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41回国会衆議院1962/08/22

社会労働委員会 第3号

発言数
129
登壇者
14
会派数
3
開催日
1962/08/22

会議録

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 これより会議を開きます。  この際、お諮りいたします。  小委員十五名よりなる麻薬対策小委員会を設置したのでありますが、新たに小委員二名を増員することとし、その選任につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  それでは    齋藤邦吉君 中山マサ君を麻薬対策小委員に指名いたします。      ————◇—————

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。大原亨君。

大原亨日本社会党

○大原委員 私は、社会党を代表いたしまして、新しく大臣になられました大橋労働大臣に対しまして、雇用問題、雇用政策、賃金問題、賃金政策、それから労働者の権利の問題、特にILOの問題、こういう問題につきまして御質問いたしたいと思うのであります。  その前に一言いたしておきたいと思うのですが、きょうは最初であります。が、与党の諸君や政府委員諸君の出席の状況が非常に悪いのであります。非常に時間がおくれまして、私ども定刻に来て待っておったのでありますが、一つその点は、将来、委員長におきまして社労の運営上十分考慮していただきたい。  それから、最初に私は雇用問題について質問いたしたいと思いますが、その中で、主として私は失対問題について質問いたしたいと思います。と申しますのは、日本における失業対策事業の問題は、世界的に見てみましてもこれはきわめてまれな制度であり、それは日本の経済政策、二重構造あるいは雇用問題、社会保障の問題の一つのいわば縮図のようなものであります。そういう特殊な社会的な条件の中から出てきておる問題であるので、従ってこの問題を各方面から究明いたして参りますると、これは非常に大きな問題になると私どもは考えております。この問題を中心といたしまして、厳然たる社会問題でありますが、全国の市長会あるいは財界の一部あるいは与党の皆さん方から、この問題について打ち切り問題あるいは改善問題等が出て参りました。で、私は委員長にお願いしておきたいのですが、こういう問題については、社会労働委員会の運営を若干切りかえてもらって、これは運営上でもよろしいのですが、与党の皆さんもこの問題については平生から質問しておられるわけでありますから、社会党、自民党でこの問題について、一つ政府の方針やあるいは今日の現状を中心といたしまして自由に討論、フリー・ディスカッションをして、そうして問題の本質を究明する、こういう仕方も私は考えてもらいたいし、そういうつもりで一つこの問題と取っ組んでもらいたい。そういう形式は日本の議会においてはありませんが、しかしそういうつもりで、いわゆる山中委員会等はございますけれども、国会における論議におきましても十分この点を重視して、与党の諸君もこの問題について、それぞれの党派においてはもちろんですが、議会の場におきまして一つ十分検討していただきたい。こういう与党の諸君あるいは委員長に対する運営上の希望を申し上げておきます。(「賛成」と呼ぶ者あり)賛成という意見がありますけれども、口先だけでなしに一つこれをやってもらいたい。  それから第一に御質問いたしたいのは、大橋労働大臣は、先般の予算委員会におきまして、わが党の質問に対しまして失対打ち切りの問題について見解を表明されたのであります。失対の打ち切りはしないけれども改善をするんだ、こういう見解の表明でありましたが、その点につきましてまず総括的に労働大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 現在の失業対策事業につきましては、特に昨年以来各方面からいろいろな批判が出て参っておることは御承知の通りでございます。この事業が現在公共団体によってなされておるものが多く、従って、事業主体でございます公共団体の理事者側から、かなり強い要望等も出ておるような次第なのでございます。また現在の失業対策事業のあり方につきまして、一般の世人といたしましても、いろいろな角度から批判をいたしておることを耳にいたしておるのでございます。が、かような見地に立ちまして、この失業対策事業を何とか本来の目的を達成するような、そして世間の批判に耐えることのできるような形に改めることが必要ではなかろうか、こういうふうに考えておるのでございます。  すでに今年度の予算の編成に際しましても、政府といたしましては、失業対策事業の改善ということを念頭に置きまして、いろいろ検討をいたしたのでございますが、何分にも大きな仕事でございまして、早急に結論を出すことはできなかったような状況でございます。そこで予算編成にあたりましては、とりあえずの処置といたしまして、一つには、失業対策事業におきまする失業労働者の吸収率を、前年度よりも低下させるということが一つでございます。それからまたもう一つは、失業対策事業におきまする機械力の使用ということを増加する方がよかろうというので、さような点で工事単価の修正をいたしたことであるわけなのでございます。この二点の修正は、これは全くとりあえずの改善でございまして、依然として根本的な問題につきまして検討を加えなければならぬというので、ことしの春以来、特に専門の学者にお願いいたしまして、工事の現場にも出かけ、実情も聞き、また関係者の意見等をも聴取した上で、実態に即した改善案を答申していただくような運びにお願いをいたしてあるわけなのでございます。一部では、この問題が失業対策事業の打ち切りというような形で取りざたされておるのでございますが、政府の真意は、今申し上げましたるごとく失業対策事業を打ち切ることではなく、失業対策事業の本来の趣旨をより一そう達成するために、できるだけ内容を改善して参りたいという考えにほかならないのでございまして、かような趣旨を予算委員会においてもお答えいたした次第でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 大臣の考答弁にございましたが、失業対策事業の本来の目的、これは、政府は失業対策事業を雇用政策として考えておるのか、あるいは社会保障政策の一つとして考えておるのか。あとで実態の問題について質問を続けて参りますけれども、失業対策事業の性格、本来の目的というもの、あるいは失業対策事業というものが存在している社会的な意義、そういうものについての認識なのですが、その点について、これは政府委員の方からでもいいから御答弁いただきたい。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 本来この失業対策事業は、読んで字のごとく、失業労働者に対しまして適職につかれるまでの応急的措置としてやる、いわゆる雇用対策上の制度であったわけでございます。ただしかし、現実の失対事業の内容を見てみますと、十年以上というような相当長期にわたりまして、ほとんど固定した方がこの事業によって救済されておるというような現状なのでございまして、現状におきましては、どちらかというと、社会保障的な作用がかなり強くなってきておるということを認識せざるを得ないと存じます。

大原亨日本社会党

○大原委員 私は、大臣の御答弁は、答弁としては非常に筋が通っておると思います。目的は雇用対策ですけれども、実際には社会保障の役割を果たしているし、そういうところに位置づけられておるというふうに思います。だからその認識をはっきりと、山中委員会にしろ与党にしろ、市町村長会にしろ、やはり認識してかかりませんと、これは社会問題を正しく解決するゆえんではないと私は思うのです。これは原則論ですから、原則論についてとやかく私は申し上げませんけれども、この失業対策事業に対しまして、昭和二十四年に始まりまして以来、毎年の傾向はともかくといたしまして、飛び飛びでよろしいのですが、人員がどのように増加をしていったか、こういう点につきまして、まず最初に明らかにしていただきたい。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 事業規模を申し上げますが、二十四年の当初は二万人であり、それが二十九年には十六万三千人、それから三十二年に二十二万五千人、それから三十五年に二十四万人、三十七年の今年が二十三万人の事業規模になっております。

大原亨日本社会党

○大原委員 それは予算人員ですけれども、登録人員を、今の人数だけでもよろしいですから、一つお答えいただきたい。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 登録人員の推移についての正確なのは現在持っておりませんが、最近の三十五年から三十七年現在、大体失業適格者として登録している者が約三十五万人、昨年末から最近若干減っておりますが、大体ここ両三年三十五万人、三十一、二年のころが大体三十一万人程度の数字でございまます。大体において二十九年ないし三十年、ここで二十六、七万人から三十万人を突破するようにふえております。それから三十年以降は、ほとんどずっと横ばいになっております。ここ両三年、非常に景気がよかったにかかわらず、大体三十四、五万の線を横ばいする、こういうことでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 失対の登録になる適格基準は、御承知のように三つほどあって、失業者であること、それから働く意思と能力があること、それから家計の主たる担当者であるという規制があるわけであります。そういう規制をいたしましても、登録者が、ここ十年を振り返ってみますと、だんだんと人員がふえておる。好況不況を問わずふえておる。特に最近の高度成長政策のもとにおきましても依然としてふえておる、こういう実態があるわけでありますが、これは雇用政策の面から議論をいたしますと非常に大きな問題であって、日本的なそういうふうな経済構造の、資本主義構造の分析になると思うのですが、これは別にいたしまして、そういう失対登録者が三十五万に達するまで、今日までこういう経過をたどって漸次増加をしている。規制をしたにもかかわらず増加をしているという、そういう理由、そういう原因は、一体労働省としてはどこにあるというふうにお考えであるか。一体どこにそういう原因があるというふうにお考えになっているか。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 根本的には、やはり中高年令層のいわゆる再就職の職場がない、割合に少ないということと、そのうちでも、ことに女子のいわゆる家庭的の事情で、中高年令層についての生業のための機会が少ない。従って最近におきまして、先ほど横ばいと申し上げましたけれども、このうちの中身は、だんだん中高年令者が多く、しかもそのうちで女子の割合が多くなっている、こういうような状況でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 私はやはり、御指摘になったように中高年令層の雇用問題が、日本においては今日まで職業紹介の中で問題になりましたが、これは大きな問題です。それからお話のように、母子世帯、特に女子労働者の問題であります。それから地域によって非常に特色があって、たとえば未解放部落等は、失業したのではなくて、初めから職がないから失対に就職する、こういう形態でしょう。それから炭鉱地帯、駐留軍その他の失業多発地帯におけるそういう失業問題の停滞あるいは増大傾向、そういうものは、私は今日以後においても——質問を少し進めますが、今日以後においても、この問題は三つの登録要件があるが、三つの登録要件に該当する失対事業の適格者、希望者、そういうものは決して減少する傾向にはない。政府が権限をもって登録を拒否すれば別ですけれども、社会問題として存在するそういう失対事業の条件に該当するものが、それが減るというふうな情勢にはないと私は思うのです。幾ら池田総理大臣が所得倍増政策といいましても、ないと思うのですが、その点に対する御認識はいかがですか。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 その景気変動に伴う動きにつきましては、いわゆる先ほど申し上げました適格者の動きというものについて、それほどないわけでありますが、しかしそれは、先ほど申し上げましたように、ごく大ざっぱな見当でありまして、しかし景気のいいときには若干ずつは減って、また景気が悪くなると多く、従って景気の悪くなった場合に増加するのが多くて、景気がよくなって減るのが少ない、こういうふうな現象でございます。しかしこの失対適格者の働きの内容につきましては、景気のいい場合には非常に民間就労がふえまして、それから景気の悪い場合には民間就労が減る。従って、先ほど申しましたように、予算のワクといたしましては、民間就労が非常に増加する場合には予算のワクは若干減る、民間就労が悪くなる場合には若干ふえる。その関係が必ずしも適格者と並行的にはいかない。従って、失対事業の就労者の状況を見ますと、景気の変動につきましては、景気のいい場合には民間就労が非常に伸びる、景気が悪くなると民間就労が少なくなるという変化はあります。

大原亨日本社会党

○大原委員 これは大臣からお答え願いたいのですが、大体、大局的に政治的な判断をしてみまして、経済の調整策——行き過ぎの是正をやっておりますが、そういう中で、本年、来年にかけまして、やはり失対事業を中心にいたしましてこれに対する要求者、登録者がふえる情勢にあるというふうに思うのですが、来年の予算折衝その他この問題を処理される上において、本年あるいは来年にかけての情勢についての御判断を一つ聞かしていただきたい。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 現在の雇用の全体といたしましては、景気調整策の浸透にもかかわらず、雇用全体のふえる傾向は多少鈍化はいたしておりますけれども、やはり変わっては参っておらないのであります。ただ今後におきまして、さらに石炭山におきまする人員整理の問題、また自由化に伴いまする金属山の人員整理の問題、またやはり自由化に関連いたしまして一部の業種におきまする同じような問題、こういう点を考えますると、相当中高年令層の離職者が出るのではないか。そしてそれにつきましては一般の経済界では処理できない、何とかやはり政府がめんどうを見なければならぬというものも多少あるのではないか、こういうふうに思われるのでございまして、全体的な雇用の増加の傾向は続いております。けれども、しかし現在やっております。失対事業そのものにつきましては、必ずしも減少するとは限らない、場合によっては増加することもあり得る、こういうふうに考えておるわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 特に今のお話に加えまして、農山漁村等では農業の構造改善事業を進めて参りますと、担保能力や実力のない農民はやはり潜在失業者になっていく。こういうことで失対事業に集まる、あるいはそれをやる、こういうような条件がふえていっている。    〔委員長退席、澁谷委員長代理着席〕 こういうことは、都市周辺の農村等を見ましても非常に明らかであります。農民の中における、漁民の中における分化、こういうものがやはりこういう条件を生み出していると思うのです。そういう問題を一つ一つ分析いたしますと限りありませんが、問題になっておりますのは、どこの地域でも、場合によったら五割、全体としましては四割だといわれるのですが、女子労働者の問題について、これはどういうふうに御判断になっていますか。これを生活保護で解消できるというふうにお考えですか。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 今、調査会でわれわれの方もいろいろの失対調査の資料を使って分析しておるわけでございます。が、やはり失対事業の改善の一つの重要な観点として、現在の女子の失対適格者の状態、また失対に入られた前の仕事、こういうようなものにつきましていろいろ研究調査をしていただいておりまして、こういう方たちのいわゆる就業の問題、雇用の問題について、政府として何か手を打てるものなら打っていきたい。これはやはり現在の失対事業でいいものかどうかということについて、今、調査会で鋭意検討していただいております。

大原亨日本社会党

○大原委員 今の三十五万の中で四割ないし、ひどいところは五割をこえて六割に近づいているというような女子労働者ですが、主としてこれは母子家庭が多いと思うのですが、そういう雇用政策について考えないで、これは簡単に生活保護へ転換していくといいましても、それは机上プランというものです。これは、社会局長がお見えになっておりますから、あとで質問いたしたいと思うのです。これは非常に大切な問題ですけれども、積極的な雇用政策は、政府は今日までほとんどしていない。職業訓練にいたしましても、東京のある一部では、そういう方面の職業訓練所を閉鎖しようというようなことすら考えておるということがありましたが、とにかく積極的なそういう雇用政策がないと思います。この問題一つとりましても、これは生活保護との関係につきましてあとで議論いたしますけれども、私は一つ問題があると思う。  それからもう一つは、やはり高齢者や身体障害者、不具者の問題ですが、特に失対事業に働いておる高齢者が非常に多いというのはどこに原因があるのですか。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 先ほど大臣も御答弁なすったように、いわゆる失対事業に入るときにはまだ再就職の程度、たとえば五十才なら五十才程度の人であったわけです。それが十年たてば六十才、五年たてば五十五才、こういうふうに失対事業に入られてから長くおられるために高年令になるという問題が、現在の失対に高年令者層が集まる原因であります。従って若い層の人は、失対に入られても間もなく民間雇用に出ていく。そういうように相当流入流出があるわけですが、やはり長くおられる方はどうしても年令が高くなる。また現実に景気がいいときに失対事業に入られる場合には、やはり中高年令者が入られる。若い者は出ていく。従ってそれがまた残る。  それから女子につきまして、先ほどの御質問にもう一点加えておきます。が、現在のわれわれの調査で参ります。と、女子の方で失対事業に入られる前に職があって、失業したために失対事業に出たという方は一三・七%、それから全然前職のない、いわゆる家庭の主婦なり、今まで全然職業経験のない方は、大体において二〇%というふうになっております。これはその事実を申し上げます。  中高年令者の現在多くあるという事情は、そういうふうな事情でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 つまり失対事業に停滞している年限が長くなって年をとってきた。そして就職の機会がなくなって、一方においては中高年令層の就業状況が非常にきびしくなった。女子労働がふえた。そういうこと等であります。が、たとえば定年制一つとってみましても、五十五才で大体職場をやめなければならぬ。こういう人は、子供にたよるとか、あるいは退職金や年金にたよって生きていくことはできるでしょう。そういう人もやはり失業対策事業の中で働いて生きていきたいということで、やはりそれに踏み切る、こういう条件もある。これは社会保障制度との関係になって参りますけれども、そういうことで、今の中高年令層、特に高年令層の生きていく道としての失対事業への就労ということについて、山中委員会に対しまして、社会保障制度へ移すというような問題点を政府が提起されたことは、私はそう簡単な問題じゃない、こう思うのですが、労働大臣、お聞きになっていかがでしょう。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 現在におきましては、御承知の通り社会保障の水準というものは非常に低いわけでございまして、従いまして、失業対策事業に参画しておられます高年令層あるいは婦人労働者、こういう人たちを満足させるような生活水準の保障がないのが実情なのでございます。従いまして、現状において直ちにそういう方々を失業対策事業から除外いたしまして社会保障に移すということは、そこに非常に大きな摩擦があるわけでございまして、社会問題としても慎重に考慮しなければならないものだと思います。そういう意味で、簡単にこれらの方々を社会保障に切りかえるということは、私どもとしても考えられない問題だと思っております。

大原亨日本社会党

○大原委員 一つ一つ議論していけばいいと思うのですが、失対事業に働いている方で生活保護をもらっている人、そういう人のパーセンテージ、それからどういう条件の人が大体においてもらっているか、こういう点についての現状をお答え願いたい。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 失対労務者で、生活保護をさらに付加されなければ生活ができない状態の方が現在約一一%ございます。それはどういう事情かというと、やはり一家庭の人間が多い。被扶養者が多い。それが大体四人以上のような家庭で、しかもその失対適格者だけの収入に大体たよらざるを得ないような家庭ということでございます。約一割です。

大原亨日本社会党

○大原委員 三年前にも、三治さん御承知のようにいろいろ問題が起きまして、労働次官通達と厚生次官通達の問題で、六十才以上の女子と六十五才以上の男子については失対からできだるけ生活保護に移すように、こういうことがございました。この問題について私は論議を蒸し返すつもりはないのです。そのときにいろいろいろと議論があったわけですが、簡単に失対事業から生活保護に移るというような問題は、大臣お答えになりましたが、そう簡単な問題ではないと思う。一部の新聞によりますと、政府側の意見といたしまして、生活保護の方針を変えて失対事業から受け入れるようにしたい。政府にこういう見解があるやに聞いているのですが、厚生省の方のお考えはそういうふうであるのですか。

大山正厚生事務官(社会局長)

○大山政府委員 失対事業の改善につきましては、ただいま労働省の方でいろいろ御検討いただいておる由に承っておりますが、私どもといたしましては、ただいままでのところ、まだ具体的にどのような方向であるということを承知しておりませんので、従いまして、その関係におきまして生活保護制度の建前を何らか変えるということは、目下何ら考えておりません。

大原亨日本社会党

○大原委員 この間、新聞に出ておりましたのですが、労働省の方に、生活保護に対する基準を変えさせてこれを受け入れさせる、こういう強烈な政治力のもとに政策があると聞くのです。が、これは新聞に出ておったのです。が、誤りですか。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 いろいろの議論でそういうふうなことはすぐ常識上言われるわけなんですが、その問題は、今調査会におきましても現在の失対労務者の全体の収入であるとか、生活程度はどうなのか、これを地域別、年令階層別にいろいろの研究をしておりますけれども、今社会局長がお答えになりましたように、調査会におきましてもまだこれを目下検討中で、そういうふうな政策として生活保護をどうこうという問題までまだ進んでいないわけであります。従って、全体としての失対と生活保護との関連というような問題につきましては、まだ検討中でございまして、それが調査会でたとい出ましても、それから労働省といたしましては厚生省との協議の問題でもあります。し、また労働省として諮問機関である雇用審議会もございますし、そういうところにお諮りした上でやっていく、こういうことに相なるわけでございまして、われわれの方として調査会に、生活保護を改善してそちらの方へ行ける方策を考えてほしいとか、また具体的にこういう政策を考えてほしいというふうなことは、前の福永労働大臣も言われたように、事務当局としても、また大臣としても、そういうふうに注文をつけて調査会に検討を願っておるということはございません。

大原亨日本社会党

○大原委員 それでは私のこういう生活保護と失対に対する見解を申し述べまして、大臣の見解を聞きたいのです。が、私はこういうふうに思うのです。生活保護というのは救貧政策です。所得制限が非常にきびしくて、家財に至るまで、家具に至るまで規制をいたしまして適用するわけです。従って、とことんまで貧乏に陥りませんと、百六十万の国民の中における最低所得階層の条件にはまらないだけでなしに、そこに落ち込んだら失対以上に停滞しておると私は思うのです。これはあと時間があったら、いろいろ議論があれば本質的に議論したいと思うのですが、だから救貧政策だと思うのです。だから本質的に、ほんとうに憲法二十五条にいうところの健康で文化的な生きる権利を保障している権利としての社会保障制度ではないと思う。しかし、これは大切であることは大切です。どんどんこれをよくしていかなければなりません。最低を引き上げていかなければなりませんが、しかし、社会保障制度としましては、これは救貧政策の域を脱しない。従って私は、失対に働いている一一%で重複しておる人を含めまして、失対に働くということは、やはりよくよくのことがいろな条件の中にあるわけですが、しかしそのことは、副業ができる、他に内職や副業ができる、そしてそれで所得を減らされない、働いて生きていきたい、私はそういうことだと思う。失対に対するいろいろな批判があるけれども、これはあとで私は失対に対する批判の問題で、三つばかりまとめて、これに対する対策を述べながら一つ質問してみたいと思うのです。失対事業は、救貧というよりもやはり防貧的な政策です。だから社会保障の側面から見ていくと、生きる権利を、細々ではあるけれども保障するというふうな、こういう積極面がある。働いて立ち上がるという面がある。だから私は、そういう面において、生活保護の基本的な性格は救貧的なものであって、失対の性格は、防貧とは言わないけれども、しかし働いて立ち上がっていこうという、そういう意欲に対する政府の施策として、働く場所を与える施策としましては積極的な一つの社会的な意義がある。社会保障が、貧困の今の日本におきましてはそうだと思っておりますが、そういうとにかく働かなければならぬという議論はあるのですが、では失対の労働者の婦人層あるいは老年層、これが失職をいたしましたことは個人の責任じゃない、個人の責任が全然ないとは言わないけれども、政治の問題、戦争の原因とかあるいは会社が倒れたとか、社会的な原因です。だからそういう問題に対しまして、失対事業は社会的な一つの意義を持っておるのです。が、そういう防貧政策、救貧政策というふうに分けて、今その点を私は見解を述べましたけれども、そういう意義を認めるべきだと思う。失対事業で働いて生きていきたいということと、生活保護で何も働かないで停滞させる、所得制限をうんといたしましてやっていくというふうなことは、どちらが社会的な意義があるかと言えば、私は失対事業の方に積極的な意義がある。社会保障制度を完全にさせるために、前進をするたきに意義がある、こういうふうに私は考える。その点に対しまして、失対事業に対する御認識、生活保護に対する御認識、この点についての違った見解があれば一つ労働大臣の方からお答えを願いたい。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 今の御見解には同感でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 それで私は、この問題は厚生省においても議論してもらいたいと思うのですが、母子家庭に対しまして所得保障、生活保障がある、あるいは六十五才になったならば老齢年金がもらえる。現在は七十才で一千円であります。福祉年金でしょう。あるいは身体障害者で所得保障があるというふうな、普通の方式における先進というかどうかは別といたしましても、資本主義諸国における社会保障制度の水準、こういう問題があって、そういう所得保障権利としての社会保障の確立、年金制度のそういう前進、こういうものに失対事業を移行していくということは、私は合理的だと思う。しかし日本の現状では、遺憾ながらそういう点については不可能である。現状では年金制度その他所得保障、医療保障の問題と貧困の問題がありますけれども、遺憾ながらそれば私は不可能である、こういうふうに考えますけれども、労働大臣いかがでしょう。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 その点も同感でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 非常に労働大臣賢明な方でありまして、全く意見が一致いたしましたが、しかし、そういう政策に逆な政策が与党の中で言われたり、あるいは全国市長会等がいろいろ建議されておる。しかし全国市長会等の意見は、ここに市長会の答申があります。が、分析をいたしてみますと、必ずしもそうではない。そこで指摘されておる点は大体三つある。失対事業に対しまして仕事がないだろうという意見がありますが、そうではありません。仕事はつくりましたら幾らでもある。これはつくって参りますと、予算と資材を加えましたら仕事は幾らでもある。私ども見ますと、この失対問題で、巷間議論されておるのは三つある。その点は、失対はどうもぶらぶらしておって、遊んでおってしょうがない、こういうことが一つ、それから地方財政の負担が多過ぎるということが一つ、それからもう一つは、どうも全日自労や全民労との労使関係が頭痛の種である。こういうことが三つです。これは本質的な問題ではないと思うのです。が、三つあると思う。そこでこれを解決する根本的な政策として、私は一々申し上げることはできませんけれども、時間がないので別な機会にまた申し上げたいが、たとえば失対がぶらぶらしておるということは、そういう問題は生活保護の問題について触れて参りましたが、年寄りや御婦人を生活保護にやれば、それはまたぶらぶらすることになる。まるでこれは働かない。働いて収入があったら切ってしまうのですから、こんなべらぼうな話は——べらぼうな話なんですけれども、そういうことが現実なんですから、そういう議論は成り立たないし、御婦人や子供をかかえておる母子家庭や、平均三・三人という扶養家族をかかえておって、栄養も十分とれないで、この暑い旱天の中で働くということについては、いろいろ問題があるわけです。これは皆さんお互いに働くといたしまして問題がある。これを克服する積極的な政策については、私どもいろいろまた十分議論する用意があります。そういう問題があるし、たとえばこういう問題もある。ある自治体で、特失その他の問題ばかりではありませんが、下請に出しました公共事業の道路の舗装なんかで、失対がやっておる道路の舗装と比較いたしまして、監査機関がどっちが良心的な仕事か調べてみたデータが出ております。どこだったか記憶しておりませんが一番確実な仕事をしておるのが失対事業だった。それは時間をかけてやっておるという点もあるのですけれども、とにかくそうであったといわれておる。    〔澁谷委員長代理退席、委員長着席〕 これは道路とかその他屋外で非常に目につきやすいところで仕事をしておるということもあるのですが、しかし、そういうような十年も続いておるという失対事業の紹介の仕方、その他失対事業に対する考え方について、あとで時間があれば私の方の意見を申し上げますけれども、そういう点を改善しないでおいて表面だけ見てそうだと言うことは、私は当たらぬと思う。生活保護との関連あるいは工事の内容で、最近は十年選手もできまして、道路の舗装とか下水工事とか、その他相当高度の仕事をしておる地域がたくさんある。そういう点から見て、必ずしもそういう批判は当たらないと思う。これは概括的な意見になりますが、一つ御所見があれば労働大臣の方から聞かせていただきたい。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 今申されたいわゆるぶらぶらしておるということは、われわれ実際予算の執行者として常にいわれておる。各地の実態もずいぶん見ております。これは先生御存じでしょうから、一々の問題について申し上げません。事業効果の点につきましても、やはりでき上がったそのものについてとやかくいわれることではない。それをつくる場合に、公共事業なりその他一般の事業としてやれば五分の一なり何なりで済むものが、失対でやればよけいかかる、それからさらに、交通のひんぱんなところはいつまでも道路が直らぬために、普通のいわゆる請負事業でやれば三カ月で済むものが一年も一年半もかかる、その間住民が交通に非常に困る、そういうような事業の工期の問題、それから経費の問題——これはもちろん理屈はある。失対事業でやるのといわゆる請負事業でやるのと、失対事業の方がよけいかかるということは当然言えるわけでありますが、それがあまりにもかかり過ぎるという問題になる。一番われわれの方が苦慮しておりますのは、やはり何と申しましても、そういうように非常に工期が長い、従ってよい工事をやろうと思ってもいろいろできない。もちろん予算の面もございます。そういうことからいろいろ事業効率の著しい停滞ということがあるわけであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 それで労働大臣も、失対事業の社会保障制度その他のそういう側面をお認めになっておるわけですけれども、やはり今の局長の御答弁では、これは資材費の問題とかいろいろな問題とも関連するわけです。失対事業自体は、そういう道路の最高度な工事を要求しておるわけじゃないのです。だから選び方もあるわけですし、事業主体その他の工事計画等もあると思います。しかしながら、働いて生きていこうという現実、三百円か四百円くらいで、女の労働者で家族をかかえてやっておるという母子家庭、あるいは高齢で六十才になっても働かなければならぬというう現実、そういう点から考えてみまして、それほど高度な仕事でこの仕事を続けるわけにはいかないが、その現実については、あまり無責任な批判をうのみにするというようなことは間違いだと私は思いますが、労働大臣、いかがですか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 ただいまの失業対策の仕事の種類の選び方が適切でないために、いろいろまずい点が出てくることもあろうと思います。こういう点は、今後工夫改善をいたしまして、やはり仕事に従事される方に適したような仕事を、できるだけ親切な気持で選んでいくという心がまえが今後大事ではなかろうかというふうに思っております。

大原亨日本社会党

○大原委員 第二点は地方財政の問題ですけれども、市長会とか知事の改善意見の中で、地方財政の支出が約二百億円かかっておるわけです。それはほんとうなんですか。その地方費の二百億円かかっておるという中身についてお答えいただきたいと思います。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 御質問の二百億は、われわれの調査では二百四億五千九百万円。これは、われわれの補助事業としての失対事業の義務負担費を除いた地方単独だけで出しておる分です。

大原亨日本社会党

○大原委員 四、五年前は非常に問題になっておったのですが、今はこれが常識になったと思いますが、たとえば夏季手当や年末手当を政府が出すようになった。いろいろな名目で予算をつけますね。しかしながら、労働者の方の要求では、これは公務員並みによこしてもらいたいということです。こういうこと等を含めまして、一時金の支出において——労使関係にも関係してくるのですが、市町村長会で市町村財政のやりくりの面から、地方自治体の財源支出といたしまして困っておるわけです。これは労働大臣いかがでしょう。やはりそういう失対が続かなければならぬ現実、社会的な条件が日本にはあるわけですから、それについては、憲法の原則に従って働く場所を与えるだけではなしに、最低生活を保障するという観点からも、日々雇用の関係ということはともかくといたしまして、こういう一時金等に対する財政措置を今日の実情に照らして是正していく、増加していく、こういうことを国としては考えなければ、自治体側からいろいろとこれに対する意見が出てくるのは当然ではないかと思いますが、この点いかがですか。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 結局国が補助率をきめて、その範囲でやってほしいという、ほんとうの義務費の問題につきましては、地方自治団体の歳入と見合って国全体として計画しておるわけであります。すなわち、もう一度繰り返しますと、自治省の方の地方財政計画の中に失対の義務費はきめてある。ちゃんと歳出をまかなえるように財源としては組んであるわけであります。それが今御指摘の夏季、年末の問題で毎年、夏、冬やられる、地方単独の支出分について地方から要求がある。この点については、必要な財源経費として国の財源としては見ておらない。それだから地方公共団体としては苦しい。これが毎年増加する。ここに非常に問題があるということです。

大原亨日本社会党

○大原委員 五年も十年も失対労働者で働いておるわけですが、雇用責任者の問題についてはあとで質問いたしますが、とにかく雇用責任者の事業主体に対しまして、やはり盆や暮れ等におきましては一人前の要求をすることは当然です。そういう事業をやっておるわけですから、地方公務員並みのこういう年末や夏季の一時金を出しておることも事実なんです。そういうことが常識になりつつある。だからそういうことで国が出した以上、出すのはけしからぬというふうに御答弁になるかどうかわからぬけれども、しかしながら、そういうことがけしからぬのであって、この問題はともかくとして、そういう現実に沿うたような財政措置をしておきますと、たとえば労使関係等におきましても円滑にいくわけです。雇用政策として出発したそういう日々雇用のシステムを、今日なおずっと続けている中から出てきておる。特に労働大臣が言われたが、社会保障としての機能を果たしているというふうな、そういう側面を認めながら、とにかく現実に働いておって、一時金等においても地方公務員並みの率でもらいたい、こう言うことは、家族をかかえ、生活をしている者においては最低限度だと思うのです。従って、そういう面において、私は財政措置を十分にするように労働大臣が政治力を発揮して、自治省やあるいは大蔵省に対しまして説得をされるならば、この問題は解決すると思うのですが、労働大臣の決意のほどを一つお聞かせいただきたい。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 実はこの失業対策事業の関係者に対しまする季節々々の一時支給の問題でございますが、これは民間におきまする同種の仕事に従事しておられる方についての給与制度とも非常に関係の深い問題でございます。しかし、先ほど仰せられました通り、社会保障的な意味もあるわけでございますので、数年前から政府の補助基準にも若干これを取り上げてきておるようなわけでございます。要するに、現在政府がきめておりまする補助基準となっておる額が少な過ぎはしないかという問題であろうと思います。これにつきましては、なお労働省といたしましても十分検討を加えて参りたいと思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 第三の問題といたしまして労使関係なんですが、端的に御質問するのですが、失対労働者の身分は特別地方公務員ですけれども、この労使関係の当時者、使用者はだれですか。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 これは各事業主体でございまして、県、市町村でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 労働大臣は賃金、予算を決定いたしますが、これもやはり当事者ということになりますか。委任事業ですか。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 法律そのものには国みずからやる場合も書いてあります。が、現在は国みずからやるのはないわけでございます。国みずからやる場合において国が当事者になる。しかし現在のところ補助事業としてやっておりますので、県、市町村だけがいわゆる労使関係における使用主でございまして、国、政府あるいは労働省は、そういう労使関係の当時者では全然ないというふうに考えております。

大原亨日本社会党

○大原委員 それでは逆に質問いたしますが、この点をはっきりしておけばいいのですが、そうすれば地方自治体が事業といたしましてこの失対事業で働いてもらう、そういう委託その他の問題はまた議論するといたしまして、そういう責任で幾らでも出していけるわけですね。賃金でも手当でも出していけますね。雇用責任者として、社会保障とし、生活保障の責任があるわけですから、自治体はそういうものは出せますね。それに対して、原則としてあなたの方から文句を言ったりするのはいかぬでしょう。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 失対の賃金につきましては労働大臣が定めるわけですから、その失対事業として補助を受ける地方公共団体は、賃金について水増しをする、またはそれにかさ上げするのは法違反になる、こういうふうに考えております。従って、その日々の賃金について、これを労働大臣がきめた以上に労使で話し合って上げるということは失対法違反になる、こういうふうに考えております。これは社会保障制度の場合におきましても、やはり地方自治団体がいろいろ入りますが、その基準とか額とかいうものは、国が全部法律なりその法律の施行令で、金額を定めるわけですから、いかに施行の主体が地方自治団体にあるといえども、それを勝手に地方自治団体で上げることは、法律の規定する以外のものは別といたしましても、法律に規定する限りにおいては、それと類似の、近似のもの、独自のものを勝手に労使関係で払うということは違反であるというふうに考えております。

大原亨日本社会党

○大原委員 三治局長の答弁は非常に勝手なので、あるときには労使の当時者は自治体の長であるというふうに逃げておいて、労使の一番大きい問題の、働いておる場合の賃金について、自治体が上げようとする場合には労働大臣が許さぬ、こういう制度になっているのだと言う。地方公務員だって国家公務員の例によるということに賃金はなっておるのですし、それに従って地方財政に対する措置がなされておる。しかしながら、雇用責任者であるところの知事は、やはりそれぞれの事情に従って自主的な措置をとっておる。権限のないところに義務をおっかぶせておく、そういうところに労使関係が混乱して、自治体の長が、サンドイッチみたいに問にはさまって困るのです。法律の制度というものはわかるのですけれども、五年選手、十年選手があるというふうな現実ですよ、日本の失対事業は。そうして生活保障について国が責任を持っておるという現実です。これは労働大臣も認められた。そういう現実の中において、労働基準法や労働三法が、ちゃんと脱法行為が許されないような適用の仕方を要求しておるにかかわらず、ここにおいては有給休暇等も認めない。そういう矛盾が、労使関係の間における不要なる摩擦の激化になるのです。その問題は、今や労働大臣といたしましては、失対事業は日々雇用でなければならぬというわけではないのですから、そういう面において失対事業が果たしておる社会的なそういう意義というものに従って、それを正しく位置づけることによって労使係の安定を期することができるのです。そうしないと、社会問題の解決の仕方といたしましては、前向きでなしに、うしろ向きになってしまう。それでは、個々の問題についていろいろな意見があるということを私は承知いたしておりますが、そういうことを正しい意味において解決することはできない、そういうことなのです。そういう矛盾が一ぱいあると思います。長い間働いておって有給休暇を出さぬということもある。年末手当についても、ちゃんとちびっている。お盆手当についてもそうです。これは人の親である、あるいはお互いに兄弟であるという人間的な立場に立って見れば同じなのです。憲法でも人権として保障しておるわけですから……。だからそういう矛盾を解決することが、労使関係を正しく解決いたしまして、そして安定させるのではないか。その点については労使関係の当事者を明確にする、あるいは財政措置の矛盾を是正すると一緒に、有給休暇の問題その他について、現状に即してこの問題について解決するということが労使関係を安定させることにならぬか、これ以外に私はないと思う。いかがですか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 現在やっておりまする失業対策事業は、現行の事業法によって行なわれておるわけでございまして、先ほど職業安定局長からは、その事業法の条項に基づきまして、現在の事業に対するいろいろな法律上の制限を申し上げたわけでございます。現在の私どもが取り上げておりまする失業対策事業の改善というのは、この現在の法律によってやっていくだけではなくして、この法律の改めるべき点を改めるとともに、新しい角度からやるべき仕事も考えられるのではないか、こういう意味で失業対策法の改正ということは当然この検討の中には入っておるわけでございまして、いずれ関係の調査会におきまして結論を出されると思いますので、それを十分に考えまして、御趣旨の点等をも生かしまして、新しいりっぱな制度をつくりたい、こういうふうに思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 ちょうど私の尋ねたいところを今大原さんが尋ねていますので、あとの時間の節約上、ちょっと関連質問をさしていただきたいと思います。  それは労使関係の中で、現在地方自治体で日雇い労働者の組合と団体交渉をするような機構を持っておる自治体というのは、一体どの程度あるかということなんです。市町村長さんその他が、財政負担上の問題で失対の問題を問題にするというのも一つの大きな理由ですが、そのほかに、やはり団体交渉というものになれていないということがあるわけです。初めて市長なり町村長に当選してきた、ところがいよいよ年度末になったら猛烈な団体交渉をやらなければいかぬ、全く自分の部課には労働法規に精通している人はだれもいない、どうしていいのかさっぱりわからぬという例は枚挙にいとまないわけです。しかし大きな自治体になると、民間会社の労務担当重役じゃないけれども、そういう労務担当の課長か係長がおるわけですね、そういうところはスムーズにいくわけです。こういう自治体における労務担当の課とか係、そういう機構を、全国的に見たらどういう形で設置されておるか、そういうものの設置について労働省は具体的にどういう指導をしておるのかということが一つ。  それからいま一つは、それらの市町村長の団体交渉の範囲ですね。今有給休暇も与えられぬという意見が大原さんから出ている。賃金は上で押えてしまっている。そうすると、交渉をするには、何かああいう単純な労務をやるわけですから、その団交の範囲というものが明確でない。失対事業が生まれてもう十四年、十四年の間ニコヨン大学に通っておるけれども、まだ卒業はできぬという、そういうベテランがおるわけです。ところが、市町村長は四年に一回ずつかわっているから、従ってこういう範囲というものは、相手は十四年のベテラン、片一方は初めて市町村長になったということでは相撲にならぬわけです。だからそういうときに、労働省が、あなたたちのやる団交の範囲というものはこういうものですよと、きちっとしたものをやっておけば、その範囲を逸脱することもないし、また財政上の問題についても、その範囲でやればおのずからそこに財政上のワクができてくると思うのです。こういう二点について、今までどういう指導なり状態になっておるのか、これを一つ関連質問で伺っておきたいと思います。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 団体交渉のできる範囲の問題につきましては、一応失対労働者の組合でもやはり労働法、特に労組法の関係については適用がある。しかし失対事業なるがゆえに、失対法で規制してあることについては団体交渉の範囲にならない。従って、大体当初においては、労組法の適用はあるけれども、事業主体との、いわゆる労働条件については国がきめるのだから、そういう労働条件のおもだったものについての団体交渉の対象としての団体交渉はない、従って機能はあるけれども実益はないはずだ、こういうのが労働省の従来の態度であります。団体交渉の権能はあるけれども、事業主体とやることについて、おもだった労働条件は国が法律を規定してあるのだから、市町村長はないのだということであります。  それから事業主体につきますそういうふうな、いわゆる対組合関係という失対労務者の苦情処理の問題についてのいろいろ窓口になる機関は、現在地方、県は、大体において東京、神奈川が失業対策部課を設けておりますが、そのほかは大体職業安定課が県段階における窓口になっております。労働部ないし労働民生局とか、いわゆる労働と名のつく部局が大体窓口になっております。従いましてその点におきまして、私は県段階においてはそれほど問題はないと思っております。  市町村関係でありますが、市の大きなところにおきましては、いわゆる民生局関係が大体窓口になっておる。その中ではっきり労政課とか、いわゆる失業対策課というものを設けておりますのは、現在約一割ないと思っております。従ってこの点については、われわれの方もいろいろ自治省と相談して、その設置方についてはいろいろ指導して参っておりますが、現在のところそういうふうにしっかりした窓口が、市の、ことに多数労務者をかかえた市の段階において非常に弱体である。この関係も、われわれとしては、やはりそういうふうな事業主側の態勢をもう少しやらないと、いわゆる市町村長さんの方に非常に御迷惑がかかるというふうに考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 団交の範囲については、労働条件を国がきめてしまうので、実際に実益はないということなんですよ。これはやはり、失対の組合をいやが上にもいらいらさせることになるわけです。相手が窓口を開いて話をすることになれば、何かがやっぱり出るだろうと思って実際はやっていく。ところが実際はヤマブキの花で実がないということになれば、いらいらせざるを得ないのですね。持っていき場がないのですよ。もう国にくるわけにはいかぬのですから……。やはり貧しい組合ですから、そこの自治体でやるということになる。これはやはり何か考えなければならぬ。これはもしあなた方が前向きの方向で失対の問題に改善を加えようとするならば、私はやはり考えなければならぬ問題だと思う。それから自治体の機構上の問題において、県は失対部や職業安定課でおやりになっておるが、たとえばこういうものを専門に扱う労働課をつくってみたいといっても、これはなかなか補助金が出ないのですね。そういうものをやろうとしても、その人件費は地方財政交付金の対象にもならぬ。その自治体自治体でおやりになるということです。これは私、一度自治省に持ち出したことがあるのですり従って各県では、こういう莫大な失対事業費、生活保護費の出る——たとえば福岡県のごときは、みずからの人件費を使ってやろうとしても、これはなかなか他のものとの均衡があって簡単にいかないわけです。これを交付税やその他できちっと自治省できめてくれるとなればやれるわけです。いわんや市町村においては、財政的に貧弱ですからますますやれない。だからこれは一つ大橋労働大臣の懸案として、今後失対の問題を円滑に解決しようとするならば、やはり専門的な課を置いて、そうして失対の事業が円滑にいくような指導性を持つ人を養成しなければいかぬと思うのです。あるところではこの失対労務者との団交に実に上手な職員がおる、ところがこの職員は定年がきておるけれどもやめてもらうわけにはいわぬ、こういう熟練の人がいないのだ、あとこういう人を見つけようと思ったってなかなかいないので、三拝九拝して、ぜひあなた、五十五過ぎてお気の毒だけれども、とどまってくれという例が出てきた。市長や助役が出てもとても団交ではかなわぬ、この人がおれば何とか円満にやっていける、これは失対労務者にとってはありがたくない存在かもしれぬけれども、その市長や助役にとっては大へん貴重な存在になる、こういうナンセンスも出てきておるわけです。だからこれはぜひ一つ考えてもらいたい。  それからそれに関連をして、紛争が起こると、今大原さんもいろいろ指摘しておりましたが、これは持っていくところがないのですね。これは労働組合法の対象になるものである。しかし、では労働委員会にこれを持っていった例があるかというと、ないでしょう。県の労働委員会に、これを解決するところがない。こういう実もない団交権を自治体に与えるがごとくしておいて、そして紛争が起こっても解決するところがない。一切は国の労働条件の締め上げた法律のワクの中でしか解決することができないのだといえば、相手に泣き寝入りさせる以外にない。泣き寝入りができなければ、やみで金を出す以外にない。やみで金を出せば、それは自腹を切ることになる。私はこういう行き方は、させてはいかぬと思うのです。この際、やはりこういう点については前向きの形で、今後の民主的な労働運動の発展のためにも、大橋労働大臣の段階で解決すべきときがきておると思うのですが、大橋さんどうでしょう。労働委員会に持っていけないのですからね。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 現在ありまする緊急失業対策法というものは、賃金並びに労働条件を厚生大臣の行政権で決定いたしまして、そしてすべての給与について、こまかく基準がきめられております。従って、労働組合を主体とする団体交渉というようなものが、この法律の立法の当時には少なくとも念頭になかったのじゃないか、こう法律を読みまして考えるわけでございます。しかしながら、現実の状態は、すでに全国的に組合ができており、そしてこの組合の団体交渉というものが、御指摘のようにいろいろな問題のもとになっておるのでございますから、今回の事業の改善策を考えるにあたりましては、こういった点をも頭に置きまして、適切な処置をとるようにしたいと思います。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 労働委員会を利用する関係をつくるかつくらぬかという問題につきましては、今調査会の方でいろいろ検討していただいております。

田邊誠日本社会党

○田邊(誠)委員 関連して。失業対策事業というのは、きわめて長い歴史の中でもって推移してきたわけですけれども、これに対しては、現状でもって完全なものであるということは当然言えないのでありまして、いわば中途半端な形でもって、法の趣旨が踏襲されてきておるというのが現状だと思うのです。従って、これに対して、政府は当然一歩前進の態勢の中でもって、根本的な対策を講ずべき段階であるということは、われわれも十分承知をいたしておるのであります。従って、それに対するところの法律上の問題、あるいは予算上の問題を含めて、いろいろと検討されることは必要だろうと思うのでありまするけれども、それはあくまでも、今私が申し上げたような建前でなさなければならぬと思うのです。ところが、この失業対策に対しては、政府はすでに七、八年前から雇用審議会を設置して、その中に失業対策に対するところの事項を諮問するという形をとって参っておる。従って、いわば総理府に設置をしておるところのこの雇用審議会が、今後の完全雇用の達成の問題なり、あるいは先ほど大臣の言われましたように、この失対事業というものが、いわば社会保障的な色彩を持ってきておる。こういうお話を受け継いでも、これに対するところの、いわば将来の見通しを立てた対策を講ずべき機関としては、やはり雇用審議会というものが中心でなければならぬと思うのです。従って、われわれはこれに対するところの審議をさらに促進をして、この結論を待つということが、やはり建前としては正しいわけであります。今局長のお話にもちょっと出ましたような、これに対するところの新しい調査研究機関をつくるという、こういったことは、必ずしも前向きの姿勢の中でもって、政府がこれに対して取り組もうという意欲の中から出てきたとは、どうもわれわれ受け取れない節があるのであります。なぜもっとこの雇用審議会を生かして、これに対するところの抜本的な、総合的な答申を待ないか、こういうことは、われわれは常織的に言っても考えられるところであります。今お言葉にありましたような雇用審議会を活用する、促進するという、こういう方向にいくべきことが本節であろうと思うのでありますけれども、大臣、いかがでありますか。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 今雇用審議会の話が出ましたので、私から従来のいきさつだけお話を申し上げます。  従来、雇用審議会の前は失業対策審議会といって、いわゆる失業対策について、そこでいろいろ総合的に調査研究、答申あるいは建議していただいておったわけであります。そしてそれが雇用審議会と法律上はっきりしたものになり、失業対策について政府に対して答申をするというふうになったのであります。これにつきまして、従来数度にわたって答申が出ておりまして、その方向はわれわれ十分承知しておるわけでありますが、労働省がいざ実際具体的に予算措置なり行政措置をいろいろやってみますと、なかなかその答申、建議のようにそれが具体的に改善されていかない。従ってわれわれの方も、いわゆる労働省の中だけの知恵では、その答申や何かが十分生かしていけないというふうな立場に立ち、しかもそれと同時に、この両三年来、非常に事業主体側からいろいろを意見が出てきております。そういうものをある程度尊重し、それを実現していくためにも、労働省として具体的な案を出すべき段階だということから、われわれは諮問機関ではなくして、われわれ行政機関のいわゆる調査研究や改善案をつくる援助機関と申しますか——機関ではなくして、知恵を借りるものとしての調査会をつくって、具体案をいろいろ検討していきたい。従って、現在の調査会のメンバーは、雇用審議会のメンバーであり、あるいは社会保障制度審議会からも失対の問題についていろいろ意見が出されておりますので、そういう方々もメンバーであります。そういうふうに、従来政府に対して失対問題について、いろいろ改善策について答申や建議をしていただいたそういう審議会のメンバーの中から特別勉強をしていただいて、そして政府としてもっと具体的な案をつくる基礎資料とするということで、一ついろいろ御協力を願いたいということで調査会を始めたわけであります。屋上屋を重ねたとはわれわれは思っておりません。従って雇用審議会に対しましても、われわれの方としては、従来の答申や建議の線に沿って、省として具体的な案をつくりまして、それについては審議会の意見を尊重してやっております。日にちはちょっと忘れましたが、八月上旬に雇用審議会をそういう問題で開いていただきまして、われわれも省の立場を説明し、それならば雇用審議会の方も従来の線を再検討し、現在の問題点についていろいろ勉強しょうということで特別小委員会がつくられまして、それじゃできるだけ早く労働省の方の政府としての案を諮問にかけるようにということで審議会の御了承を得た次第でございます。

田邊誠日本社会党

○田邊(誠)委員 今お話を聞いておりまして、どうも私どもはますますわからない点があるわけです。雇用審議会が三十二年にできましてから、しばしば雇用問題に対する答申をなされておるわけです。しかもその中におけると、ころの緊急失対の問題に対しても意見が出されたわけです。これが労働省なり政府なりで完全に実施されておらないという経過があって、私どもはさらにこれを促進をし、さらに完全なものにしていくことが一番必要であろうと考えておるわけであります。雇用審議会の答申があったにもかかわらず、政府の施策の不備、怠慢から、これらの問題が残されて積み重なったというところに大きな問題があるわけであります。これを何か責任を転嫁をされて、ちょうど医療問題において、さきに出されました臨時医療制度調査会と同じような性格なり持ち味を持っているように私は見受けるのです。政府の腹と決断——具体的な施策というものが、専門家であるあなた方に立てられないはずはないのであります。何かそこに責任をおおいかぶせ、そこに責任をなすりつけるような形でこの問題に対するところの処理をしようというところに、実は大きな問題があると私は思うのであります。さきに大臣が言われましたけれども、たとえば法の改正というようなことよりも、現在の法律の中でも残された問題が数多くあるわけですから、これを具体的な施策としてどう実施をしていくかということの方が、当面私は緊急にして重大な問題であろうと思う。来年度の予算についても、施策についても、たとえば機械力の増強をはかるというふうなお話があったり、資材を配慮してこれに対する活用をはかっていくというようなお話がありましたけれども、私はそれ以外にもいろいろ省がとるべきところの施策というものはまだ十分あると思う。たとえば労力費を全体の事業費の中でどういうふうに拡充していくか、あるいは国の補助率をさらに増加する方策を講じなければならぬという声が地方自治体からも出ておる。あるいはそこに働くところの労働者の適格基準を緩和してもらいたいという要望があるはずであります。これらの問題とあわせて、適用できるところの事業種目もさらに拡大をしなければならぬということが検討されておるわけです。これらは来年度予算に対して、政府がさらにもくろんでもらわなければならぬ内容の一部でありますけれども、こういった問題に対して労働省自身さらにこれを解決をし、これらを吸収してこの問題に対する積極的な取り組みをしようという御熱意と具体的な腹がまえと策があるのかどうか。来年度の予算の編成にそろそろかかろうとする段階でありますから、この辺をあわせてお聞きをして——これが明確であれば、現在の雇用審議会設置法によるところの雇用審議会の活用によっても、私はこの問題に対して当面十分措置ができるではないか、さらに一歩前進ができるじゃないか、こういうふうに考えますけれども、どうでしょう。これは大臣から来年度の施策の一環として、今考えていらっしゃる構想と前向きの態勢のお考え方を承りたい。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 労働省といたしましては、先ほど来申し上げましたごとく、失業対策事業についてはいろいろな点で改善すべきところが多い、その結果、当然明年度の予算要求に際しても相当な決意でもってお願いしなければならぬものがある、こう思っておるわけでございます。ところが、皆様も御承知のように、予算を要求するにあたりましても、やはりある権威と申しますか、要求のやり方といたしまして、相当慎重に各方面の意見を網羅して結論を得たものであり、そうしてそれがほんとうに現在の実情からいって必要なものであるという裏づけをすることが、予算の獲得の上においては一番肝心なことだと思うのです。そういう意味におきましても、ただいま調査をお願いしておりますということは、これは非常に有力なうしろだてになるものでありまして、労働省が相当の決意を持ってかかろうというからこそこういう特別な機構をつくって、そして根本施策をやっている、こういうふうに考えているわけであります。いずれにいたしましても、予算の要求は今年中にはいたさなければなりませんので、今せっかく審議会にも結論を急いでもらっております。この審議会の結論を背景にいたしまして強力に改善策を推進して参りたい、かように考えている次第でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 それで私、質疑を続けて参りましたが、こういうことにおいては一致しているわけです。法の趣旨は日々雇用形式だけれども、安定した職場をもたらすための雇用政策、こういうふうにしてやられたのだけれども、現実には大きな社会保障の役割を果たしておる。こういう法の趣旨と現実とのギャップについて、そういう事実の上に立った解決の仕方をやはり真剣に考えていかなければ解決にはならぬと思う。政治は現実です。社会問題を解決するのが政治なんです。だから、そういう面においていろいろな問題点を議論してきたわけです。そこで、それら言い足りないところを含めまして、総括してこの点を十分審議してもらいたい。山中委員長がよいとかなんとかいうことでなしに、その問題は、今田邊委員の方から言われましたけれども、私は趣旨に賛成です。つまり、三治局長が言われましたが労働省が権限を持っていて、自治体が矢面に立って、研究費のないところがサンドイッチで苦しんでいるので、これを合理的に現実に合わしてやるという面で、たとえば有給休暇——盆とか暮れなんかは休んでいても給料が入ってこなければ安定がないわけです。お互いに子供を持っているから。だから、そういう関心を持ったような問題、一般の常識的な問題を解決しなければならぬではないか。そういうことを解決しないでおいて労使関係の問題を処理しようとするから問題が起きるのではないか。あるいは労使の紛争について処理する機関をやはりつくらなければ、労使の関係の円満な解決はできない。憲法二十八条で労働三権は働いておる人にはだれにも保障されているのですから、これを失対労働者だけ否定するわけはないわけです。従って、労働関係について明確な権限や労使の慣行を立てるような点について、私はあらためて要求する必要があるのではないかと思う。そういう問題や、たとえば失業保険待期期間という制度があるわけです。これは国の手続からいいましても非常にめんどうなことですが、必ずしもそういう現在の待期制度にこだわる必要は失対事業においてはないのではないか。あるいは就労日数の問題もあるでしょうけれども、こういう問題等についても私はとにかく前向きに検討すべき材料があるので、こういう問題を消化することが——三つの問題を提起いたしまして、問題となっておるということについて議論を若干いたしましたが、そういう問題を前向きに解決するようにしてもらいたい。現在、来年度の予算編成期におきまして問題となっておりますので、そういう点を一つ十分心得ていただきたい。これらの問題について総括的に善処していただきたいと思いますが、労働大臣いかがですか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 御指摘の各項につきましては十分に検討を加えて参りたいと思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 私は、失対に対する認識の問題、現状の問題を第一に申し上げ、第二の問題といたしまして、巷間言われている三つの点について、一つこれから私どもが政策を立てたり、あるいは予算編成において、社会党といたしまして対処すべき考え方の上に立って建設的な議論をしようということで議論したわけです。  第三点といたしまして、今田邊委員の方から一部言われましたけれども、たとえば失対の賃金をどうするかという問題で、現実には内職をしたり、あるいは他に仕事の場所を求めて収入を求めるというようなことでやるわけです。しかしながら、最近は物価も上昇しておるわけです。PWも上昇しておるわけです。PWは唯一の賃金抑制策になっておったのですが、御承知のように土工、人夫の賃金は去年、おととし上がっておるわけです。PWについては、基本的な議論を私は何回もしましたが、これはもっと議論しなければいけないけれども、PWというような原則でなしに、社会保障の原則ですから、生きるための賃金、そういう原則を加味した賃金を立てるべきだと思います。とにかくPWも上昇しておるわけです。日雇いの賃上げはそれに追いつかないのです。そこに一つ社会保障の問題があるわけです。それから人事院の勧告が出されている。民間賃金は一三・三%上昇しておる。その中で土工、人夫の賃金はどうかということは、私は詳細に知りませんけれども、公務員は人事院勧告で七・九%の賃上が勧告されている。物価も所得倍増計画のあおりを食いまして上がっている。低所得階層が一番困っておる。だから、どの方面から考えてみまして、も失対の賃金を上げるということが、現在の時点でこの問題を議論して、一つの集約点といたしましても私は非常に大きな問題であると思うのです。生活保護を引き上げる問題と一緒に失対の賃金を引き上げていくという問題について、お考えがあれば一つお聞かせ願いたいし、来年度の予算編成におきましては早急に一つこれを処置してもらいたい。労働大臣が賃金について責任を持っていると言われたのですが、その責任について議論しておればたくさん時間がかかるのです。一時間でも二時間でもかかるわけですから、その問題は私は議論いたしませんが、来年度の予算編成期を控え、しかも公務員の賃金引き上げの勧告を控え、最近の経済情勢、PWの上昇を控えまして、失対労働者の賃金を引き上げる。今までも失対賃金は、米の値段が上がったら引き上げた。公務員の賃金改定があったら引き上げた。いろいろな条件のときに現実に引き上げたわけです。そういうことでこの問題は社会問題である。失対問題の処理の仕方といたしましては一つの基本的な問題であると思いますから、これに対しまして一つ御見解を明らかにしていただきたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 失業対策事業に関係される方々の賃金につきましては、かねてからPWというものを基準にしてきめておることは御承知の通りでございます。従いまして、PWの上昇傾向にあります現在でございますから、来年度の予算の編成にあたりましては、やはりこれを無視することはできないと存じます。しかし何分にも今計算をいたしておるところでございますので、明確な金額を申し上げる段階にはなっておりませんが、十分こういうことを考慮して明年度の予算を編成いたしたいと思っております。

大原亨日本社会党

○大原委員 議論しておりまして、労働大臣と私はある程度一脈を通じた点を感じながら理解できる点もあるわけです。理解できない点ももちろんございます。というのは、やはり社会問題は当面の感情とか、そういうものにとらわれないで問題を解決するということで扱っていかなければならない。そういう面で考えて参りますと、失対問題は年金の制度にも関係するし、あるいは生活保護の問題にも関係するし、その集約自体いろいろ広範な問題であります。従って、そういう面において、そういう社会問題を正しく解決するということについて、与党内に意見はいろいろあると思いますけれども、労働大臣は勇断をもってやってもらいたい。たとえば米価が上がったときに一%上げたという例もある。PL等の例もございますが、そういう政治的な配慮もある。だからこの問題については真剣に考えて、打ち切るのだ、再検討するのだという答えでなしに、これがうやむやになるのだということがかりそめにもあってはならない、こういうふうに私は思いますし、特に就業日数の問題、紹介の方法の問題、いろいろ検討すべき問題がございますので、これらの問題をあるべき姿に名実ともに解決するような、従来から私どもが言っておりましたが、そういう施策を進めていただきたいというように思います。労働大臣、重ねて決意のほどをお聞かせいただきたい。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 先ほど来申し上げましたごとく、賃金の問題は重大でございます。しかし、この賃金を引き上げるにあたりましては、賃金の額を上げるとか、あるいはまた就労日数を増加するとか、いろいろな方法もあると思います。そういう点を考えながら、できるだけ実情に適合して労働者の生活が安定できるような方法で進みたいと思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 基本的な質問につきましては申し上げたのでありますが、さらに適格基準かといろいろな問題でたくさん矛盾点があるわけですが、議論をしておりますときょうは時間がございません。  それで私は最後にもう一つ質問しておきたいのですが、いろいろ検討されておる。検討ということは、どういうかまえで検討するかということが問題であって、改善するのは行政当局としてはいつも努力しなければならないと思います。そこで、最近特失、臨就、緊就、そういう制度が逐次生まれてきているわけです。特に石炭産業等における多量の失業者等で、実際に一般失対事業に登録しようと思うと、大学へ行くよりむずかしい。そこで結局生活保護へ持ち込めという運動もあるわけです。それは当然のことです。しかし生活保護へ持ち込むよりも、失対で働きながらさらに飛躍の機会を持ちたいというのが人情です。だから、簡単に失対を生活保護に切りかえるということは、現在の雇用状況では非常にむずかしい。これは今まで議論いたしましたから議論いたしませんが、特失、臨就、緊就、その中でたとえば直営でやれという意見もある。つまり認証外の工事をやめてもらいたいという意見もある。いろいろな議論が出ておる。弊害も出ておる。それから特失、臨就の方に能率の上がる失対事業をやろうと思いましても——能率の上がる失対事業というのは最近労働省や与党の中でも言われているのですが、やろうと思いましたところが、最初に仕事が始まるのが年度の当初でないわけです。一年間ぴしっと計画を立ててやるのではないわけです。だからきわめて不安定なものです。だから、そういう特失、臨就の中においては年度初めから事業を始めるようにして、やる以上はぴしっとやってもらいたい。うやむやな形で業者と事業主、あるいは自治体あるいは国との間のあいまいな関係においてやるということはいけない、こういう議論等がたくさんあるわけです。特失、臨就、緊就等の問題に対しましてのそういう問題を一々質問してもいいわけですが、総括的にこれをどういうふうにお考えになっておるのかという点を私は最後にお聞きしたい。これは答弁が悪ければ何回でも質問いたします。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 特失、臨就の問題で、われわれの労働省から見た場合に、今御指摘のように年間同じように行なわれないという問題が非常に悩みであります。しかし現在の公共事業の施行状態を見ても、これは予算制度が原因だと思いますが、なかなかそういうふうにいかないわけでございます。従ってこの臨就、緊就の問題はさらに検討をして、来年度の予算編成までには、従来の線をどういうふうにするか、またさらに改善の点につきましては考えてみたいと思いますが、とりあえずの問題といたしましては、先ほど大臣が申し上げましたように、緊就、特失ともに、雇用吸収率が高い事業の執行が非常にやりにくいということから、吸収率を下げた。従って現在のところ、本年度の施行の問題につきましては、昨年、一昨年ほどの紛争や非常な苦情というようなものはわれわれは聞いておりませんが、しかし、今後のやり方についての根本問題は非常にあるわけですから、この問題もあわせて今検討している次第であります。

大原亨日本社会党

○大原委員 以上で私の質問を終わるわけですが、きょうは全部が解決できたわけじゃありませんが、問題点だけはやや明らかになったと思うのです。しかし、これは将来の労働大臣の政治力とかいろいろなお考え、そういうもの等がかかっておると思うのです。私ども社会党は、私きょうはこの問題で代表いたしまして、いろいろ議論いたしておりまする問題点を出したわけですが、この問題は雇用政策や最低賃金制の問題や、あるいは社会保障制度の問題ときわめて密接な関係を持っておるもので、非常に不離一体の問題です。ですから、総合的に徹底的に議論いたしましたら、日本の二重構造の問題から雇用政策の問題、すべてにわたって出てくる問題である。従ってこの問題は、はしなくも打ち切りという問題をめぐりまして大きな問題になろうといたしておりまするけれども、改善に名をかりてこの問題の解決をそらせるようなものであっては断じてならぬ。社会党といたしましては、そういう点については断じて許容することはできない。従って労働大臣は、具体的な問題の答弁におきまして私どもが理解できる点も御答弁になったわけでありまするが、しかし問題は、全力を尽くして問題解決に当たっていただく、そういう点を強く要望し、御答弁の中で問題となっている諸点につきましては私の質問を保留いたしまして、一応私の質問を終わりたいと思います。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 関連。この失対打ち切りの問題は、私ども全党的な戦いを組むことになっておりまするので、これはきょう質問を終わるわけじゃありません。私ども全部質問を用意しております。いずれまた役者をかえて御質問したいと思います。  きょうは時間もありませんので、たった一問だけ、これはすなおに質問しておきたいと思います。それは今年度から新しく制度を設けられました雇用奨励の問題です。私ども、これも失対打ち切りの前ぶれじゃないかということで非常に警戒いたしまして、激しい御質問をしてきたわけでありまするが、そういうことでもないということで、今年度予算に計上せられて四月から発足をしたはずであります。その経過がどういうふうになっているのか、われわれの懸念通りにいっているのか、あるいは労働省の見込み通り成功の道程にあるのか、その経過だけを一つお知らせ願いたいと思います。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 この雇用奨励制度につきまして、前国会でもいろいろ問題のあったところでございますが、現在われわれの方で基準を示しまして、地方で目下予算措置をとったのは、大体半数程度の県でございます。その支給の条例なんか、一括して早いところで六月、全体としてまだ数県くらいしかないと思いますが、大体九月くらいまでにはできるのじゃないか。従って本年は、先ほど四月からというようなお話でございましたが、補助の体制はそういふうに四月からできたわけでございますが、それが地方自治体の事業として行なわれるために、当初予算に間に合わなくて、追加予算で臨時議会の方で逐次実現しつつあるところであります。  実積関係は、現在のところそういう意味におきましてわれわれの方へ報告がまだ参っておりません。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 吉村吉雄君。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 私は、きょうは前国会で大へん長期間にわたって本委員会で調査を尽くしましたところの駐留軍労働者の労使の関係、こういうものについて、異例とも言うべきところの委員会の意思を代表して委員長が政府に対して五項目の申し入れをした、そういうことのその後の経過について、特に当面問題になっておりますところの駐留軍労務者の給与の問題、この解決をめぐって派生しましたところの労使の紛争、こういうことについて担当官庁の見解を承っておきたいというふうに考えるわけです。  その立場というものは、国会で相当長い間にわたって議論をして一応の結論が出た、その出た結論というものが行政の面でどういうふうに生かされておるのか。こういうことを明確にしておくということは私どもの任務でもあろうかと考えまするし、特に、紛争をできるだけ少なくして労使の関係を安定にしていく、こういうことについては深い関心を持っていなければならないというふうに考えますので、そういう立場から質問をしていきたいというふうに思います。一つ言葉の上での答弁というよりも、もっと現実の事態というものを明らかにし、何がその障害になり、その障害を乗り越えるためにはどういうような対策が必要かということを考えられながら、政府の見解を明らかにしていただきたいというふうに思うわけです。  前国会におきまして、この委員会で、先ほど申し上げましたように、いわば異例ともいうような委員長からの政府に対する申し入れがなされたことは御存じの通りだと思うのです。質問の、あるいは答弁に対する参考上その内容を若干申し上げてみますと、一項は「日米対等の立場に立って、共同管理の適切な運営をはかること。」二項として「労働法を尊重し、労働協約、就業規則をすみやかに制定すること。」三番目に、「雇用安定については、最大限の努力を払い、やむを得ず離職せざるを得ない者の雇用と生活の安定につとめること。」「四、諸機関労働者の労働条件の改善向上につとめること。」五項として「良好なる労使関係、交渉慣行を確立すること。」こういう五項目の申し入れがなされました。この申し入れの結果、特に今私が問題にしなければならないと思いますのは、基礎的な問題とも考えられるところの就業規則というものは一体その後どういうふうになっておるのか、これを一つ調達庁の方から明らかにしてもらいたいと思うのです。

林一夫調達庁長官

○林(一)政府委員 前国会におきまする当委員会において、委員長から五つの項目について申し入れがありまして、その一つの項目として、今御指摘の「労働法を尊重し、労働協約、就業規則をすみやかに制定すること。」という一事項がございました。この就業規則につきましては、従来日米間の基本労務契約というものがございまして、この契約におきまして基地従業員の労働条件については詳細にきまっておるので、これを明示することによって就業規則と同様の効果があるものと解釈して、裁判所の判決もこれを公認してきておったのでございます。当庁としましては、この際就業規則を早く制定するという目標のもとに、また前回の申し入れの御趣旨も体しまして、就業規則案を作成しまして去る五月三十日に労働組合に提示しました。現在組合の意見を求めておるところでございます。この意見書を受領いたしますれば、これを添付しまして直ちに各基地の事業所所管の労働基準監督署へ提出いたすことにいたしております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 この就業規則の問題については、御承知のように基準法八十九条によって、使用者側としてはこれを労働省に届け出る義務がある、こういうふうに制定をされておるわけです。この定めに基づいて、前国会におきましても労働省側としての考え方というものが明らかにされたわけであります。けれども、その際、労働省側としては、調達庁に対しては再三にわたってこの就業規則を早急に制定するようにという申し入れをしている、こういう答弁が労働省の側からございました。今の調達庁長官の話によりますと、ようやくいわば使用者側としての考え方がまとまった、こういうお話でございますけれども、この点について労働省としては、その後やはり調達庁との間にこれを制定するためにどのような努力をなされてきたのか、この点を、労働省の見解を一つ労政局長の方からお伺いをしておきたいと思います。

堀秀夫労働事務官(労政局長)

○堀政府委員 就業規則につきましては、ただいまお話しのように、労働基準法に基づきましてもこれを定める義務があるわけでございます。従いまして労働省といたしましては、駐留軍労務者の関係についての就業規則をすみやかに制定、実施してもらいたいということを、調達庁にも再三その後お話を申し上げました。幸いにいたしまして、調達庁におかれましては就業規則案を最近作成されまして、これを目下労働組合の方に提示して、意見を求めておる段階でございます。私どもといたしましては、この経過を見守りつつ、早急にこれが監督署へ提出される運びになることを期待しておる段階でございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 そういたしますと、この就業規則の案についてはアメリカ軍側の同意を得た案、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。

小里玲総理府事務官(調達庁労務部長)

○小里政府委員 就業規則の管理者案の作成につきましては、もちろんアメリカ側と十分な協議を遂げて、その上で管理者案を作成したわけでございますから、アメリカの同意のもとに管理者案を作成して労働組合の意見を聞いておる、こういうことになっております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 といたしますと、との五項目の申し入れのうちで最も基礎的と考えられる就業規則の問題については、現在組合側の意見を聴取中、しかも最も問題になるところのアメリカ軍側の同意を得た案、こういう話でございますから、将来において、管理者側としての意見の相違を来たして本問題について労使間に紛糾を来たす、こういうことはないというふうに確認をしてよろしゅうございますね。

小里玲総理府事務官(調達庁労務部長)

○小里政府委員 組合側に提示をいたしておりまする案につきましては、ただいま申し上ぎましたように、米側の同意のもとにやっておりますので、その限りにおいては紛争の起こる余地はないと思います。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 この最も基礎的な就業規則の問題について、少しおくれているといえばおくれておりますけれども、そこまでこぎつけられた努力については敬意を表しておきたいと思います。  なお、五月三十日以降大へん日にちもたっておりますから、組合側との協議を促進されて、一刻も早くこの就業規制を労使双方の名で制定ができるように努力をしてもらいたい、このように考えます。  それから労使間において就業規則上の問題で意見の相違があり得ることはあるといたしましても、管理者側間においては本問題について意見の相違はあり得ない、こういうようなことを明確に答弁なされておりますから、この点は確認をしておきたいと思います。が、なおこの就業規則と同一とも考えられるところの労働協約の問題、その他最も労働者の基本的権利に関するような問題等につきましては、早急に事を進めていただかなければならない点が非常に多いのでありますけれども、きょうは時間もだいぶ制約をされておりまするし、当面する問題を一つ一つ解決していくということが基本の問題を解決することになろうかというふうに考えますので、今の労働協約等の問題、権利の問題等については、機会を新たにしてあなた方の見解を聞くようにしたい、このように考えます。  伝えられるところによりますと、八月六日駐留軍労働者がストライキを二十四時間やった。さらに十三日からは、百二十時間だと思いますけれども、ストライキをやる。しかしこの十三日からの実力行使は、幸いにして組合側の良識によって避けられたわけでありますけれども、このストライキが起きてきたそのよってくる原因というものを考えてみますると、いろいろ問題はあろうと思いますけれども、長い間の懸案になっておりまして、しかも本委員会でも再三論議をされておりましたところの給与の問題が中心的なものであったというふうに私は承っておるわけです。私どもは、現在のアメリカと日本との関係、こういうものから見まして、アメリカ軍の基地内において労使紛争が起きて、それが収拾つかなくなってストライキにまで発展をするというようなことは、決して好ましいことではない。さらに労使の関係自体から考えてみても、紛争がそのように拡大をしていくということは好ましい問題というふうには考えられませんから、そこで一体この長時間のストライキは回避されたわけでありますけれども、聞くところによりますと、決してそれによって問題の根本的なものが解決されたということになっていない、こういうように聞くわけでありますが、このストライキの最も大きな原因になっている問題について、調達庁としては一体どういうふうに把握をし、これを回避し、解決するためにどういう対策と考え方を持っておるのか、長官の方からお伺いをしておきたいと思うのです。

林一夫調達庁長官

○林(一)政府委員 御承知のように、この駐留軍労務者、駐留軍従業員の給与の問題につきましては、この給与体系が非常に不合理な点がある、改善すべきところがたくさんあるというようなことで、昨年の初めからこの給与体系を改定いたしまして、公務員の給与体系に準じたものにしようということで日米間で話し合いを進めてきたわけでございます。その不合理な点と申しましょうか、これを簡単に申し上げますと、まず第一に、現在の給与体系でいきますと、頭打ちのものが非常にたくさんおる。これをごくかいつまんで申し上げますと、各職種にわたって最高の賃金というものがきまっておりまして、その賃金に達しますると、もう昇給はしないというような頭打ちの状態が、各職種にわたって非常にたくさんあるのでございます。このような頭打ちの頭を開いて、どの職種についてもぐんぐん賃金が上昇するというようなことに切りかえるというようなことが、最も大きな目的であったのでございます。そのほか、御承知のようにこの駐留軍従業員の賃金には地域格差とかあるいは職種の格差がございます。こういうようなものについてもこの際検討しようというようなことで、このようなものを全般的に解決するためには、やはり国家公務員の給与体系に準じた給与体系にするのが最も適当であるということで話を進めてきたようなわけでございます。このような賃金体系が、曲がりなりにも去る八月三十一日の日米折衝によりまして、来年の一月一日から実施するという段階に至ったのでございます。この賃金体系が国家公務員の賃金体系に準じたものに切りかえられれば、相当合理的なものになると私どもは信じておるのであります。  さて組合の方といたしましては、この賃金体系の切りかえもさることながら、低額所得者の所得をもう少し上げようというようなこと、また人事院勧告によるベース・アップがあった場合においては、賃金凍結者に対してもベース・アップを行なえというようなことが、おもなる要求の内容でございます。こういうようなことは組合とは協議を重ねてきたのでございますが、組合がストライキを行なうということの基礎になっておる要求は、今申しましたようなまず低額所得者の賃金を上げよということと賃金凍結者のベース・アップを考えよ、もう一つ退職金を増額せよというようなことを言っておるのでございます。そういうような要求を掲げてストライキに入るという通告を行なったのでございます。調達庁としましても、ストライキというような事態はできるだけ避くべきであるというようなことで、今申しましたような賃金体系の切りかえというものを、来年一月一日に実施するという確約を米軍からとりまして、その案について現在組合と協議を進めております。また賃金凍結者のベース・アップにつきましては、今後米側と協議して話を進める。また低額所得者の賃金引き上げにつきましても、今後米側と折衝してなるべく要求に沿うように努力して参りたい、こういうふうに考えております。そういうようなことで現在米側と折衝し、組合と話し合いを進めておるわけでございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 組合側との交渉の内容、その紛争点、こういうものについてこまかいところを私はこの委員会でとやかく論議をしようとは考えていないのですが、前のこの委員会でも議論をされましたように、この給与の問題については、中身の問題よりは調達庁側の態度の問題が組合側にとって非常に不満の種になっていたのではないか、こういうふうに私は全般から考えざるを得ないわけです。今、三十八年の一月一日から実施したい云々という回答を組合側に提示したという話であります。けれども、この調達庁側の組合に対する回答は、八月十一日の日付でもってなされておると私は考えます。間違っておったら訂正をしてもらいます。八月十一日といいますと、先ほど指摘をいたしましたように、十三日から百二十日間のストライキを実施する前々日に当たるわけです。私は、前の委員会でも同僚委員が再三にわたって本問題について調達庁側の考え方、あるいはアメリカ軍との関係が論議の対象になったわけでありますけれども、当初雇用主であるところの調達庁側としては、昨年四月ごろ提示をしたい、その後七月ごろ提示をしたい、あるいは前国会でこの委員会で議論をされている当時の議事録を通読いたしますと、三十七年四月一日実施を目途として現在アメリカ軍と折衝中である、こういう答弁が繰り返されておるわけです。このように調達庁側の態度というものが非常に遷延をしてくる、いわば一年半もかかっておる。しかもストライキを目前にしてこの回答がなされる、こういうような調達庁側の態度、ここに組合側としては納得でき得ない大きな不満の原因があるのではないか、このように考えられます。前回の委員会でも再三にわたって御指摘を申し上げたところでありますが、労使関係を安定させる最も大きな基礎というものは、相互が信頼し合う関係を樹立することである。相互信頼の基礎は一体何かというなれば、約束をしたことを守っていくということが相互信頼の基盤であるはずだ、このように指摘をいたしたところでありますが、この点については調達庁側としてもその通りである、こういう話でありました。しかし結果的に見ますと、この給与の問題一つとらえてみましても、一年半有余にわたって回答がおくれ、しかも実施は今のところ来年の一月一日、こういうのでありますから、これでは組合側としては調達庁側の態度は信頼できないということになりかねない、そういう気持になるのはまたやむを得ないのではないか、このように考えられます。そこで一体このようにおくれてきた原因はどこにあったのか、ここを一つ明らかにして、これを除いていくということをしなければ、将来の労使関係は安定をしていかないというふうに思いますから、このおくれてきた一番の原因は何なのか、調達庁側の考えている点を一つ明らかにしていただきたいと思うのです。

小里玲総理府事務官(調達庁労務部長)

○小里政府委員 ただいま御指摘のように、管理者側で昨年の七月一日実施目標、さらに今年の一月一日実施目標、さらに今年の七月一日実施目標、こういう何回かにわたって遷延いたしてきておりますことにつきましては、調達庁としてもまことに遺憾だと思っております。何分この給与改定の問題は、昭和三十二年の基本労務契約の新契約ができましたとき以来の懸案の重大問題でございまして、これを実施いたしますためには、相当の作業量と時間を要するであろうということは予想がされたわけでございますが、この給与全体の改正に対します基礎案ができましたのが昨年の三月ごろでございます。そこで最初目標は昨年の七月一日、こういうことであったのでありますが、当時あたかも直用労務者、いわゆる諸機関労務者の政府雇用への切りかえという、これまた重要な問題を控えておりまして、その問題に米軍並びに調達庁として、あるいはまた労働組合といたしましても没頭せざるを得なかったような事情があったわけでございます。そういう事情があるということはあらかじめ予想もできたわけでございますから、それをしも押して昨年の七月一日実施という目標を掲げたこと自体に無理があったのではないかということは、今から考えてみますとまさにその通りでありますけれども、そういう昨年の一万数千人の諸機関労務者の政府雇用への切りかえ、こういう重大問題と取り組みましたために、これがようやく昨年の十二月に実施を見るに至りました。このために非常な努力と時間を要しましたことが一つ。それと昨年の十月にベース・アップがございました。国家公務員と同じ時期に同じ率でベース・アップをするというのが駐留軍従業員のベース・アップの従来の方針でございますので、その方針に基づいて昨年の十月にベース・アップを行なったわけでございます。が、そのベース・アップをめぐります。仕事のために、給与全体の改正の問題はやはり将来にずらさざるを得なかった。こういう時間的あるいは作業量的な問題があったことは、まことに弁解がましくなりまして恐縮でございます。けれども、そういう事情があったわけでございます。そこで本年に入りましてからそういう事情というものがなくなりまして、まさにことしの初めからこの給与改定全般の問題について米軍と調達庁は協議を重ね、あるいは労働組合とも協議を重ねてきたわけでございますが、何分にも膨大な、しかも根本的な、全面的な、画期的な改正でございまするがゆえに、主として米側の踏み切りといいますか、態度決定に相当な時間を要したわけでございます。これはやはり公務員体系に切りかえまずければ、先ほど長官から御説明いたしましたように、約半数の頭打ち者というようなものが、全部頭が開く。こういうことで、年々公務員と同じような定期昇給をしていくということによって、米軍としては将来の予算の増ということを覚悟せざるを得ない。こういうことから米軍として、はたして公務員体系へ切りかえることによって予算がどれほどかかるのかということのコスト計算に相当な日数を陸海空三軍の間でやったわけでございます。それでようやく向こうの結論が出て参りましたのが七月になってから、こういうことでございまして、そういうことのためにどうしても日米双方の管理者案を作成するのにひまがかかったという事情でございまして、その間も、労働組合からもいろいろの意見等も聴取して参りましたけれども、主としてそういう管理者側の原因によって今日までおくれてきた。ようやくにいたしまして、七月の末から八月の初めにかけまして、調達庁と米軍が約二週間にわたってそれこそ昼夜兼行で案を詰めまして、ようやく成案を得た。これが現在までの経緯と、おくれて参りました理由でございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 昨年のおくれた主要な原因というのは、大体作業が非常に重複した、新たな問題が起こったというようなことのようでありますが、本年のおくれてきた原因というもの等を、今の答弁の趣旨から考えますと、特に米側の態度決定がおくれた。米側の態度決定という中に、今の答弁では、作業が非常におくれたという趣旨のことを言っておりますが、これは前委員会におけるあなた方の答弁というものを一つ忘れないでいただきたいと思うのです。調達庁側としては、アメリカ軍との間に正々堂々対等の立場でもって話を進めておるけれども、なかなかアメリカ軍の方がわれわれの言うことを聞いてくれない、こういうことを再三にわたってあなた方は答弁をしておるわけであります。今長い答弁がありましたけれども、その中心となっているものはアメリカ側の態度決定が非常におくれた、こういうことに尽きるんじゃないかと思うのです。そこで、この前の委員会でも大へん問題になりましたけれども、駐留軍関係の労務者の雇用主というのは調達庁長官である。その労働条件なりあるいは賃金なり、そういうものをきめるのは調達庁長官であるということは、法律上規定をされておるはずなんです。けれども、基本契約に基づいて共同管理の方式がとられている、こういうところに大へん問題があって、管理者側の意思統一というものに非常に時間がかかっておる。ここが問題解決を遷延させる一番大きな原因じゃないかと思うのです。その特に裏づけとなると考えられるのは、労働者の賃金なりあるいはその諸手当なりというものの原資をどこが持つのかというならば、これはアメリカ軍が持っておる、こういう状態になっておるということでございますけれども、こういう状態というものが問題を一向前進させない主要な原因じゃないかというふうに私としては考えられるわけであります。  御承知のように、基準法の第二条の精神から見ましても、労使は対等な立場に立って団体交渉をする、そして協約を結ぶ、こういうふうになっておりますから、その労使のうちの使の使用者側というものは、これは調達庁長官でございますから、調達庁長官が責任を持って事に当たっていくという態勢がなくしては、労使の団体交渉というものは進まない、このように考えられます。この共同管理の方式というものが、現在の国内の組合法関係から見て——一体調達庁長官は使用者としての当事者能力というものを持っておるのか、団体交渉の当事者としての適格条件というものを備えておるのかどうかということについて、非常に私は疑問を感じておるのでありますけれども、こういう点について問題が非常におくれてしようがない。紛争が、あるいは他の関係においては解決しているものが、この限りにおきましては非常に拡大をして問題が遷延する。こういうことになってくる最も大きな原因がそこにある、こういうように私は考えるのであります。けれども、労働大臣、このような労使の関係の中で、調達庁長官は、労働者がこの労働の対価として与えられる賃金についてその原資を持っていない、こういうような方が一体組合法上、あるいは労働基準法上から言うところの団体交渉当事者としての適格条件というものを備えていることになるのかどうか、こういうことについて、労働大臣としてはどのように考えられておるか、お伺いしておきたいと思うのです。

堀秀夫労働事務官(労政局長)

○堀政府委員 法律解釈上の問題でもありますので、私からお答えさしていただきたいと思うのです。  ただいまお話しのような点が事実問題としてあることは、われわれもよく承知しておるわけでございます。問題は、使用者としての調達庁と米軍との間に、いろいろな問題を決定する場合についての協議が円滑に実行されるかどうかという点が問題であろうと思うわけでございます。法律上は、調達庁は労働組合法上の使用者である。従いまして調達庁としては、労働組合法上の使用者たる適格条件は備えておるわけでございます。問題は、それが形式的なものでなしに、実際問題として円滑に実行されるかどうかという点でございます。ただいまお話しの給与体系の切りかえの問題につきましても、いろいろな事情がございまして非常におくれたという点は、私ども遺憾に思っておるところでございます。非常におくれたので申しわけなく思っておるわけでありますが、幸いにいたしまして、給与体系の切りかえについても一歩前進が行なわれておるという状況でございます。私どもの方の労働省側といたしましても、今後米軍と長期使用者としての調達庁との協議が円滑に実行され、共同管理の実が上がりまするように、労働省といたしましても十分御援助申し上げて参りたい、このように考えておる次第でございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 法律上はそういうふうになってはいるのです。しかし、労働問題は、法律の明文上どうなっておったにかかわらず、問題が解決しなければこれはどうにもならない、そういうふうになってくると思うのであります。ですから、私は前国会でも大へん問題になっておったのはそこの点だと思うのです。私は当事者能力としての適格条件を調達庁長官が備えておるのかどうかということは、法律の文句の問題ではなくて、実質的な問題解決の当事者としての能力というものからどうなんだ、こういう立場で質問をしたわけです。従って、これはいわば政府として、駐留軍労働者、駐留軍の労使関係について問題をできるだけ早く解決するために、今の状態のままでいいのか、あるいはもっと考えるべき余地というものがあるのか、こういうことは政府の一つの方針でなくてはならない。この場合に、いわば労働問題というもの、労働関係というものを担当しているところの最高責任者である労働大臣が、このような状態のままではたして——今度の問題は一応来年の一月一日からということで解決はできるかもしれぬけれども、しかしここまでくるに二年もかかっているわけです。これをずっと継続するということであったのでは、これは労働者の福祉というのを任務とするところの労働大臣としては、ゆるがせにでき得ない問題ではないかと思う。方針上の問題として、将来一体こういうような長期にわたって紛争するような材料というものが駐留軍労使関係の中にある、これを抜本的に解決していくためにどうあるべきかということは、政府の方針上の問題だというふうに考えますから、労働大臣の答弁をお願いしたいと思う。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 今回の問題が解決の曙光を見ますまで非常に長くかかっておるということにつきましては、私どもまことに遺憾に存じておる次第でございます。要するに、かようになりましたことは、一つには機構の面においても原因があったかと思いますが、同時に、この問題について駐留軍の当局と調達庁との連絡が思うように運ばなかったという点もあるのではないか、こういうふうに見ておるのでございまして、少なくとも連絡の不十分であったためにかように延びたということがありましたならば、この点はぜひ改善をしてもらいたい、こう考えておるわけでございまして、さような要望につきましては、労働省といたしましても防衛庁並びに調達庁の当局にたびたびお願いを申し上げておるところでございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 労働大臣はこの前の委員会の空気は十分承知されていないと思いますからやむを得ない点があると思うのですけれども、この前の国会における本委員会での調達庁側の意見というものは、連絡不十分などということは全然ないように考えられる。真剣にアメリカ軍当局との間に折衝を重ねておるけれども、しかし何分金の問題も関連をするし、アメリカ軍の考え方というものもあって容易に事が進捗をしていかない、こういうことを再三にわたって答弁をしておりますから、今は日本は独立国であってアメリカ軍に従属をするものではない、従って堂々と対等な立場で話を進めてもらわなければ困る。こういうことに対しては、われわれはそれこそ正々堂々と対等の立場で話を進めておるけれども、なかなか事が進まないのだということが、前国会におけるところの調達庁あるいは防衛庁長官の答弁の趣旨であったわけです。この限りにおいては、連絡不十分というようなことは私は問題を遷延せしめる原因とは考えられない。問題は、雇用主であるところの調達庁長官というものが最終的な決定権というものを持ち得ない、そういうところに問題解決というものを遷延せしめる最大の原因というものがあるのではないか、このように私は全体を通じて考えるわけであります。ですから、このままの状態では、たとい今度の問題が一応解決をしたとしても、この機構、アメリカ軍と調達庁との間の関係、こういうものをもっとスムーズに、労使の団体交渉を責任をもってやり得る使用者の立場というものを、法律的にもあるいは実質的にもきちっとしなければ、いつまでたってもこの駐留軍関係、労使の関係というものは安定をしないのじゃないか、このように考えられますので、前国会でもお話が出ましたけれども、これは調達庁だけにまかせておかないで、もっとトップ・レベルの方で問題を前進せしめる、こういうことの方がいいのではないかという合同提案だったと思いますけれども、その意見に対しては、当時の藤枝国務大臣は、そういうことについても考慮をしていきたい、こういう趣旨の答弁すらしておるわけです。連絡不十分というのはそういうことではなくて、もっと根本的なところに問題がある、このように考えられてなりませんので、一つ労働大臣もこのことについては十分研究をしていただいて、労使の紛争というものをできるだけ早期に解決し得るような措置というものをとってもらいたい、このように考えるわけですけれども、一つこのわれわれの考え方に対して大臣に所見があれば承っておきたいと思う。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 この駐留軍労務に関しまする機構の問題につきましては、前国会においても、当委員会でこまかく御検討になりましたことを承知いたしております。そしてそれに対しまして、政府といたしましても、国内におきまする関係機関の連絡を十分にする必要があるというので、実は今月の三日に、総理府を中心といたしまして関係各省の主管の局長が集まりましていろいろ打ち合わせもいたしたような次第でございまして、この機構の点につきましても十分に検討を加え、とにかく実質的に連絡が十分にできるような方法を考えて参りたいと思っておるのであります。  もう一つ、調達庁というものが、実質的にも形式的にも使用者たるの資格があるかないかという点が問題の中心でございますが、現在の調達庁によりまする駐留軍関係従業員の雇用という形態は、占領当時からのいろいろなやり方が移り変わりまして現在の形になったわけでございまして、これには相当の沿革もあるわけでございまして、簡単に手をつけるということも困難な面もございますので、まず十分に運用上で御指摘のような欠陥のないようなことを期するということを重点にして、しばらく進んで参りたいと考えております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 問題は、労使間にとって一番大切なことは、約束というものをきちっと守っていくということが大切だというふうに私は再三申し上げておるのですけれども、守れない原因というものはどこかというと、アメリカ軍との共同管理になっている基本契約というものが一つある。こういうことが、どうも大へん大きな障害になっているように考えられるのです。この基本契約というものも、必要によってはアメリカ軍代表者も団体交渉に出席をする、こういうふうになっておるのでありますけれども、現実にはこれはもう実現をした例がない。これでは基本契約というものも有名無実になってしまっている。問題を解決するためには、最も大きな権限、責任を持った人が団体交渉に臨んで、そして責任ある態度で話し合いをしていくということが常時なされていなければ、問題というものは解決しないというのは言うまでもないと思うのです。この駐留軍労働者の労使関係の中で一番障害になるのは、先ほど申し上げましたように、金というもの、原資というものはアメリカ軍が持っておる。ですから、調達庁は労働者を仲介をするというような、いわばそういう役割みたいになってしまっておる。これでは調達庁長官が法律上雇用主であるといってみても、国内の労働組合法や基準法上の団体交渉も、当事者能力としての資格というものを完全に備えていると言うわけにはいかないのではないか、私はそこが一番問題どというふうに考えるのです。いろいろアメリカ政府との関係もあるでしょうけれども、しかし雇用主側、いわゆる調達庁とアメリカ軍との間に意見が食い違って、そうしてなかなか調整がつかないということは、労働者の責任ではないのです。これはいわば日本政府とアメリカ軍との、この場合にいうならば調達庁側の内部の事情であって、労働者に何の責任もないことだ。その責任のない労働者が、もし使用主側の内部事情によって解決が非常に遷延される、こういうことを労働省として放置しておいていいというわけには私はいかぬと思うのですよ。これを放置するようでは、労働省は、労働省設置法の第二条に設置の目的が書いてあるのですけれども、その目的に沿った運営がなされておらない、こういうことになると思いますので、一つどういうものでしょうか、労働者の賃金、手当、給与といった問題や人事に関する件、こういうことについては、特に給与の原資の問題については、アメリカ軍からそのつど式にもらうという形になっておるかどうかわかりませんが、雇用主である調達庁が一年間の予算というものをちゃんともらっておいて、その予算の範囲内で雇用主としての権限、責任、義務というものを果たしていく、そういう機構にしなければ抜本的な解決にはならないように私としては考えるのですが、こういう点については、調達庁長官あるいはその労働問題を担当している大臣の方から、それらの点についての見解を承っておきたいと思います。

林一夫調達庁長官

○林(一)政府委員 先ほどからるる御意見が出ております。法律上はなるほど調達庁長官が雇用主でありますが、原資は米軍が持っているというところに折衝上の矛盾があるのではないかというような御質問であります。私どもは法律上の雇用主でありますので、米軍とは常に接触を保って、米軍の気持をよく承知して、管理者として労働組合と団体交渉を行なってきている。この運営上においては十分に努力し、対等の立場において折衝しきている。その結果においては、たとえば給与体系の切りかえというようなことについては、大へんおくれてきたというような悪い結果が出まして、まことにそれは申しわけないと思っております。もちろんこれは対等な立場に立って堂々と折衝してきたのですが、いろいろの事情でこういうことになったということは御理解いただきたいと思います。やはりわれわれとしては、現在の体制が最も妥当な体制である、今までのいきさつ、経過から見て、現在の体制でいくのが最も妥当であると考えて、その運営に力を入れまして、十分に労使間の円満なる慣行をつくるように努力していきたい、こういうふうに考えております。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 労働省といたしましては、先ほど申し上げた通りであります。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 正々堂々と対等な立場でという話は再三にわたって出るのです。が、しかし問題は言葉や文字ではないのです。具体的にその行為によって問題が解決するかどうかということなんです。労働問題というのは生きものなんですから、去年の四月実施、七月実施、ことしの四月実施、七月実施、来年の一月実施、こういうことになってくる主要な原因は、雇用主である調達庁に雇用主としての権利というものがないところに大きな原因があるのではないかというように私は考えているのですが、これに対してあなたの答弁というものは、現在の機構が最も妥当であるというふうな答弁です。だとすると、アメリカの態度決定というものが非常におくれてきておるために、あなた方が正々堂々と交渉を行なってもなかなか容易に解決しない。それだけ問題の解決がおくれていくのですよ。一体労使問題を扱って、使用者であり、最高責任者であるあなたから、そういう状態をこれでいいのだという回答が出ることは、私は本末転倒していると思う。これを何とか考えていかなければならないという立場に立ってわれわれは質問しているのに、これでいいのだということを言っているが、現実に問題解決というものが非常におくれていっている。こういう事態というものをそれでいいんだという考え方に立つのは、どういうわけなんですか。

林一夫調達庁長官

○林(一)政府委員 米軍との折衝の問題でございますが、これはやはり相互の交渉でございますので、もちろん対等な立場で折衝しております。その間交渉が妥結しない場合もあるし、妥結する場合もあるというようなことで、なかなか思うように進まない場合もあるわけなんです。今度の賃金体系の切りかえということは、ちょうど一年間おくれてきておるのであります。この点につきましても、われわれは大いに努力してなるべく早く実施しようとしてきたのでございますが、米軍にも米軍の事情があって、なかなか話し合いが進まなかったというような状態でございまして、ようやく妥結に至ったということでございます。私どもも今後十分に組合の意向を受け、米軍と折衝していくという立場をとっておるわけであります。これは今後の努力を十分よく見ておっていただきたいのでありますが、われわれとしては最大の努力を払って、この労使間の友好関係を確立するように全力を尽くして参りたい、こう考えております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 調達庁長官が誠意を持って努力しているという答弁は何回も聞いているのです。しかし努力しても努力しても、問題がなかなか解決しない原因はどこにあるのかということを問題にしているのです。だからそれは現在の共同管理方式といいますか、そういう機構の中にあるのではないか。本来労使関係というものは、最高の責任者がそれぞれの権限を持っておって、責任を持って団体交渉に臨む、こういう態度がなくて、そういう体制でなくては労使の問題というものは解決し得ないはずなんです。そういう体制が与えられていない。そこに私は当事者の能力としての適格条件というものを欠いているのじゃないかというふうに考えるのですよ。そのことについては、あなた方としては何ら痛痒を感じない、こういうことでは、団体交渉の当の一方の当事者の態度としては私はどうも解せない、このように言わざるを得ないと思うのです。しかしこれは幾ら言ってもあなた方の方でこれでいいんだとするならば、お伺いしておきますけれども、現在の体制のままで普通の会社やあるいは工場で働いておるところの労働者の関係の労使問題、こういうものを解決するのにあたって、社長さんなりあるいは工場長なりが団体交渉の当事者として、簡単に言います。が、答えを出し得るような場合を想定したならば、今の調達庁長官の立場はそういう立場ではないはずです。それだけ複雑な状態に置かれている。それだけ実は当事者の能力としての適格性を欠いておる、こういうことにもなるのですから、本来の意味で言うならば、もっとすっきりしたところの使用者としての、雇用主としての権限というものを、責任的にも制度的にも与えられる立場をあなたみずからが主張してもいいはずだと思うのです。それなくしては、幾らアメリカ軍との間に正正堂々と交渉しましたと言っても、私は苦労するだけであって、本質的な問題の前進にはならないような気がしますので、一つこの点は調達庁長官は再考をしてもらわなければならないと思うのです。もし再考もしないと言うならば、私は念のためにお伺いしておきますけれども、これから起こってくる労働協約の問題、あるいはこの前の委員会でも大へん問題になりましたところの基地内における労働者としての権利侵害の問題こういった多くの問題を、現在の体制のままであなたが責任を持って最もスムーズに解決できるという自信がありますか。

林一夫調達庁長官

○林(一)政府委員 いろいろの問題点があるわけであります。そういう問題点につきましては、われわれとしましては運用の面に力を入れまして、妥当な解決をはかるように努力して参りたいと思います。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 ただいまの基地内の労働管理の問題について、関連をして質問をいたしたいのでありまするが、それはことしの四月四日、同じくこの社会労働委員会のこの部屋で、私どもはあなた方に質問をいたしまして、そして明快な回答を得ているわけです。それはちょうど昨年の十一月二十七日と二十八日の両日、立川の基地において鈴木文子という従業員が、一定の場所に軟禁をされて数時間調査、尋問を受けたというこの問題であります。この問題で私どもは激しい御質問をいたしました。そのときにあなた方は、将来こういうことのないように十分注意をするとともに、この問題についても早急に一つ真相をきわめて処置をいたしたいと思う、こういう答弁をせられておるのでありますが、その問題はその後一体どういうふうに解決をせられたか、どのように具体的にあなた方は処置をとられたのか、お伺いをいたしておきたいのであります。

小里玲総理府事務官(調達庁労務部長)

○小里政府委員 お尋ねの鈴木文子の事件でございますが、これにつきまして、本人を直接OSIという機関が調査をした。その間に人権じゅうりん的なことがありはしないかということで御指摘を受けたわけですが、調達庁といたしまして、調査機関が直接本人を調査するということはできるだけ避けてもらいたい、こういうことで米軍と再三にわたって折衝をいたしまして、米軍としましては、本人の疎明を聞くということで、事態を明らかにする関係上、本人の自由意思に基づいて出頭してもらいまして、事情を聴取するということは、これは本人の利益にもなるという観点から、これを全面的にやめるということはできないという意向でございますが、しかしあくまでもそれは事情やむを得ない、どうしても本人から聞きたいという場合だけに限りたいということでございます。しかも米軍といたしまして、本人が出頭をしたくないとか、あるいは出て参りましても陳述をしたくない、こういうような事情がありますれば、それは本人の自由意思でありまするから、もちろんそれを拒否することができる、その拒否したことだけの理由をもってその労務者に不利な取り扱いはしない、こういう米軍側の回答にも接しておりまして、そういう趣旨の回答といいます。か、労働組合に対してもその旨を通知をいたしております。問題の鈴木文子の件でございまするが、本年六月十一日に米軍側から、保安擁護のもとに労管に所定の手続をとってくれ、こういう要請がございましたので、労管といたしまして直ちにその所定の手続をとり、米側から労務管理事務所の調査の依頼等もございました。現地段階における調査も日本政府としての調査も終わりまして、米側に回答をいたしております。それが七月五日でございます。そういたしまして、米側といたしましては米側の調査、日本側の調査を総合して、ただいま検討をしております。これがあくまでも米側の主張するように容疑ありということでございますれば、その上の段階の空軍司令部と調達庁長官との協議に入ってくるということになるわけでございまして、ただいま米側においてその調査を進めつつあるという段階でございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 あなたの答弁に対して、問題を二つに分けて私は質問をしたいのでありますが、前段の、本人の自由意思によればですが、自由意思によって米側が直接尋問、調査をする、そういうことをあなた方は了承されたのですか。四月四日のわれわれの委員会におけるあなた方に対する要望は、少なくとも米側が日本の労務者をそういう調査、尋問をする場合には、事前に日本側に通告をして、あなた方の了承を得た上で、そういう処置をする必要があったら処置をしてもらいたい、こういうことを私はあなた方にお願いをした。駐留軍基地というものは、日本における外国ですよ。いわゆるあなた方に雇用せられて、そうして日本人でありながら外国に勤めさせられているんですよ。しかも軍事基地という特別の事情を背景にして、労務協約もなければ、就業規則もない、休憩時間の自由もないという、まことにわれわれが幼いときから聞いていた監獄部屋と同じような、そういうような特殊な待遇を受けるところに島流しになるのだ。そういう島流しになった外国の基地の中で、しかもかよわい女の子が、数時間、二日にわたって大の男二人、通訳をつけて三人だ、そういうところで尋問をせられることが自由意思ですか。親切丁寧に調べましたなんといって、その話が通ると思いますか。これは大橋労働大臣も昔の内務官僚でいらっしゃいますから、昔の警察がどういう尋問をしたかよく御存じだと思いますが、昔の警察なんというものは、いや懇切丁寧に調べました、からだにさわりもしませんし、頭をなぐったこともありませんでしたというが、本人は青ぶくれになったり下ぶくれになったりした、そういうことが事実行なわれたのです。私はそういう昔の警察制度のようなことが駐留軍の中に行なわれているとは信じない。信じないけれども、そういうことのおそれがあるから、少なくともこれから先は、そういう調べる必要が起きたときには日本側に事前の了承を得て、その後に処置するようにしてもらいたい、これを一つ米側に交渉してもらいたいと私はお願いした、その回答を求めているのですよ。何ですかあなたは、その回答になっていないじゃないですか。それがどうなっているかが一点です。  それから第二点は、あなたのお話によりますと、米側も本人の今何か思想の調査中である、日本側も調査中である、こうおっしゃいましたね。調査進行中であるとおっしゃいましたね。いやしくも進行中であるなら、それは何か特別な行政的な処置などの必要を日本側もお感じにならないでしょうし、米側も特別な何か行政的な処置はもちろんおやりになっていないのでございましょうな。その点はいかがでございますか。

小里玲総理府事務官(調達庁労務部長)

○小里政府委員 鈴木文子という女性の調査でございますので、米側といたしましても十分その点は留意をして、あやまちのないようにということで、決して本人に対する強要とかあるいは圧迫を加えるというようなことがないようにということで調査をいたしましたのですが、問題はやはり本人の直接調査ということが望ましくない。ただ米側としては、やはり本人から直接事情を聞くことによって事態を早く明らかにすることができるという建前から、どうしても本人を呼んで聞きたいという場合には、やむを得ない場合に限ってのみ本人を呼んで調査をしたい、こういうことでございますから、調達庁といたしましては、その間に絶対に本人に対する自白の強要とかそういうことのないように、厳重に米側にも申し入れてございますし、しかも本人が出頭を拒否すれば行かなくてもよろしい、行って自分が答えたくなければ答えなくてもよろしい、こういう本人の自由意思も尊重してやるということでございますから、保安調査に関係をいたしまする直接調査については、そういう限定した場合に限ってのみ米側にこれを認める、こういう態度でございます。  それから第二点の、米側において調査をしておる、日本政府側でも調査をした、その間の行政措置でございます。が、これは基本労務契約によりまして、保安の容疑がございます場合には、それが真実であるかあるいは真実でないかにかかわらず、一応出勤停止の処置をとる、こういうことになっておりまして、それがもしも事実がないということであれば、本人をもとに戻してその間のバック・ペイは全部する、こういう規定になっておりますので、その規定に基づいて行政措置をとっておるわけでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 関連ですから、私はこの問題はきょうのところはこれでやめておきますが、あなたがおっしゃる通り六月十二日に、行政処分といいますか、保安処分といいますか、そこでともかくこれは出勤の停止が行なわれておるわけですね。そうして六〇%の休業手当を受けておるという話であります。十一月の二十七日と八日の二日間にわたって数時間の尋問、調査を受けて、そうして今あなたのおっしゃるように、日本側も慎重に調査したというその十一月の二十七日から六月二日まで、その間に調査を経ておいて、そうしてこういうふうな休職処分というか、出勤停止になるというようなことは、私は何か不純なものを感ぜざるを得ません。それくらい長時間慎重な審査をしているなら、そこには黒は黒、白は白だという結論が当然出ていなければならぬ。それがまだ白黒がはっきりしないからというて停止されるということは、何か国会でこういうことを取り上げたということがあなた方の反発を受けて、むしろ国会側に対する挑戦にあらざるやとまでも勘ぐらざるを得ないわけです。しかし、これは関連でございますから、私はこれで留保いたしましてやめますが、この次の機会にまた資料を整えて、こんなやさしい声ではありません、一つ今度はあらためて明確な質問をさせてもらいたいと思います。  次に、これは労働大臣に、実はあなたがまだ社労の委員をやっておられたときの前の労働大臣のときに、こういうことを確約されておる。それはほかでもない。四十通常国会で駐留軍労務者の雇用関係を抜本的に解決するためには、政府全体としてそういう体制をつくり上げることが非常に必要であるということをわれわれは強調し、防衛庁長官も労働大臣も協賛の意を表明された。そのために関係閣僚の懇談会を設置して、そこで一つ全内閣的な、全政党的な取り組み方をしようじゃないか、いやしくも十七年もたってこういう封建的な形がわが日本に行なわれることは単に労使の問題ではなくて、民族独立の自覚を失わしめるような問題であるから、全内閣的な取り組み方をしようということに賛成をされた。ところが、先ほどの吉村君の質問に対する大臣の答弁を聞いておりますと、何か内閣の中に関係局長でも呼んで、そこで連絡を密にしてやっていきたいという準備をされておるというお話であります。それは局長なんか集めたら、一つの事務的な連絡調整であって、われわれにお約束下されたそのかまえとは実に形が変わっておるのであります。その点をいま一回労働大臣から、前の大臣の衣鉢と言ったは悪いけれども、残された問題を確実に継続実行していただくという言質をいただかないと満足できませんので、あらためていま一回御答弁をお願いいたしたい。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 先ほど来御両氏の質問、またそれに対する当局の答弁等を聞きながら感じましたことは、今の調達庁というものは、確かに労務者に対しましては完全なる雇用主という立場にあるわけでございます。と同時に、これが米軍に対しましては、今度は労務の提供者たる立場があるわけでございます。この二つの立場がはっきり認識され、そしてそれぞれの立場がはっきり出るような機構ができておれば、この問題は非常に円満に合理的に進行できるのだと思うのですが、実は私も就任早々でありまして、お話しの途中でそういう点を気がついた程度でございまして、この点につきましてもう少し研究をいたしまして、そしてなお前大臣のお話等も直接伺いまして、しかる後にまた適当な機会に御答弁を申し上げたいと思います。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 関連して。私は吉村委員の質問の中に関連をしますが、これは蛇足になろうと思いますけれども、今労働大臣が雇用主の立場、それから供給者の立場、これを明確にすればいろいろの問題が解決するであろうと言われることは、私たちもその趣旨については賛成です。非常に明快だと思います。すみやかにやってもらわなければならぬのですが、吉村委員に対する林長官あるいは労務部長の答弁をさいぜんからずっと聞いておりますると、そこの解決しようという基本的態度というのが非常に不明瞭だというようにわれわれは受け取らざるを得ない。こういうような不明確な態度では問題の解決はなかなかないであろう。従って、今日までずいぶん長い期間にわたって調達庁が非常に努力された、林長官も労務部長も非常に努力された跡というものはわれわれは認識するけれども、どんなに長い間努力されても、労働者の生活の確立という問題については結論が出ないのですから、非常に問題です。さいぜん労政局長が一歩前進したということを言われて非常にいいことであると言われましたけれども、われわれが認識するのには、労働組合と調達庁の間には何も解決をしていないじゃないか、こういうようなことです。そこで、調達庁の基本的態度としては、雇用者の関係であるから労働者と話し合って、そして賃金あるいは労働条件等々は双方の意見を一致させるために努力をしなければならないことは、もう賃金の原則であろうと思うのです。ところが、われわれに説明をされたのは非常に長い間努力した、その努力は正々堂々と対等の立場においてやってきたと言われる。ところが軍側は、スマートさんと交渉か知りませんが、はなはだスマートではないように思う。それは軍側の予算というような問題があるから、予算上でどうするかといって電子計算機で計算をした結果、予算からはみ出す、はみ出すから調達庁と軍側の交渉がうまくいかなかった、うまくいかなかったから組合との話し合いもうまくいかなかったということで、七月一日に回答すべきことが来年の一月一日になり、来年の一月一日に実施というけれども、その内容は明らかになっていない、こういう態度であるならば非常に問題じゃないかと思う。そこを吉村委員は、さいぜんからあなたたちの態度はどうかということを聞いておる。そこで、駐留軍の歴史的な経過はあります。われわれもよく知っております。駐留軍の労働者がわが国の雇用の中に現われるということはわれわれは変な気持なんです。しかしそれにもかかわらず、駐留軍労働者は今まで国際的な中に置かれて非常に苦労してきた。給与だって公務員給与の一割プラスの給与で今日までやってきた。それが公務員給与に切りかえられると、その内容がダウンされるというような問題であるならば、あなたたちは雇用者の関係として、雇用者の立場としては労働者の生活を保持してやろうというような基本的な態度がなければならぬと思う。基本的態度の中に軍側と交渉しなければ何が解決するか、軍側の予算上の問題で制約があるからなかなかうまくいかないのだ、うまくいかないのだといってどれを優先にするのです。林長官はどっちを優先的に解決して、どっちにのませようとされるか、説得されたいと思っておられるのかということです。私たちが要望するのは、今日まで、四十通常国会においても相当に林長官の態度をただしてきた。正々堂々と軍側に交渉し、自主的な立場に立って交渉するという自主的な立場というのは、日本の労働者の生活あるいは身分の保障、それを確立するためにアメリカ軍側と交渉しようという正々堂々でなかったろうかと思うのです。アメリカ軍側といろいろやって、予算上の問題でワクの制限があるから、正々堂々とやったけれどもいたし方がないから、組合ものんでくれという態度をわれわれは望んでこなかった。そういうような気持であるのですけれども、今日労働大臣が言われるように、区分を明らかにして、そしてわが国の駐留軍におけるところの労働者の生活を確立するためにそれを優先的に考えて、軍側と強力な折衝をしつつ一月一日にあらゆる問題を解決する気持があるのかどうかということです。もちろん要求には無理な点もあるだろうと思うのです。しかし組合との相談、組合との話し合い、交渉を主として行なわれるのかどうかということ、今後の態度を私は吉村委員の質問に関連してこの一点を聞いておきたいと思います。

林一夫調達庁長官

○林(一)政府委員 給与切りかえの問題につきましては、来年の一月一日実施ということを目標としまして、その案の内容につきましてはすでに組合には提示してあります。この案の内容について今後組合と折衝しまして合理的なものに仕上げて参りたい、こういうふうに考えております。その他の組合の要求事項もあります。そのような問題については今後十分組合の意向を聞き、またいれるべきものはいれて強く米軍折衝を続けて参りたい、こういうふうに考えております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 先ほど来私が問題にしておるのは、駐留軍の労働者の労使関係という問題の解決が遷延する原因というものは、現在の機構の中にあるのではないか、こういうことを中心にして当局の見解を尋ねておったわけです。が、労働大臣は最終的に、労務提供者としての立場、雇用主としての立場、こういうものを明確にするということが、一つは問題解決のかぎになるのではないかという趣旨の答弁をされました。林長官は、先ほど私の質問に対して、現体制のままで十分であるという答弁をしております。この限りにおいては、私は労働大臣と林長官との考え方について、相当意見が相違をしているのじゃないかというふうに考えますので、この点は、一つ問題を前進させ、そして労使の紛争をなくしていくという立場に立って、しかも雇用者としての立場を十分発揮できるそういう立場に立って、両者の意見を統一して善処をしていただくように特に要望しておきたいと思うのです。  次に、時間の関係がありますから、多くの問題についてはあと機会をあらためるということにいたしまして、当面している問題の中で、現在労使の間で紛争中であり、しかも組合側としては、場合によってはまたストライキも辞せないという態度で臨んでいるといわれる給与の切りかえの問題についてごく簡単に質問しますから、一つ要点だけ答弁をしていただきたいと思う。  一つは、当局が提示をされたという給与切りかえ案というものは、現在の駐留軍労働者の基本給を引き下げるようなことはあるのかないのか、このことが一つです。いま一つは、基本給の一人当たりの原資は、現在よりもどのくらい高くなるのかあるいは低くなるのか、現在との差額。いま一つは、いろいろ既得権益と称せられるものがどこにもあるはずですから、この諸手当も含めたところの既得権益というものはそのまま維持されるというふうに考えていいのかどうか。この三つの点について、要点だけでいいですから答弁を願いたいと思うのです。と申し上げますのは、やはり私どもは、この社労委員会の立場として労使の紛争を解決していくように努めていかなければならぬ、こういう立場をとっております。し、また労使の関係を安定していかなければならないというふうにも考えますので、当局が提示した案の内容いかんによっては、私たちの望んでいないような結果を招来しかねない、このように考えますので、この点は要点だけ一つお答えを願いたいと思う。

小里玲総理府事務官(調達庁労務部長)

○小里政府委員 お答えいたします。  基本給につきましては、新しい公務員的な体系に切りかえます場合に、組み立て方が違うことにはなりますが、しかし基本給的なものといたしましては減少はいたしません。そうして今度の公務員的制度への切りかえは、現在もらっている給与そのままで横すべり的に公務員の表を適用するという考え方でおりますので、現給横すべりでございますから、一人当たりの原資は従来と同じということでございます。  それから既得権益といいますか、従来駐留軍従業員は、公務員に比較しまして諸手当等についていい点も悪い点もございますが、これを公務員的制度への切りかえによって大部分公務員と同じようなシステムにいたしますから、その点はプラス、マイナスが出て参ります。従って、従来の手当で減るものも、あるいはふえるものもございます。公務員に準ずる制度への切りかえでございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 蛇足でありますけれども、公務員の諸手当関係というのは、大体基準法に示された最低額というものを適用されておるわけです。この基準法上の最低額というのはあくまでも最低を示すものでありますから、それよりもいいものをこれに合わせるという考え方は、今日的な労使関係の処理の仕方ではないと私は思うので、こういう点については、今私が申し上げたような立場で、基準法よりも上回った部分について基準法まで下げるということのないように一つ十分考慮をしていかないと、労使の問題というのは解決し得ないのじゃないかというように思いますから、この点はよく考慮をされて対処をしていただくようにお願いをしておきたいと思うのであります。  それからいま一つ、先ほど五島委員からも話が出ましたけれども、かつて駐留軍労働者は、国家公務員の給与に比較をして、ベース上は大体一〇%程度高まっておった、こういう話でありますが、それが頭打ちその他の関係で、現在ではむしろ公務員のベースよりも低いかあるいは同程度かという状態になっておるそうであります。今回の給与切りかえによって公務員とのベース上の差というものは大体どういうふうになるのか、わかっておったから一つ知らしてもらいたい。

小里玲総理府事務官(調達庁労務部長)

○小里政府委員 御指摘のように、従来は駐留軍の従業員の給与が公務員に比較しまして一〇%、あるいは朝鮮事変のとき等は、オーバータイムが多かった関係上二〇%多かったという時代がございましたが、頭打ちその他の制度のためにだんだんとその較差が縮まってきた。私どもの計算では、大体昨年、一昨年の総給与の平均で見ますると、公務員に比較いたしまして七%くらい給与がいい。一年間の平均にいたしまして七%ぐらい駐留軍の方がいいという結果が出ております。そこで今回の公務員的な制度への切りかえは、原則として現給横すべりという考え方でやりますので、切りかえと同時に重大な変化というものはないと考えます。ただ問題は、すでに御承知かと思いますが、有給休暇の買い上げ制度というものを、従来から問題になっておりましたのですが、これを廃止する関係で、その面との出入りがあるということでございまして、基本給、基準内賃金等については現在の公務員との較差がそのまま大体において引き継がれる、こういうふうに考えております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 時間がないそうでありますからこれで終わりたいと思うのです。が、今私が給与の切りかえの具体的な内容について聞いたのは、当面している労使の紛争というものを解決するためには、現状よりも悪く切りかえるというようなことのないように、そういうことがあっては労働大臣の本意でもないはずでありますから、そういうことを十分考慮されて問題を解決するためには、長い間の懸案となっておって、そしてその間労働者は損をしておるということになる、あなた方のその態度のために一年有半というものは損をしたことになるのですから、そういう点も考慮されて、一つ労働者側が納得できるような案を提示をして、その際に現状よりも悪くなるというようなことでは納得でき得ないわけですから、この点を考慮していかないと紛争が解決していかないと考えて質問をしたわけです。十分それらの点は、これからの交渉にあたっても考慮されて、紛争というものをできるだけなくするように努力をしていただきたいと思うのです。  最後に、駐留軍労働者の労使関係の問題の中で一番問題と考えられますのは、何と申し上げましても雇用主であるところの調達庁長官が、雇用主としての当事者能力というものを実態的に与えられていない、こういうところに問題があると考えますから、与えられていない権限の中で労使対等の立場で交渉をするといっても、権限がない対等の立場というものはないので、結局のところアメリカ軍側の意向を労働組合側にただ押しつけるという役割、こういうものしか果たしかねない。果たしているとは申し上げませんよ。果たしかねないような状態にある。遺憾ながら日米は対等の関係にあるといっても、今日の状態では、やはりどうしても従来の占領軍の惰性的なものがアメリカ軍の中にあるかもしれない。あるようである。ですから、基地内におけるところの権限の問題やこういった問題が、ほかの労働者並みには与えられていない、こういう状態というものは放置しておいていいというわけではないのですから、そのよってくる原因というものは、日本政府のアメリカ軍に対する交渉なり折衝の姿勢に問題があるといわなければならぬと思うのです。これは再三、対等の立場、正々堂堂という言葉が述べられておりますけれども、どうもこの給与問題一つとらえてみましても、一年有半かかって、しかも来年一月一日からという実施の内容については、これからさらに組合側と交渉する。組合側と交渉する中で問題がまた本質の問題に触れれば、またアメリカ側と折衝しなければならないという状態になるでしょう。これではとてもじゃないが、目標を示しただけで本質的な解決にならないのです。一つの例をあげただけでもそういうわけですから、私はこれらの問題を抜本的に解決するためには、先ほど小林委員からも御指摘をされましたように、そして委員会において藤枝長官が言明をされましたように、政府全体としてこれらの問題に対処する方針というものを確立する、こういうことがなくてはならないというふうに思いますので、一つ労働大臣の先ほどの御言明もありましたから、林長官との意見の相違等については十分調整され、統一されて——統一される方向というのは、雇用主というものを明確にして、そして公正な権限をもって臨み得る、そういう日本政府としての立場というものを明らかにするような体制というものをつくり上げて、労使の関係というものを一刻も早く安定させていただくように、強く政府の善処を要望しておきたいのです。  以上で私の質問を終わります。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 井堀繁男君。

井堀繁男民主社会党

○井堀委員 二、三緊急な労働政策の転換を希望する意味でお尋ねをいたしたいと思います。  御存じのように、貿易の自由化なりあるいは技術革新がきわめて卑近な問題になってきておるわけであります。この際、日本の産業構造あるいは雇用構造に対する近代化への変革を余儀なくされておるわけです。こういう大切な時期に当面いたしまして、二、三具体的な問題を中心にして労働行政の方向を伺っておきたいと思うのであります。  一つは国際労働機関に関する問題であります。これに関連して、具体的なものをお尋ねしておきたいと思うのであります。第二の問題は、公務員の労働関係、ことに人事院の勧告の行なわれております現段階において。第三の問題は、先ほど来質問が繰り返されておりましたので、ごく要点だけお尋ねいたしたいと思います。失対関係に対する労働省の見解をただしておきたいと思うのであります。労働省の御都合で失対関係を先にという御注文でございますから、失対関係について先にお尋ねしていきたいと思います。  五月十八日付の新聞によりますと、五月十七日に省議で、現行の失対制度などについて根本的に再検討をなされる方針が決定して、そのために失業対策問題調査研究会を設けられて、三十八年度予算編成期に間に合うように結論を出すとの報道がなされております。きわめて重大な事柄だと思います。もので、その労働省の基本的なものの考え方をこの際明らかにしていただくことが、前段に申し上げました雇用構造近代化への大きな役割を果たす問題だと思いますから、一つ労働省のこれに対する基本的な考え方をお尋ねしたいと思うのであります。その新聞記事の中で、失対労務者の人員を減らして生活保護法に切りかえる意味のことが報道されております。いま一つは、失対対象になる労務者の大半を、民間企業に切りかえようという考え方がこのほかに伝えられておるのであります。が、これは新聞報道でありますので、こういう重大な事柄については、審議会で答申されることもけっこうでありますが、われわれとしては、事前にやはりこういう大問題については労働省の見解を明らかに理解する必要があると思いますので、この機会に明確に御説明を願いたい。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 この新聞報道が行なわれましたのは、労働省として失対問題調査研究会を発足させるにあたっての新聞発表に関連して報道されたことでございます。その場合に、今御指摘のような、いわゆる生活保護法に回す問題、民間雇用へ復帰させる問題というような点について記者から質問がありました。私が調査研究会の発足の新聞発表をしたわけでありますが、そういう質問がありました。しかし、そういう問題につきましては、すべて労働省としては白紙で調査会に調査研究を御依頼して、その調査研究の結果を待って労働省として失対問題の改革案をつくって、三十八年度の予算編成にも間に合わせたい、こういうふうな趣旨でございまして、その具体的に報道されていることにつきましては、労働省としてそういう方針であるということではございません。そういう問題につきましても、すべて包含された意味において研究会の結論を待って、労働省として何らかの対策を立てて、来年度の予算編成に間に合わせたいというふうに考えておる次第でございます。

井堀繁男民主社会党

○井堀委員 労働大臣にお尋ねをいたしたいと思いますが、今事務当局の御説明によりますと、失対問題に対する根本的な再検討を行ない、予算編成期にその結論を得たいという方針だけは省議でおきまりになったことが明らかになりました。新任早々ではあります。けれども、こういういう問題は労働行政の基本的な問題でもありますし、またあなたの所信発表の中でも、雇用問題についてはかなり強く御意見も発表になっております。省議ですでにきまり、あるいは研究会を設けてすでに十八日には一回の会議が行なわれていることが報道されております。この点に対する労働大臣の基本的な方針でありますから、一つ御答弁を伺っておきたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 御指摘の調査研究機関が発足いたしておりますことは、前労働大臣から引き継ぎをいただいております。従って私といたしましても、この機関によりまして失対事業の改善策ができ上がることを期待いたしておるわけなのでございます。この改善策の重点と考えておりますところは、もとより調査研究会の調査研究の結果に待つわけなのでありますが、現在失業対策事業に関係しておられる方々には、いろいろな種類分けをすることができるわけでございます。これらの方々を一律に同じような仕事に従事させるということがはたして適当かどうか、場合によってはその関係者の性質によりまして、事業に多種多様な変化をつけ、それぞれに適当した仕事をお世話するというようなことも一つのねらいではないかと思うわけでございます。また、先ほど来申し上げて参りましたごとく、労働能力がほとんど欠けておるのではないかというふうな非常な高齢な方なども中にはあるのでございまして、こういう方々に対しまして、ただ惰性的に失業対策事業というもので処理することが適当かどうか、むしろ社会保障に切りかえる方がいいんじゃないかという点もあるわけでございます。しかしながら、先ほど来申し上げましたごとく、現在の社会保障の水準というものと、それから現在の失業対策事業の関係者の所得の水準というものはだいぶ違っておりますから、ただこれをこのままに切りかえるということは大きな社会的な問題でございまして、その場合においてはやはり切りかえを承知するような、本人を納得させるだけの何らかの処置をあわせてとる必要があるのではなかろうか。こういったことを考えるといたしましたならば、そうした処置についても研究するというのがやはり調査研究機関にお願いしてある使命の一つだと思っております。

井堀繁男民主社会党

○井堀委員 この問題については、わが党といたしましてはかなり強い関心を持っておりますことを申し上げておきたいと思うのです。これは軽々しく処置すべきものではないと思うのであります。ことに緊急失対事業法が施行されまして以後の実態を見ますと、日本の雇用構造の一つの宿命的なバロメーターだと言えると思うのです。こういうものを簡単に処置されるようなことがもしありといたしますと、結果はきわめて重大だと思うのであります。ことに私はこの機会にちょっとお尋ねしておきたいと思いますが、同じく新聞報道によりますと、今の御答弁でも明らかになりましたが、雇用問題の審議会が内閣の諮問機関として制度的に設置されておるわけであります。また、これには専門委員会を設置することも法律で規定しております。こういう既存の法律制度になっております。ものを採用されないで、調査研究会をことさらに設けたという点についてはぜひ伺っておかなければならぬ。その経過なり労働省の見解を一つ伺っておきたい。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 われわれの考え方は、雇用審議会で再三にわたって答申ないし建議をしていただいたのを、すぐ実行できるものは実行させ、予算に盛ってきたわけでございますが、それでもなおここ両三年、地方の事業主体からいろいろ問題が出されまして、われわれとして、やはり政府としての責任においても、今までの雇用審議会でいろいろ答申、建議されたのをさらに具体的に改革に着手すべきだという判断に基づきまして、それならばやはりわれわれの改革案をつくる資料——われわれと言っては語弊がございます。が、政府としてのもっと具体的な改革案の資料をつくる必要があるということで調査研究会をつくったわけでございまして、われわれの方としては、そういう意味におきましても先ほど申しましたように雇用審議会の特定の先生方、社会保障制度審議会の先生方、そういうふうに従来失対問題につきまして関係され、研究され、建議され、討論されたグループの中で特に力をかしていただくために調査研究会をつくったわけでございまして、審議会につきましては、あくまで政府案ができました上は審議していただくということには変わりはございません。

井堀繁男民主社会党

○井堀委員 労働大臣にお尋ねします。が、今事務当局の御説明がありましたように、元来雇用問題は歴代内閣がかなり熱心に宣伝されてきた問題です。が、一向効果が上がっていない。しかるに、喫緊な事態の当面の大きな政策であったことも争えない事実であります。そのために雇用問題審議会の立法が国会の同意を得られたわけであります。その機関を用いないでこういう調査研究会を別に持たれたということでありますが、もしそういう必要があるとするならば、私はむしろ雇用審議会の欠点を補う意味でそういうものを持たれるということはあり得ると思う。今のものでは納得しがたい。もしそういう研究会を持つとするならば、長年の間、この失対関係においていろいろな経験を重ねてきておりまする市長あるいは地方の知事、あるいはこういう労働者のための民主的な組織を推進しておりまする労働団体の役員、こういう人の意見を求めていろいろと検討をなされるというのであれば私も理解できるのであります。今の御説明では特に研究会を設置した理由が一向に理解できないので、これはもちろん政策の問題でありますから、労働大臣としてはこの問題に対して新しい裁断を下されることと思いますが、この点に対する大臣の御見解を一つ伺っておきたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 失業対策事業につきまする重要なる政策につきましては、雇用審議会に諮問して政策の決定をして参りたいという考えはもとより言うまでもないのでございます。ただ今回のことにつきまして、特別の調査研究機関をつくられたのは、雇用審議会に諮問いたしまする前に、労働省の当局といたしましてこの問題について事務当局としての成案を得なければなりません。その成案を得た上で雇用審議会に諮問をして、各方面の御意見を承るという段取りになるわけであります。従って、この調査研究は労働省の現在ありまする機関でやってもよろしいわけでございますし、また本来そうする方がいいかもしれませんが、しかし問題の性質上、非常に広範な調査を必要といたしまするし、また多方方面の関係者の意見なども案の内容に反映させる必要があると存じまして、それには現在の事務当局だけではなく、むしろ専門の学者の方々に公正な立場から一応御検討をいただくことがむしろいい案が期待されるのではないか、こういう趣旨でこの調査研究機構が発足したものと思うわけでございます。従いまして、労働省といたしましては、この機構によってできました調査研究の結果をもとといたしまして、事務当局案というものをつくって成規の手続によって雇用審議会に諮問をいたし、そして政府としての政策をきめるという手続を考えておるわけでございます。

井堀繁男民主社会党

○井堀委員 非常に重大なことだと私は思うのであります。事務当局が原案をつくるために各方面の資料を集め、あるいは研究をなされることは、これはもう当然なことであります。ことにこういう重大な問題については、広く知識を集められることは言うまでもないことであります。しかし、そのために特定の学者を委嘱して研究会を設けるということは、私は雇用審議会法の精神に抵触するものと思うのであります。審議会にはちゃんとそういうことを用意して専門委員会を第六条で規定してあるわけです。むしろ専門委員会に相当すべきものでなければならぬのじゃないか。しかし、そうでないという考え方についても否定をするものではありません。勉強されるためにいろいろ意見を聞くことはけっこうであります。そういう際には、少なくとも新聞発表などを行なうような研究会でありますから、相当権威のあるものと世間は思うのであります。さきにも申し上げましたように、全国知事会あるいは同市長会なども、この問題に対しては公式な意見を発表しております。陳情にも来ております。各党もそれぞれ政調などで研究をしておると思うのであります。われわれもこれに対して重大な関心を持っていることは、さきに述べた通りであります。そういう方面の意見を聞くということも、私もむしろ必要なことではないか。しかし、事務当局の便宜のために、名前を拝見いたしますと権威者ばかり、ことに審議会のメンバーとして教たられるようなりっぱな人たちを研究会のメンバーに委嘱されておるようでありますが、もしそういうことを各省が各案件についておやりになるようなことになります。と、私はこういう審議会というようなものが混乱を来たす。やはり審議会設置法の精神にもとらないように、あるいはこの法律によって十分機能が発揮できないような場合にも、またそれにふさわしいものでなければならぬのじゃないかと思うのであります。大事なことでありまするから一言御注意を申し上げ、労働大臣のお考えを一つ拝聴させていただきたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 井堀さんのお考えも一つのお考えであると存じます。しかし、先ほど私の申し上げましたような考え方も、やはり一つの考え方であると思うのでございます。要するに、労働省といたしましては、同じ雇用審議会に諮問するにいたしましても、できるだけりっぱな案をつくってそれを諮問したい、こういう趣旨でこういう調査研究機関ができ上がったと思うのでございますが、要は、できた案がはたしてどうかという点にあるんじゃないかと思います。これにつきましては、私どもも今後といえども十分に努力いたしまして、できるだけりっぱな案をつくるようにいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。

井堀繁男民主社会党

○井堀委員 もしも広く知識を求められてそういうものをおつくりになる場合には、ぜひさっき申しました労働団体やあるいは全国知事会、市長会などの意見をも採用できるように、研究会の道をお開きになることを希望いたしておきりす。  この機会に、わが党といたしましても一つの見解をきめて公にいたしておりますから、一つ御参考にしていただきたいと思うのであります。というのは、緊急失対事業法は、それぞれ歴史的な使命が変わってきておることもわれわれは認めます。三十万ないし五十万の失対関係の労働者が固定化しつつあるということについては、このままに放置することは私は適当でないと思うのであります。やはりしかるべき打開の道、改善の道を立てるべきであると思うのです。その時期としては、もうおそきに失するぐらいにわれわれは思うのであります。しかしながら、あまり便宜的な扱い方をなされないように、やはり雇用構造の近代化という大きな線の中で扱うべき本質を持っておるということを、一つ十分お考え願いたいと思っております。時間がありませんから、この問題はこの程度にいたします。  次にお尋ねいたしたいと思いますのは、国際労働機関に対するわが国の態度というものは、今後の貿易自由化あるいは技術革新などに関連をいたしましてきわめて喫緊な問題だと思います。そこで、当面しておりますILOの八十七号条約を批准するためには、国内法の整備をいたさなければならぬことは当然でありますが、この点についてはすでにもう明らかになっておることでありますから、一つ新しい事実について政府の見解をただしておきたいと思うのであります。  それは、昭和二十八年の法律で、電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律、世間では一般にスト規制法といわれておる、これが二十八年に三カ年の時限立法で制定されたことは記憶に新しいところであります。その後三年の期間を経て三十一年に存続の議決をいたしておりますが、まる九カ年の歳月を経ておるのであります。この法律は、当初われわれが予想いたしましたように、労働紛争がこの法律の適用を受けたという事例がないのであります。非常に喜ばしいことだと思うのであります。そこでお尋ねいたしたいと思いますのは、こういう法律を一日も早く廃止をしてILOの憲章の精神に沿うように、また八十七号条約批准にあたっては、これらのものを一日も早く処置しておくべきものではないかと思います。労働行政の上にとって一つ大切なことでありますから、これを廃止なされる準備を労働省としてはお持ちかもしれませんが、この機会に労働大臣のこれに対する見解を一つ伺っておきたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 スト規制法につきましては、昭和二十八年に制定され、当初は三年の時限立法としてできたのでございますが、三年後にこれを存続するという国会の議決によりまして、現在では恒久立法に相なっておるわけでございます。なるほどこの法律につきましては、ただいま井堀さんからも御指摘の通り、これに違反して事件を起こしたという事例は全くないのであります。そういう意味においても必要がないという考え方もあり得るかもしれませんが、しかしこの法の意図しておりますところは、国民経済並びに国民の日常生活に対しまして、電気事業、石炭事業というものがきわめて重大な、そしてこの事業に対して回復すべからざる打撃を与えるがごときことは争議行為として許されるべきことではないという趣旨なのでございまして、私はこの趣旨は現在においても当然のことではないか、こう思うのでございます。従って、現在これを廃止するという考えは持っておりません。

井堀繁男民主社会党

○井堀委員 大橋さんにしてはちょっとどうかと思うことなんですが、意見を述べるようで恐縮でございますけれども、この時限立法が当時問題になりましたのは、社会的背景は確かにあったと思うのです。その社会的背景が解消したことは申すまでもありません。そこで問題は、今あなたの御答弁で非常に私は不可解に思うのであります。が、あなたのような進歩的な方がこの法律の存続の意義を、たとえばこの法律にあります公共福祉に反しない限りということにつきましては、憲法十三条の規定できわめて明確に人権の基本的なものであることを規定して、国民ないしは政府に対して、きびしくそういう制限を設けてはならないことを規定しておるわけであります。でありますから、こういう点から申し上げましても、日本憲法の十三条、特に二十八条は逆に労働者の基本的人権を保障することをうたってあるわけであります。こういう点とILOの憲章とは、日本の政府はいつも問題になるたびに二十八条を取り上げて、わが国の立場を明らかにしてきておるいきさつがあるのです。こういう点からいたします。と、今のあなたの御答弁は国際的信用をいたずらに傷つける結果となり、ILOへのそれぞれの派遣委員がILOの正規の機関で述べておりますことと食い違ってくることになりまして、私は日本国の信用のためにこの際改めることが望ましいと思うのであります。例を引くまでもありません。あなたの今の御答弁は、労調法の第一条によりましてもちゃんと取り締まりができます。それから労調法の三十五条、三十六条の規定のごときは、あなたの今御答弁なさったことをそのまま表明しておるようなものでありまして、今日の社会的な諸事情を説明するまでもないと思いますが、当時の客観的な背景とは全く変わって、もっと積極的に三十八号条約を承認しようという意思表示を政府がしておる。でありますから、こういう点に歩調の合った労働行政の担当者の意見が望ましいと思ってお尋ねをしたわけでございます。大臣に私の質問が端的であったので要を得なかったと思いますが、もう一度この点につきまして……。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 この法律につきましては、現在廃止いたしてよいという考えは持っておりませんし、また直ちに廃止しようという考えはございません。ただしかし、この法律ができました当時の社会的な背景その他が逐次変わりつつあることは、これはお述べになりましたごとく私も認識をいたしております。従って、そういう制定当時の事情が変わってきておるから、この法律を将来どうするかということについて考えるということはむろん必要なことであろうと思いますので、そういう趣旨で今後も十分に検討は加えたいと思います。

井堀繁男民主社会党

○井堀委員 ぜひ一つ御検討を願って、日本憲法なり、あるいはILOの憲章の精神にそむかないように、至急に善処されることを強く要望いたしておきます。  次に、当面の問題でわが党が非常に関心を寄せておりますものは、公務員の給与をめぐりまして人事院の勧告が今なされておるのでありますが、もちろん政府は、人事院の勧告を尊重する旨のことは他の委員会においても総理並びに関係大臣から明らかにされておりますが、これを繰り返そうとは思いません。ただこの機会に、大橋労働行政の中に一つ大きな課題としてわれわれは期待をかけておりますから、お尋ねをいたしたいのであります。それは、日本の公務員の地位というものは、実際的には私は、団体行動というものについて社会的評価をある程度していいと思う。見方によりましては山ネコの疑いをかけられる点もないではないのでございますが、しかしそういう事態を一掃しなければならぬ時期ではないか、公務員の生活問題を守るための国家公務員法の精神をこの際生かしていかなければならぬ大切な時期だと思うのであります。諸外国の事例をならう必要はありませんけれども、これから貿易の自由化なり、あるいは技術革新などと国際的な自由競争の中で日本が進出をはかろうとすれば、やはり国際労働機関のおつき合いのできる状態、水準に置かなければならぬと思うのであります。そういう点では、先進国の例を見てみますると、イギリス、西ドイツのごときはかなり公務員の団体行動あるいは団体交渉権というものが法律で認められ、あるいは慣行の上でかなり活発に行動いたしておりますが、日本の場合は、公務員の地位や利益を守るためには人事院がもっぽら法律によってこれを代行するところにあるようであります。でありますから、人事院のあり方について、やはり今後国際労働機関の一員として日本がこういうものに改善をはからなければならぬ時期にきておると思うのであります。こういう意味で、今回の人事院の勧告は、われわれにとりましては非常に時節柄として深い関心を持っているわけであります。そこでもし人事院の勧告それ官身が、われわれは決して国際公務員法の精神に沿っている完全のものとは思いません。しかし、それがゆがめられるようなことになることは、これはもう非常に大切だと思うのでありますが、あなたは給与担当大臣としてこれからお骨折り願うわけでありますから、予算を伴うことでありますし、予算の問題になりますとそれとは別の利害関係がまた国民の間にも発生するかと思うのでありますが、いずれの機会にも明らかにされておりませんので、この機会にお尋ねしておきたいと思う。  私どもの党では、この機会に人事院の勧告の精神を貫くためには、補正予算をこの臨時国会で提出すべきではないかということを申し入れたのであります。しかし不幸にしていれられなかったのですが、その主張の根拠には、予備費を流用するというような程度では人事院の勧告は完全に守れないのではないかという危惧が一つあったのであります。また、よし予備費で間に合ったといたしましても、こういうようなものは、やはり新しく予算を組んで、議会の承認を求めるという立場をとるべきではないかと実は思っておったのであります。機会がありませんから、この機会にあらためて、予算として政府は一体どのくらい人事院勧告を勧告通り実施するとすれば必要とするか、腰だめでけっこうですから、ちょっと伺っておきたい。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 年額にいたします。と、どうしても一千数百億かかるものじゃないか、こう思うのでございます。

井堀繁男民主社会党

○井堀委員 きわめて喫緊な問題で、ぜひ国民が聞きたいところであるし、わが党といたしましてもぜひ明らかにしていただきたい問題でありますが、今理事諸君のお話を伺いますと、何か御都合が時間の上でつきかねるようなお話を伺っておりますので、なお次回もう一回労働関係の審議が行なわれる予定でありますので、その節に私の発言の機会を得たいと思います。おはからいを願って、私の質問は保留をいたしておきたいと思います。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十三日午前十時より委員会を開会することとして、これにて散会いたします。    午後二時四十二分散会

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