P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
40回国会衆議院1962/01/29

予算委員会 第2号

発言数
179
登壇者
13
会派数
2
開催日
1962/01/29

会議録

山村新治郎自由民主党

○山村委員長 これより会議を開きます。  昭和三十七年度一般会計予算、昭和三十七年度特別会計予算及び昭和三十七年度政府関係機関予算を一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。田中伊三次君。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員 与党を代表してお尋ねをいたしたいと存じます。  質疑の前に一つ池田総理以下の諸君にお願いを申し上げます。与党質問は三人で分担をするという結果、質疑の事項はたくさんな量を私が背負っております。お手元に回してあるプリントのごとくに、その数は数十項目に及んでおる。たとえば質問が一分で答えが一分だとしても、二時間はたっぷりかかるプログラムである。私の方も注意をするが、答えは簡明に一つ要を尽くしてもらいたい。これを一つお願いをしておく。私の方も気をつけます。  まず第一の私のプログラムの憲法問題でありますが、これは総理すでに本会議においてたびたび言明のあるところで、これを略します。  日韓問題。まずこの韓国問題について伺いたいのは、一体、朴(パク)政権、——これを日本流に読むと「ボク」政権と読むのでありましょうが、その朴政権は、クーデターによって政権を獲得した、いわばファッショ的性格を帯びておるものだ、これを相手に交渉をするのはいかがなものかという所見を述べる者がある。しかし、これとは反対に、革命直後の政権というものはきびしい姿は避けがたいものなのだ、韓国は今非常に努力をして、来年中には民政移管をしようと努力をしておる姿さえある、善隣友好上非常に大事な韓国であるから、すみやかにこの韓国の立場を理解して日韓交渉に入るべしとの見解を述べる者もある。内閣総理大臣は朴政権をどういうふうにごらんになっておるのか。この観測に誤りがあると、この発言それ自体が日韓両国国交回復に妨げになる。総理はどういう御所見をお持ちになっておりますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 韓国の国際的立場につきましては、すでに御承知の通りに、国連におきましてもその地位を認めておるのであります。従いまして、われわれは過去十年にわたって韓国との国交正常化に努力して参りました。しかし、今まではその意を得ませんでした。しかるところ、革命がありまして、ことに朴政権になりましてわが国との国交正常化に非常に熱意を示しておる。われわれは従来の韓国の立場を考え、また、今の革命政権がお話の通り一九六三年には民政に移管する、そうして着々その準備をしておるのであります。従いまして、特別な関係にありますわれわれとしては、また従来日韓正常化に努力して参りましたわれわれの伝統から申しまして、やはり早急に正常化をはかりたいと、こう考えておるのであります。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員 そこで、日韓交渉に臨むわが国の態度、——態度と申しましても、基本的態度、根本的態度をいうのでありますが、どういう根本的な態度で臨むのかということについて一言触れてみたいと思います。  総理は、本会議で承っておりますと、日韓両国は、地理的、経済的、文化的という、そういう深い関係にあるというお言葉がございました。もう一つ大事なととが抜けておるのではないか。両国の間は血縁的関係が深い。全世界どの国より深い。こういう事実にかんがみて、日韓交渉をする場合の基本的態度は、三十六年間の長きにわたって異民族に統治されたというこの事実に対して、日本国民は心からなる同情を禁じ得ないのだ、こういう基本的態度をもととしまして、誠意を持って日韓交渉をやりたい。それですから、根拠のある請求権だけというようなけちなことを言わずに、相当程度の経済援助をも含めて日韓交渉は誠心誠意これをやっていくべきものである、こう考えますが、総理のお考えを承りたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 歴史的、地理的、文化的の特別の関係があるということは、私はいろいろの意味を含めて申し上げておるのであります。従いまして、われわれは、過去ばかりにとらわれず、将来両国がともに携えて繁栄の道をたどるためにはどうしたらいいかということでございます。過去のことばかりを私は追及するわけじゃございません。従いまして、請求権が片づけばそれでいいという気持ではございません。請求権は請求権、それよりももっと前向きに、韓国の発展が日本の繁栄に非常な影響があるということを考えていこうといたしておるのであります。従いまして、朴議長と私との会談にも、請求権ばかりではなしに、将来の問題も話題にいたしておる次第であります。そうして、韓国の経済的発展につきましては、アメリカはもちろんでございまするが、最近は自由国家群が経済的援助を相当はかりつつある現状であることも私は考えまして、経済協力ということは今後の日韓関係の大きい問題として取り扱いたいと思っております。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員 そこで、もう一つ大事なことが日韓関係である。そういう態度でそういう誠心誠意の交渉をしていくことまことにけっこうと思いますが、同国の間には、具体的に申しますと、李ライン問題、それから、ゆるがせにできないのは竹島問題、もっと大事な問題は戦争前からわが国に居住をしておられた韓国人の居住権問題。普通の外国人なら法律によって三年たてば切りかえるか帰るかしなくちゃならない。それをいつまでも置いてある。これは解決せなければならぬ大きな問題でございます。この竹島問題、季ライン問題、まだほかにもありましょうが、特にこの居住権問題、こういう重要な問題を国交正常化と同時に解決をしろ、これは国民の声であります。こういう重大な問題を解決しないで、請求権問題を解決をした、経済援助もやった、——何のことかわけがわからぬ。これは内閣総理大臣の指揮のもとにしっかり腹をきめてこれを同時解決をする。同一交渉全権でいけなければ別個の交渉委員を選んでよろしい。これをしっかりやるんだということに願いたい。与党を代表するこれは念願であります。総理の御所見を伺います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 お話の通り、日韓国交正常化の問題は、単に請求権の問題、経済協力の問題ではない。最も重要な将来の大きい問題は、韓国人の日本国内における法的地位。これにつきましては、もう請求権問題以前に相当論議を尽くして大体結論に近いところまでいっておるのであります。そうしてまた、漁業権問題はわれわれ国民の最も関心のある問題でございます。これは非常な関心があるだけ、これを常に話題に上そうといたしておるのでありますけれども、向こうの方では請求権を先にということでございます。しかし、漁業権問題につきましては、当然これは正常化の問題と同時解決する、それなくてはできないのだということは、もうわかり切ったことであります。ただ、竹島問題はちょっと私は性質が違うと思います。これは当然日本の固有の領土でございます。これを理不尽に向こうが言うことは、やはり説き伏せなければならない。漁業権問題とか、あるいは法的地位の問題、請求権、経済協力の問題とは別個に私は竹島の問題を取り扱いたい、こういう気持を持っております。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員 ガリオア、エロア問題についてお尋ねをしておきたい。  一体、ガリオア、エロアによってアメリカから日本が救援物資をもらったという、その問題でありますが、終戦直後に上野の駅でだいぶん長い間、当時の記憶から言うと七十人内外の餓死者が続出をした。大阪駅においても十数人の餓死者が続いて起こったというときに、ガリオア、エロアの制度によって救援物資が届いたということであります。一体そのどこが議論があるか与党はわかりにくいのでありますが、こういうときにこういう救援物資をもらって餓死を防いだということになるならば、アメリカの方が返せというような要求をしなくとも、日本の方から、あのときのものはどういう計算でいたしましょうかという伺いを立てる誠意があっていいのじゃないか。一体、このガリオア、エロアの制度というもの自体を考えてみると、有償とも無償とも規定はないが、持ってきたアメリカの方から、もらった日本の方に対して、これだけのものは計算をしようじゃないかと言えば、これに応じなければならない義務が生ずるものと思われる。  小坂外務大臣の御意見を聞きたいのでありますが、ガリオア、エロアはどういう根拠によって支払いに応ずるという債務承認の決意をされたのか、根拠を伺いたい。何か約束があるのか。約束はないけれども、受け取ったものに対して計算を要求されたからこれに応じたのか、初めから受け取るときに約束があるのか。  時間がないから一口に続いてこれを一緒に聞いておきますが、ガリオア、エロアでもらったものの中には、たとえて言うと学童用の粉ミルクのごとく、これは百分の一になるのか千分の一になるのか知らぬが、ガリオア、エロアで送ってこられたものの中で、これはただだ、これは贈与だ、これはギフト物資であるとして区別をして送られたものがある。そういうものもあるのかどうか。かりにそれが百分の一あるとするならば、あとの百分の九十九というものはどういう約束で放出になったものか。これは、放出を受け取ったものは自由民主党ばかりじゃない。片山内閣時代も放出をもらっておるから、一緒に言うのでありますが、どういう約束で受け取ったのか、これを一つ簡明に承ります。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 ガリオアについては、アメリカの予算上の支出の建前から、これは取り立てるべきものであるという先方の考え方によっておるわけでございます。その考え方については、マッカーサー当時の元帥が先方の議会で証言したり、あるいはヴォルヒーズ陸軍次官がそういう証言をしたり、いろいろそういう証言もございます。  そこで、わが方の立場でございまするが、わが方は、一九四六年の七月に受けました、スキャッピンと言っておりますが、占領軍の指令書によりまして、こういう物資を放出するけれども、この支払い、あるいはその支払いの条件等については後日相談の上決定するということを言い渡されまして、それを承知して、もらっておるわけでございます。また、そのほかに、田中さんもおっしゃいましたように、通産省の計算によりますると十七億九千五百万ドルというものをもらったことになっておりまするが、そのうちの約一%のものは無償であるということを特に書いてございます。その他のものは、何も書いてないものでありまするから、今の有償という考え方が適用されるものだと思います。そういった意味から、これは債務性の濃いものである、こういう考え方で、歴代の政府は債務と心得るということを言っております。しこうして、その債務と心得ている問題について交渉の結果、債務を確定した、かようなことになっております。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員 四億九千万ドルということに話をきめて、十五年間で半年払い、二分五厘の利息をつけるとなっておりますね。これは事務当局でもよいが、一体、十五年間に日本がアメリカに支払う元利金の総計は幾らになりますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 お答えを申し上げます。  これは、十五年間に払いますと、元利合計しますと、総額は五億七千九百二十二万九千百四十六ドルということになるわけでございます。しかし、これは、その以前に払いますれば、これは十五年間に払えということでございますが、十五年以内に払うことも可能でございますから、そうなりますれば、その分の利子というものはなくなるわけでございます。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員 その金を払うのはどこの会計から払うということについて聞いておきたい。一体、アメリカから放出された救援物資は、これを日本国民に渡して円を取っている。ただで渡したのじゃない。円をもらっておる。そのもらった円は見返り資金特別会計に一たんは蓄積されておったが、今は産投会計に入っております。現在の産投会計のファンドが見返り会計から受け継いだ元本はどれだけあるか、その利息はどれだけあるか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 産投会計は二十八年八月一日に設立されましたが、当時の総資産三千四灯八十一億円のうち、見返り資金からの承継分は二千二百九十四億円であります。それから、一般会計からの承継分が千百八十七億円ありますが、そのうち見返り資金による復金債償還分六百二十五億円。これを加えすまと、当時の見返り関係資産は実質二千九百十九億円。これを引き継いだことになります。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員 国民からもらった放出物資の代金が二千九百億円ある。アメリカに返さなければならぬ元利合計金は、小坂大臣の御報告のように、これは円に直すと二千億円余りということですね。そういうことですね。二千九百億円の代金の中から二千億円を返すというのだから、九百億円内外はまだ金が余っておる。国民の血税をほかから持ってきて二重払いをする必要はないということに承知をしてよろしいか、小坂大臣。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 さようでございます。政府としましては国民からそれだけの金を受け取っておる。これはその通りでございますが、アメリカに対しては一度もそれを払っておらないのでございます。従って、政府とアメリカとの関係は、払わなければならぬといたしますれば、これは二重払いは政府とアメリカとの関係ではないわけでございます。また、政府と国民との関係では、ただいま大蔵大臣が言いましたように、二重払いにもなっておらぬ。こういうことで、両面から、二重払いになっておらぬ、こういうことだと思います。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員 タイの特別円問題で伺っておきたい。これは小坂外務大臣からお答えを先に願いたい。  問題の、このただにするという九十六億円。これは、昭和三十年の確かに八月か、最初の協定をしたときの協定の原文を読んでみると、投資またはクレジットの形式により日本国の資材及び役務をタイに供給するとありまして、どんなに上手に解釈しても、これは無償とは書いてない。有償借款だ、有償の経済援助だ、これは間違いはない。ところが、三、四年を経過をして三十四年の秋ごろからと記憶をいたしますが、タイは、あれは表はああだが裏はただだ、立ち会うたアメリカの弁護士もただということを証明しておる、こういうことで、ただにせよとの要求がタイ側から白昼公然と出てきておる。これは一体どういう裏があるのですか。私は与党だが、これには何か裏があるのではないかと思うのだが、表はこうしておくが、これはただにするんだぞという話が、密約がどこかであったのではないかと疑われるに足る材料がある。そういう一体密約があるのか、これはどういうわけかということを伺いましょう。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 その密約のようなものはないと承知しております。しかしながら、田中さん御承知のように、今おっしゃいましたように、書き方が、クレジットを与えるとか、あるいはインベストメントをするならする、こうはっきり書いてない。それの形式においてサプライする、こう書いてあるので、多少まぎらわしいと言えば言えないこともないかもしれないと思います。しこうして、これは、この協定ができたときから両国の間においてこの実行方法について問題がございまして、なかなか合意に至らない。そこで、五十四億円の方は、これは現金で払うと書いてございますから払ってしまった。残った九十六億円については、どうしてもこの協定が実行不可能でございます。やはり、国と国との関係で、ことにアジアにおきまする日本の地位あるいはタイの友邦としての地位、こういうものにかんがみてみまして、タイに限りませんが、われわれ、東南アジアの友好国との間にはできるだけ前向きに処理したい、こういうふうに考えておりまして、さような観点から、大所高所に立ってこの協定の第二項を動き得るようにする、こういうために、今回この九十六億円を供与するように形を改めましたわけでございます。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員 どうもこの話はわかりにくいところが与党にもあるのです。これを明確にしておきたいと思いますが、一体、この形式によりと書いてあることだから少しまぎらわしいとこれは読めぬこともないが、これだけ明瞭な有償契約を無償契約に切りかえるというには、血税を払っておる国民が腹から得心のできる理由がなければならぬと思います。国会もこれを簡単に扱うということは国民の手前できない。  そこで、大事なことでありますから池田総理に伺いたいのでありますが、一体、どういう配慮から、——だいぶこれは賠償と筋が違うと思います。日本の軍隊がタイ国に平和進駐と称して乗り込んでいったときに、タイ国から徴発をした物資に対する代金として円を払って置いてきた。これが特別円。そればかりではないが、これが大部分。そうすると、普通の賠償とは違って、日本が商品を買うた代金だということにもなる。そういう事の性質にかんがみという意味なのか、何かほかにこうしなければならぬわけが総理はあるのか、それを得心のいくように一つ総理、御説明を願います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 お話の通り、タイとの特別円問題は、大東亜戦争中、日本がタイ国におきまして徴発した物資の代金でございます。徴発した物資の代金につきましては、これを金で返す約束のものもございます。それでまた、金で返すものは幾ら幾ら、こうやっている。金で返しておった。終戦になりまして、大体当時の円で十五億円程度の物資代があったと思います。そこで、当初は、タイ国におきましては、千数百億円を払ってくれ、こういうような要求もあった。一時は、五百億円までいき、二百五十億円ということになったのですが、いろいろな折衝の結果、一応百五十億円にしようということにきまりました。そうして、金で返すべきものをこういうふうにしてやろうというので、五十四億円は現金、そうして九十六億円は、今お話しの通り投資またはクレジットの形式において処理しよう。こういうことになっておる。昭和三十年でございました。その後、条約を調印いたしましてから後に、これが常に話題になりました。私が昭和三十二年大蔵大臣のときにもこの問題を解決しようとして行ったのでございますが、私らといたしましては、当初は、あそこに相当の設備を置いて、いわゆる工場を置きまして、その工場における生産物の利益でこれを返していこうという案を立ったことがあるのであります。しかるところ、タイの国では、自分の品物を徴発せられて、その代金を払うかわりに投資をして、タイが借金を負う、自分の国の物を徴発せられて、そうしてその支払いとして工場が設けられて、タイが借金を負うということは、どうしても常識上考えられない、われわれは日本国と共同でいろいろやって参った、数十年間あるいは数百年間。物を徴発されて、そうして今度借金を負うのだということはどうしても考えられないというのが、タイの言い分でございました。私は、タイの人の気持もわかりますし、当時のことも聞きましたし、また、タイに参りまして在留日本人の意見等も聞きました。そうして、今タイと日本との経済関係——もちろん、外交関係は、御承知の通り、何百年来、また国際連盟以来の非常な特別の親交関係にあります。経済関係を見ましても、ずっと以前は輸出入がバランスしておりましたが、このごろ、米を輸入しない関係上、タイと日本との貿易は片貿易であります。ここ二、三年来日本からの輸出は一億あるいは一億一、二千万ドル。向こうからの輸入は、米がございませんので、トウモロコシその他をずっとやっておりますが、五、六千万ドル。とにかく、倍以上、出超が五、六千万ドルでございます。こういうことを考えまして、タイという国は、東南アジアにおいて最も日本としては重要な国であります。同胞がタイ国に一千人おります。しかも日本人小学校も特別に置いてもらっている。一千人の在留邦人がおる国は、東南アジアにはどこにもございません。五百人もおるところはない、これはタイと日本との特別関係を意味しているものだ。しかも、従来の外交関係、そうして、今後東南アジアにどんどん行く場合におきましては、あそこが一つの足場になるということ等も考えまして、私は、大所高所から、工場を設けてその利益で徴発物資を払うということよりも、向こうの言う気持になって、そうしてこの際九十六億円を払った方がいい、こう決心いたしました。しかし、払いますにつきまして、賠償その他もございますから、これを八年の年賦にしよう、年に十億ずつ、しかもおしまいに二十六億円を払う、できるだけわれわれの負担を少なくしたい、こういうので、サリットもそれを承知しました。しかも、この協定ができましたならば、そのお金は全部日本商品と日本の役務でまかなう、そうして、今後タイの開発につきましては第一次的に日本と相談する、北緯十五度線以北の経済資源調査は、どの国にも認めておりませんが、日本に対しましては特別の調査権限もやるし、そうして今後一そう両国の親善関係を深めていこうといういわゆる高い気持で、前向きで二人で話し合って妥結したわけでございます。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員 これは大事なことですから、やはり総理から御意見を伺いたいのですが、ビルマ、フィリピン、インドネシア、この三国の賠償協定の中にも、有償経済援助というものがありますね。二億五千万ドル、四億ドル。こういうビルマ、インドネシア、フィリピンなどから、タイの有償が無償になるんならおれのところもそうしてもらいたいというような申し入れが——あるべき筋のものでないと思うが、今総理の言明の通りに性質は違う、違うんだが、そういう説明は今聞いておるので、おれのところをもっとということもなきを保しがたいと考えるのですが、そういうような理不尽な要請があった場合は断固拒否せられるという総理に決意があるかどうか、国会であらかじめ一札をいただいておきたい。おれのところも無償にしろとこの三国が言うてくる心配はないか、こういうことであります。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 そういうことは絶対にあり得ないと思います。賠償交渉で、経済援助というのはビルマと五千万ドルぐらいしておりますが、まだこれは一つも行なわれておりません。そういうことは言っておりませんし、また、インドネシア、フィリピンも、これは経済協力、特別なあれでいっておるので、どういうことを言ってくることもございません。また、言ってきたって、それに応じるわけには絶対に参りません。そういう性質のものじゃございません。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員 ビルマ賠償についても同様のことを伺っておきたいのですが、再検討条項が協定の中に明文として書かれておるのはビルマだけであります。これはインドネシアにもフィリピンにもこういう再検討条項というものはありません。ありませんが、私は、ここに小坂外務大臣に伺っておきたいのは、一体、ビルマが再検討をしてくれと申し出ておるのは、どこの国の賠償から見て低過ぎるからやり直せということを言うてきておるのですか。どこの国と比較をして、自分のところは安いからやり直そうということを言ってきておるのですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 ビルマ側の考えといたしましては、フィリピン及びインドネシア、これとの比較において再検討を要求しておる、こういうことに承知しております。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員 この場合も同様にだめを押しておきたいのでありますが、池田総理からお答え願いたいのでありますが、再検討条項のないインドネシア、フィリピンから、条項がないのにかかわらず再検討の申し入れをしてくるということはあり得ないものと考えるが、一部外電の伝えるところによると、幾らかあやしげな空気があるようにも見受けられる。これも、先ほどの言明と同様に、再検討の約束のない国国からさような訂正の申し入れがありましても、断じて受けるわけにいかないとの立場をおとりを願いたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 当然のことでございます。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員 経済の高度成長に伴うてしわの寄っておるところは、御承知の通り第一は中小企業。中小企業と一口に申しますが、特に弱小零細企業にしわ寄せが濃厚であるということは、総理御承知の通り、大蔵大臣も御承知の通りであります。昨年の十月危機と言われたものが乗り越され、年末の危機もどうやら過ごすことができた。三つ目の危機であると言われて心配をされておるのは、大幅揚超期の二、三月であります。当然にこれを乗り越えてもらわなければならぬことになりますが、特に私が党を代表して要請をしたいのは、弱小企業に対する金融措置ということに全幅の努力を心から払ってもらいたい。具体的に申しますと、国民金融公庫、商工中金、中小企業金融公庫等の中小企業向け三金融機関と言われるこの三方面に対しては、この大幅揚超期に対しては特別の配慮をして、中小企業の期待に沿いたいと考えます。大蔵大臣から具体的に、二、三月揚超期対策は、特に中小企業、弱小企業向けの処置としては、揚超の時期にこれをおやりになるのはどういう具体的な対策をお持ちになっておるか、二、三月揚超期の金融対策というものを一つ具体的にどの機関にどれだけの金額を考えておるかということを明確にしてもらいたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 中小金融三機関に対する資金の手当は、年末は、御承知の通り私どもは四百五十億円行ないました。それから中小企業向け資金を確保するために三百五十億のオペレーションをやりましたので、財政資金の手当は年末八百億円いたしましたが、この期間においては、さらに必要資金の追加を行ないますし、オペレーションもやる方針で、今関係省で検討しておりますが、さしあたり二百五十億円の資金強化はやりたいと考えております。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員 物価問題について藤山大臣に伺っておきたい。  簡単明瞭に伺いますが、今年は公共料金の値上げは断じてやるべきでないと思う。やる考えがあるのか、断じてやらぬのかということを一つお尋ねをしたい。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 公共料金につきましては、昨年三月七日の閣議了解がございまして、さらに七月二十五日それを再確認いたしたのでございまして、その確認は、公共料金の引き上げについては、できるだけ抑制の態度をとって進んでいく、こういうことで進んでおるわけでございます。ただ、しかし、その際に、やむを得ざるものについては例外として認めるというのが七月二十五日についております。このやむを得ざるという意味は、将来の輸送関係の増強でありますとか、あるいは公衆衛生関係等におきまして、衛生上国民の健康に影響を与えるというような、そういう施設を改良していかなければならぬというようなものにつきましては、将来の問題としてやはり考えざるを得ない場合がございます。従って、単に赤字だからということでなしに、将来のそういう面についてという意味に御解釈願ってけっこうだと思います。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員 藤山さん、できるだけとか、なるべくとか、原則としてとか、そんなことは抜けませんか。公共料金を、とにかく、計算がどうだとか、避けるべきではないとか、なんとかかんとか計算をして公共料金の値上げをやるから、ほかが上がるのですよ。なるべくなんということは、一体認識が足らぬのじゃないですかね、藤山さん。これは与党の代表者と政府を代表してのあなたとの間に問答をするわけで、国会で文句を言われて断じて値上げをせずとの言明をしたのだ、その点においては閣議の決定は修正だ、そういう言明ができればそれ自体が理由になって押え得るのでしょう。値上げはやりません、こういう言明に何とか変わりませんか。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 今申し上げましたように、単純な赤字を理由として、そして公共料金の値上げの申請というものについては、閣議決定の公共料金を抑制するということで押えていくということは、申し上げた通りの方針でございます。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員 絶対の値上げをしないということが言いにくいのですね。どこか上げたいところがあるのでしょう。これは、公共料金の値上げという基本的な問題については、閣議の決定は絶対値上げは許さないのだという大方針に立つのだという解釈もできないことはない。——あの閣議の決定を読んでみると。場合によってはとか、例外としてとかいうようなことは、ことしはもう言わないで、がんとしてこれを押し通す道はないか。非常にくどい話でありますが、この閣議の決定はあくまでも貫いて、原則にウエートを置いて、例外は極力避ける、そして物価の安定に全力を尽くす、これは藤山大臣からもう一度お答えを願いたい。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 原則として、七月二十五日の閣議の決定におきましても、公共料金の値上げにつきましては、これを抑制していくという立場を堅持して参ることは当然でございます。ただ、公共料金と言うものの、一般物価の情勢と申しますものは、単純に単一の原因から来ておらない場合が多いのでありまして、輸送の複雑でありますとかいうようなことによって輸送が円滑にいかなければ、おのずから物価高を招来する原因をなしていくということにもなりますので、そういう面において考慮を加えなければならぬ場合がある。今の公衆衛生の場合におきましても、環境衛生を整えなければ病気等が伝播するというようなものに対するやむを得ざる対策を立てておきませんければ、これは社会福祉のために相ならぬと思います。でありますから、単純な赤字であるというようなことだけで、その赤字の原因が労働組合の賃上げにあったり、あるいは経営者の非常な不合理化によったりというようなことでありますならば、これは当然抑制すべきものだと思います。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員 それで、続いて藤山さんに伺いますが、この物価問題に非常に大事なのは消費者物価だ。私が特にきょう尋ねたいのは、店先の物価、店頭物価。おかみさんがエプロンをかけて買い物かごをさげて物を買いにいくのはCPIで買うのではない。内閣統計局発表の消費者物価指数でネギや大根を買うのではない。店頭物価というもので買うのです。その店頭物価というものが正常でないということの原因はどういうところにあるのか。生産の状況、ルートの状況、輸送の関係、中間利益の関係、こういうものが整備されて参りますと、やたらに高くなるという筋はないのですね。それが全部店頭物価に影響してくる。一体、野菜が高いのはどういう理由かということは、藤山さんも御存じの通り、この間もラジオでお話しになっておったから御存じでありましょうが、室戸台風で関西がやられて、関東の一部がやられた。ちょうどそのときは十センチとか十二、三センチの芽が出ておるところをやられたので、まき直したものもあるし、そのまま育てたものもあるけれども、とにかく大被害をこうむったという事情である。こういうことをお考えになったことがありますか、一体。室戸台風でやられたのは関西と関東。日本全国野菜はできておる。日本全国どの土地にどれだけの野菜ができているかということの調査さえできておれば、各地に農協関係もあれば、ほかに指令もできる。被害をこうむっていないところから野菜を集荷をして、十本の列車は九本にしてでも一本は野菜列車を通すということは、政府の行政指導によってこんなことやれぬことないでしょう。それをやっておりはしないじゃないか。室戸台風はいつ吹いたんです。昨年の十月の末から十一月の初めにかけての国民生活は、この野菜をめぐって非常な苦心をしておる。大根一本百円だ、ネギ一本が十円、十五円だ、それから以後国民は野菜の生活にどんな影響を来たしておるか御存じですか。これは閣僚皆さんに聞いてもらいたい。大根一本が買えないからといって、大根を二つに切って買う習慣ができてきておる。大根半分いただきたいという売買です。(笑声)笑えない話です、この話は。キャベツ一個買えないから、団地の付近の売店に行って調べてごらんなさい、キャベツの葉を何枚いただきたいという売買の習慣が起こっている。これは何を物語るかというと、野菜がばかに高くて、台所は負担に耐えかねるということなんです。魚だってそうでしょう。魚は、きょうとれてあすとれない、とれるときととれぬときとある。とれないときは困っておる。とれるときは肥料にしたり捨てておる。どうして一体海岸の生産地に大冷蔵倉庫を建設することにもっと力を入れないのか。これは大蔵大臣もしっかりお聞きを願いたい。こういう方面に金を出すことを惜しむことないじゃないか。それから、消費地の中央市場に大冷蔵庫を建設するに莫大な金がかかるが、その融資の道は一体どういうことを講じておるか。これはできておりはしない。生産地に冷蔵倉庫ができて、消費地に冷蔵庫が完成をして、中を輸送する輸送路は二つしかない。道路を走るものには冷蔵自動車を作れ、鉄路を走るものには冷蔵貨車を作れ、簡単なことです。それをすることに政府が金をろくに出さないで、会議ばかり何回連絡会議をやったって、会議では店頭物価は安くならないんです。会議の中心人物は、藤山さん、あんたばかりに言うて済まぬけれども、会議の中心はあなたの責任でしょう。交通が行き詰まったというので交通会議を開いておるということを私はじっと見ておりますと、最近、川島管理庁大臣は、さすがに気がさいていで、財源のなき会議は役に立たぬ、立体交差を断行するためには断じて財源から考えていかなければならぬということに着眼をしてとにかく意見を述べておる点は、私は気のきいたことだと思う。物価対策の連絡会議を藤山さんが中心になっておやりになって、各省とどんな会議をやっておるのか知らないけれども、百円札一枚出すことをやらないで、会議ばかりをやっても、店頭物価は下がらない。これはどういう考えでおやりになっておるのか。国民が困っているのは、CPIじゃないんで、店頭物価だということを念頭に置いて、しっかりお考えを願いたいが、御見解を一つ承りたいと思う。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 消費者物価の問題が重要であることは申すまでもございませんし、ことに、今御指摘のように、単なる消費者の物価指数というものを見ておりますだけではいけないのでありまして、家庭生活の主婦が身近に体験しておりますその気持をわれわれも現実に考えて参らなければいかぬと思います。私ども、主婦連の代表者その他から、しょっちゅう、家計簿が赤字になる、物価指数の問題とは別個にそういう話を聞いておりますので、そういう点については、われわれとしては最大の解決策を講じて参らなければならぬと思います。消費者物価対策連絡協議会というものは、事務的な各省の連絡をやりまして、そうして、そういう問題についての解決すべき方向について各省お互いに話し合いをしながら問題点を明らかにして、そうしてそれを政策の上に反映するように準備をする機関でございまして、そういう意味において、企画庁としては消費者物価対策連絡協議会を企画庁の次官が中心になって運営しておるのでございます。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員 連絡協調をおとりになった結果、店頭物価対策にこういう努力をすればこういう結果になるという見通しがついたときは、——政府には二百億円から予算の予備費は組んである。店頭物価対策に予備費を使っていけぬということは書いてない。二百億円載せておりますから、財源はあるのだから、しっかりお考えになって、金を使う、こういう腹をきめていただきたいと思います。  それから、きょうは予算の代表質問でありますから、予算のことを、一つ大事なことだけ、これは水田大蔵大臣が責任者ですから、水田大蔵大臣に承りたいと思います。  これは私も反省をしておることで、政府攻撃とか政府に論難をするという趣旨ではないので、それは、予算の編成のやり方、客観的な言葉を使えば予算編成のあり方というものに深い反省を政府・与党としてはする時期が来ておるのじゃないかと思う。予算編成期が来ると、概算要求を出しておいて、各省があまり感心をせない各地に陣取って、そうして、不眠不休で、はち巻をしたり、赤旗は振らぬけれども、やり方はよく似ておる。不眠不休だ。体力のない者は予算編成では腕はふるえない。こういうやり方をして予算編成をしておる習慣が改まらない。これはだれの責任かというと、政府・与党の責任です。しかし、法律上、財政法上の予算編成の責任は、水田さん、あなたにある。あなたに聞きたい。こういうやり方はやめたらどうだ。何ぼでもやる手はあるでしょう。具体的に申しましょうか。政府・与党というものは、国民に対して事あるたびごとに重点施策を表明して公約をする。政府・与党が公約をした重点施策のごときものは、予算編成に対して大蔵大臣を中心として政府・与党が相談をして、どうして優先的に予算が盛れないのか。政党政治をやっておるときに、大事な責任をとらなければならぬ政府・与党というものがあるのにかかわらず、それが天下に公約をしておる重点施策というものについて、第一次査定はゼロだった、第二次査定は百億ついた、第三次査定においては不眠不休でやった結果五百億になったというようなばかなことはないでしょう。これで政党政治になりますか。これは私は野党の攻撃の前に私がみずから反省をするという意味において言うのでありますが、重点施策ぐらいのものは政府・与党の意思によって優先控除をしていいのでしょう。そうして、事務的なものについては財政法の命ずるところによって調整の努力をなさるがいい。この話を私がこの席で申し上げることは非常に言いにくいのでありますが、しかしながら、党内心ある人々が毎年々々心配をしておることでありますが、これが改まらない。大蔵大臣の予算編成の方針に私はまず反省をしてもらわねばならぬところがあるものと心得る。大蔵大臣のお考えはいかがでしょう。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 大体おっしゃられる通りにやっているつもりでございます。と申しますのは、各省から概算要求が出て、大蔵省が閣議決定の素案を財政当局の責任において大蔵原案を作ります。作る過程におきまして、私どもは政府として与党に申し出て、予算編成方針について、与党はどういう政策を重点に考えるかという意見も伺って、与党からそういう要望が出てくる、この要望を受け取って、財政当局も重点の置きどころをきめた原案を作る、そうして最後に閣議においてこの原案の調整が行なわれて、最後の政府予算案が決定される、こういう順序をとってやっております。従って、与党・政府が政策的に重点を置いたものを、最初からゼロで出発しているとか、こういうようなやり方は今でもやっておりません。大体、われわれの大蔵原案の過程におきましても重点的に一応の予算編成をやっておりますが、ただ、これはあくまで原案でございますので、これが各省大臣との折衝により閣議決定になる過程において、いろいろ調整変更されることは当然でございまして、比重のつき方が少なかったというので、さらにこの重点項目の強化というようなことも行なわれますし、また、比重の非常に軽いものは修正決定の過程において修正され、減額される項目というのも相当多うございまして、そうして最後案がきまるというこのやり方自身、大体今おっしゃられた方向に沿った編成の仕方をやっておるのじゃないか、私自身はこう考えます。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員 大体のやり方はそうだという言いわけはせぬ方がよろしい。そうなっておらぬ。もっとわかりやすく言いましょうか。党・政府の天下に示した公約の重要施策が、どうして内閣と党の重役できまらないのか。どうしてこれを大蔵官僚のところへ押しつけて一次の査定にかけるか。大蔵も迷惑だ。あなたのおっしゃる通りが行なわれておるのならば、第一次査定で政府・与党の要求した通りの金額が載ってこなくちゃいかぬじゃないか。どうしてこういう無理なものを大蔵官僚に押しつけるのですか。大蔵官僚の政治じゃないのですよ。政府・与党の政治をやっているんだ。議院内閣制のもとにおいて政党政治をやっておるんじゃないか。これは、反省すべきは反省するという気持にならなければ、来年も直らない。重点施策は政府と与党の責任で金を取りなさい、方針をきめた通り第一次査定で載せてこいと、こう言うのです。ここで僕が怒ったんじゃ理屈は合わないが、言いわけをしておると何年たっても直らぬ。もう一ぺん……。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 反省しろというのですが、もし反省すべき点があるのでしたら、私は、今度の予算編成方針を閣議できめるときも、予算要求というものはもっと具体的なものであるべきだ、こういうやり方をするんだといって、せめて法律の要綱あるいは法律のほんとうの本文がきまるようなところまでいって、練られたものを初めて次年度の予算に取り上げるということをすべきだと申したのですが、そうでなくて、財政法では八月一ぱいに概算要求を出すべしということになっておるのですが、そのとき出てこない。しかも、予算折衝の最後にきて、具体案の全然きまってないものを、こういうものを新政策としてやるべきだという要求のあり方がどうかということについては私は考えます。そういうものは、私どもは、よしやっていいことであっても、ゆっくりと与党・政府は具体策を練って、次の年度にいって実施してもいいんだろうと思うのです。そういう意味におきまして、与党・政府で政策がきまっておった問題でも、全く具体性を欠いておった問題は当初予算に盛りませんでした。  これは、最後の折衝において実施案がほんとうに固まるのなら、与党・政府の相談によって政策化し予算化することは至当だと思いましたが、そういう具体案のできていないものは、たとい政府・与党の重要政策と言われておっても、財政当局としては、これは予算の第一原案から省く、これは仕方がないことだと思っております。そういう意味において省かれたものはございますが、そのほかには、一応具体案のできておったものは、やはり重点を置いて原案に織り込んである、こういうことでございます。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員 お立場もよくわかるので、今後は党の重点施策については極力その計画を具体化することにわれわれの方も努力をいたしましょう。そして、政府、与党の責任において堂々と予算を組んで、最後の段階でつかみ金で事の処理をするようなことのないように、来年度からは一つ政府・与党が協力をして、世間から笑われないようなりっぱな予算の組み方に態度を改めることにいたしましょう。  それから、時間がだいぶ過ぎましたが、私は、これから一貫して、こうすれば国際収支が改善される、こうすれば内需を押え得る、こうすれば輸出は伸ばし得る、こうすれば輸入のセーブが可能であるということを、いろいろ私の調べましたことを党とも相談したわけでございますが、これについて具体的なことを申し上げ、これについて一つ所論をしてみたいと思います。国際収支改善の年に国際収支を改善するための努力を払いたいというのであります。  池田総理に第一にお尋ねをしたいのは、預金金利というものは、これは昨年の四月一日以前に戻したらどうだろうと思う。預金金利と申しますのは、申し上げるまでもなく銀行の一年定期を言うのであります。十年間六分の利息を払ってきたものを昨年の三月末に五分五厘に引き下げて、四月一日から実施をいたしました。その後において、一方の公定歩合、すなわち貸出金利の関係においては、市銀ともに全部一厘ずつ二度上がった。預金金利は引き下げたままほうりっぱなしになって現在に至っておる。十年間続いた六分が去年から五分五厘になって、そのままほうりっぱなしになっておるということであります。これを一つ、低金利政策という池田さんの仰せになっておることとは逆のことになりますが、ことしは国際収支改善の年であるということで、当面緊急の対策として、これを何とか一つ元に戻す道はなかろうか。これはいかがなものでしょう。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 金利は産業、経済につきまして最も重要な問題でございます。わが国の国際競争力を強める最も重要な問題の一つは低金利政策でございます。長い間かかりましていろいろ研究の結果、昨年いわゆる低金利政策に踏み切ったわけでございます。しかるところ、御承知のような状態になりまして、過剰投資、行き過ぎをとめるために公定歩合の一厘ずつ二回の引き上げをいたしました。これはああいう場合におけるやむを得ざる措置でございまして、金利全般につきまして高金利政策とかいうことをとるのは、私は極力避けたいと思っております。今の状態で預金金利を上げるということに、研究はいたしておりますが、私としてはまだ否定的の今の考えでございます。しからば、こういう機会にどうやったらいいかということになれば、それはやはり、国民の貯蓄を沸き立たせるように物価を安定し、そうして将来のための貯蓄、そうしてこれが国の再建に必要なものだといういわゆる国民の理解と協力を得るような措置をまずほかの方法でとるべきだ、しかる後に考えるべき問題だと思っております。今のところは極力預金金利の引き上げはやめたいという気持でおります。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員 財政専門家の池田総理の御意見でありますから、拝聴をいたしましたが、大体この金利が低いほどいいという御意見は、私もそう思う。経済的に見ておくれた国ほど金利は高い。日本の金利は英米に比べれば二倍、三倍の時代もあるというわけで、国際競争力から申しまして金利は低い方がけっこう。しかし、どうして私がそれを存じておりながらこれをくどく申し上げるのかといいますと、預金の金利、銀行定期一年ものがもとの姿に、六分に戻るということは、郵便貯金ももとへ戻るのです。事業債としての電力債を中心とする社債も利回りは上がる。また電力向けの長期貸出資金のごときも昨年の四月一日以前の姿に戻る。この一連の姿は金利の引き上げというのじゃない、下げたのをもとへ戻すというだけなんです。公定歩合は御言葉のごとく二度も上がっておる。預金金利はそのままになっておる。これを戻す。これだけのことなんです。  内容的に見ると、どういうことになるかというと、銀行の五分五厘の預金の金利は六分に戻る。郵便局の普通の預金というものは現在わずかに三分六厘でありますが、これは三分九厘大毛に戻る。郵便局には別個に定額貯金というものがありますが、この定額貯金は一年以内のものは現在四分二厘、これは四分五厘に戻る。一年半以内のものは四分七厘が五分に戻る。二年以内のものは五分が五分五厘に戻る。二年をこえるものについては、これは五分五厘となっておりますが、六分に戻る。社債の金利でございますが、これは御承知の通りに現在七分三厘です。七分三厘じゃ社債に金は集まりませんよ。この七分三厘は、私の意見に従っていただければ七分五厘に戻る。現在の社債は、表面の利回りでも発行額の関係上これは七分四厘です。表は七分三厘、実際利回りは七分四厘、これは七分八厘に戻る。長期の電力向けの貸し付けの金利も現在は八分七厘でありますが、これは九分一厘六毛に戻る。  この一連の金利がかくのごとくに戻る結果はどういう効果があるのか。低金利政策という基本的なものに抵触することは残念であるけれども、この一連の金利が戻るという結果は、国民のふところにある遊んでおります金がこの銀行の方向に、預金の方向、郵便局の方向、社債の方向に集まりやすくなる。この意味において内需は押えやすくなる。輸出は伸びやすくなる。輸入はセーブしやすい傾向に向かうということは、しろうとが見ても、くろうとが見ても間違いない。当面緊急の対策としてこれをやる道はなかろうか。これは一つ総理もお考え中であると仰せになっておるのでありますから、私のこの申し上げた趣旨をもう一度一つよくお考えをいただきまして、金利はもとに戻そうではないか。申し上げておきますが、国際収支の見通しがついた暁はもとの通りに下げていただいてよろしい。銀行は、預かる金利が高くなることを希望しないはずの銀行が、これでは金が集まりにくいから何とかもとに戻してもらって、利子は高くなっても、貸出資金源がふえる方がいいから、もとに戻してもらうわけにはいくまいか、貸出超過といわれるオーバー・ローンも解消しやすくなると、銀行家は真剣に要望しておるということも聞き及ぶ。こういうことでありますから、どうか一つこれは真剣にお考えを願いたいが、とにかくこれができない場合でも、私はお願いがあるのですが、それは今総理の抽象的に仰せになった、何とか他の方法でとおっしゃる。現在は元金三十万円までの利息に対しては免税の処置を講じております。この免税措置を思い切って一つふやしてもらう。預金に金が向きやすいようにとりあえず急いでもらう。そういう御処置をいただいた上で、四月一日以前の姿に預金の金利を戻すことについては、格別の御配慮をいただきたい。国際収支が改善せられたら、これはもとの姿に直していただくことはやむを得ないものと思う。その場合は低金利政策でいきましょう。それまでは当面緊急の対策として、これをおやりをいただくことがよくはなかろうかと思いますから、これは一つお考え下さいますようにお願いを申し上げます。  それから……

山村新治郎自由民主党

○山村委員長 答弁は……。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員 答弁したってろくなことは言われぬ。(笑声)

山村新治郎自由民主党

○山村委員長 田中君、続けて下さい。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員 それで、私はもう一つ具体案として、輸出入銀行の貸出資金、これは現在御承知の通りに、輸出用の長期資金を必要とするときは輸出入銀行が取り扱っておりますが、全額は扱わないのです。御承知のように市銀から二割を出さして、自分のところは八割出して協調融資をしておる。その八割は四分という安い金利で融資をしてくれておるわけでございますから、輸出の振興に非常に役立っておるのです。八割分は四分だけれども、あとの二割は市銀から金を借り入れるという結果、これが二銭四厘、二銭五厘という高い金を払っておる。二銭四厘というと、御説明を申し上げるまでもないわけでありますが、年歩にいたしますと八分七厘六毛になる。二銭五厘の金というと九分一厘三毛をこえるのですね。こんな高い金を、たとい二割といえども使わしておるようなことでは輸出は増進しない。そこで簡単に申しますが、総理、この八割・二割の協調融資の貸出率を、何とか九割・一割という程度にやれないものか。これは法律は要らないのです。現在の銀行の方針でそうしようと思えばできるようになっております。何とかこの四分の金を九割出してやるようにはできぬだろうか。私与党として言いにくいけれども、四分と言わずに三分六厘程度、三分五、六厘にしてやれぬかということを言いたいのですが、これはなかなか困難と思うから、このことをあえて言わないのでありますが、何とか八割出しておるものを九割出して、協調融資または自己資金を一割でいけるようにしてやるわけにいかぬだろうか。昭和三十七年度には、私の記憶では、この間の予算折衝の際の計算からいうと、千二百億円内外の貸出資金量が用意される見込みでございます。それをもう一割ばかりふやす。これは、出資をふやすということは予算をなぶらなければならぬことになりますから、財投の貸し出しをふやす形にしまして、出資を百億ばかりふやしてやりまして、何とか九割にいくまいか。いかがでしょうか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 預金金利の問題はいろいろ議論がございます。明治、大正、昭和の戦争前までの預金金利と比べられましたら、いかに銀行の定期預金が高くなっておるかということはおわかりと思います。これは重要な問題でありますから十分研究いたします。  今の輸出入銀行の貸し出しは、これは前から問題になっております。その問題は、四分を五分に上げようという大蔵省の案、通産省は四分で置いておいてくれ、こういうのであります。それで、今八割と二割になっておりますが、前は船は七割・三割という時代もございます。この問題は検討いたしましたが、理屈は大蔵省の言うように五分にするのがいいと思います。しかし、実際問題としては、今の状態で金利を上げるということはいきますまい。きのうの電報では、イギリスなんか十五年をこえるものは七分五厘、五年をこえるものは六分五厘で、六十の保険会社が輸出長期資金をやる。市中銀行も五年以内は六分五厘で輸出金融は貸そう、こういう状態でございますが、しかしこれは一般の金利も高うございます。八対二にいたしまして四分にいたしますと、二銭五、六厘にいたしましても五分を切ります。日本がアメリカの輸出入銀行から借りますときは、やはり五分七厘五毛くらいになります。今外債なんかも大体六分程度ということになっております。今輸出入銀行の四分というのは、実を言えば安過ぎる、世界の金利からいって。これは上げる気持はございません。大蔵省は上げたいのでしょうが、通産省は上げない。私は、今のままでいって、そうして片一方の市中の二割の金を集めるのがなかなかむずかしい、こういうことであります。八対二で、四分対八分五厘で四分七、八厘になりますから、輸出金融としては世界でまれに見る低金利をやっている。これを九対一というのは、ちょっとやはり輸出入銀行の金の問題からいってもむずかしい。金の問題は本年も少し余りましょうし、来年度千二百五十億出しておりますから、相当余裕がございますけれども、やはり外から見まして、日本の輸出はそういうようなむちゃな安い金利ということもまた非難を受けるもとで、まあこの程度でがまんして、上げるということをやめるという方向にいった方がいいのじゃないかと思います。輸出奨励については、ほかの方面でできるだけの措置をとりたいという気持でおります。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員 これは佐藤通産大臣の御意見を聞いておきたい。輸出商社育成という問題です。日本の輸出がうまく伸びないという原因は輸出商社にある。輸出商社はどういう点にあるかというと、輸出商社の資金を解剖してみると、資本金が小さくて、言葉をかえれば自己資金が少なくて借入金でやっている。昔の三井、三菱のやっておった商社というものは、あまりよい例ではないのでありますが、大部分が自己資金で、借入金は一時的なものちょっぴりだった。値段の上がるときに無理に売り急ぎをせぬでいいという事情があったから輸出商社はうまくいった。  そこで私は輸出振興という点から通産大臣の御意見を伺いたいのですが、今は輸出のもうけというか、輸出所得の八割は税金をかけないで、二割に対して課税をしておる現状ですね。これは政府がもっと本腰を入れて輸出をやるというのならば、この借入金の多い商社ということの現状はわかっているんだから、ガットの手前もあろうけれども、見通しのつくまでは思い切って輸出所得に対しては当分のうち全額に対して税をとらないというぐらいなことはできないのか。  それからもう一つ、これはガットの手前がありまして、そう何年間も継続はできない、ここ二、三年でこの制度というものはやれなくなると私は記憶しておりますが、もう一点は輸出商社並びにメーカーが輸出をいたしました場合に、その輸出の水揚げというか輸出総額の一%なら一%、百分の一・五なら一・五は、これは会計法上の損金として落とすことを、経費として落とすことを認めてやるというようなわけにはいかぬだろうか。四十七億ドル輸出するというのですから、百分の一というと四千七百万ドルという膨大な金が自己資金に向けられるという姿になるわけですね。こういうことを通産大臣もっと真剣に考えたらどうか。四十七億ドルをどうしてもやらなければならぬという内閣が信念を持っておるならば、これはできぬことはないでしょう。これはいかがでしょう。

佐藤榮作自由民主党通商産業大臣

○佐藤国務大臣 ただいまのお尋ね、あるいは御意見にもなるわけでございますが、輸出振興の面におきまして大事な問題は、一つは金融、一つは税制、この二つがただいま仰せになるような方向に進んで参れば、業者の意欲も非常に高まるだろうと思います。  そこで、先ほど輸出金融については総理からも答えられましたが、私ども金利のあり方、資金量のあり方、これに特に力をいたしたつもりでございます。特に輸出入銀行の金利を今日以上に下げるということは、これは先ほど総理が申されたように、九対一にするということは困難であります。しかし私は、輸出入銀行の資金千二百五十億というものを、一年の間にこれを月割りにして使わなくてもいいと思います。従いまして、もしこの資金に不足を来たすというほど輸出が出ていくならば、所要の補正措置はその後にとっていい、かように考えますので、その意味では、資金を十分使っていただくということをまず考えてもらうつもりであります。  また税法の問題につきましては、第一段の問題は、昨年の十月改正をいたしまして——これにつきましてもいろいろ議論がございましたが、思い切って昨年十月改正をいたしたわけであります。これより以上の改正になって参りますと、ただいま御指摘の通り、ガット等の問題もありまして、非常な困難が出てくるようでございます。なお、私どもは今回におきましても、特別な内部留保を認めることができないかということを大蔵省と折衝いたしたのであります。ことに海外市場開拓等の準備金制度を設ける、こういうことは考えられないかということでいろいろ研究いたしましたが、ただいまの基本的な税のあり方から申しますと、非常な不均衡を来たすということで、実現を見ることができなかったのであります。まことに残念でございますが、私は、現行の制度のもとにおいて、輸出業者の協力を得て、ぜひともこの目標を達成していきたい、かように考えております。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員 池田総理に大事なことですからお聞きを願いたい。ドルをどうしてかせぐかということなんです。非常に近いところに比較的にたやすく効果の上がる方法があります。それは共産圏貿易です。特に重要なのは中共貿易、ソ連貿易を含める。このイデオロギーというものは別にして、経済交流、貿易というものから出発をしようという考え方になりたい。もう日本の国は、今日の経済の状況によりましては、何もイデオロギーをこわがることはない。イデオロギーとは別に経済、貿易の交流ということでしっかりやっていこう、これをうまく積み重ねていく結果は、両国の間の平行線の主張が交差点を発見するようなことにもなり得る、こういうふうに私は考えるのであります。政治が低い姿勢で、世論に反逆するような政治を行なわないで、経済の関係は経済安定、成長というものが確立をする、この二つが確立をすれば、共産主義というものはこわくない。姿勢が高くなって政治に世論反逆の政治があえて行なわれて、経済が行き詰まってくれば、共産主義は食い込んでくる余地がある。これは警戒を要する。日本にはそういう事情はありません。  そういう考え方から申しまして、私は共産圏貿易を重視すべきものであるとの見解に立って一つ申し上げたいのでありますが、このノーマルな状態から申しますと、日中間の貿易というものは、これは中共が主張するように、私は国家間貿易というものが正しいと思う。これが一番責任が持てて、一番いい。しかし世の趨勢からいって、直ちに政府間貿易に踏み切れないという事情があるわけでありますから、この理想のノーマルな形に向かって、前向きで一歩も二歩も前進する行き方をことしはしてもらいたい。  こういう考え方から池田総理に御意見を伺いたいのでありますが、非常にこまかいことのようで、大事なことでありますけれども、中国から経済視察に来る者を現在は入国させていないのですね。これは一つ考えを直したらどうだろうか。ソ連貿易が最近非常にうまくいっている原因は、御存じと思いますが、三重六年——これは暦年で申しまして、一月から十二月までの間に業種別の十二ミッションがソ連から視察に来ております。博覧会のときにもあるわけでございます。その結果はどういうことかというと、ああ、日本の生産市場はこういうものだということを彼らに見せた結果、非常に貿易がスムーズにいくようになった。中共の視察団を、スパイをするだろうとか、見せたくないとかいったようなことは言わないで、一つ経済視察団は招く方針をとってはどんなものだろうかということが、私の第一の意見であります。  それから第二の意見は、三年前は政治的な日中貿易関係の中断が行なわれて、非常に迷惑をしている。どういう迷惑をしたかという、中断をしておる間にまず飛び出してきたのが西ドイツ、イギリス、フランス、カナダ、中断の弱味につけ込んでここに非常な進出をしてきております。また中断があるのじゃなかろうかということが苦労しておる日本の業者の心配であります。中断は向こうがしたので、こっちは受けたということであるけれども、これもそういう理屈を言わないで、中国の方が中断をするに至ったのは、幾らか動機というものがこちらにもある。今後は心して中断するようなことのないように極力配慮をしたいということを一つ言明をしてもらってはどうか。これがその第二の私の要望でございます。  それからもう一つは、政府のやっておる輸出保険というものに中共貿易は適用がないのです。あるのは織物だけなんです。これは輸出組合を通じていきますから、当然適用があるわけです。織物以外のものについてはどんなことをしておるのかというと、業者は民間の保険会社に高い率の保険料を支払って損害保険をかけているという現状です。こういうことをやらしておいては、これはよくないですね。政府の輸出保険というものに中共貿易の関係も対象として扱ってやる、こういう一歩前進を私は希望をしたい。  それからもう一つはココム・リストです。今、中共向けのチンコムというものは五年前からなくなっておりますが、ココム・リストは適用になっておる。日本の政府のココム・リストの適用の態度を見ておるというと、非常に窮屈、厳格なんですね。それは国際条約を守るという精神は悪いことじゃないんだが、西ドイツやイギリスがあれだけ中共に向けて貿易が伸びておるのはどういうのか。パリ・リストも候もないのです。中共がほしいというものは何でも売っていいよ、こう言っている。どんどんものを売っておる。日本の場合はココム・リスト、パリのリストというものを金科玉条視しておる。非常に態度はいいんです。いいんだが、正直でまじめなのにもよりけりで、もう少し、諸外国がやっておることならば、これに右へならえをすることは国際法の違反だというやつもいないだろう。ココム・リストの適用緩和に関しては格段の配慮を願いたい。この配慮がないと中共貿易は伸びないですよ。  それからもう一つ要望がございますが、具体的に申しますと、塩であるとか、鉄鉱石であるとか、粘結炭であるとかいうような日本の国になければやっていけない、基幹産業に大事なもの、こういう重量品というか、重みのあるものは中共からできるだけ買うような方向に持っていきたい。それは政府は知らぬ、民間が勝手にしたらいいと仰せにならずに、そういう意向でもって行政指導を善処していくというととも通産省は必要でないかと思う。どこに特徴があるのかというと、重いものは代金よりは運賃が高くなるのだが、日本の外国貿易と中共貿易の違うところは、日本の貿易は、貿易で利益を得て船賃で損をしている。船の足らぬ日本はそういう悲運にある。中共貿易は往復ともに和船を使っている。ドルは一厘も要らない。船賃の高い安いは別で、円で処理ができる。これは大へんなことです。この点の特徴に重点を置いて重量品を一つ中共から買いましょう。佐藤さん御存じのように、鉄鋼を十万トン向こうに輸出してやれば、粘結炭、鉄鉱石は十倍の百万トン買って理屈は合うのです。塩安を十万トン輸出をしてやれば七倍の七十万トンの塩は輸入することが可能であります。ドルをもうけようというけちなことを考えないでよろしい。入超になってもいいから、ドルで外国から買うものを中共から買うことに力を入れよう、それは政府は存じませんなどということを言わぬように、これは一つ力こぶを入れていただきたいということを考える。  最後にもう一つ、中共貿易の点に対して、日中輸出入組合というものが苦労しておる。これは政府から補助金が出ておったのでしょう。どうして三十四年から補助金をぶち切ったのですか。中断をしたからでしょうが、再開をして一年たって、この間新聞でもごらんのごとく、中共貿易再開以来百ぱい目の船が運航を始めておるでしょう。努力しているのです。これは復活をしてやりなさい。政府には予算もあるのでしょう。使わないで残してある。海外貿易振興費というものはちゃんと項目があるのだから、その金を押えておかないで、この組合にお出しになってはどうか。出した経歴もあるのじゃないか。昭和三十四年には九百八十万円、わずかの金だけれどもないよりましだという金が出ておる。これを誠意を持って出してやりなさい。踏み切ってもらいたいと私は思う。任意組合じゃありません。この国会の作った輸出入取引法に基づく法定組合です。この法定組合に対してこれを処置をしてもらいたい。中共貿易の振興は非常に大事なものだという観点に立って、ここで私の述べましたことに対して総理から、関係閣僚から御答弁をいただきたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 共産圏貿易につきましては、従来から申し上げましたように、私は非常に熱意を持っておるのであります。幸いにソ連との関係におきましては、非常な躍進を見ております。ことに輸出よりも日本の輸入の方が非常に多い。六、七千万ドルの輸出に対して、日本は一億二千万ドル程度を輸入をしております。しかも延べ払いで、これはソ連の方とは、お金を貸すような貿易になっておりますから、これをなるべく均衡のとれるようにしよう、それから中共との関係も、御承知の通り塩とか大豆とかすずが相当入ってくるようになりました。また硫安に対しましても要求があるようでございます。今後大いにこれを伸ばしていきたいと思います。  御質問の中共の視察団は、私も何も断わるものじゃございません。経済的意味を持って向こうから——貿易がどんどん始まって拡大しつつありますから、向こうから経済視察団をよこしたいという申し出があれば、お断わりする気持はございません。また中共との貿易は、中断はいたしておりますが、だんだん今言ったように復活しつつある。外国がその間において非常に伸びておるかというと、外国もあまり伸びていない。中共の外貨の点があると思います。昨年なんかは一昨年、一昨々年に比べて半分以下のような状況に相なっております。しかし、それはともあれ、われわれとして中共貿易の促進に何らやぶさかではございません。大いに願うところであります。  また輸出保険につきましても、私は大体認めておるのじゃないかと思いますが、品目によって日中関係から特殊の取り扱いをしておれば、それの改善につきまして研究はやぶさかではございません。私の聞くところでは、輸出保険も適用になっておると聞いております。  ココムの問題は、チンコムの時代とは違いまして、私はこの問題はあまり大したことはないと考えております。しかし、よそがやっておれば、何も日本が特別に遠慮する理由はございません。  それから船賃の問題、もちろんFOBでやっておりますが、向こうは国家貿易でありますから、国際市場を見ながら、FOBという関係で、契約値段が相当動くのでございます。私は、船に積んで日本まで来ても、向こうの外国市場が上がれば、またそれがはずされるということもあったことを記憶いたしております。しかし、いずれにいたしましても、中共とやります場合におきましては、支払いその他につきまして、ことに契約について解除の起こらないようなことをしないと、三、四年前のように非常に損をする場合がございます。従いまして、お話しの輸出入組合につきましては、私は二年くらい前からこの再建に努力いたしておるのであります。ただ、今までの関係もあります。また商社の構成等からなかなか有力な組合ができにくい状況であります。しかし、これは貿易の拡大とともにその必要性を加えて参ります。われわれは早急にこれをりっぱな輸出入組合ができるよう、政府としても努力していきたい。それで中共貿易促進のためには、来年度予算につきましても見本市の経費をとっております。また、輸出入組合の補助金も、りっぱなものができれば出すように予算を計上していく。あなたのお考えと同じような方向で進んでおります。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員 それから外貨の問題で、観光収入をもっとふやすことに力を入れたらどうか、運輸大臣に伺っておきたい。去年は観光客が二十四万八千人来ておる。一億三千七百万ドルというドルを持って来ております。ところが、日本の観光収入ということについて、政府の努力というものは非常に微々たるものであります。イタリア、スイスをもっと見習ったらどうか。わかり切った話だが、関税はないのだから観光収入ぐらいありがたいものはない。外貨手取率は八九・六%、こんな手取率の高いものはないでしょう。日本政府のやっておることは努力が足らぬじゃないか。どういう努力をするかを具体的に申せば、もっと観光客を招くための観光宣伝というものをしっかり国外にやりなさい。これをやることの政府の熱意が足らない。それからお客さんを招いたときに親切丁寧で、にこやかでノー・チップということが有名だというのだが、そんなことだけでは政治にならぬ。お客さんを招いたときには、法制の上でも客を優遇するということを考えていいのじゃないか。具体的に申しますと、ホテルに泊まって飯を食った、トラベラーズ・チェックを示す外国人に対しては免税にしていいのじゃないか、入場税、通行税だって考えていいのじゃないか、チェックを示す人に対しては入場税は差し引いて料金を取っていいのじゃないか。日本に行ってみろ、税金を取られないのだということは悪くない、これぐらいの配慮はできないのか。これは金のかからぬ非常におもしろい、手っ取り早くいける政府の努力と思います。観光収入を三億ドル程度にふやすということは、池田総理あまりむずかしいものじゃない。政府が努力せぬからいけないのだ。大蔵省が金を出したくないからでしょう、従ってこの質問は大蔵省にしていいのです。もっとしっかり対外国の観光客誘致の宣伝には金を出せ、税金はチェックを示す人に対してはけちなことを言わずに免税の措置をとれ、日本へ旅行して映画を見たら税金を取らなんだ、オペラを見たら税金を取らなんだ、音楽会は一割の税金を省いてくれた、国内の飛行機も通行税〇・五%は税金を省いてくれた、こんな努力をしてごらんなさい。ことに最近問題になっておる外人のホテルに対するところの課税をやるとかやらぬとかいう議論ですが、政府与党の方針として廃止の措置をとるという方針ですから、これはとってよろしい。政府の方針はとっていい。同時にオリンピックを控えておることであるから、ここで別個独立の新法を設けまして、そして外人客に対しては税を取らない処置をするという宣伝はしていい。もう少しドル収入をふやすということに対しては欲を持って努力をすることがよかろうかと思います。運輸大臣から御意見を伺いたい。

斎藤昇自由民主党運輸大臣

○斎藤国務大臣 御意見のように、観光収入を増すということは、日本の国際収支改善上非常に重要なことだと考えております。観光収入の増加の点につきましては、十カ年計画といたしまして、十年後の昭和四十五年には大よそ六億ドルの観光収入を得たい、かように考えておるわけであります。本年の予算におきましても、観光協会に対する国の出資一億円によりまして、国内に総合案内所を設けます。なお海外にもさらに二カ所案内所を本年度は新設をいたします。お話しのように、観光の案内宣伝に重点を置くべく予算をただいま御審議願っておるわけであります。おっしゃるように、外国の遊覧客に対するホテル、あるいは飲食税、あるいはその他の免税の点につきましては、観光という面からただいま考慮中でございます。できましたら今国会において御審議をわずらわしたい、かように考えております。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員 斎藤さん、十カ年計画というような気の長いことでは国際収支の改善が先に行ってしまいますよ。あなた、公共事業と間違っておるのじゃないか。これくらい元手が少なくてこれくらい効果のある、入手したドルは、外貨手取高の率がこれだけ多いものはないという説明を私はしておるのです。観光収入で十カ年計画なんという気の抜けた話を大臣がしておるようなことでは、とてもこれはいかぬ。観光収入は一挙に金をふやし得るものだ。これはスイス、イタリアの例を研究しなさい。内閣はどこまでドル収入ということを真剣に検討しておるかわけがわからぬということになる。これは私はこれ以上は申しませんから、しっかり考えてもらいたい。  それからもう一つ、これは総理大臣に大へん御迷惑なことと思うが、仕方がないから私は聞きたいのでありますが、今度は逆に日本から旅行をしてドルを持ち出すということに関して、私は厳格な処置を講じてもらいたいという意見です。政界の要人、官界の大物、映画人から財界人に至るまで、一体昨年一年間にどれだけのものが出ておるか。昨年の統計はまだ数日を経過しないと出ないと思いますが、一昨年の三十五年は十二万人が行っておる。四千八百万ドルというドルを使っているのですね。しかし、これは私は全部がいけないと言うのじゃないけれども、中にはどうかと思うものもあるのじゃないかと思う。去年は十五万人以上行っておる。おそらく統計が出るとびっくりすると思うが、数千万ドルのドルを使っておる。こういうことをしておっては、党の代表者が、観光収入をこうしろとか、中共貿易をこうしろと言ってみたって、お前たちは何をしておるのだということになるのです。これは私は大いに反省をしたいと思う。先方でドルの責任を持って下さるオール・ギャランティの場合においては旅行は自由にしていい。これはチケットを何ぼでも出しなさい。大事な血税のような日本のドルを持ち出す旅行というものについては、その旅行目的は厳格に審査を行ない、制限すべきものは断固制限をする。政界権力者は遠慮するな。財界も映画人もすべて自粛を当分必要とする。これは国際収支が改善された暁はルーズにしてよろしい。外国に旅行して見識を広めることは悪くない。国際収支が息の根のとまるような気持で政府、国民が努力をしておるときには、私はえりを正してこの政府の方針というものに対しては国民が協力せなければいかぬと思う。非常にこまかい問題で恐縮でありますが、恐縮といったって責任なんですから、私は池田総理の御決意を伺いたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 昨年の国際収支改善総合対策のうちにも、今お話しの点をうたいまして規制するようにいたしております。オール・ギャランティの場合は別でございますが、役人が行きますときはもちろん閣議決定をする。それから渉外関係、これはやむを得ません。そしてまた民間の人も、貿易関係等につきましては審査をいたしましてやっておるわけでございます。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員 おやりになっておることはわかっておりますが、これを厳格におやりを願いたい。旅行目的を厳格に審査をして、何ものにもおそれずに断固たる制限をすべしということが国民代表の意見であります。  それからもう一つ私は申し上げたいと思う点は、外国特許料ですね、これは通産大臣。外国特許料というものをどうして毎年々々一億ドルも払っておるのかと調べてみると、ずいぶん民間は無反省に、広告宣伝の用に供するために、これはどこの特許だ、これはイギリスの特許だ、これはフランスの特許だという、宣伝のために過当競争まで行なって外国の特許を使っておるということなんです。これは国内技術で十分間に合う。私は通産大臣に申し上げたいのは、通産大臣は行政指導のできる立場もお持ちになっておるのだから、これは極力遠慮をしていただくように業者に対して行政指導を行なわれて、その足らざるところは進んでおる日本の国内技術を使うてこれを補うという方針をとっていただきたいと思います。いかがでしょう。

佐藤榮作自由民主党通商産業大臣

○佐藤国務大臣 お説の通り、さらに徹底したい、かように思っております。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員 最後に、経済外交について小坂外務大臣、それから、これは大事なことでもありますから池田総理大臣にも御所見を伺わなければなりません。  どうも、経済外交はいろいろ御苦心になっておるようでありますが、歯にきぬを着せないで申し上げると、日本の経済外交のやり方というものにはなまぬるいものがある。一つの例をあげていえばガット。ガット三十五条の援用をいまだに撤回せざる国が、イギリスを初めとして十数カ国に及んでおる。藤山さんが総会に出かけられたところが、藤山さんの前で外国の代表者が日本に同情をして、ガットの精神からこれをいつまでも援用のしっぱなしではいけないじゃないか、すみやかに撤回をして日本を救うべきだという意味の熱心な同情論をしてくれた人があるということが外電で伝えられておる。これは藤山さんに伺いたい。どういう事情で日本が同情されたのか、援用撤回問題だけでよろしい。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 ガット三十五条の援用の問題につきましては、その成り立ちから申しまして、ガットに加盟するときに特定の国と話し合いをしないという三十五条の規定は、どちらかというと政治的規定の精神の問題だと思います。従いまして、その後援用される国が、日本品進出という経済的理由で援用することが非常に多くなって参ったのでございまして、今日ではそれが本質のようにあるいはとられておるのでございます。今回の場合、日本としてはそういう意味において、もし経済的理由というようなことであるならば、ガット存立の精神に反するということを日本として申し述べたわけでございまして、それに対してカナダがまつ先に賛成をいたしてくれました。同時にアメリカも賛成をいたし、イギリスは、ただいま通商航海条約の交渉をやっておるから、その上で自分たちも考慮するという言明をいたしたのでありまして、全体の空気としては非常に、その意味においてはこの対日差別の問題を早急に解決しなければならぬという空気でありまして、結論として、閣僚会議の報告書の第五項にその趣旨が採択されたわけでございます。その後チュニジアあるいはキューバ等が援用を撤回することに声明をいたして参った実情でございまして、この機会に十分なる努力をすべきだと思っております。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員 小坂外務大臣に特に要望しておきたいと思いますが、ガットの精神から申しますと、いかに政治的意味を含まれておるとはいいながら、日本に対していつまでもこれの撤回をちゅうちょ逡巡をするということは、日本の方に言い分がある、これはしっかり一つこの外交はやっていただきたい、これを要望をするわけであります。  それからもう一つ、私が総理に申し上げたいと思うことは、欧州共同市場をめぐる諸問題でございます。アメリカ中心の世界経済は欧州経済市場中心の経済に移行せんとするといわれておるほどの重要問題が起こりつつある。イギリスは参加の表明をしておる、アメリカは接近の努力をしておる、互恵通商法の改正にまで踏み切ろうということで、大幅な権限を持ってこれに接近をしようという努力をしておるわけであります。日本は肝心のOECDにいまだ正式に参加できない。DACには、御承知の通りに参加の正式メンバーでございます。DACは、DACといわずにグループ、DAGといわれておる時分からすでに最初から参加をして、非常な努力を重ねておる。もうこの段階においてOECDの参加ということが、実現ができそうなものである。これはアメリカとも相談をして、これに参加をすることに全幅の努力を払って、EECの対策というものには一つ十分の対策を講じていただきたい。外務大臣にもお聞きを願いたいのでありますが、特に総理大臣は、この重要な問題について深い関心のもとに御努力を願いたいと思うのであります。最近はEECをさらに発展せしめて、大西洋経済共同体にまで発展をさそう、そうしてNATOに参加をしております十カ国を中心にしてEECを加えて、これに発展をせしめて共同市場を作ろうという、超国家的高度の共同市場というものの結成にいこうという動きがある。アメリカもこれに一枚加わって苦心が払われておるやに聞くわけであります。この大西洋経済共同体というものの結成に対して、日本は乗りおくれのないような処置が同様に必要である。EECの対策いかん、OECDに対して参加の努力を払え、大西洋共同市場に対しても注意を怠るなというのが意見でありますが、総理のこれに対する御意見を承りたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 第一点のEECに対する対策、これは私はケネディ大統領と会いましたときにも、この問題について話をいたしました。また私自身といたしましても、昨年外務大臣をヨーロッパに行かせましていろいろな事情を調査し、またEECの有力な方々が来られましたときにも、われわれ意見を交換いたしましたが、私はEECの発展は世界経済からいって望むところでございます。しこうしてその発展の過程におきまして、わが国との関係においては、やはり日本が貿易を自由化して対等な立場に立って、そうしてEEC個々の国々とガット三十五条その他の問題を話をすると同時に、進んで関税交渉も進めたい。また国内態勢といたしましては、こういうものに対抗し得るように国内の経済構造を改善し、同時に外国人が非常に困っております日本の商品のフラッド、無制限にどんどん出ていく、こういうものにつきましても相当の規制を加えて、力を持ち、世界の信用を高めて、これとの関係を緊密化していきたいと考えております。  次のOECDの問題は、これはヨーロッパと大西洋につながっておりますアメリカなど、大体地域的の関係でございますが、部門が三つに分かれておりまして、日本は低開発国の開発委員会、いわゆるDACの方には入っております。ただ経済政策の調整というのがOECDの問題でございます。経済政策の調整というところまで日本が今行き得るかどうか、これは問題でございます。その本質的の問題と同時に、やはりこれが大西洋地域ということである。日本の実力は認めておりますが、太平洋地域内にも相当の力を持っておるのがある。そういう点から考えまして、もちろんアメリカ、カナダの方は、そういう日本の参加については賛成しておるようでございます。しかし、これはまだやはり日本の立場がよほどよくならないと無理じゃないかと思います。  しこうして第三点の大西洋経済同盟、私は、これはまた少し早いのじゃないかと思います。アメリカ自体も考えております。今互恵通商条約を制定するゆえんのものは、EECとアメリカとの経済の緊密化をはかるということだけであって、一体となって共同体を作るというところまではアメリカの世論もいっていないと思います。また為政者もそこまでは考えていない。経済関係の密接化ということで、共同体まで発展は今のところ行きそうではないようであります。  しかし、いずれにいたしましても、世界の傾向、ことに自由国家群の地域的な結合ということは、今後だんだん進んでいくと思いまするから、わが国の立場として、これらに対して協力し、これらとの関係を一そう緊密にするようには、内の体制を整えると同時に外交的によほど努力していかなければならぬと思っております。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員 人のことばかりお話をしておるのでありますが、アジア地域のことについて非常に大事なことは、池田さんこの間御旅行になって、アジア経済共同市場を作る時期は近いという意味のことを仰せになったということが報道され、それで間もなく国連のエカフェが発表をしております。この三月六日に開かれる第十八回の国連エカフェの会議においては、三人委員会が提案をしたいといわれるアジア共同体という——これは共同体ではありませんが、アジアの地域的経済協力体というものでございます。これを結成するための提案が東京で行なわれるということでございます。これについて御意見を聞いておきたいのでありますが、これはインド、パキスタン、ビルマ、タイ、ベトナム、マラヤ、インドネシア、フィリピン、台湾、韓国、日本、これがメンバーです。これだけのメンバーで経済協力という超国家的な——共同市場ということがねらいではありません、その中間段階でありますが、地域的な経済協力をやろうというアジア経済協力機構と名称するものを作るための立案が三人委員会で決定をした。三人委員会というのは御承知のインドとタイと日本でありますが、この三人委員会で正式にきめたものを国連のエカフェが取り上げて総会劈頭にこれを打ち出す。これは外電の伝えるところでありますからさだかでありませんが、インド、タイ、インドネシア、これらの諸国は、将来その指導の中心的役割をなすであろう日本が快くこれに賛成をしてくれることを希望しておるように聞きます。大蔵省、通産省の役人側の意見をちらちら聞いてみると、これは大臣に聞いておいてもらいたいのでありますが、どうもアメリカがバック・アップをしてくれなければ困るとか、そんなものができて日本の負担がふえることは容易ならぬことであるとか、米その他の農産物を無理に買わされるような危険がないかしらんなどというような、そういう心配をして、これに対していろいろな意見があるようであります。そういうけちなことを言わないで、大局に立って指導的役割を演ずべきものだ、こう私は考える。アメリカがバック・アップする、これは当然のことだ。国連の指導者たるアメリカがこれにバック・アップする、その腹なしにこんなものを提案するわけはありません。腹をきめて、これは一つ慎重な態度でなければなりませんが、おくれをとらないようにこれに対しては対処をする必要があろうと思います。総理の所見を伺いたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 エカフェ関係の東南アジアの経済協力につきましていろいろ研究はしておるようであります。その代表者はインド、タイと日本でございます。各国の経済事情を研究して、将来協力関係を強化する上においてどういう方法措置をとるべきかという段階であって、経済共同体を作るための段階では私はないように聞いております。いろいろ私も従来からライス・バンクということも考えて、また先般四カ国をあれしまして経済事情も見て参りました。そしてまた最近ではマラヤとタイとフィリピンとの経済共同体ということもいろいろ話をせられて会議を進めておるようでありますが、いかにもヨーロッパ六カ国のように、経済と国民所得といろいろな知識と関税制度その他が同じような状態にある国ならまだということもございます。東南アジアにおきましては、各国とも経済的には鎖国経済でございます。そうして日本との経済の単位、貿易の状況がいろいろ違っております。この違いをどういうふうに直していこうかということが主であって、一体になるということを今考えるというのは少し早いのではないか。しかし、将来はそういうことも置いて、今はそういうものが作れるような基礎研究という段階ではないと思います。しかし、いずれにいたしましても善隣友好の関係で、われわれとしても指導という言葉は悪うございますが、協力していって、そして東南アジア低開発国が繁栄することが日本の繁栄のもとでございます。われわれは自分の務めとしてやっていきたいと考えております。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員 太平洋共同市場というものは総理はどういうふうにお考えですか。日本とアメリカとカナダ、オーストラリア、ニュージーランド——ニュージーランドを加える意味は、経済圏が同じだということと地理的に近いという意味でございましょう。これはアジアの協力体とは違って、目標は超国家的な経済交流をしようという共同市場でございます。太平洋共同市場——アメリカの上院の外交委員会を中心として立案を行なっておるというニュースが出ておりますが、これは私は、日本が相当熱意を持って準備段階にも所見を申し述べてよいのではないかと思う。日本とアメリカとカナダとオーストラリアとニュージーランドがやろうというものです。アメリカの真の意図は、EECの欧州共同市場に対抗する一つの具体案のごとくにも見られる。しかし、これは日本が準備段階から相当真剣に考えていくべきものではないか。また経済外交の立場から申しましても、これはアメリカとの間にしっかり相談をしていいのではないか、こう考えますが、総理はどういうお考えでしょうか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 方向としてはけっこうだと思います。私は、その意味におきまして日米経済合同委員会を開くことに、そしてまたカナダとも合同委員会を開くように意見の一致を見ました。ただ問題は、イギリスがEECに加入することによりまして、昔の英連邦の国々は、イギリスがEECに加入した場合、あのカナダ、豪州、ニュージーランドはどうしようか、インドももちろんそうでございます。イギリスの共同体への参加によりまして、昔の英連邦の貿易はどうなるかということは大へんな問題なんです。各連邦ともイギリスの参加にはまっこうから反対しております。今そういう重要な問題がございますので、私は、アメリカと日本とはよろしゅうございましょうが、カナダはやはり英国のEEC加入の問題に相当の影響を受ける。豪州、ニュージーランドもそうです。その様子を見ながら、方向としてはよろしゅうございますけれども、今カナダ、アメリカとは、話はずっと合同委員会でやっております。しかし、太平洋共同体を作るという直接の目的でやっておるのではない。そういうような経済関係を密接にして、そして、豪州、ニュージーランドにつきましては、最近貿易も非常に進んでおりまして、両国の了解も非常に深くなって参っておりますから、今後イギリスのEEC加入の問題と関連しながら、私はいろいろな話をしていきたいという気持を持っております。しかし、太平洋経済共同体に日本が踏み切ったというところまではまだいかないことを御了承願います。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員 最後のなにを申し上げまして、私の質問を終わりますが、これは総理と特に外務大臣にお聞きを願いたい。  経済外交の中の最重点のものともいうべき対米関係、この対米関係の経済外交というものが腰の入れ方が足らないということが与党の意見であります。一体日本とアメリカとの経済協力を行なう基礎はどこにあるかということは、私なりの考えでありますが、私は安保条約にあると思う。安保条約は共同防衛をやる条約などという考え方になっておると、ソ連や中共から因縁のつくこと当然であります。防衛の基礎は経済にあるんだ、よって両国の経済は、他国と違って特別の緊密な間柄に立たなければならぬのだということで、第一条に目的を書いて、初っぱなに両国の経済提携ということが書いてある。これを信じたから、あのような犠牲者を出しながら、安保条約というものは強引に通したわけです。経済協力ということがよいかげんなもので、アメリカが日本を他国と同様のレベルで扱っているんだということならば、安保条約は大した意味はない。池田さんがアメリカに行かれてケネディと会見をされて、お帰りになって、そして箱根において異例の閣僚会議が開かれたというところまではできはいいのです。そのあとは、両国の経済関係の現われ、現象としてよくないじゃないですか。朝鮮における肥料入札の中止事件というものはなっておらぬじゃないですか。これは小坂さん、よくお聞きを願いたい。パキスタンのカラチではどんなことをしたか。肥料六万トンの輸入をするというから、日本はいろいろ苦心をいたしました結果、入札を行なった六万トンのうちの一万四千五百トンはイタリアが入札をした。一番入札。続いて二番入札、四万五千五百トンは入札はできているじゃないか。なぜこれをアメリカは契約しないか。この契約をやらないで、聞くところによると、やり直すんだ、やり直すときには日本も入れていい。何のことかわけがわからぬ。もっとはなはだしいのは、最近の米綿を使って綿製品をアメリカに輸出する場合において、賦課金をとる。私は申したいのでありますが、日米の経済関係というものを大局からながめると、年々歳々貿易量は増加して、提携が密になっておるよい傾向があって、国民は非常に喜んでおる。だが話にならぬわ、この現象は。そして域外に送りますところのいわゆるAIDで買い付ける買付というものは、一体おととしまではどんどん上昇したのでしょう。三年前は一億百万ドル、二年前は一億一千百万ドル、さらに昨年は一億四千七百万ドルというふうにどんどん上昇してきておる。日本国民は、安保条約というものはなかなかきき目のあるものだということを考えているわけです。話にならぬのは、昨今の状況はいかがです。バイ・アメリカンけっこうだが、日本の立場を考えないバイ・アメリカンなら、安保条約はどうしたのだということを日本の政治家は言わなければならぬ。韓国及び台湾、インドに対するバイ・アメリカン制度実施以来、AIDで買付をいたしました計画は半減しておる。南ベトナムに対しては六割減ですよ。カンボジアは八割五分まで減少しておるのです。ライシャワーさんが日本に来られてから、非常に理解が深いということで、日米両国の精神的提携というものは、一段と強化をされたことは非常にうれしいことでありますが、この肝心のライシャワーさんでさえ、大阪に旅行をしてどんな演説をしておるのかというと、米綿の賦課金ということは、日本が神経を使い過ぎておる、それは日本ばかりから取るんじゃないのだ、米綿を持っていって製品にして持っていくやつには、世界各国どの国からもこの金はもらうのだというお話でありますが、言いにくいけれども、ライシャワーさんも日本の外交をする政治家も、安保条約第二条という経済提携のものを忘れておるんじゃないか。これはもっと本腰を入れて経済外交、対米外交をおやりなさい。日本の国会は、この行動は非常に遺憾に存じます。どうかこの考え方に立って、本腰を入れて対米外交をしっかりやれ、安物の外交はいいかげんにしておいても、これをしっかりやれば、私たちが心配をしておる四十七億ドルの達成は困難でない、こう考える。これは総理と当面の外交をおやりになる小坂外務大臣の御意見を承りまして、私の質問を終わることにいたします。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 AIDの問題につきましても、先般長官のハミルトンが来られたときに、外務、大蔵、通産各大臣から、強硬にあなたと同じような意見を言っております。大体バイ・アメリカンの建前のもとに、われわれが営々として築き上げた日本の輸出市場をこわすということはよくないということを、はっきり言っております。私は、その結果を見ながら、また自分としても相当の措置をとりたいと思います。  それから米綿の賦課金の問題、これも従来から問題になっている。ことにアメリカの国内事情でいろいろなこと、思惑もあるようでございますが、われわれは、国際会議を通じまして強硬にこれに反対をいたしておるのであります。もちろん、アメリカ駐在の日本大使にも訓令を出しておりますし、この問題につきましては、十分関心を持ち、そうして経過を見守りつつ、われわれの考え方を向こう政府に言っておることを御了承願います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 総理大臣からのお答えで尽きておると思いまするが、私ども言っておりますことは、このAIDの買付によって失う金額に比して、日本国民に与える政治的な影響があまりに大きいということであります。こういう点は、アメリカにも政治家がいるならば十分反省すべきであるということを中心にいたしまして、強硬に言っております。先方の言い分は、ICAのときは、これは政府限りでできた、ところが、対外援助法を作ってAIDになりまする際に、バイ・アメリカンということを先方の議会にかなり強く言われた。そのためにこういう事態を生じたと申しておりましたけれども、先ほど申し上げましたような趣旨におきまして、もっとこれを機動的に能率的に運営することを考えろという趣旨を強く言っておりますので、その点、一つ御了承賜わりたいと存じます。  それから綿製品賦課金の問題は、アメリカ当局との間のみならず、ガットの場においても、十分この問題について先方の翻意を求める考えでございます。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員 終わりました。

山村新治郎自由民主党

○山村委員長 それでは午後は一時二十五分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時三十八分休憩      ————◇—————    午後一時三十六分開議

山村新治郎自由民主党

○山村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和三十七年度総予算に対する質疑を続行いたします。井手以誠君。

井手以誠日本社会党

○井手委員 私は、日本社会党を代表して、外交と経済について、当面の重要な問題に限ってお伺いをいたしたいのであります。  まず、日韓会談について、総理にお伺いをいたします。  総理は、日韓会談において、請求権のほかに経済協力を考えておられるようでありますが、そうでありますか。請求権のほかに経済協力もやるというお考えでございますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 われわれといたしましては、アジアにおける低開発国に対しまして、前向きの姿勢でできるだけ協力していきたいという気持を持っておるのであります。従来その方針でいっております。ことに韓国との関係におきましては、しばしば申し上げておりますごとく、歴史的にも地理的にも文化的にも、いろいろな関係で特別な関係があります。韓国の二千五百万の国民の繁栄は、われわれ日本国民の繁栄にもつながることを考えまして、私は今後経済協力も強めていきたいと考えております。

井手以誠日本社会党

○井手委員 昨年十一月のいわゆる池田・朴会談、その内容については、方方に情報が出ておるのでありますが、総理にその点を念を押しておきたいと思います。私が韓国側の情報として聞いたところでは、その会談において——これは外務大臣も交えない、あなたと朴氏との二人の会談の内容であります。「池田総理−請求権はあなたが考えているほど大きな額にはならない。朴−われわれが主張しておるものは、法的根拠に基づくものばかりだ。池田総理−それならけっこうだ。日本は、国民が納得のいくものでなければ出せない情勢にある。そのかわり経済協力では十分考慮する。私は職を賭しても、総理をやめてからも韓国の経済再建に協力する。貴国の経済五カ年計画も見せてもらいたい。」大体こういう内容のものでございますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 職を賭してもどうこうということは言っておりません。そういう言葉は使うべきものではないと私は心得ております。ただ、韓国との国交正常化のためにいろいろ問題がございます。漁業権の問題、あるいは朝鮮人の国内における法的地位の問題、そして請求権の問題、そして前向きの格好での経済協力問題、いろいろの問題がございます。それを十分審議して、お互いの納得のいく方法で正常化に向かって進もう、こういう趣旨のことを言っております。

井手以誠日本社会党

○井手委員 私が特に会談の内容を取り上げたのは、経済協力の問題があるからであります。あなたの言われる、韓国と近いから、歴史がどうだということは、もう何回も承っております。  そこで、お伺いしたいのは、韓国とは国交は正常化していない今日に経済協力を進めていく。午前中自民党、与党の田中さんの質問にも、話し合いを進めておるとあなたは答弁をされております。国交も正常化していないそのときに、経済協力の歩を進めていく、どこに正常化しない国とそういう経済協力をやった歴史がありますか。私はこれはもってのほかのことだと思う。相手の国と話し合いができ、国交が回復して、それから向こうの内容を調べて、そして経済協力ということはあるでありましょう。しかし、国交の回復しない、正常化しない前に、経済協力を進めていくということ、これは異例の措置だと私は思う。何かそうしなくてはならぬ理由があるのですか。新聞の報道によりますと、先般箱根会談の前後に、ラスク・池田会談、ラスク訪韓、朴・池田会談、朴訪米、こういった一連の会談のあとを考えて参りますと、アメリカが日本に韓国に対する経済援助を要請したごとく、私どもは伝え聞いておるのであります。国交の回復しないところに、何を急いで経済協力をしなくてはならぬのか。そんな無理をすれば、世間でうわさされることが事実ではないかと私は考えたいのであります。お伺いします。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 私は、国交正常化の前に韓国と日本政府とで経済協力の話し合いをすると考えたこともございません、言ったこともございません。誤解じゃございませんか。

井手以誠日本社会党

○井手委員 考えたこともなければ、言ったこともない、それでけっこうです。それじゃ、近いうちに国内から二つの調査団が行くと新聞にも大きく載っておる。あなたの与党の、いわゆるコーリアン・ロビーと言われる人があなたに進言をしておる。そして、韓国の経済開発についての調査団を派遣することをあなたは了承されたと新聞は報道しておるのであります。それは経済協力の前ぶれではございませんか。それは違うのですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 民間の方が隣国の韓国の経済調査をしてはいかぬと私は言うべき筋合いのものじゃございません。ことに国交正常化の話をしておる途中でございます。そして、民間の実業家の方々、漁業をやっておる方々が向こうに視察に行くことは、これは何ら私は差しつかえはないと思います。

井手以誠日本社会党

○井手委員 しかし、いかにあなたがそう弁解なさっても、自民党の有力な人があなたに使節団の派遣を進言されて、あなたが了解を与えられたということ。自民党は与党ですよ。あれは民間だから知らないなどで済まされるものではございません。私は、あとで韓国の問題をいろいろお伺いをいたしますが、そんなことよりも前にやるべきことがもっとたくさんあると思う。国民が待望しておるもの、熱望しておるものはたくさんある。その一つは竹島でしょう。いま一つは李ラインの撤廃の問題。さらに私どもがもう一つ考えておるのは、韓国の焦げつき債権があると思う。  私は一つ一つお伺いをいたしますが、外務大臣、竹島は日本の領土であると先般公式に声明をなさったのでありますが、日本の領土であるならば、何で堂々と返還の交渉をしないのか。しかるべきところで相談をするという話はございましたが、なぜそれをおやりにならないのか。やらないのが低姿勢ではございませんよ。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 竹島の問題につきましては、広範な歴史的な交渉と十分な国際法上の解釈から見まして、これは日本の領土であるということは、疑いのないところであるのであります。しかし、これはそういうことでありまするが、交渉するということでありまするが、先方は逆の主張をしておるのでございますから、いわば請求権の問題とか、あるいは漁業、李ライン撤廃の問題のごとき、そういう交渉をしてまとまる問題でもないという点もあるわけでございます。従いまして、これは第三者の公正な裁判に待つといいますか、国際司法裁判所等において判定を下さるべき性質のものと考えております。さような方向でこの問題を取り扱うことに考えております。

井手以誠日本社会党

○井手委員 国際裁判所に提訴すべき問題だとお考えになるならば、なぜもっと早くそれをやらないのか。なぜしませんか。  そこで、もう一つ私はお伺いいたしますが、李ラインの問題、これは申し上げるまでもございません。国際法の違反である。これは前の総理であった張勉氏が、韓国の国会においてこういうことを言っておる。李ラインは国際法に違反の疑いがあるので、いつまでもこの主張を貫いていくことは困難だという言明をされた事実がある。韓国でも不当なことは知っておる。もちろん、今日日韓会談で相談、話は進められておるでありましょうが、私はこの問題でどうしても聞いておきたいことは、この西日本関係の漁民の長い間の念願である、悲願である李ラインの撤廃、その李ラインの問題について、さきには、前の岸総理の特使であった矢次一夫という者、それがこの漁業問題で韓国の京城で、いわゆるソウルで話し合いをしたということが報道されておる。さらに昨年の夏、金企画院長が日本に参ったときに、この漁業問題で話し合ったということも報道されておる。この漁業問題とは、漁民が待望しておるあの李ラインの周辺に、日韓合弁の漁業会社を作るという情報が流れておるのである。漁民が待望しておる、名は安全操業である、当然の権利である公海上の操業である、漁業である、それを一部の巨大資本だけが、漁業会社だけが漁場を独占しよう、そういう情報が流れておりますが、真相はいかがなものですか。これは関係者に非常に重要な問題 衝撃を与える問題ですから、外務大臣、明確に御答弁を願います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 この李ラインが不当であるということについては、われわれ何回も申しておりますし、今おあげになりましたように、前の張勉政権時代に、張氏自身が先方の民議院でさようなことを答えておるという点でも、これは明瞭だと思います。ところで、この日韓会談に横たわる漁業の問題は、それじゃあと野放図にしてよいかといいますと、そうでもございませんわけですから、双方の漁業関係者の繁栄と魚族の保護というものをはかって、長きにわたってこの漁業者が双方に繁栄していくような方途を講ぜねばならぬ、こう考えます。その意味において、この漁業問題は交渉の対象となっております。従って、これを解決いたしましたるときに日韓間の国交の正常化は話し得るものであるというふうな考え方で、漁業と請求権と法的地位の問題、一括して交渉いたしておるわけでございます。ただいまのようなお話は私ども全然聞いておりません。やはりこの公海の漁業というものは、双方においてできるだけ多くの漁業者に利益をもたらす、かような方針で解決さるべきものである、こう思っております。ただ、とった魚をどう加工するかというようなことについて、いろいろ専門家が考えることはございましょうけれども、私は、今お答え申し上げました程度以上のものは政府として出ておらぬというふうにお答え申し上げるわけであります。

井手以誠日本社会党

○井手委員 外務大臣、非常に貴重な時間でございますし、私も今までのいろんな委員会の記録も読んでおります。ずっと当予算委員会や本会議の質疑応答も承っておりますから、従来あった質疑応答はなるべく避けていただきたい。私が聞いておることだけ御答弁願いたい。  日韓の一部資本家で日韓合弁の漁業会社を作るということについては自分は知らないけれども、加工についてはその話し合いがあっておる、さようでございますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 加工の問題も含めて、全然承知しておりません。

井手以誠日本社会党

○井手委員 魚は漁民にとらせて、そのいいところ、販売、加工についてはその資本家の会社でやらせようという話、私どもは断じてこれを許すわけには参りません。  それでは、続いて大蔵省にお伺いをいたしますが、韓国には、日本から売った品物の代金、いわゆる焦げつき債権、外為会計のオープン勘定ですか、相当残っておると思いますが、いわゆる焦げつき債権はどうなっていますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 大体四千七百万ドル程度だと思っております。

井手以誠日本社会党

○井手委員 一昨年の一月、当委員会で四千七百万ドルはお伺いしました。それはオープン勘定に出ておるのですね。その後の日本の輸出超過に対してはどういう勘定になっておりますか。また、その四千七百万ドルという莫大な金は、向こうの払う相談はどうなっておりますか。いつまででも、あなたは貸した金は待とうというお考えですか。請求なさっておりますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 これは御承知の通り、去年の一月現在の、今言いました四千七百万ドルのこのオープン勘定の残高は、早期に決済する、それから今後の貿易についてこの勘定をふやさない、毎月確実に決済するということと、それから今後この勘定を廃して現金決済にするということを、韓国側と昨年きめたのですが、その後韓国に革命が起こったりなんかして、まだこれは完全に実施されていない、こういう状態になっております。

井手以誠日本社会党

○井手委員 大蔵大臣、この金は大事な国の金ですから、売った品物の代金をいつまでも待つわけには参りませんよ。  そこで、総理にお伺いをいたしますが、国際法に違反した李ラインをこの日韓交渉にからませる、私はこれは全然別個の問題だと思う。また、当然日本の領土であるべき竹島を、とったままにしておる、そういう韓国が、経済協力などという交渉の相手になると思いますか。資格がありますか。まず向こうが国交を正常化そうという、そういう話、その資格を持つには、竹島は戻し、季ラインを撤廃し、買った金は払う、そういう向こうの誠意を示してこそ、私は交渉相手になるのではないかと思う。買った品物の代金も払わない、李ラインもからませてくる、それでいいのですか、総理。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 オープン勘定の四千七百万ドルは、先ほど大蔵大臣が答えたように、できるだけ早く払ってくれるようにやっておるのであります。なお、オープン勘定の焦げつきというものは、これは韓国ばかりではございませんし、南米の方にもあるので、われわれはできるだけ早くこの解決をはかるようにしなければいかぬと考えて、努力いたしておるのであります。  それから李ラインの問題は、国際法違反だから、これをやめなければ正常化の話し合いをすべきでない、こういう意見でございますが、私は、そういう誤ったことは誤ったこととして向こうに改めさすように交渉をいたしておるのでございます。だから、向こうが改めないから一切交渉に入らぬ、そういうことは、私は国際関係ではとらない。やはり誤っておれば、誤っておることを正しながら交渉する、これが私は本筋だと思います。

井手以誠日本社会党

○井手委員 伝えられるところによりますると、請求権で日本が奮発をしてくれるならば、李ラインについても譲歩しようなどと朴政権は言っておるようであります。私は、そういうことを言うような韓国は信用ならぬと思う。相手の誠意があるかどうか、その尺度に私はなると思う。  そこで、私は、問題の中心に入って参りますが、そうしますと、今経済協力は話し合っていない、考えていないとおっしゃる。それでは、あなたの方の石井さんなんかの進言で、あなたが了解されたといわれる民間調査団、これが行なった出資あるいは投資については、将来どういうことになるのでありますか。それが経済援助に肩がわるというようなことは万々ありますまいね。その点を確かめておきたいと思う。今総理大臣であるあなたの了解を得て韓国に行かれる調査団、視察団、この人々によって話がきまった——今からお伺いをいたしますけれども、五台山その他の火力発電、水力発電等々の出資、投資が、将来わが国の経済援助に肩がわりするようなことは万々ありませんね。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 御質問が少し飛躍するようでございますが、われわれは、朝鮮の経済状態、産業状態を視察に行こうということについて、私は、それはけっこうだろうと言っておるのであります。それがどういうことをしてくるか、それでどういう契約が成り立つか、そういうものにつきましては、これは別個の問題、将来の問題として、日本の海外投資につきましては適当な機関がございますから、それによって決定さるべき問題であります。そうして、日本と韓国とが将来経済提携をやるかというのは、政府間での話であります。これは別個の問題でございます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 この国会では、あなたの答弁は答弁として通るかもしれません。しかし、新聞の報道なり国民の受ける印象というもの、あるいはその使節団なり多くの韓国ロビーといわれる人々のいろいろな情報を聞いておりますと、そういう人々の話し合いが、後日になってそれが表面に出てくるということが、今日まで非常に多かったのであります。今は政府に関係がないと言うけれども、今やっております韓国の経済五カ年計画、今度調査されるところとぴったり合うじゃございませんか。韓国ロビーの人々は、三億五千万ドルぐらいの請求権を含めた経済協力はやむを得ないということを言われておる。こういう言葉が、いかに日韓の会談にとって日本に不利になっておるか、これは外務省がこぼしておることである。総理は、今政府に関係ないとおっしゃるけれども、裏側で進められておる交渉というものは、いつの日かそれが具体的に表面に現われてくるではございませんか。今回はそうでないとは私は言い切れないと思う。私は念を押しますが、この調査団が行かれ、そして具体的に話し合われて、投資され、出資されたもの、これが将来日本の経済援助に肩がわりされる、これは絶対ないということを一つ御言明願います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 出資がされるか投資がされるか、まだわかりません。そして、それがいかなるものかもわからない。こういう問題につきまして、ここで私は総理として結論を申し上げることは差し控えたいと思います。

井手以誠日本社会党

○井手委員 この問題は、また別の機会でゆっくりお話を聞かねばならぬと思います。  そこで、私は、しなくてはならぬような義務を果たしていない韓国と国交正常化の話し合いを進めていく、その相手の朴政権というのは、すでに本会議でも外務委員会などでも、いろいろ政府の答弁を承っておりますが、二年後民政移管になるという保証がどこにございますか。一緒に革命をやった自分の同僚や上司を処刑しておる。国内の政治を批判した新聞社の幹部を死刑にしておる。二年先に民政に移管するということで民主化がだんだん進んでおれば、それは考える点もあるでありましょう。やっていることは、民主的と逆行しておるではございませんか。いかに反共を唱えるものであっても、独裁政権を強化して、処刑をしたり、基本的人権をじゅうりんしたり、あるいは言論の自由のないそういう政治が、どうして民政移管の保証ができるでありましょう。(「国連憲章違反だ」と呼ぶ者あり)国連憲章違反については、私は、本日はすでに論議されているから申し上げませんけれども、民主化が進行しておるならばいざ知らず、逆行しておる韓国を、どうして交渉の相手にとることができましょう。それでもあなたは大丈夫とおっしゃるのですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 韓国の裁判の結果その他につきましては、私は批判を差し控えます。しかし、私の見るところ、そうしてまた、国連における韓国の取り扱い、そうして今朴政権が民主化に向かって努力しておることは、私は知っております。従いまして、私の見るところでは、この政権は、来年中には民政移管と申しますか、民主政治を打ち立てていこうと努力しておる、このさまを見まして、私は正常化に進むことは適当であると考えております。

井手以誠日本社会党

○井手委員 民主化に努めておるというのは、それは朴政権が言っておる。本人が言っておることであります。何も民主化しておる実績はないじゃございませんか。いつ第二の革命が、あるいは第三の政変が起こるかわからないのですよ。きのうは革命を一緒にやった人間を死刑にするような、そういう政権で保証ができますか。私は、ここで、たとえ話で悪いかもしれませんけれども、女の人が二年先には必ず男の子を生んであげますよと言うのと同じじゃございませんか。本人が言うことを信用できますか。  そこで、続いて、私は、請求権についてお伺いをいたしたいのでありますが、池田・朴会談の結果、法的根拠を持った個人的請求権は認めるということに意見が一致したと聞いておるのでありますが、その通りですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 それは正確ではございません。私は、法的根拠のある請求権につきましては、われわれも十分考えねばならぬということを言っておる。個人的請求権、個人的ということはございません。

井手以誠日本社会党

○井手委員 個人的なものを中心としてですか。個人もその一つであるということに承知していいのですか。中心は個人的なものですか、どうですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 何が中心で何が中心でないということは、話をいたしておりません。とにかく両者考えて、これは当然支払うべきものであるという問題については、われわれは誠意をもって考える、こう言っております。

井手以誠日本社会党

○井手委員 韓国からはいわゆる対日請求権八項目というのが出ておるようであります。この八項目は内容はどうでございますか。大蔵大臣にお伺いいたします。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 大蔵大臣の御要求でございますが、これは現に交渉中のものでございますから、便宜私から申し上げます。  請求権の内容につきましては、たとえば日本に徴用された朝鮮人、これが今韓国に行っておるけれども、それについての請求権の問題、あるいは郵便貯金の通帳を持っておる、そういうものが日本政府に対して請求権を持つというような問題を含めて、各般の要求が出ております。しかしながら、これについて、私どもの方は認められるものも中にはありますし、認められないものもあるということで、いろいろ話をいたしております。従いまして、そういう交渉中のものでございますので、この席で申し上げることは適当でないと存じますから、御容赦をいただきたいと思います。

井手以誠日本社会党

○井手委員 外務大臣、八項目については、十二月四日の外務委員会でちゃんと出ているのです。外務委員会では言われて、予算委員会では一声えないのですか。愛知さんがここにいらっしゃるが、愛知さんがちゃんと第一から第五まであげられておる。そうしたら、伊關アジア局長が、いやお話の五カ条のほかに、第六、第七、第八はこうでございますと説明をなさっておる。どうぞその八項目をここに出して下さい。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 実は交渉中のものでございますし、私ども考えまして、どうもここで申し上げることもいかがと思うようなものも実は中にあるものですから、申し上げると、かえってそれを認めたような誤解を生ずる場合もありまして、申し上げない方が適当である、かように思ったわけであります。ですから、申し上げます際にお断わりいたしたいことは、これは完全に先方の要求であって、こちらは何らコミットしたものではない、こういう前提で申し上げたいと思います。(「よけいなことを言うな」と呼ぶ者あり)よけいなことではございません。これは非常に重要なことだと私は思っております。  まず、朝鮮銀行を通じて搬出された地金と地銀の返還を要求いたしております。第二は、一九四五年八月九日現在の日本政府の対朝鮮総督府債務の弁済を要求する。第三項目、一九四五年八月九日以後韓国から振りかえまたは送金された金員の返還を請求する。第四、一九四五年八月九日現在韓国に本社、本店または主たる事務所があった法人の在日財産の返還を要求する。第五、韓国法人または韓国自然人の日本国または日本国民に対する日本国債、公債、日本銀行券、被徴用韓人の未収金、補償金及びその他の請求権の弁済を請求する。それから、第六、韓国人(これは自然人と法人を含めて)の日本政府または日本人(これは自然人及び法人を含めて)に対する権利の行使に関する原則を要求する。第七項目は、それの果実についてであります。八項目は、支払い方法についてであります。

井手以誠日本社会党

○井手委員 八項目については承知をいたしました。向こうの言い分として、向こうの請求として承っておきます。  そこで、大蔵大臣にお伺いをいたしますが、請求権のその信憑性については、ただいま外務省とあなたの方でそれぞれ検討を進められておると思うのですが、国が正当な法的根拠のあるものを支払う場合には、当然その証拠書類が明らかでなくてはならぬと私は思うのであります。たとえば、あのイギリスに対する対英債務といわれるもの五億円を払うのに、三年から四年か証拠を集めるのにがかったと思うのです。ただいま外務大臣から報告になった韓国の請求の内容、私はそれの証拠を集めるには相当の日数がかかると思う。また、そうでなくてはならぬと思う。いよいよの話のときには、大蔵大臣に確かめておきたいのは、やはり一つ一つの証拠書類がなくてはならぬということ、それは、大蔵大臣、間違いないでしょうね。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 今韓国と日本政府との間で事務的な交渉を持っておりますが、今のところは、この八項目にわたる請求の趣旨、理由、そういうものを一応聞き終わったところでございますまして、向こうの説明を土台に私の方が今検討している段階でございまして、私どもにはまだこれについての結論とかいうものはついていない。今事務的に検討しておる最中でございますが、私の聞くところによりますと、これはなかなかむずかしい問題で、十分証拠が整っているというようなものはきわめて少ないように聞いております。

井手以誠日本社会党

○井手委員 証拠がないのに、簡単に話がつくわけはございません。してはならぬのです。大蔵大臣として、断固としてその点は考えておいてもらいたい。証拠がないものを、幾らだ、これならよかろうなどと、どんぶり勘定みたいなことで政治的な解決をすべきものじゃないのです。  それじゃ、韓国からは資料が一通り来たわけですか。来ておりますならお伺いしますが、いわゆる個人的請求権といわれるものの中心をなしている、日本から帰った被徴用者の数。一部では三十八万人と言われている。三十八万人の中に、それでは北鮮に行った者が何人、朝鮮動乱で死んだ者が何人、その程度はわかると思うが、その点は確かめておりますか、お伺いいたします。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 私が報告を受けている範囲内では、そういうものについても明確な資料というものを先方でも持っていないと聞いております。

井手以誠日本社会党

○井手委員 総理にお伺いをいたしますが、法的の根拠のあるもの、それは当然証拠がなくてはならぬと思うのです。それじゃ、そういう証拠のないようなもので請求権を解決するというわけには参らぬと私は思う。国民の金で解決するのですから。政府も言ったように、イギリスとのいわゆる対英債務には、五億円の金を調べるのに、三年も四年もかかっておる。そう簡単に私は解決がつくものとは思わぬのでありますが、その点は後日政治的にどんぶり勘定式にはおやりにならぬと思いますけれども、その点を確かめておきたいと思う。もうこのくらいでいいじゃないかという、そういう解決は絶対にできないはずです。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 できるだけ資料をお互いに集め合って、納得のいく方法でやりたいと思います。今、資料なんかにつきましても、どの程度の資料が集まるかということを検討いたしておるのでございます。今からどういう方法でという結論は、まだ早いと思います。

井手以誠日本社会党

○井手委員 重ねて総理にお伺いいたしますが、証拠がそろわない、資料がないというので、大蔵省と外務省との間に、いわゆる資料をもととしての、このくらいはやむを得まいという、証拠をもととしての金額に開きがあると私は聞いておるのであります。政府においてさえ意見が一致しないのに、相手の国と交渉するというのは、私は早過ぎると思う。さようなはずはないと思う。私は、時間がございませんから、対日請求権についてはこの程度で終わりますけれども、国民の金でありますし、みなが見ておりますから、慎重にやってもらいたい。  次に、対日請求権に関連して言わねばなりませんことは、韓国に対する請求権である。三十数カ年にわたって日本が営々として韓国に築き上げた財産というものは、おそらく今の金では数兆円に達するでありましょう。国際法によっても、個人の財産まで没収できるものではございません。私は、日本とアメリカ占領軍、韓国とのいきさつについて本日は触れません。後日の機会を持ちたいと思っておりますが、対日請求権について相談をする場合には、当然、あの覚書の相殺条項で相殺するということによって、日本の対韓請求権というものを私は爼上に乗すべきものだと思う。残念なことには、今日まで韓国に対する金額が明示されていない。公表されていないのである。韓国からは、八億ドルくれ、五億ドルくれと盛んに言われておるけれども、日本からは、日本の権利はこれだけあるということは、私どもは聞いていないのである。個人の日本人の財産まで没収されておる。没収するのはけしからぬ、これは国際法違反だというので、後日あの覚書が出ていることを私は承知いたしておるのでありますが、その相殺条項というものを、この対日請求権の場合には、いわゆる対韓請求権として当然交渉の議題にすべきではないですか。外務大臣、やったことがございますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 これは、御承知のように、終戦直後の軍令三十三号によって、アメリカが日本財産を没収しまして、米韓協定でこれを韓国に渡した、そして、日本はその事実を平和条約の第四条(b)項によって承認しているという関係でございます。しかしながら、これについて日本側の主張した場合は、御承知のように例の久保田発言があったわけでございますが、その後交渉が杜絶した。そこで、一九五七年にアメリカ解釈というものが出まして、こういうものを提供したという事実は考慮に入れるということでございますので、そういうことを頭に入れて交渉している、こういうことでございます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 頭に入れておるということは、韓国に残した日本人の財産というものはこのくらいあるということを相手に示しましたか。あなたは、この間外務委員会において、考慮に入れることになるのであるが、場合によっては韓国がプラスと思っておったのがマイナスになるということもあり得るとおっしゃっている。これは当然のことだと思う。日本に対して何億ドルかの請求権があると韓国は思っておるでしょうが、日本はそれよりもさらに上回った請求の権利があるという場合には、請求権というものは相殺されてゼロになることが考えられるでしょう。外務大臣は、この韓国における日本人の財産について、向こうが金額をもって交渉するならば、日本も、相殺の思想によって相討ちの思想によって、韓国にその金額、この程度のものはあるということを、当然お話しになるべきだと思う。考慮に入れる、考えておるだけでは、それは済まぬですよ。金額を示しておやりになっておりますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 先ほどお答えしましたように、八項目について先方から要求が出てきておる。それについて、現段階においては、これの当・不当ということについてこちらでいろいろ話をしている、こういう段階でございます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 あまり遠慮すべきものではございません。言うべきものは堂々とおっしゃい。それではお伺いいたしますが、日本人の財産を占領軍が没収をした。占領軍が没収をして三年あとに韓国に渡されておる。その韓国に渡したいわゆる日本人の財産のリストは出ておりますか。日本人から日本の財産を没収したすべてのものを占領軍がすべて韓国に渡したとか、話によると三年の間にかなり日本の財産が逸散したともいわれております。アメリカに持ち帰ったともいわれております。その点について先般の予算委員会並びに外務委員会においては、外務省は資料を委員会に提出すると約束をなさっておる。外務委員会に提出されましたか。されておるとすれば、本日一つ資料を提出願いたい。日本人の財産のリストです。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關政府委員 米軍が韓国側に渡しました日本人の公私の財産のリストにつきましては、韓国側並びにアメリカ側に対して請求いたしております。アメリカ側からある程度のリストは参っておりますが、まだ完全なものではございません。それからアメリカ側は全部のものを渡した、こう申しております。ただし渡しました上で買い取りました不動産でございますが、多少ございます。それから渡しますまでに、三年間のこれら財産の維持管理に要する経費を多少引いておるということがいわれておりますが、その金額については、はっきりいたしておりません。

井手以誠日本社会党

○井手委員 伊關局長の話では、その表というのは全部ではないとお話しになっておる。あるいは半分であるか三分の一であるかはわかりません。日本人の大事な財産の目録がわからぬで、いわゆる相殺条項によって請求権を論議するというのはおかしくございませんか。日本として堂々と相手と交渉する、請求をする、その資料がないならば交渉は進められぬじゃございませんか。どうしますかそれは。日本人の財産の目録がなくて交渉ができますか、外務大臣。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 平和条約の第四条で日本は韓国に対する請求権には応じなければならぬことにはなっているわけであります。そこでこちらにも請求権があるという論は、先ほども申し上げましたように、結局米軍解釈というもので、これが一応の結末をつけた形になっておるわけございます。従いまして、今後の交渉の過程でどういうことにいたしますか、その過程を見ていろいろ判断すべきだと存じますが、ただいまのところは、そういう段階ではないというふうに思っております。

井手以誠日本社会党

○井手委員 それでは韓国問題で最後にお伺いしたいのは、韓国の経済五カ年計画でございます。それが信用できるかどうかという問題。先般本会議において、わが党の河上委員長は、今日まで十数年にわたって注ぎ込んだアメリカの援助、四十数億ドルが湯水のごとく使われておるといわれておる。今日の韓国の経済事情を私は多くは申し上げません。一年の間に貨幣価値が半分に下がっておる、失業者が五百万人をこえておるといわれておる。工場は八割ぐらいが遊休設備になっておるといわれておる。そういうところに経済援助をするなどとはとても考えられない問題である。五台山といえば三十八度線の近くになるでありましょう。そういうところに日本の金を注ぎ込んでいく。たとい民間であっても日本人の財産である。そういうことを、単に隣国であるからといって、簡単に話をすべきものではないのだ。日本の大事な金を向こうに持っていくという場合には、向こうのその経済状態というものを十分知らなくてはならぬ。そのために調査団をやるのだとおっしゃるかもしれませんけれども、しかし大体わかっているではございませんか、どういう韓国の経済状態であるか、しかも日本が経済的に進出することは、韓国においても日本は再び帝国主義に進出したと、そういううわさを立てておる者がある。そういうところに私は急いで経済進出などをすべきものではないと思う。私どもはあくまでも韓国の民族の悲願である統一というものに向かって、私ども日本は同情と努力をしなければならぬと思うのであります。一たび日韓の国交が正常化をしますと、三十八度線というものが、固定化してしまう。それは統一を阻害するものである。南北の対立を激化するものであると思う。私ども社会党は、断じてこの日韓会談に対しては反対するものであるということを、はっきりと申し上げておきます。  次に中国の問題についてお伺いをいたしたいのでありますが、中国代表権の問題について、昨年の国連総会において岡崎代表は、御承知の通り中国の重要性について演説をなさった。それは岡崎代表の演説は、二つの中国をさすものであるといわれておるのである。大陸の中国は中華人民共和国、これはその実力からいっても当然国連に加盟させなくてはならぬ。しかし一方の中華民国は、国連加盟という既成事実を持っておるといわれておる。これを強調なさっておるということは、池田内閣は二つの中国を首肯しておると世界各国は見ておるのであります。私はその点をお伺いしたい。  池田総理は先般本会議において、重要事項であるから国連で話し合いをしたいとおっしゃる。私は本日提案国になったことについてはいろいろ申し上げません。すでに私どもからずいぶんあなた方の所信も聞くし、また文句も申しました。しかし国連で話し合うというならば、当然日本は日本の意思というものを持たなければならぬはずです。お互い選挙に臨む場合でも、あるいは大事な会議に臨む場合においても、それぞれ意見を持って問うでありましょう。話し合いをするでありましょう。国連の大勢に従うということでは、これは提案国になぜなったか意味がわからないではございませんか。一体池田内閣は、池田総理は二つの中国についてはお考えになっておるのか。世界各国がそう評価しておるし、国民もそうではなかろうかと想像しておる。中国の大陸も大事だ、台湾の方も大事である、それだけでは解決にならぬではございませんか。だから二つの中国だと言われているが、どうお考えになっておられますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 岡崎代表が国連での演説をしました結果、私は寡聞にして、日本政府が二つの中国を認めようとしておるということは、私は聞いておりません。われわれはそれ以前に、重要問題であるから、みなで国連の場において十分この問題を審議しようということでございます。審議する場合には結論を持つべきではないか。結論は審議の途中からでも持ちます。世界の平和を念願するときに、自分はこう思うのだからといって、大勢も知らずに勇み足をすることは、私はただいまのところは慎みたいと思います。

井手以誠日本社会党

○井手委員 重要だから国連で十分討議しようという提案国にあなたはなさった。重要事項であるから十分論議をしよう。そうであるならば、日本は特別な関係があるからこういう意見を持っておる。しかし自分の通りにはいかないから、国連で十分人の話も聞き、そうして結論を出そうというならば、話はわかるのでありますけれども、日本の意思は持たぬで、よその話を聞いた上で大勢に従おうということでは、それでは独立国の外交にはなりませんよ。日本は全然そういう、どうしようというお考えは今のところございませんか。池田内閣総理大臣は全然お持ちになりませんか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 いろいろの事情をしんしゃくいたしまして、私は決意をいたします。大体この問題につきましては、私は組閣以来非常に重要な問題と思いまして、外交懇談会を設け、各会各層の人々のお集まりをいただいていろいろ審議してみたいのでございます。しかし甲論乙駁、世論の帰趨もわかりません。あるいは二つの中国論を言う人もあったやに聞いております。あるいは承認すべしという案もあったと聞いております。あるいはまた台湾政権をどうするのか。今までの日本の外交がそう一がいに変わるべきものでもないし、変わるということがアジアの平和にどういう影響があるか、いろんな議論が行なわれたのであります。私は結果から申しまして、この際としては、重要問題として日本が提議してこの問題に向かっていくべきだという結論は出ました。しかしこの問題を国連で審議する前に、日本の外交方針はこうだということを今言うということは、国のためになるか、世界の平和に貢献し得るか、よほど重大な問題だと考えているのであります。自分で研究はいたします。しかし今のところ結論を出しておりませんし、またたとい出したって、言うべきにあらずと考えております。

井手以誠日本社会党

○井手委員 言えないはずはございません。日本にとってどちらが大事であるかぐらいはわからぬはずはないと思う。いろいろな立場はありましょうけれども、日本の将来を考えるときに、極東の平和、世界の平和、お互いの繁栄を考えるときには、いずれをとるかくらいは私は当然判断があるべきだと思う。自分の判断に基づいて、国連に指導的役割を果たすということが私は正しい日本の外交ではないかと思う。人の意見を聞いて定めようということは、これは独立国の外交としてとるべきではないと私は思う。  そこで私は経済問題に移ります。実は経済外交もやりたいと思いますが、あとで時間があってからやります。経済の問題についてまず総務長官にお伺いをいたします。——おられなければ統計局長にお伺いをいたしますが、あなたの方で調査をされた昨年十二月の全都市の消費者物価指数は幾らになっておりますか。数字だけでけっこうです。

小田原登志郎総理府事務官(統計局長)

○小田原説明員 それでは全都市の消費者物価指数の昨年の十二月の分を、ちょうどこれはようやく計算ができたところでございますけれども申し上げますと、二〇・二となっております。これは三十五年の平均を一〇〇といたしましてちょうど一一〇・二となっております。

井手以誠日本社会党

○井手委員 それは間違いではございませんか。先日私の方で聞いたところでは −それは十一月分じゃないですか。十二月は二〇・二になっておるはずです。

小田原登志郎総理府事務官(統計局長)

○小田原説明員 一一〇・二と申し上げたと思います。

井手以誠日本社会党

○井手委員 それでは私の聞き間違い——昭和三十五年を一〇〇とした場合に、昨年の暮れは一一〇・二と、一〇%以上になっておる。私はこの数字の基礎で今からお聞きをしたいと思うのですが、一年の間に物価が一〇%も上がるということはどういう結果になるでしょう。所得は年間に一〇%上がっても、物価が一〇%上がれば、これはゼロになるはずです。ところが実際は——統計局の数字は非常に低いといわれておりますが、しかしほかの確実な資料がございませんので、統計局の数字で私は申し上げましょう。しかも、この一カ年間に一0%の値上がり、そしてその消費水準はどうかと申しますと、昨年の都市家計支出によりますれば、九月では消費水準は一二五・二%。四月ごろは二二〇%程度の消費水準にあったものが、毎月々々ずっと落ちて、一二五・二%に落ちておる。しかもエンゲル係数は、一時は三八、三九になっておったのが、四〇をこえておる。この事実は、総理は何とお考えになりますか。物価がだんだん上がったために、せっかく増加した所得はだめになってしまうし、国民生活は低下したということになるではございませんか。すなわち、私はいろいろなことは申しませんが、この物価だけから、あなたが一枚看板になさっておる所得倍増計画というものは、破綻をしてしまっておるではございませんか。それでもなおあなたは、いや、大丈夫ですとお考えになっておりますか、お伺いいたします。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 消費者物価指数の、昨年の十二月だけをおとりになりまして、十年計画のそれが破綻したとかなんとか言うのは、結論が少し早過ぎるのじゃございますまいか。私はいろいろな点を十分御検討になって、総括的にお話し願いたいと思うのであります。もちろんいろいろな事情によりまして、消費者物価が、卸売物価とは逆に年末に相当の値上がりをしたということは、これはわかっております。しかしその原因もいろいろ突き詰めまして、今後そういう急激な値上がりのないようにやっていこうといたしておるのであります。私は長い目で見てこの問題を解決していきたいと考えております。国民の所得の増加等から申しまして、私は今、消費者物価の上昇によって所得の増加が食われてしまっている、こういう結論はまだ早過ぎると考えております。

井手以誠日本社会党

○井手委員 早過ぎるのじゃございません。おそ過ぎるのです。みんな生活に困っておるのです。あなたの方のひざ元の統計にはっきり出ておるじゃございませんか。消費水準が落ちてきた、エンゲル係数が上がったということは、国民生活が悪くなったということです。悪くなってどうして所得倍増になりますか。  企画庁長官、あなたにお伺いをいたしますが、三十六年度の消費者物価指数の上がりは五・七%になっておる。一昨年の十二月の〇・八で出発をして、国会には一・一%で出て参りましたが、いつの間にやら五・七%まで上がって参りました。ところが、そのあなたの方の見通しである五・七%をこえて、すでに一〇・二%になっておる。そうしますと、来年、あなたの方では二・八%物価が上がりそうだとおっしゃいますけれども、すでに今日では、来年の平均は上がっておるじゃございませんか。これはお認めになるでしょう。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 ただいま総理府統計で出ましたのは、前年の同月比のものでございまして、一応長期にわたって予測いたしますときには、年度間平均で見るべきではないかと思っております。従いまして長期計画を遂行する上におきまして、私どもとしては本年度の消費者物価の値上がりを五・八と、こう考えておるのでございます。しかし、それでは五・八がなんでもない数字かといえば、これは大へんな数字であって、異常な騰貴にあったということを認めざるを得ないのでございまして、そういう意味におきまして物価問題が重要な問題であるということを考えていかなければならぬ、こう存じております。

井手以誠日本社会党

○井手委員 年度間の平均であることは、私は承知いたしておりますが、もう年度間の平均にいたしましても、すでに五・七%から——藤山さん、よく聞いて下さいよ。あなたは年度間平均でごまかそうとなさいますけれども、年度間平均よりも十二月の消費者物価というのは四・五%上がっておるのですよ。今から二・八%上がるのを何とかして抑えようと今まであなたは答弁なさっておられますけれども、すでに二・八%どころか四・何%上がっておるのですよ。あなたの答弁、あなたのおっしゃるのは、どうして物価を下げようかということを言わねばならぬ。上げるのを抑制じゃございませんで、下げなくちゃならぬ。十二月から今日まで消費者物価指数が下がっていないことだけは藤山さんお認めでしょう、どうですか。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 お話の通り、前年度の十二月に比べて一〇・二ということは、非常に高いことは申すまでもないので、われわれとしても、こういう数字が出ますこと、またこういう状況になりますことは、まことに遺憾でございまして、できるだけそれを押えて参らなければならぬと思います。われわれといたしまして、年度間の数字で長期の計画を立てております。従って、今後一−三月の物価というものがある程度抑制されまして、年度間を通じて五・八という上がりになろうかと推測をいたしておるのであります。これは、はなはだ遺憾であるということは先ほど申し上げた通りでございます。従って明年度からの値上がりというものについては、これは極力押えて参らなければならぬことは当然のことでございまして、私どもが明年度二・八上がるということを発表することすら、われわれとしては重大な責任があるというので、極力これを抑えて参らなければなりませんが、しかし現実に即してその問題にほんとうに取り組んでいくためには、いかに物価問題が重要であるかということをこの際各方面も知りながら、そうして十分にそれに対する対策をここで講じていく、そうしてできるだけ物価を抑制して、長期にわたるいわゆる所得の計画に対して、それが完全に遂行するようわれわれやって参らなければならぬ、こういうふうに存じて、今企画庁としてはできるだけ物価抑制の策に邁進いたしておる次第でございます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 企画庁長官、先般開かれた——これは通産省の関係かもしれませんけれども、全国の通産局長会議においては、全国各地の消費者物価はジリ高であると報告されておるのです。藤山さんは今、一月から三月にずっと消費者物価が下がれば何とかなりましょうというようなことも言われたけれども、その保証はありませんよ。今の状態であるならば、これはずっと上がっていくのが普通でしょう。十二月現在で——十二月よりも今日は上がっておる。その十二月という月は、すでに政府の言う三十六年度の平均をずっと上回っておるのです。それを私は申し上げておる。総理、いかにあなたが強くおっしゃっても、これはもう国民生活の低下、物価が上がったということが何よりの証拠です。あなたは先刻金利の問題をおっしゃった、田中さんの質問におっしゃった。低金利政策は守っていきたいとおっしゃった気持はわかる。わかるけれども、毎年物価が八%も、一〇%も、それ以上に上がってどうなるのですか。預金の生活者は、預けても、インフレで何の金利もつかぬようになるじゃございませんか。あなたはわが党の和田さんの質問に対してあれは河上委員長でございましたか、かぶとをおぬぎなさいとおっしゃったのに対して、いや、自分はかぶとを締めていきますとおっしゃったけれども、かぶとをかぶっておるというのはあなただけである。国民が見れば、あなたのかぶとは天井が抜けて、色あせたひもだけが見えておる。  そこで藤山さんにお伺いいたしますが、今の物価の値上がりというものは、構造的な値上がりでしょうか、景気の行き過ぎによる値上がりでしょうか。その点をお伺いいたします。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 物価の問題につきまして、われわれも検討して参りますと、単一な原因ということだけには考えられないように思います。あらゆる事情が錯綜して参りまして、そうして物価の上に影響してくる。従って著しく景気が過大になって参りますと、物価上昇の傾向が起こって参りますことは、これは当然なことでございます。従って、基本的に物価を抑制する政策をとりますその基本的なものの中には、景気のある程度の抑制ということは、これはやむを得ぬことだと思います。またやらなければならぬことと思います。その他に、輸送面における円滑化を欠くとか、あるいは中間の市場の問題でございますとか、あるいは労働力の移動の関係を円滑にするとか、諸般の問題がございます。従って単一な原因だけということには参りませんけれども、景気が過熱しております場合に、それが影響することは申すまでもございません。

井手以誠日本社会党

○井手委員 一つ長官は、端的にお答えが願いたいのです。今の物価の値上がりは、構造的な値上がりでしょうか、景気の行き過ぎ、高度成長のためでしょうかと聞いておるのです。それだけでいいのですよ。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 構造的な面もございますし、それから景気過熱の場合も、町方だと思います、今申し上げたような意味で。

井手以誠日本社会党

○井手委員 重ねてお伺いをいたしますが、物価のアンバランスと社会資本のアンバランスあるいは国際収支のアンバランスというものは、これは構造的なものでございましょうか。成長政策の行き過ぎでございましょうか。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 構造的という非常な学問的な言葉がございますが、それの定義いかんによっては若干お答えが違ってくるかもしれませんけれども、日本の持っております今までの産業発達の過程におきまして、いろいろなアンバランスが構造上起こっております。それから過度に景気が上昇して参りますれば、その景気の上昇ということのために、そういう構造的なアンバランスの間に影響が起こりまして、そうして物価騰貴を起こすというような現象が見られるわけでありまして、いずれの場合をとって見ましても、相関関係がその中にあるので、ただどれ一つということは申し上げられないと思いますと先ほど来申しております。ただ今日の段階においては、両方が合わさってその弱点がつかれてきた、こういうふうに考えておるのでございます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 私は、藤山さんは非常に良識的な人だと信用しておりました。あなたは外部に対して非常に慎重論である。景気の行き過ぎ、成長政策の行き過ぎで、アンバランスができたということを、何回も、どこでもおっしゃっておる。総理の目の前では言えないかもしれませんけれども、この成長政策の失敗、不景気というものの責任はあなたにもかかるのですよ。あなたがほんとうに良識家ならば、総理に何回か忠告なさったのですか。私はあとでこの点にずっと触れて参りますが、それは残念ながら大へんな結果になりそうだと思う。この不景気というのは、今までは金詰まりであったけれども、これから生産が落ちて不景気になり、この秋ごろからは、私は過剰生産による構造的な不況が来るのではないかと非常に心配をしております。私は甘く見てはいけないと思います。そういうときに、慎重家であるあなたは総理大臣にうんと忠告なさるべきです。なさったことがありますか。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 私、経済の問題につきましては、特に企画庁を担当いたしております。私の見ておるところは、時々総理に率直に申し上げておるわけでございまして、その点を欠きますれば、私の職責を欠くということに相なろうかと思います。ただいま御指摘のように、今後の物価問題というものは、外貨バランスがついて参っても、なお物価騰貴そのものが残って参りますれば、非常な外貨バランスの回復にも影響をして参りますし、その他の国内諸般の事情にも影響をして参るわけでございまして、この点は重大な問題だと仰せの通りわれわれも考えて、できるだけ本年の最大の課題としてこれに取り組んでいかなければいかぬということで、総理にも申し上げておるわけでございます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 総理にお伺いをいたしますが、あなたは施政方針の演説において、あらかじめ起こるべき事態の予見と、回避すべき事前の対応策が十分でなかったと認められておりますけれども、認めたその口の裏から、自分の経済政策は誤りでなかったと、依然として強気であります。あなたはこの前の国会において、私の質問に対して、経済は動いておると言われた。経済は動いておる、動く経済でありますならば、前方に国際収支の壁がある、アンバランスがあるということがわかっておるならば、その壁にぶち当たらないようによけていく、曲がっていく、そういう政治をとることが経済政策ではないでしょうか。あなたのように一直進に行って、壁でも何でも突き破っていくような行き方が誤ったのではございませんか。私はそれが経済政策の誤りであろうと思いますが、いかがでございますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 現状分析からやはりやっていかなければいかぬと思います。今が不景気かという問題です。ただいまあなたは消費水準のことを言われました。消費水準が非常に下がっておるのではないか、エンゲル係数が四〇あったのが、四〇をこえたのではないか。それはいつでしょう。長い目で見て下さい。皆さん、昭和三十五年の消費水準と今の消費水準とは、上がっておりますよ。これは月によって消費水準が違いますから、ボーナスのあったときなんかは、それは非常に高くなります。年平均で見てごらんになれば、上がっております。下がってはおりません。エンゲル係数などは、終戦後のときは六〇をこえておりましたが、それはときによって、非常にいい都合によりまして四〇を割ることもあります。しかし、それが四〇を一つでもこえたならば、もうこれで不景気で、どうもこうも日本は立っていかないのだというふうなお考えは、私は責任ある政府としてはなかなかとれません。やはりずうっと動きを見ながら施策をしていくべきだと考えております。今消費者物価が上がった、卸売物価が下降傾向にあるのに消費者物価が上がったということにつきまして、やはり消費者物価の内容を見ていかなければいかぬ。私は、生活内容が相当上がっているということは言えると思います。しかも、主として上がった原因は、野菜が昨年の秋から非常な上がり方だ、前年に比べまして五、六割程度上がっている、そうしてまた上がったものは、雑費あるいは住宅、家賃、家具、この辺が非常に上がっておるのです。これは生活内容の上昇でございます。生活内容の上昇だから、消費者物価が上がっても心配要らないのだ、そんなことは毛頭考えておりません。できるだけ抑えるようにしなければいかぬ、これでいっておるのですが、今日本の国民の生活が非常に苦しくなったとあなたはお考えになるかもわかりませんが、私は、やはり全体的には所得の増加によって、今一時的に起こった急激な消費者物価の値上がりも大体カバーしていっておると見ております。これ以上は上げないように、上がるにしてもできるだけ少なくするようにしようとしております。今の消費者物価の上がりようは、従来昭和三十四年、五年、六年を見てみますると、やはり昔は国民消費というものが全体の出産の伸びよりもよほど低かった。しかし、昨年は相当国民消費の伸びがふえました、名目的な所得の増加よりも。増加一四・四%に対しまして、国民消費の伸びも前年に対して一四・一%、このGNPの伸びに相当するような国民の消費支出ということは過去に例がなかった。そこで、国民消費も非常に上がってきたということで、国民消費につきましても、これを去年の一四%をこえるようなものでなしに八%ぐらいにしてもらいたい、こういうふうに言って、今の局部的にものを見てやりよったら、経済政策は間違ってしまう。間違ってしまいます。一カ月一カ月を見てやるのでなしに、三カ月、五カ月、去年、全体、こういうことで経済政策をとらなければいかぬ。消費水準は下がったとあなたはおっしゃいますが、全体的には上がっております。下がってはおりません。エンゲル係数も一時的です。そういうところから御質問の判断をいただきたいと考えております。

井手以誠日本社会党

○井手委員 池田さんは、非常に大事な点でございますから一生懸命弁解をなさいますが、何といっても、成長政策でも、あなたがおっしゃるように国民生活の安定向上が基本でなくてはならぬ。政治はそれが中心なんです。ところが、どうでしょう。あなたがおっしゃるように、私が長い目で見て、あなたが内閣をとられてから、いよいよあなたの実績が現われてきたときから私が統計を見て参りますと、長い目で見ますと、一昨年の十二月、これは企画庁で、あなたの方で、政府で作った統計です。これは国会図書館考査局で出した書類です。それによりますと、一昨年の十二月のエンゲル係数は三五・七、昨年一月は三八・三、二月は四二・二、三月は四〇・五、四月は三九・九、五月は四二・九、六月は四〇・六、七月は四〇・一、八月は四二・六、九月は四三・五です。長い目で私は今見て参りました。そうしたら、この通りエンゲル係数は上がって参りました。これすなわち、私は国民生活の低下だと申し上げたい。  そこで、企画庁長官にお伺いをいたしますが、物価の問題はまたあとでお伺いをしますが、三十七年度の経済の見通しです。どうも最近、これは池田内閣はついていると言ってもよいでしょう。この前の臨時国会のときには、ちょうどその前に景気調整策を発表された。今度はどういうものか輸出の信用状が伸びできた。これはけっこうなことです。けっこうなことですけれども、これは楽観されては私は大へんだと思う。池田さんは、総理は、金が困ったときは金は貸せばいいではないかという簡単なお考えのようです。あっちこっちでおっしゃっておりますけれども、私は、今度の様相というものは、景気の行き過ぎによる反動というものは、おそるべきものがあると思う。鉱工業生産はどういうようにお考えになっておりますか、今後の見通しは。そうして、それを中心にして日本の経済はどうお考えになっておりますか。何月ごろ生産が一番落ちて、それから上昇するとお考えになっておりますか、お伺いいたします。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 今日鉱工業生産は、昨年の秋の状況をながめておりまして、まだ必ずしも著しく減ってくる、落ちてくるという状況にはございません。しかし、今日のような抑制政策をやって参ります場合におきましては、当然鉱工業諸生産もある程度抑制されて参らなければならぬことはむろんでございます。従いまして、貿易バランスを合わせる上におきましても、その点を考えていくことが必要だろう、こう思うのでございまして、私どもは必ずしも現在の事情、ただ輸出入信用状が黒字になった、相当大幅にに黒字になってきたということだけではまだ安心をし、あるいは緊縮をゆるめるというような状況にはないのであって、むしろ現在の段階において、そういう点をもっと消極的に心配しながらいきますことが、早くむしろ状態を改善する道だと考えておるのでございまして、政府はむろんのこと、産業人も全体がそういう気持になっていくことこそ、この改善の一日もすみやかに緒につく方途だ、こう存じております。

井手以誠日本社会党

○井手委員 私がお伺いしておるのは、鉱工業生産は昨年十一月が二九九・三であり、来年は二九九・八になっておるのであります。設備投資によって全国に多くの工場がどんどんできておる。それが投資をして二年後には生産化されて参るでありましょう。ところが生産化される反面において、鉱工業生産は十一月と同じ平均が来年見込まれておるのであります。その平均がいつごろ一番底になって、そしてそれがまた上昇するのかという点をお伺いしておるのです。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 ただいまのところだんだん減退していって、五月ぐらいまでは減っていくだろうという見通しを一応立てております。そしてそれが当分横ばいになっていくというのが大体の推測でございまして、この予測を立てますことは非常にむずかしゅうございますけれども、諸般の材料から見まして、大体そう想定すべきではないかと思います。もし数字的にこまかい説明が必要でございますれば、事務当局から御説明させることにいたします。

井手以誠日本社会党

○井手委員 重ねてお伺いをいたしますが、そうしますと、鉱工業生産の指数は大体十一月の横ばいになる。それがどこで一番下降するかということが問題になってくるでありましょうが、全体的に日本の経済からいけば、来年は昨年十一月の横ばいになる、生産はふえないということになるのです。その場合に雇用は一体どうなるのですか、労働大臣。生産は、工場の活動というものは、昨年十一月と、平均すれば同じ数字になってくるのですよ。全国の工場の生産というものは来年は二九九・八ですよ。山や谷はあるでしょうが平均すれば二九九・八。そのときに来年の雇用はどうなるかと私は聞いておるのであります。  そこでもう一つ……。昭和三十六年——一四・四%成長するであろう本年度には、雇用が八十八万人ふえておる。そうでしょう。ところが来年は、経済の見通しによると八十四万人ふえることになるのである。生産年令人口は非常にふえる。来年は百五十万人くらいぽんとふえてくるでしょう。そういうときに、来年は八十四万人ふえることが大丈夫か、それをお伺いしておきたい。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 全体といたしましての雇用状況は、お説のごとく若干よくなって参ると推測いたしておりますが、中高年令者等において思わしからぬ現象が出るであろう、ことに引き締め政策及び貿易自由化の促進と関連いたしまして、こうした点について考慮を払い、対策を講じていく必要があろうと考えます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 それじゃ納得できませんよ。大事な就職の問題ですからね。就職先がふえるかどうかということは大  へんな問題ですよ。今全国にたとえば百の工場がある、それが設備拡張がどんどん進んでいって百二十の工場になるでしょう、三十七年度は。そういうときに生産高というものは、昨年の十  一月と同じ数になって参るのですよ。今お話しのように五月ごろはちょうど底でしょうと企画庁長官はおっしゃる。四月、五月の一番大事な生産が落ちる時期に、雇用があるかという問題が出てくるでしょう。一四・四%も成長したときに、八十八万人の雇用増加、その三分の一ちょっとの五・四%しか成長しない、三十七年度は生産は横ばいですよ。そのときに八十四万人も雇用がふえますかということは私は聞いている。中高年層が因りましょうという程度のいいかげんなことではだめですよ。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 本年の実情におきましても、若年層等におきましては、必要なだけの充足等が行なわれておりません事情等を考慮いたしまして、先刻申し上げたようなことを申し上げた次第であります。詳細な数字につきましては、なお打ち合わせをいたしまして答弁を申し上げたいと考えます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 詳細な数字は要りませんよ。これは常識でわかるはずだ。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 本年度の雇用状況をどういうふうに見るかということは、ただいまの不景気の事情、抑制政策の事情等から見まして、過去におきます実績から類推していくのが適当ではないかと考えております。従いまして、たとえば昭和三十二年度から三十三年度におきます鉱工業生産というのは二・八%伸びております。また個人消費が五・五%伸びております。これは非常に悪い時期であったわけであります。三十七年におきましては、大体鉱工業生産というものは五・五%見、また実質個人消費というものは五・八%見ておるのでありますから、前回の場合に七十五万人雇用がふえておるといたしますれば、今回の場合におきましては、先ほど労働大臣の言われましたように、若年労働者というものは、すでに本年の卒業生等の状況から見ましても、相当需要があります。過去においてアンバランスがあったこと自体が産業に非常な影響を与えておりますから、その面の雇用は非常にふえて参るのではないか。そう減らないでいくのではないかというふうに考えられますので、われわれとしてはそういう想定をいたしておるわけであります。むろんその中における年令関係は、ただいま労働大臣の言われましたように、若い人の雇用という数字が高くなりますけれども、中高年の方でもって、退職するとか、あるいはいろいろな整理段階におきましての問題が起こって参りますと、その面が労働対策としては一番大事な点ではないかというふうに考えております。

井手以誠日本社会党

○井手委員 なお、三十七年度には生産年令人口が百五十万人もふえて参りますから、非常に重要な問題でございますが、なおあとで、分科会その他でお聞きいたしたいと思いますが、これはなまやさしい問題ではないことを特に私は警告をいたしております。  次に、企画庁の調整局長でもいいのですが、来年度国民所得のうち、勤労所得は幾らふえますか、法人所得は幾らふえますか、二つだけをお答えを願いたいと思います。

中野正一総理府事務官(経済企画庁調整局長)

○中野(正)政府委員 先般御説明いたしました三十七年度の経済見通しの付表のところを見ていただくとわかりますが、勤労所得は三十七年度は一〇・一%ふえる、法人所得は九一・一%に減ると見ております。ただこれは、法人の総所得につきましてはほぼ横ばい。ただ減価償却が非常にふえますので、法人所得は九一・一%になるのではないか。

井手以誠日本社会党

○井手委員 そうしますと、来年度は国民所得が工・八%ふえる。合計して九千億円国民所得がふえてくる。その中で勤労所得が九割を占めて、法人所得はマイナスになる。ことしよりも減ってくるということになりますと、来年度は勤労所得がうんとふえるということを予想されるわけであります。勤労所得は月給は上がるということになりますよ。それを予想されておるのでしょう。  労働大臣、そこでお伺いをいたしますが、この企画庁の経済見通し——政府で決定した経済見通しによると、来年は九千億円の国民所得がふえるが、法人所得は逆に本年よりも落ちて、勤労所得がうんとふえることになる。よく聞いておって下さいよ。今日の所得倍増というものは、池田さんが月給二倍論をおっしゃったことから始まったものです。勤労所得は来年はうんとふえる。一〇%以上見込んであるということになると、ベース・アップは相当考えてあるはずですね。そういうことになるわけです。あなたは先般本会議において、こういうことをおっしゃっている。生産性の向上に伴って上げなければならぬが、慎重にやりますとおっしゃったが、この月給二倍論から出発した所得倍増、今は物価のことで消えてしまったようでありますけれども、この池田さんの月給二倍論の精神を延長するならば、私は賃上げという問題に慎重などという言葉を労働大臣が使うべきものではないと思う。月給は上がることにあなたは努力することが、そういうふうにけんけん服膺することが、私は正しいと思うのですが、どうですか。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 生産性の向上等と見合いつつ、適当に経済全体の均衡の中において賃金が上がることは望ましいことでありますが、今お話がいろいろ出ておりますように、日本の経済が今年から明年にかけてあるべき姿の中に、輸出振興とかその他いろいろの事情もございます。従って国際競争力をつけるというような建前等からいたしましての顧慮等も必要でございましょうが、従来労働省は、原則を申し上げておるのでありまして、賃金につきまして個々の折衝等に直接介入等は避けております。従って大きな趨勢としてのものの申し方は言っておるのでありますが、一々の産業等につきまして、どの産業がどのくらいの賃金であるべきだというようなことは、従来賃金政策の推進において、そういうことはいたしておりません。従って先刻もお話がありましたように、本会議等におきましても、私どもはああいうような一般的な表現をいたした次第でございます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 政府が決定した経済見通しには、勤労所得がうんとふえることに見込まれておりますから、その点は特にあなたの念頭に置いてもらいたいことを申し上げておきます。  私は藤山さんに申し上げておきたいと思うのですが、昨年のこの委員会、本会議においても、個人消費が非常に低いということ、来年度も総生産に対して個人消費が五三%程度、これは戦時経済時代と同じではないかと成田さんがおっしゃった。私ども同様に考えておる。一時は六〇%をこえておったのが毎年下がっておるのです。日本は外国に比べてあまり設備投資の率が大き過ぎる。二五%にもなっておる。アメリカとか西ドイツなんかを見ますと、一〇%から一五%です。国民消費をふやしてこそ購買力はできるでしょう。また国民生活の向上が言えるでしょう。こういう経済の見通しを策定なさるときには、もっと国民消費が六五%もいくような、そういう見通しを立てて政治をやってもらいたいことを私は申し上げたい。  次に私はいよいよ大事な点に触れていきたいと思いますが、先刻申し上げたように、今までは金詰まりで中小企業者は困って参りました。今後は、先刻あなたのお話の通り、鉱工業の生産が落ちてくる、取引が少なくてなってくる。いよいよ不況の様相を示して参るでしょう。しかし一時はだいぶ国際収支は黒字のときもありましょうけれども、私は簡単に黒字基調になるとは考えておりません。私が今一番心配しておりますことは、今日まで三、四カ年間に積み重ねられた設備投資が、いよいよ実働の態勢に入ったときにどうなるかという点である。ちょっとその前に途中で聞きますが、事務当局でけっこうですが、設備投資に対してその生産化されるものはどのくらいであるか。一兆円の設備投資に対して年間の生産高はどのくらいになるか、六割になるのか、七割くらいになるのか、その点をお伺いいたします。

中野正一総理府事務官(経済企画庁調整局長)

○中野(正)政府委員 産出係数の問題につきましては、いろいろな見方がございますが、一応参議院の木村先生は〇・六、一兆に対して六千億くらい生産力化するというふうに見ておられますが、われわれの方も、大体筋道は違いますが、結論的にはその程度だ。ただ最近は資本の回転が長うございますので、大体二年前の投資が翌々年度に六割ないし六割三分くらい生産力化するというふうに見れば、妥当じゃないかというふうに見ております。

井手以誠日本社会党

○井手委員 藤山さん、お伺いをいたします。今調整局長のお話によると、六割から六割三分が生産能力として生産化されていく、二年後には実働していくという答弁がございました。そうしますと、昨年、三十五年度は三兆四百億円の設備投資があった。その分が三十七年度には実働して参るでありましょう。若干の入れ違いはありましょうけれども、大体その分が実働して参るでありましょう。そうしますと、六割から六割三分をかけますれば、二兆円の生産が出てこなくてはならぬのであります。三十五年度に投資した設備というものは、普通の状態であれば、三十七年度には二兆円の生産高になってくるわけであります。ところがあなたの方の見通しによると、来年度、三十七年度の総生産はわずかに九千億円しか見ていない。ほかにいろいろな要素はあるでありましょうけれども、概数を申し上げますと、二兆円の生産がふえるのに、九千億円しかあなたの方では総生産の増加を見ていないのであります。これはどうしたことでありましょうか。これはできた工場が、品物が売れないために、操業短縮をやるか、せっかく新設したけれども、その工場は動かされぬことになるか、いわゆる遊休設備化されて参ると私は思うのでありますが、その点はどうでしょうか。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 この稼働率の問題につきましては、非常にむずかしい問題だと思います。学者の間にも議論がありますことは、ただいま申し上げた通りでございます。また私など実情から申しまして、大体設備投資が二年くらいで稼働するということは当然なことでありまして、民間産業人としては当然二年くらいで稼働するように努力して参るわけでございます。しかし今回の場合には、数量そのものを拡大いたします場合と、そうでなくて、コストを下げますための合理化投資、たとえばシンセティック・ファイバーのような新しい種類に変えていくための合理化投資というものは非常に膨大でございます。また同時に、土地等を取得いたしますのに、従来から見ますと非常な高い経費を払わなければなりませんから、設備投資全体のワクがそのまま従来のような観念でもって稼働していく、また生産力として現実に商品が出ていくというようなことは、必ずしも従来の通りと言えないと思います。そこらを考えて参って、この問題は基本的にもう少し深く考えて参らなければならぬ点が存しておるというのでございます。ただ今日の状況下におきまして、一応そういうような推算をとって参りましても、しかし景気を抑圧して参ります上におきましては、工場生産というものが抑えられることになりますことは、これは当然でございます。また輸入原料等につきましても、一応景気が抑制されて参りますれば抑圧せざるを得ないことになり、あるいは自粛して参ることになろうと思います。従って、ある程度稼働率というものは低下せざるを得ない場合が起こるのでございまして、設備投資全体が活発に動くというふうには考えられないとすれば、従ってその間において、今お話のございましたように、遊休的な設備なりができてくるということも考えられるわけでありまして、その問題については、今後の事情を十分検討しながら、現実に即した対策をとって参るのが適当だ、こう考えております。

井手以誠日本社会党

○井手委員 藤山さん、この点は非常に大事ですから、答弁は何とかできるかもしれませんけれども、真剣に考えてもらいたいのです。大事な設備投資をやってこういう金詰まりまで起こした、犠牲を起こした。せっかく作った工場が動かないようでは、これは大へんなことです。コンビナートとか土地に対する投資あるいは設備更新などというものを考えた上の六割ないし六割三分、織り込み済みなんです。そうしますと、昭和三十七年度には二兆円内外の生産力ができるのに生産は——予想される生産高は九千億円しかふえないのである。三兆四百億円の設備投資に対して、藤山さん、六割かけてごらんなさい。そうなるでしょう。  それから私はさらに進めて参りますが、ことしは何とかやるにしましても、来年、再来年はどうなりますか。これなんです。昭和三十六年度、ことしは三兆七千五百億円の設備投資、来年は三兆六千九百億円、合計しますと三年間で十兆目近い設備投資、もう三十八年度は設備投資をやらぬ場合を仮定いたしましても、十兆円近い設備投資の——十兆円の設備投資に対して六割は六兆円です。二、三年の間にそれだけの生産力がふえてくる。これは一体どこで消化いたしますか。総理はいつも総生産に対して一割か一割一分輸出できないはずはありませんとおっしゃっておる。それはそうでしょう。今まで一五%も一四%も毎年ふえてきたことは、これは人間にたとえるならば、終戦という病後の回復のために輸出がずっと伸びて参りましたけれども、いつまでもそう伸びるものじゃございません。輸出されるものは一割一分か一割二分でしょう、総理の言う通り考えれば。そうすると、伸びた六兆円という設備のそれによる生産はどうなって行くでありましょう。しかも、私はきょう触れる時間はないようでありますけれども、アメリカの今のバイ・アメリカン政策、国内産業の保護政策の強行、西欧におけるEECの発展、あれと接近いたしますならば、当然そこには自由化というものが言われるでしょう。しかし、日本の国内産業を守るためにはそうばかりは言えません。関税を引き下げるばかりが能ではございません。そうしますと、輸出というものはそう簡単なものじゃございません。どうしてもやはり八割五分か九割近くは、これは国内の消費に待たねばならぬのであります。こういう状態を考えますと、これだけおやりになった設備投資、これは池田さんに言わせれば民間の行き過ぎでもございましょう。おれの責任でないとおっしゃるかもしれませんけれども、現実にこれだけたくさんだまった設備に対して生産ができないという状態、この状態を総理はどうお考えになっておりますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 国内消費の重要性、いわゆる産業成長の場合の重要性については、井手さんと大体意見が合うところが多いのでございます。今の設備投資と成長率と、岳産の増強につきましていろいろな説がございます。しかし、六〇%が翌々年に出てくるということも、時代の動きによってよほど変わってこなければならぬと思います。昭和三十年前後におきましては、六〇%じゃなしに七、八〇%という説が相当多かった。そうして今ごろは六〇%、こう言っておりますが、今、日本の産業の状況をごらんいただきますと、一つは生産増強のための設備投資と、もう一つ大きい理由は、産業の合理化といわゆる輸出対策で、国際競争力というものに対しての投資でございます。そうしてまた日本の各産業の操業率ということを見ますと、能率の上がらぬものも、国内需要の増加、あるいは輸出の促進等のために相当無理して使っておるのであります。たとえば製鉄事業におきましても、普通の製鉄の操業率というものは六五%か七〇%といわれているのでございますが、日本の製鉄業は一〇〇%近く、あるいはそれをこえている操業率もある状況であるのでございます。従いまして、三十五年度の投資がもう三十七年度に六割出てくるのだという普通の計算ではいかない。経済というものはそういうものじゃないと思います。私はずっとその状態を見ながら——四、五年前、七、八年前のあれで議論をしておったんでは、この自由貿易のところへ持っていって、自由化の場合の投資というものをそれで説明しようというのは無理です。考え方を変えていかなければいかぬと思います。従って、この三年間で十兆円近くやったものを、その六兆円がどうなるかという問題でございます。六兆円出るか出ぬかも問題である。そこがやはり国内消費の健全な増加と、そうして国際収支のための強力な輸出対策を講じていかなければいけない。バイ・アメリカンだからといって何も悲観する必要はございません。私は、どんどん今のアメリカにも、そうしてEECにも、世界各地に強力な輸出政策をとっていって、今の合理化せられた設備によって、そうしてどんどん輸出すべきだと思います。日本の産業の近代化、合理化、生産性の向上は驚くべきものがある。これはやはり設備投資のおかげでございます。だから私は、設備投資を行なわれたもの、そうして操業も考えながら、そうして合理化していいものを安く作る、こういうことで、今の製鉄の一〇〇%の操業率はこのまま続いて行けるのだということで計算しては数字が合わないように思う。だから全体を、いろいろな点をごらんになって、六〇%の生産があるからすぐこうなってこうなるじゃないかと言う前に、日本の産業構造自体を御研究願いたい、こういう考えでおるのでございます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 いろいろなことを考え、研究して、新しい目で新しい情勢を研究した上で、一番正直な数字を基礎にして私は申し上げているのです。だから、あなたのおやりになったことは、今日は残念ながら失敗をなさった。あなたから失敗なさったとは言いにくいでしょうけれども、現実に失敗なさっている。だから私は、こういう重大な内容が前途にはありますから、御注意願いたいという意味で、生産過剰の点を今取り上げておるわけでございます。  そこで続いてお伺いをいたしますが、まだいろいろお伺いしたいことはございますが、一点だけ国際収支について、これは通産大臣にお尋ねをいたします。  三十七年度は輸出が四十七億ドル、輸入が四十八億ドル。経済が五・四%成長しておるのに三十六年度よりも輸入が減るということは、何としても理解ができないのである。この一月から三月まで四十一億ドルの輸出を達成するためには、昨年に比べて一五%の輸出を増さなくてはならぬのです。ところが、御存じのようにアメリカの今の態度、西欧の動きなどを考えて参りますと、あなたの方で計画されておるように、アメリカに二〇%、西欧に二〇%、その他の地区に一〇%、合わせて四十七億ドルの輸出が確実にできるかどうか、その見通しを通産大臣にお伺いをいたします。

佐藤榮作自由民主党通商産業大臣

○佐藤国務大臣 各般の事情を勘案いたしまして、なかなかむずかしい点もございますが、ただいま四十七億ドル輸出達成、こういう計画を進めておるわけでございます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 進めておられることはわかりますけれども、達成の見込みがあるかどうかという点を私は申し上げておるのです。希望の数字なら幾らでも出せるでしょう。  それじゃ通産大臣、あなたにお伺いいたしますが、自由化によって予定通りやりますると、ことしは輸入はどのくらいふえる見込みですか。九〇%自由化した場合に輸入はどのくらいふえる見込みですか。あなたの方から昨年ジュネーブに提出なさった、IMFに出された資料によりますと、エネルギー部門と化学部門において一〇〇%自由化したならば、十億ドルの輸入がふえてくるであろう、そのために国内に二十万人の失業者が出るであろうという書類を出されておる。もう四月から自由化が追加される、十月からは九〇%などというこの事態に対して、すでに大体の見通しは立っておるでありましょうから、その点をお伺いいたします。

佐藤榮作自由民主党通商産業大臣

○佐藤国務大臣 御承知のように三十七年度の輸入が四十八億ドル、この金額は、輸入としては昨年の輸入状況等から見ると少し押え過ぎじゃないか、こういうような感じがあるだろうと思います。しかし私ども今見ておりますところでは、昨年の輸入によりまして原材料等相当在庫はふえておる、かようなことを考えております。問題は貿易だから、為替だけの関係でいかようにでもなるのじゃないかと一応は考えられますが、国内の金融のあり方と密接な関係のあるものであることは、すでに御承知のことだと思います。ただいまのような景気調整の段階に入っておりまして、国内金融が相当きつい状況でございますると、輸入がいわゆる自由化された、かように申しましても、なかなかその通りにはいかないものでございます。私は過去の原材料の在庫等を考え、また今日の金融引き締めの状況、また先ほど来御議論がありましたように、鉱工業生産の底というもの、そういう時期などいろいろ勘案し、ただいまの状況のもとにおいて、いわゆる自由化の率を別に変えないで、在来の計画を進めることによっても、ただいまのような貿易状況にこれを持って行くことが可能だ、またそれをするというのがただいまの状況でございます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 重ねてお伺いをいたしますが、自由化した場合でも、今の見通しに影響はない、こういうことでございますか。

佐藤榮作自由民主党通商産業大臣

○佐藤国務大臣 全然関係がないとは申しません。けれども、同時にこの貿易は為替だけだ、こういうものではなくて、国内金融のあり方によりまして、これはやはり影響してくるんだということを申しておるわけであります。言いかえますならば、自由化は貿易を拡大する、輸入を容易にするということでございますが、国内金融の引き締めということがこれにブレーキをかける、こういうことでございます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 総理にお伺いをいたします。アメリカの最近とっておるバイ・アメリカン政策の強化、この間出されましたケネディ大統領の通商特別教書などを読んで参りますと、関税をうんと引き下げて、欧州と結んで行こう、国内産業は守って行こうという強い線が出ておるのであります。そういたしますと、日本に対しましては関税の引き下げ、自由化を迫ってくるでありましょう。また欧州に接近する場合、EECに接近する場合には当然関税の引き下げなどというものが迫られてくるでありましょう。自由化がどんどん進められてくるでありましょう。その場合に総理は、自由化は大勢だとおっしゃいますけれども、日本の国内の産業は自由化に耐え得るだけの準備がすでにできておるかどうか、私は残念ながらできていないと思う。大企業の一部はできておるかもしれませんけれども、多くの中小企業、大企業の中にも多くの部分は、まだ関税を引き下げて外国の商品と太刀打ちできるところまで私は進んでいないと思う。そういう実情にあるにもかかわらず、自由化は世界の大勢だと言って、やはりその通りにおやりにならねばならないのか。私は国内産業をやはり種類別に、商品別に、いや事業別に分類をして、自由化に耐え得るものと耐え得ないものとをはっきり見きわめをつける。そうしてやはりケネディ大統領が言っておるように国内産業はあくまでも守って行くという、その方針を私はこの際確立しなければならぬと思う。あなたも御存じの通り今度のケネディ大統領の教書は露骨に言えば自分の身を守るための、欧州だってそうです。よそのことよりも、他人のことよりも自分の身がかわいいという、自分の身を守る打算からああいう共同市場というものが発展をしてきた。自分の国だけではいけないから共同をしてやろうということに発展をして参りました。どこの国も、どの地域においても、自分たちを守るためにああいう露骨な政策がとられておることを考えまするならば、日本もやはり独自な立場において、やあ今度はああいう政策をとられたからこうしなくちゃならぬ、接近しなくちゃならぬ、そういうことじゃなくて、独自の政策、貿易政策というものを私は持たなければならぬと思う。先刻自民党の田中議員からも中共貿易の拡大が要望されましたし、あなたもいつも言われる通り、自分は熱心な中共貿易拡大論者であるとおっしゃる。私はこの際中共貿易については政府間の協定まで持っていって、共産圏との貿易を拡大しなくちゃならぬと思いまするし、同時にまた自由化に対しましても、まず国内の産業を守る、守るばかりではいけなくて、やはり競争に耐え得るように合理化しなくちゃならぬ面もあるでありましょうけれども、そういう対策を立てることがきわめて緊要であると私は考えますが、その点に対する総理の考えを承っておきたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 自分の国を守る措置をしている、自分の国のためにいろいろな措置をしている、これですが、消極的意味でとってはいかない。やはりケネディ大統領のあのEECとの関税引き下げの交渉は、アメリカの経済を今後根強い、りっぱなものにするためには、やはりEECを初めとした世界各国との自由貿易主義が、関税引き下げの政策がアメリカ経済のためになる。この信念のもとに言っておられる。あの特別教書というものは、アメリカの産業を維持しようというのは、関税政策を活用してやろうというのじゃなしに、関税政策で、引き下げの方で共同体と一緒になっていこうという、いわば積極的の考え方でございます。これはベネルックス三国から始まった欧州共同体の発生から申しましても、もう世界の通論です。先般もトリフィンが参りまして強調しておったようでございます。その通りでございます。だからケネディ氏もあの通商教書におきまして、EECとの関税引き下げの分は、最恵国約款で他の国にも適用する、この原則をうたっておるのでございます。ただアメリカの個々の産業につきましては、エスケープ・クローズその他につきまして、事態々々によって特別の措置をとり得るということだけであって、前向きの格好でずっと行っておるのであります。従いまして、これはどこの国でもそうであります。日本もその例を破ってはいけません。日本も自由貿易の線に乗っかっていって、そうして日本の産業を強化すると同時に、世界貿易の拡大に均霑しよう、こうしておる。しかしお話の通り、どこの国にも特殊の事情がございまして、これは自由化のために、国内産業に非常な悪影響を及ぼすという場合におきましては、何もこれは百パーセント自由化するわけじゃございませんから、個々の産業、個々の品目につきまして、関係当局で十分検討をしておるのでございます。私はアメリカ政府が今度の特別教書で非常に鎖国的になっているということは考えません。全体としては前向きで、そうして最恵国約款を活用していこうという原則を立てておることは、もうすでに御承知と思っております。その方向でわれわれも行きたいと思います。

井手以誠日本社会党

○井手委員 いろいろな言い分はあるでしょうけれども、何としてもやはり自分の国が大事です。自分の国を守るということから出発しておると思う。  そこで、時間がなくなって参りましたから、予算の点で二、三お伺いしたいと思っております。  来年度予算は二兆四千二百六十八億円。本年度予算は前年度に比べて二四・四%ふえておる。来年は二四・三%ふえておる。ふくらんでおる。財政投融資も同様なことが言えるでありましょう。ところが、大蔵大臣、特に聞いていただきたいことは、あの二十九年の一兆円の予算のときは、前年度に比べて四%しかふえておりません。補正予算の場合を考えますと、逆に減っております。三十三年のときは、三十二年の暮れにはすでに景気の回復の兆が見えて参りました。景気を刺激しなければならぬ事態になっておりましたけれども、景気調整資金と申しますか、産業経済基盤強化資金というものを四百三十六億円たな上げしておる。一方財政投融資においては前の年よりもそれぞれ一七%あるいは二・三%と下げておる。減額をしておる。ところが、あなたの組んだ三十七年度の予算は、金融は引き締めます、行き過ぎは是正しますと言っておりますけれども、本年度予算よりも二四・三%もふえておるというこの数字を事実見て参りますならば、緊縮のキの字もどこにも発見できないのです。あなたは、新聞記者の会見で、この二兆四千億円の予算は健全中型予算だとおっしゃるけれども、予算は政府の政治の姿勢を示すものです。特に景気調整という重大なときには、政府はこんなにして引き締めますよ、そういう姿勢を示すことが私は一番大事だと思う。ことしの成長率は当初予算では九・八%でございました。来年は五・四%です。それほど差があるのに、昨年と同じような増加率を組んで二兆四千億円の予算を組んだということは、私は行き過ぎであると思う。どこにも引き締めの姿は現われていないのです。  私は、さらに申し上げたいのは、財政投融資に、財政投融資総額の一七・五%に当たっておる一千四百八十二億円という金が公募債借入金でまかなわれるようになっておる。ほんとうに財政投融資で事業が必要ならば、設備投資が必要であるならば、一般会計から繰り入れてやるべきじゃございませんか。景気を刺激しないために組んだ今年度の三十七年度の予算に、公募債を発行する、借入金を行なう、昨年よりもふやすという行き方は、何と見ても私はあなたの失敗だと思う。その点についてあなたのお考えを承りたい。私は、立場は違っても、あなたは非常にまじめに国家財政をお考えになっておると敬意を表しておりましたが、今度の予算を見ますと、私はどうもあなたのやり方に承知ができません。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 まず、三十七年度の予算を見る前に、三十六年度の予算との関係を一応考えていただきたいと思います。二四・三%昨年の当初予算に比べて大きいというのですが、三十六年度予算が決算される場合には相当の大きい数字になって、それから比べたら三十七年度の予算はそう大きい実質的な伸びではございません。しかし、今おっしゃいましたような問題がございますので、ここで国際収支改善のために、景気調整的な考えを私どもは当然持たなければならぬと考えました。そのために、今すでにいろいろの調整のための総合政策をとっておるときでございますから、今年度と来年度の予算というものを一緒に考えて、この調整的な考慮をすべきである、そういう考えから、今年度は相当大きい自然増が見込まれているときでございますが、補正予算を最小限にとどめて、相当多額の自然増を後年度に持ち越す、たな上げをしてしまうという措置を本年度の予算でとっております。と同時に、来年度の予算におきましても、景気調整的な考えは、あの予算の内容の中には相当織り込まれておると思っております。たとえば、すぐに来年度消費され覇ものじゃなくて、いわゆる資金的な経費というようなものも、あの予算の中には一千億円以上盛られておりますので、そういう点を考えましたら、この二年間の予算において三千億円以上の調整的な考えがもう織り込まれておるということを考えましたら、私どもがそう放漫に今の国際収支の改善問題を考慮しないで組んだ予算というふふには考えられないだろうと思います。

井手以誠日本社会党

○井手委員 それは、大蔵大臣、二十九年、三十二年、三十三年の予算編成を振り返ってみますと、今度のはひどいんですよ。それじゃ自然増収を考えてごらんなさい。上り坂の三十六年度の予算を組んだときは自然増収を三〇%見込んである。今年は二九%。下り坂のときに、法人の納税が非常におくれておる今日に、また先刻論議をいたしましたように鉱工業生産がむしろ低下しようとするときに、昨年と今年と同じように自然増収を見込んであるということはどうしたことですか。そこに私は甘さがあると思う。あなたは三十六年度の自然増収の残りがあるからいいとおっしゃいますが、今年のものは当然財政法に基づいて残すべきですよ。前使いをすべきものではございません。それでは、国民の負担率はどうなるのですか。  私は、時間がございませんから、説明を聞いたその数字によってお伺いをいたしますが、国民所得に対する租税負担率は二二・二%になっておる。二〇%前後が妥当だと言われたことはもう申し上げるまでもございません。昨年も二二%、今年も二二・二%になっておる。すなわち、膨大予算を組んだということは、大蔵大臣、こうなんですよ。国民の租税負担率を引き上げて大きな予算が組まれたということですよ。もし二〇%前後の国民租税の負担率でありますならば、三千億円くらい圧縮できるはずです。国民所得から考えてごらんなさい。二%を考えてごらんなさい。国民所得十五兆円くらいと考えて参りますと、三千億円の圧縮はできるはずです。すなわち、言いかえて申しますならば、国民の負担を重くして、それによって二兆四千億円の予算が組まれたということになりますよ。しかも、その負担の中心をなすものは何かと申しますと、勤労所得税である。あなたはこれを考えられたことがございますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 もし減税ということを考えないで来年度の租税収入の見積もりをいたしますと、今年の徴税事情を土台に来年度の経済の伸び率の見通しも考慮に入れて税目別に積み上げ計算でやってみますと、まだ大きい歳入が見込まれるという状態でございます。従って、私どもは、ここで初年度一千億という減税は、今まで過去において実施された税制改正から見ましたら、この何年間のうちで一番大きい減税の幅だと思いますが、これだけの減税をやって予算ワクが二兆四千億円になったということでございますので、私どもはこの予算ワクを過当に大きくしたというふうには考えておりません。  国民の税の負担率の問題でございますが、これはもうたびたび申し上げましたように、近代国家として、国民生活が高度化していけばいくほど、財政の果たすべき役割というものは非常に大きくなる、そうして国民負担というものはふえていくというのが近代国家のあり方でございまして、日本の税負担率を見ましたら、率から見ましたら、これは先進諸国よりはるかに低い。予算ワクから見ましても、国民所得に対して、日本が来年は一七%弱になりますが、先進工業国は全部二〇%以上三〇%近い。予算ワクから見ましてもそういう状態でございますので、そういう点から見ましても、今後社会生活が複雑になっていくし、国民生活が高度化していくといえば、それに応じて社会保障の経費はふえるべきでありましょうし、経済が大きくなれば、それと均衡をとった公共事業費、社会投資というものもこれは当然ふえていかなければなりませんし、文教問題においてしかり。それをするのが国の財政の責任であり、任務でございますから、そういう点を勘案しましたら、これは財政というものは年々ふえていくのがほんとうであって、またふえられる状態に経済が伸びていくことが望ましいということになるだろうと思います。従って私どもは、国民所得がふえないときに、税金の率がたとい同じであっても、一万円の人に一割かけた税金と、十万円の所得に一割かかる税金ではつらさが違いますので、問題は国民所得をどんどん多くするという政策をとって、これに従って税負担率というものはだんだんに上がっていくというのが、近代国家の姿だろうと思っておりますので、私どもも高度成長政策をとって、国民所得をふやす反面、財政が必要な任務を果たすために、この税負担率が少しずつ上がっていくという姿が、むしろこれがいいんだという考えを持っておりますので、これを年々二%にくぎづけするとか、負担率というものを年々下げるのだという方向は賛成できないということは、たびたび申した通りでございますが、そういう諸般のいろいろな点から考えてみまして、私は予算ワクあるいは国民負担というものは、今度の減税から見ましてもそう妥当でないものだとは今のところ考えません。

山村新治郎自由民主党

○山村委員長 井手君、ちょっと申し上げますが、だいぶ時間が経過しましたからよろしく……。

井手以誠日本社会党

○井手委員 大蔵大臣はいろいろ長広舌をふるわれましたけれども、あなたの説明を聞いて納得できる人は一人もないでしょう。幾ら与党の諸君といえども、そんなのは納得できませんよ。租税の負担率がずっと上がっていっておるのですよ。先刻論議いたしましたように、物価も上がっていっておる。消費水準は下がっておるというときに、国民所得が実質にそうふえていないときに、負担率をどんどん上げていくということはいいことじゃございませんよ。考えてごらんなさい。あなたは今度減税をなさった。年間五十万円の勤労所得に減税の額は幾らかと申しますと、大体年に二千四百円、月に二面円程度でありましょう。端数は違うかもしれませんが、大体そんなものでしょう。ところが物価が五%上がってごらんなさい。平均の三万一千円の消費支出に五%上がってごらんなさい。月に千六百五十円、千七百円の支出増加になって参ります。時間がございませんから私の方で申し上げますけれども、勤労所得税を納めておる者は、三十五年度には九百七十九万九千人。源泉所得税を納めた者です。これは資料にある。あなた方の資料にある。三十六年度は一千七十八万四千人、来年度はどうなる。減税をしてもなお千二百九十一万一千人に納税人員がふえているのですよ。幾ら所得がふえても物価が上がっておれば同じことじゃございませんか。所得が一〇%ふえた、物価は七%の場合に、三%は所得がふえたと池田総理はおっしゃりたいでしょう。しかし所得のふえた人はだれかといえば重役級の高額所得者がふえているのであって、部長級、課長級以下は実質所得はふえていないというのが、総理府の統計に出ておるのです。一月から七月にちゃんと出ている。あなたの就任なさったその前はふえたけれども、あなたの就任なさったあとは減っておる。だから、一カ年間に二百万人以上来年度は源泉所得税の納税者がふえてくるのですよ。ベース・アップ、ベース・アップとおっしゃるから、今度は自民党の諸君も大いにベース・アップに協力なさるつもりでしょうけれども、納税者がどんどんふえていって、そして勤労所得税がどんどんふえていく。その負担率がふえた上にあなたは二兆四千億円という予算を組んでおるのですよ。勤労者の負担においてあなたは大型予算を組んでおるのですよ。  そこで私はもう一点申し上げておきたいと思います。これは財政上非常に重要な点でございますから申し上げておきたい。それは、ここ二、三年の間に財政の弾力性が失われたといわれる。毎年七百億円から八百、九百億円、一千億円程度までは、これは人口増その他によってやむを得ないでしょう。しかし、昭和三十七年度、来年度予算においては当然増は三千五百億円といわれておる。それはいろいろな計画が立てられて、それに基づいて当然増ということになっておるのでありましょう。このことがはたしていいかどうか。弾力性を失う。本年度は社会情勢の変化に伴って何をしなくちゃならぬと思う新規政策の費用が組めなくなるのじゃございませんか。その点を私は心配をいたしておる。しかも、最近のやり方を見て参りますと、初年度に頭だけ出しておるというやり方、見てごらんなさい、教科書の問題、恩給のベース・アップの問題、地主の融資の問題——地主の融資がそのまま広がるとは私は考えておりません。おそらくだめになるでしょう、私の方は反対しますから。しかし、そういうふうに頭だけ出して、後年度に多額の予算の支出を約束するということ、これは青田売り予算といわれておる。できもしないときに約束することは、青田売り予算といわねばならぬ。そうなりますと、水田さん、ほかのことを考えないで下さい、今年は四千八百億円の自然増収を見積もられたけれども、成長率は五・四%、鉱工業生産は十一月の横ばいといわれる、法人の収入は減っておる、そうなりますと、四千八百億円の自然増収が不幸にしてなかった場合はどうなるのです。  私はもう一つの例を申し上げておきましょう。今年は二九%の自然増収を見積もってある。国民所得は七千九百億円ふえるのですよ、昭和三十七年度に。昭和三十七年度に七千九百億円ふえるのに、自然増収は四千八百億円と見込まれておるのですよ。もしそれが違うとおっしゃるならば、三十七年度の税収見込みに間違いがあると言わねばならぬ。七千九百億円の国民所得がふえるのに、税の自然増収というものは四千八百億円とあなたは見込まれておる。所得の増加に対して自然増収は大体一割五分というのが常識でありましょう。だからその点を、私は時間がありませんから多くは問いませんけれども、もしこれが予定通り収入がなかったということになる場合はどうなるのですか。災害が起こってごらんなさい。三十六年災害においては、新たに四百七十億円の支出が行なわれました。予備費は二百億円になりましたけれども、それではまかない切れませんよ。こういうふうに財政の弾力性を失うということ——私は、この三十七年度こそ減税の一番いい機会であったと思う。見てごらんなさい。国民の租税負担率を二〇%にいたしますならば、あと三千億円の減税ができるはずです。それもやらぬで、二兆四千億円の大型予算を組まれた。こういう財政の弾力性がないということ、あなたは財政の担当者として、もう少し考えてもらいたいと思う。所信を承りたいのです。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 まず自然増のふえ方の率を、今おっしゃられましたが、さっき申しましたように、実質増加は、本年度に比べて来年度は千五百億円くらいしか増加を見ていないということでございます。  それから第二の弾力性の問題ですが、おっしゃられる通り、弾力性がだんだんに失われていくという傾向はあると思います。ではなぜかと申しますと、結局国の財政責任、財政の任務として何をしなければならないかというようなことについて、施策が重点化してきておるということだろうと思います。昨年予算編成に幾つかの柱をあげましたが、本年度もこの柱を強化するという形で、予算編成をしました。なぜそうなるかと申しますと、結局これはいい面も悪い面も両方あると思いますが、政治が相当計画的になってきている、そうして重要施策については、年次計画がことごとくの部面において立てられるような形になってきておる、こういうふうになってきますと、予算の編成においても、この計画に縛られて、重要施策を重点的に予算化していくということをやらざるを得ません。こういう傾向が最近顕著になってきておりますので、これは一面政治の計画化であり、進歩であるとも言えるでしょうが、同時に、それだけ予算の弾力性というものは確かに失われるという面があろうと思います。従って私どもは、そういうところを勘案して、新規の政策というものは、よほど慎重の態度をもって臨まないといかぬ。後年度にそれがどういう形で増大をしていくかという見通しを立てていかないと、おっしゃられるような心配がございますので、私どもは、新規政策を取り上げるときには、そういう点を十分勘案しまして、そうして必要度といいますか、そう重要でないと思われるようなものについての要求も、これは今度の予算編成でも非常にたくさんの件数がございましたが、私どもは、重点施策を重点的に予算強化をやるという方針を持ったために、新政策というものについて大部分見合わせるというようなことをして、一部特殊な新政策は当然予算化しましたが、そういう方針で臨んでいたわけでございますが、予算の弾力性という問題については、そういう問題があるということだけは確かでございます。

山村新治郎自由民主党

○山村委員長 それでは、本日は、これにて散会いたします。  明日は午前十時より開会いたします。    午後四時五分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗