文教委員会 第21号
- 発言数
- 69 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1962/04/25
会議録
○櫻内委員長 これより会議を開きます。 この際、連合審査会開会申し入れの件についてお諮りいたします。 ただいま地方行政委員会において審査中の地方公務員共済組合法案及び地方公務員共済組合法の長期給付に関する施行法案について、同委員会に連合審査会開会申し入れをいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○櫻内委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 なお、連合審査会開会の日時等につきましては、地方行政委員長と協議の上、公報をもってお知らせいたします。 ————◇—————
○櫻内委員長 学校教育に関する件及び国際文化交流に関する件について調査を進めます。 先般のアジア地域ユネスコ加盟国文部大臣会議について政府よりその概要を承りたいと存じます。天城調査局
○天城政府委員 去る四月の二口から十一日まで十日間、東京におきましてアジア地域のユネスコ加盟国文部大臣会議というのが開かれました。これはユネスコの主催の会議でございますが、後ほど申し上げますが、会議の目的からエカフェが共催に加わりまして、日本は招請国という立場でその主催者側の一員に加わって開催したのでございます。 参加いたしました国々はイランから束のアジアの日本を含めました十八カ国でございまして、出席者は文部大臣を首席代表として、さらに経済企画関係の担当官を加えて代表を構成するようにということが要請されました。実際に六カ国は文部大臣みずから出席いたしまして、そのほかの国はいろいろな政治的な事情がございまして出席できない国は文部次官がほとんど出席いたしました。 この会議の目的でございますけれども、しばしば新聞等でも報道されておりますように、カラチ・ブランの検討ということが会議の主たる目的に掲げられております。ところでカラチ・プランそのものにつきまして、会議の内容とも関係いたしますので、簡単に御説明いたしたいと思います。カラチ・プランと申しますのは、一九六〇年の一月にパキスタンのカラチで関係国の間で会議が持たれましてアジアの教育発展計画を定めた、その計画が通称カラチ・プランと言われておるものであります。その内容は一九六〇年から二十年以内に、一九八〇年を目標にいたしましてアジアの地域に最低七カ年の初等義務教育を実施しようというのが、一言で申しますとカラチ・プランの内容でございます。これの前提になります幾つかの基本的な調査がございますし、実態の上に立てられるわけでございますけれども、当時カラチ・プランを立てますときのアジアの教育の状況はきわめて義務教育の普及がおくれておりまして、約七億七千万の人口のうち八%、総人口の約八%が就学している。人数で六千万くらいでございます。これを二十年の間に総人口の二%まで引き上げていきたい。計画では二十年後の人口を約十二億と見込んでおりますので、二億三、四千万の学童が就学すべきものという目標を定めて、これを実現するための教員養成、学校施設の建築あるいは設備、教材の整備あるいは必要な行政制度の整備、行政官の養成等を含めまして、総額五百六十二億ドル必要だ、邦価に換算して約二十兆円の経費を要するということが推計として出されたのでございます。しかし経済状況が十分でないアジアの地域で、独力でこの計画を実現することがきわめて困難だということも当初から見込まれておりまして、これの実現にはユネスコ加盟のアジア地域以外の国々からも可能な限りの援助をして、ユネスコもまた国際機関として必要な援助協力をするということが予定されておったわけでございます。ところが一年間実施いたしまして、カラチ・プランを目標に各国が国内計画を定めて実現するわけでございますけれども、その国内計画を定める段階に至りましてカラチ・プランに幾つかの問題点が指摘されて参ってきております。それらの問題点を解明しようというのが東京会議の目的でございますし、カラチ・プランの再検討と言われたゆえんがあると思うのでございます。 東京会議で再検討されましたカラチ・プランの問題点というのは、大きく分けますと二つの点から分析することができるわけです。一つはカラチ・プランに取り上げられておる初等教育の発展ということだけではなくして、二十年の教育計画としては当然中等教育、高等教育その他教育の全分野を包含した総合教育計画でなければならないという考え方でございます。もちろんカラチ・プランにおきましても、総合教育計画のことを全然無視したわけではございませんけれども、文盲をなくし、国民の教育制度の基礎を確立するという意味で義務教育に重点を置いた案であったために中等、高等教育等についての具体的な考え方が初等教育ほど強く出ておらなかったわけでございますが、このたびこれを総合教育計画に包含するということが大きな検討の主眼として取り上げられたわけでございます。 それからもう一つは、現在アジアの各国がそれぞれの方法でもって社会経済の発展に努力をいたしておるわけでございますが、当然教育計画を実施する場合には、財源、資源その他の面で国内の開発計画と関連するところが非常に多くなってきております。のみならず経済発展計画を進めるために人的な面での隘路が非常に痛感されて参りまして、経済の発展のため、その観点から見ても教育計画が促進されなければならぬ。従って本質的に教育計画というものと、社会経済の発展計、画というものが関連づけられて、具体的な国内計画にならなければならぬという、要するに社会経済発展計画と教育計画との関連という観点からの意見が第二の大きな問題でございました。ただいま申し上げました二つの立場から、カラチ・プランをある意味では縦横に検討いたしたのがこの会議の目的でございますし、使命でございました。 ここでは大へん貴重な幾つかの意見が提出されまして、日本のように義務教育はすでに完成いたしております国にとりましても、今後の問題として参考になる点がたくさん出されました。それよりもさらにわれわれの留意しなければならない点は、この会議において日本の過去一世紀の教育発展というものが、東南アジアの国々の教育計画において非常に参考に供せられ、いろいろな面から事例研究の対象になったという点でございます。御存じのように明治五年に日本の新しい教育近代化が発足いたしまして、ことしでちょうど九十年になるわけでありますが、この間における日本の教育の発達と日本の国内経済の発展との関連ということがいろいろな面から取り上げられまして、何らかの参考になるという意味で検討が加えられたわけでございます。 この会議の中身についていろいろこまかい点はございますけれども、特に総合教育計画の関連、それから社会経済の発展と教育計画との関連で、二、三御報告申し上げておきたいことは、一つは、教育がややもすると消費であるという考え方が一般にとられておるのに対して、この会議では、教育は投資である。教育に投ぜられる経費というものは投資であるという考え方を強く打ち出した点でございます。これはこの会議だけではございませんで、最近欧米等におきましても、教育に対する考え方が非常に変わって参りまして、社会経済の発展との関連で教育費を投資と考える点が非常に強く出ておりますが、この会議においてもその考え方で教育を投資と考えるというふうなことがお互いに強く認識されたところでございます。 それからもう一つは、教育計画の目標といたしまして、どういうところに座標を置くか、いろいろな置き方があるわけでございますが、これも最近国際的な比較の方法として、国民所得における教育費の占める比率というのがその一つの目標として考えられ、今度の会議でも日本の国民所得における教育費の占める比率、それと一人当たりの国民所得の上昇率というものの相関関係が、日本の場合にはかなり並行した望ましい姿で発展してきているということが材料にされたわけでございますけれども、アジアの教育発展計画のためにも二十年後の目標として、国民所得における教育費の比率を四ないし五%の目標を置きたいということが、この会議でみんなで決定されたような次第でございまして、教育計画に対する一つのものの見方というものが、そういう点から取り上げられたわけでございます。 それからもう一つは、総合教育計画という場合に、初等、中等、高等教育の問題が当然出て参りますけれども、アジアの場合に文盲が、非常に成人文盲が多いということ、それから近代教育制度を発展させる社会的な地盤において幾つかの特有の問題がございまして、特に総合教育計画においては、初等、中等、高等教育のほかに成人教育を同じウエートで考えていきたい。この四つの教育目標が同時に取り上げられた問題でございます。 それと同時にいわゆる経費の面から一つの目標として、初等、中等、高等教育の経費がどういうバランスになるのがいいかということが一応議論されたのでございますが、これはもちろん絶対的な比率があるわけではございませんけれども、ヨーロッパあるいはアメリカ、日本、東南アジア等々の現実の姿がお互いに比較されまして、バランスのとれた総合計画というものが教育費の面から見たらどういう姿になっていくかということが取り上げられたのでございます。数字的に申し上げますと、ヨーロッパを平均してみた場合に、初等教育に投ぜられる経費が七〇%、中等教育が二〇%、高等教育が一〇%、七・二・一という割合であるのに対して、ソ連とアメリカではこれが六〇・二五・一五というような比率になっております。日本では六五・二〇・二五。それなのに東南アジアにおいては八五・一〇・五というような比率であることが指摘されまして、相対的に中等、高等教育の面での努力が非常におくれている。しかも初等教育の発展だけでも非常に大きな問題を将来かかえているときに、なお中等、高等教育をある程度バランスのとれた形で発展させることは非常に困難な問題であるということが数字の面からも指摘されたわけであります。 最初に申し上げましたように、この計画を実現いたしますためには、各国が可能な限りの努力をいたさなければならぬのでございますが、同時に、外部からの物心両面の援助が必要でございますので、この会議ではやはり外部援助の問題がかなり取り上げられておりました。それは財政の面、物的な面あるいは技術的な面、いろいろな面から討議が行なわれたのでございますけれども、各国が他の経済領域におきましても外部援助をいろいろ受けている段階でございますので、要するに国の総合計画を至急立てて国内における優先順位を確立して、しかる後に国内資源を活用した上で徐々にやるということを明らかにしなければ、ただ物が足りない、金が足りないといってもおいそれと援助ができるわけでもございませんので、国内でもっと、長期の計画の中の短期の具体的な計画を打ち立てる必要があるのじゃないかということで、三年後、一九六五年までの間に各国でもう少しコンクリートな案を作る。それに国内資源ででき得る範囲の問題、それから外部援助を受けなければできないものを明らかに定めて、それで外部援助の必要を国際的に明らかにしてお互いに考えようじゃないかということになったわけでございます。 同時に、ユネスコといたしましては、国際機関としてアジアの教育を発展させるために幾つかの技術援助計画を持っておりまして、すでにアジアの四カ国に地域的なセンターを置いて幾つかの訓練所を設置する。たとえば教員養成ですとか、学校建築ですとか、あるいは教育計画者あるいは行政官の訓練を行なうというような計画を実施いたしておりますし、将来さらにこれを発展させていくという意見が出たわけでございます。 ただいま申しましたように、一応二十年計画でございますけれども、三年後に再びかかる会議を開くということが取りきめられまして、それまでに各国は具体的な国内計画を立てるということがお互いに了解されたわけでございます。最終に、この会議の各国あるいは国際機関等に対する勧告を含めた東京声明というものをきめまして、その会議の趣旨に沿って各国はこれから計画を定めるという形でこの会議は終わったわけでございます。 この会議におきます日本の立場でございますけれども、もとよりカラチ・ブランの対象国では日本はないわけでございます。しかし、アジアの一員としてアジアの教育発展に貢献すべき立場に立たされているわけでございます。なかんずく、この会議の行なわれる少し前にやはり東京でエカフェの総会が持たれまして、東南アジアの経済開発に対して日本の立場がいろいろ議論されたわけでございますけれども、ある意味では共通の面もございまして、今後日本としてもアジアの一員として、また総体的にはアジアの諸国よりも恵まれた条件にありますので、これを地盤とし、また、過去百年の教育の発展の経験、成果をもとにして、可能な限りの援助をいたさなければならぬじゃないかということを感じた次第でございますし、日本の代表もそういう態度で終始この会議に臨んだわけでございます。 なお、参加いたしました各国の代表は、会議の余暇を持たれ、あるいは会議終了後も日本の教育施設、産業施設、文化施設をきわめて熱心に視察されまして、私たちも、可能な限り日本の実態を見ていただくという意味でその面のあっせんをいたしましたが、この面でも成功をおさめた、こう考えております。 いろいろ申し上げることはございますけれども、会議の構成から内容、結末を概略御説明いたしまして、御報告といたします。
○櫻内委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。臼井莊一君。
○臼井委員 ちょっと一、二お伺いしたいのですが、今度の会議は基本的な問題についての会議であったわけでしょう。この会議の中で、具体的な問題として、言葉でございますね。言葉とか文字とか、こういう問題について過去において論議されたことがあるかどうか。日本でも過去においてそうですが、おくれた東南アジアの文教方面をうんと急速に進めるという意味において、やはり日本も十分お手伝いをするとともに、欧米先進国の文化を取り入れるということが重要な問題だと思うのですが、その面になると、やはり言語と文字ということが非常に大きな問題だと思うのです。また、こういう会議をやる点において、共通語としてどういうものをお使いになったか。英語をお使いになったかと思うのですが、東南アジアはかつて英米の植民地であっただけに、英語がほとんど共通語とされていた。ところが、いわゆる民族主義でそういう面を排撃して、たとえばインドなどでも、ヒンズー語にこれを統一しようというような動きがあるようです。インドなどでは、英語とヒンズー語と、そのほか貨幣にさえ十の民族語で響いてあって、非常に複雑ですが、ビルマなどでも、自動車のナンバーまでアラビア数字を使わぬで、独得な何だか妙な文字を使っているくらいです。そうなると、文化を取り入れるのにむしろおくれていく方向にいきはせぬかと思うのです。日本に留学に来る方なども、どっちかというと、東南アジアの人でも華僑系統で漢字を習った人は日本に来る。ところが英語の方に堪能な人は、英米の方に留学してしまうというような傾向にあると思うのですが、そこでこの問題について何か論議があったかどうですか、その点をちょっとお伺いしたいと思います。
○天城政府委員 臼井先生御指摘のように、東南アジアの教育計画を進める上で幾つかの特殊問題がございますが、その中で言語の問題があることは御指摘の通りでございますし、この会議でも言語の問題が取り上げられました。一つは自分の国一国において近代教育制度を確立する場合に、複数の言葉があることは非常な妨げになる。特にマラヤ、シンガポールあたりからは、シナ語、英語、マラヤ語、それから南部インド語が公用語になっておって、それぞれ教育制度もその言葉に従って分かれておる。何とかして国語を確立しなければならぬということが、教育制度を確立する基本問題だということを非常に強く叫ばれておりました。実はこの東京会議の前にニューデリーで準備会がありまして、そのときにもやはり言語の問題が非常に取り上げられまして、御指摘のように、みな英語、フランス語を従来やっておりましたが、国語を確立するという必要がある、国語を確立すればますます国際語から遠ざかっていくという問題がありますから、国語を確立すると同時に国際語を一つやろう、その国際語は英語かフランス語かスペイン語か、いろいろ議論があったのでございますけれども、とにかく国語を確立して、国際語を第二語としてやっていくという方針を確立したいということが、ことに準備会で議論されまして、今度の会議にもそれが引き続いて出て参っております。最終的な結論として、この会議において何語をどうするかというところまでは参りませんでしたけれども、近代教育制度を確立する上にたくさんある問題の一つとして、言語問題が非常に強く取り上げられましたことは御指摘の通りでございます。
○臼井委員 やはり当然の問題が取り上げられたということはうなづかれるのであります。これらの点については、やはり日本でも国語研究所もありますが、そのほか文部省内にも審議会がある、こういうことで日本語を手本にするというと、やはり日本字は漢字さえあって、そうしてこれだけ発達したというので、よけいに民族的な言葉の方に統一されるということになる。今お話のように、ベトナムではフランス語、それからまたフィリピンとかインドとかインドネシアは英語とか、あるいは中国語またその土地の言葉、スペイン語があるというように非常に混乱していて、英語でも昔からあちらの方の言葉はいろいろなのが交っているので、ピジョン・イングリッシュということが言われているくらい混乱しているようですが、これらの点について、やはり日本でも相当用意して指導していくというようなことが必要だろう、こう思いますので、ちょっと今思いついたまま質問したわけですが、私の質問はこれで終わります。
○天城政府委員 先生の御質問にございました日本語の問題が、アジアの中で非常に特殊な立場にあるわけでございまして、特に東南アジアの非常に複雑な言語を持っている国から日本に留学生がかなり来ております。また今日日本が技術援助をいたします場合にもどういう言葉を使ってやるかということが大きな問題として出てきているわけであります。特に東南アジアからの留学生が非常に多い状況でありますので、日本で勉強するには、日本語で勉強してもらわなければならないので、これらの留学生に日本語を必須として課程しているわけでありますが、日本字の書き方がいろいろ問題でございまして、私たち今千葉と東京外大に留学生課程を置いておりますが、関係の教授の方々と一緒になりまして、また日本の国語学者あるいは特に英語と国語の関係でやっておられる方等を集めまして、留学生課程に、非常に限られた形でございますけれども、日本語教育の方法論につきまして検討いたしておりますと同時に、御指摘のように、漢字を知っている人もかなり日本に来るわけでございまして、また最近はシンガポールのように、日本への留学生に、現地で日本語の教育を非常に熱心にやっている状況でございますから、日本語の教育のためにはもっと積極的な方法を考えなければならぬのではないかと考えているわけであります。 それからもう一つ、英語の問題、今度の会議では英語とフランス語が公用語でございますけれども、日本が積極的に援助に出ていく場合に、どうしても語学問題が出て参りますので、これは英語になるかフランス語になるか、現在の段階では国語の条件が違っておりますけれども、行く人たちが少なくとも日本語以外の言葉でこれをやらなければならない、しかしできれば現地の言葉でやった方が非常に望ましいわけでございまして、現にこの会議の前後を通じてそういうことの要請もございますから、それらの点につきまして、率直に申して非常に優秀な適当な人がおりましても、言葉の問題で出せないということでございますので、その点をその次の問題として、日本自身の問題として考えなければならぬと考えております。
○櫻内委員長 山中吾郎君。
○山中(吾)委員 今調査局長から報告を受けたわけでございますが、ちょうど大臣もおられるので、一言だけお聞きしたい。 昨年七月、われわれがヨーロッパに教育制度の視察に行ったときに、スエーデンの大使で松井さんでしたか、ユネスコ関係の文教についての、アジアにおける教育について、義務教育の教科書の印刷とかそういうふうなものについて、ある地域においては、非常に不十分な状況にあるので、向こうの教科書の印刷その他は、日本においてこれを教育してやるというふうなことが切実な問題になっているが、どうも日本の文部省というものはユネスコより不熱心である、何らそういうアジア全体の後進地域に対して、教育文化的に協力するというふうな意図がないので、これはぜひ文部大臣に関心を深めるように進言をしてもらいたいというような話も聞いてきたのでありますが、今度のアジア会議の結果、具体的に日本として教育するというふうな何か法案をお立てになるのか、あるいはそういうふうなことも部内に論議されているかを一つお聞きしておきたい。
○天城政府委員 最初に私から会議での様子を御報告申し上げたいと思います。 先ほど申し上げましたように、アジアの地域の教育をいたします場合に、非常にいろいろなものが足りない、その中で、御指摘の教科書問題が出たわけでございます。教科書が十分でないという理由には、印刷の用紙が足りない、印刷技術が足りない。もちろん印刷機械も十分なものがない。それからもう一つ、教科書の中身になりますカリキュラムの問題の研究が不十分であるというようなことが、教科書をめぐっての問題として取り上げられたわけであります。現に東南アジアの国々の場合には、外部からパルプの供給を受けたり、あるいは経済援助、技術援助の形で教科書の印刷機の援助を受けている国もございます。日本は印刷技術につきましてはかなり進んでいるわけでございまして、日本に対する期待もございますが、ただ、この問題につきましては、各国も、先ほど申し上げましたように、国の発展計画の上から見て、外部援助の優先順位というものもそれぞれあるようでございますし、押しかけ的に日本がこれをやることももちろん慎まなければならないことでありますので、先ほど申したように、各国が具体的な教育計画をもう一ぺん毎検討して、どの面が足りないかこれは教科書も足りないと言っておりますが、学校建築の方の資材が足りないと言っているところもございますし、あるいは学童の着物の方が必要だと言っているところもございます。あるいは国によって視聴覚教材を強く要望しているところもございまして、それらの点はなお具体的な計画とその要望に応じて考えていかなければならぬのではないかと考えております。ただ教科書を印刷すると申しましても、国の言葉が違いますし、文字が違いますものですから、日本として活字等の問題が出てさましたり、それから特に教育内容のカリキュラムがどう決定されるかということが前提でございますので、抽象的には日本がかなり援助できる立場は考えられますけれども、具体的な問題になりますと、なおそういう要望のある国との二国間の話し合いを十分進めませんと、にわかにはできかねるいろいろな条件があると考えておりますが、今申し上げましたように、今後要望のありましたことにつきましては十分努力していきたい、こう考えております。
○山中(吾)委員 ちょうど幸い大臣が来られたので、御意見と希望を申し上げたいのですが、タイの特別円問題でもああいう大きい問題になって、われわれは反対したが、一応通過していることになるのですけれども、あの賠償の使途が常に軍事的援助になるということが与党、野党の論議になっておる。こういうときにこそ、西南地域の義務教育が普及されるために、こういう日本が賠償する場合の使途の中に若干でも条件をつけるようなことを日本の文部大臣が国務大臣として主張される、こういうことが一番適切な方法であると私は思うのです。数百年のヨーロッパの植民政策でアジア民族に残されたものは無知と貧乏だけなんです。その無知を解放してやるということがアジア的立場に立った非常に謙虚な意味における協力態勢で、池田首相のような大国意識とか、そういうふうな気ばったものでなくて、アメリカに対する劣等感を裏返して西南アジアに優越感を感ずるような、そういう日本的な弊害だけを持った外交をすべきでない。そういうふうな意味において、こういうアジア文相会議が行なわれるような雰囲気は非常にけっこうだし、こういう機会に文教行政の立場から、その使途について、西南アジアの義務教育を普及させるためにするという条件ぐらいをつけて、そして何十年かの後にほんとうに日本が喜ばれるような、そういうことを日本の政治家は考えるべきではないか。その中に、日本の国際的な、アジア的な立場で進む道があると一人で考えておるわけです。私は個人として、タイ問題でも、あれは全部あの地域の義務教育施設に使うというなら賛成したい、そういうような気分を持つのですが、高次の政治的配慮という池田総理の言葉が軍事的援助に結びつく、そういう疑問を持たれるから、そういう論議があるので、真に文化教育関係に使うなら——しかも、日本の明治維新から数十年も飛躍したことは、義務教育の普及からきておる。ほんとうに明治時代から現在に至るまでを分析すると、発展の条件は義務教育の普及にあった。七、八〇%無学文盲の西南アジア民族を救うのは、それらの国に発電施設を二つ三つ作ることにより義務教育を普及してやって、日本と同じように九〇%も文字を読むことができる民族にしてやるということが、アジアの発展だと私は確信しておるのですが、そういう識見を荒木文部大臣が持って、賠償問題が閣議に出て、国民の血税をこういうものに使う場合には、そういう高い識見を持って、身を挺して主張されるというくらいの気概をお持ちになるべきだと思う。幸いアジア文相会議のことが出ておるようなときでありますから、これらの問題で、賠償に準ずるような、いわゆる日本の血税を西南アジアに支払う場合については、責任を持っておやりになる、そういう文部大臣でなければ、私はアジアにおける一つの使命感を持っておる日本の文教行政の資格はないというような思い詰めた感じまで持つのでありまして、ちょうどいい機会で、アジア文相会議の報告があったので、その点を希望を含んで文部大臣の御意見を聞いておきたい、日本の内閣がだれになろうが、そういう方向に指向するような、あるいは政党人としても現代の文相としてあとに新しい伝統を残す意味においては、私はそういう方向に識見を固めていただきたいと思うので、御意見をお聞きしておきたいと思います。
○荒木国務大臣 賠償にしろ、特別円にしろ、タイ側が債権者として日本から給付を受ける、受けたものを何に使うか、タイの自由であって、それに条件をつけて、ひもつきでかれこれ言うことを強力にやればやるほど、内政干渉的なものであってやるべきでない、その点は私はそう思います。しかし、アジア文部大臣会議を通じまして、私なりに感じましたことは、おしなべていえば、ちょうど日本の明治初年の姿であると感じ取りました。その点では日本は優越しておると優越感も感じました。優越感を感じたということは、いばるという意味じゃなしに、教育界の日本の先達たちの近代教育を実施し、普及する意欲、努力、先見の明が今日まで積み重なったおかげでかくあるんだという認識の上に立って喜びを感ずる、感謝する気持であります。その日本のありさまを直接見聞しましたそれらの地域の文部大臣諸公が、欧米の教育の諸条件を直接輸入する、あるいは見習うよりも、それらをひっくるめて日本が消化して、九十年の歩みを歩んできた、その足跡に顧みて、得るところが非常に多かろうと感じた、そういう様子でありますから、そういう立場からのこれらの諸地域の申し出に応じまして、できるだけの協力をするということを人道主義的に感じるのであります。さらにまた、これらの地域が教育面でだんだんと近代国家に育っていくにつれて、経済的に見ましても日本の貿易市場の拡大、充実という打算的な面からいっても、いわば教育投資的な効果は十分にあるであろう、それがむろん第一義ではございませんけれども、初め申し上げました考えに立って、協力していくことは必要である、かように考えます。
○櫻内委員長 野原覺君。
○野原(覺)委員 二、三の問題についてお尋ねしたいと思うのですが、まず最初に、調査局長からアジア文相会議の報告がございましたから、一、二点文部大臣にお尋ねをしたいと思うのであります。 率直に言って、人工衛星の時代です。それに八%しか字が読めない。科学技術どころじゃないのです。字の読めるのが八%だ。こういうことになったのは、いろいろな原因があろうと思うのです。これは原因は一つや、二つや、三つやじゃないと思う。しかし端的にいって何が一番大きい原因だと日本の文部大臣として考えておられますか、承っておきたい。
○荒木国務大臣 よくわかりません。わかりませんが、きわめて乏しい私の直観的な認識を申し上げることを許していただけば、それぞれの地域の民族の将来に対する発展性についての認識の欠如、努力不足、そういうことが根源だろうと思います。
○野原(覺)委員 そういうことになったのはなぜかということです。たとえば風土的なものもあるし、宗教的なものあるいは言語が多種多様であるとか、封建的であるとか、いろいろありますけれども、今日アジアの、東京に集まりましたあの国の大部分というものは、おとなの知識のレベルというものが、学問とは金を食うものなり、こんなことをしてはいかぬのだというような非常に卑近な考え方を持っておる。そういう考えを持つということ自体が、すでにもう今日の世界の水準から一歩も二歩もはるかにおくれておるわけです。そういう考えを持つに至ったのはどこに原因があるのかということです。あなたはわからぬということですから聞きませんが、私はこれはやはり欧米各国の長年の帝国主義的な支配、植民地支配、これが原因だと思うのです。だから今日独立をして、そうして何とか教育を盛んにしなければならぬというので、ユネスコも動き、それからエカフェも動いて、東京ではああいう会合が持たれたわけであります。しかも日本の総理大臣は、新聞の報ずるところによると、アジアの教育復興なくして日本の繁栄なし、なかなかいいことを言われた。臼井さんの質問に対する調査局長の答弁を聞いておりますと、どうも池田総理のこの演説とほど遠いものがあると私は思う。要請があれば考えましょう。要請があればこういうことは二国間で考えましょうとか、あるいは山中委員の質問で、どうなんだと文部大臣の積極的な意向を促すのに対して、何だか水をぶっかけるようなことなんだ。私は、こういうような会合に出ていって総理大臣や文部大臣が大みえを切って——なるほどそれは外交上必要かもしれません。しかしながら、ほんとうにアジアの教育を復興しなければならぬというならば、やはりできるだけ積極的な考えで臨まなくてはいかぬと思うのです。これはあるのだろうと思う、アジアの教育復興なくして日本の繁栄なし、こういうのでございますから。しかもあの閉会まぎわにおける日本側のいろいろな談話とか、それから開会中における文部大臣のお話等、私ども新聞で読みましたが、これはできるだけ積極的に、やはりアジアの教育復興をはかるのだという気がまえが日本にあるだろうと思うのです。その当面の責任者は文部大臣だ、これは言うまでもないと思います。一つ具体的な構想があればお聞かせ願いたいと思います。ただ向こうから言うてきたら相談をしましょう、話をしましょう。これでは何にも積極的な役割を果たす意気込みはないと思うのです。会合で演説するだけが能ではないと私は思う。あるのでしょう。これは一つお聞かせ願いたいと思います。
○荒木国務大臣 協力せねばならない気持をより積極的に培養されたような気がいたします。さりとて、求めがないのに乗り込んでいってどうだということは慎むべきだと思います。一種の植民政策的な気持の現われと誤解されるおそれを感ずるのであります。あくまでも向こう様と相談をし、向こうの求めに応じ、日本のできることをそれこそ積極的に協力するにやぶさかでない、そういう心がまえで臨むべきものと心得ます。たとえばセイロンの文部大臣やらラオスの文部大臣等会議のあとでわざわざ見えまして、いずれ具体的なことは文書で協力を頼みたいと思うということまでも言い置いて帰りました。求めがないのに乗り込んでいくということは、要らぬおせっかいだと思われる弊害の方が大きかろう。あくまでもいわば対等の気持で日本がなし得ることを好意的に善意を持って協力するにやぶさかでない、こういう心がまえでいきたいと思います。
○野原(覺)委員 私はこれは向こうに乗り込んでいってやれというような、そんなばかなことを言っておるのではないのです。求めがあればそれはやるべきでありましょうし、そうしなくちゃいかぬ。その心がまえについて私は問題にしておるのです。たとえば留学生の問題もあると思うのです。今各国が困っておるのは教師です。八%を二〇%に二カ年計画でやるのだ、莫大な人口をどうして教育するかという教師です。これは寺小屋式の個人教育じゃ間に合いません。だからどうしても大量の者を一党に集めるところの校舎というものも必要なんです。そういうことにやはり先進国だとあなたは非常に優越感を感じられたそうですけれども、感ずるだけじゃだめなんですよ。やはり教師養成についてはサゼスチョンをして、日本に引き受けるだけの具体的なかまえの仕方というものが私はなければならぬと思います。一々求めがあってその上で相談をいたしましょう。——一体何のために東京で文相会議を開いて大みえを切るのですか。私はそういうことじゃいかぬと思う。そのことを言っておるのです。しかしあなたがどうもこの点は慎重にかまえて御答弁を渋っていらっしゃいますから、これ以上承りません。そういうかまえ方というものは、私はあの会議の開かれたときのあなた方の言動とおよそほど遠いものを感じてまことに遺憾にたえないということだけ申し上げておきます。 次にお尋ねしたいことは、大学卒だけではございませんが、就職採用試験の問題です。これは新聞にも載りました。就職採用試験を今度は日経連は文部省が何と言おうとも野放しにするのだ、こう言っておるようですが、これに対して文部省は対策がございますか、承りたいと思います。
○荒木国務大臣 野放しにはさせないつもりでおります。具体的には政府委員からお答え申し上げます。
○笠木説明員 ただいまのお尋ねでございますが、大学の問題につきまして日経連といたしましては先般会議をいたしました結果、一応三十七年度分につきましては特に申し合わせはしないということになったようでございます。それで従来大学関係につきましての就職採用選考時期の問題につきましては、大体大学側では大学といたしまして自主的な申し合わせをいたしまして、それからいわゆる産業界側では日経連あたりが中心になられまして、産業界としても申し合わせをされる。それがほぼ共通の内容で取りきめられているというのが従来の形態でございました。それでこの問題につきましては、問題の性質上そういう形で双方の自主的な申し合わせが一致するということで運用されるのが一番望ましい形であろう、それ以外の方法も考えられませんので、そういう形で参ったわけでございますが、本年度の問題につきましては、先ほど申しましたように、産業界側では特に申し合わせをしないという結果になっておるわけであります。ただお話を承っておりますところによりますと、大学側の方で従来通りの自主的な申し合わせが行なわれました場合には、これに対して協力するという形にはなるようであります。大学側の申し合わせにつきましてはまだ最終確定いたしておりません。しかし近日のうちに大体の方向が出る予定と聞いておりますので、その大学側の申し合わせが固まりましたならば、それに基づきまして文部省といたしましては、これを関係筋に流しまして協力をお願いする、こういう段取りになるかと思っております。 大体以上のような状況でございます。
○野原(覺)委員 大学と高等学校と中学とあろうと思うのです。それで去年は大学は十月一日、高校は十一月一日、中学は一月一日、こういうことで昭和二十七年からやられたことも私どもは知っておる。ところが四月十八日の日経連の会合で前田専務理事が言っておることは、守れなかったと言うのです。昭和二十七年からやってきたけれども守れない、守れぬようなものをやれと言ったってしょうがないから今後は野放しだ、こう日経連は言っておるわけです。守れないというのはどこに原因があるのですか。そういう申し合わせを去年までやってきたのに守れなかった、実はどんどんくずれていくのだ、これはどうしたらくずれなくなりますか。そういう方面の対策を考えなければ、文部大臣のように、いや日経連が何と言おうとやるのですと言ったって、こんなことでは私は全く何にもならないと思うのです。だから幾ら申し合わせをしてでもくずれる、その原因は一体どこにあると文部省は考えておられますか、承っておきたいと思います。
○笠木説明員 原因につきましては単一な原因だけではなくて、いろいろなものが複合していると考えるわけでございますが、一番おもなものとして大学関係で考えられますことは、やはり企業における人材の要求が非常に多い。これが必ずしも供給の方と需要者側との態勢が一致しないために、部分的には非常に人材が払底するというために、自然企業側としてはできるだけ優秀な人間をできるだけ早く確保したい、こういう考え方があるために競争が、激しくなる。従って次第に集める時期が早まりまして、結果的には申し合わせを裏切るような事態が招来されている、こういうことじゃないかと思っております。
○野原(覺)委員 つまりこの守れないということは、単に企業経営者だけが申し合わせを破るのではない、学校側もそれに応じているのではないか、あなたの方が監督しなければならぬ大学の方もくずれていっているのではないかと思いますが、そういう事実は去年はございませんでしたか、お伺いいたします。
○笠木説明員 そういう事態は一部にはあると思っております。昨年の十一月末日に文部省の方で調査をいたしました結果によりますと、確かに従来十月以降に就職の決定が行なわれておりましたものが次第に早まって、九月以前に決定するという例が多くなってきつつある、こういう事態は見られるようでございます。ただこの問題につきましては特に強制的に需給関係を調整するというような権限はございませんので、結局大学側と産業界との良識のある自主的な一致した線ということで自然的に規制されていく、こういう事態にならざるを得ないというふうに考えております。
○野原(覺)委員 これは文部大臣、よく聞いていただきたいのですが、くずれますと正直者がばかを見るのです。経営者はばかばかしくてしょうがないです。申し合わせを良心的に守っておると、もう自分がえらい損をする、だから何くそ、こうくる。やはり営利追求の会社でございますから、自分に都合のいい人間をとりたいんです。問題は応ずる側の学校がやはり毅然としなくちゃならぬ。その学校を監督しなければならぬ文部省がふらふらしておるのじゃないか。大学に対して高校に対して中学に対し教育委員会に対してうんとにらみをきかせて、いかなることがあっても応じてはならないというくらいの決意を持ってこの問題はやってもらわなければならぬと思うのです。六月から採用試験があったらどうなる、卒業年次の学校教育というものはめちゃくちゃです。大きく言えば日本の産業全体のマイナスです。一番最終学年の最も充実しなければならぬ教育が、就職試験が六月、あとは野放し、こういうことでてんやわんやということになれば、大学四年の教育は大学三年の教育になる、高等学校は二年の教育になる。こういう点を考えますと、私はこの問題は文部行政として意を用いて努力してもらわなければならぬ点じゃないかと思うのですが、これを文部大臣として、あなたの権限として、こういうむちゃくちゃなことは文部省は断じて行なわないだけの決意があるのかないのか、去年までのようなやり方では対策になりませんから申し上げておきますけれども、それならばもう前田専務理事じゃありませんが、そんなものはもうやめてしまえ、こういうことになりかねないのですが、大臣の決意を承っておきたいと思います。
○荒木国務大臣 大学に関します限り、それぞれ今の御指摘の問題は自主的に処置する課題だと思います。それに対しまして文部省は行政指導をするという立場にあると理解します。そのやり方以上のことを今やろうは思っておりません。繰り返し同じことではございましょうが、大学本来の教育目的、研究目的というものを阻害されないようにという立場から、権威を持ってこの問題に対処してほしいという趣旨を、繰り返してでも十分に警告し、指導したいと思います。またこれを求める側に対しましても、日経連その他にも適切な申し入れも行ないたいと思います。それで年々繰り返してもどうしてもてきませんければ、大学の自治能力がないということになるわけですから、その意味においては将来は考えねばならぬことがあるかもしれませんが、そうなしたくないという立場において、今申しましたようなやり方で善処をいたしたいと思っております。
○野原(覺)委員 角をためて牛を殺さぬように、その点は一つ御配慮を願いたいと思うのです。つい熱意のあまり自治能力がないのだ、今度はおれがみんなやる、そこまでいくとこれは飛躍します。そういうことはよもや考えてなかろうと思うのですけれども、とにかくいずれにしてももう少し権威ある監督をやって下さい。行政指導といっても一片の通牒ではだめです。やはり権威ある行政指導をやってもらいたい。大学の自治とこのことは別問題です。そのことを申し上げておきたいと思います。 最後に、これは実はきょうの質問の主題でございますが、高等学校生徒の急増対策についてお尋ねしておきたいと思うのです。これは衆参の文教委員会、予算委員会等で問題を指摘したのでございますが、その後の経緯を見てみますと、私どもはどうもやはり納得できない。私どもがかねて警告しておりましたように非常な問題点が次から次と出てきておるわけでございます。 そこでまず最初にお尋ねしたいことは、一体高等学校生徒の急増対策の政府の方針というものが最終的にどうなっておるのか。これは十三億の国家予算、五千億の起債、九十一億の地方交付税、このくらいは私どもは知っております。このくらいは知っておりますけれども、これだけを寄せた百五十四億が昭和三十七年度予算だ。ところがこの百五十四億の予算を具体的にどう対策に振り向けていくのかという、政府の最終方針ですね。文部省から一番最初に出たのが高校生徒急増対策、ここにございますが、このあなたの方から出たものがいつの間にかすりかえられてしまっておる。これにはもちろん予算も若干は書いておりますけれども、三十七年度の予算は触れていなかった。文部省から最初に出たものによりますと、ふえるのが百二十三万人、三十八、三十九、四十年にかけて、公立八十万、私立四十三万、公立の八十万は二十三万が新設校舎、それから三十四万が増築、そうして残りの二十三万はすし詰ということであったと思うのであります。ところが一体文教委員会のどこでだれにこういうこと一を諮ったのか知りません。これは文部行政でできることであるということだろうと思うのでありますが、これは文教委員会で問題になったのかどうか、私はその後あまり出ていないからよくわからぬのでありますけれども、具体的にそれでは百二十三万のふえるものをどう一本消化していくのか、公立では新設校舎は何戸建てるのか、増築校舎何学級、何万か、そうしてすし詰めばどれだけのすし詰めをすれば一学級の人員はどれだけふえるのか、公立の点だけでもけっこうです。これは最終的なものをお示し願いたい。
○福田(繁)政府委員 高等学校の生徒急増の問題でございますが、この問題につきましては私どもの一応の計画としまして、御承知のように三十五年度の高校進学率を三十八年度においても維持する、こういう建前で臨んでいるわけでございます。従って三十八年度に大体進学率六〇%〜抑えまして、これを三十九年、四十年まで若干ずつ進学率を上げまして、三十九年で六一%、四十年で六三%といたしますと、先ほど御指摘になりましたように、大体百二土二万人の生徒増がある、こういう計算でございますが、その中で公立八十万人、私立四十三万人という一応の振り分けをいたしました。その収容対策でございますが、公立八十万人の収容としては、現在の施設をできる限り利用いたしまして、これを収容するという考え方も基礎にあるわけでございます。 〔委員長退席、八木(徹)委員長代理着席〕 学級の定員増によるものが大体十五万人、それから現有施設を利用して学級増をはかっていきたい、こういうもの約五万人、合計いたしますと約二十万人、そのほか学校の新設分といたしまして、四十五年度以降に生徒数が大体平年度化する場合を想定しまして、その平年度化した場合の生徒数を考えますと、大体全日制の入学者におきまして七十万人と考えられるわけであります。従いまして三十五年度の全日制入学者を大体六十二万人といたしますと、その差は約八万人でございますが、それに工業の恒久的な学科増もございますので、それを差し引きますと、大体六万人でございます。従いまして、これを大体三年間に考えますと、十八万になるわけでございます。それに今申しましたような学級定員の増ということを若干考えますと、二十万というのが恒久的に新設の学校に収容すべき数であろう、こういうように考えておるわけでございます。学校新設による二十万人、そのほかになお現有施設の利用による収容増、先ほど申しました以外の生徒を収容するための施設を増設しなければならない、そういうものを大体四十万人程度考えておるわけでございます。そういたしますと、公立で大体八十万人は収容できる、こういうような計算をいたしております。 私立学校につきましてこの大体四十三万人も、公立に準じて収容を考えておるわけでございまして、新設校につきましては大体四万人、現有施設の利用によりまして大体十三万人、それから校舎の増築等をいたしまして収容増をはかる分が大体二十六万人分、こういうことで合計いたしますと四十三万人というような数になると思います。以上の計画は大体各都道府県なり、あるいは私立学校におきましては私立学校の関係におきまして一応全体計画を立てまして見積もりをいたしました数字を積み上げて参りますと、大体こういう数字になるわけでございます。そういう点から考えまして収容対策としては以上申し上げたような生徒収容対策というものを予定しておるわけでございます。
○野原(覺)委員 公立も私立も私は非常に問題があると思うのです。実は一つ一つこれは大事な点ですから、時間をかけてせんさくしていかなければ、大事な高等学校生徒の収容はできませんよ。文部大臣は予算委員会で私が質問したときに、いやこれでいけるとこう言っておりましたけれども、いけない実態が出てきたのです。これはこれからぼつぼつ申し上げます。 まずお聞きしたいことは、私学に例をとってお尋ねをいたしましょう。これは管理局の所管でございましょう。私学は新設校に収容するものが四万だった。四万を新設校でということになれば、学校は何校ですか。現実にその何校という私立の高等学校はどこに建っておるのですか。これを御答弁願いたい。
○杉江政府委員 一校千人として計算すれば四十校になります。
○野原(覺)委員 その四十校は建っていますか。これは来年四月から入るのですね。四十校がどこに建っておるのですか、それをお示し願いたい。あたの方は計画して紙の上に書いて、ほったらかしじゃないはずです。毎年四月から四十三万私学に持っていったでしょう。私はこの四十三万というのが実は無理があると思う。私は実に無責任きわまると思う。公立にすると国の金を持ち出さなければならないからという文部省の弱腰ですよ。政治的に無力であるからこういうことにした。私学に四十三万持っていって、あなたは四十校と言いますけれども、どこに建っておりますか。東京に何校、大阪に何校建っていますか、説明してもらいたい。
○杉江政府委員 私学についてはまだ高校急増対策の詳細な資料はつかんでございません。
○野原(覺)委員 文部大臣お聞きの通りですよ。どうするんですか。いまだに高校急増の資料を持っておりません。四十三万当てつけて、百二十三万自体が実に問題だ、百二十三万じゃない。これは私どもの数字を控え目に抑えてもこれから二十万ないし三十万増に抑えないととてもじゃないですよ。それでも中学浪人が若干出るんですよ。百二十三万と押えて私学に四十三万持っていって、そうしていまだにどこに建つかわかりません、これで文部行政が立ちますか。文部大臣、これで来年四月からこの四万の子供はどうなるのですか。ほったらかしでしょう。文部大臣の御答弁を願いたい。
○荒木国務大臣 もともと四十三万人を私学系統で引き受けてもらうということにつきましては、私学側の希望意見等を徴して四十三万と押しつけたのであります。私学側はもっと収容したい気持はあったのですけれども、実行上の難点等も想像されますので、四十三万人と押しつけております。前向きに三十八年度を期して寄り寄りそれぞれ私学で考えられつつあると思いますが、年度発足間もないときでございますから、実際問題として今政府委員が申し上げましたように、まだつかむことが不可能な状態であろうと思うのであります。今後文部省としても、その推移を私学のみならず公立につきましても関心を持って把握しながら、必要に応じて適切な行政指導等もやるべきものと思っております。
○野原(覺)委員 先ほどの初中局長の答弁では、私学は新設四万それから増設が二十六万、すし詰めが十三万ということですが、四十校は建っておりません。それから学級も一体五千学級——これは二十六万を何学級か知りませんが、当初の文部省の計画を見てみますと、五千学級ということであった。これはその後変更しておるかどうか私は知りません。しかしながらこれだって一体どこまであなた方が私学に目をつけておりますか。うっかりすると四十三万すし詰めになるじゃありませんか。公立は八十万しかこの増員が収容できないといえば、百二十三万の残り四十三万は私学に行く以外に方法はない。私学の方は、昭和四十一年からだんだん子供が減っていくが、教室は建てられていっておりますか。私は私学の経営者に会ったのです。教室を建てて、校舎を建てて、減ったときに一体国が責任を持ってくれますか。わずかに二、三年のことでしょう、だから建てませんよ。ところがあなた方の計画では、こういって国会に対しては四万、四十校です。二十六万、何千学級です、こういっておきながら、その実は四十三万すし詰めに持っていかれる、このことをほうっておくのですか。文部大臣、あなたは来年と言いますけれども、ことしできないものが来年どうしてできますか。来年四月が問題ですよ。一番ふえるのです。昭和三十七年に建たぬものが、三十八年に建つわけはないじゃないですか。どうなさいますか。今のようないいかげんな答弁では私は困るのです。高校急増は自民党の中でも問題にしたはずだ。こんなことで文部行政が立ちますか。一体どうするのですか。もっと責任ある答弁をして下さいよ。国民は問題にしているのです。承りたい。
○荒木国務大臣 責任のある立場で、責任を持ってお答え申しまして以上の通りでございます。現実問題として具体的にどこにどうだということを申し上げる資料がないのは残念ですけれども、実際問題としてどうにもならない時期であろうと思います。先ほど申しました通りの気持で、今後に対して善処したいと思います。
○野原(覺)委員 実に無責任きわまりないと私は思うのです。この高校生徒急増対策は、今度の自民党池田内閣の三十七年度の最も大きな仕事であったはずだ。それが八十万、四十三万、そして四十三万は現実にはすし詰め、私は断言いたしますよ。あなたの方が私学に対して何も強力な監督行政をやっておりません。こういうことで高校生徒急増対策が何ができておりますか。公立についても、言えるのです。私はこれからその公立の問題に若干触れていきたいと思う。 この政府の資料によりますと、七十九万九千百九十一名、約八十万人になる、こうしているわけですね。それで問題は四十年、つまり三十八年、三十九年、四十年とこう生徒の数がふえていく、この四十年の生徒の数と三十五年の高校生徒の数、この差によって八十万、四十三万というのを割り出したのだろうと思いますが、間違いございませんか、初中局長。
○福田(繁)政府委員 もちろんそういうことになるわけでございまして、三十五年の高校入学者数が公私立合わせまして百六万人でございます。三十八年がそれに対しまして、四十四万ばかりふえる、百五十万、三十九年、四十年も大体それと同じでございますので、その三年間を合計いたしますと、そういうことになるわけでございます。
○野原(覺)委員 四十年と三十五年の開きですね、百二十三万には間違いありませんか。四十年の高校の生徒の総計と、三十五年の高校の生徒の総計の開きの差がつまり百二十三万、これは間違いないですか。
○福田(繁)政府委員 公私立につきましては、そういうことになるわけであります。
○野原(覺)委員 これは政府の統計によって私は申し上げる、一つあなたの統計を見て下さい。あなたの方の数字で、三十八年度には、百五十万三千人、それから三十九年は百五十万、四十年は百四十九万二千人、この合計が昭和四十年の高等学校の生徒数、いいですか、これは私学も含めてその合計は四百四十九万五千人です。いいですね。そうしたら、昭和三十三年百五万六千人、三十四年は百十二万二千人、三十五年が百六万七千人、その合計が三百二十四万五千人です。開きということになれば、四百四十九万五千人から三口二十四万、五千人を引きますと、百二十五万人になるのじゃありませんか、百二十三万じゃなしに。二万ごまかしている。この二万人というのを御説明願いたいと思う。二万人というのは、大へんなものですよ、千人の学校で二十校ですよ。これは私どもの数字じゃない、あなた方の数字です。あなた方の数字でいえば、百二十五万人になるのを百二十三万しかふえない、こういっているのはどういうわけですか。
○福田(繁)政府委員 もちろん計算の方法はそういう方法をとったわけでございますが、御承知のように、生徒の減耗率というものを見ますので、二万人程度になるわけでございます。従って、その数字が決してごまかしたというものではございません。
○野原(覺)委員 減耗率が二万人になりますか、一体何%の死亡率ですか、厚生省にいってあなた研究して下さい。二万人死にますか、三年間で。高等学校の生徒が三年間で二万人死んだら、それは地震があったか原子爆弾を落とされたか、どっちかなんですよ、そんなばかなことないですよ。いいかげんな答弁をしている、どういうわけだ。私は今の答弁では納得できない。
○福田(繁)政府委員 正確に二万人にはならないと思いますけれども、死亡だけではございません。退学等のことで移動しますので、そういう減耗を見たわけであります。
○野原(覺)委員 これは、死亡、退学で二万人になりません。あなた、初中局長、常識を笑われますよ、国民から。私は時間がないから急ぎます、指摘だけしておきます。あなた方のずさんさ、その計画のでたらめさをきょうは思う存分私は指摘をしておく。これじゃ都道府県の知事側が承知をしないはずだと思った。こういうような人数において二万人ごまかして、そしてはっきり四百級はちゃんと引いて勘定しておる。七十九万を出す場合に、二万人というのを雲散霧消さして、どこにやったかそれがわからないような状態にして、百二十三万とふえるのでございます。こう言うのですが、これは昭和三十五年の進学率を六〇%にして、百二十五万です。ところが昭和三十六年は私がいつか指摘しておりましたように、六六%入学しているのです。六六%というのは昭和三十六年度は生徒の数が少なかったからいろいろ入れたのです、こう言いますけれども、大体中学浪人を出さないとすれば、六六%が昭和三十六年、経済企画庁の統計によれば、昭和四十五年に七二%、毎年一・五%から二%の所得の増加に伴って高校生徒の入学がふえるというのが政府の計画じゃございませんか。それからいけば、これはどれだけになるのか。その勘定でいけば、三十万や四十万はいく。これはあなた方計算に入れてないんですよ。百二十三万という数自体がこれは問題ですよ。今国会で高等学校全入運動というのが行なわれておる。高等学校全入運動というのはイデオロギーでやっておるんじゃないのですよ。それはお父さん、お母さんになれば、高校に行かせたい、浪人させたくない、入れてやりたい、どんな高校でも自分の能力に応じた高等学校に入れてやりたい。私はそうあるべきだと思う。もう七〇%台に近づいてきたのでありますから、準義務教育です。だから高等学校に行きたいという人があったら、これを収容してやるところの施策を文部大臣は立てるべきです。ところが何も立てていない。急増対策もろくすっぽ立てていないじゃないですか。こういうようなことで、池田内閣の高校急増対策でございますとかなんとか言ったって、国民は承知しないばかりか、現実に都道府県の教育委員会と都道府県の知事会側では、もう憤慨にたえないといって怒っておるじゃありませんか。 そこで自治省の理財課長にお尋ねしておきたいと思う。あなたの方の計画によると、五百五十億円の総事業費だ、こう見積もっていらっしゃる。これは政府の財政方針です。「事業量」「一般校舎については、新設校約二十五万坪、既設校約三十八万坪、合計六十三万坪の建築が必要と見込まれ、その事業費は約三百五十億円(新設校約百四十億円、既設校約二百十億円)と見込まれる。これに屋内運動場を加えると、事業費は約三百七十億円(約六十七万坪)となる見込である。なお、工業課程の新設及び増設に伴う産業教育振興施設、設備費として、約百五十億円が見込まれる。このほか急増生徒に対する一般設備は、約三十億円と推定される。上の施設、設備を合せると総事業費は、約五百五十億円(うち三十六年度において措置済約五十億円)と予想される。」大体三十七年度の予算から以降三十九年までに五百億円の措置をすれば、公立の八十万人の措置は可能であるというのが政府の方針になっておるのです。これは間違いございませんか。自治省の理財課長に承っておきます。
○茨木説明員 ただいま御指摘になった資料は、一月二十六日の閣議に報告されましたもので、政府の関係各省において相談の上作ったものでございます。
○野原(覺)委員 そこであなたにお尋ねしますが、今度はあなたの方の資料じゃなしに都道府県の知事会議の資料です。「昭和三十七年度高校生徒急増対策に関する決議」として「高等学校生徒急増対策に関しては、全国知事会議は、政府の決定に対し二月十三日決議をもって、これが善後措置につき、要望した処であるが、特に昭和三十七年度の措置としては、全国都道府県において実情に即する予算を編成の結果、別紙添付の調査表の通り、都道府県予算計上額は、政府計画額に対し二〇六億円の超過をきたした。」この二百六億円は、私詳細にこの数字を調べてみたのでありますが、これは私学の助成費と土地購入費を含んでおります。土地購入と私学の助成を含めて都道府県の現実予算として、昭和三十七年度の予算として都道府県会を通過したのです。いいですか。あなたの方は土地購入を除いて百五十四億、こう言っておりますけれども、これは私が計算したのでございますが、百五十四億の内訳は校舎等整備事業費が百十五億、一般設備費が十二億、産業振興の施設設備費が二十七億、計百五十四億というのが、用地購入と私学助成費を除いた政府の計画です。これは間違いない。これに対して都道府県側は自分の府県の実際の数をつかんでおりますから、校舎等整備事業費が二百六十二億六千五百万円、一般設備費、机、腰かけ類二十億一千七百万円、産業振興施設設備費が六十二億五千七百万円で、三百四十五億三千九百万円としているわけです。政府計画は、白五十四億でいいと荒木さんは大みえを切って、九十一億交付税、五十億起債、十三億予算、これでいい、と言っておりますけれども、都道府県の方は、三百四十五億三千九百万円の財政計画と、締めますと出ているじゃありませんか。これは事業計画であり、財政計画ですよ。そうなりますと、この差額というのは一体どうなるのか、その差額は百九十一億三千九百万円。百五十四億でいいのだ、こう胸をたたかれたのですけれども、百九十一億三千九百万円持っていかなければ、この昭和三十七年の高校急増対策の財政措置はできないということになってきたのですよ。理財課長、あなたは自治省の方でございますから、政府部内では都道府県をいじめる側ではないと思うのだ。自治省は政府の中で都道府県の側に立って起債を獲得し、それから補助金をとっていく、これが自治省を中央官庁に置かれた趣旨でもございますから、そういう立場で御答弁願いたいと思うのです。この計画はどうしますか。どうしてこれだけの超過になったのかということです。お尋ねします。
○茨木説明員 ただいまお述べになりました資料は、知事会で作ったように聞いておりますが、その後再調査をしているように実は聞いております。と申しますのは、三十七年度の事業、それから三十八年度以降の事業と、この辺の全体的な振り分けの問題があるやに聞いております。従って最近の最終の予算計上額がどうなっているかということについては、今個別的にこちらの方で聞いている実情でございます。内容は若干違ってくるのではなかろうかというように考えております。 それから十二月の末の時期におきまして、知事会から要望がありました数字は二面六十億でございます。その中に土地分が八十六億含まれておりますから、従ってそれを差し引きますと、約百七十億前後の数字に相なろうかと思います。でありますから、ここに多少の差はございますけれども、そう大きく食い違っている財政措置をいたしているというふうには考えておりません。ただ問題は、非常にむずかしい問題がその中に入っているわけでございますが、政府の方で考えます際には、一応急増対策を中心にしぼってございます。現実に各地方団体の方でお考えになっております内容には、各県の従来の進学率と全国平均の進学率とを比較しまして、この際にでき得るものならば進学率を高めたいという要望を織り込んだ内容が相当あがっているようでございます。当初文部省の方で基礎にされておりました各県の教育委員会から出ました資料の中にも、やはりそういう要素を多分に含んでおるように拝見いたしております。従ってその辺に非常にむずかしい問題があるのではなかろうかと思います。そうなりますと、政府の急増対策の予算措置といたしましては、一応全国的に推計されましたところの進学率等を基礎にいたしまして、財源措置をプラスするということに相なってくるのではなかろうか。一応の財源措置といたしましては、従来の高等学校経費としてその地方の基準財政需要額に織り込んでございますものをそのままとっております。従来もそれぞれの県の事情によりまして、毎年一校なり一校の高等学校を新設いたしましたり、あるいは今まで総合で使っておりましたものを分離いたしましたりしてやってきたわけでございます。それらの経費はそのままとってあります。でありますから、現実に今度各県が予算を編成いたします際に、それぞれの県の実情によりまして、この際は自分の県がおくれておるから、ほかの方の経費を回しても急増対策にさらにプラスいたしまして高等学校をよけい建てよう、あるいは教室をふやそう、こういうような県もございます。そのような場合には、おのずからやはり国の方で今回財源措置をいたしましたものにさらに従来の高等学校経費として見込んでありましたもの、それからさらに積立金その他の一般財源等もつぎ込んでおるように、個個的に伺いますといろいろ考えておるようでございます。ただしでき得るならばさらにもっと起債等をほしい、こういうような要望がございます。一応私の方も百五十億全体の中で起債を五十億考えておりますけれども、その後の情勢等もいろいろ織り込みまして、土地代の部分というものを別途別ワク起債を考える、こういう考え方をいたしておりますが、その辺のところに多少弾力的な運営をはかって、個別的な団体の負担を見ながら相談をして参りたい、こういう気持では考えておる次第でございます。全体的に、やはりそういうようないろいろなものをこの際動員いたしまして対策を立てていただかなければいかぬのじゃなかろうかというふうに考えております。
○野原(覺)委員 今あなたの御答弁をお聞きしましたが、私はいささか納得できないのです。これは土地購入と助成費を入れますと二百六億八百万円の差額が出てくるわけですが、あなたの今の答弁は、この二百六億円なりあるいは私が指摘いたしました用地を購入する差額の百九十億円、そういう開きというものは、都道府県側が三十八年度の仕事の分まで食い込んでおるのだ、こういうこと。それから進学率を高く見ておりやしないか。それでは、これは文部省当局にお聞きしたいと思う。文部省はもう——自治省の方も、私は都道府県の数を握っていらっしゃると思う。東京、大阪、北海道、福岡、ずっと四十六都道府県の高等学校急増生徒数の合計は幾らとあなた方は見ておるのですか、その差は何万ですか、これを御指摘願いたいと思います。
○杉江政府委員 公立学校の都道府県の計画におきます一般校舎の分については、現在の計画を私ども握っておるわけでございますが、それについては三十二万坪という数字が出て参ります。ところでこの中には危険改築とか寄宿舎とか既設校の屋内運動場の分がございます。それらを除外して計算いたしますと二十五万坪になるわけでございます。それで閣議決定におきます政府計画といたしましては二十万坪でございまして、その差は五万坪でございます。この五万坪につきましては、これは先ほど自治省のお話のような事情もありますし、なおことに交付団体で私どもの計画以外の計画を持たれる県もあるわけでございます。それらの差が五万坪ございますが、全体計画の推移におきましては、閣議決定の数と著しく隔たっているとは考えていません。ただ金額の問題になりますと、構造比率単価の問題が大きく響いて参ります。この点におきましては実際とかなり違っておる数字が出て参るのであります。この点はなお今後とも詳細にその原因等を検討いたしたいと思いますけれども、構造比率単価の点についてはかなりの食い違いが出ております。
○野原(覺)委員 時間がないのですが、これは非常に重要な問題で、文部大臣も早く帰りたいらしいけれども、これは実際この国会の文教委員会で最も大きな問題であると思う。私が今お聞きしているこんなことは、簡単に答弁ができてさっといくものだと思って、私はきょうは来たんですよ。そうしたらあにはからんや何も答弁できない。私の質問に対して答えてないですよ。さっきの自治省の理財課長のお話は、その進学率を高く見ておるというけれども、私の調べでは高く見てないですよ。六〇%に、みな平均してなるじゃありませんか。だから大体百二十三万人程度しか見ていない。しいていえば前々向きだ。これは文部大臣よくお聞き願いたいと思うけれども、高等学校は鉄筋校舎を建てる。三十八年の四月に高等学校の生徒を入れるというのを三十七年に建てる。三十九年四月に入れるというのを三十八年に建てる。そんなことじゃ学校教育はできやしませんよ。このごろの鉄筋は建築に一年以上かかるのです。生徒を入れて工事をする、こんな非教育的な計画がどこにありますかね。そして都道府県の方は前々向きという立場が理想だというので、どこの都道府県でもそうとっておるんじゃありませんが、できるだけの予算操作をやって、昭和三十九年に入る分まで三十七年度のうちに工事を実はしなければならぬ。それはそうでしょう。用地購入はさしあたり早くやらないと、建物が建つだけ用地を購入したって学校は何もならぬですからね。これは建設省、きょう見えておるはずだ。用地購入は前にやってしまえばいい。鉄筋を建てなくちゃいかぬ。その鉄筋も昭和三十八年四月に間に合う生徒だけ建てるのではない。三十九年と四十年までやりたいけれども、そうはいかぬからというので、大体前々向きということで工事を進めるというのが、学校工事の常識です。その常識を逸脱しておる。あなた方のその金の、五百億円の配分の比率を見てみますというと、三十七、三十八、三十九、三年間にわたって三十九年をもちろん少なくしておりますけれども、この点が非常に問題があると思うのであります。そこでこのことを一々指摘いたしますと、一時間や二時間で終わりませんから、私は結論を急ぎます。今管理局長のお話によると、この開きというのは単価の見積り、それから構造比率の問題、こういうことがあった。これは確かにこれもある。単価は一体どれだけにしておるのですか。自治省の理財課長にお願いします。鉄筋の単価です。
○茨木説明員 この単価という点は、文部省からお答えいただいた方がいいと思います。
○井内説明員 政府の計画に使っております単価は、鉄筋六万五千三百、鉄骨五万一千五百、木造三万七千でございまして、鉄筋六〇%、鉄骨一〇%、木造三〇%の構造比率になっております。
○野原(覺)委員 一体単価が鉄筋六万五千円で建ちますか。そういう単価は何府県です。鉄筋の単価は八万円から八万五千円、東京、大阪はもっと高いのですが、それは何組が六万五千円で受け持つのですか。それは何県の標準でとったのか、全国平均と言いますけれども。これはどちらでもいいのですよ、文部省でも自治省でもいい、それを一つ御答弁願いたい。
○井内説明員 高等学校のただいま申し上げました三十七年度の単価は、三十七年度予算において計上されました工業高等学校に対します一般校舎の補助の単価、構造比率と同様のものでございます。それで高等学校の一般校舎の補助に用います単価といたしまして、ただいま申し上げましたように鉄筋六万五千三百円といたしましたのは、三十六年度の前年度の当初予算の単価が五万九千二百円でございます。この五万九千二百円の単価を三十六会計年度中に補正の機会がございましたので、三十六会計年度中の建築単価の値上がりを日銀の物価指数等のアップ率を用いまして六万四千六百円に一度上げまして、それをさらに若干手直しをいたしまして三十七年度予算に、先ほど申しました六万五千三百円という単価を採用したというのが、その経緯でございます。ただいま御指摘になりました現実の高等学校の建築坪当たり単価が六万五千円で建つかどうかというお尋ねでございますが、この六万五千円の単価が全国の平均単価になっておるわけでございまして、全国の平均単価として六万五千三百円が三十六年度当初予算、補正予算等、予算が積み上げられてきております経緯にかんがみますれば、これで最小限度の鉄筋は一応建つと考えております。
○野原(覺)委員 いや、それはあなたは平均単価だからこれでいいんだというのだが、そうすると六万五千円以上のところがあるのですか。平均単価だから六万、五千円でいいんだということなら、六万五千円より上もあれば下もあるということになりますね。そんなところがどこにある。何県です。北海道ですか。
○井内説明員 鉄筋単価の三十六会計年度の実績単価をただいま調べておるわけでございますが、やはり首都圏地域、それから阪神地区、北九州地域、この辺が鉄筋につきましても単価が非常に高い地帯でございまして、この辺につきましては予算単価を明らかに上回っておりますが、その他の府県におきまして、六万五千三百円以下で鉄筋の高等学校の建築ができております県も、最終何県になるかわかりませんけれども、出てくると思っております。三十六会計年度の実施単価調べを今取り調べ中でございますので、もうしばらく時間がかかると思いますが、三十六会計年度の実施単価におきまして六万五千三百円以下で現実に工率をやっておる県があると思います。
○野原(覺)委員 文部大臣、どう考えますか。あると思います、と言うが、ないですよ。これは各土建の会社に聞いて下さい。六万五千円で何ができますか。鉄筋は今日平均八万円ですよ。大都会では八万五千円程度を見なくちゃだめですよ。あると思いますと言って、あるならどこの県だと言うけれども、答弁できない。すでに坪当たり単価で一万五千円違う。それが六十七万坪ということになれば、何十億円と単価で狂いを生じておる。私は、時間がないそうでございますから急ぎます。急いで申し上げますけれども、これは義務制じゃないのだから、都道府県でやればいいんだと文部大臣はお考えかもしれませんが、大臣、あなたにお尋ねします。こんな単価でいけますか。八十何億の——正確には勘定いたしませんが、坪数が若干違うから。政府の六十七万坪、坪当たり一万円から二万円違う。一万円違えば六十七億円です。それは校地もあります。だから、建坪だけでいくと新設校二十五万坪、あるいは既設校三十八万坪、校地を入れないで、六十七億円。そうなると、私はこれはおかしいことになると思うのですね。補助単価なら私は言いませんよ。補助金を国が出すから単価の差額は都道府県で見てくれというなら、これは単価八万円だけれども、実は予算がどうにもならぬから坪六万五千円で勘定したのだ、こう言えます。しかしながらこれは起債でやるでしょう、平衡交付税と起債でしょう。そうなると、これは一つの計画として計算していかなければなりませんね。六十七万坪、坪当たりの単価は幾らだ、どれだけ要るんだ、総額これだけ全国で要るから、これだけのものを起債、平衡交付税、こういうことになったはずですね、文部大臣。だから私は、単価でサバを読んでおる、こういうようなことは許しがたいことだと実は思うのであります。構造比率の問題も、鉄筋が六で鉄骨が一で木造が三、六・一・三にしております。この構造比率も、これは都道府県側は了解ができない、こう言っております。私は、都道府県側の主張が当然だと思う。高等学校を建てるのに今日木造で建てて、これは一体恒久性がありますか。鉄筋で建てるべきですよ。だから木造で建てるとするならば、それは屋体であるとかその他の付属の建物は経費の都合上木造にしてもいいけれども、校舎を木造で今日建てさせるような、これは自治省でございますか、政府の計画になっておる。そこで文部省は、この予算を大蔵省に要求する場合に、単価は六万五千円でよろしゅうございますと荒木さんは交渉したのですか。きょうは大蔵省も来ておりますから僕はお尋ねしたいのですが、文部大臣はまさかそういう交渉はしなかったと思うのです。単価はあたりまえの単価でくれ、こうお話をされたのでございますか、お尋ねをします。
○荒木国務大臣 先ほど説明員からお答え申し上げましたように、従来使っておりました予算単価を三十六年度災害の機会に補正いたしまして、その補正しましたものを基礎に要求をいたしております。
○野原(覺)委員 私、実はこんなもの長々と質問したくないのです。ただ実にずさんきわまりない計画ですから、国会がもう終わるわけですから、これは私ども実際文教に携わる議員として、どう報告していいかわからないのですね。だから私は、何かここで少しでもつかむところがあればつかみたいと思って聞いておるわけで、私自身も実は時間をかければもっとお聞きしたいわけです。でも簡単にやりましょう。私も皆さんに協力いたします。皆さんがこれでいいということであれば協力いたしますが、私は実はこの構造比率にしても単価にしても問題がある。それから坪数のとり方にしても、政府の坪数と都道府県の坪数、実際に即した坪数の取り方には問題があるのです。 そこで私は最後に申し上げておきますが、小学校、中学校、工業高等学校の建築費には、これはたしか三分の一の補助ということになっておったはずです。これは大蔵省の主計官がおりますから主計官にお尋ねいたしますが、あなたの方は総事業量の七割の三分の一補助ということをいつもやっておりますが、これは何か法的根拠があるのですか。総事業量が十億円かかるとすると、三割は首切って三分の一補助ですよ。法律は三分の一補助だ。ところが七億円の三分の一にしていつも補助金をやっておる。われわれが国会できめた三分の一の比率は、これは総事業量の三分の一なんです。法的根拠はどこを探してもないのです。これは大蔵省ですが、どういう見解でこういう方針をとっておるのか、お教え願いたいと思う。
○谷川説明員 別に十万円のうちの七万円というふうにしているわけではございませんで、従来の地方団体の公立文教施設の事業の実績をとりまして、単独でやっておられる分が三割あるわけでございますので、公立文教施設全体の七割だけを補助の対象にいたしまして、あとの三割は実績に基づきまして単独事業、これはもちろん起債がつくわけでございます。そういうことに従来の取り扱いはいたしております。
○野原(覺)委員 文部大臣は大蔵省のああいう方針について御賛成ですか。法的根拠も何もないのです。補助率は三分の一ですが、実は三割何分にしかならないのです。法律では三分の一という補助率が二割何分ですよ。これは七割の三分の一ですからそうなりますね。そうして単価は一坪当たり二万円低く押えておる。そうなると補助率は三分の一でありながら実際は勘定してみると二割何分にしかならない。こんなことでは法の精神と違いますよ。あなた都道府県が三割持つなんと、言うけれども、どこに書いてあるか。一つの事業をやる場合に補助卒がその卒業宝の三分の一ということなんですよ。事業量の認定は政府がしたらいいんです。しかしながら事業壁を十億円と認定しながら、三億円ピンはねしておるじゃありませんか。三億円はねて七億円の三分の一でいつも補助金を出しておるではありませんか。こういうやり方はやめてもらわねばならぬと思うのです。きょうは水田さんが参ってないし時間がないからまことに残念ですけれども、文部大臣、これはどう思いますか。あなたは心から共鳴をして今日まで大蔵省と予算折衝をやってこられたのですか、あなたの所感を承っておきたい。
○荒木国務大臣 心から賛成はいたしておりません。おりませんが概算要求のときから三割引きのものを要求するという今までの慣例によって、二千七年度も、要求したと思います。今後検討したいと思います。
○野原(覺)委員 これは検討して下さい。 文部大臣に、もう一点だけで終わります。この都道府県の方は実際に即した計画をしたのですが、二百億円の狂いが生じてきておるのです。これは府県令で予算を通った総額です。これはあなたの方も数字を調べていただきたいと思いますが、少なくともこの三百億円、私は補助金でいけなんということは今さら申し上げません。応じないでしょう。しかしながら次の臨時国会の補正もしくは起債、補正予算で見るとか起債で見るとか、何とか実情に即した財政計画を立てて、この急増対策を考えなければならぬ時点に来ております。政府では一応百五十億でできる、こう思っておりましたが、実際都道府県でやってみたら二百億をオーバーするということになったわけですから、この二百億のオーバーがそのまま受け取れないとしても、現実には単価、構造比率の問題、用地の問題それから建坪の坪数の問題、すし詰めの問題、いろいろ検討いたしますと、私はむげにこれを退けることはできないと思う。従って今都道府県側が起債二百億の要求を出しておる、この要求に応ずるか、さもなければ臨時国会の補正予算において、今出せるとは文部大臣も言えないでしょうけれども、それまでには検討して実情に即する対策をとらねばならぬ時点に来ておることをお認めになりますかどうか、御答弁のいかんで私はやめます。
○荒木国務大臣 先ほど来お答え申し上げておりますように、総事業量を念頭に置いて、予算委員会でも御指摘の通りこれでやれるとお答えを申し上げました。今でもやれると思っております。けれどもこれはあくまでも地方財政計画なりあるいは国の予算計画でございますから、お話しのように実績は違いがあることが本来の姿だと思います。その違いがどういうふうに具体的に現われてくるか、地方財政という建前で金額が非常にかさみましてそごを来たして、そのままでやっていけるかどうかという見地から自治省の立場での補正の考え方も当然出てこようかと思います。教育的な見地から今後の実態を十分に把握しつつ静観していきまして、それに基づいて私どもの立場からも自治省ないしは大蔵省とも相談して、高校急増という教育目的が果たせるように努力せねばなるまい、かように考えております。
○野原(覺)委員 これで終わりますが、最後に申し上げておきたいことは、どうか一つ文部省も自治省も計画のしっぱなしでないように、政府で計画をいたしましたあとで突き放してしまわないように、学校を建築するということは現実の問題です。実際に即してやらなければならぬ。だからあなた方も都道府県側のデータを取り寄せ、現地をよく調査をして、そうして高校急増の問題がスムーズに解決できるように努力してもらいたいと思うのです。しかも中学浪人が昭和三十八年は何人出ると考えておりますか、これもきょうは時間がないから触れませんけれども、検討しておいて下さい。あなた方は六〇%に抑えておりますけれども、すでにことしも出たのです。ところが来年はそれどころじゃありませんよ。これは深刻な問題になる。しかも私学の対策に至ってはなっていない。四十三万人をすし詰めにする、こんな非常識な教育が今日あっていいものですか。校舎は建っておりません。私、調べました。学級も作っておりません。私学は作らぬと言っておりますよ。しかし四十三万人は受ける。文部省は自分の責任を軽くするために八十万、四十三万という数を出して、知らぬ顔の半兵衛をきめ込んでいる。これじゃ私はあまりにも子供がかわいそうだ、来年から入る子供がかわいそうです。日本の教育はこんなことじゃよくならぬです。一つこの点について十分な検討をされて、来たるべき臨時国会には重ねて問題にいたします。本国会の文教委員会も最後でありますから、不満ではありますけれども、これをもって私は一応この問題について質問を終わります。
○八木(徹)委員長代理 次会は来たる二十七日金曜日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時十八分散会