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40回国会衆議院1962/02/08

社会労働委員会 第4号

発言数
36
登壇者
7
会派数
2
開催日
1962/02/08

会議録

中野四郎自由民主党

○中野委員長 これより会議を開きます。  厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田邊誠君。

田邊誠日本社会党

○田邊(誠)委員 池田内閣が所得倍増計画を推し進めて参り、それを基本として経済的にも高度成長政策をとって参ったのでありますけれども、池田総理の言われるように、一年間の実績の中では、これが内容的に見ても、かなり不均衡が生じてきていることは明らかな事実であります。しかも、所得倍増計画と経済高度成長政策というものが相互関連を持っておるけれども、一体その根本になるものは何かと言えば、やはり所得倍増計画である。経済企画庁でもそういうふうに明確に言っておるわけでありまして、これはもちろんその通りであろうと思うのであります。これが一年間の間に、われわれの目から見た場合には、大きな破綻を来たしておる。池田さん自身も、かなりその間にゆがみがある、こうおっしゃっておるようでありますけれども、私は、やはりその基本になる所得倍増計画というものの内容が、着実に進んでおらないという、この根本を見きわめる必要があると思うのであります。そのことを実はおっしゃっておらない。まばゆいばかりに経済が成長しておるのだ、少し伸び過ぎたのだ、このひずみを直すのだ、こういうようなことを言っておるのであります。しかし問題は、国民所得を着実に伸ばしていくという所得倍増計画の内容が、はたしてほんとうに着実に正確に伸びているかどうか、これが実は基本でなければならぬと思うのであります。ところが、それがわれわれの見るところでは、実はかなりの不均衡をその間に来たしておる。あるいは大臣は、一番低所得の人たちに対してもかなり社会保障制度の確立をして、その生活水準の向上を目ざしておる、こうおっしゃるかもしれないけれども、全体で見た場合には、その間におけるところの不均衡は決して是正をされておるどころか、実はその格差がますますひどくなってきている。こういうところに実は大きな問題が、私はひそんでいるのではないかと思うのであります。そういった面から言いますと、その一番底辺を受け持つ厚生省、厚生大臣としては、この所得倍増計画、国民所得の向上を目ざすという、こういう計画の面からいって、現在までとって参った施策というものがはたして十分であったかどうか、ただ単に、予算の面における昨年度の予算との対比という形だけでなくて、全般的に見た場合における施策としては決して充実したものではない、こういうふうなことが、私はやはり国民の間から言われておると思うのでありますけれども、大臣はこの点に対していかなる所見をお持ちであるか、あらかじめお聞きをしておきたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 経済の成長をはかり、国民所得の増加をはかっていく、その間において、いわゆる各方面に現われております格差を是正して参ろうということが私どもの考え方の基本であるということは、たびたび総理も言っておることでありますし、私どももまた申し上げておることであります。そのつもりで仕事を進めておるわけでございます。予算の編成等施策の推進に当たりましても、その心持をもってやっておるわけでございますが、具体的に現われました結果がどうであるかということになりますと、これはまた皆さんの御批判に待たなければならぬ点もございましょう。また、私ども現にそれぞれの所管に応じて施策を進めようといたしております者の心持から言えば、必ずしも十分でないということは私申し上げてもよろしいかと思うのでございますが、現在の状況といたしましては、まずこの程度で、さらに将来の推進をはかって参りたい、かように考えておる次第でございます。

田邊誠日本社会党

○田邊(誠)委員 池田総理も、ことしの一月十九日の本会議における施政方針演説の中で、「わが国の経済は驚異的復興を遂げ、生産技術も著しく進歩し、国民生活も着実な向上を記録することができました。」こう言っておる反面において、「わが国の社会保障は、国民の深い理解と協力を得て、逐年着実な前進を遂げて参りましたが、なお、今後の改善に待たなければならない事項が少なからず残されております。」こう言っておる。これはきわめて相矛盾をする。これはやはり何と言っても、両々相持たなければならない問題だが、そうはいっておらないということを、総理みずからも、実は告白されておることだと私は思うのであります。総理が非常に強気でもって国民総生産を十四兆以上にしよう、こういう形で今まで盛んに積極政策を展開されてきた。ところが、今年度においてそれを幾らか実は縮小しなければならない、均衡をとらなければならぬ、こういう形になってきたことは私は理の当然だろうと思うのでありますし、その中に物価値上げというようなことが相はさまりまして、できれば私は、実はこれらの物価値上げの問題は低所得層にとっては非常に大きな問題でありますので、一言だけ申し上げておかなければならぬと思いますけれども、一般的に言えば、生産性が向上いたしました、コストも下がっておる、こういう中で販売価格が下がれば、これは原則的に物価は上昇しないという行き方が望ましいのであります。しかし、今度の場合はそういかなかった。しかも、その原因の一つの大きなものの中に、独占価格の引き上げという問題がある。これが実はわれわれが非常に問題にしているところであります。そういった点からいって、今年度はたして藤山長官が言われるように二・八%の消費物価の値上げくらいでとどまるかどうか、これは非常に問題でありますが、政府の言われることですから、私は一応それを基礎に置いて、はたして低所得あるいは生活保護の適用を受けている人たちその他の国民の層に対して、ほんとうに手厚いところの手当を政府は講じられているのかどうか、これから保障するのかどうかということをお聞きしたいのであります。  私は前の大臣にもお聞きをしたのでありますけれども、一体政府がやるところの社会保障あるいは公的扶助、こういうことは、ただ単に生計の能力のない者に対して手当をして、それに対してある程度の生活の保障をする、こういうことではなくて、これと同時に、それがだんだんと生産の舞台の中におどり出てくる、こういう状態でなければならないと考えますけれども、最近の動向を見ますと、生活保護の適用を受けている人たちの中には、一部生産に従事して、その収入を得ている者もありますけれども、そうでない者がかなり多いのであります。この現象というのは非常に憂うべきものだと私は思うのであります。そういった悪循環をどこかで断ち切ることが私は必要だろうと思う。ただ単に金をやり、生活保護の手当をやればそれでよろしい、済んだ、こういう形ではないだろうと私は思う。その原因がどこにあるかと考えて参りますと、これは非常に深刻だと私は思う。現在の日本の経済の仕組みの中からそれが出てきているのではないか、こういうように考えますけれども、その点に対して大臣はどうお考えになりますか。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 お話の御趣意につきましては、私も別に異存はございません。何と申しましても、働く力のある人はそれぞれそのところを得て働いていって、そうしてその人の暮らしを立てていくということが一番望ましいことであるということは、言うまでもないことだと思います。ただ働こうにも働く力がない、こういう人たちの生活を安定させることを目標にしていかなければなりませんけれども、今のように、働く力のある人はすべて働けるような状態に持っていくということが、お互いの非常に大きな任務でなければならぬと思うのであります。その意味におきましては、生活保護の法律の運用にあたりましても、ただ単に保護さえすればよろしいのだ、あるいは扶助さえすればそれでよろしいのだというものではないと私は思います。やはりいろいろお世話をする間を通じまして、立ち上がっていってもらう、立ち上がる力のある人にはぜひ立ち上がってもらうというふうな配慮が加えられなければならぬ、そういうつもりで生活保護法の運用もやっておるつもりでございます。また、現実に生活保護の実績というふうなものを見てみましても、生活保護を受ける世帯から、生活保護を受けない世帯にまで上昇していく層もかなりあるわけであります。また中には、不幸にしてそこへ落ちてくる人もあるのであります。しかし、その新陳代謝と申しますが、これはかなり行なわれておるように私は思うのであります。比較的長い期間にわたって生活扶助を受けておられます世帯というものは、多くは老人とか子供とか病人の世帯であります。割合新陳代謝が行なわれておる状況を見ますと、生活保護の運用面におきましても、漸次改善せられておるのではなかろうかというふうに私は思っておるような次第でございます。どこまでも仰せの通りに、お金さえやればそれでよろしいといったふうなものではない、やはりお世話をすることを通じまして、何とか立ち上がってもらうという方向に向かって行政の運用をしていかなければならないものと私は思っております。

田邊誠日本社会党

○田邊(誠)委員 一つ社会局長に聞きますが、生産年令人口の増加に伴って、就業者の数がふえてきております。戦後の二十二年から十数年をずっと経過してみれば、おそらく一千万人以上ふえてきておることは事実であります。しかし、それにもかかわらず、不完全就業者と潜在失業者の数も、決してこれは減っておらないのであります。現在、生活保護を一〇〇として、それと一〇%ぐらい上のボーダー・ライン層、これらを含めて、今言った不完全就業者なり潜在失業者の数は一体どのくらいになっていますか。減っていますか。

大山正厚生事務官(社会局長)

○大山(正)政府委員 生活保護を含めてのボーダー・ライン階層の就業状況の御質問でございますが、今手元に生活保護世帯の稼動、非稼働の資料がございますが、それによって御説明申し上げます。(「どこにあるんだ。それをみんな出しなさいよ。」と呼ぶ者あり)それでは別に資料として御提出申し上げます。  昭和三十六年の十月の生活保護速報の資料による数子でございますが、生活保護を受けております総世帯数が六十一万六千三百二十七世帯でありまして、そのうち世帯主が稼動しておりますのが二十三万二千九十二世帯、三八%くらいになります。それから世帯員が稼動しております世帯が九万四千五百三十三世帯、これが一五%くらいになります。その他の全然稼働している者のない世帯は二十八万九千七百十二世帯でございまして、四七%ぐらいになっております。傾向といたしましては、先ほど御指摘がありましたように、非稼働世帯がだんだんふえていって、稼働世帯が減っているわけでございます。これは稼働世帯が賃金の上昇その他によりまして、順序保護世帯でなくなってきている。大臣からお答えがありましたように、老齢者の世帯あるいは母子世帯あるいは傷病者の世帯といったようようなものがふえてきておるために、非稼働世帯がふえてきておる、こういうように考えておるのでございます。ボーダー・ライン階層全体につきましての状況については、ただいま手元に的確な資料がございませんので、適当な機会に調べまして御報告申し上げたいと思います。

田邊誠日本社会党

○田邊(誠)委員 ボーダー・ライン層を含めて、現在のところでは約二百万と称しておる。今局長がおっしゃったように、実は六十一万世帯のうち、世帯主で働いておる者は約二十四万ぐらいであります。だんだん実は減っておるのであります。これは生活保護基準が向上したから減ったんだという言いぐさもある。あるのだけれども、実際にはそれだけでは済まされないものがある。実際には物価値上げもありまするし、それでもって生活の実態の向上がはかられておるわけではないのであります。政府は、そのためにこそやはり保護世帯というものの基準を設け、ボーダー・ライン層といったものも考えておるわけですから、そういった面から見ますると、どうも今の大臣のお言葉がありましたけれども、決して低所得層の全体的な様相というものが、数字の上から言いまして、改善の方向に進んでいるというふうに見受けるわけにいかないのであります。これはやはり戦後の経済の復興の仕組み、日本経済のいわゆる二重構造、特に大企業に対して資金を集中するという政治のやり方、いわゆる資金の集中が生産性の格差を生んでくる。生産性の格差が、実は日本にとって一番悪いことは、賃金の格差を生んでくる。こういう状態の中でもって、実は企業別に非常に賃金の格差のひどいものができてきておる、こういうとろにあろうかと私は考えておるのでありますけれどこ、しかし、いずれにいたしましても、今言ったような状況をどこかで断ち切るとするならば、やはりこれは、何といっても政府が公的な扶助をする部面についてまずもって手当をしてやる、それから失業対策の抜本的な対策を講ずる、こういうことが必要だろうと私は考えておるわけであります。それが決して生産性の向上を妨げるものではない、こういうふうに考えておるわけであります。現在の状態というものを今大臣がよく聞かれまして、決して満足すべきものでない、こういう状態から見ますると、所得倍増計画の中では、どうもやはり一番下の層の手当というものがおくれつつある、こういうことはお認め願えると思うのでありますが、この点について率直に御答弁いただきたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 私の認識があるいは間違っておるかもしれませんけれども、私は一番下の——下と言うと語弊があるかもしれませんが、低所得階層の状態が、だんだん悪化しておるというふうには実は考えないのであります。幾らかでもむしろ向上しつつあると考えております。先ほどもちょっと言及いたしましたが、これは見方によると思いまするけれども、本年度生活扶助基準の引き上げということを行ないました。その生活保護基準の引き上げを行ないますと、まあそのままの状態で考えれば、従来、基準の関係で生活扶助を受け得なかった人が、今度は生活扶助を受けるというふうなことに一応なるかと考えられるわけでございます。それにつきましても、政府としましても予算の面においてもそういうものがあり得るものとして、ある程度の用意はしておったわけでございまするが、現実には、その後の状況を見ておりますと、付ずしもこれがふえてこないのであります。つまり、いわゆる落層という言葉を使っておりますけれども、落層として予定されておったものが、そこまではなかなか落ちてこないということを考えてみますと、やはりいわゆるボーダー・ライン層におられました人々の生活というものが、幾らかでも向上しておるということを一面において物語っておるということが言えるのじゃなかろうかと私は思うわけでございます。また、生活扶助それ自体にいたしましても、決して私どもこの程度でもっていいんだというふうな気持はございませんけれども、少なくとも従来よりは幾らかよくなっておるということは申し上げることができるのじゃなかろうかと思っております。

田邊誠日本社会党

○田邊(誠)委員 灘尾さんは厚生行政に対するところの大先輩でございますから、われわれも敬服をいたしておりますけれども、今のお言葉は実はきわめて常識的なお言葉にすぎない。もちろんよくなっておるのはあたりまえなんです。悪くなったら大へんな話だ。ただよくなっている度合いがいかほどかとわれわれは言っているのです。所得倍増計画の中でも、特にこの層に対する手当を十分してもらいたいという、こういう国民の要望に実はこたえておられないんじゃないか。努力されておることをわれわれは決して無にするものではありません。しかし、たとえば所得倍増計画の中で九・二%——それ以上伸びた、一〇%以上伸びたのだといっても、農業生産者は四%しか伸びない。中小企業は六%程度しか伸びない。大企業といわれておるものだけが一六%伸びておる。平均一〇%以上だ、こういうのでは、これは決して国民に喜ばれる経済政策ではないじゃないか、こうわれわれは言っているのです。特にその中で、あなたの所管されておる部面が他の部面に比較をして、幾分でも向上するという形をとってもらわなければ困るじゃないか、こういうのでありまして、幾らか伸びたからいいじゃないかというお言葉は、いささかどうも大臣としていただけない話であります。まだまだ不十分であって、これは意気込みをつけてこれからやらなくちゃいかぬじゃないか、こういうところがほんとうの現在の状況ではないか。局長のさっきの御答弁からもはっきりしておるのですから……。その点はそうでしょうな。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 毎々申し上げることでございますが、国民生活の底を上げていくということは私どもとしましては特に考えなければならぬ問題であります。それが私どもの任務だと考えておるわけであります。国民生活全体の向上をはかっていくということは、もちろん大前提になるわけでございます。その間において、格差をだんだんと縮小していこうということが私どものねらいであり、その間にまた生活保護を受けておるような世帯につきましては特に考えて、この生活の向上をはかっていくという心持においては、私は少しも投げやりにするとか、いいかげんにするというつもりじゃございません。できるだけ上げていきたいということを考えるわけでございますが、ただ生活保護の部面だけをとらえて、これだけをどうとかこうとかするという問題じゃない。これはやはり全体的に考えなければならぬ問題だと思います。その中でも、よそでかりに一割上がるものなら、生活保護世帯についてはもっと割よく上げていきたいという心持で私どもは仕事をやらしてもらっております。

田邊誠日本社会党

○田邊(誠)委員 大臣のお言葉をお聞きして大へんうれしく思いますが、以下申しますが、現実がそうなっておらないのであります。ちょうだいいたしました厚生白書の百八ページに、勤労者世帯と被保護世帯との消費支出の割合というものが一人当たりについて出ておるのであります。これは二十九年の四八・六%かちだんだん下がっておる。三十六年の四月に至って幾らか上げましたから、そのときはこの表に載っていませんが、割合が三十五年は三九・五%に下がっておる。従って、非常に悪くなっておるのであります。三十六年の四月に、この表にないけれども、四二・一%に上がったのだろうと私は思うのでありますが、現在どうですか。今度上げたからこれはまたよくなったということになりますけれども、上げたってまたほかの賃金は上がりますから、上げる前の状態は、一番最近の状態の勤労者の世帯と被保護世帯とのいわゆる消費支出の割合は一体何割くらいになっていますか。

大山正厚生事務官(社会局長)

○大山(正)政府委員 ただいま御指摘になりました厚生白書の百八ページの表でございますが、この注の二にありますように、この比較は被保護世帯については年度、勤労世帯については暦年でとっておりますので、別に年度と年度について比較したもので御説明申し上げます。それによりますと、昭和三十五年度におきましては、一般勤労世帯と被保護世帯の格差が三八、こういうことになります。御指摘の厚生白書の表では三九・五、こういうことになりますが、年度と年度を比較して申し上げますと三八。それから三十六年度につきましては、十月から五%のアップがあったわけでございますので、これを年間に平均して格差を考えますと、推定が四〇・三、こういうふうに上がって参ります。来年度さらに生活扶助基準で一三%引き上げるわけでございますが、それから国民一般勤労世帯の方は、経済見通しで大体七・三%上がるというふうに考えられますので、これを加味して比較いたしますと、一般と被保護世帯との格差が四二・四というふうに上がるもの、かように推定いたしております。

田邊誠日本社会党

○田邊(誠)委員 実際は七・三%という見込みが問題なんですが、それは三十七年度の大体予想であります。いずれにしても、三十六年度は四〇%くらいです。これはあなたが非常に苦労されていろいろ基準を改定されたり、その他の施策もやられてきておるにもかかわらず、なおかつ三十三年の状態である。だからわれわれは決して何もやっておらぬと言っておるのではありませんけれども、しかし、今の状態では決して十分な状態ではない。これはあとを追っておる状態であります。こういうふうに考えておるわけであります。  そこで、大臣一つお聞きをしたいのでありまするが、厚生省の予算は全体の予算の中でどのくらいを占めるかわかりませんけれども、社会保障関係の予算というのは、昨年度は全体の一三%、ことしは失業対策を含めてみますと一二%、これは予算の説明書に書いてある。生活保護関係のやつと比べますると九%なのです。これは非常に少ないのであります。社会局の予算は、昨年に比べて一一・一%ですね。こういう格好でありまして、一体国の予算の中でだんだん生活水準が上がっていかなくちゃならぬ。それにつれて特に生活保護関係の予算も上げていく、こういう格好になっていくのだけれども、はたしてどの程度が望めるところの——十年、五十年と先を言いませんけれども、一体総予算の中で、比率から言いますると、もうちょっと上げていかなければならぬとか、このくらいは望みたいところだとか、こういうところがおありだろうと思いますけれども、どの程度か。ちょっと念のために、古い資料でありますが、三十三年で、イギリスは、社会保障の予算は総予算の中で二〇%、西ドイツは一六%。私どもがどの程度望むかということを申し上げる前に、大臣としては、今までずっと申し上げてきた数字から見まして、ことしの予算は非常に努力をされたけれども、なおかつ一二%、こういう状態であります。従って、私は、これは今後の努力にもよるし、今年度の中のいろいろの施薬の充実化を望むために言うのですが、どの程度までが望める予算なのか、こういうことに対して、一つ大臣にお答え願えたら、皆様方のお気持をお話しいただきたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 なかなかむずかしいお尋ねだと思うのであります。毎年々々の予算が、総予算の中でどの程度の率を占めたらそれが妥当であるかという結論は、なかなか出しにくい問題だと思うのでございます。もちろん現在の予算は、たびたび私が率直に申し上げておりますように、私どもとしましてもまだまだ改善し、まだまだ充実しなければならぬものがあるわけでございます。従って、毎年々々予算の増額ということは、当然われわれとしても努力しなければなりませんけれども、それが一体どのくらいの比率でもってあるのが妥当であるかということになりますと、これはなかなかきめにくい問題だと思います。三十六年度の予算は、三十五年度の予算に比べますとかなり大幅にふえたと私は思います。来年度の予算は、予算の額から申しますと、大体本年度とおっつかっつというような程度のものをやっておると思うのであります。これはやはりその年々の状況によりまして、特別に予算が、たとえば国民年金を実施するとか、あるいは生活保護の予算を大幅に引き上げていくとかいうような特殊のものが入っておりますと、それがかなり大きな部分を占めて、予算の金額からいえば大きなことになってくる。その次の年においてはそういう事態は起こってこない。こうなりますと、それだけは幾らか縮小するということになって参ります。従って、総額でもって比較するということは必ずしも適当でないという場合があろうかと私は思うのであります。しかし、いずれにいたしましても、厚生予算というものはまだまだ今後伸ばしていかなければなりませんし、伸びていかなければならぬものであります。その意味におきましては、私どもあくまでも努力を継続するつもりでございます。来年は、御承知のように、いわば社会保障として新しい部門を開いていく、新しく大きな柱を立ててやにていくというようなものがございません。大体前年度、つまり現在の施策というものをだんだんと改善し、向上していこう、こういうふうな考え方でもって来年度の予算を組んでおりますので、大幅にふえていくというふうなものがございませんために、今年度に比べますと、伸びていく率においては劣っておるということになろうかと思うのでございます。予算の金額が若干ふえておることは御承知のことでありますので、格別御説明申し上げる必要もないと思いますけれども、来年は来年としての予算の組み方、施策の作り方ということが、ことしと来年と若干違っておる、その辺を一つ御了解願いたいと思うのでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊(誠)委員 私は、ただ単に予算のパーセントがふえなかったからけしからぬと言っておるのじゃない。さっき申し上げたように、内容的に見てもその差は縮まるという方向にいっていないから、これはせっかく努力をされて一三%の基準の引き上げ、あるいは保育所の保母さんの一七%の引き上げ等をされたけれども、これはいわば抜本的な改善策ではなかったのじゃないか、こう言っておるのであります。それならば所得倍増計画の四十五年度までに、一体国民所得の中で社会保障の占める割合は何ぼになるのですか。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 御承知のように、厚生行政の長期計画基本構想試案というものを持っております。この試案につきましては、われわれなお十分に検討もいたしまして、だんだんと固めて参りたい、かように考えてせっかく検討中でございます。従って、これがもうこれで動かぬものというふうにも考えませんけれども、一応私どもはその構想を目安にしまして、ただいまの仕事を進めておるわけでございます。その構想によりますと、たとえば生活保護の基準あたりにいたしましても、少なくとも基準年次に比べますと三倍くらいにはしたい、こういう心持で一応進めているわけでございます。全体的に見まして、ちょっとはっきりした数字も覚えておりませんが、私は大ざっぱなことを申し上げるようでございますけれども、現在の国民総生産の中で占めております社会保障費の率は、先ほどもちょっと御指摘があったかと思うのでありますが、諸外国に比べますとだいぶ劣っております。それを少なくとも現在の先進国といいますか、英米、ドイツ、フランス、ああいったふうなところの今の状況くらいのところまでには十年間のうちにこぎつけたい、こういうような心持で施策を推進していきたい、一応さように考えておるわけでございます。その計画の内容につきましては、今申しましたように大体これを目安にやっておりますけれども、私どもといたしましては、なお具体的にもっと検討する要素もあろうかと思いますので、その辺の変更ということはもちろんあり得ることでありますが、大ざっぱに考えて、今のところそういうふうな考え方のもとに進めております。  また一つよけいなことを申し上げるわけでございますが、専門の八木さんがそこにいらっしゃるので恐縮ですが、外国の、つまりいわゆる欧米の先進国の社会保障費というものと日本の社会保障費との間にはかなり開きがございます。一つには、やはり基本的な国民所得が足らぬということにもよりましょうけれども、一つには、外国ではすでにいろいろな制度が進歩している。ことに年金制度というものが現実に動いている。しかも、かなりな年金をやっているわけであります。そういうところまでまだ日本は至っていない。そういうふうなことで、一面においては社会保障費で現われてくる数字もそれだけ少ないものになっている。こういうような事情もあろうかと思いますが、要はやはり国民の経済力、実力の問題になって参ります。それをつけて、やはりその間にできるだけ社会保障費をふやしていくということにわれわれは目標を置いて、努力していきたいと思います。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 関連事項について発言の通告があります。これを許します。八木一男君。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 実は田邊委員と厚生大臣の質疑応答を伺っておりましたが、明年度社会保障費の予算の伸びなかった原因についてお伺いしたい。  明年度の最初の計画を作るときに、大蔵省の方から、各省の前年度の予算の五割までの要求を出してくれと言ってきたということが事実であろうことを、私は諸情報で聞いております。事実でなければ、またその御説明を願ってけっこうでございますが、時間の関係上、事実として問題を進めたいと思います。  社会保障費というものは、田邊委員の御発言、それに対する、厚生大臣の御答弁から、論点を幾らでも掘り下げて申し上げられると思いますけれども、それは省略して、今急速にこれを日本の現状として進めなければならぬということは、すべての方が認めておられ、官庁でも認めておられる。そういうときに、すでに完成したいろいろな部門を持つ各省の予算と、社会保障ということから大いに急速に完成をしなければならない部門を持つ厚生省の予算を同列に扱って、同じく前年度の五割、それを最初に出してくる。それから査定をして相談をするということであったら、大体根本が間違っていると思う。池田内閣は、社会保障と減税と公共投資に重点を置くと言っておりながら、五割を出した。そのワクの中でどれを落とすか、どれを入れるかというところで幾分重点政策を取り出すかもしれないけれども、最初に五割という線がきめられてある。片一方の社会保障は、うんと伸ばさなければならない。ほかのすでに完成しているものは五か六でいい。ところが、それを抑えて同列にしている。そんな中で重点だと取り上げてみたところで、これは問題の解決にならない。大体、最初の予算の編成方針が間違っている。査定の前の方針が間違っている。一体、閣議でそういうような方向が示されたのかどうか。また、大蔵省が勝手に示したのならば、厚生大臣は閣議で初っぱなから、そういうことはいかぬ、当然やるべきものを各省が出して、それから総合的に予算について相談し合って、予算のワクをきめるということでなければならないというふうに主張をされるべきであると思う。それについて、そのような主張をされたのかどうか、また、閣議でそういうような発言があったのかどうか、そういうことについて伺いたいと思います。  さらに、関連でありますからまとめて申し上げておきたいと思いますが、各国の子算のパーセンテージという問題でいろいろと論議をかわされることが多いのでありますが、別な観点で考えていく必要があろうと思う。というのは、日本の国には貧乏が多い、疾病が多い、失業が多いという状態でありましたならば、このような予算の比率と別な観点から、社会保障を担当する国務大臣としては、大きく考えていかなければならないと思う。国民一人当たりの社会保障費が幾らであるかということをお考えになりましたならば、対イギリスの比率においては、現在の正確な数字はわかりませんけれども、これは八分の一程度であります。予算の比率以外に、その問題の国民一人々々に社会保障がどのくらいに配られておるかという観点で考えられて、そのような考え方で予算のときにがんばられなければならない。その点について、予算のそういうワクをきめられた経過について御説明願いたい。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 前年度の予算に対して各省の予算要求を五割増しくらいのところでとめてほしいということは、財政当局の希望として出てきた、それは事実であります。御承知のように、日本の予算の作り方というものは、毎年々々これじゃ困ると言いながら、ごらんのような状況でやってきておる。まことに残念なことでありますけれども、これは事実なんであります。従って、大蔵省がこれを取り扱うのにいたしましても、そう各省が勝手気ままに予算々々というので出してこられても査定する方で困るわけでございますから、従って、ある程度のそういったふうなワクをきめるということに対して、このワクの程度にもよりますけれども、程度いかんによっては必ずしもこれを拒む理由は私はなかろうと思います。これは今の予算の各省要求の現状から申しまして、こういうことを財政当局が言うことも必ずしも無理からぬ。ある程度事前に整理しておいて、その上で査定をする。その査定は、もちろんわれわれからいえば親切にしてもらいたいと思いますし、まだ、社会保障等については、特に考えてもらいたいということはもちろんのことでありますけれども、大きく前の年の五割ぐらいの程度でとめておいてくれ、こういうふうな問題は、私は日本の現状から申しまして、それほど異議を差しはさむほどの問題でもなかろう、かように考えておったようなわけでございます。  また、社会保障は社会保障として、とにかく日本がおくれておるんだ、これを何とか早く伸ばしていこうという熱意においては、これは八木さんから始終御鞭撻を受けておるわけでございますが、私もそのつもりでおります。そのつもりでおりますけれども、また社会保障だけですべての予算を考えるというわけにはもちろん参りません。やはりほかにも、いろいろなやるべきことがたくさんある。あれもこれも一緒にやっていかなければならぬというところに、私は日本の悩みがずいぶんあると思うのであります。経済の成長をはかるとか、経済基盤をつちかっていくというような努力をしながら、一面においてまた社会保障等を伸ばしていこう、こういうことでございます。多少その辺は、先進国、社会保障の比較的充実しておる国に比べますと国情が違ってきておる、かようにも考えるのであります。また、何と申しましても国民所得が違う。しかも、総所得が違う上に、人口の点においては日本が非常に多い、こういうようなこともありますから、よほど、その辺の財政のあんばいにつきましては、苦労しなければならぬ点もあると思います。従って、われわれの思うようになかなか進めて参ることができませんけれども、これも日本の全体の都合の上から申しまして、常に百パーセント私どもの希望を満足させるわけにも参らぬと思うのであります。その間に処して、できるだけ伸ばしていうという努力は続けていかなくちゃなりませんし、また、私どもの力の足らざるところは、大いに御鞭撻もいただきたいと思うのであります。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 今のような御答弁がありましたけれども、厚生省で最初に、大蔵省のそういう連絡があってから出された予算は、前年度の何割増しの予算を要求されましたか。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 予算の要求なり何なりのことについてかれこれ申し上げるのは、はなはだ申し上げにくいこともあるのでございますが、厚生省としましては、大体五割の範囲で予算の要求をしました。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 関連ですからもうやめますけれども、そういうことはこれからやめていただかないと困るのです。大蔵省のお役人は、ただ技術的に予算の総ワクをまとめることを主眼に置いております。大蔵省のお役人も国家公務員ですから、国のためにお金を出すことを考えるかもしれませんけれども、予算をまとめるという仕事は非常な大仕事ですから、すみのすみまで、どの資金の支出がどのくらい国民生活やあるいは経済の発展に効果があるかということを底の底まで考えるに至らないで、ただ全体のワクにどう納めるかということを考えることが実態であります。そういうような人たちの言う通りに、厚生省が、五割にしてくれというので五割の最初の要求を出した。いかに池田さんが、あるいは灘尾さんが社会保障を重点だと言っても、ワクより上に上げることは絶対あり得ない。しかも、それより減らされるのですから、重点だと言ってもワク内です。そんなことでは社会保障は伸びない。灘尾さんは国務大臣のお一人として、ほかの政策との関連もおっしゃいましたけれども、残念ながら日本の今までの政治は、このような貧しい人、病気で苦しんでおる人、失業で苦しんでおる人、そういう人たちに対しては非常に冷たい政治であったわけです。ですから、厚生大臣としては、言葉を大にして、ほんとうに勇気をふるい起こして、ほかの十人や十五人の閣僚の全部を相手にして、自分の主張を通すくらいにされてまだ足りないところだろうと思う。それを厚生大臣が大蔵大臣のかわりみたい、通産大臣のかわりみたいな御発言をなさっては、これは非常に遺憾であろうと思う。そういうことではなしに、ほかの連中は、はっきり言えばわからない連中が多い。それはほかの政治経験はあるかもしれないが、社会保障についてはほとんどわからない人が多いのじゃないか。そういうわからない連中に教えるために、池田総理大臣のぼやっとしておる点をはっきりさせるためにも、厚生大臣は、財政全体とか、ほかのそういうようなことを発言なさらずに、五人分、十人分の発言を、社会保障についても熱意を持って発言される必要があろうと思います。ほかの方もその補佐をされる必要があろうと思いまます。関連でございますから、これは御答弁は要りませんけれども、このような決意でやっていただかないと、今までの三十七年度予算については、はなはだ御努力が不十分であったという結論にならざるを得ない。一応関連でございますから、これでやめにいたします。

田邊誠日本社会党

○田邊(誠)委員 実は今八木委員のおっしゃったことを、私も引き続きお伺いしたかったわけですけれども、あまり重複いたしますから……。私、問い詰めてきたのは、そういうことなんです。というのは、きわめて計画性がない。たとえば予算を削られるのはけっこう、これはやむを得ない場合もあるでしょう。しかし、四十五年度までの計画を立てて、この前私がお聞きしたならば、四十五年度の国民所得を大体二十一兆三千億ぐらいに見、七%ぐらいにはしたい。これは実は欧米で言えば五七年か五八年ぐらいの社会保障の予算なんですよ。少ないのです。それはそれでもいい。それならばそれを積み重ねるために、毎年それだけの努力をされているわけです。パーセントの上では一八%上げられ、五%上げられ、また今度は一三%保護基準を上げられる。そういう上げようとしておられることは、基準はけっこうだけれども、やはり将来の展望の上に立った見通しを持ってやっていかなくちゃいけない。今八木さんが言われたから、私はちょっとだけでやめますが、今度の問題も、何か聞くところによると、最後まで残って折衝してきめられたというのです。その行き方というのが、どうもこの問題に限っては、私は予算編成上からいってもふに落ちない。そういうことでなくて、この問題は、たとえば十割いれられればよろしい。私は去年は五割なさいと言ったらば、厚生省は二六%。そうしたら、昨年度は一八%に削られた、こういうことはなんです。それもやむを得ない場合もあるでしょうけれども、一体その基準がこれくらいになれば生活の向上はこのくらいまで上がるのだから、本年度はこれだけは最低確保しなければならぬ、こういう段階を経たものがやはりなくちゃいかぬと思うのです。何かやみくもに、お幾前らでかもよこせ、それは上げたらいいじゃないか、こういう結果になったのでは困るので、大臣の先ほどからの御答弁は、そういうふうに私はとらぬけれども、結果として今度の予算の場合もそういう形になった。これは将来ぜも改めていただいて、将来に対するところの年度計画を立てていかれる、こういう形でなくちゃならぬと思うのです。ことしはどうでしょう。これは非常に足らなかったですね。あとで時間があれば社会局長に、大臣おいでにならなくてもけっこうですから、さらにお聞きしますけれども、実はカロリー計算からいきましても、あるいはエンゲル係数からいきましても、基準の中の変更を——飲食物費やその他の経費から見ましても、決して物価の値上がりその他の現在の状態に即応して順調なものではないのです。そういう面からいきますと、やはりこれの補正補強、さらにこれを補完するという、こういう役目が年度の途中であっても残されていると思うのであります。そういった点に対しては、大臣は、今八木委員も言われまましたけれども、この予算編成の行き方が明瞭でなかったということを抜きにして、所管大臣としては当然最大限の努力をしなければならぬ、数字的に、私が申し上げたように根挙があるのじゃないか、こういうように思いますけれども、あなたはどう思われますか。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 予算の問題と関連しての御質問でございますが、お話の通りに、厚生省としましても、いろいろ行政を進めて参ります上において、ある程度の目安、あるいは計画と申しますとかた過ぎるかもしれませんけれども、そういうものを持って進めていく方が適当である、こういうふうに私ども考えるわけであります。また、皆様御承知のように、厚生行政の行き方の疑問について、近来、大体多少の計画を持って、それの実現のために努力していくというふうな行き方でやって参っておるわけでございます。的確な、コンクリートの、動かすべからざるような状態にまでは至っておりませんけれども、諸般の行政を進めていく上においてはそういうような考え方をいたしておるのであります。  また、ちょっと先ほど申しました長期計画、基本構想の試案というようなものも持っているわけであります。これは今申しましたように、もっと具体的に計画的なものにしなければいくまいということで、検討もしておるようなわけでございますが、考え方としましては、ただ漫然と、そのとき、そのときの考えでやるというのでなしに、一つの目標を持ってやって参りたい、こういうふうな考え方をいたしておるわけでございます。  今の生活保護の問題につきましては、私どもとしましては、先ほどちょっと申しましたが、これを確実な、動かすべからざるものというふうな意味で申し上げるわけでございませんけれども、一応の考え方としては、十年くらいたったら三倍くらいには少なくとも持っていきたいというくらいなつもりでやっているわけでございます。(「三倍と言ったって、一般の所得が十倍になったらどうしますかと」呼ぶ者あり)そういう一般の所得が二倍になった場合に、少なくとも生活保護を三倍くらいにはしたい、こういうつもりでやっておるわけでございますから、一般がうんとふえれば、自然これが変わってくることは当然のことであります。そういうふうなつもりでやっているわけでございます。そうしますと、かりにそれを前提として考えれば、毎年々々だ、実践的に見て一〇%くらいずつふえていけば、一応その目標は達するだろうということも考えられるわけでございますが、私どもといたしましては、十年間にというよりも、もっと早く上げられるものなら上げたいというふうな気持もございますので、ことしは多少——これは最初のことでございますから、これをあまり追及せられても困るのですけれども、私ども二二%というようなことを要求したしたわけでございます。ただ私は、このような問題について、やはり厚生省では何%、大蔵省では何%というようなことで行ったり来たりすることは、あまり望ましいこととは思いません。従って、私としては、最後まで二二%ということで突っぱったわけでございます。最後に大蔵省、厚生省ということでなく、全体の関係において、最後に閣議において決定したというのがああいうようなことになりましたことでございますので、結果といたしましては希望通りに参らぬことでありますので、私もまた来年は一つ努力しなければならぬ、こういう気持がいたしておりますけれども、事柄は、政府全体としてまずこの程度でがまんしろということできまりましたようなことを御了承願いたいと思うわけでございます。  また、物価の関係等につきましても、こういったふうなものでありますから、そうまたしょっちゅう下げたり上げたりするわけにも参らぬと思います。ある程度の持続性は、やはり持たなければならぬと思うのであります。大体年度々々の平均的なものをとらえまして、そうして物価のことを勘定に入れて基準の引き上げをやって参るということにいたしておるわけでございます。昨年、おかげさまで、不十分では——皆さんからごらんになれば、まだ足らぬとおっしゃるでありましょうけれども、まあ生活保護の基準という意味からいえば、若干の引き上げが行わなれたわけでございます。明年はまた一三%引き上げるわけでありますが、決してこれでもって満足するということではない。また来年、再来年も、私どもは実は増していきたいという心得でおるわけでございますけれども、一応ことしよりは来年、幾らかでも内容的にも改善せられるであろう、また、物価が少々変動いたしましても、大体これで耐えていくことができるのではなかろうか。そういう心持で予算を組んでいるようなわけでございます。また特別大きな物価の変動というようなものがございますれば、それはそのときの問題として考えなければならぬと思いますが、今のところは、まずこの程度で一応物価の問題については耐えていけるものというような考え方をいたしておるわけであります。のみならず、最も私どもの願うところは、消費物価の変動ということが一番こたえるのは、恩給をとる人であるとか。今の生活保護を受ける人とかであるわけでありますから、厚生省といたしましては、そういったような物価の値上がりを防止するという問題について、われわれも閣僚の一人といたしまして、できるだけ関係閣僚とも相談いたしまして、この点についての努力をいたして参らなければならぬと存じております。

田邊誠日本社会党

○田邊(誠)委員 まあ非常に不満足であったことは大臣お認めであります。しかも物価は、その予想通り三%以下でもって押えるというふうにいくかどうか、これは非常に疑問でありましょう。しかも、やはりその中でもって消費物価が非常にこたえておるために、私はおそらく、今度の基準の改定によって飲食物支出の占める割合というものは決してよくなっていない。こういうように実は考えておるのであります。  それでは大臣がおいでのときにまとめて局長に聞きますが、基準の内容の変更によって、飲食物費は一体、主食副食、調味料、嗜好品等がありますけれども、どのくらいになりますか、それからカロリーは一体どのくらいになりますか。エンゲル係数は、今度は一体どのくらいになりますか。エンゲル係数は、一般世帯と両方言って下さい。これはもう答弁されればわかりますけれども、どんどん上がっておるのですから大へんなことです。これを一つ。  それから、これはその次の国民健康保険の質問にちょっと関係しますけれどもっこれによって一体有病率はどういう工合に変化しますか。この病気の被保護世帯は非常に多いのですよ。一般世帯に比べて、大体五、六倍というのが今までの通例なんですよ。一体これがどのくらい今度は少なくなるのか。貧困、疾病、貧困という悪循環を断ち切ることが、さっきも大臣の言われたように必要なことなんだが、これは一体どういうふうに変化するというふうにあなた方は見ているのか、一つまとめて四つ、五つばかり御答弁願いたい。

大山正厚生事務官(社会局長)

○大山(正)政府委員 飲食物費につきまして(標準の五人世帯)東京都で申し上げますと、昨年の十月の補正後の飲食物費が月額で八千二百十円というのが現行でございます。その内訳は、主食が三千六百九十円、副食その他が四千五百二十円、こうなっております。来年度の一三%増の場合の飲食物の計が九千六十五円、内訳は、主食が三千七百四十五円、副食その他が五千三百二十円となっております。

田邊誠日本社会党

○田邊(誠)委員 一人一日、飲食物費は幾らになりますか。

大山正厚生事務官(社会局長)

○大山(正)政府委員 標準五人世帯におきます一人一日を平均しまして、五十四円が六十円になります。現行が五十四円で、今度六十円になります。  それからカロリーは、一人一日当り千六百五十八カロリー。それから飲食物費その他の経費でございますが、現行が三千七百九円、改定が四千四百五円、合計いたしまして、生活扶助基準といたしまして、現行が一万一千九百十九円、改定が一万三千四百七十円で一三%増、かようなことに相なります。  それからエンゲル係数でございます。昭和三十五年度のエンゲル係数は六四・一%ということに相なっておりますが、三十六年度の基準についてみますと、五七・九ということに現行は相なっております。それが来年度の改定で五六・二ということになります。これは御案内のようにいろいろ実態によって違ってくるわけでございますが、現在の、申し上げました保護基準に即して計算いたしますと、そのような計算になります。  それから一般勤労世帯はどうかということでございますが、昭和三十五年の平均は三七・二ということになっておりますが、一番近い数字であります昭和三十六年の十月をとって見ますと、三八・六、これは東京都の一般勤労世帯のエンゲル係数でございます。  それから御質問の有病率、医療扶助の人員でございますが、実は昨年の十月から始まりました結核、精神の新対策によりまして、生活保護の医療扶助の中で、今度の新対策で結核予防法なり精神衛生法の関係の方に移っていく数がございますので、厳密な比較ができないわけでございますが、そういう要素を抜きにして考えますと、大体横ばいというような計算で算定いたしております。

田邊誠日本社会党

○田邊(誠)委員 ですから、こういう数字を並べますと、大臣が言われる努力が実はあまり実を結んでおらないのです。エンゲル係数だけが基本でないという考え方が最近の傾向ですけれども、しかし、それをとってみても実は大体五六%ぐらいだというのです。二十六年が五六・五%、なんですから、これは一般世帯は四〇%以下です。おそらくそれ以上になりませんでしょう。ですから、差は決して縮まっていないのですよ。そういう結果ですから、われわれは、一三%の値上げは、上げてもらったことについては大賛成、しかし、所得倍増計画の中で、低所得に対するところの手立てというものが、そういったパーセントの上で差がどうしても開いていくという、こういう傾向にあることは残念ながら事実なんです。ですから、その点でふんばってもらわなければならぬのであって、そういった点で実は大臣に、もう一ふんばりでなくて、大へんな努力をしてもらわなければいかぬ。私は昨年二六%、厚省生へ行ったら一八%と言うから、これは地階の生活から地上に上がろうと思ったが、いわゆる中二階に上がったんだ、われわれみたいに背の高い者はつっかえてしまって、どうしようもないのだけれども、前の大臣はあまり背が高くないからがまんしておるのだと言ったけれども、灘尾さんはそうはいきませんよ。これは大体大型予算なんだから、そのうちで、二四%以上も上がっている中で、パーセントが下がっただけでも重大な責任なんです。ですから私は、努力は認めながらも、今申し上げたような事実、しかも、これは千六百カロリーくらいでは動けませんよ。これは実際自分の方でそういう年寄りをやっておりますが、大へんなものです。しかも、食費は、これでもって決していいものを与えることはできない。こういう状態でありますから、私はこれはそう近い将来の問題でなくて、数字を申し上げることは大臣の前で実はいかがかと思ったが、こういう問題は数字を申し上げてみないとわからぬので若干申し上げたのでありまして、今申し上げたような状態の中で、被保護世帯と一般世帯との率も決して上がっていない。私は少なくとも、これは五〇%ぐらいまで上げてもらうようにしなければならぬ、こういうように思いますので、ほかが二倍になるから三倍だというお話がありますけれども、これは着実に行なって下さい。さきに私は局長に聞いた、これは秋にも聞いたが、やはり明確な答弁でない。どうしても不明確な答弁だ。ですから、その点の数字的な根拠を明らかにしていただいて、そういう動向の中で——全部の動向を見ることも必要でしょうが、あなたは一番下層をよく見ていただいて、さらに格段の努力をしていただかなければならぬ。私は注目しております。いつこういった状態を改定されるか、物価も上がるという、こういう状態を見詰めながら、いつあなたがそういった努力をさらに続けられるか、これを一つ見詰めていきたいと思いますので、そういった点で重大な関心を持っていきたいと思う。  有病率の問題がありました。ちょっと国民健康保険に聞きますが、今度五分上げるという話があるのだが、これは市の診療所はやめたいと言っている。村では診療所を作っては損だから作らないと言っておる。町でも十五万以上の都市でも、私なんかは前橋市に住んでおりますが、だんだん縮小しておる。減らしておる。これはちゃんと国が五分の引き上げを予定しておっても、なおかつこれはできない。これはやはり同じような問題ですけれども、どうでしょう。全国的な趨勢からいって、そういった状態が出ているのですが、これに対する手当は、一体調整率の五分の引き上げと合わせただけでも、私はそういった傾向を除去することはできない、こういうように思いますけれども、これは関連をする問題ですから、一つ局長でもけっこうです、お答えいただきたいと思います。

高田浩運厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 直覚診療所の中に、お話のように、運営上難儀をしている診療所があることは事実でございます。それで、当面の措置といたしまして、私どもの方では、三十五年から調整交付金でこれの運営費についての財政的な配慮をいたしております。三十五年度におきましては、約七百六十施設を交付対象として調整交付金を交付金を交付した、そういう状況でございます。しかし、これで十分であるというものでもございませんし、かつまた、もともと直営診療所は、本質上、中には僻地等、非常に不便なところにあるものもございますし、これらの根本的な対策というのは、今後十分検討しなければならぬと思います。現状はさような状況でございます。  なお、療養給付費に対する国庫負担率の五分の引き上げについて言及されましたが、これについては、当委員会において決議され、非常な御鞭撻をいただいた結末、こういうふうな措置が一つは可能になったわけでございます。これによりまして、結局全体として約七十九億の増額になったわけでございます。かたがた、去年の医療費の改定によって、どのくらい国保財政に影響があるかということについて考えてみますと、保険料はね返り分が約五十六億でございます。その辺のところの数字についても、御勘案をいただきたいと思います。

田邊誠日本社会党

○田邊(誠)委員 今のその御答弁だけでは、実際全国的な趨勢にこたえる手当にならぬということは、私が申し上げた通りなんでありますが、私がこの論議を発展させると時間をとりますから、あらためてこの問題に対して、精密な把握をされた状態をお聞きしたいと思うのです。だんだんそういった所得の少ない層の有病率というものも少なくなっているかもしれないけれども、実際にはそれに対するところの手当をする機関というものは、決して拡充されていない。こういう状態というものが地方には現われてきておるわけですから、この点は、一つ局長もよくお考えいただきたいと思います。  最後に、実は昨年質問をしようと思ったのですが、大臣おられるので恐縮ですけれども、全然違うことなんですが、一問だけ伺わせていただきます。いわゆるらいですね。これはだんだん少なくなってきておりますが、これの療養所の問題が非常に多いのであります。国立ハンゼン氏病の療養所の医者が少ない。医者が行かないので、定員よりもいつも少ない。それから実際には、患者がお互いに看護をしておるのであります。そんなことはあり得べからざることでありますが、実際にはそうやっておる。幸いにして、生活補導員という形で定員化された。定員化されたけれども、これは特別重不自由者、重不自由者に対しては二分の一、中不自由者に対しては四分の一、軽不自由者に対しては八分の一ということであります。私どものところにもそういうのがあすますが、これだけでは非常に不十分でありまして、非常に取り残されている。これはだんだんわれわれは絶滅しなければいかぬのだけれども、療養所に対する手当がそろそろ忘れられてきているのじゃないか、こういう気がするのであります。でありますから、特別な僻地の手当なり、お医者に対するところの待遇なり、これらも必要でありましょうし、それから補導員に対する定員の増も必要でありますから、いつの日にか一挙にこれに対して充実をするところの手当をしていただいて、せっかく絶滅の方向にあるこの病気に厚生省も十分な手当をしていただきたい、こう考えますけれども、大臣でもけっこうでありますし、補足して局長でもけっこうでありますから、これに対する御意見を最後に承りたい。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 らいの問題につきましては、おかげさまでだんだんと施策も進んで参ったと思うのでありますけれども、私、ただいま開いておりますところでは、お医者さんを得るのに非常に苦労をするというようなことを言っておりますし、また、地方の援護指導員と申しますか、そういうふうな人たちに対しましても、御指摘のような問題もあるわけでありますので、これは私といたしましても十分検討さしていただきたいと思います。  なお、詳細は一つ政府委員から…。

川上六馬厚生技官(医務局長)

○川上政府委員 らいの職員については、今お話がございましたように、一番不足して困っているのは医者でございまして、現在は定員に対して七三%の充足率でございます。そういう状態でありますので、この充足値一番困難を感じておりまして、待遇の改善につきましても、もっとやらなければならぬと考えております。現在では調整号俸で一般の医者よりは相当よくなっておると思います。  それからつき添いの職員でありますが、患者に年じゅうつき添わせておったのをだんだん専任の療養所職員に切りかえておるわけですけれども、三十五年度から毎年五十名ずつ充足しておりまして、明年度もそういう予算を要求いたしております。これもやはり急いでやっていただかなければならぬと思っておりますが、決してわれわれは置き忘れておるわけではございません。  明年度におきましては、患者の慰安金を、従来五百円だったものを七百五十円に五割上げました。それから不自由者の慰安金につきましては、二倍にいたしまして五百円、それから作業賞与金、身体障害者に対する補装具、食糧費というものにつきましても、相当上げておるわけであります。  医者の不足につきましては、特に最近は、整形とか眼科とかいうような専門医をもって治療していく面がふえたものでありますから、そういうようなものをよその方から施設に回して、不足を補っておるわけであります。今後とも極力努力いたしまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。

田邊誠日本社会党

○田邊(誠)委員 これは一つ資料を出して下さい。医者の定員、看護婦の定員、生活補導員の定員、それに対するところの給与、それから医者、看護婦、補導員の現在員ですね。これは非常に少ない。それから平均の勤続年数ですね。これはもうどんどんやめております。そういったことですから、これは十分な手当にならぬと私は思っておりますので、一段の御努力を願う意味で資料提出を要求しておきます。  さっきから大臣にいろいろとお聞きしましたけれども、実は非常に不満足でありまして、われわれは、この数字を実はもう少しこまかくお話ししますと、大臣、もう少し御認識いただけると思っておるのですが、今まで私がお話しした数字でも、これは政府の言われておる数字で、実は非常に不満足なんです。われわれがさらに高い視野に立ってもう少し質問をすれば、いろいろな面で矛盾が出てくるのでありまして、そういう点で、あらためて社会局長にこまかい数字に照らしてお聞きする機会があると思いますから、それらを含めて、この生活保護あるいは社会保障の問題について、現在の不満足な状態をさらに一段と改善される方法を特に要望いたします。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 本日は、これにて散会をいたします。    午後零時二十三分散会

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