商工委員会 第13号
- 発言数
- 60 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1962/02/28
会議録
○早稻田委員長 これより会議を開きます。 まず最初に井手以誠君外十八名提出、産業と雇用の適正配置に関する法律案を議題として、提出者にその理由の説明を求めます。井手以誠君。 ―――――――――――――
○井手議員 産業と雇用の適正配置に関する法律案について、提案の理由とその概要を御説明申し上げます。 東京にわが国人口の一割以上も集まり、南九州の所得が全国平均の半ばにすぎないということは異常の事態といわねばなりません。数年前から対策を迫られておりました過大都市と地域格差の問題は、高度成長政策によってさらに大都市とその周辺に産業、人口が集中し、その生産面、生活面の隘路を開く公共投資は総額の七割近くに達するという悪循環を招き、交通地獄に代表される多くの弊害を引き起こしております。一方それ以外の地域における公共施設はますます立ちおくれ、人口は減り、地域格差はいよいよ拡大してきました。 従いまして、この際、奇形児のような経済不均衡を正すには、思い切った国の措置が必要でありまして、過大都市は、抑制がら進んで解消に努め、同時に全国数カ所に一大工業地域を造成するとともに、全国各地に開発都市の建設を行ない、産業の適正配置と、その地域における雇用の安定をはかること、端的に申しますと、通勤できる都道府県内数カ所に工業地帯ができるよう、現実に効果のあがる施策を強力に集中し、経済の均衡ある発展をはかることが今日最も緊急であり、お互いの努めと存じ、ここに本法律案を提出した次第であります。 この法律案の概要を申し上げますと、第一に、内閣総理大臣は、国土総合開発計画に適合する開発大拠点地区を指定して開発基本計画を作り、国が全額出資する産業設備公団の手で土地の確保、工場その他の施設の整備、賃貸を行ない、新たに広域経済圏の中核となる地域を作ろうとするものであります。なお、この指定には、その経済圏で労働力の需給ができ、雇用が安定するよう配慮することにしました。 第二に、内閣総理大臣は、知事の申請により数カ市町村にわたる経済圏開発の中核とすることができる開発中拠点地区を指定して開発基本計画を立て、その周辺の労働力によって大いに産業を開発しようとするものであります。また、著しい変動による産業の不況地域には、その再開発について特別の対策をとらねばならないよう配慮しました。 第三に、知事は、関係市町村長の申請により、農産物、林産物、畜産物または水産物の加工業の開発に適するところを開発小拠点に指定して開発基本計画を作り、その地域の開発と、農山漁村の加工業への進出、所得の増加、就業の増大をはかろうとするものであります。 第四に、右の中拠点地区、小拠点地区の開発には、国と都道府県が出資する開発公社を設立して、その都道府県における産業の開発を総合的に行なわせ、開発に必要な土地の確保、工場その他の施設の整備、賃貸等をすることにしました。なお、この開発公社は都道府県の一元的な開発機関となるよう考えております。 第五は、既成の大工業都市へさらに産業、人口が集中しないよう、大規模な工場の新設や増設を制限する工業制限区域を指定することができることにしました。また、進んで過大都市を解消する積極的対策として、工業制限区域内の工場が開発地域に移転するときは、工場の新設、労務者の移転等に特別の措置を講ずることにしました。 第六は、国や地方公共団体は、開発計画を達成するため用地、水道、輸送、教育、厚生その他の施設の整備、就業上必要な教育または職業訓練の施設の整備を急ぎ、許可その他の処分、国有財産の譲渡、貸付に便宜をはかり、工場の建設に必要な資金の確保に努め、国は地方公共団体の行なう事業費の補助や地方債に特別の配慮をするものとしました。 第七に、電気料金は、製造原価への影響が大きく、その低料金は工場誘致のきめ手の一つでもあります。しかも、今日低開発地域ほど料金は高い傾向にありますので、開発計画に沿う工場の電気料金は、一般よりも低減されるよう特に法律で措置することにしました。 第八は、工場地帯建設のため、最近地方公共団体の負担が加重され、また、地方税を減免する等のため、一般の行政が圧縮されるおそれがありす。この法律は、国が多くの負担で画期的開発をやろうとするものでありますから、特に一項を設け、補助を行なうときは、その行政水準が低下しないよう考慮することにし、地方税の減免は行なわせない方針であります。 最後に、開発に関する重要事項を調査審議するため、総理府に産業雇用適正配置審議会を、都道府県に産業雇用適正配置協議会を設けることにしております。 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。
○早稻田委員長 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。 ――――◇―――――
○早稻田委員長 次に、鉱業に関する件について調査を進めます。 金属鉱山に関する問題について、本日御出席をいただいております参考人の方々の御芳名は、お手元に配付いたしてあります。ミスプリントがございますので、一応私から御芳名を申し上げます。 住友金属鉱山株式会社専務取締役河上健次郎君、三菱金属鉱業株式会社常務取締役相京光雄君、日本鉱業協会中小鉱業対策推進本部副本部長宮崎茂薫君、全国鉱山所在市町村協議会会長鈴木一君、東大名誉教授青山秀三郎君――「名誉」をお入れいただきます。全日本金属鉱山労働組合連合会中央執行委員長原口幸隆君、以上の皆様であります。 この際、参考人の皆様に一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。 本日は、御多用中のところ、御出席下さいまして、まことにありがとうございます。委員一同を代表して厚く御礼を申し上げます。御承知のごとく、金属鉱山につきましては、十月に予定されております貿易の自由化、その他もろもろの問題と関連いたしまして、本委員会としても、きわめて深い関心を持って調査いたしておる次第でございます。参考人各位におかれましては、本問題について忌憚のない御意見をお述べいただき、もって本委員会の調査の参考にさせていただきたいと存じます。 まず初めに、参考人各位にお一人十五分程度御意見をお述べいただき、あとで委員の質疑に応じていただきたいと存じます。 それでは最初に、住友金属鉱山株式会社専務取締役河上健次郎君にお願いをいたします。河上君。
○河上参考人 お許しをいただきました河上でございます。 金属鉱業界は、貿易の自由化をまじかに控えまして、いろいろな深刻な問題を包蔵しております。その状況につきまして御説明を申し上げます前に、一言私は経営者の立場から、昨年の十月三十日、本委員会が地下資源の開発につきましての重要な御決議をいただきましたことにつきまして、深甚なる敬意と感謝の意を表したいと思います。御決議にもうたわれておりますように、鉱物資源の開発は、きわめて重要な国家的な意味合いを持っておることでございます。しかも貿易自由化を前にして、非常な危機に直面しており、政府はすべからくこの際あらゆる積極的な助成保護の施策を講じてやるべきである、万全の予算措置を講ずべきである、これは全く私どもが平素から、また特に自由化を前にして言わんと欲するところを尽くしておるわけでございます。諸先生の鉱業に対するなみなみならぬ御理解と御熱意のたまものであると存ずるのでございます。本件につきまして今後一そうのお力添えを切にお願い申し上げたいと存ずる次第でございます。 さて、現在問題のポイントを御説明申し上げるわけでありますが、公述要旨並びに説明資料にも大体の要点がございますので、一々の詳細の御説方を省略させていただきますがこの私の資料の第四ページをちょっとお開きいただきたいと思います。 第四ページに、資料2といたしまして、従業者数及び企業従属人口というのがございます。これでごらんいただきますように、従業員数は十三万四千九百名になっておりますが、扶養家族を合わせますと約四十九万人でございます。しかしながら、僻陬の地に、鉱山を対象といたしまして、生活の本拠を持っておる相当多数の地方の人々がおるわけでございます。これらを合わせますと、鉱山に直接関連があると申しますか、そういう範疇に入る数は、おそらく全国で百数十万を算するのではないかというふうに思うわけでございまして、これがそれぞれの僻陬の地におきまして地方と非常な関連性を持ち、しかも簡単に流動性のきかない状態で固定しておるので、鉱山の衰退ということは、すなわち百数十万の人の生活に直結する問題であるという非常に重要な問題があるということを、諸先生すでに御承知でありましょうが、一言その点に触れたいと思うのであります。 なお、五ページに資料3といたしまして、重要金属鉱物の埋蔵料と含有量が表わしてございますが、この含有量を市価で試算いたしてみますと、二兆数千億に上がるという試算が出るわけでございます。 さらに六ページの資料4には、現在の電気銅を例にとっての需給の推移並びに将来の需給の想定を掲げてございますが、これは御承知のように国内鉱が生産の一番上の欄にございますが、これは逐年わずかずつではございますが、上昇のカーブをとっております。三十六年度では約八万九千トンの国内鉱産の電気銅の産出を見る予定でございますが、こういうふうに逐次上昇しておるということで、すでに御承知のように、これにさらに抜本的な国家の政策が加わりますれば、これはかなり飛躍的に伸びるということをわれわれは確信をいたしております。輸入の鉱石から出ます数字はその下にございますが、これも相当伸びております。さらにその下の、問題は輸入の電気銅でございますが、これも逐年非常に伸びております。三十六年度では八万四千トンに及ぶ数字が輸入の想定数字でざざいますが、これを輸入電気銅に依存しないでなぜ国内鉱で、あるいはせめて海外からの輸入鉱の方でまかなえないのかという点に問題があるわけでございます。願わくは、そういう状況に持っていくべきである、またぜひそうしたいというのが私どもの念願とするところでございます。 その他、詳細の点は省略いたしまして、次に自由化の現状がどういうことになっておるかという点がございますが、これは次の資料5、九ページにございます。この中でAAとなっておりますのが、自由化された物資でございまして、全体の金属鉱産物のうちでかなりのものが自由化をされております。現に昨年の下期からかなりの物資が追加されまして、現状におきましては、鉱産物の総輸入の金額のうちで、すでにAA物資になっておりますものは、全体の輸入の本年度の予想から申しまして、総額に対する自由化の割合は約八〇%の多きに上っておる、残り二〇%が非常に問題の多い物資である、こういうことが現状の姿になっております。その点だけに触れまして、時間の関係で次に進ませていただきます。 次に、最初の一ページのヘッディングにお戻りいただきたいわけでございますが、企業合理化対策というものに一言だけ触れてみたいと思います。私どもは国の鉱業政策を非常に強く要望しておるわけでございますが、そうかといって企業内部あるいは業界としての合理化対策を決して怠っておるわけではございません。みずからの足元を正しもしないで、国の政策を要望するという考えは毛頭ないわけでございまして、どういう方面に合理化をやっておるかということを一応これはヘッディングでごらんいただきまして、後ほど御質問によりましてお答え申し上げたいと思うわけでございます。繰り返して申し上げますが、私どもとしてはあらゆる努力を傾注いたしまして、それぞれの企業あるいは業界におきまして、あらゆる努力を積む。しかしながら、鉱業の本来の性格といたしまして、どうしても国の鉱業政策を抜本的にこの際確立してもらわなければ、どうしても自由化を乗り切っていけない、こういう結論に到達しておることをこの際もう一度繰り返して申し上げたい、こういうふうに思うわけでございます。 次に、鉱産物貿易自由化の影響につきまして一言申し上げたいと思います。これは申し上げるまでもございませんで、鉱産物の輸入価格が、結局輸入採算に完全にしわ寄せをされるということでございます。すなわち、輸入の運賃、保険料、諸掛り、それに関税を加えまして、さらに国内のチャージを入れまして、これが消費者価格ということにならなければいけないという影響でございます。それから、そのほかに国際商品である性格から、価格の変動ということがついてまといます。従いまして、変動を見込んだ思惑輸入ということが始終ありがちである、こういう二重の危険にさらされてくるということが自由化後の決定的な影響になってくるわけでございます。そういうことで、かりに国際価格が現在のアメリカ相場あるいはロンドン相場、それを総合いたしましての国際価格がかりに現状のまま推移するといたしましても、自由化を迎えれば、即刻電気銅につきまして、あるいは鉛、亜鉛につきまして例をとってみますと、いずれも建値が一万数千円たちまち下がる、こういう影響に相なるのでございます。従いまして、そういう場合を想定いたしますと、電気銅、電気鉛、亜鉛、こういう非鉄金属のおもな三つの物資だけをとりましても、それだけの値下がりで、おそらく現在の大手の各社の利益金は完全に飛んでしまうという試算に相なるのでございます。もちろん、そういう状況でございますので、会社としては赤字を計上せざるを得ないという会社がずいぶん出てくるということが容易に想定されるのでございます。これが自由化の影響としての全貌の説明でございます。 そこで、そういう状況でございますので、業界としては一体どういうことを具体的にやってもらいたいということを要望したのか、それが一体現在どういう格好に実ってきておるのかということを申し上げます。これはお手元にございますかと存じますが、「鉱産物貿易自由化対策についての要望書」というのを昨年の八月に各方面に提出いたしました。これの実現を強く要望いたしまして、その後運動を展開して参りましたこれが骨子でございます。私どもは、自由化対策として、大きな点から見まして、おおむね二つの点から考えたわけでございます。一つは、根本的な鉱業の合理化、それから体質改善のための施策をこの際抜本的にとる、これをあくまで本命として、強力に自由化を前にして実現すべきだということを主張しておるのでございます。第二には、いわば、言葉は適切ではないかもしれませんが、自由化に対する対症療法的な措置、こういう観点からの施策を考えたわけでございます。 まず第一の根本的な体質改善に対する業界の考えといたしましては、鉱業の特質あるいは本質的な根本問題に触れるわけでございますが、探鉱開発につきましての国の政策を根本的に確立してもらいたいということに尽きるわけでございます。これはるる御説明申し上げる必要もございませんし、時間もございませんが、要するに、豊富な新鉱床を発見することによりまして、あるいはこれを開発することによりまして、鉱業の基礎を固める、コストダウンをはかるということが骨子でございます。それがためには、国の内外を通じまして、探鉱につきましての国の根本的な施策を要望する、これははっきり申しますと、国がみずからの予算を投じて、探鉱事業団のごときものを設置してもらいたいということでございます。これが根本的な体質改善の要望の中心点であります。 なお、そのほかにかねがね要望しております、諸外国でもやっておりますような減耗控除制を中心にいたしました税制の改革、これは鉱山の本質的に必要な事柄でございまして、鉱量を処理するということは、それだけ鉱量が減るわけでございます。減るだけのものを次に原料としてリザーブしなければいかぬ、そのための税制措置としては、諸外国で認めておりますような根本的な減耗控除制を要望する、こういうふうな点が体質改善の中心点のわれわれの要望でございます。 次に、私が対症療法的な措置と申しましたのは、言うまでもなく、関税措置であります。なお、関税措置のほかに、自由化に対処して多角経営の必要が起こって参ります。そのための融資の問題あるいは将来の海外からのダンピング等の事態によりまして価格が異常転落いたしまして、低下が出ました場合、せめて国内産銅の稼行ができるように国の財政支出でもって買い上げ措置を考えてもらいたい。これがいわば、言葉は悪いわけでございますが、自由化に直結する意味における対症療法として考えたわけでございます。 関税の問題につきまして一言触れるわけでございますが、私どもの関税につきましての当初からの考え方の骨子は、従来の管理貿易、すなわち外貨割当制度におきまして、産業――われわれの方も保護されて参ったのでありますが、これの保護を全部関税にしわ寄せをいたしまして、その分だけ関税障壁を高くしてもらいたいということは、当初から実は差し控えて考えております。と申しますのは、関税率の審議会における御諮問で、自由化を契機として関税を考えてもらうということではございますが、管理貿易を撤廃する、そのかわりしわを全部関税でまかなうという方針をとらないという前提のもとに、せいぜいそのショックをある程度やわらげていくという観点から考えるということが、関税改正の骨子であるというふうに伺っておりましたので、その範囲内におきまして、われわれ業界ができるだけ、何とか関税で少しでも自由化の影響、ショックを少なくする方法はあるまいかということで、実に苦心惨たんをいたしまして、役所ともいろいろと意見を戦わし、あるいは関連業界とも活発に議論を戦わしまして、すったもんだの末におきまして、ようやく一つの成案が現在できておるという状況になっておるわけでございます。 そういうことで私どもの要望を取りまとめたのが、お手元にございます要望書のうちにございますので、一々詳細の御説明は時間の関係で避けることにいたしますが、後ほど御質問等でございますれば、喜んでお答え申し上げたいと存じます。 さて、こういう要望が一体現在どうなっておるかという点であります。関税につきましては、今も一言触れましたが、消費業界は、電気銅を例にとりますと、現在の一〇%をもっと低めるということが消費業界の一致した当初からの非常な強い意見でございます。私どもはせめて現在の税率よりは若干なりとも引き上げていく、それを保護政策に合うような従量税を作り、暫定関税でこれこれやってもらいたいということに対しまして、消費業界の非常に強い抵抗もあり、最終の姿は、鉱山局長の裁定といったような格好で落ちつかざるを得なかったわけでございますが、私どもの基本とする電気銅について申しますと、当初の三年間はトン当たり三万円、それから基本税率は二万七千円であってほしいというのに対して、最初の二カ年半が暫定的に三万円、次が二万七千円であるという最終の姿は、私どもの主張が弱められております。なお、基本税率は私どもの二万七千円に対しまして一応現行の一〇%である。しかし、それはその後の基本税率の最終決定については、それ以前にその当時の状況をよく判断して決定しようじゃないかというふうな、非常に含みのある姿が最終の案の姿になっております。これは私どもから申しますと、非常に不安でございます。それをさらに二万七千円から下げられるのじゃないかとことに不安がある。また需要業界は当然これは下げるべきであるという主張を堅持しております。そこに問題がありますというふうに、私どもとしては決して満足のいく結論は得られなかった。しかしながら、関税の項目としてこれ以上を強く主張するということは、客観情勢の推移、需要業界の関連等を考えまして、まず著しく困難であるという判断のもとに、一応関税の改正案としては今のような程度でやむを得まいということに観念をせざるを得ない状況に追い込まれたというのが、関税についての現在の姿でございます。 それから、先ほど体質改善の根本策として要望いたしました探鉱の点でございますが、これは実ははなはだもって悲観的な状況に相なっております。そのうちで、鉱山局を中心に通産省としても非常な御尽力を得まして、既存の新鉱床探査補助金の制度の活用によりまして、幾分なりともそういう趣旨に沿うようにということで非常な御努力をいただきました結果、また皆様方の非常なバックアップの気持もございまして、ようやく新鉱床探査補助金として来年度の予算としては三億円を大蔵省の了解を取りつけたという状況でございますが、これは実は昨年それから本年度の状況を考えてみますと、われわれにとりましては非常な進歩でございます。しかしながら、先ほど申しました私どもの体質改善の根本の要求とはこれはもう天地霄壌の感があるわけでございまして、新鉱床探査補助金は、新鉱床探査に関する中小企業についての扱いでございまして、これは中・小としては非常に大切な柱でございますが、全体を通じての自由化対策としては、はなはだもって手ぬるいわけでございます。これは何としてもやはり本来の探鉱、さらに開発についての根本的な要望が達せられない限り、私どもは自由化にとうてい耐えられない実情にあるということをこの際あらためて申し上げたいと存ずるのでございます。 時間等もございませんので、はなはだ簡単で要領を得ませんかと存じますが、一応この辺で私の説明を終わらしていただきます。
○早稻田委員長 ありがとうございました。 次に、三菱金属鉱業株式会社常務取締役相京光雄君にお願いいたします。
○相京参考人 私は三菱金属鉱業の相京でございます。お手元にございます公述要旨並びに説明資料に基づきまして、簡単に御説明申し上げます。 まず地金価格の状況について御説明をいたします。鉱産物は皆様御承知の通り国際商品でございまして、その価格は常に海外相場の変動によって左右されております。説明資料の二ページの「本邦地金価格推移表」でごらんの通り、金、銀につきましては、昭和二十九年以来ほとんど安定しておりますけれども、銅につきましては、国内建値は三十一年度の平均が三十七万五千円でありましたのに、三十三年には二十六万五千円と大暴落をいたし、その後も多少の上下はございますが、現在国内建値は二十八万円に相なっております。その波乱の推移は次の銅国際比価推移グラフでごらんの通り、全くロンドン相場あるいはアメリカの建値の騰落に追随いたしまして、非常な変化があるわけでございます。現在国内の銅建値につきましては、当局の御指導によります安定帯価格の構想によっておりまして、それはアメリカの産銅三社国内建値ポンド当り三十セントの場合国内建値トン二十八万円、これを基準にしてきめております。現在アメリカの国内建値は三十一セントで、比較的堅調と言われておりますから、それを基準といたしますと、わが国の建値は二十八万八千円であるべきと思うのでありますが、去る二月十五日に八千円値下げをいたしまして、現在二十八万円に値引きましたのは、最近の金融引き締めによりまして、需要が著しく減退し、現在それまでの二十八万八千円ではとうてい売りさばき困難になりましたので、業界が自主的にやむを得ずとった緊急措置でございます。これによりまして価格は大体安定するものと期待されるわけでございますが、さらに滞貨累増等の場合には、われわれはさらに自主的に減産等の措置もとらなければならぬ、かように考えておるわけでございます。 鉛、亜鉛につきましては、先ほどの推移表でごらんの通り、昭和二十六年を最高といたしまして、現在はほとんどその当時の半値という大暴落ぶりでございまして、この鉛、亜鉛につきましては、わが国のみならず、世界各国においても重大な問題とされております。近くジュネーブで鉛、亜鉛の国際会議を開催いたしまして、本問題について慎重に審議される予定であります。わが国からも業界代表を送るつもりでございます。 なお、この鉱産物の国際市価でございますが、ただいまも河上専務からお話のございました通り、現在の状況でそのまま自由化するということがかりに起こるといたしますと、銅は大よそ二十七万円、現在の建値二十八万円に比較しましてさらに一万円下げ、鉛は七万五千円くらいで、現在の建値から一万七千円の値下げ、亜鉛は八万五千円程度でございまして、これについてはさらに二万六千円の値下げをしなければならぬという状況でございまして、このまま自由化いたしますと、国内鉱山はほとんど壊滅の打撃をこうむることとなりますので、先般来いろいろその対策についてお願いをいたしておるわけでございます。 その対策につきましては、ただいまもお話のありました通り、詳細は別表に記載してございますが、私はここで特に減耗控除制度の創設につきまして、重ねてお願いをいたしたいと思うのでございます。これは、わが鉱業界といたしましては、実に十年来の主張でありまして、諸先生方におかれましても、その内容はよく御存じでありますので、説明は省略させていただきますが、世界の主要鉱産国におきましては、ほとんど例外なく鉱山事業の特殊性というものを認め、その保護助成のためにこの減耗控除の方法を適用しておるのでございます。われわれ業界の宿願であります鉱床補てん積立金制度につきましては、減価償却の税制特別措置法によりまして、またこのたびその実施期間をさらに今年より三年三カ月も延長されましたことは、われわれとしては深く感謝いたしておるところではありますが、貿易の自由化、この国際競争裏で各列強と競争いたすためには、やはり外国鉱山が受けておる程度の国家的保護がなくては、とうてい競争には打ち勝てないのでありまして、諸外国におきましては減耗控除制度と減価償却制度とを同時にあわせ行なっておるところが多いのでございますから、ぜひ貿易自由化の前に、この減耗控除制度を御採用あらんことを切にお願いいたします。 次に、わが国の銅製練の果たす役割について簡単に申し上げます。これは別冊資料に詳細に記載してございますが、わが国の銅需要は、今後も相当伸長を続けるであろうということは、諸種の統計が示す通りでありますが、国内鉱山につきましては、新しく発見される鉱山もあるかわりに、掘り尽くされて衰退する鉱山もまた出てくるわけでありますので、国内鉱山にそう大きな増量を期待することはできないと思います。また、国内資源確保という見地に立ちましても、国内の鉱山はできるだけ長期安定した操業方針に基づいてやるべきで、極端な増産等はしているべきではないと思うのでございます。従って、今後の増量分につきましては、主として海外にその供給を仰がねばならないわけでありますが、海外におきます銅関連業界は、国際金融資本の強力なコントロールのもとにございまして、もしわが国がこれを自由化するものならば、好個の販売市場としてねらわれることは当然でありまして、貿易自由化後のわが国の銅関連産業としては、決して楽観は許されない事情にございます。そこで、わが国の銅関連業界の健全なる発展を期するためには、われわれの手で完全にコントロールできる供給地金を確保するほかはないのであります。この安全供給のためには、海外安定資源の確保が必要であって、われわれはこの見地に立ちまして、瘴癘僻遠の地に銅資源を求めまして、日夜奮闘を続けておる次第であります。また、この海外の仕事を通じまして、低開発国の貿易促進あるいは地金のかわりに鉱石を入れることによる外貨の節約等にも役立っておるのでありまして、今後の需要増大に備えましても、製練所の規模の拡大、合理化等莫大なる設備投資を要するのでございますので、この融資等につきましても、また格段の御配慮をお願いいたす次第でございます。 最後に、海外鉱物資源開発株式会社につきまして一言申し述べます。海外鉱石の必要性につきましては、ただいまも申し上げた通りでございまして、海外鉱石の確保の方法につきましては、第一に、海外において外国の鉱業権を獲得いたしまして、みずから鉱山を経営する。そうしてその鉱石を国内に持ってくる。これが最も確実な方法でございます。次に、外国の鉱山会社に投融資をいたしまして、そこから出る鉱石を優先的に配給を受ける、いわゆる投融資による買鉱の方法が、ございます。さらに第三といたしましては、最も単純な、いわゆる単純買鉱でありまして、外国の鉱山会社からスポット物あるいは契約物といたしましても、単純なる買鉱を行なう方法でございます。この第一、第二につきましては、外国で鉱山を経営するということになりますと莫大な資本を必要といたしますし、また政治的なあるいは国際的ないろいろな危険を伴うので、一社ではとうてい実施が困難でございます。現在でも勇敢に新天地を開拓してりっぱな成績をあげておられる例もございますけれども、その陰にはたくさんの失敗例があるわけでございます。そこで、このたび官民合同の海外鉱物資源開発会社を計画いたしまして、当局の絶大な御援助のもとに目下準備促進中でございます。詳細は別紙資料四の通りでございまして、授権資本金四十億円、初年度払い込み十億円、そのうち五億円を海外経済協力基金の御出資を仰ぎたいと思うのでございます。何とぞよろしく御支援をお願いいたします。 簡単でありますが、以上で終ります。
○早稻田委員長 ありがとうございました。 引き続き、日本鉱業協会中小鉱業対策推進本部副本部長、日本精鉱社長宮崎茂薫君にお願いいたします。
○宮崎参考人 私は中小鉱業対策推進本部の宮崎でございます。本日は中小鉱山業者の立場といたしまして、鉱山業界の問題につきまして、二、三意見を申し述べたいと思います。 第一に、国内鉱山保護の必要性、第二に価格安定と金融対策の確立、第三に中小企業基本法の制定問題に関しまして順次申し述べたいと存じますが、時間の制約もございますので、簡単にいたしたいと思います。 第一の国内鉱山保護の必要性の問題でございますが、わが国の鉱業は、その鉱種の多様性においては、世界的にもまことに珍しい存在であります。しかし、その規模は概して中小鉱山と申しても過言ではないような状態であります。全国で三千六百の鉱山数のうち中小鉱山に属するものは約三千百、八六%、従業員数は全鉱山十三万五千人のうち七万五千人、家族を加えますと約二十七万の多きに達しております。しかし、この中小鉱山はいつまでも中小鉱山ではございませんで、日本の現在の大鉱山の中にももとは中小鉱山だったのがたくさんあります。現在日本の鉱山の十傑のうち、半数の五つは昭和初期はいずれも中小鉱山であったのでございます。鉱種別の生産量におきましては、中小鉱山の生産額は、銅、鉄鉱は二〇%に満ちませんが、金、鉛、亜鉛は約三〇%に達し、アンチモニー、水銀、マンガン、クローム、モリブデン等はほとんど一〇〇%の生産でございまして、数多い貴金属鉱物に至りましては大体一〇〇%が中小鉱山でまかなっている次第であります。 私の公述説明資料の中に、鉱産物の用途が書いてございますが、その表にありますように、鉱山資源はあらゆる産業の基礎資材として、二次、三次産業に対して重要な役割を占めております。しかるに鉱物は世界的に資源が偏在しております。従って、政治、経済あるいは軍事等の国際問題を敏感に反映いたしまして、価格の騰落が非常に激しい。それに後進国に賦存が多いのでございますが、その後進国の社会事情とか労働事情がこれまた影響を持ちまして、資源の流通を阻止するわけであります。従って、この鉱物資源を国に有するということは、その国の全産業にとっての安全弁になっているということが私は言えると思う。 さらに、鉱業は地下資源産業のために膨大な長期資金の累積投資を必要とする、その賦存資源の把握が非常に困難である、それがために最も犠牲の多い産業であります。そうして埋蔵鉱量が有限でありますから、不断の探鉱、開発を生命としている産業です。一にも二にも資金を投入して開発していかねばいかぬ。従って、自己資金の枯渇を訴えるものが非常に多いのであります。しかし、鉱山は山間僻地の中に介在いたしますので、その地方の労働力を吸収するとかあるいはその部落の経済的な依存度にも非常に大きな力を持っておりますので、そういう意味で鉱山は公共的な大きな使命を果たしておるのじゃないかというように私は考えるのであります。 それから、鉱山は経済の変化に対して、これに対処するという弾力性が非常に少ないのであります。不景気になったから急速に縮小するとか、休んでおってまたやるとか、あるいは急に景気がよくなったからこれを大きくするというようなことがなかなかできない特別の性質を持った産業であります。たとえていえば、ポンプを一つ停止いたしましても、坑内は湧水で一ぱいになります。この水のため、あるいはガスの充満のために、坑内は自然瓦解いたしまして、一たびそういう状態に持っていきますと、この鉱山を再開するには大へんな金が要るというような、普通の都市の工場とは全然違った性格を持っておるのであります。それがために各国では、その重要性と産業の特殊な性格を考えまして、各種の保護政策がとられておるのであります。 私の公述説明資料にもございますが、簡単に各国の鉱業保護育成政策につき付言いたしますと、米国におきましては探鉱費の七五%を政府が補助しており、先ほども河上さんや相京さんが申されました減耗控除を認めておる。カナダにおいては、鉱山の探鉱開発費は課税対象から除外をし、そしてまた特定の施設の高率償却を認めて、その上に減耗控除を認めております。フィリピンにおいては、同様減耗控除制度を採用しているほかに、特に金鉱業につき、その生産量に比例して補助金を出しておる。フランスにおきましては、鉱床補てん準備金制度を実施しているとともに、鉱産物一手買い取り機関を設置いたしまして、国内の消費者に対して適正かつ安価な配分策をとっておるのであります。またオーストラリアでは、国内産銅の保護育成のために、外地銅には特別の高い関税を課しまして、それに国内産銅には奨励金を支給する制度を持っておるのであります。 次に、価格安定と金融対策の確立について申し上げますが、ただいまも申し上げましたように、鉱産物は国際流通商品であり、戦略物資であるというような関係から、国際的に影響が非常に大きいし、騰落の幅がものすごい。たとえていえば、先ほども申されましたように、三十一年には六十万まで行ったものが、三十三年には二十二万まで下がった。こういう大きな国内の経済の動きとか、あるいはわれわれ産銅業者の操業度の上に何も無理なことがないのに、こういう激変をして企業の存在を脅かす、こういう性格を鉱産物は持っている。従って、これが安定保護策として緊急関税とか、あるいは重要鉱産物滞貨買い上げ機関とか、もろもろの施策をやっていただきまして、国内鉱山が、こういうような外国からの影響での崩壊をなくするような施策をお願いいたしたいのであります。 次に、金融対策の確立について申し上げます。元来、鉱山融資は、金融機関においてどうも危険視せられる傾向が非常に強いのでありまして、特に中小鉱山においてはその傾向が一そう激しい。これは埋蔵鉱量、品位がわかりにくい。特にしろうとの方にはわからない。それで膨大な長期設備資金を必要としますから、自然金融業者の立場からすれば回収に疑念を持つ。こういう関係から鉱山融資が非常に困難になる。従って、鉱業融資に経験を持たれる開発銀行、興業銀行、輸出入銀行、北海道東北開発公庫、中小企業金融公庫等の鉱業向け融資ワクを一そう拡張していただきまして、貿易自由化に対処する所要資金に充当し得るようお願いをいたしたいのであります。特に中小企業金融公庫の貸付ワクが、鉱山に関しましては現在五千万円でございますが、これを一億円に広げていただきたい。そうして、その所要資金としては、新設、拡張、改良の設備資金のほか、増加運転資金並びに経営多角化の転換資金をもあわせ御配慮をいただきたいのであります。なお、一歩進んで鉱山開発金融公庫の設立も御考慮を願いたいのであります。 それからもう一つ私が申し述べたいのは、最近の特異な金融情勢であります。このしわというものは特に中小企業には甚大な影響がある。中小企業のものが正常に健康体に経営ができる、そうして労使ともに誠実に勤勉にやっていく、こういう形のものが金融政策のために非常な困難に現在当面しておる。それが簡単にわかるのは、現在の金融市場の姿の中にもうかがわれるわけでございます。たとえていえばコール・ローン、これは大体中小企業金融をやらなければいけないような性格の金融業者が出しておる。相互銀行とか信用金庫とか地方銀行、こういうようなところが大体コール・ローンを出しておる。こういうような姿に金融業者としても仕方なしに追い詰められておる。それがために金融業者は、大銀行におきましても今まで五千万円融資をしておった、一億円融資をしておったというものが、これ以上はとうていふやさない、お前のところは幾ら健康でもふやさないという。ところがもらう方は、大企業からもらうにしても、その他の商社からもらうにしても手形である。これは全部三カ月なり五カ月なり六カ月になる、あるいは今まで現金でくれたところが手形になる。そうすると今までと同じベースで同じ生産量で同じような販売をやっておったものでも、資金量が倍になる。これはどうしても中小業者ではなかなか処理ができない。だから私のお願いいたしたいのは、われわれ中小業者が、社会的に必要のない産業ならば別ですが、当然社会の必要とする産業に携わって、そうして今申した通り勤勉にまじめに一生懸命にやっておるこういうものが、われわれの招かざる事由によって崩壊の運命に持っていかれるということは、何としても納得がいかない。こういうようなことのないように、むろん政府においても、こういう御配慮をしていただいておるように新聞にも書いてありますが、しかし、まだわれわれのところにはなかなかその水が届かないというのが現状です。この点につきまして、皆さん方は政治的良識を持ちまして、われわれがそういう問題で失望とふんまんの起こらないようにしていただきたいと思うのであります。 最後に、中小企業基本法の確立について述べたいと思います。わが国の産業構造上、中小企業の占める地位、分野は非常に大きいのです。これは統計のとり方とか年度にもよりますが、私の記憶では、全生産量の七四%、労務者数の八四%、輸出量の六五%を中小企業が占めておる。この大きな中小企業が、底なしの井戸というようにいわれて、十分な施策が確立されていないように私は思います。現在中小企業団体組織法を施行されておりますが、まだ十分な成果を上げるに至っていないように存じます。このときに中小企業基本法が政府及び各党によって準備されているということは、われわれ中小企業者といたしましてこの上もない喜びであり、かつ心強さを覚えるものであります。この法案の関連法案につきましては、内容をつまびらかにいたしませんが、どうかこの法案は民意に沿って慎重に審議をしていただきたい。そして中小企業の安定した発展ができますように、いい基本法を策定していただくようにお願いしたいと思います。 以上、三項目にわたりまして申し述べましたが、われわれ中小鉱業者は、来たるべき国際競争の中で、コストの引き下げや企業の合理化等のあらゆる努力を、忍耐を惜しまないで進めていきます。しかし、今まで申しましたように、他の産業とは非常に違った性格を持っています。この性格を十分に御認識をいただきまして、われわれの産業が崩壊の危機に陥らないように十分の御配慮をお願いいたしまして、私の公述を終わりたいと思います。
○早稻田委員長 ありがとうございました。 引き続きまして、全国鉱山所在市町村協議会会長、栃木県下都賀郡足尾町長の鈴木一君にお願いいたします。
○鈴木参考人 ただいま御紹介にあずかりました鉱山所在市町村協議会の足尾町長の鈴木でございます。今回貿易自由化に伴いまして、金属鉱山の危機に直面いたしまして、私ども地方自治の末端を担当するものといたしまして、ここに考えております一端を申し述べまして、皆様方の御参考に供したいと思うわけでございます。 鉱山所在の市町村はいずれも山間僻地にございまして、鉱山事業が発展するにつれまして逐次部落ができ、人口の増加に伴いまして市、町あるいは村を形成して参ってきたものでございます。従って、私どもの市町村の住民というものは、先ほど来お話がございましたように、住民全体は全国におきまして百数十万の人口を擁しておるわけでございますが、直接鉱山事業に関係しております従業員ばかりでございません。その他の市町村民も、その鉱山の間接、直接の影響を受けまして生活しているものでございます。山間僻地にあるだけに、この鉱山の消長というものが直ちに市町村の盛衰に関係しているわけでございます。すなわち、他の都会における産業と異なりまして、山奥の鉱業というものは町村とは表裏一体でございまして、不可分の関係にあるものでございます。すなわち、鉱山の発展というものが直ちに市町村の消長に響くと申し上げますことは、戦前におきましては、足尾の例を申し上げますれば、住民構成のパーセントは七〇%でございますが、いわゆる市町村税の負担は七〇%をはるかにこえていたものでございまして、あくまで鉱山に依存する町村であったわけでございますが、戦後だんだんその負担率が低下いたしまして、今日におきましては、住民構成の率と税負担の率というものが全く同じになっているわけでございます。 どうして近年地下資源がこういうふうに衰微してきたかということを考えてみますと、戦争中の乱掘が強く影響している。時の政府の国策に従いまして、きょうの一トンはあすの十トンにまさるということでございまして、計画なしに鉱石のあるところをむやみに掘り尽くした。しかもそれに伴って探鉱すべきところ、鉱脈を探り当てる作業というものが非常におろそかにされた、そうして戦争の終末を迎え、その後立ち直るために非常な苦難の道をたどってきたのでございますけれども、その疲弊した鉱山を救うために、戦後抜本的な国策というものを見出すことができなかったということが、今日鉱業界不振の大きな原因になっているのではないかと考えるわけでございます。従って、今日私ども市町村住民の生活というものは、他の商工都市の住民と比較いたしまして、まことに恵まれない状態にあるのでございます。 これを私どもの足尾町の状況から申し上げますと、雇用関係等におきましても、私どもの町には県立の高校がございますが、この県立高校を卒業いたしまして、町内に踏みとどまらずに、町から外に飛び出した者が昭和三十四年は七八%でございます。三十五年度が七三%、三十六年度におきましては、実に八五%の高校卒業生が地元に就職できず町外に出ているわけでございます。中学生について考えてみましても、中学生は町内に高校がある関係上町内にとどまる率が比較的多いのでございますが、それにしても、中学を卒業して町の外に職を求めて出ていく者が三十四年度において四三%、三十五年度において三五%、本年三十六年度において四四%の多きに達しているわけでございます。いかに鉱業界が不振であるかという一つの証左になると思うのでございます。さらに、私どもの町におきましては、三十四年から三十六年におきまして、従業員以外の町民が住宅の新築をしたものがわずかに七軒しかないのでございます。建築ブームである三十四、三十五、三十六、この三カ年においてわずかに七軒の住宅新築をしたにすぎないということは、いかに鉱山所在の町村の住民の生活がこの不況によって圧迫されているかという証左になるのではないかと思うのでございます。 従って、今回政府が非鉄金属の貿易自由化の大綱を発表し、本年十月からこれを実施する、こういう報道は、私たち市町村にとりまして大きな衝撃を与えているわけでございまして、鉱山事業の前途に対しまして非常な大きい不安を持って、この前途を見守っているわけでございます。従って、私たちは去る三十六年四月と三十六年十一月に、強力な鉱業政策の確立を要望するために、政府並びに自民党、社会党の先生方に陳情申し上げているのでございます。私は、自治体の立場から、この鉱業政策をいかに確立すべきか、こういう的確な方策を持っておりませんけれども、しかし、常識的に考えましても、金属というものが現代の生活に不可欠のものであるということは容易に考えられます。貿易の自由化をはかって安い地金を外国から買い入れ、そして関連産業におきまして低廉な製品を作り、これを外国に再輸出する、こういう一つの国策ということもうなずけないわけはないのでございますけれども、しかし、手放しに貿易の自由化を断行するということは、非常に問題をはらんでおるのではないかと考えられるわけでございます。外国の鉱山は、先ほどのお話にもございますように、含有量の高い鉱石の上に多額の国費の補助がございまして、従って、コスト安であり、低廉な仕上がりになっていることは、これは当然なことでございますが、わが国の鉱業界の現状というものは貧鉱処理でございます。その上に多額の探鉱費を費やす。しかも外国と比較いたしまして完全な合理化の途上にある、こういう現段階におきましては、コスト高であり、しかも割高になるということは、これもまた当然と考えられるのでございます。こういう情勢下におきまして、国内資源の重要性と鉱業界の苦境を救うものはもう他にはなく、単に国策によってこの苦境を切り抜けるというよりほかにないと信ずるものでございます。すなわち鉱産物や製練製品の最低の安定価格を設定いたしまして、そうして経営の安定をはかる方策を立てていかなければ、国内鉱山業は、壊滅状態になるのではないかということを心配するものでございます。第一次産業、斜陽産業といわれているこの鉱業界を救うものは、強力な国策の援護がなければどうにもならないのではないか。そうすることが私たち鉱山所在の市町村の伸展と民生の安定を得る唯一の道であると考えているわけでございます。 私は全く私たちと同じ立場にありますところの石炭山所在市町村と常に連絡をとっているわけでございますが、その方々の話を再三にわたって聞いております。その苦しみというものは、文字通り塗炭の苦しみでございまして、私はこの金属の貿易の自由化が前提なしに断行されたときには、金属鉱山も石炭山と同じ苦難の道を歩まなければならないのではないか、こういうことを非常におそれているものでございます。第一次産業に働いている方々はまことに素朴な方々でございまして、そして、それこそ営々としていそしんでいるわけでございますが、山奥のために他の産業に転業するという機会も恵まれておりません。農業には今回農業基本法ができまして、そうして農業の近代化をはかり、格差の縮小をはかるよう国策としてできているわけでございますが、金属山に対しましても、根本的に金属鉱山をつちかうところの立法措置が必要ではないかということを痛感するものでございます。経営者の方も、労働者の方も一体となって、山の存立に最大の努力を払うということは言を待たないところでございますが、今倒れようとする産業に、立ち直させる時限的な立法をなさるということも、これまた国の施策として当然ではないかと考えるのでございます。 従って、私は最後に、現在商工委員会におきまして御審議中の二法案につきましては、内容の十分なる御検討をお願い申し上げ、金属鉱山が立ち直って、今後継続できますような立法措置を御決定になられますことを切にお願い申し上げる次第でございます。
○早稻田委員長 ありがとうございました。 次に、東京大学名誉教授青山秀三郎君にお願いいたします。
○青山参考人 青山でございます。先ほど来、日本金属鉱業の現在、将来につきまして、私もいろいろ御意見をお伺いいたした一人でございます。実はこの機会に、時間もございませんので、日ごろ考えております一端を申し上げまして、先生方の御参考にしていただければまことにしあわせに存ずるのであります。 大体、日本の地下資源を対象にいたします鉱業は、前からまず銅と石炭ということに考えてきておったわけであります。ほかにたくさんございますけれども、その大もとになるのはやはり石炭であり、銅であった。しかも、これらは相当いい資源が日本にあるじゃないかということで、まあ恵まれた環境ということでもあったと思うのであります。ある時代、銅のごときも世界第二位というころもあったのであります。最近は御承知のような状態であります。それで、銅の場合を特にきょう申し上げたいと思うのでありますが、先ほど来お話がございましたように、通産省においてお調べになっております鉱工業の生産指数を拝見いたしましても、銅の、ことに電気銅の需要が伸びておる。将来に対しましても、ただいまを起点にいたしまして、十年先というようなものを対象にして考えましても、非常に大きな量が予想される。御承知のことで失礼と存じますが、たとえばかりに今日三十万トンの電気銅が要るという場合に、十年後になったならばおそらくこの倍以上、七十万トンあるいは七十二、三万トンの電気銅が要るんじゃないかということが先ほどの資料にも出ておると思うのでありますが、あげられております。将来のことなので、はたしてその通りになりますか、もちろん見通しではございますけれども、相当ふえるということは考えなければならぬ。そこで、その需要に対して何とかして日本で生産して、この求めに応ずるというためにはどうしたらいいだろうか、これは真剣な問題だと思います。 そこで、それじゃ日本の銅の鉱石はどれだけ取れるかということでありますが、先ほど来お話がありました通り、かつては相当いい銅の資源があるなと思っておったのでありますが、だんだん調査も進み、世界的にこれだけ銅の鉱床に対して調査を進めておる国は少ないと思います。よく進められておるのでありますが、その結果を見ても、なかなか今日の八万トン、九万トンあるいは十万トンをそれじゃ二倍にせい、三倍にせいとおっしゃっても、これはできません。また、すべきではないと思います。今日の生産の五割か六割を増すのがせいぜいであろうと私は思うのであります。そうすれば、電気銅にいたしまして十ないし十三、四万トン程度ではあるまいか。なかなか十五万トンを期待するのは困難であろうと思います。かりに七十二、三万トンを出せと将来言われたとき、日本はさか立ちしても、その要求にはこたえられない。ようやくただいまは三分の一くらいかもしりませんが、やがてはもっと減る。あるいは四分の一か五分の一にならざるを得ない。その足りない分をどうするかということでございますが、これは先ほど来お話があった通り、私はやはり好むと好まざるとにかかわらず、国内鉱でなしに、海外の銅鉱に依存せざるを得ないのではないか。これに対して打つ手を早く打ってほしいと私は思うのであります。これは決して国内鉱を圧迫するものではない。石油が石炭を圧迫しておるのとは違うと思うのであります。たまたま外国の鉱石を入れるということにおいては相通ずるものがありますけれども、これは需要が伸びるので、何とか手を打たなければならないのであります。おそらく十年後に七十二、三万トンの電気銅を要する場合、私はその半分くらいは外国の鉱石によるという方針を立てなければなりますまいと思います。 それで、先ほど来お話がございました海外経済協力基金の関係におきまして、海外の鉱物資源の開発会社の御計画があり、鉱山局においても非常に御推進になっておるように承っておりますが、まことにけっこうだと思います。むしろおそいと思う。こういう組織を十分活用して、海外の鉱石を安心して日本に持ってこられるという体制を早く打ち立ててもらいたい。これは決して日本の銅鉱業を圧迫するものではございません。また、させてはならないと思います。 それで、この会社の問題については触れませんが、幸いそういう御計画もあり、関係の団体も推進しておられますので、できるだけこれを実のあるものにしたい。そのために二、三申し上げますと、やはりこれは国策の線で出てほしいと思うのであります。それぞれの会社に苦心のあるところは察します。きょうもお話がございましたけれども、やはり日本の銅の需要に応ずるために海外の鉱石を持ってくるという立場から、国策的立場から、小異を捨てて大同について進めてもらいたい。それぞれの会社の御都合もありましょうけれども、今までの御苦心も大いにわれわれ高く買いますけれども、やはり国の方針でこれを進めてもらいたいということを特にお願いしたいのであります。 それからもう一つは、向こうの国の立場を考えてほしい。侵略国のように向こうの物を取ってくるでは困るのであります。やはり向こうの鉱石を日本にいただき、向こうの文化あるいはいろんな社会の生活、そういう向こうの国の文化の発展にそれをもって寄与する。あるいは経済の協力、技術の援助等によりまして、先方の国にも大いに協力体制を持たせるように日本も手を組んでいってもらいたいのであります。そういう話がちょいちょい出かかっておりますので、私は向こうの資源を開発するということが日本のためでもあり、また向こうの国も喜んでこれを受けるという立場に持っていっていただきたいと思うのであります。そうすれば長く不安なく続けられる。資源は日本ほどよく調べてない国が、たまたまAA諸国にも南米にも中米にもございます。これらにはある程度日本の調査も進んでおります。まあ、日本で考えますと、明治時代と申しましょうか、大正の初めと言おうか、まだ十分調査も進められていない。また見たところ相当いい品位の鉱石があって、ただ、海岸から多少不便だとか、それを集めるのに多少問題だとかいうことはございますが、日本に比べますと、日本の一・二%程度の銅鉱に比べますと、少なくとも三%以上の品質を確保できるものが相当あると想像されます。こういうのは今のような立場から国策的に進めていただきたいという問題が一つ。 なお、先ほども日本のここまで進んできました銅あるいは金属鉱業の将来につきましては、関係の方々からいろいろな切実な要望が出ておりますが、私はある程度やはり日本の資源はあるのでありますから、これは尊重して大事にしなければなりませんが、その開発については、いかなる緩急によるか、いかなる合理化をとるか、そうしてこれを将来に遺憾なく、あるいは悔を残さないで開発するかという方針を根本的に立てる。石炭と違って、金属鉱業の経営は、非常にみずから苦労された点が多いと思います。大へん喜ばしいことでありますが、これにも限度のあることでありますので、この際先生方の御指導によりまして、何らかの具体的な措置は今後考えられるチャンスもあろうと考えられるのでありますが、国家の力を借りていただきまして、発展が現在以上に伸び得るようにある程度の合理化はやむを得ないと思います。合理化の意味も、つまりはりっぱな鉱山の開発を進めていくことであります。 ただ、ここにちょっと問題になりますのは、どうも過去の例を申して失礼でありますが、いい鉱山が発展します。あるいは今日も方々でいい鉱物が続けて発見されておりますが、これはどうも現在相当いい鉱物が出ておるところが恵まれておるようであります。何も今までなかったところにこつ然として大鉱山が生まれるものではない。やはり現在日本の著名な鉱山となっております鉱床のある付近が、やはりこれから探す一つのめどでございます。その付近を開発するということが賢明であろうと思います。だから、今日相当伸びております鉱山あるいは伸びんとする鉱山の周辺において、十分な探鉱を自力あるいは国家の力を加えてお進めをいただければ、能率が上がるのではないかと思います。かくして日本の鉱業の発展も期待できるのですが、おくれてならないのは、海外鉱に対する今後の基本方針あるいは進め方であろうかと思います。 はなはだ簡単でございますが、さきの資料等にあわせまして、私の意見を申し述べた次第であります。
○早稻田委員長 ありがとうございました。 次に、全日本金属鉱山労働組合連合会中央執行委員長原口幸隆君にお願いいたします。
○原口参考人 金属鉱山の原口です。 まず最初に、この委員会が金属鉱山の問題について深い関心を示され、われわれの公述を聞いていただく機会を与えて下さいましたことについて、心から感謝いたします。私は鉱山に勤めておる現在約十四万人の従業員あるいは五十万のその家族の方々、あるいは直接間接鉱山とともに生きておる市町村におられる生活共同体、運命共同体の人々、こういうような立場から申し上げたいと思います。 もともと金属鉱山というものは戦前いわば財閥の発祥の地でありまして、鉱山から関連産業が生まれ、機械産業が生まれ、加工産業が生まれ、化学産業が生まれ、そうしてその利益によって財閥が肥えてきた。そうして、その底辺には鉱山労働者が非常に苦しい職業病や苦汗労働の中で作り上げた地金が、そういう財閥の系列の中で利潤を上げていった、そういう経緯を持っております。そうして終戦直後のことを想起するのでありますけれども、石炭産業が当時国の目的によって日を浴びた産業として丁重に扱われた際に、金属鉱山においては戦争中の乱掘のままほうり出され、政府の保護措置は何ら与えられずに、山は荒廃に帰しようとしておったわけでありますが、その際にわれわれ鉱山に働く労働者は、労働者の手によって金属鉱山を復興しようという相言葉が、当時の私たちの全鉱結成の大きな背景でもございました。自来金属鉱山の中でわれわれは勤勉に仕事をしてきたつもりでございますけれども、いまだに低賃金の域を脱することができずに、現在においても産業別に見て賃金水準は二十三番目、四番目という低位にあります。しかも貿易自由化を目の前にして、中小鉱山、硫黄鉱山はもとよりのこと、大手においてすら企業整備の動きが現に出ておりまして、低賃金だけではなしに、首の問題の脅威にわれわれは現在立たされているというのが実態でございます。 先ほどから述べられておりますように、政府の方は従量税方式を中心にする保護関税あるいは新鉱床探査補助金、海外資源開発株式会社への出資、あるいは財政投融資のワクの拡大、鉱業審議会というような問題を提起をされて、貿易自由化に対処しようという政策を打ち出されておりますが、その中心をなしております従量税方式自体が、最近の銅の地金の値下がり、あるいは鉛、亜鉛の値下がりを見ても、先ほどの公述の中にもございましたように、もし従量税方式をもって自由化が実施された暁でもさらに値下がりが予想されるわけでありまして、このままでは国内鉱山はほとんど全部休山せざるを得ないという見通しなり事実が、現に自由化以前にはっきりと見通されておるという事実を私たちは重大に考えなければならないと思います。 さらに、このまま推移するならば、組合側が見ていても、各会社の年間の収益減は莫大に上がるでありましょうし、減価償却も行なわず、株式配当も行なわないとしても、莫大なる赤字の累積である、その結果はどうなるかということになりますれば、当然予想されますことは、鉱山労働者にしわ寄せが来る。賃金遅欠配、賃下げから始まって、労働強化、人員整理などの問題が続発し、深刻な労働不安を引き起こし、さらに休廃山の続出で雇用の安定自体が全く失われていくように予想せざるを得ません。従って、私たちは現在起きております石炭産業の惨状を、われわれの産業の中で再現したくない、労使の間の血みどろの争いは何とかして避けていきたい、いな避けなければならないというふうに決意をいたしております。かりに鉱山が休廃山を余儀なくされた場合に、特に地下産業のような産業では、これをもう一度立て直すためには数百億、数千億円の経費が必要と考えます。これを事前に防ぐためには、その十分の一あるいは百分の一の経費で事足りるのみならず、労使の無益な抗争、労働者とその家族の生活苦、失業苦を防ぐことができるのじゃないかというふうに確信をいたすわけでございます。 御承知のように、日本の鉱石の品位はきわめて低く、また埋蔵鉱量も乏しいことは事実でございます。この天然の賦存条件が劣っている問題を、技術の革新あるいは合理化あるいは働いている者の勤勉で補っておるのが実態であろうと考えるわけです。金属鉱業の労働の生産性は、鉱床別租鉱採掘量を見ても明らかなように、年平均一〇%の生産性を現に向上させておるわけであります。さらに技術の進歩、選鉱や製練部門においても当然生産性も向上のカーブを示しておるのが現況でございます。さらにこの金属鉱山のわが国産業に占める位置について触れさせていただきますと、昭和三十五年の国民総生産額は十三兆九千八百億円でありまして、その中で石炭、石油を含めた鉱産物生産額は四千四百億円ございますが、このうち金属鉱産物は二千二百七十億円でございます。このように金属鉱業のわが国産業に占める位置というものはきわめて重要なものがあると信じます。さらに地下に埋蔵されておる資源の問題でございますが、三十五年三月に集計された数字によると、可採租鉱量は金に直して約五兆円の富が現に地下に眠っておるということを指摘できると思います。 そのような状態の中で、先ほども触れました従量税方式による自由化対策は、われわれの見解によれば、関税保護措置を中心としておる貿易自由化対策は自己矛盾ではなかろうか、そしてこういう政策が採用されようとしておることについて、最大の遺憾の意を表せざるを得ないわけであります。すでにヨーロッパ共同市場においても、あるいはガットの会議においても、この点については鋭い批判があるところでありまして、今政府がやろうとしておることは、外国から入ってくるものをいかにするかということであって、国内鉱山をどうするかということではございません。そこに私は重大なる問題が伏在をしておるというように考えるわけであります。非鉄金属は国際商品でございまして、価格変動の最も激しい商品でございます。従って、国際価格を基礎にいたしておりますから、直ちに価格変動を受け、価格の安定は国内においてはなかなかはかれない。つまり国内鉱山の安定操業はなかなか期待できないという実情にございます。また貿易の自由化という世界的風潮に適応するのでありますから、関税保護といっても、高率関税障壁を築くことはおそらくできないというふうに考えなければなりません。さらに非鉄金属を原料とする関連産業もまた自由化を迎えるのでありますから、原料部門だけに高い関税を課するというわけにはいかないのではないかというふうにも考えられるわけであります。さらに国際貿易機構の関税引き下げ作業部会においては、一率関税引き下げを課題として取り上げる段階に来ております。従って、日本が関税保護措置として暫定的にきめた税率は、近い機会に引き下げられるおそれもあるというふうに判断をいたします。通産当局は、関税について緊急関税という第二の抵抗線を考えておるようでありますけれども、これは結局根本的に誤っている政策の弥縫的手段にすぎず、もし緊急関税を課する必要があるならば、先ほど申し上げた銅、亜鉛を中心として全部の鉱石に緊急関税を設けなければならない事態に追いやられることは、現時点においても明確ではないかというように判断をされるわけであります。鉱山局においても一当初はプール価格制度から、さらに関税割当制度、三転して従量税方式を中心とした関税保護措置に落ちついておるというような多くの複雑な経緯を示しております。前の二案は業界の反対を受けてさたやみになったようでありますけれども、結局従量税方式となったように、何か鉱業政策についての将来を見通し、産業全体の立場に立った指導性、定見というものが非常に欠除をしておるというように感ぜられてならないわけであります。 われわれは自由化対策としての金属鉱業政策のあり方として、四つの点を主張いたしております。 第一は、支持価格制度の採用でございます。これは自由化のあらしから金属鉱業を守るためには、何といっても採算可能な最低限の価格が保証されなければならないと考えます。同時に、安価な外国の地金、鉱石の殺到を調整する必要があります。そのためには支持価格制度の採用以外の政策は考えられません。支持価格制度は、国が採算可能な最低価格を保証することでありまして、政府部内からも価格プールの提唱が行なわれたくらいでございまして、非鉄の地金にも現在も一〇%の輸入税が課せられております。また価格プールとは、結局この輸入税を国内鉱山に還元することになります。といたしますと、自由化対策としての新関税収入を鉱山に還元することと価格プールとは財源的に同じであります。要は支持価格制度が実施されることが必要だというふうに判断をいたします。 この価格の問題については、電気銅でいえば、大体二十八万、電気鉛十万、電気亜鉛十一万ということではないかと想定されますけれども、この問題については、あとで申し上げます金属鉱業審議会などの権威ある機関によって決定されるべきであるというふうに考えるわけです。なお支持価格の問題については粗鉱品位、原価などから検討されるものでありますから、全国平均より若干高めに政治的に決定されることが望ましいのであります。支持価格が採用された瞬間に、全国の半分の鉱山がつぶれてしまうというのでは、その支持価格の意味が全くございません。さらに支持価格制度の実施に関連して、需給の調整も当然必要になってくるというように考えます。 第二は、計画的な合理化推進と合理化資金の供給でございます。合理化は、政府が業界の協力を得て計画的に合理化を推進し、長期低利の合理化資金を供給して、合理化を行なったからそれだけ支持価格を引き下げるといった方法が講ぜられる必要があるのではないかというように考えます。 第三には、国家による地下資源の開発、助成であります。これは新鉱床探査補助金のような政府補助が必要でありますと同時に、探鉱、開鉱の融資も大へんに重要であろうと考えます。前臨時国会の商工委員会において、地下資源の開発は国の責任においてやるべきであるとの決議を満場一致で可決をいただきましたことは、私たち心から感謝いたしておる次第でございますが、その決議が一日も早く実現されることを待望してやまない次第でございます。 私たちは非常に悪い山でも絶対つぶしてはならないというむちゃな主張を申し上げておるのではございません。やはり国と経営者の責任において、産業の将来をどうすべきかということを明確にしていただきたい。そのためには、日本に現在ある地下資源が一体どの程度あるのか、それをどのくらい取るべきなのかということとを、政府がむしろ積極的にその仕事に入って、その上で、日本の地下資源はもうだめだということがわれわれにもわかるのであれば、われわれもその前提に立った運動を続けることについては了解をいたしたい。しかし、何らの積極的、根本的な対策が講ぜられずして、首切り、賃下げ、配置転換というようなことでは、私たちは納得できないわけでございます。外国鉱石についても、私たちは将来の需要から言って、その輸入についてはもちろんその必要性を認めておりますけれども、ここで注意しなければならないのは、アメリカの製練所の労働組合でありますけれども、製練所労働組合の機関紙の中に、日本の業者が鉱石の買いあさりをしておるという非難の記事が去年出ておるのを私は見ました。そうして、アメリカ製練所の労働組合として、政府なり国会に対して、それを是正するようにという運動をアメリカで行なっております。外地においては、ジャパン・プライスという不名誉な言葉さえ生まれて、他の外国をも牽制し、悪い影響を与えておるというように聞いておりますし、今まで鉱石を入れておりました国においてすら、自国において製練所を建てようとする動きも最近は見えてきております。私たちはまず優先して国内鉱山を合理化し、将来の技術の進歩のためにも、雇用の拡大、労働者家族の生活の安定のためにも、また地域の開発のためにも、あるいは海外鉱石を買うにしても、その取引の緩衝地帯として置いておくためにも、まず優先的に国内鉱山の温存が考えられなければならないということをかたく信ずるわけでございます。 さらに硫黄、硫化鉱というようなものに至っては、全く競争が不可能でございまして、この点の配慮も特に重大な問題点であろうと考えるわけでございます。 最後に、御承知のように、金属鉱産物価格安定臨時措置法案さらに金属鉱物資源開発助成法案というものが継続審議になっております。これは社会党提案でございますが、私たちはこれを支持いたしております。社会党の方からは怒られるかもしれませんが、全く現実的な法案でございまして、いわゆる社会党のにおいがきわめて薄い法案であって、自民、民社の先生方を含め、あるいは経営者の方々を含めて、この法案の中に流れる精神については御賛同をいただけるのではないかということを心から期待いたしておるわけでございます。またわれわれも支持価格制度の原則さえ達成されれば満足しなければならないという大局的見地に立って、今後とも進めていきたいというように考えております。組織全体として一昨年以来陳情要請を続けて参りました私たちは、金属鉱業の百年の大計がここに樹立されることを心からお願いし、御審議をお願いして、私の公述を終わらしていただきます。
○早稻田委員長 ありがとうございました。 これにて参考人各位の御意見は終わりました。
○早稻田委員長 これより参考人各位の御意見に対し、参考人並びに政府委員は質疑を行ないます。 質疑の通告がありますのでこれを許します。田中武夫君。
○田中(武)委員 もう十二時二十分にもなっておりますので、簡単に二、三お伺いをいたしたい、このように思います。 先ほど原口参考人からは若干の御意見を聞きましたが、実は参考人の皆さんも多分御承知と思うのですが、社会党から金属鉱産物価格安定臨時措置法案及び金属鉱物資源開発助成法案という二案を出しておるわけでございます。従いまして、きょうの参考人の皆さんから、このような法案についても何らかの御意見を伺いたい、このように実は私期待をいたしておったわけでございますが、原口参考人以外からはあまり出なかったことを遺憾と思います。しかし、皆さん方の御意見の中で大体これに関連したことも出てきておると思いますので、まず経営者の方々、すなわち河上さんと相京さんにお伺いをいたしたいのですが、自由化を前にして一番大事なことは、やはり価格の安定政策だ、価格対策だと思うのです。皆さん方の要望の七項目の中を見てみますと、まず関税制度の適正化というようなことで、いわゆる従量税方式等々がうたってあるわけなんですが、このようなことだけで、いわゆる自由化にあたって価格安定ができるとお考えになっておりますか、いかがでございましょう。
○早稻田委員長 それでは河上さんから一つお願いをいたします。
○河上参考人 ただいまの点、先ほど時間がございませんでしたので触れなかったのですが、御提案の二法案の内容につきましては、大体パンフレットで通読しただけでございますので、こまかい点はあるいは少しわからぬ点もございますかと思いますが、資源開発助成措置につきましては、全面的にわれわれ賛同いたしております。これはもう特に繰り返して申し上げるまでもないと思います。価格安定措置の問題につきましては、非常に重要な内容をはらんでおります。それで問題は、先ほどもお話が出ました支持価格といったような面、これにつきまして実はありていに申し上げまして、経営者側で、協会側で十分検討を積みまして考えを統一する段階に至っておりませんことをお断わり申し上げます。従って、私個人の見解ということになろうかと思いますが、われわれとしても、鉱産物の価格が非常にフラクチュエートするということについては、経営が非常にやりにくい。高いときはよろしゅうございますが、ダウンの場合に備えて、そのときは非常なリザーヴをして、ダウンした場合の備えをするということでやって参ったわけでございます。これはある程度国際的な性格を持っております非鉄金属としては、ある程度そういう趨勢になることはやむを得ない。従って、高くいける場合には経営の基礎をつちかって鉱山にも十分な栄養を持たせる、苦しいときにはその場合に蓄積を食ってそして何とか維持できる、こういうある程度の波はもうやむをな得いという気持でおります。しかしながら、その波をできるだけ少なくするように、それからダウンする場合の惨たんたる状況を何とか突つかい棒しなければならないということにつきましては、私どもも真剣に考えております。 それで端的に申し上げまして、支持価格制度、つまり二十八万になるかどうかということは別にいたしまして、銅については大体の鉱山が何とかやっていけるペイ・ライン、これが確保できるように、何らかの方法によりましてそういうことが維持できるということについて、経営者はどう考えるかということについては、全くこれは賛成でございます。全面的に賛成でございます。問題はそれをどういう方法でやるかということに結びついておるわけでございます。端的に申し上げまして、私どもはそれは国の価格差補給金でほしい。端的に言わしてもらえばそういうことであります。しかし今度は、それじゃなぜお前らは自由化対策でそれを要望しなかったかということでございますが、これは実はもう過去・において何べんも通産省には主張しております。しかし、それはどうしても、国の政策として補助金制度はだんだん減らす一方だ、新しくつけるなんというのはもってのほかだということでございますので、実は今度はそれを言い出すことができなかったというのが端的に申しました実情でございます。 社会党法案の支持価格をささえるための財源としてのああいう一手買い取り、一手販売という一つの完全なる配給統制機構を作るという方法論につきましては、これは私ども非常に疑義を持っております。一体そういうことができるかどうか、根本的に非常に疑問でございます。現在の経済機構の中で これができるかどうかということは、私どもは根本的に疑問を持っております。それから、実際それがかりに許されるとして、業務の運営が非常に能率的に、支障なくやっていけるかどうか。そういう機構の当然の反作用としてのいろいろなトラブル、それから、製品は完全に自由化されたが、原料の地金についてそういうコントロールがあるということを、はたしてその業界の方が気持よく納得して、われわれの方の関係における取引関係がスムーズにいくかどうかという点につきましては、相当これは研究しなければならぬというふうなことでございまして、そういうふうな点につきましては、よほどこれは研究に値するのじゃないかというふうな気持を持っております。私はそういうふうに考えております。
○早稻田委員長 相京さん、何かありますか。
○相京参考人 大体河上さんと同意見でございますが、今河上さんも言われました通り、本件についてまだ経営者側として十分な検討をしていないしもちろん意見の一致も見ていないわけでありますから、ここで申し上げることも河上さんと食い違うことがあるかもわかりませんが、大体この価格安定問題については、私ども考えておりますのは、銅について山元原価二十八万というのは最低の線であるから、これを何とか維持しなければならぬ。しかし、今局で考えておられます関税措置によって国内の価格安定ができるかといいますと、どうもこれは少し局としても、銅は関税だけではむずかしいのじゃないか、まあ緊急関税というようなこともお考えのようでありますけれども、なかなかこれで自由化後の価格安定を期待することはできない。それで、何かほかのいい方法はないかというわけなんでありますけれども、なかなか名案がございませんが、補助金あるいは交付金というものにつきましては、われわれは非常に疑義がある。これは戦争中あるいは終戦後補給金撤廃のときに、われわれは非常に苦難の道をたどったわけであります。当時は幸いにして朝鮮事変等がございまして危うく救われたわけでございますけれども、今後価格差補給金とか補助金というものがかりに設定されたといたしましても、もしまたそういう政府の方針等が変わってそういうものが撤廃されるとなると、再び業界は大混乱に陥るので、そういう弥縫的な策じゃない、もっと根本的な対策として、当然国で鉱山業に対してはこの程度の租税の免税でありますとか、先ほどの減耗控除であるとか、これは補助とかなんとかいう、そういうあわれみの政策じゃなく、鉱山業の特殊性というものを認めて、国家として当然すべき政策、そういうものがもっと根本的にあるのじゃないか、こういうふうに考えております。大体そんなことであります。
○田中(武)委員 価格政策についてですが、現在やっておられるような行政指導による安定価格制度あるいは業界が申し合わせてやるということになると、独禁法との関係も出てくると思う。先ほど相京さん自体も減産の措置を講じなければならない場合もあるだろう、こういうふうにおっしゃっておるのですが、このことは合理化カルテルを意味するかどうかわかりませんが、業界でそういうことを申し合わされた場合は、そういった独禁法との関係も出てくると思う。従いまして、価格安定について社会党案が全面的にいいか悪いかは次といたしましても、何らかの特別立法を置かなければ、独禁法との関係が出てくると思うのですが、そういう措置についてはいかがでございましょう。
○相京参考人 今度かりにこの生産制限をするとしても、これは各社それぞれの事情がございますし、立場がございますので、各社で話し合ってやるというようなことになりますかどうですか。それをやりますと、独禁法関係も出てくるわけでございますが、これは価格安定のためにやるというより、むしろ当面の金融事情上やむを得ず減産せざるを得ない。価格安定のためにはすでに価格を八千円値引きいたしまして、これがある程度業界から好感を持たれて一応の価格安定の方向に向かっておるようなことでありますけれども、かりにそれで価格が安定いたしましても、今のような売れ行きでは、現在の生産を維持していくことができないのであります。そういう意味で減産するとすればするわけであります。
○田中(武)委員 減産、合理化、こういうとすぐにそのしわ寄せが労働者に来るのじゃないか、こういうことがぴんと来るわけですが、そういうことと、さらにもう一つは、これは皆さん方の鉱業協会としての要望ですが、自由化対策として七つの要望が出ております。これはどれも重要だからやってくれ、こういうことだろうと思いますが、これを重点的に持っていくならば、この七つのうちどれとどれを重点に考えておるのか。いやそうじゃない、全部やってもらわなければ困るのだ、こういうことだろうと思うのですが、さらに重点に考えるならばこういう点ということを伺いたい。 それからもう一点ですが、この七つの要望の中に、鉱業会社の多角経営あるいは事業の転換、こういうようなことがあるようですが、これはどういうことを意味するのか。たとえば、山からおりて鉱山会社が観光事業をやっているというような例もあるわけですが、そういうように多角経営というのは、何といいますか、あまり本来の仕事を本腰にやるんではなくて、何かもっと苦労が少なくてもうかる方へ変わっていくんだ、こういうことを意味するのかどうか、その点をお二人にお伺いいたします。さらにこのような問題に関連して、労働者を代表して原口さんからも所見があれば承りたいと思います。
○河上参考人 一つは、このわれわれの七項目の要望でどれが重点か、これは実はどれもこれも最重点に考えているものだけを抜き出したのです。そのニュアンスは一つ先生方で御判断いただきたいと思うのでございますが、私ども特に現在声を大にしてお願いしておる点は、探鉱につきましての国家施策、これはもう長年の要望でございます。これはどうしても鉱山の体質改善の中心点をなすものである。これにつきましてこの際ぜひ大きなワン・ステップを踏み出していただきたい。これは実は新鉱床探査、それからそれに引き続きます開発の場合の金融ワク、こういうことにも関連いたします。それからだんだん苦しくなりますと、これは御承知のように、鉱山会社は結局高品位を抜き掘りするということになるのです。そうして金がないと結局ランニングの探鉱もできない、ましてや新鉱床なんかはあと回しということになって、将来の経営への、そういう長期の観点から考えますと、ますますジリ貧になって参ります。これはどうしても国家施策で根本的に大きな手を打っていただきたい。 それから自由化後の価格問題に関連いたしましてのお尋ねでありますが、滞貨買い上げ機関、これは先ほどの点に重複いたしますが、緊急関税措置、同時に滞貨買い上げの措置ということを要望しております。これも長年の要望でございますが、自由化後は特にこの点がクローズアップして参るというふうに考えます。 それから合理化の点につきましての問題、それから多角経営の点につきましての問題、われわれは、合理化は労働者にしわを寄せるということは全然考えておらないで、そういうことを目的として考えておりません。これは組合の皆さんもいろいろ結果においてしわが寄るということをおっしゃるわけでございます。われわれは実際結果においてしわが寄らないようにしたいというのです。そういうことをやっておりますけれども、時と場合によっては、結果において寄せざるを得ぬという場合に、実はわれわれ自身そういうふうにならざるを得ないというわけでございます。そういうことが非常に予見されるので心配しておるというのが、卒直な状況であります。 それから、多角経営と申しますのは、現在われわれがやっております鉱山、製練業に直接関連をした分を考えております。ここで申しますのは、今までわれわれは観光事業をやっておりません。それをいきなり観光事業をやろうなんというので、それで政府に金をどうしてくれというようなことではございませんで、現在の主要鉱山、製練部門に直接関連のある、たとえば加工部門に乗り出す、あるいはそういったような関連した部門にやはりできるだけウェートを置いてやっていって、これはその方でかりに収益を上げることによって既存の鉱山部門、製練部門に栄養をもたらすという観点の考え方でございます。そういう趣旨の要望を出しておるというわけでございます。
○原口参考人 生産制限の問題についてちょっと申し上げたいのですが、われわれとしては、労働者の雇用の安定と労働条件というものが守られ、向上していく限りにおいては、労使特に経営者の行なわんとする経営については、ある場合には協力できるのではないか。産業の危機にある場合には、労使双方が交わって、共通の立場が多くなるという事実については認めます。しかしながら、残念ながら過去において、昭和三十四年ですか、製錬所の生産縮小をやった際に、製錬所においては、超過労働賃金等の制限がございまして、五千円ないし七千円の賃下げが実質的に組合員の上に現われております。従って、そういうような生産制限という問題については、私たちは反対していかなければならない。そのために会社とも事前に今後の産業なり経営のあり方について御相談をしていく。そうして、労働者にもし犠牲のしわ寄せがないという見きわめがつくならば、やはり労働組合という立場で私たちは産業なり職場を守るという運動を展開したい、そういう気持でございます。 なお、観光事業の問題が出ておるのですけれども、東北の方ではちょうどスキー・シーズンでございまして、特に苦しい中小鉱山、硫黄鉱山というような山がどうしても、苦しい状態を何とか一時的に乗り切るために、スキーのゲレンデを作ったりあるいは山小屋を作ったりというようなことでございますが、坑内外で働いておるごつごつとした労働者がお客様を迎えるにふさわしいはずはございませんので、これは雇用の安定の問題には、全くと言っては言い過ぎかもしれませんけれども、ほとんど役に立っていないというのが実情でございます。
○田中(武)委員 河上さんにもう一点お伺いしたいのですが、先ほどいわゆる社会党案の一手買い取り機関には疑問がある、あるいは大へん問題が多いということですが、今あなた方の要望の中の鉱産物滞貨買い上げ機関の設置というのとはどうですか、五十歩百歩じゃないですか。
○河上参考人 滞貨買い上げ機関は、非常に需給がアンバランスの場合は、結局今の生産縮小を極端にやらなければいかぬということで、思い切った生産縮小あるいは休山などということのないように、せめて国内生産だけは稼働できるように、国の方で特別公団を作って買い上げ、需給のコントロールをやってもらいたいというわけです。それで、その需給の調整という意味合いだけの作用でございますが、社会党の御提案の案とはだいぶ違うわけでございます。これは性格的に違うわけでございます。結局社会党の案は、私ども詳細は先生方に伺わないとわからないので、誤解しているかもしれませんが、それは需給の調整がねらいというわけではございませんわけです。それも大きなねらいである。しかしながら、それで結局全体の需給を調整するのではなしに、完全に一手でコントロールしてしまう。そこでその国内鉱山の財源を捻出してバックするという、さらに大きなねらいがあるわけです。私ども先ほど申しましたように、支持価格制度を何らかの方法でやりたいということについては同感でございますので、そういう需給調整なり何なり、あるいは他の点から見て支障がない、しかも永続性があるというふうなことができるということについては、私個人としては大賛成でございます。今の御質問は、そのわれわれが要求しておる滞貨買い上げのものと似ているのじゃないかということにつきましては、私ども性格は非常に違うものだというふうに感ずるわけでございます。いかがでございましょうか。
○早稻田委員長 多賀谷真稔君。
○多賀谷委員 実は今、田中君から質問いたしました滞貨買い上げ機関の設置とわが党案の関係ですが、わが党案を非常にりっぱな案だということは考えていないのです。今の自民党の政権下で、できればなるべく統制色のないものを出した方が通過しやすいのです。ですからできるだけそういう色のないものをということでいろいろ工夫をしたのですけれども、一番いやな案になったというのが現実なんです。この案の経緯を言いますと……。 それで、今お話しになっている議論を一歩進めてみたいのですが、滞貨というものが鉱産物についてそう将来に見通しがあるのかどうか。これは値段が低くなったから売らないということはあります。しかし、石炭事業のような関係にはないのじゃないか。少なくとも日本のような場合に、雨が一割よけい降れば三百万トンから余ってくるというような石炭事情とは違うのじゃないか。なぜかというと、電気銅の需給の推移を見ますと、相当の伸びを示しておるわけです。ですから若干の景気調整はあるでしょうけれども、国内産の原鉱そのものが余って売れないということはないのじゃないか。ただ、値段が低いから、それで売ると採算がとれないから、余るということはありましょう。ですから、本来ならば、私は値段の問題さえなければ、滞貨というものは生じないのではないか、こうこの鉱物につきましては考えるわけです。ですから今お話しの鉱産物滞貨買い上げ機関というものは、滞貨というけれども、むしろ値段の問題じゃないか、ですから、価格の低落を防ぐための制度が必要とされておるのじゃないか、こう考えるのです。ですから、政府機関によって買い上げの措置を講じてもらいたいという趣旨を展開するならば、現在あなたの方で日本銅地金会社というのを現実に作られており、すでに千二百トンほど買い上げられるということを聞いておるわけです。私はこのことについていい悪いということを言いませんけれども、とにかく二十八万円以下になりそうだから、これで二十八万円で買い上げようという気持、その気持を一歩制度的に進めてみたらどうか。制度的に進めるとするならば、この政府機関による買い上げ機関の設置になり、そしてそれはやはり価格支持という形になって出てくるのではないか。党の案のように外国のものも全部コントロールするということは一応別にして、国内のものだけ考えてみると、国内における鉱石の、少なくとも価格支持の問題は出てくるのではないか、こういうように考えるのですが、どうでしょうか。
○河上参考人 今の先生の御質問で、先生方の観点と私どもの観点とが少し食い違っておるようなことがあるわけでございます。私どもの観点は、今の支持価格を前提として今までやってきておりません。それで、自由化になるという場合に、われわれの方の生産は一ぺんに縮小できないということで、ある程度の規模でどんどん生産をやっております。そこへ自由化で入ってくる。国内の値段は自由化に左右されてダウンする。自由化の暁におきまして、相当海外がダウンした場合――ダウンするということは、海外に相当ストックがあるわけであります。建値は、ダウンしたからといってその先に回って即刻ダウンするわけにいきませんから、どうしてもおくれ、おくれしてついていくわけです。そうして、自由化になると電報一本で商売できまずから、何万トン何千トンという商売が電報でできます。荷物はあとから入ってくる。消費者は国内で買おうと外国のものを電報一本で買おうと自由でありますから、どんどん契約ができて入ってきます。入ってくるのは防ぎようがありませんので、その分は入ってしまうわけです。とめようがない。そういたしますと、どうしても国内の生産は一ぺんにしぼれないから、値段がダウンして、しかも外国のものが入ってくるということが予想されるわけです。国内の需要は、大体伸びはわかっておりますから、われわれもそれにミートして、できるだけ優先的に国内のものを売ってもらうために、外国の建値と比べて無理のないところでダウンすることはやむを得ないという腹でやるわけですが、足らず前を入れるということよりも、先を見越して電報でどんどん入れるという思惑の輸入ということが、自由化後には従来より一そうひどくなる。管理貿易の当時においてすら、政府の需給の策定がおくれまして、そのために必要でないときに物が入ってきたということがございます。現に昭和二十九年から三十年にかけまして、海外も不況になり、内地の建値も下げたが、なおかつ輸入品が残っておりましたために、約四万トン近い滞貨ができた。これは、管理貿易でございますれば、すぐにそれは調整できるわけです。自由化の場合には、電報一本で、先を見越す思惑輸入という点が非常に心配になる。そういうことがあり得るわけです。そういうものにつきまして、われわれの要望は、そういう市場の滞貨を全部買い上げてくれなんということは、これは不可能な話で、そういうことは要望しておりませんで、銅について言いますれば、国内産銅に見合うものについて買い上げてもらいたいということを要望しておるわけであります。買い上げの措置によりまして――われわれは、価格問題は、結局それで価格をコントロールするということまでは、強力な、十分な効果は正直なところないかと思います。しかし、少なくともわれわれの手持ちでさばけない問の、われわれ自身の産銅のうちの、国内鉱山から出る分だけをしばらくたな上げにして、そのファイナンスを考えてもらいたい、こういう要望になるわけでございます。従いまして、先生方のごらんになります観点と少し違っておるかと思います。
○多賀谷委員 たとえば政府が二十八万円で買うといたしますと、結局その滞貨というものは、滞貨全部二十八万円で買いますと言ったら、一般市場が二十七万円であれば政府に売ります。これは米と同じですよ。自由米が政府米より安くなるというなら、麦のようにみんな政府に売るわけです。今滞貨がある、その滞貨の部分だけを買えとおっしゃいますけれども、値段によってはみんなが全部政府に売るわけになる。ですから、やっぱりこれは価格と非常に関係がある。日本国内で作った鉱産物並びに地金が処理できないという事情が来れば、これは滞貨ができる。ところが、そういう事情にはどうもあり得ない。価格を除いてみると、そういう事情にはならぬのですね。国内で作っても足らない、外国から地金を入れなければならぬという計画なんですから、問題は全部価格問題だと思う。滞貨が出るということも価格問題です。ですから、政府機関の買い上げの価格のいかんによって、この滞貨が多く出るか少なく出るかということが出てくるわけです。政府機関が二十八万円にすれば、全部滞貨になって、政府に買い上げてくれということになる。 そこで、結論的に言うと、どうもこれは滞貨とおっしゃるけれども、価格自身の問題じゃなかろうか、こう考える。押しつけじゃございませんが、理論的に発展をすると、そういうことになるような気持がするのですがね。
○河上参考人 今の、非常に滞貨がたまるような事態は、私の方の観点から申しますと、御承知のようにだんだん海外がダウンする、それを見越してやるということで、価格の問題とは直結したわけでございます。ただ私どもの申します買い上げは、二十八万円でとにかくみんな買ってもらいたいというのでなく、一定の条件はもちろんきめますし、二十八万円にするかどうかということは、まだ結論は出ておりません。もう少し低い価格であるべきだというふうな御意見が必ず出るのじゃないかと思いますが、これは、価格は別といたしまして、つまりわれわれの国内産銅を生産するだけの金が要るわけなんです。これを、しばらく一つ国で抱いておいてほしい、こういう意味の買い上げをやってもらいたい。これは将来価格が経常状態に復すれば、あるいは買い戻しをするということでもよろしゅうございます。国内産銅について、その部分だけを一つ買い上げてほしい、あとの国内産銅の、国内部分の稼働ができるように、一つリザーブを上げておいてほしい、こういうわけでございます。
○多賀谷委員 僕はやっぱり需要がないということで滞貨ができるのではなくて、結局価格が安いから、採算がとれないから、売れないで、そして滞貨になっておる、こう考えるわけです。私は事情はよくわからないが、そういうことになるのでしょう。
○河上参考人 現状におきましては、管理貿易の恩典を受けまして、国内建値を、海外よりは高いところでわれわれ売っておるわけです。ですから、そういう場合には滞貨ができるかどうかというような問題は、おっしゃるような事情がございます。私どもの想定しておる状況におきまして――自由化でございますと、値段の点のために滞貨ができるということでなく、それは海外がダウンするから、電報で商社が入れる、これがどっと入ってくる、そのために売れなくなる、値段を同じにしてもやはり滞貨が出てくる、値段を海外の輸入採算と同じにしましても、そこに国内的にはさっと滞貨というものができるということが、今後の自由化の場合に起こってくるわけなのであります。
○多賀谷委員 それでわれわれも困りまして、やはり貿易のチェックをしないとできない。しかし、貿易を、ただ関税だけ上げたのではだめですから、フランスのように、一手買い取りの機関を設けざるを得ないということになったわけです。あなたのおっしゃる通りに理論を展開していったら、結局そこへきちゃったわけです。そこで、こういうまずい法案になったわけです。しかし、外国の価格安定の政策を見ても、やはりそれ以外にないのですね。関税をべらぼうに上げるか、価格支持制度を設けてやる以外にない。これ以外にはないので、何か方法があったら私たちも聞かせていただきたい。あるいはそのうちのどこかの部分だけ、たとえば国内の鉱石と国内地金と外国の地金だけ、――鉱石の外国からの輸入鉱は別にする、こういう考え方もあるでしょう。業界をまとめる意味においてはあるでしょうけれども、何か今のままで関税だけではどうも足りない。しかし、方法がないのですと言われると、われわれの方が困るのです。そうして補給金や補助金の制度も、どうも今までやられた点を見ると、かなり疑義がある、こうおっしゃると、われわれの方から言えば、政策のしょうがないのです。――一つ十分考えてみていただきたいと思うのです。 それから探鉱の費用ですね、これはトン当たり大体幾らで計算してあるのですか。大体何%くらいになっておるのですか。探鉱費というものは、各企業ごとに、そのときの事情によりましょう、利潤の上がったときとそうでないときとあるでしょうが、コンスタントに大体どのくらい使われているわけですか。
○河上参考人 業界で正確にサムアップして計算した資料はございませんが、私の方の会社の例で申しますと、採鉱の直接費のうちで、探鉱費の占めておる割合が二割見当あろうかと思います。それは、結局銅の生産費のコスト全体の中でどれくらいになるかと申しますと、大体一割見当になっております。これは私の方の会社の例でございます。おそらく大体似たり寄ったりであるまいかと思います。それで、非常に苦しいときは探鉱費をカットいたします。のっぴきならぬで、もうカットせざるを得ない。従いまして、それで高品位をというので、銅価が高くなると稼行品位は非常に低いやつでやる。銅価が非常に下がりますと稼行品位は相当上げなくちゃいかぬ。銅価と山の採掘の品位は完全にきれいに逆比例しております。これは私の方の例ですが、おそらく各社みなそうです。高い品位を稼行ずる状況のような場合には、探鉱費は非常に極端にカットされております。しかし、延べで申しますと、今申しましたように、総生産費の大体一割見当というふうに御了解いただいてよかろうかと存じます。
○多賀谷委員 探鉱費についてはこの委員会でも決議しておりますし、皆さんの意見とわれわれの意見と全く一致しているのですが、事業団を作れという話が途中で消えてしまうということは、われわれも含めてですが、どうも政治力が足らぬと思うのです。政府はいつの段階できめたことですか、大蔵省に持っていく前に、通産省の内部で消えたのですか。
○大木説明員 探鉱に要する政府補助の問題は、業界の希望がございました探鉱事業団と、それから今回実現いたしました新鉱床探査費の大幅増額、この二つの問題にしぼりまして通産省内部で検討いたしました。この問題についてはいろいろ議論がありまして、特に事業団の設立について、相当制限すべきであるというような意見が出ましたことと、それから新鉱床探査費は、過去において十何年の実績もございますし、また最近逐次補助金が増加しておりますために、新鉱床探査費の方に切りかえまして、その方に力を入れてやるべきであるということで、通産省内部で消えたということは、新鉱床探査費に切りかわったわけでございます。
○田中(武)委員 それでは簡単にしますが、河上さんの先ほどの御意見を聞いておりましたら、われわれが法案を作るにあたっての経過は、今多賀谷委員も申されました通り、いろいろと討議をし、考えてみたわけですが、どうも社会党が出してきたのは統制色があるからということで、それだけで初めからいやがっておられるのじゃないかという感じもするのです。いやなところだけはなくして、いいところだけもらいたい、こういうような御意見のように聞くのですが、これはあらためてまたいろいろ御意見を聞きたいと思います。 最後に、相京さんと青山先生、それから中小企業の方の担当の三名の方にちょっとお伺いしたいのですが、この海外鉱物資源開発株式会社、このことについて業界と通産省、あるいは中小鉱山関係で若干意見が違うのじゃないか、このように受け取っているのです。と申しますのは、いつか当委員会におきまして、この問題で、たしか森政務次官だったと思うのですが、質問いたしたときには、中小企業を中心として海外に出ていくことを考えているのだ、こういうような意見があったのです。そこでお伺いしたいのですが、この海外鉱物資源開発株式会社というのは、いわゆる商法上の普通の法人として考えられておるのか、何か特別な立法をして特殊法人としてやってもらいたいというように考えておられるのかという点。 それから、これで見ると、政府の補助金だけで、政府出資は要らないというような考え方のようですが、そういう点についてどう考えておられるか。 それから、青山先生には、先ほど来、海外資源ということを考慮せよというような御意見がございましたが、この場合海外鉱物資源開発株式会社は、今仮称ですが、これはどういう格好であるべきがいいのかというようなことを一つ先生の立場から伺いたいと思います。 なお、通産省には、きょうは局長も大臣もおりませんが、大体これに対してちょっとわれわれニュアンスが違うように考えておるのだが、通産省はどう考えておるのか。これは通産省ですが、責任者がいないと言えば失礼ですけれども、課長さんにこういうことを言うのはどうかと思いますけれども、・今までずっと参考人の意見を聞かれたら大体おわかりだと思いますが、自由化を延期する、すなわち国内における対策が十分できるまで延期するというような考え方はあるかどうか、そういう点をお伺いいたします。
○宮崎参考人 この海外開発の問題は、われわれが通産当局から聞きましたのは、業界全体の立場でやってもらいたいというように聞いております。われわれ業界内部におきましても、業界全体がこれに参加する、ただし希望がなくて、中小企業でそういう方面にまで進出する希望がなければ、あえて無理に強制的に入れるわけには一いかない、今こういう段階にあるはずでございます。そのように考えます。 特殊法人は、これはやはり特殊法人で政府の出資を求めておったはずでございます。現在も求めておるはずであります。
○青山参考人 先ほど少し力を入れて海外鉱物資源開発株式会社のことを申し上げましたが、今御発言がありました通り、かなり日本の技術は、採鉱の面でもほかの面でも進歩しております。会社それぞれりっぱな技術者を持っておられますが、できることならば、国家全体を一丸として、それこそほんとうに先ほど申しましたような国策の線で一緒になってやってもらいたい。そうしていただかないと、現地の方との問題があるのです。だから、やはり国の線で出ていただけば、向こうも大へん快く受けられる。だから広い意味で申しますと、通産省はもちろんでありますが、各省の御協力がほしいと思うわけであります。
○大木説明員 海外鉱物資源開発株式会社の案でありますが、現在民間資本五〇%、それから経済協力基金からの出資五〇%という線で業界の方で、話を進めておりますが、民間資本の五〇%につきましては、おおむね鉱山会社が主体になっております。先ほどの大鉱山と中小鉱山との問題でありますが、政務次官が前の商工委員会で御答弁になりましたときには、中小鉱山の経験と技術を大会社でもって大いにいかして、海外の資源の開発に寄与させるのだというお話が実はありましたので、持ち株の面におきましても、中小鉱山の入る余地がありますし、また株を持たなくとも、実際に技術者なり経験者が海外に行って活躍ができるような余地が当然出てくると思いますので、そういう点で中小鉱山ということも一面においては考えております。 それから、貿易自由化の問題でありますが、現在、今年の十月以降政令で定める時期が貿易自由化の開始される時期でありますが、関税その他のきまりは、政令で定める時期から従量税方式に切りかえまして、二年半は三万円の暫定税率が適用され、あとの二年は二万円の税率が適用される、こういうことになっております。われわれの方の考え方では、十月以降政令で定める時期になっておりますが、おおむね半年程度がその範囲内ではないかというように考えておるわけであります。
○相京参考人 ただいま大木課長からお話がありました通りで、初めは一般会計から予算を出していただきまして、政府出資の特殊法人、こういうような考え方でございましたが、予算の審議経過から見て、とうてい一般会計から捻出の余地がないということで、その後は局の方で経済協力基金の方にお振りかえになったのだと思いますが、私たちは、初の希望としては、やはり外国に行って仕事をする以上は、政府出資の特殊法人の方が仕事がやりよいのじゃないか、外国の政府ともそういう交渉団体として強いのじゃないかというように考えておりましたが、もし予算が許されないならば、今度の経済協力基金の出資を仰ぎまして、その場合には商法に基づく株式会社、しかし、それにしても経済協力基金が出資しておることは相当に強味でありますから、それでけっこうだと思います。 中小鉱山との対立ということは全然ありません。
○河上参考人 ちょっと補足いたしたいと思います。今の海外機関にいたしましても、私どもの当初の要望とはだいぶ性格が、現在の大木課長さんの説明でお聞き取りいただきましたように、変わって参っております。そして、自由化の時期との関連の問題もございます。そういうふうにだんだん当初のわれわれの要望から変わってきた鉱業政策の実り方になっておるわけであります。それで、私どもの基本的な要望とは非常に隔たりがありますので、そういったような程度のものはいつそのこと返上してしまって、当初のわれわれの要望の骨子をあくまで推進するかどうかということが、実は業界で非常に重大な問題になっておったわけでございます。そういうことで実は真剣に論議したわけでございます。しかし、これはせっかくここまで実ってきたものでございますので、むしろわれわれの本格的な要望は要望であるということをさらに皆さん方に強く訴えて、これが後退するということは決して私どもの本意じゃないということを皆さん方に、特に先生方によく御了解いただきましていしかしせっかくここまでステップが乗り出してきておるわけでございますので、ぜひともその程度のものは最低限度早く実施をしていただきたい。さらに私どもの要望の線に沿って、それをできるだけ速急に実現するように持っていっていただきたい、こういう立場で現在おるわけでございます。従いまして、今のような程度で自由化を近くやるんだと言われるのじゃ困るわけでございまして、もっともっと、しっかりした要望――少なくともめどがはっきりつくまでは自由化は延ばしてもらいたいというのが端的な私どもの気持でございます。つけ加えて申し上げておきます。
○早稻田委員長 始関伊平君。
○始関委員 時間がおそくなりまして恐縮でごいますが、きわめて簡単に一、二点お尋ねしたいと思います。 最初の問題は、ちょっと迂遠な質問という感じがするかもしれませんが、私どもがこれから鉱山対策の調査研究を進めて参ります上の心がまえに資したいと思うのでございます。 大体、昭和十年ごろに日本がだんだん準戦時体制になりまして、貿易の管理あるいは為替の管理が行なわれて、そのときに銅、鉛、これらの輸入が今日のような状態になったのでありますが、その前のつまり準戦時体制に入る前においては、要するに、貿易自由化という言葉は当時はなかったと思いますが、完全な自由貿易、自由経済の体制のもとにあって、そして価格もいわゆる写真相場でやってきた。まあ当時の金属鉱山の経営者はいろいろ御苦労があったと思いますが、それにもかかわらず、当時私の了解するところでは、大体の鉱山会社というものはきわめて堅実な基礎のもとに経営が行なわれておった、こう理解いたしております。そこで、私は、自由化は当然だ、昔やれたんだから、やれないわけはあるまいという議論をする意思は毛頭ございませんが、一体あの当時と比べて、今日の日本の鉱山業というものはどこが違うのかという点を一つお尋ねしたい。実はこの点は私は前々から疑問を持っておりました。それで、将来の問題といたしまして、輸入の自由化に伴いまして、需給関係の変動から来る価格変動の問題、価格安定の問題、その問題のほかに、日本の金属鉱山のコストが高くつくという価格水準の問題と、この二つあると思うのでございます。この両者を通じて最も多くいわれることは、日本の鉱山というものが規模がきわめて小さいということであります。大きな山でも、向こうの中小鉱だ。それから単位当たりの埋蔵量が少ないと申しますか、品位が悪い、こういうようなことが一ついわれると思うのでありますが、これは実は今日も戦前も同じでございまして、それだけでは理由にならない。そこで私が一つ考えますことは、当時の鉱山会社というのはいずれも財閥会社で、おまけにメタル・マインと石炭山が一緒に経営されて、経営的な力が非常に強くて、それで金融なんかもついたというような点もあるのではないかと思います。それが変ってきた。それからその次に、戦争中の乱掘の処理といいますか、傷跡が完全に直っていないというような点があるのかもしれない。賃金なんかも昔に比べて高くなったというようなことがあるのかもしれませんが、戦前から今日までずっと鉱山経営に参画してこられた立場で、私が今出しましたような疑問の点について、これは大まかな質問ですからきわめて大まかな印象でけっこうでございますが、昔はやれたのに今後はやれないのだということについては、一体どういう点について一番大きな違いが出てきたのか。あるいは長い間統制経済が続いて、それになれてしまったというのか、その点の印象でけっこうでございますが、これを一つ伺いたい。河上さんでも相京さんでもいいと思いますが、河上さんだいぶお疲れのようでございますから、相京さんに伺って、つけ加えることがあったら河上さんに伺うことにいたします。
○相京参考人 やはり採掘が非常に進みまして、坑内条件が当時から見ますと相当悪化しております。たとえば坑道が深くなる。そういうことで原価が自然に高騰していくのは、これはやむを得ないことだと思うのでありますが、それと、最近は海外鉱石の依存度が非常に高くなりました。もとはほとんど国内鉱石でやれたと思うのでございますが、現在では国内と海外鉱石との比率が逆になってきておるので、どうしても外国の影響をよけい受けるということだと思います。それから戦時中の乱掘、これは非常に坑内を荒らしまして、それの復旧がなかなか容易でない、まだ十分に回復しておらない。それから、今お話のありました戦時中の統制経済というものが、やはりほんとうの自由競争のよさをスポイルした面が相当あると思います。自由競争でありますと、操業の合理化とかそういう点についてもっと真剣にやれたのじゃないかと思いますが、戦時中の統制経済の陰に隠れたアイドルの時代が相当あった。そういうようなことがいろいろ重なり合いまして、現在ではやはり海外との競争が相当むずかしい。一方海外の方は非常に操業の合理化あるいは大規模な操業で、コストの低下をどんどんはかっておりますので、外国の鉱山の方はむしろ原価の引き下げなどについて相当の効果をあげているのじゃないか。そういう意味で日本の鉱山の海外競争力というのは現在相当落ちておる、こういうふうに考えております。
○始関委員 ただいまの御説明ですと、まあ主たる理由が戦争中に鉱山が荒れたということでございますから、今後相当時間をかけ、そして合理化資金でも何でもよろしゅうございますが、そういうものが潤沢に確保できれば、ある時期には昔のような状態に返っていくのだ、こう考えてよろしゅうございますか。
○相京参考人 これはやっぱり鉱山といえども営業ということを無視して成り立つわけじゃないのでありまして、いつまでも国家の保護とか援助ということばかりにたよって操業するということは、これは経済原則の上からいってもまずいと思うので、なるべく早く立ち直り、それから探鉱の補助金など相当いただきまして、りっぱな探鉱をして、将来はあまり方々に御援助いただかぬでも独立できるという産業に導きたいと思います。
○始関委員 鉱山対策を考えます場合に、やはり外国のいろいろな事例を参考にするのが私はいいと思うのですが、実は私、昭和二十五年にアメリカに参りまして、ビューロー・オブ・マインの人に会って、アメリカの鉱山政策を聞いてみたことがあるのでございますが、そのときの向こうのお話では、アメリカのビューロー・オブ・マインというのは、実は鉱業統計を作ることと、あと保安、それしかやらないんだというようなことです。中小鉱山対策なんというのも一切やらないということで、実は非常にあっさりした感じを受けて参ったのでございますが、ただいまお話を伺いますと、探鉱奨励金がどうだとか、税制の問題はしばらく別としまして、いろんな意味の奨励金的な政策をとっておるというお話でございますが、これは一体いつごろから変わったんだろう、変わったとすれば、その政策の変わった背景というものはどういうことなのか。実はアメリカ以外もお尋ねしたいのですが、一々伺っているとあれでございますから、主としてアメリカにつきまして、これは青山先生、何かお教えをいただきたいのですが……。
○青山参考人 ただいまの御質問でございますが、私も実は終戦後十年ばかりたちましてアメリカに参りました。それで今のワシントンのビューロー・オブ・マインそれからピッツバーグのビューロー・オブ・マイン、日本でいいますとかなり大きな部局がございます。そこへ行きますと、どうも局の中の気持が、今始関先生のおっしゃるように非常にひまな感じなんです。あんまり、お客さんが行っておらない。業界の方もいらっしゃらないし、組合の方も非常に静かで、どういうことなんですかと言ってみましたところが、やはり向こうの主要な任務が、日本の政府のように親切になさらないというのもおかしいのですが、相当考えておるんだけれども、政府の援助資金を出すといったような面が日本ほど多くないように思うのです。何か業界で話し合うときに、政府のそういう場をお借りして、そうして相談するということはございますけれども、そういう面が少なかったのであります。それで、われわれにはむしろ異様に感じたのであります。最近は今お話しのように、ことに保安などもそうでありますが、相当力を入れてきておることは事実であります。日本はどうも少し政府におすがりすることが多いように思います。またその効果もあったんだと思うのであります。それは伝統的と申しますか、現状はやはりそういう傾向が残っているのじゃないかと私は思います。 それからちょっとついででございますが、さっきのお話の、今どうして苦しくなったのか、これからどうであろうかということでありますが、これはまことにむずかしい問題であります。天然の鉱物資源に関する問題もありますし、こまかいことを言うと限りがございませんので控えますけれども、経営の面、あるいは労務の面で、日本は他国に見ない非常に苦しい立場に置かれておる。私はいつかアメリカに行ったときに、向こうでいろいろ炭鉱を見たのでありますが、そこにはエンジニアリングはないなと言って、はなはだ暴言を言ってしかられたのでありますが、薄い炭層を掘るとか、深いところで掘るとか、そういう苦労を知らないのであります。日本はそれを苦労しておる。日本では鉱山でも非常に品位の悪いものを苦労して危険なところで掘っております。これが日本の非常に技術を進歩さした要因でもございましょうが、非常に苦労しております。これはほかの国にないことであります。だからそういう意味で、今後も非常に苦労は重ねると思いますが、技術の面も加えて、できるだけ早く、自分のカでも今お話しになりましたようになることを期待しております。だが容易じゃないと思います。
○始関委員 これは最後でございますが、海外の資源開発の問題でございます。この問題につきまして、業界側あるいは役所側の要望とは違いますが、海外経済協力基金の金を出して会社を作るということで話が進んでおるということでございまして、これは先ほど原口さんからお話がございましたように、国内の資源を中心でやらなければなりませんが、どうせ足りないのだから外国でやる、それは各社共同開発というような形でやるということでございまして、私は非常にけっこうなことだと思うのでございます。おくれて参りましたので、あるいは御説明があったのかもしれませんが、大体順調にいっておるのかどうかということと、いつごろできるのかということと、もし問題があるとすればどういう点なのかということをちょっとお尋ねしたい。河上さんに一つ。
○河上参考人 海外の関係につきましては、先ほどのような趣旨で、経済協力基金の出資方につきまして、役所の方でいろいろめんどうを見たいということでございましたが、まだ決定したということは伺っておりません。私どもの方としては、そういう態勢を受けて、できるだけ早く発足するということで、内部打ち合わせを進めております。 それから、先ほどの始関先生の質問に対して、ほんの一言だけ補足したいと思います。青山先生、相京さん、皆さんからお話しの通りでございますが、私ども実感として、私の経験で申しまして、やはり財閥で経営したということが、今から思うと鉱業を推進するのに相当役立っておる。私どもの鴻の舞金山が今まだ全国一を誇っておりますが、最近だいぶ苦しいのであります。あれが稼行いたしまして後、非常に品位が悪くなりました。もうほんとうにやめようかということまで、ほとんど決定的なことになっておったわけでございますが、創立当時の考えでやり抜こうということで、非常に苦しい数カ年、相当猛烈に探鉱をいたしました。これはおそらく今のわれわれの世帯ではできかねるような状態です。これが当たりまして、その後十数年いんしんさを誇った、そういうことでございます。この点はおそらくほかの鉱山会社にもありゃせぬだろうということが実感としてあります。 それから、海外のいろいろな行き届いた施策につきまして、始関先生からそうでもないんじゃないかというような御質問もございました。私ども実際開発関係で山を――私はカナダと最近豪州を回って参りました。もう実に至れり尽くせりでございまして、われわれがカナダの鉱山経営者であればどのくらい楽であろう、豪州の経営者であればどのくらい楽であろううということを確かに痛感いたしました。これはほんとうに行き届いた税制のシステムである。それから豪州は税制以外に補助金政策をとっておる。価格の上限、下限をきめて、鉱山に補助金を出している社会党のおっしゃる支持価格、これを文字通りやっております。その方法は違いますが、これは補助金でやっております。これはこういう制度が現にあるわけでございます。これは豪州、カナダは地下資源にウェートを置いておりますが、アメリカでは、豪州、カナダほどのウェートは置いておりません。われわれとしては何としても残念なことでございますので、一つそういう状況にぜひさしていただきたいと思います。
○始関委員 外国のメタル・マイニングに対する政策の何か資料がございましたらいただきたいということをお願いしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○早稻田委員長 参考人の各位におかせられましては、長時間にわたり貴重なる御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。重ねて御礼を申し上げます。 ――――◇―――――
○早稻田委員長 この際、お諮りをいたします。 金属鉱山に関する諸問題について調査をするため、小委員九人よりなる金属鉱山に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議はありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○早稻田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。 なお、小委員及び小委員長の選任並びに選任後の補欠選任につきましては、すべて委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○早稻田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。 それでは、小委員には 浦野 幸男君 小沢 辰男君 齋藤 憲三君 始関 伊平君 中村 幸八君 多賀谷真稔君 田中 武夫君 松平 忠久君 伊藤卯四郎君を、小委員長には中村幸八君をそれぞれ指名いたします。 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時三十一分散会