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40回国会衆議院1962/02/27

社会労働委員会 第10号

発言数
84
登壇者
8
会派数
2
開催日
1962/02/27

会議録

中野四郎自由民主党

○中野委員長 これより会議を開きます。  労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。五島虎雄君。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 大臣も間もなく来られるそうですが、その前にいろいろ局長、担当の方に質問を継続しておれば、そのうちに来られると思います。きょうは、社会党として、労働行政の面についてわれわれ同志からいろいろ問題点を抽出して、そうして労働政策に対するところの労働省の見解を聞くことになっておりますから、それで私は港湾の船込みを中心として、そうして港湾労働の雇用の面とか、あるいは福利厚生の面とか、あるいは災害の面を聞いてみたいと思います。それから、それとともに、もう一点は、いわゆるPW——一般職種別賃金の件について聞きたいと思います。以上二点の件についてきょうは私から質問することになっておりますし、それに関連をしながら、あるいは雇用の問題とか権利の問題とか、あるいは労働時間の問題とか最低賃金——最低賃金はすでに吉村委員から聞かれましたけれども、それらの問題について同僚議員から聞いていく。そうすると、大体労働大臣を中心とするところの労働行政の一般が、今会期に明らかになるはずであります。それでさいぜん申しましたように、私は以上二点のことにしぼって聞いていきたいと思います。  昭和三十七年度の労働省の予算には、失業対策に対する緊急失対の賃金を大体一〇%上げまして、四百二十五円ということになったわけであります。失対の労働者諸君の生活がこの四百二十五円の賃金でできるかどうかというような問題や、それからそれらが低賃金であるということは、また日を新たにして同僚委員から聞くことになっておりますから、私はきょうはそれには触れません。ところが、この失対の賃金を予算上に現わす場合、緊急失対法の十条によれば、一般職種別賃金よりも上回ってはならないということを規定してある。それから規則の八条によれば、職種別賃金の高度の労働については九掛、九割、九〇%、そして軽労働については八〇%と規定してある。そうすれば、賃金というのは、一般職種別賃金の八掛から九掛でなければ、この失業者に対するところの賃金を支払ってはならないと規定されている。そうすると、この賃金は、物価の上昇とか生活の困難性とかいうことは別として、この法に縛られたところの賃金が予算上に現われてくるということ、従って、われわれは、今日緊急失対法ができてから、ニコヨンといわれた彼らの賃金以来、これでは生活ができないと主張してきた。そうしてこれを上昇してやらなければ生活の安定ができないというように主張をしてきた。しかし、賃金の上昇、経済の伸び、それから物価の上昇等々の関係でそれぞれ毎年々々若干のものは上昇されてきて、昭和三十七年の予算上には四百二十五円という賃金が設定され、そうして二十二日の労働日が予算上に盛り込まれたわけであります。このことについては、先日自民党の井村議員からもいろいろの面にわたって聞かれたわけですけれども、私がここに疑問になるのは、この一般職種刑賃金に上回らないことということで、例年の予算の設定には、彼ら日雇いの賃金が、これらを基本として予算上に盛り込まれているわけです。ところが、毎年PW——一般職種別賃金の調査というものが行なわれるそうですが、これはその年の八月に調査が行なわれる。そうして予算の編成にあたっては、すでにその集計が行なわれなければならないのじゃないか。しかし、今年度の一般職種別賃金の発表はまだないのじゃないかというように思います。そうすると、この三十七年度の緊急失対の一般日雇いの賃金は何を根拠にして設定されたのかということを、どなたにか聞いてみたいと思っております。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 御説のように、PWの調査の結果は、毎年予算時期には直接には間に合わないわけでございます。しかし、大体われわれの方としては、毎月勤労統計その他の賃金統計で大体の上昇率を予想して一応予算要求をやって、その調査の結果の大体、ことに失対に特別関係ある業種について大体の速報的な一部の集計をやって、予算に、最終的な見当をつけて間に合わす。そうして詳細なPWを定めるための調査結果の集計は、予算よりか相当おくれておるというのが現状でございます。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 おくれるということは、いろいろ慎重な態度を持続するためにおくれるのでしょうが、八月に調査してまだその集計ができないということは、そんなにも慎重にかからなければならないような仕事なのか、あるいはそとに作為的な問題が介在するから慎重を要するので発表されないのか、いずれの点に、この集約ができないということは理由があるのですか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 毎年八月に行なわれます屋外労働者の職種別賃金調査は、私どもの方の統計調査部でやっておりますが、これは毎年集計をいたしますのが大体三月一ぱいはかかっておると思います。別に特にどうこうという問題よりも、調査しまして、各県から上がって参りまして、これを御承知の通り職種別、それから各県別に集計いたしますので非常に手間がかかっておりますが、大体三月中くらいには完了するのじゃなかろうか、毎年の例でありますから、そういうことに考えております。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 そうすると、これは毎年の例と言われますが、数年前までは予算の編成期に大体間に合っていたと思うのです、ところが、ここ数年来、明らかに言えば二、三年ですか、職種別賃金の調査の発表が行なわれる時期と、賃金が予算上に計上される時期とが、今大島局長が言われましたように、ここ二、三年来おくれがちです。ところが、近ごろは、賃金の設定、決定等々について慎重にならざるを得ないような社会情勢、賃金情勢になってきているから、従って慎重な態度をとられて、労働省がその発表をおくらされて——あるいは必然的におくれるのかわかりませんけれども、おくれがちです。従って、さいぜん申しましたように、数年前までは、予算上に計上される時期とPWの発表というものは、時期が大体一致していたように考えられるわけです。われわれが予算を審議する場合、やはりあの緊急失対法の十条そのものがけしからぬとは思いながら、しかし、調査は調査なりに、それが五百円であれば五百円とある種の職種別に調査上出たら、それが八掛であるから四百円だということを一応認識しながら、来年度の賃金は大体頭打ち賃金のやり方ではあるけれども、四百円だというようなことを了承する。ところが、ここに問題は二つあろうと思うのです。それは今私が触れましたように、労働者諸君は、この緊急失対法の十条があり、八条の規則があるから、従って自分たちの生活は非常に停滞し、困難性がある、そこで、もう少し上げてもらわなければならないけれども法律がある、いかにPWが作為的に発表されようとも、しかし、これによって縛られるから、従って低賃金である、こういうような観念があるわけです。ところが、われわれが予算を審議するにあたって、一般職種別賃金の発表が行なわれないのに四百二十五円ということをわれわれが見て、一体どこを根拠として予算を審議していいかわからなくなってしまう。そうすると、失業者の緊急失対の賃金の四百二十五円が、一体最低賃金等々の生活の資料によって彼らを生活せしめることができるか、あるいはこの間委員会で井村委員の質問にもございましたように、この性格が社会保障的であるか、あるいは労働賃金であるか、こういうことになりがちなものでございます。従って、緊急失対法というものは、やはり、長く失対の仕事につかせないで、腰かけ的に、そうしてすみやかに健全な産業に、あるいは仕事に職安を中心として就職を世話し、そうして生活の本拠によらしめなければならない。これが緊急失対法の精神ではないかと思われるわけです。ところが、現在は、委員会でもずいぶん論議されてきましたように、この緊急失対法ができてから今日まで、ずっと失対人夫として、失対の労働者として仕事をせざるを得ないような人々が数十万人おられるということです。そうすると、今や緊急失対法というその法律の名前さえそぐわないような状況が、大部分に現われているのじゃないかというように考えられるわけです。そうすると、われわれは、この法の十条あるいは規則の八条を理解するにあたって、一般職種別賃金というものは一体何だろうというように、今や存在価値がはなはだ希薄になってくるわけであります。そうしてまた、また、存在価値が希薄になるとともに、大体こういうような法律をもって労働者の賃金を縛りつけるというようなこと自体が、何か頭打ちの、そうして労働者の生活の向上を阻害しているように考えられがちなものです。そうすると、われわれが予算を審議するにあたって、このPW、一般職種別賃金と失対賃金というようなものを、どういうように関連づけて審議していいかわからなくなるわけです。そこで、さいぜん私が申しましたように、ここ数年だけが作為か何かわからぬ。しかし、あなたたちがずらっとおられるから、作為のために労働者の賃金を必要以上に縛りつけるというような考え方は、労働省の局部長の中には決してないと私は思う。できるだけ労働者の生活を安定させるために日夜努力されていると思うのですけれども、非常にこの集計がおそくなって、従って、今ではまだ発表ができないような状態である。毎月勤労統計の中の見通しの中から予算に計上したといわれるわけですけれども、これが昭和二十四年からずっと私が調べてみたところによると——これはずっと前の委員会でも私は誓ったことがあります。しかし、同じことを何べんも言うと、まあまあ五島がまた言いやがるというふうに思われるかもしれぬけれども、認識を改めるために私が言っておきたいと思うのは、昭和三十四年までPWの発表が大体一致しておる。それ以来はずっとおくれてしまっている。現存はいまだ発表がされていない。それで、衆参両院で予算がもう確立してからおもむろに発表されてくるわけです。そういうようなおくれるということ自体が、この緊急失対法の十条とどういうように関係がありますか。そうすると、この法律というものをわれわれが理解するにあたって、この予算上の失対賃金を設定するということのズレが出てきます。この問題については、どういうようにわれわれは解釈したらいいのでしょうか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 PWの告示は、毎年大体四月に入りましてから行なっておりますので、これは特に統計の集計について作為を加えるとか、そういうようなことは毛頭考えていないのでございます。毎年大体四月になりましてからPWが出ておりますので、そういうふうに御了承願いたいと思います。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 作為はないが、慎重を期すためにまだ発表ができてない、集計とかなんとかができてないというようなことですけれども、昭和二十九年までは大体十一月に——昭和二十四年には十二月に発表されて、それからだんだん生活の困難性が叫ばれてきて、昭和二十六年には一月に発表されておる、それから昭和二十七年には十一月に発表されております。二十九年には一月に発表されております。それから労働組合運動がだんだん高揚してきてから今日というものは、それがおくれてきてしまっております。そういうようなことでは、われわれは、このはっきりしたところの法律に基づいたところの賃金の設定というようなものが、非常に審議するのに困るわけです。そうすると、ことしのPWの発表、一般職種別の賃金の発表は大体いつごろになりますか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 おそらく三月一ぱい集計いたしまして、その結果、四月に入りまして私どもの方でPW改定の告示をいたします。大体それと同時に発表されると思います。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 そうすると、大体おくれるということはわかります。そこで、さいぜん言いましたように、この賃金そのものが安いか高いか、適正であるか、これで彼らが生活ができるのかどうかということについては、きょうは触れません。ところが、PWそのものが、さいぜん申しましたように、大体もう今では無用なものではなかろうかというように各般の国民が言っております。この点についてPW、いわゆる一般職種別賃金、それからこの日雇いの賃金の予算上の設定、これらについての将来の考え方、これについてあなたたちは日ごろどういうように考えられますか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 PWの制度につきまして、先生お話しの通り、廃止したらいいんじゃないかというお説も確かにございます。ただ御承知の通り、PWは、政府に対する不正手段による支払請求の防止等に関する法律を廃止する法律に基づいておりまして、法律の適用は、国の直用労働者について適用があるわけでございます。この予算の執行につきましても、かりに廃止をいたしますにいたしましても、何らかの基準というものはやはり必要なんでありまして、廃止してもやはり何らかの予算執行上の基準というものが要る、こういうことになりまして、一がいに廃止したらそれでいいとも言われないと思います。確かに先生おっしゃるように廃止論というものもございまして、そういう点で従来ともいろいろ検討いたしておりましたが、さらに今後関係各省とも打ち合わせて、今後どういうふうにしていくかということを検討して参りたい。当面さしあたって、本年のPWの改定は大体四月ごろには行なえるのではないか、かように考えております。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 大臣が今御出席ですから、これはどうだと直接大臣に聞いてもバランスが合いませんから申し上げますが、実は緊急失対の一般の賃金が、去年から一〇%上げられて四百二十五円になった。この予算上の賃金は、緊急失対法の十条を根拠として、規則の八条から大体設定されておろうと解釈される。そこで、この一般職種別賃金がいまだ発表されないのに予算上に四百二十五円というようなものが設定されたことは、一体緊急失対法の十条といかなる関係があるのかというようなことを中心として聞いておりました。ところが、各局長の説明によれば、非常に慎重に考慮され、集計されつつあるから、いまだ発表はされていない、四月ごろに発表される予定である、こういうように聞いております。そうすると、そのPW、すなわち一般職種別賃金を基本として、その九掛ないしは八掛という賃金を設定しなければならないという規則八条というもの、あるいは本法の十条そのものは、一般職種別賃金よりも上回ってはならない、逆に言うならば下回らなければならない、こういうようなことで、一般の労働者よりも賃金は低くしなければならないという、この精神で低くしたのが四百二十五円の予算上の賃金であるというようなことになるならば、一体われわれはどういうようにその予算の審議をしていいのかというような関連性が出てこよう。従って、一方から言うならば、一般職種別賃金そのものが頭打ちの規定である、緊急失対法の十条そのものは、日雇い労働者の賃金を設定するにあたって頭打ち賃金であろう、しかも、それぞれ賃金が上昇しつつある今日において、四百二十五円の賃金そのもので生活ができるのかどうか、その労働日は月に二十二日ということであるならば、五百円としても一万一千円になる、そういうようなことで生活ができるであろうかどうだろうか。きょうはその生活の可能、不可能という問題を中心に質問はしませんけれども、一体こういうようなPWがあって、そうして労働者の生活を制約するということがどうだろうか。これは昨年福永労働大臣が実力者内閣に入閣されまして、まだ半年とたっておりません。この問題については、かつての労働大臣にもそれぞれあらゆる面から各同僚議員が聞いてきたところです。ところが、今やPWそのものの性格が大きな問題となって出ております。従って、社会党からPWのいわゆる不正手段におけるところの法律、PWの一部を廃止してしまおう、こういうような法律案を出しております。しかし、政府の中でも、PWの廃止というものを考慮されておるように聞いておるわけです。労働大臣に私は就任以来初めて質問をするわけですけれども、このPWについての考え方を披瀝していただけませんか。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 現行制度につきましては、ただいま御指摘のように、皆さんの方からも御意見もございまするし、お話しのごとく、確かに政府部内でも再検討の声もあるわけでございます。申すまでもなく、かなりいろいろな方面にこれが影響を持つことに相なります。そこで、現行制度のままでよろしいかということにつきましては、私自身も、これはこの段階において検討を要するのじゃないかというような気もいたしておるわけでございます。さような角度から、今政府部内でもいろいろの調査検討を進めておる次第でございます。現行制度が理想的であるとまでは私は考えておらないわけであります。さりとて、それじゃすぐにと申しましても、なかなか今申しましたように影響する面も広範囲でございますので、それらのことを考慮しつつ、さらに一段と検討を進めて参りたいと存じております。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 福永大臣はなかなか答弁がうまいものですから、いつも当たらずさわらずでやられてしまうというように言われているわけですが、PWは必ずしもよくない、だからこの件については検討を進める、なるほどばく然と聞いたらいい考えを持っておられるように聞くのだけれども、よく考えたら、いつやられるのかさっぱりわからぬ、こういうように解釈をされます。ところが、私が本日特にPWの問題を一点として聞きたいということは、これはILOの条約の中からもきているわけです。御承知の通り、私からこんなことを申し上げると口幅ったいようになりますけれども、すべて専門の方たちばかりですからなんですけれども、昭和二十四年にすでに公契約における労働条項に関する条約、すなわちILO第九十四号が決定されておるわけです。それがいわゆる現在の問題である一般職種別賃金、そうして契約その他に、一方公営企業と民間との作業等々を契約する場合は、労働条件等々を明確化して公契約をせしめなければならないということを中心として、こういうILOの条約が設定されておるわけです。それを受けて、昭和二十五年に一部の改正がPWで行なわれているのでしょう。最初、政府に対する不正手段による支払請求の防止等に関する法律が出た当時は、なるほど、そのときの社会情勢によればこれが必要であったかもしれません。しかし、昭和二十四年にこのILOの九十四号条約が設定されて、その翌年、国会におきましてもこれを廃止されているわけです。政府に対する不正手段による支払請求の防止等に関する法律を廃止して、その中の一部だけが一般職種別賃金となって残って、そして効力を持つということになりました。ところが、その昭和二十五年の政府に対する不正手段による支払請求の防止等に関する法律を廃止する法律の中で、「第十一条の規定及び同条の規定に関連する範囲内における同法第二条中の一般職種別賃金額の告示に関する規定は、国等を相手方とする契約における条項のうち労働条件に係るものを定めることを目的とする法律が制定施行される日の前日まで、なお、その効力を有する。」ということになって、効力が残ったわけです。そうすると、「労働条件に係るものを定めることを目的とする法律が制定施行される日の前日」というのは、一体いつくるのかということです。昭和二十五年にこの法律が一部改正されて廃止されてから、そうして依然としてそのまま十一条が残ってからすでに七年間になるわけです。その前日はまだ訪れません。一向に訪れないで、七年後の今日において、福永労働大臣は、なるほど政府の一部にもこれを廃止する考え方の意見もあるが、今後検討するということになる。そうすると、国会の決議、国会の審議というものは、一体政府はどういうようにこれを受けて立たれるのかという疑問が出てくるわけです。しかも、この法律を廃止されるときの提案理由の説明があります。これを今ちょっと読みます。この政府に対する不正手段による支払請求の防止等に関する法律が昭和二十二年にできたけれども、今や相次ぐ統制額の撤廃により、漸次その存在の基礎を失ってきた。他面、この法律制定の根拠になった覚書を廃止する旨の覚書が、連合国軍最高司令官から本年一月四日付で発せられた。従ってGHQの指令によったのだ。しかしながら、政府直用の連合国軍関係労働者、公共事業関係労働者に対し、一般職種別貸金を払う必要があります。また国等を相手方とする契約に基づく工事の完成、物の生産、役務の提供等に関係ある労働者に対する一般職種別賃金支払い原則は、昨年七月、三十二回国際労働会議で採択され、なお国もその原則を別個の法律として制定すべき時期にきていると考えられる。この法律廃止にあたってその旨を明らかにすることが適当と考えられます。——従って、昭和二十二年にこの法律が制定されて、昭和二十四年の三十二回ILO総会において、この九十四号公契約法が条約としてなった。それを受けてGHQから指令を受けて、二十五年の国会においてこれが廃止された。廃止される理由は、今やこういうようなILOの条約もできたことであるし、従って、これを制定する時期に到達している、そこでこの法律案を廃止するゆえんである。あれから八年間たっております。八年の間に、最低賃金も、その性格は業者間協定のえせ最低賃金法とわれわれは言うわけですけれども、最低賃金法も制定されております。最低賃金法も制定されておる今日において、いまだ頭打ちのこのPW、一般職種別賃金が予算の賃金として設定されなければならないということです。もうすでに時期は八年過ぎております。そこで、PWというものは今や無意味じゃないか。しかも、言うならば八月にPWが調査されて、翌年の四月にならなければこのPWが発表されない、その間に労働者の賃金というものは設定されているのではないか、こういうような状態ならば、いよいよその無意味性が大きくなってくるわけであります。そこで、PWの廃止、あるいはそれに基づくところの公契約法のこのILO九十四号条約を基本としたところの法律制定の意思ありやいなやという疑問が出てきます。以上のことについて大臣は、このILO九十四号条約を中心とした、そして労働者の賃金を明確化せんとするところのこれらの精神を受けて立つ法律の制定に立ち上がられる気持はないかどうかということを聞いておきたいと思います。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 深い御研究に私は敬意を表するものでございます。ただいまいろいろ御発言中に御意見もあったようでございますが、先刻私申し上げましたように、これらの点につきましては政府としてもできるだけすみやかに検討をいたして、何らかの措置をとるのがよろしいのではないか、こういうように私自身は考えておる次第でございます。これらのことと関連いたしまして事務当局でも若干のことを進めておりますので、その方からもお答えさせていただきます。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 俗にPWに関する法律の制定並びに存続の経過につきましては、ただいま五島先生お述べになりましたのですが、大体そういった経過であろうと思います。そこで、公契約における労務問題と申しますか、労働基準の問題、これはたとえばアメリカにおいて実施されておりますような形もございますし、一つの労働問題としても大きな問題であろうかと思います。私自身も個人的に非常に興味を持っておる問題でございますが、ただ御承知のように、これは非常にむずかしい問題であります。一方において労働基準法が実施されまして、その後だんだん進展しております。ただ御承知の通り、中小企業、零細企業等におきましては、まだ十分進んでない現実も否定できないわけでございます。この公契約における一定の労働基準の要求というものが、一方において労働基準を向上せしめる意味を持ちますと同時に、また逆に、中小零細企業といったものに対する現実の問題としての逆効果もございます。また国の会計法の関連もあり、非常にむずかしい問題でございますが、私どもといたしましては、今後ともこの問題は検討を続けていきたいと思います。しかし、何よりも肝心なことは、現在の労働基準法の実施というものを中小零細企業において懸命に推し進めていく、このことがまず何よりも基本的に必要なことであると思います。私その方面の努力を懸命にいたしております。また、こういった問題についてもさらに研究は進めたいと思います。  同時に、いわゆるPWに関する法律の廃止問題、これは先ほど申し上げました通り、繰り返すようで恐縮でありますが、法律百七十一号を廃止する法律によりまして、十一条が存続いたします。十一条に二つありまして、連合軍労務と公共事業費をもって全部または一部の経費を支弁する事業の労務、連合軍労務の方は落ちまして、現在のところ国の直轄事業にのみ法律的には適用がある形になっております。これを廃止いたしましても、この予算の執行については何らかの基準が要るわけなんでありまして、そういった関係で、そのこと自体だけをとりますと、廃止しても廃止しなくても結局同じようなことにもなるという議論もございます。これらの点、あわせまして今後さらに検討を進めて参りたいと思います。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 考え方はわかります。しかし、公契約法というものが現実の問題で非常に問題がある、会計法に関連がある、それはいろいろ法律を制定すれば、いろいろの面に関係があるでしょう。それから現実の問題で、問題が起きるということはわかりません。それから公契約法を中心として新たな法律の制定、それからもう一つは、統計的には、政府は統計法によってあらゆる統計は把握されなければならないと思うのです。従って、全国の労働賃金が今いかに推移しているか等々の統計は、当然されると思うのです。ところが、労働者の賃金というものは、あくまで労使の交渉、協調その他の自発的な面によって、生活の資料が策定されるのが基本原則でなければならない。ですから、ILOの基本的精神もそういうところにあるわけです。それで、最低賃金の問題についても、あるいは公契約法におけるところの精神も、やはり団体交渉によって賃金は設定されるべきである、そしてそれが契約の大きなものを占めるのだ、そしてそれが明らかでない限りにおいて、民間の業者とは契約をしてはならないという法律の精神になっておるわけです。従ってこれは、政府としては、どんどん高まっていくところの賃金で予算を設定するのはなかなか困難であると言われますけれども、労働者の賃金が、あるいは物価が上昇すればするに従って上昇するということは、これは原則でしょう。そうしてまた、最も基本的な問題としては、労働者がその賃金で生活ができるかどうかという問題が、最も大きな問題であろうと思うのです。昭和二十四年にこのILO条約が設定されて、昭和二十六年に日本はILOに参加しておられるわけです。そうしてすでにそれから十年間の歳月がたっておるわけですけれども、今検討する検討すると言われることは、それに従って労働者の賃金が頭打ちされる、そうして彼らの生活資料を制限するということになろうかと私は解釈するわけです。従って、検討するという方向はわれわれは尊重します。また、すみやかにこれの検討をされて、そうして結論をつけられるように要望したいと思うのです。  私は特に齋藤邦吉さんがここにおられます。自民党のそうそうたる労働通でございます。それでILOにわが国が復帰されたとき、労働省の官吏として日本を代表して演説をされておるわけです。これはりっぱな文句であります。齋藤邦吉さんがここにおられるから、私はりっぱな文句であると言っているのではないのであります。こういうことであります。昭和二十六年六月二十一日のILO三十四回総会の十三回本会議において、「私は、日本政府の名において、また日本政府に代ってILOに対し、且つわが国をILOの正式加盟国としての再加盟の賛成投票のため出席されている全べての代表各位に対し、真摯な謝意を表し度い。今回の再加盟は、われわれ日本国民が深く感銘するところであって、」——日本国民が感銘したそうです。「感銘するところであって、わが政府・使用者団体及び労働組合にとっても大きな名誉であり、且つ、社会的にも政治的にも、わが国の民主的発展の画期的な出来事である。各位が行った決定の結果、われわれは、国際的社会進歩を促進し、且つ伸張することに対して、十二分に且つ衷心から協力するというわが国に負わされた甚大な義務を十分自覚するものであることを、ここに確言する。日本政府は、憲章に規定されているILOの目的及び趣旨を堅く守る決心であり、また、その憲章により加盟国に要請される如何なる責任をも負い、如何なる義務をも果すことを、堅く誓うものである。私は、この総会における各位の好意ある考慮によってわが国が国際的協力に十分貢献し、人数の平和と福祉のために活動することが出来るようになったことに対し、各位に感謝するものである。」これが名演説です。これは齋藤さんの作られた文章ではないでしょうけれども、非常に感謝されておる、そうして国民が感謝する。そうしてILO憲章の精神はそのまま実現するんだ、そうして以後国民の福祉の増進のために努力するものである、こういうようなことです。私は今九十四号の問題を質問いたしておりますけれども、これはILOの八十七号といわず、九十四号といわず、あるいはこれから質問するところの内陸運輸委員会に対するところの多くの条約、勧告あるいは決議事項、あるいはILO全般に対するところの決定等々の精神は、わが国はほんとうにこれを尊重しながら、その実現のために努力しなければならないということを世界に約束されて帰られたことであろうと思う。そこで、こういうようなことを八年間も十年間も放置されるということは、私たちはけしからぬと思っておる。そこで、今後このPW、不正手段によるところのこの百七十一号の廃止、そうしてこの効力を有するところの十一条、それらの問題については合理的になるように今後努力をしていただきたいと思うのです。大臣の決意を聞いておきたい。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 ILOに加盟しておるわが国が、ILO憲章の精神を尊重しなければならないことは申すまでもありません。齋藤さんが、当時ILOに行ってそういう発言をされたその気持は、自来日本政府でその通りに心得、また今後もそうでなければならぬ、そういうふうに考えておる次第でございます。ただ個々の問題になりますと、国それぞれの実情等がありまして、世界じゅう全部一様にというわけにいかない問題も間々あるわけでございます。わが国の場合におきましても、先ほど申し上げましたような憲章の精神を尊重するという基本的な態度を堅持しつつ、また個々の問題の取り扱いについても、そういう建前からいろいろ誠意ある検討を進めていきたい、こう考えております。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 ではこのPWの検討を進められることを私たちは期待しながら、それに注視をいたしておきます。  次に、さいぜん申しましたように、港湾の問題について質問を転換して参りたいと思います。この問題については、総理府や運輸省などに御足労願っているわけですけれども、現在六大都市における陸上の交通というものは非常に混乱をして、そうして先般の国会におきましても、この緩和に対する決議が行なわれたくらいであります。ところが、陸上のみならず海上においても、今や逼迫をしているような状況であろうと思うわけであります。それで、この問題については、予算委員会とかあるいは参議院においても、いろいろの面から質問が行なわれたと思いますけれども、私、この港の逼迫の中から、労働者のこれまた雇用の安定とか、あるいは福利厚生の向上だとかいう問題について重点的に聞いて参りたいと思いますが、まず現在の船込み状態——新しい言葉だと思いますけれども、船込み状態を昨年の七月からいろいろ世論に訴えて参りました。そうして八月、九月、月をふえるごとに、この船込み状態はどうも処置ないというところまで参ったのであります。しかし、今日においては、輸入の制限とか、それから輸出の伸展とか、そういうような関係があって、ある港は少々緩和されたように聞いておるわけであります。しかし、緩和されたからといって、今後政府のとられる輸出振興策、そうして日本の経済の発展に基づくところの港湾の整備その他の面になると、依然として船込みは将来続くんじゃないかと思われるわけであります。ところが、現在そのピークが少し緩和されたというように聞いておりますけれども、現在の船込み状況は大体どういうようになっておりますか。これは運輸省の方から……。

岡田良一運輸事務官(港湾局参事官)

○岡田説明員 船込み状況でありますが、昨年の七月ごろから非常に激化をし始めまして、仰せの通り七、八、九、十と非常にふえましたが、十一月から輸入の制限その他の関係もありまして非常に減少いたしまして、十二、一と、ずっと減少の一途をたどっております。これを数字的に申し上げますと、昨年の一番多かったときは、一日百五十隻の船が六大港で滞船をしておりましたが、最近の数字は、大体三十隻から四十隻前後になっております。また、この積荷の種類でありますが、昨年は大体スクラップを積んできた船が非常に多かったわけでありますが、最近はスクラップを積んできた船の滞船が非常に減りまして、ほとんど半分以上が、木材を積んできた船が滞船をしておるという状況になっております。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 そうすると、十一月、十二月、一月は、百五十隻滞船をしておるのが三十隻になるということは、その港の荷揚げ、荷積みは非常に緩和されて、平常状態に返ったということになったというようにわれわれは理解してけっこうでしょうか。

岡田良一運輸事務官(港湾局参事官)

○岡田説明員 現在の入港船の状態におきましては、港によりますが、たとえば現在まで、東京、大阪、名古屋においては滞船がなお残っております。その他の港におきましては、一応平常状態に返ったというふうに考えております。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 今平常状態に返ったということは、ある運輸省の関係の方に聞いたら、七月にこの船込みの問題が非常に騒がれ始めた、騒がれ始めたけれども、総体的には、十二月、一月はそのピータから緩和されつつある、しかし、騒がれた状態以下には低下していないということを聞いたのですが、それは間違いですか。ある港では非常に緩和されて、平常状態に返ったというふうに了解してよろしいのでしょうか。

岡田良一運輸事務官(港湾局参事官)

○岡田説明員 昨年の十一月ころの状態が、ちょうど船込みが騒がれ出した七月ころの状態と、滞船の隻数からいくとほぼ同じになっております。そのころに、おそらく船込みは緩和されたのではないかという声があちらこちらで聞こえましたので、運輸省としては、なお騒がれ出したころと同じ状態であるということを十一月ごろに申し上げたわけでありますが、その後一月及び二月になって非常に減少いたしております。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 そうすると、これは参事官に対して質問をしようとは思いませんでしたけれども、今後わが国の貿易の振興等々に関連して、将来の見通しは、現在のままでスクラップがこなくなって、木材が船込みの状態であると言われますけれども、あらゆる輸出、輸入というものが振興されるその方針に対して、現在の港の状態で再び船込みが現われない、現在の平常状態のまま進行していくのだというような確信が運輸省にはございますか。

岡田良一運輸事務官(港湾局参事官)

○岡田説明員 われわれの現在研究しておりますところによりますと、昭和三十七年度においては、輸入量も、経済企画庁の三十七年度目標でもそれほど多くありませんので、大体現状のような状態が続くのではないかというふうに考えております。三十七年度の間に、本年度予算におきまして特別に港湾整備なり、はしけの面、その他各方面について対策を講じますので、三十八年度以降輸入量がふえた場合に、三十七年度における増強対策によって三十八年度もまかなっていけるのじゃないかというふうに考えております。ただし、入港船舶の状況がなだらかに上昇していった場合には、船込みということは、現在の予算なりその他の面から考えてあまり大したことはないと思いますが、非常に急激なカーブでふえたような場合には、そういうことが起こるのじゃないかというふうに考えます。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 関連事項で、中山マサ君に発言を許します。

中山マサ自由民主党

○中山(マ)委員 船込みの問題でございますが、聞くところによりますと、この九月ころには九〇%まで貿易の自由化が行なわれるといわれております。いろいろ物の値段が高い安いというようなことを外国と比較して見ておりますと、どっといわゆる向こうの品物が入ってくるおそれがなきにしもあらずと私は考えておるのでございまするが、ことしはこれでずっといくのじゃなかろうかというようなお話のようでございます。貿易が自由化されて、自由に諸外国から物が入ってきた場合を想定して、何か御準備はなすっていられるかどうか、その対策はどういうことになっておりますか、伺っておきたいと思います。

岡田良一運輸事務官(港湾局参事官)

○岡田説明員 ただいま申し上げましたのは、経済企画庁の昭和三十七年度の経済見通しによりまして、三十七年度はあまり大したことはないということを申し上げたわけであります。現在のところは、実は昨年の船込み以後、予備費その他によりまして港湾の施設であるとか、またそれぞれの融資その他によりましてはしけの増強、それから港湾料率の値上げによりまして労務者待遇の改善等をいたしておりますので、その効果は本年から当然見えてくるわけでありますし、三十七年度としては、急激な荷動きの増強が、経済企画庁の見通しによれば、ないというふうに現在政府としては見通されておりますので、いろいろ準備はいたしておりますが、大したことにはならないというふうに考えます。

中山マサ自由民主党

○中山(マ)委員 経済企画庁だけの見通しであなたの方は動いていらっしゃるのでしょうか。お宅の独特のものはないのですか。たとえばこれが自由化された場合には、企画庁がどう言っても、こういうふうになるかもしれないというものはないですか。これは言いにくいことですけれども、私は日本の商売人にも言っておるのです。日本の品物は、残念ながら使う人の身になって作っていないものが多い。私、女ですから、卑近な例をとりますが、たとえばワイシャツ一枚買いましても、一ぺん洗たくすると縫いつけてあるボタンがはずれるようになっておる。しかし、外国のものは人の身になって作ってありますから、一ぺんや二へん洗たくに出してもボタンははずれません。私もアメリカで四、五年生活しましたので、これは体験談として申し上げる。やはり向こうは良質のものを安く大量生産しますから、これらが入ってきた場合に、あるいは企画庁の言う通りにならないかもしれないのですから、お宅は独特の案をお持ちかどうか、これを伺っておきたい。

岡田良一運輸事務官(港湾局参事官)

○岡田説明員 ただいまお話しのありますような物質については、貿易が自由化されて輸入が増加すると考えられますが、港湾関係の取り扱い貨物の大部分を占めておりますのは、自由化に直接関係のないようなスクラップであるとか、木材であるとか、鉄鉱石であるとか、石油、小麦とかの大量物資が港湾の貨物の大宗のものになりますので、こういうものについては、やはり日本経済全般の生産という見地から、経済企画庁の立てておる見通しが、われわれとしては一番信用ができるということで、その線で進んでおります。

中山マサ自由民主党

○中山(マ)委員 私、どこかで聞いたか読んだのですが、たとえばそういうものが入って品物が運搬されてきても、日本には倉庫がないために、外国船が沖にとまって、その船がまるで倉庫みたいになっている。私、特別な言葉を知りませんが、倉庫料というのですか、そういうものをドルで払わなければならないから、そういうもののために外貨がだんだん減っていくんだという話も聞いたことがございます。今は日本の方がドル防衛をしなければならぬような立場になっておりますが、そういう倉庫の完全な御準備はあるのですか。お宅は運輸省ですからこんなことを伺ってはいけませんが、やはり運んできても入れてもらわなければ、船込みというものはなかなか解消されないと思うのですが、この点はいかがですか。

岡田良一運輸事務官(港湾局参事官)

○岡田説明員 倉庫の問題でありますが、これも運輸省で所管をいたしておりますが、昨年の船込みの対策としまして、三十六年度の開銀予算で、年度当初にきめましたもののほかに、特別に船込み対策として開銀資金を支出いたしまして、それで整備をはかっております。なお、昭和三十七年度においては、これはまだ最終的な金額は決定しておりませんが、昨年より飛躍的に倉庫をたくさん作れるような開銀資金を、現在交渉いたしております。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 今関連質問がございましたけれども、この船込みの見通しが、参事官のお話によれば非常に明るいというようなことですが、その急激な問題になると再び混乱をする。混乱をしたら、ひいては直接わが国の経済に大きな影響が及ぼされる、これはもう明らかな問題である。そうすると、昨年の七月から十月をピークとして、船込み船込みといって騒がれた、そうして現在も非常に緩和されたということではなくて、何かスクラップがこなくなったから、神戸や横浜の荷揚げが緩和されてきた。しかし、それに比較して東京や大阪は依然として船込み状態である、こういうようなことでございますが、六大港湾をとっても、その船込みの状況の原因というものは、今関連質問にありましたように、倉庫が足りなくなったとか、従って上屋に品物が置けなくなったとか、だからはしけが倉庫がわりになっているとかいういろいろの原因がございますが、総体として、どういうところに船込みの状況の原因があるかということを、運輸省の見た目で、その原因をちょっと羅列してみて下さい。

岡田良一運輸事務官(港湾局参事官)

○岡田説明員 船込みの原因といたしましては、これは御承知と思いますけれども、港湾にはいろいろの施設がございまして、たとえば岸壁であるとか、ブイであるとか、それに着いた場合に今度ははしけで荷役をする、労務者が荷役をいたしますが、その労務者であるとか、はしけとか、それから荷役機械でこれを揚げまして、倉庫に入れる陸上輸送というような、いろいろな施設がその間に介在するわけであります。港湾においては、普通の場合はそれらの施設が大体バランスがとれて、たとえば神戸港であれば、神戸港にはどの程度のはしけがあり、どの程度の岸壁があり、どの程度の労務者がおり、どの程度の倉庫があるかということは、バランスがとれて一応従来の過去の歴史上発展をしておるわけでございますが、急に荷物がふえますと、そのバランスがとれなくなりますので、どの部面においても不足を来たしておる。従いまして、岸壁であるとかブイも足りないし、はしけも足りないし、労務者も足りないし、倉庫も足りない、陸上輸送も逼迫してくるというふうな状況になりますので、結局原因といたしましては、港湾に関するすべての施設が不足をしておるというのが現状であろうと思います。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 そうすると、すべての施設があれだから、はしけに予備費を注入し、倉庫に開銀の費用を注入する。それらの問題がずっとフルに各港に流れて、設備が完備し、貿易の振興が行なわれて、外国船がどんどんわが国の港に来て、わが国の品物が外国に輸出されて、その船がどんどん使われる、あるいは国内の港から港への輸送船がどんどん港に入ってきても、労務の問題等のバランスがとれるというのは、いつごろそのバランスが完全にとれて、船込みという言葉が解消されるのか、その見通しは昭和三十八年度だと考えていいのですか。

岡田良一運輸事務官(港湾局参事官)

○岡田説明員 昭和三十七年度におきましても、現在の見通しのもとでは、大体船込みは起こらないと思っておりますが、昭和三十八年度の見通しが、まだあまり確たる見通しが出ておりませんので、三十八年度のことははっきり申し上げられないと思うのです。ただ根本論といたしまして、やはり港湾の能力というものは、入港船に対して相当に余裕を持つべきものである。運輸省といたしましては、少しぐらい船がたくさん来ても、それですぐ問題を起こすというふうなことでは困るということを考えておりまして、諸般の施設の増強に現在努力をいたしております。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 そうすると、船込み時代に、現在も東京や大阪はずいぶん船込みがあるということを聞いておりますが、さいぜん関連質問の中にも出ましたが、この船込みの滞船料というものですか、外国船が品物をわが国に持ってきたが、荷揚げができないで滞船する、滞船すれば契約違反というか、違約金あるいは滞船料とかいうものがとられるということです。毎月二百万ドルから三百万ドル程度は、滞船料として外国の商社にわが国の商社から支払われたということを聞いておりますが、これは事実ですか。

岡田良一運輸事務官(港湾局参事官)

○岡田説明員 昨年の一番船込みの多かった時期には、大体私どもの推定いたしましたところで、一カ月に百万ドル見当になっておるかと思います。それは百五十隻の滞船がございましても、そのうち現実に、まず内航船に対しては滞船料というものがございませんし、これはありましても外貨に関係はございません。外国に行く船でありましても、定期船につきましてはやはり滞船料という制度がございませんので、結局外国から来る不定期船についてだけ滞船料という制度がとられますので、百五十隻の船のうち、外国と往来しております不定期船について問題が起こってくるわけであります。現在の状況でありますが、昨年の船込みの状況が非常に緩和されておりますので、現在では大体二、三十万ドルくらいではないかというふうに考えております。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 そうすると、さいぜん船込みの原因というものに、一部港湾労務者の問題を触れられたわけですけれども、荷役の料金というものが昨年九月に改定されたと思うのですが、幾らになっているのか。それから、欧米諸国は一体どのくらいの荷役料金になっているかということを、運輸省に特に聞いておきたいと思うのです。

岡田良一運輸事務官(港湾局参事官)

○岡田説明員 荷役料金でございますが、これは品目によって若干違います。一番普通の品目並びに荷役の形態、たとえば船内荷役とかはしけとかによっていろいろ違いますが、船内の雑貨で申し上げますと、船内の雑貨の揚げが一トン当たり百六十五円でございます。外国の料金につきましては、現在手元に資料を持っておりませんのでわかりませんが、日本の料金よりははるかに高い。五倍ないしところによっては十倍というようなところもあると思います。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 そうすると、日本の荷役料金が雑貨で一トン百六十五円に改定されたということですが、外国は五倍から十倍になっているというようなことならば、外国の船が外国の品物を積んできて、日本で日本の労働者によってそれが荷揚げされる。その場合百六十五円で、自国の労働者の料金よりも五倍から十倍低いという労働賃金を使って、彼らは貿易をしているということになります。そうすると逆の面からいえば、非常に低い労働賃金で彼らは荷役作業をやっている、そうして日本の労働者の低賃金をもって貿易が行なわれておるという理屈になりはしませんか。そういうことになりながら各港の労働者のバランスがとれない、労働者が少ないんだというように近ごろいわれております。ですから、ある港によって調べましても、そういうような状況です。そうすると、日本の労働者の荷揚料、いわゆる賃金というものは、外国の荷揚料よりもうんと少ないんだ、これがわが国の貿易上に現われる効果は一体どうだろうか、こういうように考えられるわけです。  そこで労働省に質問をしておきたいと思いますが、今運輸省の方の説明を聞けば、船込みの原因としては倉庫の欠乏や、あるいは上屋の欠乏や、はしけの欠乏というようなものがある。それからこれはまたいろいろの面からくるだろう。それで労務者のバランス等々、平常はバランスがとられて港の運営が行なわれるのだ。そうすると、船込みの重大な原因の中に、労務者のバランスがとれないということも一つの原因ではなかろうかというように考えられるわけです。そうすると、労働省としては、これらの港の労働の雇用の面の現象というようなものが、どこに原因があると思われておるか。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 港湾労働者の不足の問題が、最近船込みとの関係で出てきております。その原因は、やはり一面、急激に公共事業なり設備投資による民間の建設業ができたために、若干港湾労働関係の日雇い労務者というような方たちが移動してその部面へ回る。その一面、先ほど運輸省からもお話があったように、非常に輸入がふえるために労務者が少ない。二重に足らなくなってきた。そのために、われわれの方といたしましては、港湾労働者の確保のために広域職業紹介、それによる住宅確保のために昨年措置をとりました。それから労務者確保のために、安定所の施設関係も最近急速に整備をいたしました。さらに、今後とも、われわれといたしましては、労務者の確保につきましては常川労務者を確保して、それによって基本的な港湾荷役ができるように持っていきたい、そのためには、やはり港湾労働者の住宅、福祉設備の施設等をいたし、また、広域職業紹介によって港湾労働者を確保しないと、六大港の各主要都市にはこういう種の労務者の不足が今後続くと思いますので、広域紹介によってこういう方々を港湾労働に従事させる。そのために、住宅あるいは福祉施設等を労働省としてはやっていきたい、こういうふうに考えます。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 そうすると、現有港湾労働者は全国に何万人おって、そして特に六大港で、港湾労働者はどのくらいの人員があるかということを把握されておりますか。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 六大港で常用労働者が、三十六年度四万九千、それから日雇い労働者が、これは延べで月平均で七十万であります。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 そうすると、延べということが大体わからないわけですが、わからないというのは——わかっちゃいるけれども、延べで発表されること自体がどうもどうかと思われるわけです。そこに問題があろうと思うのです。ところが、六大港だけとっても常用が四万九千、だからざっと五万人ですね。それから日雇いが七十万ということは、対比すれば十四倍になってくる。そうすると、十四人日雇い労働者が働いて、常用者が一人ということになっておるわけですね。そうすると、運輸省も労働省も、今三治局長が言われたように、常用化をして、そして雇用を安定さしていかなければならぬと言われる。それから運輸省の参事官は、労務を安定して、バランスをとらなければ船込み状態は解決しない、こういうふうに言われたわけです。だからこの延べというのは、一日仕事をして、それでまだ作業が非常に多い場合は、それを引き続き仕事をさせるという、いわゆる長時間労働、その延べの人員の中にもこれが含まれているように思います。それからまた、三治局長が言われたように、港の労働者には四通りあるのじゃないかと思うのです。常用労働者、指名労働者、それからいわゆる純粋の日雇い労働者、それから今度はそれ以外の、職を探して、いわゆる港湾の組合の労働者の連中から風太郎と言われる、住居の不定なと言うと語弊があるだろうが、そういう人たちが、大阪で仕事が多いから大阪に流れてくる、神戸で多いから今度は神戸に流れてくる、あるいは名古屋に流れていくという、いわゆるそういう者を風太郎と称するのでしょうけれども、そういう人たちの把握は、これは職安の方では把握されておるのですか。そういう人たちの推定人口でもいいですから、その人たちは一体どのくらいおられるかということを一応発表して下さい。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 職業紹介の関係でわれわれの方が今現在やっておりますのは、大体一日平均六大港で二万二千程度でございます。この内訳でそういうふうな方たちのものについては、統計上なり安定所としてもそこまで把握できませんので、職業紹介としてはやはり日雇い労働者と常用労働者との区別をして、日雇いの方としては、現在六大港で一日、先ほど申し上げましたように、二万二千程度の求職者があるわけであります。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 そうすると、こういう人たちの常用化の問題は非常に重要だと思うのです。それでなければ、港湾労働者を確保することはできないのじゃないかと私は思います。局長が常用化されるという方向だけを示されたわけですけれども、その点については一致するわけです。そうすると、各港の職業安定所の方では、私はある港湾労働者に対するところの職安の所長といろいろ話をしたのですけれども、現在ではなかなか港湾労働者を確保することが困難である、こういうようなことです。そうすると、その港湾労働者を確保することが困難な理由はどこにあるのですか。労働省本局の局長、部長、あるいは大臣や政務次官等は、船込みも漸次安定しつつある、そうして港湾の労働者のバランスも安定しつつあるように考えられておるのですか。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 決してそうではございません。現在、常用労働者として職安に求人の申し込みで約四千六百人ほど持っております。従って、その四千六百人程度は、至急常用労働者として職業安定機関としては充足をしていかなければならない人員だと思います。また、実際問題といたしまして、こういうふうに単純な、ことに軍作業の労働者が足りなくなった。貿易の発展、また、日本の経済の現在の発展状況からいって、労務者不足の状態は、私たちはまだ当分続くのじゃないかというふうに考えております。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 そこで、労務者の不足の状態が当分続くということは、ひいては船込み状況に影響するのじゃないですか。そうすると、その船込み状況に影響するということは、日本の貿易を阻害するということになります。日本の貿易というものは国民の生活の根拠でなければならぬと思うのですが、国民生活の阻害になるということです。国民生活を安定し、向上していこうとするならば、おけ屋の思案じゃないけれども、ずっと港の労務者を確保してやらなければならぬということなんです。そうすると、その港湾労働者の雇用の安定ということは、一体どこに根拠を置いて施策をされるのかということに疑問が到達するわけです。そうすると、港湾労働者が不足するというそのおもな原因はどこにありますか。これは日本国民の生活安定と向上のための理屈を聞いているのです。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 大都会において、こういうふうな単純な重作業に従事する労働者が総体的に少なくなった。従って、そういう部面で、こういう重作業の港湾労働者というものは、戦後一時見られたような過剰の状態から不足の状態に変わってきた。これが頂点として昨年の船積みに現われた。しかし、現在の労務需給から見ていって、この重作業人夫というものは不足しておる。従って、運輸省としても港湾施設の改善、労働節約的ないろいろの施設の改善を行なわれますとともに、われわれの方としても、こういう労務について労働条件の向上、また住宅福利施設の改善というような施設と、両々相待っていかなければならないのじゃないかというふうに考えております。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 労働条件の安定は、すなわち雇用の安定化の大きな方針だ、そうすると、労働条件といえば、港の労働者がずいぶん多くて余っていた、そうしてあぶれあぶれということで社会の問題になっていた港湾労働者が、今では不足している。そうしてそれが、貿易の発展からくるというものも多くはあるでしょうけれども、今三治さんが言われましたように、その他の労働者の賃金がだんだん向上してきて、そうして港湾労働者の賃金が比較的安いということ。しかし、比べてみたら港湾労働者の方が高くはあるけれども、高くても港湾の労働に居つかないということが一体どこからくるのかということは、今三治さんが言われたように、福利の問題とか労働条件の問題が、非常に低位であるということに了解されるわけですが、了解されるならば、これに対する対策をどうすればいいかということについて、所見を述べてもらいたいのです。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 港湾労働者の労働条件についてのお話でございますので、概要を御報告申し上げたいと思いますが、港湾労働者の賃金は、職種によって非常に違いますけれども、三十六年の調査結果で申し上げますと、沖仲仕で常用が一日当たり千二百六十三円、沿岸仲仕で一千七十二円となっております。日雇い労働者の場合は、沖仲仕で一千七十八円、沿岸仲仕が九百八十円、これが船内労働、デッキマンとかウインチマンになりますと、これは大体千三、四百円に上っております。三十五年に比べますと、大体二割程度の上昇に相なっておるようであります。以上御報告申し上げます。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 そうすると、今発表されたその千二百六十三円、あるいは千七十二円、あるいは日雇いで千七十八円、九百八十円というのは、一日の給料に比較すれば、賃金の面からはさほど悪いことはない。ところが、港湾の労働量にあれし、そうしてこういう港湾の労働を毎日続けることができるかどうかということ、あるいは非常に船込みが激しいときに、荷物の荷揚げ作業あるいは荷積み作業が激しいときなどは、港湾労働者諸君の一日の仕事の定時間労働を、今度は居残りをやって、まだ船積みが終了しない場合は引き続いて仕事をやらさせる、こういう長時間労働は労働基準法では許されないことでしょう。そういう状況から見るならば、労働の量からいって、少々ほかの仕事よりも賃金は高くても、こんな港湾の仕事なんかではたまらぬのだ、だから少々低くても、ほかのやさしい仕事の方に行こうというようなことが港湾労務者の欠乏の原因になっている。こればかりではないけれども、こういうような面が欠乏の原因の大きなウエートを占めるということを聞いたわけですけれども、これは事実でしょうか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 ただいま御指摘のございましたように、港湾労働における労働条件、この問題は一つの大きな労働問題だと存じております。たとえば労働時間にいたしましても、平均をとりますと、大体常用で九・五時間、日雇いで九・二時間という平均になっておりますが、ただいまおっしゃいました船込みの場合でありますとか、そういう場合には相当長期間にわたったわけであります。もちろん男子でありますから、三六協定を結べば直ちに基準法違反ということにはならないわけでありますが、ただいま御指摘のような港湾労働の実態について私も非常に関心を持っておりまして、先般横浜港へ参りまして相当詳細に調査いたし、関係労働者にもいろいろ伺ったのですが、やはり非常に強く関係者が強調されますことは、最近における労働力の不足なのであります。この点で一つの問題は、私は災害の問題だろうと思います。港湾における災害率というものは相当高いのですが、何も好きこのんで危険な仕事につかなくてもと、こういう問題。もう一つは、やはり全体としての労務管理の近代性と申しますか、近代的な職場関係が労務管理の中にまだない、こういった点が、労働条件の問題としては、ただいま先生御指摘の問題に関連しては大きな問題だと思うのであります。従って、港湾における災害、これは昨年港湾安全規則を制定いたしまして、今年から実施いたしたいと思います。さらに労務管理の近代化につきましては、問題は建設業等におきましても同種の問題がありまして、こういった比較的労務管理の近代化のおくれた部面につきましては、私ども今年から全力をあげて努力をいたしたいと思います。

中山マサ自由民主党

○中山(マ)委員 ちょっと関連して。その問題について伺いたいと思っておったのでございますが、いわゆる労働者の危険率、陸上におけるいろいろな仕事からくる危険にさらされた人たちの率と、海上の人たちの年間の率をお持ちでしたら知らせて下さい。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 軽いけがは別といたしまして、八日以上休まなくてはいかぬというようなものを港湾労働についてとりますと——港湾労働と申しましても、必ずしも船舶だけではなしに、沿岸仲仕というものもあるわけでございますが、これも総括いたしまして、三十六年の数字をとってみますと、総計一万四千人程度になります。このうち死亡が百十九件、これはまだ三十六年全般の統計はそろいませんが、ある程度のところで年間推計をとりますと、大体そういうことになります。そこで災害率と申しますか、私どもの方では千人率と申しております。これは千人の労働者の中でどれだけけがをするか、この千人率をとってみますと一四三という数字になります。これが先生御指摘の陸上の主要産業等につきましては、大体三〇程度の数字であります。港湾におきましては非常に高いわけであります。もちろん陸上の労働にいたしましても、鉱業とかあるいは貨物運送事業、林業、こういったものは大体この程度の数字になるわけであります。これらと並んで港湾労働というものは非常に災害率の高い産業であります。その点、私どもも、安全対策上こういった業種を最重点にいたしまして、昨年も港湾安全規則を特に制定いたしまして、ことしからさらにやりたい、かように思っております。

中山マサ自由民主党

○中山(マ)委員 陸上で本年は三十人程度とおっしゃいましたが、つい二、三日前も、大分県でしたかどこかで、がけくずれとか、そういうことで七人埋没して、わずか二、三人しか助からなかったというようなことがいわれております。こういうことが近ごろ目についてしようがないのですが、それくらいのものでしょうか。その程度でいいのかどうか、私ちょっと疑わしいと思うのであります。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 産業全般における災害の絶対数を簡単に申し上げますと、大体四十五万件くらいで、死亡者が約六千人であります。この中で、ただいま先生御指摘のような大きな災害、私ども重大災害と呼んでおりますが、一ぺんの事故で三人以上死傷いたしますもの、この数字はかなり件数が多いのでありまして、ただ三十六年では、三十五年に比べまして若干低下いたしております。これは非常に私どもも喜ばしいのでありますが、これがはたして関係者の安全努力によって減ったのか、あるいは偶然こういう数字を示したのか、私どもなお検討を要する問題だと思っておりますが、いずれにいたしましても、三人以上一時に死傷いたします重大災害、これは相当な数にのぼりまして、私ども業種別に、また原因別に非常にこまかく調べまして、それぞれについての対策を進めて参りたいと存じております。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 今、関連質問にもございましたが、さっきの局長の答弁の中に災害の問題等々も述べられたわけです。そうすると、港湾労働者の不足、港湾一般の労働力が不足しているということはここにわかったわけですが、これを貿易上支障をなくすることは緊急の問題じゃなかろうかと思う。そうすると、この雇用を安定し、増大していかなければならないと思うのですが、災害が非常に多いということは、労働が過重であるとか、労働が危険であるとかいうようなことも大きなウエートを占めると思うのです。どんなに賃金が高くても、危険であり、労働が過重であれば長く続かないとともに、危惧の念が労働者にある。従って、安易な仕事、そうして安全な仕事で同じようなことが陸上であるならば、港湾の労働者が港湾労務から逃げていくのがあたりまえなんだ。そうすると、現在は、先日も淺沼委員から言われましたように、労働大臣の方針通り、完全雇用の面の一つの方法として職業訓練の方法等も行なわれておる。それは生産向上に向く、近代産業に向くところの職業訓練が中心として検討される。これは職業訓練の中の予算上の問題で明らかでありますが、しかし、そういうような方向も一つの方向ではあるけれども、こういうような災害を減少していく、危険な作業をできるだけ保護していくということも、もちろん安定の方向の一つの手段ではある。それから、ひいては賃金を向上し、安定せしめてやらなければ、港の港湾労務者を確保することはできない。しかも、さいぜん三治局長が言われましたように、四万九千人が常用であり、日雇いが延べ七十万人、こういうようなことであっては、とうてい彼らの身分が安定することはできないわけです。従って、今後この港湾労働者の雇用安定あるいは向上の面についてどういうように考えられるか、この労務の雇用問題は将来の日本の経済の発展に大きな影響がございますから、あえて大臣の答弁をお願いしたいと思うのであります。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 御指摘の点、私も感を同じうするものでございまして、どうしてもこの港湾労働につきましては災害も防止していかなければならぬ、待遇の改善もはからなければならぬ、さらにまた、労務管理を一段と近代化することによって魅力のある職場にしていかなければならぬ、こういうように考える次第であります。なおまた、今御指摘のような事情もございますので、危険が増さないような方途においての機械化ということも、この種の労働においてはかなり進められないと、ただ人をむやみやたらに集めるというだけではなかなか容易ではない、こういうように考えるわけでございます。御承知の通り、ごく最近にも、この点につきましてはかなり政府といたしましても頭を痛めまして、予備費等の支出も行ないまして、ほかの部門と違った措置も講じ来たっておるわけでございます。日本全体といたしますとやや労働力の滞留いたしておる地帯等もありますので、こういった地帯から広域職業紹介によりまして、この港湾の方へ向けるということについてもかなり強力な措置を講じて参りました。ただ、先ほどからお話も出ておりますように、よほどいろいろ準備をしてかかりませんと、急に来た諸君はそれだけにふなれでありますから、災害の発生するおそれ等もありますので、こういう考慮も強力に行なわなければなりません。なお、職業紹介にあたって、現実は、ぜひ近代化された姿においてと考えておりますが、最近まで手配師等もいたりして、かなりほかから見ますとこれでいいものかという点もある。これらのことも、政府はかなり神経を使いまして改善をしつつある。まだほめていただくほど完璧な姿になっていないわけでありますが、これらのことをいろいろ考えまして、港湾労働につきましては、現在労働省が最も重点を置いて、いろいろの面からこれをよくするということに意を注いでおる次第でございます。一段と、ただいまのお話等も伺いつつ、これを強化して参りたいと存じておる次第でございます。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 大臣の所見は伺いました。最も重点——まあ最もというのは幾つもあると思うんですが、この港湾労働の問題についても、大臣の気持、言葉はわかりました。そこで、今災害の強度率が一四三になる、平均は三〇である、こういうようなことになるわけですけれども、去年は基準法の規則を改正されて、災害の防止のために努力をされていることはわかるわけです。しかし、これとても十分ではないんじゃないかと思うんです。そして特に、私は、さいぜんも公契約法のことについてILOの条約を持ち出しました。しかし、この災害の問題については、船舶の荷積又は荷卸に使用せらるる労働者の災害に対する保護に関する条約、一九三二年改正された第三十二号という条約がございます。それに基づきまして、勧告とか決議がそれぞれ行なわれておるわけです。一九三六年というのは約三十年前なんです。三十年前の条約をずっと読んで見ると、読んでいるひまはございませんけれども、それは労働者が作業につく前に通行する場所は何センチ以上なければならないとか、あるいは船倉におりる通路は何センチの幅でなければならないとか、あるいは起重機を使って荷揚げをする場合は、労働者が作業をしていれば、その中間でとめてはならないとかいうように、ことこまかに条約は決定されておるわけです。そこで、さいぜん、失礼ですけれども特に齋藤邦吉さんの名前をあげて、そのときの日本政府の代表の演説文句を私はここに読み上げたのです。現在でも災害率は、建設労働者にも非常に多いでしょうけれども、強度としては、非常に強度であるということになるならば、なお、この災害防止の対策が——これは労働省がそういうように防止されようと思っていても、あるいは船の上で起こる災害、外国船で起こる災害等々がこの中の多くを占めると思うのです。そとで、これらの条約に対してどういうふうに考えられているか。もう一つは、職業安定に関しては、労働者の雇用恒常化に関するところの決議が四回にわたって行なわれておるわけです。つい五年前にも、内陸運輸委員会において、新たに雇用恒常化に関する問題が決議として行なわれておるわけです。そうして港の平常な運営というものは、港湾労働者の雇用の恒常化でなければならない、それから災害防止でなければならない。もう一つは、決議事項として、福利厚生の問題も決議されておるわけです。これらを日本政府が、全部とは言いませんけれども、一々真剣に考えられ一それを実現しようという気持があるのならば、港湾労働者の雇用の安定というものも、あるいは災害の防止あるいは減少というものも、そうして労働者が喜んで仕事につける一つの活動のもとである福利厚生の問題でも、もうすでに日本の港には完備しておらなければならないと思う。ところが、福利厚生問題一つをとっても、港に港湾労働者のための福利厚生施設がありますか。あるいは水を飲ませなければならないとか、シャワーを作らなければならないとか、あるいは簡易食堂を作らなければならない、休憩所を作らなければならないというようなことは、決議その他で行なわれておるわけです。諸外国の港湾労働者は、そういうような福利の恩典に浴していると思うのです。しかも、わが国に最も重大なのは、わが国は海運国であります。そうして日本の経済は、さいぜん申しましたように、貿易立国でなければ、わが国の国民生活を安定することはなかなか困難であると考えます。幾ら産業を興してみても、売れない品物を日本国民が消費するだけでは産業は発展しません。そうすると、全国の港は重要であります。これらの発展と円滑な運営というものは、非常に重大であろうと思うわけです。それの一つの面をとっても、何も完備してないということになる。従って、ILO条約における労働者に対するところのいろいろな問題、特に私が注視するのはこの問題です。港湾における作業と生産の組織を改善する方法に関する決議、第六十六号決議が行なわれておる。これを読んでみますと、労使は協調しなければならないということをうたってあります。労使協調というのは、お互いに相談し合うことなんだと書いてあります。これは労働大臣が、労働大臣の施政方針の中に書かれた通りのことです。ところが、それをやるのには、労働者の立場をうんと考えなければならぬということをちゃんと明示してあるわけです。これらの条約、勧告あるいは決議というものが十数件出ております。この同盟は、一つも条約を批准しようとされない、勧告を実現されようとしない、あるいは努力はあるかもしれぬけれども、現実に決議を実現されておらないわけです。そういうようなことではとうもならぬと思う。その条約その他勧告あるいは決議をどういうふうに実現される気持がありますか。ただいま加藤政務次官は、八十七号条約は国会で批准できないということをILOの理事会へ説明に行っておられるわけですけれども、八十七号条約は労働者の基本的権利として重要です。それとともに、各国の内陸運輸委員会とかあるいはその他で、社会保障とかその他で決議された決議事項とかあるいは勧告になったもの、あるいは条約は、真剣に考えてこそ初めて批准が行なわれ、勧告が実現されると思うのです。幾ら言葉で歴代の大臣がその通りいたしますと言ったって、現実に進まなければ何にもならない。そうしてそれらが、ひいてはわが国の経済を阻害してきたということです。従って、国民の生活を向上し、安定しようとするならば、もっと真剣に具体的に考慮しなければならない。雇用恒常化の問題も、あるいは福利厚生の問題も、あるいは災害の問題も、さっきから大臣も各局長も言われておる通り、ILOではちゃんと決議して、もっとこまかに決定しておるわけです。これらの問題についてとういうような考え方でありますか。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 問題はきわめて広範にわたるわけでありますが、労働大臣といたしまして、先刻も考え方を申し上げました通り、わが国の実情からして取り入れられるものは、できるだけILO憲章の精神に従って取り入れていかなければならぬと考えておる次第でございますが、個々の条約、勧告等につきましては、わが国の実情からいたしましてなかなか困難な問題のあるものもございます。今度法律案を提出いたしまして御審議をわずらわすことになっております港湾労働等対策審議会というようなものも、今立法の手続を進めておりまするものに比して権限の狭いもの等もあったわけでありまするし、また、法律に基づいてないという存在であったわけでありますが、そういうようなものも作りまして、先刻来御指摘のような問題等について、法律に根拠を持つ審議会等でも御検討をいただき、できるだけ今お話しのありましたような方向に進みたい、こういうように考えておる次第であります。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 審議会の問題が大臣から出ました。そこで、さっきから小平総務長官が来ておられますから、この点についてちょっと質問の足を伸ばしておきたいと思うのです。  これは内閣委員会で審議されることにはなろうと思うのですが、この審議会を作るということは、わが社会党もかねてから主張の一部でございました。さいぜんから、運輸当局あるいは労働大臣を初めとして、いろいろ港湾の円滑化の問題について質問をしております。お聞き及びの通り、港湾の問題については運輸行政、労働行政、通産行政あるいは港に関するところの各機関の関係があろうと思うわけであります。そこで、いろいろ労働組合の方からも、労働者の賃金とか、労働条件とか、災害とか、そういう問題のみならず、国民の経済に好影響をもたらすために法的機関を作って、そしてその権限の中から港湾全般の対策を講じられて、ひいてはその中で港湾労働者の雇用の安定と労働条件の向上をし、そして世界に恥ずかしくない港湾労働者たらんという希望が起こり、幸い今回のこの国会において港湾労働等に対するところの審議会が作られる、これは私たちも賛成です。ところが、この審議会を作るにあたって、聞くところによると、行政管理庁とか、運輸省とか、労働省とか、各関係官庁ですったもんだが行なわれて、やっとこの間閣議決定をした。そして名は港湾労働等対策審議会という、等が一つ入った。そうすると、これは港湾労働の問題だけをここで審議するというようなことでは、全般の問題が解決しないと思うのです。従って、もしもこの法律の一部改正が行なわれてこの審議会ができますれば、運輸の港湾の設備とか、あるいはそれに見合う通産の貿易のバランスとか、そしてひいては港湾労働者の賃金の設定とか、雇用の安定とか、あるいは労働条件の向上という、融合した総合的なことが考えられる審議会にされるのですか、この点について考え方を聞いておきたいと思います。

小平久雄自由民主党総理府総務長官

○小平政府委員 最初に、今回の港湾労働等対策審議会の設置に関しまして、行管あるいは運輸省等からある話が出て、すったもんだしたじゃないかということでございましたが、別段すったもんだというほどのことではございません。もちろん、大体審議会とか調査会とか、そういうものの設置につきましては、これらのものが現存でも非常に多過ぎるじゃないか、こういう御議論も再々われわれは承っておりますし、行政管理庁の建前からいたしますと、なるべくそういう声にこたえて、新たに設置をせぬで済むものはなるべく設置をしない、こういう基本的な態度でありますので、この審議会がはたして新たに設置を要するものかどうかという点で、これは慎重にその立場上御検討になるだろう、さように私は承知いたしております。さらにまた、運輸省の方からも、御承知の通り、運輸省には港湾審議会というものが現に存するようであります。これが、申し上げるまでもなく港湾の施設とか、あるいは港湾の開発とか、そういった問題を運輸省の所管の範囲内で御審議願っておるそうでありますが、その港湾審議会と今回新たに設置さるべき港湾労働等対策審議会との関連について、特に重複を避けるようにという意味での御意見はありましたが、別段今回新たに設けらるべき審議会に反対であるということではないようでございます。その点につきましても関係各省の間で十分話し合いがつきまして、今側の対策審議会ではどういう事項を主として審議するかというようなことにつきましても、すでに大体の案ができておるわけでありますので、これも別段どこまでも反対であったということではないと、さように御了解いただきたいと思います。  なお、今回の対策審議会は、申し上げるまでもなく、先ほど来御議論になっておられます港湾労働の安定であるとか、あるいは船込みの緩和であるとか、そういう問題について非常に関係するところが多いという建前からいたしまして、これを総理府に設置して総合的に御審議を願おう、こういう建前で設置されることになっておるわけであります。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 小平さんの説明はわかりました。港湾の問題の総合的な円滑化のために行なわれる審議会である。そうすると、それには審議会の委員が要るでしょう。そのときは、労働者の代表というものはもちろん入れられるわけでしょうね。

小平久雄自由民主党総理府総務長官

○小平政府委員 もちろんこの審議会の委員につきましては、いわゆる学識経験者と申しますか、それらの方が約二十人、それから関係行政機関の職員が五人、合わせて二十五人で構成をいたそうとしておるわけでありますが、この学識経験者の中には、問題が問題でありますから、当然これは労働関係の経験者、その代表者にお入り願う、こういうことを考えております。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 私が特にこの港湾問題の件について総務長官あるいは岡田さんに来ていただいたのは、特にこの港湾問題、労働問題を中心とする港湾、通産の問題、月初め、月終わり等の船込み状態、それから月半ばの平常状態において、月の半ばには船が少なくなる、そうすると労働者がしばらくあぶれるというような、安定がないから、しかもそういうような状況の中に、日本の貿易の面で急激に現われたどうもならぬような船込み状態、これが将来も続くであろう。こういうことは、国際間の問題としてすみやかに解決しなければならないから、質問の中に私特に来ていただいたわけです。社会労働ではこういう論議が行なわれつつあるということを、あるいは運輸委員会でも行なわれるでしょうけれども、そういうような気持を認識してもらいたいがゆえに来ていただいたわけです。さいぜん言われたように、私たちも、審議会があまり多過ぎるということはどうかと思われる。特に選挙制度の審議会のように、一生懸命作られた審議会が政党によってこれが曲げられる、尊重されないというようなことではどうもならぬと思うがゆえに、私は特に来てもらったわけです。特に労働大臣は、労働問題、労働施策の問題についてはいろいろの面で重点の問題があるが、港湾労働問題は特に重点である、こういうように言われた。ほんとうに労働関係として明確でないところの港湾労働の明確化を期さなければならないといって、われわれは長いこと主張してきたわけです。そういうようなことから来ていただいたので、非常に御足労であったと思います。どうもありがとうございました。  続いて、飛び飛びになりますけれども、もう一度返りまして、さいぜん触れました、港湾労働者の雇用の恒常化の決議というのが四回にわたって行なわれております。この点については、御承知のように、社会党はこれを中心として、港湾労働者の雇用安定に関する法律というものをもう二回国会に提案しました。それは他意はないわけです。港湾労働者の生活と身分の安定、ひいては失業をした場合の賃金の確保というものを中心として法律案を提案いたしました。社会党の法律案が、必ずしも自民党に了解を得られるとは思いません。しかし、労働省自体は、これらの決議が行なわれておるわけですから、しかも現在の状況が、港湾労働者の雇用恒常化の問題では、今をおいて時期はないのではないかと思うのです。港湾労働者の安定に対するところの法律を政府は考えておりませんか。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 今御指摘のような意味においての立法——現実にいろいろ施策は講じておるのでありますが、先ほど申しました法律に基づく審議会等もできまして、ここらでさらに御検討をいただき、そういうことも参考にいたしましてその後に善処したい、こう考えております。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 そう言われるとどうもならぬ。どうも取りつきようがないので、努力していただきたいと言わざるを程得ないわけであります。ところが、わが日本に、港湾に対するところの港湾労働者の雇用恒常化の法律がいまだできていない。そうしてさいぜんから運輸省に質問するように、港湾荷役作業料が、諸外国と比較して五分の一とか十分の一とかというような作業料で、港湾労働者が作業しておる。そういう中から、業者も高い賃金を労働賃金として与えることはできない。それからまた、あぶれた場合の生活を保障することができないと業者は言っておるわけです。だから、公示料金をもっと上げてくれるのならば、労働者に対するところの日ごろの生活の安定のためには賛成ですといっておる。ところが、運輸省は——これは労働省も聞いておいてもらいたいのだけれども、運輸省は、去年業者の反対を押し切って若干の公示料金改正を行なった。そして現在は雑貨で百六十五円の作業料になっておる。しかも、諸外国から見ると、外国の労働者は五倍、十倍というような料金になっておる。こういうようなことではなかなか困難である。そうしてそういうような状況をアメリカの港湾労働者が察知した。日本で作業をすれば非常に安い作業料で、アメリカで作業をすれはこれが五倍から十倍になる、従って、アメリカの労働賃金にも影響があるようです。そうすると、港湾労働者の雇用恒常化の法律が日本に制定されていないからというので、ことしの三月二十七日には、全国港湾労働者の港湾労働デーが行なわれるわけです。毎年行なわれるわけです。しかし、今度の港湾労働デーに対して、アメリカの港湾労働者は、日本に港湾雇用の恒常化の法律がないから、従って、これだけで日本船のボイコットを行なうという決議を行なっておるそうです。これを聞いて、私はこれはなかなか重大な問題だと思う。そうして日本に労働者の安定の法律等々が何にもないということが、世界にわかるわけです。アメリカの労働者のみならず、貿易国であるところの労働者自体がどう思うかということです。これは国際的な問題じゃなかろうかと思う。これは運輸省も労働省も知っておられますか。私は労働組合から聞いたわけです。そういうことが三月二十七日に国際労働デーで行なわれる、そうして一日ボイコットが行なわれるということは、戦争の前には、諸国がいやがらせのために経済封鎖とかボイコットが行なわれた、あるいは日本品の排斥が行なわれてきておるわけですけれども、あの池田内閣の最もたよりとするところのアメリカの港湾労働者が日本船をボイコットすることをきめたことは、また実に重大だと思うのです。これを御承知ですか。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 労働省としては、その点まだ存じておりませんが、しかし、そういう法律がないからボイコットするというのは、どうも理屈が立たぬと思います。ことにアメリカ、自身も、そういう港湾労働法というものは持っておりません。何かもう少し原因が違うのじゃないかというふうな感じも持ちますが、いずれにしても、また詳細に調べてみたいと思います。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 そうすれば、理由のいかんを問わず、日本にその法律がないからじゃなくて、何でもいいのです。港湾労働の雇用の面で、労働過重である、危険作業が行なわれる、そして安定性がない。こういうようなことで船込みがある。そうして港で働くところの労働者自身の待遇程度が非常に劣悪である、劣悪な日本の労働者は気の毒だ、そういうようなことを行政上放置し、業者も低賃金で雇いながら、そうして貿易を対等にやろうと思うのはけしからぬ、というようなことが原因であろうがあるまいが、現実に日本船のボイコットが彼ら労働者において行なわれるということは、これは日本の経済にとって大きな影響があるのじゃないかと思う。運輸省は御存じですか。

岡田良一運輸事務官(港湾局参事官)

○岡田説明員 まだ聞いておりません。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 私は、確かな全港湾の組合の方から聞いたわけです。これは労働運動の面ですから、あなたたちはまだ聞いておられないだろうけれども、間違いはないのですから、よく調べて下さい。そうして、もしもそういうことが現実にわかったら、一体対策はどうされるお気持がありますか、放置されますか。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 私自身も今あなたから初めて伺ったのでありますが、その法律がないといいましても、特別法がないということであって、今までも港湾と関連する、ないしは港湾を含めての法律規則等はたくさんあるわけであります。現実に行政措置といたしまして、できるだけ、先ほどからお話が出ておりますようなことについては、前進ないし向上を期するため、いろいろ措置をしていくことにわれわれは意を用いておるわけであります。従って、いまだ聞いていないことではあるが、五島さんのおっしゃる話はほんとうなんだからどうするのだ、こういうお話のように伺うのであります。また、いずれにいたしましても、確かにアメリカに比べれば、港湾労働者ばかりでなく、一般にこちらの方が非常に低賃金であること、これは事実であります。でありますが、日本は日本なりにこういう努力をしているということについては、これを事実をありのままに理解ないし認識してもらう措置は、われわれは講じていかなければならぬ。そして、ことさらに日本に対して意地悪くされることのないような措置は、できるだけわれわれはとっていかなければならない。別にこちらの事実を曲げて向こうにどうこうということは考えておりませんけれども、なおよく調査いたしまして適当な措置を講じていきたい、こういうように存じております。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 港湾について私が質問しようと思うところは、大体終点に近づきました。  ところで、ILOの勧告、条約、総会の決議とか、あるいは内陸運輸委員会で決議されたり、あるいは結論と報告とに分離されたりする、これらのものは事務局を通じてどこにくるのですか。労働省にきて外務省へいくのか、外務省にきて労働省あるいは関係の運輸省へ、これらの決議事項の報告が行なわれるのですか。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 一般的に申しまして、その種のものは、すべて外務省の窓口を通して労働省にくる、また、こちらからいくものも、おおむね外務省を通じて向こうにいく、こういうことになっております。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 そうすると、第六回の内陸運輸委員会の報告が事務局次長からきておるわけです。その文句を見ましたら、遅滞なく使用者あるいは労働者の双方にこれを通達してもらいたいというようになっている。それで、こういう事柄に対して組合にきたかということを聞いたら、全然こないということです。日本の政府では握りつぶしているということです。もしも握りつぶしておるのならば、ILO事務局の意思が各関係者に達していないということでありますが、この結論、報告その他の問題が、各組合などに到達されるのは、どういう手続で行なわれるのかということをちょっと質問しておきたい。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 今お話しのものは、印刷物にして労働省でも出しているそうであります。現実にここにございますが、それはそれといたしまして、私どもは、今お話しのありましたような握りつぶすということはいたさない、握りつぶしたってほかのルートから幾らでも入ることでございますから、そういうことはつまらぬことでありますし、わが労働省の本意といたしましては、そういうような資料等はできるだけすみやかに労使双方がこれを承知して、それぞれ考えてもらうことが望ましいことなのであります。今後といえども、そういうことにつきましては握りつぶすということは一切いたさぬ、こういうように私は考えております。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 今の件については、労働組合には全然こない。全然こないということは、労働組合としては不満でしょう。そうして、これらのILOの決議の問題については、それぞれその都度労使双方には伝達するようにと毎回言うてきておるのです。だから、そのプリントは私もおとといいただいた、非常にわかりやすく報告をされている、こういうことが組合に通じていないということなら、これはちょっと労働省の手落ちではないかと思うのですが、その点は係の方で調べて下さい。通達していないのだったら、四年目だろうけれども、今からでも連絡をしてやって下さい。  それから港湾労働者の雇用問題について、その方法は、手配師の問題が世間に非常に騒がれ出してから、労働省を中心として運輸省などと協議会が作られたわけですね。それは昭和三十二年でしょう。昭和三十二年に石井協議会ができまして、石井博士からいろいろ今日まで、港湾労働者には手帳を与えるべきである、あるいは協議会にも法的根拠を持たせる、それから雇用の安定に対しては法制化する必要があるだろうと言ってきている。これは単に労働省あるいは運輸省の諮問機関として協議会が作られたわけですから、法的根拠はありません。そこで、さいぜん特に総理府に来てもらって聞いたのは、法的根拠があるのなら、その法的根拠の尊重に基づいて、労働省や運輸省は十分これに対して施策を行なわれるだろう、こういうようなことで総理府を呼んだわけです。しかし、この雇用の方法について手配師というものがいまだ介在している、これはどうなのか。ただし、神戸の職業安定所の港湾労働者に対しては、業者に対して手配師というものを全然なくした。ところが、大阪や東京あるいは横浜などにはいまだ手配師の介在が行なわれておる。これは港湾労働者だけではないのです。日雇い労働者を使うのには手配師が介在しておる。そうすると、職業を紹介するにあたって、職業紹介所の窓口を通じ、あるいは書面によって、あるいは門前募集の方法があるわけです。門前募集の方法が職安法によってある限りにおいては、やはり手配師の介在というものは、なかなか払拭することはできないのじゃなかろうか。従って、その場その場、一つ一つのケース、ケースに従って、職業紹介の方法というものは今後考えられていった方がいいのじゃないか。そうすると、手配師をやめさせて、そうして雇用の正常な道筋を立てられるならば、門前募集ということは考慮する必要がなかろう、手配師があるから中間搾取等々が行なわれるのじゃないか、こういうふうにも考えられますが、その点についてのお考えを聞いて、私の質問を終わりたいと思います。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 お説のように、石井委員会ができます場合の問題も、やはりこの手配師の問題が重点として取り上げられて、その後委員会の意見、また労使双方の合意もできて書面等も渡し、また、手配師を呼ぶのはやはり雇う事業主の力に大きな責任があるわけでございますから、その事業主に対して働きかけまして、現在、お説のように神戸そのほか名古屋も手配師をなくしておりますが、さらに東京におきましても、そういうことにつきまして業者に働きかけをやっております。いずれにいたしましても、逐次こういう形のものがなくなるように、われわれの方としては労使双方に、ことに使用者側にそういう問題を解決すべく大いに働きかけていきたいと思います。そのためには、われわれの方といたしましても、やはり特別専門の港湾労働安定所を作り、その職業紹介の施設も今後大いに拡充していかなければなりませんし、さらに補足対策といたしまして、労務者住宅を作るとともに、そこに専門の港湾労働者を入れて逐次常用労働者の数もふやしていく。また、絶対的に日雇い労働者がなくなるわけではなく、現在の港に対する船の出入りの波ということを考えると、全部常用労働者というわけにも参らぬと思いますが、そこの間に適当なバランスをとった雇用形態、また港湾労働安定という方向に考えていきたいと思いますとともに、先ほど大臣から申されました港湾労働問題等審議会が、法的根拠を得て今後審議しますので、やはり港湾関係者並びに行政機関も、その審議の状況に応じて、毎年新しく改善の方向へ施策を持っていきたいと考えております。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 さいぜん終わると言いましたけれども、私はあと一つ聞いておきたいと思うのです。さいぜんちょっと触れましたけれども、そのILOの決議に基づいて港湾労働者の福祉の問題がございます。ところが、今港湾労働者の雇用の安定、そうして円滑化を行なうためには、いろいろ広域職業紹介とか、あるいは住宅の問題を考慮して、定着するようにする、こういうことを言われましたけれども、その他どんなものが港湾に対するところの福利施設として見るべきものがありますか。たとえば船の作業場で特に例を引っぱり出したら、外国船で労働者が作業をするとき、たとえばきたない話だが便意を催した、その場合の小便、大便なんかはどういうふうにしているかというようなこと、それから水を飲みたいときはどうするか、あるいは労働者が作業をして、まっ黒けになって港に上がってきたときの入浴などはどういうふうにしているのか。まっ黒けになって、素っ裸で繁華街の公衆浴場にずっと大挙して入って、そうしてきれいにして家へ帰る。従って、一般の付近の人たちは、よごれたお湯には入れない、こういうような状況が行なわれておるわけです。ところが、その福利厚生施設の決議にはちゃんと書いてある。シャワーの設備をしなければならない、あるいは彼らが働くために簡易食堂を考慮しなければならない、それから待つために、点呼のためには寄り場を作らなければならない、そうして休憩所も作らなければならない、こういうようなことが決定しておるわけです。ところが、横浜でも東京でも、あるいは名古屋でも大阪でも神戸でも、そういうような施設がありますか。あるいは、手を洗おうとしても、沿岸作業に従事する人は男ばかりとは限りません。婦人もあります。そういう人たちが便意を催したとき、遠いところに走って行ってやらなければならないという工合で、共同便所など少しもありません。共同水道もございません。そういう中に彼らは仕事をしているわけです。彼らが仕事をしていると総合的に港湾労務が渋滞するということは、こういうところにも大きな原因があろうと思われます。ほんとうに満足するような福祉施設がありますか。しかも、外人は日本人を蔑視するような傾向があります。そういうようなことで、御飯を食べても、どこで食べるかというと、帆柱の陰に立って、そうしてよごれたところで弁当を食べるというような状態がある。あるいは外国船の便所は使わせないとか、こういうようなことがある。そういうようなことは、国と国との話し合いの中から十分決定されていなければならないけれども、日本の港湾労働者がクーリーのような状態で仕事をしているということは、義憤に値するところであります。従って、そういう問題を、一つも十分な福利施設がないならば、たとえばさいぜん申されましたように、私たちは二百万ドルから三百万ドルの滞船料が日本の商社から外国の商社に支払われていると聞いた。二百万ドルとしても七億二千万円が毎月出ている。三百万ドルにしたら十億円である。運輸省が言われるように百万ドルにしても、三億六千五百万円の金が日本から外貨として流れているということです。そうすると、福祉施設の一つや二つは優にできるじゃないですか。それで住宅の問題を言われましたけれども、住宅でも、たとえば大阪や神戸に十六棟なら十六棟、十六棟でも何百人しか収容ができないでしょう。それは業者が金融を受けて、そうして常用労働者の住居として作るのだ。日雇い労働者には何も考えられていないのです。その他一般の労働者に対策がありますか。厚生省の予算を見ても、ありません。それからまた、休憩所とか食堂とかいうような問題は、三十七年度の予算には全然ありません。ですから、この福利の問題等々については重点的に考えていかなければ、ILOの国際的な会議の中でも、労働者がそうやって恵んで仕事をするということが、すなわち国際的な船の階層の明朗化になることはあたりまえのことです。そういうようなことを体せられて、今後十分考えてもらいたいと思うんですが、どうでしょうか。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 常用労働者の住宅は先ほど申し上げましたが、日雇いの関係につきましては、現在簡易宿泊所といたしまして、主要港湾に約二十カ所、収容人員約二千三百人でございます。それから福利施設としてのそういう食堂その他入浴場というような問題につきましては、今後港湾関係者、また地方関係行政機関と連絡いたしまして、今度新しく始めました雇用促進事業団の特別融資の中で、できればそういう福利施設をやていきたいというふうに考えております。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十八日午前十時から委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後一時二十一分散会

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