科学技術振興対策特別委員会 第5号
- 発言数
- 76 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1962/09/04
会議録
○山口(好)委員長代理 これより会議を開きます。 寺島委員長の健康上の都合によりまして、委員長の指名により私が委員長の職務を行ないます。御了承のほどお願いいたします。 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。 原子力行政一般に関する問題、すなわち原子力基本法に関し核実験及び宇宙開発に関する問題について質疑の通告がありますので、これを許します。岡良一君。
○岡委員 外務大臣は御多用と承っておりますので、私も技術に関する説明は省きまして、端的にお尋ねをいたします。御答弁もどうか簡明直截にお願いをしたいと存じます。 第一のお尋ねでございますが、本日の新聞を拝見いたしますると、外務大臣もこの十五日にはいよいよ鹿島立ちされるようでありまするが、国連総会におけるわが方の核実験禁止に対する態度がどうも消極的ではないか。すべてをジュネーブにおける軍縮委員会等の検討にゆだね、わが方としては国連の場においてはこれに協力をするというような新聞の記事を拝見いたしまするが、私はあまりにも消極的ではないかと存じます。この点について大臣の御所見を承りたいと思います。
○大平国務大臣 核実験禁止問題につきましては、御承知のように、それを行なう国がどの国であろうと、政府としては精力的にこれまで反対し抗議する態度を続けて参ったわけでございます。また同時に、日本の国内におきましても、各政党、各団体が鋭意アピールを続けてこられたわけでございます。 しかしながら、それにもかかわらず核実験が保有国によって行なわれているということは、私どものアピールに限界があると申しますが、保有国に対する影響力という点から見まして、なお足らざるものがあると思うのでございます。 そこで、先国会におきましても政府の方から申し上げました通り、やはり第一義的には核保有国自体が責任を持ってもらわないと困る。そして保有国自体の核実験を有効に抑制するような国際協定というものがなければ、この問題に対する有効な手が打てないのじゃないか、そういう観点から、核実験禁止協定というものの有効な成立と、そしてその有効な実施という点に焦点を置いて努力をせなければならぬ、そう考えておるわけでございまして、今次国連総会におきましても、そういう観点から、可能な限りわが国としてもそういう国際世論の形成という点に努力をいたしたいと考えておるわけでございます。
○岡委員 なるほど、大国の核実験については、彼らがその必要を感ずればわれわれの要求、われわれの要望を無視して遠慮なく実験を強行する。さて、一連の実験が終われば、また暫定的な禁止の協定のムードをつくり出しておる、こういうことで、核実験禁止に関する世界の世論というものは、今日までのところ、いわば大国の意思によってほんろうされて参ったといっても私は過言ではないと思う。 しかし、今日の情勢の中で、今日の時点の中では、私は日本もこれまでのように唯一最大の被爆国というような道義的な立場ではなく、やはり世界軍縮の一環としての核兵器対策、核兵器に対する政策というものを打ち立てていくということが私は日本の政府としてもきわめて緊要なことではないかと存ずるのでございます。この点についての外務大臣の御所信はいかがでございましょう。
○大平国務大臣 今申し上げましたように、核保有国を有効に拘束することがない限りにおいては、今御指摘の通り、実効をあげ得ないということでございますので、この禁止協定の成立という点に努力の焦点を置かなければならぬと思います。ジュネーブの軍縮委員会の討議も、なるほど一進一退でございますけれども、実質的にそのみぞは狭められつつあるように感じまするし、保有国自体の提案にも現実に即した御提案がなされ始めておるということでございますので、私どもはそういった機運を国際的にバック・アップいたしまして、ともかくもこのみぞが、なお深いようでございますが、それを埋めていく上におきまして応分の努力をすべきだと考えておるわけでございます。
○岡委員 私が申し上げたのは、今日の国際的な情勢の中では、日本は、核兵器に対する政策と全面軍縮の問題は不可分な時代に入って参っておる。であるから、われわれが道義的な立場に立っての主張ではなく、全面軍縮はどのようにあるべきか、そのプログラムの中、そのスケジュールの中で核兵器はいかにあるべきか、その運搬手段はいかにあるべきかという具体的な政策を政府自身が立てること、それによって政府自身が積極的に、また大国の意思によって今日までのようにむぞうさに左右されない核兵器政策というものが打ち立てられるのではないか。そういう意味から、政府はもっと積極的に軍縮の問題に対して取っ組む必要があるのではないか、こういうことを申し上げておるのでございます。この点についての外務大臣の御所信を承りたいのでございます。
○大平国務大臣 ただいままでのところは、今私が申し上げましたような趣旨で国際世論の形式、喚起ということで参ったわけでございますが、今御指摘のように、核兵器の禁止並びに全面軍縮について、もっと突っ込んだ対案を出すような用意、準備をすべきじゃないかという御提案に対しましては、私どもが将来そういう方向で開拓すべき問題の領域であると私は思います。 ただ遺憾ながら、ただいまのところ、政府におきまして御指摘のような用意が十分あるかと申しますと、申し上げるようなことはただいまのところ持っておりませんけれども、将来開拓すべき問題の領域であるということにつきましては、岡委員と私は意見を同じゅうするものであります。
○岡委員 私は世界各国の情勢を見ましても、軍縮については特別な機関を設けて、これに真剣に取っ組んでおる国々もあるようでございますので、政府としても、この問題は当然国連における重要な案件となって参りまするので、真剣に資金を投じ、機構をつくって取っ組んでもらいたい。日本の憲法にのっとり、憲法の目標を具体的なスケジュールをもとに実践し得るような、世界の全面軍縮のスケジュールを立てるように努力をしてもらいたいということを心から要望いたす次第でございます。 さらに次には、中共の核実験について承りたいのでございます。政府は中共の核実験についてどのような見通しを持っておられるか。また、かりにもそのことが行なわれたならば、日本に対してどのような影響を与えると思っておられるか。この点を率直に所信を承りたいと思います。
○大平国務大臣 中共の核実験が行なわれるのではないか、その時期は案外早いのではないかというような報道は、個々においてしばしば伺っておりますが、これを確かめる手段を政府は持っておりません。専門家が言われておることを承っておる域を越えていないわけでございます。 そういった事態になりましたら、日本に対する影響ということは、申すまでもなく、われわれとしてはそういうことに対して、ただいままで核保有国の核爆発の実験に対しましてとりましたような態度、国交のない国でございますからどういう手段によるかは別といたしまして、われわれは一貫してこれに反対の態度を続けています以上、中共もその例外ではないと考えております。
○岡委員 もとより中共がいつ核実験を行なうかということについて、今私どもがとやかく申し上げてみたところで、せんないことではございましょうが、いずれは行なうであろうし、しかも、必ずこれは行なうであろうと観測されるような情報が次々と私どもに、もたらされておるわけでございます。ところが、日本の国内においても、たとえば経済界のオピニオン・リーダーと目されるような人が原爆の国内生産を云々している。かと思えば、政界の長老が、核兵器を持つくらいの勇気を持ってもいいではないかなどと公開の席上で放言をしておる。また、この放言に対して池田総理は、ことさらに池田内閣と限定して、池田内閣が存続する限りは核武装を拒否すると申しておる。こういう一連の事実は、私は非常に危険なことだと思います。こういう動きが国内にあり、また一方、一衣帯水の中共において核実験が行なわれるということは、まことに危険なことである。この点について、原子力基本法、平和利用の精神を守るべき立場にお立ちの近藤長官としては、どのような意見を持っておられるのか、この機会に承りたいと思います。
○近藤国務大臣 これと類似の問題は、この前の委員会のときに御質問がございましたので、その節お答えいたしたと思いますが、重ねて今日ここで繰り返しますならば、私は原子力委員長といたしまして、原子力基本法のこの精神に対してきわめて忠実にこれを履行して参りたいというかたい決意を持っている次第でございます。
○岡委員 何しろ一衣帯水の隣国で核実験が行なわれるということになりますれば、現実に放射能の障害、犠牲という点から見ましても、偏西風に乗って数日にして相当大量な放射能が日本を襲うかもしれない。のみならず、このようなことになれば、日本のみならずアジアの平和にとっても、これは重大な問題となることは、申し上げるまでもないことでございます。 ところが、いまかりに、先ほど外務大臣の仰せのごとく、国連の総会や、軍縮委員会や政治委員会等でどのような決定がなされようとも、しかしこれは中共を拘束するわけにはいかない。中共が国連に加盟をしておらない限りは、中共を拘束し得ないわけです。としてみれば、むしろ日本とすれば、中共の意思のいかんにかかわらず、中共の国連加盟、国際社会に正規な一員として復帰せしめるという努力があってしかるべきではないかと私は思っておるのでございますが、昨日の打ち合わせの内容を拝見いたしますると、むしろ中共の代表権問題は、いわゆる特別重要方式として取り扱うというような結論になっておるようでございます。これでは、日本みずからが進んで中共の原爆実験を間接的には促進するようなことにもなるのではないか、このようにも考えるのでございます。政府としては、むしろ中共が国連の諸決定に十分従い得るような、国際社会へ正規に復帰し得るような、すなわち国際連合に加盟し得るような時期を早めるという政策を当然とるべきではないかと存じまするが、この点についての外務大臣の御所見はいかがでございますか。
○大平国務大臣 核兵器の問題とか軍縮の角度から世界政治を考えた場合に、中共が国連のメンバーたる地位をかち得ている方が望ましい状態であることは、私もその角度から論じますれば同感でございますが、中共の国連加盟という問題は、御案内のように、ひとり極東の問題だけでなく、世界政治の大きな問題でございまして、その深さも幅もきわめて深く広いものがあるわけでございます。従って、この問題は、世界の世論が公正に割り切るというべき問題でございまして、日本ひとりの力でもって云々という性質のものではないという判断でございます。従来のたな上げ方式をやめにいたしまして、去年は重要事項指定方式というものの日本は提案国になったわけでありますが、去年あの重要事項指定方式の提案をめぐりまして国連の場で現われました各国のこの問題に対する考え方というものは、一年たちました今日大きな異変を見るに至っていないわけでございます。従って、私どもはただいまのところ、去年とりました態度を変えなければならぬというような新しい事態に際会しているとは思っていないのでございます。
○岡委員 中共が原爆実験をやる、やがては核兵器の保有国になるということは、私は現在の東西両陣営の力関係においても、それこそきわめて重大な影響を持っておると存ずるのでございます。 そのことは別といたしましても、次に最後にお伺いいたしたいことは、中共がかりに核実験をやるとすれば、たとえば先般の原水協の世界大会を見ましても、アメリカの極東における核武装に対する自衛という立場において実験を合理化するものと想像されるわけでございます。ところが一方、アジアにおける最大の核基地は沖繩であるといわれております。従って、政府としては沖繩の核武装を撤回するようにアメリカに要請をする必要があるのではないか。このことは沖繩の住民の意思とも全く一致する事柄でございますが、この点について外務大臣の御所信はいかがでございますか。
○大平国務大臣 沖繩は、御案内のように今アメリカの施政権下にあるわけでございまして、アメリカの方の見解といたしましては、東洋に緊張が続く限り沖繩を保有するという不動の方針で臨んでおるやに伺っておるわけでございます。私どもは、いつの日か日本に施政権の返還ということを希求し、そういう場合に予想されます困難をできるだけ少なくするために、日米協力いたしまして経済や民生の面からその困難を除去し、軽減していくために努力するという姿勢に今あるわけでございます。施政権を持たれておるアメリカがどのような具体的な措置をやられますかということにつきまして、有権的に日本が関与して参るという立場にないことは御案内の通りでございます。
○岡委員 最後に一言だけ。質問ではございませんが、施政権下にあるということをもってわが方の核武装の撤回要求というふうなことに遠慮しなければならないというような御趣旨でございますが、しかし、政府は米ソ等の核実験、自国の領土においてこれを行なっておるのに対しても堂々抗議しておられるではございませんか。いわんや潜在主権のある沖繩において、しかも実験どころか、完成された核兵器が持ち込まれておるという事態に対して、なぜ堂々と抗議ができないのでございましょうか。私はそこに日本の外交政策、ひいては日本の国民の大きな不幸があるということを申し上げて、時間も参りましたので、私の外務大臣に対する質疑は終えたいと存じます。
○山口(好)委員長代理 関連質問の申し出がありますので、簡単に願います。西村関一君
○西村(関)委員 外務大臣に、時間が迫っておりますから簡単にお尋ねをし、簡単にお答えをいただきたいと思います。 先ほど岡委員の御質問にもあったのでございますが、核実験停止会議がジュネーブにおいて行なわれておりますが、いろいろな問題が次から次へ提起されまして、いまだに妥結を見ないという状態であります。日本政府といたしましては、どこにその難関があるか、どこにこの実験が停止できないという問題点があるかという点について、どのような分析をしておられるか、大臣の御見解を承りたいと思います。
○大平国務大臣 一口にかいつまんで申しますと、米ソの間の不信だと思うのでございます。やはり有効な禁止協定の成立をはばんでおる最大の問題は査察という問題でございます。そういうことを公明にやろうという考え方と、それを拒否する考え方、これは私は、米ソ両国を支配しておる政治哲学と申しますか、考え方と申しますか、そういう点に抜きがたいみぞがあると思うわけでございます。それを技術的にはだんだんと、大気とか、大気圏外とか、あるいは水中とかいうようなところまでは技術的に歩み寄ってきておるようでございますが、地下の核爆発についてはまだそういった点が解消されていない。従って、先ほど申しましたように、距離はだんだん狭まってきた。しかし、そのみぞは依然として深いと申し上げた理由は、そういうものごとの考え方自体に根底から相いれないものがあると理解するよりほかに道がないのじゃないかという考え方であります。
○西村(関)委員 確かに米ソ間における不信が大きな原因になっておるということもわかるのでありますが、それならば、日本政府としては、国連の場等におきましてどのようにしてその不信のみぞを埋めていくか。先ほど大臣の御答弁では、中華人民共和国の国連加盟の問題にしても、これは深さも幅も非常に大きな問題であるから、日本だけできめられることではない、世界の世論によってきめられなければならないという御答弁がございました。また、沖繩の問題にいたしましても、これは施政権を持っているアメリカの考え方にウエートがあるというような趣旨の御答弁がございました。それはそれなりにおっしゃる点はわかるのでありますけれども、しかし、日本政府としては、自主的な外交の姿勢においてどのようにしてそのような世論をつくり上げていくか、米ソ両国、両陣営の不信のみぞを埋めていくためには具体的などのような軍縮——核兵器を含むところの軍縮政策を持って臨んでいくか、また核実験に対するところの具体策をひっさげていくかという積極的なかまえがなければならないと思うのでございます。たとえば、御承知の通り無条約諸国、いわゆる中立諸国から実験禁止に対する具体案も出ているのであります。各国の科学者によるところの査察、その求めに応じて査察団を派遣するというような考え方も具体的に出ているのでありますが、それらに対しても、政府としての一つの御検討があったと思いますし、またその他の面からもお考えがあるべきはずだと思うのでございます。自主外交を建前とせられるところの大平外務大臣においては、その点についてどういうふうにお考えになっておるか、積極的にどういうふうにしてこの危険な状態を解消するという強い態度をもって臨もうとしていらっしゃるか、その点を国民は知りたいのでございますから、一つお伺いをいたしたいと思います。
○大平国務大臣 考え方の上で米ソ両国の間には深いみぞがあるということは申し上げましたが、しかし同時に、米ソ両国共通の利益もあると思うのでございます。核実験競争という悪循環が無限に続く、核兵器競争というものが無限に続くということは、これは両国にとりましても莫大な財政負担になることは火を見るよりも明らかでございますし、何とかそこに歩み寄りが全然期待されないという性質のものでもなかろうと思うのでございます。従って、今御指摘のように、査察委員会と申しますか、そういう査察の回数であるとか、あるいはその査察する集団の構成であるとかいうような問題につきましても、いろいろ討議が行なわれておるということは、やはり共通の関心がそこにあると思うのでございます。そしてまた、どこに問題があるのかということを突き詰めて、問題点がはっきりすることは、事態の解決につきましての一つの接近であると思うわけでございまして、あらゆるそういう接近の可能性があるものは、しんぼう強くそれを求めて、その発展、展開をはかっていくというところに、国際的な場におきましてわが国が寄与すべき分野があると私どもは思うのでございます。 しかし問題は、その問題点をはっきりさすことと、それを解きほぐしていくには、相当の時間という要素が要ると思うのでございます。従って、終始断念することなく、あらゆる可能性を精力的に探し求めて、その根をだんだん伸ばしていくような方向に日本としては努力すべきものと思います。
○西村(関)委員 時間がありませんので、十分なお尋ねはできませんし、関連でございますから、一点だけお願いをいたしまして私の関連質問を終わりたいと思います。 外務大臣が国連に臨まれるにあたりまして、わが国のとるべき平和に対する政策、核実験また核兵器を含むところの全般的軍縮に対する御提案があると聞いておるのでございますが、そのことは、わが国のよってもって立つ独自な、自主的な立場に立つ一つの不動の姿勢から出るものであるということは申すまでもないと思うのでございます。先ほどの大臣のお言葉の中にもございましたように、米ソ間におけるところの、東西両陣営間におけるところの不信が大きな平和の妨げになっているという点等にもかんがみまして、特に崇高な倫理性を持っておるところの憲法の平和条項の建前からいたしまして、この平和の倫理と申しますか、そういう高い次元に立つ——外務大臣がよくお使いになります高い次元に立つ一つの政策をひっさげて世界の世論に訴える。特に原爆、水爆の唯一の被災国である日本としてこの人間生命の尊重の立場に立つ平和の倫理をひっさげて、わが国の強い主張をぜひ国連の場において訴えていただきたい。これは国民のひとしく願うところであると思うのでございます。原爆、水爆の被害を受けた日本国民以外には、はだでそのような平和に対する考え方を感じ取っているところの国民はほかにないと思うのであります。そういうような見地から、特に道義的な高い精神をお持ちになっていらっしゃいます大平外務大臣に、私は国民の名において特にそのことをお願い申し上げまして、大臣に対する質問を終わりたいと思います。
○岡委員 次に、宇宙開発の問題で若干お尋ねをいたしたいと存じます。もともと私は宇宙開発の技術的な問題については全くのしろうとでございますので、政策論としてお尋ねを申し上げることをあらかじめお断わり申し上げておきます。 まず、郵政省の方で、先般来NASAの次長等が来日をされましたので、東京オリンピックの世界中継というような目的のもとにいろいろ折衝を重ねられたと伝えられておりますが、その経過あるいはその結論について、ごく肝心な点だけの御報告をお願いいたしたいと思います。
○保岡説明員 衛星通信に関しまする実験研究を実施をいたしますため、現在といたしましては、御承知の米国の航空宇宙局、すなわちNASAが打ち上げました通信衛星によります実験計画に参加するということが心要であります。従って、郵政省といたしましては、先般来関係各省庁と緊密な連絡をとりまして、すみやかにこれに参画しまする手続等を非公式に連絡いたしておりましたが、御承知のように去る二十八日、二十九日にNASAの次長のドライデン以下が見えましたので、主として技術的な取りきめの打ち合わせを事前協議いたしたような次第でございます。その際オリンピックの問題も出たのでございますが、オリンピックの問題はこの実験研究の結果といたしまして、できるだけオリンピックに間に合うようにしたいということで努力をいたしておるところでございます。
○岡委員 そういたしますると、郵政省の態度としては、NASAの通信衛星の実験に参加をしたい、そうして行く行くはオリンピックの世界中継に実用化したい、こういう御方針でございますか。
○保岡説明員 その通りでございます。
○岡委員 これはやはり両国政府間においても何らかの取りきめが必要になろうかと存じますが、閣議の了解を得てあるのでございましょうか。もしあるとすれば、了解の骨子をこの機会にお知らせを願いたい。
○保岡説明員 この前の日米間の打ち合わせは、技術的な問題についての打ち合わせでございまして、今後覚書等につきましてはあらためて両国間で行なわれる予定でございますので、まだ取りきめの途中であるということで閉議の了解を得ておりません。
○岡委員 NASAといいますと、私どもはすぐ問題のU2型を連想するわけでございます。しかし、私どもも現地に出かけた機会もございまして、私の理解するところでは、NASAは平和目的を中心とする宇宙開発の中心機構であると理解しております。しかし、他国の衛星を利用するというようなことが、政府間においてそのための協定が成立をするということになると、たとえばこの通信衛星として、郵政省はクーリエというような通信衛星をも共同利用するお考えであるのでしょうか。
○保岡説明員 今のところではございません。
○岡委員 この人工衛星の共同利用ということになると、やはり何らかの機密が伴いませんか。また機密の保持というようなことが取りきめの中にうたわれることにはならないものでございましょうか。私はしろうとでございまするので、率直な点をお知らせ願いたい。
○保岡説明員 先ほどから申し上げますように、実験研究に参加する、その計画に参加するための取りきめでございますし、秘密の点は全然ございません。
○岡委員 実験の参加ではなく具体的な実用に関する共同利用ということになっても、機密といりふうなことは取りきめの中には含まれないものでございましょうか。
○保岡説明員 実用につきましての問題は将来の問題でございますので、今こちらで申し上げるわけには参りません。
○岡委員 この人工衛星は多かれ少なかれ軍事的に利用され得るということもいわれておるわけでございます。そういうこともいわれておるだけに、やはり両国政府間の取りきめというふうなことに相なりますと、軍事的に利用しない、平和目的に限るということがはっきりうたわれなければなるまいと存ずるのでございます。こういう点については、郵政省の方ではどういう御見解を持っておられますか。
○保岡説明員 将来の問題でございますが、郵政省といたしましては、あくまでも電気通信のありのままの姿でいく、言いかえますと平和的な利用ということでいくべきだと考えております。
○岡委員 一般的に人工衛星の共同利用ということになった場合、この平和目的に限定するということが政府間協定においては明確にうたわれなければなるまいと思うのであります。一般的な人工衛星の共同利用という観点から両国政府用の取りきめという場合に、この平和ということが強調されなければならぬという点、この点についての近藤長官の御見解、いかがでございましょうか。
○近藤国務大臣 宇宙開発にいたしましても、その利用はあくまでも平和利用でなければならないということの原則は守っていかなければならないと思っております。
○岡委員 宇宙開発審議会の第一回の答申にも、宇宙開発のわが方の原則として平和目的ということが強くうたわれてございます。しかし、この宇宙の平和利用ということになりますと、すでに国連等においても大気圏外宇宙空間平和利用委員会等がいろいろ討議を重ねておるようでございますが、最終的には、宇宙法というような法の規制をもって大気圏外の平和利用、そうして国際的な開発協力というようなものが進められなければなるまいかと存じますが、現在特にこうした法律的な関係における国連の平和利用委員会における推移はどういうことになっておりましょうか。外務省の方もおられますので、この際御報告を願いたいと思います。
○根本説明員 お答え申し上げます。昨年の国連第十六回総会におきまして、宇宙空間平和利用委員会というものが新たに発足したわけでございます。これに基づきまして、この宇宙の法の方面を検討する法律小委員会というのがことしの五月から六月の間に開かれました。ただ、これはアメリカとソ連の代表の間で意見がまとまりませんがために、結論が出ないで終わりまして、今度開かれます宇宙空間平和利用委員会にそのことを報告するという段階にとどまっております。
○岡委員 大気圏外の平和利用という点については、日本の国会といたしましても、万国議員同盟の会合に対して覚書を出しておることは御存じの通りでございます。この覚書は、いわば平和目的に限るということ、同時に平等の原則に立つ、同時に宇宙はある一国の独占的なその意のままにしてはならないという趣旨が盛り込んであるわけでございます。この国会の意思というものは、今後他国との相互的な協定を結ばれる場合においても厳重に守っていただかなければならぬと私は信じております。この点について、近藤長官なりあるいはまた郵政省側なり、外務省側なりの御所信を承っておきたいと思います。
○近藤国務大臣 ただいま仰せの通り、平和、平等、一国の独占になってはならないというこの原則を貫いて参りたいと思っております。
○岡委員 情報によると、ソ連においても通信衛星の開発が相当に進められておるというふうなことも伝えられておるわけでございます。アメリカの計画を拝見いたしますと、一九六五年ごろでないとテレビのための通信衛星はきわめて困難ではないかというふうなことも聞いておるわけでございます。そういうことになると、これは通信衛星だけではございませんが、日本とすればやはりおくれて、そのおくれを取り返すという立場から、東西というふうな政治体制とか思想とか国境を越えた、大乗的な協力関係というものを結んでいく用意があるのかどうか。この点について近藤長官の御意見を承りたい。
○近藤国務大臣 具体的にどうという問題にまだぶつかっておりませんので、ここで明確にお答えいたしかねますけれども、いかような場合にいかような問題が出て参りましても、私の立場といたしましては、あくまでもそれが平和の目的に違背しないというものでありたいという念願をもって諸事を貫いて参りたい考えでございます。
○岡委員 私が申し上げておるのは、宇宙開発というような事業は、長い人類の夢を具体化しようとする、いわば人間の知恵の力の大きな結実である。こういう人間の英知の進歩というものは、これは国境を越えたもの、思想を越えたもの、政治の体制を越えたものとして全世界の協力の上に進められることがほんとうではないか。こういう大乗的な立場から、日本の宇宙開発に関する国際協力はぜひ進めていくべきではないかということをお尋ね申し上げたのでございます。 それはそうといたしまして、これも情報でございますが、ソ連においてはシベリア、最近は樺太をも含むインタービジョン・テレビのネットワークができておる。これが北海道との中継が可能になれば、そしてまたソ連のインタービジョンがヨーロッパのニーロビジョンと結びつくということになれば、いわばオリンピックのなま放送が別に人工衛星をわずらわさなくともできるというふうなことを、私はただ情報として聞いたことがございます。これは郵政省の専門家の方もおられますが、そういう事実があるのでございましょうか。
○西崎説明員 先生今お話しのように、東欧諸国の間にはテレビの国際中継ということでインタービジョンというものがあるように聞いております。それから、シベリアを横断してマイクロウェーブのテレビ中継線が工事中だということは聞いておりますけれども、それがどこまで現在完成しているかということにつきましては承知いたしておりません。
○岡委員 私はただ東京オリンピックの世界中継という立場からお尋ね申し上げているのでございますが、もしそれが完成をするということになれば、たとい通信衛星そのものが実用化し得ないとしても、テレビ中継というものがある程度まで国際的規模で行なわれ得る可能性が出てくるのではないでしょうか。そういう点で、いわば民族の祭典といわれオリンピックの中継のごときものは、そういうルートで国際的にテレビ中継をするというようなお考えがないか。この点を次官あるいはまた局長から御返事を願いたいと思う。
○保岡説明員 一九六四年の東京オリンピックの世界中継放送という問題は、国民があげて非常に熱望いたしていることでございますし、またその方向に向かってわれわれも実験研究等を通じて努力をいたしているところでございますので、そういう見地からいろいろ考えてみたいと思うのでございます。ただ、現在ソ連に通信衛星が上がっているかどうかとかいうようなことについての実際的な情報を何も持っておらないわけであります。従って、それにどういうふうに対応していくかということについて、まだ十分な検討が進められておらないのであります。
○岡委員 私が申し上げておるのは、アメリカの計画は今日のところではまだ実験段階であるというようなことでもあり、従って、国民がかりに東京オリンピックの世界中継を待望しておるとしても、技術的に衛星を媒介とする世界中継が困難であるとするならば、ソ連のインタービジョン、ヨーロッパのユーロビジョン、こういうネットワークを使用して世界中継がやり得ないものかどうか、この点をお尋ねしておるわけです。
○保岡説明員 可能であれば十分研究しなければならぬ問題だと考えております。
○岡委員 何はともあれ、先ほど来の御答弁を通じましても、オリンピックの世界中継通信衛星というものは、今日進んだアメリカにおいてもまだ実験段階であるということがはっきりいたしました。 そこで私は考えたいことは、このように先進国といえども、まだまだ実験を積み上げていかなければならない。宇宙開発の問題をおくれて出発した日本が、どういう体制をもって取り上げていくかということを、この際十分に政府としては検討していただきたいと思うわけでございます。ところが、たとえば組織の問題につきましても、ロケットは文部省の所管にある東大の生産研が研究を進めておる。なるほど相当の成果は上げておるようではございまするが、いずれにしましてもこれは文部省の所管です。かと思えば、郵政省の方では通信衛星に飛びついておられる。おそらく日米の科学委員会のテーマにも取り上げられておりますから、ハリケーンあるいは台風のための気象衛星の共同利用というふうなことが、運輸省方面から飛び出してくるかもしれない。こういうような格好で、せっかく宇宙開発といういわば大きな事業に取っ組もうとする日本の体制が、官庁のいわばセクショナリズムというこのままの姿でこれを進めていくことは、非常に大きなエネルギーを浪費する結果になりはしないかと私は思うわけです。なるほど科学技術庁に研究調整局というものができました。しかし、私は単に研究を調整するという受け身な調整ではなく、もっと研究の総合化をはかる、同時に宇宙開発の業務を実施する、こういうようなための中核をつくるべきではないかと存ずるのであります。 現にアメリカのNASAについて申し上げましても、NASAはなぜできたか。施設、機材、活動の無用な重複を避けるため、合衆国のすべての関係ある諸機関との密接な協力のもとに、合衆国の科学的、技術的知能の粋を集めて、最も効果的な利用をはかるということがNASA設置法の大きな目的になっておる。こういうようなNASAの生きた事例というものは、日本にとってはきわめて私はとうとい経験だと思う。 そういう意味合いにおいて、宇宙開発のための中核的な組織を日本としてもつくる、こういう御方針、御決意があるかどうか。この点について近藤長官の所信を承りたい。
○近藤国務大臣 ただいま岡委員の仰せになりましたように、今日の時代に宇宙開発のために一つの中核としての役割を科学技術庁が果たしていくために、各役所のセクショナリズムを打破しなければいけないという御説に対しましては、私もきわめて同感でございます。しかし、いろいろ検討いたしてみますと、何と申しましても、まだ宇宙を対象にいたしまして事を運びだしましてから年が浅いものでございますから、そういうことが妥当だという考え方は持っておりましても、あまり飛躍するというわけにも参りませんので、現在の段階といたしましては、今の体制でより強化をしていくというよりほか道がないのではないかと考えております。しかし、重ねて申し上げますが、これは大へんいい体制だとは決して思っておりませんので、なるべく早い機会に、岡委員が御指摘になりましたように、宇宙開発の一つの中核体としての科学技術庁の役割を果たしていくべきだという考えは十分持っておるつもりでございます。
○岡委員 そのような組織なり、あるいはまた組織の運営については、十分学界等の意見を尊重せられて、民主的に運営をしていただかなければならないことは申し上げるまでもございません。 もう一つ、組織と同時に予算の問題でございます。私も驚いたのでございますが、本年度におけるアメリカの平和利用の予算は一兆円。ところが、宇宙開発審議会の五カ年計画の総予算が三百億余り。もちろん私は一挙に一兆億にしろなんということを申し上げるわけではございませんが、やはりこれはこれらの中核をつくり、その運営の衝に当たる方、あるいは科学技術庁の大きな決心が必要だと思う。予算をとってきますと近藤長官は申しておられまするが、やはりこれは国全体としてもこの予算については相当な関心を持ってもらわなければならないと存じます。この点はぜひ科学技術庁なり、関係方面においてもがんばってもらいたい。 次には、国際協力の問題でございます。 国際協力について申し上げたいことの第一段は、先ほど、政治体制を越えて、やはり人類の英知をさらに国際協力の形で進めていくという体制から、大乗的にぜひ一つ協力関係を結んでもらいたいということを申し上げましたが、その次には具体的な問題として、一体現在の国際協力のための窓口がこれでいいのか。ここには科学課長もお見えでございまするが、科学課長にしてみれば、原子力もやれ、宇宙開発もやれ、近代科学は全部科学課長の窓口に持ってこられる。これはまことに大へんなことだと私は思う。こういう意味で、やはり国際協力の窓口の強化、特にその道その道の専門的な権威を十分正規にスタッフとしてかかえ込みながら、この国際協力の窓口を強化するということ、これは私は今日非常に必要なことであろうと思う。この点は実は外務大臣に申し上げたかったのでございますが、おられません。次官もおられませんならば、これは一つ局長なり課長から伝えてもらいたいのだが、ぜひ外務省としても、君ばかりにあまり肩の荷が重いから、今後原子力の上に宇宙開発も重なってくるということになると、よほどこの国際協力の窓口を強化する、専門的なスタッフを充実するという点を私は強く要望いたしておきたいと思います。 最後には、特にこの宇宙開発の運営にあたって注意を願いたいことでございまするが、今日外国の技術導入ということが非常に問題になっておる。民間の企業家が目前の利益のためにすぐ安易な技術導入に急ぐことはいたし方がないといたしましても、幸い日本の宇宙開発における今日までの努力というものは、ほとんど国産品と国産技術でやっておるのじゃないか。これは私は非常に貴重なことであり、この精神を失ってはいかぬと思う。でありますから、何か目新しいことがあればすぐ外国に依存をするという考え方をやめて、今日、日本の宇宙開発が、とにもかくにも日本の科学者の独自な創意と、あるいはまた日本の企業の製作によってまかなわれておるというこの事態をやはり育てていく。国産的な国産と申しても偏狭な国産ではございませんが、あくまでも日本の技術によって育てていくという立場から、基礎研究というふうなものには、もっともっと力を入れていく。すぐ実用化に走らないという方針の上に立って、日本の宇宙開発をぜひ進めていただきたいと私は思う。あるいは兼重会長なり、近藤長官の御所見があれば承りたいと思います。
○近藤国務大臣 ただいま仰せになりましたように、日本の科学技術というものを尊重しなければならないという御説に対しましては、私も非常に同感でございます。科学技術庁の仕事が、ややもいたしますと原子力だ、宇宙だということ、これはもちろん大事なことではございますけれども、その反面において基礎科学技術といったようなものに対しても十二分に考慮していかなければならないということは考えておるわけでございます。その他のことにつきましては兼重委員よりお答えいたします。
○兼重説明員 お答え申し上げます。私ただいま宇宙開発審議会の会長の任期が過ぎておりますことだけは御承知と思いますけれども、それにもかかわらず、あるかのような御返事をいたしますことをお許し願いたいと思います。 ただいま岡先生がおっしゃいましたようなことは、これまで日本の宇宙開発がそうでございましたが、これは私から見ますと、環境がそういうふうにさせてくれたことが幸いであったと思うのであります。というのは、現在の日本の宇宙開発の段階では、産業界がどういう仕事にありつけるかということについてあまり多くを期待する段階ではなかったので、今のようなことが起こらなかったというだけではないかと思います。そこで、これからあと、だんだんこの事業が大規模になって参りますと、今までのようにいけるかどうか、私にはよくわかりませんけれども、政府の方針としては今までのようなことが当然あってしかるべきだと思うのであります。それには、あくまで、これまでの日本の開発がおもに大学関係の専門によって行なわれてきたという実績には、相当関心を持っておっていただきたいということが私の念願でございます。
○岡委員 以上、私は今後の宇宙開発においては、とにもかくにもやはり研究並びに業務を実施する中心的な、中核的な機関をつくるということ、国際協力の窓口は強化し、東西両陣営の対立を越えた大乗的な見地において協力を進めてもらいたいということ、同時にまた、基礎研究の強化充実という点に十分な配慮を加えられ、日本人の科学的なポテンシャルを十二分に生かすような配慮を切に持ってもらいたい、この三点を強く私は要求いたす次第でございます。 私の質問はこれで終わります。
○山口(好)委員長代理 西村関一君。
○西村(関)委員 総理府に科学技術会議、原子力委員会、放射線審議会、宇宙開発審議会、海洋科学技術審議会等の機関が設けられておるのでございます。それには、特に科学技術会議、原子力委員会には、科学技術庁なり枢要な方々が参加して、あるいは委員長に大臣が就任しておられるというような形でこの機関が動いているのであります。聞くところによりますと、文部省におきましても、最近、学術振興会議をつくろうという構想があるやに承るのであります。文部省は文部省で、特に人文科学も含めた基本科学の振興についての構想を持っておられるというふうに漏れ聞くのでありますが、そういう点について当局におきましてはどのような考え方を持ってこれに臨まれるか、あるいは調整をさせられるか。そういうことについて何かお聞き及びの点がありましたならば一つお聞かせを願いたい。大臣もしくはその他の政府委員のどなたからでもけっこうであります。
○近藤国務大臣 ただいまの件につきまして、私はまだ聞いておりませんが、どなたか承知の人がありましたらお答え願いたいと思います。
○内田説明員 おそらくそれはこういうことだろうと存じます。皆さんが当委員会におきましても熱心に勉強をいただいております科学技術基本法と関連して、同趣旨をもちまして、御承知のように日本学術会議の方からは科学研究基本法というような勧告がございますし、また、大学ないし文部省の方からは学術研究振興法というような構想があるわけであります。いずれも基本法のラインをいくもので、取り上げ方が、今仰せのように、あるものは自然科学のみを取り上げ、あるものは人文科学も含めてというようなやり方でございますが、それらに関連いたしまして機構問題もそれぞれ出てきております。しかし、これは科学技術基本法にいたしましても、学術研究振興法にいたしましても、十分政府部内において調整をいたさなければならない問題でありまして、まだ文部省といたしましても、科学技術庁の方に、あるいは政府の部内に正式にそれらについての打ち合わせがきておる段階ではない、検討中だと私は考えております。
○西村(関)委員 文部省の方のこれに対する考え方を聞きたいと思っておったのですが、まだお見えになっていないそうであります。私の聞いたところによりますと、すでにそのような構想が練られて具体化しつつあるということでありましたから、休会中にでもなれば、それが一方においてどんどん文部省によって進められていく。もちろん科学技術庁や総理府に対して連絡があるとは思いますけれども、国会が閉会になりますので、閉会中にわれわれが知らないうちに、そういうことがあるいは進められてはいかがなものであろうかと思いましたから、私はこの機会に伺ったのでございます。そういう点については、万遺漏のない処置がとられることとは思いますが、やはり閣内不統一といったようなことのないように、各省のなわ張り争いといったようなことのないように、十分に慎重な御配慮をいただきたいと思うのであります。今の御答弁では、まだ文部省からそういう具体的な学術振興会議の案が提示されていないから何とも答えられないというような意味の御答弁だったと思いますが、何か具体的なそういう案が出てなくても、政府委員の中においてその構想が伝えられておるといったような点について御承知の面がありますならば、お答え願いたいと思うのであります。
○内田説明員 文部省の方にそういう構想があることを、少なくとも科学技術庁には何らの連絡がない。科学技術庁の方面から察するのに、今申し上げましたように、学術振興法あるいは学術研究基本法、こういう一種の基本法的なラインの中に取り入れられる構想として文部省において検討せられておる段階にすぎないのではないかと私は考えております。 しかし、正直に申しまして、科学技術庁はそのことは非常に深く考えなければならない問題であると考えておりますことは、御承知のように科学技術庁が統括いたします科学技術の総合施策の範囲に、大学の研究にかかわるものは除かれておるわけであります。でありますがゆえに、科学技術会議というようなものをわざわざ内閣総理大臣のもとに設けまして、それには科学技術庁の長官のほかに、たとえば東大の総長をされておる茅先生でありますとか、あるいは日本学術会議の議長の和達さんでありますとか、そういう方々をも含めまして、ひとり科学技術庁が科学技術庁設置法に基づいて総合的処理をする範囲だけでなしに、大学の研究につきましても総理大臣のもとで総合的にその推進ができるような仕組みで科学技術会議ができておるのであります。それをまた、その機能の意義を殺すような機構を別につくるということは、私どもとしても非常に気にしておるわけでございます。文部省におきまして、そういう考えが具体的に進むようなことでありますならば、これは政府部内においても十分総合的に考えて参らなければならぬ問題だと存じております。
○西村(関)委員 大体御答弁によってお考えは了承できると思うのであります。今の言葉にもありましたように、大学の研究の面は除かれておるということで、文部省の大学学術局でありますかにおいて、独自な立場で大学を中心にした学術振興ということを考えられるということも一応うなづけると思うのであります。しかし、学術振興という非常に大きな立場からいたしますと、これはただ単に一つの局だけで、あるいは文部省だけで取り上げらるべき問題ではないと思うのであります。ただいまの御答弁の趣旨もそこにあったと思うのでございます。それにもかかわらず、別の一つの審議会が、学術振興会議という名前のものが文部省の中につくられるということになると、どうもそこに別な領域、同じ振興の対象となるべき分野が別の領域において取り扱われるということになりかねない心配があります。そういうことが具体化しない、そういう話は全然今のところ聞いていないからいいということならば、質問をする必要はないのでありますけれども、私はそういうことを聞いたものですから、国会の閉会中に、次の国会までにどんどん進められるということになると困ると思うので、伺ったのです。今文部省の岡野審議官がもう文部省を出たということでありますから、間もなくお見えになると思いますけれども、そういう点について、もう一度明確に御所見を承りたいと思うのであります。
○内田説明員 科学技術庁ができます際に、科学技術庁が科学技術に関する総合的の調整あるいは企画推進というような機能を持ちながら、ことさらに大学の研究にかかるものを除くということにいたしましたのは、大学の研究の独立とか、自主性とかいうむずかしい問題がからんでああいうことになっておるわけだと思います。でありますから、西村先生のお考えはよくわかるのでありますが、これを今日一気に大学の研究までも科学技術庁で統括するということに持っていきますことは、これはなかなかむずかしい問題がありましょう。が、少なくとも科学技術庁ができましたときの、大学の研究にかかるものを除くというみぞをさらに一そう深めるようなことは、これから先ずべきではないと私どもは考えております。科学技術庁長官が大学の研究を統括しなくても、先ほど述べましたように、科学技術会議というような総理大臣のもとの機構によりまして統括する方途をも別に講じられておるのでありますから、そういう趣旨を無にするような動き方というものは私は適当ではないと考えます。もし文部省の方で、大学の研究なりあるいは文部省方面の科学技術なりを、別個に総合的に処理するような機構を考えておるとしますならば、これは政府の中の問題としまして、従来の進み方とも対応して、そこに矛盾を来たしたり、あるいは悪い面をさらに伸ばすことがないように私どもは進んで参りたい、こういうことでございます。
○西村(関)委員 この科学技術庁設置法の建前からいきますと、いわゆる人文科学の面は一応省かれているわけでございます。そういうようなところからも、文部省においては人文科学を含めた基本科学の学術振興ということを考えておられるのではないかということなのであります。それにいたしましても、屋上屋を重ねる、あるいは閣内不統一というような結果が出てこないとも限らないという心配をするのであります。大学の研究の自由というものにまで他の力が加わっていくということがあってはならないことは申すまでも、ございませんが、少なくとも学術振興という立場に立って、大学の協力も含めて国策としてこれを総合的に取り上げていくという場合におきましては、今私が申し上げたような心配を取り除いていく心要があるのではないかと思うのであります。政務次官の御答弁の趣旨は私もよく了解をするのであります。 ただいま岡野審議官がお見えになりましたから、文部省において、そういう趣旨の学術振興会議を設けようというお考えがあるのかないのか、お伺いをいたしたいと思います。
○岡野説明員 文部省の行なっております学術行政が、大学を中心にしまして、人文、社会、自然科学の基礎研究を主体にして振興をいたしておるわけでありますが、かねてから文部省の学術行政は微弱じゃないか、もっとこれを強くしてほしいという学者の要望があるわけでございます。現在文部省では、あるいは科学研究費等を計上いたしまして、いろいろな研究の振興に努力しておるわけであります。さらにいろいろな点で施策を充実し、強化したいという考えでございます。そのために、いろいろな計画を立案はしておるわけでございます。 その一つとしまして、文部省の学術行政に参与するような形の機関を設けたらどうかということでございまして、現在この計画を考えておる最中でございます。それがどういう名称になるかは、はっきりまだ最終的には固まっておりませんが、一応学術振興会議というようなものを文部省に置きまして、文部大臣の学術行政について、それに大所高所から参与するような性格のブレーンを持ちたい、こう考えておる次第でございます。
○西村(関)委員 ただいま岡野審議官のお答えによりますと、文部大臣のブレーンとしての学術振興行政の機関を設けたい、こういうお考えのもとに計画を練っておられるということでございます。それは文部省の立場からいたしましたらばそういう構想をお持ちになることも当然であり、文部省の立場が特に大学を中心とした学術振興に努力を重ねられるということは当然だと思いますが、先ほどから、あなたがおいでになります前に、私が科学技術庁に対していろいろ質問をいたしております点は、国の科学技術振興という点については、科学技術会議というものが、科学技術庁が中心となって総理府に設けられておる。こういう機構の中におきまして、文部省も設けられようとしている新しい機関との関連がどうなるか。それぞれ独立した機関として活動して参ります場合に、考え方の相違も出て参りましょう。従って、施策の打ち出し方に若干のニュアンスの違いも出て参りましょうし、そういうようなことから閣内不統一というような好ましくない結果が出て、国全体の学術振興、科学技術振興に支障を来たすことがありはしないだろうかという心配をするわけであります。この種の審議会が総理府にまとめられておりますゆえんも、そういうところから出ておると思うのでありまして、そういう点に対しての御配慮、また新しい文部省の学術振興会議といいますか、どういう名前になりますかわかりませんが、そういうものをおつくりになる上についての、すでにありますこれらの機関との関連ということについてどのような配慮をしておられますか。この点をお伺いいたしたい。
○岡野説明員 科学技術会議が総理府に設けられておりまして、これが人文科学以外の科学技術行政に関する関係機関との施策の総合調整に当たる目的のある機関であることは十分承知しておりまして、文部大臣も議員になっておるわけでございます。従いまして、文部省の学術行政とその他の省の行なう科学技術行政との連絡調整はもとより必要だと存ずるわけでございますが、科学技術会議はさらに一段高い立場で、文部省の学術行政とほかの省の学術行政との連絡調整をしていただく機関だというふうに考えておる次第でございます。
○西村(関)委員 文部省の学術振興会議といいますか、名前はとにかくとしても、私はこの種のものをつくられることに反対じゃないのです。反対じゃないのですが、運用を誤りますと、先ほど申し上げましたように、熱心なあまり全体の連絡調整のワクをはずれた跛行的と申しますか、一方だけが進み過ぎるといったような傾向が出る心配があります。この点については、今お話しのように、十分な連絡をとりながらそういうことのないようにしていこう、そういう配慮は十分に持っているということでありますから、具体的な案が文部省から出されまして、その案を拝見いたしました上でなお御質問を申し上げたい。今はただ構想だけでとどまっているのでございますから、これ以上のことをお尋ねいたしません。審議官の御答弁の趣旨は了解いたしますから、具体的な案が出ましたならばあらためてこの問題に対して質問をするということで、質問を保留いたしまして、一応きょうの私の質問は終わりたいと思います。 ————◇—————
○山口(好)委員長代理 この際、安倍晋太郎君より宇宙開発の体制整備に関する件について発言を求められておりますので、これを許します。安倍晋太郎君。
○安倍委員 私は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党、三党共同提案によりますところの宇宙開発の体制整備に関する決議案を提出いたします。 まず、案文を朗読いたします。 宇宙開発の体制整備に関する件(案) 宇宙空間の学術的研究と実用面の開発とは、現下の国際情勢の進展にかんがみ、わが国においても強力にその推進を図らなければならない重要な課題である。 今後の宇宙開発に当っては、研究投資が相当大きいこと、国際協力関係の重要問題が伴うこと、官民多数の機関が関係を有すること、海外における研究開発の進歩発展が極めて急速であることなどを考慮に入れ、政府はこの際、宇宙開発の中枢的審議機構としての宇宙開発審議会の強化、宇宙開発実施の総合的推進を図るため科学技術庁を中核とする国係各省庁の一体的機構の設置など宇宙開発の体制整備を図り、わが国宇宙開発の総合的効率的実現に遺憾なきを期すべきである。 右決議する。 本決議案提出の趣旨につきましては、本委員会の質疑においても明らかにされておりますが、要するに、宇宙開発の仕事は政府並びに民間多数の機関の全面的な協力を得て初めて達成されるのであります。そのためには、まず第一に、各方面の有識、経験者を集中して、国に中核的な宇宙開発審議機関を設け、宇宙開発の基本方策を樹立することであり、また第二には、このようにして決定された方策の実施については、国の行政機関を一体化するために科学技術庁がリーダーシップをとって宇宙開発推進本部ともいうべきものを設けるべきである、大体こうした二点を要点とするわけでございます。 どうか皆様の賛成をお願い申し上げます。
○山口(好)委員長代理 本件に対しましては別に御発言がないようでございますので、ただいまの安倍晋太郎君よりの御提案の通り、宇宙開発の体制整備に関する件を本委員会の決議とすることに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山口(好)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 この際、ただいまの決議に対する政府の所見を聴取いたします。近藤国務大臣。
○近藤国務大臣 ただいま御決議になりました宇宙開発に関する決議の御趣旨を十分尊重いたしまして、できるだけの努力をいたして参りたいと思います。
○山口(好)委員長代理 なお、ただいまの決議につきましては、関係当局へ参考送付いたしたいと存じます。その手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山口(好)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決しました。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時三十九分散会