石炭対策特別委員会 第2号
- 発言数
- 27 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/12/23
会議録
○有田委員長 これより会議を開きます。 この際、神田博君から発言を求められておりますので、これを許します。神田博君。
○神田委員 この際、前国会閉会中に、石炭対策特別委員会から、北海道赤平における炭鉱ガス爆発の実情調査のため、われわれが現地に派遣されたのでありますが、会期の末日まで調査をいたしました関係上、会期中に調査の報告ができなかったので、便宜本日その報告をいたします。 去る十一月三十日、北海道赤平市住吉地内、日本炭業株式会社福住鉱業所いわゆる福住炭鉱において発生いたしましたガス爆発による災害事件につきまして、私どもは石炭対策特別委員会から派遣され現地調査を行なって参りましたので、ここに調査の結果を御報告申し上げます。 まず、われわれは十二月六日午前八時二十分羽田を出発し、千歳から札幌市に入り、札幌通産局において麻田鉱山保安監督部長より災害の説明を聴取した後、直ちに現地に向かい、午後三時ごろ遺体収容中の福住炭鉱に到着いたしました。福住炭鉱においては、現地の直接担当者である外山鉱務監督官、日本炭業株式会社滝田専務及び植村鉱業所長より災害の詳細な説明を聴取した後、福住炭鉱労働組合の白旗委員長以下の組合幹部と会い、事故の原因及び今後の対策等について組合側としての意見を聞き、最後に遺族代表の方々と会見し、家庭の内情等をるる承り、激励の言葉を申し上げ、十二月十三日に予定される合同慰霊祭に花輪と弔詞をお贈りして参った次第であります。 次に、今回の災害の概要を簡単に申し上げます。 十一月三十日午後三時四十五分ごろ、福住炭鉱の坑口より約九百メートル、深度百六十メートルの位置にある四片左十番坑道付近においてガス爆発が生じ、死者三名、も傷者九名、行方不明十七名、計二十九名の罹災者を出したのであります。災害の生じました四片十番層坑道に関連している作業場としては、同十番層引き立て作業と左十番層払があり、十番層引き立てば坑道加背七尺・七尺で、人員は普通三交代で、コンプレッサーは二交代、二十四時間のフル運転でありまして、コンプレッサーの運転手がメイン・ファンの運転を兼務しており、切羽では、コンプレッサーが動いておる限り停電は確知できないようになっております。たまたま事故の発生する数分前、福住炭鉱に送電いたしております滝川変電所において、一分間くらいの停電が二度にわたり起こりましたが、これは全く異例のことでもあり、この事実と災害発生の因果関係についても相当検討されましたが、わずか一分程度の停電によって災害が惹起されたとは考えられないというのが、今の関係者の意見でありました。 さらに、十二月二日午後零時三十八分ごろ、福住炭鉱機電係の睡眠薬自殺未遂事件が起こり、災害の原因について新たなる波紋を投げかけたのであります。自殺未遂をいたしました機電係は、事件後、札幌鉱山保安監督部の監督官の取り調べを受けており、取り調べた監督官の言によりますと、同機電係は同鉱においては鉱内外の電気部門の全責任者であり、滝川変電所の停電と鉱内停電との関連、さらに停電後のスイッチを入れた時間等について取り調べを受けたのでございます。これは局部扇風機の機能とこの扇風機の停止によって考えられる坑内通気の逆流、さらに、それによってもたらされるガスの充満等、あらゆる可能性についての当然の取り調べだったそうでありますが、彼はそれを気にいたしまして自殺未遂を行なったということであります。幸いにして一命を取りとめましたが、それが事件の発生にいかなる関連を持つかは今後の調査に待たなければならないと思います。 福住炭鉱は常時二百七十名から三百名の労務者を擁し、月産約一万一千二百トンの出炭をいたしており、掘進には火薬を使用し、その種類は安被付二号黒鷹硝安爆薬及び六号電気雷管を使用して、一日約二・八メートルの進行度を持っております。また四片左十番層払はピック採炭で払面長は五十四メートル、傾斜四十三度、稼行丈〇九メートルないし一メートルで、一日の出炭量は百四十トンくらいの払であります。 罹災者の状況は、当日四片十番層払の一番方として番割りされた十名——実際番割りされた者は十二名であったが、うち二名はからだの工合が悪くて早く出坑した——と係員一名、左十番層引き立ての組夫二名、計十三名とちょうど一番方と二番方の交代時であったため、二番方の左十番層払に番割りされた八名のうち、ゲート坑道にいた四名の十七名が死亡または行方不明となっており、このほか三名の死亡者は四片左五番坑道下ばん打ちの者が二名同じ場所で死亡し、さらに一名は、四片右五番層払に番割りされた者が、四片立て入れ右五番層口付近で死亡いたしたのでございます。 災害後の左十番層坑道について申し上げますと、払漏斗口より奥二十七メートル、漏斗口手前約五十メートルは崩落しておりません。その手前二十メートルは崩落しているが、見通しができて、この五十メートルのうち漏斗側二三・二メートルの範囲の中で十二名の遺体が発見され、残る五名はその先の崩落ズリの下になっているものと思われるのであります。 災害発生後直ちに立て入れより崩落取りあけ作業を十六名交代で実施し、十二月五日午前十一時には、立て入れ入口より八十一メートルの地点の断層に突き当たり、六日午前六時に崩落坑道百五十五メートルの取りあげ作業が成功し、午後一時までに十二名の遺体の搬出を終わったのであります。残る五名は、まだ一部に取り残されている坑道サイドの崩落個所か、採炭漏斗口から奥に入った二十七メートルの袋坑道にいることが予想され、引き続き立て入れ入口から捜索が続行されておったのでありますが、七日に至り全遺体の収容を終わったそうであります。 一方、漏斗口より手前の方五、六メートルの位置には、今回の災害について、その原因の一つのかぎを握っておると思われるハッパ係員の遺体が発見され、同係員はゴム管を巻きつけたままの検定器を携帯しており、そばにはハッパ器がころがり、ハッパ母線は最終漏斗内より切れてたれ下がり、同係員の遺体より一・八メートル離れた個所には火薬袋があり、当日同係員が持参した爆薬五本、雷管五本中、爆薬三本、雷管四本を残しておったのであります、火災は四片左十番層坑道、同払四片立て入れ、四片左六番層坑道及び四片左五番層坑道、四片右五番層坑道の一部にも及んでおり、崩落は四片左十番層坑道、四片左六番層坑道がはなはだしく、その他の坑道についてはさしたる被害がなかったのであります。災害発生個所付近における火源としては、キャップ・ランプ以外に電気施設もなく、自然発火の疑いもないようですので、これによる着火の可能性は考えられず、その他の火源としてはハッパ、裸火、喫煙等が考えられ、災害発生前漏斗口の炭づまりを処理するため、火薬類を使用した疑いが目下強いのでありますが、いずれにいたしましても、ガス爆発の直接の原因につきましては、目下当局において調査中でありますので、その結果を待たなければならないような事情であります。 しこうして、今回の福住炭鉱のガス爆発によっての災害について考えられる問題点は、次のものと思うのであります。 第一点は、組夫と直轄夫の問題であります。福住炭鉱におきましても、他の中小炭鉱同様、組夫の使用をいたしておりますが、ここでは他の炭鉱と異なり、一番方が直轄夫、二番方が組夫という制度をとっておったので、鉱山保安監督部の勧告により、十一月二十日にこの制度を改め、直轄夫に切りかえを行なったのであります。このような一番方が直轄夫、二番方が組夫という雇用形態は、事人命にもつながる炭鉱の作業として不適当であることはもとより、職業安定法、鉱山保安法等からも当然問題とされなければなりません。しかも、十一月二十日に組夫から直轄夫への切りかえを行なっても、旧組夫は臨時夫として使用され、宿舎もかつての同僚としての気楽さからか、依然として組夫と同居し、また労働組合にも、組合側の合理化対策などという資格審査により、いまだ加盟できないような状態であったのであります。従って、その実、直轄夫とは名ばかりで、実態はかつての組夫と変わりなく、ために従来の直轄夫との間に意思の疎通を欠き、また、坑内夫としての質の点においても、相当の隔たりを持っておったようであります。このような組夫制度は、鉱山保安の万全という立場より見れば、当然保安管理の二分化を来たし、特に行政指導の徹底あるいは効果という点についても一考を要するところであります。これらは、中小炭鉱における特徴の一つでもあり、炭鉱労務者の資質の向上との関連においても、将来解決しなければならない問題であります。 第二点は、租鉱権の問題であります。福住炭鉱における租鉱権は、昭和三十七年三月末日が期限となっておりました。会社側の説明によれば、三十九年三月末日までの租鉱権延長の内契約はすでに完了いたしており、ただ鉱業法に基づく成規の延長手続をとっておらなかっただけだとのことでありますが、現行鉱業法においては、租鉱権延長の手続は省令に委任されており、省令もこれに対する明文を欠いておるのであります。通産省における取り扱いは、期限の一ヵ月前に延長手続をいたせばよいことになっております。しかして多数の労務者を擁し、その職業の安定を期さなければならない会社としては、租鉱権の一ヵ月前認可申請制度は、あまりにも短きに失するものでありまして、租鉱の経営に計画性を持たせ、保安監督を十分に行ない、雇用労務者に安堵を与える意味においても、期限前に相当の期間を置いて延長の認可申請を行なうように制度の改正をいたすべきであります。しかもこれは、前述のごとく、法の改正を必要とせず、省令への明記あるいは取り扱い上の処理として可能な問題であるだけに、早急なる改正が望まれるところであります。 第三点は、ハッパ係員の資格についてであります。今度の災害について事故原因を知るために最も重要とされるのは、罹災されたハッパ係員であります。五十三才の同係員は、会社の経歴表によると、昭和九年より昭和二十九年に至る間、三菱美唄の坑内職員であり、二十九年より三十六年三月までの経歴がないのであります。従って、本年三月、組の係員として採用され、十一月直轄係員助手として採用されるまでの問、炭鉱関係の職務に関係しておらなかったことも想像されるのであります。これは戦前に資格をとり、相当長期間にわたりその職を離脱しておりながら、資格そのものに何らの影響を与えないというところに問題があるのであって、少なくとも坑内にあって直接人命に結びつく重要な、しかも危険な職能であるだけに、再考を要し、技術面の再教育あるいは資格更新についての条件等が当然考えられてしかるべきものと思うのであります。 思うに福住炭鉱は、北海道においては、租鉱とは申しながら、中小炭鉱としては優秀なる炭鉱であり、昭和三十三年五月、部長指定乙種炭鉱となり、昭和三十六年十二月一日付で甲種炭鉱の指定方を上申手続中であったにもかかわらず、今回の事故を招来したということであります。 石炭産業の斜陽性が叫ばれる今日、中小炭鉱は大手にも増して年々労務者の年令層が老齢化しつつあります。これは斜陽産業という世の酷評のもとに、若い優秀なる労務者が石炭産業への就労を拒み、他産業へ移行する結果生ずる必然の現象でもあります。しかも大手に比して雇用条件が悪く、福祉施設等に不備の多い中小炭鉱において、ますますその弊害が大であり、中小炭鉱においてはその求人の困難を組夫、臨時夫によって補わざるを得ず、従って、労務者の資質は年々低下するという悪循環にあえぎながら操業いたしているのが現状でございます。今日炭鉱労務者の資質の向上、そして技術陣の充実が中小炭鉱ほど必要とされるゆえんは、ここにあるのであります。 酷寒のもと一家の支柱を一瞬にして失い、乳飲み子をかかえて慟哭する遺族に思いをいたすとき、斜陽産業の宿命というにはあまりにも痛々しく、その犠牲の大なるに、国政に携わる者として強い義憤と責任を感じたのでございます。かかる惨事の再び生ぜざるように、今こそ石炭政策の基本策樹立、保安対策の確立に、そして中小炭鉱の育成等に、抜本的な恒久策をもって臨まなければならないと痛感いたした次第でございます。 以上をもって報告といたします。 —————————————
○有田委員長 次に、炭鉱災害について質疑の通告がありますのでこれを許します。岡田利春君。
○岡田(利)委員 ただいま同僚の神田委員から御報告になりました福住炭鉱の災害に関して、特にこの災害の調査の結果きわめて重要な問題点について、端的に質問を申し上げたいと思うわけです。 実は私も一緒にこの福住炭鉱の災害の視察に参ったのでありますが、その後ずいぶん日にちもたっておりますし、私ども調査団が参りましたときには、まだ遺体の搬出が完全に終了しないという状況であったわけです。従って、その調査団の派遣後特に判明した、この災害に伴う事情がもしあるとするならば、その点について、まず保安局長から説明を願いたいと思うわけです。
○八谷説明員 福住炭鉱の災害につきましては、ただいま御報告の中にありました通りでございまして、その後原因等につきまして究明を行なっておりますが、ただいまのところ、ただいまの御報告でも御指摘がありましたように、切羽から片盤坑道へ流しますシュートロのつけマイトのハッパから爆発が起きたんじゃないか、こういうふうに考えている次第でございますが、しかし、そのほかに迷走電流の問題その他も、できるだけ可能な限度におきまして科学的に追及をいたしまして、これこれの問題では災害が起きなかったということを全部消していく過程にございまして、ただいまのところでは、直接この災害の原因といたしましては、まだ調査中ではございますけれども、結論を出すとしますと、まだ早急の時期にはございますが、おそらくただいま申しましたハッパに固まっていくんじゃないかという想定を持っております。
○岡田(利)委員 ただいま報告にありました通り、この福住炭鉱は租鉱炭鉱でありまして、租鉱炭鉱の災害としては非常に大きな災害であったわけです。しかも、戦後の災害規模からいっても、大体七番目に位するきわめて重大な災害であったわけです。そこで、最近の保安統計を見ますと、非常に中小炭鉱の災害が増加をしている。なかんずく租鉱炭鉱における災害率は逐次高まりつつあるというのが、統計の示しておるところなわけであります。特に、租鉱権の問題は今日鉱業法改正審議会でも論議をいたしておるところでありますが、現行法によりますと、五廣の期限を限って租鉱権が認可をされ、しかも、この租鉱権をさらに延長する場合には、五年という限度内において、所定の手続を経た場合に認可をされる、こういう定めがあるわけです。 〔委員長退席、始関委員長代理着席〕 しかしながら、租鉱権を再延長する場合に、その延長の認可というものは一体いつまでにするといいのかという点については、きわめて不明確なわけです。省令自体にも、はっきり定めてある条項が実はないわけです。しかし、現在通産省の取り扱いとしては、大体租鉱満了期限の一ヵ月前までにその認可をとる、こういう行政指導をとっておるように実は聞いておるわけです。しかしながら、事実問題として、他の機械工場の場合とは違って、地下産業でありますから、五年間の租鉱期限を設定をいたしまして、採掘を開始をする。しかも、五年間近になって租鉱の問題が、鉱業権者の間でいろいろトラブルが起きたり、なかなか租鉱期限の延長というものはきまらぬ。といたしますと、この期間というものは非常に不安定な状態になるわけです。しかも、五年できまるかきまらないかわからないという時点においては、これはやはり施設その他についても撤収作戦をとるでしょうし、あるいは新しく保安関係の投資をするということは、これは企業の常識として考えられないと思うわけです。しかも、親会社との間に円満に租鉱延長がきまらぬとしますと、その間労働者に対しても非常に不安定な気持を与える。不安を与える、こういう結果になることは、私はだれが考えても明らかだと思うわけです。従って私は、この租鉱期限というものが設定をされまして、これがさらに継続されるかどうか、継続しないのか継続するのかという点については、相当早い時期においてこの問題を明らかにする必要があるのではないか、このように実は考えるわけです。私の見解によりますと、この設定された租鉱の期限というものは、延長するのか、それとも設定された期間で終了するのかということを、少なくとも一年前に明らかにさせる必要が、この地下産業である石炭の場合にはあると考えるわけです。しかも、それが一年前に明らかになりますと、保安監督行政上、これは一年後には租鉱の延長がなくて終掘とするのであるということになりますと、そういう炭鉱に対しては、いわゆる保安監督行政というものがその重点を指向することができるし、そういう面で、そういう終掘時に発生する災害の防止ということも考えられるのではないか、適切に指導できるのではないか、このように考えるわけです。これは単に保安上の問題だけではなくして、さらに裏返しをしますと、今日石炭産業が非常に不安定な状態にある、しかも租鉱の炭鉱というのは非常に恵まれない条件に置かれておる、そういたしますと、この山が一体さらに存続するのか、存続しないのか、不安定な状態に常に労働者が置かれて、しかも、もしも延長しないということに、会長が解雇されるということになりますと、その部面における社会不安というものは非常に大きいものがあるし、そこに働いておる労働者それ自体が次の生活に対する方途もつかない、こういう結果に私はなってくると思うわけです。従ってこの租鉱期限の延長の問題については、延長する場合には行政指導として当然省令で定めることができるのでありますから、最低一年前に、延長するのかしないのか、その許可を受ける、一年前に許可を受けないものは、自動的にその租鉱期限の設定期間で採掘業務を終了する、このぐらいの強力な指導を行なわなければ、石炭政策が非常にやかましく言われ、炭鉱災害が非常に大きく世論を刺激している今日、行政上の責任ある指導をするということは不可能であるという工合に、私は実は理解をするわけです。そこでまずこの見解について、保安行政上一体どういう見解を持っておるのか、この点を保安局長からお聞きしたいと同時に、この見解について一つ政務次官の見解を聞きたいと思います。
○八谷説明員 租鉱権の延長の問題でございますが、これはただいまも御指摘がありましたように、省令等で的確な定めを持っておりません。試掘権でございますと、三ヵ月以上半年以内にその存続をまた願い出るというような規定がございますが、租鉱権につきましては、ただいまお話がございました一月前とかいいますのは、全く事務的に、そのくらい前に出さないと租鉱権が切れていく、こういう手続上の関係からの指導をやっているわけでございます。しかし、本来租鉱権と申しますのは鉱業法上きわめて例外的なものでございまして、この租鉱権の延長につきましていろいろ指導するという面等でいきますと、何か租鉱権というものは、当然延長もいいんだ、あるいは、そういう長期のものだというような、本来の租鉱権としての目的というものとからみ合わせて非常にむずかしい問題があるかと思いますけれども、しかし現実の問題として、特に保安確保の点よりしますと、租鉱権の存続問題がはっきりしないで不安な状態の操業を続けているということは、全く好ましくないのでございまして、この保安の点に特にスポットを当てて考えてみますと、保安上に問題があるものとか、または問題の生ずるおそれがあるものにつきましては、存続かいなかを早めにはっきりさせることが、私どもの立場としては望ましいと考えておるわけでございます。この点につきましては、保安確保の面より一日も早く明確ならしめるよう指導したい、こういうふうに保安の面からは考えております。ただこの指導と申しますのが、先ほども申しましたように、延長したらどうかというような、例外的なものに対する一般指導みたいに解されるおそれも多分にあるわけでございまして、その点、こういう指導につきましては、鉱業法上の鉱業権、採掘権でないというところに全体的な問題としては非常にむずかしさがあると思いますが、保安上の立場からだけ申しますと、一日も早く、少なくとも内部契約としましては、あとどれだけ掘るんだ、そうしてどういう操業を続けていくんだ、こういうことがなければ、ただいまも御指摘がありましたように、たとえば古洞一本掘らせるにしても、もうすぐやめられるものだったら、これは古洞を掘るというよりも退却態勢で進めていくとかという別途の応急措置もあるかと思います。そういう点につきましては、いろいろ保安上も問題がございますので、なるべく、少なくとも内部契約としてそういう問題をはっきりさせる、そうして安定した操業をさせて保安の確保に資する、こういうふうな指導をやりたいと考えております。 〔始関委員長代理退席、委員長着席〕
○種田説明員 ただいま岡田先生から御指摘の租鉱権の問題でございますが、御承知のように、今保安局長から申し上げましたように、租鉱権そのものが非常に例外的なものでございまして、やはり残鉱を経済的に開発するのだということで、租鉱権の設定期間というものはおのずと明確にしてあるのでございます。租鉱権者としては、その期間に適応した企業の計画を期し得るものだとわれわれは思っておるのであります。従って、もし企業を存続しようとする場合においては、現在採掘権者と内部契約が成立するならば、ただいまお話しのように、手続上一ヵ月ぐらいになっておりますが、実際の行政指導としては、一年前にそういうものを認可したものもございます。それから三月ぐらい前に認可しておるものもございます。そういうように、については支障なく行なわれるという建前でやっておると思っております。
○岡田(利)委員 先般合理化審議会で、坑口開設の許可基準が実はシビアにきめられたわけです。大体現在の鉱業法では、租鉱権は五年をこえることができない。しかしながら今度の坑口開設の許可基準の答申からいいますと、少なくとも五年から十年くらいの鉱量があるということがやはり前提になって、しかも能率あるいは出炭規模が柱になって、その開設の基準が答申をされておると思うわけです。そういたしますと、事情が非常に変わってきておるわけですね。ですから今あなたの言われたように、一年前に内部的には鉱業権者との間に、租鉱期間の延長というものがきまっておるという、もちろんそれもあるでしょう。しかしながら、そこで交渉がうまくいかない場合に、租鉱権者は鉱量もあるしぜひ期限を延長してほしい、親会社としてはそれは認可はできないということになって話し合いがつかないで、ぎりぎりまでいっているケースもあるわけです。極端なことを言いますと、一ヵ月間の租鉱期限の延長もできるわけですね、あるいは三ヵ月でもいいわけです。そういう小きざみな租鉱権の延長をしておる実例も、実はあるわけです。ですから、この面は非常に極端に言うと、一年前から延長ということがわかっておるようなところもあるし、ぎりぎりのところまでいって話し合いがつかないようなところもあって、いわゆる法的には盗掘的な形で石炭が採掘されておる実例も数えるほどあるわけです。そうなって参りますと、今の事情が変わってきている石炭政策の面から考えて、あるいはまた保安監督行政の面から考えて、——しかも年々中小炭鉱の災害が増高しておる。なかんずく中小炭鉱の租鉱しておるところの災害率というものが一番高率を占めておるというのが、今日の現状なんです。ですから私は両方の面から考えても、事情が大きく変わってきておるのですから、少なくとも租鉱権の延長という問題については、当然常識的にこれから考えなければいけないわけです。それは省令で定めることができるのですから、相当余裕の期間を見て、租鉱の延長をするかしないかということを明確に定めていく、そういう認可をしていく、こういう進んだ態度というものが、私はどうしても今日、保安上の面からいっても、新しく事情が変わってきている石炭政策の面からいっても、これは強力にやらねばならぬし、そういう意味で省令に明確に定めるべきだ、このように実は考えるわけです。そういう点で、従来の観念と今日現時点以降の観念というものは、もう大きく変えなければならぬ時期にきておるのである。そういう面からいっても、この租鉱期限が延長される場合については、そういう新しい角度に立ってこの問題について解明を与えていただきたい。私の見解では、少なくとも十ヵ月か一年くらい前に、延長するかしないかということを、やはり届出官庁においてもはっきり把握できる、そういう規制をすべきではないか、このように実は考えておるわけです。そういう意味の一つ見解を承りたいと思います。
○森政府委員 ただいま岡田さんの言われる租鉱権の存続かいなかという問題につきましては、これは御指摘の通り非常に問題でございまして、われわれとしてもせめて一年前にそのことをはっきり態度を明確化するように努力をいたしたいと考えておりますが、これを、法律を作るかどうかという問題につきましては、実は私ども寄り寄り相談して、何とかはっきりした規制ができるような形をとりたいということで、せっかく努力中でございます。その方向に向かって考えておるわけであります。
○岡田(利)委員 いずれまた来年度この問題について、保安法の改正もありますし、ゆっくりやりますが、そういろ意味で実情を把握して、しかも租鉱権の炭鉱の実態はどうなのか、どういう状態に置かれておるのか、保安行政の面からどうなのか、特に最近のように炭鉱の離職者対策が非常にやかましくいわれておる、そういう労働不安を解消するという面からどうあるべきかということについて、一つ十分御検討願いたいと思うわけです。 次に、第二の問題ですが、この福住炭鉱の災害現場は、旧組夫がほとんどを占めておるわけです。直轄従業員というのは死亡した二十人のうちおそらく四名ぐらいで、あとは組夫だというふうに記憶をしておるわけです。そこで、その担当をしておる保安係員あるいはハッパ係員は、これまた組の保安係員であり、組のハッパ係員であるわけです。これが十一月の二十日に直轄に切りかえになった。三十日に実は災害が起きておるわけです。しかし、労働組合その他の話を聞きますと、直轄に切りかえになったけれども、労働協約はユニオン・ショップであるが、これは実態は変わらないから組合員として認めることができない、実はこういう現地の労働組合幹部の証言もあるわけです。ですから、切りかえされたけれども、十日間の期間であるからはっきりしなかったという面もあるのですが、実質は何ら変わっていなかったということは、これまた明らかなる事実であります。そういう面から考えて、この一番方が直轄である、二番方が組夫でやる——もちろん保安法上定めるところによって、保安監督権というものは一元化されておりますけれども、人事権のない保安監督という面については、非常にこれはやはり重大な問題があるわけなんです。これは労働省関係の法律の問題と切り離しても、保安監督上も大きな問題があるというふうに私は考えるわけです。しかもその担当係員の経歴は、昭和二十九年まで三菱の保安技術職員であった。しかも、札幌鉱山保安技術員養成所を卒業しておる。この二つの経歴しか実は持っていないわけです。ですから想定すれば、それまで二十九年からずっと農業か何かやっておっても、資格があったから鉱業権者はそれを選任する。もちろんそういう点で選任する鉱業権者の責任というものは重いわけですが、これは選任ができるわけです。自動車の場合でも、免許は三年ごとに更新をしておるわけです。人命を扱う保安技術職員の資格というものは、全然横すべり、試験に合格して資格を得ると、これは一生その資格があるわけなんです。それを押えるのは、鉱業権者の選任権でもって、十分保安係員としての能力を果たし得る者を選任するということで、その点はまかせられておるわけです。しかし最近のように、なかなか技術職員を得ることができない、まして条件の悪い組あるいは中小炭鉱にはなかなか技術者が集まらないということになりますと、昔離職して、三年も四年も別の仕事をしていても、資格を持っていますからということで、窮余の一策でこれを選任するということは、石炭産業が不安定な状況のもとにある今日、ますますそういうことが発生するのではなかろうか、こういうことが実は私は想定できると考えるわけです。 そういたしますと、第一点の問題として、保安技術職員の資格の問題でありますが、二年も三年も前に全然炭鉱から離れておった者をすぐ選任する、それではたして十二分に保安技術職員としての職務が果たせるかどうかという点になりますと、保安法の切りかえ等もあった日本の現状では、私はやはり大きな問題があるという工合に考えるわけなんです。それを鉱業権者の選任だけにまかしておくのではなくして、やはり制度上保安技術職員の資格の問題については再検討する必要があるのではないか。たとえば三年ごとに登録をするとか、しかもその場合に本業から一年なら一年、二年なら二年離れておる場合には、再試験をするとか、あるいは再教育をするとか、そういう点をやはり明確にしなければ、炭鉱保安というのは第一線の保安技術職員の手にゆだねられる点が多いし、先端における事故、ガス爆発が全鉱に影響を及ぼすという性格を持つものだけに、この点は十二分に検討を要する点ではなかろうか、このように私は考えるわけですが、この点についてまず保安局の見解を聞きたいと思うわけです。
○八谷説明員 ただいま御指摘のございました係員は、お話のように、当初三菱鉱業の採炭夫として採用されまして、これは昭和九年でございますが、昭和十四年から一年間技術員養成所に入りまして、十五年から係員となっております。そういたしまして、昭和二十四年の鉱山法の施行に伴いまして、横すべりして保安技術職員の資格を取得しておるわけでございますが、その後二十九年に退職いたしまして、三十六年の三月に、池田組の係員として福住炭鉱に入っておるわけでありますが、その間につきましては詳細な点は不明でございまして、書籍店をやっておったとか、行商をやっておったとかいうようなことを聞いておりますけれども、明確にいたしません。また福住炭鉱の正式な係員となりましたのは、ただいまお話のように、十一月二十日でありまして、こういうように七年間も空白を持っておる者でも、一度国家試験を通れば係員の資格を喪失しないという点が問題であろうかと思います。この点につきましては、他の国家試験のやり方等も十分に研究をしたいと思っておりますが、再就職する場合に新しく養成しかえるか、あるいは、ただいまも自動車のお話がございましたが、三年ごとに免許を与えかえるか、こういう点いろいろな方法があると思います。要は係員の資格が制度としては問題でございますが、係員が十分な資質を持っておるかどうか、働きができるかどうかということなんでございまして、そういう点からしますと、むしろ教育というものにウエートを置いた考え方で進んだ方が実態的ではないか、こういうふうにも考えるわけでございますが、しかし教育に重点を置くと申しましても、一方制度的に明確にしておかないと、そういうチャンスを逃がす、こういう問題もありまして、きのうも保安法改正の委員会を開催いたしましたが、この問題を取り上げるようにという要望もございました。来年開きます保安法の改正の委員会で、少なくとも一月中くらいの目途で結論を得るようにいたしておりますが、この際にこの点につきましてどのように制度化するか、あるいはどのようなやり方をとったが最も目的に沿うかという点を十分に研究したいと思っております。
○有田委員長 岡田君、約束の時間が近づきましたので、簡略に願います。
○岡田(利)委員 この点はいずれまた保安法の改正その他で論議ができると思うのですが、一つそれまでに十分御検討願いたいと思うわけです。特に合理化のテンポが非常に早いわけですね。しかも、炭鉱の機械化というものが国の政策で強力に進められておる。また石炭産業も、近代化をはからずして生き延びていくことができないという局面に追い込まれておるわけです。ですから、そういう非常に流れの速い状態で炭鉱の合理化が進むということは、坑内規模なり採掘条件なりいろいろ変わって参っておるわけですから、特にこの炭鉱保安を守る保安技術職員の資格の問題については、十分一つその実情に即応するように御検討願いたい。特に中小炭鉱、租鉱権炭鉱において、保安技術職員というものが、なかなか人材を得ることが困難であるという実情から見れば、なお一そうこの問題は必要性を痛感されるのではなかろうか、このように考えますので、十分一つ御検討を願いたいと思うわけです。 次に、第三番目の問題でありますが、先ほど報告のありましたように、これは保安監督行政の面から、十一月の二十日に池田組の組夫を直轄に切りかえた、こういうことになっておるわけです。しかしそれ以外の組夫も、この災害にまじって罹災しておるわけなんです。これは単に福住の今回の大きな事故によってその実態というものが現われただけであって、今日日本の中小炭鉱やあるいは租鉱権の炭鉱においては、この実態というものはもう常識化しておるのではないか、私が知っておる炭鉱をあげるだけでも何十という山にそういう状態というものが、もう常識化されて、そのままに放置されておる、こういう私は実は理解を持っておるわけであります。この点について、特に福住の問題については本省の方へも報告がきておると思うのですが、現在の職業安定法からいって、これは一体どうなのか。また施業案に基づいて認可をされて、その後作業の内容が変わった場合には、だれが一体この監督をするのか、これは基準局の方ではないかと思うのですが、その点については一体どういうことで今日の行政を進めておるのか、これは職業安定局の調整課長、それから基準局の監督課長からこの点についての見解を伺いたいと思います。
○北川説明員 そういう労務状況につきましては、先生御承知のように、職業安定法で全面的に禁止されております。ただ名前が請負契約という形で、法律の裏をかくようなものがございますので、それにつきましては、やはり安定法及びその施行規則で、こういう要件を備えなければ、たとえ請負契約の名目をとっておってもそれは労務供給だ、そういう規定がありますので、それに基づきまして今後厳正に取り締まりをやりたいと思います。ただ、そういう請負の形態を備えておりましても、炭鉱の合理化のために、組夫あるいは下請、そういう形で合理化が中小炭鉱で行なわれておるのが事実でございまして、これは一般の企業についてもそういう傾向があるわけでございます。炭鉱の場合、特に国の手厚い施策によりましで合理化が進められておるし、こういうふうに炭鉱の業務が非常に危険な地下作業である、そういう点から、使用者としましては非常に強い社会的な責任があると労働省では考えております。従いまして、現在炭鉱におけるそういう組夫の実態、それから第二会社あるいは下請におろすというような実態を全国的に調査いたしております。その結果に基づきまして、一般産業よりもより強力にそういう点についての是正の指導をやって参りたい、こう考えております。
○上原説明員 石炭鉱山におきまして、お話しのように、組夫というような制度が非常に多くあるという事実も、私どもは率直に認めなければならぬと思います。その際基準法上問題になりますのは、下請というような形で労働しておりながら、その下請の労働者が、実は元請の指揮監督のもとにある、こういう実情にあるのではないか、こういう点が実は問題になるわけでございます。最近のいろいろな経済情勢からいたしまして、下請関係でもって事業が遂行される、こういう形態が非常に大きな傾向になっております。形式だけでなく、実質的に下請であればいいけれども、請負が形式だけで、実質は親企業の支配従属下にある、こういうことは労働条件その他におきましても非常に大きな問題がございます。そういう点につきましては、これを改善するようにということで、管下の監督機関に対しまして指示をいたしておるわけでございます。特に下請関係の場合におきまして、実質上親企業の支配従属下にある、こういう形態になって参りますと、先ほどもお話がございましたように、職安法違反という問題も起こります。また、職安法違反に伴いまして、中間搾取というような問題が出てくるわけであります。従いまして、私どもといたしましても、そういう関係につきましては重大な関心を持って、そういう事実がありますならば、これを是正いたしますように今後とも十分努力して参りたい、こういうふうに考えております。
○岡田(利)委員 今の問題ですね、実際上、保安監督官の場合には、これは二ヵ月に一ぺんぐらいは大体山を回っておるわけです。しかしながら、基準監督官の任務というか権限はないわけですね。基準監督官の場合には、実際はそういう実態を坑内に入って見るということは、一年に一ぺんもないというな実情なんですね。そうすると、保安監督官と労働省の職安局、基準局、これとの関係ですね、非常にうまくいっていないわけですね。現地に行ってみましても、全然行政官庁が別だし、今回のように、労働省に連絡しない面もあったのか、基準局からだれも来ていないわけですね。私が直接電話をかけていろいろ聞いてきたわけなんですが、この点については、行政上、特に炭鉱の問題、鉱山の問題については一考を要するのではないか、こういう感じを強くするのですが、これは一体今の制度で弾力的にできるものか、あるいは、別途に考えなければなかなかこの三者一体の関係でこれらの監督を明確にしていくということが不可能なのか、この点の見解はどうでしょうか。
○上原説明員 石炭鉱山でございますが、これは当然労働基準法の適用があるわけであります。ただ、坑内保安の問題につきましては、鉱山保安法によりまして、通産省所管になっております。その他の一般の労働条件につきましては、私どもの方の所管でございまして、従来とも、石炭鉱山におきましては労働条件が非常に悪い、こういう面もございますし、私どもの監督行政の重点といたしましては、その石炭鉱山をあげておるわけでございます。特に鉱山保安との関係におきまして、労働時間の問題だとか、いろいろな周辺の問題をやはり整備しなければ保安がうまくいかない、こういう面もあるわけであります。従いまして、ことしも石炭鉱山の保安を確保する、こういうことを側面的に確保していくという意味におきまして、予備費でもって、鉱山に関しての一般の労働条件の監督に関します経費もいただいておるわけであります。来年度におきましても、本年度と同じように、またそれ以上の予算を確保いたしまして、石炭鉱山一般の労働条件の監督につきまして努力いたしたい、こういうふうに考えております。
○岡田(利)委員 それで、実際に坑内作業の場合ですが、私の見解では、大体組夫で作業のできるものは沿層の伴わない起業工事、沿層でない、石炭層でない起業工事については、これは大体施業案で組夫の使用が認められる、それ以外には認められないという工合に実は記憶いたしておるわけであります。この点については間違いないですか。
○上原説明員 組夫をどういう業務につけるかという点につきまして、基準法上別段の定めはないわけであります。従いまして、これはもっぱら通産省の立場から検討されるべきことじゃないか、こういうふうに考えております。
○岡田(利)委員 もちろん作業の方は通産省で、施業案に基づいて認可をするわけですね。しかし実際に組夫を使う場合、この点については、こういう作業内容で組夫を使用したいという場合には、これは労働省の管轄じゃないんですか、通産省ですか。
○八谷説明員 ただいまも労働省の方からお話がございましたのですが、通産省関係の鉱山保安法、鉱業法でも組夫を使っていけないという厳密な規定は現在設けられておりません。ただ鉱業というものは本来みずから営むという自営主義の立場、それからもう一つは鉱山保安の立場から、非常な危険作業あるいは採炭のような作業、こういうものにつきまして何らかの規制が必要かどうかということは、今後の法改正の問題になろうかと思いまして、ただいま開催されております鉱業法改正審議会におきまして、これはもっぱら自営主義の立場から、そして鉱山保安の確保の立場もあわせ考えまして、それから鉱山保安法の立場からは、先ほども申し上げました改正委員会の方で保安確保の面から、両面でこの請負夫の問題を明確にするということで検討をいたしておりまして、そうしていずれの法規に結論を当てはめていくか、あるいは保安法だけでいくか、あるいは鉱業法にもこれを入れるか、そういう問題も検討が済みまして、法的な必要があれば整備をしたい、こういうことで目下進めております。
○岡田(利)委員 実際問題としてこの労務供給、中間搾取ということが、炭鉱では非公式の公然として行なわれておる。しかも、それには手のつけようがないというのが行政官庁の偽わらざる実態ではなかろうか、こういう理解をしておるわけです。特に、炭鉱の災害が非常に多い。これはヨーロッパに比べて、死亡なんかでも大体二倍から三倍以上、そのくらいの実績が出ておるわけです。稼働の上でいっても比較にならないわけですね。わが国の場合は非常に高いわけです。炭価だけはヨーロッパ並みに下げろ、合理化をしろ、災害の方は、これはヨーロッパの倍増どころか、三倍増政策というような結果を実は招いておるわけなんです。そういたしますと、今日の制度上の問題として、随所に組夫が無差別に使用されておる実態というのは、中小炭鉱に非常に多いと思うのです。大体私の記憶では、行政指導上では、坑内の場合には、沿層の伴わない起業工事の場合には、そういう施業案に基づいて組の使用を認めておる。ところが今日の実態というのは、なるほど許可を受ける場合にはそうだったけれども、実際切羽に入って仕事をしておる。沿層の場合も組夫が公然と作業しておる。従って、人事権の伴わない保安監督行政、こういう実態が今日出ておるわけなんです。ですから私はこの面については、特にこれからの保安行政の面からいっても、また石炭産業の将来にわたる安定の面からいっても、重大に検討してもらわなければならぬし、そういうことが放置されて、安い労働者が使われておるから、中小炭鉱というものがもう雨後のタケノコのように今日まで発生してきたと思うし、親会社は遠慮会釈なく第二会社を作る、むしろ進んで租鉱政策をとる、こういうことになっておるのではないかと私は思うのです。従って、労働省の方で全面的に調査をしておるということですから、あらためて来春の通常国会で、炭鉱の労務供給の実態、あるいはまた中間搾取の実態が一体どうなっておるかということを、資料を求めて私は質問いたしたいという工合に考えるわけです。 最後に、去る三月の三十一日に本会議で、石炭保安に関する特別決議が行なわれて、これに伴う予算措置、こういうものが行なわれたわけでありますが、最近の傾向をずっと見て参りますと、保安融資についても、最近ワクがきまったくらいで、まだ金が出ていないというのが一般的な現状のようです。あるいはまた、上清炭鉱の災害で問題になった派遣班の田川班とか、こういうものが制度上明らかになっていない。従ってこの面については、本会議の決議あるいは委員会の決議によっても、早急に監督行政というものをはっきり制度化し、しかもその陣容を強化する、こういうことで当面できるものはやられたわけです。しかしながら、恒久的な問題は制度の問題であり、予算上の問題もあるから、これは次の通常国会等において十分考えよう、このように実はなっておったのですが、この制度上の問題についてはさっぱり進んでいないわけです。これは最近の予算の編成にもからむのですが、予算の編成を見てもこの点については全部オミットされておるわけです。しかしながら、現実の問題としては、各班に家が建っておるわけですね。しかし、これを制度化するとすれば、たとえば九州の田川に派遣しておるものについては田川監督署とか、あるいは、北海道については滝川とか釧路とか岩見沢、夕張監督署とか、そういう工合に明確に制度化しないと、便法、運用だけでやっておるという結果に終わって、決議案の実行ができないということに実はなるわけです。そういう面から見て、この本会議で決議し、しかもこれはどうしてもやらなければならぬということで商工委員会でも論議をし、意見の一致をした点については、今度の通常国会で保安法の改正も出すのですが、この監督行政の制度化の問題は一体どうされるのか。私は今の論争を若干聞いても、鉱山保安局というものは、大体内局というのはおかしいのではないか、むしろこれは外局であるべきではないか、こういう意見すら実は持っておるのですが、当面そこまで論議をすることは別にしても、この本会議で決議された制度化するという面は、当然国としてやられなければならぬ問題ではないか。この点について森政務次官からお伺いしたいと思います。
○森政府委員 最近しばしば大きな災害が起こりますので、それに対しまして私どもは、保安監督の形を一そう強化しなければならぬということで、今日、御承知と思いますけれども、監督部を局に昇格させて、しかもその局のもとに、それぞれ重要なところには、今仰せのように監督署を設ける構想を練りまして、それをただいま、来年度の予算編成にあたりまして提出をしておるのでありますけれども、これまた御承知の通り、一次査定におきましては私どもの趣旨が通っておりません。しかし、どう考えても、鉱山保安監督の立場を強化する意味におきまして、これだけはどうしても実現させなければならないというつもりで、目下復活折衝を続けておる次第でございまして、その最終決定はいかなることになるか予想を許しませんけれども、私どもは私どもの立場におきまして、このことだけは何としても私たちの趣旨を生かしたいというふうに考えておる次第でございます。
○岡田(利)委員 これでやめますけれども、先ほど申し上げたように、フランスあたりでは百万人稼働延べで、死亡が天体三・二から三・五、六です。日本の場合は稼動延べでも、今期の現在の時点だけで九・二の数字が実は出ておるわけです。これは約三倍に近いわけですよ。しかも死亡数にしてみても、イギリスあたりはずっと労働者が多くても大体年間三百五十人くらいの死亡です。アメリカでは二百四十五人、あるいはまた、日本と似ているフランスで百七十二人、西ドイツは四百三十七人、こういう数字が出ておるわけです。ですから石炭の保安政策というものはやはり表裏一体の形で持っていかなければ——池田さんは生産と安全は車の両輪と本会議で答弁をしておるわけですが、やっておることを見ると、さっぱり災害は減らぬ。人はどんどん減るけれども、死亡数は一向に減っていない。最近軽傷が滅っておるのは、就業治療とかいろいろの方法、労災法のメリットの関係があって、政策的に減らしておるということで、事実上は災害が減ってないわけです。そういうわけで、特にこの点について通産省として、保安法の改正も出す時期ですから、根本的に一つ検討を願いたいし、当初本会議で決議した問題については、その実行を特に強力に進めていただきたいと思うわけです。 そこで、せっかく労働省の補償課長が来ておられるので、最後に一つお聞きしておきたいのですが、実は先般の争議の場合には、分子と分母から労災補償の場合除かれたわけですね。しかし、争議でないような場合、組合業務と認められるような場合、はっきりいうと、政転闘争ということで労働者が上京する、それが帰ってすぐ災害にあう、こういう実例が二件ほどあるようです。これが非常に大きな問題になっておるのですが、こういう点についてはどういう見解を持っておられるか、行政上何か解決するような方針を出されておるかお聞きしたい。
○佐間田説明員 ただいまのお話は、平均賃金の算定のことだと思いますが、平均賃金の関係は担当は私は違っておりますが、平均賃金を算定します趣旨としては、その人の通常の賃金の状態を推計する方法として、労働基準法にきめられてございます。ただいまのようなケースについては、現在のところでは稼働と——要するに分子と分母の関係からともに除くかどうか、前の争議の場合に除く考えをとりましたから、おそらくそういうものと考え合わせて具体的に考えるほかないのではないか、今ここでどうするかと言われましても、具体的のお答えはできませんが、そういうことに準じて考えるべきことではないか、こう考えております。
○有田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午前十一時五十一分散会