予算委員会 第19号
- 発言数
- 23 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1962/03/03
会議録
○山村委員長 これより会議を開きます。 この際政府より発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣。
○池田国務大臣 今回の大気圏内における核実験に対しまするアメリカ大統領と私との交渉の経過につきましては、外務大臣より申し上げることにいたします。
○小坂国務大臣 大気圏内における核実験に関しまして、今回アメリカ大統領の決定があるということで、池田総理は、三月一日ライシャワー・アメリカ大使の来訪を受けまして、この決定の理由を説明するケネディ大統領の親書を受け取りました。 この親書によりますれば、アメリカ大統領としては、核兵器実験に対する日本政府及び日本国民の深い関心を十分承知はしているが、ソ連が昨年核実験モラトリアムを破った結果として、将来における自由世界全体の軍事的安全を守るために、不本意ながら今回の決定を下すに至った趣でございます。 池田総理は、ライシャワー大使に対し、日本政府及び日本国民としては、理由のいかんを問わず、すべての核兵器実験に反対であり、従って、この大統領の決定に対しても抗議するものであるということを述べました。 さらに、池田総理大臣は、二日、ワシントンの朝海大使を通じてケネディアメリカ大統領に返書を送りました。朝海大使は、二日の十二時半から二十分、余人をまじえずケネディ大統領と会談をいたしました。核爆発の惨禍を身をもって体験した日本国民の核兵器実験に反対する気持を伝え、今回のアメリカ大統領の決定に遺憾の意を表するとともに、大統領はこの決定をとりやめるよう強く要請をいたしました。 しかし、今次アメリカ大統領の決定は、米国が実際に実験を行なう以前に、さらにソ連に対して有効な核実験停止協定の締結を呼びかけることを明らかにしておりますので、日本政府としては、米国政府のこの努力が実を結んで、アメリカの核兵器実験が実際には行なわれないで済むことを熱望するものであります。そこで、ここに、日本国民の名において、米ソ岡田政府に対して、世界の平和と人類の福祉のためにすみやかに有効な核実験停止協定を作り上げるように最大の努力を払うことを要請したいと考えておるのであります。 なお、ケネディ大統領は、朝海大使に対しまして、ソ連が有効な核実験停止協定に同意すれば大気圏内の核実験停止をやめるということにやぶさかでないという気持を述べたといわれております。 なお、往復の書簡をここに御公表申し上げたいと存じます。 池田総理大臣にあてたケネディ米国大統領の書翰親愛なる総理大臣閣下 貴国政府ならびに貴国民が核兵器実験に深い関心を寄せられていることを私は知っておりますし、また、われわれは昨年六月重大な国際問題についてはお互に協議することに合意致しましたので、私はこの親書を貴下にお渡しするようライシャワー大使に依頼した次第であります。 慎重な考慮を払った後に、私は全く不本意ながら、大気圏内の核兵器実験再開を命じるほかなしとの決定に達しました。私はこの決定が、米国内でも国外においても、多くの人々に失望を与えることを知ってはいますが、自由世界全体の軍事的安全保障のために今やこの実験が必要になったのだという唯一の、そして決定的な理由にもとづいて、この命令を出すものであります。われわれ全体を危地に陥れかねないソ連の前進という危険を避けるべきだとするならば、一九六一年にソ連によって無ざんにも破られた核実験停止取り決めをわれわれの側だけが守り続けることはもはやできないのであります。 この決定が純軍事的な考慮にもとづいて行なわれたものであることは如何に強調してもしすぎるとは思いません。ソ連が行なった最近の一連の大気圏内実験を研究し分析した結果、時がたつにつれて軍事力の均衡をソ連に有利ならしめるかも知れない技術と設計の長足の進歩がとげられたことが明らかになりました。米国の大気圏内実験の再開は道徳的に悪いと主張している人々がおりますが、米国とその同盟国が外交的強要、さらには直接的軍事行動に傷つき易いものになる程度にまで、米国の抑制力をソ連よりも低下させることは不道徳の極みであると私は信ずるものであります。 わが国が国際的な管理と保証という合理的な制度の下における核その他の軍縮の実現を目指して今後も強力に前進することを私は貴総理大臣閣下に確約致したいと思います。ソ連は一九六一年に一連の核実験を行ない、核兵器競争を劇的に激化させました。それでわが政府はあらゆる危険を伴う核競争に終止符が打たれるに登るまで努力を続ける考えであります。この目的のために、われわれはきたるべき十八カ国軍縮会議において絶大な努力が払われねばならないと提案しました。 私は核実験再開を命令しようとしていますが、準備中の一連の実験は四月半ばまでは開始されません。そしてそれまでの間にわれわれはソ連政府に対し、英国およびわが国とともに効果的な核実験禁止条約に参加するよう重ねて要求しつづける積りであります。もしこのような条約がこの基間内に調印されれば米国の大気圏内核実験は行なわれないでしょう。 私は三月二日、金曜日に米国民に向けて重要演説を行なう予定でありますが、その中でこの政府の立場をさらに意をつくして説明致します。この書簡と今度の私の演説によりこの止むを得ぬ決定を行なうに至ったことを私が如何に遺憾としているか、また核実験という危険な分野においては特に効果的な管理を伴う軍縮の必要性をソ連政府が認めるに至ることを私が如何に深く切望しているかを閣下にはっきり知っていただけるものと信じます。 私は自由世界の諸国民にとってきわめて重大な安全保障のためにわが政府がとらざるを得なくなっているこの措置を閣下および日本国民が理解して下さるようお願いする次第であります。 敬 具 一九六二年二月二十八日 ホワイト・ハウスにて ジョン・エフ・ケネディ ………………………………… ケネディ米国大統領へあてた池田総理大臣の返簡 大統領閣下 今回の大気圏内核兵器実験再開決定の発表に先立って、閣下が、ライシャウァー大使を通じて、私あての書簡により、右決定の事情を説明されたことは、重要国際問題については互いに協議するとの昨年六月の了解に沿うものであり、かつ、わが国政府及び国民の核兵器実験に対する重大な関心と危ぐについての閣下の理解を示すものとして、私の深く多とするところであります。 書簡において閣下が説明されている核兵器実験再開を決定せざるをえなかったことは、昨年秋ソヴィエト連邦が全人類の期待を裏切って核兵器実験停止を一方的に破り、しかも数十問にわたる実験を強行したことによることと思われます。 しかしながら、昨年六月閣下との会談においても述べましたように、わが国としては、核兵器実験は、理由のいかんを問わず、あくまでこれをさけられるよう常に切望して参りました。特に、核爆発の惨禍を身をもって経験した日本国民としては、大気圏内核兵器実験が実施されることは、まことに遺憾にたえないのであります。 核兵器の異常に発達した現代において人類全体の福祉と安全並びに世界平和確保の緊急性を考えてみるとき、東西両陣営の間においてこのような核兵器競争がいつまでも続けらるべきでないことは明らかであります。つきましては、私は、閣下が核兵器実験再開についての今回の決定をとりやめられることを強く要請せざるをえません。 かかる見地からいたしましても、私は、閣下も書簡の中で述べられているように、貴国が大気圏内核兵器実験を実際に再開する前に、関係諸国の努力により、有効なる国際管理及び査察を伴う核兵器実験停止協定が成立するよう、閣下におかれて絶大の御努力を尽されんことを期待してやみません。 私は、この書簡に述べたところにより、閣下及び米国国民が、日本政府及び日本国民の意のあるところに重大な関心を払われることを強く希望いたします。 敬 具 昭和三十七年三月二日 池田 勇人 以上でございます。(拍手)
○山村委員長 この際議事進行について小松幹君から発言を求められております。特にこれを許します。小松君。
○小松委員 議事進行の意見として申し上げたいと思います。 予算委員会において昨日質疑は終結いたしたのでございますが、その際、わが党の横路委員から政府に、アメリカの核実験再開に関する往復文書の公開、あるいはそれに対する政府の所信の表明を求めたところ、今朝にあたりまして本予算委員会に内閣を代表してアメリカの核実験再開に関する事情を公表されたわけであります。そこで、私は、このきびしい事実に立って意見を申し上げ、そして、要望として政府にお願いしたいのでございます。 核実験再開はやむを得ないという前提のもとに、今日アメリカは大気圏内におけるところの核実験再開を公表いたしたわけでございます。しかしながら、核爆発によって犠牲を受けた日本国民の立場とし、また感情とし、あるいは利害を通して考えてみたときに、いかなる理由があろうとも核実験の再開には反対せざるを得ないのであります。この国民の切実なる要望を受けて、池田総理は、池田内閣は、アメリカ政府にその実験再開を取りやめてもらうことを強く要請してもらいたいのでございます。ただいま報告なりました文書によりますと、強く取りやめることを要望しておりますけれども、実際の実験再開は四月中旬以降と言われてございます。それまでには一カ月有余の時間もあることでございますから、政府としては、ただ一片の外交文書に終わることなく、真実の悲願を訴えて、ぜひともアメリカに猛省を促していただきたいと思うわけでございます。私どもは、ただ政府にこのことを要望するだけではなく、国会においてもこの政府の決意を強くバック・アップして、今後とも私どもは国会におけるところの決議を出してでも実験再開を取りやめてもらいたいと思っておるわけでございますから、相なるべくは、政府としても、私ども国民の総意を代表して、今後とも強く実験再開に抗議し、その実験を取りやめてもらうよう行動を起こしていただきたいことを要望として申し上げて、私の議事進行の意見を終わります。(拍手) ————◇—————
○山村委員長 昭和三十七年度一般会計予算、昭和三十七年度特例会計予算及び昭和三十七年度政府関係機関予算を一括して議題といたします。 この際御報告をいたします。すなわち、川俣清音君外十五名より、昭和三十七年度一般会計予算、昭和三十七年度特別会計予算及び昭和三十七年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が、また、玉置一徳君外一名より、昭和三十七年度一般会計予算、昭和三十七年度特別会計予算及び昭和三十七年度政府関係機関予算の編成替えを求めるの動議が、それぞれ提出されております。 ————◇————— —————————————
○山村委員長 これより両動議について順次その趣旨説明を求めます。井手以誠君。
○井手委員 私は、日本社会党を代表して、昭和三十七年度予算案の撤回と組み替えを求める動議の趣旨を御説明申し上げます。 今日の日本経済の危機は、従来自民党政府が一貫してとってきた大資本優先と対米従属の政策による国際的孤立化に加え、池田内閣が掲げてきた欺瞞的な所得倍増計画が一そう油を注ぎました。すなわち、所得倍増計画は、第一に、大企業の設備投資優先の成長政策であり、これが原材料・機械類等の輸入急増を招き、貿易自由化と対米偏重片貿易の市場構造と相待って、国際収支の危機をもたらしました。第二に、財政面では民間資金を大量に吸い上げて公共投資に注ぎ、金融面では日銀の貸し出しとオーバー・ローンを通じて民間の設備投資に拍車をかけ、その結果、慢性インフレを進め、物価が急騰いたしました。第三に、構造改善の名のもとに中小の営業者を脱落させ、実質上の低賃金となり、経済成長から取り残された低所得者層の格差を広げ、かくて、過大投資と過小消費による生産能力の過剰を来たしました。この事態は、明らかに、池田内閣が経済政策の進路を誤った結果にほかなりません。従って、政府は、ここに深く反省し、予算案を通して危機打開の目標と決意を示すこと、これが総理の言う政治の姿勢を正すことであります。 しかるに、政府は、わずか五・四%しか成長しないデフレ下の三十七年度予算規模を、一四・四%成長する三十六年度と同様、二四%以上膨張させている。この膨張は、経済の伸びではなく、国民負担の過重によってまかなわれることを銘記すべきであります。しかも、財政投融資に予定している一千五百億円近い公募債借入金は景気調整に逆行するものであり、予算案が大資本の生産基盤強化に重点を置いていることは池田内閣の性格を露骨に表明したものであります。 水田大蔵大臣は、財政演説において、事態楽観を許さず、引き締め政策を堅持すると述べながら、このような放漫予算を組んだのは、ちょうど左手に消火のホースを握りながら右手のうちわで盛んに景気をあおるようなものと言えましょう。もし、この予算、今の政策をもってすれば、片ちんばの経済成長は七%以上に達し、国際収支、過剰生産、物価、所得格差はいよいよ拡大再生産されることは必至であります。すなわち、参院選までは金融措置によって一時はつくろい得ても、外国に借金を返さなければならないこの秋には重大事態になることを、不幸にして予告せざるを得ません。政府はこの経済危機の深刻なることを猛省し、その経済財政政策を根本的に転換すべきことを要求するものであります。 従って、まず当面とるべき経済政策は、第一、アメリカ依存と従属の外交方針を改め、中国とは政府間貿易協定を締結し、その他共産欄諸国貿易に対する一切の制限を撤廃すること。第二、今年十月までに九〇%の貿易自由化計画を、大幅に繰り延べる。特に、アメリカに対しては輸出、輸入同額という対等の原則を確立すること。第三、エネルギー産業を含む基幹産業や金融機関の社会化を進め、あわせて資金計画委員会の設置により民間設備投資の行き過ぎを規制すること。第四、右の方針によって、国民総支出のうち、民間設備の投資額を引き下げ、これを個人消費の引き上げに回し、国内市場の飛躍的拡大をはかることが絶対に必要であります。 次に、とるべき財政政策としては、第一、歳入においては、所得税の課税最低限を五十万円に引き上げるとともに、国税、地方税の大幅な減税を行ない、一方、大資本に対して、二千億円にのぼる租税特別措置が設備投資を誘発しているので、改廃を断行すること。第二、歳出においては、公共事業費、官庁営繕費等における投資的支出を約一千億円削減するとともに、公共事業は、重点を、国民生活に密着した上下水道等の環境衛生の整備、後進地域の開発、治山治水、災害対策に向けること。第三、ガリオア・エロア債務返済分七十九億円、タイ特別円返済分十億円を削減し、さらに、平和と民三主義の憲法の精神に従い、防衛関係費約九百七十億円、公安調査庁等の反動機関の経費約二十億円を削減すること。以上の措置によって免ずる財源をもって、次に申し上げる費用に充てることを求むるものであります。それは国民の生活保障を第一義とする班憲法の精神を忠実に実現するためであります。 まず、全国一律の最低賃金制を実施すること、無拠出福祉年金、障害年金、母子年金の給付をそれぞれ引き上げ、生活保護基準は四〇%に、失対貸金は日額六百円に、国民健保の医療給付率を七割に引き上げる一方、義務教育教科書を無償にし、高校全員入学のため高等学校の新増設を促進するとともに、低所得者向け第二種公営住宅の建設を倍増する必要があります。 ついで、産業間の不均衡是正のため、農、林漁業には、農地造成、土地改良、沿岸漁業振興等の生産基盤を強化するとともに、経営共同化推進のため、年利三分五厘以下の長期低利資金を融通し、おもな農畜産物や大衆魚の価格安定を確立せねばなりません。中小企業には、基本法を制定するとともに、設備近代化や協同組合の組織化に助成を強化し、また、貿易自由化に対する国内産業対策を強め、特に、石炭については、炭鉱近代化と流通機構の整備、需要拡大、産炭地振興、労働者の雇用安定と離職者対策の拡充は当面の急務であります。さらに、地方交付税率を三〇%に引き上げて地方財政を強化すること、なお、公務員給与べースと生産者米価については、労働者や農民の代表と協議することによって、勤労者の生活保障、農民の生産費・所得補償に必要な予算措置を追加して筋を通さねばなりません。 一方、財政投融資については、その原資が勤労大衆の零細な積み立てでありますので、大資本本位の運用を改め、中小企業、農林漁業、国民生活に密着した地方公営企業等への運用を建前とし、公募債借入金は民間金融を圧迫して景気を刺激しますので、これを圧縮する必要があります。 以上申し上げました財政政策によりますと、財政投融資を含む財政規模は政府原案以内にとどめることができるのであります。しかも、貿易市場の転換による輸出の増大、過剰投資の規制、勤労者購買力の増大による国内市場の拡大等を前提とし、防衛費や公共事業費を国民生活引き上げに振りかえますと、財政の性格は質的に変化し、当面の課題である国際収支の危機、景気過熱、過剰生産傾向、所得格差の解消に向かうことができるのであります。すなわち、わが社会党の組み替え案だけが、日本経済の危機を建て直し、景気を回復するただ一つの道であると信ずるのであります。(拍手) この動議こそ、物価局をのろい、金詰まりと所得格差に悩む国民九九%の声であると確信を持って提出しました。おそらく与党の諸君も内心共鳴されているでありましょう。勇気を振って御賛成下さるようお願いいたしまして、提案の説明を終わります。(拍手)
○山村委員長 次に、玉置一徳君。
○玉置委員 私は、民主社会党を代表いたしまして、政府提案にかかる昭和三十七年度予算案三案並びに日本社会党から本委員会に提出されました動議に反対いたしまして、政府三案に対する組み替え要求の動議を提出するものであります。 さて、御承知の通り、昭和三十七年度予算案は、去る一月十九日今国会に提出されてより約一カ月半、本委員会において慎重な審議を重ねてこられたのでありますが、その間わが党委員の質疑によりましても明らかにされました通り、政府予算案の問題点は、まず第一に、予算編成の前提となる昭和三十七年度の経済の見通しについて、経済成長率を昭和三十六年度の半分以下の五・四%と想定せざるを得ないほど景気の調整の必要を強調しながら、この見逸しに反して予算規模を無方針に膨張させ、大型予算を作るという矛盾を犯していることであります。このことは、昨年政府の唱える高度成長ブームが大企業の行き過ぎた設備投資の競争を誘発し、経済の過熱は自然国際収支の破綻を招き、ために、昨年九月からは、政府も積極政策から一変して正反対の引き締め方針にその政策を百八十度転換せざるを得なかったのであります。この方針に基づいて、昨年末の閣議で、三十七年は経済を引き締め、景気調整の年として、今年一ぱいをもって国際収支の均衡をはかるいわゆる短期決戦を唱え、それぞれ民間の協力を要請して、経済成長を昨年の半分以下の五・四%に押えたのでありますが、でき上がった三十七年度予算は、いつの間にか二兆五千億に近い膨大な大型予算となり、前年度との増加比率は、昨年の高度成長積極予算と全く同様の伸び率となって、閣議決定の引き締め方針はいつしか行方不明となってしまったのであります。民間に協力を要請するだけで、政府みずからがこの姿勢で、はたして経済均衡の実をあげ得るかどうか、はなはだ疑問視せざるを得ないのであります。 第二に、政府案は、総額二兆、九千億に上る大型予算でありながら、経済の調整、景気の回復についてきめ手となる積極的な具体策を持ち合わせていないということでございます。すなわち、政府は、金融を引き締め、設備投資を押え、輸入量を調節し、輸出を伸長せしむることにより、本年秋には国際収支の赤字がなくなってその均衡は回復し、三十七年度末国際収支は、受け取り四十六億ドル、支払い四十七億ドル、差引一億ドル程度の赤字で済むと想定されているのでありますが、御承知の通り、アメリカでは、輸入綿製品の賦課金問題にも見られるごとく、そのドル防衛政策はますます強まりこそすれ、わが国の輸出伸長にとって明るい見通しはさらさらなく、また、西欧におきましても、欧州共同市場の形成はいよいよその強固さを加え、その方面に対するわが国の貿易の将来は多難を想像させられるのであります。なお、東南アジア、アフリカ諸国におきましては、代金の延べ払い方式をとらなければ輸出は容易に伸長を望みにくい等、世界中どちらを向きましても容易に輸出を伸ばし得るような地域は見当たらないのでありまして、政府の想定するような好結果をあげるのには、よほどの強い政策を打ち出さねばならないと考えられるゆえんであります。 その上、政府は、本年秋より貿易自由化九〇%実現を世界に公約しているのでありまして、先ほど申しました通り、経済均衡への懸命の努力と血みどろの精進の中で、わが国の経済界はさらに貿易の自由化という強力な不安定要素を消化しなければならない運命に置かれているのでありますから、よほどの国内経済界の体制整備、経済基盤の強化対策がない限り、混乱を免れ得ないのではないかと危惧せられるのであります。 以上のように見て参りますと、私たちは、政府の見通しとその施策の甘さを痛感せざるを得ないのでありまして、すなわち、政府は、みずからの政策失敗によって国際収支の悪化をもたらすや、この危機を米国市中銀行やIMFよりの外貨借り入れにより当面を切り抜け、その間に貿易の伸展により国際収支の均衡をはかろうとしているのでありますが、すでに海外市場の様相は日に日にその姿を変貌しつつあります上に、これに対応して国内においても単に従来のような自由競争や野放しの放任主義の経済の仕組みでは、この過酷な国際経済競争場裏で世界の指導者の中に伍してついていけなくなっているのではないかと思います。この意味で、わが国の外貨危機は革に保有外貨高の多少によって解決されるものではなく、大企業の設備拡張競争に対する強力な規制なくしてはとうてい解決し得ない程度までその根底に根本的な欠陥を持っておるものと言わざるを得ないと思います。 このような観点からすれば、政府の予算は、従来通りいたずらに大企業の強化のみを助長しているにとどまり、貿易自由化に踏み切る場合、当然とらねばならない中小企業や農林漁業等の立ちおくれた産業面でのてこ入れと申しますか、強化対策、保護防衛対策がはなはだ手薄であり、また、国際競争力の弱いと考えられる海運、石炭、繊維産業等に対する対策費が全く不十分と言わざるを得ないと思います。このままでは、わが国の経済界はいわば慢性金融引き締めとなり、その実は、輸出に比較的強い大企業のみの選別融資にならざるを得ず、結局経済界に大きな混乱を来たすことになることをおそれるものであります。 要するところ、政府予算案は、昨年に比し四千七百億円もの大幅の増額で、その総額から言えば昨年同様積極予算であるにもかかわらず、その実は、増額の三分の二以上を既定経費の自然膨張にまかせたものであって、わが国経済の均衡回復、貿易自由化に対する国内経済体制の整備という点にきめ手となる政策を欠いていると言わざるを得ないのであります。 第三に、政府案は、減税財源を加えれば五千八百億円を上回る新規財源を持ちながら、減税規模はわずかに一千億円を下回るにすぎない上に税負担の不公平是正は遅々として進まず依然として高額所得助長税制を温存しておるのであります。これと関連して、政府の均衡のとれていない無計画な高度成長政策は、交通輸送難、住宅難、入学難、中高年令者の就職難、炭鉱離職者等の多数の離職者の輩出、消費者物価高、中小企業や農業の人手不足等の社会面での矛盾を露呈し、高度の経済成長はそのままでは必ずしも国民の実質所得に十分に役立っているとは言えないのであります。ことに、低所得大衆にとってはこの傾向がはなはだしいのであって、国の財政こそこの悪循環打開の任務を持つにもかかわらず、政府はこの任務についてまことに怠慢と言わざるを得ないのであります。言葉をかえて言いますと、政府の経済高度成長政策は、必ずしも国民の生活向上、生活保障には直接つながっているとは言いがたく、国民各階層の所得格差は縮まるどころか逆に開いていく傾向にすらあるわけで、この点、政府案は、総額は大型であるが、既定経費を軒み並に総花式にふやしているものの、特に国民福祉を考え、経済二重構造の矛盾打開のための政策に重点を置くという努力の跡が見られないのであります。 その他、ガリオア・エロア及び日タイ特別円問題の非債務性等につき、この一カ月間の質疑を通じ、政府予算案につきその欠陥を指摘してきたのでありますが、ここに、最近のわが国経済の成長を年率平均七%程度に継続するものと見て、一般会計予算の歳入増加は毎年六千億円を上回ることがまず確実でありますから、この大幅増加する財源を活用して、わが国産業界の基盤整備と国民生活の向上に資するよう、政府予算案の組みかえ動議を提出して、私たち民社党の意見を明らかにすることにより、福祉国家実現に寄与せんとするものであります。 以上のような観点に立ちますわが党の組み替えの内容は、お手元にお配りしてあります動議によっても明らかでありますように、歳入予算においては大衆減税の徹底と国民の租税負担の公平化の徹底であります。歳出予算においては、国民生活の保障ないしは向上についての経費つまり、国民福祉と経済基盤の強化の経費を最優先に計上するとともに、産業助成面では、中小企業並びに農林業、沿岸漁業の近代化促進のための直接助成をなすとともに、重大な岐路に立っている石炭産業と海運産業の当盤強化に強力なてこ入れを行なおうとするものであります。次に、地方公共団体の自体財源強化のため、国の税収の一部を地方財政に移管すること。以上の三点が一般会計予算組み替えの根本方針であります。 特別会計予算と政府関係機関予算を通ずる組み替え方針といたしましては、国民年金、厚生年金、簡易保険資金の還元融資額の増額を前提とし、その上に立って、中小企業、農林漁業、住宅建設、地方債と金融債の引き受けを最優先するとともに、重要産業に対する財政融資としては、石炭産業と海運産業を特に優先せしめようとするものであります。 これらの基本方針に立ちまして、まず歳入予算の組み替えについて申し上げますと、政府案は、所得税の免税点を引き上げて、家族五人世帯で年収三十九万七千円を四十二万四千円とし、課税所得百八十万円以下に対する税率を引き下げたのであります。この政府案の四十一万四千六百九十三円の免税点では、可処分所得月平均三万四千円強でありまして、この金額は、政府が標準家計支出としております総理府の全都市家計調査の月平均家計支出をはるかに下回るものであります。ましてや、近時生活必需品の値上がりの傾向の著しい昨今、四・七%以上の生活費の高騰があれば、この減税効果は一ぺんに吹き飛んでしまうのであります。私たち民社党は、生活費には税をかけないという原則に立ちまして、ぜひとも月収五万円までの所得は免税としたいのでありますが、財源の関係もあり、今回はこの免税点を年収五十万円まで引き上げることにしたいのであります。 私ども民社党は、所得税減税を主軸としながら、お手元の動議に記載いたしました通り、さらに、法人税においては、小規模法人の税負担の軽減、酒税と物品税については大衆消費品目の減税の徹底を主張するものであります。 以上によりまして、政府案の減税九百八十七億円に対し、さらに九百四十八億円を増額して、減税合計実に一千九百三十五億円の大減税を要求するものであります。 私どもは、一方におきまして余裕財源を思い切って大衆減税に回すとともに、他方、租税負担の公平の原則を推し進めていこうとするものであります。私どもは、この見地に立ちまして、大企業法人の収益、高額所得者の所得、奢侈的消費につきましての税率の引き上げもしくは的確に徴税する措置をとるよう政府案の組み替えを主張するものであります。特に、租税特別措置法の改廃、大法人よりの的確な徴税を要求するものであります。この点、政府案が、減税のかけ声をよそに、相変わらず大企業の収益保護を税制の基調としており、大衆減税とは税制上の名目的な減税であって、物価政策との関連すらなき架空の減税に終始してしまうおそれの多いのは、きわめて遺憾であります。 さらに、私どもは、たばこ消費税率を百分の三十に引き上げ、これによって専売納付金が百億円程度減額を見るものと考えられ、従って、歳入予算総領におきまして、税収では、組み替え増一千九十億円、組み替え減九百四十八億円、ほかに専売納付金の組み替え減百億円で、差引政府案より四十二億円の組み替え増額となり、歳入予算規模を二兆千三百十億円とすることが妥当なりと考えます。 かくすることにより、政府案よりさらに九百四十八億円の減税、合計して実に一千九百三十五億円の大幅減税を実施して大衆の負担を軽からしむるとともに、あわせて租税公平の原則を貫いていこうとするものであります。 次に、歳出予算の組み替えについて申しげます。 わが党の組み替え要求の第一点は、国民生活の保障とそれの向上のための財源の確保についてであります。わが党は、この見地に立ちまして、歳出予算の組み替え増額の中心を医療保障に置き、お手元に配付されている動議で明らかにしておりますように、各種社会保険に対する国庫負担をそれぞれ引き上げることにより、診療内容の向上と病気予防体制への前進の措置をとるよう要求いたします。これに要する経費は約七百億円でありますが、これによって、国民皆保険の内容が家計負担の面からも診療内容の面からも初めて充実し得るものであります。 次いで、私どもは、社会保険関係におきまして、無拠出国民年金の給付額の引き上げと納付対象の拡大につきまして、約二百三十億円、母と子と老人の福祉対策費約十億円、生活保護費約六十億円、義務教育の父兄負担軽減と高校生急増対策を中心といたしまして文教関係費約四十億円、公営住宅建設戸数の増加のため約十億円、石炭関係離職者対策費を含め失業対策費約五十億円のそれぞれの増額を要求するものであります。これによりまして、以上の七項目につき、政府案よりも約一千百億円の歳出組み替え増を要求するものであります。 第二の歳出組み替え増額項目は、産業助成費関係でありまして、これらについて申し上げますと、農業関係では、明年度産米の米価は、予算米価としては石当たり一万一千五百円、すなわち政府案よりも五百円増を要求します。これは、人件費、資材費ともに生産コストが上昇している今日、政府も生産費及び所得補償方式による米価算出を肯定されているのでありますから、せめてこの程度の予算を計上されたいのであります。私どもは、明年度供出米数量を一応四千二百万石と見なし、石当たり五百円、合計二百十億円の組み替え増額を要求したいと思います。なお、このほか、農林漁業の近代化のための増額四十億円を含み、農林予算実に二百五十億円の増額を要求するものであります。 中小企業関係につきましては、近代化促進のための設備補助金と小規模事業対策費を中心といたしまして、約五十億円の増額を要求するものであります。 さらに、産業助成経費といたしましては、石炭対策費二十五億円、海運事業に対する財政対民間融資の比率を八対二に改めるため、及び利子補給率を高めるために、約二十四億円を海運対策費において増額するよう要求するものでございます。 組み替え増額の第三の項目は、地方行政の民主化のために、地方交付税交付率を百分の三十に引き上げることによって約百三十四億円、さらに、沖縄に対し、沖縄県と見なしての交付金相当額と義務教育関係国庫負担相当額を支給することとし、約六十五億円の増額を行なう点であります。 以上、国民生活保障、産業助成、地方財政の強化の三つの面において歳出組み替え増を行なうと同時に、私どもは、政府案を組み替え減額すべき項目を大きく四項目に分けて考えております。 すなわち、組み替え減の第一の項目は防衛庁費であります。私どもは、昭和三十五年度末既存の現在員を基準といたしまして、自衛隊の人員の減少、一切の新規増額、一切の継続費と一切の国庫債務負担行為の取りやめ、これにより政府案より九百億円の減額を主張するものであります。自衛隊を日米安保条約と第二次防衛計画のきずなから切り離して、行く行くは真に国を守るための最小限の措置費に改変することが私ども民社党の要求であります。 組み替え減額の第二の項目は、対米ガリオア・エロアの支払いと、日・タイ特別円協定による支払いの合計額約八十九億円の削減であります。この二点については、すでに本国会においてわが党はそれぞれ反対理由を明らかにしておりますので、ここではそれを繰り返すことを省略いたします。 組み替えの第三の項目は、一般行政費の節約でありまして、私どもは、行政諸経費のうちから三百七十五億円程度を各官庁に按分して節約されるよう要求いたします。 組み替えの第四の項目は、国債償還費の二百四十億円減額であります。現行の制度によりますと、毎年度の決算剰余金の二分の一相当額を国債償還に充当することになっております。ところが、最近のように毎年度にわたって租税の自然増収がはなはだしく多額に上り、また、決算剰余金も多額に上っておりますときに、機械的にその二分の一を国債償還に充てることは、財政政策としてあまり上策とは申せません。わが国経済が景気変動の波があっても租税収入の大幅増加傾向が必至である事実にかんがみまして、国債償還のテンポを若干ゆるめることは、財政の健全化に何ら矛盾するものではございません。むしろ減税もしくは社会保障費の増額等の措置によって国債償還の原資を活用し得る余地を積極的に作り出すことが必要であると考えます。 以上で、歳出予算の組み替えは、増額一千六百四十六億円、減額一千六百四億円となりまして、差引四十二億円の組み替え増額となりますが、これは、歳入予算規模におきまして四十二億円の歳入増といたしておりますので、歳入と歳出とが均衡することになっております。 以上が一般会計予算につきましてのわが民社党の組み替え要求動議の概要でございます。 特別会計予算と政府関係機関予算の組み替え方針につきましては、お手元の動議をごらんおき願います 以上、御説明しましたように、私どもの組み替え要求は、昭和三十七年度という限られた時間においても実現可能であるきわめて現実的な要求でありまして、世界の先進国がいずれも国民福祉のための財政政策を実施している今日、政府もこの程度の福祉予算をぜひとも御編成を願いたく、切望する次第でございます。 以上をもちまして、私の動議提出の理由の説明を終わります。
○山村委員長 以上をもちまして趣旨説明は終わりました。 ————◇—————
○山村委員長 これより、川俣清、音君外十五名提出の、昭和三十七年度総予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議、玉置一徳君外一名提出の、昭和三十七年度総予算の編成替えを求めるの動議並びに政府原案を一括して討論に付します。倉成正君。
○倉成委員 私は、自由民主党を代表して、政府提出の三十七年度予算三案に賛成し、社会党の予算の撤回と組み替えを求める動議及び民主社会党の予算編成替えを求める動議にそれぞれ反対する討論を行なうものであります。 御承知の通り、ここ数年来のわが国経済の発展はまことに目ざましく経済の発展につれ、国民生活も著しく改善され、向上の道をたどって参ったことは、疑うことのできない事実であります。 経済成長政策はこのような成果を上げたのでありますが、昨年の初頭以来、発展のテンポがあまりにも急激に過ぎたため、輸入の急増と輸出の停滞を招き、国際収支の悪化をもたらしたのであります。 かかる事態に対応して、昨年七月以降、公定歩合の引き上げと全般的な金融引き締め、民間設備投資の繰り延べ要請、輸入担保率の引き上げ、その他国際収支改善のための一連の諸施策が実施されたのでありますが、昨今の信用状収支の動き等を見ますと、引き締め政策の効果はようやく現われつつあるようであります。 しかしながら、国際収支の前途に関しましては、もちろんまだ手放しで楽観し得るような状態ではございません。そこで、輸出の振興と内需の抑制により、本年下期中に国際収支の均衡を達成すること、これが今日の財政経済政策の第一の課題でなければなりません。 他面において、高度成長に伴い、道路、港湾等、いわゆる社会資本の立ちおくれ、あるいは技術関係の労働力の不足等、経済、社会の各分野に生じている不均衡を是正する必要性はいよいよ強まっております。そこで、公共投資の拡充、社会保障の充実、雇用対策の強化、科学技術の振興及び産業間、地域間の格差是正等、わが国経済が長期にわたって均衡ある発展を遂げるための基盤を整備すること、これが財政政策の第二の課題と言い得るのであります。 昭和三十七年度の本予算は、このような二つの課題にこたえるよう編成されたものでありまして、それは性格的にはあくまでも従来の成長政策の基本線を堅持しながら、他方、経済諸要素の短期的変動にも十分対応し得るものと確信いたすものであります。 私は、成長政策を以上のように見、また、政府提出の予算三案を以上のように規定したのでありますが、この考え方に対しましては、別の立場からいろいろと違った議論があるようであります。そこで、以下、これらの議論を取り出して、これに対する私の意見を申し上げることにより、討論を進めて参りたいと思います。 まず初めに、成長政策は、一部の、たとえば大企業というようなものの利益を偏重する政策であり、所得の上昇も一部の者に片寄って、所得格差はますます大きくなり、低所得者は、物価騰貴のためかえって生活が苦しくなったというような意見でございます。もちろん、この最後の物価騰貴、特に消費者物価の高騰につきましては、われわれも深い関心を持ち、たとえば生鮮食料品のごときは、その流通機構に徹底的なメスを入れ、何とか上昇を押えようと努力しているところでありまして、従って、過去においては必ずしもその対策が十分でなかったという点は率直に認めざるを得ないのであります。だからといって、これを根拠として成長政策全般を否定し去るのは暴論であり、ましてや、成長政策が一部の利益に偏したものであるというような見方は、それこそ二面的な見方と言わざるを得ないのであります。ここ数年来の実績の示すように、経済の成長発展は大多数の国民の生活水準を引き上げる。しかして、発展に取り残された人々の生活は、財政一面における社会保障の充実によって引き上げていく、これが従来の政策の本筋でありまして、従って、成長政策は、決して一部の人ではなく、広く国民全般の福祉のためのものであるということを明らかにいたしたいと思います。 次に、財政規模の問題について論じたいと思います。三十七年度一般会計の歳入歳出は三兆四千二百六十八億円でありまして、前年度三十六年度の当初予算に対して二四・三%の伸び、この伸び率は三十六年度の場合と大体同じであります。また、一般会計の予算規模の国民所得に対する比率を取って見ますと、二八・九%で、これは前年度当初見込み一五・三%あるいは補正後の実績見込み一五・六%と比べて、やや大きくなっております。また、予算そのものではありませんが、景気の動向に密接な関係を持つ財政投融資計画は、総額八千五百九十六億円でありまして、前年度の当初計画に比べて千三百四億円、一七・九%の増となっております。 このように財政及び財政投融資の規模が前年度に比べて相当大きくなっているのは、引き締め政策と矛盾するものではないか、特に過去二回の景気調整段階における予算は、前年度に比べてその増加率がはなはだ低く、その内容にも景気調整資金的なものを含んでいたのであるが、今度の場合は、上り坂であった三十六年度予算と全く同じ増加率であるのはどうなのか、また、財政投融資の総領は、前二間の場合はいずれも前年度に比べて減少しているのに、今回は相当な増加を示している、これでは国際収支改善等の所期の目的は達せられないのではないかというような見解があるようであります。 しかしながら、私は、この議論に対してはにわかに賛成できません。もちろん、財政が放漫に流れるということは、これは厳に戒心を要する点でありまして、そのためにはより厳重な規制が必要であると思われますが、景気の停滞期だから財政は小規模の方がよいという議論には承服できません。さきに申し上げました通り、公共投資の拡充といい、社会保障の充実といい、財政に要求される課題ははなはだ多いのでありまして、景気の現在のような段階におきましても、財政支出の増大が要請されてくるのであります。これは国家が社会に対して、あるいは国民経済に対して果たすべき義務が増大した結果と申しましょうか、あるいは財政の社会的、経済的役割が増大したと申しましょうか、いずれにしろ、このような点から財政の規模が膨張することは、必要にしてかつ当然のことと私は思うのであります。最近において財政の景気調整的機能が重視され、いわゆるフィスカル・ポリシー的な面が強調されるのでありますが、もしその議論が財政本来の機能を軽視するようなことになりますれば、これははなはだ一面的な議論と言わざるを得ないのであります。 三十七年度の場合は、予算の規模が大きくなったとはいっても、もちろん健全財政のワクは厳に守られているほか、その内容に立ち入って見ますと、国債費、食糧管理、特別会計への繰り入れ等、直接有効需要を作り出すことにはならないような経費の増加額が一千億円以上あり、また、政府の財貨サービス購入にならない振替支出が相当多いという点も考慮に入れるべきだと思われます。その上、三十六年度においては、税の自然増収等に基づいて約二千億円の歳入超過があり、これは剰余金として後年度に持ち越すことになっておりますので、この点をもあわせ考えますれば、三十七年度の予算が景気刺激的であるという非難は当たらないと思うのであります。 しかしながら、景気刺激云々という点から見れば、問題は、むしろ予算執行の面あるいはこれと表裏一体をなす金融政策の面にあると言わねばなりません。申すまでもなく、最近における財政の大型化の結果は、経済に与える財政の影響をきわめて大きいものにし、財政資金の揚超、散超の幅が大きくなって、揚超期には金融を極度に逼迫させ、反対に散超期にはインフレ傾向を刺激することとなり、金融面に大まな波紋を生ぜしめておるのであります。従いまして、予算の執行については、経済情勢の推移に応じて弾力的に対処するとともに、金融施策の一面においても緩急よろしきを得るという配慮がぜひとも必要であると思われます。 なお、金融との関連という点では、財政投融資を無視できないのであります。財政投融資の総ワクは大き過ぎるという批判、特にその中で、公募債借入金に頼っている部分が前年度よりも相当大きいというような批判があることを十分に考慮しながら、計画を実施していく必要があると思われます。 次に、財政規模の問題は、減税との関連で議論されております。すなわち、膨大な自然増収が見込まれる昨今では、歳出の増大よりも、より多く減税すべきではないかという議論であります。しかして、その一つのよりどころとして、税制調査会のいう租税負担率は国民所得の二〇%前後という数字があげられ、三十七年度の二二・二%は高過ぎるというのであります。もちろん、税負担が荷いか低いかというような議論は、一般的な議論としてはどちらとも言い得るのでありますし、また、現にわが国の税負担は、戦前に比べて相当高くなっているのでありますから、勤労意欲、企業意欲を増進させるためにも、減税は大いに必要であります。できることならもっと大幅に減税すべきだという意見には、決して反対するものではございません。しかしながら、また、税負担のあり方は、生活費に強く食い込むような異常に高い場合は別として、歳出の内容や国民所得の水準等との関係で相対的にきまるものであり、絶対的、一義的な割合というようなものがあるわけのものではありません。自然増収について、これを減税によって国民に還元するか、新規の財政需要に充てるかは、当該財政需要の緊要性と減税の必要性との比較、考慮によって判断すべきものと考えられるのであります。このような判断からしますれば、今の段階では、欧米先進国に見られるように、国民所得の増大に伴って財政の比重が漸次高められ、しかも財政の租税依存度が高い以上、租税負担は率としてはむしろ高められていくという傾向は、やむを得ないというか、むしろ福祉国家のあり方として当然とも言い得るのであります。もっとも、そうは申しましてもも、今度の税制改正による初年度千四十一億円、平年度千二百四十四億円という減税規模は、決して小さいものでないという点を、特にこの際強調しておきたいと思います。 以上が、この予算をめぐるもろもろの批判と、それに対する私の見解でありますが、次に、この予算の内容について、ごく簡単に申し上げてみたいと思います。 歳出面の特色としては、まず第一に社会保障の充実であります。第二は公共投資の拡充、第三は教育環境の整備と科学技術教育の振興であり、第四は農林漁業及び中小企業等に対する諸経費、さらに不況産業としての石炭に対する諸経費をあげなければなりません。以下、これらの諸点について要約して申し上げたいと思います。 まず最初に、社会保障関係費は、総額二千九百七十六億円で、五百十五億円、二〇%の増であります。この経費の中で特筆すべき点は、生活扶助の基準を昨年に引き続き一三%引き上げていることであります。前年度当初予算で一八%、補正で五%引き上げた分を合わせますと、三十五年度の基準に比べて、三十七年度はちょうど四〇%の上昇ということになります。また、この結果、大都市における標準五人世帯の扶助費は一万三千四百七十円となり、一般世帯の消費水準との格差もだんだんと少なくなっております。もちろん、生活保護費のような経費は、決してこれで十分というような限度はなかなかつけにくいのであります。その点からいえば、これでもまだまだ不十分という数字は、取り出してこようとすればあるいは出せるかもしれません。しかしながら、すなおに見れば、ここ二年間における改善に対する当局の熱意は大いに多とすべきものであり、次年度以降も財政事情が許す限り、さらに大幅の増加をはかっていくことを期待するものであります。社会保障の関係では、さらに、懸案であった国民健康保険給付の国庫負担を五%引き上げたこと、福祉年金について所得制限の緩和、他の公的年金との併給などの改善措置を講じておることのほかに、雇用対策の面で労働力移動の円滑化をはかるために、炭鉱離職者を中心として雇用奨励金制度その他新しい制度を打ち出していることは、大きな前進と言い得るのであります。この際政府に要望したいことは、社会保障については単なる予算の増加ではなく、経済政策としての社会保障の体系をすみやかに確立して、毎年着実に充実していっていただきたいと思うのであります。 第二は、公共投資の拡充による経済成長の基礎条件の整備であります。これは道路整備を中心として港湾、運輸、通信の諸施設、さらに治山治水、農業基盤の整備等、その内容は広範でありまして、それぞれ長期計画に基づいて建設を進めるものであります。この公共投資の拡充の目的とするところは、現実に経済発展のネックとなっている条件の整備あるいは大きく国土保全施設の強化等、専業によってその経済効果は若干異なっているのであります。いずれにしろ、三十七年度は前年度比二六・一%の増という数字が示しますように、公共投資の拡充による社会資本の充実は着々効果を上げ、国民大多数の期待にこたえつつあると確信いたすのであります。 第三は、文教の刷新充実であります。この問題は、もちろんさきの総理の施政方針演説にもありました通り、決してただ単に予算だけの問題ではなく、精神的な面あるいは制度的な面、特に教師と学生のあり方等、いろいろな側面において取り上ぐべき問題が多いのであります。三十七年度においては、予算面においても格段の充実を見ております。特に増加の著しい費目は、理工系学科の増設及び工業高等学校の創設等に必要な経費、教官研究費、私立学校の助成費、育英資金等であります。ほかに、小学校一年生の教科群無償配付のための経費が計上されております。 第四は、農林漁業、中小企業等のおくれた産業部門あるいは石炭、海運等の不況産業部門振興のための諸経費であります。農林関係の予算は総額二千四百五十九億円で、前年度比三一%の増、総予算に占める比率も三十七年度は一〇・一%と、一割をこえております。施策の重点は、農業構造改善事業の実施、農業基盤の整備、漁港の整備、果樹、畜産等成長部門の生産振興、流通組織の改善、農産物価格の維持、農業近代化助成資金の融資ワクの拡大と金利引き下げ等に置かれており、これらの施策を通じて農業経営の近代化をはかることが期待されておるのであります。 次に、中小企業対策費は、前年度の倍の九十一億円でありまして、設備近代化の補助及び工場団地建設の補助等の面で経費を増額するほか、財政投融資でも千百二十五億円の資金を投入し、中小金融に遺憾なきを期しております。さらに、不況産業としての石炭に対する経費を大幅にふやしたのも、この予算の大きな特色であります。前年度のほぼ倍の百七億円であります。 以上が、三十七年度予算における重要施策でありますが、さらに、財政投融資の内容を使途別に分類しますと、全体の計画額のうち、住宅、生活環境整備、厚生福祉施設、文教施設、中小企業、農林漁業等のいわば国民生活に直結する項目は、五一・二%を占めております。また、前年度比千三百億円の増加の内訳を見ますと、住宅、生活環境整備、中小企業、輸出振興の四項目だけで九百億円を占めております。このような使途別の分類を見れば、三十七年度の財政投融資計画の人体の性格がわかると思われます。 以上が、予算及び財政投融資の内容でありまして、私は、この内容が経済発展の現段階に即応したきわめて適切なものであると認識して、これに賛意を表する次第であります。 ただ、ここに政府に対する要望として、三点だけつけ加えさせていただきたいと思うのであります。 その第一は、経費支出の便宜性の打破という問題であります。さきに見ました通り、経済の発展に対応して財政の果たすべき機能は非常に大きくなり、その結果、財政の規模は年々膨張の一途をたどっております。このこと自体は、もちろん是認さるべきことと思うのでありますが、歳出の中でも、いわば経常的支出に属する人件費、事務費等が年々一定の割合をもって増加し、そのために政策的な新規経費等が、かえって圧縮されざるを得ないような事態は大きな問題と言わざるを得ないのであります。幸い、新発足の臨時行政調査会によって、行政の能率化のための機構の再検討が行なわれている時期でもありますから、来たるべき予算編成に際しては、行政の能率化、予算使用の効率化という見地からも、ぜひ英断をもって経常支出の膨張にメスを入れることが望ましいのであります。 第二は、物価、特に消費者物価の問題であります。言うまでもなく、消費者物価の上がり下がりは、国民生活に直接影響を与える最も重要なファクターでありますが、昨年中この値上がり抑制の施策が十分な成果を上げ得なかったことは、まことに遺憾であると言わざるを得ないのであります。値上がりの原因は、品目によっていろいろありましょうし、また、ものによってはやむを得ないものもありましょう。また、自由経済の建前からいって、政府が直接価格形成に大きな影響力を与えるということは、非常にむずかしいという点もよくわかります。しかしながら、国民生活、特に低所得者の生活を守るということが政府の重要な任務であります以上、押え得る範囲の公共料金その他のものの値上がりは十分抑制し、また生鮮食糧品等については、市場関係を十分調査の上、適正な施策を講ずることが必要であります。いずれにしろ、今後も、私鉄運賃、タクシー通貨等に関して、一連の物価上昇の要因が潜在しているようでありますが、私は、国民生活に大きな影響を与えるこれらの問題については、慎重かつ国民の納得いくような施策が講ぜられることを強く要望するものであります。 第三点は、国際的な問題として、EECの発展に伴う世界経済の環境変化と、これに対応するわが国の体制整備の問題であります。御承知の通り、西欧六カ国をもって構成される経済共同体は、急速にその統合の成果を上げつつあり、英国の加入申し入れ、米国の接近等、世界経済はようやくEECをめぐって新しい動きを示しつつあります。わが国の場合、もちろん、これらの動きを単に傍観していくというだけでははなはだ不十分であります。他面また、九〇%の自由化を控えて、関税引き下げという世界の大勢に簡単には順応できないという悩みもあるわけでありまして、この点非常にむずかしい問題であります。通商貿易は、結局は一相互主義の原則に立って発展させるほかにはないのであります。私は、この際特に政府に対して、経済外交の推進、為替、関税その他の施策の面において、基本的には世界の趨勢に沿いながら、しかも、わが国経済に与える打撃をできるだけ緩和するため、慎重にして誤りなきを期するよう強く要望するものであります。 次に、私は、社会党及び民主社会党の動議に対して意見を申し上げます。 まず、社会党は、その示された組み替え要項において、政府の所得倍増計画を誤りであるとし、経済政策の全面的な転換を要求され、さらに予算組み替えの基準を示されておるのであります。私はここでその一つ一つについて議論をすることは避けますが、全般的に見て、社会党は社会党なりの立場から主張されていることはよくわかりますが、率直言って、どうも経済の実態と若干かけ離れたような主張もあるようであります。たとえば全般的経済政策の中の国内市場の拡大という事項のところでは、国民総支出中の投資額を引き下げ、これを個人消費の引き上げに回し、国内市場の飛躍的拡大をはかると主張されております。これは社会党の常々主張され、また、政府の所得倍増計画に対する批判の一つのポイントであると見受けられますが、わが国の場合、設備投資の拡大というものが、ここ数年の景気上昇の柱になっているということ、また、この好景気によって、わが国の機械工業がその生産態勢を確立したということ、これはたといその行き過ぎを云々するといたしましても、認めざるを得ない事実なのであります。なるほど、投資の伸びに対して、個人消費の伸びは相対的には小さくなっているかもしれません。しかしながら、個人消費の絶対的水準が非常に上がっているということ、これは打ち消そうとしても打ち消し得ない点であります。われわれは、決して投資と消費というものを対立するものとしては見ておりません。もし社会党の言われるように、投資を大幅に削減するようなことがあれば、基幹産業といわれる部門に大きな打撃を与え、それがはね返って減税もできず、賃上げもできず、最低賃金制も実施できないということになるのではありませんか。このように入り組んだ複雑な経済の仕組みを、社会党はどう理解されておるか、伺いたいものであります。 そのほか、たとえば貿易に関し、特にアメリカに対しては、アメリカが日本から輸入する限度において、日本もアメリカから輸入するという対等の原則を確立するなどと主張されております。われわれも、対米貿易の著しい入超あるいは日本品に対する実質的な輸入制限等の面で、アメリカとの貿易もいろいろ改善すべき点があるのはよく理解しております。しかしながら、アメリカから必要な物資を輸入するということは、対等であるとか、従属であるとかいうこととは、全然関係がないということをはっきりさしておきたいと思います。 予算組み替えにつきましては、防衛費の削減など、わが党の施策とまっ向から対立する提案がなされております。これはとうてい容認できないものでありますが、ここでは、ガリオア・エロアの返済と公共投資の問題について、ごく簡単に触れてみたいと思います。ガリオア・エロアの返済につきましては、この委員会においてもいろいろと議論が出たようであります。性格のはっきりしない援助をなぜ受け入れたのだ、援助の総額がはっきりしない、アメリカにとっては要らない物資であったのではないか、いろいろな意見がございます。しかし、私がここで申し上げたいのは、当時の食糧事情からして、アメリカの援助物資は非常にありがたいものであったということ、また、今だからこそ、とやかく言うことはできるのでありますが、占領下にあって、最高司令官の命令を一応絶対的な至上命令として、受け入れざるを得なかったという事情を理解しなければならないという点であります。また、日本側としても、こういういろいろな言い分があればこそ、約十七億ドルの援助のうち、五億ドルだけを支払えば全部済みなのだということをアメリカ側にも認めさせ、しかも、その支払いに際しては、国民に二重払いにならぬよう、運用収入の中から返していくというのでありまして、これをしも払わなくていいという議論は、大局的に見てあまりにも一方的なものだと言わざるを得ないのであります。 次に、公共投資の問題は、組み替え案によりますと、公共投資は大資本の生産基盤強化のためのものであるという理由で、公共事業のうち、投資的経費約一千億円の削減が要求されておるのであります。これではたしていいのでありましょうか。道路を作り、また港湾を整備すること、さらに治山治水、その他の公共投資をふやすことは、国民全般の利益に合致することでございまして、これを一千億円も削減すれば、困るのは結局国民だということを私は指摘したいのでございます。 以上のような理由から、社会党の組み替え動議に反対するものであります。 次に、民主社会党の編成替え々求めるの動議は、全体としては社会党の主張に比べて、より穏やかなものがあるようでありますが、その性格としては、これとほぼ似たような内容のものであります。従って、ほぼ同様の理由で、私はこれに反対するものであります。 以上をもって討論を終わります。(拍手)
○山村委員長 楯兼次郎君。
○楯委員 私は、日本社会党を代表して、政府提出の昭和三十七年度一般会計予算ほか二件並びに民主社会党提出の組み替え動議に反対し、わが党提出の組み替え動議に賛成の討論を行なうものであります。(拍手) わが党の予算組み替え動議につきましては、さきに井手委員より詳しい趣旨説明が行なわれたことでもありますので、私は、政府提出の予算案に対する批判を中心に討論を進めていきたいと思います。 われわれがなぜ政府の予算案に反対せねばならないのか、私はこれを大きく二つの問題に分けて討論を進めたいと思います。その第一の理由は、この予算案には、アメリカとの軍事同盟を緊密化し、アジアの軍事ブロックを強化するがごとき経費が、たくさん計上されておるという点であります。この種の経費としては、防衛関係の経費はもちろん、新しく計上されたガリオア・エロアの返済費、タイ特別円等の経費をあげなければなりません。しこうして、三十七年度予算にこれらの諸経費が計上されている意義を正しく理解するためには、まず、その背景となっているアジアにおける国際関係の動きを見る必要があると思いますので、簡単に触れてみたいと思います。 現在、アジアにおいて情勢が最も緊迫しているのは南ベトナムであります。一万五千の共産ゲリラに対し、南ベトナムはアメリカの援助を得て国軍を二十万に増強し、その装備を近代化したほか、アメリカ軍事顧問は四千人以上に上るといわれております。これはベトナムばかりではありません。アメリカは、タイ、フィリピンを軍事基地としているほか、台湾を占領し、沖縄を半永久的に占領して、住民の祖国復帰の運動を弾圧しつつあるのであります。 さて、こういうアメリカの政策に歩調を合わせ、そのしり馬に乗っかっているのが池田現内閣の政策であると断言することができます。日韓会談といい、ガリオアの返済といい、タイ特別円の問題といい、あるいは自衛隊のナイキ使用といい、そのどれ一つをとってみても、対米協力の強化、アメリカを中心とした軍事ブロックの強化を目的としていると言わざるを得ないのであります。しかし、政府は、われわれのこうした言い分に対し、一応もっともらしい理屈を並べて、外交の自主独立を強調されておりますが政府のいう自主独立がいかにたよりないものであるかは、さきの中共の国連加入問題に対する態度、あるいは日韓会談に遺憾なく現われております。日韓会談は、クーデターによる軍事政権を相手にいたしまして、たとい交渉が妥結されたといたしましても、日韓両国民にどんな利益がもたらされるでありましょうか。韓国の人民にとっては、軍事政権が強化される結果、民主主義はますます押しつぶされ、南北統一の希望はより一そう遠ざけられる結果となるでありましょうし、日本国民にとっては、せいぜい財政的負担を増大させるだけの結果に終わるだけであります。一体、日韓会談の締結によってその必要と利益を受けるものはだれか、言わずして明白であります。われわれはこのような軍事的性格を持つ日韓会談にはまっこうから反対するものであります。 また、三十七年度から返済しようとしておるガリオア、エロア等の対米債務は、われわれの知る限りにおいては、この援助が債務であるという根拠がどうしても見出されないのであります。のみならず、アメリカの議会におけるドッジ氏やヴォルヒーズ氏の証言を見ると、逆にこれは贈与であるという論拠の方が強いようであります。当時、見返り資金を作って、その支出に一々司令部の許可を得ていたことは、裏を返せば、少なくとも当時は、アメリカもこれを贈与のつもりであったと言い得るのではないかと思うのであります。また、援助額についても不明確であります。特に問題は、見返り資金積み立て以前の援助でありますが、当時、外貨の管理権はすべて司令部に握られており、日本としては外貨収支に全くノー・タッチだったのであります。当時、輸出入の外貨価格は司令部及びアメリカ人の手によって全く一方的にきめられており、アメリカの中間利潤は莫大な額に上るとさえ言われておるわけであります。従って、帳簿の上では見返り資金積み立てまで十億ドルの輸入超過、そのうち八億ドルは援助輸入ということになっておりましても、この間の日本の損失、アメリカの利益を差し引きますと、援助分もほとんど帳消しになるという計算もあるほどであります。いずれにしろ、もしもアメリカの余剰物資の供与が債務であるとしたならば、国民は途方もなく高い買いものをしていたと言わざるを得ないのであります。(拍手)しかも、われわれとして忘れてならないことは、援助物資の売り払い代金及びこれに対する価格差補給金が見返り資金として積み立てられ、この見返り資金が独占資本再建のてことして用いられたという点でありまして、もしこれを返済するとなると、国民は二軍、三重の搾取に苦しむことにならざるを得ないわけであります。 次の問題は、タイ特別円の問題であります。このくらい不可解な問題はありません。政府は大所廟所の判断から、本来なら払う必要のない金を、支払うのだと言っているのでありますが、協定で一たんきめておきながら、相手がいやだと言い出したため協定の内容が履行できず、あげくの果てはその無法な言い分をまるのみにするなどということは、おそらく国際政治の面で例のない、全くばかげたことと言わなければなりません。 聞くところによれば、岸元総理が東南アジアに旅行したとき、タイ側では六十億円でいいからただでくれ、こういう要求をしたところが、岸元総理は、それは筋が違う、こう言って相手にしなかったということを私ども聞いておるのでありまするが、しかるに、池田総理は、実に気前よく九十六億円を無償で認めてしまったのであります。このような疑惑に包まれた、なぞに包まれたタイ特別円の処理の仕方は、国民の利害と全くかけ離れたところで、両国の支配層だけの密談で片づけられたというものでありまして、池田内閣の責任はもとよりでありまするが、池田総理個人の政治的生涯に大きな汚点を残すものと言わざるを得ないのであります。しかも、タイの軍事政権は必ずしも安定をしておるという保証はございません。いずれにしろ、アメリカの軍事ブロックの一員であるという理由のみから、大所高所の判断によって、国民は払わなくて済むものまで払わざるを得ないというがごときは、われわれの断じて容認できないところであります。 さらに、国際収支が危機だと言われているときに、最も非生産的な性格を持った防衛費は当然大幅に削減すべきであるにもかかわらず、前年度より二百八十億円増額をされ、二千億円台をこえるに至ったのであります。この増加分は、装備の近代化、増強のために向けられ、米国の援助にかわって装備の国産化が進められることとなり、およそ平和に逆行、極東の緊張に拍車をかけるものであると言わなければなりません。 また、沖縄への援助費が前年度の倍の十億円余になっておるのでありますが、先日の委員会における各省の資料によってもその額はまちまちであり、全体の正確な総額は本委員会において把握できがたい状態であったわけであります。しかもこれに対する会計検査も的確に行なわれないようでは、一体何に使われるのか、私ども大きな疑惑を持たざるを得ないのであります。 以上、数点を申し上げましたが、三十七年度予算はきわめて軍事的色彩の強い内容を持った予算である、こう断言できるわけでありまして、これが社会党の反対する第一の理由でございます。 次に、私がこの予算に反対する第二の理由は、予算の編成方針がこれまでの政府の高度成長政策をそのまま肯定し、その欠陥を是正する配慮がほとんどなされていないこと、従って、この予算が従来の成長期の予算とほとんど同じ性格を持っているという点であります。政府の高度成長政策の失敗は、今や三つの現象となって現われていると思うのであります。 その第一は、国際収支の悪化であります。政府の言い分によりますると、一月末の外貨準備高は十五億一千万ドルで、再び十五億ドル台を回復したが、これは引き締め政策が着々成功して、国際収支は小康を得たのだと言われております。しかし、この見方はあまりにも甘く、事の真相を見ていないものと言わざるを得ないのであります。十五億一千万ドルといっても、昨年十一月から新しくアメリカの市中銀行からの短期借り入れ一億五千万ドルがあるわけでありまするから、これを差し引きますと十三億六千万ドルということになります。そのほかに、為替銀行の段階での資産負債を見れば、ユーザンスの残高が十二、三億ドルもあります。もちろん、為替銀行の債権も六億ドル程度はあるのですが、他方、これと見合いに、ユーロダラーとか自由預金とか、いつ引き揚げられるかわからない、非常に浮動的な債務が七億ドル程度もあるのでありまするから、極言すれば、わが国の国際収支は、破産の一歩手前とは申しませんけれども、数歩手前にあるとも言えるのであります。ただ今日、借りた外貨の一部分が残っておるので、外貨準備高がふえただけのことで、国際収支は決して改善されつつあるのではなく、その危機が一時繰り延べられた、あるいは危機はより一そう将来深刻化しておると言い得るのであります。さらに、在庫の見通しなど、本委員会におきましても、政府は経済の実態を必ずしも的確に把握をしていないようであります。鉱工業生産の数字を見ましても、経済は生きものでありまするから、なかなか政府の思う通りには進んでいくはずがありません。従って、この国際収支の危機は依然とし三十七年度も続いていくと考えられるのがまず常識であります。これが第一の失敗であろうと私は思います。 成長政策の失敗の二番目には、消費者物価の高騰をあげることができるのであります。政府の統計によりますると、三十六年度は前年度に比し五・七%の上昇ということでありますが、これ自体、庶民の台所の感覚とおよそにかけ離れた数字であります。政府統計の五・七%上昇の場合、生鮮食料品その他あれほどの大きな値上がりがあるのでありまするから、三十七年度に二・八%の値上がりが見込まれていることは、店頭物価は今後相当な上昇となることが予測されるわけであります。これでは、生活扶助の基準を一三%引き上げたところで、それは物価高で相殺をされ、低所得者の生活水準はむしろ切り下げられる結果となるわけであります。消費者物価の高騰は成長政策の失敗と断定できる第二の要素であります。 第三番目は、個人消費の相対的低下と所得格差の拡大であります。なるほど、先ほどの自民党の委員の方も言われたように、個人消費の水準は確かに絶対的には上がっておるかもしれません。しかし、これは上層だけで、中所得以下の階層は、今言った消費物価の高騰によって、生活水準を切り下げられているのであります。私が問題としたいのは、そういう議論ではなくて、設備投資がどんどん大きくなるのに比較して、個人消費の比率が相対的に低下しているという点であります。すなわち、総需要構成比の変化を調べてみますると、これは政府統計でありますが、昭和三十二年度と昭和三十五年度では、個人消費は五四・八%から四七・六%へ低下をいたしております。これは設備投資が一四・三%から一八・六%へと上昇したのに比べて非常に特徴的であります。さきの公聴会においては、このような個人消費の比率は大体戦時中の比率と同じだという指摘がありました。また、所得格差の拡大は、経験的に言っても、大金持ちの所得はいよいよ拡大する一方で、池田総理の先日無責任に言った、上の方は倍にならなくとも下の方は三倍、四倍にすればよいという言葉とは、政府統計を見まするとおよそ正反対の現象が起きておるということを、後日あなた方の統計によってよく御研究を願いたいと思うのであります。 さらに、われわれが反対する理由のうちに、この予算案が、例年の予算に劣らず人資本の利益擁護予算だということであります。すなわち、二点をあげてみたいと思います。 第一点は、大資本の合法的な脱税と言われる租税特別措置に全く手がつけられていないこと、大資本に奉仕する公共事業費が他の民生費に比べて大幅に増額をされていること等を指摘しなくてはなりません。租税特別措置によって大資本が受けている減免税額は約二千億円に及ぶと言われております。一方で大資本のためにこうした膨大な減免税が実施されているのに、国民大衆に対する減税額はわずかに九百八十七億円しか行なわれていないのであります。昨年十二月、税制調査会は、平年度千七百四十五億、三十七年度は千四百億の減税を答申したのであるが、政府は、税の自然増収を約五千億も見込みながら、わずかにその五分の一だけしか減税を行なわないということは、ほんとうに取り得の、苛斂誅求主義の非難を免れないのであります。(拍手)政府のこうしたあらゆる審議会の答申無視は、単に選挙法や旧地主調査会ばかりではないということが、ここで明らかにされておるわけであります。 次に、公共事業費は前年度に比べ大幅に増額をされております。これは予算規模の増額率をはるかに上回る増額ふりで、社会保障費や文教費の増加率と比べて、きわだって大きいのであります。いわゆる他の費用よりもきわだって大きいというところに、われわれ社会党が文句を言っておるわけであります。すなわち、大企業の設備拡張に伴う隘路打開のために財政の面からこれを擁護しようとする色彩がきわめて強いのであります。特に私はここで一言申し上げたいことは、文教関係であります。なるほど前年度に比べて一八%の増額とはなっております。しかし、今全国で問題となっている高校生急増対策などは、ほとんど顧みられていない。三十八年から四十年にかけて高校入校希望者が激増し、百二十三万が新たに高校進学を希望しておるにもかかわらず、その必要額の半分にも満たない増加であります。おそらく今後は数十万人の中学浪人が出るであろうということが言われておるのでありまして、この点についても社会党は強い反対を申し上げたいと思うのであります。 政府が引き締め基調を貫くと言いながら積極予算を組んだ理由は、すでに破綻した高度成長政策を池田内閣が今日でもなお固持しているがためであります。言うまでもなく、現在の国際収支の危機は、池田内閣の高度成長政策のもとで進められた無政府的な設備拡張競争によって引き起こされた輸入の激増と、米国のドル防衛政策などで対米輸出がふるわない、中国やソ連圏との貿易拡大の道をみずから狭め、全体として輸出が伸び悩んでいることが最大の原因であります。もし池田内閣が現在の対米依存を柱とする貿易構造のもとで国際収支の早期の均衡をはかろうとすれば、二十九年、三十三年の前例をはるかに上回るデフレ政策をとらざるを得ないことを意味するのであります。しかるに、ことしは参議院選挙がある等々の考慮から池田内閣があえて積極大型予算を組んだ理由は、今後、金融の一そうの引き締め、国民の消費抑制の強化など、国民の犠牲と、外国からの借金でこれを切り抜けようとするところにあると思うのであります。このような施策のもとで大きな打撃を受けるのは、労働者であり、農民であり、中小企業者であります。 われわれは、このような弱い者いじめの高度成長政策を根本的に改め、少なくとも社会党提案のごとく予算の組み替えを行なって、政策の転換を行なうべきことをここに強調をいたしまして、私の討論を終わります。(拍手)
○山村委員長 次に、本島百合子君。
○本島委員 私は、民主社会党を代表しまして、政府提案の昭和三十七年度予算案三案並びに日本社会党提出の動議に反対し、わが党提出の政府案三案に対する組み替え要求動議に賛成するものでございます。 私ども民社党は、一月二十四日に本院の本会議におきまして、党委員長、西尾議員の質問演説以来、本日まで、一貫して政府に対して経済政策の欠陥を指摘して参りました。 池田総理は、一月十九日に本院におきまして施政演説をなされ、経済政策の失敗を率直に表明されました。すなわち、現在の景気下降を招いた原因としては、「あらかじめ起こるべき事態の的確な予見と、これを回避すべき事前の対応策に十分でなかったことは、これを認めるにやぶさかではありません、」このように述べられておるわけであります。この点につきましては、わが党は、すでに、昨年一月の通常国会本会議のおりにも、西尾委員長を代表質問に立て警告をしたように、昨年一月現在の時点に立って昨年の下期経済の見通しを予測するならば、決して楽観は許されないというのが、国民の常識であり、かつ、これが国民の不安の的であったわけであります。しかるに、政府は、国民の声であったわが党の警告に少しも耳を傾けずに、経済成長率九%の三カ年連続の政策をうたって、大企業の設備投資競争にさらに拍車をかけたのであります。 池田総理は、すでに、経済閣僚としては二十八年、三十二年の二回、総理としては三十六年、以上三回にわたって大企業の膨張を助成して経済過熱を引き起こしてきた責任者なのであるわけであります。そして、逆に消費者物価騰貴を引き起こし、勤労者の生活困窮、所得格差等を招いて、大きく物価騰貴を引き起こした責任もあるわけであります。こうしたことが、予算編成の基本方針となる施政演説の中でもこのような政策の失敗の事実をお認めになりながら、予算編成の内容におきましては、政策失敗の非を一体どこで認めているのか少しもわからない。政策行方不明予算であると申し上げても過言でないということになるわけであります。 私が政府案に反対する理由は、第一に、政府案は歳入予算におきまして、国民所得に対する租税負担率をあえて引き上げておられます。すなわち、昭和三十六年度当初予算におきまして、国民所得に対する国税及び地方税の合計額の比率は二〇・七%でありました。政府は明年度予算案におきましては二二・三%に引き上げたのであります。政府は、およそ、減税とは口に申しながらも、その反対の国民の税負担率を引き上げるという結果を招いて参ったのであります。こういう点から私ども推察いたしまして、三十六年度予算に比べて租税収入の増加を約四千八百億円、このように計上しながら、一方減税ではなくて増税をはかったと言わざるを得ないわけであります。減税額は九百八十七億円になっておりますけれども、税の収入増加に対する減税額の利害は、過去十年間の減税額のうちで最低の比率であるということを御認識いただきたいのであります。政府の減税案が、所得税と物品税、酒税など、大衆課税の税目を中心としながら、このような最低の比率の減税にとどまっているということは、政府の方針は、減税を予算編成の大方針であるかのようにうたいながら、実質的にはこれを軽視しているものと言わざるを得ないのであります。私は、政府が国民所得に対する租税負担率を二〇%程度の限界にとどめる大原則をなぜに守らなかったのか、こうした経済成長が高いといわれるときにこそ、こうした原則をきちっと守っていって初めて国民は納得するものであると考えるからでございます。また、国民の実質的所得の向上を税制上からもはっきりと採用しなかった、こうした予算については、私ども賛成することができないわけであります。 第二の反対理由は、減税に消極的であり、余裕財源を持ちながらも、低額所得層に対するところの予算もきわめて消極的であるということであります。そうして、所得格差を縮めていくということが、かなり長い間政府は、言葉としては言って参りましたが、今日の予算の中からは、まずむずかしいと見なければなりません。その一つの理由といたしまして、先ほどから言われておりますように、生活保護基準の引き上げは一三%であって、六大都市の一級地にありましても、標準五人世帯で月額一万一千九百二十円の扶助料が一万三千四百七十円になり、一級地でありながらも、一人当たりわずかに月額三百円程度の引き上げにしかなっておらないのであります。この程度の引き上げでは、最近の物価値上がりに吸収されてしまうことは明らかであります。私は、政府案は、池田総理が言われるように国民福祉という言葉をお使いになるならば、予算編成の重点は低所得層の生活保障に置かれるべきであると思うわけであります。この点において、今回の政府案は当然社会保障に重点を置かれるはずであったのにもかかわらず、物価の騰貴、物価高に対する予算増だけを認めて、新規に見るべき施策のないことは、社会保障の本質を知らざる予算というべきで、私は、この観点に立ちましても、福祉国家に対する見解の相違ということで反対せざるを得ないのであります。 第五の理由は、昨年、全国的な猛烈な運動が巻き起こされた高校増設の運動であります。この運動は、単なる示威ではなくて、親も子も一緒になって、中学卒浪人を出したくない、なりたくないというこの悲願から起こったものであります。にもかかわらず、政府は、高校増設に対しましては、義務教育でない、国の仕事ではない、地方公共団体、地方自治体の事務であるという観点から、地方自治体に責任を負わせたような政府答弁、政府説明をいたしておるわけでありまして、教育は国家の象徴ともいうべきものでありますので、こうした問題に対して真に熱意のないということは、文教予算を見ても明らかであると同時に、政権担当の責任者にあらずと言っても過言でないと思うのであります。また、義務教育教科書無償配付の法案に見られますように、無償配付の原則だけはうたっておりますけれども、その措置は一切調査会まかせにしてしまった点、また、大騒ぎをして成立をさせました農業基本法についても、その裏づけになる農業改善対策費がたった四十二億円にすぎないということは、農民に対するところのいわゆる施策が政府与党にないということを、言わざるを得ないのであります。さらに、石炭対策、海運対策など、その見るべきところがない予算であるという、こうした観点に立ちまして、私どもは残念ながら政府案に反対せざるを得ないのであります。 また、政府は、経済発展がきわめて不均衡であるから、これら予算面から是正すると言いながら、それらの施策がすべて今流行のインスタント政策であるということは、政府みずから認められるところであろうと思います。要するに、総花式に項目が羅列されているだけであって、長期的な見通し、国民生活に深い根をおろそうとする熱意を持っておられません。私は、このような予算編成が、実は二兆五千億円に近いところの大型予算の実態であることを見きわめまして、私どもはこの三十七年度政府予算に反対せざるを得ないという観点を申し述べます。 以上、反対理由をもちまして、政府案に反対し、これを組み替えるべきであるというわが党の主張に同意するものでございます。 以下、わが党の組み替え、要求動議は、第一に、大衆減税を約一千九百億円の規模で行なって、国民の可処分所得の増額をはかり、一方において、大法人企業に対する的確なる徴税並びに租税特別措置法の改廃等によって、大企業高額所得者に対する正当な税負担約一千億円程度を課税するものであります。 第二に、歳出予算は、社会保障に最重点を置き、さらに、中小企業、農林漁業、石炭、海運などの産業に対する直接助成を優先的に行なうものであります。 第三に、政府案の暗い影と申しましょうか、国民がどうしても納得のいかないところの、ガリオア・エロア、日タイ特別円協定の支払いには絶対反対しなければならないとし、反対するものであります。かつ、第三次防衛計画に基づくところの自衛隊の増強をこの際きっぱりと取りやめるものであるわけであります。 第四に、地方財源の強化をはかることであります。 わが党の政府案に対する組み替え要求の動議は、以上の四点につきまして具体的に数字を明らかにして、歳入歳出の均衡をはかりつつ、いかに組み替えるべきかの方針を提案して一おります。 何とぞ、本委員会におきましては、わが党動議を採用されて、政府案を組み替えなさるよう強く要望いたしまして、私の討論を終わりたいと存じます。(拍手)
○山村委員長 これにて討論は終局いたしました。 これより採決に入ります。 まず、川俣清音君外十五名提出の、昭和三十七年度一般会計予算、昭和三十七年度特別会計予算及び昭和三十七年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山村委員長 起立少数。よって、川俣清音君外十五名提出の、昭和三十七年度総予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議は否決されました。 次に玉置一徳君外一名提出の、昭和三十七年度一般会計予算、昭和三十七年度特別会計予算及び昭和三十七年度政府関係機関予算の編成替えを求めるの動議について採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山村委員長 起立少数。よって、玉置一徳君外一名提出の昭和三十七年度総予算につき編成替えを求めるの動議は否決せられました。 次に、昭和三十七年度一般会計予算、昭和三十七年度特別会計予算及び昭和三十七年度政府関係機関予算を一括して採決いたします。 以上の三案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山村委員長 起立多数。よって、昭和三十七年度一般会計予算、昭和三十七年度特別会計予算及び昭和三十七年度政府関係機関予算は、いずれも原案の通り可決いたしました。 委員会報告書の作成につきましては先例によりまして委員長に御一任を願いたいと存じまするが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山村委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決定いたしました。 これにて昭和三十七年度総予算に関する議事は全部終了いたしました。 ————◇—————
○山村委員長 この際一言ごあいさつを申し上げます。 去る一月二十六日に総予算の審査を開始いたしまして以来、終始真摯なる論議を展開され、予算委員会の権威を高め、本日ここに審査を終了するに至りましたることは、ひとえに委員諸君の御理解ある御協力によるものでありまして、委員長といたしまして心より感謝の意を表する次第でございます。 連日審査に精励せられました委員諸君の御労苦に対し深く敬意を表し、ごあいさつを申し上げる次第でございます。(拍手) 本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十七分散会 ————◇—————