外務委員会 第9号
- 発言数
- 138 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1962/11/06
会議録
○安藤委員長代理 これより会議を開きます。 委員長所用のため、理事の私が委員長の職務を行ないます。 国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。森島守人君。
○森島委員 キューバをめぐります米ソの緊迫した状態につきましては、二十七日の本委員会で取り上げられましたが、外務大臣の出席時間はわずかに一時間半で、十分な論議を尽くすことができませんでした。その上、外務省側の答弁を見ますと、まるで肩すかしを食わすような答弁で、真意をつかむことはできかねたわけであります。ここに、私は、前二十七日における質問を補足する意味におきまして、重要な点二、三点について質問しないと存じます。政府でも一つ十分誠意のある答弁をされるよう私は要望してやみません。 第一にお伺いしたいのは、米、ソ、キューバの三国から国連に対してそれぞれ決議案が出ているととは承知しております。しかし、現在の状況におきましては、危機を回避するという点に重点が置かれまして、三国の提出した決議案等については実質的な討論をやっていない現状でございます。私は、これで必ずしも危機が——一時的には回避できたかもしれませんが、今後の情勢いかんによりますと危機を含んでおるとも見られるので、この点に対する外務大臣の見通しを伺いたいと存じます。
○大平国務大臣 御指摘のように、安保理に対しましては三つの決議案が出ておりまして、安保理事国十一のそれぞれの立場からの討議はあったと思います。ただ、その状態がさらに進展しない間に事務総長のあっせん活動が始まりまして、今、御案内のように、それが続行中であると聞いております。従いまして、事務総長がどういう権限で今お働きになっておるかは、まだ安保理がそれを授権するという措置をとっておりませんので、おそらくは、ウ・タント事務総長は、今あっせん中のことが一応めどがつきますれば、安保理事会に御報告をされる手順になるのではなかろうか、そこで国連としての権威ある措置が確立されるという手順になって参るのではないかと私は考えておりまして、今、それがどういうものになるだろうかという見通しにつきましては、まだ私確たる判断を持ちかねておる状況でございます。
○森島委員 他方において、アメリカはすでに三十日から封鎖を実行しております。それからまた、キューバからは、キューバに対する不進攻、不侵略ということを内容とした五つの条件も出ております。それからまた、アメリカにおいては依然としてキューバ領土内に対する不合理な不正な飛行を続けておるという事態もあるのでございまして、必ずしも手放しの楽観は許さぬ、こう私は存じております。しかるにもかかわらず、政府は、統一した見解をお出しになっておるとは私はまだ思いませんが、しかし、ややもいたしますと手放しの楽観論を放送したりする傾向が私は多いと思う。池田総理のごときは、全米機構の決議で勝負がついたのだということを新聞記者会見で言っております。一体勝負がついたというのはどんな意味か私は疑うのですが、きわめて適当でない発言をやっておる。ことに、事務当局に至りますと、外務大臣の許可を得て発言しているのかどうか私は知りませんが、新聞社等の主催する座談会に出まして、国際法はすでに時代おくれなんだというふうな発言もやっておるという事態もありますので、私は今後の推移いかんによっては必ずしも楽観をのみ許すわけにはいかないのじゃないかと思っております。ことに、私が最も心配するのは、このような状態が長引きますと、両国側におきましても、狂信的な分子、クレージーな分子が策動することは絶無とは言えない。私はこの点を特に注意すべきものだと思うのでございます。特に私がその感を深くするのは、大戦前に仏印に対して日本が出兵したことがございます。北部仏印に対して出兵した際には、すでに日本とフランス政府との間において平和進駐をするというはっきりした約束があったにもかかわらず、台湾軍の参謀長が命令をいたしまして武力進攻をやっております。さらに、南仏印に進駐しましたときには、ルーズベルト大統領から特に御親電が陛下に届いておったと私存じておりますが、これも軍部の策動によってこれを秘密にしておいたというふうなこともありますので、私は特に狂信的な分子の策動に対しましては厳に注意をすることが必要だというふうに思うのでございますが、外務大臣の御所信をお伺いしたいと思います。
○大平国務大臣 申し上げましたようにウ・タント事務総長の必死のあっせんが続いておる段階でございまするし、御指摘のように、問題はきわめて微妙な問題でございますので、これに対する各種の論断は十分慎まなければならぬ段階だと思います。
○森島委員 私はきわめて妥当な御意見だと思いますが、政府の見解は、外務大臣も、国連できまるのだということで、それから、アメリカからも法律的な見地に関する資料がないのだということで、明確なる意見の発表を差し控えておられることは御承知の通りだと思います。しかるに、今申しましたように、総理大臣自身が全米機構の決議でもう勝負がついたと言うがごときは、私はきわめて不謹慎なる言動であると思っておるのでございます。私が新聞に発表されたる意見とかあるいは外務省の断片的な回答、それから本委員会における討議の模様等から見ますと、政府としては、ともかくも、善悪は問わず、アメリカの態度を既成事実として認めるという方向に動いておるように観察しておるのでありまして、私は、これらの点につきましては、なお二、三点外務大臣にお伺いしたいと思うのでございますが、言論を慎重にするということにつきましては、私、きわめて同感でございます。機微な際でございますから、第三国をことさら刺激するような言動は厳に慎まれるよう、また、事務当局に対しても厳にこれを戒められるよう要望しておく次第でございます。 次に私がお伺いしたいのは、国際政治ないし国際秩序に関する根本の問題でございますが、政府の言動を見ますと、国際法が古いと言ったりしておりますが、国際法の中には、成文法としてりっぱに国連憲章を含んでおるということは、これはもう常識をもってしても当然なことなんです。その辺に対する御意見を一応伺っておきたいと思います。
○大平国務大臣 国連憲章が成文の国際法として権威を持ち規制力を持っておりますことは御指摘の通りでございます。
○森島委員 そこで、私は伺いたいのですが、アメリカのやっておること、また、全米機構でやっておることは、一方的な措置によって独断的に国連憲章を変改せんとするおそれがあるのじゃないかと思うのでございます。外務大臣は、国際法は古くなったのだ、もうこれじゃ現状を規律できぬのだ、今度国連でできる新しい決議が国際法にかわるのだという言説を大毎の座談会で述べておられますが、私は今の御意見を聞いて安心したのでございますが、国際法は大体慣習の積み重ねであるということも私は承知しております。それからまた、第二次大戦以来、国際法が発達の途上にあって、必ずしも従来の国際法そのままが行なわれるかいなかについても私は非常な疑問を持っております。しかし、少なくとも、これに対して根本的な変革がない限り、現在においては、世界秩序を維持すべき基本的条件であり、基本的の法律であると私は思っておるのであります。この点、ただいま外務大臣の御意見を聞いて安心したわけでございますが、外務省は、先般来の言説から総合いたしますと、国連憲章に対しても、キューバの事件を契機としてとの際何らか変更を加える必要があるというふうに受け取っておられるのかどうか、この点を一つお聞きしたいと思います。
○大平国務大臣 この間の委員会で申し上げ、かつその後開かれました参議院の外務委員会において申し上げましたことは、こういうことでございます。今回アメリカ並びに全米機構の国々がとられた措置は、リオ条約の条項に照らし、国連憲章の条項に照らしまして、少なくともただいままでとった手順は手続上瑕疵はないと思いますということと、実体的な問題につきましては、今先生が御指摘された通り、私どもは新聞紙上を通じまして事態の進展を見ておりますし、私どもの受ける公電の範囲内におきましていろいろ判断いたしましても、まだ当事国自体が法律的な見解を明らかにしておりませんし、正確な法律構成をやる材料に恵まれておりませんので、政府としてこういう見解であると法律的見解を申し述べる材料を私どもはまだ持っておりませんということを申し上げたことと、それから、しかし、この問題は国連に持ち込まれておるということは非常に重大だと思うのでございまして、国連に持ち込まれた以上、国連で各種の角度から討議されるということになろうと思うのでございまして、国連の論議を静かに注視する必要があるというのが、今私どもの見解でございます。
○森島委員 なるほど、形式的には合理的であり合法的であるということは私も是認いたします。しかし、外務省が国連で討議が始まるまで何ら方針を決定できないのだ、討議の模様を見てやるのだということでは、あまりにも心もとない。私は、少なくとも今日まで集まっておる材料なり資料によって政府としての態度は相当固まっていなければならぬと思っておる。もう一つの点は、現状の国際法並びに国連憲章に照らして実質的にどういう関係にあるかということも、外務省としては一応の見解を持たなければならぬ。白紙で国連の総会に出るということもあり得ないだろうと思う。それから、アメリカの既成事実をそのまま受け入れるのだというふうなことでは、世論がこれを受け入れぬと思うので、私はこの点についても外務大臣の慎重なる御考慮を願いたいと思うのであります。何か発言がございましたら、私はお聞きしたいと思います。
○大平国務大臣 仰せの通りでございまして、外務省といたしましては、常時そういう注意をもちまして検討すべきものは検討すべきものと心得ております。ただ、冒頭にも森島先生からの御指摘がございました通り、今非常に微妙な段階にございますので、いろいろな論議について慎重を期さなければならないと私は心得るものでございまして、片々たる材料をもって政府の公式の見解をつくり上げるというようなことも慎まなければならぬ段階だと思います。
○森島委員 私は必ずしも外務大臣の所見には賛同するわけにはいかないのであります。少なくとも、世界の大国と言って池田さんが自慢しているような国なんです。大国としてどういう方針で進むかくらいのところは、私ははっきした見解を持つべきものだと思うのでございますが、ここで一つお伺いしたいのは、これは仮定の問題とおっしゃるかもしれませんが、現在進んでおる状態のもとにおきましては、政治的な解決を主として問題が進んでおるようであります。トルコの基地との相殺の問題等も出ておりますし、あるいは、さらに進んでは、軍縮の問題、核兵器の禁止協定の問題等にも、ソ連の意向では進んでおる。アメリカの行動を主として条約論が国連内において戦わされる時期が来るか来ないかということについても私は疑問を持っている。従って、この際において外務大臣として大体の方向でもおきめになることが絶対に必要である、これが世界の世論に報ゆるゆえんであると私は信じておりますが、外務省の見解はあまりにのんき過ぎやしないか、こう憂えざるを得ないのでございます。 次いで、私は平時封鎖の問題に移りたいと思いますが、平時封鎖については、外務省事務当局としては一体どういう考えを持っておられるか、これを伺いたい。
○中川説明員 国際法におきまして平時封鎖ということが言われるわけでございますが、これは、平時におきまして、何か紛争がある相手国、あるいは国際義務を履行しない相手国に対しまして、一国が兵力を用いまして封鎖をするという措置でございます。十九世紀の初めごろからだんだんと発達した制度でございます。その当初におきましては、第三国の船舶に対しても封鎖の効果を及ぼした例が相当あったわけでございますが、十九世紀末から漸次第三国には平時封鎖の効果を及ぼすべきでないという論が強くなりまして、大体第一次大戦ごろまでが行なわれた時期でございますが、そのころになりますと、第三国には原則として封鎖の効果を及ぼすべきでないという論が支配的となってきた。かような制度でございますが、日本におきます一つの例といたしましては、支那事変にあたりまして上海でこれを行なったことがあります。
○森島委員 上海事変のときには、日本としては第三国の船舶に影響しないような措置をとったと思いますが、これは間違いありませんね。
○中川説明員 その当時の日本海軍の布告によりますと、第三国船舶にはその効果を及ぼさないということが書いてあるわけでございます。
○森島委員 そこで、私が伺いたいのは、元来、第三国に影響があるとかないとか、事例は区々だろうと思うのですが、アメリカは従来この問題に対して一体いかなる方向で進んでおったかということであります。英国は、当時の状況において、非常な海軍力を持っており、この実力を行使して第三国船に対して封鎖、臨検等の措置に出たことはございます。しかし、これに対して、アメリカにおいては、当時の関係からしまして、海軍力を十分に持っていなかったということにおきまして、むしろ海洋の自由という点に重点を置いて政策をとってきておる。これがイギリスによっても認められたというような事例もございます。上海事変の事例等から見まして、今回突如としてアメリカがとりました方針と申しますか政策と申しますか、これは従来の慣例等から見て不適当である、不合理であるということは、私は疑いのないところであると思いますが、その点に対しましても事務長局として御意見を発表していただきたいと思います。
○中川説明員 従来、たとえば南米の国に対しましてイギリスが平時封鎖をいたしました際に、アメリカその他の国がこれに抗議をいたしまして、第三国に影響を及ぼすべきでないと言った事例は、ただいま森島委員御指摘のような事例があったと記憶いたします。なお、今回キューバにつきましてアメリカがとりました措置は、アメリカの一貫して言っておりますところによりますと、これはいわゆる平時封鎖として行なうのではない、クワランティーンという制度として行なうのであるということを言っておるのでございます。
○森島委員 言葉は私はどっちでもいいですが、しかし、アメリカが特に隔離という言葉を使ったことは、国際法に違反することをしいて回避せんとする意図に出たものと判断せざるを得ないので、手続上の問題よりも、外務省としては実質的に従来の国際法違反になるかならないかという点に重点を置くべきものだと思いますが、現在用いておる言葉だけでその実質をごまかそうということは、私は、厳正たるべき条約論としては受け取れない、こう思うのでございます。 次に私が伺いたいのはモンロー主義の問題でございますが、私は、今回アメリカがとっておる政策については、ケネディ大統領の布告を見ましたが、ケネディ大統領の布告なるものは、私はモンロー主義以来の思想を受け継いでおるのではないかと思うのです。米大陸からはカストロのような制度を駆逐しなければならぬ、これがためにはあらゆる手段を講ずるというのが結論のように思いますが、これはアメリカがかねて唱えておる内政に関する大干渉ではないか、こう思うのですが、外務大臣、いかにお考えになりますか。
○大平国務大臣 この問題が起こりましたときに、政府の見解として申し上げました趣旨は、アメリカ並びに全米機構の国々が、キューバに新しい攻撃用のミサイル基地が建設されつつあるということは、西半球の平和に重大な脅威であると考えられた、そのことは十分理解できる、こういうことを申し上げたのでございまして、それが学理的に学説史の問題としてモンロー主義とどういう関係があるのかというようなことにつきましては、私は学者でございませんので、御満足のいくようなお答えはできません。
○森島委員 学者でないから知らぬとおっしゃるけれども、モンロー主義というのは数世紀にわたってアメリカ大陸においてアメリカがとってきた政策なんです。これはこの前の第一次大戦後のベルサイユ会議のときにはアメリカの内政事項ではないかというふうなことで大論議を見たのでございます。モンロー主義に関する事項は、局地的の協定としまして、前回の国際聯盟規約の中にも、第二十一条で、「本規約ハ、仲裁裁判条約ノ如キ国際約定又ハモンロー主義ノ如キ一定ノ地域ニ関スル了解ニシテ平和ノ確保ヲ目的トスルモノノ効力ニ何等ノ影響ナキモノトス。」と規定しておるのでございます。少なくとも国際聯盟規約においては、モンロー主義の存在を認めたと言うことはできますが、今回の国際連合憲章を見ますと、このような明確なる規定は何らないのであります。ただ、全米の相互援助条約の各項において地域的の了解があるというだけでございますが、この点についても、外務大臣としては、法律的見地を離れて政治的にも大きく判断をされるという事態におきましては、アメリカの従来とってきた政策等につきましては、いま一段御研究願わねばならぬと私は思っておるのでございます。 さらに、私は、今回の第二次大戦当初に発表せられました大西洋憲章等を見ますと、アメリカは、一国がいかなる政治制度をとるにしても、これは一国の国民の決定すべきことだということで、明確にこれをイギリスとともに世界に宣言しております。これが国際法になっておるかなっておらぬかという点につきましては、私は多少疑問を持っておりますけれども、これくらい明確になっておるアメリカの伝統的な政策を一瞬にして放棄するがごときは、私はアメリカのためにとらぬところのみならず、世界の大国である諸外国においてもこれを容認すべきことではないと私は思っておるのでございます。これを読みますと、英米共同宣言、大西洋憲章でございますが、この第三項に、「両国ハ一切ノ国民が其ノ下ニ生活セントスル政体ヲ選択スルノ権利ヲ尊重ス」、これくらい明確に内政不干渉のことを書いたものは私はないと思います。しかるにかかわらず、アメリカのとらんとしておる政策は、キューバの内政に干渉して、アメリカが欲する政体をキューバに押しつけようとしている以外の何ものでもないと私は信じておるのであります。この内政干渉に関する点について、外務大臣は一体いかなる御見解を持っておられるか、私は伺いたいと思います。
○大平国務大臣 私ども承知しておる範囲では、今回のアメリカのとった行動は、基地の撤去ということでございまして、カストロ政権とは直接関係のないことであると承知いたしております。
○森島委員 私はきょうは宣言の全文を持ってきませんでしたが、ケネディ大統領の放送による宣言をごらんになりますれば、この点については何ら疑いがないと思います。特に、私は、モンロー主義のごときをこの際遂行しょうというがごときは、法的にも疑問がありますのみならず、政治論といたしましても、アメリカの非常に大きな連合憲章違反であると信じておるのでございます。 時間もありませんのでこの程度でおきますけれども、私は、現在の危機に対しましては、なるべく適当な措置をとっていただいて、関係国に対して十分慎重なる行動に出るようさらに外務省からも注意を喚起されることが必要であると思います。幸いに危機を脱しまして世界政治全体を動かす核武装の停止協定あるいは軍縮の問題に移り得る段階に至りますれば、私は、災いを転じて福となすという意味からいたしましても、世界の平和に大きな貢献をし得ると、こう思うのでございます。重ねてお願いをいたしますが、危機は一時的には脱したという感がございますが、あるいはアメリカ等においてはカストロに対する反革命分子を援助するがごとき動きもあるようであります。この点についてはカストロ自身も指摘しておるようでございますので、私は、アメリカに対しましては、厳然たる態度で、第三者として十分周到なる注意をもって、対処されんことを望む次第でございます。私、この点を特に外務大臣に要望いたしまして、私の質問を終えたいと存じます。
○安藤委員長代理 戸叶里子君。
○戸叶委員 ただいま森島委員からキューバの問題について質問をされたわけでございますが、私もキューバの問題について少し質問をしてみたいと思います。 今森島委員が指摘されましたように、キューバの問題は一応一段落ついた形ではございますけれども、まだ全面的に解決したというわけではなく、また、多くの問題がその中に残されていると私は考えるのでございます。そしてまた、先ほどの外務大臣の御答弁を伺っておりますと、今度のアメリカがキューバにとった措置というものは、全米機構の会議の面から見ても、国連憲章から見ても手続上は何も過失がない、こういうふうなことを言われているわけでございますけれども、手続上過失がないというのは具体的にどういうことをさしていられるのか、お伺いしたいと思います。
○中川説明員 アメリカがキューバにつきまして今回の措置をとるにあたりまして、いわゆるリオ条約第六条及び第八条によりまして、あそこに規定してあるように、この米州諸国に対して安全を脅かすような事態が起きた際には協議をする、そうしてどのような措置をとるべきかをきめるという第六条の規定、このような協議をして、とる措置の内容として列挙してある第八条の規定、これによりまして、いわゆる封鎖の措置をとることにリオ条約の諸国がきめたわけでございまして、なお、国連憲章第五十四条によりますと、リオ条約のようないわゆる地域的な安全保障機構、これがとる措置については安保理事会に報告する規定が国連憲章五十四条にあるわけでございます。この規定に基づきまして、国連安保理事会にこれを報告する手続をすぐとった、こういうふうなことから見まして、リオ条約及び国連憲章にきめてある通りのことをアメリカはやったんだ、こういうことが言えると思うわけでございます。大臣の言われました趣旨はそういう意味のことを言われたものと思うのでございます。
○戸叶委員 ただいま中川条約局長が説明されたことは、池田さんも、全米相互援助条約の六条、八条でこれは違反ではない、違法ではないというようなことを言われておられるわけでございますけれども、この六条では、今条約局長が説明されましたように、共同防衛措置の協議であって、そして、共同防衛をしようということを相談をして決定して、それにはどういうふうなことをするかということを八条できめるわけでございます。そこで、私がお伺いしたいのは、軍事封鎖というような武力行使の措置について、全米相互援助条約の加盟国によっていつ一体協議決定されたか、こういうことを日本の政府は御存じでございますか。一体、集まって協議をして、そして決定された事実があるかどうか、この点を伺いたいと思います。外務大臣、御存じないですか。
○大平国務大臣 二十三日の早朝全加盟国が集まりまして協議いたした事実がございます。それを今局長から御報告させます。
○安藤説明員 二十三日の夕刻全米会議の代表がワシントンに集まりまして会議をいたしまして、米国のとらんとする措置を是認するという趣旨の決議をいたしました。そのときは、御存じの通り、ウルグァイが本国からの訓令が来ないというので棄権いたしましたが、後にこれを承認し、全会一致をもってこれが承認されております。
○戸叶委員 今説明されたような形で協議決定されたということでございますが、キューバは一月からたしか全米機構の中からは除名された形で、今お話しのウルグァイが出られなくて、十八カ国でこれは協議決定されたわけでございますか。
○安藤説明員 ちょっとそこの資料で調べればわかるのですが、全米機構の外相会議からはキューバは除名されたと記憶しております。当時出ました各国は二十カ国でございまして、十九カ国が賛成、ウルグァイが棄権でございます。しかし、あとでこれは承認通告いたしましたから、全会一致二十カ国でやった、そのように承知しております。
○戸叶委員 外務大臣にお伺いしたいのですが、キューバは除名されて外相会議には出ておらないわけです。そうだとすると、除名された国のことをきめるのに、全米機構でもってきめて、キューバの問題を処理するということはおかしいんじゃないかと思うのですけれども、除名された国のことを、その国がいないにもかかわらず、適当に他の全米協議会でやるということが一体許されることなんでしょうか。
○大平国務大臣 法律論でございますので、条約局長から説明させていただきます。
○中川説明員 全米機構にもともとはキューバが入っていたことは、ただいま御指摘の通りでございますが、キューバが不幸にしてほかのアメリカ諸国との間に意見が合わず除名の処分を受けたわけでございます。除名せられましたキューバの行動と申しますか、あるいはキューバに関連する事態が、今全米機構に入っておりますそのほかの二十の国の安全を脅かすという事態が起きました際には、その二十の国、つまり、現在の全米機構に入っている国が全部集まりまして、どういう措置をとったらいいかということをきめるのが、リオ条約の趣旨でございます。そういう危険な事態は、全米機構に入っている国の間から起きることもございますし、入っていないほかのところから起きることもあるわけでございまして、そのどちらの場合でもこの条約の措置はとり得るわけでございます。
○戸叶委員 全米機構全部がキューバから非常な脅威を感ずるなどということは少しおかしいんじゃないですか。そういうようなこじつけの理論でもって、キューバが入っていない会議でそういう決議をするというのはどういうものでしょうか。キューバはもと入っていたわけですね。もと入っていたときに全米州機構というような会議をときどき開いていろいろな問題を討議していたわけです。そこから抜けてしまったその国に対して、残った国がその国の問題を討議するというのは少しおかしいんじゃないかと私は思うのですけれども、この点をもう一度念のために伺いたいと思います。 〔安藤委員長代理退席、委員長着席〕 それから、次に入りますが、続けて伺いますと、今、全米相互援助条約の六条と八条によって協議決定されたから手続上は何ら誤りがないということを言われたわけでありますが、八条によってたとい武装兵力の使用ということを決定したと仮定しましても、これによる軍事行動は、憲章の五十一条によらなければとることができないのではないかと思いますが、憲章の五十一条には何と書いてあるかというと、武力攻撃が発生した場合でなければ個別的、集団的自衛権の行使はできないというふうに書いてあるわけでございます。そうなって参りますと、憲章の五十一条の権利を行使するための要件はそろっていないというふうに考えるわけでありますが、外務大臣はどういうふうにお考えになりますか。
○中川説明員 第一の点からお答えいたします。キューバは、なるほど全米機構に入っていたわけでありまして、それが除名せられましたために、今回、全米各国がとりました措置には、キューバはその議に入っていなかったわけでございます。しかし、全米機構の精神、考え方というものは、やはり、いわば米州が一連の関係にある、従って、アメリカにある地域、一つの国に対して危険が迫れば、アメリカ全体の危険であるというところからそもそも出発しておるわけでございます。その意味で、先ほども森島委員から御指摘のありましたようなモンロー主義というようなものとも関連のある機構であることは御承知の通りであります。現に、このリオ条約の国が十月二十二日に集まりました際には、これらの国がほとんど例外なしに、これは自国に対する脅威である、米州諸国に対する脅威であると認めまして決議したのでございまして、地域的安全保障機構というものは、やはりそういう考え方でできておるものであるわけでございます。 なお、後段の点でございますが、この憲章五十一条との関係はどうかという御質問でございますが、この点もわれわれとしても非常に関心を持った点でありますが、アメリカが従来言っておりますところでは、五十一条ということを言っておりません。従って、今度とった措置は、五十一条に基づく措置としてはどうも考えていないのじゃないかと考えられるわけであります。ここらの関係は、先ほどから外務大臣の言われましたように、安保理事会における討議を通じて、国連自体の考え方をもう少し見きわめてみたい、かように考えている点の一つでございます。
○戸叶委員 この五十一条の関係は、アメリカも考えておらない、こういうことでございました。そうしますと、憲章の五十二条、五十三条との関係はどうでございますか。
○中川説明員 憲章の五十二条は、地域的安全保障機構というものをきめました規定でございますので、今のリオ条約はやはりこの地域的安全保障機構である、かように考えるわけでございます。五十三条は、地域的安全保障機構が、いわゆる強制行動と申しますか、あるいは制裁行動と申しますか、これをとる際にどういう方式でやれ、安保理事会との関係を規定したのが五十三条でございます。この五十三条もアメリカは援用していないのであります。その点から見ましても、今度の措置はむしろ直接五十四条に規定する措置である、かように考えているのではないかと思うのでありますが、ここらの点も、安保理事会の討議を通じて、もう少し国連自体の考え方をきわめたいと考えておる点の一つでございます。
○戸叶委員 今、条約局長は、アメリカは五十一条、五十二条、五十三条を考えておらないけれども、この辺の点も安保理事会等で考えてみるべきことであるというふうな御発言があったわけでございますが、日本も国連の一員でございます。だとするならば、そういう面から照らし合わせて、一体この憲章に違反であるかないかということぐらいは日本の政府としての解釈があるはずだと思いますけれども、この点はどうでございますか。五十一条においては、まさに、武力攻撃がなかったから、アメリカのとった措置は憲章違反であるということが考えられる。五十二条におきましては、平和的な手段で解決しなければならないということが書いてある。それから、五十三条においては、安保理事会の許可がなければ武力行動をとってはいけないということが書いてある。こういうふうな三つの点から照らし合わせてみれば、これは当然憲章違反になると思いますけれども、この点はどうでございましょうか。
○中川説明員 今回アメリカ及び米州諸国がとりました措置、これは憲章に違反しないものとしてとったことは明白でございます。憲章に違反する意味でこういう措置をとったのではないことは明らかであると思うのでございます。それでは、この間の法律的解釈がどうなるのか。ただいま申しましたように、国連憲章五十四条は安保理事会に出しました提案自体で引用しておるのでございまして、五十四条に基づく措置であるということはわかるのでございます。五十一条あるいは五十三条との関係がどうであるかという点につきましては、先ほど申しましたように、安保理事会の審議の様子を待ってから日本政府としても見解をきめるべきである、今世界各国の注視の的であるこの問題につきまして軽々に日本政府の法律的意見をここで表明することは適当でない、むしろ慎重にやるべきであるというのがわれわれの一貫した考え方であるわけでございます。
○戸叶委員 私はどうも今の条約局長の御答弁では納得がいかないのです。なぜならば、国連憲章がここにはっきりと書いてあって、今条約局長と私とが質疑応答を繰り返したわけですね。そうすると、五十一条の憲章、五十三条の憲章の読み方というものはどこの国でもできるし、また、その読んだ内容の意見というものは一致すると思うのです。ところが、安保理事会でそれが討議されているのだからその成り行きを待った上で態度を表明するということは、少し私はおかしいと思います。憲章というものは読んでよくその内容を日本はわかっていると思うのです。だとするならば、私どもは、この憲章を読んでみれば、アメリカのとった武力行動というものはどうしてもこの五十一条、五十三条には抵触するとしか考えられないのですけれども、政府は、抵触しないと考えるのか、抵触すると考えるのか。するけれども今は言えないというのか。それとも、全然しないというのか。それとも、アメリカがしないと言えばしないし、すると言えばするのか。するとはアメリカは言わないでしょう。ですけれども、アメリカがしないと言うからしないというふうに解釈するのですか。これは今後においていろいろな問題が出てくるので、やはり日本の政府のこの憲章の理解の仕方というものははっきりさせておく必要があると思うのです。この点、もう一度外務大臣からお聞かせ下さい。
○大平国務大臣 この前の委員会でもるる申し上げました通り、ただいま事態は進行中でございまして、私ども、この問題について国際法上の解釈をどういたすべきかという点については、まず当事国の見解を伺う必要があると思います。その当事国が提示する根拠というものをよく吟味する必要があると思うのでございます。しかも、問題は今安保理に取り上げられておるわけでございますから、その審議の状況を十分見たいと思っておるわけでございます。先ほど森島先生から御注意がございましたように、外務省としてはあらゆる場面に応じてそれ自体研究すべきことは当然でありまして、私どもの方の条約局もその検討はいたしておりまするけれども、政府の正式な見解として申し上げるというのは、そういう状況を見、材料を入手した上でないと軽々にできないということでございます。
○戸叶委員 外務大臣の今の御答弁は、外務省としては一つの研究した意見があるけれども、今は発表するようなところではない、こういうふうにおっしゃったわけでございますが、それでは、少し進みまして、今アメリカはキューバの上空から軍事基地を空中撮影しているということは、アメリカ自身が公表をしているところでございます。この問題につきましても、私どもは、独立国、そうしてまた主権国である国に他国の飛行機が行って領空主権をそうやって侵犯することが一体許されていいものかどうかということをちょっと疑問に思うのですけれども、この点は外務大臣はいかがお考えになりますか。
○大平国務大臣 ちょっと誤解のないようにお願いしたいのですけれども、私が今申し上げましたのは、外務省の意見は持っているがただいま申し上げないと申し上げたわけじゃないのでございまして、そういう問題を常時検討しなければならぬ責任は外務省は持っておる、現に検討はいたしておるということを申し上げたので、誤解のないようにお願いいたしたいと思います。 また、今領空の侵犯の問題でございますけれども、こういう問題も微妙な問題でございますので、先ほど申しましたように、法律論につきまして、いろいろな材料を踏まえた上で慎重に政府の見解をきめるべきだと思うのでございまして、今あるがままの状態におきまして領空侵犯についてはどうだというよな政府の見解を申し上げるということは、慎しませていただきたいと思います。
○戸叶委員 これじゃちょっと話にならないですね、キューバの上空をアメリカの飛行機が偵察をしている。そして、ケネディ大統領が、四日、アメリカはキューバの上空で無制限に偵察飛行を続けなければならないというようなことを発表しているということが報道されているわけです。そういうことが行なわれていても、なおかつ、アメリカのやり方に対しては日本は全面的に了解をいたしますという態度をもってやはり臨んでいられるのかどうか、この点も伺いたいと思います。
○大平国務大臣 森島先生との質疑応答を通じましても申し上げました通り、今キューバ問題というのは非常に微妙な収束の段階にあるわけでございまして、私どもはこれに対する論議はできるだけ慎重でなければならぬと申し上げましたのは、そういう趣旨でございます。収束が世界平和のためにうまい仕上げになるように希求いたしておるわけでございまして、戸叶先生もそういう考えには御同感いただけると思うのでございます。従って、今この機会に、この際日本政府として白か黒かはっきりさせるというようなことは、多少御無理な御注文じゃないかと思うのでございまして、私どもは、先ほど申しました通り、十分の材料を踏まえた上で、また、国連の審議の状況を見た上で、政府として必要あれば公式の見解をきめるべきだと思うのでございます。
○戸叶委員 私は、円満に平和的に解決をしてほしいからこそ、やはり日本としても何かできるだけのことをすべきではないか、こういうふうに考えるわけです。アメリカのやったことは何でも了解ができますという態度でなくて、これを円満に平和的に一刻も早く長引かせないで解決をするには、やはり日本でもやり得ることがあるのじゃないか、そういうことをやってほしいから、他国に対しての領空侵犯というようなことをしないようにした方が円満にいくんじゃないか、こういうことなども考えて日本の政府の立場というものを聞いているわけでございますけれども、外務大臣なかなか口をお開きになりませんので、私はそれでは違う角度でちょっと伺ってみたいのです。 このグァンタナモの基地というのは、アメリカとキューバの間で一九〇三年に貸与協定ができているわけですね。この中で何か軍用機がずうっと通って査察してもいいというようなことはきめられてありますか、きめられてないでしょうか。この点、ちょっと私まだ読んでないのでわからないのですが、念のために伺っておきたいと思います。
○安藤説明員 一九〇三年のグァンタナモ基地に関する協定はきわめて簡単なものでございまして、約四十五平方マイルにわたる地域を米国に貸与する、ただ、その貸与条件と申しますか、これは、他日合意があるまでは廃棄しないというような、非常に簡単なものでございます。
○戸叶委員 でありますと、今私が伺ったようなことは書いてないわけですね。
○安藤説明員 先ほど申しましたように、非常に簡単なものでございまして、具体的にそういうことは触れておりません。
○戸叶委員 この領空侵犯の問題は、たとえば、この前U2型機が飛んだときには、領空侵犯であるというようなこともはっきり言われたものですから、そういうふうなときには違反で、そして、ある場合には国際法違反でないというような、こういうふうな解釈というものが私どもは納得がいかないわけです。私だけでなくて、やはり国民が納得いかないと思うのですけれども、この点は、やはり統一して、なるべく早く政府としての見解も出して、そして平和的にこの問題が解決されるようにしてもらいたいと私は思います。 そこで、次にお伺いいたしたいことは、アメリカがこの間海上封鎖をした目的は、ソ連からの攻撃用のミサイルの輸送というものを阻止するということだと思います。そして、国連のウ・タント事務総長等も入って、今日ではソ連はこの施設の撤去ということに同意をして、そして、アメリカ自身も、ソ連がそれを実行しているんだということを認めているわけでございます。それにもかかわらず、なおアメリカが海上の封鎖をしているわけでございますけれども、こういうことはやはり米ソの緊張というものをさらに激化するようなことになるのではないかというようなことを私どもは心配するわけでございますけれども、アメリカの海上封鎖の目的というものは、初期とそれから今とは違ってきているんじゃないかと思いますが、この点は、外務大臣、どういうふろにお考えになりますか。
○大平国務大臣 先ほど申しましたように、この問題は非常に微妙な収束の段階にございますので、個々のとられたアクションにつきまして私どもがああだこうだと今判定を加えるということは差し控えさしていただきたいと思います。
○戸叶委員 アメリカの大使館から出している資料に書いてあるのですけれども、十月二十二日のケネディ大統領の特別放送ということに今度のキューバの問題ではなったわけだけれども、その場合には、どうしてなったかというと、キューバに攻撃兵器が持ち込まれるのを阻止するために海上封鎖の宣言をするんだ、こういうふうなことを全米に放送しているわけです。この中から見ましても、はっきり言っていることは、攻撃の兵器を持っていくことは困るから海上封鎖をするのだということで、初期の目的はそうだったと思うのです。今アメリカの方で海上封鎖をしているのは、この基地が撤去されてしまわなければ困るのだというふうに、だいぶ進んできているので、前の海上封鎖と今度の海上封鎖との内容が違ってきているんじゃないか、こうこうことを御質問しているのですけれども、大平外務大臣、それは違ってきているというふうにお考えですか。それとも、違ってきているんじゃない、前と同じだというふうにお考えになるのですか。同じだとすると少しおかしいと思うのです。そういうふうに見ると、海上封鎖ということがされてもいいものかどうかということも問題になってくるんじゃないかと思うのです。
○大平国務大臣 先ほどの法律論のときにも申し上げた通り、アメリカ側の見解というものも正式に私ども伺っていないわけでございまするし、一連の問題が平和的に解決するように国連の事務総長以下必死になって今収束の過程に入っておりますので、日本政府としてこれがどうだああだと今論評を加えるというようなことはいかがなものかと思います。
○戸叶委員 私は、今の外務大臣のそういう答弁でしたら、何を伺っても、これは国連で何とかきめるまでは発言しないという態度でございますので、まことに残念に思う次第でございます。日本の国が、先ほど森島委員が説明されましたように、池田さんなども大へんにりっぱな国になったと言って自慢をされていられるのに、国連の一員でありながら、自分の国の独自の考え方というものさえもきめかねているということは、まことに私は残念だと思います。そういうふうなことがないように、早く、はっきり、いろいろな情報も集めて、そうして検討もし、一つの結論を出しておかなければ、私は国民が不安で仕方がないと思うのです。 そこで、もう一つだけお伺いしたいのは、池田さんもおっしゃいましたし、また、きょうの外務大臣の答弁の中にもあったのではないかと思いますけれども、今日の時代はミサイルの時代になったので国際法というものも変化をしてきているのだというようなことをたびたび言われたり、また、私どもは新聞などで見たりしているわけでございますが、一体、国際法が変化をしていくということは、どういうふうに変化をしていくというふうに考えていられるのですか。たとえば、国連憲章などにおいて、今後においては平和を考え、そして世界の安全と平和ということに中心を置かなければならない、こういうふうな憲章の精神でありますけれども、そういうふうな憲章の精神に近づくように変えていく、そういうふうな意味でしょうか。そうだとするならば、武力行使というものを否定していくことの方が、ほんとうの意味の新しい国際法だと思うのですけれども、どうも、政府の答弁を聞いていきますと、ミサイル時代の新しい国際法というものは何か武力行使を肯定しているような、力の外交の方に向かっていくような感じを受け取られるわけでございますが、ミサイル時代における新しい国際法の行き方というものはどういう方向にいくべきであるか、この点も伺いたいと思います。
○大平国務大臣 日本は大国になったのだから自分の考えはちゃんときめて堂々と申すべきではないか、仰せごもっともでございます。国連の有力なメンバーになったわけでございますから、また言動も慎重でなければならぬと思うわけです。世の中に、沈黙は金なりということがございますから、あまりものを言うよりは、ものを言わぬ方が値打がある場合があるわけでございまして、私どもは、できるだけ日本国としてこういう段階では慎重に行動いたしたいと思っておるわけでございます。 それから、新しい時代の国際法論議でございますが、実は、御案内のように、私も法律家ではございませんが、国連憲章ができまして何年かたちましたが、その間に新鋭の武器が発達いたしまして、現実に武力行動があってから自衛措置を講ずるのには時間的な余裕がない、何分間で勝負がつくような時代になってきた場合には、これを平和の目的のために規制するような新しい何らかの有効な規制が考えられてしかるべきではないかというのが、一つの常識として私どもの頭に浮かぶところでございますが、今度の処置が一体国際法上どのように位づけられるかというようなことにつきましては、先ほど申しましたように、まだ材料は不足でございますし、当事国の見解も得ていませんので、私ども、今申し上げる段階ではない。しかし、新しい国際法の問題点として常識的に考えられるそういうことは一つの検討に値する問題ではないかという感じは正直なところいたしますけれども、これは必ずしも今度の事件と関連して考えているわけではございません。
○戸叶委員 沈黙は金なりとおっしゃいますけれども、それは時と場合によって使うべき言葉ではないかと思うのです。外務大臣が、日本の国民が聞きたがっていること、そしてまた当然日本の国として立てておかなければならない考え方というようなものまで、沈黙は金なりのことわざで黙ってしまって、日本の国民には黙っていて、よその国の方にはしゃべるというようなことがないように、私はぜひしていただかなければならないと思います。 先ほどミサイルの時代の国際法に対する考え方ということを質問いたしまして、今大平外務大臣は、私の質問した、力の外交の方を中心とした新しい国際法の考え方の方に向いていくのか、それとも武力行使を否定した新しい国際法の解釈の方向に向かっていくのかというふうな質問につきましては、正直に言ってどっちともつかないようにお答えになったのではないかと思うのですが、どっちに歩があるかと言えば、いざというときに間に合わないといけないから、ある程度の武力というようなことも考えなければいけないというようなふうにも取れたわけです。そうなってくると、やはり憲章というようなものも変えていかなければならないということになるのじゃないかと思うのですが、そういうことをも含め今の御答弁であったというふうに了承してよろしゅうございますか。
○大平国務大臣 今の時代の一つの問題点じゃないかと考えておるわけでございます。
○戸叶委員 キューバの問題は私はもう少しはっきりしたいろいろなことが伺いたかったのでございますけれども、きょうはこの程度にいたしまして、次に一点だけお伺いしたいのは、先ごろ、アメリカの大使が来られて、そして沖繩の問題をいろいろと討議されたようでございます。そこで、新聞によりますと、二つの協議機関をつくる、一つは、アメリカの駐日大使と、それから外務大臣または外務大臣に匹敵するような人というのですか、その二人での協議機関と、それから、いわゆる日米琉懇談会というようなものと、二つできるというふうに了承したのですけれども、念のためにそうであるかどうかを伺いたい。そして、その内容について、——内容と申しますのは、二つの協議機関が持つ役割というようなものについて、この際お聞かせ願いたいと思います。
○大平国務大臣 協議機関が二つできる、先方の駐日米大使とこちらの外務大臣で構成される協議会を東京に置こうということ、それから、先方の提案を直訳すると、技術協議会と書いてありますが、つまり、われわれが俗に申す日米琉懇話会、実体はそれに相当するものでございますが、それを沖繩の那覇に置こうということでございまして、この二つの協議会の関係は、東京に置く協議会で一つのワクをきめるというか大きなフレイムをきめる、そして、それを現実にどう道具立てしていくかということを那覇にある協議会でやろう、こういう大まかな考え方でございます。そこで、それは先方からこちらに御提案がございまして、原則として私は賛成だと申しておきました。今それを日本政府で検討中でございまして、近く双方できちんとした取りきめにしまして、書簡の交換と申しますか、そういうようなことをしておきたいと思っておる段階です。
○戸叶委員 池田・ケネディ会談で日米琉懇談会をつくろうというような話がたしかあったように私は思いますけれども、そのときの目的は、少なくとも、沖繩の自治権の拡大なり沖繩の施政権返還、そういうふうな問題を今後討議するためにもいいというふうなことでそういうふうなことが考えられたのじゃなかったかというふうに私は思うわけです。今度の協議機関二つのうちいずれも、施政権の返還とかあるいは自治権の拡大というような、そういう内容の、沖繩の国民、日本人が最も願っておりますようなことは何も話すような案がないんだということも、ライシャワー大使の記者会見で私どもは知ったわけでございます。そうだといたしますと、こういうふうな協議会というものが二つできても、日本なりあるいは日本の国の一部である沖繩県の人々の願っているようなしあわせというものは、協議会ができたことによって何も前進しない、こういうふうに考えるのでございますけれども、外務大臣はどういうふうにお考えになりますか。
○大平国務大臣 御指摘のように、この協議会の任務は、住民の安寧福祉、経済の開発ということに限られておるわけでございます。従って、施政権の返還とか自治権の拡大とかいうようなことはこの協議会の正規の任務にはなっておりません。ただ、御案内のように、住民の福祉を増進して参りまして、沖繩と内地との落差を埋めて参りまして、将来沖繩の施政権が日本に返還される場合の困難を減殺していこうということは、池田・ケネディ会談で合議がされたことでございますし、三月のケネディ声明にもその趣旨がうたわれておるわけでございまして、私どもは、こういう仕事をじみちに積み上げて参りますことが、今御指摘されたような問題の解決に寄与して参るものだと期待いたしております。しかしながら、私どもとしても、日本国民並びに沖繩の方々の願望をいれまして、正規のこの協議会プロパーの任務にはなっておりませんけれども、自治権の拡大等につきましては私どもの方も建設的な提案をいたして先方の考慮を求めたいということは、かねがね本議場を通じまして申し上げている通りです。
○戸叶委員 そうしますと、この協議機関でも施政権の返還の問題等は話にのせるというふうに了解してよろしいわけでございますね。ちょっと念のために伺っておきます。
○大平国務大臣 そういう建設的な提案は申し上げて、先方の考慮を求めることはやりたいと思っています。
○戸叶委員 ほかに、この駐日米大使と外務大臣との間で話をする場合には、経済の問題とか、それから沖繩の人たちの福祉の問題をお出しになるということなんですが、これも問題で、私ども非常に不安に思いますのは、たとえば、先ごろアメリカの政府自体が出した沖繩への援助金額というものも国会でずっと削られていくというふうな、そういう形をとっているわけでございますけれども、沖繩に対するアメリカの援助額の増額というようなことも、この日本にある協議機関でもってお話しになったり、あるいはまた、そのお話をした場合にそれが相当権威のあるものになるのかどうか、こういう点を一点お伺いしたいと思っております。
○大平国務大臣 米国の国会におきまして政府が提案いたしました沖繩援助額が削減されたことは御指摘の通りでございます。しかし、現在の六百九十万ドルから千二百万ドルにふえたこともまた事実でございます。そして、私どもは、日米間でただいまから協議に入るわけでございますが、アメリカ政府並びに国会におきましても漸次理解を持っていただきまして、沖繩援助を増額するというような工合に協議を進めて参ることが、当然私どもの任務だと心得ております。
○戸叶委員 今ちょっと外務大臣が千二百万ドルというようなことにおっしゃったのですけれども、それは、千二百万ドルというふうなワクをアメリカ政府が受権しただけであって、現実には六百九十五万ドルというふうに減らされているわけなんでございますけれども、今の外務大臣のお話では、それはやはり授権されたところまで確かにもらえるような話し合いもできるだけの権限がこの協議機関にあるというふうに了解してもよろしゅうございますか。この点もはっきりさせていただきたい。
○大平国務大臣 米国大使は米国の政府を代表している方でございますので、この協議会を通じましてその方向に鋭意持って参るつもりでございますし、また、そういう立場におられる方だと承知しております。
○戸叶委員 外務大臣はそういうふうに言い切っておしまいになりますけれども、アメリカの国会というところはもう少し縛る権利を持っているらしくて、いかに政府が受権をいたしましても、国会でそれを否決して、そうしてこの間のような六百九十五万ドルというような形になっているわけでございまして、ライシャワー大使と外務大臣との間で、千二百万ドルから二千五百万ドルくらいにまですべきじゃないかと言っても、なかなかそれは夢物語に終わるんじゃないかと思って私どもは心配するのですが、それとも、協議機関の中でわれわれの話し合ったことは、アメリカの国会を無視しても何でもちゃんときまるのだというところまで権限をお持ちになるようになれば別だと思うのですが、それほどの権限を持てるものではないのじゃないかということを懸念するわけでございます。この点から考えてみましても、また、この間沖繩の長期計画を立てるというような話し合いのところまで持っていっても今度それが進められないような援助の内容になったというふうなことから考えてみましても、今度の協議機関というものが何かここで提案されましても、実のないものになってしまうのではないかということを懸念するわけでございます。今度交換公文か何かでその協議機関をつくるということをきめられるならば、その中にはっきりと、日本の国民の願っているところの施政権の返還ということも話し合いに出すのだということぐらいのことは入れておいていただきたい、こういうことを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○野田委員長 川上貫一君。
○川上委員 私のは、いろいろな理屈の問題ではなくて、実際上の問題で、いつものように単直にお聞きしたいと思うのです。特に外務大臣にお聞きしたいと思うのです。 アメリカの海上封鎖が国際法違反であるか、国連憲章のじゅうりんであるか、これは違反であり、じゅうりんであることは間違いないけれども、これをここであなた方と質疑応答してみても、私はきりがないと思う。そこで、私は単直に聞きたいのですが、そもそも、今度のカリブ海をめぐる緊張は何から起こったか。これは、率直に言って、アメリカが武力を使うてキューバに圧力をかけ、キューバの自衛の措置に対して干渉をし、圧迫をし、事実上ここに侵略をしようとする。ここに武力を使ったというところから起こっておるのです。理屈はいろいろ言うにしても、これはまぎれない事実なんです。ところが、政府は、このアメリカの行為、との武力行使を無条件に支持されたのです。無条件です。これはどういうことなんですか。われわれには合点がいかない。どうして無条件にこれを支持なさったかという点を、長い文句は要りませんから、単直に外務大臣のお考えを聞きたいのです。
○大平国務大臣 キューバに新しい攻撃用の基地が設けられることは、アメリカ並びに米州諸国の平和に対する重大な脅威だと受け取ったアメリカ並びに米州機構の判断には、私どもは十分理解をするということでございます。
○川上委員 あなたは、アメリカが脅威だと思うた、こうおっしゃるのですが、そうすれば、世界どこの国でも、脅威だと思えばああいう武力行使をしても合法なんですか。
○大平国務大臣 従って、アメリカは言われるところの措置をとったわけでございます。そして、それが国連に持ち込まれて今国連の審議の対象になっておるということでございます。
○川上委員 そうすると、外務大臣は、どんなことをやってもあとで国連に持ち込みさえすれば合法化すると言うのですか。
○大平国務大臣 先ほどからも論議がございましたように、手続上瑕疵はございませんということを申し上げたのです。実体が合法的かどうかというようなことは、十分材料を踏まえた上で、国連の審議も十分拝聴した上で判断いたしたいということは、たびたび申し上げている通りです。
○川上委員 それは、外務大臣、だめです。国連に持ち込んで結果を出すんじゃないのです。その以前に政府は無条件に支持したのです。この関係を聞いておるのです。
○大平国務大臣 先ほど申しました通り、キューバに新しい攻撃用のミサイル基地が設けられたことは、アメリカ並びに全米機構の国々が脅威と感じたということはさもあろうということで、十分の理解を示したわけでございます。
○川上委員 さもあろうではありません。ケネディに対する返書においては完全に支持しております。最初には了解はできると言うておるけれども、返書にどう書いてありますか。無条件に支持しておるじゃないか。これをごまかしてはいけない。これを聞いておるのです。
○大平国務大臣 国連に持ち込みまして平和的な解決をする上におきまして、われわれも十分あなた方を支持し、かつわれわれも協力をいたしますということでございます。
○川上委員 さっぱりわからぬです。国連の問題なんかは問題にならぬです。そんなことではない。即座に支持しているのです。これはどういう根拠で支持したかということを聞いているのです。国連に持ち込んだから何とかなるだろうという問題ではないのです。あの当時、ケネディの親書が来ると同時に、すぐ、了解ができると言い、そのあとでその返書で支持したのです。この考え方を聞いているのです。これはアメリカの武力行為を支持したのではないか、こう聞いているのです。
○大平国務大臣 平和に対する重大な脅威であると感じたこと、そしてこれを国連において問題の解決をしようという立場、それをわれわれは支持したわけでございます。外交は、申すまでもなく、冷ややかな論理で展開されるものでございませんで、でき得べくんばあたたかい友情でこれをささえなければならぬと思うわけでございます。友の憂いにわれは泣くということは、外交の上においても大事なことだと私は思います。
○川上委員 そうすれば、友情で支持したのですか、あの重大な問題を。まかり間違えたならば大戦争になるかもわからぬというこの危険な状態が起こったときに、アメリカに対する友情で支持なさった、これが御答弁ですか。
○大平国務大臣 そういう事態が起こって、これをいち早くアメリカは国連に持ち込んだわけでありまして、国連で平和的に解決しようというその立場、それに対して私どもは十分の理解と支持を惜しまないということでございます。
○川上委員 外務大臣の答弁はわからぬです。国連の問題なんかよりも前に支持したのです。 もう一つ聞きます。キューバに対するアメリカの海上封鎖が始まってケネディの親書が日本政府に来たんです。日本政府は、二十四日に、池田首相の訪欧の準備会という名前で、午前と午後二回、キューバ問題を討議しているでしょう。その討議のときに武内外務次官が発言しております。宮澤企画庁長官も発言しておられる。これには、断固たる支持論もあるし、慎重論もあった。そのときに外務大臣はどう言われましたか。あなたは、ラスクさんと会ったときにラスクさんから日本はアメリカのキューバ政策を支持してほしいと言われた、それに対しては支持しますと約束をしておるということをおっしゃったでしょう。国連は問題じゃないのです。ずっと前から無条件に支持しておるのです。これが事実でしょう。この政府の考え方を私は聞いておるのです。これははっきり言うて下さい。委員会ですから。
○大平国務大臣 私がラスクさんにお目にかかったときはキューバ問題は起こっていなかったのです。そういうことに言及した覚えはございません。それから、政府部内の会議につきまして大へん情報に精通されておるようでございますけれども、今あなたが御指摘になったようなことはございません。
○川上委員 そうすると、具体的にもう一つ聞きます。ケネディは、キューバは侵略しないということを約束しましたな。キューバの独立と主権を尊重するという約束になっておる。ところが、三日の特別放送でケネディは声明しました。それはどういう声明をしたか。安全な国際査察組織ができない限り封鎖を解かない、国際査察組織は国際赤十字が当たるべきだ、こう言うております。このケネディの声明を支持しますかどうですか。
○大平国務大臣 アメリカの考え方は、キューバにおける攻撃的基地を撤去するということでございまして、カストロ政権の存在とかその消長ということと直接関係はないと承知しております。
○川上委員 それはちょっと違いますがね。ケネディは、ついこの間、キューバの独立と主権は尊重すると約束したのです。そうしておいて、査察をやめると言ったのですが、現に査察しておるのです。スパイ飛行をやっておるのです。しかも、この査察は、国際赤十字にやらせる、これが適当だと言っておる。これは、明らかに、大平さん、キューバにやったあの海賊行為の違法を国際赤十字に取り上げさせて、これを合法化しようとしておるのです。国際赤十字が取り上げて査察をすると、あの海賊行為が合法化すると思っておるのです。こういうことを支持するのかどうかということを聞いておるのです。だから、支持するとかせぬとか言うて下さればいいのです。ほかの答弁は要らないのです。
○大平国務大臣 攻撃用基地の撤去ということがアメリカの今度の終始一貫した目的だと承知しておるわけでございまして、それに牽連した問題でございまして、キューバの主権とかあるいはカストロ政権の存在とか、そういうことに私は関係ないと思います。
○川上委員 そうじゃないのです。侵略せぬ、独立を尊重する、主権を尊重すると約束したのです。ついこの前です。そうしておい三全部これをほごにする声明を出したのです。これを支持するかどうかということ。そのほかのことを答弁して下さらぬでも、時間がたちますから、支持するとかせぬとか、これだけ言うて下さいよ。
○大平国務大臣 アメリカもソ連も、キューバにおける基地は撤去しょう、そしてそれは国連の監視下にやるということを合意されておるように聞いておるわけでございまして、私どもはそういった一連の収拾工作が成功するように祈っております。
○川上委員 アメリカの言うことは何でも支持するのですか。簡単に言って下さいよ。アメリカが言うたら、どういう声明をしても、どんなことをしても支持するのだ、こういうことなんですか。これでいいのですか。
○大平国務大臣 事柄によりけりでございまして、アメリカが正しい場合にはアメリカを支持しまするし、アメリカが正しくない場合には、私どもとしては支持できないことは当然のことです。
○川上委員 ちょっと聞きます。支持できない問題は一ぱい出ておるのだが、どの分ですか。どれを支持できないのですか。(「核実験の問題だ」と呼ぶ者あり)——核実験なんかじゃないのだ。今のキューバの問題です。この問題で支持せぬ分を言うて下さい。
○大平国務大臣 あなたの質問が、アメリカの言うことはみな聞くかどうかということでございましたから、私は一般論として申し上げたわけでございます。アメリカのやっておりますことが正しい場合には支持するのは当然でございますし、アメリカが誤っておるという場合には日本が支持できないのも当然じゃございませんか。
○川上委員 非常に困っておられるようですが、これは困ったことをしておられるのですよ。 そこで、私はもう一つ反対に聞きます。これで問題がはっきりすると思うのです。カストロ首相は一日に五つの項目をあげて声明をしております。これを支持するかどうかということを言うてもらいたい。これを全部読み上げてもいいのですが、時間がたちますから読み上げることはいたしません。五項目あります。外務大臣御承知でしょう。時間の倹約でその五項目をここで読み上げませんが、これの第一項は経済問題ですが、第一項を外務大臣は支持しますか。
○野田委員長 ちょっと川上委員に申し上げますが、読んでもらった方がよいでしょう。時間がかかってもかまいませんから、五項目の要領だけでもどうですか。
○川上委員 第一項をお知りになっておるのですかおらないのですか。外務大臣、ちょっと第一項を言うて下さい。
○大平国務大臣 五項目の声明が出されたことは承知いたしておりますが、一々の字句については記憶がさだかではございません。ただ、申し上げておきますが、その問題について支持するか支持しないかということでございますが、これは、キューバ問題全体が、先ほど申しましたように、非常に微妙な収束段階にありますし、そうしてまた、キューバの出した五項目そのものにつきましても、世界各国が今いろいろな反応を示しつつある段階でありまして、それの吟味に当たられておる段階でございますので、日本政府として白か黒かはっきりせよというようなことを今の段階で申されましても、私どもとしては今お答えをする時期ではないと思います。
○川上委員 この態度が政府の態度ですか。キューバの出している要求は、一、経済封鎖の解除、二、破壊工作の停止、三、米国及びプエルトリコ基地からの海賊的進政の中止、四、米軍機の領空及び領海侵犯の停止、五グアンタナモ基地の撤去、この五項目です。アメリカの言うことは何でも支持する。キューバの要求は、支持しない支持すると言わない、何とも言えないと言われるのは、これは支持しないんでしょう。アメリカの方は無条件に支持しておる。国連などと言わぬうちから支持しておる。もう二十四日に支持してしまった。そうして、キューバの方はどうかと言ったら、それはどうも何とも言えないと言う。これは支持しないということですね。大平さん、これが日本の外交態度でよろしいでしょうか。こういう政治路線で、日本の安全、世界の平和が保てると思いますか。日本がアジアなり世界の平和に貢献するこの路線が、今大臣のとっておられるこの路線でよいとお考えになりますか。日本の民族の将来を考えませんか。世界の平和を考えませんか。私は、これは非常に大きい問題であって、国会のこの委員会でとにかく適当に答弁しておけばいいという問題じゃないと思います。民族の運命を決する政治路線の問題です。外交路線の問題です。私は時間がありませんから、これは政府には質問しませんが、この点については総理大臣並びに外務大臣に十分に民族の将来について考えられることを私は失礼ながら警告したい。 もう一つ聞きたいことは、自衛隊ですが、自衛隊が今度の緊張をめぐって一つの体制に入っておる。この体制に入ったのは、アメリカの軍事顧問団の指示によって、実際に自衛隊が発令した命令は、陸上自衛隊はB号指令、航空自衛隊はC号指令。このB号指令とC号指令というものはどういうものか、外務大臣にお聞きしたい。
○大平国務大臣 私どもも、乏しきながら、わが国の安全と民族の現在及び将来に対して非常に大きい責任を持っておるわけでございまして、日本の安全を保ち、平和を保ち、繁栄を期する基盤をどうしてつくるかということに日夜きゅうきゅうといたしておるわけでございまして、この至情におきましては川上先生に劣らないとわれわれは自負いたしておるものでございます。 それから、今の自衛隊の指令の形、今指摘されたようなことについては、私はよく承知いたしておりませんので、承知した上でまた答えさせていただきます。
○川上委員 よくわからぬのですが、外務大臣がよくお知りにならないのですか、この指令の内容を。
○大平国務大臣 調べまして後刻お知らせ申し上げます。
○川上委員 それはだれでも答弁していいのですけれども、あの時分の緊張状態というものは容易なことじゃないでしょう。全世界のアメリカ軍とそれの同盟軍が全部警戒体制に入ったのですよ。それと同時に、日本の自衛隊が入っているのです。航空自衛隊が入っておるのです。これは、もしも世界の戦争屋があぶない引き金を一ぺんぽんと引いたら最後、日本の自衛隊はこの体制で事に入るのです。そこまで問題が来ておる。政府は無条件に支持する。ところが、外務大臣はこれをどんなものかよくわからぬ。こういう危険なことで外交ができましょうか。これは防衛庁に私は聞きたいことじゃない。外務大臣がどういう考えになっているかということを聞きたいので、防衛庁の方の出席をお願いしてないのです。技術問題じゃないのです。政治路線の問題です。
○大平国務大臣 技術問題でなくて政治路線の問題ということでございますが、私は、技術的な御質問かと思いまして、後刻調べて御報告申し上げるとお答えいたしたわけでございます。政治路線の問題といたしましては、先般の本委員会における川上委員からの御質問に関連して私は申し上げたわけでございまして、自衛隊は寸毫も攻撃ということは考えていないわけでございまして、日夜わが国の防衛に当たっておるわけでございまして、私は、常時自衛隊が緊張した状態におきまして日本の防衛に当たっておることを信じまするし、また、そのように期待いたしておるものです。
○川上委員 そうすれば、あのときどういう攻撃が日本にかかるという想定ですか。あのときどうなるという見込みなんですか、あのカリブ海の緊張をめぐって。防衛のためにやっておると言うが、それじゃどういう危険が感じられたのですか。
○大平国務大臣 私は、あのときの防衛庁がどういう指令を出したかこまかいことは存じませんけれども、そういうことは重大視していないわけでございまして、常時自衛隊はわが国の防衛に緊張した状態であることを信じておりまするし、また、そうあってほしいと思います。
○川上委員 外務大臣の答弁はどうもよくないです。あのキューバの問題をめぐって、あなたは無条件にアメリカを支持なさったのですよ。支持しておいて、自衛隊はその体制に入ったのですよ。そうして自衛隊は防衛だとおっしゃるのです。そうすれば、どういうことを防衛しようとしたのか。あなたは無条件にあれを支持しておるのです。そうすれば、戦争を予想しておるのでしょう。自衛隊が防衛しなければならぬというような大戦を予想したのでしょう。予想してなければ、自衛隊が防衛体制にしろ何にしろ入ることはないでしょう。それをあなた方は支持しておるのでしょう。ここの関係を聞いておるのです。そこで、私は、どういう攻撃が来るということを想定したかということを聞いておるのです。外務大臣、これは答えられると思う。
○大平国務大臣 この前の委員会で川上先生の御質問に答えました通り、私は、あなたと見解を異にいたしまして、今度の事件で世界戦争が起こるなどということは考えていないということを申し上げたわけでございます。 それから、自衛隊は常時緊張の状態にあるべきでございまして、キューバ問題が起ころうと起こるまいと、そういった緊張状態で勤務についていただきたいし、また、そのように信じておるものでございまして、あの当時、キューバ事件が起こったということで、こういうことを隊員に知らせたという事実はあったようでございますけれども、そのことがあろうがなかろうが、私が申し上げておるのは、自衛隊としては常時その任務についていてほしいということであります。
○川上委員 これ以上政府に聞いてもむだだと私は思う。ただ、最後に言いたいことは、大平外務大臣、お考えになるべきときが来たと私は思う。今度の緊張、これは容易なものではないのです。繰り返して言いますが、もしも世界の戦争屋があの時分に引き金を引いておったらどういうことになる。こういうことをアメリカはしでかしておるのです。これは法理上どうなるとか国際法でどうなるとかいう問題はありますけれども、それ以上に、核兵器を使う世界大戦までの危惧が現われてきたのです。この時分に政府は無条件にこれを支持したのです。ここに問題があるのです。こういうような政治路線をやっておられて、一体どうなる。しかも、その上に日本は安保条約でアメリカに縛りつけられておるのです。私は、こういうことに対する日本政府の態度をきわめて危険だと思う。全く間違っておられると思う。 これ以上聞きませんが、最後に、今の自衛隊の指令系統、指令の内容、これに対する詳細な報告をこの委員会に文書でしてもらうように、委員長に取り計らってもらいたい。それから、この前の委員会で私が要求しました合同演習の詳細な内容、この報告が出ておりません。これをあらためて委員長の方から適法に御処置を願いたい。 これで私の質問を終わります。
○野田委員長 了承しました。 岡田春夫君から関連質問の要求があります。これを許します。
○岡田(春)委員 今の点、ちょっと関連して伺っておきたいのですが、キューバのあのような緊急事態が起こった場合に、日本にいる米軍は平時の今までの状態と同じ状態のままであったのか、そうでない状態になったのか、この点については外務省当局としてどういう点をアメリカ当局から伺っておられるか、この点をまず伺いたいと思います。
○安藤説明員 当時、ああいう情勢がございまして、一般的に全世界の米軍に、こういう事件が起こった、だから十分気をつけるようにというような訓達があったということは新聞電報等において承知しております。日本の中におきましては、日本の米軍というものは常時防衛のための訓練をしておるわけでございますが、私たち米軍と密接に連絡をとっておりますが、特に大きな変動はございませんでした。
○岡田(春)委員 と申しますと、今安藤さんの御答弁を伺いますと、従来の日本におる米軍の行動と何ら変化がなかった、こういうことでございますか。
○安藤説明員 私の承知しておりますところでは、いわゆる精神的な意味においては相当緊張しておったようでございます。しかし、具体的な行動といたしましては大きな変化はなかった、そのように申し上げてよいと思います。
○岡田(春)委員 安藤さんの御答弁によりますと、全世界の米軍に対してそのような行動の指令が出たようであるが、日本にいるアメリカの軍隊に対してはそのような変化は起こらなかったという。そうすると、日本にいる米軍だけはそのような状態で平時状態にあった、こういうことなのですか。
○安藤説明員 私が申し上げましたのは、キューバの事件が起こって、米国防省が、これに対して各米軍は相当しっかりしてやれということを伝えた、まあそういった意味のことが新聞等に伝えられたことがございます。従いまして、私たちも米軍と連絡いたしましたけれども、米軍は具体的には事実さっき申しましたように大きな変化はございませんでした。
○岡田(春)委員 と申しますことは、それじゃ、キューバの事件の起こる前から、日本におるアメリカの軍隊は戦時体制にある、こういう解釈をしてもよろしいわけですか。
○安藤説明員 私の承知しておりますことは、キューバの事件が起こる前もその後も、別に戦時体制というふうには承知しておりません。
○岡田(春)委員 私は戦時体制ということは平常の体制以外のことを意味したのですが、それでは、戦時体制ということを言葉をかえてもっと正確に言うならば、平常の体制以外の、たとえばいつでも戦争に臨める臨戦体制と言いましょうか、そういう体制にあるものだ、そういう状態に今日もある、キューバの事態においては、ことさらそういうことをやらなくとも、かねてから臨戦体制に入っておるから変化がないのだ、こういうようにあなたの御答弁を解釈してもよろしいかということです。
○安藤説明員 具体的に申しますと、ずっと一年くらい前の状態と現在の状態と大きな変化はないと申し上げてもいいと思いまするが、実際問題といたしまして、精神的にいろいろ緊張しておられることは、これは私も承知しております。
○岡田(春)委員 それでは、少なくともこの間新聞に発表されたアメリカ国防総省の全世界の米軍に対する臨戦体制の指令というものは精神訓話であった、こういうことなのですね。
○安藤説明員 少なくとも、私の承知し、またいろいろ連絡によって知り得て参りましたところによりますと、今言う臨戦体制とか戦時体制というものには入っておらず、大きな変動はなかった、変化はなかったということは申し上げられると思います。
○岡田(春)委員 それは日本の問題ですか。全世界がそういうことなんですか。精神訓話の臨戦体制を全世界に対してアメリカが行なった、こういうことなのですか。
○安藤説明員 私は日本の米軍の話を申し上げておるのであります。各地の米軍については、具体的なことは一々承知しておりません。
○岡田(春)委員 それではお伺いしますが、あなたは日本の問題だけとお話しになりましたが、安保条約の第四条は、御承知のように、日本の安全のために、並びに極東の安全のために、こういうことになりますね。日本の安全のために事態の変化というものを心配してあなたが第四条の規定に基づいてお話しになったのかどうかは、まだ答弁を得ておりませんから私は知りません。しかし、少なくともあなたがこの点をお聞きになっているとするならば、極東における国際の平和並びにその安全のために、この観点から見ても、あなたは、この第四条に基づき、国際情勢の変化を聞かなければならない。ところが、日本の問題についてはあなたはお聞きになったと言うが、国際的な情勢の変化という点についてはお聞きになっているのかどうか。アメリカの国防総省においてあのような指令が出たということになれば、日本におるアメリカの軍隊の状態だけを聞いておっても始まらない。アリメカの国防総省の指令はどう出たのか、この点についてあなたはお聞きになっているかどうかということなんです。これはどうですか。
○安藤説明員 私は、自分の仕事の関係上、在日米軍のことを一番重要に考えて、在日米軍のことをいろいろ聞いておるわけでございます。
○岡田(春)委員 それじゃ、外務大臣、アメリカ局長は第四条に基づく日本の安全の問題という意味ではないようであります。アメリカ局長の平常の仕事として、日本にいるアメリカの軍隊の状態について外交の行政事務の問題としてこれを聞いたわけでありますが、外務大臣はこのような緊急事態において第四条の規定に基づく随時協議を日本側から要求しておやりになったかどうかということです。この点はどうですか。
○大平国務大臣 随時協議をいたしていません。
○岡田(春)委員 なぜおやりにならないか。これは、向こうの方から言ってくれば随時協議をするのではなくて、なぜ日本の方から要求しないのか。安保条約の制定のときにあれほど論議になったように、あなた方の答弁によると、安保条約というものはアメリカと日本と対等なものである、こういう解釈をおとりになってきたはずだ。とするならば、あのような大きな変化が起こったときに、これは大へんなことだというので、日本の方から聞く、随時協議をする、このようなことは当然安保条約に規定されている日本の権利であり義務じゃありませんか。なぜおやりにならないか。この点はどうですか。
○大平国務大臣 安保条約も、御承知のように、百パーセントこれは防衛的なものでございまして、安保条約に基づきまして在日米軍がその義務に忠実に当たっておられることを信頼いたしておるわけでございまして、あの段階におきまして随時協議をこちらから申し出るという必要を認めませんでした。
○岡田(春)委員 それでは、常時日本の安全のためにアメリカはやっておりますから、そのときに危険であるということがあるまでは、日本の方はそれを何らかの話があるまでは黙っているということなんですね。とするならば、安保条約というものは、日本の方から協議を申し込む権限も実質的にない、これは明らかにアメリカにおんぶしている体制だということを、あなた自身の答弁の中からわれわれは推論せざるを得ないじゃないですか。あのような危険な状態が起こったならば、日本側から聞くのはあたりまえじゃありませんか。こういう点をおやりにならないというのは、そのような危険をあなたがお感じにならなかったか、あるいは条約上実質的にそういう権限が日本に与えられておらないか、あるいはまた、日本政府が怠慢なためにやらないか、そのいずれかであります。そういう点をあなたは今の御答弁から明確に御答弁願いたいと思います。私関連ですからこれ以上やりませんけれども。
○大平国務大臣 私どもは、随時協議をやることは条約上できまするけれども、あの段階でその必要を認めなかったということでございます。
○岡田(春)委員 あの事態においても随時協議の必要を認めない。それじゃ一体どういうときに随時協議が必要なんでございますか。これはちょっと伺っておきますが、この安保条約では、日常、平常のときに協議をすることになっているのですよ。これについては、安保条約の質疑応答の中でもはっきりしている。私は関連ですからとっさに用意をしておりませんので詳細のことを申し上げられませんけれども、日常、平常において随時協議をすることになっているのです。緊急の事態においては、安保条約の四条ではなくて六条に基づく事前協議をやらなければならないはずです。ところが、あなたは、平常のときの随時協議さえもおやりにならない、あの事態においてもやる必要はなかった、こういう御答弁になりますと、安保条約の精神とだいぶ違ってくると思いますが、この点はいかがですか。
○大平国務大臣 少しも矛盾していないわけでございまして、日本並びに日本をめぐる極東の平和に重大な脅威があるというふうに私どもは感じなかったわけでございます。
○岡田(春)委員 それでは、あの事態は日本並びに極東における平和に非常に脅威がある事態とは考えなかった、そういう解釈なんでございますね。従って平常の随時協議もこの問題に関してはやらなかった、こういうことなんでございますか。そういう解釈なら解釈でよろしいのですが、そこの点をあとのために私ははっきり伺って速記録に残したいと思いますので、そこをはっきりしておいていただきたい。
○大平国務大臣 随時協議の必要を認めなかったわけです。
○野田委員長 本日はこれにて散会します。次会はあらためて公報をもってお知らせします。 午後三時五十九分散会