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40回国会参議院1961/12/22

本会議 第3号

発言数
17
登壇者
7
会派数
2
開催日
1961/12/22

会議録

松野鶴平自由民主党議長

○議長(松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      —————・—————

松野鶴平自由民主党議長

○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。  この際、新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。  議席第四番、地方選出議員、宮崎県選出、温水三郎君。   〔温水三郎君起立、拍手〕     —————————————

松野鶴平自由民主党議長

○議長(松野鶴平君) 議長は、本院規則第三十条により、温水三郎君を外務委員に指名いたします。      —————・—————

松野鶴平自由民主党議長

○議長(松野鶴平君) 日程第一、緊急質問の件。  森元治郎君から「当面せる外交、特に日米経済会議並びに東南アジア経済外交等に関する緊急質問」、大矢正君から「当面せる経済諸問題に関する緊急質問」が、それぞれ提出されております。両緊急質問を行なうことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松野鶴平自由民主党議長

○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。順次発言を許します。森元治郎君。   〔森元治郎君登壇、拍手〕

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 私は、日本社会党を代表して、去る十一月の総理の東南アジア旅行及び二、三の当面する外交問題について、政府の所信をただしたいと思います。  今回の旅行は、わが国家国民の権利、利益及び安全にとって、幾多の重大な問題を提起しております。そこで、われわれがすみやかにその報告を要求したのでありまするが、政府はなかなか応じません。やっと本日これに応じて本会議を開くに至ったのでありまするが、いかなる理由によるのか、総理からまず明らかにしていただきたいと思います。(拍手)  さて、旅行の目的は何か。親善であるのか、懸案の解決であるのか、何を見て、何を学んでこられたかを、率直に総理から御報告を願いたい。  私は、去る六月、総理がケネディ大統領と会談以来、気負い立って、しかも急ピッチで、アメリカとの結びつき、すなわち、アメリカのアジアにおける反共軍事体制の立て直し、あるいは強化に、積極的に力をかそうとし、かつ、アメリカの対外援助負担の肩がわりにやっきになっているような感じを、強く受けているのであります。総理の東南アジア旅行は、日韓会談の促進、日米経済貿易会談、国連における中国代表権問題の処理に示した敵視政策と関連する、一連のアメリカ追随外交の展開であります。別な言葉で言えば、アジア反共自由陣営のチャンピオンの域内視察の感が深いが、総理大臣の所見を承りたいと思います。  親善というのは、謙虚な相互理解の上に、また理解の努力の上に成り立つものであります。中立主義をとるインド、ビルマには辛く、SEATO加盟のパキスタン、タイには甘い様子が見られたのは、はなはだ遺憾であります。国々にはそれぞれ伝統もあり、立場もあり、環境もあります。その真実の姿をつかむことが大事であります。しかるに、総理は初めから先入観を固執して、生きた現実の姿をすなおに受け入れようとしない態度は、将来の外交面に大きな禍根を残すのではないかと、憂慮にたえないのであります。総理は、日本が自由主義陣営の一員というよりはアジアの日本であるという気持を強くしたと語っておられます。そのアジアとはどこをさすのか。SEATO加盟国をさすのか。もしインド、ビルマも入ったアジアというならば、そこには中立主義が支配的であります。ひたすら国内建設と世界平和を願う中立主義、また生活水準の低さや、その後進性を指摘しているが、そのよってきたる植民地主義を何と理解されてこられたか。また、アメリカ一辺倒でこれらの国々と真の友好関係をはたして深めていくことができると思うかどうかを承りたい。  総理は、今回の歴訪によって、アジアの先進国の指導者意識を強めたと言っております。その具体的な例示は国際関係もありまするのでこれは避けますが、もし大国主義の自信を深めたとすれば、はなはだ危険であります。外交なんか大してむずかしくない。わずか十五日間の旅で、ビルマではちょっと失敗したが、パキスタンでは貿易の拡大を取りきめたし、タイの特別円も片づいた。しかも、各国ともみな日本をたよりにしている。外交はおのれ一人の胸三寸でやれると自信を持ったとしたならば、かの松岡外交の二の舞になることを総理は銘記すべきであります。(拍手)総理はまた各地で、できる限り経済協力、経済援助をすると語っているようでありまするが、国際収支の現状、所得倍増政策に経済の危機が迫っておるときに、いかなる腹づもりであるのか。また、アジア共同市場も考えるべき時期に達したと、ネール首相に語ったということでありまするが、まちまちの経済構造の中で、はたして可能であるか。下手をすると、日本の経済侵略の警戒心を起こさせるおそれがあります。その構想について、総理並びに通産大臣にお伺いをいたします。  次いで、ビルマとの賠償問題でありまするが、ビルマは、日本が払わなくてもよかったベトナム賠償の協定の効力が発効した直後、昨年の四月に、日本・ビルマ平和条約再検討条項を援用しまして、賠償額の増額を要求したのは当然であります。こちらは七千五百万ドル、先方は賠償二億ドルその他計四億ドルで、お互いの主張には大きな開きがあります。戦時中ビルマに与えた損害は、フィリピン、インドネシアに劣らないのであります。その友好的な態度や、新興国の民族的感情も参酌して、これは十分に考慮してあげてしかるべきものと思います。もし、この国が中立国であること、中共からも援助を受けているなどの理由から、不必要にそろばんずくでつらく当たることがありますれば重大であります。政府は、これを円満に、納得のいくように、すみやかに解決する自信と見通しがあるかどうかを伺います。  これに反して不思議なのは、タイとの特別円の処理であります。池田総理は、サリット首相と談笑のうちに、あっさり片づけてしまいました。しかも大譲歩であります。昭和三十年七月の日タイ協定によれば、特別円のうち九十六億円は投資及びクレジットの形式で供与するとありましたのを、今回は無償で贈与するということにした理由は、どこにあるのでありましょうか。われわれはわかりません。小坂外相によれば、これは、協定文の解釈について双方が食い違っていたわけだと言っております。それでは、条約批准の際の国会ではどうしたかというと、日本側の解釈で説明してうまく通り抜けたということであります。まことに人を食った話で、国会冒涜もはなはだしいものであります。しかも外相は、大局的な見地に立てば、この際九十六億円は、事柄の性質から見ても、日本財政上非常な負担になるというほどのことではない、この辺で大所高所から解決することが望ましいと答弁をしております。また、これを解決しないと、出超になっている日タイ貿易が阻害される。九十六億円八年払いを惜しむと、何十倍ものものを失うおそれがあるとも言っております。われわれ納税者をばかにするのも徹底したものであります。最も悪いことは、条約からはずれて勝手な取りきめをしておいて、まずいところは協定本文を改めようというのであります。いよいよもってファッショであります。条約は誠実に履行すべしという憲法の条文を政府は何と理解をしておるのか。国会の権威、憲法擁護の建前から、われわれは絶対に政府のやり方に反対であります。あくまで責任の追及をしなければなりません。総理大臣及び外相から御答弁を願いたいと思います。  次に、国連総会における中国代表権の問題であります。この際、とった政府の措置についてお伺いをいたします。総理は、日本はアジアの一員であるという気持を強くしたと語っておられるが、中国大陸を含まないアジアを考えられるかどうか、まずお伺いをいたします。政府はこれまで、中国問題については前向きの姿勢で善処したいと繰り返し述べておる。しかるに、今回の総会では、中共の国連加盟のたな上げ案にかわる逃げ道、重要事項指定の共同提案国となったばかりか、これが通過の立役者となっております。これがいわゆる前向きの正体であるのか。この態度は世界の大勢に逆行するものであります。中国敵視政策の現われであると言われても仕方がありません。前向きの姿勢とは何か。あるいは政策転換に踏み切ったのでありましょうか。また、政府は、去る十月下旬の安保理事会のモンゴル加盟問題をめぐって、国民政府が拒否権を行使することによって中国代表権問題討議の際に不利な立場に追い込まれないように、国民政府説得に動いたばかりか、重要事項指定決議案については、アメリカ側と、事前に案文の作成から作戦の打ち合わせまで、大いに忠勤をぬきんでた事実は、もはや隠しおおせないことであります。毒を食らわば皿までの勢いで突っ走られるのか。この辺の事情を明確にしていただきたいと思います。(拍手)政府は、この決議案の可決によって、中共の国連加盟阻止ができると思っておられるかどうか。賛成六十一票、反対は三十四、反対を上回ること二十七票と言われるかもしれませんが、国連は浮動票が多い。しかも、ブラザーピル派などの向背というものは、どこを向くかわかりません。次の機会にこれが反対に回れば、どんぴしゃり通過をいたします。一体、政府は、中国の正当なる代表権は、中国と台湾の国民政府のいずれにあると思いますか。こういう質問は非常に簡単で、昔から同じことを聞いておるのでありまするが、政府から御答弁がない。去る六日、政府の訓令によった岡崎代表の国連総会における演説を見ますと、「とも見られ」「とも見られ」というようなことで、新聞の時事解説を一歩も出ておりません。いやしくも一国の外交演説とは受け取れません。公平に事態のむずかしさを御了解して下さいと言いながら、日中関係にあっては、昭和六年の満州事変から日本の大陸侵入の重要な記述を完全に省いて、平気な顔をしております。しかもなお、もし国民政府が中国に置きかえられたならば、これは、事実上、加盟国の除名と同じことだと言っておる個所がありますが、非常な小細工であります。これは、履きかえられたのではありません。中共が正当な代表権を回復するのであります。また、国民政府は除名されたのではなくて、国民政府という客体が正当なものに吸収され、自然に消え去るということなのであります。この作為的な点について、小坂外相から御答弁をお願いいたします。政府は、この際、慎重だの重大だのという評論ばかりをしていないで、いかなる場合でもアメリカと同一行動をとるというのか、それとも、自分の運命を他国にまかせて、大勢順応で行くのか。また、形勢非ならば、国民政府を国連にとどめつつ、中共にも議席を与えようという、二つの中国を心に描いておられるのか。政府は、この際所信を明らかにする義務があります。また、その義務を果たすのは、今をおいてはないと思いますが、総理大臣はいかにお考えになるか。  最後に、日韓会談についてお伺いをいたします。けさの新聞で見れば、総理は、来年の春に韓国に乗り込むということでありまするが、そこまで一体進んでおるのでありましょうか。日韓正常化に、政府はこのところ非常にやっきになってきております。これまでわれわれは、十年にわたる日韓交渉をよく見て、勉強して参りました。意見の対立は、なかなか合致するものがありません。それを急に、近ごろになって、われわれの領土にあって現在韓国に占領されておる竹島や、国際司法裁判所にかけている李ラインはあと回しにして、とにかく国交を開こうとするようになって参りました。この急激な原因はどこにあるのでありましょうか。それは、みずからの発意でないことは何人にも明瞭であります。東南アジアにおける自由陣営の強化のためには日韓国交の樹立を急げという、アメリカの強い要請によることは明白であります。われわれは、朝鮮の平和を望みます。南北の統一を望みます。ドイツのような分割の固定化は、朝鮮人民のためにも、アジアの平和、日本の安全のためにも、とらないのであります。幸いなことに、朝鮮人民は、南と北といわず、統一に非常な熱意を持って進んでおります。これを促進してやることがわが日本の任務であります。これを拒むもの、すなわち日韓会談であり、また朴政権であると思います。朴政権は、軍事独裁政権であります。この政権のもとでは、一切の政治活動は禁止されて、テロ政治が行なわれております。政府はこの政権をどのように見ておられるか。なるほど、二年後には民政に移管するといいまするが、独裁政府が勝手な議論を許す代議政治を持たせると期待するのはばかげております。この際われわれが必要なことは、おそくても、時間がかかっても、民主政治の確立をはかることに努力することであります。形ばかりの軍事体制の強化は問題ではありません。同時にまた、朝鮮人民の生活の窮乏を救うことが大事であります。南ベトナムに対するアメリカの援助でもわかりまするように、無用な、ただむちゃくちゃな援助は、その援助されたもの、金は、何に化け、どこに消えるかわからない。そのような独裁政権援助、対韓援助は、やめるべきであります。

松野鶴平自由民主党議長

○議長(松野鶴平君) 時間が来ました。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君(続) 情勢に逆行する日韓交渉は、この際ぴったりととめるべきであると思いますが、総理大臣の御所見を伺います。(拍手)   〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私の東南アジア旅行に対しまする報告は、適当な機会にいたしたいと考えておりましたが、たまたまきょう報告ができることを喜びます。  アジア訪問の目的は何か。——これは四カ国の招待によりまして、親善を目的として参りました。しかし、それぞれ両国間に存する問題につきましては、いろいろ話もいたしたのでございます。目的は親善でございます。  わが国の外交がアメリカ追従であるということは、少し誤解ではございますまいか。われわれは、独立日本国として正当な外交をやっておるのであります。  なお、パキスタン、タイに対しては寛大で、インド及びビルマに対しては非常にひどかった、これは全くの誤解でございます。全くの誤解でございます。  また、アジアとは何か。——アジアとは、この四カ国のみならず、アジアに存在する全部の国を申しておるのであります。  また、こういう四カ国との経済協力は、国際収支の現状から言い、また所得倍増の建前から言って、協力ができるかという御質問でございまするが、こういう後進国に経済協力をしてからこそ、国際収支も所得倍増もできるのであります。協力なくして所得倍増はできないということをはっきり申し上げておきます。  なお、ビルマ賠償につきまして、あるいはフィリピン、インドネシア等と考えて相当に出すべきだというお考えでございまするが、われわれも、ああいう条項がございますので、ビルマのため、日本のため、利益になるように考えておるわけであります。しこうして、私は、ビルマのウ・ヌー首相並びに野党のウ・バ・スエ、あるいはウ・チョー・ニェン、そして軍部の方々全部と、ほんとうに、どこの国よりも、最も多数の人に、最も気持よく話してきたのはビルマでございます。これはいずれ事実が証明すると思います。どうぞ誤解をなさらないようにに、将来をごらん願いたいと思います。  また次に、タイとの特別円の問題でございます。われわれは、条約できまったことを軽々しく変えるということは、絶対に許しません。それはお話のとおりでございます。しかし、条約締結の場合において誤解があり、そしてその誤解が日本とタイとの間の親善関係を非常に阻害することを考えますときには、その誤解を解き、両国の親善のために大所高所から適当な処置を考えることが、日本の外交として必要であるという信念に基づきまして、一応の取りきめをいたしたのであります。後日皆さん方に御相談を申し上げたいと思います。  また、国連におけるわが国の態度についての御質問でございますが、われわれは、従来この中共問題につきましては、十年にわたってたな上げで行っておるのであります。しかし、今の情勢はたな上げ論は許しません。われわれは、こういう重要な問題は——アジアの平和、また世界の平和に非常に関係のあるこの問題は、国連で十分討議するということが前向き外交であると考えまして、そうして重要問題として国連の討議にのせたのであります。これは私が組閣以来考えておった方針でございまして、何もアメリカに従ってやったのではございません。  次に韓国との問題でございまするが、私は、文民政権への暫定政権である、しこうして、日韓関係の正常化はわれわれ国民の大多数が望んでおることでございまするから、日韓関係の正常化に努力を今続けておる次第でございます。(拍手)   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕

佐藤榮作自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま総理から、経済協力についての政府の態度を御説明になりました。私どもも全然同じ考え方でこれを進めて参る考えでございます。(拍手)   〔国務大臣小坂善太郎君登壇、拍手〕

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 私への御質問もございましたけれども、すでに総理大臣から適切なお答えがありましたので、これをもって御了承を願いたいと思いまするが、ただビルマの場合は、私も交渉に行っておりまして、双方の今までの主張の食い違いというものは、この交渉の過程を通じて十分に理解されており、まことに友好的な親密な雰囲気のもとにこの会談を終えて参りましたのでございますが、今後遠からずまた双方において満足し得る結論に達することを期待いたしております。なお、ビルマの四カ年計画等につきましても、われわれよく御相談をさしていただくというような空気も出て参ったことは、御承知のことと存じます。  なお、タイの特別円の問題は、これは賠償とは違うものであるということは申し上げるまでもないことでございまするが、すでに協定が動かなくなっておりまするのでございますから、今度の総理の訪問によって両国親善への窓がさらに大きく開かれたということは、非常に大きな意味があることと考えておる次第でございます。森さんの言われたようなことが一部共産圏の新聞に出ておったということも聞きましたが、一般にはさようなことは全然申しておりません。わが国の国会においてそういう議論が出ますことは、はなはだ私は遺憾に存ずる次第でございます。(拍手)     —————————————

松野鶴平自由民主党議長

○議長(松野鶴平君) 大矢正君。   〔大矢正君登壇、拍手〕

大矢正日本社会党

○大矢正君 私は、日本社会党を代表して、当面の経済政策並びに明三十七年度の予算編成に関連する経済運営の基本的な態度等に関し、池田総理を初め関係各大臣に、以下若干の質疑を試みようとするものであります。  まず、昭和三十六年度の経済見通しについて質問をいたします。さきに政府は、三十六年度の経済見通しとして、消費者物価五・七%の値上がり、輸出の四十一億ドル、輸入の四十八・八億ドル等を発表されました。この見通しは、本年三月の予算編成時の経済見通しと比較して、非常に大きな狂いが出ております。しかし、この点は、すでに十月の臨時国会で指摘済みのことでありますから、あえてここで触れようとは思いません。ただ、本年春以来、政府は経済の見通しを数回にわたって手直しをされているようであります。また、最近総理は、明年度の経済成長に対し、数字にこだわるのはよくないと、こう述べておられるようであります。ところで、三十六年度以降三カ年九・二%の成長と言い出したのは、一体だれなんでしょう。ほかならぬ総理御自身ではなかったでしょうか。経済のことは私にまかせて下さいと、胸を張って答えていた総理の得意満面の姿も、最近はあまり見受ける機会がなくなってしまったようであります。さすがに近ごろは、もうおまかせ下さいとは誓わなくなってしまいました。また、まかせた結果が今日の事態を招いたのでありますから、言えるはずもないと私は思います。ところで、先ほど述べた政府の三十六年度経済見通しに比べ、特に最近の物価動向を見ますと、消費者物価の値上がりは単に一時的なものではなく、構造的なもののようであります。また国際収支を均衡させるかぎとなる輸出入の状況も、交易条件の悪化と、上期の輸出入実績等から判断して、総合的な経済見通しは再び近く変えなければならないような心配が出ております。政府は確たる自信を持って先般の経済見通しを立てられておられるのか。総理並びに経済企画庁長官にお尋ねをいたしたいと思います。  次に、私は明三十七年度の経済見通しに関連をしてお尋ねをいたします。政府は明年の経済運営の基本となる国際収支について、輸出を四十七億ドル、輸入を四十八億ドルと見込み、最終的な総合収支において一億ドルの赤と踏んでいるようであります。そこで、私の第一の心配は、本年は四十一億ドル、三十五年に比べて四・六%しか伸びない輸出を、明年度は四十八億ドルに、一五%増と大幅に伸ばし得る道がはたしてどこにあるのかということであります。金融を中心とした経済全般の引き締め基調を平常に回復させるための唯一の道は、国際収支の均衡にあることは言うまでもないことでありますが、世界貿易の現状や、わが国貿易の過去における実績を無視した計画や見通しを立てることは、ますます経済を混乱に陥れるものであります。先般発表された日銀の報告を見ると、明年の世界貿易は停滞の年となりそうであり、三、四%程度が最高だろうとなっております。世界貿易の停滞の中で、わが国だけが貿易面で大幅な拡大を期待することは、まことにおかしな話であり、一五%の輸出増などということは、裏づけのない単なる期待にすぎないものであります。しかも本年一月から十月までの対アメリカ貿易は八億七千万ドルの入超であり、これが国際収支の逆調の大部分を占めておりますことは、御存じのとおりであります。このことは、対米貿易さえ是正されたなら国際収支の均衡が回復されるのだということを示しておるものであります。しかもアメリカはなおこれでも足りずに、綿製品の賦課金に見られるような輸入制限措置を講じておりますが、はたしてこれで四十七億ドルの輸出が達成される見通しが立つでしょうか。まことに甘過ぎる見込みだと言わなければなりません。もしこの輸出見込みが達成されない際には、さらに引き締め基調が強化をされ、一段と経済成長が落とされることは、もう申し上げるまでもないところであります。米国に対しては、追従ではなくて、もっと強い態度で臨み、東南アジアからは弧児にならないで、中ソに対しては幅広い協力関係を結ぶ外交的なかまえがなくては、輸出目標の達成は困難であります。(拍手)総理及び経済企画庁長官の所信のほどを伺いたいと思います。  次に、私は輸入見通しに関連して、貿易の自由化について質問をいたします。政府はさきに、明年十月以降、貿易の自由化率を九〇%にする旨の方針を立てられたようであります。ところで、政府の三十七年度経済見通しによると、明年の経済成長率は五・四%と非常な低位に置かれ、三十三年度の経済成長の実績等から判断をすると、俗に言われるデフレに落ち込むことは避けがたいところであります。総理はデフレという用語をたいへんきらっておられるから、かりにデフレという言葉を使わないにしても、経済活動は停滞ぎみとなり、雇用は悪化をし、生産は落ち、社会的に不安感が増すことは当然であります。また、三十五年度約三兆一千億、三十六年度約三兆八千億、合わせて七兆円に上る膨大な設備投資が生産力となって現われる三十七年度は、五・四%という圧縮された経済成長のもとでは、過剰生産の危機を招くことも、これまた明瞭であります。購買力が減退し、販売競争が激化をする中で、貿易の自由化を強行すれば、このこと自身がわが国経済をさらに不況に追い込む結果となります。この際、政府は貿易の自由化を再検討し、一定期間の延長を考慮すべきものと考えますが、総理大臣、経済企画庁長官並びに通産大臣の所見を伺いたいと思います。  次に、私は昭和三十六年度予算に関連して質問をいたします。去る十月開かれた臨時国会には、政府側から約一千億円に上る補正予算が提出されました。しかし、その後の推移を見ますると、税の自然増はさらに約二千億程度が見込まれるようでもあります。そこで政府にお尋ねをしたいのは、この自然増をそのまま剰余金として持ち越すのか、あるいは補正予算を組んで処置されるのか、また補正予算を組むとすればどのような内容のものを考えておられるのか、総理大臣からお答えをいただきたいと思います。  続いてお尋ねをする点は、三十七年度予算編成の方針と、三十七年度の経済見通しとの関連についてであります。去る十九日、大蔵省は総額二兆四千億をこえる予算を各省に内示されましたが、これは三十五年度の当初予算に比較して二四%の増であり、非常に大きなものであります。池田総理が手放しで経済の好況を自慢されていたときに作られていた本年度の予算ですら、三十五年度に比べ、明年と同様二四%しかふえておりません。政府の経済運営の基本的な態度によると、先ほども述べたとおり、経済成長率は五・四%であります。経済成長は徹底的に圧縮し、この面ではデフレ政策をとりながら、逆に財政面では二四%という超大型予算を組むとは、一体どういうわけなんでしょう。経済面ではデフレ政策をとりながら、財政面では刺激的なインフレぎみの政策を打ち出す政府の財政経済政策は、全く矛盾もはなはだしいものと言わなければなりません。(拍手)右を見ているのか、左を見ているのか、さっぱりわからない。まさに、やぶにらみのような政策であります。ところで、均衡を失うこのような政策は、財政面で刺激的な要因を作りますから、ますます経済面で引き締め基調を強化しなければならなくなり、金融は一段と引き締められる結果となります。おそらくこれは、明年度予算は参議院選挙に関連がないないと言いながら、その実は大いに関連を持たせ、しかも独占資本や大企業擁護をねらったものであることは、生活保護費増額に対する大蔵省の冷たい態度によっても明瞭であります。以上、私は明年度予算編成と経済運営の基本的な態度に関連して述べましたが、総理大臣の見解のほどを承りたいと存じます。  次に、私は物価問題について政府の考えをただしたいと思います。経済企画庁は、本年一月、予算編成の前提として経済見通しを提出されましたが、その中で、物価については一・一%の微騰にとどまると、こう述べておられます。ところで、最近の物価動向は一体どうか。本年一月経済見通しを出されてから、上がり続けに上がっているではありませんか。政府に言わせると、卸売物価さえ安定していれば消費者物価の値上がりは心配ないという説明のようであります。確かに、卸売物価の急騰がない限り、特殊な場合を除いて経済的にはインフレの危険はないかもしれません。しかし、経済的にはインフレでなくても、個々人、特に所得の低い大衆のふところから見れば、消費者物価の値上がりはまさにインフレであります。(拍手)また、卸売物価というようなものは大衆に直接関係のあるものだろうか。私は、むしろこの点では、独占資本や大企業に多くの関係があったとしても、大衆との関係は全く薄いものであり間接的なものであると言わなければなりません。卸売物価の安定や下落によって救われるもの、利益を受けるものは、大衆ではなくて、経済を左右する独占企業であり大企業であると考えます。それが証拠に、先般発表になった朝日新聞の世論調査を見れば明瞭であります。この世論調査は、「生活が楽になったか」との問に対して、「楽になった」と答えたものわずかに一四%、逆に「苦しくなった」というもの三一%、「変わりがない」というもの五二%に及んでいるのであります。この世論調査から推定されることは、所得倍増計画の恩恵に浴しているものは一四%であり、逆に、消費者物価の値上がりによって生活が苦しくなったり、生活上に何らの変化の現われないものが八三%に達するということであります。一・一%の微騰にとどまるとした政府の考えはもろくもくずれ、同じ政府統計ですら、最近六%の急騰を認めないわけにはいかなくなった事実を見ても、物価対策については政府に具体案なしといわざるを得ません。しかも、国民が実際に接している物価動向は、決して政府のいう六%程度の影響ではなく、主婦が買物かごを下げて市場に向かうたびに足が重くなるというところにまできていることを、政府は一体知っておられるのかどうか。政府の考えをただしたいのであります。  また、政府は、明年度の経済見通しとして、消費者物価は二・八%、約三%の値上がりを見込んでおられるようであります。もちろん明年度の消費者物価は、本年の趨勢から見て三%にとどまるなどとは考えておりませんが、かりに三%と仮定して、年収五十万円の人の生活は一体どうなるでしょう。この人の実際の生活費を所得に対し八割の四〇万円と計算して、これに三%をかけると一万二千円になります。すなわち、三%の値上がりによって一万二千円だけ生活が苦しくなるのであります。しかし、私がこういうと、政府は、減税をしたではないか、減税をするではないかと御答弁されるかもわかりません。それではこの場合に減税はどうなるのか。標準の五人世帯と仮定して、この人が受ける減税は、所得税で三千四百円、逆に地方税で千円増税になるから、差し引き二千四百円しか減税にならないのであります。二千四百円減税になるかわり、消費者物価で一万二千円も上げられたのでは、所得倍増でなくて所得半減であるといわれてもいたし方ないのではないかと思うのであります。(拍手)最近のふろ代値上げの決定に引き続き、明年に持ち越したとはいえ、さっそく私鉄運賃の値上げが待っているようであります。政府は、私鉄経営者の圧力や要請に屈して値上げを認める方針なのでしょうか。物価対策全体に関連をさして、経済企画庁長官のお答をいただきたいと思います。  次に、私は減税問題について政府の考えをただしたいと思います。最近の大蔵省発表による租税及び印紙収入の状況を見ますと、その指数は昨年同期に比較し約一〇%程度の増収を示しております。もしこのまま推移いたしますならば、先ほども申し上げましたとおり、ほぼ二千億程度の増収を見込むことができます。さらに、先般補正予算を行ない、さらに二千億の自然増収を予測できながら、年度内減税がなぜできないのか、政府のお答えをいただきたいと思います。また、政府は、三十七年度歳入予算で、三十六年度の当初予算に比べ、四千八百億の自然増収を見込んでおりながら、初年度わずか九百九十億、平年度千三百億しか減税を実施されないようでありますが、これはあまりにも低い減税額だといわなければなりません。先般、政府に出された税制調査会の答申は、平年度で千七百億円、初年度でもほぼこれに近い線で減税するよう示されておりますし、しかも、年度内減税の含みがあると中山会長は答えているではありませんか。国民の努力によって生まれた自然増収は国民に返すという考え方からは、あまりにも後退している政府の減税方針に対し、その善処方を要望しつつ、総理大臣及び大蔵大臣の熱意のほどをお伺いしたいと存じます。  続いて、減税問題でお尋ねをいたしたい点は、国民所得に占める租税負担の割合についてであります。明三十七年度の自然増収が四千八百億円をこえ、しかも、減税が千億を割る結果がかりに出たといたしますれば、租税負担の割合はおそらく二四%をこえることになるものと思われます。かりに二〇%であるべき負担率が二四%に引き上げられた場合に、国民はこれだけで四千八百億程度の過重な税負担をしなければならなくなるのであって、たとえ社会保障等必要とする予算増があったとしても、あまりにも高過ぎる負担率だと私は思いますが、大蔵大臣にかわって総理大臣のお答えをいただきたいと思います。  次に、私は、年末金融並びに明年一—三月の金融対策について質問をいたします。政府の誤った対外政策と経済政策により国際収支の悪化を招き、その均衡を回復するためにとられた急激な金融引き締め政策は、最近特に中小企業に甚大な影響を与え、ところによっては黒字倒産の例すら見られるようになって参りました。銀行から融資ワクを削られた大企業は、そのしわを中企業へ、中企業はさらにこれを小企業へと移し、力の弱いものほど引き締め政策の痛手をこうむっていることは、今さら述べるまでもないところであります。近ごろ見られるやみ金融の横行、金利の高騰、両建預金の強制等、金融市場における事態は法と常識を越えるものがあり、憂慮すべき事態に向かうことは必須であります。政府は、一体、年末を控えどんな手を打ったのか、また、これから打とうとしているのか、さらには揚超期にある明年一—三月の金融逼迫期にいかような処置を講じようとしているのか、お答えをいただきたいのであります。  最後に、私は、石炭対策について二、三お尋ねをし、質問を終わりたいと思います。まず、石炭対策に関する質問の第一は、通産大臣が言われるように、五千五百万トンで出炭を頭打ちにすることによって、はたして働く者にとって魅力の持てる石炭産業が生まれるかどうかであります。先般、北海道と九州から炭鉱に働く人々が上京され、通産大臣に面会し、石炭対策について陳情した際、大臣は、魅力の持てる石炭産業を作りたいと述べたようであります。このことは私自身まことにけっこうなことであると思います。しかし、今日、通産大臣が考えているような、出炭は五千五百万トンで頭打ちにするという方針で、どうして魅力が生まれてくるのでしょう。出炭は何年たっても五千五百万トンで、能率だけは毎年大幅な上昇を見込み、そのための合理化と労働強化が続けられることになりますと、大量の人員が余り、山を去らなければならない人が多くなってくることは当然であります。かりに今二十万前後の若い人々が炭鉱周辺にいたとしても、いずれの日にか必ず山を去らなければならないとすれば、だれが炭鉱に働くでしょう。最初から永続できる職場を求めることはあたりまえのことであります。既存の炭鉱に働く人々に魅力を持たせることはもちろんでありますが、同時に、これから炭鉱に働こうか、どうしようかと考えている次代の人に対しても、魅力を持たせなければなりません。今日、通産大臣の言われる魅力ある石炭産業というのは、働く人々に対してのことではなくて、経営者や炭鉱会社の株を持っているような一部の人々が持つ魅力と誤解されてもいたし方のない、うしろ向きの石炭対策であります。政府みずからが、もっと石炭産業に対し積極的な方針を打ち出し、縮小均衡から拡大均衡の方向に進むよう対策を立て直すべきだと考えますが、通産大臣のお考えのほどを聞かせていただきたいと思います。  次の石炭問題に対する質問は産炭地振興についてであります。通産大臣並びに大蔵大臣は、すでに九州の産炭地を視察し、みずからの目で炭鉱地域の現状を把握されているとおり、離職者の現状はまことに憂慮すべき事態に立ち至っております。そこで、離職者問題の解決は、すでに行なわれている緊急就労等による受け入れ、広域職業紹介、職業訓練の実施等による施策も必要でありますが、同時に、また産炭地の振興をはかることによっても解決を見なければなりません。地域格差を縮め、かつ是正し、産炭地域の住民から不安感を取り除くことは、離職者対策の一環としても非常に必要なことであります。ところが、このたびの予算編成では、通産省の予算要求にもかかわらず、産炭地振興のための要求が全面的に切り捨てられたことは、まことに遺憾であります。政府は、ほとんとうに石炭対策を真剣に考えているのか、疑わざるを得ない次第であります。今日、産炭地振興は石炭対策の大きな柱であります。大蔵大臣がおいでになりませんから、総理大臣に代理をしていただいて、総理大臣並びに通産大臣は一体何を考えておられるのか、明確なお答えをいただきたいと思います。  以上、私は、経済政策並びに石炭対策について政府の考えをただしましたが、納得のいく総理初め各大臣のお答えを期待して、私の質問を終わります。(拍手)   〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。  納得のいく答えという御注文でございますが、ひとつ納得いくようにお願いいたしたいと思います。  まず、第一に、経済の見通しにつきましては、御承知のとおり、われわれが想像しておった以上の超高度の成長をいたしましたために、いろいろ変更して参りました。しかし、わが党が昭和三十五年を基準にいたしまして三年間九%の成長をして、十三兆六千億が三十八年に十七兆六千億になる。この九%の成長率はお約束どおり実行できることを確信いたしております。ただ、それよりも急ピッチで早過ぎるということを心配して、今回押えておるのでございます。  なお、輸出の見通し四十七億ドルということにつきましての御疑問でございますが、私は、従来、先進国の輸出は、アメリカを除きまして、イギリス、西ドイツは、国民総生産の一四、五%でございます。日本は一一%程度でございます。フランス、イタリアはそれより低い。四十七億ドルの輸出は、来年度の総生産の一〇%にも足りません。したがって、これは膨大な輸出目標であるということは、生産と過去の実績から考えて、私は、そう驚くことはない、楽にはできませんけれども、これは努力すべき目標としてそう過当なものとは考えておりません。また、こういうことをやることによって初めて所得の増加ができるのであります。そして一四・六%の上昇は、非常に、今までも例がないというふうなお考えだったならば、過去の実績をお調べ下されば、二〇%ふえた年もございますし、だから、こういうことから十分御検討を願って、御納得いただきたいと思います。それから、輸入の四十八億も、ことしは四十八億八千万ドルでございまするが、相当輸入原材料もふえておりますので、私は、四十八億程度なら、まあそうデフレということもないと考えておるのであります。  大矢さんはデフレ、デフレとおっしゃいますが、いかなる状態をデフレというのか。昭和三十二年、三十三年におきましても、生産は伸びております。雇用もそう減っておりません。ただ、物価が下がっただけでございます。そのときの生産の伸びが三%前後でございます。今度五・四%前後なら、雇用も私は適正な雇用、生産もある程度伸びる。そして卸売物価はある程度下がる。これで私は適正な経済運営と考えておるのであります。なお、そういうことの基本のもとに自由化の問題は予定どおり実行することを、ここではっきり申し上げておきます。  なお、自然増収でございますが、相当出るようでございます。しかし、私は将来のことを考えまして、この際、年度内減税はいたしません。また、補正予算につきましては、必要なものならば、これを組むにやぶさかではございません。  なお、政府の財政規模が二兆四千億になった、こういうお話でございますが、伸びていく日本、そしてまた文化国家、りっぱな国を作ろうとするのに、これくらいの予算のふえ方は当然なことであって、決して膨大ではございません。御心配は私は要らないと思います。  なお、物価の問題でございまするが、世論調査のことも知っております。そして減税のお話もございましたが、しかし、私はお考え願いたいことは、われわれの所得は、収入がどうなっているか、収入がふえて、そして物価が上がって、その差を見ていただきたい。私は、これはいずれかの機会に御説明申し上げたいと思います。所得がふえて、生活内容がよくなって、そして消費物価が上がったために生活自体が非常に悪くなったかという問題をお考え願えれば、御理解できると考えておるのであります。  なお、年度内の減税は申し上げましたが、来年度の減税につきましても、その程度が適当と考えております。そして国民所得に対しまする二〇・五%とか二一%、今度は二四%。国民所得に対する税負担というものは、先進国の例をごらんになれば、二〇%、二一%にくぎづけにすることは、りっぱな財政経済政策ではないと考える。先進国は相当な負担をしておるのであります。私は、そういう負担をして、社会保障、雇用関係という方面に力を入れたいと考えておるのであります。  次に、年末金融でございまするが、今お話のとおりに、非常に設備拡張をした大企業、そしてそういう大企業につながる中小企業は、かなりお困りのようでございます。しかし、われわれは、中小企業対策に対しましては、例年よりも、うんと多く、今政府関係で八百億円の年末金融をいたしております。そして普通銀行のほうにも二千億円、相互銀行も九百億円、あるいは信用金庫にも千五百億円を、年末から来年にかけて特別に融資を考えておるようでございます。私は、年末金融はこれで無事に越年できると思います。そして一−三月の問題につきましては、情勢を見ながら適当な措置を講ずることを、ここではっきり申し上げておきます。  また、産炭地振興につきましては、通産大臣より詳しくお答えになることと思います。御了承願います。(拍手)   〔国務大臣藤山愛一郎君登壇、拍手〕

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(藤山愛一郎君) お答え申し上げます。  経済見通しの件について、特に輸出輸入の関係のお話がございました。前提として申し上げておきたいのは、本年の経済見通しというものはこうなるのだということではないのでありまして、早期に今日の対外収支を合わせて参るという目標によって、われわれは努力をして、そうしてこういうふうにして合わせていきたいという一つの目標を立てたわけでございまして、それが輸出四十七億ドル、あるいは輸入四十八億ドルにとどめたい。できるだけ努力によって各般の施策をそこに集めて、そうしてそこに一日も早く持っていきたい、こういうことでございます。したがって、四十七億ドルというのは、本年から見ますと、一四・六%増くらいになるわけでありまして、相当大きな問題ではございます。したがって、これを努力してやらなければならぬのでございまして、御指摘のように、必ずしも米国の景気が、非常な、有史以来のような景気に上るとは思いません。上半期に相当な景気の回復はして参りましょうけれども、下半期の景気というものは必ずしも予想されません。しかしながら、それが下降しない限りにおいては、今日までの趨勢から見まして、決して減るわけではございませんし、ふえていくことは申すまでもないと思います。  なお、関連して申し上げておきたいのは、自由化の問題でございますが、自由化が貿易にただ害になるということは言えないのでございまして、たとえば今回の対英通商協定におきまして自由化をいたしましたが、それによって、おそらくイギリスに対しましては、向こう側の今日までの商品品目の件から見ますれば、一千万ポンド以上の日本の輸出が増大する、それに対して、日本の輸入というものは八百万ポンド程度にとどまるのじゃないかという見通しもできるわけでありまして、この自由化の問題は、貿易上において必ずしもマイナスにならぬと思います。ただ、自由化の問題は、むしろ国内の中小企業その他未成熟な企業をどう保護するかという問題ではないかと思うのでありまして、自由化自体が貿易の増大ということに対してチェックになろうとは思っておりません。  なお、そういうことでございまするから、輸入につきましても、四十八億ドルということに輸入を押えることは困難ではないかという御議論もあろうかと思います。しかしながら、九月に総合対策をいたしまして、極力それに押えて参るようにいたして参りたいと思います。これは単に私どもがしただけでなしに、一般民間の予想におきましても、大体たとえば国民経済研究会あたりは、輸出四十八億ぐらいの数字を最近出しております。総合政策調査会でも、やはり四十九億程度の数字を出しておりまして、四十七億という努力目標は、必ずしも私は過大ではないと、こういうふうに考えておるのでございます。  次に、物価の問題でございますが、この問題は、まことに重要な問題であることは申すまでもございません。本年の物価が、相当に見込み違いであったことも事実でございます。明年の卸売物価につきましては、先般の経済見通しで九七・四という、二・六%ぐらいな値下がりになるのじゃないかという大体の目標を立てておるのでございますが、残念ながら消費者物価につきましては、今日までの情勢から申しまして、二・八ぐらいな騰貴を見ざるを得ないのじゃないかということを考えて、それをできるだけそういうような状況にならぬように、これから物価の諸対策を政府としても講じていかなければならぬと思うのでございます。むろん、こういう時代におきまして、一方では、非常な消費景気が上がっておりますのですが、今のような全体のワクを押えて参りますから、自然、消費も押えて参らなければならぬと思いますが、しかし、直接影響いたします諸般の政策というものは、むろん当然行なって参って、そうして物価の安定をしていきますことが、成長過程においても必要でございますが、特にこうした抑圧過程におきましては、われわれ一般の市民のことを考えてみまして必要だと思います。したがって、物価に対しましては、総合的な対策が必要でございまして、むろん、物資の足りないものに対しては緊急輸入をする、あるいは流通過程の整備をする、また公共料金等については特に厳重な抑制をし、あるいは間接税等の減税によってこれを補い、また一方では、消費全般に対して貯蓄奨励の方法を講ずるというようなことで、総合的な対策をもって、これをできるだけ騰貴しないように、上がっていかないように、そうして特に影響の多いような一般庶民の方方の直接の生活、毎日の身についての感じの上で受ける生活の苦痛というものに対して、政府が十分な努力をして参らなければならぬと思います。  なお、私鉄の問題についての御質問がございましたが、今日なおわれわれは検討いたしております。ただ単に赤字だけという理由でこれを上げることについてどうであろうかという検討を、今いたしておるのでございまして、まだ結論に達しておりません。(拍手)   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕

佐藤榮作自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 貿易の自由化は、最近の経済動向等から見て、一時これをたな上げしたらどうか、こういうお尋ねが第一だと思います。で、御承知のように、貿易の自由化につきましては、ことしの九月二十六日に、貿易・為替自由化促進計画、これを策定いたしまして、そうしてこの線によりまして順次実施に移しておるわけでございます。今月の当初に計画いたしましたものも、ようやくこの二十日から関係国との話し合いがついて、これを実施に移したという状況でございますが、もともと貿易・為替の自由化、その基本的な問題については、すでに御理解のあることだと思いますので、その点には触れませんが、問題は、この自由化を推進した場合に、わが国の産業がはたして国際競争に耐え得るかどうか、この点にあるのだと思います。そこで、政府といたしましては、相当事前に計画の大要を発表いたしまして、その期間中に準備をしていただく。いわゆる設備の近代化等を推進いたしまして、国際競争力を持つようにする、こういう処置をとって参っておるのであります。  また、先ほど来お話がございましたが、貿易の拡大−輸出の拡大、こういう点を考えて参りますと、特に差別待遇をなくしていかなければなりませんので、対日差別をなくする、その意味におきましても、当方は進んで自由化をする。そうすることが効果のある問題でありますから、そういう処置をとって輸出拡大の方向に進めていきたい、かように考えておるのであります。もちろん、自由化いたしますと、いろいろの問題が起こるのでありますから、そういう場合においての事後の処置は、もちろん必要なことだと思います。アメリカにしても、イギリスにしても、その他の国等におきましても、貿易自由化、その後の経済界、その国の産業に及ぼす影響等を見まして、それぞれ適切な処置をとっておりますので、私どもは、今後実施後において、国内産業にいろいろの影響が出て参りますれば、それに対する対策を講じていく。かような考え方で、計画をいたしましたものは、この際変えないで進めていくということを考えておるのであります。  これは、ただいま申しましたような国際的信用の問題もございますが、同時にまた、国内におきましても、せっかく目標が示された自由化の、その目標期日に間に合うように整備をいたしております方々の立場等をも考えますと、この自由化の計画を簡単に変えるということはすべきでない、かような考え方でございます。  第二の問題は、私に対しましては、石炭対策についてのお尋ねであったと思います。五千五百万トンは、出炭量としては小さいのじゃないか、こういうお話がございました。むしろ五千五百万トンにこれを頭を押えないで、拡大のできるものなら、さらに拡大すること、そうすることが、石炭産業として望ましいのではないか、こういう意味であったと思います。私どもが五千五百万トンという数字をお示しいたしておりますのは、現在、各界、組合や、あるいは経営者等の協力を得ておりましても、なかなか五千五百万トンの出炭が現在達成されておらない状況でございます。その点から考えますと、五千五百万トンは、現在の出炭量より以上の目標の数字であります。最近の合理化その他等を考えてみますると、この五千五百万トンの出炭を達成するということはなかなか困難である。あるいは液体燃料等が使われ、石炭の将来がやや暗いという感じが持たれる、こういう際でございますだけに、この達成目標をきめることは、まことに困難であります。しかし私は、この五千五百万トンに限ったから、石炭産業が不安な産業になるのだ、かようには思いません。むしろ、この五千五百万トンの達成目標を示し、そうして関係の各界の協力を得て、石炭がほんとうの基礎産業であり、しかも安定産業である、こういうことを、その職場で働く人も、また国民全般も理解するようになって来れば、ここで働くことは非常な楽しみであると思う、こういう方向に持っていきたいのであります。で、五千五百万トンの出炭量を確保する、この立場から、需給の安定をはからなければならぬ、長期引き取りの契約ができなければならぬ、こういうことで、関係方面といろいろ協議をいたしまして、電力関係なども、ようやく現在の二千万トンにさらに三百万トン追加いたしまして、それを長期にわたって引き取る、こういうことを約束してくれました。これなどは、石炭の将来に対しまして大きな光明を与えるものじゃないか、かように私は喜んでおる次第であります。いずれにいたしましても、五千五百万トンの数字にとらわれるわけではございません。今後さらに合理化等が進み、いろいろの事情等が変わって参れば、五千五百万トンが六千万トンになっても、たいへんこれはけっこうなことであります。それを私どもが六千万トンにしない、かように申すわけではなく、ただいまのところでは五千五百万トンが適当な数量である、かように見ておる次第であります。誤解のないように願いたいと思います。  また、次の産炭地振興の問題は、今日予算を要求いたしております。不幸にして、大蔵省原案等は示されましたが、当方といたしましても、まことに不満の状態でございます。なお、最終的な決定をしておるわけではございませんので、大蔵当局と折衝を重ねまして、そうして産炭地振興がやはり石炭産業の根幹をなすものである、こういう意味におきまして、十分折衝等をして参りたい、かような考えでございます。(拍手)

松野鶴平自由民主党議長

○議長(松野鶴平君) 次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十一分散会

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