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40回国会衆議院1962/02/21

文教委員会 第6号

発言数
41
登壇者
8
会派数
2
開催日
1962/02/21

会議録

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 これより会議を開きます。  著作権法の一部を改正する法律案を議題とし、提出者より提案理由の説明を聴取いたします。山中吾郎君

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)議員 ただいま議題となりました著作権法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。  すでに御承知の通り、現行の著作権法は明治三十二年に制定せられ、以来数回の部分的改正を見ましたが、その基本的な事項はそのままにして現在に至っております。従って著作権の保護すべき対象も保護の方法も再検討すべき時期に到達しております。また国際水準から見ましても、現行制度は三十年の保護期間を初めとして、保護の態様はすでに、時代におくれ、文化国家としての体面を保持しがたく、陳腐の感は免れません。よって著作権法は根本的に全面改正が必要であることは論を待たないのでありますが、次のような緊急の理由により、今回は特に著作権の保護期間に限り、とりあえず改正しようとするものであります。  第一は、著作権の保護期間は、文明国において五十年以上が常識になっております。日本が三十年の保護期間を定めていることは、他国の非難の的となっているのが実情であります。わが国は文化国家であり、文化の交流に一そう努めなければなりません。また国際社会の一員として、国際水準にまで著作権の保護期間を引き上げるのが当然の義務であると申さなければなりません。  第二は、著作者の死後、著作権の保護を受ける立場にある妻子の救済についてでありますが、わが国を静かに振り返ってみまするに、若年にしてりっぱな作品を残した人々が非常に多いのでありますが、著作者の死後三十年が権利期間である現状においては、早世した著作者の遺族に対する保護期間があまりに早く切れるのでありまして、この事柄は、社会保障の観点からいたしましても、これを放置するわけには参りません。  第三は、国際信義の問題であります。他国は日本の著作物を使用する場合、三十年を経過し、保護対象からはずれた著作権についても、当該国から礼金等の形で送金してくるが、日本は外国の著作物を使用する場合には、三十年以後のものについては何も支払っていないのが実情であります。このことは国際信義にもとるものと言わざるを得ません。  以上の理由により、本案は著作権の保護期間を著作者の生存間及びその死後五十年、官公衙、学校、社寺、協会その他の団体の著作権についても、その発生後同様五十年に改正しようとするもので、現行法第三条ないし第六条までの「三十年」を「五十年」に改めることであります。  また、この法律は公布の日から施行し、この法律施行の際、現にこの法律による改正前の著作権法第三条より第六条までの規定による著作権の保護期間が継続している著作物から適用することについての経過規定を定めたものであります。  以上、この法律案の概要並びに提案の理由を御説明申し上げ、御審議を願う次第でございます。      ————◇—————

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 次に、義務教育費国庫負担法の一部を改正する法律案、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、提出者より提案理由の説明を聴取いたします。村山喜一君。

村山喜一日本社会党

○村山議員 まず初めに義務教育費国庫負担法の一部を改正する法律案の提案の理由について御説明申し上げます。  「すべて国民はひとしく教育を受ける権利を有し、義務教育はこれを無償とする」これは、日本国憲法第二十六条に明らかに規定されている条文であります。  しかるに今日における義務教育の実態は教育予算の不足が、教材教具の不備を生じ、教育の資質向上を阻害し、一方教育費の父母負担が年々増加することに伴い、家庭収入の差異による教育の機会均等が失われているのが実情であります。  さきに文部省が発表しました「わが国の教育水準」によりましても明らかなように、義務教育学校教育費のうち、小学校については三六・二%、中学校については三四・六%が父母負担によってなかなわれているのであります。  以上のごとき実態からいたしまして、父母負担のいかんが、学校教育費に大きく影響しているわけで、文部省発表の「わが国の教育水準」にも明らかにされている通り、地域別に見られる児童・生徒の学力の差異はこのような結果に基づくものと言わなければなりません。  このような実情にかんがみ、義務教育の円滑な実施と、教育の資質向上並びに機会均等を促進するため、今回の法律改正を提案する次第であります。  以下改正法案の内容について概略を御説明申し上げます。  教材費国庫負担の児童生と一人当たり単価を本法に規定し、その引き上げを行なうことであります。  以上がこの改正法案を提出いたしました理由及び内容の概略であります。  次に、議題となりました公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概略を御説明申し上げます。  今日、世界の科学、産業、文化の進展は目まぐるしいものがあり、国際社会におけるわが国の地位の向上をはかるためには、その基礎となる教育の振興について格別の努力がはかられなければならないことは論を持たないところであります。  しかるに現状を見ますと、教育条件の整備は決して十分とは言えず、施設設備の貧困にもまして、学級編制基準並びに教職員の配置基準については劣悪な状態にあると言わねばなりません。  試みにわが国の学級編制基準を諸外国の編制基準と比較してみますと、各国を十人ないし十五人を上回っているのが現状であります。  また教職員の配置基準についても全く同様なことが言えます。今日週四十時間制の実施は世界の趨勢であり、いち早く社会主義諸国においては実現をみているところです。ところが現行教職員定数の配置基準では週三十時間をこえる授業時間数さえ生じています。  さらに授業前準備、事後処理、雑務等を加えますと、実におびただしい超過労働を行なっており、文部省がさきに調査した教職員勤務量調査の結果においても週十一時間余りの超過労働となっております。  以上のような劣悪な諸条件を整備し教育水準の向上をはかるため、さきに公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律が制定され今日まで逐印すし詰め学級の解消教職員数の充足の措置がとられ、昭和三十八年度において一応整備を終了することとなっておりますが、近年における学齢児童生徒数の減少とも相い待って、この機会にさらに学級編制基準並びに教職員配置基準の適正化をはかるため所要の改正を加え、もって国際水準に近づけることはきわめて適切な処置と考える次第です。  以下改正法案の内容について御説明申し上げます。  第一は、学級編制基準を現行一学級五十名から四カ年計画によって四十名まで引き下げ教育効果を高めようとするものであります。  第二は、教職員の配置基準について、現行積算基礎のほかに学級総数に一を乗じて得た数を追加するとともに、学校規模別の乗ずる数に所要の改正を加え、五カ年計画によって約十五万人の教員増をはかり、教師の労働条件を改善するとともに教育効果を高めようとするものであります。  なお五カ年計画による年次ごと増加人員については教員養成機関における養成可能人員を考慮したことは申すまでもありません。  最後に、養護教諭、事務職員の増員については、将来学校教育法等の改正を待って所要の改正を行なおうとするものであることを申し添えます。  何とぞ慎重御審議の上すみやかに御賛成下さるようお願い申し上げます。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 三案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 引き続き学校教育に関する件等について調査を進めます。山中吾郎君。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 大蔵省に補助金の問題についてお聞きしたいのですが、いろいろ補助金がございますけれども、地方の末端行政で一番矛盾を感ずるのは、学校安全会法に基づいた学校安全協会あるいは給食会の人件費が掛金でまかなわれておるという実態があります。法律では予算の範囲内において事務費を補助するということになっておるので、その人件費を他の補助金と違って子供その他から取った掛金でまかなうということは、いろいろの理屈は別にしても一番矛盾を感ずるし、それから事務担当者も掛金で食っているんだという非難を受けることは耐えられない、そういう実態があります。そこで大蔵省の方ではそういう実態を十分に認識をせられて、大した費用ではないと思うので、ぜひこういう子供または父兄から取った掛金で人件費をまかなうということだけはなくすように、法律的には事務費を補助しなければならぬということになっておるのですから、予算措置等の問題としてぜひ本年度——もちろんうまくはいかぬと思うのですが、来年度からはそういう方面に一つ御検討願いたい。こういうことについて大蔵省の御意見を、ことしから聞かないと、来年になるとまた再来年になるものですから、お聞きしておきたいと思います。

谷川寛三大蔵事務官(主計官)

○谷川説明員 安全会につきましてまず申し上げます。  御案内の通り学校安全会につきましては、法律の規定は事務費につきまして予算の定めるところによりまして一部を補助するということでありますが、本部の事務費につきましてはこれは全額国庫で負担をいたしております。問題になりますのは支部の問題であろうかと思いますが、これは本年度も昨年に引き続きまして三分の一補助をいたしております。しかしだんだん学校災害の発生率等もふえておるようでございます。事務費も従ってふえておるようでございますので、補助の対象といたしますところの支部の職員につきましては、昨年は三名を見ておったのでございますが、四名を補助の対象にいたすということにいたしております。  そこで問題は全部を見る必要があるのじゃないかということでございますが、私は安全会の性格をただいまの社会保障体系の全体の中でどのように見て参るかということが、まず一つ問題になろうかと思うのでございます。これはまたいろいろ議論になるところでございまして、私もまだこういった問題を詰めてみたわけではございませんが、研究しなければいかぬということで申し上げておるわけでございますが、御案内の通り学校災害につきましては、子供さんが災害にかかった場合におきましては、半分はお父さんの、たとえば民間の健康保険組合でございますと、その方で医療費の対象になる、何と申しますか裏負担につきまして安全会で見ていただくというわけでございますが、そういう場合に安全会を社会保障の中で今どう見ていくかというところで、いろいろ見解も分かれてくるのではないか。  問題の提起というような格好でございますが、一つはそういった面から安全会をどう見ていくかということが問題、それから今の基本的な問題に入りまして、事務費の問題でございますが、ただいま申し上げましたように、お医者さんにかかる部分につきましては、いろいろな事務費につきましては、そのそれぞれの健康保険なり共済の方の問題とか、それぞれのおやじさんなり父兄の方々の組合に対する事務費の中へ溶け込んで参ります。安全会の方は、それが学校の管理下に起こったかどうかといったような技術的な検討をする面での事務費になろうかと思うのであります。私どもはこの点はっきりよくわからぬわけでございますが、そういうふうに分けることができるかと思います。その場合に、もとになります医療費の関係の組合につきましては、これは大体国で補助をいたしておるという格好でございます。でございますから、今の安全会制度が社会保障全体の中でどう関連を持ってくるかということと関係するわけでございますが、国庫補助といたしましては、今のような考え方からいたしまして親負担になるところについてはすでに持っている。しかも安全会につきまして本部は持っておるという関係でございますので、ただいまの制度をくずす必要はないではないか。  そこでもう一つは、私査定のときに考えてみたわけでございますが、ただいまの掛金が御案内の通り子供さん一人について二十円の負担になっておりますが、これでいいかどうかという検討でございます。文部省からいただきました資料によりますと、三十五年に発足したわけでございますが、一割くらい災害の発生率もふえておる。それから御案内の通り昨年の十月から一二・五%医療費の単価が上がっているというようなことでございますので、災害の発生件数を少ないと思ってきめておりました今の二十円は、この際再検討の余地があるのではないかというふうな考えを持っております。でありますから、掛金から事務費に繰り入れるのを全部やめて、国費で持てとおっしゃることにつきましては、基本的には、その基本的な組合に国庫補助がいっているということと、それから本部については全部持っている、支部についてはその事務量も考えながら一部を補助させていただいているということで、まあただいまの制度を変える必要はないというふうに考えております。ただ今の掛金がどうかという点につきましては、この際安全会の健全化の見地からいたしまして再検討する必要があるのではないか。  それから次は給食会でございますが、これはおそらく府県の給食会の問題であろうかと思います。全国の法律に基づきますところの給食会につきましては、御案内の通り法律によりまして補助金を出しております。本年度も昨年度よりずっと増額経理をいたしております。府県につきましては、予算に見ておりません、この問題であろうかと思うのでございますが、これにつきましては今の給食費をピンはねして——ピンはねという言葉は適当でありませんが、食い込んで事務費をまかなっているのはおかしいではないかという御質問であるわけでございますが、私は学校給食費というものが食い込んでいるというふうに観念するかどうかという問題についても、争いになるわけでありましょうけれども、そういった給食をスムーズにやりますところのシステムを維持しますにつきましての経費も含めたところできまっているのではないか、こう考えますならば、学童の父兄の方々にその経費も出していただくことはやむを得ぬのではないか。ただ全体の学校給食の普及その他につきましていろいろ御指導申し上げる本部的な、さっき申し上げましたものにつきましては国で考慮いたしますが、末端に行きますところの給食の流れを具体的にスムーズにやっていきますものにつきましては、給食費といたしまして父兄で持っていただく現行の建前を変える必要はなかろうではないかというような考え方でいっておる次第であります。ただ行管からも指摘されましたように、三十五年度の行管の監査で私ども見ましても、給食実施の学童数と比較いたしまして、各府県におきまして給食会の職員数が非常にまちまちであるということにつきましては、なお検討する必要があるのではなかろうか。それがまだおなれにならない点もあるかと思いますが、給食物資の管理、それから経理につきましても御指摘になっておるようでございますが、こうした点につきましてもさらに指導が必要ではないかと考えております。でございますので、あとの方の府県における給食物資の管理とか、経理面のやり方の手引きといったものにつきましては、三十七年度の予算で、わずかではございますが、手引書を文部省で作成して御指導申し上げるよすがにする予算を計上しておるような次第でございます。  大へん雑駁でございましたが、以上のような考えで参っておる次第でございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 主計官のおっしゃる考えは一つの筋だと思うのですが、とにかくPTAとか、子供が出す掛金の場合には、給食ならほんとうの給食費、学校安全の場合はやはり治療費その他という概念が頭にあって、人の月給を払うという考えに切りかえるといっても、これはできないのですね。それで、そういう今のお話の論理はわかるのです。その考えはその考えで確かに一つの考えなんです。しかし実際の民衆の立場から政治というものを考えるときには、取る方も何か掛金を取って自分が食っているように思うし、また出す方も給食以外に上前をはねておるという考えはどうしてもとれないわけです。これは一つの広義の政策として考えなければならぬ問題だと痛切に思うのです。そこで、たとえば文部省と十分協議をされて、こういう件数に対しては最小限何名要るという定員の基準を検討されてしかるべきであるし、そのときに県が採用した場合においてはその三分の一を持ってやるとか、そういうふうな一つの基準もけっこうでありますが、とにかく地方のそういう団体の掛金の上前をはねるという感じで受け取る、受け取られるという関係は、何とかして改善してもらいたい。今の考えからいいますと、そういう考え方と平行線なんですね。その考えを私は認めます。主計官のおっしゃる考えは認めるが、さらに今言ったように事業の性格は社会保障的なものですから、社会保障的にも考えなければならない。補助制度として、私は、人件費の関係は上前をはねるという考えを払拭しなければならぬので、ぜひ考えていただきたい。文部省とよく話をして、来年度の予算査定については、この考えは考え直す必要はないというだけでは解決できない問題があるから、ぜひ検討してもらいたい。一言だけお答えを……。

谷川寛三大蔵事務官(主計官)

○谷川説明員 ただいまのような議論を持っておりますが、ただ山中先生おっしゃいました社会保障的な考え方からいたしまして、これは「的」じゃない、まさにそのものずばりでございますが、準要保護等、低所得者層の児童生徒の方につきましては、たとえば給食会の場合、府県の給食会にいきます部分も含めましたところで、政府で補助をいたしておる次第でございます。安全会につきましても出ておる次第でございます。そういった面で、ことしはその範囲を御趣旨に沿いまして一%ではございますが、去年までは四%でありましたものを小学校、中学校生徒さん方の五%に広げまして、額等につきましても給食の方は若干上げまして、そこのところの調整をさせていただいたような次第でございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 大蔵省はいつも口がかたいから、これ以上答弁はされないと思いますけれども、今の実態を頭に置いて改善策を検討して下さい。  それから、教科書の問題ですが、この点について主計官にお聞きするのはちょっと荷が重くて、大臣にお聞きすべき問題かもしれませんけれども、教科書関係の査定の場合において、いつか新聞に、教科書の無償配付というようなものは、貧困者にだけ与えるべき性格のものだ、従って、金持にも全部無償にするということは反対だということを、査定の方針として発表された記事を見ておるわけです。その点について、金がなければない、それは無から有は生じないのだから、今その論議はしないのですが、あの問題はやはり憲法の無償の原則の上に立った問題であるから、査定する場合に、憲法の無償の原則を無視して、貧乏人だけに与えるべきものであるという査定の考え方は、直してもらわなければいかぬ。その点について、もし金持にやる必要がないというなら、無償の原則の上に立って、ただし、何ぼ以上の者には与えないというなら、憲法とそういう政策とは調和がとれると思うが、そういう考え方に基づいて、もし真正面から憲法の無償の原則を無視して、査定の方針に掲げられるということは意味がない。その点については考え方を直してもらわなければならぬ。それは答えられなければ答えられないでけっこうですけれども、少なくとも憲法を真正面から無視して査定の方針を考えるということは、大蔵省としては行き過ぎじゃないか、その点、ちょっと御意見をお聞きしておきたい。

谷川寛三大蔵事務官(主計官)

○谷川説明員 三十七年度の予算は二通りの予算のきめ方になっておる。一つは、従来の行き方で、低所得者の児童生徒さん方に対しまして、それは一方におきましては厚生省の生活保護の関係で、要保護の力について学用品を見るという考え方の中に入っておる。一つは文部省の予算の中で、準要保護の児童生徒さん方に対する教科書の補助金として入っておる。もう一つは、もう法案が上程されたかと思うのでありますが、義務教育の教科用図書の無償に関する法案でありますが、これによりまして、義務教育関係の学校の児童生徒さん方の教科用図書を無償にするという頭で考えている法案が出ておるわけであります。それに基づきまして、とりあえずでございますが、三十七年度の予算にそういうことで入っておりますが、三十八年度に入学されます小学校一年生の児童さんに対しまして、一年生用の教科書を無償にするという法案をとりあえず作っております。そしてただいま申しました法案によりまして無償に関します必要事項を法律で作るということにして、そして一方そのためにいろいろ実施に関します措置を文部省に設置いたしまする調査会で検討いたすということになっております。でございますので、いろいろ問題はあろうかと思いますが、この法律に基づきまして教科書の無償の考え方が出ておるというふうに思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 考え方を聞こうと思ったのですが、大蔵大臣が答えるべき問題ですから、要するに基本的に査定の方針の場合にあまり憲法から逸脱した方針を出されちゃ困るから申し上げたわけで、大臣にこういう質問があったということを申し上げておいて下さい。  それから同校急増に対しても、これは県立の学校ですから、本来は国が補助をする必要がないという建前が大蔵省の考え方だと思うのですが、生めよふやせの政策のあとに出てきた現状は、これは災害立法みたいなもので、災害のときには五分の四、三分の二の補助を出して救済をするということは、国会の中で一つの慣行でもある。今度の場合は一種の政治災害だと思うのです。それで、原則をこういう高校急増対策の政策のときに、大蔵省が方針として出されればちょっと私は異議がある。これについては建てるときだけですから、あと経常費三分の二持つか何を持つというのじゃなくて、建てるという一時の支出で、財政規模が永久に膨張するということもないので、そういうときに、どうしても熾烈に日本国民ほとんど全部の父兄がやっきになっておる状況であるから、一種の政治災害立法として、工業と普通高校を別にして差別を作るというのではなくして、三分の二を全部出してやるというふうな思想を持ってしかるべきじゃないか。いつも大蔵省は財政的に責任があるので、無限に財政が膨張するということは無責任なことであるし、常にきびしく査定するということについては異議がない。しかしその査定の方針については、オープンにわれわれの論議を聞かなければならないし、そうして旧態依然として明治時代と同じような査定の方針ではいかぬのだ、そういう点について高校急増の場合についての考え方も、これしか金がないからこれしか出せないというのはけっこうですが、査定の考え方の中に、僕はもう少しお互いに検討すべきものがある、その点についてちょっとお聞きしておきたいのです。

谷川寛三大蔵事務官(主計官)

○谷川説明員 高校急増にお答えします前に、前の教科書の問題についてちょっと発言させていただきます。考え方でございますが、ただいま申し上げましたようにいろいろな考え方がある。過去におきまして二十六年に一度やっているのです。そのときは義務教育無償の理念をより広く実現する試みとしてやるということがうたわれております。そういった先生のお話に近い考え方。憲法による義務教育、これは議論になりますが、義務教育無償の原則といいまして、何もかも無償だという原則は、僕は憲法の規定からは出て参らない、ただいまはそれを受けまして、法律で国立、公立の学校の義務教育は授業料はただにするという規定はございますが、全部義務教育が無償だということではない。ただいま申しましたように二十六年は義務教育をとりあえず実現する試みとしてということでやっております。それから二十七年、二十八年にやりましたが、そのときは言葉は不正確でございますが、子供さん方に日本国民としての誇りを持たせるために、かつその前途を祝うためにやるのだという目的でやっております。それからその後はただいまやっております社会保障的な考え方になりまして、教育の機会均等ということからいたしまして、義務教育を受けるについての必要な物も買えないという経済的な困窮の状態である方に対しまして補助金を出す、そして教科書を渡すという考え方になって変遷しておりますので、そのことにつけ加えていろいろな御疑問があるということでございます。  それから同校急増でございますが、これはもう予算委員会におきましても山中先生と大蔵大臣、文部大臣との御質疑の間におきましてお答えがありましたので、私が申し上げるまでもないと思うのでありますが、災害との引き合いが出ましたけれども、ちょっと違うのではないか。災害は全く突発的なことでございまして、これもほんとうは一般の地方財政の中においてやっていただくことかもしれませんが、非常に突発的な問題でございまして、いろいろ折衝しているわけでございますが、高校生の急増につきましてはあらかじめいろいろ検討を立てられる問題でございまして、かつこれが地方財政の中の、地方の行政の中の一番重要な問題でございますので、この間も大蔵大臣からもお答えいたしましたように、そうなるといたしますと、ただいまの日本の行政のシステムが国、都道府県、市町村においてちゃんとはっきりと仕事の配分ができておりまして、税源等の財源にしましても、それぞれの段階に仕事のあんばいに応じまして配分されておる中におきましては、これは当然設置者の方でおやりいただく必要があるのではないかというのが基本的な考え方である。ただその場合にやれるだろうかということが問題になるわけでございますが、これまたこの間地方自治大臣も含めまして関係の閣僚から御返答申し上げましたように、ただいま文部省の御推計によりますと、三十七年度以降三十九年度までに前向きでやるといたしまして、一年ずつ前向きでやるといたしまして、用地費を除き、約五百億要るという事業量が出ております。それに対しましてただいまの計算では、三十七年度はこれまた一年前向きといたしまして百五十四億要る。これをどうこなすかということにつきまして検討いたしますと、ただいま地方財政の現状からいたしますと、特に府県の財政を中心といたしまして好転しております。三十五年度末府県財政の決算を見ましても、積立金と実質黒字の額は数百億に上っております。ところが一時的に金がたくさん要りますから、個々の府県をとってみました場合に、さてその金があるかということになりますと、いろいろ問題がある。そこは起債で補わなければならぬと思うのでございますが、その起債能力もないということになると問題でございますが、はたしてそうかと考えてみますと、いろいろ起債をやるにつきましては自治省で制限もいたしておりますけれども、その制限にかかるところもございませんで十分やっていけるという状態でございますので、理論的にもそれから具体的な財政事情の限度の上からいたしましても、補助金がなくても基本的にはこれでやれるという検討はいたした次第でございます。  ただ工業高校につきましては、三十六年度からそういうシステムになっておりますが、ただいまのいろいろな政府の計画に合わせまして、初級の技術者を早急に養成していかなければならぬ要請がございますので、その面からの政策といたしまして補助金を計上いたしておるわけでございます。具体的に申しますと、ただいま申し上げました三十七年度の一年前向きの要措置額百五十四億円のうち十三億円を工業高校分として補助金を計上いたしております。五十億は起債を認めることにいたしております。残りの九十一億でございますが、これは御案内の通り先般発表されました地方財政計画におきまして、地方財政平衡交付税の財政需要の計算を基礎に法律を改正いたしまして載っけてあるという状況でございます。とにかく理論的には地方の事務であるし、それから財政面から考えて、ただいまの文部省の事業量でございますと、完全に一年前向きで高校生急増対策には遺憾なきを期し得るということでありましたので、そのように査定いたしたのであります。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 質問はきょうはこれで終りたいと思うのですが、理論的には府県の事務、市町村の事務を経常費として補助するなら、最初から急増対策費として立てることに矛盾はない、こう思っております。いずれにしても大蔵省と文教委員会でしょっちゅう論議をしないと、予算が出てきたあとでわれわれがいつも大蔵省はけしからぬということで終わるものだから、できるだけ文教委員会に出てもらうように委員長に要求しますから、来ていろいろと説明して下さい。それで編成する八月ごろまで大体大蔵省に質問をしたり意見の交換をしたりしないといけないと思うので、できるだけいやがらないで、きょうのように懇切丁寧に説明してもらうことと、それからあまり理論的に堅固で絶対変えないというのではなくて、やはり話をして、これは確かにもつともだというふうに予算編成を考えてもらうようにしてもらわないと、いい意味においても行政も進まないような気もする。これは金の使い方の問題ですから、その点一つ要望を申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 小林信一君。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 面会合同委員会の形で若手県の問題でおいでを願ったのですが、非常に時間が少なかったのできょうに私の分だけ延びているわけです。私は主としてきょうおいでになっている警備局長それから刑事局長にお伺いをするのですが、この問題と関連をするかどうかわからぬが、たまたまこの学力テスト問題で岩手県が混乱をしておる中で、校長さんが二人自殺をしておる。それから富士屋印刷所の営業部長豊田寛という人がなくなっております。このことにつきましても私も現地に参りまして、警察からも検察庁からも御報告を願ったのですが、もう少し責任のある方たちから内容をお聞きして、この問題がはたして関係ないものか、関係あるものか、これを確かめて参りたいと思うわけでございます。  まず第一番に豊田寛という富士屋印刷所の営業部長の自殺のことについて御調査願っておることがあるならばお知らせ願いたいと思いますが、この人は十一月の八日、それから十一月の十口の二日間にわたって検察庁で取り調べを受けております。そして十二日に大島へ行って自殺をしておるのですが、警察の方の報告をお聞きしますと、検察庁と教員組合の板ばさみになって苦しんでおった、それが自殺の原因であるというふうに書いています。しかし警察の方では取り調べてないというような報告で、検察庁の方の報告もきわめて簡単に述べられてあるのですが、ただこれだけではわれわれの納得できないところがある。もう少し詳しくこの経緯について当局はお調べ願っておるかどうか、これが私のお聞きしたい点です。  具体的に申しますと、まず第一番に警察の力では富士屋印刷に対しまして五日に捜査をしております。しかしこの豊田という人については取り調べをしておりません。検察庁の方では取り調べをしておりますが、これはどういうわけで検察の方では取り調べをして警察の方では取り調べをしないか、この事情についておわかりになっていたらお答えを願いたいと思います。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内政府委員 豊田寛さんが検察庁の取り調べの過程において自殺されたということにつきましては、先般大臣からもまことに遺憾であったということの御表明がありましたが、私どももその仕事に関係しております者としまして心から哀悼の意を表したいのでございます。従いましてこの問題がどういう事情でそういうふうになったのかということは、私どもとしましても慎重に調査をいたしまして、わかる限りのことは明らかにしていかなければならぬ責務を感じておるわけであります。さような意味におきまして御質問の調査の内容を御報告申し上げたいと思います。  まず警察で、取り調べをせずに検察庁で取り調べをしたのはどういうわけかという点につきましては、これは捜査技術上の問題でございまして、当時検察庁と警察とはお互いに相談し合って協力して捜査を進めておりましたので、便宜検察官が直接調べたものと考えております。調べの衝に当たりましたのは検察官でございますので、当時の模様を御報告申し上げます。  豊田さんに対しましては、被疑者としてではなく参考人として、検察官は二度にわたって取り調べをしております。第一回は昨年の十一月八日、瞬間は午後三時十分ごろから夕方七時過ぎごろまででありまして、場所は盛岡の警察署で取り調べをいたしております。それから第二回は、同じ月の十日、二日後でございますが、午後一時二十分ごろから夕方六時ごろまで、これは盛岡地検の本庁で取り調べをしております。  取り調べをいたしますようになった事情でございまするけれども、豊田さんは株式会社富士屋印刷所の取締役であり、かつ営業部長でございまして、外交の方を担当をいたしていた者でございます。同印刷所は本件の岩教組の事件に関係があると思われる岩教組の印刷物の注文を受けている等の事実が認められましたので、同印刷所の関係の方々を調べておりますが、その参考人の一人として取り調べを行なったものでございます。まず同会社の専務、取締役の工藤万次郎さんを取り調べた後に、さらに豊田さんについても所要の取り調べを行なうに至ったものでございますが、取り調べの状況について聞いてみますと、参考人であり被疑者であるといって分け隔てをするものではございませんが、特に参考人でございますので、終始慎重かつ丁重な態度で扱ったということでございまして、その調べ室には検察事務官を立ち会わせまして、取り調べに当たりました。その間、豊田さん自身も検察官に協力的でございまして、事実関係につきましても、質問に応じて率直に答弁を行なっておる模様でございます。この間の事情は、仙台高等検察庁の検事をして後に十分調査をさしたのでございますけれども、その答えによりましても、右のような割合穏かな調べ室でありまして、慎重な態度で、丁寧に調べておるということがうかがわれるのでございます。  ところが豊田さんは、十一月十二日花巻に行くといってうちを出たようでございますが、その後行方不明になっておりましたので、家族の方も心配しておったのでありますが、十一月十六日に、大島の赤内旅館という旅館でアドルムを飲んで自殺をはかって、重体であるというところを十六日の午前十時ごろ発見いたしまして、直ちに岡田病院に収容して手当をいたしたのでございますが、午後三時一分死亡いたしておるのであります。その際遺書も持っておりました。そこでどういうわけで自殺をしたのであろうかという点の、自殺の動機、原因というようなものにつきましても、これは遺書等から推測をするほかないのでございますけれども、遺書の内容、それから本人の奥さん、使用主の息子さん等、関係者につきまして調査をいたしました結果を総合いたしますと、豊田さんは本来、どちらかというと性格の弱い方であったようでありまして、その性格の弱さと相待って、かねて取引上から岩手教組の幹部の人たちと接触があったようでございますが、個人的にも非常に親しくつき合っておった。その関係者の事柄を今や捜査当局に話をしなければならなくなったというような点を非常に苦しく思っておったようでございまして、特にこれらの関係者に自分の口から不利な事実を述べたことについての責任感、あるいはそういうことに関連して、あとから岩手教組関係者の人からいろいろと笠岡を受けるのじゃなかろうかというような点を極度に心配をいたしまして、その心労が主たる原因になって死亡するようになったのではなかろうかというふうに推測される状況でございます。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 その程度のことは私たちも伺ってきたわけなんです。私は、皆さんのような立場の力たちが、こういう問題をこの程度でほうっておいていいかどうかということが非常に疑問になるわけなんですよ。そういう点でお伺いをしていこうと思うのですが、まず第一番に、今の警察と検察庁の問題は、御説明で了解しましたが、八日、十日と取り調べたとありますが、なおさらに引き続き検察庁の方では取り調べるような考えがあったかどうか、これをお聞きしたいのです。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内政府委員 私の方でもらっております報告によりますと、その後取り調べる意思があったかどうかということは、記載したものがないのでございますが、一回、二回の取り調べの結果から見ますると、さらに引き続いて取り調べる必要は、何か特殊な事情でも出てこない限りは、一応ないのじゃなかろうかというふうに推測されるのでございます。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 そこが非常に問題になるところだと私は思うのですよ。死んでしまったから、検察庁の方では取り調べるような予定はなかった、あるいはあっても、何か必要があればという態度であったというふうなことで済ませられますが、なおこれ以上取り調べるぞというようなことでも言って帰すというと、本人は、今あなたのおっしゃったような非常に苦しい立場に立たされ、性格的に弱いというふうな点で、自殺までいくというふうな形になったとも考えられるわけですが、そこのところが明白でなければよろしいですが、なお何かわかればお話し願いたいと思います。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内政府委員 その点は、さらに取り調べるという予定はなかったと推測されるのでございますが、検察庁からの報告によりますと、二回目の取り調べが終わったとき、豊田さんの方から検察官に、少しはお役に立ちましたか、もし必要があれば、またいつでも調べて下さいと、むしろ向こうがそういうふうなことを言ったということが——まあ協力的な態度であったということの中にそういう記載があるくらいでございまして、こちらから、もっと取り調べるぞというふうなことは、その当時は申していなかったとしか思えないのでございます。それは調べの内容から言いましで、特段の事情がない限りはそれで事情が明らかになった、こういうふうに見ていいんじゃないかというふうに思うわけであります。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 岩手県の自殺した人たちに対する警察の報告、それから検察庁の報告は、大体一貫して同じような性格を持っているのですよ。今あなたのおっしゃっていることを聞いていますと、まず一番に、本人の性格が弱いということできめつけている。そうして今取り上げた問題——少しぐらいお役にたちましたかというように、取り調べる側の責任をなるべく回避するような説明の仕方が多いわけなんですが、それが正しければそれでいいんですよ。しかしそういうふうなことから問題をうやむやにするようなことがありとすれば、これはゆゆしい問題であって、死人には口はなし、そうして今岩手県等の問題では、こういうことについてだれも触れないというようなところから、問題をうやむやに済ましたら大へんだと思って、私は質問をするわけなんですが、あなたがもしそういう見解を持つならば——少しはお役に立ちましたか、こういうような気持を持つなら、たとい岩手教組からどういうふうに言われようとも、自分は正しいことを正規の方法で申し述べたんだ、従って私には何ら自殺するような必要もないし、世間をおそれることもないんだという、かえって自殺なんかしないという、そういう性格を認めなければならないわけです。一方においては非常に弱い性格だということを言いながら、検察当局に対して少しはお役に立ちましたかというふうな、非常に協力的な態度を持っておった。非常に矛盾した見解が述べられているわけなんです。従ってあなた方のこの問題に対する見解というものは、非常に一方的な考え方じゃないか、こう言わざるを得ない。どうですか、その点は。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内政府委員 性格の弱さということは、私、そういうふうにきめつけておるわけじゃございません。これはあとから原因、動機がどういうものであったろうかということを、遺書の内容等から推測して、性格的に気の弱い方であったのではなかろうかということを申し上げたわけでございます。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 そういう点を特に取り上げるときは、これはやはりあなたたちに有利だからそういうことを取り上げるのだ、一方においては少しぐらいお役に立ちましたかという非常に協力的な態度だ、何ら自殺するような人間には見られないわけなんです。そういう二重な見方というものにあなた方は矛盾を感じないかということを私は言うわけですが、それはそれでいいですよ。  そこで性格が弱いというようなことは、あなた、が何らかの報告で聞いたというのですが、聞くからにはどこかにそういうふうな観察をした人があるわけなんです。そしてこういう人たちは、あれほど問題になった事態なのですから——おそらく岩手教組では首を切られる人たちが出るとか、あるいはその他懲罰を受けて、八百人も犠牲者が出るという、とにかく大問題なのです。その大問題の根本的な問題を一切自分がしゃべっている、また検察庁としてはしゃべらしているわけです。それは正しい方法でやるのですから何らそこには問題かないのですが、そういう場合に性格の弱さということも観察して、さらにこの問題はこの入間にどういう社会的な影響を及ぼすかということも、そういう点に携わっておる方ならば十分わかるはずです。してみればこの人の取り調べが済んだあとというものは危険があるかもしれぬ、従ってこの人の身柄というものは、何らかの方法で保護するというようなことが考えられなければならぬと思うのです。そういう点についてあなたたちは考えたかどうかということを、私は実は聞きたかったのです。今までのようなことは、これはだれでも報告できるわけですが、その報告でもって、がまんできないところが、私は今申したような点にあるのではないかと思うのですが、その点は常にお考えになっておるかどうか、そしてこの問題に対してはどういうふうな態度をおとりになったかということをお述べ願いたいと思うのです。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内政府委員 捜査に当たっております者としては、関係者が思わざることで自殺を遂げるというような事例も間々あることでございますので、常に戒心といいますか、十分警戒をして事に当たらなければなりませんし、またこの事案につきましてももちろんそういう考えをもって終始しておるところでございます。   〔委員長退席、八木(徹)委員長代理着席〕 問題の方に対しましては先ほどもちょっと触れましたように、当時の検察官の気持としましては、被疑者として厳重にある事実を追及して証拠をつきつけてやるということではなくて、いわば参考人として、参考人という言葉が悪ければ証人というような立場で、任意に伺っておるわけなので、ことに先ほど申したように態度はすこぶる協力的でありましたので、まさか自殺をするなんということを考えるような徴候は少しも認められなかったということでありました。死んでから後にわれわれの方に有利なことをするというふうな判断をするということがあってはなりませんので、当該の盛岡地検の検事から報告をとったのでは、私の方としても客観性が失なわれるおそれもありますので、特に仙台の高検から監督者の立場においてこの問題を客観的に調査してもらう、こういう方針をとりまして、その結果に基づいてただいま申し上げたようなことを報告を受けておるわけでございます。その性格の弱いという点につきましては、あらかじめわかっておったならば、またそれなりの手当の方法もあったと思いますが、取り調べ当時はそういうことは予見できなかったようでございまして、ただ本人の保証人になっておる岩手大学の工藤先生にあてられました遺書というようなものを、これは新聞にも出ておったようでございますし、また先生のお許しを得まして、見せてもいただきました次第でございますが、その遺書などを見ましても、そういう性格の方のように思われることがうかがわれるのでございます。そういうところから客観的な資料に基づいて今のような判断に立つに至ったのでございまして、推測とは申しながら、やはりそういった遺言などを根拠にいたしまして、御報告申し上げておる次第でございます。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 今のお話のそういう自殺をするようなおそれがないと、こういう判断をしたから保護しなかった、こういうふうなお話でございますが、それはその通り解釈してよろしゅうございますか。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内政府委員 その通りでございまして、当時調官としましては、自殺をするおそれがあるというような状況は言葉の上、行動の上その他全般から見まして予測し得なかったという状態でございました。この状態は調書やその他いろいろ見ましても、調べの当時にはそういうことはうかがえなかったというのが真相であろうというふうに思われるのでございます。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 しかしそういうようなおそれのある場合には、保護するような配慮を常にすることがあなた方の仕事の責任だ、こういうこともあなたは了解しますね。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内政府委員 さような疑いのあります場合にはこれに対して適当な保護を加える、またその保護の仕方はいろいろありましょうけれども、それも調べに当たります者としては当然なすべきことでございます。従いましてこの事件に限らず、少し態度、言動その他が異常であるとか、その他危険を予感するような場合につきましては、それぞれ関係当局と話し合いまして、もし病人であるならばすぐ手当を加えますし、またそういう自殺の危険といったようなことがうかがえる場合には、十分手を尽くしてそういうことのないように保護の手を伸べることが、これが私ども取り調べに当たりまして常に心がけておることでございますし、それも義務内容だと私は心得るておるものでございます。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 もちろんそうでなければならぬと思うのですが、しかしそうでないというふうに予想したからほうっておいて、結局一人殺してしまったという点では、私は当局として非常に責任を感じなければならぬ問題だと思うのです。今おっしゃるように被疑者であればそうでもないけれども、参考人として呼んだんだ。だからそれほど本人が苦しむようなことはないだろうというふうな観察の条件にしてあるのですが、それは逆だと思うのです。被疑者であれば自分が承知しておる。承知しているけれども、それを自白しない、自白するというだけの問題だと思うのです。ところがこういう人は、この人の立場、個人的な立場もあるでしょうが、さらに会社という立場もあって、今までいろいろな点で営業的に交渉のあったところなんです。従って会社もそのために今後うまくなくなって、事業がまずくなるのではないかということになれば、変なことをしゃべって会社にも不利益になる、個人的な関係からいってももう教組の人たちと顔を合わすこともできないというようないろいろな問題を考えれば、被疑者を取り調べるよりも、かえってこういう立場に立つ参考人を取り調べる方が私は当局としては慎重を要する。そうしてその事後に対して看視をしなければならぬ点が多分にあったんじゃないかと思うのです。そういう点ではあなた方は非常に責任が重大だと思います。私はその責任をただそれだけに考えない。先日もここでもって連合審査会を開いたときに、大臣は劈頭に何と言ったかというと、今度の問題は一切の責任が日教組にある、こういうことを大臣がきわめて簡単に言っているわけなんです。このムードが検察庁にもそれから警察関係にもずいぶん影響していると私は思う。もう日教組というのは一般大衆から見離されているのだ、これはどういうふうに扱ったっていいんだというような気持が、あなた方でなくて、第一線に立つ人たちにあったからこういうふうな軽率なことをしてしまったのだ、これはきょう大臣がおりませんから、大臣にはまたいずれ申し上げようと思うのですが、そこまで大臣の言明というようなものは、ああいう発言というものは及んではいやしないか、今のような問題を考えただけでも、文部大臣の言たるや非常に無責任な言だと思うのですよ。そしてまたそれがあなた方の厳正を期するというような態度の中にもおのずから生まれてくる、それほど今度の問題というものは非常に重大だと私は思うのです。しかもそういうふうな雰囲気が周囲にあるから、警察当局の報告を伺っても、校長さんが二人自殺しておりますが、一人はこれは精神異常を呈しておって死んだのだというふうに言っておる。言われてしまえば仕方がない。私たちもこれに対して真相をきわめることはできないから、これは黙っていなければならぬ。しかしもう一人の校長さんは神経衰弱で眼底出血なんかして入院もしたとかなんとか書いてあって、呼び出しにも応じなかった。それで取り調べもしなかったが、非常に苦にはしておったようだけれども、自分のからだのことが非常に気になり悲観をして厭世的な自殺だ、こういうふうに言っておりますが、また裏から憶測をすれば、判断すればとにかく自分の校長住宅で始業前、はりになわをつるして首をつっているわけなんですよ。これもやはり警察当局あたりがこういうムードの中で処理しているのじゃないか、私はこうも考えられるわけです。かなりそういう精神的な打撃というものをあらゆるところに及ぼしていると私は思うのです。従ってこの面この委員会でもって警察当局に質問をだれかがしましたが、いろいろと事情を調べましたけれども、警察には一点の手落ちもございません、こういうふうな言明をしておりますが、また今度は取り調べを受けた人たちから聞きますと、非常な過酷をきわめておるというような訴えも聞いております。私は今のようなあなたの説明からしても、今度の問題に対しては全部とは申しませんが、あなたたちの心のすきの中に、文部大臣がああ言っているのだ、日教組をやっつけることについてはこれはもう世論が支持するから大丈夫だというような、そういう気持が少しでもありはしなかったか。そのすきが豊田寛という人を殺しておる、私はこう言っても差しつかえないと思うのです。もしあなた方が職務に忠実であって、そしてその事態に対して真剣であれば、十二日家出をするというふうなことが未然に防げたのじゃないか、こう思います。さらにそれを裏づけるものとしては、これはうそかほんとうか知りませんよ、しかし私たちの聞いたところでは、岩手の教育委員会はきわめて教組に弱い、この岩手教育委員会は強硬に教組対策をすべきだということを検察庁自体が言っておる。あるいはこれは先日検事総長のところに行って私たちは抗議を申し込んだのですが、あなたは岩手県へ選挙違反か何かの問題で行ったのだそうですが、その帰りに、検事正に、しっかりやれというような激励までしておるというような話を聞きますと、ますますあなたたちの今度の取り調べとか、あるいはこれに対する措置とかいうものは完全ではなかったということを、私は言わなければならぬと思うのですが、いかがですか。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内政府委員 参考人と被疑者の場合に、参考人の力が大事な場合もありますし、また相手によりましては慎重を期さなければならぬ場合もあり得るわけでございまして、私の申し上げましたのは、一般的に申して、参考人の方が気が楽で取り調べに応じ得るのだという意味で申し上げただけでございまして、個々の参考人が被疑者よりも常にどう扱ってもよいという趣旨でないことを、一つ御了承願いたいと思います。  それから本件の調べにあたりまして、私どもに落度がないかあるかという点につきまして、私どものやっておること、善意で誠実にやっておるつもりでございますけれども、客観的に見て、あるいはその点が落度でないかという御指摘を受けることも、これまたあり得ることでございまして、そういう御指摘につきましては心からこれを反省せなければならぬ、こういうように考えております。しかしながら検察官が、文部大臣がそういうことを御発言になったということ、それを奇貨としてむやみやたらにふるい立つとか、あるいは検事総長が視察に行って検察官にしっかりやってもらいたいということ、それは私当然だと思いますが、しっかりやってもらいたいというようなことを言ったといって、それが不必要に肩を怒らして検察の事に当たるというのではなくて、どうか一つ検察官の誠意ある捜査活動に御理解を得たい、かように考える次第でございます。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 それは取り調べというふうな形だけの問題でなく、私は大臣のああいう発言というものは、もう日教組をばか呼ばわりをして全国に言いふらしておる。そうしてここでもある問題の一切は日教組にあるのだというようなことまで言って、何らよってくる原因というようなものを考えずに言うその言動というものが、ことに検察庁あるいは警察というふうなところには、思想傾向の何とかいうようなことから多分に厳重をきわめるというような態度が出てくるおそれもある。今回のような問題を、ほんとうにわずかな面でございますが、あのことの話し合いの中からも、担当一般よりも問題を軽視しておるというような点がうかがわれるわけなんです。  そこでもう一つお聞きしますが、二十六日に学力テストが行なわれておる。二十七日に一斉に行動開始がされておりますね。そこで、私はあまり警察関係の法規というものを知りません。知りませんが、二十七日に行動が開始できて、あの大量な呼び出し、あるいは検挙というふうなものを行なうなら、なぜその前日に問題を未然に防ぐような措置を警察がしてくれなかったか、こう思うのですが、これは無理ですかね。

三輪良雄警視監(警察庁警備局長)

○三輪政府委員 警察といたしましては、事が起こり、その結果刑事的な犯罪人が出るということはきわめて嘆かわしいことでございます。事が起こらないことが望ましい。これがいわゆる防犯活動でございますけれども、しかし事柄は、県の教組の立場といたしまして、学力テストをいかなる方法をとっても食いとめるのだということが、すでに相当前から協議をされ、それから新聞紙等に出ておるわけであります。そういうものに対して県教育委員会からは、そういう措置をとってはこれはもう違法なんだということをたびたび言明をされておるようでございます。そういうふうな問題に対しまして、警察としてさらに進んで教員組合に対してそういうことをやるなというような警告をすることは、これはこの問題について結果からそういうお言葉でございますけれども、かりに今後そういった事態に、事前に警察が教員組合の責任者に警告をするというようなことになれば、これはまた別な意味で運動に対する弾圧だというお言葉があろうかと思います。私ども心からそういう事態になりませんことを念願をいたしますけれども、結果といたしまして法に触れる行為がありましたならば、警察の立場としてこれを取り締まるということはやむを得ないことであろうかと思うのでございます。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 あなた方もやはり一つのムードにかかっていますよ。反対をする、こういうふうにあなたがおっしゃれば、ほんとうに徹頭徹尾反対というふうな形にとれるでしょう。しかし私も現地へ参りまして、そういう点では冷静にいろいろと聞いてきたつもりなんですが、何回か交渉しているんですよ。そしてあの委員長も、教育委員会なりあるいはPTAの連合会なりに、とにかく学力テストをやるということが一番この際緊要の問題だ、早くいえば、やりさえすればいいじゃないか、だからあなたたちも折れろ、私たちも譲歩する、だからやはりどんなかの形でもってやって、そして問題が起きないようにしようという努力はしているんですよ。それをあなた方は、てんづけ頭から、教員組合はあくまでも阻止するんだ、反対するんだというふうにきめていますが、やはりその経緯というものは私は考えてやらなければいけないと思うのですよ。そうして、最後まで相当に折衝しておる。ただその過程において、これは一つ、あなた方はそこまで勉強する必要がないかもしれませんが、文部省の今度ねらったものは、もう文部省当局が言っているんです。相当反省しなければならぬものがある——もちろん基本的なものについてはそんな反省はいささかもしておりませんが、いろいろな形の上で反省しなければならぬものがある、改めなければならぬものがあるというふうなことを言っております。とにかくむずかしい問題を、なかなか理解のしにくい問題を投げかけておるわけなんです。その問題について、実際行なう先生たちは、これをだれに質問し、だれに解明を求めるかといえば、地方の教育長さん、教育委員さんですよ。ところがこの教育長さん、教育委員さんというふうな人たちは、ほんとうに今の文部省が考えておる教育行政を完全に行ない得るような——失礼ですが、そういう人たちがそろっているかどうか。学校の先生をやめたんだ、だから一万か一万五千やっておけば教育長をやっているだろうというふうな、そういうことから地方行政の中で教育長さんや教育委員さんが選ばれているわけなんです。こういう教育行政を行なう以上は、こういうふうに現場の先生たちが不満を持っている以上は、地方の教育行政の中核となる教育長をもっとしっかりさせなければいかぬというふうな、そういう積極的な考えを持って、そういう人たちの給与等の問題も改善をするというような態度があればいいんですが、そういう点がいささかもない。ほんとうに形式的に教育長さんが作られている。その人たちに向かって文部省の意図で流れてきておるところの学力テストの問題でもって交渉をしていけばなかなからちがあかないわけなんです。そうして向こうは、たとい自分が納得しても、もしこれをここで納得しちゃったら、文部省というものが何をするかわからぬというような——彼らには自主的な教育行政を行なうものはないわけなんです。そういう中で、先生と教育委員会が交渉している。これはもう、一方的かもしれませんけれども、岩手県教組の出した学力一斉テストに対するところのいろいろな交渉経過というようなものを見れば、そんなに教組自体が無理ばかり言っているわけじゃないのだ、やはりどこかにこの教組の言い分というものも理解し、説律するような教育委員会の力というものが欠けているのだ、あるいはどこか文部省の考え方にまずいところがあるのだということをうなづかなければならないわけなんです。そういうような経緯をあなたたちは解釈しようとしないのです。ただ、てんづけ阻止一点ばりでもってきているんだ、こういうふうに見るから、今のようなあなたの発言が出てくるのですが、これがやはりだいぶ荒木文部大臣のああいうムードに染まっておる点だと私は思うんですよ。その問題というものをもっとこまかく分析して、その事態を考えなければ、ほんとうの処置というものは私は出ないと思うのです。  そこで、私の今申し上げたのは、教員組合のそういう行動に対して、やめなさいと言うこと、それはできぬかもしれませんよ。ただ、岩手県へ参りまして、各警察、教育委員会、教員組合というところから報告を受けておりますが、こういう中から、いろいろな処罰されている事例というものを見ております。たとえば、オートバイでもって書類を運ぼうとする者があった、それを橋の上でもって待ちかまえて、そしてそれを二時間なり二時間半なりそこでもってとめてしまったというようなことが当日あることが予想されるわけなんですね。警察がこれほど二十七日には一斉に行動を開始できるのですから、どういうことが行なわれるか予知されるわけなんだ。そうしたら、そういうところを警察の皆さんが、トラブルの起きないようにやるということは、これはあなたたちの責任としてできるし、しなければならぬと思うのです。そういうような配慮をしたら、岩手県のああいう悲惨な問題は起きなかっのじゃないかと私は思うのですが、どうですか。

三輪良雄警視監(警察庁警備局長)

○三輪政府委員 今度の事件につきましてと申しますか、学力調査の反対闘争というものにつきまして、全国で相当公務執行妨害その他で検挙された事例があるわけでございますけれども、岩手県におきましては、そういう事例はきわめて少ないのでございます。御指摘の、オートバイに乗っていって書類を運ぶときに、途中でとめたというようなものは、これは事件としてその後に検察庁の方へ送っておるわけでございますけれども、そういった数はきわめて少ないのでございます。御指摘の、被疑者が出て非常に大きな事件になりましたのは、そういった個々の公務執行妨害でありますとか、暴行傷害でありますとかいうようなことではなくて、学力調査をするという職務命令に反しまして、学力調査をせずにいわゆる通常授業をしたという、地方公務員法違反についての問題であるわけでございます。そこで個々の暴力行為のようなものが予想されるから、そういうものをとめるという努力がなされたらば、ああいう全体のことが起こらかったであろうという御指摘はどういう意味か、私も理解ができないのでございますけれども、この全体の事件といたしましては、そういう個々のケースとは違いまして、組織的に学力調査を阻止をするということに端を発しておるのでございます。  なお、私の言葉が足りませんで、全体がただ反対々々と言っているだけのように受け取っておるということでございましたが、きわめて簡単にお答えをいたしましたわけで、私の申し上げましたのは、ここに取り寄せてもございますが、十月の十二日、十六日、その他の地元の新聞で、たとえば「学力テスト阻止休暇戦術で険悪な空気」とか、「学力調査に休暇戦術」とかいうふうな見出しで、非常に詳しく阻止が行なわれるであろうということが出ておるのでございます。これをなぜ私お答え申し上げたかというと、実際学力調査の拒否が行なわれた翌日、すぐに警察が手を打ったのは非常に早いではないかというお言葉のようでございましたので、事前にそういった状態が新聞等でうかがわれたということを申し上げた次第でございます。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 あなたが弁解しましても、今おっしゃっていることもすでにそうなんですよ。新聞に阻止する、阻止すると出ておる。しかし阻止するとという中にも、もし話し合いがつきさえずればやるという意向もあったことは事実なんですよ。それは骨抜きになるかどうか知りませんが、そしてとにかくこの場合は問題を起こさないようにしようじゃないかという努力もあったわけなんです。しかし今のお話を聞いても、岩手県の新聞を取り併せてみればこうだ、阻止々々と書いてある、そういうふうな気持が、非常に警察官なんかに僕は響くのじゃないかと思うのです。とにかく今のお話の点では、確かに授業を休んでという点ではこれは警察の皆さんには手の届くところじゃないと思うのです。しかしこの報告なんかによりますと、至るところでトラブルが起きているわけなんですが、こういうことについてはやはり警察当局として万全の準備をしておく必要があったのではないか、こう思うんですよ。それも必要ないというなら、これはまた御質問申し上げなければならぬわけですが、そこで、校長さんが二人死んでおりますね。このことについては警察関係の方では、この私たちが受けております報告、それ以外に何ら報告は受けておりませんか。

三輪良雄警視監(警察庁警備局長)

○三輪政府委員 校長先生というのはお二人あの時期に自殺をしておられるのでございます。これも私どもほんとうに遺憾でおくやみにたえないのでございますけれども、お一人の永沢小学校の渡辺という校長先生は、これは小学校長でもございますし、またその小学校の属しております郡、これは胆沢郡というのでしょうか。この郡全体は中学校の学力調査も行なわれておる郡でございます。従いましてこの渡辺先生は何ら今度の事件には関係がないと申しますか、警察といたしましてもいかなる意味においても調べるという方ではなかったわけでございます。この方が奈良においてなくなっておられるのが発見をされたというような不幸な事態があったわけでございます。今お尋ねの中で一人とおっしゃいましたのは、もう一人の中学校の渋谷校長先生のことであろうと思うのであります。これは田頭中学校の渋谷義雄という校長先生でございますが、この学校はいわゆるテスト不能であった学校でございまして、これは事件の捜査の必要上、十月の二十八日の十時ごろ及び手後三時ごろ、二度警察官が参考人としておいでを願いたいということを御本人にお伝えをいたしております。御本人はそのいずれの時期にももちろん出頭しておられません。二日置きまして、三十日ごろに入院をされております。そこでその後は警察は呼び出しをいたしておらないのでございます。なお、これに関係いたしまして、同校の関係では教頭の先生に同様数回任意出頭でおいでを願いたいということをお伝えをいたしましたけれども、そのつど出頭拒否をしておられまして、 ついに出てこられておりません。その他の先生方については呼び出しをいたしておりません。また学校の捜索も実施をいたしておりません。ただ不能校でございましたので、校長先生に参考人としてお聞きをするという意味で任意出頭を求めたのでございます。従ってそのこと自体が全くこの自殺をされたことに無関係だということを申し上げるわけではございません。しかしながら呼び出しをかけて実際に出られなかったということが、直ちに自殺に結びつくというようなことは全く予測もしなかったところでございます。しからばどういうことであったかということでございますが、その後伺ったところによると、非常に高血圧であり、また神経衰弱ぎみであられたということでございますが、田頭中学校長として三十五年の四月ごろに転任をされたわけですけれども、すでに高血圧、網膜出血症で自宅療養されながら勤務しておられたということでございます。三十六年七月から九月まで高血圧の治療のために入院をしておられます。十月三十日ころから十一月二十日ごろまで網膜出血症のためにまた入院をしておられまして、退院後も引き続き治療を受けておられたということでございます。昨年八月ころから病状が特に悪化をいたしまして、眠れないというようなことから神経衰弱ぎみになられたようでありまして、睡眠薬を常用しておって、あとでいろいろ学校の方などに伺ったところでも、ものが二重に見えるなどと話をしておられた。こまかい具体的なことまで申し上げますけれども、たとえばお茶を御自分でつがれるときに、茶わんの外につがれてしまうということもあったということを見ておられる方もあるのであります。同校の用務員なども、校長先生は非常におからだが悪いようだということで、心配をしておったというようなことも聞くのでございます。そこで自殺当日の十二月十八日でございますが、つまり十月三十日から十一月二十日ごろまで入院をしておられまして、それから帰られたわけですが、十二月十八日は朝から平常通り勤務をいたしまして、午後六時ごろ校長室で用務員が運んでこられた夕食を食べられ、午後十時少し前ごろに校長公舎にお帰りになった。この方は家庭の事情で単身でこの公舎におられたのでございます。自殺されたのは帰宅直後のことと考えられます。校長公舎の勝手と茶の間の間の境のかもいにひもをぶら下げまして、頸部を二重に巻いていすを踏み台にいたしまして縊死をされたのであります。翌朝九時ごろ用務員が、自殺したことを発見をしたということでございまして、先ほどのお言葉で、何か非常にからだが悪いということで、警察が責任のがれをするようなこともちょっとおっしゃいましたけれども、入院されましたこととかあるいはその当時の御病状とかいうようなことは、いずれも見ておられましたまわりの方々から承り、ことに入院などは非常にはっきりいたしておることでございますので、そういう点で私どもの調査をいたしました事実だけ御報告いたすわけでございます。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 やっぱしもう少し不利なところもおっしゃった方がいいと思うんですよ。というのは、岩手県の県警本部の報告には、だいぶ板ばさみになって苦しんでおったようだということがちゃんと書いてあるんですよ。そういう点がだんだん薄れていくんですよ。従って私は無理にこれを歪曲するわけじゃないんですが、やはり板ばさみになって苦しんでおったということ、一つは自分が病弱であってこれ以上生きるにたえられぬという点もあったかもしれぬけれども、それを促進さしたものは、やはり板ばさみになって苦しんでおったというか、この学力テストの問題が相当契機になっておるというふうにも解釈できるわけです。この人は死んだわけです。ところがこれと同じような心境にあった者は、私は非常に多かったと思うんですよ。死ぬというふうなそういう決意をするまででなくても、非常に苦しんだということは、私は岩手県の教員全体にあると思うんですよ。それを、正面切って一番刺激を与えるものは、残念ながらやはり警察だと思うのです。これはやはり警察の職務として、そういう気持を抱えながらも、職務でありますから調査もしなければならぬ、呼び出しもしなければならぬ、手錠もはめなければならぬ、あるいは証拠書類も押収しなければならぬでしょう。しかしやはりそういう場合に、こういうような病弱であるけれどもそれを死にまで追いやるのはやはり自分たちだということを、もう少し警察官が考えて、そして相手が普通の犯罪者と違って教育者だ、その教育者も何も悪いことをするという自覚のもとにやっておるのではないと思うのです。一つは自分の教育信念で、そうして文部省の考えておる教育観と自分たちの考えというものがそこに一致しないというその苦しみの中で、あの問題をやっておるという点を考えたら、私は警察の行為というものは相当慎重でなければならぬと思うんですよ。だから私はこれなんかも、そういう教員の特殊な心情が、あなたたちの不手ぎわによって促進をされた、こう言っても差しつかえないと思うんです。そういうものが全県的に与えた影響というものは、私は相当大きい、こう思うのです。  そこでこの前は教育者の立場を考慮して警察の方は慎重にやったつもりだ、こういうふうにお話がありましたが、証拠書類なんかの押収はきわめて苛酷だったわけです。あしたからの仕事ができないような学校もあったし、あるいは一つの学校全体を呼び出す、あるいは一郡の先生全部を呼び出す、こういうふうな形がとられたのです。そうして授業時には呼び出さないようにするとか、いろいろなことを先日は述べられましたが、学芸会に堂々と行って先生を呼び出している。生徒の目に触れるとか触れぬとかという問題はもう考慮されていなかったわけなんです。あるいは女の先生、これは検察庁の方の話でございますが、女の先生が引っぱられていって、何か答弁がまずかったら、そんなことを言ってるから、お前みたいな教員がいるから、教育が低下するの、だというような罵倒まで受けているわけなのです。それらもすべてもう少し——文部大臣が何と言おうと、日教組をどういうふうに世間が誹謗しておろうと、やはり検察当局、警察当局というものは教育者の立場というものを十分考慮して、慎重を期さなければならぬと思うのです。この校長さんの自殺ということも、警察当局のそういう弁明をはたしてその家族がそのまま忠実に受けるかどうか、あるいは検察庁がもう少し考慮してくれたら——豊田という人の家族たちは、うちの主人は自殺しなくて済んだのじゃないかという恨みをあなたたちは受けていると思うのです。それがどこから出てくるのじゃない。もう少し、世間がどういうふうに言おうと、自分たちの立場はあくまでも厳正中立でなければいかぬという立場で教育者に対するところの措置を講ずべきだ。荒木文部大臣がああいうふうに広言し切っているのだから大丈夫だというようなムードでもってやってもらっては困る、私はこう強く皆さんにお願いするものでございまして、この豊田さんの問題あるいは今の校長さんの問題は、決して皆さんの御答弁を受けたからといって満足はできません。これはやはり殺したのは、死なさしたのは、文部大臣に言わせれば、おそらくきょうもここにいれば日教組が殺したのだというふうになってくると思うのです。そうしてあなたたちもそれに力を借りて、自分の立場を擁護するかもしれませんが、そんなことになったら教育というものはますます混乱してくるということを私は申し上げまして、きょうは続いて大臣に御答弁を願いたいと思うのですが、おりませんので、これでもって質問を終わらしていただきます。

八木徹雄自由民主党

○八木(徹)委員長代理 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

八木徹雄自由民主党

○八木(徹)委員長代理 それでは速記して下さい。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十一分散会。

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