科学技術振興対策特別委員会 第4号
- 発言数
- 72 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1962/03/01
会議録
○委員長(森八三一君) ただいまより委員会を開会いたします。 科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。 本日は、先日行なわれました三木国務大臣の所信表明及び前回行なわれました昭和三十七年度科学技術庁関係予算に関する説明に対し質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言をいただきます。
○小笠原二三男君 宇宙開発の問題についてですが、審議会もまあやっておられるようですが、最近大臣が所信を表明したようなことが新聞に出ておりましたが、具体的に内容とされる目標や——それについて、もう少しお尋ねしておきたいと思うんです。
○国務大臣(三木武夫君) 御承知のように、宇宙開発というのは、東大の生産技術研究所、それから科学技術庁、これは委託研究、通産省、あるいは電波研究所、まあいろいろとこう宇宙開発と称すべきものに関係をしておる行政が幾つも分かれておるわけでございます。日本は、まあ宇宙開発といっても、人工衛星を上げたりするような大それたことは考えていないのですけれども、ロケットの発射などによって、気象、通信、まあそういう意味で宇宙の研究というものは進めていきたい。そこでばらばらになっておりますので、まあ昭和三十八年度には総理府の中に宇宙開発の促進本部——まあ名前はまだきめておりませんが、そういうものを作りまして、宇宙開発に対する総合的な推進ができるようにしたいと、こういう構想を持っておるわけでございます。
○小笠原二三男君 それでさっきも委員会が始まらぬ前に南極の調査の問題で雑談したんですが、南極の問題、あれは学術会議の発想で文部省が所管してやっておる。ところが技術庁ができて、そして所信表明の各所にもあるのですが、総合的に科学技術の推進をはかるような基本理念を持って進もうということなんで、それでまあこの宇宙開発の問題をお尋ねしたわけです。ところが今の大臣の御説明にもあるとおり、各行政が持っておる研究機関が、総合的にタイミングもよくチームワークもとって研究をしていかなければ成果の上らぬことがはっきりしておる。南極のそれにしても独立した一つの科学だけで調査するものではないのです。だからまあ文部省に所管させておく、そうして科学技術庁は直接本体としてこれに対する役割は何も果たせない。一例ですが、非常におかしいように思うのです。それで学術会議というものがあって大きな問題も取り上げられ、そうして科学技術に関することであれば、それらの問題が政府部内としては科学技術会議で検討される。そうして各省をもって出向させる、こういうことなんですが、そんなばらばらなやり方でやっていけるのかどうかということが、私が質問したいところなんです。今の宇宙開発の問題等についても、もう少し大臣在任中にでも基本的な仕組み、構想を立てられて、各行政機関の縄張りを争うような、あるいは学問的な問題でも何か派閥的なそれが起こらぬような、そういう施策が三木大臣のようなところで恒久的に、基本的に決定されておくことが必要でないかというふうに考えられて質問するのですが、この点は今のような取りきめで差しつかえないのですか。
○国務大臣(三木武夫君) 差しつかえなくはないのですね。そのためたとえば国立研究機関、これなどに対しても、どうしてもあり方というものを再検討する必要があるのではないか。そこでまあ研究する研究題目などもいろいろ時代とともに違うし、重複する場合もあるし、そういうことでただいま科学技術会議に諮問をして、これを検討願っておるわけでございます。それから行政の面ですが、これは政府のほうにおいても、特に最近いろいろ行政が複雑になってきて、それが分化といいますか、分かれていく傾向があるわけであります。そうなってくると、いろいろ総合性という、点で問題がある。臨時行政調査会などもこういう必要から政府のほうが行政機構全般にわたって再検討を加えようというので、ああいう調査会ができたわけでございます。さらに全部行政機構の改革で一元化ということもできませんので、そこで科学技術庁のような官庁は総合調整という役目を強化していかなければならないので、研究調整局というような一局を新しく設置法の改正でお願いしておるわけでありますが、そういう点で調整機能も強化していきたい。だから要するに、国立研究機関の再検討、行政機構全般にわたる再検討、科学技術庁の調整機能の強化、こういう点で今御指摘のようなばらばらになりがちな弊害を是正していきたいという考えでございます。
○小笠原二三男君 重ねてこの点申し上げて失礼ですが、たとえば行政と一応切り離して、科学技術の研究と教育の問題に例をとっても、各大学が相当の研究費をばらばらに持っておる。また研究所も、東大なら東大にあらゆるものが集中して、駅弁大学と言われている大学を合わした大学費の総予算のうちのほとんど二割くらいは東大だけで使ってしまう、こういうようなやり方。そうして一方また、各大学はそれぞれ大学の存在の理由として、それぞれの研究所なり研究費、スタッフを持ちたい。非常に大学関係だけでも予算が足りない中に、零細にそれを分けあって、集中的な学術研究ができない、こういう点があるわけです。これには戦前から戦後に切りかわった時代の、大学の方向をどうするかということをきめようとした戦前のえらい大学の関係者は、やはり旧帝大が中心——その中でも東大が中心です。そこであとの駅弁大学のほうには、そこから人を出してやればそれで済むのだというようなことで、どこの大学も充実させようなんという考えは初めからなかった。それが今なお、そういう弊害であるか長所であるか知らぬが、ある。それと各行政の研究所、試験所、これがみんな独立して同じ部門の研究機関を持っておる。大学の研究機関と行政のほうの研究機関とが同じことをやっておるところが、全国的に数多い。これを集中して、貧乏な国が同じ研究に大学も行政も一体となってやれる、そういう基本的な研究所構想というものがあって、そして教育にも利用され、あるいは実際科学技術そのものの、民間にも稗益していく何か抜本的な施策をやらなかったら——一々各省の予算の中で零細な研究費をとり、大学は大学で零細な研究費をとるというようなことでは、ほんとうに日進月歩の科学の推進ということが、国際的にとてもレベルに達するものではないようにも思われるのですが、何か実際宇宙開発等の問題が起こった、こういうような機会に抜本的に科学研究の国の体制というものを、大学だ、行政だ、民間だということは問わずしてお考えになる時期に来ているように考えられるのですが、大臣の所見はいかがですか。私は、そういうことにすることによって、人材を非能率でなくて集中的に集めて、有為な研究活動をさせることができるようにも思うのです。たとえば行政のほうで、建設省であれ、農林省であれ、各省が研究所を持っています。大臣が郵政大臣をやった例からいえば、電波のほうでいうと、電気のほうの研究所があり、電波の研究所がある。ところが、これに行く所長は本庁の電波監理局の次長あたりの人が本庁から派遣されて所長になる。そうして、そこからまた本庁へ引きあげられる。行政の、技官でない人が長になっておって、一つの体制が学識あるところの、研究所内の研究員たる博士でも何でも、それ以下の給与でなくちゃならぬようなしきたりになっておる。たとえば農林省でも、建設省でも、地方で何百億と使うような、一生に一、二度ぶつかるかどうかわからないような大ダムを建設する。新しい技術を導入して、実際的に何百億の予算を自分が一手にまかせられて建設するというような所長が、その技官が、本庁で言うと課長より下なんだから——その程度の者が所長として、これをやれと命ぜられる。そうして一生に一、二度という大事業を、その程度の給与で押えられて、一切の責任を持って仕事をさせられておる。こういうばかなことはないと思う。やっぱり技官として学問なり研究なりで生きていく人は、本庁の行政機構の中では、課長より、部長より、局長より月給が高く、それ相応に処遇されて、その方面の開発をやる、あるいは国家的な非常な建設の事業をやっていく。こういうような仕組みにしなければ、同じ東大の法科を出た者が局長でおって幾らもらうのに、東大の理工学部を出た——理学や何かのほうは、入学のときには優秀で入って、ちょっと優秀でないほうが法科に回ったはずなのが、優秀なほうの人は同じ年度でもいつまでも地方の研究機関か何かのところで押えつけられておって、待遇も格段と、もう、十年、二十年たつと差がついてくる。学問的には博士号ももらい、その研究は高く評価されながら、待遇はそれに追いつかぬ。こういうようなことを解消するにも、私は研究所なり研究機関というものが一体性を持って集中的に、総合的に行なわれ、そうして、それらは特に待遇その他についても、そういうものに従事する者として十分な処遇がされる。何かそういう方式でも考えなかったら人材を吸収できないのじゃないか。こういう感じを持つので、大学の教育の問題も、行政の問題も兼ねて、その点は検討される必要があるのではないかと思いますが、大臣のお考えはどうでしょう。
○国務大臣(三木武夫君) 最初に私が申しました国立研究機関のあり方を再検討いたす、その中には、大学の研究所との関連をどうするかということは当然に検討する重要な項目の一つであり、これをどういう形にいたしますか、とにかく国立の研究機関、大学の研究所というものが、もう少し緊密な連絡のもとに研究活動ができるような体制に持っていかなければいかぬ、そう考えておるわけで、これは御指摘の点は、さらに今後十分検討いたしたいと、まさに私どもが考えておる点でございます。 それから研究者の待遇改善についていろいろお話がありましたが、これは実にわれわれとしても苦心をいたしておるので、今日の給与のきめ方というものがなかなかこれはむずかしい。そこでまあ人事院などに対しても科学技術庁から今度推薦をいたして、そしてそういう科学技術に関係のある者を人事官に参議院においても御承認を願ったことと思うのですが、推薦をいたして、そして給与の勧告をいたす場合に、研究者を尊重するという精神がその勧告の中に織り込まれるようにしてもらいたいというわれわれの願いから、そういう人事の面の推薦を行なったわけでございます。まあ今までも人事院に対しても強くこういう点について要望して参りまして、また一般の公務員と研究公務員との間には多少の給与の差がついてはおるわけで、あるいは能力に応じた——能力給と申しますか、こういう道も開けて参ったのでありますが、何分に毛全体としての研究者に対する、研究公務員に対する給与の水準が低いものですから、これはよほど今後この点に対して改善を加えていかないと、やはり優秀な研究者は皆民間に取られてしまうというような弊害が現に起こりつつあるし、将来そういう傾向がさらに顕著になってくると思いますので、今後それには多少の改善をはかっても、どうも満足する状態になってないので、よほどこの点については力を入れていかなければならぬと考えておる次第でございます。
○小笠原二三男君 ところが実態としては、研究公務員という前に国家公務員、各省におる戦後できた技官というものが、やはり戦前の姿勢に逆戻りになって、だんだんやはり伸びないというか、伸ばされないという傾向が出てきているのじゃないですか。それは今、大臣は人事院にいわゆる技術官を代表する人事官を一人お入れになったというが、これは戦後の改革で人事院ができたときに、それが強い要望で出てきて、技術者の利益を代表する人事官を置くべきことは要請されておったのですが、今、各省で次官と一緒に並んでおる技術の最高トップである技監を置いておるのは、建設省にだけかろうじて残っておる。あとはもうどこにもない。いつのまにかもう登用の道というものがふさがれる傾向にある。そうして現場の、地方の出先の事業所その他におるという向きが多いのではないか。これはやはり一般公務員のあり方として、技術官と一般事務官との関係というものが、そういう傾向にならぬように警戒をするだけでなく、研究公務員というものが生かされて、そうして厚い層を作らない限りは、これはやはりうまくないのではないかという考えを持つのですが、後退しておる事実は、大臣御承知ですか。
○国務大臣(三木武夫君) 承知いたしております。科学技術庁は、技官をきわめて尊重しておる役所でございますが、しかしほかの役所では御指摘のようなことがある。これはもう少し——これは技官が全部重要な地位を占めるべきだという理由はないのですけれども、もう少し技官というものが各官庁の中で優遇されていい。普通の文官といいますか、そういう法科出の公務員に比して少し何か下積みになっておるという感じを私も持っておるわけでございます。
○小笠原二三男君 話は変わりますが、各省が研究機関を持っておるばかりでなく、科学技術庁自身がさっき聞きますと、三つ研究機関を持っておる。これはどこの省にも格好よくはまらないものだから、技術庁が持ったものですが、将来科学技術庁が研究機関を掌握するのだ、そういう姿勢でまず現在は三つ持っておる、こういうことなんですか、どういう傾向にあるのですか。
○国務大臣(三木武夫君) これは、御承知のように原子力というものは一元的に科学技術庁でやることになっております。原子力は新しく研究開発が始められたわけです。これはもう科学技術庁一本でやっております原子力研究所、それから金属材料技術研究所、これも各省にまたがっておりますので、そういう点で科学技術庁の所管になっておる。それから理化学研究所、これも科学技術庁、これも多方面の研究をやるものですから。今まで科学技術庁の所管になっている研究所は非常に多岐にわたって——たとえば何省か一省のもとに、その行政を助ける意味においての研究所という性質でない場合の研究所が、科学技術庁の所管に置かれておるのです。しかし、これを足場にして研究機関を皆取り上げる気持はない。役所の持っておる研究機関を取り上げるということは、かえって摩擦が起きて、むしろ各省が研究機関を持っておるということは、各省の行政上の必要もあって置かれたのでありますから、むしろそういう研究機関の研究というものが、ばらばらにならないように総合調整の官庁として科学技術庁を育てていきたいと考えております。取り上げようという意思はない。むしろその総合調整を強力に科学技術庁はやっていきたい。
○小笠原二三男君 それから科学技術庁というのは、いつまでも総理府の所管でやはり科学技術庁、こういうことでいく構想なんですか。飛躍をするという構想があるのですか。
○国務大臣(三木武夫君) 私は将来省にしていきたい。しかし、今のところは言い出さない。それはなぜかといったら、やはり現在は科学技術庁が調整機能というものを十分に果たし得るだけの実力を備える時期である。しかし将来その実力が備われば、これは科学技術庁は省にしたい、こういう考え方でおります。
○小笠原二三男君 私は各省の総合調整という段階だということも認めますが、経済企画庁の例をとって見ますと、大臣も企画庁の長官をやっておられたんだが、あれはみな各省から出向させて、それぞれの者を連れてきて、一年交代で農林省出の者が局長になれば、建設省出の者が次長とか参事官。一年でぱっとやめさして、今度の順番は建設省から局長、農林省はその下だ——いつでも寄り合い世帯の弊が抜けないのです。そして、なおかつ経済企画庁自身が、一つの統計を作ろうが何をしようが、何かの施策を出そうとすると、それぞれの所管、係の者がみな御本家のほうへ内報して、御本家のほうの利害に関係して間違いがないように、各省の利益を一応盛り込むように意向を聞いてきて、企画庁内で論議をする、こういう形があるのです。そうしなければ、出向した者が御本家のほうに戻って栄進される道を断ち切られる。出たきりにされちまったら、もう官僚街道は歩めない、そういう実態があります。だから技術庁もそういう総合調整ということで、各省からそれぞれ中堅層の者をもらってきておっても、いつかは取り上げられて持っていかれる。はえ抜きの技術庁のスタッフというものが構成できないというようなことになったら、これは本物にならぬのではないかと思うのです。ですからやはり独自の、技術庁というものを整備して、また安心して働かせてやるというような体制が技術庁に必要でないかというふうに思うのですが、あまり調整で出向を押しつけて集めてくると、筋金入りの本物の伝統的な技術庁精神というものがなくなるというか、いつまでも形成できないというふうに思うのですが、どうですか。
○国務大臣(三木武夫君) それはお説のとおりだと思います。だから科学技術庁も、もとは各省からやってきた人たちによって構成されても、その橋をよく断ち切って、生涯を科学技術庁で働くという決心を持った人々によって科学技術庁が運営されることが好ましい。しかし、まだできてから五年ですから、それだけの人材を養成する期間としては短きに過ぎるわけです。今はやむを得ない、次第に科学技術庁が力を養い、信用を高めて、そしてもう古巣へ帰らぬ、そういう考え方を科学技術庁の職員が持つようにしむけていかなければならぬと思っております。
○小笠原二三男君 次の質問者が来ましたので、これでやめますが、最後にもう一つお尋ねします。先ほど御答弁にあったように、科学技術庁は将来において飛躍するのだという点は、ぜひそうあるべきであろうと私たちも期待する。たとえば先ほど言った原子力研究所を持っておるというが、結局これが運用の問題になってくれば、原子力局が技術庁くらいのスタッフでも持たなかったら、国際的に平和産業であれ何であれ、競争できないというくらいまで発展するものと考えれば、本体が技術庁ではどうも工合が悪くなってくるのじゃないかと思ったりするわけです。ぜひ、そういうふうに伸ばされるための人材も、今から大臣おっしゃるように、技術庁において大いに養成されて、独立した技術関係の行政指導のできるりっぱな官庁になるように期待しておきます。
○秋山長造君 先ほどの小笠原さんの御質問の、科学技術庁の所管事務のことについてちょっとお尋ねしたいのですが、気象庁ですね、気象庁は現在運輸省にあるわけです。われわれ考えて、どうも運輸省に気象庁がなければならぬという理由がのみ込めない。それからやっぱり今の日本の場合、それは原子力あるいは宇宙科学というようなものも、きわめてこれは重要な問題ですが、同時に現実の目先の問題として年々まあ二千億、三千億というような膨大な損害をもたらしている台風その他の災害ですが、こういうものに対処していくところの防災科学というものは、これはもうきわめて現実的な、しかも重要な問題だと思います。にもかかわらず、科学技術庁ができましてからも、この防災科学ということが、一応長官の所信の表明の中にも、ちょっと一行ばかり入ってはおりますが、どうも科学技術庁とそれから防災科学ということが、あまりつながっていないという感じを受ける。それから予算面にしまして毛、たとえば気象研究所の予算として一億九千万円ばかりが計上されてあるようですが、しかしこれも科学技術庁の所管ではなしに、やっぱり運輸省の所管になっておるようですが、この運輸省所管の気象研究所にしても、去年とことしで予算額が、防災科学を非常に重視すると言われながらも、二千万円程度ふやされておるに過ぎないような状態で、これではやっぱり科学技術庁として、防災科学というものにどこまで現実に取り組んでいけるのかということに非常に疑問を持つわけです。 そこで長官としてこういう今のあり方ですね、役所の機構のあり方というものがこれでよろしいのかどうか。いろいろな役所の試験研究機関をとってくるつもりはないという、きわめて謙虚なお気持のようですが、私なんか率直に言いまして、どう考えても、これだけ年々天然災害が多い国で、しかも防災科学というものがおろそかにはされていないと思いますけれども、しかし政府の一般行政の上での比重から見ると、非常におろそかになっておると思うのです。しかも予算なんかの関係にしても、気象庁の予算なんかというのは、あまり国会で問題になったことがないようなことでそれが十分あって、もう問題にならぬというならいいですけれども、そうでなしに、大体行政系統の上であまり重きを置かれていないという意味で問題にならぬというのが実情です。やはり機構いじりということを必ずしも私好ましくはないと思うのですけれども、科学技術の振興という大きな観点に立った場合にも、やはり防災科学というものをもっともっとやはり政治の中心問題として取り組んでいかなければいかぬのじゃないか。そのためには気象庁なんかのあり方についても、もっと私はやはり科学技術の振興という面から、長官あたりが真剣にやはり今のあり方というものを御検討になるべきじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
○国務大臣(三木武夫君) 臨時行政調査会等ができておりますが、その中で私も検討してもらいたい。まあ、よそのものをいろいろ取り上げるということは、各省いろいろ必要があって起こっておるのですが、その中でも、気象庁は科学技術庁と一緒になったほうがいいというふうな私は意見であります。気象庁については、そういう意味でこれは臨時行政調査会などにおいても検討してもらいたいと思っております。そういうことで防災ということは、御指摘のとおり非常に重要な問題ですが、ただいまばらばらになっておるわけですから、まあ科学技術庁が世話やきという範囲で、予算の額なども問題にならぬ。これはもう少し力を入れる意味において気象庁の問題などは臨時行政調査会において検討してもらいたいと思っておる点でございます。
○秋山長造君 気象庁と科学技術庁を一緒にしたほうがいいという大臣のお考えは、これは全く私は期待したとおりの御答弁なんで、ぜひこの気象庁の問題はひとつ、取ってくるとか何とかということでなしに、これはやはり今のままでは、もう気象観測、気象業務の面は非常におくれているのです。去年の災害基本法が出ましたときに、ちょっと必要があって私だいぶ気象関係のことを調べてみたのですけれども、これは今およそ役所、気象庁も役所ですが、役所の中では、まあ気象台だとか、あるいは測候所だとか、こういう気象観測関係の役所ほど、まあ建物からしても何からしても、お粗末なものはないんじゃないかと思う。だから、まず台風が来たときに観測どころじゃなしに、観測する設備そのものが台風で吹き飛んでしまう場合が多いので、まあ具体的な例をあげましても、伊勢湾台風のときに名古屋の気象台の観測室が一番に吹きつぶされたそうですが、それから第二室戸台風のときにも大阪の予報室がやはり風で一番につぶされたという。この事実を私は聞いておるのですけれども、とにかく年々に確実に何千億円という災害をもたらす台風に対して、これに対処するこちらの技術陣あるいは行政機関のあり方というようなものが、あまりにもこれはお粗末過ぎて、弱体でほったらかされておる。これは科学技術庁なんかの一番大きな仕事じゃないかというように私はかねがね思っておるので、気象庁を総理府に移して、そうして科学技術庁と一本にして、そうして科学技術庁というものを、ただ各役所が持っておる仕事を連絡調整する、長官は要するに、今の交通閣僚懇談会のように、科学技術関係の閣僚懇談会の座長とか進行役ぐらいな格好では、これはとてもほんとうに頼もしい仕事を私は期待できぬと思うのです。ぜひひとつ気象庁を当面総理府に移して、科学技術庁と一本にして、そうして原子力だとか、あるいは宇宙科学とかいうような遠大な研究をおやりになると同時に、目の先の最も現実的な、切実な防災の関係を画期的にやっぱり推し進めていただきたいと思うのです。ひとつ、たとえば以前に定点観測なんかやっておりましたが、あれでも定点観測なんかも南と北と二点やっていたのを、予算が足らぬとか何とかいうことで、南方定点一カ所にしてしまった。そのために気象観測に非常に大きな支障を来たして、そうして台風に対する対策が非常に障害を起こしておるというととも事実だし、それからまあ、気象観測のレーダーなんかにしても東京に一つ、一カ所あるだけというようなこと、それから気象観測機なんかにしても、これは全然もうなしで、アメリカ軍の情報提供に一〇〇%頼っているというような状態では、これはもうとても問題にならぬ。それで、以前に中曾根さんが長官をなさっていたときに、中曾根さんはこういう問題について相当な抱負を持っておられたのでしょう。台風なんかに対しても科学技術庁なんかで大いに研究して、本土に上陸する前にドライ・アイスか何かで台風を散らしてしまうのだというようなことを国会で言っておられたようですが、そういうことができればいいけれども、そういうことでもやるためには、ただ今のままですぐいきなりやると言うてもできはしません。それだけの基礎がなければだめです。ぜひ、これはひとつ、今度の行政調査会で機構改革等もあわせて——この点だけはよその権限を荒らすというようなこととは別ワクで、これは長官のひとつ強い決意をもって断行していただきたいと私は思うのです。特にこの機会にお願いしておきます。
○吉田法晴君 所信表明に関連をして一、二同僚議員から御質問がございましたが、所信表明の中にも最近の世界的な話題といいますか、課題の、宇宙開発に関する科学技術を一段と促進し得るよう措置を講じたということですが、どういうことをお考えになっているか、具体的なあれがあればお示し願いたい。 それから、南極観測について打ち切られたわけですが、これをどうするか、御所見があったら承りたい。 それから、最近のソ連の宇宙衛星船におくれをとっておったアメリカで、人工衛星船が打ち上げられた。地球を三回転したということで、宇宙開発の問題がにわかに科学の問題として出てきておりますが、ただそれに対して、中には宇宙の開発よりも地上の日本の国民の幸福をはかるための開発のほうが優先すべきではないかという議論もあるようであります。見ておりまして原子力が問題になれば原子力に重点を置く、あるいは宇宙開発が国際的の話題になれば宇宙開発に力を入れる——原子力のごときも原子力発電、あとで御質問いたしますけれども、いわば停滞をしておる。そのときどきでいわば国際的な流行を追うわけではありませんが、総合的な、確固とした科学技術伸展の方策が、国として一貫したものがないということが、やはり半面感ぜられる点であります。そこで、所信の中にはいろいろございますけれども、それを通じて、重点を置こうとせられる点はどういう点を考えておられますか。 それからもう一つ、科学は自然に対する闘争といいますか、あるいは自然法則を人間の立場から解明をし、そして利用をするといいますか、制御するということまでいけばいいのですが、そういう点からいいまして、私どもの見聞したところでは、宇宙開発等にも進んでおるが、同時に国民生活の幸福を増進する点で、あるいは大きな川であるとか、あるいはシベリアその他の未開発地帯について、科学の力、人間の力で制御しながら、国民の幸福に利用しておる具体的な姿を私ども見て参ったのです。これは科学の当然の使命から、宇宙の開発よりも地上の開発という思想は当然これは貫かれなければならぬし、それを具体的にどういう方面に重点を置いてやるかというのが、科学技術庁あるいは科学技術庁長官の任務だと思うのですが、そういう観点から、どういう点に重点を置かれようとするか、大臣の御所信を伺いたい。
○国務大臣(三木武夫君) 第一点は、宇宙開発をどう進めていくかというお話であります。これは、先ほども小笠原君からも御質問がありまして、お答えしたのですが、いろいろばらばらに分かれておりまして、科学技術庁も関係しています。通産省も関係しておる。あるいは大学の研究所も関係しておる。郵政省も関係しておる。これを総合的に推進する必要があるので、昭和三十八年度から、総理府にこれの推進本部のようなものを置いて、総合的に推進するようにしたいと考えております。 それから南極観測の問題、これはいろいろな条件が重なったのですが、第一番は船です。船というものは、宗谷がもう航行にたえない状態になったのですが、しかしいかにもこれを日本が中断することは残念でありますから、これを継続するという方針のもとに、ことしはやむを得ないにしても、継続するという方針のもとに、今後どうやっていくかということを、そういう前提でもって検討しよう、これは文部省の所管になっておりますが、しかしわれわれも非常に関心を持っておるわけでございます。 第三は、流行を追い過ぎるではないかというお話であります。流行を追うというわけじゃないので、宇宙開発のごときも、すでにロケットなんか、電離層まで打ち上げておるのですから、かなりの歴史を持っておるわけです。日本も今、人工衛星をアメリカが打ち上げたから、流行を追ってどうということはないのです。どうしても、宇宙空間の利用という問題と取り組まなければならぬ。これは流行品と考えるべきではない。学問の分野をそこまで広げていかなければならぬわけです。原子力も将来は日本のような資源の状態からみると、あとで御質問があると思いますが、今はコストの点で火力発電なんかに劣っているが、もう少し長い目で見れば、非常にエネルギー源として原子力の依存性は高い。そういうことでおくれをとったけれども、今日本が相当な犠牲を払って、原子力に対しての技術研究をやっていくことは、流行を追ったというような、その言葉の中で非難さるべきではない。またどういう点に重点を置くべきかという点でございますが、原子力というものは、これは一元的に科学技術庁が所管をいたしているわけですから、原子力の健全な開発、これに一つの大きな力を入れていくつもりであります。 第二としては、科学技術庁はいろいろ研究所を持っている。この研究所はいずれも、航空技術にしましても、あるいは金属材料等にしましても、理研等にいたしましても、日本の基礎的な研究として、相当高く評価されなければならぬものでございます。こういう科学技術庁が所管する科学研究機関を一そう充実していきたい。 さらに第三としては、いろいろ特殊な研究題目がございます。今御指摘になったように、もっと人間生活をしあわせにする面などというのも、考えなければいかぬというお説はごもっともであります。そういう点では、防災などもそうでございましょうし、あるいは環境衛生とか、あるいは水の汚濁や、そういう環境科学といいますか、こういう問題にも力を入れていきたい。あるいは電子技術あるいは先ほど言った宇宙開発、いろいろここにも今後力を入れていかなければならぬ研究の題目がある。こういうものにも、科学技術庁としては、自分が所管をしないものに対しては、総合調整という見地から力を入れていきたい、かように考えているわけでございます。
○吉田法晴君 原子力開発については三原則、そうして平和利用の方向というものが、国会でも決議その他ではっきり確保されているのです。宇宙開発についても同様のやはり原則がなければならぬと考えるのですが、その点はどうお考えになりますか。 それからもう一つは、この原子力開発についてもそうですし、それから宇宙開発についてもそうですし、それが先ほど申し上げましたように、それぞれの問題で、あるいは科学開発の方向については、宇宙開発が流行を追う云々ということではなく、ただ一貫して科学技術振興という点が強く貫かれないで、そのときそのときの問題でこの予算がつけられるけれども、あとはどんどん削られていくとか、そういう点に流行的なというあれを指摘したわけです。科学がどういう工合に役立つべきか、科学一般について、これは自然との闘争という意味においては、あるいは自然との戦争ということもいえるかもしらぬと思う。人間を殺す戦争のために役立つべきではなくて、人間の幸福、あるいは日本でいいますと国民の幸福のために役立つべきだというならば、これは大臣からもただいまお話しいただいておりますが、そのときによって波があるということでなしに、一貫した推進、発展のあれが政治としてなければならぬと思うのですが、戦後十数年、日本があの廃墟の中から立ち上がった事由の中には、私は憲法によって軍隊を持たなかった、あるいは現在は自衛隊というものがありますけれども、十年余にわたって軍隊を持たなかったというところに大きな日本の復興の原因があると私は考える。予算の中にだんだん防衛関係の費用、非生産的な費用がふえることは、これは半面から言えばやはり科学の進展にとっては大きなマイナスではないか。軍事的な目的のために科学が発展せぬわけでもありませんけれども、そういう一面はありますけれども、大きく見ると、そういうことが言い得るのではなかろうか。したがって、科学技術を担当されて、しかもその長官が実力者の一人と言われるならば、増大する軍事費を削っても科学技術の伸展のために大きな予算を確保していただくということも、これは三木長官のひとつの大きな任務ではないかと考えるのですが、防衛関係、これはまあ国際的に見て物の役に立つものであるかどうかという点は、これは世論が判断するところですが、だれもとにかく近代戦に対してどれだけ役に立つかということに疑問があることは問題ないところであります。そういう意味で大きな科学技術進展のために、不要の防衛費等も削減をして、科学技術の発展のために役に立っていただくべきではないか、こう考えるのですが、いかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) 前段の御質問の宇宙開発、これは平和目的ということを貫かれなければいかぬことは全く同感であります。日本の科学技術振興の背骨というものは平和目的ということが原子力基本法にありますから、その精神は一切の科学技術振興に貫かれなければならぬ精神であると考えておるものであります。後段の軍事費を削減して科学技術振興費をふやすべきであるという御意見に対しては、われわれは現在の日本の軍事費がそんなに膨大なものだとは思っていない、各国に比べて。この点は、社会党の諸君と見解を異にいたしますが、ある程度の自衛力というものは必要であるという見解にわれわれは立っておる。したがって、今後膨大な日本の軍事費を予算に計上して、そしてそのためにいろいろな施策に圧迫を加えるということには私は賛成しない。しかし、この程度の軍事力、軍事費というものは世界の現状から見れば、きわめてモデレートなものである。これを急激にふやさないという配慮は必要である。したがって、それを削減して——科学技術の振興と現在の軍事費を結びつけて考える、そういう考え方は私はとらない。現在の軍事費はこの程度で多少の漸増はあってもいいけれども、飛躍的な軍事費の増大はなすべきではない。しかし、科学技術は科学技術として振興のための費用は計上していくべきである。それを結びつけては考えていないのであります。
○吉田法晴君 現在の防衛費は大したものではないというお話ですけれども、五カ年計画で見ても、二千億程度の防衛費が三千億程度にふくらんでくることは、これはもう目に見えて、数字の上にあげられておる。それから国民生活と軍事費との比較で、よくジェット機一つの金があれば、あるいはこれだけの住宅が建つじゃないか、あるいは学校が建つじゃないか、こういうことが言われておる。それから、この日本の、先ほど申しました復興と発展の方向を考えれば、三木長官、防衛費はこの程度にしろ、とにかく出さなければならぬのだという議論よりも、科学技術の振興のために、この予算の大半を確保するようにはからなきゃならぬのだというのが、あなたの立場ではございませんか。こういうことを申し上げた。その点についてはおそらく異議はなかろうと思うのであります。軍事費を削って云々という点は議論の分かれるところですから、そこはいたしませんけれども、少なくとも三木長官としては不生産的な、あるいは日本の国なり社会の発展、国民の幸福の点からいえば科学技術振興の費用を飛躍的に、あるいは予算の中でもこれは各省にまたがるものもあるかもしれませんけれども、総合的に重点を置いて拡大をしていかなければならぬ。これは御異議はなかろうと思う。 それから、原子力の問題について数年前から原子力科学の発展のために、ある程度力を入れられたわけですが、聞くところによりますと、原子力発電について予算その他の関係から、これは事情の変更もあるかと思いますけれども、停滞をして、そうして、最初の完成の日限よりもさらに長くなるのではないか、こういう実態があるようであります。それから政府のやっております原子力開発と、あるいは原子力発電等に関します予算、それから民間でなされております支出、これを比べてみると、政府の原子力関係の予算が七十億円台、民間で原子力産業に関連をして支出しております金が三十五年度で九十三億円、そしてそれが年々ふえておる。こういうことですが、これでは原子力発電の見通しがつく期限はいつか。二、三年前あるいは四、五年前ですが、相当お力を入れて原子力科学の発展あるいは原子力の産業、原子力発電を含んで、大いにやろうといった、その当時の方針なり実態とはそぐわぬものだと、こう考えるのですが、これらの点について御所見を伺いたい。
○国務大臣(三木武夫君) 今、一番実用の段階に入って——第一号炉を東海村に建設をしておるわけです。十六万五千キロワットの発電炉であります。これが三十九年の夏ごろには完成するだろうと言われておったのが、今は昭和四十年の春、多少ずれてきておるわけです。何分にもこういう初めての新しい産業を開発しようとするときには予定どおりにいかない場合もある。これはやむを得ないと思うのであります。しかし、こういう新技術の開発といいますか、それに伴う新産業の開発というものは、初めのうちはなかなかスピードが、思わぬようなこともあったりして思うようにいかぬのでありますが、いろんなその間に技術の修練を積んで参りますと、割合急激な発展を示す。徐々にというよりも、ある自信がついてくると飛躍的に発展をするような形をとるのが新技術開発の一つの姿だと思います。今はスロー・ダウンしておることは事実でありますが、それが全体としての計画に大きな変更を加えなければならぬというようなスロー・ダウンでもなければ、原子力発電の将来に対し新たに首をかしげなければならぬというような事態だとは考えていないのでございます。そういう点から、これは相当長い目で事態を見る必要があるというふうに考えておるのでございます。
○吉田法晴君 先ほどの質問の中で、国の原子力発電開発についての資金の……。
○国務大臣(三木武夫君) これは国と民間とは受け持つ分野が違っておる。国の場合は研究ということが主になっておるものですから、そこでおのずから炉も小さい。研究でありますから炉の型も小さくなってくる。そこでその研究を通じて原子力関係の技術者も訓練しようというわけでありますから、民間側とは受け持つべき役割が違ってくる。民間は、直ちに今言ったように発電のための実用炉を作ったり、あるいはまた原子炉というものの国産化をはかっていこうというのです。しかも、今は五つのグループに分かれて各社でやるわけでありますから、総額からいえば、今御指摘になったような数字になるのかもしれませんけれども、しかし、政府の原子力研究所に対する力の入れ方は、ほかのいろいろな研究機関などに比べて私は相当なものだと思う、予算の金額は。民間は、今言ったような事情で総額は多いといっても、これは果たす役割と、またグループが幾つもに分かれておるという事態からそういう金額になっておるんだが、政府が原子力平和利用に対して非常に熱意を持っておる一つの姿ではないか。ほかのいろいろな研究機関なんかに比べて相当力を入れておる一つである。不熱心ではない。それはもう少し予算でも、原子力予算もふやすに越したことはないが、それは不熱心と言うほどの予算ではない、こう思います。
○吉田法晴君 まあ、大体のテンポといいますか、それから多少のスロー・ダウンはしても大勢は変わらぬというお話ですけれども、一号炉のコールダーホール改良型の発電炉の完成の予定も八カ月延期をした。それからアメリカから購入予定の二号炉の導入についても資金難から買付が三十八年度から四十年に延びた。こういうことになりますと、やっぱり資金の問題が入ると、こういうことになる。ですから、一般論だけでなくて、具体的に資金の不足から云々ということならば、そういう点について増額を考えるべきではないか、こういうことが言えると思うのですが、その辺はどうですか。
○国務大臣(三木武夫君) 今度は二号炉の建設にかかる段階になってきておるのですが、それがおくれておるのは、資金の関係ではないのです。今まで一号炉の建設をやってみると、もう少しいよいよ建設にかかる前に準備といいますか、これをもう少し準備というものを十分にやっておくことが必要である。やり始めていろいろ設計変更があったり、材料の変更があったりすることは、 コストも上がってくるので、今は非常に真剣に事前の準備といいますか、これをやっておるので、近く非常な進展を見せるような段取りになっております。一々これを発表しますと、いろいろな点で社会的な反響も起こりますから、準備を整えてから発表しようというのが、原子力発電会社の今の方針で、そういうために多少の時間がズレておるのであって、資金難からということではない。しかし今後原子力発電というものを急速に進めていくについては、資金の面などでも、今電力会社の協調によってやろうという発電会社、これは母体になっておるのは電力会社です。将来、電力の供給源というものは原子力に変わっていくんですから、それに犠牲を電力会社が払うことは当然だと思うのだが、しかし、それにしても、やたり民間の限界がありますから、もう少し政府が資金的にもめんどうをみなければならぬ時期が私はくると思う。現在のところは、まだ二号炉の段階で資金的に行き詰まったために工事の着手がおくれておるのではないということを申し上げておきたい。
○吉田法晴君 二号炉の問題については説明とあれがありましたが、それから民間の原子力産業の線についても財政的に援助もし得るような段階にもなるだろうというようなお話ですが、数個の会社でそれぞれやっておるあれについてはその総合、それから収支について今もちろん収支償うわけではないでしょうけれども、九十三億ぐらいの支出に対して収入四十億程度、これはまあ赤字経営ならあたりまえかもしれませんけれども、総合と援助、そうして全体の政府の原子力発電の開発もですが、民間関係も含んで、開発について現在以上に援助をすべき必要があるかのように思うんですが、それらの点についてはいかがでしょう。
○国務大臣(三木武夫君) 今会社が赤字になっているわけであって、御指摘のとおりですが、こういう新しい産業を開発しようという場合には、ある程度の犠牲をやっぱり覚悟しなければならん。非常に大きな将来が原子力産業というものには約束されておるのですから、その犠牲も払うのはいやだということは、民間の企業体で原子力発電をやろうという原則に矛盾する。それなら初めから民間でやるべきで、民間側で民間企業というものの原則を主張する以上は、多少の赤字は覚悟をしなければそれは矛盾がある。したがって、今その赤字を政府が補てんするという考えは持っておりません。今後あるいは原子力発電などが進んできた場合に金融、税制の面において政府がもっと力を入れなければならん時期は来るであろう、こう考えておるわけでございます。
○吉田法晴君 次の問題は潜在的なエネルギーを科学の力で開発する問題ですが、先般石炭、電力問題で調査に商工委員会で参りました際に、国内資源であります石炭あるいは水力についても、これは残っておる分野が若干ないわけではありませんが、それだけでは今後のエネルギー源についてまだ残された分野があるのであります。原子力発電はおそらく今研究の段階で、世界的にいわれているように、いま十年近くかかるのだ。ところが地熱発電等はすでにイタリアなりその他について具体化しておるものもあることだし、この地熱を利用してエネルギーに転化する点について、もっと研究を進めるべきじゃないか。あるいは前には議論が出ましたけれども、波浪といいますか、潮流といいますかこれを利用をして、これをエネルギー、まあ潜在的なエネルギーですが、社会の中に人間に利用できるようにこれをとり上げることができるのじゃないかという問題がございました。これらの問題について、科学技術庁としてどういう工合に開発を進めていかれようとするか、承りたい。
○国務大臣(三木武夫君) この、お話のようなエネルギー源として考えられる太陽あるいは地熱、潮流、こういうものについては海洋審議会から答申も出ておりまして、非常な関心を持ってこの開発もしなければならぬと考えておるとの機会に多少詳細に申し上げたほうがいいと考えますので、政府委員から答弁をいたさせます。
○説明員(黒沢俊一君) 資源局長でございます。ただいまの低度利用のエネルギー源の現状並びにこれから先の見通しについて申し上げさしていただきます。 ただいままだ、あまり大きく利用されておりませんものは、ただいまお話がありましたような太陽熱あるいは風力、それから地熱あるいは海洋エネルギーというようなたぐいのものでございますが、これらはいずれも、在来の石炭あるいは石油あるいは水力、それから最近問題になっております原子力というようなものに比べまして、まだ研究が十分でない現状でございます。そこで、一般にこれらのエネルギー源のむずかしいところと申しますと、まずこれが自然天然の現象でありまして、なかなか人間の自由にコントロールするということが、ほかのものに比べて困難なものである。たとえば太陽熱というようなものについて申しますと、曇ればだめ、夜になればだめ、雨が降ればだめというようなことでございまして、人間がたとえば光を使いたいというときは夜でございますので、直接にそれをすぐに右から左に使うということができません。あるいは海洋エネルギーにいたしましても、波なんというものが、まあいつもあるのですか、必ずしもいきませんし、それから潮流のようなもの、あるいは潮の干満というようなものは自然現象でありまして、人間の自由の時間にそれを使うことができないというようなことで、こういうものを安定して人間の役に立てるということのために、蓄電池なりあるいは揚水式発電というようなものと組み合わせますと、現在のところまだ比較的高くつくようでございます。 そこでそれをいかにして安くするか、またその貯蔵、使用ということをどういう工合に順調ならしめるかというところが、現在の研究の一番中心になっているわけであります。 で、一つ一つ申し上げますと、太陽熱につきましては、ただいまのような夜はだめ、雨の日はだめという制限はございますが、これは蓄電池などと組み合わせまして、非常に不便な山の上におけるたとえば通信の電源というようなところには、現在の状況でも一応考えられるオーダーになっておりまして、ぼつぼつ実用化の段階に入っております。日本におきましても二、三カ所できております。 それからまた潮力発電は、これは日本が実は干満の差があまり大きくございませんので、 フランスのノルマンディとか、あるいはアメリカの東海岸というように、十メーター以上十五、六メーターの潮の干満があるというところでは計画がございますが、日本ではまだ今計算だけというくらいでございまして、これは低落差のタービンというようなものができ、そういうものが比較的安くできるというような研究が先行する必要があるわけでございます。 それから次に風力でございますが、これは吹くときは四十メーターも吹き、吹かないときはひとつも吹かないということで、これはかなりむずかしいものでございまして、むしろ太陽熱あるいは波浪、波の振動でございます。そういうようなもののほうが比較的早くものになるのではないかと思われます。で、今の波の振動、波力発電と申しますか、波力を使いまして電力を起こすというようなことは、これまたまあ特殊用途でございますが、たとえば海のまん中に置いてありますブイでありますとか、あるいは灯台の非常に不便なところの電源というようなものには実用可能のまあ見通しが立ちまして、現在そういう方向に向けて試作が行なわれているような段階でございます。 で、まあ一括してお答えいたしましたが、要するにこれらのものはなかなかその平均化ということが、これからまあ十分に研究する必要があるわけでございます。 最後に地熱でございますが、これはただいま吉田委員からお話がございましたように、イタリアとか、あるいはニュージーランドでかなりやっておりますが、こういうところの地質は日本の地質とまだちょっとその違いがはっきりわかりませんので、ボーリングをいたしますとか、あるいは蒸気の性質を調べるというような基礎的な調査の段階で、ただいま通産省の地質調査所あたりが中心になりまして試験をいろいろやっている段階でございます。
○吉田法晴君 冒頭に述べられた相手が自然天然だから利用しにくいというのは、これは科学技術庁のまあ局長の言葉とも思えぬのですが、科学自身がこの天然自然をどういう工合にまあ克服するといいますか、この自然法則を利用して人間が使うかというのが科学の使命です。冒頭に申し上げたのであります。それはまあ失言だろうと思います。取り消しを願いたいと思います。
○説明員(黒沢俊一君) ただいまお話のように、別の自然力をもって……。
○吉田法晴君 それからまあ太陽の場合に、曇ったり、それから雨が降ったりすると利用できない。あるいは夜になると利用できないというお話ですが、これはお話のとおり、蓄電の方法もありましょうし、エネルギーを貯蓄する方法でございますから、それもあまり理由にはならないと思うのです。それから科学的にあるいは大規模に利用することは、これはまあ課題ですけれども、現に民間で春から夏にかけて屋根の上で水を暖めて風呂に利用している例等もある。これはまあ大した科学じゃありませんけれども、現に太陽熱等を利用している事例があるのですから、それを科学的にあるいは政治の力で大規模に利用する方法を考えるべきじゃないか。あるいは考えなきゃならぬという問題だと思いますので、雨の場合はだめだ、夜はだめだという話も、これはやっぱり撤回を願わぬといかぬと思います。で、話を私どもしております間に、同僚議員の中から、あるいは太陽熱の利用について早稲田大学の河原田名誉教授等が相当研究をしておられるという話等もございます。それらの研究を組織をする。援助をして長官の言われる総合あるいは強力に推進をする。これがまあ科学技術庁の任務だろうと思いますので、その線でひとつお願いをいたしたいと思います。 それから、現にまあニュージーランドの政府代表が来ておられるというお話ですが、 ニュージーランドで六万九千キロの地熱発電が現に実現化している。こういう話も聞きます。しかし、これはイタリア、ニュージーランドの経験は、あるいは科学の発達は飛び抜けている。こういう話ですけれども、こういう機会にこれは大臣かだれかしりませんけれども、交換をされてもいい問題だと思います。今の説明を聞きますと、地質の差だとか、あるいは蒸気の状態だとか、そういうイタリア、ニュージーランドと日本の条件とが違う程度を調査している程度にとどまっていると言われますが、これは入り口のところということでしょう。日本の地熱をどういう工合に利用するか。これは温泉なり何なりを考えますと、イタリアなりニュージーランド以上に、地表近く来ている熱量はむしろ日本のほうが多いのじゃないかとさえ考えられます。もう少し積極的に総合推進の御努力を願いたいと思います。 それから、この海水については落差が少ないから云々という話でしたけれども、これはまあ話の中に出ました風のごときは、昔は風車を利用しておった。干満の差、あるいは干満の際に潮の動きます潮流の力は、われわれが関門海峡で見ても、あるいは鳴門海峡その他で見ましても、これは現に目の前に見えているエネルギーだし、それを方向が一定していないということはありますけれども、黄河の水さえ電力になっている。そうして百年河清を待つという言葉が事実現在の科学で克服ができて、百万近いエネルギーになっていると思いますが、風車のようにどこから吹いてきても、吹いてくる方向に従ってその風力が利用できるという方法を、潮流なら潮流に使うことはそうむずかしい問題ではないのじゃないか。問題は、この研究なり、あるいは科学の力でエネルギーに転化をする方法、それから、その調査の費用の問題に私はかかって参ると思いますので、その点は具体的にこれらのエネルギーの利用についてもそれぞれについて具体的に調査の費用を増大をして、その開発利用のために一そうの努力を願いたいと思うのですが、それもひとつもう一ぺん御説明を願いたい。
○国務大臣(三木武夫君) 今エネルギー源として太陽とか潮流とか、あるいは地熱、これはやはり力を入れてみる値打ちがある問題。これはまあすぐに短期間に結論が出るというものでもないですが、こういう問題について科学技術庁でもいろいろ研究機関も分かれておりますが、これの予算獲得には一段と力を入れていきたいと思っております。
○吉田法晴君 それでは、まあ局長からの答弁はいいです。 先ほど同僚議員の中からも、研究公務員の処遇の問題について御質問ございましたが、今までの国会の科学技術関係の決議を見ますと、個々の科学技術振興のための方策はまあいろいろございますが、その中で一番多いのは技術者、研究者の処遇の問題。機構の問題は先ほど小笠原議員あるいは秋山議員から質疑がございましたから、研究公務員の処遇の改善問題について具体的にお尋ねをいたしたいのでありますが、決議のなされました、あるいは勧告が昨年なされて、そうして若干の改善がなされたことも知っております。しかし、それを含んで見ても、まだ科学技術の振興に十分な待遇がなされているとは考えられない。そこで大臣なり、あるいは関係者からの御説明をいただきたいと思うんですが、なお給与の点について、民間と公務員との間にはまあ一万近いやはり差が残っている。それからおそらく定員も少ないが、定員一ぱいにいっていない。あるいは新規採用の場合にも、民間の給与がいいから、学校の成績のいい者はほとんど上のほうから民間にいって、大学へ残る者さえ少ないというのですから、おそらく研究公務員——さっきまあ事務関係といいますかの関係の公務員に比べて、技術関係の公務員が非常に差がある。身分の点についてもいろいろな差があるというお話がございましたが、給与の面でも差がある。そこで大学を卒業する者などからいうと、上のほうから民間に回る。それから中ぐらいのところを先生がまあ勧誘をして学校にいる。あるいは中ぐらい以下のところが研究公務員にいくというようなことが現状ではないかと思うんですが、おそらく完全な充足もできていないのじゃないかという疑問さえ持つのでずが、それらの実情と、それからこれに対する態度について大臣に伺いたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 御指摘のように、民間の給与、これは非常にベース・アップされていくものですから、どうも追っつかない。どのくらい——二割ですか、今相当な開きができていることは事実であります。しかし、これは民間と研究公務員とが常に一緒の給与でなければならぬと考えることもどうか。やはり国の研究機関に携わっているという名誉、あるいはまた、その研究機関というものの設備がいいとか、そういうふうなこともあわせて考えなければなりませんので、常に民間と同じでなければならぬとは考えませんが、あまり差があるということになると、どうしてもこの給与条件というものは、新しく入ってこようという者に対して、非常に魅力にもなるわけでありますから、これはもっと改善しなければいかぬというので、人事院に対しても強くわれわれとして要請しているので、多少は改善されたが、これは詳しくは事務当局から御説明申しますが、どうも満足するに至らない。それで初任給も多少改善されたし、あるいは能力給を採用できるような余地もできてきております。何分にも全体としての財源が限られておるものですから、そう大きな給与条件の改善にはならない。先ほどの小笠原君でありましたかのときにもお答えしたのでありますが、人事院にもそういう技術者出身の者を今度人事官に入れて、内部からもそういう点で給与の勧告を出す場合に、もう少し技術者というものに理解を持つような人事院であってほしいということで、人事院などにも、われわれが推薦して人事官が入ったわけであります。これはよほど今後力を入れていかないと、どうしてもやはり民間のほうに優秀な人が行って、そうして優秀な人たちを国の研究機関で取りにくい。優秀な者は国の機関に全部集まって、民間は粗末なできでいいとは思わぬけれども、少し優秀な人も国の機関に入ってこないと、研究の水準が非常に低下いたしますから、これはよほど力を入れていかなければならぬ点だと思います。現状に対しての説明は事務当局からいたします。
○政府委員(前田陽吉君) 充足状況でございまするが、科学技術庁の航空技術研究所並びに金属材料技術研究所等につきましては、大体におきまして研究者の採用が何とかできておる状況でございます。それで三十七年度は具体的の例でございまするが、三十七年度の大学卒業者の採用につきましては、十五名採用を希望しておる状況でございまするけれども、十一名が現在内定しておりまして、約四名が不足しておるわけでございますけれども、これに対しましては極力なお関係大学等にも呼びかけております。また所内におきましても大学出ではございませんけれども、上級試験等に合格している方もおるようでございますが、そういう方をあわせて併用いたしまして、充足に遺憾ないように研究所のほうで極力努力しておる次第でございます。金属材料技術研究所につきましても大体同様でございまして、十四名の希望に対しまして今のところ十二名が内定いたしております。差はわずかでございますが、こちらにも上級職の公務員試験に所内で合格した者などがおりまして、そういう者からの充足によりまして研究業務に遺憾ないように努力しておるところでございます。
○吉田法晴君 ついでにお尋ねをいたしますが、先ほど大臣から給与の点で具体的に御説明ございませんでしたが、なるべく近い時点で民間の研究職の給与と、それから研究公務員の給与がどれくらいになっているか、伺いたい。
○政府委員(前田陽吉君) 昨年の人事院の勧告の際に、民間の研究者と研究公務員の差は二三%程度でございまして、七・八%勧告によりまして研究公務員がベース・アップされることになったものでございますから、なおかなりの差があるわけでございます。こういう点につきましては大臣からも御答弁ございましたように、今後極力努力いたしまして、その差を埋めるように人事院等とも交渉してみたい、こういうように存じておる次第でございます。
○吉田法晴君 民間の平均で幾ら、それから公務員の研究職で幾らという数字はございませんか。大臣にも知っておいていただく意味においてぜひ。
○政府委員(前田陽吉君) 公務員のこの給与は、勧告によりまして平均二万九千六百七十五円、それから民間従業者、研究に従事しております職員の給与は三万六千五百六十二円、これは人事院の調査であります。
○吉田法晴君 いつ現在ですか。
○政府委員(前田陽吉君) 昨年の勧告によりました数字でございます。昨年の八月でございます。
○吉田法晴君 そうすると九月からですね。……これは直接的には研究公務員のことを問題にしたのですが、大学の教授、それから民間の研究技術者、こういうものも関連があるわけですが、私は別な機会に学校の先生、特に大学の先生、これは研究公務員と同じようにやはり科学技術が実際にどれだけ振興するかという問題のやはりかぎになります。研究公務員も、今、説明がございましたように民間と七千円くらいの差がありますように、大学の先生についても、やはり民間に比べてみるとはるかに昇給は十分じゃない。しかも、これは今、給与の問題を問題にいたしましたが、研究費については、これは戦前に比べるとはるかに低い。給与の問題と、それから研究費を増額してもらいたい。そのことが直ちに科学技術の振興のために大きな、これはかぎになるということを言ってきたのですが、研究公務員だけじゃなくて、大学の先生あるいは民間においても科学技術の研究に従事する者の処遇については、全般的に考えていただきたいと思うのですが、そこで給与の問題のほかに——今給与を取り上げましたが、国の研究機関での研究費の点については、私は大学と同じように不十分だと思うのです。その点についてはどういう工合にお考えになりますか。 それから飛躍的なやはり増加を願わなければならぬ大学の例で言いますと、年間にはなはだしいところに参りますと、まあ一学科といいますか、何冊かのとにかく外国書が買えるにとどまっておる。それでたとえば裁判官も、一ころ裁判官の職務を遂行するについては、不十分な待遇だということで問題になり、あるいは勧告の中にも入ったりいたしましたが、給与のほかに、これはいわゆる公務員の間に、管理職なんかについては管理職手当というものがあるのでが、研究については、給与もですが、それ以上に研究費の高というものが今、非常に問題になるわけです。その点については、研究費についても、それから大学についても、あるいはそのことはひいては民間にも響きますが、科学技術振興の具体的な裏づけになります研究費の増額について、一そうの御努力を願わなければならんと思うのですが、その点について御説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 科学技術庁で所管しているような研究所に対しましては研究費もふやしたのでございますが、しかし、どうも全般的に見て、日本の研究費というものは、もっと力を入れなければならん面があるということは、御指摘のとおりだと思います。それは研究所から大学に至るまで、もう少し研究費というものを出して、すぐに効果がないにしても、これは大きな民族の投資であるという考え方で、力を入れていく必要がある。われわれとしましても、できるだけふやそうと努力をしましたけれども、十分とは思っていないのでございます。
○吉田法晴君 それから各機関の総合の点については、先ほど質問、答弁があっておりましたが、科学技術会議の試案の中に、研究員を集めやすくするために、国立研究機関を特殊法人化したらといった構想もあったようですが、先ほどの総合構想にも関連をして、そういう機関の性格について、どういうふうな構想がございますか。
○国務大臣(三木武夫君) 先ほど申しましたごとく、科学技術会議では国立研究機関のあり方を諮問しているわけでございますが、この中には今吉田委員御指摘のような、国立研究機関の性格といいますか、いかにあるべきかという問題もあわせて検討をしてもらうことになっておるのでございます。特殊法人の組織なども検討に値する問題であろうと考えます。
○吉田法晴君 最後に学位の問題についてお尋ねをいたしたい。 衆議院で科学技術特別委員会で討議あるいは研究があって、決議が行なわれておりますが、現状とそれから方向は承知をいたしておるのでありますが、ことしの三月三十一日で旧制大学院はなくなる、そこで大学院がなくなれば旧学位令による旧制の学位を授与するという方法はなくなって、新制による、いろいろ私、調べもし、それから多少の意見等も聞いたのですが、やはり新しい制度では博士課程が中心になって、そうでない、論文を提出して、学位を請求するという方法もあると言われますけれども、それはやはり博士課程に準ずるという、やはり精神がある。それは五年でしたか、あるいは医学の場合には十年以上ということ、大学院におって、そしてそれで博士になる。それが主流で、それに準ずる方法としての論文審査方法もある。したがって、準ずるのですから、実際に行なわれているように、あるいは行なわれようとしているように、やはり二カ国語の試験をするということが必然的に伴う。そうしますと、これは私どもが話をしている際に出てくることですけれども、かつての牧野博士のように、自分で勉強をされた、植物学にかけては自他ともに許す世界的な学者ですけれども、そういう人が、じゃ論文を提出し、語学の試験をするといえば、試験を受けられるかといえば、そういうあれに対しては、おそらくこれはそういうことまでして、学位がほしいとは思わんということになるだろうと思う。あるいは、これは多少私も関連をしますが、法律学なら法律学について言えば、裁判官、弁護士あるいは政府なり国会の法制局等におる者が、実務のかたわら研究を積んだところが、そういうものを社会的に認めてもらうために博士号を取るということは、これは新制度のもとでは、やはり閉ざすことになる心配がある。それから大学だけではなかろうと思う。あるいは国立の研究機関だけではなかろうと思う。野にも遺賢があれば——国なり、あるいは社会なり、あらゆる分野における科学の研究、あるいは発展の要素というものを取り上げて、いずれの場所についてなさる研究にしても、それを取りまとめる。あるいはそれに権威づけをする。そして発展をはかるというのは私は科学技術振興という点から言えば、必要だろうと思うのですが、どうも新制度は相当研究をしてみても、狭き門といいますか、やはり門が狭くなっておるように考えるんです。この問題について文部省からも来ていただいておるようでございますから、問題にし質疑をいたしたいと思います。
○説明員(岡野澄君) 新制学位論文の取り扱いの問題につきましては、先般も衆議院の科学技術特別委員会において決議がなされております。その御趣旨はただいま御指摘のあったと全く同様な御趣旨と解釈いたします。新学位制度による論文提出による学位申請者について、その方の学歴、年令等のいかんを問わず、その研究の成果を正当に評価して旧制度におけると同様に学位を授与するというような処遇について考慮せよという御決議をいただいたわけでございます。この点につきましては文部省でも、かねていろいろな意見をちょうだいしておった際でございますし、このことについて研究を進めて参った次第でございます。学位に関する事項の変更につきましては、御承知のように大学設置審議会の議を経る必要がございますので、先般来大学院を持っております大学当局者の意向も徴しましたり、またこの審議会の内意を聞きましたところ、審査方法の改善につきましては異議がない模様でございました。 なお細部の点については検討を要するということでございましたので、先般大学設置審議会に文部大臣が諮問しましたそれは、論文提出による博士の学位の授与方法の改善についてということで、理由を添えて諮問をした次第でございます。その理由といたしましては新制度における学位授与の方法のうち、論文提出による博士の学位を授与する場合の授与の方法及び審査の方法については、旧学位令による学位の授与が本年三月三十一日をもって終了することとも関係して、種々検討を要する問題があり、研究者の処遇という点からも改善を要望する意見があるので、検討の上改善をはかりたいということで、実は先般大学設置審議会に諮問をいたしたところでございます。現状はそういうことでございます。
○吉田法晴君 大学設置審議会に諮問をした諮問の内容の御説明でございましたが、これは衆議院の決議もあり、それからその審査の方法については改善について異議はないと、細部についてはなお検討を要すると、こういうことのようですが、新制度はやはり博士課程が中心になり、それから今の大学院を設置をしておる学校の学長等に諮問をしたということですけれども、今のとにかく新制は、新しい学制、あるいは新しい学制による大学、あるいは大学院を持っておる大学が中心になっているのですね。そこで出てくる審査方法についても、二カ国の外国語の試験をするかどうかというその方法に限られると思うのですが、そうすると、決議の精神を全面的に取り入れて、改定を審議するかどうかということにはならぬのじゃないかという多少心配もあるのですが、どうですか、御所見は。
○国務大臣(三木武夫君) 私もやはり学位というものは、学問の奨励に相当関係を持つものである、そういう御意見がありましたので、文部省にも意向を伝えて、何らかの、新制によればきわめて狭い門であります。学習課程の問題なり、外国語も二つの外国語を要求されておるわけであります。そういう点で、もう少しそれがほんとうに学問をして、学位を授与するだけの資格を持っておる人に、そういう点であまり狭き門にすることはよくないのではないか、そういう線に沿うて検討をしてもらいたいという強い希望も伝えてあるわけですから、今その名前は何といいますかね、その委員会……、大学設置委員会の人たちが自分のところにその新しい制度の学生を抱えておるからというような狭い量見で、この文部大臣の諮問案をこれは検討しないだろうということを私も期待しておるのであります。
○吉田法晴君 文部省にお尋ねをいたしますが、この審査の方法についてだけ諮問をしてあるわけですが、この政令なり、あるいは法律自身については検討あるいは改正を加えるというあれはないのですか。
○説明員(岡野澄君) 現在は考えておりません。
○吉田法晴君 政令についても。
○説明員(岡野澄君) はあ。
○吉田法晴君 そうすると、これは文部大臣が出ておられませんから、科学技術振興という点から科学技術庁の長官にお尋ねをしなければならんですけれども、新制の基礎になりました法律ですね、それから政令はそのままにしておいて審査の方法だけを改善というか、するかどうかということで審査の方法について検討を願いたい、こういうことなんです。そうすると、先ほど例をあげましたけれども、審査の方法が二外国語についてやるかどうかというようなことに限って参ります。その中には外国書を開いて、二、三行読まして、こまかく翻訳させるのじゃなくて、読めるかどうかということを審査をする、そういう程度にとどめております。あるいは東大の前学長であったかと思いますが、いやその二外国語の試験をするというような方法じゃなくて、書いた論文が代作であるかどうかを確める程度だ、こういうような方法については、いろいろ意見がある。それはそれぞれの大学にまかしてあるわけです。ところが、牧野さんのごときは、そういう試験をするなら、試験を受けてまでとにかく学位をとろうとは思わない、こういうことになって、方法がどうであろうと、そういう新しい博士課程に準じて、時間まで言わぬにしても、同じような、とにかく語学力があるかないかという試験をする、その試験の仕方も、それはいろいろありましょう。本人であるかどうかという点に主眼をおいてやる程度にとどめる。こういわれても、試験をすること自身に変わりはない。そうすると、試験の方法だけについて審査をする、あるいは検討してみる、こういうことでは、これはやはり問題が残る。ですから政令なり、制度にも関連する検討を願わなければならぬと思うわけなんです。文部省の今のやり方は方法について云々ということでありますから、もう少し高い見地から再検討願うことを今後、約束ができなければ決議の精神というものは生かされない、こう思うんです。
○説明員(岡野澄君) 多少補足して御説明申し上げたいと思いますが、学位に関する事項は、法律に書いてございます。それは学校教育法の六十八条でございまして「大学院を置く大学は、監督庁の定めるところにより、博士その他の学位を授与することができる。博士その他の学位に関する事項を定めるについては、監督庁は、大学設置審議会に諮問しなければならない。」これが法律でございます。それ以外に政令はないわけでございます。あとは学位規則という文部省令があるわけでございます。大学設置審議会の従来までの決定によりますと、いわゆる論文博士は、大学院に在学して所定の単位をとった者と同等以上の内容を有する論文を提出し、かつ専政学術に関し同様に広い学力を有することを試問により確認された者でなければならない、こういうことになっているわけであります。先般来の特別委員会の御決議等の問題は、試問により確認されなければならない、その試問の方法がやはり問題になっているわけでございまして、その試問は外国語については二種類以上課するというようなことが決定されておりますので、その試問の方法を改善する必要がある、こういうふうに私どもは考えまして、大学設置審議会に対しまして改善のことを諮問したわけでございます。現在は、その試問をどうするかということでございますが、これはおそらく御意見のあるところを参酌いたしまして、大学設置審議会もこのような方向で結論が出るだろうと期待できる状況でございます。
○吉田法晴君 衆議院の決議は、試問の方法について改善をする必要がある、こういうことで決議がなされたという話ですけれども、手元にお持ちかどうかしりませんけれども、決議にはこう書いてあります。「科学技術の振興が、大学関係者のみならず、広く各界の研究者及び技術者の学術研究の成果にまつところ極めて大であるにかんがみ、」、この点は私も大臣も同じ意見であったように存じます。「政府は、新学位制度のもとにおいても、一般研究者及び技術者に対して、その学歴・年令等の如何を問わず、その研究の成果を正当に評価し、旧制度におけると同様に学位を授与する等その処遇について、格段の考慮をはらうべきである。」、こういうことで、方法だけには限っておりません。学校に行っておろうかどうか、あるいは大学へ行ったかどうかということに限ってない。一般の研究者及び技術者に対して「その学歴・年令等の如何を問わず、その研究の成果を正当に評価し、旧制度におけると同様に学位を授与する等その処遇について、格段の考慮をはらうべきである。」と、方法だけには限っておらぬ。
○説明員(岡野澄君) 御決議の内容は、今御指摘のとおりでございますが、現在でも学歴や年令のいかんを問わず論文博士は授与することになっておりますのです。具体的にそういう何と申しましょうか、今御指摘のような欠陥をなくすることは、その試問の方法いかんによるわけです。具体的に考えますと、そこに問題がございますので、そこで大学設置審議会に諮問をしているということでございます。
○吉田法晴君 あなたは、試問の方法が問題だと言われる。しかし、決議なりさっきから問題にしているのは、試問それ自身も問題だ。審査の方法は別問題ですよ。審査は別問題だけれども、試問と論文のほかに業績研究の成果、これをとにかく審査をするという点を否定をしておるわけではない。しかし、成果あるいは業績というものを審査するについて、その成果それ自身あるいは業績それ自身のほかに試問をすると、新しい制度なりあるいは規則には書いてあるから、そこで、その試問をすることの可否を含んで審査の方法について検討をしてくれと、こういうのが、あるいは改善をすべきだというのが決議の精神だし、私も問題にしている。あなたは、試問の方法だけと、こう言われた。
○説明員(岡野澄君) 私の言い方が不徹底でございまして申しわけございませんが、まさにそういう試問するそのことを含めまして諮問をいたしたわけでございまして、その点は試験をするかしないかということも含めて、改善について御意見を問うております。なお、先ほど政令は改正する必要がないと私申しましたけれども、政令は学位についてないためでございまして、もし答申が出ますれば、学位規則の改正は考える、こういうことになるわけでございます。
○吉田法晴君 まあ現状と文部省の方針がわかったからけっこうです。 あとは、これは決議の精神なり先ほど来の大臣の答弁、それをどういう工合に生かすかという点が問題。それで、私は文部省の説明にもかかわらず、なお申し上げておきたいのは、これはやっぱり学校教育法という法律による制度の改廃、それがまあ問題になり、それから学校教育法と新制度、その新制度の中心は、問題の点は、博士課程が中心になって、これに準ずる学歴あるいは科学技術の研究の成果というものをどう評価するか、こういうことになっているんだから、多少論議を生かしまして、方法だけじゃなくて、評価の方法をも含めて改廃の点について検討しなけりゃならぬ。それから多少文部省は、学校教育法を守ろうというこれは当然のことでありますけれども、そういう心理がこれは働きます。それから大学設置審議会にしても、先ほど話があったように、やっぱり大学院を設置している大学、これは人間の自然の心理として、やっぱり大学で博士課程を通った者が何といっても中心に考えられるのは、これは人間の自然の心情の結果でもあろうと思う。それをこえて科学技術振興のためには研究者の成果を正当に評価する道を旧制度同様に考えてやらなければならぬ、こういう問題だと思いますので、文部省に言うところがあったという話もございましたけれども、なお一そうの御努力を願いたいと思います。それから私どもがどうするかという点は究研いたしたいと思います。要望を申し上げておきまして質問を終わります。
○横山フク君 時間がないので簡単に、ただ一、二問だけに限りたいと思いますけれども、この間新聞に、正式の名前は記憶がないんですが、エカフェのアジア経済開発委員会、あれが東京で開催された。それに日本の代表の氏名が載っておったわけなんです。科学技術庁から実は出てないんです。今開会前に聞いたところでは、課長が出たのであそこには載る立場でないと、こういう話なんです。しかし、アジアの経済を開発するには科学調査というものが前提になっているんです。その前提の上で経済の開発をするというのでなければ、もうあとさきになる形がずいぶん出てくると思うのです。また科学技術庁が本来の設置された形から、使命からいってもこういう際に当然発言権を持って、そうして乗り出していくべきである。私はそういう意味で今度会議がせっかく東京で開かれ、旅費がかかるわけでもなし、費用がかかるわけでもない。そういうところにしかるべき人が送り出されなかったということは、非常に資源の問題の調査というものを科学技術庁そのものが重視しなかったというような意味において、非常に遺憾に思ったものです。あの当時のいきさつ等を御説明願いたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 横山委員の言われますように、アジアの経済協力、その中に技術協力というものが中心の課題であります。そういうので、資源局の橘課長をエカフェの会議に派遣して、行く前にも帰ってからも、私は非常に関心を持っておる問題の一つですから、事情を聴取いたしたのであります。今度も橘委員、資格は随員という資格ですが、参加をしておる。これはいろいろ窓口は外務省になってやっておりますが、もう少し科学技術庁としてもあの会議にもっと強力に参加したほうがいいだろうと思いますが、しかし、そういうパイプが通じておるわけでございます。もっとこれは将来力を入れていかなければならぬと思っております。
○横山フク君 パイプが通じておるのは私はわかったんですが、やっぱりああいう会議にはしかるべき立場の人が、しかるべき肩書きにおいて出るということが私は大事だと思うのです。やはりそうでないと、当然発言すべきところでも発言の機会を失うとか、あるいは指導権を持って科学技術を重点に置いて、それが先行して、それからあとで運輸省なり、あるいはほかの立場の人がするということが私は本来の筋だと思うんです。そういう意味で非常に残念だと思うのです。 それから今、吉田委員の質問の中にも地熱発電があったのですが、あれを聞いておって、私は資源局長が答弁するのは自体無理なんじゃないか。結局技術庁の資源局でもってそういう問題を資源的に調査する段階にまだないんじゃないか。もっと資源局というものを大きく拡大していく、そしてそういうものの調査ができて、それが答弁できるという形にするということがこれから先なさるべきではないか。それがないから、それで資源局長がやっぱりああいうようなまことに酒脱な答弁にしかなり得ないのではないかというふうに私は思うのですが、これはまことに無理な立場で、現在資源局長の立場でやっていないことをするという形で、非常に無理だったと思うのです。それからまた、これはあとでいずれ各部局の説明があった後に、そういった問題等についても質問したいと思うのですけれども、地熱発電にしても、あの場合に資源局長が答弁するのではなくて、あれは前の原田官房長が振興局長になって、あそこの場所でやっぱり何かしたりして、いろいろあると思うのですが、こういう問題は、まあいずれあとで部局の説明があった後に、いろいろ質問や何かしたいし、また少しハッパをかけてもみたいと思っております。でございますが、役所のほうでももう少し資源局、まあたとえば水資源にしましても、資源的なものを考えてから後に、あるいは建設省なり、厚生省なり、通産省なりでこれを考えるべきだと思う。ところが先に建設省のほうなり、厚生省のほうなり、通産省のほうで発言権を持って、資源のほうの本来の資源局はそれにあまりタッチしないという形は、これはほんとうに国の政治のいき方としては違っていると思うのです。あとさきになっている。日本の国の政治がすべてあとさきになっている。道路が狭いのにバスが大きくなって通るから、道路が大きくなるというような格好になって、あとから追っかけるというような格好がそこにあると思う。そういう意味で資源局のあり方等に対しても、もう少し長官に活を入れていただくようにお願いいたしたいと思うわけです。
○国務大臣(三木武夫君) 横山委員、いろいろ経験者だけにそういう資源局のあり方に対しての御注意はありがたく承っておく次第でございます。私も資源局というものはもう少し機能を強化さるべきである。いろいろこのごろはそういういろんな資源調査とか、あるいは資源的に見た日本の国土計画、いろいろ新しい分野で活躍しなければならぬ舞台があるわけですから、この資源局というものの行政機能を強化することについては、私も検討を加えているのでございます。
○委員長(森八三一君) 他に御発言もなければ、長官の所信表明並びに科学技術庁関係予算に対する質疑はこの程度にいたします。速記をやめて。 〔速記中止〕
○委員長(森八三一君) 速記を始めて。 本日はこれをもって散会いたします。次会は公報をもって御通知申し上げます。 午後四時四分散会