予算委員会 第17号
- 発言数
- 312 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1962/03/22
会議録
○委員長(湯澤三千男君) これより予算委員会を開会いたします。 昭和三十七年度一般会計予算、昭和三十七年度特別会計予算、昭和三十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 質疑を続けます。横山フク君。
○横山フク君 まず、厚生大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、人口問題に関しまして、厚生大臣はどういうふうにお思いになるのか。出生率が非常に下がって、京都のごときは十四、平均して十七という形になっておりますが、この問題に対しましてどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) お答えいたします。わが国の人口の動態が、昔はいわゆる多産多死型と申しますか、出生率も多いかわりにまた死亡率も高かったわけでございます。近来この状態が非常に変わって参りまして、いわゆる少産少死型に移って参りました。人口の構造が大きく変わって参りましたので、その関係からいたしまして、国民生活にも非常に大きな影響を与えて参っておる次第でございます。生産面でもあるいは老令人口が近年非常に著しくふえて参りましたのに対しまして、幼少人口が減っていくような傾向になって参りましたことは、将来の人口問題といたしまして、この辺について特に検討をしなければならないものがあるように思います。
○横山フク君 幼少人口の急減、この問題はあとで伺うことにいたしまして、この人口増加率が非常に急カーブに落ちたということの内容を分析いたしますと、結局人工妊娠中絶が非常に多くの数を占めております。それが言えると思います。申すまでもなく、真の民主化というものは人権の尊重である。人権の尊重の一番基盤をなすものは人命の尊重だと思う。その人命の尊重は胎児であろうとあるいは普通の人であろうと変わりはない。ところが、それが簡単に経済上の理由とか、母体の健康上の理由で中絶されている姿は嘆かわしい姿だと私は思う。ことに、これが健康保険で認められているという形、健康保険で認められているならば、それはおそらく健康上の理由だ。健康上の理由でもって胎児を中絶する、命を断たなければならないという形は相当の病気があるからであります。ところが、そういう病気を抜きにして、ただ中絶そのものだけが健康保険に入っているという姿は、好ましい姿ではないと私は思うのでございます。厚生大臣はどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 人工妊娠中絶は、御承知のように経済的に特別困難な家庭でありますとか、あるいは母体の保護の必要な場合に限って認められておるものであります。みだりに人工妊娠中絶を行なうというようなことは望ましいとは私は思っておりません。届け出になりました人工妊娠中絶の数だけでも百万件をこえるような状況でありまして、それ以外にも相当あるものと推定をせられておるわけであります。これにつきましては乱用せられることのないように厚生省としてはもっと積極的にこれは注意しなければならない事態である、かように考えておるわけであります。できるだけすこやかな幼児をたくさんに持つことが最も必要だと、こう思っております。特に注意しておる次第であります。
○横山フク君 ある外人は日本は堕胎天国だと言っております。大っぴらに堕胎ができて、しかもその手術は技術が非常にすぐれておって、そうして安い。だから観光を兼ねて日本を訪れて中絶をする、これは外国の新聞に出ている。またある外人は、日本に中絶なんかが多いのはあたりまえだ、日本という国には宗教がないから、だから人の命を断つのは何とも思っていない、無理もない、あの大戦であんなに人を殺したじゃないか、こういう形を喧伝されているということは非常に残念な姿だと思うのでございます。私は、健康保険まで認められているということで、私は国がそういう形に何らか法律改正に本来は行きたいとは思いますけれども、少なくとも健康保険でそれを拡大解釈するような形にあるということは、好ましくない姿だと思うのでございます。重ねて厚生大臣にお願いしたいと思います。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 先ほどお答え申しましたように、人工妊娠中絶が認められる場合は限られておるわけでございますが、その限界をこえましてこれが行なわれるということは、われわれとしても見るにたえないところでございます。健康保険におきましても、この規制は当然のことでございまして、もしこれが乱に流れるというふうなことがあれば、よほど規制を加えなければならないものと存じます。御本人はもちろんのことでございますが、これに関係する医師の方々に対しましても十分その辺のことについて注意もし指導もし、また道徳的にもよほど考えてほしいものと私どもも存じます。健康保険だからというので、乱に流れることのないようにいたしたいと存じます。
○横山フク君 最近ある週刊誌でございますが「死産胎児−捨てられた小さな生命」、「年間、三百万の小さな生命が、ボロのように捨てられている人工妊娠中絶」、こういう見出しでもって週刊誌に載っているのです。そうしてそこには摘出された胎児が実物で名前までついて写真に載っているのでございます。「たしかに一個の人間なのだ」、こういう形、あるいは「とり出されたとき、この子は猫のような声を出した。」といって、その赤ちゃんの写真が大きく載せられているのです。あるいはそのあとのほうでは、取り出された胎児が重なって、そうして名前までついて写真に載っている。「この子はもう物体でしかない」という形で載っている。そうしてその中にあるところの記事を見ますと、「私は好きな人と同棲しているだけで、子供が生まれても、籍もないとかわいそうだし、それにまだ、ほしくないんです。だから、経済的理由ということで手術をうけました」ということをその人が告白しているのが出ているのでございます。あるいはそのあとのほうで、死亡届けを出す、その死亡届けには父母の名前を書く欄があるが、お父さんはだれなの、お母さんはだれなの、お母さんはあなたなんですよ、あら私がお母さんなんですか、と言って赤い舌をペロリと出して笑い出したといっている。非常に今のこの風潮というものは嘆かわしい風潮であると私は思うのでございます。文部大臣は、これに対しましてどういうふうにお考えになりますか。純潔教育というのは一体どういう形で進められておりますのか、お伺いいたしたいと思うのです。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 学校教育の面では、道徳、社会科、保健体育科、特別教育活動などで純潔教育に関する内容を指導することにいたしております。たとえば中学校の道徳におきまして、異性関係の正しいあり方をよく考え、健全な交際をしようという項で指導しております。また、中学校の保健体育科におきましては、中学校生徒の心身の発達の特徴の項におきまして、身体的発達、精神的発達、行動の特性及び身体的発達と精神的発達との関係について理解させることにいたしております。また、高等学校の社会科には倫理社会におきまして、人間性の理解の内容における青年期の問題におきまして、純潔教育の問題を取り扱っております。また、中学校及び高等学校の特別教育活動におきましては、学級活動、中学ではホーム・ルーム、高等学校の時間におきまして、心身の健康の保持の内容としまして、性に対する正しい理解と処理を指導することにいたしております。 さらに、社会教育におきましては、純潔教育の普及をはかるため必要な資料を作成しまして、社会教育関係者及び一般の参考に供しております。また、婦人学級やPTA、社会学級、青年学級等の諸講座、社会教育関係団体の学習活動として、家庭教育の向上をはかって、青少年の健全育成をはかっておるのであります。家庭教育におきましては、直接、強力な指導もいたしかねますが、これは親の子供に対するしつけの一つの事柄として期待しておるような次第であります。
○横山フク君 時間の関係で重ねて伺うことができないんですが、親が子供を教育するという問題はあとで伺わせていただこうと思いますが、純潔教育と同時に、その性道徳というものと同時に、人の命を大事にする、人命尊重、ここを基本となして、そこからおのずからルールができてくるのではないかと思うのです。まあそういう意味で御教育願いたい、教育方針をおきめいただきたいと思うわけであります。 次に、こういう雑誌が出て、ここには、全部の人たちの涙と怒りを誘ったとありますけれども、実際にこれを若い娘さんたちが見た場合に、私は涙や怒りを誘う前に、妊娠した場合にはこういう方法があるんだという教えをくんで、安易な方法をとる以外にないと思う。私は雑誌がもう少し健全な形をとってほしいと思う。で、幸いに、と言いますか、二十八日に児童福祉審議会でもって勧告権を発動する——勧告権を発動するという形は好ましくないけれども、いかがわしいものに対してはそこまで行こうと踏み切るような形をとっているということを新聞で拝見いたしましたけれども、厚生大臣に、この児童福祉審議会の出版部会のあり方等について、御説明願いたいと思います。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 審議会に出版部会というものがございまして、児童の健全な育成その他につきまして有害なものにつきましては、勧告権を行使いたしまして、自粛をうながすことにいたしておる次第であります。ただいまお述べになりましたような問題につきましては、その勧告権を発動いたしたいと存じております。
○横山フク君 非常に勧告権というものはむずかしい問題だと思われるし、行き過ぎてはいけずで、むずかしい問題だと思いますので、しかるべく御措置をお願いしたいと思っております。 次に、私たちはこういう人工中絶という形が好ましくない姿で、対外的にもよくないんでございますので、家族計画という形で推進しておるわけでございますが、なかなか思うように進まないところに大きな嘆きがございますが、厚生省として、家族計画に対してどのくらいのお力をお入れいただいておるのか、お伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 家族計画につきましては、横山さんよく御存じだと思うのでございますが、母体の保護、母子の保健の見地から、保健所に付設されました優生保護相談所を中心にいたしまして、昭和二十七年度から受胎調節実地指導員制度を設けております。また器具、薬品等の購入に困難する人たちに対しまして、低額あるいは無料でそれを配付する制度を設け、さらにまた中小企業の家族計画普及事業に対しましても、ある種の助成補助制度等を行なって、適正な家族計画の推進に努めているような次第でございます。人口の資質を向上する対策の一環としましても、できるだけその普及に努力いたしたいと存じております。現在の普及率は大体五〇%ちょっとこえる程度ではないかと思っております。
○横山フク君 ただいまのお話でございますが、優生保護相談所はもう三十六年度で打ち切りのように私は伺っております。でございますので、私は実地指導員が指導する——私も実地指導員の仲間でございますけれども、実地指導員が指導する対象という者以外のところに、私は指導の手を伸ばさなかったら意味がない、低所得者あるいは生活保護階級というのでなくて、それより以外の、あるいはこういう新聞雑誌に載っているような人たちに対しこのPRというか、指導というものがなければならないと思う。私は、それは厚生省でなさる前に文部省で、あるいは高等学校の一つのセックスの、性の教育をするときに、ある程度こういう方面のことを——行き過ぎて、まあ教え方に非常にむずかしい問題があると思いますが、あるいは花嫁になるときに、結婚するときに教えるというような形をとらなければ、子供が三人もできてからの家族計画ではなくて、そのときはもう中絶あるいは子供を一人も作れない計画という形になるのですから、その出発点というのが私は違うのじゃないかと思うのですが、文部大臣は、この家族計画に対してどのくらい学校教育ですか、あるいは花嫁——いろいろな面で御指導ですか、方針をお立てになっていらっしゃるのでしょうか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。先ほどお答え申し上げましたように、一般的な男女間の性的な関係につきましても、教育をする建前でございますが、家族計画とおっしゃることそれ自体について、具体的にどういう指導をしておりますか、そのことまでは確かめ得ませんけれども、必ずしもお尋ねにお答えし得るような具体性を持った指導は行なわれていないと存じます。
○横山フク君 次に移らしていただきます。最近経口避妊薬を厚生省で許可される態勢になったということを私は伺っておりますが、経口避妊薬に対してどういう御処置をおとりになるのでございましょうか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 現在経口避妊薬につきまして、製造商人の申請が行なわれておるわけであります。この経口避妊薬につきましては、中央薬事審議会の新医薬品調査会におきまして、現在検討いたしておるところであります。この経口避妊薬はホルモン剤の一種でありまして、かつ相当長期にわたって続いて用いられるものでありますから、特にそれがいいか悪いかという検討につきましては、慎重を必要とするのでございます。調査会の専門家の数を臨時に増加いたしまして、慎重に検討を行なっているような次第でございます。この問題につきましては、それが社会的に及ぼす影響も大きいわけでございますので、医学的、薬学的な見地からの検討のほかに、行政上の取り扱いにつきましても格別の考慮を払う必要があると考えられますので、この面についても同時に慎重を期しておるような次第でございます。
○横山フク君 ただいまのお話で私ははっきりしないんですが、ではまだ未確定ということでよろしゅうございますか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 目下慎重に検討中でございますので、お話のとおりに未確定でございます。
○横山フク君 で、いつごろ結論を出すおつもりでいらっしゃいますか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 今申し上げましたように検討中でございますので、まだいつ結論が出るということを、確たることを申し上げる段階でございません。
○横山フク君 私はこの四月の五、六日ごろに内分泌学会が神戸で開かれて、そこの答申を待って調査会が開かれて、そして薬事議会にかかって、そのあとでは許可する方針であるということを、私はしかるべき筋から伺っておるのでございますけれども、それはまだその人のあるいは想像であって、そしてそういう形はとらないんだというふうに解釈してよろしゅうございましょうか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 専門の学会の方たちの御意見も十分伺わなくちゃならぬと思いますから、審議会といたしまして、先ほど申しましたように、臨時に人までふやしまして慎重に検討いたしておる次第でございます。
○横山フク君 あとで社会部会なんかで伺うことにいたします。 で、人口問題は今まで伺いましたのは量の問題だと思うのです。質の問題というのがあると思う。私は、今までは人口問題はただ悪いものを押えるという形の角度が優生保護法の角度だったと思う。優生保護相談所もその角度だったと思う。しかし、これからはいいものを伸ばすというほうの角度に変えていく、今曲がり角に来てるんじゃないかと私は思うのでございます。申すまでもなく、資源の開発利用のためには科学技術の革新と健康なからだと透徹した頭によるものであるということは申し上げるまでもないので、わが国のように狭い国土で資源の乏しいところで、しかも人口の稠密したところでございましては、もうこの人的資質の向上、これ以外には繁栄と幸福の道はないと考える。で、この人口問題というものは民族の資質向上という角度から考えるべきであろうかと思うのですが、厚生省ではこういう角度からどういう対策をお講じになっていらっしゃいますか。あるいはどういう検討をなすっていらっしゃいましょうか、お伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 出生率が減少いたしまして、将来の日本をになう人口の上におきましてもよほど考えなければならない段階に来たかと思います。ことに労働人口等のことを考えました場合にそう考えるわけであります。それだけに人口の資質の向上をはかっていく、人間の能力の向上をはかっていくということは、将来の日本といたしまして特に大切なことではないかと考える次第でございます。さような意味合いにおきまして、妊娠中から十分気をつけまして健全な子供さんを生んでいただく、さらにまた、幼少人口の死亡率をさらに減少いたしまして健全に育てていくということに主眼を置かなければなるまいと思うのでございます。妊娠中の妊婦の方たちの健康指導等につきましても、一そう努力する必要もございまするし、また、出産後の母子の保健衛生におきましても、もっともっと充実した施策をしていかなければならぬ、おかげさまでだんだんとその方向につきましても手をつける状態になって参りました。御承知のように、三才児の一斉検診というようなことも行なわれます。こういうことによりまして幼少人口を育成する上に大きく役立つだろうと思うのでございます。 来年度はまた妊娠中毒症に関する若干の施策を講ずることになって参ります。これが適正に行なわれますれば、将来もっと健康な子供さんを生むこともできるだろうと期待をいたしておる次第でございます。何分にもまだ不十分でございますので、この方面につきましては、さらに一そうの努力をいたしたいと存じております。
○横山フク君 今の御答弁は生まれてから後の指導といった問題に入っていると思う。そうじゃなくて、生まれる以前にこれは相談するというか、あるいは指導の手を伸べるべきだと思う。先ほどお話しになりました優生保護相談所は、三十六年度で閉鎖になると伺っております。私は悪いものを押えるという角度の、そういう面からの相談のケースがなくなったから閉鎖するという形になったと伺っております。そうではなくて、さらにこれをいいものを伸ばしていくという角度から、これを発展的にむしろ内容を充実していくべきものであるかと考えるのでございますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 優生保護相談所は明年度から廃止ということではございません。継続してこの活動を促して参るつもりでございます。所管が公衆衛生のほうから児童保護のほうに移ったというだけのことでございまして、お話のとおりに、優生保護相談所の活動をさらに充実し、促進させるために努力して参るつもりでございます。お話のありましたとおりに、生まれた後だけでなく、妊娠中から気をつけて参る、そうして妊婦の指導につきまして手の届くようにいたしたいというのが私どもの考え方でございます。保健所の優生保護相談所を一そう活用いたしまして、この方面のことに努力いたしたいと思います。
○横山フク君 私は追及いたしませんが、優生保護相談所の費用は家族計画普及会で一切持つような形になったということを家族計画普及会のほうからはっきり聞いております。君にそれはやめます。 で、この悪い素質を断って、よい素質を伸ばしていくというためには遺伝学的な指導ということがほしいと思う。遺伝学的な素質を持ってその指導に当たる人が一体そこに何人配置されているのでございましょうか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) この相談所につきましては、十分ではございませんけれども、政府も従来と大体同様の予算を盛っておるわけでございますが、一そう内容の充実には努めて参りたいと思いますが、内部の人的構成につきましては政府委員からお答えを申し上げたいと思います。
○横山フク君 いいです。時間が制約されておりますから。それはまた社会部会でゆっくり伺うことにします。弁解を伺う時間がないように思いますので。 で、これは優生学の大家である福田邦三さんがはっきり言っている。日本で優生学的に指導する相談相手になっていただける人がない。これは人口問題研究所でも、人口問題審議会でもこの問題が一つの何といいますか、欠陥になっているのです。ですから、この問題がうまく指導ができるはずがないと私は思う。そういう点はもう少し今後充実してやっていただきたいということを私はお願いいたしたいと思います。 次に、先ほど厚生大臣が御答弁になりましたように、幼少人口の激減でございます。現在は百三十七万くらいが年間生産年令の中に増になっていると思います。しかし、四十年から四十五年に対しては九十一万くらいになる、三分の一減ってくると思うのです、さらに四十五年から五十年には五十万、三分の二は減ってくると思うのです。現在のように百三十七万からの人口増といいますが、幼少の年令はさらに大きなものでございますが、死亡と差し引いてそのくらいになる、これがこういうふうに急角度に人口の出生率の急減から生産年令に送り込まれる人たちが急角度に減ってくる、このひずみがどこかにくると私は思う。現在でも中小企業が人手がなくて困っておるわけでございますが、これがそう遠くない将来、昭和四十年には相当大きなそのひずみがくる、四十五年にはさらにくると思いますが、この中小企業の体質改善ということが、今後ますます強く要請される問題であろうかと、あるいは農林関係におきましても、今、食料品が高い。野菜が高い。で、これが物価高といいますか、物価高の寄与率に対して大きな影響を持っているのですが、これの原因がまた農家の人手不足や生産性の立ちおくれにあると思うのです。人手がますます足りなくなったら、この問題を真剣に考えていかなければならぬ問題だろうと思うのですが、通産省あるいは農林省では、どういうふうにこの人口不足に対して、両面からの人口不足に対する対策をお考えになっておりますか、伺いたいと思います。
○政府委員(森清君) 大臣は他にのっぴきならない所用がございましたので、私がかわって御答弁申し上げたいと思います。当省の所管物資を見ますと、総じて生産性が向上して参りまして、それに伴いまして物価は下落をしております。ただし、一部の中小企業にありましては、労務費が非常にかさんできておりますので、なかなか思うように物価の低落を見ないという状態でございます。特に耐久消費財等に至りましては、三十年から三十六年までの平均を見てみますと、一〇%から五〇%ぐらい下がってきておる。これは御存じのように、ラジオやテレビや、そうした機械類でございますが、基礎物資を見ますと、たとえば鉄鋼、電気、機械等はおおむね一〇%の値下がりを見ております。
○田中啓一君 ちょっと関連して。私ここでひとつ今横山さんのおっしゃったような問題、それからまた文部大臣にもいろいろ御質問になっておるのでありますが、それらの問題をきわめるにつきまして、ひとつ基礎的なデータがぜひほしいのであります。それはむずかしいものをいうのじゃございませんが、厚生大臣、厚生省の方にお聞き願いたいのでありますが、三十七年から先、約二十年間ぐらいにわたりまして、毎年どれくらい生まれるのだろうか。毎年どれくらい死ぬのであろうか。したがって、年令別の日本の人口構成はどのようになるのかというのを、これは百二十枚ほど作らなければなりませんが、もうずいぶん御研究になっておりますから、労をいとわなければできるかと思いますので、それをひとつ御提出を願いたいということが一つ。 それからもう一つは、教育にも非常に関連するのでございますし、また、経済問題にも関連するのでございますが、生まれるうちでいわゆる精薄児といわれておるようなものがどれくらいの割合になるか。精薄を通り越して白痴というようなものもございましょうが、どれくらいあるのか。それから不具に属するでありましょうが、盲とか、ろうとか、あとかいうような人、あるいは手足その他が不自由な人、そういうようなものの割合も、これはできるかと思うのでございます。私どもは、そういう人たちも何とかひとつできるだけ教育をして、そうしてみずからも飯が食え、社会にも貢献できるように彼らがなっていけば、私は非常に好ましいと考えておるのでございまして、これは文部省のほうにも、若干資料がありましょうし、厚生省のほうはもちろん本職でございますので、これは、中には資料をすぐというわけにはいかない部面もございましょうが、何か毎年こういう割合になるのだ、こういうようなものを、これはできるだけ明らかになるように資料をお作り願えませんか。こういう要望でございます。 以上二点、これは非常にいろいろな論議の基礎データになると思うのです。
○国務大臣(灘尾弘吉君) できるだけ資料を整えまして提出いたします。
○横山フク君 すべてのことを人口問題を基礎にして計画を立てなかったら、いろいろの点でゆがみがくるだろうと私は思うのです。それで第二次産業から第三次産業に移行する、あるいは大企業のほうに移行するという形になったのです、中小企業は。あるいは農業のほうの労働人口がとられますが、それにも増して生産年令人口に送り込まれる人の減少がひどいわけです。それとのにらみ合わせからも、零細企業なり農業の近代化といいますか、生産性の向上ということの速度というものを早めなかったら、ひずみが二重のひずみとしてくるだろうと思いますが、こういう点に対して格段の御措置をお願いしたいと思います。 それから人口問題のもう一つの問題は、寿命が延びました結果、老人が非常にふえて参ったわけであります。前時代的な家族制度というのが破れて夫婦単位になった。その結果、老人が町からはみ出てきたという感じが強いわけであります。家族の中の人間関係がこわれて参った。個人主義を主としておるところのヨーロッパでも、家族の間のモラルというものができておるわけでございますね。スープのさめない距離に限界点を置いて、離れて生活していますが、スープのさめない距離という形になっておるわけであります。日本ではなかなか過渡期にある、その上に老齢人口がふえてきた、その二つで今老人問題というのは非常に大きな問題になっていると思うのです。厚生省では老人クラブが二万できたといって喜んでおられますけれども、私は急速に二万できたというところにこの問題が大きな問題として浮かび上がってきているのだと思うわけでございますが、厚生省でこの老人対策に対して、どういうふうなお考え方を持っていらっしゃいますか、お教え願いたいと思います。
○国務大臣(灘尾弘吉君) お話のとおりに、老齢人口がだんだんふえて参っておるわけでございます。しかも、また家庭生活の状況も変わって参りました。いわゆる近代化の傾向と申しますか、さような状態になっておりますので、各方面からこれに対して対処する道を考えなければならないわけでございます。厚生省といたしましては、このふえていく労働人口、老齢者の方々に対する社会保障的方面の充実を一そうはかって参らなければなりません。また、従来からやっておりますところの老人福祉の施設等につきましても、一そうの充実をはかって参らなければならないと存じまして、関係の諮問機関に対しましても、この老人福祉対策について、適正な方策を検討していただきたいというような諮問を発しまして、今日検討中でございますが、あるいは老人ホームでありますとか、あるいは老人のアパートでありますとか、あるいは老人クラブでありますとか、いろいろ考えられる道はございますが、これらにつきまして一そう拡充して参らなければならぬと思いますが、同時に、老齢年金その他につきましても、今後その内容の充実を一そうはかって参らなければなりません。同時にまた、いわゆる老人病と申しますか、そういうふうなものが大きく取り上げられて参りまして、この老人病対策につきましても検討を進め、研究を進めまして、老人の生活の上に一そうの福祉がもたらされるようにいたしたいと思います。
○横山フク君 次にもう一度厚生大臣にお伺いしたいのですが、私は現在の民法が個人を重視して、自然的媒介的統一体たる家庭を軽視している。そして家庭が危殆に瀕することほど、国民の精神的、道徳的状態をゆがめるものはないと思うのであります。家庭というものが基本にならなければならぬと思うのですが、家庭保護、厚生省でかつて青少年家庭問題省というものを、これを児童福祉審議会で審議され、その中の家庭作り、それに対して何らかの方針をお立てになるように伺っておって非常にいいことだと思ったのですが、あの問題はどういうふうになったのでございましょうか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 家庭が大事であることは申すまでも、ございません。ややもすると、家庭が崩壊する傾向もないとは申し上げにくいのであります。また、ある意味においては、これは必然的な傾向があるというふうに考えるのでありますが、その間に家庭作りにつきまして十分配慮しなければならぬと思うのでありますが、この問題につきましては、厚生省といたしましては検討を重ねておるところでございます。ことに近ごろの年若い青少年の状態を考えますときに、この問題を改善いたしますためには、家庭というものが非常に大きな役割を果たすと存じますので、いろいろな対策と合わせてこの問題についてはさらに検討を続けて参りたいと存じます。
○横山フク君 現在ある家庭を保護する、あるいは指導するという形でなくて、将来家庭を作らしてあげるという形に対しての家庭青少年問題省がそれをやっているのだ。売春防止法を作って——これは非常にいいことだと思うのですが、それで売春婦の保護更生をするというのは当然だと思うのです。しかし同時に、青年が家庭に落ち着きやすいような状態にするだけの行政的施策というものがなかったら、これは片手落ちといいますか、片手落ちという言葉もおかしいけれども、意味がないと思うのです。厚生省で心配事相談所を作るとか、あるいは結婚相談所を作るとか、あるいは結婚して籍を入れたときに、そういう人は同時に優先的に住宅公団の家に入れるというような、そこまでの配慮をしていただいて、家庭作りに一生懸命になっていただかなければならぬのじゃないかと思うわけです。厚生大臣にその点のお考えを承らしていただきたいと思っております。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 御趣旨はごもっともでございます。いろいろな角度から総合的に努力しなければならぬと思うのでございます。健全な、正常な家庭を作るために、教育的な面もございましょうし、あるいは保健衛生的な面もございましょうし、また最も大きな問題として頭を悩ましておる問題は住宅の問題でございます。この住宅の問題、住居を与える問題につきましても、関係省その他と協力いたしまして厚生省としても努力を払わなければならない問題と存じております。
○横山フク君 次に三木長官に伺いたいのでございますが、かつて、社会党で三合牛乳ということを言われた。私は社会党の言われた三合牛乳、社会党が言ったことでもだれが言ったことでもいいことはいいと思った。ところが三木長官はさらに五合牛乳ということを言われたように新聞で拝見したのですが、どういう角度からおっしゃったのですか、具体的なお話を承らせていただきたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 五合、三合は別として、牛乳をふんだんに乳幼児、学童に飲ますということは、非常に体位の向上からいって必要なことであります。これは日本は諸外国に比べまして、北欧などに比べたら牛乳の消費量は十分の一、英米に比べても八分の一、こういうので、非常に先進国としては一番少ないわけであります。しかし、総合的な一つの栄養素を持っておりますのは牛乳以上のものはないと思うのです。そういう意味で、できる限り、牛乳生産量とも関連がありますけれども、できるだけ学童に牛乳を多く飲まそうということは、これはやはり日本の政治として考えなければならぬ点だ。まあ体位の向上というものは、いろいろ知能の上においても道義心の上においても相当それが基礎になると思いますから、科学技術庁においても資源局が中心になって飼料と土地利用との関係というものを今熱心に検討しており、結論が出れば各省とも連絡して、そして牛乳の増産計画、それによる乳幼児に対して牛乳をもっと飲まそうという一つの推進的な役割を果たしたいと考えておるものであります。
○横山フク君 牛乳、あるいはこれと一連のものがいいということは、確かに同じ日本人であってもハワイの二世のほうが内地の日本人よりも体力的にも知能的にも耐久力があっていいわけです。あるいはハワイの二世よりもカリフォルニアの二世のほうがさらにいいということは立証されているので、いいことはわかるわけでありますが、それでは実際に牛乳が学童に給食されているというのを見ますと、結局三十三年が山であって、そしてあと急角度に減っているわけですね。この牛乳が、長官が言われるように、あるいは人的資質をよくする、体力をつけるというような角度ではなくて、酪農振興計画によって、そして牛乳が余ったから価格が下がるといけないから、それを防ぐために学童に給食するという角度から考えられているのですが、これに対して文部大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 なま牛乳が、今御指摘のように、酪農振興法との立場から、牛乳の需給を中心に考えられた制度に基づいて一部なま牛乳が配給されておると承知いたしております。全体の小中学校、義務教育だけを考えましても、その普及度はりょうりょうたるものでございます。一方、牛乳が学童の保健体位上非常に好ましいものであることは今お話しがあったとおりでありまして、昨年学校給食制度調査会からの答申がございましたが、やはり牛乳を義務教育課程の学童に対しましてまんべんなく支給できるようにという角度からの答申は得ております。実際問題としますと、なま牛乳を学童が好むようでございますが、今申し上げたとおり、一部にしか行き渡らない。しかしその必要性は感じられるので、脱脂粉乳を輸入食糧に待ってそれでもって普遍的に給食を実施したいという角度でございますが、なかなか実現は困難でございます。できれば三十七年度から制度的に取り上げたいと思いましたが、まだ緒についておりません。今後努力したいと思います。
○横山フク君 牛乳が余って価格が下がるから学童に配給する。酪農振興の見地から補助金を出して給食する。牛乳が足りなくなったからその給食は取りやめた。豚肉が余ったから、値段が下がるから豚肉を給食する。余ったものを常に学童がもらっていて、そうして道徳教育をしていらっしゃる。あるいは人間尊重ということを教育していらっしゃる。そこに何か、こう矛盾的なものをお感じにならないのでしょうかしら。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 矛盾と申しますか、教育的立場から学校給食というものが、行なわれやすいようにすることを念願いたすのでありまして、ただいまの酪農振興の立場からいたしますれば、御指摘のようなことにならざるを得ない本質を本来持っているわけでありますから、違った角度から安定した制度づけを必要とすると考えております。
○横山フク君 その余剰農産物の対策としての学童給食という形は、好ましくない形と私は思うのです。アメリカはこれをやっている。しかしヨーロッパではこういうやり方をしていない。自分たちの大事な子供を育てるのだからというので、自分たちのものをさいても学童にやる。これが私は本質的なやり方だと思う。まあ文部大臣もそういう形でお考えを願いたいと思います。急にはならぬでも、その点は生産者の利益じゃなくて、学童の立場という、あるいは次代国民を愛護するという観点でやっていただいたならば、そこに同じ配給されるのにもニュアンスの違いが敏感な学童はくみ取れないはずはないと私は考えるわけでございます。まして今度はこの牛乳をされますのに、何といいますか、これは酪農振興の対策事業団というのが、競馬の益金の中から学童給食のほうに回されるということを伺っておりますが、これはほんとうでございましょうか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 酪農振興の立場からの制度であると承知しておりますが、ただその国庫補助を出すにつきまして、財源を競馬会からの納付金を財源として支給するようになったと承知しておりますが、いずれにしましても、国の立場において牛乳を学童へという考え方には変わりないのでございまして、問題は、先刻御指摘のように、教育的立場から学校給食を整備するという方向へ持っていく問題として残りましょうとも、財源が直接であるか、あるいは競馬会からの納付金等を引き当てにするかということは、それ自体本質的な相違はないと考えております。
○横山フク君 これは私と大臣とは少し考え方が違うのです。何かのはずみに子供が競馬のテラ銭から自分は牛乳をもらっているという形で、決して子供のためによくはないと私は思う。しかしこれは感覚の違いですからやめます。農林省の方来ていらっしゃいますね。私、日本の農家でもってこの畜産物の加工とか、冷凍貯蔵のための共同利用施設というのがどのくらいできているのでございましょうか、それをお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(中野文門君) 畜産物等の貯蔵冷蔵施設についてでございますが、生産者団体等が牛乳あるいは食肉等の品質を保全し、農村における消費の促進をはかるとともに、取引を有利に改善するために、農林省といたしましては従来から次のような助成の措置を講じているのでございます。牛乳生産者の共同販売体制の確立を促進いたしますためにクーラー・ステーションの設置の補助、これは三十七年度は四十三カ所に五千百五十一万四千——これは五分の一の補助でございますが、計上させてもらっております。さらに簡易屠場及び食肉加工施設——これは冷蔵庫を含みますが、——の助成といたしましては、従来から努力をいたしております。産地の枝肉共同出荷施設の補助等につきましても、さらにまた中小都市の枝肉冷蔵施設の補助等とともに極力努力いたしておるのでございますが、この中小都市の枝肉冷蔵施設の補助につきましては、三十七年度は十カ所につきまして二千百万円——これは五分の一の補助でございますが、計上いたしてお願いを申し上げておるような次第でございます。
○横山フク君 それは直接国庫から、本予算の中から出ておるのでございますね。
○政府委員(中野文門君) お答えいたします。さようでございます。
○横山フク君 私は、そういうものは必要なものでございます。でございますから、補助金を出すのは私は当然であるし、もっと補助金を出して、農村の生活環境の改善とか、酪農振興とかその他をしてほしいと思います。しかし、そういうお金は、畜産振興事業団に競馬の益金を向けても私はいいと思う。そして学童のほうは直接国庫から出すという形に整理されたほうが、私はむしろ直接間接学童に対する気分からいってもよろしいじゃないかと思うのでございます。と思いますが、これは大蔵大臣どうお考えになりましょうか。
○国務大臣(水田三喜男君) 問題は牛乳の需給関係でございまして、全国の学童に牛乳の給食を恒常的に保証できる状態になるなら、これはまたそういうようなお考えでやってもいいと思いますが、今ようやく畜産は、農業政策で、今度の選択的拡大の線に沿って新たに奨励さるべき産業ということになって、今増産を急いでいるときでございますので、この需給関係がどうなるかの問題は、結局農林行政と関係する問題でございますから、私どもはこの調節の問題から、学童給食の牛乳代が畜産振興費の中に計上されておるという形を従来からとってきておりますが、それも結局は今言った問題から出ていることでございますが、これの見通しがはっきりついたというときには、予算の立て方は、今言われるような方向にいっても私はいいじゃないかと思っております。
○横山フク君 何か三木長官が旅行されたときですか、フォール・アウトのことに関して御関心のある記者会見の発言の中に、雨水と乳幼児の問題について特に考えておるというような記事を私は読んだのでございますが、そのことはどういうことになるのでございましょうか、お教え願いたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) まあ昨年の九月以来、ソ連の核実験、それが連鎖反応を起こしてアメリカもやりかねない状態でありますから、そういう点でストロンチウムとか、セシウムとか、そういうものの累積が一体どうなっていくであろうかということを注意をいたしておるわけでございます。それが非常に累積率が高くなっていった場合には、天水の飲用者などに対しては、対策を考えなければならぬ場合も起こる、さらにそれが進んでくれば乳幼児などの対策も考えなければならなくなってくる、そういうあらゆる場合を考えて、完全なこれに対する防衛策はないのでありますが、最小限度に被害を食いとめるということは、行政の責任であると考えてそういうことを申したのであります。
○横山フク君 まあ雨水や何かに対しての具体的な方策というものはまだ確立してないのでございましょうか。
○国務大臣(三木武夫君) これは、一体アメリカの核爆発実験というものがはたして再開されるかどうか、不確定な要素が一ぱいあるわけですから、あらゆる場合を考えて検討をいたしておりますけれども、今どの程度、先ほど申したような放射能の累積というものがあるかということが不確定でありますから、そういう段階に応じての対策を検討しておる、こうやるんだということは、これは非常に相対な関係になりますので、きめておるわけではないわけでございます。
○横山フク君 ホール・アウトの新聞発表を拝見したりするときに、非常に固い感じがするのでございますね。何々マイクロ・マイクロキューリーとかなんとかいって、私たちのように数字に弱い女性にはちょっとわからないようなものになっているのですが、そういうもので一般の方々にお出しになるのでなくて、イギリスのように、出ているけれども、今は自然放射能と比べてそう大してふえてないんだとかというようなことを、具体的な発表というような形、そのほうがむしろ見えざる恐怖感といったようなものを与えないでいいのじゃないかと考えるのですが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(三木武夫君) まあ世界的にマイクロキューリーというような単位を使っておりますから、日本だけが独特の数字を使うというわけにもいきませんので使っておりますが、しかし、必ず発表する場合には、その評価を、今はまだたいしたことはないとか、そういうことはつけ加えてはおるのですけれども、たいしたことのないときには、新聞などもあまり取り扱わない、そういうことで横山委員のお目にとまらないかもしれませんが、必ず発表したときには、その評価というものは、一般の人々が、マイクロキューリーでなしに、現在の段階をどう評価するかということは必ずつけ加えておるのでございます。
○横山フク君 警戒線量というのがきまってないので、評価というのはなかなかむずかしいのですが、まあ今の長官のおっしゃったことで了承いたします。マイクロキューリーというのはさまっているので、国際的なので私もわかっておりますが、もう少し具体的な表現といいますか、しろうとでもわかりやすいような何かがほしいのじゃないかと私は思うのでございます。 次に、一般の人々がおそれ過ぎているのじゃないか、ホール・アウトというのはおそろしいものであるけれども、今実際に人々がおそれているのは、どのくらいの角度なのか、いたずらな恐怖心をさそっているけれども、ぱっと出たときは、ぱっとおそろしいけれども、あとはけろっとしているという感じが強くあるわけであります。私は、それよりももっとおそろしいのは、いわゆる大気汚染という角度から、このほうがむしろ常時あるのでございます。この大気汚染に対して、三木長官はどういうふうにお考えになり、また科学技術庁でどういう対策を立てていらっしゃるのでございましょうか。
○国務大臣(三木武夫君) 横山委員の御指摘のように、大気汚染ということは、重大な都会生活に問題を投げかけておるわけでございます。これは各省の行政と関連していろいろ研究を進めている、たとえば通産省でいえば排気ガスとか、あるいは煤煙、こういうものに対する研究をやっております。建設省でいえば工場の公害、あるいは厚生省でいえば大気汚染の人体に対する影響とか、各省において行政と関連した研究をやっておるわけであります。科学技術庁としては、共通の問題、たとえば大気汚染の測定法、どうして測定するか、測定の基準、こういうものについて、科学技術庁では委託研究費を出して研究をいたしておるわけでございます。しかし、この問題は、現在少し各行政間ばらばらの感じもありますので、科学技術庁としては、総合的に大気汚染の問題を各省が取り組めるような総合性、あるいは緊密な連絡を各省が持つ、こういうふうにしてもう少し強力に大気汚染と取り組むようなことに仕向けていきたいと考えております。
○横山フク君 科学技術庁の計画を見ますと、実をいうと、三十九年度にもまだ測定基準とか、測定方法とか、窒素酸化物のですが……、そういうことでなくて、三十九年度まで測定基準や測定方法をきめるようでは、それからとなると、ずいぶんスタートがおそいような感じを受ける。もう今現実の測定基準をきめ、測定方法をきめて現実に何かしなきゃならぬのじゃないかという感じもするのでございますが、こういう方面は外国でも、もうすでにアメリカあたりで、リンゲルマンの方法とかいうものをやっているのですが、そういうものを輸入というのですか、あるいはまねるというのですか、とり入れるというのですか、そうしてそれ以後の問題のほうにお取り組みいただくという形のほうが、時間的の問題でいいのじゃないかと思いますが、いかがでございましょう。
○国務大臣(三木武夫君) 日本の場合は一番ひどいと思いますが、しかし、最近アメリカ等においてもだいぶ問題になってきておりますので、諸外国のいろいろな測定方法とか、測定基準等については、参考にすべきものもあると思います。年限はもっと短縮してできる限り早く結論を出すようにいたしたいと思います。
○横山フク君 通産省に伺いたいのですが、外国に行くというと、空気が非常にきれいで、工場街へ行っても、大気の汚染度は、昨今の日本の都市から見たら非常に汚染度は低いように思います。で、この解決策として、通産省で何か法律をお考えになっているように伺っておりますが……。
○政府委員(森清君) おっしゃるとおりに、大気汚染の問題につきましては、かねてから通産省におきまして、その防止策についていろいろ苦慮いたしておりました。最近に至りまして、特に工場都市等におきまして、非常にこれの生産環境に及ぼす影響、あるいは人体に及ぼす影響が顕著になって参りましたので、鋭意各省とも連絡をとりまして、厚生省との間におきましては一応の了解を今見るに至りましたので、この国会におきまして、その法律を提出するつもりになっております。
○横山フク君 この問題で考えられますのは、実は重油ボイラーの設置の制限に関する臨時措置に関する法律という、あのいわゆる規制法でございますが、これは時限立法になっております。一面においてこの煤煙防止の法律を立てられ、一面においてこの重油の使用を規制する、こういう形に矛盾というものはないのでございましょうか。
○政府委員(森清君) ボイラー規制法はたしか三十八年十月ごろまでの時限立法になっておるようでございますが、問題はエネルギーの総合対策上から申しまして、特にこのボイラー規制は石炭の安定した需給のために作られたものでありまして、今日たとえば石油業法等も国会に提出されておりますけれども、そうした総合的な見地から判断をいたしましてこれはやるべきことだと思いますので、期間一ぱいこれを実施するつもりでおりまして、途中で廃止するつもりは持っておりません。
○横山フク君 都会のいろいろなエネルギーの総合対策の観点もよくわかりますが、一面都会に住んでおる人たちの健康という角度からもいろいろと御配慮願いたいと思うのです。 次に、自動車の排気ガスでございます。あれは非常に人体に悪いことは申し上げるまでもないので、私の知っている運送屋さんのうちでは、隣にガレージがあるのですが、そこでは小鳥は絶対に育たない。排気ガスの結果小鳥が育たないということです。それはロスアンゼルスでも、その排気ガスから出るものがどんなものか、内容を分析した発表があるので、これはすでに十二分に御承知のことだと思います。そのために完全燃焼するための措置を考えるとか、ロスアンゼルス等ではいたしておりますが、この日本では自動車の排気ガスに対しての、完全燃焼するための対策というものをお考えになっていらっしゃるのでございましょうか。
○政府委員(森清君) この自動車の排気ガスの問題は世界的な問題でございまして、なかなかいい結論を見出すことができないのでございますが、私は先般も通産省所属の試験研究所を回りまして、特にこれからの通産省の試験研究所の主要研究題目としてこの問題解決のために努力をするように指令をいたしまして、鋭意その点に向かって今研究を進めておりますが、大気汚染の問題とこの排気ガスの問題は切っても切れない関係がございますけれども、今のところ、これについての規制等は残念ながら考えることができない状態でございます。
○横山フク君 アメリカはマフラーにアフター・バーナーをつけて有機ガスとか未燃ガスの対策、あるいは触媒による完全燃焼をさせるという形までとっておるわけでございます。日本でとりあえず万全の策をすぐにというのは無理だと思います。しかし、一歩一歩その問題を解決するためのあらゆる策をお考えいただきたいと私は考えておるわけでございます。 時間がないようでございますので、これで終わります。
○委員長(湯澤三千男君) 今のはお答え要らないですか。
○横山フク君 要望でやめます。
○委員長(湯澤三千男君) 横山君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(湯澤三千男君) 次に、小柳牧衛君。
○小柳牧衞君 私は地方行政の全般にわたりまして、その主要なる問題につきまして、まず自治大臣にお伺いいたしたいと存じます。 最近いろいろの必要からいたしまして、工場の分散、あるいは学校の地方移転等を考えられる、さらに最近は基幹都市であるとか、あるいは産業都市、いわゆる百万都市の建設をうたわれておるのであって、これは国策の上から申しまして、私どもとしてはまことにけっこうなことであり、ぜひ遂行していただきたいと思っておるのでございます。この問題は、各省におきまして、いろいろ研究しておるようでございます。しかし、これは結局地方の行政に関連するのであって、主として自治省において十分に検討していただかなければならぬ問題であると考えるのであります。こういう立場におきまして、私は、これらの問題は、各省並びに経済企画庁等で研究されておるものと思いますが、地方行政に関係の多いという意味合いにおきまして、自治省としてはどういうような考えで今日おられるのか、あるいはこれの中間報告というようなことにもなるかもしれませんが、一応所見を伺いたいと存ずるのであります。 その一つは、これらの百万都市の建設等にあたって、さしあたりその経費は国で見るのか、あるいはまた地方で見るのか、さらにまた、それは公団とか公社というものを設けてやるのか、これらについての御所見を承りたいと思うのでございます。この点につきまして、自治省の今日の段階においての御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(安井謙君) お答えいたしますが、地方の格差をできるだけ解消いたして、国土全般が均衡できるだけの経済的、社会的の発展を遂げたい、こういう方針のもとにいろいろ政府は方策を立てておるわけでございます。今御指摘の地方の基幹都市と申しますか、形は、法律名では新産業都市進促法という形で出ておりますが、これらにつきましては、私ども大体三段階くらいのものを考えております。いわゆるそういった地方の中心都市を中心にした大きな開発計画、さらに中小都市を中心にした工場の誘致等による開発、さらにもう一つ、アウトサイダーと申しますか、僻地とか、離島とかいったようなところに対する開発の三段階に分けておるわけでございまして、御指摘の新産業都市の開発は、その重点的なる地方の大都市を中心に、その周辺を総合的に開発しようというわけでありまして、何も百万都市ということに限ったわけじゃない。一つの地域を、それが立地条件、工場誘致、あるいは商工業の発展にいい適地であると思われるところに、政府が、あらゆる各省の部門からもこの公共事業等についての計画的な応援をいたしまして、その地方の意思を尊重して政府の計画へ乗せていくと、こういうことでありまして、自治省としましては、そういった場合、全体の計画に対する財政的補助も十分に考えていきたい、こう思っておる次第であります。
○小柳牧衞君 この問題は、今申しましたような段階でありますが、しかし、これは重要なる事業であり、したがって、国の財政的な立場においても十分に考慮すべきものと思うのであって、今日の段階におきまして、財政当局の意見をただすということは少し時期が早きに失するかもしれませんが、しかし、今の段階におきまして、大蔵当局はこれらの問題について、財政的な面からどういうお考えを持っておるのか。先ほど申しましたように、国でやるのか、地方でやるのか、あるいは公社、公団というような形においてやるのが望ましいのか、その辺について御所見を承ることができれば幸いと存じます。
○国務大臣(水田三喜男君) 地方知事の申請によってこの場所が指定されるということになりますれば、公共事業費、そのほかについて国の援助と、それからやはり地方団体の財政、両々待って実現ができるような方法をとる以外には仕方がないと思っておる次第であります。
○小柳牧衞君 この問題は新しい日本を作り上げる上におきましてきわめて重要なことでありまするから、地方行政の立場におきましても、また、国の財政的の援助の場立においても、十分検討すると同時に力強い支持を徹底的に要望してやまぬものでありまして、この点について強い希望を申し述べて次に移りたいと存じます。今申しましたように、地方にいろいろの都市が別な形においてできる、また、社会生活の様相も地方によって違ってくる。こういうことに相なりまするというと、地方行政の制度、いわゆる府県、市町村というようなあの制度についても、再検討を加えなければならぬときに向かうだろうと思うのであります。ことに最近は市町村の合併等によりまして、いろいろまたその点についてしっくりいっておらぬというような事態でもありまするし、また、交通なり文化の進展というものは、一そう新しい視野においてこれらの問題を考えさせられる時期になっておると思います。ことに一番大きい問題は、府県の問題だと存じます。明治憲法時代の府県のあり方と今日の府県のあり方とは非常に違っておりまして、府県のなすべきことはいかなることが適当であるか、あるいは広域経済の問題もとらえられ、あるいはまた連絡統制の立場においての府県の問題も考えられております。また、一方におきましては、いわゆる出先機関の統制という立場においてこれらの問題を考えさせられる点もありまするが、最近の情勢は、中央官庁がむしろその行政の透徹をはかるがために、地方にそれぞれの役所を置くという傾向も免れない趨勢であると思うのであります。そういたしまするというと、府県のあり方についていろいろ検討しなければならぬ点があると思います。ことに、今申しましたようないわゆる百万都市というものが地方にできるというようなことになりまするというと、一そうこの府県の問題というものが大きくなると思うのであります。要するに府県の問題はもちろんのこと、市町村の制度上におけるあり方についての自治省の御所見を承りたいと思うのであります。この点につきましては、かつて地方制度調査会におきまして相当詳しく研究しておったと存じまするが、しかし、時代の推移から考えまするというと、さらにそれらに対しても再検討する必要があるではないかと思うのであります。要するに、今日の時代の推移に伴いまして、また、かつての歴史的伝統等を考えまして、最も日本の今日の実際に適応したところの地方制度を確立するということはきわめて必要であると思うのであって、そういう見地におきまして自治大臣の御所見を承りたいと存じます。
○国務大臣(安井謙君) お話しのとおりに、この日本の都道府県というものが、現在自治体になっておりますが、明治以来の官制上の区分に従ったものがそのまま踏襲されております。交通、文化が高度に発達して参りました今日、はたしてこの区分が適当であるかどうか、これは相当に再検討を要する問題であろうと思います。しかしまた、一方でいろんな御意見といったようなものがあって、いわゆる道州制といったような御意見の出ておることもよく承知しておりますが、私ども、現在せっかくこの十数年間自治体としてなじんで参りました都道府県というものを、機械的にこれを上からの圧力といいますか、命令で統合させるということについては、まだ時期的に相当考慮を要する問題もあるんじゃないか、でき得る限り、地元自体の意向あるいは経済的な、あるいは社会的な状況によって自然合併ができるといったようなものにつきましては、極力これを推進して参りたいが、まだ時期として強制的に道州制といったようなものを取り上げるには、まだ全体のいろいろの問題を研究しなきゃならぬ時期であろうと考えております。なお、内部にあります市町村のあり方につきましても同様でございまして、新市町村の合併促進法というものもかつて施行いたしました。相当規模は全体からいえば、数から申しましても従来の三分の一ぐらいに縮小されたといいますか、地域は逆に拡大されていった。単位は拡大されていっておりますが、しかしこれとてもまだ十分じゃございません。しかし、これもやはり機械的にあまり上からの力で強力にやるというより、自然発生的な移行を助成していくといったほうが、今としては適当じゃなかろうかというような角度のもとに、今も合併の機運の出ているところにつきましては、極力これが推進をはかるといったようなことで、最近にもこの北九州の五市といったようなものについても近く実現をいたす予定になっているわけであります。しかし、それだけでは先ほども御指摘のいろいろな地方自治体の行政上にも不便がございます。そこで、私はこれを今、さらに考えまして、一種の広域的な行政のあり方といったようなものを検討しつつあります。数県が連合して国の出先あるいは地方のそれぞれの府県総合的に代表者を出して、この地域一帯の行政経済の運営をはかっていくといったような機構も今後必要じゃないか。さらにそれが進んでいって、合併の機運になればよりけっこうなことだということで、そういう形で今後も地方自治体の行政を進めていきたいと考えております。
○小柳牧衞君 ただいまも申しましたように、この広域行政というような考え方は、漸次強くなってくるのではないかと思われるのであります。一方におきましては、各方面に地方開発のいろいろのブロックができております。これが中心となって、自然それがまた一種の行政的の力を持つような傾向になるではないか、こういうようなことを考えますというと、この機運が割り合いに早くくるのではないかということも考えられまするし、先ほど言いましたいわゆる百万都市というようなものが、ちょうど各ブロックごとにでもできるというような結果になりますれば、いよいよその問題が促進するだろうと思うんです。それからもう一つ、これは偶然のことかもしれませんが、御承知のように、選挙制度の問題が行政区画に関連して参るのであって、参議院における全国区の問題なり、あるいは小選挙区の問題等を考えるというと、これらの問題も、そういう見地においてできるだけ早く解決を要望されることになるのではないかと思うのであります。地方制度の問題は地方行政の根幹でありますから、従来の歴史にかんがみ、伝統に徴しまして、慎重に研究することは、当然望ましいことではありますが、事態はなかなか急迫を告げつつあるという立場におきまして、この問題については、もっと自治省におきまして力を入れて、そうして早くこれを結論づけるという立場において進んでいただきたいと思うのでありますが、この点につきまして、重ねて自治大臣の御所見を承りたいと存じます。
○国務大臣(安井謙君) 今御指摘のこの広域な行政をもっと推進をすべきじゃないかというお説は、まことにごもっともだと存じております。私ども実は内々は法律も作りまして、そういった数県を合同した広域行政のあり方といったようなものを規定もいたしてはどうかということまで考えているのでありますが、まあ、これにはいろいろな諸般の関係もございまして、もう少し検討を要するというようなことで、今国会に法律案の提出は見合わしている次第でございます。しかし、実体上は今御指摘のように行政のあり方を十分に進めていき、さらに必要に応じて法的な措置もとっていくというふうに考えております。また、選挙の地域、あるいは制度につきましては、これもいろいろ参議院の選挙区でありますとか、衆議院の中選挙区を改正して小選挙区にするといった、非常に基本的な問題がございます。これもいろいろ御議論のあるところでありますので、目下できております選挙制度審議会に根本的に御検討を願い、その御答申を待ち、さらに政府は考えていくというふうに態度をきめておるわけでございます。
○小柳牧衞君 地方制度のあり方については、これは実に重大な問題であって、そう一朝一夕に簡単に割り切る問題ではございません。しかしながら、新憲法のもとにおいて自治体のあり方が非常に違って参りました関係上、どうしてもこれを考えて実行に移さなければならぬと思うのでありまするが、新しいこの地方団体のあり方を考えてみますると、今日はいろいろ制度の変遷のあったせいもありましょうが、大体足がしっかりと地についたような団体のあり方ではない、非常に浮き足であるという感じを持つのであります。そうなりまするというと、もう少し自治の本旨に従ってこの問題を見直さなければならぬと思うのでありまするが、憲法におきましても、また自治法におきましても、自治の本旨に従って自治制をやるということでありまするが、しからば自治の本旨ということは何であるかということは、これは学者においてもいろいろ意見がありまするが、要するに、民主主義の趣旨に従って人民が政治に参画するということだろうと思うのでありまするが、そういう見地につきまして自治の本旨ということを考えてみまするというと、これは明治憲法時代におきましてもずいぶん苦心をしたものであって、日本の古い伝統による町村と、イギリス式の名誉職の思想とドイツの団体自治の考えを組み合わして、そうして自治の精神を涵養するにはずいぶん長い間苦労をして、そうして自治の精神に徹して自治体を運営する、こういうようなやり方であったのであります。今日は遺憾ながらまだその時期に到達いたしませんで、日常のいろいろの地方行政の事務に忙殺されて、一貫したるところの思想がまだ確立しておらぬというような感じを持つのでありまするが、私の見解が間違っておれば仕合わせでありまするが、そういうように感ずるのであって、この際われわれはどうしても自治の本旨に従って住民がその団体をよくしていくということにならなければできないのである。したがって、自治の運営についてもそういう立場においてやらなければならないかと思うのであります。今日、要するに、この住民自治なり、団体自治の考えで進んでいくべきものと思うのでありますが、最近この職能共同体の発達によりまして地域共同体というものの考え方にも相当大きな影響を来たしまして、要するに、すべての行政的の施設は経済的の価値的に批判して、もう少し手っとり早く言うならば、いわゆる会社式に団体を経営していく、地回りの多いところをもってその成績上がれりとするような考えに移りつつあるのじゃないか、あるいはゲゼルシャフトの考えで進んでゲマインシャフトの考えは後退しておるのじゃないか、こういうように考えられるのであります。明治憲法の時代におきましても、自治の本義を普及徹底せしむるために、教育、ことに社会教育等において相当力を尽くしておりましたが、これらの問題について自治省はどういうふうに考えておられるのか。要するに、ほんとうにりっぱな自治体を作るには、団体の住民がちょうど国において愛国心が必要であるように、住民が愛郷心に徹しまして、そうして団体の向上発展なり、あるいはまた団体の名誉なりを考え、さらに進んではいわゆる犠牲奉公の精神に徹してその運営に当たるように各人が進むということにならなければほんとうの自治の完備には徹しない、そのときそのときの経済的の諸問題を解決して能事終われりというような考えでは、これはりっぱな自治ができないことは火を見るより明らかであると思うのであります。要するに、今や地方制度の重大な曲がりかどに来、変革を要する際に、かかる見方においてこの問題を進めてみるということは、私はきわめて必要なことであると思うのでありますが、この点につきまして、自治省の御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(安井謙君) 自治体のあり方ということにつきましては非常にむずかしい問題がたくさんあると思います。また、学説や理論的な解明につきましても、いろいろなことがいわれているのは、今御指摘のとおりであろうと思います。ただ、日本の自治体の場合には、終戦後この市町村という基礎的な自治体の上にさらに都道府県という自治体が重なり合って存在しているといったような意味で、狭い区域に二重の自治体が存在するといったような特殊な現われ方でもあるわけでありまして、これを一がいに諸外国の例と一応比べて割り切ってしまうわけにはいかない。日本には今日ある日本の姿の自治体のそれぞれの発展を考えていかなければならないものと実は思っております。ことに、今のゲマインシャフト、ゲゼルシャフトといったような考え方のどっちをとるのだというお話にもなろうかと思いますが、私ども、これも一がいにどちらとも割り切れないのであります。ただ、傾向からいえば、この町村といったような共同体を中心にして考えれば、これはゲマインシャフトの考え方が強かろうと思いますし、また、市あるいは都道府県といったような機構からいえば、いわゆる市民社会といいますか、ゲゼルシャフトの性格が強くにじみ出ているといったような大分けはできょうかと思いますが、いずれにしましても、やはりこれは自治体がそのまま健全に発達していきますためには、財政的な規模あるいは財政的な健全性というものを常に保っていかなければならぬといったような性格から、相当この財政偏重といったようなことも現われ過ぎているかとも思います。しかし、現在私どもは、そういった非常に複雑な問題をかかえながら、でき得る限りこの二つの考え方を統合して、やはりその地域の住民の総合意思によって福祉をはかっていくという、抽象的ではございますが、目的のために最善の努力をいたしていきたいと思っている次第であります。
○小柳牧衞君 ただいまの問題は、非常に重大な問題であって、単に言葉の上において解決することはできないと思いますが、しかし、どうしてもこういうふうな根本的の自治の精神というものは教育、ことに社会教育上等において十分に徹底するようにすることが必要である、そうしていただきたいという希望を述べまして次に移りたいと存じます。 次は、消防について御所見を承りたいと思います。今日、日本の消防というものは、経済の進歩、社会情勢の変化、ことに家屋建築あるいは家庭において使用するいろいろな機具等によって非常に形が変わってきている。したがって、損害の様相も変わってきて、ますます消防というものは充実しなければならぬ結果になっていると思うんですが、しかし、一面におきましては、日本の消防というものは、消防団というものがあって、そうして大きな、広い使命を果たしております。今日あるいは火災を防御するという立場においては、少数精鋭主義というようなことを言われ、あるいは機械化の整備ということもいわれておりますけれども、地方の広い区域にわたっての情勢を考えまするというと、必ずしもそういうことのみによるというわけには参りませんので、相当多数の人をもって災害に当たらなければならぬと思う。ことに最近は単に火災防御だけではなく、あらゆる災害について消防団が活動するという情勢であって、災害基本法におきましては、一そうさらにその点を強化しておるような情勢でございます。こういうような状態から考えまするというと、消防団というものは相当数をもって運営しなければならぬと思うのでありまするし、また、さらに理想から申しまするならば、先ほど来申しておりました自治体の健全な発展をはかるために、犠牲奉公の趣旨に基づいて自治の運営の中堅となるような人を養成するというような、別な角度においての使命も持っておるのでございます。ところが、今日いろいろの理由によって、農村における人口の問題あるいは中小企業の状況等によりまして、今日各地の消防団はその人員を充実するのに非常に困っておる。これはいろいろの理由もあるのでありましょうが、現実の問題といたしましては、そういう状況であって、かくのごとく消防の使命が大きくなり、これに期待することが多いときに、人員が非常に減りつつある、充実に困難であるということについては、相当考えなければならぬと思うのであります。自治省におきましては、これらの問題についてどういう考えを持っておられるのか、御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(安井謙君) 消防につきましては、御指摘のとおりになかなか困難な問題がたくさんございます。御承知のとおりに、現在は自治体中心の消防組織でありまして、市町村を中心にそれぞれ分立した消防団体となっておりまして、これが一朝大きな災害等にあいました場合に、有機的な機能を発揮するには非常に不便であるということもお話のとおりであります。したがいまして、先般災害対策基本法といったようなものを設けまして、都道府県を中心に、機能的に、常に防災会議といったようなものを持って、いざ事あるときには相当有機的な働きができるような体制に仕向けていくという制度も今般作っておるわけであります。これは早晩実施されるかと思います。そこで、本来は市町村の消防も、もう少し広範囲の消防団にすべきものではなかろうかということも考えられるのでございますが、何分これは歴史を持っておりますし、それぞれの独立した消防機能というものが今まで発揮されておりましたような結果から、急にこれを統合するということでなく、機能的に、それを統合的に有機的に活躍できるということをまず進めたいというのが第一歩でございます。 それからさらに、いわゆる消防団員というものが、今の農村の人口あるいは中小企業あるいは商工業といったような人口吸収の方面から見て、団員の募集が非常に困難になっておる、また、非常に減少しつつあるという傾向もないことはございません。ことに団員の募集といったものに非常な困難があることは事実でございますが、現在のところ、たとえば消防団員というものが全国で百五十九万何がしおりまして、大体想定しております定員には十分な数を今のところまだ保有いたしておるというわけであります。ただ、これに対する地方団体の手当のあり方というものはまことに不統一でありまして、出動手当であるとか、あるいは災害によって死んだ場合とか、ひどいけがをした場合といったようなもの、あるいは永年勤続でやめた人に対する処遇といったようなもの、共済制度、こういったものに対しての、まだ非常な不ぞろいな点がたくさんございます。これは逐次法律を直し、制度を直しながら、また交付税等で平均化をはかって、全体のバランスをとりつつあるというのが今日の現状でございます。
○小柳牧衞君 最近消防につきましては相当力を入れていただいて、賞恤金制度も実行されるようなことになっておりまして、そのほか待遇等においても、今お話のように漸次改善する方途に進んをおるということはまことに望ましいけっこうなことと思うのでございますが、われわれは各国の消防の予算を日本の市町村の予算と対比してみますると、実に半額以下であるというような状況であって、もっともっと予算面においても力を入れなければならぬことは当然と思うのであって、ただいまお話のようにいろいろでこぼこを是正するとか、待遇改善の道をたどるということは、きわめてけっこうなことであって、一そうそれを強化していただきたいと思います。が、しかし、必らずしもそれのみをもってこれらの問題を解決するということは困難であるかもしれませんので、もう少し深く入りまして、その消防団なり消防団員の立場を理解して、そうしてほんとうにその使命に徹するような消防団員であり、したがって自治体のりっぱな住民であるというふうに誇りを持たせるようにすることが必要であって、このためにはまた一面消防団の脱皮あるいに改革というようなことも起こるかもしれません。これらの点については適当に御指導をいただきたい。要するに、この機会におきまして、災害基本法のできた今日におきまして、ほんとうにこれが力を入れていただきたい。一面自治の振興の上において関係の深いものであるということの意味からして、強くこれを要望する次第でございます。 次に、私は地方財政を健全化するについて、二、三お伺いしたいと思います。地方財政は先般来当局の御説明によりましても、大体において非常に好転しておるようにうかがわれます。しかしながら、これは自治大臣もいろいろお話のとおり、これをもって満足すべきものでないので、幾多これについてさらに力を入れなければならぬということはそのとおりと存じます。そういう立場において考えてみますると、まず第一に考えられることは、寄付金なり、あるいはまた税外負担の問題でございます。これは先日来同僚議員の質問もあったのでありまして、詳しく申し上げることは差し控えますが、今日財政の明朗化からいいましても、また健全化からいいましても、これらの点については十分力を入れなければならぬのであるが、この点におきまして、最近税外負担あるいは寄付金というものの大体の趨勢は増しつつあるのか、あるいはまた減少しつつあるのか、そういうような大体の状況を承りたいと同時に、どうしてそういうようなことができるのか、これをどうして規制するのか、要するに、これらの問題を規制して地方財政の健全化をはかるには、自治省としては、現実にどういう手段をとって、どういうようなことを実行しておられるのか、その点を承りたいと思います。
○国務大臣(安井謙君) 住民の税外負担の問題につきましては、非常に重大な問題でございまして、この当委員会におきましても、しばしば御質問もいただいたような次第でありまして、現在昭和三十五年の概算を調べてみますると、市町村と都道府県を合わせまして大体三百五十数億の税外負担をやっておるといったような計算ができております。しかし、これはちょうどその前の前の年の昭和三十三年度に調べましたときと比べますると、若干集計の数値のとり方も違いますが、数億円減少しておる。財政規模が当時に比べまして四〇%以上もふえておるのからいうと、この税外負担もだんだん減少の方向をとっておることは事実であろうと思います。三十五年度にも九十億の措置を交付税で見ました。それを極力減少するようにやっております。また、三十六年度からは財政法も改正をいたしまして、特に税外負担で一番大きいのは何といいましても教育施設に関するものでありますが、こういうものの義務教育施設の修繕あるいは改築等に対しまして、住民に負担をかけてはならぬ、そういったものの従業員の給与等の補てんのための負担をやってはならぬといったような法律改正もやっておるわけであります。そういうようなことをいたしまして、今度の三十七年度予算にも、百億円そういったものの解消のための費用を計上いたしております。逐次これを解消していきたいと思っておる次第でございます。 もう一つは、国のほうから当然出るべき単価が、いろいろまた十分な計算が行なわれないといったような場合も間々あります。そういった差額を補てんするため、苦しさのあまり、また都道府県が市町村に負担させる、あるいは市町村がさらに住民に負担させるといったような傾向もないわけではありません。これも当然国が負担すべきものを、都道府県、あるいは、ひいては市町村が負担するということは、これも財政法上妥当でないというはっきりした法律の解釈もございますので、こういう点につきましても、逐次関係各省と協議しながら是正に努めておる次第であります。まあ長い間の習慣でありまして、一挙になくするというわけに参りませんが、逐次これは縮小し、減少の方向には進んでおると心得ております。
○小柳牧衞君 この問題は、直ちに解消するということができないことはよくわかっておりまするが、しかし、自治省と同じように、各省においてもその意見を同じうして進んでいただかなければなりませんし、また、財政の当局においても、そういう立場においてこれらの問題を見ていただきたい。各省におきまして、前にも指摘のあったように、いろいろ単価等においての違いがある、あるいはまた、当然国費に計上しなければならぬものを計上せずして、そうして寄付に待つ、こういうような場合には、町村にもその責任があると思うのですが、そのものを非常に熱望するのあまり、無理な税外負担という道に出ることもあると思うのでありまして、その点も十分勘案して、他省との連絡なり、また、市町村に対する処置等においても、そういう点を十分考えて実現を期していただきたいと思うのであります。 その次に、私は、最近、教育費と同じように、非常に重大になりつつある問題は、いわゆる都市の近代化と生活水準の向上というような立場からいたしまして、都市において上下水道、また、屎尿処理の問題、あるいは塵芥処理の問題、これは非常に年々大きく要望されておるようであります。これは当然の趨勢と思うのであります。しかし、それには莫大の経費が要るのであって、これをごく粗雑に扱いまするというと、結局地方財政を不健全ならしめる一つのもととなるおそれもあるのであります。最近これらの予算はどういうようなふうに伸びておるか、また、自治省としましては、これらについて将来ますます力を入れなければならぬと思いまするが、それについて十分な決意があり、用意があるかどうか、その点を自治大臣にお伺いいたしたいと存じます。
○国務大臣(安井謙君) 環境衛生の整備というものは非常に急務でございまして、ことに大都市における下水あるいは上水、屎尿処理といったような問題も、非常に当面大事な問題でありますると同時に、最近は、地方の中小都市につきましても、屎尿処理、清掃といったような問題が大問題になってきておることは御指摘のとおりであります。これらに対しまして、でき得る限り早急の措置をやらなければならぬということで、財政的にもいろいろ考慮しておる次第でありまして、まあとりあえず地方債等につきましては、下水道事業におきまして四十億といいますと、三十六年度に比べまして三〇%の増上下水道事業は八十五億円で、これも前年度に比べまして二五%の増、あるいは清掃事業といったようなものにつきましても二五%の増で、十億を増加するといったようなそれぞれ財政措置を講じております。まだまだこれで十分であるというような結論に達しておりませんが、現在の財政上、これも目下のところ、でき得る限りのことをやり、今後も財政の好転等とにらみ合わせまして、さらにこの問題の解決を促進していきたいと思っております。
○小柳牧衞君 この問題は、ただいまもお話がありましたように、環境衛生の関係で、厚生省にずいぶん関係が多いと思います。厚生省も、この問題については、相当熱意を持って、強く推進していただけると思うのでありますが、最近仄聞するところによりまするというと、厚生五カ年計画においてこれらの問題を取り上げておられるそうでありまするが、はたしてそういうふうになっておるのか、その点についての御所見を承りたいと存じます。
○政府委員(森田重次郎君) お答えいたします。この環境衛生の整備につきましては、厚生省としても、最近の情勢にかんがみまして、屎尿処理、上下水道等のそれぞれの施設整備を、三十六年度から十カ年計画でこれを整備したい。したがって、国庫補助の増額等につきましては、できるだけ努力いたしまして、すみやかに実現を期したい、こう考えておる次第でございます。特に屎尿処理の問題等につきましては、最近農村に近い、むしろ町村といってもいいようなところからも非常に強い要請がありますので、この点はすみやかに解決したいものだと考えておる次第でございます。
○小柳牧衞君 次に、地方財政の健全化について最も考慮しなければならぬものは、国民健康保険の問題でございます。健康保険も漸次改善されまして、黒字であるものが相当数を見てきておるように聞いております。六二%は黒字であり、赤字は三八%である、こういうようで、しかも、それが全部よくなっておるというふうに聞いておりまするが、しかし、実際においては、一般財政から相当補てんをしておるのであって、最近においては四十八億がそれに入れられておるといわれております。さらに、また、厚生省におきましては、これらの事務費は国費をもってやるといっておるにかかわらず、実際の支弁は六六%にすぎないという現状でございます。こういうような立場から見まするというと、国民保険の関係は、将来、地方財政を脅かすものであるといってもよろしいのではないかと思うのですが、そういう立場につきましてお伺いしたいのは、根本的な問題といたしまして、健康保険の問題をどういう立場において見るか、これは各国がみなそれぞれ違っておるようでありまするが、日本としては、いわゆる国策としての社会保障の一環として、いわゆる公的医療の立場においてやろうというのか、あるいは社会保険の制度を根幹としてこれをやっていこうというのか、その辺についての所見をまず第一に厚生当局からお伺いいたしたいと存じます。
○政府委員(森田重次郎君) これは広義における社会保障制度の一環であることは申すまでもございません。特に健康保険のほうへ力のある方がだんだん抜けていって、そうしてだんだん負担カの少ない方々が国民健康保険のほうに残って、ここに厚生省といたしましては、非常に苦心しておる点があるのでございまして、これらの調整をどうすべきかということについては、目下審議会等にも諮問いたしておるような次第でございまして、これらの答申を得、かつ、厚生省といたしましても、現実的に目下検討中でございますが、その成案をすみやかに得たいものと考えておる次第でございます。
○小柳牧衞君 もしこの根本的な精神が、公的医療ということに相なりまするならば、国費をもって全額もしくは相当額を支弁するということは当然のことであると思うし、また、市町村においても一般会計から相当しても差しつかえないということに相なると思うのですが、しかし、もし社会保険の制度でやるということでありまするならば、今日取っておるところの国保税のいわゆる所得割というようなものは妙な理屈になると思うのでありまして、どうしてもそういうような点を十分に補正しなければこの問題を進めていくわけにいくまいと思うのでございます。また、かりに根本的の問題はそうあろうとも、現在の運営においては、ずいぶん財政的には憂慮すべき情勢でありまするから、あるいは市町村にせずして、これを府県でもってやるとか、何か適当な方法を考えて、事務的に財政上の憂うべき点を除いていくということも考えなければならぬと思うのでありますが、これは将来の問題としてぜひお考えをいただきたいと思うのですが、しかし、この問題はまあ非常に大きい問題でありまするから、結局のところ、相当国でもって経費を負担するということにならなければ、たとい少くとも現在の制度でもそうしなければなりませんが、いわんや公的医療というようなことになりますれば、一そうそういう点に到着すると思うのですが、この点につきまして、この場合における大蔵大臣の御所見を承わりたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) 私は、やはり社会保険制度としてこれは発達させるべきものだというふうに考えております。で、従来まだわが国の財政力が弱かったこと、国民の生活の現状から、この保険金の負担力が少ないという現状でありながら、しかし、この問題は重要でございますので、国民皆保険ということを制度として踏み切って実施したことは非常にいいことだと思うのですが、そういうふうに踏み切ってみましても、問題は、そういう背景を土台にしてこの制度を踏み切ったわけでございますから、社会保険制度として発達させようとしても、そう簡単にいかないむずかしい問題が出てきておりますので、結局は将来そういうふうに発達させるという目標を持っておりましても、現実問題としては保険金の負担を少なくしてやらなければならぬ、市町村の負担も、これをある程度みてやらなければならぬということが現実の要請でございますので、私どもも、その範囲において昨年から国費負担を徐々に増していくということでございますが、ほんとうなら、これはやはり保険制度として発達させて、給付内容もよくなり、受診率が多くなることにしたがって、保険料金は漸次上げて、そうして発達させるというのが本筋だと思いますが、そこまでいかない間は、国がある程度の負担はやって、将来国民生活の水準が上がったときに、この保険制度でやっていけるというときまでは、やはり国費の負担でその過渡的な間みるということをしなければいかぬだろうと思っております。
○田中啓一君 関連。厚生省と大蔵省に簡単にお伺いしたいのですが、今の国民健康保険の税金のことでございますが、これは何といいますか、税負担能力主義とでも申しますか、ということで、たしか最高は年額六万円くらいは今取ってもよろしいと、こういうことになっておる、現実に。また、納めておる者をたくさん私も存じております。一方において、財政のほうとしては、体系としてはずいぶん大蔵省御苦心をされて、適正な負担になるようにやっておられるけれども、この国民健康保険だけに六万円ばかり取られるということは、これは何千万というような所得の人ならばよろしいでありましょうけれども、これはもう百万前後の所得でも出てくるわけです。あるいはもっと下でも出てくるかもしれない。そういうようなことは、相当将来は改善すべきものじゃなかろうか、税として取る以上はそうではなかろうか。今まではそこまではよくわからなかったということで仕方がないにしましても、ここずっとそういうことなんですが、これは将来改善すべき点じゃなかろうかと思いますので、もとは国民健康保険の何か料金として納めておったのが税に変わった際に、その最高額をきわめられたときに、全般のことをお考えにならないで、そういうとっぴなものが出ることになっておるのだと思うのでありますが、改善をなさるつもりでございますか。それは当然なことだというふうにお考えになりますが。私は、これは一万円や二万円のことならば、もちろんまあまあいいと思いますけれども、六万円ということになると、ちょっと所得税との均衡からいいましてもおかしいのじゃなかろうかなというように実は思うわけでございます。
○国務大臣(安井謙君) お話しのとお国保税率というものは、一般の大衆が非常に収入の低い階層が多い。その間へ、たまたま相当な収入のある方というようものが所得割を加味してやられますために、相当の割高になることは事実でありますが、しかし、これは無限になっちゃいかぬので、五万円までということに今きめてあると存じております。しかし、それでもまだ全体のバランスからいって高いのじゃないかということはいろいろ御議論になろうと思います。今後十分に検討をしたいと思っております。しかし、いずれにしましても、この国保の制度そのものが、今のところ非常な大衆の負担になっておる、国保の税率が負担になっておるということは事実でありまして、これには、やはり当分の間、相当な今後国庫の補助を伴いながら、これを保持していくという傾向でなければなるまいと思います。これは一般の健康保険に比べましても、普通の勤労者といわれておる労働組合の入っておるいわゆる健康保険等に比べますれば、施設の上から、料率の上から、いろんな意味で非常な差があることは事実でありまして、これは将来の大きな問題として、根本的に検討を要すると思っております。
○田中啓一君 実は、現実には五万円でなくて、六万円以上出しておる市町村があるわけなんです。もしそういうものがありましたならば、それは間違いであって、直ちに是正措置を自治省は講じてくれますか。
○国務大臣(安井謙君) 私ども五万円と心得ておりますが、一ぺんよく調べまして、その点はまたあとで御返事いたします。
○小柳牧衞君 この国保税はずいぶん負担が重いという痛切な叫びもあるのでありまするし、また、低額所得者の多い地方においては経営が非常に困難であるということは現実の問題でございます。先ほど来の根本方針については、なお時期を見て十分に決定するということもよくわかるのでありまするが、いずれにいたしましても一相当国庫のほうでこの問題を強くみていただかぬと、実行がうまくいかないと思うのであります。幸い今度は負担率が増加され、調整の率も加えられたのであって、その点についてはわれわれとしても非常に喜んでおる次第でありまするが、現実はさらに一そう深刻でありまするから、もっとこの制度の根本精神のいかんにかかわらず、現実の問題として、もっと国保のほうに力を入れていただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
○委員長(湯澤三千男君) 小柳君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(湯澤三千男君) この際、委員の変更につきまして報告をいたします。 本日、苫米地英俊君及び牛田寛君が辞任せられ、その補欠として、古池信三君及び小平芳平君が選任せられました。 一時三十分に再開することにいたしまして、休憩をいたします。 午後零時三十分休憩 ————・———— 午後一時五十分開会
○委員長(湯澤三千男君) これより予算委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き質疑を行ないます。田畑金光君。
○田畑金光君 私は三十七年度の予算に関連して、政府に主として日韓交渉の問題と沖縄の新政策の展開に関連して、二、三の質問を行ないたいと思います。 まず最初に日韓問題についてお尋ねいたします。 三月十二日から五回にわたりました小坂外相、崔外務部長官の政治会談は簡単な声明を発表して、三月の十七日終了しております。共同声明によりますと、両外相の間で次期会談をなるべくすみやかに開くことの意見の一致を見て、同会談の具体的事項については後日協議の上発表する、こういう声明内容になっております。日韓会談の杉首席代表が二十日の日に新聞記者と会見いたしまして、もし韓国が要求するように、ソウルで会談を開くとするならば、時期は五月の上旬になるだろう、こういうことも言われておるわけでございます。ところが、昨日から本日の新聞を拝見いたしますと、韓国においては尹大統領が政治活動浄化法という法律に対し、これを不満とし、こういう法律は民主主義の建前に反する、政治家の良心として自分は認めるわけに参らない、こういう経過を経て、尹大統領が辞任の申し入れをば最高会議長になされたと、こう伝わっておるわけでございます。その後、おひるの報道によりますると、尹大統領の辞任は認められて、韓国においては正式に男大統領の辞任という新たな事態が発生したことを伝えておるわけでございます。 政府は、そうして総理並びに小坂外相は昨年五月のクーデターで成立した朴政権は一体合法政権であるのか、あるいは非合法政権であるのか、こういう国会における追及に対して、朴政権は合法政権である。それはなぜか、尹大統領が張勉時代に憲法によって選ばれた大統領であり、憲法に基づく唯一の国家機関として大統領が正規の手続と民主主義の原則によって選ばれた大統領である。したがって大統領が存続する限り張勉政権を朴政権は継続しておるのだ。政権の継続性は認められるのだ、合法政権である、こういう建前を取って今日まできておられまするが、唯一の合法政権である根拠である大統領が辞任をしたということになって参りますと、これは新らたな事態の発生だと言わなければなりません。朴政権の合法性というものは完全にすっとんだということになろうと考えております。この新しい事態に対処されて、政府は、今後の韓国に対する方針等について、当然再検討なさるべきだと考えておりまするが、政府の方針を承りたい。同時に、韓国大統領の辞任の理由と、そしてまた今後の見通しについて承りたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) ユン・ポソン大統領が辞表を提出し、韓国の国家再建最高会議がこれを受託したという話は私どもも新聞情報によって知っております。しかし詳細についてはまだ正確にこういう公式の場でお答えするようなものをキャッチいたしておりませんわけでございますけれども、まあ、そのとおりであろうかと思います。そこで今田畑さんお話しのように、韓国の昨年の革命によってできました政府がどういう性格の政府であるかということにつきましては、この場でお答えいたしましたように、大統領の問題もございまするし、また明年の夏、民主政権に移行する、こういうことを公約いたしておりまするので、前の内閣との継続性、また今後できると予想される政権への継続性、そういうものから見まして、過渡的な性格を持つものであるけれども、これは合法的な政府である、かように申し上げておったわけであります。そこでユン・ポソン大統領が辞職した、こういうことになりますと、その間の連絡がとだえるではないか、法的に見てですね。そういう問題があるわけでございまするが、私どもの今朝来研究いたしたところによりますると、国家再建非常措置法という法律によって韓国は現在憲法規定を大幅に上回わる権限をもって運営されているわけでございまするが、この十一条に大統領が事故ある場合は国家再建最高会議長、また議長が事故ある場合は副議長、副議長が事故ある場合は総理大臣というものが、これが代行をなし得る、こういう規定がございまするので、大統領の辞任の場合、あとをどういうような形で継続されるか知りませんけれども、その継続する形が現在ございまする法律によってその法律の中において行なわれるものであるならば、これはやはり継続する、かような見方ができる、こういうふうな見解を持っておる次第でございます。例としてパキスタンでクーデターがございまして、その後に、そのときの大統領がしばらくいたしまして、その後に現在のアユーブ・カーン大統領がこれにかわっておる。しかし、パキスタンの政権というものは継続しておるということで、新たなる承認の問題、その他は起こっておりません。その時代の例がございますわけでございまして、さような解釈がなし得る、かように思っておりますが、詳報をさらに取り寄せてみませんと、この段階において、これが最終の解釈であるということはいかがかと思いますけれども、一応私どもはさように考えております。
○田畑金光君 御答弁を承りますと、パキスタンの例をいつもあげておられまするが、異常な措置、非常な措置がある特定の国に起きたことを直ちに全体の問題として引例されるところに私は問題があろうかと思うわけです。 まず、お伺いいたしたいのは、尹大統領の辞任の問題については、すでに昨日から新聞に報道され、政府部内においても、今朝来、この問題については討議に討議を重ねておられることはわれわれが承知しておるわけでございます。すでに昼のニュースにおいて正式に辞任が認められ、辞任がきまったということになれば、政府においても十分この辺の事情は明らかにされておるはずでございます。私はまだ十分情勢を把握されていないから、こういうようなことで、この国会において報告をなされ、実情を伝えられることをやめられていることは非民主的であろうと考えておるわけです。私はこの際、どういう事情によって、どういう経過をたどって、このようなことになったかということを明らかにしていただきたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) 私は国会におきまして、私の知っておる限りを御報告申し上げるということが適当だろうと考えまして、今のようなことを申し上げたわけでございます。しかしながら、公式な確認される情報に基づきまして最終的なことを申し上げるのが、これまた私の立場から必要であろう、こう思いまして、今のような詳細な御答弁を申し上げた次第でございます。 大統領ユン・ポソン氏の辞職というものが、その動機が那辺にあったかということは、これまた新聞の伝える報道によるのでございまして、何ゆえかといいますと、私どものほうでは、韓国の代表部というものが東京にございますが、わが国の代表部は韓国にないわけでございます。したがって、東京の代表部に問い合わせて確認をするという形をとりまするので、新聞の情報その他よりこれはどうしてもおそくならざるを得ないのでありまして、その点はひとつ御了承いただけるものと思います。 そこで、これも情報、新聞等の伝えるところによりますると、政治活動浄化法というものに不安を持ったといったと伝えられております。私もその程度しかここで申し上げられる確認を持ち合わせていないわけであります。
○田畑金光君 大臣の先ほどの御答弁こよりますると、政権の継続性については、国家再建非常措置法の十一条によって継続するものと考える、新たな解釈態度を政府は明らかにされたわけでございますが、しかし今まで衆参両院の関係委員会における質問に対し、朴政権が合法政権と認めるのか、認めないのか、その唯一の根拠というものは、先ほど申し上げたように、尹大統領が張勉時代からの大統領であり、それが今日国家最高の機関の地位にあるということは、張勉政権を朴政権が受けついでおるということになり、政権の継続性ということを意味することになるのだ、こういう唯一の政権継続性の原因にあげられておりまするが、そういたしますと、政府が今日まで合法政権として指摘された事情というものが変わってきたことになるならば、今までの政府の主張は大きく崩れたことになろうと考えますが、これはお認めになるのか、ならぬのか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 昨年の革命が起きましたその時点におきまして、次にできた政権が継続性があるかどうか、こういう問題になりますると、そのときにおりました大統領がその時点以後また引き続いて大統領であったということが継続性の一つの根拠になると思います。そこで、その大統領のもとにおいて、国家再建非常措置法というものができまして、そうしてこれが運営されておって今日に至っておる。そこで、その法律に基づいて、今度はその大統領から国家再建最高会議の議長にこの地位が移譲されるということになりますれば、そこにやはり法的な継続性があろう、こう見るのが一般的な解釈ではなかろうか、かように思っておるわけであります。
○田畑金光君 国家再建非常措置法をあげておられますが、この法律はどういう立法手続で成立した法律であるのか、この法律は国民の意思に基づいて成立した法律であるのかどうか、国民の意思とこの法律とはどういうつながりをもって生まれてきた法律であるのか、これを明らかにしていただきたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) 国家再建非常措置法は、クーデターに伴って非常事態下の軍事政権の最高統治機関となった国家再建最高会議が、みずからの性格、組織、権限などを規定したものでございます。この非常措置法は、憲法との関係において、憲法の規定中、その非常措置法に抵触する規定はこの非常措置法によるという規定がございまして、憲法の規定を上回る権限を付与されておるわけでございます。しかし、非常措置法の各条項より判断いたしましても、憲法の諸規定中停止されている事項のおもなものは、国会の機能、国家による政党の保護、大統領による内閣首班の指名、大法院長、大法官の選挙、憲法裁判所、地方自治団体の長の選挙、地方議会、憲法の改正に関する事項などでございますが、その他非常措置法には憲法で規定されている国民の権限に対し、国家最高会議が指示、統制を行なうようにし、また、憲法上国民で決定することになっていた項目中のおもなものを国家再建最高会議の議決にゆだねる、かようなことにいたしておるわけでございます。
○田畑金光君 今、大臣がお認めになったように、国家再建非常措置法という法律は、朴政権がクーデターにより国家権力を握って以来、直ちに独裁政権が権力を維持する統治機構として、あるいは統治の最高法規としてみずから作った法律であって、お認めになったように、その法律は国民の意思とは何ら関係はないわけです。国会の解散をやり、国会の機能を停止し、その他すべてが独裁政権として権力を維持する内容に満たされておるわけで、それ自体としては何ら国民の意思とつながっていないわけです。それに基づいて、その法律があるからその法律の十一条によって、大統領に事故あるときは最高会議の議長が、あるいは副議長が、あるいは首班が——内閣総理大臣が大統領にかわって権限を行使するのだといわれておりますが、その法律自体が民主主義の原則に基づいて国民の意思によって議会において制定された法律でないというならば、これをもとにして合法政権である、民衆の意思に基づくものであるなどといわれるということは、まことにこれは独断の解釈のそしりを免れない、こう考えますがどうでしょうか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 現在のいわゆる朴政権、これが民主的な政権であるということは私言っておりませんわけでございます。ただ韓国の国内法に基づきまして合法的なものである、韓国において認められ諸外国もさように考えておる、かような意味において合法政権である、そう言っているのであります。しかもそれが暫定的な性格を持っておる、かように理解しておるということを申し上げておるわけであります。すべての国の政権が、今日の世界において、すべて民衆の直接の選挙による意思表示によって成立している、ということは必ずしも言えぬ場合も幾つかあることは御承知のとおりでございますが、一応他国のことでございまするので、その政権の内容についてとかく言うことは、内政干渉にわたるものでございますからお互いに差し控える。その国によってそれが合法的な政権であるというふうに認められ、法的な根拠があればさように認識しておる、というのが国際法の通例であるわけでございます。
○亀田得治君 ちょっと関連。一点簡単にお伺いいたします。この韓国政府が国際的にも認められておる、というふうに政府が解釈しておる根本の出発点は、一九四八年の例の国連決議にあるはずです。私はこの根本が一番問題ではないかと考えるのです。この国連決議が指摘しておる点は、韓国政府は選挙民の自由意思の有効な表現だということを一応認めて、その根拠の上に立っておるわけなのです。従来政府もこの点を韓国政府の性格としてやはり基本的に強調してきているわけなのです。そして勇大統領はその自由選挙による大統領、その国の一番トップの人が、ほかはいろいろ問題はあるが、ともかくトップのポストというものがこの国連決議の趣旨につながっているのだ、こういう点を強調していたはずであります。ところがその点は今度の事変によりまして飛んでしまうわけなんですね。飛んでしまうわけなのです。尹大統領がおる間に作った法律、その法律によって継続性を外務大臣は今説明されるわけですけれども、それよりももっと根本の点がふっ飛んでしまっておるわけですね。韓国政府が認められた根拠、これ自体が国連決議に合わない。パキスタンとよく比較をされますが、これは問題の次元が多少違うのじゃないかと思うのです。韓国政府はともかく北鮮との関係なりいろいろ問題がありまして、そうしてともかくこういうものが国際間において、はたして認められるかどうか、これはやはりパキスタンとは違った問題を抱えておる。それだけに国連決議でそれが認められるということは、それは大事なことであり、したがって、それを認めた根拠が大事なのです。ところが、その根拠にまさしく矛盾するような事態があるわけですから、この非常措置法の十一条云々といったような問題じゃなしに、根本のところはどうか、尹大統領がやめたあとの韓国政府というものは一体国連決議に沿うものであるかどうか、これ自体はどういうふうに外務大臣としては御判断になるか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 一九四八年の国連決議がございまして、そしてその後に昨年のクーデターがあった、この事態をどう見るか、こういうことは非常に大きな問題でありますことは御指摘のとおりでございます。そこでこれについては、まあ前の政権と継続しておるという点、これは当時大統領が同一人である、こういう点が一つあげられるわけでございます。それから後において、明年民主的な選挙を行なって民主的な政権を作るという公約をしておる。そこでそれに至る間の暫定的な性格を持つ合法政権、こういうことで国連においても従来と同じ扱いを十六回の国連総会でいたしたわけでございます。そして新たなる事態はユン・ポソン大統領がいなくなった、これをどう見るか。こういうことなのでございまするが、私は先ほど御説明したように、ユン・ポソンはいなくなったし、しかしユン・ポソンの治下においてきめた法律によって、その手続によって次のかわる人が選任されるならば、これはやはりそのユン・ポソン大統統治下のものとの継続性が、次にできるものとの間にはあるということで、以前との継続性は言えると思うのでございます。しかも明年民主的な選挙を行なって新たなる民主的な文民政権を作る、こういう公約が消えていない限りにおいては、やはりその間の継続性は将来にわたって継続するものである、かように解するのがよろしいのではないか、よろしいと、かように思っておるわけであります。
○亀田得治君 ちょっと説明が納得いかないわけですが、私がお聞きしましたのは、少なくとも従来の韓国政府においては、問題はありましてもトップの大統領が選挙によったものだが、この点が明確であったわけなんです。それがないわけですね。したがいまして、現在の韓国政府では、韓国民の選挙によってこの政権を所持している人は一人もなくなるわけなのです。まあ、非常措置法の十一条によって代理をするとかせぬとか、そんな多少理屈っぽいことは抜きにしましょう。端的にみて選挙によって今の韓国政府を構成している者は一人もいない。そういうものがはたして一九四八年の国連決議の趣旨に沿うものかどうか、これは私は沿うとは言えぬと思う。なるほど来年は民政に移管するという声明はありますが、これは将来のことでありまして、その時になってみなければわからないわけなのです、今日の事態にしたって、おそらくこれは日本政府として予想もしなかったでしょう。どんな事態が起きてそんなことができなくなるかわからない。だからやはり今日まで、一応韓国政府を認める立場に立つ人の立場に立っても、何も来年のことがそれほど重要性を持つわけじゃないのでありまして、やはり勇大統領があったということが一番大きな要素であり、国連決議と何とかマッチしていける要素であったと思う。その点を聞いているわけなのです。一人も選挙によった者がないのに、これがはたして国連決議の趣旨に合う政府であるかどうか、これを端的にひとつ答えてほしい。
○国務大臣(小坂善太郎君) これはいろいろ私ども理屈を考えてみまして、御質問があったので今申し上げたわけでございますが、実は詳報もまだわかりませんわけでございますので、詳報があったのちにまたいろいろ研究をいたしまして考えたいと思います。
○田畑金光君 来年朴政権は民政に移管することを約束しておると言われておりますが、その保証があるのかないのか。どう政府はこれを判断しておられるのか承りたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) そういう公約をしておるわけでございます。ですから公約をしておるからそうであろう、こういうことでございます。確証があるかと言われますと、お前さんのほうはそうするのかと聞いてみますと、そうしますとこうは言っているわけです。それ以上のことはちょっと私申し上げられません。
○田畑金光君 民政に移管する前提として、政治活動浄化法というものを作った、その政治活動浄化法というのが今回の尹大統領の辞任を促した最大の原因になっておるわけです。そういうことを考えたときに、来年夏以降の民政移管というものが、一体どういう政治の内容になっていくかということは、おのずからわかると思うのですが、この点どうでしょうか。
○国務大臣(小坂善太郎君) これもさように伝えられておるわけでございます。どうも政治活動浄化法という名において、政界で今まで活動した人が政界になかなか出てこれなくなるような内容というものが、尹大統領をしまして自分のみがいわゆる既成政治家であって、かかる地位にいるということはどうも耐えられないような気がするということであったというふうに、これは新聞報道でございますが、さように伝えられておるわけでございます。その内容等についても私どものほうはあまりまだよく承知しておりませんので、この時期でいろいろ申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
○田畑金光君 質問に対して、内容について正確な詳報を把握していないから答弁を差し控える、こういうお話でございまするが、先ほど来お尋ね申し上げていますように、とにかく朴政権というのは、尹大統領が辞任することによって、国民とのつながりは全くなくなってきた、明らかにクーデター政権、独裁的な政権ということになってくるわけです。そうなってきますと、先ほど亀田委員からも質問がありましたように、一九四八年の国連決議に基づく韓国の合法政権というものは完全に失われてくるわけです、政府は今日まで国連の決議はかくかくであるのだ、尹大統領がその職にあるんだ、来年の夏には民政に移管する約束をしているんだと言われてきましたが、その前提が大きくくずれたとするならば、政府の今日までとってきた態度についても再検討が加えられるべきであると考えますが、その点はどうでしょうか。
○国務大臣(小坂善太郎君) いろいろな外国におきましていろいろなできごとがあるわけでございますが、新たにできた政権に対してどうこれに対処するか、どう事態を判断するかということは諸般の考慮からなされるべきでございまして、クーデターによって最近できました政権——他にもあるわけでございますが、そういう国に対する態度なども、それぞれの観点からきめられるべきでございまして、ただいまの正午のニュースによって、直ちにこの場で私が内閣を代表してどうこうというお答えを申し上げることはいかがかと思いますので、差し控えさせていただきたいと思います。
○田畑金光君 今の御答弁は、今後の事態がさらに正確に伝わり、正確な内容がわかってきた場合には、それに基づいて新たに検討を加え、政府の態度も新たな角度で検討する、こういう意味に解釈してよろしいですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 日本と韓国は非常に近い地理的な立場にもございますし、歴史的にもいろいろな関係がある、それでこれとの国交を正常化したいという気持は私ども持っておるわけでございます。しかしそれにつきましていろいろな御意見もあるし、また正常化するにはいろいろな条件もあるわけでございます。そういう点をよく勘案いたして、常に検討をいたしてこの問題に対処するということは、政府としては当然のことだと考えております。
○羽生三七君 ちょっと関連して。簡単に一点伺いますが、一九四八年の国連決議からみて、もし国連が今度の尹大統領の辞任に関連をして、何らかの新しい態度をとるようになった場合、従来の国連の考え方と異なった考え方がもし持たれるようになった場合、日本政府はどうなさいますか。
○国務大臣(小坂善太郎君) まあ国連の構成国としての日本の主張、これは当然国連の次定に反映する問題であろうと思います。そこでわれわれも、そういう問題が起きまする場合には、われわれの考え方もきめて、主張すべきものは主張しなければなりませんけれども、国連尊重の建前からいたしまして、国連における考え方がどうなるかということは、もちろん私ども至大の関心事でございまして、国連の決議に反して何かするということは、私の従来からの外交方針でも、そういう態度はとっておらないのでございます。今後のことにつきましては、これはいわゆる仮定の問題でございますから、そのときに申し上げたいと思います。
○田畑金光君 そうしますと、政府は今回の韓国における尹大統領の辞任をめぐって、いろいろ国連等においても新たな動きがあるかもしらぬが、そういう国連の動きを見ながら、同時にまた尹大統領辞任に伴う韓国の国内政治情勢の発展等を見ながら、その上に立って今後の日韓交渉の問題等については検討をして参りたい、こういうことに解してよろしいですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 国連において直ちにこの問題が取り上げられるかどうかということは、私はわからないと申し上げるよりほかはないと思います。現在急にそういう問題が起きるとも考えられないわけでございます。しかしいずれにしましても新たなるそうした事態をどう解釈すべきかということにつきしては、先ほど来申し上げた考え方を持っておりますけれども、しかし事態をもっと正確に把握した上でないと、断定的なことを申し上げるのは、いかがかと存じているわけでございます。
○田畑金光君 三月十七日の小坂外相、崔外務部長官との共同声明によれば、なるべくすみやかに次期会談を持つような約束になっておりますが、これはいつごろになる予定ですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) この時期は全く今のところわかりません。
○田畑金光君 そうしますと、先ほど私が読み上げましたように、杉首席代表は去る二十日の新聞記者との会見で、ソウルで聞くということになれば時期は五月初めになるだろう、こういうことを言っておりますが、これは外務大臣との打ち合わせでも何でもないことですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 実は韓国側はこっちに来たのだから次はソウルでやってもらいたい、こういう御希望があったようでございましたけれども、私はこれは会談であるとは言い条、私が出てやる以上は外交渉でございますから、やはりそれぞれの時点において政府に請訓をしなければならぬとすると、代表部のないところで会談をするのは、私は困る、こういうふうに言っておりますわけでございまいます。従って韓国側に、私が会談をする場合には、代表部を韓国に置いてもらうということにおいて、初めて韓国で会談をするという条件ができるわけでございます。私はそれ以上のことは考えておりません。
○田畑金光君 政治会談においても一番両国の話し合いで困難にぶつかったのは請求権の問題であった、こう言われておりますが、どういう点で困難な内容が出てきたのか、どの点が両国の折衝の中で一番困難な問題として持ち越されておるのか、これを簡単に述べていただきたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) 従来から事務的に折衝しておりました問題は、請求権の問題と李ライン——漁業の問題、それから在日朝鮮人の法的地位の問題。三つあったわけでございます。その三つともいろいろむずかしい問題がたくさんございまして、合意に至りません。そのほかにもございます。しかし、内容でございますから、これはしばらく御容赦賜わりたいと思います。
○田畑金光君 私は広くあらゆる問題に触れて質問する時間がございませんので、請求権の問題だけについてしぼってお尋ねしておるわけです。交渉の過程であるから答弁できないというお話でございますが、新聞の伝えるところによると、請求権の時期について、わが国は一九四五年の十二月六日と主張し、韓国は一九四五年八月九日というような主張がなされておる。これは事実ですかどうですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) そういう主張もございますけれども、それが非常に大きな問題とも私には思われません。それはそういう主張もあることもあります。
○田畑金光君 さらにもう一つの点は、請求権の適用地域について、韓国側は南北両鮮を主張し、わが国は三十八度線以南を主張した、そうして非常な見解の相違があったと伝えられておりますが、この点はどうなっておりますか。
○国務大臣(小坂善太郎君) これも交渉の内容でございますから申し上げることを差し控えさしていただきたいのですが、私がここでしばしば申し上げておるように、現在の韓国の政府支配の及ぶ範囲が三十八度線から北に及んでいないということを頭に入れて交渉いたしておるわけでございます。
○田畑金光君 さらにもう一つ問題になっておる点は、例の昭和三十二年の十二月三十一日の日韓請求権に関するアメリカ国務省の覚書、これについて政府は一貫して、これは日本が在韓財産を放棄したので、そのことを考慮して韓国は対日請求権において相殺されるのだ、そういう相殺したその上に立っておるという立場で説明されてきましたが、この点についても意見の衝突があるやに新聞は伝えております。この点は意見の一致を見たのかどうか、これを伺いたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) これは考慮に入れられるべきものであるということでございまして、どの程度考慮されるかということは、これは韓国側が考慮するだけじゃなくて、日本側でも考慮すると、こういうことであるべきだと思っております。そういう点も話が出ましたが、さっき申し上げましたように、まとまったものは一つもありません。
○田畑金光君 まとまったものがないとお話になりましたが、相殺については、昨年の三十八国会において小坂外務大臣が、韓国側もこれは了解しておる。そういう答弁をなさっておるわけです。今日その点についてまとまっていないというのは昨年うそを言われたということになりますが、それはどういうことになりますか。
○国務大臣(小坂善太郎君) アメリカ解訳に対しまして、双方がこれを受諾していると、こういう内容でございます。しかし、これをどの程度まで考慮に入れるかということになると、そこに見解の相違が出てくる、こういうことでございます。
○田畑金光君 そうしますと、韓国側も相殺すること自体は了承しているが、どの程度しからば相殺するかという内容の問題で、あるいは量の問題で意見の一致を見ない、こういうことですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) まずこれを請求するものの考え方にもよろうと思います。非常に膨大な請求をしておいて、そうして考慮したのだと、こういう言い方には私どもは納得できないという点もあるわけです。
○田畑金光君 そこで私は、先ほどお伺いしましたが、そのことば昨年の第三十八国会において、長い間秘密にしておりましたアメリカの覚書が国会で問題になり、そうしてようやく政府が発表した、あの節は今言うような答弁ではなくして、アメリカの覚書を両国が認めた。さらに覚書に基づく相殺についても韓国もこれを了承している。その上に立って話を進めて行くのだ、これが政府の態度であったと思うのですが、明らかに食い違っているじゃございませんか。
○国務大臣(小坂善太郎君) アメリカ解釈を韓国側も認めていることは、これは間違いないのであります。しかし、認めると言っているその内容が、私どもの了承し得ないところであれば、話はまとまらぬと思います。
○田畑金光君 日韓会談は、今後、先ほど申し上げたように新たな再検討すべき段階に私はきていると思いますが、それはそれといたしましても、とにかく交渉の内容自体についても非常に食い違いがあるわけです。政府は、聞くところによると、国会対策もあるので、この国会開会中はとりあえず避けて、あるいは五月にまとめる腹だなどとも伝えられておりますが、今後の見通しはどういうことにお考えですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 私どもは国民を代表する政府といたしまして、国民の納得を得ないような形において妥結することは、これはできないわけです。したがいまして、当方の主張が先方と合意に達し得るような条件になれば、これはまとまると思いますし、達しなければなかなかこれはまとまらない、こういうことになることは事の自然だと思います。
○田畑金光君 政府に要望しておきますが、韓国の今回の大統領辞任に基づく新たな韓国の政治情勢、こういうのがわかり次第、ひとつ国会を通じ明らかにしていただきたい。同時にまた、とにかく政府は今日まで一九四八年の国連の決議に基づく合法政権である、国連も認めているから合法政権として日本政府も認める。しかもその唯一の根拠が大統領の継続性、これを理由にあげてきたわけで、大きな変化がここに起きたわけです。したがって希望することは、今後政府は新たな情勢が生まれたとするならば、十分この情勢の上に立って、慎重にひとつ韓国との交渉については取り運びを考えていただきたい、このことを要望として申し上げておきます。 次に、私は沖縄の問題についてお尋ねいたしますが、ケネディ大統領が沖縄の新政策について明確な意思表示をなさったのは三月七日でございます。ところが、このケネディ新政策が日本政府に連絡があったのは十三日ないし十四日だと聞いております。これに対して日本政府の要請に基づいて発表を二、二百おくらしてケネディ大統領の政策発表ということになりましたが、この間、政府はアメリカ大統領の申し入れに対してどういう態度をとられたのか。あるいはまた、アメリカにどんな申し入れをなさったのか、この辺の事情を聞かしてもらいたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) この沖縄に関する問題については、昨年六月、池田総理が訪米されました際、ケネディ大統領との間にいろいろ意見の交換を行ないました。その結果、アメリカの沖縄政策というものが非常に大きく前進したということは喜ばしいことでありますけれども、われわれとしましての考え方もあり、どうせ発表されることであるなら、われわれにおいてさらに満足すべき内容のものを発表されたいという気持を持っておりましたので、そういう点について若干の意見を開陳いたしまして、二十日に発表になりました。こういうことでございますが、私どもが一々何を申したかということは、これは外交上の問題でございますので、差し控えさしていただきます。
○田畑金光君 今回の大統領の沖縄新政策は、戦後最大の規模にわたるものであり、自治権拡大の方向に大きく前進するであろうと外電も伝え、国民もそれを信じていたわけです。なるほど大統領の声明の中には、琉球が日本国土の一部であること、沖縄が完全に日本の主権のもとに復帰する日を待望しているということは、国民に明るい期待を与えた点でありますが、また住民の福祉の向上、経済援助の増大等において、われわれの主張が相当程度取り入れられた点は、われわれも歓迎するものでございますが、だからといって、全面的に歓迎し、喜ぶのはどうかという反面の事実があるわけです。それは、声明の中にありますように、アメリカの政府は沖縄の施政権は絶対に必要であるということを確認しております。沖縄におけるアメリカの軍事基地を半永久的に確保しようとするという強い決意を表明しております。これらの点は沖縄の住民はもとより、日本国民に大きな不安を与えているわけです。政府は今回のケネディ新政策発表を、どのような受け取り方をしておるのか、まずそれを概括的に承りたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) この点に関しましては、三月二十日、内閣官房長官が談話を発表いたしました。この大統領声明は、われわれが「かねてよりあらゆる機会を通じて、沖縄における自治の拡大、民生福祉の向上についてアメリカの配慮を要望し、わが方としてもこのために経済援助の供与その他あらゆる努力を払うべきことを伝えてきたのに対して、大統領がみずから真剣な考慮を払い、事態改善のために大幅の施策をとるべきことを表明したものであり、政府は、これを深く多とするものである」、こういう態度で、ございます。また「政府が国民とともに、沖縄施政権の返還を強く要望するものであることはもとよりである」。なお「政府は今回の大統領声明が、沖縄同胞が日本国民であり、沖縄が日本本土の一部であることを率直に認め、沖縄がやがてわが国の完全なる主権の下に復帰する日に備えて、日本と密接に協力して沖縄問題に対処するとのアメリカの意図を明らかにしたことを歓迎する」ということであります。「また大統領声明に述べられた諸措置は、従来沖縄をめぐって提起された問題のすべてについて最終的な解決を示したとは言えないが、かねてよりのわが方諸提案の精神にそうものであり、重要な進歩の基礎をなすものである。また、民生福祉、経済援助を含む各般の問題についての日米間の取決めを作成するための討議は、双方の準備が完了次第近く始められることとなろう」ということでありますから、まあわがほうといたしましても、諸般の問題について十分な協議を遂げ、われわれの要望ができるだけすみやかに実現するようにと、こういう趣旨を長官談話で述べております。このとおりに考えております。
○田畑金光君 大統領声明の中にあります琉球が日本領土の一部であることを認めた、これ自体はなかなか明るい希望を国民に与えますが、この言葉が実質的にどれほど今後の施政の上に、アメリカの施政権行使の上に考慮されていくのか、これを私は承りたい。政府は琉球が日本領土の一部であるということ、これをたいへん非常な前進であるかのごとく言われておりますが、実質的にどういうような利益をこれは日本にもたらすのか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 平和条約の第三条に沖縄に関する問題の規定がございますわけです。そこで、最終的な帰属は、これはまだ別といたしまして、要するに、条約上に述べられておりますことは、沖縄を国連の信託統治にするということが条約上うたわれておるわけでございます。それまでの間は、三権をアメリカが持つということに同意するという規定も盛られております。そこで、田畑さんもこの席で幾度か御質問ございましたが、その際に、それでは信託統治にするというのなら、どういう状態になるかというような御質問もあったわけであります。私どもはさような状態にならぬように、日本にストレートに施政権が帰ってくるようにということをいろいろ要望している事情を御説明申し上げましたが、今やこの沖縄が日本の本土の一部であって、そして必ず日本の施政権下に帰ってくるということがかたく表明されたわけでございます。そのことは、私は非常な意味があることだと思います。そこで、その日本施政の日に備えるために、諸種の経済あるいは民政福祉の面において日本の援助を歓迎して、日米携えて沖縄の同胞の希望を入れて諸種の問題の解決に努力するということでございますから、これまた非常にけっこうなことだと思っておるのであります。ただ問題は、極東における脅威と緊張が続く限り、この沖縄の基地としての重要性を見離すわけにはいかない、こういうことでございますので、私どもとしては、その極東における東西の緊張緩和ということが達せられますように極力努力したいと思いまするし、また北方の領土についても、やはり同様の立場から、この北方領土の解決を強く要望したい、そういう努力を重ねたい、かように思っておる次第でございます。
○田畑金光君 長い答弁でございましたが、率直に伺いますことは、琉球が日本領土の一部であるということ、これは潜在主権は日本にあるのだ、別の表現で表わしたにすぎないと思いますが、それはどうですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 潜在主権が日本にあるということは、これは講和条約の会議においてダレス・アメリカ全権あるいはヤンガー・イギリス全権が言った言葉であります。しかし条約上はそういう表現はないわけであります。そこで、潜在主権というものが法律上実際的な意味において非常に強い効果を持つかどうかという点については、国際法の学者の間にもいろいろ意見のあることは御承知のとおりでございまして、それがはっきりと日本の施政下に帰るのだ、こういうことを約束されたこととは非常な違いであります。
○田畑金光君 潜在主権の解釈について、政府は今日まで要するに施政権をアメリカが行使して日本の国家主権から施政権というものをマイナスすると、領土権というものしか残らぬ、領土権はすなわち領土を処分する権利であり、沖縄が日本の領土であるということは領土権の中身で、アメリカもこれを認めておるのだと、こういう表現で説明をされてきたわけです。したがって、私は琉球が日本領土の一部であるということは、領土権が日本にあるということ、すなわち潜在主権が日本にあるということ、潜在主権が日本にあるということを別の表現で現わしたのが、琉球が日本領土の一部であるということと私は考えておりますが、事実は同じだと思うのです。 ただお話のように、もっと、それは大統領が積極的に、意思表示をなさったということについては前進であるかもしれぬが、実体は同じだ、どうでしょう。
○国務大臣(小坂善太郎君) 法的な潜在主権という状態が変わったものでない、事実関係においては同様である、これは私もそうだと思います。 しかし、はっきりと施政権は日本に返すのであるということを大統領が言い切ったことは、これは非常に画期的なできごとだと思う。潜在主権というものは、これは講和条約のときからいわれたことでありますが、昨年の今ごろをお考えいただきますれば、まだ日の丸の国旗すら揚げられなかった状態です。それから見れば、非常な躍進であるということがいえると思います。
○田畑金光君 私は、事実関係を認められたので、それでけっこうです。 それからもう一つ、大統領声明の全文の中で、「自由世界の安全保障上の考慮が、沖縄が完全に日本の主権の下へ復帰することを許す日を待望している。」という言葉がございますが、これは、どういう意味でしょうか。
○国務大臣(小坂善太郎君) まあ、ああいう諸島に基地がなくても、東西の緊張というものが極東に存在しない、脅威も存在しない、こういうふうになるということが、これが一番望ましいことである、こういう意味だと思います。
○田畑金光君 私は結局、これは従来アイク政権の時代、あるいはダレス外交時代によく使われました、極東の脅威と緊張が続く限り、アメリカは沖縄を基地として保有する。そのことの別の表現が「自由世界の安全保障上の考慮」、こういうことになったと考えておりますが、実体は同じだと、表現が違っておる、こう考えますが、この点、お伺いしたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) 御質問の意味が私によく了解できないのでございまするが、どういうことでございましょうか。 東西の緊張は現にある。そこで、これはほんとうに軍縮の問題あるいは核の問題、そういう問題で合意ができまして、そうして平和が訪れるという状況になれば、これは基地の問題というものがなくなっていいわけでございます。現に、日本自身の問題としましても、私どもの立場では、日米安保条約によって日本は守ってもらうということをアメリカ側との間でも考えておるわけでございます。それから各国どの国でも、それの国内には、自分の国の基地を持ち、軍隊を持っている。そして力のバランスを考えている、こういう事態、この現実は、やはり今日においては無視されるべきものではないのでございますというふうに思います。
○田畑金光君 私の申し上げた——今の御答弁が大体そうだと思いますが——「自由世界の安全保障上の考慮」ということは、従来いわれていた極東の脅威と緊張が存続する限りはと、内容においては、同じことを表現しておるのではございませんか、どうですかとお尋ねしたわけです。
○国務大臣(小坂善太郎君) 私も、この声明文を持っておりますのですが、今のような表現はありますでしょうか。ちょっと……。「自由世界の安全保障上の考慮が、沖縄が完全に日本の主権の下へ復帰することを許す日を待望している。」ということですから、私今申し上げたような、こういう趣旨だと思いますが、要するに、同じか同じでないか、これは、人が違うのですから表現も違うでしょうが、要するに、世界の東西緊張の状態ですね、これが変わらなければ、やはり考え方は同じだということになってくるのじゃないでしょうか。
○田畑金光君 でありますから、私が申し上げましたように、結局のところ、表現や言葉は確かに変わっておるかもしれませんが、大統領声明の底を貫くものは、従前のアメリカの政策と質的には何ら変化がない。なるほど大統領の積極的な意思表示というふうにくみ取れるかもしれぬが、底に流れるものは、極東の脅威と緊張が続く限り、アメリカは沖縄をあくまで保有する、また潜在主権というものは、従前とも認めていたわけですから、内容においては別段そう違ったものはないと私は解釈いたしますが、この点、大臣の見解を承ります。
○国務大臣(小坂善太郎君) 実は、他の答弁で申し上げましたことですが、沖縄の主権が、どこへ将来帰属すべきかというようなことにつきましては、意見がある国もあるわけでございます。 そういう点については、はっきりここで沖縄の施政権は日本に返るのだ、こういう点は、むしろ質的と言っていいくらい大きな前進だ、こういうふうに思います。実質とか量とか申しますけれども、これはなかなかむずかしいことでありまして、水と氷は質が違う、いや違わないという議論もあるので、結局、量の変化が、ある程度質の変化になる、こういう場合もあろうかと思います。ちょっとお答えはむずかしいと思います。
○田畑金光君 大臣も御承知のように、今回発表されたアメリカの沖縄新政策の中には、これから具体化されなければならぬ、そうして、これから具体化しつつ内容が明確になってくる問題が多いわけです。また、日米協力関係の取りきめを必要とする内容もあるわけです。 政府は今後、米国の沖縄に対する新政策に対し、具体的に、どういう態度で対処して行かれようという御方針なのか承りたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) 現在の情勢下において、われわれは施政権の返還を要求しております。しかし、アメリカ側は、これはできない。しかし、将来は返すと、こう言っているのですから、それに至る間、またそれを、できるだけそういうことを実現するために、日米間の相互の信頼の基礎に立ってものを前進させよう。その目標は、いうまでもなく、沖縄におけるわが国の同胞の経済的な社会的な、あるいはまた文化的な幸福、福祉というものを増進させる、こういう方向に向かって、私どもは沖縄に関し、同胞の気持も十分聞きながら、米国との間にその実現をはかって行く、こういうことで行きたいと思います。
○田畑金光君 新政策の内容を私は大きく分けると、二つに分けられると思うのです。 その一つは、大統領声明の中にありますように、沖縄が将来日本に戻ってくるときの困難性を少なくするために六つ措置をとろう、こういうことがいわれております。 もう一つは大統領行政命令の改正という問題です。大統領行政命令の中に、たとえば民政官を新たに設けて文民をあてるとか、あるいは行政主席を立法院の指名に移すなどと問題がありますが、大きく分けると、この二つになるわけでございますが、政府としては、今後どういう角度から、この問題に取り組んでいかれようとするのか。 これだけではおわかりにならぬかもしれませんが、率直に申しますと、行政命令の中に、今申し上げたように幾つかの点があるわけです。自治権の拡大ができるかどうかということは、大統領行政命令の内容のいかんにかかっておるわけです。ところが、今回の改正の内容を見ますと、高等弁務官のもとに文民の民政官を設ける。民政官を設けたことが、いかにも自治権の拡大に通ずるようにいわれておりますが、その実、民政官に高等弁務官の指揮監督のもとにあるわけです。高等弁務官の権限を移譲することによって、移譲された権限の行使をやるのが民政官です。しかも民政官は、御承知のように、国防長官が国務長官に諮り大統領の承認を得て任命する、こういうことになっておるわけです。これをみても、大して自治権の拡大というものは期待できません。また、行政主席が立法院の指名といわれておるが、同時にそれは高等弁務官の承諾を得なくちゃならぬ。高等弁務官は拒否することができる、こういうことになっているんです。そうなってきますと、自治権の拡大という点からみますと、期待されたものが、ほとんど満たされていない、こう申し上げてよろしいと思うのです。 政府は、この点について、今後アメリカとも十分話し合いをする方針なのかどうか、また、話し合うことが許されるのかどうか、これを承りたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) 民政官は文民でなければならないということになっておりまして、文民である民政官が、その抱懐する理想また行政上の立場からして、自治権の拡大の問題には直接関連があるわけになるわけです。 そこで、この民政官の機能また権限、そういうものについては、自治権の拡大せられるような、そういう方向でアメリカ側とお話をしたいと思いまするが、もちろん、交渉をするのでありますから、交渉ということは、われわれの意見が容れられるという場合でなければ、交渉しても意味ないことであって、当然、そういうことが含まれる。こういうふうに思っております。
○田畑金光君 今言ったような高等弁務官の権限の問題であるとか、あるいは行政主席の任命の方法とか、これは大統領の行政命令に入っておりますが、このような大統領の行政命令の内容について、政府は、ただ意見をアメリカに申し上げる、伝えるというようなことにとどまって、交渉ということにはならぬというように理解してよろしいのかどうか。政府は、あくまでも交渉を通じ強い意思をアメリカに伝えるという方針なのかどうか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 今申したように、政府の意思は伝えます。
○田畑金光君 どういう内容について、どんな内容を伝えようというのですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) これは一言にして申し上げることはなかなか困難でございますが、関係の省庁でよく協議いたしまして、そうして固まったものをもって、アメリカとの間の折衝に当たる、こういうことになっておるわけです。時期はおそらく来月になってから、こういうことであります。
○田畑金光君 大臣は、自治権の拡大については、今度の新政策で拡大されたと解されますか。拡大されたとするならば、その内容は何か、お話し願いたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) それは、今行政命令が出たところでございます。そこで、この行政命令は、自治権拡大の方向に向かってアメリカ側は配慮すると、こういうことを示しておるわけです。 そこで、具体的に、どういうふうにして自治権を拡大するか、こういう問題については、われわれは折衝の過程で、それを実現を期していく、こういうことであります。
○田畑金光君 行政命令の内容は、すでに明らかになっておるわけです。したがって、明らかになった幾つかの改正点の中で、どの点とどの点と、さらにアメリカに要請して自治権拡大の方向に、あるいはアメリカの権限の緩和の方向に努力をしようとするのか、具体的に、どれとどれをあなたが取り上げようとするのか、それを承っているわけです。
○国務大臣(小坂善太郎君) ですから、申し上げておりますように、関係各省庁において連絡をいたしまして、具体的に、こういうことをされたいと、こういうことを要望するという点が出てきますから、それをもって折衝すると、こういうことです。
○田畑金光君 全く大臣、私は、不勉強だと思うんですね。たとえば行政主席の問題を、われわれは少なくとも住民の選挙によってやるべきである、公選によってやるべきである、こう主張しているわけです。しかるに、今度の新政策では、その方向に前進するものと期待しておりましたが、立法院の指名ということにはなっておるけれども、しかし、高等弁務官の承認がなければ選ばれない。異常の場合には、拒否することもできるし、また、別の人を選ぶこともできる。また、選ばれる行政主席は、議会に席を置く必要はない、議会のそとから指名してもよろしい、こうなっておるわけです。 少なくとも私は、行政主席ぐらいは、沖縄住民の選挙によってやるべきだ、この原則ぐらいは確立すべきだと、こう言っておるのです。これぐらいの気魄をもってやらん限り、自治権の拡大というものができますか。あなたの答弁を聞いてみると、何を答えているのかわからぬ。勉強もしていないし、勉強しているのかどうか、それはわからぬが、なかなかどうも、ちっともわからぬ。答弁がわかりません。
○国務大臣(小坂善太郎君) 行政命令のその内容等につきましては、今米側に照会中であるわけです。 そこであなたは、行政主席を直接公選しなければ、そんな国は——そんな場所はだめだというふうなお考えのようでしたが、これは必ずしもそうではないのであって、日本の首相は、国会がこれを選ぶことですし、これはもう形よりも実体ですね。あなたの言われた拒否権の行使される場合、そのことのほうが、私はむしろ問題だと思います。
○田畑金光君 日本の国会の総理大臣の指名と同じようなことを言われておりますが、全く違うでしょう。大田主席は国会に議席を持っておらぬはずです。持っておりません。しかも、今回新たな改革の方向としては議会の指名ということになっておるが、先ほど申し上げたように拒否権も残されておるし、異常の場合は、議会の指名を拒否して別の人を持ってくることもできる。少なくとも私は、最高の行政責任者である主席は、住民の意思につながる人が選ばるべきだと、こう思うのです。なぜならば、任命制の場合においては、やはり任命される者は、任命権者に忠誠を誓うでありましょう。住民に対する奉仕よりも、むしろ任命権者に対する忠誠を考えるでしょう。そういうことを考えたときに、私は少なくとも行政主席についての公選制の方向に前進させるように私は努力なさるべきだと思うが、政府はそのような意思があるのかどうか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 今あなたの御意見を承りましたけれども、今申したように、この行政命令の具体的な内容等については、照会をいたしておりまするので、この段階において政府の意見というものをいろいろ言うことはいかがかと思います。
○田畑金光君 私は、向こうの意思を照会するということをやれと言っておるわけじゃございません。日本政府としては、行政主席の任命制について、あるいは公選制については、どうお考えになりますか、政府の方針を聞いておるわけです。
○国務大臣(小坂善太郎君) あなたのおっしゃるように、今直ちにやれというところまでは政府は考えておりません。
○田畑金光君 考えておらなければ、少なくとも努力はなさいますか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 将来の問題として考えます。
○田畑金光君 大臣御承知のように、大統領声明の中には、六つの措置をとることを指摘されております。その中で、従来プライス法によれば沖縄に対する援助総額は六百万ドルの範囲ということになっております。これを大幅に拡大しようとアメリカ政府としては考えておるようですが、どの程度の援助を考えておるのか、さらに一九六三会計年度からこの援助等についてアメリカは予算計上する意思なのかどうか、またこの点に関して日本政府としてはどういう態度で臨まれようとするのか、これを承りたいと思います。
○国務大臣(小坂善太郎君) 新聞等に出ておりますように、三倍以上になるであろう、新聞によっては二千百万ドルというのが出ておるのもございますし、この確報はまだわかりません。これは米側との折衝の過程において明確になろうと思います。私どもは、いろいろ抽象論を申しますよりは、まずこの際は、具体的に沖縄の同胞の生活条件が改善される、この方向に向かってやるのが実際としては一番よろしかろう、こう考えておりますわけであります。
○田畑金光君 抽象的な議論をしておるわけじゃございません。具体的な議論をして、そうして政府の方針を尋ねておるわけです。この声明の第二項によりますと、今後米国は、琉球人に対する給与の水準並びに公衆衛生、教育及び福祉の水準を何年か後には日本本土の相当する地域での水準まで引き上げる、このための計画を国会に出そう、あるいは議会に出そう、こういうことになっておりますが、県並みの水準に引き上げるというようなことは、これはアメリカだけの予算措置によって県並みの水準に引き上げを考えておるのか、あるいは日本政府の援助も含めて日米両国の協力によって沖縄を県並みの水準に引き上げるというのがこの第二項の趣旨なのかどうか、この点をいかように政府は解釈しておられますか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 人口八十八万といいますと、わが国の場合それに相当する県が幾つかあるわけですけれども、その県並みの生活水準、経済水準というと、所得面でいいますと大体七割から八割くらいのように思われます。そこで、これについて今後協議するわけでございますが、これは日本の協力によってそうしたい、こういうことになろうかと思いますし、われわれとしては、われわれが協力して県並みの水準に引き上げる、こういうことにしたいと考えておるわけです。このことは、池田・ケネディ会談においても、そういうふうな県並みということをこちらが主張したわけでございます。
○田畑金光君 特に、新聞の伝うる現地の空気等を見ますと、アメリカの援助が大きくなることによってさらにアメリカの発言あるいは介入が強くなることが心配だ、ひもつき援助はお断わりだ、こういう空気が強いように報道されております。援助が大きくなることによって沖縄の現状が長期固定化するということをおそれておるわけです。こういう点について、政府はどのようにお考えになっておりましょうか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 政府といたしましては、アメリカの援助があったから、これにひもがついて何か隷属する、こういうような相関関係においてアメリカは考えていないと思うのであります。しかし、われわれのほうとしても、日本側として金をもらったから隷属するといったような考え方にならないように、十分協議の過程においていたしたいと思っておるわけであります。もちろん、日本の協力が必要である。
○田畑金光君 私は総務長官にお尋ねしますが、かりに沖縄を内地の県並みの水準に生活水準あるいは行政水準を引き上げるとした場合に、日本からどの程度の交付金あるいは国庫の補助その他を支出すればできるのかどうか。もちろん、言うまでもなく、今日の沖縄の場合は、琉球政府のやっておる行政内容を見ますと、国家の行政もあるし、日本の府県並みの行政もあるわけで、一律一がいには申し上げられませんが、そういうことも勘案しながら、かりに沖縄が日本に返還され、そうして日本並みの行政水準、生活水準を保障しようとするならば、どの程度国は負担しなければならないのか、これを承りたい。
○政府委員(小平久雄君) 琉球の行政水準なりあるいは国民生活の水準なりを本土の相当県並みにいたすためにどの程度のわが国の援助が必要かという点につきましては、総理府としましても種々試算はしております。しかしながら、今後各省の意見あるいは地元側の意見等も徴さなければなりませんし、また実地についての調査等もいたして、相当の資料を持ってしなければ結論を得ないと思います。いずれにいたしましても、援助の全体というものは、ただいま外務大臣からも御答弁がありましたとおり、日米が協力してやる、こういう建前でございますので、全体としてどの程度要るという数字の問題もございましょうし、またそれを日米間でどう分担してやるかという問題もございましょう。しかし、それらのことは、いずれ開かれるでありましょう日米間の討議を通じて決定をいたしていきたいというふうに考えております。
○国務大臣(水田三喜男君) 今の御質問でございますが、実は、昨年度の予算編成のときから、沖縄からの陳情は、立法府を通じても、そのほかを通じても、非常に政府にございました。そのとき私どもの非常に感じましたことは、もし沖縄が今日本の領土であったらどの程度の財政的な援助を受けておるであろうかということを、自分の人口と似ておる日本の各県を選んで実に詳しく沖縄の島民は研究しております。私は、非常にこのことは、沖縄島民として、何と申しますか、いじらしいことであって、これは私どもとしても考えなければならぬ。将来沖縄は当然復帰することですから、復帰した場合に一度に大きい金がかかることは、やはりこれは国としても困りますし、奄美群島が帰ってきたときもそうでございますが、今から行政水準を日本の内地並みにそろえるということをやって、なしくずしの援助を始めておかないというと、復帰したときに断層ができて困ることになる。ですから、順を追って沖縄の行政水準は内地にそろえるように援助したいと考えて、沖縄に言わせますというと、沖縄と同じ人口の県から見ると、たとえば六十億円ぐらいの交付金はもらえるだろうというような、いろんな計算も向こうは持って陳情に来ておりますので、私どもも一応その線に乗って、どれくらいの援助をしたらいいかという計算をしましたところが、交付金というような考えから言いますというと、向こうの基準財政需要額がどう、財政収入がどうだとかというような、やはり内地的な見方でいろいろ計算をしなければならないのですが、税の徴収の方法も、見積りも違いますし、国と地方の事務の配分ということも全く違っておりますし、たとえば医療について私どもが相当な援助をしたいと考えて茂りましても、内地のように強制入所の措置とかいうような行政軌道というものが全然向うには敷かれておりませんから、たとえば今度の場合は、向こうの結核患者を一時内地へ連れてきて療養させる、その費用を援助しようとかいうようなことで予算を盛ろうとしても、盛る軌道というものができていない。それから、比較しようとしても、行政水準にしろ、生活水準にしろ、実際には比較する方法がない。それだけ詳しい資料というものが、沖縄の資料がまだこちらにございませんので、それで私どもは各省と相談しました結果、やはり一番先に沖縄の実情の調査を各省がやって、そしてそれに基づいて今後どういうふうに行政の軌道を敷いて内地並みのような形にそろえていくかということを調査することが先だ、こういう結論になりまして、今度は各省で共同の調査費というものを今度の予算に盛ったわけですが、それはそれとして、そのほかのことについては、今言ったように、施策の軌道というものが敷かれておりませんので、予算を盛ったらすぐに有効にこれが動いて島民の福祉のためになるというように思われるような項目を三十数項目だけ選んで、これに政府の予算援助をするということに今年度はいたしましたが、その際、中央政府と地方の事務の分担、それから経費の分担ということをやってみますというと、私どもの結論は、この間御答弁しましたように、米国側の行政費はついての援助がもう少し多くてもいい、この比率がある程度多くないというと、私どもの援助とのつり合いがとれてこないという問題がございますので、和どもはその点を相当問題にしておりましたが、今度幸いに米国側の援助が、今の二十億に対して、二倍、三倍ということになりますと、今後私どものほうでも沖縄の行政水準を引き上げることについてのやり方が非常に楽になってくると思いますので、米国のそういう態度がはっきりしましたら、この問題については両国が十分相談して来年度からの問題に対処すればいいじゃないか、ことしの間はこの基礎調査をすることが先決だというふうに今私どもは考えておる次第であります。
○田畑金光君 近く政府としては各省合同の調査団を派遣されるということを承っておりますが、それはいつごろ派遣されるのか。また、今大蔵大臣から御答弁になりましたように、そういうことも予定して調査費を計上しておるというわけですが、この調査費で今計画されておる合同調査団、これは単に一面だけで済まされる問題とも見ておりません。これは何回かやはり繰り返さなければ、資料の不足、あるいは調査統計、万般不十分だと思いますが、予算の面から見てこれで十分なのかどうか、どなたでもいいが、御答弁願いたい。
○政府委員(小平久雄君) 調査団の件につきましては、三十七年度の予算に調査費といたしまして七百万円ほど計上さしてもらっております。どういう構成でいつごろ派遣したならばよろしいかという点については、内々検討をいたしております。現在のところ、まだ確定的には至っておりません。いずれにいたしましても、今大蔵大臣から御説明がありましたとおり、日本側には資料等も不足であります、それらを十分入手をいたして討議に備えていきたい、こういうふうに考えております。これで十分かという仰せでありますが、その点はまだこれも明確ではございませんが、しかし当面の調査には事を欠かないものと考えております。
○田畑金光君 今度、今お話がありましたように、だんだんわが国の援助費というものもふえてきょうと思います。昨年の五億四千万が、ことしは十億七千万円にふえましたが、さらにアメリカ援助の増大とも関連してふやしていかねばならぬと、こう考えておりますが、そういう場合に、現在総理府で沖縄の問題は所管されておりますが、やはりこれは自治省に移すほうがむしろ適当でないだろうか、そういう感じを持つわけです。この点、政府部内においては検討したことがあるのか、ないのか、どうお考えになっておられるか、承わりたい。
○政府委員(小平久雄君) 援助が増加した場合に、現在総理府で所管いたしております沖縄援助の事務を自治省に移したならばどうであろうかということにつきましては、かねがねそういうお考えのあることも承知をいたしております。ただ、この問題は、ひとり額がどうなるかという問題ばかりでなく、どういう方法で援助をするかという問題とも非常に関係が深いと存じます。しこうして、その方法等につきましては、やはり日米間の討議を通じて逐次決定いたして参らなければなりません問題でございます。そういう関係からいたしまして、将来は研究をいたすつもりでございますが、目下のところでは総理府が担当いたしていくのがやはり例であろう、かように考えております。
○田畑金光君 外務大臣にお尋ねいたしますが、大統領声明の中の具体的指置の第四項によりますると、日米協力関係の取りきめを作成する、そのために日本政府と討議をするということになっておりますが、これはいつごろお持ちになる予定なのか、取り上げられる内容ということは、どういうことを討議の対象に取り上げるのか。
○国務大臣(小坂善太郎君) これは、先ほども申し上げましたように、関係各省庁と連絡をいたしておりまして、相当準備期間もかかるわけでございますが、来月になってからというふうに考えております。内容は、沖縄における経済、福祉関係、あるいは社会保障関係、そういうような問題についてどういうふうな形をとれば一番いいかということになりまするが、しかし、今大蔵大臣がお述べになりましたように、相当の基礎的な調査をする必要もあるわけでございます。そういう方面も一方において進めて、アメリカ側との協議に備えたい、かように考えております。
○田畑金光君 その日米討議の対象の中には、共同声明の第五項にあります琉球諸島の行政機能をもっとアメリカのほうから琉球政府に委譲するという問題、それから第六項にあります琉球住民の個人的な自由制限を排除するという問題、この二つは討議の対象になるのか、ならないのか、政府は取り上げるのか、取り上げないのか、これをお伺いいたします。
○国務大臣(小坂善太郎君) この二つは、私ども取り上げたいと考えております。おそらくそうなると思います。
○羽生三七君 関連して。その日米協議の場合のメンバーですが、一部には南方連絡事務所の権限を拡大するとか何とかありましたけれども、そういう事務的なことでなしに、もう少し政治性を持った協議をする必要があると思いますが、その点はいかがですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) そのとおりに私も考えております。ただ、事務的な点もおろそかにできませんので、それも必要だと思います。
○田畑金光君 私は外務大臣に特にこれは要望しておきますが、沖縄が日本本土の一部であるという大統領の声明をこの段階において一歩前進させるためには、内地と沖縄との渡航の自由、これは少なくとも、この際アメリカと話をして、認めてもらうことが必要だろうと考えておりますが、討議の対象に取り上げられる御意思があるかどうか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 現在総理府の統計で伺いますと、〇・三%くらいが渡航制限を受けておるという実例になっておるようです。しかし、これは年とともに少なくなっているということでございますし、こういう点は討議してみる内容になりますけれども、常識的に、非常な沖縄の基地としての重要性をしいて破壊するという目的を持っておる渡航であるならば、これはある程度の制限が付せられるということも場合としてはあり得ると思います。
○田畑金光君 総務長官答弁して下さい。
○政府委員(小平久雄君) 三十六年におきましては、こちらから琉球へ渡航を希望いたしました者が一万七千七百名ほどに及んでおりますが、そのうち渡航を認められなかった者が、今外務大臣からお話のとおり、〇・三%程度のきわめて微々たるものでございます。それにいたしましても、渡航の自由ということにつきましては、国会等におきましても、非常に御熱心に御要望、御意見のあるところでございますから、私どもといたしましては、討議の際にぜひ議題の一部といたして努力をいたしてみたいと、かように考えております。
○田畑金光君 住民の自由制限の問題でもう一つ問題になることは、出版の自由の問題だと思うのです。これは、総務長官はよく御承知のとおり、沖縄においては政党の機関紙の発行は禁止されておると聞いております。また、諸団体の発行する印刷物等についても、一々民政府当局の許可を得なければできぬということになっております。出版の自由、この制限をなくすることを今度の日米討議の重要な一つに取り上げてもらわねばならぬと思いますが、この点、外務大臣の御意見と総務長官の御意見を承りたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) 総務長官からお答えになると思いますけれども、現在許可制にはなっておりますが、ほとんど許可されないということがないというような状態であるというふうに承知しております。
○政府委員(小平久雄君) 別段つけ加えることもございませんが、この問題につきましても、国会において、あるいは琉球におきまして、非常に要望の強いことでございますから、この問題につきましても、われわれとしましては、討議の際等において努力をいたして参りたいと思います。
○田畑金光君 外務大臣に私は特に申し上げておきますが、昨年の十一月二十九日に、自由人権協会沖縄調査団の報告、これを見ますと、去年の調査団の調査の結果が明確に出ております。この中には、今大臣のお話しのように、そう簡単な問題ではありません。政党の機関紙の発行その他において大きな制約があるのです。私はこれを取り上げてもらいたい。このことを強く要望しておきます。 次に、私は、日本の領土の一部であるということを、精神的にも、あるいは形式の面にわたるかもわかりませんが、それを表わす一つの象徴として、私はこの際沖縄代表の日本国会参加を認めることを考えるべきだと思うのです。琉球立法院は、二月十三日の本会議において、自民、社会大衆党、人民三派共同提案により、沖縄住民代表の国会参加に関する決議案を満場一致採択しております。現に、西ドイツを見ますならば、西ベルリンの代表はドイツ共和国家の国会に代表を送っております。議決権は持っていないが、審議権を持っておる。私は、少なくとも、この際日本の領土の一部である沖縄に対して代表が国会に参加することを認めるべき措置を講ずべきだと思うのですが、この点はどうお考えになりましょうか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 沖縄の住民は日本国民でございますから、日本国憲法及び公職選挙法の規定により選挙権及び被選挙権を有しておるわけです。しかしながら、沖縄に対する統治権は、現在日本との平和条約の第三条の規定によりましてアメリカ合衆国がこれを有しておりまして、わが国に属地的施政権を有しないということでありますから、公職選挙法を沖縄に施行することはできませず、したがって沖縄を全部または一部とする選挙区を設け国会議員を選出するということはできないと思われます。なお、国会議員としてではなく、オブザーバー等の資格で国会に参加させることができるかどうかは、国会法の問題でございまして、国会自体が決定すべき問題でございますが、憲法上は必ずしも不可能でない、かように思っております。
○田畑金光君 この際、大蔵大臣にお尋ねしますが、沖縄の人方の郵便貯金の問題が未解決になっております。幾らあり、政府はそれをどう処理されようとするのか、承っておきたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) 貯金問題は解決したと私は思っておりましたが……。
○田畑金光君 解決していません。
○政府委員(大竹民陟君) 戦前の沖縄の郵便貯金の問題でございますが、ただいま利子を付けて計算いたしまして、総額で申しますと、八千万円見当でございます。口数にいたしまして、約三十万件の口になっております。いずれも非常に少額なものでございます。沖縄側の希望といたしましては、昔の一円を今日の一ドルに換算して支払ってもらいたいという希望があるのでございますが、この問題は、郵政省が主になりまして研究をされておるわけでございます。郵政省といたしましては、郵便貯金というものの性質からいたしまして、一円一ドルという換算は非常にむずかしい、困難であるという見解を立てておられます。ただ、長い間支払うことができませんでして、非常に気の毒であるという実情も反面にあるわけです。奄美群島が復帰いたしました期日以後は、特に民法の法定利率を適用いたしまして、ある程度の見舞金を出そうかという案を立てておられるわけでございますが、しかしながら沖縄側といたしましては、今日もなお一円一ドル換算ということを要望いたしております。そういうことが非常に困難であるということを郵政省としては説明しておられる状況で今日に至っております。
○田畑金光君 私は、時間も迫ってきましたので、外務大臣に最後にお尋ねしますが、今回のケネディ大統領による沖縄の新政策により、生活上あるいは経済上ある程度の改善を見たことは事実でございますが、しかし、先ほど来申し上げましたように、アメリカの沖縄に対する施政権の問題あるいは軍事基地の問題は、見方によっては、かえって長期化することになることもわれわれはおそれているわけでございます。そうなってきますと、沖縄の根本的な解決をおくらし、あるいはまた、不可能にすることをわれわれはおそれているわけでございます。政府は、施政権返還の問題を今後どういう角度で取り組んでいこうとする御意思であるのか。私は、今申し上げたように、今回の大統領行政命令は、施政権返還ということになりますと、むしろかえってむずかしくなってきたような印象を受けるわけでございます。政府は、施政権返還について、アメリカに対し何らかの具体的な保証を得てこそ、今回の新政策が新政策として生きてくると君は考えますが、この点、政府は今後施政権返還の問題についてはどういうお考えでおられるのか。もうこの新政策で一応満足をして、施政権返還の問題についてはたな上げだ、こういう態度で行かれようとするのか。その辺の方針と、そしてまた、今後の政府の態度々承っておきたいと思います。
○国務大臣(小坂善太郎君) 施政権の返還要求は今後もいたします。ただ、沖縄同胞の経済上あるいは社会福祉その他の上の生活ができるだけよくなるようにということで、われわれも今後われわれの力で協力いたしまするが、また、アメリカの今回の決定を多とするものであります。なお、北方の領土につきましても、私はこれが帰って参りますように、なおこの努力も続け、極東における緊張と脅威が去って、そして大いにこの施政権はまた水の流れるような形でわが国に復帰するということを心から望む者でございます。
○田畑金光君 最後に、一つ政府にお願いしたいことは、北方領土の問題を質問しないのにお答えになっておりますが、これは、別の機会にまた、党の方針、またわれわれの態度を明らかにし、また質問することにして、ただお願いしたいことは、ひとつこれから一大統領声明をもとにして日米会談が持たれるわけです。残念ながら、冒頭申し上げたように、自治権の拡大の問題については、見るべき成果がほとんど上がっておりません。そのことを十分留意されて、少なくとも行政主席の公選制くらいはアメリカに納得してもらうように御努力を願うとともに、さらにまた今後の交渉にあたっては、先ほど申し上げました沖縄の現在の人方の自由権、権利の確保のためには一そう御努力を願いたい。このことを最後に要望として申し上げて、私の質問を終わります。
○委員長(湯澤三千男君) 田畑君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(湯澤三千男君) 次に小平芳平君。
○小平芳平君 初めに大蔵大臣にお尋ねしたいのでありますが、日本経済の二重構造の解消とか、所得格差の是正とか、こういう問題については、幾度か論議を尽くされてきた点でございます。三十七年度予算を編成するにあたりましても、こういう点が大きく注目される一つの点であると思います。ところが、予算の内容を見ましても、またその後の経済情勢あるいは物価の動き、そういうような点に対する政府の対策から考えましても、かえって格差が拡大するのではないか、大衆の生活がかえって苦しくなる傾向になりはしないか。こういう点が非常におそれられているわけであります。予算編成の過程はもちろん、こういう点について、減税とか社会保障とか農漁村対策とか、問題になったと思うわけでありますが、こういう点についての基本的な御方針をお聞きしたい。
○国務大臣(水田三喜男君) 格差是正については、まず地域格差の問題は、御承知のとおり、各地域ごとの解決方法がございまして、その計画にのっとった予算強化をする。それから、地方財政については、非常な税源不均衡が出ておりますので、国有の財源とあわせて、国の交付金と補助金、負担金、これによって運営しておりますが、この配分の仕方について考慮して、できるだけ地方格差の解消に資したいというためのいろいろな措置を昨年から講じており、これによって、今年度の予算でも、そういう傾斜配分的な考慮を十分にしてあるということが一つございます。 それから、低所得層に対する社会保障費の増額、これは、昨年度一応社会保障についてのいろいろな施策をしましたが、今年度さらに新しい措置もあわせてとるということにしましたので、社会保障費については、相当の増額をしておりますが、こういう点によって生活上の格差解消をはかるということ、それからもう一つは、今度は財政投融資の運用においてそういう面を考慮するということ、それから、税制においてこの問題を考慮するという、幾つかの問題から格差解消策を私ども考えており、特にそういう点に配慮してこの予算編成に当たったつもりであります。
○小平芳平君 社会保障についても相当の増額をなさったと言われますが、実際には、物価も値上がりしているわけであります。それからまた、税制の問題について配慮をなさったと言われますが、たとえば、間接税が減税されるということは、大衆にとってはありがたいことでありますが、しかしながら、一方においては、お酒とか、製品とか、そういうものが税金が下がったとしても、一方においては、野菜とか、その他の毎日々々の生活必需品が値上がりをする。そうして結局、一般大衆の生活が楽になりつつあるか、苦しくなりつつあるか、苦しくなりつつあるほうが多いのではないかというふうに私たちには見られるわけであります。その点いかがでしょうか。
○国務大臣(水田三喜男君) 個々の家計を見ましたら、いろいろの差があると思いますが、全体として見ましたら、御承知のように、昨年とことしの、三十六年、三十七年の二年間の減税によりまして、現に税金を払わなくて済むという階層が新たに三百八万戸ですか、それくらい税を払わなくて済む人も出て参っておりますので、その税を納められる程度の階層の人から見ましたら、この減税ははっきり響いておることは確かだろうと思います。それから、税を納められない層が一番問題でございますが、生活保護を受けなければやっていけないという階層に対しましては、社会保障費でこれを援助するより仕方がありませんし、その中間がどういうことになるかと申しますと、直接税の恩恵を受けない、間接税の減税の恩恵は受ける、そのほかの恩恵は受けないという層が相当まだ多いと思いますが、しかし、それでは所得が全然ふえていないかと申しますと、今私どもの統計では、各階層の所得というものは明らかにふえておりますので、物価が上がったということは事実でございますが、そのために所得増が物価増を吸収できるという家庭も相当多いと思いますが、中にはそれができない家庭があるかもしれません。全体を見ますと、国民のそういう個人所得が昨年と比べてどうなったかという、私どもはいろいろな推算をやっておりますが、物価高を考慮して、これを織り込んで計算しても、減税その他によって、昨年度より国民の個人所得というものは九百億円前後は明らかに今度の措置によってふえている。何も措置をしなければそれだけ減ると思われるものが、現にふえているというような、総体的な見方では、そういう数字も出ておりまするので、個々についてはいろいろあると思いますが、全体としては、いろいろの措置が低所得の人には相当大きく私は響いているのじゃないかと思っております。
○小平芳平君 確かに所得のふえる人たちもいるし、また、税金の減る人たちもいるわけです。しかしながら、一方においてまた、生活必需品あるいは公共料金の値上がりも確かなことなんです。この点については、私は、そう個々の問題に入る時間がありませんので、入れないわけでありますが、大蔵大臣にお伺いしたい点は、かつて予算編成当時から比べても、すでに相当の値上がりしているものがありはしないか。生活状態は予算編成当時から比べてすでに苦しくなっている面がありはしないか。それがさらに一そう苦しくなっていくような場合には、さらに減税とか社会保障ということをもう一歩進めていかなければならないではないか。そういう情勢になるかならないか。その辺をお伺いしたいのです。
○国務大臣(水田三喜男君) 三十七年度を通じて、消費者物価は二・八%上がるという予想を立てておりますが、それ以上に上がるということは、今おっしゃられたようないろいろな問題に響く問題でてございますので、できるだけそれ以下にするというために、政府は、これからいろいろ物価についての総合対策をとるということになっておりますが、何といっても、物価というものは経済の集中的な表現というべきものでございますので、全体の経済政策それ自身によって考えることが基本的な問題であると考えますので、今政府の考えているような経済の見通しに沿って、一応あの見通しどうりに何とかやるような政策を中心にして、いろいろな施策をとっておりますので、この経済政策のやり方を予定どおりうまくやるということによって、全体的には物価の上昇を押えるという政策をとることがまず先決問題だろうと思っております。
○小平芳平君 一方においては、経済の高度成長ということがうたわれて、社会的な繁栄がもたらされる。ところが、一方においては、個人々々の生活が苦しくなる。あるいは一軒々々の家庭の生活が苦しくなる。そういうことでは、非常に本来の政治のあり方にはずれてしまうのではないかと私は思うわけであります。経済の発展と同時に、一軒々々の家庭の生活が楽になるような、そういう政策のあり方というものを示していかなければならないと思います。ただいま大蔵大臣のお話では、二・八%の値上がりを見込んで、その範囲内に押えてやっていくというわけでありますが、その辺、一方では二.八%に押えるのだ、これでやっていくのだというようなお話と、もう一つは、経済は生きものだから、ちょっと動くかもしれないというような言外の意味があるようにもうかがえたわけですが、その点はいかがでしょうか。
○国務大臣(水田三喜男君) その点は、昨日も問題になりましたが、経済の見通しの問題で、今の動向でございましたら、私は、やはり三月、四月に経済の調整期に入ってくることは、これは必至でございますので、この推移を見ないと何とも言えませんが、これが私どもの考えているような方向で来るとしましたら、年度間を通じて、これはそう急速な物価高というようなものを起こす情勢には全然ならないのじゃないか。よく世間でデフレが非常に心配されているようでございますが、ほんとうにデフレという現象が出てくるというときには物価は相当牽制されるものでございますので、私どもはデフレにはしない、その範囲において物価も上昇を防ぐというやり方でやっていきたいと考えます。
○小平芳平君 それから先ほど大蔵大臣から、そのような格差是正については地域ごとの開発計画もあって、それぞれ開発を進めていくのだというようなお話があったわけでありますが、この点については経済企画庁のほうで国土総合開発法に基づく総合開発計画を立案中というふうに聞いているわけでありますが、その点についての見通しをお伺いしたい。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 国土総合開発法ができまして相当長期間にわたってこれが計画ができませんでしたことはまことに申しわけないことでございます。昨年七月に草案ができまして、本年三月末日を目途といたしまして、その草案を今世論に聞いているところでございまして、したがいまして、各方面からの御意見が今月末には集まって参ると思いますので、来月に入りましたらその草案をそれらの御意見を取り入れた上で国土開発総合審議会にかけまして最終的決定をいたしたいと、こう考えております。
○小平芳平君 その総合開発計画ができた場合には、地域ごとの開発計画、あるいはそのほかの問題もだいぶその全国の開発計画の中へ盛り込まれるのではないかと想像できるわけですが、地域ごとの開発は地域ごとでやって、その上にまた全国計画をお立てになるのか、それとも全国計画の中には地域ごとの問題は吸収できるものか、そういう点はいかがですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 総合開発計画と地域計画とは関連していることはもちろんでございまして、その関連を調整しながら総合開発計画を推進していくということに相なろうと思います。ただ、それらのものの実施その他それぞれの地域開発の方法もございますので、それ自体に利用して参るということになろうかと思います。
○小平芳平君 ですから、地域格差の是正という点では、各地域心々の開発計画が、それこそもう地方開発計画がほとんど日本全国、全国でもありませんけれども、大部分の地域が地方開発計画の中へ入っているわけでありますから、それをそのままの形で進めていくということになれば、全国総合開発計画というものは無意味ではないかと思うのですが、そういう点はどうでしょうか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) その点に関しましては、全国総合開発計画と地域開発計画とを調整をして参ることが必要であることは申すまでもございません。むろん総合開発計画がおくておりましたから、それぞれの地域開発で進んでおりますところもございます。それらの事実は考慮せざるを得ないと思います。なお、将来はやはり地域開発に対してそれぞれの審議会等もございますので、あるいはそういうものは総合開発計画の中の審議会の一つの部会等にして、それぞれ総合的な観点にそれをまとめていくのが適当じゃないかというふうに考えおりますけれども、まだどういうふうにしてやっていくかというところまでは考えておりません。
○小平芳平君 そういう点、大蔵大臣が地域開発でいく、経済企画庁長官が全国開発でいくというほど食い違っているわけでもないでしょうけれども、ひとつ十分調整をおとりになって、文字どおりの総合的な計画の上に立っていかなければならないと思うわけです。で、その開発計画ができた場合に、たとえば今国会で審議されているところの新産業都市建設促進法案、こういうような問題もあわせてその開発計画の中へ織り込まれて処理され得るものかどうか、いかがでしょう。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 大体今回国会に御審議を願っております新産業都市建設促進法は、全国総合開発計画における拠点地域というような考え方で進めて参りたいと、こういうふうに存じております。
○小平芳平君 この新産業都市のほうの拠点地域がそのまま生かされるとなれば、したがって、建設省でもあるいは自治省でもあるいはそのほか通産省でありますか、そういう各省で計画されるところの拠点開発もすべて生かされることになりますか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 今回の新産業都市法案は、通産省あるいは自治省、建設省等のそれぞれ考えておられます考え方を総合調整した上でもって立案いたしたものでございまして、したがって、そのまとまったものが各省の意向を代表しておるということにも言えます。今申し上げましたような、したがって、全国開発計画拠点地域として各省が力を合わせて、政府全体として新産業都市の育成に当たっていく、こういうことになると思います。
○小平芳平君 新産業都市のほうへすべて吸収されるようなお話でありますが、たとえば建設省の場合はいかがでしょうか。建設省としてのまたそういう計画あるいは予算をもっておやりになっているのじゃないでしょうか。
○国務大臣(中村梅吉君) 建設省が昨年来、三十六年度以来調査費をいただきまして調査をいたしておりますのは、やはり地方都市育成のために、一行政区域だけでなしに、広域的に道路その他の公共事業の整備をする必要がどういうところにあるのか、こういう角度から、まあ、そういう関係で建設省で言っております、俗に申しておりますのは広域都市と言っておりますが、これはいずれも今度の新産業都市促進の一環をなすものだと私は考えております。通産省の工業立地条件の調査あるいはわれわれのほうでやっておりまする広域都市建設の調査というものが全部かみ合って完全な新産業都市建設が進められるので、これらはそれぞれの角度から研究はいたしておりますが、具体的には一つになって進められるべきものである、こう思っております。
○小平芳平君 そうしますと、建設省のほうの広域都市の計画というものは、調査だけで、おそらく新産業都市建設促進法案が公布された場合は必要がなくなる、こういうように了解してよろしいですか。
○国務大臣(中村梅吉君) お答えいたします。やはり同じような角度で新産業都市建設の基礎になるべきような、また、それに関連をして起こって参りまする道路、交通、輸送等の関係については、われわれのほうで担当しております部門の調査研究を続けまして、そうしてそこに合わせていくということが必要であろうと思いますから、新産業都市建設促進法ができましても、こちらの調査を打ち切る必要はないのじゃないか、あるいは考えようによりましては、もっと活発にそういった角度の諸問題について調査をいたしまして立案の基礎を作る、こういうことが非常に肝心ではないかと、かように考えております。
○小平芳平君 やはり各省が思い思いでばらばらの調査をしたり計画をしたり、そういう点が非常に多いように私たちは思うわけです。企画庁のほうで、新産業都市が、この法案ができ上がった上では、窓口をなるべく一本にして、総合的な計画推進というものが必要になるのじゃないかと思うわけです。その点よろしいですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 新産業都市そのものの建設にあたりましては、窓口は当然企画庁一本になると思います。ただ、ただいま建設大臣が言われましたように、たとえば新しくできます新産業都市と、たとえば国土縦貫道路とがどういうふうに結びつくかということになりますと、新産業都市のワク外に出ての検討も必要でありますから、そういう点では新産業都市育成のために、どうしても建設省等でもって十分な調査をもって検討していただかなければならない場合もあるわけでございまして、そういう意味で……。
○小平芳平君 次に、先ほどやはり御質問した点でありますが、経済が高度に成長する、生産性が上昇する、したがって企業も利益を得る、賃金も上がる、また、消費者のためには価格が下がるであろう、こういうことが何回かいわれてきたわけであります。つい二、三日前、数日前でありますか、企画庁から、生産性、賃金及び価格の推移というような資料が発表されたということを新聞で読んだわけでありますが、経済企画庁として、一方においては確かに値上がりしている品物があるわけでありますが、また、一方においては、高度成長のゆえに、これこれ値下がりしておるものもあるのだというようなものがありますか、そういう点の御見解はいかがですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 先般、企画庁の経済研究所でもって三十五年度までの検討はいたしたのでございます。その場合に使っておりますのは、通産省でもっておられます工業統計調査を使ってやっておるのでございまして、その場合には、大体二十七年を一〇〇といたしますと、労働生産性が三十年には一二七、三十五年には一八七になり、賃金も二十七年を一〇〇といたしますと、一二三、一六三というふうになっております。卸売物価におきましても、二十七年を一〇〇といたしますと、三十年が九五、三十五年が九六というような数字が出ております。三十六年については、まだ工業統計調査ができておりませんので、それを集計するわけに参りませんが、しかし、若干労働省の労働生産性の統計等から見ますると、労働生産性が一〇%上昇しておりますが、賃金のほうでは%上昇しておる。また、卸売物価は四・二%上がっておるというようなふうに、これは速報でございますから、まだ正確なものになっておりません。
○小平芳平君 労働生産性、それから賃金及び価格の問題でありますが、私、経済企画庁にお尋ねもし、お願いもしたい点は、もう少しわかりやすく、一般にわかるような調査資料を調査なさって、そうして納得がいくような資料を公表し、納得させるような努力をしていただきたいと思うんです。といいますのは、所得倍増計画ということは再三にわたって説明もされ、また、言われてきたわけですが、さてどれだけの所得が上がり、どれだけの生産性が向上し、また、一方ではサービス料や公共料金はこのように上がったけれども、こういう点はこういうふうに下がっているというような点を、わかりやすいものを発表していただきたいと思うんです。なかなか日銀の資料とか、いろいろあるそうでありますが、われわれにはわからないわけです。また、そういう資料が発表になると同時に、労働組合のほうからは労働組合、あるいは経営者のほうからは経営者のほうからいろいろと見解が述べられるわけであります。そういう見解や批判は当然としても、政府としては、これこれしかじかの最も信頼のおける資料に基づいてやっているんだというようなものを発表していただきたいと思うわけなんですが、その点いかがでしょう。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 経済統計あるいは経済諸表というものを整備して参りますことは、今後の経済運営の上におきまして、非常な大きな指標になるわけでございます。また、それによりまして国民が現実の日本の経済事情を知るわけでございますから、そういう点を十分整備して参らなければならぬことは無論でございまして、特に企画庁としてそういう仕事を中心にしてやっていく必要があるかと思います。ただ、現在までのところ、統計等につきましては、各省それぞれ所管のものにつきましては統計を持っておられますので、それらのものが必ずしも時期を同じゅうして出てくるわけでもございませんし、それぞれまた統計調査の内容等によりましては、ズレる場合もこれは当然あるわけでございまして、そういうものを総合してやりますと、どうしても先般企画庁の経済研究所でやりましたように、そういうものが全部そろいました上でやらなければならぬということになりますと、一年前の統計しか正確には出てこないということになって、はなはだ都合が悪い場合もございます。したがって、それぞれの各省でやっております速報等によりましてわれわれも情勢を判断して参らなければならぬ場合もございます。したがって、今後ともそういう点につきましては、十分統計能力を上げ、あるいは統計の集計その他をできるだけ政府としてもまとめてやってゆくのが私はいいのじゃないかと考えております。同時に、それらのものが数学的に発表されましても、実は今おっしゃいましたように、国民の皆さんがわかりにくいものがありますので、私どもも数字に弱いものですから、数字を扱っておりましても、なかなか動向がつかみにくい点がございます。そういう点については、もっと数字の解説等については、何と申しますか、やさしくわかりやすく解説するように今後とも努めて参りたい、こう思っております。
○小平芳平君 次に、労働大臣にお伺いしたいのでありますが、失業対策事業の賃金を中心にしまして、今年度予算の特長のような点について初めに承りたいと思います。
○国務大臣(福永健司君) 従来からとっておりました方法によるものの拡大と、それから新たな考え方のものとあるわけでございますが、普通の失対の吸収ワクは二十万三千人拡大をいたしまして、月間二十二日の就労を確保する、こういうことにいたしました。御承知のように、このほかに、いわゆる特失、臨就等で二万七千人ばかりの吸収を行ないます。そのほか、一般公共事業費等も大幅に増額されておりますので、この方面からの好影響もあろうし、また、さらに民間需要も相当に好転をいたしておるというような事情も考慮されるわけであります。それとともに、単価につきましては、賃金単価は三百八十六円から四百二十五円にし、事業単価は四百九十九円二十五銭から五百四十一円十銭、こういうように上げるわけでありますが、こういうような施策によって従来の考え方のものを拡充いたしますと同時に、私どもの考えといたしましては、失業者である、したがって、それに対する対策事業の形において行なわれることのほかに、何としてもできるだけすみやかに常用雇用へ復帰させることにしなければいけない、これを大いに考えなければいかぬというので、今年度の予算に初めて雇用奨励金でございますとか、あるいは就職支度金でございますとか、こういうことを予算化いたしましたような次第でございます。これら一連の施策全体を活用いたしまして、何とか今御質問のありましたような点につきましては、総合的に施策を推進して参りまして問題の解決をはかりたい、こういうように考えております。
○小平芳平君 失対事業の労務者は、ただいま大臣お話のように、その常用雇用になっていくのが本来の姿であると思います。思いますが、現実に相当数の失対事業に吸収されている労務者があるわけであります。ところで、ただいまの単価でありますが、一〇%くらいの値上がりじゃないかと思いますが、三十六年度に対し、三十七年度が一割程度だと、それこそ物価の値上がりにも追いつかないんじゃないかというようなおそれはありませんか。
○国務大臣(福永健司君) 私どもといたしますと、多ければ多いほど望ましいことではございますが、なかなか予算全体の総合調整の上から申しまして、そうも参らないわけでございますが、今一〇%ぐらいとおっしゃいましたが、数字的には一二・七%ぐらいになるわけでございます。これが非常に上がったというようなことには私決して考えておりません。十分とは申せないと思うのでございます。しかし、生活保護基準等とは幾らか建前を異にいたします。今度の場合、まずこの程度でやむを得ない、こういうように私は考えております。
○小平芳平君 生活保護の問題とは根本的に違うのは言うまでもないわけでありますが、実際その失対事業に出ていく労務者が一カ月にどのくらいの収入があるか、生活保護を受けている人は、まあ世帯員の数によりますけれども、一カ月どのくらいの補助を受けられるか、どうも計算してみると、失対事業の労務者のほうが一万円にもならないし、保護を受けている人ならば、家庭によっては一万数千円になるというようなことになっているんじゃないかと思うんですが、そういう点いかがでしょう。
○国務大臣(福永健司君) 生活保護の場合とは、先ほども申し上げましたように、もとより建前が違っておるのでありまして、したがって、失対事業就労者の場合には、他の収入があっても差しつかえないわけであります。ほかに何もないということで比較いたしますと、標準五人世帯でこれを計算して参りますと、生活保護の場合におきましては、一級地で一万三千四百七十円となっておりますが、そこで、同じようなところ、六大都市で、実は実際を私どものほうで調査をいたしてみた数字によりますと、六大都市におきましては、三十五年十一月で平均二万四千四百四十三円という数字も出ております。これだけを比べますと、相当失対関係のものが多いというわけではございますが、これはもとより平均の数字でございまして、これよりいい人もございますし、これより悪い人もあるというようなことでございまするから、私ども必ずしもその平均の数字のみによってまず満足すべきものというようなことであってもならぬわけでございますが、先ほどからも申し上げておりまするような建前の関係等もございまして 先ほど申し上げたようなことにいたしておるわけでございます。実際を見ますと、今申しましたような数字になって、これはまあまあというようなところの数字が現われておることについて御報告申し上げたいと思います。
○小平芳平君 失対労務者の月収が二万四千円になるというお話ですか、先ほどのお話は。
○国務大臣(福永健司君) これは実際に標準家庭五人世帯につきまして、六大都市でその家庭で一人が失業対策事業就労者として働く、そういう家庭を現実に拾い上げまして、他の人たちの——御承知のように、失対事業の場合は、建前上、他の収入は一向差しつかえない、むしろ歓迎するのであります。そういうような標準家庭で事実どれだけの収入があるかということを調査いたしてみました結果、六大都市ではその他の収入等がありますので、現実にはこういう数字になっております。こういうことでございます。
○小平芳平君 現実には、先ほど大臣のお話ですと、三十七年度は全国平均は四百二十五円の二十二日分というお話なんですね。ですから、実際働く人が働いた賃金としてもらう収入は一万円足らず、こういうことだと思うのですね。何か失対事業に来ている労務者が二万円も二万何千円も月収があるということは、全然ほかの要素が加わった場合の話で、実際働く人は一万円弱の収入しかない。まあそういう点で、非常に働く人に対して、その賃金としてはわずかの賃金でしかないという点であると思うんです。で、同じ職安へ来ている労務者でも、民間会社へ行く人に、四百円というような賃金よりもはるかに高い七百円、八百円、九百円というような人も現実にあるわけです。ですから、この辺でまあまあということにはならないと思うんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(福永健司君) 御説のごとく、その失対事業に就労することによって得られる収入だけを比較いたしますと、御説のようなことでございます。ただ、先ほどからまあ建前が違うという意味において、生活保護の場合でございますと、ほかに収入がありますとみなもらうというわけに参りませんけれども、失業対策事業の場合は考え方が違うわけであり、実際にどういう事情であるかとということで調べましたのがそういうことであるということであります。したがって、お話のごとく、失対事業関係のみの収入はあまり高いものではございません。したがって、私も、予算編成時におきましては、これらの点につきましてかなり頭を痛くいたしまして折衝をいたしましたのでございますが、まあ現実に予算化された数字はもう御承知のとおりでございます。できればもう少しという気持は、それは確かにあるのでございます。総合的な結論といたしまして、今御審議をいただいておりますような結論になった次第でございます。
○小平芳平君 次に、先ほどお話しの転職の促進でありますが、この点については今年度から新しい制度も設けられることになったようであります。で、従来は非常に転職の促進がおくれている、実際の効果があがっていないというように思われるんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(福永健司君) 従来とも政府はこの点につきまして努力はいたして参りましたが、現実の効果は、御承知のごとく、必ずしも満足すべきものではございません。そこで、私どもは何とかこれを改善したいということから申しまして、今度新たな制度も作り、また従来やって参っておりました転職訓練等に関連する諸般の費用等も増額をするというような措置に出ました次第でございますが、この予算を大いに活用いたしまして、ぜひ効果を上げ、今御指摘のありましたような実効を上げるという点について、まあ今年度と申しますか、新年度におきましては画期的なものにしたいと、こういう意欲を燃やしておる次第でございます。
○小平芳平君 まあ一方では炭鉱離職者の方々のような立場の人たちもいるわけでありますが、一方では人手不足ともいわれるし、一方では非常に就職難ともいわれておりますが、そういう点、画期的に本年度はおやりになって下さるそうでありますから、ひとつ画期的に推進していただきたいと思うわけです。 それから次に、同じく失対労務者に対する盆暮れの手当でありますが、この手当は法制化してない点からでしょうか、いつも紛争の種になっているようなんですが、それは国が手当を若干出すけれども、結局地方公共団体がそこへ上積みして相当の負担をしている現状ではないかと思うのですが、そういう点、もう少し法制化するなら法制化する、国が負担するなら負担する、地方公共団体が負担する、はっきりしないも口のでしょうか。
○国務大臣(福永健司君) 御一承知のごとく、今お触れになりました点につきましては、政府が盆暮れにつきまして予算にある程度の措置をしておりますることは御承知のとおりでございますが、お話のとおりに、そのほかに各市町村等でその時期その時期に問題が起こっており、まあその他地方公共団体の財政事情その他いろいろの事情からいたしまして、地方公共団体においてもある程度の措置をしているところが相当にございます。地方公共団体がそうした心配をしなくてもいいように国家が十分に予算を出せれば、これもたいへんけっこうだと思うのであります。現実まだそういうわけにも参りませんし、一方地方公共団体につきましては、額についても方法についても、ずいぶんいろいろのものに現在のところなっている。したがって、この種のものが地方負担において行なわれるものも一括して法制化されるということになれば、まあいいといえばいいのでございますが、非常に実態がまちまちでございまして、したがって、これを一挙に法制化するということにつきましてはいろいろ困難も伴います。したがって、私はこの問題につきましてはいろいろ検討を進めていかなければならぬとは存じておりますが、今直ちに法制化することはちょっと困難である、こういうように見ております。御理解いただきたい。
○小平芳平君 いろいろ困難な事情があるとは思いますが、一方また地方議会ではいつも問題になるわけですが、もう少しその点を解決の方向へ持っていかれないものかどうか、そういう点いかがでしょうか。全然もう今の現状としては地方へまかしておくよりほかに手の出しょうがないという現状でしようか。
○国務大臣(福永健司君) 今お話しになりますお気持はよく私にもわかります。そこで、私どものほうでも検討もし、関係の地方団体の責任者等とも話し合ってみたい、こう存じておりますが、先ほどまあ新年度の予算審議とも関連しているお話でございましたので、三十七年度において直ちにそういうところまではちょっと困難であるというようなつもりで、ああいうように申し上げたのでございます。問題の性質にかんがみまして、私どもも、先ほどもちょっと申し上げましたように、検討をいたしたいと存じます。
○小平芳平君 次に、最低賃金の問題でお尋ねしたいわけでありますが、最低賃金の決定状況、業者間協定の締結の状況についてお尋ねします。
○国務大臣(福永健司君) 労働省におきましては、三十八年度末までに二百五十万までに適用人員を持っていきたいという一応の計画で進んでおりまして、今日まで相当程度の成果を上げておるのございますが、業者間協定に基づく最低賃金は、六百九十一件でおおむね百二十四万人、それから労働協約に基づく最低賃金が八万人、合計百三十二万という数字がごく最近までの実績でございます。これにつきましては、私どもできるだけすみやかに目標を達成するとともに、現実に即したような最低賃金がきめられていくようなことにも重大な関心を払って参りたいと存じます。三十四年、三十五年ころには、金額的に見ましてもかなり低いものもございましたが、最近はこの金額につきましても相当程度上がってきておりまするし、またごく低いものにつきましては行政指導も行ないまして、これの引き上げ方についても配意をいたしておる次第でございます。
○小平芳平君 金額はただいまおっしゃらなかったのですが、私のいただいた資料では、二百円から二百三十円くらいが多いように見たわけであります。で、第一、その最低賃金法に基づく最低賃金というものが、業者の協定だけで、それを法律に基づく最低賃金と言えるかどうか、非常に特殊な日本の制度ではないかと思うわけです。で、金額が多ければともかくも、失対事業の労務者の賃金も四百円何がしと先ほどあったわけですが、それと比較するわけには、もちろんいろいろ条件が違いますけれども、二百円、二百三十円というような、こういう現状の制度はいつまで続けられるおつもりか、早い機会に変えていかれる予定かどうか。
○国務大臣(福永健司君) 法律が施行されまして初めのころの三十四年ごろに、御説のような二百円から二百三、四十円くらいのものが相当にあったのでございます。これらはその後かなり改訂されてもおりまするし、最近のものは、まあこれも高いとは申せないのではございまするけれども、満二十五歳で日額二百五十円から三百円程度のものが非常に多いわけでございます。漸次改善されてはおりますが、これが十分今の経済情勢に合った高い額であるとは、これは確かに申せないのでございます。お話よりはだいぶよくなってきておりまするし、またよくするように私どもも行政指導を行って参ってておる次第であります。
○小平芳平君 制度を変える点についてはどうでしょうか。
○国務大臣(福永健司君) いろいろこの種のものをやってきますと、御批判等もあるのでございますが、実施後まだそう長い年月を経ているわけでもございませんので、私どもは現行制度のもとに、まずできるだけ効果を上げるように努力をし、この過程におきまして問題点は拾い上げて、現実に中央最低賃金審議会におきましてもこれらの点について御検討いただいております。したがって、ただいまの御質問の制度をどうするかということにつきましては、今直ちに現行制度を改めてというようなことには私ども踏み切っておりませんが、といって、現行制度が最善のもので、問題点等について何ら顧慮しないというわけではございません。この現行制度を推進していく過程におきまして、問題点は、先ほども申し上げましたように、これを拾い上げまして、中央最低賃金審議会等においても熱心に御検討を願い、それらの結論を待ちまして善処をしたい、こういうように考えております。
○小平芳平君 交通問題についてお尋ねしたいのですが、東京都内の交通緩和のために、警視庁、それから東京陸運局で研究の結果、車種別、時間別の規制でありますが、これをやるようになったという記事が発表になっておりますが、これはこのとおりでよろしいでしょうか。
○国務大臣(安井謙君) 最近新聞に出ておりますのを、大体運輸省その他の関係当局とも打ち合わせて実施するようにいたしております。
○小平芳平君 そのほか、どんな対策が実施される御予定でしょうか。たとえば、道交法を改正して運転免許資格の引き上げをするとか、あるいはガード・レールとか、信号機、照明灯等を画一的に義務づけるような特別立法をやるとか、そういうようなお話が出ておるわけですが、至急に手をつけ、実現されるような、このほかのそういう措置がありましたら、御説明願いたい。
○国務大臣(安井謙君) 交通緩和の対策につきましては、これは警察だけでやれるもの、それからさらに運輸者あるいは建設省その他の関係機関でいろいろやっていただくものと、たくさんあると思います。とりあえず、警察でやります点につきましては、例の悪質の運転について徹底的に取り締まりを強化いたします。さらに、軽度のものでありましても、それが非常に将来の運行の障害になると思われるものを、手広くこれの取り締まりを広げていくということをやります。車のほうの流れから申しますと、一方交通、右折禁止をやりまして、車の流れを一方的にスムーズにやっていこうという方法を従来ともとっておるわけでありまして、さらに都心地区あるいは繁華街における駐車の禁止区域を広げまして、むやみに路上に車を履けないようにする。あるいは最近事故が非常に多いというような点から、運転手の教養の点、あるいは必要によっては年令等も考慮しなければなるまいと思って、これを検討中でございます。
○小平芳平君 その年令を引き上げる点とか、あるいはガード・レール等の特別立法の点とか、具体的な見通しはいかがですか。
○国務大臣(安井謙君) ガード・レールでありますとか、あるいは踏み切りの整備、立体交差といったようなものにつきましては、建設省、運輸省当局でそれぞれ具体的に御検討、また御実施を願っておるわけでありまして、私どものほうは、今とりあえず、駐車場の禁止区域を広げる、これは近くさらに検討の上、なるべく早い機会に実現をいたしたいと思っております。年令制につきましても目下検討中でございまして、でき得れば近いうちに実現をいたしたいと思っておりますが、これは影響が相当いろいろの方面にあるわけでございますから、今事務当局で検討いたしておるわけでございます。
○小平芳平君 いろいろお伺いしたい点があるわけでありますが、時間がありませんので、運輸大臣、それから自治大臣、建設大臣にお尋ねいたしたいのですが、現在交通問題は、規制の強化、取り締まりの強化、そういう規制や取り締まりが次から次に打ち出されておる段階でありますが、もう少し明るい道が何かないかどうか。交通戦争だという人もありますが、ちょうど戦時中のように不便になり窮屈になる一方だというふうにも見られるわけですが、何かそこに総合的な、抜本的な対策はないか、お尋ねします。
○国務大臣(中村梅吉君) 交通事故をなくし、あるいは交通をなめらかにいたしますことは、根本的な方法が本来必要なわけでございます。これは実は一生懸命やっておりますが、急に成果が上がりませんので、やむを得ず警察関係、運輸当局等で応急の措置としまして、車種別規制等が打ち出されたわけでございます。われわれとしましては、本来そういうこともそれは確かに事故防止のためには必要なことでございますが、もっと交通の流れをよくするにはどうすればよいか、こういうことにつきまして、具体的に数多くの問題を検討し、実施に移しつつあるわけでございます。たとえて申しますと、横断歩行者が非常に多いために、さなきだに車のネックになって混雑いたしますようなところには、地下道あるいは架橋の歩道を新しく新設して、そして流れをよくするように、あるいはまた、重要な地点につきましては立体交差の実施もすでに相当個所計画をいたしております。三十六年度から予算がついておりますところもございますし、三十七年度から予算をつけまして実施に移すところもございますが、いずれにいたしましてもこれらは右から左になかなかすぐ解決がつきませんものですから、鋭意急いでそれらの隘路の打開に努めて参りたい、こう思ってせっかく努力をいたしているような次第でございます。
○国務大臣(斎藤昇君) 運輸省といたしましても建設省と並行をいたしまして、鉄道、軌道との立体交差の促進に大馬力をかけております。同時に建設省で道路の拡幅その他をやっていただきますが、しかしながら自動車の数が今後ますますふえて参るわけでございます。そこで、大量に人あるいは荷物を運ぶ、いわゆる高速軌道が必要だ、かように考えまして、現在東京都におきましては、今地下鉄の建設のうち四本建設中でありますが、さらに五本地下路線を決定いたしまして、なるべく近くこれらの着工の運びに参らせたい、かように考えております。同時に地上のほうにおきましても、たとえば羽田と新橋間のモノレール、これは私企業でございますが、先般認可をいたしましたその会社におきましては、オリンピックを目標に、羽田・新橋間のモノレールで十数分間で行けるように努力をいたしておるわけでございます。その他地方鉄道等におきましてもこれは地下鉄あるいは国電への相互乗り入れをやらせるべく今具体的に指導をいたしております。こうして、いわゆる大量に輸送する機関というものを整備をいたしまして、必ずしも自動車、個々の自家用車によらなくても都心に運べるというふうにいたして参りたい、かように考えておる次第でございます。
○国務大臣(安井謙君) 取り締まり方面ばかりでなくて、もっと明るい、希望のある面はあるだろうか、こういう御質問、まことにごもっともだと思います。私どもとしましては、教育関係あるいは市民の御協力を得るということが大事だと思いまして、交通安全協会等とも十分合議をいたしまして、民間にできるだけ交通に協力していただき、また学校等につきましても、いろいろ理解を深めていただくといったような方策をあわせてとりつつあるわけでございます。
○小平芳平君 運輸大臣にお尋ねいたしますが、新線を建設する場合、国鉄の新線を建設する場合には、どのような方針でおやりになっておられるのか。
○国務大臣(斎藤昇君) 国鉄の新線建設は、地方の産業開発あるいは文化の向上といったような点を主眼といたしまして、採算がとれるということを、必ずしも重点に置かないでやっております。ことに最近の日本の経済の伸長に伴いまして、都市と農山村との格差がだんだんひどくなって参ります。また、日本の産業全体の成長という点から申しまして、先ほどお話に出ておりました日本の全体の総合開発、あるいは地域開発等に関係をいたしまして、やはり輸送機関としての鉄道というものは相当大きな役割を果たしますので、そういう観点から新線を建設して参りたい、かように考えております。
○小平芳平君 これは国鉄総裁かあるいは運輸大臣からお答え願えるか、ただいま東海道線の富士駅あたりの改修工事でありますが、全く乗客があふれていて、お客さんが毎日何千人という人がバス輸送に頼っている。そういう場合に、現場の駅長さんはせっかくお客さんがいるのにみんなが逃げてしまってくやしがっているけれども、国鉄当局としては、輸送力の増強にいまだ手をつけておられない。そういう点はもう少し考慮される余地はないものか。
○説明員(十河信二君) お答えいたします。 身延線の輸送力は、お話しのとおり非常に不足いたしております。そこでこれを増強し改善いたしたいと思います。去る三十四年から富士駅の改善の工事に着手いたして、あそこを改善いたしまして東海道から車両の直通するようにいたしたい。なお、それと同時に、身延線の四両連結の列車を五割増しまして六両連結にして、輸送力もしたがって五割増しますから、そういうふうにいたしたいと思っておりますが、用地の買収、設計協議等が非常にむずかしくて今難航いたしておるところであります。ようやく用地の買収も、電車区の用地だけが買収済みになったというところであります。われわれといたしましては、できるだけ早く皆さんの御協力を得て実施できるようにいたしたいとせっかく努力しておるところであります。
○小平芳平君 用地とか設計とか、いろいろむずかしい点はあると思いますが、ただいまのお話しでも、予算は三十四年からついている。あまりゆっくり過ぎやしないかと思うのですが、どうでしょう。
○説明員(十河信二君) 何分最近の用地の買収が非常に因難をきわめておりまして、たいへんおくれておりますが、この上とも努力して、なるべく早くやりたいと覚悟いたしております。
○小平芳平君 次に、東北線あるいは常磐線の列車は全部上野駅で乗りかえる。そうして東海道線へ乗りかえるのは、東京あるいは品川で乗車しているわけでありますが、個人の場合はともかく、団体輸送の場合などは、非学に上野あるいは東京の乗りかえがたいへんなわけです。そういう点は、技術的に東北のほうから東海道へ直通で通れないものかどうか、お尋ねしたい。
○説明員(十河信二君) 今のところ少数の列車は乗り入れができるようになっておりますが、何分東海道線は輸送力が一ぱいになっておりまして、臨時列車を出す余地がきわめて少ないのであります。それで東海道新幹線が完成いたしました暁には、今よりもよほど楽に乗り入れができるようになるかと、この点を急いでやっておる次第であります。
○小平芳平君 それから国鉄の列車が、非常にいい列車もあるわけですが、団体輸送の列車などは非常に悪いのがある。きたないし、水が出ないし、冬でもスチームが通らない、そういうような点はどうでしょう。
○説明員(十河信二君) 団体用列車もなるべくいい列車を使いたいと思って努力いたしておるのでありますが、団体の申し込みが非常にお客さんの多い時期に殺到いたしますので、これを全部いい列車をあてがうということが非常に困難だ。できるだけ車をよけい作りまして、そういうことも改善のできるようにいたしたいと考えております。
○小平芳平君 国鉄は現在汚職問題があって、いろいろと総裁もたいへんだというようなことを、新聞で拝見したわけでありますが、昨年夏の新幹線汚職に引き続いて、またすぐ今回のような課長さんが逮捕されるというような問題が起きているわけですが、こういう点について総裁としてのお話を承りたい。
○説明員(十河信二君) 汚職の問題につきましては、私はまことに遺憾で残念でたまらないのであります。汚職というような問題を絶滅するようにというので、綱紀の粛正にはかねてから懸命の努力をいたしております。またまた新聞紙に報道せられておるような事件を起こしました。さらに一段と綱紀の粛正に努力いたしたいと存じます。 ただいまでは土木工事、あるいは車両の購入等につきましても、それぞれ特別の委員会を設けまして、部外の方々にも御参加を願って、不正を行なう余地のないように努力いたしております。また、部内におきましては契約審査役というものを設けまして、事前に関係のない者が綿密に調査をする。また、監察役を増員いたしまして、事後の部内監察を厳重にするようにいたしております。またさらに、そういう機会を作らないようにすることが必要だというので、取引先の関係の方々と一緒にゴルフをやるとか、マージャンをやるとかいうことは慎めという訓令を出しておるような次第であります。さらにまた、そういうふうにやりましても、事実不正が行なわれた場合には、部内の職員はもちろん厳重に処罰いたします。また、部外の業者に対しても、会社に対しましても、取引を停止するというふうな処置を講じて、こういう忌まわしい事件を絶滋するように期待いたしておる次第であります。
○小平芳平君 自治大臣にお尋ねいたしたいのですが、寄付の問題につきまして、府県あるいは市町村などで条例を作って、寄付の募集を強制できないように、または寄付の募集をチェックするような条例を作っているわけでありますが、こういう点について、地方公共団体の財政とも関係する部面が出てくるわけですが、必ずしもそうした地方公共団体、あるいは学校その他の寄付以外にも、あるいは町内会費とか、お祭りの寄付とか、そういうようないろいろな寄付があるわけですが、それに対して条例を作るような動きもありますし、また現に条例ができているところもあるようでありますが、これに対して大臣はどのようにお考えなさいますか。
○国務大臣(安井謙君) この寄付につきましては、いろいろ種類もあろうかと思うのでありまして、民間のいろいろな団体や、その他が自主的にやっておって、また出すほうも気持よくそれに応じて出すといったような場合は、これはあながち寄付をとめるということもできなかろうと思いますが、しかし、たとえば市町村、あるいは都道府県といったような自治体が、自分のところの予算の足りないために強制的に住民に負担を課す、こういったようなことは、厳重に慎まなければなるまいというように考えております。財政法の改正をいたしまして——昭和三十五年に改正いたした際も、現在よく税外寄付といわれておりますものの大口は、教育関係のものが多いのでありますが、そういったものに対しては、寄付を強制することはできないというふうに法律も改正をいたし、また全般的に強制にわたらないように十分に指導を進めておる次第でございます。
○小平芳平君 私のお尋ねした点は、条例を作るというような動きについてどうお考えか。
○国務大臣(安井謙君) 寄付の弊害を除去しますために、それぞれの団体が条例をきめることは、これはその団体の自由意思でもございますし、けっこうなことであろうと思っております。
○小平芳平君 建設大臣にお尋ねしたい点は、高速道路を初め、道路の計画は、全体としての計画がなされなければならないと思うわけであります。先ほどの国土総合開発計画も、もちろん全国的な計画がなされなければならないのは、言うまでもない。まして道路の場合は、全体としての計画をしていかなければならないと思う次第なんです。たとえば首都高速道路の一号線でありますか、羽田まで行くあの線は、羽田まではずいぶん工事が進んでおるようにも見られますが、それから先はどのような計画ですか。
○国務大臣(中村梅吉君) お答えいたします。一号線は御承知のとおり、都心から羽田までを第一次の計画といいますか、オリンピック開催時までに完成をいたしたいという目途に基づきまして進行いたしておりますが、これが整いましたならば、川崎市を経過いたしまして、横浜の適当な地点に達するような路線にいたしたいということで、われわれのほうでも検討をいたしております。ただ、この事業は一号高速道路の延長のような姿でございますから、首都高速道路公団に事業実施をやらせるのがいいか、あるいは日本道路公団の関係もございますから、この部分につきましては約五十億円ほどを、いずれにもまだきめてはございませんが、大体この経費をもちまして延長をはかることにいたしております。
○小平芳平君 その点が私お尋ねしたい点だったわけなんですが、道路公団が全国的に道路を建設していく。東京は首都高速道路公団が建設していく。今国会で新しく阪神高速道路公団ができまして高速道路を建設していく。そうすると、今度は福岡とか名古屋とか、そういうまた高速道路を建設しようという動きが出てきた場合にどうなさるか。
○国務大臣(中村梅吉君) 東京及びその近辺の既成市街地並びに阪神地区の道路交通事情はごらんのとおりの状態でございますので、できるだけすみやかに集中投資をいたしまして、高速道路を発達させる必要が痛感されておるわけでございます。そこで、日本道路公団としましては、全国的な有料道路を担当いたしておりますので、これらの地区に集中投資をするということは、いろいろな制約があり困難があるわけであります。さような関係上、首都高速道路公団並びに今回御審議をいただいておりまする阪神高速道路公団にいたしましても、まあ政府の出資金に同額の見合った地方出資金をしていただく、あるいは交付金を地方公共団体からしていただく、そのほかに政府が、財政投融資をつけまする政府の融資資金に見合ったやはり地方公募債を整えていただくというような方法によりまして、部分的な高速道路建設の機関を作ることが切実になっておりますので、このような方向に進んでおるわけであります。福岡、名古屋等につきましては、まだそこまでの切迫した事情にございませんし、ことに名古屋のごときは、中央自動車道あるいは東海道の自道車道等のいわゆる経過地になる、東京、大阪、二大地点の中間に当たりますので、特にそういう方法を講じなくても、まあ今のところではそれらの主要な高速道路の経過いたします地域になりますので、将来の問題は別といたしまして、現在のところでは、われわれとしては考えておらないという状態でございます。
○小平芳平君 横浜には作らないわけですね。横浜まで延びる高速道路は道路公団もしくは首都高速道路公団でおやりになる。それ以外のところでは、ただいま御説明のような事情があれば、公団を作るような場合もあるということでしょうか。
○国務大臣(中村梅吉君) 今のところでは具体的に格別考えを持っておりません。
○小平芳平君 そういう点が、公団ができること自体はそれぞれの事情があると思うわけでありますが、その公団ができて、今度はたとえば阪神高速道路公団ができて、名古屋にももしもできたような場合、一体どこまでの道をどっちが作るかということが、いつもそういう問題が起きるのじゃないかと思うのです。第一、その公団を作ること自体にも問題を——大蔵省はどんなようなお考えなんでしょうか。何か大蔵省としては公団に対してお考えを持っておるようなことも聞いたのですが。
○委員長(湯澤三千男君) 小平君の持ち時間は終了いたしました。
○国務大臣(水田三喜男君) 私どもは最初阪神高速道路そのものはこれはもう必要と認めまして、積極的に賛成して、五カ年計画の中に有料道路としての繰り入れをやったわけですが、あの程度の規模なら今の道路公団でできるのではないかと、かえって機構的に屋上屋を重ねるほうが効率も悪くなるのじゃないかということも最初は考えましたが、しかし、向こうの行政機関の関係を見ますというと、大阪府、市、兵庫県、また神戸市、京都府、京都市、この全部向こうはそういう関係になっておりますので、向こうの道路整備をやろうとしますというと、これはかえって別個の公団というものによってやらせるほうがあるいはよくないか、また関係者も能率を必ず上げる機構にして運営をやるというなお話もございましたので、最初はそう考えましたが、最後は関西に別個の公団を作るのは大体やむを得ないのじゃないか、こういうふうに考えて今度の公団を作っております。
○小平芳平君 以上で終わります。
○委員長(湯澤三千男君) 小平君の質疑は終了いたしました。 明日は本会議がございまするので、午後一時に開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時十五分散会