大蔵委員会 第39号
- 発言数
- 76 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1962/05/07
会議録
○毛利委員長代理 これより会議を開きます。 委員長所用のため、指名により私が委員長の職務を行ないます。 専売事業に関する件について調査を進めます。 質疑の通告があります。これを許します。藤井勝志君。
○藤井委員 私は、許された時間内におきまして、塩専売事業につきまして、当局の方から御回答を賜わるべく質問をいたしたいと思うのであります。でき得べくんば大事な点は大蔵大臣出席のもとに明快な御答弁を賜わりたいと思いますが、一応時間の都合もございますので、谷川監理官並びに政務次官からしかるべく御答弁賜わりたいと思います。 今さら私が申し上げるまでもなく、米塩に事欠かないということが政治の要諦であることは、昔も今も変わらないと思うのでありまして、あの終戦末期から終戦直後、塩の不足いたしましたわが国においていかにお互いが苦労したかということは、今なお記憶に新たなことでございまして、従って、われわれはよその国の例を引用するまでもなく、貴重な体験を持っておるわけでございます。イギリスがインドの植民地政策において塩を握ってこれが対策を進めてきたことははっきり歴史に残っておりますし、現実に、マッカーサーが日本に参りまして占領政策をやる場合に、塩を把握して占領政策を遂行しようしたことに対して、われわれの先輩がここに深い配慮をしてこれを排撃したということは、ごく最近のわれわれの身近に体験したことでございます。私はちょうど戦争中東南アジアの方へずっと参りまして、海軍の主計下士官としていろいろ占領政策の一線に立ったわけでございますけれども、やはり塩が一番キー・ポイントになる。もちろん米もそうでありますけれども、いわゆる米塩に事欠かない、こういうことが非常に大切な問題であろうと思うのであります。ただ問題は、現在塩を製造している業者がわずか二十八業者だというこの数から、世論政治、多数の声の政治ということになっておりますので、とかく等閑に付せられておることであります。まことに遺憾でございます。従って、今申しましたような、米塩に事欠かないことが政治の要諦であるというこの認識の上に立ってこれから議論をいたしたいと思うのでございますが、一応専売事業としての塩の国内需給対策はどのような考えでおられますか、一つ御見解を承りたいと思うのであります。
○谷川政府委員 現在の塩の需給関係でございますが、御承知の通り工業塩といたしましてソーダ工業の使う塩につきましては、もっぱら外国から輸入した塩をもって充てておりますので、必要な数量だけ輸入しておるという状況でございます。食料用塩及び若干の工業用塩につきましては、主として国内塩をもって充てるという方針によっております。その需給関係といたしましては、国内の生産が大体九十万トン前後でございますのが、需要の方も一応九十万トン前後でございますので、需給関係は大体均衡がとれておる。そこで在庫の問題がどうかということでございますが、現在のところ過去の蓄積が相当ございますので、生産と消費が大体とんとんという現状で、国民経済的には満足すべき状態にある、かように考えております。
○藤井委員 答弁側の方々にちょっとお願いしておきますが、時間が非常にないようでございますので、答弁は一つ簡潔に要点をお願い申し上げたいと思います。 今お話を聞いたわけでございますが、いわゆる食用塩は大体国内の自給をはかっていくという基本方針であり、工業塩については輸入塩を充てるということで、私の聞き及んだところによりましても、大体九〇%が国内の自給であって、あとストックによってこれを充てておる、こういったことでございます。そこで私は監理官にお尋ねをいたしたいと思いますことは、塩業審議会答申の線に沿うてこのたびも納入塩価格の決定を見たわけでありますけれども、このような価格の決定を見ました今日、現実に公の場においても、監理官を初め、あるいは専売公社においても、現在製塩業者のうち三分の一は経営上赤字であるということを確認されております。特に答申案の線から考えますと、昭和四十二年を目途として大体トン出たり六千六百円の線をきめられております。多少そこには経済の変動によってある程度価格の改訂も考えるということでありますけれども、まさに昭和四十二年度を目途としてトン当たり六千六百円というような納入価格であれば、ほとんど現在の製塩業者の九〇%ないし九五%は壊滅してしまう、こういうようにわれわれは推算いたすのであります。先ほど申しましたような塩の国内自給体制というものが国民生活において基本的な問題、であるという認識のしに立てば重大な問題であるわけでございますので、この点に対してはどのような見通しを持っておられますか、御見解を承りたいと思うのであります。
○谷川政府委員 昭和三十六年五月二十四日の塩業審議会の答申によりますと、ただいまお話しの通り、昭和四十二年におきまして包装上質塩一トン当たり六千六百円程度になることを目標にして、現在の塩の生産者におきましていろいろ合理化対策を講ずるということが適当であろうという答申が出ております。この四十二年の六千六百円と申しますのは、今申したように一応の目標でございまして、四十二年が四十三年になるか、あるいはさらに一年早まるかというようなことにつきましては、今後の塩の合理化における塩業者あるいは専売公社あるいはその他関係者の努力によって左右されることでございます。さらに価格の点につきましても、外国から入って参る塩を加工して消費者に提供する場合の合理的な価格として六千六百円という価格が現在の段階において予定されておりますけれども、この価格につきましても、今後の経済の推移によって、さらにこれが安くなるかあるいは高くなるか、いろいろ検討を要することでございます。ただいまお話のように、四十二年に上質塩が六千六百円になるということになりますと、現在の塩業者の大部分がコスト割れとなりまして、壊滅するのではないかというお話でございますが、この点につきましては、塩業審議会において現在の塩業者がいかなる方法、いかなる対策をもってすればそういう目標価格に近づき得るか、一般消費者の立場から申しますると、塩は安ければ安いほどよろしいわけでございます。そこで生産者の立場、消費者の立場を調整する場合に、どのような目標でどういう手段で合理化を進めるかということが問題であるわけでございますが、私どもの見通しでは、御承知の通り新しい技術としてイオン交換樹脂膜法の工業化も着々効果を発揮しておりますので、その技術的な研究と、それから現在の製塩業者の企業者としての合理化に対する熱意、努力によりますれば、この目標価格への到達につきましても、さほど心配が要らないのじゃないか、かように考えます。しかし、現在製塩業者が努力をしておりますけれども、なかなか前途にはむずかしい問題がございます。現実に業者が企業をやっておるのでございますから、その事実をもとにいたしまして、そうして新しい技術を考えながら、できるだけ早い機会に合理化を完成するということを業者、政府、両方努力しなければいけない、かように考えております。
○藤井委員 今のような監理官のお考えでございますから、私はこれは大へんなことだと思うのでありまして、大体塩業審議会というものは、率直に申しますと、大蔵省並びに専売公社の、よく言われます隠れみの的な存在ということになることを、端的に、今監理官からの答弁によって私はつかめたわけでございます。大体、大蔵省なり専売公社、そうしてそれが表に使われておるこの塩業・審議会というものの答申に流れる基本的な方向というものは、現在の中小企業である国内塩業はとうてい将来残っていけない、成長発展の可能性は全然ない、そういった一つの前提の上に立って政府のいわゆる貿易自由化政策と、先ほどもお話に触れられましたいわゆる新技術イオン交換樹脂膜による製塩法、このようなことを前提として、現在の塩田製法の将来というものに対しては全然考慮をおかないで、七年後の目標価格を最近の三カ年間の輸入塩の価格の平均に、最低の現在の物価水準による加工経費等を加算して策定されたものが、いわゆる昭和四十二年を目標として六千六百円、その目標のもとに現在逐次国内塩の収納価格を今日まで五カ年間にわたって三千三百円引き下げられ、さらに昭和三十七年度より五カ年間に三九%、すなわち四千二百円も引き下げられようとするごとき考え方が、はっきりと示されておるわけでございまして、その線に沿うて昭和三十七年度の収納価格も、先般トン当たり一万六百円、上質塩において二百円プラス、こういうことになったとわれわれは考えておるわけでございます。こういったことは、最初申し上げましたこの食用塩を国内で自給するという、一番大切な米塩に事を欠かないという基本の問題に触れた重大問題でありまして、このようなことに対して、私は今いわゆるイオン交換樹脂膜による製塩というものが、はたして公社や大蔵省が考えておられるごとく現在成果を上げておるか、しかもトン当たり六千六百円で現在イオン交換樹脂膜が成功したとしてもやれるかどうか、一応その点についての具体的ないろいろな事情をお聞かせ願いたい。それはこういう事情だから必ずやれる、やれもしないことを前提にして、しかも食用塩の自由化という問題は政府も全然触れておりません。これは米の問題と同列の重大な政治問題でありますから、そんなことが簡単にやれるわけじゃございませんから、こういう不可能な、起こり得ないようなことを前提として、無理じいをしておる現在の塩の専売行政というものは、言語道断であると考えざるを得ない。それに対して一つ私の納得のいくような答弁を願いたい。これは監理官のみならず、どうも私不思議に思うのは、大蔵省と専売公社、専売公社と製塩業者、こういったものの関関係が全くばらばらで、しかも米塩に事欠かないような国内の態勢が整えられない。ただ、現在従事しておる業者は二十八カ所しかありません。票につながるわれわれの立場からいえば、そう大した問題じゃないというふうに考えられるかもしれないけれども、声なき声をわれわれは体して、国の安泰の方向に向かわなければならない政治の立場から、真剣にこの問題と取り組んでおるわけでありますから、監理官もこの問題に対しては、今申しましたような具体的な問題を、これはもう間違いないというようなことがあれば、資料をもって一つ正確に御答弁願いたい。ただ思惑で想像と推定でお話を聞いたのでは、私は承知できません。しかるべき御答弁を願いたい。
○谷川政府委員 お答え申し上げます。イオン交換樹脂膜による製塩法につきましては、学問的には昔から外国におきましても、日本におきましても研究を続けられておったわけでございますが、それをいかにして工業化するか、そして生産企業として成り立たせるかということにつきましては、むしろ世界の中で日本が一番進んでおります。すでに御承知と思いますけれども、塩の問題としてそれを取り上げましたのは、今日本におきまして二つの企業がやっておりますが、一つは新日本化学、これは五万トンの塩を作る場合に、このイオン交換樹脂膜法を使うというものでございますが、昭和三十六年六月に膜の工場が完成いたしまして、その後製塩工場につきましても三十七年三月に完成をしまして、そこで塩を目下作りつつあるわけでございますが、現在のところは初めての試みでございますので、百%予期した通りの効果を現在のところは出しておりませんけれども、大体七割か八割程度の効果を出しておるというふうに聞いております。これも今後半年くらい研究を続け、また設備の改善をはかるならば、百%近い能力になるであろうということでございます。そこで現在の製塩技術といたしましては、イオン交換樹脂膜法以外にもいろいろ考えられますけれども、この方法が現在の製塩技術としては一番効果的ではないかというふうに見られておるわけでございます。もう一つの坂出にあります、一万トンプラントの工場につきましても、昨年以来いろいろ工業化に入っておるわけでございますが、この方も若干の問題はございますけれども、大体まあ予定通りの効果を上げておる。しかし何分これは工場の規模が小さいわけでございますので、今後これをどの程度まで能力を高めるか、塩の許可の問題との関連がございまするので、今後の推移を見守っていく以外はないと考えます。以上を通じまして新しいイオン交換樹脂膜法というのは工業化として大体将来希望が持てる、しかし若干問題はありますので、今後の推移を見守っていく必要があるということでございます。
○藤井委員 まことにたよりない御答弁で、こういったたよりない基礎に立って、それを前提とした専売製塩の納入価格決定を受ける業者、私は、決してその業者の立場だけでなくして、やはり塩というものが国民生活における米と同じような基本的な問題であるという認識の上に立ってこの問題を論じておるわけでございますが、まことにこれは遺憾千万であります。 ちなみに、私はいろいろ話を聞いておりますけれども、大体日本のエネルギー総合対策という面から、日本の産業に全体的に電力を使い過ぎるという警告が出ております。そのような考え方から推測いたしますと、イオン交換樹脂膜による製塩というものの将来というものはそう楽観的なものではないということ、同時に、かりにこれが都合よくいっても、もうすでに現在では六千六百円の目標は不可能であって、大体最も節約し、最も合理化が進んで都合よくいったとしても、現在の時点に立っては九千六百円見当になる。しかも、それは聞くところによれば、専門家が審議会の場において、やむを得ないであろうということも、率直に最近認められておるようでございます。従って、よほど緻密な、しかもそのイオン交換樹脂膜というものによって作ることがいいということに賛成し、それを推進している人たちの意見が、すでに六千六百円ではどうにもならない、いろいろこまごました材料も私は集めておりますけれども、時間の関係で省略いたします。従って、そういう事態に立って物事を判断する場合に、全くそのような新技術、まだ成果のわからない新技術を前提に納入価格の決定をするという考え方は白紙に返してもらいたい。これは白紙に返すべきだ。現時点に立って考えた場合には白紙で、それが完成したときには別途考えてよろしい。成否のわからない、しかも大へんな電力を使い——大体六千六百円のもとは電力がキロワット・アワー二円五十銭、二円五十銭の電力なんてどこにもない。そういったことからわれわれが考える場合、これは一応完成まではお預けにしてもらいたいと考えるのでありますが、それに対して監理官はどのようにお考えですか。
○谷川政府委員 現在の塩の収納価格は、現在の塩業者の生産費をもとにして作られておるわけでございまして、イオン交換樹脂膜法による製塩価格をもとにしているわけでないことは御承知の通りでございますが、将来の塩価といたしまして目標価格上質塩六千六百円、これは外国から塩を輸入する場合におきまして、一応関税を二割かかるものとしてさらに原塩を精製加工して消費者に渡す段階のいろいろな諸経費を加えますると、一応六千六百円程度がまあ適正な価格であろうということでできておるわけでございまして、しかしこの価格で引き合うようにするために、現在の製塩業者が合理化を進め、また新しい技術をいかに取り入れていくかということももちろん必要ではございますが、一応そういうような考え方に立っておるわけでございます。そこで現在塩の価格が御承知の通り上質塩で一万八百円でございますので、この価格で大部分の業者は引き合っておるわけでございます。若干の企業の方々の生産費が償わない。この点につきましては御承知の通り昭和三十四年、三十五年にわたりまして塩業整備をやったわけでございますが、百十四億円という巨額の金を使いまして整備をやったわけであります。整備をするにあたりましては、専売公社の方からも十分業界の方々に協力を求め、そうして将来どういう形になるかということを詳しく御説明をし、また合理化計画書を出していただきまして、将来昭和三十七年において当時の見通しにおいて一万円にならない、一万円の価格ではできないという方に対しましては、専売公社の方で整理を勧告したという事実もございまするし、その当時公社の方でいろいろ文書その他でその趣旨の徹底をはかったわけでございますが、そのときにおきましても、新しい技術というものはどういうものであるか、イオン交換樹脂膜法が成功すれば、もう一度整理があるのではないかということにつきましても、これはもう整理はないのである、これが最後の整理であるから、どうか十分に将来のことも考えていただきたいということを申したような事情でございまして、百十四億円の巨額な財政支出をいたしまして整理をしたあとにおいて、不幸にして現在の収納価格で十分カバーできないような業者がいるという事実がございまするので、私どもはその事実をもとにいたしまして、それをどういうふうに持っていくかということを考え、一方現在の残った製塩業者もできるだけ合理化を進めて、できるだけ安い塩でやっていけるようなふうにするにはどういうふうにしたら一番いいかということにつきまして、専売公社におきまして目下研究をし、また塩業審議会にもはかって具体的な問題を取り上げていこうというのが私どもの考えであります。
○藤井委員 今度の収納価格決定の結果、採算がとれない製塩業者というものが現存しておるということは認められております。それがしかしかつて行なわれた塩業整備臨時措置法による整理に従ってやめればよかったものがやめなかったからやむを得ずそういうことになっておることは仕方がない、このようなまことに冷ややかな考え方が底に流れておることは、私はまことに遺憾だと思う。もともと現在の状態の、先ほどもお話いたしましたように、三分の一は赤字であるということは、あなたたちも認められておる。認められておるのにかかわらず、大体別に六千六百円の目標をもとにしたのではなくして、現在の時点に立って考えておるといわれることと、全く矛盾しておると思う。やはり現在のコストを中心として価格の決定をされるならば、三分の一も赤字の業者がおるということを認められておりながら、こういう決定をするということは言語道断である。大体私の調べた結果によりますと、ネット・コストでは大体三割はだめだ。ネット・コストにプラス最低の利潤を加えていけば大体五割は赤字である、採算がとれない。ある程度企業として成り立っておるような線に考えるならば、現在の状態においては、現在の価格決定においては八割ないしは八割以上が不採算事業である、こういうふうに考えるわけでございまして、六千六百円の目標ということは全然考えないで現在の価格をきめておると言われる考え方というものは、現実と全く違っておるということをわれわれは率直に指摘せざるを得ない。これは一つこの次から根本的に考え方を直してもらうということを強く要望いたします。 そこで私は話を次に進めて、今触れられました問題に関連いたしますが、昭和三十四年法律第八十一号によって、先ほど申しました塩業整備臨時措置法が実施されたわけでございますけれども、その実施の目標である国内塩業の基盤の強化と塩専売事業の健全な運営に資するためという目的が現在達成されたとお考えでございますか、その点が第一点。これはおそらくそうではないに違いない。この塩業整備法の第六条には、強制的にやめさすということもついておるのです。ところがそれがいわゆる自主的という美名に隠れて、専売公社が強制的にやめさせれば結局国家補償の問題やいろいろなことがあるから、自主的ということに名を借りていいかげんな整備になってしまっている、こういうふうに私は考えざるを得ない。従って、これに対してどういう反省と考えを持っておられますか、一つ御答弁を賜わって、それによってまた私の意見を述べたいと思うのであります。
○谷川政府委員 塩業整備臨時措置法の第一条に、この法律の目的が書いてあるわけでございますが、それによりますると、この法律によって塩の需給の調整をはかるために塩業の過剰生産力の整理をする、当時生産力が過剰でありましたのでそれを整理するというのがこの法律の主たる目標でございます。それによりましてさらに国内塩業の基盤の強化をはかる、あるいは塩専売事業の健全な運営に資するということになっておりますが、この整理をすることによりまして、生産力の過剰を取り除きまして、適正な生産力の規模まで落とし、それによって残った業者の経営の基盤が強固になる、それによりまして、専売公社が価格形成を通じまして塩の需給関係の操作をやっておりますが、その需給専売という需給の調節をはかり、公益専売の目的を完全に果たすということがねらいでございます。現在整理の結果、九十三万トンの生産力を残すことになりましたけれども、さらに需要を拡大することによりまして、需給関係がほぼバランスをとっておるという状況でございますので、この法律のねらった効果はほぼ達成しているというのが現在の姿であろうと思います。 なお、先ほど現状のネット・コストの点をお触れになりましたけれども、私どもの調べによりますると、一万円をこえるネット・コストである企業は七つか八つ程度でございまして、それ以外の大部分の企業はネット・コストとして一万円以下である、その生産量は大体六十万トンを占めておるということでございますので、念のため御説明しておきます。
○藤井委員 谷川さんはなかなか筋の通った答弁をよくされ、非常に頭の切れる能吏だと私は現在も思っておりますが、今の御答弁はいささか強弁過ぎると考えざるを得ない、というのは、大体採算企業が七ほどやめて、不採算企業が十残っておるのです。この事実をわれわれはすなおに受け取るならば、あの臨時措置法による塩業整備は不成功であったと率直に認めざるを得ない。これは谷川さん、率直にお認めになっていいと私は思うのですが、どうですか。
○谷川政府委員 この塩業整備臨時措置法によりまして、三十四年、三十五年にわたりまして一応整理をした段階におきましては、この法律のねらうところをほぼ満たしたというふうに考えますが、その後の情勢におきまして、それは企業の側における責任もございますが、また客観情勢等の変化等もありまして、現在におきましてコストの高い企業をかかえておるということも事実でございますので、それをさらに整理するかどうかという点につきましては、現状をもとにいたしまして塩業審議会等にもはかり、将来の目標価格、将来の塩業の姿を頭に置きながら、あらためて考えていくということは当然必要であろうと考えます。
○藤井委員 これ以上谷川さんと議論したところで、あなたのお答えはいい線が出ないと思うのですけれども、やはりイオン交換樹脂膜法は、あなたが責任を持って、あなたの技術でやるのではないから、予定通りいかぬこともある。あなたが全部責任を負う必要も何もないから事実をすなおに考えていただきたい。今度の塩業整備臨時措置法の成果は都合よくいっておらない。われわれも今後手直しをしなければならぬ点がある。あなたはこれに携わる現在の製塩業者等の立場とか現状は全然考えられないで、何万トンになったとか、こういうような方向にいっておるとか、それだけを部分的にとらえて、これは大体間違いなくいっておると言われるけれども、これは大へんな部分的な観測であって、全く違っておる。だからそういったものに携わる全体的な判断の上に立って、やはりこれは間違っておると反省しなければならないというようにすなおに言われても、あなたの責任を追及するわけではない。従って、そのような気持で対処してもらいたいと思う。もう一ぺんあなたの心境なり考え方を披瀝してもらいたい。
○谷川政府委員 塩業整備臨時措置法による整備はすでに完了しておりますので、その後の事態をもとにいたしまして、私どもは前向きの方策を考える必要があると思っております。その前向きの方策といたしましてどういう手段をとるかという点につきましては、公社総裁の諮問機関でありまする塩業審議会にも諮りまして、また大蔵省としても、財政的な立場からどういうふうに考え、国民全体の立場からどう考えるか、と同時に生産者の立場も無視することはできませんから、国民全体の立場と同時に、生産者の立場もあわせ考えながら、どういうふうにしたら、一番塩の問題の解決策としていい案があるかということを真剣に考えていきたい、かように考えております。
○藤井委員 そこでもう一つ具体的に伺いますが、今度は塩業整備臨時措置法の八条に基づきまして、塩の製造業者は昭和三十五年四月一日から昭和三十九年三月三十一日までの間に公社に納付する塩について、トンにつき政令で五十円を納付することになっておる。これはいろいろ企業整備が行なわれた前例にならって、ミツマタ、コウゾ、石炭鉱業、生糸操短、こういった前例があるから、一応やめていく人たちに対する補償財源の一部に、残っておるものがこれを出そうという趣旨であろうと思うのでありまして、そのこと自体は非常にけっこうだと私は思う。ただ問題は、卒直にこの事態をわれわれが考えると、採算のとれない業者が全国の二十八の中は七つもあるといった事態、しかも今度の価格決定が相当無理である、こういう事態で、全く経済不振になっておる。そういった製塩業者の特殊事情を考えると、第八条の適用をして、トン当たり五十円をとっておるという、これは私は要点を端的に申しますが、もうやめるべきだ、こう思いますが、これに対してどういう御見解でありますか。
○谷川政府委員 法律によりますると、ただいまの納付金は二百円以内ということになっておりますが、これを政令におきまして五十円と定めておるわけでございます。この一トン当たり五十円の納付金をきめました場合に、どういう条件においてきめられたかという問題でございますが、巨額の財政支出をやることでありますから、それの一部分を残存業者において負担をする、その総額としてどのくらいが適当であろうかということも考え、それを短期間に納付していただくのは業者の方にはなはだ負担が重いということで、四年間にわたり三十九年までとるということになっておりますけれども、しからばその後の経過において、この五十円というのがいいか悪いかという問題につきましては、今までのいきさつはいきさつといたしまして、今後この問題をどうすべきかということをさらに検討してみたいと思いますけれども、従来のいきさつからいたしますと、今にわかにこの五十円をやめるということは不合理ではなかろうか、かように考えております。
○藤井委員 どうも先入観にとらわれておられる考え方がすべてを流れておると思う。従来の考え方からすれば合理的ではない、これを全廃するのは合理的でないという考え方自体、全く私は見解が逆であります。現在の時点に立って考えるなら、これをやめることが合理的であるというふうに強く私は考えておりますから、この点一つ事態をすなおにながめて、先入観なく——何も今、従来やったことを改めたことによってあなたに責任がかかるとかどうとかいうものじないのです。一つ基本的な国家の行政として真剣に討議を願いたい。白紙に返して検討願いたいことを強く私は意見として申し述べておきます。あなたがそれに対して絶対いけないということならば、その理由をはっきりこれから私に納得のいくほど説明願いたい。御説明はないと私は思いますから、これでやめます。 ところで、もう一度私は先ほどの話に返りますが、現実に採算割れの業者が七つも残っております。今度の納入価格の決定によって、まだまだふえてくるということがわれわれの資料からは受け取られる。従って、もう一度私は抜本的な塩業整理の考え方を検討しなければならぬ。しかもその場合には、強制的な線を一つ引かなければ——あやまちを再び繰り返してはいけません。理想は実績でありますけれども、現実にそうなっておらない。みんなが自発的にやることが民主政治の一番建前でありますけれども、やむを得ない。従って、それを予想して第八条の強制規定を設けておりますので、強制規定を発動し、やはり国家の補償すべきものは補償して、一つ今後塩業のいわゆる革命的な事業がはっきり完成したら、そのときに思い切って再度塩業整備をやる、このような考え方を私は持つべきであると思うのでありますが、谷川監理官はどういうお考えでありますか。これは大蔵大臣、専売公社の総裁、この辺に私は質問したいのですが、きょうは時間的な審議の都合上やむを得ない。あなたが責任を持って上司にも伝え——実質的にあなたが大体中心でいろいろなことをやっているのですから、あなたに、一つそういう意味においては責任を持ってもらいたい。だからその点あわせて政務次官にも、この場におられるから責任ある答弁をもらいたい。いいかげんな答弁では私は承知しません。大蔵大臣も来ないから、やむを得ず私は二人を前にして質問をしている。事の次第、内容はこれは重大な問題です。従って責任ある御答弁を願いたい。ただ二十八業者しかいないという数でものを言っておるのではない。真剣にこの問題は取っ組んでもらいたい。それについて御答弁を願いたい。
○谷川政府委員 現在の業者の生産費と収納価格との関係が中心になっておるわけでございますが、現在におきましても一トン当たり七千円で作るという業者もございますし、八千円台の業者も相当おるわけでございまして、現在の塩の生産者の生産費が非常に幅があるということが問題を困難にしておる、かように私は考えるわけでございます。そこでしからばどの程度の価格であれば一番生産者にとっても合理的であるし、また国民経済的に見ても合理的であるかということでございますが、現在は塩企業の平均生産費をもとに価格をきめております。今お話しのように、現在の収納価格でもコスト割れになる企業の生産費を中心に、もしかりに価格をきめるならば、大部分の業者は、不当とまでは言いませんが、非常に多くの利益を収納価格のきめ方によって得てしまうという結果になろうかと思うのであります。そこでそれではもう一ぺんその整理をするかどうかという問題につきましては、塩業審議会においても真剣に検討しておるわけでございまして、そのやり方をどういうふうにしたらいいか、財政負担によるのがいいか、あるいは残存企業のある程度の負担を要求することがいいのかどうかという点、いろいろ問題がございます。それでこの専売制度を続けていく限りは、おのずから方向は見通しされるわけでございますが、この問題についてはさらに十分に検討をいたしまして、専売制度のもとにおける理想的な企業形態あるいは一そう合理的な価格のきめ方がいかにあるべきかということを十分に検討して結論を出すべきであると思いますが、さらにその後の事態についてどう扱うかということについても、あわせて慎重に研究していきたいと思います。
○天野政府委員 だんだんのお話で、なかなかむずかしい問題と思うわけでございます。二十八社のうちに赤字会社が七社というお話でございますが、前から御答弁申し上げておりますように、一たん整備されたその後にまた七社が残ったということも問題でございます。しかし塩の値段というものは国民全般に非常に大きな影響を及ぼすものでございますから、必ずしも高いばかりが能でもないし、また無理な値段で生産者をそう圧迫しても困るわけでございます。従いまして、その赤字会社等をどうするかという問題につきましては、生産者の問題並びに国民全般の立場からいたしまして、何らかの措置を講じなければならない次第でございまして、そういう問題につきましては塩業審議会に諮って、よく検討をしていただかなければならないのではないかと思っております。
○小川委員長 上林山榮吉君。
○上林山委員 藤井君の質問に関連して発言を許していただいたわけでございますが、私は、塩業の問題、特に塩業整備の問題について、去る予算委員会において大蔵大臣、専売公社総裁、今非常に熱心な答弁をしておられる谷川監理官、この三君に対しましてそれぞれ質問をしてきたのであります。その際、この問題について、価格の問題にしてもあるいは塩業整備の問題に対しても研究して、これが前向きの姿勢で解決をはかっていきたい、こういうような趣旨の、こまかい相違は別としても、御答弁があったわけでありますが、その後この状態をどういうふうに運んでいただいておるか、よく見詰めて参り、また連絡も申し上げてきたわけでありますけれども、ただいま藤井君に御答弁になるようなことが大体の筋のようでございます。多少違ったニュアンスも私は私なりに好意をもって受け取ってきたのでありますけれども、きょうの答弁をお聞きして、だいぶニュアンスが違うようでございます。 そこで、お伺いいたしたいことは、すべての審議会がそうであるとは私は言いませんけれども、塩業審議会のごときは、谷川監理官の意見というかあるいは大蔵省の意見をほんとうに代弁しているのかどうかわかりませんが、その指導原理——あえて指導原理という言葉を使いますが、その指導原理によって、公社の幹部に連絡をして審議会にかける案を作る。その案を作ったものが審議会にかかっていく。どちらかというと、審議会の自主性というものよりもウェートはどちらが大きいかというと、谷川監理官の指導原理の方がウエートを占めておる。こういうような立場から、公社の総裁初め幹部諸君もお困りの点もあり、審議会の方々も積極的な結論といいましょうか、前向きの積極的な結論というものにちゅうちょしておるうらみがあるのではないか、こういうように私は私なりに見ております。ときに、都合のいいことはそういうふうにさせて、都合の悪いことは隠れみのになる疑いがある。これでは政治が先であるのか、事務が先であるのか、審議会の運営が先であるのか、私どもわからぬ。少なくとも今日は政治が先ですよ。事務はそれに従属すべきものなんだ。その事務官僚が、指導原理とは言わぬけれども、それに似たような、いわゆる思い上がった考え方ですべての行政をやっていくということは間違いだ。あくまでも間違いだ。だから、そういうような考え方でなしに、たとえば企業整備の問題も、あるいは価格の決定の問題も、その前提となるものはイオン交換樹脂膜の技術革新を導入するということが大きな柱になっている。それをわれわれが具体的に調べてみると、あなたの答弁と違っているのですよ。そんなに企業採算は合っていません。これは実際やっておる重役諸君や業者諸君が言っておられる。そういうような意味においてこの技術革新は今導入する段階でないのです。あと三年かかるか、五年かかれば、これはあるいは結論に達するかもしれませんけれども、そういう状態なんですよ。だから、こういう状態の場合は、やはり国策として塩というものが国民生活にどういう関係にあるか、これも考えなければならぬが、それを供給する供給源というものを根絶やしにしてはいけないのであるから、企業採算が合っていかなければいかぬ。こういうような意味において、私は大局的にまずお考えを改めなければならぬと思います。 それからそういうような処置をとって適正な価格がある程度できても——今のあなた方の考えは適正価格じゃありませんが、適正価格というものが審議会にかけてある程度実現したとしても、これについていけない業者があるのです。価格がある程度確保されてもついていけない業者は、すでに整備は終わったのだから、もう当分やらないとか、あるいは将来もやらないとかというような考え方に固定することは、これは私は生きた動きを無視したそれこそ形式的な官僚行政である、こういうふうに思うのです。世の中は、経済は生きて動いています。この動いておる状態に対して、価格の安定がある程度できてもついていけない業者、からだに火のついた業者が全国に二、三あるでしょう。指宿初めその他二、三あるじゃありませんか。これらのものをあなた方がある程度の突っかい棒をしても、どうしてもこれはやっていけない。こういうやっていけないものに対しては、これは私は、新しい時点に立って新しい情勢を判断されて審議会にその処理案をかけるなり、あるいはまたあなた方が実際にこれを体験されて研究されておかけになるということが当然のことだと思う。これはほうっておけばほうっておくほど立っていけません。からだに火がついていて借金の利子も払えないのです。このままでいくと財産は全然なくなってしまいます。こういうようにして、もう、一ぺん整備をやったから、イオン交換樹脂膜という技術革新をやって価格をある程度見通しをつけてやっていけば、もう整備は第二、第三であるという考え方はあまりに固定し過ぎている、私はこう信ずる。だから予算委員会における大蔵大臣の答弁、総裁の答弁、監理官の答弁を私はよく聞いておるが、そのときの考え方と今の考え方と違うのかどうか。あるいはまた私の今の段階における質問に対して前向きの姿勢で早急にできるなら、私は次の臨時国会において、七、八月に行なわれるであろう臨時国会において、からだに火のついた分だけでも——あなた方が時間をかけて緻密に計算して、一年も二年も長くかかって結論を出すというのは第二段階にしてもらって、それをしてもらってはとうてい助からないというような全国の一部の業者に対しては、もっとあたたかいもっと早急な解決があってしかるべきだ。あなたがやろうと思えばこの点はできますよ。大蔵大臣もあなたの言うことは聞くそうだから、専売公社総裁もあなたの言うことは聞くそうだから。だからそういうような意味においてこれをしっかりやってもらわなければ、私はこの問題が実現するまでは、どこまでもこの問題をひっさげてあなたにも質問しますが、私はあらためて——委員長、もし大臣がおいでになれば、大臣のほんとうの腹を大臣に聞きたい。大臣の意見というものがわれわれと違っておれば別だ。違っておれば、またほかの段階において大臣の考えを改めてもらいますけれども、大臣は政党内閣の大臣です。だからわれわれの意見というものはもう十二分に承知しておられる。だから私どもが会うときは、それをある程度了解を与えておられる。これが遅遅として運ばぬということは、私は多少の好意ある受け取り方もしてはおります。してはおりますけれども、それが何ら具体的に現われぬということは——私は谷川監理官をこんなに高く評価をしたことはない。あなたが大臣も押えるしあるいは公社の総裁も押えておるというのだから。もしそうでないとするなら、もっと理解のある——あなたは確かに能吏です。能吏だけれども、能吏は主計官的能吏ではだめですよ。あなたが主計局長になったときはそれである程度はいいだろう。だけれども、今あなたは主計局長ではない。主計官ではない。監理官だ。監理官というものは、言うまでもなく、それは大蔵省の使命を帯びている部分は認めないではないが、ほんとうは産業の興隆ということが前提にならなければだめですよ。助長行政ですよ。そこに重点のある監理官でなければ、ほんとうの専売公社の監理官であるとは言えないのじゃないか。ただ大蔵省の番人であるあなたがあそこに行って吸い上げることだけを考えるのでは、真の意味における監理官とは言えない。片ちんばだと言いたい。そういうような意味において、少し声が大きかったのですけれども、私の真意をいずれ大臣にもお話し申し上げますが、政務次官も監理官の意見だけを参考にしないで、もう少しわれわれの意見も参考にしていただいて、この問題が早急に解決されるように、一つ大事なところだけでけっこうですからお答え願いたいと思います。
○谷川政府委員 最初に、この前の委員会においてお答え申し上げた点と変わっているかどうかという点につきましては、全く変わっておりませんことをお答え申し上げます。 次に、今後の問題でございますが、私どもは専売制度のもとにおける企業経営はいかにあるべきかということは、もちろん考えておるわけでございます。その際に、各業者が自主的な判断によって一般産業におけると同じように合理化をはかり、合理的な価格で合理的に生産し得るような態勢に、すべての企業が足並みをそろえてやっていくというのが一番いい姿だと思いますけれども、現状におきまして塩業者の経営方針なりあるいは生産コストの面等を考えてみますと千差万別で、ことにコストの点につきましては非常な隔たりがあるわけでございます。そういう場合におきまして、私どもは何よりもまず公平ということを考えざるを得ないと思うのでございます。公平に処理をするという場合にどうしたらいいかということでございますが、さきの塩業整備の場合におきまして公社の総裁が再三勧告をして、将来コストがあまり下がらないような企業であるものに対しましては、今おやめになったらどうですかということを再三申し上げたにもかかわらず、そのまま残っておいでになる企業があるわけでございます。しかしそれを今ここで前と同じような方式で財政支出をした場合に、それでは過去においてやめた塩業者との権衡をどう考えるかということも一つの問題であろうと思います。しかし私どもは現実に現在の塩業者のある一部の人たちが赤字企業であるという事実をもとにいたしまして、それをどういうふうに処理するかということを考えていかなければいけないと思っております。その際に、それではその企業を含めて全体の塩業をどういう形に専売制度のもとにおいて持っていくかということにつきまして、価格の面あるいはその他の経営の面等につきましてもっと相互の関係を考えながら、全体として国民経済的に一番合理的な方向はどういうふうな方向であるべきかということも考えながら、慎重に、できるだけ早く結論が出るように考えていきたいと思っておりますし、また専売公社の方にもお願いいたしまして、塩業審議会においてもそういう方向が一日も早く出るように私どもは望んでおるような状況でございます。
○上林山委員 ただいまの監理官の前向きの姿勢において整備をやるという問題、これについては審議会に諮問してやるのですか。
○谷川政府委員 審議会は公社総裁の諮問機関でございますので、公社の方からお答えをした方が適当と思いますけれども、すでに諮問がされて第一回の答申が昨年の五月に出ておりますし、さらにその答申を、個々の問題について具体的にどうするかということについて引き続き審議中でございまして、今月の四日にも塩業審議会を開きまして、この問題についてどういうふうに取り運ぶかということを中心に審議が行なわれておりますし、今後も何回となく審議会を開かれてこの問題を検討するというふうに承知しております。
○上林山委員 整備をやる、ことに赤字でひどい業態については特に意を用いて前向きの姿勢で審議会に公社から諮問もしておる、できるだけ早急にその結論が出ることを望んでおる、こういうことでありますから、私はそれを信頼いたします。 ただこの際一言申し上げたいことは、すべて物事は公平でなければならない、事それだけを聞くとだれもそうだと思うわけでございますけれども、一皮むいて何が公平であるかということを考えますと、あながちその言葉はそのまま受け取られないのであります。なぜかというと、前にやめろといってやめなかったから、今度のものはもう一部ではあるがやむを得ずしてやめるのではあるけれども、前との関係で公平でなければならぬ、こういうように聞こえるのです。これは間違いですよ。たとえば恩給であっても何であっても、これは昔恩給をもらったなら、金額が少なくともそのままでほっておいても悪くはないわけです、法律上は。けれども時代は物価が上がり、いろいろと社会情勢が変わって国の経済もよくなりしてくると、この時点においてこれを修正していくでしょう。今やめる人との格差をできるだけ縮めていこうとするでしょう。これも政治だし、新しい行政ですよ。そういう意味におきまして、公平という意味は、現在やめる、ことに赤字がひど過ぎて多少の突っかい棒をあなた方がしてくれてもどうしてもやっていけないという業態に対しては、新しい理解を持って処置していくということが最も自然であるのじゃないか。形式的な公式論でなく、そういうような考え方をしていただきたい。これは私は強く要望をし、ただいま審議会の諮問案の中に赤字で苦しんでいるものの整備の問題、それを具体的にどう処置するかという意味の諮問をしてある、こういうことでございますが間違いございませんか。
○阪田説明員 先ほど上林山先生から先般の予算委員会で私どもがお答え申し上げました点に違いないか、こういうお尋ねがございましたが、あのときお答え申し上げましたような方針で現存進んでおるわけでございます。具体的には塩業審議会、これは公社の諮問機関でありますが、この昨年五月の答申自体にも整備後の将来の塩業の合理化といいますか再編成の方向についての指示があるわけであります。先ほど来いろいろとお話が出ておりますような具体的な整備後の現在におきましても、現行の価格では採算のとれない赤字の企業がある、こういう問題に即しまして、これからその再編成、塩業全体をどう持っていくかということにつきまして具体的にどう考えていったらいいか、こういう方向、やり方という問題について、つい先般、先週でありますが塩業審議会を開きまして御諮問も申し上げてございます。また御諮問申し上げるばかりでなくて、公社としても直接塩業者と私ども接触しておるわけでありますが、私どもとしましても、いろいろと事情がある非常にむずかしい問題でありますが、そういう将来の方向についての考え方、案というのもを早急に検討して参りたいと考えておるような次第でございます。
○上林山委員 骨組みの問題は今の答弁でよくわかりました。しかし、からだに火がついて、大きな赤字で財産はほとんど残らぬ、価格のある程度の処置をされてもどうにもならぬ、こういうものを優先的に考えるあるところに線を引いて、こういう新技術を入れればどうなるか、何をどうすればどういうふうになるかというような、総体的な問題は多少時間がズレても、別途にお考えになってもいいと思うのです。そのためにからだに火のついたものまで引っ張っていってしまうというやり方は、あまりに実情に適しないのであるから、この辺に線を引きながら急速なる処置を強く要望して、これで質疑を終わりますが、大臣の質問の機会があったら、この問題について大臣のほんとうの腹を伺っておきたいと思いますので、その点だけ保留いたして一応質問をやめておきたいと思います。
○小川委員長 藤井勝志君。
○藤井委員 先ほど政務次官の答弁で一応お考えが披瀝されたわけでありますけれども、ちょっと私は率直な申し分をいいますと、おざなりな答弁であって、もうちょっと先ほど私が申し上げました気持をくんで、もうちょっと土性骨の入った、筋金のある答弁を期待いたしたわけでございます。なるほど、消費者の立場を考えるのは当然であります。しかしながら、往々にして消費者の立場を考えるという美名のもと——一番大きな大事な前提は、少なくとも食料塩は国内自給をはかるという原則、この前提のもとにいろいろ施策をしなければならぬ。そのような施策を進めていく場合に、やはり消費者の立場を考える場合は、場合によっては採算割れの場合、それに対して利子補給をするとかいろいろな手当があると思うのです。現在まだ未完成な、整備のはっきりしないイオン交換樹脂膜というものを前提として、価格の決定を現実にはやっているのです。どのような弁解があろうと、今日までの過去の答弁、方針においてこれはわれわれは伺われるのです。従って、私はそのような線に沿うた考え方として、現在のこの塩業政策を進める場合、一つ大蔵省として、また専売公社として、こうあるべきだという基本線に、はっきりと大蔵省首脳部である大蔵大臣、補佐する政務次官は立ってもらいたい。監理官の考え方は、まことに過去のいきさつばかりにこだわって、イオン交換樹脂膜というものの一つの前提もあります。同時に今公平にやらなければならぬという話がありましたけれども、その公平という言葉が、結局食料塩は国内で自給するというこの大原則に基づいて考えれば、採算割れの企業というものが現在はっきりしただけでも七社ある。今度の価格決定によってまだふえるでありましょう。そういうものをそのままにしておいて、食料塩の国内自給体制ができるか。同時にまた貿易自由化ということもいわれております。一応耳ざわりはいい。ところがそのようなことは現在の時点に立って考えれば、食料塩についてはそう簡単にいかない。いろいろ新しい技術の導入によって、安くて塩が自給できるということの目標が私は間違っておるとは思わない、けっこうなことであると思いますが、そこまで行かない途中における動く社会、経済の実態に即して適切な処置をとるのが政治の基本であると思うのでありまして、その点に対する政務次官の御答弁をもう一ぺん願います。
○天野政府委員 先ほど申し上げた考え方は、私どもの基本的な考え方であります。それはどういうことかといいますと、国内の食料塩を一本の生産者でまかなっていくという基本方針には間違いないわけであります。先ほども藤井さんからお話がありましたように、二十八社のうち七社でございますか、赤字の会社があるということを逆に言いますと、二十一社、四分の三の会社が黒字でやっている、四分の一の会社が赤字である、でありますから、この赤字会社を合理化するなり何なりして黒字会社の方に転換さしていくか、先ほどからお話がありましたように何らかの措置を塩業審議会でやっていくということが正しい行き方であろうと思います。その赤字会社の最低線に収納価格を持っていくということは、私は納得のできない価格の決定の仕方ではないかと思います。やはり物価問題もいろいろうるさい時期でございますし、また今後におきましても貿易為替の自由化というような面からいたしまして、海外の食料塩を受け取たっならば七千円前後にはなるのじゃないかと思いますが、そういうような国際価格との比較という点も考えまして、これは慎重にやっていかなければならぬと思うのであります。従って、消費者の立場、生産者の立場、そうして国内の食料塩の自給の問題、こういうものを総合的に考えて適正な値段に持っていく。そうしてそれに相応するように経営の合理化なり何なりをはかっていく、こういう基本的な考え方で進むのが正しいのではないか、私はこういう考えを持っておるわけであります。
○藤井委員 今のような基本的な問題は、また時間がありましたら大蔵大臣御出席のもとで再質問したいと思うのでありますが、問題を別に移しまして最後の質問をしてみたいと思うのでありますが、製塩施設法の第三条によりますと、災害を受けた塩田及び防災施設に対しては復旧費の補助を行なうという規定があるわけでございます。ちょうど昭和三十四年、五年のあの災害復旧に対して、どのような助成対策がとられたか、御答弁を願いたいと思うのであります。
○谷川政府委員 当時におきましては、塩業整備を実施するという段階でございましたので、塩業整備をすると同町に施設の拡張改良をはかるということは適当な方策ではないのじゃないかという考え方のもとにおきまして、関係業界とも話し合いをいたしまして、災害によってだめになりました施設をどうするかということを判断する場合に、一方において大きな塩業整備ということをやっている事情を当該業者に考えていただいて、そうして全体としてこの塩業整備がうまくいくという角度から対策を講じておった関係からいたしまして、昭和三十四年の災害の場合におきましては、この災害の助成補助金というのを交付することは適当ではないということで業界にお話をして御了解を得たというような次第でございます。
○藤井委員 今の御答弁だと、製塩施設法の発動をしないで業界と話し合いをつけてやり繰りしたということであるわけでございますけれども、私の聞き及んだ範囲におきましては、あのときに、ともかく塩業整備で専売公社並びに大蔵省の関係官は、それに一生懸命になっておったために、そういった助成をする補助金の予算が全然計上されず、やむを得ず復旧を急ぐ業者というものは、とりあえずどこかから金を借りて一日も早く操業しなければいけないということで、農林漁業金融公庫から融資を一億数千万円仰いで当座の間に合わせた。それはやはりいずれそのような施設法によって助成をしてもらうことを期待して金を借りた。現在はわれわれの見るところ、相当無理な収納価格決定によって採算割れがしておるという業者もその中に含まれておるわけでございまして、まことに現在は苦しい状態で、金利あるいは元本償却に追われて、これがまた不採算になる一つの大きな原因をなしておるというふうな事態であるわけでございます。私はこの助成の対策について、製塩施設法の精神から考えますと、いろいろ制約をして専売事業の健全な育成をやると同時に、一朝災害の場合には助成もする、こういった法があるわけでございますから、これは一つこの法を生かして現在苦境にあえいでいる製塩業者に対する救援措置を急ぐべきではないかというふうに考えるわけでございまして、過年度災害に遡及してこの助成をするということは、建設省そのほかいろいろの面においてあるわけでございますから、今からでも決しておそくない、これは一つ本式に考えるべきではないかというふうに思うわけでございまして、これに対してはどのような対策を考えておられますか、御答弁賜わりたい。
○谷川政府委員 ただいまの昭和三十四、五両年度において災害にあった製塩施設に対する復旧事業に補助金を今後交付するという問題につきましては、御承知の通り製塩施設法によりますと、この災害復旧補助金の力も申請書の提出期限の定めもございますし、また先ほどの事情のもとにおいて業界の方にも一応大局的な見地から御了解を願っておったということもございますので、この際さかのぼって補助金を出していくことが法律上もまた条理上も非常にむずかしい不可能なことでございます。それではこの問題についてどう対処するかということにつきましては、市中金融機関等から高い利子の金を借りて災害復旧をやるというような事情もあろうかと思いますので、できるだけ話し合いで低金利の金に切りかえるというような方法等を講じまして、十分公社におかれて話し合いをしていただくということが、一番現在の状態のもとにおいては適当な方策であろうと考えております。
○藤井委員 今の御答弁、これまた非常に不親切な考えであって、法は決して不動のものではございません。今、補助申請の期間というものが制限せられておる、これだから理屈においても困るということですが、これはまた法の改正は事態に即して政治的な判断の上にやればいいわけで、そういうふうにやるようにしょっちゅう法律の改正は国会に出されております。これが決して不動なものではない。産業を肋成し専売事業を育成するということが正しい目標であるとするならば、それにそぐわないような法律の改正はどしどしやってよろしい。そういうことを考えておらない。同時に業者が納得したというようなことを言われますけれども、私も関係業者から意見を聞きました。ちょうど岡山へこの前帰りまして、そういうことはないのかとだめを押しました。断じてそういうことはない、これは大蔵省の谷川監理官並びにそういった関係者の勝手な独断である、こういったことを言っておるのです。これは水かけ論でありますからこの場で言ってもしようがありませんけれども、それがどういう事情であろうとも、現在採算割れの大きな、原因となっておるということを考えた場合、また補助が当然なされるべきものとして法は予定しておった。最近の伊勢湾台風その他でどれだけの手厚い災害復旧の助成をしておりますか。こういう事態を考えますと、私は専売事業を育成強化し、食用塩は国内で自給する、そのにない手となっている——たといあの当時整備でやめねばよかったというふうにあなたたちは考えるかもしれませんけれども、このことは事態をすなおに認識しない冷酷な考え方である。むしろそこら辺に呼吸を合わして、そういう連中にも納得をさして、今後正しい方向へ行くようにお互いがともにともに努力するという専売行政の推進の立場から考えれば、猛反省を促したいと思うのでありまして、私は、銭金の問題じゃない、そういう態度が根本的に反省されるべきであるということを強く要望いたしまして質問を終わり、また時間を持って大臣並びに関係者にお尋ねいたしたい。きょうの答弁は大体基本的な考え方において、私たちと見解を大きく異にしておる、こう思いまして、まことに遺憾であります。一応これをもって質問を終ります。 ————◇—————
○小川委員長 本日の請願日程全部を一括して議題といたします。 本会期中付託になりました請願は千百二十六件でありまして、その取り扱いにつきましては先刻理事会において協議いたしたのでありますが、この際、紹介議員の説明等の申し出もありませんので、直ちにその採否を決することにいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 お諮りいたします。本日の請願日程中第三九ないし第四三、第九九ないし第一三八、第一四〇ないし第一八一、第一九三ないし第一九八、第二〇〇、第二〇五、第二一一ないし第二一七、第二二〇ないし第二四九、第二五九ないし第五九六、第六〇九、第六二八ないし第八七一、第八八〇、第八九六ないし第九九四、第一〇〇四ないし第一〇〇七、第一〇四四、第一〇八三、第一〇八四、第一〇八七、第一〇八八、第一一〇〇、第一一〇一、第一一〇八及び第一一二四の各請願につきましては、おおむねその趣旨が妥当と思われますので、採択の上内閣に送付すべきものを決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○小川委員長 なお、本会期中参考送付されました陳情書は二十九件でありまして、印刷してお手元に配付いたしておきましたから御了承下さい。 ————◇—————
○小川委員長 閉会中審査事件申し出の件についてお諮りいたします。 内閣提出の国民金融公庫法の一部を改正する法律案及び綱島正興君外六十九名提出の国民金融公庫の農地被買収者等に対する貸付けに関する臨時特例法案の両法律案につきまして、閉会中もなおその審査を継続するため、議長に対し閉会中審査の申し出をするに賛成の諸君の御起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○小川委員長 起立多数。よって、閉会中審査の申し出をするに決しました。 次に、国の会計に関する件、税制に関する件、金融に関する件、証券取引に関する件、外国為替に関する件、国有財産に関する件、専売事業に関する件、印刷事業に関する件及び造幣事業に関する件の各件につきましても、議長に対し閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、申し出の手続につきましては委員長に御一任願います。 ————◇—————
○小川委員長 委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。 閉会中審査事件が付託になりました場合、委員を各地に派遣し、その実情を調査するため、議長に対し委員派遣承認申請を行なうこととし、その手続につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○小川委員長 小委員会設置の件についてお諮りいたします。 閉会中審査事件が付託になりました場合、本会期中国政に関する調査のため設置いたしておりました、税制及び税の執行に関する小委員会並びに金融及び証券に関する小委員会の両小委員会につきましては、閉会中もなお引き続き設置することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小川委員長 御異議なしと認めます。 なお、小委員及び小委員長は従前通りとし、その辞任及び補欠選任等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 この際、暫時休憩いたします。 午後零時二十一分休憩 ————◇————— 午後三時二十六分開議
○小川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 税制、金融及び外国為替に関する件について調査を進めます。 質疑の通告があります。これを許します。佐藤觀次郎君。
○佐藤(觀)委員 先日池田総理と唐島基智三氏とのテレビの対談を一時間ばかり聞いておりましたが、総理も案外率直で、非常に私は好感を持っていたのでありますが、ここに総理大臣にお願いをしながら私は質問したいと思うのですが、日本の国会というのは、国会に中心があるようでないような形をしております。そこで常に言われますことは、外交問題などは、イギリスなんかマクミランが労働党のゲイッケルなどに相談いたしますが、そういうような重要な問題は、一つ総理自体が外交問題などについては積極的に野党の——きょうも委員長とやられたそうでありますけれども、相談をする御意思があるかどうか。と同時に、日本の参議院というものは非常に政党化されておるという非難がありますが、これは参議院の方から大臣なんか出たりして、日本は、参議院が参議院としての形が非常におくれているというような非難があるわけですが、こういう点について、一つよき習慣を池田さんが残しておかれることが大事だと思うのでありますが、そういう御意思があるかどうか。これはほかの問題でございますけれども、最初に伺いたいと思います。
○池田国務大臣 外交は水ぎわまでというたとえがございますので、私も在野の方々といろいろ意見を交換したいという気持は持っております。その初っぱなのあれといたしまして、組閣当時外交問題懇談会というもので、民間の各派の人にお集まりをいただいて、いろいろ議論をしてもらったのであります。参考にはなりましたが、しかし、いかんせんどうも百八十度に開いておりますから、それが、せめて九十度くらいまでいきますと非常にいいと思う。その意味におきまして、私は寛容と忍耐、話し合いというモットーでいっておるのであります。佐藤さんも私と同じような意見のようでございますから、今後一つお互いにそういうところで努めていきたいと思います。 それから参議院のあり方につきましては、いろいろ議論がございましょう。また、私は今内閣総理大臣として、こういう問題について申し上げることは、いかにも平地に波乱を起こすようなことになりますので、これは差し控えさせていただきたいと思います。
○佐藤(觀)委員 あなたはいつも、経済はおれにまかせておけなど言われる。池田さんは非常に正直な人でありますが、残念ながら大蔵大臣、通産大臣を長く勤められても、経済的にはいつも都合の悪い回り合わせをされておると思います。 そこで、いろいろ問題がありますし、時間がありませんからかいつまんで申し上げますが、今国会で問題になっておりますのは、予算の編成について、予算の編成期になると、政府が原案のようなものを作って、それで与党との間にいざこざがある。実際は十二月までに予算を出すことになっておりますけれども、財政法の規則も無視してだんだんおくれて、結局与党のぶんどり合いになるような、そういう傾向があります。少なくとも予算というものは、やはり国会で審議をして、実際の主計局長、そういうような事務当局がその事務をとるだけのような、そういう方法にしたらどうかということをわれわれは考えておりますが、その点についてどういう御意見を持っておられますか。 もう一つ、時間がありませんから、問題になっている歳入面の問題でありますが、税制調査会などで問題がありまして、その問題でいろいろと今まで減税をされるということになっておりますけれども、なかなか末端にいくまでには相当不徹底な税法がまだ実際に行なわれております。池田さんは税務署の署長から主税局の畑を歩かれて大蔵省におられた人でありますから、よくご存じだと思いますけれども、末端にいわゆる中央の政府の政策というものが浸透しない点があるのじゃないか。そういう点で、この際抜本的に税法の改正をやる御意思があるのかどうかということを、予算編成と二つあわせて御返答願いたいと思います。
○池田国務大臣 予算の編成につきまして、とにかく国会で十分議論して、そしてそれによって案ができるようにというお話でございますが、大体編成をして出すということは、米英各国とも同じでございます。ただ国会における審議の状況が、ここで言うように与野党が議論するのじゃなしに、政府が被告で、しかもそれが総理とか大臣でなければいかぬというような格好で、これじゃほんとうの国会中心というのはあれなんでございますね。アメリカの上院なんか見ましても、与野党で議論をして、そしてきめるということなんです。こっちはもう政府の方を被告にしてどうこう言ってやるので、これは国会のあり方から一つ再検討していくようにならぬとなかなかむずかしいのじゃないかと思います。 それから、歳入の問題につきましての税法の改正、これは常に言われることでございますが、個人の権利義務に関係しますことで、税法をちょっと読んでもなかなかわかりにくい。私はもうこのごろ税法を読んでみてもわからぬようになってしまいました。これを簡素化しなければならぬということはお話の通りでございますが、なかなかその点はむずかしいので、ちょっと抜け穴ぐらいをこしらえておきますと、大蔵大臣が大蔵委員会でいじめられてどうにもこうにもならぬようになりますので、いろいろなところを考えて、条文化することはむずかしくなってきておるのでございます。しかしいずれにいたしましても、私はやはりわかりやすい税にしなければならぬと考えております。今後十分大蔵省の方で検討していただくことにいたします。
○佐藤(觀)委員 私はやはり、政府が原案を出したら絶対に野党には修正させないという、こういう立場を変えてもらわないと、予算の問題やその他の問題についても、野党としてはそれに対してなかなか協力しにくいという状況になります。悪いと思えば、やはり政府あるいは与党は直すだけの寛大な処置をしなければ、国会は正常に動かないように考えております。 それから、今度の高度経済成長政策の中で、池田さんは一昨年の選挙のときに所得倍増を唱えて、非常に人気を博されたことは事実でございます。しかし資本主義の経済の中で計画経済をやろうというところに無理がある。現在は生産と消費の中に矛盾がありますが、この矛盾を解決しないで計画経済をやろうというようなところに今度のギャップが起きたのじゃないか、私はこういうふうに思っておりますが、その点は総理はどういうふうにお考えになっておりますか、承りたいと思います。
○池田国務大臣 共産主義的な、しかも直接統制をやっている経済のもとでも計画をしておりますが、これは狂うのでございます。ことに中共におきまして、それからまたソ連におきます二十年計画等におきましても、私はミコヤンにも、ああいう状況でいきますか、農業があんなソ連政府がいっておるような成長をしますかということを言ったのですが、直接統制をやっておる共産主義の国でもなかなかいかない。そこで、高度成長十年以内に、こう言うと、計画経済のようにおとりになる人が多いのですが、計画経済ではないのです。どうも敗戦後の状態から、物価なんかにも安定帯を作って非常な統制経済的なことをやったあの戦後の二、三年のことがまだ国民に残っておる。しかもまた戦争中の非常な官僚統制の頭がまだ残っておる。自由主義経済の立場でやっておるにかかわらず、まだ統制経済の残滓が日本人の頭に残っておるのじゃないでしょうか。私が十年以内でこういうようにしていきたいということは何も計画経済じゃないのです。だから当初は七・二%を九%程度でいこうか。しかも今までの成長率が一七、八%いっているから、腹八分で九%ということで出したわけです。所得倍増計画というのは、自由主義の経済でも、六、七年前にイギリスでもやっております。また六年前くらいにイタリアは十年間五割増し、こういうのをやっております。最近でもOECD二十カ国は十年間で五割の成長でいこうというように、自由主義経済でもそういうふうな見通しで経済を運営していこう。計画していくのじゃない、経済を運営していこうというあれなんでございます。ケネディ大統領のニュー・フロンティアも大体そういうふうな考え方でいっている。前から日本の実情を見まして、この二、三年、大体九%くらいならいけるのじゃないか。これで腹八分目でやったところが非常に行き過ぎまして、今ではその調整に苦慮しているのですが、日本人のポテンシャル・エナージーと申しますか、日本人の勤勉な素質、これは私はほかの国よりも成長率が高かるべきもの、また実績もそうで、政治としてはそういうふうに持っていくのが、国民の生活水準を上げる政治の最高目標に近寄る道である、こういうので私はやっておるのであります。今お話のありました、池田は常にむずかしいときに出てくる。ほんとうに出てきます。昭和二十四年とか二十八年とか三十二年とか、私が出るところはいつもむずかしいのですが、むずかしくしたのは私かもわかりません。しかし私はぜひとも自分でまいた種をなにしたい。幸いに国民の協力を得まして、今までのむずかしいところは常に切り抜けております。今回も私は切り抜け得ると確信を持って、国民とともに進んでいこうとしておるのであります。
○佐藤(觀)委員 池田さんが絶えず言われておることは、日本の経済は非常な成長をした。昨日も吉田茂さんがアメリカでもそう言っておられますが、私たちも外国に行って初めてそういうことはわかります。しかし経済が成長したり、国は全体としては非常によくなっても、やはり所得の間に非常に格差がひどい。そういう点はどうも政治が悪いのではないか。日本の国民は、今おっしゃる通り経済的に非常によく働きますし、なかなかよくやることはわかりますが、どうも経済のことよりは政治がおくれているのではないか、そういうように感ずるわけなんですが、その点は一体どういうようにお考えになっておられますか。
○池田国務大臣 高度経済成長になりますと格差がひどくなる。やはりいろいろな格差は、すぐ下の方がずっとよくなるとは言えないが、全体といたしまして、内閣統計局の五分位表なんかを見ましても、私は相当よくなっていっておると思います。 私はこういう計算をしたことがあります。もし五%とか七%でじっと今まで行っておったならば、ことしの二兆四千億の予算はどうなるだろうか。五%で過去三年間来ておったならば、この二兆四千億はどうなっただろうか。七%で三十四年からじっと行ったならば、三十七年度は四千億円租税収入が少ないでしょう。四千億円というのはちょっと正確な記憶ではございません。大体四千億円ぐらい。しからば、社会保障費が今のようにふえただろうか、こういうことを考える。とにかく、三十五年に比べまして三十七年の生活保護費は四割八厘上がっております。これはやはり高度成長のおかげなんです。七%で行ったならばそんなにできません。それから文教政策にしましても、教科書を将来無償交付ということも高度成長のおかげなのです。文教施設がこれだく多くなってきたのも、高度成長のおかげなのです。だから高度成長のいいところを考えずに、出てきたひずみだけを見てとやこう言うことは、これは財政計画としていかがと思います。だから今のように超高度成長ではいけませんが、高度成長というものがいかに日本の生活水準を上げ、いかに生活保護、文教その他社会保障等に稗益したかということを、一つお考え願いたいと思うのであります。批判ばかりでなしに、一つ建設的に御協力願いたいと思います。
○佐藤(觀)委員 時間がありませんから、あまりいろいろなことを申し上げられませんが、最後に昨日当委員会で平岡委員、堀委員から、実は藤山さんにいろいろ意見を聞いたわけであります。総理と藤山さんを一緒に置いて意見を聞くといいのですが、そういう意地の悪いことは社会党はやりませんけれども、実はいろいろ聞きますと、やはり藤山さんは藤山さんらしい意見で、やはり池田さんのお考えになっている意見とはだいぶ違った意見をお吐きになりました。これは私たちも、池田さんは正直だけれども、どうもあまり上手の手から水が漏れるような形で、なかなか思うようにいかないような気がするわけであります。そこで、あとで有馬委員からも御質疑があるかと思いますが、一体この景気はどうなるのか、池田さんから最初に、この九月ごろによくなるだろうという話もありましたけれども、国際収支の赤字はそうは簡単にいかない、やはり実際に犠牲になっておる人もありますし、政府の政策で動くような中小企業者もあるし、一般の者はそう考えておりますが、総理はどのようにお考えになっておりますか、その点を最後にお伺いしたい。
○池田国務大臣 景気はどうなるということでございますが、今の景気をどう見ておられましょうか、まずそのところからの問題です。黒字倒産があるといわれておりますが、そう黒字倒産はございません。黒字倒産というものは、ティピカルな例は、やはり税の徴収によって黒字倒産ということが出ますが、今一般的に中小企業の方が悪いということは言えぬのじゃないか、そうして不渡り手形も、昭和三十二年ごろよりは、割合にして減っております。交換高と金額の両方から見まして、不渡り手形は少のうございます。そうしてみますと、今の景気がどうだということは、私は非常に不景気ではないと思うのです。あるいは中小企業については好景気の人もあります。どちらかといったら、下の方がよくて上の設備投資の行き過ぎたものは金詰まりで困っているという実情ではございますまいか。そうしてこれは、わがことではございませんからわかりませんが、外国の人が見たときに、日本の景気は不景気だという人はございません。少しよ過ぎるのではないかというくらいのことを、私はよく聞いております。とにかく経済全体としては格好は非常によくいっている。ただ内実が超々高度成長のために、ひずみが出ておる。このひずみを直さなければいけない、これでいっておるのであります。そこで今の景気は不景気とは言えぬ、非常な好景気でもない、まあまあこの状態を続けていきたいというのが私の状態です。それで生産が落ちないから、今度は生産過剰によって卸売物価が非常に下がるのではないか、早く調整の手を打たねばならぬという意見あります。私もそれは聞いております。そういうことも考えてやっておるわけであります。だからデフレ政策をとるか、とりません。今の景気をそう落ち込まないように、そうして、から景気にならないように、こういうことで私は進んでいきたいと思うのであります。いろいろと施策がございます。問題は設備投資が行き過ぎておる、そうして国民消費も少しぜいたくになり過ぎているのではないかという議論があります。しかし設備投資の行き過ぎは、もう全くその通り、それから国民消費がどうかという問題は、これは私参議院では答えましたが、非常にぜいたくだとは言いません。国際収支が非常に不如意なときだからどうぞ健全な消費をして、むだを省いて下さい、こう言っておるのであります。外国に比べると、日本の国民消費はそう多い方ではございません。しかしむだはあくまでもやめてもらわなければなりません。そうしてそういう設備投資の行き過ぎとかあるいは国内の金融の円滑——円滑とは申しませんが、しわ寄せを直しながら、そうして徐々に国際収支の均衡を回復したいというのでございます。評論家のいろいろな議論が雑誌に載っておりますが、私はずっと見ておりまして、大体全体の国民から申しますと、いろいろ言われますが、腹の底はまあ大体いいというところではございますまいか。うぬぼれたわけではございませんが、私の見方はそうでございます。これより悪くならぬように、しかし行き過ぎはよそう、こういう考えでおります。
○佐藤(觀)委員 まあ池田さんは自分でそう思っていなければ勤まらぬと思うのですが、どうもそういう見方がいろいろ私たちと意見が違っておる点がありますし、私は特に愛知県の繊維業界の中におりますが、非常に不景気で、これは池田さんを恨んでいるくらい非常にひどいのですが、これは見解の相違もありますし、時間もありませんので、いろいろ総理に聞きたいこともありますが、有馬君の質問時間もなくなりますので、あとの質問は他日に残しまして、私の質問を終わります。
○小川委員長 有馬輝武君。
○有馬(輝)委員 総理に最初にお願いをいたしたいと思いますことは、昨日与党の理事諸君や委員長にお骨折りを願って、藤山さんと一緒に本委員会においでを願って経済問題について忌憚のない御意見を聞かせていただきたい、こういうことでお願いをいたしたわけです。もちろんきのうの院内の情勢については、私たちもよくわかりますので、ことさらにそれをあれしようとは思いませんけれども、私たちが総理と藤山さんにおいでを願ってお聞きしたいという角度は、何も野党の私たちが、閣内の不統一云々というような角度からではなくて、現在一番問題になっておりますまた政府の目標としておられるところの秋季の国際収支の均衡、こういう問題について、あるいは国内の金利政策等について、お二人のお考えを端的にお示しいただくことが、私は政治に対する国民の関心を高からしめるゆえんだ、そういう意味でお願いをしたのでありまして、今後機会あるごとに、もちろん予算委員会なり本会議等を通じて、総理のお考えはそれぞれの機会に出されておりまするけれども、やはりそういった機会はぜひみずからむしろ作るという形で御努力を願いたいことを最初にお願いをいたしておきたいと存じます。 最初に、私は国際収支の均衡、そうして秋季におけるこの均衡を達成させるための基調として、昨年来金融引き締めの措置が行なわれてきまして、今お話のありました設備投資の問題等につきましても、格段の配慮が政府においてはなされておるのでありますが、私たちが見ました場合に、それがどうもしり抜けであるような気がしてしようがないわけであります。と申しますのは、たとえば最近問題になっております含み貸し出しの問題等にいたしましても、市銀の十一行で三月末現在で三千四百十五億円、これは大蔵省、日銀が調べた結果でありますが、実際には四千億円をこえておるのではないかといわれております。またインパクト・ローンの問題もありまするけれども、これも昨年の実績が千六百九十五万五千ドルであったのに対して、すでに一−三月で千四百万ドルをこえておるような状況で、こういったことが、私は政府の施策をしり抜けなものにしておるのではないか、このように見るわけでありまするが、この点に対して、特に設備投資の問題と関連いたして参りまするけれども、政府は、これを抑制するために通産省あるいは大蔵省でそれなりの措置をとっておられるようでありまするけれども、昨年度の計画また本年度の見通しを大幅に抑制することは困難な状況になってきておるんじゃないか、このように考えます。基調がこのような形でくずれつつある点について、総理としてはいかなる具体的な施策でこれをカバーしていこうとしておられるのか、この点をまず第一にお聞かせを願いたいと思います。
○池田国務大臣 財政経済政策は大蔵大臣の所管でございまして、大蔵大臣がおやりになっておるのであります。私は、大蔵大臣に全面的におまかせいたしてやっておるので、財政経済政策は大蔵大臣にお聞き下さるのが一番よくおわかりになると思います。私は予備軍、後備軍でして、別にこれというあれは持っておりません。 それから今お話しの含み貸し出し、私も大蔵省に三十年近くもおりましたが、含み貸し出しというような言葉は聞いたことがないように、今は非常に遺憾なことでございますが、異常な状態でございまして、これを何とか正常化しなければならぬ、こう考えております。しかし、何分にも今の銀行法、またその他の法規から申しまして、政府が銀行にこういう貸し出しをしてはいけないという法律的権限は、遺憾ながらないのです。しかし、それを、何と申しますか、今までの惰性と申しますか、いろいろやっておるのでございますが、なかなか自由主義経済のもとにおきましては、銀行家も企業家をそう押えつけられないようだし、また日銀におきましても、銀行の貸し出しが非常に窮屈であるために企業家が非常に困るとかなんとかいうときには、ある程度見るということで、今のような非常なオーバー・ローンが高じてきたのでございます。昨年の今ごろは五千億円あまりのものが今では一兆三千億になっておる。銀行券の発行高よりも貸出高が多いという異常な状態になっているということは、お話の通り早く改めなければならぬと考えております。しこうして、法的にどうこういう措置は与えられておりませんから、行政的にこれをできるだけ指導いたしまして、こういうアンバランスやあるいは含み貸し出しというふうなことを徐々に直していかなければならぬ、私は、それが今一番大切なことだと考えておるのであります。
○有馬(輝)委員 今のお話にありました点と関連するわけですが、旺盛な設備投資の意欲というものですね。これはやはり今度の秋に予定しております貿易自由化の九〇%以上の達成ということに対する企業の国際競争力をつけようという意欲、これに根ざすものが今一番大きいと思うのでありますが、そういった意味でこの大もとの施策を推し進めていくためには、私はこの貿易自由化の時期についても、たとい自由化が世界の大勢でありましても、国内企業の態勢を整備するという意味から、時期的な再検討をすべきではないかと考えるのでありますが、この点についての総理のお考えをお聞かせ願いたいと存じます。
○池田国務大臣 今の設備投資の行き過ぎは、国際競争力を培養するためという意味もございましょうけれども、私は、主として国内生産体制のシェア、自分の持ち分の問題が非常に多い、これが第一だと思います。そうしてまた日本の経済はまだまだ伸びていくのだ、どんどん伸びるのだという甘い楽な見通しが相当支配しているんじゃないか。そうしてお話の国際競争力の培養ということもあると思います。しかし、私は、国際競争力のためにこういうふうになるとばかりは考えられない。従って、今国際競争力の問題から自由化の問題への御質問でございますが、この自由化の問題につきましては、やはり大蔵、通産、農林が主としてでございますが、運輸その他経済閣僚が相談なすって、私に意見を述べてこられるのが順序でございます。私は十月をめどにして自由化しようという基本方針で各省とも施策を練っておられると思います。従いまして、まだ各省からこういうことについての相談がございませんので、私は、ここでとやこう申し上げる材料を持っておりません。
○有馬(輝)委員 もちろん今総理のお話しになりましたシェアの拡大の問題もあるでしょうし、それからいま一つの要因といたしまして、私は、本年度予算の特に公共事業的な性格のものが相当の刺激剤になっておるのじゃないか、このように考えるわけです。この点について、これはあとでもお伺いしたいと考えておりますけれども、私は、地方財政の分等と加えますと、五〇%近いものがこういった刺激的な要因になっておるのじゃないかと思いますけれども、これを特に来年度予算の編成等におきましては、根本的に再検討する時期がきておるのじゃないか、このように考えますが、その点についての総理の御意見をお聞かせ願いたいと思います。
○池田国務大臣 昭和三十二年度予算におきまして、千億減税、千億施策をやりました。そうしたら非常に非難を受けました。道路の一兆円は多いじゃないか、港湾をそんなにしたら大へんじゃないか。大体景気のいいときには財政を縮小するのが根本である。景気の悪いときに財政を膨張さすべきだ、こう昔の財政学者の理論をもって三十二年にかなり非難を受けました。しかし、どうでございましょう。一兆円の道路は多いでございましょうか。鉄道の値上げをしてそうして五カ年計画でやったあの計画は早過ぎましたでしょうか。道路はどう、港湾はどうでしょうか。四年にしてもう道路の一兆円というものは二兆三千億円と、こうならざるを得ない。私は、今の御質問を反駁するものではありませんが、経済の伸びにつれて、あるいはそれよりも以前に社会資本というものをやらなければつり合わないのです。だから私は、今の財政学というものは、政府が社会資本をふやして、そうしてそれによって物価高あるいはインフレ傾向があるなら民間の行き過ぎを押えるべきだという考えでおるのであります。私は、新財政経済というものの理論は、世界的に今言ったような理論に変わってきておると思います。それをいつまでも、不景気のときに財政を——高橋さんのときのように不景気道路を作れというあの思想がまだ残っておるということは、私は非常にいかぬと思う。道路でもどうでございましょうか、二兆三千億が多いと言っておりますか、ここに大蔵大臣がおられますが……。そうしてこれをもっとふやさなければならぬという状況になってきておるのであります。そこで政府の今度のふえました公共事業をどこを押えるか。これは季節的にいろいろ考えなければならぬ点もありますが、原則として季節的の調整は将来加えることがあるかもしれませんが、道路にしましても、港湾にいたしましても、住宅の問題にいたしましても、私は、大体今の方針で、民間の状況を見まして、民間がどうしても言うことを聞かぬというときには、政府の方で自分で身を締めるということもしなければならぬが、大体考え方としてはこの程度でいかぬと社会資本がおくれてくるのではないかという気持を持っております。そこで、極力今の行き過ぎの四兆円——最近も聞くところによりますと、三兆七千五百億円に押えたということです。三十六年度の設備投資が四兆円近くになる。これではどうしても何とかしなければならぬというので、私は強力に民間にお願いいたしたいという気持を持っております。
○有馬(輝)委員 次にお伺いいたしたいと思いますのは、先ほども佐藤さんの質問に答えられて、高度成長政策についてのお考えが述べられたのでありますが、少なくとも総理の成長政策の基調、かなめ、これは物価だろうと思います。この物価が安定しておるという前提がない限り、私たちは、この高度成長政策について大きな批判を持たざるを得ないのでありますが、最近の日銀の発表によりましても、大体四月の小売物価指数は三月よりも二%大幅な上がり方を示しております。もちろんこれは短期的に物価の動向をどうこうするという点については問題があろうかと思いますけれども、しかし現在、物価が下落するという傾向にないことは歴然たる事実でございます。高騰の傾向にある、しかも政府が今度出されました総合対策を見ますと、これはもう各省いろいろ出されておりますけれども、決して私は政策と呼べるほどのものじゃないという工合に見ざるを得ないのであります。しかも特に公共料金なりサービス料金なんかが上がるということになりますと、この持つ意味というものは、特に低所得者層にとりまして大きな問題であります。にもかかわらず、昨日の経企長官の御答弁を聞いておりましても、特に私鉄運賃等については、企業の現在まで置かれていた状態から見て、柔軟な考え方をしなければならぬという意味合いでの御答弁でありました。そうなりますと、私は、公共料金等を柔軟な考え方で扱うということになると、現在の物価総合政策そのものが根本からくずれていく、やはり昨年と同じような形をとらざるを得なくなるであろう、こういう工合に見るのでありますが、この公共料金についてどのような考え方を持っておられるのか、これをお聞かせ願いたいと思います。
○池田国務大臣 ただいまわれわれが最も想を練っておりますのは、国際収支の問題と物価の問題でございます。物価の問題につきましては、これは二つございます。国際収支あるいは日本の対外関係等の問題は卸売物価でございます。御承知の通り卸売物価は横ばい、あるいは下降ぎみでございます。これは私は卸売物価につきましては一ぺんにあまり下がり過ぎないようにということを考える程度でございます。下げていかなければなりませんが、一ぺんにあまり下がり過ぎないということでいかなければならない。それから卸売物価の問題は、お話の通り先月は二%上がりました。私も実は驚きまして内容をずっと見ましたら、教育費、雑費が上がっておる。授業料その他が一三%上がっています。従いまして、全体として二%でございます。食料のうち野菜その他ずっと下がっておりますが、今の雑費、教育費が上がったので、こういう状況に相なったのでございます。私はこれはやむを得ません。サービス料その他のあれでございますから。ほかの品目は下がっております。ずっとのべつに下がっております。そこでサービス料の問題が消費者物価のあれになるというので、これを何とかしろ、しかし学校の先生が、授業料を今下げるというわけにいきません。そこでほかの政府の施策で下げられるもの、特に私は農林関係が多いので食料につきましてもできるだけのことをいたしたいと思います、という気持でお答えすれば、公共料金につきましても、私は非常に今苦慮しておるということがおわかりだと思います。これをどうするかという結論は、まだ所管大臣とも相談しておりませんし、ここで申し上げるわけにいきません。消費者物価が上がるということはできるだけ避けたい。しかし自由経済の原則をこれでぶちこわすわけにいきません。できるだけ消費者物価に影響の少ないように一つ考えていこうというのが私の考えでございます。
○小川委員長 有馬君、時間が参りましたからどうぞ簡略にお願いいたします。
○有馬(輝)委員 どうも中途半ぱで終わりそうなんですが、最後に私は、輸出入の目標達成についての要因といいますか、輸出四十七億ドル、輸入四十八億ドルのこの目標達成について非常に疑問を持つわけです。それは三分の一を占めるアメリカに対する輸出、それから東南アジア、それとEEC諸国、これを一つ一つ取り上げてみました場合に、目標達成に楽観的な材料というものはほとんどない。これはもう詳しくここでお話ししなくとも総理の方でよくおわかりだろうと思いますので、その具体的な、アメリカの場合にはどうだ、東南アジアの場合についてはどうだということは、今ここでは申し上げませんけれども、ただ輸出振興対策について輸出所得の減税とか、いろいろな手だては講じられておりまするけれども、私は根本的な、この経済外交の推進の面において、経済の大専門家である池田総理にしては非常に手ぬかりな点があるのじゃないかと考えざるを得ないのです。それはたとえばEEC対策にしましても、貿易額は少ないかもしれませんけれども、その対処の仕方たるや、これは大蔵大臣にも前に本委員会でお伺いをしたことでありまするが、たとえばボンの大使館からEECに対してブラッセルまで、のこのこと出かけていくというようなことで、これが一国の対策だとはとても言えたものではないと思うのであります。最近新聞を見ましたところ、与党の方でEECに対して専任大使を置くというようなことを検討されたやに聞いておりまするが、こういう点については、私は一日も早くそういう体制をとるべきだと思うのでありますが、非常におそ過ぎたきらいがあるのでありまして、この点についてどのように考慮しておるか。それからまた新しい市場として、私はラテン・アメリカについても相当の考慮をすべきであると思うのでありますが、この点についてどのように考えておられるか。それと先ほど申し上げました貿易の自由化と関連いたしまして、国際競争力をつけるために、国内の企業で企業の集中なり合同なりというものが相当話題に上がっておりまするけれども、これについて集排法あるいは独禁法との関連におきましてどのように考えておられるか。この三点についてお聞かせをいただきたいと思います。
○池田国務大臣 貿易問題で輸出の四十七億、輸入の四十八億、これはいろいろ問題があるようでございます。しかし御承知の通り最近の輸出信用状の伸びは三、四カ月前に議論されたよりもよほどよくなっておるのではございますまいか。私はきょう、昼、経済評論家の方々、有沢先生以下、高橋、土屋、稲葉、円城寺、こういう連中と話をいたしましたが、輸出は努力をすれば四十七億くらいいくのじゃないか。私もここ近日に開かれる輸出会議へ出ましてお願いするつもりですが、相当輸出意欲は上がってきております。それから御承知の通り最近におきまする日本経済に対する各国の関心は非常なものです。今ベルギーの使節団も来ております。イギリスの商務大臣も来、イギリスの財界の人も来ておる。日本に対して非常に関心を持っておる。私は非常にいい傾向で、努力すれば四十七億は達成できる。四十八億の輸入はどうか、これにつきましてはもっとふえるだろうという説が多いようであります。輸出の四十七億に対しましてはできるのではないか、でかさなければいかぬというので、大体いきそうですが、四十八億の輸入に対してはもっとふえるのだという説が多いようでございます。これは今後の生産の状況でございまして、まあアメリカの方の問題、ことにラテン・アメリカにつきましては延べ払いなんか相当出て参ります。しかしよく出ていくアルゼンチンがああいうふうな状態、ブラジルが非常なインフレの状態でございましてなんでございますが、そう楽観は許しませんが、私は相当望みはある。 EECの問題につきまして日本は非常に出おくれておる、こういうお話でございます。そうしてボンから出かける、こういうお話でございますが、ブラッセルには条約局長をしておった下田君がおります。経済も非常に明るうございます。そうしてまたフランスに参りました萩原大使、これは非常に有能な大使でございます。この二人でタイアップしてやる、私、あえて萩原君をパリに行かした、非常にうまくいっております。せんだってもある外人が来まして、あのコンビは非常にいい。もうこれからは特別の経済関係の特使を行かす段取りになった、これはあまり早く行かせますと、日本は何か他意があるのではないかと疑われたのではいけない、情勢を見ながらもう日本は行くときだ、こういう考えでやるつもりでございますが、経済外交につきましては、これは変におとりになってはなんですが、外国の大統領が来るたびに、通商航海条約をその場で結ぶ、今六カ国と結んでおります。とにかく通商航海条約を結んで、日本人がどんどん行くという格好にしなければならぬ。せっかくあなたのあれでございますが、あなたと同じような考えのもとに進んでおるのであります。EECの方でも、せんだってオランダの外務大臣が参りましたが、これはEECの方の有力者ですが、おととしに比べて去年はオランダに対して五割輸出がふえました。イギリスとの通商航海条約あるいはフランス、イタリアとの条約の改定等が今後現われてくるのであります。私は相当期待し得ると思っておるのであります。 それから自由化の問題、EECとの問題等々から、日本のいわゆる各企業の合同ということについてはどうかというお話でございます。最近経済雑誌を見ますと、イギリスではこうだ、ドイツではこうだ、アメリカとEECとの関係はどうだと、いろいろ載っております。私は、今の金融情勢その他から申しまして、好むと好まざるとにかかわらず、日本の企業も合理化の旗じるしのもとに、また国際競争力培養のもとに、繰り返しますが、そういう方向へいくのではないか、私はずっと見ております。しかし何と申しましても、これは民間の自主的の考え方でございまして、私は第三者として、そういう方向にいくのではないかという機運が出ているようであります。政府が今直接にああせい、こうせいという干渉を加える段階ではございませんが、そういう方向にいきつつある、これは各国の趨勢でございます。ことに先進工業国の状況、それが単にその国内のみならず、他国との関係におきましても、そういう傾向が顕著に現われ出したということは事実でございます。
○小川委員長 有馬君、あと一問というお話でありますが、よろしゅうございますね。
○有馬(輝)委員 わかりました。これは御答弁は要りません。 ただ、総理はいい面ばかりを強調して言われる、たとえば萩原さんにしても私はよく存じております。また奥さんも萩原さん以上にさばけた方であることも知っております。その萩原さんがおられて、たとえばミシンの混合関税の問題等、民間の諸君、商社の諸君が努力しておって、それを傍観しておったのは政府の出先です。また今度のイタリアとの交渉にしましても、御承知の通りであります。これで経済外交万全だと総理がいばられるような態勢にあるとは私はとても考えられない。 時間の制約がありまして、お約束でありますから、これはいずれ機会を見て、また詳しくお伺いをしたいと存じます。
○小川委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後四時十五分散会 ————◇—————