出席いただいております。 参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。 参考人には、御多忙のところ御出席いただきましてありがとうございます。本問題につきましては各方面に広く関心が持たれておりますが、当委員会におきましても、この機会に、本問題に直接御関係をお持ちになられます。あなた方から忌憚のない御意見を伺い、調査の参考といたしたいと存じます。 なお、議事規則の定めるところによりまして、参考人が発言なさいます際には委員長の許可を得ていただくことになっております。また、参考人の方々は委員に対して質疑することはできないことになっておりますので、以上お含みおき願いたいと存じます。 なお、議事の整理上、御意見をお述べ願います時間はお一人十五分以内とし、御意見の開陳のあとで委員の質疑にお答え願いたいと存じます。 参考人前川藤造君。
○前川参考人 私、福岡県の衛生部長前川藤造であります。 八月の二日午前三時四十分、疑似コレラ菌保菌者の決定が、門司に入港しました御影丸船員に出たのであります。その後県といたしましてとりました防疫作業の全般にわたりまして、また最後に、責任者といたしましての作業上の結果につきましての一、二の要望等も付加してみたいと考えるわけであります。 八月の一日——船は七月三十一日の午前六時ごろに門司の港外六連の検疫錨地に着いたのでありますが、私がコレラ患者らしきものの発生の情報を得たのは、八月一日の午後の十一時でございます。これはRKBの記者から私の宅に、こういうことがあるが知っておるかという照会の電話がかかったのでありますが、それによって私は情報をキャッチすると同時に、十一時から翌朝の六時半くらいまでの間——三時四十分に疑似コレラ菌の保菌者と決定いたしましたが、その間約七時間くらいの間に、以下述べますような防疫体制の種々連絡を完了いたしまして、予定計画通りにこの防疫作業が順調に進みまして、本日、このような状況の御影丸のコレラ防疫作業は成功裏に完了したのであります。 以下、順を追いまして、県においてとりました防疫施策を申し上げてみたいと思うのであります。 情報のキャッチと同時に、所管の門司保健所並びに門司市役所、検疫所、それから厚生省等に連絡をいたしまして真偽のほどを確かめ、また私の所管の部署につきましては、それぞれのコレラ対策を指示したのであります。コレラの疑似決定と同時に、本省と相談の上ワクチン五十万ccを押えたのでありますが、これが今回のコレラ防疫におきますところのピークになっておると考えるのであります。この五十万ccのワクチンを入手し得たということが、今回のコレラ防疫を非常に円滑に、成功裏におさめた原因の最大なものであろうと考えるわけであります。二日に県の防疫対策を早朝に編成をし、門司市に対しては県から防疫職員の応援をやり、また決定になるまでの間船員が三十一日に上陸をしておりますので、この足跡の追及をやり、その立ち寄り先の交通遮断、立入り禁止等の一連の作業をやっております。また消毒等も実施しております。それから一日の十一時半ごろ、いわゆる一日から十一日まで十日間にわたりまして海水の使用禁止を、これは山口県と関門海峡を隔てて隣接の関係にありますので、両県知事相互連絡の上に、あとで御説明申し上げますような区域に海水の禁止を同時に連名でそれぞれ告示をいたしたわけであります。 次に、予防接種の開始でございます。が、予防接種も、夜が明けると同時に諸般の予防事業が進んだのであります。予防接種は二日の午後二時ごろから、夜中の間に入手をいたしまして、十二時ごろに到着しました五十万ccの中から即刻十五万ccを門司市全市民の分量だけ、これは一cc一回式の非常措置をとったのでありますが、それだけを入手いたしまして、第一日に約十万、第二日に約五万、全市民を約二十四、五時間ぐらいで完了したということになっております。そういうふうにいたしますと同時に、なお船員の立ち入り先を足跡追及しておりましたものが判明するに従いまして、この者の交通遮断と、それから飲食店、旅館等でございますが、さようなところの交通遮断、立ち入り禁止というものを実施するとともに、また接触者の自宅隔離ということを実施したわけであります。それから荷役に従事いたしました港湾労働者につきましても同様に自宅に隔離をする、また必要なものは門司市にありますところの隔離病舎に隔離をしたのであります。 かような措置をいたしまして、大体八月四日ごろになりましては、ほとんどすべての防疫作業が完了をした形になっております。そういたしますと同時に、この隔離をいたしました接触者に対しましての保菌者検査というものを三日の日から始めまして、第一回、第二回で検便件数二千六百四件と二回にわたりまして実施いたしまして、二回とも陰性という結果が出まして、門司市におきましては、七日の日に船員の遮断、隔離を解除したということになっております。 船員は、門司以外の戸畑、若松、八幡、小倉等、いわゆる北九州全区域にわたりまして歩いておりまして、百四十七カ所にわたっております。はなはだしい者は、一人で十五カ所もあちこち渡り歩いておるというような状況も出ております。かようなことで、やはり北九州全地域に対しまして、さような状況でありますので、当初説明を申し上げました門司の予防注射も、二日間で完了いたしましたと申しましたが、それ以外の地域にわたりましても、三日、四日、五日と大体三日間くらいで、北九州約百万おりますが、百万住民の約九十万、九〇%にわたるものを、情報をキャッチいたしまして防疫作業を開始しましてから四日間くらいで、門司に至りましては二日、二日も二十数時間で完了したというような事態になっております。さようなことで七日、八日で解除をいたしまして、そうして海水の使用禁止についても、八月十一日解除の最後の日がさましたので、これも自然解除という形で解除いたしました。その後次々と船は着いておりますが、その後何らの事故は起こっていない状況になっております。 それからその後の、コレラの防疫作業をやりました後に、市民から、交通遮断、自宅隔離等によりまして業を休んだために、その損害補償というようなことをやってもらいたいという声が出ておる模様でございまして、県に入っておりますものは、門司市から、二百四十件申請書を出しまして、八十五件が現在のところ提出されまして、これは目下審査中であります。漁撈、遊泳、海水使用等に伴いましての陳情は、現在のところ私ども県当局には出ておりません。しかし門司市に対しましては、後刻門司市長からもいろいろ御説明があろうかと思いますが、飲食店、それから港湾業者等からによる補償、また漁業者、それからバナナ業者等のくだもの関係のものからによる補償、並びに市全体がある一定の期間、商業、営業が中止をされたような形になりました補償等につきましてのいろいろの陳情が市当局には出されておることを承知しております。さような状況でございます。 なお最後に、一、二付言をさせていただきたいことは、ただいま申しましたように、これは私から申し上げてははなはだどうかと思いますが、今度の防疫作業は、過去の防疫史をひもといてみましてもないほど、きわめて順調に、成功裏に完了したわけであります。が、その原因の一、二を拾ってみます。と、市当局、市民の理解、わけても市にありますところの地区衛生組織というものが非常に協力的でありまして、かようなものの協力によってかような結果が出たということから考えます。と、地区衛生組織というような、平素われわれがやりますところの公衆衛生作業というものに協力する地域団体というものは、育成をしていかなければならないということを感じさせられたわけであります。 次に、防疫体制が、先般申し上げましたように夜間の十一時から朝六時半くらいまでの間に計画され、それが夜明けと同時に実施をされたというようなことに原因しますが、やはり平素の指導、検討、準備というものが完全にできておったと、かように考えます。コレラの動きにつきましては、政府の指示もありまして昨年の暮れごろから、特に福岡県におきましては、関門地区という関係からことしの初めからは真剣に準備をして、検疫所、門司保健所、それから北九州の市の衛生当局とやっておったわけであります。 次に、ワクチンでございますが、ワクチンがこの夜中の間に五十万cc、あとまた追加で五十万cc、北九州百万の全市民にさすだけの予防注射液が、作業を開始するときにすでに開始する者の手元にあったという恵まれた状況でございます。かようなことが今度の作業を円滑に実施をいたしまして、昨年のポリオ、小児麻痺に対しますところのワクチンの効果——ただいまのところ福岡県はまだ一名も出ておりません。さような予防注射というものに対しますところの国民、県民の信頼というものが高まっておるときに、しかも今度またその作業と同時に五十万、百万というものが、必要にして十分な量がそのときすでに用意されておったというような恵まれた状況にあったことが、市民の協力、安心、信頼感を得たと同時に、防疫作業に全市あげてあらゆる階層が協力をしてくれたということで、ワクチネーション——予防注射を初め、消毒、隔離、諸般のことが文句なしに実施されたという結果で、かような成績をおさめ得たと私は信頼しておりますので、この平素の予防注射液の確保等につきましても、十分に平素検討しておかなければならないと考えておるわけであります。 今回のかような結果に対しましては、政府、議会、それから県民、市民、各方面の協力を心から感謝をいたしますと同時に、ただいま申し上げましたような一、二点につきましても、議会当局におきましても十分に一つ御検討下さいまして、厚生当局に協力、援助、御指導を賜わらんことを、幸いな機会を利用さしていただきまして私からお願いを申し上げまして、私の報告を終わりたいと考えるものであります。(拍手)
○秋田委員長 ありがとうございました。 次に、柳田桃太郎君。
○柳田参考人 私は門司市長の柳田桃太郎でございます。このたびの御影丸乗組員によるコレラの侵入を、国、県、地元の非常な努力によりまして食いとめ得ましたことは、ただにわが国の喜びのみでなく、わが国の文化水準を国際的に示すものとしてまことに御同慶の至りでございます。しかしながら、これを静かに翻ってみますと、現在の防疫体制並びに今回のこのコレラ侵入事件について、市民といたしましてまことに納得いたしがたいことがございますので、皆様にその市民の真情を訴えまして、善処をお願いいたしたいと思います。 お手元に配付をいたしました門司市コレラ防疫対策本部の報告書の二ページの中ごろから御報告をさしていただきます。コレラの防疫を徹底的にやったということにつきましては県の前川部長から報告がありましたが、その後、結果的には、七行目から申し上げますが、コレラの侵入を水ぎわで防止することに成功しましたが、コレラ侵入に伴う人心の動揺は市民生活に大きな影響を与えた結果になっております。ので、御報告を申し上げたいと思います。 防疫機関、すなわち県、市が直接防疫に要しました費用ば、あとで出て参りますが、約五百万円余でございます。それから禁足を受けました港湾労働者、これは百八十八世帯になっておりまして、実際の労働者は七十九名でございます。その得べかりし賃金約百万円を失っております。それから飲食店でなわ張りをされて、営業を事実上停止させられたものが三十五カ所でありまして、従業員は六百十二人の多きに及んでおりまして、その得べかりし賃金は百六十二万九千円になっております。そのほか、これらの事業所が五日ないし六日間にわたりまして、コレラの危険家屋としてなわ張りをされ、営業を停止された期間の売り上げ損は八百七十万円余と届けられております。そのほか、海水使用禁止によって漁撈ができなかった、十日間休業したために、零細な漁民が二百六十余万円の収入を失っております。そのほか、なまものを食べることを避けるために、野菜、くだもの、鮮魚の売り上げが非常に激減をし、あるいは途絶をいたしたのでございますが、これらのもので大きなものは、門司ではバナナの輸入地であり、バナナの卸地でございますために、千三百余万円の損失を受けております。 以上のように莫大な直接の損失のほかに、時あたかも旧盆の売上期間中でありましたために、門司市はコレラ侵入によって人影も薄く、全く商店の大売り出しにも大きな影響を与えまして、得べかりし利益の一億二千万円くらいを減少したといわれております。 今回のコレラは、昨年から東南アジア各地に発生していましたが、七月の十八日には台湾中部に患者を発生したため、厚生省では七月二十一日付をもって全国五十六カ所の海、空検疫所に厳重警戒するよう指示を与えております。この中にはもちろん門司検疫所も入っておるわけでございますが、こういった台湾における状態が非常に危険な状態にあるということは、陸上における門司市民、門司防疫対策本部にもよく徹底をいたしておりまして、すでに八月三日には訓練を、八月六日には実際の実践的訓練を実施するように一切の防疫体制が整っておったのであります。そのときに、この非常な客観情勢の中では、台湾に危険なコレラが発生しているということがわかっている、その中におきまして、門司検疫所は、台湾の高雄はコレラの汚染地でないという理由をもって、七月三十一日に入港した御影丸に対して、コレラの国内侵入の危険はほとんどないと認定して、検疫法第十八条によって仮検疫証を渡してこれを上陸さしたのであります。この仮検疫証を渡す場合は、御承知の通り、検疫法十八条によりまして、「国内に侵入するおそれがほとんどないと認めたとき」という法律上の規定がございますが、かくのごとく厚生本省並びに新聞報道によりまして台湾のコレラの発生が報道されており、また、門司検疫所長みずからが、なま水並びに生鮮食料品を本船に積んでおるので、念のために採便をして後日検便をしなければならないということで採便をいたしておりますので、これはコレラの侵入がほとんどないと認められるような客観情勢ではなかったと門司市民は判断をいたしております。少なくとも危険であるという前提に立ってこそ採便ができるのでありまして、直接ガラス棒をもちまして採便をすることは船員も非常にいやがることであり、本人が承諾しなければできないことになっているのであります。さような情勢でありますから、検疫法十八条で仮検疫証でこれを野放しにすべき態勢ではなかったと門司市民は言うのであります。のみならず、仮検疫証を出す場合には、必ず厚生次官通牒をもちまして都道府県知事にこれを通知することになっております。今回の場合、遺憾ながら、佐世保、島根、大阪、横浜に参りました船員の分については都道府県知事に通知をしたと言っておりますが、一番大切な福岡県、特に門司市並びに門司の保健所には何らの連絡もなく、十七名の真性コレラの保菌者が上陸して町の中をくまなく歩いておるのでありまして、こういうような危険な者をこの客観情勢の中で野放しに上陸さして、しかも陸上には鉄桶の陣営で防疫機構ができておったにもかかわらず、その報道が逆に東京から福岡へ、福岡の県庁から夜中に門司市長へと通達されるということ、こういったことは、一体国際伝染病の病菌を国が守るという、その義務が完全に守られておったかどうかということを、門司市民は今回は非常に遺憾に思っております。国際貿易港である門司港はしばしばコレラの危険にさらされておりますので、普通の場合、これによって損害賠償を訴えるというようなことはいまだかつて聞いたこともありません。今回の場合、特に声を大にして、どうかこの損害を見舞ってもらいたいという声が大きくなっておりますのはそういったところに原因があるのでございますので、十分事情を御調査願いたいと思います。 その中でも、特に港湾労働者は強く、強制的に隔離された間の労働賃金の補償を求めておりますが、これは八月一日の午後四時三十分に、門司検疫所長あて書記長から、この船は台湾から入港した船で危険ではないかという念のための照会をいたしておりますのに対して、門司検疫所は、これは大丈夫であるから作業をせよということで、七十九名が出動して作業を開始して、翌日の五時になりまして、この船は真性コレラ患者があるということで、その後あわてて作業に出た者を強制隔離をし、あるいは自宅に禁足をして、五日ないし六日間作業に従事させなかったのでございます。これがためにこれらの港湾労働者は非常に激高いたしまして、何とかして今回の場合は見舞ってもらいたいということを強く要望いたしております。以上の実際の見積もり損害は、九州海運局あるいは労働基準監督署等の資料と、また直接被害者の申し立てをしんしゃくいたしますと、お手元に差し上げてございます資料の七ページ、八ページにございますが、直接の損失が三千七百万円ぐらいで、間接の損害は一億二千万円ぐらい、全部で一億五千七百万円と予想されております。 なお、この際、これらの損害に対しまして、現在の伝染病予防法の中では、生活保護法の規定を準用するようなわずかな、生活の困窮者に対して一人当たり一日百三十円程度の生活補給を行なって生活援護を行なうという規定以外にはないのでございます。かような観点から、四ページ以下に門司の市民の意見を代表いたしましてお願いをいたしたいと思いますが、この現在の伝染病予防法は明治三十六年にできまして、その後しばしば改正は行なわれたことを聞いておりますけれども、これは民主憲法に先だってできた法律でありまして、非常に国家本位に、今のように基本的人権や財産権を認めたような法律になっていないのでございます。それがために共同責任とはいいながら特定の者が、コレラのような国際伝染病で、何らみずからの責任でなく、国内に居住しておって、はからずも国の防疫陣を突破して入り込んできた患者が立ち寄ったために、そこで営業を停止されて大きな損害を受ける、あるいは自分の財産である商品を破棄しなければならない、その場合に門司全市民が、国民、全市民がこれらの人に対して何らかの補償を与えるのが現在の民主憲法のもとにおいては当然ではないか。赤痢だとかあるいはチフスのような、国内に病源体があるものならばいざ知らず、こういう国際伝染病の場合には特例を設けて、何らかの救済法を考えていただきたいというのが第一のお願いであります。 第二は、コレラ情報の問題でありますが、これは在外公館、商社、船舶を通じまして、WHOの情報に先んじて入手できるように通報組織を確立していただきたいと思います。すでに台湾にはコレラが発生しておるということは、われわれ開港地の市長は早くから知っておるにもかかわらず、防疫所に対しては七月二十一日にきまして、しかも高雄が汚染港でないという知らせがあるのでこれは検疫の対象にならぬというような、非常に法に忠実であるけれども、常識的に見ると客観的にまことにまずいという結果が出ておりますので、この点を第二にお願いいたします。 第三は、コレラ流行地から入港する船舶に対しましては、日本の沿岸漁業地帯に近づいた場合には、必ず便器を封鎖するということにお願いしたいと思います。すでに現在入っております。平島丸も、あるいは御影丸も、六連島の検疫泊地に入るまではやはり便器を開放して参っておりますので、海水の汚染地帯は単に関門海峡のみならず、これは九州全近海に及んでおるのでありまして、非常な危険な状態にあるということをぜひこの際御反省願いたいと考えております。 第四番目は、検疫所が仮検疫証を交付して船員を上陸させるという場合には、必ず事前に入港地の市長もしくは保健所長に協議願いたい。ただに保健所長の判断のみならず、陸上の保健を預っておる者に必ず協議をお願いするように御通知を願いたいと思います。 第五番目は、港口検疫港である門司検疫所、これは東京湾、大阪湾、瀬戸内海、伊勢湾もそうでありますが、それぞれ港口検疫所が設けられております。個々の検疫港は常に充実しておかなければならないと思いますが、今回の場合、門司検疫所は七名の医員の定員のうち一人は長欠、一人は欠員になっておったのであります。この五名が昼夜を分かたず東南アジア方面に対する基地貿易港としてこの検疫を担当しておるのでありますから、いかにオーバーワークになっておるかということはおわかりのことと存じます。どうぞこれは十分一つ機構を常に整備し、定員を拡充し、整えておいていただきたいと思います。 次は、わが国の港でコレラを守るだけでなく、積極的に台湾まで進出して防疫対策に協力していただかなければ、門司港やあるいはその他で守るだけではコレラの撲滅はとうてい困難であると考えますので、ぜひ台湾まで進出するようにお願いいたしたいと考えております。 以上、時間がありませんので大体の陳述を終わりますが、厚生省あるいは県その他関係当局の御努力には感謝いたしますが、ただいま申し上げました損害補償の点並びに改善を要する点については、十分に御調査の上、われわれの希望が達成せられますよう特にお願いいたしまして、報告を終わります。(拍手)
○秋田委員長 並川義隆君。
○並川参考人 私は、日本バナナ輸入団体協議会の副会長をいたしております。会長はただいま他方に出張中であります。私、かわりまして参考人として出て参りましたような次第でございます。特に今回のバナナとコレラの関係につきましては、皆さんにも非常に御心配をかけました。さようなことで、これに対して一応われわれの話を聞いていただき、補償の問題等についても御努力をお願いいたしたいと思う次第でございます。 台湾のバナナが積んでこられました船は四船ございます。入港日は七月二十九日にイサルコ号というのが横浜へ入っております。それから僑果輪というのが七月三十一日に横浜へ入っております。玉山丸は八月一日に神戸の港に入っております。それから八月一日に台運輸というのが横浜へ入っております。イサルコ号の積荷は一万二千八百二十二かご、僑果輪は二万八千三百九十三かご積んでおりました。玉山丸は一万一千八百七かご、台運輸は九千四百五十八かご、これを合計いたしまして六万二千四百八十かごが輸入されて、これが廃棄処分を受けたような結果になっております。 この輸入禁止措置に伴う損害といたしましては、輸入貨物の原価をまず考えて計算いたさなければならぬと思います。イサルコ号は輸入禁止処分の出ます前に横浜へ到着いたしておりまして、仮通関をして荷物は東京、横浜等の加工室に保管をされておって、これを移動を禁止され、販売を禁止されておったものでございます。その後大臣の輸入禁止の措置に伴う廃棄命令によりまして、イサルコ号を初め四船ともの各荷物が全部廃棄処分に処せられたのでございます。イサルコ号は、原価がどれくらいかかっておるかと申しますると七千四十三万二千七百五十円、それから僑果輪は二万八千かごも積んでおりまするから一億三千六百二十二万一千三百十円、玉山丸は五千六百六十四万三千九百二十五円、台運輸は四千五百四十万三千六百七十九円、これらを合計いたしますると三億八百七十万一千六百六十円、こういう金額に達するのでございます。これは政府の認められました台湾の輸入原価と、それから政府が特別利益金を徴収する際に認めておりますところの諸掛り、それらの費用を合わしたもので、特別に自分らで非常に損失の計算を拡大しておるという事実はございません。ところが、この三億八百七十万のうちに政府の特別利益金というものが一億円以上入っております。この特別利益金というのは、政府が外貨割当をいたしまするごとに、銀行保証状をもって四カ月後においてはそれを決済するということで、政府へ担保として入れているものでございます。ところが今回は、まるで陸揚げをしても売れず廃棄になり、陸揚げしないものはそのままで廃棄になるというようなことで、全く何の利益も私たちはないのでございまして、そのために特別利益金を取り上げられるということは、とうていあり得べからざることでございまするから、通産省の方におきましても、これはできるだけ控除するという建前で考えておられます。それからイサルコ号は仮通関をいたしまして、関税の方はまだ決済になっておりませんが、税関といたしましても、この問題については大蔵省も大体非常に好意を持っておられると思います。いずれも決定はいたしておりませんけれども、好意を持っておられると思います。そういうことで、政府に対して納めるべき負担となっておる特別利益金と関税を引いてしまいますると、一億七千七百万円くらいの純損失になります。それでありまするから、三億八百七十万という数字は大体一億七千七百万くらいの数字で損失は終わるものと思います。 それから私たちは、これらのバナナが陸揚げいたしまして、平常通りに販売されたといたしますれば、それに対する幾らかの手数料を見てほしいということで、得べかりし利益とでも申しまするか、これらを各船ごとに原価の六%ずつをつけて損失補償を要求いたしますると、千八百三十八万円くらいのものになるのでございます。 それからイサルコ号その他の三船の貨物廃棄のために、私たちは廃棄処分に協力したわけでございますが、これは私たちがこの廃棄処分の金を払うということでなければ、船会社はそれをだれが払ってくれるかわからぬということでは処分をがえんじませんから、私たち団体協議会が、各荷主にかわりまして責任を持って船会社に命令して、廃棄処分をさしたものでございます。これらの費用は、今正確な計算書は出ておりませんが、ほぼ出たところによって計算いたしますと千七百六万二千九百四十一円、こういう数字になるのでございまして、これはいずれば船会社その他廃棄に要するいろいろな費用を含めて払わなければならない数字でございます。 それから台湾に送りました信用状によって、輸入禁止になりましたために入らない輸入予定分というものが二十三万一千余かごもありまして、これは当分全然入る見込みもございませんし、その他こういう状態でまるで八月中遊び、これから先も台湾バナナを扱えないものは遊びになる。あるいはほかの地域から持ってくるものは、できるだけそういうことによって営業を続けることにいたしまするけれども、まだ自由化するか、外貨割当をやるか、十月一日からどういう措置をとられるかということがわかりませんから、今では五里霧中でございます。そういうことで、こういうことによって営業上の損失を受けることは多大であろうと思いまするけれども、これを今計算して出すということはとてもできません。そういうことで、こういうものについてもお考えを願いたい、こういう考え方でございます。 そこで、これらの品物の原価は一体だれが持つのか、出荷の方の損害になるのかわれわれの損害になるのか、こういう問題でございますが、これにつきましてはCIF契約ということで、原価と保険料と船運賃とを加えて売買契約が成立しております。そしてこの契約によりますと、国際貿易の手続上から申しますれば、台湾で品物を船の上に積み上げれば、その後の危険負担はこちらになるのでございます。それでこちらへ船が着きますると、船荷証券その他の関係書類を出しまするから、これを銀行に提出すれば、直ちに台湾に向かって決済をしなければならぬ。私たちは原価は全部台湾に対して支払ってしまっておるわけです。そういうことで、いろいろと現実の損害を大きく受けておるわけでございまするが、ただいま申しましたように、関税の返還とか、あるいは特別輸入利益金の返還であるとか、そういうものについても努力いたしております。るし、海上保険の契約ができておりますから、その保険会社に対しても保険金を受け取るために非常に努力いたしております。しかしながら、バナナというものは非常に腐敗しやすいものでございまするから、これが一部汚損したからとかなんとかということでは保険金は払いません。海難にあって、そして船が沈んで全損したという場合にのみ保険が払われることになっておりますから、この問題については、保険会社としても払う必要なしという意見を持っておるのが今の状況でございます。また保険の条項の中に、戦争条項とか戦争のために輸入禁止になったとか、あるいは拿捕されたとかなんとかいうことで全損になりますれば、これは支払いを受けることができるのでありまするけれども、そういうことが今日の保険の状態におきましては大体においてむずかしい。もちろん私たちとしては、自分のことでありまするから、いたずらに補償の要求を政府にするばかりでなく、みずから保険契約の履行についてもただいませっかく努力をいたしておる次第でございます。 さようなことで、だんだんと損失の状況につきましては明らかにいたしたわけでございまするけれども政府——所管庁といたしましては厚生省でございまするけれども、厚生省といたしましてはできるだけほかの役所の方でいろいろな便宜をはかって損失を少なくさすようにしようというようなことで、ただいまのところでは食品衛生法に補償の規定がないということが根拠だろうと思いまするけれども、この補償の必要を現在ではまだ認めておられない、せっかく研究していただいておりますと思いまするけれども、現状においてははっきりしたお答えはない、こういうことでございます。 われわれといたしましてもこれだけの損害を受けており、われわれの責任に帰すべき理由は一つもないのでありまするから、やはり国家賠償法の根本理念から申しますれば、こういうときに政府が私たちの条理を十分おくみ取り下さって、補償してしかるべきだというつもりはいたしておりまするが、どうしても補償ができないということになりますると、結局は憲法二十九条ですか、その三項にでもよりまして、憲法上の問題として私たちはこれを法律的に争わなければならないような立場に追い込められるのかということも考えるのでございます。御承知の通りに今日の憲法は明治憲法と違いますから、政府の行動によって国民が損害を受けました場合においては、あるいは賠償責任とか刑事責任とか憲法にもいろいろ規定があり、また財産権の侵害についても憲法には規定があるのでございます。それらの規定を根拠にしてわれわれが法律的にこれらを補償してもらうことができるのではないか。これは法律論として、私たちの専門のことでもございませんので、よくいろいろな方面の意見を聞いて進めたいと思いますが、今日のところでは厚生省に事情を具申して御協力をお願いする、こういう考え方でございます。 それから農林省がこの問題について一番心配しておりまするのは、大体このバナナの輸入をして卸販売をしておるものは、これは中央市場の卸売会社あるいは加工会社が非常に多いのでございます。また中央市場の卸売会社や加工会社がつくったバナナ輸入専門の業者が非常に多いのでございます。そういうことで、中央市場の業者が非常に困るということについては農林省は非常に心配をして、自分では何とかうまくいけばいいと思っておられまするだろうと思いまするが、厚生省とどの程度のお話し合いができているかということは、私にはよくわかりません。 そういうことで、各方面から御同情を願っておりまするけれども、現在は目的は十分達せられておりませんので、そういう点を今後努力して解決に向かいたいと考えておるところであります。どうもありがとうございました。 —————————————
○秋田委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。滝井義高君。
○滝井委員 非常に専門的に問題がわたりますので、参考人の皆様に御質問を申し上げると同時に、時間の関係もございますから、あわせて政府の見解もこの機会に明らかにしておいていただきたいと思います。 さいぜんから前川参考人も述べられたところでございますが、前川参考人が門司におけるコレラの発生を知ったのは八月一日の午後十一時、しかもそれは中央、厚生省からの連絡ではなくして、RKB記者からの照会電話であったということでございます。 まず前川さんにお尋ねをいたしたいのですが、県衛生部としては、門司の市長も述べておりましたが、七月の中旬以降において、すでに台湾でコレラが発生をしておるというような情報を厚生省当局から受けておった事実があるかどうかということでございます。今まで県の衛生当局なり、あるいは門司市長さん初め保健所の所長さん、あるいは中央の厚生省の皆さんが非常な努力で水ぎわで御影丸の問題をりっぱに防止し得たということは、これは非常な功績だとわれわれは感謝をしております。しかしわれわれが、今いろいろ参考人の述べていただいた意見の中から、なお今後の防疫体制に万全を期するためにも、少しそれらの情報の連絡網その他についても明白にしておく必要があろうと思いますので、あえてそのことをお尋ねするわけですが、まず前川さんの方から、台湾におけるコレラの発生状況その他は、絶えず厚生省から連絡が県にあっておるのかどうかということです。これを一つまず御説明願いたいと思います。
○前川参考人 コレラの発生情報でございますが、これは多少時間的にはズレがありますが、厚生省からは連絡があっております。しかし、台湾のコレラ発生につきましては、一日の午後十一時、その時点までには正式の通報は県としては受けておりません。しかし、私、七月の二十六、七、八、九、三十、三十一日と本省に出張しておったのでありますが、その際にバナナ船の問題等は聞いておりますし、また台湾にコレラ発生の疑いありということにつきましては、本省に出張中にさような情報——情報というのは正式に情報を受けたわけではありませんが、さようなことは耳にしております。うわさも耳にしておりました。従いまして、八月一日帰りまして、朝の九時に私は現地に出張したのでありますが、その後必ず来たるという予定で、即刻部内の課長会議、それがら二日の日の緊急所長会議というものも、計画しておったやつを必ず実施するということを指示いたしたような次第であります。
○滝井委員 衛生部当局としては、およその予感は持っておられたようでございます。しかし、そういう予感を持っておられたから五十万ccのワクチン等もいち早く確保したと思うのです。が、問題は、機構についてまずお尋ねしたいのです。それは検疫所長というのは厚生省の所管になっておるわけです。それから市の保健所の所長は、県知事、それから前川衛生部長、それから門司市の保健所長、こうなっておるわけです。それから門司の市長さんの方を見てみますと、市長、それから市の衛生課長、こうなっておるわけです。その国際的な港湾である門司の防疫対策上、こういう三元的なトロイカになっておるわけですね。三頭立の馬になっておるわけですよ。こういうことでうまくいくかどうかということです。さいぜん門司の市長さんからも御説明がございましたが、仮検疫済証をもらって上陸した船員のことについて、何ら門司市に連絡がなかったということなんですね。このことは門司市長さんとしては、市の衛生対策上非常に重大な一つの盲点になっておるわけです。その場合に、もし検疫所の所長が厚生省に通達をすると同時に、前川さんにもあるいは門司市長さんにも通達をしてくれておると、前川さんがRKBあたりから聞かなくても、もっと早くわかってくると思うのです。これは行政には行政の慣行なりなわ張りもありますけれども、こういう形で——国際的な港湾というものは、おそらくみんなこういう形になっておると思うのです。こういう三頭立で防疫体制がうまくいくとお考えになるかどうか、こういう点、当面のコレラの対策でいろいろ御苦心なされた前川衛生部長さんなり柳田市長さんの御意見を率直にお聞かせ願いたいと思うのです。
○前川参考人 ただいま滝井委員から指摘になりましたように、完全なる防疫体制を実施をするという場合に、三頭立、三頭立というお話がありましたが、これは確かに適当ではないと思います。しかし現在の行政機構では、検疫所は厚生省公衆衛生局所管であります。そして国の直轄のものであります。それから門司の保健所は県立保健所でありまして、私を経て知事に直轄でございます。それから門司市は市に厚生部というのがありまして、これが衛生、民生両部の二つの仕事をやっておりまして、この下に衛生課長というのがおる、かようなことになっておる実態でございます。しかし、普通の防疫におきましてもそうでありますが、わけても国際伝染病でございますので、しかもただいま申し上げましたように、検疫所、それから県の保健所、それから現地は市の衛生当局というようなことになっておりますので、さような点については連絡等に、それからいろいろな諸般の対策を実施する上におきましても、ややもすると不都合が生ずるおそれがあるということは事前に十分に承知をしておりまして、平素もそうでありますが、わけてもコレラ防疫に関しましては、昨年の暮れ、十二月ごろからたびたび会議を持っております。特にことしに入りましてからは、さような三つにわたるというような点につきましても、その場合特に重大なのが連絡の問題でありますが、さような連絡、通報の問題につきましては、十分な打ち合わせ協議が遂げられておったのでございます。もちろん検疫所長、それから衛生部、保健所、市衛生当局、こういうものの四者、五者の会議におきまして、かような場合にはかように通報する、かような場合にはこうするということは、詳細にわたりまして取りきめがしてあったのでありまして、ただいま御指摘の御影丸が検疫所に入って念のため採便をした、そして検査をいたしました結果だんだん疑わしくなってきたというような状況の場合には、当然そのときの取りきめによりますれば、県衛生部並びに保健所、市等に即刻連絡をすべき筋のものになっておった。われわれの取りきめはそうなっておったのです。同時にということはないにいたしましても、門司市にある県の保健所、これは知事の直轄でありますので、せめて門司市の保健所にでも連絡がありましたならば、即刻にこの関係部局に対しまして右から左の連絡が済まされておったのではないか。これは結果論ではございますが、さように反省をしております。しかし、検疫所当局におきましては何かいろいろ事情もあったことかと思いますが、結果的に考えてみますと、初めの申し合わせのようにしてもらったらよかった、今後はかようなことのないようにということは反省会議におきましても反省をし、申し合わせております。さようなことが現在までの実情でございます。
○柳田参考人 現在の厚生次官通牒によりますと、これは昭和二十六年の十二月二十七日付の衛二百十六号と二百十七号でありますが、保健所長あてと都道府県知事あてにこの通牒は出ておりまして、仮検疫証を発行した場合には都道府県知事に通知することが詳しく指示してございます。従いまして、仮検疫証が出た場合には、必ず、少なくとも福岡県の場合は福岡県知事に知らせなければならぬのでありますが、今回の場合には門司コレラ対策本部というものができておりまして、対策本部長は門司市長たる私でありまして、副本部長には門司検疫所長、門司保健所長、門司市助役というものが構成メンバーになる。事務局長は私の方の民生部長がやっておりますから、当然そんなおかしいケースが出た場合には、私なり保健所長なりに知らすべき体制であったのであります。そうしたならば、保菌者十七名が二日間にわたり門司市内を行動するというようなことは起こらなかったと私どもは思っております。その点を非常に門司市民は遺憾といたしておりますが、今後はこの対策本部がありますから、その後一ケースが出まして、その場合には保健所長はすみやかに私の方と保健所に連絡をして、香港から入ってきた船の防疫をやった事例が出ております。
○滝井委員 今機構が三元的になっておる点についていろいろ御意見がございましたが、まず海水の使用禁止です。海水の使用禁止の要請を港湾関係者の方で検疫所にしております。ところがその検疫所は何と言っておるかというと、それは市に行きなさい、こう言っておるのです。そこで今度は市に行くと、市は、これはどうも私のところの一存ではいかぬ、やはり県と相談をしなければ、こういうことになっておるわけです。大便をずっと流してきておるわけですから、間髪を入れずこういう海水の使用を禁止する、そのときにだれが勇断を持ってやるかということが、こういう機構が三つになっておるとはっきりしないわけです。こういう点については、一体厚生省はどういう指示をしておるかということですね。固めて言いますが、これがまず一つです。 それからもう一つ、海上の検疫所がやります。それから陸上は保健所がやることになる。そうしておそらく市の衛生課も協力することになるでしょう。ところが五十メートル、百メートルの水ぎわですね、海岸あたりにいろいろの不潔物が一番流れついてくるのは水ぎわです。また水ぎわで海水浴が行なわれる。一体こういうところの処置はだれがやるのかということです。 それからもう一つは、陸揚げをした荷物です。たとえば砂糖とかバナナとかいうものを陸揚げする、その場合に一体消毒というのは検疫所がやるのか保健所がやるのか、それとも市の衛生課でやるのか、こういうあれがきちっと分担化してないから譲り合うことになる。たとえば一番こういうもので関係があるのははしけです。はしけは一体だれがやるか、だれもやり手がいない。だから、従って乗っておる人がやらざるを得ないということになる。こういうこまかいところの指示というものが、やはり緊急事態にはいつでもやられるというような形にしておかないと、機構が一つならば、これはすぐにだれかその衛生の関係者がやらなければならぬけれども、こういうトロイカになっていますと、三頭立の馬車になっていると、これはどうにも、やはりお互いにそれぞれの、ほかの要件もある、人員も足らぬということが出てくるわけです。右往左往するわけです。しかも一方では、何万という人の予防注射をしなければならぬというような問題が出てくると、やはり分担をきちっとしておかなければならぬわけです。今度も現地へ行って聞いてみますと、こういう点については一つの盲点として、しろうとから指摘されている、全然医療関係者でないしろうとが指摘してきている。われわれが考えてなるほどと思う。これは前川衛生部長さん、あるいは柳田さんの御意見もあれば聞かしていただきますが、むしろこれは厚生省として、今までこういう点をどう指示しているかということですね。
○尾村政府委員 お答え申し上げます。 ただいまの汚染の船が、外航船舶が入ってきたという場合で一貫して申し上げますと、外から参る場合に、これは事前の入港通告というものが検疫所になされます。これによりまして汚染のおそれがあるという場合には、もちろん海上はるかかなたからも、日本の領土を侵さぬような海水汚染防止のいろいろな指示ができるように、これは検疫法でできております。従いまして、船が汚染をするという行為に対しましては、検疫所長が検疫法に基づいて指示をする、こういうことになっております。現在も関門の北ないしは南から入る船、並びに東京湾、伊勢湾、それから大阪湾、鹿児島湾、この五つの個所に入る船につきましては、日本の領土、沿岸を侵すおそれがあるということで、汚染地域である台湾方面から来ます船については、全部便管を閉鎖するということを検疫法に基づきまして一般的に指示をいたしておりまして守らしておる、こういうことになっております。 それから、ただいまの直接の御質問でありました、もしそういうような船が日本の領海に入りまして、万一汚染をしたという場合に、直ちに海水使用禁止等の措置をいたしませんと感染の危険が起こるという場合の措置でございますが、これはただいまのような情報を検疫所が船側から得ますれば、これを府県に通知いたしまして、これは伝染病予防法に基づきまして府県知事がいたす、こういうことになっております。これは政令市というものがございまして、府県知事の権限を相当程度政令市に委任している部面がありますけれども、この伝染病予防法による海水使用禁止は、非常に広範囲であるとともに、重要な権利拘束になりますので、これは府県知事がやるということになっておりまして、委任を許されておりますのは指定都市、五大市、東京というような指定都市の市長にのみ一部これが委譲されておる、こういう形になっておりまして、これは全部府県知事の権限になっております。 それから水ぎわの問題でございます。が、この水ぎわといいますのは、一応領海は三海里ということに日本はなっておりまして、さらに瀬戸内海のような日本の国内を通ずるものは全部領域になっております。ほかにもう一つ清掃法がかかっておりまして、清掃法によりますと、沿岸から百メートルの中は、特別清掃地域に関する限り一切の汚染物を投棄してはならぬというのが、これは国内法でございまして、百メートル以内の問題は、関門のような特別清掃地域でございますとこれがかかりますが、一般には、先ほど言いました伝染病予防法の知事の権限によって発動する、こういうことになっておるわけでございます。 それから陸揚げした荷物の問題でございますが、汚染のおそれのあるもの、または汚染されたというようなものは、まず船に外から積んできた場合には、検疫前に処置する場合にはこれは検疫法に基づきまして消毒を命ずるか、あるいは消毒不可能なものについては廃棄するという形において、これは検疫前処置といたしまして検疫所長の権限でできることになっております。それから検疫所を通過してからさようなことが発見される、あるいは輸入禁止品目であったというような形になりまして、これの処置になります。と、これは国内といたしまして、やはり衛生法等によります輸入禁止のいろいろな処置、権限が発動する、こういう形になっております。従いまして、消毒するような場合にも、検疫前には検疫所がやる、通過後におきましては、その段階に応じまして、いわゆる食品衛生法を発動する、厚生省直轄の場合には食品衛生法で行ないます。伝染病予防法でいよいよ国内の伝染防止という立場でやる場合には、伝染病予防法で府県知事がやる、現在こういうような建前になっておるわけでございます。
○滝井委員 きわめて法律的に、それぞれ検疫のあとと前、それから陸に上がった後の食品衛生法との関係等で非常に複雑なんですよ。従って、適時適切の措置というものがとられないと、ある移行する時点のときには非常に混乱を起こしてくるわけです。一々衛生関係の六法全書を引き出して、待て待てということではどうもならないのですね。だからこういう問題については、特に国際的な港、政令市は二頭立になるわけですけれども、普通の港は三頭立にみななっているわけです。そこで、それぞれの検疫所長なり市の保健所長の権限、それから市の衛生課のやること、こういうものをきちっと一つの表にして、そうして国際港には流して、間違いのないようにしておく必要があると私は思う。現地へ行ってこまかく聞いてみますと、今度そういうことが相当混乱を見ております。そういう点を一つぜひ、対策本部をお設けになって、さいぜんのお話では門司検疫所長が副部長だとか言っておったのですが、部長が市長で、検疫所長が下におるのにその部長に言わないのですからね。こういうナンセンスなことが行なわれておるわけです。それは対策本部というものは、結果として見ます。と、生きていなかったということです。それならばちょっと電話で市長さんに言って、それから厚生省に言ってもおそくない。厚生省から回って県に行って、県の衛生部長さんから今度は保健所長さんに行って、保健所長さんから市長さんに行くということでなくて、何かそこらあたりがあまりにも役人的な、命令系統に忠実なしゃくし定木になっておるという感じがするわけです。そういう点、是正してもらいたいと思うのです。 時間がありませんから、少し本論に入って質問したいのですが、台湾にコレラがあり、あるいはそれ以前にフィリピンにコレラが流行しておったという情報を一番知っておるのは厚生省です。出先の県や市というものは知らないわけです。その場合に、最近八月二日以来の新聞に出たのだけちょっと拾ってみますと、コレラあるいはその疑いがあると新聞に出たのは、八月二日の門司港の御影丸、八月十四日の神戸港における中国貨物船の如雲号、これは二人保菌者がおるというような新聞が出ましたね。二十一日に飯野海運チャターの貨物船平島丸、これは三十九人中四人が保菌者だという記事が出ましたね。それからごく最近、二十三日には室蘭入港の貨物船旭洋丸で十八人の疑いがあるというのが出た。これらのものでそうでなかったという記事がだんだん出てきましたが、こういうように新聞に出ると、ここの港というものは非常に緊張をして体制を整えることになるわけです。こういうことをいつまでも繰り返しておると、いつかは入る可能性も出てくるわけですね。もうずっとフィリピンなり台湾にコレラがあったということがおわかりなんだから、バナナは台湾でなくても、南米その他からも入るわけですから、どうして政府はバナナ等の輸入禁止の措置をそのころからおとりにならなかったかということですね。もうわかっておるわけですから、そうすれば迷惑はかからぬわけです。最近になって、きょう野辺地先生を中心とする調査団を出すのだ。それで予備費を百万か百二十万か要求しておりましたね。何かどろぼうを見てなわをなうような格好なんですけれども、コレラが入ったらおそろしいということは、灘尾さんが厚生大臣のとき、何か一つ死体がコレラで死んだような疑いがあるということで騒いだ経験を持っていらっしゃるのですから、台湾なりフィリピンにそれだけの流行があるならば、なぜ思い切ってもっと早く輸入禁止を講じられなかったかということです。こういう点に厚生省首脳部の勇断がないところに、末端の保健所長、検疫所長さんがやはり勇断を欠くことになる。わざわざ便をとって検査をするという決断まではしたけれども、結果の出ないうちに仮検疫済みの証を渡して上陸さしてしまった。こういうふうに、実際に自分のやった行為というものはいいことをやっているのだが、その結果を見ずして早まったことをするということは、やはりあなた方中央首脳部の南方のコレラに対する認識というものがきわめて楽観的であるので、末端も楽観的になる。これはある広義の意味でいえば、従ってそういうことから出たコレラに対する賠償というものは、私に言わしめれば国家賠償法一条でいう公務員が善良な管理者としての注意を怠ったといえば言えないことはないわけです。こういう点は、さいぜんから門司の市長さんもお述べになっておったのです。ところが仮検疫証をお出しになって、そして全員が上陸したら、今度はあとから、これは新聞ですから、検疫所の所長さんに直接会ったわけでないからわかりませんが、新聞の報ずるところによりますと、今度は検疫所長さんが船長さんを告訴しておるのですね。どういう理由で告訴したかというと、台湾から帰るときに下痢をしておる者がおったのに、それを言わなかったからこういうことになったのだ、だからこれは御影丸の船長がいけないといって告訴しておるでしょう。そうすると、この責任は一切船会社にあるのかということになるのです。これは大阪商船ですか、大阪商船にあるのかということになる。ここらの見解を厚生省当局は一体どう考えておるのかということです。
○渡海政府委員 お答えいたします。 滝井さんの御質問、フィリピン並びに台湾にコレラが発生しておるのに、それに対して少し見方が甘かったのではなかろうか、それが今日の問題をいろいろ起こしたのではなかろうかという御指摘でございますが、結果的に見ましてあるいはそういうふうな御指摘を受けます点もありますので、残念に思っておりますが、私たちといたしましては、昨年のフィリピンのコレラの発生以来、国際防疫機構に対しましても私らの方から問題を提起いたしまして、現在流行しておりますコレラが国際的な伝染病の中に入れられてなかったのを、私らの提案によりまして五月下旬ですか、WHOにおきまして伝染病の中に入れるのだというふうな指定をしていただいたというほど、これにつきましては関心を持っております。なお、台湾に発生しましてからも、これに対して十分なる警戒の措置はとっておった。一番最初の御質問に、福岡の前川部長さんがたまたま上京をしておったから、台湾にコレラが発生しておるということを知り、それじゃ門司はあぶないから、国際港として体制を整えなければいけないということにしたということでございましたが、私の記憶しておるところでは、各都道府県に対しまして、台湾の発生状況は七月の二十日過ぎに確かに各県の衛生部長あてに通知を出させていただいた、こう聞いておりますので、この点の注意は喚起いたしておりました。ただ、台湾に対する汚染地区としての国際防疫機構の指定が非常におくれておったのは現実でございます。従いまして、国際防疫機構に伴います措置がとれなかった。しかしながら、前から上陸を禁止しておいたらいいじゃないかということでございますが、現在の国際条約等から申しましたら これらの貿易をその程度で禁止するということは非常に重大なる問題でもありますので、私たちは情勢を十分監視しながらこれを見守っておったというのがその事実でございます。そのために、実は一番最初のイサルコ号の分を廃棄処分に付しましたのも、直接バナナが出て参ります港の高雄にたまたま患者が発生しました日にその船が出港したという事実でございましたので、この分からは、国際的な条約のいかんにかかわらず、私たちは現実に防がなければならないのだというので、それをしも押し切って実は廃棄処分を決定したというような姿でございまして、現在の法制下におきまして私たちは万全の措置でやらしていただいた、かように考えておるのでございます。 ただ、門司の検疫所が仮検疫証を出すほどであったならば、上陸禁止をしておったならばどうかという点につきましては、あとからながめましてそういうふうな御指摘を受けますことは当然と思いますが、当時の検疫所長のとりました態度といたしましては、法的にはむしろなし得ないような状態のときに、とにかく状況を判断いたしまして、ぜひともこれは検便せなければならぬというので、強制でなくして勧奨によって協力していただいたという状況下にあったものでございますから、そういう措置に基づくものとして、仮検疫証によって上陸していただくというふうな処置を許したのではないか、こう考えております。たまたまそれによりましてコレラの保菌者を発見したということで、検疫証を発行するときにもう少しきつい態度をとるべきでなかったかという御批判と、また法に基づくより以上の措置を勧奨によってもなしたという功績と、現在両方考えているような次第でございます。 こういう点につきましては、現在国際検疫条約の中にも非常にむずかしい問題がありますが、コレラを防止するという点からは、WHOあたりに持ち込みまして、コレラの防疫体制の完璧を期すために、国際条約そのものからも少しは検討を加えてもらう必要もあるのでなかろうか、このように考えておるような次第でございます。
○前川参考人 ただいまの防疫情報の点でありますが、私は台湾に発生した情報を七月中に受けていないということを証言いたしましたが、それは高雄に発生という情報を受けていないということで、台湾に発生しておるという情報は、七月二十三日付の通牒によって受けております。ただ、高雄という地域については受けておりません。
○滝井委員 だんだん問題の核心に入りたいと思うのですが、門司の市長さんは、さいぜん、伝染病予防法というのは明治三十六年とおっしゃったのですが、私の六法全書を見ると明治三十年四月一日、法律三十六号となっているのですが、とにかく明治の時代にできた法律で、御存じの通りかたかなで書いております。健康保険法や船員保険法と同じようにかたかなで書いてある法律です。かたかなで書いてあるのは残り少ない日本の法律の一つになるのではないかと思いますが、その基盤、ものの考え方は、旧憲法時代のものの考え方です。 そこで、今後防疫対策を本格的にやろうとすれば、門司市長さんが指摘をされたように、伝染病予防法というものを、今度の問題を契機として速急に改正する必要があると思うのです。この点については、政府は一体そういう考えを持っておるのかどうかということです。もちろんこの法律の改正というのは、昭和三十四年の四月二十日、法律百四十八号で一応最終改正が行なわれております。しかし現実にコレラを水ぎわで防止することができたという、非常に最小限度の被害で食いとめ得た現実においても、この伝染病予防法なり食品衛生法を逐条的に検討してみると多くの矛盾点を持っておるわけです。この点に対してまず結論的に、政府は一体伝染病予防法なり食品衛生法を抜本的に、新しい憲法の思想にのっとって、基本的な人権を十分尊重する立場に立って、速急に検討する意思があるかということです。
○渡海政府委員 食品衛生法については別でございますが、伝染病予防法につきましては、現実におきまして従来からの古い法律でもございますので、抜本的な改正を検討中でございまして、目下審議会において十分検討を行なっていただいているような状態でございます。
○滝井委員 そうしますと、政府は改正の意思があるということです。 今度の門司における御影丸事件というものは、いろいろわれわれに示唆を与えております。まず私がお尋ねをしたいのは、今いろいろ補償を要求されておる方々、そういう方々が責任があるという場合には、これは補償というものは当然要求ができないと私は思うのです。しかし、本人が責任がある場合でも補償をしておる場合が、伝染病予防法にあるのですね。それは建物です。伝染病予防法の十九条ノ二ですね。これは本人の責任であろうと本人の責任がなかろうと、責任の有無にかかわらず、建物に対して、これを焼き払ってしまったというような場合には補償することになっていますね。これは一体どういう観念から出てきたか。あなた方は当時の、明治時代の立法者じゃないからわからないかもしれないけれども、現実に法を運用されておる人としては、その根本的なものの考え方は一体どこから出てきたかということを、やはり運用上御説明をする必要があると思うのです。これは私たちは常識的には、本人に責任がある場合は補償の対象にならないというのが常識論です。ところが建物の場合は、病毒に汚染されたら本人の責任の有無にかかわらずこれは補償することになる、いわば交付金、手当金を交付することになるわけですね。この十九条ノ二の建物に対する処分が行なわれて、そしてそれに補償をする理論根拠というものは一体どこから出てきておるのかということです。
○渡海政府委員 お答えをいたします。 現在の法の建前といたしましては、実体法によりまして公共福祉のためにある程度の制限を加え、それのためにおきまして損害を生じた場合におきましては補償が伴わないということになっておるのが、大体現在の法の建前でないかと思います。御指摘になりました伝染病予防法によりますところの補償規定は、むしろ例外であるというふうに考えておるのが、現在の運営の姿じゃないかと思います。 なお、この場合、ただいま御指摘されましたように、本人に責任があるかどうかということが問題でなくして、建物の場合においては補償をするように規定をしておる、こういうことでございますが、この特例そのものが予想されます伝染病は、建物の破壊、焼却を必要とするような伝染病は、本人の責めに帰するような場合が少なく、むしろ本人の責めに帰する以外の場合において、それしか消毒の方法がないという場合にそういうふうなことが起こるということを考えますと、相当損害も事件に対しまして過大にわたりますので、そういうふうな特例を設けたものであり、むしろ特例として解釈されておるのが現在の法運営の一般的考え方でございます。かように考えております。
○滝井委員 そうしますと、今のようなお考えからは動産に補償をしないという理論は出てこないのですね。非常に病毒に汚染されて危険である、しかもそれが過大というか、かなり価が高いというのは、動産だけでなく、たとえばここに大きなダイヤモンドがある、これが汚染されておったという場合だってあり得るわけです。従って、この伝染病予防法の法概念からいうと、不動産はやって動産はやれないという理由はない。従って、この伝染病予防法は非常に不均衡な、片手落ちの姿をつくっておるといわざるを得ない。もしこういうことに気づくならば、私たちは今度の事件についてもやはり何らかの措置を、これは速急に立法して考えるか、あるいは別途に政策的な政治的な配慮をもって考えなければならぬという、こういう場合が出てくると思う。 それからもう一つ、バナナに関連するのですが、食品衛生法で、明白かつ現実の危険があるときには、警察緊急権の発動をして、そのものを廃棄させたり何かしてしまうわけです。これは一体どうして補償しないのでしょうか。どういう理論から、たとえばバナナを廃棄させる、廃棄させて食品衛生法を見てみますと、どこにも——伝染病予防法は建物については補給の考え方が出てきているわけです。しかし食品衛生法については何もないですね。しいて求めれば一つあるのですよ。それは二十六条に、国庫負担というところで、「訴訟事件に要する費用及びその結果支払う賠償の費用」ということがある。だから従って、食品衛生法でいろいろ廃棄させたり何かした場合には裁判があるかもしれぬ、そのときにはその費用の半分は国が持とう、あるいはその結果の賠償の半分は国が持とうという、片鱗的な、自分がやった行為に対して、あとでこれが間違っておったときには責任を持とうというあれが出てきています。しかしそのほかには、私ざっと読んでみたがないのですね。これは昭和二十二年、終戦後にこの法律はできておるわけですが、これもまだ大日本帝国のにおいの少し残っている二十二年ごろですから、動産的なものは全部だめだ、こういう考え方に立っておったかと思いますが、環境衛生局長として、こういう形で一体今後予防行政ができるかどうかということですね。
○五十嵐政府委員 ただいまお尋ねの食品衛生法に基づく廃棄処分によって生じた損害等に対する補償の問題でございますが、これは先ほど伝染病予防法で、建物の関係等につきまして特別の例があるというようなお話が質疑あるいは御回答の間にあったわけでありますが、私のただいままで検討して参りました見解といたしましては、こういった補償の対象となります状態が法律で禁止事項とされていない場合でございまして、その損失をそのものの負担とすることが適当でないような場合に補償をするという見解がとれるのではないかと考えておるわけでございます。これは私の考え方でございます。従いまして、食品衛生法等取り締まり法規におきましては禁止規定があるわけでございまして、その禁止規定に違反して行なわれました行為の結果生じて参りました損害につきましては、それを補償しないという建前がとられておるわけでございますので、そういう考え方で食品衛生法が構成されておるもの、こういうふうに考えるわけでございます。 なお、こういった法律の規定によって、食品衛生法の適用、あるいは食品衛生法の適切な運営、食品衛生の確保が可能であるかというようなお尋ねもあったわけでございますが、私どもは、禁止規定を振り回して廃棄を事ごとに行なわせるということより一歩前進いたしまして、行政的には廃棄処分の出ないような形で運営をして参りたいというふうに考えておるわけでございます。
○滝井委員 そのものが負担することが適当でないときは補償をするということです。それから禁止規定がある。しかし、バナナを輸入するのは禁止規定はなかったわけで、そのバナナに病毒がついているか、病毒がついていないかわからないのでも、いわゆる明白かつ緊急な事態として、それを少し予防的にワクを広げておやりになっておるわけです。ここまできますと、これはいわば緊急明白というわけにはいかぬ。非常に予防的な面まで範囲を広げてやっている。そうしますと、そうやられた本人にとってみれば、これはやはり泣き寝入りをせざるを得ないという形になるわけです。 そこでいろいろ調べてみました。まず、緊急かつ明白で、他のものに大きな害を及ぼすから、ここで一つ何か処断をしなければならない、廃棄するか、建物をこわさなければならぬ、こういう場合に一体補償をする場合があるだろうかと考えてみますと、一番典型的なものは消防法です。火災がぐうっと町のまん中に延焼し始めた。そうしますと、消防署長なり消防団長は、この火災の類焼を防ぎ、延焼の防止と人命の救助のために、まだ燃え移っていないりっぱな家屋の破壊を命じてしまう。これは消防署長なり消防団長がやれるわけです。そうしますと、これで延焼を防げるわけです。ちょうどこれと同じです。この建物のかわりにバナナをはめかえてみたらいい。建物のかわりに何か他の食品衛生をはめかえてみたらいい。この食品を食ったらコレラにかかるかもしれぬ。それは、緊急度においては、明白さにおいては火事よりはもっと低いでしょう。それを補償されないわけです。しかし、その火事の場合はどうするかというと、消防法の二十九条の三項をごらんになると、そういう建物の処分をした場合に損害があったときには、時価で補償しますということが書いてあります。これは市町村が出すことになっています。時価で補償するのです。こういういわば火事の場合に匹敵するものです。コレラの大流行を来たすおそれがある、バナナを食ったら大へんだ、だからこの場合廃棄だということは、建物をこわすということと同じです。ただ、それが建物という大きなものか、バナナという小さいものかという違いです。それは大であろうと小であろうと、人命を守り、緊急な、重大な事態の起こることを防ぐという基本的な点については同じです。ところがこれは何にもないのです。 それからもう一つ、今度は伝染病の方を見てみます。結核予防法をごらんになると、これは結核予防法のできたときはいつですか。今われわれは結核についての恐怖は非常に去ったのです。私たちが大学を出たころは結核がはなやかだったから、結核というものはレプラと同じように業病であった。いなかに行ったら、結核患者が息を引き取ったときには、水がめをこわしなさいと言った。なぜならば、結核菌が水がめの底に沈んでおる。人が一人死ぬと、また結核患者が出る。家族感染をするから、そうでしょう。だからいなかの人は水がめをこわせと言った。そうして結核は業病だから、結核患者のおるうちとは婚姻を結ぶなと言った。そういう思想の背景を受けたときに、やはり国民の意識、国民の世論、国民のものの考え方というものは法律に反映しますから、おそらく結核予防法は、そういうまだ今ほど結核に対する観念が大衆に普及しないときに法律が制定されておるはずです。これは昭和二十六年です。しかし、前の法律に比べてずっとあとです。二十六年といいますと、われわれが代議士に出る前後ですから、結核問題は一番ピークのときであるけれども、いろいろ優秀な薬が出ようとする段階にきておるわけでありますから、それほどおそろしいことはなかったのですが、そのときにおいてさえも、結核についてはなお恐怖の念があったものですから、結核患者の使用した衣料、寝具というものを焼却することになっておる。それで、その焼却した場合に、都道府県がこれを補償して、その補償した額の二分の一を国が補償するということになっておる。そうすると、衣類その他結核については補償します。ところが、バナナその他を焼却した場合にやらぬということはおかしいのです。従って、日本のこういう補償関係の法律、大体あのようなものを一々抜き取ってみると、一貫した思想は何にもない。全部ばらばらです。その点、そのときそのときの政治的な情勢や何かを反映して、恣意的に法律がつくられておる。これが実態ですよ。そうしますと、今後新しい憲法ができて、私たちが防疫対策について国民の全面的な協力を得ようとするならば、やはり今回の門司の御影丸事件を契機として、政府が適切な措置を、非常に苦しんでおられる関係者にとる必要があると思う。そうしてそれをとるとともに、これらの無原則な、一貫性のない、しかも千差万別の法律体系について、補償の問題について、これを契機としてりっぱな、ぴちっとした体系的なものに思想を一貫する必要があるのです。それが行なわれていないのです。結核予防法で焼いたものについて補償する。今、患者の残飯については、患者さんは、あれはおれのものだから、それを売った金はおれにくれということが国立病院に起こっておるでしょう。昔ならあんな結核患者の残飯なんか大変だ、豚どころじゃない、こう言っておったのです。しかし今は、それは金になるんだ、こう言っておるのですから、だいぶものの考え方が違ってきておる。しかし、とにかく結核患者の着ておったふとんや衣服について、焼却した場合は補償するのですから、こうなりますと、いわんや商品としてのバナナあるいは営業のためにつくっておった食品を廃棄せしめる、あるいはそのために商売をやる大きな障害があった分について、私は精神的な面までの補償とは言いません。しかし、これは公共のためにやってもらったのですからそこまでは言いませんが、最小限度のものは、今の日本の法律体系から考えてみてもばらばらなんですから、ある場合はやり、ある場合はやっていない、そうすると、これは理論的な一貫性はないのですから、今の憲法のもとではやるのが当然なんです。やるのが当然であって、やらなかったことの方がむしろ厚生省当局の怠慢で、その怠慢がはしなくも今日こうして集中的に門司市に、そう大きな形じゃないけれども、ある程度の形で現われておる、こういうことだと思うのですが、どうですか。一つ一つ個別的にいくとなかなかですが、あなた方の基本的な考え方ですね、もうこの門司の問題については全然ほおかぶりでいくつもりなのか、まだ立法措置というものは相当時間がかかるので、とりあえず何らかの善後措置というものを政府が責任を持ってとるということなのか、その点をまず厚生省当局で明らかにしてもらって、そして大蔵省当局の見解をあわせて私はお聞きしたい。
○渡海政府委員 公共の福祉のためのいろいろな取り締まり規定等によりまして、一般国民に与える補償につきまして法の間に一貫したものがないじゃないかという見地でございましたが、もちろん政策的に出されたものもございまして、そういうふうな見解もございますが、一応現在の法体系におきましては、私たちは本人の責めに帰すべきでないと思われるような場合を予想し、しかも政策的に必要な場合は、特例としてそれらが認められておるというのが現行法の建前でございまして、原則はあくまでも、そういった事態に対しましては補償を伴わないのだという建前に立っておるのが、現行法の行き方でないかと思います。 なお、食品衛生法に対するそういう規定も必要ではないかというふうな御見解でございましたが、政策的にそういったものが必要であるかどうか検討すべき点は、今回の事例に徴しましても多々あるのでなかろうかと考えます。が、これらの問題は、憲法にいう財産権の補償というものがはたしてそういった場合の分までも補償すべきであるかどうかという点、憲法の財産権の根本論についても、法律的にもむずかしい問題であると考えるという議論で、目下検討中であるということを私も聞いておりますので、なおよく検討さしていただきたい、かように考えております。しかるに、ただいま申されました門司市の問題につきましては、現行法の許す範囲におきまして、市民感情等も考慮いたしまして善処いたしたい、かように考えておる次第でございます。
○滝井委員 非常にニューアンスのある政治的な答弁で一応満足しておきたいと思います。 そこで、現行法の許す範囲でできるだけの政治的配慮を加えて善処するということですが、これに対しては大蔵省当局、今いろいろ私が質問したのをお聞きになっておったと思うのです。問題はあなたの方がいろいろ予算上の措置をやらなければどうにもならぬのですが、こういうことについて大蔵省当局の御協力が得られるかどうか。
○船後説明員 今回のコレラ防疫に関する種々補償問題でございますが、問題があることは私どもも関係方面からの連絡で承知いたしておりますけれども、現行法、特に食品衛生法の解釈上、個人損害に対する補償の規定はございませんので、これをどう扱うかにつきましては、ただいま厚生政務次官から御答弁がございましたように御検討中のことと承っております。その結果によりまして、正式に予算を伴う問題として私どもの方に御相談がございますれば十分検討をいたしたい、かように考えております。
○滝井委員 食品衛生法の問題だけでなくて、伝染病予防法の問題も含んでおるわけです。ぜひ一つ政策的な配慮を加えて検討していただくとともに、なお今後の防疫対策に国民的な協力を得られるように、池田総理の得意な大所高所からの配慮を加えて善処していただくことを希望して終わります。
○秋田委員長 河野正君。
○河野(正)委員 すでに今度のコレラ問題につきましての論議はいろいろ行なわれましたので、しかも時間もないということでございますから、私は検疫行政、防疫行政そのものずばりに対しまして、二、三点にしぼって所信をお伺い申し上げたい、かように考えます。 その第一は、御承知のように本年は初頭において流感、インフルエンザが非常にものすごい勢いで浸淫をいたして参りました。国内でも六百万人から八百万人の罹患者が出たといわれておりますが、そういうようにまことにゆゆしい状態というものが生まれて参りました。昨年は、御承知のようにこれまたポリオ、小児麻痺ということでものすごい罹患者を出すとともに、またとうとい犠牲者を出して参りましたことは御案内の通りでございます。こういう現象を見て参りまする場合に、われわれが特に考えなければならぬのは、もうそろそろ伝染病に対しまする抜本的な対策を確立すべきではなかろうか、このように毎年々々伝染病が多発いたしまして、社会不安と申しますか、国民に大きな不安を抱かせることは、立法府におる私どももまことに遺憾でございまするし、また国民の健康を預かります政府といたしましても、まことに遺憾な事柄だろうというふうに私は考えます。 そこで、私がまずお伺い申し上げたいと思いますことは、特に今日まで現場でそれぞれ御活躍を願い、御協力を願いました方々に対しましてお伺いを申し上げたいと思います点は、それは、抜本的な対策を確立する前にわれわれが考えなければならないのは、今日まで多発して参りました伝染病というものは一体どこにその大きな問題点があって多発してきたのか、このことが私は非常に重大な点だろうと考えます。たとえば国際的にはWHOの機構の問題等もございましょう、あるいは行政的には、先ほど滝井委員からもいろいろ申しておりましたように、行政機構等の問題もございましょう、あるいはまた、先ほどからいろいろ論議がございました伝染病予防法とか、あるいは食品衛生法だとか検疫法だとか、こういう法律の結果に基づいて防疫体制というものが完璧を期し得られるかという問題等もございましょう。これら私は思いつきました二、三の点につきまして御質問申し上げたいのでございます。もちろん、そのいずれにも私は問題があろうとは思いますけれども、まず私どもが今速急にやらなければならぬ点は、一体どの点であろうかということを痛切に考えてみなければならぬというふうに考えます。そこで、今日まで現場でそれぞれそういうふうな伝染病多発に対処願いました現場の衛生部長なりあるいは市長なり、そういう方々から、現場を通してお感じになりました御所見等をまずもって一つお聞かせいただきたい、かように存じます。
○前川参考人 お尋ねの点でございますが、現在伝染病といわれますと赤痢、それから昨年は小児麻痺、ことしはコレラ、これに日本脳炎、インフルエンザ等があるのでありますが、抜本的にどういうことがきめられておれば、伝染病予防の現場の者として好都合だと考えるかというお話であります。が、きわめてむずかしい御質問かと考えます。それぞれのことに対しまして、たとえば赤痢の場合でありますれば、これは原因は、消化器伝染病であります関係もありまして、やはり日本人の生活環境というものに、赤痢がある程度以上減少しないという原因がひそんでおる、私はかように信じます。さよういたしますと、やはり赤痢が消化器伝染病でありますれば、排泄物、いわゆる大便の衛生的処理というようなこと等、環境衛生の問題を完全に処理していくということが根本的な問題であろうかと考えます。環境衛生の問題になりますと、大小便の問題、飲料水の問題、食品衛生の問題等、いろいろ諸般にわたりますが、その中でも屎尿の処理ということ、その施策を私は全面的に、この際国においてとってもらいたいと同時に、この赤痢等につきましても、一応の流行の予測ということは、現在の学問、技術においてある程度のことは可能であるはずでありますので、かような点につきましても十分な措置を、ことしからは国においても予算をとって、地方においてもそれぞれの地域を指定しまして調査をすることになっておりますが、さような流行を事前に予測して、そしてそれぞれの状況に応じましての適切な施策を立て得るようにやっていただきたい、こういう二点を、私は強くこの際国において施策づけていただきたい、かようにお願いをするわけであります。 それから小児麻痺の問題につきましては、昨年、ことし打たれた施策が適切でありまして、全国的にもそうでありますが、わが福岡県におきましては、現在まで一名も患者が発生いたしません。この点につきましては、国の施策、県のとりました施策というものに非常に感謝しておるわけであります。小児麻痺は生ワクチンの投与ということ、これが非常に有効であったわけでありますが、さような点を学問的に、計画的に推し進めていくと同時に、やはりこれも流行予測というようなことをいたしまして、十分に事前に手を打っていくということをやっていただきたい。 コレラの問題につきましては、一応外来伝染病でありますので、きょうも議論を尽くされましたような、また要望のありましたような点につきまして、抜本的な施策の改善ということに意を尽くしてもらいたいと思うわけであります。 なお、日本脳炎等につきましても、かの小児麻痺においてあれだけの成果をおさめ得たのでありますので、やはりこれにつきましても、現在の学問、技術におきまして有効と認められておりますところの予防接種というものを、国民が容易に受けられるように——これは大部分が費用の問題であります。個人負担という問題、これはいろいろ見方があります。国においても立場はあろうかと思いますが、一線の防疫の責任者として、また国民のそれぞれの声を聞きます場合に、やはりかようなものは公共の費用によって、できるだけ学問、技術的にもうなずけるように、高率に実施ができるような措置を国家においてしてもらいたいというようなことでございます。まだそれ以外にも伝染病はあろうかと存じますが、大体私の要望することは軌を一にしておると思いますので、以下それによって判断していただきたいと考えるわけであります。
○河野(正)委員 まず、今日まで起こって参りましたもろもろの伝染病というものを防止するためには、抜本的な対策を早急に確立する必要があり、それらの点については、若干今、前川衛生部長からも申し述べられました。なおまた、これは先般の委員会におきましてもいろいろ論議された経緯等もございます。そういうような抜本的な対策をすみやかに確立する必要があると同時に、その確立いたしました方策というものを、実際に実行面に移していかなければならぬことは、これは否定することのできない事実でございます。ところが、今日までの経緯をながめて参りますと、まことに残念でございますけれども、その実行面において、現在は抜本的な対策というものが確立されているかどうかということについては問題がございますけれども、現在の施策の中でも、そういう施策というものを実際に実行面に移していくという面において、私はやや欠くる点があるのではなかろうかというようなことを、実は強く痛感いたして参っておるのでございます。その一部につきましては、前の委員会におきましても、たとえばバナナの廃棄処分についての方法論について、若干厚生省のお示しになったことと現地でやっておられることについて、そごいたしておった点を御指摘申し上げました。今度私どもがいろいろな情報を聞いて参りますと、なるほど今前川部長からも御指摘がございましたように、情報、調査というようなことが重要でございますことは、これまた否定することができません。ところが最も重大な点は、情報を収集し、調査を明確にしていくと同時に、やはり施策というものが実際にどういう形で実行されていくかという点が、私は非常に重要なかぎを握っておると思う。今度御影丸が内地に入港いたしてきた問題が起こって参りましたが、その後平島丸が入港して、そして保菌者が出て参ったということでございますが、もうすでに高雄においてコレラが浸淫をいたしている。しかも御影丸が保菌者を内地に導入いたして参ったという厳然たる事実があるにもかかわらず、実は平島丸の乗組員が、一名か二名除いてほとんど、浸淫地帯である高雄に上陸をした、そういうことが実は新聞その他で報道されているわけです。そういたしますと、いかに中央で方針が確立されましても、その方針というものが現実に実行されなければ、こういう問題がたびたび繰り返され、何のために抜本的な対策を立てるかは全く意義を喪失するというようなことに相なろうかと私は考えるわけでございます。 そこで、情報の収集あるいは調査という点について重点を指向される。たとえば厚生省から調査団が派遣されるというようなこともけっこうでございますけれども、やはり今申し上げます。ような方針をいかに実行に移していくか、こういうような実行の面に欠くるところがあったならば、私は所期の目的を達成することはできぬであろうというふうに考えるわけでございます。が、そういう点について、実際に厚生省はどういう方針で臨んでおられるのか。これがやはり明確にならぬと、せっかく中央で私どもがいろいろ貴重な意見をお聞きして、そしてそれらに対して対処していこうというような心がまえでございましても、実際には成果を上げることができないということでございますから、そういう点に対して、今日までどういう方針で臨んで参られたのか、この点を一つ厚生省からお聞かせをいただきたい。
○渡海政府委員 抜本的対策の一つとしていろいろな問題を立てても、これが着実に実行に移されるよう監視することが重要であるという仰せでございますが、ごもっともでございまして、ただいまあげられました平島丸でございますが、これらの事例につきましては、いかなる状態にその後把握しておりますか、詳細は係官より報告いたしますが、ただ私がつけ加えて申し上げたいのは、そういった事情もございまして、実はいろいろ国際的な問題もございましたが、コレラ予防の対策の面では、長期計画の面におきましては日本で防ぐというだけでなくして、むしろ積極的に台湾でなくしてもらうということが最も必要であり、またわが国の防疫体制にとっても最も必要なことでなかろうかという点において、本日専門家六名を台湾に派遣したというような状態でございますので、御了承賜わりたいと思います。
○尾村政府委員 確かに、お話の通り台湾に行く船ないしは向こうから来る船、これらにつきまして、現在までのところ船員が持ってきておるものですから、船員が汚染せぬようにするということが非常に大事な問題でございます。私どもの方もそれに着目いたしまして、御影丸の発生以後、八月六日に船を管轄する各省並びに船主協会等のこれに関連のあるところを呼びまして、発生地域に行く船の船員等の厳守すべき事項ということを示達をいたしまして、これの徹底方を頼み、さらにこれは中央関係だけではあぶないものでございますので、八月十三日付をもちまして局長名で各都道府県のそれぞれの部局長、政令市長に同様な内容の伝達をお願いした通牒を発しました。現在入ってきます船の模様を見ます。と、これらの指示が行き渡ってから国内を発しまして、連絡のついた船等はよく順守しておる模様でございます。これは現実に検疫官が聞いておりますので、これは確証を握っております。が、平島丸はちょうどその過渡期のものでございまして、七月二十九日にもうすでに高雄に入港いたしまして、向こうで約二週間滞在をいたしまして本月の十五日に高雄を発して今度入ってきた、しかも一週間もかかって二十一日に到着した船で、非常に例外的な運航をした船でございます。従いまして、私どもの方のこの詳細な、わかりやすい、船員が順守すべき事項が徹底する以前にもうすでに向こうへ入っておりまして、もちろん御影丸がようやく向こうを発した当時入港していったものでございますので、連絡が全く不可能だった船でございまして、従いまして、先般来新聞紙にも出ておりますように、本人たち、上陸して相当飲食もしたようでございます。今後の船につきましては、もう一切こういうことはないと、こういうふうに伝達しておりますので、これは確信しておる次第でございます。
○河野(正)委員 時間がございませんから端折って、取りまとめてお尋ねを申し上げたいと考えます。それは今私が御指摘申し上げましたように、第一には、抜本的な対策を立てることが必要であろう、抜本的な対策が立ったならば、それを忠実に実行に移していくということが最も重要な点であろうと同時に、そういう方針なり、あるいはまた実行に移す場合に問題になりますのは、やっぱりそれを実行していく第一線の検疫陣と申しますか、そういう面におきまする機構、定員の問題があるいはまた重要な問題になって参ろうというように考えます。特に先般来いろいろお伺いいたしておりますると、たとえばさきの御影丸の場合におきましても、凝集反応に際して、血清に対しましてやや自信のないような報道があって、国民が非常に大きな不安を持ったという一例もございました。それと同時に、きょう現地の方々から事情等を承りますると、第一線に活躍されまする検疫陣の機構、定員というものにやや欠くる点があったというような御説でございます。こういうことが社会に対しましてもかなり大きな不安を醸成するでありましょうし、また国民も大きな不安を持って参るであろうというふうに考えます。そこで第一点としては、こういう第一線に活躍を願っておりまする検疫陣の構成というものが実際どのような状態であろうか、この点は一つ厚生省からお聞かせいただきたい。 それから現場の衛生部長に対しましては、これは直接衛生部長の所管ではございませんけれども、ひいては厚生行政に参画いたしまする研究員の問題、あるいはまた医師の問題等もございますので、そういう意味で、検疫所に対する所管ではございませんが、そういう問題と関連いたしますので、そのような検疫陣あるいはまた研究者というものが、なかなか今日充当することが困難な事情にありますことは、これは県におかれてもその通りであろうと思います。そういう面について、今後国がどういう処置をやったならば機構、定員の充実がはかられるか、またどうやらなければならぬのかという点につきましては、現場でいろいろ御苦労なさっておるだろうと思いますので、衛生部長の方から一つ御意見をお漏らし願えればけっこうだ、かように考えます。
○尾村政府委員 第一に、検疫上の定員並びにいろいろな機能の裏づけになる整備の問題で御指摘がございました。検疫上の職員定員は、一応全国五十六カ所、本年また六十一カ所になりますが、これらのものにつきましては、一応常態の検疫としては正規の陣営をそれぞれそろえまして、従来長年の間スムーズに行なわれております。問題は、今度のコレラでもおわかりのように、急遽大きな問題が一点、二点に集中するという場合には、平素の何倍、何十倍という業務量が発生する、しかも平素の他の国から入ってくる貿易船等もこれはないがしろにできない、その業務もそれぞれ分かれて遂行しなければいけない、こういうことが特徴でありまして、こういうために、いつでも、どこに入っても非常体制に応ずるようなことを全部そろえておくということは、平素むだもございますし、不可能でございますので、一番われわれが注意しなければならぬことは、そういう場合に応援体制——全国五十六もあることでございますので、これらを一点に集中する、あるいは危険な五つの港の予測があれば他から応援を集中する、こういうことはいつも心がけなければならぬのであります。これは平素からいつも計画を立てておりまして、今度も博多等、もよりの検疫所からそれぞれ必要な人員を一名、二名というように、急遽応援体制で間に合わせておるわけであります。それでもなおかつ間に合わないという場合もありますので、こういう場合には、既定予算で足らなければ、今までの例では、昨年以来しばしば予備費等もお願いをいたしまして、それによりまして臨時に、大学等から雇い上げによって臨時応援をする、平静に返ればまたお戻り願う、こういう体制をあわせてやっております。しかし、それにいたしましても、門司の場合はこれが非常にオーバーいたしまして、今までの考えでは追いつかないくらいであります。臨時に大学等からも応援を願う。ただ細菌学とかこういう方面の専門家はどこでも余裕がない現状でありまして、現実に定員が二名おいておったということが起こっておりまして、これは決して押えたり放置したのではなく、現実に専門家が得られないということでありますので、これは一般医療職員、研究職員同様に、研究所は特にへんぴなところにありますので、獲得については、待遇改善その他についてまっ先に講じていかなければならぬということで努力しておるわけであります。なお、府県との関連につきましては、きょうもいろいろ御指摘がございましたように、一昨年来この欠陥に気づきまして、港湾衛生協議会というものを検疫所を中心につくる、地元のそれぞれの衛生関係者あるいは清掃関係者等、並びに港湾のいろいろな行政関係者と一本のものをつくるという形で大部分できております。これで協力を得ると同時に、連絡をするということでございましたが、今度のコレラにはそれが現実の運用上、検疫所には若干連絡が悪かったということでございます。 以上のようなことでございますので、やはり非常体制につきましては、もう少し予算的あるいは政治的にもわれわれが慎重に足らざるどころを補うという緊急の措置は、これは十分用意もし、やっていかないといかぬ、こう思っております。
○前川参考人 お尋ねの点は検疫陣の整備の問題かと思います。私どもの方の衛生部の関係ではなかったかと了解いたしまして、検疫陣のことについて多少申し上げます。 ただいまも主管局長から御説明があったことに尽きると思いますが、ただ今回のコレラ防疫で、もう少しこうあってもらったらと思うような点があると思うのであります。局長といたしましては、ただいま申し上げた通り、私が局長であっても同じと思うのでございますが、まあそれだけではどうも何にもなりませんので、実際に今度経験いたしまして、こうあったら多少こういう点がということ、そういうことでお聞き願いたいと思うのであります。確かに平常時から緊急な事態に備えるように研究陣を整備するということは、これはなかなか問題と思います。しかし有事の際に、六十カ所もあるものが有機的に動けるようにもう少し手が打てなかったかというようなこと、これはぐちにも類するかと思いますが、かようなことも考えられます。 それから、きょうもいろいろ連絡等の点について指摘されましたが、これは当時はみんな一生懸命やったのでありますが、結果的に見ますと、さような点も出てきますので、ああいう場合には、えて準備が十分でありましてもどじを踏んでいろいろなことも起こりやすいものでありますので、平素十分な訓練、検討、準備がなされているように心がけていかなければならぬのではないか。もちろん港湾防疫会議等も、本省の指示によって何回もやっております。県も検疫所も市も、関係者みな集まって完璧に近いくらいにやっておりますが、さようにやっておっても、まさかの場合にはそういうことがある。これは不可抗力であったかもわかりません。しかし、そういうことになりますので、平素十分にさような点について意を注いでいきたい。私も現場の責任者としてもいきたいが、本省におきましても、さようなことを御研究、御指導願いたいということであります。
○河野(正)委員 時間がありませんので、最後に要望を申し上げて終わりたいと思います。今日までしばしば各種伝染病の多発がございまして、社会不安ないし国民に多くの不安を抱かせましたことは、まことに遺憾だといわざるを得ないのでございます。そこで先ほどから指摘いたしまするように、われわれは再びこういう事態を繰り返すことのないように、今までしばしばそういうことを強調して参りましたけれども、残念ながら繰り返して参りましたので、一つこの際、大英断をもって、当局もこの問題に対しまする抜本的な改善の取り組みを行なっていただきますように、この点は特にお願いいたしたい。 それから最後に、私が指摘いたしました第一線に活躍いたしまする検疫陣の問題でございますが、これは単に動員すれば何とか事足りるというようなことだけでは——今の衛生部長の発言にもございましたように、やはり日ごろの訓練も必要だし、準備体制というものも必要だということ等もございますので、やはり機構、定員を充足させますると同時に、内容的にも私は充実させてほしいというふうな点からも、待遇の改善その他について具体的に御検討願うと同時に、御努力願わなければならぬというようなことも考えますので、そういう点に対しても一つ今後とも積極的に御善処あらんことをお願い申し上げて、質疑を終わりたい、かように存じます。
○柳田参考人 伝染病予防法は、明治三十年の制定にかかるものでありますので、訂正させてだいただきます。
○秋田委員長 参考人の方々には、種々長時間にわたり有意義な参考意見をお述べいただき、本問題の調査に多大の参考となりましたことを厚く御礼申し上げます。ありがとうござました。 この際、暫時休憩いたします。 午後零時四十七分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなった〕