外務委員会 第30号
- 発言数
- 114 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1962/05/25
会議録
○森下委員長 これより会議を開きます。 国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。穗積七郎君。
○穗積委員 今度のアメリカのタイへの出兵は、五十八年のレバノン出兵以来の問題で、われわれとしては、非常に重要性があるのみならず、その出兵が不当であり、かつ危険きわまるものであるというふうに心配しておるわけです。 そこで、時間がありませんから簡潔にお尋ねいたしますが、まず最初に、今度の出兵にあたって事前にアメリカ側から日本政府に対して何らかの通報があったかとうか、その事実を明らかにしていただきたいと思います。
○小坂国務大臣 最初に申し上げておきますが、今回、ラオスのナムタが陥落いたしまして以来、タイの国境地点で問題が起きるようなことになればこれは非常に大へんなことでございますので、アメリカ側としてはタイの要請に基づいて兵力の移動を行なった。このことは、御承知のように、結果的には非常によかったのでありまして、今三殿下の間でもラオス側で話をしようということになりまして、プーマ殿下も急ぎ帰国する、こういう情勢になっておりまして、私は穂積さんとはその点に対する認識は異にいたしておるということをまずお断わりいたしておきます。 それから、日本に対しまして今回の兵力移動について事前に話があったかということでございますが、これは藤枝長官の方からお話しを願った方がよろしいと思います。
○藤枝国務大臣 今回タイに対するアメリカの第七艦隊の出動命令等がございましたが、これに関連いたしまして在日米軍には特に特殊な動きはございません。従いまして、通告は事前に受けておりません。
○穗積委員 関連して外務省にお尋ねしますが、アメリカ側の一部の発表によりますと、ハリマン国務次官補を通じて朝海大使に事前に通報があった、それから、あるいはオドンネル司令官からライシャワーを通じて日本政府に事前の通報をして承諾を得たというような報道が行なわれておりますが、これは全く事実無根でございますか。
○小坂国務大臣 それは事実が少し相違しておるのでありまして、朝海大使はこの問題についてハリマン国務次官補に当方から面会を求めて、そして話を聞きました。オドンネル司令官からアメリカ大使館を通じて当方に事前の連絡があったということはございませんで、その後にそういう連絡がありました。確かに手続その他について先方もいろいろ恐縮をしておるようでございます。事実はさようなことでありま下す。
○穗積委員 これは、一昨年の新安保審議のときに、新安保の最大の一つのメリットというものは、向こうから無断単独で行動を起こさない、のみならず、昨年のケネディ・池田会談におきましても、アジア地域における問題については日本との間に友好かつ対等の立場ですべてを話し、すべてを納得の上でやりたい、こういうことを政府は一昨年から昨年にわたって国民に非常に宣伝をして、そして、在日米軍の行動というものは、日本の意思を無視して、意思に、反して行なわれることはない、一方的に行なわれることはない、そして、同時に、これに対する日本の意思が、規制が加わるのだ、あるいは外交における自主性が非常に強まっておるのだ、こういうことを盛んに宣伝されましたけれども、今の事態を見ますと、この重大な出兵の政策というものが事前に何ら通報がない、相談もないということは、これは実に驚くべきことで、相変わらず、友好対等ということは全く国民に対する池田内閣のひとりよがりの、何と言いますか、悪く言えば一方的な宣伝にすぎないのであって、実際のアメリカ政府と日本政府との関係は従前に倍して従属的性格を強めておる、無視されておる、こういうふうにわれわれとしては印象を受けざるを得ないのです。はなはだどうもけしからぬことで、それに対して唯々諾々としてこの出兵をジャスティファイし弁護するかのごとき態度をもって事前に国民に放送されるということは、私は、はなはだ問題を歪曲し、日本の安全を危険ならしめるものだと思うのです。そういう意味で重大な警告を発しておきたいと思う。 そこで、そういう経過でありますならば、それで先へ進んでさらに重大な問題についてお尋ねをいたしたいと思うのです。 今度の出兵の真相は、私は、ここで申し上げて、事実を、政府がとっておる情報を伺う必要があると思うのですが、時間がありませんから、その重大性はお互いにわかっている、経過もわかっていると思うので、従って、今度の出兵は、単なる配置の転換とか移動とかそういう問題ではなくて、ラオスとの間に国際的な紛争が起きることを予定し、それに対して武力をもって対処する、こういうことですから、初めから戦闘の可能性というものをアメリカは考えた上で出兵をしている。まだ戦闘状態は始まっておりませんけれども、いわば宣戦布告なき戦争状態ですね、そういう全体の状態の中で出兵されておるわけですから、従って、安保条約の政府側の宣伝による第一の日本側に対する自主性の確保、利益のためという事前協議にこれは当然指定さるべき問題であるし、私どもの意見としては、その事前協議があるのがあたりまえであるけれども、ない場合は、要求してこの内容を明らかにして、これを拒否すべきだと思うのですが、まず、その前に、事前協議の対象に当然なるべきものだとわれわれは考えますが、それに対して政府はなぜこの点を日本の安全と自主性のために主張されないのか、はなはだわれわれは理解に苦しむわけですが、外務大臣の御所感を伺いたいと思います。
○小坂国務大臣 まず最初に申し上げておきたいと思いますが、政府は、アジアの情勢についてアメリカとの間に常に緊密な話し合いをいたしております。また、アメリカもアジアの情勢についての日本の意見というものを非常に傾聴しておるのであります。 ラオスについては、これは中立政権を作るという方向でこの問題を収束するのがよろしいということでわれわれも考え、アメリカ側においてもその方向でやっておることは御承知の通りであります。すなわち、最近は、ブンウム政権に対しまして経済援助を停止しまして、早く三殿下会議に建設的な方向でもってまとめるように努力しろと言っていることは御承知の通りであります。しかしながら、今回のナムタの陥落を来たしたのは、これは、北の側から、パテト・ラオの方からこれに対して攻撃を加えた、そのことによってタイの国境が危険になるということで、防衛的にアメリカがタイの派兵要求に応じて兵隊を出しておる、こういう事情であるということをまずはっきりとわかっておいていただきたいと思うのであります。アメリカはこのラオス国境を越えて進攻するという意図はないということを明らかにいたしておることも御承知の通りであります。従って、先ほど言ったように、この派兵の結果、事態が平静化して、三派の会議も持たれるという状況になっていることでありまして、これは、あなたの言われることとは事実は違うと私は思っております。 そこで、お尋ねの、この安保条約の事前協議の問題でございますが、これは、この委員会でも何回か出ましたように、三項目について行なわれるのであります。 すなわち、まず第一は、日本国への配置における重要な変更であります。これは、日本への配置のみを意味しまして、日本国から外国への移動は含まれないということは、すでに十分説明されておる通りであります。そこで、重要な変更とは何かということでありますが、従来、防衛庁は、国会におきまして、陸、空軍についてはそれぞれ一個師以上、海軍については一機動部隊以上の程度のものを意味するということを説明いたしております。(穗積委員「外務大臣、そんなことを聞いているのじゃない」と呼ぶ) 第二は、装備における重要な変更ということでありますが、この内容もおわかりの通りであります。 それから、第三に、日本国から行なわれる戦闘作戦行動、これのための基地としての日本国内の施設及び区域の使用でありますが、この行動は兵站基地としての使用を含みませんで、また、日本からの移動、または沖繩または外国へ移動した後この地を戦闘作戦行動の基地として使用する場合も含まれない、こういうことを申しておることは、もうすでに御承知の通りでございます。 それで、日本がなぜ今度の問題について安保条約の事前協議の条項を適用しないかということでありますので、今御説明申し上げたのでございますが、この安保条約の条約上の解釈といたしまして、事前協議を要する事項というものは以上の三点になっているということを御説明する次第でございます。
○穗積委員 きょうは、あと質問者があって時間がありませんので、私は、あなたのそのばかばかしい御説明を伺って時間をとりたくないのです。(「ばかばかしいとは何だ」と呼び、その他発言する者あり) それで、第六条の事前協議の問題なんというのは、あなたの講義を受けなくたってわれわれは知っていますよ。私の聞いているのは、その場合に、今度の出兵が戦闘作戦行動に発展する可能性が十分予見される。その行動に対して事前協議の対象とすべきである。だから、そこで、日本としてはその出兵の危険性というものを判断して自主的な態度をとるべきであったにかかわらず、それをとらないというのが間違っておるじゃないかということですから、その第六条並びに交換公文の条約上の解釈をたらたらと伺うのが私の質問の要旨ではありません。ですから、今度のことは、まだ戦闘状態にはなっていませんけれども、先ほど申しましたように、ラオスとの間に戦闘があり得るという予定を立てて、そこで、名目はどうあろうと、戦闘を予定した出兵であることは明瞭ですね。今のお話でもそうだ。のみならず、この出兵後のアメリカ側のたとえばニューヨーク・タイムスの論説なんか見ましても、今度の出兵によってこの地域において全面戦争になる可能性があるんだということを発表している。のみならず、ケネディの昨年来の政策というものは、アジアにおける限定戦争あるいはゲリラ戦争の可能性というものを十分強調しておるわけですね。そういう背景の中で今度の対ラオスのための出兵ということは、それは戦闘に発展する可能性というものは十分ある。のみならず、戦いというものは、相互関係ですから、アメリカはそういうふうに戦闘のつもりではないということを説明をいたしましても、事と事態によっては、今の発展する可能性というものはあるわけです。ないとは保証できない。それを、この際、日本の平和と自主性を守るためには、第六条並びに交換公文の事前協議条項というものは、なるべくその精神、あなた方の方の言う友好対等の精神に従って広く解釈し、日本の平和と自主性を守るために有利な発言を日本政府がすべきであるにかかわらず、しないこの不当な処置がいかにも当然であるかのごとく、アメリカにかわって日本国民に説得するような態度というのは、われわれははなはだしく心外に思うわけです。その点を聞いているのです。戦闘作戦行動に発展する可能性のある出兵についてなぜ事前協議に指定しないか、これです。
○森下委員長 ちょっと待って下さい。 ちょっと御注意申し上げます。今穗積委員の政府に対する質問の中で不穏当と思われることがございましたので、この点どうぞ御注意を願います。また、政府の方におきましても、きょうは時間がないのでございますから、きわめて簡単に要領よくお答え願うようにお願いいたします。
○小坂国務大臣 委員長の御注意はつつしんで承りまするが、質問の方が、もう一つの固定観念をきめて、そうして御質問になっておりますから、その御観念に対して、私の方は、それは違いますということを申し上げて御答弁をしなければならぬ、かように考えておる次第でございます。 そこで、先ほどから申し上げておるように、今度のタイへのアメリカの派兵は、日本におりまする兵力を移動しておりませんことは、たびたび申し上げておる通りであります。従って、私どもは、この問題をことさらに日本に関係のあるものとしてお取り上げになることには反対でございます。しかも、軍がなぜ出たか。それは、戦闘作戦行動を共産側が起こしておって、それを放置しておけばそれが大規模になってしまうから、これを防ぐために出たというのでございまして、軍が出たら戦闘が予定される、これは、もう軍というものの性質からして、相手側が攻撃してくればそこに戦闘が行なわれるわけでございますが、アメリカ側は、自分の方から攻撃はしない、こういう立場で、守るために出ておるのでございます。私は、世界平和の維持のためにこの行動はよろしいと思っております。
○穗積委員 それでは、お尋ねいたしますが、戦闘作戦行動であるかないかということの認定は一体だれがするのですか。外務省はどうお考えになっておられますか。
○小坂国務大臣 今の場合日本がどう思うかということでございますから、日本がそういう判断をするわけでございます。
○穗積委員 そうすると、相互にあるという意味で解釈していいのですね。
○小坂国務大臣 その解釈は、それぞれの場において行なわれてよろしいと思います。それは、たとえば私と穂積さんがこうやって話をして、穂積さんの御解釈は穂積さんにある、私の解釈は私にある。ただ、日本として、政府としてどう考えるかということでありますれば、これは日本の解釈というものは政府の解釈ということになるわけであります。
○穗積委員 私の質問した趣旨はこういうことです。戦闘作戦行動の範囲はどういうことを意味するかということについて、アメリカが一方的に今度の出兵はこうだからと言って、まことに事実に反する宣伝をして、それによって事前協議の必要はないというような一方的な押しつけに対して、日本側もそれを唯々諾々としておるということであるならば、一体、あなた方が国民に安心しろ安心しろといって宣伝されました事前協議事項なりあるいは四条による協議事項というものは空文化するじゃありませんか。全く意味ないですよ。ここで出兵をして、そうして、アメリカの説明によりまして、沖繩なり台湾なりフィリピンなりにタッチ・ダウンして飛び石で出て行った、あるいはまた、偵察機と輸送機であるからこれは直接戦闘に関係がないとか、そういうことをイクスキューズとし、弁解とし、言いのがれとして、そうして事前協議の対象にならないなんというばかばかしい説明に対して、解釈に対して、われわれが一方的にこれに屈しておるということは、まことに誤りだと思うのです。 そこで、藤枝防衛庁長官にお尋ねいたしますが、新聞の報ずるところによると、あなたは小坂さんよりは自主性をややお持ちになって、しかもアメリカのアジアにおける戦略体系なりその情勢というものを認識しておられたとわれわれは思う。だからこそ、あなたは、新聞報道によると、六条による事前協議の開始要求は多少ちゅうちょされたようだが、第四条による随時協議の対象にはすべきだ、そういうことで日米安保協議委員会の開催を御提案になったということが報道されております。これは当然なことだと思います。そういうことについてのあなたの認識はアメリカに追随する外務省によってこれがついに押えられておるというふうに報道されておりますが、防衛上あるいは戦争か平和かのキー・ポイントに立っているあなたの国民に対する責任ある立場から、この間のあなたの率直なる御感想をこの際伺っておきたいと思います。
○藤枝国務大臣 今回のタイに対する出動命令等に関連いたしまして、安保協議委員会を開催するということにつきましては、私はその必要はないという観点で外務大臣と変わりはございません。ただ、安保協議委員会は御承知のように一昨年開かれた以後開かれておりませんし、それから、関係者も交代をいたしておることでございますから、適当な機会にこの協議委員会を開くのがよかろうということで、よりより外務省と御相談をいたしておる次第でございます。
○穗積委員 今まで、はなはだ短い時間でまだ不十分ですけれども、伺いましたところで、交換公文の事前協議あるいはまた第四条の随時協議なんというものは、これは、政府の宣伝に反して、全く骨抜きというか、しり抜けになっているというか、条約としては空文と言わざるを得ない。今度の問題に対する事態は、ニューヨーク・タイムスですら指摘しておるように、われわれの見るところでは、単なる、アメリカが説明しておるような、ラオスの進駐の心配があるというようなことで、ただタイの領土の保全のためにというような、そんななまやさしい国際環境の中で行なわれている事件ではないのです。非常に重要な、ノサバンと結んだアメリカの軍部の挑発的な危険も非常にからんでおる。それに対して、事前協議条項に推定もできない、あるいはまた随時協議の対象にもこれを正式に取り上げて拒否権についてわれわれが自由を確保するということすら行なえないということになると、これでは、今後日本は全く安保条約によりまして、われわれが指摘したように、日本の安全を守るどころか、日本の安全に関係のないアジア諸地域における紛争に巻き込まれて、アメリカとの無理心中条約だと言わざるを得ないと思うのです。 その点に対してわれわれははなはだ遺憾でございますが、時間がないという御催促ですから、最後に一問だけしておきたいと思うのですが、この問題に関連をして、事前協議の対象にする必要がないという一つの口実のために、タイ並びにラオスは極東の範囲ではないということを外務大臣は発表されている。極東の範囲については、この前の安保審議のときにも、フィリピン以北云々ということで、非常にあいまいな態度をとられたわけです。そこで、今までは、極東の範囲というものについては、SEATOなりNEATOへの心配があるというので、あまり広くはないんだというような印象を与えようとしており、一方においては、それ以外のところで問題が起きた場合にも出動の可能性があるというようなあいまいな態度でありましたが、この間あなたは、前橋かどこかで、この事前協議の問題と関連をして、タイ並びにラオスが極東の範囲に入るか入らぬかということを言っておられますが、この際確定的な御意見を明らかにしておいていただきたいと思います。
○小坂国務大臣 実はここに速記録を持ってきております。三月一日の当委員会において、あなたと同じ政党の森島さんから、ラオスは極東の範囲内に入れては工合が悪いことではないか、そういう趣旨の御発言があったのであります。従って、あなたから今ラオスは極東の範囲内に入れて事前協議の対象にすべきであるという御発言があったことは、私ははなはだ奇異に存じます。 そこで、安保条約の解釈に伴う極東の観念、こういうことでございますが、これは政府の統一解釈が昭和三十五年二月二十六日に岸総理からお話がございました。これは時間の関係で省略して申し上げますが、この極東における平和と安全という中で極東とは何かということです。これは、「区域としては、大体においてフィリピン以北並びに日本及びその周辺の地域であって、韓国及び中華民国の支配下にある地域もこれに含まれるということであります。」云々、こう言われております。しかし、極東という概念は地理学的に明確にすることは非常にむずかしい問題でございますが、安保条約の基本的な観念としては今申し上げたように考えておりますが、「この区域に対して武力攻撃が行なわれ、あるいはこの区域の安全が、周辺地域に起こった事態のため脅威されるような場合、米国がこれに対処するためとる行動の範囲は、その攻撃または脅威の性質いかんにかかる次第でありまして、必ずしもこの区域に局限されるわけではない」というのが政府の統一見解となっておるのであります。 今度の場合は、私の考え方を申し上げますと、なぜ安保協議委員会を開かぬかというようなお話もございましたが、こういう事態が起きておるときに安保協議委員会を開くということになりますと、かえって日本がこの問題について非常に介入していくような印象を与えるではないか。当然あなた方はそうおっしゃると思うのであります。そういうことに深入りせぬためには、この際安保協議委員会を開くことは適当でないんじゃないか。しかも今回の事態は日本の兵力の移動が行なわれておるわけではない。従って、今事態が平静化に向かっておる際にこの問題をことさらに取り上げて問題にするということは、安保条約そのものに対しての反対の態度からでは一つの御議論かと思いますけれども、安保条約というものがすでに国民の意思によって認められておる今日、この運用を適切にするという考え方からすれば、今日の事態で安保条約の問題を適用範囲云々でこの極東の範囲という点について議論することは適当でない、私はかように思っております。
○穗積委員 極東の範囲の問題は非常に重要でございます。何となれば、第六条の米軍の日本駐留権というものは、日本の安全並びに極東の平和、安全に限定されておる。それにかかわらず、極東の範囲外に対してその国の領土保全のために出兵するということは安保条約違反ですよ。よそから行くならば勝手だ。まあ自由があるだろう。しかしながら、日本駐留軍が極東範囲外の地域に出て、極東範囲外の、領土保全のために出兵するということは、事前協議事項どころか、その行為自身が、協議なんぞの余地のない、全然安保条約違反なんです。これでは資格がないのです。そういう条約違反のことをやるということになれば、事前協議でその行動を拒否するだけでなく、駐留そのものを拒否すべきだと思うのです。のみならず、われわれの解釈によれば、今度の出兵は明らかに国連憲章第二条四項の精神に違反するものだと思うのです。タイの領土を保全するために武力による威嚇を加えて、ラオス、ベトナムあるいは中国に脅威を与えるということは、第二条第四項の禁止するところです。その行動、そういう安保条約に違反して極東の範囲外に出兵し、さらに国連憲章に反する、こういうこと、ですから、私の言うのは、事前協議の対象どころか、事前協議の問題にならない、駐留権そのものが違反を犯しておる、私はこういう趣旨で伺っておるのです。あなたはでたらめなことを、言いがかり的なことをおっしゃっては困りますよ。明らかにしておいていただきたい。従って、われわれとしては、この条約は、あとでわれわれの同僚委員からも続いてお尋ねしますが、安全保障でも何でもない。そういう意味で、これで終わりますけれども、両方の大臣からお答えをいただきたい。でたらめです。そんなことをわれわれは言ってない。
○藤枝国務大臣 事実だけを申し上げます。今回のタイに対する出動命令、第七艦隊に対する出動命令等に関連いたしまして、日本から面接行ったような印象で御質問でございますが、三沢にありまする四十五部隊のエレメントと言っておりますが、これは軍用語で、非常に少数な数機以下でございますが、これが昨年来東南アジアに参りまして、そちらで任務に服し、また向こうにあります司令官の指揮下に入っておりましたものが、今回タイに移動をいたしたということでございます。また、輸送機その他につきましては、日本にあります輸送機等が極東の輸送その他に当たっております。そのものの、これまた少数な数機が東南アジアに参りましたものがタイに参ったということでございまして、日本を基地といたしまして、日本の提供いたしました施設・区域を基地といたしまして今回の行動が行なわれたのではないことだけは申し上げておきます。
○小坂国務大臣 一言事実を申し上げますと、タイへの兵力の移動というものは、国連憲章五十一条による集団安全保障の規定に基づくものであります。
○穗積委員 時間がはなはだ不十分で、事実に反して、飛び石で出たから日本から出たのではないなどというでたらめな、アメリカを弁護して日本の安全に責任を持たないような御発言でございますけれども、時間がありませんから、私は次の機会に留保して質問を終わります。
○森下委員長 戸叶里子君。
○戸叶委員 今回のタイへの在日米空軍の出兵というものは、非常に国民に不安を起こしておりますし、また、アメリカと日本との関係の不手ぎわというものを私は暴露したものであると思うのでございます。今穗積委員の質問を伺っておりますと、政府は、今回の在日空軍の出動に対しまして、法的に事前協議の対象にはならない、こういうことで割り切っておられるようでございますけれども、これはそう簡単に割り切れる問題ではないと私は思います。法的に見ましても、どうしても四条の協議事項に触れるのではないかということを考えるわけでございますが、まず、安保条約の四条の協議の場合には二つの点が考えられると思います。その一つは、極東の安全と平和に脅威があったとき、つまり、その付近に在日米軍が出ていった場合と、もう一つの場合は、空軍の出動が場合によっては戦闘地域へ行くような場合があるような場合には日本にも非常に関係がある、こういうふうな二つの場合が考えられるわけでございますけれども、今回のタイへの出動がそのどちらにも当たらないというふうにお考えになるのかどうか、この点を伺いたいと思います。
○小坂国務大臣 タイあるいはラオスの情勢等については、絶えず外交チャンネルを通して話をいたしております。
○戸叶委員 私が今伺いましたのは、四条に言っている協議の内容に今回の出動が当たっていないかどうかということを伺っているわけでございます。その点が一つと、それから、もう一つは、今外務大臣は、外交交渉で絶えずいろいろなことはわかっているとおっしゃったのですが、今回の出動について、わかっていないから問題が起きているんじゃないですか。
○小坂国務大臣 第四条によって安保協議委員会を開くような情勢にはなっていない、こういうことをお答えいたします。
○戸叶委員 第四条によって安保協議委員会を開くような情勢になっていないというならば、今度の在日米空軍がタイに出ていったということは、日本に対しての脅威でもなければ、極東の何らかの不安なり、それから平和を脅かすものではない、そういう状態で在日米空軍が出ていったのですか。それじゃどういう形で出ていったのでしょうか。
○小坂国務大臣 さっきから申し上げておるように、また、藤枝長官も言われまするように、日本からは直接行っていないのであります。その根本をはっきりしておきたいと思います。 それから、これは防衛庁長官からお答えいただきますが、昨年の秋ごろにフィリピンに行っておったものが行った、こういうことになっております。 それから、この問題については、ラオスにおいて三殿下会議が催されておったわけです。ジュネーブの国際監視委員会の勧告もありまして、この問題の平和的な話し合いが行なわれ、みなそれを期待しておったわけです。ところが、突如ナムタが陥落して、兵隊が国境を越えてタイの方に行った。すなわち、こういう問題を放置しておけば、タイ側も非常に危機にさらされる、こういうことでございまするからこの派兵の問題が起きたのであって、こういうことは、むしろ極東の安全と平和のために、——極東ではございません、その地域の安全と平和のために行なわれたものである、こういうふうにわれわれは認識しておるということを先ほどから申し上げておるのであります。
○戸叶委員 直接今度何も出ていないということをおっしゃるわけですけれども、それでは、この間のアメリカ側からの発表によりますと、たとえば、第五空軍から偵察中隊の一部が昨年から東南アジアに勤務しているとか、三沢基地所属の部隊が出たとか、こういうふうなことが発表されたのでございますけれども、日本からそういうふうな偵察機などが出ていく場合に、私は、当然日本としてはアメリカとの間に話し合いがなされてしかるべきではないか、今になって初めてああそういうこともあったのですかということで済まされるべき問題ではないと思うのですけれども、これはいかがでございますか。
○藤枝国務大臣 申し上げるまでもなく、日本の施設・区域を提供いたしておりまする米軍は、日本の安全並びに極東の安全平和を維持するものでございます。従いまして、その一部が極東の他の地域に参りますことは、これはあると思います。そして、それが、先ほど申しましたように、三沢の四十五部隊のうちの非常に少数な数機以下が出て参っておりまして、他の地域の指揮官の指揮のもとに入っておる、それが今回移動したということでございます。
○戸叶委員 少数の数機が出ていったとか、多数出ていったとかいう問題ではないと思うのです。日本を基地としている米空軍が、たとえば極東におけるラオスならラオスというところに紛争があった場合に、その作戦行動の中に入らないにしても、入るかもしれないような状態のところまで行っている、それにもかかわらず、日本はそういうことを知らないでいるということが一体許されるかどうかということが私は問題だと思うのです。 そこで、安保条約の審議のときにも、赤城防衛庁長官は、日本とアメリカは常に極東の平和と安全のために協議している、また、岸総理大臣も、四条で常時協議をする、こういうことを言っております。ところが、ほとんど協議をしていないから、今回のように防衛庁なども知らない間に出ていくというようなことが起こったのだと思うのですが、この点はどうでございますか。
○藤枝国務大臣 先ほども申し上げましたように、日本の施設・区域を提供いたしておりまする米軍は、日本の安全並びに極東の平和と安全の維持のための任務を持っております。従いまして、それが極東の他の地域に参りますことは、これは当然起こるわけでございます。しかしながら、これらの動きにつきましても、一々、一機二機が行きますることに事前に協議をするというようなことはいたしませんけれども、動きにつきましては常に十分連絡をとっておるわけでございます。
○戸叶委員 動きについて絶えず連絡をしているということであるならば、この間アメリカ側から発表されて、藤枝長官が知らなかったということでまた間に合わせてはっきりしたというような事件は起こらないと思うのです。そういうふうなことが起きてきたというのは、絶えず協議をして連絡をとっていないから、そういういきさつがついこの間起きたじゃありませんか。それをどういうふうに私たちは解釈していいのでしょうか。
○藤枝国務大臣 事実はただいま申し上げたようなことでございます。そして、アメリカにおいて発表されましたものが、その訳文その他の関係からいたしまして、何か三沢におります飛行機が日本から飛び立ったような印象を与えるような点がありましたので、それについて問い合わせをいたしたわけでございまして、判明した結果はただいま申し上げた通りでございます。
○戸叶委員 そうしますと、これからも問題が起きることでございますが、そういうふうに日本にいる在日米空軍が極東のどこかに紛争があったような場合に出動する場合には、連絡がなければそのままで済ましてもいいというものでございましょうか。それとも、それははっきりさせるべきであるということを今度開かれる日米合同の協議委員会においてさせるべきであると思いますが、この点はどうでございますか。
○藤枝国務大臣 先ほど来申し上げましたように、今回のこの問題に関連いたしまして三沢の基地を使って出ていったわけではございませんし、また、昨年来参りましたのも、そういう紛争に対処する目的をもって出ていったものでないということを申し上げたいと思います。
○戸叶委員 それでは、伺いますけれども、十三日に御殿場の東富士の演習場の米第三海兵隊員が百人ぐらい沼津市の今沢海岸から引き揚げて沖繩に帰り、十四日にも千人ぐらい沖繩へ移動した、こういうふうなことが言われております。それからまた、府中の第五空軍のサンダーチーフ・ジェット戦闘機一個連隊が沖繩に配置されたというようなことが言われておりますけれども、これがおそらくは第七艦隊なりあるいはまたタイへの出動関連があると思うのですが、この点はどうでございますか。
○藤枝国務大臣 富士演習場で演習をいたしております海兵隊は、御承知のように、沖繩から来てあそこで演習をしたものでございます。それが沖繩へ引き揚げたわけでございます。それから、何か府中の飛行部隊が移動したようなお話でございますが、そういう事実はございません。
○戸叶委員 そうしますと、それはみな沖繩にとどまっているというふうにはっきりしているわけでございますね。
○藤枝国務大臣 沖繩に、配置されております部隊がどこにどうなっておりますかは、私どもの関知するところではございません。
○戸叶委員 これは安保条約の審議にあたりましても非常に重要な問題としてここで討議されたことは私も覚えております。たとえば、在日米軍が沖繩なりあるはいほかの地域に寄って、そして紛争のまっただ中に行っても、それは事前協議の対象にならない、こういうふうなことをたびたびおっしゃいまして、私どもも非常に心配をしていたことでございますが、今回もその心配がそのまま事実となって現われてきているということを私は非常に残念に思います。そこで、私はこの際国民としてぜひお願いをしたいと思いますことは、沖繩はだれが考えても日本の領土であり、日本の国民なんです。ですから、ここを飛び石なりトンネルという形に使うということはこの際やめてもらうようにぜひ交渉していただきたい。ちょうどケネディ政権との新しい形においての日本とアメリカとの間の話し合いがなされるようでございますが、この間の新聞発表を見ますと、アメリカの下院におきましては、潜在主権というものの定義を、今まで日本の政府が考えていたのとまるで違った形で、まことに心配な方向に持っていこうとしているわけでございますが、そういう問題についても強くお話しになると同時に、やはり、沖繩を中継地区として、飛び石地区として利用して、どんなアメリカの軍隊もここを飛び石にすればどこへでも出ていかれるというようなことがないように、この際十分にアメリカと話し合うべきではないか。今回の問題を機にして、ちょうどいい時期だと思いますが、この点について外務大臣はいかがお考えになりますか。
○小坂国務大臣 根本的な認識として、日本は全く何もしないでおって完全に安全が保たれるような世界情勢であるかどうか、こういう点に問題があると思います。私どもは、今日平和に非常な熱意を込めて各民族が話し合っておりますけれども、現実の問題としては、まだよしあしは別として東西の均衡というものは力の上に立っておる、こういう事実を認めざるを得ないのであります。従って、完全に防備体制というものが要らないなら別でございますが、今日の極東情勢を見ますと、やはり防衛体制は必要である。しからば日本だけでもってその防衛をやることができるかといいますと、今日の日本の状態から言えば、それはだめである。できない。従って、日米安全保障条約は必要である。こういう考え方に立っておるのであります。その点についてはあなた方のお考えと違うのを遺憾とするのでありますが、そういう観点からいたしまして、やはり今日沖繩の防衛制体というものは必要である、日本のためにも必要である、かように思っております。
○戸叶委員 外務大臣、私が質問していることにお答え下さらないで、よけいなことばかりお答えになるので、時間をとるので私は困ると思うのでありますが、私が質問をいたしておりますことは、たとえば、在日米軍が日本を基地として出し、極東の紛争の中に入っていく場合に、日本との事前協議をしたくないというような場合には、沖繩にちょっと計るということで極東の紛争地域に出ていくような場合が許されるのであるというような状態では、非常に日本は不安であるから、どうかそういうことがないように、アメリカと話し合いをしてもらいたい。沖繩を通るというような場合にも、必ず日本との事前協議、強い事前協議を要求すべきではないかということを私は伺っているのですが、その点だけ、そうするかそうしたくないか、そのお答えだけを伺いたいと思います。
○小坂国務大臣 ですから、私は本質論を申し上げているので、沖繩の基地というものは今日の極東情勢から言って必要である、こう考えております。従って、その基地の価値を無にするようなことはできないと思います。
○戸叶委員 そこで、私は非常に問題があると思います。在日米空軍は沖繩にさえ得っていけばどこにでも出られるということになるので、日本の政府はそういう場合に非常につんぼさじきに置かれるということになるので、国民の不安はますますつのるであろうということを私は非常に心配いたします。 最後にもう一点伺いたいのは、先ほど極東の範囲の問題が出ました。極東の範囲につきましては、この委員会でもいろいろ議論された問題でございますが、極東の範囲というふうなことを限って、その地域以外に出るときには事前協議の対象になるとかならないとかいう問題ではないと思います。政府は、先ほども外務大臣がちょっとおっしゃいましたが、一応条約地域といって在日米空軍が出動する区域、その区域以外であっても、もしも極東の平和を脅かすようなときには、ほかの地域にも出動できるのだということをはっきりおっしゃった。そこで、どこに出動する場合にでも事前協議の対象にはなるのだということをこの委員会でおっしゃったと思います。従って、極東の範囲以外だから事前協議の対象になるとかならないとかいうことは当たらないと思うのですが、この点もう一度念のためにはっきりさせておきたいと思います。
○小坂国務大臣 戦闘作戦行動に出ます場合には、事態の推移によっていろいろな情勢があると思います。しかし、今日のタイの場合は、御承知のように、ほうっておけばこれは大へんなことになる。しかも、その動きはどっちから起きたかと言えば、共産側から起きているのであります。そのままにしておいていいかどうかという価値判断の問題で、私どもは、その行動がいい、また結果的にもよかった、こう思っておるのであります。
○戸叶委員 もうやりませんけれども、ただ、タイにアメリカの軍隊が行っているということは、いつ戦闘作戦行動に出なければならないかもしれない状態で行っているわけなんです。そういうふうなことに対して、政府が勝手に、それは出ていった方がいいのだからとおっしゃいますけれども、どんな状態が起きて戦闘作戦行動に出るかもしれない、そのときに間に合わないわけです。ですから、私どもはその点を心配しているわけでございまして、それだからこそ、アメリカとの間に事前に話し合いをすべきではないか、こういうことを言っているのでございますが、この点についてもう一度念のために外務大臣の御答弁を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○小坂国務大臣 これは一般的な情勢判断の問題でございまして、安保条約の法解釈上、日本からの戦闘作戦行動が日本の場合現実に大きな平和の問題になるという場合になれば、それはそのときの判断になろうと思います。
○森下委員長 松本七郎君。
○松本(七)委員 今回の問題は、今の質疑応答を聞いておりましても、安保条約審議のときの政府の答弁をいろいろ思い出させる、非常に問題が広範囲にわたって、もう一度考え直してみなければならぬことを痛感させられるのであります。しかし、きょうは時間がございませんから問題を限って少しお伺いしたいと思います。 今度の問題で、ワシントンの国防省が発表を行ないました後に、日本政府としては、何らの事前連絡がなかったということを不満にしたためでしょう、アメリカに抗議をしたということが報道されたわけでございますが、当時アメリカに対して抗議をしたその内容を明らかにしていただきたい。
○小坂国務大臣 抗議といいますか、どうもああいう大味な発表をされては困るじゃないか、こういうことを言ったわけでございます。事実は、先ほどから言っておりますように、何か四十五スコードロンの一エレメントが、フロム・ジャパン、日本から飛び立ったというような発表のように見えますので、これは当然日本の国内にいろいろな問題を起こす。しかし、よく事実を聞いてみますと、日本にかつておったものが昨年フィリピンに移動し、それがエレメントであって、今お話しのように、非常に少数機である。少数の偵察機が行ったということを、いかにも大部隊が日本から直接タイへ進駐したような印象を与える発表をされることは困る、やはり日本に関する部分についての発表は、日本の意見も聞いて発表してもらわなければ困る、ことに事実と違うことが日本において一つの既定観念になるのははなはだ遺憾であるということを申しました。
○松本(七)委員 そうすると、アメリカの国防省が発表したときには、先ほど藤枝防衛長官も言われた内容、政府の言われる少数エレメントが昨年の秋から行っておったものが動いたんだ、その内容についてはすでに御承知だった、その内容は知っておって、アメリカの政府の発表の仕方が間違った印象を与えそうだ、そういう間違った印象を与える発表をされたのでは困るという内容の抗議ですか。それとも、やはりこういう問題についても事前によく連絡してから発表してもらわなければ困るじゃないかという意味の抗議なんですか。その点をはっきりしてほしい。
○小坂国務大臣 やはり、アジアの問題については日本もいろいろ関心があり、しかも池田・ケネディ会談のフォロー・アップとして常に連絡をとっているはずなのに、こういうことを何の断わりなしに発表されることははなはだ迷惑だ、そういうことを申しました。
○松本(七)委員 そこで、そういうやり方じゃ困るじゃないかと言われたのに対して、アメリカが具体的なものを初めて明らかにした、これによって実は昨年秋から移動しておった一部のものが今度動いたんだということが初めて明確になった、こういうことですね。
○小坂国務大臣 こちらとしては、日本に現在おります在日米軍という言葉はないわけでございますが、日本におりますものが動いていない、こういうことは確認しておるわけです。ところが、発表ではいかにも日本から飛んだようになるので、おかしいじゃないかと言ってみたところが、これはフィリピンのものであるということがわかった。フィリピンのことについては、これは先方の移動でございますから、われわれもその後になって知らせられても仕方がない、仕方がないといいますか、当然であると思います。
○松本(七)委員 そこで、先ほど穂積さんからケネディ・池田会談のお話が出ましたけれども、とにかく、アジアにおいて何かとることあるべき政策や行動については一つこれからは事前によく日本に連絡しよう、こういうことがケネディと池田さんの中では約束されたんですね。当時日本政府が、そのケネディ・池田会談のあと、ベルリン問題に関してケネディが声明を出した、その声明を出す前に日本政府に連絡してくれたということを、非常にその成果であるがごとく発表しておったことが思い出されるのですが、ベルリンの問題については事前に連絡はあったにかかわらず、今度は、肝心のおひざ元の、しかもそれは昨年の秋からであって少数のものではあるにしても、いやしくも在日米軍に関連のあることについては何らの連絡もなかった。これはもうまぎれもない事実です。それが昨年秋からやっておることだし、それからごく少数だから何でもないのかどうか、そこには一つの大きな問題があるわけでございますけれども、その評価は別として、とにかくその連絡がなかったということは今回明らかになったわけです。 そこで、私は、この池田・ケネディ会談で申し合わされたことが一体どれだけの意味があるんだろうか、ここに疑いを持たざるを得ないのです。池田首相がケネディ大統領に、これから大いに連絡を密にしてやりましょうと、けっこう適当にあしらわれて、おせじも言われて、いい気持になって帰ってきたんじゃないか。あるいは、そうでなしに、事態はそう甘いものでないということを御承知でありながら、日本国民に対しては、あたかもすべてがこれから事前によく話し合いで相談してやられるんだ、国民に向かってごまかしをやったのか、私はどっちかだと思うのです。ちゃんと事態を知りながら、国民に向かってはすべてが相談でやられるというようなことを故意に思い込ませるような発表をされている。あるいはそれを知らずに真正直にケネディの言うことを信用しておられたとすれば、私は、ずいぶん事態の判断が甘いということを今度の事件で政府は十分知られたと思うのです。外務大臣としてはこの点どうでございますか。
○小坂国務大臣 実態はおっしゃるようなことでは実はないのであります。われわれ何も知らされずに、今後も知らぬでいるうちに日本が非常に危険な立場になるんじゃないか、こういう御質問のように承ったのですが、そうではないのでございまして、日本が現実に重大問題であるような場合には当然あるものと思いますし、また、十分連絡はしてきているわけでございます。常時外交チャンネルを通じ、また軍並びに防衛庁の間でも連絡はとられているわけでございますが、ただ、今回の場合は、発表がはなはだ唐突であり、しかもその内容について誤解を生ぜしめるような発表をされた。この点ははなはだ遺憾に思っているわけでございます。これもよく調査してみますと、今申し上げたようなくだんのごとき状態であるわけであります。この点は別におっしゃるようにえらく軽くあしらわれたというふうにもわれわれ思っておりません。しかし、いずれにしても、今後も十分よく連絡をとっていくように強く申し入れておりますし、今後はさような発表を含めたこういう問題はないと思います。
○松本(七)委員 今の外務大臣の御答弁を聞いていますと、何か発表の仕方だとか技術的な問題であるかのように聞こえるのですけれども、なるほど、今度のラオス事件をめぐるタイへの米軍の派遣、これをめぐった問題はあるいは落着するかもしれません。それほど危険な事態に発展しないで、あるいはいい方向に落着するかもしれない。しかしまた、危険な方向に発展する可能性も十分あるわけですけれども、かりにこれが無事に三派連合の政府ができて平和的な解決が結果としてはできたといたしましても、私は、このことと、それから在日米軍に関するいろいろなことが十分に日本に知らされないということは、これは別なことだと思う。今のこの事件が無事に心配したような方向にいかなかったからといって、今までのやり方が合理化されるものでは決してない。今の極東の情勢というものは、今後どのような事態が別なところでまた起こらないとも限らないのです。これは、南ベトナムの情勢を見ましても、やはり同じようなことが言える。従って、この機会に、私どもは、日本の国民が、あれだけ政府が日本の国の安全保障のために必要だったとこう言って、納得したかどうか、私どもに言わせれば、納得しないままに政府が強引にやったものだ、従って、これはやり方も不法であり、これは無効だという立場をとっておりますけれども、とにかく批准までできたこういう条約ですから、この機会にもう一度国民がなるほどこれならば政府の言う安保条約改定も日本の利益のためには必要だと、一部の人からぐらいは理解されるような運営の仕方が再検討されるべきだと思うのです。今日のような状態がこれから続いたのでは、もしより以上緊迫した事態に遭遇した場合には、私は大へんなことになると思うのです。 そこで、一つここで伺っておきたいのは、政府はしきりに自由陣営の完全な一員だということを外交政策の基調にされておることを強調されておるわけでございまするが、今度の米軍のタイ上陸というやり方そのものは、それでは政府は支持されるのですかどうでしょうか。
○小坂国務大臣 これは、現在ああいう状態がなぜ起きたかということになるわけでございますが、先ほどから申しておるように、共産側の停戦の話し合いを破っての攻撃ということから起きているわけです。その結果タイに何か問題が起きますと、これは非常な問題になります。そこで派兵が行なわれたわけですが、派兵の結果は非常にうまくいっているといいますか、三殿下会議も催される、こういうような情勢になってきておりますので、私は結果は非常にその点ではよかったというふうに思っております。
○松本(七)委員 それは、この問題の原因は、私どももいろいろ意見があります。それは外務大臣の言われるような状態ではないと思う。しかし、時間もありませんから、その原因がどうのこうのここで論争することは差し控えますけれども、先ほども、穂積さんの質問に対する答弁の中でも、外務大臣は、ラオスの三派の連合による中立政府のできることを望む、こういうことを言っておられるのですから、そうだとしますならば、このラオス自体の三派がどういうことを希望しているか、過去のことを今一々ここで原因についての論争をしようとは思いませんけれども、これから事態を平和的に解決するのにどのような態度を日本政府がとるのがいいかという点を考えてみますと、当事者であるラオスは、タイのアメリカ軍が撤退してもらうことが必要だと言っている。こういう気持は、これからだんだん私はラオスには強く出てくると思う。そういうものを無視して、ただアメリカ政府を支持するというような態度を日本政府がとるということは、これはきわめて軽率であるばかりではなしに、今後の日本がアジアの情勢いかんによっては非常な危険に巻き込まれるおそれがあると思うのですが、この点はどうですか。
○小坂国務大臣 外電の伝うるところで新聞に出ておりますのによりますと、パテト・ラオの方から、ラオスに対して内政干渉することは困ると言っているということがわが方の大使館で言われておりますが、新聞では、それを少し越えまして、タイの派兵ある限り三殿下会議は開くことは工合が悪い、こう言ったというふうに伝えられておりますが、事実は私が今申し上げたようなことであるようでございます。アメリカ側が、ブンウム、ノサバンの方に対しまして、早く三殿下の会議が実を結ぶようにしろというので、相当のプレッシャーといいますか、経済援助を打ち切るというような、暫時停止するというような、そういう措置もとっておるのでありまして、アメリカもソ連も、この問題については、一致して、三派連合内閣ができる、こういうことを希望いたしておるようでございますから、われわれももとよりその方向で希望しておることであり、その結実を見ることを非常に期待しておるわけであります。
○松本(七)委員 そうすると、日本政府としては、三派連合政府ができるために、それを早く成功させるためには、アメリカ軍がタイにいることがむしろ好ましい、こういうお考えですか。
○小坂国務大臣 事態を平静化するためにタイに派兵されたわけであります。しかし、その軍が越境してラオスへ行くということはアメリカもしないとこう言っておるのでありますから、その事態でできるだけ早く話がまとまるということを望みますし、話が平静化する見通しがつきますれば、軍の進駐、派兵というものも必要がなくなるということになろうと思っております。
○松本(七)委員 アメリカの言い分を聞いているんじゃないのです。アメリカの言い分はわかっているのです。ただ、日本政府としてはそれを是認されて支持されるのかどうか。われわれから考えれば、むしろ、ラオスの情勢からすれば、タイへの派遣軍というものはアメリカに帰ることの方が、この三派の連合政府というものを順調に育てる早道だと思うので、あなたは一体どちらをとられるかということを聞いているのです。アメリカの意向を聞いているんじゃない。それはもうわかっていますよ。しょっちゅう言っているんだから。
○小坂国務大臣 ですから、ラオスでああいう戦闘行動が起きてそれがタイの国境に非常に近くなり、これは危険だ、こういうことで、ほうっておけば今度は共産側とタイとの間のコンフリクトに発展する、それでアメリカが派兵した、こういう事態は、私どもそういうふうに思っております。これはアメリカが言っているんじゃない。私どもそう思っております。結果的にはそのことがいい方向になりつつあるんじゃないか、また、いい方になることを私どもは期待しておるわけであります。
○松本(七)委員 どうも、日本政府は、新聞の発表その他を見ても、今度の問題をなるべく小さい問題であるように印象づけるような説明がずいぶん多いので、かえって私どもはそれが心配になるのですが、きょうの答弁によっても、極東の範囲あるいは事前協議、すべてがそういうふうな態度がうかがわれるのです。私どもから言えば、やはり、今度の問題がどうなるかということも非常に大切ですけれども、全般的にペンタゴンが公式に発表する在日米軍の行動を政府が何も知らないということが、さっきも戸叶さんが言ったように、私は中心の問題だろうと思うのです。この条約上それじゃ事前協議の対象になるかどうかということも、さっき戸叶さんの指摘のように、なお十分これは検討しなければならない問題があると思います。これらを考えてみても、ちょうど安保条約審議のときに、事前協議の条項というものをあたかも鬼の首でも取ったように政府は国会を通じて説明して、もうこれさえあればすべてがうまくいくような説明だった。それが今度は現実の事態で何らこれは役に立たないということを、いよいよ国民は心配の種を大きくしてきたんじゃないかと思うのです。 これらに少し関連して、一つ当時の外務大臣であった藤山さんの答弁も思い出されるのでございますが、あれは一九六〇年の二月の予算委員会で、わが党の辻原弘市君が、さっきの沖繩、台湾と飛び石でやるときの移動のことを質問しました。そのときに、藤山外務大臣は、移動については事前協議の対象にはならないのだ、従って、移動された部隊というのは、これはもう在日米軍ではない、こういうふうに言われて、さらにそれにつけ加えてこういうことも言われたのです。つまり、一般的な状況、——当時の外務大臣の言葉をかりて言えば一般的状況ですね、在日米軍の一般的状況につきましてむろん常時協議をいたすことは当然でございます。こういうことの答弁がありまして、それではまあ、私どもの心配する事前協議が全く無視されて国民の知らない間に事態が進むということは、一般的な状況を常時協議することによって少しは知ることができるのか、そういう危険から避けられるようなことができるのかというような希望を国民は当時抱いておったと思います。新聞の解説等もこの点をかなり大きく取り扱っております。ずっと当時を振り返ってみまするとそうです。それが今度新聞電報をぶつけられて政府は面くらうというような事態になったわけですから、当時藤山さんが約束したところの常時協議というものを、今後一体どのような扱い方で政府はやろうとされておるのか、この点を一つ今後の方針としてやはりはっきりさせていただきたい。
○小坂国務大臣 常時協議についてはいたしておりますわけで、外務省並びに防衛庁、それぞれやっておるわけでございます。そこで、今度の問題は、さっき申し上げるように、新聞電報が妙な形で言われた、報道されたといいますか、発表された、それに問題があるわけでございます。藤枝長官の言われるように、日本からの兵力の移動は行なわれてないわけなんでございます。そこに問題があるわけでございます。今後の問題は、そういう発表の問題も慎重にしてもらわなければならぬことはもとよりでありますが、十分に連絡を密にして参りたいと思います。 ただ、安保協議委員会の問題でございますが、これも開いた方がいいと思うのであります。ただ、こういう事態になる前後に開くということはいかがかと思って今日までおるわけでございますが、藤枝長官とも、いずれ開きましょう、国会中は忙しいので国会が終わったらと言っているときにこういうふうになったわけでございますが、またそのうちに適当な時期を見て開きたい。これも今まで国会等の要務に追われまして延び延びになっておりましたが、できるだけしばしば開いた方がいいのではないかというふうに考えております。
○松本(七)委員 今までも常時協議はやってきたと言われるのですけれども、そのやってきた常時協議で、先ほど藤枝長官の言われるように、一部ではあるけれども去年の秋から動いておったというようなことは知らされなかったわけですね。だから、そういうことは今後はどうされるのですか。あの程度のことならば知らされなくてもいいという態度で常時協議に臨まれるのか。それとも、今までの常時協議は、外務大臣の言われるように、やってきたのだ、しかし、やったにかかわらず、こういう知らない事態というものに直面したのだから、これからはもっとこまかく常時協議を要求し、また、こまかい在日米軍の動きというものをつかむのだという御方針でいかれるのかどうか、そこを明らかにしていただきたい。
○藤枝国務大臣 先ほども申しましたように、日本が提供いたしておりまする施設・区域を使っておりまする米軍は、日本の平和並びに極東の安全と平和のためのものでございますから、従いまして、極東に関する任務を帯びて他に行くことはございます。もちろん、相当の動きのありまする場合につきましては、常時連絡をして動静を知っておりますが、ただ、その任務を帯びて一機、二機が参りますのを一々トレースするというわけではございません。ただ、全体といたしましては、そういうことで、しかも、これはお断わり申し上げますが、昨年のことでございまして、何ら今度のタイの問題とは関連をいたしてない、本来の米軍の目的で行ったわけでございます。しかもそれは他の地域の司令部の指揮下に入ったということでございまして、一機、二機の移動を一々トレースするということではございませんけれども、全体の動きとしては十分な連絡をいたしておりますし、今後さらに密接にいたすつもりであります。
○松本(七)委員 日本政府がこの程度のわずかのものの常時における移動ならばこれはまあ大したことはあるまいというような判断をしておっても、事が紛争してきてめんどうな事態になった場合に、紛争の相手国は、これは日本の言い分をそのまま認めるとは限らないです。これは、何カ月前に行ったものであっても、やはりそういうふうなやり方でもって在日米軍というものが紛争に参加しているということになれば、やはり日本の当地というものはその目標になってくるわけですから、そういう点から言っても、これからは相当事前にやはりこまかい米軍の移動というものをつかんで、それを日本政府独自が、一体これはどういう意味があるのか、世界の情勢から極東情勢すべてをよく情勢判断して、その中における個々の移動というものが一体どういう意味があるのかということを的確につかんでおかなければ、私は国民は安心できないと思います。その点を今度の事件で少しは考えてみようという気にはならないですか。
○藤枝国務大臣 ただいまの御指摘のように、従いまして、極東あるいは東南アジアあるいは世界のいろいろな情勢というものを把握しながら、その判断のもとにおきまして、どういう移動なりあるいは任務による動きなり、これは十分な連絡をする必要があるなしということを判断しながら、そうしたいろいろな国際的な情勢を判断しつつ十分な連絡をとりたいというふうに考えておるわけでございます。
○松本(七)委員 これはなるべくこまかく米軍の移動というものはつかまなければならないと思うのですけれども、在日米軍の一般的な状況を一体日本政府がどの程度知ることができるか、かりに詳細にアメリカに要求したとして、一体どの程度の状況がつかめるものだろうか、私はこの点一つの疑問があるのです。というのは、純軍事的に見れば、やはりアメリカ軍としては在日米軍の移動その他についての情報というものは一つの大事な軍機でしょう。そこで、アメリカ側に立って考えた場合、極東における紛争の可能性が大きくなればなるほど、やはり情報というものは非常に大切にしなければならない。そこで、たとえばアメリカが再三要望しておるように、やはり日本にも、これは核兵器、核武装との関連においてのことではありましょうけれども、かりにその関連がないとしても、やはり軍機保護法とかそういう立法措置の、要求となって出てくるのじゃなかろうか。だから、そこにやはり、軍事面から見ますると、日本の国民が安心するような在日米軍の一般的な状況の把握ということと、アメリカがそれを日本に情報を提供するということとの中に矛盾が出てくるのじゃないか。アメリカ側とすれば、やはり軍機保護法というものをきちっと作って安心する状態にしたいという要求が出てくるのじゃなかろうか。こういう点について防衛長官としてはどういうふうに判断されますか。
○藤枝国務大臣 もちろん、日本にあります米軍の状況というものは、わが国の防衛のために非常に関係があるわけでございまして、それらの動きがまたわれわれ自衛隊としてのいろいろな考え方と適合しなければならないわけであります。従いまして、そういう日本におります米軍の一般的な状況というものは、私どもは常時連絡を受け、また、要求をいたして把握はいたしております。ただ、そういう防衛の配備のことでございますので、これが詳細を十分に御説明申すわけにはいきませんけれども、その点については十分な連絡をいたしておるわけであります。
○松本(七)委員 その過程で軍事機密保護法というようなものの必要性をアメリカ側から強く求められたということはございますですか。
○藤枝国務大臣 軍機の秘密を保護するような法的処置についてアメリカ側から要求されたことはございません。
○松本(七)委員 これに関連して、沖繩のあれも先ほど戸叶さんが指摘しておりましたけれども、これも私ども非常に問題があると思うのです。東南アジア地域で何か紛争が起これば起こるほど、アメリカの沖繩に対する軍事的な必要性というものはますます強まってくるのじゃないか。だから、民政、自治権の拡大だとかいろいろ一方ではやりながら、片方の軍事的な要請というものはますます強く打ち出さざるを得ない。これが、この間発表されたアメリカ下院の軍事委員会の議事録、これはまあかなりの部分が削除されておるらしいのですが、その議事録によっても、キャラウェーが沖繩の基地の重要性を強調しております。対日講和にあたって、沖繩の行政権は米政府のものに置かれたと決定したんだ、この決定は当時の戦略的、戦術的、軍事的必要に基づいたものだから、今日ではこの必要はさらに強まっている、こういう証言をしておりますし、それから、五月二十一日のロイター電によりましても、アメリカ政府当局が、アメリカの議会における沖繩問題に関する報告というものは、ケネディの沖繩政策、いわゆるニュールックにあまり支持を与えていないということをはっきり言っておるぐらい、この議会の報告書によりますと、沖繩に対する日本の潜在主権なるものは、ただアメリカがその施政権を第三者に譲り渡さないことを意味するにすぎないのだと解している、こういうふうな解釈がアメリカの国会、下院の中で出てきておるという情勢です。従って、私どもは、沖繩問題とも関連して、これからの東南アジアの情勢というものは、よほど日本が自主性を持って対処しなければならないということを政府に警告もしておきたいと思うのですが、最後に外務大臣に一つ具体的な事実について確認をしたいと思います。 それは、最近羽田で、MATS、軍用輸送機というのですか、これの定期便、これでアメリカの制服、軍服を着た数十名の軍人を毎朝六時ごろ定期的に運んでおる、寄っておるということなんです。これは御存じなのかどうか。もし御存じだとすれば、ちょうどオランダが西イリアンの紛争のときに兵隊をここに立ち寄らせようとしたときに、日本政府としてはこれは困るという態度をとったのですから、当然これは拒否すべきことだろうと思います。ラオスの紛争をめぐってこのようなことが繰り返されることのないように、もし御存じなければ、一つ事実を至急に調査していただく、善処していただく。御存じならば、どういう態度で臨まれるか、その方針を明らかにしていただきたい。
○小坂国務大臣 法律的には、地位協定によりまして、チャーターしたMATSは入れることになっております。その事実は私存じませんから、これは事実は聞いてみたいと思います。法律的にはそれは可能なわけであります。
○松本(七)委員 これは安保条約との関係ですか。
○小坂国務大臣 地位協定です。
○松本(七)委員 これは今度の紛争と関係なしでですか。ラオスの紛争と何ら関係ないという意味ですか。それじゃ、どこに行っているか、行く先もわかっておるのですか。事実を少し明らかにして下さい。
○安藤説明員 地位協定によりまして、チャーター機が羽田の飛行場に出入する権利はございます。そして、それに軍人が乗っておるということも、条約上は可能でございます。しかし、今大臣が仰せられましたように、その事実を私承知しておりませんので、至急調査してみたいと思います。
○松本(七)委員 毎日定期便に数十名乗っておるのですよ。それは局長は御存じなんですか。
○安藤説明員 よく調査してみたいと思います。
○松本(七)委員 よく調査するって、全然知らないのですか、知っていて不十分だからなお調査するという意味ですか。
○安藤説明員 私自身承知しておりません。至急航空局その他について調査してみたいと思います。
○森下委員長 ただいま関連質問の通告がありますので、これを許します。戸叶里子君。
○戸叶委員 今、松本議員の質問の中で、安全保障協議委員会を今開くといろいろ誤解を招くから開かないけれども、近いうちに開いた方がいいというふうなお話でございました。そこで、私は伺っておきたいのですが、安保条約審議のときに、飛鳥田委員が、在日米軍の移動とか補給という点について事前協議の対象となっていないことは、軍事的な面から見て納得がいかない、その理由を問うという質問をいたしました。それに対して藤山外務大臣がお答えになったのは、これらの問題は事前協議の対象にならないが、常時協議されるというようなことを言われましたし、また、第四条の協議は全般的なことをやるわけで、全般的な作戦などは平素から協議をするから米軍の動向はある程度わかるというふうなことを言われているわけですから、当然今度の問題なんかも、もっと政府がこの間のような不手ぎわをしないでもわかっていていいはずであったのですが、こういうことが常時開かれていなかったために、そうしてまたこのときに答弁したようなことが行なわれていなかったために、この間のような問題が起きたと思うのですが、そこで、今度のようなタイに出動しているというような問題のときにこそこの協議委員会というものが開かれるべきであるというふうに私は考えるのですけれども、政府がそういうときに開くべきではないというふうにお考えになって、しかし近いうちに開くというふうにおっしゃるならば、近いうちというのは大体いつごろで、しかもその内容はどういうことを審議するために開こうとされるのか、伺いたいと思います。 それから、時間の関係で、今回の問題も討議されるのかどうか、こういうことも伺っておきたいと思います。
○小坂国務大臣 先般のような不手ぎわとおっしゃいますが、日本には不手ぎわはないわけでございます。アメリカの発表がどうも事実と違うようなことの印象を与えるような発表をしたというところに問題があるわけであります。安保協議委員会の問題は、これは開いた方がいいと私思っているのですが、実は今まで開かなかったのはかえってよかったと思うのです。こういう問題が起きると、さあこれは政府は一緒になってそういうことをやっておったのじゃないかということになるので、これは非常に先見の明を誇りたいくらいのものであります。しかし、事態がだんだんおさまって参りましたので、実は藤枝長官が防衛庁長官におなりになって以来まだ開いておりませんので、これは一つ国会が終わったら開きましょうと、こう言っておりますから、適当な時期を見て御相談していただきたいと思います。内容についてもよく御相談をいたします。
○森下委員長 川上貫一君より質疑の通告がありますので……。
○戸叶委員 防衛庁長官、内容について答弁して下さい。
○森下委員長 時間がありませんから、川上貫一君に質疑を許します。川上貫一君。
○川上委員 私は関連でありますからまとめて質問をします。穂積、戸叶、松本三委員の質疑に関連して外務大臣にお聞きします。 きょうの委員会でいろいろ政府の方では抜け句を考えて言うておられる。しかし、外務大臣はたった数日前前橋で、タイ派兵というようなものは戦闘作戦行動でないから事前協議の対象にはならぬということを言われておる。これで私聞きたいのですが、今度アメリカの在日米軍が行ったか行かぬかというのではなくて、私はこれを聞きたい。事前協議を必要とする戦闘作戦行動というのはどういうことだと外務大臣はお考えになっておるか。それは直接戦争をする行動をさすのでありましょうか。これが一つ。これは一つずつお答え願います。 第二点は、そうだとすると、今日の戦争の開始は秘密が必要と思う。電光石火だと思う。あっという間にもう戦争は始まっておる。一々相談をして戦争に加わるようなことは、あるはずがありません。従って、事前協議などというものは、そういうことなら、アメリカと日本の政府にとっては、日本人民に対する気休めのアヘンぐらいな役には立つかもしれませんが、日本人民にとっては何の意味も何の意義もない、ナンセンスだ。こういうものが事前協議なのじゃないか。これが第二点です。 第三点は、フルブライト・アメリカ上院議員はこう言うておる。実際問題として事前協議などというものは大して重要なものではない、——これは上院で言うておるのですよ。日本は自由陣営の力の源泉の一つであるから、アジアに紛争が起これば必ず巻き込まれるにきまっておる、巻き込まれないというようなことは起こり得ない、これがフルブライト・アメリカ上院議員の上院本会議でのはっきりとした発言です。これが事実であろうと思う。私は、今回のこのタイ派兵の問題は、この事実をほんとうに証明したものであって、国民にとっては非常に重大な問題だと思うが、政府は言を左右にして言い抜けばかりしておる。私は、フルブライト議員のこれについて、外務大臣はどうお考えになるか、これを承っておきたい。これが第三です。 第四点は、戸叶委員の質疑に対する関連でありますが、アメリカ下院の軍事委員会は去る十八日に沖繩援助に関するプライス法の修正法案についての報告書を発表しました。その報告書によると、日本の潜在主権というものはただ一片の形式であって、実際には日本はアメリカが沖繩を第三国の手に引き渡さないことを期待するというだけのものであると、はっきり書いてある。これは非常に重大なことだと思うのです。すなわち、期待するのであります。権利でも何でもないわけです。これは領土の処分権がアメリカにあるということであります。これでよいのかどうか、これを外務大臣にお答えを願いたい。これには困るというなら、政府はこの報告についてアメリカに申し入れあるいは抗議をしましたかどうか。この報告書はアメリカの議会における決議、決定の付属文書であって、単なる参考文書ではありません。これに基づいてプライス法の修正が行なわれるのです。すなわち、これに基づいてアメリカの議会の意思が決定されるのです。黙っておったらこれを承認することなんです。重大な問題ですから、外務大臣のお答えを願いたい。 沖繩の問題に関連しまして小笠原のことですが、小笠原の父島に民政官の権力の及ばない一つの地区があります。そこには一般の兵も近づけません。その秘密地域はどういう地域なのか、これを外務大臣にお聞きしたい。また、母島は無人島でありますが、そこにはどういう基地があるのですか、これもあわせてお聞きしたい。この地域がポラリス潜水艦の基地であることは、これは公然の秘密だ。政府はこれについてどういう情報を握っておるか。また、そこに原水爆兵器の貯蔵庫があるはずです。政府はこれについてどういう情報を持っておるか。 それにつけて、これは最後になりますが、昨年の九月に立川基地から韓国の浦項へ緊急核兵器輸送演習ということをやった事実があります。核兵器を持ち込まないと政府は言うておる。その日本の基地から韓国へ核兵器の輸送演習をしておる。これはどういう関係になるのか。この演習が小笠原にある核兵器を立川を経て韓国へ輸送する演習であったことは、専門家のひとしく認めておるところだ。外務大臣はちょっと笑っておるが、笑いごとじゃない。もしかそうでないというなら、証拠を言うて下さい。おそらくそうでないという顔をしておる。それなら、小笠原にはポラリス潜水艦の基地がない、核兵器の貯蔵庫がないということを国民にはっきりわかるように、外務大臣からその証明をしてもらいたい。証拠を出してもらいたい。アメリカが言いますというようなことは当てになりませんから、具体的な証拠をお聞きしたい。 私の質問はこの七点であります。関連でありますから、再質問は、したいことも出てくると思うが、それは次の機会に譲りますから、明瞭に答弁していただきたい。むちゃくちゃな答弁をされたら、再質問をさせてもらいます。
○小坂国務大臣 私に関連する部分だけ私から申し上げます。(川上委員「全部外務大臣から」と呼ぶ)それからあとは防衛庁長官が適当と思われる部分がありますから、それは防衛庁長官からお答え願います。 まず、フルブライト氏の話でございますが、私はその発言の内容を承知しておりませんので、論評することは差し控えたいと思いますが、これは私の考えですけれども、今日極東における情勢というものもいろいろ不安定な要素もございますし、また、アジア全体、また世界全体、力の均衡によって平和が保たれておる、これが私は現実だと思うのであります。従いまして、日本だけがすべての問題の渦中外にあるということ、これは希望はいたしますけれども、なかなかむずかしい問題である、こういうふうに思うのであります。そこで、日本といたしましては、安全保障条約によって日本の安全を保つ、かようなことを私ども考えておる。これは、今日日本が平和を保ってこういう経済発展をどんどんやっていくというために非常に必要なことであると思っておるのであります。 それから、第二点は、アメリカの軍事委員会の所論でございますが、私も新聞でそれを読みました。全文を今取り寄せておりますが、全文を読んでおりません。従って、一班をもって全豹を推すわけに参りませんので、これはよく検討してみたいと思いますが、いやしくもアメリカの大統領のケネディ氏が沖繩に対する声明を出して、そして新政策を行なわんとしておるのでありますから、私どもはその線において十分アメリカ側と話しをしていきたい、かように思っております。
○藤枝国務大臣 日本から行なわれる戦闘作戦行動というものは、日本以外の地域に対しまして日本から発進される戦闘作戦行動、すなわち、直接戦闘を目的とした作戦行動の基地として、日本が提供いたしました施設・区域を使用するということでございます。そして、最近の戦闘が非常に瞬間的なもので事前協議にならぬではないかということでございますが、これはいろいろな国際間の情勢その他がございますので、十分事前協議の対象になると思います。 小笠原島についての御質問がございましたが、われわれも詳細はつかんでおりませんが、私どもの判断といたしましては、さようなことはないと考えております。 また、立川基地からの核兵器輸送について演習をしたという事実はございません。
○森下委員長 田中幾三郎君。
○田中(幾)委員 安保条約審議にあたりましては、微に入り細をうがって、また、あらゆる問題を想定いたしまして質疑がかわされたのでありますけれども、いまだ十分に尽くされずしてあのような強行採決をなされたのであります。はたせるかな、今回の在日米軍のタイ国逸出をめぐって、これらの問題がほとんど全部にわたってと言っていいくらい問題が起こってきたのであります。事前協議の問題、極東の問題、戦闘作戦の問題、随時協議の問題等、これが初めてのケースとしてほとんど全部に触れて参りました。今質問を伺っておりますると、政府も十分事実の真相をつかんでいないような点もあるようにうかがえますし、われわれも資料を直接正確なものを受け取っておりませんし、新聞その他の報道で知っただけでありますから、正確なる事実を根拠にしてここで論議するということはいたしかねるのでありまして、この点は後日また尽くしたいと思いますが、そういうことでありまするから、私は安保条約の解釈も含めて二、三質問をいたしたいと存ずるのであります。 まず、伝えられるところによりますと、タイ国に対する米軍の進出はタイ国の要請によってなされたと聞いております。これははたしてタイとアメリカとの間における東南アジアの集団防衛条約に基づいて出されたものであるか、あるいはそれに基づいてやったものと解釈をいたしておりますか、まずその点をお伺いしたいと思います。
○中川説明員 法律問題で、私からお答え申し上げますが、今回アメリカがタイに派兵いたしましたのは、アメリカ政府の発表等によって見ますと、これはいわゆるSEATO条約に基づく義務をいわば果たすのだということを言っておりますが、直接SEATO条約の規定に基づく措置であるということは言っておりません。むしろ、法律的根拠といたしましては、タイからの要請があり、アメリカがそれに応じたということを言っておるのでございまして、従って、これは、国連憲章五十一条にいう、いわゆる各国がそれぞれ持っております集団自衛権ということによって発動したのだ。結局、このSEATO条約は八カ国が寄って作っている条約でございます。侵略の脅威がある際には八カ国が寄って協議するということになっておるのでございます。アメリカは、必ずしもこの条項に基づく方法によったのではなくて、むしろ米・タイ間の話し合いによってこれに出兵したということにわれわれは判断いたしております。
○田中(幾)委員 この条約の法的義務に基づいたものではないとおっしゃっておりますが、しかし、何ら波乱のないところへ、この条約に基づかぬでも派兵をすることはできないと思います。御承知のように、この条約のアメリカの了解事項によりますると、侵略もしくは攻撃の影響を確認する、たとい派兵の義務に基づいたのでなくしても、こういう事実がなければ、いかにタイの要請があっても、両国の話し合いによっても私はできないと思うのですが、こういう緊迫した攻撃もしくは侵略の影響とまでいかなくても、両国の間における国境に緊迫した事実が発生しておる。これは、外務大臣、先ほども、国境をあるいは侵略されるかもしれぬというおそれがあるために派兵したのであろうということを申されております。外務大臣、この点は、こういう事実があったからこそ、場合によっては両国の間に戦闘にまで発展するおそれがあるからこそ、その備えとしてやったものとわれわれは解釈する。その点は、外務大臣、先ほどの言葉はそういう意味ではなかったでしょうか。
○小坂国務大臣 先ほど申し上げておりますように、ラオスの紛争がメコン河を越えてタイの国境に及んでくる、そうしてメコン河を越えて逃亡者がタイに行く、そういうような結果からいたしまして、タイ側でも、危機に瀕している感じを持って、そうしてアメリカに派兵を要求した、こういうことだと思います。
○田中(幾)委員 そこで、この派兵は、戦闘がタイにおいて起こっていないのでありますから、現実なる戦闘地域に対して派兵をしたのでないことは明らかです。ある人に言わせると、これは戦闘に準ずる状態だ、こう言う人がありますけれども、私は、一歩進んで、これは未必的戦闘作戦行為だ、こう考える。未必的というのは、必ずしも戦闘にならぬかもしれぬ、しかし、戦闘になった場合には戦闘作戦をするんだ、これはやはりこの戦闘作戦のうちに入るので、準ずるのではない。私は戦闘作戦の行為のうちに入ると思う。刑法で、人を殺すつもりはないけれども、人に必ず当たるとは思わぬけれども、自分の手が狂うから当たる場合もあるかもしれぬ。当たってもいいのだという場合には、これはいわゆる未必的故意であって、普通の故意と同様に扱われる。ですから、波乱のない平地に兵隊を送るのならば格別、そういう緊迫した、戦争に発展するかもしれないという危険なる地域に兵隊を送るということは、戦争になれば戦闘作戦をやるんだ、やってもいいんだという意思をすでに決定して派兵をするのでありますから、これは未必的戦闘作戦行為であって、戦闘作戦行為と同一のものであると私は考える。外務大臣は、幸いにしてそういうことがなかったから、あるいは今の状態ではないから幸いであったと言うけれども、すでにそういう未必的に戦闘作戦を考えて軍を進めた以上は、結果において戦闘作戦をする必要がなくても、戦闘作戦行為の未遂である。行為はやっている。戦闘作戦行為にすでに着手しておるわけですから、私は、こういう場合は戦闘作戦行為のうちに入らぬのだという解釈は通らぬと思う。もしそうでありますならば、いかなる場合でも、隣の国へ、自分の国が戦争をしておるその戦闘地域でない他の地域へ兵隊を送って、おさまるかもしれぬから待期するんだ、こういうことで言いのがれますならば、これはえらい大きな抜け穴になると私は思うのです。ですから、政府はこれを厳重に解釈すべきで、未必的な戦闘作戦行為であるから、すなわちこれも戦闘作戦行為のうちに入るのだと私は考える。この場合においてはたして当てはまるかどうかは別として、こういう具体的な事実が今ここに発生しかかっておるのでありますから、こういう場合には、やはり、そういう平地でない、波乱の起こっておる、しかも戦闘に入る蓋然性のある、必然的にはそうならぬかもしれぬけれども、なるであろうということを想定して、戦争になったらそこで戦闘作戦行為に移るんだという決意をして兵を送るというのは、これは私は当然に戦闘作戦の行為に入るべきものとして事前協議の対象になると考えますが、いかにお考えになりますか。
○小坂国務大臣 これは、予防措置と申しますか、実はくだくだしく繰り返しませんけれども、要するに、ああいう実情に対しての予防措置ということで派兵をされたわけでございます。そこで、そういうような予防措置がない場合には一体どうなるであろうかというと、予防措置がなかったらもっといいかというと、私は、結果的にはどうなるかわからぬ、むしろ悪い情勢の方が強いんじゃないか、こう思うのでございまして、私は、その意味では、結果的に三殿下会議が行なわれるような情勢になってきておるということを非常にけっこうなことだと思っております。また、日本から見まして、日本におりまする空軍があるいは面接にこの戦闘作戦地域とかりに仮定してもその地域に行っておるものでございませんから、これは事前協議の対象にならぬのみならず、今申し上げたように予防措置でございますし、これは安保条約でいう事前協議のさっき申し上げました三つの項目には当てはまらない、かように思っております。
○田中(幾)委員 日本から直接に飛んだか飛ばないかということは、私は先ほど申しました通りに事実をここではっきりつかんでいないのでありますけれども、そういう事実が今起こったことは全然仮定の問題ではないのです。ある具体的な事実が起こった上に立っての解釈をどう解釈するのか。予防措置ではないのですよ。予防措置ならば、ただ予防するだけで未然に防ぐのですけれども、もし予防ができないで、そういう渦中に飛び込んでこれが戦闘行為になった場合には直ちに戦闘作戦に移るのだという意思のもとにやっておるのですから、これは全然、予防措置と、戦闘作戦行為の意思を含めた軍の進駐とは、おのずから変わると思うのです。あなたのおっしゃる通りに、そういう危険の地帯へ入り込んでいくこともなおかつ予防の行為だというようなことでは、全部予防行為でもって逃げられますよ。これは大きな穴ですよ。抜け穴です。これほど危険なものはない。私は、日本に関連のある軍隊が、そのままにしておればいいけれども、言いがかりをつけられるような軍隊がいまだ戦闘の起こっていないところへ戦闘を予期して入っていくということは、むしろ日本のために危険だと思う。ライターに火をつけて油を持っていくのと同じことです。予防にはなりませんよ。予防で済めばいいけれども、予防にならなかったら即時に間髪を入れず戦闘作戦行為に移らなければならぬ。予防ではない。そうでありますから、未必的戦闘作戦行為であるから、これは準戦闘作戦行為でなくして、戦闘作戦そのものの行為だと私は解釈をする。日本から送ったからどうとかいうこの条件は別として、そういう事態が起こったときには一体それは戦闘作戦に入らぬのであるか。波乱のない平地に行くならそれは予防でいいでしょう。波乱が起こっていつ火がついて然えつくかわからぬ、ついたらそれをすぐ消しにかかるのだ、戦闘にかかるのだという意思を決定して行く以上は、私はこれは単なる予防措置とは違うと確信いたしております。そういうことを決定していかなければ、この問題は、安保条約というものはいかなる場合にも事前協議ができないということになりますので、これは大きな抜け穴であって、何にもならぬことになる。もう一度お答え願いたい。
○小坂国務大臣 私は、この法律の解釈もさることながら、やはり事実問題というものをよく考えていかなければならねと思うのであります。ほうっておいたらいいのかといいますと、かえって危険が増大する。そこで、派兵が行なわれる。結果的に見ればこれはよかった。よいような結果を予想してやることでございましょうけれども、そういう意味におきまして、今回の行動はいわゆる戦闘作戦行動ではない、こういうふうにはっきりしておいた方がいいと思います。
○田中(幾)委員 私は、そういう場合には、何ら事のないところに兵を進めて向こうの侵略があったら備えるというなら、これは予防ですけれども、すでに可能性がもう八分も九分もあるいは十分もある。SEATOの条約の義務に基づいていないにしたところで、現実にはこの義務として発動しなければならぬようなそういう戦闘行為の事実がもう発生しかかって目の前に見えておるのです。ですから、私は、単なる平地に、平和のときに、予防措置として進めるということとは絶対に違うと思う。これは一つまた後に機会を得てもう少し私は進めて、戦闘行為に準ずるものではない、戦闘作戦そのものだということを、未必的な戦闘作戦行為だという意味において私は強く強調したい。 それから、防衛庁長官は、沖繩に飛んで沖繩から飛び石で行くということは、日本の関するところではない、こうおっしゃっておりますけれども、いかなる場合にもそうではないのですよ。この前の速記録にもあります通り、これは赤城さんでありましたか、戦闘作戦の目的をもっていかなるところに寄って寄り道していくということも事前協議の対象になる、こう言っておるのです。あなたのおっしゃるのは、ただ沖繩に飛んでよそへ行く、これは事前協議の対象にならぬというのは、それはわかっております。しかし、そこには条件がある。戦闘作戦の用意を持って沖繩に寄ろうがあるいはその他の土地を寄ろうが、——これは日本から発足したことを仮定しますよ。私は解釈論も含めて質問しております。ですから、戦闘作戦の目的をもって発足する場合には、沖繩に寄ろうがどこへ寄ろうが、寄り道をしようが、それは事前協議の対象になると、この前の議事録ではっきりしているじゃないですか。それはどうですか。
○藤枝国務大臣 私が先ほど多分戸叶さんの御質問かにお答えいたしましたのは、富士演習場に来ております海兵隊が帰ったのはどうだというお話でございますから、これは沖繩から来て演習しておるものが沖繩に帰ったので、その沖繩に帰った海兵隊がどういう任務を与えられているかというととは私の知るところではないと申し上げただけでございまして、ただいま御指摘のような点につきましては、日本から戦闘の命令を受けましてそして飛び立って、たとえば給油を受けるというようなことにつきましては、もちろん事前協議の対象になり得る場合が相当多いというふうに考えております。
○田中(幾)委員 単に沖繩に寄ったというその事実だけでは事前協議の対象にならぬとはねたのは誤りであって、戦闘行為の作戦の目的で行く場合には、あり得るじゃなく、それは私はずばりと事前協議の対象になると思うのです。 そこで、さらにもう一つ議事録から申し上げておきたいことは、軍隊が日本から出発する場合に、戦闘地域に行くのでなくとも、戦闘作戦の目的で出発するのであれば、これは事前協議の対象になるとここで答弁をいたしております。この点はいかがですか。
○藤枝国務大臣 日本の基地を使って戦闘行動命令を受けて発進するものは、もちろん事前協議の対象になります。
○田中(幾)委員 それでは、この問題の起こるのは、日本に常時米軍が進駐いたしておりますから、米軍の必要によって日本から向こうの指示するところに出発するから問題になるのです。いつでも、今度のように、これは事前協議の対象にならないのだ、こういう言い抜けをして、日本に在駐するところの米軍を動かすことができる。常時にあるからそういう間違いが起こるのであって、事が起こったときに日本の基地を利用して進発するということなら、日本の被害はもう少し少なくなる。ですから、われわれは、少なくとも常時駐留をやめて、有事駐留に切りかえるべきではないかという考えを持っておるのですが、安保条約の審議の過程におきましても、岸総理も常時駐留ということはいろいろな意味において問題を起こすと申されまして、常時駐留の弊害のあることも認めておる。ですから、こういう問題がしばしば起こってきますと、外交問題によって国論が分かれ、また政府と対立しなければならぬような不幸な場面が出てくるのでありますから、私は、将来はこういうことを契機にして有事駐留に切りかえる、事があったとき初めてこれをやるので、ふだんから常時駐留をさせないのだということに方向を一つきめていきたいものだと思いますが、いかがお考えでしょうか。
○藤枝国務大臣 ただいまのは御意見としては承りますが、私は、現在の日本の防衛のためには、現在の体制がよろしいものだと考えております。
○森下委員長 時間が参りましたから、どうぞ。
○田中(幾)委員 時間が参りましたから、あとの質問は留保いたしまして、これで終わります。
○森下委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後零時五十一分散会