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40回国会衆議院1962/06/01

科学技術振興対策特別委員会 第25号

発言数
52
登壇者
11
会派数
2
開催日
1962/06/01

会議録

前田正男自由民主党

○前田委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  本日は、原子力発電に関する問題について、参考人より意見を聴取することにいたします。  本日御出席の参考人は、三井物産株式会社取締役副社長長沢ショウ三君、三菱商事株式会社常務取締役足立一郎君、日商株式会社専務取締役長山泰憲君及び社団法人日本原子力産業会議事務局次長森一久君、以上四名の方々であります。  この際、参考人各位に一言あいさつを申し上げます。本日は御多用中のところ本委員会の調査のため御出席下さいまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  これより原子力発電に関する問題につきまして、それぞれのお立場より御意見をお聞かせいただきたいと存じます。なお、参考人の御意見の開陳はお一人約二十分程度にお願いいたしまして、そのあと委員各位の質疑にお答え願いますようお願いいたします。  参考人の御意見開陳の順序は、最初に長沢ショウ三君、次に足立一郎君、次に長山泰憲君、最後に森一久君よりお願いをいたします。  それでは最初に長沢参考人よりお願いいたします。長沢参考人。

長沢ショウ三三井物産株式会社取締役副社長

○長沢参考人 ただいま御指名を受けました三井物産の長沢でございます。  私は原子力発電の現状、特にGE製BWRにつきまして申し上げたいと存じます。  原子力発電の経済性は年とともに火力発電に近づき、すでに米国内の一部地域では火力発電より有利と考えられるようになっておりまして、日本政府の長期計画にある予想を裏づけしていると判断されます。  この傾向を沸騰水型、すなわちBWR型原子力発電について見ますと、お手元に差し上げました添付表並びに第三図のごとくなりますが、これは軽水型原子力発電一般についていえるもので、過去数年間の研究開発の成果がいかに目ざましいものであるかがおわかりいただけると存じます。それと同時に、その発電コストの低下率は漸次下降傾向をたどりつつありまして、今後十年間の低下は過去十カ年のような大幅な率を期待することはむずかしいかと存じます。  もちろん、たとえば高速増殖炉、高温ガスあるいは液体金属冷却炉、半均質炉あるいは過熱型沸騰水炉等の新しい型式の原子炉が実用可能となれば、この低下率が再び増大するものと思われますが、現在実用可能となっている信頼できる原子炉としては、重要な開発は一通り完了し、むしろじみな開発段階に入ったものと考えられます。  従って、現在または今後数年間に建設される原子力発電プラントの発電コストは、すでにその建設年度による改良の度合いあるいは個々の型式からくる違いよりも、個々の建設計画における条件の相違及び今後の政府の政策の動向により左右される要素の方が大きく響いてくる段階に至っていると存じます。  非常に大胆な発言が許されるならば、米国式のBWR型発電プラントをそのまま日本に持ち込んだ場合、現在の新鋭輸入火力発電プラントの発電コストに比し一〇%程度高くなる可能性はありますが、二〇%以上高くなる可能性は少ないのではないかと思います。また、この傾向は、多少のBWR型の改良と火力発電のコスト低下とをあわせ考えれば、しばらくは続くのではないかと考えられますが、今申し上げました個々の条件及び政府の政策による影響は、この推定誤差一〇%よりもはるかに大きく、これを最も楽観的に考えた場合には、火力発電所よりも安くなることも不可能ではなく、また非常に悲観的にとった場合には、とうてい採算が考えられないほど割高になる可能性もあります。  以上の点を御理解いただいた上で、三井物産が販売に協力いたしております米国ゼネラル・エレクトリック社、すなわちGEのBWR型原子力発電プラントの経済性につき、手に入れております資料をもとにしてお話申し上げたいと思います。  まず第一に、発電コスト引き下げ並びに安全性に関するGE社の技術開発について申し上げます。  発電コスト引き下げの方法としましては、第一に、発電コストの約六割を占める発電所の建設費を安くすること、第二には、約三割を占める原子燃料費を下げることでありまして、GEではこれらに関しまして、お手元に差し上げました資料にかなり詳しく述べておりますが、発電所建設費を安くする方法として、設備を簡素化すること、発電容量を大型化すること、出力密度を上げること、また、燃料費を引き下げるおもな方法として、燃料燃焼度の向上と成型加工費の引き下げでありまして、これらに関してGEは非常に力を入れて研究開発を行なっております。  次に、安全性についてはどうかと申しますと、これもお手元に差し上げました資料五ページから七ページにかけて詳しく述べております通り、全く心配はないものと思われます。  次に、GE社のBWR型による発電コストについて申し上げます。  さきに申し上げました技術開発により、現在まで実現いたしましたコスト低下と将来の予想を申し上げますが、順序として歴史的背景からお話ししたいと思います。  今から十年ほど前、米国においては将来どの型の原子炉が発電用として経済的並びに技術的に最も可能性があるかが大きな問題でありましたが、GEは一九五五年に、二十年あるいはそれ以上先のことはともかく、比較的近い将来において火力発電と対抗できるものはBWR型であると判断し、シカゴのコンモンウエルス・エジソン社のために十八万キロワットのドレスデン発電所の建設を始めたのは御承知の通りでございます。  ここで、何ゆえにこのような古いことをお話しするかと申しますと、GEのBWR開発はこのときにきめられた方針に基づき一貫した計画によって進められており、現在までその計画通り、いなむしろ計画を上回る成果をあげてきているという点を御認識いただきたいためでありまして、現在及び将来についてGEが予言しております発電コストは、十分信頼してよいものであるということを強調いたしたいのであります。  ドレスデン発電所は、GE社が一括四千五百万ドルで引き受け、不足分は自社の研究開発費としてまかなったのでありますが、従ってドレスデン発電所の実際建設費はわかりませんので経済性も不明ですが、一九五七年GEの民間向け原子力設備生産部門であるAPEDのジョージ・ホワイト氏が来日し、方々の電力会社にドレスデンと同様な仕様の十八万キロワットBWRプラントに関する見積書を提出して帰りましたが、この見積もりから計算しますと、建設費は一キロワット当たり三百九十ドル、約十四万円、発電コストは一キロワット・アワー当たり十三・四ミル、約四円八十二銭となりますので、大体これに近いのではなかったかと考えられます。それだけの値打は十分あり、建設途上すでに一九五八年にはオペレーション・サンライズ計画としてBWR開発の長期計画を立案し、一九七〇年を目標に一キロワット当たり建設費百七十五ないし二百二十五ドル、約六万三千ないし八万一千円、一キロワット・アワー当たり燃料費一・八ないし二・二ミル、約六十五銭ないし七十七銭、この場合一キロワット・アワー出たり発電原価は五・七ないし六・八ミル、すなわち二円五銭ないし二円四十三銭を実現すると発表しました。  この数字はあとで御紹介申し上げますボデガ・ベイ発電所の計画と比べますと、その目標が控え目に過ぎることがおわかりになると存じますが、当時、といっても今から四年前にすぎませんが、当時はこれでもその可能性につき一部では疑問も持たれておりました。  さらに、このドレスデン発電所が一九六〇年に完成し、営業運転に入りますと、種々の貴重な経験、データを手に入れ、研究開発も一段と進み、昨年三月GEのAPED技術部長リチャード氏がシカゴで開かれた動力会議で発表した論文、参考資料1では、三十万キロワットのBWR型原子力発電プラントを直ちに建設を開始するとした場合、一キロワット当たり建設費百九十七ドル、約七万一千円、一キロワット・アワー当たり燃料費二・五ミル、九十銭、一キロワット・アワー当たり発電コスト六・六八ミル、二円四十一銭とあり、また一九六七年に建設を開始する五十万キロワットのものでは、一キロワット当たり建設費百六十五ドル、すなわち五万九千円、一キロワット・アワー当たり燃料費一・七ミル、六十一銭、一キロワット・アワー当たり発電コスト五・五ミル、一円九十八銭と予想しており、米国で経済的に火力発電と十分対抗できるもので、オペレーション・サンライズ計画を確認したわけであります。  ところが、昨年暮れ、さきに述べましたホワイト氏が再び来日いたしまして、日米合同原子力産業会議で述べましたところによりますと、参考資料2にありますように、五十万キロワットのBWR型原子力発電プラントを一九六五年建設開始するとすれば、一キロワット当たり建設費百六十五ドル以下、すなわち五万九千円、一キロワット・アワー当たり燃料費一・五ミル以下、すなわち五十四銭でできると申しておりますが、これですと一キロワット・アワー当たり発電コストは五・三ミル以下、すなわち一円九十一銭以下に当たるわけで、GEの目標到達は一年以上早くなることを意味しております。  この数字は、ペニングトン氏の資料として日本で知られております一九五九年米国原子力委員会の調査報告と比較いたしますと、建設費では二〇%安くなり、燃料費は三〇%安くなって、発電コストにして一キロワット・アワー当たり二・五ミル、すなわち九十銭引き下げられたわけで、その開発のテンポは著しいものがあると言えます。  私どもといたしましては、以上の数字は信頼するに足るものであり、火力発電プラントの実績より考えまして、これを日本に輸入した場合、もちろん米国で建設したときよりも多少割高となることは考えられますが、火力発電所の発電コストと比べてそれほど高いものになるとは思われません。  次に、ボデガ・ベイ原子力発電所について申し上げます。  これまでは原子力発電設備の製造メーカーであるGEの発表した数字により御説明申し上げましたが、次に原子力発電プラントの実際利用者である買手の電力会社側の発表した数字で裏づけしてみたいと存じます。  米国カリフォルニア州北部にあるパシフィック・ガス・アンド・エレクトリック社、略してPG&E社は、所有している発電設備の容量が五百万キロワット以上という米国最大の民営電力会社で、今年になって東京電力が世界第一位となるまでは世界最大でもありました。  このPG&E社が、参考資料3にありますように昨年六月突然、と申しましても、この会社は数年来GEと協力して原子力発電、特にBWR型原子力発電プラントの開発に力を入れており、民間最初の原子力発電プラント、バレシトスBWR型原子力発電所の建設に参画して、今でもそのタービン発電機側の設備を所有し、その運転を行なっており、さらにサンフランシスコ北方二百マイルのフンボルト・ベイに六万キロワットのGE製BWR型原子力発電プラントを実用設備として建設中で、本年中には運転に入る予定であります。一九六二年八月着工、一九六五年末までに完成の予定でサンフランシスコ北方五十マイル、フンボルト・ベイに総出力三十二万五千キロワット、GE製BWR型を採用した火力発電よりも安い原子力発電プラントを建設すると宣言し、当時とかく原子力のスロー・ダウンが伝えられておりましたおりから、非常な話題を投げかけたものであります。  その後各方面からPG&E社にこの発表の真相に対し説明が求められておりましたが、去る三月サンフランシスコにおいてボデガ・ベイ原子力発電所建設許可に関するカリフォルニア州政府の公聴会が開かれ、初めてコストの内容が発表され、経済性が明らかとなりましたので、その概要を御紹介いたします。  ボデガ・ベイ発電所の計画は参考資料4の図面で概略おわかりの通りで、GE製単一サイクル式BWR型発電所で汽水分離装置を原子炉圧力容器に内蔵しており、球型原子炉格納容器のかわりに圧力抑制方式を採用して地下格納式としたものであります。従って、建設費は非常に安くなっておりまして、次の通りとなっております。  原子炉プラント機器、二千三百四十二万九千ドル、約八十二億円、タービン発電機一千三百二十七万七千ドル、約四十九億五千万円、補助設備、土地、建物及び土木工事費一千三百十万ドル、約四十七億二千万円、設計監督、経常費その他一切一千百七万四千ドル、約四十億円、合計いたしまして六千八十八万ドル、約二百三十七億円となっております。  また、燃料費については、AEC発表の濃縮ウラン価格及び一グラム当たり九・五ドルのプルトニウム・クレジットを採用しており、発電プラントの稼働率を八〇%、年間資本費率一四%と仮定しますと、一キロワット当たり建設費百九十五ドル、約七万円、一キロワット・アワー当たり資本費三・九ミル、約一円四十銭、一キロワット・アワー当たり燃料費一・九六ミル、約七十一銭、一キロワット・アワー当たり運転費〇・七三ミル、約二十六銭、一キロワット・アワー当たり発電コスト六・五八ミル、約二円三十七銭、この数字はPG&E社の発表、参考資料4と相違しておりますが、PG&E社では発電機端子の電力コストを稼働率九〇%、年資本費率一三・二%を採用しておりますが、ここでは通常日本で比較されるときに使われる方式、すなわち稼働率八〇%、年資本費率一四%として発電所内送電用変圧器の送電端における電力コストを計算したためによる違いであります。  以上の見積もりを検討してみますに——日本に持ち込む場合のことはあとで考えるとしまして、建設費は、その仕様から考えても、またGEの推定値と比べましても無理のない数値で、一方燃料費も、AECの値段に基づく材料費は当然であり、また一ポンド四十六ドルという成型加工費はそれほど安く見積もっておるとは思えないのであります。従って、PG&E社の発表は米国に関する限り正しいものと判断できますし、火力用燃料費の高いカリフォルニア州北部——日本ではこれよりさらに二五%ほど高いのでありますが、火力発電コストと十分対抗できるものでありましょう。  次に、日本における発電コストについて申し上げます。  最後に、BWR型発電プラントを日本に建設した場合に触れてみたいと思いますが、これは非常にむずかしい問題で、正確な数字でお話しすることは不可能でありますので、傾向としてのお話にならざるを得ません。まず前提として、今まで御説明いたしましたPG&E社のボデガ・ベイ発電所の発表を信頼できるものと仮定し——もっともPG&E社は買手であり、しかも州政府の公聴会における発表ですから信用せざるを得ませんが、カリフォルニア州北部では、その発電コストは火力発電と同じであるといたします。  傾向を考える上には、新設の米国から輸入している火力発電プラントと比較してみるのが便利であります。現在米国製の火力発電プラントを輸入した場合、輸送費、輸入税、補償費等、余分に費用のかかるものがあり、建設中の利息等割高のものもある一方、一部の国産品、建設工事、据付労務費等多少安い点もありますので、今かりに考えてPG&E社が参考資料4であげております火力発電プラントに比べ、建設費ではほとんど同程度ですが、重油は二五%ほど割高と考えます。  一方、原子力発電プラントを輸入した場合は、火力発電と同様の条件のほかに、火力発電よりも不利な敷地しか得られないことや、火力発電のように米国式の設備をそのまま採用することは不可能で、たとえば人口密度の関係からくる安全対策の追加設備がかかる点等を考えて、二五%高くらいの建設費になるものと考え、燃料費はプルトニウムが日本の場合AECに買い取りを期待することができないこと、使用済み燃料の輸送に相当費用がかかること、また保有している燃料にかかる金利が割高であるという不利を考え、四〇%高につくと仮定します。運転費は、火力、原子力ともに米国とほぼ同じと考えてもよろしいので、そのままの率を適用しますと、発電コストの構成を大ざっぱに考えると次のごとくなりますので、日本に持ち込んだ場合の発電コストの対米比は次の通りとなります。  火力の場合は、資本費が三〇%、燃料費が六〇%、運転維持費が一〇%、そういう割合に考えられますが、原子力の場合は資本費が六〇%、燃料費が三〇%、運転維持費は一〇%ということになっておりまして、それを日本に直した場合、火力の場合ですと燃料費が二五%日本では高くなり、全体としてアメリカに比べて一一五%、つまり一五%高くなる。原子力の場合は、資本費において二割五分、燃料費において四〇%高くなりますので、全体として一二七%、アメリカよりも二七%高くなる。すなわち火力は米国の一五%高、原子力は米国の二七%高となり、原子力は火力に対し一〇%高となります。なお、原子力の発電コストが火力の二〇%高となるためには、原子力の場合の合計が一三八%になることを意味し、資本費は八六%であらねばならず、これは資本費、従って建設費が米国の四〇%高となった場合であります。  これはもちろん単なる仮定による試算にすぎませんが、この概算からも冒頭に申し上げた輸入火力発電の発電コストに比べ、原子力発電は一〇%高になる可能性はあるが、二〇%高になる可能性は少ないことがおわかりいただけると存じます。  このパーセンテージをボデガ・ベイ発電所の発電コストに入れて計算しますと、資本費四・八八ミル、すなわち一円七十六銭、燃料費二・七五ミル、一円、運転費〇・七三ミル、三十六銭、合計発電コスト八・三六ミル、三円二銭という数字が出ます。  以上は非常に大胆な計算でありますが、個々のコスト要素を積み上げて詳細な発電コストの見積もりをいたすためには、原子力発電所の設置場所、建設資金の調達方法とそれに基づく金利並びに償却方式、安全対策に関する政府の規制及び指導の具体的方法、成型加工費以外の核燃料政策によりきまる燃料関係費等、発電コストを大幅に変動させる要素を確定し、発電会社等の実際の設置者が政府の安全審査に合格する設計をもとにしてメーカーから見積もりを取りつけて計算しませんと、信頼できるものはできませんので、現在のところ大ざっぱな話に終わらざるを得ないことをお許し願いたいのであります。  しかしながら、初めに申し上げましたように、BWR型原子力発電プラントは、米国においてはすでに技術的にほとんど完成の域に達しており、建設費につきましては、今後数年間の建設開始時期の違いによる差は個々の計画の立地条件の違いによる差よりも少ないことは確かでありまして、しかも、現在発電コストを不明確にしております要素は、実際建設を経験して初めて明らかにされる種類のものである点を考慮しますれば、原子力発電長期計画にある開発段階の精神を尊重し、着工してから完成するまで三年から四年を要する長期建設工事でありますので、できるだけ早くわが国の第二号原子力発電プラントの建設にとりかかっていただきたいと存ずる次第であります。  なお、燃料費に関しましては、デボガ・ベイ発電所の四〇%割高と仮定いたしましたが、よく考えますと、これはプルトニウムが売れないのに使用済み燃料を再処理するという矛盾を冒しておりまして、参考資料4でおわかりのように、使用済み燃料の再処理費は、それによって回収できるプルトニウムの売却費でまかない、若干おつりがくる程度となりますので、残存ウラニウムの価格とそのおつりが再処理をした利益となりますが、もし残存ウラニウムだけしか売れないならば、それは再処理費もまかなえない程度にすぎませんので、再処理しない方が得となります。まして使用済み燃料輸送に高い費用をかけて再処理のために米国へ返送することは無意味であります。簡単な永久廃棄処分を行なうか、日本政府が無償で引き取ることにでもすれば、これにも種々問題はありますが、燃料費はボデガ・ベイの一五%高程度でおさまり、発電コストは火力並みまたはそれ以下ということになります。さらに、将来政府が再処理プラントを建設し、プルトニウムの利用方法も確立し、市場価個が出た場合は、燃料費は米国並みとなり、BWR型原子力発電プラントの発電コストは火力発電に比しさらに有利になるものと期待されます。  要するに、核燃料費は政府の政策により大幅に変動し、原子力発電が採算に乗るかいなかのきめ手になる点を御理解賜わり、この方面における適切な政策の立案を早急に希望する次第であります。

前田正男自由民主党

○前田委員長 次に、足立参考人よりお願いいたします。足立参考人。

足立一郎三菱商事株式会社常務取締役

○足立参考人 御紹介にあずかりました三菱商事の足立でございます。  三菱グループの方は、ウエスティングハウスの加圧水型スペシャル・アイスウォーター型の原子炉と密接な関係がございますので、主として加圧水型原子炉PWRの現状と将来につきまして御説明をいたしたいと思います。  近時火力発電所の大容量化、重油の値下がり等による発電コストの値下がりによりまして、原子力発電がスロー・ダウンの傾向にあるやに看取されるのでありますが、わが国のエネルギー総合対策の一環として原子力発電は緊急に取り上げられるべき問題であると存じております。  弊社の関係先である米国ウエスティングハウス社におきましては、つとに原子力の研究開発に努力して参りましたが、世界最初の原子力潜水艦ノーテラス号の原子炉、これは先刻も申しました加圧水型でありますが、これは同社の製作によるものであることは皆様御高承の通りであります。一方ウエスティングハウス社は、原子力の平和利用に対しましては多年努力を傾注いたしまして、シッピングポート発電所を初めといたしまして、幾多の原子力発電所の建設に貢献して参っております。  以下ウエスティングハウス、略しましてウ社の原子力発電プラントにつきまして、その概況、安全性、経済性の現状並びに将来の見通しを申し述べたいと存じます。  ウ社PWRプラントにつきまして、ウ社の原子力研究は、遠く一九三六年、今から二十六年前にさかのぼりまして、同年ウ社は原子の構造と原子エネルギー解放の秘密を解くとの声明を発表しまして以来、今日までたゆまず人類の平和と科学技術発展のために尽力して参りました。一九四八年六月、ウ社は原子炉の設計に着手すると、直ちに同年十二月米国原子力委員会は、同社と船舶用の原子炉建設の契約を締結いたしました。以来船舶用原子炉はウ社の独壇場でございまして、四十有余のPWRを建設し、その比率は全原子力船の九〇%にも達している次第でございます。  ちなみに御参考に申し上げますと、おもな原子力船を列記いたしますと、前に申しましたノーテラス号を初めといたしまして、スケート、スキップジャック、ラファイエット、それからこれはもっと大きな船になりましてロングビーチ、エンタープライズというような、米国原子力船のほとんどがウ社製PWR原子炉を搭載しておる次第でございます。と申しますのは、これはきょうのお話の発電用のこととはちょっと道が違うのでありますが、これに搭載します炉は、性能はもちろんのこと、安全性ということが非常に大きなファクターになりますので、その点につきまして、ウ社が今まで非常な苦心と経験を積んできたことを申し述べたい前提でございます。  一方、発電用原子炉に目を転じますと、すでに米国におきましては、ウ社はシッピングポート、これは六万キロワットの電気出量でありますが、近く十万キロに増加の見込みでございます。それからその次にはヤンキー発電所、これは十五万キロでございます。それから三番目にはサックストン、これは小さいのでございますが、これは五千キロ、この三つが運転に入っております。また、米国以外の海外におきましては、BR−3、これはベルギーから注文を受けたものでございますが、一万一千五百キロ、ちょうど昨年の暮れに運転開始に入りました。それから、これは目下建設中のものでございますが、五番目にセルニ、これはイタリアの注文でございまして、電気出力十八万キロという計画で進みましたが、これは明年運転開始の予定でございますが、建設中いろいろ技術の進歩もございまして、十八万キロの予定が二十七万キロに増加できる見込みになっております。それから、六番目はセナ、これはフランスとベルギーと両国が共同で注文したものでございまして、両国の国境近くにございますが、これは二十五万八千キロで、一九六五年に運転に入る予定でございます。  この実用炉の中で一番特記すべきものは、ヤンキー・プラントでございます。ヤンキー・プラントは、いわゆる商業用と申しますか、コンマーシャル・ベースの大容量PWプラントのプロトタイプとして建設されたものでございます。前に申しましたシッピングポートのほかは発電のほかの目的でありますが、ヤンキーの方はコンマーシャル・ユーズの発電所として最初から計画され、設計されたものでございます。一九六〇年末、発電開始以来、一回の故障もなく、順調な運転を続けまして、すでに本年二月までに約十二億キロワット・アワーに達する正味発電を行なっております。この炉は予期以上の運転性能を示すとともに、建設費も当初予想したよりは相当に下回った実績を示しまして、米国原子力委員会よりも絶賛を得ているような次第でございまして、ウ社のPWRプラントのその後の発展の基礎となっている次第でございます。  ここでただいま申しましたプラントの話の幾つかについて概略を申し上げますと、まずヤンキー発電所でありますが、お手元に配付いたしました参考資料の中にニュークリア・エンジニアリングという雑誌より抜萃いたしました同プラント解説記事が挿入してございます。同発電所は、米国マサチューセッツ州のロウに設置いたしまして、同地方における有力電力供給会社十社よりなるヤンキー・アトミック・エレクトリック・カンパニーにより運営されておる十五万キロワット、クローズ・サイクルの加圧水型原子力発電所でありまして、一九五八年四月に建設に着手いたしまして、一九六〇年十二月より全出力運転に入って今日に至っておる次第でございます。同炉は、燃料としまして三・四%の濃縮二酸化ウラン約二十三トンを使用して、すべて焼結ペレットとしてステンレス被覆管中に納められております。  この燃料に対しまして減速並びに冷却材として四百九十九度F二千ポンド・パー・スクェア・インチ加圧軽水を循環させ、圧力容器出口において五百三十二度Fを得ております。この加熱された一次冷却水が四系列の一次冷却系により蒸気発生器に導かれまして、ここにおいて二次冷却系軽水を四百六十七度F五百ポンド・パー・スクェア・インチで四かける五十万ポンドの蒸気を発生いたしまして、タービンを動かし、電力に変えておる次第でございます。  先ほどから申し上げておりますようにPWRは非常に安全性の高い炉でございますが、ヤンキーにおきましては制御棒駆動方式に上部駆動型式を採用しております。この方式は、制御棒が炉心の上部にありまして、炉の停止には制御棒自体の重量で下降するようになっておりますので、安全度の高い方式でございます。  このようにヤンキー発電所はコマーシャル規模の最初の発電所と申すべく、同発電所の建設及び運転の経験は、その後のウエスティングハウス社PWRの開発に資するところ非常に大きいものがございます。  次に、イタリーに建設中のセルニ・プラントでございます。資料の六八ページにございますようにセルニはウ社の作りましたシッピングポート、それからベルギーに行きましたBR−3、ヤンキー等、それ以前の発電ブラントの経験に基づきまして、幾多の改良を取り入れ、ヨーロッパにおいてフル・スケールのPWRとしましては初めて全面的に多領域装荷方式を採用したものであります。多領域装荷方式と申しますのは、資料中にも各所に触れておりますが、本質的にはこの方式はより低い濃縮度でより高いバーン・アップを得んとするものでありまして、原子炉炉心を幾つかの円筒状の領域に分けまして、各領域に対し外部より内部へと徐々に濃縮度の低い燃料をチャージいたしまして、炉心内での燃焼率の均一化をはかり、また原子炉設計上重要な因子の一つである蒸水路係数の低減をはかっているものでございます。また、この方式では、燃料取りかえのときに、中心部の燃料を取り去るとともに、燃焼の結果濃縮度の下がった外部燃料を順次中心部のセクションに入れかえまして、新しい燃料は最外部の領域へ装荷するということが可能になり、これによってすべての燃料要素に対して安全な燃焼が期待できるような次第でございます。  セルニにおきましても、この型式の三領域炉心を採用してバーン・アップの上昇をはかっております。その他の点でも種々改良が行なわれており、その結果当初設計出力十八万六千キロワット、これは資料のうちウ社のクレアガン・レポートの四ページに載っておりますが、に対しまして今日では二十七万キロワットの出力が期待されている次第であります。  中でも炉心構造、ケミカル・スキム等はその顕著な例でありまして、燃料要素組み立て方法の進歩による炉心構造物の量は、ヤンキーに比較いたしまして約三〇%減となっており、この結果濃縮燃料の使用が可能となりまして、従ってパワー・コストの低減に成功しております。  さらにケミカル・スキムの方式でありますが、これは一次系冷却水中に硼酸のごとき制御材を混入いたしまして、この硼酸濃度の低下によって燃料濃縮度の低下を補うばかりでなく、制御棒を使用することによる炉内条件の変動を避けることが可能となります。制御棒の数量、使用頻度が低下しまして、原子炉の特性にも非常に好影響を与えるものと期待されております。  さらに、フランス国境にありますセナ・プラントでありますが、これはフランス、ベルギー両国の共同による施設でございまして、資料の七九ページにございますごとく、ヨーロッパにおける最初の地下式二十五万八千キロワットPWRでございます。出資者はフランス側のエレクトリシテ・ド・フランス(EDF)ベルギー側は同国の主要電力会社により形成されておりますサントル・エ・シュド・グループ、それぞれ両国が五〇%ずつ出資して運営されているのでございます。  地下式発電所の建設にあたりましては、EDFの、フランスは御承知のように非常に水力に対しまして地下発電の経験を持っているのでございますが、その水力の地下発電所の建設によります豊富な経験を取り入れて効果的に設計が進められております。  プラントは二つの地下部分に分かれ、一方には原子炉本体及び一次系の各機器、他の一方には低圧関係の補機類、燃料冷却用の池等が収容してあります。一方タービン室、制御室その他の居住区域、放射性廃棄物の処理設備等はいずれも地上に置かれております。炉心の設計はヤンキー発電所とほぼ同じで、二酸化ウラン、ペレットを燃料といたしまして、四系統の一次循環系により運転され、ヤンキーより約百五十ポンド・パー・スクェア・インチ高い一次冷却系により二酸化ウラン約四十五トンの燃料を使用いたしまして、平均これはバーン・アップ・レートは一万四千七百メガワット・デー・パー・トンと予定されております。  なお、セナ・プラントにおきましても、三領域装荷方法、さっき申しましたこの燃料のチャージのゾーンを変える領域装荷方法を採用しており、高い燃焼率を目ざしている次第でございます。  ウエスティングハウス社はこれらの豊富な経験と技術に基づきまして、米国カリフォルニア州におきまして火力発電に対抗し得る三十七万五千キロワットの大出力発電プラントをサウザン・カリフォルニア・エジソン社のために設計し、これは一昨年仮契約を済ませましたが、土地が借り入れた土地であるという問題がありまして、土地の買収が解決いたしませんのでまだ着工に至っておりませんが、この土地の問題が解決次第着工されることになっております。  このようにウエスティングハウスPWR原子炉は、確固たる実績により現在最も信頼度の高い原子炉の型式であることが実証されておると同時に、閉回路、クローズ・サイクルであることによりまして、一次系の放射能の漏洩のおそれが全くなく、安全性においてきわめてすぐれておることを特徴としております。さように経済性におきましても重油火力に匹敵し得るレベルに達しておることは、先ほど申しましたサウザン・カリフォルニア・エジソン、SCEがかかる大容量の原子力発電プラント建設に踏み切った例を見ても明らかであると存ずる次第でございます。  その次に、PWR型炉の安全性についてお話ししたいと思います。  先ほど簡単に触れましたごとく、PWR型は安全性がきわめて高いことを大きな特徴といたしておりますが、これにつきまして申し述べてみますと、次の五点が特徴としてあげられると存じます。  すなわち一番目は、マイナスの温度係数による自己制御性が大きく、このためきわめて安定した運転特性を持っていることでございます。このマイナスの温度係数ということは、だいぶ専門のことになりますので、また皆さんよく御承知のことと思いますから省略いたします。次に二番目に、燃料は十分品質管理され、破損のおそれのないステンレスの被覆管内に納めてありまして、核分裂に伴う放射性物質が外に放出される可能性が全くありません。三番目に、たとい燃料被覆管に万が一破損が生じましても、分裂生成物は密閉された一次系内にとどまり、二次糸あるいはプラント外へ漏洩して環境汚染をもたらすおそれがないことでございます。四番目に、万一、一次糸の漏洩を生じた場合においても、一次系全体が気密構造の格納容器内に密閉されておりますので、そこから放出された放射性物質が周辺に放散して災害を及ぼすという可能性はないと存じます。五番目に、原子炉プラントはがんじょうなはがね製の構造物であって、地震に対して耐震構造とすることが容易であり、かつ先ほど申しましたように艦艇推進用として多数作りました原子炉の製作経験によりまして、耐衝撃性には十分の考慮が払われておりますので、地震に対しても全く心配がないと信じております。  これら述べましたような、PWRプラントの安全性に関しましては万全の対策を立てておりまして、設置場所の状況では格納容器を二重にするとか、あるいは先ほど述べましたように、ウ社建設のセナ・プラントのように地下構造とするということも可能でございますので、安全性につきましては非常な信頼が置けるものと信じている次第でございます。  それから四番目に、PWR炉の経済性について申し上げます。  PWR発電プラントは、さきに申しましたようにシッピングポート、ヤンキー、セルニ、セナ、それから目下計画中のサウザン・カリフォルニア・エジソンと、順次設計、建設経験を重ねて参りましたが、その間各種の技術的改良が施され、かつプラントの大容量化も進められました結果、経済性も急速に向上して参りました。以上の経験は、ウ社PWR型の正確なるコスト算定並びにコストの低減に資するところがきわめて大であったということがいえます。現にウ社は、プラント契約にあたり、機器価格及び出力を保証するいわゆるフィックスド・プライス・コントラクトを提案して、自信のほどを示しておる次第でございます。ヤンキー発電所に例をとりますと、第一次炉心では十三ミル・パー・キロワット・アワー、これは邦貨に換算しまして四円六十八銭パー・キロワット・アワーになりますが、そういうふうに当初算定されたのでございますが、実際に運転いたしまして、一次のチャージ、二次のチャージの実績を見ました結果、非常にバーン・アップのレートが良好でございまして、最初の計画十三ミルに対して、実績は十一ミル・パー・キロワット・アワー、邦貨にいたしまして三円九十六銭パー・キロワット・アワーとなりまして、現在こういうような能率でもって十五万キロワットの負荷でもって運転中でございます。しかしながら、来年に予想されます第三次炉心のチャージを入れられましたならば、今までの経験の面から推算いたしまして、出力も現在の十五万から十八万キロワットに上昇されまして、燃料サイクルも著しく改良されます。また、燃料濃縮度も現在は三・四%でございますが、これを四・〇%まで増加することを米国原子力委員会より認められましたので、九〇%負荷では七ミル・パー・キロワット・アワー、邦貨にいたしまして二円五十二銭パー・キロワット・アワーときわめて安価なコストで運転ができるということが、今までの実績から類推されまして、予想されておる次第でございます。それから石炭、石油というような化石燃料費の高いニューイングランド、米国の東部地域におきましては、火力発電コストは八ないし十ミル・パー・キロワット・アワーとなっておるように存知いたしておりますが、これに対しましても、現在のところでは十一ミルでございますが、これは次の第三次の燃料チャージによりますれば、十分これに対抗する数字が出せるのじゃないかということをウ社は想像をしております。  大容量化によるコスト・ダウンにつきましては、著しく研究が進みまして、すでにウ社におきましては、五十万キロワットのプラント建設計画を準備しまして、最近私どもが入手いたしました資料によりますれば、総建設費が八千八百万ドル、邦貨三百十七億円、これを発電コストに入れますと、資本費が二・八ミル・パー・キロワット・アワー、一円一銭パー・キロワット・アワー、燃料費が一・九ミル・パー・キロワット・アワー、邦貨六十八銭、運転費が〇・四ミル・パー・キロワット・アワー、邦貨十四銭となりまして、発電コストは五・一〇ミル・パー・キロワット・アワー、邦貨一円八十四銭パー・キロワット・アワーと算定するというような、これは予想の数字でございますが、数字を出しております。ただし、先ほど長沢参考人からお話がございましたが、これは米国の数字でございまして、資本費率は一二・五%、負荷率は九〇%というような、比較的日本の火力なんかに比べますと有利な条件にとってありますが、こういうことになります。これはいろいろの見方があると思うのでございますが、原子炉の場合は、置かれた場合にベーシック・ロードに沿う発電費となる可能性も多いと思いますので、火力よりはいささか上にとってもいいのじゃないかと思う次第であります。  かくのごとく、大容量化によるコスト・ダウンに加えまして、炉心、燃料、機器等の設計改良、あるいは製作技術の進歩によりまして、建設費、発電費をさらに低減する余地は十分にあると存じます。  すなわち一番目に出力の密度の上昇。現在の設計では六十三キロワット・パー・リットルの程度でございますが、これも七十キロワット・パー・リットル以上にすることも現在の技術では可能であるといわれております。二番目に熱効率の向上。現在の飽和蒸気を使用する型式にかわり、核過熱方式、さらには超臨界圧方式の採用を考える余地もございます。三番目に燃焼率の上昇。冶金的、核的問題の改良により現在の一万五千メガワット・デー・パー・トンの燃焼率を二万五千メガワット・デー・パー・トンにまで上昇させることも可能であるということをウ社側では言っております。四番目に燃料の成型加工費の低減でございます。六弗化ウランから酸化ウランへの転換、ペレット製造、それから燃料要素の組み立てまでを含むいわゆる成型加工費というものは相当のコストが要るのでございますが、この低減、たとえば燃料棒の直径、長さの増大、製造工程の改良、被覆管の厚さの減少というような方法によって技術は刻々進んでおると承知しております。  今申しましたことにつきまして、いろいろ補足説明をしたい点もあるのでございますが、時間の関係もございますから、この補足説明は省略させていただきます。  一番おしまいに、これはこの機会を利用させていただきまして多少手前みそを言うようなことで、まことに恐縮なのでございますが、成型加工費の低減の中に、いろいろ今一般論を申しましたが、そのほかにいろいろの燃料の加工の方法が講じられておりまして、皆様御承知と思うのでございますが、日本でスエージングという方法が研究されております。これは私どものグループが原子力燃料公社そのほかの御指導も受けまして研究しておるものでございますが、一昨年でございましたか、ウィーンで国際会議がございましたときに、この加工方法を、私どもがやっておりますのを技術発表をいたしまして、各国の注目を相当引いたのでございます。その後、日夜これの完成に努めておりまして、でき上がったものもだんだん品質が向上して参りましたので、先般来ウエスティングハウス社の方へこの見本を送りまして、日本で実験設備がない点もございますので、向こうで試験をしてもらっておりますが、相当の好成績を上げております。これは日本独自の、自分で研究しました非常な成果でございまして、これが今ウ社のと一緒に使われることができれば、われわれとしても非常にありがたいと思っておる次第でございます。まだ結論には至っておりませんが、私どものグループとしまして、中でそういう研究をしておるということも申し上げておきます。  その次には、わが国に導入する際の諸問題について一言触れてみたいと思うのでございます。このことにつきましては、すでに長沢参考人から御説明がありましたのとだいぶ重複もいたしまするが、前述の通りウエスティングハウス社は、各種PWR発電所を建設または計画中でございますが、これをわが国に導入した場合を考慮いたしますと、次の諸点が問題になると思われます。第一番に、土地補償及び造成費が相当にかさむこと。二番目に、安全及び地震対策費というものがかさんでくること。三番目に、安全基準の差異によります機器代の増加。四番目に、建設に火力の倍近い資金を要すること、及びわが国が米国その他に比べまして金利が高いということ。五に、燃料使用料の問題、これは先ほど長沢さんがおっしゃる通りでございます。六に、燃料及び輸入機器の輸送費がアメリカにおけるよりかふえてくるということ、等があげられ、現状では米国におけるよりもある程度発電コストが高くなるということは免かれませんが、今後資金問題の解決、あるいは国産化によるコスト・ダウンの諸要因を考慮いたしますと、将来わが国における原子力発電は米国と同水準、もちろん諸条件がございますので同じコストになるとは言えませんが、同水準に達するものときわめて明るい前途を見込み得るものと存ずる次第でございます。  この観点におきまして、三菱グループといたしましては、ウエスティングハウス社の原子炉技術が世界のトップ・レベルをいくものであるという確信のもとに、PWRを初めとしまして、ウ社の開発する発電用、舶用、航空機用のすべての動力用原子炉に関する技術提携契約を締結いたしまして、昨年日本政府の認可を得まして、わが国の原子力開発長期計画の実現に対処すべく、着々準備を重ねておる次第でございます。  結びといたしまして、以上、ウ社の開発しておりまするPWR型原子炉の現状及び将来に関しまして申し述べましたが、現在世界の工業技術は日進月歩でございまして、原子力発電におきましてもまたその技術改良によりコスト・ダウンは大いに期待できるとともに、大容量化による建設単価の低減にも明るい見通しがあると存じております。  このような見地におきまして、ウ社は従来のPWR型の開発改良に鋭意努力を傾注して、なおこのラインで将来の発展を期するとともに、さらに遠い将来におきましては、有機減速流動床型(OMFBR)、ブリーダー(増殖炉)、それからサーモエレクトリック・リアクター(熱起電型)等の開発研究を行なっておりますし、これらの成果も期待されると存じておる次第でございます。  かくのごとく原子力発電は、今日すでに従来の火力発電と同様、実用発電として、特に英米におきましてはその歩を進める段階にありまするが、わが国においても、エネルギー政策の一環としまして、早急に諸外国における最近の原子力発電所の実情を各方面から実地に、またつぶさに御調査願いまして、原子力発電所建設が促進されんことを切に希望いたしまして、私の発言を終わります。

前田正男自由民主党

○前田委員長 次に、長山参考人よりお願いいたします。長山参考人。

長山泰憲日商株式会社専務取締役

○長山参考人 ただいま御紹介にあずかりました日商株式会社の長山でございます。  私の方は第一原子力産業グループの一員といたしまして、英国のGEC、ジェネラル・エレクトリック・カンパニーの下請といたしまして、東海村のわが国最初の実用規模の原子力発電所建設の仕事に参画しておりますので、本日はこの関係から英国におきまする原子力発電の発展及び現状を簡単に御説明いたしまして、次に将来の開発の動向に触れたいと存じます。  御承知の通り、英国におきましてはコールダーホールA、B各二基、これと全く同じ仕様のチャペルクロスA、B各二基、合計八基の発電炉が英国原子力公社の手によって完成し、一九五六年以来現在までに全部運転に入っておりまして、送電出力は一基当たり三万五千キロワットとなっております。一方、これに続きまして、中央発電庁より発注されましたバークレー、ブラッドウェル、ヒンクレー・ポイント及びスコットランドに建設中のハンターストンの四発電所のうちバークレー、ブラッドウェルの第一号炉は昨年中に臨界に達しました。すでに成功裏に発電を開始中でありまして、本年六月にはフル・ロード・オペレーションに入る予定であります。  そのほかにトロースフィニィッド、ダンジネス、及びサイズウエルとそれぞれ五十万キロワット級の発電所建設契約が昨年末までに締結されました。  その間、外国向けといたしましては、イタリアのラティナ、ここで二十万キロワット、わが国の東海村で十五万キロワットの発電所の建設が行なわれております。これに加えまして、本年に入ってからはオールドベリーの発電所が発注され、引き続きましてウイルファの発電所の発注が内示されております。  このウイルファの発注までを合計いたしますと、いわゆるコールダーホール型及びコールダーホール改良型の原子力発電所の発注合計はすでに五百万キロワットという数字になっておるのであります。さらに将来の原子力発電の必要性を強調いたしまして、昨年十二月の「スリー・バンクス・レビュー」には「英国の電力需要の増加率が十年ごとに倍増しつつある現状より考え、もし、発電を石炭のみに依存すると仮定すると、一九七〇年には英国の石炭生産量の半分は電力用に消費されることになるが、英国の事情として石炭の不足分を重油で補うことは賢明ではないから、原子力発電は英国にとっては不可欠である。」と力説しております。  次に、コールダーホール型原子力発電所の進歩を概観いたしますと、まず最初のコールダーホール型原子力発電所の出力は三万五千キロワットであったのに比べまして、さきに申し上げました各発電所の単基出力は十五万キロワット、二十五万キロワット、さらにウイルファのごとく四十万キロワットと大型化の傾向を示すと同時に、発電炉自体の設計もキロワット当たりの建設コストの引き下げをねらって次々と改良が加えられております。クーラントとしての炭酸ガスの圧力、温度の上昇とともに、サイズウエル以降は二つの原子炉を一つの建屋に格納して、チャージ・マシン、クーリング・ポンドを共用し、またオールドベリー、ウイルファのごとく従来のスチールにかえましてプレッシャー・ベッセルにPSコンクリートを使用してキャピタル・コストの低減に大きな努力が見られるのであります。  さらに重要な開発といたしましては、原子炉を負荷状態のままで燃料要素の装入、取り出しができるようになり、これによりロード・ファクターを七五%よりさらに高くすることが可能になったのであります。また、高温で操業することによりウィグナー・エナージの蓄積を防止できるため、ウィグナー・エナージの放出のための原子炉のシャット・ダウンの必要がなくなることも重要な改良点の一つであります。  一時英国では、さきに申し上げましたオールドベリーがコールダーホール改良型の原子力発電所の最後のものではなかろうかといわれておりましたが、すでにウイルファの建設も決定され、今後も当分はこの線で進むものと考えられております。  しかしながら、さらにキャピタル・コストを引き下げ、コマーシャル・パワー・プラントとしての経済性を増すため、大きく分けまして二つの計画が進行しております。  その一つは、AGRと略称されておりますアドヴァンスト・ガス・クールド・リアクターであり、熱出力十万キロワット、電気出力三万八千キロワットでウインズケールで一九五八年より進められておりましたが、本年初め完了し、本年秋には全出力運転の予定であります。これには低濃縮ウラン燃料を使用しております。  これと並行していわゆるドラゴン計画と称されるハイ・テンペラチャー・ガス・クールド・リアクターの建設がウインフリスで進行中でありますし、またドーンレーではファスト・ブリーダーが昨年十二月より出力十メガワットで運転を行なっており、さらに発電用ファスト・ブリーダーの建設計画が進められております。  この技術的詳細につきましては、すでに幾多の文献も出ておりますので省略させていただきますが、御承知のようにファスト・ブリーダーは増殖により燃料の消費がほとんどなくなりますので、これが核分裂型発電炉の最終的かつ理想的型式であることは広く信じられておるところであります。  ドラゴンにつきましては、すでに建設が進行中で、ごく最近フュエル・アッセンブリー・ラインが西独のヘラウス社に発注され、近くフュエル・ローデイング・ファシリティズが同じくヘラウスに発注されると聞いております。  以上、英国における原子力発電の発展及び現状並びに将来の開発の動向を簡単に御説明申し上げましたが、次に、では英国の原子力発電所の発電コストはどのようになっておるかにつきまして、公表されました数字を基礎に簡単に申し上げたいと存じます。資料といたしましては、少し古くなりますが、一九六〇年マドリッドの世界動力会議におけるヒントン卿及びボーガン氏の発表を参考にいたしました。  まず建設コストでありますが、一九六一年、すなわち昨年度運転に入った単基十五万キロワット級と一九六三年から一九六五年に運転に入る単基二十五万キロワット級二台一組の建設費の推移は、キロワット当たり百五十ポンドから百ポンドまで低下、約三割の低減となっております。ただし、この建設費の中には、送電用変圧器までの一切を含みますが、土地代及び建設中の金利は含まれておりません。従って、全建設コストはそれだけ上がることになります。コストの引き下げは単基容量の増大と技術の進歩の両方からもたらされるものであります。初期装荷燃料費は五年間に約四割の値下がりが見込まれております。  第二はキロワット当たりの発電原価の予想であります。一九六一年の十五万キロワット級から一九六五年の二十五万キロワット級の間で約〇・七八ペンス・パー・キロワット・アワーより〇・五五ペンス・パー・キロワット・アワーまで約三割の低下を見せております。ただし、この原価の算出は金利五分、負荷率七五%、耐用年数二十年、燃焼率三千メガワット・デー・パー・トンを仮定しております。わが国では金利はもう少し高くなると存じますが、それを補償する意味で負荷率は、運営の都合にもよることでありますが、八〇%くらいにとって計算すればよいと存じます。  ずっと先の発電原価に対する見通しについて申し上げますと、一九六五年から一九七〇年の五年間にさらに約二割の低下が予想されており、負荷率七五%の場合には一九六六年以降には原子力発電の方が安くなると見られております。ただし、この予想は、一九六六年以降に運転を始める四十万キロワット以上の大容量原子力発電所の推定発電原価をとっての話であります。一般的にながめますと、一九六八年が原子力が火力に匹敵する年になります。  それでは、ここで昨年十一月、王立ベルギー技術者産業家協会の席上におけるUKAEAのウィリアム・クック卿及び本年四月来日いたしましたUKAEA総裁ロジャー・メーキンス卿の発表を参考にして、以上のような建設費及び発電原価の低減の原因を探ってみることにいたします。  これは大別して、これまでに行なわれた工学的な進歩と、一基当たりの原子炉出力の増大に帰することができると思います。  工学的な進歩としてあげられるものには、まず圧力容器の製作技術の進歩があります。東海村その他十五万キロワット級の原子炉の圧力容器の板の厚さは約三インチ、引っ張り強度二十六トン・パー・スクェア・インチでありますが、その後最近に至って厚さ四インチ八分の三、引っ張り強度二十八トン以上のものが使用されるようになりました。強さ二十八トン以上というのは軟鋼板としては最高級のものであります。これと並行して、厚板の溶接技術及び検査法も格段の進歩を見せて参っております。このような厚板製作技術の向上によって使用ガス圧及びガス温度の増大に対しても、何ら圧力容器を大きくすることなく効率の上昇が可能となったわけであります。ちなみに、単基十五万キロワット・ブラッドウエル原子炉の圧力容器の大きさと単基二十五万キロワットのサイズウエル原子炉のそれとの間には差がないどころか、むしろサイズウエルの方が小さくなっているのが現状であります。  第二には、今までの話と関連しますが、冷却用炭酸ガスの圧力が、初期の十五万キロワット級から最近の二十五万キロワット級になる間に、十気圧より二十気圧にまで倍加されていることであります。圧力が上がりますと燃料の利用度が上がり、ガス温度が上がり、従って蒸気温度も上がることになります。蒸気温度が上がればプラント効率が改善され、それだけコスト・ダウンができるわけであります。  第三には、炭酸ガスの送風機、蒸気タービン、蒸気発生器等の改良による効率の上昇に伴うコスト・ダウンが考えられます。送風機では、今までの電動機による運転から直接蒸気タービンで運転することにより効率を改善し、タービンではタービン翼の配列がえを行なって、今まで捨てられていた余分の蒸気も利用できるようにすると同時に、原子炉一基当たりの蒸気発生器の数も減らし、大型化、高能率化することによりコストの軽減をはかっております。  さらに、将来のコスト引き下げの要因として次のものが考えられます。  原子炉圧力容器に高価な鉄板を使うかわりにコンクリート・ベッセルを使うことが研究され、英国ではオールドベリー原子炉に、またフランスでもシノンのEDF−3に使用されております。どの程度安くなるかは今のところ詳しい情報はございませんが、ガス圧力の上昇と大型化に伴ってますます板厚の厚くなる圧力容器は、溶接、検査技術の面から見ましても困難かつ高価なものになりますので、コンクリートで代替することによって相当安くなると考えられております。  また、燃料に関しては、天然ウランの値下がりが考えられます。これは将来のウランに対する需給にかかってくるのでありますが、将来は値下がりの傾向にあり、英国におきましても近い将来ポンド八ドルよりポンド五ドルに下がるだろうと期待しております。現にわが国の原子燃料公社の最近のウラン精鉱の入札にはポンド三ドル六十五セントの値段も出ておりますので、その期待はかなり実現性のあるものと考えられます。もし天然ウランが八酸化ウランの形でポンド当たり一ドル値下がりすれば、キロワット・アワー当たり〇・〇一ペンスの値下げが可能と見込まれております。  コールダーホールとチャペルクロスの運転実績に基づきまして、燃料の燃焼率は現在の三千メガワット・デー・パー・トンから、英国では四千メガワット・デー・パー・トンの燃焼率に引き上げることも可能であるとの自信を深めております。従って、もし四千メガワット・デー・パー・トンが達成されますと、それだけ燃料費のコスト・ダウンとなるわけであります。  次に、償却年数の延長が考えられます。現在は二十年でありますが、コールダーホールの五年の実績より見て、これを二十五年まで延長できると確信を深めております。もし二十年より二十五年、三十年に延長いたしますと、キロワット・アワー当たりそれぞれ〇・〇四ペンス及び〇・〇七ペンスの値下がりとなります。  次に、負荷率も現在は七五%を採用いたしておりますが、コールダーホールでは燃料取りかえ修理等を考えても実に九三%以上の驚くべき負荷率で運転しており、現在の七五%を八五%ぐらいに引き上げることは可能と考えられるようになりました。八五%負荷率を採用いたしますと、さらにキロワット・アワー当たり〇・〇四ペンスの値下げが可能といわれております。  これらはすべて実際に原子炉を運転した上での予想であり、当たらずといえども遠からずと考えられます。総合しますと、コンクリート・ベッセルは別といたしましても、八五%負荷率、ウランの値下がり、二十五年償却で、キロワット・アワー当たり〇・一ペンス以上のコスト・ダウンが期待されております。  また、各種の原子炉を並行的に開発するのではなく、英国のごとく同一の型を追求して参りますと、同じものあるいは類似品を繰り返し製作することによるコストの引き下げが可能になり、この面からも研究開発費その他におきましての経費節減ができることになります。かくのごとく見て参りますと、火力発電所に比べて建設費の高い原子力発電所も、将来相当程度の引き下げが行なわれ、現在は原子力発電所の建設費は火力発電所の建設費の約二倍になっておりますが、これを一・五倍程度にまで下げることも可能ではないかと考えられます。  以上御説明申し上げましたように、英国において現在建設中のコールダーホール改良型原子力発電所は、五十万キロワット・クラスのものを例にとりますと、二十年償却、三千メガワット・デー・パー・トンの燃燃率で〇・五五ペンスないし〇・六ペンスとなり、円価に直しますと二円二十九銭ないし二円五十銭となり、さらに火力発電所のごとく二十五年償却をとり、かつ四千メガワットの燃焼率が保証されれば、発電コストは二円八銭以下、すなわち約五ペンス以下となり得ると考えられます。  しからば、英国炉を日本で建設した場合、建設コストはどうなるかと申しますと、これは先ほどもお話がありましたようにいろいろな要素が入ってきますので、なかなか予測は困難でありますが、まずサイトの岩盤の深さ、排除区域、港湾設備、取水口、その他サイトにおける条件に関する日英両国の相違によりキロワット当たりの建設費はかなり高くなり、次に、日本特有の地震に対する耐震設計の必要性及び日本の安全基準を考えますと、もちろんその要求の度合いによってその率は大幅に変動しますが、これまた建設費の増大に相当な影響を与えると考えられます。  金利の増加は、労賃の安いことと相殺されると考えられますが、具体的にはわかっておりません。  また、輸送費として、輸入品の金額の最低約五%を要しますゆえ、これらの点を考えますと、キロワット当たりの建設費は、英国における場合に比べ約三〇%程度、発電原価は二五%程度以上高くなると考えられますが、具体的には全部の条件を綿密に比較検討しなければ何にも言えぬわけであります。やはり実際にやってみなければわからぬというのが一番正直な答えではないかと考えられます。  エネルギー資源に乏しいわが国においては、特に原子力発電の必要性はまことに大であり、英国あるいは米国より原子力発電所を導入して直ちに火力発電と匹敵するコストで発電し得るやいなやは、わが国特有の諸条件に左右されるため答えは必ずしも一定ではないと思いますが、先ほど申し上げました通り、英国におきましては原子力発電のコストは下降の傾向を示しておりますので、わが国に導入して採算に乗るのは、今すぐとは言えなくとも近い将来のことであり、単に時間の問題ではないかと考えるものであります。

前田正男自由民主党

○前田委員長 最後に、森参考人よりお願いいたします。森参考人。

森一久社団法人日本原子力産業会議事務局次長

○森参考人 ただいま御紹介にあずかりました産業会議の事務局の森でございます。  ただいま三人の方から原力子発電のコストにつきましてお話がありましたので、私は少し一般的な——そういった原子力発電をめぐる一般的な情勢についてお話し申し上げたいと思います。  ちょうど原子力開発が始まりました初期は、石炭、石油といったような従来のエネルギー資源が非常に資源的に枯渇しており、そういった非常に深刻な状況でございましたので、原子力発電に対する期待というものも非常に性急と申しますか、すぐコストに合うとか、あるいはすぐ使えるというような、非常に性急な考え方で出発したのが世界諸外国の全体の傾向でございました。しかし、その後一九五七年ごろから、在来のエネルギー資源、特に石油、石炭——石炭と申しますよりもむしろ天然ガスその他の賦存状況が非常によくなって参りまして、また、一方では世界的に経済の自由化といった傾向が展開して参りましたので、エネルギーの供給に対する考え方も、エネルギーのセキュリティと申しますか、そういったエネルギー資源の枯渇といったような認識からではなくて、安いエネルギーを使おうといったコストを優先にした考え方に移ってきたわけでございます。また一方、原子力の分野でも、当初の実際の経験を積むに従いまして、研究開発に必要な仕事の量といったものがだんだんわかって参りますし、原子力発電が経済的になるのは一年、二年ではなくて、むしろ十年といったような時間がかかるのではないかといったこともはっきりしてきました。また一方で、最初は核燃料資源、これはウランでございますけれども、これは非常に少なくてなかなか手に入れられないと思っておったものが、その後続々ウランが発見されまして、軍事利用の需要が減るのと相呼応いたしまして、そういった核燃料の見通しも非常によくなってきた。そのようないろんな情勢変化がございまして、一九五六年から七年度にかけまして、最初非常に大きな原子力発電計画を発表しておりました国が、当面は経済的に若干火力より高い原子力発電所の建設を急ぐといったことよりも、むしろ十年先に確実に経済的な時点に到達するような方法で開発していこうといった、比較的息の長い、着実な考え方に変わってきたわけでございます。このことが原子力のスロー・ダウンということで日本に非常にはなばなしく伝えられたわけでございます。  わが国におきましても、こういった当初の出発が非常にはなばなしくございましただけに、こういったスロー・ダウンというような情報が伝わりましたときに、その影響がまた逆に行き過ぎたような面があるのではないかと思われます。しかしわが国の経済が最近のように非常に目ざましい発展を遂げまして、今後は自由化された経済の中で世界各国と対等な条件でやっていかなければならないとなりますと、やはりその基盤をなしますエネルギー産業、特に電力の供給については、しっかりした見通しを持ってやっていかなければならないという時期に立っておるのでございますけれども、原子力の情勢及び前の情勢が非常に大きく動きましたために、現在のところは政策的にも少し戸惑いしているというような感があるのではないかと思われます。  以上申しましたような情勢を少し理屈っぽく整理してみますと、まずやはり電気の需要が非常に伸びて、エネルギー源として石油が非常に進出してきたということ。従いまして、それに伴って新鋭火力のコストが著しく低下を示してきたということが一つだと思います。それからもう一つは、経済自由化といった体制のもとで、メーカーの新技術というもの全体に対する研究投資の意欲が非常に高まりまして、いわば研究開発投資が非常に繁忙な状態になってきた。わが国のメーカーも原子力だけではなくて、やはり先進諸国の新技術に追いついていかなければならないという意味から、そういった意味の研究開発投資が非常に忙しくなってきたということ。それから、ウランの問題でございますけれども、ウラン資源が次から次へと発見されるにつれまして、また一方軍事面からする要求が非常に、むしろ頭打ちといった状態になってきまして、ウランの価格が著しく低下しましたし、一方ではむしろ過剰生産といったような状態が生じ、またそれが当分の間続くのではないかといわれるようになってきたこと。それから、先ほど申しました原子力の見通しでございますけれども、諸外国の計画を見ておりますと、一、二年ですぐというようなことではなくても、少なくとも十年あるいは七、八年の間には新鋭火力と経済的に競争できる原子力発電が達成できるのではないかといった見通しがはっきりしてきた。こういうようなことが情勢の変化ではないかと思います。そこで、今申しましたこと一つ一つにつきまして、簡単に少し分析をしてみまして、その中から日本としてどう考えればいいかという若干の示唆が与えられるのではないかと思って、申し述べてみたいと思います。  まず、原子力委員会が昨年二月策定されました長期計画においては、世界的に原子力発電が経済的ベースに乗るのは大体十年後であろう。去年から十年でございますから、ことしからですと八年から九年ということになるのですが、そのときに備えて約百万キロワットの原子力発電を建設し、かつ運転して、これによって運転経験を積みまして、また必要な技術員を養成するとともに、また一方では原子力発電の機器メーカーが国際競争力を持てるところまで発展できる素地としよう、こういうふうに考えられたわけでございます。この考え方は、先ほどから申しておりますような情勢変化をむしろ正当に取り入れたものだと考えていいと思います。ただ、なかなかその通りにいかないということが最近非常によくいわれております。その理由はどういうところにあるかと考えてみますと、やはり一つは、先ほどの電力需用の急増に伴いまして、電源開発上の必要量が非常に多くなってきて、電気事業は非常に資金的にも忙しくなったということに関連しまして、原子力発電はやはりキロワット・アワー当たりの発電費は別といたしましても、キロワット当たりの建設費で見まして、火力発電の少なくとも二倍程度はかかると見られる。こういった点がやはり現在の日本の置かれております経済環境から見て、原子力と火力を比べた場合に非常に大きなハンディキャップになっておると思われるわけです。  しかしながら、これは電力会社単位で見ました場合のことでございまして、重油専焼火力発電所を大幅に取り入れていくといたしましても、これは発電所だけを作ればいいわけではございませんで、その重油を運ぶに必要な船を作らなければいけないし、港を作らなければならない、あるいは貯蔵設備を作らなければいけないということを考えてみますと、火力発電と電子力発電所の建設費だけを直接に比べて資金効率が云々ということは、国民経済全体から見ると必ずしも当たっていないのではないかと思われるわけです。たとえば、こういった計算は非常に複雑な要素がからみますから断定的なことはもちろん申せませんけれども、まあ、ある種の仮定を重ねて考えてみますと、たとえば重油専焼火力を一キロワット作るについては、やはりそのための油を運ぶために必要な船を作る必要がある。その費用が重油専焼火力のキロワット当たりに対してやはり何万円かの額になるのではないかと思われるわけです。そういったものを積み重ねて考えてみますと、一がいに建設費が高いということだけから、現在の経済環境で重油だけをやっておればいいということには必ずしもならないのでではないかと思われるわけであります。その上、先ほどからお話が出ておりますように、わが国の場合は石油がわが国内及びその影響圏にほとんどございませんし、また原油の精製に伴ってできてきます軽油の需要の問題等も考え、あるいは外貨収支の問題等も考えますと、少なくとも諸外国で考えられておるよりも以上に、将来のエネルギー源としての原子力の重要性といったことはもっともっと認識されていいのではないかと思われるわけです。  次に、ウランの問題でございますけれども、先ほど来申しておりますように、ウランの生産量というものが非常に延びてきた現在、八酸化ウランで換算いたしまして大体四万トン余りが生産されておると思われるわけですが、その約半分が軍事用に使われておるわけです。しかし、その残りも平和利用は需要がございませんから、ほとんどストックされておる状態で、二、三年前ポンド当たり十二ドルといわれておりましたものが、ただいまのお話にもありましたように、三ドル台といったような、三分の一という非常に急激な下落を示しております。これに伴いまして、アメリカでも濃縮ウランの価格を約二割ないし三割の値下げを先年発表いたしましたし、また一方その濃縮ウランの供給といったことにつきましても、当初のような米国が濃縮ウランを独占しておるといったような考え方ではなくて、むしろなるべく商業べースに近い形で供給していこうといった考え方に変わってきております。現に昨年末行ないました日米原子力産業合同原子動力会議で、アメリカの原子力委員のウィルソンがそういった長期的な供給保証をやっていいということをはっきり言明いたしまして、そのためにはどういった具体的な手続をすればいいかということまで示しておるわけでございます。こういったウランあるいは濃縮ウランの供給面そのものについては、まず心配はしなくてもいいと言い切っていいかと思います。  しかし、こういった核燃料の自由化と申しますか、そういったことにからんで、また別な問題が生じてきております。それは使用済み燃料の問題でございまして、これは先ほど来お話にありますように、使用済み燃料中にありますプルトニウムは、ある程度軍用面での価格を考慮した買い戻し値段をアメリカ等では考えておるわけでございますけれども、わが国の場合、そういったことを期待すること自体がもともとおかしいわけでございます。アメリカでも今後はそういった軍用の価格ではなくて、平和利用の価格で買い戻そう、その平和利用にどのくらい価値があるか、あるいは価値あるように使うにはどうしたらいいかということの研究を意欲的に始めよう、こういった方向になってきておるわけです。そういった状況を整理いたしますと、ウランの供給が非常に豊富になって価格が下がったことによって、たとえば濃縮ウランの例でいきますと、キロワット・アワー当たり大体二十銭といったコストの値下がりが期待されるわけでございますけれども、従来考えられておりました使用済み燃料中のプルトニウムの買い戻しによるクレジットというものが、キロワット・アワー当たり約二十銭あったわけでございますが、これが幾らになりますか、ただにはなりませんでしょうけれども、幾らになるかといったことが、両方で二十銭ずつの幅でいろいろな不確定な要素が生じてきた、こういうことになるわけでございます。  このように核燃料面での政策といいますことは、核燃料のサイクルといった核燃料の有効利用ということばかりではなくて、原子力発電所を作ろうとしておるものにとっては、やはり核燃料の政策がはっきりしないと、コストその他についての見通しが立たないといってもいいほどの大きな問題だと思います。米国においてもこういった原子力発電の推進という立場から、国内的にはいろいろ燃料政策を充実しておりまして、たとえば核燃料はさっきのような状況から将来は民有といたすとしましても、表面は非常に安い金利で政府が民間に貸すとか、しかも、そのうち初期の五年間は無料で貸すといった方向とか、あるいはプルトニウムについてもある程度の見通しで、先ほどお話のありましたウラン九・五ドルといったような平和利用の価格の見通しで、今すぐでも買おう、そういった原子力発電助成のために具体的な方策を打ち出しておるわけでございます。  わが国におきましては、天然ウランについて先ほど原子力委員会で民有ということをきめられましたけれども、使用済み燃料については公有または国有ということで、具体的にどういうふうになっていくのかということは、まだ国が引取る場合の条件その他は全くきまっていないわけでございます。しかし、使用済み燃料を国が引き取らないとしまして、外国へ送り返すということになりますと、放射能の多いものを外国へ持っていくということについては、最初の経験でもございますし、国際的な法規もまだ整っていないとかいろいろの問題がございまして、こういった点についてはほとんど見通しがつけにくいという状況にあるわけです。そういった点から考えますと、やはり燃料政策が大事であり、そのうち特に使用済み燃料といったところから核燃料政策の糸口を見つけていくというのも一つの方法ではないかと考えられるわけです。  次に、諸外国のそういったメーカーが発表しておりますコストにつきましては、今お話がございましたし、またアメリカの場合、有名なピットマン報告で、一九六八年までには、重油の値段が百万BTU当たり三十五セントといった地域で三十万キロワットの電力需要があるところで、しかも八〇%の利用率が得られるようなところという条件つきで、原子力発電が火力発電よりむしろ安くなるといった、そういった目標を置きまして、現在毎年政府が約九百億円の予算を出しまして、民間の発電所に対する助成あるいは研究開発といったことを推進しておるわけでございます。  そういった外国でコストの値下がりについていろいろの努力を続けておるのであるから、では日本ではそれまで待っておればいいではないかというような暴論——暴論といいますか、そういった考え方も出るかとも思いますけれども、すでにわが国で建設中のコールダーホールあるいはJPDRその他の経験でもはっきりしておりますように、このような新しい分野では個々の技術研究開発のほかに、わが国の特殊な条件、地震とかいろいろのそういった特殊の条件で、実際に建設してみるということが非常に貴重なものであるということは明確だと思います。その上現在のような貿易自由化といった方向に動いております状況のもとで、さっき申しましたような安易な方法をとるのでは、将来のわが国の重電機産業のあり方とか、あるいは海外のメーカーのそういった面についての意欲を考えますと、何の準備もなくて原子力発電の実用期を迎えるのでは、ウランだけではなくて、毎年何百万キロワットもの原子力発電所を貴重な外貨で輸入しなければならないといったような事態になるおそれがあるわけでございます。  このような理由があればこそ、諸外国においてはいつも原子力発電の準備的な開発に政府が非常に強力な助成政策をとっておるわけでございまして、現在アメリカで約二百万キロワット、イギリスで約五百万キロワット、フランス百万キロワットといったような、すでにそういった準備段階での軍用規模の原子力発電所を建設中であるわけでございます。  最近まで、民主党と共和党の間で非常に原子力が政策論争の種になっておりまして、ややそういった原子力政策が足踏みの形にありましたアメリカで、民主党政権になって、しばらくはそういう状態が続いておったわけでございますけれども、そこでも最近はやっとそういった点から新しい方向が出て参りまして、特に本年の三月にはケネディ大統領みずからシーボルト原子力委員長に書簡を送りまして、原子力発電はエネルギー資源の豊富なアメリカにおいても決してなおざりにできない非常に大事なエネルギー資源である、原子力委員会はもう少ししっかり原子力発電の推進に乗り出すべきであるという異例の教書を出しまして、それをきっかけとしまして、そういった政策上の、政策論争面でのいろいろな行きがかりもこの際ある程度払拭して先へ進もうといった傾向が出てきております。  原子力発電の開発というようなものは、やはりこれは、何もしないでおればいつまでたっても現実のものにはならないでしょうし、ある程度そういった準備段階での研究開発とか実用規模での経験ということを積めば積むだけ、それだけ早く経済性が達成できるといったような、そういったものではないかと思われます。  アメリカの原子力産業会議、これはちょうど日本の原子力産業会議と同じようなものでございますが、最近政策問題委員会というのを作りまして、アメリカでの原子力政策のあり方について長い間検討しておったのでございますけれども、その結論が最近出まして、この結論をシンプソンさんという人が議会で証言しております。その人の言うところによりますと、米国政府が従来原子力発電開発に毎年九百億といったような額の開発投資を行なうならば、一九七〇年には原子力発電は確実に経済性に乗るだろう、この支出を減らしたり途中でやめたりするならば、おそらく二十年くらいたっても原子力発電の経済性は達成されないのではないか、ところで、もし原子力発電の経済性が達成されたあとを見ると、アメリカはおそらく国全体として毎年何億ドルといった単位の節約といいますか、国民経済上の利得を得ることができる。そういった分析を、いろいろ数字を積み重ねた上でいたしておりますけれども、この言葉は、非常にこういった準備段階における原子力発電の開発への努力のいかに重要であるかということを端的に示した発言ではないかと思われます。  いずれにいたしましても、原子力発電を国家として重要な将来のエネルギー源として再認識をして、官民一致してその開発に当たろうといっている、そういった機運が、今言いました国々以外、フランス、ドイツ、イタリア等を含めまして、ほとんどの国々で非常に具体化しております。しかも、それらの国々は、わが国などとは違いまして、非常に豊富な石炭、石油資源を持っておる国においてしかりでございます。そういった状態を考えますと、われわれが国でもこのあたりで上記のような情勢の分析を十分行なった上で、エネルギー政策の中での原子力の地位というものをはっきりいたしまして、その準備段階での開発を促進していく必要があるのではないかと考えるのでございます。

前田正男自由民主党

○前田委員長 以上をもちまして参考人の御意見の開陳は終わりました。     —————————————

前田正男自由民主党

○前田委員長 それでは、本問題について質疑の通告がありますので、順次これを許します。齋藤憲三君。

齋藤憲三自由民主党

○齋藤(憲)委員 本日は御多忙のところ、民間側における原子力発電に関する責任の地位におられる参考人各位が、おのおののお立場で御高説を御発表下さいまして、まことにありがとうございました。うらむらくは、私のこの委員会の参考人各位の御陳述に期待いたしましたのは、BWR、PWR、コールダーホールないしは一般的な情勢の分析の御意見のみでなくて、原子力発電に対する根本的なお考えから、政府当局並びに国会に対していかなる御要望があるのかということを大いに期待して参ったのでございますが、その点はきわめて微温的な御要望に終わったようなうらみがあるのであります。  私たちといたしましては、国会において率先して昭和二十九年度の予算に原子力予算を組み入れましたのは、現実的に考えて、やがては人類社会というものは原子力時代に移行していく。それは、従来重力並びに化学反応がエネルギー源であったのに、新しく核分裂ないしは核融合反応のエネルギーの世界が発見されたので、これが応用されて参りますれば、好むと好まざるとにかかわらず、人類社会というものはエネルギー源を原子力の世界に求めていかざるを得ないという事態に到達をする。これに対して世界のあらゆる国家におくれざるよう原子力体制を国家百年の大計として樹立をしなければならないという立場に立って、今日まで原子力問題に取り組んでおるわけであります。従いまして、そういう見地から、一見いたしますと現在は原子力平和利用、特に原子力発電はスロー・ダウンのような形に見えるけれども、根本的理論からいくと何らの変化はない。バイ・ステップではありますけれども、だんだんに世界は原子力エネルギーに移行せざるを得ないし、また移行しつつあるのではないかというふうに考えておるわけであります。ただ、これを経済的に見ますときに、民間として原子力問題に取り組んでおりまする製造会社あるいは商社側といたしましては、長い間これが仕事にならなくては、なかなかその苦痛というものも非常に大きなものではないか、経済的に困難を伴ってくるのではないか。これを、なるべく政府といたしましても国会といたしましても、民間側の意向というものを参酌いたしまして、そのテンポを早めていかなければならないのではないか。特にお話の中にもございました通り、日本の国情から申しますと、ナショナル・セキュリティという立場から考えますならば、どうしても原子力エネルギーというものに対して大きな希望をつながざるを得ないような情勢にあるのではないかということ本考えられるわけであります。従いまして、三菱商事におかれましても、三井物産、日商株式会社におかれましても、国会は今原子力問題に取り組んでおるが、一体どういうことをこの国会に対して御要望になるのか、また政府当局に対してはどういうことを急速にやっていったらいいのかというふうにお考えになるのか、こういう点について、もし何らかの御意見がございましたならば、この際御開陳をお願いいたしたいと思うのであります。どなたからでもけっこうです。足立さん、いかがですか。

足立一郎三菱商事株式会社常務取締役

○足立参考人 いろいろあるのでございますが、先ほどのお話の中に微温的だというお話もあったのですが、とにかく現在開発の段階といたしましては、すでにコールダーホール型の一号があるのであります。しかし今、長山参考人からも説明がありましたようにコールダーホール型もさらに一段の進歩をしておりますし、それからアメリカの型につきましては、今BWR、PWRと申し述べましたように一段の進歩をしておりますので、ぜひさらに進んだ第二号の実際炉の開発を研究して参りたいというのがわれわれの非常な熱望なのであります。これの実現につきましては、先ほどもいろいろ隘路の点もあるということでありましたが、やはりファースト・コスト、建設費が非常にかさむ。それから、現在わが財界の置かれております金融面の逼迫というような点から、実際これを実現するには非常に困難な面が多いのじゃないかと思うのであります。この建設が実現しますように、資金面について国家的の援助が得られるような方策を議会の方で何か講じていただきますれば非常にありがたいのであります。

齋藤憲三自由民主党

○齋藤(憲)委員 参考資料をちょうだいいたしたのでございますが、ボデガ・ベイ原子力発電所、これを拝見いたしましても、大体初期の燃料、それから二次燃料以後、こう分けて、五・六二ミル、二次燃料以下は五・三二ミル、大体一円九十銭前後という、非常に低廉な発電原価になるようであります。また、三菱商事のお出しになりましたPWR型を見ましても、五百メガワット・プラント建造計画を準備中で、これは建設費が一キロワット当たり日本の金に直しまして六万三千円、発電コストは五・一〇ミル、キロワットアワー一円八十四銭と算定されておるわけであります。こういうような数年後運転をいたします大型の原子力発電コストというものは急速に低下するという数字が出ておるのでありますが、こういうことが的確に立証せられますならば、国会においても、政府当局においても、原子力発電というものに対してまた考え方が新しく出てくるのではないかと思うのであります。これは今やっておる計画に基づく運転開始当時のキロワット・アワーのコスト推算であって、これを実際に発電をしたらどれくらいのコストになるか。これは多少の差はあると思うのでありますけれども、数年後における原子力発電の実態というものをもっと広くPRをして、そこに確実なデータを衆知せしめるということになったならば、私はやはり原子力発電というものは総合エネルギー対策の一環から見て非常に大きな重要性を認識されるのではないかと思います。  一般的に人々の頭に入っております原子力発電については、建設費も高いし、また相当危険も伴うし、またコストも非常に高いのだ。これはとうてい十年や二十年はものにならないのだという考えが持たれているのが非常に多いと私は思うのであります。われわれも、こういう参考書、並びに参考人としておいでを願って御説明を承りますと、そんなに早くコスト・ダウンするのだろうか、何かこれは特殊な宣伝方法じゃないのだろうか、あるいはこういうPWRあるいはBWRを今建造しておるところのアメリカの大会社が将来を見越して、実質的には三年や五年後にはこれだけのコストでもってとうてい発電することはできないのだけれども、あるいは十年か二十年たてばこれくらいになるのだから、それは財力によってギャランティをやっていこうじゃないか、そして行く行くはこのコストまで持っていけるのじゃないかというようなことでやっておるのではないかと、まあ私たちも一応これは疑うわけです。ドレスデンに参りましたときに、GEが十八万キロワットを建造中であったのでありますが、これは七ミル・ギャランティであると言っておった。実際七ミル・ギャランティでやれるのかと言ったら、なかなか七ミル・ギャランティではやれないのだけれども、行く行くは七ミル・ギャランティでいいのだから、この際GEはオーバー・コストのところは一切自分でひっかぶって、そうして七ミル・ギャランティでやっていくのだということを、私たちはアメリカでも聞いたわけであります。ですから、ほんとうに今原子力発電というものがどんどん進歩して、今度三十万キロワットないし五十万キロワットの原子力発電をやるときには、五・一ミルで実際アメリカでやれるのだということがはっきりいたしますれば、やはり日本でも今の体制からいって原子力発電というものに対する考え方が私は変わってくるのじゃないか、こう思うのです。どうもその点がまだ、これは正しいデータなんだ、これは確実にこういうふうにしていけるのだというその証左をわれわれはつかみ得ないのです。そこが非常にあいまいもことした考え方でもって、原子力発電というものを考えなければならぬわけです。実際五十万キロワット単位でもって五年後には五ミルでもって発電できるのだ、その二割アップでもって日本では六ミルでいけるのだ、それに対しては十分耐震その他の安全性も付与できるのだということがはっきりいたしましたら、私は国会でも政府でも考え方は相当変わってくるのじゃないかと思う。そういう点を一つGEないしはウエスティングハウスと密接な関係のあられる商社ないしは会社におかれましては十分検討を加えて、もっと大きく正確にこれを発表されて、政府ないしは国会その他の要路の方々にどんどん現地調査をさせて、実際的にこれがいけるのだということになりましたら、われわれとしてもやはり考え方を変えざるを得ないのではないか、こう思うのであります。その点私自身としては、どっちかなと、こういうふうに私自身が考えておるのでありますから、私よりももっと原子力発電に関心の薄い者は、いや、やはり原子力は何だかんだ言ってもあれは一つの宣伝であって、実際には十年、二十年はあれはものにならないのだというふうな考え方に今立ち至っておるのではないか、こう私は思うのであります。ですから、実際にこの原子力発電の仕事に取り組んでおられて、アメリカその他と密接な関係にあられるところの民間側においても、その点を十分はっきりしたデータを発表し得るような体制にまで御努力をなされる必要があると思うのであります。そういう点に対して何かお考えがございましたら、一つ今度は長沢さんに御意見を拝聴いたしておきたい。

長沢ショウ三三井物産株式会社取締役副社長

○長沢参考人 私ども本日この委員会に参考人としてお呼び出しを受けて、原子力発電について何か話をしろということでございましたので、本日ここにお出しいたしました資料は、いやしくも日本の議会でわれわれが申し述べることですから、相当根拠のある数字を、また外国でも一般に公の公聴会とかあるいはその他一般に信頼されているデータをこれに掲げまして、皆さんの御参考に寄与したというわけでございまして、この出しましたデータにつきましてはさらに実際に御調査をしていただきまして、はたしてこの通りであるかどうかということをお調べになっていただきたいと思うのです。われわれといたしましては、できるだけ向こうの信頼し得るデータを出したつもりなので、一応知り得ているところを申し上げたわけでございます。  それから、この申し上げた趣旨は、現在アメリカあるいは欧州で実際に行なわれております原子力発電の建設費とかあるいは発電コストとかいうものを土台としまして、あとそれにデータを積み重ねた将来のことを申し上げたので、そのデータが直接日本にそのままアプライされるとはもちろん考えておりません。ただ、そういうデータをよくお調べをいただきまして、はたしてそうだということになると、日本ではまだ未解決な点、私どもが見たところ、政府として燃料問題、安全性の問題というものに対するいろいろな法規上の問題、あるいは政府の御方針といったようなものがはっきり打ち出されていないような点がありまして、日本における発電コストを正確に近く計算することができないような現状にあるように考えますので、今日申し上げたことは御参考として、外国のことを土台として、さらに御調査していただく、そして日本の国内のいろいろな政府としての御方針を早く打ち出していただきたい、こういう趣旨で申し上げたわけでございます。

齋藤憲三自由民主党

○齋藤(憲)委員 これは三十万キロワットないし五十万キロワット単位で五・何ミルとかいうふうな発電コストにいけるというそのことが日本において大体信憑性を増してきたというのは、この前、原子力産業合同会議が日本で行なわれたときに、GEのジョージ・ホワイトさんが来て、そしてそういう講演をしたので、われわれはそんなに安くいけるのか、こういうふうに感じたわけです。もう一つは、前田委員長が団長としてアメリカ、欧州を回られたときに、太平洋岸でもって三十万ないし五十万キロワットの発電をやるのに五ミルないし六ミルでやれるという話をしておった。どうもこれはわれわれの考えておるのと非常に違った安い発電コストではないか、もしそうであったならば早く第二号炉に対して原子力発電会社から調査に行ってその実態を把握すると同時に、資金面で輸出入銀行等と交渉して第二号炉をアメリカからどうせ入れるということになっているのだから、その最も適正なものを早く日本に入れて第二号炉を建設するという段取りにわれわれは進んだ方がいいんじゃないかという議論も出たわけなんであります。しかし、ジョージ・ホワイトさんがやってきて、そこでもって演説を、したから、ああそうか、そんなに安くできるのかというふうな感じをわれわれに与えるようでは、一体日本の政府も原子力委員会も、及びこれに携わっておるところの、いわゆる経済的な観点から仕事をやっておられる民間業者という方々も、これで一発どぎもを抜かれたような形を見られると、はたしてこのジョージ・ホワイトさんの言われることにどれだけ信憑性があるのかというまた疑問も出てくるわけなんです。もしも堂々と日本にジョージ・ホワイトさんが来て、公衆の面前でもってそういうことを言い切れるというくらいの進歩発達というものがアメリカにあったとしたならば、それは当然日本にもそういうことが徹底するようにPRされて、そういう上から原子力発電というものの体制をここに作っていかなければならないのじゃないか。私が申し上げました通り、原子力エネルギーの理論というものは、これはもうこれ以上のない大きな革命であって、どんなことがあったって、原子力エネルギーというものは今の重力ないしは化学反応のエネルギーの上にいくということだけは心ある人は認めておる。ただ、その過程における経済性というものが今問題になっておるわけです。ですから、ほんとうに五ミルでいける、新鋭火力発電よりも安くいけるという見通しがつけば、これは日本としてもそれを取り入れて、早いところ安全性を加味して、いわゆるナショナル・セキュリティを加味した日本の体制に安心感を与えられるようなエネルギー総合対策というものを樹立していかなければならない。それがわからぬものですから、原子力は一体ものになるのかものにならないのかといって、なかなか結論が出てこない。そこに私はいわゆる官民合同の体制というものの必要があるのではないかと思う。  きょうは時間がありませんから、原子力委員会の委員の方には御質問申し上げません。また、原子力局にも御質問申し上げませんけれども、こういうふうに三十万ないし五十万キロワットの原子力発電でやれば、五ミルないし六ミル程度の発電コストでいけるということが確実であったならば、これは日本としては今の体制からこの問題にさらに重点的に施策を行なっていかなければならないのじゃないか。こういう点で、今までどうも私ははっきりしないために、われわれとしても一歩踏み切れなかったという面がたくさんあったのじゃないか。幸いこういうデータをお出しになって、これは非常に確実なものであるということでございますれば、政府当局も、また国会側といたしましても、こういうことを十分調査いたしまして、もしこれに万間違いがないとすれば、さらに一歩前進して日本の原子力体制を確立するということについて邁進していかなければならぬ、こう思うのであります。そういう意味におきまして、何か一つ情報が皆さん方のお手元にも届きましたら、それを政府並びに国会側に御提示下さいまして、やはり官民一致の協力のもとに平和利用の推進をはかっていかなければならぬのじゃないか、こういうことを考えておるわけです。大へんお暑いところを御苦労でございました。どうもありがとうございました。

中曽根康弘自由民主党

○中曽根委員 私は一言関連してお尋ねいたしたいと思います。  御存じのように、今日この公聴会を開きましたのは、エネルギーの総合対策というものが政府でも非常に重大な段階になっておる。石炭、石油あるいは原子力。石油にしてもアラビア石油やスマトラ石油の問題もあるし、そういうようなもののバランスをどういう点で作るかということが非常に大きな問題なんです。そこで、政府としてもエネルギーの審議会を作って、大方の権威者を集めて、その大体の青写真を作っていこうということでスタートを切ったと聞いております。そういう意味からしても、国策上原子力がその中でどの程度のポジションを占めるのが正しいかということを判定しなくてはいかぬ。ところが、政府の一部には、はなはだうかつな連中もあって、エネルギー審議会の中に原子力関係の代表者を入れることを忘れるような連中もある。われわれがあわててそれを突っ込んだといういきさつもあります。これは原子力関係の当事者が、われわれも含めて怠慢ではなかったか。  しかし、われわれの手元にはいろいろな資料が、あなた方やアメリカや外国から直接来ておる。それを読んでみるというと、大てい七ミル、高いもので七ミルくらい。安いものは五ミル、それを日本に持ってきて、金利とかあるいは耐震構造による加算とか、いろいろなものを加味したところで二割ないし三割かりに高くなるとしても、十分火力に対抗できるものがわれわれのデータにあるわけです。にもかかわらず、なぜそういうエネルギー総合対策の中で原子力を強く推進する声が出ないのかということを実はわれわれ反省してみたのです。そうすると、どうもわれわれの気持の中にも、これはデータの数字であって信用できないんだ、第一コールダーホールのようなものがすでに運転の経験があるから、これはある程度信頼できる。確かに日本も今東海村に建設中ですから、日本へ持ってきた基礎データというものがある程度わかる。しかし、経験のないものは、建設して一年か二年運転してその実績を見なければうかつに買えるものじゃない。こういう感覚が割合にある。しかし、そういうことを待っておったら、あるいは非常におくれてしまうかもしれぬ。そういう点から考えると、三菱さんにしても三井さんにしても日商さんにしても、それだけのデータをわれわれのところに送ってくるにしては熱意がなさ過ぎるじゃないか。ほんとうにこれが正しいもので、ほんとうにこれだけの安さでできるならば、われわれののど元に食らいついても、国家のためにおやりなさいといって迫ってくる迫力があるはずだ。その辺の調子はどうだろうかというので、今日は大御所に来ていただいて聴診器を当てたというのが真相だと思います。  それを見てみると、われわれと同じ程度の心境におられるような気がするのです。つまり、やはり実際建設して二年くらい運転しなければ、これははっきりしたことは言えない。だから一応向こうから送ってきた資料をそのままこちらで配っておこう、そうすればほかの商社に負けないから、その程度の競争をしておればいいんだ、そういう程度のものであるようにうかがわれるのです。はたしてそういう程度のものなのか。ほんとうに国のために推進しなければならぬものか。われわれはわれわれですでにいろいろなデータを調べたりして、次の関西に設立されるであろうと予想されている二号炉についていろいろ検討しておる。検討しているが、われわれの考えは別として、あなた方の真意を実は聞いてみたいのです。そういう意味で、日商さんの方はすでにコールダーホール関係でわかっておる。三菱さんと三井さん、おのおのについて、簡単でいいですから、所信を表明していただきたい。

足立一郎三菱商事株式会社常務取締役

○足立参考人 今の御質問についてお答えいたします。  実はきょうのお話は、原子力発電のものが少しスロー・ダウンしているのを、実際世界の実情に合わせてそれに追いつくような体制をとらなくちゃならぬというような意見を陳述する非常にいい機会と思って伺っておるわけでございますが、どうも私どもの説明がいささかあれで、御期待に沿えなかったと思います。私の三菱の方で扱っておりますウェスティングハウスのPW型につきましては、はっきり言えることは、先ほどお答えしましたように、ヤンキー・プラントにつきまして現在十一ミルの実績を上げておるということははっきり言えます。それでそれから類推しまして、同じ炉を使いまして燃料だけを第三次の取りかえによりまして七ミルまでにいくということをウエスティングハウスが言っておりますが、これはいずれも後に申しました五十万キロとかその他の大きいブラントにつきましては、いろいろなアサンプション、想定というものがありますが、ヤンキーに関する限りはこの第三次の燃料取りかえということによって七ミルにいくということは確実であります。だから、もちろんヤンキー・プラントそのものの炉自身がさらに改良されるであろうということは当然わかるわけであります。それから、容量もヤンキーは十五万キロワットですから、これが次に置かれる炉が三十五万、三十万であるならば、炉自身がヤンキーより一段進んだものにいわれますので、先ほど申しましたウエスティングハウスの五十万キロに対する数字というのは、実は私ども十分の試算をしておりません。しかし、ウエスティングハウスが今まで申しましたことは、ヤンキーの例にとりましても、実際に最初に申しましたよりか実績はさらにいい数字が出ているという現状でありますので、もちろんわれわれのなんでありますウエスティングハウスに対しましては、三菱グループとしてもこれは相当信頼しておりますので、そういくだろうと思っておりますが、それじゃ必ずいくというのにはちょっと早い時期にあるのじゃないかと思うのであります。それで今三井さんのおっしゃったBWにつきましては、ボデガ・ベイ、これは注文がきまった後のものであります。これに対してGEのデータあるいは事業家のデータというのがございまして、非常に説明がお楽だったと思います。ウエスティングハウスの方は、すでに先ほど御説明しましたように、サウザン・カリフォルニア・エジソンのものが注文の内示を受けておるのでありますが、これが土地の関係でまだ着工に至っておりません。従いまして、ウエスティングハウスの方におきましてはすでに設計その他の準備もいたしまして、きょうそのデータをできるならば御披露したいという希望もあったのでございますが、これはやはり事業家の方の了解も得なければいけませんし、またそれを提出する段階に至っておりませんので、非常に残念でございますが、これは遠からずその数字はつかめると思います。そうしますと、GEのボデガ・ベイ、これは三十二万五千キロと伺いましたが、ウエスティングハウスのサウザン・カリフォルニア・エジソンは三十七万五千キロ、まあ類推しておる点からはやはり相当低い数字が出ると思っております。  それで、いろいろ私どもの申したことは、ウエスティングハウスの言うこと、GEの言うことは絶対だ——GEのことは長沢さんがおっしゃいましたが、ウエスティングハウスの言うことは絶対だということは言えませんが、私どもとしては相当それは信用しておるわけであります。従いまして、私どもとしましては、もちろんウエスティングハウスと関係が多いものであります。資料が入りましたならば、政府の方、原子力委員の方あるいは原子力発電会社、それからできるならば国会の方にもどんどんデータを持ってきまして、この促進を御教示願いたいと思っております。何分私ども商社という立場でございますし、まあいえばウエスティングハウスは親戚のようなものでありますが、こういうような機運がだんだん盛り上がってさましたら、なるべく早い機会にこの原子力発電に御関係の深い方、これは政府の方、あるいは原子力発電会社もありましょう、学識経験者という広い範囲の方、できるならば国会の方からもお入りになりまして、私どもの言っていることをさらに現地においてお確かめ願うことができますならば、メーカーの方はもちろん喜んで十分説明すると思いますし、またもっと公正な立場にある事業家でありますとか、アメリカ原子力委員会の方でもその信憑性につきましてデータを出してくれると思います。一つ国会の力からもお越し願いまして、そういうふうなミッションが一刻も早く御出馬を願うことを切望いたす次第でございます。

長沢ショウ三三井物産株式会社取締役副社長

○長沢参考人 今日われわれ商社の者が参考人として呼ばれてお話ししましたにつきましては、われわれはGEとかウエスティングハウスその他の外国のその方面のメーカーのものを扱っております関係上、早く自分の扱っておるものを売りたいといったふうに誤解されてもまずいというような気持もあったものですから、われわれの申し上げることがやや微温的になったかと思うのです。しかし、私どものきょう申し上げた目的は、外国における実例及びわれわれの信頼し得るデータと思われるものを申し上げて、外国ではこうなっておるのだ、原子力発電コストも火力に匹敵するようになってきておるという趨勢を申し上げて、さらにそれを国会並びに政府その他関係各位の方が御調査になって、確かめていただく。そうすると、なるほどこうなっておるのかということがはっきりするならば、さらにそれに対する日本としてのいろいろな対策あるいは政府の方針もはっきり打ち出されるということになると考えられますので、実は非常に微温的ではあるのですけれども、外国の例を主として申し上げて、そうしてそれをもととして、また日本に持ってきたらどうなるだろうかというようなことをいろいろ仮定を置いて、日本に持ってきてもあまり高くはならないのじゃないかということを申し上げて、原子力発電の仕事を日本においても推進していただきたいという気持を表わしたつもりでおります。  先ほどからもお話がありましたように、われわれ商社あるいは国民の一人といたしまして、ことに商社の立場として考えますと、火力発電のみにたよっていると、それに要する原油の輸入も相当膨大なものになり、その方面で失う外貨も相当なものである。あるいはそれに関連するいろいろな輸送上の費用とか、あるいは油を貯蔵するタンクの施設とか、港の設備とかいうようなことを考えますと、相当金もかかる。エネルギー全体の一環として原子力というものをわが国の国情からいってもっと真剣に研究して、これを促進すべきじゃないかというふうにわれわれは痛切に考えております。ただ、そういったような気持がきょうのわれわれの話の中に、にじみ出なかったかもしれませんけれども、それは先ほど申し上げましたように、商社として非常に内輪な表現をしたということでありますので、御了解願いたいと思います。

前田正男自由民主党

○前田委員長 次に、岡良一君。

岡良一日本社会党

○岡委員 私ども社会党といたしましても、原子力発電そのものには決して反対ではございません。むしろ強力にこれを推進すべきものである、こう信じておるし、その立場に立っておりますが、実はこの間、先月の二十八日の新聞でしたか、三井物産社長の水上という方が、アメリカから帰って新聞記者会見をされた談話が出ておりました。私どもは、原子力発電があの談話に盛られたような意図のもとに進められるならば、もとより絶対反対しなければならないという立場をとっております。これは社会党だけではない、原子力委員会も、おそらく日本の国民も、すべてが反対すべきだと思う。要するに、原子力発電の将来性を非常に強調しておられる。その趣旨は私どもも同感です。しかし、さて使用済み燃料からプルトニウムが生産される。このプルトニウムは原爆の材料にすることもやむなし、あるいはすべきであると解されるような御発言があったわけであります。これはあなたの直接のお仲間の一人のお話でありますが、副社長としてはこの間の事実をもう少しはっきり述べてもらいたい。

長沢ショウ三三井物産株式会社取締役副社長

○長沢参考人 ただいま私どもの会社の社長の水上が話したといわれる新聞記事を、私も拝見しました。そして直ちに社長にその記事の正否を確かめてみましたところが、プルトニウムのことに関する新聞記事は自分の全然言っていないことであるということを、彼自身から私は確かめておるのであります。プルトニウムの平和利用ということができれば全体の国策の一助になるということは自分も考えておる、それを原子爆弾に使うとか、原子爆弾用として売るとかといったようなことを自分は言った覚えはない、ということをはっきり言っておりますので、あの記事は、どの新聞社の記事か知りませんけれども、誤って伝えられたものではないかと私は考えます。

岡良一日本社会党

○岡委員 しかし問題は、新聞記事の通りであるとするならば、私は非常に重大なショッキングな御発言だと思います。従って、その点かりに御当人が言った覚えがないならば、しかもその方はある程度有力な経済団体のオピニオン・リーダーとして周知されておるのだから、そういう方の御発言であれば、この方自身が積極的に相当な手続をとって取り消されるべきであると思うのです。その手続をおとりになったのか、どういうふうに処置されたのか。

長沢ショウ三三井物産株式会社取締役副社長

○長沢参考人 別に今のところ手続をとっていません。従来でもいろいろそういうケースがありますけれども、新聞記事について一々そういうふうな手続をとるということは、われわれとしてもあまりいたしておりません。またこの場合も、はたしてこれからやるかやらないかきめておりません。

岡良一日本社会党

○岡委員 先ほど私が申しましたように、やはりこれは当然取り消しをはっきりさせるべきだと私は思うのです。それをされる意思があるかどうかということをお聞きしておるのです。ほかの問題と違いまして、やはりあれは非常にショッキングな影響を与えておる。でありまするから、あなた方が外国から原子炉の導入を強調される底意にそういうものがあろうかというふうな懸念がみじんも国民にあってはならない。これは原子力基本法の規定する当然な大原則なんです。でありますから、かりそめな問題と違うので、積極的にその取り消しをされる必要がある。重ねて御所見を伺っておきたいと思います。

長沢ショウ三三井物産株式会社取締役副社長

○長沢参考人 私、社長から確かめたところによりましても、また私の会社の幹部の者も、そういうプルトニウムを原子爆弾用にするとか、そういうようなことを考えておる人は一人もおりませんことをはっきりと申し上げたいと思います。これは自然にわれわれのこれからの行動ではっきりわかると思いますから、あらためて新聞の記事を訂正させるがごとき考えは今持っておりません。

岡良一日本社会党

○岡委員 せっかく御多用のところを御出席になって、あなたに詰問をするわけではありませんが、やはりああいうことが伝えられておるという事実は、やはり公の立場に準ずる御発言だと思えるので、慎重に願わなければならないと思います。  特に原子力委員会は原子力基本法の番人でなければならないと思うのだが、石川一郎委員はあの記事をお読みになりましたか。

石川一郎原子力委員会委員

○石川説明員 読んでおりません。

岡良一日本社会党

○岡委員 西村委員、駒形委員は、あの記事をお読みになりましたか。

西村熊雄原子力委員会委員

○西村説明員 私は読んでおります。

岡良一日本社会党

○岡委員 驚くべきことだと思います。とにかくこれは単にある一新聞じゃないのです。解説をつけた新聞は一社であったけれども、他にまだ私の見ただけでも二つそういう記事が出ております。であるから、原子力委員会は、原子力の研究開発と平和の目的に限る、しかも各党共同提案として成立した原子力基本法をあなた方は守る義務がある。かりそめにもそれから逸脱するがごとき行為に対しては、十分に監視をしてもらう義務と責任があると思います。  では、あらためてお聞きするが、この事実について原子力委員会としては調査すべきであると思います。そうして事の真実をついて原子力委員会としてわれわれに疑惑を解く、こういう態度に積極的に出てもらいたい。一つできるだけ近い機会に、原子力委員会としてはこのような事実があったかどうか、それが個人の意思であったかどうか、同時に原子力委員会として、こういうことがあるべきではないとするあなた方の信念を明確にわれわれ国会に示してもらいたい。ぜひお願いしたいと思いますが、いかがですか。

石川一郎原子力委員会委員

○石川説明員 御趣旨はわかりました。

岡良一日本社会党

○岡委員 ぜひはっきりさせていただきたいと思います。原子力基本法だけではなくて、御発言の方は、アメリカからお帰りになって原子力発電の将来性を非常に強調しておられるが、そのアメリカと日本とが結んでおる日米動力協定の中でも、日本は原子力の平和利用をはっきり約束を与えておるわけです。われわれは国際原子力機関に入っておる。国際原子力機関憲章第一条にもはっきりとそのことをうたっておる。日本はその理事国になっておる。あらゆる日本の立場は、原子力の平和利用に徹すべき責任と義務をわれわれは他国との条約その他においてはっきりと明らかにしておる。ところが、原子力発電の有力な提唱者の側からこういう発言があるということは、日本の原子力発電のためにも私としては非常にとらないので、ぜひ原子力委員会としては本委員会に対して調査の結果と態度を明確に文書をもって公表していただきたい。  それから、きょう今お話を承りましたが、実は私も率直に申し上げてしろうとでございますので、皆さんがそれぞれ日ごろ懇意な外国のメーカーの炉について非常にいろいろ御推奨いただいたデータというものもゆっくり見せてはいただきますが、おそらくは国会とすれば、一体どのデータが真実であるかどうか、またその真実であるかどうかという機関をだれが担任するか、それは原子力委員会でございましょうが、コールダーホール改良型の炉の方にしても、安全審査部会の運営があれでよかったのかどうか、こういう機構なり手続の問題について、われわれの過去の経験にかんがみて、今後よりよき機構、よりよき運営というものがあれば、その機構の手を通じて、またよりよき運営を通じて、皆さんのデータを慎重に検討していただくようなお手伝いを国会としてはするのがせいぜいの山だと思うのであります。  ただ、産業会議の森さんがおられます。これは中曽根君も申しましたが、特に石川一郎さんがおられますが、実はエネルギー懇談会の中間報告という小さいリーフレットがあるのです。これはことしの五月二日に出されておる中間報告なんです。これを見ましても、原子力発電というものが日本の将来の総合エネルギー対策の中においては無視されておるという印象を受けるのです。これには、たとえば石炭事情にかんがみまして、そして低品位の産炭地帯発電は今後百二十五万キロワット程度しなければならない。あるいはまた石油政策についても述べてある。電気につきましても、やはり電気事業の需給推算をいたしまして、その中では特に強調して、やはり揚水式の水力発電なり、貯水池式の水力発電というものも、やはり日本の需要の実態、言いかえればピーク需要が非常に急増されるということから、これもやはり相当力こぶを入れなければならぬ。しかも、それは相当コスト高にはなるけれども、日本のエネルギー普及の将来を考えた場合にはやむを得ないという、かなり具体的なことに触れておる。ところが、ここ十年間の百万キロワットの原子力発電というものが全然これに触れられておらない。これはどういうわけでありましょうか。

森一久社団法人日本原子力産業会議事務局次長

○森参考人 今おっしゃったようなことではいけないということを先ほど申し上げたのでありまして、今度は通産省にエネルギー総合政策部会ができましたので、そこにやはり原子力からの代表者として私の方の副会長の松根さんが入られて、ここでそういった点をもう一度検討していただいて、国家政策の中での原子力の位置というものがはっきりした上で開発を進めていくべきだろう、こう考えておるわけでございます。これは私個人の意見じゃございません。産業会議の意見でございます。  それから、先ほどの水上社長の発言の件につきまして申し上げたいのですけれども、あの新聞記事が出ましたときに、私ども産業会議の幹部も非常に心配いたしまして、最近原子力発電の推進ということを非常に私の方でもやっておるわけでございますけれども、ああいった形で出ますと、この意図が誤解されては困るということで、さっそく、けさほどでございましたけれども、私の方から代表者が出向きまして、真意はどういうところにおありであったのか、ただしましたところ、先ほど副社長からおっしゃいましたように、言葉が足りなくて、ほんとうは平和利用ということを言うつもりであったのが軍事利用のようにとられたのだということでございました。それで、これは新聞にというのとは違いますが、私の方に原子力産業新聞というのがございます。この次の号であのときに水上社長のおっしゃったことを載せることにしておりますから、あるいは御参考になるかと思うのです。  それから、ちょっとついでに申し上げさせていただきたいのですが、先ほどから齋藤先生、中曽根先生から御質問が出ましたが、原子力発電のコストが五ミルとか七ミルなら原子力政策を立てることもできるのかというようなお話もあったというふうに承りました。むしろ私の申し上げたかったことは、原子力発電のコストが五ミルとか七ミルになれば原子力政策は要らないかもしれない。そうじゃなくて、むしろ原子力発電のコスト一つをとれば、五ミルとか七ミルとかいったデータがありますが、これはやはり米国で言いましたら、原子力発電だけで九百億という国家予算を投じて開発を進めている、その結果が三年後にはそういう形で出てくるという見通しを持っている人がある、こういうことです。しかも、その場合に、原子力発電所を作る場所をそういった場所に作れば、アメリカの安全基準で作れば、しかも燃料政策についても、いろいろな補助があればという、こういう前提の上でそういうものが出ておるというなら一つのデータにはなりますが、やはり原子力発電のコストが安いとか高いとかいうことを基準にしまして原子力政策を立てる位置は、むしろ四、五年前のことじゃなかったのかと私などは考えております。その点は、むしろ逆に考えていただいて、特にアメリカのようにエネルギーの非常に豊富な国でも、そういった原子力予算を日本の約十倍も、これは平和利用だけでございますが、投じてやっておる。むしろそっちの方から目を当てていただいて、その結果ああいう形で原子力発電所ができるようになっておるのだ、その結果の方ではないかと思います。七ミルだからどうするとか、五ミルだからどうするとかいう問題じゃないのじゃないか、というのが私の考えであります。

齋藤憲三自由民主党

○齋藤(憲)委員 関連して。これは日本の宿命なんですよ。日本というものが、アメリカとか英国みたいに膨大な国家予算を投入するとか、あるいは民間側で思い切って金を投じていって、そうして原子力発電のコストを追求していけるような立場にあれば、これはお説の通りです。こいつが日本ができないから、その経済的な問題が非常に大きくなってくる。私らの考え方は、原子力発電というものは、追求々々していけば、ゼロにはならないであろうけれども、ゼロに近い発電コストになるであろうという見通しは理論的には持っておるわけです。それを国家の力で追求していけないところに日本の宿命があるから、アメリカがどうだ、英国がどうだということを考えていかなければならぬ。どの段階で日本は経済的に原子力発電に踏み切っていくかということが、今現実的な問題としては一番大きな問題だと思います。理論的にいえば、あなたのおっしゃる通りです。それならば何も右顧左眄する必要はない。必要ならばありったけの金を投入して、総合エネルギー対策を立てる中心は原子力発電だ、これはいいですよ。ところが、やれない。やろうと思ってもやれないから非常に困っておる。これは考え方の違いかもしれませんが、そいつをやってもやれるのだ、やってみろというのなら、何もそれはGEもウエスティングハウスもない。日本でどんどんやっていけばいい。ところが、それが日本ではできないのですよ。あなた方は苦労を知らぬだろうが、毎年原子力予算をとるのにどれだけわれわれが苦労をしておるか、そういうことを言っているわけです。誤解のないように一つ……。

石川一郎原子力委員会委員

○石川説明員 エネルギー部会の問題がございましたが、実は、われわれは中間報告を受けておりませんが、新聞で読みました。それで、二度ばかり委員会の席上で、有沢さんはたしか会長か委員長になられておるのじゃないかと思いますものですから、有沢さんに原子力委員会を代表して原子力のことをしっかり入れてくれということだけは二度ばかり申し上げてあります。

岡良一日本社会党

○岡委員 そこで、今の森事務局次長のお話ですが、森さんの御趣旨の通り、やはりできるだけ原子力研究開発に資金をつぎ込んで、低廉な原子力発電をわれわれの手で作り出すということは、もちろん一番大事なことだけれども、しかし、問題は、エネルギー懇談会の中間報告を見ましても、やはり四十五年度末の電力需給推算をしてみると、毎年四千億なり五千五百億の金が要る。とてもこの金は現状では調達し切れない。であるから、資金調達としては、開銀の融資ワクをふやすだけではなく、資金運用部資金で電力債の引き受けをやれ、あるいは電力債を対象とする郵便年金なりの担保債も発行しろ、あるいは税制面で固定資産税やその他事業税についても減免をはかれ、あるいはまた内部留保の充実については特に減価償却などについては特例を開けというふうに、やはり日本のエネルギーを需給するためには、まず資金の問題が非常に問題になってくる。そうなってくると、やはりこの日本の原子力発電も、この条件というものを無視してやるわけにいかないというところに、今日の日本の原子力発電の一つの苦悶があるわけなんです。ですから、そういう点で、いろいろ私どももわからないことを申し上げておるわけなんです。  そこで、産業会議で、原子力産業の赤字の実態を御報告になっておりました。私はあの内容について今とやかく申し上げるわけではございませんが、どうしてあの赤字が出たのでしょう。産業会議ではその原因をどう把握しておられますか。

森一久社団法人日本原子力産業会議事務局次長

○森参考人 今の赤字というのは、どういう意味でございましょうか。

岡良一日本社会党

○岡委員 今ここへ本を持ってきておりませんが、言ってみれば、原子力産業界では相当な投資をした。各社、五社ですか、その投資が年度別に、また投資種目別に表に出ておる。ところが、さて民間なり政府なりの発注はとても追いつかない。いわば元手は投じたけれども注文がない、仕事がないという状態で、原子力産業界は非常に困っておるということが出ておる。私はその点を赤字じゃないかと思って、赤字と申したのですが、この原因ですね。

森一久社団法人日本原子力産業会議事務局次長

○森参考人 今おっしゃいました原子力に対して、産業界全体で大体最近は一年間八十億のお金を使ってきておるわけでございます。これに対して売り上げというものは、約半分の四十億でございまして、年によっては二十億という非常に少ない額になっております。この差自体が赤字という表現は、ちょっと当たらないのじゃないかと思います。と申しますのは、やはりこれは研究開発投資でございまして、将来原子力発電が実用になったときに備えての研究投資でございますから、毎年研究投資に使っただけ収入があればこれは研究投資じゃないということになります。むしろ、そういうことよりも、御質問の趣旨もそうかもしれませんけれども、それよりもむしろ、その額が毎年八十億という額を今まで投じてきた、しかも原子力の実用期まで少なくともまだ数年後という期間がある。そこに問題があるのではないかと思います。  そこで、先ほども申したのでございますが、やはり日本のメーカーは、原子力だけの研究開発をやっておればいいのではございませんで、いろいろな新技術全般に対して、どしどし研究投資をやっていかなければならない立場に最近は特に追い込まれているわけでございまして、それに対して、政府の原子力予算八十億というのと同じ額で産業界は投資をしてきて、はたしてこのままでいいのかどうかということです。先ほど齋藤先生のお話のように、原子力予算をふやすのは大へんだとおっしゃいましたけれども、少なくとも原子力の研究開発で、政府と民間とが大体同じ額で負担しておるという例は世界じゅうどこにもございません。どこにもないからいけないということにはならないと言われるかもしれませんが、やはりそこに若干の無理があるのではないかと考えられるわけであります。  それと、もう一つの問題は、売り上げの内容でございます。その四十億の売り上げ自体が非常に赤字受注になっておるという問題がもう一つあるわけであります。具体的な例は、私資料を持って参りませんでしたが、十億程度のものが八億とか七億といった値段で競争入札で落札しておるという事態が現実にあるわけです。これはどうしてそういうことになるのかという、見方はいろいろございましょうけれども、私どもの方から見ますと、やはりそういった原子力の予算の組み力自体に問題がある。これだけのものはこれだけの額ではできないと明らかに考えられるにかかわらず、それだけしか予算がついていないということがあるように考えられるわけです。それならば断わってしまえばいいじゃないか、入札を断わればいいじゃないかということにもなると思いますが、しかし、やはり産業界の側から見ますと、原子力の将来性というものを非常に注目をしております。それだけに、やはり国家的使命と申しますか、ある程度の赤字を出してでも国家に対して協力したいという意欲は非常に強いものがあります。また、現実に何人かの研究者を雇っておりまして、十年先、五年先の実用期まで技術者を長期的に養成していくという立場からいきますと、やはり仕事をとらぬわけにはいかない。そういう結果非常に大幅な赤字を出しておるわけでございます。この問題は、やはり原子力予算を編成する上で考えていただきたいと思う問題でございます。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 原子力産業の赤字の問題に関連をいたしまして、また先ほどのことを蒸し返すようでございますが、お尋ねをいたしたいと思います。  原子力産業会議の事務局次長さんは、今赤字の原因といいますか、それについていろいろお話をされました。私どもも新聞でもって、原子力産業会議が出しました白書を読みまして、原子力産業が経済的に非常に苦境に立っているということを知ったわけです。一方でそういう原子力産業が赤字だという宣伝をいたしている中で、経済同友会の代表幹事でもあり、また三井物産の社長でもあり、また原子力産業グループの有力な責任的立場にあるお方でもある水上さんが、二十八日にわざわざ記者会見をされて、ああいう御発表をされたということになると、原子力産業会議は、赤字だからここでもってプルトニウム爆弾でも一つ作って、その赤字を取り返してやろうと考えているのじゃないかというふうに、すなおな人間は考えがちだろうと私は思います。そこで、特に私が問題にいたしたいのは、この水上さんの発言で、私だけがそう考えると言っているのじゃない。新聞をお読みになった方はわかるでしょうが、財界でもこのような意見が次第に多くなっていると、こうはっきり言っておられる。とすれば、原子力産業会議あるいは原子力産業のグループの方々の間に、そういう意見が強くなっているというように水上さんがお話をされたというふうに、すなおに私ども新聞を見れば感ずるわけであります。  そこでお尋ねをするわけでありますが、森さん、原子力産業会議の中にもそういう意見があるのでありますか。それから石川さんは、先ほど新聞はお読みにならぬというお話でございましたが、財界の大先輩として、原子力委員にもなっておられる。そうすると、石川さんの御承知の方の中にも、あるいはそういう意見をお漏らしになっている方もあるのじゃないかと推察するのですが、そういうことはございませんか。お二人に一つお答えいただきたいと思います。

森一久社団法人日本原子力産業会議事務局次長

○森参考人 これは先ほど申しましたように、そういうことはございません。でございますから、あの新聞が出まして、実は私どもまだ読んでいないうちから、私どもの会長から事務局に電話がかかってきまして、あれは何かの間違いであるに違いないから、直接行って確かめろということで、その御意見を確かめたのですが、それは先ほど申しましたように、原子力産業新聞に掲載することにしたわけであります。私どものやることとしては、それが最大限だと考えております。  それから、先ほどの赤字だからそういうことまで考えられるのじゃないかというふうな点でございますけれども、最近の日本のメーカーは、世界の第何位というところまで進出するくらい非常に大きくなっておりまして、赤字自体でそういった筋を取り違えていくほど力は弱くないと思いますので、そういう意味の赤字を申しているのじゃございません。不自然だということを申しているわけでございます。

石川一郎原子力委員会委員

○石川説明員 私の知っている範囲では、そういうことを考えておる者は一人もないと私は思っております。なおまた、原子力委員会はそういうことを考えている人があるかというと、もちろん一人もないと考えております。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 御答弁を聞いて安心をいたしました。先ほどわが党の委員の方からもお話があったわけでございますが、原子力委員の方の中にも多数新聞をお読みになっておられる方もあるようでございますから、原子力委員会としてのはっきりした御見解を、原子力の政策立案に当たる権威者としての立場から、ぴしっとした方針をお出しになって、内外に声明をされるようにお願いをいたしたいと思います。

岡良一日本社会党

○岡委員 それから、森事務局次長にお尋ねをしたいのです。実は私どもたびたび申し上げておることなんですが、なぜ、赤字といいましょうか、研究開発と言われますが、研究開発にしても、非常に効率的な研究開発の運用もあれば、非効率的な研究開発の運用もあり得るわけです。僕はそういう点から考えまして、日本の現代の民間の原子力産業界のあり方はこれでいいの、だろうか。たとえばこれは長山さんよく御承知の通り、英国では今四基稼働しておるはずだと思います。三基はすでに建設中、なお契約の済んだものが四基ぐらいでしょう。そうすると十基に余るコールダーホール改良型の相当規模な容量の原子力発電炉が建設をされつつある。それでも英国の場合、やはり産業グループが幾つかあったのを三つに整理して、そうして産業界自体も協力をしつつ、イギリスの原子力発電炉の建設に協力をする体制をとっておる。英国というのは非常に合理的な体制だと私は思うのです。ところが、日本の場合は、原子力発電の二号炉も、まだ今のところは十年の間に百万キロをやろうという程度であって、建前はあるが、現実の動きとしては、原子力委員会も零囲気的にはまだ非常にその態度を私どもとしてもつかみがたいような状態です。こういうときに、日本の原子力産業の会社はたしか五つほどあるかと思いますが、五つもあって、おそらくこの中でもあなた方そのどれかに入っておられると思うのです。結局貿易商としてエイジェントとしてはPWがよかろうということでPWをする、あるいは英国のコールダーホール改良型というふうに、それはあなた方のお立場から無理はないと思うのだが、そういうことになってくると私は日本の原子力産業界における資金効率のむだがいろいろな面で出てくると思うのです。外国の原子炉予算の使い方を私ども寡聞ながら現地で見ますと、非常に巧妙に使っておると思うのです。十億なら十億の資金を投じて、することは大へんな仕事だということが考えられるわけです。そういう点も、日本の原子力産業界のあり方にはもう少し反省をしなければならぬも、のがあるのじゃないかと思うわけです。こういう点は、やはり原子力産業会議の立場から大局的に見ておられる森さんのお考えをこういう機会に聞かしていただきたいと思うわけです。

石川一郎原子力委員会委員

○石川説明員 実はきょうはここで申し上げるのはどうかと思って差し控えておったのでございますが、先ほど来原子力委員会の予算が少ないために赤字を出すというようなお話もあったのでございます。実は赤字の白書の出ましたときに、私は個別に全部調べました。その中で一つ、二つ覚えておることだけを申し上げます。これは名前を差し控えさしていただきますが、予算は、三千五百万円の予算である。しかるに、それを受けた人は三千万ちょっとで受けた。その他の方は四千万、五千万で受けておる。要するに私はそれは過当競争じゃないか。また、予算が予算以内で通ってしまうというようなこともありました。それからまた、ある相当大きな外国からの注文で外国人が引き受けまして、それを日本人がある部分につきまして下請をやった。それで一億数千万円の損をしておる。これは外国商社と日本の下請との間の交渉はどうなったかわかりませんよ。わかりませんけれども、そういう例もあった。われわれは、もし原子力の予算が非常に少ないために御迷惑をかけちゃいかぬと思いまして、注意して見たうちには、全部ではございませんが、そういうこともあったということを御承知おき願いたい。  なお、こういうことになると困るから何とか一つグループの整理がもう少しできないものか、お互いに話し合ってあまり無理をしないで、愉快でなくてもいいから、あまり損をしないで原子力の生産業の方を伸ばしていく方法はないかということを常に心配しておるのであります。ところが、今から数年前に、五グループができる前に私は一番トップの方にお目にかかりまして、何とかみんなちりぢりばらばらにやらないでというお話をしたことがあったのです。そのとき、大体それでいいというお話もあったのです。そのときにそうした方がいいという積極的な御意見があった方も、その後独立いたしまして、やはり競争相手の中に入っているような状況であります。私はやはりこれを何とかもう少し、今五つのグループがありますけれども、品物によっては二グループでやるとか、みんな五グループでやるとかいうことがないようにしていっていただけたら非常にしあわせだと考えております。ところが、たとえば補助金とかあるいは委託予定経費とかいうようなものが少しずつ違ったところから何件かおろされてくる。これを落としてこれを生かすということは、非常にまたむずかしい問題になるわけです。その点、このごろもそういうケースにぶつかっております。できるだけ皆さんに協調してやっていただきたい。  燃料の問題で、国産一号炉の第二次のチャージの問題ですが、それをある三社ばかりで御研究なさってやっているのですが、そこにほかの者が割り込みたいという話があった。もっともだ、どうか一つ生産数量については大きな数量でないから、ある一社か二社でやりなさい。しかし研究は皆さんでおやりになったらいいのではないかということで、全グループの方にお入り願いまして、研究のときにはわずかばかりでございますから、何件にも分けてやるだけの数量がありませんから、それは今までおやりになっているようにおやりになればいい、どうして将来作るか、あるいは個人がお作りになるのは皆さんでおやりになるのがいいだろうというので、原子力研究所に頼みまして、そういう方も入れていただいて、そうしてみんなで研究するということもやったことがございます。いずれにいたしましても、ほかの産業も同じでございますが、日本人はとかくけたはずれた競争をするということがくせのようでございます。

森一久社団法人日本原子力産業会議事務局次長

○森参考人 いま一つは、五グループが多過ぎるのではないかという御議論でございますけれども、この点につきましては、イギリスでグループが整理されたから日本でも整理されるべきであるというのは少し機械的な考え方ではないかという気が、ちょっと失礼かもしれませんが、するわけでございます。と申しますのは、発生した理由自体にイギリスと日本のグループの違いもありましょうし、それから、先ほど来申しております原子力関係の投資が非常に多くなったから何とかしてくれと言っているようにとっておられる点があるのではないか。この点は少し誤解しておられるのではないかという気がするわけです。そうではなくて、産業界で申しておりますことは、エネルギーの総合政策の中で原子力をどういう形でどういうふうにやるのか、はっきりきめてほしい。それがはっきりすれば、先ほど来いろいろ出ておりますグループ間の協力とか、そういったことも考えようもありますけれども、現在はこの前の長期計画がございまして、十年間で百万キロワットやるであろうということで、そのままほうり出された形で、やるのかやらないのかちっともわからない形になっております。そういったことから手をつけていくのが筋ではないか。産業界が現在原子力に投資しておりますのは、企業の力で投資しているわけでありますから、金が詰まれば原子力に対する研究投資はおそらく締めるということになるでしょう。そうすれば、日本の原子力開発の半分を占めております産業界の部分が、原子力の重要性とは関係なく、半分になったり倍になったりする。そうすれば、そういうことで日本の原子力の研究はうまくいくのかということを申しているわけであります。決して助けてくれとか、金をほしいとかいうことを申しているのではございません。それが一つでございます。  それから、先ほど石川委員が言われたことに関連しますが、赤字受注の問題は、先年のおっしゃった例も確かにございますが、先ほど私が申した熱意が行き過ぎて赤字を出したということもありますけれども、逆に明らかに予算が少ないという場合もございますし、そういう点はいろいろ御研究いただきたいと思います。  それからもう一つ、契約の問題で、どうも原子力も、従来のものと同じにとにかく競争入札で安ければいいのだ、安い方に落とすのだという考えで現在まで来ておるわけでございます。それ自体、先ほど来お話が出ております原子力の研究開発段階という重要性を考えられまして、契約政策という問題が大きな政策の問題ではないかと思います。アメリカでも、そういった原子力の契約政策問題を非常に上院高等原子力委員会で勉強されまして、AECに対して、もう少ししっかりした形でやらなければいかぬじゃないかというようなことが出てきております。たとえばイギリスなんかでも、原子力発電所が発注する場合に、入札したけれども落札できなかったグループに対しても設計料だけは払うという申し立ても出しておるわけであります。と申しますのは、設計料自体が研究開発料でございますから、そういうものに対しては設計料だけは中央発電所が払うというような、そういうようなやり方さえ考えておるわけであります。従来のように、とにかく入札で安い方に落とすのが公正であるというような考え方だけでは、原子力の場合には少し問題があるのではないか、こう考えておるわけであります。

岡良一日本社会党

○岡委員 いや、僕は総額の資金がどうのこうのというわけじゃない。資金の運営が効率的になされているかどうかというところに問題がある。それが非効率的であるとすれば、その原因は、やはり原子力産業グループがあまりにも過当競争的な形になると、これは言わずと知れた資金の非効率的なことが起こってくるのじゃないか。こういう点をもう少し再編成をし、修正をし、調整をするというふうなところに私は原子力委員会の大きな責任があるのじゃないか。私どもは、もしきょう皆さんから、Pもこういう状態、Bもこういう状態、それでP、B、それぞれ推奨される方々がいろいろ御協議を願って、われわれの立場からはこれが最善だというふうな、こういう御見解を産業界がわれわれに訴えていただき、われわれを啓蒙していただくくらいまで、新しい原子力の研究開発の分野で産業界が立ち上がれないものであろうか。これがまた昔の古い財閥系統のような形における過当競争の弊害が何かあるのじゃないかということを心配して申し上げたのです。今石川さんのお話もありましたけれども、やはり原子力委員会としても、そういう点今後の日本の原子力産業界のあり方についても、よほどやはり関心を持たれて、ただ事前によく協力してくれというのじゃなくて、産業界なり、学界の原子力開発に対する意欲なり熱意なり良心が二本のレールとなって、その上で私は健全な日本の原子力研究開発があると思う。そのいわばかじをとるのは原子力委員会なんだから、PWだ、BWだといって、一本のレールががたがたしたのでは困る。だから、そういう点を原子力委員会が責任を持って調整していただくというような御努力を、今後もう少し力強く僕はやっていただきたいと思う。これは御返答は要りません。こういう席上で申し上げることじゃないかもしれませんので、これ以上申し上げませんけれども、ぜひお願いいたしておきたいと思います。  それから、これは森事務局次長にこういう機会だからお尋ねをしておきたいと思うのです。現在の原子力研究所のあり方ですね、これでいいのかということなんです。原子力研究所も幾つか炉を作りました。ずいぶん作ったようです。だが、俗にいえば炉多くして功少なしというような状態でございます。まことに壁に当たっておるような格好で、私どももこの予算をいじりながら実は恐縮しておるわけなんですが、どうしたらいいのか。皆さん、長山さんも長沢さんも一つ御意見があったら、こういう機会にぜひ聞かしていただきたい。まず森さんから伺いたい。

森一久社団法人日本原子力産業会議事務局次長

○森参考人 原子力研究所のあり方は、産業界の中にいろいろ問題がございまして、よそのことを言うほど大きな口もきけない面もあるのですけれども、今おっしゃいましたように、原子力研究所は今までいろいろ原子炉を並べてきただけだと言われましたけれども、そういった面も確かにありますが、これはそういった研究体制の準備としてやむを得なかったのではないかと思われます。しかし、今後はそうではなくて、やはり動力炉の開発のプロジェクトといったようなものをはっきり設定して、原子力研究所全体がそういった目的にタイム・スケジュールがはっきりした形で、まとまった研究をやっていくべきではないか。そういうことが、私どもで最近作りました原子力長期計画推進協議会というのがございますが、その中に研究開発部会というものを作りまして検討しておりますけれども、大体そういうふうな御意見が多いようでございます。これだけ研究設備も整ったのだから、一体長い将来に向かってどういう形の炉を開発していくのかという目標をはっきりして、それに向かって基礎研究、応用研究を縦につなげた形で体系的にやっていくべきではないか、という意見が非常に強くなってきておるように思います。そのことは、私は原子力研究所の中で出ております新聞なんか拝見いたしましても、内部の若い研究者の間でもそういった意見が最近非常に強くなっているように拝承しております。

岡良一日本社会党

○岡委員 もちろん原子力研究所は若い諸君の学位請求論文ばかり作っても仕方がないので、やはり研究所のあり方としては、原子力発電なら原子力発電という一つのプロジェクトのもとに協力体制をとって、国が積極的にバックアップするという方向でいけばいいと思うのですが、そうなりますと、これは率直にいって森さん、どう思われましょうか。私ども門外漢だから、きわめてその点はすなおに思うのですけれども、今四十億ばかりの予算で動力試験炉が作られつつあるわけです。ところが、きょうお話を聞くと、実用炉を入れることがどうという、盛んに強い御意見だ。英国あたりも、最近の海外事情を拝見いたしますと、アメリカと英国の共同研究の成果というのでしょうか、天然ウラン重水炉というようなところへ踏み切ろうというヒントン卿あたりの強い意向も聞いておるわけです。国産炉としても天然ウラン重水炉を作りつつある。何かそういう意味でダブっておるのじゃないかということですね。私はこういう点に、やはり民間とあるいは原研との非効率性、計画の複雑性というか、言いかえれば不統一性があると思うのです。こういう点をもう少し折り目を正しくしてやれないものだろうかというような、いらだたしさを感ずることがあるのですが、こういう機会に森次長の率直な御意見を聞かしていただきたいと思います。

森一久社団法人日本原子力産業会議事務局次長

○森参考人 確かに今おっしゃった方法が非常にいい方法だと思いますけれども、やはりその前に、原研自体が何をやるのか、漫然と大学のような研究をやっておるところなのかどうか、ということをはっきりいたしまして、その上で動力炉開発を一つやるということになりますと、燃料部門については民間のどういうところとつなげばいいか、どういう形でつなげばよろしいか、そういったような方向に展開していくことになると思います。まずその前に、先ほどおっしゃった原子力研究所のあり方ということをはっきりさせた上でやっていくのが適当ではないかと考えます。

岡良一日本社会党

○岡委員 産業界の方も来られましたので、こういう機会にいろいろお尋ねもしたいのですが、とっさのことでもございますから、私はこの程度で終わります。

前田正男自由民主党

○前田委員長 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、本委員会の調査のため多大の参考になったものと存じます。委員会を代表いたしまして、私から厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。  本日はこの程度とし、次会は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十九分散会

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