外務委員会 第27号
- 発言数
- 50 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1962/04/27
会議録
○森下委員長 これより会議を開きます。 国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを順次許します。稻村隆一君
○稻村委員 実は、きょう、日ソ文化協定が不調に終わったことにつきましてお尋ねしたいのですが、その前に一言お尋ねしたいことは、昨日アメリカは、ジュネーブにおける核停会議の間だけでも核実験の停止をしてもらいたいという中立国の申し入れにもかかわらず、世界の世論に反して核実験を強行したのですが、アメリカがやればソ連もやはり同様に必ずやると思うのです。こういうことを続けていけば、ちょうど石油カンを前にして子供が火遊びするようなものでありまして、やがては政治家もしくは指揮官の意思に反して核戦争に発展する必然性を持っていると思うのです。そこで、そういう万一の場合に、アメリカと安全保障条約を締結している日本でありますから、軍事的にはアメリカと共通の行動をとらざるを得ないのであって、しかも、そういう場合においては、核戦争の最初の段階において全滅の悲運になることは明らかであります。こういうふうなことを考えますときに、私は、アメリカに対して、口頭とかあるいは文書だけの抗議では大したきき目がないと思う。もしも今後ともアメリカが核爆発を続けていくのであるならば、日本は安全保障条約を解消するというぐらいな強硬な申し入れを政府としてはなすべきではないかと思うのですが、それに対しまして外務大臣の御所見をお伺いしたい、こう思うのであります。
○小坂国務大臣 今度のアメリカの核実験再開という問題は非常に遺憾なことでございまして、私どもも極力アメリカの再考を促し強く抗議をしておりますことは御承知の通りでございます。しかし、何と申しましても、この問題はもう一歩のところまで来ておるように私ども思っておるのでございます。ジュネーブで開かれておる核実験停止問題を含む軍縮交渉が結局査察の問題をめぐって合意に至らないということになっておるわけでございます。ソ連があらゆる査察というものはスパイ行為であるという態度をとり、また、アメリカにおいても、有効な査察ができなければ、軍縮、核禁止の意味がない、こう言い、これが背馳しておるわけでございまするが、この点につきましては、中立八カ国の案もいろいろ欠陥は理論的に詰めてみますればないわけではもちろんないわけでございますけれども、しかもあれだけの国が寄って強い気持を表明しておりますから、何かもう一歩これを前進して核実験停止協定を作ることができぬものだろうか。アメリカはそういうものができれば核実験はしないと言っておるのでありますから、どうしてもこれを成功させることが今日において最大の急務であり、必要事である、こう思っておる次第でございます。私ども、その方向に向かって従来とも努力しておりますが、さらに何とかこれを成功するようにしたい、こう思っておる次第であります。
○稻村委員 私は、ただそれだけではだめだと思うのです。何といっても、日本はアメリカに対して影響力を最も持っておる国の一つであると思うのです。ですから、先ほど申しましたように、安全保障条約を結んでおるわけでありますから、そういうふうなことを続けていくならば一番日本は大きな影響を受けるわけでありますから、もしあくまでも核実験を続けていくならば安全保障条約を解消する、そのくらいの強硬な申し入れをしても決してこれは差しつかえないことだと思う。あたりまえのことだと思うのですが、それに対しまして大臣の御所見を聞きたいと思います。
○小坂国務大臣 安保条約は、新しいものについては双務的な性格を持っております。対等の立場に立っておるわけでございます。従って、日本も自主的にこの条約を結んだわけでございまして、言葉をかえて言えば、アメリカのために結んだのではない、日本自身のために結んだのだ、こういうことになるわけでございます。いろいろ見解の相違はあろうと思いますが、そこで、この安保条約の中におきまして、御承知の通り、日本は核兵器を持ち込ませないということを強く規定しております。強く言っております。また、かりにどうしても持ち込むという場合には、事前協議の条項がございますから、日本は今の政治的な判断においては拒否する、こういうことを考えておる次第であります。従いまして、安保条約があるから核の脅威があるということは、私どもはないというふうに思っておる次第であります。
○稻村委員 それでは、日ソ文化協定が不調に終わったことにつきまして、できるだけ簡単にその経過並びに結果をお尋ねしたいと思うのです。 新聞紙の報ずるところによりますれば、日ソの文化協定が不調に終わったということがいろいろ書いてありますが、これは将来の日ソ外交の上から見て私は非常に遺憾なことだと思うのです。日ソ間にはいまだ平和条約すら締結されていない状態であります。もちろん、平和条約には北方領土問題の解決という困難な問題が横たわっております。そのわずかしいことはよくわかるのでありますが、日ソ間には戦前から今日まで同じようながんこな偏見が両者の間にはあると思うのです。それが日ソ間における小さな問題まで災いをしておると思うのです。漁業問題でもそうでありますし、それから、今回の文化協定の問題でもそうであります。 そこで、これは私新聞で見たのでありますが、ジューコフ氏は、文化協定が不調に終わったのは、日本に昔ながらのソ連ぎらいの鎖国主義があるからだ、こう言っております。また、日本側は、ソ連は文化協定に名をかりて共産主義の宣伝をしようとしておる、こういうふうなことを考えておる方面があるという。いずれにせよ、かようなことは日ソ外交の前逸のために危険なことであり不幸なことであると思います。私は今回の文化協定が不調に終わったことにつきまして率直に以下お尋ねしたいと思うのですが、簡単にお答えを願いたいと思うのです。 第一に聞きたいことは、ソ連側はこれまでどのような提案を行なってきたか、それを簡単にお答え願いたいと思います。
○法眼政府委員 これは昔からの懸案になっておりました問題で、こまかい問題でありますので、私からお答えさせていただきたいと思います。 ソ連側は、最近一九五八年に文化協定の締結を提案いたしました。これは日本側としては賛成できないものでございました。次いで一昨年の終わりに広範な文化取りきめの案を提案して参りました。これに対しまして、日本は昨年の一月に対案を出しました。そういった文化計画案のうち、政府間の公の刊行物の交換、映画会の相互開催並びに学者等の交換、こういう三つの項目につきまして日本側は反対提案をいたしました。昨年の五月に至りましてソ連側からその三つの項目に対する反対提案がありました。これは日ソ双方の考え方が非常に近寄ってきたわけであります。これに対しまして、わずかな修正を加えて、去年の九月に日本は反対提案をいたしました。われわれは、今回のジューコフさんの来日に際しては、その三つの問題についてやろうということであって、その意味で話し合いが進んでおったわけでありますそれが、最後に、先方が最初削除することに同意した点をまた入れようということを主張して参ったために、実はできなかったわけでございます。新聞紙の伝えておるがごときいわゆる鎖国政策云々というようなことは全然無関係のことであります。
○稻村委員 その三つの提案というのは、具体的に何ですか。
○法眼政府委員 三つの提案といいますのは、政府間の公の刊行物を、リストを作りまして、そのリストに従って相互に交換しょう、それから、映画会を日ソ双方が今後同意すべき回数と本数をもって相互に開催する、もう一つは、学者並びに学生その他を若干の数を限って相互に交換する、こういう三つの項目がございます。
○稻村委員 それで、向こうも歩み寄ってそれに対して大体賛成をして、それがどういう点で不調になったのですか。
○法眼政府委員 この三つの意見が非常に一致しておりまして、ごくわずかに人数の問題であるとか費用の負担であるとかということについて意見が合わなかったわけです。しかし、今回ジューコフさんが参ったときに、それ以外に提案をいたしました。それは、三つの項目は小さ過ぎる、数が少ない、そこで、まずコミュニケ、共同声明を発表して、この共同声明に外務大臣とジューコフさんが署名をしようじゃないか、その共同コフュニケの中には、日ソ間の文化交流は双方の法令に従って行なうということと、それから、民間の文化交流は妨げないという項目と、それから、最後に、全面的に日ソ間の文化交流を助長促進するという、この三つの項目を入れて調印しょう、そのアネックスとして三つの文化交流について文書を交換しょうということがあったわけでございます。ところが、われわれの理解する共同コミュニケというものは、この三つの項目の文化交流を説明するわけでございますから、それ以外にプラスするところもマイナスするところもあってはいけない。でありますから、共同コミュニケを出して、まずサインをして、その実施として三つの文化交流の項目を合意をするということは話が逆であるということを説明いたしまして、先方は納得いたしました。そこで、日本の案に従って、しからば三つの項目、政府刊行物の交換、映画会の相互開催並びに学者の交換、この三つの交換公文の交換のあとでそれを説明するコミュニケにするということで話し合いがきまったわけでございます。しかも、その三つの提案、すなわち法令の規定に従ってやる、それから、今の民間の文化交流を妨げない、並びに文化関係は全面的に助長促進する、この三つの点の最後の点は削除してよろしい、こういうことを先方は同意したわけでございます。と申しますのは、政府間の文化交流でございますから、やってみなければわからないので、その前に全面的に助長促進するとはこれは書けない、ものには順序があるのだからそれはやれぬじゃないか、それで、最後に、日本側の提案は、本年の終わりにもう一度会合してそれをレビューしょう、レビューした結果、これを変更するなり拡大することを考えよう、こういうことで、向こうもこれに賛成し、全面的に助長促進するという点は削除することに折れてきたわけであります。ところが、最後にまたやってきて、ジューコフさんが外務大臣に、ぜひ全面的に助長促進するという言葉をつけ加えてもらいたい、こう申し出たものですから、できなくなったわけであります。 でありますから、これは初めからできないことなので、政府間の文化交流は三つの項目の交換ということを本年の終わりにもう一回レビューして拡大するか変更するかきめようというときに、それをやってみる前に全面的に助長促進するということは、これはむずかしい。これは明白な事実でありますから、これは一たん向こうが折れたにかかわらず最後にまた持ち出したということははなはだわからない、こういうことで、話がうまくいかなかったというのが事実であります。
○稻村委員 ところで、ほかとの、イギリスやアメリカとの文化交流などは文化協定ができておりますが、それと同じ範疇じゃないのですか、だいぶ違うのですか。
○法眼政府委員 ソ連とアメリカとの文化取りきめというものは広範なものでございまして、米ソ間の文化交流は全部これでカバーされてしまっておるわけであります。ですから、非常に広範でございます。日ソ間のは、民間の文化交流は排除するものではない、そのまま行なってよろしい、ただ、政府間で考えていることは、さしあたり、学者の交換とか、映画会の相互開催とか、政府刊行物の交換という三つのアイテムスしかないということで合意しておったわけでございます。全然範疇が違うわけでございます。
○稻村委員 それから、費用の負担方式について意見の相違があったようでありますが、交流費用を派遣国負担の方式にすれば、日ソ両国もドルの決済となって不便かつ貴重な外貨の流出になる。そこで、受入国負担方式にすれば、貴重なドルを使わずに済む。これまで、民間交流においても、国境までの旅費は派遣側、相手国内の旅費及び滞在費は受入側がそれぞれ負担することが多かった。こういうふうな費用の問題で、費用を受入国負担にすれば、今後特に科学技術の点でソ連に学ぶところが多い日本の方が利益が多いのではないか。特に滞在期間の長期にわたる場合に便利である。アメリカを除く外国でも受入国負担を協定した国が多いのではないか。こういう疑問があるのでありますが、それに対してお答えを願いたい。
○法眼政府委員 その問題は、たとえば、外国の例を見ますと、アメリカは従来は派遣国が負担しておったのであります。今回の日本の、取りきめというものは、日ソ間の取りきめの案はごく範棚が狭いわけでございますから、外貨の流出ということを大きく第一に言う必要がないのみならず、これは、いろいろな人が行きますから、受入国が負担するということにしますと、そのつど待遇が変わることがあり得るわけであります。しかも、日本における待遇とソ連の待遇は必ずしも同一ではない。初めはいいかもしれませんけれども、長くこれを実施しますと相当不満が出てくる。むしろ、直截簡明に、行く人の方が負担をして行けば、自分の負担でありますから、その問何らの文句も不平も出ないということでございます。のみならず、予算の操作上、これはやはり派遣国負担ということにしておきませんと、計算がつきにくいのであります。そういう観点がら、日本はそういう主張をしたわけであります。しかも、最後に、先方と意見が合わなかったものですから、その結果、何とか協定を成立せしめようとわれわれ考えまして、それでは費用の負担という問題も今後の合意に待とうじゃないかということで折れて提案をしたわけでございます。そうすることによってわれわれは何とか協定を作りたい、こう思ったわけでございます。けれども、先方はやはり自説を固持したという結果に終わりました。その点が一つの障害となってできなかったのであります。
○稻村委員 向こうは、受入国負担にするということで、派遣国負担にするということはどうしても承知しないというわけですね。その点はもう話す余地はなかったわけですね。
○法眼政府委員 その点は、最初は先方は同意してきておったわけです。それを翻した、その翻した方が、非常にもうこれは先方には変える態度がないということでやってきたものですから、私が申し上げたように、将来の問題に譲って将来の合意に待とうということで、ともかくも協定を作ろうということを考えたのでありますが、先方はそれに対しては態度を変えないということであります。
○稻村委員 今後の文化協定に対しては、ソ連に対する外交交渉をやるんですか。
○法眼政府委員 これは、日ソが合意をいたしまして、従来通り外交のチャンネルを通してやるということに合意いたしております。将来の話し合いに待つわけでございます。
○稻村委員 文化協定の問題はそのくらいにしたいのですが、文化協定などというものはどこの国ともほとんど日本はやっておるし、また、日ソ間がいかに偏見があったとしても、このくらいのことはできないということはないだろうと思うのです。また、このくらいのことができなければ、日ソ間がほんとうの問題を解決することはほとんど私はないだろうと思うのです。 そこで、私は外務大臣に最後にお尋ねしたいのですが、高碕さんがこの間フルシチョフ首相に会ったときに、遠洋漁業の問題等も、そういうことが解決しなければだめだ、こういうふうなことを言っておるようであります。私は、日ソ間の平和条約というものは、過去においてはそのチャンスがあったと思うのです。歯舞、色丹を現実的に返してもらって、そうして他の北方領土はあとの問題として日ソ間に平和条約を締結できるチャンスがあったと思うのです。けれども安保条約の締結後にはもうその機会は実際上なくなったと思うのです。将来はどうかしらぬが、それがために、歯舞、色丹を返さしてそうして平和条約を結ぶということは、現実的には一時去ったような状態であります。そこで、私は、日ソ間の平和条約の締結というものは非常に困難であるけれども、これはどうしても解決しなければならぬ重大な問題であると思うので、その点につきまして外務大臣はどう考えておられるか、所見を承りたい、こう思うのでございます。
○小坂国務大臣 日本とソ連が非常に近い国でございまして、その両国の間に親善関係が深まれば深まるほどよいことは、これは当然だと考えております。その意味におきまして、われわれもできるだけの努力をいたしましてソ連との間の友好関係の増進に努めたいというふうに基本的に考えております。ただ、今のこの文化協定の例でも御理解いただけましたかと存ずるのでございますが、先方の態度も、一度これは承諾したのでございます。承諾しておいて、急にまた翻って、全面的にこれからやる問題について将来にわたって促進し助長する義務を両国政府が負うということを入れなければできないというような主張をして参りまして、そういうことで、私ども、はなはだわかりにくいので、これはあとの問題に持ち越さざるを得なかったでのございまするが、この平和条約の問題についても、これは、共同宣言において、御承知のように、国連憲章の尊重、五十一条による集団安全保障の権利を相互に認め合うというような、実は条約的な内容を持った共同宣言になっておるわけでございます。しかし、今御質問の中にございましたように、歯舞、色丹を日本に返す、そのことによって平和条約を作って、そしてまた平和条約を結び直すということは、もう実際問題としては国際間の先例もございましてこれは困難なことであろう、こう考えまして、私どもは、この北方領土の問題が全部解決したときに平和条約を結ぶということでなければならない、かようにわれわれの態度としては思っておるのでございます。ソ連ももとより大国でございますから、非常に身近にある小国である日本をそういじめて理不尽な態度を続けるということは、ソ連においても好まれないことであろう、こう私は思いまするので、双方においてあらゆる機会をとらえて親善友好を進めつつ両国間の懸案を解決していくという態度に出たいと考えておる次第でございます。
○稻村委員 これで私の質問を終わったわけでありますが、ただ、どうも、日ソ間の問題というものを見ますると、先ほど申しましたように、小さなことまで解決を不可能にするようないろいろな要素がありますから、そういうものはできるだけ克服をして、文化協定のようなもの、もしくは漁業問題のようなものは、やはりお互いに、日本側でも偏見を去って片づけていくことが、将来の日ソ間の平和条約を円満に締結する道であると思いますので、その点一つ外務大臣の格段の御努力を願いたい、こう思うのであります。
○森下委員長 森島守人君。
○森島委員 本委員会もしくは予算委員会等において朝鮮の問題、韓国の問題が数回論議に上りました。合法性の問題だとかあるいは安定性の問題だとか、さらに請求権の問題等について相当しさいな論議が行なわれたことは御承知の通りであります。 私は、今簡単に質問したいのは、私としましては日韓協定のようなものが今現実の問題として持ち上がることは好まない。私は今進められております日韓交渉がこわれることが日本のためにいいと思うのですが、あるいは将来、池田さんのタイでやったようなやり方もありますから、がむしゃらに総理一人の考えで日韓交渉を取り結ぶという可能性も全然ないことはないと思いますので、将来質問をする前提といたしまして一、二点簡単に外務大臣にお伺いしたいと思います。 第一にお伺いしたいのは、日韓交渉の今後の見通し等について外務大臣の御所見を伺いたいと思います。
○小坂国務大臣 先般先方の外務部長官との間に話し合いを行ないました。なおまだ多くの食い違っておる見解が存在いたしまするので、これは将来にわたって双方で研究してまた話し合いをしましょう、かようなことになっておるわけでございます。それではいっその話をするかということにつきましては、できるだけ早くということに合意いたしました以外に、現在申し上げるような材料を持っておりません。
○森島委員 私、簡単にお伺いしたいのは、竹島の問題がどうなっておるなか、これは福田委員もそれから穂積委員も質問されましたが、政府の明確なる答弁を得てないまま今日に至っております。竹島問題については、ほかの重要案件とともに小坂さんが藤山外務大臣から事務を引き継がれた場合に、何らかの引き継ぎがあったことは当然なことなんですが、これはどういうふうな引き継ぎがありましたか、私はお伺いしたいと思います。
○小坂国務大臣 引き継ぎの問題は別にいたしまして、私がしばしば申し上げておりますように、竹島の問題については、これはわれわれ一貫して歴代の日本政府が日本の固有の領土であるという主張を堅持しておるわけでございます。また、この問題については双方の主張が全く対立しているという現実も御承知の通りでございます。従って、私は、国際司法裁判所の判定を仰ぐということが最もこうした問題については妥当なことではなかろうか、かように思っておるわけでございまするが、韓国側は、御承知のように、司法裁判所の強制管轄権を受諾いたしておりませんから、やはりこの問題についても双方の合意が必要であるわけでございます。私どもは、さような考え方によってこの問題の解決をしたい、こう考えております。もとより、福田委員から非常に熱心にこの竹島の問題についての解決の御要望があり、また、竹島開発に関係しておられる方に関連する問題もございまして、私どもこれは非常に重点を置いて考えておることは、先般申し上げた通りであります。
○森島委員 ちょっとはっきりしなかったのですが、歴代内閣が一貫した方針をとっておる、こういうことでございますか。
○小坂国務大臣 竹島は日本の領土であるということですね、それに対して一貫した方針をとっておるわけでございます。韓国政府は昭和二十七年一月十八日にいわゆる李承晩ラインというものを宣言いたしまして、竹島をその内側に含めておりまして、これは竹島に対する韓国の領土権を前提とするものでございましたので、日本政府は直ちに、一月二十八日付口上書によりまして、竹島に対する韓国の領土権は断じて認められないという旨を厳重に申し入れたのであります。自来政府は文書及び口頭によって韓国との交渉を継続し、この問題の解決のために努力を続けておる、これは一貫しておる、こう申し上げたのであります。
○森島委員 私は、少なくとも小坂外務大臣になってから竹島問題に関する日本政府の態度は変わっていると思う。今覆われた、李ラインの中に含まれるとか含まれぬなんということは、私はもう承知しております。そこで、私が指摘したいのは、小坂外務大臣、池田総理になってから、竹島に関する問題は根本的に変わっております。これはもう争うべからざる事実であって、岸内閣の当時においては竹島問題も日韓会談のうちで解決するという方針をとっておった点において、大きな違いがある。小坂さんは、竹島は既成事実としてうっちゃっておいて、日韓会談のうちにおいても取り上げていない。私たちの考えからいたしますれば、竹島問題を日韓会談の議題のうちに入れてやる方が、外交上の技術からも私はすぐれていると思っておるのであります。 竹島の問題について小坂さんと岸さんやあるいは藤山さんとの間に大きな違いのあることは、速記録に明らかになっております。私読み上げます。藤山外務大臣は、昭和三十五年三月八日、参議院の予算委員会におきまして、千田正議員の質問に対してこうお答えになっております。「竹島の問題は、まことに遺憾であります」「この問題は外交上の問題として折衝を開始するように日韓会談の中でもこれを取り行なうことにいたしておるわけであります。従いまして、われわれといたしましては日韓会談を通じて十分これが問題の解決をはかっていきたいと思います。むろん、過去におきまして、これを国際司法裁判所に提訴しょうということも考えましたけれども、韓国側が応諾いたしませんから、そのままになっております。われわれとしては、日韓会談を通じて平和裏にできるだけこの問題の解決をはかっていきたいという強い決心を持っております。」こうはっきり答えられております。さらに、当時の岸首相も、同日参議院の予算委員会で、やっぱり千田氏の質問に対して、「日韓の間の交渉というものが、御承知のように多年にわたって行なわれておりますけれども、その結論を得ることができない状況であります」「何とかして、会談中でございますから、この会談を終結に持っていって、そうして諸種の懸案問題を解決したい。この竹島の問題につきましても、そういうような扱いをして参っておりますから、私どもは、決してこれを看過している」わけではないと、こう明白に、日韓会談の過程において解決するのだということを答弁しております。さらに、翌九日の予算委員会の席で、やはり岸首相は、森八三一君の質問に対しまして、さらに明白に、「この会談におきまして、もちろん竹島問題に関する問題もその会談の内容の一つのアイテムにもなっているわけでありまして、」と、きわめて明白な、一点疑いのない答弁をやっておるのでございます。私は、岸内閣から池田内閣になり、藤山さんから小坂さんにバトンが渡った後において、何ゆえに、この歴代の内閣が一貫した方針だとあなたが言っておられるこの対韓問題に対する、ことに領土問題に対する態度を根本的に変更されたのか、この点を明確に御説明願いたいと思います。
○小坂国務大臣 森島さんはよく会談の内容等も実は御存じかと思っておったのでございますが、ただいまのような御質問がございましたからお答えいたしますが、日韓会談の議題として前内閣時代に竹島問題を取り上げたことはないのであります。国会でそういう御答弁があったかもしれませんが、実は現実に取り上げておりますのは現政府になってからでございます。それに対して、これは会談の内容でございますから、言うことを差し控えておるのでございます。日韓会談としては三つの議題ということで従来からずっとやっております。ただ、この会談の過程においてこの問題を解決しようと思っているという主観的な意思の御表明だと思いますが、私は、主観的であっても、主観的の意思の御表明があったことは、これはけっこうだと思うのです。ただ、私は、現実においてこの問題を話しております。しかし、これはいろいろ言いますことは会談の内容ですから差し控えておるのでございますが、先般の新聞等をごらんになりましても、小坂外務大臣は竹島の問題などを持ち出してはなはだ不誠意であるということを先方が言っておるということで、これによっておわかりだと思います。
○森島委員 私は、岸内閣の当時に竹島問題を具体的な問題として持ち上げておりながら、あなたになってから話しておるなんということをおっしゃいますけれども、最後の段階においてちょっと触れたというのが新聞の報道で、終始一貫真剣にこの問題に取り組まれたということはないんじゃないかということをおそれておるわけでございます。岸さんや藤山さんの御答弁はこれは事実でないとおっしゃるならば、これは非常な重大な発言で、私は次の国会においてはこの問題を取り上げて岸さんや藤山さんにこの席上へ来てもらって対決せねばならぬと思っております。 そこで、私が次にお伺いしたいのは、領土問題の確定がなくて国交回復をやったりあるいは平和条約を結んだりした例は、第一次戦争、第二次戦争を通じまして絶無じゃないか、こう思っておるのでございます。ことに、ソ連に対しましては、今稻村君の質問に対して、領土の問題が片づいていないから、平和条約は領土の問題一切を解決してその上で一ぺんにやるのだという御答弁があったように拝聴いたしましたが世界の歴史を通じまして、第一次、第二次戦争でけっこうですが、このような領土問題をそのままにしておいて国交回復をしたりあるいは平和条約を結んだ事例がありましたかどうですか、私はあり得べからざることだと思うのです。もし事例がありましたらこの席上でお示し願いたいと思います。
○小坂国務大臣 先ほどの私の答弁についてのお話でございますが、私は、日韓会談の議題として竹島問題をあげて交渉したということは私は承知しておらない、そういうことを言ったわけです。交渉の過程でお話があったのかもしれません。なかったということを私は申し上げた覚えはない。これははっきりしておいていただきたいと思います。それから、交渉の内容に若干触れざるを得なかったわけでございますが、最後にちょっと言ったというのはあなたの誤解でございまして、私はその冒頭に話をしております。 それから、他の国際間の実例等については条約局長から申し上げます。
○中川政府委員 新しく平和条約を結んで、その結果従来その国の領土であった部分が一つの独立国になるというような事例の際には、独立国になる新しい国の領域範囲ということは当然書くわけでありますが、日韓で今国交正常化をしようというのは、これによって韓国の独立を認めようというのではないのでありまして、韓国の独立、いわゆる朝鮮国の独立というものはすでにサンフランシスコ平和条約で日本がはっきりこれを認めておるのであります。これに基づきまして朝鮮国というものは独立したわけであります。従って、今後日本が韓国とやろうというのは、この独立した韓国、あるいは朝鮮国と申しますか、これとの間の外交関係を樹立する、これによって国交を正常化するということをやるわけでありまして、従って、これは、すでに独立しておる国との間の国交をいわば正常化する、開くという問題があるわけでありまして、領土の範囲をこの国交正常化によってあらためてきめるという趣旨のものではないわけでございます。従って、今度の戦争後たくさんの国が独立しておるわけでありますが、これらの国が独立した場合に、どの範囲のものが独立するかというのは、その本国との間の協定なり何なりできまるわけでありまして、あとでこれとの間に国交正常化する問題は別個にきめられる。観念的には別のものであります。たとえば、日本がインドネシアと国交を回復したといいましても、その前にインドネシアは独立しておるわけでありまして、日本がインドネシアと国交を回復するという場合に、どういう範囲の領土を持った国としてインドネシアを認めるかということは、その際に何もきめないのでありまして、従って、いわゆる独立国との国交正常化ということはむしろそういう格好で行なわれておるわけでございます。韓国についても、従って、今度結ぶ国交正常化の協定なり、あるいは覚書なり何なりができますが、それに必ずしも領土の範囲を確定する必要はない、このように考えております。
○森島委員 非常に的をはずれた御答弁で、私はあきれたのですが、それでは、韓国の領土というものは平和条約の中にはっきりしております。個別的に名前をあげております。その中には竹島は入っておりません。この点に関する御見解はどうですか。
○中川政府委員 日本はサンフランシスコ平和条約で朝鮮の独立を承認したわけでございます。それで、済州島とか巨文島とか鬱陵島、これを含む朝鮮に対するすべての権利、権限を放棄しておるわけでございます。従って、ここにあげております三つの島以外の沿岸のどういう小さな島が独立する朝鮮というものに含まれるかということは、結局、常識できめると申しますか、おのずから当然きまるという趣旨でできているわけでございまして、この見地から、竹島は島根県の領域でございますから、当然日本の方に属することは明らである、かように考えておるわけでございます。
○森島委員 竹島が日本の当然の領土であるという建前のもとに交渉を始められたと思うのですが、三つの委員会を作って懸案の解決をはかろうという態度をとっておられるときに、同時に起きておるのが竹島の問題です。竹島は無人島とも言われ、きわめて小さな島ですが、日本国民の領土に対する素朴な感情から言いますれば、私は同時に解決をはかるべきだと思うのでありまして、政府のとってきました態度は、私はきわめて遺憾だと存じておるのでございます。 そこで、私がお伺いしたいのは、交渉の見通し等についてははっきりしないという御答弁でございましたが、韓国からの新聞報道によりますと、竹島の問題を持ち出した、これは不都合だ、前の議題になかったのだというふうなことさえ外務部長官も言っております。また、日本の在外代表部を置くことについても文句を言っておるようでございます。これまでの小坂さんのおやりになった交渉がどの程度しっかりおやりになったか、私存じません。しかし、少なくとも、三つの委員会に精力が集中して、竹島問題に関しては、あたかも既成事実を認めるがごとき比較的弱い態度をおとりになったことは事実じゃないかと私は思います。これが韓国側に対してもそのような印象を与えておるゆえんだ、こう思うのであります。 それはともかくといたしまして、国際司法裁判所へ訴えるという問題は、前内閣のときには、日本が訴えようとしたけれども、承諾しないからやむを得ないのだ、それで、今私ははっきり申し上げましたが、外交交渉の過程においてこれも議題の中に含んでやっておるのだということを、藤山さんも岸さんも口をそろえて述べております。この点において、何ゆえに議題の中に入れないで別個の取り扱いをしたかという点についても、一つ小坂さんの御答弁を求めたいと思います。
○宇山説明員 日韓会談の議題につきましては、これまでも繰り返し答弁されておりますように、日韓会談の議題は、法的地位、請求権、漁業問題というふうに限られておりまして、竹島問題は議題になったことはございません。
○森島委員 それじゃおかしいじゃないですか。あなた方が自主的にどういう問題を日韓会談で取り扱うのだということをきめなければならぬ。双方できめるといたしましても、日本の政府としては、議題になっておらぬからというふうなことでは答弁になりません。あなた方自身が自主的にどういう問題をどうするのだということをきめなければ、外交交渉なんてものは進む道理がない。 それから、私はもう一つ尋ねますが、小坂さんは野原委員の質問等に対してもきわめて不明確な態度をとっておられる。たとえば、今交渉の議題には入っていないが、当然話し合うべき問題で、政府としては韓国と国交回復の際国際司法裁判所に提訴する方針である、こう答弁しておられます。また、国交正常化を実現しようとするならば、相手方の態度も以前と違ってくるだろう、また、交渉を妥結させる場合、相手方が応訴して初めて国交を正常化すべきものと考えている、これも小坂さんの御答弁にある。そうしてみますと、小坂さんは国交正常化の話が進めば竹島の問題のごときは当然向こうが日本の国際司法裁判所に提訴するという方針に同調してくるものだというきわめて楽観的な見解を述べておられますが、私は、結果は逆だったと思う。向こうはこれを問題にしていないじゃないですか。日本政府に誠意なしという態度をとって、日韓会談をいつ始めるか等についても明確な態度を示していないのが韓国側の現状ではないか、こう思うのでございまして、私は、この際はっきり、条件にするのかしないのか、その点を一つ承りたいと思います。
○小坂国務大臣 日韓会談というものは非常にむずかしい問題でございますが、われわれとしても最善を尽くす考えでございますし、竹島問題に対する歴代の政府、また現在の池田政府の考えというものは、十分御承知になっていただいていると思うのでございまして、この問題につきましては、私は、それ以上申し上げる要はない、こう思っております。
○森島委員 こう御答弁になっておるので、もう一歩進んで明確にさせるのが私は日本国民を安心させるゆえんだと思う。竹島の問題は日韓会談の条件でないのだ、議題外だということを池田さんも言っておられます。これは池田さんの答弁と小坂さんの答弁は食い違ったところもあるが、私はきょうは詳しくは聞きませんが、政府の態度はきわめて不明確で、私は一点だけこの際明確にしていただきたいのは、竹島の問題の解決なくして日韓会談の妥結があるかいなかという点について、イエスかノーかでけっこうですから、はっきりお答えいただきたい。
○小坂国務大臣 日韓の国交が正常化するためには竹島の問題が解決せられなければならない、それがなければ国交の正常化はないというのが私の考えです。
○森島委員 きわめて明快な御答弁を承って、私は満足に思うのですが、それでは、もう一応確かめておきますが、竹島の問題の解決なくして日韓会談の妥結はない、こう了解して差しつかえありませんね。
○小坂国務大臣 国交正常化です。会談そのものは、議題がきまっておりますから、これは今までずっと十何年にわたる議題なんで、これはこれとしてやりまして、しかし、会談と並行しまして、竹島問題はどうしても解決したい、こう考えております。それが終わって初めて国交が正常化する、こういうふうに考えます。
○森島委員 それでは、私はもう一度確かめておきますが、三つの委員会の問題が解決しましても、竹島の問題が解決しなければ日韓国交の正常化は実現させないという確固たる方針だと承って差しつかえないのですか。
○小坂国務大臣 私は、日本国民に対しまして、竹島の問題が解決しないで日韓国交の正常化はあり得ない。政府としては国民に対してそういうことは言い得ないという信念を持っております。
○森島委員 私は最後にお聞きしますが、信念だけでなく、それを実際政治のうちに具現化するということが政治家のとるべき態度だと私は思うのでございまして、その点におきまして、今の御答弁はいささか不明確な点もあるように思いますが、日韓の国交正常化のためには竹島問題の解決が第一だ、第一か第二か知りませんが、竹島問題の解決なくして日韓国交の正常化なしということに了解して差しつかえないと思うのですが……。
○小坂国務大臣 私はそういうふうに申し上げておるつもりです。御不満ですか。
○森島委員 あなたの御答弁としてはいつもにない明快な御答弁を得たので、私は満足しますが、池田さんもおることですから、また池田さんが何をやるかわかりゃせぬですから、そこはあなたが厳重に監視して、その方針が少しも動揺しないようにしていただきたいということを私は要望しまして、質問をやめます。
○森下委員長 これにて散会いたします。 午前十一時三十分散会