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40回国会衆議院1962/04/27

社会労働委員会 第35号

発言数
270
登壇者
29
会派数
3
開催日
1962/04/27

会議録

中野四郎自由民主党

○中野委員長 これより会議を開きます。  去る二月三日、予備審査のため送付せられ、本委員会に付託になりました村尾重雄君外二名提出の労働組合法の一部を改正する法律案及び村尾重雄君外二名提出の労働基準法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。     —————————————

中野四郎自由民主党

○中野委員長 提案の理由の説明を聴取いたします。村尾重雄君。

村尾重雄民主社会党

○村尾参議院議員 労働組合法の一部を改正する法律案の提案理由の説明を、ごく簡略に申し上げたいと存じます。  労働組合法において規定される労働委員会の制度は、中央労働委員会と地方労働委員会とに分かれておりますが、いずれも労使間の紛議の調整並びに不当労働行為の救済をつかさどる行政機関として、労働組合または労働者の利害に重大な影響を持つ制度であります。それがため労働委員会を構成する委員の選出については、労使委員についてはそれぞれその関係団体よりの推薦により、公益委員については学識経験者中より労使委員の同意を経て、労働大臣または都道府県知事が任命することになっております。  現行労組法においては、労働組合が労働者側委員を推薦するためには、労組法第二条並びに第五条第二項の規定に適合する旨の労働委員会の決定がなければならないことになっており、また同法施行令によって、これが推薦手続について二以上の都道府県にわたって組織を有する労働組合は中央労働委員の、一つの都道府県の区域内のみに組織を有する労働組合の場合は地方労働委員の推薦手続に参与できることになっているのであります。従って、現行法並びに同施行令によりますれば、二つ以上の都道府県にわたって組織を有する労働組合が労働委員の推薦手続に参与できるのは、中央労働委員についてのみであって、都道府県に所在する当該単位組合の支部、分会等の組織は、当該都道府県の地方労働委員の推薦手続に参与できないことになっているのであります。  ところが現実には二以上の都道府県にわたる組織を有する単位労働組合の支部、分会等は、当該都道府県の労働運動に大きな影響力を備えており、当該都道府県の労使紛争の調整機能の上に及ぼす影響をも決して見のがすことはできないのであります。のみならず不当労働行為の救済については、労組法第七条第一号の組合員個人の救済の場合、これら単位労働組合の支部、分会等が、事実上単位労働組合にかわって当該組合員の利益のための主張をする地位を有しているのであります。しかるに現行法によれば、これら単位組合の支部、分会等にあっては、その組織がいかほど大きくても、独立した労働組合でないとして、当該都道府県の地方労働委員の推薦手続に参与できないことになり、労働委員会制度の本質からいっても、また現実の労働行政の実施上からいっても、現実に即しない制度であるというべきであります。  しかもこの現実に遊離した現行法のもとにおいては、すでに労働行政の実施に事実上障害を与え、同一の単位労働組合の規約でありながら、都道府県を異にすることによって労働委員会がその解釈を異にし、単位労働組合のいわゆる支部、分会等に対して資格あるものと認定するものあり、またこれに反する解釈をするものがあって法の運用に混乱を生じ、また労働組合は、この混乱を避けるため心ならずも二都道府県にわたる組織を有する労働組合は、形式上連合団体たる労働組合になす等の無理を来たしているのが現状であります。かくては、労働行政の正常な運営に障害を与え、また本来労働組合が任意にその組織形態を選ぶべきに対して、地方労働委員の推薦手続に参与したいがため、あえて連合団体の形式を選ばなければならないということは、労組法の趣旨である自主的組織擁護の指導理念にも反するものといわなければなりません。  ここに労組法の一部を改正して、これらの障害を排除し、もって労働行政の円滑な運用と、労組法の本来の趣旨である労働組合の自主的組織擁護の機運を育成しようとするものであります。  以上が、この法律案の提案理由及び大要であります。何とぞ慎重審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。  次いで、ただいま議題となりました労働基準法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。  労働基準法第六十二条第三項は深夜業禁止の例外規定として、交代制による女子の深夜労働について別段の規定を設けております。すなわち、交代制労働の場合において行政官庁の許可があれば、労基法第六十二条第一項の規定にかかわらず午後十時三十分まで労働させ、または午前五時三十分から労働させることができるというのがそれであります。  この規定は、現行の八時間労働制のもとで労働者(この場合女子労働者)を二交代制で労働させようとする場合に、労働基準法第三十四条によって労働時間の途中において、一交代ごとに四十五分の休憩を与えなければならない関係から、午前五時に始業した場合にその終業時間は午後十時三十分になり、従って深夜業を禁止している労働基準法第六十二条第一項に違反する結果になるわけであります。すなわち、二交代制で八時間労働を行なわせようとすれば、どうしても午前十時以後午後十時三十分までの三十分間が必然的に深夜業にまたがるので、これについて例外措置を認めようというのが、同規定の趣旨であります。しかしこの点については、かりに深夜業を全般的に禁止するとすれば、労働時間の八時間制をくずすことになり、八時間制を固守すれば、深夜業にまたがるということで、そのいずれをとるかについて立法当時から相当議論のあった点であります。結局資本家、特に二交代制によって労働者を労働させている紡績資本家の圧力によって、この労基法第六十二条第三項が創設され、女子労働者の深夜作業に対する例外を認める結果になったというのが過去の経緯であります。女子労働者について深夜作業が弊害のあることは、すでに世界の世論であり、一九一九年及び一九三四年のILO総会においてもこれが禁止のための条約案が採択され、前者については一九二一年六月十三日、後者については一九三六年十一月二十二日にそれぞれ発効し、今日においては、前者については五十二カ国、後者については三十六カ国が批准している現状であります。しかるに日本においては、いまだこれが両条約とも批准するに至っておりません。しかも批准の障害をなしている最大原因は、この労基法第六十二条第三項の規定というべきであります。  また最近におけるわが国の労働情勢を見た場合、労働者の労働条件は年ごとに改善が行なわれ、この女子の深夜労働の排除についても、その大部分が労使の間で解決を見ているところがあります。深夜労働の排除がこのような労使の自主的な話し合いによってその解決を見つつあることはきわめて喜ばしいことではありますが、この種の自主解決は、組織力のきわめて強いところにおいて初めて可能であり、これを全使用者に及ぼそうとすれば、現行法のような例外措置をこの際認めないこととする法改正がどうしても必要なのであります。  深夜業の禁止は、今日すべての近代国家において採用されているところであり、わが国としてもこれが実施に厳正を期すべきであると考えるものであります。われわれは以上の趣旨に基づき、この際、労働基準法を改正して深夜業禁止の例外措置を削除し、もって女子労働の保護と国際的労働条件への接近をはかるべきであると考えるものであります。  以上がこの改正案を提出する理由であります。何とぞ慎重審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 なお、両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————

中野四郎自由民主党

○中野委員長 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  昨日、麻薬対策に関する問題の調査のため、参考人出頭要求に関する件につきまして委員長に御一任願いましたが、本日財団法人復光会総武病院長青木義治君、東京都婦人相談員兼松左知子君及び麻薬対策推進のための会の委員菅原通済君の三名の方々に、参考人として当委員会に御出席いただいております。  参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。参考人には御多忙のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございました。本問題につきましては各方面に広く関心が持たれておりまするが、当委員会におきましても、この機会に本問題に深い御関係をお持ちになられますあなた方から忌憚のない御意見を伺い、調査の参考といたしたいと存じます。  なお議事規則の定めるところによりまして、参考人が発言なさいます際には委員長の許可を得ていただくことになっております。また参考人は委員に対して質疑することはできないことになっておりますので、以上お含み置きを願いたいと存じます。  なお議事の整理上、御意見をお述べを願う時間はお一人大体十五分程度とし、御意見の開陳のあとで委員の質疑にお答えを願いたいと存じます。  ではこれより参考人の御意見を伺いまするが、最初に菅原通済君よりお伺いいたしたいと存じます。

菅原通済麻薬対策推進のための会の委員

○菅原参考人 十五分では少し意見が述べにくいのでありまして、できれば私は三十分くらいさしていただきたいのですが……。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 どうぞおやり下さい。

菅原通済麻薬対策推進のための会の委員

○菅原参考人 おしかりがあったときにやめます。  この麻薬に対する国民の関心が、私から言わせると非常に薄い、今までのやり方では、とうてい麻薬の撲滅なんということは期し得ない、こういうのが私の持論でありますが、大体このごろ少年少女が睡眠薬遊びをいたしますと、みな騒ぎ立てる。この議会でも騒ぎ立てたそうでありますが、しかしこれはわずかに五百名か千名の少年少女、しかも少年を責めるのは過酷だろうと思う。おとなが悪いからこそ少年がああいう遊びをする。しかるに麻薬は、睡眠薬にまさること非常な強い薬である。つまり睡眠薬から見れば、形はおかしいでしょうが、約千倍も強い麻薬の、その中毒になっている者が四万人、これを常用している者が二十万人、愛用者が五十万人、こういうおとなの世界が麻薬禍に悩まされていることについては、あまり世間では騒ぎ立てないというのは、今まであまり知らしむべからざるの政治だったのじゃないか。これからはもうこういうことをみんなが知って、国民全体に知ってもらわなくちゃならないというのが私の持論なんであります。  睡眠薬にしてもあの通り六十種類もあり、うち二十種類も劇薬であるというのが今まで野放しになっていたのが実情なんです。この麻薬のことは専門の方から御説明があると思いますが、今はやっておるのがヘロイン、つまりアヘンからモルヒネになり、モルヒネからヘロインになったのです。あのアヘンですらわずか百年の間に、中国の清朝末期のあの五億の民を亡国の民にしてしまったのだ。そのアヘンを精製したモルヒネは、六倍も七倍も強い。そのモルヒネをまた精製した今日のヘロイン、つまりアヘンから申しますれば百倍も強いような今日のヘロインをもって、日本の五千万くらいの人間を退治してしまうのは、もう二十年を要しないだろうと僕は思います。しかも日本人はそのヘロインを、事もあろうにすぐ動脈に注射してしまうのだ。外国人がやっているたばこの先につけて吸うようなゆうちょうなことをやらないで、それをいきなり注射してしまうのですから、その害毒が非常な、数倍、数十倍するものになりまして、そして二週間もすれば中毒になり、五週間もするともう廃人、いわゆる地獄街道を行くのを早めなくちゃならないというのが、この麻薬のおそろしさです。そのほかコカインもあり、あるいは大麻もあり、あるいはその他の合成のものもございますが、大体今、日本を侵略しつつあるのはこのヘロイン、しかもそのヘロインは、もう国法によって製造を禁止されておるものである。世界各国いずれの国でも、こういう百害あって一利ないヘロインは作ってはいけないのだ。それがどういうわけで日本に入ってくるのか。日本の領分を、東洋の分け前をもらったリーという男が、麻薬天国日本ということを言っております。すなわち日本ほど麻薬の密輸入が簡単なところはないのだ、日本ほど利益の多いところはないのだというのが、彼の言い分です。だから麻薬天国日本ということを言っておる。そういうものを今まで野放しにしておったというのが、今までのあり方だろうと思います。  そしてこれはもちろんケシから作るのでありますから、ケシが——中国の一番偉さは、先ほど申し上げました五億の民を滅ぼさんとしたのを、あの林則徐が現われてアヘン戦争を起こし、また孫文先生が現われてあの革命をなし、蒋介石がまた衣鉢を継ぎ、今日毛沢東によって中国から一片のアヘンもない、こういうことにしましたことは、隣国のためにもまた人類のためにも喜ばなくてはならないことなんですが、その中国に今やケシが花盛りであるということです。中国は津々浦々に中共の政権によって——一九三九年ですか、あの奥地に追い込められたときに、林伯渠なんかがソビエトから帰ってきて、あそこにケシを栽培して、そうして軍資金に充てたのだ。そうしてまた今度中共軍が蒋介石を追っ払った、その昔の味を忘れずに、今日ロー・ジュイ・チンが総指揮官となって、中国にあの膨大なケシを栽培しつつある。年間約二万トンないし二万五千トン、こういう膨大なものを中国で製造して、それがいつの間にか南寧、昆明、ああいうところの四つの州に入りまして、そしてそれをヘロインに製造して、暮夜ひそかに、大体において香港から密輸される。今日密輸されるのはシンガポールからも来ます。タイからも来る。あるいはアモイからも来、フィリピンからも参りますが、大体において香港経由のものが非常に多い。北鮮からも参ります。  その運んでくるのは中国人のボスによって運び出されて、そうしてこれの運び人は大体において軍人、軍属、外交官、スチュワーデス、船長というような特権階級で、おもに白人、このごろは戦争が終わりまして黒人がいなくなりましたので、おもに白人がそれを運び込む。そして中国人のボスによってこれを受け取り、そこから十三階段の階段を経て日本人や朝鮮人の手に渡って、そうしてああやって密売されているというのが実情であります。しかも香港あたりで、ヘロインが九九%、上等なものです。そうして純度も高い。これが一グラムわずかに大体六百円、七百円ですか、それほど現地においては安い。それが日本に運び込まれて一番末端で一体幾らで売られているかというと、純度が二〇%、三〇%くらいのものに減って、悪いものになって、これを日本貨に換価いたしますと約六万円です。六百円のものが六万円になって売られている。ですから年間約九百億円くらいのヘロインが使われて、そのうちの七百億円は第三国人によって利益を占められるというのが、今の日本の実情です。さっきの睡眠薬遊びで子供の世界を責めるおとなが、自分たちが九百億円も浪費して、しかも九百億円のうち七百億円も三国人にせしめられているということが実情だということには、あまり驚かない。去年観光事業でもって一億二千万ドル、四百億円もうけたといってみな得意になっているが、その陰にはそういう七百億円も流れてしまうことをだれも気がつかない。それですから、この麻薬が組織を完全にして、そうしてなかなか一般の人にはそういう密売品をつかむことができないというような組織になっているから、レーニンが自分の共産党の細胞組織を作るときに、あの麻薬の密売を学べということを言ってひやかしている。これは全くうなずける。  またどうしてそういうふうなものが日本に流布されたか。いわゆるこの戦争の末期に覚醒剤、つまりヒロポンが使われたり、あるいはナポレオン軍によってモルヒネが使われたと同じように、日本軍が、あるいは朝鮮戦線あたりではアメリカ軍もずいぶんヘロインを使いましたが、この多量なヘロインの隠退蔵物資を摘発に来たのがあのキャノンです。あのキャノン特務機関によってヘロインが、隠退蔵物資が発見されて、そうして彼がこれをたばこの先につけて吸ったのが因果で、彼は麻薬中毒患者になってしまった。麻薬中毒患者の特質としてああいうふうにいらいらするから、ピストルをしょっちゅう撃ってはみんなをおどかす。田中榮一君のごときは警視総監のときにしょっちゅうやられていた。そのためにしまいに麻薬の横流しを覚えて日本にまき散らかしたというのが、そもそも日本に広がり始めた。あの悪虐無道のキャノンというやつです。これが日本に広げた。そして彼はしこたま金をもうけて、いつの間にか風を食らって逃げてしまった。そのあとをアロンゾ・B・シャタックに受け継がせて、これがまたこれでしこたまもうけた。ナイト・クラブをやっているのは皆さん御存じの通りです。ああいう大きなナイト・クラブにまたぞろ日本人が行って、千円のハイボールを飲んで、二千五百円のビフテキを食って、女のけつをながめに行こうというのが日本人、何回も何回も搾取されている。このままこれを放置しておいていいかどうか。  先ほど申し上げました運び人が白人であるということにつきましても、あまり世間では御存じないだろうと思いますから、一例だけ申し上げれば、去年グァテマラ大使がアメリカでつかまりましたが、グァテマラの大使がマンハッタンに入るときに、こっちの自動車が向こうの自動車に投げ込んだスーツ・ケース、一体それに幾ら入っていたかということです。すれ違いの自動車に投げ込んだだけでも、十七億八千万円のヘロインが入っていた。ヘロインは小さくて持ち運びが簡単で、値段が高いということがおわかりだと思う。そういう例が日本にたくさんあるのです。あるのだけれども、これを遠慮して発表することすらできないというのが、今日の取り締まりの状態なんです。  ヘロイン中毒患者のあの哀れさは、想像だに及ばない苦しみをしなくちゃならぬ。これを治療する方法も、今青木先生がいらっしゃるから御説明になると思いますが、今の精神衛生法ではとうていできません。  それから今の密売人なんかを取り締まるにしても、厚生省にわずか百五十名の専門Gメンしかいない。そしてこれなんかはみんな命を張ってやっているのに、いかに彼らがみじめな扱いを受けているかということです。たとえば厚生省にしても麻薬課というものはすみのすみで、一番きたないところに追い込まれているというような状態です。横浜においでになればわかるのですが、地下室の物置のそのまた奥でなくては置いてくれないというのが、今の政府のやり方です。そして今の中毒者を治療するのに、短いのでも半年はかかる、長いのは十年もかかるというのに、収容施設というものはほとんど見るに足るものは一つもないというのが、わが日本の現況であります。  申し上げたいことがたくさんあるのですが、これが今までのように、パン助だとかあんちゃんであるとかいう者だけが中毒であるのだったら大したことでもないと思いますが、もし万一、一国の政治を左右するような方々が、あるいは一国の財政を左右するような方々が麻薬中毒患者になった場合に、一体日本はどうなるのか。頭が狂う、一時的錯覚を起こす、あの麻薬中毒者になったときに、一体どういうことになるのか。あの松岡外務大臣ですらコカインの中毒者になって、ああいう目におあいになったことは、これは御記憶に新たなところであります。こういうようなりっぱな人たちがみんななる。いわゆる医者からおなかが痛いといって注射をされた人たちが、だんだん習慣にもなりまして、そして麻薬中毒になる方が非常に多いのです。だから上流階級にも非常にしみ渡っているということです。例はたくさんとってもよろしいのでございますが、ハリウッドの女優さんだけでも九十七名チェックされているのです。日本でもたくさんありますが、きれいな人の悪口を言うのはきらいだから申し上げませんが、たくさんあるのです。何もジャズ・メンに限ったことではございません。こういうものが政界にでも侵入されたら大へんなことです。ヒロポンよりはもっと強いところの、百倍も強いのがヘロインでございますから、ぜひこれは寄ってたかって退治しなければならないと思います。  大体において、中国は皆さん御承知のように、上海の青幇の親方の杜月笙、その娘の林少姐という者が夜の女王と称として香港に蟠踞して、手下を約三千人使って海をこれが押えております。それから今度は空の上からは、タイのプラハあるいはさっき言ったリーらその他の大きなボスががんじがらめに取り巻きまして、日本に怒濤のごとく押し寄せてくる。日本が一番これに乗るのに簡単で、一番利益があるというのが現況でありますから、どうか一つ皆さんも十分御関心をお持ち下さいまして、何とか至急退治していただきたい。このままではとうていいけません。一日の急を要します。そしてその情報を得ることが一番大切ですが、日本ではたった一人の情報官が香港にいるだけです。予算というようなことはいろいろむずかしいことがあるでしょうが、何とか一つ緊急に、あしたにでも金を出していただいて、少なくとも四、五名は厚生省から海外に情報官を派遣していただきませんと、ちょっと入ってくるとじき十億、二十億、百億というものが入ってくる。どうか一つ絶大なる御協力を願いたい、こう考えます。ありがとうございました。(拍手)

中野四郎自由民主党

○中野委員長 兼松左知子君にお願いをいたします。

兼松左知子東京都婦人相談員

○兼松参考人 私は新宿の地区におきます売春防止法によるところの婦人相談員でございまして、売春防止法が施行せられましてから一番更生をはばんでいるのが、ひもとそれからもう一つは麻薬の問題でございます。  新宿には一体どれくらい要保護女子がおるかと申しますと、大体街娼、町に立つ者が千五百名、あと、いわゆる潜在しておりまして、コール・ガールあるいはバーなどに働いておりまして、隠れて売春をしておるのではないかと思われますのが数千名という数に上っております。合わせまして大体五千名から七千名ほどになるのではないかということでございます。ところが、その街娼の中の三分の一が麻薬常習者でございます。そのほか、先週二十四になる若い女の子が、一度も売春で検挙されたことはございませんけれども、この三月から麻薬をやっておりまして、もうある学校の教師と結婚をする約束までできておりましたのに、そのキャッチ・バーでもって麻薬を知りまして、結婚に踏み切ることができませんで、先週参りまして病院に入れましたが、その女の子に聞きますと、街娼でもって売春をやらないで、いわゆるキャッチ・バーなどで売春をやっておる女の子の中に、麻薬をやっている者が相当いるという事実を聞きまして、大へん驚いたわけでございます。それで麻薬をやるために、一日三千円から五千円の白い粉を必要とするためにお客を取らなければならない。そういうことで、結局麻薬を解決しなければいわゆる売春も解決しないのではないかというふうに私どもは感ぜられます。私は売春問題からも、この麻薬をぜひ取り上げてほしいと願います。  その一つにこういうことがございました。昨年の暮れでございましたが、あるやくざが自殺いたしました。それはかたぎになるためにいろいろ苦しみまして、その結果首をくくったのでございますけれども、そのときに私あての遺言書がございました。それでその弟は、大学も出た現場に働いている工員でしたが、私の表書きをたずね当てまして初対面して、ぜひ兄からこの遺言書を渡してくれと頼まれたということでその封書をもらい、私は驚きました。大へん働きもいい青年でしたし、未来を楽しんでおりましたけれども、その封書をあけましたときに、ただ一つ麻薬だけはやめたい、麻薬を何とかやめさせるように、そして自分たちの仲間の麻薬の常習の人たちを救ってほしい。兼松さんはそういう仕事をしておってまのあたり見ているので、ぜひこの仕事に協力したいのだが、これだけは自分が頼んで死んでいくというようなことが、これはドラマでも何でもございませんで、事実の遺言状でございました。私はそれを見まして、もちろん仕事であるが、非常に打たれまして、何とかしなければならないというふうに実は感じておるのでございます。  それで今何千名もいる中で、彼女らは非常にグループの仲間意識、いわゆる一般しろうとの世界からつまはじきされておりまして、それぞれ仲間意識がありまして、一人の人によくめんどうを見てやりますと、次々に情報が交換されましてたずねて参ります。大体月に十人から二十人くらいの、しかもそのたんびに新しい女で顔ぶれが違うということは、新しい患者がふえているということでございますけれども、参りまして言いますには、自分たちは薬を断ちたいけれども、なおすのにお金がない。お金を売春によってためて、あと一つためれば病院に入れるというときにつかまってしまって、罰金を取られるというような事実、それは現在では病院に入れるというようなことが、国でもってなされてないからであります。それから彼女らにとってなぜ麻薬をやりますかという動機の半分は、お医者さまからお話しなさると思いますが、たとえば胃が悪いとか婦人科が悪いとか、いろいろな病気であります。病院に行けばいいじゃないかということは、これは私たち一般の考え方でありまして、ドヤの中で、ごろごろ寝ておるやくざや売春婦の仲間が、それじゃこれを一発やったらというのでやりますとききます。それで次も繰り返す。金がなければバイ人は前貸しをします。それで義理があってまた次に打つということになるわけであります。大へんな痛みをこらえながら来ましたのが、結核で血を吐きますのを私ども車で病院に運びまして、それから一週間後には死んでしまったという売春婦もございます。それから、病院に入れられませんで、ドヤの中で三時間余りも、八頭身もあるような大きな売春婦をふとんにくるんで上から押えつけて、禁断症状を守ってやったこともあります。しかしそういうふうにめんどうを見てやれば、彼女らも能力的にはほかの売春婦よりも深く——精神的には多少片寄りがございますけれども、何とかそこに保護更生の機関があれば、しかもそのドヤあるいはやくざの仲間から抜け出す環境を与えることができれば、立ち直ることができるのじゃないかと思います。それにしましても、弱い彼女らに麻薬を売りつけるところのバイ人は、一そうの取り締まりによって絶無にしますように、国でもって保護機関がなされますように、ひたすらお願いするものでございます。(拍手)

中野四郎自由民主党

○中野委員長 青木義治君にお願いをいたします。

青木義治財団法人復光会総武病院院長

○青木参考人 私はこの十年間、いろいろな中毒を取り扱って参りました。昭和二十七、八年ごろはヒロポンと申しました覚醒剤、あれをほんとうに日本全体のほとんど大半の青年がポンを打ちまして、それがいろいろな犯罪行為をやって、あるいは精神症状が激しくなったりして、非常に社会的に問題を起こした。そのころ私たちがそういうあばずれた青年を収容して治癒をしまして、ずいぶん苦労をしたものでございます。だんだん時世が変わりまして、そういうヒロポンから今度はチクロパンといいましてバタン・キューというものですが、あれを打ちました。睡眠麻酔剤といいまして、盲腸や何かを手術するときに使う麻酔剤です。それを使って彼らが意識不明になってぱたんと倒れることに、非常に快感を覚える。それからチクロパン中毒者がふらふら酔っぱらった状態で歩く。その上に酒を飲んでけんかする。そういうことを町の青年たちがやり始めた。そういう中毒者がだんだんふえまして、その後チクロパンの中毒者からだんだん睡眠剤の中毒者になり、その一部がまた酒を飲んであばれたりする。そういう青年たちが、今度はいわゆるペーと申しますヘロインに移行したわけです。そしてそういう青年たちが町にうんといるのですが、私の病院に来るのは数が少ないのです。  ああいう連中は、自分が中毒にかかっているということがわからないわけです。とにかく注射をしますと非常に気持がよくなる、非常に快感を覚えるわけです。前の覚醒剤みたいに、注射を打って町をがちゃがちゃ歩くとか、けんかするとか、そういうものではなくて、むしろ麻薬の方は、打ちますと静かに寝ているとか、音楽を聞いているとか、テレビを見ているとかで、ふっと気がつくと三、四時間たってしまう。そういうような快感にふけっておりますので、静かなので、あまり社会的に実際そこに害はないのです。しかしそういう連中は薬を得たいために——ほとんど何も仕事をしない。朝から晩まで薬のことを考えて、どうしたら麻薬が手に入るだろうかということだけを考えております。そのときには、麻薬を得るためには、あらゆることをやります。どんな罪を犯してもかまわず、破廉恥なことをやります。実際私たちが取り扱った患者の中には、大学を出ておる方もありますし、相当教養もあるような女の方もあるのですが、一たび中毒になりますと、そういう道徳的な観念は全然なくなってしまう、そして非常に破廉恥なことを平気でやっていく。そういう患者をわれわれは取り扱ってきました。  よく映画とかテレビなんかに出ておりますように、薬をやめますと、禁断症状といいまして苦しんでもがく非常に苦しい状態があるので、その苦しみをのがれるために打ってしまうという傾向があるので、どうしても早く禁断症状をとらなければいけない。しかし一般の方は、禁断症状さえとればなおったというふうに簡単に考えております。事実禁断症状をとるだけは、大体二、三週間でとれます。しかしそういう中毒患者はやはり不良仲間に入っておったり、また不良仲間に近づかなければそういう麻薬が手に入らない。しかもそういう連中をよく見ますと、そういう中毒に入る前からすでに不良仲間に入っておる、あるいは不良に近づいておる。学校をサボっておるとか、あるいは仕事をやらないとか、非常に人格的に破綻を来たしておる人間ばかりです。そういう人間ですから、たとえば禁断症状をとっただけでは、ほとんどすぐまたもとに戻ってしまう。そして麻薬を打ちたくなる。  実際麻薬を得たいということは、たとえば皆さん方の中にもお酒を召し上がる方もあると思いますが、お酒の快感ですか、お酒を飲んで非常に気持がいいという一つの快感、それから人間の本能としての性行為、性の行為よりもはるかに麻薬の方がいい、そういう快感をああいう連中は感じております。ですからそういう快感を一たび自分が感じてしまいますと、いけないといってもやはりそれがほしくなる、そういうところに麻薬のこわさがあると私は思います。つまりどんなものよりも、お酒を飲むよりも、睡眠剤でべろべろに酔うよりも、あるいは性の行為をするよりも、もっと気持がいいという一つの快感です。ですから麻薬中毒者は酒を飲みませんし、男の人だったら女遊びなんか全然しません。女なんか全然関心がなくなってしまいます。そういう状態になってしまいます。ひたすら麻薬だけに走ってしまう。せっかくなおしても、またちょっとしゃくにさわることがあると、すっとペーを売っている場所に行ってしまうというような状況であります。ですからせっかく病院でなおして家へ帰しても、あるいは帰る当てのない連中なんかは、すぐまたそういう不良仲間の方に入ってしまって、すぐ打ってしまう。一たび麻薬がからだの中に入りますと、なかなか簡単にはなおらないということです。そういうところにやはり麻薬中毒をなおす困難性があると思います。  しかもああいう連中は、自分が快感を得るために打っておるのだ、何もこんなものを法律でとやかく言う必要はないのだという、非常に甘い考えを持っております。ですから自分から進んで入ってくるという連中はほとんどありません。しかも金が少しでもあれば、あるいは洋服の上着でもあればこれをペーにかえてしまう、麻薬にかえてしまうから、お金の融通のつく限りは全部麻薬を打ってしまう。ですからとうてい自分から進んで入るということはあり得ないわけです。そこに非常に治療のむずかしさがあると私は思います。病院に入ってきましても、大体おれはこんなものなおす必要はないのだというような態度を示しまして、医者に食ってかかったり、看護婦に食ってかかったり、あるいはおれはもうこんなところにいる必要はないのだと、ドアをけ破って帰ってしまう。そういうふうな非常に傍若無人なふるまいをしております。そういうので、この数年間われわれはずいぶん苦労して参りましたけれども、いかに努力しても成果が上がってきてないことが、非常に嘆かわしいと私は思っております。  今もいろいろな強制的な入院の方法はあるにはありますけれども、それが彼らが自分から進んで病院に入院しようとはせず、またかりに生活保護法だとかあるいは健康保険とかそういうものがありましても、健康保険なんか使えるような仕事に従事しているわけではないし、それから生活保護法の医療券をもらえるというような、そういう住所がきまったところでなく、始終動いておりますからもらえませんし、それから精神衛生法の二十九条による強制入院の方法は、法としてはあるのですが、実際近所に麻薬患者がおりまして、付近の者がこれを入院させるように申請しますと、あとでおっかないものですから申請ができない。ですからそういうルートはできていても、実際現実には強制的な処置が全然とられない。ですからそういうところにもやはり法的の一つの大きな不備があると私は思います。入院は、そういうふうにどうしても国家でも相当強力に長期入院をさしていただくようにしなければならぬ。しかも入院した場合に、彼らがわれわれに食ってかかる。つまり自分はなおしたいと思っても、少しのことでもかっと怒る。非常に怒りっぽくなりまして、根気がなくなります。ですからじみな職業なんか全然つくはずがないのです。そういう者を何とかしてまともな生活に仕向けなければならぬ、そのために病後指導というものが非常に大切なんです。  しかしそういう連中は、大体不良仲間に入っておりますし、親や子供がそんな者は要らないというような態度ですから、なかなか受け入れ態勢が十分いかないし、そんなまともな生活をするよりも、やはりやくざ者とかならず者、そういう生活に入った方がおもしろいのだという気持がなかなか抜け切れませんし、せっかく更生しようと思ってもすぐ失敗して不良仲間に入ってしまう、そういうことを繰り返しているわけです。ですからそういう患者をなおす場合には、そういう人格を訓練していくこと、それから職業につけるじみな生活態度にしなければならぬ、そういうところにやはり非常に長期の入院が必要だと私は思います。どうしても二年とか三年とか、あるいは五年とか六年、そういう長期に入れなければとうてい治療の効果が上がってこない。ですから一人の患者をなおすということは、大へんな騒ぎなんです。相当の費用が要ると私は思います。しかもそういう連中がたとえば自分がやめようと思っても、一たび病院から出ると、やはりそういう不良仲間に入ってしまうのですから、これが更生はなかなかむずかしいように私感じておるわけなんです。  ですからそういう面で、まだ日本の施設はほとんどできておりませんし、またそれに従事するわれわれ医者とか看護婦でも、そういう希望者がほとんどないわけなんです。そういう方法を一体どうしたらいいかということをわれわれは始終苦労しておるのですが、やはりわれわれに何か権限を与えてくれなければ、患者はもうやくざ者とかならず者が非常に多いのですから、勝手なふるまいをしてしまう、そういう傾向が多分にあります。現に私の病院の分院が神戸にありますけれども、昨年十一月できたのですが、向こうの神戸地区の方は中毒者として見ましても非常にあばずれた男とか女が多いので、なかなか収容に困りております。どうしてもわれわれは何か権限を、たとえば司法的な権限を与えてくれなければ、患者が病院で静かに治療するということをやってくれないのです。そういう点はやはり十分考慮していただいて、現在のいろいろな法規を直していただくとか、あるいはむしろそういう施設は国家が中心になって作っていただいて、そうして司法権を発動していただいて、あるいは管轄を厚生省よりも司法の方を主体として、医者がその中へ入っていくという形にしなければ、とうてい治療体制さえもでき得ないのじゃないかというように考えております。  ふだん私たちが悩んでいること、それからこうしなければならぬということの二、三を申し上げまして、何か御参考になれば幸いに存じます。(拍手)     —————————————

中野四郎自由民主党

○中野委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。小林進君。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 三先生にごく簡単にお尋ねをしたいと思うのでございまするが、まず菅原先生にお伺いいたしたいことは、厚生省、警察等で麻薬の取り締まりは年々歳々強化をされているふうにも考えられるのでございますが、患者の増加率でございますが、一体ふえているものか、現状に停頓しているものか、減っているものか、この点を一つお聞かせ願いたいと思うのであります。

菅原通済麻薬対策推進のための会の委員

○菅原参考人 それは今専門家が来ておりますから数字で申し上げますが、非常にふえておるということです。非常な率でふえておるということです。急角度にふえつつございます。こまかい数字は厚生省の専門家が来ておりますから申し上げることができると思います。  それから今御質問のことですが、ちょっと言い忘れましたことがありますからつけ加えさしていただきたいのですが、今青木先生から法律改正のことが出ましたが、日本に入ってくる原因は、非常にもうかるということも一つですが、刑罰が軽いということです。たとえば麻薬密売人は、相手がこれで死ぬということを知りながら毒薬を売るのですから、アメリカのごときはこれをスロー・マーダーと称しております。ですから自分は注射しない、相手には売るのだ、毒薬と知りつつ売るということですね。しかしそれに対して日本の刑罰は非常に軽い。日本がアヘンから免れ得たのは、明治三年の太政官布告五百二十一号ですか、斬首、遠島です。首をちょん切ってしまう。あるいは遠島を申しつけるというような非常な厳罰主義だったから、日本はアヘンから免れ得た。戦後法律を改悪してしまったために、日本は一番重いのでも十年なんです。しかし十年なんて夢みたいなもので、大ていのものは一、二年でどんどん出てきてしまう。また保釈金を山と積んで出るのが彼らの常套手段なんです。中国でも台湾でもタイ、みな銃殺です。アメリカのような民主国ですら、未成年者に売った場合には絞首刑です。首くくりです。それから二犯が四十年です。三犯は終身刑です。そういう厳罰主義でもって臨んだからよかったわけです。  それからもう一つ困りますのは、今のそういう運び人が非常に巧妙になりつつありまして、たとえば神戸で今二百円くらいしないものが、大阪に来れば六百円だ。横浜に来れば千円だ。耳かすみたいなわずかです。紙包みですが、中をふっと吹くと飛んでしまうような、そういうものを運び人が少年、少女を利用することが非常にふえた。もう一つは、びろうな話ですが、御婦人なんかがあるいはコンドームに全部入れて、あそこに入れると百万や百五十万は平気に詰まってしまうのです。中には御承知のお酒の一合びんまで詰め込んで持ってくる運び人もある。男の方も負けていられないから、肛門の方から中の方にたどって入れるというような、非常に巧妙な方法をみな用いている。これを捜査しますときに、一々物的証拠がなくちゃいけないのですから、とてもやかましいので、御婦人なんかを調べるということはとうてい不可能です。その間に逃げてしまうのです。捜査令状の出し方も、もう少し何か便法があるのではないか。物的証拠がなくても、環境とか周囲のあれによってやれるというような、そういう点の法律改正も必要じゃないか。少なくとも麻薬密売人に対しては最高刑の死刑をもって臨んでもらいたいということを考えております。今の御質問は、非常にふえているということです。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 いろいろ貴重な御意見を拝聴いたしたのでございますが、このおそろしい麻薬が、先ほどもお話のありました通り、中国においては百年もたたないうちに清朝を倒したではないかということ。日本もこうやって毎年激増して参りますから、おそらくはこのままでいけば、清朝よりももっと早く日本の民族を滅ぼすような危険性があるということになるわけでございまして、早急に手を打たなければならないということを、われわれも今のお話でさらに痛感をするわけでございます。これを押えるためには、今も先生のお話の通りに、運び人といいますか、日本に入ってくるのを何とか押える。それからつかまえたら刑罰を強くして、太政官布告のように遠島、死刑にするというふうに法改正をするということも必要でございましょうし、中毒患者も先ほどのお話の通り的確に収容をして、再度その道に踏み込めないように十分な施設や保護を加えるということも、必要になってくるのではないかと思うのでございますが、それにいたしましても、ただいまのお話のように運び人に白人が多いということ、スチュワーデス、船長あるいは治外法権の軍人とか外交官に多いということになりますと、日本の国内法をいかに厳罰にしても、これはなかなか押えられることではない。それからいま一つは、運んできたものを中国人等のボスか何かが受け取って、そして日本国内にばらまいて、年間七百億円近くの収入を上げているというお話でございますが、これはどう一体押えたらいいものか。私ども今のお話だけではどうも手段、方法に迷うのでございます。今も言うように、グァテマラの大使が自動車から自動車へカバンを投げただけで、そのカバンの中に十七億有余の麻薬が含まれているなんということになりますと、大へんなことでございます。何とかこれを押えるような、あるいは先生の博学のところで、国際的にも他のどこかの国でもこんなことで処置している的確な方法があれば、お聞かせ願いたいと思います。

菅原通済麻薬対策推進のための会の委員

○菅原参考人 何でも不可能ということはないだろうと思うのです。相手がやっているのですから、こっちもそれ以上のことをやればいいのでございまして、たとえば今の運び人なんかのごときも、情報をつかめなければつかまえられない。たとえば今のグァテマラ大使も、フランスの密偵によって情報を早く知ったからこそわかるので、先ほど申し上げた情報が今日本なんか全然落第です。それですからどうしても大至急に情報官を海外に派遣する。それから密告制も、どうもダレスなんかが作ったときには非常に不愉快でわれわれいやでしたが、相手が三国人なんですからごほうびをよけいやる。今のように向こうがせっかく知らせてくれているのに、しょうちゅう一ぱいでありがとうでは、持ってきてくれない。少なくとも百万や五百万くらい礼をやるくらいな方法を講じなければ——これは法的にどういうふうなことで予算をひねり出せるのか知らないが、何かそういう機密費というものがなくちゃ相手がつかめない。つまり彼らが入手経路を白状したということは、御承知の通り、大阪でごらんのごとく、顔の歯が抜かれてあの中にほうり込まれる。つまり消されてしまうのです。情報を白状しないで一年も包んでくれば、二千万円くらいの礼をもらって、日本人の奥さんをもらって銀座裏にバーくらいやって、一生安楽に暮らせる。顔を知られてしまうから二度は使えない。そういうのに対して、今の厚生省の役人なんかは、自由に裁定できる金はわずか月千円です。月千円で、しょうちゅう飲んで長ぐつでは、ナイト・クラブに入れないです。そういういわゆる高等政策をどうしてもここでやらなくちゃいけないということです。少なくとも今の厚生省の麻薬課なんというのは、すみのすみにほうり込まれて一番虐待を受けているようなことではいけないのだから、局か何かに昇格させていただいて専門にあそこでやる。予算も一つ思い切り——厚生省でやる予算では、おそらくほかの方に、取られるからなのでしょう。大臣にびくびくして出せないから、こういうところには横やりを入れて、議会の方から菅原でも派遣していただくくらいな——中山さんもそこにいられるが、中山さんだってびくびくした予算しか出せないのだから、それではだめなのです。やはり先だつものはまるいものです。それを少しよけい取って、そういう情報を非常にやりたいという考えでおります。だから刑法の改正、それから情報のキャッチ、捜査令状のとり方の云々ということです。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 先ほどのお話のように、年間ともかく七百億円、これは為替管理やいろいろの問題がございますから、国内にその金がストレートで出ていかないにいたしましても、日本国内における三国人の手にそういう膨大な金が入って、それが一流のキャバレーやナイトクラブに回っていくということは、日本の経済撹乱の面、社会風紀面から見ても、私は重大問題だと思います。今先生のお話の通り、それを取り締まるためにわずかな国費を節約して、悔いを千載に残すような時期ではないと思いますから、お話の通りできるだけ機構、制度を改革をして、この取り締まりのために万全を期するというお言葉は、私ども全く賛成でございます。非常に貴重な御意見を拝聴したと思うのでございますが、時間もございませんので、それらの趣旨については私ども微力ながら十分協力さしていただくことにしまして、なお参考までにお聞きいたしたいことは、先ほどのお話の中に、何か中国が麻薬を国内においてきれいに解決をしたというが、しかしケシの花盛りで、今非常に栽培をしている。それを新しい中国の再建の費用か軍事費等にするのかどうか知りませんけれども、昆明等から大陸を通じて香港、シンガポール等から海外に売りつけて、ドルですか、外貨をかせいでいるというふうなお話がございました。これは先生、ちょっと失礼でございますけれども、先生もお話しいただくのでございますから、相当的確な資料、確信を持ってお話しいただいておることと思うのでございまするが、その点いま一度承っておきたいと思います。

菅原通済麻薬対策推進のための会の委員

○菅原参考人 これはアメリカの密偵によって、国際連合のあれのときに報告したものが資料でございます。それに対してソビエトあたりが反駁はいたしておりますが、少なくともあそこから出ているものの数字によって、ほぼそれが妥当ではないかと私は考えております。自分の目で見たのでないからわかりませんが、その点においては議員諸君なんかに対して僕は不満があるのです。絶えず中国を御視察になって、あのケシの花盛りぐらい見てきていただきたいと思っているわけです。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 私も五八年と六一年と二回、通算三カ月ぐらい行っておりますけれども、寡聞にしてその花を見なかったものでございますから、今先生におしかりを受けてもやむを得ませんが、今度参りましたときには十分心中に含めて見て参りたいと思います。  ただこの点について、これは厚生省に一つお伺いいたしたいのでありますが、昨年でございますか、薬務局長もおいでになったか——薬務局長かおいでになったときじゃないかもしれませんが、国際条約の麻薬会議が行なわれて、国際的な条約が結ばれている。それに基づいて国際的な共通の法規ですか、法律化することも進められておって、その条約にはたしか日本もサインをしたということでございます。それはいつの話か、われわれ国会におりまするけれども、そういう条約を国会で批准してくれという、国会の承認を求めるという行事がまだ行なわれていないのでありまするが、そういった国際条約左でサインされたことが、一体どうして国会に批准を求められないのか。若干そこら辺に問題の解決をサボタージュしている政府側の怠慢があるのじゃないかと思いまするが、一つお聞かせ願いたいと思います。

牛丸義留厚生事務官(薬務局長)

○牛丸政府委員 ただいまの御質問は、昨年締結されました単一条約の御質問かと思いますが、これは昨年の一月から三月までニューヨークにおきまして、麻薬関係、現在九つの条約がございますが、その締約をしている国の代表が参加しまして、そうして条約の草案を作成しまして、昨年の七月の末までに各国がサインをする、そうしてすみやかに批准をするように要請されて今日に来ているわけでございます。日本政府といたしましては昨年の七月二十五日に署名をいたしまして、そうしてことしの三月に条約の最終の正文が国連を通じてわが国に届いたわけでございまして、今日外務省におきまして条約の正訳をしている状態でございます。従いまして次の通常国会に批准をする手順で今日準備を進めておる、そういう状況でございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 ことしの三月に最終の正文が到着したということでございますれば、今四月でございまするから、あるいは間に合わないかもしれませんが、一つ厚生省の方でも外務省を督励いたしまして、こういうことは早く実行できるように御努力を願いたいと思うのであります。  次に私は兼松先生にお伺いいたしたいと思います。先ほど私ちょっと聞き漏らしたのでございまするが、街娼だけで千五百人、隠れた売春婦も含めて数千名、合わせて五千名から七千名くらいな街娼がいるのではないかとおっしゃった。これは東京都だけでございますか、新宿区だけでございますか。

兼松左知子東京都婦人相談員

○兼松参考人 新宿区だけでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 新宿区だけでこれだけのものがいるということになりますると、これは全く大へんなことだと思うのでございまするが、その一千五百名の中の三分の一が麻薬に侵されているということなので、私は今お話を聞いていると、売春防止法がしかれてから五年、どうもこういうことをやっているという状態は、今の兼松先生のお話のように麻薬と売春というものは切っても切れないから、売春根絶のためにはやはり麻薬の根絶に重点を欄かなければならないというお話はまことに有意義でございまして、私ども敬服いたしまするが、しかしこれくらい売春婦がいるのはどうでしょうか。麻薬とちょっと離れますけれども、だれが悪いのでしょうか。

菅原通済麻薬対策推進のための会の委員

○菅原参考人 麻薬の話はどこかへ行ってしまって、売春の話になりましたが、ことのついででありますから、非常に麻薬と関連性がありますから申し上げます。  売春婦が非常に地下工作が上手になって、ふえた。今の兼松先生のお話のごとく、新宿に限らないで、方々その通りです。これに対して売春対策審議会の、私会長になりまして七年、それから法が実施されて五年、この間いかに努力いたしましても——きょうこういうところに呼ばれて、議員諸君に食ってかかるのははなはだ恐縮で、きょうは決議をしてもらいたいのであまり感情を害したくないけれども、いかに不熱心かということです。あの審議会を開いても議員諸君はちっとも出てこない。出てくるのはぽつんぽつんと一人、二人御婦人の方が出て下さるが、男性の議員はまるで出て下さらない。それから毎年ああいう審議会はつぶせつぶせ——年間わずか四十万円予算をいただいているあの売春対策審議会をつぶせと、方々で放送されている。これははなはだ不愉快にたえない。こういうことではとても売春婦の撲滅を期し得ないのですが、当局の方は非常に一生懸命やっています。大体性病も減って参りましたし、売春婦の数も、今のようなものはありますけれども、一カ所、一カ所に非常に固まってきたということです。この間もそれがために、審議会が要望書を出しまして、それで各警察に取り締まりの強化のことを言いましたので、非常にいい地方もあります。静岡県はそういう通知は来ないと言っておりましたが、少なくとも京都、大阪の方には非常にそれが響いてやっております。絶えずそういう努力はいたしておるつもりでございます。一番不熱心なのは議員諸君が、こういうことでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 これはどうも議員がおしかりをこうむりまして、はなはだ恐縮でございまするが、しかし菅原先生にも申し上げたい。幸い私あたりも売春審議委員にもし国会で任命されたとすれば、私なんか休まないで精励恪勤努めるつもりでございまして、たまたま売春の審議委員に選ばれた議員諸君が非常に怠慢なのでございまするから、その点一つ先生、お間違いのないように区別をしてお話し願いませんと、われわれの方までも被害が参ります。私どもはこの売春問題には非常に熱意を持っておりまして、何とかこれを一つやらなければならない、そういう諸君もおるのでございますから、この点一つ……。

菅原通済麻薬対策推進のための会の委員

○菅原参考人 麻薬と売春と両方で四十万円の内閣の審議会だそうですから、これをどうか決議案で十倍くらいに一つお願いいたします。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 ほかの同僚諸君の質問もございましょうから、私はこれでやめますが、最後に、厚生大臣もちょうどお見えになっておりますので、大臣にお伺いをいたしておきたいと思うのでございます。  大臣もお聞き下さいましたように、麻薬は終戦病と申しまするが、終戦の前までにはわが日本にはなかった。病気のために麻薬を用い、それが習慣となったというような形で、麻薬中毒といわれるものがほんの五百人内外日本にいたかどうかといわれた。それが終戦後、敗戦と同時に怒濤のごとく日本に押しかけて参りまして、今三先生から承りましたように、だんだんそれが激増していって、そうして民族の魂を失わせ、その良心を麻痺している。しかもそういうようなおそろしい状態の中に、お聞きいたしますると、今日までこの麻薬の問題について一回も閣議で論議をせられたことがない。これは私どもは閣議を毎日傍聴したわけではございませんから、真偽のほどはわかりませんけれども、われわれ国会議員同士もいろいろ調査をし、仄聞したところによりますれば、閣議の中でこの問題がまだ一度も議題に取り上げられたことがないというがごときは、もし事実とすれば、私は政府の怠慢まことにおそるべきものがあると言わなければならない、かように思っておるのでございます。今にして抜本的な対策を講じてもらわなければ大へんではないか。私は貧乏人の生まれでありますから、病魔に侵されて苦しむ中毒患者の苦しみもなんでございますが、年間七百億——先生はさっき九百億円と申されたと思う。これだけの金が第三国人の手に入るというその経済的な問題だけでも、実はびっくりしてしまいました。そういう金を、この日本の民族の魂と気性の中に毒を盛りながら、七百億円も八百億円も第三国人にかせがれている、こういう経済的、社会的な損失をそのまま見のがしておくということは、どうしても耐えられない。一つ厚生大臣といたしましては、腹をきめて抜本的なその解決策に着手をしていただきたい。その意味におきましては、先ほどから三先生が言われたように法律改正の問題もやっていただく、麻薬取締法等の改正もやっていただく。それからそういう運び人、国内に持ち込まれる物ですか、そういう品物が入らないように、海外に情報官を——菅原先生は三人か四人とおっしゃいましたが、必要があるならば十人でも二十人でもいいじゃないですか。そういうのも早急に手を回していただく。それからまた国内において、新宿だけでも一千五百名も五千名も七千名も売春婦が手を広げて貞操を売って、そうして麻薬をかせいでいるということはどこの国にもない。われわれの足元にある。こういうようなことを警察も、また売春婦の更生その他については当該官庁である厚生省、厚生大臣が、それを今まで黙認をしてきたなんというのは、実に怠慢きわまるといわなければならぬと思うのでありますが、大臣はごく最近、就任になりまして、一年もたちませんから、大臣だけ究明してみても始まりませんけれども、歴代内閣の厚生大臣、中山さん、あなたも含めて重大なる怠慢といわなければならぬ。そういうことも警察当局と連絡をとって、早急に処置してもらわなければならぬ。  それから青木先生もおっしゃいましたように、中毒患者を処置いたしますのに、せっかくつかまえて病院に持ってきても、その処置ができない、あるいは入れたところで、それを全く更生せしめるには十年以上もかかるという患者が、一週間か二週間かかれば、その禁断症状がとれてしまう。とれてしまったら出さなければならない。出したらまた不良仲間に入ってまたもとの巣に帰ってしまう。こういうことを繰り返していることを、そのままにしておかなければならないというような日本の政治の貧しさであります。こういうことを大臣、十分御考慮を賜わりまして、今私が申し上げました以外にもいろいろ欠陥があると思いますが、この三十七年度において、大臣の御在任中において早急に処置していただいて、少なくとも三十八年度の通常国会には大きくその予算が取り上げられて、三十八年度の新年度からたくましく麻薬対策が巨歩をわが日本において踏み出すような対策をお講じ願いたい。これは大臣にお願いすると同時に、この際大臣の御決意を承っておきたいと思うのであります。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 先ほど来参考人の諸先生から私も種々お話を伺いまして、非常に教えられたのであります。実は私も厚生省の行政の全般を通じて考えまして、いろいろまだ不十分な点もたくさんございますが、特に麻薬の問題、この問題につきましては、今日までも職員はいろいろ勉強はいたしておりますけれども、全体的に考えます場合に、この麻薬の問題に重大関心を払わざるを得ないという状態にあることは、私ども痛感いたしております。お話の通りに、御本人はもちろんのことでありますが、民族の健康、民族の将来というようなことを考えました場合に、今日のごとき姿において放置をすることは許されないという気持すらいたしておるわけでございます。関係当局に、何とか現在のいわゆる麻薬対策について、輸入の防遏の問題もございましょう、あるいはまた事後の対策の問題もございましょう。すべてを総合いたしまして、何とか今の対策を強化する方途を一つ考えてほしいということで、せっかく検討してもらっておるところでございます。ただいままた非常に御鞭撻をいただきましたが、私といたしましてもこの問題につきましては、重大関心を持って善処いたしたいと考えております。先ほど閣議のお話も出ましたが、しっかりした態度をもって閣議に臨みたいと存じておる次第であります。

中山マサ自由民主党

○中山(マ)委員 今のに関連して薬務局長にお願いいたしますが、何年前でございましたか、こういうものを運び、売っている人に対しての罰金というものを、少し値上げをしたことを記憶いたしておりますが、それは今どれだけになっておりますか。  それから第二点は、売春の問題に関連をいたしまして、長い間これに非常な関心を持っておりました婦人等の希望をいれまして、本年度の予算に売春のコロニーというものができたのでありまするが、私考えまするけれども、どなたかの、昔は魔の上海と言ったけれども、今は魔の東京だというお話も聞きました関係上、こういう中でいろいろな処置をしておりましても、すぐまたもとへ帰るというお話を先ほど病院関係の先生から伺いましたのですが、どこか人里離れたところへ、いわゆる売春のコロニーと同じような麻薬のコロニーというものでも作って、そこで働くことをいやがるというお話もございましたし、職業訓練も一応そこでやって、真人間に立ち帰らせる。これは長期の事業になるかもしれませんが、そういうものをやってみたらどうかということを私は考えました。もうすでに五年たちまして、やっと売春の人たちを訓練するコロニーがことし予算でできたのでございますから、今言うて今できることでもございますまいけれども、まず努力を始めなければいけないと私は考えるのですが、そういうことも今大臣が御表明になりました。何かしっかりした対策をもって閣議に臨みたいと、まことに私はこれはけっこうな御発言をいただいたと思って喜んでおりますものでございますが、このごろテレビを見ておりますと、ニューヨークあたりでも、しきりに麻薬の売買を退治する映画を出しております。何と申しまするか、清涼飲料水なんかの中に入れて、そうして下の方でそういうものを詰めているのをつい二、三日前にテレビで見まして、アメリカも戦っているという現状でございますが、向こうは向こう、持てる国ですから、向こうのまねはできませんけれども、即座に向こうのGメン、そういう人は撃ち殺してでもその場で退治するというような強硬な対策をやっておるようでございまするが、いわゆる罰金がどれくらいなのですか。それでいいものでございますか。七百億ももうけるのでしたら、少々ちっとの罰金を課しても、こたえることがないと思います。つかまっても、罰金を払ってまたやるということの絶えざる連続だろうと思いますが、その点いかがでございましょうか。一つ薬務局長さん及び菅原先生の両方に伺いたいと思います。

菅原通済麻薬対策推進のための会の委員

○菅原参考人 今の罰金のことですが、彼らからいうと、罰金なんか問題じゃないのです。最高五十万かそこらなんですから、すぐ払って出てきてしまうので、罰金をふやすなんということは何ら価値ないと思います。われわれ、どうしても体刑を十分強化する、いわゆる相当の刑罰を課さなくちゃいけないということです。  それから今の麻薬対策と同時に患者の収容所でありますけれども、中山先生なんかの御努力によって、やっとコロニーが売春婦の精薄者だけにはできた。できたが、しかしわずかに千五百万円取るのに、わざわざ池田さんのところへ裏まで足を運んだという、くだらない努力までしなければならなかった。それが千二百万円、これについてはあと三億円くらい民間から出そうと言っているのですが、それが五年かかっている。麻薬のごときは当然もっと大切なんです。シンガポールの先には一つの島があって、そこで養鶏なんかさしているのですが、そういうものはぜひともこれは必要だろうと思います。同じところには置いてはだめです。島を作るよりしようがないと思います。これには相当の費用がかかるだろうと思いますが、そういうことをこれからいろいろの情報を持ち寄りまして、厚生省あたりからもいろいろこちらにも出していただく、こう考えております。私は私なりにいろいろそういうことを宣伝して歩いております。百回の地方講演も八十六回までやりました。あと十四回やりまして終わりにしたいと思っております。御協力願います。

牛丸義留厚生事務官(薬務局長)

○牛丸政府委員 ただいまの麻薬取締法の刑期並びに罰金の額でございますが、最高が十年、罰金が五十万円、これが現行法規でございます。これはただいま菅原先生からお話がありましたように、もっと重刑にする必要があるということで現在検討中でございます。それからコロニー的な麻薬の中毒患者のみを収容する施設としては、昨年の予算で兵庫の垂水に、今日参考人として来ておられます青木先生のところの復光会でそういうものを建設いたしまして、現在約三カ月を治療期間としてやっているわけでございます。しかしこれはぜひ国が直接維持するような方策で将来やりたいと考えております。

小沢辰男自由民主党

○小沢(辰)委員 私、菅原先生に対策について一言お伺いしたいのですが、ヒロポン対策、ヒロポン撲滅運動のときは、地域ぐるみ、町ぐるみ運動というものを非常に盛んにいたしまして、一方警察と厚生省が協力をしまして、この一年間という非常にわずかな期間内に、ほとんどこれを撲滅し得たというほどの実績を示した実例があるわけでございます。麻薬の問題については特殊なものだ、あるいは特殊の人たちの常習だ、地域的に見ても非常に繁華街に集中しているというような特殊性もあろうかと思いますけれども、ただいま参考人にいろいろ対策をお伺いしましたが、そのほかに地域ぐるみ、町ぐるみのもっと徹底したPR運動をやって、地域的な組織をできるだけ動員して、そして撲滅運動をやるということについて、その辺が比較的やりやすいものか、困難なものか、そういう点についての意見を、場合によれば兼松先生からでも伺っておきたい。  それからもう一つは、行政機構についての先生の御意見がなかったようでございますので、私お伺いしたいのでありますが、やはり厚生省の麻薬関係、これは先ほど、大きくして、徹底的に行政機構も確立してやらなければならぬという御意見でありましたが、厚生省の大臣以下、主管の局長さんや課長さんにはちょっと申しわけないような言い方だけれども、どうも厚生省で麻薬をほんとうに国家的に撲滅運動を起こすとなると、やはり一番大事なことは警察といいますか、そういう今までの練達した、なれた人の情報というものが非常に大きい。しかも先ほど申しましたように、報償金にしましても、いわゆる行政官庁の一般的な経費を予算で要求するようなやり方でなくて、つかみ金で一億でも二億でも持って、徹底的に情報をとり、またその中へ入り込んでやるくらいの仕事をしなければなかなかうまくいかないのじゃないかと思うのですが、そういう面で警察、厚生省あるいは司法当局その他との関連はもちろん考えなければいけませんけれども、厚生省なら厚生省の中にということにこだわらぬで、麻薬専門の取り締まりのりっぱな機構を作る、もちろん治療その他の更生の面は全部厚生省が連絡のもとにやるということでいいと思います。この取り締まりを強化し、予防し、撲滅するというような面については、何かもう少し行政機構全体の中で別の考えがおありになりますか。この二点を一つ伺っておきたい。

菅原通済麻薬対策推進のための会の委員

○菅原参考人 ただいま前の方の御質問ですが、ヒロポンは御承知の通り長井博士が発見なすったもので、内地でできたものですから、これは製造を禁止することができるのです。ところが今度のヘロインは全部密輸入品ですから、これと全然角度が違うということ、それからあの当時はヒロポンが、早く言えば議会の中でまず注射しておったというようなので、世の中が立ち上がってああいう撲滅運動をした。しかしヒロポンを日本が退治し得たのであるから、ヘロインも退治できぬことはないだろうと僕は思うのです。それよりもこんな強い薬をどうしてもみなが——今までは麻薬に対しては知らしむべからずの政治です。それからよけいな知識を与えてかえって悪い結果を生むのではないか。たとえば昔文豪がこれを娯楽ものにしろ、いろいろ書き立てましたから、ボードレールの詩をごらんになってもわかりますけれども、みなしかり。何か非常にいいもののように誤解されやすかったので、かえって知らない方がいいだろうというような傾きがあったのじゃないかと思います。しかし今日ではそんなことを言っておられないから、どうしてもみなにそのこわさを知っていただくというので、たとえば神戸地区あたりはみな立ち上がりました。主婦連が立ち上がりまして地域運動を進めまして、これは非常な効果が上がっております。結局最後には婦人のところにしわ寄せがいくのです。家庭を破壊し、跡始末はいつも御婦人がなさる。今パン助その他が非常に多いのですけれども、普通の家庭では大体御主人がやる。男の方が多いのですから、その跡始末はいつも主婦が負わされるというので、これはどうしても婦人層に立ち上がっていただかなくちゃならぬ。そして東京都におきましては神近先生を会長にいたしまして、主婦連その他の各団体に全部集まっていただいて、今厚生省内に置いて毎週会いまして、その撲滅運動に尽くしておるというのが実情です。これは全国的にどうしてもやらなくちゃなりませんので、私が今地方講演しておりますのは、婦人層にもみな方方に行ってお願いをしつつあるところです。これはやがてそういうものがどうしてもでき上がってくるだろう。ことに議会あたりでどういう形か、何かの形でここで意思表明をしていただければ、地方にそういうことを及ぼし得るだろう。しかしこれは一にかかってやはり婦人の力です。男性は少しおっくうがりでだめです。しかも家庭を守るのは最後は婦人なのですから、御婦人の方が男性より強いのですから、ぜひ一つ御婦人の方にお願いを申し上げたい。  あとの問題ですが、御説のごとく、やはり理想論から言えば、これは一つところにまとめて、そうして参謀本部を置いて取り締まるのがいいだろうと思います。各国はみなそういう方法をとっております。日本だけ戦後あのようなことになって、ちりちりばらばらにさせられたのであります。しかしながら今日あまり理想論を言いまして、また船が山に上っても困る。もうあしたでも発動していただきたいのですから、できれば本年度においては厚生省のあれを拡大して、そうしてもっと権限も与え、そうしてまた警察庁、国警、その他においても専門家を置いていただいて、そうしてもっと思い切った方法をとって——まあ横の連絡は非常にいいと官庁の諸君は言っているのです。みな集まっていつも連絡会議がある。法務省も裁判所も何もかも集まって、会議はしょっちゅうやっておるのです。連絡が大へんよく緊密にとれているとは言っておるのです。私も出ますけれども、しかし実際は緊密じゃないのです。やはりなわ張り争いというのは絶えずあるのです。これでは困るので、やはり統合した機関は必要だろうと思いますが、しかしそれを今やっておるよりは、もっと敵はもう目の前にいるのですから、今それをやっておるという時期じゃないだろうと思います。来年度はこれをやるべきだろうと思います。だんだんそういうものを強化したものを集めることが必要だろうと思います。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 本島百合子君。

本島百合子民主社会党

○本島委員 青木先生にお尋ねいたしますが、御経験の中から、日本の法律ではいわゆる精神病、アルコール中毒、それから麻薬中毒を収容する場合に、こういうふうに分類していたしますので、麻薬中毒患者というものは歴然と法的に保護を加えられて入院治療をするようにできておるのか、また患者さんたちをごらんになって、そういう措置によって入ってきておる者が多いかどうか、こういう点をお聞かせいただきたいと思います。

青木義治財団法人復光会総武病院院長

○青木参考人 先ほどもお話しいたしましたように、麻薬の中毒の場合は、自分が金をどんどん使ってしまいまして、ほとんど金がないのです。上着でも何でも、家に何か物があればそれを金にするために売ってしまうというような状況なんです。ほとんど金がない。ですから病院に入るという希望があっても入れないわけです。現在はお父さんとかお母さんがむすこを救ってやるためにそういう金を出して入るとか、あるいは親分がその子分の中毒患者を見て、まだこいつは使えそうだということがあれば、親分が金を出してやって入院させる。そのかわりにそういう親分に、子分が退院したら入院費を払わなければいけない。ですから長く入れない、そういう困難さがあります。ですから、おそらくまだそういう治療面の経費の問題では、ほとんどそれができていないと言ってもいいと思います。ほかのアルコールとか、あるいは一般の精神病の場合は、どうやら精神衛生法がだんだんよく実施されまして、そういう措置入院の患者とか、生活保護とかあるいは健康保険でもって入ることができるようになりましたので、その方はまだ今のところはそう支障がないのではないかという感じがいたします。

本島百合子民主社会党

○本島委員 そういたしますと、たとえば警察等から麻薬中毒患者で非常に処置に困っておる、だから入院させてくれ、こういうようなケースというものはあまりないでしょうか。

青木義治財団法人復光会総武病院院長

○青木参考人 警察の方から依頼されるということは、今のところでき得ないので困っておるのです。もしそれができ得た場合は、今度は費用の出どころが生活保護法でやれないことはないのです。それからもう一つは、精神衛生法の二十九条でもって強制的に入れる方法もありますけれども、それは二人の精神科の医者が診断しまして、それでもって他人を害し、あるいは自分も傷つけるおそれがある、そういう事実があるために強制的な入院措置がとれるのですが、しかし麻薬の場合は先ほどお話ししましたように、麻薬を打っておるときにはあまり障害がないのです。むしろ自分だけ静かにしておりまして、あまりあばれませんから困るのです。それからもう一つは、ヒロポンみたいなものは、ヒロポンは相当精神症状が出まして、人がいないのに人の声が聞こえたり、この辺に変なものが見えてきたり、人が悪口言っておるとか、そういう妄想が出てきます。幻聴とか、幻覚というものが出ますから、非常に精神症状が激しくなるのです。ですから強制入院ができ得るわけです。精神症状がありますから。ところが麻薬の場合はそういう激しい精神症状が出てこない。それで困ってしまうわけです。それで今の二十九条の措置入院では入院できないということです。そこに法の不備があるという感じがいたします。

本島百合子民主社会党

○本島委員 それで先ほど先生が医師に一つの権限を与えていただくとやりいいということをおっしゃったのですが、それはどういうような権限にされれば、治療の面においても万全を期することができるのですか。

青木義治財団法人復光会総武病院院長

○青木参考人 患者が入ってきますと、おれは患者だ、お客様だという感じがあるのです。お客様だから何したっていいじゃないか、こちらがたばこを制限したり、あるいは外出の制限をいたしましたり、あるいはいろいろな指導をします。それでもおれはお客様だから何もおれの勝手にすればいいのだ、そういう勝手なふるまいをします。晩なんか、寝させようとしましても、おれはまだ眠くないのだ、それから食事の不平をいろいろ言ったり何かしまして、普通の精神病患者の場合には、精神症状がなおりますれば、相当言うことを聞いて非常に看護しやすいのですが、そういう中毒者の方は、ものの考え方とか生活の態度が非常に乱れておりまして、われわれの言うことをなかなか聞かなくなって、自分が一カ月も二カ月も入っていると、今度は表に出まして自分の方のなわ張りの勢力、あるいは自分の地位が下がってしまうから非常に落ちつかない。だから何とかして早く出なければ——われわれが二カ月や三カ月、半年や一年ではだめだと言っても、おれは出てしまうといって言うことを聞かないで出てしまう。そういうところに、医者対患者というような感じよりも、医者の言うことを聞かないというよりも、もう反抗的態度を示しておる。それでわれわれ非常に困っておるので、そういう中毒者はそういう不法的な麻薬を自分が持って、しかも注射を何回もやっておりますから、これは確かに違反だ、犯罪者と私は思いますから、犯罪者をわれわれが処置する場合には、司法権というのですか、何か私が権限を持って当たらなければ、十分な治療ができないのじゃないかという感じがしております。そこで単なる医者と患者という関係だけでは不可能だという感じがします。

本島百合子民主社会党

○本島委員 私の質問が大へんまずいにもかかわらず、御説明いただいて、法的な不備、またこうした麻薬患者の撲滅ということが、いかに困難であるかということがわかって参りましたので、今後私どももこうした点についての努力をして参るわけでありますが、もう一点承りたいと思いますことは、これは兼松先生にお尋ねいたします。  先ほどからの御説明、また私どもの調査等によりましても、売春と麻薬というものは切れない状態になっておる、それから地域的に固まってきておる、こういうことも私ども実際見聞きいたし、なおその面で働いていられるところの考え方からして、どうしてやればその人々を防ぎとめていけるか、たとえば売春防止法による措置ではとても女の人たちはどうしてやることもできないだろう、こういう感じがいたすわけなんですが、今の青木先生の御答弁等を聞いてみましても、非常に困難なことに携わっておられますが、現にそういう人があった場合、どういうふうな形をとっていられるかということを一つお聞きしたいと思います。

兼松左知子東京都婦人相談員

○兼松参考人 売春と麻薬はやはり悪循環をいたしておりますので、今売春の問題で一番妨げになっておりますひもの処罰、これは法改正で私どもが切に願っておりますところでございますけれども、このひもの中に、麻薬を女の子にさせておるひもがいるわけであります。ですからそのひもを処罰しなければ、結局麻薬もまた売春も絶滅することができないとも私は言えるのではないかと思います。それであわせまして、売春防止法におけるところのひもの処罰を、何とかここで法改正をしていただきたいということが私どもの方のお願いでございます。とともに、ただいまの麻薬の中毒者の刑のことですが、売人に対しては死刑にも値すべき非常に重刑を課すべきだということでございますし、私どももそれは賛成でございますが、中毒者に対しては、その環境と本人の性格、いろいろなことを調査いたしまして、それによってたとえば売春防止法にありますところの執行猶予に伴う補導処分、これは六カ月間補導員というものに身柄を拘束されまして、そこでたとえば麻薬がございましたら、拘束された上で治療を受けることができます。ところが麻薬の場合は、執行猶予になりますとそのまま釈放されます。それでもとに返るわけですから、青木先生のおっしゃっていることはこのことではないかと思いますが、刑の執行の場合に、執行猶予に基づくところの補導処分によって、必ず病院に入って治療しなければならぬというものを中毒者の刑の執行に課すべきだ。それによれば拘束して治療することができる、また国家としてもそれだけの施設を作るのではないかと存じます。

本島百合子民主社会党

○本島委員 ただいま売春防止法に対する改正案については、前国会から継続審議となっており、参議院で今国会審議されておることになっておるわけでありますが、私どもの期待するような法改正はできないだろうというのが、非常に残念に思われるわけなんです。私どもの努力が足りないということもございますが、ただいま申されたような法改正は、当然あらゆる角度からなしていかなければならない、そう考えますけれども、現実にそういう人にぶつかれたときに、その法の矛盾ばかりでなくて、家庭の中でそれが理解され、そしてその人々をどうにかしてやろうという町の協力とか、あるいは警察、保健所、そういう協力が今まであったかどうかということを聞かしていただきたい。

兼松左知子東京都婦人相談員

○兼松参考人 要保護女子に対しまして、このひもとの私どものつながりというのは、女の子以上に深いつながりがなければならないわけでございますが、それで婦人相談員といいますものは、任意相談、いわゆる本人が希望しなければ相談に乗れないという患者と医者のような、もっと浅いようなふうに法では規定されておりますけれども、そこで何とかしていわゆる物理的に、たとえば就職をあっせんしたり、それからお金を貸し付けてドヤからもっと環境のいいところに引っ越しをさせましたり、そのために補導員が右往左往して探し回りましたり、そういう物理的な環境対策とともに、もう一つは精神的にだれにも話すことのできない弱さとか、麻薬のやめられない悩みだとか、そういうものをただ聞いてやるということだけでも、一カ月に一回必ず来るというやくざの猛者連もいるわけでございますので、ぜひともそういう相談員の数が必要なわけでございますけれども、私ども婦人相談員というのは、新宿区に、さっきも申し上げましたけれども五名おりますけれども、週四日の勤務でございまして、しかもやくざと渡り合うようなドヤに出ていきまして、あるいは病院とかあるいは役所の内側でなくて、ドヤの中の仕事あるいは調査でありますので、毎日危険が迫っておる中でやっておりますけれども、十分な活動費もございませんで、できるだけ努力しておりますけれども、そういう面でも背後に力がございましたならば、現状において少しでも今の法の運用においていいものができるのではないかと思います。

本島百合子民主社会党

○本島委員 最後に厚生大臣に承りたいのでありますが、麻薬に対しては重大な時期にきておる、今こそ私どもこれと取り組んでやっていかなければならない、こういうことで本日参考人にも来ていただいたのだと思いますが、本院でこの麻薬に対する決議をいたしましたときには予算を考えていただけるかどうか、予算を裏づけしていただかなければ、幾ら私どもが文章上衆議院で決議をいたしましても、その効果は上がってこない。ただいま参考人もいろいろと申されておりますが、法改正の点は順を追っていくといたしましても、現実の問題としての措置というものは早急になされなければならぬと思うわけなんですが、厚生大臣の御見解を聞かしていただき、なおかつ菅原先生には今まで大へんな御努力であったことを感謝いたしますが、もしそういう場合ができましたならば、急速に全国的な運動の盛り上げ、あるいはまた私どもが一番心配しておるのは、東京ばかりでなく横浜、神戸、こういう特殊な地域では、警察でさえも麻薬を捜査をしておる、また麻薬を薄めてそうしてびんに詰めて密造しておる、こういうことがわかっていても踏み込むことができない、これが現在の状態であります。こういう点について警察との連携並びにそうした問題の早く解決されるような方向づけ、そうしたものをどの機関かとお諮りいただいて、側面からの御協力ができるものかどうか、こういう二点をお尋ねいたしたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 側面からの協力ではなくして、私本来の仕事と考えておる次第でございます。むしろ皆様方の御協力をいただきたい、かように存じておる次第であります。この問題に対する私の考え方につきましては、先ほど小林委員の御質問に対しましてお答え申し上げました通りでございます。私もこの問題は非常に大事な問題というふうに思っております。それにしては今までの施策が不十分であるという考え方をいたしておるわけであります。菅原先生その他皆さん方の御指導を仰ぎまして、せっかくこの対策の強化について、事務当局の手元で検討いたしてもらっておるところでございます。本委員会においてまた何かの意思表示でもおありになるということでございますれば、もちろん立法府のことであります。私ども十分それを尊重いたしまして善処いたしたいと思います。

本島百合子民主社会党

○本島委員 ヒロポンの決議のときには厚生省、国の予算としてたしか一千万円か二千万円くらいの予算が取れて、それによって広範な運動の展開ができたと聞いておりますが、私その当時国会議員でなかったのではっきりいたしておりませんが、多分そういうことであったと思います。そういう前例もあったとするならば、ぜひともそういう運動には、先ほども言われたように売春対策と麻薬対策に四十万円くらいのもので——審議会をつぶそうつぶそうではとてもやれるものじゃない。こういう点につきまして、前例もあると言われておりますから、特段の御努力を願いたいということを厚生大臣には要望いたしまして、菅原先生に今後の運動の見通し、計画等を聞かしていただきたい。

菅原通済麻薬対策推進のための会の委員

○菅原参考人 ただいまいろいろ青木先生たちからお話がございましたが、麻薬中毒患者というのは特殊の性質のもので、ここで学理的な説明は私にはできませんが、実際問題になりますと、たとえば厚生省のGメンがつかまえてくる、それを警察に預けようといったって、警察ですら預かるのをいやがる。留置場ですら断わられている。ましていわんや、中毒患者はどの病院に持っていってもみなきらわれてしまう。たとえば松沢病院にたった一人の麻薬中毒患者が入ったために、あの千人のおとなしい精神病者がみないきり立つというくらいに、彼らはなかなか頭が発達していて人を扇動したり何かしていくために、どこに行ってもきらわれるものなんですから、これはどうしても特別の措置をとって、別の専門の病院を作らなければいけない。これは青木先生の非常な御努力で、鳴海病院を私ども見にいきましたけれども、百ベッド置けるうちに二十人ぐらいしか入れてない。なぜ入れてないかというと、来てくれる看護婦もなければ何もない。いやがるのです。ああいうもののところについているのは、普通のお給金ではいやがるのです。だからこれはよほど抜本的なことを考えないといけないのではないかと考えております。  それから地方の側面からのどうのこうのということは、大体において、たとえば日本工業倶楽部とか日経連だとか、あるいはロータリー・クラブ、全部回りました。ライオンズ・クラブも回りました。清交社、大阪倶楽部、有恒倶楽部というふうに、経済団体はみな回りました。もちろん新潟も参りました。今北海道を残しているだけなのでありまして、行ってこの話を説明すると、彼らはみな協力してくれております。もし麻薬禍運動に金が足りないのならば、みなでこぞって出そうじゃないかという決議までしてくれているところがあります。政府がお出しにならないのなら、民間でこれを出しても、彼らを退治てやろう。こういう毒殺行為のやつは、ともに天をいただくわけにいかぬのです。いかなる危険が身に迫っても、これはどうしたって退治しなくちゃならない。もちろん政府でやっていただきたいことがあるし、この議会のあれもあれしませんとしようがないが、いけなければ私一人でもやるつもりであります。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 最後に、委員長から三参考人に少しお伺いをいたしたい点がございます。  今回、本委員会において不正麻薬の取り締まり強化の点について強く取り上げましたことのゆえんは、すでに三参考人の長年の御経験の点から見て当然、むしろおそきに失しておるのではなかろうと思うくらいだと思うのです。そこでわれわれは、この機会に抜本塞源の道を講じていきたい。一面においては、国の予算も増額して徹底した一つの対策を講じたいというのが、本日の本委員会の主目的であります。  そこで各参考人にお伺いをいたしたいのは、最後に菅原さんから伺いたいが、まず青木参考人から伺いたいのですが、先日船橋の復光会の病院を拝見いたしまして、それぞれ担当の人からの御説明を伺いましたが、ただいま菅原さんからのお話のように、横浜の黄金町を私らが視察いたしまして、雨天にもかかわらず五十人、七十人という人々が、公々然と麻薬の売買をしておるという状態なんです。晴天の日なんかは、聞くところによれば二百人、三百人という人間が、ヘロイン等の売買をやっておるという。これらを直ちに逮捕してそれぞれの処置をとることは容易ではあるけれども、しかしながらこれに対する収容の施設が全くないという。三十七年度の予算におきましては、幾分かの予算は取りましたものの、先日お宅の病院の内容を拝見いたしましても、ただ端的にベッドをふやしたというだけでは、なかなかこの問題は解決しないだろうと思うのです。それから今あなたのおっしゃったような看護人、看護婦が、あのようないわゆる収容されておる、任意入院しておる患者ですら、そう言うと悪いのですが、職業柄非常に危険な場面が往々あると思うのです。こういう点について、青木さんは医者の立場から、どういうふうな方法を講じたなれば、この際一番適切な方法であるかという点について、忌憚なく——きょうは厚生大臣も薬務局長もそれぞれの所管の者も来てありますし、この委員会におきましては、最後に皆さん方の意思を通じて、国会の意思を決議として全国に表現するつもりでおりますので、御遠慮のないところ、それから平素希望しておられる点を一つお聞かせ願いたいと思うのです。

青木義治財団法人復光会総武病院院長

○青木参考人 なかなかむずかしい。私自身もほんとうを言いますと、ほんとうになおすには一体どうしたらいいかという対策は、私自身もわかりません。先ほど申し上げたように、一ぺん麻薬にかかれば、また自分がやめようと思っても、ついこの辺だったら横浜に行ってしまうのですから、どんなにそういうものを囲っておいても、それからあるいは自分がやめようと思って実際うちへ帰っても、何かしら不愉快なことだとか、あるいは道でもって仲間に会いますと、ふっと手をあげてずっと横浜に行ってしまう、買ってしまうのですね。一ぺんぐらいならいいだろうと思ったって、さあっと入ってしまうのですね。そういうのを繰り返しているのですから、一体そういう病院というものを作って、そうしてそのあとにアフター・ケアといいまして社会復帰するための一つの施設を作って、そこでもって特別な職業教育とか補導をやって、実際にやらせなければだめだ、それには大へんな費用がかかると思うのですが、私のところでやっているのは、単なる今の精神病院の中でやっておるのですから、そういうあとの社会復帰するための施設は何もまだできないし、その費用もないのですから、そういう点を、つまり第一番には社会復帰するための一つの施設を作らなければならぬ。こちらの中毒をなおすことと、それから社会復帰をするための施設を作ること。それから作ってからあと、今度はほんとうに何かの職業につけてやらなければならない、それが私は大へんだと思うのです。どうしてもそれをやらなければ、中毒をなおす第一歩ができていないのじゃないか、そういう感じが私はします。それからいかに物を作ったって、それに携わる医者とか看護婦なり一般の職員なり、そういうものも現在の医療法ですか、あのワクでは無理ではないかという感じがします。そういうところは、独自なものを作っていただかなければいけないような感じがいたします。それから、それと同時にやはり覚醒剤の場合も同様だし、全体のPRが進んできますと、一体どうしてこのペーがいけないのだ、どうして麻薬がいけないのだということが、自分自身もだんだんわかってくると思いますけれども、とにかく現在は麻薬を打っているということに対して、自分が悪いという認識がほとんどないので、その認識を深めるということがまず第一番ではないか。手っ取り早い対策としては、どうしてもそういうことをやっていただかなければならぬという感じがいたします。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 それで、今収容されておりますお宅の方の患者ですね。これらを一カ所に集めますと、相当ああいうようなやくざがおるのですから、ろくなことはしないのです。これは率直なことをいって、あなたのところの病院を見て、院長さんの前で言っては悪いけれども、昼間はまじめな顔をして野球をやっておるけれども、夜は何をやっておるかわからない。場合によっては、さいころぐらいひっくり返しているかもしれない。これはやはり各精神病院に分割して、それぞれのベッドを政府で補助をしますとか、あるいは出して、そうしてそこに収容するというような方法がいいのですか。あるいは一カ所にそういう収容所を作って、強制的ないわゆる刑務所式なものがいいのですか。何らか強制の方法をとったがいいのですか。この点を簡単に一つ……。

青木義治財団法人復光会総武病院院長

○青木参考人 そういう中毒を取り扱うということは、やはりわれわれ専門家の中でも非常にいやがりますし、それからまた非常に技術が必要なんです。ですから、どうしても一カ所でやらなければいけない。一カ所でもって収容して、しかもその修練を経た専門職員がついていった方がはるかに能率が上がりますし、そうすべきじゃないかという感じがしております。そういうようにしむけなければ、どうしてもでき得ないのじゃないかという感じがしておるのです。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 もう一点ですが、あなたのところで患者の人たちが、場合によるとあの状態では出たり入ったりが、ある意味においては任意入院ですからできるだろうと思うのです。それから今麻薬取締官だけがあなたのところに派遣されておるようなんですが、これはもう少し形を変えて、警察官か何かの取り締まりに切りかえるとか何かしたらいいのじゃないですか、どうですか。治安の面はいいのですか。

青木義治財団法人復光会総武病院院長

○青木参考人 やはり警察官とか、そういう司法関係の方々が病院の中に入っていただいた方が、われわれとしてはやはりいいと思います。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 それでは兼松さんにちょっと伺うのですが、先ほど来いろいろお話がありまして、大体の御要望はわかって参りました。私も新宿に住んでおりますが、兼松さんは大へん新宿の麻薬あるいは売春等の関係については、平素一方ならぬ御尽力をいただいておりますが、先ほどの売春のひもの問題なんです。ひもという言葉はここで妥当かどうかは知りませんが、これは新宿には非常に多いのですね。しかし、たとえば最近の麻薬を取り扱ったり売春のひも等の組織ですね。これをバックする組織というものは、昔から大きいりっぱな家名を持ったばくち打ちとか、テキ屋というものはやらないで、最近新興のいわゆる暴力団、新興のぐれん隊の集まり、こういう性格のものがだいぶ多いように思うのですが、そういう危険なものの中で大へん御努力願っておりまするが、先ほどお話の中にバイ人に対しても強力な刑罰を与えてもらいたい、そうする以外にはなかなかなくならない、さらに相談員を増員してもらいたい、それについては現在の費用では非常に少ないとおっしゃいましたが、現在五人くらいですか、あなたの方の新府の相談員の係は。東京都全体でどれくらいおるのですか。

兼松左知子東京都婦人相談員

○兼松参考人 東京都全体では四十三名ですが、新宿は昨年の十月から五名になりました。当初三十二年から二名でやっておりました。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 これからの施設は、本委員会の議決によって相当強化されることと思いまするが、薬務局長、どうですか、これについては早急にもう少し御要望にこたえるだけの予算的な処置はできないのですか、どうなんですか。

牛丸義留厚生事務官(薬務局長)

○牛丸政府委員 三十七年度からとすれば、予備費の折衝なり追加予算なりの措置によってやる方法しか、今の既定の予算ではないわけでございます。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 最善の方法を講じてあげていただきたいと思います。  最後に菅原参考人に伺いたいのですが、私も先日来、日本の麻薬ということを非常におそれ、各委員諸君も非常に心配をされまして、それぞれ現地に視察に参りまして、またそれぞれの問題を詳しく調べつつあるのでありまするが、麻薬の生産地は外地なんで、日本国内においてはきわめてまれなのです。従ってこれは抜本塞源の対策を講ずるとすれば、外国から入ってくるところの密輸のルートをぴったり押えること、それからこれは対外対策なんですが、国内において密輸を徹底的に入れないような努力をすること、それから国内に現在あるところの麻薬中毒患者に対するところの徹底した対策、この三つの対策に分かれると私は考えまするが、現在の取り締まり対策にいたしましても、それぞれの施策に、いたしましても、非常に不満なものがたくさんございます。この点について菅原参考人から、きわめて根本の問題についていかにすべきか、どういう処置をとるべきかという点について、御説明を願いたいと思います。菅原さんどうぞ。

菅原通済麻薬対策推進のための会の委員

○菅原参考人 売春のとき、私初めて考えたのですが、いろいろ理想論を言えばきりがないのですが、まずもって業者を退治してしまう。女の膏血をしぼって利益をむさぼるような業者には重刑を課すのだというので、あの十年の極刑を課したようなわけです。そうしてあとの春売婦あるいは売春者の保護、更生というものは、二の次ではございませんが、あとの研究課題に残しておるような次第なのでありまして、今の麻薬対策も、私なんか何か商売人のくせか、できもしないことを議論していてもしようがないのだから、片っ端からやっていきたいような気持がいたしますので、これも同じように密輸入をするやつらをまずもって退治する。保護、更生は中毒患者に対してももちろん大切ですが、これはたくさん有識者がおられるのですから、それの方は青木先生その他にお願いして、私はもっぱら入ってくるやつらを退治しようというのが私の一番の希望です。すなわちこれらがみんな利益のために人殺しをしているのですから、まずもって刑法を改正していただいて、極刑で、死刑をもって臨んでいただきたいということが一つ、それから今の捜査方法をもっと完全にするために、あるいはたやすくするために、捜査令状や何かの出し方について、少しく裁判所の意見も考えたり、あるいは人権問題についてしきりに云々されますが、こういうやつらに対してあまり人権、人権というのはいいか悪いか、そこらも私らは考えざるを得ないと思っておりますような次第なのでありますから、これにはどうしても一番必要なことは、先ほど繰り返し申し上げる通り、情報は必要です。それから入ってきたものをつかまえる今のGメンも、倍とか三倍なり五倍にふやすくらいの勇気がなくてはとうていできないと思います。さっきひもの話も出ましたが、今や暴力団の資金源は全部麻薬といってもいい。そればかりでなく、北鮮あたりの経由で入ってくるようなことになりますと、これに政治的意図が含まれるかどうかということも考えませんと、わずかに虫下しか何かのサントニンですらいろいろな問題が起こったのに、ヘロインが大量に北鮮あるいはその他から入ってきては大へんです。今は非常に悪いのが入ってきていますから大したことはないと思いますが、聞くところによるとだいぶ日本人のヘロインの職人を連れていくようなことも耳にいたしております。こういう点もぜひ考えなくちゃならない。しかし先立つものはどうしても密輸入を防遏する。しかもそれの相手が先ほど来申し上げたような特権階級にある人なんですから、これに対してはよほどの何か方法をもって考えないといけない。外国のごときは私立探偵の設置などということもやっているようです。政府がうしろでそういうものにあれするのがいいことか悪いことか、また変な特高時代が出現しては困りますが、これに関する限りはそういうものが必要だろう、普通のことではできないだろうと思います。またそういう情報をキャッチするには、絶えずああいう中に入る。今厚生省のおとり捜査は許されておりますが、おとり捜査といっても、まるで子供だましのようなもので、金がないのですから、おとりになって向こうに入ってやりようもない。先ほど来たびたび申したように、長靴と村田銃のようなピストルでは入っていけないので、絶大な御決意を願いたい。こう考えております。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 参考人の方々には、長時間にわたりまして、いろいろ有意義な参考意見をお述べいただきまして、本問題の調査に多大の参考となりましたことを、厚くお礼を申し上げます。まことにありがとうございました。(拍手)     —————————————

中野四郎自由民主党

○中野委員長 ただいま松山千惠子君、小林進君及び本島百合子君から、麻薬対策強化に関する件について、委員会において決議せられたいとの動議が提出されました。  この際、本動議を議題とし、まずその趣旨の説明を聴取いたします。松山千惠子君。

松山千惠子自由民主党

○松山委員 動議の趣旨を申し上げます。    麻薬対策強化に関する件   戦後麻薬による国民の被害は年とともにたかまり、犯罪の増加はもとより、経済秩序の破壊、国民心身の腐敗等その損失は計り知れぬものがあるにかんがみ、政府は事の重大性を深く考慮し、すみやかに次の施策を強力に進めるべきである。  一、麻薬取締捜査の強化   (イ) 麻薬取締職員を急速に増員するとともに、少くとも麻薬課を部に昇格せしめること。   (ロ) 情報の適格な収集のため、麻薬情報センターを設置すること。   (ハ) 海外駐在員制度を新設すること。  二、麻薬中毒者対策を強化し、麻薬中毒者専門の矯正施設を設けること。  三、麻薬不正取引者に対する罰則を強化すること。  四、麻薬犯罪捜査等の費用を予算上大幅に増額すること。  五、一般国民に対し、麻薬禍に対する認識を一層深めるため、すみやかに強力なる啓発指導の措置を講ずること。  以上であります。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 以上で説明は終わりました。  本動議について採決いたします。  賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

中野四郎自由民主党

○中野委員長 起立総員。よって、本動議は可決いたしました。  この際、厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。灘尾国務大臣。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 ただいま御決議になりました麻薬対策につきましては、政府も重大な関心を払っておる問題でございますので、御決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討、また善処いたしたいと存じます。(拍手)     —————————————

中野四郎自由民主党

○中野委員長 なお、本件の参考送付につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野四郎自由民主党

○中野委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  この際、五分間休憩をいたします。    午後零時五十一分休憩      ————◇—————    午後一時三分開議

中野四郎自由民主党

○中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますのでこれを許します。河野正君。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 予定より時間が大幅に短縮されましたので、私の方も簡明率直にお伺いいたしますから、当局側も簡明率直にお答えを願って、能率的に議事の進行をはかっていただきたいことをあらかじめ申し上げておきます。  今日まで労働大臣は、しばしば、労働組合の健全な育成について、当委員会におきましてもいろいろと所見の開陳を願ったわけです。この労働組合の健全な育成に関しましては、労使間で自主的に育成をはかっていく問題もございますし、さらには、行政指導によってその間の育成をはかっていくという一つの方法もあろうかと考えております。特に労働大臣は、今日まで、当委員会におきましても、今秋が御指摘申し上げました後段の項について、極力力説せられた経緯をわれわれは了解をいたしておるのでございます。時間がございませんから私も端折って申し上げますが、すでにこの委員会におきましても御指摘を申し上げましたように、たとえば中小企業におきまする労働者の労働条件を向上さしていく。そのためにはいろいろな方法がございますが、その一つとして、たとえば労働省が金融機関と話し合いを進めて、融資等の場合に中小企業の労働者の労働条件を対象にしていく、そういう方法で中小企業労働者の労働条件を向上さしていくというふうな点についても若干触れられた経緯を、私どもは知っておるわけであります。そうだといたしますると、やはり中小企業に対しては、お前のところの労働条件がどうであるとかこうであるとか、それによって金を貸すとか貸さぬとかいうことでありますから、従って、金融機関としては、私は、それ以上におのれの姿勢を正すべき必要があろう、こういうことを今日まで何回か、当委員会におきましても御指摘を申し上げて参りました。ところが、今日金融機関におきまする労使間の争いが絶えないし、さらに今日の状況を見て参りますと、そういう労使間の紛争がますます激化する方向をたどっておる。そういう状況を私どもは非常に悲しむわけです。この点につきまして、労働省といたしましても、特に銀行協会その他との話し合いの中で、今秋が御指摘を申し上げましたようなことが、当委員会の席におきましても明らかにされておるわけでありますから、そういう意味で、労働大臣は、今日の金融機関内におきまする労使間の紛争状態に対して、どういうふうにお考えになっておりますか、基本的な点でけっこうでありますから——具体的な点については後ほど触れますので、一応御所見をお漏らし願いたい、かように考えます。

堀秀夫労働事務官(労政局長)

○堀政府委員 今回の春季闘争は、当事者がいろいろ話し合いを尽くされ、またその間いろいろな経緯もございましたが、おかげさまで大体解決いたしまして、終息の方向に向かっておることは御同慶の至りに存ずるわけであります。  中小企業の問題につきまして、ただいま先生お話しのように、労働省といたしましては、その労働者の労働条件の向上ということのために、厚生年金の還元融資であるとか、その他いろいろな福祉問題につきましても、これと並行して、労働省としての援助業務を積極的に推進しておるわけでございます。金融関係につきましても、最近、たとえば、相互銀行の今回のベース・アップ要求をめぐりまする紛争につきましては、大体全国的に見ますと、四十四銀行のうち三十八行は解決いたしましたが、まだいろいろ労使間において話し合いをして、あるいは紛争が残っておるというところがまだ六行あるわけでございます。これらの点につきまして、労働省といたしましては、この労働者側の経済的要求につきましては、当事者、労使相互間で話し合いを自主的にあくまでも尽くされる、それによって一日も早く解決されることを期待しておるわけでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 実は金融機関における労使間の紛争ですが、今日、大蔵省の介入によって、一そうそういう紛争状態を激化せしめるという一つの方向が顕著に出て参っておることを、私は、まことに残念でありますけれども、指摘せざるを得ないのでございます。これは単に私が主観的にそういうことを申し上げるのではなくて、たとえば読売新聞の四月二十日の記事を見て参りましても、「春闘のヤマは事実上終わったが相互銀行を主力とする金融機関労組の賃上げ闘争はひきつづき全国各地で活発な動きをみせており、すでにかなりの賃上げで労使間の話し合いが成立したものも多い。この賃上げ機運は次第に地方銀行、信用金庫にも波及しているが大蔵省はこの事態を重視、実情の調査にのりだす」、こういうことが大々的に実は読売新聞でも取り上げられておる。今労働省の方では円満解決をして非常に同慶にたえないとおっしゃるけれども、ところが残っておる銀行では非常に問題がある。にもかかわりまぜず、今のようにさらに追い打ちをかけるように大蔵省がこういう問題について介入をしている。これは今労政局長のおっしゃったことと、私はかなり本質的に相違があると思う。自主解決が望ましいとおっしゃるけれども、一方においては、今新聞紙上に取り上げておりますように介入をしている。その介入によって、こういう紛争状態というものがますます激化される。こういうことは、私は全くけしからぬと思うのです。こういう事態について、労働大臣はどういうふうにお考えになりますか、また大蔵省はどういうふうに考えておるのか、それぞれ一つ御所見をお漏らし願いたい。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 労使間において、相互の理解、信頼を基調として円満な話し合いができることは、いずれの方面においても望ましいことでございます。ことに金融機関というようなものは、性質上特にそういうような気がいたします。大蔵省ないし銀行局でどういうことをなすったか、新聞の記事を引用されてのお話でございますが、おそらく後刻大蔵省側のお考えを表明されると思いますが、やはり私の申しましたような意味においても心配をして、ほってもおけないというので何かされたのじゃないかというふうに私は想像するわけです。ただいま河野さんは、積極的に介入したような御表現になりましたが、私は、大蔵省も労働省も、積極的にそういうことに介入するということは本意ではないと思います。おそらく、真相はこれから私も一緒に伺おうと思うのでありますが、そんなに深い介入の意図があってのことじゃなかろうというように私は信じ、かっこれを期待しておるものでございます。

佐竹浩大蔵事務官(大臣官房財務調査官)

○佐竹説明員 お答え申し上げます。  この金融機関におきまする労使間の紛争の問題、これはあくまで労使間において自主的な話し合いの上で解決さるべき問題でございまして、大蔵省が立ち入るべき筋合いのものではございません。従いまして、いろいろと争議等に事態が進んでいくといったような場合におきましても、大蔵省としてはこれに介入をいたさない方針でございます。しかしながら、金融機関の経理の問題につきましては、先生、先刻御承知のように、非常に公共性の強い機関でございます。従いまして、預金者の保護ということは十分に考えていかなければなりませんので、そういう観点から、常に経理の健全性を維持して参らなければなりません。従いまして、内部留保を厚くいたしますとか、そういうことで預金者の迷惑を来たさぬという態勢を整えるべく、私どもとしては、常時検査、監督、指導をいたしておるわけでございます。従いまして、給与の問題等について、何か大蔵省が給与統制をしておるのじゃないかというような誤解が往々世上に伝えられておるようでございますけれども、これは実は大へんな誤解でございまして、私どもとしては、金融機関の給与について統制をいたすなどという考え方は毛頭ございません。ただ、ただいま申しましたように、経理の健全性ということを維持して参らなければなりませんので、そこで経理の健全性確保の観点から、いろいろな面で経営についてやはり指導はいたさなければなりません。これはやはり大蔵省としては、大切なお金を預けておられるところの預金者の皆様に対する重大な責務と実は感じておるわけでございますが、そういう意味で、給与の増額等によって経理内容が非常に悪化して、そのために預金者に御迷惑をおかけするというような事態になってはまことに申しわけのない次第でございます。そういったことで、預金者保護について万全の処置をとるということでやっておるわけでございます。金融機関の争議、これは先ほど申し上げましたように、本来労使間の問題でございまして、相互の自主的な話し合いによって解決さるべきもの、これはもう大方針として考えておるわけであります。ただ、そういう公共性の観点から、私どもとしては、常にこの事態の推移、交渉の状況等については、これはどうしても関心を持たざるを得ません。そういう意味で、時々刻々の動きについては、いろいろと情報を承っておるわけであります。先ほど新聞紙上の記事を御引用になりましたが、何か最近に至って特別な調査をしておるやに承ったのでございますが、私どもとしては、特にこの労使問題について、特別な調査を昨今やっておることはございません。これは常時銀行の健全経理の監督、指導というものとして、従来ともやっておるところでございまして、特別に労使問題としての調査ということではございませんので、どうか誤解のないようにお願いいたします。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 金融機関というものが公的な性格を持っておりますから、そういう意味で、預金者保護のために、健全経営ということでいろいろ御努力願っているということについては、私どもは異論はございません。ただ、そういう美名に隠れて、今給与統制をやっておらぬとおっしゃいましたけれども、実質上は給与統制という方向が生じつつある。たとえば、なるほどあなたのおっしゃるように給与統制ではなかろうけれども、たとえて申し上げますと、現在の相互銀行の経常収支率というものは八〇%だ、これが適当だ、こういうふうに一種の規制をなされておる。これは行政上の規制でしょうけれども、なさっておる。ところが、御承知のように、社会情勢あるいは地域の情勢等もございましょう。そういう情勢から、必ずしもそういう機械的に規制することがいいか悪いか。もちろん相互銀行の指導者が能力がないというわけはないのですから、相互銀行の経営者といえども、やはり銀行というものは公的性格を持っておるし、預金者を保護しなければならぬという方針は、私は堅持されていると思うのです。そういう前提の中でいろいろその賃金問題その他を配慮されるということでございますから、私はある程度の幅は経営者にあると思うのです。ところが、そういう機械的な規制によってやられますと、たとえば物件費なんかどんどん上がっていく。そうしますと、どうしても八〇なら八〇ということで押えられますと、結局しわ寄せを食うのは、これは人件費になってくる。そこで私は、そういう点に対しては、相互銀行の経営者といえどもぼんくらではないのですから——特にあとで申し上げますが、現在相互銀行の指導者の中には、大蔵省の役人の方はたくさん入っておりますよ。申し上げましょうか。私が調査をいたしました四十二の相互銀行の中で、大蔵省から重役として入り込まれた方が二十三人おられますよ。念の入ったところは、一つの相互銀行に三人も大蔵省から重役として入っている。弘前相互とか岐阜相互、中央相互、こういうところは念が入って、大蔵省から三人もの重役が送り込まれておる。ですから、これはあなた方と同僚ですから、まさか無能者とおっしゃらぬでしょう。そういう方々が、これなら適当だということで運営されるにかかわらず、あなた方が規制をされようというところに私は大きな問題があろうと思うのです。労使問題は自主的に解決するのが望ましい、私どももそう思う。大臣がおっしゃる通りです。それなら健全経常を侵さない範囲においては、自主性にまかすべきだと私は思うのです。それが、私は最近の傾向を見ておりますと、必ずしも健全経営だという形の行政指導でなくて、健全経営という一つの美名に隠れて規制をされよう、権力を行使しよう、こういう傾向が非常に強いのじゃないかというふうに思うわけですが、そういう点いかがですか。

佐竹浩大蔵事務官(大臣官房財務調査官)

○佐竹説明員 ただいま河野先生から、いわゆる経常収支の比率について大蔵省が何らかの規制を行なっておることは、結局は間接的にいわば金融を縛るということになりはしないか、このようなことはむしろ経営者の良識にゆだねるべきではないか、かような御趣旨だと拝聴いたしたわけであります。基本的には私ども全く同感でございます。本来金融機関の経営は、あくまでも経営者が自主的に処理していくべきものでございまして、一々監督官庁が介入しなければならぬというようなことでは非常に情けない話でございます。昭和二年に制定いたされましたところの銀行法、これはいわば銀行行政における憲法のようなものであります。先生先刻御承知のように、銀行法というものは、きわめて法三章的な簡素な条文でできておりまして、一々のこまかい統制的な規定は何もありません。いわゆる企業の自己責任原則と申しますか、経営者のいわば自主的な経営というものに、全面的に期待をいたしておるわけであります。そういう意味におきまして、私は今日においては基本的にそういう考えを持っておるわけですが、ただ一面、現実の動きはどうかということになりますと、何分にも戦後いろいろ経済の混乱期がございまして、そこに対処して金融機関というものが立ち上がってやって参ります過程においては、なかなかむずかしい問題が多かったわけでございます。これは相互銀行、信用金庫というように、昭和二十六、七年ころに新設を見た新しい制度の問題のみならず、いわゆる明治以来の普通銀行の制度におきましても、戦争によって資産を失いまして、自己資本を切り捨てるというような、いわゆる戦後の応急処理をいたしました結果、非常に自己資本というものが欠乏いたしまして、本来、戦前でございますと、預金に対して一割以上の十分な自己資本を持っておったわけであります。それが最近では、かなり回復したというものの、まだまだ七、八%にも達しない、かような実は状態でございます。こういうことでは、やはり一朝事あるときに預金者に御迷惑をおかけする危険がある、これは何としても自己資本というものを充実さして参らなければならぬ、こういう大きな要請があるわけでございます。自己資本の充実については、いろいろな方法があるわけでございますけれども、やはり一番基本的には、毎期の経常の収支というものでできるだけ用を節し、費を省き、そうして合理化を進めましてコストを下げることによって、内部の留保として積むべきものをふやしていく。もちろんそのほかに、社外に流出すべき、たとえば配当でございますとか、そういうものを調整するという問題もございますけれども、やはり何といっても大きいものは経常の収支でございます。  そこで日本の銀行は、御承知のように、戦前は、経常収支率というものは大体七五%くらいをもって運営をいたされておったわけでございます。これが大体正常な姿である。諸外国の例等を見ますと、アメリカなどは大体六〇%見当でございます。それに対しましてわが国の金融機関は、戦後の非常な苦難の時代を歩んで参りましたので、非常に収支率が高うございまして、普通銀行等におきましても、昭和二十四年ごろは九〇%程度でございました。それを逐次経営改善の努力を重ねまして、だんだんに下げて参りました。現在では大体七七、八%見当のところに下がってきておるわけでございます。一方、相互銀行におきましては、これは先生よく御承知のように、昭和二十八年ごろからできたわけでございますが、そのころから、普通銀行の経常収支に対応するような形のものは、大体八五%ぐらいから実は発足したわけでございます。その後だんだんに改善を見ますにつれて、それが八三に下がり、そして今日では八〇というところへ下げてきておるわけでございます。これはあくまで最高限度のような形でございまして、一つの経営のめどをつける意味で、できるだけそういう線に沿っておさまるように努力をするということは、やはり大蔵省として示すべき義務があるのじゃないか。もちろん経営者の良識ある態度にゆだねなければなりませんけれども、しかしそれには、やはり一つのめどというものが要るわけでございますので、そういう目標を掲げておるわけでございます。   〔委員長退席、柳谷委員長代理着席〕 これはできるだけ逐年低下をはかって参らなければなりません。従いまして、この八〇%というものが、何か非常に統制的な色彩を帯びておるようにお感じのようでございますけれども、実はこれは天井でございまして、一種のアッパー・リミットのようなものでございまして、その中でだんだん下げていくということでございます。経営者も、こういうものがあるので、自分たちのいろいろな経営計画を立てる上に、非常な大きな寄与をいたしておるというようなことも言っておられます。私どもとしては、今後ともこれを引き下げて参りたい、かように思っております。結局これは、何も永久にこういう制度がいいというふうには考えておりません。戦前のように七五%程度のところで正常に運営されてくるような時代がくれば、そのときには、このような経常収支率の指導というような、一種の通達でございますが、通達行政というようなことは要らなくなる、私どもとしては、そういうものが一日も早く要らなくなることを実は非常に望んでおるわけでございまして、私どもが考えておりますところをおくみ取りいただければ、御了承をいただけると思うのです。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 預金者保護のために資本の充実をはかっていく、そういう意味で、経常収支率を八〇%というところに、一応現段階においては目標を置いていくのだという意味が、私どもにわからぬわけではないわけです。ただ先ほども申し上げましたように、この金融機関の経営者といえども、無能者ぞろいではなくて、特に大蔵省のあなた方の先輩や同僚が、たくさん行って重役になっておられる。これを私どもは無能者とは考えない。そういう方々が自主的に——そういう人々だって良識がございますから、結局銀行の健全性というものを考えられておると思うのです。そこでその場合に、どうも経常収支が八〇%というものを強く打ち出されるという傾向が、非常に強いのじゃないかということを私は申し上げておるわけです。一応あなた方が、努力目標としてそこへ線を引かれるということには異存はございません。ところが、そうでなければ重役の配当を認めぬとか、そういうことをいろいろ指導されるので、私どもは、あなた方が目標として示されるのではなくて、それで強く規制をしていく、ある意味においては、経営に対して非常に強い干渉を行なっていくというように理解をするわけです。それは、今の相互銀行の指導者というものが、全く放漫経営ということなら別でしょう。ところが、さっき申し上げましたように、私が調査した範囲ですから、これは先方で調査すればもっとふえるかもしれません。私の調査した範囲で申し上げますと、四十二行の中で二十三人大蔵省から重役を送られておる、こういう実態です。こんなことを言ってなんですけれども、銀行の重役になるにはまず大蔵官僚になれ、こういったキャッチ・フレーズが成り立ちますよ。四十二の銀行へ、私の調査したところでも、二十三人の大蔵省の役人が重役になっておる。だから銀行の重役になろうと思えば、まず大蔵省へ入って大蔵官僚になる、それが早道ですよ。そういうことですから、私は、さっき申し上げましたように、どうもこの銀行経営に対する介入が強過ぎはせぬかと思う。  それから特に私が指摘しておきたいと思いまする点は、どうもこの経営収支率を割りますと、そういうところには、今でもなお銀行にどんどんあなたの方の先輩や同僚が送り込まれておるけれども、さらにそういうことをやる傾向というものは強くなっておる。これは私、名前も調査しているのですから、これは歴然です。ですから、いろいろおっしゃいますけれども、どうもそういう規制力というものが強過ぎるのではないか。そのために、結局、また話は戻りますけれども、労使紛争を激化する原因になっていやせぬかというふうに私は考える。大臣も、私からいろいろお話をしましてお聞き願ったと思いますが、こういう状況を見てどういうふうに御判断になりますか。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 これはただいま河野さんのお話も、銀行局側のお話も、両方聞いておりまして、立場の違いでそれぞれなかなか上手におっしゃっているなというように、私、拝聴いたしておるのでございます。ものは見方によって、ある程度の差があるのは当然でございます。どういうふうに感ずるかとおっしゃられますと、まあいずれもいずれだというような感じでございまして、一方的に私は、直ちにもって河野さんのおっしゃる通りでございますとも申し上げがたいし、また、銀行局から申される通りでございますとも申しにくいのであります。両方とも大いに参考にしようと思って拝聴しております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 そこでもう少しわかりやすく申し上げますと、今大蔵省が、それらの銀行の健全性を堅持していきたい。そのためには、ある程度の資本の充実というものは必要だ、それがやはり預金者保護だ、こういうことはわれわれわかるわけです。そこで今申し上げますように、どうも経常状態が悪いという場合には、行政指導によって賃上げなんか抑えられるわけですね。結果的にはそういうことになりますね。そうすれば、今度は経営が上向いてきたときには、上向いてきた中でそういう紛争の状態が起こった場合には、むしろ上げることにアドヴァイスというか、指導というか、そのことによって、そういうふうな紛争状態を終止させるという努力が私は必要だと思うのです。(「それは介入」だと呼ぶ者あり)これは行政指導ですよ。それは、上げてはいかぬというのですから、それこそ介入じゃないですか。そういうことになりましょう。そういうふうなことが私は介入だというのです。やるなら両方やりなさいよ。あなたのところの経営状態が悪いから上げちゃいかぬというなら、今度経営がよくなったら上げよ、こう言うなら非常に公平ですよ。中正ですよ。そういう点に片手落ちがあるから、私は介入じゃないかと言う。これは自民党の諸君とちょっと見解が違う。こういうふうに考えるわけです。というのは、私は何も労働組合に味方をして言うのではなくて、結局金融機関というものは公的性格を持っているわけですから、預金者が不安を抱くということは、国の政策としても、金融政策としてもよくないと思うのです。だから、そういう紛争状態というものは早く終止せしめた方がいいです。解決せしめた方がいいです。そういう意味から申し上げるのです。そういう意味で何らかの行政指導の方法はなかろうか、こういうことを言っているわけです。大臣も、どっちも適当になかなかうまいことを言っておるというようなことではなくて、十分配慮して、やはりそういう紛争状態は一刻も早く注意した方がいいでしょう。大臣は労働行政の最高責任者ですから、特に福永さんは、労働行政に卓越した手腕があるということでわれわれは非常に期待しておるわけですから、そういう大臣が、あっちでも銀行で紛争が起こっておる、こっちでも紛争が起っておる、銀行はどこでも赤旗が林立しておるという形は、大臣も必ずしも好ましい形だとは思わないでしょう、そういう点から、やはりこういう紛争状態についてはすみやかに解決するような行政指導というものが必要であろうと思うのですが、そういう点に対して大臣いかがでございますか。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 御指摘のような事態がすみやかに解消されて、問題の解決が行なわれることは、私衷心望ましいと存ずる次第でございます。そういう意味において、政府全般としても努力すべきものであると考えます。ただ、その努力の過程において、今いろいろお話がありましたようなことについては、重々気をつけていかなければならぬと考えております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 どうして私どもがそういうことを申し上げるかと言いますと、たとえばこれは一例ですけれども、昭和三十六年の十月に預金者貯蓄組合の問題が出て参りまして、その際に、三十万円の預金までは無税だということで、一家の中で、三十万円までなら無税ですから、何人も家族に分けて預金させた。そういうことによって税金をのがれようとするような行為が出てきた。ところが、それはどうも脱税行為だというような問題が起こってきて、これが非常に政治的に解決された。ところが、政治的に解決していただくのはけっこうですけれども、そのために銀行が、かなりの金をいわゆる追徴税として吸い上げられる。それのために、結局、結果的には人件費にしわ寄せがされて、またこういうことが一つの紛争の原因になっておる、こういう例もございます。そういうことで、今日の紛争状態を見て参りますると、これはまことに残念ですけれども、どうも当局側のいろいろな処置によって、労使間の紛争を引き起こすというような点が多々あるのではないかというような感じがします。そうしますと、冒頭に労政局長が、この紛争状態は自主解決するのが望ましいとおっしゃいますけれども——労働省の方は自主解決が望ましいと言っておるのを、銀行局の方はどんどん紛争の種をまいておる。これはちょうど頭をさすっておいてほっぺたをたたくようなものですよ。私は、こういう点は、日本の労働行政というものが非常に矛盾しておるような気がする。政党政治ですから、大蔵省であろうが労働省であろうが、これは一貫しておらなければならぬ。ところが、精神分裂症でないけれども、どうも労働省と大蔵省の行き方というものはちぐはぐになっている。こういう点、私非常に残念に思うのです。  時間がございませんから、端折って申し上げます。私はこの際、たくさんございますけれども、特に一例として指摘して申し上げたい点は、今なお紛争状態でございまする長崎相互銀行の問題がございます。ここでは暴力団を使って組合運動に介入しておる、こういう問題がございます。あるいは自民党に安保対策費と称して三百万円の融資をしておる、こういう問題もございます。そういうような全くでたらめな不当労働行為をやる。暴力団に銀行が金を与えておる、そしてぐれん隊とも称すべき男が組合に対していやがらせをやる。これはもう警察ざたになっておりますから、私何も想像で言うのではなくて、もう明白な事実です。あるいは自民党に対して安保対策費と称して三百万円の融資をしておる。こういう紊乱した運営をやっておる。そして一方においては労働者にしわ寄せさしておる。こういう事実というものがほんとうに許されるのかどうか。大蔵省いかがですか。

佐竹浩大蔵事務官(大臣官房財務調査官)

○佐竹説明員 ただいまの御質問にお答えいたします前に、先ほどちょっと私の言葉が足りない点を補足さしていただきます。  河野先生のお話によりますと、いわゆる経常収支率に対する大蔵省の指導というものがあるために、非常に労使間の紛争というものを必要以上に複雑にしておるのではないか、長引かせておるのではないか、こういうお話でございました。これにつきましては、私どもの見るところによりますと、先ほど堀労政局長からお話しがございましたが、現在六十一行の相互銀行が組合を持っておるわけでございますが、そのうち四十四行がいわゆる全相銀傘下の団体でございます。その四十四行のうちで、今日まですでにほとんど大部分の相互銀行が円満に妥結をいたしておりまして、いまだ未解決となっておりますところは、わずかに二、三を数える程度でございます。従いまして、いわゆる経常収支率の指導というものは、全体としても、労使紛争をいたずらに紛糾させておるということではないと私どもは考えておりますので、一言申し上げさせていただきます。  ところで、お尋ねの長崎相互銀行でございます。これにつきましては、私ども全国相互銀行協会等を通じまして承っておる限りにおきましては、大体ただいま申し上げるようなことになっておるようでございますが、長崎相互銀行におきましては、いわゆる従業員組合、通常第一組合と言われておるようでございます。それから職員組合、通常第二組合と呼ばれておるようでございますが、そういう二つの組合がございまして、それぞれ春闘にあたってベース・アップの要求を提出されたようでございます。それに対して経営者側は、いろいろお話し合いの結果、四月の初めに至りまして、第二回目か何かの回答で、定期昇給八百円を含んで二千円というものの回答を出したようでございます。それに対していわゆる第一組合の方は、これを非常に不満としまして、三月二十八日には福岡支店、諫早支店におきまして全面ストライキを行なった。四月の六日には午後三時から職場放棄、同じく七日には福岡支店、黒門支店で十一時から職場放棄を行なうというようなことで、現在に至るまで大体一週間に一日程度ぐらいずつスト行為を行なってきておる模様でございます。一方職員組合、すなわち第二組合の方は、四月の九日に至りまして経営者側の第二次回答案、すなわち定期昇給八百円を含む二千円上げという提案を了承いたしまして、妥結をいたしたようでございます。このような状況でございまして、第一組合と第二組合の勢力分野は、大体第二組合の方が過半数を占めておるようでございますが、そういったような過半数を占めるところの第二組合は、ただいま申しましたような経韓で、経営者の提案を入れて円満妥結を見ておるようでございます。  なお、御指摘のございました暴力団その他のことにつきましては、私どもは一向に聞いておりません。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 第一組合、第二組合の関係が申し述べられたのでございますけれども、これはすでに労働大臣も御承知のように、国鉄が第二組合と妥結をして、第一組合からの強い突き上げで、とうとう政府が中にあっせんに入って事態を収拾しなければならなかった、こういう事例がよく証明しておると私は思うのです。この点についていろいろ申し上げることはありますが、そういう一つの政策が失敗であった不当であったということは、私は国鉄の場合がよく物語っておると思うのです。政府が認めてあっせんしなければならなかったわけですから。そこで、私はそういうことは理由にならないと思うのですが、ただそういうことを銀行側が積極的に行なうというところに問題があると思うのです。たとえばストが起こりますと、経営者側が積極的に新聞広告その他で非常に挑発的な記事を出す、広告をするということで、いたずらに紛争を激化する措置をとっておる。大蔵省はそういう事態は好ましくない——これは預金名保護という立場からも、預金者が安心して預金できることが好ましいわけですから、そういう場合に、銀行側に対立がいろいろあることは、結果的には私は預金者に対しては非常に不安を抱かせると思うのです。そういう意味から好ましくないということは、もう大臣もお認めになるだろうと思うのです。銀行局だってその通りだと思うのです。そうすると、そういうふうな労使間の慣行については、私はやはりうまくいくように行政指導をする必要があるのではなかろうか、かように考える。特に問題になりますのは、たとえば私が今申し上げましたように、銀行側が、行員の中でぐれん隊ともいわれる男に十万円の金をつかまして、組合に対していやがらせをやる。あるいはさっきも御指摘申し上げましたように、安保対策費七十万円、勤評対策費で五十万円、選挙未払い分として八十万円、計二百万を後に追加しておるそうでございます。そういった融資をやっておる。そういう経営方針というものは望ましいとおっしゃいますか。私も今度は選挙に出る、選挙費用に金を貸してくれといったら貸しますか。銀行というものはそういうものじゃないと私は思う。ところが、現実に長崎相互銀行の場合には、こういうでたらめな運用をやっている。そして組合に対しては暴力団を使ってみたり、あるいは挑発的な広告をやってみたり、こういうことをやっている。こういう姿が望ましい姿、たというようにお考えになりますか、いかがですか。

佐竹浩大蔵事務官(大臣官房財務調査官)

○佐竹説明員 銀行が正常な融資以外のところに金を出すということは、これは申すまでもなく、好ましからざることでございます。従いまして、私どもは常時検査をいたしております。検査にあたってそういうような事項が発見されました場合には、厳重に措置をするということで臨んでおります。  なお、後段の暴力団云々の話は、実は私全然聞いておりませんものですから、ちょっとお答えのいたしようがございませんが、かりにそういうことがあるとすれば——金融機関の内部に私はそういうことはないと思いますが、かりにそういうことがあるとすればはなはだ好ましくないことである、先生と全く同感でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 時間がありませんから、端折って申し上げたいと思いますので、答弁の方も簡潔にお願いしたいと思います。  今申し上げますように、暴力団の件は、警察ざたになっておるわけですから明らかです。これは地労委でも、事情聴取の中でそういうことをはっきり言っておるのです。その地労委の中では、大体四十万円もらったとか言っておるそうですけれども、警察では十万円を会社からもらいました、こういうことを言っておるわけです。これは明らかな事実ですから、銀行局はそのまま率直にお認めになってけっこうだと思うのです。これは全く遺憾な点です。  それからさっき申し上げましたように、情実貸付ですね。要するに、安保対策費が七十万円、勤評対策費が五十万円、選挙未払い分八十万円ということで貸しておるわけです。これは明らかに事実です。御調査になればけっこうだと思いますが、いずれにしても事実です。こういうでたらめなことをやっておるが、一方職員の給料というものは、他の相互銀行と比べますと約一万円見当低い。大体三十六才で二万三千円程度だそうです。私が調査したところによりますと、大体三万円というのがかなりあります。福島、大正、第一、それから和歌山——これは時間がありませんから詳しく申し上げませんけれども、そういうふうにたくさんございます。私は、長崎相互の場合には、そういうところに特別の問題があるのではなかろうか、そういうことが今日労使間の紛争を激化させる非常に大きな原因になっておるのではなかろうか、こういうことを考えるわけであります。これは大臣もいろいろと事情をお聞きになって、大体全貌というものは御理解いただいたと思いますが、こういう姿というものは、大臣は良識ある大臣だし、労働行政については特に卓越した手腕を持っておられる大臣でありますから、望ましい姿というふうにはお考えにならないと思います。そういう事態というものは、早急に何とか解決するということに努力すべきだとお考えになりますかどうか。   〔柳谷委員長代理退席、澁谷委員長代理着席〕

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 賃上げその他の労使紛争が円満に解決されていくということは、私の衷心から望むところであります。そして労働者全体として労働条件が向上していくということ、これまた一般論といたしまして、労働大臣として願うことであります。同時に、先ほどから御両所とも口に出しておられる、金融機関の性質上経理を健全化していく、これまた望ましいと思うところであります。経理を健全化しつつ、なおかつ従業員の待遇改善をしていくというところに経営者の才能がなければならぬ、こういうようにも私、考える次第でございます。そういうことでありますだけに、長期にわたる紛争がなお終息しないということを、非常に残念に存ずる次第でございます。すみやかなる解決の方向に、われわれも衷心、何らかの施策も講じなければならないというふうにも考える次第でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 非常に大臣から適切なお答えを願いまして、われわれも非常に敬意を表する次第です。大蔵省の方も、今大臣からも御所見があったわけですから、一つ十分尊重して御善処を願いたいと思います。  そこで、時間もございませんから、だんだん結論の方を急ぎたいと思います。いろいろ申し上げたいことはたくさんございましたけれども、今申し上げました暴力事件というものが、どうも最近金融機関の中で一つの特色となって現われてきたのじゃないかというような感じを持つわけです。それは、日本信託銀行においてもそういうような暴力案件がございますね。これはお聞きになったかどうか知りませんけれども、もしお聞きになっておらなければ、私はきょうそういう問題を提起いたしますので、十分御調査を願いたい。私は、金融機関というものは非常に上品な職域だと思っておったところ、最近見てきますと、暴力団の者を使ってみたり、暴力守衛を入れてみたり、どうも案外経営者というものは頭が古いというのが——ところがそういう幹部の方々に大蔵省の官吏の方々がうんと入っておられるのだから、そうすると、大蔵省の役人の方々もどうも頭が古いというか、経営の近代化といわれておりますけれども、経営の近代化と非常に縁遠いというような印象を持つわけです。しかし、そういう点については、もし初耳でございましたら、私はきょう提起いたしますので十分御調査になって、将来御善処願いたいと思います。  そこでそういう労働問題と暴力事件に関連して、この際労働省にお伺いしておきたいと思います点は、これは二十日の日に問題になったのでございますけれども、千葉県の職業訓練所におきまして、指導員が指導員に対して暴力ざたがあった。これは念が入って、やりを持ち出してやったというようなことで、これは普通の暴力ざたと違って非常に念が入っておる。これはやはり基本的に、たとえば訓練所の職員の処遇が悪いというようなことで、りっぱな職員を迎えることができないという問題で、問題がいろいろ起こってくる場合もあります。ところが今度の場合は、担当時間が千八百時間の中で八十時間しか出て来ぬ、そういう問題、あるいはまた、今申し上げますように、訓練所の幹部と業者との間におけるいろいろな醜聞、さらには訓練所の幹部と職員とがぐるになって暴力ざたをやる、そういうような私どもが想像いたします以上、非常に非常識な問題と思いますけれども、そういう問題が起こっておる。これは労働省の外郭団体ですが、労働大臣の方では健全な組合運動というものを育成したいという、そのおひざ元からそういうでたらめな状況が生まれておるということは、私は非常に残念だと思います。時間がございませんが、一応この問題を提起いたしますので、この際一つ御所見を承っておきたいと思います。

村上茂利職業訓練局長

○村上(茂)政府委員 ただいま先生御指摘の案件につきまして、千葉県の総合職業訓練所の問題でございますが、地元新聞紙などの報道に載せられたようであります。労働省としても、至急この実態調査をいたしたような次第でございます。いろいろ複雑ないきさつがあるようでございますが、時間の関係上、それは省略さしていただきたいと思います。しかし、何分にもその職場の性質が一般の職場と違いまして、青少年に対しまして職業訓練を行なう、こういう特殊な施設でございますので、私どもとしましては、指導員がそういった青少年の指導者であるという見地に立ちまして、指導員みずからがりっぱな人格者でなければならぬということを痛感しておる矢先に、ああいうような問題が起こりましたことは、はなはだ遺憾に存じておるような次第でございます。問題は、今地元警察署におきまして調査中でございます。問題の本人は、昨日と聞いておりますが、辞表を提出した、このように聞いております。私どもとしまして侵そういった暴力行為につきましては、それ自体一つの刑事案件といたしまして、警察で目下調査されておるところでございますので、その結果を待って処置したい。本人はすでに辞表を提出しておりますので、そういった点も勘案して処理したいと思います。しかし問題は、それよりも、訓練所として適切な運営が期し得られるような職場体制にあることが非常に大事でございますので、俗にことわざにもございます。雨降って地固まるといったような方向にはどうしたらいいかということで、目下鋭意検討しておるような次第でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 時間がございませんから端折って申し上げたいと思いますが、もちろん今申し上げますように、暴力事件も非常に重大ですね。ところが、私はもう一つ重大な点は、こういう暴力事件が起こった背景です。たとえば、会計検査院の方も、どうも綱紀が紊乱しておる、経理が紊乱しておるというような指摘をしておるそうですか、現地では、暖海荘という料事を中心とするいろいろな醜聞もございます。そこで、そういうような醜聞を背景として今の暴力事件が行なわれたとするならば、私は単に暴力事件だけではこの問題は解決せぬじゃなかろうか。今ちょっと局長がおっしゃっておりましたように、その運営というものが問題になるというようなことで、あるいはそういう点をさしておられるかどうかわかりませんけれども、私は暴力事件ももちろん問題であるけれども、その背景、たとえば所長がどういうことをやって、庶務課長がどういうことをやっておるんだというような、そういう背景について、やはりこの際御検討を願わなければならぬのじゃなかろうか。もしそこに端を発するとするならば、私はやはり、暴力事件もさることながら、そういう根幹を断たなければならぬ、病根というものを断たなければならぬ、こういうふうに考えるわけです。そういう点についてどうお考えになっておるか、この際伺っておきたい。

村上茂利職業訓練局長

○村上(茂)政府委員 御指摘の問題につきましては、いろいろ新聞の折り込みその他ビラが配られたり、さまざましておるようでございますので、私どもとしましては、こういった問題が事実であるかどうか、まず冷静にこの事実を把握いたしまして、その上に立ちまして訓練所の運営に誤りなきを期して参りたい。連日事業団側からいろいろな資料を求めまして、そういった問題点についてその真偽の程度を明らかにし、適切な処置を講ずべく、目下いろいろやっておるような次第でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 この点は、私は、労働大臣が労働行政については非常に卓越した手腕を持っておられるわけですが、そのひざ元で——この問題が事実であるかどうかということは、今後調査するとおっしゃったけれども、少なくともそういう疑惑を受けるようなことが起こったということは、非常に残念だと思うのです。しかし、そういうことが事実であるかないかということよりも、すでにそういう疑惑が出てきているということは、非常に問題があると思うのです。そこでこれは一つ適切な御処置を願いたい。  そこで、本会議も始まりますので結論を申し上げますと、いずれにいたしましても、今日の労働行政の中で、そういうように非常に未解決の分野というものがかなりある。特にただいま申し述べました金融機関におけるそういう問題、これも一つの特色でございます。その中でも、長崎相互の場合は特に問題ですね。今度の春闘相場では五千円といわれておりますが、長崎の場合は二千円だ。その額については非常に問題がある。ところが、その額の背景については、さっき申し上げるように銀行側がいろいろ不当労働行為をやる、あるいは重役の中に元警察官僚を連れてきて、そうして組合干渉をやっておる。そのために刑事事件が起こって告発されたという事件もございます。こういう事態というものは早急に解決する必要があると思います。これは私ども、組合の立場で言うのではなくして、国民の一員として、公的性格を持っておる金融機関にそういう傾向があることは望ましくないと思う。そういう意味で、今後この問題については、大臣と大蔵省とが、渾然一体となって解決のために努力していただくというふうにお願いしたいと思いますが、その点いかがでございましょうか。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 十分努力をいたしたいと存じます。

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長代理 本会議散会まで休憩いたします。    午後二時一分休憩      ————◇—————    午後三時二十九分開議

中野四郎自由民主党

○中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。横路節雄君。

横路節雄日本社会党

○横路委員 去る四月の二十一日の朝に、国鉄総裁は談話を発表いたしました。その談話の内容は、去る三月三十日から三十一日にかけての国労のストは、国民の皆さんに大へん迷惑をかけた、深くおわびをする、国鉄としては、この国労の違法の闘争計画に対しては、当局として再三警告をして、違法な事態が起こった場合は、指導者はもちろん、直接行動の責任者についても厳重な処分をもって臨むと警告してきたが、国労はこれを無視して、全国各地で多数の列車の運転をとめたり、おくらせたりした、従って、国鉄の公共的使命にかんがみて、職場の秩序を回復するためにこの処分を行なった、こういう談話を発表しているわけですが、総裁にお尋ねしますが、国鉄労働組合が三月三十日から三月三十一日にかけて、なぜこういうような闘争計画を立てたのか、その点については総裁はどうお考えでございますか。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 いろいろ団交をいたしておりまして、組合の要求が通らないということで不満を持って、ああいうふうな処置に出たのではないかと思います。

横路節雄日本社会党

○横路委員 今の総裁の御答弁は、この事態の真相について、国鉄当局としては責任を回避していることになるではありませんか。もしも総裁が、そういうお考えでこの処分をしたというならば大へんなことです。今回の闘争については、二月の七日に国鉄労働組合としては、年度末手当について〇・五カ月プラス三千円の要求をした。ところが、皆さんの方では、三月の二十三日に〇・四カ月分の支給の回答をしてきた。ところが、三月二十六日に、国鉄当局は動力車労組及び第二組合との間に〇・四カ月プラス千円という金額で妥結をするという情報が国鉄労働組合にあったので、三月二十六日の午後九時から翌午前零時までの間に団交を重ねた。その結果、国鉄の当局側は何と言っているのです。動力車労組との一方的妥結をしないで、国労との団体交渉を明二十七日午前十時から継続する、こういうことを約束したではありませんか。こういう約束をしておいたので、そこで国鉄労働組合としては、二十七日の午前四時から二時間の時限ストライキを直ちに解除する指令を出して、労働組合の首脳部は全部帰った。ところが三月二十七日の午前四時には、動力車労組との間には妥結をしたわけです。このことは、従来の国鉄当局と国鉄労働組合との間におけるいわゆる労使慣行に違反した行為ではありませんか。この闘争計画が起きたそもそもは、今私が申し上げたように、国鉄当局が国鉄労働組合との間における長い間の労使慣行を無視してやった。そこに労働組合は当局に対する不信の念、そういうことが、この闘争計画を立てた最大の原因ではありませんか。だから、言うなれば、三月三十日から三月三十一日にかけてのこういう列車遅延等の計画が立てられるようになったその根本原因は、国鉄の当局に責任があるではありませんか。この点、総裁はどう思うのです。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 国鉄当局といたしましては、いずれの組合に対しても、一様に誠心誠意を持って団体交渉を続けております。そのうちの一部の組合が——さきに国鉄が提出し、いろいろ折衝をいたしまして団体交渉を重ねた結果、煮詰まって最後案を出した。その最後案をある組合が先に承諾をしてきた、こういう事実なんで、われわれは決して労働慣行を無視したとか、要するにそういう事実はないと思っております。

横路節雄日本社会党

○横路委員 それでは一体、三月三十一日の午前四時四十分に、なぜ国鉄総裁はこういうことを言っておるのですか。労働組合との確認事項で、今回のことは労使の慣行を変更するものではない、しかし結果として紛争を生じたことは遺憾であり、今後はこのような事態を生じないよう配慮する。あなたの方では、従来の労使慣行を破って申しわけがない、あやまりますと言っているじゃないですか。あなたはこの確認事項を忘れたのです。そういうことをあなたが言っているじゃないですか。従来の労使慣行を変更して申しわけない、紛争が生じたことは遺憾です。大へん申しわけございません。ざっくばらんに言えば、あやまりますということなんだ。今後はこのような事態を生じないよう配慮する、こう言っているじゃありませんか。なぜこういう確認事項を出したのです。あなたの方で申しわけないと言っているじゃないですか。この点、否定なさるのですか、この点はどうなんです。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 私の言ったことは、従来の労働慣行を変更するものではない、しかしながら、こういうふうに多数の列車をとめ、大騒ぎを起こして皆さんに御迷惑をおかけしたということはまことに遺憾であるから、今後はそういうことのないように、さらに一段の努力をして、こういうことのないようにしたいということを言った次第であります。

横路節雄日本社会党

○横路委員 いやいや、そうではないですよ。あなたは文書で確認しておるでしょう。今後はこのような事態の生じないよう配慮するというのはどういうことかといえば、国鉄労働組合があり、動力車労組があり、その他小さな組合もある。従来の労使慣行については、国鉄の中の三十二万の多数の組合員を持っているこういう組合との間に妥結をして、順次他の組合に妥結をしていく、これが従来の労使慣行ではありませんか。だから、今後はこのような事態を生じないよう配慮するとは、今度三月二十七日の午前四時にやったような、こういうことはしない。従来通り三十二万の組合員を持っている国鉄労働組合に対して、まず話し合いを進めて団交をやって妥結をして、順次それを他の組合にやっていく。従って、今回のような紛争は二度と生じないように配慮するんだ、紛争を生じたことは遺憾だと言っている。あなたの方で間違いがなければ、何で遺憾だとか、申しわけがないということを言う必要がございますか。遺憾であるということは、あやまりました、申しわけございません、それを言うのですよ。総裁、あなたはふふんと言っているが、そういう考えではだめですよ。遺憾という言葉は、総裁ともある人が、遺憾という言葉を御存じないとははなはだ遺憾です。これは、遺憾であるということは申しわけないということです。この点は確認事項の中で大事な点なんです。国鉄労働組合としての基本的な権利がここで確認をされたから、三月三十一日の午前五時四十分に、列車遅延等に関する闘争計画について一切の指令を解除したのだ。総裁にもう一ぺんお尋ねします。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 組合との間に確認をいたしましたことは、今回のことは労使の慣行を変更するものではない。しかし、結果として紛争を生じたことは遺憾である、こういうことをいったのでありまして、私は、組合と当局の間でいかなる交渉、取引があろうとも、当局としては国民に迷惑をかけることは一切したくない。私は全力をあげてこれを阻止すべきである。それをすることができなかったことは、まことに遺憾であるということを私は申し上げたのでございます。   〔発言する者あり〕

中野四郎自由民主党

○中野委員長 静粛に願います。

横路節雄日本社会党

○横路委員 それでは、そのあとに、今後はこのような事態を回避する、こうなっているじゃありませんか。   〔発言する者あり〕

中野四郎自由民主党

○中野委員長 質疑が聞こえませんから、静粛に願います。

横路節雄日本社会党

○横路委員 それでは私は総裁にお尋ねいたしますが、国民に迷惑をかけるこういう国鉄労働組合の闘争計画について、これを回避するために、国鉄当局としては事前にどういう努力をしたのですか。何ら努力をしていないじゃありませんか。努力をしたというならば、具体的に、こういう事態を回避するためにわれわれ国鉄当局はこういう努力をした、具体的な例をあげてお話をしていただきたいと思う。どういうことをやって回避のために努力しましたか。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 たびたび団体交渉を開きまして、そうして当局としては誠心誠意労働組合と、そういうことを思いとどまってくれるように話して交渉をいたしたのであります。また私からも、労組の幹部の方々に私が親しくお目にかかって、それで思いとどまってもらいたいということをお話しいたしたのでありますが、不幸にして——何か夜おそくでなければ時間がないということで、私はたしか二時ごろであったかと思いますが、組合の幹部を迎えて、国鉄本社で折衝をいたしたのであります。そういうふうに私としては全力を尽くしたのであります。全力を尽くしたけれども阻止することができなかったということはまことに遺憾千万であるということを、私は率直に国民にあやまったつもりであります。

横路節雄日本社会党

○横路委員 今総裁がそこまで遺憾千万と言うならば、これだけ、いまだ戦後かつてない国鉄労働組合に対する大量処分を出したのだから遺憾千万である、国鉄当局も責任をおとりになったらどうですか。責任をおとりになったらどうです。そういう点についての責任の所在は、国鉄当局としてはどう考えているのでしょう。なるほど労働組合は遺憾千万だ、お前ら首切ってやる。しかし、あなたの方で、少なくとも三月二十六日の午後九時から午前零時までの団交の結果は、動力車労組との一方的妥結をしないで、国鉄労働組合との団体交渉は明二十七日午前十時から継続するとあなたの方で約束したじゃありませんか。そうして午前四時には他の組合との間に妥結をしている。こういう背信行為をして、この背信行為をもとに戻して当局と組合との間に信頼の念を持つためには、どういう努力をしたか。私はこれから、大平官房長官がおられるから、国鉄当局がどれくらい背信行為をしたかという話をします。だが、総裁にお尋ねをしますが、御自身の責任はどうするのです。人の首だけ切っておいて、自分の責任はとらないのですか。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 免職をいたしたのは、法律違反の事実があったから免職をいたしたのであります。私は今後こういう事態の起こらないように、さらに一段と懸命の努力をするつもりでございます。

横路節雄日本社会党

○横路委員 総裁、私は国鉄の部外者です。あなたの方では従来国鉄一家といって、国鉄の大家族主義というので、経営者の人も従業員の人もみな仲よくやってきた、これが国鉄の伝統じゃございませんか。それを、いかに労使双方の立場があろうと、このよってきたところは、今言ったように国鉄当局の不信行為ですよ。そうしておいて、今度は、お前たちは法律に基づいて、違反をやったんだからといって首を切っておいて、お前たち遺憾千万だ、おれの方はこういうことは二度としない、こう言っててん然としてその地位にすわっておれるかどうかということです。  これから私は、国鉄当局がどれくらい背信行為をやっているかという話をします。  まず、大平官房長官にお尋ねをしますが、私ども三月三十日の夜から三十一日の明け方にかけまして、国鉄の労働組合の今回のこの問題は国民の大多数の迷惑をかける、従ってこれは重大な政治問題である。実は私ども社会党は、江田書記長以下私も入りまして、三十日の午後十時半ごろから総裁以下とお話をした。そのとき、きょうは河村職員局長が来ていないから非常に残念だが、この問題は政治的な問題ではない、あくまでも国鉄の労使双方の問題としてわれわれは解決をしたい。その気持はわかるが、これだけの重大な政治問題になっているということについて、この解決をはからないので、当然政府みずから政治的な問題として解決をはかろうというのに、国鉄当局は拒否をしたではありませんか。私どもは三十一日の真夜じゅうから大体午前の三時ごろまで、大平官房長官の官邸で、官房長官には大へんお疲れのところ御苦労でございましたけれども、私どもはお話をしたわけです。官房長官といろいろ話をして、そしてこの問題は池田内閣としても重大な政治問題だから解決をしようということになって、吾孫子さんは当時病院にお入りになっておる、だから総裁、中村理事、それから河村職員局長——私どもは、総裁は御老齢だから官房長官も遠慮されたと思うが、中村常務理事、河村職員局長にこのことは十分話は通じてある、こう思って私たちは国鉄労働組合の諸君にも会って、こういうような事態で、政府も責任を持ってこれが解決に当たるから、地方は時間的にこれからの指令解除でだいぶおくれたけれども、東京の国電の始発にはまだ十分間に合うから、この点については、本日の東京始発国電のこの列車遅延に関してはぜひ一つ思いとどまるようにしてもらいたい、こういう要請を私たちは国鉄労働組合にしたのであります。そこで国鉄労働組合の諸君は、社会党がそう言うならば、政府の方でも官房長官が誠意を持ってやると言うならば、国鉄当局としてはどういうように考えているのか一つ話をしてみたいというので、まず話をした。ところが、中村常務理事が流した情報ではないと思う、河村職員局長の流した情報は、政府がどんなことを言おうとわれわれは絶対に了承できない、政府がどんなようにこの問題の解決に当たろうとしても、国鉄がやることだから、絶対に政府が介入すべきでない、官房長官が何と言ってこようと、そんなものは全部けってしまうんだ、こういう情報をあなたたちは一方的に流したのであります。そこでわれわれは、大平官房長官はすでにお休みでございましたが、成田君から電話をかけて起きていただいて、重ねて官房長官から国鉄当局に話をしてもらったのです。大体その時刻は三時半ごろであったと思う。そこで官房長官から重ねて中村常務理事か河村職員局長に話をしたはずだ。ところが話をしたのであろうという、お話をしていただいたという確認のもとに、また国鉄労働組合の諸君が河村職員局長を中心にする諸君と話をしてみると、大平官房長官から話があったが、こういう問題は池田内閣の介入すべき問題ではない、われわれ国鉄当局がやるんだ。だから大平官房長官から話があったが全面的にけってしまった、こういうことを再び組合に流している。この問題については、国鉄のたしか東京始発の、一番早い電車は午前三時四十分だと聞いておる、それから三十分置きに出ると聞いている。官房長官からお話があったのは、午前三時をちょっと回った時間です。おそくとも午前三時三十分を過ぎてはいない。せっかく官房長官からお話があったのに、政府が介入すべきではない、これは政治問題でないんだ、われわれ国鉄当局がやるんだ、官房長官が何を言おうとけってしまうんだ、こういう情報を流して、組合の諸君にはわれわれがどう話をしても、政府の言うことは信用できない、せっかく社会党が言っても、社会党のあっせんには応ずるわけにはいかぬ。時間は三時四十分を過ぎる。国電はまず最初からとまってくる。そこで私たちは、重ねてまた、お休みになっている大平官房長官に起きていただいて、また大平官房長官に、国鉄当局としては絶対に了承できない、大平官房長官のそういう申し出は全部けったというが、事実そうか。そうではないという。三時四十分の始発から、私は総裁や副総裁が意図的にやったとはきょうここでは言いません。しかし、きょうは来ていない河村職員局長は意図的に、午前三時四十分の始発から逐次ストに入れて——皆さんは入れたんですよ。一体だれが好きこのんで——やれば相当な大量処分が出るだろう。だから、われわれも官房長官も寝ないで、夜中の十二時から明け方までやったのです。そうして東京始発の国電を逐次ストに入れておいて、そうして皆さん、やっと午前五時四十分になって、この確認事項をもとにして妥結をして収拾したので、その収拾したのは当局ではないのですよ。収拾したのは組合自体が、午前七時以降になれば都民の大多数に迷惑をかけるから、そういう気持でやったのです。総裁は、午前の二時半ごろまでおいでになられてお宅に帰られたという話ですが、そういう話は御存じですか。総裁、河村職員局長が一方的に大平官房長官の再三にわたる電話を——これから官房長官に聞いてみますが、総裁は御存じですか。そして一方的にいわゆるストに入れておいて、大量処分をやって、組合弾圧をやっているのはあなたたちではありませんか。吾孫子さん、あなたは病気で寝ておった、こういう事態なんです。あなたが病院に入らないでおったら、もっと事態は違ったと思う。総裁、私の今の話は御存じですか。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 私は河村局長がどういう言葉を使ったか存じませんが、そういうふうなことを言うはずはない、私はそう信じております。私は、今お話のありましたように、たしか午前二時半ごろでしたか、二時半から三時ごろに自宅の方へ帰りました。だから私はその連絡を受けておりません。

横路節雄日本社会党

○横路委員 これから官房長官にお尋ねしますが、総裁、あなたは官房長官から三たび——私たち、実際、官房長官のお宅に電話をかけて起きていただくことは苦痛だった。だって、私どもは午前二時四十分までいて帰った。官房長官は三十分くらいしかお休みになっていないところを電話をかけて起こして、それから三、四十分たってまた起きてもらって、また寝た。あなたはこういう事態を御存じにならないで、そして今私が申し上げたように、四月の二十一日こういう一方的な新聞談話で、やったのはお前たちが悪いのだ、お前らがやれば首切るぞといって注意をしておいてあるのに、やったから首切ったのだ——注意をしておいて首切ったのじゃないのです。首切るためにやらせたのです。官房長官、この間私ども、あなたには非常に御迷惑をおかけしました、しかし、この問題についてこういう大量処分が出るなどとは、これは組合の当局も考えていないであろうし、われわれも考えていないのでございましたけれども、三月三十一日の晩、江田書記長や山本国会対策委員長や成田君や私どもがお伺いをしまして、池田内閣としてもこの重大な問題は政治問題として収拾する必要があるではないか、こういうので、あなたも非常に困難な立場にありながらこれを快諾していただきまして、逐次総理やその他とお話をなされて、そうしてあとには、総裁がおいでにならなかった、副総裁は病院へ入っていらっしゃる、その間、官房長官が中村常務理事に話されたのかあるいは河村職員局長に話されたのかわかりませんが、この事態収拾のために、政府としては、官房長官としてはその間どういう措置をとられたのか、この国会を通じて明らかにしていただきたいと思うわけです。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 お答え申し上げる前に、私どもの立場をはっきりさせていただきたいと思います。  元来、労使の問題は、民間の労働関係といわず、官公労関係といわず、労使間の話し合い、交渉できめるという労働慣行が成熟し、確立して参ることを期待いたしておるわけでございまして、政府が進んでこれに介入し、あるいは支配するということは、慎むべきものであると心得ておるわけでございます。  そこで、今のお尋ねの案件でございますが、三十日の深更になりまして、江田書記長以下社会党の幹部の方々がわざわざ私の宅までおたずねいただいたということは、事態容易でないし、また書記長以下皆様も大へん憂慮されて、よくよくのことであったと私は拝察をいたしました。従いまして、虚心にお申し出の趣旨を伺いまして、それを逐一国鉄当局の方に御通報申し上げて判断の資にするように私は努めたわけでございます。私どもは、先来労使関係は労使の間で話し合っていただきたいということを労働政策の基調にいたしておりまするから、従いまして、国鉄管理者が全責任を持って、自信を持って折り目正しくこういう関係に対処していただきたいと思っております。従って、私の方からこうせよああせよというような介入はすべきでない。ただ事態が容易でないということで皆様が御心配されるし、私も、もし国電がとまるような事態を招来いたしますならば、国民経済上はもとより、社会政策上非常に重大な問題でございます。従って、政治的にも重大な問題であるという認識においては、皆様と全く同一でございます。従って、何とかこの事態が円滑に収拾されることを望む一人でございます。従って、その解決の資になるようなお話は、社会党幹部の方々ばかりでなく、各層の方々から政府に対してもいろいろな御注文、御要請がございました。こういった点は、細大漏らさず国鉄の管理者、責任者に伝えて、善処を求めるというのが正しい道行きであろうと心得まして、そのようにいたしたのであります。

横路節雄日本社会党

○横路委員 官房長官の今のお話はよくわかるのです。そこで官房長官にお尋ねをしたいのは、国鉄当局は官房長官の話を、官房長官から話があったが、われわれはそれを一方的に全面的に拒否をした、官房長官からいろいろな情勢について話をしたが、われわれは政府のそういうような情勢判断には絶対従うわけにはいかぬ、こういうようなことは電話でお話があったのですか。私は今の官房長官のお話で、内容については私も触れません。しかし、あなたの方から、いろいろ社会党の私たちとの間にお話のありました点については、やはり内閣を代表する官房長官から国鉄当局に話をしているものを、一方的に官房長官の言うことは全面的に拒否をしたのだ、こういうようなことでは私はなかったと思うのです。この点はちょっと明らかにしてもらいたいと思います。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 私が御通知申し上げたことに対して、承りましたというお返事でございました。なお、お申し出の件で、三十一日の私と社会党の幹部の方々とのお話し合いの過程におきまして、報労物資等のお話が出たのでございます。それでこの問題を一つ解決の展開点にしようというようなお気持が皆さんにあられたことは、私はよくわかります。その点を国鉄当局に申しましたところ、何事をやるにいたしましても団体交渉で消化し、解決すべきものでございますから、国鉄当局としては、そういうことがあろうがなかろうが、とにかく団体交渉ということは労使の間にある慣行でありますから、団体交渉はいたしましょう、それが報労物資であるというようなことでございましたが、そういうことで団体交渉をすることはやぶさかではございません。そのことにつきまして、私は団交でこの問題、この事態を収拾して、残った問題は団交でおやりになったらどうですかということをアドバイスいたしましたが、それに対する答えといたしましては、団交ということは当然の慣行でございますから、団交をやるにつきましてやぶさかではございませんという返事でございます。ただそこで、先ほども参議院でその点が問題になったのでございますけれども、何か〇・四カ月プラス千円——このプラス・アルファを前提にして団交をやるべし、こういうアドバイスを私はした覚えはないのです。そういった介入の仕方は決して賢明でないし、妥当じゃないと思います。従って、団交の場を持ち、そこで報労物資等を話し合いの対象にいたしましょう。その結果がどうなるかは、団交の結果を待たなければなりませんから、従って、これで何がしか出るんだということを前提にして団交をお勧めするというようなアドバイスは、私はいたしていないわけでございます。その点、誤解のないようにお願いいたしたいと思います。

横路節雄日本社会党

○横路委員 これは総裁も、副総裁も、中村常務理事もよく聞いてもらいたいのです。今官房長官からお話がございましたように、この事態については、ただ単に国鉄当局の問題ではないのです。ここにあなたたちの考えの違いがあると思う。労使の間で解決すべき問題だ、それは言うまでもない。しかし、これは国鉄だけの問題だ、こういう考え方は間違いです。これはどうしても政治的な解決をしなければならぬ。そこで私どもは、官房長官との間に、この問題は今官房長官からお話しのように、私どもも、もともとこの問題は国鉄労働組合の組合としての権利に関する問題です。従来の労使慣行で、国鉄労働組合が妥結して、他の組合に順次妥結していく。その基本的な問題だから、従ってこの確認事項の中で、今回のことは労使の慣行を変更するものではない、もと通りやります。しかし結果として紛争を生じたことは遺憾であり、今後はこのような事態を生じないよう配慮する——これで国鉄労働組合としての基本的な権利というものは、皆さんとの間の労使慣行についての基本的な権利は確保された。そこで私どもは、妥結の第一項の、年度末手当は基準内儀金の〇・四、増収に関する報償として千円で妥結し、闘争は直ちに中止すること、これがこの〇・四プラス千円で、この闘争は終わるのです。他の条件はございません。このことは今官房長官の言った通りなんです。しかし同時に、報労物資等については直ちに交渉を開始して、公社、国労は誠意を持って円満解決に努力すること——これは、中に立って解決したいと思う私たち社会党や政府側としては、当然こういう立場で臨んだわけです。しかしあとで国鉄当局側から、報労物資等については直ちに交渉を開始し——私は先ほど組合の諸君に、正しい言葉はどういうように言ったのですかと聞いてみたら、純粋、無条件である、こういうことを言ったらしい。それは〇・四プラス千円で妥結したのですよ。しかし、報労物資等については、新たなる団体交渉をやるんです。金額についてもきまっていません。もちろん期限についてもきまっていません。しかし誠意を持って——これは政府やわれわれとしては、ぜひ公社や国労がこれで解決をしてもらいたい、こういうことなんです。このことなんですから。先ほど言ったように、大平官房長官から最初国鉄当局に話があったのは、午前の三時ごろだと思うのです。早ければ午前の二時四十分ごろです。そうしておきながら、それを外部に対しては、官房長官から話があったが、全部断わった。官房長官に、三べんにわたってそういう電話をかけさして、少なくとも三時から三時半の間であるならば、今回のこの三十一日の国鉄労働組合の闘争は、ことに東京については始発から中止になったにかかわらず、同じ条件でありながら、午前五時四十分まで引っぱって、そうしてある程度混乱を生じて、それを理由にあなたたちは解雇してきたのです。吾孫子さん、何か言い分がありますか、あなたはあとで報告を聞いたろうと思う。私たちは夜中、十二時から全部寝ないで、午前の三時までには妥結さしたい、これを解決をしたい——この遅延、遷延、一方的に延ばしてきたのはあなたたちの責任ではありませんか。吾孫子さんが答弁できなければ、中村常務理事でもいいですよ。あなたたちの責任なんです。

中村卓日本国有鉄道常務理事

○中村説明員 私から当時の状況を少し詳しく申し上げさしていただきたいと思います。  実は当日の夜九時過ぎに、本社において、社会党の江田書記長以下幹部の方々と総裁とがお会いになっております。このときは、結局お話がまとまらずに一応お別れになっております。その後、夜の二十四時ごろに、国労の三役が総裁にお会いしたいということで、総裁とお会いしたのであります。これは約一時間かかっておりますが、大体午前一時十分ごろ、これまたお話がつかずにお別れになっております。その後総裁はお宅に帰られたと思いますが、そのお宅へ総評の岩井裏務局長が行かれて、大体三時半ごろから四時ごろと思いますが、いろいろとお話があったわけであります。このときもやはり若干の食い違いがございまして、その話し合いがうまくいかなかったわけでございます。結局午前五時ごろになりまして、組合の方から、先ほど先生がおあげになったような件条で団体交渉をしたいという話がございまして、私の方といたしましては、報労物資については新しい問題として、団体交渉をやってもよろしいけれども、それはあくまでも純粋に無条件であるというようなことを申しまして、国労としては、それでは少し考えさしてくれ、中で相談するというので三役は帰っていかれました。その後間もなく、あの条件でけっこうだからということで、闘争を解除したということになっております。

横路節雄日本社会党

○横路委員 中村さんの今の話だと、あなたの方で午前の三時ごろから——私どもの方は二時四十分に官房長官との会談を終えて、国労本部に行って実態を話をした。組合は直ちに、あなたの方のどういう機関に連絡をとったかわからぬが、あなたの方の機関に連絡をとったら、第一回の回答は、大平官房長官からそういう話はない。その次は、大平官房長官から話があったが、全面的に拒否をした、こういうことなんです。この問題については、官房長官ももう時間がないようでございますから、警察庁長官にはあとから同僚の委員から質問がございますが、私は警察庁長官と労働大臣にだけお話をして終わりたいと思うのです。  今言ったように、この問題は、国鉄労働組合の基本的な根本の問題に端を発して、そうして交渉の過程で当局側の意図図的な問題があったと思うのです。こういうような状態で行なわれた問題について、警察当局が一方的な手入れをするというのは、私は不当だと思うのであります。この点は、特に労働行政を担当している労働大臣も、十分御承知おきになっていただきたいと思うのです。  最後に、官房長官、政治家としてあなたが、やはり約束を守って解決すべき問題がありますよ。この点については、三月三十一日の問題との関係で、私たち社会党の、しかも私ども二、三の者ではなくて、党を代表する者との間で話し合いを進めた点については、政府は責任を持って解決してもらいたいと思うが、この点はいかがですか。これで終わりますから、しっかりと答弁して下さい。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 私どもの方針といたしまして、先ほど申しましたように、労使の関係は労使の間で解決する、従って、労使とも絶対の責任を持っていただいて、折り目正しく解決をする慣行を確立する、これが一番いいことでございまして、政府が軽々に介入すべきものではないと私どもは心得ております。この問題も、今御指摘のように、新しい問題として団体交渉という場が持たれておるわけでございます。不幸にして今日までまだ妥結を見ておりませんが、この団体交渉で双方が合意いたしましてできました結論につきましては、私どももこれを尊重していきたい、こう思っております。

横路節雄日本社会党

○横路委員 総裁、副総裁、今お聞きのように——処分問題は、他の同僚委員から、さらに継続してあなたたちに御質問がございます。私は、国鉄当局が何ら責任をおとりにならない、一方的に組合に責任を転嫁しているという点は、非常に遺憾であると思うのです。しかし同時に、三月三十一日の妥結すべき問題の内容でまだ解決をしていない点は、政府を代表して官房長官から、労使双方で話がまとまった点については政府としてもこれを尊重していく、こういう立場を明らかにされたのですから、なお解決をされていない問題については、国鉄当局としては全力をあげてこれが解決に当たってもらいたいと思う。この点は総裁どうですか。なんでしたら副総裁でもいいです。吾孫子さんの方が詳しければ吾孫子さんでもいいです。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○吾孫子説明員 残された団体交渉の問題につきましては、私どもはなお続けて団体交渉をやるつもりでおります。

横路節雄日本社会党

○横路委員 吾孫子さん、やるつもりではなしに、やることに誠意を持って努力しなければだめです。ただやったらいいというものではないでしょう。この第一の問題は第一で、なるほどスト解除については条件ではない。しかし、新たなる問題として、第二の問題については団交をやることになっている。官房長官からも、労使双方で団体交渉を持ってやったものについては政府も尊重すると言っている。あなたの方では、誠意を持って解決する気持があるのかないのか、その点を聞きたいのです。吾孫子さんどうです。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○吾孫子説明員 団体交渉をやります際には、いつも真剣にやっておるつもりでございます。

横路節雄日本社会党

○横路委員 あなた国会へ来て、もう少し誠意のある答弁ができないのですか、誠意を持って解決をするとか。いや、やるときは真剣にやっていますなんて——そうでしょう、まさか、にやにや笑ってやっているわけでもないのだから。その点はどうなんですか。誠意を持って解決するなら解決するとか、もう少し誠意を持ってやって下さい。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○吾孫子説明員 真剣にやると申しましたのは、いつも誠意を持ってやる、こういう意味でございます。

横路節雄日本社会党

○横路委員 それではぜひ警察庁長官に私が要望しておきたいことは、法律の解釈だけで捜査したり——このよって来たる原因は、今私が言ったように、三月二十六日のそういう国鉄当局に対する組合の不信の念、そういう不信行為——今申し上げたように、われわれが明け方まで努力しているにかかわらず、言を左右にしてこの解決に当たらない、こういう問題が背景になっているのであるから、私は警察当局としても、こういう事態の真相を見きわめた上でなければ、そう簡単に、軽々に行動すべきではない、こういう点を一つ申し上げて、これらの点については他の委員から質問がございますから……。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 小林進君。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 委員長に申し上げます。この国鉄の対労働組合の問題につきましては、こういう紛争を起こしました中心の人物に河村何がしという局長がおるのでありますが、この局長につきましては、このたび惹起されましたケースとは若干異なっておりますけれども、やはりこのたびと同様、国会において非常にわれわれの手数をわずらわした経験のある男であります。河村とは一体いかなる人物か、われわれ国会議員にどういう余分な労力を費やさせたかということを明らかにするために、私はここへ当時の速記録を持ってきました。その当時、河村は職員局長ではない、一地方局長でありましたけれども、国会議員を誹謗し、あるいは不当労働行為を行なって、実にこの国会で数度の問題を惹起している。そのためにここにおられる総裁も、そして副総裁も——副総裁の吾孫子君は当時はまだ常任理事だったけれども、吾孫子君も河村局長のために数回この国会に参考人として呼ばれている。そのときに、その当時の河村君の考え方、行動に対しては、当時の官房長官赤城宗徳君は、はなはだ遺憾である、だからそういうことは厳として処置しなければならないと言ったことが速記録に残っております。私はそれに関連いたしまして、またこういう問題を惹起いたしました河村君のあり方に対して、今度の官房長官はこれをどう考えるか。国会と国鉄当局との関係を明らかにする意味において、私は実は官房長官に御出席を願った。結婚式があるそうで、やむを得ず退席されるそうでありますけれども、これは前の赤城官房長官の言葉と相対照しまして、重大なる証言を得なければならぬ問題でありますから、委員長においてもどうか一つ責任を持って、私の質問の終わらないうちに官房長官をいま一度この席上にお呼びいただきたいと思う。  それからなお、私はこれは総裁に申し上げますが、私どもがこの国会においでを願いたいという参考人の申請をいたしました中には、第一に河村局長をあげておりました。しかも、この河村局長にこの社会労働委員会に来てもらいたいという申し出は、きょうやきのうの問題ではございません。委員長を通じて、われわれは三日前に要求をいたしておるのであります。このわれわれの三日前の要求に対して、なぜ一体きょう出席できないのか、その理由を一つ明らかにしてもらいたいと思います。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 ちょっと小林君にお断わりいたしますが、私は三日前に伺っておりません。昨日の午後四時に、初めてあなたの方の御要求があった問題であって、少し言葉を改めていただかないと、委員会の権威にも関するので……。私は理事の諸君の決定に従って、要望はし、それぞれの通告はしてあるのです。どうか一つお間違いのないように。ちょっと何か御記憶違いじゃないかと思うが……。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 私が委員長に直接話をしたわけではございませんので、私が河村を呼ぶべしという意思を表明したのがおとといでありますが、その間、やはり事務局を通じて、三人なり五人なりの手を経ますから、委員長の耳に入ったのは、あるいはきのうの午後四時であったかもしれません。そういう時間の経緯があるということならば、その点はそれでよろしい。しからば、委員長の耳に入ったのはきのうの午後四時であるといたしましても、私は、きょうの午後四時の本委員会に出席するだけの時間的余裕は十分あったと思います。午後の四時委員長の耳に入り、委員長を通じて国鉄当局に要求があったのは、それから何分かかったか、二十分か三十分かわかりませんが、少なくとも午後の四時半か五時過ぎまでには、国鉄に対して出席の要望の通達があったと思うのですが、なぜ一体御出席できないのか、承りたいと思うのであります。

中村卓日本国有鉄道常務理事

○中村説明員 確かに昨日の夕方、きょう社会労働委員会がございますので、総裁、副総裁、それから私、河村職員局長の出席を求めるという御連絡が国会の方からございました。当時河村君は千葉の方へ、おとといの夕方から出張中でございまして、問題も問題でございますけれども、総裁と副総裁と担当の私が出席さしていただけば、職員局長は出張中でありますので、欠席さしていただいてもいいのじゃないか、こういうように一応考えたわけでございます。それで実はけさ、もう一回、ぜひ河村職員局長を出せというようなお話がございまして、千葉の方へ連絡をとったわけでございますけれども、たまたま千葉の埋立地か何かの、今度鉄道が投資をいたしますあの臨港線か何かを見に行っていて、ちょっと連絡がつきませんでしたので、連絡がとれる段階に至っておりませんことを非常に申しわけないと思います。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 今お聞きの通りであります。委員長の名前において、国鉄当局に参考人として出頭を要求せられた河村局長に対して、中村常務理事は、総裁と副総裁と中村常務理事が出れば、これで仕事を担当しているのであるから、出なくてもよろしいと判断をして出さなかった、こう言うのです。あなたの要求に対して、向こうはそういう解釈をしたわけだ。社会労働委員長の要求だけれども、いわゆる中村常務の判断をもってすれば、河村は要らないものと考えたからよこさない、こういう国会の招請に対して、行政官あるいは公社の重役と称するものが、こういう自由判断をすることは許されますか。私は委員長から明確に返事をいただきたいと思います。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 河村君は説明員でもありますから、もし河村君がいなければ、どうしてもあれができぬといえば、また後日開いてもいいのですけれども、きょうは今のような事情なんだから……。今後十分注意していただくということを、あらためて申し上げておきます。どうぞお続け下さい。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 私は、委員長の権威を土足にけられて笑っていられる委員長の態度にはいささか不満であります。そういうようなことで、委員長の名前において国会が招請したものが勝手に解釈せられて、出たり引っ込んだりされることが各公社の習慣となるならば、われわれもまたかけ引きをして言わなければならないということでは、国会の権威は失墜せられる。まことに残念にたえません。そういうことは、委員長としても一つ権威を持って、間違いのないように善後措置していただきたい。ただしかし、河村を呼ぶために、またあらためて委員会を開くという委員長のお話がありましたから、その点で一応私も委員長の言を了承することといたします。本日河村の来ないことは了承いたしませんし、そういうわれわれ国会の招請を勝手に解釈して来ないような国鉄当局のあり方に対して、われわれは了承するわけに参りません。  特に私は申しますけれども、だんだん話を進めていきますと、このたびの団交をするときには、官房長官と同時に、わが党の江田書記長も成田組織局長、山本国会対策委員長、横路常任理事もあなたたちのところで会合している。そのときの情報は逐一われわれのところに入っている。河村はわれわれの党の最高幹部に対して、実に傲慢無礼な態度を続けたということも入ってきている。野党であろうけれども、時の権力は握らなくても、一党の書記長は書記長だ、一党の最高幹部は幹部だ。それを前に置いてま傲慢無礼な、あるいは嘲笑するがごとく、あるいは眼下に見下すがごとく、傲慢無礼なる態度をしたということで、わが党の中ではこれが一つ大きな問題になっている。   〔委員長退席、澁谷委員長代理着席〕 だから、現実に傲慢無礼な態度をしたかどうか、私はこの委員会の席上で速記をつけてお聞きしたがったので、今度は一つ河村を呼んでくれという絶対条件をつけてわが党の理事を通じて要求した。それを何ですか。あなた方は自分たちの裁量で解釈して、河村は来ぬでよかろうなどという、国会のわれわれを侮辱する、言語道断です。あなた方はみんなそういうことをやっている。そのやっているという証拠をこれから一つずつ御質問いたします。  第一に、河村問題や何かは総裁にお聞きしますが、あなたは約束を違えておりますけれども、それはあとにしておいて、まず新しいところからいきます。先ほども横路委員がお尋ねをいたしましたが、中村常務、あなたは、官房長官が何を言おうと、政党が何を言おうと、われわれは断じて応じない、こういうことを言われたというんだが、実際に言われたかどうか、御返答願いたい。

中村卓日本国有鉄道常務理事

○中村説明員 私はそういうことを言った記憶はございません。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 次には河村局長が、大平官房長官から話があったが、この問題は池田内閣が入るべき性格のものでないから全面的に拒否する、政府や政党が介入すべき問題ではない、われわれ国鉄がやるんだ、官房長官が何を言おうとそれにとらわれることはない、こう称したという。今横路委員が言ったばかりであります。これは間違いありませんか。総裁、副総裁、中村常務、これは重大問題ですから、一人々々お答えしなさい、総裁、あなたからお答えしなさい。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 私は、そういう無礼なことを河村が言ったはずはないと思います。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○吾孫子説明員 総裁のお答えになった通りでございます。

中村卓日本国有鉄道常務理事

○中村説明員 私は、当日当夜、河村君と大体行動を一緒にしておりましたが、河村君がそういうことを言ったとは全然記憶にございません。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 それでは次にお伺いしますが、今度はその団交が済んだあとの話であります。河村局長いわく、報労物資などは、政府と政党との約束であって、私の関係したことではない、従って私は断じてこれを認めるわけにはいかぬ、あくまで所信を貫いて、断じて報労物資などは出さない、これは私は相当の資料があって申し上げているのでありますが、こういうことを河村君が言明するとともに下部に流した、こういう事実はありませんか。これは総裁以下三人にお伺いします。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 私はなかったと思います。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○吾孫子説明員 報労物資の問題について、先ほども御指摘がございましたが、団体交渉に応ずる、ただし純粋に無条件であるということを確認したというふうに私は聞いております。そのことを、そのままに関係方面には伝えたであろうと思います。

中村卓日本国有鉄道常務理事

○中村説明員 副総裁が申し上げたと同じでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 純粋、無条件とはどういうことですか。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○吾孫子説明員 純粋に無条件というのは、文字通り純粋に無条件でありまして、内容についてどうするとかこうするとかいうような約束は何も含んでいない、そういう意味に解しております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 報労物資の点は、政府と政党が約束したことであって、私の、国鉄の関係したことではなく、従って私は断じて所信を貫く、あくまでも報労物資などは出さない、こういうことを下部に流しているという、この事実を知っていられるかどうか。これは、総裁はもういいです。あなたはおそらくわからぬだろうから。副総裁と中村常務、こういう事実をあなた方が了承して河村君に下部へ流させたのか、あなた方が知らないで河村君が独自でやっているのか、それをお尋ねしているのです。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○吾孫子説明員 職員局長は、職員局長の職責において、団体交渉のてんまつその他については、関係の向きに対する説明をいたしておると思います。

中村卓日本国有鉄道常務理事

○中村説明員 先ほど副総裁が申し上げましたように、純粋に無条件であるという趣旨のことを流したと思います。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 それではこれは重大ですから、そうすると、河村君が、報労物資は政府と政党との約束だから、私は関係していないんだから、やはり所信を貫いて出さないということを言って下部へ流しているのは、副総裁も事情を知らない、河村職員局長としてみずからの権限でこれをやっているのだ、こういうことでございますね、そう解釈してよろしゅうございますね。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○吾孫子説明員 河村職員局長が下部に流した言葉まで、どういう言い方であったかは私存じませんけれども、団体交渉の結果取りきめたことを、客観的にそのまま伝えるべき立場でございますから、それを流しておるのだと思います。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 私は今も言うように、先ほどの官房長官や政党の代表の、そういう一つの事態を収拾したいという熱望に対しても、余分なことはするな、これは国鉄の問題だから関与するなというこの河村の思い上がった態度、報労物資についてもその通りだ、そんなのは政党と内閣がやったんだ、そんなことはわれわれの関与することじゃない、おれはあくまでも所信を貫いてやるのだという、これが河村の本質なんですよ。この中には、国鉄の職員局長なり、いわゆる行政官僚としての思い上がった態度があるのです。内閣何ものぞ、政党何ものぞ、こういう思い上がった気持が現われている。これは民主政治下における実に重大な問題だと私は思っている。これがほかの人なら言いませんが、河村はこれを四年前にも繰り返しているじゃありませんか。四年前にもこれをやったでしょう。これと同じことをやったじゃないですか。政党何ものぞ、国会議員何ものぞ、内閣何ものぞ、これをやったじゃないですか。総裁、御存じでしょう。前のケースと同じじゃないですか。総裁、違いますか。河村のこの態度は違いますか。総裁、よくあなたは知っているはずだ、まだ忘れたわけじゃないでしょう。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 私は、そういうふうに解せられるような態度、言葉を慎むべしということで、よく戒めております。そういうふうなことがなかったと私は信じております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 総裁、あなたは——私もさむらいですから、武士の情けで言っているのですよ。今汽車がとまるか、国民が事態の紛糾の中に巻き込まれるかという最中を、国会も憂えれば、政党も憂えれば、内閣も憂えれば、ほんとうにみんな心配するからこそ、夜中の二時四十分ごろまで、官房長官のうちまで、書記長から組織局長から国会対策委員長まで飛び込んでいって、もう三時四十五分の始発になればこれは動かなくなるから、それまで事態の収拾をしようといって苦労している。官房長官は全くお気の毒で、見ていられない。その当時、われわれは官房長官の部屋に行きませんけれども、やはりお互いの宿舎に足どめさせられて、寝ないで、すぐくつをはいて急場のときに飛んでいけるようにみな待機している、それなのに当事者のあなたは何です。あなたは寝ているじゃありませんか。これは人ごとじゃないですよ。あのときあなたは何をやった、吾孫子さんは何をやった、病気で寝ている、病気だから仕方がないけれども、寝ている、実に不謹慎きわまるけれども、お年がお年だから、そこまで追及したら悪いと思って、それでこっちは花を持たせて、そこまで言わないであなたに聞いている。そういう混迷の急迫せる事態の中で寝ていながら、そこにもいないで、河村に注意を与えたが、そんなことはやらないと思います。そんなおべんちゃらな返事で事態がおさまりますか。言わない、あなた、河村君にその確証を握りましたか。あなたは寝ていたのなら寝ていたでいいけれども、ここへ来るからには、ちゃんとそういうことを言っていないという言質をとらえてやっておりますか。それをあなたはやってきましたか。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 私は河村から報告を聞きましたが、そういう報告はありません。私は午前五時半まで起きておりました。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 あなたはどこで起きておいでになりましたか。いわゆる河村や官房長官に対して、われわれも書記長や政党の幹部が交渉したり、そして河村の団交の舞台に飛んでいったりしている。そういうあわたただしいときに、あなたも一緒になってこの問題を考慮せられましたか。どこであなた五時半まで起きておいでになりましたか、参考までにお聞かせ願いたい。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 総評の岩井事務局長が、会いたいということを宅へ電話をかけて参りましたから、私は二時半か三時ごろであったと思いますが、宅へ帰って、たしか三時半か四時ごろ、時間ははっきり覚えておりませんが、そのころに岩井事務局長が見えまして、しばらくの間、岩井事務局長と話をいたしました。それから五時半までじっと待機して待っておりました。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 何しろ私宅のぬくぬくしたふとんの上でじっとお待ちになるのですから、どんな形でお待ちになったか神のみぞ知るので、それはあなたの良心を信ずる以外にありませんが、それは大へん御苦労さまでございました。それくらいまで起きていられるなら、もう少し事態をこんなことにならないように、始発から車が動かないことのないように、警察官なんかが土足で飛び込んで、またぱくるようなことのないように、なぜもっと上手にやれなかったのですか、まことにわれわれ残念にたえませんよ。私は政府、政党の約束は、もっと高度の政治問題だと思っている。そういう民主主義下におけるこの高度の政治問題を、一官僚がそれを誹謗して、私の関知したことじゃないから、私は断じてそれをやらせぬなどと言うことは、毛にほどでもこんな言葉が許されるならば、民主政治は終わりです。官僚が政治に優位する、行政が政治に優位することです。官房長官と政府と、何と話しをなさろうと、そんなことは関知しない、おれはやるのだということは、民主政治を否定する考え方じゃありませんか。一官僚が高度の政治を否定しているじゃありませんか。政治という最高の方針に従属するのが、総裁、あなた方の仕事なんです。政党民主政治下における政治というものは、最高の方針なんです。その方針に正しく従うというのが、あなた方の崇高な任務ですよ。それを承知していながらそれをやらないで、そんなものはおれは関知しないという思い上がった態度こそは、私どもは断じて了承できません。今官房長官が来たらそれをやりますけれども、長官が来るまでこの問題はあと回しにしまして、その間私は吾孫子さんに一つお聞きしたいと思います。  吾孫子さんにお尋ねいたしますが、あなは三月二十八日にこの国会へおいでになって、そして国鉄の三月三十一日のこの事態を一体どう収拾するかというわれわれの熱意を込めた質問に対しまして、ここで答弁をせられた。そのあなたの答弁の中に、ともかく不測の事態を避けるために極力努力する、こういう答弁をせられております。その極力事態を避けるために一体どういう具体的な努力をされたか、どういう具体的な処置を講ぜられたか、これは国会のこの席上であなたは公約されたのでありますから、その方法を一つ承りたいと思うのであります。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○吾孫子説明員 当日お答えを申し上げました通り、私どもといたしましては、事態の解決のために誠意を持って団体交渉に当たりたいということを申し上げたわけでございまするが、その趣旨に沿いまして、国鉄労組との間の団体交渉をやるつもりで申し入れその他を行なっておりましたが、実際にはその回数は、組合側の方でいろいろ事情もあったと思いますが、そう突っ込んだ交渉を何度もやるというだけの余裕はございませんでした。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 あなたは、二十八日に、国会のわれわれの前で、不測の事態を避けるために極力努力するということを言明した。あなたの公約は、そういう今の答弁でいいと思っていますか。国会というものは、そういう答弁でよろしいものであるとあなたはお考えになっておりますか。それじゃ私はもう一回具体的にお聞きしましよう。二十八日に、ここへおいでになって、吉村委員の質問に対して、こういうことを言っておる。「極力回避するようにいたさなければなりませんので、なお組合との間で今後も団体交渉が継続されることになっております。」というのが一回。それから「私どもといたしましてはさらに努力をいたしまして、国鉄労働組合との間で紛争を早くまとめるようになお一そう努力いたしたい、かように考えております。」これが二回です。それから「再々申し上げておりますように、これにつきましては、今後なおさらに努力いたしまして、早く穏便に事柄が片づきますように努力いたしたいと考えております。」これが三回。次には「今後とも労使関係の正常化のために誠意を持って努力いたしたいと思います。」わずか一時間ばかりのここにおける吉村君の質問に対する答弁の中で、四回あなたは公約しておる。吉村委員だけではありませんよ。次に関連質問に立った広瀬委員の質問に対して、あなたは、「団体交渉の今後の進め方につきましては、誠意を持って当たるということで御了承願いたいと思います。」と答えておる。速記録がありますから、私はあなたの言葉を一言も間違いなく復唱しておるのであります。次の大原委員の質問に対してあなたは何と言っておるか。「先ほど申し上げました通り、誠意を持って団体交渉を続けるつもりでございます。」こういうことを言っておる。次の滝井委員の関連質問に対してどう答えたか。「団体交渉につきましては、誠意を持って当たるということは、再々繰り返し申し上げておる通りであります。」出る委員、出る委員に、あなたはみたこう公約しておる。前後を通じて七回、必ず団体交渉をやって誠意を持って不測の事態にならないようにやりますということを言った。ここで言明したあなたの言明に対して、具体的にどういう行動をやりましたか、いま一回言って下さい。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○吾孫子説明員 誠意を持って団体交渉に当たるという趣旨のことを申し上げましたことはただいま御指摘の通りでございますが、その後再三にわたりまして、労働課長その他から組合幹部と連絡をとらせておりますけれども、組合側は、組合側が提案しております二つの点について前進がない限り交渉は再開できないという話で、交渉がなかなか進まなかったのでございます。それで三十一日の十九時でありますが、職員局労働課長の方から、内容的に前進をするというような条件で交渉を進めるというわけにはいかないけれども、十分に話し合いをいたしたいから、特に総裁も組合の幹部と会って話をしたいということを申しておるから、もう一度会ってよく話をしようではないかという連絡をいたしました。これに対して組合側は、そのときには、総裁にお会いすることは了承するけれども、団体交渉との関連で後ほど返事をするということで、すぐ組合側から関係者が私どもの方に来るということにはなりませんでした。その後別の場所におきまして、総裁と私とが一緒に社会党の先生とお会いいたしまして、事態の収拾について御相談を受けたわけでございますが、その後二十一時過ぎには本社内において総裁と社会党の江田書記長、成田組織局長等が会見されましたことは、先ほどお話に出た通りでございます。それからあとは、当時私は入院中でありましたので、病院の方に帰らしていただいたわけでございますが、それからあとの夜中のいろいろないきさつは、先ほど来お話に出ておる通りの事情であったように伺っております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 あなたはそれで、あなたの今のその説明で、この二十八日国会の中で吉村委員、広瀬委員、大原委員、滝井委員、この四人に、それぞれ、必ず紛争を解決するために誠意を持って解決をいたしますという答弁に対するそれが裏づけの行動であるという自信がありますか。それがこの国会で公約した証言に対する精一ぱいのあなたの誠意ある行動であるという自信がありますか、確信がありますか、言って下さい。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○吾孫子説明員 私としてはこれ以外に方法はなかったと思っております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 実に私はけしからぬと思います。あなたは二十八日のこの国会においてそれくらい確約をしておきながら、あなたが終わって帰られたのは五時半だった。その五時半から必ず団体交渉をして問題を解決すると言いながら、このわれわれ四人や五人の委員にだまし討ちしている。あなたは組合の諸君に一回も会ってないじゃないか。再三にわたり労働課長をして交渉せしめた。課長をして交渉せしめるというようなことは、一言でもここで言ったか。あなたは誠心誠意を持ってやると言ったけれども、帰って課長をしてやらしめた。人をこばかにするもはなはだしいじゃないか。だれが課長をしてこの問題の収拾のために交渉せよと言いましたか。しかもそうやっておいてやらない。三十日の十九時に、しかも三十日から三十一日に対していよいよストライキが行なわれるというその間近な午後の七時になって、職員局長は、内容を前進せしめるわけにはいかぬけれども、十分話し合いをしたいと思う、総裁も諸君に会いたいと思うという申し入れをしたというがごときは、これはまことに問題を紛糾せしめて、汽車をとめさして首切りを作る言いわけの材料を作っているのだ。そういうことをやっておるとしか思えないじゃないですか。あなたはこの速記をつけた国会の中で、五時半に、四人の国会議員に対して、必ず誠心誠意やる、約束しますと言って帰っていった。その三十日の日に課長を使いにやらせる間、あなたは一体何をやっていました。これ以上に誠心誠意を尽くして国会の公約を守る手段がなかったということは、あなた実に思い上がった、人を冒涜するもはなはだしい。いんぎん無礼きわまることだ。その間何をやっていたのですか。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○吾孫子説明員 先ほども申し上げましたように、数回にわたりまして労働課長をして団体交渉をしたいからという申し入れをさしたのでございます。しかしいろいろな事情で、組合側の方も出てきてもらえないという状況がしばらく続いておったのでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 特に私たちが、これはもう先ほども言うように、三十三年以来あなたたちがこの国会に実に土足をかけて、われわれをちりあくたのごとく軽べつをして、いんぎん無礼きわまることをやっている。きのうやきょうの問題で私はこのように言うんじゃないのだ。あなたは過ぐる国会にも、そういう答弁をして、みんなその廊下へ出れば舌の三寸も出してあざ笑って帰るような、そういう人をこばかにしたことをやっている。特に言いましょうか。あなた、われわれの同僚諸君の質問だけならまだいいでしょう。最後に一体、あなたの証言のとき——今委員長は帰った。きょうは宮中に呼ばれたなんと言って、いそいそとしてモーニングを着て帰ってしまった。また来るそうでありますが、あれがいれば一番わかりますが、二十八日に、最後の日に中野委員長が特に委員長として発言をして、こういうことを言っている。いいですか。「この際、委員長より国鉄労使双方に申し入れますが、本問題の解決については、誠意を持って話し合いを進めるよう努力していただきたいということを、特に要望いたします。」中野委員長はこう言っている。これに対してあなたは何と言ったか。「委員長のお言葉に沿いまして、できるだけ努力いたします。」あなたはこう答弁している。この委員長の発言は、単に中野四郎一人の発言ではないのです。この国会の委員会を代表して、与野党を含めた全委員の名においてあなたたちに要望している。あなたはその委員長に、誠心誠意を持って必ず努力をいたしますと答弁している。これほどりっぱなことを答弁しておきながら、それがあなたの答弁に対する行動か。三十日の日までついに組合の諸君にあなたの名前で申し入れしたこともなければ、話し合いをしたこともない。単なるあなたの部下の一課長をして連絡をせしめておいたにすぎないというのが、あなたの言う誠心誠意なのか。これが国鉄当局の誠心誠意なのか。吾孫子さん、いま一回言ってごらんなさい。あなたの誠心誠意がこうだというならば、これがあなたの精一ぱいの誠心誠意だと、いま一回ここで言ってごらんなさい。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○吾孫子説明員 団体交渉でございますから、申し入れをいたしまして、相手方が受けて来て下さらなければお話のしようがございません。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 今関連がありますから、関連の諸君が質問いたしますけれども、さっきの横路委員が言っている通りだ。午前三時四十五分には始発の車が動く。この車が動くときからいわゆるストライキが始まる。だから早くその時期までにとめるように妥結をしてくれと言って、そして官房長官のうちに午前の二時四十分までいて帰ってきて、そうして国鉄当局、あなた方の方へ話をすれば、官房長官の話なんか聞いていない、あれが何と言おうと、われわれがやるところはやるのだと言って歯牙にもかけない。それでは官房長官、話が出違わないかと言って、はやろうとする官房長官になお三回も電話をかけて、官房長官をおどして、早く国鉄を押えろ、当局側と交渉せい、どうもあなたの意思が当局側に通じていないということを言って、盛んにこっちがあわてているときに、あなた方は官房長官の連絡なんかきてない、官房長官にかかわりはしないといって、とうとう三時四十五分まで時間をかせいで、その始発から組合がストライキに入るもとをみずから作ってやらしたというこの事実は、私は今の答弁でも明らかだと思う。河村はそうしてやらせた。あなたもまたそうした暴圧を——いわゆるストライキをやるためにこの国会議員のわれわれを全部だました、委員長もだました。そして誠心誠意やりますといって、委員長に対する説明を加えて九回も同じことを繰り返して、われわれをだまして何もやらなかった。これは言語道断でございます。今後の国会の政治のあり方に対して、私はこの問題を黙認することができません。あなた方は今までと同じようにここで答弁して、なに、もう一時間もたてば小林はやめるだろうから、帰ったら舌を出してやろうと思っているかもしれないが、きょうはそうはいきません。きょうはそんな答弁では私は満足できません。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 関連して少しお尋ねをしておきますが、実は私もこの国鉄の労使関係について、今小林委員からも再三指摘されておりますけれども、この前の二十八日の当委員会における吾孫子副総裁の答弁の内容、その態度等から考え、あるいはそれ以降の国鉄当局のとって参りました態度とあわせて考えられますことは、どうしても、誠意を持って団体交渉をするという答弁をしておりさえすれば、あとは時間が過ぎれば事は終わる、こういう気持があなた方の心の奥底にあるように考えられてしようがない。これはどうしてもその疑念というものを払拭するわけにはいかないのであります。と申し上げますのは、実は今度の問題というのは、通常の労使紛争とは少しく性格が違う、こういうことについてはあなた自身が私の当日の質問に対して、従来と異なった結果が出てきた点については遺憾だという趣旨の答弁を行なっておりますが、こういう点から考えてみましても、今度の問題については、いわばその紛争の前提となる条件というものが、普通の場合と異なって、従来の慣行であったところの、大多数の労働者を擁する国鉄労働組合との長い間の慣行というものが、意図的であったかどうかは別として、それが破られたというところに問題の発端がある、こういうところでございますから、従ってあとから労働大臣にもお尋ねをいたしますけれども、労働大臣自身もこの問題については、あとの総仕上げということをうまくやるようにということを再三答弁をしておる。またあなたが、誠意を持って団体交渉に当たるというそのことを数回、八回か九回にわたって言うておるわけでありますけれども、その趣旨というものを私どもがどういうふうに理解をしたかということについては、賢明なあなた自身がおわかりにならないはずはないと思う。今質問をされました小林委員の質問に対しまして、あなたの方では組合の方に団体交渉の申し入れをしたけれども、前進をするというような含みがなければ交渉に応じられないということで、組合の方から拒否をされたということを言いわけがましく答弁をされております。私は前回の委員会のあの空気からするならば、あなた方の方で、組合からそういうような話があったとするならば、前進をするかしないかは別としても、三十一日の事態というものを避けるためには、前進をするようなものの考え方で事に当っていくという、そういう心がまえがなかったならば、私はあの当日の誠意を持って団体交渉に当たるという、そういう答えはほんとうに心の底から出たものというふうには考えられない。それは私もその当日も指摘いたしましたように、団体交渉をする、団体交渉をするということを述べていて、遷延策をとっているにすぎない、こういうことになりはせぬかということに対しても、あなたは単に団体交渉を継続するということのみを言うておるわけであります。私はこういう点から考えてみますると、国会におけるところの質疑応答、そういうものは私は言葉のやりとりだけの問題ではない、あの三十一日の事態というものを国民的な観点からどうしてこれを回避しようかという、そういう立場に立つとするならば、ああいう異例の状態の中でございますから、当然組合側からそういうような話があった場合には、それに応じてあなた方もその交渉に応ずるという態度こそが、事を収拾する一つのきっかけになったというふうに私は考えざるを得ないのです。それを単に組合側に申し入れをしたけれども、組合側の方で前進の中身がなければということなので、断わってきたから、そういうことを繰り返しているだけ、こういうことでは、当日のあなたの誠心誠意を持って団体交渉に当たるという、あの当日の雰囲気からするならば、私はいささか的をはずれておる、こういうふうに考えざるを得ないのでございますけれども、その点についてはどう考えられておりますか。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○吾孫子説明員 二十八日にお呼び出しがありましてここで御説明申し上げました際に申し上げましたことは、先ほど来御指摘の通りでございますが、組合側は、当時、御承知のように一方においては団体交渉をするのは内容的に前進をするということが条件でなければ話し合いをするわけにいかぬという態度をとっておられましたし、同時にまた他方において、三十一日に実力行使をやるのだという闘争の指令を出されて、一方でそういう違法な行為もあえてするということを言うておられる、そういう状況であったわけであります。それに対して私どもは、団体交渉の内容について話し合いに入る前に、何らかの条件付で話し合いに入るというようなことはできませんし、また一方で実力行使をもって脅かすというような態度のもとにおいて交渉することも困りますので、そういうような闘争態勢というものを解いて、お互いに団体交渉をやろうじゃないかという考え方で、何度も組合側に対して交渉の申し入れをしておったのであります。しかしながら、実際問題として内容に入った交渉を行なうに至らなかった。組合側の方では着々として闘争態勢を準備しているというような姿でありましたので、私どもはそれに対してまたいろいろと警告も一方では発するということを行なうと同時に、なお最後まで交渉の申し入れを行ない、三十日の夜おそくまでいろいろな姿で総裁も出席されて話が行なわれたことは、先ほど来お話に出た通りであるわけでございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 私の申し上げておるのは、あれからもうだいぶたっておるのでありますけれども、しかし事は全然前進をしないで、何が残ったかといいますと、大量は苛酷な処分というものが現実に問題になっておる。私はそういうような事態を避けるために、二十八日の委員会であなたは誠意を持って団体交渉に当たるという答弁を数回にわたって繰り返した。われわれもまたそれを信用して、おそらく団体交渉というものが再開をされて、あの混乱する事態というものを避けられるものであろう、避けていきたい、こういうふうに考えて、再三にわたってあなた方の誠意あるところの団体交渉ということを聞いたわけでございますけれども、もちろん団体交渉の中身の問題に触れようということは私たちはできない、これは労働大臣も聞いておると思いますし、労働大臣もその際に言いました。団体交渉の中身の問題についてここに触れようということは賢明だとは考えない、ということも触れております。この言葉の裏というものをどういうふうに理解するかというならば、結局事態を円満に解決するためには、従来の労使慣行というものをあの瞬間においてあなた方が破ってしまったから起こった問題であるからして、組合法十七条の趣旨からしても、あの事態を回避する手段としては三十二万の大組合であるところの国鉄労働組合と新たな条件のもとにおいて交渉を進める、そういうことによってやるならば組合法に違反もしないし、すべてが円満に解決するであろう期待をあなたは全体に与えていたはずだと思う。少なくともそれを期待をする者が大半であったと思うのであります。ですからこそ、中野委員長が最後に特に発言を求めて、労使双方に対してああいうふうな申し入れをした。あなたもそれに答えて誠意を持って団体交渉に応ずるという、あるいは円満解決に努力をするという答弁をなされておる。その趣旨は団体交渉を申し込んで、あるいは団体交渉を何回もやっていさえすればいいんだ、そういうものではないはずだと思うんですがね。前進させて解決をしていく、そういう誠意というものがなかったならば、あなたのあのときの答弁というものは私は出ないはずだと思う。そうでないとするならば、単なる遷延策にすぎなかったということを暴露しておる。しかも今日の段階においては、そのことはもうほんとうに名実ともに遷延策にすぎなかったということを表わしておるというふうに思われてもしようがないのではないか。私は国鉄の出身でありますけれども、遺憾ながら国鉄の問題については、これはもっと真剣な態度であなた方が臨んでくれれば、事は前進をしたはずだ。特に今度の問題については、先ほど来先輩の委員が言われておりまするように、社会党が全力をあげてあの事態回避のために夜も寝ないで努力をしておる。こういうような状態に対して、遺憾ながら河村職員局長の態度というものは、事を円満に解決するという態度が見られない。そういうところがだんだんと広がって、この事態というものを非常に大きくしておる。これを悪く言えば、国鉄労働組合というものの力を分断するために作為的にやったところの措置だ、二十六日以降のあなた方のとった態度というものは作為的であるというふうに今日の段階においては断ぜざるを得ない、こういうふうになってくると思うのです。私はそう思いたくない。また全体もそう思わせてはならないと思うのです。労使関係は正常でなければならないという趣旨からするならば、少なくともあの当時のあなたの誠意を持って団体交渉に当たるということは、国鉄労働組合か何かの問題で満足し得る——不満があっても一歩前進をしていく、そういうような態度がなかったならば、円満に解決し得るとはあなた自身自信を持って言い得るはずはなかったと思うのです。そういうことからするならば、あなたは単に言葉によってあのときは切り抜けたにすぎない、このように言われてもしようがないのではないか、こう思います。  福永労働大臣に、関連ですからちょっとお伺いしておきますが、福永労働大臣は私の質問に対してこういうような答弁をしております。私の質問の内容は、その当時、二十八日の事態というものは、国鉄の労使慣行というものが破られたために、国鉄労働組合が非常に憤慨をして、労働者全体が自分たちの今日までの長い間にわたって築いたところの労働慣行というものを守っていく、あるいは労働者としての権利を守っていく、こういう気持から国鉄当局に反省を求めようとして今異常な決意を持っている。この異常な決意というものは、場合によっては思わぬ事態を招くおそれなしとしない、われわれはこれを回避しなければならない、こういうふうに考えておるけれどもという私の質問に対して、あなたは次のように答弁をされておるわけです。「ただいま吉村さんから、思わぬ事態という言葉の表現がございましたが、現に起こっております事態も、私こういうことになろうという経過はおおむね承知いたしておりますが、みずから交渉に当たっているという立場ではなく、私は一種の第三者的な深い関心を持って、いろいろ——労使双方という立場からいえば第三者的な立場ではございますが、この思わぬ事態の起こっていることを深く残念に思う次第でございまして、さらに一そうの思わぬ事態が起こらないことを衷心望むものであります。私は私なりの努力をいたしたいと存じます。」、こういうことを答弁なされております。この前段のことはどういうことを意味するかというならば、その二十六日、二十七日にかけての事態というものは、あなた自身にとっても思わぬ事態であったということをあなたは告白をされておる。というのは、少数の組合よりも大多数の組合の意思というものが無視をされておるということが、これがあなたにとって思わぬ事態であったということがここで告白をされておると私は理解をする。そうして、その思わぬ事態というものをさらに拡大をさせないために、私は私なりに事の収拾のために努力をしたいということを言っておる。こういう点からするならば、労働大臣は一体あの事態回避のためにどういう努力をしたのかということも、あわせて非常に重要な問題であろうと思うので、お尋ねをしておきたいと思うのです。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 私の言葉について注釈をおつけになったのでありますが、それが完全にその通りであるかどうかというようなことになりますと、私も若干申し上げなければならぬこともありますが、いずれにしても、あの日にああいうような論議が相当長時間にわたってかわされるような事態になっておりますこと、そのことを思わぬ事態——その論議がかわされるということについては、現実に国鉄でいろいろなことがあったからそういうことになったわけであります。そういう全体をさしてのことでありますが、いずれにいたしましても、そういう事態が起こっておることは私として望ましくないし、従ってそれ以上にさらにめんどうな事態が起こることのないように衷心望んでおったわけで、率直にそういう表現をいたしたわけであります。そこでその後におきましても、われわれも皆さんからしばしば御注意を受けておりまするような不当な政府の介入というようなことはしてはなりませんので、そういうことは深く慎みつつも、先刻申し上げたような趣旨によって、より悪化した事態の起こらないようにというので、労働省は——私のみではございません、先ほどから社会党の皆さんも大へん御苦労をなさっていたのに対して恐縮いたしておるのであります。私も私なりに、あるいは直接に交渉に当たっておりませんから、皆さんのごらんになるところへは現われておりませんけれども、私も徹夜をいたして深く憂えておった一人であります。労働省の関係の局長以下の諸君も、一生懸命にこういうことについて心配しつつ、いろいろ連絡をとっておった次第でございます。官房長官は官房長官なりに深く憂えまして善処しておったのでありますが、私も私なりに気持におきまして、政府直接の関係の他の諸君と同様に憂えておった次第でございます。それだけに、何とか国民多くの人々に御迷惑がかからないようなことになるようにということで、どういうように施策を論じておったかという御質問に対しましては、ああいう段階においての労働大臣ないし労働省というものの立場は非常にデリケートでございます。従って皆さんからごらんになりますと、あるいは歯がゆいようにお考えになるかもしれませんが、これは立場々々でいろいろな見方があるのであります。われわれはわれわれなりに労働省らしく深く憂えつつ対処しておった、こういう次第でございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 関連だからこれで一応やめておきますけれども、ただ、労働省は国鉄の労使問題に対してまかせっぱなしで遠慮し過ぎている、こういうふうに私は思うのです。おそらく労働大臣知らないでありましょうけれども、国鉄の労使紛争の中で最も問題になっておるのは処分の問題なんです。大体百四十名からの解雇処分が出ておるのです。解雇処分が出るということには、当局は当局なりの言い分があるでしょうけれども、もっと根本的な紛争の原因というものがある。そういうものを突き詰めて解決をしていかなければ、本質的な解決にならない。ところが労働省は、事国鉄の問題になりますと——大臣の今の答弁では、今度の問題については私も私なりに努力したと言いますけれども、具体的には一生懸命心配をしておったということにすぎないようにしか見受けられない。というのは、国鉄の問題については国鉄さんにまかせておけばいいのだという気持がそこに働いているのではないかというように私は考えられてしょうがないわけです。それではいけないというふうに思いますから、そういう点については労政局長も認められておるように、今度の問題は組合法の十七条の見解、こういうものについてもあなた方は明確な回答を与えておるわけですから、そこに紛争の出発があるのでありますから、現象面にとらわれることなくて、原因というものに目を向けたところの労働行政、そういうものをもっと積極的にやってもらう必要があるというふうにこの際考えます。関連ですからこの程度にしておきますけれども、とにかく今度の問題についての、国鉄当局が誠意を持って交渉に当たるというその回答というものは、遺憾ながら行動化されていない。そうしていまだに労使が正常化されていない。こういうような状態については、特に労働大臣としては——今まではどうもむしろ怠慢のように考えますので、もっと積極的に、この問題の解決のために、大平官房長官くらいの態度をもって努力してもらわなければならぬ、こういうふうに考えますけれども、以上のことを要望して、一応私の関連の質問は終わっておきます。

田邊誠日本社会党

○田邊(誠)委員 今度の年度末手当をめぐるところの国鉄労使の紛争の問題については、日本の戦後におけるところの今までの労使関係から見えた場合に、きわめて異例な要素が数多く含まれております。その中で特に国鉄当局が犯したところのあやまちは、わが国の戦後における正常化しつつある労使関係の上からいって、きわめて遺憾であると考えておるわけであります。数多くの誤りを犯しておりますけれども、その中で特にあげますならば、今各委員から指摘されたように、そのあやまりは三つ、大きなものがあるのでございます。  一つは、いわゆる現在の国鉄の労使関係にあるところの正常な慣行を打ち破り、大多数の組合員を持つところの国鉄労組を無視いたしまして、一方的に当局が年度末手当の妥結をしたという、労組法の精神からいきましても、重大な誤りを犯していることが第一番目であります。  第二番目は、その事態を反省し、出発点に戻って事態の解決をはかることなくして、ずるずると事態の遷延をはかり、しかもいよいよ国鉄労組が実力行使に突入せんとするそのまぎわにおいてすらも、政府のこれに対するところサゼスチョンを無視して、一方的にこの事態の解決を遷延せしめ、ついに実力行使は突入せしめたという、こういうきわめて悪らつな行為であります。  そして、しかも第三番目には、こういった二つの誤りを犯しておるにもかかわらず、国鉄労働者にとっては戦後まれに見るところの、未曾有の大量処分をあえて行なったことであります。  私は大量処分のよってきたるところの原因というものは、この国鉄の、近代的な労使関係の正常化ということに対してきわめて認識が欠けておるということが、わざわいをしておると思うのでありまして、実は反省と自覚の上に立っていなければ問題の解決にはならぬと思うのであります。そうでなければ、こういった三千三百八十余名というような、常識的に考えても、この種の労働争議においてまれに見るところの大量処分は、正常な頭では当然行ない得なかったと私は判断をいたすのであります。国民の名において、われわれは断じて許すことのできない事実であります。従って第一番目の、いわゆる正常なる労使慣行を打ち破ったという、これをあなた方が非を認めて改めるという立場をとらなければ、労使の関係というものはこれから先きわめて困難な事態が続くであろう、こういうふうに私どもは認識をし、警告をしておくものです。  そこで労働大臣にお伺いしたいのは、二十八日の当委員会におけるところの質疑応答を通じて、労働大臣は国鉄当局の良識を信頼をし、期待をして、この上とも努力によって、ぜひ全体としてうまく仕上げてもらいたいということを再三言われておる。私はもちろん常識的には、この労働大臣の言葉は言える言葉だろうと思いますけれども、しかし現実には——国鉄労使の間に起こったところの紛争というのは、いわゆる労組法十七条の精神によるところの、多数を包含する組合を無視した、こういうところにあるのでありますから、あなたの言われるところの、全体としてうまくやってもらいたいという気持は、一般的にはわかりますけれども、現実にはすでに当てはまらない事態に到達をしつつあったのであります。そういたしますならば、全体ということは、いわゆる国鉄従業員全体をひっくるめての労使関係の問題でございましょう。しかし全体は——もちろんうまくまとまることは望ましい姿であります。望ましい姿でありますけれども、現実には、多数の従業員、多数の労働組合員を擁するところの国鉄労組を無視して、一方的に国鉄当局は年度末手当の妥結を行なったというところに問題があるとしますならば、これは全体としてうまくいくのが最上、最善の方法でありましょうけれども、最上の条件が、整わなかった場合には、次善、三善の策として考えられる点は、当然年度末手当というものは従業員に与えるところのいわゆる手当でありますから、その対象となるところの従業員、言いかえれば労働者、この労働者の大多数に与えるものだ。全体に与えるものですけれども、その大多数に関係をするところの国鉄労働組合、三十一万以上の組合員を持っておるところの国鉄労働組合、これに対していわゆる年度末手当支給の妥結がないというこの事態を考えてみた場合には、次善の策として考えるのは、この大多数の諸君にこそ年度末手当をいかように与えるかという交渉が妥結することが、あなたの言われる全体としてうまくいかなかった場合においては、善後策として当然常識的にも、法律的にもとるべき策ではなかったかと、私は判断いたすのでありますけれども、大臣はいかがお考えですか。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 全体としてうまく仕上げてもらいたいという、きわめて平たい表現をいたしたのでありますが、私は、当時あそこまでいっておりました事態のもとにおいて、国鉄当局が良識を持ってこの問題に対処されて、まさしく国鉄従業員全体の諸君を対象としてうまく問題を解決してもらいたい、こう考えておったわけであります。不幸にいたしまして、そういう意味から申しますと、必ずしも私たちが望ましく思ったような結果にならなかったことを、私も残念に思っております一人でございます。  後段お尋ねの点でございますが、確かにそういう御意見もあろうと思います。ただ、現実にこれをめぐっていろいろ問題を生じ、処分等につきましても、国鉄は国鉄なりの確信を持って臨んでいることではございましょうが、皆さんからは今までのような御意見もあり、これから先もいろいろ御意見の御開陳があろうかと思います。しかしここまで参りました段階におきましては、そういうことの判断ということにつきましては、やはりそれぞれの機関がこれについて判断をする。たとえば公労委であるとか、さらには発展の仕方によっては裁判所でどうとかということ等も、あるかないかは知りませんけれども、そういうところにおいても判断をするという運びになることも、私はあり得ると思うのであります。私といたしましては、いずれにいたしましても、あのときに率直な表現をいたしましたように、全体としての仕上げが必ずしも満足すべきものでなかったということについては、残念に思います。

田邊誠日本社会党

○田邊(誠)委員 あなたは二十八日の委員の質問に対して「今おあげになりました十七条の法の意味するところのものは、国鉄の経済者の諸君もよく理解しているものと思いますし、私はまたそれを理解していることを期待するものでございます。」こういうふうに答弁をされておるのであります。しかもその前段では、「有能な国鉄の経営者諸君が苦労をしまして今の事態に対処しておりまして、このあとうまくやって仕上げれば確かに有能だということになりましょうから、」こういうふうに言っておるのであります。まさに無能きわまる。あなたの期待と信頼とにこたえずして、この法の十七条の精神を理解せず、無知蒙昧にして、ただ事態の遷延をはかっている。こういうことに対してあなたの期待は全く裏切られたと私は判断をするのであります。こういう事態でありますから、私どもは、国鉄の当局のこの法の精神を理解せざるところの態度、そうしてあなたの期待にもこたえなかったところの態度、これに対しては、労働行政全般をあずかるところの労働大臣としては、何らかの勧告なり、何らかの助言なり、何らかの意思表示なりを当然この事態においてなさるべきものである、こういうふうに私は判断をいたしましたけれども、これに対して、あなたはどういうところの態度と行動をおとりになりましたか。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 先刻も申し上げております通り、私は私なりに全体としてのおさまり方についての望ましい姿というものを考えておったのでございますが、必ずしもそう参らなかったことを残念に存ずるわけでございます。しかし無知蒙昧とかなんとかいう表現もございましたけれども、国鉄は国鉄なりに一生懸命に努力されたということを先ほどからも言っておられます。一生懸命やっても、なおかつなかなか満点には参らぬということも間々あるわけでございます。そういうような意味で今度の場合、今直ちに国鉄がいけなかったとかどうとか、そういうようなことを言明するとかどうとかいうお言葉を今お使いになりましたが、そういうようなことを直ちにやるということは私は考えておりませんし、実際ああいうような複雑な事態のもとにおいては、十分な結果が得られればけっこうでありますが、結果論として言うならば、今御論議のあるようにことになったことは、先ほどから申しおりますように、残念ではございまするものの、さりとて、そうであるから、全然期待を裏切って無能であったということはなかなか言い切れない、こう思うわけでございます。先ほどからも総裁以下責任者各位が一生懸命に今後の対処策等についても考え方を申しておりますので、仕上げということを——私は仕上げが済んだようにも思いませんし、またこれからのことによってもまだ仕上げが残っているような気もいたします。それは先ほどからも純粋に無条件というようなことの表現もありましたけれども、いずれにしても、これからやる問題等もあるようでございますので、過去の経験を生かして、今後さらによき国鉄内の労使関係の確立ということに全幅の努力をしてもらいたい、私があえてここでこの段階で申すとするならば、そういう言葉になろうかと存じます。

田邊誠日本社会党

○田邊(誠)委員 労働行政を預かる労働大臣としてきわめて消極的なお言葉であって、この程度であっては大へん実は残念であります。しかしいずれにしても、労働大臣が、いわゆる労働組合法十七条の法の精神にのっとって、国鉄の経営者諸君もこれを理解して対処するであろう、対処してうまく仕上げれば有能な経営者であろう、こういうふうに期待をされたのに、国鉄当局はみごとにこの期待を裏切った。吾孫子副総裁、あなたは二十八日ここへ来て、労働大臣のいわゆる労組法の精神に基づき、多数の組合を尊重するという一般的な法の概念に基づいて、当然事態の収拾をはかるべきである、それを期待すると言われた労働大臣の言葉をあなたは聞いておったと思ったのですが、一体具体的に、この大臣のお話なり、われわれがるるとして述べたところの労組法十七条の精神によるところのいわゆる労使関係の正常化、労使慣行の確立、こういった面に対して、この二十八日以降において事態の紛糾に至るまでどういう努力をされましたか。どういう反省の上に立ってこの精神を生かすような具体的な努力をなさいましたか。口では誠意をもってやると言いましたけれども、具体的な積み重ねが現実に出てこなければ、あなたの誠意は誠意の押し売りです。一体どういう努力をなさいましたか。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○吾孫子説明員 二十八日にこちらに参上いたしました際に、私繰り返し申し上げたのでございますが、今回の事態というものは確かに今までの慣例から考えれば、異例な事態ではございましたけれども、国鉄当局の意図というものは、今までの慣例を乱そう、変えようというようなことを考えておったわけではなく、実際の団体交渉の経過において、どの組合に対しても同じようなことを当局側としては提案しておりました。たまたま三つの組合が先に了承されたものでありますから、結果的に、一番大きな組合が妥結できないうちにほかの三つの組合と妥結が先にできるというような結果になりましたけれども、これは決してそういうような意図でやったわけではございませんので、実際の交渉の経過を繰り返し二十八日にも申し上げたつもりでございまするが、今回の事態もそうでございましたし、今後も今までと違ったことをやろうというようなことは毛頭考えておりませんことを重ねて申し上げる次第であります。

田邊誠日本社会党

○田邊(誠)委員 大体二十八日も答弁され、今もお話がありましたけれども、何か四つの組合があって、そのうちの三つの組合と妥結をした、そういったことは、「私どもの力の及ばない範囲でどこかの組合があとに残ったというようなことが起こることもやむを得なかったと考えていただきたいのでございます。」とあなたは答弁されておる。もってのほかですよ。あなた方は交渉の一方の相手でしょう。交渉というのは労働組合だけの意思でもって行なわれるものではありません。また経営者の一方的な意思でもってこれが左右されるものでもありません。民主的に、両方が対等の立場でもって交渉が運ばれて問題の解決をはかるところに労使の円満な解決があるのです。何ですかこれは。すべて労働組合の方に責任があるがごとき態度と言辞を吐いておる。あなた方の意思がこの交渉の場に加わって、多数組合尊重の原則を貫くという意思が最初からあれば、こういう事態は起こらなくて済んだでしょう。それならば、このいろいろとお話しの中に、今までは四つの組合と交渉しておったけれども、お互いの組合の間ではある程度の意思の疎通があって、それでもってうまくやってこられたという話がある。あなたは今度の場合、いわゆる四つの組合がこの問題に対して意思の疎通がされて、いわゆる物理的には、時間的には幾らかのそごがあっても、四つの組合がこの問題に対して同時に解決できるような立場と態度に到達したということの認識を持つということがあったのですか。具体的にそういったことを承知しておってこの問題に対して対処されたのですか。今まではそういう意思の疎通もあったろうから交渉を円満にやってきたということを言っておるのでありまするけれども、今度の場合も、今まで、いわゆる大臣のお言葉によれば、国鉄も十数年の経験を経たと言っておるのですけれども、そういう血のにじむような経験をいろいろと経てこられたと言っておるあなた方当局者は、この問題に対処する場合に、組合の中において、こういう問題に対して最終的な態度決定が同時並行的に行なわれるような状態というものを感知して、この交渉に当たって、三つの組合と妥結をされる、こういう立場をおとりになったのですか。その間の事情はどうでしょう。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○吾孫子説明員 その点につきましても先日お答えを申し上げたと思っておりますが、国鉄当局側といたしましては、最終的な提案を内部で相談いたしまして、それをそれぞれの組合に対して同じような条件を提示いたしたわけでございます。それに対して、たまたま国鉄労組はさらに団交を継続しようということになっておりましたけれども、他の三つの組合はその条件でよろしい、こう言われましたので、事の性質上、こちら側の最終提案に対して、組合側の力でそれでいいと言われました場合には、それが即妥結ということになるわけでございまして、当時の事情は、別に計面的にやったとかなんとかいうことではございませんで、事の成り行きがたまたまこういうふうになったのでございますということは繰り返し申し上げる通りでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊(誠)委員 大体、最終提案とかそういう言葉をあなたが吐くこと自体に問題がある。労働組合との交渉は、あなた方が最終案だと思っても、事態の解決のためにさらに前進したところの態度を示さなければならぬ場合もあるのですよ。それでは二十六日に国鉄労組は一方的に交渉を打ち切ったのですか。そうじゃないでしょう。あなた方も交渉の場においては、あらためて午前九時から午前零時まで交渉を持たれた結果、国労との団体交渉を二十七日の午前十時から継続することを了承しているのじゃないですか。了承しなかったのですか。どっちですか。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○吾孫子説明員 国鉄労組と二十六日に最後的な交渉をして別れました際には、国労の方から、一方的な支給をするなという申し入れがあり、これに対し当局側は、そういう約束はできないが交渉は継続しようということで、闘争を中止するということになったわけでございます。

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長代理 簡潔に願います。

田邊誠日本社会党

○田邊(誠)委員 従って、あくまでもこの問題に対する解決のために国鉄当局は国労との間において誠意をもって交渉を継続するという紳士協約をしたのでしょう。そのことによって国労は実力行使を中止した。どうですか。労働組合の側はあなた方の誠意を信ずればこそ、みずからの権利の行使を踏みとどまって、これをしないで、あなた方の誠意を待っておるという態度じゃありませんか。それにもかかわらず、どろぼうネコのようにその間において他の組合との間において交渉を妥結するというような態度こそきわめて一方的であり、きわめて非民主的であり、あなた方の観念だけで事を運ぼうという独善的な態度が今回の事態を紛糾さした根本的な原因です。従って、この事態の解決のためには、あなた方の、いわゆる力には力をということで大量処分をしようという、こういうことだけが最後に残るという事態の中では、問題の解決に絶対ならぬのであります。なぜ最初の振り出しに戻って、もう一度、労働大臣が先ほどから言っているような精神を尊重し、ほんとうの意味におけるところの労使慣行の確立のために、多数組合を尊重するという認識を最大限に発揮して、誠意を持った交渉をさらにやることによって事態の解決をはかるという、最善にして唯一の道をあなた方はとらなかったのですか。これから先、国労との間における、あるいは国鉄労働者との間におけるところのすべての労使関係の確立のために、この今までとって参った態度というものが、いかにこれから先混乱を呼び起こすか、こういうことに対しては総裁も十分認識をされておると思いますけれども、いかがでしょう。私の話ばかりでなくて、労働大臣の話を通じても、あなた方のとった態度というものは現在の日本の労使関係にとってはきわめて異例のことであり、重大な誤りと錯誤を犯したものである、こういうふうに認識されて、その反省の上に立って新しい労使慣行のための努力を出発点から振り出しに戻ってやるという意思がおありでありますかどうか、十河さん一つはっきりと答えて下さい。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 私は労使の間において折衝するにあたって、いろいろな意見の相違が起こってくるのはやむを得ないことだと思います。そこで、でき得る限り双方で誠意を披瀝して交渉をいたしまして、話し合いによって平和裏に解決をするようにすることが絶対に必要だ、そういうふうに思って、そういうふうにずっと努力して参りました。しかしながら、意見の相違というようなことは必ずしも円満に調節できるというわけには参りません。その点を私どもは非常に遺憾に思っております。なるべくそういうことの起こらないように、今後も努力を続けて参りたい、こう覚悟いたしております。

楯兼次郎日本社会党

○楯委員 関連して二、三お伺いをしたいと思いますが、先ほど来傾聴いたしておったのでありますが、どうも話が食い違っておるようです。  だから、まず最初にお伺いをいたしますが、総裁、副総裁はこの委員会でもっともらしい答弁をなさいますが、実際組合と職長局長がこのような事態になったという経緯を十分お知りにならないのではないですか。また知っておると自分の方では思っておられても、これは河村局長なりその担当者の一方的な話だけ聞いておってここで答弁されるのではないですか。実際国労がなぜ憤激をしたか、こういう事情を十分知っておられるのか。こういう団体交渉に、三十日、三十一日は別として、実際出席をしておられるのか、まずお伺いいたしたいと思います。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 私は労使の団体交渉の経過につきましては、おもなる点は逐一当局者から報告を受けて承知いたしております。私も先ほど申し上げましたように、紛争をなるべく平和裏に解決したい、こう考えまして、当局者と労働組合との間で話し合いは進んでおるが、自分も一つ組合の幹部にも会って、組合の幹部ともひざつき合わせて話してみたいということを申し込んだゆえんもそこにあるのであります。また社会党の皆さんあるいは総評の幹部の方々等にも私は快くお会いして、最後の解決のつくまで私はずっと眠らないで待機しておって、最後の解決がついたという報告を受けて休んだような次第であります。

楯兼次郎日本社会党

○楯委員 今度の問題は、私は重複することは質問をいたしませんが、社会党も私も三十日総裁、副総裁に会って、収拾をしてもらいたい、こういうことを言いました。政府も官房長官も、先ほどお話がありましたように、労働大臣も二十八日でありますか、私の質問に対して、どうも国鉄のやり方は不手ぎわであった。これは速記録にはっきり載っておると思います。全部が、三十一日のあの争議だけは何とかして回避をしたい。社会党はやれやれと言ったのではありませんよ。徹頭徹尾、無意味であるから回避をしたい、こう言ってこの事態を避けるように努力をしてきたのです。ただ単に国鉄の幹部のあなた方が、そうした態勢のこの事態を避けるという忠言を拒否してやらしめたのだ、結果論になるかもわかりませんけれども、こういうこと以外には一歩も出ないのではないですか。みんなが何とか解決せよ解決せよ、こう言っておるのに、あなた方のみが、やれ団交がどうのこうのと言ってやらせない、こういう結論になると私は思うのですが、今日の段階、この席上で、そういうことをお感じになりませんか。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 不幸にして意見が一致しなかったということは、私も認めます。われわれの態度に対する皆さんの評価は、これに対しては私は何とも申し上げかねますが、意見の一致しなかったという事実が不幸にして最後まであったということは、これは私も遺憾ながら認めざるを得ないと思います。

楯兼次郎日本社会党

○楯委員 私はこういうことを前提にして二点お聞きしたいと思いますが、年度末手当というのは国鉄が増収になった場合に、その何割かをその労に報いるために支給をする、こういう手当ですね。ここでお伺いしたいことは、三十五年度の当時、年度末手当を支給する決算見込み、増収見込みと、三十六年度の増収見込みと、それからその増収見込みに対して出された年度末手当の率を、概略の数字でいいですから、ここで一つお示しを願いたいと思います。

中村卓日本国有鉄道常務理事

○中村説明員 実は残念ながら三十五年度の詳しい数字は、ちょっと手元に持ち合わせがございませんが、三十六年度の分だけについて、簡単に御説明いたしたいと思います。  三十六年度におきましては、大体予算に対しまして二百三十億くらい増収があるだろうということが、当時見込まれたわけでございます。これに対しまして支出の方の増加はどういう関係になっておるかと申しますと、この増収のために必要な経費が大体三分の一ございまして、七十七億、それから期末手当の増加、これは公務員の期末手当が増額いたしましたのに見合って、十二月に出したものでありますが、これが〇・三五カ月分で四十二億、それから寒冷地手当の仲裁裁定等がございまして、その関係で六億、それから昨年の補正予算のときに、御承知のようにベース・アップの仲裁裁定が出まして、五カ年計画にも狂いがきては困るということで、鉄道債券の増加ということをあとから追加したわけでございますが、この債券がいろいろな金融事情その他から発行が不能になったということで、この穴が二十億ございます。   〔澁谷委員長代理退席、小沢(辰)委員長代理着席〕 それから災害関係でございますが、全体で七十四億災害があったわけでございます。そのうち予備費から支出したものが二十五億で、差額の四十九億円はやはり増収の中からまかなわなければいけないというようなことになっております。それからこのほかに予定された五十六億の経費節約ができなかった分がございまして、大体二百三十億の増収見込みが全部なくなってしまうという見込みもあったわけでございますけれども、これはせっかく増収になったのでありますから、何とか職員に報いたいということを考えまして、われわれの方といたしましては〇・四カ月分、これは千円ですが、報償という形でございますけれども、そういうことで三十六年度におきましては、最終手当として出した数字を合計いたしますと、五十五億くらいの金になると思います。それから昨年度は〇・五カ月分でございまして、これが大体五十四億ぐらいになったのではないかと記憶しております。

楯兼次郎日本社会党

○楯委員 私の聞きましたのはそうではないのです。大体昨年は——私も予算委員会で質問をした覚えがありますが、総裁は本年度は収支とんとんであると言っておるのに、多少増収の見込みが出てきたというので、世論もたたき、委員会でも給料をしたことがあるのです。そのとんとんであるという見通しに立って〇・五を支給をしながら、本年度は相当大幅な増収が見込まれるにもかかわらず〇・四の年度末手当の支給ということは、これは組合がそれではがまんができぬというのは当然じゃないですか。収支とんとんといって総裁が予算委員会で答弁をしておるときに、これは慣例であるというので〇・五支給しておるのです。ところが相当大幅な増収が見込まれるという本年度は、まだ決算は出ておらぬと思いますが、〇・四%でしんぼうせよというのは、物価が相当上昇しておるというような点から考えて、組織がさらにプラスを要求するのは、これは常識的に出然だと思うし、管理者としては、少なくとも昨年のものにプラス何がしかを支給するように政府と交渉し努力することが、これは常識ではないですか、この点どうですか。収支とんとんのときに〇・五で、増収の見込みがあるというのに〇・四であと一文も出さぬ。そうしてストをやらして処分をする。これは当局の誠意のない証拠じゃないですか。この点どうですか。

中村卓日本国有鉄道常務理事

○中村説明員 総裁が収支とんとんと申し上げましたのは、おそらく予算に対して増収もあったけれども一方において経費の増加もあって、全体としては収支とんとんという意味で申し上げたと思います。三十五年度の予算に対しましては、約二百八十億余りの増収が年度末交渉の当時に見込まれておったわけでございまして、これに基づきまして大体〇・五カ月分の業績賞与を出そうということを提案したわけであります。

楯兼次郎日本社会党

○楯委員 それでは帰って速記録をよく調べてごらんなさい。去年は運賃値上げをするために国鉄は増収になるのではないかということを質問したときに、これは私ばかりじゃないですよ、各委員が一斉に質問したときに、最初は赤字が出ますと言っておった。そのうちにだんだん二月に入って予算の審議が終了するに従って、収支とんとんである、こういうふうにあなた方の答弁が変わってきたんです。そのときに〇・五出しておいてことしはやれ何々経費だとかなんとかいわれますが、とにかく当初から相当な増収が見込まれておるのです。これに〇・四を出す、これは従業員としては常識的に承知できませんよ。これについての、あなた方に納得のいく説明が足らなかった、説得ができなかった、これはできぬはずですよ。こんな矛盾をした論法というものはないのです。こういう点にも、理屈を言えば何とでもつくでしょう。つくでしょうけれども、非常な矛盾をした行政をやっておる、こういうことが言えると思うのです。  それから長官帰られるそうで、あと質問者が控えておりますので、いま一点だけ私はお聞きをしたいと思いますが、先ほど来の答弁を聞いておりますと、当局は百パーセント白である、ただいろいろな行き違いはあったのだけれども、組合のみが悪いんだ、こういう答弁、説明以外一歩も出ませんね、国鉄当局の御説明というのは。一体今度の三月三十一日のあの争議に対して、当局は今あなた方が説明をされておるように、全然悪いところがなかったのかどうか、国労のみが百パーセント悪かったのかどうか、どういう心境におられるか、一つ当局の見解を承っておきたいと思います。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 たびたび申し上げておりますように、私の説得力が足りなかった、国民の皆さんに御迷惑をかけたということははなはだ遺憾に思います。今まで申し上げましたように、意見の相違は話し合いによって解決してもらいたいということはわれわれの念願であり、法の命じておるところだと思います。私は自分の微力は反省いたしておりますが、私どもは法の規定したところを守っていきたい、法の規定に違反をされると、それだけのことをやらなければならぬということはやむを得ないというふうに感じております。私の微力の点はどこまでも反省いたしますが、そういうふうに考えております。

楯兼次郎日本社会党

○楯委員 時間がありませんし、委員長も早くやめようといいますから私簡単に言うのです。一体国鉄当局は、三月三十一日の争議については、こればっかりも当局の責任というのはないのか、全然おれたちは満点である、組合のみが悪いと考えておるのかどうか、当局にも一片の落度があった、責任の一端があった、こうお感じになるのかどうか、あるのかないのかはっきり答弁して下さい。簡単でいいです。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 繰り返して申し上げますが、私の説得力が足りなくて、話し合いを円満に妥結することができなかったことはきわめて遺憾に存じます。   〔小沢(辰)委員長代理退席、委員長着席〕

楯兼次郎日本社会党

○楯委員 答弁があいまいで、イエスかノーかはっきりわからぬのですが、遺徳である、申しわけない、こういうことになると当局にも責任がある、どの程度あるか知りませんが、あるということを証明をされたものだと思います。だから私はもう多くは若いません。組合員を三十六名解雇をし、数千人にのぼる人たちを処分したのであるから、当局はもちろん、けんか両成敗ということをいいますが、両成敗ということになりますと、総裁以下三十六名辞職ということになりますが、そうでなくても責任がある、こういうことをお感じになれば、当然国鉄当局は責任をとられるでしょうね、それをお聞きしたい。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 今まで申し上げた通りであります。

楯兼次郎日本社会党

○楯委員 おかしいじゃないですか。当局には全然落度はない、組合のみ落度がある、間違いがある、こういうことをあなたがおっしゃるなら別ですよ。きわめて説得力がなくて、われわれも遺憾であったということは、これは当局にも責任の一端があるというふうにしか日本語としては受けとれぬわけです。組合のみ首を切り、処分をするということは片手落ちじゃないですか。あなた方の責任を、あるいはその他の処分を、当局側もやり方をここではっきり表明になりますれば、あと私は質問いたしませんよ。どうやられるのですか、はっきり言って下さい。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 当局には線路にすわり込みなどして列車をとめた、あるいは従業員を、信号所を閉鎖して行動の自由を奪ったり、そういうような違法な処置があったと私は思いません。従って……。   〔「原因を作ったのはだれだ」と呼び、その他発言する者多く、聴取不能〕

中野四郎自由民主党

○中野委員長 静粛に願います。

楯兼次郎日本社会党

○楯委員 それはあとの現象でしょう。だから先日あるいは先ほど来論議されているように、社会党のあっせん等をあなた方は結果としては了承しているのですよ。それをもっと前に了承しておれば、こういう事態は起こらなかったのですよ。だからこの委員会の最初からの質疑応答を聞いていると、あなた方が故意にそうさしたのではないかもしれませんけれども、どう考えても、国鉄当局以外は何とかして事態を収拾しよう、こういうことに徹夜して懸命にやった、単に国鉄のあなた方幹部のみが、最後にはよろしいというのでのんで、あの妥結協定をストライキをやらせるまで引っぱってきた、こういう結論にしかならないのですよ。それから二十六日の、あすは団交しよう、では二時間のストを取り消そうと取り消さしておいて、翌日は知らぬといい、それからこの協定のカッコ書き確認条項にも乗じたことは遺憾である、今後はこのようなことはしないと率直に当局の責任を表明されているじゃありませんか。そうしておいて、組合のみ処分をして、おれたちは遺憾であったが、何もやらぬ、これでは私は公平な取り扱いではないし、これは良心の持ち合わせがあるとは考えられぬですよ。大体終戦以来、それは組合にも悪い点があったかもしれませんが、当局だって不手ぎわはたくさんあるのですよ。それで責任をとられたことが一回でもありますか。ないじゃないですか。過去において組合員のみ処分をするけれども、当局において自分たちの部下がすでにそういうことを起こす、あなた方が違法と考えていることを起こすということは、これは管理者の責任もあるわけですよ。管理者の能力のいかんを追及される問題ですよ。一体今までこういう問題を起こして責任をとられたことがありますか。おれたちはどんな処分をしても安泰であるという権力に隠れた心があるから、このようなばかげたことをあなた方はやられると思う。だからほんとうに国鉄の円満な運営ということを最高の目標として掲げておれば、あの三十日、三十一日の社会党なり、あるいは大平官房長官の忠言を聞き入れているはずですよ、どうですか、この点もう一回一つ答弁して下さい。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 私は官房長官の忠言も、その他の皆さん方の忠言も、できるだけ誠意をもってこれを聞いて参ったつもりでございます。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕

中野四郎自由民主党

○中野委員長 速記を始めて。  広瀬秀吉君。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 小林委員の了解も得られましたので、柏村長官に質問をいたしたいのですが、先ほど柏村長官も、長いこと今回の国鉄の三・三一の争議のなぜ起こったかということの各委員の質問を通じて相当詳しく実態についておわかりいただいたんじゃないか、このように思うわけであります。これを要するに整理をいたしまして申し上げますと、団体交渉においてまず第一に当局側がきわめて不誠意な態度を持っておったということ、これが第一点であります。それは今楯委員が数字を求めて立証したところによって明らかであります。それから第二番目は、経営者側が、国鉄当局が、きわめて団交のルールを無視して不信行為をあえてした。約束をしておきながら数時間後にそれを破った、そういう不信行為、背信行為、これが第二番目の理由になっておるわけです。次には、労働慣行の未成熟な労使関係の中で労働慣行というものが、これはむしろ法的な拘束力すらあるといわれている。信義誠実の原則の上に立ってよき労使関係を建設されてきた、それをまことに一方的に弊履を捨てるごとく破った。労働慣行を打ち破った。労働慣行は裁判例においても、これはもう労働法の保護法と同じような効力を認めた判例もあるほどであります。そういうものを打ち破ったということが第三番目の原因をなしておるということです。さらに四番目には、一つの企業体の中に、非常に力の強い組合と、そうでない弱い小さな組合、こういうようなものが複数的に併存をしておる。その場合に、当局側としては、非常に力も少ない組合、そういうところをまずまっ先に口説き落とすか、あるいは買収などということも、これはあり得ないことではない。ケネディ司法長官が、アメリカの労働組合のそういうことをあばいたというような例がありますけれども、そういうようなことだって、これはあり得ることなんです。そういうようなことで、当局、経営者側で圧力をかけて、抱き込むといいますか、懐柔をするといいますか、そういうようなことは、小さな力の弱い組合に対して一番あり得るということは、これは常識的に考えられるわけです。複数存在でそういう場合がある。そうすれば経営者側が勝手にどことでも団交をやって、どんどん既成事実を作り上げていく、こういうようなことが許されるというのが今度国鉄当局がやった、これは一つの例だと思う。だからこそ最終段階では、国鉄当局もはっきり、今回のあれは労働慣行を決して無視したものではないのだということを幾日かざるを得なかった。そういう形で最終的な妥結が行なわれたというわけであります。従ってこの点も、もしそういうようなことが行なわれ、今後ともやられるとするならば、そして現に国鉄当局が今回のこの誘因となった問題でやったことは、今言う通りのことをやったわけです。これが無制限にもし許されたとするならば、国鉄労働組合はもはや団交権を実質的な意味では失なわれたという形にならざるを得ないわけです。憲法二十八条の団交権というものが無視され、むしろこれが侵害をされた、こういうような事態と私は見るべきだと思う。  さらに政治的には、社会党の幹部が事態を重視して、あっせんの労をとった。大平官房長官も深夜にわたって努力をしておったという、高度な政治的配慮が当時行なわれておった。これに対して何らの考慮も国鉄当局は払わずして、きわめて無礼な、傲慢な、解決の熱意を一片だに示さないような形でやってきた。そういうことも明らかにされたはずであります。  さらにまた今回の、日本の労働運動史上でも空前と言うべき、きわめて過酷な三十六名という大量の解雇を含む三千三百八十四名という懲戒処分を断行いたしておるわけであります。  こういうようなものが、ずっと今までの委員の質問から整理すれば申し上げることができるこの事件の背景だと思うのであります。  そういうような条件の中で、そういう背景というものを持った今回の事件が発生し、その善後処理として国鉄当局は一方的にそういう権力的のことをやった。しかも今日進行しておる事態は、今度はそのあとを受けてより一そう過酷な警察権の発動、強制捜査権の発動というようなものが追い打ち的にかけられてきている。こういう事態を今日国鉄労働組合が迎えているわけであります。もちろん犯罪容疑ありと思量する場合に、警察官が強制捜査することは法律に書いてある。しかしながら刑訴法には——長官に釈迦に説法ですけれども、第一条に、公共の福祉ということと同時に個人の権利の保障というものと両方全うしながら、その的確な真相を発見するんだ、こういうことが書かれておりますし、また警察法の第一条におきましても、民主的理念を基礎としてというようなことが警察権の発動における基本理念としてうたわれておるわけです。こういうような中で、今までずっとお聞きになってこられた、そして今秋が要約をいたしまして、この事件の背景について申し上げた。その中で今日相当広範囲な、いまだかつて見ざる広範囲な強制捜査が行なわれる、こういう事態は私ども非常に遺憾に思うわけであります。国鉄当局のこういう過酷な処分にさらに拍車をかけるような形で警察権の発動がなされているのではないか、これを全国の事例——あとで詳しく申し上げますけれども、そういうような状態に対して、警察側として一体どういうお考えなのか、このことをまずお聞きしたいと思うのです。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 ただいまるるお述べいただいたわけでございますが、警察といたしましては、もちろん労働組合運動に介入する考えは毛頭持っておりません。ただ犯罪がありと思量した場合には、たずいまお話のように捜査しなければならないということで、警察としては純粋に違法事件というものについて警察権を発動して参っておるわけでございます。もちろんその間におきまして、これまたただいまお述べになりましたように、個人の権利を尊重するという観点に立って、できるだけそういう点の配慮を加えつつ各地において捜査に当たっておるわけでございます。もっとも任意捜査で済む問題は任意捜査にゆだねておるわけでございますが、強制にわたらざるを得ないという事案については、これを強制捜査に持っていっておるわけでございます。現在まで七都県におきまして、十五件、四十一名の検挙を見ておるわけでございますが、その被疑事件は威力業務妨害、傷害それから建造物侵入あるいは不退去、公務執行妨害、そういうような事案でございます。私どもはそういう被疑事件について公明にこれを処理して参るつもりでございまして、決して労働組合の運動を押えるというような意味においてやっておるわけではございません。いわんや国鉄が処分されたことについて、さらにこれを追い打ちして追及するというような意図を持ってやっておることでないことをはっきりと申し上げておきたいと思います。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 長官から今特定の追い打ちをかけるというような意図がないということを申されたわけでありまして、それは私はそうだと思うのです。しかしながら現実の問題としては、直後逮捕されて今日まで十数日にわたっていまだに勾留されておるというような人があるし、現に検事勾留あるいは判事勾留の段階になっているのもある。こういうようなこともありますし、そういう必要というようなものが一体あるのかどうかということを、刑訴法等について見ましても、これは一方的にそういう必要があるのだと判断すればやれない建前ではないと思うのです。しかしこの労働争議を通じて、それに付随して大がいの場合に発生すると思われる犯罪容疑構成要件事実というようなものは、これは本来的な場合においては全く犯罪性のないものなんだと私は思うのです。なぜなら、これはその時のある国における法制においてスト権を認めさえすれば、もう何にも犯罪性がないのです。しかも英国あたりでも、これは国有鉄道方式をとっておっても、ちゃんとストライキ権は保障しておるというような実例もあるわけです。日本の国鉄公社の場合に、これをやってはいかぬという公労法が一応ある。ただいま鉄道営業法がある。こういうようなことで、単にそれを禁止しているわけなんです。殺人罪だとか強盗だとか火つけだとか、こういうようなものは、人類始まって以来自然犯として悪であることは間違いない。しかしながら、そのときの権力の姿あるいは政策のいかんによって犯罪にもされるし、そうでなくて公認をされる、いわゆる正当行為となる場合もあるわけであります。そういうようなものに対して、盗み、かっぱらい、そういうようなモーゼの十戒以来悪いとされている事件と同じような態度で警察が出るということ自体に私は大きな疑問を持つのです。そういうようなものに対してどのように考えておられるか。労働争議における警察権のあり方というものについて長官の考え方というものを一つ伺っておきたい。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 先ほども申し上げましたように、警察といたしましては労働争議そのものについて介入する意図は毛頭持っておりません。先ほど申し上げましたように、今回検挙されました者も、ストそのものについて違法であるとかどうとかという問題ではなくて、威力業務妨害罪であるとか、あるいは不退去罪であるとか、公務執行妨害、そういうような刑法に規定されておる罪種について検挙を見ておるわけでございます。  それから先ほどお述べになりました勾留の問題でございますが、これは四十八時間たてば警察の手から離れまして検察庁にいくわけでございまして、検察庁において判事の許可を得て勾留する。検察庁の問題に相なるわけであります。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 労働運動には介入しないのだ、警察庁長官がそういう答弁以外の答弁をもししたとすれば、これはとんでもないことなんですが、私はそれを聞いているのじゃないのです。そういう建前でやっておられることはわかっているのです。しかしながら、現実の問題としてやっておられることは、最近では労働問題に関する事犯というものに対して、警察の積極的な半後の逮捕だとか強制捜査だとかというものが非常に目立ってきている、こういうように考えられてならない。意図はないんだ、あくまでも労働事件については、いい悪いというようなことは警察で言うべき立場じゃないんだというようなことを言いながらも、現実の問題として、いろいろな事件において警察権の発動というものが強力にかつ積極的に進められているような状況にきているのじゃないか、こういうことについて私は伺っているわけなんです。そういう意図というものが少なくとも客観的に見られるのじゃないか。この点について長官の御意見を伺いたい。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 警察といたしましては、何も労働運動に関連した犯罪に特に力を入れているというのではございません。すべて不法事犯につきましては、警察の責務として捜査し、検挙するという建前でやっているわけでございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 今そういう答弁ですけれども、それじゃ一つ伺いますが、先ほども私冒頭に申し上げたように、今度の三・三一の行動というものが行なわれた原因というものは、言うならば国鉄当局がわなをしかけて、そうしてそれにはまり込まして、国鉄がストライキをやれば必ず刑事事件になり、威力業務妨害にもなるだろう。あるいは国鉄職員は全部公務執行妨害の対象になる、公務員と見なされる。そういうことを百も承知、二百も合点で、警察は必ず出るだろう、こういうようなことをちゃんと計算をして、そうして突っ込ませるというような事態というものが今日の事態だ、しかも労働者は憲法二十八条の団結権が事実上否認をされ、全く弊履のごとくこれを侵害されているというような事態の中で、どうやったら自分の権利を守ることができるのか。そういう方法をとらざるを得ないだろうということは、当局側としては計算済みだ。そのようにちゃんと計画を立てて引っぱり込むようなおぜん立てをして、そういうような場合に国鉄の労働組合が権利を守るためにやった行動、そういうような動機、原因、そうして労使間の態度、そういう実態をしっかりつかんでいく、こういう配慮は警察権の発動の中で全然なされない。これは出た現象だけとにかく取り締まればいいのだ、こういうことでしょうか。警察側でも民主主義的な運営、理念というものを基礎にするのだ、こういうようなこと、しかも公共の福祉の維持ということだけではなくて、個人の権利を守っていく、そういうものを両全させるのだという建前で刑事訴訟法の手続等が発動されるべきです。そういう理念から考えればこれは警察権の発動についても私は相当な配慮、考慮というものが基本理念にあってしかるべきだと思う。今度の強制捜査のあり方あるいは今現に各地で警察権を発動されている点について、全くそういう点を忘れられているのじゃないか、こういうことを疑わざるを得ないわけなんです。その点の見解を承りたい。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 今度の事件について、先ほど国鉄総裁からもお話がございましたように、両者の間に円満に話し合いがつくということが最も望ましいことであったろうと思います。不幸にしてその話し合いがつかないでああいう事態が起こったことは、私どもも社会人としてまことに残念に思うわけでございます。警察といたしましては、そういういきさつがあったということでなしに、被疑事件は被疑事件として捜査することに相なると思います。もちろん先ほども申し上げたように、個人の人権というものを尊重しつつ捜査を進めるわけでございますが、ただいまお述べになりました事情、これは今度の国鉄の事件にあるとかないとか、私ここで申し上げる筋合いのものではないと思いますけれども、かりに一般論としてやむにやまれない事情があったというような場合におきましては、これは情状の問題として、起訴段階、あるいは裁判になれば判決の段階において考慮されることに相なろうかと思います。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 あと小林委員が質問を急がれておりますので、私の質問はこれで終わりにしたいと思うのですが、今まであなたがずっと聞いておられた。そういうことで、今日まで警察権の発動をやってこられた。しかしながら今度の事態というものの中に、団体交渉権が侵害されておる。それをやはり守ろうとする戦いというようなものは、権利を守るのです。憲法の三本の柱の一つは人権の擁護だといわれているくらいに、これは単に法律をもっても侵すことのできないというような制約もあるはずなんです。そういうものを守ろうとしてやる。しかも一方的に国鉄当局がそういうものを無親したやり方をやってくる。こういったときにそういう形で労働者を追い込んでおいて、国鉄当局というものは、労使対等だというような原則も確立されているはずなんだけれども、片一方はどんな片手落ちのことをやっても、何のおとがめもない。しかも労働者は、それをやれば当然現行法の建前でそういう警察権発動というような事態にもなる。こういうような間に矛盾というものを感じられないかどうか。この点を一つ伺いたいし、さらに第二点としては、そういう情状酌量の問題として、訴訟段階なりあるいは裁判段階における判決を書くときに、判事さんがどういう心証のもとにやられるかということの問題。ということは、これは少なくとも現場第一線の警官が言うことなり、あるいは課長クラスの言うことなら、私はその通り額面通り伺っていいのでありますが、少なくとも日本の警察行政の最高の責任者です。公安委員会など、あるいは総理というものもあるかもしれないけれども、しかし現実の動きはやはりあなたが最高責任者だ。そういう最高責任者がその法を運用する際に、あるいは部下に対して指揮命令をする際に、やはりそういう考えだけでいいのかどうかということについて、私は疑問を持つわけであります。その点は答えていただいてもいただかなくてもけっこうなんです。しかしいずれにしても、事態はいかにも愚連隊が威力業務妨害でバスをとめたとか、そういうような事例ではないわけですね。あるいは酒に酔っぱらっていって改札掛をぶんなぐったとか、あるいは気に食わぬからといって鉄道職員を突き飛ばしたとか、こういうような問題ではないんですね。これは労働運動の争議行為の中で、付随的に発生したものであって、その行為自体が大衆的に行なわれ、しかも組織的に行なわれるというような中で、その取り扱いというものは非常にむずかしいいろんな要素というものを持っているだろうと思う。  今度のこれからの方針について伺いたいのですが、さらにきょうこれだけ各委員からこの事件の背景というようなものについて、いろんな角度から長官の心証が得られる程度の証明というようなものも、先ほど冒頭に申し上げたような点が、かなり明らかになったと思うのです。そういうような事態の上に立って、長官として今後より一そうきびしく、法の建前だからということでどんな強制捜査というようなものをやっていくおつもりなのか。できる限り基本理念の民主主義を守り、個人の権利を尊重するんだというような立場でいかれるのか、そのあたりの見解というものをこの際明らかにしておいていただきたいと思います。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 たびたび申し上げますように、警察の責務といたしましては、被疑事件については、これをやはり公明に捜査をして参るという以外にはないと思うのであります。ただ今度の事件がさらに非常に大きく発展すると申しますか、さらに被疑者を多く検挙していくような状態になるかどうかということは、これは各件の捜査に待たなければならぬことでございますけれども、私の感といたしましては、これでもう全部終わったということは申し上げかねると思いますけれども、そう今までの状況が非常に広く広がっていくという段階ではなかろうというふうに私は考えております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 警察庁長官お帰りになるのでしょうが、また来て下さい。そこで長官、私は一言言っておきますが、警察もオールマイティじゃないのですから、あなたたちがすべての犯罪を、あなたの思われるような理念で全部おやりになるというなら私どもは言いません。しかしできないから……。そこで刑法にも、公の秩序、善良の風俗云々といって、免責点があるでしょう。あなた方は、少し犯罪事実があると思っても、社会の事情を考慮してそれをおやりにならぬこともあるでしょう。これは警察法の場合にもあるでしょう。そこに警察庁長官、やはり法律と行政とは時に食い違ってくる場合があるのですよ。あなた方はそれをおおっておきながら、この労働組合の問題になると、われわれから見れば当然の免責事項なんだ、むしろ投げやりにしておいた方が事態の円満解決になると思うようなことを、あなた方は厳格におやりになる。こっちには当然何をおいても警察がやらなければならぬと思うことをあなた方は手を抜いておる。それが私ども、警察庁長官として公平じゃないと思うのです。警察のやり方は公平じゃない。私は今度、その事例を述べてやります。あなた用事あるなら行って、また来て下さい。実にあなた方のやり方は間違っている。  そこで私は福永労働大臣に一言だけ申し上げますよ。実は私はこの二十八日に吾孫子さんをここへ呼んだときにも、それは三十一日の日の問題を円満に解決をしてもらいたいと思ったから私はしゃべらなかった。実際はしゃべらないのですよ。それだからきょうは裏切られたという私は怒りを持って言っているのですよ。二十八日の私の発言、聞いて下さい。私たちは三十日、三十一日に行なわれるというゼネストを何とか回避したいということで、国鉄労使双方においてをお願いしまして、そうして貴重な時間を拝借して、そうして御意見を伺っているのだ。だからこの席上で、特に委員長の発言に応じて、大いに成立のために誠意を尽くすということを、数回にわたって吾孫子さんが言っていられるから、その言葉に信頼いたしまして、私は眠った子を起こすといいますか、問題を掘り下げて傷口を大きくするようなことはいけないと思いますから、このたびは私はあなたに申し上げたいことはあるけれども、お話しいたしませんといって、しゃべらないで私はあなたを帰しております。お願いしますと言って。それくらいわれわれが謙虚に事の無事平穏に終わることを祈っているにもかかわらず、かようなぶざまなことを起こして、大根菜っぱを切るようにして人を処分して、そうしてあなた方は、これは経営者の特権ぐらいに思っておる。私は憤慨にたえない。それで二十八日のあなたの証言の中でも、実に承服できないところが幾つもある。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 小林君、労働大臣に先に質問していただきたい。横道へそれないで下さい。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 今までみんな関連質問で、おれの質問をとられたから……。  それでその中の一つにこういうことを言っておる。いいですか、労働大臣、あなたに聞くのですからね。国鉄の吾孫子君がこういうことを言っておる。これは中村君と吾孫子君の両方言った言葉を合わせるのだけれども、国鉄には十数の組合がある。団体交渉の対象になるのが、その中の四つだ。それで組合員の多い、少ないにかかわらず——これは労組法の第十七条の問題に関連しますが、多い少ないにかかわらず、その一つと話ができれば、他のある組合に対しては特別の約束をするようなことはできないと、あなたこう言っておる。おそらくあなたたちは今度の国鉄労働組合との交渉も、みんなこの原則でいった。一つあるいは二つあるいは三つの組合と話ができたから、さっきも言われるこれは最終の決定だから、だからもはや他の組合とは特別の約束をすることはできない、こういうことを言っている。もしこの原則が貫かれるならば、この裏には第二組合の育成を使嗾しているのです。第二組合を作るということをこれは示唆しているのです。もしこの原則が貫かれるならば、今後あらゆる経営者は二十人か三十人でいい御用組合を作って、その組合と経営者の言いたいだけの労働協約を結んで、あるいは賃上げの約束をしてしまって、そして一つの組合と約束ができたから他の組合とはもはや特別の約束はできないという、こういう原則を打ち立てていったら、労働組合運動はこれで全く停止です。合法に名をかりたこれほど卑怯卑劣な組合弾圧運動はない、この悪質なことを指導しているのだ。こんなことが、一体労働大臣としてこれが許されるかどうか、もしこれが許されるというならば、これは日本の労働組合運動と労働基準法と労働組合法は、全部だめだということになる、御返答願いたい。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 今おあげになりました点を、私は当日一部始終を記憶はいたしておりませんが、ちぐはぐなことをしたくないというような気持で吾孫子副総裁や中村常務理事が言われたんだろう、こう思うわけです。あなたの御指摘の通り、大小にかかわらずというか、むしろ小さいところと一つきまったら、もうそれで大きいところの方もその通りきめなければいかぬのだし、そうなるべきだというように、明確にそういう意味じゃないんじゃないかと思うのであります。そういう意味じゃないだろうと思います。これはしかし私の言ったことじゃないので……。  そこで、労働大臣はそういうことについてどう考えるかと言われますので申し上げますが、私は労働組合法十七条の精神は十分尊重すべきものである、これは原則として考えております。ただ今度の具体的事例についてはいろいろのいきさつがあったので、国鉄当局もなかなか御苦心があったようでございます。今回の場合にどうこうということにつきましては、国鉄側の経営者にもいろいろ言い分もおありであろうと思いますが、今後望ましき姿といたしまして、一般論といたしましては、やはり原則を重んじていくことが当然である、こう私は考えます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 労働大臣、これは重大問題ですから私申し上げます。これは国会の速記録ですよ。線を引いておいたんです。国会速記録の第一類第七号、社会労働委員会議録第二十三号、昭和三十七年三月二十八日、その中の二十二ページ、下から二段目、左端のところに、吾孫子説明員、「私どもは、これまた再々申し上げておりますように、組合員の多い少ないにかかわらず、どの組合に対しても国鉄としてなし得るぎりぎりのことを申し上げておるのでありまして、その点につきまして、ある組合にだけ特別の約束をするというようなことはできないと考えております。」こうはっきり言っておる。一つの組合と約束をしてしまえばほかの組合に対してはもはや特別の約束はできないということは、これは一方にはある人が、形式的には国会議員のわれわれをだました、形式的に団体交渉をやります。しかし実質的には特別の約束はできないと言っているんだから、特別の約束のできない団体交渉というのは一体何だ。それは総裁の言う古色蒼然たる、あの前時代的な言葉の誠心誠意をもって事をやります。こういうこと以外にないじゃないか、そんなものは今日における団体交渉の材料じゃないです。誠心誠意は団体交渉の内容じゃないですよ。団体交渉を誠意を持ってやりますというからには、形式と同時に実質的にも組合がついてこなければならない。その実質は何かアルファをつけるか、何か特別のことをすることでなければならないにかかわらず、一つの他の組合と団体交渉が成立した以上は、そのある組合に対しては特別の約束はできないということを言明している。もしこの原則が貫かれるならば、今労働大臣が言われたように、あくまでも労組法十七条の原則に従って、多数決の意思を尊重するような形で団体交渉を持っていきたいという——この労働組合法十七条の精神は全く失われて、先ほど言ったように、何十万の組合員がいようとも、その中から現に河村君がやっているじゃないか。五十名、百名の御用人を持ってきてそこに組合を作れば、おい、団体交渉をしよう、おい、賃上げの交渉をしよう、そうしてそこに約束を結んでしまったら、国鉄は団体交渉の組合が四つ、五つありますけれども、その一つの御用組合と——今あるのは御用組合じゃありませんよ。将来はこういう御用組合と団体交渉、賃上げの交渉をしたからあと組合とは特別の約束はできませんということです。一切の交渉を拒否する一つの材料ができ上がるじゃないですか。これは労働組合の一切の精神を破壊してしまう危険がある。吾孫子君が言っているじゃないか。労働大臣、速記録を読んだ通り言っているじゃありませんか。これは重大問題です。明確に言って下さい。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 先ほどから小林さんから強く指摘される労働組合法十七条の精神というものは、これは尊重すべきものであることは申すまでもありません。ただ吾孫子副総裁が申しました意味は、私は決して人の言葉に注釈をつけるつもりはありませんが、聞いた私の印象といたしまして、原則はもちろんそうでありますが、まず多くの方の組合を尊重することはもとより副総裁も考えておるのでありましょうが、同時に、小さいからといってこれを全然歯牙にかけない、問題にしないということでも、これもまずかろうと思うのであります。そこにちぐはぐのないように全体をうまく……。小林さん、お聞き下さい。小さくても小さいものは小さいなりにその意見も尊重しなければならぬという、率直に表現しまするならば、ちぐはぐなことをしないという行き届いた考え方からそういう表現をしたのだろう、こう思うわけでございます。また私もそう期待するものであります。そういうことでございますから、先般の吾孫子さんの発言が将来、あなたの表現をおかりするならば、御用組合を作ってそれでうまくやろうなどということのために、さようなことを言われたのではないと労働大臣は確信をいたし、またそれを期待するものであります。従って、過般の具体的な事態、これからもそのときそのときいろいろな事態があるものでございますから、これはまた原則とともにその具体的事情をともに考えて善処しなければならないわけではございますが、先刻来申し上げております原則的にどう考えるかということについては、もうるる申し上げた通りでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 それでは官房長官も御多忙のところおいでいただいたのでありますから、簡潔に一つ事を処理していきたいと思います。それで私はすなおに経緯を申し述べて、一つ官房長官の御所見を承りたいと思います。  実は、今度の団体交渉で、あなたとわが社会党の役員諸君と話をいたしました中にも、このたびの国鉄労働組合の不当馘首の問題の中には、河村という職員局長の名前が出てきたはずでありまして、官房長官もよく御存じのはずでございます。この河村というのは一体どういう人物であるかということを私は申し上げたいのであります。ということは、昭和三十三年九月二十六日の国会において河村問題が取り上げられた。自来社会労働委員会に二回、そのときにはここにおられる総裁も、副総裁の小倉さん、当時常務理事であった吾孫子さんも国会の社会労働委員会に出席せられた。そして議院運営委員会においても河村問題が取り上げられました。当時の議院運営委員会の委員長は江崎君でありました。筆頭理事が荒舩清十郎君、官房長官は赤城宗徳君であった。そのときに官房長官も関係をせられた。どういう事犯かと申しますと、やはり国鉄における不当労働行為の問題であります。彼は第二組合を育成いたしまして、第二組合の連中に賃金の格差をつけ、あるいは抜擢をする。自分の気に入らない組合の者に対しては賃金のストップをやり、昇給のストップをやる。そして公々然として新潟において、この組合を撲滅し粉砕するのが私の任務であるということを発表している。そうして自分の指揮下にある管区長や管理者を呼んで訓示をして、いかにしてこの組合を撲滅するかというようなすごい弾圧運動をやりました。その問題はどうもいかぬじゃないかということで、三十三年の九月二十六日の社会労働委員会に呼びまして、当時の労働大臣倉石君に向かって、その不当労働行為を私どもは詰問いたしました。ここにいる諸君はみんな知っている。そういたしましたら、この河村君は九月三十日に新潟鉄道管理局の局長室において、新聞記者を集めたかどうかは知りませんけれども、いわゆる国会議員を誹謗する新聞談話を発表したのであります。軽佻浮薄だ、国会議員にもあるまじき云々という。当時議院運営委員会の理事の佐々木良作君をして言わしめるならば「わが党の小林進君が質疑を行いましたことについて、本院の委員会の中の発言の一部をとって、新潟の河村国鉄管理局長が新聞に談話を発表いたしまして、小林君の質問を誹謗して、これはいやしくも国会議員としてあるまじき軽率な行為であるという断定を加えて、それが新聞に非常に大きく報道された事件がある」云々ということがあって、これが当時重大問題化しておるのです。申し上げるまでもなく、国会議員の院内における発言は自由であることが約束されている。そのことを一官僚が院外においてこれを批判するならば、日本の民主政治の根底はこわされてしまう。これは与野党を含めての重大問題であるということで非常に問題になった。当時、各党の委員が全部この河村発言に対して詰問をしているのであります。総裁はそのために何回議運の委員室に来られたかわからない。吾孫子さんも来ている、小倉さんも来ているのです。そのときにおける発言を若干言いますならば、そのとき赤城官房長官は、「私の方といたしましては、先ほど申し上げましたような考えを強く持っております。」それはけしからぬということです。「ほかのことにも関連してのお話でありましたが、官僚が政治を左右するというようなことは、私どもといたしまして、容認できない問題であります。新潟鉄道局の問題につきましては、私どもも強く当局に戒告をいたしておりまするから、事情をよく調査せしめた上に、適当な措置をとるように進めたい、」ページも言っておきますが、これは第一類第十五号、議院運営委員会議事録の第六号、昭和三十三年十月十六日の赤城官房長官の言葉です。これに対して当時の国鉄の副総裁の小倉さんはこういうわび言を言っておる。「お答え申し上げます。今回新潟鉄道管理局河村局長の談といたしまして、九月三十日付の新潟新報に出ました記事につき、皆様からきついおしかりをこうむりましたことを、深くおわび申し上げます。ただいままで取り調べましたところ、本人は国会を軽視するなどの念は毛頭ございませんで、つい一時の感情に走って新聞記者にお話しましたことが、記事になりました次第でございまして、この点、まことに不注意であり、また大へん御迷惑をおかけしました結果となりました。本人も、この件につきましては、十分恐縮もいたしておりますし、反省もいたしておりますので、どうぞこのたびのことは、ごかんべんを願いとうございます。国鉄総裁も、今回のことにつきましては、大へん恐縮をいたしておりまして、また、本人に対しましては、特に厳重注意をいたした次第でございます。私からも皆様に深くおわびを申し上げ、何分の御了承をお願いいたしたいと存ずる次第でございます。」こういうことを副総裁が言っておる。これに対して赤城官房長官は何と言っておられるか、「お話のように国会議員の国会内における言論に対しましては、あらゆる面から強く保障されているわけであります。でありますので、公務員あるいは公務員に準ずる者が、これに対して誹謗的な批判をするというようなことは、厳に慎しむべきことだと私も考えております。特に国会議員でもないのでありますから、その内容等を直接聞いておるわけでもない。その内容等をきわめないで、これに批判を下すということは慎しむべきことだ、こう考えておりますので、この事件につきましても、当局に対して、私といたしましても、厳重に戒告をいたした次第であります。」と官房長官は言っておられるのであります。なお言いますと、これは自民党の荒舩清十郎君の言葉を出しましょうか。これは一日で終わっていない。十月十六日と十七日の二日にわたった。今度十月十七日に、荒舩清十郎君は当時議運の筆頭理事ですが、「先ほど来池田君から御発言がありましたが、わが党におきましても同感でございます。議院内の議員の発言というものは憲法に保障されておることは、小倉副総裁も御承知だと思うのでございます。私は、新聞の記事、あるいはその発言内容については詳しく調査してありませんが、伝えられることにつきましては、まことは遺憾千万だと考えております。昨日来小倉副総裁は、まことにいんぎんな態度でこの会議に臨まれておりますが、ただあやまるだけで、事が済むものではないと私どもは考えております。そこで、小倉副総裁は、これに対していかなる処置をとられるか、はっきりした御答弁を願いたいと思います。」こういう発言をしておる。こういうふうに説明していけばきりがないのでありますが、これに対してなお佐々木良作君や栗原俊夫君から発言があり、最後には江崎委員長から発言をしておられる。それに対して小倉副総裁は、「仰せの通りに、新聞は公器でございまして、公器たる新聞にかような記事が出ましたことは、何とも申しわけないと存じます。ただ、実は、あれは本人の決して根のある発言ではございませんで、つい一時の感情に走り、不注意からああいうことが取材せられたのでございます。こういう点は重々おわびする次第で、今までのことにつきましては御宥恕を願い、今後は十分注意いたさせたい、かように存ずる次第でございます。」と言っておる。それに対して、現在の文部政務次官の長谷川峻君はなお承知できないで、「新潟の局長の問題が取り上げられたことは、大体、終戦後いろいろなものが民主化されているが、役人の世界だけは民主化されていない。私は運輸委員をやっているけれども、その現われが、やはり新潟のこういう発言になっていると思う。国会議員の言動を一局長が新聞記者に向って発言し、それを誹謗するようなことは、これは何と言ったって官僚政治の現われである。こういう意味では、超党派的に大いに糾弾すべきことだ。」と長谷川峻君は言っている。とにかくかくのごとくして国会で数回、議運委員会でも二、三回、理事会では五、六回、社会労働委員会でも二回、この河村問題で重大な緊張した舞台を出した。そして官房長官は、その点は非常に厳重に将来を戒めるからといって、赤城さんが問題の収拾に乗り出された。それを承った河村が、何でありますか、その当時は国鉄当局も一応遺憾の意を表するということで、局長をやめさせて、しかも厳重なるわれわれの抗議によって、一時は総裁付にして半年ばかり役職に置かなかった。この問題を起こしてから新潟鉄道局長を持ってきて、半年ばかり総裁付にしておりましたけれども、直ちに職員局長に抜擢した。自来彼は今日に至るまで何をやったか。先ほどから話を聞いておりますというと、何でありますか、今われわれの横路君の証言にもありました通り、官房長官が何だ、政府と政党が何だ、この今の国鉄の労働協約に関する問題や団体交渉に関する問題、国鉄に関する問題はおれがやるのだ、官房長官が何者だ、政党が何者だ、わしがやるのだから、官房長官大平が何を言おうとおれはそんなこと知っちゃいない、断じておれはやるのだという、この発言をしていることは、普通の人の発言ならば私は聞きのがしてやる。あなたの言われるように、決して内閣というものは労使双方の中に介入すべきでないから、私は、ストの解決のために努力しないというあなたの言葉はりっぱだと思う。しかし、こういうおそるべき前歴を持っている河村の今日の発言は、それを正しく善意を持って解釈することはできない。いま一回申し上げましょう。あなたの言った発言に対して、河村は何と言ったか。官房長官が何を言おうと、政党が何を言おうと、われわれは断じて応じない。いいですか。大平官房長官から話があろうとなかろうと、池田内閣が関係するものではないのだ。全面的にそれを拒否するだけだ。報労物資の問題についても、政府と政党の約束であって、私の関係したことではない、従って私は断じて所信を貫き、断じて報労物資などは出さない、こう言明すると同時に、この河村がその意向を下部に流しておる。この思想は何ですか。三十三年の国会で大騒ぎを起こした問題と一貫して流れている思想ではありませんか。国会を軽視し、民主政治を否定し、立法府を否定し、政府を否定する、おそるべき独裁者の思想ではありませんか。そうじゃないですか、官房長官。先ほどからも申し上げましたように、政府と政党との約束は民主主義社会における最も高度の政治問題であると私は思っておる。それを一官僚がこれを誹謗したり、批判したり、むしろそれに従わざるをもって下部に威圧を加えるがごときは、これはすなわち官僚行政が政治を否定するおそるべき行為ではないか。行政は政治に優越するということをほのかにほのめかしておるおそるべき思想ではないかと私は思います。官房長官はこの問題を一体どう考えられるか。それは単なるきょうの現象じゃない。赤城官房長官の証言を含めて、私はこの速記録を読んで、正しくあなた方に事実を指摘したのでありますから、官房長官もどうか一つ、民主政治を守るという、立法府と行政府のあり方から御言明をしていただきたいと思う。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 政府といたしましては、内閣は国鉄の総裁を任命するという立場におるわけでございます。任命された国鉄総裁といたしましては、総裁にまかせるわけでありますから、総裁が業務の運営、人事の管理につきまして、全責任を持ってやっていただくことを期待いたしておるわけでございます。従って、今河村職員局長のことに言及されましたが、河村職長局長は総裁が任命されるところでございまして、総裁が総裁のお立場において、国鉄の業務の運営、人事の管理上のお考えを持ちまして指導し、監督されておると思うわけでございます。私どもといたしましては、私どもが任命いたしました総裁が責任を持って、そういうことも含めて国鉄の運営上、全体について責任を持ってやられることを期待いたしておるのでございます。河村局長につきまして詳しいお話がございましたが、私が伺っておるところによりますと、きわめて有能な、忠実な国鉄職員であるということを伺っております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 国鉄の人事については、今あなたが一般論といたしまして総裁にまかした。それでよろしい。それでよろしいが、あなたの前任者の赤城官房長官のときに、今申し上げますように国会内部において、これと同じような労働問題に関連をいたしまして、国会議員を軽視するような発育をしたことによって、与野党一致してその不当を糾弾した。当時の官房長官もこれを深く遺憾とせられて、時の総裁に厳重に戒告をせられた。そして将来再びかかることの起こらないように忠告を与えられた。それが今、同じとは言わぬけれども、官房長官何者ぞ——何者ぞとは言わぬけれども、政党と政府はおのずから別だ、大平さんが何を言おうとも国鉄の問題はおれにまかしておけ、おれが問題を処理するのだ、こういうような言明は、殷鑑遠からず、国会議員が何をと、きめて軽率きわまる、侮辱したことと五十歩百歩じゃないか。同じケースじゃないか。その同じケースを、同じケースでないとあなたはお考えになるか。国鉄の河村職員局長なるものがそういう発言をすることは、政府と官房長官のやったことはおれの関知することじゃないから、そういうことには従わぬ、おれはおれの所信に従ってあくまでもこれを処置するのだと言っておること、これは一職員局長として、官房長官に対し、政府に対し、国会に対し、あたりまえの言辞であるとあなたはお考えになるか。赤城さんはお考えにならなかったが、あなたはあたりまえだとお考えになるか、私はそれをお聞きしたい。もしお考えになるとするならばあなたが相手になりますから、官房長官に対して糾弾をしなければならない。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 先ほど横路さんの御質問でお答えいたしました通り、労使の関係は労使の間でお話し合いの上、あらゆる問題を解決するようなよき慣行ができるということを期待しておるということを申し上げました。それからまた、同時に私はこう思っております。政府関係機関の管理者の立場にあられる方々は、自信と責任を持ちまして労働関係の問題を処理していただきたいという希望を持っておるわけでございます。今河村局長が言われたといわれるお話がございましたが、それは労使の問題は労使の間で解決するので、他の勢力の介入支配は御遠慮願いたいという趣旨のものであると思うわけでございます。言葉の配列から、あるいはかんにさわるようなことがあるかもしれませんけれども、私といたしましては、そういう趣旨にとりまして、そういう気持で御発言されたものと思います。ただ、私が考えますことは、あるいは政党なり、あるいは内閣なりというものがいろいろのことをアドバイスする場合があり得ます。しかしそれは、あくまでも労使関係というものの場において翻訳されなければ事態の解決にならぬわけでございますから、そういう意味で御忠告申し上げたり、インフォーメーションを差し上げたり、そういうことは私ども決して怠ってはならないことだと思うのでありますが、あくまでも本体は、労使の間の話し合いできめていくという慣行に忠実であってほしいと思うわけでございまして、河村さんの御発言は、そういう趣旨で、本筋は労使の間でやるんだという責任感、そういうものを現わした言葉だと私は解釈いたしたいわけであります。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 これは重大問題でありまするから、いま一回申し上げますが、河村君は、大平官房長官から話があったが、この問題では池田内閣や官房長官が入るべき性質のものではないから、全面的に拒否をする、官房長官が何を言おうとも決してそれには従わない、報労物資は白紙だ、何にもやらないんだ、おれは所信の通りやる、こういうことを堂々と言っていることは、労使慣行上正しい河村の主張だ、こうおっしゃるわけですね。もしこういう言葉が言われて、正しいことだ、よろしいということになれば、それはもう、いわゆるその言葉を受けるものは政治の上に、内閣の上に、あるいは国会の上に官僚ありということである。その言葉は、国会の上に官僚あり、政党の上に官僚ありだ。これは民主政治の逆ピラミッドであります。私はそう考えるが、あなたはやはりそういうことは差しつかえない、当然だとおっしゃるのか、いま一回私は承っておきたいのであります。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 言葉の使い方が必ずしも適切であるかどうかという問題はございましょうが、私は、先ほど申しましたように、全責任を持って自分の職場は自分が守っていく、労使関係は労使の間でやるんだという慣行に忠実である意思を、そういう言葉に託しておられるわけでございます。大平がどういわれましょうとも、やはり私は、日本の労働界において一番有力とも言える国労と国鉄との間の労使関係というものは、日本の労働界にとりまして非常に革新的な大事なことだと思いまするし、事が重大なだけに、それに当面しておる管理者といたしましては、十分な責任を持って当たっていただきたいと思うわけでございまして、そういう責任感が強いあまり、そういう言葉が間々出てきたんじゃないかと思うわけでございます。私は、私がいろいろいわれましても、それはかまわぬのでございますが、国鉄の労使関係がうまくいくことを心から希求いたしております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 時間がありませんから、努めて結論を急ぎたいと思いますが、しかし官房長官、あなたがそういうように善意に解釈せられるのもけっこうですが、私は、河村という男は、そういうあなたの言われる趣旨でものを言っている人物ではない、非常に独裁的な、ファッショ的な、あるいはその人の常識を疑わしむるような男であるということの前歴を示すために、三十三年の国会におけるこういうもろもろの問題を羅列して、今あなたに証明したわけです。単に普通の人間が普通の教養、常識での話ならば、あなたの答弁でもよろしいけれども、私は一国を預かる官房長官だから言うんです。こういうような前歴のある男だから、あなたも、問題を処理するために、一つ十分考慮していただきたいと思ったが、しかし赤城さんのようにまだ具体的事態に処していませんから、あなたの頭の回転も赤城さんのようにうまくいかないようで、この事態を明確に察知し得なかったのは、私ははなはだ残念です。もしあなたの答弁がそのまま活用せられたら、これはいよいよ気違いに刃物です。いよいよ気の狂った官僚が、あなたの答弁をまた中にして国会を軽視し、政府を軽視し、官房長官を軽視して、そしてわがまま一ぱいの仕事をするようになると思う。あなたは非常に危険な答弁をせられたが、残念ながらあなたはお急ぎのようでありますから、きょうのところは了承しないで終わりまするけれども、今後の民主政治は、高級官僚と国会とのあり方、また政府とのあり方に関して非常に重大な要素を含んでおりますので、あなたも研究してもらいたい、私も研究いたします。私は不満足でありますから了承しませんが、じゃまになるからお帰り下さい。  そこで総裁、こういう問題を含んでいる。あなたはあのとき国会の中に出られて、あなたの証言もあるんですよ。あなたもこの河村の問題については——河村というわれわれに言わせれば異常な神経の所有者ですが、この問題に対してあなたも、第一類第七号。社会労働委員会議録第三号、昭和三十三年十月七日、十五ページ中段にありますが、「十河説明員」とこうなっておる。「私は新潟の問題について、たといどういう事情があったにしろ、皆さんに御心配をおかけすることははなはだ遺憾だと、最初にそのことは恐縮して申し上げておるのであります。」云々というふうに、非常に恭順の意を表している。そうして二度と再びこういうことを起こさない。あなたの代表である小倉さんなんか、何十回もおわびをしておきながら、今私が申し上げたようなのと同じケースを、今ここでまた惹起しているのでございます。総裁、それくらいあなたらが恐縮をして、国会で二度と起こさぬように注意いたしますというその人を、なぜ一体職員局長に栄転せしめて、そして今日この問題を再び繰り返さなければならぬのか。誠心誠意を持って解決すると言った吾孫子さんは、全部われわれ国会や委員長までもごまかして、今度は総裁、あなたも小倉副総裁をしてこれくらい河村の問題でおわびをせしめながら、その河村をこういう重大なポストに栄転せしめているとは、国会を事実軽視し、ないがしろにしている行為ではないかと私は考えるが、いかがでございますか。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 私は、決して国会を軽視するという考えは毛頭持っておりません。従って、国会をだまかそうとか、うそをつくとか、そういう考えも少しも持っておりません。ただ言葉、態度等によっていろいろに解釈せられるおそれがありますから、言語、態度を慎むようにということを厳重に戒告をいたしておる次第であります。河村君が今度どういうことを言ったか、私存じませんが、今まで報告を聞いたところで、また先刻も、河村君と多くの場合に同席しておった中村理事からお答えいたしましたように、河村君がどういうことを言ったということは、私は今日まで聞いておりません。けれども、そういう誤解を受けるようなことをしてはいけないということは、絶えず戒めておるのであります。多くの人を扱います場合には、そういうふうな多数の人でありますから、いろいろなことがいろいろなふうに解釈される危険がありますから、そういう点を特に注意しておるのでございます。そういう次第でございまして、今日も河村局長は決してそういう不遜は態度をとっておるとは、私は思っていない次第であります。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 先ほどから私は言っているように、何も古い話を持ち出そうというのじゃないのです。あなたがほんとうに、あなたや当時の副総裁の小倉さんや吾孫子さんが、当時の国会において河村問題についてあなたの言葉の通り誠意を持って事を処理するという、いささかの、国会に対する公約を正しく行なうという真情があったら、今日この問題は再び惹起いたしません。こんな夜おそくなるまで、われわれが声を大にして論じなければならない事態は起きなかったということを申し上げておるのです。これらのことを質問するのは、われわれが悪いのですか。あなたのお言葉によれば、河村も悪くない、おれも悪くない、小倉副総裁も悪くない、吾孫子さんも悪くない、国会議員が三十三年から今日まで、夜おそくまで質問したり、問題を投げかけている、これはみんなお前たちが悪いのだ、そういうことになりませんか。もう一回読み上げますよ。三十三年十月十七日、その前に荒舩議連理事がこう言っている。「小倉副総裁は、これに対していかなる処置をとられるか、」あやまっただけではだめだ、どう処置をするかということに対して、小倉説明員が、「本件につきましては、国有鉄道総裁も非常に心痛いたしておりまして、本人に対しては厳重に注意する、今後の反省を促す、それで、どうぞ私からも諸先生におわびして御了解をお願いするようにということでございまして、前の社労の委員会におきましても、総裁は遺憾の意を述べておる次第でございます。今後かようなことが再び起らないように、本人には厳重注意を与えてございまして、二度と繰り返すことはございませんので、何とか御宥恕をお願い申し上げたい、かように存ずる次第でございます。」と言って答弁している。何も反省してないじゃないか。何も実績が上がってないじゃないですか。もし河村君の言動が正しいというならば、われわれが正しくないということになりますね。総裁、これに対して一体どういう御処置をおとりになりますか。これほどの大きな問題を起こして、どういう御処置をおとりになりますか。具体的な手段、方法、あなたが責任を負っておやめになるのもけっこう、副総裁の吾孫子さんが責任を負っておやめになるのもけっこう、河村君の首を切るのもけっこうです。これは立法府としてそういう権限はありませんけれども、ただやろうと思えば、そういう手段もあるということを御参考までに申し上げているのであります。どうか一つ、もうわれわれも二度と——率直に申し上げます。電電公社の方にも来ていただきました。不当労働行為の問題でも、春闘の問題でも、あるいは全電通の方々あるいは民間労働組合、いろいろな、まことに万客往来であります。多くの方が来ておりますけれども、国鉄の総裁や副総裁以下役員のごとくいんぎん無礼なものは、私は初めてであります。実にいんぎん無礼だ。言葉だけは丁重にして、誠意を尽くしますの、誠実を尽くしますの、一生懸命やりますの、耳ざわりのいい言葉だけを言って、一つも実行しないで国会をだましている者は、国鉄の総裁、副総裁だけであります。十河さん、あなたぐらい根性の悪い人はいません。国鉄の労働組合をわが子のごとくかわいがります。わが子のごとくかわいがります。あなたは三十三年来そう言っていた。わが子のごとくかわいがります。わが子のごとくかわいがりますと国会で答弁しながら、各公社を通じて、あなたぐらいばっさばっさと首を切っておる者はございません。総裁になって、あなたくらい気持よく人を処分している者はない。言うとやるとではまるで違う。私をして言わしめるならば、あなたくらい腹の黒い悪人はございません。私は、実に憎しみを持って申し上げる。このたびの……。(「感情論だ」と呼ぶ者あり)私の発言は自由です。私の感情をむきにして申し上げるのが何が悪い。いいですか。その意味において、こういう、首を切られて寒空にふるえている者に対して、あなたたちは一体どう責任をとったか。もしこれが民間会社であり、営利会社であり、生産会社であるとするならば、これくらい年次的に労働者の首を切ったり、不当労働行為を起こしたりすることは、実に不良会社として、その重役は全部追っ払われなければいけない。あなた方は、権力をうしろにしているからこういうようなぶざまな経営をやりながら、なおてん然としてその職におって、国会に来たら、誠意を尽くしますだの、国鉄一家だの、親子の愛情を持っていますという、そういううたの文句を唱えている。卑怯千万です。どういう責任をとるのです。はっきり言いなさい。あなたの責任、副総裁の責任、中村理事の責任、河村職員局長の責任をどうとるか、はっきり言いなさい。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 先ほどもお答えいたしましたように、河村局長がどういう言葉を使ったか存じませんが、河村局長からも、そういう皆さんを侮辱するような言葉は使った覚えはない、また河村局長と大部分席を同じうしておった中村理事からも、同様の報告を聞いておりまして、私はそれを信じておる次第であります。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 総裁、今も言うように、ここに書類があります。あなたが総裁になられたのは何年ですか。——二十七年から今日に至るまで、国鉄においてあなたが——ここに速記録があるじゃないか。私は国鉄を一家のごとく、わが子のごとくかわいがっています。河村職員局長も、働いている職員もみんな一視同仁に子供のようにかわいがっている。ばかに耳ざわりのいいことを言って、そうして問題を惹起しながら、二十七年から今日まで、あなたは一体何人首を切ったか。解職した者、驚くなかれ百四十一名だ。停職に処したる者九百四十九名、減給に処した者千七百十四名、戒告の処分にした者二万二百三十三名、なお訓告を処した者二万四千四百七、厳重に注意をした者四万七千二百五十五だ。小計いたしまして九万四千六百九十九名だ。わずか三十五万前後にすぎない組合員の中で、十万に近い処分者を出している。そのほかに起訴されている者が百九十二名だ。総合計いたしますれば、九万四千八百九十一名。これくらいの処分者を出して、そうして国鉄はわが子のごとくでございますと、うたの文句を歌いながら、よくあなたはその地位にてん然としていられるものだ。鉄面皮なるかな、鉄面皮なるかな。恥も外聞もないというやり方じゃないか。そして国鉄一家の中でそういう処分者を出した。その成績というものは悪いにきまっている。処分者の一人も出ないような公社、会社、工場こそは、国民が要望している最も実績のいい会社であります。これくらいのものを出して、一つも責任を感じないでてん然としてその職にあって、そして今自動車がとまるか、汽車がとまるかといって、国会議員から、官房長官から、総理大臣から、労働大臣からわれわれが、夜も寝ずに問題解決に奔走しているときは、あなたはてん然として自宅の中に——起きていたそうだけれども、お茶を飲んでいたか飯を食っていたか知らぬが、そうしていられた、副総裁は病院に入っていられたというぶざまな話だ。何のために国費をはんでいるのか、何のために一体管理者をしているか、私は了承できません。あなたたちが確然として責任をとられるまで断固として私は追及いたします。幸いにして委員長は、また今次国会中に、いま一回河村君をつかまえて国鉄の問題を調査するということを確約してくれるだろう。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 そんな確約はしない。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 そういう意思はあるのか。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 意思もあるのかないのかわからぬ。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 ということでありますから、私はここらで質問をきょうは一応終わります。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 八木一男君。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 十河総裁にお伺いをいたしたいと思いますが、時間が迫ったようですから、総裁には端的にお答え願いたいと思います。  総裁は、国鉄でずっと今までの生涯を努力してこられた。国鉄で自分の生涯の意義を感じておられるようでありますが、東海道新幹線の竣工を自分の手でしたいというようなお考えも持っておられるように推測をするわけであります。一体、日本国有鉄道というものは、そのような線路あるいは機関車、客車、貨車、そういうもので動くのではなしに、それを動かしている働く労働者の手によって動く。その場合に、きょうずっと総裁の態度を見ておりますと、ほんとうに国鉄を動かしている働く労働者というものについて、全然理解がない。そういうことで国鉄はこれからよくできると思うかどうか、端的にお答え願いたい。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 私の評価はいろいろ皆さん御自由にされることと思いますが、私は誠心誠意国鉄のために働いておる、自分はそう信じております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 労働者の協力なくして日本国有鉄道が動くかどうか、お答えを願いたい。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 職員の力なくしては動かないということは、最初に私は労働組合の代表とお会いしたときに、そういうことを申し上げております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 そのためには、あなたが職員と言われる国鉄の労働者の諸君が、ほんとうに後顧の憂いなしに働けるような態勢を作ることは、国鉄の総裁の責任である。しかるにかかわらず、あなた方は積極的に労働条件をよくする努力を一切されておらない。予算の関係とかなんとか言いながら、日本国有鉄道法で、必要があるときは政府から資本金が入るということをあなたは知っていられるか、よほどぼけて忘れていらっしゃるかというふうにしか思えない。大体団体交渉で値切り倒すのではなくて、初めから労働条件をよくして、しっかり働いてもらうような態勢を作ることが、国鉄の理事者の責任である。一切そのことを忘れている。しかも、そのような値切り倒したような状態で団体交渉をするときに、労組法十七条——あなたも理解は少ないけれども、きょうさんざん聞いたからわかるでしょう。一番大事な労組法十七条、それを無視したようなやり方でこういう紛擾を起こす。それから後に、国民の代表である国会で心配していろいろ質問されたところ、吾孫子君やその他が責任を持ってこれを解決するために努力すると言いながら、それが守られていない。そこで国鉄がなまけているか無責任で卑劣で無能力であるために、政府が、政党が全国民の心に従って解決に努力したにかかわらず、そのようなあらゆるものの努力をあなた方は無視して、あのような状態に陥れた。何と言っても、あなた方がそういう状態に人々を無理にしたとしか断じて思えない。あなた方の弁解をかりてそういう意思がないとすれば、あなた方はよほどの無能力、日本国有鉄道を支配するような理事者としての資格は一つもない。総裁も、副総裁も、常務理事も一切ない。無能力であることを自覚しないか、お答えを願いたい。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 無能力とは思いませんが、十分に組合を説得することができなかった、その力が足りなかったということは、先刻からたびたび申し上げております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 この席上でいささかの面子がおありになるのでそういうことを言われるけれども、とにかくそういう処置が非常に不都合であったということを認めておられる。そうならば、そういうことで起こったことについて、どうやってあやまちを改めてもとに戻すかということを考えられるならば、あなたが理事者としての資格を幾分持っているということになる。どうやってもとに戻そうと考えておられるか。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 誠に誠意さらに努力を傾けて、平和に解決のできるようにいたしたいと考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 そのもとへ戻す方法は、あなたが発表された処分を一切白紙に戻すこと、それから妥結した条件を完全に果たすために、直ちに報労物資その他について組合とともに決定をする。やることはそれだけだ。吾孫子君や中村君や、あるいは河村何がしという連中が何を言うかわからないけれども、十河さんは少しお年を召していられるので、労働問題については理解が少なかった点は認めてもいい。しかし、きょうのことで労働問題がいかなるものかということがおわかりになったと思う。おわかりになった以上は、総裁の目をごまかして誤らしておった下位の理事者というような者にだまされないで、ほんとうにもとに戻す方法である処分取り消し、報労物資を出す協定を直ちに結ぶ、それに踏みかえなければ、十河さんが一生涯を国鉄にかけてこられたことが無になる。線路が敷かれても、機関車ができても、貨車ができても、客車ができても、人間がいなければ動かない。労働者が理事者に猛烈な不信を持っているときには、国鉄はほんとうには動かない。国民のための国有鉄道がほんとうに動くことをするために、十河さんが、吾孫子君や中村君や河村職員局長のような、誤った無能力なあなた方の下僚であるそういう者には顧慮せずに、もしあなたが国鉄を愛し、国鉄を通じて日本国民に奉仕するという気持を一片たりとも今持っているならば、直ちに今の二項目を実施されなければ、あなたの人間としての資格がない、あなたの理事者としての責任が持てない、あなたの今までのほかの輝かしい業績がここで一切粉砕されるということになる。従って、あなたが直ちにその二つを実行することをじっくりと考えていただかなければならないと思う。あなたが利口な人であって、ほんとうにすっきりとした人ならば今直ちに返事ができると思うが、どうです。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 私は労使問題を正常化するのには、どうしてもその筋を立てることが一番大切だ、筋を立てるには法律を守るということが一番大切なことだと思っております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 あなたはまだわかり切っていないので、きょうの速記録もできますし、なんなら私どもが幾らでも問題を説明に行ってあげますから、一日、二日しっかり考えて、私の申し上げた処分を取り消し、報労物資を直ちに団体交渉をやって妥結する、その問題をやらなければ、あなたが何十年かかって努力した国鉄が、あなたの手によって乱される。国鉄が国民のために十分に動かなくなる。そのようなもとを作る。あなたの一生涯の値打がここで全部粉粋される、なくなるということになる。じっくりとお考えなさい。それからあなたの今言った言葉のベースによって申し上げましょう。筋を通すと言われた。筋を通すならば、なぜそのような状態を故意に生んだ、それから、はなはだしい無能力のために生んだそのような人たちに対する処分をなぜやらないか。河村職員局長の問題については、小林委員の国会における速記録をもとにした証言で明らかである。どれ一点をとっても明らかである。それに対してなぜ処分をしない。そのくらいのことをすぐ返事ができなければ、あなたは国鉄の総裁としての資格は毛頭ない。死んだ人間と同じだ。河村職員局長に対して直ちに処分をする、懲戒処分をすると発表なさい。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 先ほどお答え申し上げた通りであります。それで御了承を願いたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 河村職員局長は国会や政府を無視して、日本国有鉄道が公的な企業であり、運輸大臣の監督を受け、労働問題については労働大臣の監督を受ける、あなたは政府から任命されている、その政府も、それを監督する国会も、それを無視するようなことを下僚に許して、それであなたの責任が保てると思いますか。十河さん答弁……。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 たびたび申し上げますように、先ほどお答えいたした通りであります。私は国会を無視していない、そう考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 小林君の言われたことは国会の速記録に載っておる。公式な書類でそういうふうになっておる。あなたは独断で、国会の正式の記録を踏みにじるような、発言を無視する権利はないです。国会を無視するというのは、全国民を無視することになる。十河さんがいかに偉くても、日本の全国民を無視することはできないですよ。それではその二つの問題は、お年を召していられるから、今晩じっくりお考えなさい。吾孫子君とか中村君とか河村何がしというような、そのような間違った連中の意見はいれずに、われわれは電話をかけていただけば幾らでも教えてあげる。電話をかけていただいて、じっくり考えなさい。二、三日中にさっき申し上げた結論をお出しなさい。それが十河さんの今までの一生涯を光輝あらしめるものだ。  次に、あなたは、今後このようなことが起こらないようにやって参りたいと存じますと、今この国会で発言をされた。そのことについてもどうお考えになるか。このことが起こったのは、吾孫子君や中村君、特に河村職員局長、そのような連中が十河さんと意思を通じてか、あるいは十河さんをごまかしてか、そういうものを招いたのだ。それならば、そういう者をその職から除かなければ、今後こういうことが起こるであろう。その意味においても、法律上の責任とかなんとかじゃない、日本国有鉄道を、あなたは今後このようなことが起こらないように運営したいと言った、そのためには、こういうことを起こした連中をその職から除かなければまた起こる。直ちにその連中の職をやめさせる、あるいは停職させる、そのようなことについての御意見を発表していただきたい。御答弁を願いたい。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 私は、ただいまそういう意思を持っておりません。はなはだ遺憾ですが、そういう意思を持っておりません。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 あなたはその意思を持っていない。あなたはさっき、このようなことは起こらないようにしたいと言った。そういうことの具体的なことを、一番もっともなことを教えてあげた。そういうことは意思がない。理由も言ってない。意思もない。あなたが言っていることは言行不一致ですよ。あなたが言っていることは、そうなったらここで、河村君はそう言ってないと思います。国鉄は一生懸命努力しています。それもあるいは一切うそだということになるんですよ、そういうことをおっしゃると。あなたの国鉄側の言っていることは、一切うそだ、そういうことになりますよ、いいですか。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 世の中のことは、いかに努力してもできないことがありますから、それは御容赦を願いたいと存じます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 河村君を懲戒免職なり、普通の免職なり、あるいは左遷するかなりは、総裁がやろうと思ったら一ぺんにできる。いかに努力してもできないことではない。それに対しては、河村君にこういうことをやれということを命令して、河村君に対して義理があるのだったらあなたは自分でやめなさい。そうでなくても、ほかのことで河村君が一生懸命やった、部下をかわいがりたいという気持であれば、あなたはなぜ三千名以上の処分をしたか。河村君だけはほっておいていいか。河村君を処分することはできることですよ。できることをなぜやらない。できないからやらないと言った。しからば、できることならやらなければならない。直ちに河村君の処分を発表しなさい。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 お答えがないようですから、八木君どうですか。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 お答えがないということは、何にもあなたの方に抗弁する理由もない。できることをできないと言った。だからできることはやりなさい。それほど河村君に悪いと思うなら、一緒に中村君もやめさせなさい。これはあなたが申請して、運輸大臣が認可したらできる。吾孫子君もやめさせなさい。それでいけないと思うなら、気の毒だと思うなら、それを自分が命令したなら、吾孫子君や河村君を置いといてもいい。あなたが命令したなら、あなただけやめなさい。そうではなくて、ほかの者が勝手にやったが、部下がかわいいというなら——あなたは三千名を処分しているんですよ。それでもどうしてもかわいいというなら一緒にやめなさい。あなたがやめなさい。どうですか。あなたがやめるくらいのことは、あなたがやる気になったらすぐできる。やめることを言いなさい。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 遺憾ながら私は今やめる意思はありません。また、吾孫子副総裁以下を直ちにやめさせるという意思もありません。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 遺憾ながらおっしゃったことは、自分が辞職する、あるいはその他の者を処分する十分な理由があることをしぶしぶながら認められたのだ。しなければならないことをするのが、世の中の指導者の任務だ、あなたは長いこと日本国有鉄道の総裁だ。あれだけの大企業、日本国民のためにまかせた企業の指導者だ。それがしなければならないことをしないような、そんな情けないことがありますか。人間はほんとうに思い切りが大事です。あなたが国鉄のために努力してこられたことは、私も知っております。それの有終の美を飾るためには、ほかの点では、線路はできたけれども、機関車はできたけれども、労働問題の運営について間違ったことをやった。だからほかの功績があろうともやめる、吾孫子君もやめさせる。それによってほんとうの線路ができて、機関車ができたときに、ほんとうに職員が一体になった労働慣行ができて、そのようなことで労使が一体になって日本国有鉄道が動いて、国民のために役に立つ。あなたが今やめることは消極的ではない。偉大な功績のあった十河さんであっても、このような職員の労働問題についてあやまちを犯した、あるいは部下があやまちを犯したときはそれをやめさせる、忍ぶにたえないということなら自分も一緒にやめる。そういうことを示すことが、将来そのようなあやまちをしないことのもとになる。日本国有鉄道の総裁の任務は、日本国民に対する任務だ。それを思われるならば、直ちにあなたは河村君なりその他の理事者をやめさせる。また、あなた一人がひっかぶってやめてもいい。一緒にやめてもいい。みずからおやめなさい。それが一番りっぱです。十河さんの八十何年の最後に光輝を放つのは今の時期だ。直ちにやめることを発表しなさい。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 八木君に申し上げますが、結論に入っていただけますか。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 もうちょっとです。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 もうちょっとでなく、委員長の言うことを聞いて下さい。国鉄の答弁があったら結論に入ってくれますか。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 入ります。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 私は、国会の皆さんのお話はできるだけ聞きたいと思いますが、遺憾ながら、ただいまの私に直ちにやめろというお言葉は、私は承諾いたしかねます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 それでは積極的にいろいろな事後処理があります。一番大事なことは、最後に——若僧がなまいきなことを申し上げましたことを、それは気分的には不愉快でしょうが、ごかんべん願いたいと思います。国家のために一生懸命言ったんですから、十河さんも国家のために考えておられるなら、まともに受け取っていただきたいと思います。さっき言ったように処分をやめる、処分を撤回する、それが一番いい道です。それをじっくりお考え下さい。それをどうしてもやらないならば、河村君、吾孫子君あるいは中村君、これをこういうふうな重要な席からはずす。河村君はやめてもらう。それであなたも辞意について考える。じっくり考えて下さい。  それからほんとうに考えていただきたいのは、非常に重大な問題でありますから、われわれはやはり内閣に要求をしたい。小林君が先ほど大平君に言いました。大平君に対してわれわれは追及いたします。池田君に対しても追及いたします。内閣の手であなた方を罷免しなければならないようなことにならぬように、あなた方みずからいさぎよくその前に問題の解決に当たられることが、ほんとうの人間の道であり、男の道であると思う。その点について十分慎重にお考えになって、近日中に最もよい結論を出していただきたいと思います。それについて結論を出すために一先懸命考えられたい。そのお答えだけでけっこうです。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 考えることは、私はいつも考えております。今後も考えます。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は、明二十八日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後七時五十三分散会

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