予算委員会 第13号
- 発言数
- 197 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1962/02/15
会議録
○山村委員長 それでは、これより会議を開きます。 昭和三十七年度一般会計予算、昭和三十七年度特別会計予算及び昭和三十七年度政府関係機関予算を一括して議題といたします。 質疑を続行いたします。淡谷悠藏君。
○淡谷委員 まず、藤枝防衛庁長官にお聞きしたいのですが、例のグラマン機、ロッキード機の問題でだいぶ国民の関心を持たれておりましたロッキード機選定に伴いまして、膨大な国庫債務負担行為が組まれたのでありますが、その第一号機がもう入っておるということが伝えられております。その一号機の入った状態を一つ御報告願いたいと思います。
○藤枝国務大臣 F104につきましては、Jという第一号機とDJという複座の一号機、この両機がすでに空輸されて参りまして、生産会社であります新三菱に納入されております。
○淡谷委員 あなたの方からいただいた資料に基づきますと、昭和三十七年の三月三十一日までに一機入ることになっておるのですが、二機になっちゃったのですね。この計画の中にはJともDJともいっていない。これは、御承知の通り練習機と実用機と分けておるようでありますが、一機というのは、初めはどっちを予定されたのですか。
○藤枝国務大臣 三十六年度の三月に納入される予定のものは、104のJ一機でございます。これは御承知と思いますが、こちらでさらに組み立てをいたしまして、正式に防衛庁に納入されるわけでございまして、現在はまだ生産会社である新三菱にあるということでございます。
○淡谷委員 何だかまた話がおかしくなりましたが、これは三十六年の三月に納入されたのですか。三十六年に一機、三十七年に一機となると数が合わなくなりますよ。全部が百八十機だ、これはJの方です。DJの方は二十機、このあなたの方の資料に基づきますと、三十七年の三月三十一日までに一機入るのを筆頭にして、三十八年五月三十一日までにこれはDJが二十機になる。どうも、その一機はどこへ持っていくのですか。
○藤枝国務大臣 資料で差し上げました三十六年度末にJが一機でございます。それから三十七年度に入りましてJが三十一機とDJが十六機の予定でございます。そのうちの三十七年度に納入されるDJ十六機のうちの一機が、新三菱には入っておるということでございまして、これが組み立てられまして、防衛庁に納入されるのは三十七年度になる予定でございます。
○淡谷委員 それじゃもう一ぺん御説明願いたいのですが、この資料に基づきますと、ただ積算数だけ出しまして最後の年度に百八十機と押えておる。三十六年は何機、三十七年は何機、三十八年は何機、三十九年は何機、四十年は何機、こう一、二、三、四、五年にわたりまして、できる機数を言っていただきたい。
○藤枝国務大臣 昭和三十六年度にJが一機でございます。それから三十七年度にJが三十一機、DJが十六機、三十八年度にJが七十八機、DJが四機、三十九年度にJだけ七十機、これで全体の二百機になるわけでございます。
○淡谷委員 名古屋へ荷おろしをしましたDJですか、これはどうなっておりますか。何か落ちたという新聞記事があるんですね。これは二万五千メートルくらいを飛ぶ能力があると聞いてましたが、地上五十センチで落ちたという話があるので、二万五千メートル飛ぶ飛行機が地上五十センチで落ちて、けがするようでは、今から先が思いやられますから、その点安心のいくような御説明を願いたいと思います。
○藤枝国務大臣 名古屋に入りましたのが、先ほど申しましたようにJ一機とDJ一機でございます。そのうちのDJ一機を積みおろしいたします際に、こう斜めになりまして、一方の地上から離れておる方が約三十センチくらいのときに、クレーンの故障によりまして、そのまま地上に落ちたわけでございます。胴体につきまして多少の損傷をいたしております。しかし、これは直ちに修理可能なものでございますし、また中身につきましては、目下調査中でございますが、中に搭載しておりました種々の機器につきましては、故障がないものと認められておりますが、現在精査中でございます。
○淡谷委員 それから契約の金額でございますが、御承知の通り、ロッキードの価格というのは大へん変化が早うございまして、マッハ二以上の早さを持っておるようでございますが、非常に早く変わる。大体私の手元にあります資料だけで見ましても、最低が七十五万ドル、二億七千万円からどんどん変わりまして、グラマン機が内定されました三十三年の秋あたりは八十七万ドル、それからグラマン機が内定したあとで、同年の八月にはもう七十五万ドルと落ちておる。さらに百十五万ドル、あるいは百七万ドル、百四十万ドル、ある場合には百五十方ドル、四千万円まで上がったような価格変更の歴史がございます。今度初めて防衛庁が契約した金額を出されておりますけれども、この契約の状態も、非常に粗末な資料しか渡っておりませんので、はっきりわかりません。これによりますと、大体が平均して百十二万六百八十一ドルです。そうしますと、やや百十二万ドルと申しますと四億何千万円かになるようでございまするが、正確な価格の決定、契約に基づく価格の決定を責任のある御答弁を願いたいと思います。いろいろ週刊雑誌などもここにございますので読んでみましたが、ある雑誌は四億九千万円と伝えておりまするし、さまざま、国民も一体この二百機を購入する新しいジェット戦闘機が、幾らで買われるものかということがわからないでおる。これは価格の決定版をこの際防衛庁長官からお聞きしたい。
○藤枝国務大臣 DJの方の単価が九十八万九千八百三十九ドル、それからJの方の単価が百十三万五千二百十九ドルでございまして、これを二百機で、平均いたしまして百十二万六百八十一ドルでございます。
○淡谷委員 私はこの膨大な金額に上る買い入れが、全部平均して単価を出すなんという防衛庁のやり方は、ちょっとずさんじゃないかと思うのです。一機四億円といったような大きな買物なんですから、それを多少の違いとおっしゃるかもしれませんが、何千万円という多少なんでございますから、これはやっぱりF104DJは幾ら、そして何機、F104Jは何機、単価幾らと、こういうふうに個別にお出しになるのがいいかと思うのですが、ひっくるめて平均幾らといったような出し方は非常に不親切じゃないかと思いますが、これはこの飛行機に限らず、防衛庁のやり方はそういうふうにされた方がいかがですか。非常に大ざっぱな、全体をひっくるめて数で割って幾らというふうにお出しになるということは、大きな予算を使うにはまことに無責任だと思うのです。
○藤枝国務大臣 ごもっともでございまして、ただいま申し上げましたようにDJとJに分けまして、そういう計算をいたしております。ただ二百機平均幾らだというようなお尋ねがございますので、百十二万ドルという話を出しておりますが、すべて積算の基礎は、ただいま申し上げましたような数字によってやっておるわけでございます。今後につきましても十分正確な数字で申し上げることにいたしたいと思います。
○淡谷委員 それじゃあらためて質問いたしますが、F104DJ、これはノック・ダウンするのがどれだけ、国内生産はどれだけ、こういう点について御説明願いたいと思う。
○藤枝国務大臣 Jにつきましては、二十機までノック・ダウンでございます。それからDJは少数でございまして、二十機でございますので、すべてノック・ダウン、あとJの百六十機がこちらで土産をするわけでございます。
○淡谷委員 ノック・ダウンした場合とこちらで生産する場合とで、価格が大へん違うように聞いております。一つ詳細にお答え願いたいと思う。しかもノック・ダウンしたものを持ってきた場合と、そのまま飛行機として入れる場合との価格に相違があるかどうか、早く申しますと、アメリカで生産する場合と、国内生産の場合と価格がどの程度違うか、お示しを願いたい。
○久保政府委員 ただいまの点お答えいたしますけれども、新三菱と契約しております六百九十八億の契約では大体出ておりますけれども、アメリカの経費を入れたものでノック・ダウン分は幾ら、それからこちらで国産したものは幾らという数字は、今手元にございませんのですが、六百九十八億の契約の中での……。
○淡谷委員 それではお答えを正確にするために、その前一点お聞きしておきたいのですが、外務大臣おいでになっていますか。
○山村委員長 外務大臣、参っております。
○淡谷委員 それでは、外務大臣にお聞きしたいのですが、このジェットのF104J並びにDJの契約をする場合に、アメリカの方で何か分担金を二百七十万ドルですか、邦貨にしまして七百五十億円ほど分担するということが約束されているようでありまするが、これは前に赤城防衛庁長官時代に近く交換文書が取りかわされるということが言われておりますが、その交換文書の内容をお話し願いたい。
○安藤政府委員 お答え申し上げます。 当時昭和三十五年の四月に、外務大臣と在日米大使の問で交換公文が取りかわされております。この趣旨は当時情報局でも発表いたしております。それによりますと、米国は七千五百万ドルの分担をするということをきめております。
○淡谷委員 金額は七千五百万ドルが正確なんですね。
○安藤政府委員 さようでございます。
○淡谷委員 金額はそれでは七千五百万ドルと理解いたしますが、この負担はどういう形で行なわれるのか、その交換公文の内容についてもう少し詳しく御説明願いたい。条件がついているかどうか、この七千五百万ドルの金はどこへ払うのか、どういう形で払うのか。
○安藤政府委員 お答え申し上げます。 F104型戦闘機の共同生産及び経費分担に関する取りきめでございます。この両国政府の合意の内容は、交換公文によって取りきめられたのでございまするが、米国は装備、資料、役務その他の援助を提供するため七千五百万ドルを提供するということがうたってございます。この七千五百万ドルは、結局向こうの購入代金のために、米国政府が向こうの会社に払ってくれるわけでございます。
○淡谷委員 これは防衛庁長官にお聞きしたいのですが、あなたは赤城防衛庁長官の発言に対して責任は持たれるでしょうな。長官がかわったのだから知らぬと言われては困る。これも正式な発言ですから、その点をまず確かめておきたい。
○藤枝国務大臣 今のお尋ねは、七千五百万ドルについてでございましょうか。
○淡谷委員 そうです。
○藤枝国務大臣 七千五百万ドルにつきましては、ただいま外務省からお答えいたしたような内容で、米国政府が支払うことになっております。
○淡谷委員 実はこの国庫債務負担行為を組みます予算委員会の質問、しかも私の質問に答えまして、その当時の赤城防衛庁長官は、その七千五百万ドルは金で日本へよこすことになっておりますと答えています。金で日本へ払う場合と、アメリカの会社へ負担金分として払う場合と、これは予算の措置上大へん違ってくると思います。これは、一つ大蔵大臣いかがでございますか。金で日本へ入った場合と、この負担金がそのままアメリカの会社に払われた場合と、予算措置上違いがございますか、ございませんか。
○藤枝国務大臣 赤城長官の時代の答弁の内容を、私うかつに存じておりませんのですが、この七千五百万ドルにつきましてのアメリカと日本との協定につきましては、先ほど外務省からお答えいたしましたように、これは日本政府に支払われるのではなくて、エンジン等につきましては米国政府が調達して、日本政府に供与するのであります。残余の分につきましては、日本政府の契約業者である新三菱重工と米国の納入業者であるロッキードとの契約に基づいて、そのロッキード会社に支払われるものでございます。従いまして、日本政府の予算には計上されないわけでございます。
○淡谷委員 私は、防衛庁の膨大な予算を組む場合に、予算委員会における答弁で、その場のがれの答弁をされたのでは迷惑千万だと思う。あなた御存じないと申しますが、ちゃんとここに速記録があるんですよ。赤城防衛庁長官は、これははっきり金で日本へ払うと言っておる。それがあなたの答弁を聞きますと、今度はロッキード社へ払うのだと言っておる。それでは、われわれは二年間だまされておった。こんな行き違いは大きな問題です。これははっきり答弁を統一してもらいたい。長官がかわれば何でもできるのだ、これではしょうがない。国庫債務負担行為は、これから四年続きます。その場合、長官がかわるたびごとに答弁が変わるようでは、予算の審議はできない。
○藤枝国務大臣 私、うかつでその赤城長官時代の答弁を詳細承知いたしておりませんので、あれでございますが、おそらく金で支払われるということは、米国政府が物品を調達して、それを日本へ渡すというのではなくて、ロッキードが新三菱重工に納入する品物につきまして、その代金を支払うということではないかと思いますけれども、いずれにいたしましても、御決議をいただきましたこのロッキード104の予算につきましては、七千五百万ドルは含まない数字で御決議をいただいておるわけでございます。
○淡谷委員 そうした決議をした、決定をした覚えはわれわれにはない。この速記録はごらんになればわかりますが、三十五年二月二十二日の予算委員会の会議録に載っております。即刻お調べになって、その食い違いを統一してもらいたい。もし何でしたら読みますがね。これは七ページにあります。「七千五百万ドルというのは、アメリカの政府がロッキード支社に払うのですか、あるいは日本の方へよこすのですか、どっちです。」という私の質問に対して、赤城国務大臣は「その七千五百万ドルは金で日本の方へよこす、こういうことになっております。」これだけの答弁です。一点疑う余地はないじゃないですか。
○藤枝国務大臣 ただいまお読みになりましたようなことでございましたら、それは何か赤城長官のときのお思い違いではないかと思います。初めから七千五百万ドルは日本へ直接支払われるのではなくて、先ほど外務省から答弁申し上げたような形式で支払われるのが、事実でございます。
○淡谷委員 この七千五百万ドルは、思い違いで済ますわけには参りません。われわれはかかる決定を聞く場合、七千五百万ドルが日本へ入ったのか、ロッキードへ払われたのか、それによって積算の基礎が違ってくる。四億円なんというごまかしの値段では承知できない。これははっきりこの違いを統一してもらいたい。
○藤枝国務大臣 予算委員会での赤城長官のお答えは、あるいは十分意を尽してなかったかもしれませんが、ただいま調査いたしたところによりますと、その当時の予算分科会におきまして、私がお答え申し上げましたような趣旨を十分にお答えしておると存じております。
○淡谷委員 分科会でどうお答えになっておりましょうが、本委員会でその分科会の意思が伝わっていない。この答弁は本委員会ではっきり出された答弁なんです。これによって、四億三千何百万円といったようなロッキードの価格が膨大にふくれ上がるのです。むしろこれじゃごまかしです。私は、単なる思い違いとか、あとで直しましたとか、こんな無責任な答弁では満足できません。
○藤枝国務大臣 先ほど二百機の平均で百十二万ドルと申し上げましたのには、この七千五百万ドルは入っておりまするけれども、その支払いの形式は、先ほど来答弁申し上げたようなことでございます。従いまして、このF104の単価について、それがあるなしによって変更があるわけではございません。
○淡谷委員 藤枝長官、あなたがそういう答弁をされたら大へんなことになりますよ。百十二万ドルの積算がこれに合いますか。合わないですよ。これはゆっくりお調べ下さい、これは今後長く続く問題ですから。この食い違いを直しませんと審議が進まないのです。
○山村委員長 防衛庁に申し上げますが、今淡谷君から、ゆっくり調べてはっきりした答弁をしろという御要求でございまするから、その問題につきましては、一つはっきり納得のいくような答弁の御用意を願います。
○淡谷委員 その答弁がなければ進みません。
○山村委員長 あなたは話が進まないのですか。休憩しますか。
○淡谷委員 しばらく休憩を願います、このままで休憩でかまいませんから。これじゃ単価の話ができないのです。
○山村委員長 このまま……。ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○山村委員長 速記を始めて下さい。 それじゃ、暫時休憩いたします。 午前十時五十二分休憩 ————◇————— 午後一時五十一分開議
○山村委員長 それでは、休憩前に引き続き会議を開きます。 昭和三十七年度総予算に対する質疑を続行いたします。淡谷悠藏君。
○淡谷委員 午前中の私の質問に対する藤枝防衛庁長官の答弁が、一昨年の本委員会における、当時の赤城防衛庁長官の答弁と、はなはだしく食い違いをしておりましたことに対する答弁が、おくれたまま休憩に入りましたが、休憩中、理事会の申し合わせもございますので、私の質問は明日に保留したいと思います。
○山村委員長 それでは、長谷川保君。
○長谷川(保)委員 先般の池田首相の施政方針演説を見ると、社会保障の前進について、政府は引き続き低所得層対策と医療保障の充実を中心として、一そうの伸展をはかることにいたしましたというように、医療保障と社会保障については重点的に施策をする、こういうように言われておるのでありますけれども、その後予算を拝見いたし、またその後のいろいろな事情を拝見いたしておりますと、どうもそうおっしゃいますけれども、事実はそういうようになっておらぬではないかというように感ずるのであります。 まず医療問題でございますが、新聞等の報ずるところによると、先般来、臨時医療報酬調査会法案の提出について、また一方では中央医療協議会に参加する、参加しないというようなことで、政府、日本医師会、保険の支払い側、こういうようなところで非常に混乱が起きている。また、昨年われわれが非常に心配しました、日本医療制度の危機が感ぜられるのであります。まず最近のその実情は一体どうなっておるか、国民も心配しておりますから、お伺いをいたしたいと思うのであります。
○灘尾国務大臣 お答えいたします。 医療問題につきましては、年来むずかしい問題となってきておるわけでございます。いろいろ御心配もおかけいたしておると存ずる次第であります。その点は担当大臣といたしまして、まことに恐縮いたしておるところでございます。 御承知のように、昨年医療報酬の問題をめぐりまして、療養担当者側の要望に対しまして、十分な引き上げというようなことが行なわれないということで、かなりの騒ぎになりまして、昨年の夏、あたかも私が厚生大臣に就任いたしました当時、保険医総辞退というような、まことに望ましからざる形勢となって参ったのでございます。この保険医総辞退という問題は、幸いにしてこれを回避することができたことは、御承知の通りでございます。その後、やはり保険に関係いたしております政府、あるいは支払い者側と申しますか、保険者、被保険者の側、あるいは療養担当者側との関係が、従来のごとき状態ではまことに申しわけのないことと存じましたので、関係者の諸君をお招きいたしまして、懇談会というような形で、いろいろお話し合いもいたしてみたわけでございます。その結果といたしましては、ある程度の了解事項もできましたようなことで、幸いにして空気が若干好転する曙光が見えたかと存じておりましたが、前の通常国会に、御承知のように臨時医療報酬調査会法案と、それから医療協議会の改組法案というものを提案いたしまして、これが流れました。前回の臨時国会におきまして、本来ならば両方とも合わせて提案するのが筋であると考えましたけれども、諸般の関係から、急ぐ方から先にというようなつもりで、医療協議会の改組法案を提案いたしたわけでございます。その改組法案が、諮問機関である社会保障審議会の答申と違っている、あるいは国会で修正を受けた、こういうようなことで、支払い側の諸君がこれに対して大いに不満の意を表せられまして、せっかく御協力のもとに改組法案は成立いたしましたけれども、これがまだなかなか正式に発足するところまで至っていない。私といたしましてはまことに残念に存じておりますけれども、何とか理解と協力を得て、すみやかに発足したいと思って、目下なお努力をいたしておるような状況でございます。そのまた不満の一つに、臨時医療報酬調査会法をなぜかけなかったか、こういうような声もありましたが、これは政府の見解でもって処理すべきことであろうと私は考えるのであります。臨時国会においては、これをかけるだけの準備と時間がなかったと申し上げてもいいかと思いますが、今回の通常国会にはぜひこれを提案いたしまして、皆様方の御審議をわずらわしたい、かような考えのもとに準備を進めておるところでございます。これに対しましては、医師会側は反対の意向を持っておられるようでありますが、しかし私どもとしましては、今後の適正な医療報酬を定めていきます上において、臨時医療報酬調査会のような構想というものは、きわめて有益であると考えますので、多少の反対がありましてもこれを提案し、さらにまた国会の審議を通じて皆様方の御理解を得たい、こういうつもりでこれはやっておるようなわけであります。近く提案いたしたいと存じております。
○長谷川(保)委員 一応の表面的な事情は伺ったのでありますが、しかし、なかなか困難な事態のように外部から拝見をしておるのであります。厚生大臣といたしまして、この解決の見通し、また対策等について、どうお考えになっているか伺いたい。
○灘尾国務大臣 お話にもありましたように、この医療保険をめぐる空気というものはなかなかむずかしいのでございます。私も解決が容易であるとは決して存じておりません。ただ、医療協議会法案がすでに国会の議を経て成立しておるにもかかわらず、これに対して不平であるとか不満であるとかということで御協力願えないということは、いかにも残念に思うのであります。さりとて、最も密接な関係にあるべき支払い側の諸君の気持というものを全然無視して物事をするということも実際的でない、かように考えますので、時間がかかりましてまことに恐縮でございますけれども、私としましては誠意を尽くして、この諸君の理解と納得を得たいというつもりで努力いたしておるところでございます。 また、医療報酬調査会につきましても、いろいろ御意見はございますけれども、われわれとしましてさらにその理解を深めていく努力はもちろんなすべきであります。国会の御審議を通じまして、いわゆる誤解というふうな面はおそらく解消すると存じます。それほど無理な提案をするつもりではございませんので、これはでき上がりますれば、御協力願えるものと期待いたしておるようなわけでございます。
○長谷川(保)委員 大臣のお答えを聞きましても、何か見通しが立たぬように伺うのでありますけれども、この際一つ伺っておきたいことは、今度日本医師会が反対しております根拠として、伝えられるところによりますと、この前の、昨年の混乱のとき、混乱を収拾するにあたって、自民党三役に一任をしたという形になったように記憶をいたしておる。そのときに、一任をいたしますについての医師会側の条件は、自由経済社会の診療報酬制度の確立、そういう立場でこの問題を解決するのだ、こういうように条件をつけたようであります。そのように伺っておるのであります。これに対して今度の調査会法案は違反する、こういうように言っておるように伺うのでありますが、この自由経済社会の診療報酬制度の確立という——昨年自民党の三役にまかせたという措置、解決、そして保険医の総辞退を一応食いとめたという、この自由経済社会の診療報酬制度の確立という意味、この意味はどういうことでやったのか、官房長官に一つ伺いたい。
○灘尾国務大臣 官房長官へのお尋ねでございますが、この問題に直接関与いたしましたのは私でございますので、一応私から当時の事情をお答え申し上げたいと存じます。 この保険医の総辞退の問題につきましては、当時の状況といたしましては、厚生省と医師会と直接話をするような状態ではなかったわけでございます。そこで、自民党の方でいろいろごあっせんを願いましたようなわけでございますが、時日が経過いたしまして、八月一日から総辞退をしようという段階において、七月三十一日に、自民党の方から私にもたらされましたものは、今お話のありました四つばかりの大きな項目があったわけでございます。その項目について、厚生大臣はこれをのむかのまぬかといいますから、了承するかしないかということでございましたので、私は、当時の事態の上から申しまして、これでもって解決がつくならきわめて望ましいことと存じまして、その四項目について了承いたしたわけであります。その四項目は、題目といたしましては、いずれもみな重要な題目であると私は存じております。しかし、文言は御承知のようにきわめて抽象的なものでございます。いわゆる自由経済社会における診療報酬制度の確立ということは一体何であるかということについての具体的なものは、私は承知いたしておらないのであります。また、私としましても、具体的なものとして検討するのに、三分や五分で了承できるはずのものでもないわけであります。従いまして、この項目はいずれも重要な項目であるという意味においては了解いたしますけれども、特に何か具体的なとりきめであるとか、あるいは了解であるとかいうようなことではなしに、文字通りに、ただ自由経済社会における診療報酬制度の確立というふうに受け取って、重要な問題としてわれわれは今後検討し勉強すべき性質のものだという了解のもとに、私は賛成をいたしたような次第であります。
○長谷川(保)委員 どうも内容が三分や五分ではよくわからぬから、文字通りこの言葉をそのまま受け取りたというのでありますけれども、医師会がこの言葉でねらいましたのは、結局自由診療ということ、あるいは病院、診療所等の営利性を認めろ、端的にはそういうことではないですか。つまり、あまり政府の方で公共性を押しつけていく、そして診療報酬、基準診療、規格診療、こういうものを押しつけていくのに対して、自由診療をもっと認めろ、あるいは営利性をもっと認めろ、こういうことではないですか、端的に言って。
○灘尾国務大臣 その際には、この字句の内容についていろいろお互いに話し合うような状況ではなかったわけでございます。従って、具体的にどういうことを考えられてこの文句ができたかということについては、先ほど申し上げましたお答えの通りでございます。ただ、医師会の考え方といたしまして、まさか今すぐ自由診療に返れというような考え方はなさっていらっしゃらぬだろうと思います。ただ、現在の診療報酬状況が、進歩していく医学あるいは技術、こういうふうな面から見ますと、窮屈な感じは免れないと思います。そういうふうなところで、もう少し考えたらどうかというお考えもあろうかと思います。 〔委員長退席、愛知委員長代理着 席〕 また、医者と患者との関係というものはやはり自由であるべきもので、あまりそこに制限とかなんとかいうふうなことがあることは望ましくない、こういう考え方はお持ちになっていらっしゃるのではなかろうかと思うのであります。これは今後の社会保険等における診療報酬制度の最も重要な問題として、私どもも検討していかなければならぬ問題だと思いますが、直ちにこれを自由診療に返すというふうなお考えではまさかないだろうと私は思っております。
○長谷川(保)委員 私はこの間の事情を見て参りまして、結局今日の日本の医療制度、政府の医療制度に対する政策、こういう問題で、医療の公共性というものと、資本主義社会における医療の営利性というもの、こういう二つの問題の緊張関係というか、あるいはそういう関係を明確に割り切っていけない、政府の政策はそういう点できわめてあいまいで、明確さを欠くというところに私は混乱の中心の問題があると思う。そういう点で厚相はどう考えますか。
○灘尾国務大臣 ただいまのお尋ねの問題は非常に大きな問題でございます。明治以来の日本の開業医制度と申しますか、医療制度というものにつきましては、今日まであまり重要な変革はなかったように私は思うのであります。しかし、だんだんと社会医療と申しますか、医療保障関係が進んで参りまして、まがりなりにも国民皆保険というような状況にまでなってきておるわけでありますので、従来の医療制度がそっくりそのまま今日の時代に当てはまるのかどうかというふうな点は、よほど研究しなければならぬ問題だと考えます。きわめて重要な問題と私は思うのであります。軽率にかれこれ言うべきことでもないと思います。また開業医制度には開業医制度としての特色もあれば長所もあることは、十分長谷川さんの御承知の通りであります。ただ現実に社会医療が進歩して参りますと、ことにまた最近急激に医学、医術、薬の面なんかも進歩しておりますので、多少その間に、現実の診療との間にずれがある、こういう問題がございまして、しかもすべてが一つの医療保険というワクの中で規制せられるというふうな点で、かなり窮屈にも感じておられるのではなかろうかと思いますが、これらはいずれも重要な問題でございますので、政府としましても、今日の時勢に即応して、改善すべきは改善していかなければならぬと思いまして、検討いたしておるところであります。目下医療制度調査会等においても、このような問題につきましていろいろ御検討をわずらわしておるところであります。
○長谷川(保)委員 厚生大臣の諮問機関だと思うのですが、病院経営管理改善懇談会、この報告書を見て参りますと、至るところで、病院というものは営利事業でない、非営利事業とすべきだということをしきりに書いております。こういう病院懇談会の報告が出ているわけでありますけれども、やはり病院というものは非営利事業としてやっていくべきだ、こういうように大臣お考えになりますか。
○灘尾国務大臣 公の病院と私立の病院、診療所との間には、それぞれ長所もあればまた短所もあるのではなかろうかと思うわけであります。全体の医療機関の整備の問題としまして、これをどういうふうにやっていくかというところが、むしろ現実的に考えなければならぬ問題ではないか。私は一がいに、病院はすべて非営利でなくてはならぬとか、公的なものでなくてはならぬというふうには、まだ割り切るところまでは至っておりません。しかしこの問題は、公私いかにしてその特色を発揮するか、あるいはまたそれによって、どうすれば国民の立場において完全な医療が確保されるかというような見地において、慎重に検討すべき問題だと考えます。
○長谷川(保)委員 結局、病院は非営利事業だ、つまり公共性をあくまでも貫いていく、病院といわず診療所といわず、そういう方針を中心として考えていく、そういう点に重点を置いて考えていくということになれば、規格診療とか診療報酬規定を順守させるとかいうことになってきましょう。しかしそうなれば、病院や診療所の設備への融資という問題は、十分に国家が責任を持たなければならぬ、税金問題も同様だ、また赤字が絶対出ないようにしなければならぬということにもなってきましょう。あるいは医師等の養成に今非常に金がかかる、医者になるのは大へんだ、そういう問題についてもまた特別な配慮をしていくということをやらなければならぬ。おそらく今日の国公立の病院と同じようないき方をしなければならぬ。根本策としてはそういう方法をとらなければならぬ。もし営利的な私企業、こういう建前を主として持っていくとなれば、自由診療をやらせることを建前としなければならぬ。そういう場合には、今日の医療保険のあり方では、医療保険はつぶれてしまいますから、結局保険すべき限度を定めるか、あるいは十分な国費を保険に投入して保険財政を保っていく、こういうことをちゃんとしていかなければならぬ。問題は、一体これをどちらに重点を置くか、そういうことの方針が確立しないと、結局今日のことは解決しないと思うのです。その問題についての厚生省の態度というもの、政府の態度というものが明確になっておらぬところに、割り切れておらぬところに、今日の混乱の根本があると思う。だから、こういう問題について、もし割り切らずに、今日におけるがごとくに、私企業の形をとっております病院や診療所を経営している医者に、診療拒否は許さない、あるいは自由診療は許さない、学校医や保健所の応援をさせても、ほんのスズメの涙ほどの報酬しか出さない、刑法で罰せられれば免許証を取り上げる、こういうような態度で、さきに申しましたような、公共性を持つものとしてあります場合に当然与えるべき融資とか税金対策とか、あるいは医師の養成の問題とか、そういうようなものをほとんど何ら与えずにこういうようなことをしていけば、医師会としては、これはファッショだ、こう言うのは当然だと思うのです。私がこの問題をきょうここで取り上げましたのは、この解決をおくらせると、病院ストが再燃するぞということです。私は、原則的には、病院ストというものはやるべきものではないと思う。それは、生命の危機に立っている人間に奉仕している仕事でありますから、病院ストはやるべきじゃない。しかし今日のような状態にしておけば、病院ストはやらざるを得ないという形になってきておる。診療報酬を引き上げた、生活保護の基準を引き上げたということで、先日来の同僚諸君の質問に対しまして、総理も、また厚生大臣も大蔵大臣も、いろいろお話しになっていらっしゃいますけれども、しかし、医療に関する点を一つ考えましても、先般来診療報酬のアップをしておりますけれども、物価の騰貴と一般賃金の上昇で、診療事業に従事しております医療労働者に対する待遇の改善というものは、全部なくなっていますよ。だから病院ストが起こる。また、おそらく春闘で起こそうと計画していられると思う。当然だと思う。医療労働者の低賃金はちっとも改善されておりません。大臣はこの点どうお考えになりますか。このままでいけば、私は病院ストは起こると思う。だから、医者の保険医総辞退の問題も起こって参りましょうが、これでは病院ストも起こるぞ、この問題を至急解決することが必要であり、それには今申しました日本の自由経済社会における診療報酬制度の確立という点、つまり公共性と営利性、この問題をどう見通しをつけて割り切り、その関係を確立するかということをしない限り、これはまた大混乱になってしまう。そのときが迫っていると私は思うのです。だから、こういう点をきょうことさらに取り上げたのでありますけれども、物価のアップと一般労働賃金の引き上げで、医療労働者の低賃金というものはちっともよくなっておらぬ。結局もとのもくあみになってしまっている。また診療施設の方も経営難に陥ってしまっているというのが実態だと思う。これをどうお考えになりますか。
○灘尾国務大臣 医療関係、特に病院関係の医療に従事しておられる諸君の待遇が上等であるとは、私どももちろん考えておりません。逐次その改善ははかっていきたいと存じておるわけであります。ことに国立とか公立の面におきましては若干の改善が見られるとしましても、まだ私立の病院等におきましては、よほど改善を要する点があると思います。さような問題につきましては、もちろん十分関心を持ちまして、政府としても検討を重ねていかなければなるまいと存じております。また公共性、営利性というお話もございましたが、私は公立、私立という言葉で申し上げたのでございますが、私立といえども、医療の性質上やはり公共の利益ということを頭に置いてしっかりやりてもらわなければならぬ問題でありますだけに、その診療報酬等の問題についても、何とか適正な診療報酬が常に払えるような状態に持って参りたい、そういう方向で努力をいたしたいと存じておる次第でございます。
○長谷川(保)委員 どうも伺っておりまして、ちっとも進んでおらぬ、池田内閣の医療政策はちっとも進んでおらぬというように思えるのであります。まあ私も正直に申しまして、正直にずっと客観的に見まして、われわれ長年唱えておりました精神衛生方面での精神病患者の命令入所あるいは結核患者に対する国費による措置入院、こういうようなものは私は非常によかったと、これはほとんど立った一つほめてあげていい仕事であったと思う。他のことはほとんど、私は全く見るべきものなし、こう思う。今度予算を見まして、しみじみとそう思います。時間もありませんから端的に幾つかの問題を、数点をあげて、例をあげて、それらの点を伺ってみたいと思うのです。 まずこの間の都民の時間、朝のラジオを聞いていると、東京都の看護婦問題は大へんだということを言っておりました。私は昨年も、この問題を非常に重大な問題として御質問申し上げたのであります。今日看護婦の対策というものを見ていきますと、どうも政府は何らの対策をやっていないじゃないが。看護婦がないということは、これは医者がないと同じように、医療ができないということなんです。病気になっても看病する人がない、あるいは医者の介助をする人がないということでありまして、医療ができないということになるのであります。今日この看護婦の不足から、看護婦のスカウト、これは非常に猛烈なものです。どこの病院も困っておる。これは国立の病院付属の、あるいは大学付属の高等看護婦の養成所に行ってごらんなさい。看護婦の募集の手紙なんか教務主任がにぎっておって、絶対に本人には見せません。そしてひそかに命令が出ておって、自分の所属の親病院以外には出してはならぬ、そういうようになっている。大へんなことであります。病院をせっかく作ったけれども、開業ができないというのはたくさんあります。私の知っているある日赤病院でも、せっかく年金の還元融資を受けて、そしてりっぱな病院を作った。百五十ベッドの病院を作った。ところが開業ができない。それでやむを得ぬから今までやっておった古い建物の病院の方は、それをやめて、新しい方にその看護婦を回してやっている。これでは何にもならぬ。掛川市の病院でもそうです。せっかく作ったけれども、できないのです。そういう事態は幾らもあります。この間ある県で、精神病院の実態調査をしました。突然県会議員が来た。県庁の役人がやられたのじゃだめだからというので、県会議員が来た。そうすると、医療法もくそもあったものじゃない。全部の精神病院が、看護婦なんかめちゃくちゃです。すでに自衛隊の人と結婚をしてどこかへ行っちゃった、その看護婦までちゃんと帳簿に載っている。ある精神病院では——これはそのときの病院ではありませんが、ある精神病院では、監査に来るときだけいわば派出看護婦を頼んできて、席だけ並べておくのです。監査が終われば帰しちゃうのです。それは私はその病院を知っている。そういう実態ですよ。だから看護婦になり手がない。ところがどうも昨年、一年前のこの予算委員会の分科会で伺いますと、看護婦は二万人も余っておるという、そんなばかなことはあるはずがないと私が申し上げた。しかし、資料はしっかりしておりますから、余っておりますという。どうも厚生省では、看護婦の実態がつかめていないように私には思える。こういう点、一体二万人も余っておるというが、そんなこと絶対にないです。さすがに今度の厚生白書を見ると、厚生白書には、一万四千人くらい足りませんといっておる。足らないならば、一体看護婦増員はどういう対策を立てるか。看護婦に対する予算を見ましたけれども、何らやられていないじゃないか。何にもやられていない。一体こういうようなことで日本の医療が守られるのかどうか。これは端的に看護婦の問題を一つ、取り上げたのでありますけれども、一体厚生省は、一年に何人看護婦になって、何人やめるのか、そういうことを把握しておらぬと私は思っておる。これは絶対把握しておらぬ。看護婦になる方は調べておるかもしれませんけれども、やめる方のことはちっとも調べてない。そこにそういう大きな間違いが出てきておる。一体看護婦の不足の問題、ようやく看護婦が一万四千人も足らぬというように厚生白書に書きましたけれども、その対策を一体どうしておるのですか。どうも予算書を見ましても、ほとんど何らその対策ができておらぬ。また事実、一万四千人ばかりの不足でないと私は見ておる。昨年大体余っておるという答弁を私になさいましたけれども、一体そんなことで、この医療政策の、医療保障の前進なんてもってのほかだと思う。怠慢といわなければならぬ。この看護婦の対策をどうするんです。
○灘尾国務大臣 看護婦の問題は、おしかりをこうむりましたが、実は私としましても頭の痛い問題の一つでございます。確かに現在看護婦が不足しておるということは、率直に認めざるを得ないと私は思うのです。それをいかにして充足するかという問題でございますが、これも、御期待通りの十分なところまで行きかねておる実情でございますけれども、来年度といたしましても、すでにあります看護婦養成所が、少なくと本定員一ぱいには養成してもらいたいと考えております。それからまた養成所をわずかながらでも増設いたしまして、養成数もふやして参りたい。さらにまた幾らかでもそういう方向に向かって就学しやすいように、若干の貸費制度もやっていこう、こういうようなことで、予算にも計上して御審議をお願いするわけでございます。そのほかに、病院の管理というような問題につきましても、改善する余地はあろうかと存じます。機械設備その他につきましても、また看護婦でなくてやれるような仕事まで看護婦にやらしておる実情もあろうかと思います。そういう点、足らざるものを充足することによって、看護婦の手を省いていくというふうなことも考えなければなりません。さような点をかれこれ総合いたしまして、病院の管理指導をいたしたいと思うわけであります。根本的に考えれば、まだまだ私は問題があると思う。医療制度調査会等におきましても、この看護婦制度について根本的に検討してもらいたい、こういうことも申し上げておるようなわけであります。何さま急に間に合いませんので、この点は申しわけないと存じておりますが、気持といたしましては最も頭を痛めておる問題の一つでございますので、この点を率直に申し上げまして御了承いただきたいと思います。
○長谷川(保)委員 こまかいことは分科会に譲りますから、分科会で政策をいろいろまた教えてもらいまして、私の方もまた申し上げてみたいと思います。端的にそういう点を例として幾つか伺ってみたいと思います。 次は、保健所の職員の充足の問題。保健所の職員の充足が、三十六年の四月の厚生省の調べで、医者が五一%、歯科医師が六一%、助産婦は二三%、衛生工学指導員は二八%。一体、日本の予防環境衛生の本拠は保健所であることは、申すまでもありません。この保健所の職員の足らないということは、今日までもう何年か前から多くの同僚諸君によって追及されております。その日本の病気の予防環境衛生等々の中心になっておる、本拠になっておる第一線の働き場が、何年もここで追及をされながら、依然として今なお医者が五一%の充足、歯科医師が六一%、助産婦に至っては二三%、衛生工学指導員に対しては二八%、こういう充足でそのままほうってあるというのはどういうことです、伺いましょう。
○灘尾国務大臣 保健所の職員の充足につきましても苦慮いたしておるところであります。鋭意今充足に努めております。職員の処遇の改善の問題でありますとか、あるいは就学貸与の制度を活用いたしますとか、こういうことで充足に努めておりますが、なかなか思うように参りませんので、苦慮いたしておるところでありますが、この点につきましては、おしかりもいただきましたけれども、今後ともさらに努力を重ねて参りたいと存じます。
○長谷川(保)委員 官房長官も大蔵大臣もどうかこの実情をよく聞いておいてもらいたい。全然対策ができていません。それだから、せっかく総理大臣が施政方針で医療保障を重点施策だと言ったって、全然できておらぬ。これは大蔵省が悪いのか、厚生省が悪いのか、総理大臣が悪いのか、だれが悪いのか知りませんけれども、何年追及されたってできていない。 それじゃ、今度は精神衛生対策のことを聞きましょう。精神衛生対策が、この厚生白書で見ますと、精神障害者——病人のことですけれども、百三十万人、そのうちで、病院へ収容を要するものが四十三万、つまり三三%、病床数は九万六千八百三十、つまり約三十三個師団の精神病者がちまたにほったらかしてある。精神病者三十三個師団。それで、この厚生白書を拝見して参りますと、不思議なことに、病床の利用率は十万一千七百六十七人、一〇五・一%、病床に対してそれだけあふれている。ところが、これもある県立の精神病院をこの間調べました。そうすると、せっかく新しく作りましたりっぱな精神病院が、六〇%しか利用されておらぬ。クイズのようでありますけれども、これらをつなげて考えてみると、どうも変だなあという感じがするのです。私はその精神衛生対策が全然なされておらぬとは言いません。五年前に比べまして病床は約二倍にふえているということも承知いたしております。しかし、問題は、ほんとうに国民の医療保障を確立しよう、それを推進しようとするなら、三十三個師団の精神病者を野放しにしておく、今すぐ病院に入れなければならぬ患者を野放しにしておくという、そんなばかなことはあり得ない。そうしてこの四十三万人のすぐ病院に収容しなければならない患者に対して、約九万七千の病床がある。よく調べてみると、今申しましたような県立病院などでは、六〇%しか利用しておらぬ。ところが、全国の利用率を見ると、一〇五・一%の病床利用率です。そうすると、ここで考えられることは、一般の民間施設、私立の施設などでありますところのもの、この数字だけで全部を律するわけには参りませんけれども、さきに申しましたある県で県会議員が突然に精神病院を調べてみたら、そこは医療法もくそもあったものじゃないという扱いがなされておる。言いかえれば、患者に対してまるで獣のような扱いがされておる——と言うと、少し言い過ぎかもしれませんけれども、ほんとうの病人を扱う扱いになっておらぬということ、それでも営利的な立場に立ってどんどん仕事をやっている。そうかと思うと、一方では、おそらく、この県立病院の六〇%というのは、看護婦の不足、医療従業者の不足のために入れられないのでありましょうが、こういうことになっているのです。これらに対して一体厚生省はどういう対策をとっているか。とにかく、精神衛生対策というものはかくのごとくです。四十三万人もの病院に入れなければならぬ精神病者を野放しにしてあるというのは、一体どういうことですか。これはちっとも進んでおらないじゃありませんか。たとい進んでおるとしても、それはきわめて徐々として、わずかな、いわばごまかしの、お茶を濁しているということしかやっておらぬではないか、そう断ぜざるを得ないのだが、どうですか。
○灘尾国務大臣 精神病者の数に比較いたしまして、これを収容して保護する施設が足りないということも、率直に認めざるを得ません。政府といたしましては、決してこれをお茶を濁すとかなんとかいうつもりじゃございませんけれども、漸次その増設をはかって参るということで努力をいたしておるところでございます。できるだけすみやかに整備いたしまして、御期待に沿うようにいたしたいものと念願いたしておるような次第でございます。
○長谷川(保)委員 それでは、無医地区の対策を伺います。今日厚生白書で拝見しますと、三十五年六月の統計でありますけれども、無医地区は全国に千四百八十九地区あります。このうち、第一種無医地区といわれる、もよりの地区には医者がある、そこまで行けば医者にかかれるというもの三百八十五を除きまして、なお約千百ある。それに対して一億円の予算が組んであるようであります。私がちょっとこれを見たところでは、一般会計で一億円の対策費が組んであるようであります。一体、一千余の無医地区、その中には、特別僻地七百十一という、全くどうにも手のつけようのないところがあります。これに対して一億円、一体一地区当たり幾らになるか。そのようなことで無医地区対策をしようということは、驚くべきことである。ことに、無医地区対策で一番大事なのは、医師の確保であります。医師の確保の道がついているのかどうか。厚生白書を何回も読み返してみましたけれども、どうも無医地区に対する医師の手当というものの具体的な方策は全然ないと言って差しつかえない。全くお手あげだと言って差しつかえないと思うのであります。この無医地区対策、まず、一億円という予算それ自体が、どうにも問題にならぬと思うのでちりますけれども、千百カ所に対して一億円、そればかりではない、今の医師対策、医師をどうやって確保するのか、承りたい。そういう方策を立ててあるのかないのか。御承知のように、医師というのは、からだ一つが元手であります。だから、もしそういうような非常な山間僻地に行き、雪の日も起きなければならぬ、吹雪の日も起きて診察しなければならぬ、そういうところで、谷に落ちて死んだ、そうなれば元も子もない、そういうところに行けば、勉強もちっともできない、研究もできない、子供の教育にも方法がつかないというところから、まず医師の人身の保障、こういう問悪から始めなければ、無医地区対策はできないと私は思う。そういう対策が全然とられていないじゃないですか。何らのそういう保障を講ぜられておらない。大体、一無医地区当たりにみな医者を置くとすれば、この一億円ばかりの予算では一カ月に一万円ぐらいしか当たらない。予算的に見ましても、制度的に見ましても、この無医地区対策は全然できておらぬじゃないか、一体やっているのかやらぬのか、承りたい。
○灘尾国務大臣 僻地医療対策、いわゆる無医地区の医療対策につきましては、数年前から計画的に施設の整備に努めて参っておるわけであります。その計画といたしましては、一応来年度をもって予定せられた施設はできることになるわけでございますが、その後の事情の変化もございましょうし、さらに厚生省としましては、僻地における医療施設の整備については検討を加えまして、充実に努めて参りたいと存じております。ただ、今お話になりました医者を確保するという問題が、実は一番むずかしい問題だと思うのであります。少々給料を上げましても、それによって医者を確保するということがなかなか困難な事情にございますので、その点をどうするかというところが、私どもといたしましても検討すべき大きな問題だと思うのであります。今日もすでに行なわれておると思いますけれども、県立病院でありますとか、その他、いわゆる親元病院というようなものを考えまして、そこから医者を僻地に出す、こういう考え方も有効な方法ではないかと考えておるわけであります。かような点につきましては、従前のように、ただその村にお医者さんを雇ってくるというだけの考え方では、どうしてもむずかしい点があるように思います。いろいろ検討を行なっておるところでございます。なおまた、僻地の診療所の経営の問題がかなりむずかしいのであります。その僻地の診療所の経営について、赤字が生じておるようなものにつきましては、これに対しまして政府も援助をして参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。それから、場所によりますと、とても診療所とかいうふうなものを作るだけの条件が整っていないという場所もあろうかと存じます。そういう面につきましては、巡回診療車なり巡回診療船なり、そういうふうなものも逐次整備して参りたいと存じております。
○長谷川(保)委員 全く無策と言うほかはないのでありますが、時間もございませんから、もう一つ伺いたいと思います。 この厚生白書を見て参りますと、三十六年の五月の診療報酬の入院料のデータがございます。それによりますと、月にいたしまして、健康保険で入った者は一万四千五百五十円、生活保護で入った者は一万六千四百六十円という数字が出ております。一カ月三十日入院をいたしまして、一万四千五百五十円と一万六千四百六十円、日にいたしますと五百円である。この前も私はこのことを申し上げたのでありますけれども、一体こういうものでやっていけると思っていますか。一日五百円で泊める宿屋もない。医療をやり、看護をせよ、薬もやれ、食事もちゃんとやれ、そしてこれこれの規格の建物でなければいけませんと、えらいやかましいことを言っておる。そして一日五百円、そんなひどい話はないと思う。そういうところに日本医師会が憤慨する理由があると私は思う。これでやっていけると思っていますか。これでやっていけましょうか。やっていけるというなら、私はもう一つ申し上げる。国立病院の特別会計を見ましても、あるいは国立療養所の予算を見ましても、ともに収入と支出とを私が見てみますと、療養所の予算では、表面だけ見ていきましても二五%の赤字になっており、また、国立病院では一八%の赤字になっておる。この間、私は秋田の県立病院を拝見いたしました。秋田の県立病院を視察してみまして、私は庶務課長に、何が一番困りますかと尋ねたら、低額の軽費診療、どうやっても一 〇%の赤字になります。もし償却を見たら幾らになりますかと尋ねたら、償却を見たら二五用の赤字になります、こう言っておった。国立病院のそれははっきりしておる。県立病院のそれははっきりしておる。それでなおこういうものを押しつけていこうというところに非常な問題があると思う。全く血も涙もないというか、まじめに日本の医療に取っ組んでおらぬ。これは私は大蔵大臣はよく聞いていてもらいたい。厚生省の統計から見てそうなっておる。予算書を見てそうなっておる。これではどうにもならぬじゃないか。だから、こういう問題を私はもっと真剣に考えてもらいたい。先ほど来の問題を、日本医師会との問題あるいは支払者側との問題を考えるならば、考えていかなければならぬ。結局もっと金を出せということだ。川島さんの言い分じゃないけれども、大蔵大臣、もっと金を出せということだ。金も出さずに大きなことを言ったって、どうにもしようがない。たとえば病院等に対する医療金融公庫、ことし九十億、あるいは年金福祉事業団の予算を見ると三十五億、しかも利息は医療金融公庫でも八分、病床のごく少ないところで六分五厘、そういうところでも運営費の金は八分、しかも二年ぐらいで返せ、運営費の方は二千万円が限度だ。二千万円が限度で一体病院は何ができるか。二千万円の限度しか貸さないなんて、そんなばかなことでどうしてできるか。こういうところを見ても、全く日本の池田内閣の政治というものは、看板に偽りありということそのままだ。これでは困るじゃないですか。大蔵大臣、こういう点でどうでしょうか。一つこの予算は私どもは返上しなければならぬということになるのだが、こういうようなことを厚生省ではもっと要求したのだろうと思うのだけれども、大蔵省が多分おけりになったのでしょうが、日本の国民の人間存在の根本である生命を守るということで、こういうことに対して、ただいま私は時間の関係上わずかに五、六点をあげたのでありますけれども、池田内閣の医療政策というものはまるでなっておらぬ、全然進んでおらぬ。それが金がないならとにかく、三千三百億円も自然増収があるといっておるときに、なぜこんなことをして国民を虐待しておかなければならぬのか、その点を一つ大蔵大臣に伺いたい。
○水田国務大臣 私の方は、主管官庁の要求をもとにして予算の配賦をする役目でございます。主管官庁はまた、医療費については、中央医療協議会というものの審議を経てきめるということになっておりますので、私の方は、それが多いか少ないかじゃなくて、そういう手続のもとの査定でございますので、よろしくお願いします。
○長谷川(保)委員 時間がありませんから、こまかいことは分科会でまた質問いたします。 それじゃもう一つ、低所得階層に対する対策を重点に置いてやるのだといいますから、時間の関係上、一点だけ伺います。これはもうすでに同僚諸君からも伺ってあるのでありますけれども、生活保護の問題。この三十七年度の予算を見て参りますと、この予算によって生活扶助の基準額が変えられておる。五人世帯で、飲食物費一カ月東京都では九千六十五円、一人当たりは一千八百円、一日一人約六十円、住宅費は二千円、これが四級地、町村に参りますと、この七三%になりますから、飲食物費は五人世帯で六千六百二十七円、一人月に千五百二十円、一日約五十円、住宅費は一千四百三十円で五人が寝ろというのであります。これを見ただけで、もう低所得階層の対策というものが何であるかが暴露した。この間、二月一日の日でありましたが、御承知のように、新宿の廃品回収業者が火事で二人焼け死んだ。その朝のラジオはこう報じました。三十平方メートルのところに十数人がざこ寝をしておった、こういうのであります。まことに私は、五人で、幾ら地方でも千四百三十円——地方もこのごろは非常に借家賃が高くなりました。千四百三十円で寝ろ、どうやって寝るか。新宿の廃品回収業者の火事の場合、わずか三十平方メートルのところに十数人がざこ寝をしており、ついに二人が焼け死ぬというような事態になった。御承知のように、スラム街の子供たちは早熟です。これでは、池田さんが幾ら精神主義を説いても、道徳を説いても始まらぬじゃないですか。荒木さんが幾ら道徳教育を説いても始まらぬ。こういう問題の解決をほんとうにしなければいかぬと思う。この住宅一つを見ても、五人が寝るのに東京で二千円、地方へ行けば千四百三十円、それしか住宅費は出さぬなんという、こんなばかなことは一体考えられもしないと私は思う。飲食物費にしても同様です。これでは困るではありませんか。こういう問題を厚生大臣はどうお考えになりますか。
○灘尾国務大臣 お答えをいたします。 住宅問題は、国民全般について、今日やはり国民生活上最大の問題の一つではないかと思うのでございます。衣食の点は幾らかずつ改善をして参りましたが、まだ住宅の点につきましてさらに努力を要する点があると思います。住宅は非常に不足をしておるのが今日の状況でございます。従って、住宅をふやすという面につきましては極力努力をしなければならぬと存じております。今お尋ねの生活補助の基準についての問題でございますが、大体私ども実態から考えまして、二千円程度を基準としてまずよかろうという考え方をいたしておるわけでございます。特別な場合におきましては、さらにこれを若干引き上げて住宅費を支給するという場合も考えておりますが、いずれにいたしましても、住宅そのものが非常に不足をいたしておるのが、何よりも困った問題だと思います。
○長谷川(保)委員 どれもこれも全く何もやっておらぬということをおっしゃる以外の何ものでもない。むしろ、やっておるならば、悪いことだけやっているということしか言えないと思います。 時間がありませんから、沖繩問題に移りたいと思います。 沖繩に対する援助の予算が約十億七千万円というように拝見するのでありますが、これで十分だとお思いになるか。
○小平政府委員 本年度の予算に比べますれば、三十七年度におきましては相当の増額を見るわけでございますが、これで十分だと、別段さようには思っておりません。今後、御承知の通り、米側の援助の増加も期待されますので、それと相協力して逐次増加をいたして参りたい、かように考えております。
○長谷川(保)委員 沖繩側では六十六億円くらいを要求なさったように、よそからちょっと伺った。そういうことは事実であるかどうか存じませんけれども、しかし、アメリカ側が、施政権の介入のおそれがあるといって拒否したとも聞いているのであります。また、アメリカ側からはプライス法による援助もあるようにも聞いておりますけれども、それらは一体幾らあるのか。また、実際アメリカ側が、これ以上の援助は施政権の介入のおそれがあるというように拒否した事実があるのか。沖繩はやはり六十六億円くらいを要求したというのはほんとうなのであるか、承りたい。もし、それにもかかわらず、十億七千万円しか出せなかったというなら、その理由を承りたい。
○小平政府委員 元来、沖繩に対しまする援助は、琉球側と現地のアメリカ側で打ち合わせをいたしまして、正式に外務省を通じてわが国に協力を求めてくる、こういうルートが正式のルートでございます。そこで、琉球政府、あるいは琉球の政党と申しますか、琉球自民党等におきましては、大体五十億程度の事業をやりたい、その援助を望むといった話があったようでございまして、われわれの方にも非公式にはそういう話がございましたことも事実でございますが、これは決して正式の話ではないわけであります。そこで、現地における米側と琉球政府との話し合いの結果、米側から九億六千万円程度の日本側の援助の要請をいたして参ったのでありますが、日本側におきましては、その項目について、あるいは金額等について検討をいたしまして、さらに数次の米側との交渉によりまして、最後の決定が十億余になった、こういう事情でございまして、その間、別段これによってわが方の関与が多くなるといったようなことは何ら触れておりません。
○長谷川(保)委員 私も沖繩へ三回ばかり寄ったことがありまして、一番あとは、昨年の夏、飛行機の不時着を利用いたしまして、わずかな間でありましたが、一日沖繩を大急ぎで見て歩いたのでありますけれども、沖繩の状況から見て、今回の沖繩の援助費の総額の内訳をずっと見ていくと、こんなことではとてもだめだ、これは日本国民に対してこんなことではどうにもならぬじゃないかという感じがするのであります。 〔愛知委員長代理退席、委員長着 席〕 今沖繩問題がようやく重大問題化参りまして、本土のわれわれ国民は十分に沖繩のことを知りたい。今までほとんど知られておりません。そこで、きょうは、沖繩のわれわれの同胞、苦しみ抜いて参りました沖繩同胞の生活の実情をこまかに政府から承りたいと思うのであります。 まず、沖繩の社会保障制度はどうなっているのか、時間がありませんから、端的にずばり事実をおっしゃっていただきたいのであります。
○小平政府委員 沖繩における社会保障の制度でございますが、現在のところは、生活保護法、失業保険法、児童福祉法、身体障害者福祉法等は施行を見ておりますが、もちろん、その内容は十分でないようであります。しかし、まだ健康保険あるいは国民年金、労災保険等は実施されておりません。
○長谷川(保)委員 本土の方と比べて、健保、労災もないとおっしゃいましたね。そうすると、結局、出産、傷病、廃疾、老齢、死亡、これらに対する保障は全然できておらぬのですか。
○小平政府委員 先ほど申しました通り、生活保護法あるいは児童福祉法、身体障害者福祉法等が施行されておりますし、また、貧困家庭に対します世帯更生資金の貸付制度、これらは行なわれておるようでございます。
○長谷川(保)委員 扶助基準は幾らになっておりますか。また、扶助基準には、勤労控除その他のものがありますか。日本の生活扶助にありますようなそういうものはありますか。あるいはまた、生活保護法があると言われたのですが、それは義務経費主義になっておりますか。
○大竹政府委員 生活保護法の問題でございますけれども、内地の場合、千人に対して約五人程度の適用率だと思います。沖繩の場合におきましては十七人でございますが、内地よりも生活基準がだいぶ低いものが多いということでございます。生活保護の内容につきましては、詳細はわかりませんが、大体内地と同じでございます。ただ、金額的には若干内地の場合よりも低く実施されておるということになっております。
○長谷川(保)委員 端的に言って、幾らですか。
○大竹政府委員 ちょっと数字はわかりません。
○長谷川(保)委員 そういう点はよく調べておいてもらいたいと思う。そうしなければ、せっかくこの予算の中から十億七千万円出しても、実際にどうそれが行なわれるのかということがよくわからぬ。それが適当であるかどうかということはわからぬのであります。そういうことを十分調べて、分科会に一つ出してもらいたい。 結核患者や精神病患者、あるいはライ患者に対する対策はどうなっていますか。
○大竹政府委員 結核の病院を申し上げますが、政府立の病院が五つでございまして、ベッド数が五百四十、ライ療養所は二つございまして、ベッド数が一千三百、こういうふうになっております。医療保険がございませんので、政府立のものが主になっております。
○長谷川(保)委員 内地と比べまして問題にならない事態になっていると思うのです。 それでは、今度は、軍川地と軍用地以外の土地のパーセンテージはどうなっておりますか。
○大竹政府委員 大体の数字でございますが、軍用地は三万町歩でございます。全沖繩の面積に比べまして大体一割三分という見当でございます。
○長谷川(保)委員 私は、今沖繩問題が非常に重大化してきておる、だから、国民は沖繩の状態がどうなっているかということを知りたいと思うのです。(発言する者あり)だから、この予算委員会の席を通して、沖繩の状態がどうなっておるか、従ってまた、日本国民として沖繩に対して何をなさねばならないかということを国民諸君に知っていただきたい。そのために私は実情を伺っているわけでありますから、そこでどなたか、資料を要求したらと言っておりましたが、そういうことではなしに、この席を通して日本の国民に、沖繩の同胞がどういう生活をしておるか、実態を明らかにさしてもらいたい、こういうことでございますから、御了承いただきたいと思います。 軍用地に非常にたくさんの土地を取られておりますために、住居地帯というものが非常に小さくなってきておる。基地の周辺か山の中にしか住めない。一平方キロ四百三十三人という、世界最高の人口綱密の率になっておるということでありますが、さようでありましょうか。
○大竹政府委員 お話の通りでございます。
○長谷川(保)委員 そこでやむなく軍用地の中に住んでおる。軍用地の三 〇%が黙認耕作地となって、危険な軍用地の中に沖繩の同胞がたくさん住んでおるということでありますが、事実そうでしょうか。
○大竹政府委員 黙認耕作地と申しますのは、軍が一たん接収して、現に接収しておる土地でございますが、その中で引き続いて住民の耕作を認めておるという地域でございます。必ずしも演習場のまん中というものばかりではございませんので、場合によりますとお説のような地域も若干あろうかと考えます。
○長谷川(保)委員 この軍用地の中の黙認耕作地帯ではいろいろ大へんなことが起こっておるように伺って、心配しておるのでありますが、たとえば伊江島と申しますか、昨年の五月、アメリカ軍が、通信のじゃまになるというので、防風林の伐採を命令した。ところが、沖繩では、あの台風常襲地帯であり、もう普通の作物ではどうしようもないから、台風が来てもいいためにイモを作るのは、御承知の通りであります。そういうようなところで防風林を切られるということは、もうこれは人間として住めない、生活ができないという事態になるのであります。そういうようなことを命令せられ、あるいは建築の中止を命ぜられた、あるいはラジオの聴取の禁止さえも命令されたというが、こういうようなことが実際に行なわれているのでしょうか。
○大竹政府委員 伊江島の問題でございますが、軍用地に接収された地域でございまして、最初五軒ほど人家があったわけでございます。今日ふえまして、報告によりますと、四十一軒ほどになっておるそうであります。アメリカが使用しておる土地でございますが、アメリカの了解を得て新しく家を作ったというのはほとんどないわけでございまして、大部分が自然の間に住みついたということでございます。ちぱうどこの施設の中にはアメリカの通信施設がある模様でございまして、この通信施設の通信の妨げになるということで、ただいまお話のようなことがあった模様でございます。私ども受けております報告によりますと、四十二戸に対してアメリカ側が立ちのいてくれぬかという話を持ちかけた、その際に、代替地は十分心配する、あるいは補償も行なおう、いろいろ私どもといたしまして常識的に考えて、立ちのかざるを得ないものであるならば、その程度の条件は非常に右利ではないかというふうに思われるような条件を示して交渉しておるということでございます。その後、この話はまだ了解が十分いきませんで、そのままになっておるというふうに聞いております。
○長谷川(保)委員 私の聞いておるところでは、たとえば昨年の十一月、伊江島のキジャカ部落の立ちのき命令では、これは補償は一切されない、無補償だということでありますが、事実はどうでありますか。
○大竹政府委員 この問題につきましては私ども十分報告を受けておりませんが、ただいまも申しましたように、補償は十分するという話は出ておるということでございます。
○長谷川(保)委員 こういう中でありますから、非常に危険な事態がいろいろ起こっているようであります。今のような問題も、沖繩住民はわれわれの同胞でありますから、どうか連絡事務所では一つ十分にお調べをいただきたいと思う。ことに私は人身の被害の問題を重要視しなければならぬと思うのでありますけれども、同じ伊江島で平安山良福君という青年が、一年前に、いつもならばもう演習が終わっているので、水くみ場に——水くみに行ったのか、どうかよくわからないのでありますけれども、演習がいつもなら終わっているので、そこへ行ったところが、いきなり飛行機が出てきて爆弾を落として、死んだ。ところが、その後調べましたところが、これはアメリカ軍には何らの責任がないということで、補償されていない。あるいはまた、約一年前に、沖繩の南端の方の村で、道路の付近で木を切っていた七十三才の農夫が、狩猟中の米兵に十四メートルの至近距離で射殺された。これは鳥と間違えて撃ったんだということで、この米兵は無罪になったというような事件が報道されておるのであります。また、そのほかにも、老婆がイノシシと間違えられて殺されて補償を受けないというようなこともあるようであります。また、殺した人は罰を受けないというようなことがあるようであります。こういうような事件が次々に起こっているように見えますけれども、どうでございますか、実際にそういうことはあるのですか。
○大竹政府委員 相当多数の軍人軍属がおるわけでございまして、また演習なども絶えずやっておる模様でございますから、お話のようなことはときどき報道されるわけでございます。しかし、必ずしもそういう場合に切り捨てごめんの無補償というふうに私どもは承知はいたしておりません。ごく最近も、沖繩の中部地区に航空機が墜落して若干の死傷が出ました。在日米軍からもさっそく見舞に行き、現地の人たちもみなかけつけたようでございまして、それぞれしかるべき補償をやっておるというふうに聞いております。
○長谷川(保)委員 軍の演習のためにもまた非常に危険がある。たとえば、やはり伊江島の真謝部落内に数多くのたまが落ちた。最近、五年間にその部落、だけでもおよそ八十発のたまが落ちた。米軍第三海軍師団が金武海岸で上陸演習をして、障害物除去のため爆破作業を行なった。その間、付近にある精神病院や保養院では連日窓ガラスが割れ、特に九月の二十七日——昨年の九月二十七日でありますが、夕刻の爆破のときは、精神病院の窓ガラスが五十二枚、保養院の窓ガラスは三十二枚割れた。壁には亀裂が入る、患者のベッドにも窓ガラスの破片が飛び散ってくるというような事態である。飛行機の爆音による被害もはなはだしい。嘉手納小学校における九月十八日から十五日に至る間の実態調査によると、九月十八日は九十フォン前後の音響が、午前八時三十七分から午後三時四十九分までに四十八回、同十九日には午前八時十三分から午後三時五十五分までに四十四回、二十日には午前八時三十分から午後四時二十分まで三十七回、二十二口には午前八時十八分から午後三時五十六分まで四十九回、二十五日には午前八時三十三分から午後三時五十五分までに四十九回、こういうように調査書が出ておりますけれども、こういうことはみなほんとうでございましょうか。
○大竹政府委員 ただいまお話しございました一々の事実をすべて承知はいたしておりません。演習によりまして若干の被害が出ておりますことは、ただいま航空機の事故でも申し上げた通りでございます。そのほか、ナイキの発射演習中にその破片が落ちて野原が燃えたとか、あるいは、ただいまお話にありましたような、航空機の騒音によりまして学校の児童が非常に困っておるというふうなことは、実際あったように聞いております。
○長谷川(保)委員 先ほど土地の接収の話もちょっと出たのでありますけれども、こういうのがある。これはおととしの八月の事件でありますが、同じ伊江村の農民が、六千坪の土地を接収されて、前渡金として千百ドル、税金を差し引いて手取り九百ドル、三十二万円、そして演習地とされて立ちのかされた。これは賃借権という名前でするわけでありますが、しかし、それは事実はこういうことであります。いかなる期間の制限もつけず、合衆国が欲する期間、土地の上空、地下及び地上並びに当該土地の地上物件の完全かつ独占的使用、占有、これが賃借権の条件であります。こういう金で六千坪の土地を取られてしまった。この人はあと食うに困っているようでありますが、こういうふうに実際なっているのかどうか、その点承りたい。
○大竹政府委員 土地収用の問題でございますけれども、これは御案内のように、昭和三十二、三年ごろにかけまして、沖繩現地といたしましては非常な問題であったわけであります。日本の外務省もアメリカといろいろ話し合ったわけでございますけれども、その際にアメリカ側並びに沖繩側の代表が集まりまして、相互に得心のいく形の方式をとろうではないかということで、今日の土地接収の方針がきまっておるわけであります。ただいまお話しになりましたような長期間の賃借権というのもございます。また、比較的短期間の、五年を限った賃借権というふうなものもあります。しかし、これはいずれにいたしましても賃借権であって、土地を譲り渡したものではないということが、出時から相互に了解されておったと思うのであります。また、賃借料の基準につきましても、ちょうど内地におきます所得補償方式と申しますか、そういう計算方式に従いまして、相互に納得のいくものを作って、その後はその方式によって実施しておるというふうに私承知いたしております。
○長谷川(保)委員 今のような賃借権の条件だと、これは全く取られたも同じじゃありませんか。全く取られた。しかも、確かにおっしゃるように、一度接収して解放されている土地もあります。五九年から六一年二月までの統計で、百八十五万坪解除された。しかし、その解放されました土地は、たとえば飛行場のコンクリートでどうにもならぬ、どうにも使えないという土地が非常に多いようであります。コンクリートで固められてどうにもならぬというのが解放されている。しかもまた、この同じ期間に新規接収として千百三十万坪取られておる。今なお沖繩の同胞たちはこういうようなことで戦々きょうきょうとしているということになるのであります。こういうことは事実でありましょうか。
○大竹政府委員 アメリカ側が土地をもとに返します場合に、復元して返すべきである、復元の補償をすべきである、これはただいま土地収用の基礎になっております布令の二十号というのにそういうようになっておるわけであります。しかし一部におきましては、飛行場の返還などの際にコンクリートが非常に厚く打ち込んであったというふうな話は聞いております。
○山村委員長 長谷川君、あと時間が三分くらいでございますから……。
○長谷川(保)委員 まだいろいろ伺いたいのでありますけれども、時間が少ないそうでありますから、少しはしょってお話を承りたいと思います。 まず沖繩住民の自治権の制限がどういうふうにされているかということを聞きたいのでありますが、行政主席の任命制というようなことはわれわれも知っておるのでありますけれども、立法院の立法に対して高等弁務官が拒否権を持っておるというように伺っております。また公務外における米軍人、軍属の犯罪に対する捜査権というようなものは一体琉球政府にあるのかないのか。あるいは出版の自由はどうなっておるのか。今日政党の機関紙が依然として発行が不許可になっておるのか。また布令第百四十四号、刑法並びに訴訟手続法典というのでありますけれども、この布令百四十四号につきましては、占領下の軍刑法的な処罰規定であるといわれておるが、これは実際どうなのか。布令百四十七号、琉球住民の日本旅行管理及び日本国民の沖繩渡航の自由、こういうことにつきましては、たとえば百四十七号では補助申請書というものがあって思想調査をしているというが、そういうことが行なわれているかどうか。布令第百四十五号の労働組合の認定手続の問題でありますが、これは労働基準権を剥奪しているものであり、思想調査をしているものだと考えられておるが、その点は事実はどうなのか。布令第百十六号、琉球人被用者に対する労働基準及び労働関係令によって沖繩人民は米国政府に対する忠誠宣誓をさせられ、団交権、争議権を剥奪されて、特別な処罰を課せられている制度になっているというが、その事実はどうなのか。また労働者は人種によって依然として差別待遇を受けておる、米国人、 フィリピン人、沖繩人というように賃金の差がある、こういうようなことをいわれておるが、これらの点はみな事実であるかどうか承りたい。
○大竹政府委員 最初に拒否権の実態でございますが、琉球政府の立法に対しまして高等弁務官は拒否権を持っております。ここ数年の間に大体三十件ほど拒否権を発動したというケースがあったと承知いたしております。特に多かったのが二、三年前でございまして、一年の間に十件ほどの拒否を受けたということもあったようでございます。最近は非常に少なくなりまして、去年、おととしと大体一件ずつ程度、大体琉球側の自治権にだんだんまかしていこうという考えのように私どもは受け取っております。 次に出版の問題でございますが、政党機関紙が出版許可にならなかったということでございます。これはいろいろ争いもございましたが、最近裁判が決着いたしまして、その結果、出版されることになっております。今日まで出版許可制にはなっておりますが、許可されなかったという実例は聞いておりません。 沖繩側の警察官の逮捕権の問題でございます。公務外の軍人に対して逮捕権等を持っておるかということでございますが、現行犯の場合におきましては、警察官に逮捕権が認められておるということでございます。 それから旅行管理の問題で、補助申請書を出させて思想調査をするということでございます。沖繩からこちらに来ますためには手続が要り、許可が要るわけでございますが、その際に、一般に補助申請書というふうに呼ばれております書類を出す必要があるという規定になっておることは事実でございます。その中に所属の団体というふうなものを書き込まなければならぬということになっておることは事実でございます。 次に、労働組合が承認制になっているのはどういうことかということでございます。これは最近まで承認制になっておりましたけれども、ごく最近承認制を廃しまして、内地の労働組合と同様な条件で組合の結成ができるということに改正になりました。 次に、軍雇用の労働者に対しまして、アメリカに対して忠誠義務を誓わしておる。そのほか軍の雇用労働者に対してはいろいろ制限があるが、どういうことかということでございます。これは、従来お説のように民間労働者と差別いたしまして、軍の労働者には特別の労働法を適用いたしております。最近私どもの聞くところによりますと、この労働法の改廃を高等弁務官が考えておるということを聞いております。 その次に、人種によりまして賃金に差別があるという事実がありはせぬかということでございました。差別と申して、どういうことをどういうふうに判断していいのかちょっと私も迷うわけでございますが、同じような事務に従いましても、人種によって差別があると申しますか、概して沖繩の人たちの賃金は低いと申しますか、内地から行った人よりも低いという場合があるいは多いのではないかというように思います。
○長谷川(保)委員 時間がないから簡単に一、二問。そうすると、大体私が申し上げたようなことは、今までの質問でほとんど事実だということがわかった。こうなって、もう一度これを振り返ってみますと、これでは植民地じゃないか、植民地以外の何ものであるかということになり、われわれはこの中で苦しむ同胞たちを救わなければならぬ、解放せねばならぬという決意を持たざるを得ないと思います。このごろの外務委員会及び当委員会の質問応答において、外務大臣は、これは植民地じゃないとおっしゃっておりますけれども、今伺って参りましたところを見れば、これは植民地と断ぜざるを得ないと思うが、外務大臣はこれでもなお植民地でないとおっしゃるのでありますか、伺いたい。
○小坂国務大臣 植民地ではないと存じます。植民地は、ある一民族が他民族を征服し、支配し、そして搾取する、こういうことが国連の決議になっているわけでございます。今の状況では、軍政下の特殊事態で、漸次改善すべきところは改善しつつある、こういうふうに説明を聞いてうかがったわけでございまして、沖繩の住民、わが同胞は、アメリカによって搾取されておるというふうには私には思えません。
○長谷川(保)委員 搾取されておらないということは実に変なことだと思います。時間がありませんから私は聞きませんけれども、これらのことは、世界人権宣言から申しましても、国連憲章から申しましても——ここで今条文を一々引いて見せてあげたいけれども、時間がありませんからやりませんが、この国連憲章にも、世界人権宣言にも、ことごとく違反している。あなたが搾取がないというなら、搾取している事実を申し上げましょう。 まず軍事的植民地という意味での搾取、島の住民が一番利用する大部分の土地を武力で取り上げて占拠して、生活の基盤である土地を不当に安い賃借料で期限なしに占拠して、なお搾取でないと言うのか。また、経済面の搾取の実例を申しましょう。たとえば米民政府が琉球銀行の株の五一%を所有して、全沖繩の金融支配権を握っておる。高金利で利潤を得て、しかもこの銀行の理事長兼総裁は民政官により任命され、この民政官の意思に基づいて服務するというように条例で規定し、株主へは年十六割余の利率で配当し、さらに電力、水道など生命を左右する基幹企業を掌握して、収益を上げ、外国資本には特別利益や便宜を与えている。こういう事実があるのに、これでもなお搾取でないと言われるのか、承りたい。
○小坂国務大臣 今申し上げましたように、いろいろ軍政下の不行き届きの点はあると私も思うのであります。さるがゆえに、われわれはアメリカと共同して、沖繩におけるわが同胞の生活、社会上の福祉の向上に努めるということを考えまして、予算で昨年の倍額のものをお願いしておるようなわけでございます。全体の生活の状況でございまするが、三次産業が多いわけです。ですから一律に比較しにくい点もございますけれども、年率八%くらいずつ所得が伸びてきておる。大体わが国の県並みの所得水準まで持っていきたい、こう思って努力しているわけでございますが、総理府で調べていただいたところによりますと、まあ八割程度の所得ではないか、こういうのでございますから、われわれ努力して、わが内地並みの所得水準に持っていくというふうにいたしたいと考えておるわけでございます。
○長谷川(保)委員 非常に不満であります。不満でありますが、時間がありませんから、もう一言、二言申し上げて終わりたいと思いますけれども、それでは端的に申し上げましょう。たとえば一九五七年の三月一日のロンドン・タイムズは、米国は、沖繩で植民地行政をやっているということを明確に申している。またライシャワー大使自身が、ハーバード大学の教授時代の著書の中で、われわれは沖繩にある軍事基地を維持するため、植民地支配を行なっているが、一方では、これと同じ重要性を持つ日本での基地は、条約による日米間の合意だけで維持している。だから沖繩の場合、ほとんど言いのがれはできない。沖繩の置かれている十九世紀的地位は、二十世紀の世界では全然通用しないことが間もなくわかるだろう、と言っているということであります。私はこの原書を読んでおりませんから、これは他の人の紹介を申し上げたのでありますけれども、しかし、ライシャワー大使自身が、このように植民地支配を行なっていると言っているじゃありませんか。それにもかかわらず、あなたがそうではないと言うのは変じゃないですか。これは世界どこでも言っている。たとえば、一九五七年十二月に開かれましたカイロのAA会議、六〇年四月コナクリのAA諸国民連帯会議、六一年一月のカイロ・ダマスカスAA婦人会議等で、沖繩問題がアルジェリア、ゴア、西イリアンなどの諸問題と同じ重要度で取り上げられて、米国が、沖繩を日本本土から切り離し、軍事的、政治的、経済的に支配していることは、新植民地主義の現われで、ここに設けられた軍事基地は、日本の独立、世界の平和、アジア・アフリカの民族運動にとっても大きな障害になっている、という点で 一致している。一体、小坂外相は、ひとりアジアの孤児となろうとするのであるか承りたい。 こういうように考えてくれば、あなたが、あそこが植民地でないと言う、そういう政治的な配慮というのはわかります。わからぬことではないけれども、明らかに植民地である。そうして何よりも重大なことは、現地の同胞が、何とかこの事態から解放してもらいたいと全沖繩の住民が一致して要求をしておるのであります。これを単にアメリカに対する政治的配慮によって無視していくというようなことは許されないと私は思うのです。この点は、良心的な大平官房長官に私は聞きたいと思うけれども、もう時間がありませんから次の機会に譲りますけれども、よもや良心的な大平長官は、植民地ではない、従ってこの間の立法院の決議は的がはずれているのだというようなことは言えないだろうと私は思うのです。すみやかにこの問題を、植民地解放宣言のこの絶好のチャンスに解放するように努力してもらいたい。 最後に伺いたいことは、その後の沖繩立法院の日本国会に対する代表の参加、この要請の決議を政府はどうするのであるか、このことを承りたいと思います。
○小坂国務大臣 まだその決議をわれ一われは受け取っておりませんけれども、この問題については、よく検討してみなければならぬと思います。ただ御承知のように、われわれ沖繩について施政権を持っておりませんから、施政権を持っておらない地帯の施政について日本の国会で議論する、そしてあることをきめるということは、やはり外交上の問題もあろうと思います。
○長谷川(保)委員 なお十分な事実をあげていろいろ追及してみたいと思うのでありますけれども、時間がありませんから、いずれ分科会等でいたします。
○山村委員長 加藤清二君。
○加藤(清)委員 国会の正常化に協力する意味におきまして、実は河野さんをお待ちしているわけなんですが、時間の関係上、質問の順序を変えまして質問を始めたいと思います。 政府の高度成長政策の失敗のおかげで、国民の中にはずいぶんこの被害をこうむっている者がたくさんございます。たとえば中小企業者、農民、労働者等々ございますが、わけても私は、金融引き締めの影響を真正面から受けました中小企業の問題について最初にお尋ねしてみたいと存じます。 一体政府は、中小企業基本法制定についてどのような考え方を持っていらっしゃいまするのか。もし今国会に提出される用意がありとするならば、その時期、内容等についてまず承りたいのでございます。
○佐藤国務大臣 中小企業基本法制定の要は私どもも痛感いたしております。政府におきましてもいろいろと準備を進めておりますが、何分にも実態把握、これは容易なことではございません。そういうことで延び延びになっております。ただいま中小企業基本法をこの国会には何とかして出したい、かように思いつつ政府も準備しているという段階でございます。まだはっきりいつどうするというところまできめかねているわけであります。
○加藤(清)委員 話によりますると、政府の方ではその準備ができていないが、自民党の方としてはその用意がある、こういうお話でございますのですが、その議員立法その他の形において出される用意がございますか、ございませんか。
○佐藤国務大臣 本日も、自由民主党の役員会等で取り扱い方をいろいろ協議しておられたのであります。もうすでに自由民主党におきましては、中小企業基本法案を作っておられまして、政府にも連絡をとられておるのでありますが、ただいま私どももその案を検討中でございます。自由民主党におきましては、先ほど申しましたように、本日の役員会でぜひともこの国会には出したい。しこうして、なお関連法案等の見通しをつける要もあるし、また、こういう重要法案であるから政府が出すことが望ましいと思うけれども、まだ議員立法にするか、あるいは政府提案にするか、そういう点はなお研究してみよう、こういうことで本日の役員会は終わっておるという実情でございます。
○加藤(清)委員 実は、わが党としましては、すでにその提出の用意があるわけでございます。いつもながら私思うことでございまするが、事、中小企業に関する法律の場合は、いつもわが党が先に提出をいたします。しまするというと、これを審議握りつぶししておきまして、片や政府案の準備ができまするというと、それの審議にかかる。そうして名前だけはそれをとって、実際は骨抜きにして、そうして外面を糊塗する。その結果でき上がった法律はざる法案になってしまう、これが過去の例でございます。たとえて申し上げまするならば、百貨店法がしかりでございます。下請代金支払い促進法はやがて遅延防止法となって骨抜きになりました。中小企業団体組織法またしかりでございます。常にわが党が先に出して、言うなれば、政府の呼び水をしたという格好に相なっておるわけですが、このたび、政府は出しおくれている、そこでもし社会党案が出た、こういう場合には、大臣としていかに取り扱いなさる覚悟でございますか。
○佐藤国務大臣 社会党も最近第七次案なるものを検討しておられるというようなお話も伺っております。社会党あるいは民社党におかれましても、それぞれ中小企業基本法案なるものを用意しておられるやに伺います。国会に提案されました後に国会において審議があるのは、これは当然なことであると思います。政府の考え方とは別なことで、国会において扱われることだ、かように私は承知しております。
○加藤(清)委員 次に、中小企業の金詰まりについてお尋ねをいたします。 政府は、赤字を自分の罪で起こしておきながら、業界に対して金融引き締めという手を打ちました。しかし、その結果は、中小企業にほとんどそのしわが寄っているのでございます。なぜかならば、親企業は、自分の会社の一割削減に耐えかねて、そのしわを下請代金支払いの遅延という形でのがれているのでございます。銀行また、引き締めを受けた結果は、選別融資という形になりました。選別とは何かといえば、信用力の弱い中小企業に貸すことを停止する、引き揚げる。こういう手に出てきているわけで、言うなれば、中小企業は両面のはさみ撃ちを受けて、ここに黒字倒産という姿が現われてきているわけでございます。これに対して、大蔵大臣、通産大臣ともにどのようにお考えでございましょうか。
○水田国務大臣 たびたび御説明いたしたと思いますが、金融引き締め政策が中小企業にひとりしわの寄らぬような配慮を、私どもはこれまで十分いたして参りました。これだけの引き締めをやったのでございますから、もしこの配慮を欠いたといたしますと、今、銀行、金融機関の貸出比率を見ましても、大企業に片寄って中小企業に貸し出しが少なくなっておるというような姿が現われるはずでございますが、私どもは、引き締めをやる前にいろいろな準備をいたしまして、大企業の設備投資にその資金量をことごとく使われて、中小企業にしわが寄らないようにという行政指導も先行させましたために、この引き締め政策をやった後におきましても、あの以前の大企業対中小企業の貸付比率は現在落とさずに済んでおります。大体前よりもむしろ中小企業への貸し出しの比率がふえておるというような状況でございますし、また、特に信用金庫とか、あるいは相互銀行というようなものの貸し出しを見ますと、昨年から今にかけまして、この金融引き締め時期における貸し出しは、前年同期に比べて三割から四割も貸出量はふえておるというようなのが今の実情でございまして、この点を特に気をつけて、私どもは中小企業に金融のしわが寄らないような配慮をいたして参りました。とにかく中小企業には六兆円以上の金融が行なわれておるのでありますから、その大部分は民間金融機関でございますから、これに対する指導を十分やると同時に、政府自身も、政府資金をもって、大体昨年の暮れからこの三月期まで一千六十億円の財政資金の追加措置をとるというようなことで配慮いたしておりますので、私は、中小企業への金融ということについては、そう私どもが抜かった対策をやっておったということでもないと、私自身は考えております。
○佐藤国務大臣 中小企業金融対策の総括的な考え方のお答えは、ただいま大蔵大臣がいたした通りでございます。しかし、中小企業は業態がまちまちでございます。加藤さん、ただいま御指摘になりましたように、これらの中小企業のうちでも、大企業の系列下にあるとか、あるいはその下請の関係にあるとか、こういうような中小企業の面が、大企業の金融引き締めから支払いその他がおくれるとかいうような事態が起きておるようでございます。そういうものに対しましては、もうすでに下請代金支払い促進法の法律もございますが、この法律による勧告等をすることも当然でございますが、同時に、大企業に対しましても、下請産業の維持に十分留意するように、私どもも行政上注意いたしているわけでございます。中小企業のむずかしさはおそらくそういう点にあるのじゃないか。過去におきましては、系列下にあるもの、あるいはまたその下請の関係にあるものというものは、普通の状況のもとにおいては、お得意さんを持っているだけに、むしろ、業態は落ちついておるということが言えただろうと思います。しかし、最近のような金融引き締めの結果、大企業自身が非常に詰まって参りますと、そのしわ寄せが下部の中小企業にくるおそれが多分にあるわけでありまして、そういう点を私どもが行政的に特に注意をいたしておるのであります。また、中小企業といわれましても、その他の大企業とは別個に独立の存在をいたしておりますものについては、ただいま大蔵大臣が御説明いたしましたような、資金量をふやすことによりまして、一般的な金詰まりの今日におきましても、少ないながらも、何とかやりくりができておるというのが今の現状じゃないだろうか、かように私は考えております。
○加藤(清)委員 しわの中小企業に寄っていることを、通産大臣はお認めでございます。しかし、大蔵大臣は、貸し出し量はふえたんだ、従ってぬかってはいないんだ、こうおっしゃったのでございまするが、それでは、もう少し掘り下げて聞かなければなりません。つまり、大蔵省、あなたのところの調査によるデータをながめてみますると、不渡り手形の発生がこのところ非常にふえているのでございます。もちろん、これは逐年増加の一途をたどっておるのでございますが、この三十六年下期に入りまして特に目立つことは、金額が枚数に比して急増しているということでございます。このことは、決済が現金から手形へ移行してきたということと、大きな取引も手形に移行したことを意味しておるわけでございまするし、なお、十月以降の急増が激しいのは、不渡り手形、つまり、倒産でございますが、これが激しいのは、金融引き締めが中小企業に対してしわを寄せてきた、従って、運転資金さえ枯渇してきた、これを意味するものだと思うのでございます。不渡り手形の件数だけで十二月に九千百八十三枚、十一月は七千二百八十一枚、十月は七千二百七十九枚、こういうことに相なっておる。これだけ不渡り手形が出た。つまり、倒産が出た。もちろん、枚数と件数とは正比例はしないでしょう。けれども、これだけ不渡りが出ても、なおあなたは手ぬかりはなかったとおっしゃいますと、かつての池田さんと同じように、倒産をしてもそれはやむを得ぬ、こういう考え方と同断であると思いますが、そう解釈してよろしゅうございますか。あなたの言葉からいえば、そう受け取らざるを得ないのでございます。
○水田国務大臣 これは、引き締め政策をとる以上は、当然そういう現象も出てくると思います。今の不渡りの件数を見ますと、昭和三十二年の引き締めの水準から比べたら、相当少ないものになっております。私どもは前にもそういう経験を経ておりますので、従って、この引き締めに入る前には、そういう準備を相当して当たった。従って、こういう事実は出ておりますが、御承知のように、そう大きい混乱を起こすことなく越年して、今の一番大きい揚超の時期に入っておりますが、引き続き私どもは、さっき申しましたように、中小企業にはいろいろの態様がございますので、一般の金融機関に対する指導をすると同時に、もう一つは、先ほど通産大臣から言われましたように、一般の中小企業においては何とか切り抜けられても、大企業の資金を詰めるということによって、その系列の中小企業が非常に支払い問題に困っておるというような事実が別に出てきておりますので、従って、日銀のオペレーションその他を通じて、まず一般資金の揚超に対する対策をするというようなことによって、これは解決するよりほかございませんので、大企業を詰めることによるこのはね返りの中小企業問題、中小企業独自の問題、これはいろいろそういう点をあわせて考えなければ解決できない問題だろうと思っております。従って、この一−三月の期におきましては、大きいオペレーションをやって、こういう問題にも対処したいと考えておる次第であります。
○加藤(清)委員 考えているとか調査をする段階ではないのです。今現在、毎日不渡りが出、毎日倒産が出ているわけなんだ。月に九千件から一万枚ということになりますれば、これは毎日大へんな数なんです。これは流行性感冒と同じことなんです。それを今から考えますのなんのでは、これは手ぬかりと言われたってやむを得ないと思う。それでもあなたは手ぬかりではなかったとおっしゃるかもしれませんが、同じ意味の質問を参議院において木村委員が行なっておられます。それに対して総理は、取り返しのつかないことではないから、今後努力する、こうまともに受けて立っておられるわけですが、あなたはやはり自分の打った手の誤りでなかったということを言いたくて、今後前向きの姿勢で、毎日現われてくる倒産、これを救おうという意図が見えないのでございまするが、それでよろしゅうございますか。それじゃいわばダンプカーのひき逃げと一緒じゃございませんか。すでに町にはダンプカーのひき逃げという声が現われている。この倒産していく方々、なるほど、総理の言葉の通り、思惑をやった人があるかもしれない。しかし、自分で罪は作っていないんです。赤字の原因は増設にあった、こう言われる。急激な伸びにあったと言われますけれども、糸へんの工場はどこに増設をいたしましたか、陶器の会社はどこに設備の拡大をやりましたか、何にもやった覚えはない。にもかかわらず、金融引き締めだけは、罪を犯したものと同じように、しわを寄せられているわけなんだ。つまり、罪を作らなかったものに罪が課せられているわけだ。いわばひき逃げと一緒じゃございませんか。そうして、それに対して、普通無学文盲の金のない人間でも、ひき逃げしたら慰謝料くらい払いますよ。ところが、あなたほどの方が、それをてんとして恥じないということになりますと、私はあなたの人格を疑わなければならぬことになりますが、あなたはやはりひき逃げ以下の人間でございますか。それでよろしゅうございますか。
○水田国務大臣 てんとして恥じないというわけではございませんで、こういう事態にできるだけ細心の注意を持って今対処しておるということを言ったまででございます。金融は何のために引き締めるかということは、これはもう説明するまでもございませんで、行き過ぎた設備投資を押えるということが一番大きい目的でございますので、従って、銀行の貸し方につきましても、こういうものはきつく押える方針を今とっておりますが、そうでない必要な運転資金そのほかのものは、そうきつくは押えない、必要なものは供給するというような、いろいろ業種別にも対策は違ってそれぞれ対処しておりますので、引き締めをしたといっても、無差別一般の引き締めをやっておるわけではございません。金融については、相当こまかい対策をやっておるつもりでございます。
○加藤(清)委員 公取委員長に、この事件に対して目下どのような調査をし、どのような対策を講じていらっしゃるか、承りたいのでございます。 すでに申し上げました通り、大蔵省の調査によるところのこのデータによりましても、倒産は続出でございます。その原因は一体どこにあるか、私の方の調査によれば、これは手形を延ばしてきた。今まで百日であったものを、親企業が台風手形にしていった。その次にお産手形にしていった。言われてみて、何の話だか私はわからなかった。ところが、台風とは、二百十日たたないと金にならないという話です。お産とは、十月十日たたないと納めた品代金というものはもらえないという話です。それが今日では一年になっているという。明らかに不公正な取引ではないでございまょうか。しかも、その金利は、中小企業が割引料を持たなければならぬということに相なっておる。このことは、やがて納めた品物のコストを切り下げられる結果になる。それがやがて中小企業に働く労働者にしわが寄っていくわけでございます。まず、公取の委員長の御意見と、今日行なっていらっしゃる具体的事実について承りたいのであります。
○佐藤(基)政府委員 下請代金支払遅延等防止法が公正取引委員会の権限になっておりまして、その法律によりますと、親事業者と下請事業者との取引を公正にする、これによって下請事業者の利益を保護するということを法律に書いておりまして、その趣旨に従いまして、私の方で下請代金についての行政をやっておるわけであります。しかして、昨年金融引き締めがありまして、その後次第にそれが全体に響いて、ことに下請企業に及んでおるといううわさも聞くので、私の方としては毎年上期、下期の調査をやっております。昨年の上期の調査におきましては、金融引き締めということが起こってから期間も短かったので、ほとんど影響はありません。下期につきましては、この二月の二十日に調査の書類が出てきますので、それによってはっきり事態をつかみまして、従来より一そう下請企業者の利益を守るような措置を講じていきたいと考えております。なお、それと関連いたしまして、今のは親事業者からの調査でありますが、下請事業者に対しましてもアンケートを出しまして、下請事業者の方からもよく意見を聞きたい、とかく下請事業者は公取とか中小企業庁に対しまして、いろいろ言えないと思いまして、特にそれを秘密に扱うから言ってくれということを頼んだのであります。 なお、私の方といたしましては、本日付で、おもな業界に、最近の金融情勢が非常に悪い、下請の方に非常に影響が及んでおるようだから、特に注意してくれという警告を発すると同時に、大蔵省に対しましても、金融機関が親事業である大企業に融資する場合、その大企業が下請業者に対して債務のたくさんある場合には、その債務の弁済ということを特に考慮するように指導してくれということを、お願いしておるような次第であります。いずれにいたしましても、最近の状況にかんがみまして、下請代金支払遅延等防止法の趣旨をできるだけ完全に実現するように努力しておる次第でございます。
○加藤(清)委員 労働大臣にこれについてお尋ねしたいと思いますが、下請企業あるいは中小企業が、親企業や金融機関からのしわをまっ正面に受けます。倒れる前に一体何をするか。言うまでもなく、これは労働者にしわが寄るのでございます。つまり、弱肉強食の自由主義経済は、弱いもの、弱いものへとしわを寄せていくわけであります。その結果、中小企業に働くところの労働者は、まず普通の場合、時間外労働ということをやらされるわけです。時間外に余分に働けば一人前の収入になる。それをえさに、あくまで低賃金に縛って時間外労働、長時間拘束、こういうことをやっておるわけでございますが、それでもなおできない場合には、ついに倒産しなければならぬ。そこで、倒産をした会社の従業員は、はるばる九州やあるいは東北の地区から京浜、阪神、名古屋地区の工業地帯に働きに来ておりながら、自分のなせるわざではなくして、ついに首を切られて郷里へ帰らなければならない。事実そういう具体例がたくさんございます。そういう問題に対して、労働大臣は、労働基準法上、労働者を守る立場から、一体どのようにお考えでございましょうか。 また、この問題について特に外務大臣にお尋ねしたいことは、これがやがてチープ・レーバーという姿になりまして、外国から日本商品を拒否される原因を作っておるのでございます。あるいは制限を受ける原因を作っておるのでございます。これに対して外務省は一体どのようにお考えになっていらっしゃいますか、御両所の御意見を承りたいのであります。
○福永国務大臣 賃金その他労働条件につきまして、わが国において現実の問題として、規模別にある程度の差があることは、深く私も遺憾といたしております。そこで、これらの点につきましては、できるだけこうした格差をなくすること、ないしは少なくすることについて、私どもは鋭意心がけて、ただいま御指摘のような基準法上の監督その他もやっておるわけであります。幸いにいたしまして、初任給等につきましては、御案内のごとく、かなり接近して参っておるのでありますが、中高年令者等においてかなりの差がなおあるということは、非常に残念に存じます。そうした一般的傾向の中にあって、今次の引き締め政策等と関連いたしまして、中小企業者が一部一そう苦しい状態になっておるもののあることも事実であります。従って、私どもは、まず国の諸般の施策と相待って中小企業の経営基盤が強化されていって、中小企業から失業者等が出てこないこと、そのことがまずわれわれの深く念願するところでありますが、しかし、労働省といたしましては、そうしたいろいろの施策が講じられても、なおかつ労働者の中で失業者が出るということ等につきましては、これは一連の労働力流動化対策、その他いろいろの援護施策を講じまして、できるだけ摩擦面より生ずるところの気の毒な人たちを救わなければならない、こういうふうに考えておる次第でございます。ただいま、主として基準法上の監督等についてどう考えるかというような意味においての御質問でございました。これらの点につきましては、この監督を強化いたしまして、労働省の使命を果たしていきたい、こう考えております。
○小坂国務大臣 お答え申し上げます。 質金政策については、労働大臣がいろいろ所管して心配しておられるわけですが、ただいまお話の、日本の商品が非常にチープ・レーバーの上に乗っている、こういう点は、最近世界各国において認識が改善されておりまして、昨年度のガットの会議におきましても、ガット三十五条の援用の問題について、昨年九月末ごろ作業部会を設けました。そういう際にも、ロー・コスト・カントリーズという言葉はもう今後使わない、こういうようなことをガット関係諸国が言っておるような状況でありまして、特に日本の低賃金輸出というものについての問題は、漸次各国において了解され、その問題は消えつつあるように私ども考えておる次第であります。
○加藤(清)委員 外務大臣は何を答えているのですか。あなた、日本の低賃金が解消したとでもおっしゃるのですか。それは対外的には、時にそういう言葉を使わなければならぬ場合もあることは、私もわかります。しかし、私は今中小企業の労働者の賃金についてお尋ねしているのですよ。申し上げるまでもなく、日本の大企業の賃金でさえも、なお先進国と比べれば九分の一、六分の一、あるいは四分の一ということになっているわけなんです。ましていわんや、それともっと国内的に格差のある中小企業の労働者、それがはたして完全な給金をもらっておるとあなたは思っていらっしゃるのですか。それをほんとうにお思いなさるのだったら、あなたのむすこさんを中小企業に勤めさせる勇気がありますか。
○小坂国務大臣 御質問の趣旨が私によくわかりませんで、大へんに失礼を申し上げたと思うのでありますが、御質問の趣旨は、外務大臣として、外国において日本の賃金はどういうふうに評価されておるか、こういうふうな点にあるかと思ったのでございます。私は、賃金の問題については、すでに労働大臣から詳しくお触れになりましたので、私としては、労働大臣の所管にまで介入して、いろいろ国内の賃金の問題について、この場でもって申し上げる必要はない、こう考えたわけでございます。お答え申し上げる点が、その点について述べよということでありますれば、大企業と中小企業の賃金に格差のあるということは、残念なことでございます。その格差をなくすように努める、これはもう当然のことだと考えております。(「ガットにも関係あるじゃないか。」と呼ぶ者あり)
○加藤(清)委員 私がなぜ外務大臣にこのことを聞かなければならないかと言えば、向こうに声あって、ガットにも関係があると言う。三十五条援用国の理由はチープ・レーバーだ。アメリカで日本商品をボイコットする原因の最大なるものは、これまたチープ・レーバーなんです。ILOからその批准を早くせいとサゼスチョンしてきているその原因も、やはりチープ・レーバーに関係が大ありなんだから、それで外務大臣にお尋ねしているわけなんです。
○小坂国務大臣 その問題でございますから、私は当初にお答えを申し上げたように、ガットの作業部会等でも、いわゆるロー・コスト・カントリーズという言葉を使うのはもうやめようじゃないかというくらい、日本に対しては、この点についてはみなよくわかりつつある。いわゆるガット三十五条の問題は、チープ・レーバーの問題ではなくて、むしろ、日本の商品のフラッドの問題である、そういうことになってきているわけであります。その事情を御説明したわけであります。
○加藤(清)委員 それは、もしも日本の商品がチープ・レーバーでないという空気が外交の間にあるとすれば、それは誤解なんです。なるほど、もっと後進国と比べれば、もっと低いところと比べれば、それは高いと言えるでしょう。しかしながら、工業国、先進国として、それと同等の外国と比較した場合、あるいは鉱工業、重化学工業が日本と同等に進歩している、そういう国の賃金、これと比較すれば、完全に、日本の中小企業の賃金は安い、また大企業といえども、決して妥当であるとはどこからも出てこないわけなんです。それを外務大臣によく認識していただかないというと、次の問題にも関係があるわけなんです。 私は、次に進んで、こういうやさきに系列化が一そう進んでいるという点を指摘したいのでございます。そこで、特に公取委員長に承りたいのでございまするが、もともと、大企業が中小企業をその傘下に入れ、系列化しようとしていることは、これは事実でございまするけれども、この金融難、倒産寸前という弱味につけ込んで、そのことが一そう激しく行なわれている、こういうことでございます。あるいは親企業への合併、吸収であるとか、あるいは大きな商社の企業が、自分の産業部門として商社に繰り入れてしまうとか、あるいはまた銀行が融資先の中小企業へ重役を送り込んで、自分の傘下に繰り入れてしまう、こういうことが次々と行なわれている。それでもなお中小企業は倒れるよりはまだましだというので、たたかれながらもその手にすがっていく、これがその実態でございます。これもやはり不公正な取引に類する行為でございまするが、公取としては、この点についてどのような調査を進め、どのような対策を講じていらっしゃるか、承りたい。
○佐藤(基)政府委員 ただいまお話しの不公正取引につきましては、これは金融引き締めのときがむしろ多いかと思いまするが、それ以外のときにおいても同様に考えておるわけでございまして、たとえば銀行が融資をするにつきまして、預金の限度をこえて、融資の必要をこえて、社長、副社長を無理に送り込むというようなことにつきましては、不公正取引といたしまして、その措置を排除した例もありますし、あるいはまた大企業がその優越した地位を利用して、小企業を不当にいじめるということになれば、これまた不公正取引になりますから、そういう場合には当然独占禁止法による取り締まりをいたします。最近においてそういう事態がだんだんふえておるようにも聞いておるのでありまして、特に注目して、独占禁止法違反が起こらないように注目しておる次第であります。
○加藤(清)委員 労働大臣に伺いますが、これを直すポイントは、中小企業に最低賃金制、最賃法を正確に行なわせるということと、もう一つは、中小企業に対する融資、税制等の措置を抜本的に行なうことであると私どもは思うのでございます。従って、私どもの中小企業基本法は、それを大きな柱としているわけでございまするが、労働大臣としては、最低賃金制完全実施についてどのようにお考えでございますか。
○福永国務大臣 最低賃金制を極力普及するということは、私どももただいま強く推進をいたしておるところでございます。三年間二百五十万という計画も、百二十万というところまでは参っておりますが、しかし、今御指摘の中小企業等につきましては、特に一段とこれを推進していかなければならない、こう考えておる次第でございます。また、先ほどからお話の出ておりまする下請産業等につきましては、これらの産業や産地等について、いろいろの事情を集団的に把握し、集団的に向上をはかるような措置等を講じていかなければならぬと、こういうように考えておる次第でございまして、従来の最低賃金制の普及等についての一応の計画もございますが、御指摘のような事情等にかんがみまして、より一そう拍車をかけたい、こういうように考えております。金融やあるいは税制のことにつきましては、私もおっしゃるようなことを念願いたしますが、私が申しましても、これは他の所管大臣がその気になってくれなければうまくいきませんので、私もともにそういうことを念願しつつ、内閣にあります一員といたしまして施策の推進を願っておるものでございます。
○加藤(清)委員 お待ちしておりました河野農林大臣が御臨席でございますので、私は質問をそちらに移したいと存じます。 高度成長政策の失敗というものは調べてみればいろいろ原因があり、色模様があるわけでございますけれども、私は政策の面では進歩の度合いがびっこである、これが一つのあやまちのもとであると思うのでございます。言うなれば私企業の伸びと公共事業として行なわなければならないものが並行していない、つまり公共事業が非常におくれている。このびっこの進歩の仕方、発展の仕方が一つは高度経済成長政策を誤らせている基であると思うのでございます。つまり工場の設備拡張に対して道路であるとか、港湾であるとかあるいは工業用水であるとか、エネルギーの対策であるとかいうことがおくれている、かように思うのでございます。実はこの問題について経企庁、通産大臣に承りたかったのですけれども……。 そこで工業用水の需要が非常に伸びております。この需給の問題はいずれ後日に譲るといたしまして、特に河野農林大臣に承りたいことは木曾三川の治山、治水、利水です。これは一体需要と供給とがバランスがとれるように計画が行なわれておりますでしょうか、いかがですか。
○河野国務大臣 御承知の通り、目下総合的に調査、調整をして案を立てるということになっておるわけであります。
○加藤(清)委員 この地区の工業用水の需要が非常に伸びております。と同時にその足りなさのゆえに設備投資が渋滞をしている、金融引き締めよりももっとこの方が大きいと、こう言われておるわけでございますけれども、なぜ農林大臣に承らなければならぬかといえば、木曾三川の治水、利水事業は農林省の所管にかかわるところの愛知用水公団が目下のところ担当されているようだからでございます。ここで、その木曾三川の計画が行なわれるのでございますか。
○河野国務大臣 御承知のように、愛知用水公団は発足の出初農業用水として、もちろん下流におきましては一部工業用水その他の利用も見まして、計画をいたしたのでございます。その計画が、近時とみに下流地区におきまして工場設置等が盛んに行なわれまして、いろいろ工業用水方面にこれを利用したいという申し出があるようでございますが、それらについては検討いたしまして、地元農民その他ともよく相談をいたしまして、最終的にきめなければならぬと考えております。
○加藤(清)委員 このところを経企庁ないしは通産省に聞きたいところでございますけれども、要は愛知用水公団が現在木曾三川の仕事を担当しておるわけですが、水資源の公団がこの四月から発足されると聞いております。その法律を審議いたしましたおりに、この公団はやがて水資源開発公団ができた場合には、そちらへ合併させるという意味のことが審議されているわけでございまするが、これについて農林大臣はどのようにお考えでございましょうか。
○河野国務大臣 そういうふうな話があったことも聞いております。聞いておりますが、御承知の通り水資源公団は目下利根水系、淀川水系の調査が完了したものについて、これを担当して参るということになっておりますので、愛知用水公団の職員その他につきましては、引き続き豊川用水、さらに同地域等について農業用水として残余の仕事がありますので、これらの任務に従事していただいておるようでございます。
○山村委員長 加藤君、ちょっと申し上げますが、外務大臣はやむを得ない渉外事項があるようですが、もしでき得れば外務大臣の御質問を先にしていただきまして、時間をやり繰っていただくと非常によろしいのですが、できませんか。——できるかできないか聞くのですが、できますか。
○加藤(清)委員 ちょっとかんべんして下さい。
○山村委員長 できませんか。
○加藤(清)委員 ええ。
○山村委員長 加藤清二君。時間は厳格に守りますから……。
○加藤(清)委員 現在はそうでございますが、将来はどのような御計画でございますか、この愛知用水公団に対して。漏れ承るところによるというと、愛知用水公団はずっと独立して木曾三川をやらせる、こういう意向であると聞いておりますが、それは私の聞き間違いでございましょうか。
○河野国務大臣 御承知の通り農業用水は、地元の盛り上がりによってこれを順次具体化し、計画化し、調査して実施に移るということは原則でございます。水資源公団は、国家的見地に立って、水域の水を多目的にこれを分割して利用するということの工事を担当する、このことは水資源公団の使命だろうと心得ます。こういうようなことでございますから、その間の調整がつきますれば、あえて農業用水を担当する公団を必要としないかもしれませんけれども、そういうふうに明確に使命が分かれておりますと、また今も農林委員会でそれについて逆の場合の質問があったところでございますので、われわれとしては、それらについての調整をはかりつつ、水資源公団については水資源公団の仕事、またその仕事が農民の理解を得、農民の協力を得られるように運用していかれることを期待する。が、しかし、たまたまその主たる任務が農業用水が主体でございまして、それが他の方面にも一部——今申しましたように、下流地区において一部工業用水に利用される場合があるというようなものにつきましては、にわかにこれを切りかえるということが適当であるかどうかということについては、考慮を要するというふうに考えておるのでございます。
○加藤(清)委員 大臣が考慮なさっていらっしゃることはけっこうでございますが、実はこれを先国会で審議をいたしましたおりに、今お願いをしておったのですが来られないので、まことにそれを遺憾といたしまするけれども、迫水前企画庁長官は、水資源公団が発足するとこれは直ちに合併をさせるのだと、かように述べておられます。それからまた中村建設大臣も同じ答弁をなさっていらっしゃるわけでございます。と同時に参議院におきましては、この水資源公団が通過をいたしまするおりに、附帯決議事項としてこの項目が最初にうたわれているわけでございます。なぜそうなっているかといえば、これは第一は地元で非常に水をたくさんに、急に必要とする、従って大きな力でもってこれをなしていただかなければ、とうてい需給のバランスがとれない、これが第一でございます。もっとも河野さんのように実力者が農林大臣でいらっしゃれば、それはもう愛知用水が独立しておってもけっこうでございましょうけれども、遺憾ながら農林大臣、実力者は水の命と同じほどそう長い農林大臣の命ではないと思う。そこが問題でございます。 そこでもう一点は、愛知用水は、御存じの通りでございまするが、莫大な高い費用をもってアメリカから技術を買っている、それをあまねく広く水資源公団に広げたい、これが第二でございます。 第三は、愛知用水がそのままで、現在のままであった場合には、ここの従業員が生活のために不安定である、就職の点が不安定である。かつて愛知用水から豊川用水に移行される場合にも、百人近い人が首を切られたわけでございますが、これがだんだん豊川用水から木曾三川を農林大臣の手でどんどん行なっていくんだ、こういうことになりますればこれは希望も持てまするけれども、先行きがまことに不安である、以上のようないろいろな点がございまして、これは当然水資源の方に吸収合併させるべきであるという旨を、池田総理も同じように答えておられるわけでございます。しかも迫水さんは発足と同時に、もう手続上の問題だけであるから、世界銀行のことが事務的に済めばそれでよろしいからということで、答弁をなさっていらっしゃるわけでございます。ここにいらっしゃる大平長官も同じ旨のことを答弁なさっていらっしゃるわけでございます。私どもはそれを信じているわけでございまするが、それを信じておって間違いございませんか。河野さん。
○河野国務大臣 私は無理をしてまで愛知用水公団を残しておくべきだという考えは毛頭ございません。ただ今申し上げますように、仕事の性質上水資源公団は水資源を、今加藤さんのお話しになったようなふうに国家的見地に立ってこれを運用する、その仕事をしていくのだというところに、基本の使命があると私は心得ます。ところが農業用水に関する限り、地元民の熱意の盛り上がりを基盤にして、それを具体化し計画化し調査立案して、これが仕事になっていくのだというのであって、地元から起こってくるか、国家的見地から立っていくかというところに、実は問題があるわけでございます。従っていかに国家的見地からといっても、長年その水によって生計を立ててきている農民、地元民の立場は、十分私は尊重しなければならぬと考えるのであります。そういう意味において、必要が起こっておる農業用水の改良改善の事業があるにもかかわらず、一方においてこれは水資源公団の区域であるというようなことで、水資源公団的感覚でこれを扱うということは、必ずしも妥当でない場合が起こってくるだろう。だから、水資源の場合には、今一応利根川用水とか淀川用水というようなものが指定されてある、そこに計画が立案されておるということでございます。私は、愛知用水というものが合併すべきものならば、その愛知用水というものは合併したらよろしい。しかし農林省として、そうした農業用水の仕事をして参るものが必要であるという必要性がありますので、たとえば今仕事をしております豊川用水にしても、こういう公団で仕事を進めていくことが適当であるということで、豊川用水の仕事を引き続いてやっておる、こういうことでございますから、これはもし今議会の御要請もあるし、まただれが考えてもそれがいいんだということであれば、愛知用水の職員も向こうへぜひ行きたいんだということであれば、それも無理にとめて仕事をさせなければならぬというわけのものでもない。事情は今私が申し上げたようなことでございますから、私は良識的にそれでいいんじゃなかろうかということでやっておるだけでございます。そういう迫水さんの御答弁もあるじゃないか、即日やることになっておるじゃないか、その当時そういう事情で勘案してやられたことであるならば、その通りやることに私は少しもやぶさかではございませんが、今秋の申し上げた農業用水の事業というものは、他にいろいろある、これらのものを施行して参るのに、名前は愛知用水でも何用水でもよろしい、とにかくそういう事業施行機関が必要であるということのために、たまたま愛知用水の仕事が済み一もっともまだ経費の徴収等が残っておりますが、残務整理を処理しつつ他の仕事をしているというのが、今日の現状であるということでございますから、大方の皆さんの御要望が直ちにこうした方がよろしいということであれば、それに私は反対するという意思は毛頭持っておりません。従って、事情が変わって参れば変わって参ることに従って善処することに少しもやぶさかでないということを、御了承いただきたいと思います。
○加藤(清)委員 河野大臣が地元の農民の意向を尊重して同時にその愛知用水公団の従業員のことどもも事こまかく心を配っていらっしゃるということを承りまして、一そう敬意を表するわけでございまするが、地元民の声は必ずしも農民だけではございませんので、工業用水がほしい、それも可及的すみやかにたくさんの量が要る、こういう要望にもこたえなければ、せっかくでき上がりつつあるところの名古屋港のコンビナートは、水のために停滞をするということもすでに起こりつつあるわけなんです。従いましてこの問題は農林省ともあるいは経企庁とも御協力をいただいて、一日も早く地元のいわゆる農民あるいは工業者等の意向が満足されるようにしていただきたいものだ、こう思っているわけです。この意味におきまして藤山長官はやはり吸収すべきであるということを臨時国会で述べておられます。こういう状況でございまするが、総理の代理として出られました大平さんの御意見を承りたいのでございます。
○大平政府委員 先国会で御審議をいただいて成立いたしました水資源公団は、今設立準備中でございます。そしてこれが設立されまして、水資源公団といたしましては、どういう水系にどういう聖業を担当して参るかという事業計画をきめる段取りになろうと思うのでございます。先ほど農林大臣が言われました通り、調査が進んでおります利根川水系あるいは淀川水系というものを、さしあたって水資源公団が着手していくようになるものと私ども思うわけでございます。木曾水系につきましては、利根川水系、淀川水系に比べまして、まだ調査が進んでおりませんで、これが開発調査が進みまして、事業のもくろみが立ちまして、これは水資源公団でやるべきだとか、あるいは愛知用水公団にやらせる方がいいというようなその時点において、これは判断すべき問題だと思うのでございます。ただ、たびたび国会におきまして吸収をすべきだというような議論がございましたのは、元来水資源公団をもっと早く作るべく用意しておったわけでございまして、愛知用水公団と一緒に統合して作るべきかどうかということが、当初いろいろ論議されたわけでございます。ところが、なかなかむずかしい法律でございまして、審議の期間が長い間かかる間に、愛知用水公団は仕事を交代するわけに参りませんで、進めておりましてこのようになったわけでございます。先ほど農林大臣が申し上げました通り、この問題は開発が進みまして、その時点においていかにすれば効率的に水資源の活用ができるかという観点から配慮すべきであるし、また配慮してもおそくはない、そう考えております。
○加藤(清)委員 大蔵大臣にお尋ねいたしますが、一昨日の参議院の委員会におきまして、木村委員の質問に対して答えられました国際収支の問題でございますが、もう一度承りたいのでございます。と申しまするのは、どうも数字に誤謬があるような気がするからでございます。
○水田国務大臣 国際収支の三十六年度の見通しを参議院で質問されましたが、三十六年度の見通しは、今のところ経常収支において九億二千万ドルくらいの赤字になりはせんか、それから資本収支が二億ドルくらいの黒字を予想されて、総合収支で七億二千万ドルくらいの赤字になるのじゃないかという見通しを一応立てておるわけであります。
○加藤(清)委員 それをあとで補足として訂正していらっしゃるでしょう。
○水田国務大臣 訂正したのは対米貿易の数字でございます。国際収支全体の見通しではございません。
○加藤(清)委員 あなたの答弁を見ますと、補足として、三十六年一月から十二月の貿易赤字は九億三千万ドル、こう訂正しておられる。九億三千万ドルで、そのうちアメリカ貿易の赤字が八億五千万ドルになった、会計年度では三十六年の貿易赤字は七億八千万ドル、対米赤字は七億五千万ドル、こう答えておられるわけなんです、これは。
○水田国務大臣 九億三千万ドルと申しますのは、三十六年の一月から三十六年の十二月までということでございます。今、国際収支の見込みの三十六年度と申しましたのは、三十六年四月から三十七年の三月、そこで数字の食い違いがございましたので、これを木村さんが間違ったようでございましたので、九億三千万ドルというのは暦年でございますという訂正をしたわけです。
○加藤(清)委員 それではお尋ねいたしまするが、衆議院の方へ提出なさいましたところの「主要地域別輸出入額および総輸出入に占める割合」この統計とあなたが今おっしゃった数字とがまた食い違っておるわけでございますが、それはいずれが正しいのですか。
○石野政府委員 ちょっと今、どういう数字が出ておりますか、あれしておりまして存じませんので、ちょっと調べさせていただきたいと思います。
○加藤(清)委員 時間の関係で読みましょう。米国の欄で、三十六年は輸出が九億三千万ドル、輸入が同年で十八億九千万ドル、差引これは九億六千万ドルになるのじゃないですか。あなたの方の計算を一ぺんしてみて下さい。そうすると、八億五千万ドルとは違う、こういうことです。
○石野政府委員 ただいまの数字でございますが、ちょっと詳細調べまして、あとでお知らせさせていただきます。
○加藤(清)委員 それではぜひ一つこれは——今の数字によりますと、大体 一億一千万ドル程度の違いがあるわけでございます。従いまして、これは正確な数字を至急提出していただきたいと存じます。
○水田国務大臣 今通産省からいただいた数字も同じでございまして、三十六年の一月から十二月までで全体の輸出入の赤字が九億三千万ドル、そのうち対米だけを取り上げますと八億五千万ドル、こういう数字でございます。それからこれは見込みでございますが、去年の四月からことしの三月までの全体の対米が七億五千万ドル……。
○加藤(清)委員 私は通産省の統計を見てものを言っておるのです。それによりますと——対米輸出の問題ですよ。対米のところで輸入が十八億九千万ドル、輸出が九億三千万ドル、従って、差引赤字が九億六千万ドル、こういうことになるわけです。ただし、それは一月から十一までの集計でございますので、そこに相違があるのは無理からぬことですが、さすれば、私が言うのは十二月だけで一億一千万ドルの黒字が生じておらないと、そういう答えにはならないわけです。そこでお尋ねしておるわけです。はたしてそれでは十二月だけでもって一億一千万ドルの黒字が生じたか、しかもこれは貿易の収支なんです。
○今井(善)政府委員 お答えいたします。 三十六年の暦年で、対米は、これは十二月は一部推定が入っておりますが、輸出が十一億ドル、輸入が十九億五千万ドル、差し引き八億五千万ドルという数字になっております。それから年度、四月から三月まででございますが、これは推定でございまして、年間を通じまして七億五千万ドルくらいの赤字ということになろうと考えております。
○加藤(清)委員 いずれにしても、これは私が当委員会でいただいた資料なんです。それと今のお答えとが食いつかない、これでは納得ができない、こういうことなんです。従ってあなたがおっしゃったように、もっとよく整理をして、あらためて答えていただければそれでけっこうなんです。何も私はこんなことで時間を空費しようとは思わない。
○石野政府委員 一月と十一月の関係なんかもあるかもしれませんから、よく調べまして、あとでお知らせをさしていただきます。
○加藤(清)委員 それでは外務大臣、大へんお待たせしておって申しわけないのですが、本年は、貿易の関係で、本年度の計画によれば、輸出が四十七億ドル、それから輸入が四十八億ドル、こういわれておりまするけれども、はたしてアメリカ貿易については一体どのような計画がありまするか。その計画が完遂できるような態勢にあるのでございまするか、ないのでございまするか。外交関係としてはどのように見ていらっしゃるのですか。
○小坂国務大臣 アメリカの景気につきましても、いろいろ拡大政策等も真剣に行なわれておりまするし、きょうの新聞などにも一部出ておりましたので、あるいは御承知かと思いますが、一割五分くらい輸出がふえてきている現状でございます。詳しくは通産省の方からお答え申し上げる方が至当と思いますけれども、われわれとしましては、アメリカ二割、ヨーロッパ二割という考え方で通産省は考えておられる、これはぜひとも達成したいものだ、その上に横たわるいろいろな障害は、外交的に、いわゆる経済外交によってできるだけこれを克服して参りたい、こう考えておるわけであります。
○加藤(清)委員 私はこの際通産大臣に聞きたいことがありまするけれども、歯が抜けたようになりますが、先へ飛びます。 ちょうど日米貿易のよきサンプルになるようなのが綿製品の輸出でございます。これにつきまして商工委員会では与野党一致の決議を行ないました。あす本会議に上程される予定でございます。ただいま、御承知の通り、アメリカでこれの関税の公聴会が行なわれておるわけでございます。一体外務省としてはこれについてどのようなお考えを持ち、どのような具体策をお持ちでございましょうか。
○小坂国務大臣 綿製品の賦課金問題につきましては、終始これが賦課に反対という態度をとりまして、外交ルートを通じてはもとより、あらゆる機会を通じてこの撤回に努力しておるわけでございます。幸いにいたしまして、ジュネーブの綿製品の長期協定がこのほか合意に達しました。いわゆる賦課金をかけるもとでございますね、綿製品が非常にフラッドする、だから賦課金も必要だというそのもとは、長期的な取りきめができて、いわゆる秩序のある輸出ができるという基礎ができてきたわけでございますから、それに従って当然これは撤回されるべきものだということを強く主張して参る考えでございます。また、いきつつあるわけでございます。それからなおガットの方の場におきましても、一九五五年にアメリカがウエーバーを農産物についてとっておるわけですが、綿製品というものははたして農産物と言えるか。これはわれわれは言えないと思いますが、そういう理論的な根拠をもちまして、また綿製品の輸出国をいざない、また綿製品の消費国の他の協力も得まして、ぜひ綿製品の賦課金というものは撤廃してもらいたいということを強く要請していく考えでございます。
○加藤(清)委員 日米貿易の実態を、総理が、いつも長い目で見てくれ、長い目で見てくれ、こういうふうに言われまするので、長い目で見て、戦後これをながめてみますると、これは先ほど長谷川委員が、まるで占領下と同じである、植民地であると沖繩のことを言うておられましたけれども、それと相似たことが国内でも行なわれている、かように思われるわけでございます。その第一に、貿易の赤字は、日米のいわゆる経常収支、特に貿易収支、これからきているではないか。貿易の帳じりを私が申し上げるまでもなく、過去十年間のトータルを、これも日銀の為替統計によって調べますると、三十九億一千四百万ドルの赤字になっておるわけでございます。毎年のように赤字が累積されておる。ただ一回だけ岩戸景気のおりに一億一千三百万ドル黒字があるわけでございます。特に今年は九億六千万ドルになるか、あるいは九億三千万ドルになるかはわかりませんが、いずれにしても九億ドル以上の赤字があるわけです。こんな状況で貿易をしておれば、これはアメリカと貿易したら必ず赤字になるのだということです。これではたして経済外交としては正常でございましょうか。
○小坂国務大臣 お話のように、貿易のバランスから見ますと、わが方が非常な入超になっておりますけれども、そのことはまたぜひ是正してもらわなければならぬということを、アメリカに強く要請しておりますけれども、金額として見ますと、一国に対して十億ドル以上の輸出ができているというところは、またアメリカ以外にはないわけです。ほかの国がたくさん買ってくれれば、それは非常にけっこうでございます、また多々ますます弁ずるのでございますけれども、現実としまして、この三分の一というものがアメリカへ行っておる、アメリカ、カナダを含めた北米州へ行っているということは現実の事実なんです。そこで、片貿易というものはできるだけなくするように努力しますけれども、日本自身としては、片貿易になっておるところはほかにもあるわけです。たとえば、日本のいい場合を言いますと、韓国に対しましては、これは五千万ドル以上のこちらの出超になっております。非常にひどいのはビルマですが、ビルマなんかは、こちらの輸出が六千五百万ドル、こちらが向こうから輸入するのが一千万ドル、そのくらい違う。タイにおいても一億一千万ドル、六千万ドルくらいこちらの出超になっておるわけです。一番ひどいのはナイジェリアで、こちらが八千万ドル出して、向こうからこちらは八百万ドルしか買ってない。そこで、そういう貿易をしておったのでは相手がけしからぬ、こういうことを言い出しますと、日本としても恨まれるべき相手もほかにいるわけでございます。これが要するに貿易の実態なんです。そこで、われわれとしては、できるだけ相手方を広くして、それぞれについてできるだけ均衡ある貿易というものをふやすように努力はいたしますけれども、それじゃそれだけのものをやめたらほかにどこがあるかという問題があるわけでございまして、できるだけこれを均衡するようにしたいと思います。ソ連との貿易につきましても、これは、ちょうどアメリカと同じくらい、通関ベースでいいますと、こちらが向こうに輸出する倍のものをソ連から買っておるわけでございます。 そんなような状況でございます。
○加藤(清)委員 いずれにいたしましても、アメリカにとって日本という国はまことにけっこうなお客さんであるわけなんです。アメリカの貿易の統計をずっととってみますると、日本ほど赤字をしんぼうしてアメリカのものをたくさんに買い付けているところは、ほかに例を見ないわけなんです。特に綿業においてはしかりでございます。従って、今度の綿の課税、これについては特段の御配慮が願いたいのでございます。特に私がこの際申し上げておかなければならないことは、このアメリカとの貿易の柱をなすものは日米友好通商航海条約でございます。これは平和条約、安保条約、MSA等との一環のものでございまして、日本との経済外交のルートはここからきまっているわけなんです。これが実は改定の時期が迫っているわけでございます。とれに対して外務大臣はどのようにお考えでございましょう。
○小坂国務大臣 私は、賦課金の問題につきましては、全くおっしゃる通りで、極力この撤廃に努力したいと思います。ただ、アメリカ国内にも、まだドル防衛の必要に籍口して、非常に強く言い張る保護主義者も多いわけであります。ことに先ほどあなたがお触れになりましたような、日本は低賃金の国だから、そういう国からよけいに輸入しては困るじゃないか、そういうものを入れられると、自分の産業が非常に不況に陥るのだ、こういうこと一点張りで言ってくる人たちも相当あるのです。だから、そういうことに対しては、私たちは違う理屈から、賃金というものは購買力全体の見合いからすべきものだというふうに反駁したりして、その説得に努めております。私どもは、非常に困難はありますけれども、賦課金の問題は、何とかしてこれを撤廃してもらいたいと思っておるわけであります。 それから通商航海条約があって、アメリカとの貿易が、日本の貿易の非常にガンといいますか、日本の経済外交の桎梏になっておるような、そういう見方のお話もちょっとあったように思いますけれども、私どもはそう思っておらないのです。やはりアメリカとの貿易というものは、日本の輸出入の大きなささえになっているのでございますから、このアメリカとの関係をますます緊密化していく。ことにアメリカがEECとの間に非常な経済的な接近を試みつつあるのでございますから、私どもは、その大きな流れにもさおさして、日本の貿易というものをますます拡大して、そして日本の国民生活をもっと上げていくという方向で努力したいと考えております。
○加藤(清)委員 あなたはそれでは日米の貿易が互恵平等であって、ほんとうに独立国としての体面を保っている、かようにお考えでございますか。もう一点、この日米友好通商航海条約なるものが、この文面に書かれている通りはたしてほんとうに最恵国待遇、互恵平等の立場で行なわれているとお考えでございますか。
○小坂国務大臣 私は、日本がアメリカからたくさん品物を買うということをもって、日本が非常にアメリカに隷属しておるというふうにお考えになる行き方は間違っておると思います。商売は、買いいいもので、いいものがあれば、そこからたくさん買うのです。一番アメリカの品物が買いいいからたくさん買っておるのだろうと思います。また一方、アメリカにもたくさん、ほかの国に比べて品物が出ておるから、従って向こうのものもよけいに買っておるのだと思います。それから現在の日米通商航海条約については、最恵国待遇を得ておりますし、ガットの三十五条を援用している国々に対しても、アメリカは、この不平等な扱いというものは撤回するようにと大いに口添えをしてくれておりますし、また日本を世界の工業国、貿易国として、この中に入れていく、たとえばOECDに日本が加盟したいというようなことについては、アメリカも非常に努力してくれているのでありまして、私は、この条約というものは、他の最恵国待遇のないような条約に比べれば、はるかにりっぱな条約だと思っております。
○山村委員長 加藤君に申し上げますが、持ち時間はあと五分でございます。それから、なお先ほどの計数の問題で、事務当局の整理ができたそうでございますので、適当のときに事務当局に答弁させます。
○加藤(清)委員 この条約は、確かに文面の上ではあなたのおっしゃる通りに明らかになっております。ところが、この条約が具体的に行なわれます場合には、時おりアメリカの国内法がこれに優先することがあるわけでございます。具体的に申し上げますと、ワン・ダラー・ブラウスが問題になりましたときに、それではこの条約に違反するではないかと尋ねましたところ、それは南アラバマ州の州法が禁止するのであって、やむを得ないのだ、こういう御答弁でございました。同じ繊維に例をとりますと、可燃性繊維というものがございます。これは小坂さんが一番よく御存じのはずでございます。絹織物が燃えるからいけないのだ、こういう苦情が参りまして、軽目羽二重は拒否を受けたわけでございます。幸いこれはアメリカの上院の良識によって危難をまぬがれたわけでございますが、そのときもやはり、この条約には互恵平等と書いてあるけれども、州法がこれを禁止するからいけないのだ、こういうことでございます。大蔵大臣が見えますから申し上げますが、金融の問題でも、この文面には互恵平等に相なっておるわけでございます。ところが、あにはからんや、これは決して平等ではないわけなのです。すなわち不動産、動産の取得にいたしましても、これでは平等になっておりますが、アメリカは州法によって日本の取得することを禁止しているわけでございます。事業活動の面におきましても同じことでございます。第七条事業活動において、金融業とその既得権の問題は、ニューヨーク州では日本のその行為を禁止するわけでございますが、東京ではアメリカの銀行はこれを行なっているわけでございます。このように、決してこれは互恵平等ではない。言葉の上では互恵平等であるけれども、アメリカの側では、これ以外の法律によって制限を加えることが可能でございます。ところが日本においては、この条約が金科玉条でございますし、それの忠実な履行者が外務大臣でございますので、禁止をするという条項が適用できないわけです。決して互恵平等ではないと思うわけでございます。これについて外務大臣。
○小坂国務大臣 一国の産業にそれぞれいろいろな主張があるわけです。政府としてこれをどういうふうに扱うか、政府は産業保護の責任を持っているわけです。そこで、非常に安いものが大量に自分の国に外国から流れ込んできて、自分の国の産業を脅かすということになれば、これに対して対抗する措置は、その国の政府としては当然考えなくてはいけないのですから、エスケープ・クローズというようなものはどこの国でも持っているわけです。ぺリル・ポイントであるとか、あるいはセーフガードの措置ですね。あるいは国防産業の保護であるとか、そういうのはどこの国でも持っておるわけでありまして、それがあるから互恵平等ではないのだ、こういうことは言えないと思います。日本にも非常に安い品物がたくさんなだれ込んできた、たとえば愛知県の産業が脅かされるという場合には、これに対する保護を私ども政府としてはやはり考えなければいけない、同じことだと思います。
○加藤(清)委員 それでは、大蔵大臣にお尋ねしたいと思いますが、今外務大臣は、あくまで互恵平等を堅持して譲られませんが、もう時間でございますから、私は、この際具体的にそうでない面を、幸い今アメリカで審議されておりまする綿業にとって、御理解がいただきたい、それに対する御所見を承りたいのでございます。つまり、戦後のアメリカとの繊維貿易というものは、これは全くオキュパイド・ジャパン、これの名の示す通りでございまして、決して平等ではないのでございます。たとえて申し上げますると、材料はといえば、アメリカの原綿を、それこそ河野先生も御存じの通り、余剰綿花まで買わされている。従って、戦前と比較いたしますると、アメリカ綿花を買う量、買わされる量が非常にふえてきておる。そのことは、結果、どういうことになるか。近いところから買うよりもコスト高になる。運賃が高いからでございます。それのみならず、集荷、運送、輸入の業務までアメリカの手に握られている。こういう集荷の仕方がよその国にあるでございましょうか。今度、製造に関するエネルギーは、これは製造に関するエネルギーの材料、石油とか重油、これもアメリカから輸入される。仕上げに使うところのサンフォライズその他も、これはアメリカのパテントなんです。第二次布帛加工をする場合のミシンはというたら、これはシンガーなんです。それでもって、でき上がったものを今度ブラウスとしてアメリカへ売りまするときには、これを集荷して持っていく向こうへのインポーターはといえば、五〇%以上がアメリカ人に占められなければならぬということになっておる。また、持っていく船が米船でなければならぬ。いわゆるバイ・アメリカン、シップ・アメリカンの代表的見本がここにあるわけなんです。これでもはたして平等ということが言えるでございましょうか。結果、綿製品に対して日本から加えられたものは一体何かといえば、加工する場所と労力以外にはないわけなんです。言うなれば、綿製品は日米の共同の所産なんです。ところが、それが驚くことには、アメリカへいって五ドルに売られた場合の日本の取得する金は一体どれだけか。ワン・ダラーで売るのですからワン・ダラーなんです。一対五なんです。それから原料代を差し引いたら、日本の受け取りはどれだけになるか。大体〇・六ドルからせいぜい〇・七ドル、言うなれば、日本の綿製品がアメリカの小売市場にいって売られて、そうして取得する金の割合はというたら、これは七対一か六対一になるわけなんです。このものは輸出されていって一体どうなるか。日本品はレーバー・ダンピングだでいけない、いけないと言うて、制限制限なんです。二億四千万スクエアに制限を受けてしまった。それ以上は別なクォータで、別な税金をかけて、こういうことなんです。一体日本からアメリカへ輸出するところのその綿製品の数量はといえば、アメリカから買い込んだところの綿花から製造された全体の総量の、最高のときで二十五分の一なんです。最低のときは八十分の一しか売れていないわけなんです。これでもって平等ということがはたして言えるでございましょうか。これは大蔵大臣、お金のことを扱われまするから、金のことはよくおわかりでしょうけれども、労力を加えて、作って、いただきが七対一か六対一、はたしてこれでフィフティ・フィフティということができるでございましょうか。悲劇はそれだけではない。可燃性繊維がそうなんです。絹織物もあのような状態にだんだん低下していってしまった。アメリカの労働者が日本の綿製品によって困るという意味はわかります。しかし、そのことは必ずしも、日本の綿製品だけが罪を作っておるわけではないのです。それはむしろアメリカの合成繊維が綿業を食っておるのです。これは世界中の勢いなんです。日本の綿業またしかりなんです。にもかかわらず、言われるからというので日本はどうしたか。外務省は自粛せい、自粛せいというので、自主規制をした。自主規制をして二億四千万スクエアに縮めたら、一体あとはどうなったか。その間に自主規制をして恭順の意を表した日本の貿易はだらだら下がりで、そうでなくして、そんなことはおかまいなく出したところの香港の貿易がどんどん伸びていったではないですか。こういうことが行なわれていて、はたして互恵平等ということができるでございましょうか。大蔵大臣、こういうことが続けられていて、はたして貿易収支の赤を直すことができるでございましょうか。過去十年の間、毎年々々例外なく赤が続いた。それが慢性的になっている。そういう相手国ばかりであったら、日本の帳じりはどうなりますか、大臣に承りたい。
○水田国務大臣 綿製品の問題は、そういう問題がございますから、今向こうに対して外務省、通産省が強く折衝しておるというわけでございます。おそらくあなたの言っているような理由はことごとくあげて、向こうに対して交渉しているはずでございます。 それから、そういうことをやっておって対米貿易が云々ということでございましたが、そういう日本製品を制限する問題に対しては、これは私どもは個々に抗議して交渉して、この制限をとってもらうことをやっておりますが、それ以外の貿易もたくさんございますので、問題は、制限を受けておるものについては、その解除についての交渉をすると同時に、全体の貿易をふやす、日本からの輸出を多くするということもより大切でございますので、この点についても今努力しております。三十六年度の対米赤字の多過ぎる原因は、これももう御承知の通り、三十六年度においては、アメリカの景気が非常に後退しておったために、貿易の伸びが例年に比べて非常に伸びなかったということと、一面、日本の設備投資が非常に多かったために、向こうからの買い過ぎをやっているというような、両方の面が重なったために、特に大きい輸入超過を起こしたわけでございますが、これは一面、日本の方にも責任がございまして、向こうが無理に売りつけたというわけじゃなくて、私どもの方の経済事情によって買う量が異常に多かったということもございますので、今、そういう点については、御承知のように、私どもは設備投資を押えることを中心にしていろいろな輸入の抑制というようなことをやっておりますし、一面、アメリカ側は御承知のように、景気の回復が出てきまして、十月、十一月、十二月は、前年の同期を一0%、一0何%、三 〇%というふうな形で上回るような情勢が今出てきましたので、全体において、このアメリカへの輸出量がふえていくということを今期待しておりますが、そういう努力をすると同時に、特殊的な今の綿製品のような問題については、また特別の考慮をわれわれとして払って、努力を払って解決をしていくというようなことによって、私は、との三十六年度のようなひどい対米片貿易というようなものは、三十七年度においては相当程度改善されるものと今考えております。
○山村委員長 この際、石野主計局長に、先ほどの計数の問題の御発表をいただきます。石野主計局長。
○石野政府委員 先ほどお尋ねの数字でございますが、通産省の方から提出されておりました数字は、一月から十一月までの数字でございますが、そのベースが違いまして、通関ベースでございます。通関ベースと申しまして、税関を通りました実績による数字でございます。国際収支、為替収支という場合は為替ベースでとりますので、大蔵大臣は為替ベースの数字をおっしゃっているわけであります。
○山村委員長 それでは、明日は午後一時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時二十分散会