運輸委員会 第2号
- 発言数
- 165 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1962/08/22
会議録
○木村委員長 これより会議を開きます。 この際、小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。 すなわち、都市交通に関する小委員会、観光に関する小委員会及び踏切道整備に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○木村委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 なお、各小委員の員数並びに小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。が、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○木村委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 各小委員及び小委員長は、追って公報をもって指名することといたします。 また、委員の異動に伴い、小委員及び小委員長に欠員が生じました場合、その補欠選任等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○木村委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 ————◇—————
○木村委員長 この際、運輸大臣より発言を求められておりますので、これを許します。綾部運輸大臣。
○綾部国務大臣 私、このたび運輸大臣に就任いたしますにあたりまして、運輸行政につきまして一言所信の一端を申し述べたいと思います。 運輸省へ参りましてから、いまだ日が浅いのでございますが、海陸空にわたる運輸行政には、現在各方面に重大な問題をかかえておりますことを痛感いたした次第でございます。私は、運輸行政につきましては、まことにふなれでございますので、皆さま方の深い御同情と御支援、御指導によりまして、これらの重要な問題の解決に当たりたいと念願いたす次第でございます。 この機会に、当面しております運輸行政の重要事項につきまして、私の考え方を簡単に申し述べまして皆様方の御協力を仰ぎたいと存じます。 まず、わが国経済の安定成長のかぎである国際収支の均衡をはかるため、海運、航空、観光等の貿易外収支の改善に努力するとともに、船舶、鉄道、車両等の輸出の振興を強力に推進いたしたいと存じます。特に海運については、その劣悪な企業基盤を強化して、将来にわたり国民経済における海運の使命を遂行するため、さきに海運企業の整備に関する臨時措置法案並びに船舶職員法の一部を改正する法律案を提出した次第でありますが、これがすみやかな御審議をお願いするとともに、海運振興のための有効な対策を今後とも講じて参りたい所存でございます。 また、航空につきましては、世界一周路線の早期開設、国際交通路網の拡充に努力いたすとともに、外客宿泊施設その他の観光施設の整備を促進いたしたいと存ずるものであります。 次に、輸送力の増強につきましては、港湾、鉄道、道路等の基幹輸送施設の整備の立ちおくれが、経済発展の重大な隘路となって現われましたことは、最近のにがい経験によって広く認識されておるところであります。しかしながら、運輸施設の整備には、巨額の資金と長い期間を必要とするものでありますので、合理的かつ計画的な整備を、一時的な景気の動向にとらわれず推進して参る必要があると考える次第でございます。 このため、港湾につきましては、先年決定いたしました港湾整備五カ年計画の推進を、鉄道につきましても、国鉄五カ年計画の内容を慎重検討の上、東海道新幹線の早期完工をはかるとともに、鉄道網の整備を推進する等、輸送力の増強に努力する考えでございます。 また、特に最近における大都市の交通の逼迫が大きく世論の関心を呼んでおり、政府としてもこの問題の解決に努力を傾注し、成果をあげております。が、運輸省といたしましても、今後さらに地下鉄道網の整備、自動車ターミナルの整備等を推進し、国民の期待にこたえるよう努力を続けて参りたいと存じます。 最後に、最近国鉄三河島事故を初め、重大な交通事故が発生しておりますことは、はなはだ遺憾でございますので、今後一そう海陸空にわたる交通機関の事故防止対策を強力に推進して参りますとともに、海上保安業務、防災気象業務等につきましても、施設、人員を充実いたしまして、災害の防止に努める所存でございます。 以上、運輸大臣就任にあたり、今後の運輸行政の方向につきまして簡単に考え方を申し述べさせていただいた次第でございます。皆様方の絶大なる御協力を重ねてお願いいたしまして、私のごあいさつといたします。(拍手)
○木村委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
○久保委員 ただいま運輸大臣から、就任にあたっての所管行政の所信の表明があったのでありますが、運輸行政の中で当面重要と思われる問題をそれぞれお述べになったわけであります。その一つ一つについては、この国会中においてさらに詳細に御所見を承りたい、こう思うのでありますが、さしあたり二、三の点についてお伺いをいたすわけであります。 まず第一は、海運問題についてであります。もちろん前国会より継続審査の形をとっております海運企業の整備に関する臨時措置法案でありますが、この法案の内容その他についてはあらためてお伺いをいたしたいと思うのであります。 聞くところによりますれば、政府自体においても、提案はしてみたものの、どうもこれでは実体に合わぬという空気が濃厚である。よってこれは一つ何らかの形で別の方法を考える以外にないだろうという空気があるそうでありますが、今日提案はされておりますが、この法案自体を、所信表明に述べられたように、やはり成立を期するというのが、今日の政府の御方針であるかどうか。もしも成立を期するというならば、国会に働きかけて、その審議を促進いたすのが筋かと思うのでありますが、そういう気配もないようであります。微妙な段階になっておると思うのでありますが、いかなる方針で今日臨まれておるのか、明確にお願いしたいと思うのであります。
○綾部国務大臣 ただいま御審議を願わんとしている海運強化に関する臨時措置法案をもって満足いたしているものではありません。がしかし、これをまず通して、しかる後にいろいろな各種の意見を総合いたしまして、さらに前進する考え方をいたして参りたいと考えておりまして、この法案は提出のときの第二次池田内閣の運輸大臣並びに総理において最善なりとして出した案でございますから、これは私はぜひ通したいと思います。
○久保委員 満足ではないが、一応通してもらわなければいかぬ、こういう御表明でありますが、そうだとするならば、審議を促進すべきであるし、われわれの見解としては、少なくとも大臣心の中でお考えのように、海運問題は、現在提案されている法律、それに基づく政策だけでは、残念ながら、これは九牛の一毛と言っては語弊がありますが、当然足りない。よって、この法案の扱いについて、われわれは当然本会議において提案の趣旨説明をお願いし、これに対してわれわれが質問を述べるというのが順序かと思うのであります。よって私は、ここで希望を申し上げますが、少なくともそういう政府の方針であるならば、早急に本会議に上程をいたし、ここにおいて説明をして、そして審議の進行をはかるべきかと私は思っております。 さらに、これに関連して、この企業基盤の法案に関連すれば、十八次船についてはどういうふうになさる御方針なのか、こういう点についておよその見通しがあるのかどうか、今日、造船工業は船台のあきを非常に心配し、広範な関連企業を持っておりますので、この措置にいわゆる注目をしておるわけでありますが、政府としてはいかなる御方針であるのか、これまたあわせてお伺いしたいと思います。
○綾部国務大臣 この法案の実施の結果、皆さんの御協力を得て通過いたしました暁におきましては、船台等のあかないように努力する考えでございます。
○久保委員 船台があかないように努力するというのは当然であります。それじゃこの法案に関係して十八次船を考えるのか、あるいはこれと切り離して別途に考えていくのか、その辺のめどをつけるべきではなかろうかと私は思うのでありますが、本日は詳細にお伺いする必要はないかと思います。一応われわれとしては、今のお話の通り、少なくとも造船工業に重大な影響を与えないように措置をとるべきだろうと思うので、この考え方だけを申し上げておきます。 —————————————
○木村委員長 日本国有鉄道の経営に関する件について調査を行ないます。 質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
○久保委員 次に、国鉄経営の問題についてでありますが、ただいま大臣が、いわゆる輸送力の増強が立ちおくれておる、それが経済の発展の隘路になっておる——これは、今日ただいまの問題じゃなくて、もう数年来の日本経済における特有の現象であります。そのために、政府並びに国鉄は、第一次五カ年計画を出発させたのであります。これまた投資不足のために、同時に累積するところの投資不足というか、その問題と、さらに経済の発展に伴わない、二つの面から第二次五カ年計画の改定ということになったわけであります。今日第二次五カ年計画の第二年目になるわけでありますが、さしあたり三十八年度の国鉄輸送力の増強その他の見通しについては、どのように考えておりますか。 まず第一に、先ほどの所信表明では、五カ年計画の内容を慎重に検討すると言われておりますが、いかなる点を検討されるのでありますか。さらに幹線の早期完成ということを言われておる。われれわが感じておる面においては少なくとも五カ年計画の内容そのものを実行するのにも、最近においては国鉄財政そのものがこれに伴わない実態になってきていはしないか。改良計画その他を含めて、五カ年計画が今までの計画自体を遂行するに困難を来たしはしないか、これが心配である。特に幹線あるいは通勤輸送、そういうもののネックというものがさらに改善されないというか、改善はされたにしても、今日の経済の伸びには残念ながらこれの需要を満たすことが不可能になってきた。そこで、昨年の秋にも、いわゆる白紙ダイヤ改正といわれるところの、線路容量目一ぱいの、いわゆる技術的にも、あるいは人的な面からいっても、限度に近いダイヤ改正をしておるわけであります。 そうしますと、今日ただいまの国鉄の現有施設においては、残念ながら今日ただいまの輸送を円滑にやり得ないと同時に、さらに今後の需要には応じ得られない実態ではなかろうか、そういうことがあります。しかも、それから派生するところの、三河島を出発と言っては語弊があるが、三河島を初め幾多の重大事故が発生しておる。これは単に、監査委員会その他世論からもあげられておりますが、人間のたるみからきているということだけに一言にしてこれを押しかぶせることは不可能かと思います。それからこれをおおい隠すところの人間の能力の限界があるということをまず指摘するならば、いわゆる施設の面についての充実を新たな課題として国鉄が今日処理せねばならぬ実態かと思います。こういう問題についてさらに御検討をなさると言うのか。御検討をなさる場合には、当然裏づけとして、財政計画はどういうふうな方針でなさるのか。 さらに、新幹線の早期完成であります。ここまでやって参りましては、この賛否のいずれを問わずにしても、膨大な施設をねせておくわけには参らない。よって、輸送力の増強の一環としても、やはり遊休施設としてこれをねせておくことでなくて、早期に完成してこれを役立たせる、経済効果を発揮させるというのがやはり一つの理論でありましょう。しかしながら、一方聞くところによりますれば、鉄道建設審議会においては、新線の建設のために膨大な公共投資をいたそうとしております。 この三つの問題について、いかようにバランスをとり、いかように今日の輸送需要に応じようとするのか、その点についての御見解をお願いしたいと思います。
○綾部国務大臣 ただいまの御意見は、当面の鉄道問題について、尽きておると思います。全部、久保委員の仰せの通りでありますが、御承知のように、三十六年から九千七百五十億円で五カ年計画をやっておる。ところが、その後の輸送対策上これではいかないというので、これをさらに変える財政上の処置その他について研究をいたしております。そして来年度の予算にこれを要求するつもりでございます。詳細は政府委員から説明いたさせます。
○岡本政府委員 ただいま大臣が申し上げましたように、国鉄の新五カ年計画につきましては、前大臣のとき、すでに経済成長の伸びに対応いたしましてはたして適正なものであるかどうか、それから、資金量から見てはたして遂行可能であるかどうかというふうなことにつきまして、再検討を国鉄当局に命じておったわけでございます。やはり御指摘のように、問題は、経済成長の伸びに対応してはたして適正であるかどうかということと、それから、東海道の新幹線は、ぜひとも所期の通り早期に完成しなければならない、こういうことであろうかと存じます。 目下一番心配いたしておりますのは、やはり新五カ年計画がお約束の通り九千七百五十億円という資金量でもってできるかどうかということであろうかと存じます。この問題につきましては、ただいま国鉄の方から来年度予算に関連しまして案を出して参っておりますので、目下検討中でございます。 それから東海道の新幹線につきましては、これは仰せの通りでありまして、あれだけ膨大な投資をして参っておりますので、ぜひとも三十九年の十月ころまでには完成させたい、こういうふうに考えておりますが、今、大臣が申しましたように、やはり収入の伸びにある程度の限界がございますし、また経費もだんだん増大して参りますので、みずからの原資によるところの資金量を増大していくという方法は、非常にむずかしいのじゃないか。そこで財政投融資を中心とする借入金がどうして達成できるかということに一言にして言えば尽きるように思います。目下その点を中心にいたしまして考えておるわけでございます。もちろんこの修正につきましては、単に輸送力の伸びが経済の成長についていけないというそれだけの問題でなくて、三河島事件を中心とします新しい事故の対策に要する、保安対策の強化と申しますか、これに要する経費も相当見込むべきだと考えております。この点も国鉄から申し出がございますので、十分検討してみたいと考えております。 それから、第三点の新線建設について、運輸省は膨大な計画をしておるではないか、こういうことは資金的に見て双方の間の関連、調整をどういうふうに考えるのだというふうなお尋ねでございます。確かに非常に大きな問題でございまして、さればといって、われわれはその必要性をいずれも十分認めてはおりますので、政府全体として来年度の財政規模というものをどういうふうに持っていくかということにも関連いたしまして、今後十分検討してみたいと考えております。
○久保委員 ただいま鉄監局長の御説明の中で、やはりこの輸送力増強、特に国鉄に関係する部面では、五カ年計画をどうやっていくか、これには相当な資金的な問題が出てきている、こういうことなんです。さらにもう一つ新しい問題として保安対策に重点を置かなければならぬ、当然だと思うのです。これは今まで積極的でない格好でやってきたしわ寄せがここに出てきている。これはやはり国鉄に課された至上命令として、保安対策の充実をはからねばならぬ、こう思うのであります。 さらにもう一つは、東海道新幹線の早期完成、さらにもう一つは新線の建設といったこと、早く言えばこの四つの柱、大きく分けて三つの柱をいかにやっていくかということが問題だと思いますが、今日の財政事情の中では、どれだけ政府が責任を持ってやられるのかわかりませんけれども、少なくとも大きく分けて三つ、細分すれば四つの柱について十分な手当ができるとは私は思えない。そこで問題になるのは何かというと、新線建設問題がやはり一つ残るわけです。今日既設線区における輸送力増強というものが実際至上命令ではなかろうかと思うのです。なるほど低開発地帯の振興あるいは産業都市の分散、こういうことを考えれば、当然これに伴うところの新線建設というものがあり得ると思うのです。しかし、これは道路行政と並んで考えらるべきであって、鉄監局長が言うところの、それぞれいずれも必要であるから云々というのは、過去何十年来予定線なり調査線になっているものがあるのですが、これの再検討を今日しているのかどうか。これがまず第一。 さらにもう一つは、これは一つの試案で、建議になっていないそうでありますが、新線建設とその財源、こういうものを一例にとってみますと、たとえば通行税あるいは市町村納付金相当額、こういうものを引き当てにしようとしております。これは既設線区の改良その他に当然回すべき性格のものであります。新しい線の建設にかかるものを回すべきでない、というのは、少なくともこの通行税は、今日国鉄に乗っている者の負担であります。さらにもう一つは、市町村納付金の問題は、当該線区における市町村の財源、出すならばその市町村とそこにあるところの線区は密接不可分の関係で、そこにあるところの輸送力改善に使わるべきであっても、これを他に流用して新線建設に回すべきでないという理屈があるわけです。その問題は、いずれにしてもこの大きな三つの柱を完成することは、私は今日の段階では、残念ながら不可能に近いと思うのであります。よって今日それを要点としてしぼれば、五カ年計画の内容を経済の伸びに合わせるというものではなくて、少なくとも既定計画だけは完全に遂行させるというのが政府の責任であり、国鉄の責任だと思う。これしもできないで新幹線の早期完成あるいはさらに新線建設の云々ということは話が違うと思う。国民が了解しない。だからそういう点について明確な方針を示すべきではないか、こう思うのであります。これを、あなたのお話では、並列でやっていこう、並列でやっていこうということは非常に不可能だと私は見ている。不可能でないというならば財政計画はどうするのか。ただいま慎重に検討中だけでは、残念ながら明年度予算は組み得ないのではなかろうかと思う。 さらにもう一つつけ加えておくならば、国鉄は今日大きな転機に立っている。転機に立っているというのは、財政的にはいわゆる輸送力増強の問題が一つある。さらにこれを左右するところの政治的な一つの問題がある。そこで考えられるのは、今日のトップ・マネージメントといっては語弊があるが、トップ・クラスにおけるところのいわゆる人的な問題がありはしないかと思う。これは残念ながら理屈やその他ではなくて、少なくとも政治情勢というのが複雑である、だからこの転機を求めようとするならば、特に五カ年計画の新幹線の早期完成をするとするならば、少なくともそういう政治的な配慮も私は必要な段階ではなかろうかと思うのです。国鉄総裁には相済まぬことでありますが、少なくともそういう事態にわれわれの側から感じておるのでありますが、運輸大臣としてはその点はどうお考えでありますか。
○綾部国務大臣 お答えいたします。私はトップ・マネージメントとおっしゃる意味がよくわかりませんが、私は運輸行政の最高責任者として、また国鉄総裁は日本国有鉄道の総裁として、最善を尽くしておると思います。ただ……。(「尽くしておらぬ」と呼ぶ者あり)私はそう考えております。そういう方針で参って、今後ただいまの御意見でよく反省いたしまして努力をいたしたいと考えております。
○久保委員 私の質問がわからなかったようでありますが、大臣のお話もよくわかりません。これはなかなか重要な問題でありますが、少なくとも私は、この際はっきりして、一つの転機をつかんで、国鉄の前進なら前進をはかるというのは至上命令だとするならば、やはり首脳部はやるべきだ、こういうふうにも考えるわけであります。これははなはだむずかしい問題だと思うのであります。ついては国鉄総裁にお伺いするわけでありますが、ただいままで運輸大臣が、特に国鉄に関係する部面についても先ほどから質疑を繰り返したような点についてお答えがあったわけであります。私としては、先ほど申し上げた通り、今日ただいまの五カ年計画の内容そのものの是非は別として、その計画自体の遂行にも大きな支障が今日起きていはしないか。たとえば今まで特に立ちおくれていた保安対策、これが入ってくればなおさらのこと、こういうことを考えると、大きな転機に立っていると思うのです。ついては、この五カ年計画の完全遂行あるいは新幹線の完成というようなことについてどうやろうとしておるのか、御所信のほどを承りたいと思います。
○十河説明員 お話の通りに、国鉄の施設は経済の発展とにらみ合わせまして、改善を要する点が多々あると思います。そこで、昭和三十二年度から第一次の五カ年計画を樹立いたしまして、皆さんの御協賛によって、それまで工事費が年額五百億であったものを倍増して千億にしていただいたのであります。ところが、千億をもってしても、経済の発展に及びもつかぬということで、三十六年度からこの計画をさらに第二次五カ年計画に改定していただきまして、千億の工事費を二千億と改めていただいたのでありますが、最近の経済の成長発展は、これでもなお不足するという、ただいま運輸大臣や鉄監局長からのお話の通りでありまして、運輸大臣から改定を検討しろということで目下検討中でございます。 それに加えて、先般来非常に不幸な、申しわけのない事故が起こりまして、保安対策ということも、従来もある程度見て参ってきたのであります。が、それでは足りないからこれを増強しなければならぬ。また地価あるいは人件費等の増額、騰貴もありまして、これについてもいろいろ検討をしなければならぬという必要性が起こりまして、目下政府と相談中であります。
○久保委員 五カ年計画については、運輸大臣も総裁も慎重検討中ということであります。慎重検討中もけっこうでありますが、すでにもう予算要求時期に相なっております。これではじんぜん日を送って、少なくとも、来たるべき通常国会に出るものは、残念ながら中途半端なものであって、さらに五カ年計画を縮小に計画にしなければならぬ。さらに、運賃値上げで公約したところの輸送力増強は伴わぬということでありまして、事故の問題もあるし、さらには約束に違反したということで、国鉄は国民大衆から離反する格好が出てくると思うのです。でありますから、少なくとも国鉄を正常な姿に戻すかどうかは、かかって今日の綾部運輸大臣の責任になろうかと思うので、早急に方針をきめるべきだと思います。 そこで私は、総裁に一言だけお尋ねしたいのでありますが、実は三河島以来の事故は、いろいろな異なった原因もありましょう、そこにはいろいろ人間の能力の及ばぬ場面もあろうかと思うのでありますが、こういう事故の問題と関連して、先ほど来申し上げたところの国鉄の転機というのを見つける場合には、少なくとも国鉄総裁はものをすなおに見て、すなおに率直に発言すべきだと思います。前回の国会において、三河島事故の際において私が御質問申し上げたときに、現在の財政、現在の経営の中では十分ではないという御発言は、そのあと直ちに取り消された。そのときに私が申し上げたのは、総裁は就任の弁として、レールをまくらに討ち死にする覚悟で総裁に就任するというのであるから、少なくとも今日、大きな転機に立っている国鉄に対して、起死回生を求めるというのがあなたの任務だとするならば、この際率直に、この国鉄の実態を、だれもおそれず、だれにも屈服することなく表明すべきときだと思うのであります。が、その考えは今日修正されませんか、いかがですか。
○十河説明員 依然として私はそういう覚悟を持ってやっております。しかし、たとえば五百億の工事費を千億にし、千億の工事費を二千億にする、こう申しましても、口で言うことはやさしいですが、いろいろな事情、工事能力等も考えますと、なかなか理想通りにはいかぬ、いつもわれわれは十分ではない、だから絶えずその改善を考えておる次第であります。そういう点はいろいろ総合的に考えて進めていくよりほかはないかと思っておりますから、いつでも理想的の状態にあるというわけにはなかなか参りかねるかと思っております。
○久保委員 理想は理想でありまして、なかなか理想に到達することは不可能であります。特に国鉄の現状からいって理想にほど遠いものがある。われわれ理想に到達することを望みはするけれども、これに到達しなければならぬという意味ではございません。しかしながら、今日までの御方針を見ておりますと、たとえばこの五カ年計画の立て方にしても、何かにおそれて、言いたいことも半分にしてやっていこうという安易な、こそくな態度が見受けられる。それが証拠に、第一次五カ年計画も、今日の第二次五カ年計画も、残念ながら中途において修正改定しなければならぬというのが現実ではないか。そこに能力の限界ということを言いたい。大へん失礼であります。が、その能力というのは、いわゆる計算ができないという能力ではなくて、これを突破でき得ない能力に限界がありはしないかと思う。私は決してあなたの責任をどうこうするものではございませんが、少なくともその意味で自分の身の処し方も考えていただかなければならぬじゃないか、こう思うのでありますが、いかがでしょうか。
○十河説明員 私も懸命の努力をいたしておりますけれども、なかなか微力で自分の思う通りにさえいかぬのでありますから、国民の皆様から見れば、非常な御不満があると絶えず反省をして、絶えずもっと努力しよう、努力しようということで懸命の努力をいたしておるつもりでおります。今後もそれを続けて参ります。
○久保委員 その気概は壮とすべきものがございます。しかしながら、気概だけでは残念ながら人間も物も動かぬという時代であります。これが時代の隔たりかと思います。 さらにもう一つ、私は事故の責任云々を問いませんが、先ほどからくどく申し上げておる、国鉄は転機に立っておる、その転機をどう開くかは、やはり政治的な背景というか、そういうものも御考慮いただかなければならぬ時期ではなかろうかと思う。ついては、私はあなたにどうこうしろということではなくて、少なくともそれだけの目安をつけてその進退を決するのが正しい筋道ではなかろうか、国鉄を愛する者の立場ではなかろうかと思うのでありますが、そういうお考えはございませんでしょうか。
○十河説明員 私は国鉄に一身を棒げておるつもりであります。国鉄のためになるならどんなことでもやりたいと覚悟いたしております。そういうつもりで今後も皆さんからいろいろ御注意を受けてやって参りたいと存じます。
○久保委員 もっと率直に申し上げねばならぬと思うのであります。こういう席で大へん失礼かと思いますが、純粋な意味で客観的情勢というものもやはりあなたの耳に入れておいた方がより国鉄のためかと思うので申し上げるのです。 そこで申し上げたいのは、転機を解決するものは人間である。今日政府あるいはその他全体から見て、あなたの気概は壮とすべきものがあったにしても、残念ながらこれで転機を求めることはできないのではなかろうかというふうに私は悲観的に考えておる。これは別に御答弁を必要としません。しかし、そういう情勢にあることも十分考えられるのがこの際必要ではなかろうか、こういうふうに私は考えるのであります。ついては運輸大臣、そういう政治情勢についてあなたはどういう判断をされておるのか。
○綾部国務大臣 私は、国鉄総裁がただいま言明されたことを信頼して考慮中でございます。
○久保委員 総裁の言われたことを念頭に置いて御考慮中であるということで、禅問答みたいで私にはよくわかりませんが、それ以上申し上げてもどうかと思うのでありますが、たとえばこの間の南武線の事故一つとりましても、これは総裁、あるいは総裁以下国鉄の皆さんに申し上げておかなければならぬと思うのでありますが、なるほど自動車の運転手が道路交通法に定められておるところの一旦停車をしないために事故が起きたということになっております。その限りにおいては、なるほど国鉄側には責任はないと言うでしょう。しかしそれは違う。おわかりかもしれませんが、もう数年、それ以上、十年くらい前になりますが、ある私鉄の踏切において、バスと電車が衝突した。このバスに乗っていた乗客に多大の死傷者が出た。その損害賠償をめぐって、一つの判例が今日できております。もちろんこれはただいま係争中のように考えております。その場合の一つのものの見方、これが今後最高裁までいってオーソライズされるかどうかは別として、今日ただいまのものの見方、ものの規範ということになっております。これはやはり鉄道側にも責任があるから、その損害賠償の半分は支払うべきである、バス会社だけじゃない、こういう判決が一つ出ているわけです。こういうことは、やはり世間の一つの常識になりつつあります。これがいいか悪いかは別です。そうだということも御承知ならば、少なくとも南武線事故において、これは国鉄の責任じゃないんだ、これだけで国民大衆に、国鉄総裁としての表明が、いわゆる好感を持つというか、納得されて受けとめられるかどうか、私は疑問があると思う。その辺に国鉄経営者として、あまりにも官僚主義的な一つのものの考え方がある。そこにやはり事故の原因も出てきやしないか、こういうように思うのでありますが、いかがでしょうか。
○十河説明員 私は国鉄の責任であるとないとを問わず、お客さんからたくさんの死傷者を出したのでありますから、これはでき得る限りの最善を尽した善後措置を講ずべきである。こう考えまして、今そういうふうに努力いたしております。
○加藤(勘)委員 ただいま南武線の踏切の事故の問題について総裁からお答えがありましたが、これについて総裁その他国鉄当局者の考え方について、さらにまたその後の措置について関連してお尋ねしたいと思います。 実は私も国鉄の経営については、もっと掘り下げて、ほんとうに一つこの問題とは深く取り組んで、あくまでも正しい立場からただして、そして国家的な見地から、いかに国鉄が公共事業として産業の動脈としての役割を果たしていくかということについて、ほんとうはお尋ねしたいので、かねて準備をしておったわけですが、まだその時期に至っておりませんけれども、大体、今、久保君がお尋ねになったようでありますから、その点については、他日の機会に譲りまして、さしあたって踏切の事故の対策について、国鉄当局に、一体どういう考え方を持っておられるかということを第一にお尋ねをして、それから具体的には南武線の事故による乗客の罹災者というか、被害者というか、に対する措置等が今どのように行なわれておるか、こういうことをお尋ねしたいと思います。 今度の南武線の踏切事故が、三河島のあの事件後間もなく起こったことだけに、国鉄に責任があるなしにかかわらず、世間の非常な関心を呼んだということは争われないと思います。現実にも百数十名の負傷者を——死者はわずか三名でありましたけれども、出しておる大きな事故でありまして、これに対して総裁が、報告によって発言されたのではあろうけれども、私は、総裁が病気療養中で現実をまだ見ておられない、ただ一片の報告だけで直ちに国鉄に責任がないというようなことが新聞に報道されたということは、非常に遺憾だと思うのです。これはおそらく国鉄の総裁としても、何か新聞の発表の仕方が、言葉足らずになったのではないかと思いますけれども、いずれにしても、私は、ああいうことが世間に発表されたということは、きわめて遺憾なことだと思います。 それから私は、その翌々日でしたか、川崎の被害者の家族の人々の代表と一緒になって、国鉄に磯崎さんをおたずねした。副総裁がお留守だったから磯崎さんと会ったのですが、そのとき私はいろいろ言うて、これは会社の私道であって、なるほど責任は会社の私道の方にもあるかもしれないけれども、ともかく過ぎたことに対しては応急措置として負傷者に対しての手当、死者に対する弔慰等を丁重に行なうと同時に、直ちに再びこのような事故の起こらないように適切な措置を講ずべきである。まず手っとり早くやりやすいところからやるべきである。それがためには、会社に話をして、そして会社がどういうことをやる、国鉄側がどういうことをやる、具体的にきめて、この次の委員会が開かれるときに、われわれの質問がある前に一つそのことについて報告し得るだけの準備をしてもらいたい、こう言うておいたわけですが、そのことについて磯崎さん、その後どういう措置をおとりになったか、それを聞かしてもらいたいと思います。
○磯崎説明員 事故の翌々日、加藤先生わざわざおいで下さいまして、被害者の代表の方といろいろお話がありましたことを大へん感激いたしております。そのとき先生から、とりあえずあの踏切についてできるだけのことをしろ、こういう御説示がございました。さっそく東京鉄道管理局を通じまして会社側といろいろ折衝いたしました結果、次の五つについて御報告申し上げます。 一つは、八月九日に、あの上にさらに厳重な踏切注意の柵、私どもの方で丙種の柵と言っておりますが、それを設置いたしました。 なお、八月三十日までにあそこに鏡をつけることにいたしました。これは三十日までにできることになっております。 それから、私の方ではあそこにチンチンをつけようではないかという申し入れをいたしました。会社側では、チンチンよりも、むしろ一種の自動化と申しまして、自動的にバーが上がり下がりする一種の自動踏切でございます。それをつけたいということで今検討中でございます。 それから、御承知の通りあの踏切の前後の道路の勾配が非常にきついものでありますから、それが事故の一つの原因になっておりましたので、これも会社と話をいたしまして、道路の勾配の改良をしようということで、これは間もなく着工することになると思います。 それから、あのときやはりお話がございました、専用の踏切でございますので、踏切の専用契約というものを結ぶように、これは実は運輸省の大臣の方からも、全国の私道についてそういうはっきりとした踏切専用契約を結べという御指示もございましたし、先生のお話もございましたので、八月末を目途といたしまして、あの踏切につきましての専用契約を結ぶように今協議中でございます。 以上、五つの点を、先生の御注意のあと今日まで実行いたしましたが、やはり問題はあの踏切だけではなしに、あの付近にたくさん踏切がございます。ことに踏切の交通規制等の問題につきましても、非常にあの南武線は小さい踏切がたくさんございます。現在道路管理者並びに公安委員会に、ある部分の整理統合、ある部分の交通規制、たとえば人は通るが自動車はやめるとか、そういった具体的な交通規制、それから整理統合、この二つにつきまして今道路管理者並びに神奈川県の公安委員会の方といろいろお打ち合わせ中でございます。 以上がその後に始末したことでございます。
○加藤(勘)委員 それから死者、負傷者に対する措置はどういうようにやられましたか。
○吾孫子説明員 おなくなりになった方、おけがをなさった方々に対しましては、事故発生の直後、それぞれお見舞金を差し上げてございますが、おけがをなさった方々の、当時病院で手当を受けられた方が五十五人ほどおいでになりました。今はだいぶお帰りになりまして、数は減っておりますけれども、それらの方々に対する病院のお世話等につきましては、さしあたりと申しますか、事実上国鉄の負担においてお世話を申し上げております。ただこれは、後ほど実際の負担額をどう処置するかというようなことについて、自動車災害保険等との関係の問題は残っておりますけれども、事実問題としておけがなさった方々のお世話は、国鉄がただいま負担をして処置をいたしておる次第でございます。それから、おなくなりになった方々に対しましては、これはやはり将来問題が残っておると思うのでございますが、これもやはり保険等との関係その他について、なお関係の向きとの間で相談等もいたさなければならないと思っておりまするが、この処置につきましては、おなくなりになった方々の御事情等も伺いまして、しかるべく善処いたしたいというふうに考えております。
○加藤(勘)委員 新聞の報ずるところによれば、三河島の遭難された方々に対しての弔慰金その他の措置は、幸いに国鉄当局の気持が理解されて、円満に解決したということが報道されておって、私ども喜んでおるわけです。それは国鉄側に全面的な責任があるという立場からそういうように進んだものとも思いますが、今、南武線については、総裁が言われたように、国鉄に責任があるとないとにかかわらず、国鉄の乗客にそういう迷惑を与えたのであるから、その迷惑に対しては、国鉄は十分報いるところがなければならぬ、こういう考え方で、三河島の問題が国鉄の誠意が通って解決されたと同じように、やはり南武線の事故に対しても、そういう気持が常に被害を受けた人の上に働けば、おのずから問題は解決していくのじゃないか。いつまでもあとに問題が残るようなことではいけないと思います。ことにこういうことが訴訟の問題などになるというようなことは、全く好ましくないことだと思います。そういう点において、総裁の気持を国鉄当局が具体的に行動の上に示されて、問題があとに残らないように解決されるということ、そういうことのために努力されたいということを希望しておきますが、これについてどうですか、吾孫子さん。
○吾孫子説明員 ただいま先生のお言葉にございました通りの考え方で、事柄の性質は三河島の場合とは違っておる点がもちろんございますけれども、国鉄のお客様について起こったことでございますので、その辺の事情も十分考えまして、あとに問題を残さないように善処いたしたい、かように考えております。
○加藤(勘)委員 この機会に踏切の問題についてちょっとお尋ねしておきますが、踏切道整備促進法ができまして、この法律のできた後に指定された踏切があり、何らか具体的な施設が進行しておる状態があるかと思いますが、どういう状況になっておりますか。
○岡本政府委員 御承知の通り踏切道改良促進法が昨年の臨時国会で成立いたしまして、すぐ建設省と立体交差化並びに構造を改良すべき個所を指定すべき基準の省令につきまして打ち合わせを開始いたしまして、また平面交差につきましては、運輸省令による基準をつくり上げまして、それに基づいてすでに第一次の指定を終わったわけでございます。 立体交差につきましては、五カ年計画、全体で四百カ所余りを考えておるのでございますが、第一次指定では国鉄私鉄を通じまして百四十カ所ばかり、それから平面交差につきましては、国鉄私鉄を通じまして二千カ所ばかりに相なっております。 この構造改良につきましては、まだ建設省との協議がととのっておりませんので、指定は完了いたしておりません。そこでこの両当事者、すなわち鉄道管理者なり道路管理者は立体交差についてさっそく設計協議、そういった協議を開始いたしまして、それがととのい、あるいは費用負担の協議が完了次第、主務大臣にその計画を提示しなければならぬことになっております。が、まだ具体的にその提示には至っておりません。それから平面交差につきましては、これは割合簡単な設備でございますので、徐々にでき上がっておる状態でございます。 なお、残りの指定につきましても、先般大臣からの指示もございまして、実は五カ年間にやるという予定でございますけれども、これを急遽三十八年度に完成するということに繰り上げまして、なおその上にあとの三カ年で、複線の電車を運転している区間につきましては、自動車通行可能の二メートル以上のところには全部警報機をとりつけさせるということにつきまして、準備を進めておるような次第でございます。
○加藤(勘)委員 交通事故の最近数年間の統計を見てみますと、三十二年度から三十六年度まで見ると年々件数において増加を示し、死傷者数においても同様に増加を示しているわけです。この数を一々あげるのもめんどうだからあげませんが、三十二年度に二千百五十六件、死傷者が千九百四十五人であったのが、三十六年には三千百二十三件、死傷者数が二千三百五十二人、こういうように非常にふえているのです。これはもちろん交通がひんぱんになったということがおもなる理由であるし、それから列車の運行がひんぱんになったということも原因をなしていることは争われませんでしょうけれども、設備の不完全ということもまた争われない点であると思うのです。国鉄関係の踏切の総数が四万二千三百八十九、このうちで手動式遮断設備のあるところが二千三百三十八、自動式のが五百三十二で、両方合わせて二千八百七十カ所、去年までわずかに六・八%しかないのです。こういう設備の状態では事故が起こらない方がむしろ不思議なくらいだ。だからこれを促進法の制定によってそれぞれ指定され、これが年度を繰り上げて施設を完備されるということになれば、おそらく事故も減ってくるであろうと思います。もちろんこれには予算が伴う。予算が伴うということは、他の五カ年計画の進行の上においても、すでに先ほど久保委員が指摘した通り、多くの障害がきて修正をしなければならぬというような段階になっておるときでありますけれども、事は人命に関する重大な問題ですから、そして国鉄の全体の経費の上からいけば、比較的軽い予算で行なえる施設であります。同時にまた、このことは、国鉄の従業員が仕事を操作する上においても、安心感を伴うということと不安に脅かされるということとは非常に気持の上において違ってくると思います。そういう点で、私は、五カ年計画による予算のあんばい等非常に困難な点があることはよくわかりますけれども、特に危険度の強い踏切を至急に第二次指定をされて、そして第一次、第二次指定のそれぞれの施設を急速に完備されるように——遮断機があるところでは大体事故がそれだけ少ないようです。三十六年度の事故の件数について見ましても、列車の直前横断というのが二千二百七十五件あって、手動式それから自動式の遮断機のあるところでは非常に事故が少ないというようなことで、無理さえしなければあまり起こっておらぬということを考えますと、やはり設備が重要になってくると思うのです。だから若干の経費はさいても、私は踏切の設備については完備されるように努めてもらいたいということを特に希望しておきますから、一つ吾孫子さんしっかりお願いします。
○久保委員 あとに重要な質問も本日控えておりますので、簡単に二つの点だけお伺いをしておきたいと思います。 それは、事故対策についてでありますが、過般運輸大臣の指示に従って国鉄の監査委員会が三河島事故について独立監査をいたしました。その中で、いろいろあげておられますが、一つ人間関係について指摘をしておるようであります。特に指摘の事項が、現場管理者は常によい人間関係を樹立するよう心がけ云々と、こう書いてある。そこで考えられることは、先般北陸方面の不当労働行為について労働委員会から措置命令というか、これが出て参りました。これについて国鉄側は、その命令に不服であるというので今日訴訟提起をいたしておるようであります。が、その中身については、少なくとも公正なるべき労働委員会が、いまだかってないような勇断を持って一つの命令を出したということをまず評価すべきだと私は思うのであります。その事実について相違があるからということでおそらく提訴をしたと思うのでありますが、今日ここに事故対策の中の一つとして、現場管理者と所属職員の間の人間関係を云々されていることを見れば、少なくともこういう指摘される事項があることは事実であります。でありますから、この際、言うならば、そういう訴訟は取り下げて、新しい人間関係をつくるつもりで、勇断をもってその措置をとるべきだと思うのです。ところが、官僚主義的な考え方からこれに対して訴訟を提起するがごときは、国鉄監査委員会の指摘される事項を真剣にやっていこうという気がまえがないように見える。ついては、その取り扱いについて、やはり既定の方針ということでそのまま訴訟を続行する考えであるのかどうか。さらに、改善する考えはないのかどうか、この点について総裁から御答弁をいただきたいと思います。
○十河説明員 ただいまお話がありましたように、事実の認定においてもいろいろ問題があって、われわれはその事柄を明らかにして、責任の所在を明確にしたいということで訴訟を提起いたしておるのであります。そのことはやはりはっきりした方がいい、こう思っておる次第であります。
○久保委員 なるほど官僚的な御答弁でありまして、実はそういう事実がない、責任がないという前提に立たれて訴訟を提起したと思うのであります。が、そのものの考え方に誤りがありはしないか、というよりは、新しい人間関係をつくるためにそういうことがプラスになるかどうかの高い視野に立っての判断がこの際必要だということなんです。私の言いたいのは。事実があるかどうかの問題は小さい。むしろ新しい人間関係をつくることが、今日、国鉄の事故対策というか、組織上の大きな問題ではなかろうかと私は思うのです。そういう観点に立てば、やはりこれはそういう機械的な、責任があるかないか、所在を確かめるというような小さいことは放擲して、やはり飛躍的なものの考え方をすべき時期だと私は判断するのでお尋ねしておるのです。そういう判断に立たれるお考えはないのですか、いかがです。
○十河説明員 そのお話はごもっともでありまして、私どもはこういう困難な時期に際して、国鉄四十五万が一体となって改善の実をあげなければいかぬ、こう考えまして、事故対策研究会というものを設けまして、幸いに組合側の方の御同意を得まして、おもなる組合は全部参加して、あまりむずかしいことを言わないで、四角ばらないで、打ち解けたざっくばらんな話し合いをして、要は事故をなくすることが根本でございます。その目的に沿って善処したいという考えで進めて参っておる次第であります。
○久保委員 総裁、私の話をよく理解されてないのではないかと思うのです。私は、事故対策そのものの委員会というか、そういうような集まりで、いわゆる管理者も職員も一体となって対策を立てつつあるということについてとやかく申し上げておるわけではない。なるほどそういう場面を一つつくっております。双方ともその問題については真剣になっておりましょう。しかしながら、片方において、人間関係についてさらに拡大しようとする労働委員会の措置命令に対して、反抗するがごとき態度は、少なくとも責任の所在を明らかにするというそういう末梢的なことでは、この人間関係は新しく生まれないと私は言いたい。だから、はっきり言えば、こういう訴訟はやめなさい、やめて、高い視野に立って人間関係を新しくつくり直せ、こう言いたいのであります。そのお考えがあるかどうかをお伺いしておるわけです。事故対策の問題だけじゃないのです。
○十河説明員 監査報告にもあります。ように、事故をなくするためにも、職場の規律、ルール、筋を通すということが必要である、そういう見解に立ちまして、職場の規律を正す、悪い管理者があればもちろんそれを処罰します。そうでなければこれは処罰しない、そういうことを筋を通してはっきりしたい、これが四十五万が一致協力する基本じゃないか、こう考えましてやっておる次第でございます。
○久保委員 くどいようであります。が、いわゆる職場のルールを正すということで、その管理者に責任があるかどうか、その所在を確かめてやっていくのだ、そのために提訴しているのだ、こういうことでありますが、なるほどそれも一つでしょう。しかし、私は、繰り返し申し上げるようでありますが、少なくとも公正なるべき労働委員会が、いまだかつてないような命令を出したという、その中身をあなたは忘れてはいけないと思う。責任の所在を確かめることが大事か、新しい人間関係をつくることが大事か、どちらが大事か、私はそう言いたいのです。私はその問題ではこれ以上申し上げませんが、思慮をめぐらして、官僚的なものの考え方でなくて、少なくとも新しい人間関係をつくる工夫を、もうこの段階ではすべきだと私は思うので、総裁の善処を強く要望しておきます。 そこで関連して労務担当であります。磯崎常務理事にお尋ねしますが、この扱いは、今、総裁が言われるような意味でやっておられるかどうか。そうだとするならば、少し事は違いやしないか、こう思いますが、あなたは担当者としてどういうふうにお考えでありますか。善処されるというふうに今日配慮しておるのかどうか、いかがでしょう。
○磯崎説明員 救済命令に対する提訴行為につきましては、私どもといたしましては、公共企業体労働関係法並びに労働組合法によって認められた法律の規定によりまして事実関係を明らかにしたい、こういう意味で提訴をしておるわけであります。先ほど総裁が申し上げた通りでございます。
○久保委員 くどいようであります。が、大事な点でありますから申し上げますが、事実関係を確かめるために提訴するというような、そういうものにこだわっておる時期ではないと私は思うのです。そういう点をまず私は言いたい。 それから人間関係としてもう少しつけ加えておきます。これは言わぬでもいいと思うのですが、非常に気の毒なので言いたいのです。この間の南武線事故ではたくさんの死傷者を出した。この点については加藤さんからそれぞれお尋ねがありましたから、私は言いませんが、その運転手が殉職したわけですね。これに対して総裁は、何かしら殉職された職員にまで、あの南武線の事故はおれの責任じゃないという空気が一点ではなかろうかと私は推測する。これは私は勇気のない、管理者として人間関係からいって非常に冷たいのではなかろうかと思うのです。実際の原因がどうあろうとも、殉職した運転手からいえば一つの不可抗力である。その殉職者に対するあなたの態度というものは、残念ながら新しい人間関係以下である、古い人間関係だろうと私は思うのです。これに対してどういうふうに考えておるかお尋ねしたい。
○十河説明員 殉職いたしました運転手は気の毒で同情にたえない。それゆえに殉職した運転手には責任がないということを、殉職したのですからそういうことを言って霊をなぐさめてやるという必要があるんじゃないかということを私は思っておるのであります。殉職者に対する冷たい考えなんか毛頭ありません。
○久保委員 それは言葉ではそうおっしゃいましたが、これはやはり行ないの上に現われてなければ、やはり冷たいと言われても仕方がないのじゃないですか。私は、あなたの気持はおそらくそうだろうと思うのです。決していわゆる冷たい感じは持っておらぬと思う。持っておらぬが、残念ながら、レールをまくらにして討ち死にするという気概が、いわゆる世間というものを目において考えておるから、ちっとも討ち死にするという気持が実行行為に出ていないんじゃないだろうか。それを私をして殉職した運転手に対する気持からこの問題を言わせたのです。そういう弱気で国鉄をどうして再建できるか。私は残念ながらあなたに問いたい。私は答弁を求めません。私自身そういうふうに考えておる。少なくともあなたが、それじゃこの霊前に、なるほどお忙しいからだでしょうが、行ってその通りの実行行為をした職員大衆に対して、この場合についてあなたは事故を起こすなという訓辞をしただろうが、そのものに対する評価をしたためしがあるかどうか私は伺いたい、そういう点については私は非常に不満を持っております。どうぞあなたもすでにいろんな経験をなされて、私からいろいろ申し上げる必要はないと思う。私がただあなたに期待することは、勇断一つだ。国鉄を愛するために勇断を持つか持たぬかであなたの今日までの政治あるいは、いわゆる事業者としての評価はなされるべきだと思うのです。どうぞそういう意味で善処されんことを強く要望して、時間もありませんから、この程度にとどめておきます。
○木村委員長 石田宥全君。
○石田(宥)委員 最近の国鉄が人命をいかに軽視しているかということについては、三河島事件以来国民の常識となっておるところであります。人命を軽視することは、また人権を軽視し、無視することとつながっておると思うのであります。最近の公安官が、犯罪を捜査するにあたって、国民、特に乗客の人権を無視し、名誉を棄損しておるはなはだしい事例がございますので、いわゆる長岡事件といわれておるのでありますが、この問題についての事実について私はその真相をただし、法律上の問題については、あとで猪俣委員からこの問題を追及してもらいたいと思うのであります。 すでに御承知だと思うのであります。が、七月三日の夜十一時ごろに起こった事件でありますが、翌日の四日の正午のNHKのテレビ、ラジオを初め各テレビ、ラジオ、四日の夕刊から五日の朝刊にかけて全国の新聞が報道しております。それはごらんになってもわかりますように、ある新聞のごときは五段抜きで「酔って集団万引き」という大きい活字で、また「米価大会で上京の農民ら」というわき見出しをつけておりますので読んでみます。 「四日、東京でひらかれた米価要求全国大会に出席するため三日よる臨時列車で新潟を出発した日本農民組合新潟県連下越協議会の組合員たちが、途中の長岡駅で酔って集団万引をはたらいた。 長岡鉄道公安室の調べでは、同日午後十一時三十五分、米価要求全国大会に出席する日農同県連下越協議会組合員代表七百人をのせた新潟発上野行き上り三七一四臨時列車が長岡駅に到着したさい、発車までの五分間の停車中に、同列車の乗客約二十人がホームにおりて同市城内町一丁目「浩養軒」の立ち売り人水落志良次さんの商品を積んだ手押し車をとりかこみ、四、五人がウイスキーなどを買っているすきに十数人が清酒の二合びん十二本、ガンビール十七本、すし弁当一箱、ゆでたまご二個入り五袋など合計三千二百九十五円相当を万引きし、そのまま同列車で出発したもの。 発車後届け出を受けた同公安室では、途中の上越線水上駅付近で責任者の代表団副団長小栗久一郎さん、同県新発田市紫雲寺町米子から事情をきいたが、組合員たちは酒にひどく酔っていて調べができないため、四日午後五時三十分ごろ、下り三七一五列車で一行が長岡駅に帰るのをまって調べることになった。」 こういうことです。ある週刊誌はごらんの通りトップ記事で六ページを費やしております。私はこの団体の団長であります。被害者の代表です。たまたま東京におりまして私は列車に乗っておりませんので、副団長の小栗君が事に当たったわけであります。そこで以下いろいろな事実についてお伺いをしたいと思うのであります。 まず最初に、国鉄当局から、何か、状況を簡単に書いたものを出されておりますけれども、これでは全然要領を得ません。そこで長岡駅の当時の模様を詳細にここでお述べを願いたい。特に私どもの団体の臨時列車が進入する直前に、反対側のホームに下り列車が入ったはずであるが、その時間の関係がどれくらい違っておったか。ホームには相当の人がおったようであるが、その状況はどうか。売り子を取り巻いた人数の中には、われわれの臨時列車には乗らなかった人もあったことが確認されておるのであるが、その点はどうなのか。特にその売り子を取り巻いた人たちの中にはチンピラのようなものが二人ほど潜入しておって、われわれの団体が出発するときにその人たちはその列車に乗らなかったということを確認しておるのであるが、その状況はどうであるか、まずこれらの点をお伺いをしたいと思います。
○磯崎説明員 私どもの調査したところを申し上げます。 当日三七一四列車の前は九二八列車で二十二時三十分発でございます。これは長岡発直江津行きのディーゼル・カーでございまして、この客扱いはおおむね三分ないし四分で終わったというふうに報告を受けております。三七一四列車のあとは五〇二列車、青森発大阪行きの急行列車でございます。当日五〇二列車に乗りましたのは長岡発のお客並びに上越線から乗りかえたお客様を含めまして、十四名ないし十五名というふうに急行券の発売枚数その他で推定されます。当時三七一四列車の長岡の発着時間は、二十二時三十四分着で二十二時四十分発でございます。これは当日のダイヤ面による時間でございますが、実際運転時分もほとんど狂いなかったというふうに見ております。三七一四列車が到着いたしました際、長岡駅の三番ホームの地下道の南口入口付近の売店で問題が起きたのでございますが、私どもの調査、当時そこにおりました数名の者の証言によりますと、当時そこにおりましたのは五〇二列車に乗る客とみなされる者、並びに三七一四列車からおりたお客さんであるということを確認いたしております。
○石田(宥)委員 この捜査に当たった山口公安官も、私どもの列車に乗らなかったホームの人についても取り調べをしたというふうにはっきり言っておるのでありますが、取り調べの結果はどうですか。
○長沢説明員 ただいま申し上げましたホームにおります十四、五名の方々については、これは事情を聞いてはおりません。当時ホームにおりましたのは、これは書類でお出ししてございますように、弘済会の臨時の職員あるいは長岡駅の駅務係、運転係等、主として内部の職員について事情を聞いたわけであります。
○石田(宥)委員 そうすると、ホームにおった人たちについては調べてないということですね。 そこで、時間がありませんからあまりよけいなことは申しませんが、この不足金が三千二百九十五円であるということが言われておったのであります。が、その品物を持ち去った人をだれがどこで確認したのかということと、同時に、不足金が三千二百九十五円であるということは何によって確認したのか。聞くところによると、水落という販売人は万引などという状況にはなかったと言っている。そして人を介して済まなかったとわびを言ってきております。これに対しては公安官が適当にこの内容を示唆を与えて書かしたものであると最初言っておった。しかし、立売人などというものは駅長その他からのいろいろな圧力がございまして、あとでどういうことをどういうふうに言いかえておるかわかりませんが、とにかくわれわれにはそう言っておるし、またこの週刊誌にもそういうふうに言っておる。一体これはどういうことで確認したのか。大体三千二、三百円足りないようだということで、それならば何は幾ら、何は幾らにすればこうなるじゃないかということで公安官が示して書かせた、こう言っておる。ここに書いてあるものは先ほど新聞に出た通りのことで、あとで金を支払ったときの書証ですが、今申し上げた点を一つお答え願いたい。
○長沢説明員 三七一四列車が当日発車直後にホームに参りました長岡公安室の一人の公安官のところへ売り子がやられたと言って申告をして参りました。その当時は被害金額がさだかではなかったようであります。従いまして、それでは公安室へあとで来いということで、そのときに被害調書というものを作成したわけでありまして、被害金の明細書というものを提出されておりますけれども、品物と金額が合っていないといいますか、売り子の記憶で不確かなものが被害金約四百六十円前後、どの品物であるかということが不確かな点はありますが、あとの品物については、自分が売ったもので現金が入ったものとそうでないものという区別がはっきりするということでその金額が出たものである、こういうふうに承知しております。
○石田(宥)委員 そうすると、立売人が公安室に入っていろいろなことを述べておるのであって、現実に品物を持って列車に乗ったという現場を見た者がだれかあるのですか。
○長沢説明員 現実に金を支払わないで乗った者、あるいはその品物を——当時売り子がホームに三人いたそうであります。前とあとと、これは約四両目の付近であります。手押車を押しておったのはこの浩養軒の売り子だけだったそうであります。従いまして、ほかの売り子のところにもその列車からおりておる人がかかっておるのを見たということも聞いておりますし、その売り子そのものにもかかっておるのを見たということを聞いております。が、こういうような形で持ち去ったというふうには、ホームにいた人たちもそこまではさだかにはわかっていない。従いまして、売り子自身の申告というものが一番大きな届出の根拠になっておるわけであります。
○石田(宥)委員 だれも確認していないわけですね。ただ届出によってやったというのだが、もし売り子が何か思い違いでもしておったとすれば、その責任は一体どうなるのですか。
○長沢説明員 そのあとで、これも書面にして提出してございますが、その他の人々、いわゆるる鉄道職員の内部の人々、あるいはホームにいた人々が知り得た事情を聞いておりますので、実際にその品物を金を払わないで持ち去ったかどうかというところまでは、明言する人がおらないということでありますが、申告者がそういう事実がなかったということになって何か取り調べたということになれば別問題であろうと思います。
○石田(宥)委員 そこで、週刊誌にもはっきり書いておるし、本人も言っておるのですが、「酒やビールとられるばかりで精算ができんかったんですよ。」こう言って、そのあとで「それでも二千四、五百円は現金もらいました。しかし、あのくらい一列車で売れたのははじめてです。まあ、とられでもせんけりゃあんなに売れなかったですけどねえ。なんというですか、需要と供給がくずれたんですなあ」ベルが鳴って水落さんを囲んでいた男たちは列車にとび乗った。それで売り子はこう言っておる。「別に集団万引きのような感じはなかった。」こう言っておる。そこで私はここに問題があると思う。一体一列車買い切りでいく団体が、二千円、三千円のものは話をすれば簡単に片づく。間違いがあったとすれば、それをいたけだかになって、私はおりませんでしたが、副団長の小栗君のところに行って、どろぼう呼ばわりをしている。この列車に犯人がおる、犯人を出せ、ということで、いたけだかになって言っておるわけです。問題はそこにあるのです。一体二千円や三千円を、一列車買い切りで出かけたものが何だとあなた方は考えているのか。一体なぜすなおにそのことを話してくれなかったのか。それほど公安官というものは非常識である。あるいは官僚的であり権力主義を振り回して、国民に対して、乗客に対して、そういう態度をとるというところに問題がある。ここにも書いておりますが、小栗君はこう言っておる。「「長岡での事件なんか全然知らないのに、」いきなり「三千三百円相当の品物が取られたんだが、犯人はこの列車に乗っているはず」」こう言っておるわけですね。「「とにかく今は夜中だから、朝上野に着くまでに厳重に調べて、そういう事実があればキチンと弁済させるようにするから、責任者の私にまかせておいてもらいたい」」こう言っておる。ところが、「「いや、千円とか一万円とかいう金の問題じゃないんだ。明らかに計画的な集団万引きだから、どうしても今のうちに調べなきゃならん」」と公安官は言っているわけです。これは新潟の課長もそういうことを言っておるわけですが、計画的集団万引きだときめつけておるわけです。これはあとで私、問題にいたしますけれども、そういう事態の中で、なぜ一体頭から犯人呼ばわりをしなければならなかったのか、その状況については報告もあったと思いますので、一つ承っておきたい。
○長沢説明員 当時の長岡公安室に二人当直者がおりまして、一名がその被害の届け出を受けましたので、そのことを公安室に帰りまして、上級者の班長に報告をいたしまして、被害金額等が一応明らかになりましたところで、列車は出発しております。ちょうど列車の停車時分は六分間でございましたが、出発しておりますので、次に水上の派出に二名駐在がおったわけでございます。その水上から新潟の方に向けて土合というところがございます。土合まで一たん新潟の方へ水上から下りまして、土合—水上間を乗るという打ち合わせをいたしまして、今おっしゃいましたが、山口公安官、それからあと一名が土合から乗車したわけでありますが、乗車して団体の四両目のところへ乗りまして、お若い方にこういう事例がありましたが、該当者の方はどなたでしょうかということをお伺いしたところが、代表者の方はこの方ですということで、小栗さんという方のところへ連れていってもらい、名刺を交換して、それでは外に出てお話をいたしましょうということで、車室の外に出まして、洗面所のところで、水上の公安の者が二名と、それから団体の方二名とでお話し合いをしたそうでございますが、その際に、こういうことがあったんだが御存じないかと言ったら、小栗さんはお休みになっておったんで、知らないということでありまして、お若い方はそういうことはなかったというお話でございまして、帰りにでもお立ち寄り願いたいということを言ったそうですけれども、そういうことがなかったという終始一点張りで、何か調べることがあったら、中を調べたらよかろうということで、その車内をずっとただ見て回った、かように聞いておりまして、今御指摘のような、いたけだかの態度とかあるいは職権を振り回した態度とかとったというふうには私の方では報告を受けておりません。
○石田(宥)委員 あなたの方には適当に報告をしておると思うのです。私どもの方は団体の責任者でもあり、しかも大ぜいおるわけですから明らかでありますが、さらに山口という公安官は、こういうことも言っておるわけです。初めからおとなしく出ればあんなことにならなかったのに、初めに強気で出るからこんなことになった。あんなことというのは、ラジオやテレビや各新聞一斉に集団万引き事件として報道されたそのことを言っておるわけですね。一体いやしくも公安官というもの——これは猪俣先生から、法務省の刑事局長も見えておりますから、あとでよくただしてもらいますが、そういう公安官が、自分が気に食わないような言辞であったから、感情を害したといって、これをテレビや新聞やラジオやあらゆる報道機関に暴露する、こういうことが一体許されるものかどうか、これくらいはなはだしい人権侵害はない。これくらい人権を侵害し、人の名誉を傷つけるものはない。新聞発表のことはあとでまた伺いますが、一体公安官にそういうことが許されるかどうか。これは総裁と運輸大臣に伺いたい。一公安官が、自分の感情上おもしろくないからといって、こういうはなはだしい、人の、団体の名誉を傷つけ、人権を侵害するような行為というものが許されていいかどうか、これを一つお二人に伺っておきたい。
○十河説明員 感情をもってそういうことをすることは、私はよくないと思います。私は詳細の事実を承知しておりませんから、なお検討いたします。
○綾部国務大臣 今、国鉄総裁が申された通り、もしそういうことありとせば遺憾なことであります。さようなことは私はないと確信します。
○石田(宥)委員 あるかないか、あとで明らかになりますからけっこうでありますけれども、そこで伺いますが、その国鉄の公安関係で外部に新聞発表するというような権限は、これは一公安官にも許されておるのか、班長なのか、あるいは支社の課長か、あるいは本社の局長かあるいは総裁か、その責任は一体どこにあるのです。
○磯崎説明員 国鉄と新聞社の関係は、正式な発表は責任者がいたします。しかしながら新聞社側の取材の自由ということもございますので、こちらから発表する場合には、正式な機関が正式なルートでもって発表いたしますが、新聞社が取材活動いたす場合には、私どもとしては、だれがそれを拒否してはいかぬとか、だれでなければいかぬということはないと思います。
○石田(宥)委員 今原則論をおっしゃったようでありますけれども、責任者が発表すると言われたのですが、責任者はだれですか。そうして長岡事件の発表はだれがやったのです。
○磯崎説明員 責任者と申しましても、事件の事柄の大小によって違うと思います。たとえば総裁でなければ発表できないようなものもございますれば、鉄道管理局長のものもあります。あるいは部長、課長で差しつかえない、いろいろ事柄の内容によって違うというふうに考えます。ただこの事件は、私どもの方は積極的に発表したというようなことでないというふうに了承いたしておりますので、だれがこの事件の発表の責任者かという御質問にはちょっとお答えいたしかねるというふうに考えます。
○石田(宥)委員 これは逃げ口上ではそんなところだろうと思っておるのですけれども、少なくとも支社の岩川という課長がこれを指揮しておることは、これはもう隠れもない事実です。いろいろの電話連絡で。そういう点はもっと率直におっしゃったらどうですか。 それから、何かニュースを盗まれたかもしれぬようなことも言っておるが、そういう態度というものは卑怯な態度ですよ。考えてごらんなさい、あなたも相当苦労しておられるから、新聞社が取材をする場合に、一人や二人でとったら、どうして日本じゅう同時に発表になりますか。東京じゅうの新聞が一斉に書きますか。NHKのテレビ、ラジオ、その他のテレビ、ラジオが一斉にどうして報道しますか。そんな非常識なことはやめなさいよ。はっきり言いなさいよ、そんなことは。そういうことで逃げようというのは卑怯ですよ。もっとはっきりしなさいよ、その点は。
○磯崎説明員 当夜の事件は、先ほど公安本部長が申し上げました通り、担当の者はわずか長岡におりました者二人と、それから水上派出所におりました者が一人でございまして、その晩の事件を公安課長が新潟から指揮したという事実はございません。それは夜分おそくでございますし、一々指揮を受けてどうしたこうしたという事実はない、こういうふうに思います。それから先ほどのお話でございますが、発表したということにつきましても、たとえば公安課長は新潟にいるわけでございまして、事件は長岡で起きたわけでございます。従いまして、もし四日の昼間に出たといたしますれば、それは四日の相当朝早く取材されたものというふうに考えます。そうすると、それはやはり長岡に在駐される新聞記者の方々から出たというふうに推定するのが、時間の経過から当然じゃないかというふうに考えます。
○石田(宥)委員 子供だましのようなことはやめなさいよ。電話がありますよ、電話が。前の晩にあったことだから前の晩のうちに連絡がつくじゃないですか。これはあとでもその問題が出てきますけれども、そんなでたらめなことを言ったってだめですよ。新潟の支社では、最初は九時から十時の間に長岡と高崎、長岡と新潟で電話連絡をしておるものを盗まれたかもしれぬ、こう言っておった。あとになって今度は、実は電話連絡をしておったところに新聞記者がおったようだ、そこでいろいろ聞かれたので話をした、こう言っています。そんなばかみたいなことやめなさいよ。ほんとうのことを言いなさいよ、ほんとうのことを。前の晩に起こったことでどうのこうの、そんなばかな話ないですよ。その晩のうちに何回電話をかけたか調べればわかるでしょう。電話があるのですよ、それは。
○磯崎説明員 石田先生のお尋ねは公安課長が指揮してやったのではないかというお話でございましたので、その晩の事件の処理については公安課長が指揮したという事実はない、こういうふうに申し上げたのであります。もちろんそういう事件は、問題が大きな問題でございますから、翌朝公安課長なり関係の上司に報告がいくのは当然でございます。しかしながら先生は、公安課長が発表したのじゃないかというふうにおっしゃいましたので、公安課長が発表した事実はございません、こう申し上げたわけでございます。
○石田(宥)委員 しかし、九時から十時になればちゃんと連絡がつくじゃないですか。夜だって連絡がつくじゃないですか。ちょっと国鉄の内部が最近非常に問題で、下級の諸君がものを言うと圧力がかかるから、実はまだ出せるものがたくさんあるけれども、その人たちの地位を考えて、人権無視のことを皆さんが平気でやっておるから、だから実はなお出せないものもあるのです。それはちゃんと岩川が指揮しておるのです。そういうことで、とにかく私どもの方としては、ここに書いてあるように、これは高崎鉄道公安官、公安班長堀越竹雄という人に、朝の四時に三千二百九十五円を支払ってあるのです。これはわれわれ団体の名誉にも関するし、事実がどうあろうと、売り子が迷惑をしたというならそれを放任するわけにいかないから、それは事実の有無のいかんにかかわらず弁償すべきだということで朝の四時に払っているわけです。ところが九時から十時の間に電話連絡して、電話を盗まれたとかあるいは記者発表をしたというようなことは、何かここに国鉄としての意図があるのではないか。ことに新潟は——これは不当弾圧の問題についてはあとでまたゆっくりやりますけれども、国鉄労働組合を弾圧してめちゃくちゃにして、その余勢をかって今度は農民組合にいどみかかってきておるのではないか。私はあとでそれを具体的な事例をあげて指摘しますが、そういうふうに午前四時にすでに支払っておるものを長岡では午後の二時ごろ——十四時ですか、あなたの方の資料にも出ているが、そのころまでにいっていない。電話があるのにそういうことの連絡がつかなかったのか、どうなのか。おかしいじゃないですか。だからそこで、どうも常識では考えられない何か悪意に満ちているものがある。特に農民組合を中傷しようとする意図がひそんでいるということは否定できないでしょう。どうですか。
○磯崎説明員 高崎におきまして三千二百九十何がしの代金をいただいたことは、もちろん新潟の方から高崎に依頼しまして代金をもらったものでございますから、長岡の方でよく知っているわけでございます。従って、もちろん電話がございますから代金を収受したことはよくわかっております。しかももし発表したのならば、私の方が意識的に発表いたしたといたしますれば、代金をとりながら発表するのはどうしてかというようなことかと存じますが、意識的でない、私どもの方で発表したのでないということであります。以上、その点につきましては代金をいただきましたことと新聞に出ましたこととは、おのずから別個だというふうに考えます。ただ、ただいま先生のお話の中で、私どもの方の公安職員が農民組合に対して、意識的に何か意図を持っておるだろうというお話に対しましては、私ははっきりそういう事実は全くないということを明白に申し上げます。
○石田(宥)委員 それはあとで事実で指摘しますから、今ここでは申し上げません。そこで新聞発表の問題です。が、さっき私が言ったように新潟支社では、最初は九時から十時の間に電話連絡をしておるものを盗まれたようだ、こう言っておった。あとで今度は、電話連絡をしておるときに新聞記者が聞いておって、いろいろ聞かれたので話をした、こう言っておる。こういうような清酒が何本、カン・ビールが何本、すしが幾個で、たばこが幾つというようなことは、公安以外にだれも知らないのです。だれも知るはずがないのです。だから何と言ったって、国鉄の公安で発表したことは間違いがありません。それでも否定されますか。
○磯崎説明員 その品目の明細が外に出ましたことは、これはもちろん先生のおっしゃいました通り、それを知っておる者は公安職員と被害者だけでございます。しかし問題は、先生のおっしゃっておることは、それを積極的に発表したんじゃないかという御質問だと私は承っておりますので、積極的に発表いたした覚えはございません、こう申し上げておるわけであります。
○石田(宥)委員 そういう逃げ口上はおかしいと言うのですよ。積極的であるとか消極的であるとか、それはあとで実地検証しますから明らかになりますけれども、一体長岡の公安というのは新聞記者がしょっちゅう行っておるところですか。どうですか。
○磯崎説明員 各駅の公安室には新聞記者はときどき参ります。絶対新聞記者を入れないということはありません。
○石田(宥)委員 しょっちゅう立ち寄るような状態でないですよ。まあこれはいいでしょう。あなた方は逃げておるなら逃げておるで、あとで現場を見ればわかるから……。 そこでこれについて、さっきもちょっと触れたのでありますけれども、計画的集団万引だ、こう言っておるのでありますが、計画的ということには、どこかに謀議が行なわれたという事実がなければならないわけですね。いきなり山口という公安官が、これはあくまで計画的集団万引だと言い張っておるのです。あとで岩川という新潟支社の課長も強硬にそのことを主張しております。計画的ということには、謀議、謀略が前提とならなければそういう言葉は使えないと思うのであるが、計画的という言葉を使っておるのはいかなる根拠に基づいたものであるかということ……。
○磯崎説明員 私の手元にございます。新聞の中にも、いろいろ書き方が違っております。ただいま先生のおっしゃいました計画的集団万引というようなことは、あるいはラジオで言ったのかどうかよく存じませんが、少なくとも私の方の職員の側から計画的集団万引というような言葉が出たという事実は全くございません。新聞をごらん下さいましてもいろいろ違った書き方をしております。私どもが発表したというようなお話かとも存じますが、そういう事実は全くございません。
○石田(宥)委員 あとで証人を呼んで明らかにしましょう。 そこで、これは困った事態だということで、われわれの方は、鈴木県会議員と小栗書記長と荒木常任書記と三人で五日の日に支社の公安課長を訪ねたのです。このときの岩川課長は、あくまで計画的集団万引である、こう言っておる。そこで、そのときに、三日以内に犯人をあげろと迫っておる。君たちが三日以内に犯人をあげなければ、僕の方は一日にしてホシをあげてみせるとたんかを切っておる。さらにそのあとにこういうことを付言しておる。実は計画集団窃盗であるけれども、これを集団万引としたのだ、こう言っておる。これも否定されれば一つ証人を呼んで明らかにしたい。この事実はどう考えられるか。
○磯崎説明員 公安課長のところへ、翌日でございましたか、七月五日に小栗さん以下二名の方が行かれたことは聞いております。またそれから二、三日しておいでになったということも聞いております。その際は、いわゆる捜査とかいうような問題でなしに、とにかく事件の跡始末をしましょうということでいろいろお話し合いをしておったと思うのでございますが、多少時間も長時間にわたったというふうに聞いております。しかしながら、その席でもって計画的集団万引だと申したか、あるいは犯人と申したというようなことは、私の方の報告では全く聞いておりません。
○石田(宥)委員 これはあとで証人を呼びます。三人おりますから、本人も呼びましょう。そういうふうにしらを切りなさんな。はっきり言いなさい。新潟支社の部長はこう言っておるのです。岩川君は実は言い過ぎをしたので始末書をとっております。と言っておるのですよ。報告がないはずはないのですよ。だからしらを切ると言うのは当然じゃないか。わかっておるはずじゃないか、そんなことは。
○磯崎説明員 その点は岩川君の言ったことでなしに、事柄といたしましては、先ほど申しました通り、いわば三千円程度の軽微なことでございます。すでに代金の回収も済んだ。あとは被害届が出ておるのをどう事務的に処理するかという問題だけなので、二度も県会議員の方がおいでになれば、その辺でまあまあということで話をつけるべきだったかと私も思います。常識的な立場から見まして。しかし、それに対して、何と申しますか、非常に潔癖にと申しますか、どうしても事件の事務的な跡始末をしたいという意味でいろいろやりとりがあったことも聞いておりますが、そういったことを言った、犯人をあげろとかいうことについての始末書を取ったということでなしに、もっとうまい事務処理の仕方があったではないか、いやしくも課長でもって外の人と応対する際に、しかもいわゆる公安職員として取り調べているという意味でなしに、いろいろ事件の落着について御協力を願っておるという話し合いをしておる最中でありますから、もう少しうまいやりとりがあるべきはずだというような意味で課長の責任を追及した点はあると思います。しかしながら、こういうことを言ったとかああいうことを言ったとかいうことでもって責任を追及したというふうには聞いておりません。
○石田(宥)委員 これはあとで明らかになりますからその程度にいたします。が、三日以内に犯人を出せ、君たちの方で出さなければ、こっちは一日にしてホシをあげる、とこう言っておる。これはもう実に明瞭なんです。そこでそのことはあとへ譲りまして、なぜ一体それくらいたんかを切っておりながら、その後捜査を続けたということは聞かないが、なぜ捜査をしないのか。また列車の中や停車場やその他のところ以外は、公安官としては、みずから外部の捜査ができないから、それならばなぜ一体これは検察庁なり警察なりに捜査の依頼をしなかったのか、あるいは依頼をしたのか、依頼をして断わられたのか何か知らないが、その間の事情を明らかにしたいと思います。
○長沢説明員 おっしゃいますように、公安職員は調査する権限は持っておりますが、そのあとのいろいろ法律上の処置というものは、検察官なりいわゆる警察官の方へ引き渡すというふうにして手続は行なわれておるわけでありますが、この案件に関しましては、話は警察にはちょっとしたそうでございますけれども、検察の方にはしておりません。あとで参考程度に連絡をしたということはございますが、一番最後の段階におきまして——と申しますのは、八月の上旬だったと思いますが、こういう点で自分の方では問題を処理したいと思う、新聞等にも出たので問題を処理したいと思うという話をしているだけであって、捜査を依頼したとか、あるいは自分の方でこういうふうにしたいから協力してくれというような、いわゆる事務的に相手方に協力を求めるというような連絡まではやっておりません。
○石田(宥)委員 これくらい世間を騒がせておいて——これは日本じゅうの農民に大きなショックです。米価闘争に水をぶっかけるものです。これくらい大きな問題を起こしながら、なぜ一体警察なり検察庁なりに捜査の依頼をしないのですか。無責任もはなはだしいじゃないですか。これではまるきり切りっぱなし、切られっぱなしじゃないか。われわれの立場はないじゃないか。なぜ一体そんな無責任なことをやるのです。今からでも捜査をやらせなさい。やるべきじゃないか。事態を明瞭にすべきではないか。品物が何がどういうふうになくなったかということもだれも確認をしていないじゃないか。そんなあいまいな事実を世間に発表しておいて、あとの締めくくりは何もしないじゃないか。なぜやらぬのです。あなたは責任者として、さっそく検察庁なり警察なりに依頼をして捜査をやらせなさい。犯人をあげなさい。あなたの部下は一日にしてホシをあげてみせるとたんかを切ったのだ。なぜやらぬのです。やりなさい。
○長沢説明員 御存じの通り、公安職員の捜査権限というのは鉄道地域内の犯罪、施設内の犯罪というものと、運輸に関する犯罪というふうに、目的、対象も制限されておりますし、また捜査の権限も制限されております。従いまして、外に及ぶ、地域外に及ぶというような捜査を行使する場合には、おっしゃる通り、警察等にも連絡をして協力をしてやるということになるのでございますが、その当時としまして、事件の届出を受けたそのことによって、届出を受けたところの公安職員が一応調査を行なったという点は、届出被害事実に基づいて、被害者の届出に基づいてやったということでございますけれども、事案が、今先生からもお話がございました通り、次第に明らかになるにつれまして、それほどの必要はない、かように私の方でも考えまして、そのように処置いたしたのでございますが、今おっしゃいましたのは事件が非常に大きくなって、新聞その他にも発表になったので、黒白をつけるべきがほんとうじゃないかとおっしゃるのでございますけれども、これは私の方の立場といたしましては、事件そのものとしては非常にはっきりしたので、現在のままで終結をいたしたい、かように考えておるわけであります。
○石田(宥)委員 あなたの方はもう日本じゅうに報道してしまったから、それで済んだのだ、われわれの方はどうなるのです。われわれはその事態を明らかにしなければ——あなたはまだわれわれの運動というものを承知しておられないかもしれないけれども、われわれは四十年間軍閥や官僚の専横と戦って、命がけで戦ってきておる。われわれの同志の中では留置場で殺ざれた者もある、拷問に耐えずして自殺した者もある。日農新潟県連の四十年の歴史というものは日本じゅうだけじゃない、世界にこれは伝わっておる。この光輝ある日農新潟県連の四十年の歴史を故意に傷つけておいて、そうしてその跡始末をする必要がないとは何です。そんな無責任な話はございませんよ。新聞の発表に戻るけれども、もし新聞記者がかりに電話を聞いておったならば、そうしてあとで聞かれたというのだから、大体は金はもう決済は済んでおるし、大した問題じゃないのだと一言なぜ言わないのです。たかが三千二百九十五円、それを積極的に発表したか消極的に発表したかどころじゃない。ここに私は公安官そのものの問題があると思うが、これは一つ猪俣先生に譲るとして、そういう無責任な態度はないから私は被害者の一人としてあなたに要求します。事態を明らかにして下さい。検察庁に依頼するなり、あるいは県警本部に依頼するなりして明らかにして下さい。今私が申し上げたように、殺された者もあれば、拷問に耐えないで自殺した者もあるし、私も四回も五回も刑務所に入って軍閥、官僚と戦ってきた、農民のために今日まで命がけで戦ってきたその四十年の歴史を軽々しく汚されて、そうしてこの程度で終わりますとは何事です。私は要求します。直ちにしかるべき手続をとって捜査をやって下さい。どうです。
○長沢説明員 今四十年の歴史を持つ日本農民組合の名誉を汚したというふうにおっしゃいましたが、新聞記事等、いろいろ記事の内容は個々でございますけれども、日本農民組合云々というふうには、その名前はもちろんそれに所属のというふうな意味で出ておるわけでありますけれども、日本農民組合云々というふうには出ておりませんので、われわれ自身もちろん新聞記事その他の感覚といたしましては、確かにおっしゃることはあるかとも思うのですけれども、しかし日本農民組合云々というふうには新聞記事には出ておりませんしいたしますので、必ずしもあの新聞記事を原因として黒白を明らかにつけたいとおっしゃる意味が私にはちょっと今のところはのみ込めないのです。
○石田(宥)委員 日本農民組合云々と書いてないと言っておるけれども、全部日本農民組合新潟県下越協議会ということをちゃんと言っておる。これはNHKのラジオの放送の原稿もあります。ちゃんと書いておるじゃないですか。書かないのもあるいはあったかもわからぬけれども、全部書いておるじゃないか。一体、そういう感覚がおかしい。そういうふうに日本農民組合新潟県連合会と全部が全部書いていないから歴史を汚したとは考えないなどという、その根性がおかしい。総裁、一体あなたはこういう事態を生んだことに対してどうお考えです。
○十河説明員 そういう問題が新聞記事等に発表せられて、記載せられて皆さんに御迷惑をかけたことは、はなはだ遺憾だと思いますけれども、さっきからお答えいたしておりますように、国鉄の職員が新聞記者に発表したものでなく、新聞記者が取材をしたものであるというふうに伺っておりますから、そこらの点が、私どもの方で調べたもので承知しておるところと今お話の点が食い迷いがあるのじゃないかと思います。何にしてもそういう御迷惑をかけたことは、これははなはだ遺憾だと思いますが、どこからその何が出たかということについては国鉄が進んで発表したものでないというふうに私は今伺っております。その点は一つ御了承を願いたいと思います。
○石田(宥)委員 消極的な発表と積極的発表とどう違うのですか、総裁。
○十河説明員 新聞記者が取材をする場合と国鉄が発表する場合と全然違う。新聞記者が取材をしたものにはいろいろ事実の相違もあります。国鉄で責任を持てないものがたくさんあります。国鉄の発表したものは国鉄のそれぞれの責任者が責任を持って発表しておることでございますという違いがあります。
○石田(宥)委員 そんなことを聞いておるのじゃないのですよ。積極的な発表と消極的な発表とはどう違うかというのですよ。
○十河説明員 消極的な発表というのはちょっと私よく理解できないのです。が、積極的な発表をするのはそういう事実があるから、またはこういうことをしたということを国鉄の責任者から発表する。消極的の発表というのは、今私が申し上げたように新聞記者の方が自由に取材をせられたことをおっしゃるのじゃないか、こう想像して申し上げたわけであります。
○石田(宥)委員 これは磯崎常務理事が消極的な発表だと言っておるのですよ。そのことは、新潟支社で言っておるように、電話連絡しておったのを新聞記者が聞いておって、それであとで聞かれたからしゃべった、こう言っておる。われわれの団体はまだ東京におるのですよ。東京に朝着いたばかりで、東京におるのですよ。われわれの団体から出るはずはありません。朝四時に金を払っておる。それが長岡で全部出ておる。だから要するに電話でもかけるところをちょっと聞いておって、そうしてどういうのだということを聞かれたときに、全部これを発表しておるじゃないか。だから磯崎常務理事は、それは消極的な発表だ、こう言っておるのですよ。発表には違いがないじゃないか、発表したことは間違いがないじゃないか。もし公安班長なり公安官が常識の持ち主であったならば、もう少し良識があったならば、満足な人間であったならば、それは代理金は決済されておるし、まあ話は済んだことからいえば、この事実は外部に出ないで済んだじゃないか、こういうことなんです。だから積極的と消極的とはどう違うかということを私は聞いたのです。発表に二つはないじゃないか、そうでしょう。総裁どうです。
○磯崎説明員 先ほど私が消極的発表という言葉を使いましたかどうか、今ちょっと記憶がございませんが、新聞記者に聞かれたとき、すなわち新聞記者が取材に参りましたときに、その取材に対してある程度答えるということは、これはやむを得ないことではないか、こういうふうに考えます。それを先生が消極的発表とお考えになるならば、これは言葉の問題でございます。が、私どもいろいろ新聞記者から取材を求められました場合にも、やはり事実は事実として差しつかえのない程度に話をするということもございまするし、また新聞記者が相当いろいろ自分で勉強し、自分で歩いて聞いてきたことなどもあります。それがイエスかノーかということを聞く場合もございます。いろいろの取材の方法があると思います。そういう場合にこちらが答えるのと国鉄が発表したのとは性質が違うということを申し上げたわけであります。
○石田(宥)委員 あなたは積極的な発表でないと言われたから、積極的な発表でないということは消極的な発表じゃないですか。消極的な発表という言葉は使わないと言うけれども、積極的な発表でないということは消極的な発表だということを意味するのじゃないですか、どうですか。
○磯崎説明員 大へん言葉になって恐縮でありますけれども、積極的発表でなければ消極的発表だということには私はならないと思います。それは発表ということを前提とすれば、積極的、消極的という言葉がつきますが、私は初めから積極的発表という一語で申し上げておりますので、そうでないものが消極的発表だということにはならないと思います。
○石田(宥)委員 とにかくこの内容が全部新聞に出ておるのだが、そのことは、調べてみると、これは売り子は言っていないのです。公安官以外にこの内容はわからぬじゃないかと思うのです。だから公安官がそのとき満足な人間なら——それはもう朝の四時に金が済んでおるし、われわれはそのことの事実のいかんを問わず、これは売り子に迷惑はかけないでやっておると言っておるのだし、それが朝の四時、五時に新聞記者が来ておるはずはないでしょう。そうすれば公安官がこれをどういう形か知らないが、発表したということは間違いないわけだね。それを否定されますか。
○磯崎説明員 取材されたものに対して答えるということはあると思います。
○石田(宥)委員 時間がなくなったようでありますから……。私どもはみなくとも四十年の間軍閥、官僚と戦って命がけでやってきたが、天皇政治のもとにおける判検事やあるいは憲兵あるいは警察官といえどもこのような悪らつな取り扱いをした例というものはあまり数多くない。今日の公安官は、このような悪らつな行為をやって、いろいろ言辞を弄して責任を避けようとしておられるけれども、どういう形にしても、今申し上げたように公安官が、これを外部に発表して人の名誉を傷つけておるじゃないか、団体の名誉を傷つけておるじゃないか。全く私どもは泣いても泣けないということをわれわれの同志は言っております。 さらにこれについては、この週刊誌にも書いてありますように、やれ花見気分であるとか、やれ酒に酔っぱらってどうとかいうけれども、一体われわれのこの陳情列車というものの状態は、鉄道の人ならおわかりだと思うけれども、二等の夜行列車で板敷のところに新聞を敷いて寝ころんできて、そうして疲れ切ったからだで大会場に行って、それから三里ほどもデモ行進に参加して、そうしてその晩また今言ったように二等車で新聞紙を敷いて寝て帰る、これが花見気分などといわれるような記事の原因を作ったものは、国鉄公安の責任じゃないのですか。総裁でも、大臣でも、二等列車に新聞紙を敷いて、二晩を続けて往復して、三里もこの東京のデモ行進に参加する、あなた方自信がありますか。それでも花見気分だなどと言えるかどうか、一つお二人の所見を伺っておきたい。
○十河説明員 私はそんなことは考えません。
○綾部国務大臣 私もさようなことは考えません。
○石田(宥)委員 そこで、最後によく聞いてもらいたいと思うのですが、最近の農家には嫁の来てくれ手がない。嫁のこない農家の跡取りはもういやだというので、去年の中学校、高等学校の卒業生の農家の長男の八割は農家を捨てておるのです。若い青年に見捨てられておるところの中年以上の農民の気持がどんなに深刻なものであるか、一体考えられたことがあるか。中年以上の人はだれも雇ってくれるところもない。若い者はみな逃げ出してしまっている。そういう状態の中で、ただ一つ米の値段を上げてもらうことがせめてもの農民の生活に幾らかのプラスになるというところに望みをかけている。田植時期になると、私もさんざんやったのでありますが、田植を終わると重労働のために、大ていの人が、若い者でも体重は一貫目くらい減りますよ。しかし、農村にどんな慰安や娯楽があるとお考えになりますか。ただそういう一貫目もやせこけた農民にある慰めというものは、しょうちゅうを一ぱいひっかけるとか、安ウイスキーを飲んで、その疲れ、苦労を忘れる、それ以外に何もないのです。しかし今度のこの事件によって至るところから、この週刊誌にも載っているように、花見気分で行ったとかあるいは酒に酔っぱらって云々というようなことを言っているが、農民の実情はこういうものだということを——運輸大臣は公安官の監督権を持っておられる立場におられるし、また総裁は、もちろんこれは国鉄一家の問題でありますから、よく一つこの点を考えておいていただきたい。この週刊誌にも書いておりますように、農民の生活がいかに苦しいかは、ここに一人の農民のことが出ておりますが、七人家族で一年間で十五、六万円で食っていかなければならないのだということを言っている。七人の家族で一年に十五、六万円で生活しなければならない農民の生活というもの、農家の経済というものを考えたことがありますか。今度のことは、そういうことのせめてもの農民の経済的な要望のために真剣に上がってきている。やはりこの雑誌にも一人の班長が言っておりますが、往復の汽車賃は二千円しか渡していない。そのほか二十五人の食費、これは酒を飲む分を入れて二十五人分で一万円ほど持ってきたというのです。二晩と一日の食費や一ぱい飲み分で一万円というなら、一人当たり四百円です。四百円で二晩と一日の食費と一ぱい飲み分で上京してきているのが、あの雑誌や新聞の記事によって、花見気分で出かけているなどという誹謗を受けなければならなかったのです。 きょうは国鉄の皆さんは肝心なところはいいかげんにはぐらかしておられますが、これは機会を見て現場も調査し、また証人も呼んで、そうして当委員会でできなければ法務委員会などで十分これは論議を尽くさなければならない問題であります。公安局長は積極的に犯罪捜査をこれ以上やる意思はないとおっしゃるが、私はこれはあくまでやはり捜査してもらいたい。六百何十人のうちからわれわれのところでは出せません、頭から犯人呼ばわりされて、犯人がこの列車の中にいるといたけだかに出られたときに、実は私は払わないと言つて出る人間はございません。これは明らかにしてもらいたい。なぜそういうことを言うかというと、もちろん中心になるものは日農新潟県連合会でありますが、しかし、その中には農業委員会の会員もいるし、市町村議会の議員もおるし、いろいろな人がこの団体に参加しておるのです。だから、私どもの団体の不名誉ばかりではございません。参加したすべての人の名誉のために私はあくまでこれは明らかにしていただきたい。これを一つ重ねて私は要求して、私の質問を一応以上で終わります。
○木村委員長 高橋清一郎君。
○高橋(清)委員 ごく簡単に関連質問でございますが、先月の二十七日付で、不当米価反対新潟県農民抗議集会という方々のつどいがございましたときに、抗議文が出ておるのであります。が、その中で、今回の事件は事件の内容からいたしまして、国鉄公安官の一方的解釈による政治的策謀であると実はきめつけられておるのでございます。が、その点に対しまず磯崎常務理事の方から御見解を承りたいと思います。
○磯崎説明員 先月二十七日の抗議文は、私は拝見しております。ただその中で、今高橋先生がお読み下さいましたように国鉄公安職員の政治的策謀という言葉が使われてございますが、これは先ほど私から石田先生にお答えいたしました通り、全くそういう事実はございません。その点は明らかに重ねて申し上げます。
○高橋(清)委員 私もさように承知したのでございますが、ただ問題は、これがいろいろお話をただいま聞いておりまする経過によりましてもわかったのでありますが、最初販売人のほんとうの意思によってなされたものであるかどうかというようなことも、これは事件と申しますか第二のきめ手にもなるだろうと思うのであります。申告によったものであるかどうか、それをちょっとお聞きしたい。
○磯崎説明員 販売人から申し出がございましたのは、二十二時四十五分ごろ、三七一四列車の発車が二十二時四十分で、発車直後二十二時四十五分ごろ販売人から口頭で被害の申告がございました。二十三時五分ごろ書面による被害届を提出いたした、こういう順序であります。
○高橋(清)委員 四、五名の者は現金を払ったのであるが、残余の十四、五名の者が列車出発のベルで大あわてに持ち込んだままの状態だというようなことを聞いておりますが、しかもその二十名前後の方々は酒気を帯びておったかどうかということをちょっと参考にお聞かせ願いたい。
○磯崎説明員 四、五名の方がたしかウイスキーを買われたというふうに聞いております。そして買っておつりがこまかいのがある、ないでごたごたしている最中に、どっと来られてそして相当にある程度のものを持っていかれたというふうな届けになっております。が、それらの方が酒気を帯びておられたかどうかということは確認いたしておりません。
○高橋(清)委員 今回の事件の一番勘どころは、新聞発表という点であろうと思われるのであります。考えてみまするならば、二、三千円程度のいわゆるきわめて軽微事件と思われるものでありますが、それが誇大に宣伝せられた動機が何であるかということが今石田先生のお尋ねの中心でございます。もう一度繰り返してお尋ねしたいのでありますが、たとえば新聞記者に一堂に会していただきまして、どなたでもけっこうですが、ともかく公安官のだれかが共同発表をした、皆様方の前で同時に発表をした、事件の内容についてるる説明したという場面があったかどうかということをもう一度伺います。
○磯崎説明員 私の方の調査によりますれば、先ほどから申し上げました通り、私の方はいわゆる新聞社に対する発表という形式をとった事実は、全然ございません。
○高橋(清)委員 仄聞するところによりますと、次々と次の停車駅におきまする公安官に告げて、事件の内容を話しながら、できるならば上野の終着駅までに金銭の回収がもたらされるようにという考え方で、真剣にこれ努めたということを聞いておるのであります。そのために高崎、小千谷というところまで公安官が異常な態度で——できる限り真相をつかみたいということからでございましょうけれども、それからきます派生的なものとして、実は翌朝各省に対する連絡のさ中に、居合わせたたった一人の新聞記者が聞きつけて、事件の内容を聞いた、それについて係官が話したというようなことから出たように考えるのですが、いかがですか。
○磯崎説明員 公安職員は、長岡でそういう事態が発生いたしましたので、なるべく早く事態の実相をつかもうというわけで、長岡から水上に連絡いたしまして、途中土合の駅から乗り込ませまして、事柄の確認を早くいたしたわけであります。それが新聞に漏れましたいきさつにつきましては、新聞記者が聞きまして、そうしていろいろ事態の真相を伝えたというようなことが実相だと私は見ております。
○高橋(清)委員 この種の事件でございますから、できる限り隠密に調査いたしまして、他人の名誉に関する事件でございますから、こまかいところまで配慮をいたしまして、うまく解決するということが原則でなければならないと思うのであります。従って、問題は、公安官の方でその責任者なりあるいは団体の役員と申しますか、引率責任者の方々に対し協力方を願ったかどうかということをお尋ねいたしたい。
○磯崎説明員 私どもといたしましては、土合の駅から乗り込みましたときに、先ほどの石田先生のお話と多少違いますが、早く事態の真相をつかみたいということで、小栗さんにもわざわざ車の外に、洗面所に出ていただきまして、お一人でなく二人か三人ぐらいの人とお話をしたつもりでございます。そのときの公安職員の態度その他につきまして、私の方の報告と先ほど先生のおっしゃったこととはだいぶ開きがございます。その点はもっと調査いたさなければいけないというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、被害届がございまして、そうしてその事柄の実態を早くきわめたいということからいたしたことでございます。ただ、先ほど総裁が申しました通り、その事件が新聞に出まして、そうしていろいろな方に迷惑をかけたことにつきましては、私としても大へん遺憾に存じております。
○高橋(清)委員 ただいま石田先生のお話の中にございました、その際の公安職員の態度はきわめて高圧的であった、傲慢無礼であったというようなことでありますが、はたしてそういう状態であったかどうかということであります。
○磯崎説明員 そのときの報告は、その当時列車に参りましたのは二人でございますが、本人の申すこと以外に私の方はほかの人間がおりませんので、確かめのいたしようがございませんが、本人たちは、規程にございます通り、極力、捜査とかいうようなことでなしに、事態の真相をきわめる、そうして捜査に協力してくれというような態度でもって臨んだというふうに申しておりますので、私も彼らの言うことをそのまま信じておる次第であります。
○高橋(清)委員 代表が陳謝いたしまして、悪かった、一つ何とかしてくれぬかというような陳謝の場面があったにもかかわらず、公安課長はあくまでも事件としてこれを取り上げるという不遜な言を吐いたということを聞いておるのでありますが、いかがでありますか。
○磯崎説明員 事件後一応七月四日の午後、先ほど石田先生のおっしゃいました通り、小栗さんその他の方が新潟の支社に行かれまして、いろいろ話をされました。またその数日後、再び足を運ばれたことも事実でありますが、事柄の内容から申しますれば、事件も軽微でもございますし、そういったことでお互いにきずをつけないで落着すべきものだと考えます。そのときにどういうやりとりでそういうふうになったかつまびらかにはいたしませんが、先ほど石田先生のおっしゃった通り、もしいろいろな不当な言辞がそのときにあったとすれば、これは大へん遺憾なことでございますし、もしできればその場でもって上司の命令を仰いで互いに話をつけてしまうべき性質のものだったというふうに考えております。
○高橋(清)委員 今日までの間で、事件後でありますが、捜査の積極的な発展はないというふうに伺っておるのでありますが、取り調べましたことはあるかないかということをはっきりお願いしたいことと、もう一度これを事件としてはっきり取り上げるかどうかという決着の点まで参ったかどうか、はっきりさせていただきたいと思います。
○磯崎説明員 私どもの方といたしましては、代金も返って参りましたし、いわゆる犯罪事件としての捜査をするというような気持は毛頭持っておりません。もしございますれば、当然その後いろいろいわゆる法律上の意味の捜査をすべき問題だというふうに考えますが、事柄が落着いたしましたというふうに考えて、たとえば部外の方においでを願っていろいろ取り調べをするとか、あるいは先ほど申しましたように、検察庁に連絡して、そちらの方から捜査をしてもらうといったようなことはいたしておりません。 それからもう一点、今高橋先生の御質問の今後の問題でございますが、先ほど石田先生からは、ぜひ捜査を継続しろというようなお話もございましたが、いずれこれは部内で相談いたしますが、私どもといたしましては、先ほど公安本部長が申しました通り、事件の内容も軽微でございますし、事柄も落着いたしましたので、このままで軽微事件として処理したいというふうに思います。
○高橋(清)委員 最後でありますが、この種の事件の取り調べにあたりましては、もちろん正確、敏速な事情把握というものが必要であろうと思います。けれども、行き過ぎ捜査というものは厳に慎しんでいただかなければならぬと思います。御答弁は要りませんが、今石田先生のお話の内容をよく聞いておりましても、情状酌量と申しますよりも、この事件を契機にいたしまして、今後似通うた事件が出ないとも限らぬと思うのであります。そういった場合におきましては、公安本部長もおられるのでありますから、いわゆる事件の内容に従いまして態度が違ってくるということも考えるのであります。よろしく御考慮願いたいということを希望として申し上げまして、私の質問は終わります。
○木村委員長 猪俣浩三君。
○猪俣委員 鉄道公安官の問題でありますが、鉄道公安官の制度につきましては、私も非常に重大な関心があるところであります。これは御存じのように議員立法であります。昭和二十五年、当時の衆議院の法務委員会、しかもその小委員会で立案いたしまして、これが委員会を通り、本会議をそのまま通った。私もその小委員の一人といたしまして立案をした責任があるのであります。現在のところ小委員として関係をした者は、私一人になってしまいました。専門員の小木君と二人きりしかいない。当時小委員会には速記がつけられておりませんでしたために、いろいろの法律の運用について、あとでわれわれの立案の趣旨がひん曲げられておるように相なったわけでありますが、その肝心の小委員会の速記録がないのでありまして、これは先般社会労働委員会と法務委員会の合同審査のとき、当時の鉄道の責任者である調所という人及び小木専門員が詳細に小委員会の審議の模様を報告して、それが委員会の速記録になってあるので、ほぼ明らかになっておるのであります。その当時の公安官と今の公安官は非常に社会環境が違ってきている。従って公安官の仕事というものが変わってきているわけであります。公安官が、実をいうと仕事がなくなった。昭和二十三、四、五年時分の汽車内あるいは鉄道構内における粉乱から生じたいろいろな犯罪、そういうものが治安がおさまるとともにおさまる。そうすると公安官は手持ぶさたであるために、どうも労働運動の弾圧なんかという方向にそのエネルギーを用いるようになってきて、われわれが小委員会で立案し、はっきりそれを繰り返し繰り返し論議しました労働運動などには絶対に公安官を用いないというその立案の趣旨を、全くじゅうりんするような公安官が出現してきた。今回もこの公安官が労働組合運動と対決することから、革新勢力、労農提携、そういう方向にまで思いをはせてきて、相当悪意ある処置をとったものだと認められるのでありますが、それはそれとしまして、運輸大臣並びに総裁にお尋ねいたしたいことは、三十三年十月二十五日財政調査会が発表した「国の予算」という本がありす。これは当時の大蔵大臣佐藤栄作、石原主計局長の推薦している本であります。この七百八十六ページにこう書いてある。「鉄道公安官は終戦後の混乱という異常事態に生れたものであるが、治安の回復状況からみればその存続の意義は少くなっている。国鉄では、この公安官は警察的な事務ばかりでなく、荷物の事故調査という国鉄本来の業務を持っているほか労働組合対策上必要であると主張しているが、すくなくとも事故調査業務にたずさわる以外の公安官は、漸次縮減すべきではなかろうか。」こういう意見を発表しております。そこで運輸大臣並びに総裁にお聞きます。こういう事故調査業務に携わる以外のそういう公安官というものは、漸次縮減すべきである。こういうことに対して大臣並びに総裁はどう考えられるか。公安官の行き過ぎが今非常に問題になっておる。社会党は鉄道公安官に関する法律の廃止案を提出しておるのであります。これはまた専門的になりますが、国家刑罰請求権とも関係がありはなはだ変態的状態である。国の機関でもあらざるところの国鉄なるものが国家刑罰請求権から発生する捜査権を持つなんということは変態であります。それをあなた方専門家でない者に追及してもしようがないから、これはまたここに刑事局長も来ておりますから聞きますが、それから鉄道公安本部長も来ておりますから聞きますが、大体こういう変態的なものはこれは変態的社会情勢に応じてできた臨時の制度なんです。これを今日まで維持しているところにいろいろなトラブルが起こる根本原因がある。この財政調査会が発行した「国の予算」しかも当時の大蔵大臣や主計局長が推薦しているこの「国の予算」という本に現われました意見、これに対してどう考えておるか、大臣並びに総裁、めいめい御答弁願います。
○綾部国務大臣 どういう意見か私それを読んでおりませんが、ただいま直ちにこれを廃止するとかいう考えはありません。と申しますのは、構内、列車内その他至るところに被害の状態がかなりあるので、今直ちにこれを廃止するという意見は持っておりません。
○十河説明員 私も大臣と同じ考えでおりますから、なるべく車内のあるいは構内の秩序を維持し、間違いのなよいうにして、お客さんに安心を与えるということが主たる目的だと思います。そういうためにはなお必要であると思っております。
○猪俣委員 主たる目的をはき違えてやっておる。立案の趣旨はそうなんです。列車内におけるいろいろな問題を取り締まるという意味で、この法案は私どもがつくったんです。あなたがつくったんじゃないのです。これははき違えてきているからいろいろな問題が起こる。私の質問は直ちに廃止するということを質問したのじゃない。事故調査業務に携わる以外の公安官は漸次縮減すべきものと思うという、この意見に対してどう思うかという、こういう質問なんです。質問にちょっと答弁の的がはずれている。それをどうお考えになりますか。
○綾部国務大臣 私はあなたの質問を、廃止すると考えたからそういう答弁をしたのですが、列車内の犯罪の状況その他によって考えるべきもので、縮減するような列車の状態になることを期待いたしております。
○十河説明員 今大臣がお答えになりましたように、車内のいろいろな事故が相当多くて、お客さんが非常に御迷惑をしている点が多々あると思います。それゆえに、これはどうしてもまだ必要じゃないかと思います。このなにの歴史については私はよく存じませんから、必要があれば副総裁からお答えいたします。
○猪俣委員 この鉄道公安官制度は、当時の社会状況から変則的にできたものであります。そこで現在になってみますると、鉄道公安官、つまり司法権、捜査権をある限定せられた条件のもとに行使することを認められた鉄道公安官、彼がもしここに人権じゅうりん的な行動があったとするならば、一体その最高責任者はだれなんだろうか。これが検事なりあるいは警察官ならば責任の段階が明らかになっております。が、鉄道公安官というような、こういう傍系の警察権の行使者、この権利の乱用があった場合の責任者はどういうことになりますか。これは公安本部長でもいいです。
○長沢説明員 人権じゅうりんその他の非行があった場合においては、先生おつくりになりました通りのことで、指名そのものが運輸大臣によってなされておりますので、非行があったときの制裁としましては、指名の取り消し、その他運輸大臣の監督権によってなされると思います。
○猪俣委員 そうすると、そういう公安官の人権じゅうりんの問題があった場合には、最高の責任者は運輸大臣ですか。
○長沢説明員 公安本部長としては運輸大臣の監督のもとにあると考えております。
○猪俣委員 私はこういう質問をいたしますのは、これがたとえば麻薬取締官あるいは労働基準監督官あるいは海上保安庁法による犯罪捜査官、それにおける主管大臣の責任というものと、この鉄道公安官の運輸省設置法における大臣の責任というものは、ちょっと書き方が違っておる。今申しましたような麻薬取締法とかあるいは海上保安庁法あるいは労働基準監督官の責任とかいうものに対しては、それの主管大臣が指揮監督すると書いてある。ところが鉄道公安官については、運輸省設置法にはただ監督としか書いてない、指揮という言葉がない。指揮監督しない。そこで監督権だけがある、指揮権はないというふうに解釈できると思うのですが、どういうわけでこういう使い分けになったかわかりませんが、運輸大臣は監督権だけある、指揮権がない。そこで捜査の全国的な指揮権はだれが持っておるのですか。
○長沢説明員 その件につきましては、指揮監督ということになりますと公安本部長ということに、内部的に運輸省告示によってきめられた事柄であります。
○猪俣委員 僕はそれが問題だと思うんだ。公安本部長というのは非常に奇怪な存在だ。全国的に公安官なる司法警察官の職務を行なうものの指揮命令をしておる、大きな捜査権を持っておる。これがどういう人かというと、国鉄という一つの公社の職員にすぎない。これが今の刑事訴訟法の法体系とどう調和するのか。指揮権を持っている、しかもその根拠は今あなたの言ったように運輸省の告示なるものでそうなっておる、どうもあやふやな話だと思うんだな。とにかく警察権、捜査権というのは重大な人権と関係のあるものなんだ。本部長は検車総長と同じような権力がある、全国の鉄道公安官を指揮命令するんだから。ところがその公安本部長なるものは国家機関でもない、国鉄という公社の職員なんだ。それがしかも全国的に指揮命令をする、その根拠は運輸省告示というものだ。運輸省告示というのはどういう法的性格を持っておるのですか。その運輸省告示なるものによって——国家機関のみに属する国家刑罰権、ここから出ているのです。捜査権は。その捜査権は検事総長と同じように公安本部長が握っておる。その本部長は鉄道職員、その根拠は運輸省告示だ、ちょっとお粗末過ぎやしないかと思う。これでは人権に関係いたします。いわゆる国家刑罰権から派生いたしております捜査権というものの所属に関して、はなはだ不明確きわまるものだと僕は思う。その運輸省告示なるものは、いかなる法的地位にあるものですか。
○岡本政府委員 告示の法的な性格についてのお尋ねでございますが、御承知のように先生がおつくりになった法律でありまして、鉄道公安職員の職務に関する法律という、いわば特別の法律でございます。もともと公安職員の警察権の行使の目的なりあるいは対象なりあるいは地域なりが非常に限定されておりますので、そのいったことから法律に基づいて鉄道公安職員の捜査及び鉄道司法警察の組織に関する告示にこのことを明らかにすれば足りるというふうに考えたものと思います。
○猪俣委員 私どものつくった法律なら私どもの立法精神に従って運用してもらわなければならぬ。そのときの政府並びに鉄道が拝みます。頼みますでわれわれをおだて上げてつくらせて、そうして絶対にそんなことは夢にも考えていませんという答弁をやっておった。われわれは一ぱい食わされた形になった。そうしてこういう法をつくらせて、政府が出すというと、占領状態でありましたために、警察官の人数の制限とぶつかるおそれがあって、これはなかなかすっと通らぬ。そこで議員立法に持ち込んできた。そこでわれわれははっきり立法目的を明らかにした。全国的な大きな捜査権などということは考えておらぬ。その鉄道に乗り込んだ公安官がその鉄道内に起こったいろいろなトラブルを、一般の乗客専務の車掌よりは権限を多少持たせることにして治安を治めることに貢献させよう、そういう軽い意味でつくったものだ。ですから、本部長などという全国的に指揮命令するようなこういう偉大なる権限のあるものが出現するなどと思っておらなかった。一列車なり一構内なりに現行犯として突発的に起こったことを普通の駅員よりは多少権限を持ってそれを取り押えるという軽い意味でつくった。貨物の抜き取りだとか暴行だとかいうことが盛んに行なわれておりましたから、その意味でつくったものだ。今度はいろいろな方向にその鉄道公安官を使い出した。それで今回の問題みたいなものが起こってくるわけです。そこで、公安本部長なるものがそういう全国的な統括をする必要があるといたしますならば、現在の刑事訴訟法の法体系に合わせたやり方をやってもらわなければならぬ。そういう指揮に対する最高の責任者は一体公安本部長かということになる。運輸大臣も総裁も、監督という言葉はあるが、指揮という言葉はない。そうすると、公安官の指揮の最高の責任は公社の一職員である公安本部長が負っているということになる。この公安本部長と国会は一体どういう関係になるか。国会に対して直接的に責任を負わざる者が国家刑罰権の最高責任者になるわけです。それからの関係を説明して下さい。
○岡本政府委員 仰せのように、確かに運輸大臣の監督につきまして指揮という文字はございません。これはおそらく捜査に関する職務につきまして、その監督の重点が具体的な捜査という仕事の監督じゃなくして、むしろ身分的な監督、つまり適格者が鉄道公安職員の地位に選ばれるということを担保する、こういうことがやはり主眼点であろうかと存じます。従いまして、先ほど申し上げましたように、たとえば実際の業務執行にあたりまして所管区域をこえることがあってはならないとか、あるいは拳銃の取り扱いについては慎重の上にも慎重を期さなければならないとか、そういったものを一般的な業務執行に当たっての基準についてはつくっておりますけれども、具体的な捜査の指揮につきましては、対象が鉄道施設内にあるものとか、その目的が限定されております。そういうことで、まず適正かどうかいろいろ議論はございましょうけれども、その当時におきましてはそういうふうな判断がなされたものと信じております。
○猪俣委員 その指揮命令系統を明らかにして下さい。鉄道公安本部長、その下の何と何とどういうものがあるか。
○岡本政府委員 これは普通の司法警察官というふうなものとは違いまして、特殊なものでございます。これは私が申し上げなくても御承知の通りでございます。そこで、まず監督者としては運輸大臣ということに法律できめられてございます。その下の組織としましては、鉄道公安職員の捜査及び鉄道司法警察の組織に関する告示としまして、鉄道公安職員の職務に関する法律の第四条に「鉄道公安職員は、捜査に関し、その所属する事務所の所管区域外で職務を行うことはできない。」とございますが、「第四条に規定する事務所は、鉄道公安本部及び鉄道公安部とする。」とございまして、「鉄道公安本部は、日本国有鉄道の主たる事務所に置き、鉄道公安職員の捜査に関する職務及び鉄道司法警察に関する職務をつかさどるものとする。」こうございまして、第三条に「鉄道公安本部の長は、鉄道公安本部長とし、運輸大臣の監督を受け、鉄道公安本部の職務を掌理するものとする。」その下部機構としては、第四条に「鉄道公安部の長は鉄道公安部長とし、鉄道公安本部長の指揮監督を受け、鉄道公安部の部務を処理するものとする。」こうございます。
○猪俣委員 われわれの立案したときは、そういう指揮命令系統は、ちょうど検事総長、検事長、検事正というような段階に分けて全国的に大がかりな組織をつくるようなことは考えておらなかった。だから、一人の公安官が列車に乗り込み、ホームの中に立っても、公安官それ自体が普通の乗務員よりは捜査権を持っているというような趣旨のもとに立案したものである。それが結局におきましていろいろの方面に利用されちゃって、ことに現在では労働組合運動なんぞにこれが強力に活動して、まるで国鉄の私兵みたいな役割を果たしている。各企業体がみんな私兵を擁するようになったらとんでもないことになる。そういう私どものつくりましたときと違った方向が出てきてしまっておりますが、とにかく鉄道の公安本部長という一公社の職員が全国的な捜査指揮権を持っているというようなことは、もう少しよくお考え願いたい。わが国の捜査権の系統を非常に乱したものである。こういうことはほかにないと思います。国家機関にあらざるものが捜査権を持って全国的に指揮命令をする。しかも、それを運輸省告示なんといういかなる法的地位にあるものかわからぬものがきめている。その必要があるならば立法化されなければならぬはずである。さようなわれわれのつくりました単純なこの公安官の制度を徹底的な捜査網の制度に組み上げちゃって、そうして公安本部長などというその地位、権限のはなはだ明らかでないものが捜査権を持っている。これは今すぐ御答弁願わぬでも、もう少しよく政府は研究して、そしてわれわれの納得のいくような答弁をしてもらいたい。そして、運輸省告示などというものによって権限を与えるということが一体許されるところかどうか、これは研究を願いたい。皆さんの答弁はさっぱり私は納得できない。これは研究宿題として出しておきまして、次に、今回石田君が質問いたしました問題につきましては、はなはだ遺憾でありますが、私は竹内さんも来ておりますから言いますが、近ごろ検察庁はないが、警察段階なんかにおいて、自分の調べがうまくいってぶち込みができないようなことになると、新聞発表によって社会的制裁を加えるということをよくやる。最近ある時計商が密輸の疑いでもって逮捕された。そうしたところが、何にも密輸品というものがないということが明らかになった。その明らかになった後において新聞発表をやって全国の新聞に出ちゃった。そこでその時計商は非常に憤慨いたしまして、私のところに泣き込んできました。その警察署長以下捜査部長その他を名誉棄損で告訴いたしました。そうしたら、先般新潟の検事がきて、何とか一つ穏便にしてくれぬだろうかということをその告訴人に申し込んできたという話です。実にらんぼうなことを言うのです。その調べられる人間が態度がよくなかったとか、なまいきだとか、そういうことがあると、そうしてしかも見込みが違って犯罪があったと思ったら、何だかむだ骨を折ったのがしゃくにさわるというようなことで新聞発表をやる。あり得べからざることをやる。人の名誉ということに対する観念が実に希薄だ。今の場合、おそらくその公安官に何か乗り込みの人たちが身に覚えのないことをお前たちはやったのじゃないかと言われ、非常にかっとして売り言葉に買い言葉でやったのだろう、それが腹にあったので直ちに大それた発表をやっちゃった。発表ということはいろいろありましょう。しかし新聞記者の取材に対して、はっきりした証拠もなく事実も明瞭ならざるものを、いや集団的な万引だとか、いやこれこれのものを万引したとかいうようなことを発表する。これは私は悪意ある発表だと思う。名誉棄損です。悪意があると思うのです。たとえば早慶戦の時分に慶応なり早稲田の生徒が、慶応の生徒が勝ったとなると銀座通りを集団を組んでみんな飲み歩く。金なんて一銭も払わない。しかし学校の当事者が来て全部金勘定してしりぬぐいして歩くというのが例でありましたから、無銭飲食したとか、計画的万引をやるなんということは一ぺんも出ておらぬ。これはいいことではなかったと思いますが、そういう慣例があった。いわんや今回はとにかく臨時列車であって、それにはちゃんと団体もわかれば統率者もわかっておるはずだ。それが二千円や三千円のことで直ちに、幾ら新聞記者が聞いたというても、そういう三千何百円かの金額を明らかにしてこれを新聞に伝えるということは、新聞社にいうならば、直ちに新聞に報道されることは予期しておらなければならぬのであるから、名誉棄損の悪意あることは明瞭であります。これに対して、いやもうあれは荒ら立てませんなんということじゃない、もう荒ら立てることで名誉棄損させられたのだから、荒ら立てないということじゃない、こういう名誉を救済することについて、一体鉄道当局は何か考えておられるのか、それについてお答え願いたい。
○磯崎説明員 先ほど私が申し上げました通り、私の方が積植的に新聞発表した事実はない、これははっきり申し上げます。しかしながら、結果的に新聞に出まして、先ほど石田先生がるるおっしゃったように、日農として非常に迷惑したという事実に対しては、私は非常に遺憾の意を表します。
○猪俣委員 これは刑事局長に聞きますが、新聞記者に発表することは、相手は新聞記者だ、これが新聞に報道せられるということは予期しなければならない。そうすれば、自分は聞かれたから言ったのだとしても、もしそれが事実虚構のことで名誉棄損したような事実であるとするならば、僕は名誉棄損の悪意十分ありと思う。相手が新聞記者なら報道することが任務の記者だ。その記者の問いに従って実はこうだといってしゃべった、それがそのまま新聞に出た、新聞に発表する意思がなかった、だから名誉を害する意思がなかったということは申し開きが立たぬと思う。相手が新聞記者であることを認識し、しかもある事実を告げたとするならば、名誉棄損の悪意十分成立すると思うが、刑事局長はどう思いますか。
○竹内(壽)政府委員 ただいまあげられました例で申し上げますと、私は当然名誉棄損にはならないというふうに思うのでございます。仰せの通り、新聞記者に何事かの事実を述べますことは、新聞記者がそれを当然報道するであろうということを予想しなければならぬと思います。しかし述べました事実がもし真実に合致していなかったり、あるいは誇張されておったり、そのこと自体が誇張され、真実に合致していないことが、ひいてはその人の名誉に重大な関係を持つ事項でありますならば、一見形の上においては、その人の名誉を棄損するような形になるわけでございます。「公然事実ヲ摘示シ」という刑法の規定にまさしく該当するわけでございますが、新聞に述べます場合にいろいろ考え方がある。先ほど来お考えが述べられたのでありますが、私どもも犯罪事件の捜査の過程において——私どもと申しますよりも検察庁におきましても、しばしば取材活動をする新聞記者の取り扱いについて、いろいろ苦い経験も持っております。その場合にもちろん捜査は秘密でございます。秘密の秘密たるゆえんは、単に捜査を遂行していく上において秘密がいいというだけじゃなくて、関係者の名誉を重んずるがゆえにでありますから、この秘密を保持していくということは当然でございますが、その場合に取材活動もまた自由でございまして、取材活動の結果、ある程度新聞記者の方では事実をつかんでおる。もしその答えに答えないならば、新聞記者が誤った報道をしないとも限らない。それはもちろん新聞記者の責任ではありますけれども、そういったような場合に、具体的に受け答えをしておいた方が、まだ真実に近いものにおさまるのじゃないかというような判断をしなければならぬ場合も、ないとは言えないわけでありまして、そういう場合にすぐ悪意があるんだというふうに認定することは、すこぶるむずかしいと思うのでございます。さらにまたこのような事実、売場から酒などを持っていく行為が、はたして刑法二百三十五条の窃盗になるかならぬかという問題も一つございますが、そういうもし窃盗の容疑ありとして、取り調べ中の事項でございますと、刑法の二百三十条の二の規定によって、事実の証明をすることになろうと思います。事実の証明ができればこれは無罪でありますことは、猪俣先生もよく御存じの通りでありまして、私どもも名誉の罪が今の刑法のもとにおいて、これは比較的古い刑法でありますために、どうも軽く扱われておるのじゃないかということをつとに考えております。この問題は非常に重要でございますが、ただいま御指摘のように、新聞記者に何事かを言えばすぐ名誉棄損になるのだということは、法律論としましては今申しましたような幾つかの要素を検討して参りませんと、結論を得ることはできないというふうに思うのでございます。ことに本件の場合におきましては、新聞発表の有無につきましても、いろいろ議論がありましたことでありますし、その基礎になっております事実関係につきましても、私どもつまびらかにしておりませんので、ここでいろいろと述べますことは差し控えなければならぬと思いますけれども、御指摘によりまして今の事件だけを申し上げておきたいと思います。
○猪俣委員 私があなたに聞いた重点は、相手が新聞記者である場合に、それは別にそれを新聞に報道されるとは思わぬで、すなわち人の名誉を棄損するなんという意思はちっともない、問われるままにしゃべったと言うても、相手が新聞記者である場合には、犯罪の意思がないということにならないのではないか、少なくとも未必の故意があったのではないかということをあなたにお尋ねしたのだが、今の御答弁で大体わかりましたから、よろしゅうございます。 なお団体に対するたとえば農民組合とか何とかいう団体に対する名誉棄損というものがあり得ると思うが、あなたはどう思いますか。
○竹内(壽)政府委員 もちろん私もあり得ると思います。刑法の規定はもちろん個人を対象とした規定になっておりますけれども、団体の名誉を棄損することによって、その団体が著しく社会的評価を失墜するというような場合におきましては、そういうこともあり得るというふうに考えております。
○猪俣委員 団体に対する名誉棄損のあることは裁判所の判例であります。が、ただ法務当局はどういう頭だか確認しただけなのです。そこで今団体の名誉を汚したという際に、私どもは非常に名誉を棄損したと思うのですが、それに対して運輸大臣なりあるいは国鉄の総裁なりが、何か善後策はありませんか。
○岡本政府委員 お尋ねの件は、要するに日農の新潟県連支部でございますか、それに対して国鉄の悪意ではなかったにしても、そういう新聞記者に語ったことが非常に名誉を棄損する結果になったのだが、そういう団体の名誉を棄損したことについて、運輸省なり国鉄なりから何らかの陳謝ということでございますとか、あるいは名誉が回復できるような措置を考えないのか、こういうお尋ねでございましょうか——その点につきましては先ほど来国鉄の磯崎常務理事も、そういう結果になったとすればまことに遺憾であるということを申し上げておりますが、運輸省といたしましても同様でございまして、今後そういうことのないように十分監督をいたしていきたい、かように考えております。
○猪俣委員 そのことじゃないのだ。今やった行為はどうするのだ、たとえば石田君たちの日本農民組合のこれはえらい問題を起こしておる。いつも米価闘争で東京へ来て帰っていきます。と、代表者ですから組合員がみんな駅頭まで迎えに出るのですが、今度は迎えに出るどころか、とんでもないことをしやがったと言って村はじきをされておるという始末です。非常に迷惑しておるわけだ。そういうことに対して皆さんから何か適当な方法がないかということを聞いているのだが、これは国鉄総裁はどうなんですか。
○十河説明員 国鉄ではどういうふうな発表をしたかということは、さっきから問答の通りでありますが、ともかくそういう新聞発表があったということは、これはまことに遺憾で、団体の皆さんに御迷惑をおかけしたことは遺憾だと思います。しかし、それがどういう経過でどうなったかということは、先ほど来の問答で、皆さんの考えと国鉄の調べと多少食い違いがあるということは御了承願いたいと思います。
○猪俣委員 そうすると、名誉を棄損したかどうかということは、われわれと鉄道当局が見解の相違があるから、名誉を棄損したということを前提としての善後策は考えておらぬ、こう承わってよろしいのですか。
○十河説明員 私は先ほど来磯崎常務から話しておるその事実を信用して今日までいるのであります。皆さんからいろいろなお話がありますから、今までの報告に間違いがあったかないかということをもう一度検討してみたいと思っております。
○猪俣委員 そうすると、名誉棄損、事実無根のことを誇大に報道したことがあるかないか、すなわち一公安官が相当誇大に事を報道したために、農民組合が非常に迷惑をこうむったという事実があるかないかを今後調査するというのですか。調査した上で考えるというのですか、どういうのですか、あなたの答弁ははっきりしませんね。これはもう鉄道の当局が言うことが正しいので、今後は気をつけるが、この事件については何も対策は考えない、こういう意味か、どっちかはっきりして下さい。
○十河説明員 私ども今のところは鉄道の報告、さっき磯崎常務から話したことを真実と思っております。しかし皆さんからいろいろお話がありますから、なおそれをもう一度念のために確かめたいと思っております。
○鈴木(仙)委員 関連して。石田先生の質問で日農組合の新潟支部が大へん御迷惑をこうむられた。ほんとうに言われるようにけられっぱなし、切り捨てられっぱなしということ、全くこれは暴力以上の暴力であると私も痛感するのであります。よくものの間違いと申しますか、とんでもない報道で、私などもかって運輸委員会の席上で申し上げたことがございましたが、京浜、山手線の分離運転で一生懸命になって同僚各位とともにそれを実現すべく運動しておって選挙がきた。選挙の演説にもそれをやっている。三十年の選挙と思いましたが、投票日の一週間ぐらい前に、しかも四大新聞か五大新聞の論説で、選挙となればいろいろなことを言って有権者をごまかす者がある。東京にも京浜電車、山手電車の分離をうたうやからがある、こうしたやからはえてして国費を乱費し、汚職に通ずるものなりと、これを論評されまして、選挙はもちろん落ちましたが、幾ら嘆いてみてもあとの祭りで、もちろん私は直ちにこれを法的に訴訟いたしまして、向こうの方は検事さんの前で相当あやまってはいただきましたが、どうにもならぬことで、実に残念でございました。こういうふうなことが私は前後三回ございます。ことごとく法律に訴え、あるいは当面の人に交渉いたしまして、一つは鳩山献金ということで、やはり四大新聞かに堂々と虚構の事実を掲げられましたが、このときには新聞社に乗り込んで、そうしていろいろお話をし、それを書いた記者を追及をし、話をした男に私の目の前で事実をただして、直ちにそれを前後二回にわたり取り消し以上の大きな記事で出していただきました。さらに私は自分の関係する映画事業上の問題で、これも有名な新聞でございますが、やはり私が名誉棄損どころでないとんでもない記事を掲げられまして、これも検察局に訴えて、向こうの社長さんから、これは異例なことかもしれませんが、大きな紙面で二回名誉回復のための記事を書かせることを条件に出し、また実行いたしました。こういうふうにほんとうに人を切り、たたき、なぐるばかりが暴力ではなく、筆先の暴力というものは大へんなものでございます。今回の石田先生のお話によりまして、日農組合の方々が御迷惑をこうむられ、ひいてはその団体がとんでもないことになり、自分たちの目的も大きな障害を受けるということに対しては、満腔の同情を私は禁じ得ません。ただ一言参考のためにお尋ねしておきたいのは、今後この問題では、公安本部長さんですか、これは訴訟をするとかあるいは法的に取り締まられる御意思がないように承っております。磯崎常務理事のお言葉でも、これ以上追及しないというふうなことのようである。石田先生の方ではこれをはっきりしろというようなこと、なかなかこれはむずかしい問題なんですが、ただ私の参考のために、今後本会議でもこれを問題にするというふうなお話ですから、この石田先生のお言葉をかりて、磯崎さんでも本部長でもちょっとお尋ねをしておきたいことは、二千数百円か三千数百円のいわゆる被害額ですね、盗まれたというふうなあなた方の方のその金額をお返ししたというふうなことをおっしゃったのですが、それをお受け取りになるときに、やはりこれは被害を受けたことをお認めになってお返しになったという気持でお受け取りになったか、それともこちらからの言いがかりで、全然そういう事実はないのだが、自分たちの団体の名誉のためにこれをお返しをしたというふうにあなた方がおくみ取りになってお受け取りになったか、これをお受け取りになったとするとちょっと解釈に苦しむのでございますが、その一点だけはっきり御答弁をしておいていただきたいと思います。
○磯崎説明員 三千何がしの金を受け取りましたのは、高崎の駅におきまして、ちょうどその団体に添乗しておりましたある旅行会社の下村という社員から受け取ったのであります。その際私の方としてはもちろんこれは代金であるというつもりでもらっております。その後その下村という人はその三日か四日たちまして、あれは同じ労働者として気の毒だったから、自分は見舞金として払ったんだ、こういうふうにあとになって申しておりましたが、当日高崎駅で私の方の高崎の公安室長に渡しましたときは、これは長岡の事件の不足代金であるというふうな趣旨でもらっております。
○石田(宥)委員 ちょっと資料要求について。 国鉄にお願いしておきますが、さっきもちょっと触れたのですけれども、どうも公安官の勤務の状況から見まして、たとえば山口という公安官などは、いろいろいきさつはあるけれども、あとで赤はち巻が浮き出してきてやかましくなったというようなことを言っておるわけですね。それから岩川という課長は、さっき申し上げたように全く聞き捨てならないことを言っておるわけですよ。それから私ども七月二十七日に抗議集会を持ちまして三百人ほど集まって、支社長、それから公安部長とに抗議に行っておったわけです。そのとき国鉄支社の前に大ぜいいるのもなんだからほかの方へ移させようじゃないかということでもって、書記長を使いに出したわけです。その書記長が使いに行って帰るときに、支社の中で国鉄の職員が——私の聞いたところでは公安官だということでありますが、こう言っておるのですよ、きょうあそこへ動員された農民は日当をもらってかり出されて来たんだそうだ、こういうことを小栗君に聞こえよがしに言っておるわけです。しかしわれわれの組合は労働組合と違って、日当ももらいませんし旅費ももらっておりません。われわれの活動は、私四十年も農民運動をやっておりますけれども、一回も月給をもらったことはないし旅費はいつでも自弁なんです。そういう団体なんです。それを日当をもらってかり出されたんだなどという考え方というものは、実に悪意に満ちた中傷的な言辞なんですね。 そこでそういうふうにつなぎ合わせてくると、今の国鉄の公安官というものは昔の特高的な性格がはっきりしてきておるのじゃないか。一体そういう公安官を育てたところの国鉄中央教習所ですか、そういうものがあるようでありますが、そういうところではどんなものを教材にして使っておるのか、この教材を一つ資料として出していただきたい。同時に一年間の講師がどういうメンバーで特別な教育をやっておられるか、とりあえずそれだけ資料として提出を願いたい。 以上であります。
○木村委員長 次会は来たる二十四日金曜日午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時三十八分散会