予算委員会 第15号
- 発言数
- 257 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1962/02/17
会議録
○山村委員長 それでは、これより会議を開きます。 昭和三十七年度一般会計予算、昭和三十七年度特別会計予算及び昭和三十七年度政府関係機関予算を一括して議題といたします。 質疑を続行いたします。石山權作君。
○石山委員 私が質問するのは、おおむね臨時行政調査会の件につきまして、川島大臣を主体にして質問いたしたいと思います。 この臨時行政調査会は、川島さんのお知りのように、かなりに難航した法案でございます。大臣も小澤さんから川島さんに引き継がれ、国会も二つ経過してできた法案でございます。この法案のよさは、少人数で日本の行政機構というものをじっくり考え、そうしてこのできたものに対しては、政府は責任を負うて強力にこれを行政面に現わしていく、こういうふうなやり方でございまして、しかも選ばれた七人は、川島長官等が大へんに心を込められて選んだ、現代における七人の賢人と言ってもいいほどの人選だというふうに一部では見ておるようでございます。そうして二月十五日に初めて調査会が開かれたのでございますが、それについていささか世間をにぎわすと申しますか、利害関係者にとりますれば、かなりのショック的な問題が二月十五日に起きたわけでございます。当日、池田首相とともにこの調査会においでになった川島さんから、私は当日の会の模様を一応承って、そうして七人の賢人の一人としては賢人らしからぬ発言をしておりますので、それについて質問を進めていきたい、こう思いますので、当日のありさまを川島長官から承りたいと思います。
○川島国務大臣 七人の委員の方に全部委嘱が済みましたので、二月十五日に第一回の顔合わせの会合をいたしました。その際に総理大臣並びに私から一応のごあいさつを申しまして、かねて書面で会長の指名を総理からしておりました。それに基づきまして、佐藤喜一郎さんが会長になりまして、佐藤さんから、これは法律に明記してあるのですが、代理として高橋雄射さんを指名されまして、そのあとで佐藤会長並びに高橋会長代理から、それぞれ簡単なごあいさつがありました。終わりましてから、別室で、今後の運営につきまして懇談をいたしたのであります。懇談は、内容的にはほとんどありません。二十一日に第一回の会合を開いて、今後の運営の仕方を相談するということで終わったわけであります。
○石山委員 当日池田首相のあいさつをした中身、それと同時に、川島さんがあいさつをなさった中身、そういうものは、調査会に対してどういう意味を持つごあいさつでしたか、この点をお聞きしたいと思います。
○川島国務大臣 今回の臨時行政調査会は、人員整理を目的とした行政改革ではなしに、現在の行政を見ますると、きわめて複雑でありまして、しかも非常に非能率である。そこで、行政を根本的に変えて、能率的な簡素な行政機構に直して、むだのない、便利な、しかも国民のためになる行政機構にし、かつ運営をしたい、そのために七人の委員の方に御協力願いたいのだということを申し上げまして、特にこれこれのことについて協議をしていただきたいという諮問はしておりません。今後答申の内容は、全く委員会の自主的発意におまかせするという態度で臨みましたし、そういう意味のあいさつを総理も私もいたしております。
○石山委員 池田首相のごあいさつの速記等も私ら見ておりません。おおむね新聞を通じて見ているわけでございますが、その中には、かなりこの調査会に対して期待するところが大きいようでございます。十分に調査会の意思をば尊重していきたい。そして、今回は強い決意というふうな言葉を使っておる。在来の審議会のようではないのだ、強い決意を持って行政機構の問題に対しては当たる、在来の審議会等と違うのだ、こういう強い表現をして首相はあいさつをしておられるわけです。それからあなたのごあいさつは、かなりに長文に出ておりますが、あなたがおっしゃったようなことを大体書いております。特に私たちこの法案を審議したものからすれば、かなり裏打ちをされるような言葉が使われております。臨時行政調査会の企図するところは、人員整理による行政改革というようなことではなく、さらに高い見地という言葉を使っております。高い見地から日本における行政のあり方を、その組織、運営の根本にさかのぼって検討することである。行政を簡素化し、責任体制を明瞭にして、むだのない行政、便利な行政、国民のための行政というふうな言葉で大体の意味を表わしております。おそらく、こういうふうな首相並びにあなたのごあいさつのあったあとでしょう、調査会会長の佐藤さんが新聞発表をしたのでございますが、この新聞発表がかなりに正確なものをば伝えているとするならば、首相のあいさつの中身にはそむかないものかもしれませんけれども、直接担当者である川島行管長官のあいさつの中身から見れば、かなりに相違のある表現が使われて談話が発表されているわけなんであります。この談話の発表は信頼性というものはどのくらいあるか知りませんけれども、あなたのあいさつとかなりに違った新聞発表を行なっている佐藤会長の言辞に対しまして、長官はどういうふうな感じでこれを受け取っているか、こういうことをまず第一にお聞きしておかなければならぬと思うわけです。
○川島国務大臣 佐藤会長の新聞記者会見に私は立ち会っておりませんから、真相は知りませんが、新聞で読みますると、行政機構改革の際に、配置転換もやる、なおそれで人が余れば人員整理もあり得る、こういうことを言ったように新聞で拝見いたしております。佐藤さんと私とはこの問題でまだ懇談をいたしておりませんから、真意はわかりませんけれども、そういったことは私も認識しております。いずれ佐藤会長に会いまして、この問題については十分意見の交換をしたい、佐藤会長だけでなしに、七人の委員全体で意見の交換をしたい、かように考えております。
○石山委員 私ども国民の負託にこたえて国政をあずかっているものとしては、法律に対しましては、その利点あるいは利害関係者の受ける犠牲、こういうふうなものを、微力でございますけれども、常に真剣に検討しているつもりでございます。ですから、委員会等における審議あるいは推移に対しては、政府もかなりに敬意を払ってきているのが、昨今の国会の状態だと私は考えております。ですから、国会で論議をする内容、精神、こういうふうなものが第一に与野党の中、政府に尊重されなければ、最近いわれている国会の正常化などは夢のようなものだと思う。ここで与野党が口をそろえて附帯決議等をつけた場合においては、政府としてはこれを法律の形で受け取ってもしかるべき問題だと思う。あなたはまだ佐藤会長とお会いをしておらぬようでございます。私はきのうのうちにお聞きしたいと思っておりましたけれども、きのうかぜを引いてお休みになった、こういう状態ですから、私は無理を言わないつもりですけれども、二つも国会を経過し、与野党一致してつけた附帯決議の要旨からすれば、かなり異なった発言をしている調査会長の佐藤さんに対し、あなたはほんとうは、普通であれば、夜を徹しても本委員会に理路整然と釈明されるだけのものをつかんでいなければならなかったはずでございます。しかし、かぜを引いてお休みになっているというのでございますから、私はこの問題に関する限り、国会の一つの決議、国会の一つの権威からしましても、国の法律によってできる調査会の会長が、われわれの決議と違反するようなものの考え方で初日からその意思表明をするというふうなことに関しては、議員の一人としては、どうしましても佐藤会長をばお呼びして、もう一ぺん内閣委員会で討論をした内容をお聞かせをしたい。あるいは、彼氏はどういう意思をもってああいう発言をなさっておるか、今後の調査会の運営等についても、われわれとしては疑義を持つものでございますから、文意等についてもお聞かせを願いたいし、われわれとしましても意見の具申をしたいものだ、こういうふうに思わざるを得ないのでございます。私は、その点に関しましては、あとで理事の諸君の皆さんに善処方をばお願い申し上げておきますけれども、せっかく七人委員会が出発をする、その七人委員会に対してこの法律は何を示しておるかということです。もちろん、これは池田首相もおっしゃったように、なるべく自由な形で委員会は創意工夫をこらすでございましょう。しかし、この法律の中身を見ますると、決して行政機構の改革は人員整理によるという安易な方向を示しているのではないのでございます。行政機構の荒木を探りなさい、根本原因を探り求めて、そして簡素であり、能率的であり、国民にサービスをする機構にしなさいといっているわけでございます。余ってきたら首を切れ、こういう予言者みたいなことをわれわれは調査会に求めていたのではございません。選ばれた七人の人たちを、私は七人の賢人と申し上げているほど、われわれはその人たちを信頼しておる。しかし、その一番の長になる指導的地位にある力が、いまだ機構をお調べにならないうちから、余ったならば、こうであるならば――われわれは調査会に予言者の役目を求めているのではございません。今の場合、こういう発言に対しまして、まだ会っておりませんというふうに川島長官はおっしゃっておりますが、会わないまま、今新聞に示されるような格好であなたが受け取った場合、直接の関係にある長官としては、調査会をどういうふうにお考えになっておりますか。私どもがあなたに何回も何回も念を入れ、そしてこの文書は、与野党だけでなく、決議する前にあなたもごらんになった文書なんだ。そうしてできたこの附帯決議に対して、政府としてはどういうふうにこたえられようとしておりますか、御意見を承りたい。
○川島国務大臣 附帯決議の全文は記憶しておりませんが、その中に「人員整理を意図するものでない」こういう文句があったように思います。確かに、今回の行政機構改革は人員整理を意図するものではございません。現在世間には、あまりに役人が多過ぎるという議論もたくさんあるのであります。しかし、二曲におきまして、毎年予算編成期になりますと、各省庁から相当多数の定員増を要求して参ります。これを行政管理庁並びに大蔵省で査定いたしまして、最小限度に認めておるのでありますが、しかもなお、最近は年々二万、三万という公務員が増加をしておる、全く公務員は増加の一途をたどっておるのが現在の趨勢であります。それに対して国民の一部では、あまりに役人が多過ぎるじゃないかという強い非難も出るのであります。大体、今日の役人の数が多いか少ないかということにつきましては、これを組織的に調査研究しなければならぬと思います。また内容から考えましても、一般行政職、現業的の役人、特別職、それから技術者、学校教職員のような、おのおの違った内容もありますし、また職場個々に見ましても、非常に忙しくて人手の足りないところもありましょうし、中には人が余っておって、たばこばかり吸ってぶらぶら遊んでいるという官庁もないわけではないのであります。ところが今日の行政のあり方では、同じ省庁内でも配置転換さえ困難なままきているのでありまして、こういうことを一切調べ上げて、その結果によってこれを処置しようというわけであります。もし人が足りなければ、当然公務員の増加でありましょうし、人が多過ぎて、これがために能率が低下して国民に迷惑がかかるならば、当然定員を減少しなければならぬわけであります。そこで、私は委員会でしばしば申し上げておるのでありますが、たとい減少の場合でも、公務員の現在の生活権を奪うようなことは絶対にすべきものではない、首切りはしないのだ、適当の方法で必要なる定員に持っていくようにするのだ、言いかえるならば、今後の定員増は一切押える、しかも毎年全官省庁にわたりまして数万の自然退職者、病気あるいは老年、定年、他に転職などありますから、そういうものを数年間補充しない方法でも、その埋め合わせばつくのでありまして、いろいろあります。人員整理の方法は、ただ首切りだけではございません。そうして、長年かかって適当な人員に整理して、国民にサービスするということもあり得るのでありますから、佐藤さんがどういう意味で申し上げたか知りませんけれども、人員整理の処置方法については、もし必要ならばこれからとくと相談したい、こういうふうに考えております、
○石山委員 老練な川島さんのことですから、おそらく私は、佐藤さんに対しては、国会の審議等を通じた事柄については、人選をなさる場合も、特に会長就任の場合でございますから、かなりにこの内容をば示したと思います。ですから、佐藤さんの記者会見の発言の中にも、国会における附帯決議がついておるけれどもという前提を一つつけておる。私はここに非常に情けなさを感ずるわけなんです。私は人の言うことはあまり気にしない方でございますけれども、私たちが難儀をして難儀をして作った法律だけに、これを最初から無視したような発言をなされる会長さんを見ると、どうもその先が思いやられてなりません。あなたがいかにここにいてがんばっていても、どうも狂ったレールに乗っかっていく委員会の姿を見るような気がしてならないのでございます。しかも佐藤会長さんが意図しておることは、小さな民間企業のような格好で物事を見ているのではないかと思うのです。民間の企業は営利企業でございますから、バス等においては公益性があるといっても、ここは経済的に赤字が出れば、その赤字に見合って、たとえば人件費というものは総支出のうちの何割と限定しなければ採算がとれないというめどが生まれてくる場合には、これは頭から二割削減なら二割消減というやり方で企業をやってきておるわけです。佐藤さんの履歴を見ますと、国家に対する見解よりも、民間の企業における有能な方のようでございます。その意味であるいは国家行政というものを見たのではないかと思うのです。国家行政というものは、利潤という考え方ももちろんあるでしょう、効率という問題があるでございましょうが、効率という問題のほかに、行政事務というものは、目に見えない国民にサービスするという、サービスがそのうちの大半を占めておるということです。サービスをばどういう形で抑えるかということになりますと、これは議論の分かれるところだと思う。それを最初から実際検討もなさってみないうちに、ほかの六人の委員の見解もよく聞かないうちに、人員整理が官庁機構の簡素化に最も通ずるものである、能率化に通ずるものである、首切りが即合理化に通ずるものであるという、この単純なものの考え方では、この複雑膨張している官僚の機構をば、メスを入れるといっても、言葉で終わってしまうような気がしてなりません。特に私、先ほど申し上げましたように、われわれが一生懸命難儀をして作った法案、そしてその附帯決議が、最初からむざんに否定されたような立場である。この点に関して特に私は強調したい。最初から行政整理というものが人員整理につながっていくようなものの考え方で、官庁機構をばいじらすという考え方で川島さんは今後とも考えているかどうか、その点をば特に念を入れて承っておきたいと思います。
○川島国務大臣 臨時国会で法案御審議の際にも繰り返し申し上げたし、十五日の私のあいさつにもはっきり申し上げてありますが、人員整理が目的じゃございません。現在の複雑多岐であって、非能率であって、国民に非常に不利、不便を与えておる行政機構を根本的に直そうということが目的でございます。役人が必要ならばどんどん眠くべきでありますが、役人が非常に多いがために、かえって国民が不便を感じておることもあるかもしれぬ。そういう場合には、そういうところの役人は当然定員を減少しなければなりません。その減少した定員というものは、できるだけ配置転換をいたしまして、忙しい方へ持っていくということが当然である。もしそれでもなお人があった場合に、これを一体どうするかということは、これは考える問題でありまして、先ほど申し上げましたが、かりに若干でも人間を減らす必要があるとしても、直ちに首切りはしない、人員整理はしない、その人の生活権は保持する、数年間のうちに自然退職を待って、最終的に定員に落ちつくようにする、こういうことを申し上げておるわけでありまして、おそらく佐藤会長もそういう意味で言ったのじゃないかと思いますが、実は佐藤会長のみならず、全体の委員の方に私が依頼するときには、調査会の根本の方針、根本の目的だけを申し上げまして、こまかいことは申し上げておりません。十五日に、ただいまお話の附帯決議をみな配りましたけれども、二十一日の会議の際に、特に国会審議の状況を私から報告する予定になっております。その際に佐藤さんとよく談合してみなければ、佐藤さんの真意がどこにあるかわからぬと思うのであります。佐藤さんともよく意見を交換いたします。
○石山委員 ここでごそごそ言う与党の方でも、何か公務員の数が大へんに多いのだ、こういう先入観がかなりに多いと思います。しかし今の官僚機構をお作りになったのは、野党の社会党ではなくして、与党の自民党が現在の官僚機構をお作りになったということは、だれも否定できないと思います。そうすると皆さんは、今そんなことをおっしゃっているとすれば、非常に非能率的な政治をば与党の方が長い間、十年間もやっていたということになる。十数年間も壟断していたということに通ずるではございませんか。ここに行政管理法令集がございますが、この中の人員を調べてみますると、前に、昭和二十四年五月三十一日の定員が、公務員が八十七万三千ございます。それをつい先ごろの法律、定員法が改正された人数を見ますると、六十九万九千というふうに、大へん減っているわけなんです。ですから、こういう政府が出している資料を見てみても、基準というものの置き方によっては多くも感じられるし、少なくもなって現われるということでございましょう。ですから、一がいにふくれたふくれたと言っても、うんとふくれたのは、防衛関係の二十七万が著しくふくれたのであって、あとの一般の行政管理職になりますと、ほとんどその増加率は少ない。ですから、与党の方は一体何を基準にして公務員の数が多いなどと、ヤジウマ気分のような感じで発言しているか。私はこういう点でも、非常にふまじめな感じを受けてなりません。 特に私が考えているのは、私たちはこの調査会をば、自由な民間の創意等を取り入れる、そして官僚機構へメスを入れたいというためにいろいろとお話を申し上げました。そのうちに、川島長官が私どもの意見に同調しない点は二つあります。一つは、調査会の答申というものはすべて満場一致制にしなさい、こう申し上げたときに、川島さんは、七人の人たちで話し合うことだから、ほとんどこれは満場一致のような形で出るのだから、そういうことをうたう必要はないだろうという御意見でございました。これは賛成をしていただけないことでございました。それからもう一つは、配置転換等の話がございましたが、私どもの方の山内委員から、人員の配置の考え方として、時間短縮等を考えてみる必要があるのではないかという意見が出ております。しかしそれに対しましても、長岡との振り合いがあるから、今どうこう言うこともできないというふうに言っております。私の方でも、最初は皆さんの方の説明の中には、公務員制度は絶対にいじらせないという答弁が行管の事務当局からなされておりました。しかしそれであっては、膨大な機構をいじった場合に、少しでも公務員制度に関する限りできないというふうなことであっては、この調査会のほんとうの真意が薄れてしまうのではないか。そういう意味で、この附帯決議の中では、われわれの方でも二歩も三歩も下がった形、公務員制度という言葉を抜きにして、公務員の身分の変更という言葉に直しているわけです。これほどわれわれはこの調査会に期待もし協力もしているわけでございます。安定政権という形をとらなければこの機構改革はできないのだから、与野党が協力してやろうじゃないか、そういうふうなことを申し上げて、人選もあなたのところでは、そういう角度からも行なわれたと思っております。ここまでは私どもも、担当の長官であるあなたも、政府も、大がいほとんど統一されたような形できたのでございます。私どもの中では、これは率直に私も申し上げておりましたが、代議士の中でもこの調査会の性格、将来性について、かなりの疑心暗鬼を持って反対をなさった方もおったと申し上げておりました。ましてやこれの直接の利害関係を受けるところの公務員の組合の方々はこぞって反対だ、この法案は廃棄してくれというふうに申し込まれているのだ。ですが、政府の意図するところ、長官の意図するところをわれわれは高く評価をしてこれに賛成をした経緯。ですから、こういう経緯を経て今日まできまして、そして初日において最も頼みにする調査会の会長さんが、真疑のほどははっきりしないといっても、大新聞がこぞって取材した記事を照らし合わせてみますれば、ほとんどがこれは間違いがないと思われる。最終的にきまるべき問題をば、人口整理をば、最初から発言してくるなどということになりましては、人選に着手をした川島長官の識見のほどもこの際考えたくなることでございますし、またそれを受け取ったわれわれ国会側も、安易な形で承認を与えたということに関しても、いささか考えさせられる節がございます。しかしこの事態をとういう形で――国会の論議を通じて、あるいは反対を続けていた野党をば賛成させ、そしてこの附帯決議をのんだというあなたの立場としましては、どういう形でこの事態を収拾なさるか。われわれはこのままではとても調査会も信頼できなくなりますし、その当面の責任者である、あなたをも信頼できなくなりつつあります。ましてや、利害関係を持つ公務員諸君は、見たことか、本性を現わしてきたのじゃないか、こういうふうに言い始めております。この事態をばどういうふうに処理なさるか。公務員の能率を上げさず、国民にサービスをする公務員にしたい、こういうこととはうらはらに、公務員に不安感を与え、公務員に反感を与える調査会になりつつあるではございませんか。あなたはこの事態をばとういうふうに処理なさるつもりでございますか。
○川島国務大臣 佐藤会長も、これだけの冗員があったらこれを首切るという、こういう表現はいたしていないのだ。今度の七人委員会は、あなたの言う通り七賢人だというのですが、各界の最有力の人にお願いをしまして、御承諾を願ったわけであります。従いまして、総理大臣といたしましても、私どもといたしても、特に問題を提供してそれの検討を願うのでなしに、自由に一つ検討してもらいたい、こういうことでありまして、七人の委員の人は、それぞれいろいろな考えがあろうと思います。それを持ち寄って、落ちつくところに落ちつかせることがこの委員会の目的でありまして、従って総評の太田さんなり何なりにも入ってもらっておるわけなんでありまして、佐藤発言を、すぐにこれを人員整理の首切りだ、こうおとりになると少し早いのじゃないか、こう思うわけであります。大体今の公務員が、総合的に組織的に調査して、多いか少ないかということを根本的に調べていただくということも、この委員会の目的でありますから、そういう結果を見て、それをどう処理するかということをそのときに相談すればいいのでありまして、佐藤さんの意見は、民間には確かにああいう意見も一部にはあります。ありますけれども、これを実行すると言っているのじゃないのでありまして、一つの意見として佐藤さんが言ったのだと思いますから、そう大して気にする必要はないので、七人の人にまかしてみて、結果が悪ければ、そのときにお互いに努力して、附帯決議の趣旨の通りにやらしたらいいのじゃないか、こういうふうに朗らかな気持でこれに向かいたいと思う。
○石山委員 私はみんなから、人がいいと言われている。社会党の人から、人がいいと言われている。いつもにこにこしている。いつもにこにこしたいのだよ。にこにこしたいのだけれども、にこにこするわけにいかぬということは、官庁の行政機構を見る目つき、方向というものが間違っているということなんです。この法律の精神から違うということなんです。首切りによって行政機構を改革せいなんて、この法律には一音も書いていないのです。官庁の行政機構を直すには、民間と同じ形式ではあやまちがあるということを私はさっきから言っておる。あやまちになるということを言っておる。サービス機関、国民に対する奉仕――奉仕ということは、人員を何割減らすことによって簡素化されたとか合理主義になったとかという言葉には置きかえられない問題なんです。全然違う。民間の場合には、経済的な裏打ちがきちんと現われてくるから、これは何割整理などといっても、私は決して誤ってはいないと思います。しかし国家公務員、国家行政組織を見る場合には、そういうやり方こそ最も画一主義で形式主義で、そして役に立たない考え方だと言わざるを得ないと思います。ですから私は、佐藤さんの言ったことがたまたま、政治家によくありがちな放談の一つだ、放言の一つだというふうに聞き流したいのですけれども、根本のものの考え方は、われわれが調査会に求めているものと違った形で調査会が運行されるという場面を見るから、私どもは言わざるを得ません。特にここにある新聞記事、私は三つの東京の大新聞を集約して見ていまするが、この附帯決議は、佐藤さんにとっては大へんじゃまになっているのでございます。じゃまにしているようでございます。ですから、この附帯決議の通りであるならば委員として即日やめたいと言っておる。これは国会を侮辱し、担当の川島長官をば脅迫していることに通じはしませんか。その通りではございませんか。附帯決議の通りであるならば私は即日委員をやめたいと言っておる。一体われわれは何のために長い間かかって小澤長官からあなたのところまで、論議に論議をかわしてこの附帯決議をつけたのか。しかもこの附帯決議は、拝み倒しをして野党の方々から判こをもらったというのではございません。協力一致という形でつけた附帯決議なんです。それをば軽蔑をし、じゃまにし、これを尊重しなければならぬようであるならば委員を即日やめますと言っておる。まことにもって、私どもからすれば不愉快千万でございます。私個人は不愉快千万で済むかもしれませんけれども、よく言っている国家機構の最高機関である国会の強い決議が否定をされる、その否定の仕方も、無軌道な形で、初めての会を開かれたときから、調査もしないうちに、これであるならば委員をやめるなどと言っているわけでございまするが、その点に関しても、長官は何らお調べになっていないのでございましょうか。
○川島国務大臣 附帯決議は私はじゃまでありません、当然つけるべき附帯決議、かように考えております。附帯決議は大体三つ要項がありまして、一つは、超党派的に人選をしてくれということ、一つは人員整理を意図するものではないということ、一つは、委員会の運営は多数決でやられちゃ困る、こういう三つであったと思います。超党派的に人選したことは、すでに御承知の通りであります。委員会の性格上、これは決議機関じゃありませんからして、数であれするものではありません。ともかくも話し合って結論を得べきものでありますし、これまた当然でありまするし、また人員整理を意図するものでないということも、これまた当然でありまして、私は当然な附帯決議である、こう考えております。佐藤会長は、この決議ならやめると言ったということを、私は新聞では見ませんが、新聞記者との応答の中に、質問にあるいはそういうことがあったかもしれませんけれども、それはそのときの勢いでそんなことをしたかもしれませんけれども、これは佐藤さんと話せばわかることでありますから、話します。
○石山委員 川島長官は年功を経たような言い分でおりますけれども、これはそういうふうな軽い意味で過ごされる問題ではないようでございます。私どもはこの設置法に基づき、あなたがこの法案をば提案した趣旨に基づいて、協力態勢をとって附帯決議をつけたわけなんでございますから、これはやはり運営の中で生かしていただかなければならぬし、この運営の中で生かすということは、先ほども申し上げたように、私は決して自由なる創意工夫というものをば委員会から締め出そうとしているのではないということを、あなたもこれは御了解いくわけでしょう。だからあなたはこの附帯決議を受けて立ったわけなんです。ですから私は先ほども申し上げましたように、この問題については佐藤会長の、会長として会を運行する上に、かなりわれわれが意図していると違った方向をば見て、問題をば整理しようとしているのではないかというふうに考えております。それに対してあなたは、会長と話し合って、そうしてやっていく、こういうふうにおっしゃっておりますけれども、私は佐藤会長に直接お話を申し上げて、われわれがこの附帯決議をつけた趣旨、あるいは国会で長い間論議をした中心というものはどこにあるかということをば説明しなければ、あなただけの御意見を承っても、どうしましても納得できない。だってそうでございましょう。十五日に行なわれて、今日になりましても、まだ私はよくわかりません、佐藤さんとは会っておりません、彼はそういう考え方で言ったのではなくして、軽い意味で、やめるということも、もののはずみに言ったというふうなことを言う。やめるということが、しかも附帯決議をば否定をして、そうして附帯決議が生きるとするならば私はやめますということは、もののはずみでそういうことを言ったというふうには考えられません。おそらく新聞記者の方々に二つの省と省と、あるいは局と局と合わすと人が余るのじゃないか、余ってきた人は配置転換をする、配置転換をしたらどこへやる、こういうふうな誘導尋問にあるいはかかって、その際は首を切らなければならぬというふうな言い分に陥ったかもしれませんけれども、しかしこの附帯決議をば重荷にし、じゃまにして、これが生きているとするならば私は委員をやめるなどということは、もののはずみではないはずでございます。それでもあなたは、もののはずみであるから、そんなのはちょっとかんべんせいなどという言い分でございましょうか。
○川島国務大臣 佐藤会長がやめると言ったか言わないか、私は知りません。かりに言ったとすれば、ということを申し上げたわけであります。佐藤会長は、大体決議の文は読んだでしょうけれども、国会審議の状況は知っておりません、まだ報告していないのですから。これは二十一日の会議に、私から詳細に報告する予定になっております。その報告を聞いた上に、佐藤さんとしてもまた考えるところがあろうと思うのであります。大体今度の問題は、そうした問題でも、いかにして行き詰まった日本の行政機構を根本的に改革しようかという熱意で七人とも当たっておるのでありますからして、七人の方は非常に熱心であります。一つや二つのことでもってやめるなどということを軽々に発言するようなことはないわけであります。佐藤さんといえども、非常に熱意を持って当たっておりますからして、必ず会長としての職務を実行していただくものと思っております。ただ会長といいましても、これは別に権限があるのじゃなくて、会務を処理するだけでありまして、七人がみな同じ権限でもって、同じ立場でもって相談をするというのが建前になっておりますから、太田さんにしても、あるいは蝋山さんにしても、十分勝手な意見をお吐きになって、そこで、最終的に落ちつくところに落ちつかせたらいいのでありまして、一人や二人の委員がかれこれ言ったからといって、一々これを取り上げていったら切りがないのであって、私はそう気にする問題でない、こう考えております。
○石山委員 附帯決議の点につきまして、私、別の角度から長官にお聞きしたい点は、公務員の人員がどうも多いのだ、こういうことをおっしゃっておりますが、私どもは、七人委員会が発足するのだから、七人委員会を経過して設置法等は出すべきであるというように、この前のときもあなたに見解を示しておきました。人員が多いとか官庁機構が大きくなるとかいいましても、今度の場合でも内閣委員会には設置法等を含めて二十一件、十五日までにかかっております。これのふえる人員は二万二千名です。人員整理ということがもしわれわれの脳裏に浮かぶとするならば、ここいら辺からまず規制をしていかなければならぬはずでございます。こういう点はちっとも考えないのかどうか。 それから附帯決議の中に、公務員の身分の変更という言葉をわれわれは使ったわけなんです。今度防衛庁に調達庁が吸収されます。そうした場合に、調達庁の労働組合を作っている方々は、防衛庁に吸収される場合には、身分の変更があるわけでございましょう。身分の変更はございませんでしょうか。いずれにしましても、人員整理とい言葉が頭にくるとするならば、なぜこういうふうな増員をしなければならないのか。あるいは、七人委員会を迅速に、そうして効率的に動かすとするならば、重要案件と目される、たとえば農林省設置法のようなもの、あるいは防衛庁設置法のようなものは、この七人委員会で検討さすべき問題ではないのか。附帯決議にある公務員の身分の変更に関しては、私は長官自身が、政府自身が、与野党の統一した附帯決議を踏みにじっているというような印象を受けるわけですが、その点に関しましてはどういうように理解をすれば、よろしいのでしょうか。
○川島国務大臣 三十七年度の予算編成の際、各省庁から要求した定員増は四万六千名ございます。それを圧縮しまして二万幾らかにしたのですが、その中にはどうしても認めざるを得ないものがある。たとえば郵政省の労組と郵政大臣と協議の結果、一万二千名ふやすことになった、これは認めなければいかぬでしょう。それから学校を増設します、これに対する教職員も認めなければいかぬでしょう。また公共事業をふやす、この現場の職員も認めなければならぬ。そうした現業的なものはどうしても認めなければいかぬのです。それ以外に一般職としては、きわめて圧縮をいたしたわけであります。また部局につきましても、相当各省から膨大な部局の新設拡張の要求がありましたが、これもできるだけ圧縮をいたしました。池田内閣の政策を実行するに必要な限度において認めたわけでありますが、いよいよ調査会が発足をしまして、研究段階に入る昭和三十八年度からは、人員の増並びに部局の拡張等は極端に制限をして、調査会の結論を待ちたいと思っております。法案審議の際に申し上げたのですが、調査会の結論を待つには二年かかりますから、それまでにどうしても必要なる整理はやるんだということを申し上げて、御了解を得ております。ただいまお話の防衛庁内の施設関係と調達庁の合併などもそれでありまして、すでに調達庁はほとんど仕事がなくなって、必要がなくなっておりますから、これを防衛庁内の施設関係と合併するという措置をとったのでありまして、今後調査会ができましても、緊急にしてぜひやらなければならぬ部局の変更等はやらざるを得ない、かように考えております。
○石山委員 附帯決議と、それに関連して公務員の身分変更の問題と、防衛庁設置法の問題は、私はこれからやはり論議の対象になるだろうと思っております。しかし、きょうは目的とするところはそこにあるのではなくして、調査会の運行の初めから、七人の賢人のうちの一人が予言者に突然身分を転換した。私たちは予言者になってもらいたくないわけなんです。機構をいじる場合には予言者であってはならぬ。こうであるだろうという憶測のもとで発言をしてもらっては困るし、最初から人員が多いだろうという色目で見て問題と取っ組むのであっては、われわれの意図するところとかなりに違うのでございます。これは私は何べんも長官に申し上げているのでありますから、長官としてはまたかというふうに思われるかもしれませんけれども、こういう問題が起きたとすれば、やはりどこかにわれわれが意図するところと違ったところに立って問題を見詰めている委員がいるということでございましょうから、十分これは注意して長官に委員会を見守ってもらうということになるでございましょう。われわれの考え方というものを少なからずその中に反映してもらわなければならぬということになるだろうと思います。しかし、これはどうしましても、先ほどから私申し上げるように、この問題だけは、信頼する川島長官でございますけれども、あなたまかせにして、佐藤会長に対する質問を打ち切るというわけには私は参らぬと思います。これは後日、委員長等もしかるべく取り計らっていただきまして、私の佐藤会長に対する質問をお許し願うように取り計らっていただきたい、こういうふうに要望しまして、一応この問題は私の場合……。 〔「佐藤を呼んでこい」と呼ぶ者あり〕
○山村委員長 石山君に申し上げます。当委員会におきましては、だいぶ院外の発言が問題になったり、三年前の古い発言が問題になったりしまして、肝心の予算審議がおくれがちでございます。従いまして、ただいまの御要求につきましては、あとで理事諸君に御相談をいただきたいと思いますから、どうかきょうのところは御猶予を願いたいと思います。質問をお続け願います。 石山君の質問に対する関連質問を許します。川俣清音君。
○川俣委員 この際、関連いたしまして三点ほど、川島長官並びに官房長官にお尋ねをいたしたいと思うのですが、一つは、今川島長官が答弁中に、役人が多いので国民が非常に迷惑をしておる、これを何とかしなければならないというお話でございます。確かにそういう意向が国民にあることは、間違いない事実だと思います。それでこれを政府が取り上げようといたしておるわけでございましょう。そこでお聞きしたいのは、国民が迷惑をしておりますのは、役人が多いからではなくして、いろいろな許可、認可にいたしましても、何にいたしましても、判をつく人が多過ぎて、ものの決裁がおくれて非常に迷惑をしておるという事実を御承認になりますかどうか。そういう意向で今度の七人委員会におまかせになるという考え方でありますかどうか、この点をお尋ねいたしたいと思うのです。いわゆる上級職が非常に多過ぎて、実際仕事をする者が少な過ぎて、判をつく者が多いということで国民が迷惑をしておる事実があると思うのです。この点はお認めになりますかどうか。
○川島国務大臣 役所には共管、競合の事項が多いのでありまして、一つ書類が各部局を回りましてそれぞれの役人が一々判を押すために、一つの書類に、五十も六十も判を押す。それがために書類が必然おくれるということは事実であります。これは川俣さんおっしゃる通りであります。その点は、やはり役人が多いからだという批判があるわけであります。それがはたして適当かどうかということを調査することが今度の仕事でありまして、私は役人が多いと断定しておりません。そういう声が民間にあるから、それを取り上げて調査しよう、こういうことでございます。
○川俣委員 民間にある、それを取り上げられた、しかし、その取り上げ方は、今川島長官の言われるように、上級職が非常に多過ぎる、たとえば、あなた方お調べになったかどうかわかりませんけれども、一番上の方が多くて下詰まりになっているのはどこでしょう。川島長官、どこですか。
○川島国務大臣 どこの役所にそういう現象が特に現われているか、私はわかりませんけれども、少し管理職が多くて下が少ないということも事実でありましょう。それでこそ、官僚という名前を用いているわけです。下っ端の役人を官僚とは言っておりません。それを改革しようということが根本であって、おそらく社会党の諸君もそれで賛成なさったのだろう、こう思っております。
○川俣委員 川島さんは古い代議士だし、どこに問題があるかということは大体御存じだ、そういうところから今度の委員会を作られたと私は理一解をする。一番多いのはどこです。運輸省です。そのくらいなことは私でもわかるのだから、行政管理庁長官は大体のことはつかんでおらなければならないはずだと思うのです。ことに査定されるところの大蔵省だって、このくらいなことは大体御存じだと思うのです。 ところが、今最も悪い欠陥はもう一つあるのです。実力大臣というのはどういうことを言うかというと、水田さんなんかずいぶん大蔵省で苦労されておりましても、実力大臣と言わないのです。川島さんもずいぶん長年代議士をやっておるけれども、世間一般ではなかなか実力大臣とは言わないのです。なぜ実力大臣と言うかといいますと、自分が使っておった局長とか上のクラスをいろいろな会社にうまく入れて、それが手下になって官伝をしてくれるから実力大臣と言うのです。おそらく、今実力大臣といわれている人は、かつて役所におりました時代の部課長を民間に多く出しておるということなんです。このことなんです。私は今そういうことで議論しようとするつもりはないのですが、そういうことなんです。そう私は理解する。 そこで、時間がありませんから、簡単に申し上げますけれども、国家公務員法の百三条は、私企業から、営利企業から隔絶する、隔離するということが規定なんです。すなわち、離職後二年間は営利企業に就職を禁止するという規定でございます。これはやはり続けていかれるという考え方でこの委員会に付託されるという考え方でございますかどうか、この点お伺いしたい。 そこで、参考に申し上げておきますけれども、最も官庁の部課長を民間に出しておりますのは運輸省です。運輸省は、三十六年一月から三十六年十二月までに六十人出しております。これは表に出た、人事院にきた分だけです。人事院をもぐっておるものがまだございます。しかも人事院でも認可しかねて、まだ二件未処理になっているものがある。このように、かなり高級職員が民間の企業に入ろうといたしております。入ろうとしておるのはまだ別にいたしまして、大臣がみずからあっせんをして営利企業に就職させております。こういうことは、行政機構の簡素化の上からいっても、粛正の上からいっても、当然取り上げなければならない問題だと思うのですけれども、こういう重要な事項はこの委員会に検討させるつもりでございますかどうか、この点お尋ねしたい。
○川島国務大臣 先ほど来申し上げる通り、政府としては、委員会に注文をつけずに自由に検討してもらうつもりですが、今川俣さんの御議論、私から委員会によく伝えまして、参考にして検討してもらうことにいたします。
○山村委員長 川俣君、関連ですから、簡単に願います。
○川俣委員 ここでどうしても官房長官並びに川島長官にお尋ねしたいのは、行政の簡素化、能率化をはかろう、こういう御趣旨、私も賛成でございます。この委員会ができて、そういう目的を達成させようとされるのでございまするから、従ってこの委員会ができてから設置法の改正等を考えるべきであったのではないか。ところが一方においてはこういう委員会を作って、そして目的を達成しようとしておるにかかわらず、今度の国会ほど各省の設置法が出て参ったことはないのです。これは過去の国会を調べてごらんなさい。十六件出ています。まだ二件ぐらい出てくるはずです。そういたしますと、既成事実を作って、実績を作って、むしろこの委員会を牽制するという結果になるのではないかと思うのです。委員会を作ったからには、委員会の結果を待って設置法の改正をやることが望ましいと思うのでありますが、これに対する意見を両長官にお尋ねしたい。
○川島国務大臣 今度の機会に提案しました設置法、相当ありますが、それは特に池田内閣の政策を実施するに必要なものでありまして、しかも人員の増はほとんど認めておりません。たとえば社会保険庁を厚生省に作る案を出しましたが、一人も定員増は認めておりません。全部厚生省の中の配置転換でやらせる、こういうふうにいたしております。また現在必要な海外経済協力局というものを外務省に置き、協力部を通産省に瞬く、これは二カ年後の臨時行政調査会の結論を待ってはおそいので作りましたけれども、これまた人員増は一人も認めておりません。そういう方針でありまして、先ほど申し上げたように、現業職的なもの以外は極力圧縮しておるのでありまして、いたずらに官庁機構を拡張したいという考え方はない。実は私の手元には、ただいま御審議を願うようになっておる省庁以外に相当膨大なものがきております。現に課をふやそうというのは二百件きておる。今全部これを抑えておる、こういう状況でありまして、いよいよ調査会が発足しました三十七年度以降においては、一そうこれを抑制しまして、大蔵大臣と相談しまして、いやしくも人員の増、局部の増設等には予算を認めないという方針をとりたい、かように考えております。
○大平政府委員 経済、技術、科学が日進月歩でございまして、行政機構もそれに合わして改組をしていかなければならぬという案件がたくさんございます。しかし、それにもかかわりませず、行政機構を簡素化して能率化していきたいという趣旨で、今川島大臣が申し上げました通り、鋭意これが圧縮に努めておるわけでございます。先ほど問題になりました調査会の答申も、二カ年後にわれわれは権威ある答申を期待しておるわけでございまして、その間、そういう情勢に即応する政府の義務を後退してはいかぬと思います。従いまして、先ほど川島大臣が御答弁申し上げました通り、緊急やむを得ない、そういうものだけは、政府としてやらなければならぬ、こういう態度でございます。
○川俣委員 これは今、うまくというか、問題のない点だけを川島長官が説明された。今後は簡素化していこう、行政能率を上げていこうという趣旨で、機構をやられるならば、待っておられないということでやられるのはもっともだと思います。確かにそういう部面もあると思います。今おあげになったのはその例であろうと思います。しかし一つ例をあげますと、また別な面がある。たとえば農林省の設置法がまだ出て参りませんけれども、これは地方局を作るということ、これは簡素化じゃない、複雑化なんです。あるいは能率化というかもしらぬけれども、複雑化であることには間違いない。知事会等もこれは複雑だということを公言しておるのでありますから、複雑のには間違いない。しかも定員は減らさないと言いますけれども、この機構改革によりまして高級職員が多くなるということは明らかなんです。見てごらんなさい。高級職員だけふえる。課長クラス、部長クラスが新しくできる。そうすると、定員内で上級職をふやすけれども、いわゆる実務に当たるものは減らすという結果になってくる。これなどは、あなた方お認めになっておったんじゃないですか。これはあなたの今の答弁と違うのですが、あなたの答弁を信じますと、こういう設置法が出て参りますと、脚光が反対いたしてもやむを得ないということを言明されたと理解してもいいのじゃないかと思いますから、これは答弁は要しません。せっかくの御答弁でありますから、それを尊重いたしまして、そういう角度で一つこの法案を取り扱いたいと思います。しかし、いずれにいたしましても、上級職が多くなりますれば、予算上はふえて参ります。人員よりも高級職が多くなれば、予算がふえることは明らかであります。こういう点で、せっかく今度の委員会を作られて、二年後でありましょうけれども、やはり簡素化をするんだ、能率を上げるんだという方向に行政機構を変えていくと言われるならば、これはやむを得ないものとして認められることもありましょうが、反対のことをやられて実績ができた場合に、これを整理することが非常に困難なんであります。この点だけ申し上げまして、問題をほかの委員会に移したいと思います。あるいは分科会でまた続けたいと思います。 もう一つありますが、民間の人々を任命される場合、ことに大きな事業をやっておる人などを任命される場合、委任される場合は、おそらく自分の意見というものを持っておられまして、そしてその意見を、私はこういう意見を持っているんだが、これで差しつかえないかといって聞かれるのが通例でございましょう。その辺から拾ってくるのではございません。りっぱな委員を任命されようというからには、事業をやっておられる人などは、おそらく一つの意見を持っておられる。自分の意見をいれられないようであれば、お受けしないというのが今の事業界の通例だと思います。失職しておって役に立たないような人なら、就職だと思って飛びつくでありましょうけれども、あるいは名誉だと思って飛びつくでありましょうけれども、あなたが選んだりっぱな人だというからには、おそらく意見を持っておられる人だ、私はこう思う。持っていない人だったら、今選ぶ必要はない。そういたしますと、会長を依頼されるときには、おそらく大臣なりあるいは総理大臣に意見が出たものと、こう理解するのが常識でございます。意見なしに何でもはいはいそうですか、ちょうだいいたしましょうなんというのでありますれば、権威のない人だと私は理解いたします。おそらく佐藤さんは相当な意見を持っておられると見るのが、私は正当な評価だと思います。そうすると、すでに意見をお聞きになっておられるはずだ、委嘱をする前に必ず意見は開陳されておると思うのです。その開陳を受け入れた形で選任されたのではないでしょうか。この点、お尋ねしておきたい。
○川島国務大臣 七名の委員の方々には、臨時行政調査会の目的、意図するところを説明して承諾を願ったのでありまして、一々意見は求めておりません。むろん七人の方はりっぱな方であって、いろいろ意見はありましょう。その七人委員会で意見を意って、自分の間違ったことは修正し、正しいことは主張することが委員会でありますから、たまたま委員の一人が発言したからといって、それがその通り通るわけじゃないのであります。それでこそ、、この七人委員会には総評からも入っているし、民社党の代表という形も含めて蝋山君も入っておるわけでありまして、一々意見を求めておりませんが、一人々々の意見もそのまま実行するのだ、こういうふうにお考えになると、少し間違いなのではないか、別にあらかじめ意見は求めておりません。七人委員会は自由活発な意見を開陳願って、その結論は落ちつくところに落ちつかせたい、こういうことであります。
○山村委員長 川俣君、関連でありますので、一つ簡略に願います。石山君の貴重な時間でありますから……。
○川俣委員 これはたとえば蝋山さんであるとか、太田君でありますと、あなた方に、こういう意見だが、それで入っていいかということはおそらく聞かれないでしょう。それはそうだと思うのです。それが佐藤さんのような人でありますと、先ほど申し上げたように、自分の意見を必ず開陳して、こういう考え方だが、そういうことが十分述べられるのかどうか、そういうことは必ず出ているはずです。出ていなければ、佐藤さんともあろう人が意見もなしに川島さんから頼まれたから、総理から頼まれたから、はい承諾します、そんな不見識なことはないと思います。これは速記録によって明らかにしておきます。そんな不見識ではないと思う。権威があるというからには、必ず意見を持っていると思う。意見を持っているならば、任命される前に必ず意見が出ているはずだと思う。それをあなたが受け入れるか受け入れないかは別ですよ。必ず意見が出ているはずだ。従ってそういう意見を聞きながら任命されたからには、これは任命の責任は政府にあるのだ。従ってその発言についても、これは政府に責任がないのだ、あれは個人の意見だということは許されないと思うのですが、この点川島さんからもう一度確かめておきたいと思います。
○川島国務大臣 おそらく今度の調査会以外のすべての審議会、調査会で委員を任命する場合にも、一々詳細にその人の意見を聞いて任命することはあるまいと思うのです。大体目的に賛同願った人を委員に任命するのでありまして、私といたしましては民間の知識経験というものを尊重して任命したのでありまして、意見は聞いておりません。また一々こまかく聞くことは、こういう大家に失礼に当たる、こういうふうに考えております。
○川俣委員 私の質問はこれで終わります。しかし川島さん聞き違いをしておるのですよ。意見を聞くのではなくて、こういう人たちは必ず意見を開陳しておるだろう。それをあなたが聞き流したかどうかは別として、意見を開陳しておるはずだ。開陳なしに選任を受けたなんということがあったら、それはもう値打ちのない人だと理解せざるを得ないと、こう言っておるのです。おそらく開陳があったであろう。それをあなたがどう聞き流すかどうかは、それは別問題です。あなたが聞いたんではなくて、向こうから積極的に意見の開陳があったであろう、それを受け入れて、承認をされて――その意見を承認したかどうか。そういう意見を持っておる人なんだけれども、なお必要だとこう考えておそらく選任されたものと思うから、責任はただ個人だけではありませんぞ、とこう申し上げて、私の質問を終わります。
○川島国務大臣 佐藤さんから意見の開陳がございました。その意見は、現在の行政機構というものはきわめて複雑多岐であって、非能率であるからして、私も根本的に改正したいという意見の開陳がございました。
○山村委員長 石山君に申し上げますが、持ち時間は約十分でございます。
○石山委員 川島さんは、からだがなおられたように思いますから、月曜日の内閣委員会に一つ約束通りお出ましをいただきまして、情勢の変化に基づいた行政管理委員長の意見をもう一ぺん詳しく、それから調査会が発足なさったのでございますから、その細部にわたって官僚機構と縁を切ったような形で調査会を運行していかないといい結論が出ないというふうにも思えますので、必ず月曜日に内閣委員会に出ていただけるという確約があれば、この際私はあなたに対する質問を打ち切りたいと思いますが、お約束できますか。
○川島国務大臣 十九日は内閣委員会に出席の要求がありますから、出るつもりにしております。
○石山委員 この際出るつもりではいけません。あなたはおからだが悪いのですから――少しくらいからだが悪くても、あのときはつもりと言ったのだから確約でないなどと言われると困ります。問題は二十一日に第二回目の調査会が開かれるわけですから、その前に私どもとしては、長官に私どもの意のあるところをもう一ぺん聞いてもらわなければならぬ、とこう思っておるものですから、出ますと、こういうふうに言っていただきたいと思います。
○山村委員長 石山さん、予算の分科会も月曜日から始まりますし、川島さんも健康ならば、もちろんどの委員会にも出るおつもりらしゅうございますので、それらとのかね合いもございますので、その程度でいかがでしょうか。
○石山委員 地方公務員の退職年金制度について、自治大臣にお伺いしたいと思いますが、今度退職年金制度をば改正なさろうとなさっておるわけですが、それによりますと、地方の市町村の方々は、特に市の場合が多いようでございますが、おおむね百分の二程度の掛金で済んでおるようでございます。これが法律改正等になりますと、自治省の今考えているのは、千分の四十四を考えているといわれております。そうしますと約二・二倍ぐらいになりまして、現在よりも平均して四百円ないし五百円の掛金増しになる。この算定は国家公務員の場合も、公務員の方々は苦い味を味わっているわけなんです。国家公務員の場合は、今でも千分の四十四の試算の出た原因はどこにあるか、こういうことになりまして、労使双方から委員を出して計算をばやっているようでございますが、自治省の場合はどういうふうにして――強い反対を持って、しかも既得権が失われて、現行よりも掛金が倍以上ふえるという、こういう状態に対して、どういう考え方で既得権をば守ってあげて、そうして自治省が意図している法案をば通過さすか、こういう点で便法と、出た原因等をこの際承っておきたいと思います。
○安井国務大臣 地方公務員は、従来恩給制度等になっておりまして、まだ退職年金制度が全面的にしかれてなかったわけでございます。これは、国の公務員に比べましても非常に均衡を失することであります。一両年鋭意退職年金化に努めておりましたが、今度それがいよいよ実施の運びになったわけであります。ただ従来市町村におきましては、一部それを実施しておる団体もございますし、またやり方が千差万別でございますので、そこで、これを全面的に実施するとすれば、統一的な基準を求めなければなるまい。しかし、従来持っておりまする従来の既得権については、できるだけ尊重するような建前もとっていきたいという考えを持っております。掛金については、これは全面的に統一をされるべきものであろうということで、目下検討中でございます。
○石山委員 従業員が二千五百名から三千名ぐらいのところでも、この影響するところ年間七億円台を数えております。ですからこれはかなりな金の動き方になって、自治団体自体の財政にも響くし、従業員にもかなり響くことでございます。いろいろ便法として――たとえばこういう犠牲をばなくするために長期に、低利子で起債を認めて、そうしてなしくずしにやっていくという方法論も考えられます。しかしいずれにしても、私たちが主張するのは、取り前の少ない地方公務員の方々が、非常に財政的に不安定である、地方公務員の方々が、現実的に掛金が倍にもふえていくというこの現実、これに対しては慎重に取り扱ってもらわなければならないのではないか。これは前の国家公務員の場合もそうでしたが、積立金の運営に関しての問題がございます。官側には非常に発言権があるけれども、折半をして納めている労働者側には非常に発言権が少ないような運営の仕方、これはいわゆる組織の民主化と申しますか、こういう点については特別に何か考えていられるかどうか。
○安井国務大臣 組み立て方といたしましては、できるだけ国の場合に右へならえというのが一番穏当かと存じますが、従来の実績その他がいろいろございますので、私どもそれについては、そういった実績の過去のものも、できるだけは尊重してやりたいというふうな点をあわせて考えておりますが、まだ結論を得ておりません。
○石山委員 結論は得ていないと言うけれども、法案の準備はなさっているわけでしょう。結論を得なければもちろん法案をお出しにならないと思いますが、今私が二、三申し上げたほかにたくさんの疑義がございます。たくさんの疑義がございますが、集約して申し上げれば、在来持っている地方公務員の既得権をどういう形で侵さないように守っていくかというやり方でございます。それと同時にそれぞれ違います組合、一つ一つ違っているわけですが、これに対して既得権を侵さないためには複雑な便法がこの際考えられる、そういうことも十分承知の上でやっていただかなければならぬのではないか。それから積立金を、ここに大蔵大臣もいて、大蔵省は何でも一手に握りたがっているようでございますけれども、自分のかけたお金を自分が運用できない、自分に発言権がないなどということは、特にこの際掛金が増額になるということが想定されますから、発言権を認めるという立場をとるような工夫がこの際必要なのではないか。そうでなければ社会党としても、幾ら皆さんの方から御説明をいただきましても反対せざるを得ないような今の法案の準備態勢なのではないか、こう思っておりますが、今私が申し上げた点を十分考慮をして、そしてそれらを検討し尽くした上でなければ法案を出さぬ、こういうふうな建前でございましょうか。
○安井国務大臣 この問題は両三年、長い間にわたる問題であります。そうして、おっしゃる通り過去にそれぞれの団体がいろいろな形で持っておりまして、複雑でございます。従って簡単に結論は出せませんが、原則的には、やはり国の建前に準ずるというのが一つの考え方でございます。しかしそれと同時に、従来持っておった実績についてどういう顧慮をしていくか、それから田と違いまして、積立金については、地方の公務員の問題でありますから、地方団体及び自治省の間で国との調節をどうするか、この問題はまだ最後の結論は出ないわけであります。できるだけ精密に検討いたしまして、妥当なものを作りたいと考えております。
○石山委員 地方財政に問題になっている健康保険の問題、それから共済組合の合同等の問題と、いろいろ問題が提出されているようでございます。それからそこで事務をとっている方々の給与の問題等も、これはかなり自治省としては考えざるを得ないのではないかという点もございます。それでこの際、地方公務員の共済の問題、医療関係等の問題、これは全般的にながめてもらって、そして地方公務員の念願としている既得権の問題、それと同時に町村段階になりますと、これは貧しいのでございますから、どうしても救ってあげなければならない。国家公務員に右へならえという態勢をとらなければ、国としても非常に困ることだ、いろいろ複雑にあると思いますけれども、その点を十分に勘案をして、そうして法案をお作りになってもらわなければ、せっかくあなた方の方ではこれはいいものだ、これはやればあなたたちが得だよ、こうおっしゃっても、地方公務員の方々は、それは違うのじゃないか、おれたちの貧しいふところの中から掛金をいたずらにふやすのではないか、こういう誤解を生み得る場合もあるわけです。そうでないとすればよろしゅうございますが、そういう条件を整理されないで出されると、私たちも反対をせざるを得ない、こういうふうに考えております。十分お気をつけて法案を作成していただきたい。 これで私質問を終わるわけでございますが、委員長、さっきから私何回も申し上げておるように、調査会の会長の佐藤さんの御意見を私はどうしましても承っておきたいと思いますので、強く委員長に要望いたします。理事会で御相談をしていただくという言質をいただきたいのでございます。
○山村委員長 御要望は承りました。あとで理事会で相談をいたします。それでよろしゅうございますか。牛堀繁男君。
○井堀委員 私は民主社会党を代表いたしまして、政府の明年度の予算編成並びに施政方針に対する表明と、予算の内容に多くの疑問を持っております。また著しい相違点を具体的な事例をあけて、許された時間で質問をいたしたいと思うのであります。 まず第一にお尋ねをいたしたいと思いますのは、政府が外交の上で大きな失政を繰り返しておるのではないかという点を、ILOに対する日本政府の態度から究明をいたしてみたいと思うのであります。外務大臣並びに労働大臣にお尋ねをいたすことになるのでありますが、第一に、ILOの委員会あるいは理事会が日本政府に対して強い不満を最近示しておることは周知の事実であります。ことに日本政府がたびたびILOの勧告に対して、文書もしくは口頭で公にいたしました態度が一向進捗しない。しかもその問題は、ILO憲章に盛られておりまする基本的精神と深い関係のある第八十七号条約批准の手続については、はなはだしい失政を繰り返しておる点が具体的に指摘されておるのであります。このことは日本国の国民といたしましては、重大な関心を持たなければならないと思うのであります。わが国が国連の一員となるために戦後多大の努力を払い、また国民があげてこれを支持いたしましたことは申すまでもないのであります。この経過について、私はまず外務大臣にお尋ねをいたしてみたいと思うのであります。 わが国が戦後、国連の一員になりますためには、非加盟国である日本がわざわざ国連に代表を送って、また側面から友好的な各国の協力を得て、一日も早く国連に復帰せんとする努力をいたしておったのであります。その際、国連加盟への重要なステップとして、国連の外局ではありまするけれども、国際労働機関は、憲章に示されておりますように重大な地位を占める委員会であります。この委員会に復帰を許されたことは、わが国が国連の一員に加わるために重大な役割を演じたことは有名な事実であります。この点について私は、日本政府のILOに対する態度についていろいろな疑いを持つのです。この機会に、日本国を代表して外務大臣がILOに対する態度を明確にする必要がこの際特にあると考えまするので、外務大臣がILOに対する基本的な態度を一つこの際明確にしていただきたいと思います。
○小坂国務大臣 お答えを申し上げます。 御承知のようにILOに対しまして、わが国は昭和二十六年の五月二十九日、加盟の閣議決定を行ないまして、昭和二十六年十一月十七日、国会の御承認を符まして、同月正式に加盟受諾の受諾書を寄託いたしまして、昭和二十七年一月十六日に条約第一号をもって公布せられまして、その加盟を実現しておるのであります。申し上げるまでもなくILOの憲章の前文には「世界の永続する平和は、社会正義を基礎としてのみ確立することができるから。そして、世界の平和及び協調が危くされるほど大きな社会不安を起すような不正、困苦及び窮乏を多数の人民にもたらす労働条件が存在し、且つ、これらの労働条件を、たとえば、結社の自由の原則の承認の措置によって改善することが急務である」云々と述べておるのでありまして、政府といたしましても、この国際労働機関憲章の前文に掲げられました理念を十分に尊重いたしまして、ILOに加盟いたした次第でございます。
○井堀委員 そこで続いて具体的な点を一、二お尋ねをいたしたいと思うのであります。 それは今外務大臣の御答弁のように、ILOの精神を十分理解して復帰をしたことは申すまでもないのであります。そこで一九五一年の十一月の二十六日にILOの第三十四回の総会に、日本の政府を代表した答弁並びに態度の表明が記録に残されておりまするが、その記録の中で、日本の再加盟を承認するための特別委員会に日本政府の代表が出席をして、わが国のILOに対する態度を日本国の憲法を例証いたしまして、具体的な表示をいたしておるのであります。この点御存じだと思いまするが、その内容について一つ御説明を願いたいと思います。
○小坂国務大臣 日本国憲法は、御承知のごとく第二十一条におきまして「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」ということを規定しております。また第二十八条には、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」と規定いたしております。また御指摘のように、日本のILOの再加盟が承認せられました一九五一年の第三十四回総会におきまして、加盟申請を審議いたしまするために設置された選衡委員会の小委員会に出席した日本代表は、日本はILOから脱退する前に批准した諸条約から生ずる義務が引き続き拘束力を有することは承認するものであるということを確認いたしました。さらに各国の労使側委員の質問に答えまして、日本国憲法の第二十一条、第二十八条に規定されました、今申し述べましたような労働者に関する各種の権利の保障を確認いたしました次第でございます。この政府の方針は、今日までいささかも変更されたものではございません次第であります。
○井堀委員 今の御答弁できわめて明確になったと思うのでありますが、このILOへ復帰の際に、日本政府が言明をいたしました中の憲法第二十八条の内容であります。これと今政府がILOの理事会から数回にわたって、あるいはそれ以上の勧告を受けておりまする第八十七号条約の内容と、憲法の二十八条に規定されておりまする趣旨と、どのように政府はお考えになっておるか。私どもは全く同一の趣旨のものではないかと信ずるのでありますが、もし相違があるとするならば、その点を明らかにしていただきたい。
○福永国務大臣 おおむね同趣旨であると理解いたすのでありますが、公務員や公共企業体におりまする労働者というような立場の人たちは、その公共性にかんがみまして、わが国の国内法において若干の制約を受けておりますが、これは別にわが国の憲法に違反したということでなくして、この特殊の立場のものであるからそうであるということでございます。精神におきまして、井堀きんのおっしゃることは、われわれは同じように理解はいたしておる次第であります。
○井堀委員 時間がありませんから論議はいたしませんが、憲法の第二十八条の精神につきましては、学説はもちろんでありますが、最近政府の諮問機関でありまする憲法調査会の出版物の中にも、この項については詳細な解説が出ておる。その解説の内容を紹介するまでもありません。ILO八十七号条約に規定されておりまする内容と、ぴったり一致しておるといっても過言ではありません。大まかな趣旨では一致するとおっしゃられましたが、憲法の趣旨はかなり具体的であります。しかも、人民の基本的人権の一つである資本主義社会における労働者が団結を前提とすることなくして、基本的人権を保障されないという点は、憲法の二十八条の強調しておるところであります。第八十七号条約も全くこの趣旨に中心が盛られて、やや具体的な解説が加えられておるものと解すべきであるというのは、これはわが国の学者だけではありません。国際的の通念になっておる問題であります。こういう問題であることが明らかになったのでありますから、一日も早くILO理事会の勧告にありまするように――しかも日本はILOの理事国であります。ぜひ一つこういう何も障害のない、きわめて当然な約束に基づく日本国の国際的な任務を一日も早く実現されることが、日本の国際的信用を高めていく上に重要である。ことに今日本が置かれておりまするもろもろの重大な国際関係の中において、貿易の自由化のごときはこの問題をスムーズに解決することなくして、私は日本の経済的な進出というものは国際道義の上で非難を受けるのみならず、具体的にも大きな障害に衝突すると思うのであります。何か特別国内法の改正に困難があるかのごとき労働大臣の御答弁でありましたが、私は物事をこういう具体的な国際的な舞台において明らかにした日本国の声明というものに一切がゆだねられて、八十七号条約の手続というものはスムーズに行なわれるものと考えるのでありますが、この辺に対する政府の所見を伺っておきまして、なおこの問題はこの国会に政府が近くILOの八十七号批准の手続をなされるそうでありますから、その節の論議に譲りたいと思います。一応こういう問題を何ゆえに今日までちゅうちょ逡巡しておるかの疑いを一日も早く解消するために、明確な御答弁をこの機会に国民並びに国際社会に声明するよき機会だと思いまするから、簡単でけっこうでありまするが、大胆率直に一つ政府の態度を御答弁願いたいと思います。
○福永国務大臣 考え方におきまして、基本的には井堀さんの御説と同じなのでありますが、先刻も申し上げましたように、たとえばこの八十七号条約を批准するといたしますれば、この条約と矛盾するようなところは、これは国内法も改正をしなければならぬし、またこの批准をいたしますると、その趣旨をよく徹底せしめるためにも、国内法の整備を必要とするというような関連した問題がございますので、これも考慮しつつ、今おっしゃいましたような措置をとっていきたいと存じます。
○井堀委員 議論にわたりますから避けたいと思いますが、以上申し上げた質問に対する御答弁で明確になりましたように、国内法が憲法あるいはこういう国際信義に基づく公の約束と抵触する部分があれば、どんどん事務的に処置をしていくべき性質のものであると思いますので、一日も早くその手続を進行されるよう強く要望いたしておきたいと思います。 もう一つ、ILOに関連いたしまして、これはそういう趣旨を前進させるためにお尋ねをいたしておきたいと思うのであります。これはいずれ国会の議運の関係事項になるのではないかと思いますから深追いはいたしませんが、簡単に一つ明らかにしておきたいと思います。それは昭和三十六年十一月十日付で、日本政府よりILOに送付いたしました文書で、「ILO第八七号条約の批准に関する最近の発展について」という公文書が送られております。これはどちらの政府の窓口から出されたのであるか私ども詳細知りませんが、こういう公文書についての取り扱いについて、一つ政府の見解を伺っておきたいと思います。
○福永国務大臣 手続的には労働次官から外務次官にあの文書のもとになるものが送られまして、さらにそれがジュネーブの方へ外務省から送られた、こういうような手順になっております。
○井堀委員 公文書の手続はきわめて成規の手続をくぐって行なわれたということが明らかになりました。そこで私は、こういう国際的な信用を左右するような案件についての文書は、よほど注意して取り扱うべきものだと思うのであります。取り扱いの手続はとにかくとして内容でありますが、その内容の翻訳を拝見をし、原文を専門家に見ていただいたのでありまするが、おそるべき大きな失態をまた重ねておるのではないかと思われる点を指摘してみたいと思うのであります。一つは、その内容に、ILOの条約が去る臨時国会に、それから引き続いてこの通常国会に対する政府が提案をいたしまする手続をこれは故意に歪曲するような文書であるといった方が適当かと思います。あるいは国会の審議に関する問題をことさらに政府が――これは何の利用価値もないと思われるくらいのことだと思います。何ゆえにこういう文書を作ったか、こういう文書を出すのには、当該大臣の許可を得て出したものに違いないのであります。外務大臣、労働大臣はこの内容について重大な国際的責任が一つ付加されたと思うのであります。私ははなはだ失敬な言い方でありますが、非常に愚かしい内容であると思われる文句であります。このことについて一つ両大臣の、これはいずれ議運で問題になるでありましょうが、私はその分野には入りたくないのでありますが、この機会に明らかにしなければなりませんことは、なぜこういう書き方をするかということに問題がある。これに対して両大臣のお考えがそれぞれあるだろうと思いますので、それを伺っておきたいと思います。
○福永国務大臣 先ほど申し上げましたように、事務的なコースといたしまして次官から次官へ参り、それが外へということにはなっておりますが、私は労働大臣といたしまして、私が見た見ないにかかわらず、当然に責任をとるべきものと考えておる次第でございます。事実私は、その文書を出る前に見てはおりませんけれども、しかし当然責任はあるのであります。そこで、その後に至りまして、私はよくその文書を見たのでありますが、あまり文章が上手でないということは、この前も私この予算委員会で御答弁申し上げた通りであります。すらすらと読みますと、誤解を生じやすい言葉が使ってあることは、私もはなはだこれはうまくないと、こういうように考えておりますが、よく読んでみますと、ことさらに偽りなどをいっておる文書ではないというように、私は原文も見まして、よく研究して見たのでございます。そういうように思うわけでございますが、しかし、それにいたしましても、一見して誤解の生じないような文書を、これはことに国際的な問題でありますから、そういう文書を提出することが望ましい、こういうように考えまして、今後にありましては、この種の文書は大臣にも見せるし、また今度、井堀さんの御説にもありますような点が起こらないように注意をするようにやかましく言っているような次第でございます。
○小坂国務大臣 この点につきましては、私も実は遺憾に思っておるのでございますが、外務省としては、おびただしい文書を海外に出しますのでございますが、やはり他省の窓口として外務省がいたします場合、労働省から原案を持ってこられて、これを送れと言われるようなものにつきましては、大臣決裁を要しないで、事務的に処理しておる慣例になっておりまして、私も実は最近そのことを、国会で問題になりましてから伺いまして、拝見したような次第でございますが、今後は、そういうような重要な文書は全部私の手元を通して、私の決裁を得て出しますように注意をいたしております。
○井堀委員 いずれ内容は議運の重大な関係事項になってくると思いますので、そこでまた追及されるだろうと思いますが、こういう文書は、私はただ単に労働大臣や外務大臣が言っておられるように、単なる過失として見送るということはあまりに重大だと思うからであります。それはなるほど多くの外交上の文書に目をお通しにならなければならぬ立場は、私どもも理解できるのであります。しかし今ILOに対する日本政府の態度というものは、先ほど御答弁いただきましたように、私は、国連の一員として、しかも民主社会の一番重要であり、基本的な性格を持つ国連の機関であります。歴史的に見ましても、今御答弁のありましたような、日本国にとってはきめ手ともなるべき国際機関であります。こういうものに回答を送る際にあるいは報告書を出す際に、できたことを私はどうこう言うのではありませんけれども、そういうところに私はILO八十七号条約の取り扱いなどについても不統一を来たしておるとすら考えられるのでありまして、私はなるべく国際問題は国民の地位や名誉にかけて、全員が協力してこういう問題を善意に推進していくべきものだと考えますので、深追いはいたしませんけれども、こういう態度であってはならぬのではないか。言いわけをすることによってものが済むのではなくして、こういう国際的に失った地位を回復するということは非常に困難なことであります。一片の文書がどれだけ大きに日本の信用を傷つけたかということは、私はこれを具体的に論議いたしますならば、何人も肯定できる内容だと思うのであります。多くは申し上げませんけれども、ぜひ一つこの名誉挽回のためにも、八十七号条約の批准をすっきり早くするというような手続こそが、こういう失態を補うたった一つの道ではないかと私は思うのでありますが、この点に対する具体的な御答弁だけ伺っておきまして、いずれ議運の委員会などにおいて事実をもう少し明らかにしたいと思います。
○福永国務大臣 事情はあらまし先刻も申し上げたような次第でございますが、ILO第八十七号条約批准の推進につきましては、従来の方針通り、私においても極力これを推進することに努力いたしたいと存じます。
○井堀委員 労働大臣に申し上げますが、言葉やわらかに申し上げておるのでありますけれども、あなたは御答弁の中でも、また外務大臣の御答弁でも明らかになったように、八十七号条約というものがむずかしい内容のものでないことはもう明らかです。何か困難なような、奥歯にもののはさまったような御答弁をなさいますが、そういうことが国際的信義を傷つけるような原因を作っておる。またそういうことがどれだけ日本の国際的信用を挽回するために損失になっているかということを、もっと責任を持って御答弁いただかなければならぬと思うでありまして、これは政府の責任がきわめて明確に規定されておるように、条約批准の手続というものは何もそうむずかしいことではありません。従来もそうであります。なぜ今回の八十七号条約だけをそんなにもたつくのか。日本も幾つかの条約をみな批准しておりますけれども、いずれの条約を見ましても一向もめておりません。もっと重要なものがたくさんあるにもかかわらず、批准が行なわれておるのであります。しかもそれは外務大臣が簡単な手続を国会にすれば、あとは国会におまかせになればいいのであります。お出しにならなければ、いつまでたっても揣摩憶測の中にいたずらに国際的な信用を傷つけるだけだと思うのです。よい機会でありますから、抽象的な御答弁でなしに、この国会に承認を得られるような手続をさっそくやりますというような御答弁はいただけぬのでしょうか。そうせぬと、今までの御答弁と全く食い違ってくると思う。この点どうでしょうか。外務大臣も一つ、手続上の責任者としてすっぱりお答え願いたい。
○小坂国務大臣 国内的に労働関係法等いろいろの関係がございますので、労働大臣の方がこの問題についてお扱いをいただく、私どもはそれを、外交関係の機関に関係がございますので、外務大臣としての立場で、外国に対してどうこれを説明するか、こういうことに考えておりますので、先ほど労働大臣が答えられましたような趣旨で私どもも協力をして参りたい、こう思います。
○井堀委員 せっかくの機会をと思いましたけれども、ことさらに問題を紛糾することを私は非常に残念に思っております。いずれこの問題はもっと国民の前にその経過を明らかにする必要があると思うのでありますが、時間の都合もありますし、私の他の質問の予定もありまするから、この問題は一応保留いたしておきますが、前の御答弁と今の最後の御答弁の食い違いについて、もっと国家国民の国際的地位について十分お考えをいただきまして、間違いのないようにすみやかに御処置あらんことを、要求いたしておきます。 次に具体的な問題でありまするが、これは今すぐ問題になってはおりませんけれども、いずれ国民にいろいろな迷惑を与えるような事態の発生が予測できるのでありまして、それを今日の段階において解消することが可能な道がある。この時期を逸してはならぬと思うことがありまするから、お尋ねいたしたいと思います。それは政府の経営する三公社五現業の労働問題であります。これは言うまでもなく公労法の規定に基づいてそれぞれ処置をしなければならぬものであります。私は公労法それ自身については意見がありますが、その意見をここで繰り返す時間はありませんから、現行の公労法の精神に基づいて政府はすみやかにその処置を行なわなければならぬ時期にある。すなわち三十七年度の予算との関係において速急に処置をしなければならぬものであります。その点は一つ具体的な御答弁を関係者から、それぞれ簡単でけっこうでありまするから伺いたい。また簡単にお答えのできることだと思いまするからお尋ねをしたいと思うのであります。 そこで答弁が迷ってはいけませんから、あらかじめ申し上げて置きましたけれども、時間が少ないので簡単に申し上げます。それは公労法によりますると、公共の福祉に直接つながります国営事業でありますから、そういう事業についてはできるだけ労使関係の苦情や紛争というものを平和的に友好的に解決をしなさいということを強く命じておるわけであります。そこに政府の責任を明確に規定してあります。それは政府の事業でありまするから、国の予算やあるいは資金上の問題とも影響があります。でありまするからそういうことの規定も明らかにしておりますことは当然であります。そこで民間企業と異なりまするのは、あらかじめ労働条件というものは経営計画の中に明らかにしなければならぬということを規定してあるのでありますから、言いかえますならば、この本年度の予算の中にこの関係事業の人件費というものはどうあるべきかということが明示されなければならぬのであります。これは大蔵大臣にお尋ねするとお答えができないと私は思うほど、今までの審議の経過並びに内容などからいってもきわめて不明確であります。しかし公労法は明確にそのことを命じておるということを、まずはっきりいたしておきたいと思います。 そこで順序を追うてそれぞれお答えをいただきたいと思いますが、まず三公社五現業のうち国鉄並びに郵政関係、電電公社関係の問題は、いつも春闘のときに問題になって出てくる名前でありますから、あまりに有名であります。そこでこの予算の内容でありまするが、公務員並びに民間の関係ももちろんあとでお尋ねをいたしますけれども、 〔委員長退席、青木委員長代理着席〕 まず第一に、この三公社、五現業の賃金というものがこの法律の命ずるようにうまくきめられていきさえすれば、他の問題は私は存外よい労使慣行が生まれてくると思う。そういう意味でお尋ねをしますから、まずお答えをいただこうと思うのであります。それで現業庁をお持ちの方々にきょう御出席をいただいたのですが、たとえば農林大臣にまず一つお尋ねをしようと思う。なぜ私は農林大臣を先に引き合いに出すかということをちょっと申し上げてみますと、これはあなたの方のお仕事は林野関係です。全国にまたがっておる。この労働関係は、他の現業庁と特異な関係にあるからであります。こういう特異な関係にあるものが、今までの十何年間の、この法律ができてからのことを見ますると、この法律の命ずる一番悪い姿ばかりが露呈している。この法律は、あなたは専門でありませんからちょっと説明をいたしますと、当事者の団体交渉、話し合いで解決をしなさいということが中心であります。それでストライキ権というものを強く制限をしておるのであります。事実上今山ネコなどといういやな言葉でいわれておりますが、ストライキに類似したような行為をやらなければ解決できないような実情が今までの慣行になっておることを、私はまず指摘しておきたい。これを払拭せねばいけません。そこで話し合いでまず解決しなければなりません。農林大臣はこんなもの今まで関係ないと思って人にまかせておったのじゃないかと思われるから申し上げる。あなたのところには労働組合だけでも約七万人から八万人くらいの組織を持っている。この賃金をどういう工合にしたらいいかということを、本年度の予算の中であなたは御要求なさったであろうか。しかも政党出身の政治家でありますから、下情にはよく通じておいでになる。直接あなたの所管になる全国の林野関係の職員の給料というものは、物価の上昇や、あるいは民間の生活水準の問題などから判断をして、どのくらい要求しなければならぬかということは当然この法律に明記してある。あなたの方としては、予算要求の際、この問題についてどういうふうにしたらいいというお考えでありましょうか、具体的な数字はいい。抽象的でけっこうでありますが、上げなければならぬということは必至であります。どういうめどで一体交渉なさいましたか。なさってなければなかったでけっこうであります。この点正直なところを一つお聞きしておきたいと思います。
○河野国務大臣 林野に関する予算につきましては、林野庁の方でやっておりますから、係に答弁させたいと思います。従来の慣行はそうなっておるのですから……。
○井堀委員 私は悪意で責めるのじゃありません。そういうことであってはならぬということを言いたいからお尋ねしたのです。林野庁の役人にまかせっぱなしだとか、あるいはその事業場の代表者にまかせっぱなしだということであることを正直に言っていただいた。私はそうだろうと思っておった。 この事実でもおわかりのように、今日の三公社五現業の問題というものは、法律からそれている。この関係で、労働大臣、一つあなたは筋を通す必要がありますから、お答えを簡単に願いましょう。まず第一は、一例をここでとりましょうか、国鉄の今までの例を見てみますと、今年もまたそのようになりそうでありますが、労働組合はそれぞれ調停申請をいたしました。その調停は、どうやらまだ結論が出ておりませんけれども、仲裁裁定に持ち込む態勢のように伺いました。そして仲裁裁定が出てから、それを受けて問題の解決に入るというような悪い慣行が今まででき上がっております。あなたは、こういう慣行で公労法の精神が守られるというふうにお考えでありましょうか。
○福永国務大臣 まず当事者間でいろいろ折衝をして、平和裏に問題が解決されるということが最も望ましいし、これが本則であると私は考えます。従って、そういう方法において解決がつかない場合に第三者機関にかける、こういう手順になるわけでありまするが、どうも初めのところだけがあっさり行き過ぎてしまっているというような例がないではない、この点につきましては、御指摘のごとく、私は当事者間の交渉というものにおいての解決、これがさらに一そう望ましいというように考えております。
○井堀委員 これで、お聞きのようにきわめて明確になりました。労働大臣が言うように、公労法の精神は、当事者が団体交渉で問題を処理せいということと、そしてどうしてもうまくいかぬ場合は、あっせん、調停、仲裁という段階で平和的な処理をはかれということになっておる。ところが、その当該の、今実力者といわれておりまする河野農林大臣の御答弁を伺って、代表されておりまするように、御存じないのです。それから、ここにもありまするように――労働大臣、ここが大事な点です。ここに書いてありまするように、それぞれ当事者は事前に事業計画を組んで、その事業計画は、当該大臣、つまり農林大臣、あなたがそれをお聞きになって、そして予算をお組みになる。大蔵大臣と話し合いをすることになっておる。ちゃんと法律に書いてある。ところが、全然そういうことを今御存じない。ということは、私は想像しておりました。でありますから、この点はもう法律無視をやっておるのです。これは非常な失敗なんです。こんな法律はどうでもいいというふうにお考えになっているのかもしれない。そして大方結果は、労働者にとっては処分の対象になるのですよ。毎年首切りが出ている。懲戒処分をやっている。その処分をおやりになるのは、大臣がやるんですよ。こんな法治国というものがどこにありますか。政府が施政方針の中で言っておりますように――大きな声を出して総理大臣が演説するのは、だてや酔狂じゃないはずです。その演説の内容をここに紹介するまでもありませんけれども、法秩序を守れとしきりに言っている。政府が直接雇用している従業員に対して責任ある当事者が、法律で団体交渉で話し合いでまとめなさいということを言っているのに、話し合いをやらぬじゃないですか。ここに何回も経験しております国鉄の総裁においでいただいておりますから、ここで説明してもらえばすぐわかります。今日の団体交渉なんというものは、ほんの形式的なものになってしまっている。それはどこで断わるかということをここで私が一々説明をする時間がありませんからしませんけれども、団体交渉を断わる理由は何かというと公労法なんです。これで断わっている。この十六条で断わっている。予算上、資金上の問題で、当事者同士が話し合いでするのはできません、なぜできぬかという労働組合側の方からの交渉に対して答えているのは、何ぼいい条件をここで話しても、これが納得する、これがほんとうのものだということを話し合いがついてきまりましても、その協定は、結果において、政府が予算上、資金上の理由をくっつけて当局者を抑えつけてしまうものだから、できませんということを公然と言い放っておる。そして結果から起こってきた問題は、言うまでもなくこの法律通りに、労働者は団結権があります、団体交渉権があります、先ほど私がILOの条約で、あるいは憲法二十八条の点で議論をいたしましたのは、だてや酔狂じゃないのだ。要するに、法律の無視どころじゃなくて、憲法の精神を政府みずからがじゅうりんしている。こういうことで日本の労働行政に範を示すことができるでありましょうか。上のやること下ならう。要するに国民の福祉に重大関係のある公共企業体においてこのざまです。これを改めることなくして、日本の労使関係がいいものが生まれてくるでありましょうか。先ほど外務大臣も、労働大臣も、ILOの憲章についてはけんけん服膺している趣旨のことを述べられたが、ちっとものみ込んでおりはしない。論語読みの論語知らず、そういうことは国際社会においては――めくらでありません、日本の信用を高めていくということは、一片の文章や演説によってどうこうできる問題ではないのであります。チープ・レーバーをぐずぐず言われるのでありまするが、チープ・レーバーよりこれが問題なんです。日本の労働者に対する基本権は、政府みずからが認めていないのであります。そして結果ばかりを論じて、権力にものを言わせて、労働問題を解決しておる典形的な姿が、三公社五現業の実情じゃないか。やむにやまれずして、労働者の基本権を、生活権を守らんがためには、話し合いがだめなものでありますから、仲裁裁定というと裁判じゃありませんか、労働問題を裁判にかけるようなやばんな国がありますか。民主社会において、労働者の団結権を保障するというのは、民主主義の基本的な問題じゃありませんか。政治の基本理念じゃありませんか。こういう問題は、三十七年度の予算の中にどこにも出てない。出ているどころじゃなくて、要求してない。 大蔵大臣に一つお尋ねをいたしたいと思いますが、あなたのところには現業庁をお持ちです。印刷局があります。造幣局があります、アルコール専売があります。財布はあなたが握っておる。要求されなくとも自分で出せる身分です。これについて予算をお組みになったかどうか。昭和三十七年度に、あなたのかかえております現業庁に対して幾らの給料をお払いになるお考えで予算をお組みになりましたか、一つお答えいただきたい。
○福永国務大臣 大蔵大臣が答えられる前に、基本的な点について、重ねて私は申し上げたいと存じますが、井堀さん御指摘のごとく、できるだけ当事者間で交渉するということは、労働大臣として特に望ましく存じておる次第でございます。各現業、各公社等においても、その責任者は、この点を相当に考えていてくれると私は確信をいたしておるのであります。しかし現実は、先ほども御指摘になったような事実が、ないとは言い切れないのでございます。私は、そういう意味において、本則に沿った行き方をするように大いにこれから気をつけていってくれるように、各関係の現業や公社にも連絡もいたしたい。従来もいたしておりますが、現に問題があるので、そういうふうにおっしゃられるんだろうと思うのでございます。予算のそれぞれにつきましては、労働大臣が直接要求するのではございません。よく御存じの通りでございますので、それぞれの責任者からお聞きをいただきたい。
○水田国務大臣 いい慣行ができることは望ましいのでございますが、御承知のような現状でございますので、私の方では、この予算を計上する場合には、やはり従来の例により、現在の規定にのっとった積算によって予算を計上するという方法をとっております。
○井堀委員 一向よくのみ込めませんが、これは私は時間がありますと、すぐはっきりしたことが出ると思いますが、時間がないものですから、飛び飛びの質問で恐縮ですけれども、これはちゃんと法律で、政府の関係の事業場の職員に対する給与その他人件費などについては、事業計画の中に組んで、そして予算の中に入れて、そしてこれこれでございますからという用意をして上げなければ、団体交渉に応ずる状態が起こってこないのです。そのもとを一向作り上げていないところに、労使関係がいたずらに紛糾を重ねていくのです。手続の順序からいえば、労働大臣がこの答弁をしてもらえば一番いいのでありますけれども、簡単に言いますと、団体交渉で話し合いをする。話し合いをする場合にはもとが要る。国の事業でありますから、無計画に、もうかったら払うというわけにいきません。全体の関係がありますから、国全体のことを考えて資金計画を組むわけであります。それはあなた方の担当大臣が目を通さなければならぬ。 〔青木委員長代理退席、委員長着席〕 目を通すだけでなく、それは事前に大蔵大臣と関係大臣が話し合いをせいということが書いてある。そういうものをちゃんと作っておるということが、法律の建前なんです。それが、それを作ってない。作るどころではない、そういうことをお考えにもなっていなかったという事実は、――農林大臣を引き合いに出して恐縮ですが、あなたは実力大臣ですから御参考に申し上げたのです。みんな同じです。何かありますか。
○河野国務大臣 私の考えておりましたことが間違っておりましたら、御注意いただけば直しますが、実は、私は、現業の給与、手当等につきましては、異常な物価の値上がりがあるとか、ないしはまた、特に注意をして組みかえをしなければ、単価の引き上げをしなければいかぬとかいうような事態があればともかくといたしまして、現内閣におきましては、昨年末におきましても、実は事業費の問題が非常に起こりました際におきましても、一切そういうものは現状でいこう、それでその事業を処理するより、むしろ物価の方を押える方法によって行こうということにきめております。従って、単価の引き上げ、もしくは手当の引き上げについては、現状でいくことにいたしておりますので、実は私は、前年度通りの予算の組み方、単価の組み方で適当であろう、また、その中において、多少の点につきましては、むろん交渉の範囲内において当事者において――林野庁長官に委任いたしておりますので、長官が裁量することによってやれるだろうということで、予算の際には、今お話しのような点に触れて私は考慮する必要を考えていなかった、まかしておきました、どういう趣旨で申し上げたのでございまして、それが違っておりましたならば以後注意いたしますが、実はそういうつもりでおったのでございます。
○井堀委員 そうであろうことは事実ですから、何もとがめはいたしません。ただ、非常に大事なことは、これは大臣自身がこういうものをよくのみ込んでおいていなければいけないということを、法律が明示しておるということです。この法律が結局から回りをしておるという事実を、ただ、あなたお気の毒でしたけれども、あなたを使っただけの話であって、どの大臣でも同じことです。そこで、問題は明らかになっておりますから、労働大臣が言うように、ぜひ一つ法律通りに、今後はよい慣行を作り上げていくということで答弁はいいでしょう。ただ、しかし答弁だけではいけません。本日は、ここは三十七年度の予算を審議しておる場であります。だから、予算の中にそのことが入っておるかどうかが問題なのであって、労働大臣の言うことと予算とは食い違っておる、というよりも、まるっきり入っていないということは論より証拠で、大蔵大臣がお答え願ったらいいです。自分のことだけでいい。ほかのことはいい。相談を受けないのですから、わからないでしょう。専売局はどうしました、アルコール専売はどうしました、たばこの専売はどうしました、それから印刷局はどうしました、造幣の方はどうなさいましたか、ここでお答えできますか。給与については、前よりも上げぬなら上げぬという方針でもけっこうですが、上げぬということになると、全体がうそになる。賃金、給与については上げなければならないということについては、今度の予算の大綱の前提になるべき――きょうは藤山長官は出てもらえませんでしたが、長官に聞けばすぐわかる。文君によっても出しておる。ぴしゃっと人件費の上昇率は見込んでおる。予算の中に見込み済みです。そういうものを具体的にあなたがつかんで、それぞれ方針を指示しなければ団体交渉は進まない。その点どうですか、あなたの御意見は。
○水田国務大臣 その問題について、実は昨年の予算編成のときに私どもいろいろ研究をいたしました。ところが、各企業とも内容はみな違っておりますし、従って、この三公社、五現業に対して、ここへは、これだけの値上げの要求がきた場合には、これくらいの賃金を上げなければならないだろうというようなことを、企業別にあらかじめこれを想定して原資の予算を盛るということは、これは事実上困難なことでございまして、結局、各企業別に話し合いによって解決する。団交の道が開かれておる問題でございますから、私どもとしては、結局予算の立て方でいろいろ研究しましたが、これほどまたむずかしい問題はございません。政府がどれだけ予定するかというようなことは、これは合理的であるようで、御承知の通り、いい慣行ができておるときでございましたらともかく、今のような実情ではそういうことはできない。結局、過去の実績によったり現行の規定によって、定期昇給はこの程度のものがあるだろうというような、従来からのいろいろな実績そのほかの積算によって、一応現行を基礎とした予算を計上するというよりほかには、方法は実際問題としてないというのが、去年われわれが研究した結論でございましたので、一応そういうふうなことで予算を処理してあるわけであります。
○井堀委員 これで一つ明らかな問題が提出されました。大蔵大臣は、事前に給与その他について測定をすることの困難な事情を明らかにして、政府の方針が明らかに示されました。そうすると、この公労法の十六条というものを変えなければいけない。労働大臣、今、大蔵大臣のおっしゃることを法律の通り持ってこようとすると、法律違反をやるより仕方がない。違反をしなければならないような方針をきめた場合には、当然政府はこの法律の改正をもってこなければならない。今の御説明は、簡単に言いますと、民間と同じ方法において賃金その他の問題をきめなければならないということを言ったにすぎないのです。そうすると、労働組合法だけでいいじゃないですか。労調法は要らないではないですか。どうですか。労調法を改正する意思はありませんか。労調法を廃止して、労働法一本に押えるというような外国の例にならうような御意思がありますか。労働大臣どうですか、お答えできますか。
○福永国務大臣 私は、現行制度が適当であると考えております。従って、先刻来御指摘のあるような点に留意して善処すべきである、こういうふうに考えておるわけでございます。先ほど農林大臣の表現にありましたが、特に上げる措置はとってないが、そのかわり物価が上がらないようにというようなことで、政府では従業員の諸君が新年度において不利のないようにしたいというような意味のことを言及されましたが、これで全部を尽くしているとは申しませんけれども、物価が上がらないような措置を政府が講じ、そういうような考え方で臨み、従って特に上げるような予算を盛ってはいないということになりますと、やや私はロジックが合うような気がするのであります。しかし、物価の趨勢がどうであるかという現実については、別の議論があろうと思いますが、現実に予算を要求される責任者として、全然考慮を払われなかったということでなく、そういうことも考慮してというような言葉があったことは、この法律の精神を全然無視しているとは、私言い切れないと思うのであります。しかし、さらに、今もお話に出ておりますような御趣旨によらなければならぬ、こういうように思いまするし、なお先ほどから井堀さんも御指摘の、十六条の場合にどうするというようなことも、本来からいたしますと、よくよくの場合にこうだということなんでございますが、わが国の現実といたしますと、案外この、よくよくの場合の方へ簡単に持っていっておる。これがいい姿であるとは申さないのでありますが、しかし、よくよくの場合にはこういう方法もあるということ等もございますので、現実といたしますと、今の制度がよろしいので、そこで、先ほどからも御指摘のあるように、今の制度のもとにおいてどうもやり方がまずいじゃないかという御注意をいただいております点は、その点を改める方向へいって、法律を改めるというよりも、この法律を、その精神に従って最もよく運用するということにまず努力をしたい、こういうように私は考えております。
○井堀委員 政府の労働政策というものが、まるきり相反した考え方を持っている閣僚で構成されているということがこんなにはっきり立証された例はないと思います。こんなばかげたことはあるもんじゃない。一方は、法律違反になっても仕方がないという方針をとっておる。しかも昨年きめたと大蔵大臣は言う。労働大臣は、十六条の規定というものは迷惑なものじゃけれども、その迷惑なものが今日生きているのだからどうもならぬなどといったような、まるきりこれでは――私は、政府の直接雇用している労働者に対する方針すらが、こういう状態であるということであってはならぬと思う。しかし、私はあげ足をとろうという気は一つもありません。両方の言うことは事実だと思う。でありますから、根本的に言いますと、公労法というものは今日実情に合わない法律だということを表明するにすぎぬのです。民間の企業と政府の経営する企業との違いはどこにあるか。それはただ、要するに国の資金や、国民の福祉に直接つながる事業体であるという点だけであって、民間といえどもその点、広く解すれば同様です。ただ営利を対象として社団法人が経営するか、個人が経営するかということだけであって、それ以外は同じであります。でありますから、諸外国はいずれもこういう企業は一般の労働法によって規制をなしておるのであります。日本だけの一つの奇現象であります。でありますから、こういうものの秩序を改めてくるということなくして、総理大臣の言う法治国、すなわち民主社会というものは法律秩序の中にあるなどというようなことは言っちゃいけません。言うからには実践しなければだめですよ。こんな問題をこのままにしておくということは許されることではない。それは結果においてすぐ春闘に出てきます。この経過を私ども調べてみたところによりますと、もうそれぞれ三公社五現業は、まず第一に団体交渉をやった。それはほんの形式的に行なって、そして、アベックじゃ、しようがないなというようなことを言って調停に出して、調停もおざなりなことになって、そして仲裁裁定。こんなことが繰り返し、繰り返し行なわれる。しかも労働者の方では実質的に生活を守らなければなりませんから、団結の権利を行使するということになりますならば、山ネコにならざるを得ないじゃないですか。それじゃ、処分する資格はどこにあるのですかこういうことを公然と許しておいて、日本の労使慣行がどうの――総理大臣も、大蔵大臣、あなたも、いずれもあの中で生産性向上のことを言っておられます。ただ賃金を上げれば、私はさっきの農林大臣の言葉じりを拾うわけではありませんけれども、賃金の値上げはすぐコストに響く、物価に響いてくるから、物価の政策の上から賃金を上げないなどと、そんな前時代的なばかなことがあるものか。生産性向上運動を一方に言うからには、生産性の向上の成果の配分というものがどうなければならぬかということは、経済政策の基本的なものじゃないですか。特に資本主義、自由主義を標榜するあなた方の政党や政府にとっては。その成果配分を明らかにしていかないで、どこによき労使慣行が生まれてくるか。団体交渉がどうして進められますか。一方的に権力で押えつけるというやり方が許されるようになりましては、民主社会はくずれてしまいます。法秩序は守られぬと思います。私は多くを申し上げません。ただ、わずかな時間にあなた方に明らかにしてもらいましたように、今日の政府の労働行政などというものは、こういう現実に使っておりまする職場においての労使慣行というものがくずれて、逆コースをとっているという労働大臣の説明通りに、これは改めなければいけない。これを改めるように、ぜひ一つ――ここで約束しただけではいけません。各大臣は、まず団体交渉の上で労働条件の解決をはかり、そして予算上、資金上の問題については、大蔵大臣のおっしゃられるように、この十六条の規定ではどうにもならぬという事実をぜひ一つ団体交渉の中で生かして、そして間違っても仲裁に持ち込まないように、あっせんの段階くらいで解決ができるように、よき労使慣行を作りまするよう、強く私は警告をいたしまして次に移りたいと思います。 次に、政府は、本年度予算の中で、トラの首でも取ったように低所得者階層のための対策を云々しております。国民をだますにもひど過ぎますよ。私は、具体的な事実について本年度の予算の問題を伺ってみましょう。 すなわち、政府のいう経済成長は、確かに驚異的な指数を示しておる。国際社会においても、日本の生産指数、要するに経済の成長率については舌を巻いていることは事実であります。しかしこれは、総理大臣も大蔵大臣も言っておられるように、少なくとも所得格差を解消することなくして、民主社会、福祉社会なんというものはあり得ない。もし格差が開いてくるようなことになりますと、どんなに経済が成長しても、所得が三倍になろうが五倍になろうが、国民の所得のアンバランス、不均衡が現われてきたときには、それは決して文化社会への、あるいは福祉社会への前進の姿ではなくして、後退の姿であります。おそるべき反動政治であります。でありまするから、言うことは、国民所得倍増だといえば、すぐにでも今の生活が倍に上昇するような印象を与えるような宣伝をしておきながら、予算の実態を見ますと、逆じゃないですか。 一つ、一例をあげて、大蔵大臣にお尋ねしてみましょう。いろいろな例をあげることができまするが、その一例として公務員の例をとってみましょう。私は今いろいろなデータを集めておりまするが、思うように集まらないのでありますけれども、今集まったところだけで見てみますと――大蔵大臣、あなたの所管でありまする金融行政の中でお尋ねしてみましょう。金融行政は、資本主義社会においては営利を追求する目的のために金融が行なわれる、やむを得ぬと思いますが、反面において、今日のような時代においては、その政策のために被害を受けてくる低所得者のための同時政策が行なわれてこなければ、資本主義、自由主義社会でありましても許されることでないことは、あなた方の説明でも明らかなことであります。 そこで、低所得階層の実情を紹介してみましょう。それは、私は質屋の状態で調べてみたのであります。今民間の生酒資金を貸し付けておる機関は、質屋を除いてありません。あとは高利貸しです。今、日本の質屋、公安委員会の認可になっておりまする民間の質庫だけを見ましても、二万一千二百二十軒、それから公益質屋が八五二十四カ所、生協などの法人によるものが十三カ所。民間の質庫が二万一千二百二十軒で、その貸付金額を見ますと七百八十九億六千万円を上回っておる。まだあるでしょう。その支払っておる利息だけを見ましても、二百五億八千万円の利息を払っておる。一年でですよ。これは八分から九分、公益質屋で三分五厘。月ですよ。そして一カ月のうち、一日でも越しますとすぐ九分の利息が重なって出てきます。そして質ぐさを持っていくのです。期限に間に合わないと流されてしまうのです。その日数を見てみますると、六百八十四万口数もあるのであります。これは民間だけです。大蔵大臣、あなたの金融政策というものは、こういう九分、八分の商利によって質ぐさを持って、卑屈な思いをして通わなければならない庶民に対して、一体どういう金融政策をおとりになりますか、一つお伺いいたしましょう。
○水田国務大臣 質屋というものは非常に歴史的なものでございまして、庶民金融であって、本格的な金融機関ではございませんが、しかし、国民生活が非常に複雑でございますので、わずかな生活資金を知人やそのほかに借りたくないとか、あるいはもし生活に困って、自分の物品を処分して金にかえたいという人は、売ってしまった方が金頭は多くなるわけでございますが、そうじゃなくて、一時的な都合で、この品物は手放したくない、他日金が入ったときにまた再び受けるんだというような事情に迫られている人とか、いろいろございます。そういう要請への一つの機関として昔から発達してきたものでございますので、本来の金融機関ではないとしても、庶民のそういうものに対して最も簡便に応じ得るものとしてあるわけでございますから、政府もこの存在は認める、そうして、その監督は今法律によって、もっぱら防犯しの意味を兼ねて警察の監督になっているわけでございますが、しかし、その金利というものは確かに高うございます。これは、そういう別個の意味を持っているものでございますので、かりにもし受け出しにこなくて、自分で処分しなければならぬというときには、これを処分しなければなりませんので、その範囲でしか貸せないとか、いろいろな制約があって金利も高くなっているし、高いのを認めています。しかし、こういう要請は現実にあるにかかわらず、従来だけの質屋で、全く個人の営業による質屋では不便であるということから、御承知のような公益町屋というものを奨励しまして、これを市町村が作るというときには国からその施設費の補助をやるというようなことをやって、金利も一般質屋のおそらく三分の一以内になっておると思いますが、特にそういう安い金利で、公営でいくことを奨励するというような方法でやっております。一般の金融機関とは違いますので、私どもの監督には今事実上入っていない、こういうことでございますが、私どもは、質屋の必要性は十分承知しておりますので、公益質屋というような方向へできるだけ各市町村が庶民対策として配慮していただきたい、それについては補助するという立場で、三十七年度もその予算を計上しておるのでございます。
○井堀委員 あなたの答弁で明らかになりましたのですが、公益質屋の方へ補助金を出すということはけっこうですが、そうすると公益質庫の方はさっきも数字を申し上げましたように金額にいたしましても四億二千万円の貸付で、口数にいたしましても二百四十九万口です。それに比較しまして民間の九分から八分の金利で利用しておりますのとは、さっき申し上げたようにだんちの相違です。公益質屋が施行されましてからかなり長い歴史を持っておる。しかし、あなたの趣旨をもってするならば、公益質庫に民間のものを置きかえるというお考えなら、これは別です。質屋の数はさっき申し上げたように、二万一千二百二十も全国にあります。これをつぶしてしまうわけには歴史的にもいかぬでしょう。むしろこれを活用しているという事実、そういうことからいたしますと、補助金を公益質庫の方に出しているとするならば、当然民間の大部分の人がその高利のために苦しんでおりますならば、それに対しても補助金を差し上げるという措置がとられていいのじゃないか。法律の前に公正でなければならぬでしょう。どうです、この高利に対する利子補給金などの制度をお考えになったら。こういう点どうですか。
○水田国務大臣 むずかしい問題ですが、研究はいたしておこうと思います。
○井堀委員 私は、こういうところが、池田内閣の、言うところと、するところがまるで食い違っておる一例としてあげたにすぎぬのであります。今言うように公益質庫に対して補助金を出しますならば、それよりもまだ高利で活のやりくりをしております人のためにめんどうを見るということが、まず第一にやらなければならない低所得者対策の一つだと思うものをあげてみたのです。これについてもこれから研究するというのでありますから、低所得者に対する対策などというものはこの内閣では看板だけだということを、あなた自身が証明することになるのであります。一つ真剣にお考えになりまして、民間のこういう金融に対しても助成の道を講ずることをお考えになったらいかがですか。 もう一つ、ついででありますから、低所得者の問題に言及してみたいと思いますが、それは、働きながらなおかつ食うことのできない多くの勤労大衆がおることであります。しかも働いた賃金がもらえない。これは私ここで何回もやっておりますけれども、こんな法治国があるものですか。労働基準法は、ちゃんと通貨をもって、きめられた期日に賃金を払わなければならぬという規定があって、払わなければ罰則がある。しかし罰則があってもから回りをしている。その一例をここにとってみましょう。これは労働省の調査に基づく資料でありますが、大蔵大臣、よくお聞き下さい。あなたの政策の中で、金融引き締め政策というものがこんなむごい処置を講じておるという一例を一つ紹介してみましょう。これは幾つもあります。いいですか、未払い賃金については、毎月々々労働省が出しておりますけれども、あとを断ちません。最近における件数だけを見ましても、昭和三十六年十月が一番新しいのでありますが、その月末にまだ残っておりますものが二千四百六十六件の未解決がある。その金額は実に驚くべきであります。五億五千三百五十万円の未払い金がまだ未整理になっている。これは少ない方だ。これは訴え出たもの、あるいは何かの拍子に基準監督署が調査をしたときに出てきたものだけでありまして、訴えることのできない未組織労働者、中小企業、零細企業の労働者は、働いた賃金がもらえないで、質屋に行けば高い金利をとられる。それも、質ぐさがなくて困っているという人たちが、どれだけおるか知っていますか。政府のデータに出てこないでしょう。そのデータを見ますと、こういうデータになっておりますよ。厚生省が厚生行政調査のために行なわれました調査に現われた、俗に言うボーダー・ライン、生活保護法の線にすれすれのもの、すなわち、今度基準を引き上げて、甲地、東京の一級地で、五人の一世帯単位、一カ月一万五千七百七十五円に上げられました最低の生活基準に、働いても達しない所得者がどのくらいおるか。労働省の出しております労働力臨時調査によりましてもわかるように、一千三百十七万人もおるじゃないですか。少数じゃありませんよ。これをどうするのですか。しかも、その中の一例をあげてみましょう。私のところに訴えてきたものを労働省の基準監督局に回して調査させて、文書でここへ出させました。それは東京都の品川区鈴ケ森にあります旋盤機械を作っている近代的な工場であります。中小企業で、工場は埼玉県の大宮、二十人ばかしの工員を使い、本社には二名しかおりませんが、この工場が、金融引き締めのために、今までの金融機関でありました信用金庫から資金を断たれてしまいました。そのために一ぺんに工場が動かなくなりまして、仕掛品はお得意先から差し押えられてしまう。そのために賃金が未払いになりまして、調査の結果によりますと、二十人に対して払う一月分の賃金が、四十万九千円に対して、二十八万円も残っておる。それだけではありません。そこの工員の一人である石井某君は、たまたま社長の宅から従業員を宅まで会社のトラックで送った帰り道に、観光バスと接触事故を起こしまして、罰金になりました。大宮検察庁の略式命令によりまして二万円の罰金。そして裁判も確定をいたしました。その後三回の督促が行なわれております。とうとう罰金が納められぬからというので、――法務大臣聞いて下さいよ、罰金が納められぬということで、これを逮捕するのです。労役に処するのです。ばかにするなというんだ。一生懸命働いたが、賃金がもらえないのだ。その賃金がもらえなくなったのは、原因は何だ。そして罰金が納められぬからといって逮捕して、ぶち込むのです。踏んだりけったりじゃないですか。法務大臣、この点に対してはどっちの法律をあなたは守るのですか、お答え下さい。
○植木国務大臣 お答えいたします。 交通事犯を犯した者に対しまして、罰金の命令がおりて、そして罰金を納められない場合に、留置場に入れて作業を命じたということについての御質問でありますが、御承知のように、われわれ当局の者としましては、国の治安を維持し、また法の秩序を守りますために、法令の命ずるところによって厳正なる法の施行をいたさなければなりません。ただいまの御質問の場合におきましても、なるほど非常にお気の毒な事情にあることはわかりますが、しかし、罰金の言い渡しを受けてしまいました以上は、これに対してその執行をはかることが、われわれ当局の当然の責務でございます。しかしながら、その実際の運用にあたりましては、われわれ当局におきましても十分留意いたしまして、何回にもわたって督促もしたり、また実情もよくお調べをして、そしてでき得る限り罰金は罰金で納めてもらう。その目的を達するような処置を講じているのであります。しかし、どうしてもやむを得ません場合には、これはやはり法の命ずるところによって留置場に入れて作業をせしめるということにならざるを得ないということは、御承知を願いたいと思うのであります。もちろん、こうしたことにつきましても、当局は十分留意しておりますので、督促のときも、多い場合には十数回にわたって何回も状況を見ては、払えるようにというので、状況を調べております。そして、ほんとうにやむを得ない場合ということになっておるのであります。 最近の事例を、ちょうど御質問もございましたから、調べてみましたが、三十五年の、交通事犯関係の罰金が納められなくて留置場に入れた者の状況を調べてみますと、徴収すべき罰金関係の件数が二百二十六万件、金額にいたしまして五十六億円であります。ところが、労役場へ入れまして作業させた件数は、そのうちの八千八百件でございます。二百二十六万件のうち八千八百件、割合にいたしますと〇・三九%、一%にも達していない、こういう状況でございます。そしてその実行の場合には、今も申しました通り、でき得る限り実情に合うように、またよく状況を見てという上で、法の執行をいたすように努めておるつもりでございます。
○山村委員長 井堀君に申し上げますが、あとあなたの持ち時間は約十分でございます。
○井堀委員 具体的な事例を幾つも持っておるのでありますが、今せっかく法務大臣の御答弁がありましたから、もう一つ関係したことで伺っておきましょう。 それは交通事犯は、あなたのおっしゃるように非常に多い。しかも、これはほかの大臣にもお尋ねしようと思ったのでありますが、最近、交通事故による死亡率がぐんぐん伸びてきているのです。これはもちろん、民主社会においておそるべき傾向だと思うのです。こんな人命軽視の傾向というものが野放しになっているということは、幾ら政府が口をすっぱくして国民の思想的な健全化をはかろうとしても、ここからくずれていってしまう。おそるべき一つの現われだと私は思うのであります。こういうものに麻痺するようになりましては、戦争への一つの激しい勢いになっていくと思うのであります。そういう意味でも非常に重大だと思うのでありますが、それよりも、その対策を、政府では何か交通関係の閣僚懇談会のようなものをお作りになっていろいろやっているように伺っておりますけれども、一向にらちがあかないで、ますます激しくなってきている。その中で、どうも対象として運転者に問題をしぼっているような傾向が強いようであります。ここでも労働者が非常に被害を受けて、世論と政府の政策の拙劣さの間に板ばさみになって、その犠牲の一つになっております。それは二重刑罰であります。一つは行政処分で免許を取り上げてしまう。そうすると、本人は飯の食い上げです。職を奪われることになる。その上に、今度は罰金がくるのです。そういう交通対策というものがもし許されるとするならば、弱い労働者だけを犠牲にして世の中を糊塗するという、要するに一番悪い、無政府状態の典型的な姿になっていくと思う。こういう点で、法務省の任務は非常に重大になってきていると思う。どうです、一体こういうように労働者には手かせ足かせをした上に、今の未払い賃金の問題でも、労働者がいわれなく縛られようとしている。それに対してもきめ手がないようで、法務大臣は、政治的な手心を加えるように行政指導をしているというだけであります。この点どうでしょうか、一つお答え願います。
○植木国務大臣 お答えいたしますが、行政処分と刑事上の処分との二つが重複するではないか、そこに非常に無理があるのではないかという御質問であります。しかし、これはもう十分御承知の通り、判例等もございまして、二つが重なる場合はあっても、これはやむを得ないという法制の建前であります。ただ、立法例として考えます場合に、一体行政処分と刑事処分が二つ重なるような場合に、行政処分の程度がそうした事態を救済するのに適切であるかどうかということは、これは問題になり得ると思います。しかし、法制上の建前といたしましては、御承知のように、幾つかの判例もあるのでございますが、二つ重なってもやむを得ない、それは憲法上も認められた――一つの犯罪について二つの刑罰に処するような事案とは違うのでありますから、この点はおそらく御承認になると思うのであります。ですから、問題は、そうした交通事犯を起こしました場合に、たとえば免許の取り消しをするとか、あるいはその効力の停止をするという、その処分そのものが本人の犯した行為に対して適切であるかどうか、もっとほかに措置の講じようがあるかどうかということで、これは行政上もっと十分研究をする必要はあると思います。しかし、交通取り締まりの見地から考えます場合に、間違いを犯した者に対して一番適切な措置、もうそうした間違いを起こさせぬようにするにはどうするかということを行政的に考えますれば、ときには効力を停止して謹慎させる、その間に十分本人にも反省をさせるというようなことも、必要が起こると思います。そういう点は、立法論としてはなお考究する余地がありますが、私は、今日においてはやむを得ない措置じゃないか、かように考えます。
○井堀委員 この問題は、私は、司法行政あるいは警察行政の中における主張と、それから労働行政なりその他の保護行政が、均衡をとれるかとれぬかという問題にあると思うのであります。でありますから、今のところ、今いう刑法なりあるいは交通取り締まりなどといった法規が優先して、労働者の基本的人権が侵されているのを、指をくわえて見ているという姿を表明したにすぎぬと思う。こういう点で、労働省なり、他の所轄における労働者の生活を守る方の行政というものが全く麻痺したり、あるいは他に優先されてこれを見送る、さっきの公労法の中にも出てきたと同じように、基準法なんというものはから回りしている、そこに私はこの内閣の性格が出てくると思う。だから、法務大臣は、言うこととすることがまるきりなっちゃいないということを説明するにすぎぬのです。こういう点については時間がもうございませんから、もう二問だけぜひ済ませたいと思いますので、残念ですが、次に進みたいと思います。 それは、わが国民の一部分を占める沖繩の住民が、非常な差別待遇をしいられておる。これは安保条約の犠牲だと言ってしまえばそれまででありまするが、最近の沖繩の実情を調べるのは、現地に行く以外に方法がない。すなわち、住民の生活状態を日本の行政の手に乗せて、実情だけを見ようとしても、データが集まってこない。いろいろそういう点で苦心いたしてみますると、沖繩問題を行政の組織の中でどこをたどって調べるかというと、総理府の一角に二、三人こそこそと仕事をしておりまする特別地域連絡局、局といったら大へんりっぱですけれども、ほんのこじんまりした事務所しか持っていない。要するに、こういう状態で、そこで出していただきましたデータだけを見ましても、その生活水準において著しく差が出てきておる。教育水準においてもしかり。あるいは社会保障などについても、まことにどうも気の毒にたえない問題が列挙されておるのであります。時間がありませんから、こういうことを一々述べることはできませんけれども、こういう状態において、私は、問題が二つ提起されてこなければならぬと思う。その一つは、今、国会でも議決の対象になろうとしておりますように、施政権の返還を行なうという根本的な問題があると思いまするが、よし、今、安保条約の影響とはいえ、要するにアメリカ軍の作戦用兵のもとに置かれたといたしましても、アメリカもその基本的人権を守る義務があることは明らかだ。アメリカは、民主社会を豪語する、国連の指導的役割をやる国でありますから、私は、生活水準、教育等の面において日本内地よりもよくしても、なおかつ、アメリカのいろいろな方針を推進するための協力、犠牲をしいるのでありまするから、それくらい優遇してしかりと思うのであります。ところが、実際は非常に低劣であります。こういうことも、政府はよく御存じだと思います。 そこで私は、外務大臣と総務長官にお尋ねをいたしたいと思いますが、まず第一には、そういう差別は、国際信義の上からも許されぬことだと思います。外務大臣としましては、いかに施政権が向こうに許されたといたしましても、これは人道上、国際信義にもとる、きわめて過酷な、沖繩に在住する日本民族に対する奴隷的な姿に近い民生などというものは、改めさせる外交上の責任がある。そういうことについて、すみやかに解消せしめるような努力をなさっておいでになると思いますが、効果が上がらぬところ相当長いものですから、近いうちにそういうものをどうするかということを御答弁願いたいと思います。 それからついでに、川島さんがおいでにならぬようでありますから、総理府の方にお答えいただきたいと思いますが、少なくとも日本の行政上の窓口だけは、自治省の所管で沖繩県として存在しておったのでありますから、同じ行政の窓口くらいがお世話しているという格好は、絶対に必要ではないか。これはどこからも拘束を受けない。やろうと思えばすぐやれる。この点に対するお答えを願いたいと思います。
○小坂国務大臣 昨年の六月、池田・ケネディ会談が行なわれまして以来、非常に一生懸命、アメリカも沖繩の民生の安定、向上に努力しておるように思います。われわれとしては、日本の県並みの待遇、八十八万の人口を有しておる沖繩と大体同等の島根とか徳島とか高知とか、これらの県並みの所得水準に上げるようにということを目標に置いて、アメリカと話し合っておる次第でございます。逐次経済報告というものも出ますと、もっと事態が明らかになると思います。ただ、沖繩では、井堀さんも御承知のように、やはり高等弁務官が軍人でございまして、最近、キャラウエー弁務官も非常に理解を持っておりますけれども、何といっても、ここからくるかたくなな行政というものがあるわけであります。われわれは、非常にそれは強く是正を要求いたしておりまして、非常に最近変わっておりますのは、労働三法は沖繩に施行されておりますけれども、軍の方に雇用されます場合に、何か忠誠義務を誓うとか、暴力による団体とは関係がないとかというような、忠誠義務を誓う法律を作るとかいうことも考えておりますが、これは撤回いたすようであります。 それから教育の関係では、一九五八年以来、教育基本法と同じ性格のものがあるわけですが、これに対しての教育社の訓練その他について、日本の方へも来てもらい、日本からも行って、教育者の教育方法について、いろいろと日本の内地の教育と同じような教育が行なわれますように、非常な努力が最近行なわれて参っております。われわれとしては、言うべきことはいろいろ申しまして、施政権はアメリカにございますけれども、沖繩の住民はわが国民でございますから、日本の内地の教育、内地の労働関係の法律、あるいは厚生関係の法律が施行されますように、先方にいろいろと働きかけて、逐次改善をしつつある次第であります。
○小平政府委員 お答え申し上げます。 沖繩に関する行政の窓口を自治省に一本化したらどうか、こういう点がおもだと思いますが、御承知のように、沖繩が現在置かれております地位が、内地におきます都道府県の地位とは非常に異なった立場にございます。そういう関係からいたしまして、現に総理府の特連局で行なっております事務は、単に自治省が現にこの内地の都道府県に対してやっておるという専務ばかりでなく、その他の各省に関する事務を全部総括をいたしてやっておるわけであります。今後沖繩に対しまする援助等がどういう方式になって展開されていくかということが問題でございますが、そういう点とからみ合わせて、今後この行政の窓口ということも当然検討さるべきだと思いますが、ただいまのところでは、やはり総理府がやっていくのが適当ではないか、かように考えております。 なお、生活水準のことが申されましたが、これにつきましては、何と申しましても、現在沖繩が、いわゆる基地経済、こういう姿を非常に濃厚に持っておりますので、沖繩の産業を二面におきましては起こし、あるいは社会保障制度を拡充していく、こういうことによって生活水準を向上いたしていくはかなかろうと思います。 なお、先ほど特連局がわずか五、六人でというお話がございましたが、これはちょっとけたが違うのじゃないかと思います。本局だけでも六十人、出先が四十人ほど、合わせて百人ほどでやっております。
○山村委員長 井堀君、だいぶ時間を超過しましたから……。
○井堀委員 もう時間もありませんから、この一問だけで終わりたいと思います。 最後に一間だけお願いしたいと思いますが、それは、今御答弁いただきましたのではもちろん不満足ですけれども、時間がありませんから……。沖繩の問題は、ぜひ一つ日本政府として可能な措置としては、扱いだけでも他府県と同じような行政の姿にするということが常識ではないか。長官は、何か事情があるようでありまして、私も議論はありますが、ぜひ一つ考慮をしていただきたい。 それから、沖繩の労働者の問題については、米国政府の態度を私はもっと外交交渉の中で強くやらなければいかぬのじゃないか。たとえば布令の全廃などがようやくとの節行なわれているというようなことは、日本の労働者を奴隷と心得えているのではないか。それはあなたのおっしゃられるように軍の一部の考え方かもしれません。しかし現実はその被害を受けている。そういう現実の被害を米の政府がただ軍のしろうとの政治だからということでもし見送るならば、これは国際信義にもとるアメリカの態度として非難をされる問題だと思います。どうぞ、国際正義に基づいて、政府は勇敢に外交交渉を重ねられんことを要望いたしておきたいと思います。 最後にお願いをしておきたいことですが、先ほど来の佐藤発言による質疑応答の中で、私は、重大な政府の責任をミスしておるのじゃないかと思う点について、人事院の総裁に実はお尋ねをいたしたいと思うのであります。それは、ややもすれば公務員の福祉なりその地位というものが脅かされようとしておるのであります。それは一つには、国家公務員法の中に占める人事院の地位というものが後退をし始めてきているところにある。ことにこういう佐藤発言が行なわれた場合に、まっ先に意見を出すべきものは人事院ではないか。国家公務員が一番恐怖を感じます自分の首や地位、あるいはその福祉に影響をする行政整理に関する問題が取り上げられたときには、人事院が率先して佐藤発言などに対する適切な声明を行なうなり、それに対してはわれわれはこういう意見を持つというようなことまで明らかになされてこそ、今日の国家公務員法に規定される人事院の地位というものが認められてくると思うのであります。日本全国の国家公務員を初め、その影響を受ける地方公務員、ひいては勤労者全体に影響を持つことであります。もちろん行政整理の必要なことを私どもは否定するものではない。しかし、行政整理には犠牲がついて回るのでありまして、その犠牲の限界というものを明らかにするのが人事院の任務である。公務員の給与などについても、政府の態度はさっきの公労法の関係の議論においてお聞きになっておわかりの通りであります。政府自身が労働政策というものに対してまるきりうしろ向きの姿をとっているのでありますから、人事院の姿というものは、こういうときに私は強固な態度を大いに積極的に打ち出していかなければならない大切な時期だと思う。そのことのために人事院の身分は保障されているではありませんか。権力におびえるようなことがありましたのでは、人事院の存在は否定されることになると思うのであります。私は、こういうことについては、人事院が強力な具体的な発言が行なわれることを期待しておったのでありますが、その発言がなされなかったのであります。いい機会でありますから、その機会を与えたいと思います。一つ人事院総裁の佐藤発言に対する見解を述べていただきたい。
○入江政府委員 お答えいたします。 公務員の保護機関としての人事院の立場につきまして、激励をいただきまして恐縮いたしますが、今のお話の佐藤発言につきましては、これは御存じの通り、今回の調査会の運営の問題につきましての御発言でありまして、これにつきましては、いろいろそれぞれの立場において御意見を開陳されているところでございまして、人事院がこれに対して、こういういろいろな政治的な情勢に対して、一々積極的に発言していくこともいかがかと思っております。
○山村委員長 もうお約束の時間ですから……。
○井堀委員 もうこれでおしまいにしましょう。 私は、今の答弁は、人事院総裁としては結局次分の職務を怠る答弁をみずからしたにすぎぬと思います。あなたはこの国家公務員法をごらんになっていると思います。ごらんどころじゃない。これが仕事ですから……。ちゃんとこの中には、第三条に、人事院の設置の意義を、しかもこう強調している。「職員に関する諸般の方針、基準、手続、規則」など、さらにまた追求して、立法その他必要な措置については事前に措置を講ずることを命じているのでありまして、結局今の政府の諮問機関であります臨時行政調査会の答申がどういうものによしなろうとも、これは要するにこの第三条の規定に影響を持たないはずはない。もし影響を持たないような答申が行なわれたとすれば、それは意味がない答申になるわけです。それを受けて立つのは、労働組合を持たない、要するに団結権を制約しておりまする公務員のためにどこが発露したらいいか。要するに人事院総裁がそんな答弁をするようなことでありましては、どうして一体公務員は自分らの地位を人事院にかけて信頼することができるでありましょう。もってのほかだと思うのでありまして、私は人事院の今後の興廃は非常に重大だと思うのであります。もっと政府の態度と呼応して、民主社会におけるあり方を真剣に考えてほしいと思うのであります。時間がありませんから、これ以上答弁を求めようとはいたしません。しかし、もう一ぺん公務員法を読み直して、その地位の存在を公務員全体のために考えてほしいと思います。 ―――――――――――――
○山村委員長 この際、御報告を申し上げます。 昨日委員長に御一任を願いました分科会の区分及び主査の選任につきましては、次の通り決定いたしました。 第一分科会、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、総理府(経済企画庁を除く)、法務省及び大蔵省所管並びに他の分科会の所管以外の事項。主査西村直己君。 第二分科会、外務省、文部省、厚生省及び労働省所管。主査中村幸八君。 第三分科会、経済企画庁、農林省及び通商産業省所管。主査赤津正道君。 第四分科会、運輸省、郵政省、建設省及び自治省所管。主査羽田武嗣郎君。 以上であります。 分科員の配置は公報をもってお知らせいたします。 なお、分科会の審査の都合上、裁判所当局より出席説明の申し出があります場合は、これを承認することといたしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山村委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決定いたしました。 午後は二時半から開会することとし、臨時休憩いたします。 午後一時三十分休憩 ――――◇――――― 午後三時七分開議
○山村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 昭和三十七年度総予算に対する質疑を継続いたします。 その前に自治大臣に申し上げます。実は自治大臣に対する山田長司君からの査問要求は、数日前からなされていたのでございます。しかも先ほど二時半に開会することをはっきり申し上げたのに、おくれた点は非常に残念でございます。この際に官房長官を通じまして、内閣の閣僚の諸君に、どうか時間の厳守をはっきりと一つ申し渡していただきたいことを委員長から要望いたします。 自治大臣、何か御発言がございますか。
○安井国務大臣 おくれまして、委員会に大へん御迷惑をかけまして、まことに恐縮に存じます。ただ私伺いましたのは、実はきょうは午前中の委員会が終わるまぎわに出るところで伺ったので、これは事務上の手違いで間違いであったかもしれませんが、そういったことで、悪意は決してなかったことを一つ御了承願います。
○山村委員長 自治大臣に申し上げまするが、どうか一つ、当委員会の審議というものを何よりも優先的に尊重していただきます。 それでは山田長司君。
○山田(長)委員 自治省大臣に伺う前に、簡単に防衛庁長官に、きのうの淡谷委員の質問に対する答弁の点について、私納得いかぬ点がありますものですから、最初に一応伺っておきたいと思います。それは私たちが、数年前に決算委員会で取り扱ったロッキードの問題です。たまたまそのロッキードの問題が、いよいよ製作にかかる段階になりまして、予算委員会で取り上げられることになったわけですが、このアメリカ側の負担の七千五百万ドルの件について内訳といいますか、そういうことを、淡谷委員の質問に対して書類の提出方を、できるだけすみやかに書類を提出する、こういうふうに言われましたが、御承知のように予算委員会の分科会が、あさってから開かれることになるわけでありまして、それがあまり日がたっということになりますれば、意味をなさぬことになりますので、場合によったならば分科会に出て、私たちもこのロッキードの問題については、一応伺わなければならぬと思っておりまするので、これが書類の提出はいつできるのか、一応この際に、日取りをはっきり印していただきたいと思います。
○藤枝国務大臣 昨日淡谷さんの御質問にお答えいたしましたように、この七千五百万ドルにつきましては、わが方がチェックをいたしまして、直接米国政府から、ロッキード等に支払われるわけでございます。従いまして、これは米政府の予算の執行に関するものでございますので、これの発表の仕方等につきましては、米側との打ち合わせをいたす必要がございます。従いまして、至急にそれをいたしまして、御審議に支障のないようにいたしたいと考えております。
○山田(長)委員 ただいまの御答弁を伺ったのでは、これは質問者の意が私は、そういうことだとは理解されないのです。おそらく、これは、分科会に間に合うあさってまでのことでなければならぬと思うのです。しかるに、新聞には出ていないが、ただいまの長官のお答えによりますと、アメリカ側と折衝をしなければならぬというふうなことがつけ加えられていると思いますが、これは昨日の答弁のときには、そういう筋合いの答弁はされていなかったのじゃないかと思うのですが、いかがなものですか。
○藤枝国務大臣 昨日、私、淡谷さんの御質問に対しまして、七千五百万ドルについては、米政府の予算の執行でございますので、ここで申し上げることは遠慮いたしたいと申し上げたわけでございますが、特に御要求もございますので、至急に米側と折衝をいたしまして、御審議に役立つようにできるだけ努めたいと存じておる次第でございます。
○山田(長)委員 ただいまの長官のお答えは、これは速記録を見ればはっきりすることなんで、これ以上私伺うことはやめますが、装備局長は見えておりますか。-装備局長に、ただいまの問題についてどういうことになっているか、もう少し具体的に伺いたいと思います。
○久保政府委員 昨日の御要求に対しまして、私、提出するというふうに申し上げまして、非常に言葉が足りませんで申しわけなかったと思っております。(「言葉が足りなかったとか、しょっちゅう言っているじゃないか」と呼ぶ者あり)一応そういう前提でお出しするというふうに申し上げたつもりでございます。
○山村委員長 淡谷君に関連質問を許します。関連質問は簡単に願います。淡谷君。
○淡谷委員 装備局長に伺いますが、きのうのこの資料提出の約束は、長官じゃなくて装備局長が答えた。別にあなたは、アメリカ政府に照会するとも何とも言わないで、簡単に出しますと言っちゃったのです。すぐ出しなさい。私は、帳簿でもいいから出しなさいと言った、そうしますと言った。きょうになると、長官が、今度は、これはアメリカの方の予算だから云々といって、出すことをしぶっている。万事こういう調子だからおさまらない。きのう言ったことはうそですか、はっきり言いなさい。(藤枝国務大臣「委員長」と呼ぶ)いや、装備局長に聞きます。あなたの答弁はきのうはもらっていない。
○久保政府委員 先ほど申し上げましたように、言葉が足りませんでしたことを申しわけなく思います。
○淡谷委員 思い違いだとか、言葉が足らぬとかいうことで、いつでもだまされておったのではしようがないのです。それじゃ出せないのですか。
○藤枝国務大臣 先ほども申しましたように、これはアメリカ政府の予算の執行でございますから、向こうとの、アメリカ側と問い合わせの上、至急に御要求に応ずるような方向で努力をいたすことを申し上げておる次第でございます。
○淡谷委員 いつ出せる見込みですか。分科会はあさってからです。これは請求されなくても、七千工百万ドル、二百七十億円という大きな穴のあいておる予算が提示されておる。それを、書類がありませんじゃおさまらない。予算審議ができないのです。いつまでに出せるかはっきり言って下さい。
○藤枝国務大臣 繰り返して申しわけないのでございますが、内容については私どもはチェックをいたしておりますが、何分にもアメリカ政府の予算の執行でございますので、アメリカに問い合わせをいたしました以上、御審議にできるだけ間に合うように努力をいたしたいということを申し上げたいと思います。
○淡谷委員 重ねてお尋ねしますが、もう仕事が始まっているのでしょう。アメリカの方からはもうノック・ダウンの航空機が入っている。あなたの方もチェックをしておる。チェックをしている分でも出せませんか。全部とは言わぬ。予算が使われております分だけでも出せませんか。
○藤枝国務大臣 予算の執行中でございまして、チェックをいたしましたものもございますので、そういう点を十分アメリカ側と問い合わせをいたしまして、御審議に役立つように努力をいたしたいと思います。
○淡谷委員 私は、関連ですから長くはやりませんが、ただ一点、委員長にもこれははっきり御認識願いたいのは、私は、二年前の赤城さんと藤枝長官との食い違いを責めた間に、今度はまたきのうときょうの答弁に食い違いができている。これじゃ一体何を信用してわれわれは論議をしたらいいのでしょうか。まことにもって迷惑千万です。従って、きょうは、防衛庁長官に――私は、装備局長の言った答弁を長官自体の答弁と聞いております。あなたは、装備局長に命じて答弁させた。従って、きのうの答弁は誤りでしたとはっきり申しなさい。それで一応了承しましょう。
○藤枝国務大臣 昨日、淡谷さんの御質問に私がお答えいたしましたのは、アメリカの政府の予算の執行のものでございますので、ここで申し上げることは差し控えたいということをお答え申し上げたことは、御記憶いただいておることと思います。従いまして、そのあとを受けまして装備局長が申し上げましたことは、本人も言っておりまするように、言葉の足りなかったことは認めますが、そういう言葉の足らなかったという点につきましておわびを申し上げる次第でございます。
○山村委員長 防衛庁長官、委員長からちょっと申し上げますが、結局審議に間に合うように出せるということでございますか。
○藤枝国務大臣 お答えいたしますが、予算委員会の御要求でございますので、できるだけアメリカ側と問い合わせをいたしまして、御審議に役立つように努力をいたしたいと考えております。
○山村委員長 淡谷君、どうですか。審議に間に合うように努力するという長官の言明もございますから、その程度で御了解いただけませんか。
○淡谷委員 まあ了解せざるを得ないのでしょうけれども、ただ、都合のいいことは長官が答え、都合の悪いことは装備局長が答え、その答弁が食い違っておっても、言葉足らずだとかなんとか言ってのがれたんでは、これは実際審議ができない。だから疑われる。装備局長、もう一ぺん尋ねますが、あなたが即刻出すと言ったのは誤りでしたか。
○山村委員長 ただいまの私の取り計らいで満足できませんか。
○淡谷委員 できません。装備局長から一言答えてもらいます。
○山村委員長 やむを得ませんとあなた御返事なすったのじゃないですか。どうですか。委員会の審議のこともございますから……。(「はっきりしなければだめだ」と呼び、その他発言する者あり)それじゃ特に装備局長に発言を認めます。 装備局長、ただいまのことにつきピリオドを打って下さい。
○久保政府委員 先ほど申し上げましたように、言葉が足りなかったことを申しわけないと思っておりますが、ただいま長官が言われましたところに従いまして、至急に米政府の了解が得られましたら提出することに努めます。
○淡谷委員 それじゃ審議に間に合うように、できるだけ早くお出し願います。こないと審議ができませんから申し上げておきます。
○山村委員長 山田君に発言を許します。
○山田(長)委員 けさの新聞等を見ましても、異常な最近の乾燥で、大へん火災が多いようであります。きのうだけで五十五件の多きに達する火災が東京にあったというニュースが出ております。今年に入ってから、去年と同じ日のきのうまでの件数を比較しますと二百件も増加しているというお話でありますが、まことに憂慮にたえないものを感ずる次第であります。私から申し上げるまでもなく、火災についてはやはり文化、経済あるいは社会的な環境等で、これら火災の件数もふえるということは、やむを得ないことと思うのでありますが、この点新聞等の報ずるところによりますと、国民の間にかなり不安を感ずるのは不審火が続発しておるという点、警視庁でも放火犯人の逮捕に異例の処置をとって、これが指示を与えているという点、ずいぶんこの点では火災に対する異例の処置がとられて、当局でも深慮をされておるということはわかるのですが、私が特にこの機会に伺いたいと思うことは、これらの施策について、一体自治省としては抜本的な何か案が講ぜられてしかるべきだという感じがするのです。何かこの点について、自治省として、これは何も警視庁管下のことではなくて、国内に大へんな損害を及ぼしていることでございますから、当然大きな指針が打ち出されてしかるべきだと思うのでありますが、この点いかがなものですか。
○安井国務大臣 お話の通りに、火災によります国家、国民に対する被害が、だんだんとふえる傾向がございます。もっとも全体から申しまして、たとえばことしの一月と昨年の一月を比べてみますと、比率は格別ふえておりませんが、最近のような異常乾燥を中心にしまして、また原因不明の火災が起こっておるといったような現象がたくさんございます。しかし、どうもなかなかその原因につきましても的確につかめません。放火等の傾向が若干ふえておるということは言えますが、はたしてどういうことだという分析がなかなか現在もできない状況であります。主として失火によるもの、たばこの火、あるいは最近石油コンロ、ガスコンロ、こういったものの使用がふえるのにつきましての不注意から生ずる火災が非常に多い。従いまして、そういうものに対する住民の完全な注意力を、いろいろ啓蒙運動を通じまして喚起していくこと、さらにそれぞれの施設、建物に対して、でき得る限りの防火装置を徹底させ、また集団的な建物については管理人等を常置しまして、これの防火に努めておる次第でございます。
○山田(長)委員 ただいまの御答弁の中から察するのには、旧来の予防措置と改まって名案があったという印象を受けないのでありますが、やはり国民の生命、身体、財産、それからこのことによる損失等の莫大なことを考えまするときに、何としても災害を防止するための努力というものは、常にこれは検討されなければならぬと思うのです。ところが本年度の消防設備に関する予算面を見ますると、昨年よりは消防施設整備費補助金というものが七億という金額になっておるのですから、ふえておるようには感ずるのですが、まだまだこんなことで近代的な消防設備ができるなどということは私は非常にあつかましい次第だと思うのです。 私が特にここで大蔵大臣に伺っておきたいということは、自治大臣にもむろん伺うのですが、地方自治体で消防後援会というふうな形の名称を作られて、あるいはそれに匹敵するような名前を作られて、この予算面の少ない部分は、近代化のためにやはり消防団員等が動いて、それで消防設備の拡充に当たっているわけなんです、当たられておられる傾向があるわけなんです。こういう点が国民にしてみると二重の負担がかけられている形になるわけであります。こういう点で、当然この消防強化に対する根本は、やはり何と言っても市町村自治体の消防の強化でなければならないと思うのですけれども、この点についての自治省の所見及び大蔵省当局の所見をもう少し伺っておきたいと思います。
○安井国務大臣 お話のように、今日消防組織は、自治体中心の市町村消防になっております。従いまして、市町村の財政の状況によりまして、なかなか施設の拡充が画一には行なわれていないというような事情もございます。でき得る限り自治省といたしましては交付税の配分は公平にいたしまして、その方で消防施設の拡充が見られるように努力しております。 なお、今、消防協会といったようなものからの地元負担が相当あるという御指摘でございますが、まさに最近まででもまだそういった負担が相当ございます。しかし、これは逐年減少しておりまして、昭和三十四年には、十億以上のものがございましたのが、三十五年には約半分くらいにしております。三十六年もおそらくさらにその半分くらいになることと思います。逐次、もうことし、来年くらいまでにかけましては、そういったことのないように努力していきたいと思っております。
○水田国務大臣 消防の運用する費用は、御承知のように本来当該市町村がこれを負担するという建前になってずっと参っておりましたが、地方財政が非常に苦しかった昭和二十八年度に、このままでは、消防施設の整備ということが町村の財政では困難だ、こういうような事情にぶつかりましたので、この国会で消防の促進法をきめていただきまして、それに基づいて、自来、消防施設については、他の一般の施設に対する補助率と同じ程度の、三分の一の補助を出すということに、昭和二十八年からそういう形にして参っております。
○山田(長)委員 大臣は三分の一の補助を出すと言われているが、少なくともこれは三分の一くらいの補助が出なければ、地方自治体の消防の近代化などということは、これはとても不可能なことだと私は思うのです。そのことが結局やはり地方の住民に、部落の人に、あるいは村落の人たちにまで、消防の寄付というものが次々と毎年かけられてくる理由になると思うのです。 次に伺うのは、火災が先ほど申し上げましたように、非常に複雑多岐にわたってきている。もちろん消防庁には消防研究所なるものがある。この機会ですから私は申し上げておきますが、実は消防研究所の重要な位置にある者がポンプの検査のときに金品の授受を受けた。そこで私はこれについて、もう六、七年前のことになりますが、その責任ある人間をすぐに呼びまして、一体こういうことのためにポンプの不正マークが売られておる、こういうポンプの不正マークが売られるということは、一朝有事のときに大へんな事態になる、許すことはできないということで、やめないならば私は国会で発言するぞということによって強引にやめさせたことがございます。もう歳月がたっておりますので、この機会に私ははっきり申し上げます。 そこで、この研究所なるものがあっても、予算の関係で有名無実じゃないかと私は思うのです。この点、やはり特殊な日本の家屋の実情から勘案いたしまして、当然この研究所なるものがもっと充実拡充されなければならぬと思うのです。これについての何かやはり所見があってしかるべきと思うのです。同時に大蔵当局も何百億という金額に匹敵するものが烏有に帰しているこの現状から見まして、当然もっと、特殊事情に置かれている日本の家屋の現状等を見て、この研究所の機能というものを――もし自治省にりっぱな案があって、これが採用して可能であるというならば、特別に取り上げてこれが研究されてしかるべきものと私は思うのです。その点、自治省にあるのかないのか。それから大蔵当局は、これについてどういう考えを持っておるか、一応伺っておきます。
○安井国務大臣 消防の国における組織と申しますか、施設が非常に貧弱であることは、御指摘の通りでございまして、研究所では研究所員が鋭意やっておりますが、予算等も十分でない。これは、今まで市町村に主体を置いた消防といったような惰性もあったかと思いますが、こういうことではいかぬので、今後できる限り消防の施設及び研究所の拡充はやらなければならぬと思っております。さらに消防センターというようなものも企画をいたしておりましたが、三十七年度には予算の実現を見るに至らなかったわけでございます。しかし、今後ともそういった拡充については、格段の留意を払っていきたいと思っております。
○水田国務大臣 研究所につきましては、この重要性を認めて、昨年の四千八百万円の予算を、本年は五千九百万円と、相当大幅に今度はふやして計上してございます。
○山田(長)委員 大臣は、自治省が研究所の機能をほんとうに活用するために対する案について、予算面で今申されたようなことだけで満足しておってはいかぬと思うのです。 次に、昨日の田村町の火事と新橋の火事に、新橋の方には二十三台の自動車が出動している。田村町の方には十三台の自動車が出動しておる。そこで私は伺いたいことは、大火の原因及び火事の回数、いろいろきのうの場合などにも放火の疑い等があったというふうなこともいわれておるのでありますが、最近の一つの大きな原因として、消防車がスムーズに動けぬ。それは交通事情のことからくるわけだと思うのですが、そのほかに路傍の障害物が非常に多い。こういうためにせっかくの機能が発揮できない状態にある。 そこで運輸大臣に伺っておきたいのは、特に最近の大崎の広小路、それから新宿の青梅街道のガード下、これが夕刻のラッシュになりますと、おそらく交通信号の六、七回は通れない。こういう実情に置かれているときに、もし一朝火災があったというようなことになれば、これは意識するせざるにかかわらず、消防自動車というものは動くことができない実情になると思うのです。この事態を勘案いたして見、さらに昼間の日本橋及び大手町、銀座周辺の交通事情もその通りだと私は思うのです。その点、抜本的に運輸当局としては、この交通事情緩和のために、よほど大きな手が打たれなければならぬと思うのですが、ただこのままばく然と見ておって、新しく高速自動車道路ができれば、それで機能がそのときに達せられるのだというふうな考え方であるとするならば、私は思わざる火災のために、思わざる大火を生ずるという事態が発生せざるを得ない状態になると思うのですが、運輸当局として、現在のこの自動車の状態というものに対していかように考えられるか、戦後、終戦直後の五万五千台が、最近では、去年の十二月末現在では、七十二万六千四百二十台になっておる。これが近々のうちに、もう百万台になるだろうということは明らかになっておる。そうすれば当然目先だけのことじゃなくて、もう百万台から百三十万台くらいになるまでの過程、ないしもうと先の見通しまでつけた運輸行政というものが考えられなければならぬと思うのです。この点、運輸大臣として、消防行政などと勘案いたしまして、重大なる問題であると思いますので伺っておくわけでありますが、この点いかにお考えになりますか。
○斎藤国務大臣 都市における自動車の増加、これに伴う混雑の問題は、御指摘のように非常に重大な問題となってきておると存じます。そこで政府におきましては、御承知のように臨時交通関係閣僚懇談会を設けまして、そうして抜本的な方策、すなわち道路の拡幅の問題、その他いろいろございますが、それはそれといたしまして、当面的に打つべき手をいろいろ勘案いたしておるわけでございます。御承知のように、この交通の問題は、交通の取り締まりの問題もあり、また道路占用の問題もあり、また自動車の営業等の問題もあるわけでございますが、運輸省といたしましては、自動車営業を所管いたしておりますが、これらの車につきまして、都市交通の緩和に役立つような方策はないかと、いろいろと検討いたしております。問題になっております貨物の路線運送につきましては、東京を通過していくだけのものは、できるだけ夜間通過をしていくようにという指導もいたし、また東京の中にターミナルを持っております路線運送につきましても、できるだけ交通混雑時を避けて通るような指導をいたしておるわけであります。また、バス等につきましても、先般、これは建設省の所管でございますが、車両制限令が二月一日から施行になりました。これは道路の面から、そこを通る車両の大きさを制限する法律でございますが、建設省の所管でありますけれども、建設省と連携をとりまして、そうしてその制限令に従うようにあるいはバスの路線の変更をする、あるいはバスの車体を小さなものにかえるというようにただいま指導いたしております。全面的な自動車の交通の規制という問題は、取り締まりの面が主でございますが、これを関係各省できるだけ連絡をとり、協力をしてやっていこうという態勢にあるわけでございます。 交通混雑時における自動車の数を見ますと、自動車の数から申しますと、乗用車が非常に多いわけであります。この乗用車をしからばどうして規制をしていくか、一定の地域、あるいは一定の路線を限って乗用車の乗り入れを禁止するというような必要性につきましても、交通取り締まり当局と一緒に検討いたしておりますが、まだ成案を得るに至っておりません。ただ、私は事務当局に今申しておりまするのは、ドライブ・クラブの単も若干ございます。数量は多くありませんが、これらのドライブ・クラブの車は、混雑時は都心に乗り入れることを制限したらどうだろうということを、ただいま検討をいたしております。これは実現をいたしたいと思っております。他に自動車の都心乗り入れの規制の方法は、間接的な方法といたしまして、あるいは自家用貨物等に車庫の設置の義務を負わせて、そうして路上に駐車はもちろん、夜間いわゆる車庫がわりに路上を使うということを避けさせる方法をただいま検討中であります。これは、立法措置による必要があろうと考えておりまして、ただいま立法の関係でその作業をいたしておるわけであります。自家用車につきましても、またその論があるわけでありますから、まず路上の駐車を厳重に取り締まる、また路上の駐軍の禁止区域を広げるということにつきましても、これは取り締まり当局の警察と話し合いをいたしておるわけであります。これらの取り締まりは、いわゆる交通取り締まりの面であり、また道路使用の面でもあります建設省、警察庁、それから運輸省と連携をとりまして、なるべくすみやかに将来の車両増加に備えて対策を練って参りたい、かように考えております。
○山田(長)委員 ただいま運輸大臣からの運輸行政についての答弁で一応了解される点もあるのでありますが、関係各省に渡りをつけて、これがすみやかに善後処置を講ずるというお話でございますけれども、やはり何と言いましても運輸行政に携わる運輸大臣が一番のこれが主宰者にならなければならぬ筋合いのものだと私は思う。その主宰者になるあなた方が、やはり関係官庁に対する叱咤激励をすることによって、路傍における駐車などという問題も、かなり削減されてくると思うのでありますが、やはりクラブの関係の限られた少ない車両くらいの、一番弱い面だけに当たっていったというだけでは、とてもこの結論は出ないと思う。どうかすみやかにこれが最善の方途を講ぜられるように希望してやみません。 次に、やはり急務に属する、車両関係に重大な支障を来たすだろうと思われる虎ノ門の公園の問題であります。国有財産の虎ノ門の今のニューエンパイヤのある場所です。これが二月の末日に裁判でいよいよ最後の結審になるという話であります。この虎ノ門の公園跡は、御承知のように坪五円十銭で貸されている。だれが考えてみても、今どき虎ノ門というあの地価は、坪百万円にも匹敵するという場所が五円一銭で貸し与えられておる。しかもそれが白二十坪である。聞くところによると、この背後にやはり保守勢力の強力な人がいるということから、なかなかこの結論が出ないという話でありますが、あの虎ノ門については、大蔵当局が東京都にこれが管理移管をしているうちに、東京都がニューエンパイヤヘ貸し与えてしまったわけであります。今月末に裁判をやられて、いよいよ結審になるというのに、おそらく大蔵当局としても、これが結審になる場合に、国有地が簡単に、しかもあそこら辺は将来道路を広げて、交通上も考えなければならぬときに、むざむざと敗北するような事態は私はないと信じておるけれども、この点について、二月の末日もいよいよまぎわになってきておるので、いよいよ結審だというのですが、大蔵当同はこれに対する処置をどういうふうにしようとするのか。 それから会計検査院に伺っておきたいのですが、いよいよ二月の末に結審になるといわれる状態だが、会計検査院としては、これに対してどういう結論を出しておられて、大蔵当局へこれの指示を与えているのか。一応伺っておきます。
○水田国務大臣 お尋ねのニューエンパイヤ事件というものの報告は、私も十分受けて、聞いております。二月に結審されるというふうには私どもは聞いておりません。御承知のように、昨年の四月に裁判所の方からは、なかなかやっかいな問題で、示談にしたらどうかというような勧告を得ておりますが、従来からのいきさつから見まして、私どもとしてもそう簡単に示談に持っていく問題じゃないというので、まだ応じておりません。で、衆議院の決算委員会で決議が行なわれたことでございますし、また参議院における本会議において議決となって、そうしてこの問題はもと通り公園に復帰させろという決議まで得ておる問題でございますし、私どもの立場から言いますと、そのいきさつから見まして、不法占拠という扱いをせざるを得ないという事情にたっておりまして、ただいま示談に応じないという形をとっておりますので、裁判は長引いております。次の裁判は四月以後だというふうに予想しておりますが、早急にこの問題は、今言ったように結審になる問題ではないと思っております。
○大沢会計検査院説明員 お答えいたします。虎ノ門公園の問題は、古く二十七、八年ころかと思いましたが、公園目的に使用されていたいという点で、会計検査院から大蔵当局に対しまして、これらの善処方を書面で照会いたしました。その後大蔵当局の方で、御承知の通りあそこの立ちのきの訴訟を提起されて、それで今日に至っておる状態であります。会計検査院といたしまして、この訴訟を有利に導くように、どういうような処置をとるかというお尋ねでございますが、何分にも事件は、そうした裁判の訴訟の問題になっておりますので、ただいま会計検査院で特にどうするという手段もありません。ただ一日も早く国が勝訴になって、すっきりした形になることを期待しておる次第であります。
○山田(長)委員 会計検査院当局に伺いますが、風水害等の災害に対しては、特別法が施行されておることは、これは十分承知しています。四分の三国庫補助になっておるということで、これが災害に補助をなされておるわけでありますが、この災害に便乗して、私たちが調べておる範囲で、たとえば伊勢湾台風以降においても災害に名をかりて何回も予算をぶんどっておるところがある。これは会計検査院当局も、このルーズな予算のぶんどり方について知らぬはずはないと思う。もし知っておれば二、三あげてもらいたい。知らなければ、これはいずれ会計検査当局に予算の分科会で私は質問をいたします。この点について知れる範囲を一つ明らかにしてもらいたい。
○大沢会計検査院説明員 お答えいたします。災害に便乗して、予算をとっているという事例があるだろうというお話でありますが、われわれの検査は二つの格好で検査しておるのであります。一つは、災害がありまして各省が災害の査定をいたしましたときに、その査定内容が適当であるかどうかという検査と、もう一つは災害復旧工事、それが終わったときの工事の出来高が適当であるかどうか、この二つの方面から検査しております。その第一の災害の査定が適当であるかどうかという点を検査しました結果によりますると、たとえば農林省と建設省と両方で一つの災害個所を査定して、災害の復旧個所と査定しておる。こういう事例がありまして、これは査定の段階において、重複しているではないかということを指摘いたしまして、片方を査定から除外させたという措置をとっているものは、三十五年の検査報告にも掲げてありますが、ただいまちょっと件数の資料を持ちませんですが、十数件はあったと思います。なお災害工事の完成の検査の結果は、これは検査報告に三十五年度におきましても農林省関係に約五十件、建設省関係に約三十件、工事が適当でない、あるいは設計に比べて出来高が不足しておったり、あるいはコンクリートの配合が悪い、その他の点は指摘いたしておる次第でございます。
○山田(長)委員 ただいま会計検査院が指摘した通り、大蔵当局はこういう場合、予算を捻出するのにあたって、決算の批難事項というものは、予算の、これが結論を出す場合における配慮というものはどうなさっておりますか。
○水田国務大臣 会計検査院から指摘された事項というものについては、特にその類似事項について、査定のときには、そういう問題が起こらないように、同じ似たような問題の査定については相当気をつけて厳重な査定を現在やっております。ですから、大蔵省の査定が少しきびし過ぎるというような非難があるくらいでございますが、それでもなお直接現場に当たってみるということは少ないのでございますから、主管官庁の報告に基づいて、こちらが最善を尽くした否定をするというよりほかに仕方がございませんので、そういう問題もたまに起こることは遺憾だと思っております。
○山田(長)委員 周知の問題でありますが、消防には常備消防と義勇消防とがある。それで常備消防は現在三万三千人、義勇の消防に携わる人たちは百六十七万七千五百工十五人いる。前者には報酬が与えられているが、後者の場合においては出動報酬のそれぞれ六十円しか与えられておらない。私が今ここで伺いたいと思っておりますることは、たまたま全国の町村の実情というものを調べてみると、どこの町村にも消防協会というものに対する負掛金が計上されていないところがない。その全国の消防協会に対する負担のほかに、国でもまた委託事業としてことしは千四百五十五万予算が組まれておる。昨年度は千五百万組まれておる。そこでこの義勇消防の全国組織というものは、明確に申し上げますと、これは保守勢力の選挙地盤になっております。そこでこの消防協会の会長は自民党の実力者と目される大野さんがこの会長をやっておる。私はこの会長をやっているのがいいとか悪いとかいうのじゃない。問題はこの協会なるものは――この間の二月の十日と十一日ですね。たまたま全国の消防団員から集められて、零細なしかも消防団員一人百円ずつの献金をしておるわけですが、そういう献金をされて作られた消防会館が、今度株式会社になろうという意図で代議員総会に諮られたという話である。しかも三月末にこれがいよいよ株式会社化そうとしておる。このことは、私は精神力で固まってもっておる全国の消防団員といたしましては、これが唯一の殿堂として中央のよりどころだと思うのです。来て泊まり、来て集会を持つ唯一のよりどころだと思うのです。そのよりどころがたまたま株式会社になってしまう。しかも団員が全く知らぬうちに株式会社になってしまう。今度はおそらく高い宿泊費になることは明らかだと思うのです。一体どういう理由でそういうばかばかしいことが起こるのか。この出された金の出どころを全部調べてみますと、全国の自治体はもちろんのこと、個人の篤志家の寄付、会員の寄付、それから競輪施行者団体等の寄付、保険協会等の寄付、これはおそらく株式会社になるためにだれがほんとうに献金したかと私は思う。ところが平気でこういう議題が出されて、しかもその方向へ持っていかれるという状態で、全国の各府県代表が猛烈に反対して、会議は今休憩になっているそうですが、来たるべきこの三月に、いよいよこれを株式会社化そうという意図のようでありますけれども、一体この監督の衝にある自治省といたしまして、あるいはまた幾ら委託であったにいたしましても、委託事業はどういう事業であったかわからぬが、これも会計検査院当局に伺いたいのですけれども、会計検査院当局は、この委託の事業の内容はどんなものであったのか、国民の血税がこうして出られ、また予算の面にこう組まれて出る以上は、当然この衝に当たったものは調べていると思うのであります。一体自治省の大臣といたしまして、一体そんなばかばかしいことがあり得るのかどうか、この真相を知らぬことはないと思うのです。一つ明らかにしてもらいたい。
○安井国務大臣 消防協会会館というものができ上がっておりまして、この会館ができ上がりますにつきましての資金計画が十分でありませんで、未払金が残っておるといったような事情から、何らかのその決済をやるといいますか、会計上の始末をつける必要に迫られて、いろいろ当局で苦慮されているということは伺っております。その方法の一つとして、株式会社という形式も一応議論になって、いろいろ論議されておることも伺っておりますが、まだこれは結論が出ておるということは聞いておりません。
○山田(長)委員 結論が出ていないと言われるが、財団法人消防協会なるものの指導の衝に当たっておられるのは、やはり自治省でなければならぬと思うのです。その消防協会の定款の中には、この消防会館の運営管理にはこの財団法人が当たるということの規定になっている。この財団法人がその会館は持っておるわけです。持っているが、でかいものができ上がったものだから、いよいよこのでき上がったものを分離してしまって、新しく株式会社化そうという意図なのであるが、一体定款の変更もなされないで、そういうことが堂々と地方の末端の人たちから出された形において進められて、それに対して自治省は何らの監督権も発動されずに、これが議論されていていいということであるとするならば、これは末端の人たちの消防精神の喪失はおそるべきものがあろうと思うんです。この点どう考えますか。
○安井国務大臣 消防会館が、これが営利を目的として、非常に営利作業をやるための会社組織案が出ておるというふうには、われわれは解釈いたしておらぬのであります。会館を作ります際の支払いが、まだ未納が残っておりまして、これの処理をいたしますために、いろいろ関係当局が苦慮されておるということは伺っております。しかし、株式会社案がはたしていいかどうか、またでき上がる姿がどうか、こういうようなものにつきましては、私どもも十分関心を持って見ております。ただ、これを今事前に、外からどうだというわけにも参らぬかと思っております。財団法人として営利作業を直接自分がやるということは、これは禁じられておるといいますか、それ自身が目的であってはなりませんが、法人自体が自分の方の事業をやりますために収益事業を一方でやるということは、法人としては認められておる次第でございます。
○山田(長)委員 定款の変更もしないで、そういうことが勝手に立案され、勝手にこれを今度は会社にするのだということになったものだから、今問題が複雑になってきているんです。これは、反対派の意思を述べた各府県代表というものは、帰られておそらく団員に――まるで末端では消火の仕事に携わるのにもかかわらず、ろくな手当も出てもいないのに、命がけの消防作業をやらされるが、中央では、二百万に近い人たちの会費を集めて、それで今度は会館を作り、それで今度は寄付金を大会社から集めて、篤志家からも寄付を集めて、でき上がったら会社にしてしまうんだ、こんなばかばかしいことがあるのかというので、おそらく全国の代表者の人たちは、帰られて消防団員に言っていると私は思うんです。こういう点はまことに不可解きわまるものだと私は思うんです。こんなことは監督の衝に当たる自治省として、当然、国家予算も食っていることなんですから、こんな騒ぎが起こらぬうちに厳重に注意が発せられてしかるべきだと思うんです。これはどうなんです。
○安井国務大臣 定款変更の問題は、会社組織になるというようなことが決定いたしましてからの手続の問題になるわけでございます。ただ私どもは、今言われますように、私どもが見ております線は、会館建設の費用が約一億円以上の未払いがあるわけであります。従いまして、その金額の返済方法が、寄付が思うように集まらなかったという原因から、会館はできたが、その決済ができない、そこで、それを最後に整理をする方法としていろいろなことが今議論されておるということであって、その議論されておること自体はとがめるべき筋のものじゃなかろうと私は思っております。ただそれが世上、あるいは団員に対して非常な不利益になる、あるいは非常に不当なものになるというようなことになる危険が生じて参りますれば、私どもの方としても十分な介入と申しますか、指導をいたしていきたい、こう思っております。
○山田(長)委員 未済の金が一億七千五百万円残っておると言われるが、大体問題になるのは、そこの町村会館、この町村会館はこれとほとんど前後して作られているが、この建物は坪当たり十六万六千円なんです。その隣の東京消防庁は坪当たり十四万一千百十一円なんです。ところが、場所もかなり離れている向こうへ、消防庁とは建設は一カ月の違いしかない。東京消防庁の方があとなんです。しかるに消防庁は十四万でできているのに、向こうは二十五万八千円かかっている。ですから、大体坪当たりの値段が十一万七千円も違う。そこへもってきて、もう二億九千万円支払いが済んでいる。だから普通の一値段であったとするならば、この建物についてはとうに支払い済みなんだ。ところが間組との指名契約によるために、これが全然残っていることになっている。残っている金額の分について、この金が負債になっているから、これを会社にして間組に株を持ってもらおう、これが会社の主宰者になってもらおうということなんです。これはまことにふに落ちない内容を持っている。こういう事態を全国の消防団員が知らないから、坪二十五万八千三百三十三円であっても高いという印象を持たないが、全然これは金額的に問題にならぬですよ。内容的には、この町村会館の建物は、日本建築学会から表彰まで授与されている、安くて坪十六万でできている方の建物は。片一方の金額はそういうふうに高くて、それが片づかずにいるということなんです。一体こんなことで――私は間組というのは、あの東宮御所を一万円で入札した人だと思う。少なくとも日本の消防団員のオアシスともいわれる消防会館の建設にあたって、少しぐらいの金が残ったって、あの人のほんとうの精神は、東宮御所を一万円で落札する義侠心があるのですから、この一億くらい残ったものは、ぽんと胸をたたいて、私は消防に寄付するに相違ないと思うんだ。この点は何とも私は理解ができないのです。自治省としては、この負債について、もっと負債の内容をつまびらかにするための――こんな単価の高いものが平気で落札されたという状態などについては、よそのことであるからこれは関しないということで高見の見物をしておったものなのかどうなのか、この点いかがです。監督はしなかったのですか。
○安井国務大臣 自治省からは、消防の方からの長い歴史で委託金も出しております。そういうような面から委託金の使途あるいは経理の一般の費途につきましては、これは十分監督もいたしております。またそれ自体が何ら不正があるようには思っておりません。建設物自体の内容とか、そういったものにつきましてまで、十分な検討をいたしていないことは事実でございますが、これは監督行政の限度の問題かと考えております。
○山田(長)委員 大臣は、この消防会館建設の全国の代議員会の内容を知らない。この代議員会の席上に、最初全国の消防団員二百万人近い人たちに五十円の献金方を大野会長は要請したのであります。ところが五十円はどんどん集まってきた。集まってきたが五十円ではどうもうまくないというので、今度百円にした。百円にしたらこれに対する反対者が出た。反対者が出たら胸をぽんとたたいて、万事おれの胸にあるからまかしておけと、こう言ったという。これが会費の集まらない理由なんです。さらに会費の集まらない理由は、昭和三十四年七月八日の朝日新聞全国版を見ればわかるが、この朝日新聞に、全国参議院の選挙に落選した人がいる。この落選したのは、消防協会の理事長の斎藤時郎という人だ。この人が全国の消防団員に金をばらまいて、その消防団員、各府県の会頭及び団長クラスの人にかなりの検挙者を出した。それがために全国の消防団員が、この集められた金というものは、会館に使われないで選挙費に使われているんだというふうな印象を持っちゃった、これが集まらない理由なんだ。集まらなかった責任は、当然その会の主宰者である会長が負い、それからそのあとのことについて、これは借金があるから株式化するんだというようなこと自体に方向を変えていったということは大へんな間違いです。この点いかがです、どうお考えです。
○安井国務大臣 確かに建設をいたします場合の資金計画として、百五十六万人の会員から百円当たり募集するという計画はあったようであります。これは百三十五万人分だけは入っておりますので、非常にその際に会員からのそういった反撃があったものとは私どもは心得ておりません。なお、選挙等について、何かそういった事件があったようでございますが、これはもうその方面の司直の手の結果を待つより、私どもがかれこれ批評すべき筋でなかろうと思っております。
○山田(長)委員 司直の手を待てばそれでいいのだということであれば、さらに私はつけ加えて聞くのだ。それはこういうことが許されていいかどうかということだ。もっとも最近では春の歌の会でも偽作が出る世の中でありまして、だいぶ国民の感情というものが変わってきているから、それはあるいはかまわぬといえばかまわぬかもしれないが、昨年の十一月の十五日に東京都体育館において消防の全国大会が開かれた。その消防の全国大会には天皇まで臨席された。ところがこの案内の衝に当たった者、これの計画その他をみんな立てた者はことごとく刑事被告人だ。それは世の中が変わっているから刑事被告人が天皇を案内していいのだといえばそれはいいのかもしれない。しかし、これが少なくとも末端の全国の消防団員として、火災の起こったときには命をかけて先頭を切って国民の生命を守ろうという活躍をする人たちにとってみれば、この天皇の臨席された消防の大会に、刑事被告人が案内の衝に当たり、刑事被告人がその全体の切り盛りをしておって、それでも何でもかまわないのだ、そういう考え方なのか。私は、この点大臣が、少なくともこの計画を立てられたときに知らないはずはないと思う。こんなことはかまわぬというなら、かまわなくともかまわぬと思うのだ。その点どうなんです。
○安井国務大臣 そういった、今お話しの事実はあったかと思います。これは道義的に言えば相当御批判はあると存じますが、やはり法人の中での行事でございまして、そこまで今私どもがあれこれ指図をするわけにも参るまいかと思っております。
○山田(長)委員 私は、こういう行事というものについては、やはり細心の注意が今日まで払われておるものと信じておるのだ。それは象徴として国民が尊敬している方が出てくる場所なんですから、私は細心の注意が払われてしかるべきものだと思う。今も大臣が言われたように、そういうことがあったという。一体こういうことが――命を投げ出して消火の仕事に当たったり、あるいは暴風水害等において命を投げ出して消防団員が働き得るというのは、みんな国土を守り、国民の財産を守るのだというその考え方に徹しているからこそ、やはりその戦いができると思うのです。ところが、上の方の連中は、選挙違反でござれ、あるいは今度は会館を作ったら株式会社にしてしまうのだ。これはまるで、どう考えたって、うまい汁を吸っているとしか印象は持ちませんよ。やはり、こういうことに細心の注意を払う必要があると思うのです。こういう細心の注意を払わなかったという点については、責任ある人たちにとって、当然これは注意をすべき筋合いのものだと私は思うのです。これは注意したのですか、あなた知っていて注意しなかったのですか。
○安井国務大臣 消防団員が非常に薄い待遇のもとに災害等について非常な活躍をされておりますことは、今お話しの通りでございまして、私ども、そういったものにでき得る限り報いるべく、今度も共済制度等につきましても、予算、資金の拡充も相当額いたしたような次第でございます。また、それの報償制度、賞恤制度等につきましても、いろいろと考えております。今お話しのその協会の本部であるところに、今後そういった批判が起こることのないように、今後とも十分な注意をいたして参りたいと思っております。
○山田(長)委員 国家の予算が出ています以上、私は、この定款にのっとった細心の注意を払われて自治省ないし消防庁は監督しているものと信じています。その点間違いないですか。
○安井国務大臣 ただいまわれわれの監督下にあります経理関係その他につきましては、不正は一切ないものと認めております。
○山田(長)委員 それでは、この定款以外の仕事をこの消防協会がやっておったらば、これに対して大臣はどう考えます。
○安井国務大臣 定款の書き方で、その他とかいったようなことで包含される場合もあり得るであろうと思いますが、それが違法にわたるような場合、そういったものが明らかでありますれば、それにしかるべき措置をいたしたいと考えております。
○山田(長)委員 それでは、ここに消防協会が契約をしている事例が一つあります。それは土地の周旋屋であります。消防協会は、定款のどこを見ても、土地の周旋をやっていいという事例はありません。私はここに契約書を持ってきております。消防協会がここへ判こを押して土地の周旋屋をやっておる書類を持ってきている。こういう事例があっても、自治省としては、この財団法人の消防協会というものに対して、定款以外の仕事をしているという事例に対して、その他というまことに広い範囲のことで処理できる筋合いのものじゃないのです。その他の目的といっても、その他の目的を達成するために必要な事業を行なうといっても、周旋屋の仕事はおそらく入るまいと思う。この点どうなんです。
○安井国務大臣 土地売買の周旋の事実につきましては、実はまだ私どもで承知いたしておりません。至急事態を一ぺんよく調べたいと思っております。
○山田(長)委員 やっておったらどうするかと私は聞いているんですよ。こういう契約書が出ているんですから。
○安井国務大臣 それがどういうような事態のもとに、どういう事情で行なわれましたか、一度私どもで調べました上で、御答弁を必要があればいたしたいと存じております。
○山田(長)委員 原則として、定款以外の仕事をしている場合に、自治省として、それが監督の衝に当たっておって、一体やってならぬことをやっている場合にはどうするかということを聞いているんですよ。
○安井国務大臣 事情、内容のいかんにもよると思いますが、調べまして、それが違法のものでありますれば、それに対する適当な措置をいたします。
○山田(長)委員 この定款は一から十までの条文が入っているのですが、この条文を私は逐一調べてみたのですけれども、また法律家等にもこれを照会して調べてみました。消防協会で土地の周旋をやっていいという理由はどこにもないと言う。付帯する事業といったって、土地の周旋をやっていいという卑属は一つもないはずです。こんな監督をやっておるということ自体、私はちょっとおかしいと思うのですよ。
○安井国務大臣 今申し上げましたように実態を――この法人というものが、その法人の目的を達するために利益を必要として、他に営利的な事業をやるということ全部を禁止しておるものではございませんので、その実態がどういうものでありますか、協会自体が営利そのものを目的にしてやっておる場合には、これは明らかに不都合でございますが、目的を達するために他に営利事業をやるということは、これは法律上認められておりますので、今のケースはあらためてよく調べまして、事情を調べました上で、これは御答弁もいたしたい、こう考えております。
○山田(長)委員 寄附行為の印刷物もあれば、それから協会の定款もあるわけですけれども、そういうことは一つもうたってないのです。今度の場合における寄付行為の締め切り期日というものが、昭和三十三年の三月に締め切っているが、さっき自治大臣が、会費がその後に入っているとか寄付がその後に入っているとか言いますけれども、大蔵省で、これは大臣に聞くのですよ、大蔵省で寄付行為を許している期限について、期限外の寄付があった場合には、これに対する税金の処置はどうしますか。
○水田国務大臣 期限外の寄付は、当然これは寄付と認めないで課税することになろうと思います。
○山田(長)委員 寄付は認められないというのですね。
○水田国務大臣 期限をきめた場合には、延長してくれという申請があって、さらに認めたという場合以外は、これは認めないことになっております。
○山田(長)委員 そうすると、この協会の場合における寄付行為は、期限外に寄付が納入されているという事実があります。これに対する税金の処置は、幾ら自民党の大ボスであって、大野さんであったにしても、これは当然やはり税の対象として取り上げなければならぬ筋合いのものと思うのです。これが一つ。 それからもう一つは、消防協会の株式会社化に対する問題で、この家屋の価格というものがかなり不当になされたと私は思うのですけれども、これは任意に協会が処理してしまったのでありますから、これは一応仕方がないにしても、建築については、今申されますように当然民間の場合における建築等、一切かなりの税金がかけられているはずです。これについても建物の取得に対する税金というものは、取得に対してかけられていない。一体こういう点のずさんさは、党のかなりの地位にあるからということで税当局者が遠慮しているとするならば、これは私は問題だと思うのです。時間の関係で私の質問はもう終わるわけですけれども、この株式会社化に対しましては、全国の代議員の間においてもかなりの反撃があるわけです。これが幾ら法的な根拠に従ってといっても、代議員自体が――代議員の中に買収されてしまっているかのごとき人があって、これは強行されるかもしれないけれども、このことによると、日本の消防の衝に当たる人たちの中からはかなり反撃を持つ人が起こるかもしらぬ。地方の自治体、全国の市町村が全部こぞって寄付をしているというような事態に対しても、将来は反対しなければならぬという意見を持っている人があります。こういう点に対して自治省としては、やはり確固たる方針を監督の衝にあるものとして打ち出さなければならぬと私は思うのでありますが、この点考えますか。
○安井国務大臣 消防協会の行為が、多数の会員の意思に反して一方的に行なわれる、そういったような不祥事があるとしますれば、十分介在して監督指導もいたしたい、こういうふうに考えております。
○山田(長)委員 私の質問を終わります。
○山村委員長 山田君の質問を終わりました。 続いて山中吾郎君。――御要求の大臣が全部そろいましたからお始め願います。
○山中(吾)委員 私は、文教政策を中心として、池田総理大臣の施政演説とそれが三十七年度の予算並びに関係政府の政策にどう現われておるか非常に疑問の点がありますので、その点を中心としてお聞きいたしたいと思うのであります。 それで、まず官房長官にお聞きいたしたいのですが、総理大臣の施政演説の原案はおそらく官房長官が作られておるのであろうし、また、その内容について十分政府の立場を責任を持って施政演説をされたと思いますので、一応確認をいたしたいと思うのです。総理大臣の施政演説に「真の繁栄は、豊かな経済を基礎としつつ、これを貫くに高い精神、美しい感情、すぐれた能力をもってして」云々とあって、文教関係のところで「この意味において、私は文教の刷新と充実、特に次の時代をになう青少年諸君の育成が、現下最も重視すべき要務であると信じます。政府は、地方公共団体その他教育界の各位と協力して、教育機会の均霑、教育内容の向上、教育施設の拡充等に努め、教職員と学生が遺憾なくその本務に邁進できるような環境の整備に一段と努力を傾ける所存である。」これは間違いないでしょうか。
○大平政府委員 その通りでございます。
○山中(吾)委員 そのうちの高い精神と美しい感情というのは、これはやはり日本の国民思想という――現実の憲法と教育基本法の中に一つの国家理想があるので、その点について総理大臣がどういうふうな内容をもって言われているのかお聞きしたい、房官長官も御存じでしょうから、お答え願いたいと思います。
○大平政府委員 文教政策といたしましては、文部省が教育界に対しましていろいろ施策を行なっておりますが、政府全体といたしましては、国民が、施政方針に述べましたような品格を持った国民として機能していただくことが、政治全体といたしまして希求すべき方向だ、こういう趣旨の気持で、美しい感情、高い精神、そしてすぐれた能力の開発に精進しなければならぬ、こういう趣旨のことを申し述べたつもりでございます。
○山中(吾)委員 そのとき、各新聞の社説に大体共通した批判をしているわけでありますが、たとえば読売新聞の社説を見ますと、「高い精神、美しい感情、民族の純潔と勇気など美文調の中身にとぼしい言葉が示しているように、首相がどこまで痛切に問題の意義を考え、こういう問題に正しい方向感覚を持ち合わせているか、いささかたよりない感じはまぬかれない。」さらに東京新聞では「政策項目を並べただけで、それを裏づける積極的な教育理念を欠いている」と書いている。朝日では「天声人語」の中に「祖国の生命力の聖なる源泉などと大いにきばったが、いささかゼニのかからぬ美辞麗句の感がなくもない」云々と、毎日新聞には「裏づけ不足の施政演説」という手きびしい批判をしております。そこで、こういうふうな異口同音に、各新聞に、中身のない美辞麗句という批判があるので、特に政府においては、そういうものでないということを国民に知らせる必要があるというのでお聞きしたいと思うのですが、高い精神というのは私どももわからなので、一つの方向を持っていなければ言えないし、その点について今官房長官の言われたのでは、何も中身のない答弁なので、もっと何か深い意味があるのではないか、一国の総理大臣が一つの深い人生観を持って、そうしてこういう施政演説として現われたのであってほしいと思うのでお聞きするのですが、たとえば、具体的にお聞きしたいと思うのですが、この高い精神の中に――私自身がそうでありますけれども、搾取のない、能力に応じて働き、働きに応じて生活の保障が与えられるという、この愛する日本の国家の中に社会主義社会を建設しようという精神は、商い精神に入っておりますか、入っていませんか。
○大平政府委員 今、各新聞の御批評を御紹介になりましたが、文教につきましては、逐年、総予算の編成におきまして格別の重点を置いて、ほかの費目に比べましてこの文教費の伸び方が顕著であることは、山中委員の御承知の通りと思うのでございます。それで、裏づけのないということは私ども考えておりませんので、できるだけ、教育に充実した財源を提供しようと一生懸命になっておるわけでございます。 それから、その高い精神とか美しい感情とかいうものはどういう中身か、どういう裏づけがあるのかということでございますが、これは普通そういう表現された言葉通りの感じを国民が読み取っていただきたい、こういう趣旨で述べたのでございまして、その中に高邁な社会主義建設の精神が入っておるか、そういうことを頭に置いて書いたかといいますと、そこまで考えて練った文章ではないと承知いたしております。
○山中(吾)委員 それを明確に言えるような総理大臣でないと、現実に日本の政党の中に、現代の社会を、もっと搾取のない社会を作ろうという信念に燃えて、国会の中で真剣に政治をやろうとしている社会党もあるわけですから、そういうことが言えないようなあまりにも抽象的な言葉であると、私は人を迷わしめるものだと思うので、これ以上お答えを要望しませんが、麗句というだけにならないで、やはり一つの国家理想というものが憲法の中にも教育基本法にもあるならば、具体的に吟味をして施政演説を作成してもらいたいと思うのです。 そこで次に、教育の刷新強化、教育内容の向上、機会均霑、そういう言葉を明確に書いておられるので、それがどこに予算面において政策に出ておるかということは、私が調べてみましても、どうもあまり出ておるところがわからないので、この点は文部大臣からお聞きいたしたいと思います。総理大臣の施政演説の中にある教育の刷新及び強化、この点が予算面にどこに出ておるか、それをまずお聞きしたいと思います。
○荒木国務大臣 教育の刷新強化と総理大臣が施政方針演説で述べましたことは、むろん予算の裏づけのこともございましょうが、まだ今後に期待される一つの教育の方向を期待する意味も含んでおろうかと思います。今後につきましては、山中さん御承知のように、戦後新たに教育制度がしかれましたが、小中学校ないしは高等学校については、おりに触れて改善刷新等の措置が行なわれ来たっておると思います。ただ、大学制度につきましては、御承知の通り今中教審に諮問が行なわれて、三年越しの検討中でございます。その答申を待たなければ基本線が示唆されるものがないという意味において、具体的に申し上げかねるのですけれども、大学制度そのもののあり方なり内容なりについては、中教審の答申を待って、今後に対してよりよき方向づけをしたいという課題があるわけであります。当面三十七年度の予算案に現われましたことは、たとえば科学技術教育の振興、あるいは教育環境整備についての措置、あるいはまた高等学校生徒の急増対策、教育の機会均等化をさらに徹底し人材を開発する問題、国立学校の整備拡充あるいは社会教育、文化の振興、あるいは体育の振興、私学の振興等にわたりまして、むろん十分とは申せませんけれども、池田内閣としての教育政策の充実に努力しておるつもりでございます。
○山中(吾)委員 私はこの点を皆さんにお尋ねしたい要旨は、日本の大体の識者あるいは政治家を含んで、教育の重視ということは、明治以来伝統的に、観念的には考えてきておるのであるけれども、予算面についてはいつも非生産的な費用としてあと回しになるという悪い習慣がある。教育を観念的に重視して財政的に軽視する、こういう傾向があるので、制度は進んでも内容が非常に貧弱である、ヨーロッパの教育制度を見ても。その点で私は、今度の池田内閣が国民に発表した予算編成の方針の中に、数次にわたって教育の重視ということを言っており、施政演説においても特にその強化を説いておりながら、三十七年度の予算のどこに出ておるだろうと調べても出ていないから、そういう幻想を国民に与えるのは政治家として無責任である、そう思うのでお聞きしておるのであります。そこで、教育予算が三十七年度において一体総額において重視されておるのかどうか。どこから見ても、三十七年度の教育予算は軽視をされておるという証拠はあがっておっても、重視をされておるというところは出ていない。たとえば大体の毎年度の教育予算を見ましても、三十五年度は一二・四%である。三十六年度は一二・三%であり、三十七年度の総予算に対しては一一・九%である。もちろんこの総予算に対する率だけを、迷信のように私は論議はしないのでありますけれども、数次にわたって政府が責任を持って文教行政の重視を叫んでおっても、総予算に対するパーセンテージが逐年減っておる。これは私は、政府は言うことと行なうことが違っていると思う。その点についての官房長官と大蔵大臣と文部大臣の感想を、先にお聞きしておきたいと思います。
○大平政府委員 私は教育のしろうとでございますが、日本国民は教育については特に関心も深いし、熱心であられると思います。文盲率も従って非常に低いし、それから村々を歩きまして、一番大きい建物は学校であるということは非常にうれしいことだと思います。これは明治政府以来、われわれの先輩が営々として教育に官民を通じて熱心であっていただいたことと思って、高く評価いたしております。私どもも、先ほど申しましたように、予算の編成にあたりまして格段の努力を払って、他の費目よりも教育費に特に財源をつけるように配慮いたしたつもりでございまして、今総予算に対する比率を年次別に申されましたが、山中委員も仰せの通り、総予算を分析いたしまして、その中で実体的に実のある経費、言いかえれば、たとえば国債の償還に幾ら使うとかなんとかいうことでなくて、新しく政府の施策として充当される財源を計算してみますと、私は、政府の教育に対する苦心の跡がうかがわれるのではないかと考えております。
○水田国務大臣 私は三十六年度予算、三十七年度予算で教育を非常に重視して相当の予算強化をしたつもりでございます。本年度は教育予算は四百八十億、約五寸億円近くふえております。そうして全体が三千億近くになっておると思いますが、この比率では比較できませんで、たとえば科学技術費のごときは、原子力研究を日本でするといってああいう設備をするとき、初度費としては何十億かかかる。その次の年には、これが完成しますと、あとは維持研究費となりますと、費用が急に落ちる。比率で比べますと、全く比率は下がってしまうというようなことで、これは実体で見ていただかなければならぬと考えております。工業の高等専門学校を作るとか、教育の刷新というものに値するいろいろな新規のこともやっておりますが、特に予算査定で私どもが見ましたことは、従来から筋はついておる、しかし肉づけが非常に足らなかったというようなものが、教育行政全般に非常に多いと思います。たとえば義務教育におきましても、父兄負担、PTAの負担というものが実際に相当多い。これは何とかしなければならぬというようなことから、施設整備費の補助とか、教材についての国庫負担を増してやるとか、あるいは理科教育の設備、教材、そういうものについての予算を増額する。教材費の単価をまた今の実情に応じて二割上げるとか、こういうような、貧困児童に対する就学対策というような小さい、こまかい問題にまで最近予算の手が及んできておるというのが実情でございまして、内容においては、そういう点が教育については特にこの一、二年強化してきているのではないかと考えます。また、研究費そのほか理科教育を中心にする費用の増額は、これは御承知の通りと思いますが、目に見えないこまかい行政の行き届きというものは、この二年間に相当よくなっておりますし、そういうものに対する経費はとみにふえているというようなことから、全体としてやはり各費目のふえ方としては、教育費は相当大きいふえ方を示しておるので、私自身の感じとしましては、教育は相当充実してきているというふうな感じを持っております。
○荒木国務大臣 大体私の感想と同じことを大蔵大臣が言われまして、あまり申し上げることはございませんが、山中さんもみずから言われましたように、総予算に対する比率だけで、教育施設に対する、教育関係の予算をそれだけで評価することは必ずしも適切ではないと私も思います。むしろ逆に申せば、従来日本の教育が、特に義務教育が世界的にも第一流の充実をしておるという裏には、必ずしも教育予算が他の予算に比べて飛躍的に増大をし続けたことによるものではなくて、むしろ国民の血税を最も有効適切に使用するという考えの結果が、それと同時に、先生方が真剣に取っ組んでいただいた協力によって、世界に誇り得るに足るような教育成果が上がってきておるものと思います。さりとて、三十七年度予算の内容が完璧であると申し上げるわけではむろんございません。しかし年々歳々、今も話がありましたようなこまかい心づかいもしながら充実をしていくという考えでは、一貫しておるつもりでございます。たとえば当面一番問題にされております科学技術教育にいたしましても、前年度に対比しますれば二百十億円くらいの増加を来たしておりまするし、初等中等教育の改善充実の点を見ましても、二心十億余の増加と相なっております。むろん義務教育費国庫負担法の関係からの必然的な増加もございますが、その内容は、教職員の待遇改善がおもだったものであることは御承知の通りであります。教育の機会均等、人材開発という見地からひっくるめてみましても、育英事業等の増加を含めまして約二十億円近い増加をいたしております。国立学校の拡充整備につきましても、百億円余りの増加を来たしておるというがごとく、それぞれの施策の具体的内容につきましては、相当程度の充実の成果を上げておるつもりでございます。むろん努力の足りない点もございますから、今後に懸命の努力をすべき課題であることはもちろんでございますが、おしなべて申し上げれば以上のような感想を持っております。
○山中(吾)委員 大蔵大臣も感じで教育費が進歩しておるというふうに言われて、文部大臣も同じ感じだというのですが、そういう雑駁なお考えで、三十七年度の教育予算を政府の方針通り一歩前進したとお考えになることは、私は無責任だと思うのです。二百億程度の義務教育の給与費の増額は、これはたとえば旅費について言えば、先生一人四千数百円に旅費を計上するとか、日宿直を十円、二十円上げるというところから来ている二百億の増なんで、先生が千四百名ふえる程度である。政策としての進歩でなくて、最低の先生の生活を守るというものであって、私は教育費の進歩を示す増額とは考えない。わずかに言えば、科学教育の点について二百億程度のものが出ているということは、これは認められる。しかし、そういう実態から言いますと、私は、やはり他の政策から言ったならば、政府が強調するような実績をなしていない。世界は、経済競争と教育競争で文明国が今あらゆる努力をしておるときであって、日本の場合に、教育費がこれだけ三十七年度に進歩したという現在の政治家の考え方を私は決して尊敬するわけにいかない。もう少し精細に分析をして真剣に教育関係を、その質を変えるように私は努力すべきだと思いますが、両大臣の御答弁には私は不満なんです。 そこで憲法の、国民が能力に応じて教育を受ける立場、あるいは義務教育の無償の立場、そういう本来の憲法の立場から三十七年度の予算を見たときには、完全に後退である。たとえば学校給食についても、大蔵大臣は、前と同じ一食のパンに対して同一比率のものを給与しておると復活要求したときも言われておりますが、パンの形が小さくなって、結局総計三億円後退しておる。また教科書の関係についても、これは今お聞きしなければならぬのですが、来年度小学校の一年だけをやるということは、九カ年あとに教科書無償を延長するということでしょう。九年後に初めて無償にたるということなので、これは逆に言えば、一学年だけ実現をするというふうなことは、あれだけ教科書を無償に持っていくと国民に再三政治的責任を持って声明をしておって、九年延ばしたという法律を作ろうとしている。それこそ私は国民をだます法律だと思うので、この点についても大臣から御意見をお聞きしたいと思う。それはない方がいい、九年もあとで完成するのならば。どうですか。
○荒木国務大臣 御指摘の通り、義務教育は無償とすると憲法が宣言をいたしております。そのことが全面的に一応実施されておりましたのは、授業料を取らないという点だけであります。もっと憲法の理想に近づく努力は当然なさるべきでございましたが、しかし、憲法ができまして以来十数年なし得なかった。憲法の趣旨は違いましょうとも、近代教育制度を取り入れました日本として、明治以来いまだかつてなされなかったそのことを、政府与党相談の上実施しようという内容でございます。なるほど予算的には、小学校一年だけをまづ取り上げるという措置に相なっておりますが、その後の年度計画、実施方法等は、民主的に組織されました調査会を通じて十分に意見を聴取いたしまして、なるべくすみやかに実現をはかる意図のもとに検討したいというのであります。この一つの路線が引かれようとするところに意味があるのであって、その実施年次の遅速は、明治以来なし得なかったことをなそうとする前には、本質的には大した問題じゃない。国民の期待にこたえ、憲法の趣旨に近づく努力を現実にすることが大事なことだと心得ておるのであります。
○山中(吾)委員 観念論になってしまうから、大蔵大臣にお聞きしますが、教科書無償については、財政的には大蔵大臣は消極的であった、その立場は私は無理解ではないのです。ただその一年だけ実施するということは、義務教育の教科件を無償にすることを九年あとにするということなんです。これほどずるい政策はない。最近流行の計画でも、三カ年計画から五カ年計画が最高のように思うのですが、教科書無償――今文部大臣はそういう新しいものを作ることだけが進歩だと言われますが、一年ごとに九年かかって無償にするようなものは、法律を作らぬ方がいい、そういう予算は計上しない方がいいと私は思うのです。数回もああいう声明をしておいて、あまりに国民をだますものである。その点、大蔵大臣の御意見を聞いておきたい。
○水田国務大臣 九年延ばすとかたんとか、まだきまった問題じゃ全然ございません。今度の予算では、昭和三十八年度の四月入学の一年生に教科書を支給するという予算を盛っただけでございまして、それ以後の無償の仕方はどうするか、どういう計画によってやっていくかということは、十分調査会でこれを審議してきめるということで、調査会の費用も予算に計計上してあるということでございます。これは御承知のように、戦後一ぺん教科書の無償ということをやりました。二年間一回実施しましたが、これはやめになってしまいました。ということは、これはいろいろむずかしい問題がございまして、やり方やそのほかの方法において十分な研究がたされない間に突然やっても、これは前回途中でだめになってしまったことから顧みましても、はっきりしております。教科書制度のあり方とか、また外国における例を見ましても、同じ無償といいましても、各個人に持って帰らせるか、一つの備品として備えつけのものとしてやるか、各国ともみないろいろやり方は変わっておりますし、それから今の教育費の負担の仕方ということから見ましても、国が無償といいましても、たとえば義務教育費の負担の仕方は、国が半分これを負担しているというような形で、同じようなことをやろうとしても、今中央と地方との事務配分というようなものが行なわれておりますので、それによってどういう形で動くか、終局的には国が費用を持つことにいたしましても、この持ち方についての問題も、他のいろいろな行政と関連して相当研究されてもいい問題でございますし、いろいろ個々には、これをほんとうに実施するためには問題がございますので、これを十分検討した上で、実施したいということでございますが、いずれにしましても、これでやはり政府としても踏み切りをつける、そうして方向を示すということが大事だということになりまして、三十七年度は、御承知のような事情で、すでに教科書は来年度のものは配付されて間に合いませんので、三十八年の四月に、まず一年生に対してこれをやろうという予算だけを盛っておいて、そのあとのやり方は、調査会できめるという建前になっておりますので、その結論を見なければ、何年に延びるかどうかということは、今きめるべき問題ではございません。
○山中(吾)委員 やるかやらないかはっきりしないような答弁ですが、市町村と国との配分の問題その他について、方法には検討すべきものがあるが、少なくとも無償そのものについては、大蔵大臣も最近は心を入れかえて、一応やる気になっておると解釈してよろしゅうございますか。
○水田国務大臣 私は、合理的なそういうやり方がはっきりといたしましたら、これはやりたいと思っております。
○山中(吾)委員 次に、同じ立場で、三十七年度の教育予算の性格を見きわめたいのでお聞きしたいのですが、同じ科学教育の振興費の中に、私立の場合については三十二億、国立の場合には大体五百六十億、このくらいの差があるわけでありまして、国が学生に対して、官公立に対する税金の負担と言いますか、どのくらいかけておるか、私学の学生にどのぐらいかけておるかということになると、これは私学協会の計算を見ると、国立大学生には三十六万円国費をかけている。私大生には、理科は二万一千円、文科は千三百円である。あとで文部省は、違った数字があれば、言ってもらいたいのですが、いずれにしても、こういうふうな中で、しかも私学の方が官学よりも学生が多いというときに――これは大蔵大臣に先にお聞きしたいのですが、国民の立場、いわゆるタックス・ペイヤーの立場から、税金支払い者の立場からいいますと、大学の学生に三十数万、一人ずつ国民が分担して税金を払っている。そして自分の子供は私立大学に入れる。私立大学に入ると、入学金から寄付から含めて、多いところは六十万円もとられている。そして今後また相当授業料を値上げするということが新聞に報道されておる。そうなりますと、憲法の立場から、能力に応じて教育を受ける権利があるという憲法の思想というものをすなおに取り入れて、そうして今度は国民の立場に立って考えますと、官立に入った学生の税金を支払って、そうして自分の子供を私学に入れて何倍かの学資を出すということになると、私は二重課税と同じ性格だと思うのです。そういう思想からいいますと、現在のような予算の範囲内において私学にだいぶ補助を出すというふうなことは、ある意味においては、すなおに憲法をまっすぐ解釈をすると、憲法違反の文教政策だともい、える。その点は大蔵大臣、どうお考えになりますか。
○水田国務大臣 明治以来、とにかく日本の先覚者は、急速に日本を近代国家にするために教育が重要だということを強調して、教育に力を入れたのは、私は非常な卓見だったろうと、今でも明治の政治家たちを尊敬しております。そのときに、そういう考えから学校教育を重視するというときに、当然公立学校というものを主として教育をするという方針をとったのでございますが、しかし、国のそういう画一的な指導によらなくても、終局的に国の目的とする教育方針に沿う限りにおいては、公立でなくても、私立という形をとって教育する学校というものもあっていいという、要望も当時多かったために、私立学校というものの設立も許可して、国の教育方針に沿った教育を分担してもらうという建前になって、公立、私立ができて参りました。その場合には、公立は公費で負担するが、私立の学校を創立し、経営する場合は、これは公費によらない、一切個人の財産もしくは民間の寄付金というものによってやるんだ、私立学校設立のときから、そういう建前をはっきりして今日まで来ましたので、この立場がまだ今日まで続いているのが現状でございます。従って、公費では私立学校を見ないというのが原則でございましたが、なかなか最近はそう参りません。たとえば理科教育というようなものも、一つは国の特に今必要として要請されるものでございますので、この要請を私学にもこれを強要というわけではございませんが、国のそういう方針に沿った教育を頼む、責任を分担してもらうというようなことになると、従来の考え方ではなくて、やはり私学のそういう公共性というものを、ある程度国がこれを補助、助成する必要というものが出て参りますので、そういう方向に沿って、最近私学の補助というものに私どもは予算で踏み切って、これを年々強化してきているのでございますが、原則としては、元来私学は自分でまかなうべきものになっておりますので、これと公費の出し方の比較は無理だろうと思います。しかし、今言ったような、特に国の要請を私学にも求めるという場合に対して、必要な補助をするというような方向は、これはやはり必要な方向だろうと考えまして、毎年その線に沿った予算の強化をしているのが実情でございます。
○山中(吾)委員 大蔵大臣は旧憲法の思想で話をされておるが、憲法の、すべての国民は能力に応じて教育を受ける権利があるという宣言規定でありますけれども、そういう新しい思想の上に立って文教政策を立てなければならぬ。それで総理大臣の施政演説にも、文教の強化というんで「刷新」という言葉を使っておると思います。今大蔵大臣のしゃべっておる考え方の基調というものは、私学に入るのは勝手なんだ、それで国は考える必要はない、こういう旧憲法の思想なので、そこから文教予算を否定をされておって、どこから刷新が出るのか。もっと基本的に考えるべき問題があるので、大蔵大臣の非常に文教に対する占い思想を初めて発見したのですが、憲法をいま一度読み直してもらわなければ困る。もっと根本的に考えてみると、国会議員になっておる方も、私大出の人が非常に多いと思うのですが、国に貢献しておる者は官学の卒業生、ばかりじゃないのであって、私学の人々が国家に貢献をしているという点については少しも変わりはない。そして新しいそういう思想が加わってきたときに、今のようなそういう考え方から、出し惜しみをしながら私学の補助を考える政策は、私は間違いであると思う。むしろ官立、公立、私立というものがあれば、官立をなくして全部公立にして、公立、私立くらいにして――どこの官立大学でもみなどこかの県にあるのですから、自治体の中にある。そして三分の二は国が持つ、三分の一は地方あるいはそれは授業料財源でいいと思いますが、そういうふうに全額官立に持ってきたものを、三分の一を地方に譲って、三分の一をさらに私学に出すとか、学校制度そのものを検討していくというような、そういうことが憲法の中に要請されていると思うのですが、もっと根本的にお考えになる必要があるのではないか。文部大臣、そういう私学と官学のあり方の中に、もし憲法を是認されるならば、荒木文相は憲法改正論者か知りませんが、ある限りにおいてはそれを忠実に守らなければならない。そういう立場に立ってそういう官公私立の――いわゆる昔の国有、国営という立場でなしに、教育そのものの本質に立って学校制度を検討して、官学及び私学の関係を、根本的に予算編成その他の中に考え直すというような時期に達していると思うのですが、いかがですか。
○荒木国務大臣 現在の国公私立の学校のあり方を根本的に再検討したらどうだということは、今後の立法論的な課題としては、当然あり得ると思います、そういうことも含めまして、中教審の答申待ちということでもございますが、その立法論を離れて、現状が憲法の趣旨に反しておるようなお話ですけれども、私はそうは思いません。その考え方は、大蔵大臣のお答えしましたことと同じ趣旨でございますが、国立、公立、私立というものが制度上すでにある。あるならば、国立、公立、私立それぞれ独自の存在理由があればこそのことであると思います。国立と公立は、経済面からいえば同じような範疇に属すると思いますが、私学は今話が出ましたように、あくまでも基本は民間の浄財を期待して、それを根拠に私学の経営をもくろむ、そのもくろみの適否を検討しまして、その部分も重大な要素となりまして設置認可するという制度に相なっておることは、御承知の通りであります。今学生がふえてきた、あるいは校舎等もいろいろな角度から検討された結果、木造では適切ではない、本建築のりっぱなものにしなければならぬ、あるいは一般的に技術革新の求めに応ずる意味においても、私学それ自身に相当の重圧がかかってきておることも事実でありますが、そういうことのために経営が非常に苦しいことは承知いたしております。しかしながら、あくまでも根本の考えが、民間の浄財に依存する建前であることには変わりない。立法論は別と申し上げた通りでございますが、そういうことでございますので、現在の制度を認める立場に立って考えますならば、国費なり公費なりをいきなり注ぎ込むことによって私学の経営難を克服することは、筋道が違うと思います。外国の例を詳しく存じませんけれども、聞くところによれば、個人の寄付、それは生前の贈与のみならず、遺贈、相続税との関連におきましても、相当大きな道が開かれておると承知いたしますが、そういうことを考えるかいなか、そういうことによって民間の浄財が相当たくさん期待できるような道を開いて援助するかいなかということはございましょうけれども、そういうことに打開策を求めないで、国民の血税をいきなりつぎ込むという安易さに依存しまするならば、私学本来の独自性、自主性、特色というものはその面から失われる意味において、私学の存在理由が薄らいでくるのではなかろうかと私は思うのでございます。もっとも特殊のものにつきましては、国民的要望を私学につなぐ意味においては、そうたくさんじゃございませんが、補助金等が出ておることは御案内の通りでございまして、それはあくまでも例外的な、全国民的立場で国公私立が並存しておることを前提として考えます限りは、適切な考え方だと考えております。
○山中(吾)委員 どちらも伝統的な考えから一歩も出られないので、これ以上質問しませんが、そういう場合には施政演説その他で「文教の刷新」という言葉をお使いにならぬ方がいいと思うのです。「強化」程度でけっこうであります。刷新というのはどこか質を変えなければいかぬので、どうも国民に幻想を与えないようにしていただきたい。 時間がないのでほかの問題に移りたいと思うのですが、施政演説の中に環境の整備ということを盛んに強調されております。生徒、児童及び教師の喜んで勉強のできる環境の整備をしたい、それと同時に青少年の保護育成ということが強調されておるので、この環境の整備についてお聞きいたしたいと思うのであります。厚生大臣もこれに関連してお聞きいたします。 現在青少年問題が社会問題になり、教育問題になり政治問題になっております。その原因についていろいろの考え方があると思うのですが、その原因を簡単に、あまり長く言われると時間がなくなるので、文部大臣から、現代の青少年の不良化についての原因はどこにあるか、それを一つ簡潔に御意見をお聞きいたしたいと思います。
○荒木国務大臣 青少年がこのごろ非常に何と申しますか、常軌を逸しておることを心配される声が高うございますが、その根本は、やはり学校教育の場にも原因がございましょうし、家庭にもございましょうし、あるいは児童、生徒、学生を取り巻く一般社会環境にもその責めに帰すべき理由があろうかと思います。それらをひっくるめて、青少年のために環境が整備されねばならない課題が続出してきておるように考えております。
○山中(吾)委員 私はこれはあくどい営利主義の中に、不良文化財が、金もうけならば青少年の精神は傷つけても一向顧みないというような現在のこういう資本主義の中における利己心を中心とした自由経済の体質の中にあるということは、思想のいかんにかかわらず、文教政策の立場の場合については、私ははっきり認識をして政策を立てなければならぬということを、ここで申し上げておきたいと思うのですが、そういう論議をする時間がないので具体的にお聞きいたしたいと思います。 それで、内閣に青少年問題協議会という機構があるのですが、これは総務長官が主管ですね。私はどういう活動をしておるのか、どうも現在青少年問題の論議が、厚生政策にしても、文教政策の中にも出ておるけれども、青少年問題協議会というのは、どういう役割をしてどういう活動をしておるのか、非常に疑問なのです。これも簡単に一つお答え願いたいと思います。
○小平政府委員 お答え申し上げます。御承知の通り、青少年問題協議会は、その設置法によって設けられておるわけでありまして、その設置法の規定に従いまして、主として三つの仕事をいたしておるわけであります。すなわち、第一には関係行政機関の連絡調整、さらに第二といたしましては、青少年問題に対する基本的な問題の調査審議、第三といたしましては、その結果を、中央におきましては総理大臣、地方におきましては関係行政機関に意見を具申する、こういう三つの活動をいたしておるわけであります。
○山中(吾)委員 そういう青少年問題協議会が設置をされることによって、青少年対策に何か今まで効果のあったということ、こういう協議会の存在することによって青少年問題を解決するに大きい役割を果たした実績がございますか。
○小平政府委員 元来青少年問題協議会は、さきに申し上げました通り、行政の実施を行なうというのが目的ではございませんで、関係機関の連絡調整といったことでございます。ただ、全般的な連絡調整を行なうのが本来ではございますが、たとえば予算等につきましても、毎年青少年関係でどのくらいの予算が出ているかということを調べてみますと、三十七年度の予算といたしましては、二百二十四億ほど要求申し上げておるはずであります。これを三十六年度に比べますと、約六十億ほど増加をいたすはずであります。何分にも問題が問題でありますから、計数的にこういう効果があったということはなかなか把握困難でございますが、しかし、先ほど来申します通りの仕組みにおいて活動を続けておるわけであります。
○山中(吾)委員 今の予算の数字を長官が言われておるけれども、各省の予算をただ総計しただけじゃないですか。文部省の青年学級の費用から、青年の家の整備費から、全部合わせて総計しておるのであって、青少年問題協議会があってもなくても、それは各省において計上し、活動する費用なので、青少年問題協議会がそれを有効に使っておる予算でも何でもない。だから何をしているのだかわからない。各府県からいいましても、府県に青少年問題協議会を置くことになっておりますけれども、県の厚生、民生、労働、教育委員会が月に一回寄るか寄らないか、お茶を飲んで終わりなんですが、こういうものをどうして残さなければいかぬのですか。残すならば、有効に機構を変えるとか、現在のままなら廃止すべきだと思うのですが、国民の税金ですから、むだ使いをしないように、あるものは永久に残すのだというような考えは捨てて、私はもっと考えるべきだと思うので、長官も役人じゃなくて政治家なんですから、率直に一つここでお答え願いたいと思います。
○小平政府委員 御指摘のように、また先ほど来申し上げておりますように、協議会そのものは行政の実施機関ではございません。ただ、予算等におきましても、各省の要求等を連絡調整して、いわゆる二重に同じ目的に予算が出るというようなことを避けるとか、あるいはどの省でこういう問題を特にやってほしいとか、そういうことを、少なくとも中央におきましては毎月委員会を開きまして、その委員会の決定等をまたそれぞれの担当の各省に連絡し、それを予算化してもらっておる。こういう点では、相当機能を果たしておるものと考えておるわけであります。
○山中(吾)委員 そう言って適当にしゃべればいいようなものですが、これは、実際はこのままじゃだめじゃないですかね。それで僕はむしろこの青少年問題協議会の中に勧告権でも、――法的に拘束力を持つような、科学技術庁がいつか文部大臣に勧告をして、文部大臣がだいぶやられたわけですが、そういうものがあればまた別ですよ。今の連絡調整なんというようなことでおれば何にもならない、これはだれも腹の中ではわかっていると思う。だから機構改革をするならする、しなければ、やはりこれを考え直すということをされたらどうですか、いま一度お答え願いたいと思う。
○小平政府委員 勧告権を発揮したらどうかというお話でございますが、さっき申します通りに、中央におきましては、総理大臣に対して意見の具申はできることに相なっておりますし、また現にいたしてもおります。それがまた各省に伝達されて、対策を講じておる、こういうことでございます。もちろん現在の機構が満点だ、こういうわけには参らぬと思いますから、各方面の意見も聴取しまして、われわれとしてももちろん今後研究をいたして参りたいと思っております。
○山中(吾)委員 再検討を切望いたしまして、その点は終わりたいと思います。 次に、厚生大臣に同じ環境整備のことでお聞きいたしたいのですが、児童憲章というものが一応議会の承認のもとにできておるわけですが、この児童憲章に基づいて具体的に厚生省ではどういう施策をされておられるか、先にお聞きしたいと思う。特に児童憲章の第七条に「児童は、教育を受ける権利を有する。」というように教育関係も入っておる。そういう関係で児童の保護と教育という二つの面を児童憲章の中に宣言をしておるので、これは作文でなく、やはり厚生省の政策と文部省の政策の中に統一した政策が何か出てこなければいかぬと私は思っておるのですが、まず厚生大臣に、児童憲章が政策にどう具体化されておるのかお聞きしておきたいと思うのです。
○灘尾国務大臣 児童憲章は、申さばその性格は、国民すべてが児童のしあわせと申しますか、健全な育成と申しますか、これをはかりますための国民的約束、あるいは誓い、かような性格を持つものではないかと存じます。すなわち児童に対する国民全体の道徳的な義務、心がまえを定めたものであろうかと存ずるのであります。これは、ただ単に厚生省というだけでなくて、国民全体の問題だと存じます。また文部省その他の関係もこれに包括せられておるかと存ずるのでございますが、厚生省といたしましては、この児童憲章の趣旨にのっとりまして児童保護、児童福祉の対策をいろいろ進めておるわけでございます。その内容は多岐に分かれておる次第でございますが、ただ単に文部省の教育というだけでなしに、厚生省の分野におきましてもある程度保護しつつ、また教育をしていくというような施設も逐次整備しつつあるところでございます。
○山中(吾)委員 文教関係で制度的に少し飛躍してお聞きしたいのですが、現在保育所と幼稚園の関係が非常に混乱をしておるので、地方では保育所は厚生省の補助を相当手厚く受けておるが、幼稚園の方はそういうものがない、しかし教育内容、その運営内容はほとんど同じである、そのために幼稚園と保育所を統一したらどうかという一つの論が相当あるわけなんで、その点について、同じ年令を対象とした保育並びに教育施設なので、私は満五才なら五才までは、これは全部厚生省管轄にした方がいいのではないか、そして小学校教育は文部省でやるとか、二途に出ないで、現在の児童保護及び教育についての施設を統一したらどうかというふうな考えを、ここで持っているんですが、これは文部大臣と厚生大臣にその点についての考えをお聞きしておきたいと思うのです。
○荒木国務大臣 制度的に見ますれば、保育所は厚生保護の見地から、子供を育成しようという目的を持ち、幼稚園は学校教育法上の学校施設として、教育に主眼点を置いて幼児教育に当たろうというわけで、概念的には明確に分かれておることは御案内の通りですが、現実問題となりますと一種の出合い丁場みたいななわ張りが錯綜してくるという現実面があることも、私もよく聞かされておりますし、現実の事例も知らないわけではございません。ですから、これまた立法論として、山中さんが今後についてどうだという御意見のようでありますが、検討してとか申し上げられませんけれども、できるならば、幼児を持つ親の国民側から見れば、幼稚園も保育所も似たようなことをしておるのだから、一本になったらさぞ都合がよかろうと思うふしがあろうかと思います。だから、そういう意味で、厚生省ともよく相談をしながら、今後に向かって検討すべき問題だと心得ます。もし本来の保育所の目的と幼稚園の目的があわせて達し得るような制度づけ、具体的措置ができますことならば、検討の結果を待たなければなりませんが、一つの考え方だろうと思います。
○灘尾国務大臣 ただいま文部大臣からお答えになりましたことと大した差はないのでございますが、御承知のように、保育所あるいは幼稚園それぞれその発生の起源と申しますか、趣旨を異にいたしておる点もございますので、現実の面におきましても、若干保育所と幼稚園との間には相違がある点があるわけでございます。たとえば年令の問題でありますとか、あるいは保育の時間の問題でありますとか、取り扱いの仕方の問題でありますとかございますが、また一面、今お話しになりましたように、非常に似通った面がある。これは保育所によってまた事情も違うかと思うのでありますが、全く大差のない状態において運営せられておる実情もございますので、この間の調整をいかにするかということが、やはり文部省あるいは厚生省の研究課題でございます。御意見のような行き方もあろうかと存じますが、これらの問題につきましては、今後の問題といたしまして、両省ともよく相談をいたして参りたいと存じます。
○山中(吾)委員 その点は、私は今立法的なことばかりしゃべっておるけれども、私にとっては大事なことなので、その日その日の論議はしたくないので、両大臣の中でこういう問題を真剣に考えて、もっと教育制度関係で両省にわたっておる問題は取り上げて検討してもらいたいと思うのです。 次にお聞きいたしたいのは、教育の刷新という面について疑問があるので、私は真正面から最後までお聞きしていきたいのですけれども、農業教育の刷新ということも今度の予算に出ております。その中を見ますと、園芸、畜産を増設するということだけなので、農業基本法の精神に基づいて、農業教育の刷新ということについては、私はそういうことだけではいけないのじゃないかと思うので、これも正面からお聞きいたしたいのです。 現在の農業高等学校の卒業生は、半分以上は農業経営者にならないで、便宜上農学校に入って他の仕事につく。入学者に非常にむだな農業教育を施しているわけなんです。農村の次三男にはむしろ農業以外の商業、工業を教えるということがなければ、土地を持たない卒業生を出して、非常にむだな努力をしている。定員はむしろ半分でもいいので、将来農業経営を予定する者には授業料を免除しても――農業の構造改革を前提とするならば、むしろ農業教育を無償にするような格好で、定員を半分にするかわりに、施設設備をもっと充実して授業料を免除するという、そういうふうなやり方をして、初めて農業教育の刷新になると思うのですが、政策面、予算面に少しも出ていない。こういうことについて検討することが先ほど言った総理大臣の演説の趣旨に合うので、そういうものがなければ、私はやはり羊頭に掲げて国民を幻想に陥れるものだと思う。その点について、これも具本的に今後の問題として、私は文部大臣から一言だけお聞きしておきたいと思います。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。 御指摘のような課題は、まさしく農村地帯、農村県等を中心に具体的課題になっておると理解いたします。農業そのものにつきましても、たとえば営農技術が進歩した、あるいは農薬が非常に進歩してきた、米作りに関する限りは、農業学校の先生よりも農家の方がかえって詳しいのだ、だから昔ながらの米作りの農業高等学校的な教科は、もっと考え直してもいいのではないかということも、よく聞かされるところであります。ことに農業基本法の精神にのっとって今後農村を整備される、近代化される、合理化されるということを念頭に置いて将来にわたって考えますならば、今もお話が出ましたように、同じ農業高等学校にいたしましても、教える学科目の内容が将来性を帯びたものたらざるを得ない。たとえば畜産について特に重点を置く、あるいは農産加工工業についても、あるいは農業土木についても、あるいは農業関係の化学の方の関係につきましても、特に重点を置いて今までの農業高等学校で教えらるべきだ、そういう線からの予算措置を何がしかいだしておるわけであります。工業高等専門学校にいたしましても、何も工業地帯だけに置いて、工業地帯だけの子弟を収容するというのではなくて、工業地帯にかりに置かれましても、農村地帯の近代化の求めに応ずるような技術者、あるいは昔ながらの農業の場でなしに、その他の場において新しい安定した職場を獲得してもらうという意図も含んだ計画でございます。御指摘のように、工業高等学校にいたしましても、農村のどまん中に作られてしかるべきところがたくさんあろうかと思います。そういうことを総合的に、今後の産業構造ないしは産業立地の変動に応じまして、善処し得るような考え方で処置さるべきものと心得ております。
○山中(吾)委員 いま一度この点について、将来の問題も含むおけですが、農業高校学校の場合には、現在全日制と定時制という差別感があって、それが非常に大きい弊害を作っておるわけですが、全部農業高等学校は定時制にして、四年制にして、三日学校に行き、あと二日はうちの農業経営が実習になるような格好にして、そのかわり授業料なしの無償の制度にするとか、そういう根本的な改革をして、そして定員を半分にしてやるというふうな行き方をすれば、私は日本の農業構造の改革もこれはできるのじゃないか。それを今のように、全日制の農業高等学校、そして貧乏な子供は定時制にして四年制にし、劣等感と優越感を与えておる。こういうことにメスを入れないで園芸科を置くとかいうのでは、私は楽しみがないと思う。文部大臣はそういう文教政策にもっとメスを入れて日教組のことばかり頭を使わないで、そういう方向に、もっと私はメスを入れるべきだと思う。うんと楽しんで改革すべき面がたくさんあると思う。少なくとも私は、この農業高等学校についての全日制と定時制というふうなものの区別を、あの産業形態の実態に応じて、四年制の全部、あるいはこれは定時制と言っても言わなくてもいいのですが、そういうふうな検討をすべきだと思うのですが、これはいかがですか。
○荒木国務大臣 一つのお説だとは思いますが、全部定時制にしなければならないという環境の者だけではないと理解いたします。言うならば、お説のような定時制が、今の農村地帯における定時制の学校数よりも多くなる傾向を持つであろうことは、想像にかたくない。さりとて、全日制が要らない、全部定時制にすべきだという結論は、少なくとも時期尚早であろうと思います。授業料を免除するかいなかは、一般高等学校の制度の基本問題でございますから、立法論としてのお説としては拝聴いたしますが、現実性を持ってはちょっとすぐには考えられないのじゃないか、そういうことをよく考え合わせまして、将来に遺憾なきを期したいと思いますと同時に、日教組も性根を入れかえてしっかりやってもらえば、そういうことがさらに効果を発揮するのではないかと期待いたしております。
○山中(吾)委員 農学校の先生には日教組の組合はないですよ。そこまであらゆるものに日教組を連想して、文部大臣、ピントをはずして偏見をお持ちになるのはお捨てになるべきだと思うのですよ。それから、農業高校は定時制でなくて全日制でも学校に行ける人があるという見方はおかしいのじゃないか。農業教育の形態自体は、定時制形態が教育的に一番いいのだ。三日間勉強して、その知識を二日間うちの実習として作業に従事するということが、農業教育として一番いい形態である。ところが、余裕のあるものは全日制に行けるものがあるからという、そんな不見識なお考えは文部大臣としてわれわれは受け取れない。もっと勉強していただきたいと思う。 最後に、学力テストのことについてお開きしたいのですが、もちろん岩手は八百数名の処分を出した県であります。自殺者も出しておる。警察の行き過ぎの捜査もある。これを幾たびも私は繰り返すつもりはないのですが、そういう陰惨な結果を招いたことからかんがみて、来年度の学力テストについて、文部大臣はその方法その他につき――再びこういう陰惨な結果を出さないように、方法、実施のことについて改善のことをお考えになっておるかどうか、それをお聞きしておきます。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。 三十七年度に学力調査をむろんいたしますが、今年度実施いたしました結果に基づきまして、実施しました教育委員会の現場の意見、あるいは学校関係の意見、あるいは県の段階における教育委員会等の意見、そういうものを正式に要望いたしまして、その意見も大体出そろいましたので、その意見の大部分を取り入れまして、簡略化し、改善する措置を講じつつあります。もっと具体的に申し上げなければならぬと思いますが、たとえば、それは過ぐる国会における文教委員会で山中さんも御指摘になりましたことですが、ことしやりました中学校の一斉学力調査があまりに多目的過ぎる。一回の学力調査で多目的が遂行できますことは望ましいことではむろんございますけれども、実施しました結果は、第一線の採点ないしは集計の事務量、特に集計の事務量が、デスク・ワークで私どもが考えましたよりも非常に多かった、煩瑣であった。そのことに対する意見が相当各方面から出されまして、そのことにも顧みまして、目的をもっと簡略化する。従って、第一線の集計事務をことしやりましたものの三分の一見当に減らす。そういう点を中心といたしまして、今度は、ずいぶん簡素な、しかも、効果的なやり方に変更して実施いたしたいと思っております。
○山中(吾)委員 昨年の実施のテストの目標は四つ並べておったわけなんですが、非常に多岐にわたって、欲深く四つの目的を並べたために、おそらくわけのわからぬ調査になったんだと思うのですが、それを幾つにするのですか、その目的を。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。 中学の一斉学力調査につきましては、第二学年、第三学年令生徒に対して、教科は五つの教科について、ことしと同様にいたします。小学校の場合は、二科目にいたしまして、二〇%のサンプル調査にする予定であります。改善策をもうちょっと申し上げますと、調査目的を簡明にすると申し上げましたが、教育課程に関する諸施策の樹立、学習指導の改善に役立たせるという目的にしぼりました。集計事務を大幅に簡素化しまして、事務量の軽減をはかることにしましたのは、さっき申し上げましたが、もうちょっと具体的に申し上げれば、調査表の種類を六種類から二種類にいたしまして、男女別教科総平均はとらないということにいたしました。配点を均一にして、中学校については解答用紙を別紙にする。さらに、調査の基本的事項につきましては国が定めますけれども、調査の組織あるいは採点集計の具体的方法等については、都道府県ごとにきめるという建前にする。採点謝金経費も足りなかったという不満もございますので、地方の要望に沿いまして七割増にいたしております。そういう点が、今度実施の結果に顧みまして改善し、簡素化する具体的な内容でございます。
○山中(吾)委員 ことしの四つの目的の、教育条件の整備、それから育英制度の強化の資料にするという二つの点をとられて、教科課程の改善と指導能力の向上ですか、純教育的なものに限定をされたのは、これは前よりはいいと思うのです。ただ、それに応じて違った方法がなされるべきであって、今のように二つの目的に限定されれば、その教育をしておる教師に、その問題の作成についても、結果の取り扱いについても、もっと密接にタッチをさすということでないと意味がないと思うのですが、その点はいかがですか。
○荒木国務大臣 学校におけるテストを自主的にやる、あるいは都道府県、市町村の教育内において教育委員会が自主的にやる、そういう場合は、むろん文部省としてかれこれ申さないで、自由に自主的にやられるはずでございますが、全国一斉学力調査は、毎度申し上げておりますように、文部省という立場、文部大臣という立場において、義務教育に関して負っております責任を果たすためにもやるわけでございますから、従って、問題の作成等につきましては、むろん、現場の学校長ないしは教育関係者の意見は聞きますけれども、学校ごとに勝手にやるというやり方でなしに、画一的に同時にやることに意味がございますから、すなわち、換言しますれば、全国的に、北海道から九州の果て、沖繩に至りまするまで、できるならば同じ問題を出して、同時にやって、その到達度を見るということで、教科課程の改善なりあるいは学習指導の改善ということに役立つ限度においてやるわけでございますから、むろん、文部省の役人だけで勝手にきめるわけではなしに、その道の専門家の意見は十二分に聞き、問題の作成につきましても、この前もそうでございましたが、今度も十分にそういう意見を聞きまして、いい問題を通じて、全国同時に画一的なやり方でやる、こういう考え方でございます。
○山中(吾)委員 なお、もう少し具体的にお聞きしておきたいと思うのです。それは二度とこういうふうな不祥事件を起こしたくないからするんですが、たとえば岩手のような場合に、僻地が非常に多い。免状を持っていない先生が、分教場あるいは複式学級の中にあって、新制中学でも数科目を持っている。そういう学校の教師が、全国一斉のその問題を出されて、そういうものはいやだ、そういうことで子供の学力を見てもらいたくはない、また、自分もそういうもので何かテストをされるようなことはいやだ。されなくても、そういう心理というものは尊重しないと――これは文部大臣が実は六三制の整備を十分していないためから来るものであって、そういう地域々々の僻地の多い地域というものは、あなたの言うように、日教組の指令だからそうなったと言いますけれども、それはその一つの組織がどんなに指令をしても、実態がその指令に共鳴しないような場合については、その通りになるものじゃないのです。これが民主主義なんです。われわれの世の中で、それをまた、そういう考えを、自由を認めながら、外から圧迫を加えぬようにして、そうして改良し、向上するようにしなければならぬのですから、そういう意味において、かりにそういう実施が行なわれた場合についても、岩手なら岩手の特殊の方式が考えられてくる。教育委員会と現場の先生が話をして、そうしていろいろの方式、岩手方式がかりにあるとすれば、そういうものにまたよけいなおせっかいを文部大臣はされないようにしてもらいたい。そういう地域々々の特殊性に基づいた、その実態に即した、現場の教師の要望に合うように、納得するように考えていくことについて、いわゆる画一主義の形式主義の行き方をとっていくことはなさるべきじゃないと思うのです。もしそれをどうしてもやろうとする場合には、結局日教組弾圧、分裂政策のためだと私は考えざるを得ないので、すなおに教育政策を考えた場合には、それは北海道と東京と鹿児島と違うのですから、その点について、すなおな立場で、荒木文相のそういう地域々々における実態に即した方式によって-もちろん、それはそちらの一つの目的というものがあって出しておるのでありますから、限度はあると思いますけれども、そういう方式を認めるということを明言されて、そうして教育界の明朗化をはかるべきだと思うので、その点いかがですか。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。 一斉学力調査をやります目的、趣旨は、今申し上げた通りでございます。でございますから、画一的に同時でないならば意味をなさない、一斉学力調査ではないわけでございますから。ただし、今御指摘の通り、僻地学校において、たとえば中学では英語を教わることになっておりますが、英語の資格のある先生がいないところがあるということも聞きます。建前としては、そういうものはないはずになっておりますが、その県の事情、何らかの人事問題もあったりいたしまして、現実的にはそういう配置がない、不幸にしてないところがないとは言えない。そういうところに同じようなことを要求することに目的があるわけではございませんで、そういうやむを得ない特殊な事情があるところが、到達度がたとえば低かった、あるいは答案も書けなかったということ、そのことが、また県としましても国としましても、そういう事実を知りつつ、おっしゃるように充実する努力をせなければならないよすがにもなるということでありまして、あくまでも児童生徒の到達度を見、それに基づいて国の立場においてもなすべきことをなさねばならない根拠にしようということ以外に何らの他意はないわけでありますが、どういうものか、日教組は、実施します前から絶対反対、実力行使、暴力に訴えても阻止するのだということをきめるからいけないのであって、実施しました結果について、建設的な意見こそ期待するところであります。初めからやりもしないのに絶対反対は断じて容認できない。繰り返し申し上げますが、一斉調査でございますから、画一的でないならば、同時でないならば、意味をなさない、かように思っております。
○山村委員長 山中君に御注意を申し上げますが、あと持ち時間はもう二分ばかりですから、どうぞお願いします。
○山中(吾)委員 日教組がきめなくて、そうして地域々々の教師が自発的に批判をして、反対だと言うならいいというような論理のように聞こえるのですが、そうではなくて、そういうことを言わないで、学力テストそのものをもっと教育的に、もっと真剣に文相も考えていく。何か子供のけんかのような話ばかりされるのはいかぬと思うのですよ。私はそんなにふまじめに話しているのではないのです。委員長が弔う時間がないと言いますが、文相の教師観を聞いておきたいと思うのです。よい教師というのは、どういう教師なんですか。新聞などを見ますと、文相はすぐ、公務員としてけしからぬというふうな、あるいは勤評などは役人として当然だというような言い方をしているけれども、そうではないのですよ。教育者というものは、公務員試験を受けて教師になっているのではなくて、教員免許状に基づいて教師になっておるのであり、機械的な事務で従事しておるのではないので、やはり上からのいろいろな意見があっても、それを自分の教育的識見に合わぬときには拒否するというような、そういうのを昔から風格のある教師と言った。日本の教育家として一番すぐれたという者を見てみなさい。そういう上の通りに聞くような見識のない者は、人間的に影響を与えているのは一人もない。だから、普通の公務員という頭において、こういうことを言ったのに聞かないからというようなことで、教育政策あるいは教師の管理政策をやっておれば、月給の上がることだけを考えて、そして適当に子供を教えて、家を建てることだけ考える、いわゆる気力のない、教育的な熱情を持たないサラリーマンだけを作りますよ、あなたのやり方をすれば……。もっと長期的に日本の教師というものを-一時的にいろいろのことがあっても、自由で、しかも熱情のある、単なるサラリーマンにならないような、日本の社会が悪ければ、何とか改造していかなければならぬというような、そういう熱情を含んで持っておる教師というものを押えてはいけないと思う。そこで、こういうテストの問題についても、自分の子供に自分がタッチしないような問題でテストをされたときには、おもしろくない、拒否したいというような、その教師の精神は、あなたは認めるべきであり、そういう教師は私はよい教師だと思うのですが、その点についての本質論をわきまえたあとに、この学力テスト、一斉テストをやるについては、納得するようなあらゆる努力を払うとか、そして、こういうことによって角をためて牛を殺すというような教師政策をとらないようにしてもらいたい。最後に、教師観について聞いて、時間がないので、一応終わりたいと思います。
○荒木国務大臣 よい教師というものはどういうものかというお尋ねでございますが、(「公務員じゃないですよ、本質は。」と呼ぶ者あり)身分は公務員でもありますが、同時に教師でありまして、労働者ではない。広い意味の知識労働軒ではあるけれども、倫理綱領にいうがごとき労働者であってくれては困る。教師としての使命観に立って、情熱を込めて、子供の人間形成と教養の充実向上のために懸命の努力をしてもらうのが、よい教師だと思います。その基本的理念において、デモクラシーの理念を十分にわきまえて、児童を誘導してもらう、教えてもらうということであって、何か知らぬが、共産主義理念に立ったようなことは望ましいことではむろんない。そういうふうに私は教師像を考えております。そういう法治国らしい、順法精神の範囲内において、教師は教育をつかさどってもらいたい。そういうことこそ、私は教師のあるべき姿と存じます。
○山中(吾)委員 労働を尊重して、労働する人間を軽べつするような思想は、もう近代の思想ではないのであって、そういうような言葉を私はお使いになるべきじゃないと思う。国務大臣自身が、私も労働者であるくらいのことを言える勇気があり、そしてそういう労働観をお持ちにならないと、それはいけませんよ。労働する人間を尊重する限りは、労働そのものも尊重するという思想に一致せしめなければならぬ、そういうような言葉で今の教師観をごまかされては困る。だから、もっと高い使命観を持つということは、それは今の社会をそのまま認めておるものだけがりっぱな使命観だと思われる、そういう前提を持つから間違いなので、やはりもっとよい国にしようと広い意味において考え、そして全体として、教師が単なるサラリーマンにならないように育てていくという考えをもっと広く持つべきだ。一時的に自分の思う通りになったからといって、二十年、三十年後にまた骨のない教師が残って、日本民族の教育を担当するようなことをしてはいかぬと思うので、その点については、私は、教師観というものをもっと広々としたものに考えなければならぬということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
○山村委員長 それでは阪上安太郎君。
○阪上委員 私は、ただいまから地方自治の若干の問題について質問いたしたいと存じております。 そこで、質問に入ります前に、委員長に一つお願いがあるのであります。それは、本日の私の質問の大部分は通産大臣との関係があるわけであります。残念ながら、通産大臣かぜを引いて休んでおられるそうであります。やむを得ないと存じます。そういう部分につきましては、二十八日に一つさらに再質問をいたしたい、かように考えますので、本日は三分の一程度、若干の問題をお聞きいたしたい、かように存じますので、よろしくお願いいたします。 そこで、地方自治の若干の問題でございますが、まず最初に、地方自治の本旨につきましてお伺いいたしたいと存じます。なぜ私がこのようなことを御質問申し上げるかと申しますと、最近の地方自治というものは、行財政の両面からいたしまして、著しくその自主性を失いつつある、こういうことなんであります。特に財政的な措置につきまして、地方自治は非常に犯されておる、こういう事態があるわけであります。中央集権化の傾向が再発しつつあるんじゃないか。もしそういうことでありますれば、断じて許されない問題だ、かように考えておるわけであります。たとえば国の施策に基づくところの地方事務への押しつけであるとか、非常に誤った国と地方の財源の配分であるとか、不当な財政干渉、無責任な、全く実現されないような地方財政計画、こういうようなものをながめてみますと、政府当局は、憲法に明記されてありますところの地方自治の本旨というものを、十二分にこれを解読してないのではないか、こういう感じがいたすわけであります。 そこで、最初に地方自治の本旨とは一体何か、はなはだ抽象的な質問でありますけれども、これについての統一的な解釈をまず自治大臣から付いたい、かように思います。
○安井国務大臣 地方自治の本質と申しますと、これは、国の組織の中で、特に地方的な問題を、地方のそれぞれの団体が形成されまして、地方の住民の意思をそこに反映して、自主的に住民の生活、福祉の向上をはかるというために作られておる組織であろうと思います。
○阪上委員 これは非常に抽象的なお答えなんであります。私は、その程度の地方自治の本旨というものの解釈では、とてものことに憲法が示唆いたしております地方自治というものを把握できていない、こう思うのであります。 この際、さらにお伺いいたしますが、こういった問題についてのいろいろな学説があることを御存じでありましょうか。そういったものをはっきりと握って、どの学説に根拠を置いておられるか、こういうことをさらに伺いたいと思います。
○安井国務大臣 どうもあまり専門的な研究と申しますか、学問的な研究はいたしておりません。ただ、日本の実態に合うような、日本の自治体の住民の意思ができ得る限り反映できるように、実態に合うように、それぞれの指導なり育成をしていくべきものであろうかと思っております。
○阪上委員 日本の実態に合うと今おっしゃいましたが、日本の実態とはどういうことでありますか。
○安井国務大臣 アメリカにアメリカの各州、知事制度、そういったものがあると思います。これにはこれに対するいろんなものの考え方もある。そこで、そういうようなものと同じようにはいきませんので、日本というこの全体の地理あるいは経済状況、住民の状況、そういうものから割り出された自治体である、こういうふうに思います。
○阪上委員 日本国憲法がはっきりと憲法の中で、わが国の国家観というものを明瞭にいたしております。私は、そのこと自体が日本の実態じゃなかろうかと思うのです。産業とか経済とか、それ自体も実態でありますが、私がこの際御質問申し上げている趣旨は、そういったことをお伺いしているわけなんであります。そこで、学説を少し私から申し上げておきましょう。地方自治を担当しておられる安井さんが、地方自治の本旨に関するものの考え方というものは、全然検討されて、おらぬということでは、それだからこそ、現在のような中央集権的な中央の態度というものが出てくるわけなんです。 御承知のように、学説は、大体三つくらいあると思います。一つは承認説です。時間がありませんので、簡単に申し上げますが、地方自治というものは、憲法によって許容または承認されたものであるというものの考え方なんです。従って、憲法がこれを承認していなければ地方自治はない、こういう考え方になるわけなんであります。この考え方を持っておるのは、多くのわが国の内務官僚の諸君が、非常にこの考え方に固執されておる。しかし、これは世界的に見ましても非常な少数説であります。わが国で、特にあなたの直接の部下でありますところの事務次官の小林与三次さんなんかは、全くこの承認説に立脚しておる。これはいろいろな著書を見ましてもよくわかっております。 それからいま一つは保障説であります。憲法がこれを保障しているから地方自治があるのだ、こういう考え方があります。これは比較的多数の説がございます。 それから確認説であります。地方自治というものは、元来あったのだ、元来あるのだ、憲法はこれを確認している、こういうものの考え方であります。この三つのうち、あなたはどれをおとりになりますか。
○安井国務大臣 日本の自治体というものは、元来から存在もいたしております。終戦後は、自治体の上にまた都道府県という自治体もできた、非常に独特のものでございまして、こういった一つの学問の概念のカテゴリーに完全にはめてしまうということは、私は無理であろうと思います。
○阪上委員 日本古来から、こういうようにおっしゃるのですが、そういったものをこういった三つの説のうちにはめることは困難であるということになれば、それじゃほかのどういう解釈があり得るのですか。
○安井国務大臣 私は、今も申し上げましたように、これを学問的に追求は現在いたしておりませんので、この学問的な解釈につきましては、専門家に答弁させる方がよかろうかと思いますが、日本の憲法が認めておる自治体、その範囲内においてこの自治を伸長すべきものだというようにやっております。
○阪上委員 私がこういう問題を大げさに取り上げているのは、私、決して学のあるところを別に示しているわけでもなんでもないので、ほんとうに地方自治の本質というものに対して統一的な解釈というものができていないんですよ。そのことのために、今の三つのような説をそれぞれおとりになる方があって、そうして地方自治に対して、先ほど言いましたように、承認説などをとる人は、地方の干渉と監督が極度に行なわれていいというような感じ方を持っている方もある。私は、そういう点でお伺いしているわけなんであります。 なお、つけ加えて言いますと、近代自治のあり方等にいたしましても、古い憲法では、御承知のように、富国強兵的なものの考え方で、できるだけ安上りの地方政治、こういうものを考えられてきたのでありますが、新憲法におきますところの、一貫して流れておりますいわゆる福祉国家理念、こういうものに基づきますと、いわゆる国が社会保障制度をうんと取り上げるとともに、地方自治体においても、やはりそういった社会福祉的な仕事というものをもっともっと分量を増さなければいけない。そのためには非常に多くの金が要ります。しかも、福祉行政などというようなものはもうかるものじゃない。そこで、最近の地方自治というものが、国の経済成長とともに、財政的にもかなり恵まれてきております。かといって、そのことによって直ちに近代地方自治をやっていくための財源が確保されているとは言えないと思うのであります。私は、そういう意味からも、ただ単に現在の地方自治体というものが、地方財政計画上ながめたときに、かなり多くの、はっきり申し上げますならば、国の財政と匹敵するような規模を持っておるということは事実でありますが、それだからといって、何でもかんでも国の仕事というものをこの地方財政の中に押しつけてくるという考え方はよろしくない、こういったことを考えておりますものでありますから、あなたの地方自治の本質というものに対する考え方というものを伺ったわけなんであります。このことはこの程度にとどめます。 そこで、次に、先ほどもちょっと問題になっておりました高校生の急増対策についてお伺いいたしたいと思います。これは主として、私は、財源措置の点からお伺いいたしたい。 高校生急増対策は、その財源掛倒の現況から見まして、全くこれは文部行政というようなものから離れて、現実には地方自治行政の様相を呈してきておる、こういうふうに言わざるを得ないような状態であると思うのであります。そこで一体、高校生急増対策というようなもの――私は単純な高校増設というんじゃありません。戦後の特徴でありますところのこの高校生急増対策というものが、一体どこの事務なんだ。設置者負担というあの概念を私はよく存じておりますけれども、それじゃなくして、この高校生急増対策というもの、これをはたして地方事務だと一がいに言い切ってしまっていいものであるかどうか、こういうことをつらつら考えるわけなんでありますが、文部大臣はどういうふうにお考えになっておりましょうか。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。 高等学校の設置、施設管理者は、御案内の通り都道府県である。その意味においては、急増の対策にいたしましても、本来都道府県の施設管理責任者がなすべきものであるというのが、私は概念的には正しいと思います。もっとも、政策的に考えました場合、おのずから意味が違ってくる理由はなしとしない、そう理解しております。その意味は、三十八年度から始まって四十年度までを特にピークとする、百二十万と称せられる高校生の急増が予想されますが、その社会的現象と申しましょうか、そのことは、先ほど来仰せになっておる地方自治体だけの責任に帰するのには、あまりにも急激に大波が寄せるということを念頭に置きました場合、そうしてまた、通常の平均的な事態をまかなう意味において地方財政というものが理解される限りにおいては、ちょっと負担過重ではなかろうかと思われる意味において、国もまたできるだけの協力をすべき性質を持った特殊の課題化しておるのではないか。繰り返し申し上げておそれ入りますが、概念規定からいえば、都道府県の責任においてなさるべきことでありますが、臨時、特殊な意味をあわせて持つような問題として取っ組むべきじゃなかろうか、そういう問題と心得ております。
○阪上委員 大体わかりました。そこで、文部大臣とされましては、本年度の予算案編成に際して、そういう観点から予算要求を、補助金等の、負担金等の考え方によって、要求されたんじゃなかろうかと思うのであります。 そこで、大蔵大臣に伺いますが、私は、問題はそこにあるんじゃないかと思います。なるほど、これは設置者の負担で行なわれるべきものであることは、筋としてはわかりますが、大体におきまして、この場合、それならば、はたしてそういった戦時中の落とし子である、戦後の落とし子であるところの――終戦処理だと文部大臣は言っておられるが、そういったことをやり得るような国と地方の財源の配分ができておるかどうか、この点について大蔵大臣の所見を伺いたいと思います。
○水田国務大臣 まず、国民生活に密着したいろいろな行政、福祉、行政も特にそうですが、この第一次の責任というものは、行政責任は地方団体にある、こういう建前になっております。そうだとすれば、地方団体がその行政をやるための財源をどうするかという問題ですが、もしこれを地方税としてその団体に与えるということをしましたら、これは御承知のような財源偏在のときで、偏在の実情から見ましても、これは行政に大きい不均衡が出てくるし、行政水準というものは全部まちまちになってしまう、こういうことになりますので、第一次的な行政責任を持っているかといって、この固有の財源を与えて完全な自主財源で事を処理させるということは不可能でございますので、従って、全体として国が税金を取り、この財政資金を地方団体に配分してやる、こういう方法をとって地方財政の運用をやっておるというのが現状でございます。昭和三十七年あたりを見ましたら、もう地方団体の補助金、国の負担金は六千億をこえております。六千二百億に及んでおる。また、国が一たん自分で徴収した財政資金を交付金として地方へ交付するものも四千五億億円ぐらい、もうそれよりも補助金、負担金の方が多くなっている。この二つと起債をあわせて、町村固有の財源とあわせて地方財政のまかないをしておる、こういうのが今の建前でございます。従って、まず第一次的に責任のある行政は地方団体がする、これは当然でございますし、それからまた、学校の設置法その他によって府県に設置責任があるという学校の設置その他は、府県が持つべきものであるし、町村に責任があるとされたら町村が持つべきものであって、この建前は現在はっきりしております。ですから、それぞれの団体がその行政責任を果たすということの上に、財源をどう調整してやるかというのが私どもの仕事になるわけでございますが、そういう点においては、どうしても財源の調整方法がないとか、その財源が不足するという場合は、これは別でございますが、そうでなくて、そういう建前の上にそういう補助金制度、負担金制度、交付金制度というものが今あるのですから、自分の責任を果たして後に、不足財源というものの調整を受ければいいわけであって、この建前は私はくずしたくないと思います。ですから、高校急増対策の問題にあっても、補助金を出すべきだという意見がございましたが、これは筋が違う。まず、自分の設置責任をどう果たすか、果たせればいいのであって、建前をくずさないで、いかにして果たさせるかという財政措置を考えればいいということでございますので、計画通りの金を、一部は起債によってまかなうし、一部は町村の財源によってまかなうし、一部は交付税の配分において、ひもつきにしてこれを処理するということをやれば、りっぱに学校は建つのでございますから、建前をくずさないで建てるようにすればいいのだというので、私どもは建前をくずすことには非常に反対してきて、実際において学校ができればいいということについて処置したつもりでございます。何か生徒がふえたことが、ほかの――町村の責任でないというようなことを言われるのでしたら、これは災害があった場合でも、第一次の復旧責任というものはやはり地方団体が持っておりますし、伝染病がたくさん急にはやってきたというときにも、これの第一次行政責任がどこにあるかということもきまっておりますし、きまっておるものが財政的にできないという場合に、現行制度において補助金をどうしてやるか、交付税をどういうように配分してやるかということを考えてやればいいというのが建前でございますから、特殊なことが起こっても、この建前はくずさないで財源措置をとる方法は十分あるのでございますから、私はそれでりっぱにやっていけるのだろうと思います。ただし、今申しましたように、固有財源というものが事実上少なくて、ほとんど国家の財政資金によって運営するというやり方になって参りますと、この国と地方の財源の配分の仕方、また、根本的には国と地方の事務の配分の問題と結びついた問題でございましょうが、こういう問題を、もうここへ来てはもう一歩根本的に検討する必要があるのじゃないか。それによって合理的な新しい制度ができるのでございましたら、その方がいい、合理的だと思いますが、高校急増対策の問題を中心として、この補助金の問題でもめましたが、私どもがとっておる態度は終始そういう態度でございまして、やはり現行制度がある以上、むやみに、ちょっと金がかかるからこれは国に持たせるのだ、何か異常なことが起こればみんな国だという、こういう考え方は、私はやはり財政当局としてはどうしても受け取れない。これだけははっきり守っていきたいと思っております。
○阪上委員 何が国の事務であり、何が地方の事務であるか、これは法以前の問題として、今大臣は、あなたのとっておられる建前の御説明がありましたが、なかなか問題があるところであります。これは、いろいろな説を見ましても、究極のところは比較の問題だ。比較的国の事務であり、比較的地方の事務である、こういうような考え方が正しいのではなかろうか。いろいろ行政機構が変わってくる。いろいろ社会情勢が変わってくる。この場合において、固定されたところの国の事務と固定されたところの地方の事務というようなものの考え方は、あまりにも窮屈過ぎる。これはそうじゃないのです。そうじゃなくして、何が現在の段階において比較的地方の事務であり、何が比較的国の事務であるか、こういうように考えていく必要があると思うのです。その点、大臣の考え方は少し窮屈過ぎはしないかな、私はそういうふうに考えるわけであります。 ことに、あなたがおっしゃったこの地方と国の財源の現在の配分状態、おそらく国は年度予算の収入の八割から九割近いものが税収入、印紙税その他でまかなっておると思います。地方自治体が税収入でまかなっておるのはわずかに四七、八%ではないか、こういうように思うのであります。それだけに非常に脆弱なものを持っております。そこに持ってきて、今回のこの措置が地方交付税でもって措置される。地方交付税でもって、たしか九十一億でありますか、そうして、負担の伴うところの一般地方債でもって五十一億、これが三十七年度においては急増対策として使われる、こういうような状態に今なっておるわけであります。 そこで、こういった問題を深く論ずるには相当時間もかかりますので、これはまた別の機会に私は譲りたいと思いますが、三十七年度においてああいった財政措置でもって十二分に計画通りはたして地方自治体が実施できるかどうか、この点について一つ自治大臣から伺ってみたいと思います。
○安井国務大臣 補助金を出すかどうかという点については非常に議論の分かれるところであったと思いますが、これは正式に決定いたしました。私の方では、地方財政計画を立てました上から、あの今度決定をいたしました文部省の高校急増対策の計画については、私どもの今とっております交付税の処置と起債の処置とで十分でき得るということを考えております。と申しますのは、時間がないからついでに申し上げますが、たとえば、同じ交付税のワクの中のやりとりだから、これじゃ何にもならぬじゃないか、ほかは減らすだけじゃないかという疑問があると思うのでありますが、地方交付税の計画でも、必ずしもそうじゃないのでありまして、たとえば、三十六年度におきましては、いわゆる起債の繰り上げ償還というものを、財源として百六十億、基準財政需要額で見ております。本年度は、高校対策の施設に充てる費用も要るからというので、そういうものを取りやめておりますから、新しい財源がその中で生まれてきておるというふうなことも考えられると思います。
○阪上委員 自治大臣は、この交付税というものはまるで国の財源ででもあるかのような印象を持っておられるが、これは地方自治体の財源です。そんなものを勝手に食いつぶされては地方自治体はたまったものじゃない。それから、起債々々とおっしゃるが、起債はだれが払うのです。だれが償還するのです。本年度の地方財政計画を見て、自然増を一千七百億円近くとあなた方は踏んでおられる。しかし、そのうちの一千億円に近いところのものは三十六年度でもう地方自治体は食いつぶしておるでしょう。こんなものをどんどん義務的な経費として押しつけられたときに、地方自治体は一体どうするのか。しかも、それは交付税であるということでありますならば、交付税は一般財源じゃありませんか。これはひもつきの財源じゃないわけです。そういうことは交付税法が許さない。そうすると、どうしてもできないというようなことになったときに、あなた方一体どうされますか。世間で一番問題とされておる高校急増対策がこういう迂遠なやり方をやってもなおかつできないということになったときにどうしますか。一千七百億のうちの一千億はもう食いつぶしておるのですよ。地方自治体はこればかりじゃないのです。特に、今問題になっておる交通対策等のために地方自治体が果たさなければならぬ役割というものは非常に大きな財源を要する問題であります。そういうようなものをかかえておるが、そっちの方はちっともやれないというような状態に今あるのじゃないですか。そうして、一方においてこういうものを押しつけられてくる。大蔵大臣は、先ほどから、やればやれるんだからやったらいいとおっしゃるが、私は、やれる事態じゃないと見るのです。どうでしょう。
○安井国務大臣 私は、今度文部省が立てられました急増対策につきましては、今の私どもの地方財政計画の中ならやれると思います。しかし、御承知のように、国の財政も年度途中で補正をするということもあります。地方財政自体も動いておりますから、そういうような特殊の事情あるいは個々の条件に当てはめました場合に、非常にこれが不足するとか困難だ、こういう問題がないという保証はございませんので、そういう問題に対しましては、その事態に処して新しく考慮したい、こう考えております。
○阪上委員 それでは、さらにもう一つだけ伺っておきたいと思いますが、文部大臣に伺います。将来三十八年度からこの方式でおやりになるのですか。自治大臣も同時に一つお答え願いたいと思います。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。 さっきお話がありましたように、できることならば、三分の一程度の国の補助という形で、地方公共団体、都道府県の平常の状態をはるかにオーバーするところの重圧解消に、国という立場でも一半の責任を負う、協力をしたいというのが考え方でございますけれども、これは、先ほど来大蔵大臣から御説明申し上げました建前論の前には便宜的な制度であった。そこで、財源的に申し上げれば、実際やれればよろしいという問題でもあるわけでございます。もし通常の交付税の考え方、あるいは地方財政計画の考え方に放任されるとするならば、御指摘のような不安が、ひもつきじゃございませんから伴うだろうと懸念されるわけでありますけれども、その建前論を乗り越え得なかった事態において、私の立場から申せば次善の策ともいうべき意味合いでございましょうが、それにいたしましても、一応の教育計画の立場から見て、財源的につじつまが合っておる。しかも、そのつじつまの合わせ方につきましては、一般共通的な交付税の配付の形をとらないで、交付税法の改正までもして特別措置を講ずる。起債のワクにおきましても、五十億は特別に別ワクを設ける。さらに、二千数百億円に上ります一般起債ワクの中の運用に待たざるを得ませんけれども、当面の措置といたしましては、自治大臣の手元において弾力的な運用をするやり方に依存する。従来学校新設の場合、用地につきましては特別に考えられていませんでしたのを、閣議決定の際、一応推定されます所要の用地面積百八十万坪というものを、閣議でも関係大臣了承のもとに決定をいたしまして、それの財源措置は起債による。起債によるけれども、運用上の措置によってやるという形でございます。本来、教育的立場に立って純粋に地方財源を考えられる立場では自治大臣はないと思いますけれども、特に今回は、高校急増のための全体計画を年次的に見まして、その総事業量を閣議において確認し、そうして三十七年度地方財政措置として考えらるべき具体的な措置を今申し上げたようなやり方で講じておる。ということは、従来の地方財源措置について、国の立場で考えますよりも、よりコンクリートな姿になっておるということだけは期待できると思います。そういうことを総合いたしまして、立場上次善の策とは申し上げますが、国の立場で、政府として考え得ます制度上の一応考え尽くされた措置が今度は講じられることになったというところに期待をつないでおるわけでございます。これが実施されました現実の結果に即して、これでいけないかどうかという問題が出てくるかもしれない。その場合にはまたあらためて相談をしまして、考える余地もあろうかとは思いますが、今、以上申し上げましたような見通しのもとに良心的に財政措置が講ぜられ、かつまた、自治体におきましても、本来の施設責任者としての立場に立って、当面します重圧でありましても乗り越えるという、地方自治体としての政治的判断が透徹しますならば、御懸念のことはなかろう、こう考えておる次第であります。
○阪上委員 残余の質問は延期いたしまして、これで質問を終わりたいと思います。
○山村委員長 阪上君に申し上げますが、ちょうど所要時間が三十六分でございます。厳密な持ち時間はあとちょうど五十四分でございます。参考に申し上げておきます。 それでは、明後十九日からは分科会の審査に入ることにいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時四十二分散会