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40回国会参議院1962/05/04

大蔵委員会 第31号

発言数
89
登壇者
7
会派数
4
開催日
1962/05/04

会議録

棚橋小虎民主社会党

○委員長(棚橋小虎君) ただいまから委員会を開きます。  産業投資特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行なうことといたします。  なお、池田内閣総理大臣は一時間出席の予定でありますので、その点お含みの上御質疑を願います。質疑のある方は御発言願います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 ガリオア、エロアの返済問題については、すでに衆議院、参議院等においてかなり長い間論議を重ねられてきておりますから、私は重複を避けまして、特に総理の出席の時間も短いわけですから、これまであまり問題にならなかった、しかも重要な点に焦点をしぼって質問したいと思うのです。  まず、端的に総理に伺いたいわけですが、これは債務と確認して返済することについてわれわれ反対でありますが、一応債務として返済するにあたりましても、なぜこれを全部円払いとしなかったか、その点についてまず伺いたいと思うのです。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) これは相手があることでございまして、そうして向こうからこれだけあれした、これだけにやらすというときに、円払いにしたほうがこちらが都合がいいから円払いにしてくれといっても、そうはなかなかいきません。私は、円払いということよりも、金額を減らすことに力を入れたわけです。もちろん、円払いということも考えたことはございますが、二千五百万ドルでしたか、こういう国内で使い得るものにつきましては、円払いというその考えを持たぬことはないのですが、これはなかなかむずかしい。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 しかし、日本の今の外貨準備は危機状態にあるわけです。また、国際収支につきましても、三十七年度については、当初の見通しと違いまして、今のままではとうてい私は、池田総理がしばしば言われましたように、本年秋に国際収支の均衡をはかる、年間を通じて一億ドル程度の総合において赤字にとどめるということは、私は実際問題として困難じゃないかと思う。ですから、国際収支あるいは日本の外貨準備というものを考えながらこの返済問題を交渉するのがやはり当然ではなかったかと思うのです。これは大部分がドル払いでございましょう。その点について、国際収支の見通しとか、外貨準備というものと関連しながら、なぜ交渉をしなかったか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) そういうことを関連しながら交渉して、円払いを望むことはだれでもでございますが、相手は円払いを望まない、そういうことで、円払いということで通そうとするより、金額は少なくしてしかも年限は長くしよう、こういうことでいきたい。これも国際収支の問題であります。そうして円払いでない場合において、長くすることと金額を少なくすること。長くすること、支払い期間を。そしてその部分を東アジアのほうに使ってもらうということになれば、やはり日本からの調達の機会もあり得るわけです。そういうところで妥協するのが一番いい方法で、それよりほかにないと考えたわけです。こっちが金を払うのに、こっちの分で払わしてくれということはだれでも考えることですが、そこがあなたのおっしゃるようにいくわけではない。だから、私は今の三つの方針でいったわけです。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そこが問題ですね。アメリカからこのガリオア、エロアの援助を受けましたときに、その援助の受け方は、総理御承知のように、日本は今度返済するようなドルで援助を受けているのじゃないのですよ。アメリカの余剰物資を、つまり特定の使用価値を持った物という形において援助を受けている。しかも、それが数量においても、価格においても、その処理の仕方においても、占領下でございましたから、全部アメリカの決定によってなされておったのであります。ですから、これを返済するにあたりましても、日本の国際収支の問題を考えれば、今の対米貿易の片貿易を是正するような形においてこの返済の問題を考えるのが私は至当ではなかったかと思うのです。  そこで、総理にここで伺いたいのですが、それでは日本の国際収支は心配ないのでありますか。今後の見通しについて、この前本会議で伺いましたが、まだ私は納得いかないのですが、今のままで参りますれば、最初総理が国会でしばしばわれわれに答弁されたように、ことしの秋に私は国際収支の均衡はとれないと思うのです。その点、今後の国際収支の見通し、それから外貨準備の問題、これどういうふうにお考えになっておるのですか。私は、もしこの秋までに国際収支の均衡をどうしてもとろうとすれば、これは藤山氏も言われておるように、ここでかなりきびしいデフレ政策をとらなければ、私は均衡はとれないと思うのです、そこで、総理に端的に伺いたいのは、総理はきびしいデフレ政策をとって、どうしても本年度内に、本年の秋に国際収支の均衡をとろうとしておるのか、あるいはデフレ政策を避けることによって国際収支の均衡の時期を先へずらそうとしておるのか、いずれに今後のいわゆる努力目標を改訂しようとしておられるのか、この点を伺いたいのです。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私はデフレ政策をとらない、こう言っております。とらずに、今までの引き締め政策を堅持して、大体国際収支は予定どおり上期、下期を通じて一億ドルの赤字、そして今の十五億ドル程度分は確保したい、こういう気持でいっております。これで大体確保し得るのじゃないか、こう考えております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 十五億程度確保するといっても、今の十五億程度の中にはアメリカの市中銀行からの借入金三億一千二百万ドルが含まれているわけです。ですから、これを引きますと、十二億ドル程度です。そこで、それではこれもアメリカ市中銀行から借りた分までこの秋には返済しなきゃならぬでしょう。そうするとIMFから借金しなければならないと思うのですが、この点はいかがですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 今、先月末が十五億五千万ドルでございます、四月末まで。あなた今三億二千五百万ドルとおっしゃいましたが、これは一億二千五百万ドル借りる契約で、今借りているのは三千万ドルだけでございます。だから、二億三千万ドル。それから、もう木村さん御存じでしょうが、その間におきまして、ポンド債を四千七百万ドル支払っております。そういういろいろな点を考えまして、そうしてまた、この二億ドルを十一月一ぺんに払うかどうか。私は払いたいと思います。払う場合におきましての分が、大体二億ドル一ぺんに払ったとしても、このままずっといくならば、十三億五千万ドル。十三億五千万ドルで、心配はないと思います。心配はないと思いますが、そこで心配だということになれば、その心配をなくするために、IMFの分は手をつけておりませんから、それに手をつけるか——私は、手をつけなくても、あるいは銀行のほうが、また続けてお使いなさいと言うかもわかりません。しかし、これを全部払っても、国際収支のあれには心配はないとようふうな状態が生み出されると私は思っている。まだ相当時間もありますし、——それから一時、自由円とかユーロ・ダラーがなくなるだろうという心配をする人もありましたけれども、これも、わが国の国際信用というものは決して落ちておりません。それから、アメリカの三銀行にいたしましても、私は三銀行の一つの頭取にも会いましたが、もうお互いに助け合うことですからということを私にも言っております。私は払うつもりですけれども、これは、非常にうちの家計はやりくりむずかしいとか、何とかかんとかいうことを言わずに、もう少し長い日で、それより国際収支が改善されるように努力していくこと。  今、あなたデフレ政策とおっしゃいましたけれども、これは相当今金詰まりで困っている状態なんです。これに追い打ちやるということは、経済の実態を考えたときには、そう机の上の議論のようにはいかぬのじゃないか。私はこのごろ、金解禁当時の高橋是清さんの理論、三土忠造さん、井上さんの理論をときどき思い出したり、文献を出しておりますが、経済の運営というものは経済理論的にばかりはいかないので、実態を見ながら、そうして国際情勢の動向を見ながら、御存じのとおり、開発銀行なんかの社債も、このごろ非常に上がってきております。開発銀行の社債は、電電公社の分は売れるけれども、開発は売れぬ、こういうような話だったのですが、日本の経済に対する信用は、相当あるのです。だから、ここであなたが非常に聡明で、非常に理論的にお考えになるように、世界の日本に対する信用は、そこまで逼迫していないと思うのです。私は、幸いに最近信用状等が非常に黒字になっております。そうして、えてして赤字の原因はウイズアウトLCですから、その分のあれを見ておりますが、その分は、たいがい食糧とかあるいは機械を買っている。輸入の内客を事務当局から聞いて常に検討しておりますが、私は今のわれわれの政策を進めていき、そうしてもっと輸出に力を入れて、そうして片一方では、機械の注文なんかも非常に減ってきておりますから、国内での機械の生産も可能ですから、こういうところを見合いながらいけば、私はあなたが御心配なさるほどのことじゃない。私は、心配しておりますよ。楽観しておりませんけれども、そう日本の経済を軽く見ないようにしてもらいたいと思う。相当の経済ですよ、日本の経済というのは。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それじゃ、要するに、総理は、今までの見通しを変えなくてもよろしいということなんですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 大体今のところですね、まあ実際問題として、今の経済の見通しがどうなるかということは、四月から五月にかけての生産だと思います。これは私は非常に注意して、今後の食糧はあれですけれども、機械の輸入ということが非常に支配しますから、この点を注意して、輸出増進ということが一番力を入れる点じゃないかと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そうすると、この見通しを変えなくてよろしいといいますと、たとえば三十六年度の国民総生産の推定実績が出て参りましたね。当初見通し十六兆七千七百億、ところが、推定実績ですと十七兆四、五百億になりますね。それで、成長率は名目で一四・四%の見通しが大体一六%程度以上になり、あるいは一八%になるという人もある。設備投資については、政府は三兆七千五百億、見通し変えましたが、三兆九千五百億、約四兆億円になる推定見通しです。しかも、鉱工業生産は、何回も言いますように、昨年十一月をピークとして下がるはずだったのが、下がらぬでしょう。私は、本会議ではこういう数字を示しちゃいかぬというので、作ったのですが示さなかったのですが、委員会では差しつかえないというので、ちょっとお示ししますが、鉱工業生産はこうなっているんですよ。政府の見通しは、十一月をピークとしてこう下がって、六月を底にして上がるはずだったのですよ。ところが、十一月にむしろ下がって、十二月はちょっと下がったけれども、一月上がって、一月は三〇八ですよ。そして二月は三〇四でしょう。最初の見通しは一−三月は二七八であった。それがこんなに開いてるわけです。これは総理は四月を見なければならぬと言いますが、今まで大体横ばいですよ。そうすると、藤山さんの見方は、今までの景気の引き締め方がたるんでおる、このままいけば横ばいであまり下がらぬじゃないか、そうすれば将来非常なデフレ政策をとらざるを得なくなるじゃないか、こういうのが藤山さんの見方でしょう。総理は、四月ごろ、もう少し見ればまたこう下がって、それから上がるだろう、こういう考えですよ。かりに、最初政府が見通したように、今後年率九%で下がって、それからまた十、十一月ごろ一二%上がるとしても、もうすでにそこにこれだけの相違が出てきているのですからね。そこで、三十六年度の設備投資も四兆億円近い、それから総生産は十七兆四、五百億だ、成長率は三十六年度一七、八%。そこで、総理は見通しを変えないと言いますけれども、ことしの秋までに国際収支の均衡をはかり、年間一億ドル程度の赤字にとどめようとするならば、いわゆる成長率は二、三%に下げなければ理屈が合わぬわけですよ。にもかかわらず、総理は見通しを変えなくていいんだと言われておるのですが、どうしても私はそこが納得がいかないのです。どうして見通しを変えなくてよろしいのでしょうか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 見通しというものは、そうたびたび変えるものじゃないのです。それは、その見通しが、直接統制をやりまして、政府があらゆる統制をやるるのなば、一応の見通しはつきましょう。しかし、何と申しましても、経済の主体というものは民間でございますから、主体は。そうして政府は一応の見通しは去年の暮れからことしの一月にかけましてつけました。そこで、実態が経済の主体は民間にあるということのときに、二、三カ月後の様子によって、また年度初めに見通しを変えるということよりも、もっと動向を見きわめて、しかもまた一般に四月からは生産が下がるだろうと、こういうようなあれがありますときに、そういう下がるだろうということがいわれておるときに、一−三月の様子によってすぐ見通しをまた変えるということよりも、非常に左右するときが四、五月ごろだということになれば、四、五月ごろを見てやるのが普通ではありますまいか。一−三月の様子がこうなって、去年の暮れにやったときのと違うから、すぐに見通しを変えなさいと、こうおっしゃるけれども、私は少し早過ぎるのじゃないかと思います。  そうしてまた、五、四%ということも一応の見通しなんですわね。そうして下がって、上がるのだということも希望的見通しなんですね、五、四%にするために。そうしてまた、われわれが経済の基本的基調を引き締め政策を出したときのあれからいって、希望的見通しなんですね。で、五、四%、私が言っているように、この成長率にとらわるれということはよしましょう。かえって私のように、今まで九、二%は腹八分目でございます。一一、二%といきそうなんだ、いきそうなんだけれども、腹八分目で九%でいきましょうと言っておるにかかわらず、九%がひどいのだ。しかし、実際は今あなたがおっしゃったように、九%で腹八分目でいこうと、これが一番いい方法だといって私が申しましても、私がおそれた一一、二%をこえて——まだ私のところに報告は来ておりませんが、実質一三、四%、あるいは名目で一七、八%いくかもわからぬ、こういう状態ではございますまいか。  そこで、こういった事例をずっと考えて、三、四年ごろは見通しをつけてどうだこうだと私は言っておりましたが、最近のような情勢で、自由主義経済のもとで、しかも国民が非常な意欲のあるときに、こうせいああせいと言っても、経済の実体が民間にある場合におきましては、かえってそれが逆にいって、あるいは政府の思うとおりにいかなくて、政府の見通しが間違いじゃないかといって、かえって混迷を来たすということは、政治としてとるべきではない。したがって、私は、この動向を見て、警告はしなきゃいけません。こうなるからどうだという警告はしなきゃなりませんが、今の事態にもう一、二カ月見通しを待てぬことはない。だから、私はその点を非常によく考えます。で、今あなた御存じのとおりに、一、二カ月前まではこの調整ではきかぬから追い打ちを打つべしという議論が大多数でしたよ、追い打ちを打つべしと。あなたもそういうふうなお気持で言われたかもわかりません、予算委員会等で。しかし、ここ一、二週間——三、四週間の後におきましては、追い打ちは禁物だ、よほど考えていかなきゃいかぬというのでいっているのが、今の日本の経済に対する専門家の見方になってきておるのではないでしょうか。私は常に、人一倍勉強して、苦労して見ております。したがって、この四月、五月の状況を見まして、これは追い打ちどころかほかの手を打たなければならぬという場合も起こりかねぬというのが、雑誌その他に載っております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 ほかのというのは、どういうのですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 今の状態が、設備投資を押えるということによってその設備投資が押えられずに、金融の円滑をはかるためのいわゆる融資というものがないがしろにせられて、八方ふさがりになっておるということがいわれておるのじゃありますまいか。そこで、押える、押えるといっても、ものには押えるところを押えてゆるめるところをゆるめていくので、全体がよくいく。それを、えてして押えるのだ、押えるのだといって追い打ちをかけてやらなければいかぬというふうな議論が、二、三カ月前——一カ月くらい前まであった。しかし、ようやくこのごろ、私が考えておったように、押えるところは押えなければいかぬけれども、助けるところは助けていかないと、という議論が出てきたということは御承知のとおり。こういうことでございますから、一−三月の様子を見て、政府の見通しと実際がこうなって、こんなに開いておるから、これをどうするのだ、こうするのだ、見通しを変えろというようなことは、机の上の議論ならよろしゅうございますが、経済の実際に当たっておるわれわれとしては、そう理論的にいくものではないということを申し上げて御了承願いたいと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 私は、理論的にばかり言っているわけじゃないのですね。その実際が、総理は九・二%ということが腹八分目で適当であると言ったのに、実際が一七、八%にもなってしまう。今後、まあ四月ごろまで様子を見て調整策を考えると言われますが、しかし、なぜそんなに行き過ぎてしまうのかという根本の原因を突きとめないで、ただ今後四月ごろまで見れば心配ないだろうと言われていますけれども、なぜ行き過ぎてしまうのだろうか、その原因を突きとめなきゃならぬと思う。それから、総理も、もうすでに昨年十一月をピークとして下がる見通しであったのが、実際には下がらないで、差が出てきていることは、お認めと思うのですね。そういうことはもうお認めでしょう。  そういうふうに政府の見通しと実際とが開いてしまった原因はどこにあるか。藤山さんはそこを言っているわけでしょう。その根本の原因に二つあるというのです、藤山さんは。一つは、金融正常化を考えないで低金利政策をとったところにある。これが一つの原因だと言っているのです。行き過ぎちゃった原因だと思うと。もう一つは、これは下村理論に基づくと思われるのですが、いわゆる国内市場優先政策をとって、個人消費をあおってしまった。この二つに原因があるのだということを藤山さんは言われているわけです。特に金利政策について、金融が正常化しないのに低金利政策をとったから、それが設備投資を刺激したということをはっきり言われているのです。ですから、金利政策を景気調整の一つの役割としてこれを活用すべきだというのが、藤山さんの意見であり、特に今公定歩合を云々しない、預金金利は上げるべきだこう言っているわけです。ところが、総理は、前から総理の意見は、金利を多少上げたって、設備をどんどん拡張するときには金利によって調整できないのだと。総理は、量的規制でなければ景気調整として金融政策は役立たぬのだ、こういうふうに総理は前から金利の機能というものを、景気調整の機能というものを非常に軽く見、あるいは否定しているのですよ。ところが、藤山さんは金利政策というものに非常に重点を置いているわけです。金融は正常化していないのに低金利政策をとったから、設備を行き過ぎさしてしまったと。この点において、総理の考えと藤山さんの考えが非常にはっきり対立しているわけです。こういう点についてですね、閣僚懇談会も開かれたのでありますし、二回も開かれました。そしてその閣内の意見の不統一を統一するということを言われたのですが、そういう点についてこれは調整ができたのでありますか。これは非常に重要な点だと思うのです。  そういうふうに閣内で、総理の意見とそれから藤山企画庁長官の意見と、これは違っているということは、ただ閣内の意見の不一致だけではないのです。これは財界なり国民の心理に及ぼす影響は非常に重要だと思うのです。総理はなぜ預金金利の引き上げに反対しているのですか。預金金利を上げると資金が証券のほうに流れていかない。ですから、総理は証券対策を非常に強く考えているのじゃないかということを言う人もあるわけです。で、なぜ預金金利の引き上げに総理は反対するのですか。それから、金利機能というものを景気調整の機能として総理は非常に軽視し、あるいは無視している。この点はいかがなんでしょうか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私は先般の経済閣僚懇談会に出ませんでしたから、あれしませんが、藤山君から、経済政策、金利政策につきましては、私はまだ意見を聞いたことはないのです。一度も聞いたことはありません、個人的にも閣議の席でも。この問題をここで論議するのは、私はまだ早いと思いますが、閣内でいろいろ意見を戦わしまして、いずれ政府がこういう問題につきましては意見を発表いたします。ただ、そういう問題と離れて、日本の今の金利の状況ということについての意見を申します。  御承知のとおり、今の金利はどのくらいになっておるかといったら、たいへんなものなんでございますよ。私は、この前の金利、公定歩合の引き上げのときに、一厘上げ、二厘上げ——二厘上げると同時に、預金準備金というものの率を上げまして、大体七、八百億円だったのが今二千億円ぐらいになっております。金利だけじゃありません、量的規制をやらなければ、日本はだめなんです、そうして高率適用を、私が前に大蔵大臣のときに第二次高率をやめたのを今度は第二次高率をやったということは、公定歩合を二厘上げたよりももっともっときつい上げ方ですよ。よろしゆゅうございますか。なぜ、二厘上げたのに実際に銀行間では三厘も四厘も上げた以上のことになっているか。どうしてかと申しますと、これは銀行の内客になりますから、私はあまり詳しくは申し上げませんが、ほとんど大部分第二次高率にかかっているじゃございませんか。それは御存じでしょう。世間では公定歩合の上げ方が少なかっとかなんとかおっしゃるけれども、私の見るところでは、イギリスが一ぺに二%上げたというのでたいへんなことだとおっしゃるが、昨年の金利の上げ方について、預金準備の率を上げ第二次高率を高い率にしたということは、どのくらいの上げ方とお考えになりますか。たいへんな金利です。しかし、それを飛び越えて、今まあ含み貸しはやめますけれども、相互銀行、信用金庫、あるいは農協、次には地方銀行からどれだけの金利でコールを借りているでしょうか。そこで、公定歩合の問題はこのごろあまり議論しないようになりましたね、わかってきたから。たいへんにわかってきましたね。私は、それが今まで、イギリスは一ぺんに二%上げた、日本は〇・七%ぐらい、これはなまぬるいと言われるけれども、なまぬるいどころか、たいへんな上げ方をしているということが、だんだんおわかりになったから、公定歩合のほうはあまり議論しない。だから、非常に高金利ですよ。なぜこういう高金利になったかということを、これまた考えなければならぬ。  私は、きょうも朝、三月二十五日、六月二十五日、九月二十五日、十二月二十五日の政府の日計表を三十五年からとりました。そうして三月二十五日、年度末の状況を見ますと、国庫余裕金は、ことしの三月二十五日が約六千六百億円です。その内訳は、政府の日銀への当座預金一千五百億円、そうして資金運用部に対して一千七百億円、食管が一千九百四十億円、そうして外為が一千四百七十億円で、約六千六百億円の国庫の余裕金です。それから、昨年の三月二十五日は四千億円、そうして三十五年の三月二十五日は二千億円。これはどういうことを意味するのか。金利高が原因ですね、なぜこんな状況になったかと申しますと、また別の面から申しますと、これはあなたに言ったことがあると思う。昭和三十三年、三十四年、三十五年というときは、輸出超過ですから、政府の散超が外為だけでも二千五、六百億円ありました。それで三十六年は輸入超過になって、散布超過の二千五百億円が二千五百億円の引き揚げ超過になった、こういうことになりまして……。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 せっかく総理の御答弁ですが、時間がないから簡潔に……。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私はこういうことがお好きだと思ったから……。そういう状態で、金利というものは非常に高いのです。これを上げようという議論はもうなくなりましたね。ここ一、二週間。私は今にそういう議論はなくなるだろうと思っていたら、なくなりました。それで、今度はほかの議論へ来ているようでありますが、その分につきましては、私は人の言葉を批判するようになりますから申し上げませんが、とにかくいずれにしても、こういう大事なときでございます。大事なときでございますから、今私としては、これがこうだ、見通しをこうやるんだということは、まだ一、二カ月お待ち願いたい、こう思います。しかし、私は、十、十一月の秋の国際収支について心配することのないよう、あらゆる努力を尽くします。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 その努力が問題なわけなんですね。それで、政府の見通しと実績とは非常に狂ってしまったから、総理がたびたび言われるように、秋までに国際収支の均衡をとるためには手を打たなきゃならぬ。で、その手の一つとして、今金利の問題があるわけですが、じゃ、端的に伺いますが、総理は、預金金利については引き上げを考える必要がない、あるいはまたもう一つ、景気調整の機能として日本では金利政策というものは最的規制ほど重要ではないと、こういうお考えでございますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 今までのずっと金利政策で、戦前とは違って、戦後におきまして、金利政策が非常な効果が、徹底的な効果があった場合がございますか。これはイギリスとは違いまして、とにかく会社の資産構成が非常に変わってきております、戦前とは違って。で、銀行の資産内客も変わってきております。そうして、銀行と中央銀行の関係がああいうふうになっている。しかも、公債、社債というものが少なく、多くなってもほとんどくぎづけされる、金利によって動かない、こういう場合におきましては、日本では金利政策よりもより強いのは量的規制。その量的規制は、日銀の窓口と一番関係のある輸出入で起こることですから、輸入担保率の問題が一番きき目がございます。これはよその国とは違うことなんです。日本の戦後の特異な金融状況であるのであります。イギリスとかアメリカのようなところは、金利が非常に強うございます。日本は金融制度が正常化されていないんですから、正常化されていないときにオーソドックス的の金融金利政策ではいかぬということは、遺憾ながらやむを得ぬ。それで量的規制と。そして好景気、不景気をもならす原因になる輸出入の担保率規制、これも量的規制ですわね。そして、輸出入の金利の調整を佐藤君がこしらえました。私の経験からいいますと、そこなんです。そういうところでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それでは、政府の低金利政策が設備投資を刺激して行き過ぎさしたとは、総理はお考えになっていない……。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) これは私は全部責任を負いますから、申し上げますが、日本の設備投資というものは、御承知のとおり、三割、四割、前年に比べて上がるわけです。私が総理になる前から、もう上がっておりましょう。これは低金利とかなんとかいうんじゃないんです。私が総理になる前に、設備投資の上昇率というものは世界にその例を見ない。一番多いドイツの倍ぐらいです。イギリスの四倍いっております。しかし、そういうことだから、私がもっと押えなきゃならぬはずなんです、知っているんですから。で、押えようといたしまして、腹八分目とやったわけですけれども、きかない。しかし、きかないからといったって、私は責任を負います。そこで、どうやったらいいかというので、あの手この手で、通産大臣は、直接統制的に聞こえるような——そういう気持じゃありませんよ。聞こえるような、誤解を受けるような、強い設備投資の規制をしようとしております、自主調整によって。だから、あらゆる努力は払っておりますが、この努力は効を結ばずに、あれだけやっても、三兆七千五百億でとめようというのが、やっぱり三兆九千億とか、お話によると。まだ私は正確な数字は見ておりませんが、なりそうです。  これはどこにあるかというと、シェアーの問題。国内のシェアーの問題。そして、そのシェアーの問題を助けるいわゆる銀行の系列融資の問題。シェアーの問題つたって、系列融資がなけりゃできない。その問題と、片一方では大きい貿易自由化の問題が来ておるわけです。そこで、何ぼ押えようとしてもきかぬから、量的視制でいこう。こういうものは、シェアーとかなんとかいう問題が多いときに金利ではなかなかいくものじゃないということは、私は日本の、まことに遺憾なところですが、実情なんですよ。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 その場合、私も前から疑問を持っていたのですがね。この行き過ぎる場合、日本銀行が量的規制をすれば行き過ぎないはずなわけですね。みな他人資本でやっているわけですからね、外国と違って日本の場合は。ですから、日銀で量的規制はできるはずなんですね、やろうと思えば。そうなんでございましょう。が、実際問題として、私は、やろうと思っても、たとえば適格担保を持ってくれば貸さざるを得ない、そういうことなんでしょうか。あるいは日銀において量的規制はできるものなんでしょうか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) できるものなんです。できるものなんですが、さあどうでしょう。含み貸し出しという三千億円何々ということは、量的規制でできない場面が出てきたわけです。それは銀行の歩積みとか、両建とか、いろいろな問題も。これは私は日本だけだと思ったら、世界中にあります、多いか少ないかで。よくないことです。しかし、今度はその歩積みとかなんとかをこえまして、あの大銀行が含み貸し——この名も、これは私は今まで長いこと大蔵省におりましたが、聞いたこともないようなものまで出てきたわけなんですね。この状態です。これは私の責任でしょう。私の責任でしょけれども、しかし、予想外のことが出てくるのですね。そこで、オーソドックス的の考え方を私は捨てるわけじゃございませんけれども、なかなかそのとおりにいかぬのが実情なんです。そのことをどうしようかというので、私は苦慮している。もちろん、金利問題は私は考えぬことはございませんけれども、含み貸し出し三千億というときに、これはどういうようにしたらいいかということが問題だ。しかし、それは今言ったように、結局日本の経済が非常に大きくなったのと、それから一時的の、そういう輸出超過が輸入超過に変わったときのもの、そして社債の発行によって、その社債の流通市場をこしらえるべき筋合いのものを、私はあれをやるときには社債市場をこしらえろということをはっきり言っていても、それができない。いろいろなものがこんがらかってきた。そこは私は、もうこのままじゃいかないというので、もうずっと大蔵大臣にいろいろなことを言っておりますが、なかなか動かぬようでございますが、しかし、私はもうこういう場合におきましては、やはりオーソドックスの頭を持ちながら、実態に沿った施策をとらなきゃいかぬ。それが一つの、昨年の暮れの輸入担保率のあの急激な引き上げ、そして金融——公定歩合だけじゃいかぬ、預金準備率をやれ、そして第二次高率を、自分がやめたものを四年たって復活して、二千——もっと三千近くやった。それが非常な何千億といとものが引っかかってくるわけです。だから、私は自分として、自分の、足らぬけれども、全知全能をしぼってずっとやってきているわけなんです。まあもう少し見ておって下さい。

棚橋小虎民主社会党

○委員長(棚橋小虎君) お気の毒ですが、割当の時間がだいぶ過ぎました。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 ええ、ちょっと、簡単にやります。もう一つ。金利の問題については、あるいは金融政策については、非常によくわかりました。総理と藤山氏との見解の相違が、非常にはっきりわかったわけですね。  それから、もう一つ、藤山氏は、設備投資あるいはその行き過ぎ、景気を過熱させた原因として、国内市場優先政策を所得倍増政策でとってきている、その点にやはり行き過ぎをもたらした原因があるということを藤山氏は主張しているわけです。この点は、下村氏も、国際収支の赤字を調整する場合に、個人消費を押えて国際収支の赤字を直すということは、これは間違いだということを言っている。下村氏は言っていますね。ということは、設備がどんどん拡大されていくので、やはり個人消費もふやして国内市場を拡大しなければ過剰生産になる、こういうことを下村氏も言っているわけですね。これに対して、おそらく藤山氏は、その個人消費をあまり刺激さしたということが景気を過熱さした原因だと考えているのではないかと思うのです。この点はどうなんですか、首相。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私は、藤山君と私の違いがよくわかりましたとおっしゃるが、私は藤山君から金利政策その他のことを聞いておりませんから、その点は私は留保しておきます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 しかし、閣僚懇談会で……。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 聞いておりません。この前も出ませんし、その前はそういう金利問題とかあれは出ておりません。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 その事情を伺っていないんですか。報告受けていないんですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) この金利政策についてどうこうという正確なあれは、聞いておりません。この前も出なかったから……。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それはいいです。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) だから、私は藤山君の批評でなしに、私の考えだけ申し上げておきます。  それから、国内消費をどうこうという、これはいろいろな議論があるでしょう。それは国内消費が行き過ぎたとかなんとかいう議論も私は聞いております。しかし、申し上げておりますごとく、私は自分の説は変えていない。一国の繁栄ということは、一国の繁栄の目的というものは、やはり国民生活水準の上昇なんです。で、国民消費というものが全体の生産に対してどのくらいの割合になっているかということは、各国をあなたは御存じでございましょう。各国を御存じでしょう。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 六割以上ですね。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 全体の生産に対して輸出がどのくらいの割合になっておるかということは、御存じでしょう。イギリス、ドイツは一割五、六分と言っております。一割四分くらい。日本は一割一分くらいです。今度の輸出四十七億ドルということも、大体一割程度だから、私はイギリス、ドイツほど努力すればできるんじゃないか。フランス、イタリーというものは総生産の一割しかいっておりません。だから、私は一割、努力して一割一分くらいまでいける。それから、あとの九割近くというものが国内消費というのが世界の趨勢なんです。しこうして、日本は輸出は一割程度、生産が伸びたから一割まで去年はいきませんでした。おととしもちょっと一割をこえておりません。今年は一割いこうとしている。九割というものの消費はだれがどういうふうに消費するかというと、一番多いのが国民消費なんです。国民消費が日本は五〇、今度それだけの生産になってきますと、三十六年度は五〇%を割るかもわかりません。しかし、イギリスやフランス、アメリカは六五%いっております。ドイツが六〇%からちょっと切れている。日本は五二%、国民消費が非常に多いとはいえない。しかも、片一方では輸出は一割くらい伸びる、片一方何に使っているかといったら、設備投資、将来の生産のもとをなす設備投資が三割いっているわけです。三割近く。国民の貯蓄性向は非常にいいわけなんです。  このときに国民消費が行き過ぎたからといって押えることは、国民消費自体が行き過ぎだということは、私は政治にならぬと思う。そこで、そんなら行き過ぎかどうかということは、一にこれは国際収支が赤字になるかならぬかということが第一の目標であり、しかも赤字を押えるときに、われわれの政治の根本としている国民消費を押えるのがいいか、設備投資を押えるのがいいかといったら、これは結論はわかっているでしょう。だから、私は、国際収支はぜひ黒字にしなければならぬ、そのために国民が消費し過ぎるということは考えなくてはなりません、収支の関係で、まず、それよりも、国民を押えるという二宮尊徳論よりも、やはり行き過ぎた設備投資をまず押えるのが主じゃないか。そうして国民に対して健全な消費にして下さい、健全な消費で貯蓄もしてもらう、健全な消費。私の見るところでは、社用消費が非常に多過ぎて、設備投資に次いで社用消費。こういうことは考えてもらわなければならぬということを言っておるのでございます。私は、国民の消費水準が、生活が上がるということを念願している以上は、国際収支が赤字にならざる限りにおいては、大いに消費してもらいたい、これが私の考え方でございます。

棚橋小虎民主社会党

○委員長(棚橋小虎君) 木村君、時間が切れましたから。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 国際収支が非常に困難なときに……。

棚橋小虎民主社会党

○委員長(棚橋小虎君) 木村君、ほかに質疑者がおりますので、時間が来ましたから。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 時間がなくなったようですから、私はこれで質問を留保いたします。  質問を留保するということを言うのに、何が悪いのですか。

棚橋小虎民主社会党

○委員長(棚橋小虎君) もう時間が過ぎたのです。須藤君。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 永末君があとにすると言っておりますから、私は先に少し質問さしていただきます。質問はたくさん産投会計につきまして準備してきたのですが、総理はもう時間がわずかしかいらっしゃれないというお話なんで、一点だけ総理に御質問しておきたいと思います。  今回の産投会計改正は、ガリオア、エロア返済協定に基づくものだと考えます。したがいまして、この問題を明らかにする必要があると考えるのです。ここで、この返済協定に基づく金の使途について、私は若干御質問申し上げたいと思うのです。  一点は、支払金の使途に関する交換公文第一項では、アメリカ政府は低開発国に対して使用すると書いてありますが、このことと日本との関係はどうなのかという点です。第二項に、「両政府は……随時密接な協議を行なう」と書いてありますが、密接な協議は第一項にもかかるのか、かからないのか、その点明らかにしていただきたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 東アジアの低開発国の開発に充てるということは、両方とも合意いたしました。それをいかに具体的にするかということは、協議することにいたしております。  条文の説明につきましては、法制局長官から……。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) ただいまの御質問でございますが、いわゆる「密接な協議を行なうものとする。」という文言でございますが、これはいわゆる第二項中でございます。直接にはその第二項、「この目的に従い引き続き随時相互に密接な協議を行なう」、そういうことでございまして、文章的には二項の中に入っておりますから、二項の前を受けているということになるわけでございます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 この「密接な協議」というやつは、第一項にもかかっているのかどうか。第二項だけの問題か、第一項にもこの「密接な協議」という字句がかかっているのかどうかという、こういう質問なんです。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) これは文言からいって、一項は合衆国政府の使用する意図を言っておりますので、意図を協議するということはちょっとおかしいのじゃないかと思います。二項で「両政府は、東アジアの諸国の経済のすみやかなかつ均衡のとれた発展が」云々ということをお互に関心を持って、したがって、その関心を持つことについては協議しよう、こういうことでございます。一項にもかかるというのはちょっとおかしいのじゃないか。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 私の言う意味は、アメリカ政府は低開発国に対して使用する、こういう字句が一項に入っているわけですね。その使用することが密接な協議の上でそれをやるのかどうかという、こういう質問なんです。それで関係があるのかという質問をしているわけです。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) まあこれはこの条文の文言からいえば、この二項で、東アジアのいわゆる低開発国と申しますか、そういう地域について両国政府が関心を持っておるということがうたわれておりまして、これについてお互いに協議しようということでございますから、一項のそういう意味は当然二項にも含まれておると思います。文言的には一項と二項は別だ、かように考えております。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 そうすると、密接に協議するということについては、一項の内容についても関係があるのだというふうに理解していいわけですね。全然関係がないというわけではないというふうに理解していいですね。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) この二項の初めの文言に書いてあることに含まれておる範囲においては、もちろんあるわけであります。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 そうすると、これはアメリカの政策のみに従うものだと、こういうふうに考えられるのです。アメリカの対外援助計画に従ってすべてのことがなされる。  そこで、お聞きしたいのですが、これは韓国に対する米国の経済援助にも使用されるのですか、どうですか。これは総理から伺っておきたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) これはアメリカに払って、アメリカが自分でこうやろうというときに日本に相談にくるので、やはり主体はアメリカでございます。日本が相談に応ずる。意が整わないときには、アメリカがこれをやるのでございます。しかし、われわれはアメリカが日本の意見を十分聞いてくれることを期待いたしております。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 そうすると、アメリカがやるものだが、とにかくアメリカがやろうと思えばやる、韓国に対しても援助するということには理解できるわけですが、そういうふうに理解していいのですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) これはもう決定権はアメリカにある。そこで、われわれとしてはわれわれの意思を十分に申し出るわけです。協議するわけです。しかし、そこで両国の関係からいって、私は日本の意見を十分聞いてくれると期待いたしております。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 そうならば、日韓会談がまだ妥結するかしないかもわからぬ前に、ガリオア、エロア支払金によって日韓関係はアメリカの政策のもとで進展し、深まっていくということにはならぬでしょうか、どうでしょうか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) これはアメリカの対外援助法で五年間に七十五億だったですか、計画しております。それで、初年度十三億五千万ドル——ちょっと数字が違うかもしれませんが、十数億ドル、そのうちで初年度はこっちで二千五百万ドル取りますから、平年度にしましても、三千万ドル余りです。で、五年間でやると、一億六、七千万ドル、七十五億のうちそれが入るわけです。よろしゅうございますか。そうして、それが朝鮮へ使われるというふうにお考えになるということは、どうも実際に合わぬのじゃございますまいか、考え方が。私は東アジア——東アジアということは、パキスタン、インドにはもう世界銀行その他のあれで共同融資の格好をとっております。パキスタン、インドを除く意味におきまして、ビルマから東ということにしております。これを朝鮮にどうこうということを主体にして議論することは、アメリカの対外援助法の改正等から申しまして、五年間でその何ぼといいますか、五%……。七十五億のところで一億五、六千万ドルですから、何ぼになりますか、非常に少ないという金額です。しかも、われわれとしてはビルマから東をずっと使おうということですから、これを朝鮮問題を中心にしてお考えになるということは、これはちょっとわれわれの考えとは違うと思います。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 総理、金の金高のいかんじゃないのですね。性格の問題だと思うのですよ。だから、ガリオア、エロアの返済資金が朝鮮に使われるとなれば、韓国に使われるとなれば、これは私は大きな問題だと思う。そういうふうに思うので、質問をしたわけなんです。  それで、私の残された時間があと二分だというので、私はまだ質問をたくさん持っておるのですが、質問が中途半端になるといけませんから、意味がないですから、私は委員長の意思を尊重して、中途半端ですから、ここで質問を保留しておきまして、また他の機会にいたしたいと思います。

棚橋小虎民主社会党

○委員長(棚橋小虎君) 時間が来ましたら……。総理の時間がありますから。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 それじゃ、委員長がまだ時間があるということですから、次の質問をいたしたいと思います。  次に、文化・教育交流に使われる二千五百万ドルについてお伺いいたします。まず、文化・教育交流計画にアメリカによって使われる、これは一体いかなる機関でやるのかという点、その点を。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 文化・教育の問題につきまして両方で使おうというので、これから具体的のものは、外務省を中心とし、そうして双方の文化・教育関係の人が相談を始めるようでございます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 この二千五百万ドルは、どういうふうにお使いになるのですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) そのことは、先ほど申し上げましたように、両国並びに文化関係者の人が今後使い方をきめることになると思います。

棚橋小虎民主社会党

○委員長(棚橋小虎君) 須藤君、あなたの時間はもう経過しました。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 こういうことになるから、僕は質問をやめておきましょうと言ったのですよ。

永末英一民主社会党

○永末英一君 私は、二つの点を御質問したいと思います。  第一の点は、返済額の決定に関する問題。政府は今までこの返済額は非常に安かったということをいろいろの観点から説明をいたしておりますが、その中で西ドイツに対する返済率が計算のある過程で適用になっておるということを引用するのでありますけれども、西ドイツがアメリカに対してガリオア、エロアに関する返済額を決定する場合に適用した返済率は実は、西ドイツがアメリカに対する債務というものが確定をし、さらにまた戦前債務まで含まれるという事の性質を考えますと、わが国の場合とはいささか返済率を適用するもとの部分について性格が変わっていたのじゃないかと思います。ところで、政府がその返済率をそのまま適用しておるということについて、非常にそれが効果があったというような説明をしておりますが、元来西ドイツがアメリカに対して背負っておった債務とわれわれが今この国会が確定した債務というものとの間には、政治的な違いがあるとわれわれは見ておりますが、総理はこの点どのようにお考えですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私はガリオア、エロアに関係いたしましては、ドイツが大体三十三億ドル前後と聞いておる。で、約十億ドル払った。日本の分につきましては、向こうは十九億なんぼという、何千万ドルと言っております。こちらのほうは十七億九千五百万ドル、こう言って、日本の十七億九千五百万ドルを基準にいたしておるのでございます。で、私は、率はドイツは三一・何%と、こう見ておりますが、日本は三〇%切れておると考えております。

永末英一民主社会党

○永末英一君 私が伺っておるのは、この西ドイツの返済率三三・一七八%を適用する前に、いろいろな、約一億ドル程度の引き算を一本でもやりました。ところで、西ドイツの場合には、その一〇〇に該当するものは当初から債務として確定をしておったものである。ところが、日本の場合には、西ドイツの返済率を適用するもとについて、一体全部が債務としてかっちりしたものではなかったと思う。その点に対する見解が一致しなければ、その西ドイツと同じ返済率でございますと言われても、その率の減額率についてはっきりとしないのではないか、このように思いますので、この点に関するお考えを伺いたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 詳しくは外務当局から答えさせますが、私の記憶では、三十三億ドルということは、アメリカの予算決算から出た数字をそのままドイツはのんでおるのであります。それから、私らは、アメリカの決算書によりますると十九億数千万ドルと言っておりますが、われわれ日本に残された資料を集計いたしまして、そして十七億九千五百万ドルとしたわけなんです。ドイツはアメリカの決算に載っているアメリカの言うとおりになっておると聞いております。日本はその言うとおりにならずに、こちらで調べた、こちらに残ったレシートを集計いたしまして、そうして十七億九千万ドルとやっておるのでございますから、ドイツよりはわれわれは、向こうの言うとおり聞かなかった、それより少なくしたというので、有利と言えると思います。

永末英一民主社会党

○永末英一君 これはドイツの返済率を適用したかどうかに総理大臣としての政治的判断があったのではなくて、最終的な、四億九千万ドル最後に返すのだというところに政治的な判断があったとわれわれは見ておるのでありますが、いかがですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) これは外務大臣も説明をしておりますが、ドイツも考えましたが、われわれはわが国の考え方でいったわけであります。この経過を申しますと、実は昭和二十九年ごろから、また岡崎外務大臣のころの数字というものは相当大きい数字だった。そして五億ドル近くというのでいったわけであります。だんだん、五億ドルでいこうか、いやもっとというので、四億九千万ドル、それから払う期間を十年間くらいというのを、十二年間くらいで一応手を打とうというのはいかぬ、十五年にしよう、こういうことでやったわけで、ドイツなんということは考えません。ドイツだってこうやっておるのだというので、それよりうんと低くしようという努力をしたわけでございます。

棚橋小虎民主社会党

○委員長(棚橋小虎君) もうそれだけで、時間が済みました。

永末英一民主社会党

○永末英一君 あと五分……。そうして、いよいよ支払うという場合の支払いは、今まで見返資金から産投会計に入ったものをそのまま置いて、そこから出てくる運用益等々で支払うから、全然元本についても損害ない、こういう御説明なんですが、一体産投会計を池田さんが昔作られたときに、その使用、運用等については非常に厳格に総司令部からの指示があって、それを受けてこの産投会計が作られ、自後運営されてきたと思います。ところで、それによってできてくるいろいろな運用益あるいはまた貸付金の回収金等々で払うというのでありますけれども、もし見返資金で産投会計ができたとするならば、これを返済する場合に見返資金からできた産投会計そのものの運営の考え方というものも、もう一ぺん白紙に戻して考え直さなければならぬのじゃないかとわれわれは考えますが、どう考えますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) これは私のほんとうのことを申しますと、まず第一、今までの復金債で日本の復興をやることはよくない、借金でやることはよくない。そしてまた、税金や援助がどこへ行ったかわからなくなるこういうことは耐え切れなくなるというので、見返資金特別会計をこしらえたわけであります。これが産業の復興、経済の発展を来たしました。そしてインフレをとめまして、私は、将来もしこれをガリオア、エロアを払うことになった場合においては、この金の利子で払えるということを主題に考えて、ずっとお金を使ってきたわけでございます。今度の交渉におきましても、私はその頭でいったわけなんです。四億九千万ドルということにいたしましたのも、私自身の腹としては、利子だけで払って、回収金の一部というものでやって、十五年間ということにいたしましたのも、元本にほとんど手をつけずにいけるという見通しで、金額も年数も私は計算したわけでございます。しこうして、その分は一部でございます。産投会計の六千億のたまり資金のうちで一部でございます。だから、産投会計をこのことによって変えるということは全然考えておりませんし、また変えなければならぬ理由も出てこないし、変えるということはかえって角をためて牛を殺すといいますが、りっぱな角をためて角も牛もだめになっちゃうということはとらない考えでございます。

永末英一民主社会党

○永末英一君 もう一問。産投会計が当初できたときの財政投融資計画における産投会計の比重は、これをいよいよ返済することによって、一般の資金運用部資金その他のいわゆる財政投融資の原資にたよらざるを得ない、原資関係においては質的な変化を来たす。それにもかかわらず、従来の方針を続けよう、こういう方針なんでありますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) そのとおりであります。続けても何ら支障がないということであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 企画庁長官に質問したいのですが、ただいまの総理の、ガリオア、エロアの返済にあたってどうして円払いを要求してこれを納得させなかったか。今、日本の国際収支が非常に重要な段階に来ております。外貨準備も決して潤沢でありませんし、アメリカの市中銀行あるいはIMFから借金しなければならない状態にあるのであります。それに関連して、国際収支の見通し、それから今後の景気調整等について向ったわけです。  で、私は、今後の国際収支の見通し、あるいは今後の景気調整のあり方につきましては、藤山企画庁長官と総理のお考えとの間にかなり違いがある。そこで、世上いろいろ問題になってきているわけですが、私は藤山企画庁長官のお考えをこういうふうに理解したわけです。それは新聞で読んだり、藤山企画庁長官がテレビ、ラジオ等でいろいろ放送されております。それを私は絶えず聞いておりまして、それを要約してこういうふうに理解したわけであります。特に現実の問題として、政府は昨年の十一月から、鉱工業生産は十一月をピークとして、その後年率九%の割合で六月ごろまで下がり、そうしてそれ以後年率一二%の割合で上昇していく、平均して五・五%の成長率になるという見通しを立てた。ところが、現実は、長官も御承知のとおり、そこに非常に違いが出てきている。この違いはどこから出てきたか、その根本の原因についてよく見究めて、そうしてこれに対して景気調整策を講ずべきである、こういうのが長官のお考えじゃないかと思うのであります。そうしてその根本の原因としては二つの点が重要な原因じゃないか。一つは金融が正常化していないのに低金利政策をとっている、これが設備投資を刺激しているのじゃないかという点、それからもう一つは、国内市場優先政策をとってきて、これが個人消費を刺激している。そういうことが設備投資を行き過ぎさせ輸入を増加させ国際収支を赤字に導いている二つの大きな原因じゃないか。そこで、今後の景気調整を考える場合には、この二つの点に手を打つべきじゃないか。特に金利政策については、すぐ公定歩合を引き上げろとは言わないが、さしあたりは資本蓄積を行なうためにも預金金利を上げるべきじゃないか。また物価を押えなければ資本蓄積ができない貯蓄奨励にもならぬ。政府は今資本蓄積、貯蓄奨励と言っている以上は、貯金金利を上げるべきだ。また、国内消費のほうも国内市場優先政策をとって国民の消費をあまり刺激することはよくない。だから、これを調整するような政策をとるべきだ、こういう御意見であろうと私は理解しておるわけです。大体こういう理解でよろしゅうございますか。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(藤山愛一郎君) さすがに木村さんでありまして、私が言っておりますことについて、要約して非常に明快に御説明をいただいたわけですが、大体私の申しておりますことは、今お話のあったとおりでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そうしますと、今長官がおいでになる前に、総理についてこの点について伺ったわけです。ところが、総理の御意見はかなり長官の考えと開きがあることがわかったわけです。総理は、直接企画庁長官から金利の問題等についてまだ伺っていない、ですから、藤山長官の金利に関する考えはどうかわからぬが、自今の考えとして述べればこういうことだというふうに言われて、金利に関する意見を述べられたのです。それは、昔と違って日本の今の現状では、オーソドックス的に金利の景気調整機能というものを考えるわけにいかない、やはり一番重要視すべきは量的規制なんだ、こういう考えなんですよ、総理は。もちろん、金利の景気調整機能を否定しているわけではないでしょう。けれども、ウエートの置き方が違うわけです。企画庁長官は、低金利政策が設備投資を行き過ぎにさした。総理は、金利だけではないのだ、それより行き過ぎにさしたのはシェアーの問題だ、それから系列融資の問題だ、それに関連して日銀の貸し出しが量的にふえた、こういうことなんです。量的規制がまず優先すべきだ、こういうお話です。それで、預金金利はすぐ上げる必要があるかということに対しては、御答弁は避けられたわけです。で、一般的な意見として述べられたのですが、この点は、今後の景気調整政策あるいは当面の景気調整政策だけでなくて、今後の経済政策を行なう場合に非常に重要な問題じゃないかと思いますので、まず金利政策について、総理のお考えとそれから企画庁長官のお考えの間には、確かにウエートの置き方に非常に違いがあるわけです。そこで、この点について企画庁長官の御意見を承りたい。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(藤山愛一郎君) 実は三十六年度の予想というものが非常に狂ったわけでございまして、三十六年度の予算編成直前にやりましたものを、昨年、私が企画庁長官に就任いたしまして、そして変更をいたして、そして本年度の予算編成にあたりましても、新しい見通しを立てたわけです。三十六年の。それがかなり私は結果においてはやはり狂ったということを言わざるを得ない。そこで、そうういふうな総合政策を九月に立てましたにもかかわりませず、狂ったということは、それを反省してみますると、総合政策を立てること自体が若干おそかったということも私は考えなければならぬと思いまするし、同時に、総合政策を立てて、その立てた綱をぴんと張らなければならぬ。それがやはり何となく、いわゆる若干の楽観ムードと申しますか、締まりが足りなかったというようなところが、やはりこの違いを起こした一つの原因だと思います。  そこで、なぜそういう楽観的なムードあるいは総理の今言われましたような市場占拠率の競争というものが、やはり総合対策を立てて行政指導等も相当され、あるいは輸出増進というふうな問題にも触れ、あるいは輸入担保率の引き上げ、あるいは預金準備率の引き上げ等かなり強い金融引き締めをやったにかかわらず、なおそうした狂いが生じてきたかといいますと、やはり基本的にそこに考えるものがなければならぬのじゃないか。そういう意味において、やはり自由主義経済の中における金利の位置というものは、私はこれは相当景気を左右するものであるということを考えなければならぬ。同時に、そういうことから、国内消費も相当程度刺激され、あるいは国内の消費というものがある意味からいえば生産拡大に役立つのだというような考え方、これは当然私は輸出の面にも、国内の生活水準が上がって、そうして消費が上がっていくということは、これは輸出貿易にもいいことは、私もいろいろな例示をもちまして説明しておるとおりでございます、現在としては。  しかし、御承知のとおり、たとえば日本で工業生産をやります場合に、大体原料というものは、アメリカその他と違いまして、外国から入れて参らなければなりません。そこで、日本の経済からいえば、百万円の原料を入れて、そうして、その百万円の原料のうちの八十万円ぐらいの原料を加工して、そうして輸出にして、これは百二十万円に加工賃を取って売って、そうして百万円の原料代を払って二十万円分だけ国民生活の消費を高めていくというのが、私は順当なやり方ではないか。ところが、百万円の原料を入れて、輸出のほうにはそう向かないで、たとえばこれは例示でございますけれども、六十万円の原材料しか輸出できなければ、かりに四十万円の加工費があったとしても、百万円とんとん。もしそれ以上に加工費がかせげなければ赤字が出てくる。これは当然そうなってくると思います。ですから、国民生活の向上、あるいは消費の増大ということも、少なくも日本みたいな国ではある限度がそこにあるんじゃないか。したがって、国民生活を向上させ、消費を豊富にしていくことが望ましいことでありますけれども、その限度を越えますと、やはり貿易バランスの上に影響してくる。したがって、その限度以内の成長といいますと、やっぱり高度の急激の成長というものを安定的な成長として、徐々にそういう範囲内で生活改善も行なわれ、消費も推し進められていく、こういうことでなければ、少くも現在の段階では適当ではないのじゃないか。ところが、過去において若干、国内消費自体が日本の生産拡大に非常に役立つというような考え方があった。それが市場占拠率という競争にも波及した。その辺を一ぺんこの際反省してみる必要があるんじゃないか、こういうのが私の意見でございます。  先般、内閣の経済閣僚懇談会をやりましたときに、三十六年の実際の数字の食い違いの説明をいたし第二回はその説明に基づいて三十七年度をどう推定するかという問題の出し方をいたしたわけでございます。たまたま総理は病気で欠席をされましたし、まだ総理に私の意見を率直にお聞きいただく機会は、そういう関係で持っておりませんが、いずれこういう点については十分総理と話し合いながら参りたいと、こう思っております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 その国内市場優先政策というのですか、そういう言葉で表現していいかどうかわかりませんが、今企画庁長官が言われました個人消費の増加がやはり生産を刺激し過熱化した、そしてまた国際収支を悪くした一つの原因である。ところが、総理はこれに対してこういうふうに答えられたんですね。諸外国の例を見ると——全体の生産の中に占める輸出の割合を見ると、日本は一〇%あるいはそれ少し以下になってきている、最近に。そしてその残りの九割というものは国内消費になっているのですね。ですから、景気調整するには、国内消費というものが非常に大きなウエートを持っておる。しかも、国内消費の全体の消費の中で占める割合は五二、三%、しかも三十六年度はおそらく五〇%を割るのではないかという総理のお話だったのですね。そうすると、いろいろレジャー・ブームといわれておるけれども、個人消費はそんなに高いものではない、こういうお考えですね。そして行き過ぎたのは設備投資である。そこで、設備投資を押えるか個人消費を押えるか、どっちかといえば、議論の余地はないと思う。やはり設備投資が行き過ぎているわけだから、それを押える。設備投資を押える場合にも、むやみに何でも押えることはよくない。これまでは設備投資行き過ぎだということで追い打ちをかけて、どんとこれを押えると言ってきたけれども、それは機械的である。押えるものは押える。自由化に備える等もあるから、むしろゆるめて、ふやすべきものはふやすべきである、こういうふうに考えていく。しかし、問題はやはり設備投資のほうにウエートを置いて調整すべきである、こういうお考えです。そうしますと、企各庁長官の今のお話と、その点もちょっと距離があるようにうかがえたのですが、こういう点はいかがでしょうか。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(藤山愛一郎君) むろん、国内消費の場合に、単純に個人消費ですね、家庭消費と申しますか、それだけという意味にも私はとっておらぬのですけれども、レジャー・ブームその他でいろいろなレジャー的な設備投資も行なわれるわけです。そういうものはむろん当然含まれていくと理解していただいてけっこうだと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それで、今の点ですね、ウエートの置き方が違うと思うのですがね。その点、いかがですか。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(藤山愛一郎君) これは経済は各人各様の見方があると思いますので、学説的にはいろいろございます。ですから、私の考え方だけが正しい考えだと主張して、ほかの考えはみなうそというわけには参りませんが、しかし、私の考え方は先ほど申し上げておったような考え方であり、あるいは木村さんがいろいろ雑誌なりあるいはラジオなりで大体よく理解していただいておると思うのですが、ただいまよく世間では、私の預金利子の引き上げと公定歩合の引き上げとを混淆しちゃっているのですが、もちろんはっきり分けて理解していただいておると思いますが、しかし、若干総理と意見が違っておる場合があろうと思います。したがって、それらについては、閣内において当然議論をいたして、帰一すべきものは帰一さしていくということに努力をしなければ私はならない、こう思っております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 あまり時間が長くなりますとあれですから、もう一点だけ伺っておきます。最後に伺いたいのですが、政府の見通しと実際とは非常に違って参りましたので、今後どういう景気調整策をとるか、今後の推移をひとつ見なければならぬというふうに政府も思っておると思うのですが、そこで私は、もういずれにしましても、このままでいけば国際収支の赤字は一億ドルにとどまらない、秋に国際均衡はとれないじゃないか。そこで、どうしても国際収支の均衡の時期をずらさなければならない。それから、どうしても一億ドルの赤字にとどめたいとするならば、三十六年度の推定実績も出て参りまして、それで設備投資も三兆九千五百億、国民総生産は十七兆四百億、成長率は一七・八%、こう推定されておりますから、どうしても秋に国際収支の均衡をとるという目標を定めれば、かなり引き締め政策をとらなければならないのじゃないか。そうしますと、そこで見通しを、今まで努力目標といわれておりますが、これを変えなければならぬ。ずらすという見通しにするか、あるいはどうしてもここで秋までに均衡をとろうとすれば、そういうかなりきびしい、生産をもっとダウンさせるというような見通しの作業をしなければならぬ。あるいは成長率で、率にこだわるということはどうかと思うけれども、かりに率でいえば五、四%でなくて二、三%に成長率を引き下げる。いずれかに見通しを改めなければならぬと思うんですが、この点、いかがですか。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(藤山愛一郎君) 三十六年度の予想が違いましたので、その上に立って三十七年度の努力目標というものを私はやっぱり改訂しなければならぬと、こう考えております。また、政府がそういうかりに努力目標にしても出しましたものが、民間に心理的な、あるいはいろいろな影響を与えますから、ですから、そういう面において一つの数字の改訂と申しますか、努力目標の改訂をしなければならぬ。その場合に、秋に均衡をとるかどうかということが一つの非常な問題点だと思います。今までの三十六年度の推移から見まして、むろん総合政策というものが時期が若干おくれておりますから、最初に予想したよりもおくれてきいてくることは、これは当然だと思います。が、しかし、それにいたしましても、秋に目標を立てるということになりますと、非常なドラスチックなことを——私は現在までまだ総合政策以上の何かドラスチックな政策をとることがいいということを主張しているわけではございません。いいかどうかという問題は検討しなければなりません。それは国内経済に非常な影響を私は与えると思います。でありますから、そういう点について慎重に考慮をして参りますと、今までの総合対策のおくれてきいてきたことから考えて、ある程度時期をずらさなければ無理なのではないかという考え方にまだなりつつあるのであって、最終的に、結論的には私は知りませんし、またそれらの意見に対して、閣内でいろいろ御意見があろうと思いますから、私も十分伺った上でする。ただ、もしそういうことであれば、かなりドラスチックなものをやって、そのためにあるいは外貨バランスというものは十一月に入るかもしれないが、国内の経済は非常に困難な状態に一時陥るんじゃないか。それがいいか、あるいは延ばしても、若干基盤を整備しながら——基盤というのは、今の預金利子の、貯蓄奨励ということをやりながら、基盤を整備しながらいくほうが安定的じゃないかというふうな、二者択一のポイントに立っているんじゃないか。どちらをとるかということは、これは大きな政治の問題だと思いますので、総理とよく話し合ってみないと、まだ私としても結論を出すわけにはいかぬのでございますが、感じから申せば、今申し上げたとおりでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 これで終わります。  閣僚懇談会をまたお開きになるように新聞で見たんですが、大体この次あたりで意見の調整というものが大体でき得る見通しなんでしょうか。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(藤山愛一郎君) 意見の調整は、なかなか、そう一回でできるかどうかわかりませんが、第一回は三十六年度の見通しの違ったことですし、第二回はそれに基づく大体の傾向を説明をしたのであり、そこで、その基礎の上に立ちまして、今度は私自身の考えを率直に述べる段階に来ているのではないか。そうしてそれを対象にして議論をしていただく時期が第三回には来る、こういうつもりで、私は経済閣僚懇談会を開くよう努力いたしているわけです。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 きょうは、これで一応私の質問は終わっておきます。

棚橋小虎民主社会党

○委員長(棚橋小虎君) それでは、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十一分散会    ————・————

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