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40回国会参議院1962/03/06

逓信委員会 第10号

発言数
97
登壇者
12
会派数
2
開催日
1962/03/06

会議録

安部清美自由民主党

○委員長(安部清美君) ただいまより開会いたします。  電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続いて、どうぞ御質問を願います。

新谷寅三郎自由民主党

○新谷寅三郎君 運輸省の関係の政府委員にお尋ねしたいんですが、運輸省関係の海上保安庁や気象庁は今までこの委員会にお見えになりませんでしたが、今までに私は大体一般的に船の海上安全、その中でオート・アラーム、つまりお互いに海上安全のために協力し合うという問題、ということは、相手の船の安全をお互いに協力して守り合うという問題と、それから海上の公衆通信の問題について、郵政省のほうに具体的に質問をしてきたのですが、運輸省と郵政省は今日に至るまでに十分に協議を遂げられたことと思いますから、残っている自分の船の安全の問題、海上安全の中で、自分の船の安全というのに、この無線技術者の問題がどういうふうに関係を持ってくるかということについて、きょう、もう少しお尋ねしたいと思うのです。  自分の船の安全をはかるには、もちろんいろいろな方法があるのでありますけれども、その場合に、船舶の無線というものが相当に関係が深いということはよくわかるのですが、特に海上保安庁の出されておるいろいろの気象通報とか航行警報、気象庁関係でも気象の通報があるわけですが、そういうことについて、現在三人の乗組員を外国並みに一人にした場合に、船の安全上差しつかえがないかどうか、これはもちろん結論は出ていると思うのですが、なお念のために申し上げるのです。そういうことについての御所見をお述べをいただきたいと思うのです。

和田勇海上保安庁長官

○政府委員(和田勇君) ただいまの新谷先生から御質疑のありました点につきましてお答えいたします。  私のほうの役所では、遭難通信、緊急通信に分けまして、全国で二十三カ所の海岸、六十一隻の巡視船が休まずに聴守等を行なっております。実際に三十五年の実績を一例に申し上げますと、遭難通信は五十四件ございました。このうち、おもに商船が使っておりす五百KCによるものは七件でございます。また緊急通信は三百十四件、五百KCによるものが五十六件でございます。これらの重要通信の約九割は直接私のほうの通信所が最初に応答いたしております。あとの約一割は、おもに漁業無線局が直接連絡いたしておるものでございます。したがいまして、今御質疑がございまして、一般商船あるいは漁船のほうで通信士の定員を減らされても、われわれのほうの体制は従来と何ら変わるとこらはありませんので、支障がないというふうに考えております。

和達清夫気象庁長官

○政府委員(和達清夫君) 船舶による気象観測通報は、海洋上の気象資料を得るためのものでありまして、気象業務法によって船舶から気象報告を行なわせるように規定されております。気象庁はこれらの気象観測を総合し、西部太平洋地域の海上予報や警報の無線放送を行ない、船舶はこれを受信することによって航行の安全に役立たせております。さて、日本では四面海に囲まれておる関係上、海上の気象資料が非常に重要でありますが、特に日本近海及び太平洋海域の気象資料は、台風その他異常気象による防災対策上不可欠と申せるものでありますから、船舶から気象通報を入手することが日本の気象業務にとっては非常に重要な問題であります。気象庁としましては、現在行なっております気象業務法施行規則に規定されておる東は西経百六十度、西は東経百度、南は緯度零度、北は北緯六十五度の線によって限られた海域域の船舶から、次のような気象通報を入手する必要があるのであります。それは一日四回、日本時間にして三時、九時、十五時、二十一時の各時刻ごとの気象通報であります。第二番目は、台風などの異常気象時における臨時気象通報であります。  さて、電波法の一部改正に伴いまして、気象庁としては、少なくとも次の措置を必要とするものと考えております。この電波法改正の経過期間の三年の終了後におきましましては、第二種乙の船舶無線電信局の船舶が日本の外航船舶の大部分を占めることとなりますので、現行の無線局運用規則によれば夜間の気象通報というものの確保が非常に困難となるのであります。したがって気象庁としましては、日本の気象業務を円滑に行なうために、必要な海域において、特に夜間の気象通報を円滑に入手できるように、関係方面の協力を得まして、船舶を特定し、これらと契約を締結するなどの措置を講ずることが必要であり、これに努力したいと考えております。  次に、船舶が気象通報を行ないますことは、船舶の安全運行の確保のためばかりでなく、国の気象観測網の一環として行なわれておるものでありますから、これについては現在の気象業務法第十二条にも規定してあります精神に基づいて、国が必要な範囲においてその費用を負担するというようなことにいたしたいと思うのであります。  なお、これは御参考でありますが、現在科学が非常に進歩しておりまして、気象観測の手段、あるいは通信の手段について新方式が開発されつつありますが、しかし、今問題になっておる法の改正の施行の期間においては、まだ現在の船舶から気象通報を得ておるという、このやり方にかわるべき新技術の開発は予想することができませんので、先ほど申し上げましたような措置を必要とするものであります。そういう方面は気象庁としても将来努力いたしますが、この海上気象が日本の気象業務に非常に必要である、大切であるということをよく御理解下すって船舶の関係、また電波の関係の方々においても、この方面の御尽力をお願いいたしたいと期待しておる次第であります。

新谷寅三郎自由民主党

○新谷寅三郎君 気象庁長官に重ねて伺いますが、私のお尋ねした点は、もう一つ違った問題なんです。気象庁もやはり災害等に備えて海上の安全を確保するために相当に努力し、協力もしておられるわけなんですね、気象庁の任務として。ですから、気象庁の業務をどう扱うかという問題と、海上の安全のためにどうするかという問題と二つあるわけです。私は前段の問題をさっきお尋ねしたのです。今あなたのお答えになった問題は、これからあとで私が質問をしようと思っていることなんでしてね。だから、前の海上の安全という上からいって、結局気象業務が海上に対して、たとえば気象機関、それから中央の気象台もそうですし、各地の気象台、測候所といいますか、そういう所から、あるいは海上保安庁の灯台とか航路標識の機関、そういった方面から、一日に何回となく、ほとんど毎時といっていいくらいに気象の通報を出しておられると思うのです。でありますから、結局今の無線の定員を三人から一人にするということになると、常時の無線技師の執務時間が二十四時間から八時間になるわけですね。八時間になりましても、異常災害、異常の気象状況の場合は別ですね、台風その他そういう場合は別として、普通の場合には八時間勤務で、自分の船の安全を確保するに足りるだけの気象情報は得られるだろうと思うのだがどうかということを初めにお尋ねしているわけです。

和達清夫気象庁長官

○政府委員(和達清夫君) 気象庁からは一日八回海上の実況警報が出ております。これらを全部受信することが船にとりまして最も安全なことと存ずる次第でありますが、これらは船の構造・運航計画あるいは船の側のお考えによりまして、全部とられるのか、この一部をもって十分と考えられるかは、船側のほうの考え方であると存ずるのであります。

新谷寅三郎自由民主党

○新谷寅三郎君 それじゃ第二の問題ですね、これからあなたがさっさお答えになった中で意見を述べられたので、それに関連するのですが、私もいろいろ調べてみまして、あなた方が一番心配しておられるというか、そういう船からの気象情報が得にくいだろうと思われている時間ですね、午前三時ですかの情報を得にくいということを心配しておられるというのですが、それは気象業務をおやりになるのに、まず第一に考えるべきは、方針としてお述べになったように、これは気象業務というのは国の業務ですから、船がこなければ国としては責任持てないとかいう問題ではないのです。当然国が責任を持つべきですね、あらゆる機関が可能な限りそれに協力するという体制でいかなければならぬと思います。それは政策としてもそういう政策をとるべきだと思うのです。気象庁もですよ。それからもう一つは、気象情報というのは多々ますますまずということでしょうが、船は毎時間なだらかにある海域をあなた方の希望するような時間に希望するような隻数通るものではないのですよ。ある時間は五はいも六ぱいも通るかもしれませんが、ある場合はゼロの場合もある。だからそういう場合を考えて、やはりこれは気象機関が——気象業務を扱う機関が、自分の責任においてどうしても日本近海の気象についてある情報を必ず得たいという前提に立って考えるならば、みずからの手によってそれはすべきものだというふうに私は考えておるのです。  それからそれに関連しまして、問題のあるだけ言ってしまうと、どこの国でも気参業務を何とかよくするため、気象情報を多く提供するために乗組員をふやしているという国は世界じゅうにないのです。御承知のとおりです。しかも日本近海は割合に気象の変化が激しくて、特に海上の気象についてはむずかしい所だということもわかるのです。しかし、世界じゅうのどの海域も平穏かというと、そうではないのですね。ヨーロッパでも北海とかあの辺になるともっと変化が激しいかもしれません、季節によりますけれども。日本の近海のような気象状況の変化が多くて船が気をつけなければならぬという海域は、これは世界じゅうに二つや三つでないでしょう。そういう所でも、その気象主管庁はやはり世界の条約の水準並みで気象情報を船からキャッチしているわけですね。足りないところはおそらく気象業務機関がみずからの手によってそれを補っているのだと私は思います。ですから、その点は気象業務機関としては自分の責任においてやるのだという考え方を基本的には持つ必要があると思うのですけれども、以上申し上げたようなことに対して、長官としてどういうふうにお考えになりますか、お伺いしたいと思います。

和達清夫気象庁長官

○政府委員(和達清夫君) ただいま新谷先生のおっしゃいましたことは原則的には私もそうであると思います。それでありますから、先ほども申し上げましたように、現行気象業務法におきましても、たとえば船舶に対しても必要な範囲でその費用を分担することができると書いてある。そういうようなことの適用が生ずると思う次第であります。  しかし、ここでその原則はさりながら、申し上げたいことは、 実際といたしまして、第一に、わが国のように気象が国民の生活並びに産業その他に重大な関係を持っている国はなく、また、わが国のように防災に苦しんでいる国はない。これは外国の気象と多少特別な関係があるということが第一であります。  第二に、外国におきましては、外国と申しますと、おもにヨーロッパ、アメリカがこういう問題には主でありますが、それらの国は大西洋並びにその近海が主であります。その辺の海域におきましては旅客船が非常に多いということ、まあ太平洋に比べての問題でありますが……。それがために必ずしも通信士が一名でないのがパーセンテージが多いということ、また、定点観測船の数も相当多くございます。そういうようなことから、支障なく、あるいは支障が多少あるとしても、そういうふうにしてやっておる問題でありまして、しかし、それでもなお国際会議等におきましては、常に船舶からの気象通報がさらに充実することについて各国とも苦心をしておりまして、ある国は補助を出し、ある国は賞金を出す等、あらゆる努力をしておる次第であります。それでありますから、仰せのように、原則として、これらは現在におきましは船の安全運航もさりながら、世界の気象観測網、また、各国の気象業務のためであるということは、かなり重点が深くなって参っておると思いますけれども、実際におきましては、そういうような海上の気象資料を得るということは、いろいろ技術も開発され、新方式も出て参りますけれども、それらがまだ技術が未開発である点、あるいはものによっては莫大な費用を要する点、その他から、できるだけ船舶からの気象通報に依存したいという現状であるのであります。それで、気象の単に通信、しかも特定時間にわずかの通信とか、あるいは特定地域とかいうような問題のために、なかなかそのためだけで通信士の人数をどうということにつきましては、先生のおっしゃったこともございますけれども、私どもとしては、その間にできるだけ話し合いをしまして、そうして現在におきましては、この船舶の気象通報が重要でありますので、できるだけそれが急に少なくなるというようなことがないように、それがまた日本気象事業にとってはほとんど絶対といえるほど私は必要じゃないかと思っております。

新谷寅三郎自由民主党

○新谷寅三郎君 気象庁長官ですね、気象業務を担当しておられる責任者としての気持はわかなぬことはないのですけれどもね。だから、そういうふうに、今まで、これは昭和十九年からこういうことになっておるのですけれども、育てられてきたものだから、急に変わると、三年間の経過期間はありますけれども、あるにしても、気象庁としては、いろいろ処置をしなければならぬということで、将来に対していろいろ希望的な意見を持っておられるということだろうと思いますけれども、それはおっしゃるとおりだと思うのです。私もその点は別に異論はないのです。ただ、しかし本来の姿からいいますと、気象庁の仕事は、通るかもしらぬ通らぬかもしらぬというような船の情報を当てにして、しかも、それがあなた方の気象観測の、あるいはいろいろな予報、今おっしゃったような経済的な気気の予報をする上のそれが致命的なもので、なければ困るということになると、船が通らなかったらどうしますか。そういうことじゃ私はないと思うのです。やはり多ければ多いほど、正確な判断ができるということだろうと私は思うのです。ですから、ますます気象による被害というものを少なくしよう、これは海上だけじゃない、陸上も通じてですね、ということであれば、やはり気象庁がどんな場合でも入手できるような方法で、みずからの手によって確保するというのが当然だろうと思うのです。私は気象庁のことはあまり詳しくはないのですけれども、毎年の予算のときにも、たとえば今度はどこにレーダーを置こう、ここにあれば、今度は南方の台風の観測には支障なくやれるのだというような説明をたびたび聞いているのです。ですから、南方のほうのレーダー網もだいぶ今完備しているのじゃないですか。そうすると、毎日々々のそういうふうな異常な場合はもちろんでありますけれども、それよりも、もっと毎日々々の気象図を作るとかなんとかいう上に、もう少し資料が豊富であれば、より便宜であるというようなことになるのじゃないかと私は思うのですけれども、いかにも今、絶対とかなんとかいう言葉をお使いになりましたけれども、それならば、船が通らなかったらどうしますかということです。そういう程度のものじゃなく、今私が申し上げましたような意味で、多ければ多いほどいいのだ、だから、急にその資料がなくなるということになると非常に困る。これもしかし、全部なくなるのじゃないのですよ。一日に何回かの気象情報を送れるでしょう。そのいうことだろうと思うのですけれども、長官、どうですか、もう一ぺん、その点あらためて答弁して下さい、

和達清夫気象庁長官

○政府委員(和達清夫君) 現在の気象は、非常に広範囲の気象状態を主にして作業いたしておるのが根幹をなしておる。もちろん、その地域の狭い範囲のことが、防災等の場合、非常に重要になってきまして、それらが、先ほどもお話がありましたレーダー等の開発も非常に進歩して参りました。しかし、この広い地球に海の占める面積というものが非常に大きいということは申し上げるまでもないのです。現在、広い海というものは、気象のほうから申しますと、非常に不完全な状態にあるのであります。それですから、そこにある船というものは、非常に貴重な資料を提供しておりまして、もちろん、船はきまった時間に、きまった場所にいるわけじゃなく、場合によっては、ある場所に集中し、場合によっては、ある場所はまるでいないということは当然あるのであります。それにもかかわらず、そういう船というものが、広い海上で重要な役目をしておるということでありまして、それに絶対依存できるというわけではなく、あまりに海上の資料というものがなく、しかも、それを開発するには非常な新技術を実際要するのであります。たとえば気象衛星のごとき、一つのそういうねらいから出たものでありますけれども、これが実際に役に立つには、五年か、あるいは七年か、あるいはどういうふうに役に立つか、やはり海上の気象、船から来るものとは違う種類のものと断定される。そういうこともわからない。そういう意味におきまして、新谷先生のおっしゃるのも確かに原則ではありますけれども、実情におきましては、この広い海域の船の気象観測通報の重要性ということは事実であります。

新谷寅三郎自由民主党

○新谷寅三郎君 長官、私は前から気象業務に関しては、非常に理解を持っておるつもりなんですよ。あなた方のほうの、いろいろな気象観測の船やらレーダー網やら、それをいかに活用するかについても、気象庁に、災害を防ぐために、日本の気象観測あるいは気象庁で集められた資料というものを経済政策の上に、もっと生かしてくれということを何べんも私は言っておるので、あなたのおっしゃったほど、気象について無関心ではないと私は自分では思っているんです。しかし、今申し上げている問題は、船との関連の問題だけに限定して私は言っているんですけれどもね。なるほど、さっき申し上げたように、それはあなた方が一通でも多くほしいということはわかります。しかし、それが、かりにですよ、午前三時という時間の気象の情報が若干少なくなるということだけで、あなたのおっしゃったような、気象業務に致命的な穴があくとは私は思えないんですよ。もしあくんなら気象庁でやるべきだと思うんです。しかも、ここの統計をあなたごらんになったかどうか知りませんが、郵政省から出した統計によりますと、船の電信の発着の数を一隻一日当たりで見ますと、五通足らずなんですよ。その中には気象通報が入っているんです。あなた方のほうに対する気象業務通報が入っているんですですから、この通信の、分量からいいますと、これはその三人が一人になったところでやれないことはないんです、通信の分量からいいますと。それで、気象観測はおそらくどこの船でもこれはデッキの人がやっているでしょう。それを電信に打つことは簡単な語です。ですから、その通報そのものには大した影響はない。ただ問題は、これはお打ち合わせになったと思うんだけれども、午前三時の時間にどうするかという問題だらうと私は思うんですよ。一日全体の気象業務の通報としては、これは十分に十分に余裕がある。現在やっているぐらいのことはやれる。しかし、その午前三時という時間にやれるかやれぬかという問題。そのときに情報が今よりも少なくなるという危険があるんじゃないかということだけが問題じゃないんですか。その点を明らかにしてもらわないと、気象業務の全体についていかにも問題であるかのごとくおっしゃるけれども、私は、そういう影響は少しあなたが誇大に言っておられるような気がしてしようがないんですよ。そうじゃないんですか。

和達清夫気象庁長官

○政府委員(和達清夫君) 私の説明が十分でなくて申しわけありません。また、新谷先生には日ごろ気象業務で大へんな御理解を得ておりますので、先生の気象に対する御理解を疑うものでは——よく信じておる次第であります。  この海上気象材料の入手の、今回の法の改正に伴って私どもの最も問題となっておる点は、仰せのとおり深夜の観測であります。そのほかの時間につきましては、よく船舶と連絡いたしまして、そしてその通報が円滑に行なわれるように、また、先ほど来お話もありました、できるだけ効果的にそれらの通報が集まりますように、今後船舶側と十分な協議をしてやると。ただ問題は、深夜というものが、わずかの時間の通信であり、しかも限られた地域ではありますけれども、私どもにとっては非常に大切であるということを申し上げたわけであります。

新谷寅三郎自由民主党

○新谷寅三郎君 わかりました。それならば、私がさっき申し上げたと同じことなんですね。その点は、ある程度の影響を受けるだろうと思うんです。それはゼロになるわけじゃありませんけれどもね。しかしその問題に関しましては、第一あなた方もお考えにならなきゃならぬと思いますことは、太平洋よりも大西洋のほうが旅客船が多い、そのとおり。しかし、どのくらい多いかというんです。きわめて少ないものです、旅客船の数は。しかも、これはあなた方の、まああなた方というよりも欧米の気象機関が欲するような時間に必ず通ってくれるかというと、そうじゃない。それほど貨物船のように絶えず何隻かが通っているという状況じゃないと思うんです、旅客船も。これは郵政省から出した無線局の表をごらんになるとわかる。二十四時間勤務をしておる局というものは割合に少ないです。何十隻ぐらいなものでじょう。ですから、その点は大西洋と太平洋とを比較して、そう根本的に状態が違うというものじゃないんですね。もう程度問題にすぎないだろうと思うんです。  まあそれはそれとしておきまして、深夜の情報をなるべく得たい、これはごもっともだと思います。ある程度そういうふうなことを、これはむしろ郵政省の——これは国際規則にも関係するんですが、郵政省のいろいろの措置によりましてこれは救済される部分も私はあると思うんです。その点は、今後完全実施までには三年の期間があるんですから、その間に郵政当局とも十分御研究になって、それでその悪い影響が最小限度になるような措置をされることが必要だと思いますし、実は私は一昨年でしたか、国際無線会議がございましたですね、ジュネーブか何かで。そのときにもそういうことを、多少それに触れたような問題を日本側から提案してはどうかと思っておったのですけれどもね。時期がおくれてそれができなかったのですが、そこで、郵政省のほうに、こういうことはまあ今国際規則にも関連がある問題ですから、あまりはっきりとおっしゃることは困難かもしれないが、その海域によって執務の時間を何時から何時までというふうにきめていますね。あれはしかし、一応きめられておるけれども、第二種局乙ですか、それはもうもっと自由になるのじゃないですか、国内的な措置によりまして。またそういうことを、今の気象庁長官のようなお話が出ると、多少あらゆる情報にこたえるために、そういうことも郵政省としては考えてもいい問題かとも思うのですけれどもね。今日までそういう点、まだお打ち合わせば進んでいないと思うけれども、それについてどう思っておられますか。

西崎太郎郵政省電波監理局長

○政府委員(西崎太郎君) 現在の国際規則の範囲内で、第二種局乙の各海域別の執務時間が変えられるという話ですが、まあこれは御承知のように、第二種局乙といいますと、国際的にはいわゆるH8というカテゴリーのものでありまして、まあこれは現在の国際規則では、ちょっとその国限りで変えることは、ごく沿岸の場合は別ですけれども、遠洋とか、あるいは近海とかになると、多少無理が伴うのじゃないか。ただ、今回のこの改正案にもそういう制度を作ろうというわけですが、いわゆるHX、いわゆるH24、H16、H8以外のそういう執務体制もとれる、こういうカテゴリーを作っておりますので、このHxという範囲内においてはその国限りで執務時間を自由に選ぶことができる、こういうふうに考えております。  それから先ほどの午前三時の問題、この問題につきましては、われわれのほうでも今いろいろ検討いたしておりますが、まだお答えできる段階にまで至っておりません。しばらく御猶予を願いたい、そう思っております。

和達清夫気象庁長官

○政府委員(和達清夫君) ただいま新谷先生のお話、非常に理解あるお言葉だと私思いました。私どもも、問題は深夜の観測でありますので、できるだけその深夜の観測が送られるように、私のほうだけでもできないことでありましょうが努力いたしたいと思います。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 関連。ちょっと私意外に感ずるのは、今の電波監理局長なり、気象庁長官なりのお考えを伺って不思議に思うのは、この法律は政府提案になっておりますね。気象庁長官の言われることもよくわかります。私は、確かに完全な予報を発し、警報を発する場合には、どうしても一番ベターな資料が必要でしょうから、気象庁の立場からいえば、おっしゃるとおりだと思います。無理ないことです。だからそういう点が、この法改正によって三年間の猶予期間はあるにしても、問題はやがて出てくる。それに対して、まだ三時の時点におけるそういう問題について、委員会に対して明確な政府の態度が表明できないということは非常に遺憾だと思います。  きょうは大臣が出ておりませんから、これは政務次官がかわって来ておると思うから聞きたいのですが、一体この法律案の提案に際して、今申し上げましたような問題に対して、政府は責任をもってどういう格好にするか。  それはまあ別としましても、三年間の猶予期間を置いて、いよいよ本実施をする場合には、今気象庁が痛切に主張されているような問題を解決するという基本方針はきまっているのでございましょうか。それをどういうふうにするのか。これは予算措置もいるでしょうし、非常にむずかしいことですから研究課題には相違ないでしょうが、そういう問題を解決して、気象庁の——気象庁というか、日本の気象全般の問題に対して悔いを残さない体制を確立しつつ、この法改正をしていく、これが筋だと思います。ところが、どうもこういう点がはっきりしていない。これは一体どういうことか。政務次官、大臣にかわって答えて下さい。

大高康自由民主党郵政政務次官

○政府委員(大高康君) この問題は運輸省の所管でございまして、運輸省でひとつ責任を持つというような意味でもって私は納得しているわけでありますが、要するに世界の水準でもってやっていこうというので、利は無理がない提案である、かように考えておりますし、なおかつ猶予期間が三年ございますので、その三年の間に万全を期するというようなことであったならば差しつかえないと思います。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 その後段の言葉は、これは何もあなたにそんなことを聞いているのじゃないのですよ。この電波法がどうこうということは、これから討議すればいいので、要するに提案に至る前提として、政府が、今の気象にある程度陥没が出る、その陥没をどういうふうに補充していくかということに対する態度があるかどうかということなんです。私は郵政の所管であろうと運輸省の所管であろうと、これは閣議の中でそういう問題を、法律を提案するにあたって、私は当然お考えになってやられたものだと理解しておったのですよ。ところが政府の当局の皆さんの話を聞いていると、どうもそうでもないように思うのですね。それならば気象庁長官が心配するも無理ないし、われわれも委員の一人としてそういう心配をせざるを得ない。だから、そういう問題はあらゆる角度から、金を使っても気象情報の収集の為に万全の措置を講ずるということを前提にしておやりになるなら、これは筋が通っていますよ。そういうこを私は聞いているのです。閣議の決定になっているだろうから、一体責任はだれが持つか。

若狭得治運輸省船員局長

○政府委員(若狭得治君) ただいまの問題につきましては、実はこの電波法の改正を運輸省から郵政省に対しましてお願いいたしました当時、たしか昭和三十二年ごろであったと思いますけれども、郵政省から運輸省に対しまして、航行の安全及び気象について心配はないかという公文書をいただきまして、運輸省内において慎重に検討いたしました結果、航行の安全及び気象につきましては、運輸省において全責任を持つという回答を郵政省に出しまして、その後昨年の六月に、電波法の改正を閣議決定されたわけでございます。自後、運輸省におきましても、この問題については慎重に検討して参ったわけでございます。  気象の問題につきましては、先ほど気象庁長官からお話になりましたように、深夜の気象通報の獲得につきましては、いろいろな手段があるわけでございます。その一つの方法として、時間帯の問題をおっしゃっているわけでございますけれども、それは必ずしもそれだけがこの解決方法ではなくて、実は先ほど長官が御説明になりましたように、特定の船舶について特定の海域について契約を結ぶという解決方法がございますし、また電波管理局長がおっしゃいましたように、ごく近海のものについては、時間巻の変更ということも無線業務上可能であろうということも言っておいでになるわけでございまして、今後そういう点を総合的に検討してこの問題を解決していきたいと、そういうふうに考えております。

新谷寅三郎自由民主党

○新谷寅三郎君 私の質問ももうこれで終わりますから、関連で質問されるならなんですけれども……。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 もういいです。

新谷寅三郎自由民主党

○新谷寅三郎君 最後に、運輸大臣まだ来られないので、これはいずれ質疑の過程で、運輸大臣が来られたときに今のような問題を私は総括して運輸大臣の所見を求めたいと思っておるのですけれども、大体、今私のお聞きしたいと思う内容を今までに各長官にお聞きしましたので、大体この程度で終わりますが、とにかく私の受けた印象では、特に気象庁長官、これは閣議で決定してきているのです。それから運輸省の態度もはっきりしているのです。あなたの希望は希望として、気象庁長官として言われるのはけっこうです。しかし、今、鈴木委員も言われたように、これは政府で態度をきめて、そうして政府の提案として国会に提案されているわけです。この提案された内容に対して希望を言われるのはいいですけれどもね。それがいかにも気象業務に——さっきまあお取り消しになったからいいですけれども、言葉を変えられたからいいですけれども、初めに答弁されたように、いかにも相当重大な支障を来たすかのごとき答弁をされるから、今のような問題をみんなが不思議に思ってお出しになると思うのです。これは私は希望しておきますが、郵政省にも関係のあることです。しかし運輸省自体の問題です。ですから大飯ともよく協議をされて、気象庁としては、確かに今まで十あったものがかりに五つになるなら、それだけ不便だと、それを補うのにどうしたらいいかと、むしろそういった方面を、今のところ急に言われても案がないということだけでは、私はあなたの、気象庁長官としては済まないと思うのです。予算がどれくらい要るのか知りません。場合によっては、日本の近海の方々レーダーでもって取り巻いているでしょう、今。その上にさらにどの地点にどんな観測がほしいのかということになりますと、これはさっきから申し上げているように、船がたまたま通るかもしらぬし通らぬかもしらぬのです。その時間に必ず通れとは言えないでしょう。いかに運輸省でも必ずそこを通れとは言えないはずです。通らないかもしらぬのです、仕事がなければ。だから、どうしてもそれがほしいということであれば、それは定点観測船みたいなものを置く以外にないでしょう。あるいは、もっと南方の島にレーダでもうんとつけなければしょうがないでしょう。そういう問題だと私は思うのですね。しかし、それに対して具体的に今こうやるのが一番いいんだということが、まだ成案を得ないならば、これは三年の間に早く成案を得られて、そして関係各省で御相談の上で、海上の安全のために万全な体制をとっていただくのが当面の気象庁の私は責任だろうと思うのです。そういったことのために——政府の仕事ですからね、政府の仕事のために、今度は船のほうに乗組員を減らしては困るんだということを言うことになると、私はこれは筋が、見当が違うと思うのです。そういったものがあったほうがより便利かもしれませんけれどもね。気象業務のために乗組員が多くなければならないんだということにはならないと私は思うのです、関連はあるかもしれませんが。そういう政策は、これは政策としてはとれないと思うのです。それはそれで、あなた方の立場で万全の措置をとる以外には私は方法がないと思いますので、この点は運輸大臣にもよく御相談の上で、運輸省としてのまとまった、きまった態度をさらに委員会で、次の機会にでも運輸大臣から表明していただくことが必要だと思いますから、そういう意味においてひとつ御相談を願いたいと思います。  いずれにいたしましてもこれでおしまいにいたしますがそれぞれまあ昭和十九年以来相当これはまあ慣行としてそういう事実が行なわれておったのですから、それを変えていくのには、やはり船は船なりの、気象機関は気象機関、まあ海上保安庁のような海難救助に関係のある機関はそれだけに、それぞれに影響を及ぼすのはあたりまえのことだと思いますが、それをむしろこういう機会に皆さんで御相談の上で、その変化をむしろプラス分のほう、いいほうに持っていくということに心がけてもらうことがいいんじゃないかと私は思っておりますので、それには方法はないことはないと思うのです。私はそういうことができると思っております。そういう方向でひとつ関係各省協力をして、とにかく日本の海運も世界水準で動けるようにしなければならないと考えておりますので、ひとつ関係各省のそういう方向に向かっての御協力を希望しておきます。  私、大体大臣に対する質問は除きまして、事務当局に対しましては、以上の質問で終わります。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 ちょっと関連して僕も希望しておきたいのですが、今、新谷委員の言われた点に関連があるのですが、やはりわれわれが審議する場合に、前提になる政府の態度をはっきり聞きたいので、郵政大臣なり運輸大臣が御出席いただかないので、きょうはできませんから、またあらためて両大臣に御出席いただいて伺いたいと思いますが、さっきから言っている、前提になる、内閣としての、政府としの思想統一というものが私は、運輸省の御説明は大体わかりました。おれが責任をもってやるのだということを郵政省当局に対して回答しているということですから、それで尽きると思いますけれども、しかし一面なお内部的にいろいろな御心配があるように、われわれも心配があるわけですから、ただ胸を張っておれにまかせろと言われたって、われわれ、やはりそれだけで、立法府としてこの法律改正をやる場合に、おまかせできない。やはり具体性のある、ある程度の問題点を考えていただかなければならないと私は思う。そういうものがあってこそ初めて法改正に対するいろいろの批判はあるでしょうし、考え方もあるでしょうけれども、そういう問題が解決していくと、私はそう思う。これは非常に大事なところですから、ひとつはっきりそういう点に対する将来の三年間の検討の問題であるけれども、大体こういうふうにいくのだというくらいの御構想だけは、ひとつ委員会の審議の途中でできるように、ひとつ御配慮願いたいと思います。そういう点、ひとつあわせてお願いしておきます。

安部清美自由民主党

○委員長(安部清美君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

安部清美自由民主党

○委員長(安部清美君) 速記を起こして。

永岡光治日本社会党

○永岡光治君 ただいま新谷委員、鈴木委員のほうから質疑がありまして、それに応答がなされたわけですが、私はやはり鈴木委員の言われることはもっともだと思う。運輸省から、まかしておけということですけれども、しかし気象庁長官の心配されることは、率直に国民も非常に心配されると思うのです。非常に災害の多い国で、一つ誤れば数十億、数百億の損害が起こるという災害があるわけですから、どういうことがあるか心配されるのも当然だと思う。それについて、三年後にこれは実施するということになるわけですが、単にまかせろではなくて、その実施の暁には、具体的にこういうふうになるのだという、単なるペーパー・プラン、青写真でなくて、予算的な裏づけのある、もっとはっきりした閣議決定ぐらいまでの予算の裏づけ、こうしてやるのだという、そういうのがなくて、どうして……。この法律が通ったあとでゆっくり考えますでは筋が通らぬと思う。鈴木君の心配されるのも当然だと私は思う。やはり気象庁長官の答弁と運輸省の答弁を聞いておりますると、気象庁も運輸省当局ですけれども、何か統一されてない。気象庁長官は非常に心配されているし、保安庁長官は大丈夫だというようなことにもとれるし、運輸省の今の説明員の話では、まかせてくれという。どうも国会に対して具体的な誠意が足らないのではないかと私は思う。だから繰り返して言いますが、三年後に実施する具体案、裏づけのある具体案を一応委員会に出して、こうやりますから心配がないということを明確にしなければ、おそらく鈴木君の心配するのも無理はないと思う。そういう意味での資料ができるのかできないのか、それを次の委員会あたりまでにぜひひとつお願いしたい。

安部清美自由民主党

○委員長(安部清美君) それでは午前中はこの程度にいたしまして、午後は零時四十分から再開いたします。   午前十一時四十分休憩    ————・————   午後一時十八分開会

安部清美自由民主党

○委員長(安部清美君) ただいまより再開いたします。  午前中に引き続いて、電波法の一部を改正する法律案に対する質疑を行ないます。

野上元日本社会党

○野上元君 ただいまから電波法について質問をいたしますが、まず技術的な問題はあと回しにいたしまして、根本的な問題について大臣の所信をお聞きしたいと思うのであります。  この法案は、御承知のように三十二年五月七日に、二十六国会でしたか当時上程されまして、その国会では継続審議になり、さらにまた二十七年にも継続審議になり二十八年には審議未了となったいわくつきの法案なんですが、その後の情勢の変化というのはどういうことですか。今回また政府提案として出されたという情勢の変化はどういうところにあるか。

迫水久常自由民主党郵政大臣

○国務大臣(迫水久常君) 一面日本の海運雇用状態というものの非常な変化がありまして、そして海運のほうがまた船も非常にたくさんできたりしまして、船員といいますか、このほうの専門の乗員の払底を来たしてくる状態が非常にひどくなったということと、もう一面機械が非常に発達してきてオート・アラームというようなものも十分信頼し得るに足るというような状態になってきた、そういうような基本的な変化があると思います。

野上元日本社会党

○野上元君 ただいま郵政大臣としての基本的な考え方を述べられたわけですが、本法案を出すにあたりまして、郵政当局は確固とした自信を持って、かつまた責任を持って積極的に今日の情勢の中でこの法案を改正しなければならぬという立場をとられたのか、それとも他の状況によって、外部の事情によってこの法案の提出をされたのか、その点を明瞭にしていただきたいと思います。

迫水久常自由民主党郵政大臣

○国務大臣(迫水久常君) 人がたくさんいて、これだけ現行法の要員をもってしても人が足りなくならない、船の運航には差しつかえない、こういうような状態でありますれば、あるいはこの法律案は出さなかったかもしれません。それはある意味においては失業といいますか、そういうような問題が逆に起こるというような状態の場合においては、この法律は出さなかったかもしれませんけれども、現実の問題として雇用の状態が非常に変わって参りまして、この法律を変えるにあらざれば、すなわち日本の今まで国際水準に比して非常に格段に手厚い手当てをしておった部分を国際水準にまで直すということですから、それによって船舶の運航というものを十分確保する、日本の海運の国際競争力というものを確保する、国際水準にまでそれを下げていくということでありますので、私たちは確信を持ってこの法律案を提出いたしました。

野上元日本社会党

○野上元君 前年の臨時国会が開かれる前に、この電波法の上程が新聞紙上をにぎわしたときに、郵政当局に私は直接ある幹部に聞きました。そのとき郵政当局としてはこういう法案は出したくない、しかし政治的圧力がかかっておるのでやむを得ません、こういう答弁をした人がおるが、それは誤まりですか。そういう事実はなかったのですか。

迫水久常自由民主党郵政大臣

○国務大臣(迫水久常君) 私は郵政省の事務当局は、何もみずから好きこのんでこの法律を改正するということを自分で考える立場で、あるいはないかもしれないと思うのです、それで事柄が動いていくならば。しかし時勢の変化がありまして、この法律を改正することが国家全体の利益である、しかも船舶の航行あるいは気象の問題については支障がない、こういう確信を得た以上は、当然これは提出するのがあたりまえでして、その当時政治的圧力ということをどういう意味でその人が言ったのか、また具体的にどういう人が言ったのか知りませんけれども、少なくとも政治的圧力によってこれを提出したのではなく、時勢の要求という、何といいますか、国家経済全体の一つの状態の変化に即応すべくこの法律案を提出したのでありまして、いわゆる政治的圧力、何人かの意思によって郵政省が考えを曲げたということはございません。

野上元日本社会党

○野上元君 今のお話を聞いておりますと、郵政当局としては積極的にこの法案を提出する立場にはなかった、こういう御答弁ですが、そういうふうに触釈してよろしいのですか。

迫水久常自由民主党郵政大臣

○国務大臣(迫水久常君) 先ほどから申し上げておりますように日本国家の経済の情勢、雇用の情勢というものが、この法律が制定されました当時の状態のようであったならば、あるいはみずからは進んでこの法律案を提出しなかったかもしれないということを申したのでありまして、情勢の変化がありましてこれを改正するにあらざれば、日本の海運、日本の経済全体に重大なる支障を来たすという以上は積極的に提出する、こういう気持になったわけであります。

野上元日本社会党

○野上元君 私はこの機会に少しきついことを言うかもしれませんが、臨時国会に提案をされたときに、船舶無線通信士の諸君がこの法案を撤回してくれと、こういう陳情をあなたにされました。そのときあなたは通信士の諸君のいろいろな実情を聞いてよくわかった、で、私の立場としてはこの法案を出したくないのだけれども、運輸省がやかましく言うのでやむを得なかったのだ。しかし船舶職員法案を撤回してくれるならば、いつでもこの電波法は撤回する、こういうことを答弁されておりますが、そういう事実はありましたか。

迫水久常自由民主党郵政大臣

○国務大臣(迫水久常君) きわめて正確ではありませんけれどもそれに似たような事実はあります。船員諸君がやっ来まして、運輸省に行ったらば、運輸省の連中は、話によると、とにかく自分のほうはともかくとして、電波のほうが改正するというからこの船舶職員法を出さざるを得ないのだ、こういうことを運輸省のほうでは言っております、こう言いますから、それは筋が少し違うので、日本の海運情勢を判断し、そうして国際的な海運の競争力というものについて判断し、海運の雇用状態というものについて判断するのは、郵政省の仕事ではなしに運輸省の仕事である。そうして運輸省のほうがそういう判断をして、このままの状態で定員をきめておいてはとうてい日本の海運というものは運航が自由にいかない、非常に支障を来たす、こういうことを言うので、そういうことの話があったから、われわれのほうでは検討した結果まことにその通りであると考え、同時にオート・アラーム等の機器も精度が発達して、いわゆる航海の安全、あるいは気象の問題についても支障がないと認めるからこの法律案を提出するのであって、運輸省が言っているようにこちらが電波法を改正するからおれのほうは船員法を直さなければならぬという言い分はおかしい、ですから運輸省のほうが船員法を直すという必要を認めないなら、何も僕のほうは電波法を出す必要はない。運輸省の方がどうしても定員を直さなければ海運がうまくいかないという判断をしているし、それは私のほうでも検討したら、それはもっともだろうと考えるから、そちらに応ずるために電波法を改正しているのであって、主たる何といいますか、必要なる源泉というものは向こうなんだ、したがって向こうが引っ込めればおれのほうは当然引っ込める、こういうことを言ったことがあります。

野上元日本社会党

○野上元君 そうすると郵政省みずから今日の日本の経済の状態、あるいは海運界の状態をつぶさに検討し、かつまたオート・アラームその他の機器の発達等を十分に勘案して、国家的見地から積極的にこの法案を提出したのではない、それは運輸省の要望にこたえてこの法案を出したのだ、こういうふうに解釈してよろしいのですな。

迫水久常自由民主党郵政大臣

○国務大臣(迫水久常君) 答弁を逆から言いまして、船員の定員の改正というものを必要としない状態である、雇用がだぶついておって十分人が得られる状態であるという場合には、先ほど申しましたとおり電波法をあるいは提出しなかったかもしれません、おそらく提出しなかったでしょう。しかし現実に雇用の問題が逼迫して、定員を改正して国際水準に近づけなければならない、国際水準よりぜいたくな人の使い方をしているということはもう今日の日本の経済としては許されない状態である、その判断を主としてするのはこれは運輸省です。運輸省がその判断をし、私のほうでその検討をし、全くそのとおりであると考えましたから提出したんでして、そのことは二つ法律案があるのですから、そうして不幸にして所管が分かれておりますので、政府一体の原則で、両方が一致しましたから、両方とも積極的にやろうということです。

野上元日本社会党

○野上元君 しかし今あなたが言われたように、運輸当局のほうに陳情に行くと、それは電波法を改正するのだから当然船舶職員法は改正しなければならぬのだ、こう言っているし、郵政省は船舶職員法が改正される必要があるから電波法を改正するんだ、まあこう言っているわけです。お互いにおれのほうは消極的なんだけれども、よそがやかましいからやってやるんだ、こういうことを言っておられるのです。こういう態度でこの法案を出されていいものかどうか。きわめて重要な法案ですが、そういう消極的な態度でこの法案を出されたその意図が知りたい。

迫水久常自由民主党郵政大臣

○国務大臣(迫水久常君) 私はそういう事態があると思いますし、それはまあ運輸省のだれがはたしてそういうことを言ったのか。海運組合の諸君が言うから私はそう答えたのであって、運輸大臣に聞いてみたり、運輸次官に聞いてみたり、運輸省の幹部に聞いてみますと、自分たちはそういうことを言った覚えは全然ない。自分たちのほうからはどうしてもこの定員法の改正をしなければ日本の海運が動かない、こういう立場である、ついては自分のほうの定員法だけを直して電波法のほうがそのままであったのでは動きがとれないから、電波法のほうもひとつどうぞお願いします、こういうことを運輸省は言ってきた。私どものほうとしましては情勢全般を勘案しますといかにももっともなことであって、日本の国家全体の経済の発達のために、それが人命の安全、航行の安全等に支障のないという確信を得ましたから、向うに呼応しまして電波法の改正を企図したのでありまして、海員組合の諸君が私のところへ陳情にきて言ったことに対して、私はそのとき答えたのでありますが、実態的に運輸省は私のほうに押しつけ、私のほうは向うに押しつける、こういうことでは決してありません、両方の見解が一致して、両方が積極的に出した、こういうことです。

野上元日本社会党

○野上元君 そうすると、あなたのお答えによりますと、今日無線通信士が足らないのでそれに合わせるように電波法を改正した、こういうふうに言われたんですが、そういうように解釈してよろしいですか。

迫水久常自由民主党郵政大臣

○国務大臣(迫水久常君) 無線通信士の数が足りない、それから海運事業の基盤を強化しなければならない、そうして電波に関する聴守義務、運用義務時間の手当というものは、国際的に見ますと非常に手厚い。これを国際水準にまで引き直していくということが適切である。こういう考え方です。

野上元日本社会党

○野上元君 それではその通信士の諸君があなたに陳情されたとき、あなたがそういう答弁をされたんですが、その心境は今でも同じですか。

迫水久常自由民主党郵政大臣

○国務大臣(迫水久常君) まあ、そのときは、私は運輸省というのはずいぶん無責任なことを言うものだ。自分のほうは海運が逼迫しているというような判断をするんじゃなくて、ただ電波法を改正するから、おれのほうもそれに応じてやらなきゃならんと言わぬばかりのことを言ったようなことを海員組合の人は言いました。そこで私もカッとなって、それはおかしいじゃないか、海運の合理化、あるいは基盤強化、あるいは海運の雇用状態に即応するところの定員の整備というようなことは、運輸省が正当に判断をすべきであって、ただ、電波法を改正するから、しょうがない、自分のほうの定員も直さなければならないというようなものの言い方をかりにしているとすれば、それは非常に間違いだ、こんなことを運輸省がほんとうに言っているならおれのほうは引っこめるぞ、こういうふうなことを言ったわけです。今私が説明しましたように、彼らは正当に判断しその正当な判断のもとに私どもの調査の結果確かにそうだという確信を得まして、同時にこれを国際水準並みに引き下げても、人命の安全、航行の安全には支障がないという確信を得ましたので、それじゃ両々相待ってやろう、こういうことです。

野上元日本社会党

○野上元君 私は大臣の答弁は一つの言いのがれだと思うんです。その当時のあなたの心境から見れば、この法案を出すことは必ずしも積極的ではなかった、消極的だった、このことは間違いないと思うんです。それは事務当局も先ほど言ったように、この法案を出すつもりはありません、こう言って私に、はっきり答弁しておりますし、あなたもしばしばそういうことを発言されておったんだから、何らかの力が加わってこの法案を突如として出すようになったという見方をしても私は当然だと思うんです。

迫水久常自由民主党郵政大臣

○国務大臣(迫水久常君) 郵政省が自分で判断して、もうそろそろこれは改正しようということを考えたわけです。これは事実です。しかし、諸般の情勢が経済全体の情勢、今、野上さんは、何人かの力が加わって——何人かの力というものはすなわち日本国の経済状態、雇用状態その他の状態の力があって郵政省もそれに応じて改正をするということであって、一人の個人や運輸省に圧迫されてわれわれがやっているということではありません。のみならず、何人かだれか海運業者から圧迫されたということでもございません。日本の経済状態全般についての判断によってきめた、こういうことです。

野上元日本社会党

○野上元君 諸般の情勢の判断の中には、船に乗って現実に通信を行なっている人たちの意見は十分に聞きましたか。

迫水久常自由民主党郵政大臣

○国務大臣(迫水久常君) 陳情に見えましたときには、自分たちはラジオの番をしているばかりでなしに、いろいろなほかの仕事があるというお話もありました。それから決してオート・アラームというものに対して、確信を自分たちはまだ持たないという話もありました。よく話全体を聞きましたけれども、一般的に判断してオート・アラームというものを信用し得る状態にある。現に日本から外国に輸出している船は日本製のオート・アラームを付けておりまして、一ぺんも問題になったことはない。そういう事実その他から勘案しまして、こういうような改正をすることは、私としても間違いはない、こういう確信を持った次第であります。

野上元日本社会党

○野上元君 でも、あなたは今日の海運界において、通信士の定員が云々されておらなければ、この法案を改正する気持はなかったということになれば、この法案を改正することによって通信士を減らそうというだけじゃありませんか、このねらいは。それならば、減らされる通信士の言うことを最もよく聞くべきじゃないか。海運界の建て直しその他についてはわれわれも十分な関心を持っている。しかしそれの方法は幾らでもある電波法を改正しなくてもよい、別な方法もある。あなたも現実に前に企画庁長官時代に海運の建て直しの問題についてお話がありましたが、なぜそういうふうに定員法を改正したから電波法も改正しなければならないのか、これは本末転倒もはなはだしい。

迫水久常自由民主党郵政大臣

○国務大臣(迫水久常君) 現実の問題として、もしこれを改正することによって人を減らす、その減った人が失業するという状態であったならば、日本の雇用全体のことからこの電波法の改正をちゅうちょしたかもしれませんが、現実の問題は、この法律の要件をかなえるために備えなければならない定員がなかなか得られないという状態であるということは、これは間違いない、このように私は判断いたします。したがいまして、人を減らすことによって合理化するというのではなしに、むしろ人がおらないから、それに即応して、今まで手厚過ぎた法律を国際水準に引き直そうというのでありまして、無線通信士の犠牲において海運を合理化し得るとは結果的には決してこれはならないと、こう私は思っております。

野上元日本社会党

○野上元君 それにしても海上航行安全審議会ですか、これには組合側も入って、この船舶職員法を改正するかどうかについては審議をしているわけです。しかしついに組合諸君の意向は全く無視されたために、この審議会をボイコットして出てきてしまっている。そのあとでこの賛成派が一挙に採決に持ち込んで、あの船舶職員法を出すことをきめた。こういう経緯からみてみると、あなた方のやっているのは船主のことばかり聞いて、現実に苦労している人の話は全然考慮の中に入っていないじゃありませんか、結果として。そういう点を私はあなたに聞いているのです。

迫水久常自由民主党郵政大臣

○国務大臣(迫水久常君) まあ日本では一つの船に三人乗っている、外国では一人しか乗っていない、−あるいは二人しか乗っていない、こういうような場合には、しかも現実には船をおりてしまって陸上の勤務につく人が非常に多く、実際問題として三人そろえることが非常に困難だという事情は、これは事実現実の問題として存在するわけです。その場合に、外国では一人で済ましておるのをどうして日本だけ三人にしなければならないのか、この理由というものはなかなかこれは逆に言って説明が困難じゃないでしょうか。その場合には、外国並みに一人でいいという法律を作る、もしこの法律を作ったって、三人を置いといたって悪いことはないのですから、どうしても雇用の関係上三人は必要だという組合の要望ならば、これは団体交渉等によって船主にそれを説得すればいいのでして、少なくともこの法律で三人置かなければならないとしばっておくことは、この際むしろ行き過ぎじゃなかろうか、国際的に一人で済ましているのを三人でなければならないと法律でしばっておくことは、ちょっと行き過ぎだなあということは常識的に判断できるのじゃないかと私は思います。

野上元日本社会党

○野上元君 あなたはだんだん積極的になってきたんです。いつ、そういう必境になったのかよくわからないのだけれども、この問題が出たのは今回だけじゃない、もう古くから出ておるのですね。第二次のオート・アラームの実験報告書がここに出ておりますけれども、このときすでに出ております、この問題は。昭和二十九年ですか、たしか、これは。そのときにある郵政省の課長は、この報告会の席上においてこういうことを言っております。現在の姿ではオート・アラームをつけても人員の減少の対象にはならないが、昭和二十九年十一月になるとこの装備によって人員減少の対象となる。その間にアラームをじゃんじゃんつけてもらっていろいろなデータをもらいたい、現在の実験はなかなか深い意味を持っている、運輸省や国会方面から強い政治的な働きかけがある、一種とか二種とかいう区分けを切り下げろ、トン数にするなら切り上げろ、すなわち人を減らしてそれをアラームで埋めろという要求である。われわれとしては人間の代替をさるべきよい機械を認定するというのが目的である。政治的な含みのある点に触れる実験をしているので、一回から最後までいろいろな不便を承知の上でメーカーの代表などを便乗させなかったことを御承知願いたい、最後の実験は私が行くので、辞表を書いていく決意であると、こういう報告書に……。

迫水久常自由民主党郵政大臣

○国務大臣(迫水久常君) いつですか、それ。

野上元日本社会党

○野上元君 いい、あなたの重大な問題になりますから、名前を発表すると。

迫水久常自由民主党郵政大臣

○国務大臣(迫水久常君) それは速記録ですか。

野上元日本社会党

○野上元君 そうです。

迫水久常自由民主党郵政大臣

○国務大臣(迫水久常君) 国会の…。

野上元日本社会党

○野上元君 国会じゃありません、調査会の。

迫水久常自由民主党郵政大臣

○国務大臣(迫水久常君) 二十九年といったら今から一昔前ですからだいぶ情勢が変っているのじゃないでしょうか。その課長は、その当時はそういう意見をあるいは何か言ったかもしれませんが、現在もおりましたら、同じ意見かどうか、私は変わっているのじゃないかと思います。政治的なという言葉はいろいろな内容を含んでいるのですけれども、どういう意味でそこで使ったのか、課長の心境はわかりませんけれども、政治的というのは政治家が手心を加え、あるいは理屈は通らないのだ、不合理になる、むしろ不合理ないうことを政治的なということに使っているのか、私は、そうじゃなくて、純然たる郵政省の中の事務的な考え方じゃなくして、国家大局の上からというような意味を、その課長はまあボキャブラリーが貧弱だということで政治的なと言っているのじゃないかと判断いたしますが、政治的という言葉を不合理なとか、あるいは無理押しなという意味におとりにならなければ、当時はそういう心境だったかもしれません。しかし、ずいぶん、ほとんど一昔前の話ですから、今はそういう心境じゃないのじゃないかと私は思います。

野上元日本社会党

○野上元君 私は先ほどからの大臣の答弁を聞いておりまして、この問題はやはり昭和二十九年にさかのぼって常に行われてきた一つの傾向だと判断したのです、今あなたの話を聞いて。というのは、今読み上げましたように、政治的な含みを持った今回の実験である。運輸省あるいはまた国会のほうからこういうふうにやれと、こういう一つの命令が出された上での実験を行なわわれておるということは、これは重大な問題だと思うのです。でなければ、本人が辞表をふところにしてまでもこの実験に乗り出すというふうなことはあり得ない。彼は公務員であるからそういう態度をとったのだろうと思うのだが、そこまで追い込んでいるのに、あなたのほうはそれを知らぬ顔しているというのは、これは重大な責任があると思う。

迫水久常自由民主党郵政大臣

○国務大臣(迫水久常君) それは二十九年のことですから、さっきも言っているように、ほとんど一昔前の話ですから、日進月歩の今日、そのときの課長というのはなかなかそれは偉い課長だったと思います。そのいい答えを出せと言われて行くのだから、それはとてもいい答えを出せないかもしれないから自分の辞表をふところに持っていくのだ、しかし、その課長が現在おって調べたら、辞表を破り捨てていいという答えを出す、そういう状態じゃないでしょうか。今の技術の進歩は私はそういうように判断をするし、現在の技術当局からはオート・アラームは十分やっているのだ、現に常識的に考えても、外国に輸出した船はうんとありまして、その船にはみんな日本製のオート・アラームが使われ、それをみんな信用して一つの事故もないというのですから、これだけ実験すれば十分というてもまあ間違いないのじゃないかと私は思います。

野上元日本社会党

○野上元君 私は実験の報告についてはあとで詳細に質問をいたします。私が今申し上げているのは、そういうもんではなくて、根本的な問題に触れておるわけです。この法案は郵政省の積極的な意思で出されておるのか、運輸省の意思で出されておるのか、あるいはその他の政治的な配慮が加わって出されておるのかを最も問題にしておるわけです。しかし、現在のあなたの答弁を聞いてみても郵政省はきわめて消極的です。積極的に今日の段階においてこれが絶対必要であるという結論は出ておらない。そうではなくて他のほうの考え方に動かされてこの法案を出されてきたということは、これは昭和二十九年ごろからずっと圧力が加わってきておるのが今日まで防ぎ得たけれども、ようやくあなたの代になって防ぎ得なかったということになる、そのとおりじゃないですか。

迫水久常自由民主党郵政大臣

○国務大臣(迫水久常君) 一昼夜一つも休まず人間の力で聞いていることのほうかそれは安全度が高いにきまっています。これはきまっているといっては語弊があるかもしれませんが、安全度が高いという気がするということはきまっております。私たち科学の知識のあまりない者は、やはり機械というものをなかなか信用する気になれないけれども、確かにそれですから人間の力でやるほうがいいような気がすることは事実でありますけれども、これは科学者、技術者たちが寄って研究をして、オート・アラームというもので十分代用ができるのだ、世界みんなそうやっているのだということになった場合には、しかも日本の雇用状態というものが変わってきた、昭和二十九年どころの騒ぎではなくて非常に変わってきた、切実に人間が足りなくなってきたというこの段階において、郵政省が考えを変えるのは当然じゃないかと私は思うのです。

野上元日本社会党

○野上元君 あなたは国際的なことばかり言っておられるのですが、それではほかの分野で取り上げてみましょうか。電波関係で、たとえばFMの問題にしても世界各国がすでに十数年前からやっているやつを日本はなぜやらないのですか。国際的なことを言うならば全部そういうふうになります。アメリカが宇宙通信を打ち上げるなら日本もなぜ打ち上げないのか。何か原因があるからでしょう、それは。

迫水久常自由民主党郵政大臣

○国務大臣(迫水久常君) ですから、FMの問題も世界に追っつこうとしてこれを研究してこれを研究している。何しろ文化の程度が戦争及び占領を通じて約二十年間、二十年間というと多過ぎるかもしれませんが、少なくとも二十年間といったほうがいいのですが、おくれているのですから、この問題も一足おくれて追っつこう、FMも一足おくれて追っつこう、こういうわけでございます。

野上元日本社会党

○野上元君 海運界においてはもう世界の一流国と同じ状態にある、こういうふうに判断してよろしいですか。

迫水久常自由民主党郵政大臣

○国務大臣(迫水久常君) まあ日本も海運は非常に発達をいたしまして、世界で二番目とか三番目とかの海運国ですから、このほうは世界水準に十分達していると思います。

野上元日本社会党

○野上元君 私はのちほどの技術的な質問に入るための参考のために、そのときの調査会の報告について郵政省の技官が述べておることについてあなたに知らしておさます。今度乗船してみてわかったのだが、二十四時間三人の通信士の当直で一ぱい一ぱいで、五百KCをオート・アラームが補助的に聞いてくれるのならオーケーだがとても人員減らしにはならない、こういう報告を出しておるのですが、そういう報告を見たことはありますか。あなたのほうの技官がいっているのです。

迫水久常自由民主党郵政大臣

○国務大臣(迫水久常君) それはいつごろの話ですか。

野上元日本社会党

○野上元君 それはやっぱり同じです、昭和二十九年。

迫水久常自由民主党郵政大臣

○国務大臣(迫水久常君) 私はそういう報告を聞いたことはございません。

野上元日本社会党

○野上元君 それでは私がこれからあなたに質問をすることは、ほとんどあなたが報告を聞いておらないということがいえるのです。もし報告を聞いておらないということになれば、あなたは確信を持ってこの法案を出したということはいえないのです。

迫水久常自由民主党郵政大臣

○国務大臣(迫水久常君) まあ物事というものは時の経過によって発達してくるものであります。私は昭和二十年当時にいかなる議論が行なわれたかということは、現在のこの法律を出すことを決心するにはそう大きな問題じゃなくて、今日の段階においてオート・アラームというものがどういう役割をしておるか、いかなる信頼度があるかということについては、電波監理局の事務当局並びに技術当局から十分それで問に合うのだ、こういうことを聞いておりますし、現に先ほど申しましたとおりに、日本から輸出した船には日本製のオート・アラームがついて世界の各国人がそれを信頼して現に事故が起こっていない。これほど実験としては大してやらないで、日本は外国人を材料にして日本のオート・アラームのよさ、実用性というものを実験することができたという立場だと思うくらいでありまして、現在の時点においては、過去の二十九年当時のいろんな意見というものについて、そういう時の経過があったのだということはきわめて参考になりますけれども、この法律を出すか出さないかということを決心するには、当時の状況というものは問題でなくて、現在の時点における状態というものが問題だとこう考えております。

野上元日本社会党

○野上元君 それではあなたは現時点、現時点と言われるから、現時点について一つだけ聞きますが、昭和二十八年に第一次、第二次、第三次という調査団を派遣されました。そして私その報告書を持っておりますが、その後、郵政当局は責任を持って実地検査をやられた報告書があるなら出して下さい。郵政省みずから実地検証をした責任ある報告書を出してもらいたい。

西崎太郎郵政省電波監理局長

○政府委員(西崎太郎君) 今の臨時検査というのが、船舶の無線局の検査をした場合のその一環としてのオート・アラームの検査という意味でしたならば、あとで調製して提出いたしたいと思います。

野上元日本社会党

○野上元君 私はそういう権威のない報告書は必要ないのです。少なくとも第一回あなた方がやられたときには、オート・アラームが非常に問題になったときに、みずからあなた方は乗り出して郵政省の責任を果たされた。私はりっぱな行為だと思う。その報告書はのちほど克明にあなた方に示しますが、その結果によれば、とにかく今回の第三回のある一定の地域、ある一定の時間を区切ってやった、これぐらいの調査ではどうにもなりません。これで結論を出すわけにはいきません。将来さらに検討、調査をやるべきだという報告書の結論になっておる。にもかかわらず郵政省がこのような重要な法律案を出すとき、みずからなぜ責任を持って実地検証をやり、そしてこのオート・アラームは絶対大丈夫という確信を持ってこの法律案を提出されないのか。この法案を私たちは審議する意欲がありませんよ、そういう無責任なことでは。

西崎太郎郵政省電波監理局長

○政府委員(西崎太郎君) 今御指摘のように、昭和二十八年、二十九年にわたりまして三回にわたって実地テストをやりました。それでその後におきましては、率直に申しまして、それと同じような実地、試験はやっておりまん。しかしながら常にわれわれとしましては、このオート・アラームの性能の改善状況というものにつきましては、関心を持って調査を——調査と申しますのは実地調査ではございません、やって参っておるわけでありまして、さらにこの点につきましては、先ほど大臣のお話にもありましたように、輸出船に、もうすでに百三十数はいの実績があるわけでありまして、これについても幸いにして今までほとんどコンプレインがない。あるいはまた日本の船舶につきましても、たしか昨年の調査ですが、六十数はいの船にはすでにもうオート・アラームを装備しておる、こういったような状況。それからまたこの方面の専門家の意見を聞きましても、外国製品に比べて劣っていない、むしろ部分によっては進んでおるという面もある、こういうふうに聞いておりますので、もうオート・アラームに関する限りは国際水準にきておる、こういうふうに判断いたしたわけでございます。

野上元日本社会党

○野上元君 今の監理局長の話を聞いておりましても、みずからは検査したことがない、ただ人の言うことを聞いて、大体国際水準に達しただろう、こういうことを言っておる。きのう、おとといでしたか、この前の委員会では、新谷委員の質問に対して、国際的比較はどういうふうにやったんだと言ったらカタログを見たと、そういう答弁をあなたはしたじゃありませんか。そんなことで、尊い人命がどうなるかという問題をカタログで見たとか、専門家の意見を伝え聞いたとか、そんなことでこの法案を改正するなんということはもってのほかですよ。私は断じてそれは許せぬのです。そういうやり方は国会を侮辱しておるのです。

西崎太郎郵政省電波監理局長

○政府委員(西崎太郎君) ちょっと先ほど重要な点を申し落としましたので補足させていただきますが、これも先般申し上げましたように、このオート・アラームというものは、今先生がおっしゃったように、非常に海上における人命の安全にに心要不可欠の装置、設備でありますので、これの型式検定ということを郵政省、すなわち政府のその方面の主管庁として郵政省が行なってきておるわけでありまして、これは二十七、八年ごろからずっとやっておったわけでありまして、現在すでにその型式検定に合格しておる型式の製品が六種類ございます。すなわちこの六種類のものにつきましては、これは国が、国際的な基準を満足しておる、充足しておるという判断を下したことになっておるわけでございます。

野上元日本社会党

○野上元君 ただいま、あなたはすでにオート・アラームは外国船にもつけておる、国産のものを。そうしてコンプレインはない。もしもあったら、とりやめますか。国内でもたくさんつけておる。私は参考人を呼んで事情を聴取しようと思っておりますが、もしも作動妨害、不動作妨害あるいは誤動作妨害が頻繁に行なわれておるという事実があれば、この法案を取り下げますか。あなたの確信はそれでゆらぐでしょう、あなたみずから検査していないのだから。どうしますか、そのときは。

西崎太郎郵政省電波監理局長

○政府委員(西崎太郎君) まあこのオート・アラームがいいか悪いか、あるいはまた、これが完全にオーラル・ワッチの代用になるか、そういう点につきましては、これは相当マージンといいますか、があるものでありまして、結局このオート・アラームの問題点になるのは、いわゆる空電妨害と申しますか、空電による誤動作妨害あるいは不動作妨害、これがまあいつも問題になるわけでありますが、実は極端に申しますれば、この空電が警急自動信号と同じ配列をもって、その船にやってくれば、これは誤動作を起こすのは当然の話であります。  結局、だから問題は、そういうその誤動作なり不動作の比率の問題と申しますか、そういったような問題であると思いますし、また国際基準におきましても、絶対にそういった空電による誤動作不動作があってはいけないということにはなっておりませんので、できるだけそういう支障がないようということでありまして、その程度につきましては、これはいろいろな見方があるわけであります。われわれとしましては、しかしなるべくそういったことがないように、いろいろとメーカーに対しましても指導しておるわけでありまして、で、おそらく現在装備されておるそのオート・アラームは、もちろん先ほど申し上げましたように、完全に人手にかわるというものではないとは思いますけれども、国際的な、国際並みの、国際水準の線に沿った動作はやっておる。こういうように確信しておるわけであります。

野上元日本社会党

○野上元君 私は、ここで一般的な論議をしようとは考えておらぬですけれども、問題は現実の問題なんです。だから、あなたはオート・アラームをつける、オート・アラームが信頼されるというその実例に、外国船につけておるオート・アラームから一ぺんもコンプレインを聞いたことがない、したがって信頼するに足ると、こう言っておられるから、それでは、もしもコンプレインがたくさんあるような状態であるならば、あなたの確信はどうなるのかと言うのです。私は参考人をたくさん用意します。現実に船舶通信をやっておる人たちを呼んで、どういうふうに不動妨害があり、誤動作妨害があり、何回くらいあるかということを詳密に私は——私は持っております、データを。私の口から言って、あなたが信頼されなければ、直接船の上に乗っておる通信士を呼んで聞いてもいい。その場合に、コンプレインがどんどんあるということになればどうしますか、あなたは。

西崎太郎郵政省電波監理局長

○政府委員(西崎太郎君) われわれも先ほど申し上げましたように、非常にオート・アラームの性能というものに関心を持って調査はしておるつもりでございますけれども、先生、もしくはその外部の実務されておられる方から、いろいろ現状をお伺いいたしまして、その結果もひとつ承らしていただいて、それによって、もしわれわれのほうで考えなければならない点がありますれば、また善処さしていただきたいと思います。

野上元日本社会党

○野上元君 私がしつこく言うのは、ラジオやテレビと違うのです。オート・アラームはこの法案を見てわかるように、通信士のかわりにオート・アラームを使うわけですよ。海上における人命、財産を保護しなければならないのですね。重大な任務を持っているのがこのオート・アラームなんですよ。だからラジオやテレビは、少しぐらい機械が狂ったっていいのです、こんなものは人命に関係ないから。しかしこれが一たび狂えば、たいへんなことになるのですよ。だから私はやかましく言っておる。  それをしかも、あなたのほうでは実験をみずからやったけれども、そのときの調査報告を見ればわかるように、こんなものは問題にならないということを言っておるのです。わずかこのくらいの回数で実験した、調査しただけでは、これはわからない。これからしばしばこの調査をやらなければならないという結論を出しておきながら、みずから責任を持ってやらないで、ほかのやつを聞いて、そうしてこの法案を出してくる。乗っている人たちの命はどうなるか。それは国際水準がどうだのと言うけれども、それは現、実の問題としては、私はそうはいかぬと思う。それは全く国際的な水準と同じものならば、すべての設備がそれならいいですよ。私はちなみに、この船主協会が出しておる文書を読んでみましょう。「オート・アラームの成果あるいはその機能は、通信士の責任以外のことであり、オート・アラームに万一失策ありとする場合の責任は、国際的には国際電気通信条約付属無線通信規則に、国内的には本機器を認定せる郵政省にあるのであって、通信士の責任でもなければ船主協会の責任でもない」のだ、こういう文書を船長に出しております。私は持っているのです、自分で。ということになれば、もしも万一オート・アラームをつけて事故が起きたら、その責任はあげて郵政省にある、オート・アラームを認定した郵政省にある、それを承認した国会にあるという、これは言い方です。私は、こういう犯罪の片棒をかつぐ気持にはなれません、今日の状態の中で、私は郵政省がこういう重大な法案を出すときは、みずから責任を持って検査をやられ、あなた自身が確実に、これなら大丈夫だという確信を持って、この法案を出してもらいたい。でなければ、この法案の審議をやる気がしないのです。

永岡光治日本社会党

○永岡光治君 郵政大臣が出席される前に、実は気象庁長官も見えまして、それから海上保安庁の長官、運輸省当局、三方が見えられ、新谷先生及び鈴木先生御両氏から質問を展開したわけでありますが、その際における気象庁長官の答弁からしますと、非常に心配をしているのですね、気象情報の収集という点から。ところで一方海上保安庁長官のほうは、いやこれは大丈夫だと言うし、それは方面が違います。海上保安庁は、安全というところからの意味だろうと思いますが、その際論議されたことは、いやしくもこの重要法案を出す以上は、気象なりその他について、十全なる措置がとられるということが明確にならなければ困るじゃないか、答弁の中に、三年後にこれは実施するんだから、その間において考えるから、まかしてくれ、運輸省の責任だからということで、胸をたたいたような答弁だったけれども、運輸省の説明員だったが、実を言うと運輸大臣がここに出てきていると非常にいいと思うのですけれども、そういうきわめてあいまいな答弁です。気象庁長官は、無理もないと私は思うのです。あの長官は、おそらく科学者だろうと私は理解しておるのですが、それだけに、政治的な問題がどうこうということは、まず抜きにして、やはり一たび災害が起これば、よその国と違って日本の国は気象条件がよくない、災害が非常に多い国だから、一たび災害が起こればたいへんなことになるのだ、こういう認定のもとから、万全を期すべきだという気持の上だと思うのです。ところが官仕えの悲しさ、運輸大臣の管轄下にあるわけですから、なかなかはっきりした答弁を言いかねるようですが、僕らが聞いていると、どうもこれを減らされると困るんじゃないかというような意味の答弁がなされたわけです。  それで、私のほうでは、そういうあいまいなことでは困るじゃないか、三年の間に考えるというのではなくて、もう少し、ほんとうにこの法案を出すのならば、今から数年前において、そういう万全の政策がとられて、これと関連をして、こういうことになるから御安心下さいという意味の提案があってしかるべきだと私は理解するのですが、そういう三年後に、これをどういう青写真——単なる机上プランでなくて、確実にこれを保証いたしますという予算の裏づけ、実行上の裏づけがあって、並行して、こういう裏づけがあるから御心配要りませんといってしかるべきじゃないかと、こういう意味の質問をしたわけです。また、そういう資料もひとつ考えてくれということを要求して午前中の委員会を終わったわけですが、そういう問題からいたしましても、どうも確たる資料はないと私は思う。おそらく突き詰めていけば、三十九年度ですか、四十年度になりますかね、この際において、こういうものがあるのだということが、おそらく今具体的には出ていないのではないかと私は思うのです。  そういう心配があるということが一つ。それから今、これは気象上の関係に重点が置かれているのですが、災害が起これば五十億から百億をこえるような被害が起こるわけですから、事前の万全の措置をとって、少なくとも人命とか、防げるものは万全の措置を講じなければならないものだと思うのですが、そういう重要な問題についての具体策が、はっきり私たちがとれないということが一つと、今、野上君の質問の過程で明確になったことは、二十九年当時の調査では、だめだという趣旨の結論のようですね、実験の結果は。ところが、今大臣の答弁では、日進月歩、機械も進んだでありましょう、だから間違いはないんだと言うけれども、実際に実験をした三十九年当時と同じような型式で実験をして、確信を持ったということが、今電波監理局長の答弁の中から出てこないわけですね。非常にあいまいです。ですから、これは重要ですから、取り扱いについて、理事会でどうするか相談してもらいたいと思うのです。そうでないと、こういう不明確のままで進めていると、野上君も審議に応じられないと言うし、郵政当局も、それでは困るでしょうし、何かひとつ御相談をいただいて、理事会でかくかくの方向でいくんだと、それはどうなるか知りませんけれども、そういう取り扱いについて、ひとつ御相談をしていただきたいと思うのです。議事進行の提案をいたします。

久保等日本社会党

○久保等君 僕も、今の永岡提案には賛成ですが、けさほど船員局長の説明を聞いても、最終的には運輸省でもって責任を持ってやるんだから大丈夫夫だという文書回答を 昨年の年末かいつごろか知りませんが、したような説明があったのですが、私は当初郵政当局が、非常に事の重要性にかんがみて慎重に実施調査等もやられた結果、賛成しがたいという態度であったのが、今回、この法案が出されるに及んで、はたしてどの程度確信を持ったか知りませんが、とにかく一応賛成という態度に出ておられるのですが、どうもその経過を考えてみますると納得いかない。  したがって、私は郵政当局と運輸当局との間でやりとりされた往復文書、これをひとつ資料で出していただきたいと思うのです。で、郵政当局が自信を持つに至ったのは一体どういう事実の変化に基づいて賛成をするに至ったのか、そういう経過については、文書等のやりとりもあったようですから、その文書あるいはその他資料等があれば、お出しを願いたい。そうしないと、単に郵政大臣の言われるように、技術の進歩、技術の進歩と言われるけれども、やはり私は納得させるためには、少なくとも三十八、九年ごろやられた実地調査、そういったものが技術の発展に伴って数年後の今日再調査をやり、その結果、とにかく大丈夫という結論を得て法案を国会に出されるというのが、これ当然の手順だろうと思う。そういうことをやられないで、単に、その後いろいろとにかく技術的な進歩があったからという程度の説明では、これはとうてい納得できないです。  したがって、そういう経過をある程度伝えると思われる文書のやりとりについて、私は資料でお出しを願いたいし、それからまた、そういったことを考えて、少なくともやはり永岡委員の言ったような、理事会等で、この法案の扱い方について、私はとくと御相談を願いたい。われわれ、ただ頭から何でもかんでも反対するという意味ではなくて、特に私は、問題をもう一点郵政当局に言いたいのは、やはり気象観測の問題だと思う。この問題は非常に私は重大な問題だと思う。  けさほども運輸当局のほうで、船員局長が出て、船員局長が定員法という立場から、いろいろ説明せられるのですが、気象観測の問題ですね、提案趣旨の説明を見ても、どうもその点については、一言半句も触れておらない。しかし根本的立場から考えて、一番問題になるのはその問題だと思う。  したがいまして、その点に対する対策というものが、具体的になされないでおいて、今後とにかく、何か特定の船を指定してやらせるのだとか、あるいはまた、請負的な意味で特定船舶との間で契約して行なうのだというようなことは、まことに私は無責任きわまると思う。これは郵政当局自体の直接の問題ではないかもしれませんけれども、しかしこれは何といっても、船舶無線の果たす重要な役割りが私は今日あると思う。だからそういう問題に対する対策等も、十分に立てられた形で法案が提案されてくれば、これも私は、ある程度検討に価すると思いますが、そういう根本的対策を抜きにして、何かしら不明朗な政治的な取引があったかないかは別として、とにかく何か政治的な背景のもとに、この法案が出されてきたということを強く私も感ぜざるを得ないのです。  したがいまして、そういう立場から資料等も、お出しを願える資料については、十分お出しを願う。また、そういったことを十分にひとつ、特に理事会等で御検討願って、この法案の扱い方を御相談願いたい。私は審議に入る以前の問題として、そのことをやはり永岡委員と同じ立場から、賛成の意味で申し上げておきます。

新谷寅三郎自由民主党

○新谷寅三郎君 永岡委員の言われたように、その間に、私は内容的にはそういうふうに思っていませんけれども、しかしいろいろまだ考え方に行き違いがあると、この法律案の取り扱いについても、お互いに基本線が食い違っていては困るから、理事会等で、そういう点を話し合っていただくのはけっこうだと思うのですがね。その点では、永岡君の言われたようにしていただきたいと思う。  ただ、ちょっと委員長、野上委員の質問に関連して、一つだけ質問をさしていただきたいと思いますが、いいですか、関連してですね、郵政省にちょっと聞きたいことができたのですがね。ことに局長にお伺いしたいと思うのですが、先ほど来、野上委員の質疑しておられることは、実は私も、その当時郵政省に強く言ったのです。実は私は前に申し上げたかもしれませんが、昭和八年に、船舶安全法を私が主任で作った。そして海上人命安全条約の批准も、私が実際は批准の手続をしたんです。それから、その当時も問題であったんですが、その後国会に入って、昭和二十七、八年ごろでしたか、やはり電波法や船舶職員法の問題が出たときに、これを読み返してみると、まだその当時の状態で、ほとんどオート・アラームの問題については措置をされていなかった。それで、私は、一体試験をしたのか。試験をしないでいい悪いということを——悪いと思いますとか、いいと思いますとか言うんじゃ困るじゃないかということで、郵政当局が実地試験に踏み切られたのは、それからだと思うんです。それで、非常に空中電力の状態の最も悪いところを試験しようということだったと思うんですが、その報告は、この委員会にも提出されているはずです。その当時の資料を見れば——この委員会の委員であった人は、みな持っていると思いますが、その要約したものが、私が要求した資料として、資料5に書いてあるのです。  それで、私が今お尋ねしたいという点は、監理局長の——あなたは行政官であると同時に技術者なんだな、だから、技術的な問題については、これはいろいろな、いわゆる特別の配慮を加えなくても、技術的にはこうですということは、はっきりと言えるはずなんですね。私のここの、もう何回かの質疑なり、あるいは調査したものを報告を受けて読んでみましたところによると、オート・アラームというものは、これはその空中電力の状態で、作動したり、しなかったり、誤動したりする場合があり得るので、それ以外は、保守さえよければ、きわめて簡単にこれは作動すべきものなんでしょうね。今日宇宙衛星まで飛ばして、それと通信でもしようというところまで電子工学のほうは発達しているんですから、五百キロサイクルの電波を受けて作動しないというふうな……。そういう単純な機器が、日本にできないということはあり得ないです、と私は常識で思っている。あなた方も、そういう点で、おそらく非常にむずかしい機械じゃないものだから、常時毎年のように試験をするということをしておられないと思うんだけれども、しかし昭和二十七、八年ごろに試験をされ、その後もメーカーからの申請があれば型式承認をしておられるでしょう。型式承認をするときには、当然それは実地試験をしておられるはずですよ。ただ格好だけ見てよいというんじゃないでしょう。内容はこうで、こういうふうな電波がいけば、こういうふうに作動するという、それは当然実地に試験をしておられるはずだと思います。その点をあなたがまた、質問によると、ここに私に提出して下すったこの報告書と違ったといいますかね、これをよく理解しないような答弁をされるものだから、問題がしげくなる。私はこのとおりだと思うんです。これにはあなた、もっとはっきり答弁してもらいたいです。国際的な基準があるでしょう。国際規則にちゃんとあります。オート・アラームはこれだけの性能を備えなきゃならぬということを書いてあります。それに書いてあれば、世界各国ともその基準に従って、それは承認しているわけです。  そこらの技術的な問題を、もっとわかるように説明をされ、必要があれば資料を出されたらどうですか。私はきわめて簡単な問題だと思う。

西崎太郎郵政省電波監理局長

○政府委員(西崎太郎君) いろいろ説明の言葉が足りなくて、あるいは誤解を起こしている点があるとすれば、申しわけないと思いますが、今、新谷先生からお話がありましたように、先般提出しました資料で、二十八年、二十九年にわたって三回の実地試験の結論的なものが出ておるわけでありますが、結局このいわゆるAGCの問題と申しますか——自動利得調整、これは非常に専門的でわかりにくいと思いますが、その問題を除いては、国際的な基準に沿っておるのだ、こういう結論を出しておるわけでありまして、まあその後におきまして、空電の場合のいろいろな障害の問題につきましては、メーカー等におきましても、非常に研究が進みまして、現在では国際的な水準から見て見劣りしない、性能的に見劣りしない、こういうふうにわれわれは判断しておるわけでありまして、実は、先ほど申し上げましたように、型式検定というものを役所ではやっておるわけでありますが、この場合には、いろいろ費用その他の関係で、南方の空電地帯とか、そういうところへその機種を積んでいって、実地に試験をするということはやっておりませんけれども、研究所の中で、いろいろと機械的の試験であるとか、電気的な性能であるとか、そういうものをチェックしまして、相当の期間をかけまして、もしその基準に合致しておる場合に、これに型式検定というものを承認をいたしておるわけでありまして、まあそういう意味で、われわれのほうとしましては、少なくとも郵政省が型式検定を下したオート・アラームは、国際的な水準の線までいっておるのだ、また国際的な基準を充足しているのだ、こういうふうに断定いたしておるわけでございます。

野上元日本社会党

○野上元君 これ以上私も質問しようとは思いませんが、質問はまた、話し合いがついて後にしたいと思ますがね。あなたの言っておられるのを何べん聞いても、私には承認できないのですよ。  というのは、あなたのほうは権威がないのです、あなたの話には。とにかく第一回は、あなたは国会の要請を受けて調査をされたのだからね、現実に。そしてだめだという結論が出たから、今日までほうっておかれたのですよ。それでなければ、もっと早く解決しておるはずなんだ、この問題は。ところが、いざこれを実際にですよ、あなたは政府の提案として出そうというときに、なぜそういう権威のある資料がないのかというのだ。それはあまりにも私は大きな手続がこれは抜けているのじゃないか。だから、あなた方がどんなに説明されても、それじゃあなた、実験されておるかと、こう聞いたら、あなたのほうは実験していないのだから——私のほうは現実に、船に乗っている通信士の人たちから、どういう状態か、AGCの状態も聞いてきました。そして、ここに書いてある、「AGCによる調整が不可能の場合のみ」と書いてあるけれども、常時不可能なんです、使ってみたら。それじゃ、まるで人間がA・Aをワッチしておるようなものなんだ。これが現実の姿というわけだ。これは言い過ぎがあるかもしれません。誇張があるかもしれない。しかし、それをくつがえすことができないじゃないですか、あなたのほうでは。そういう状態じゃ、私この問題を質疑できないです。やったって無意味なんです。権威のある答弁ができないのだから、だから私は、この問題については、まあ永岡さんの意見も私はなまぬるいと思っておりますがね、この限り、もう私ははっきりこういうものは出直すべきだ、こういう決意を郵政省は固められるべきだと思うのです。これは国会、通そうというのは無理です。

安部清美自由民主党

○委員長(安部清美君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

安部清美自由民主党

○委員長(安部清美君) 速記起こして。

迫水久常自由民主党郵政大臣

○国務大臣(迫水久常君) 私のほうは、いずれこれは参考資料として提出をしてもらうつもりでおりますけれども、運輸省との間に文書の交換をいたしまして、私のほうからは気象通報の問題にもふれて、今回の改正はいいのかと、そういうことでいいのかということについての質問をしたのに対して、向こうからは、気象通報等については十分、そういうようなことをカバーする処置をとるから、ぜひこの問題は解決してほしいという書類がきております。  したがいまして、気象通報の問題は、運輸省のほうで処置すべきことで、運輸省のほうでおそらく問題はない、こういうことで、私はそれを受けてきましたという立場であります。  それから技術の問題につきましては、なるほど二十八年に検査をしたお話でございますが、二十八年の検査が、野上さんのおっしゃるように全くだめであるという結果ではなかったのです。AGCとかいうことについての配慮が必要なんだということ、そこでその後の技術の進歩等もありますし、それから郵政省では、責任を持って型式検定をいたしているのでありまして、郵政省が型式検定をしたということについの責任は、当然これは郵政省が負わなければならぬ立場である。国際水準、国際的にオート・アラームとして承認せらるべき程度のものは、わが国においてできる、そういう郵政省の型式検定をしたものは、国際水準に合致するものであるという検定をした以上は、これは郵政省の責任であって、その国際水準に合致したものを世界ではみんな使っているのだと、そのオート・アラームでやっている。  しかも、再三申し上げることですけれども、日本製の船には日本製のオート・アラームをつけて、そうして現在までコンブレーンのない、これは今、野上さんは、AGCというものは、調整は不可能であるということを言っておるといいますけれども、もし調整が不可能だったら、世界のどこかの国から何か言ってくるわけだと思うのですけれども、それが言ってきていない。それを百三十隻に上る日本船に日本製のオート・アラームがついて、そうして世界にコンプレーンがないということは、まさにこれは、私は科学者でありませんけれども、少なくとも一般の良識に従えば、実験の結果というものは良好に出ておる。こういう判断をせざるを得ない。  したがって、オート・アラームというものは、性能につきましては、現時点においては——将来さらに発達することでありましょうけれども、現時点においても、これを使用して一向差しつかえない状態にあるのだ、そういう確信を持って、この法律案を出したのでありまして、決して、その政治的政治的と、さっきからいやな言葉がたくさん出てくるけれども、決して、政治的圧力に屈してやったんではないということを、私の立場から一言弁明いたしておきます。

安部清美自由民主党

○委員長(安部清美君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

安部清美自由民主党

○委員長(安部清美君) 速記を始めて。  それでは、先ほど永岡委員からの御要求どおり理事会を開いて、本案の取り扱い等につき協議することにいたします。  他に御発言もなければ、本日のところ、本案に対する質疑はこの程度にとどめておきます。  これにて散会いたします。    午後二時三十六分散会    ————・————

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