予算委員会 第21号
- 発言数
- 230 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1962/03/29
会議録
○委員長(湯澤三千男君) これより予算委員会を開会いたします。 昭和三十七年度一般会計予算、昭和三十七年度特別会計予算、昭和三十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 これより各分科会における審査の経過について各主査から報告を求めます。第四分科会主査田上松衛君。
○田上松衞君 第四分科会における審査の経過を御報告申し上げます。 本分科会は、昭和三十七年度予算三案中、労働、自治、厚生、文部及び大蔵の各省所管の予算を担当し、三月二十七日から二十九日までの三日間にわたり、関係各大臣から説明を聴取し、質疑を重ね、慎重に審議を行ないました。以下、質疑のおもなるものについてその概要を申し上げます。 まず、労働省所管につきましては、婦人及び年少労働者の保護及び福祉の増進に関連しまして、未亡人や青少年の職場には不健全なものが多い。これでは転落未亡人や非行少年が出るのもむしろ当然と思われる。この点について政府はもっとあたたかい配慮と指導をなすべきではないか。また、婦人少年室の予算定員は、室長四十六人、補佐十二人となっているが、各都道府県の婦人少年室はいずれも相当幅広い活動をしており、これが人員の増強はかねてから要望され、政府もその点ですでに公約しているいきさつからして、少なくとも各室長のもとに指導能力のある補佐一名を配するくらいの措置をなすべきではなかったかとの質疑がありました。これに対して福永労働大臣は、御趣旨には全然同感で、今回の予算では、新規にホームヘルパーの養成を取り上げたほか、働く婦人の家二カ所と、青少年ホーム四カ所の増設などをはかったが、これで十分とは思ってはおらず、今後とも努力するつもりである。婦人少年室の予算については、人件費を除き、前年度の八千六百九万円から一億六百万円と、比較的伸ばしたつもりだが、定員をふやす点についてはいろいろ困難な面があり、一名の増員のみにとどまったのは遺憾であるとの答弁がありました。さらに、産業災害の現状と対策はどうかとの質疑がありましたが、これに対しては、政府委員から、災害の絶対数は年々増加しておるが、ただし雇用労働者数もふえているので、災害率で言えば逐年低下している。ただ問題は、大企業と中小企業との災害発生率の格差が大きいことで、最近の統計では、大企業で千人中十八、九人の発生率に対し、中小企業では千人中四十人となっており、災害発生数からいって中小企業が全体の四分の三を占める状態であるので、これが対策としては、新入工員に対する安全教育及び中小企業における安全施設の整備改善に重点をおき、このため今回二十億円の特別融資を実施することにしておるとの答弁がありました。 次に、自治省予算につきましては、地方税制の改正にあたって、政府は国と地方との税源配分、財源配分をどう措置したか、また、それによって地方自治団体間に不均衡を来たすようなことはないか、またこの際、国と地方を通ずる行政事務の再配分が必要と思うがどうかとの質疑がありました。これに対しまして、安井自治大臣は、今次の地方税法改正で、国と地方団体との間の税源配分の適正化措置を講ずることによって、差し引き平年度三百十七億円、初年度百九十一億円の減収を見込み、かつ交付団体と不交付団体との均衡の点で、いわゆる富裕団体なるがゆえに不利になる分に対しては交付税のほうでカバーするなど、財源調整については相当考慮したつもりであるが、まだ不十分と思っておる。また、行政事務の再配分については、国と地方だけでなく、都道府県と市町村との間の行政事務配分の是正が必要で、目下、地方制度調査会に具体案の研究を願っており、その答申を待って善処したいとの答弁がありました。 次に、厚生省関係におきましては、社会保険相互の間における医療給付のアンバランス及び看護要員の不足の問題をめぐって熱心な質疑がかわされました。これに対する政府側の答弁を要約いたしますると、国民皆保険の結果、全人口の半分が国保の対象となったが、その間、健康保険その他社会保険との間に給付のアンバランスが生じているのは事実である。この問題については、社会保障制度審議会において総合調整を検討してもらっているが、さしあたり、政府としては三十七年度から国民健康保険の国庫負担率を二〇%から二五%に引き上げ、それだけ給付内容をよくする底上げ方式を考えている。また、看護婦並びに保健婦、助産婦等の需給対策としては、給与の引き上げ、勤務条件の改善をはかるほか、パートタイムの採用、養成所の増設等をもって対処したいとの答弁がありましたが、この政府の答弁に対しては、給与が低い上に労働強化だから、養成所を作ってみても、現に人が集まらないのではないかとの反論もあったわけであります。また、結核及び性病の現状並びに対策についての質疑もありましたが、これに対し政府側からは、結核については、三十六年度下半期より実施している命令入所及び措置入院をさらに強力に推進するため、今回の予算では三百二十四億六千余万円と、前年度より八十二億六千余万円の増額を計上し、主として低所得者層の患者を命令入所の対象に取り上げたこと、また、性病については、売春防止法以来わずかながら性病保有率は下がっているが、罹病率は逆にふえつつあり、対策はむしろ強化すべきものと思うとの答弁がありました。 次に、文部省関係について申し上げます。まず、文化財の保護について、明年度十二億八千万円を計上しているが、国民的義務を果たす意味で、もっと前進的な予算であるべきだし、豪華なキャバレーなどがどんどん建てられている中で、国立劇場の建設がいつまでも立札のままで残されているのは情けない話だ。平城京の跡も問題になっているが、こうした名所旧蹟の保存については、もはや文化財保護委員会だけにまかせないで、国土開発、道路建設の問題とも関連して、政府としても基本的方針を立てるべき時期に来ているのではないかとの質疑がありました。これに対しまして、荒木文部大臣は、文化財の予算は地道に進んでおり、国家財政の現状からみて妥当なところと思う。国立劇場の建設については、伝統的な古典物だけを上演する劇場にするか、それともバレーなどの新しいものもやるかで時間がかかり、その上、オリンピック高速道路の問題等ともからんで、さらに時期がおくれたが、今年中には設計募集を終わり、三十八年度から設計その他の具体的準備を整え、三十九年度から工事にかかる予定になっている。平城京の問題については、地域を指定して保護する方針と聞いているが、基本方針云々については検討の課題として考えたいとの答弁がございました。さらに、重要な質疑として、学校給食並びに教科書無償配布の問題及び高校急増対策の問題があり、これらに対しては荒木文部大臣からそれぞれ次のような答弁がなされました。すなわち学校給食については、その基本線は、教育上の効果を考えて行なうものであるが、同時に社会保障的な立場もあり得ると思う。現在の普及状況は小学校で完全給食が六二・二%、補助給食が五・八%の計七〇%で、中学校については完全給食九%、補助給食三・七%、計一二・七%となっているが、一般に農村の小中学に伸びない傾向があるので、ミルクの奨励に重点をおいて、農村に比較的乏しい蛋白質給源を補給することによって、この方面における普及度を高めたいと考えている。給食費の半額国庫負担を全額国庫負担にすべしとの御意見もあるが、現在の学校給食法では、施設は国で持ち、食費は父兄負担となっているので、政府としては、まず完全実施を目ざし、次に全額負担に進むべきものと考えている。教科書無償配布の趣旨は、憲法二十六条及び教育基本法にいう義務教育の授業料全免の理想を前進したいためのもので、現段階で父兄負担が多いというなら、負担すべからざるものの負担はこれを廃止すべきが至当と考えている。なお、教科書は地域的に統一すべしというお説には全く同感で、ただその採択をだれがやるかは別段の明記はないが、地方分権の基本線から見て、教育委員会に採択権があるものといえる。高校急増対策については、校舎建築費、土地購入費等、各般要件を満たすための財源措置は計算上できているわけであるが、なおかつ府県によって、土地の購入費等を一般の寄付によらねば高校建設が不可能だという事情があるとすれば、それは根本的には地方交付税法ないし起債の方法でやれというところに欠陥があり、またこれに依存するところから生ずるものと思う、そうした趣旨の答弁でありました。 最後に、大蔵省関係についてでありますが、ここでは課税の対象外に置かれた膨大な所得をめぐって活発な質疑が行なわれました。質疑の要旨は、近年不動産、特に地価の値上がりにはものすごいものがあり、株式についても同様なことが言える。しかも、その利得の大きな部分が非課税になっており、その他にも無記名預金、貸付信託等、課税漏れのものがあるが、これらをこのまま放置することは、租税負担公平の原則から見て許せない問題ではないか。大蔵省はこの問題をどう把握し、またいかに対処するつもりかという点であります。これに対し水田大蔵大臣から、地価及び株の譲渡益については登記面等を通じ調べているが、売買登記以外に隠された部分もあり、正確な把握はきわめて困難である。税務行政の本旨からいっても、お説のとおりまことに不合理な話であるが、税制調査会でももっぱらこの種の問題について検討しており、大蔵省としては、ただいまのところ申告税方式による限り青色申告制の普及に努め、勤労所得者の源泉徴収との間に不公平のないようはかるとともに、給与所得中心の減税を行なう以外にないと考えている。帳簿もない人に申告させ、それを土台に徴税するからむずかしいのであるが、みんなが帳簿をつけて正直に申告するように、そこまで日本がいけば今の税率は相当大幅に下げ得ると思うし、また公平な課税、公正な執行のため、納税者をそのように指導することが本筋の仕事と考えているとの答弁がありました。 以上のほか、労働省関係においては、労務管理の近代化並びに炭鉱離職者対策、中小企業退職金共済法の改正、ILO条約の批准、レーバーアタッシェの問題等、また自治省関係では、住民の税外負担、国の予算における公共事業関係の予算単価、なかんずく校舎建築単価の問題、及び公職選挙法の改正に伴う選挙費用の届出様式、連座制の問題等、また厚生省関係については、屎尿処理等環境衛生の問題、放射能及びインフルエンザ対策、国民休暇村の構想及び生ワクチンの輸入問題等、さらに文部省関係では、定時制高校及び短期大学の性格の問題、オリンピック、学力調査の問題等、また大蔵省関係においても、専売納付金とたばこ消費税の問題、国有財産の問題、富士山頂の帰属をめぐる判決の問題等々、本分科会担当各省の行政の全般にわたって真剣な質疑がございましたが、詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。 右御報告申し上げます。(拍手)
○委員長(湯澤三千男君) 第一分科会主査亀田得治君。
○亀田得治君 第一分科会における審査の経過を御報告申し上げます。 第一分科会の担当は、昭和三十七年度予算三案中、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、総理府(防衛庁、調達庁、経済企画庁、科学技術庁を除く)及び法務省所管並びに他分科会所管外事項であります。 本分科会は、三月二十七日より本日まで三日間にわたり、各所管予算につき説明を聴取し、質疑を行ない、慎重に審議を重ねて参りました。以下質疑のうちおもなるものにつきまして、その要旨を簡単に御報告申し上げます。 皇室関係予算につきましては、宮殿造営について造営費の額並びに完成見込み年次等について質疑が行なわれましたが、宮内庁次長から、宮殿の設計を今年度中に終わり、明年度工事に着手し、四十一年度完成を目途としている。したがって、費用は未確定であるが、以前皇居造営審議会に試案として提示した七十億円より少なくて済むものと思うとの答弁がありました。 国会所管予算については、国会図書館では、明年度科学技術関係要員二十名を増員する計画のようであるが、従来はどうなっていたか、これでその職責を果たせるかとの質疑がありましたが、国会図書館副館長から、従来は科学技術関係職員は五十名であった。最近科学技術研究の必要度が高まっているおりから、現在図書館においても科学技術関係で全世界から七千種の雑誌を収集しておるが、さらに人員を増加して国政審議に奉仕する態勢を強化していきたいとの答弁がありました。 次に、裁判所所管につきましては、裁判官については相当額の報酬が憲法上も保障されており、また司法権の独立を守るという点から見ても、そのための予算措置は決して十分とは言えないと思うが、財政法に基づく二重予算の請求を行なう考えはないか、さらに、この予算で激増している事件処理に事欠くことはないか、なお、最近問題になっている交通違反事件処理にあたってチケット制を採用することは、憲法が保障する基本的人権を侵すことにはならないか等の質疑がありましたが、これに対し、最高裁判所事務総長より、従来も二重予算の権限があることを看過していたわけではないが、あくまでもこの規定は例外的なものと解釈しているので、その使用は慎重を期していきたい。明年度の予算も満足しているわけではないが、最小限必要な予算を確保している。最近は、裁判官の希望者が少ないため、その補充も思うにまかせないのが実情で、事件の増加に追いつけないが、予算、給与、任用資格等の問題を含めて、司法制度のあり方について臨時司法制度調査会で検討していただき、適正な結論の出ることを期待している。なお、チケット制の問題は、その詳細がつまびらかでないが、裁判所としては、刑罰は最終的には裁判所の判断によって行なわるべきものとの建前を堅持していく方針で、これが憲法の人権保障の上から大切であると考えている旨答弁がありました。 次に、会計検査院所管の予算については、検査機能を向上発揮するための人員配置及び機構の整備並びに現地調査に必要な旅費等は、明年度予算でどうなっているか、また現在の省庁別の調査では総合的見地からの検査が行ないにくいのではないか等の質疑があり、これに対し会計検査院事務総長より、検査の充実には人員の多いことも必要だが、調査官の質の向上も大切なので、明年度はこの点に力を入れていきたい。なお、明年度から上席検査官五名を配置して出資団体等の検査を拡充強化することとして、そのための機構整備を行なっている。検査旅費は今年度に比べて約五百万円程度増額されているが、これは旅費法の改正に伴う日当、宿泊費等の引き上げに見合う額で、検査の徹底を期す上で今後増額をはかっていく方針である。省庁別検査の方法は書面検査から引き続いて現地検査を行なう上からも便利であり、検査院内部の連絡を密にすることで総合的な判断を失わないように心がけたい旨の答弁がありました。 総理府所管の予算のうち、まず沖繩の経済援助等については、わが国が率先して行なうべきで、従来とかく米国の沖繩政策に追随して自主性と積極性に欠けるうらみがあるのではないか、明年度援助額十億円では住民の要望を満たすことはできないと思うがどうか、明年度の医療援助三千二百万円でどれくらいの患者が救済できるのかとの質疑に対し、総理府総務長官及び関係政府委員より、沖繩の援助については、昨年の池田・ケネディ共同声明以来、沖繩住民の福祉向上に努力しており、決して米国の施策に追随だけしているのではない。予算措置はこれで十分とは考えていないが、本年度に比べほぼ倍加しており、島民の希望をできる限り満たしていきたい。医療援助は、明年度十五名の医師の派遣費用を全額わが国で負担し、また歯科医師を三名増員派遣するほか、新規に結核患者百名を本土の国立療養所に移送して療養させる費用千六百万円、らい患者療養費二千九百万円余を計上する等、相当の努力を払ったつもりであるとの答弁がありました。 次に、政府の広報活動に関し、広報活動の費用が国費でまかなわれているのに、野党の主張や政策批判が無視され、政府与党の一方的宣伝になっているのではないか、また明年度から新設する国政モニターの制度は現行の世論調査と重複して無意義と思うがどうか、この制度が政府の御用機関化する危険はないか、さらに世論調査を中央調査社のみに委託しているのは事の性質上公正を欠くのではないか等の質疑が行なわれましたが、関係各政府委員から、広報活動は政府の施策を広く国民に周知徹底させるのが本来の任務で、政策についての反対意見や批判は、世論調査等で調査の上別個に新聞等に発表するとともに、施策を進める上で十分参考にしている。国政モニター制度の人選は非常に重要なので慎重に取り扱いたい、各種団体の役員等を除外し、三カ月を限って委嘱する方針をとっているのも、弊害を除くための措置である。世論調査が無差別抽出の方法で質問も簡単であるが、モニターは各府県に数名あて、短期間ではあるが、特定の人で、しかも調査報告の内容もやや高度の知識を必要とするので、ダブって無意義との主張は当たらない。また、世論調査を中央調査社に委託するのは、現在のところ全国的な調査網を持ち迅速に調査並びに結果の集計ができる機関が他にないためで、他意はないとの答弁がありました。 最後に、法務省関係の予算に関し、最近の右翼団体の行動等から見て、公安調査庁の調査対象の重点を右翼に置き、特に明年度に増員される八十七名の調査官はそちらに振り向けるべきではないか、また調査費用のうちで協力者に支払われる報酬の基準及びその経理の現状はどうなっているか、さらに、昨年の当分科会で取り上げられた全国の登記所の光熱費の問題、地方法務局等に勤務する職員の宿日直手当の問題等が明年度予算でどう具体化されたかとの質疑がありました。これに対し法務大臣及び関係政府委員より、右翼の調査は、一昨年以来専任調査官を増強するとともに、左翼担当の調査官に右翼調査を兼任させる等、相当力を入れている。明年度定員増加のうちで右翼調査を専門とする調査官は三十五名の予定である。公安調査庁としては、左右を問わず、破防法指定の団体については十分調査して万遺憾なきを期していきたい。協力者への報酬は個々のケースで事情が違っており、基準というようなものはない。その経理は明確にしており、本庁分の予算使用については毎年度会計検査院の検査を受けている。登記所の光熱費は明年度は四千円ふえて一万三千円になったが、これで十分とは思っていないので逐次増加をはかっていきたい。また、宿直手当については、従来の年間十一日分を六十四日分に引き上げ予算化したが、半日直手当は各省庁も行なっていないので予算措置を講じていないとの答弁がありました。 このほかにも各所管事項にわたって熱心な質疑が行なわれたのでありますが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。 以上をもちまして、当分科会担当予算の全部の審査を終了した次第であります。以上御報告申し上げます。(拍手)
○委員長(湯澤三千男君) 第二分科会主査杉原荒太君。
○杉原荒太君 第二分科会における審査の経過を御報告申し上げます。 第二分科会の担当は、総理府のうち、防衛庁、経済企画庁、科学技術庁並びに外務省及び通産省の各所管に属する昭和三十七年度予算でございます。 本分科会は、三月二十七日より本日まで三日間にわたり、これら各所管につきまして慎重に審議を重ねて参りました。以下その概要を御報告申し上げます。 まず、通産省所管について申し上げます。貿易、国際収支の問題につきまして、EECの発展と、これに対するイギリスの加盟、米国の接近等の動きは日本にどのような影響があるか。先日の公聴会で非常な楽観説を聞いたが、一方悲観的な見方をする人もある。政府の見方はどうか。また、二月の生産水準は依然として高い状態であるが、政府の貿易見通し、輸入四十八億ドル、輸出四十七億ドルのためには、いま一段の引き締め措置を必要としないかとの質疑がありました。これに対し佐藤通産大臣より、EECができた当時いろいろ心配されたが、戦前のブロック経済のごとき排他的なものでないことは明らかで、三十四年に比べ昨年の日本の輸出は六〇%も拡大している。日本の商品についてフラッドを起こしたり、割安なことについての攻撃を受けるが、最近は低賃金によるものでないことも理解してきており、秩序ある貿易の拡大は十分可能である。EECとの関係においても、基本的にはわが国産業の体質を改善し、対外競争力をつけることが肝要である。また、二月までの生産の推移は、予算編成の際の見通しより若干ずれているのは事実であるが、製品在庫の増大等生産に対する圧迫要因もあるので、今後の動きに目を光らせている段階である。経済は長期で見るのが本質であるが、同時に一時的な起伏をうまく乗り切る必要がある。国際収支の目標達成のためには、設備投資を押え、輸出を増大する必要があり、設備の資金部会、最高輸出会議等を通じて業界の協力を得たい旨の答弁がありました。また、電源開発に関連し、補償金を目当てにわざわざ他の地点から水没地域に移動してくる者があり、中には水没地点を転々と歩き、何度も補償を受けている事例も聞いている。社会的にも好ましくない影響があると考えるが、政府の方針はどうかとの質疑があり、これに対して通産大臣より、開発の予定のうちに、居住制限をすることは、憲法上の関係もありむずかしい。御指摘の事態等については、補償額を引っ越し料程度とし、不当利得とならないようにしたい旨の答弁がありました。 次に、防衛庁所管につきましては、自衛隊で用いている兵器、装備は旧式化しており、破損しても修理用の部品さえ欠けているものが多い状態である。また、数量の点でも、定数ぎりぎりで有時の際の役に立たない。さらに弾薬の備蓄はゼロにひとしい。質の改善、量の確保の両面から、武器弾薬の国産化をはかることが急務ではないかとの質疑があり、これに対し関係各大臣及び政府委員より、自衛隊で用いる装備の国産化は必要であるが、従来は技術革新のおくれなどあり、十分でなかった。今回一括契約方式も採用されたことでもあり、計画的、継続的に技術を開発して国産化に努めたい旨の答弁がありました。 また、別の立場から平和憲法のもとで、日本をアジアの兵器庫とする最近の兵器の国産化の動きは許されないものである。米国防省の技術調査団の来日の目的は、相互武器開発協定を結ぶためであり、協定の内容には、兵器の輸出、秘密保護法の制定等が含まれると伝えられているがどうかとの質疑がありました。これに対し藤枝防衛庁長官より、今回来日した技術調査団の目的は、防衛関係の技術について資料の交換性、技術援助の可能性等について調査するためであって、相互武器開発協定の締結のためではない。伝えられた協定の内容というのは、NATO諸国のものであり、まだ日本としては、結ぶとも結ばないともきめておらず、それによって得る利益や、受ける制約等について検討を加えている段階である旨答弁がありました。 また、基地周辺の防音対策について、義務教育の学校の防音対策は、いつまでに完成するか、また学校、病院以外にも防音対策が必要なのではないかとの質疑があり、防衛庁長官及び調達庁長官より、防音対策はまず学校、病院に重点を置いて行なう方針で、三十四年以降予算は年々倍増してきており、おそくとも四十一年度までには終わりたい考えである。学校以外の防音対策も必要だが、基地全体の環境整備の点から総合的に考える方針であるとの答弁がありました。 外務省所管につきまして、国際連合に対する日本の負担額はどれだけか、最近財政の逼迫から、国連公債が発行され、日本も五百万ドル引き受けると伝えられるが事実か、また引き受ける場合、国会の承認を受けるのかとの質疑があり、これに対し小坂外務大臣より、国際連合の分担金は二・二七%で、三十七年度は十億三千八百万円になり、付属の機関を含めると二十三億一千三百万円である。国連公債については、海外派兵を引き受けない日本としては、応分の引き受けをすべきと考えているが、金額の点は、国連の拡大援助計画を引き受けている関係もあり、まだ決定していない。また引き受けの方法については、外為会計や日銀で投資の形で持つとか、あるいは予備費、補正予算で支出する等も考えられ、十分研究したい旨の答弁がありました。 また、沖繩に対する経済援助について、援助費十億二千万円は何に使われるのか、どういう形で渡されるのか、さらに事業の実施についてどのように指導するか等の点について質疑が行なわれ、援助費の内訳は、沖繩の産業振興、国土開発に四億四千二百万円、医療等社会福祉に一億一千七百万円、教育関係二億七千七百万円、民生安定等に一億六千三百万円などであること、国土開発等の内容は、模範農場の建設、土地改良事業、農業資金援助、港湾、道路、護岸の工事等を予定していること、さらにこれら援助のうち一部は、直接団体等に援助されるが、大部分琉球政府に渡される予算であり、各項目に即した使用のため琉球政府と約束を行ない、場合によっては確認を行なっていること等の諸点が明らかにされました。 次に、経済企画庁所管につきましては、国土総合開発に対して、いまだに太平洋ベルト地帯優先の考えを持つものがあるが、後進地域の開発、地域格差是正のため、拠点開発方式を堅持すべきでないか、また新産業都市建設については、財政負担がきわめて大きくなると思われるが、その財源についてどう考えているかとの質疑がありました。これに対し藤山経済企画庁長官より、国の総合開発の見地からは、進んでいる太平洋ベルト地帯については、むしろ開発の必要は少ない。十一の拠点による開発方式を進めていく考えであり、閣議決定された草案をもとに寄せられた意見を参考にして四月中旬にはまとめたい。新産業都市建設については大規模なものを考えており、したがって、公共投資も巨額が予想される。建設が進み発展すれば、財政力もつくであろうが、それまでの間国の補助や長期低利のつなぎ融資の必要が考えられる。後進地域の公共投資の特例についての既存の法律の活用や、起債のワクの拡大等十分考慮したい旨の答弁がありました。 さらに、物価抑制の見地から、私鉄運賃の引き上げについて、私鉄大手十四社はすべて利益を上げており、それを付帯事業などに投資している現状である。値上げの必要はないと思うがどうかとの質疑があり、これに対し経済企画庁長官より、物価の見地から、上がらないことが望ましいが、設備投資が行なわれない場合、かえって隘路になって、物価騰貴を起こす原因にもなる。新線建設、設備の改善等の資金の確保のため、やむを得ない場合もあり、前向きの姿勢で検討している旨の答弁がありました。 最後に、科学技術庁の予算につきまして、国の研究機関の技術者の待遇が、民間に比べて非常に劣っているため、研究者の確保に困難を来たしているといわれるが、必要な人員は満たせるのか。研究者の待遇改善のため、特別な優遇措置をすべきでないかとの質疑がありましたが、これに対し、三木科学技術庁長官並びに政府委員より、科学技術庁の航空技術研究所、金属材料技術研究所、放射線医学総合研究所の三研究機関は、建設が一段落し、研究員をかなり増員する必要がある。幸い大学等とかなり前から連絡して、努力を継続してきたので、必要な人員は確保できる見込みである。ただ、民間との待遇の開きが大きいため、困難になってきていることはいなめないので、人事院にも待遇改善、優遇措置等につき折衝している。今後、研究者の待遇向上のため、一段と努力したい旨の答弁がありました。 このほかにも、各省所管事項にわたって、熱心な質疑が行なわれたのでありますが、その詳細は、会議録によって御承知願いたいと存じます。 以上をもちまして、第二分科会の担当予算全部の審査を終了いたしました次第であります。 右、御報告申し上げます。(拍手)
○委員長(湯澤三千男君) 第三分科会主査、金丸冨夫君。
○金丸冨夫君 第三分科会における担当予算の審査の経過を御報告申し上げます。 第三分科会の担当は、昭和三十七年度予算三案中、農林、運輸、郵政及び建設の四省所管に属するものでありまして、二十七、二十八日の両日にわたりまして、それぞれの所管予算につき、関係各大臣から説明を聴取した後、慎重に審議を行ないました。以下、質疑の概要について御報告申し上げます。 まず、運輸省所管から申し上げますと、私鉄運賃値上げに対する政府の態度は、いつごろまできめるのか、参議院選挙の前には認可できない状態であると思うがどうか。国鉄の新線建設のやり方を、全額国庫負担とするくらいの思い切った政策はとれないのか。新賃金の交渉は、国民の利害にも関係深い。生産と賃金の関係から見るとどうなっているか。海運基盤の強化対策の進展状況、海難救助対策、航空の国際競争力の現状、都市交通の緩和対策などについて質疑がありましたが、これに対しては、運輸大臣及び関係政府委員から、私鉄運賃の値上げについては、物価体系等いろいろな要素をにらみ合わせた上、できるだけ早くきめるという以外は言えない。新線建設については、全額国庫負担まではできないとしても、何とか考える必要があるので、検討している。生産性と賃金との関係は、三十五年度の指数で見ると、実質賃金が上回っている。海運の基盤強化対策は、まだ大蔵省と折衝中であり、海難救助関係の船艇の高性能化等については、今後も努力しだい。航空の国際競争力は、今後相当の政府の援助がないと、外国に対抗できない状況である。また、交通の緩和対策については、今回の強制力による規制と、行政指導による規制の二本立で対処したいと思っている、などの答弁がなされました。 次に、建設省所管につきましては、国土の整備を全国的視野で考えるべきではないか。公営住宅の家賃を、公営住宅法の精神に従い、再検討する考えはないか、単価はどうなっているか。PWはなぜ廃止できないのか等の質疑に対し、建設大臣及び関係政府委員から、三十七年度から発足する宅地制度審議会は、全国的性格を備えており、取引秩序、評価鑑定、地価抑制方策等、いろいろな問題を検討することになっている。公営住宅については、現在の家賃の体系を変える考えはないが、値上がりの主原因たる建設費の安定化をはかることにより、家賃の安定に努力したい。単価は大体補正予算の際の単価を基礎とした。PWについては、制度として絶対必要とは思わないが、労賃の基準はある程度必要と思う、今後の運営の円滑化には十分努力するという御答弁がありました。 次に、郵政省所管におきましては、賃金闘争が年中行事化しているのであるが、郵便遅配、電話の不通などにより、迷惑するのは国民だ、従業員に対する薫陶が足りないのではないか。特定局は局舎の整備、環境の整備が十分でないが、どのような対策を考えているか。放送番組の編集は、放送法の精神に沿って動いてはいないのではないか。電話を申し込んだらすぐ架設してくれるようになるのは、いつごろの見通しか等の質疑があり、これに対して、郵政大臣及び関係政府委員から、賃金交渉に当たっては、遅配等を武器として闘争するようなことのないよう、常に注意もし、教育もしている。特定局の局舎の整備については、三十七年度は地方で作る分が二百局、国で作り直す分が八十局予定されており、従業員の環境の明朗化等については、今後とも努力する。放送番組については、中央、地方に審議会もあるので、大体調和はとれていると思う。電話の積滞数の一掃できるのは、大体四十七年度の見通しだが、予算その他の措置を講じて、年度計画を推進して、一日も早く解消するようにいたしたい、などの答弁がなされました。 最後に、農林省所管について申し上げます。農林省所管においては、豚肉は農基法にいう成長作物として奨励せられたのに、価格は暴落し、農家は今後の行き方に迷っている。豚肉需給の将来の見通し、三十七年度の対策等はどうなっているか。甘味資源十カ年計画のその後の状況、三十七年度の需給計画等はどうなっているか、日ソ漁業交渉は、今まで政治折衝が中心であったようだが、科学的調査に基づいた交渉はできないのか等の質疑がありましたが、これに対し、農林大臣及び関係政府委員から、豚肉については、需給状況のほかに、市場の関係にも原因があるので、芝浦屠場等の対策について、都を督励するとともに、東西二市場を中心に妥当な価格をきめていくよう準備を進めている。将来の見通しとしては、十年後の食肉全体の需要量は三倍程度になると予想され、来年度の豚肉の所要量は、大体二十五、六万トン程度という数字が一応出ている、今後の対策といっても、価格支持対策と、あとは農家の判断にまかせるよりほかにない、三十七年度の価格方式は、目下審議会に諮問中だ。甘味資源の問題については、その後砂糖需要が大きく変わってきているため、全体計画を再検討中だ。来年度の需給見通しは、需要は本年度に対し、五%程度の伸びと想定し、輸入粗糖を前年度程度に押え、その他はブドウ糖、カンショ糖等でまかなっていく考えだ。漁業交渉については、地域も広く、科学的調査に双方完全一致できない点もあるが、今度の交渉においても、科学的調査の結果について十分主張したいなどの答弁がなされました。 このほか、各所管予算につき、いろいろな面から熱心な質疑が行なわれたのでありまするが、詳細は会議録によって御承知を願いたいと存じます。 以上をもちまして第三分科会担当予算全部の審査を終了した次第であります。 以上御報告申し上げます。(拍手)
○委員長(湯澤三千男君) 以上をもちまして、分科会の報告は終了いたしました。 —————————————
○委員長(湯澤三千男君) これより締めくくりの総括質疑に入ります。羽生三七君。(拍手)
○羽生三七君 きょうは、主として外交、経済にわたってお尋ねをいたしますが、最初に、まず外交問題をお尋ねいたします。 私、国会に議席を持って、ちょうど第一回国会以来十五年になりますが、与野党の外交路線くらい著しい食い違いをしていることはないと思います。世界でも、日本はまれに見る与野党間の外交の不一致のある国といわれておりますが、一体なぜこういうことが起こるのか、この点を中心にまず最初お伺いをしてみたいと思います。今のような形ですと、外交がイエスかノーかという形で、絶対的な形で事が進められますので、どうしても絶対的反対か屈服かという二者択一の形で、与野党間に外交問題で共通の広場がない状態に置かれているのが今日の状態であります。しかし、これは、それでは政府自民党に社会党が全面的に屈服しろといったところで、できるはずもないし、また逆に、社会党の外交路線を一から十まで全部政府が承認せよといったところで、これまた実現不可能なことは言うまでもありません。そこで、どうしてこういうことが一体起こるのか、共通の広場を求めるとすればどこにあるのかということをまず最初に私は考えてみたいと思います。たとえば政府が一定の外交方針を持ちながら、種々の国際的諸条件による制約や、あるいは党内事情等から、直ちに踏み切れない場合もあると思います。この場合、問題は、たとい少しずつでも前へ進んでいるかどうかということであります。徐々にでも、正しい解決の方向に沿って前進しているかどうかということであります。私も、外交が一挙に、しかも、今の政府の立場において、一挙にわれわれの望むとおりにならないことを知っております。世間の一部には、社会党がいつも実現不可能な、勢いのいいことばかり言っていると見る向きもあります。それでは、いつもふだんは社会党は政府の言うことだけを聞いておればいいでしょうか、もし与野党の外交の食い違いで、何らかの最大公約数があるとするならば、それは政府が、外交は一挙には進められないから、徐々にという場合、たとい少しずつでも野党の希望を入れながら、一歩でも前進しているかどうかということであります。もし政府が、野党の希望をたとい少しずつでも取り入れて解決の方向を指向しているときに、野党が、それは百パーセント野党の線に沿っていないから、絶対に承認できないということであれば、この場合、野党は、野党の絶対的主張という形での要求が批判を受けても仕方がないそういう意味で、政府は、少しでも野党の外交政策に耳を傾けたことがあるでしょうか。また、そういう意味での前進が、少しでも形の上に現われていることがあったでしょうか。この与野党間の、世界まれに見るといわれる日本の政府与党と野党との間の外交路線の著しい食い違い、こういう問題に対して総理はどのような理解をなさっておられますか、まず最初にこの問題からお伺いいたします。
○国務大臣(池田勇人君) お話のとおり、事、外交に関しましては、根本的な差のないことを、百八十度の違いのないことをわれわれは常に念願しているのでございます。お話のとおり、過去の例から申しますると、百八十度の違いが多いのでございます。しかし、最近に至りましては、このソ連外交につきましては、私はよほど意見が一致してきているのじゃないか、また、中共問題にいたしましても、われわれとしては、国論のおもむくところ、帰一するように努力はいたしておるのであります。私は、こういう意味におきまして、組閣直後、外交問題懇談会を設けまして、各界の人においでを願って、いろいろ審議してもらったのでございまするが、ここの様子を見ましても、社会党と自由民主党の違いのようなものがやはり現われている。私は、この点はまだわれわれ日本人が、世界の情勢につきまして、ほんとうにお互いに研究し合い、議論し合うまでのところにまでまだいっていないのじゃないかという気がいたします。自分としては、努めて野党の方々のお気持も検討して、一歩でも近寄るような方向に進むべく努力をいたしておるのであります。十分の効果を上げ得ないことはお話のとおりでございます。
○羽生三七君 問題を少し現実に合わせて検討してみたいと思います。たとえば日中問題についても、政府の方針はどうかというと、少しでも私は正しい解決の方向へ進んでいるとは思いません。かりに政府が、中国の国連加盟に即時賛成できないにしても、国連での重要事項指定問題に際しても、最少限、共同提案国になることをやめるとか、あるいは日中国交回復が即時困難である場合でも、政府間貿易協定についても考慮するとか、あるいは最小限、閣僚級の人物と適当な場所で中国側の代表と接触するとか、そういう姿勢のもとで、政府が、かすに時間をもってしてくれということであるならば、これは話がわからぬでもありません。しかし、現実には、政府は、そういう意味でのわずかの前進、あるいは問題解決を一そう困難にするようなことを避ける意味での消極性すらない、これは非常に問題であります。これは代表権のときによく現われております。これでは総理が一ころ言われた前向きの姿勢とか、あるいは弾力性とか言えた性質のものではないと思いますが、この現実から見て総理はどうお考えになりましょうか。
○国務大臣(池田勇人君) 中共問題につきましての御質問でございますが、私は、組閣以来、中共に対しましては前向きにいきたい。国連でああいうようなことをいたしましたのも、われわれは従来のたな上げ案ではいかぬ、たな上げ案では、ほんとうに重要な問題を世界の世論に訴えて早く解決する方法でないからというので、積極的に私は重要問題として取り扱うよう指示いたしたのでございます。それから、私は、日本が提案国になったということは、前向きでいくのだというつもりで言っておるわけでございます。そうして、また、実際問題といたしましては、中共との貿易は、常に言っておりますように、私は非常に念願いたしております。で、三十七年度の予算におきましても、中共への見本市の数千万円の予算を盛っております。そして、従来ありました日中輸出入組合の強化もいたしまして、それに対する補助金も計上いたしております。また、実際におきまして、適当な人がりっぱな日中輸出入組合を作られるように、私は、通産大臣並びに外務大臣に指示いたしておるのであります。そうして、また、今お話がありました日本の政治家が、大臣級の人が中共と個人的な話をする、こういう機会には賛成こそすれ、反対したことはございません。私はそういうつもりで言っております。今、最近の状況をここで申し上げることは、御当人にも、あるいは、また中共に対してもいかがかと思いますから申し上げませんが、大臣級の人が個人の資格で行って、経済提携その他のことにつきましておやりになることを、何ら差しとめようということはいたしておりません。積極的に私はそういうことを期待しているくらいでございまして、今お話の点は、私の考えておること、また、現にやろうとしておることと違うようなお気持であったように思います。私は決してそういう後退的な気持で進んではいないと考えております。
○羽生三七君 先ほどのことにまたちょっと戻りますが、かりに政府の方針と野党との間にゼロから百までの距離があるとします。政府が、そのゼロから十なり二十なりの距離まで進もうとします。この場合に、社会党が八十か百の距離まで進まなければ絶対承認ができない、こういう場合に、それは社会党の言うことは無理だと言われても仕方がない。しかし、私は、代表権問題の共同提案国になったことは、前向きであるよりも、むしろマイナスの要因のほうが多いと思っております。そういうことから、私は、これらの事情を考慮する場合に、ぜひ政府に要望したいことは、私は、きょうここで中国の国連代表権を即時日本が認める立場に立てとか、今すぐ政府間貿易協定をやれとか、これはわれわれの根本的な念願でありますが、そういう質問をしたって、そんなことはできません、政府間貿易協定は承認することはできないと言うことは、もうわかっております、政府の答弁は。それを同じことを繰り返しておっても仕方がありませんから、私は次のことを伺いたい。最も最小限の、最低の要求であります。それは、今後はあのような共同提案国になることを避けるべきである、あのような共同提案国の当事者となることを避けるべきである。また、少なくとも、それに類する、中華人民共和国を排除するようないかなる提案についても、日本は、提案、決議等についても、その当事国となるべきでない。中華人民共和国を排除するような提案、決議、いかなるこの種の問題についても、私は、日本はその当事国となるべきではない、こう考えます。御所見はいかがでありましょうか。
○国務大臣(池田勇人君) 国連においていろいろ審議される際に、こういう問題についての政府の態度はどうか、こういうことを今御質問なさいましたが、これに対して答えることは適当でないと実は思います。とにかく、中共という厳然たる政権があそこにあるということはようくわかっております。しかして、また、この中共と日本との関係というものは、他のどの国よりも、歴史的に地理的に文化的に関係のあるということも十分知っておりますし、われわれはそういう気持を持って今後いろいろな場合に対処していこう、こう考えているのでございまして、いかなる中共排撃の問題にも加わっちゃいかんとか何とかいう具体的な方針につきましては、私は答弁を差し控えたいと思っております。
○羽生三七君 それでは、たとえばこの前の中国代表権、中国を重要事項として指定する場合の共同提案国になったわけですが、たとえば日本が共同提案国になる場合には——これは外務大臣も聞いておって下さい、何らかの見通しや具体策を持っていたのですか。つまり日本としては具体策は持っているが、今それを言う時期ではない、世界情勢の推移を見てということでそういう提案をしたのか、それとも、何らの方針もなく、ただこれは重要問題であるから、さして格別日本にはいい知恵もないから、世界でうまく考えてくれ、いい知恵があったら教えてくれということで共同提案国になったのですか。この点は非常に重要だと思う。つまり日本が一定の対中国政策を持っているが、しかし、世界情勢から判断して、今直ちに日本がそれを言うべき時期ではない、そういうことから重要事項に指定したのか、それとも、何らの案もないから世界でいい判断をしてくれ、こう言ったのか、その辺はどうなんでありましょうか。
○国務大臣(池田勇人君) 重要問題として取り扱うことの提案者になったということは、この問題は非常に重要だから、世界の世論の帰趨によってきめよう、こういうことが第一でございます。しからば世論まかせかということになりますと、日本は日本の立場、考え方はございます。しかし、それは今ああいう場合に言うべき筋合いのものではございません。日本としての方向は、私は、おのずから自分ではきめているのであります。ただ、それを日本のような、中共と特別の関係のある国が言い出しっぺになってどんどんやるということは、世界の平和、そうして、また、今台湾政府との条約を結んでいる関係から、私は、早まって言うべき筋合いのものではない、こう考えておりまして、腹は持っておりますけれども、とにかく世界の世論の帰趨によってきまるが、その帰趨がわれわれの考えていることと違うときには、適当なときに日本の考えを言うべき場合もございますが、今は言うべきときじゃないと考えます。
○羽生三七君 それでわかりました。実は、私は、あの共同提案国になったときに、非常に重要な問題であるから、世界で十分研究討議をしてもらいたい。問題の素材を出しただけで、日本政府に何らの腹がないとすれば、これはこんな外交はないと思う。しかし、何らかの一定の腹は持っているが、今それを言うべき時期でもない、国際情勢から。それは世界の推移を見てというなら話はわかりますから、これ以上申しません。 そこで、これに関連して外相に承りたいことは、外相は、外交演説の中で、いたずらに主体性のない議論を云云と言っております。それで、何ら日本に具体策なしに主体性ということは、私はおかしいと思います。野党の言うことを、いたずらに主体性のない議論を云々と言われておりますが、それならば、外相の言う主体性とはそもそも何でありましょうか、これを承ります。
○国務大臣(小坂善太郎君) 私は、日本の外交をいたします場合、やはりわが国の考え方というものがあってやっているべきものであるし、また、そういうつもりでやっているわけであります。そういう日本の利益、また日本のための平和、ひいては大きくいえば世界の平和、そういうものを常に念頭に入れながら外交をしなければならぬ、こう思ってやっておりますという意味で申し上げたのであります。
○羽生三七君 それは私の質問したことへの答弁にはなっておりませんが、それはとにかく、こういう議論をしておると問題の焦点がぼけてしまいますから、だんだん先へ進んで参ります。いずれにしても、今の問題、一応決着をつけておきたいと思いますが、日本政府は対中国政策について日本政府なりに一定の方針を持っておる、しかし、それは今言うべき時期ではない、世界情勢の推移を見て判断をする、しかし、これは非常に重要な問題であるから、国連に討議をまかした、こういうことで日本政府に一定の方向のあることは間違いないと確信してよろしゅうございますか。
○国務大臣(池田勇人君) 何も方針がなくて外交というものはできるものではないと思います。しこうして岡崎代表のあの説明をお読み下さいましても、私は日本が今まで世間でいわれているような状態でないということは羽生先生もおわかりじゃないかと思います。従来よりはよほど違ってきておると思います。
○羽生三七君 これは総括質問で、これ以上いろいろ言ってもどうかと思うのでありますが、いずれ外務委員会等でもう少し詳細にわたってお尋ねする機会がありますので、次に移ります。 総理は施政演説の中で、アジアの一部に緊張の存在する主実を認めるとともに、あらゆる機会をとらえ、緊張緩和のために努力しなければならぬ、こう言っておられます。そこで、緊張緩和のために具体的にどういう対策をおとりになったでしょうか。たとえばこれはあとから触れますが、沖繩が日本に完全に復帰する条件は何かといえば極東における緊張緩和ということは常識になっております。それなくしてどうして沖繩の日本復帰が可能であるか。これはあとから触れますが、総理としても極東の緊張緩和ということが非常に重要な問題であると施政演説で言っておられますが、具体的にこの緊張緩和のためにどういう対策をおとりになったか、これをお伺いいたします。これは施政演説の中にあります。
○国務大臣(池田勇人君) これは今、緊張の状態にあるということの例をあげますとたくさんございまするが、韓国の北鮮、南鮮の問題もそうでございます。そうしてベトナムの問題もそうであります。ラオスの問題もそうであります。西イリアンの問題もそうであります。ゴアの問題等々いろいろなところがありますが、われわれは自分独自でできることと、そうして他の国に話をして努力させる、その二つの方法があります。西イリアンの問題あるいはゴアの問題につきましては、日本自身としても措置をとったのであります。ベトナム、ラオスの問題につきましては外務大臣等におきましていろいろ日米とも話をしていることと思います。
○羽生三七君 韓国と結ぶことは緊張緩和の具体策でなしに、その逆であると考えますが、そこで私率直に申して日本外交の現実は残念ながら緊張緩和ではなしに、むしろその反対の方向をたどっておる、こういえると思います。総理は日米提携やあるいは日米共同ということをお考えになっておりますが、結局のところ、日本が米国の側に立つことによって東西の力の均衡維持に役立つということであると思います。ところが、この力の均衡政策が緊張緩和に役立っておるかどうかということ、結局今日までの趨勢を見れば、アメリカもソ連も軍備の拡大や核実験再開ということになり、力の均衡政策が緊張緩和に役立っているという事実は全然ございません。これは逆の方向をたどっております。結果は今申し上げたとおり、力の均衡をさらに一そう拡大さしておる。力の均衡政策は、結局のところ、問題を解決し平和を確立する真の正しい手段とはなっておりません。世界の歴史、または世界の歴史が現に示している事実は、力の均衡は東西の軍備拡大競争によって、もちろん中ソ論争に示されるような違いはその中にありますけれども、この東西の軍備拡大競争によってとにかく均衡は均衡でも——ここが問題点です。力の均衡政策は、均衡は均衡でも、それが今現に進行している事態は不断に拡大均衡の道をたどっているということであります。力の均衡政策、私は真の平和の道は、この力の均衡の拡大ではなく、力の均衡点を不断に低下させることである、こう思います。もちろん国連等の場において、あるいは大国間において、あるいはジュネーブにおける十八カ国軍縮会議等において一挙に軍縮が達成できればこれに越したことはありません。しかし、もしそれが一挙に困難であるとするならば、均衡点を縮小低下さしていく以外に道はない。しかも私のいう力の均衡の縮小ということは、あるいは均衡点の低下ということは、必ずしも通俗的な軍備縮小論ではありません。国際的に軍縮の実をあげていくことはもちろん大切でありますが、同時に個々の地域、それぞれの地点における対立、紛争を鎮静させ、消滅させ、解決していくことであると思います。力の均衡による平和維持という考え方は、単に逆説的——パラドックスであるばかりでなく危険であるし、また問題解決の真のあり方ではないと思います。しかし、それが一挙に解決困難であるとしますならば、均衡は均衡でもその均衡を不断に縮小低下させる以外に道はない。日本は、それについてどういう考え方を日本政府としては持っておるか。経済の縮小均衡には総理は反対でしょう。しかし、力の均衡を縮小させる点については、私は総理がこれに反対なさることはまずなかろうと思う。力の均衡点を不断に低下さしていくべきであります。今のままでは均衡は均衡でも拡大均衡であります。ここに今の世界の私は大きな矛盾点があると思います。この点についての総理のお考えを承りたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 少なくとも冷たい戦争といいますか、こういう状態であることは力の均衡から出てきておると思います。だから、私は力の均衡というものは必要だと思います。しこうして、その均衡が、高度の均衡か、できるだけ低いほうがいいか、これはできるだけ低いほうがよろしゅうございます。しかも最も先鋭化して全人類に危害を与えるという核兵器というものは、これにはもうやめるべきだ、これが第一番です。そうして一般の武力を軍縮によって少なくしていく、こういうことでやるべきだ。そうしてまた局地的の問題、はとえば今申し上げましたベトナムの問題、ラオスの問題等々につきましても、これはやっぱり局地的に力の均衡が保たれ、戦争状態にならないようにやっていくのが適当であります。現にそういう努力が行なわれておることを私は認めておるのであります。
○羽生三七君 それは私の考えていることと全く逆でありますが、もう少し現実を見てみたいと思います。たとえば日本がアメリカと安保条約を結んで基地を提供しております。中国とは国交を回復いたしません。これに背を向けて台湾と結んでおります。ベトナムとも南とは手を結びましたが、北には背を向けております。そしてまた今問題の多い韓国と手を握ろうとしております。これを見てくると、この一連の政策、日本の外交政策は、これは一種のイデオロギー外交、新しい意味での枢軸外交です。いわゆる枢軸外交の私はニュー・ルックだと思う。かつての日独伊三国同盟とは違いますけれども、これは明白にイデオロギー外交、枢軸外交の新版——ニュー・ルックであります。第一に、日本外交が力の均衡政策を外交の主要な目標としておる、そのためにいつもアメリカの側に立ち、その意味で均衡を弱めてはならないというこの立場を固執しておるわけであります。だから、アジアにおける日本外交は勢いその一端をになうことになりまして、結局アジアにおける緊張を弱めるどころか、むしろ高める結果となっておる。ここに日本の外交の与野党間が共通の場を持ち得ない根本的な原因があると思います。そこで、たとえば日米共同防衛で日本の安全を守るという政府の考え方は、私は日本に対する直接侵略が現実の問題としてはすでにあり得ない。一般論としてはありますよ。しかし、現実の問題としてはそれがあり得ない今日です。日本政府はアメリカと日本とをあまりに運命共同体的に考え過ぎはしないか。もちろんわれわれは日本が、日本政府のみならず社会党もアメリカと親交を結び、特に今の日本政府がアメリカと親しい関係を持つことに全然異存はありません。しかし、それをあまりに運命共同体的に考えてやり過ぎる。なぜもっとケース・バイ・ケースで判断ができないか。ここに私は与野党間の一致が困難になる一番大きな原因があると思います。なぜケース・バイ・ケースでいけないのか。この問題について総理の御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) われわれが韓国と善隣関係を打ち立てようということは世界の力の均衡のあれとしてやっているのだということは、私は少し言い過ぎじゃないかと思います。韓国とわれわれが仲よくしていくということは、これは歴史的に、地理的にわれわれの宿命だと私は考えております。これは世界の力の均衡のためにやるというふうなことは私は考えておりません。日本の置かれた宿命的なあれで、仲よくしなければいかぬ、こういうことであるのであります。そうしてまた私は先ほど来申し上げておるように、中共ともお互いに内政干渉せず、そして自分らの主張を、主義を押しつけることなく、私は経済交流その他をやろうということ、日本が進んで力の均衡によってどうこうというわけじゃございません。ただ、日本の立場といたしまして、今具体的にそういうことが心配ないと、こうおっしゃいますけれども、万が一のことを考えて国を守るということは、独立国としては当然のことであります。これをわれわれはアメリカとやっておるのでございまして、それが世界の平和のためになるという確信でございます。韓国との国交が正常化するのはこれはもう力の均衡であるのだと、私はそこまでは言っていないことを申し上げておきたいと思います。
○羽生三七君 抽象論はあまりいつまでもやっておるわけにはいきませんが、今私がほんのわずかの間に申し上げた私の意見と総理の意見との違いですね、少なくとも私は野党としては最小の希望を今述べておるつもりなのです。それすらも受け入れられない。つまり中国を刺激するような提案や決議案の今後日本が当事国にならないほうがいいのではないかという程度の希望すらも受け入れられない。 それから日本を守るに、私は祖国を守るための考え方ですね、私は私なりの考え方を持っております。しかし、そんなことを私がしゃべっておったら、自分の持ち時間がなくなってしまうから私は申し上げませんが、考え方が違うのです。私は私なりの祖国防衛の考え方を持っておりますが、それはとにかく世界観がまっこうから対立する与野党間に、外交で共通の広場が得られるとすれば、それを可能にする尺度は何でありましょう。もうほとんど今の論議でもわかりますように、完全にこれまではイデオロギーの対立なのです。外交なんというものじゃありません、これは。これでは全然問題にならない。そとで私は、ちょっと理屈っぽくなりますけれども、世界史的な方向で問題を考慮する以外にないと思います。では、世界史的な方向とは何でありましょう。それは平和共存と完全軍縮であります。人類の破滅を回避するための今日の至上の命題は、私はこの平和共存と完全軍縮でありますから、それは与野党ともに確認をして、この線に沿ってそれが一歩々々であるか、あるいは急進的であるか、それは軍にテンポの問題として、この方向に沿うことによって共通の広場を求める以外にないと思う。それ以外にないのです。ですから、今のようなことでは、私時間がないからあまり多くの理屈を言えませんが、おそらく今後十年たっても、社会党と自民党の間に共通の広場ができることはないでしょう。全く世界観で、イデオロギーで対立してしまっている。だから、与党と野党がむしろ共通の広場を求めるとすれば何か。これは私は世界史的な方向だと思う。そこで、それを達成する道はやはり私は完全軍縮と平和共存、これを尺度としてそれを実現するためのそれを確認して、実現するテンポはあるいは急進的であれ、あるいは徐々にであれ、これはテンポの問題として、そうしてお互いにそこに共通の広場を求める以外にないと思います。もし日本の国会に静けさを欲するならば、——激突が近く起こるかもしれませんが、衆議院のほうで——そういう点に私は共通の広場を求める以外にないと思いますが、総理にこの点についてお伺いをいたします。
○国務大臣(池田勇人君) 平和共存、その他の軍縮、われわれ全面的に賛成でございます。その方向に向かって努力いたしておるのであります。
○羽生三七君 それではこれから、抽象論をやっておっても仕方ありませんから、個々の問題に入ります。 かりに中国が核兵器を持って、そのことからアメリカが日本への核兵器の持ち込みを考慮することがあっても、従来と変わりなく拒否されるかどうか。これはこの前にも一応一度伺ったと思いますが、重ねて御意見を承っておきます。
○国務大臣(池田勇人君) 中国がそれを持つ持たないことは、日本が核兵器を入れない入れることを決定する問題でないと思います。私はいつかの機会に言ったと思います。ソ連は持っておるのであります。ソ連のどの地にあるかわかりません。そういうことを考えますと、中国が今度持ったからといって、今までの考え方を改めることはいたしません。
○羽生三七君 外務大臣に伺いますが、さきに国連においてスエーデンと八カ国が共同提案国になりまして、非核クラブ結成の問題が討議さされて、日本もこれに対して三月十五日国連事務総長に回答を発しておるはずであります。だから、その回答はいかなるものか、日本は非核クラブに参加する意思はないかどうか、外務大臣に伺います。
○国務大臣(小坂善太郎君) 日本の政府の態度としまして、核を持つこと自身反対であるということは世界に向かって言ってあるわけでございます。したがいまして、まずこの核使用の禁止という問題は、現実に持っておる大国がこれをやめるということでなければならない、こういうのがわれわれの考えでございます。今般のジュネーブ会議でも非常にこの核禁止の問題は議題にされたのでございますが、結局はあらゆる武器が、軍備が廃止されるまでは、査察ということはすべてスパイ行為であるというソ連の考え方と、査察をしなければ実際に軍縮をやっておるか、核兵器を実験することをやめておるかどうかわからないではないかというアメリカの考え方が対立しておるわけでございます。私はこの間の考え方について、すべて査察ということはスパイであるという考え方も、またあらゆる問題は査察をしなければ絶対にわからないのだ、こういう考え方も、両方から何か歩み寄る考え方ができぬものか、かように思っておるわけでございます。ただいまの御質問に対しましては、われわれはわれわれ自身核兵器を持つことはすでに反対しておるのであります。最も有効な核禁止の方法とすれば、やはり核を持っている国それ自身がそういうことを考え、核を持たないということを考える以外にないというのが私どもの考えであります。
○羽生三七君 十五日の御返事は……。内容はわかりますか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 大体そういう趣旨の回答でございます。その線でございます。
○羽生三七君 じゃ、これで、こまかいことは外務委員会で伺います。 政府は沖繩施政権の全面的、あるいは部分的返還が領土復帰の前でも可能とお考えになりますか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 沖繩の施政権返還につきましては、今後もできるだけあらゆる機会をとらえて継続的に要求を続けて参りたい、かように思っております。
○羽生三七君 先日外務大臣と防衛長官は、この委員会で今お答えがあったとおり、沖繩施政権返還の場合は、できるだけ領土復帰前でも努力するというお話があり、またその場合には、沖繩への核兵器の持ち込みもアメリカに対してやめてもらうというお話がありましたが、完全領土復帰の前にもそういうことができますか。施政権だけの返還の場合でもそういうことができますか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 日本が施政権を持つ前に、そのことはできないというふうに思います。
○羽生三七君 いや、いや領土復帰前ですよ。施政権だけ戻ってきたときに、施政権だけの場合で、それができますかということです。
○国務大臣(小坂善太郎君) 沖繩は、もうすでに日本の領土の一部であるという考え方に立っております。したがいまして、施政権の返還が問題であると、こう考えております。
○羽生三七君 よろしゅうございますか。かりに施政権返還の場合、沖繩は軍事面においては別個のとりきめを必要とするのでありますかということです。施政権だけの場合ですよ。領度でなしに、軍事面については別個のとりきめをやるというのですか。あるいは現行の安保条約、行政協定でいくということになりますか。安保条約に伴う合意された議事録は沖繩に対する武力攻撃が発生した場合を協議の対象としております。したがって、この場合、安保条約交換公文による事前協議というこのケースが決定的に多くなる、施政権だけ返って米軍の移動が起こる場合には、安保条約の行政協定による交換公文に上って事前協議というケースが圧倒的に多くなる。そんなことが可能であると思うか。あるいはそんなことがあっても、なおかつアメリカが施政権を日本に完全に返すとお考えになりますか。
○国務大臣(小坂善太郎君) たとえばアルジェリアにおきますメルス・エル・ケビル、あるいはチュニジアにおける基地といった、そういうような工合にはなかなか分けにくいのではないか、沖繩の面積等から勘案いたしまして、分けるということはなかなかむずかしいのじゃないかというふうに、アメリカが言うだろうというふうに考えます。
○羽生三七君 いや、それじゃ困る、解答にならぬから。これは解答にならぬから。立って言うと時間が損しちゃう。
○国務大臣(小坂善太郎君) この施政権と基地に分けられるかということが前提になって今の御質問が出ておると、こう思いましたので、その点について私の気持を申し上げたのでございます。これはまあ交渉してみなければわからぬ問題でございます。施政権の返還はあくまで続けたいと思っております。
○羽生三七君 それはですね、私はそんなことはないと思うのです。施政権が返ってきて、かりに施政権が返ってくる場合ですよ。その場合に、米軍の移動が沖繩に起こる場合には、安保条約のこの行政協定の交換公文できめられたことで、いわゆる事前協議の対象になるわけです。そんなことを、一々米軍の移動をこの日本に相談をして事前協議をするなんといこうとは、アメリカが認めぬでしょう。しかもそんな中で、アメリカが施政権を日本に返しますか。それでも返るというなら、私は外務大臣、勇気をたたえるし、ぜひそうしてもらいたい、大賛成です、それは。そんなことはできるかできぬかということは、これからもう少し質問をいたしますが、結局私は今のような形で——いやいや、それより前にそれができるとお考えになりますか。領土復帰前に施政権だけ戻ってくる場合、その場合に事前協議というようなものがあっても。もう一ついえば、例を読んでみましょう。先日、東京新聞の特派員がアメリカの最も権威ある筋と会談をしました。そのときの質問に対してその高官はこう答えております。「こんどのケネディ声明にもあるとおり米国は極東の安全を保つため沖繩を軍事基地として使っているので、この目的にそうよう施政権を保持しているから、それを部分的に返すことはできない。将来極東の安全が確保されるようになったら、施政権全部を日本に返還する」と、こう答えております。だから、今のような日本の安保条約、行政協定の対象になるような形で、施政権の一部的あるいは全面的返還が可能でありますか。
○国務大臣(小坂善太郎君) これは今後の交渉の過程を見なければわかりませんですけれども、まあ施政権がどういう形で返ってくるかという、返る形といいますか、返り方によることであろうと思います。
○羽生三七君 いや、それは全く架空なお答えで、そんなことが現実にできるかできないかという問題になるわけですが、さて、そこで私は諸般の事情から、結局施政権が完全に戻るときと領土復帰は同じだと思います、同時であると。領土復帰前に施政権が完全に全部日本に戻るということはほとんどない。あってもなくても社会党も政府も要求しなければ困りますが、結論的には私は施政権を近せるような状況になったときは、極東の緊張が緩和したときというのですから、そのときは領土そのものが返ってくる。だから、分離して施政権だけ返ってくるという可能性はまずないと思う。これは同時の問題だ、そうお考えになりませんか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 沖繩は日本の領土の一部であるということは、もうアメリカが今度のケネディ大統領声明ではっきりいっておるわけであります。そこでこの施政権をどういう形で返すか、それにはまあ相互の信頼が大事であるということもいっておるわけです。私どももそうだと思います。そこで日米間に十分信頼が高まってきて、どういう形においてであるか、施政権を返すと、それは一ぺんに返す場合もありましょうし、また話し合いによってはどういう形か、これはやってみないとわからぬわけでございます。でございまするから、必ずしも領土返還と施政権の返還が同時でなきゃならぬ、施政権の返還があるときでなければ領土は返ってこないのだ、こういうことはいえないと思うのでございます。要するに、日本に施政権が返るときに備えて、諸種の行政的な自治権の拡大であるとか、あるいは福祉の増進、経済の振興というようなものを日米協力してやっていこう、こういうことになっておるわけでございますから、これはまあ今後の問題として私ども十分努力していきたいと考えております。
○羽生三七君 いやいや、個々の行政を、ケネディ大統領もいっているように、委譲してさしつかえない、この問題の討議は将来にゆだねる、そういう場合があることは私はわかっております。問題はそうではなしに、今の基本的なアメリカの軍事政策に触れるような形においても、なおかつ施政権返還を要求する勇気が日本政府にありやいなや、こういう問題であります。
○国務大臣(小坂善太郎君) そこまで今日の段階で突き詰めることはまあいかがでございましょうかというふうに私は思うのでございます。せっかくここまで大きく前進したのでございますから、これも大いに交渉はいたしてみまして、沖繩における同胞の福祉というものについて大いに増進するように努めてみまして、一方施政権の返還というのは絶えず要求いたしますから、その過程においてどういうことになっていくかということをひとつお互いに研究さしていただきたいと考えております。この時点で、こうでなければだめなんだ、したがってこれは無意味である、これ以外のことは無意味であるというふうにおっしゃられると、私は実は残念でございまして、どうぞその点御協力をわずらわしたいと思います。
○羽生三七君 いや、私は無意味だとは思いません。相当大事なことだと思いますが、そこでもう一つだけこれに関連して承りますが、ケネディ大統領がいっているように、今後継続的に委譲してさしつかえない部分には検討を加える、お互いに討議するということになっておる。そこでもし、今の軍事問題は別として、一部だけ単純な行政事務が委譲されるようになった場合、これは純然たる沖繩固有の行政事務の返還となるのか。それとも委譲された部分については、日本本土の、日本政府の主権が及ぶのか、どういうことになりますか。一部返還された場合ですね。この場合、返還された、委譲された行政事務については、それは沖繩固有の行政事務の返還なのか、あるいは日本本土の主権が及ぶのか、これはどういうことになりますか。
○国務大臣(小坂善太郎君) いろいろの場合があると思いますが、実は戸籍事務などはもうすでに福岡がやっておるわけでございます。その他のいろいろな場合が想像されると思いますが、法制局長官から申し上げるほうが適当かと思います。
○政府委員(林修三君) これは今外務大臣が言われましたように、いろいろの場合があり得ると思います。一がいに言えないと思います。それともう一つ、御質問の趣旨ちょっと理解しかねるところがあるわけでございますが、沖繩固有の行政権事務としてやるのか、あるいは本土の一部としてやるのかという意味でございますが、施政権が日本に返ってきた場合、これはやはり日本の一部としてやるという意味で返ってくるのが普通の場合だと思います。アメリカが施政権を持っていることの下部機関的に、日本政府の機関がやるということは、まあ普通はあまり考えられないのじゃないかというふうに思っております。
○羽生三七君 そんなあいまいな答弁はないと思います。今まで沖繩島固有で扱われておる事務が日本に返ってきた場合、あるいは教育行政なりその他司法行政なりの一部が日本に返ってきた場合、その場合に日本の主権が及ぶわけでしょう、その部分に関しては。そうすると、沖繩人の人格というものはどういうことになりますか。それから、どういう程度に日本の本土の主権というものは関連を持つのですか。今の答弁では全然問題解決にならないのです。
○政府委員(林修三君) かりにその教育事務だけを切り離して施政権を返還する場合でございますが、これはもちろん返還する以上は、本土の一部として日本の政府の統治下にその教育事務をやる、こういうことだと思います。ただ、沖繩において教育事務以外の事務は、アメリカの施政権下にあるというようなことから、直ちに日本のほかの府県にあるような同じ行政機構でやるわけにいかない部面が多々あると思います。たとえば琉球に御承知のように行政府がございますし、あるいはその下に市町村があるわけでございます。その市町村自身日本の市町村と違うわけでございます。そこらをどういうふうにいたしていくかという問題がさしあたって問題になります。こういうことは、結局そのときに当たっていろいろ先方の米国政府と、施政権の返還を受ける際の取りきめできめる。あるいはそのあとで琉球の民政府とというのがあるわけでございますから、一部返還である以上はそういうものが存在するわけでございますから、そういうものとの取りきめできめていくよりほかないと思います。沖繩人の人格とおっしゃる意味でございますが、これは今でも実は日本の国民とわれわれは考えておるわけであります。この点は潜在主権というものがある以上は当然そうだと思います。したがいまして、日本の施政が及ぶようになる限りにおいて、これをこちらの本土のほうの一般国民と区別すべき理由はもちろんないわけでございます。ただ、行政のやり方としては、たとえば施政権の一部返還というような場合には、いろいろそこに日本の府県におけるやり方と違ったやり方をしなければならないという部面がいろいろ出てくるということは、これは当然認められることでございます。
○羽生三七君 今の御答弁から考えると、今までの沖繩の地位と根本的に違いますよ。それはそういう意味では日本のために慶賀すべきことです。つまりそうならば当然完全な日本人ですから沖繩島民ということではない。日本の沖繩県ということに当然すべきです、当然そうなる。あらゆる事務がそうなります。ただその中に制限的であるだけだ。それはどういうふうにお考えになりますか。完全な日本人ですよ。沖繩県民ですよ。
○政府委員(林修三君) 沖繩に住んでおりますいわゆる沖繩の人々、これはもちろんわれわれ日本国民、日本国籍を持っておるものと考えております。これは現在でもそうであります。施政権の返還がなければそうでないという問題ではないと思っております。ただ現在施政権が及んでおりませんから、日本の法令で、いわゆる属地的と申しますか、施政権とくっついているようなものはもちろん沖繩には施行されない、こういうことになるわけであります。 それから施政権の全面的返還があれば、当然沖繩県というものも置かなければならないという問題は起こってくるわけでございます。しかし施政権の一部返還、今おっしゃったように、教育事務だけの返還の場合、いわゆるあそこの地域全体について、従来アメリカが施政権を持っているわけでありますから、民政府あるいは民政府の下の行政組織が残るわけであります。それと並行して別に法人格を持った沖繩県というものを作ってみても、なかなかそう簡単にいきません。したがいまして、沖繩県というものを直ちに教育事務の返還があっただけで作るわけにはいかない。結局原地のいろいろな行政機関を使っていくほかないわけであります。そういう関係においては、さっき申しましたように、本土の府県と同じような取り扱いはできない。結局現在沖繩にある行政機構をいろいろ使っていかなければならない。その場合には結局施政権のまだ根本は向こうに残っておりますから、それの指揮命令とかあるいは協議とか、いろいろむずかしい問題が出てくるわけであります。そういう点はいろいろ取りきめていかなければならない、こういうふうに考えております。
○羽生三七君 昨日官房長官が藤田委員にやはり沖繩の施政権返還問題について質疑応答があったようですが、あの答弁に変わりはございませんか。
○政府委員(大平正芳君) 念のために申し上げますと、きのう私がお答えいたしましたのは、施政権の返還要求は国民の願望でございますので、政府は終始返還の要求を続けて参る。言いかえれば、この間のケネディ大統領の声明というような事態が起こりましても、こういう返還要求の基本的態度に変わりはございませんということを申し上げたわけでございまして、今も変わりはございません。
○矢嶋三義君 関連。総理、今の質疑に関連して一つ伺いますがね。核武装はソ連や中共がしようが日本は厳としてしない。沖繩の施政権が返れば核武装はしない。こういうことを言明されておるわけです。したがって現時点において、施政権返還を早急に要求している日本政府としては、アメリカ側に対して施政権を一部返してほしいということと、アメリカに核武装しないでほしい、沖繩における核武装をやめてほしい、これと並行して要求していくものと私は考えますが、どうですか。ということは、国内で核武装しないという大前提がある、沖繩の施政権が返ってくれば核武装しない、核武装を解く、それがベースとしてありながら、それに何ら触れずに施政権を一日も早く返してほしいというのでは、そこに私は欺瞞があると思うのです。だからここにおける答弁が真実ならば、沖繩の核武装に対する日本政府の見解と、沖繩の施政権を一日も早く返してほしいということは、並行してアメリカ側に伝えられなければならぬと思うのですが、そういう態度で日本政府はアメリカに対処していくものと思いますが、念のために承っておきます。
○国務大臣(池田勇人君) 御質問の点がわからないのでございますが、核武装の問題と施政権の返還の問題をひっくるめてやるべきではないか、やるべきだ、問題にすべきじゃないか、こういう御質問でございますが、私は核兵器のいかんにかかわらず、とにかく施政権の返還は強く今後とも要求していく、こういう考えでおるわけであります。
○矢嶋三義君 総理、沖繩の施政権の返還を要求することと、沖繩に核武装してもらいたくない。さらに核武装の度合いを高めようとしているのですよ、アメリカは。そういうことをしてもらいたくないというその意向が、一緒にアメリカに伝えられなければ、現実の問題として返ってこないですよ。だから国内の核武装をしない。沖繩の施政権が返ったならば沖繩の核武装を解くということを先般答弁している、国会で。そうだとするならば沖繩の施政権の要求と、沖繩に核武装あまりしてもらいたくないということとは、並行的に日本政府の気持をアメリカに通じなきゃならぬ、それを通じさすべきそういう立場において日本政府は対処しているものと私は思いますが、いかがでございますと聞いておる。
○国務大臣(池田勇人君) 沖繩の施政権はアメリカにありますので、アメリカが沖繩におきまして核武装することにつきましては、われわれとやかくいう権利を持っておりません。ただ世界全般が核武装というものをやめてくれることをわれわれ念願しておるのであります。
○藤田進君 関連。当初の総括質問の際キャラウエイ発言に関連して委員の質疑があり、これに池田総理がお答えになりましたとき、自分は極東の脅威あるいは緊張の緩和がない限り、沖繩の返還はしてもらえなくてもいいんだという趣旨の、ケネディ大統領との間に了解がついているんだ、というような発言があるがどうかということについては、そういう了解は与えていないということが言われておりました。続いて一般質問で小坂外務大臣にかなりくどく委員がただされた際に、極東の脅威あるいは緊張の緩和と、沖繩の領土返還というものと不可分の関係にあって、一方努力して緩和するようにし、かつ執拗に機会あるごとに返還の要求をすると、こういう形を一貫しておられたように思います。それで昨日分科会におきまして総理、外務の御出席が困難でありますので、大平官房長官の御出席を願いまして端的にこの質疑をいたしました結果、そういう脅威とかあるいは緊張の緩和とかということは無関係と、言葉は違いますが、これにかかわりなく領土返還はわがほうとして機会あるごとにこれを主張し、要求するんだ、こういうすっきりした御答弁があったわけでございます。そこで外務大臣並びに総理大臣におかれましても、わがほまうの両院決議もあり、その上に立っての政府、あるいは従来の態度から、極東の軍事情勢なり脅威なりあるいは緊張といったようなものとは関係なく、アメリカのほうはそれを主張するけれども、わがほうとしてはそれとは無関係に、かかわりなく領土返還の要求をし、かつ返してくれるべきであるという主観の上に交渉を続けられるというつもりかどうかという点を、若干不明確でありますからお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) この問題は衆参両院の決議に対しまして、私が両院で御答弁申し上げたとおりでございます。われわれはあらゆる機会に施政権の返還を強く要求し続けると、こういう考えでございます。
○国務大臣(小坂善太郎君) 総理大臣のお答えのとおりに私も考えております。
○藤田進君 今、問題の点は外務大臣も一般質問でしばしば言われたように、極東の脅威なり緊張の緩和の問題と返還の問題は不可分の関係にあることを認めながら、返還の要求を続けるとこういうことであった。そこでその解釈というものはアメリカのほうはアメリカでするわけで、いつまでたっても並行線である、わがほうとしての態度は極東の脅威なり緊張なりということでなしに、これはそれとして返してもらいたい、返すべきである、その点がポイントなんでございまして、総理におかれてもその点に触れてのお答えをいただきたい。
○国務大臣(池田勇人君) 極東の情勢が緊張の状態にあるから返さない、ということはアメリカの言うことでございます。われわれは何でもかんでも早く返してほしいとこう言っているのがわれわれの立場でございます。
○羽生三七君 今の藤田委員の関連質問に関する総理の答弁は、ぜひそうあってもらいたいと思います。なかなかそう言っても非常にむずかしかろうと思ってわれわれはいろいろな質疑をしたのですが、政府がそうあれば、これはもう全く満幅の敬意を表しておいてぜひともそういうことで邁進をしていただきたいと思います。この問題はこのくらいにします。 次に問題は変わりますが、防衛費は三十七年度でほぼ二千億になりました。これはもう言い古された問題でありますが、自衛のために必要な最小限度の防衛力ということと、憲法九条の間には何らの限界もありませんか。これは防衛庁長官に、いや総理から先に伺いたい。憲法九条との関係を。
○国務大臣(池田勇人君) 限界という言葉なんでございますが、われわれは最小限度の自衛のための経費を出そう、それは国力あるいは世界、極東の情勢によってきまることであると考えます。
○羽生三七君 では情勢の次第でありますから、それは制限というものはなしに無制限でありますか。
○国務大臣(池田勇人君) 無制限ではございません。最小限度の、そうして最小限度というのは国力の状況からくるわけでございます。
○羽生三七君 これは今、後のほうで日本語というのは便利なものだという声がありましたが、このくらいあいまいな問題はないと思うのですね、最小限の自衛力——。昔はここにおいでになる杉原先生が戦力という言葉を使うことは違憲であるというぐらいきびしく本会議でおっしゃったことがあります。ところがその当時に比べて、もう全くお互いが何といいますか不感症になってしまって、これほど日本の軍備が実質上進みながら、しかも九条との関係では何も限界がない、自衛のために許される最小の防衛力といえばどこまででも行けます。これで一体いいのかどうか。言い古された問題でありますが、非常に重要だと思うので、あらためてもう一度総理の見解をお尋ねします。
○国務大臣(池田勇人君) 最小限度の自衛力というのでございまするから、おのずからそこに客観性が私は出てくると思います。単に、五、六年前は千億円程度のものが今年二千億になった、そうして今後五年後には三千億近くになるんじゃないかというふうな予想を持っておりまするが、それが今お話のように日本が自衛のために、日本の防衛費として多過ぎるのか、あるいは少な過ぎるのかという問題は、おのずから客観的に私はきまるべき問題だと思います。
○加瀬完君 関連。最大とか最小とかいいましても、当然それは最大なり最小なりをひとつ押さえる基準というものがあってのことだと思う。何を基準にして最小とおっしゃるのか、それを具体的に御説明いただきたい。
○国務大臣(池田勇人君) 国を守るのでございます。国を守るという限度はおのずからあるわけでございます。
○加瀬完君 国を守るというと、旧来の常識からすれば仮想敵というのが当然あるわけです。その仮想敵国の軍備に対して、国を守るためには最小限これこれという計算が当然出てくるわけです。そうすると、現在の日本も一応仮想敵国というものを考えているのですか。考えていないとすれば、国を守る最小限度といったってその基準は出てこないと思う。もっと具体的におっしゃっていただかなければわかりねます。
○国務大臣(藤枝泉介君) 現在におきまして、われわれは特に仮想敵国というようなものを考えているのでないことは、委員会でも申し上げたとおりでございます。要するに国を守る最小限度ということにおきまして、それはときの情勢その他によりまして相対的なものだと思うのでございます。しかしながら、少なくとも他国に侵略的な脅威を与えるというようなものは、われわれのいう自衛力ではないという限度はあると存じております。
○木村禧八郎君 関連。これまで防衛庁では、防衛力の限界というものをわれわれは予算との関連で聞いてきたのですが、大体国民所得の二%か三%、こう言っているわけですね。しかし、それは防衛力というものと関連して、それはさっき総理は情勢いかんによると言うのでしょう。情勢いかんによると言いながら、防衛計画では国民所得の何%というので、はじいているのですね、それは何%とはじく根拠は、この防衛というのは何も国民所得の関連だけできまるものじゃないと思うのです。ところが、機械的に一応国民所得の何%とはじいているのでしょう、そうしてまた、総理は情勢によって変わると言うのですね。そこのとこらへんがちっとも明らかでないし、まあ伸縮自在みたいになるんでしょう、その点がはっきりしないわけですよ、その点どうなんですか。
○国務大臣(藤枝泉介君) 国民所得に対する対比につきましては、御審議の便宜上そう申しましたが、たとえば、今回の第二次防衛計画の最終年度において、私どもは試算をいたしておりまして、大体一・五%というのは結果がそうなるであろうということでございまして、第二次防衛計画そのものが国民所得の一・何%ということを目標にしてやっておるわけではございませんで、先ほど来総理からもお答えいたしました、情勢に応じ、しかも国内の諸施策とにらみ合わせながら、しかも防衛の最小限度としてこれぐらいのものという考え方でやっておるわけでございます。常に国民所得の一・五%までならば何でもかんでもそれは自衛の最小限度であって許せるのだというような、初めから国民所得を基準にしてやっておるわけではございません。
○木村禧八郎君 そうなりますと、防衛計画の裏づけとしての予算の要求ですね、これが非常に私は重大な問題になってくると思うのです。一応第二次防衛計画の裏づけとする予算の計画は、国民所得に対する二%ということで組まれてきているのです。また年次計画も大体そうなっているはずですよ。三十七年度の予算もそういう裏づけのもとで説明されているんですよ。そうしますと、必ずしも国民所得の何%とこだわらないのだ、必ずしもそれだけの要求でないと言われれば、いろいろな国際情勢の変化によって、ここでかりに国際情勢が非常に緊張が緩和された場合、防衛力の五カ年計画というものは要らぬですよ、ふやす必要がない、今でも多過ぎるかもしれない。だから防衛という場合に、何を基準にするか、もうすでに防衛庁は国民所得の何%と前提して実際は予算を要求しているはずですよ、実際そうなっていますよ、そうじゃないですか。
○国務大臣(藤枝泉介君) あくまでも防衛計画そのものは、現在のわが国の国情、国力並びに他の国内的な諸政策との調和のもとに防衛の最小限度を策定いたしております。そうして従来大体国民所得に対しまして一・三、四%であったということは、これは他の諸施策とも考え合わせて、この程度のものは許さるべきであるということは考えます。しかし、初めからそれならば国民所得の一・五%以内ならば、いかなるものもできるかというような考え方でやっておるわけではないということを申し上げたわけでございます。
○矢嶋三義君 関連して。総理に伺いますが、防御とか攻撃とか言っておりますが、防御、攻撃というのは区別がつきませんよ、この区別が。だから国を守るには軍、戦力を持って守る形と、しからざるものとがありましょう。ところが日本の自衛隊というのは、二千億円の大台に達したんではないですか、そして陸上においてナイキ、海上においてタータ、航空においてはサイドワインダー、それぞれミサイル装備まで踏み切ったわけでしょう。こうなりますと、ともかく羽生委員が申されるように、最小限度といっても、ずるずる行ってはならないわけですからね、だから九条との関連で、軍、戦力という形を持って、それで国を守るんだという方針になっていると思うのですよ。したがって、総理に伺いたい点は、近く参議院選挙があるんだから、そういう今までの態度を改めて、憲法九条はかようにしてわれわれは国を守ろうとするんだという点を堂々と掲げて、社会党なりと選挙戦で対決し、国民の審判を受ける態度が、私は政治家としてとるべき男らしい態度だと思うのです。でなければ、二千億の大台に達したこの金が、非常に不経済に、不効率に使われておりますよ、あなた方がやりながら。したがって、憲法上からも許されないことだし、その二千億の大台に達した金というものは、非常に不効率に、むだ使いされている、こういう感じを持っているのですが、総理、そういう男らしく審判を受ける決意はございませんか。おそろしいですか。
○国務大臣(池田勇人君) せっかくの御意見でございますが、私はそういう気持は持っておりません。憲法第九条の規定によって最小限度の自衛力を持っていく、こういう方針に変わりはございません。
○羽生三七君 この問題はまた他の機会にいたします。 そこで、次は、世界的に軍縮が行なわれる場合、憲法上正規の軍隊ではないにしても、日本の自衛隊は当然縮小の対象になると思いますが、どうですか。
○国務大臣(池田勇人君) 将来のことはなかなかここで申し上げかねますが、われわれとしては、先ほど言っているように、国力に応じる最小限度の防衛力を維持していこうということでございます。世界が軍備を廃止いたしまして、われわれ防衛の度が少なくなってくれば、これらも縮小するのは当然のことでございます。
○羽生三七君 そんなことを言っているわけではない。時間がだんだんたってきましたから……。 次は、御承知のように、きのうの分科会でも質問がありましたアメリカ国防総省の代表が日本の兵器生産能力の調査に今来ております。そこで私は、これから日本が兵器生産に進むなんということは時代逆行だと思います。将来の産業構造から見ても適当でないと思う。私は、日本はこの際、財界の反対もありますが、兵器生産等は行なうべきではない、日本の産業の構造から見ても、この際明白にしておく必要があると思いますが、いかがでありますか。
○国務大臣(池田勇人君) 日本に防衛力が必要であり、防衛の器材につきましては、私は国産をやっていくことは経済的にも適当であろう、そしてまた火器あるいは艦船、あるいは飛行機等につきましては、これは技術の練摩になります。進歩になります。私は、防衛産業だから、これを一がいにやめるべきだという考え方は、経済全体からいってもとるべき策ではないと思います。
○羽生三七君 これは、日本の兵器生産をアジアに向けるようなことも含めてでありますかどうか。この点はお尋ねします。
○国務大臣(池田勇人君) 自衛のためと、そして経済の技術進歩のためにやるのでございまして、われわれは従来言っておりますように、アジア諸国に日本の生産の武器をどんどん売りつけるということは、今までもいたしておりません。
○羽生三七君 次は、日ソ漁業交渉について承ります。いよいよ高碕代表もソ連に出発されましたですが、今日までの経過を見るに、ことしの問題の焦点は、毎年問題になるサケ、マスの漁獲量決定以上に、区域外の規制ということが非常に問題の焦点になると思うのです。また、ソ連は現に規制区域の拡大を主張しております。このため日本としては、この規制区域内外の水域にわたって強力な自主規制措置もとると、こういうふうに言われておりますが、これに対して業界には強い反撥もあるようであります。ことしもまた日ソ漁業交渉は非常な困難な問題にぶつかると思いますが、そこで私は、漁獲量等数量にわたる外交の機微につきましては全然触れません。この機会に農林大臣として、日ソ交渉に臨む、現に進んでおる交渉について、おおよその状況報告をお願いをいたします。
○国務大臣(河野一郎君) 新聞報道等で御承知のとおり、昨日、規制区域の問題を提案いたして参りました段階でございますので、それ以上には存じておりません。御質問によってお答えしたほうがいいと思いますので、御質問を承ります。
○羽生三七君 それじゃ要点だけ言います。 日本政府の考えている自主規制と業界との調整はつくかどうか。 ソ連が自主規制で納得することが見通し得られるかどうか。 もう一点だけ、ついでに申し上げておきます。高碕代表は、日ソにアメリカ、カナダを加える四カ国漁業条約を考慮しているといわれますが、農相の所見はどうか。 この三点を承りたい。
○国務大臣(河野一郎君) お答え申し上げます。 第一の、政府が示しました自主規制案と業界の要望とは食い違っておるのです。これは私は昨日、高碕代表に対しましては、食い違ったままで、これを積極的に調整せずに出かけていただきたい。同時にまた、顧問として高碕さんには民間の組合長が二人同行いたしておりまして、先方の出方を十分見た上でこちらとしても対処する必要がありますから、よく顧問と相談の上善処していただきたい、こういうふうに言うておりますし、また私も高碕全権もそう考えております。この点は今ここで調整をして、最終的な規制案を持つ必要にまだ至らなくてよろしいのじゃなかろうかと考えております。 そこで、われわれといたしましては、今ソ連が提案いたしておりまする案には同意をいたしかねます。あくまでも自主規制を強化いたしまして、最終的にこの件はどこまでも規制は現行どおりにいたしまして、それ以外につきましては双方が話し合って、あくまでも魚族は保護するという双方の合意の上で結論に到達いたしたいと、こう考えております。 それから条約の点については、高碕さんは条約の全権ではないのでございまして、共同調査をしようということを言っておりまして、この点につきましてはまだ意見を私と高碕さんとの間に、共同で——資源は御承知のとおり全然別のものでございますから、共同で資源調査の必要はないんじゃないかということで、先方で、この問題は双方で提案するとかなんとかということは考えておりません。
○羽生三七君 今回の日ソ漁業交渉は、そもそも出発点から早期妥結——例年のように長期間を費やすことなく、技術的な問題は先に討議して早期妥結ということでやったようでありますが、そのお見通しはどうでございますか。
○国務大臣(河野一郎君) 昨年ミコヤン氏が見えられました際に、毎年々々漁業の問題で長期にわたっていろいろ折衝するということは、これは両国の国民感情にもいい影響を及ぼさない。したがって、なるべく双方とも長期交渉でなしに、早期に妥結するように努力しようじゃないかという申し合わせをいたしました。それに基づいて双方努力いたしておるのでございますが、今後困難な問題があればどういうことになるかしれませんが、なるべく昨年のように五月の半ばにかかるというようなことでなしに、高碕さんにも四月の十五日ないし二十日くらいまでに結論を得てお帰りになるようにということでお話を申し上げておるわけでございます。
○羽生三七君 この問題に関連して、話が横へ飛ぶのですが、通産大臣に伺いますが、高碕さんが訪ソの機会に、日本のシベリア開発調査団の受け入れについて、ソ連側と、これは日ソ貿易の拡大等も含んで話し合いをするようですが、日本政府としては、この調査団に援助をする用意がございますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 高碕さんが出かけられて、どういうお話をなさいますか、それは別といたしまして、今日まで、調査団が出かける、こういう計画が民間にございました。二つばかりそういう計画がございました。それを二つの調査団が出かけることは紛糾する、かように考えますので、一つになるようにということを通産省としては要望して参りました。最近ようやくそれを一団にまとめよう、こういうような動きが出て、大体そういう方向でまとまると、かように考えます。おそらく高碕さんもそういうことに関係しておられますから、あるいは出かけられたらそういう話を持ち出される、そういう機会があれば話されるかと、かよう私は考えております。
○羽生三七君 この機会に農林大臣に他の面でもう一つお尋ねをいたします。これはお尋ねというよりも、むしろ提案でありますが、今日の農民の不安は、農畜産物の価格問題もありますけれども、同時に、需給関係による不安定で、農民がこれでは安心して増産ができない、こういうことであります。そこで私は日本の政府が、日本の全統計調査能力を駆使して、一定期間——その期間は四、五年がいいと思います、十年では長過ぎると思います。この四、五年間の農畜産物の需給関係を推算する。これは国内経済はもとより、国際経済等についても十分なる推算をする。そうして日本の国民総生産、国民生活水準、消費需要の伸び等を年次的に試算をして、さらに過去の実績を検討して、食生活の嗜好等も調査をして、一定期間にわたる農畜産物の需給見通しを農民に示す。もちろん経済は流動するものでありますから、また、災害等の自然的制約もありまするから、計画どおりにはいかないと思いますが、しかし、一定の方向は出るはずであります。これを農民に示すのであります。そこで指示したものと実績との間に誤差が生じた場合、誤差については政府が損失を補償する、こういう制度をお考えいただいたらどうか、これは提案でありますが、農相の御見解を伺いたい。
○国務大臣(河野一郎君) 私は、失礼な言い方かもしれないが、一つのお考えだと思います。しかし、私たちはその方向でなしに、農業基本法に示してありまするものをとっていきたいと考えております。蛇足かもしれませんが、一応十カ年間の見通しを立てます。これは農政審議会の議を経て、なるべくあらゆる角度から検討を加えて、その方向は明示いたします。あわせて、農村の構造改善をいたします場合に、主産地の形成、その他需給についての指導をいたしまして、そうして大体その方向にいくように努力をする、あわせて、可能なものにつきましては、価格支持政策を並行して参って、農村の経済の安定を期していくという方向を一応とっているわけでございまして、しばらくこの方向を続けまして、なおとるべきものがあれば取り入れることにやぶさかではないのでございますから、十分検討はいたします。
○羽生三七君 この問題で根本的な論議をしていると時間がなくなりますから、これも他日に譲ります。 そこで通産相に伺いますが、EECの発展、あるいは自由化促進等に対応する日本経済の国際競争力を強化するために、産業構造の高度化あるいは企業規模の拡大等、産業転換対策を検討されているようでありますが、具体的に通産相としての構想をこの機会に承りたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) EECについての研究は、順次まとまりつつあるように思います。また自由化に対しましても、今日まで数年かかりまして、着々準備を遂げて参っております。問題は、どこまでも国内産業を整備強化することにあると思います。大企業においては大企業において、また中小企業等、比較的弱い部面におきましても、自由化あるいはEEC等との国際競争という立場に立ちまして、育成強化をはかっておるわけでございまして、主たる問題は業界自身の努力に待つほかございません。政府といたしましても、これに対して十分の力を貸すという形で今日まで指導育成をしておる、かような状況でございます。
○羽生三七君 いや、そんな抽象的なことを承っておるわけじゃないのです。具体的に日本の産業規模の拡大のため、産業転換の対策として、どういうものがあるかということを承っておるわけです。 ついでにもう一つは、巨大な外国企業と競争するためには、同一企業の乱立する日本の企業が、無計画非能率であることはもとより問題だと思いますが、その意味で国際競争力の強化という立場からは、一応この企業の基盤を拡大することは理解できますが、しかし社会的にみれば、全産業構造の中に占める日本の中小企業の地位が、この問題の焦点になると思います。ですから、この分野の調整をどうするか、これも一つ問題になると思いますが、もっと具体的にどういうふうにして、日本の産業基盤を拡大なさろうとしておるのか、それから中小企業の分野との調整はどうなさるのか、今お話になったようなことなら百も承知しておりますから、もっと具体的に承りたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 短時間にお答えしようとすると、やはり原則的なお話になります。ただ御心配になりますような点で、この点はどうだということがございますれば、私お答えしていいかと思います。 ただいま指摘されました一つに、大企業というか、企業の合同ということが行なわれるのではないか、こういう点を御指摘になったように思います。確かに企業の合同ができるということは、これは市場獲得の面からみて、あるいは近代化あるいは技術の面、あらゆる面からみて、あるいはコストを下げる、こういう点から見ても望ましいことだと思いますが、しかし同時にそのことは、また弊害も伴うものでございますから、一がいにその立場だけから、これは決定して参るわけにはいきません。十分産業の秩序ある発達、こういう立場において、通産省は指導していく必要があると思います。また中小企業と大企業との分野の問題、しばしば議論されますが、中小企業そのものと大企業の分野というものは、しかく観念的に分け得るように明確なものだとは実は思いません。ことに中小企業自身も、有望な中小企業は、どんどん拡大強化されて参ります。ただ、一般的に申しまして、いわゆる中小企業は弱いものだ、また大企業自身が中小企業の分野にまで、多角的経営というような形で進出する、そういう状況にございまするので、中小企業に対しましては組合の結成なり、あるいは団体の結成等によりまして、こういうものに対応し得る力を備える、そのためにも、みずからが十分のコストを下げ得る態勢を整えることが必要でございますので、そういう意味の必要な技術あるいは近代化等についての資金的援助なり、あるいは技術指導なり等もいたしておるわけでございまして、いわゆる分野の調整というものは、そういう観点に立って、これは慎重に扱っていかないと、簡単なお答えだけでは、結論は出にくい、かように私、思います。
○羽生三七君 ついでに、質問があと先で順序がちょっと変わりますが、通産省は原則として新規設備投資は一切認めないようにと事務当局に検討を指示されたといわれますが、もしこれを実行に移すと、具体的にはどういう措置をおとりになりますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 最近の経済情勢等から見まして、私はやはり調整の段階に入っている今日、調整の効果を十分上げるようにいたしたいものだと思います。 その観点に立ちますと、昨年来設備投資の抑制をはかる、あるいは機械の需注等をいろいろ為替割当の面等で注意して参りました。今後しばらくの間でも、設備投資につきましては選別許可もいたしますが、同時に業界自身も思い切って特殊なもの、たとえば電力等の必要な設備は別といたしまして、一般的には、しばらく差し控えていただくということが望ましいのではないか、かように思います。そういう意味から申しますと、これはいわゆる強制指導の方法はございませんので、産業の資金部会等を通じまして、各業界との調整をはかっていきたい、かように実は考えている次第でございます。
○羽生三七君 今お話の程度では、総理大臣と通産大臣は意見は一致をみたが、なお通産省としては、今申したように、民間新規設備投資は一切認めないという強い方針で事務当局にその検討を指示されたと、こう伝えられておりますが、今のお話と、ちょっと違うと思うのですが、どうでしょう。
○国務大臣(佐藤榮作君) 全部、一切新規投資は認めない、こういうわけにはなかなか参らないのでございます。そういう点から、先ほどお尋ねがありましたEECの拡大強化に対しての国際競争力はどうするか、産業資金の国際競争力をどうするかというので問題がございますし、また拡大発展していく経済的基盤だけは、いかなる際におきましても、これを強化していく必要があると思います。 そういう意味からこの新規設備の投資抑制、そういう意味のことは、相当強い表現になろうかと思いますが、ただいま申し上げるように、全部一律にというわけにはなかなかいかない。だから、ただいまお答えしたとおりの状態でございます。
○羽生三七君 今までよりも一歩進めて、規制を強化するということですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 相当思い切って強化いたしたいと、かように考えております。
○藤田進君 ちょっと関連してですが、自動車産業、——自動車の車種はいろいろありますが、総括的に言って、この自由化の時期、これに対する対策、設備等あるいは量産といったようなこともあるわけです。どのようにお考えですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) すでに自動車でも、あるいはジープであるとか、あるいはトラックであるとか、あるいはバスであるとか、これらのものが外国へ出ていることは御承知のとおりだと思います。わが国の自動車工業で一番おくれ、また外国車と競争して不利な立場にあると考えられるのが乗用車であります。そういうことでございますので、自由化を進めていくに際しましても、ただ一口に自動車と、こういう表現でなしに、いろいろの考え方が出てくるのじゃないかと、かように思っております。
○藤田進君 自動車は、いつごろ自由化……。
○国務大臣(佐藤榮作君) 大体、十月以降の問題でございます。
○藤田進君 いやいや、十月以降、いつごろかという……。
○国務大臣(佐藤榮作君) まだ明確にきめてはございません。
○羽生三七君 次に、佐藤公取委員長は鉄鋼の公販価格引き下げを通産省に要請するといわれておりますが、まだ要請したのかどうか知りませんが、その場合に通産省はどうなさいますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 公取から正式にさような要請が出ているわけではございません。しかし最近の公販価格と実勢とは、相当開きがございますので、事務当局といたしましては、そういう点から、ようより話し合っていることはあるやに聞いております。通産省自身といたしましては、生産官庁でございますが、同時に産業官庁としての立場から、たえず生産の状況なりあるいは価格の趨勢なり、それらを勘案して適正なる指導をする、こういう立場でみているわけでございます。 ただいまお話になりました公販価格につきましても、ただいま申し上げるように、実勢と相当相違しておりますし、生産も相当の増強をみておりますので、そういう意味から調整をはかるという観点で、種々計画をしておるものであるように事務当局から報告は聞いております。
○羽生三七君 一部品目によっては、管理価格を考慮しておるとも伝えられておりますが、この点はどうでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 一部品種についての管理価格、こういう事柄を通産省自身は考えておりません。御承知のように、管理価格と申しますのは、特定な品物についてメーカーが非常に少ない場合、しかも一、二のメーカーが価格をきめると、他の同業者がそれに追随する、いわゆる民間管理価格、こういうことだと思います。アメリカなどで問題になっておる管理価格は、ただいま申し上げるようなものでございます。 ところで、管理価格ができるというような業態は、大体におきまして、相当需要も細いということでございますし、またそういう品物の価格の変動の幅は非常に狭い、こういうことだと思います。だから、通産省といたしまして、そういうような業種を、特に見つけることが、今の日本の状態では困難だと思いますが、特殊なものについて、そういうものができるということがあれば、よく生産のコストとにらみ合わせまして、そうして適正価格であるように指導すべきだと、かように考えております。
○羽生三七君 総理に伺いますが、もうさんざ、この委員会で何回も論議されたことでありますが、特に最近景気中だるみ説を中心に、各方面でこの引き締め態勢の強化とか、あるいは堅持とか、いろいろ表現は違っておりますが、そういうことがいわれて、二月の鉱工業の生産の動きを見て、大勢はまあ増勢頭打ちにいたしましても、予定ほどには落ちていない。このまま進めばデフレ・ショックは大きくなるのではないかということがいわれておるわけでありますが、この段階で、政府としては、なお、今までどおり成り行きを見守るというのでありますか、何らか経済見通しを修正するとか、当面応急の、今までお話になったと別個の対策をおとりになることもあるのか、全然変りはないのか、この辺をお伺いいたします。
○国務大臣(池田勇人君) 設備投資につきまして、通産大臣がお答えしたとおりでございまして、今までの引き締め政策は、今後も続けていく考えでおります。大体世間では、生産が思ったほど落ちない、こういう議論がありますが、だんだん私は落ちていくのではないか。国際収支も、私は予定しておるとおりの歩みをいたしておると考えております。
○羽生三七君 この点については、また後刻触れまして、もう一度通産相に戻りますが、そういう考え方でいって、業界の自粛や、日銀の窓口指導程度で期待どおりに参りますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 政府といたしましては、できるだけ業界の協力を得る、こういうことで、在来の金融の引き締め方策を堅持していただくことはもちろんでありますが、通産省と金融機関とのよく連携をとりたいと思います。同時に、また実際の処置といたしまして、産業合理化審議会における通産省関係の設備投資の審議会もできるだけ早目に開催する。四月のうち、しかも中旬すぎには少なくとも開いて、そうして先ほど申したような在来よりもさらに強化した設備抑制の案をひとつお示ししよう、実はかように考えております。 また同時に、ただいまお話になりました輸出目標等につきましても、業界と一そうの懇談を遂げる、あるいは輸入につきましても、これまた協力を得る、こういう態勢を整えていくつもりでございますので、それより以上のいわゆる協力を求めるというような方法はございませんが、私は、ただいまの経済情勢につきましては、財界自身も非常な認識を深めつつありますし、また、一部自主的に、政府の指導等を待つまでもなく、自主的に一つ調整をはかろうという機運も盛り上がりつつございます。そういう事柄をすることが、まあ政府の本来の役目だと、かように考えますので、ただいま申し上げたような方法で十分の効果を上げたい、かように考えております。
○羽生三七君 それに関連して、大蔵大臣、預金の金利や、長期貸出金利の引き上げということは考慮されませんか。
○国務大臣(水田三喜男君) 預金金利の引き上げについては、今のところ私どもは考えておりません。
○羽生三七君 じゃ、長期貸出金利は。
○国務大臣(水田三喜男君) 同様であります。
○羽生三七君 もう時間がないので次に移りますが、各省の物価対策が月末までに出そろうことになっておりますが、まだ出ていないのか、出た省もあるのか、経企長官。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 三十一日までに出してもらいたいということで、先般来、各省に督促をいたしております。各省の物価対策に対する連絡審議会がございまして、次官がその会長をいたしておりますので、その席におきましても、各省に対してその要望をいたしております。出てくるものと私は考えております。
○羽生三七君 大平官房長官は、物価対策で声明を考慮されておるといわれておりますが、どういう内容、趣旨のものでございましょうか。
○政府委員(大平正芳君) 記者会見の席上で、物価政策が論議になりました際の私の発言でございます。政府部内にも——物価政策は非常に広範な多岐な問題でございますが、根本のバック・ボーンは、何としても政府の決意が大事だということで、政府の意図するものを国民に鮮明にするという措置が望ましいのではないかという意見も政府部内にございます。また、しかしながら、非常に広範多岐にわたる問題でございまするし、また、出す以上は、国民に広く御理解をいただけるようなものにしなければなりませんので、まあそういった点も考慮いたしまして、必要であれば考慮してみたいという程度に今考えておるのでございまして、いつ、いかなる内容のものを出すかというところまで、まだ固まったわけではございません。
○羽生三七君 この物価問題は、今日の最大の社会問題であるし、まあ各般の意味を持っておると思いますが、そういう意味で、政府もさきに物価対策要綱を発表されたと思います。ところが、私鉄運賃の値上げについては、先日、池田総理から、参議院選挙後まで延ばすというように指示されたというお話もありますが、もし事実とすれば、あまりに私は政治的だと思う。一面で政府が物価抑制の対策を各省に検討を命じて講ぜられながら、他面、もし私鉄運賃値上げ等を認めるということになれば、だれが、国民が政府を信用いたしましょうか。政府自身が物価抑制といいながら、あるいはこれからからあとにお尋ねする問題でもありますが、そういう当面を糊塗するような——運輸大臣は、もっと早くやってもらいたいという御希望のようでありますが、そんなことで国民が、政府の物価対策なんか信用するはずはありません。もし必要があれば、私は資金なり、あるいは金利の点で考慮すればいい、別途考慮すればよろしい。なぜもっと真剣に物価対策と取り組んで、この運賃値上げはすみやかに中止するような態度をとりませんのか、総理大臣にお尋ねいたします。
○国務大臣(池田勇人君) 私鉄運賃の値上げにつきまして、私は何ら意見を申し述べたことはございません。そしてまた、私のところにその値上げ可否、あるいはそれに対する資料もまだ来ておりませんので、何ら意見を言っていないのでございます。この問題は重要な問題でございますから、慎重に私は自分でも検討してみたい、閣議で十分議論いたしたいと考えております。
○羽生三七君 それは慎重に検討するがよろしいが、二面で物価対策を講じてしかも一番大きな問題の私鉄十四社の運賃値上げを認めてまたその次に何か認めるでしょう、その次はこれだけは別だとまた認めるのです、政府が率先してそういう値上げを認めておいて、それで物価の値上がりを押えるなんていったって国民が信用するはずがない。私は具体的に検討するのはけっこうですから、それは金融なり金利の面で検討して考慮する、当面しばらくの間値上げは絶対認めるべきではないと確信いたしますが、これは検討するでなしに、政府が物価対策の要綱を示した以上、責任をもってこれを中止すべきだと思います。重ねてお伺いいたします。
○国務大臣(池田勇人君) 御意見は承っておきますけれども、結論はここで申し上げるわけには参りません。
○羽生三七君 それはあまりにも私は、国民の今当面求めておる物価抑制の気持にそぐわないと思います。そんなことで国民が政治を信用しましょうか、そういう点をはっきりさせないところに、今いろいろな問題がある。運輸大臣はどういうお考えですか。
○国務大臣(斎藤昇君) ただいま総理のおっしゃいますように、慎重にこれは検討すべき問題だと考えます。
○羽生三七君 通産省は電力料金の値上げはお考えになっておりませんか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 電力料金の問題につきましては、しばしばこの席でお答えしたとおりでございまして、ただいま具体的にそういう問題は起きておりません。もちろん出てきたら慎重にその検討をすべきものだと思いますけれども、かねてこの席でお答えし、私の考えを表明しておりますように、当分電力料金を変更する考えはございません。
○羽生三七君 豚の一キロが二百何十円であるかということで台所で非常な論議がかわされて、ネギがどうとか、大根がどうとか、こまかい議論をしている人たちは、物価問題には非常な関心を持っているのです。それでは気の毒だから政府が物価対策をもってこれを押えようということでしょう。それなのに政府が率先して一番大きな問題として、これだけは別、これだけは別だといって次から次へと許可してどうして国民が政府を信用しますか、基本的な問題です。これを正さなければ物価問題だと幾ら政府がいったところでこれは問題になりません。これは真剣な問題です。どうして金融なり金利で考慮すればいいことをああいうことをおやりになるのか、検討々々といったって、すぐ押えられないという理由がありません。経済企画庁長官は……。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 物価問題が重要であることは、私は申すまでもないし、三十七年の見通しが二・八%上がらざるを得ないというような数字を出したことは遺憾でございますから、それ以内にできるだけとめようと考えておることは申すまでもございません。ただ、物価を扱っておりまして、私の考えますのは、むろん個々の物価に対して当然抑制を考えて参らなければなりませんけれども、物価問題というのはやはり長期にわたっていろいろな経済事象が影響してくる問題でございますから、したがって、将来の物価の安定を策する上から必要な施設をする、あるいはそういう問題について取り組む必要もあるわけでありまして、その意味から申し上げますれば、たとえば輸送力の拡充というような点に、単に赤字でなくして問題をしぼって参りますと、それらの点については十分な私は施設をして参らなければかえって将来の物価に影響を及ぼすと思います。したがって、その観点に立ちまして、ある程度、非常な大きな資金を需要する場合にそれを運賃でもって、値上げによってまかなう場合があり得ても、これは私はやむを得ないのではないかと思うのであります。しかしながら、私鉄運賃の問題は非常に重要な問題でございますから、われわれも十分検討いたして参らなければならぬことは当然でございますけれども、先般の木村委員の御質問のとおり、一つの価格形成と物価水準の問題と分けて考えますれば、私はやはり将来の問題としてそういう点については国民が十分理解していただくようなほんとうの検討の上に立ってそういう問題を扱って参りたいと思っておるのでございまして、単に政治的にこれは参議院議員選挙だとか国会中であるとか、あるいは春闘のさなかだからというようなことでもって、この問題をやらないとかやるとかということは私は適当だとは思っておりません。
○木村禧八郎君 ただいま企画庁長官、私鉄運賃の値上げに関連して読売新聞に私が私鉄運賃の値上げを認めたごときことを企画庁長官が談話で発表しておるのですね。非常に私は迷惑であります。読みます。三月二十七の読売新聞の夕刊でありますが、「藤山経企庁長官は二十七日の閣議後の記者会見で私鉄運賃値上げ問題について次のように語った。私鉄運賃値上げ問題については現在運輸省と経企庁との間で細かい数字について検討しているが、ここまでくれば運輸省が自民党と調整して方針をきめればよい。参院予算委で社会党の木村禧八郎氏も交通改善のためならば値上げにあえて反対しないという趣旨のことをいっていることだし、国会開会中でもかまわないと思う。」、こう述べておる。私は社会党が何か私鉄運賃の値上げを反対していないということを私鉄運賃値上げの正当性の理由として利用しておるわけです。私は速記録がございますから、私がこの間の委員会で述べたことを申し上げます。私はこういうことを言っておりません。「一般家庭といたしましては、料金が上がっても、生産性が向上したものがそのまま下がれば、物価水準としては上がらなくても済むわけですから、家計を圧迫しなくて済むのです。たとえば電車賃値上げに反対の人はたくさんおります。これに対して、今交通が非常に混雑しておるから、混雑を緩和するためには、どうしても私鉄が料金値上げをして混雑を緩和しなければならぬ、こう説明されれば反対できないわけです。しかし、家計には響くわけですから、政府のほうで、料金値上げすれば家計には響くでしょうから、他方においてもっとそれに見合う減税をするとかあるいは他方において物価を、生産性の向上した鉄の値段を下げるとか、その他の物価を下げれば、平均してそれは家計に響かないのだ、こういう政策をどうして打ち出さないのですか。こういう政策をはっきり打ち出せば納得すると思うのです。国鉄の運賃だって、上げた場合、他方においてこれだけ下がるのだから、物価水準としては上がらないのだ、こういう説明をすれば納得いくのです。なぜそういう説明をされ、また、具体的な政策の裏づけをされないか。政府のほうは、鉄道運賃は上げる、私鉄運賃は上げる、そのほかのほうは下げないのです。」、こう私は述べておるのです。今、企画庁長官は、混雑を緩和するために輸送力の増強をはかる、そのために私鉄にはたくさんお金が要る、そのためには料金値上げ、これもやむを得ない、こう言っておられるわけです。それを値上げするのならば、政府のほうで具体的に運賃を上げた分は減税でこれだけ見ます、あるいは鉄の値段をこれだけ下げて日用品はこれだけ下がるのです、また、下げさせなければいけません、これだけ下がったから運賃の値上げはこれだけ上げたので、家計には、物価水準には響かないということを具体的な政策の裏づけでもって示さなければ私鉄運賃の値上げをしてはいけないという意味なんです。そうでしょう。これから解釈して片っ方のほうは下げないで私鉄運賃だけ上げてもいいと私は一言も申しておりません。それであるのに、何か私が運賃値上げにあえて反対していないという趣旨のことを言っているから国会開会中でも私鉄運賃値上げしてもかまわないじゃないか、こういうことを読売新聞記者に語っている。もしそれが事実としましたならば、事実に相違することを企画庁長官は述べておられることでありまして、それは取り消していただきたい。私の名誉のために。社会党の名誉のために。これは非常に困ります。物価の値上げ問題は、今非常に真剣なのでありますから、この点釈明を求めると同時に、事実に相違したことを、こういうふうに私としては悪く解釈すれば宣伝の具に供しているように解されるのでありますから、明確に事実でなかったら取り消して下さい。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 私は、その新聞記事を実は今初めて伺ったわけでありますが、そういう木村委員が私鉄運賃を値上げしていいというようなことを私は新聞記者に申したわけではございません。ただ、物価論争をしておりまして、今申し上げましたような輸送力増強その他前向きの施設においていろいろ費用も要る。したがって、そういうものをかりに借りたとすれば、その利息だけでも十億や十五億はかかるというようなことになってくれば、そのある部分は運賃値上げもやむを得ないじゃないかというような私の考え方、そしてそれは総合的に物価を扱って、したがって、私どもは総合対策をやって、やむを得ず上げなきゃならぬものもあるかもしれませんけれども、当然下げなきゃならぬものは下げていくということが、企画庁の立場としては私は当然であって、今の木村委員の速記録をお伺いしても、その印象を私はこの間受けたわけでありますから、物価問題全体についてそういう私の考え方は必ずしも木村委員の考え方とそう違っているのじゃないのだ、ということを申したのでございまして、何も私鉄運賃値上げに大村委員が賛成されたというようなことを申したのではございません。したがって、もしそういう新聞のあれがございましたならば、あるいは私の記者会見の誤解が新聞記者に伝わりましたならば、それは私の言い方が悪かったのでございまして、その点は釈明せざるを得ませんけれども、しかし、考え方としましては、今申し上げたような立場でもって物価問題を扱っていかなきゃならぬですから、ある場合には、でこぼこを直さなきゃならぬ、こういう意味で申したのでございまして、ちょうど木村委員との論争が同じ点にあったのではないか、こういうことで申したのでございます。
○木村禧八郎君 それじゃまあ簡単にお答え願いたいです。読売新聞の報道は、事実に相違している、そういうことを企画庁長官の口からここではっきり述べていただきたいと思います。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 私の記者会見で申したのは、先ほどのとおりでございますから、したがいまして、その記事そのとおりのことを申しておるわけではございません。
○羽生三七君 それでこの公共料金、特に私鉄運賃等値上げということを政府が将来考慮する場合には、そういう必要をもちろん認めての上のことだろうと思います。しかし、それであってもそれは別途先ほど来申し上げますように、金融なりあるいは金利の点で考慮して、今政府が立てているこの物価抑制政策の点から見ても、そういうことはやるべきではない。ですから運賃値上げが具体的に資料として値上げをやむを得ないようなことが出てきた場合でも、いいですか、運賃値上げが適当かどうかを検討するのでなしに、かりに運賃値上げがやむを得ないと出てきた場合でも、政治的に別途の考慮をして当面値上げを認めるべきではないというのが私の意見です。その点についてもう一度総理の御見解を承りたい。
○国務大臣(池田勇人君) こういう際でございますから、物価を引き上げることにつきましては、なるべく避けなきゃならぬと思います。しかし、経済の原則もございますから、私は政治的にものを運ぶと申しましても、やはり国民が納得し得るものならば、これは経済の原則も立てなきゃいけません。したがって、実際上げることを認めるか、あるいは認めないか、上げる場合におきましても、この程度のものはやむを得ない、いろいろな問題が起こると思います。これはやはり経済的に政治的に考えていかなきゃならぬ問題で、今結論をどうこういう時期ではないと思います。
○羽生三七君 次に、この前の当委員会で木村委員が所得格差は高度成長のもとでかえって拡大しているじゃないかと質問したのに対し、総理は、年間を通じて見なければと答弁されましたが、最も新しい総理府統計局の資料では、所得格差が拡大することが明白になりました。これを今一々読んでいると持ち時間がなくなってしまうので簡単にしますが、昭和三十五年と三十六年を比較すると、三十六年——所得倍増計画が発足してからのほうが、第一分位と第五分位との間には、三倍も格差が拡大しております、年間を通じて決定的です。また、昨日村山委員が分科会で質問されましたが、地域格差も四十五年では、東北地方ではうんと拡大いたします。政府原案で拡大するのです。現実がここに示されておる。やはりこれは総理が所得倍増計画のもとで国民総生産、国民総所得は伸びるが、所得の格差は広がっておるという事実は、私は率直にこの際お認めになったほうがいいと思いますが、どうでありますか。
○国務大臣(池田勇人君) 所得の一番上がったときは、昭和三十五年でございます。三十六年は、そこまで行っておりません。そこで年によって違います。ことに第一分位と第五分位の問題は、私も精査いたして見ておりますが、第一分位の分は、木村さんの御質問に対して申し上げましたとおりに、第一分位、一番下のほうは所得のあるときとないとき、所得が翌日もあるとき、そうして二カ月分一ぺんにもらったならば第二分位に入ったり、いろいろ事情がございますので、第一分位と第五分位を見て、それでこれがどうこうというわけにいきません。また、所得倍増計画で十年間におきましては、いろいろな問題が起こると思います。しかし、いずれにいたしましても実質所得はふえていっております。そうして生計費と実質所得の間の差は大きくなり、貯蓄性向も伸びておるのであります。第一分位のあの統計は、この統計すること自体もなかなかむずかしいものでありますけれども、生計費調査を主としての調べでございます。第一と第五の差をどうするかという見方は、私はそのことを見るための調査とは、実際はかなりかけ離れていると考えております。
○木村禧八郎君 関連して。この点は前にそれは私の質問に答えた点でございますから、羽生委員はこの数字について質問していますと、時間を食いますから、私は、関連質問として総理に伺いますが、総理は、前に私が特に階層別の総理府統計局の統計に基づいて格差が——上半期しか出ておりませんが、格差がはっきり拡大しているじゃないか。三十五年度より拡大している、所得倍増計画を実施してからかえって逆に拡大しているがどうかと言いましたら、資料を見なければわからぬ。三十五年度においては、下期において格差が縮まっていくから、一年分を見れば格差がやはり縮まるから、こういうふうに総理が答弁されたのであります。それで私は、一年分の出るのを待っていたのであります。そうして総理府統計局から一年分が出たのです。ところが、五人家族の場合、実質所得の上について見ますると、一番最低の所得標準ですね、月収一万九千五十五円の人が四・一しか伸びていない。これに対して月収八万円以上の人は、第五分位の人が八・六伸びているのです。ですから第一分位の人、一番低い人よりは倍以上も伸びているのですね。しかも皮肉なことには、倍増計画をまだ実施してなかった三十五年度においては、第一分位は七・八で、第五分位は八・一です。その差は〇・三しかない。三十五年度はそんなに格差がないのであります。ところが、倍増計画を実施した三十六年度に四・五開いた。三十五年度は〇・三だった、四・五開いておる。で、これは三十五年度と三十六年度と同じやり方です。同じ統計のとり方です。それは総理が言われますように、多少ある点においては正確さは欠いているかもしれませんが、しかし傾向としてはこれはもう疑うべからざる事実をはっきり示しているわけです。格差が拡大していくことは隠せません。総理は実質所得がふえているからいいじゃないかと言いますけれども、所得倍増計画は格差を縮めるというのが倍増計画の非常に重要なポイントであります。それにもかかわらず、倍増計画を実施してから格差が拡大しているのです、逆に。三十五年度は現状維持ならまだしも、倍増計画を、格差を解消するというので打ち出しても、むしろ逆に拡大しているのです。総理府統計局の政府の調査した統計がはっきり示しているのですよ。この事実を総理はどういうふうに理解されるか。そして前に私に御答弁なされましたのですが、あれは間違いであったということをここではっきりあなたは認められて、そうしてこういう格差は今後続けていったらますます拡大しますよ。総理は長い目で見ろ、長い目で見ろと言いますけれども、長い目で見ればますます拡大してしまいますから、このはっきりした事実に基づいて格差を縮小するにはどういう政策を具体的におとりになるか。格差を解消するのに減税、社会保障費をふやす、そういうことを申されました。三十六年度では減税もやり社会保障もふやしました。それにもかかわらず、格差は拡大しているのですから、この点は重大な問題ですよ。この事実をもとにして、総理はこの前に私に御答弁なすったことは、これはどういうふうにお答えになるのでございますか。これは今後の格差解消に対する解釈をはっきり私はお伺いしておきたいと思うのです。
○国務大臣(池田勇人君) 木村さんのような専門家がそういうことをおっしゃるのは私は心外でございます。なぜかというと、所得倍増計画が、所得がどんどんふえていったときには格差が縮まるか縮まらないか、こういうことなんです。それが三十五年度で計画して三十六年度から倍増計画をしたので、そのときに三十五年度は倍増計画じゃなかった。それはもちろん倍増計画というものは三十四年度から実施したわけじゃございません。しかし、三十五年度の所得の増加ということがありますると、いろんな統計の不備はございますが、非常に下の上がり方はいいじゃありませんか。三十六年度から倍増計画をやったからその前の分はいかぬと言うのじゃない。私は所得がどんどんふえていくときには下のほうにも均霑するのだ。だから、三十五年度におきましては国民所得はどうでございます。一六、七%ふえたでしょう。あなたの問題の三十六年度は名目で一四%。だから、どんどん所得がふえるときには格差が縮まるのだ、これが原則なんです。これは三十六年度から倍増計画をやったからどうこういう問題じゃございません。全体の所得がふえれば下のほうがふえていくのがこれが原則であり、そういうような方向をとっていく。もしそれがふえなければいろんな手を、社会保障とか間接税の減税とか、いろんな手をとるべきだ、こう言っておるのであります。六年から倍増計画をやったからこれで縮まったか、これだけとって言われるのじゃいかぬ。三十五年度のように非常に所得がふえたときには下のほうはいいでしょう。それを私は言っているので、長い目で見ていこうじゃございませんか。三十六年度だけをとってはいけません。 それから今の五分位の分、最高の人は七、八万円、下のほうが一万八、九千円。一万八、九千円のときは、この前も申し上げたように、一万五、六千円の日雇い労務者的な人で、それで家内の労働賃金もある。こういうふうなとき、その月にそれが常に入ってくるわけじゃございません。二カ月分が一ぺんに入ったときにはこれは第四分位、第三分位にいく。入らぬときはゼロでいくわけです。それだからこの前に説明いたしましたように、昨年の二月と七月には、ほかは六、七%ふえても一・八%ふえたり、あるいは七月には〇・三%しかふえていない。これはこういうところから来るんでございまして、この家計調査というものは、全体がどうなっておるかということを見るのが主でございます。実際、可処分所得と消費の状況、それが何といいますか、任意に取るんですから、そうして毎月々々、六カ月で一かわりするわけです。それでいて上の分位と下を比較して、しかも一年でこれを倍増計画でどうこうと言うのは、私はもっと長い目でごらんになったらおわかりと思います。
○木村禧八郎君 総理は非常に率直に認めないんですけれども、所得が低い人が次の年にふえると言うんでしょう。それはちゃんとこれは織り込んであるんですよ。これは毎月違うんです。所得は毎月違う。毎月出してある。たとえばこの数字では、三十五年度の第一分位は一万七千三百八十九円、三十六年度の第一分位は一万九千五十五円なんです。三十五年度第五分位は七万六百五十四円、三十六年度の第五分位は八万八百二十三円。ですから、総理が言うように、低い人が今度は来年高くなって、そうして違うんだと言いますけれども、それは毎月違うんです、ちゃんと。ですから、趨勢的にこれは統計ができているんであって、ちゃんと比較ができるようになっているんです。機械的に同じ所得を第一分位として調査しているんではないんですよ。ですから、総理府の家計調査はそういうことを調べるために出しているんです。総理は今のは強弁ですよ。そうして三十六年度倍増計画を実施するにあたって、われわれが格差は拡大する、倍増計画と言っておるけれども、これはだれもが所得が倍になるんじゃないと言ったところが、総理はそのとおりだ、格差は拡大するんだと、だから減税と社会保障によって格差を縮小させる政策をとっていますから格差は縮まるんだということを述べられたんじゃありませんか。三十六年度、減税、社会保障をふやしたにもかかわらず、拡大しているから問題にしている。それで総理はいつでも短い期間ではいかぬ、いかぬと言いますけれども、今度は三十七年度をごらんなさい。必ず開きますよ。統計は傾向的なものを示しているのでありますから、これを延長していってごらんなさい。こういうふうになりますよ、明らかじゃございませんか。ですから、われわれは心配するわけです。今までのような格差解消政策は間違っていたわけです。そこだ今後は現実に格差解消を唱えた所得倍増計画を実施したら格差が拡大してしまったので、今後はどういう格差解消政策をとるのであるか。今までの格差解消政策ではだめなんです。減税と社会保障だけではだめなんです、今までのようなやり方では。ですから、この事実に着目して、今後どういう対策を格差解消政策として打ち出されるか。これははっきりここで打ち出されなければこれは信用できませんよ。納得できません。それは今の御答弁は強弁です。少し声を大きくして言われたようですが、納得できません。
○国務大臣(池田勇人君) この前答弁したとおりでございまして、これは私は、所得がどんどん伸びていく、そうして伸びていったところで低所得者のほうの伸び方を多くしよう。そうしてそれでも足りないときは、やっぱり、まあ昨年は、三十六年度は所得税だけでございましたが、三十七年度は間接税もやって参ります。こういうことで格差の解消をしていこう。これはどの問題でも、所得倍増計画を一年して、一年やっただけでそれですぐ実現すると、こうお考えになるのは早いんで、たとえば地域格差の問題にいたしましても、いろいろな問題にしても、長い目で見て、そうして足らざるところを補強していくようにしていくのがほんとうなんで、一年だけで所得倍増計画は所得格差を大きくするんだという結論は、少し早過ぎるんじゃございませんか。
○木村禧八郎君 長い目と言われますけれども、今度は三十五年以後の過去をごらんになっていただけばわかります。三十五年まではそんなに格差が開いていないんです。ところが、三十六度年になって著しく開いているから問題にしている。ですから、長い目、長い目と言ったって、過去の趨勢も長い目で見る必要があるんです。その点もう一度御答弁願って、私関連ですから、これでやめます。
○国務大臣(池田勇人君) 今まで答弁したとおり、別にお答え申し上げることはございません。今後の所得の増加の推移を見ながら、そうして社会保障制度あるいは減税その他で善処していくよりほかはない。一年だけで結論は早いと思います。
○羽生三七君 総理の所管を、監督をされておる総理府統計局の調査も、総理のように解釈されるということになるというと、僕らが統計をどれだけ信じていいかということを疑いたくなるわけですが、それはとにかく、この下のほうの所得が絶対額としてはふえることは事実です。それはいささかも疑いません。絶対額はふえることはあたりまえです。一万五千円の人が一万八千円になり、二万円になり、そういうふうに所得がふえることはあたりまえです。しかし、格差は縮まっていない。逆にふえるということをわれわれは指摘している。そこで時間がないから簡単にいたしますが、国民総生産、国民総所得はふえる。しかし、二重構造、格差の是正には必ずしも、この高度成長政策というものは役立っておらない。そういう意味から言うと、私は総理の人柄を信じておりますから、その善意は疑いません、高度成長政策は、いわば池田総理のギャンブルではないか。これは今申し上げるとおり、客観的に言うことで、総理の善意は疑いません。だから、池田総理は高度成長政策にすべてをかけている。それが持つ意義を、私たちは、一面の持つ意義を必ずしも過小評価はいたしません。しかし、全体的に見れば、今の木村委員から指摘いたしましたとおり、統計がこれを示している。したがって、高度の成長と格差の解消はある面では一致するものはありますが、多くの点においては二律背反である。そういう意味で所得倍増計画は計画の改訂をすべきではないかと思いますが、総理並びに企画庁長官の御答弁を伺います。
○国務大臣(池田勇人君) 所得倍増計画は十年以来のわが党の基本方針でございます。変えていく考えはございません。そうして所得格差の問題、地理的にも、業別にも、また階級別にも、いろいろな点はございますが、われわれはこういう点を縮めるように各関係、たとえば、地域格差あるいは産業別格差、業種別格差、こういうものにつきましていろいろな法案を御審議願って、今後これを縮めていく努力をいたしていく考えであります。
○羽生三七君 企画庁長官。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 所得倍増計画を今直ちに変える必要はないと思っておりますけれども、しかし、この年次の運用にあたりましては、やはり成長に対して十分な、急激な成長というようなものを調整していくということによりまして、この目的を達成していく。そうしていろいろなひずみが起こらないように、ただいまの格差の問題にしましても、むろん格差の解消というものは税金の面あるいは社会保障の面でやりますけれども、全体の運営の上においても、なるべくそういう点が起こらぬように年次的に考えていくことが必要だと思います。
○羽生三七君 それで、所得倍増計画そのものの看板をおろすことは無理だろうと思います、政府が。私どもは名前を、呼称を、呼び方を、長期経済十カ年計画と変えたほうが適当だということを前に申し上げましたが、政府はかえってそれを誤解を招くだろうということでありますから、それはいいとして、それで長期的な観点にかりに立っても、一年、二年の趨勢を見て、現に今この一年だけのことを申し上げましたが、かりに二年間見て、そういう動きが現実に、現に起こった。そういう趨勢として、これを基調としてそういうふうになったという場合に、それでもなお手直しをされぬのですか。十カ年計画はさらに動かさぬと、別途社会保障、税金等で考慮するということで、計画の策定の改訂ということはないのですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 所得倍増計画のねらっております、十年に所得倍増をしていくというような大きな推移というものは、これは御承知のとおり七・二%の平均の成長で参っている、いくわけでございまして、その計画自体を変えるという、現状において、必要はないのじゃないか。しかし、今申し上げましたように、その成長についてそのときどきの調整をして参りませんければ、高度に成長をするというような場合にはひずみやゆがみが出て参ります。そういうことが起こらないようにあんばいをしていくということが必要なのでございまして、たとえば、昨年一四%もかりに成長した、本年は五・五%程度の成長にとどめてそうして調整をしていくというような、その年度間におきます調整をあまり急激にならないように、初めからそういう点に留意をしながら運営をしていくことが必要でありまして、十年間に倍になるというような計画そのものを今直ちに変える必要はないのではないか、こう考えております。
○羽生三七君 いや、私の言っているのは、十年間じゃないのです。十年間の策定というものを変えようというのは無理でしょうから、今一年じゃだめだと言いますから、それじゃ二年を見て、そこに極端なアンバランスが起こった場合にはそれを手直しをするかどうか、そういうことを言っておるのです。そういう場合でも十年という長期でものを判断するということをおっしゃるのかどうか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) むろん政策が円滑に運用されていきますために成長の速度というものを調整していくということは必要でございまして、したがって、その年々の政策につきましては、その経済事情に応じて調整をして参らなければならぬのでございまして、その調整自身は計画の変更ではないと思っております。しかし、その調整をいたしていくことが必要であるということは申すまでもない。したがって、たとえば、三十六年度と三十七年度とにおきます政策の差異はそういう点から出てくるのでございまして、そういう意味においてわれわれは考えていかなければならぬと、こういうふうに思っております。
○佐多忠隆君 関連。どうも総理なりあるいは企画庁長官は、計画、政策は変更しないのだということを繰り返し言っておられますが、なるほど所得倍増計画はお変えにならないかもしれぬが、計画の真髄は所得倍増、しかもそれは高度成長対策でなければならぬのだということを特に総理は強調をされた。そうして経済審議会の会議では、かりに倍増する場合に年々七・二%でやればいいのだ、大体倍増するのだといったときに、いや高度成長でなければならないからもっと引き上げるべきだと言って、総理は無理に九・二%ですか、九・四%に上げられた。ところが、そういうふうに上げられた結果、実勢はさらにそれをこえて一〇・四%ですか、名目的には一四・四%ですか、もふえた。そこでびっくりしてそういう高度成長政策は間違っていたのだ。そういうふうにやれば、今言ったように、それにあおられて一四%以上にもなるし、実質一〇%をこえるというようなことになって、それじゃ行き過ぎであるからというので、今度は手直しをされて、さしあたり五・二%ですか、五・四%くらいでなければいかぬとして変えられた。それは藤山長官のお話によると、ただ年次別を変えただけだとおっしゃるけれども、ただ年次別を数字的に変えただけではなくて、そこには非常に大きな本質的な変化があるということを率直に認められたらどうなんですか。すなわち、あの時点において、昨年の時点において、高度成長政策という政策を掲げることは間違いであったのだ。それで、あそこで議論をされたのは、高度成長か安定成長かという問題なんです。成長をさせるとしても安定的な成長でなければならぬ。少なくとも安定的な成長でなければならぬということに引き下がらなければならないのだ。これは大きな方針の変更、計画の変更にほかならないと思うのですね。その点を総理は率直に謙虚に認めた上で、どういうふうに政策を変えるのだ、方針を変えるのだ、これでやって参りたいということを率直に正直に言われたらどうですか。数字はすでにもうまごうかたなくそういうふうに変わっておるのですから、その数字に正直に、その数字を数字どおりに、しかも謙虚にそれを反省をしながらやられることがこの際必要である。そこをひとつもっと謙虚に、正直に言われることを私たちは希望する。どうですか。
○国務大臣(池田勇人君) 私は謙虚に正直に言っておる。あなたは、安定成長はいかぬ、高度成長でなければいかぬ、こんなことを私は言ったことはございません。やっぱり経済は安定成長、高度成長でなければならない。ただ、七・二%というよりも、昭和三十六年、三十七年、三十八年間は雇用の急激な増加の準備をしなければならない。しこうして今まで非常な高度成長をしてきたから、このままでほうっておくと、一一、二%の成長になる。だから、腹八分目で、九%でいきたい、こう言っておる。たびたび言っております。それは経済の流れというものがございますから、名目的で一八%——一六、七%、ずっと三十五年、三十六年来ておるときに、急にこれを七・二%というととは、これは考えようでもございますが、私は徐々に成長率を押さえていかなければならない。だから、七・二%というよりも、こういう歩みを続けてきておるのだから、一一、二%いくかもわからないけれども、九%程度で押えたい、こういうことでございますよ。これはたびたび言っております。はからずもそれが私が初め心配しておった一一・二%、これは物価がそう上がらぬと思いましたから一一、二%、今は一四・四%、あるいは最近の状況ではもっといくでしょう。いったでしょう、三十六年度は。こういうものを押さえるために私は九%と、こう言っておるわけです。私は謙虚にほんとうに正直に申しておるのであります。政府がこういう状態のもとに九%で押さえると言ったのですが、押さえられなかった。だから今までの実績は今度は九%で、これより少し落とそう、こういうのでございます。何も私はがんばったりなんかしておるわけではない。正直に謙虚に私は今の事態を言っておる。初めからこのままほうっておいたら行き過ぎますよ。腹八分目ということを常に言っておる。だけど、私の言うように、九%でなしに、名目的では一四、五%あるいはもっと結果はいくかもしれない。それを心配して今度は落としておるのであります。
○羽生三七君 時間が来ましたので、あと一、二問で終わりますが、最近政府部内に、自民党内に賃上げの抑制について強硬な態度をとる、そういう意味で政府なり、つまり総理大臣なりあるいは自民党側の見解を発表するという説がありますが、そういうことはお考えになっておりませんか。
○国務大臣(池田勇人君) まだ党でそういうことをするということは正式に聞いておりません。ただ私はずっと一カ月か一カ月半くらい前に、生産性の伸びよりも賃金の上昇率が今まで低かったが、昭和三十六年度の実績を見ると、生産性の向上と賃金の上昇が匹敵するようになった。この点を私は心配しておるのであります。いわゆるコスト・インフレがあるかもわからぬ。起こり得る可能性なきにしもあらずということを心配して、木村さんの御質問か何かに対して言ったことがございます。最近企画庁のほうでもそういう調査を出しておりますが、私は生産性の向上と賃金の上昇はつり合っていくべきである。そうして日本のように設備投資を急激にある程度やらなければならぬ国におきましては、ある程度差額は一時的に起こることは認めなければならない。それは将来の生産の拡大、生産性向上のもとだからこう言っておるのであります。最近におきましては上昇率が相当伸びてきておるという、この事実は認めなければならない。しかし、政府がこれは労使の間における協調を——賃金を上げるとかなんとかいう筋合いのものではございません。あくまで労使の間でそういう点をよくお考えになって、国際競争力等々から将来を見ながらやっぱり円満な、妥当なところに落ちつくことをわれわれは期待しておるのであります。
○羽生三七君 そうすれば、賃上げを、賃金を下げろというようなことを政府みずから指示することはないと解釈してよろしゅうございますか。
○国務大臣(池田勇人君) 今賃金を下げろというようなことを言えましょうか。上げ方につきましては将来を見て、適正な労使間での話を、どれだけ賃金を下げろということは。
○羽生三七君 いやいや、実質上のことです。私の言うのは、値上げを抑制しろという意味です。
○国務大臣(池田勇人君) 実質上の点からいってもわれわれは所得倍増、そうして将来をあれするのに、やはり実質賃金の上がることを期待いたしておるのでございます。実質賃金を下げろと言うことは政治にならないと思います。
○羽生三七君 大いにその答弁満足であります。 そこで最後に私はもう一つ承りたいことは、政府の経済見通しが今度も大きく狂った場合、私はその場合、よく衆議院を解散しろとか、総理は辞職しろとかいう議論もありますが、そういうオーバーなものの言い方はいたしません。私はそういうことはきらいですから言いませんが、しかし、かりに今度も見通しが大きく狂ったような場合、まあ今見通しを修正する考えはないと大蔵大臣は言われた。おそらく各省みんな同じだと思います。しかし、非常に大きく見通しが狂ったような場合に、その場合、政府の財政経済演説との関連はどうなりますか。政治のけじめはどうなりますか。何のために財政経済演説やるのですか。わずかな狂いならばいいのですよ。八億ドルも見通しよりも狂ったような場合、あるいは今度も、今度は大丈夫だと言いながらまた大きく狂った場合、それは経済は動くものでありますから、私もその政府の説明どおりにはいかないことはよく知っております。しかし、一度ならず二度、三度同じようなことが、財政経済演説と現実との食い違いが起こった場合に、政治のけじめというものはどうなるでしょうか。総辞職しろなんていうことはそりゃ言いません。しかし、これは非常な、政治のけじめはどうなるか。一体何のための財政経済演説ですか。それを見てわれわれも議会で審議している。国民もそれ々信用しておる。それが全くとんでもない大きな差ができてしまって、経済は動くものでありますから長期で見て下さいというようなことになって、何をつかまえてわれわれは一体ものを判断したらいいか。政治のけじめとは何ぞや。財政経済演説との関連で最後に私はこの点を伺います。
○国務大臣(池田勇人君) 大きく狂ったということが問題です。大きく狂ったということ、この国際収支の点におきまして、一般の輸出入で、たとえば八億赤が出た、あるいは九億赤が出たというとき、これが大きく狂った。しかし、日本の経済は順調に国際的な信用も高まり、順調に伸びていって、経常収支の分が八、九億狂ったから、これはたいへんなことになる。どうでございますか。昨度十一月ごろにはいろんな論文が出たと思います。私は年末には十四、五億ドルを確保いたします、こう言っている。十五億確保はできます。十一月には収支の均衡をいたします。その予定で進みますと、私はそれで進んでいっております。三月には経常収支も黒字でしょう。資本収支も黒字と私は考えております。もうあと三、四日ございますけれども、これでいって国際収支、経常収支で八億ドル狂ったからたいへんなことだ、日本の信用はなくなっちまう、つぶれるかというようなことを言った人もありますよ。そうなっておりません。これはドイツでも借款も非常にうまくいきますし、そうしてお互いに助け合おうと言う。ユーロダラーも入ってきて、これは好ましいことじゃありませんか。これを見て大きく狂ったと言うのは何か。ちょうど昭和三十二年のとき、急激に輸入がふえたというので大きく狂ったと言っておりますが、大きく狂ったといって、あのときに非常なデフレかどうか。きのうも私はバーンズ氏と話をしました。リセッションということが日本にはあまり大きく起こっていない。三十二年のときでも総生産は落ちておりません。賃金も下降しておりません。雇用状態もいい。ただ輸入が五、六億ドルふえたというので大きく狂ったと言うことは、経済全体を見ない私は言葉である。私はそういうことは全体を見てもらわなければいかぬと思う。しかし、私は、今狂ったらどうするかと言われますが、狂わさないように、全体としてですよ、全体として狂わさないように日夜努力いたしておりますから、三十六年度の年度末は十五億ドルをこえる外貨でいけると思っております。
○羽生三七君 私は日本経済が世界の中でまれにみる成長をしておる事実は認めております。狂って日本経済がとんでもないことになったということは言っていない。驚くべき成長を遂げております。そうではあるが、政府の財政経済演説に示されたその教字の見通しと現実は相当狂っておる。しかし、それを日本全体が無事に進んでおるからそういう目で見ろと言われるならば、何のための財政経済演説かということを私は申し上げておる。政治のけじめなど何にもない。ですから、一度ならず、二度までも——あまり大きな狂いはないと思いますが、今度はかりに将来、一部経済通の言うように、好況になって、相当のデフレが起こり、デフレ・ショックが深刻化したような、そういうような場合、重ねてそういう事態が起こった場合でも、それは長い目で見て日本経済が伸びていればいいのだというようなことで、財政経済演説の見通しと関連して、何もそういうことは関係のないことだというのなら、今後財政経済演説なんかやめたらいい。経済の自然の動向にまかしておいたらいい。極端なことを言えばですよ。そのけじめはどうするかということを、もう一度重ねてお伺いをいたします。
○国務大臣(池田勇人君) 財政演説をやめたらいいという、それは少し極端な議論で、一応のそのときにはこういう計画で行っております、見通しで。しかし、何といっても、統制経済ではございません。直接統制はやっておりませんので、商売人は今が買い時だというときには原材料を入れます、自分の考え方で。それを、お前そうやっちゃいかぬととめるわけにはいきません。とめる方法は何かといったら、金融でとめて、今の輸入の担保率等々で、政府のやり得る一つの限度がある。そういう限度はとっておる。そして、これがいかに押えられているかというものを長い目で見て、たとえば国際収支、外貨がどうなるというふうなことをやります。それから、一般の輸入原材料が非常にたまった。経常収支が赤字というときには、資本の借り入れに努力するとか、あらゆる方面でやっているのであります。したがいまして、ことに日本のような輸入原材料に非常な依存度を持つときにおきましては、これはなかなか経常収支だけでどうこう言うわけにはいかない。やはり、この点を聞く人も、そのつもりでお聞き願いたい。全体が動かぬというふうなことであれば、貿易の経常収支がどうあっても、資本収支はとれる。そしてまた、輸入の原材料がたまっておるから、これが将来の輸出の材料になるとか、輸入が将来少し下向きになる、こういう全体を見て、八億ドルの赤字が出たからといって、これは、昨年の暮れにある為替収支の通が言っておられるように、非常に心配するということは、私は、経済の動きを知らざるものでありまして、全般を見まして、そして考えていかなければならぬ問題だと思います。私は順調にいっておるとは思いません。今後におきましても、生産が落ちないことによって製品在庫が多くなり、金融がこの上詰まるとか、物価が一時に下がるというようなことがあってはいかない。徐々に下がることは望ましい。そこで、今通産大臣の言われたように、設備投資をもっと強く押えるというようなこと、そして金融の引き締めも堅持していこう、いろいろの方法で全体がスムースにいくようう努力いたしておるのであります。
○藤田進君 関連。通産大臣にお伺いいたしますが、先ほどの御答弁で、具体的に電気料金について当分値上げをする考えはないということでございました。電気事業に例をとってみると、その企業分析において各種各様ですが、しかし、一般的に言えるのは、かなり高度成長に伴う新しい開発、これが他面石炭産業との関係において、重油専焼のコスト安のほうがなかなか認可が困難であるといったような悪条件、それから開発には、公共補償その他を含めて、かなりそういった経費が膨大になっているのであります。ところが、これに対して、料金値上げをしないということはけっこうでありますが、他面、たとえば減価償却において、かなり膨大な減価償却ですが、定額法を定率法に近く改定していく、これは当然企業に大きな影響を持つわけですね。そういう一連のしわ寄せがどういうところにきているかといえば、非常な、公益事業としては実にそんなものかというくらい、合理化というか、進んでおります。電力各社まちまちではあるけれども、あるところにおいては、営業所というようなところで、新聞も従来数社の新聞をとっていたものを、一社に限るというようなことをお聞きいただければ、推して知るべきだと思うのです。そのようなことが、従来労働者の給与水準も、戦後昭和二十五、六年ごろまでは、大体勤務年数において、あるいは家族構成その他から見て高くもあるし、大体トップの賃金水準でありました。これが今日では、見る姿もないような低位に置かれてくるというところに、しわ寄せがきております。それから、これは大臣の出身地、選挙区でもございましょうが、中国電力の例をとってみると、内容は以前伺いましたので、最近は若干変わっているとも伝えられるのですが、料金に関係するのですが、山口県は、かつての県営電気の復元ということで、結局三十億出せと言っている。これは、ここ近来の企業分析をすると、広島が黒字で、それを岡山の赤字に注ぎ込む。そこへ持っていって、また三十億出せと言っている。かりに十分の一の三億にしても、今の政策そのままではまかないようがないということには、だれが見てもなる。したがって、こういう減価償却方式なり、あるいは資金、あるいはまた今のような県営復元——これは中国だけじゃありません、全国に出ておりますね。こういうものについて、政府自身として十分な措置をされなければ、弱い面、労働の面、その他の不必要な、必要以上なサービスの低下というようなところにやってきて、本来の公共事業の姿を失うような状態であります。そのような政府施策の裏づけがなければ、どうにもならない。料金は所管大臣である通産大臣の認可事項でしょうが、どうにもならないということがあるわけでありまして、これらについて、選挙区は一応超然的な立場で、具体的にこの問題についてどう考えられるか、それから政府の裏づけ政策としてどう考えられるかということをお伺いしたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど電力料金の取り扱い方につきまして、結論だけ申し上げました。しかし、その前提といたしまして、申請が出てくれば、それを当然慎重に検討するということを申し上げました。ただいま御指摘になりますように、電気事業そのものの内容、これはよほど各社でそれぞれ違うと思いますけれども、十分理解を持って内容を検討しなければならぬ、かように私は思います。一般的に言えることは、最近の電力需要が急激にふえております。そのために、膨大な設備増大を必要としておる。その結果は、あるいは金利負担がかさんでくるとか、そのために、ただいま御指摘になりますように、償却も十分できないとか、あるいは定率じゃなくて定額償却、それすらも十分にできない。あるいは、退職金の積み立てにしても、税法上で許容している額にはまだまだとても達しないというような実情である。あるいは、自己資金による設備への注ぎ込み等にしても、非常に困難な状態にある。こういう事態が長く続けば、電力事業そのものの公益性を害するというような心配すらあるのだ、かように思います。今日まで資金繰りには、外資導入をしたり、あるいは政府自身が財政資金の投入をしたり、あるいは社債や増資等につきましても、いろいろ指導等もして参っておりますけれども、私は電力業界の事業内容自身はなかなか困難な状況にあるのではないか、かように思います。今まで電力業界の方々とお話をいたしました際も、やはり本来の姿に返ることが必要なのではないか。経理上無理なドレッシングをすることは、これは長い目で見て望ましいことではない。たとえば増資が必要だ、そのためには適当な配当率は維持しなければならない、こういうところに無理がかかるようではよくないということもいろいろ指導いたしております。ただいま申すようなマイナスの面、それは一体どううことで補っておるか。ただいま藤田委員が御指摘のとおりに、社内において非常に切り詰めた合理化、節約をしておる、あるいは発電燃料を変えることによりまして浮かしてくるとか、あるいは送電量のロスを減らすとか、ずいぶん切り詰めた経営の合理化等をいたしております。しかし、なかなかそれだけでもただいまの需用にはこたえ得ないのじゃないか、かように私は思います。で、長くいつまでもこの種の料金を押え切りにするということは、これはおそらく可能ではないだろうと思います。できることではないだろうと思います。事業の本質を考えます際に、あらゆる努力はいたしますけれども、これをいつまでもというわけにはいかぬだろうと思います。しかし、先ほど結論を申しましたように、ただいま諸物価等をできるだけ抑制したいという政治的考慮もございますし、まあ幸いにしてただいま料金改定の正式な申請も参っておりません。そういう関係に立てば、当分の間、これを抑制するという基本的の方針を示しておるわけでございます。 また郷里の関係で、山口県の県営電力に対する補償のお話が出ておりましたが、ただいま私の手元までは実は参っておりません。これは山口県自身が、御承知のように、かつて県営をやっていた、その後の中国電力との間で話し合いなどは一応経営の面では結論も出ておりましたが、他の府県等で補償の問題が次々と起こっておる、こういう立場から山口県も御多分に漏れず、中国電力と交渉を持っておるようでございます。私の国のことでございますが、私も議席も持っておりますけれども、立場が立場ということでございましょう。県側の人たちも私には遠慮をして、みずからの力で会社と交渉しておるように伺っております。したがいまして、どういうような話が進んでおるか、その具体的な内容もよく存じません。ただいま三十億というお話が出ておりますが、三十億であるか、あるいはそれより多いのか少ないのか、そういうことも私は明確にいたしておりません。これは地方のことを申してたいへん恐縮でございますが、知事自身がかつて副知事もし、また議席等も持ち、各県の実情等も十分知っておるものでございますので、おそらくそういう立場から会社の責任者と交渉することだろうと、かように思う次第でございます。
○羽生三七君 最後に、要望だけして質問を終わります。きょうの私の質問で総理が答えられた問題の中に、対中国政策については、日本独自の見解を持っておるが、国際情勢をよく見てからというお話でございましたが、これは政府が何らの構想を持っておらぬということでは相ならぬので、非常にけっこうだと思いますが、どうかその政府の考えておる対中国政策というものが、われわれと同じ基盤の上に立ってであることを心から念願いたします。これが根本的に食い違っているというようなことになりますと、将来非常な大きな問題になると思いますので、どうかその点については、今後まだ余地もあることですから、十分御検討をお願いし、なお経済問題についても、特にこの物価問題等につきましては、いろいろな事情もあるでしょうが、政府が真剣に物価問題に取り組んでおるということを国民に言いながら、片端からそれをくずすようなことでは、私は政治の姿勢というものは正すことができない。したがって、もうこういう国会の論争などは無意味だと、すべて池田内閣打倒だ、こういうことになるのですよ、結論的には。ですから、そういうことを言っておっては共通の広場というものはないので、やはり別途問題を考慮して、そしてそういう問題については、政治というものの権威を保たれるような十分な措置をとることを私たちは心から要望して、私の質問を終わります。(拍手)
○委員長(湯澤三千男君) 羽生君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(湯澤三千男君) 次に、下村定君。
○下村定君 私は、国家安全保障、特に防衛の問題につきまして、総理大臣並びに関係大臣にお伺いいたします。 総理大臣は、先般この国会の劈頭におきまして施政演説をされましたが、その中にこういうことを申されております。変転する国際情勢に対処して、わが国の安全を保障することは、政府に課せられた至大の責任である。また、国家社会に対する破壊活動の根源を除去する、ということを申されております。池田総理大臣が施政演説中において、国家安全保障の問題に言及されましたことは、組閣以来今度が初めてだと思います。したがって、私どもはこの御所信を伺って非常に快く存じておるのであります。この御所信に基づきまして必要な政策が着々実行されんことを深く期待しております。しかるに、これまでの池田内閣の政策を見ますというと、経済発展、民生向上、そのほか福祉国家の建設に非常な努力を払っておられますが、この点はまことにけっこうで深く敬意を表するのでありますが、その一面において福祉国家建設の柱となり、外に対して防壁となるところの安全保障に関する施策は、今の経済施策に比べますというと、率直に申しまして、著しく軽視せられておると私は思うのであります。こういう状態が続きましては、総理が言われております至大の責任は、はたして果たされるかどうか。私は決して防衛費を急にふやせとか、大きな自衛隊を持てとか、そういうことを申すのではございません。けれども、どうも少しもの足りなく感じますことが三つばかりあります。 それは政府として安全保障に関して日本の国情に照らし、世界の情勢に対処し、また世界戦略の情勢に応じて、はたして総合的な基本計画が立てられておるかどうか、この点に疑問を持ちます。第二は、国防の基盤と言われておりますす。一つの基盤と言われております精神的な問題、これらが十分に推進されておるかどうか。第三には、たとえ防衛力は小さくとも、その内容を検討して、真に効率的な整備がなされておるかどうか。この三つに私はいささか疑問を持つのであります。今あげました三つの点につきまして、時間がありませんから、一つずつ具体的の例をあげてお尋ねしたいと思いますが、まず、これまで申しましたことについての総理大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 私は、国防の重要さをつくづく感じまして、施政演説にも申し上げておるのでございます。で、今三点につきましてのお考えでございますが、具体的に御質問いただければ、それに答えたいと思います。
○下村定君 それでは、第一の問題についてお尋ねをいたします。 現在の国際情勢では、総理も施政演説でお話しになっておりますように、局地戦の発生は免れませんけれども、いろいろな関係上、全面的の戦争が行き詰まりの状態にあるのであります。これに関して、最近の世界戦略は、武力を使うということよりも心理戦、経済戦、そのほか政治的謀略の方向に大きく動いておると存じます。しかしながら、日本の国を翻って見ますというと、心理戦とか経済戦、これに対する経験がございません。したがって、この方面において、私は大きな弱点を現わしていると存ずるのであります。したがって、今後の国防の政策は、単に自衛力、すなわち自衛隊を整備するというだけでははなはだ不十分、もっと国の政治の広い分野にわたりまして総合的な計画を立てて、これに基づく施策が推進されなければならぬと思うのです。これにつきましては、防衛庁長官にひとつ御意見を伺います。もうお尋ねをするほどのことじゃない、わかり切ったことでありますから、イエスかノーか、その点だけどうぞ。
○国務大臣(藤枝泉介君) 御指摘のとおりでございまして、政治の全般にわたって、国の防衛についての問題を考えていかなければならないと存じます。
○下村定君 これにつきましては、外務大臣にもお伺いしたがったのでありますが、お帰りになりましたから、それは略します。これにつきまして、私は過去三回にわたりまして安保特別委員会、それからこの予算委員会、内閣委員会、三度総理大臣に質問申し上げております。前の岸総理大臣は、これに対して御同感の意を表されました。池田総理大臣は、昨年の本委員会の質問で、御理解のある答弁をいただいております。が、その後のこういう方面に対する進度は、遺憾ながら私は承知しておりません。それがどういうふうに進められているか、総合的な施策はどういうふうに進められているかということにつきまして、総理大臣から伺いたい。
○国務大臣(池田勇人君) まず防衛力の問題につきましては、御審議願っておりますように、予算におきましても、私は適当な額を盛っておるのであります。また、防衛関係の方々につきましても、私自身としては常に接触を密にいたしまして、いろいろな事情を聞きながら、それを政治のほうに持っていこうとしております。 それから、心理戦とか、いろいろな謀略戦等は、これはいろいろな情報を集めることはもちろんでございますが、やはりそういうことに乗らないように、国民の気持を、すなわち愛国心と申しますか、国を思い、歴史を尊び、文化を愛する、こういうふうな気持を育成するように努めておりますし、教育問題にいたしましても、道徳教育等を、中学校、小学校のほうに拡大いたしまして、今年度から相当これが緒についていくと私は考えます。各方面で、力ということよりも、国民全体がその気になるように努力していっておるのであります。
○下村定君 お言葉を返すようで、はなはだ失礼でございますけれども、心理戦などが起こらないようにする。むろんそれは、必要でございます。しかし、これは外からしかけてくるのでございます。現に心理戦は私は起こっていると思う。それはそれとしまして、こういう総合的計画は、現在の制度におきましては、総理大臣の諮問機関でありますところの国防会議において審議され、立案され、また必要があれば訂正されるのが筋道だろうと思います。そこで、現在この国防会議の運営がどういうふうに行なわれているか。その構成は、はたして私の今申し上げましたことに適しているかどうか、それを伺いたいのでございますが、これは国防会議の事務局長もしくはその代理の方から御説明を願います。
○委員長(湯澤三千男君) 下村さん、国防会議の事務局長が出られませんの、で石澤参事官から……。
○下村定君 私が第一に伺いたいことは、昨年、第二次防衛力整備計画ができたましてから今日まで、国防会議も最もくは国防懇談会が何回開かれましたか。どういうことがおもなる議題でありましたか。それを第一に伺います。
○説明員(石沢芳次郎君) 第二次防衛力整備計画が決定されましたのは、昨年の七月十八日の国防会議においてであります。その後今日まで、国防会議は開かれておりません。ただし、国防会議議員懇談会が、今日まで三回にわたって開かれております。第一回は、昨年の九月六日でありまして、議題は、第二次防衛力整備計画の細目に対する検討、審議であります。第二回は、同じく昨年の十一月七日でありまして、最近の軍事情勢全般について検討、懇談した次第であります。ごく最近の第三回目は、ことしに入りまして三月十五日、最近の軍事情勢について検討、懇談した次第でございます。
○下村定君 第二にお伺いいたしますが、先ほど私の申しました心理戦の研究ということは行なわれたのでありますか、いかがですか。
○説明員(石沢芳次郎君) 国防会議事務局におきましては、取り扱いの問題が国防ということでありまして、各般にわたりますので、全力をあげて調査研究をいたし、国防会議の審議に遺憾なきを期しておるのでありますが、ただいま下村委員の御指摘の心理戦ということにつきましては、特にそういう銘を打って、はっきりした角度から研究しておるということは、私、承知しておりません。
○下村定君 国防会議のレギュラー・メンバー、議員と申されておりますが、それには、私の記憶によりますと、内閣総理大臣、それからいわば副総理といわれる方、それから防衛庁長官、外務大臣、それから大蔵大臣、経済企画庁長官、この方がレギュラー・メンバーであると承知しております。ところが、この国防会議に諮問される事項の中に、防衛計画に関連する産業等の調整に関する計画ということがございます。私は、そういう性格を持った国防会議に、通産大臣がお出ましになっていないということは、私はいささか不審に存ずる。一昨日通産大臣に伺いましたところが、レギュラー・メンバーではないけれども、必要に応じて出ている、なるべく出るようにしているということです。まあそれでもいいかもしれません。なおそのほかにも、たとえば国家公安委員長、あるいは統合幕僚会議議長、こういうようなものが臨時に出ることになっておると思いますが、それは出られたことがありますか。
○説明員(石沢芳次郎君) 国防会議のレギュラー・メンバーについては、御指摘のとおりでございます。ただし、国防会議の構成等に関する法律の第六条によりまして、議長が、会議の必要に応じて統幕長その他の御出席を願う規定がございますので、それによりまして、ただいま通産大臣は常時御出席になっております。
○下村定君 国防会議の幹事は常勤であります。それから事務局員として二十人。それからそのほかに、各省の次官級並びに局課長級の人が、国防会議の事務局のほうに、常勤ではありませんが、勤めることになっております。相当のメンバーだろうと思う。この方々が会議に必要な資料を提出されるものと存じますが、昨年から今年にかけまして、こういう資料は、おもなるものはどういうものが出ましたか。
○説明員(石沢芳次郎君) 御質問の趣は、国防会議に提出された資料でございますか、国防会議懇談会というような全般にわたってのものでしょうか。
○下村定君 それは両方であります。事務局から出された資料のごくおもなるものでけっこうです。
○説明員(石沢芳次郎君) 特に資料として出されたというものですと、その取り上げ方の問題でありますので、これについてはいずれまた調査してお答えいたしたいと思います。
○下村定君 ただいま伺いますと、国防会議は不勉強だとは申し上げませんが、しかし、経済閣僚懇談会あたりに比べますと、確かにもう少し勉強されていいのではないかと思います。それから、これに関連しますが、会議の重要な構成員でありますところの防衛庁長官は、この国防会議ができましてから、みな一年未満で交代されております。その前から勘定しますと、十年間に十六回かわっておられます。これではたしていいのでございましょうか。みなりっぱな方でありますけれども、いかにりっぱな方でも、一年以内にかわったり、そうしてほんとうの審議ができるものでございましょうか、こういう点に私は疑問を持ちます。それから事務局でありますが、これもちゃんと、防衛庁設置法に付属する国防会議の規定に、必要な資料を出すということがある。この一年間にどういうものが出たかということぐらいはわかりそうなものだと思う。これは、要しますのに、国防会議の現状というものは、はたしてこれでいいのでございましょうか、総理大臣の御意見を伺います。
○国務大臣(池田勇人君) 発足当時から六回ぐらいでございましょうか、私が総理になりましてから二回開いております。そうして、先ほどお話がありましたように、随時問題ごとにやりました。昨年の九月、十一月、今年、三回開いております。しかし、それ以外におきましても、私は努めて幕僚長などと昼会うというように、ときには月に三回会ったこともございます。国防会議ということになりましての資料というものはございますけれども、私は、いろいろ調査されておることを口頭で聞いたり、そうしてみんなで会って話をするということが、ほんとうに実際のやり方としていいんじゃないか。資料を配ってもらうより、やっぱり目と耳でお互いに話し合うほうがいいんじゃないかというので、努めて私はやっておる考えでございます。
○下村定君 次は、国防方針について少しお伺いしたいと思います。もっとも、これは法律でもありません、予算でもありませんから、なるべく簡単にやります。 事務局長は、国防基本方針をお持ちですか。
○説明員(石沢芳次郎君) 持っております。
○下村定君 時間の関係上、前文は省略して、項目だけをお読み願います。
○説明員(石沢芳次郎君) 御指示のとおり、項目だけ……。
○委員長(湯澤三千男君) それは何ですか。
○説明員(石沢芳次郎君) 国防基本方針でございます。 一、国際連合の活動を支持し、国際間の協調をはかり、世界平和の実現を期する。 二、民生を安定し、愛国心を高揚し、国家の安全を保障するに必要な基盤を確立する。 三、国力国情に応じ自衛のため必要な限度において、効率的な防衛力を漸進的に整備する。 四、外部からの侵略に対しては、将来国際連合が有効にこれを阻止する機能を果し得るに至るまでは、米国との安全保障体制を基調としてこれに対処する。
○下村定君 今朗読されました国防基本方針を見ますというと、自由陣営の諸国ならばどこの国にも通用する一般原則が並べてあるのでありまして、具体的のものとしては、この第三項の、「国力国情に応じ自衛のため必要な限度において、効率的な防衛力を漸進的に整備する。」と、これだけのように思う。したがって、日本の戦後における空白状態、これに対して、方針としてどういうことが必要であるか、あるいは、先ほど申しました世界戦略の動向について、これでいいのかという疑問を私は持ちます。総理大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(池田勇人君) 私は、敗戦後のあの状態から立ち上がりまして、日本の国防の基本方針をきめる場合におきまして、今の三項のみならず、やはり一、二の問題、あるいは四の問題等も必要だと、こういうので、この四つの基本方針をきめたのでございます。多分私も、国防会議のときには、大蔵大臣か何かで参加したと記憶いたしております。
○下村定君 総理大臣の御答弁、一応でもっともだと思います。これは方針ですから、簡単でもいいと言われれば、それまででありますけれども、それならば、これを骨子としたいわゆる総合的の計画というものが、これは国防会議で慎重に審議しなければならぬと思うのであります。言葉をかえて申しますと、日本には基本的の計画というものは、この簡単な国防基本方針と、それから軍事力を整備するための第二次防衛計画、それしかきまった計画というものはないように思う。これでは、さきほど申しました私の現在の世界戦略に対応する計画の基礎としては、不十分だと思うのであります。そこで、もし私の申すことが正しければ、現在のこの国防会議の構成、それからその性格というものは、現状に適しない。ぜひともこれは将来これを拡充強化し、日本の国情に適し、また世界戦略の動向に応ずる具体的な計画が立てられなければならぬと存ずるのであります。総理大臣に伺います。
○国務大臣(池田勇人君) 国防会議の構成の問題は、先ほどございましたが、やっぱり国防の基本方針、そして防衛計画、そうして防衛関連産業、そうして出動の可否、この四つが原則になっておるのであります。したがいまして、関連産業ということから、先ほど事務当局から答えたように、通産大臣も入っております。それから科学技術庁長官も入ってもらっております。しこうして、この基本方針の二にありまする「民生を安定し、愛国心を高揚し、」こういうようなことがあって、もし愛国心の高揚を議題にするならば、これは文部大臣に参加してもらっていいのであります。それは随時私が——議長が招集をし得ることになっております。それから、私は、今後の運営につきましても、必要に応じて、きまったメンバー以外にも出てもらって相談することがあり得ると、こういう気持を持っておるのであります。
○下村定君 ただいま仰せのとおり、産業経済の方面は現在の構成でもいいかもしれませんが、先ほど来くどくど申しておりますこの総合的な国防政策というようなことを立てるには、私は今の構成では不十分ではないかと思うのであります。この問題は、そのくらいにいたしておきます。 次に、一番初めに第二項として申しました、国防の一つの基盤である国民精神の高揚ということについてお伺いいたします。 総理大臣は、施政演説の中で、国民の防衛意識高揚に期待するということを仰せられております。これはさだめし、戦後いろいろな原因によりまして国民の国防意識が低下しておるということを痛感されまして、これは何とかしなきゃならぬというお考えのように思うのであります。そこで、これも、ただ防衛庁に金をやって、防衛庁だけがやるというものじゃ私はないと思う。たとえて申しますと、総理府の広報室とか、外務省、そのほか関係の方面が協力してやらなけりゃ、成果は上がらないと思うのでございます。そこで、一昨日防衛庁関係のほうについては質問をいたしまして、お答えを得ました。本日はひとつ文部大臣にお伺いしたいと思いますが、それは、もう世界中どの国を見渡しましても、学校の教科書に自分の国は自分で守らなきゃならぬということを書いてないのは私はないと思う。ソ連、中共は特にこの点が徹底的であり、ほとんど命令的に学校の生徒心得というものを出しております。もう一つ私は注目しましたことは、昨年の十月、ソ連が共産党大会をやりました。そうして、その際に、共産党の新しい綱領を発表いたしました。とその第二部は——第一部は略しますが——第二部は、池田内閣の所得倍増計画をはるかに上回る経済成長を予約して、国民にあたたかい夢を与えておるのであります。たとえて申しますと、二十年後には国民所得は今の五倍になるぞ、住宅がただになる、光熱費も交通費もただになるというような夢を与えております。ところが、その同じ第二部の中に、国防意識の高揚ということにつきましては、非常にきびしい表現をもって、ソ連にありますところのコムソモール、すなわち青年を育成する組織、任務、それから青年に対する指導方針ということが明記されておるのです。これは私は当然のことだと思う。そこで、日本の現状はいかがでありますか。私の知るところでは、学校の教科書に国防意識ということはどうもないように思う。それから一昨年以来実施されておりますこの学習指導要領、小学校、中学校、高等学校とあるのであります。これをしさいに比べましてもそういう点は見当たりません。これに対して文部大臣はどういうお考えでありますか。また、将来どういうふうにされるお考えでありますか、それを伺っておきます。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。国防、自衛という概念は、憲法以前の問題として私は理解いたします。今の憲法から申しましても、自衛隊の存在が憲法違反にあらず、こう理解いたします。そこで、そういう考え方に立ちまして、むろん教育の目標は憲法なり教育基本法ないしは学校教育法等の線に従って行なわるべきことは当然でございますが、これを要約し、具体的に申し上げますならば、先刻、総理大臣からもお答え申し上げましたように、教育の目標を、基本を一体どこに置くかということで申し上げまするならば、何としましても、青少年が、学校教育を通じて、国土を愛する、民族を愛する、日本の文化を愛するということが基本線であろうと思います。同時に、人間的には高い人格と良識を持たねばならぬことも当然でございます。そのことがよりよき国民として育成される目標であり、そのことがまた、同時に、国際的にも信頼と尊敬をかち得るに値する人間形成ができ上がる基本線だと思うのであります。そういうことを具体的に教育の場を通じまして実現していく、これが、私は、みずからの国を守る自衛理念の基本線になろうかと思うのであります。そういうことを通じまして、国民が、青少年が、自分の国、日本及び民族の将来を背負って見せるという使命感もおのずから出てくるものと思うのでございます。そういう考え方から学習指導要領の改正等も行なわれたわけでございますが、特に道徳教育の振興、社会科教育あるいは理科教育の改善、地理、歴史教育の充実ということを主眼点として新しい指導要領はきめられております。それに基づいて教科書も検定をされるわけでございますが、指導要領の中でも、たとえば小学校の社会科におきましては、先人の業績やすぐれた文化遺産を尊重する態度、正しい国民的自覚をもって国家や社会の発展に尽くそうとする態度などを養うというがごとき指導要領と相なっております。さらに高等学校社会科の例を一例申し上げまするならば、国際政治の現状を課題という項目におきまして、集団安全保障防衛問題、軍縮問題、原子力問題を含めて取り扱うということにいたしております。それから、小学校の教科書におきましての一例を申し上げれば、日本人としての自覚をもって国を愛し、国際社会の一環としての国家の発展に尽くすというがごとき、中学校の社会科における教科書の例を申し上げまするならば、現在の日本には、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、外敵の侵略からわが国を防衛することを目的として自衛隊が置かれている、あるいはまた、国の防衛は大切なことであるというがごとき、教科書が使われ始めておることを私は国民とともに御同慶に存じております。
○下村定君 具体的の御説明まことにありがとうございました。私は荒木文部大臣が、一般の道義の高揚、また、一般の国民精神作興の一環として将来国防意識の高揚についても具体的の処置をおとりになることを期待いたします。文部大臣に対する質問はこれで終わります。 それから、国防意識の高揚と関連しまして、自衛隊員の士気を高揚するということもこれは非常に大事だと思うんです。国家の公然たる組織の一員であります以上、自分の使命に対して誇りを持ち、厳格な自覚を持つということとが、これはむしろ有形的な軍備よりも私は必要じゃないかと思うんです。これにつきましては、一昨日防衛庁関係のことについて防衛庁長官から御所見を伺ったのでありますが、私は、精神教育あるいは各人の自覚の高揚ということも必要でありますけれども、人間でございますから、その一面において待遇といいますか、給与というか、そういう方面でも親切な考慮が払われてしかるべきだと思います。 伺いたいことはたくさんありますが、ただ一つだけ、現在、自衛官だけにある定年制の問題について伺いたいと思います。自衛官には、老年に達して幾つでやめるという定年のほかに、各階級にわたりまして幹部の定年がきめられております。その定年たるや、現在の国民の体位に比較して、私は、旧式であると思う。たとえて申しますと、一番四十代の働き手の佐官クラスが五十、それから昔で申しますと下士官、今、陸曹とか空曹とか申しますが、これも大事な、直接一般隊員に接する大事な仕事なんです。それも四十五年が最高であります。したがって、これらの人たちは、自分の職務をやるにつきましても、もう定年が来るといえば、これは人情として腰が落ちつかないのは無理はないと思う。で、これは何とか改善をすべきでありますまいか。むろん定年だけの問題を単独に変えるわけにはいきますまいが、これについて防衛庁長官は何かお考えがございましょうか。
○国務大臣(藤枝泉介君) 御指摘のとおり、現在の自衛隊員の定年につきましては、特に曹というようなクラスにおきまして他国に比較いたしましても若いということは言えると思います。また、その結果、十分落ちついて勤務するという気風を阻害する面もあろうかと存じておりますので、これらにつきましては、全般的に定年がいかなるところが適当であるかということについては検討をいたしております。もちろん単に曹クラスばかりでなくて、これは全体として検討をいたさなければなりませんし、それによる財政負担等もございますが、それらと考慮をいたしながら妥当な結論を得たいと思いまして研究をいたしている次第でございます。
○下村定君 私は、一昨日の分科会におきまして、天皇陛下が自衛隊においでになったことはないという質問を防衛庁長官にいたしまして、非常に御迷惑をかけたかもしれません。このことは、私は自衛隊の士気の高揚ばかりじゃなしに、国民感情としてどうも合点がいかない。たとえて申しますと、一昨年熊本で国民体育大会がありましたときに、陛下は自衛隊においでになっているんです。自衛隊の構内までおいでになっている。そうして自衛隊にはお立ち寄りにならない。これは陛下の御意思でおやりになったことじゃないと思う。自衛隊員として自衛隊員であるがゆえに陛下にお目にかかれない。これはいかがでありましょうか。くどくは申しませんが、自衛隊の総指揮官であられます総理大臣にひとつ御考慮を願いたいと思います。これは御答弁はお願いいたしません。 次は、一番初めにあげました防衛力の実際的の整備の問題についてお伺いいたします。大蔵大臣がせっかくお見えいただいておりますから、まず大蔵大臣にひとつお伺いしたい。
○国務大臣(池田勇人君) 天皇陛下が熊本においでになりましたときに、自衛隊なるがゆえにおいでにならなかったということでは私はないと思います。陛下におかれましては、いろいろ御予定がありますのでありまして、自衛隊なるがゆえにおいでにならなかったということは、私は非常にこういうことは何と申しますか、誤解を招きますので、ひとつこの点を御了承願いたいと思います。
○下村定君 私の言い方が過ぎたかもしれませんが、もしそうでございませんでしたら、取り消します。 大蔵大臣にお伺いしたいのでございますが、この防衛力整備に充当する経費を最小限度に押えることについては何の異存はございません。これは至当のことだと思う。これは予算を立てる上の技術上やむを得ないことかもしれませんが、とかく国民所得に対して幾ら、財政の全般に対して幾らだとかという数字的なことを数年度にわたってきめまして、そのワク内で防衛力を整備するという形をとりますのは、これはいろいろな見地において私は主客転倒じゃないかと思うのであります。また、せっかく経費を節約いたしましても、後に申しますが、安かろう悪かろうではこれくらい不経済なことはないと思います。役に立たない自衛隊を持っておってはたしていいのでございましょうか。逆に申しますと、また、軍事情勢、世界情勢は刻々進展しております。これに即応して防衛体制を整えるためにも、また、先ほど他の委員から質問されました見地から申しましても、もっとこれは弾力的にまず内容を考え、そうしてそれに金をあてがうべきものじゃないかと思うのであります。従来、大蔵大臣ばかりじゃございませんが、財政当局から防衛に関して御説明が御審議の場合いろいろございます。それを私はしさいに拝見しておるのでございますが、とかく国防予算を圧縮するのだ、小さくするのだということは非常に強く打ち出されております。ところが、その予算が自衛隊の現状にかんがみてそれが最小限度であるかどうかというような御説明はないように思います。これは防衛庁のほうでなさるのがほんとうかもしれませんけれども、財政当局におかれましても、国全般の処理の見地から御配慮されてしかるべきだと存ずるのであります。本年、今、国会で審議せられておりまする予算案、あれに対する大蔵省の原案と申しますか、あるいは第一次の査定案と申しますか、それを拝見しますというと、昨年国防会議で確定をされた第二次防衛計画の大事な柱がくずされるような査定がされました。これはあとで相当復旧されましたけれども……。また、治安関係の予算に至っては大蔵省の原案はさらにひどかったと思う。これも相当復活はされました。こういう点につきましても、あるいは例が当たらぬかもしれませんけれども、財政当局とされましては、もう少しやはり広い見地からこういう問題をお取り扱いいただいたほうがいいのじゃないかという感じがいたします。大蔵大臣、どうですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 攻撃力というものは年々変わっておりますので、これに対する防衛力というものも最低限度をどこにおくかということはこれはむずかしい問題だと思います。そこで防衛のためのほんとうの計画、これなら自信をもって防衛できるという最低限の計画も、これは防衛当局はすべきものでございまして、この計画は私どもも承知しております。しかし、その場合に、これでなければ今申しましたように、防衛力にならぬというけじめというのはなかなかむずかしゅうございますので、それは増強すればするに増したことはなかろうと思います。そこで、その問題と、財政力の問題をどう調整するかということが現実の問題でございまして、国力に応じて防衛力は漸増、整備するという方針になっておりますので、私どももそのものさしとなるべきまず国力というものを一応考えなければなりませんので、これは御承知のように、今後五年間にどういうふうになるだろうか、財政力が大体どうなるであろうかというような推算をいたしまして、そうして、防衛力と国の他の施策との均衡ということも、これを特に害さないで防衛力を漸増するという方法をとりたいということから、この比率についても、過去の実績を全部検討しまして、一応この辺の基準が妥当であるという基準もこしらえ、それから将来の財政力を勘案して、私どもは計画の一応財政のめどというようなものをつけたわけでございますが、しかし、これは今後五年間の問題でございますし、今申しましたようなこれは防衛力というようなものも必要に応じてどういうふうに変わっていくかわかりませんので、これをきちっと、一定の財政のワクにおさめるということは無理だと考えますので、私どもは計画に、一割の財政力に幅を見まして、ゆとりを一割つけて、この範囲内の計画で、年次計画として順次増強していこうという、今処置をとっているわけでございまして、必要な計画を、財政で頭から押えてしまって計画させないということは、確かに本末転倒でございましょうが、そうじゃございませんで、一応これだけの計画ができれば、まあ最低の防衛力と言えるだろうという防衛当局の計画と、一方財政上の問題に折り合いをつけて、第二次計画のあの程度のものに落ちついたということでございますので、財政上だけでこの計画の骨を抜いてしまったというような事情はございません。
○下村定君 時間がありませんから、次の問題に移ります。 それは兵器装備の国産化と防衛産業の育成でございます。先般の一般質問の経過中に、委員の質問に対して、総理大臣も、防衛庁長官も、科学技術庁長官も、いずれも在来兵器というものは依然として価値がある。だからこれを維持し開発することは必要であるという御答弁がありました。そこで、自衛隊の在来兵器の状態でございます。詳しいことは一昨日、防衛庁長官並びに通産大臣と詳しく問答いたしましたから省略をいたしますが、順序として簡単に申しますと、現在自衛隊の持っております兵器、ことに陸上の兵器は大部分が衰損しており、また、旧式化したものが多いのであります。これを従来のように、アメリカから補充をしてもらい、更新をしてもらうということは困難であります。のみならず、ドル防衛の関係というものも考えなければならない。これは質の問題でございますが、量に至りましては、私は、なおさら心細いと思う。昔の戦争では、侵略を受けましてから国の潜在工業力を動員しまして、これを軍事産業に転換をし、どうやら間に合ったのであります。しかし、最近の戦争ないし事変を見ますと、もうそういうことでは間に合いません。詳しい例は略しますけれども、あの朝鮮戦争におきましてアメリカがあれだけ大きい潜在工業力を持っておりながら、いくさの初期には敵からひどい目にあいました。間に合わなかったのであります。そのほかイギリスにしろ、フランスにしろ、同じ例がある。しかし、この観念は私は今の時勢にはすでに適しないと思う。好むと好まざるとにかかわらず、最小限の兵器の数量はふだんから持っていなければならぬ。これについて防衛庁長官に……。
○国務大臣(藤枝泉介君) 現在の自衛隊の持っておりまする装備につきましては、御指摘のありましたような点が多々あるかと存じます。したがいまして、今後は特にアメリカの軍事援助等も減少の傾向にありまする将来に向かいまして、国内においてこうした装備の生産をする基盤を作っていくことは確かに必要でございます。その意味におきまして、十分今後もこの方向に進めて参りたいと存じます。
○下村定君 そこで、これは御質問申し上げたかったのでございますが、時間がありませんから、私のほうで申します。現在この日本の兵器生産に関する額、それからそれと一般の国内の総生産ないし金属鉱工業生産に対する比率を見ますというと、一般生産に対しましては、昨年度〇・六、それから金属鉱工業につきましては一・二でございます。外国の例は、詳しく申しませんが、本年二月に出ました英国の国防白書によりますというと、ただいま申しました総生産に対する額は六・幾らであります。何も数字で多いとか少ないとかいうのではありませんけれども、日本のこの兵器工業の全般の国の生産力に対する比率というものは非常に低いものであるということを申し上げたいのであります。そこで、装備の国産化ということは、防衛力を整備するため緊急の課題でありますのみならず、これを政治経済の上から見ましても、先ほど総理大臣もお述べになりましたが、このことによって、国全体の生産力並びに技術の水準を高めるというような利益があります。したがって、経済の伸びを大きくし、また兵器は輸出しませんでも、軍事科学によって刺激をされた航空機、船舶というようなものを輸出することによって貿易の拡大に寄与することもできます。また外貨の流出を抑制する手段にもなろうと思います。こういう軍事、政治経済両面から考えまして、この防衛生産の育成と申しますことは、わが国にとりましてもこれは大事な課題であると思うのであります。しかるに、現状を見ますというと、これはいろいろ理由はありましょうけれども、この方面の施策ははなはだ低調でありまして、従来、兵器の一括長期契約というようなものは、あるにはありますけれども、民間の会社の兵器の研究開発、生産を助成するための方策は、私ははなはだ低調であると観察せざるを得ないのであります。で、たとえこの防衛産業育成のために大きな費用を一時に出すということは、これは全般の関係からできないことは私もよくわかりますが、そうでなくて、今の長期一括契約の制度を拡張するとか、あるいは所要の法律を制定をするとか、いろいろ工夫をすれば手段があるのじゃないかと、また、それがごく望ましいと思います。それにつきまして総理大臣の御意見を伺いたい。
○委員長(湯澤三千男君) 下村君の持ち時間は終了いたしました。
○国務大臣(池田勇人君) 兵器産業がわが国の技術の更新その他に貢献することは非常に大きいことであると思います。したがって、今後もわれわれは適当な方法で助成していきたいと考えております。発注の方法その他につきましては、私は直接その衝に当たっておりませんので、防衛庁長官からお答えいたします。
○国務大臣(藤枝泉介君) 防衛装備の生産の技術が最近において非常に高度化され、発達をいたしております。そのことが、その技術がまた平和産業への非常な刺激になることも考えられますので、これはどこまでも育成していかなければならないと思います。ことに、発注その他につきましても、受注者側が計画的に、それが生産の計画が立てられますように、三十七年度におきましても、現在御審議をいただいておりまする予算の中においても、長期一括発注形式をとっておるわけでございます。こうした面につきましては、できるだけ今後もその方式を財政当局とも御相談をいたしてやって参りたいと存じます。また、民間の研究開発あるいはそれに要する資金のあっせん等につきましても、関係当局と十分連絡をとりまして、これが促進に努めて参りたいと存じます。
○矢嶋三義君 ちょっと関連。非常に下村委員から熱心な質疑があり、ある角度から私は非常に傾聴さしていただいたのです。しかし、非常に重要な問題でありますから、総理に一つ伺いますが、先刻わが党の羽生委員の質疑で冷やかされて、続いて下村委員の質問であたためられて、あなた方は無重力状態になっているかと思う。下村委員の質疑に対して、私の聞いているところでは、無重力状態でお答えになられているような感じを受けるのです。私は、先輩として下村委員を尊敬しております。また、本日の質疑の内容は、ある角度から見て非常にりっぱで、傾聴に値する内容をたくさん持っておったと思います。しかし、問題は、私は下村委員が主張されている一連の主張——そうして行政府に御要望申し上げておきます。これは、今の憲法九条を、今のあなた方の立場に立っての解釈でも、私は、御期待に沿うことはできないのではないか、この憲法九条の問題が解決しなければ。下村委員の一連の主張に、御期待に沿うべく行政府が努力することは、憲法九条との関係があるのではないか、かように私は先ほどから質疑応答を承っておって、非常に重大だと、今後のわが国の国政の方向からいって一応どうしても総理のお気持を承っておかなければならぬ、かように思うのですが、どういうお考えを持っておられるか、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 私は、下村委員にお答えしたことは、何ら憲法第九条に違反していないと私は考えております。
○委員長(湯澤三千男君) 下村君の質疑は終了いたしました。 明日は午前十時に開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時四十三分散会