文教委員会地方行政委員会連合審査会 第1号
- 発言数
- 115 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1962/02/09
会議録
○櫻内委員長 これより文教委員会地方行政委員会連合審査会を開会いたします。 先例によりまして、私が委員長の職務を行ないます。 岩手県における学力調査に関する件につきまして調査を進めます。 本問題につきましては、両委員会よりそれぞれ現地に委員を派遣して調査を行ないましたので、まずその派遣委員より報告を聴取することにいたします。臼井莊一君。
○臼井委員 岩手県における学力調査阻止事件に関連する国政調査につき、私から調査結果の概要を御報告申し上げます。 なお、最初にお断わりしておきますが、本件につきましては、文教委員会より、岩手県における学力調査に関する実情調査を目的として、十二月二十二日から三日間の日程で、小林信一委員と私に石田調査員、また地方行政委員会よりは、同じ日程で、岩手県における学力調査阻止事件に関連する地方公務員法違反事件に関する調査を目的として、渡海元三郎、川村継義、門司亮の三委員と崎川調査員が、それぞれ本院より派遣されたのであります。しかし、現地におきましては、便宜上両委員会の調査班が合同して調査を行ないましたので、その報告もそれぞれの委員会で行なうこととせず、この連合審査会におきまして私がこれを代表して行なうこととなった次第であります。 私どもは、十二月二十二日夜東京を立ちまして、二十一日朝盛岡に到着後、岩手県正庁におきまして、岩手県教育委員会、県警察本部、盛岡地方検察庁、岩手県教員組合、地教委連合会、岩手県PTA連合会、及び自殺者、免職者を出しました地元の教育長等から、順次説明を聴取したのであります。非常に忙しい日程ではございましたが、現地関係者各位の熱心な御協力によりまして、ほぼ所期の調査目的を達成することができましたので、この機会に感謝の意を表したいと存じます。 さて、調査の内容は多岐にわたりますが、これを大きく分けますと、第一は、全国中学校一斉学力調査の行なわれました十月二十六日までの経過はどうであったかということ。第二は、テスト当日の阻止の一般的状況。第三は、テスト実施後の経過。第四は、学力テスト実施に伴って発生した諸問題ということになります。 御承知のように岩手県におきましては、去る十月二十六日に施行されました全国中学校一斉学力調査の実施率が一五%という、全国でも最低の結果を生み、そしてこの際における教職員の阻止行動に関して、県教育委員会は免職、停職、減給、戒告を含め、八面一名に上る懲戒処分を行なっております。またこの学力調査阻止事件とほぼ時を同じうして、三名の自殺者も出ておる次第であります。 処分につきましては、近く第二次処分も予想されておる状況でありますが、まずこのような事態を生むに至りましたテスト当日までの一般的経過を、県教育委員会、岩手県教組、岩手県警察本部等の説明や、提出された資料に基づきまして申し上げたいと存じます。 さて、このたびの学力調査阻止事件が発生するに至りました大きな原因の一つは、全国中学校一斉学力調査の目的、趣旨、結果の利用等につきまして、県教委と岩教組との間に根本的な見解の対立のあったことがあげられると思います。文部省によりますと、十月二十六日に行なわれた全国中学校一斉学力調査は、学力水準の向上に役立てる科学的な資料を得るための教育調査であり、正確な調査資料によって全生徒の学力水準の向上をはかることにより、わが国教育の振興をはかろうとするものであるとのことであります。この点につきましては岩手県教委も、この一斉学力調査の趣旨は、昭和三十六年四月二七日に発表された昭和三十六年度全国中学校一斉学力調査実施要綱に示されている通り、第一は教育課程に関する諸施策の樹立、第二は学習指導の改善、第三は教育的諸条件の整備、第四は育英、特殊教育施設などの拡充強化等のための基礎資料を得ることであると述べております。ところが、岩手県教組は、このような文部省や岩手県教委の見解に対しては、当初より相反した見解を明らかにしてきております。すなわち、岩教組によれば、この調査の全体計画は、文部省の一方的な計画によって推し進められ、しかも多くの国民に対してはその趣旨を強調するのみで、その方法、実施細目についてはこれを明らかにしていないこと、また今回の調査は直接子供の将来に影響を及ぼすばかりでなく、現在県内各地で地域課題の解決のため勤務している教師個々の創造的な教育活動を封殺する結果を招くこと、さらにこの調査を通じて、教育の全体性が国家権力によって左右される危険も含むものであると述べているのであります。岩教組はこのような見解のもとに、昨年七月以来県教委との交渉におきまして、学力テストに反対し、その中止を要求してきているのでありますが、岩教組として特に強調しております点は、県教委が述べますように、この一斉学力調査が、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第五十四条二項に基づく行政調査であるといたしますならば、同法第二十三条の五号を根拠として「当日の学校教育計画を変更させ、生徒の評価にわたる事項を盛り込む」という拡大解釈を行なうべきではないという点であります。 かくのごとく、一斉学力テストの目的あるいは結果の利用等につき、両者の見解ないし態度は、当初より明確な対立を示しつつ、紆余曲折を続けるうちに時日は推移して、ついに実施日を迎えたのであります。 ここにその経過のあらましを申し上げますと、組合は九月二十六日に公開質問状を提出し、また反対の方法として、警察の資料によりますと、十月の初めから数回にわたって新聞の折り込みを利用し、「おそろしい一斉学力テスト、みんなの力で食いとめましょう。」とか、「教師は憤ります。そして学力調査を拒否します。」等々のチラシを配布し、活発に反対の宣伝を行なってきたとのことであります。 地元の新聞である岩手日報の十月一日付にも、「二十六日の学力テスト、休暇で阻止」とあり、また十月二日付には、「学力テスト阻止の指令を発するとあり、さらに十月十九日付の同新聞によりますと、「一週間後に迫った学力調査を犠牲を払っても食いとめる」と岩教組が“校門決戦”の戦術を組めば、敵方?の県教委は、教室で迎え撃とうと“教室決戦”の作戦をしている」などとありまして、各新聞社県内版とも、教育委員会と岩手教組の正面衝突を報道しております。 このような状況の中におきまして、県教委は、これらの反対は調査の趣旨、目的、結果の利用等に関する誤解に基づくものであるから、十分に話し合いを行なうことによって、終局的には岩教組に理解され、円滑に実施できるという態度をとり続けてきたとのことであります。また県教委の言によりますれば、市町村教委も、県教委と組合との話し合いによる円滑な実施を望んでいたとのことであります。 十月十二日、県教委と組合の話し合いが行なわれましたが、その際、組合は調査に協力する条件として、二つの申し入れ事項を提示いたしました。その内容は、第一に、本県には行政と現場が一体となって構成している教育課程研究推進委員会があるので、単に文部省の問題のみでなく、県独自のテストを作成し、全国一斉学力調査の当日、文部省で作った問題と県の問題の両方を同時に併用してほしいというものであり、第二には、調査の事後処理は、現場教員、教員組合、大学、研究所指導主事を含めた事後処理委員会で行なうことにするというものであります。これに対しまして県教委側としては、この申し入れ事項は行政側としてとうてい容認し得ないとして、組合に対して次のような回答を行なっております。すなわち岩手教組の提示した第一の申し入れ事項に対しては、当日文部省の調査と県独自のテストを同時に並行する考えはない。調査の結果問題点ができた場合に、さらに補充的に必要な調査を実施して、結果の吟味の資料とすることは考えられる。ただし経費等の問題もあるので、今後さらに市町村教委と相談の上検討したいと回答し、第二の点については、実施後において結果の分析を検討するための組織は設けたいと思っている、その内容については今後検討したいというものであります。 つまり県教委といたしましては、この申し入れ事項は行政側としてとうてい容認し得ない性質のものであるとして、拒否したわけであります。県教委によりますと、この結果岩手教組は、申し入れ事項について県教委が認めないので話し合いの余地はない、全国一斉学力調査の実施については全力をあげて阻止すると述べて、全員一斉に退席して、交渉は打ち切られたとのことであります。 次いで十月十四日、県教委は教育長会議を招集して、岩手教組との交渉が決裂するに至った模様を報告いたしましたところ、それまで妥協を主張してきた市町村教育長も、もはや強行実施のほかなしとの強硬な態度に変わり、挙県一致の態勢で調査強行実施の方向が確認された上、その会議で二つの申し合わせが行なわれました。すなわち、一つは、校長が組合の指令により、テスト責任者を命ずる旨の通達を返上した場合は、再度交付し、それでもなお返上した場合は、徴戒処分請求の内申を出すこと、なおこの点につきまして一言つけ加えますと、実際には結局ほとんどが通達を受領いたしましたために、内申は提出されないでしまったそうであります。第二は、教員が拒否をする場合は、役場等の職員に依頼してでも実施を強行する。ただしこの場合子供の前で混乱を起こさぬこと。もしも教育が実力で阻止するときは、その氏名を確認するのみにとどめ、また教員が実施の態度を示したときは、教員に実施してもらうようにすることというのであります。 県教委は、その後も、岩手教組に対して何らかの条件案を提出するように要請したとのことでありますが、それに対して岩手教組は条件案を提出することなく、決裂状態のうちに十月二十三日を迎えましたところ、県PTA連合会があっせんに入りまして、二十三日午後二時から二十四日午後三時にかけて、県教委と岩手教組の間に交渉が再開されました。この交渉におきまして、岩手教組は全国一斉学力調査のねらいをただした上で、次のような条件案を示しました。すなわち、一、教育内容に行政が干渉しないという原則を確認する。二、今回の学力調査は、調査であって学力評価ではない。従って個人の評価は行なわない。三、テストは英語を除く四教科とする。四、個人評定、学校評定は行なわない。従って答案には学校名、学級名、氏名、番号は記入しない。五、A表は学級どまりなので、B、D表は全県分、地域類型分を出し、施設、設備の改善資料とする。六、C表は記入しない。七、指導要録は記入しない。八、実施後の集計は処理委員会で行なう。その構成は教委事務局、組合執行部、現場教師の代表をもってする。九、集計の単位は地域類型ごとに学校をきめ、直接処理委員会で行なうというものであります。 岩手教組の言によりますと、この条件案の骨子とするところは、行政が教育内容に介入しないことの原則の確認の上に立って、今日の学力調査は学力評価を含まず、従って個人の評価は行なわないものであるとする点にあります。 この条件案に対しまして、県教委は、六と七については譲歩いたしましたが、他はいずれも、あるいは現在の法体系を否定し、あるいは調査の趣旨ないし目的に著しく反するとの理由をもちまして、容認するには至りませんでした。 両者は以上の各項目につきまして終夜論議をかわしましたが、妥結点を見出すに至らず、ついに県PTA連合会は、次に述べますようなあっせん案を出しました。すなわち、今回の調査は教育諸条件の改善資料を得るための学力調査であって、生徒並びに学校の評定のためのものではない。従って生徒名、学級名は必要としない。ただし、F表作成の必要上、学校名を記入する。この記入された学校名は、教師並びに学校の評価に資するものではないというものであります。このあっせん案に対し、岩手教組は若干の問題はあるが、諸般の情勢上これを受け入れることにしたとのことでありますが、県教委は生徒氏名を記入しないことに難色を示し、容易に妥結点に到達するには至らなかったとのことであります。 しかし県PTA連合会の説得によりまして、県教委は最後に、番号で記入するならば氏名を記入しなくてもよいと譲歩いたしました。ところがこれに対し岩手教組は、番号を付することは氏名を記入することと何ら変わるところがないとの理由によりまして、最初の県PTA連合会のあっせん案の趣旨なら賛成できるが、氏名記入と同一のものは受け入れることができない旨の回答をし、さらに岩手教組が十月二十三日に提示した条件案の一及び二を県教委において全面的に認めないのであれば、話し合いの余地はないとして、ついに交渉は物別れになったとのことであります。しかしPTA連合会は、その後もなお事態の円満な解決のために奔走したそうでありますが、結局事態は好転するに至らなかったのであります。 県教委の談によりますと、この間におきまして各地方の教委、校長等は、PTAあっせんを期待していたそうでありますが、決裂と知るや、各市町村教委は、直ちにかねて県から教育事務所を通じて指示した通りに、強行実施の方向をとったとのことであります。しかし多くの市町村教委では、PTAあっせんの際、県が譲歩した線を基準として組合の支部と交渉を始め、妥結点が見出されてほぼ協定のできたところも少なくなかったとのことであります。この結果テスト前夜、すなわち十月二十五日夜の県教委の情勢判断では、県下学力テスト実施校数の約八割程度のものは、実施できるのではないかと考えていたとのことであります。 ところが、県教委の言によりますれば、この情勢を察知した岩手教組では、前日午後から前夜にかけて各地にオルグを派遣し、次々とこれらの協定を破棄せしめ、または協定の阻止をはかった形跡があるとのことであります。かくしてテストの実施率一五%という、全国最低位の結果が生まれたのだと、県教委では述べております。 次に、テスト当日の阻止の一般的状況を、県教委の資料をもとにして申し上げます。 十月二十六日のテスト実施当日は、 各中学校単位に小中学校の教員が早朝から措置要求大会参加の名目で集合し、そのままテスト実施の阻止に当たっており、中学校では、教頭以下ほとんど全員がテスト補助員を拒否するとともに、テストは行なわず、平常通りの授業を行なった学校が多いそうであります。そしてこれは校長の命によるものではなく、主として組合指導者の指令によるとのことであります。また中学校長の大多数は、教育委員会からのテスト責任者の職務命令を二回ないし三回拒否し、実施前日に至ってようやく承諾したものが少なくなかったそうであります。 さらに小学校の一部では、当日は少数の教員を残し、一応午前十時までの休暇届を校長に提出して、中学校へおもむき、授業開始時刻までに帰校して平常通り授業を行なったところもありますが、多くの学校におきましては、時間の長短はともかく、授業の正常に行なわれなかった事例が少なくなかったとのことであります。 なお、当日のテスト阻止の形態としては、学力テストに関する疑義解明を求めることの質問の繰り返しによる実施の引き延ばし、またはピケ隊による立会人の入校阻止等、いろいろの形があり、中にはきわめて激しい阻止行動の行なわれた地域もあったとのことであります。 この結果、実施状況は、県下学校総数三百六十六校、生徒総数七万七百七十四人のうち、実施した学校数は六十三校で、全体の一七・二%、生徒数は一万六百四十六人で、全体の一五%という実施率を見ております。 次に、テスト実施後の経過について、そのあらましを申し上げます。 県教委は、学力調査結果の報告をテスト当日の夕方六時までに求め、同十月二十八日に、テストの実施状況と阻止状況について、教育事務所長及び市町村教育長会議を開き、十一月一日には処分内申について教育事務所長会議、市町村教育委員長会議を開催し、十一月七日には、処分内申の受付を始めるとともに、第一回事後処理委員会を開いております。 その後も県教委は随時実情を聴取し、教育委員会、教育委員協議会も随時開催することなどして、十二月十六日には処分原案を固め、十二月二十日に全国中学校一斉学力調査阻止行動者につき、小中学、県立を含めて、免職九名、停職三十二名、減給三百五名、戒告四百五十五名、計八百一名の懲戒処分を発表したのであります。 他方、警察はどうかと申しますと、岩手県県警本部は、学力調査阻止事件につき、地方公務員法違反の容疑で十月二十七日、県下五十六カ所、十一月五日、県下四十七カ所の捜索、差し押えを実施して、証拠資料二千余点を押収するとともに、十月二十七日以降、参考人として地教委関係者五百四十名、岩手教組組合員二百十五名、その他PTA等五十二名、計八百七名の任意取り調べを行ない、さらに十一月十六日、十一月二十五日の二回にわたって岩手教組組合員七十一名について、盛岡地方検察庁検察官に証人尋問請求連絡を行なっております。また盛岡地方検察庁におきましても、十一月初旬より参考人の任意取り調べを行ない、十二月二十三日までに約二百六十名の取り調べを行なっております。また警察から証人尋問請求連絡のあった中学校教職員七十一名及び検察官の任意呼び出しに応じなかった四名の計七十五名については、裁判所に証人尋問請求をしております。 警察は、十二月六日、任意出頭を拒んだ岩手教組西磐井支部等六支部の支部長、書記長等十二名を逮捕し、十二月九日には、岩手教組中央執行委員長小川仁一等本部役員九名を逮捕し、それぞれ盛岡地検検察官に身柄とも送致しております。 盛岡地検では、十二月八日、西磐井支部等六支部の支部長、書記長等十二名の身柄つき送致を受け、翌九日、全員の勾留請求を行ないましたが、右請求は却下され、同日請求却下の裁判に対し準抗告を申し立てましたが、これまた同日棄却されました。次いで十二月十一日、小川委員長等本部役員九名の身柄つき送致を受け、翌十二日、全員の勾留請求を行ないましたが、右請求は却下され、同日勾留請求却下の裁判に対し準抗告を申し立てましたが、いずれも棄却されました。 これらの準抗告棄却の決定は、「罪証隠滅のおそれが全くないものでないことを認定しながら、罪証を隠滅するに足る相当な事由がない」との理由に基づくものであります。これに対し盛岡地検は、これら準抗告棄却の決定は、高等裁判所の判例と相反する判断をしているとの理由で、十二月十四日、最高裁判所に特例抗告を行なっております。 以上が事案の概要でありますが、次に、当日調査班と関係当事者との間にかわされたおもな質疑応答について申し上げます。 初めに調査班と県教委との間にかわされた質疑応答から申し上げます。 まず調査班より、校長二名の自殺原因について、学力テストとは無関係であるような説明があったが、これらの校長に捜査や教委の調査はなかったのかとの質問に対しましては、県教委より、自殺原因については市町村教委の報告によって判断している。金カ崎の渡辺校長はテストを実施した地域の校長であり、捜査や教委の呼び出し調査があったとは思われない。組合側からの調査や圧力については、わからない。また渋谷校長は、テストの実施できなかった中学校長の一人であって、警察より任意出願を求められにが、出頭しなかったと聞いている。地元の西根町教委の報告によれば、学力テストを気にしていた事実はあるのでありますが、常識的には調査が自殺の原因になったとは考えられないということである。しかし神経衰弱の状況がかなり前から激しかったということも聞いているので、死因については調査と関係がないであろうと申し上げたのであるとの説明がありました。 なお関連がありますので、この機会に県教委以外の関係当局者からの説明を述べますと、これら二名の校長の自殺について、県警本部より渡辺校長については小学校長でもあり、地公法違反被疑事件とは関係がないので、任意呼び出しも取り調べも行なっていない。また田頭中学渋谷校長については、同校が学力調査を平常授業で阻止しているので、十月二十八日、参考人として任意出頭を求めたが、応ぜず、それから三月ぐらいして本人が入院したので、その後は呼び出しも取り調べも行なっていないとの説明がありました。盛岡地検からも、両校長については取り調べないし証人尋問請求をしていないのみならず、任意出頭を求めたこともないとの説明がありました。 両校長の地元の教育長よりは、渡辺校長の死については、学力調査に関係がないと思われるとの答弁があり、渋谷校長については、もともと同校長は高血圧で、本年七月以降も二度入院するなど病弱ので、相当に神経衰弱も高じていた。学力調査を気にしていたことは事実だが、自殺の原因については断定し得ないとの説明がありました。 また調査班より、同じく自殺者でありますが、岩手教組の依頼で機関紙、指令、資料等を印刷していた富士屋印刷所営業部長の豊田寛氏の自殺について、県教委側でも豊田とは関係がないと言うし、警察も関係がないと言うが、この点はどうかとの質問に対しては、県警本部より、岩手教組に対する捜査との関係上、十一月五日に令状の発付を受けて、富士屋印刷所の捜索を実施したが、豊田寛氏に対しては、警察としては事情聴取、取り調べ等は行なっていないとの説明がありました。なおこの点につきまして盛岡地検検事正より、十一月八日、同十日の二回にわたり、担当検事が豊田営業部長を取り調べたとの説明がありました。 以下はずっと県教委に対する質問でありますが、調査班から、警察の捜査との関連はどうかとの質問に対しては、県教委より、警察の捜査との関連は全くない。行政上の違法行為ということで、市町村教委の調査報告と内申によって処分をしている。しかし刑事上の問題として起訴された場合は、分限上の扱いとして休職処分にすることになるであろうとの説明がありました。 次に、処分について文部省と協議したのではないか。現に文部省内藤初中局長は、内申者数が四千人に上っているので、これを減らすように言ったと語っている。これは報告を行なったからではないのかとの質問に対しては、県教委より、文部省とは全然協議をしていない。内申が四千人くらいあるということについては、教育長と学校教育課長が文部省に行った際、話したかもしれない。しかし、この程度の者はこのくらいの処分にしたいというような処分の段階や処分者の数については、全く連絡も協議も行なっていないとの説明がありました。 次に、神奈川方式のような形での実施は考えなかったかとの質問に対しては、県教委より、神奈川方式のように五教科は文部省作成の問題で行ない、他の教科は県独自の作成にかかるものというのなら格別、岩手教組の要求する各教科それぞれ両者の作成にかかる問題を提出し、生徒に選択させよというのでは、一斉テストの意味が全く失なわれ、また技術的にもとうてい容認できないものであったとの説明がありました。 次に、資料の阻止行動の実例はどのようにして把握したかとの質問に対しては、県教委より、市町村教委の報告によるものであり、また市町村教委は、テスト立会人の報告書や学校長の報告書などによったものであるとの説明がありました。 次に、処分を行なうにあたっての教育上の配慮はどうかとの質問に対しては、県教委より、県議会における教育正常化の決議もあったので、これも十分留意しながら非常に苦心を払った。たとえば停職者についても、その大部分を一カ月としたので、冬季休暇が終わる時期には事実上解除されるように配慮した。さらに、教壇に立つ教員についての処分は、学校運営上、支障を来たさないようにいろいろと配慮を加えているとの説明がありました。 次に、組合幹部についてはどのような違反行為を問題にしたのかとの質問に対しては、県教委より組合員をして学力テストを阻止せしめ、かつみずから阻止をしたという理由で、地方公務員法第二十九条第一項に基づいて処分したものであるとの説明がありました。 次に、今後教育の正常化についてはどのように考えているかとの質問に対しては、県教委より、テストの阻止あるいは処分と大きなピークをもって、現在本県の教育界に混乱を生じていることについては、行政の立場として責任を感じている。もとより処分は望ましいものではないが、八五%の阻止という事態が発生した以上、やむを得ないものとして行なったものである。今後は一日も早く教育の正常化を取り戻したい。しかしそのためには、組合員は、動員のごときことを避け、平静な態度で落ちついて教育に当たることが望ましい。このために県教委としては市町村教委とも連携を密接にし、管理職を中心として、学校運営の正常化をはかるべく努力していきたいとの説明がありました。 次に、小学校教員の処分された理由はどうかとの質問に対しては、県教委より、テスト阻止のピケ要員などとして行動した者につき、その行動の目立った者のみを取り上げて処分したものである。また校長については、違法な目的を知りつつ休暇を与えた者、及び正常な学校運営を乱して職場を放棄した多数の教員を、自校に呼び戻す努力を怠った者を処分の対象としたとの説明がありました。 次に、内申書の処分の程度と実際の処分の相違はどうかとの質問に対しては、県教委より、内申については、処分の段階を県に一任してもよいし、希望を付して一任してもよいと指導した。処分にあたっては、内申の処分段階を全県的立場から調整したものもある。これは法的に差しつかえないとされている。しかし内申のないものは処分ができない旨の説明がありました。 次に、第二次の処分はどの程度のものかとの質問に対しては、県教委より、資料の不足のため今回処分できなかったもの、内申がおくれて出されたもの、市町村と十分に意見の一致を見なかったものなどを含めて、百名前後と思われるが、原案はまだできていないとの説明がありました。 次に、警察関係に移ります。まず調査班より、警察は十月二十七日から捜査に入っているが、これは検察庁と打ち合わせた上でやったのかとの質問に対しては、県警本部より、警察は独自の捜査権を持っているので、独自の判断でやった。検察庁とは協力しなければならない法上の規定もあるので、その限度では連絡をとったとの説明がありました。 次に、二十七日の捜査も警察独自の判断でやったのか、成規の手続を経た逮捕状を持っていたのかとの質問に対しては、県警本部より、二十七日は逮捕状ではなく、捜索令状の発付を受けたものであり、逮捕状は出ていない旨の説明がありました。 次に、警察が地方公務員法第三十七条の「その他の争議」と判断した解釈の根拠を聞きたい。学力調査については法的にいろいろ疑義である。教師本来の本務が文部省によって変更されて調査実施となった、つまり本来の授業を行なったことが職務命令違反として行政処分をされたのであるが、あたりまえの授業をしていたことを警察が争議行為とみなした理由はどこにあるのかとの質問に対しては、県警本部より、地方公務員法違反の理由は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第五十四条第二項で、文部省が県教委に、調査報告の提出を求め、同法二十三条十七号で教委事務となり、県教委は同条で地教委に報告を求め、地教委の仕事となる。地教委は実施を中学校長に命じ、命ぜられた校長は校務として実施する。そして実施の段階では、教育活動となる。従って、当日の具体的問題を地教委から校長に対して、授業を変更してやれと職務命令を発した。ところが、これに従わないで授業を行なった、つまり職務命令に従わないで授業をやったことを「その他の争議行為」と解釈したのであるとの説明がありました。 なお、この答弁に対し、調査班より、そういう解釈は文部省でもしている。しかし、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第五十四条二項の解釈については、いろいろの見方がある。突如授業計画を変更させてやらせるという解釈は成り立たない。さらに学力調査が教諭の本務かいなかについても議論がある。警察が一方的、独断的な解釈で三十七条を適用し、強制捜査をしたことについては、法律解釈上疑問がある。その上、種々の情報によると、捜査に行き過ぎがあったと疑われる節があるがどうかとの質問に対しては、県警本部より、捜査は任意捜査を建前としている、特に今度の事案については教育現場との関係が多いので、署長を初め県本部の関係課には細心の注意を払うように指示したとの説明がありました。 次に、家宅捜査で令状の写しをとらせなかったり、押収品目録を欄かなかったということがあるが、その点はどうかとの質問に対しては、県警本部より、刑事訴訟法上も呈示だけで足りるので、あえて写させなかった。また押収品目録を交付しなかった事例は、十一月五日の盛岡支部の問題と思われるが、当日は令状執行に三時間も要し、騒ぎで目録を渡すことのできない客観情勢であった。そこでやむなく立会人の市役所建築課長に渡し、さらに捜査の公正性を担保するため、翌日支部長宅へ謄本を持って行ったが、拒否された結果、書留速達で送付したのであるとの説明がありました。 次に、夜間の自宅訪問や呼び出しを二十八回もやったのがあるし、警察官が尾行したのもあると聞いているが、この点はどうかとの質問に対しては、県警本部より、最高で十回と聞いている。多数の警察官が訪問したというが、本県の場合、警察官の定員が少なく、たくさんの学校へ行く余裕もないし、尾行もしていない旨の説明がありました。 次に、任意出頭を求めたのは何人か、そのうち何人が応じたかとの質問に対しては、県警本部より、約二千人で、出頭に応じたのは二百十五名であるとの説明がありました。 次に、警察はテスト実施の翌二十七日に早くも行動を開始しているが、これはいかにも待ってましたという感じである。いかにも早過ぎるが、この間の事情はどうかとの質問に対しては、県警本部より、捜査に踏み切ることを決断したのは二十六日である。確かに二十六日に起こったという前提に立てば早いともとれようが、情報は二十六日以前からずっと入っていた。たとえば新聞報道等でも、学力調査は犠牲を払ってでも食いとめるとか、調査は拒否するとか、岩手日報等で報道しており、すでに争議行為をあおり、そそのかしたことが、新聞にも出ていたのであるとの説明がありました。 次に、逮捕の場合、令状を示さなかったりあるいは逃亡のおそれもない者に、手錠をはめた等の事例があると聞いているが、この点はどうかとの質問に対しては、県警本部より、令状を示さずに逮捕した事例はなく、また手錠のことは宮古警察署で支部の教諭を逮捕したとき、自動車で三時間以上もかかる盛岡市まで自動車が連れてきたので、途中での不測の事態を予防するために、宮古を離れてから手錠をかけた。しかし盛岡に入る前にははずして、一般世間の目には触れないように配慮したとの説明がありました。 次に、地方公務員法第三十七条の発動は、同法六十一条にはね返ってくる。その前に二十八条二項にはね返る。刑を待たないで処分が出てくる。従って三十七条の発動には慎重を要するのである。教委は地公法二十九条で処分しているし、警察は三十七条でやる。六十一条の罪が決定しないうちに処分をされてしまう結果になる。県教委も、起訴されれば処分せざるを得ないと言っている。傷害事件等ならともかく、三一七条の争議行為と見るかいなかは慎重に検討すべきことである、この辺をどのように配慮したかとの質問に対しては、県警本部より、刑事と行政とは別個の問題である、警察としては犯罪が発生すれば捜査をするのが当然の任務であり、警察は警察の立場でやっている。起訴の問題については検察庁の段階となるとの説明がありました。 次に、警察は捜査は独自でやり、県教委、地教委と連絡をとらなかったというが、先ほどの説明の中で資料の提出を求めたと聞いたが、それはどんな資料か、またその目的は何か、その資料がないと捜査上手抜かりが生ずるのかとの質問に対しては、県警本部より、県教委から提出を求めたのは、学校管理規則とテスト実施についてり職務命令の内容であるが、これは県教委から地教委へ、地教委から各校長へ出した職務命令が、はたして出されていたかどうかが必要であったので、刑訴法上の手続に従って照会したものであるとの説明がありました。 次に、県教委からの資料の中に、当日テスト員を阻止したという幾つかの事例があるが、警察の立場からすれば、公務執行妨害罪が成立するのではないか、その点はどうかとの質問に対しては、県警本部より、阻止闘争の個々の事案の中には、テスト立会人の乗っている自動車をとめたり、石を並べたり、ピケを張ったりした事案があったが、ピケのうち平和的説得の段階にあるとみなし得るものについては、一応犯罪とならないとの見解をとっているが、立会人の自動車をとめたり、バック・ミラーをこわしたりした事案については、目下捜査中であるとの説明がありました。 次に、教育界への影響を考慮して捜査を進めたし、やむを得ず逮捕したということであるが、その間の事情を聞きたいとの質問に対しては、県警本部より、組合では不当弾圧対策の資料を流して、任意出頭に応ずるな、話し合いをするな、逮捕されたら黙秘せよなどの内容の指令を支部に流しているし、そのためかどうか、二千人くらいのうち、わずか二百十五人しか調べられなかったので、やむを得ず逮捕したのであるとの説明がありました。 以上きわめて不十分かつ粗雑ではございますが、時間の関係もありますので、これをもって報告を終わります。 —————————————
○櫻内委員長 質疑の通告があります。順次これを許します。 なお、先ほどの理事会の協議に従い、大体の質疑時間は一人三十分程度とし、本日は本会議開会までといたしたいと存じますので、御了承を願います。 纐纈彌三君。
○纐纈委員 今回の学力一斉テストは、全国的には大体平穏に行なわれたようでございます。しかし散発的ではありますが、各地方にいろいろとごたごたが起き、ことにただいま問題になっておりまする岩手県におきましては、八百一人もの行政処分をするということ、なかんずく校長が二人、あるいはもう一人の死者を出したというような不祥事件を引き起こしたということは、まことに遺憾のことでございますが、大体ただいま臼井さんから、行政調査に行かれました結果につきまして相当詳しい御報告がありましたので、私もいろいろ疑問を持っておりまする点につきましてある程度の了承も得たようなわけでございますが、この学力テストにつきまして、日教組の考え方と文部省の考え方と申しますか、地方教育委員会の方の考えと申しますか、そこに相当の考え方の違いがあるように考えられるのでございます。この一斉学力テストというものは一応純然たる行政措置でありまして、特に義務教育におきましての全国的の学力の格差というものをなくするためにどうしたらいいか、心なくとも全国的に非常に格差のないように教育の水準を向上せしめたいという考え方のもとになされたものと私は考えておるわけでございまして、これに対しましては日教組の方々の反対の理由は、この一斉テストは教育内容に干渉するやり方であって、従って文部大臣にはその権限がないじゃないかというようなことを強く主張しておられるというところに、根本的に行き違いがあったのではないかと私は聞くのでございます。私どもは純然たる行政措置であるというふうに考えておるわけでございますが、これに対しまして一つ文部大臣の文部省としてのお考えを承っておきたいと思います。
○荒木国務大臣 お尋ねにありましたように、一斉学力調査は教育をあずかっております文部大臣という立場において、国民に対する当然の責任を果たさねばならない必要から、教育政策上の見地から教育内容にタッチして調査し、報告を求め、もってその目的を達しようとしたわけでございます。それについて、文部大臣の権限外であるという説があることは私も承知しておりますが、その考え方は間違っておると思います。なるほど現場教師が教育をつかさどるという法律規定もございますが、それはあくまでも法律の範囲内においてつかさどるということであることは明瞭であります。法律は文部大臣にこの学力調査に関連をいたしまして、いかなる権限を与えることを明記しているかが問題でありますが、学校教育法の第二十条に、小学校における「教科に関する事項は、監督庁が、これを定める。」と明記いたしております。監督庁とは文部大臣であるとまた法律が明記いたしております。中学校、高等学校等についても学校教育法に章を分けて同じ趣旨のことが規定されているわけでございます。教科に関することを文部大臣が定めるということは、それ自身義務教育ないし後期中等教育に関しては文部大臣という立場で全国民のために教育内容に介入せよということであります。具体的には今申し上げました学校教育法の規定を受けて施行規則でるる書いております。その中の最も顕著なものは、御承知のように小、中学校、高等学校に関する——当面小、中学校だけしか関連ございませんが、小、中学校に対する学習指導要領を定めねばならない。施行規則で定める教育課程の各条章はもちろんのこと、文部大臣は学習指導要領というものを具体的に定めて、それによって教育が行なわれるようにしなければならないと命じております。命じております反面は、そういう権限を与えておるわけであります。その学習指導要領は、小学校、中学校における各学科目について、相当詳しく教えねばならない最小限度の全国共通の規定をいたしておるわけでありますが、それに即して義務教育がその限度においては全国画一に行なわれることを国は要請しておるわけであります。もとより教育の基本的な建前が地方分権を本則とします関係からして、それ以外に各地方の教育委員会が適当と思う教育内容を添えることは自由であるということに相なっておりますが、義務教育なるがゆえに最小限度これだけはぜひ教えなければならないということは、文部大臣が定めるという法律になっております。それだけの責任と権限を与えられておりますので、それならば全国の小、中学校の児童生徒たちが、文部大臣に与えられたその権限責任に基づいて、今御披露しました教育内容がはたしてどの程度に到達しているであろうかということを見ること、それに基づいてさらに今後の教育条件の改善ないし教育効果の充実をはかる施策のかてとするということによって、文部大臣の責任というものは国民に対して果たされなければ、それ以外の方法では、少なくとも今申し上げる範囲内の事柄については方法がないわけであります。便宜な方法はむろんございましょうけれども、そういう考え方に立ちまして一斉調査をいたしたのでありまして、包括的な法的根拠を申し上げれば、学校教育法に、今申し上げたような規定がある。それをしからば実行するについていかなる法的根拠に基づいたかということになりますが、それは通称地方教育行政法といわれております地方教育行政の組織及び運営に関する法律、その五十四条第二項に「文部大臣は地方公共団体の長又は教育委員会に対し、都道府県委員会は市町村長又は市町村委員会に対し、それぞれ都道府県又は市町村の区域内の教育に関する事務に関し、必要な調査、統計その他の資料又は報告の提出を求めることができる。」と定めております。このことは、文部大臣という立場に関してだけ申し上げまするならば、教育に関し必要なる調査報告とは、日教組の諸君が言うがごとく、文部大臣が勝手気ままに何でも調査報告させるという趣旨にあらずして、法律で明らかに文部大臣に専属せしめておる権限の範囲内においてという意味合いだと解します。教育に関し何が必要かといえば、文部大臣の権限責任を果たすに必要なると読むべきものと心得るのでございまして、その意味において冒頭に御披露しました学校教育法上文部大臣に課せられた責任及びそれを執行するための権限、そのことに関して地方教育行政法第五十四条第二項が、いわば執行方法を与えておる窓口である、かように考えるのであります。そういう法律上の根拠に立ちまして冒頭に申し上げた趣旨の必要から一斉でなければ求め得ない結果を求めたい、それによって前向きに教育そのものをよくしていきたい、そのことが課せられたる責任を果たす上に必要であるということから、権限に基づいて一斉調査を要請したわけであります。それを受けまして教育委員会においては今指摘しました第五十四条二項の権限を都道府県の段階では行使いたしまして、市町村教育委員会に調査報告を求めるということになった。その相互関係は、職権命令が出ましたから都道府県の教育委員会としてはそれを受けて、市町村の教育委員会にまた自分の職権に基づいて、法律に基づいて、命令を出した。市町村の教育委員会はまた学校についての管理権を法律上与えられております。その管理権に基づいて、学校に対して学力調査をやることを命令するという関係に立つわけでありまして、そういう一連の法律上のきわめて明瞭なる権限の相互関係に基づいてやったわけでございますから、文部大臣の権限外のことをやったのではないかという一部の非難は当たらないと考えておるは次第であります。
○纐纈委員 実は学力テストにつきましては、御承知のように今までもすでにピック・アップしてやったわけで、一斉テストではなかったのでありますけれども行なわれておりまして、これにつきましては多少いざこざがあったかもしれませんが、大体においてスムーズに行なわれておったと思うのでございます。ただいま大臣が申されましたように、そのピック・アップの資料はもちろんある程度の参考にはなるでしょうが、やはり同じことを一斉にやってこそ初めてほんとうの資料が出るものである、こういうふうに私は考えておるわけでございます。今度この一斉テストをやったことによって、こういう不祥事が起こったのではないかというふうに考えられるわけでございますが、これに対しましては先ほども臼井委員から御報告がありましたように、地方の教育委員会におきましても、さらにまたPTAにおいても非常なあっせんをやって努力をされましたが、結局最後の解決を見出すことができなくて、かような不祥事を来たしたわけでございます。そこをどうも私どもは非常に不可解に感ずるわけでございますが、一致点を見出されなかったということ、今度の一斉テストにおいてのみこういう問題が起こったというところの原因については、何か文部省としてはお考えになっていることがありますか、それに対する文部省の御観察をお聞きしたい。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。 そのことに関連して刑事処分ないしは行政処分が起こった、もしくは起こりそうな不祥事というのは遺憾千万でございますが、しかし一斉学力調査であるから、そういうことが起こるはずのないものと私は思います。はずのないものが起こったというのは、さかのぼれば日教組の全国大会で一斉学力調査に反対しろということを決議し、その傘下の組合員に命令を発したというところにそもそもの端緒があると思います。しかしながら五十万教職員の大多数は幸いにして良識を持っておりますから、全国的には八十数パーセントの実施をしてもらったことを国民とともに御同慶に存じますが、一部に今御指摘のようなことが起こったことは、子供たちのために私は遺憾だと思っております。
○纐纈委員 今の権限問題のいろいろの関係以外に、何かこういう騒動が起こったというほかの原因というものは全然ないのですか、どうですか。ただ私どもはこれを実施するにあたりましては、手当が非常に不十分だとか、いろいろなことがおそらく十分でないことは認めております。そういうような問題もあるのでございますが、そういう問題につきましては特にこういった紛争を起こした大きな原因をなしておるという事実はございませんか。
○荒木国務大臣 今おっしゃいました調査をしますために、わずかでございますが手当を出しておりますが、それが不十分であったことは、私どもも反省をいたしております。さらにまたその類似の事柄としましては、先般やりました学力調査にあまりに多くの効果を一ぺんに期待し過ぎた。その結果として、末端における集計事務等に予想外の事務量を課すことになった、それとの関連において、また御指摘のように、手当などというものがあまりに少なかったという不満もあることも承知いたしております。そういう点はむろん今後にわたって反省し、改善せねばならぬことは当然でございますけれども、だからといって、そのために御指摘のような不祥事件が起こった原因の大半がそういうところにあるとは理解しておりません。もっとほかにあると考えております。
○纐纈委員 時間の制約もございますし、私もちょっと用事がありますのでなるべく簡単に済まさしていただきたいと思うわけですが、次に一つ、今度の闘争は、おそらく日教組が中心になってやっておる学力テストに対する反対闘争であったと思うわけでございますが、この闘争に対して日教組以外の組合なんかが参加しておったかどうかということについてはいかがですか、警察庁の方のお調べにつきまし……。
○三輪政府委員 ただいまのお尋ねは、教員以外にこの阻止闘争に参加した、つまり応援したものがあるかというようなお尋ねであったかと思いますが、全国的に見ますと旭川あるいは福岡、山形というようなところで、それぞれ地元の労働組合あるいは農民組合の方々が地元の教員組合の方々に応援をしまして、学校の立ち入り禁止の措置を破って学校に入った、あるいは校長その他がテストを実施しようとしたのを阻止したということで、それぞれ警察が検挙をした事例を見ておるのでございます。
○纐纈委員 うわさによりますと、どこですか、岩手のなにでは、教室内で、生徒の前で前校長をつるし上げたというような事例があったやに聞いておるわけでございますが、これは私どもとしてもまことに行き過ぎであり、ことに教育の場を守るという見地からいきましても非常に遺憾なことと思うのでございます。この問題につきましては臼井委員からの報告にもなかったのでございますが、そういうような事実はやはりあったのでございますか。
○三輪政府委員 私ども報告を聞いております限り、岩手県でそういう事例があったということは聞いておりません。北海道旭川におきまして、これは志美宇丹という中学校で、校長先生が教室でテスト用紙を配付中に組合員四名が入って参りまして、生徒三十一名の面前で校長を押し倒したり暴行を加えたということで、テストができなかったという事例がございまして、これは検挙をし起訴になっておるのでございます。同じような事例がもう一つやはり北海道旭川方面の永山中学校でもございまして、これも起訴になっておるのでございます。
○纐纈委員 実は自殺者の原因につきましては、先ほど臼井委員から十分なことはわからぬような報告がございましたが、さらに教室内の教育を守るという意味において、教育の神聖を続けていかなければならぬと思うのです。さような意味合いにおきまして、やはり大学等に警察が入るか入らぬかということで、今までもしばしば問題を起こしたわけでございますが、今度の争議に対しまして暴力も行なわれた、あるいは職務妨害とか公務員の違反だとかいろいろな例があるようでございますが、そういうような点で捜査に対しまして警察官の行き過ぎがあったということも相当言われておるわけでございまするけれども、それらの点についての実情を一つお伺いしたいと思うのであります。
○三輪政府委員 岩手県の個々のケースにつきましては、先ほど臼井調査団長の詳細な御報告にもありましたが、事が学校あるいは教育の場で起こりましたことでございますので、通常の事件捜査に比べまして警察が特に慎重な配慮をしたということは、本部長も報告をいたしておる通りでございます。他の全国の警察を通じてみまして、たとえば任意捜査を原則として任意に出頭をしていただいております限り、できるだけ逮捕をしない、強制的な措置をとらないという考え方でやっておりますということ。それから家宅捜索あるいは聞き取りなどをいたします際にも、学校に警察が入っておるということの影響を最小限に食いとめようということで、たとえば非常に遠隔な学校に参りますためにやむを得ずジープ等で行きます場合にも、相当遠くにとめまして、それから警察官が学校に行く、あるいは授業時間中を避けまして捜索等はいずれも早期にやっておるのでございます。参考人あるいは被疑者等の任意の取り調べにいたしましても、授業に差しつかえない夕方以降、あるいは土曜日、日曜日というような場合に目立たない場所に来ていただいてお話を聞くというような配意をいたしておるのでございます。 また、実ははなはだ遺憾でございますけれども、先ほど申し上げました事例のように、生徒の前で行なわれたということで、生徒もごく数人参考人として調べた事例もございますけれども、これらも学校に御連絡をし、いずれも保護者の立ち会いのもとに、もちろん授業時間に関係のない土曜日の午後、日曜日等の昼間と、時間を限りまして事情を聞いたというような注意をいたしておりまして、いずれもできる限りの注意を第一線へ参ります者に幹部から指示をいたしておるように承知をいたしておるのでございます。
○纐纈委員 とかく争議には裏におって、いわゆる扇動をするというような傾向がしばしば出ておるわけなんでございますが、どうも今度の争議につきましても反対の先生たちが生徒を相当そそのかしたということもあるやに伺っておるわけでございますが、捜査の過程におきましてそういうような点についての状況はどんなふうでございますか。
○三輪政府委員 各県を通じまして生徒がテストをボイコットと申しますか、白紙で出したとか、あるいはその時間運動場にいたまま入ってこなかったという事例があることも報告されております。そのいずれもが、今御指摘のように先生があおったということを言えるものばかりではなかろうと思いますが、そういう事例はあるのでございます。ただ福島県の会津の高田中学校では、県教委から先生が行政処分を受けておりますが、その事例はやはり生徒をあおって白紙答案を出さしたというようなことが理由になっておるようでございます。また報告を受けましたものでは、埼玉県の中学でございますが、これは実は警察官の子弟も入っておったわけですが、その生徒の前で、あくまで阻止ができなかったということは残念であったと言って先生が泣いて訴えた、その結果生徒たちは、ああまで先生が言うのだから悪いのに違いないということで、生徒会を開きまして大部分が白紙で出すということをきめたというような事例を聞いておるのであります。
○纐纈委員 最初に申しましたように、今回の不祥事はまことに遺憾にたえない次第でございますが、私ども一斉テストというものは将来も引き続いてやるべきだというふうに考えておるわけでございまして、今回の事件を参考にいたしまして、反省すべきことはしなければなりませんし、もっともっとやはり文部省の意思を十分に徹底せしめて、再びかような不祥事の起こらないように、今後とも皆様方の御努力をお願いしたいという希望を述べまして、私の質問を終わります。
○櫻内委員長 山中吾郎君。
○山中(吾)委員 私は文部大臣に、地方新聞に記載をされた、学力テスト不履行の懲罰として補助金を削減するという大きい記事について再確認したいことが一つと、それから先ほど纐纈委員からも話があって、その権限について説明されましたけれども、私には疑問がまだたくさんあるので、その法的根拠をもう一度尋ねたい。次に捜査の行き過ぎについて尋ねたいと思うので、その辺は明確にお答え願いたいと思います。 この補助金の削減、これは文部大臣の放言ということになっておりますが、なお聞きたいというのは、この間の学力調査の場合にも、証人として来てもらったPTAの人々が、最後に、文部大臣が補助金を削るということを新聞に載せてある、削らないようにお願いします、そういう言葉もある。それから、そういうことが県会でも、論議になりまして、岩手県の行政界に大きな波紋を投じております。この点については明確にしないと、教育行政を荒木文相が私物化したと、明らかに国民自身が、県民がそう受け取れば、荒木文相も困るでしょうからはっきりしていただきたい。こういう四段がまえの大きい記事なので、現在なお影響して、市町村長には補助金は削られるということがまだ頭に残っておると同時に、釜石市の教育委員会は処罰をする必要がないと判定しておるんだが、県教育委員会に処罰をする内申をしなければ、次の学校の補助金も削られるというふうなことを、まことしやかに純朴なる県民は考えておる。そうしてこの処罰の内申の出し方にも大きい影響を与えているので、重大問題であると私は思います。こういう記事ですからもう一度読み上げたいと思うのです。「自民党は十一月七日午前十時から東京平河町の党本部で役員会を開き、荒木文相の出席を求めて、さきに行なわれた中学校いっせい学力調査の実施状況などについて説明を聞いた。席上、文相は「調査は全国的には好成績をおさめたが、岩手、福岡、北海道の一道二県は教職員組合の抵抗が強く、満足な実施ができなかった。これらの県について文部省としては強い対策を検討しており、当面補助金の削減など、行財政面の制約を加えたいので、協力を願いたい」と次のような態度を表明した。今回学力調査の実施状況が悪かった地方は直接的には教職員組合の抵抗にあるが、教員の任免権をもつ県教委をはじめ、市町村長なども予測された事態の打開に積極的に動かなかったことでは責任がある。」市町村長の責任まで追及するようなことが書いてある。「このため文部省としては、これら実施率の悪かった市町村に対し行財政面で制約を加える方針であり、悪かった市町村名を連記して省内の各局に渡し、補助金などは制限するよう指示した。また文部省はこれらの県教委と連絡をとり、非協力者に対する処分問題を検討している。岩手県のような警察が捜査しているところは捜査結果にもとづいて処分者を決めることになるが、文部省としては、県教委が強い態度で臨むよう希望している。したがってこれらの県では大量の校長および教員などの免職、減俸が実施されるものと思う。党としてもこの方針に協力願いたい。」この中に免職ということを予定をして、そういう方針を出して、こういう大きい見出しで出ておるわけであります。これがあらゆる警察の行き過ぎのムードを作り、市町村長も、懲戒処分を厳重にするような決議を作ってしまっておる。県会でも大問題になっておる。この点について、真相を明らかにしていただきたいと思います。
○荒木国務大臣 今のお尋ねの点は、先般文教委員会で山中さんから一度お尋ねにあずかってお答え申し上げた通りでございまして、私はそういうことを言った覚えはございません。また私の常識にそういう江戸長崎的な観念は本来持ち合わせておりません。文部省の補助金は、一定の基準に基づきまして客観的に事務当局が配分し、積み上げたものにサインをするという形になっておりまして、私情の入る余地は毛頭ございませんことをこの機会に申し上げておきたいと思います。 なお、この前お尋ねにあずかったあと、ちょっと聞いてみましたら、御指摘の日には、閣議が長引いて私は行こうにも行けなかった時間に行なわれたようでございます。ついでながら申し添えさしていただきます。
○山中(吾)委員 次にお尋ねしますが、こういうふうな記事になっております。「これについて志賀広報委員長は次のように語った。文相の方針には問題点もないわけではないが、党としては不本意ながらこれを了承した。実施率の悪かった地方は文教施設などの補助金で今後影響を受けるだろう。」党の責任のある広報委員長がわざわざ新聞記者に電話をかけて——新聞記者がとりにいったのではないのです。そうしてこういうことを言って、新聞に載っておるので、志賀広報委員長と文相と対決をしてどっちがほんとうだか聞かなければ困るのですが、その点はいかがですか。
○荒木国務大臣 今お話の点も私は知らないことでございます。
○山中(吾)委員 この記事は新聞の方が間違いであるなら、新聞記者の方は大問題になると思います。それで、この記事は誤報である——これは田中発言みたいになって、新聞が誤報であるということを明確に答えてもらわないと、新聞記者が困る。こういう県会の問題になって、速記録に全部載っているのですよ。それが誤報なら誤報とはっきり言って下さい。
○荒木国務大臣 新聞がどういうふうに編集されたか私の関知する限りではないのですが、ただいま申し上げましたように、私は全然関知いたしません。
○山中(吾)委員 そうあるのがほんとうだろうと思いますので、それが事実ならまことにけっこうで、荒木文相はやはり良識を持っておると私は見直しますが、もしそうでなければ、荒木文相はこの記事で不信任決議をすべきだと私は確信を持っておる。こういう教育行政を私物化するということは、歴代日本の文部大臣にはあり得べからざることだと私は信じておる。ただし一番大事なことは、この記事のために今なお尾を引いておるわけです。そして各町村長にいろいろの問題を起こしており、今もまだ尾を引いておるということでありますから、こういう記事の載ったのは、少なくとも文部大臣の不徳のいたすところだけは残っておると思う。この結果についてはやはり文部大臣は始末をしてやるのがほんとうじゃないか。そういうことは絶対ないのだということを、はっきり文書にしても、あるいは教育委員会の方にも言って、県民が理解するように処置をされることが私は正しいと思うので、その点はいかがですか。
○荒木国務大臣 私が不徳であることは認めますが、今御指摘の点に関連して不徳とは思いません、関係がございませんから。それで釈明するようなことをしたらどうだという御意向のようでございますが、この国会の正式の委員会において御質問に対してお答え申すことほど信憑性のあるものはないと思います。もし必要でありますならば、本日の速記録の抜き書きでもお読み下されば釈然としていただけるものと思います。
○山中(吾)委員 次に、今回の新聞の記事が県会で論議になって、十二月の岩手県の定例県会のときに、荒木文相のいわゆる補助金を削ると言ったことについてどういうふうに処理したかという質問に対して、教育委員会の委員長である伊藤佐十郎氏から次のように答弁があった。 「学力の向上は教育行政当局の大きな問題だが、今度の事件のためわれわれが考えていたいろいろな課題を解決する機会を失った。荒木文相が調査の実施率が悪い県に対しては補助金を減らすと言明したが、本県にとっては重大な問題で、直接文相に会って特別な配慮をしてくれるよう申し入れた。」こういうことになっております。それで伊藤委員長が文部省に来て補助金を削らないでくれと頭を下げてきたという答弁をしているわけですが、その真意はいかがですか。
○荒木国務大臣 県会でいろいろお話があったことは今御指摘の通りかもしれませんが、先ほど来申し上げておりますことが真相でございますから、おっしゃることに対して格別どうというお答えの材料もないわけでございます。 なおついでながら、先刻閣議が長引いてと申し上げましたが、私の記憶違いで、オリンピック組織委員会が長引いて出ようにも出られない時間のことであったようであります。
○山中(吾)委員 いずれにしても、こういうふうなことが記事に出ておるし、岩手日報というのはその地方の最も有力な新聞で、信頼すべき新聞なんです。そういうことが県会の問題にもなっておるのであって、しばしば荒木文相は放言をされるのがすきなようでありますけれども、そういう放言は今後慎んでいただかないと、こういう学力テストの陰惨な事件——検事局も、それから警察も行き過ぎというふうな、私はどう常識的に見ても行き過ぎであると思うが、そういうムードをお作りになったというふうに私は見ざるを得ないので、私はここでほんとうのことをさらに追及したりどうする気はしないのですが、とにかく確実にそういうふうな一つの行政上の問題が出たときに、江戸のかたきを長崎で討つような、他の補助金を削るというような疑いを毛頭持たすべきでないと私は思う。私はそのことだけで不徳の至りだと思う。補助金は国民の税金なので、その税金を他の行政方針の飛ばっちりで渡す、渡さないということは、これは国民を冒涜ずるものであり、そして税金を私物に使うというようなことと同じだと思うので、私は重大な問題を含んでおると思います。厳にその点は今後とも慎んでいただきたいし、事実今までそういうことはなかったはずでありますけれども、今後少なくともそういうふうな影響を与えるようなことのないことを私は切望いたしておきます。 なおその点に関連をして、どうして岩手だけがああいう問題になったのかということは、ここに法務大臣も自治大臣もおられるので私はお聞きしておきたいのですが、これも岩手日報に清原検事総長談としてこういう談が載っております。「清原検事総長は九日の仙台高検での記者会見で、学力テストについて岩手県警が手入れしたことについて次のように語った。仙台高検を通じて当時の事情を聞いているが、現在は捜査の段階で、今のところ盛岡地検の書類が送検されていないのではっきりしたことは言えない。しかし捜査は徹底的に行なうよう仙台高検とも話し合った。」こういうことが載っておるのです。私はまた、これはほんとうかうそかということを、そうあら探しをするのは好まないのでありますけれども、一方に文部大臣のあの削減するというふうなことが新聞に載り、そしてそこで警察本部長もそのムードの中に動いて、扇動した組合幹部数名を対象とするという捜査目的のもとに、数百名の者を授業中に出頭を命じたり、運動会のときに先生を引っぱり出したり、一つの学校の全教員を引っぱり出すというふうな行き過ぎをしておる。そういう意味において、文相の放言——真偽は別ですよ——それから検事総長の談話、これは私が聞いたら言わないというのですが、とにかくこういうニュアンスを出したに違いない。その中に私は、岩手県の今度の事件に対する全体としての行き過ぎ、そして全体として県民いじめをする、全体として教員いじめをするというような結果が出ておるのだ、そこに自殺者も出てきておる。そうして出版の営業部長も自殺をしておるのですが、その検事の名前は検事正は言わないのです。何か私行をあばいてやるからということで、学力テストの白状をせいということで死んだといううわさを立てられておるわけです。こういうふうな一つの事件が起こった場合に、何かムードを作って、あらゆる部面において国民をいびろうとする。これは破廉恥罪でも何でもないのですから、一つの教育思想のもとにテストはやるべきでない、あるという一つの教育思想の問題だと私は考えておるわけなんです。その点について、今後そういうことが二度とないようにしてもらわなければ困る。その点について、今までの岩手県に対する関係において、警察当局がどういうふうな態度をもってきたのか、司法関係についても一体どういうふうな考えを持ってきたのか、一言ずつお聞きしておきたいと思います。
○植木国務大臣 ただいま御指摘になりました清原検事総長の出張先での発言がその通りであったかどうかは、実は私取り調べておりませんので、何とも申し上げかねます。ただ私の立場として申し上げますならば、いやしくも法令違反の疑いがあるような事件が起こりました場合に、検察当局としては厳正公平に取り扱う、そうして事の真相をはっきりとつかんで、それに対して善処するということは当然の義務だろうと思います。おそらく清原総長の意思も、厳正に事実を取り調べて、それによって処理をしていくのだというようなことを言われたに違いないと私は想像をいたします。それは何も岩手県におけるこの問題に限らず、全国各地にわたってこうした事例が御承知の通り絶無ではない。そうすれば全国各地のそういう事件について、検察当局は事の真相を明らかにして、法令違反の事実があればこれに対してしかるべき処理をするというような建前での話し合いをしたものと、私はそう信じております。
○安井国務大臣 事件そのものに対する考え方は、ただいま法務大臣のお話の通りだと私は思っておりますが、警察の方は、御承知の通りに警察庁が地方の警察に対しまして、個々の事件の指揮命令をする立場にないわけであります。個々の捜査自体は、県の警察本部の意思によって行なわれたものだと考えております。
○山中(吾)委員 大臣の言われることは、みな正しいことを言われておるのですが、そういう正しい考えが末端の捜査にも行き届くように、今後厳重に注意をしていただかないと、現実の問題としては、そこで食い違っておるわけです。非常に遺憾なことであり、また将来こういう類似な事件があった場合にそういうムードで行き過ぎのないように、ただ末端のことは知らないというような格好では私はいけないと思うので、特にお聞きしておいたのです。 次に警察の柏村長官にお聞きしたいのですが、県の警察本部長に私が会ったときに、この捜査の目的は何かと言ったときに、例のその他の争議行為に該当してそれを扇動したものだ、そういう行為は何か職務命令違反行為をさせておるのだ、そうすると教育委員会の業務命令が違反であるかどうかということが確定をして、もし有効な職務命令ということになれば、警察捜査の目的は明確に存在するけれども、業務命令そのものが無効であるとか、瑕疵があるという場合については、その捜査というのが、捜査の目的が存在しない、不存在の捜査になるだろう。しかるにその学力テストを実施したその夜中に大捜査を始めておる。この点については一方の任命権者が認定すべき事項がその捜査の目的であるのだから、捜査の常識として慎重にすべきものではないか。そうするともう少し教育委員会の処分方針とか処分というものが明らかになった後に、初めて捜査の目的がはっきりするので捜査をしていくべきである。公務員でありますから、その文書その他などはあの当時において逸脱も何もしないと思っておるのでありますが、その日に大捜査を始めておるわけです。その点について、私はどうもこういう教育行政の問題を警察の捜査が先行するということは民主警察のあり方として、私は不適当であると思う、法律論議はあまりしなくても。そういうことは不適当であるという常識を日本の警察捜査の思想の中にもっと確立すべきではないかと思うのです。ことに九名の罷免が出ておるわけでありますが、その罷免をする場合について、身分法の関係からいって、起訴になった場合については休職にしておくという規定がある。これは一種の保護規定だと思うのです。そういうふうなことから考えまして、私はやはり行政処分というものを先行させて、あと警察その他が徐々に捜査を始めるべきではないかという、そういうケースの一つではないかと思うのです。その点については、末端のことについては末端にまかせたというお答えはけっこうですが、長官の警察捜査についての思想ですか、そういうものだけはぜひお聞きしておかなければいかぬと思うのです。
○柏村政府委員 最初のお話の職務命令が適法であれば捜査の根拠があるが、もし適法でないということになれば捜査の根拠がなくなるというお話、これはまさにその通りでございますが、先ほど来文部大臣からもお話がございましたように、また現地の本部長としても同じ見解を持って、職務命令は適法であるという判断のもとに捜査を進めたわけでございます。 それから第二点といたしまして、行政処分が先行してしかる後に刑事事件として乗り出すべきでないかというお話でございますが、元来行政処分と刑事事件とは、これは別個の問題でございますので、必ずしもお話のようなことになるものとは限らないと思います。しかしながら事が教育の場で起こり、また内部規律の問題が大きく考えられる問題でありますので、行政処分が先行するということが一般的には望ましい場合が多いであろうと思います。しかしながら今度の事件につきましては、捜査上行政処分を待ってするということは適当でないという事情がございまして、しかも事件は二十六日でございまするけれども、その前から情報その他の資料によりまして、あれだけの争議行為というものが起これば、それに対してあおる、そそのかすという事実があったという、容疑が非常に濃厚であった、しかも証拠隠滅というおそれも多分にあるということから、県警といたしましては、早期に捜査に着手したという事情であったように聞いておるわけでありまして、この点は一般的にいつも行政処分というものと関係なしに、刑事事件が特別先行するということが望ましいかどうかという問題は別といたしまして、今度の事件については、私は了承できる事柄ではないかというふうに考えておる次第であります。
○山中(吾)委員 教員が破廉恥罪を起こしたような場合にも、教育行政と無関係の問題であるので、警察の関係、それから刑事処分が確定した後に初めて教員の身分についての処分をする、こういう形をとっておるわけです。こういうテストというような問題は、教育の活動の中核の問題です。そうすると、今度は逆に刑事処分を、こういうことについては慎重にすべきだ。教育行政のいわゆる任命権者の方はそういう教員の教育活動以外の普通の人間としての刑罰問題については、それを待って初めて行動を起こしている。それと同時に、教育活動に関するそういう問題の場合には、警察及び検察はよほど遠慮をして、そのあとで考えるというふうなことが私は均衡の原則からいって正しいと思うのです。破廉恥罪のときならば、教育委員会の任命権者といものは、自分のやることをやっておりますよ。そういう関係について、私はこういう一つの教育行政と、警察行政といいますか、あるいは教育処分と刑事処分とが競合する場合については、一般論として警察関係の行動はもっと慎重に、そうしてもっと教育行政の方を先行させるというふうな慣行は当然作るべきじゃないかということを思うので申し上げたので、その点は大いに研究してもらわなければならぬと思う。それから次に文部大臣にお聞きしたいのですが、先ほど纐纈委員についての答弁ですけれども、学校教育法の二十条の教科に関する権限、これで指導要領を定めることが文部大臣にある、従ってテストをやらすという権限があるという言い方をされておったのですが、これは飛躍じゃないですか。指導要領を作るということについては、これは文部大臣の権限でありますが、教育評価の性格を持っておる一斉のテストを、指導要領を作る権限が文部大臣にあるから、現場の教師が自分の教育評価をする、その評価をするということは、もう教師の基本的な教育活動だ、教育活動そのものである。指導要領を作る権限があるからテストをやる権限があるというのは、どこに根拠があるのか。
○荒木国務大臣 問題を配って、児童生徒に答案を書かして採点するということ、そのことは文部大臣がなし得る権限があるはずがありません。それはあくまでも教育活動それ自体であって、教師がつかさどる範囲だと思います。しかしながら、先刻申し上げましたように、教科に関することをつかさどっておるゆえんのものは、特に義務教育においては最小限度これだけは——算数であれ国語であれ理科であれ、何であれ、教えねばならないということをきめる権限と責任を与えられておる。そこで、指導要領という形になって現われ、あるいは教科書の検定となって現われ、その他施行規則にはまだまだいろいろ規定されておると承知しますが、ともあれそれだけの責任がある以上、責任を果たすためには教育の到達度を知り、そうしてそれに基づいて前進していくよすがにしなければ、前進というものはあり得ないという物理的関係というものがあると私は思うわけでありますが、そういう必要性から、一定の様式を定めて、その目的を果たすための協力を都道府県教育委員会に流したわけであります。それはひるがえっていいまするならば、権限に基づいて命令をしたわけでございます。命令を受けました都道府県教育委員会がその命令を実施するために、自己に専属しておる権限を行使いたしまして、市町村の教育委員会に同様の要請をした。市町村教育委員会もその職務上の命令、官庁からの、県からの命令でございますから、それに応じてみずからの持っておる権限を行使して、すなわち地方教育行政法第二十三条を指摘しなければならぬかと思いますが、教科課程に関すること、もろもろのことを列挙いたして権限として与えておるわけであります。のみならず学校に対する市町村教育委員会の包括的な管理権限も持っておるわけであって、従って一応定められた学習課程届け出がかりにあって、包括的に認めておりましても、それを変更してなおかつこれを実施せしめる権限を市町村教育委員会は持っておる、その一連の法律に定められたるそれぞれの権限を行使して、包括的に結論としては、文部大臣が要請するところの結論が出てくるという法的形になっておることは申し上げるまでもございません。繰り返して申し上げれば、文部大臣が直接学校内にあるテストをやらせる権限をじかに持っておるという意味ではむろんございません。
○山中(吾)委員 命令を与えたという、大へんなことを言っておるのですが、命令権はどこにあるのですか、文部大臣。文部省設置法の第五条に「文部省は、この法律に規定する所掌事務を遂行するため、左に掲げる権限を有する。」権限と書いてある、そして二項に、「文部省は、その権限の行使に当って、法律(これに基く命令を含む。)に別段の定がある場合を除いては、行政上及び運営上の監督を行なわないものとする。」と書いてある、今の言葉は一体どこから出てきておるのですか。
○荒木国務大臣 要求する権限を五十四条二項で文部大臣には与えられております。その相手方は教育委員会であります。その市町村教育委員会が学校に対してテストをやらせるという具体的権限を持っておる、その一連の相関関係が動きまして、目的が達せられるという仕組みで調査報告を求めた、こういうことであります。
○山中(吾)委員 二つ誤謬があると思うのですが、一番最初に、文部大臣は学校教育法の二十条に基づいてテストを命ずる命令権があると言った、その命令権は文部省設置法からはない、次にさっきの説明、今の話にも、五十四条の二の調査を求める権限、調査を求める権限ということは、特に法律的には指定調査以外には依頼の調査で、調査を求めて依頼していくという、これは常識になっているのですが、そういうことの中に文部大臣が、今言ったように今度のテストをやらすことについての文部大臣の行動というものが二十条によるということは論理の飛躍があるし、五十四条の二という場合については、調査を求める権限でありますから、それは特別の法律によらない指定統計でないわけでありまして、依頼統計だというような法常識になっておるわけであります。そして調査を求める権限はテストをやらす権限とは違いますよ、テストは教育活動ですからね、その点はずいぶん法律的に飛躍があると思うのです。そんな粗雑な法律解釈で業務命令を発するようにさせて、そして全国百名以上の首切りをやったり、それから何千名という処分をするというような、そういう粗暴な教育行政というものは認めるわけにはいかないので、今の法律的説明をもう少しわかるように占って下さい、今のでは私は納得できない、権限はないと思う。
○荒木国務大臣 教育委員会に調査報告を求める権限ということに限って根拠を申しますならば、地方教育行政法五十四条第二項、そこに教育に関し必要なるということがございますが、それに関し日教組あたりで必要なるというならば何でもかんでもやれる、ファッショみたいなことをやるおそれがあると非常識な反論があるわけでありますが、その意味のお尋ねもありましたから、それを説明する意味において、学校教育法第二十条を引用いたしました。文部大臣に専属の権限として、いわば原則的には地方分権の建前であるけれども、例外として教科に関することは文部大臣に与えられておる。その法律によって与えられた権限の範囲外に拡張解釈して、必要な報告を求めるということはあり得ない。第二十条のみならず、その他にもございましょうが、特に今度の学力調査に関して申し上げれば、学校教育法二十条ないしは中学校、高等学校の条項等も同様ですけれども、それに小、中学校について教科に関することを文部大臣は定めねばならないとある。その責任を果たすために必要であるという意味が、教育委員会に文部大臣が調査報告を求める必要なるの意味であり脅すということを申し上げたつもりであります。報告を求める直接的な根拠は、五十四条二項に求めております。
○山中(吾)委員 調査を求めるのはその通りですが、テストをやらす命令は調査権にないと言うのです。それは権限はありますよ。権限はあるけれども、権限の形態は何だというと、文部省設置法に、法律に規定してあることは別であるが、監督を行なわないといっている。明らかに助言指導権ということがこの権限の内容でしょう。それで私は、調査を求める、五十四条の二項から教育評価を含むテストをやらすという権限ははずれておるのだ、ないのだ、だから、たとえば全員一斉のテストをやるというならば、日本の法体系からいって、アメリカのように、国防教育法という一つの独立した法律を作って、法的根拠を与えなければ、テストを業務命令として与えることはできない。それは日本の法体系全体から明確でないと考える。それならば大臣の間違った法解釈で指導して、先生を犠牲にすることはいけない。そういう法解釈を文部省の局長が確定をして、われわれが納得するまで、来年また同じようなことを繰り返してやるということはすべきでない。少なくとも法解釈を明確にして、法制局の解釈も全部統一したあとでなければ、同じようなことをやるべきではないと私は思うのですが、いかがですか。
○荒木国務大臣 学校の現場におけるテストそのものが文部大臣の権限から直接的に出てくるものでないことは、先刻申し上げましたが、学校の現場におけるテストを通じてしか調査できない事柄、そのことがないならば第二十条の責任は果たせないという相関関係にあることは、私はきわめて明瞭だと思います。そこで教育委員会に対しまして様式を示して調査報告を求めたわけであります。教育委員会は、自己に専属する権限に基づいて、文部大臣から要請されました様式に基づく調査報告をなしてくれたわけであります。なすについては学校に対してテストをやるということを要請した、それが業務命令の一部でもあった。そういう相互関係の系列を通じて目的が果たせるような法体系になっておる、それを活用して全国一斉調査をやった、こういうことと理解しております。
○山中(吾)委員 そういうテストを実施せざるを得ないような様式を示して調査を求めた、それは脱法行為ですよ。真正面からテストをやらすことができないので、調査をする方式の中に、テストをやらざるを得ないような形式を一定して調査を求めるというのは、それこそ悪質な脱法行為じゃないですか。いやしくも文部大臣がそういう通牒を出すということは非常識千万です。教育委員会の権限自体が、そういう文部大臣の脱法的な、一定の形式を定めて調査を求めるということに地方政育委員会が錯覚を起こしてやっておる。この業務命令というものは法廷闘争で無効になると思います。まじめに、誇張も何もしてない。無効になったら、罷免された人をもとに復職ということは不可能ですよ。月給も与えられなくなる。今のような粗雑なお考えでは、私は、法制局を呼んで論議しなければならぬと思います。指導要領を作る。これは権限は明らかじゃないか。それは明らかであるが、従って指導要領をうまく行なっておるかいなかということは、それは教員に意見を聞くことは当然含んでおると思います。しかし全生徒に、その人の人格に影響するような、いわゆる全員にテストをするということの中に、基本的人権を妨げるような重大な性格を持っておると思う。従って、どこの国だって法律根拠を持っておられるでしょう。戦前の体位をはかることだって、国民体力法という法律を作って、全国の児童について、体位についてのテストをしておる。肉体的なテストのような、あまり人格に影響しないものでも、法的根拠を持っておるわけです。こういう一つの子供の実力とかいうものを評価することの場合には、さらに明確な法的根拠が要って、単独法が要るのが常識だ。それが文部省設置法からいっても当然だと私は思います。しかもその文部省の目的を三つも四つも並べ、教育評価と一般の調査事務と両方二重性格を持たせるようなずるいことをして、法律の解釈をあいまいもこにして、こういう犠牲を払わせておる。これは法律解釈の権威のある方から明確な判定が下らない限りは、行政上は、再びこういうあいまいなる法解釈のもとに、文部大臣が地方教育委員会に、地方教育委員会が先生に、全員学力テストを実施せしめることはすべきではない。来年度のことについても、もっと慎重に検討すべきだと思われるので、その点最後に文部大臣の意見を聞いておきたいと思います。
○荒木国務大臣 先刻来申し上げておる通りで、現行法律制度に基づく解釈は尽きておると思います。疑義はないと思います。ただ御指摘のように、国勢調査をするために特別の法律を作るとかいうふうな例にならって特に立法をしたらどうかという、立法論としては、それはお説だと思います。そういう意味で、もっと明確にする必要がありはせぬかという建設的な御意見としてはわかりますけれども、現行法規体系の解釈上不可能である、違法であるという解釈は間遠っておると思います。今後の検討すべき課題が全然ないとはむろん申し上げませんけれども、さように考えておるような次第であります。
○山中(吾)委員 私は違法だと確信を持っておるので、文部大臣と法解釈が完全に違っておる。従って、このままで物別れにするわけにはいかない。次の機会に法制局をみな呼んで、そうして明確に——私は、この関係の、教育法の全体の体系の中に、全員学力テストを、特別の法律なしに、調査を命令する調査権で実施することは不可能だと思っておるので、この問題は、今後の問題に残したいと思います。
○櫻内委員長 川村継義君。
○川村(継)委員 先ほど臼井委員から報告されました学力一斉テストの実施に伴う岩手教職員の処分事件に関連して、関係当局より、二、三点私もお伺いをしておきたいと思います。私も、実際お供をいたしましたので、その実情は大体わかったのでございますが、きょうは時間も少ないことでございますので、全般的な問題を中心にお尋ねをしたいと思います。 まず文部大臣にお尋ねいたしますが、岩手の八百一人を初め、熊本その他各県に、この一斉テストに伴って処分者を出した、その処分者の実数、処分の内訳というものをちょっとあなたの方から発表して聞かせていただきたいと思います。 〔櫻内文教委員長退席、八木(徹)文教委員長代理着席〕
○荒木国務大臣 具体的に申し上げないといけないと思いますから、政府委員からちょっとお答え申し上げます。
○川村(継)委員 大臣、あなたは大まかな数も御記憶ないですか。あなたの大事な教育に携わっておる者の処分のやり方ですよ。
○荒木国務大臣 文部省として一応報告を受けましたものは、合計二千二百五十七、二月五日に作成した表でございます。何日現在であるかは事務当局から申し上げますが、総計二千二百五十七。内訳を申し上げますと、免職十八、停職五十、減給五百七十三、戒告千六百十七、合計二千二百五十七ということでございます。
○川村(継)委員 ちょっと事務局の人でその数がわかっておりましたら、今ので間違いないですか。
○福田政府委員 二月五日までにわかりました数が、今大臣から申し上げた数でございます。
○川村(継)委員 数字はまたあとで……。 このように今日教育界が非常に混乱をしておる、これは非常に残念なことです。これはいろいろあなたの方ではあなたの言い分がありましょう。しかし何といっても、これは行政の不手ぎわであるということも追及されねばならぬ問題だと考えます。このような不正常な状態を惹起しているのでございますが、大臣は、一体今日のこの事態をどうお考えになっておられますか。またこれにどう対処なさろうとしているのか、あなたの所信を一つ聞かせていただけませんか。
○荒木国務大臣 特別の所信というほどのものは持ちませんが、とにかく先刻も申し上げましたように、学力調査に関連して今申し上げましたようなことが、あるいは刑事処分等までも含めまして起こりましたことは遺憾であると思います。遺憾であると思いますが、その原因の根本は、日本教職員組合なるものがものの見方を間違えているところに端を発しておると思います。ですから、まず第一にその反省を求めたい。これは今まで申し続けておることでございますが、蛇足ながら申し上げさせていただけば、その組合の憲法ともいうべきものの定め方に根本的な誤りがあるんじゃないかと私は思います。教育基本法も、あくまでも教育の場は政治的に中立でなければならぬと厳粛に要求しておるにかかわらず、日教組の倫理綱領を読んでみれば、きわめて左翼的な革命行動を信条としておるとしか考えられない。このことに根本の間違いがあるから、私は機会あるごとに、学力調査のみならず何かにつけても行政処分だあるいは刑事処分だということが頻発する根源があると思っておりますので、常に私は公開の席で日教組の幹部諸公の反省を要望して参っております。今でもその考え方は間違っていない、反省をしてもらいたいと思っておるのであります。
○川村(継)委員 われわれは教育の正常化を念願していろいろ大臣にお尋ねしようとしておる。その委員会ですから、少し大臣も言葉を一つ慎んでいただきたい。あなたがよその会合で日教組を攻撃されるととはかまいません。しかし今度の岩手の問題その他全国の事態は、あなたは今あなたが言ったように考えているかもしれないけれども、こういう一斉学力調査を実施するについて、あるいはその法的の問題であるとか、やり方であるとか、財政の措置であるとか、いろいろ問題が多いじゃございませんか。そういうものを全然あなたが考えないで、自分でやるやり方についての責任というものを感じないで、一方的にものを言って、一体教育というものが正常になりますか。私は、今日いろいろの教育の問題が混乱しているのは、根本にはあなたのその思想があるのじゃないか、そういう感じを受けるのです。もう少し実施されるにしても、かりに日教組が反対をやっても納得されるような形において実施するとか、その方法においても改善すべきは改善するというようなことで実施するとか、それぐらいの反省はあっていいじゃありませんか、どうです。
○荒木国務大臣 日教組の本質的な誤りと学力調査そのものとは別問題と心得ております。ただ誤りのゆえに、先ほど御質問がございました行政処分や刑事処分等が続出するということについてどう思うかとおっしゃいましたので、その日教組の根本的なものの考え方の間違いのゆえに起こる可能性が多分にあると私は思いましたから、率直にそれを申し上げたわけであります。 そこで、やり方なりあるいは予算措置なりに考える余地があったのじゃないか、反省すべきじゃないか、このお説にはつつしんで服します。先刻もお答え申し上げましたように、昨年行ないました学力調査の現場第一線における集計事務その他の事務量というものが、デスク・ワークで推計しましたよりも実際は予想以上に多かった。この点は反省して改善をせねばなるまいということ、さらにはまた予算措置につきましてももっと考えねばならない、こう考えましたので、その後都道府県教育委員長、教育長の会合あるいは全国の小学校長総会、中学校長会等の席に私も参りまして、実施された実績に基づいた改善意見、建設的な御意見を一つ率直にお述べいただきたい、述べる時間がないならば、皆さんの御意見を書いたものを一つ遠慮なしに文部省に送り届けていただいて、そうしてその実情に即して改善すべきはするということをもって今後に臨みたいと思いますとお願いも申し上げたような次第でございまして、現実にその作業もいたしております。そういう意味では、むろん御指摘の通り反省せねばならぬことがあると思います。ただ処分につきましては、文部省の意図をもって処分したわけでもなし、法治国日本において法規に照らして警察、検察ないしは当該委員会等が措置をしたことでありまして、その措置は適切であることを念じておる立場でございます。
○川村(継)委員 当初私は大臣としてやはりそのようなお言葉があってしかるべきだと思うのです。あなたの方では本年度も中学校に加えて小学校を実施されようとしている。しかし今のままでは、教職員の団体の諸君はこの問題に対処していろいろと話し合いをするでしょう。話し合いをした結果は、反対とまた出てくるかもしれない。それをまた強行されると、同じような不幸な事態が繰り返されるじゃありませんか。今日まで処分された者の法廷での戦いもことしはやるでしょう。あるいは人事院かに対する提訴もおそらくやってきそうでありましょう。教育界というものを静かに大臣として考えてみて下さい。これはあなたが日教組の思想がどうだとか基本法がどうだとか、そういうことを攻撃されるだけで教育界というものはよくなりませんよ。これはやはり行政の最高責任者として大臣が責任を感ずるところは感ずる、反省するところは反省して対処していかれるところのやはり襟度というものを持ってしかるべきじゃないですか。特に大臣は、今申しましたように小学校もやろうとされるのでしょう。非常に、一般の国民もそうですけれども、これは大多数の者が心配していると思うんです。大蔵省だってあまりに小学校までやるのは賛成じゃなかったでしょう。第一回の査定で、この予算が落ちた、それを無理やりあなたの方で計上してもらった、そういういきさつを聞いている。あなたは本会議でわが党の代表質問に対して、こういう教育予算等の問題について質疑いたしましたときに、あなたは胸を張って、負けましたとおっしゃった。負けましたというのはどういうことですか。そういうようなとるべき教育予算、国民のために、教育のためにぜひ必要な予算は全力をあげてやってもらわなければならぬ。しかしこういう問題の多いものを無理して予算までとって負けたとか勝ったとか、そういうみえを張るような気持を一ぺん静かに反省していただきたい。でなければ今日の教育界というものは、あなたがただ日教組を攻撃して胸を張っておられてもよくならぬ、私はそう信じます。私も大へん憂慮しておるのでありますけれども、今日のこの事態を静かに考えてみるときに、本年実施しようとしているこの学力調査をどういう形でやるか、あるいは思い切って中止してみる。あなたの方では本年の学力調査は、三十六年の学力調査は九〇%以上も実施したと言っているのですから、あなたたちが一応資料を得ようとしているその資料というものは私は出てくるのではないかと思う。三月には中間発表もするという予定だそうですから、そうするとそれによってあなたが考えるところの教育というもののいろいろの対策というものは出てくるのではないか・それを追い打ちをかけるような格好で無理やりやらなければならぬ根拠というものは一体何だ、こうまた疑わざるを得なくなるわけですね。中止する考えはないか、それが一つ。これはやめたからといって何もあなたの面目がつぶれるわけではないと私は思う。私はむしろそういう男気が文部大臣にあることを望みたい。それはあなたは与党からおしかりを受けるかもしれません。その辺のお考えはどうでございますか。
○荒木国務大臣 冒頭に言われました反省すべきは反省するという立場に立って行政の衝に当たるべきだという御意向は私も同感でありますし、至らない点があるかしれませんが、そういう心がまえでむろん望みたいと思います。 ただ、くどいようでおそれ入りますけれども、私が日教組に反省を求めるという趣旨は、何も弾圧権限があるわけではない。教職員の団体らしく国民の信頼を得られるようなふうにやって下さいというお願いであり忠告であります。学校施設設備その他がかりに万全でありましても、結局先生の一人々々が真剣になって、ほんとうに教育者としてやって下さるのでなければだめなわけでございますから、その点の重大さを思いますので、アドヴァイスをしておる心がまえであることを、くどいようでしたけれども申し添えさせていただきます。 学力調査を中止したらどうだという仰せでございますが、そういう計画も考え得ないではないとむろん思いますけれども、一斉調査をいたします趣旨の最も大きなものは、到達度を確認して、そうして今後の政育内容の改善はもちろんのこと。もろもろの教育条件の改善の資料にしたい。と同時に、本人一人々々の、あるいは学校ごとの、日本的視野に立った位置づけ、評価等も、もちろん公表するわけでなく、その学校内の機密事項として扱われる範囲内のことではありますが、それにも役立てながら調査をやっていくところに実施の趣旨があるわけでございますから、年々歳々やっていくことが適切だと思っております。むろん、先刻お答え申し上げた通り、あまりにも欲ばって一回の調査をいろいろな目的に役立てようと意図したところに、仕事第が過大になった点も省みまして、もっと簡潔にやれますように目下検討中でございます。そういう考えでおることをもってお答えにいたします。
○川村(継)委員 大臣から日教組に対する何か大へんやわらかな言葉を初めて聞きましたが、大臣がほんとうにそういうお気持があるならばちょっと私も失礼なことを言うかもしれませんが、町村会の議長会に出られたり町村会の会長の大会に出られたり、そのほか出られるときに、あまり大臣たる資格で日教組のばか者がとへんてこな言葉を使って攻撃されるような態度だけは、やはりお慎みいただいた方がいいじゃないか。でき得れば、あなたの方は、日教組に対しては交渉の権限がないとよく言われますけれども、やはり全国の教職員を代表している団体の諸君でありますから、おりに触れてはよくひざを合わせて話し合いもして、あなたの真意をよく話をされるというような方向が願わしいのではないだろうかと私は思うのです。おそらく今私がここで中止をお尋ねいたしましても、急にそういうお考えは出てこないとも思いますけれども、そこで私は第二の問題として、先ほどいろいろ出ましたのでもうお聞きをしなくてもよかったかと思うのでございますけれども、まだまだどうも釈然としないところがありますから、いわゆる法律解釈についてちょっと聞かせておいていただきたい。纐纈委員も聞きました、山中さんもお聞きしましたが、どうも釈然としないところがあるのです。大臣はたびたび五十四条の二項、これによってやったんだとこう言っておられますが、それはその通りでございましょう。あなたの方の学力調査実施要綱を見てみても、それにちゃんと書いておられます。「調査の系統・組織」というところで、その一項に、五十四条二項の規定により調査すると書いてある。それはそれで一応あなた方の方はそういうきめつけ方をなさったのでございましょうけれども、五十四条の二項というものが文部省に調査権としてあるのかないのか、ちょっと私疑問に思っているのです。このような調査権があるとなると、むしろその調査権の発動は法の五十三条に基づくことが至当ではないか、あるいは教育委員会の調査権というようなものが二十三条にも規定があったと思うのでありますが、文部大臣の、いわゆる文部省の調査権は五十三条、教育委員会の調査権は二十三条と、こういうところで発動されて調査を命ぜられるということならば、私にはわかるような気がします。しかし五十四条の二項をたてにとって調査をする、それを報告しろ、こういう形に持っていかれることは少し独断ではないか、こう思うのです。しかし私がこう言ってお尋ねすると、もうあなたは先ほどからるるお答えなさったようなことをお答えなさると思います。私がなぜ独断ではないかと申しておりますことは、五十四条の二項というものを考える場合に——これは私が間違っておったら大臣から教えてもらいたいと思うのです。教育委員会がみずからの権限として調査した結果、それを文部大臣の求めに応じて提出をする、こういう解釈、そういう内容でなければならないのであって、文部大臣がこれを調査する、そして出せ、こういうような形で発動させるべき条項ではないのじゃないか、私はこう解釈しているのです。それで、おそらくうしろにおすわりの今村さんあたりは、調査を求めたんだから報告の義務があるんだ、こういう解釈をなさるに違いありませんが、調査をさせるその段階においての解釈問題が、私はどうも疑問になってなりません。大臣、いかがです。
○荒木国務大臣 一つの御見解だと思います。ただ五十四条二項について、本来教育委員会が現に調査しつつある、持っておるものを報告させるということならば、特別この条項は要らないのじゃなかろうかということを思いますので、そのこともあわせ考えて、五十四条二項に根拠を持つことが直接的であり適当ではないか、こういう考えで援用しておるわけであります。
○川村(継)委員 そこが大臣、私が当初申し上げましたように、あなたの方の解釈がどうも独断過ぎていないか、私はこう指摘したい。そこで、今回の実施要綱に基づいてこの調査をやらせられたということは、この要綱を見てもわかるように、この内容からしても、五十四条二項に当てはめて解釈なさることはおかしい。むしろ五十四条二項に当てはめて解釈なさるならば、あなたたちはこの調査はあくまでも地方教育委員会に対するところの委託調査という形でおやりになることが至当ではありませんか、私こう考えるのです。いかがでしょう。
○荒木国務大臣 委託調査であれば相対ずくのことでございますから、事実問題として処理できょうかと思います。特に五十四条に明文を設けておりますことは、言い方をひどく言わしていただけば、いやとは雷わせないぞ、求めたら調査報告しなさいよという意味合いのものである、そういう解釈のもとに五十四条二項に基づいて、様式を定めて調査報告を要求した、こういう立場でございます。
○川村(継)委員 どうも大臣のお答え、ばくとして参っておりますが、私のお尋ねしていることはよくおわかりいただけると思います。そこで、これをおやりになるとしても、あなたのような解釈でなくて、これを結局言葉をかえて申し上げますならば、あくまでも当該教育委員会の受諾を必要とする、協議に基づくといいますか、そういう意味の委託調査となさるのが五十四条の二項の適用については至当ではないか、こういうことなんです。ところが、あなたの方ではそういう形式、そういうやり方はとっておられない。そういう要綱を指示されて、これでやれ、五十四条二項でこれはやるんだ、そして求める、報告しろ、こういう形をとっておられる。それは独断ではありませんか。やるならば、私が申し上げるような形でやるべきではないか、こう言うのです。大臣、どうです。はっきりして下さい。
○荒木国務大臣 五十三条か四条かは検討さしていただく意味もございましょうが、五十四条二項でいきましたゆえんは、さっき申し上げました通り、おっしゃるように相談ずくでやるものならば、別に法律の条項に明記されてなくてもやれることなんですが、五十四条二項というのはそうではない、要求されれば拒めないという意味合いのことを規定しているんだというところに根拠を求めて、五十四条二項と申し上げておるようなわけであります。もっともやり方として、相談ずくでやるやり方もございましょう。それでやりましても、いやという都道府県はないと思います。思いますけれども、もし万二つでも欠ければ、いわば一斉調査の効果はなくなる道理でございますから、万一のことを考えればいやとは言えないというところに根拠を求めなければなるまいということで、五十四条二項ということを申し上げておるわけでございまして、そんな法律の第何条に基づいてどうだと開き直らないでも、単に通牒を発してぜひ必要だから協力してくれというやり方があろうとは思います。今度はそういうことでなしに、万一一つでも欠けさしたくないという気持でやったことを申し上げたいと思います。 〔八木(徹)文教委員長代理退席、櫻内文教委員長着席〕
○川村(継)委員 大臣、かりに——かりにですよ、万一欠けて、あなたの一斉調査の目的に沿いかねるといったような事態が起こる心配がある——あなたの方のやり方が妥当であり、またその目的がはずれていないならば、その御心配は要らないと思います、かりに委託調査という形をとられても。私はそう思います。特に今日私が申し上げるまでもなく、教育は何といっても地方分権が建前です。その教育の地方分権という、この大前提に立ってものを考えて参りますならば、何から何まで文部省が命令するような形でやらせるということはおかしい。そういう点から考えても、私が言うような方法をとるべきじゃないか、私はこう思うのです。先ほど教科の問題についていろいろ山中さん等からも御質問がありましたから、私は内容の問題についてはお尋ねいたしません。ただ一つお尋ねいたしておきますが、この実施要綱の中に、その結果は「「生徒指導要録」の標準検査の記録欄には調査結果の換算点を記録すること」こういうことを指示しておられる。これは一体どういうことなんですか。これもやはりあなたの方の権限でこういうことがやれる、こうお考えになって指示されたのですか。
○荒木国務大臣 ただいま御指摘の点は、本来当該校長が民間のテストといえども信憑性のあるものを実施して、自信があるならば響いておきなさいよというやつであって、学校長の判断にまかされておる通達だと存じます。これについては、昨年も衆参の文教委員会でのお尋ねに対してお答えしたことですけれども、必ず書かねばなりませんよ、業務命令違反でありますぞ、などと開き直って言うことではない。その点は、これは学校長の良識に待つべきことで、学校長は必ずやほとんど例外なしに書き込まれるであろうことをむろん期待しております。というのは、民間の部分的なテストといえども信憑性ありと判断し、そうして着実に実施したならば書くことが望ましいという以上は、国が国民全般に対して責任を持って実施する一斉調査は、民間の部分的な、民間で作りましたいわば責任の追及できない形で作られたテスト用紙を使ってやっても、むろん信憑性ありやなしやを判断いたしますけれども、やった場合には書きなさいよというくらいならば、もちろん今度のものも書いてもらうだろうということに期待をした意味でございまして、強制する意思はございません。
○川村(継)委員 強制の意味はない、期待をしてこういうことを指示したということでありますならば、そういうお考えであればなおさら、私が先ほど申し上げますように、あなたの方のこの調査系統をやる場合の法的根拠、調査の系統という考え方で打ち出しておられます法的の根拠というものは、五十四条の二項のことについては私が繰り返して言うように、やはり相談、委託してやらせてその結果を求める、資料にして提出させるという行き方が当然ではないか、私はそう思うのです。これはあまり一方的に、独断的にきめ過ぎられて、何も頭から押しつけられていきますと、思わない混乱を生ずるのですから、その点はやはり十分考えていただきたい。 そこでもう一つ、この実施要綱を私、見てみたのでありますが、これは文部省としては総体的にこれでやれ、こういうように指示されたものなのか、あるいはやり方はいろいろとそちらの方で勘案してよろしいというような意味が含まっておるのか、その点はどうです。
○荒木国務大臣 様式を定めて調査報告を求めたという考え方に立っております。
○川村(継)委員 そうすると、指揮監督というような意味はない、こう考えてよろしゅうございますね。
○荒木国務大臣 指揮監督ということは、その内容について直接的に文部大臣がなし得る立場にはないと心得ております。
○川村(継)委員 ところが、この実施要綱をずっと見て参りますと、必ずしもあなたのおっしゃるような、様式を示してやったという、それだけにとどまらないものがありますね。調査結果の利用についてその他その中身の格好あるいは時間割まできちっときめてやるように、これでやらせられておる。調査問題の送付とかあるいは八月の下旬に全国の県教委を集めて指示、説明会を開いている。こういうことを考えると、あなたはそうおっしゃるけれども、どうもやはり指示、指揮によってこれが実施されておる、こう考えざるを得ない内容です。どうなんです。
○荒木国務大臣 今御指摘になりましたような意味においては、指揮監督とかという立場でなしに、調査報告を求める以上は、その調査報告が誤りなく誤解なく期待通りに調査されて報告となって現われることを要望するわけですから、その誤りなきを期する意味においての説明会その他は極力やることが当然であり、やったわけでございます。
○川村(継)委員 そういうお気持であればまた繰り返して申し上げますけれども、こういう調査をなさるときには強権的におやりになるのでなくて、やはり地方分権の建前から考えても、地方教育委員会等とよく相談ずくで、こういう調査をやりたいから実施してくれ、その結果はこういう形で報告してくれというような、いわゆる委託されるような形において実施される、五十四条の二項もそういう意味合いにおいて解釈をするということが至当ではないか、こういうことをぜひ一つ研究していただきませんと、われわれはやはりこういうような内容の問題からいたしましても、法的な取り扱いの問題からいたしましても、これは混乱はいつまでたっても静まらない、こう思うのです。われわれはそういう疑点をたくさん持っておる。これは文部省も十分研究していただきたい。われわれもさらに研究することにしたい、このように思うわけであります。 そこで、大へんえげつないことを申し上げるようですけれども、やはりこれらの考え方につきましても、これは地方課長さんうしろの方にすわっておられますけれども、私は月報を読んでみたのです。なかなか勇ましいことを書いておられますね。こういう考え方でしたら、大臣ずいぶん今いろいろお話しいただきましたけれども、今村さん、あなたがこういうお考えを持っておられますと、これはやはり激突が起こるということは避けられませんね。大臣、あなたは御存じと思いますけれども、今村さんが言っておられることを一つ二つ読んでみますから、聞いておって下さい。「学力調査は教育上必要だと判断する、」。これは今村さんが問答形式で書いておられる学力調査の法的根拠問答となっておるその中に、「教育委員会当事者に欠けがちなもの」という見出しで、学力調査は教育上必要だと判断する、そしてその判断に立って、学校管理権に基づき、校長、教員に調査を実施すべき職務命令を発する。職務命令違反者に対しては懲戒処分の内申をする……という行政機関としての意思を決定すれば、そして自らの判断に責任をもつかぎり、」云々、なかなか勇ましいことを書いておる。こういうことを書かれますと、教育委員会はふるえ上がりますよ。次の行に移りますと、尋ねておる人は——これは御自身だと思いますけれども、尋ねておる人は、「県教委は地教行法第五十四条第二項による文部大臣の調査の求めを拒否できるのですか。」、こう尋ねておる。これに甲という、これは今村さんでしょうが、こう答えておる。「あなたは拒否したいという意欲をもって質問しているのですか、拒否したいが法律上の義務だからやむをえないから実行するのだという口実を得たいための質問ですか。県教委が、主体的に、学力調査報告の求めに応ずるという意思を決定しておれば、質問の必要のない問題だと思いますが……。」、こういうふうに書いておる。これを拾い上げていきますと、とにかくなかなか勇ましい元気のいい思想で貫かれておる。こういうことで文部行政を動かしていこうとなさろうとする。私は身の毛がよだつのです。文部大臣にはそれは法的に教育の権限を与えてある。しかし何といったって教育は地方分権なんですよ。こういうような考え方で対処してもらうということはおそろしいことです。今日の混乱が起こるということも、こういう考え方が一ぱい出てきて、そして日教組不都合だというような勇ましい前提に立って仕事をなさろうとなさるからうまくいかぬ、教育界が混乱する。これは十分大所に立って考えていただかなければならぬと私は思うのです。やはり先ほど申し上げましたように、大臣は日教組という組織がお気に入りませんでしょうけれども、何といったって全国の先生方の団体を代表しているものでありますから、あまり日教組を弾圧するというそれだけの目的を持って各種のおとり戦術を使ってやってはいけません。私はそう思います。もう少し大所に立って、日本の教育界を正常化することを文部大臣は当然考えるべきだ、私はそう思っております。 そこで次に第三点の問題として、二十九条の問題をちょっとお聞きしておきたいと思います。先ほど一番初めに数をお聞きしましたが、相当大量の職員が処分を受けております。これは大へん残念なことでございまして、いろいろとこれには問題があると思いますけれども、まずこの二十九条適用が非常に多いようであります。職務命令の違反であるいわゆる二十九条の第一項の一号、二号、三号というような条項の適用で処分対象になっておるようでありますが、大臣、こういう法律を適用するときには、あなたの方は行政の最高責任として地方教育委員会に対して何か指導助言というようなことをおやりになったのですか。全然やっておられませんか。
○荒木国務大臣 指導助言等、あらかじめやったことはございません。ただ聞いてみますと、法の解釈等について質問があることがあったやに聞いておりますが、それは担当課長か何かが一応の解釈を応答する程度で、文部省として開き直った姿で指導助言してどうさせようなどということは思いもしませんし、やったことはございません。
○川村(継)委員 私はかりに適用するとしても、こういうものはあくまでもその違反の事実に基づいて公正な判断でやるべきであって、いやしくも教育委員会等が感情的に、報復的にこういうものを適用すべきじゃない、こう考えますが、大臣の御意見はいかがですか。
○荒木国務大臣 むろん仰せの通りであるべきだと思います。
○川村(継)委員 岩手を初め全国にたくさんの処分が出ておりますが、先生方は、組合関係の諸君は、人事委員会提訴等でこれから争っていくと思いますが、かりにそういう人事委員会等の決定を待たずとも、そういう事実が間違っていたというようなことがあったなら、文部大臣としてはそういう事実が明白になれば、委員会としてその処分の更正をやる、あるいは撤回をやる、そういうことを助言され、指導される御意思がありますか、どうですか。
○荒木国務大臣 それは私も法的に自信を持って申し上げられませんが、常識的に考えまして、おっしゃるような場合においては、関係の法律制度上当然に補償なりあるいはもとの状態に回復するなり等のもろもろの措置が行なわれるのが当然である。その法的な制度がどうなっておるかを私自身は今すぐお答えできませんので、常識的にはおっしゃる通り当然のことだと思います。ただ文部省がどうするということは当然には起こってこないであろう、こう思っております。
○川村(継)委員 行政局長にちょっとお尋ねしておきたいと思いますが、実は今度の全国の違反容疑、違反の処分の内容を全部が全部、二千何百あるのを調べたわけではございませんが、ある程度調べてみますと、全くでたらめだという印象を受けるところさえございます。こういう法を適用するときには、私はやはり一つのものさしといいましょうか、基準といいましょうか、そういうものがあってしかるべきだ。これは教育委員会なら教育委員会が、委員会の一つの判断なら判断——こういう事実を犯したものはどうする、こういう職務命令に違反したものはどうするというようなものさしというものが、法の運用からいってなければならぬ。ところが実際は非常に疑問に思うところが多いのです。これなんかあなたの方のお考えを一つ聞かしていただきたい。
○佐久間政府委員 御指摘のように各人事委員会が同様な事案に対しまして違った処置がなされるということは好ましいことではないと存じます。ただ人事委員会がそれぞれ独立の権限をもって処分をなされるわけでございますので、画一的な基準を自治省の方で作ってこれを示すというようなことは妥当ではないと考えます。私どもの方では、全国の人事委員会が自主的な協議会を持ちましてときどき会合をやっておるようでございますが、そういうような機会を通じまして人事委員会同士が自主的に研究をし合い、その結果としておのずから一つの基準というものができ上がっていくということを期待しておるのでございます。
○川村(継)委員 時間がありませんから、今の問題についてはまた別の機会に私の委員会でいろいろと御質疑いたしたいと思います。 文部大臣も御存じと思いますけれども、岩手の場合に、とにかく何名か間違っておって、その後三名ですか四名ですか、取り消しがあった。私は非常にけっこうなことだと思います。ところがそういう事実が明らかになっておってもがんとして応じない委員会もあります。こういう点は、文部大臣、あなたも学力テストの阻止についてずいぶん腹も立っているでしょう、不都合なやつらだという腹もあるでしょう。それは抜きにして、やはり大臣としては、そういう点についての事実が明らかになったならば、更正するか取り消すか、そういう点はぜひ大臣が各県の委員会に対して何らかの助言なり指導なりをやっていただきたい。またそれが至当ではないか、そのように思うのです。 それで最後に一つ、今の問題で私は大臣に申し上げておきたいと思いますが、これは非常に大臣失礼でございますけれども、、私が処分理由を読みますから、どっちが一体重いのか軽いのか、あなた判断して下さい。たくさんありますけれども、二つやります。「昭和三十六年十月二十六日荒尾市立荒尾第三中学校において、同校校長等がテスト用紙を校長室に運びこもうとするのを妨害した。同日同校校長室前廊下において、同校校長及び荒尾市教育長の言動を監視し、その自由を拘束した。従って辞令のとおり処分したものである。」これが一つ。「昭和三十六年十月二十六日校長の承認を得ることなく勤務時間中に勤務を放棄した。同日荒尾市立荒尾第一中学校において同校校長の退去要求に応ぜず坐り込み校長はじめテスト実施関係者の行動を妨害した。同日同校において、同校におけるテスト補助員として来校していた荒尾市立八幡小学校教頭及び緑丘小学校教頭の行動を妨害した。従って辞令のとおり処分したものである。」みな二十九条の適用ですね。初めに読んだのとあとに読んだのと大臣あなたはどっちが重く罰せられるとお考えになりますか。
○荒木国務大臣 ちょっと判定つきませんが、同じようなものじゃなかろうかと思います。
○川村(継)委員 同じものじゃないか。大へんけっこうな御見解と思いますが、実は前の方は停職一ヵ月、あとの方は減給二ヵ月、これが公正な処分事由だとは言えませんね。実はこれについていろいろ詳しくお尋ねしなければならないのがありますけれども、一応お耳に入れておきます。 もう一つ読みます。たくさん読みません。「昭和三十六年度全国中学校一せい学力調査の実施に関し、テスト補助員を命じた校長の職務命令を拒否した。昭和三十六年十月二十六日熊本市立帯山中学校において同校鈴木教諭がテスト用紙を持って、同校校長室から職員室に出ようとするのを妨害した。同日同校において同校鈴木教諭等がテスト実施のため教室に行こうとしたのを中央階段附近の二階廊下において立ちふさがり妨害した。従って辞令のとおり処分したものである。」これが一つ。「昭和三十六年十月二十六日校長の承認を得ることなく勤務時間中に勤務を放棄した。同日荒尾市立荒尾第一中学校において、同校校長の退去要求に応ぜず坐り込み校長はじめテスト実施関係者の行動を妨害した。同日同校において、同校校長、教頭及び荒尾市教育委員長に対し暴言を浴びせた。同日同校において、同校におけるテスト補助員として来校していた荒尾市立荒尾第一小学校教頭に対し暴言を浴びせた。従って辞令の通り処分したものである。」 これは大臣いかでしょう。
○荒木国務大臣 一々どうもテストしていただきましても、同じ文言でありましょうけれども、現実の事態は目撃しなければわからない部面もございましょうし、だから、それ自体について私がこの席で感想的なことでも申し述べることは、どうも考えてみますと適切でないように思います。そういうふうなことが起こらないことを私は念願いたしたいと思います。
○川村(継)委員 その通りかと思います。私もあえて責任ある大臣から、同じだとか、どっちが重いとか軽いとか、実は聞きたくないのです。ところが、今あとで読みましたのは、これはおそらくだれでも前の方がひどく書いておるという印象を受ける。ところが、前の方が減給、あとの方は免職ですよ、首を切った。同じ委員会がこの処分事由をもってこういう形でやるということは、その根底には事実の把握が間違っておるということを一つ問題としなければなりません。こういう形で先生方が首を切られたり何かするということは、これは法の運用からいっても大問題です。大臣はいつも法のことをよくおっしゃる。法を守らなければならぬ行政の諸君がこういう形でやったのではたまったものではない。大臣、私はどことは言いません。しかし、あなたが承認をした県の教育長なり教育委員会の事務局の諸君が、通勤の関係で毎日十時過ぎに出ていき、四時の汽車で帰る。あるいは学校給食のミルクの汚職のようなものを起こして起訴された、そういうものは一向おかまいなしにそのままほうって、むしろ栄転させている。ところが、一方では朝方学校に行ったというので授業を放棄したとか、校長の言うことを聞かなかったとか——言うことを聞かぬのはよくありませんけれども、そういう形で処分をされるということは、これは地公法の立場からいっても公正を欠いたものだといわなければなりません。こういう事例がたくさんありますから、ぜひ一つ厳密に調査していただいて、このときこそ、一つ文部大臣のあれを生かしてもらいたい。いろいろ問題がありますけれども、これだけについて要求しておきたい。 この処分問題について、ちょっと山口さんから関連して質問があります。
○山口(鶴)委員 ただいま川村委員も指摘されましたように、処分については非常に不均衡であるし、非常に誤っており、非常に矛盾した問題があることは大臣もお聞きになったと思う。 そこで、私のお尋ねしたいのは、そういった不当処分がなされる、しかもその処分の根拠である地公法三十七条の違反の問題については、これが違反であるかないかということは今後十分検討さるべき問題であり、それぞれの意見のあることは大臣御存じの通りだと思う。そこで、だれも、国民としては、行政処分に対しては不服がある場合は行政事件訴訟特例法に持ち込むという権利もあるし、また、このような処分に対しては人事委員会に対して審査請求をする権利がございます。ところが、現在全国におきましてこういう処分がなされておるのでありますが、それに対して先生方が不服であるといって提訴をいたしておる、あるいはその行政事件に持ち込む。そうした場合に、大臣非常に権力的なせいかどうかわからぬが、都道府県の教育委員会にそれが伝染いたしまして、非常に権力的になって、そうして、お上のやった仕事に対して不服を唱える教員は、これはお上にたてつくものである。従って、人事委員会に審査請求をやっている人間については、たとえば免許状の関係で、臨時の免許状を二級の免許状にしたいということで単位を取って申請をしても、お前がこれを取り下げない限り許可をしない、あるいは教員から教頭になるというふうに推薦をされても、これはお上にたてついておるからいかぬ、こういうような事例が全国の教育委員会にある。私の住んでおります群馬県の教育委員会は特にそういう傾向がございます。特に、私は文部大臣と法務大臣にお聞きしたいのですが、法務大臣は行政事件訴訟特例法の改正を提案いたしまして、国民が政府機関あるいは行政機関がやった処分に対して不服申立の道を広く開く、こういう立法措置をまず提案せられました。従って、池田内閣としては、行政事件に対して不服のある人は大いに問題を出しなさい、こういう方針であろうと私は思う。しかるに、一方では、文部大臣の指揮監督のもとにある教育委員会では、それと全く相反する行為をやっておる、こういうことについて、法務大臣どうお考えですか。 それから、文部大臣としては、先ほど川村委員の質問に対しても、こういった処分は報復的なものではないのだ、そういう傾向があるとすれば厳重に改めなければならぬ、こういう答弁をなされました。そういう観点から、私が今指摘いたしましたようなお上にたてつく者は差別をするという——地公法には平等の原則が書いてある、これに反するような、今言ったような問題をやっておる教育委員会に対して、どう指導、助言されるおつもりでありますか。一つ、明確にお答えを願いたいと思います。
○植木国務大臣 行政事件訴訟法の全面的改正案を、ただいま御承知の通り国会にお諮りをいたしております。その趣旨とするところは、申すまでもなく、従来の現行の特例法が非常に不十分であり、国民の権利を救済するのに必ずしも適切でないという建前から、ここ数年間にわたりまして審議会その他においても十分に調査をいたしまして、ようやく、現在の時点においてはこれが最上だろうかと思えるようなものをまとめまして、提案をいたしておるようなわけであります。行政面のかく多岐にわたるものでございますから、いろいろの部門において国民の権利が時として阻害されるというような場合に、その損害を受けられた方が、その回復なりあるいは阻止のために手続をなさることは当然でありまして、これに対しては、われわれの方といたしましても、この新しい法の、できるだけ広く国民の権利を救済していきたいというその精神に従って処理して参りたい、かように思っておる次第でございます。
○荒木国務大臣 ただいま法務大臣からお答えいたしたことで尽きておると思いますが、私は心がまえとして、権力主義とかなんとかいう気持は毛頭ございません。法治国の日本においては何人といえども順法精神が透徹してなければいかぬだろうということだけであります。従って、お上にたてつく者が云々ということをだれが言ったか存じませんが、お上とは何だかよくわかりませんけれども、法律制度上かりに行政処分を受けた人でも、当然、免許状の書きかえその他の申請意見があれば、それはそれで行なわるべきである。これこそ、江戸・長崎的な考え方でもって行政が行なわれたらとんでもないことだと心得ます。
○山口(鶴)委員 趣旨はわかりました。よくそういう点を全国の各教育委員会に徹底をさせていただきたい。徹底をさせる用意がございますか。お答えを願います。
○荒木国務大臣 おっしゃった事実を存じませんので、それに対して直ちにどうということは申し上げかねますけれども、一般的心がまえとしては、仰せのようにいたしたいと思います。
○川村(継)委員 時間が大へん過ぎておりますから、私あとお尋ねしたいことがもう一点あるのでございますけれども、実は文部大臣にいつか機会を見て地方行政委員会にぜひおいでいただいて、教育財政問題等についてお答えいただきたいと思います。きょうはそれらについて少しお尋ねしなければならぬと思いましたけれども、時間がありませんから保留いたしたいと思います。 いろいろお尋ねして参りましたが、要するに、文部大臣は一生懸命に教育のために尽くしておられるという御自信がおありだと思いますけれども、われわれが見るところでは、やはりどうも少しさか立ちをているような感じがあるのです。というのは、やはり文部大臣としては教育財政をどうするかということには、あらゆる努力を傾注していただかなければならぬと思います。学校建築の問題についてもそうですね。あなたの努力で建築単価は幾らか引き上げられましたけれども、これは地方の市町村の出費から見ますと微々たるものでして、これは御存じの通りだろうと思う。大臣、昨年一年で木材がどれだけ値上がりしておるか御存じでありましょう。御存じでございますね。そういう点から考えても、あるいは父兄負担がどんなに大きいかということも御存じのことだと思います。文部大臣、あなたの選挙区の近くの学校、その名前は私言いませんけれども、近いうちに一つ調べさせて下さい。あなたの選挙区の学校では、子供の便所の屎尿処理から小使いさんから、みんなPTA負担ですよ。そういう学校はざらにありますよ。どこの学校か調べて下さい。そういうような問題がたくさんある。これは数え上げたらきりがない。先般の新聞にも出ておったように、長欠児童が十六万おる。準長欠児童を加えると百万以上おるという。こういう長欠児童の対策をどうするか、これは私は緊急の問題だと思う。学力一斉調査もあなたたちは必要だと思うでしょうけれども、私たちはこういうものを少しでも改善していくところに一つの教育のねらいがなければならぬと考えておる。父兄が今日この教育のために財政的に苦労しておることは、これはもう口で言い尽くせないほどの大きな問題があるのです。こういう点について御配慮いただかなければならぬと思います。そこでいろいろな問題については地方行政委員会へぜひおいでいただいてお尋ねもし、われわれの考えを申し述べたいと思いますから、ぜひ一つそのように時間をとっていただくようにきょうはお願いをして、最後の教育財政その他の問題についてお尋ねすることを保留させていただきたい。委員長、どうも大へん長い時間をとりました。
○櫻内委員長 門司亮君。
○門司委員 非常に時間が制約されておるのでございますが、率直に二、三の点だけお聞きいたしておきたいと思います。 岩手県の問題、それからさらに各地方で行なわれました問題について、文部大臣のお考えをまず最初に聞いておきたいと思います。 教育行政自体について、文部大臣はこれを全国的に自分が統轄する義務があるのだというふうにお考えになっておるかどうか、その点を先に聞いておきたい。
○荒木国務大臣 ちょっと御質問の趣旨をはっきりとらえてないかと思いますが、一斉学力調査は読んで字のごとく、義務教育の過程におきまして、全国的に、同時に同じやり方でやるところに意味があるという点で、全国統一的でなければならぬ、こういう考え方で実施したわけでございます。
○門司委員 私が聞いているのはそうじゃありませんで、文部大臣として今日の小学校、中学校の教育を監督し、さらにこれを指導するという——指導という言葉はどうかと思いますが、監督する立場に自分はあるのだという信念で今文教政策をおやりになっているかどうかということでございます。われわれは、今の教育行政というものは大体地方行政の一つの固有の事務であると考えておるわけであります。従って地方行政の固有の事務だとすれば、文教全体に対する文部大臣としての責任はおありだと思いますが、個々の教育については地方の行政事務に属すべきものであって、文部大臣が自分の権限としてこういう調査を行なうということは私はどうかと思うのです。その点の考え方についてお聞きしているわけです。
○荒木国務大臣 それは先刻山中さんの法的根拠という意味でお尋ねになったことについてお答えしたことがお答えになろうかと思いますが、仰せの通り、教育は地方分権、ことに義務教育は地方分権の建前に立っていることは御指摘の通りと心得ております。ではございますが、一部、どうしても義務教育であるがゆえに、全国的視野に立って文部省としての立場から措置せねばならないということにつきましては、特に権限を中央に留保しておるものがあると思います。その一つとして、先刻も申し上げましたように、小、中学校、高等学校の教科について文部大臣が定める、それを受けまして学習指導要領で算数、国語、理科、もろもろの教科につきまして、相当詳しく一定の基準を定める、その線に沿って教育が小、中学校で行なわれねばならないということで今日までも参っておるわけであります。それは本来の建前の例外として、今も申し上げましたように文部大臣に留保されておる権限であり、責任の範囲だ、その責任を果たすために必要だから一斉学力調査をやるのだ、こういう考え方でございます。
○門司委員 私は、問題の所在は、実際に調査をやるのだという一つのものの考え方にあろうかと思います。先ほど五十三条か五十四条かという論争がございましたが、なるほど五十四条の規定はあくまでも調査をすることができるように書いております。さらに解釈にもそういうふうに書いてある。その報告というのは、常時かくあるべしということを文部大臣が求められることはけっこうだと思う。しかし実際に同じ科目で全部の都道府県にあるいは市町村に命令を出されることに私は今日実は疑問があるわけであります。この条文からいいますと、これはほとんど常時こういう報告を求められることができるということであって、私は文部省が画一的に同じ問題で同じように調査をするということについては多少の疑義があります。その疑義の一つの大きな問題はどこにあるかといいますと、なるほど文部省から出された書類その他につきましてはいろいろのことが書かれてはおりますが、今日の教育の直接の担当者であります教員の身分あるいは資格、あるいは数というものは、必ずしも全国一致をいたしておりません。このくらいのことは調査しなくてもあなたの方には報告を受けられておると思います。そのもとで行なわれております教育行政というものは、画一的の調査があれば必ずでこぼこの出てくることは私は当然だと思う。それを一斉調査で知りたいというあなた方の考え方に私は間違いがありはしないかと思う。このくらいのことはわかっているはずだ。ことに岩手県等の様子を見てみますると、ここは教育行政は非常に悪いです。私はこれははっきり申し上げておきます。教員の数は足りない、しかも教員の資格その他は必ずしも適正でない。ああいうへんぴな土地、というと語弊がありますが、学校がたくさんありますから、小学校の数は非常に多い。従って教員の適正な配置もできないであろうということも考えられる。あるいは場所によっては十分な教員の配置が行なわれ、十分な施設を持って学校をやっているところがある、こういうのは日常の調査であなた方はおわかりになっているわけです。もし文部省がほんとうに学力のテストをする必要があるとするならば、まず今申し上げましたような全国一斉、同じような立場で、同じような形で教育が行なわれるような施設をあなたが先におやりになることが、私は順序でなかったかと思います。それを調べるから全国一斉テストが必要だということになると、実際は文部大臣は少し怠慢じゃないかと私は考えるのです。まずそういうことについて、大臣はどうお考えになりますか。今日の、ことに岩手県の状態を見てみますると、他府県より教育行政は劣っておるような気がするのです。無理が相当あるような気がするのです。その点はどうですか。
○荒木国務大臣 申し上げるまでもないことですけれども、義務教育はいやと言わせない教育の場でございますから、端的に申させていただけば、北海道だろうと東京だろうと鹿児島、沖繩であろうと、中学校を卒業したときには、条件が同じなら同じ学力であることを望ましいものとすると思います。ところが実際は門司さんがおっしゃったように、学校の施設にしろ、設備にしろ、あるいは教員の数にしろ、その資格にしろ、千差万別であることは遺憾でございます。その現実は否定いたしませんけれども、さてそれを整備することも、御指摘の通り私どもの当然の職責でなければならぬと思います。思いますが、それを整備していくにつきましてもやはり予算を伴わざるを得ない。予算を要求し獲得するにつきましても、客観的な根拠、義務教育なるがゆえに、全部同じ条件の子供は同じように育てたいという目的に達せしめるための説得力がなければできない道理でございまして、そういう意味におきましても客観的根拠を得たい。さらにはまた格差があることはなぜであろうか、わかっているじゃないかとおっしゃいますけれども、全国的にはむろんわからない。たまたま聞き得たところ、たまたま照会し得たところが知り得ておるにすぎない。ことにそれが児童生徒の学力の到達度との関連においてどうだということは、一斉調査をしませんければ不可能でございます。地方分権だから市町村ごとの教域内において、あるいは県ごとの教域内において、自主的にやればいいじゃないか、その面もむろんあります。それは県なり市町村がみずからテスト、調査をやられることも当然のこととしてあるわけでございます。それはそれですが、しかしまた全国的な視野に立った、今申し上げるような角度からの調査を通じて、初めてその土地のその学校の全国的なレベルというものがわかる。それがわかって、講評してどうしよう、差等をつけよう、そんなことではございませんで、そのことが教育条件改善の合理的、科学的な根拠になるであろうということを通じまして、御指摘のような改善をスピード・アップしていきたい、そのためにはなくてはならないものと心得ましてテストをやっていきたい、こういうことでございます。
○門司委員 答弁は一応筋の通ったような通らぬようなふうに私には聞こえるのです。こういうテストをやって、まず全国的な比率を知りたい、それによって処置をしたいという大臣の答弁は、私はその通りだと思います。ところが文教の府である文部省としては、格差のないように日ごろ努めなければならないことは当然なんです。その日ごろ自分たちが行なわなければならぬことを怠っておいて、そうして学力テストをやってみてそれからならすのだというんでは、これは少し手おくれじゃないですか。まず文教の府である文部省としての立場から言いますれば、全国一斉に同じような教育が行なわれるような教域に引き上げておいて、その後なおかつ差ができてくるような危険性がありはしないかということで、念には念を入れて調査をされることは私はけっこうだと思う。あるいはそういうことはあり得ると思う。しかし現実の状態は必ずしもそうじゃございません。さっき申し上げましたように岩手県の実情を私の調査した範囲で申し上げてみましょうか。ここでは先生の数は非常に足りない。おまけに十分な資格をお持ちになっていない方がたくさんある。一つか二つしか単位をとっておらないが、実際学校に行ってみれば、教員の数が少ないから、あれもこれもみんなやらなければならぬということになっておって、厳密に言うとかなり教育については不熱心というと怒られるかもしれませんが、問題をはらんでおる。こういうところは岩手県ばかりではない、私はどこにもあろうと思います。そういう場合に一斉の学力テストをやって参りますと、あなたの方ではそういうことがあるから調べて、これをレベルを直したいのだという親心があるかもしれない。しかし調査を受ける方から見れば、結局自分のところは何だか学校が非常に悪いように考えられる、また生徒の学力も非常に低いように考えられる。これはどうしても劣等感を植えつけるようなことにならざるを得ない。そういうところに私は問題があったと思う。しかしそういうことをここで長く議論をする余地もございません。時間が非常に迫っておりましてこれ以上私は聞きませんが、しかし文部省の態度としては、私は少し行き過ぎがあったのではないかということと、それから法解釈にいたしましても、この五十四条と五十三条との関係についての議論を聞いておりましても、一向釈然としないところがある。五十四条の方で資料及び報告を受けることになっておりますが、この場合はあくまでも報告の提出を求めることができるというのであって、報告をするかしないかということはこれは相手方に自主性をかなり大きく与えておると思う。この法律はその書いてあります。もし文部省が絶対権限を持っておるなら、こういう書き方はしないはずです。提出をしなければならないとかなんとか義務づけるはずです。従ってこれを文部大臣が五十四条が義務づけられたものであるというようなお考えだとすれば、法解釈としては非常に大きな間違いがある。そう言うことができるのであって、従って受けた方の任意によってこれが行なわれていくものであるという解釈をすることが、私はこの場合正しいと思う。その点の大臣の解釈はどうですか。
○荒木国務大臣 先刻川村さんからも同じ点を御指摘になりましたが、私どもの解釈は仰せの通りであるならば、この条文は要らぬじゃないかと思います。この条文を特に置きましたゆえんは、地方分権の御指摘のような建前であるがゆえに、その建前を念頭に置いて表現します場合、こういう表現になっておるということであって、求められてノーと言えるというようなものではない、こう思っております。 なお先ほどのお話ちょっと言葉が足りませんが、施設、設備、教員等不足しておる、でこぼこがある、これは事実そうでございます、遺憾でございます意味において、手おくれじゃないかという御指摘も甘んじて受けざるを得ない実情であることは承知いたします。それはそれでむろん努力いたします、努力いたす責任があると思います。同時にそれをよりスピード・アップしてより効果的にやるためにも、一斉調査を通じましてさらにそれが期待できるであろう、全国的視野で効果があるのみならず、この学力調査それ自体は、都道府県の段階では自分自身の教域内の全貌を把握するよすがになります。市町村におきましてはまたそれ自身市町村の教域内における実情を知ることにもなりますから、他の市町村との比較もできます。他の府県との比較もできるわけであります。そういうことで比較して、学力の低いところに恥しめを与えてやろうという目的では毛頭ございません。その客観的事実をお互いが知って、そうして地方は地方なりに、あるいは中央と地方と協力すべきものは協力して、改善をしていくよすがにしたいということでございますから、これなくしてはまたその目的は達し得ないものだ。ですから学力調査も手おくれであったかもしれぬし、諸条件の整備にでこぼこがあって十分でないという意味において手おくれであるとおっしゃるならそうであろう、ともに相協力してやっていくところに教育条件の改善、教育それ自体の向上が期待できるであろう、こういうふうに思っておるその一環でございます。
○門司委員 私はこの問題は釈然としないのです。文部省がどうして一斉学力テストをしなければならなかったかということは、今の大臣の答弁だけでは、私はどうも疑問が出てくる。今の大臣のお話のように府県あるいは市町村単位でとおっしゃいますが、こういうことは教育の一つの場としては、常時わかっていることだと思う。あるいは一つの課程の中であるはずだと思う。全国一斉にするところに無理がある。たとえば岩手県の方へ行ってみますと、英語の先生なんかほとんどいないのです。調べてごらんなさい。そこで英語のテストをされてごらんなさい。どういう問題が出てくるか、こういう問題もやはりテストをされるならされるように、テストを受けられる資格、あるいは受けられる素養というものが、全部の教育行政の中に盛り込まれて、それが行なわれておればいいかもしれません。しかし、一方においては先生が足りなくて、ある学校においては英語の先生はおいでにならない、そこで英語のテストをされるというても、教わっていないものを子供にやらせても、それはできません。それを直すというのが大臣のお考えだと思いますが、それは少し行き過ぎではないかと思います。もしそういうことがあるならば、事前に、そういう欠陥のないように、文部省としては処置をされる必要があったのではないかと思います。この点を押し問答する時間もございませんから、私は次の問題に移りたいと思うのであります。 この機会に法務大臣に聞いておきたいと思いますことは、処分の問題についての、法解釈が一つの問題であります。教育委員会から出ておりますいろいろな処分に対する書類を見てみますると、大体地公法の二十九条からということになっておって、いわゆる教育委員会の権限に属する、職務命令違反と考えられるもので大体処罰されておる。一方検察の方では、これに対して三十七条違反、争議行為というものをここに当てはめております。時間がございませんから先に申し上げますが、三十七条と二十九条とは、節もむろん違いますし、二十九条の場合は分限というものの中にある問題でありまして、いわゆる地方公務員に義務づけるというようなもので、従って職務命令に違反したという形で、地方教育委員会は行政処分をしておると私は考える。ところが三十七条の争議行為は、職務命令で二十九条の適用を受ける以外の問題が起こった場合に、この三十七条の適用を受けるのであって、法解釈としては、あるいは法の取り扱いとしては、二十九条で処分することのできる範囲においては、三十七条を適用することはどうかという法解釈と同時に、法の取り扱いにおいてもわれわれはそう考える。なぜそう考えるかといいますと、二重処分がここに出てくる危険性があるからであります。一つの行為について、行政処分と司法処分との二つの処分が出てくる危険性があるので、私はやはりできるだけ処分は、行政処分によって始末がつくものならば、これは行政処分で始末をすることがよろしいのではないかと思う。これに、さらに司法処分をかけていくということは無理ではないかと、取り扱いの上においても私どもは考えるのです。地方公務員もそうでございますが、たとえば自動車の運転手などについても、両方の罰がかけられておる。これは免許するものと処分するものとの違いがあるからであります。この場合、業務命令を発し得る立場にある人が行政処分をする場合においては、やはりそれは争議行為としてこれを取り扱うべきではないのでないか。それを業務命令以外のことでストライキを考えるあるいはストライキをやったという場合三十七条の適用を受けられると思うが、その辺の取り扱いはどうですか。これに対して法務大臣の意見をちょっと聞いておきたいと思います。
○植木国務大臣 法律問題でございますから、竹内政府委員にお答えいたさせます。
○竹内政府委員 運用の問題といたしまして、三十七条で争議行為が禁止されておる。その禁止行為を犯した場合に、その効果として懲戒処分を受けるという。その効果が足らない場合にさらに六十一条に持っていくべきであるという御意見のようでございましたけれども、私どもは運用として、その両方にらんで適用するということは、もちろん考えるべきでありましょうけれども、法律の解釈といたしましては、さようには解せられないのでありまして、三十七条はあくまで争議行為を禁止している行為であります。その禁止している行為の中で、特定のあおり、そそのかし等の行為を刑罰をもって罰しておる、そういう形でございますし、それらの争議行為をも含めて分限の問題として、二十八条におきまして懲戒処分をきめておる、こういうふうに私は理解いたすものでございます。従いまして、仰せのように懲戒処分を受けるなり、処分を受ける場合もあり得るということに相なろうかと思います。これは法律解釈としてはやむを得ないことでございます。それで冒頭に申しましたように、運用におきましては両者をにらんで運用していかなければならぬ面があろうかと思います。従いまして、先ほどの御議論の中にもありましたように、行政処分を先行するか、刑事処分と両者をどういうふうに扱っていくかという問題が出てくるのでありまして、理論としては、両者は明らかに分かれて理解すべきものである、かように考えておる次第であります。
○門司委員 私が心配しますのは、今刑事局長からお話がございましたが、もし三十七条違反で起訴されれば、三十八条は自動的に動いてくると思います。そして休職処分にならざるを得ない。ところが行政処分の方では休職まで至らないで、あるいは訓戒その他で行政処分として処分した。ところが、三十七条の方では起訴されただけで、罪があるかないかわかりませんが、しかし刑事事件によって起訴された者は、休職処分に付することができるように、ちゃんと二十八条に書いてあるから、これが発動してくる。そうなって参りますと、本人としては実に妙な形になり、世間から見ても、教育委員会、任命権者の方は、この程度でよろしいといっているものを、片方ではそれ以上の処分、とにかく休職処分を受けなければならないという形が出てくるわけです。従ってこの場合は、できる限り一つの取り扱い、運用の上において——六十一条の問題についてもそうでございますが、そういう取り扱いをすることが正しいのじゃないか、そういう見方をするのが正しいのじゃないか、こう私は考えております。ところが今度の事件については、おそらく警察も三十七条違反であるということで、何らの連絡なく独自の立場で捜査をされていることは、警察の権限に基づいて独自に行なうことは、これは私は勝手であり自由だと思います。しかし問題は、将来そういう問題が出てくる危険性のあることについては、一体どちらを適用すべきか、一体どちらが問題になるかというようなこと等については、検察庁ともお話し合いがあってしかるべきだと私は考えるのだが、この問題は全然ばらばらにやっております。 これは文部大臣に聞いておきたいと思いますが、この問題を調べてみますと、検察庁は検察庁で独自の立場でお調べになっている。印刷屋の支配人で自殺された豊田寛という人ですか、この人などについては、警察は一ぺんも調べておらぬ。検察庁が二度調べたという事実がある。検察庁は検察庁の立場でおやりになっても、これはある程度自由だと思う。警察は警察の立場でやることも自由だと思う。県教委が県教委として自分の権限内において処分することも自由です。同じように自由でありましょうが、事犯は一つであって、そして処分を受ける者も一つである。それに三つの立場からこの事件が問題になるというところに、少し問題が大きくなり過ぎてはいないかというように私は考えるわけです。文部大臣としては、先回りをして言えば、それは三十七条違反については、警察が勝手にやったのだからと御答弁なさるかもしれませんが、この種の事犯について、これを三十七条違反として文部省としてはお考えになっているかどうかということを、この機会にあらためて聞いておきたいと思います。
○荒木国務大臣 三十七条違反か、二十九条違反かということは、いずれにいたしましても、文部大臣には全然その権限も、責任もない関係のことでございますから、無責任な立場においてかれこれ申し上げる筋合いのものではなかろうかと思います。先回りをして言うとおっしゃったのですが、やはりそれぞれの立場において、その権限と責任を持った人が、法律に照らして自主的に責任を果たす姿で公正な判断をいたしまして、それぞれ処分をするということでございましょうから、それに対して文部省として指導したり助言したりなどということは、あり得ざること、そう考えております。
○門司委員 私は、指導してくれと言うのじゃないのですよ。どうお考えになるかということです。それは文部大臣としては言えないといえばそれまでのことだと思いますが、問題はそういう非常にデリケートな問題を持っている形がどうしても出てくる。従って、しかもこの問題の原因は文部省が原因を作ったというと怒られるかもしれませんが、大体の経過から見ましても、文部省の言いつけた学力テストが原因になっているということは間違いがない。これが動機になっているかは存じませんが、原因になっていることは間違いはない。そこでこの種の取り扱いについて私は文部大臣に言いたかったのでありますが、この機会にもう一度文部大臣に聞いておきたいと思いますことは、県教委のとっております態度であります。私どもが調査に参りましたときに、すでに八百一名の処分者を出しておりまして、その後まだ百名余りのものを出す、こう言っております。出ているか出ていないか私一人の記憶では、ことしになってあらためて百名の者を処分したという記憶があるようでありますが、これは確かめてはおりません。いずれにいたしましても、まだ処分をするのだということを言明をいたしております。どうして処分をするのだと聞いてみますと、どうも処分にでこぼこがある。今まで処分した人についてよりも、あるいはもっと違反行為を行なったと考えられる者について処分してないので、一つ処分の公平を期すために、もう少し広げたいのだ、こういう御答弁があったわけであります。この考え方は、私はこの種の事件を処理するには非常に大きな誤った考えであって、もし処分についてでこぼこがあるならば、直接大きなものがない限りにおいては、今まで処分したものは少なくしていく。この程度のものを処分していく。この程度のものは処分はしない。この程度は同じだというものならばそれはやはり処分を少なくしていくという親心がなければ、いつまでたってもこういう問題は正面衝突であって、片っ方は徹底的にやるぞ、片っ方は徹底的にやるならやってみろ、これは人間だから気持はきまっていると思う。従って県教委のとったそういう——私は強いという言葉が必ずしも当たるかどうかはわかりませんが、処分を平均化することのため、上り以上出すのだというものの考え方については教育を担当する人の考え方にしては少し行き過ぎではないか、事を荒立て過ぎやしないか。できるだけ話し合いの中でものを解決していこうとするにはお互いが自主的に反省していこうとするよりほかに、私は処分を少なくして取り消すという態度の方がよかったと思うのですが、しかし現地の県教委の答弁は今申し上げましたようなことであって、これに対して大臣の感想が聞けるならば聞かしていただきたいと思います。
○荒木国務大臣 私の立場で何とも申し上げかねる事柄だと思います。教育委員会はみずからの持つ権限と責任に基づいて公平な、しかも公正な良心的な判断に基づいて責任を持ってやっていると思われますので、私の立場でかれこれ言うべきじゃない、そう信じたいと思っているだけでございます。
○門司委員 大臣の答弁としてはそういうことになろうかと思いますが、しかし大臣はどうですか。ここではそういう答弁をなされるのですが、日ごろ放言されるというと怒られるかもしれませんが、思い切ったことを言われる大臣が、こういうものについてもう少し思い切ったことは言えませんか。私の考え方では、少しそういうことは行き過ぎだと思う。できるだけ円満に処理すべきであるというような、やはりやわらかい態度が私は事教育に関する限りは必要だと思います。時間もございませんから、これ以上申し上げません。いずれまた次の機会に聞きたいと思います。 最後に聞いておきたいと思いますことは、検察庁と警察の関係でありますが、この事件については二人の自殺者は出しております。三人だといわれておりますが、一人は関係がないようであります。あとの二人は確かにこの問題に関係があるということには間違いがない。従って一つ三人の責任者から答弁をお聞きしたいと思うのでありますが、自殺者を出したということについてはわれわれも非常に遺憾に考えておりますが、取り調べに行き過ぎがあったのか、あるいは学力テスト自身に誤りがあったのか、さらに県教委と教育という一つの問題との間に問題があったのか、一人の先生は、調査書によって見ますと、神経衰弱のような形でなくなられておる。しかし実際はやはり学力テストをしなかった学校であって、多少精神的に、あるいは肉体的に弱っておったところもあったかもしれない。しかし原因になるのは何といっても学力テストの問題だと私は考える。印刷屋の諸君にいたしましても、聞くところによれば、単に教組の書類を印刷しておっただけでなくて、何かほかにも私的な行為もあったやに聞いておる。しかし私的な行為が直ちに自殺の原因ではなかったと私は思う。それほどのものではなかったと思う。従ってこの岩手県の問題について二人の自殺者を出したということは、私は非常に重大視しなければならない問題だと考えておりますが、これについておのおのの大臣からどういう御感想であるかということをこの機会に承っておきたいと思う。
○植木国務大臣 今回の岩手教組の事件に関連いたしまして、御指摘の自殺者が出たということは、その原因のいかんにかかわらず、私はまことに遺憾しごくだと考えております。うち一人の分につきましては検察当局が二回ばかり取り調べた事跡がございます。こうした問題につきましてわれわれも自殺事件の起こりますと同時に、詳細にその状況を調査を命じて報告を求めましたが、その結果によりますと、どうもわれわれの考えております判断では、取り調べが峻厳に過ぎたという、そういう事情ではなかったように承知をしておるのであります。さらにその詳細については御必要とあれば政府委員からお答えさせますが、私の報告を受けましたところでは、調べには特別なる自殺の原因となるような事情とは考えられない、かように存じております。 なお、もう一点ちょっとつけ加えさしていただきますが、先ほど警察権と検察権、さらに教育委員会それぞれの取り調べがてんでんばらばらだというお話がございましたように思いますが、少なくとも私ども検察権の発動につきましては、警察当局とも密接な連絡をこの事件についてもとっておりまして、なるほど警察の取り調べにならぬ人物を検察当局で調べた事跡もございますけれども、これらについては密接な連絡を取り合っておることをお答えいたしておきます。
○安井国務大臣 二人の自殺者が出られましたという関係はまことに遺憾なことだと私どもは考えております。ただ事件の内容につきましては、一人はこの事件とは関係のないように心得ております。もう一人なくなられました方につきましても、実態的には関係参考人としての呼び出しはいたしたが、本人がずっと前から病気をされておりまして、いろいろな事情で取り調べには至らずに、そのあとで入院された結果自殺をされたということを伺っておりますが、事柄自体は非常に遺憾でございますが、非常に過酷な取り調べだとか、その他行き過ぎがあったというようなことは全然ないように聞いております。
○荒木国務大臣 私も特に申し上げることはございませんが、命をなくしておられるという厳粛な事実に対しまして衷心から遺憾の意を表します。もっと全貌が私どもの責めに帰すべきことがあったかどうか、さらにわかりました暁においてはなおさらのこと、反省すべきはするという心がまえでなければならぬことをしみじみと思うだけでございます。
○門司委員 最後に文部大臣に心境を伺っておきたいと思いますが、今の御答弁では満足するわけには参りません。かりに今法務大臣と国家公安委員長のお話で、取り調べに過酷な点はなかった、自殺するような原因は思い当たらないといわれますと、事は非常に市大でございます。やはり学力テスト自身に無理があったのではないかということ、この点に対して文部大臣の今の答弁だけでさようでございますかというわけに参りません。ただ非常に遺憾であったということは通り一ぺんのあいさつであって、私は納得できない。しかしこの自殺の原因について文部大臣はどういうふうに調査をされたか、もし文部大臣がこれを調査されておる事実があるならば、それを一つ明らかにしていただきたい。
○荒木国務大臣 文部省の立場においては、警察ないしは検察当局で調べられる以上のことは調査はできないわけでございまして、一応の報告を受けておりますことは、両大臣からお話しになった程度を出ないわけでございます。そこで全国的な調査の結果は、御報告も、先ほど来申し上げました通りで御承知でありますが、九〇%近いものが一応平穏に行なわれたのが事実であります。特に岩手県に限って、成績だけからいけば悪かった、それが何だということは、他の全国的な原因とは違った原因があったからだと想像されます。そのことも、全貌はむろんまだ知り得ませんけれども、学力調査そのことはやり方——仕事量をもっと簡略にして効果あらしめるやり方、あるいは予算措置をもっと考えるとか、そういう面で反省をして改善するという意味では、考慮の必要があろうかとは思いますが、それを自殺者が出た——遺憾なことではございますが、それにのみ結びつけて、学力調査それ自体が死を導くがごとく、もしお考えの上での御質問だとしますれば、私はそうは思いません。学力調査のやり方はむろん改善はいたさねばなりませんけれども、それ自体にそういう大へんなことを引き起こすような欠陥が内在しておるというふうには考えておりませんことを申し上げます。
○門司委員 これでやめますけれども、意見だけ申し上げておきます。お三人の責任者の意見を聞いてみますと、自殺については、おのおのの立場から責任のないような御答弁だと思います。しかし、自殺をしたというのは事実であり、それが学力テストに因を発しておることも事実であります。従って、人一人、人二人の問題ではございません。人間の生命をみずから断つというその心情は、これはやはり為政者も反省する面があるのではなかろうか。警察当局が、行き過ぎがあったから自殺したとは言えません。あるいは法務省も、そうだと申すことはできません。文部省としても、今直ちに、われわれのやり方が少し過酷であったということは言われないかもしれない。しかし自殺者があったということは、私は、事教育に関する問題であるからこそこの問題が起こったと思う。ほかの事件にも、収賄事件なんかにときどき起こることもございますが、これは自己の責任からとか、自分たちの仲間の罪を隠蔽するためとか、その他の関係から出てくる問題だと思います。しかしこのたびの事件は、教育の問題である限りは、自分が自殺することによって事件を隠蔽するとか、あるいは他に累を及ぼさないようにするというような考え方で自殺をしたものじゃないと私は考える。やはり教育というものと自分たちの立場というものの板ばさみになって自殺されたものだと考えることが、私は正しいと思う。いわゆる学力テストと自分の立場の板ばさみになった自殺だと考えることが、私は正しいと思う。そうだとすれば、お互いに、特に文部大臣に反省をしてもらう必要があるのじゃないかと思う。この点について一向反省されてないような答弁でありますことは、私はきわめて遺憾に考えております。いずれ機会がありましたならば、われわれもこの問題についてもう少し掘り下げて検討をし、御質問を申し上げたいと思いますけれども、きょうは本会議が開かれますので、この程度で私の質問を打ち切ります。
○櫻内委員長 これにて本連合審査会を終了いたします。 午後三時十四分散会