農林水産委員会 第5号
- 発言数
- 6 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1962/02/13
会議録
○野原委員長 これより会議を開きます。 川村継義君外二十一名提出にかかる南九州防災営農振興法案及び南九州防災営農公団法案、並びに石田宥全君外十四名提出にかかる土地改良区の財政の再律に関する特別措置法案、以上三案を一括議題として順次提案者より提案理由の説明を聴取いたします。
○野原委員長 片島港君。
○片島議員 ただいま議題となりました南九州防災営農振興法案及び南九州防災営農公団法案について、その提案の理由を御説明申し上げます。 両法案ともに、第三十八回国会に提案して、審議未了となった法案を、そのまま再提案することとなりましたので、きわめて簡単にその概要を御説明申し上げます。 まず、南九州防災営農振興法案でありますが、南九州は、台風の玄関口に位し、加うるに特殊土壌地帯として、農業を取り巻く自然条件はきわめて苛烈であります。 これがため農業の停滞性、ひいては産業経済の後進性はいよいよ深刻なるものがあり、他地域に比べて所得の開差もますます広がるばかりであります。 この地域における農業振興の基本的な方向は、農業生産基盤の画期的な整備拡充と、合理的な営農方式によって再編成された総合的な防災営農を確立する以外に道はありません。 これがためには、国の責任において大幅な財政投融資と、濃密な指導態勢のもとに、大規模な生産基盤整備事業、防災作付体系の確立、畜産の向上発展、生産、加工、流通過程の共同化等を含む抜本的かつ総合的な防災営農振興対策を講ずることが緊要であると確信いたします。 これが、本法案を提出するおもな理由であります。 なお、別途に南九州防災営農公団法案を提出しておりますが、南九州防災営農対策の樹立と実施の期間は五カ年間、所要事業費の総額は約五百億円、その負担区分は、当地域の財政状態と住民の負担能力を考慮して、国費七割、県費二割、市町村と受益者それぞれ五分ずっとして法律の運営をはかる所存であります。 次に、南九州防災営農公団法案について申し上げます。 従来の地域特殊立法が、いずれも計画に対する財政上の裏づけが貧弱であって、計画面と実施面に大きな食い違いを生じているのが実情でありますので、かかる欠陥を是正するとともに、事業の特殊性をも考慮いたしまして、公団方式により、必要な推進をはかることといたしたいと存じます。 すなわち南九州防災営農振興法案第十二条の規定により、南九州災営農公団を設立し、南九州防災営農振興地域において畑地灌漑事業、特殊土壌対策事業、農地防風林の造成、開田、開畑等の事業を行なうこととしております。 なお本法案において、公団の組織、公団に対する監督規定等を設けております。 以上両法案の提案理由とその大要について申し上げましたが、何とぞ御審議の上御可決賜わるようお願い申し上げます。
○野原委員長 石田宥全君。
○石田(宥)議員 ただいま議題となりました土地改良区の財政の再建に関する特別措置法案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。 戦後の土地改良事業は、農地制度の大改革と相並ぶ国の最も重要な施策の一環として、自作農を中心とする農業経営の合理化と農業生産力の発展をはかり、食糧その他の農作物の増産によって農業の国民扶養力を引き上げ、ひいては国民経済の成長と発展に寄与することを目的として強力に推進されましたが、一方ではこれが法的体系の整備のために昭和二十四年土地改良法が制定せられたのであります。自来今日まで数次の改正を見、本法を根拠に土地改良事業の実施、土地改良区域等の設立運営が行なわれ、農民諸君の努力と相待って、わが国食料農業問題の前進のため多くの成果を上げて参ったことは、御承知の通りであります。 最近の実績を徴しまするに、昭和三十二年度までに事業費で約二千七十余億円、完成受益面積約百八十八万ヘクタールに達し、栽培技術の進歩向上に助けられつつ、農地なかんずく水田の生産力は飛躍的な増大と安定を見ることとなったのであります。昭和三十年以降、五年続き、六年続きの豊作がうたわれておりまするが、水稲におきましてはすでに千二百万トン台の生産水準をもって平年作とすることが今日の常識となるに至っているのであります。このように土地改良事業は土地生産力の発展に役立っておりますると同時に、一面においては農業労働の軽減による労働の生産性の向上に裨益し、総じて農業の近代化、合理化を促進して参った事実を否定することはできないと思うのであります。 戦後の土地改良事業はかような効果を上げて参りましたが、同時にまた、今なお全国には数百万ヘクタールに達する要土地改良面積が残されており、さらに新時代に即応し、畜産農業、果樹農業等の振興のため強力なる畑地対策の推進が要請せられておるのであります。それにもかかわらず、食糧事情の若干の好転を背景として、いわゆる農業生産基盤整備事業に対する政府の熱意が近来とみに冷却の傾向を示し、昭和三十七年度予算におきましては、若干の増額を見ておるのでありますが、我国農業の特徴である零細性と生産性の劣勢が生産コスト低下の障害となっており、加えて世界経済のブロック化推進に伴う貿易自由化政策は劣弱なわが国農業にとって一大脅威であることは何人も否定し得ないところであります。従いまして農業構造改善の前提条件としての土地改良事業を急速に推進しなければならない現段階におきまして十分な予算措置が講ぜられていないことははなはだ遺憾であると申さざるを得ないのであります。 同時に、現在の土地改良事業がその内部に持っておりますもろもろの欠陥、すなわち、事業進度の遅延による経済効果の減殺、事業の一貫施行態勢の不徹底、営農技術指導の不十分、事業完了後の施設の維持管理方式の不備、農民負担の過重等各種の問題点に真正面から取り組み、一つ一つこれを解決すると同時に、他産業との所得格差が漸次拡大しつつある今日の情勢下におきましては、さらに高い次元の上に立って農業の共同化、近代化を推進する必要があり、これがためには、あらゆる施策に先だって農業生産基盤の整備拡充とその制度の確立に努めて参らねばならないと信ずるものであります。 われわれが前述の見地に立って二月七日再度提出しました農業基本法案におきまして、農業基盤の整備拡充については特に意を用い、その前文で「国の責任において、積極的かつ計画的に、農用地の大規模な拡張、土地条件の整備及び共同化による経営の拡大と近代化を促進する」ことを明らかにし、さらに本文では「農業基本計画に基づく農業年度計画の実施に必要な予算の確保」をうたい、また「農業経営の共同化を促進するため、全額国庫負担による農地の造成、土地改良及び集団化により農業生産基盤の整備を図らなければならない」ことを述べ、もって国の義務として農業生産基盤の整備拡充を積極的に促進すべき旨を明示しているのであります。これに比較して、成立を見た政府提出の農業基本法は、この点においていささか見劣りがあるのでありますが、いずれにいたしましても、農業基本法が成立した今日、土地改良事業の手続規定を中心とする現行土地改良法には、新しい理念に基づいて大幅な改正を加うべきものと考えるのであります。 われわれは以上の趣旨により土地改良法の抜本改正を主張するものでありますが、ここに至るまでの間におきましても、いたずらに手をこまねいて待っているわけには参らぬ緊急の課題が生じているのであります。すなわち、それは土地改良区の財政を再建して、その体質改善をはからねばならぬということであります。御承知のごとく、土地改良区は団体営土地改良の主たる事業主体として、はたまた国営または県営により施行せられた農業施設の管理主体として、土地改良法に基づいて設立される公共団体でありますが、あたかも全国の多数の市町村や農業協同組合が財政上の危機や経営上の困難に見舞われ、再建整備に苦慮いたしておりますると同様の運命に陥りつつあるのであります。 土地改良区の設立状況は、昭和三十五年三月三十一日現在において、一万二千七百三十二地区、その関係面積は三百三十九万二千ヘクタールでありますが、農林省の調査によりましても、大なり小なり経営の不振に悩む土地改良区の数は一万、専任職員の設置すらできないものはその八割にも達するものと目され、これらのうち著しい事業の不振団体は、三百二十九地区、関係面積十四万二千ヘクタールに及び、その負債額五十四億三千三百万のうち延滞額は八億八千四百余万円であると報告せられておりまするが、さらに詳細な調査をいたしましたならば、不振団体はおびただしい数に上るであろうと想像されるのであります。しかして、そのよってきたる原因はさまざまでありますが、そのおもなるものは、国営、県営及び団体営の各級事業が一貫施行せられず、多くのものが経済効果の発生しないうちに借入金の償還に入ることあるいは事業進度の遅延により金利が増大すること等、結局は農民の負担力の限界を越えて過重な金銭が賦課され、多額の延滞を生じて業績不振に陥っているものと認められるのでありまして、国または都道府県の側における指導や施策に適切を欠き、そのしわ寄せを受けているところに根本原因があると断ぜざるを得ないのであります。土地改良区がはつらつとして健全な運営を行なわない限り、農業生産基盤整備の画期的な前進を望むべくもないのでありまして、かくては農業基本施策の確立のものも画餅に帰することは明らかであります。 ここにおいて、われわれは、かかる不振土地改良区に対し、国、都道府県及び農林漁業金融公庫等が一体となって、その借入金について利子補給、貸付条件の緩和等の措置を行ない、もってその業務の円滑な遂行を期することが必要であると認め、本案を提出した次第であります。 以下その内容について申し上げます。 第一に、債務の弁済が著しく困難な土地改良区につき、その財政の再建のため必要な援助措置を行なうことによりその業務の円滑な遂行をはかることをこの法律の目的といたしております。 第二、債務の弁済が著しく困難な土地改良区は、財政運営の現況及び債務の償還計画、農林漁業金融公庫または農林中央金庫から受けることを必要とする援助の内容、事業の実施に必要な資金の調達方法、業務執行の体制を改善するための措置、事業の実施に関する事項等を内容とする再建整備計画を作成し、これを都道府県知事に提出して、その計画が適当であるかどうかの認定を求めることができることとし、その申請は昭和三十九年三月三十一日までにすることにいたしております。また、土地改良区が再建整備計画を作成する場合には、その組合員の三分の二以上が出席する総会において、その議決権の三分の二以上の多数による議決を必要といたしております。 なお、都道府県知事が、この計画を認定する場合には農林省令で定める基準に従って行ない、かつ、認定するときには農林漁業金融公庫または農林中央金庫の意見を聞かなければならないこととしております。 第三に、農林漁業金融公庫は、再建整備計画が適当である旨の認定を受けた土地改良区に対し、その計画達成のため必要な資金の貸付または貸付金にかかる償還期限の延長、利子の減免その他の貸付条件の変更をするものとし、その場合の償還期限の延長は、農林漁業金融公庫法の定める償還期限を越えて十年を限り、行なうことができることといたしております。 第四に、都道府県知事は、土地改良区に対し、再建整備計画の作成及び実施につき必要な指導を行なうものといたしております。 第五に、国は、毎年度予算の範囲内において、都道府県に対し、再建整備計画が適当である旨の認定を受けた土地改良区に対してその計画の達成のため債権の利息を減免した農林中央金庫に対しその減免した利息の額の全部または一部に相当する金額を都道府県が補助した場合の経費については三分の二を、土地改良区に対しその計画の達成に必要な事務費の全部または一部に相当する金額を都道府県が補助した場合の経費についてはその全部を、それぞれ補助することといたしております。 以上が、本案の提案理由とその内容であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決賜わらんことをお願いいたします。
○野原委員長 次会は明十四日開会することといたしまして、本日はこれにて散会いたします。 午前十時五十一分散会