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40回国会衆議院1961/12/22

本会議 第3号

発言数
32
登壇者
11
会派数
4
開催日
1961/12/22

会議録

清瀬一郎無所属議長

○議長(清瀬一郎君) これより会議を開きます。     ────◇─────  議員請暇の件

清瀬一郎無所属議長

○議長(清瀬一郎君) お諮りいたします。  議員鈴木茂三郎君、同成田知巳君、同細迫兼光君、同穗積七郎君、同石橋政嗣君から、海外旅行のため、十二月三十日から昭和三十七年一月十日まで十二日間請暇の申し出があります。これを許すに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

清瀬一郎無所属議長

○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。      ――――◇―――――  議員風見章君逝去につき院議をもつて弔詞を贈呈することとし、その文案は議長に一任するの件   (議長発議)

清瀬一郎無所属議長

○議長(清瀬一郎君) 御報告いたすことがございます。  議員風見章君は、去る十二月二十日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。  つきましては、同君に対し、院議をもって弔詞を贈呈いたしたいと存じます。なお、この文案は議長に一任せられたいと存じます。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

清瀬一郎無所属議長

○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  つきましては、議長の手元において起草いたしました文案を朗読いたします。   〔総員起立〕  衆議院は多年憲政のために尽力しさきに国務大臣の重任にあたられた議員正三位勲一等風見章君の長逝を哀悼しつつしんで弔詞をささげます  この弔詞の贈呈方は議長において取り計らいます。      ――――◇―――――  赤城泉徳君の故議員風見章君に対する追悼演説

清瀬一郎無所属議長

○議長(清瀬一郎君) この際、弔意を表するため、赤城宗徳君から発言を求められております。これを許します。赤城宗徳君。   〔赤城宗徳君登壇〕

赤城宗徳自由民主党

○赤城宗徳君 ただいま議長から御報告のありました通り、本院議員正三位勲一等風見章君は、本月二十日早暁、関東逓信病院において逝去せられました。  私どもは、去る十一月君が病気のため入院せられたと伺い、心から御回復を祈っておりました。しかるに、ついに御本快を見るに至らず、思いがけない悲報に接しましたことは、まことに痛恨きわまりないものがあります。  私は、ここに、諸君の御同意を得て、議員一同を代表して、つつしんで哀悼の言葉を申し述べたいと存じます。(拍手)  私は、君とは郷里を同じくし、下妻中学の後輩であるばかりでなく、かって三十数年前には君の選挙を応援したこともあり、その後、今日に至るまで常に親交を重ねて参りました。君の高潔な、そして、人なつこい人柄には、日ごろ深い敬意を抱いていたものであります。今この壇上に立ち、ありし日の君の面影をしのぶとき、万感こもごも胸に迫って哀悼の涙を禁じ得ない次第であります。  風見君は、明治十九年二月、鬼怒川のほとり、茨城県水海道市の旧家に生まれ、長じて早稲田大学政治経済科に学ばれました。早稲田在学中、君がかねて私淑しておられた教育界の重鎮杉浦重剛先生の称好塾に起居し、日夜親しく先生の薫陶を受けて、勉学に励まれて参りました。以後の君の活躍の素地となった、野にあって名利にとらわれず、あくまでみずからの信念を守り抜くという強い精神は、おそらくこの塾生活において体得されたことと存じます。  明治四十二年早稲田大学卒業後、君は文筆をもって世に立とうとし、大阪朝日に入社し、その記者となられました。そのすぐれた識見と深い学識とは広く世人の認むるところとなり、大正十二年には地方新聞の雄として名声を博していた信濃毎日に抜擢せられ、直ちに主筆兼取締役の重職につかれました。その後数年間、君はますます研さんを重ねて健筆をふるい、世論の指導と啓発に大きな功績を残されたのであります。  君は、かねてより抱懐する理想を現実政治に移すべく、昭和五年二月の第十七回衆議院議員総選挙に茨城県第三区から出馬してみごと当選せられ、本院議員の栄誉を獲得せられました。かくて、少壮政治家として、時あたかも恐慌下にあった農村の救済のために専心努力されたのであります一当時における君の革新的な意見とすぐれた文才は、間もなく一般の注目するところとなりました。  昭和十二年、第一次近衛内閣の成立に際し、近衛首相の懇望によりまして内閣書記官長の重職につかれ、非常な期待をもって世の中からも迎えられたのでありますが、はたして野人風見、野人書記官長として内外から好評を博されたのでありました。次いで、十五年七月、第二次近衛内閣に司法大臣として入閣されました。そのころのわが国内外の情勢は、対中国関係を初め複雑困難をきわめ、との間に処して、君はなみなみならぬ苦心と努力を払われたのであります。しかし、時代の勢いはせっかくの君の志をむなしくさせ、ついに野に下って雌伏するのやむなきに至ったのであります。  戦後、郷里に帰り、筑波の峰をながめて、文字通り晴耕雨読の日々を送り、農村の子弟の指導育成に当たっておられました。君は、かつての政治家としての歩みに対し責任を深く反省して、祖国立て直しのためには、力及ばずとも人一倍に骨も折り、人一倍に働きもしなければならないという決意を固め、昭和二十七年十月の第二十五回総選挙に再び出馬し、本院に復帰されました。以後、衆望を負うて毎回連続当選し、今日に至ったのであります。  本院に復帰された当時は無所属でありましたが、その後、昭和三十年には社会党に入党され、間もなく党の顧問に推され、練達たんのうの大先輩として党内外の信望を集めておられました。  君は、特にアジアの平和、進んで世界平和の実現を悲願として活躍されておりました。さきには、日中・日ソ国交回復国民会議理事長として、日ソ国交回復の契機についても一つの大きな役割を演じ、その後は日中関係の打開に専念しておられました。これがため、老躯を顧みず、しばしば中共、ソ連、ベトナム、北鮮等にも渡り、たゆまぬ努力を続けられてきたのであります。  君は、本院議員に当選すること前後九回、在職二十一年六カ月に及んでおられます。この戦前、戦後を通じる長い期間にわたって、国政審議に当たり、議会政治の発達と国民の幸福増進のために尽力し、きわめて偉大な功績を残されたのであります。  風見君は、まことに清廉高潔な人格者であり、頭脳明晰で、まれに見る重厚な性格でありました。いわゆる典型的な外柔内剛の君子人と申すべく、きわめて穏やかな人柄ではありましたが、常に憂国の至情と、何事も徹底せざればやまざる気魄を内に込めて、半世紀にわたる激しい風雪の時代を貫き通されたのであります。  君は、また、非常な読書家であり、東西の学に通じ、ことに漢学の素養が深く、漢詩をよくせられ、また、和歌にも長じておられました。しかも、常に国語の平易化を唱え、努めてやさしい言葉を使うよう心がけておられたのであります。このような君の見識の一端は、晩年の著書である「祖国」に明らかにうかがわれるところであります。  君は、また、座談に巧みであり、農村の青年を集めては座談会を開き、日ごろの信念をじゅんじゅんとして説き、新しい農村のあり方について語り合われたのであります。君の辺幅を飾らない庶民的な態度と、わが国の将来を思う熱情とは、郷土における信望をますます高め、郷里水海道市からは名誉市民をもって遇されておりました。  今や、内外の情勢はますます多事多難であり、私ども国会議員の責務も一そう重きを加えつつあります。このときにあたり、風見君のごとき見識の高い、真に国士の風格ある政治指導者を失いましたことは、国家国民にとり、まことに大きな不幸でありまして、哀惜の情いよいよ深いものを覚える次第であります。  ここに、君が生前の功績をたたえ、その風格をしのび、心から御冥福をお祈りして、追悼の言葉といたします。(拍手)      ――――◇―――――  日韓会談、中国代表権問題、東南   アジア外交に関する緊急質問   (松本七郎君提出)

田邉國男自由民主党

○田邉國男君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。  すなわち、この際、松本七郎君提出、日韓会談、中国代表権問題、東南アジア外交に関する緊急質問を許可されんことを望みます。

清瀬一郎無所属議長

○議長(清瀬一郎君) 田邉國男君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

清瀬一郎無所属議長

○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。  日韓会談一中国代表権問題、東南アジア外交に関する緊急質問を許可いたします。松本七郎君。   〔松本七郎君登壇〕

松本七郎日本社会党

○松本七郎君 私は、日本社会党を代表して、当面の外交対策について、緊急質問を行なわんとするものであります。  池田首相は、就任以来、機会あるごとに、経済のことはこの池田におまかせ下さいと、自信満々の態度を国民に誇示して参りました。だが、この一年半の体験を通じて、国民は、経済のことを池田さんにまかせておいたのでは、際限のない値上がり地獄の中で、しまいには首をくくるほかなくなるのではないかと、身にしみて思い知らされておるのです。(拍手)池田さんにまかせておいて安心していられるのは、物価の値上げをねらう資本家だけというのが現実の姿なのであります。一番お得意のはずの経済にしてかくのごとくであります。しかるに、総理は、六月のケネディ会談を契機にいたしまして、外交のこともこの池田におまかせ下さいと言わんばかりの自信をお持ちのようで、この半年ほどの間に池田・ケネディ会談、池田・ラスク会談、池田・朴会談、東南アジア旅行、そして国連での中国代表権問題と、きわめて活発な外交活動を展開されてきました。その結果はどうでしょうか。国民は、今や経済政策におけると同様に、政府の外交政策に対してもその前途に重大な不安と危惧の念を禁じ得ないのであります。(拍手)  以下、私は、わが国将来の運命の岐路ともなりかねない緊急の外交問題二、三につきまして、国民の感じつつある深刻な懸念を代表しつつ、政府の所信をただしたいと思います。  まず最初に、国連総会での岡崎勝男代表の中国代表権問題に関する演説についてであります。政府は、今回の五カ国決議案の共同提案国となり、これが可決されるについてわが国が指導的役割を果たしたと自負しているようです。しかし岡崎代表の演じた役割は、決して指導的役割ではなかった。結論から言いますならば、中国代表権問題はきわめて重要だと騒ぎ立てただけであって、あの演説では、わが国としての解決策らしきものすら一言半句も見られないのであります。重要事項に指定した後、一体どのような解決策を用意していたのか。現在、政府・自民党の中には、二つの中国論を唱える者、あくまで台湾政権にしがみついて中華人民共和国の国連参加を阻止したいとする者など、まちまちであります。しかし、池田総理はこのうちどの立場をとっているのか。もし、このような基本的立場なり主張なりがきまっておらずに、ただ、重要だ重要だと騒いだのであれば、不見識もきわまれりといわなければなりません。なぜならば、とりあえず中華人民共和国の国連参加を阻止しておこう、ただそれだけのものであったと見られても、弁明のしようがありますまい。それは、大へんだと、ただ騒ぎ回る号外屋と同様でありまして、号外を読んでみたら何一つ内容がなかったというのでは、にせの号外屋となるのであります。この重要事項指定方式とは、結局、アメリカの極東戦略体制擁護のための法律的からくりにすぎないのであります。この点について総理からの明確な答弁を求めます。  次に、この演説では、歴史的に見ても、台湾は名目上中国の一省であったにすぎず、清朝時代も内憂外患相次ぎ、現実に支配を及ぼしたことも疑わしいとして、台湾の政治的、歴史的地位に疑惑を与える節が露骨に出ております。また、現在の台湾の帰属につきましても、日本はサンフランシスコ条約で権利、権原を放棄しているとして、きわめて不明確であります。ここにも政府の積極的な見解というものは出ておりません。政府は、一体台湾をどこの国に属すると考えておられるのか、はっきりした御答弁を願いたいのです。  さらにまた、岡崎代表は、わが国と中国大陸との二千年にわたる連綿たる関係を述べております。しかし、だれしもこの演説を聞いて気づくことは、まだわれわれの記憶に新しい日中間のいまわしい戦争関係についてただの一言も触れていない。聖徳太子時代の関係から説き起こしながら、中国の民衆にはかり知れない迷惑をかけた最近のなまなましい戦争の歴史が、政府の歴史文献には消え去っているとでも言うのでしょうか。よもや政府は、日中戦争より、聖徳太子時代の歴史の方が、今後の日中関係打開に重要な意味を持っているとは考えておりますまい。私が戦争責任についてこのように問題を持ち出しますのは、岡崎演説では、この点について口をぬぐって知らぬ顔をしているのみならず、現在、台湾海峡をはさんで米華条約と中ソ条約があり、これによって力の均衡が保たれているといたしまして、力の政策によって中国大陸と台湾とが分断されている限りは、解決策がないのだと言わぬばかりの発言をしているからであります。これは力の政策を是認した発言です。言うまでもなく、力の対立があるところ、戦争の危険は絶えずつきまとっているのであり、このような緊張を一つ一つ緩和させていくところにこそ、アジアの平和を願う日本の役割があるのであります。つまり、戦力引き離し、ディスエンゲージメントこそ、戦争の危険を除去する具体的政策でなければなりません。  池田総理は、今年の一月三十日の通常国会における施政方針演説の中で、東西関係は、激化ではなく、緩和させていきたい、日中関係も改善したい、この問題の解決が本年における政府の課題であるとまで述べられておるのです。このため、今年初頭のジャーナリズムも、日中改善こそ今年の課題である、池田内閣は前向きの姿勢だ、このように宣伝をいたしました。ところが、どうです。本年もまさに終わらんとする現在、池田総理は、岡崎代表をして、施政方針とは全く逆の、うしろ向き演説をさせておるのです。しかも、念入りにも提案国にまでなっております。これが、池田総理の経済面での所得倍増計画の破綻と歩調を合わせた、外交政策の破綻でなくて何でありましょうか。(拍手)  岡崎演説について、世界のジャーナリズムは、日本は二つの中国の立場を示唆したと見ております。政府がそれを否定するのは勝手です。しかし、国際的にはすでに烙印を押されてしまっているのです。一体、政府は、蒋介石すら怒っておりますこの二つの中国論で中国代表権問題が片づくと思っているのですか。岡崎代表が、しきりに、台湾は歴史的に独立した存在であるとおしゃべりをしておりますのは、二つの中国という政治的状況を作り上げるための台湾独立工作の第一歩なのかどうか。言うまでもなく、中国は国連加盟国であるばかりではなく、国連の創立に参加した国の一つであります。従って、講和条約を結んで加盟が認められた日本と違い、国連のいわゆる原加盟国、つまり、もともとの加盟国であります。その中国とはいかなる国なのか。それは、六億七千万の民衆から見放され、アメリカの銃剣によって辛うじて保たれている孤島の存在ではなかったのであります。しかるに、日本政府は、この孤島台湾のてこ入れに狂奔し、先ごろは、モンゴル加盟問題で国民政府が窮地に陥りましたときに、米国の依頼を受けて、池田首相は蒋介石総統あてに親書を送り、モンゴル加盟に対し、国民政府が拒否権行使をしないことを要請し、もし国民政府がこれに応ずるならば、日本は、中国代表権問題の討議にあたり、台湾の立場を強く支持し、中国の国連参加を阻止する旨を約束したと伝えられております。総理は、はたしてそのような池田親書を送られたのかどうか、事実をここに明らかにしていただきたい。一体、現在の段階において、中国の六億七千万民衆によって正当に支持されている中華人民共和国を認めずして、中国代表権問題の解決があり得るでしょうか。アメリカ及び池田内閣は、この重要な問題の解決を、重要事項という、総会の手続上の用語にすりかえることによって、問題の解決を積極的にはばんでいるのであります。  私は、次に、日韓交渉についてただしておく必要があると思います。  私は、去る十月二十七日本院本会議における質問で、韓国の朴正煕政権が、政府がこれまで金科玉条として援用して参りました一九四八年十二月の国連決議にさえそむく非合憲的な軍事ファッショ政権であり、従って、この政権を相手としたいわゆる日韓交渉は不当であること、それは南北朝鮮の平和的統一を妨げ、日韓関係の正常化という美名に隠れたNEAT〇結成のイチジクの葉であり、極東と世界の平和を脅かす要因を作る以外に何らの積極的意味を持たないこと、こういった理由をあげまして、日韓会談の即時打ち切りの要求を日本社会党と国民の名において行なったのでございます。しかるに、政府は、このわれわれの正当な抗議を退けて、会談の早期妥結をはかって狂奔しております。まことに遺憾千万といわなければなりません。特に、去る十一月十二日池田・朴会談以来、交渉は最終的段階に入ったといわれております。そこで、私は、新しい段階に入った日韓交渉について若干の質問を行ない、池田総理の責任ある明確な答弁を求めます。  まず、日韓交渉の重要懸案たる対日財産請求権について、外務省当局は、しばしば、さきの池田・朴会談で、この賠償の対象を個人に限ることに関して日韓双方の合意が成立したと言っております。たとえば、小坂外相におきましても、朴議長は池田総理との会談で、財産請求権は、賠償ではなく、あくまで自然人に関するものに限ることに同意したと、こう言っております。はたしてそうでしょうか。池田総理は、最近韓国記者団からの公開質問状に答えて、次のように回答している。日本が請求権として支払い得るものは、十分な法的根拠のあるものでなければならない。何が十分に法的根拠のあるものかということが問題になる、こう答えているのであります。これはさきの小坂外相の言明を否定するものなのかどうか。また、交渉に臨む以上は、当然日本政府の態度をきめておると思うのでございまするが、日本側が法的根拠ありと認める請求権とは、どのようなものを主張するのか、この点を明らかにされたいのでございます。(拍手)  政府は、これまで、朝鮮半島の北部に別のオーソリティが存在していると説明して参りました。また、南の政権は、台湾政府より以上に限定政権であると答弁してきております。それならば、北朝鮮との友好な関係を作り出すために、これまでどのような努力を払ってきたのか、また、今後どのような政策を用意しているのか、さらに、この北に存在するところのオーソリティの支配下にある地域、つまり、北朝鮮にかかわる請求権については、今後どう処理しようとするのか、これらを明らかにされたいのでございます。  政府・自民党の内部では、日韓交渉は来年三、四月ごろ妥結するという声が強いようでございます。総理自身も、さきの韓国記者団に対する回答の中で、明年春ごろ会談を妥結させるよう、できる限り努力したいと言っておられます。スケジュールは一体どうなっておるのか。これまでの交渉過程を見てみますと、韓国の正体不明な人物がひんぴんと日本を訪問して、政界、財界の要人と極秘裏に会って会談の促進を計らい、自民党内の韓国ロビーといわれる人たちもまたこれに積極的に介入するなど、うしろ暗い裏口外交のきらいが多分にあったのです。そこで、今後政治折衝に関連して、この際はっきりさせておきたいと思いますのは、たとえば、岸前総理とか、あるいは石井光次郎氏といった自民党の実力者が、総理の特使であれ、あるいは個人の資格であれ、国会の休会中に韓国へ飛び、朴議長を相手にして、政治折衝と称してどんぶり勘定的取引を行なって、国民の血税を浪費するような結果を招くことがないのかどうか、自民党の大物一月訪韓説に対し、池田総理の明快な意向をお聞きしておきたいのでございます。(拍手)  また、自民党の前尾幹事長は、日韓関係の条約案件は、たとい会談が明春妥結したとしても、国会への提出は、明年夏の参議院選挙後に開かれる臨時国会になると、しばしば語っておられます。総理もこれと同じ考えかどうか。たとえば、財産請求権の話し合いが妥結したことを機会にして日韓双方が大公使の交換をやる、そしてなしくずしに国交を正常化し、また、経済協力を実行に移すようなことを、国会の承認を得ることなく行なう考えかどうか、総理の明快な答弁をお願いしたい。  韓国記者団に対する総理の回答の中で、またこういうことも言っておられる。日韓関係の親善促進を妨害する一部勢力は、日韓経済提携をもって、日本による韓国経済支配を意味するかのごとく宣伝しているが、これは、全く根拠のない独断的主張である、ときめつけております。政府・自民党は、かつて、安保体制に反対する者は、国際共産主義に踊らされる一部少数勢力にすぎないときめつけたことがあります。しかし、それこそいかに根拠のない独断であったか、早くもお忘れになったのでしょうか。池田総理は、岸前首相の轍を踏まないためには、日本の韓国に対する経済進出をおそれている朝鮮民衆の正当な懸念を、この際真剣に顧みる必要があることを警告しなければなりません。(拍手)  また、けさの新聞報道によりますると、韓国軍事政権は、二十一日に、崔仁圭元内務部長官や趙鏞寿民族日報社長らを絞首刑に処したとのことです。自分たちの政敵を捕え、問答無用の絞首刑にするとは、およそ民主主義とは正反対の政治テロであり、韓国現政府の反民主的、ファッショ的性格を遺憾なく暴露したものであります。(拍手)まして、趙民族日報社長らの処刑は、ただ単に言論をもって南北朝鮮の平和的統一を主張した者に対する極刑であって、言論の自由に対する許すべからざる暴挙であります。(拍手)日本を初め、全世界の新聞報道人、文化人、諸団体がこぞってその減刑釈放、暴挙撤回を訴えたにもかかわらず、朴議長は世界の世論を踏みにじる非人道行為を行なったのであります。首相は、このような反民主的、非人道的政権を相手にして、なお日韓運命共同体と称して国交正常化を強行する考えでありましょうか。厳粛な反省の上に立った態度の表明をお願いしたい。  次に、私は、東南アジア問題と日米関係について簡単にお伺いいたします。  池田総理は、本年六月ケネディ大統領と会談された際に、日本は東洋のイギリスになると語って、自由主義陣営における頼もしいパートナーシップを発揮されたようであります。しからばお尋ねいたしまするが、イギリスは、はたして、今日の日本のごとく、経済問題でことごとにアメリカから裏切られているでしょうか。政府・自民党が鳴りもの入りではやし立てました日米貿易経済合同委員会、つまり箱根会談は、日米両国の琴瑟相和する話し合いの場ということであったのです。ところが、実際はどうです。競争相手同士の顔合わせではなかったのか。ICA資金による肥料の入札から日本が排除されたり、アメリカから一方的に輸出綿製品に対する賦課金を強要されようとしている事実を総理は一体どのように見ておられるのか。財界人や政府高官の中にさえ、箱根精神は一体どこへ行ったのだというぐちをこぼす人がいるありさまであります。アメリカに対し、日本にだけはドル防衛の保護政策をとるなと言っても始まりません。日本としてはみずからの利益を冷静に守っていくことが必要である。大事なことは、日本品を買ってくれるところから品物を買うという、真に互恵的な貿易関係を自主的に発展させていくことです。総理の野心的な高度成長政策を今後も続けていくつもりならば、それを現実化するためには、それにふさわしい貿易政策で裏打ちされなければなりません。対米貿易偏重は今こそ清算さるべきだと思うのですが、総理はいかように考えておられるのか。  アメリカ国務省は、最近、南ベトナムの情勢について、ベトナム白書と称する文書を公表いたしました。それによりますと、南ベトナムの不穏な情勢は、ベトコンを助ける北ベトナムの侵略行為が原因だそうであります。このため、アメリカは現在各種の軍事行動を展開して、ゴ・ディンジェム政権のてこ入れに努めております。総理は、このアメリカの行動がインドシナ半島に平和をもたらすとお考えでしょうか。私は、これは大戦を誘発する危険なかけごとだと思います。アメリカの危険な行動をむしろ制肘することこそ、総理が常々力説されるところの、アメリカのよき友人としての日本、アジアの一員としての日本の役割ではないでしょうか。(拍手)それとも、総理は、東南アジア各地を訪問されてみて、力による対抗の道こそがアジアに平和をもたらすと見てこられたのかどうか、御高見を承りたいと思います。  総理は、東南アジア訪問旅行のあと、しきりにアジアの一員としての日本を強調されています。そして、日本は高度に発達した工業力をフルに活用して、アジア各国との経済協力をしたいと言われております。その真意をここで伺いたい。また、先般来の国連における日本代表の言動からいたしますると、どうも総理の言われるアジアの中には中国は入っていないとしか考えられないのでございまするが、一体どうなのか。中国を排除したアジアの協力という考え方は、全くのナンセンスだと思うが、総理の考えを明らかにしていただきたい。(拍手)  最後に、私は大蔵大臣にお尋ねいたします。  外務省は、常々、財政負担にかかわりのある外交案件に対して大蔵省がきわめて渋い態度で臨んでいることを不満に思っているようです。しかし、国民の税金を預かる大蔵省としては、外務省の主張するところが、はたして真に国の利益に即したものであるか、あるいは、いたずらに相手方の意を迎えて交渉の妥結を急ごうとするだけのものであるかについて、渋い上にも渋い態度を堅持すべきが当然であろうと思います。その意味で、私は、ひそかに水田大蔵大臣の外務省に対する高姿勢ぶりに期待していたのでありまするが、ガリオア返済、タイ特別円処理など、いずれ今国会に提出されるでありましょう最近二、三の事例は、蔵相が、遺憾ながら、国庫を預かる大臣としてのきびしさに欠けていることを思わせるものがあるのです。今ちょうど予算編成期でございまするが、国民の福祉のための社会保障などの予算ではあたたかい配慮が望ましいといたしましても、事対外的に国民の血税を支払う問題については、きびしい上にもきびしいかまえが必要と思います。たとえば、タイの特別円問題は、すでに数年前明らかに解決済みで、その処理協定は、国会の厳粛な承認を得ているのであります。それを、タイ側の要求に屈して、新たに国民の負担を加重する取りきめを行なうごときは、もってのほかといわなければなりません。(拍手)水田蔵相はこの問題をどう考えられるのか。さらに、今後日韓問題のごとき重要な懸案を控えて、大蔵大臣は、国民の貴重な血税を、ゆえなき政治的イデオロギー外交のためには、たとい一銭たりとも使わせないだけのきぜんたる決意がなければなりません。蔵相の所信を伺いたいのでございます。  以上、私は、中国問題、日韓、日米、対東南アジア外交等について政府の所信をただして参りました。昭和三十六年も間もなく終わろうとしております。来たるべき年こそは、内外ともに日本にとって重大な運命の岐路が訪れるのではないでしょうか。おそらく、中国問題に関し決定的な年となるであろうということは、今年中国の国連参加阻止に奔走した岡崎国連代表自身が認めておられるところであります。さきの五カ国共同決議案の表決結果をごらんなさい。アジアでは、日本と国民政府を別にすれば、賛成したのは、マラヤ、ラオス、フィリピン、タイ、四カ国のみであったのに対して、反対したのは、ビルマ、カンボジア、セイロン、インド、インドネシア、モンゴル、ネパール。そして、アメリカと同盟関係にあるパキスタンすら棄権をいたしたのであります。こんな状態では、来年は、まさに首相の言うアジアの日本とは、アジアの孤児日本ということになりかねないのではないでしょうか。さらにまた、欧州共同体の発展、米国のドル防衛、関税障壁策の強化は、日本を経済的にも世界の孤児、アジアの孤児化する危険をはらんでおります。この重大な時期に際して、政府が、いたずらに外交に関する定見を欠き、あるいはダレス外交の亡霊のごとき冷戦外交的感覚にしがみついて、対米追随、台湾、韓国とのくされ縁強化、東南アジアに対する大国意識的外交を振り回していては、日本の国家国民の運命はどうなるでありましょう。今こそ過去の外交的偏見を一掃して、平和共存の理念に立脚し、積極中立外交、真のアジアの一員としての外交、共産圏をも含めたあらゆる国との互恵平等の貿易を推進展開すべきときではありませんか。池田総理の猛省を促しつつ、懇切にして明確な答弁を求めて私の質問を終わります。(拍手)   〔国務大臣池田勇人君登壇〕

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。  御質問の第一点は、中国代表権の問題でございます。御承知の通り、中国代表権問題につきましては、中共と国府がおのおの正当性を主張いたしておるのであります。われわれは、従来、この問題につきましては、国連でたな上げ案に賛成いたしております。しかし、今の情勢はこれを許しません。われわれは進んでこの重要な問題を国連で十分討議することを提案いたしたのであります。私は、従来の外交よりもこれだけ前向きに進んだことをはっきり言い得ると思います。(拍手)  次に、解決策はないとおっしゃいますが、解決策は国連でみんなと相談して見出そう、これが解決策であるのであります。(拍手)  次に、蒋介石政権との交渉につきましては、これは東京あるいはニューヨークあるいは台北で随時交渉をいたしております。その形式につきましては、外交上の問題でございますから、ここでお答えするわけにはいきません。万事万端交渉をいたしておるのであります。  次に、朴議長と私との話でございまするが、ここではっきり申し上げます。朴韓国最高会議議長は、日本に対して戦争賠償を要求するものではない、すべて法的根拠のあるものについて請求をする、こういうことであります。われわれも、請求権として支払うものは十分な法的根拠があるものに限るこういうことで意見一致いたしました。個人の請求権とかなんとか、それは誤り伝えられたものと私は考えております。今申し上げました通りであります。われわれはいかなるものを請求権として支払うか、これは目下日韓で交渉中でございます。交渉の結果、皆さんに御相談することといたします。  北鮮問題につきましては、いろいろな事情がございまして、われわれは今までこの問題を解決しようとすると、また南鮮の問題等々が起こりますので、まず韓国との正常化を私は先にはかりたいと考えておるのであります。(拍手)しこうして、韓国との正常化はいつかという問題、これは今交渉中でございますから、来年の何月にできるというお約束はできません。われわれはできるだけ早く正常化の実を結びたいと考えております。  なお、韓国の行政についていろいろ批判がありましたが、私は日本国の総理といたしまして、韓国のいろいろな行政に対しまして批判をすることはやめたいと思います。(拍手)  なお、日米会談の場合において、日本が東洋のイギリスになるのだということは一切言っておりません。そういう誤解に基づく答弁はいたしません。  また、日米貿易閣僚会議につきましては、私は非常に効果があったと思います。日米間におきましてはいろいろの問題がございまするが、今後これを解決する上において効果があったということは、徐々に出てくる問題と思っております。(拍手)  なお、東南アジアに対しまする旅行につきましては、私は主として親善旅行でございまして、訪問いたしましたところの四カ国とは親善の度を加えたと考えております。そうして、中国はアジアに入るか入らぬか、これはもちろんアジアに入りますが、先ほども申し上げたような状況で、われわれは中共と仲よくしたいと思いまするが、いかにも世界の情勢に非常な関係がありますので、世界各国と相談の上できめたいと考えております。  なお、大蔵大臣への御質問でございますが、外務省、大蔵省の関係につきましては、内閣できめることでございます。どうぞ御心配のないように。また、ガリオアや特別円の問題につきましては、いずれ御報告申し上げまするが、私は、ガリオア、エロアにつきましては、前から言っておりますように、適当な額は支払うべきものと考えております。また、特別円につきましても、昭和三十年でございましたか、三十一年でございましたか、条約を結びましたが、その条約の第二条は動きません。一切動かない。タイと日本とがこの動かない条約でけんかし合うということは――アジアの平和、また、日・タイ親善、あるいはアジアにおける日本の立場を考えた場合におきまして、私は、八年間で九十六億円を払うようにすることが、両国のため、アジアのため、世界の平和にいいと確信いたしまして、一応お約束をして参ったのであります。(拍手)  年末金融、石炭政策、並びに経済   見通しに関する緊急質問(北山   愛郎君提出)

田邉國男自由民主党

○田邉國男君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。  すなわち、この際、北山愛郎君提出、年末金融、石炭政策、並びに経済見通しに関する緊急質問を許可されんことを望みます。

清瀬一郎無所属議長

○議長(清瀬一郎君) 田邉國男君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

清瀬一郎無所属議長

○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  年末金融、石炭政策、並びに経済見通しに関する緊急質問を許可いたします。北山愛郎君。   〔北山愛郎君登壇〕

北山愛郎日本社会党

○北山愛郎君 私は、日本社会党を代表して、当面の重要な経済問題について政府の説明を求め、その所信を尋ねたいと存ずるものであります。  本年はまさに経済激動の年でありました。この春の国会で、池田総理は、日本経済は歴史的な興隆期にあると豪語されましたが、興隆期どころか、深刻な後退期に差しかかって、多数の企業が倒産をし、不渡り手形の激増、経済界は深刻な不安のうちに新年を迎えようとしております。所得倍増の幻想は、池田総理の頭の片すみにわずかにその残影をとどめるにすぎないのであります。資本主義自由経済の中におきましては、変動は避けられないと総理は言われましたが、確かにその通りでありましょう。しかしながら、それにしても、政府の経済見通しはことごとくはずれ、拙劣きわまる政策運営の結果、変動の幅を広げ、無用の犠牲を国民に与えたことだけは弁解の余地がないのであります。(拍手)手綱を締めるべきときに拍車をかけ、暴走させておいて急ブレーキをかけるようなやり方では、財界人の間ですら・池田さんに経済をまかせられないという声が高くなるのも無理はないのであります。  かつて、総理は、昭和三十二年、大蔵大臣として、全く同じあやまちを犯しました。「速すぎた拡大とその反省」という副題を持っておる昭和三十二年度の経済白書の巻頭には、当時の経済企画庁長官河野一郎氏の名前をもって、いいことが書いてございます。「日本経済は設備を拡大しなければなりませんが、短期に功をあせり過ぎますと、今度のように国際収支を悪くして、足踏みをしなければなりません。政府としては、こんなことを繰り返さないように、景気の動きに大きな波を打たせないように、万全の措置を講じて参る所存であります。」と書いてあります。事態はことしの場合と同様であります。三十二年当時の池田大蔵大臣が総理大臣にかわったというだけであります。池田さんは、前回の失敗の反省を忘れて、再び国民に大きな迷惑をかけた、その責任は断じてごまかすことはできないのであります。(拍手)この点についての総理の所信を伺いたい  のであります。  次に、政府は、現在アメリカの市中銀行などから短期の借り入れを行ない、当面の外貨危機に対処しようとしております。日本銀行を通じて、すでに二億ドル借り入れの契約をいたしておりますけれども、およそ一国の中央一銀行が、外国の市中銀行から借金をするなどということは、総理のいわゆる弱小国ならいざ知らず、先進国ではほとんどその例を見ないところであります。(拍手)おそらく日本においても初めてのケースではないかと思うのでありますが、政府は、このような異例の措置を。何ゆえに国会に報告もしない、承認も受けないでやろうとしておるのか、まことに奇怪に思う次第であります。(拍手)表面は、なるほど日本銀行の名前における借款でありますが、実質は、政府の外国為替操作のための借款であります。これはまさに、憲法第八十三条あるいは第八十五条に規定する財政議会主義の原則から考えましても、憲法違反の疑いがあり、議会無視、政府独善といわなければならぬのであります。(拍手)総理大臣は、この借款の経過及び内容、条件について、具体的に説明をされたいのであります。  また、一億二千五百万ドルのいわゆる農産物借款、あるいはIMFからの三億ドルの借り入れなどについても、現在までの経過、今後の見通しなどについてもあわせて伺いたいのであります。これらの借款は、IMFを除きまして、来年末には返済をしなければなりません。その見通しはどうでありましょう。政府は、明年度の輸出見通しを四十七億ドル、輸入を四十八億ドルと見込んで、それ以外の資本収支の黒字も合わせまして、総合収支で三十七年度末一億一千万ドルの赤字という見通しでありますが、それではたしてこの短期の借金が返せるでありましょうか。さらには、輸出四十七億ドルは、今年度の四十一億ドルに対して、まさに一五%に近い大幅な増加でありまして、世界経済の動向からきわめて困難と思われるのでありますが、いかにしてこの輸出増加を達成できるか、総理の、この四十七億ドルの各地域別の数字をあげて、明確な御説明を願いたいのであります。また、この際、八月から資本収支の赤字もふえて参りました。いわゆる輸入ユーザンスの決済超過あるいは外国短期資金が減っておるのでありますが、これの本年度末までの見通しにつきましても、あわせて御説明願いたいのであります。  次に、私は、政府が世界経済の大きな動向に対する洞察力を欠いて、そのときどきの現象を追うて右往左往しておる醜態を指摘しなければなりません。  世界経済の基調の一つは、米ソの政治、軍事、経済の対立競争であるということは言うまでもないのでありますが、それ以外に大きな流れは、アメリカ、西ヨーロッパ、日本などの資本主義国の間における経済市場競争が激化しておるということであります。本年の池田・ケネディ会談、日米貿易経済委員会等における対等ムードあるいは友好的な雰囲気にもかかわらず、先ほど松本君が指摘しました通り、アメリカの対日経済政策は、きわめてドライであり、冷酷であります。国際繊維協定や輸入綿製品に対する特別賦課金、韓国向け肥料入札からの日本の締め出し、これらの一連の事象は、アメリカ自身が自分のドルを防衛し、国際収支を改善し、競争に打ち勝とうとする必死の努力でありまして、アメリカ経済の回復に甘い期待を持つことはできないのであります。  一方、西ヨーロッパはどうでありましょう。フランスや西ドイツ、イタリアなど、いわゆる欧州共同体の発展、英国の欧州共同体参加決定等によりまして、巨大な西欧経済ブロックの形成が進んでおるのであります。ここに人口二億五千八百万、輸出四百八十六億ドル、輸入五百二十六億ドル、一億一千二百万トンの鉄鋼と五百九十万台の自動車の生産力を持っており、アメリカを圧倒する西欧ブロックの出現を見るの形勢になって参りました。その地域の中においては自由貿易、地域と地域外との間には差別関税というような姿が出てこようとしておるのであります。アメリカのケネディ大統領も、これを西ヨーロッパの一大挑戦と感じて、新しい貿易通商政策を掲げて、西欧ブロックとの結合をはかろうといたしておるのであります。  このようにして、アメリカと西ヨーロッパ、この二つの経済圏が相互に特別な関税貿易通商関係を結んだとしたならば、日本は一体どこへ行けばいいのでございましょうか。政府は、すでに経済開発協力機構、すなわち、OECDの参加に努めておりますが、との見通しはきわめて悲観的であります。すでに本年十月OECDの事務局長は、OECDは、西ヨーロッパ、北米のいわゆる大西洋クラブのような性格を持ち、日本が参加する筋合いのものではないと、日本の参加を断わってきたではありませんか。ビゼルタ問題においてはフランスに味方し、中国代表権問題ではアメリカに忠勤を励み、自由陣営の大国と自称しておりますけれども、しょせんは、鳥の世界でのコウモリの扱いを受けておるというのが現状ではないでしょうか。(拍手)中国やソ連を敵視し、アジア・アフリカ諸国を見下して、さらには、欧米諸国から体裁よく締め出される日本は、孤立のほかはないのであります。私は、当面する経済危機の解決のためにも、この世界の大勢に活眼を開いて、対米追随の外交路線を転換し、まず、中国との貿易打開、国交回復を断行し、アジアの日本に返ることこそが、わが国永遠の平和と繁栄の道であると確信をいたしておるのであります。(拍手)総理はこの問題についていかに考えるか、資本主義の制度を守るためにアメリカと心中する決心であるのか、所信を承りたいのであります。  次に、貿易自由化につきましては、政府の決定した来年十月まで九〇%の計画はこれを再検討し、大幅に繰り延べる措置をとるべきであると信じます。IMFとの約束その他の経過はあるにもせよ、国際収支を立て直すことが当面至上の命題であるとするならば、これと矛盾する自由化促進は、まさに自殺的行為といわなければならぬのであります。まして、世界経済の動向は、一直線に自由貿易に進むものではありません。自由化とブロック化との二つの流れがからみ合って、輸入の自由化は、必ずしも直ちに相手国に対する輸出の自由化とならない現実を考慮するならば、私は、この際政府は思い切って自主的にこの問題を決定し、自由化の繰り延べ、再検討を行なわるべきであると思いますが、総理の御所見はいかがでございましょう。(拍手)  次に、私は、池田内閣の高度成長政策と景気調整政策の矛盾欠陥について一言申し上げたいと思います。  政府の高度成長政策は、一言で言うならば、激しい労働の搾取の上に立った大企業の高利潤を基盤とした生産力拡大の政策であります。この政策の結果、国民生活を犠牲にし、国民消費を減らしておるということは、国民の支出の中での個人消費の割合が次第に低下しておるということにも明白に示されておるのであります。また、労働者に対する搾取、分配率の低下も、明らかに数字に現われておるのであります。昨年の工業統計によると、製造業の場合、三十人以上の事業所におきまして生産をされました付加価値は四兆六百億でありますが、そのうち、労働者に対して支払われた賃金はわずかに一兆三千億、分配率は三分の一にすぎないのであります。しかも、会社企業の株式は、ダウ平均で、昨年の十一月千百円台から、ことしの七月には千八百二十九円まで六割の暴騰をいたしましたが、これを上場株式の時価総額で計算をいたしますと、実に三兆五千億円の値上がりであります。まさに、これは六百万農民の三年分の農業所得に匹敵するものであります。しかし、いかに株券が印刷をされましても、株券をやりとりをいたしましても、そこから価値を生産することはできません。三兆五千億の擬制資本、見せかけの所得というものは、結果においては労働者、農民の生産する価値を収奪し、その分配に参与する不労所得にほかならないのであります。このような分配の機構の中にあっては、いかに生産力が拡大をいたしましても、所得格差を解消するどころか、あらゆる不均衡、不平等、不公正を作り出し、階層の格差と二重構造を激化させるだけであります。しかも、このことは、景気の後退期におきまして、この矛盾はいよいよ激しくなるのであります。すなわち、強い者は勝ち残り、弱い者が滅びていくという、弱肉強食の姿を呈して参っておるのであります。  政府の計器調整、金融引き締め政策によって、設備投資競争に狂奔しました大企業の投資を抑制する効果は少なく、逆に、罪もない、設備投資にはほとんど関係のない弱小企業、中小企業に打撃を与え、苦痛と圧迫を加えて、無用の摩擦を起こしておるのであります。(拍手)業界では、今度の金融引き締め措置を称して無差別爆撃といっておるそうでありますが、設備投資の本拠を攻撃しないで、非戦闘員を殺傷する無慈悲きわまる引き締めは、まさに無差別爆撃というべきであります。(拍手)大企業は、かけ込み増資やあるいは日銀からの貸し出し、資金の回収、下請代金の支払い条件の変更など、強固な防空壕の中に隠れることができるのでありますが、露天にさらされた中小企業は、防ぐにすべなく死屍累々たる惨状を呈しておるのであります。(拍手)このように、金融引き締め措置が一つの限界と矛盾とを持っておるのでありますが、その点を考えまして、事態が悪化してから事後に引き締めを行なうのではなくて、また、災害が起きてから復旧対策を講ずるのではなくて、あらかじめ国全体の資金の計画化をはかって、おもな産業や大企業の投資を事前に規制するという措置をとることこそが、今度の景気後退にかんがみましても必要であると考えるのでありますが、総理のこの点に対する見解を承りたいのであります。  もちろん、これを行なう場合におきましては、官僚統制の弊害を避けながら、投資計画審議機関に対しましては、労働者の代表、中小企業の代表、農民の代表などを参加をせしめました民主的な構成とする必要があると思うのであります。  また、この際における予算編成の方針は、当然、高度成長政策の結果生じたいろいろな格差と不均衡是正が中心にならなければなりません。しかるに、今度発表されました大蔵省原案は、この考慮を欠き、方向を見失った混迷予算というべきものであります。減税においても、設備投資を刺激した租税特別措置を整理するならば、さらに大幅の大衆減税が可能となるでありましょう。社会保障についても、増額は全く申しわけ程度でありまして、他方では、防衛費に二百七十億、また、産投会計に二百三十億の繰り入れをやっておりますが、これは明らかに、ガリオア、エロア返済の二重払いをカムフラージュするものであります。そして、一方では、わずかばかりの学校給食補助を削減するなど、全く了解に苦しむものがあります。国民健康保険の五分の調整金引き上げは、国会の決議にもとるばかりではなくて、今年からの医療費値上げの負担増加にも足らず、結局、保険税の一そうの引き上げとなるでありましょう。われわれは、最小限、明年度は補助率一割の引き上げが当然であると思うのであります。中小企業や農林漁業、これらの対策は相変わらず精彩を欠き、農業基本法は、安上がり農政の本質を暴露したものというべきであります。また、高等学校増設の経費につきましては、高等学校は府県立であるから、補助を出さないというに至っては、全く驚くべき不見識であり、われわれは、将来は高等学校を義務教育へ発展させるという展望のもとに、高校施設に思い切った助成が必要であると信ずるのであります。(拍手)  特に、前国会の最終日のこの議場におきまして、満場一致議決されました石炭対策について、その決議案の趣旨が予算に盛られておらないという点につきましては、きわめて遺憾に存ずる次第であります。特に、総合エネルギー政策の確立、雇用安定の観点からする大幅な予算措置、産炭地及び揚げ地発電に対する大規模な建設予算及び荒廃しつつある産炭地の振興のための事業団の経費、また、産炭地自治体財政に対する特別措置など、この案には欠けておるのでありまして、われわれは、これを、決議案の趣旨を達成するために、完全に盛り込むことを要求いたしますと同時に、右の諸点につきまして、総理大臣の御見解を承りたいのであります。  また、わが党がすでに要望いたしました今年度の補正予算はどうなったでしょうか。また、特に三月危機と称せられます第四・四半期の中小企業金融について、いかなる具体的な構想を持っておるか、明確に御説明を願いたいのであります。(拍手)  最後に、私は、物価政策について藤山企画庁長官に伺いたいのであります。  池田内閣は、何回も、公共料金その他の物価対策につきましてはこれを抑制するという方針を発表はいたしておりましたが、鉄道運賃にしても、電力料金にしても、その他一つとして真剣に値上げを押えたものはないのであります。ほんとうにこの年度内に値上げの抑制を実際にやったというものがあるならば、これを企画庁長官からお示しを願いたいのであります。特に、宅地価格については、一昨年来、政府は検討を約束いたしておりながら、いまだに何らの対策を立てようといたしておりません。全国の市街地の宅地価格は、すでに昭和三十年の四倍にも達しておるのであります。巨大な擬制資本、不労所得となって家賃や地代にはね返り、家計や企業を圧迫いたしておるのであります。私は、この宅地の値上がりにつきまして、藤山企画庁長官、政府としてはどのような対策をおとりになるつもりであるか、この点の見解を承りたいのであります。  終わりに臨みまして一言申し上げたいのは、本年は、不幸にも池田株の暴落の年であります。一枚看板の経済政策は行き詰まり、総理の口からはお得意の数字があまり出ないようになったと伝えられておるのであります。(拍手)しかし、私は、総理はあくまで経済政策に徹すべきものであると思うのであります。もしも岸内閣の轍を踏んで、警職法であるとかあるいは政防法のような、国民の民主的自由を押えるような反動政策によって経済の失敗をごまかそうとするならば、おそらくは来年、経済危機はさらに政治危機と相結んで、重大な事態を生むであろうということを、私は御注意を申し上げたいのであります。(拍手)  この際、一九六一年の終わりに臨んで、総理は、静かにこの一年を反省し、あやまちを国民に率直にわびて、われわれの具体的な経済要求を受け入れて、率直に政策転換をすることこそが、残されたただ一つの道であることを指摘いたしまして、私の質問を終わるものであります。(拍手)   〔国務大臣池田勇人君登壇〕

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。  率直に申し上げますが、私がここで誤ったと言って、それで済むことなら、幾らでもあやまりますが、私は誤っていないと考えておるのであります。昭和三十二年の石橋内閣あるいは岸内閣のときの大蔵大臣としてとった措置を今から考えてみて、私は批判は受けまするけれども、日本経済の進行の途中において、昭和三十二年、三十三年のあの経済政策は誤っていないということをはっきり申し上げます。(拍手)それは、日本の経済の動きに対しまして、世界各国の批評を見ればおわかりになると思います。昭和三十三年の経済成長は、前年より非常に少なくて、三%余りの経済の成長率でございます。雇用は変わりなく、完全雇用とはいきませんけれども、雇用もよかった。ただ、物価が下がったのでございます。しかし、この試練期は、三十四年、三十五年、三十六年と、世界の歴史にない飛躍を遂げたではございませんか。決して私は誤ってはいないと考えます。なお、二十六年度の超高度成長は、この際スロー・ダウンする、決して後退ではございません、五・四%の成長をやる。OECDの二十カ国は、一九七〇年までに五割の所得増を計画しておりまするが、そのOECD先進国と比べて、五・四%はまだまだ高度の成長であるのであります。決して後退ではございません。私は、経済政策というものは、一時の数字その他によって悲観したり、むちゃな楽観をするのでなしに、長い目で見て、そうしてじみちな成長を続けるところにほんとうの進歩があると確信しておるのであります。  なお、第二の外国からの借入金日銀がアメリカの三銀行から借り入れることは、国とは違った特別の法人の日銀でございまするから、何ら憲法違反ではございません。そして、これは十一月、先月から、月五千万ドルずつの四カ月二億ドルの借款を計画いたしておるのであります。しかも、これらの銀行に対しましては、二億ドル以上に預金を持っておることを申し伝えます。  なおまた、アメリカの輸出入銀行から、昭和三十二年に行ないましたごとく、一億二千万ドル程度の借款を申し込んでおりましたが、輸出入銀行から綿花、大豆その他のものを買いますと、運ぶ船の問題がございますので、輸出入銀行から借りて買うよりも、輸出入銀行の保証によって、アメリカの市中銀行から一億二千万ドルの借り入れを計画しております。まだ借りてはおりません。そういう関係で、輸出入銀行ならばすぐできるのですが、それをやめて、他の銀行から借りようとしておると大蔵大臣から聞き及んでおります。  なお、IMFの問題につきましても、私は、これは今すぐ必要はございませんが、いろいろな事情で交渉は進めておるのであります。こういう点は、私は、国際収支の点で各国もやっておることでございますし、何ら違法でも違憲でもないと思っております。  それから輸出の四十七億ドルを非常に御心配のようでございまするが、大体国民総生産の一割程度の輸出は過去もやってきておる。一割一、二分は過去もやっておった。大丈夫――じゃない、大丈夫にしなければならない、そういうふうに努力しなければならないというのが、われわれの政策であるのであります。これは、ごらんになりましたならば、私はできると思います。また、輸出は通関の問題とは違って為替ベースでいっておるのでございまするが、私は、海外経済協力等によりまして、将来にわたって輸出の増強をはかっていきたいと考えております。  なお、アメリカの貿易政策についていろいろお話がございましたが、お話しの経済共同体のあの急激な発展を見まして、アメリカは、好むと好まざるにかかわらず自由主義、自由貿易にいかざるを得ない。ケネディが言っておられるごとく、また、前のハーター国務長官がニューヨークで演説しておるがごとく、また、ボールが盛んに唱えておるがごとく、アメリカはこの欧州経済共同体を見て、どうしても自由主義でいかなければいかぬということは、もうだれもみんな考えておる。ただ、一部には反対がございます。しかして、私は、日本の経済発展のためには、貿易の自由化は絶対に必需要件であるというので、三年前から唱えておるのであります。この貿易自由化ということは、日本の輸出を伸ばしていき、経済を発展さす上になくてはならぬいいことでございます。これは予定通りにやって参ります。  ソ連、中共を敵視しておるか。決して敵視してはおりません。日ソ貿易は、御承知の通り、非常な幾何級数的の進歩を見つつあります。中共との問題は、経済と政治は一体と言って、カナダとの取引はいたしますが、日本とはなかなか今のところできませんが、私は熱心な中共貿易拡大論者であるということをここにはっきり申し上げておきます。(拍手)  所得倍増計画は生活内容を悪化する、こう言っておられまするが、皆さん、農村の景気はどうでございましょうか。月給取りの景気はどうでございましょうか。あなた方は悪いとおっしゃるが、ほんとにごらんになりましたら、ぐんとよくなっております。ただ、行き過ぎの関係上、大産業とこれにつながる中小企業が非常に金詰まりでございます。そしてまた、地域的には関西と九州はある程度悪うございますが、その他の東北、北海道、北陸等々、農村を中心とした地域の景気は、私は悪くないどころか、非常によくなってきておると思います。また、一般大衆の購買力も非常にふえて、去年よりもことしは二割あるいは三割以上の購買力の増ということが新聞紙の報ずるところであります。従いまして、私は、一部にあるこの金詰まりの点は、今後十分施策を加えて、金詰まりを是正していきたいと考えておるのであります。  なお、中小企業対策につきましては、御承知の通り、年末年始の金融として従来にない八百億円の政府資金を融通することにいたしておりまするし、普通銀行あるいは相互銀行、あるいは信用金庫等から数千億円の年末年始の金融対策を講じております。私は万全の措置をとっております。足らなければ、いかようにも措置をする考えでございます。  なお、明年度の予算につきまして、いろいろお考えがございましたが、せっかく予算の編成中でございますので、予算ができ、次の本会議で十分御審議を願う、それまでは私はお答えしないことにいたします。  私の今後の政策について御注意がございましたが、私は、経済ばかりでなし、国民の生命、財産に対して絶対責任を持つ私でございます。どうぞおまかせいただきたいと思います。(拍手)   〔国務大臣藤山愛一郎君登壇〕

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(藤山愛一郎君) 私に対する御質問は物価問題のようでございます。  そこで、物価問題というのは非常に重要な問題であること申すまでもございませんし、特に、来年度の経済の見通しにおきまして、消費者物価について二・八%の増を見込まざるを得なかったのは、私としても実ははなはだ残念に思うわけでございますが、しかし、これをどうしてもこの範囲内にとめて、本年のように見通しが著しく違わないように努力して参らなければならぬ、こう考えておるのでございます。  そこで、われわれといたしましては、この範囲内にできるだけやって参りますためには、諸般の政策がこの物価問題に相当広範に関係して参らなければならぬのでございまして、ただいまお話しのありましたような公共料金の問題については、当然われわれは厳重な査定をいたしまして、そうして、やむを得ざるものに限りこれを許す以外に、厳にこれをとめて参らなければならぬと思います。従って、単に赤字が出ただけということでもって、必ずしもこれが値上げを適当とするかいなかということは、その時期の問題等について慎重に考慮をする必要が私どもあろうかと考えておりますので、そうした方針について今後やって参りたいと思っております。  なお、この物価問題に関連いたしましては、今申し上げましたように、諸般の政策あるいは間接税の問題もございますし、あるいは流通過程の整備の問題もございます。また、物資の緊急輸入の問題もございます。あるいはさらに、基本的に申せば、貯蓄奨励その他一連の基礎的問題があろうと思います。これらの問題を整えまして、そうして明年の物価、特に消費者物価が上がらないように、そうして、少なくもこの範囲内におさめていけるように、われわれといたしましては最大の努力をして参りたいと思います。  なお、ただいま土地問題のことについてお話がございました。地価の問題、特に宅地の問題等が非常に重要な問題であることは申すまでもございませんし、ことに、単なる宅地でなくて、将来の工業発展のために工業用地の騰貴というような問題、あるいは農村の畑地その他の価格の問題というものは、生産コストあるいはその収入その他にも影響する問題でございますからこれは慎重に検討をして参らなければならぬ。実は最近、企画庁におきまして、この問題を取り上げて、そうして今準備的な調査をいたさせることにいたしております。将来近い機会に、あるいは調査会等の方法を皆様にお諮りする機会があろうかと思いますが、そういうことで、これらのむずかしい問題については十分な検討をいたして参りたい、こう存じております。(拍手)      ――――◇―――――  中小企業の年末金融など補正予算   編成に関する緊急質問(西村榮   一君提出)

田邉國男自由民主党

○田邉國男君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。  すなわち、この際、西村榮一君提出、中小企業の年末金融など補正予算編成に関する緊急質問を許可されんことを望みます。

清瀬一郎無所属議長

○議長(清瀬一郎君) 田邉國男君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

清瀬一郎無所属議長

○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。  中小企業の年末金融など補正予算編成に関する緊急質問を許可いたします。西村榮一君。   〔西村榮一君登壇〕

西村榮一民主社会党

○西村榮一君 現在の国民が政府にたださんとするところは、三点あると存じます。その第一は、現在の経済不況がいついかなる形においておさまって、国民生活が安定するかということであります。第二の問題は、現下激しく動いていく国際政局に際会して、わが国の平和と安全をいかに守らんとするかであります。第三は、先般発生したクーデター計画にも見られるごとく、現下の社会不安並びに政治に対する不信の念を払拭して、信頼し得る政治体制をいかに確立するか、この三点を国民が現政府に対して問わんといたしておるのであります。  私は、この際、民主社会党を代表いたしまして、これらの問題の中で、当面急を要する年末年始にかけての金融政策、並びに予算編成の大綱と日米貿易のアンバランスの是正に対しまして、政府に質問いたしたいと存じます。  申し上げるまでもなく、来年度経済の課題は、高度成長政策が招いた混乱を収拾し、経済全体のバランスをいかに取り戻すかということであります。この目的を達するには、私は二つの方法があろうかと存じます。それは、一つは、取り過ぎた税金を減税として国民に返すこと、あるいは間接的にこれを国民に返す方法として、再生産を中心とした財政投融資に向けるか、この二つの方法しかございません。しからば、その目的を達するためにはいかにするかといえば、第一に、行政費を極力縮めまして健全財政政策をとるとと、第二は、経済の変動に備えて、政府がいつでも財政政策を通じて景気を調整し得るような弾力性ある予算を組むことであります。この二つを通じて国際収支の均衡を回復して、日本経済の安定と均衡をはかり、もって将来の安定的発展の基礎を固めることが、明年度の予算を通じての経済政策の目的ではないかと思うのであります。この三点がわが国財政政策の至上目的であるといたしますならば、先般伝えられた政府の来年度の予算編成方針は、しからばこれに適合しておるかどうか、ここに問題が発生するのであります。伝えられる二兆四千二百六十八億円の予算は、実にその膨張率は二四・三%であります。これは経済成長ムードと三十五年度の好景気を背景といたしまして、しかも、九%以上の成長の伸びを予想した三十六年度予算の膨張率二四・四%と同様であります。来年度の見通しは、政府が政策的に高く見積もっても、五・四%の伸びであります。三十六年度の半分以下であります。しかも、国際収支のアンバランスを是正するために、内需を抑制せねばならぬという財政上の使命があるのであります。しかるに、三十六年度と同じ率に財政を膨張しながら、経済成長はその半分にとどめおくということは、きわめて矛盾しておるのではないかと思うのであります。  私は、繰り返して申します。明年度の予算は極力圧縮して、健全財政主義を貫くこと、それがために、財政の膨張の範囲は、経済成長率の五・四%を基準といたしまして、たかだか一千億円ないし一千二百億円が限度であります。従って、来年度の人件費その他歳出の当然増は三千三百億円と伝えられておりますから、そのうち一千億円ないし一千二百億円を膨張せしめて、あとの二千三百億円あるいは二千一百億円は、過去の行政費をこの際思い切って削減して健全財政の範を示すことが、今日の政府の責任ではないか。  第二の問題は、政府は、来年秋をもって国際収支の均衡を回復して、経済は上向くというのであります。ところが、来年の秋をもって国際収支の均衡を回復するという根拠は、実は輸出の伸びを一四・七%に見ておるのであります。一体、本年を起点として来年度において一五%近くの輸出の伸びを見込み得る海外、海内の条件がどこにあるのでありますか。私は、大蔵省が政策的に立案した四十七億ドルの輸出の伸びよりも、通産省が、市場別、商品別に積み上げて、その輸出伸びの見込額が全体で四十億ドルが精一ぱいであるという見解をとっておることは、きわめて正しいと思うのであります。そこで、問題は、万一来年の秋において国際収支の均衡を回復することが不可能、なお不況が継続するという場合を想定いたしますと、どうなるか。もちろん、金融引き締めは続きます。外国から金を借りねばならない。同時に、今総理大臣も言明されたように、貿易自由化の問題が、時たまたま来秋実行されねばなりません。この二つの要因は、当然金融引き締め政策となって現われてくるのであります。この金融引き締め政策によって多くのしわ寄せがくるのはどこかと申しますならば、論ずるまでもなく、中小企業であります。そこで、最悪の事態に備え、ここに万般の準備を整えて、不況からくる無用の摩擦と混乱を是正して、不況時においてこそなし得る経営の合理化と、将来発展への基礎固めをなすための用意をしておく必要があるのではないか。キリストが後世に教えていわく、人常に用意してあれという教訓は、今日の為政者が最も銘記すべき教訓であろうと私は存じます。  しからば、かような目的からいって、私の、健全財政と相並行して進まなければならない、財政政策に弾力性を持てということが、ここに明らかにされねばならぬ、具体化されねばならぬのであります。そこで、財政の健全化と弾力性、これについて具体的にいかなる方法を政府に国民が要望するかと申しますならば、来年度において税の自然増収がかりに四千八百億円ないし五千億円と見積もられますならば、そのうち一千億円ないし一千五百億円は歳出の当然増に向ける、あとの三千五百億円ないし四千億円は、その半分を、災害復旧を初めといたしまして、道路、港湾、運輸等公共投資に振り向けて、将来日本経済の発展の基礎固めをする、あとの半分は、産業投資特別会計並びに中小企業三公庫の金融機門に対し政府の財政投融資を増額し、もって不況の長期化に備えて、中小企業の救済並びに設備の近代化、政府の財政政策を通じて景気の調整をはかるというように、私は、弾力性ある財政政策をとられてはいかがか、こう思うのでありますが、総理大臣の見解はいかがでありましょう。さらに、私はこの見地から竿頭一歩を進めて、目前に迫る問題について具体的に提案いたしまするならば、それは一-三月の期間における金融危機であります。本年の暮れは、どうにかこうにかこれは越すでしょう。しかし、産業界、特に中小企業界におきまして、一月から四月までは金融的にきわめて危険期であります。そこで、この危険期を切り抜けるために、池田内閣の中小企業庁は、次のごとき方針を発表いたしております。それは設備代金の支払いのズレが一千億円、運転資金の窮迫等、当面要するものが一千億円とするならば、合計二千億円がどうしても必要であるということを、池田さんの内閣の中小企業庁において発表いたしております。そこで私が具体的に提案するのは、今総理大臣も声明された通り、八百億円の融資をなさろうというのでありますが、これに竿頭一歩を進めて千二百億円を増額いたしまして、二千億円の資金をもって一月-四月の金融危機に対処する方法を講ぜられる意思があるかどうか。今、北山愛郎君の質問に総理は答えていわく、八百億円用意するのみならず市中銀行に数千億円の金を用意しておると言明されたのであります。これははなはだしく総理大臣は下情に通ぜざる言葉でありまして、今日、一般市中銀行は、金融逼迫から、すでに選択融資に入っております。この選択融資に入っておる市中銀行の金が中小企業に流れるかどうか。先ほどの総理の答弁は、一片の弁明でしかありません。私は、静かに、経済の窮迫の中に、黒字倒産と唱えられる、営々苦心努力しながらも、政府の財政政策によって破産寸前に直面しておる中小企業の心情を顧みて、具体的な政策の実行を切望してやまないのであります。(拍手)  私が申すまでもなく、政府においてすでに御承知の通り、近来の異常な金詰まりは、一体どこに原因を持っておるか。申すまでもなく、経済成長ムードによって、生産規模は一割五分から二割拡大いたしました。資金貸付は、九月以降四割ないし五割削減されたのであります。総理大臣は三十二年度と比較されましたが、三十二年度の経済と、国際経済、国内経済は根本的に違います。偶然と奇跡を当てにして経済の将来を論ずることは、まことに危険千万と申さねばならぬのでありまして、その見解の相違については、私は追って予算委員会において総理とその是非の議論を徹底的にいたしたいと思うのであります。  さらに、私が金融難に関連してお伺いしたいことは、そして具体的政策を切望することは――今申しましただけでも異常な金融難であります。しかるに、来年一月-三月において政府の揚超は、概算四千八百億円から三千億円であります。この異常な揚超に対して、いかなる対策をもって民間の金融逼迫に対処されるか、わが国経済界はここに重大な関心を集めて政府の施策を着目いたしておるのであります。こいねがわくは、内閣総理大臣として、この点、イデオロギーや政策を越えて、具体的にこの国民の要望にいかにこたえるのであるか、数字を示して明確な御答弁をいただきたい。(拍手)池田財政の経済政策は、所得倍増計画によって過度の刺激を民間に与え、そして金融政策の引き締めによって過度の混乱と摩擦を与えて、前途に対する著しい不安を与えておるのであります。この失敗の責任のしりぬぐいは当然政府がしていただきたい。この失敗の責任を、私は、ここに一国の総理大臣に、誤っておったと謝罪せいと、失礼なことは申しませんが、しかし、具体的に一-二月の金融危機に対してどういうふうな態度をとるということを明らかにすることが、政府の義務であり、かつまた、国民に対する謝罪の一端になる、こう私は思うのであります。(拍手)やぼなことは申しません。具体的に、率直に、一つ国民の安心する態度を示していただきたい、かように存じます。  次に、来年度の財政投融資において、私は、産業投資特別会計並びに中小金融三公庫の財政投融資を増加して、財政政策に弾力性を持ってもらいたいということを要望いたしました。それを具体的に私は数字をもって要望いたしましょう。国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工中金、これは池田さんがお述べになりましたように、昨年度より本年度の方が若干ふえております。まことに御苦労でございました。しかし、財政投融資総額に占める割合は、いまだ二二%にすぎません。政府は、選挙その他を通じて、国の宝として中小企業を大事にせねばならぬと言われておるのであります。しからば、その大事にするということを、言葉だけじゃなしに、事実の政策において示していただきたいと存ずるのでありますが、財政投融資に占める割合一三%は、これは言葉と実行がだいぶ違います。そこで、私は、せめてこれを将来五〇%にふやしてもらいたい、こう思うのでありますが、なかなかお手元も大へんでしょうから、今当面三十七年度の予算において、せめてそれを三〇%にふやしてもらいたい。これはいかがでしょう。(発言する者あり)わかっていながら数字に上していないのは、なおさら悪いのです。  さらに私は、総理大臣にこの際お伺いしておきたいことは、来年度の不況対策の備えとして、日本経済の将来の特殊事情からいきまして、中小企業の能力を活用する、こういう意味からいきまして、私は、中小企業基本法という法律がぜひとも必要ではないか、これを来年度通常国会において提案される御意思があるかどうか、これを承っておきたい。  次に、私は、総理大臣並びに外務大臣、通産大臣王氏にお伺いいたしたいのであります。  それは、一昨日の新聞に容易ならざることが発表されております。アメリカの輸入綿製品に対する賦課金徴収の問題であります。これはケネディ大統領がその問題の可否を諮問したときに、日本の国論はごうごうとして、アメリカのこの経済的対日政策というものは、日米友好の親友的気分を大きにこわす冷酷なものではないかと、日本政府は抗議いたしたのであります。申すまでもなく、今、綿製品はアメリカに対しまして四〇%近く輸出されております。現在、アメリカに輸出される綿製品は、二五%の高率関税がかけられている。これが平均して一〇%の引き上げになろうとするのが、今度の問題であります。  そこで、私が総理大臣にお伺いしたいのは、あなたは、ケネディ会談及び箱根会談において、米国の綿製品輸入制限問題についていかなる要請を行なっていただいたか。  次に、通産大臣にお伺いしたいことは、あるいは外務大臣にお伺いしたいことは、十二月二十日に公表された付属文書には、米綿の補助金と同額の賦課金を課することは否定するものではない、そして賦課金を課する場合、米国政府は補償措置を日本政府と協議するということが取りきめてある。従って、賦課金の問題は、本年九月八日東京で行なわれた日米綿製品交渉で日本側も了解済みである、従って、日本政府の対米非難は当を得たものでないということを、駐米大使館に対して付属文書を示してアメリカは反駁をしてきたので、朝海大使も答弁に窮したといわれておるのであります。さらに、ケネディ大統領が、関税委員会に対して賦課金問題の調査を指示した際、フェルドマン大統領特別補佐官は、賦課金を課することによっても日米綿製品交渉の取りきめに矛盾しない・それは事前に日本にも知らせてあるとの見解を明らかにしたのであります。従ってこの際私は、以上の見解に基づいて政府に質問したいことは、この賦課金問題は、事前に了解を与えておったのかどうか。第二に、もしも賦課金を課せられるようになった場合に、日本国政府は、アメリカ合衆国に対していかなる対策を講ずるのであるか。第三の問題は、かような重要問題を、九月八日ある程度妥結をし、かつ了解を与えながら、三カ月になんなんとする今日、何がゆえにこれを公表しなかったのか。しかも、奇々怪々なることは、小坂外務大臣は、十二月十九日の記者会見において、さような文書を取りかわしたことは全然ありませんと言明している。しかるに、翌十二月の二十日においてこの付属文書が通産省から発表されたのであります。一体、これはいかなる政治的内容と、いかなる目的を持ってかような奇々怪々な取り扱いをされたのでありますか。思うに、九月の八日すでに暗黙の了解を与えつつも、日本において、九億ドルになんなんとする日米の貿易のアンバランスを是正することが、国際収支の改善の一つであり、しかも、日米友好をうたいながら、日本の綿製品の輸入を保護関税によって禁圧するこのアメリカの態度に対して、ごうごうたる国民の批判とのろいの声を考慮して、アメリカに向かって表面は抗議はしたけれども、内面はすでに了解済みであったということならば、国民を欺くもはなはだしいといわざるを得ないのであります。(拍手)  私は最後に池田首相にお尋ねしたい。それは、今日の国民は、なるほど、現在の経済は苦しい、倒産寸前にあるものがある。しかし、問題の核心はそこにはありません。問題は、日本の経済がいかにして立ち直り、いかなる時期まで苦しさをこらえるならば将来光があるかという、将来の見通しと不安感が今日の大きな問題であるといたしまするならば、これにこたえるところの責任と義務が内閣総理大臣に存在するはずであります。従って、それは単に、経済はおれにまかしてくれという強がりではなしに、理を尽くし、筋道を立て、具体的政策を提示して国民に安心感を与え、しかしてその政府の施策に対して協力を求めることこそが、政治家としての責任ではないか。人間のなすことには、誤りもあれば、見通しのそれることもあります。その神ならぬ、まつりごとをなす人間に誤りがあれば、誤りを謝罪し、見通しがそれれば、それを正す方策を講ずる謙虚な態度と、信を国民の赤心に置くという率直な立場こそが、政治家のとるべき態度ではないか。しかるに、――今日においてなお池田首相は言を左右にして強がりを言う。強がりを言うだけでなく、来年度の予算は何です。何にも内容がない無性格予算です。しかも、国民の税金を総花的に食いつぶす、これは穀つぶし予算であります。(拍手)先ほど北山君も述べられているように、池田首相は、内閣総理大臣に就任するや、経済はおれにまかしてくれと言われたが、国民はそれをおまかせいたしました結果が今日の不祥事。しかし、私はそれを今日責めようとは思いません。ただ、問題は、誤りを正し、自己の不明を国民に率直に陳謝して、新しく出発することこそが、謙遜的にして率直な政治家であるということを繰り返し申さざるを得ない。  私が特に池田首相に問わんとするところは、池田さんが、十二月十三日工業倶楽部で開かれた経団連評議員会において、国民が池田に経済をまかされないと言うならば、自分は自決すると公言されたそうであります。しからば私は池田首相に問いたい。国民が信任するかしないかは、解散によって民意を問う以外にはありません。この際、国民が信任しているか信任していないか、解散をして民意に問うところの御意思ありやいなや。  さらに問題は、一国の経済がうまくいっているかいないかを観察するものさしは三つあります。一つは、経済成長率の問題です。第二は、国際収支の問題です。第三は、物価その他を通ずる国民生活の安定の度合いであります。その国の経済がうまくいっているかいないかをはかるものさしが三つある、その一つの、経済成長率は、来年度において半分以下に切って、縮小激減の段階にあります〇二十億ドルをこえた外貨は、三分の一を切って十三億ドル、まさに日本の手持ち外貨の危機といわねばなりません。株は暴落し、一般物価は暴騰して、国民の生活を著しく苦しめております。これは明らかに数字をもって現実は池田内閣の失敗を証明しておるのであります。この失敗は、池田財政の所得倍増のムードによる失敗であります。何人も月給が倍になり、所得が倍になることを望まない者はありません。しかるがゆえに、いかなる政党といえども、これをスローガンに掲げるのであります。しかし、それを達成するための手段としては、緻密な対策と、その達成のために、発生するあらゆる困難を解決する異常な努力が必要でありまするけれども、池田首相は、選挙にあたって、所得倍増論を提唱したが、それを実行する緻密な計画と、困難克服への努力を払わずして、単に党勢拡張、選挙スローガンとしてこの問題を安易に取り上げられたところに、今日の国民経済に甚大な被害を与えたとがが発生しておるのであります。(拍手)これまさに、天災にあらずして、池田人災であります。  そもそも、所得倍増論は池田首相の専売特許ではありません。かつては保全経済会の伊藤斗福がこれを唱えたのであります。所得倍増論を唱えて世人をたぶらかし、今詐欺罪をもって罪を問われている伊藤斗福の故知を学んで、所得倍増論をもって昨年の総選挙において国民の票を詐取したのが池田首相でありまして、その罪万死に値するといわねばなりません。池田勇人氏が真に政治家であるならば、その失敗を明らかにし、罪を天下に謝して身を退くことこそが、政治家のとるべき態度であります。しかるに、言を左右にしてその責任を解せず、来年度の精神分裂症的な予算を編成して一時を糊塗せんとする、満天下の人心、池田勇人をのろい、これを罰するすべなき政治の機構をのろい、ついに政治不信の声は満天下に満つる。政治家池田勇人氏、静かに反省して善処されんことを望んで、私の質問を終わる次第であります。(拍手)   〔国務大臣池田勇人君登壇〕

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。  西村さんの健全財政、また、弾力性ある財政、これは必要なことでございまして、昭和三十七年度の予算につきましても、こういう趣旨は考えて編成中でございます。  なお、一-三月を含めまして、政府の財政資金として八百億円を出しているのであります。民間銀行の方にたよることも非常に多いわけであります。一般普通銀行から、年末あるいは年始の資金として二千億円を指導して、当てにするようにやっておるのであります。中小企業対策資金として三千億円を考えてもらうようにいたしております。また、相互銀行に対しましても、大体八百億円を予定して、そうして中小企業に万全を期するとともに、また、信用金庫の方にも千数百億円を準備するように、大蔵省からいろいろ話をしておるのであります。決して数千億円というものは根拠のないものではございません。財政資金が八百億円、民間資金が、中小向けとして大体四千億円程度が予定せられておると私は聞いております。しかし、事情によりましては、私は、いかようにも中小企業対策につきましての処置をとる考えでおるのであります。  なお、中小企業の基本法につきましては、ただいま検討中でございます。  綿製品につきまして、ケネディ大統領と私との話は――御承知の通り、一九五七年以来、日本は自主規制をしております。自主規制をすることによって、アメリカヘの各国からの輸入が、日本だけ伸びずに、他の国から伸びるということはよくない、これを改めねばならぬというので、ジュネーブの会議に持っていき、その後におきまして一九五七年の規制を--十分満足する状態ではございませんが、外務大臣、通産大臣から聞きますと、相当ふえまして、まあこのくらいならいいという結果を、御報告を受けておるのであります。ただ、今回の綿花の輸出に対する八セント半の輸出補助金の取り扱いにつきましては、私は二年くらい前から問題があることは知っておりまするが、ただいま外務大臣あるいは通産大臣からいろいろ経過を御報告あることと思います。  なお、将来の不安感を除くということは、これは政治の絶対要件であります。私は強がりを言っておりません。事実を事実とし、こういう状態であるからこれを是正するように、全知全能をしぼって及ぶ限りの努力をすると言っておるのであります。私は決して強がりを言っておるのでないことをあらためて申し上げ、御忠告の点は十分考えます。私は、まだ日本国民はわが党内閣を支持しておるという確信がございますので、今自決するつもりはございません。(拍手)   〔国務大臣佐藤榮作君登壇〕

佐藤榮作自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 日米繊維会議の付属書簡につきましていろいろ誤解があるやに伺いますので、そこで、去る二十一日に発表いたしまして、その誤解を解いたつもりでございます。本来から申しますならば、付属書簡というものは、大体公表した例はまずないのであります。もちろん、これを公表いたしますにつきましては、米政府と外務省の間で一応相談をいたしまして、この問題が、賦課金を課するというその点について日本政府が了承しているのだ、かように誤り伝えられておる、そのためにはこの付属書簡を公表することやむを得ないということで、所要の手続をとった上で公表いたしたのでございます。今回の日米繊維会議、その経過は、ただいま池田総理からお答えいたしましたようにジュネーブ繊維会議における取りきめが当方にとりましてまことにまずい、こういうところから、あらためて日米間の繊維会議に持ち込んだのであります。そうして、その数量は必ずしも満足すべきものではございませんけれども、在来の実績等から見れば相当数量伸びたということで、最後に日米繊維会議が妥結した、これは当時発表された通りでございます。  ところで、すでに御承知のように、一九五五年、今から六年ばかり前にアメリカには農業調整法という法律がありまして、この農業調整法は、もちろん西村さん御承知のことだと思いますが、この法律によると、その第二十二条でございますが、それによりますと、アメリカの農産物、それを輸出して、そうしてさらにそれが製品として輸入された場合に、米国の産業に影響がある、かように認めた場合は、農務長官が、その調査にかかるといいますか、その事態を政府に勧告するといいますか、報告をする、そうすると、それを受ければ大統領はその実情を調べる、こういう法律があるわけであります。今回問題になっておりますのも、日米間の繊維会議そのものではございませんで、米国内の国内法の規定から見まして、米国の繊維業者が、日本品の進出が大へん心配だということで、保護的な要望を出してきた、それがたびたび報道されております、いわゆる賦課金を課するという問題になるのでございます。おそらくこの調査には半年ぐらいかかるであろうと申されておりますから、ただいま直ちに結論が出ておるわけではございません。来年の三、四月ぐらいになれば、おそらくその結論が出てくるだろう、こういうのが現在の状況であります。問題になりまするのはアメリカの国内法である。その農業調整法二十二条、これの運用と申しますか、それがまず第一の問題であります。これに今回の付属書簡、これが関係があるかどうか、こういうことになるわけでございますが、もちろん、政府は事前に了承したというようなことはございません。ただ、誤解を受けておるようでございますから、新聞にすでに出したところでございますが、もう一度この機会に明確にしておきたいと思います。  この付属書簡の内容は三点ございますが、第一点は、アメリカ政府は日本綿製品の同国への輸入に関し、いかなる輸入制限――輸入の割当であるとかあるいは輸入関税の引き上げ、これらを課することを防止するためのあらゆる実行方法を講ずるというのでございまして、いわゆる自由化の大原則をまず第一に日米間で了承した。  第二の点におきまして、この大原則で進めていくけれども、万一特定の品目につきまして輸入制限をする、こういう事態が起きたら、今回の日本政府とアメリカとの取りきめは、その品目に関しては無効にする、日本は、そういう約束以上の処置をとられたら、いわゆる数量制限等を守る責任を解除するというのでありまして、これは当然のことでございます。  第三点が、ただいま申し上げます日米間の問題でなしに、相手国のアメリカの農業調整法第二十二条、これをアメリカ政府が発動したときにはどうなるか。これは全面的に全繊維製品に発動することになりますから、そうすると、ただいま申しました第二の条項で、今回の日米の取りきめが全部無効になる、そういうことはいかにもまずい、こういうのでありまして、そういう場合はあらためて十分相談をしたいし、また、そういうことによって生ずるいかなる悪影響につきましても、アメリカ政府としては是正する措置をとるものとする、こういうことを文書として書きとめたのでございます。  もちろん、アメリカ側にとりましても、また、外交上の慣例等から申しましても、この種の付属書簡は、本来なら公表すべきものではないと思います。しかしながら、非常にこの繊維問題をめぐりまして誤解があり、あるいは日米繊維会議の際に日本政府が了承を与えたとか、あるいはその後、箱根の経済会議におきまして日本政府が了承しておるとか、この種の誤解を生むような報道がしばしば出ておりますので、両国政府のために、これを公表しないことはよくないというので、米政府の了解を得て、ただいま申し上げるように発表の処置をとったわけであります。従いまして、先ほど来、西村さん、大へん声を大にしていろいろお尋ねになりましたが、ただいまの事実をそのまま発表いたしますので、かように御了承をいただきたいと思います。(拍手)   〔国務大臣小坂善太郎君登壇〕

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 通産大臣から内容、経過等についてお話がありましたから、私からはごく簡単にお答えいたしますが、これについて言えますることは、もしこの賦課金というものが課せられた場合には、われわれはこういうものは認めていない、賦課金は認めない。しかし、何でもかんでも認めるという場合があったらどうするかということでありますが、その場合、この結んだ短期協定を全面的に直ちに廃棄するということは言わない。これは一つのコミットメントをしておるわけであります。なぜそういうことをしたかという理由でございますが、この協定、わが方にとっても、従来から見て非常によくできておる。直ちにこれを破棄するということは、わが方にとっても不利であると考えられるからであります。  なお、われわれがこれを認めていないということといたしまして強く抗議をいたす一方、ガットの面におきましても、独自の抗議以外に、この賦課金の賦課というものははなはだ不当であるということを呼びかけておりまして、日本の立場はもっともである、主張はもっともであるというふうに、ガット方面においても賛同者がふえております。また、イギリスにおいても、御承知のように、最近イギリス本国並びに香港の利益に反するということでありますから、このことについてイギリスとしても抗議を始めてきたという工合に、だんだん各国においてさような日本の主張を支持する面がふえてきた、さようなことでございます。  記者会見で私が何か言ったということでございまするが、私の記者会見の全部を聞いていただくと、西村さんの御発言は誤解に基づくものであるということが明瞭であると思います。(拍手)

清瀬一郎無所属議長

○議長(清瀬一郎君) 通告の緊急質問並びに答弁は終わりました。      ――――◇―――――  日程第一 昭和三十五年度       昭和三十六年度衆議院   予備金支出の件(承諾を求める   の件)

清瀬一郎無所属議長

○議長(清瀬一郎君) 日程第一、昭和三十五年度、昭和三十六年度衆議院予備金支出の件を議題といたします。

清瀬一郎無所属議長

○議長(清瀬一郎君) 議院運営委員長の報告を求めます。議院運営委員会理事佐々木秀世君。   〔佐々木秀世君登壇〕

佐々木秀世自由民主党

○佐々木秀世君 ただいま議題に供せられました昭和三十五年度及び昭和三十六年度衆議院予備金支出について御説明申し上げます。  今回御承諾をお願いいたしますのは、昭和三十五年十二月二十六日から昭和三十六年十二月八日までに本院で支出した予備金百八十八万円でありまして、その年度所属は、昭和三十五年度三十二万円、昭和三十六年度百五十六万円となっております。なお、その費途は、院議をもってその功労を表彰された永年在職議員の肖像画に要した経費及び在職中なくなられました議員の遺族に贈った弔慰金であります。  以上の経費は、そのつど議院運営委員会の承認を経たものでありますから、御承諾下さいますようお願いいたします。(拍手)     ―――――――――――――

清瀬一郎無所属議長

○議長(清瀬一郎君) 採決いたします。  本件は承諾を与えるに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

清瀬一郎無所属議長

○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、承諾を与えるに決しました。      ――――◇―――――

清瀬一郎無所属議長

○議長(清瀬一郎君) 本日は、これをもって散会いたします。    午後四時二十九分散会      ――――◇―――――  出席国務大臣         内閣総理大臣  池田 勇人君         外 務 大 臣 小坂善太郎君         通商産業大臣  佐藤 榮作君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君  出席政府委員         法制局長官   林  修三君      ――――◇―――――

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